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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】置換三環系化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/14 20060101AFI20231018BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231018BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231018BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20231018BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20231018BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231018BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
C07D471/14 102
C07D471/14 CSP
A61P43/00 111
A61P43/00 105
A61P35/00
A61P19/02
A61P37/06
A61P29/00
A61K31/437
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512324
(86)(22)【出願日】2021-10-06
(85)【翻訳文提出日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 IB2021059150
(87)【国際公開番号】W WO2022074572
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】202021043852
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515259694
【氏名又は名称】ユニケム ラボラトリーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】サテ,ダナンジャイ ジー
(72)【発明者】
【氏名】ゴーズ,ドニャネシュワール ヴイ
(72)【発明者】
【氏名】イェロル,ゴラクナス エス
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA04
4C065BB06
4C065CC03
4C065DD04
4C065EE03
4C065HH01
4C065JJ01
4C065KK08
4C065KK09
4C065LL01
4C065PP01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA96
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。ここで、Qは、式Q1またはQ2の群であり、波状結合は結合の点を表し、Rは-NRであり、Rは水素またはC-C10アルキル基であり、RとRは独立して水素またはC-C10アルキル基を表す。本発明は、キナーゼ阻害剤としてのこれらの化合物の使用、および本発明の化合物を含む組成物を提供する。
【化1】

【化2】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表され、
【化1】

Qは式Q1またはQ2の群であり、
【化2】

~~~~~~(波状結合)は結合の点を表し、
は-NRであり、
は水素またはC-C10アルキル基であり、
とRは独立して水素またはC-C10アルキル基を表す、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
QはQ1であり、Rは水素またはC-C10アルキル基を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
QはQ2であり、Rは水素またはC-C10アルキル基を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が-NHRである、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
が-NHRである、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
がメチルである、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
が水素である、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
がメチルであり、Rが水素であり、Rがメチルである、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
がエチルであり、Rが水素であり、Rがメチルである、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
がプロピルであり、Rが水素であり、Rがメチルである、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
がイソプロピルであり、Rが水素であり、Rがメチルである、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
がメチルであり、RとRが水素である、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
がエチルであり、RとRが水素である、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
がプロピルであり、RとRが水素である、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
がイソプロピルであり、RとRが水素である、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
N,1-ジメチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
N-エチル-1-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
1-メチル-N-プロピル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
1-メチル-N-(プロパン-2-イル)-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
N-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
N-エチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
N-(プロパン-2-イル)-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
N,3-ジメチル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
N-エチル-3-メチル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
3-メチル-N-プロピル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
3-メチル-N-(プロパン-2-イル)-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
N-メチル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
N-エチル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;および
N-(プロパン-2-イル)-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミドからなる群から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
N,1-ジメチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
N-エチル-1-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
1-メチル-N-プロピル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
1-メチル-N-(プロパン-2-イル)-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
N-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
N-エチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
N-(プロパン-2-イル)-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
N,3-ジメチル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
N-エチル-3-メチル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
3-メチル-N-プロピル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
3-メチル-N-(プロパン-2-イル)-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
N-メチル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;
N-エチル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;および
N-(プロパン-2-イル)-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミドからなる群から選択される化合物。
【請求項18】
N-(プロパン-2-イル)-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド塩酸塩。
【請求項19】
N-(プロパン-2-イル)-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド塩酸塩。
【請求項20】
先行する請求項のいずれかに記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項21】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
治療に使用するための、請求項1から19のいずれかに記載の化合物または請求項20若しくは21に記載の組成物。
【請求項23】
キナーゼの異常な機能によって引き起こされる疾患または状態の前記治療または予防における使用のための、請求項1から19のいずれかに記載の化合物または請求項20若しくは21に記載の組成物。
【請求項24】
前記キナーゼはヤヌスキナーゼである、請求項23の使用のための前記化合物または前記組成物。
【請求項25】
キナーゼの異常な機能によって引き起こされる前記疾患または状態は、増殖性疾患、軟骨ターンオーバーの障害を伴う疾患、軟骨細胞の同化刺激を伴う疾患、自己免疫疾患、先天性軟骨奇形、炎症状態、および移植拒絶反応からなる群から選択される、請求項24の使用のための前記化合物または前記組成物。
【請求項26】
キナーゼの異常な機能によって引き起こされる疾患または状態の治療または予防における使用のための医薬の製造のための、請求項1から19のいずれかに記載の化合物または請求項20若しくは21に記載の組成物の使用。
【請求項27】
前記キナーゼはヤヌスキナーゼである、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
キナーゼの異常な機能によって引き起こされる前記疾患または状態は、増殖性疾患、軟骨ターンオーバーの障害を伴う疾患、軟骨細胞の同化刺激を伴う疾患、自己免疫疾患、先天性軟骨奇形、炎症状態、および移植拒絶反応からなる群から選択される、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
治療有効量の請求項1から19のいずれかに記載の化合物または請求項20若しくは21に記載の組成物を対象に投与することを含む、キナーゼの異常な機能によって引き起こされる疾患または状態を、それを必要とする前記対象において治療または予防する方法。
【請求項30】
前記キナーゼはヤヌスキナーゼである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
キナーゼの異常な機能によって引き起こされる前記疾患または状態は、増殖性疾患、軟骨ターンオーバーの障害を伴う疾患、軟骨細胞の同化刺激を伴う疾患、自己免疫疾患、先天性軟骨奇形、炎症状態、および移植拒絶反応からなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)の新規化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。本発明は、本発明の化合物を調製するプロセス、これらの化合物のキナーゼ阻害剤としての使用、および本発明の化合物を含む組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
プロテインキナーゼ(PTK)は、ATPをリン酸源として特定のアミノ酸をリン酸化することによってプロテインの生物活性を調節する酵素であり、これにより、プロテインの不活性型から活性型への構造変化を誘導する。これらは、ほとんどすべての細胞内プロセスを制御しており、このため、細胞機能の重要な制御因子である。キナーゼは、シグナル伝達や細胞周期のような複雑な機能の調整において特に重要である。プロテインキナーゼは、リン酸化する基質に基づいて分類されることがある。例えば、セリン/スレオニンプロテインキナーゼは、セリンやスレオニンのアミノ酸残基をリン酸化するのに対し、チロシンキナーゼはチロシンアミノ酸残基をリン酸化する。
【0003】
チロシンキナーゼは、シグナル伝達プロセスの重要な媒体であり、細胞増殖、分化、転移、代謝、およびプログラムされた細胞死などを引き起こす。これらは、腫瘍の発生と進行の幾つかのステップに関与している。チロシンキナーゼのシグナル伝達経路は、通常、異常な増殖を防ぐ、あるいは、アポトーシス刺激に対する感受性に寄与する。ヤヌスキナーゼ(JAKと記す。)は、サイトカインシグナリングの膜受容体からシグナル伝達物質への伝達に含まれるチロシンキナーゼであり、転写(STAT)因子の活性化剤である。サイトカインは、細胞の増殖や免疫反応の制御に重要な役割を担っている。多くのサイトカインは、I型およびII型サイトカイン受容体に結合し、活性化することによって機能する。これらの受容体は、酵素のヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリーに依存して、シグナル伝達を行う。現在、4つの哺乳類JAKファミリーメンバーが知られている:JAK1(ヤヌスキナーゼ1)、JAK2(ヤヌスキナーゼ2)、JAK3(ヤヌスキナーゼ白血球、JAKL、L-JAK、ヤヌスキナーゼ3としても知られている。)、TYK-2(プロテインチロシンキナーゼ2としても知られている。)。JAKの変異や機能異常は、シグナル伝達経路を遺伝的またはエピジェネティックに変化させ、癌細胞に選択的優位性を与える可能性がある。このような異常は、炎症性疾患、自己免疫疾患、増殖性疾患、移植拒絶反応、軟骨のターンオーバー障害を伴う疾患、先天性軟骨奇形、IL6の過剰分泌を伴う疾患など、免疫・神経系の不適切な活性化に起因する疾患の原因にもなり得る。
【0004】
キナーゼが介在する疾患は、その活性を阻害することにより予防または治療される。JAK阻害剤は、JAK-STATシグナル伝達経路を妨害する。したがって、これらのヤヌスキナーゼの活性を阻害する薬剤は、免疫反応に対して有効なサイトカインシグナルをブロックする(Current Opinion in Pharmacology. 12(4):464-70).
【0005】
米国特許第RE41783号は、JAK阻害剤、より具体的にはJAK3阻害剤である幾つかのピロロピリミジン化合物を開示している。米国特許第8962629号および第8088764号にそれぞれ開示された三環系およびトリアゾロピリジン化合物は、特異的なJAK1阻害剤であり、一方、US8158616号に開示されたアゼチジン誘導体は混合されたJAK1およびJAK2である。これらのJAK阻害剤は満足のいくものであることが示されているが、JAK関連疾患に対しては、より効果的で強力な治療が求められている。ヤヌスキナーゼの変異や機能不全に起因する疾患の治療に有効な新規化合物を研究し、同定する必要性が残されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、JAKの異常な機能により生じる疾患の予防および/または治療に有効な新規化合物の形態の代替物を提供することである。さらに、これらの新規化合物の調製方法、その医薬製剤、および本発明の化合物を用いたJAKの異常に起因する疾患の治療方法を提供するを目的とする。本発明のさらに他の目的は、安価で入手しやすいJAK阻害剤を提供することである。本発明の他の目的は、JAKの機能異常に起因する疾患の効果を取り除くまたは低減する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、式(I)の化合物
【化1】

またはその薬学的に許容される塩に関し、ここで、Qは式Q1またはQ2の群であり、
【化2】

~~~~~~(波状結合)は、結合の点を表し、
ここで、Rは-NRであり、
は水素またはC-C10アルキル基であり、
とRは独立して水素またはC-C10アルキル基を表す。
【0008】
本発明の別の実施形態は、以下のからなる群から選択される式(I)の特定の好ましい化合物を提供する:N,1-ジメチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;N-エチル-1-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;1-メチル-N-プロピル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;1-メチル-N-(プロパン-2-イル)-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;N-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;N-エチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;N-(プロパン-2-イル)-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;N,3-ジメチル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;N-エチル-3-メチル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;3-メチル-N-プロピル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;3-メチル-N-(プロパン-2-イル)-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;N-メチル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;N-エチル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;およびN-(プロパン-2-イル)-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド;またはこれらの薬学的に許容できる塩。
【0009】
本発明の別の実施形態は、N-(プロパン-2-イル)-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド塩酸塩である式(I)の特定の好ましい化合物を提供する。
【0010】
本発明の別の実施形態は、N-(プロパン-2-イル)-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド塩酸塩である式(I)の特定の好ましい化合物を提供する。
【0011】
本発明の別の実施形態は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を調製するプロセスを提供する。
【0012】
本発明の別の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物が提供される。
【0013】
本発明のさらなる実施形態では、キナーゼ、特にヤヌスキナーゼの異常な機能によって引き起こされる疾患または状態の治療または予防における使用のための、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、またはこのような化合物若しくはその塩を含む組成物が提供される。
【0014】
別の実施形態では、本発明は、キナーゼ、特にヤヌスキナーゼの異常な機能によって引き起こされる疾患または状態の治療または予防に用いる医薬の製造のための、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、またはこのような化合物若しくはその塩を含む組成物の使用を提供する。
【0015】
さらなる実施形態では、本発明は、キナーゼ、特にヤヌスキナーゼの異常な機能によって引き起こされる疾患または状態を、それを必要とする対象において治療または予防する方法を提供し、この方法は、治療有効量の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩またはこのような化合物若しくはその塩を含む組成物を対象に投与することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の反応スキームは、本発明の化合物の調製を説明するものである。
【0017】
スキームIは式(I)の化合物の調製を例示し、ここで、Q、R、およびRは上記のように定義され、LとLはXまたは脱離基を表す。Xは、L若しくはLと同一またはL若しくはLと異なる脱離基でもよい。Xは、-CORによって容易に置換されるまたは-CORに変換され得る基であってもよい。
【化3】

本発明の一つの側面によれば、離脱基L、L、またはXは、所望の基または原子によって容易に置換されるものである。脱離基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、およびスルホニルオキシ基から選択されてもよい。スルホニルオキシ基の例は、アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ(メシレート基)、トリフルオロメチルスルホニルオキシ(トリフレート基)、およびアリールスルホニルオキシ基(例えば/-トルエンスルホニルオキシ(トシレート基)および/ニトロスルホニルオキシ(ノシレート基))などを含むが、これらに限られない。本発明の目的のために、LとXは、特に臭素、塩素、またはヨウ素のようなハロゲンおよびトリフレート基から選択することができる。Xの選択は、当業者の理解および知識の範囲内で十分に行われるであろう。
【0018】
スキームIの上記反応において、式I-1の化合物は、45℃~120℃の温度範囲で0.5時間から20時間、アンモニアの水、THF、1,4-ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、若しくはアセトニトリル(ACN)、またはこれらの混合物などの適切な溶媒の溶液による置換反応によって式I-2の化合物に変換される。
【0019】
アセトニトリル、クロロホルム、またはテトラヒドロフランのような適切な溶媒中、-20℃から還流温度の範囲の温度で約1時間から約10時間の時間、式I-2の化合物をトリフルオロメタンスルホン無水物のようなトリフレート化剤またはハロゲン化剤と反応させることにより、式I-2の化合物が式I-3の化合物に変換される。
【0020】
本発明に係るハロゲン化剤とは、ハロゲンの供給源となる試薬である。例えば、この試薬は、塩素、塩化チオニル、N-クロロスクシンイミド、塩化オキザリルのような塩素化剤、臭素、N-ブロモスクシンイミド、四臭化炭素などの臭素化剤、またはヨウ素、ヨウ化水素酸、N-ヨードスクシンイミドなどのヨウ素化剤であってもよい。ハロゲン化剤は、当業者の知識・理解に従って、選択することができる。
【0021】
式I-3の化合物とアセチレン誘導体を適切な触媒を用いて薗頭反応させることで、式I-4の化合物が得られる。薗頭反応の反応条件は、出発物質、溶媒、遷移金属触媒によって異なる。反応条件は、本反応と同様の条件であれば特に限定されず、当業者によく知られている方法を用いることができる。好ましい溶媒の例としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、1-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロルメタン、またはこれらの混合物が挙げられる。反応温度は、カップリング反応を完結させるのに十分な温度にすべきであり、室温~100℃が好ましい。本反応は、不活性ガス雰囲気下で行うことができ、また、窒素ガス雰囲気下、アルゴンガス雰囲気下でも行うことができる。好ましい反応条件下では、本反応は1~24時間で完結する。遷移金属触媒は、好ましくはパラジウム錯体である。パラジウム錯体の例としては、酢酸パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、本反応では、十分な結果を得るために、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィンなどのリンのキレート剤を添加してもよい。さらにハロゲン化金属または4級アンモニウム塩など、好ましくはヨウ化銅(I)、塩化リチウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、または酸化銀(I)を用いて反応を促進してもよい。また、塩基の存在下でも好ましい結果が得られるが、使用される塩基は、本反応と同様のカップリング反応に用いられるものであれば、特に限定されるものではない。このような塩基の例としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、ピリジンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
式I-4の化合物は、アルコール溶媒、THF、またはDMAなどの適切な溶媒の存在下、塩基または遷移金属触媒の存在下で容易に5-遠位環化反応を受け、式I-5の化合物を提供することが可能である。例示的に、塩基は、カリウムtert-ブトキシド、水素化リチウム、水素化リチウムアルミニウム、およびn-ブチルリチウムから選択することができ、遷移金属触媒は、パラジウムと銅触媒から選択することができる。
【0023】
式I-5の化合物は、保護基で処理することによって任意に保護され、式I-6の化合物を与えることができる。
【0024】
例示的に、式I-5の化合物は、式I-5の化合物を、水素化ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの塩基、およびジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフランなどの極性アプロティック溶媒の存在下、塩化ベンゼンスルホニル、塩化ベンジルまたは臭化ベンジルで処理することにより、Rがベンゼンスルホニルまたはベンジルである対応する式I-6の化合物に変換される。反応混合物は、約0℃~約70℃、好ましくは約30℃の温度で、約1時間~約3時間、好ましくは約2時間の時間撹拌される。
【0025】
は、ベンゼンスルホニル、置換ベンゼンスルホニル、メチルスルホニル、ベンジル、若しくはBoc(t-ブチルオキシカルボニル)、CBz(カルボキシベンジル)などのカルバミン酸保護基などの保護基、またはベンゾイル、イソブタノイル、アセチル、フェノキシアセチル、4-(t-ブチル)ベンゾイル、4-(t-ブチル)フェノキシアセチル、4-(メトキシ)ベンゾイル、2-(4-ニトロフェニル)エチルオキシカルボニル、2-(2,4-ジニトロフェニル)エチルオキシカルボニル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、ジフェニルカルバモイル、若しくはホルムアミド基のような基である。特に好ましいのは、ベンゾイル、イソブタノイル、4-(t-ブチル)ベンゾイル、2-(4-ニトロ-5フェニル)エチルオキシカルボニル、2-(2,4-ジニトロフェニル)エチルオキシカルボニル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、4-(メトキシ)ベンゾイル、またはパラ-(t-ブチル)フェノキシアセチル、パラ-ニトロフェニル2-エチルオキシカルボニル基、若しくは6-0-ジフェニルカルバモイルを有する2-N-アセチル基である。
【0026】
式I-5とI-6の化合物は、式I-3の化合物の調製について記載したプロセスと同様の方法で、それぞれ式I-8およびI-7の化合物に変換することができる。
【0027】
式I-8の化合物は、当業者に知られたプロセスによって式(I)の化合物に変換することができる。このようなプロセスは、式I-8のXを直接アミド基に変換すること、またはエステル、無水物、アルデヒド、ケトン、シアン化物、酸、または当業者の理解および知識の範囲のアミド基に変換可能な任意の基の生成を経由して変換することを含んでもよい。
【0028】
例えば、Xをエステル基に変換し、引き続きアミドに変換する場合、塩基の存在下、THF、1,4-ジオキサン、DMF、DMSO、ACNなどの極性アプロティック溶媒中で-75℃~100℃の温度で0.5時間~20時間式I-8の化合物をエステル化剤と処理することでエステル誘導体が生成する。このエステル誘導体とトリアルキルアルミニウム(トリメチルアルミニウムなど)および必要なアミン誘導体またはアンモニア溶液を、トルエン、クロロホルム、メタノール、エタノール、THF、1,4-ジオキサン、DMF、DMSOおよびACNなどの溶媒存在下で-10℃~100℃で0.5時間~20時間反応すると式Iを有するアミドを与える。
【0029】
式I-7の化合物は、式I-8の化合物を式Iの化合物へ変換するために使用することができる同様のプロセスを用いることで、式I-9の化合物に変換することができる。
【0030】
式I-9の化合物は、保護基Rを開裂することで式Iの化合物に変換することができる。式I-9の化合物の保護基は、式Iの化合物を得るために当業者によって理解されるように脱保護剤によって開裂することができる。アミノ保護基の脱保護剤の例は、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、p-トルエンスルホン酸などの酸、またはアルカリ若しくはアルカリ性塩基などの塩基である。例えば、Rがベンゼンスルホニルである式I-9の化合物では、メタノール、エタノールなどのアルコール溶媒、またはアルコール/テトラヒドロフラン、アルコール/水などの混合溶媒中、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシドなどのアルカリ塩基で処理することにより脱保護することができる。反応は、室温または還流温度で、約15分~約1時間、好ましくは30分間行われる。Rがベンジルである場合、脱保護は、1-9をアンモニア中ナトリウムで約-78℃の温度で約15分~約1時間の間の時間処理するか、または水素および触媒、例えば炭素上の水酸化パラジウム、Pd/C、ラネーニッケル、NH-NH若しくは水素と組み合わせたラネーニッケルを用いて実施することができる。他の好適な脱保護剤は、ルイス酸、例えば、ジクロロメタン/イソプロパノール中の三フッ化ホウ素エーテルまたは臭化亜鉛、HCl水溶液、HBr水溶液、酢酸中のHBr、硫酸などである。
【0031】
スキームIIも式(I)の化合物の調製を例示しており、ここで、Q、R、R、R、およびXは上述したように定義される。Rはアルコキシ(-OR)またはCXを表し、ZはNOである。
【化4】
【0032】
スキームIIの上記反応において、式I-10の化合物は、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸セシウムなどの塩基、またはn-ブチルリチウム、2級ブチルリチウム、3級ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミドなどのアルキルリチウムの存在下、塩化ベンゼンスルホニル、塩化ベンジル、または臭化ベンジルなどの保護基Rを有する式I-10の化合物を処理することにより、対応する式I-11の化合物に変換することができる。このような反応は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ヘキサメチルホスホルアミド、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、水、ジクロロメタン、トルエン、DMSOまたはこれらの混合物のような溶媒中で実施することができる。反応混合物は、約0℃~約70℃の間の温度、好ましくは約10℃で約1時間~約10時間の間、好ましくは約4時間撹拌される。
【0033】
は、上記のように定義される保護基である。
【0034】
式I-11の化合物は、アセトニトリル、クロロホルム、n-メチルピロリドン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、1,4-ジオキサン、およびジクロロメタンクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロエタン、若しくはその混合物などの塩素化アルキルまたはアリール溶媒中で、-20℃から還流温度の範囲の温度で約1時間から約15時間の間の時間、好ましくは65-75℃で4~5時間、式I-11の化合物をトリフルオロ酢酸無水物、塩化トリクロロアセチル、酸ハライド、酸無水物などのアシル化剤と反応させることで式I-12の化合物に変換することができる。
【0035】
式I-12の化合物は、ジクロロメタン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ジクロロエタン、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、水、ジメチルスルホキシド、またはこれらの混合物などの溶媒中、-10℃~100℃の温度で約1時間~約30時間、好ましくは5時間、無水トリフルオロ酢酸を用い、例えば硝酸アルキルアンモニウム、硝酸テトラブチルアンモニウム、または硝酸テトラメチルアンモニウムなどのニトロ化剤で式I-12の化合物を処理することで式I-13の化合物に変換することができる。
【0036】
式I-13の化合物は、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,4ジオキサン、トルエン、ジメチルホルムアミド、水、アルコール溶媒、DMSO、アセトニトリル、またはこれらの混合物などの適切な溶媒中、-10℃から還流温度の範囲の温度で約1時間から約25時間の間の時間、好ましくは8~10時間、アンモニアまたはメチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、n-プロピルアミン、イソブチルアミン、n-ブチルアミンなどの一級アミンと反応させることで式I-14の化合物に変換することができる。
【0037】
式I-14の化合物は、メタノール、エタノール、水、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンなどの環状/非環状エーテル、アセトニトリル、水などの適切なアルコール溶媒中、またはメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンなどの環状/非環状エーテル、アセトニトリル、水などの適切なアルコール溶媒中、-10℃から還流温度、好ましくは室温で1時間から10時間の時間、炭素上のパラジウム、ラネーニッケル、ラネーニッケルとNH-NHまたは水素との組み合わせ、鉄/塩化アンモニウム、炭素上の白金、亜鉛/塩化アンモニウム、Fe/AcOH、または次亜硫酸ナトリウムなどの金属触媒を用いてニトロ基を還元することにより、式I-15の化合物に変換することが可能である。
【0038】
式I-15の化合物は、任意に、式I-15の化合物をアルキル化剤で処理する、またはアルデヒド、ケトンで処理した後、当業者に知られた方法によって還元することにより、式I-15aの化合物に変換される。
【0039】
式I-15またはI-15aの化合物は、トルエン、クロロベンゼンや1,2ジクロロベンゼンなどのハロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、水、酢酸、ギ酸、ホルムアミド、またはこれらの混合物などの溶媒を用い、室温から還流温度までの温度、好ましくは0℃~100℃で1~10時間、好ましくは5時間、トリエチルオルソホルメートなどの試薬、および酸触媒、例えばパラトルエンスルホン酸、ジメチルホルムアミド、またはギ酸、および酢酸亜鉛などの金属触媒を用いた環化法によって式I-16の化合物に変換することが可能である。
【0040】
式I-16の化合物は、式I-17の化合物を得るために、メタノール、エタノールなどの適切なアルコール溶媒、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノールなどの適切なアルコール溶媒の混合物、テトラヒドロフランまたは1,4-ジオキサンなどの環状/非環状エーテル、アセトニトリル、水中で、室温から還流温度までの温度、好ましくは温度80℃で30分~10時間の時間、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの水酸化アルカリまたはその水溶液、あるいはで当業者が理解する他の試薬を用いた加水分解により、式I-17の化合物に変換することができる。
【0041】
式I-17の化合物は、保護基Rを開裂することにより、式I-18の化合物に変換することができる。当業者によって理解されるような脱保護剤によって式I-17の化合物の保護基を開裂することで、式Iの化合物を得ることができる。アミノ保護基の脱保護剤の例は、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、p-トルエンスルホン酸、HC1、HBr、HSOなどの酸、またはアルカリ若しくはアルカリ塩基などの塩基である。例えば、Rがベンゼンスルホニルである式I-17の化合物の場合、脱保護は、メタノール、エタノールなどのアルコール溶媒、アルコール/テトラヒドロフラン、アルコール/水などの混合溶媒、MDC、THF、トルエン、CAN、水、またはこれらの混合物中、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどのアルカリ塩基で1-17を処理することで実施することができる。反応は、室温~還流温度で、約15分~約1時間、好ましくは30分間行われる。Rがベンジルである場合、脱保護は、約-78℃の温度で約15分~約10時間の間の時間、1-17をアンモニア中のナトリウムで処理する、またはテトラヒドロフランなどのエーテル溶媒、tert-ブタノールなどのアルコール、MDC、THF、トルエン、CAN、水、またはこれらの混合物中において水素と炭素上の水酸化パラジウム、Pd/Cなどの触媒を用いることによって実施される。他の適切な脱保護剤は、例えば、ジクロロメタン/イソプロパノール中の三フッ化ホウ素エーテルまたは臭化亜鉛などのルイス酸、HCl、HBr、HSOである。
【0042】
式I-18の化合物は、0℃から還流温度、好ましくは70~80℃の範囲の温度で、0.5時間から15時間、好ましくは5.0時間の時間、ジメチルホルムアミド、ヂメチルアセトアミド、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、1,2ジクロロベンゼンなどのハロベンゼン、またはアセトニロリルなどの溶媒の混合物を用い、酸誘導体(式I-18)と塩化チオニル、塩化オキザリルのような塩素化剤との反応により、式Iの化合物に変換して酸クロリド誘導体を形成することができる。この酸塩化物誘導体は、アンモニア、またはメチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、n-ブチルアミン、シクロプロピルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミンなどの適当な1級、2級アミンと反応させて式-Iの目的のアミド化合物に変換することができる。アミンは、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、1,4-ジオキサン,ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはそれらの混合物などの溶媒中、0℃から還流温度までの範囲、好ましくは室温で、0.5時間~10時間好ましくは、5.0時間において、任意の1級または2級アルキルアミンでよく、例えば、「C10アルキル」は、C、C、C、C、C、C、C、C、C、およびC10アルキル基を含むことを意図する。
【0043】
式I-18の化合物は、PyBOP、EDC、HCl、DCC、HoBtなどのカップリング剤、または当業者に知られたカップリング剤を用い、アンモニア、またはメチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、n-ブチルアミン、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの適切な1級、2級アミンで式I-18の化合物を処理することで式Iの化合物に転化することができる。アミンは、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、1,4-ジオキサン,ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはそれらの混合物などの溶媒中、0℃から還流温度までの範囲、好ましくは室温で、0.5時間~15時間好ましくは、10.0時間において、1級または2級アルキルアミンでよく、例えば、「C10アルキル」は、C、C、C、C、C、C、C、C、C、およびC10アルキル基を含むことを意図する。
【0044】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、中間体の単離を伴う、または伴わずに調製することができる。
【0045】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、およびその中間体の単離は、冷却、ろ過、遠心分離、洗浄、乾燥、およびこれらの組み合わせなどの当該技術分野で知られた任意の方法によって実施することができる。
【0046】
プロドラッグは、医薬の多数の望ましい品質(例えば、溶解性、生物学的利用能、製造など)を向上することが知られているので、本発明の化合物は、プロドラッグの形態で伝達することができる。したがって、本発明は、現在クレームされている化合物のプロドラッグ、これを伝達する方法、およびこれを含む組成物をその範囲に含むことを意図している。「プロドラッグ」は、このようなプロドラッグが哺乳類の対象に投与されたとき、インビボで本発明の活性親薬剤を放出する任意の共有結合した担体を含むことを意図している。本発明のプロドラッグは、ルーチン操作またはインビボのいずれかによって修飾が開裂されて親化合物を与えるように、化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製される。
【0047】
ここで使用されるように、用語「アルキル」は、指定された数の炭素原子を有する分枝および直鎖の飽和脂肪族炭化水素基およびシクロアルキル基を含むことが意図される。例えば、「C10アルキル」は、C、C、C、C、C、C、C、C、C、およびC10アルキル基を含むことが意図される。好ましいアルキル基は、1~6個、特に1~4個の炭素原子を有する。アルキル基の例としては、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n-プロピル、イソプロピル)、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル)、ペンチル(例えば、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)などが挙げられるが、これらに限られない。上記アルキルは、アルキル、ハロゲン、アミド、エステル、酸、シアン、アミンでさらに置換されていてもよい。
【0048】
「シクロアルキル」とは、単環系を含む環化されたアルキル基である。C3-13シクロアルキルは、C、C、C、C、およびCシクロアルキル基を含むことを意図している。好ましいシクロアルキル基は、3~8個、特に3~6個の炭素原子を有する。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれるが、これらに限られない。
【0049】
ここで使用される用語「保護基」は、ヒドロキシル、アミノ、およびチオール基に限定されない反応性基を合成手順中の望ましくない反応に対して保護するために当技術分野で知られている、不安定な化学部分を指す。保護基は、典型的には、他の反応部位での反応中に部位を保護するために選択的および/または直交的に使用され、その後、保護されていない基をそのままに、またはさらなる反応に利用できるように除去することが可能である。さらに、当業者には明らかなように、特定の官能基が望ましくない反応を受けるのを防ぐために従来の保護基が必要な場合がある。特定の官能基のための適切な保護基の選択、および保護および脱保護のための適切な条件は、当技術分野でよく知られている。例えば、多数の保護基、およびそれらの導入と除去は、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protecting Groups in Organic Synthesis,Second Edition,Wiley,New York,1991、およびそこに引用されている文献に記載されている。
【0050】
式(I)の化合物は、遊離形態(イオン化していない)で存在してもよく、塩を形成していてもよく、これも本発明の範囲内である。薬学的に許容される(すなわち、非毒性で生理学的に許容される)塩が好ましいが、他の塩も、例えば、この発明の化合物を単離または精製する際に有用である。
【0051】
本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を有してもよい。特に示さない限り、本発明の化合物の全てのキラル体(エナンチオマーおよびジアステレオマー)とラセミ体が本発明に含まれる。オレフィン、C=N二重結合などの多くの幾何異性体も本化合物中に存在することができ、そのような安定な異性体はすべて本発明に企図されている。本発明の化合物のシスおよびトランス幾何異性体が記載されており、異性体の混合物として、または分離した異性体として単離することができる。本発明は、本発明の化合物の全ての光学異性体および立体異性体、およびこれらの混合物の使用、ならびにそれらを使用または含みうる全ての医薬組成物および治療方法に関する。本化合物は、光学活性体またはラセミ体として単離することができる。ラセミ体の分離、または光学活性な出発物質からの合成によるなど、光学活性体を調製する方法は当技術分野でよく知られている。特定の立体化学または異性体形態が具体的に示されていない限り、構造のすべてのキラル(エナンチオマーおよびジアステレオマー)およびラセミ体、ならびにすべての幾何異性体形態が意図される。
【0052】
本発明の化合物は、すべてのコンフォメーション異性体(例えば、シスおよびトランス異性体)を含む。本発明の化合物は非対称中心を有するため、異なるエナンチオマーおよびジアステレオマー形態で存在する。本発明は、本発明の化合物のすべての光学異性体および立体異性体およびこれらの混合物の使用、ならびにこれらを使用または含みうるすべての医薬組成物および治療方法に関する。この点において、本発明は、EおよびZの両形態を含む。式Iの化合物は、互変異性体として存在することもできる。本発明は、そのような全ての互変異性体とその混合物の使用に関する。本発明は、単に例示された1つの互変異性体に限定されないことが理解されよう。
【0053】
フレーズ「薬学的に許容される」は、ここでは、化合物、材料、組成物、および/または剤形を指すために用いられ、これらは、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題若しくは合併症なしに、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適しており、妥当な利益/リスク比に見合ったものである。
【0054】
ここで使用されるように、「薬学的に許容される塩」は、開示された化合物の誘導体を指し、ここで、親化合物がその酸塩または塩基塩を作ることによって修飾される。
【0055】
式Iの化合物は、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、ジシクロヘキシルアミン、トリブチルアミン、ピリジンなどの有機塩基、およびアルギニン、リジンなどのアミノ酸と塩を形成してもよい。このような塩は、当業者に知られたように形成することができる。
【0056】
式Iの化合物は、様々な有機酸および無機酸と塩を形成することができる。薬学的に許容される塩の例には、アミンなどの塩基性残基の鉱酸または有機酸塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機酸塩などが含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩としては、例えば、無毒な無機または有機酸から形成される従来の無毒な塩または親化合物の4級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、このような従来の無毒性塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸、ホウ酸塩などの無機酸から誘導される塩、および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などの有機酸から調製された塩が挙げられる。
【0057】
さらに、双性イオン(「内塩」)が形成されてもよい。
【0058】
当業者は、本発明の化合物が2つ以上の塩基性部位を有するので、1分子以上の酸と塩を形成する能力を有することを理解するであろう。本発明は、本開示の化合物のモノ、ジ、またはトリ塩を具現化する。
【0059】
本発明の薬学的に許容される塩は、塩基性部位または酸性部位を含む親化合物から通常の化学的方法によって合成することができる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基体を、水中、有機溶媒中、あるいはこれら二つの混合物中で化学量論量の適切な塩基または酸と反応させることによって調製することができ、一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリルなどの非水溶媒が好ましい。適切な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418において見つけることができ、その開示は参照によりここに組み込まれるものとする。塩は、溶媒の存在下または非存在下で調製することができる。
【0060】
「安定な化合物」、「安定な異性体(複数可)」、および「安定な構造」は、反応混合物から有用な純度まで分離し、有効な治療剤に製剤化するのに十分に耐性がある化合物を示すことを意味する。
【0061】
「約」、「一般に」、「実質的に」などの用語は、絶対的なものではないように用語または値を修飾するものとして解釈される。このような用語は、当業者によって理解されるように、状況およびこれらが修飾する用語によって定義されるであろう。これには、少なくとも、値を測定するために使用される所定の技術について予想される実験誤差、技術誤差、および機器誤差の程度が含まれる。
【0062】
一つの実施形態によれば、本発明の化合物、その立体異性体、互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩は、医薬用途のための組成物に好適な形態で製剤することができる。
【0063】
「製剤」、「組成物」、「医薬製剤」および「医薬組成物」という用語は、互換的に用いられ、活性成分の生物活性が有効であることを可能にするような形態であり、したがって、治療用として対象に投与され得る製剤をいい、ここで、対象は好ましくはヒトである。ここでで使用される「有効成分」は、本発明の化合物を指す。
【0064】
当業者によって理解されるように、組成物の好適な形態は、組成物の投与経路によって決定してもよい。したがって、組成物の好適な形態は、静脈内(ボーラスまたは注入)、動脈内、腹腔内、皮下(ボーラスまたは注入)、脳室内、筋肉内、またはくも膜下経路用の注射;経口摂取用の錠剤、カプセル、ゲル、ロゼンジまたは液体;吸入用のスプレーとしての溶液、懸濁液、またはエアロゾル;局所適用用のゲル、スプレー、またはクリーム;口腔、鼻、または直腸粘膜を介した投与のための経粘膜組成物;経皮パッチ、皮下移植、または坐剤の形態での送達を含むことができるが、これらに限定されない。化合物は、坐剤または保持浣腸のような直腸組成物に配合されてもよい。頬側投与の場合、組成物は、従来の方法で製剤された錠剤またはロゼンジの形態をとってもよい。組成物は、ビロソーム、リポソーム、ニオソーム、トランスフェロソーム、エトソーム、スフィンゴソーム、ファーマコソーム、マルチラメラベシクル、マイクロスフェアなどの小胞薬物送達系であってもよいが、これらに限られない。
【0065】
さらに別の実施形態によれば、本発明の組成物は、式Iの化合物と薬学的に許容される賦形剤を含んでいてもよい。ここで使用する「賦形剤」という用語は、活性成分の治療作用に影響を与えないが、活性成分のための伝達手段または媒体として機能する、製剤に添加される不活性または通常は不活性な物質を指す。これは、所望の性能を提供するため、安定性を向上させるため、および/または組成物の浸透圧を調整するために使用されてもよい。賦形剤は、投与経路に依存する組成物の形態で使用するために当業者に知られている物質から選択することができる。例示的な賦形剤には、希釈剤、担体、結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤、湿潤剤、適切なコーティング剤、安定剤、滅菌水、生理食塩水、適切な推進剤ココアバター、グリセリド、懸濁剤、乳化剤、保存剤ポリマー、可溶化剤、凍結保護剤、リオ保護剤、バルキング剤/および/または薬学的に許容されるバッファ、またはこれらの混合物が含まれる。本発明の組成物の調製のための賦形剤の選択は、当業者の範囲および理解の範囲内にあり、適切な賦形剤は、Handbook of Pharmaceutical Excipients(Rowe RC,Sheskey P,Quinn M.Pharmaceutical Press;2009);The Theory And Practice Of Industrial Pharmacy(Lachman, L.,Lieberman,H.A.,&Kanig,J.L.1976);The Science and Practice of Pharmacy(Remington JP 2006);Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(Allen L,Ansel HC 2013 Dec 23)などの標準文献に記載されている。
【0066】
本発明の組成物は、当業者に知られている従来の方法によって調製することができる。
【0067】
本発明の一つの側面によれば、対象におけるヤヌスキナーゼの阻害によって治療または予防される疾患の治療または予防方法が提供される。このような異常には、増殖性疾患、軟骨ターンオーバーの障害を伴う疾患、または軟骨細胞の同化刺激を伴う疾患、自己免疫疾患、先天性軟骨奇形、炎症状態、または移植拒絶反応が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0068】
増殖性疾患とは、不適切に高いレベルの細胞分裂、不適切に低いレベルのアポトーシス、またはその両方によって引き起こされる、またはそのような結果をもたらす癌などの病態を指す。例えば、リンパ腫、白血病、メラノーマ、卵巣癌、乳癌、膵臓癌、肺癌などの癌が増殖性疾患の例である。さらに、JAK2活性化変異(多血症、本態性血小板血症、骨髄線維症を伴う骨髄性形質転換)、乾癬、再狭窄、強皮症、または線維症も増殖性疾患の例の一部である。
【0069】
ここで使用されるように、「軟骨ターンオーバーの障害を伴う疾患」または「軟骨細胞の同化刺激を伴う疾患」という用語は、変形性関節症、乾癬性関節炎、若年性関節リウマチ、痛風性関節炎、敗血症性または感染性関節炎、反応性関節炎、反射性交感神経ジストロフィー、アルゴジストロフィー、Tietze症候群または肋軟骨炎、線維筋痛症、骨軟骨炎、神経原性または神経障害性関節炎、関節症、変形性関節症、ムセレニ病およびハンディゴデュ病などの関節炎の常在型;線維筋痛症、全身性エリテマトーデス、強皮症、強直性脊椎炎に起因する変性などの状態を含む。
【0070】
「先天性軟骨奇形」という用語には、遺伝性軟骨溶解症、軟骨異形成症、偽軟骨異形成症などの状態、特に、小耳症、無耳症、骨幹軟骨異形成症、および関連疾患が含まれるが、これらに限定されない。
【0071】
本発明の予防または治療方法は、治療有効量の式Iの化合物、その立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、または薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む。
【0072】
対象は、哺乳類対象であってよい。幾つかの実施形態では、対象はヒトである。特に、対象は、キナーゼ異常に関連する疾患に罹患しているか、またはその予防を求めているヒト対象であってもよい。
【0073】
本発明の別の側面によれば、ヤヌスキナーゼ媒介疾患の治療または予防の方法において使用するための、式Iの化合物、その立体異性体、互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩が提供される。
【0074】
本発明のさらに別の側面によれば、ヤヌスキナーゼ阻害剤として使用するための式Iの化合物、その立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、または薬学的に許容される塩が提供される。
【0075】
一つの実施形態において、本発明は、式Iの化合物、その立体異性体、互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩を用いる、対象におけるヤヌスキナーゼ関連疾患の予防、発症、または進行のための方法を提供するものである。本発明は、さらに、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を用いて、対象におけるヤヌスキナーゼの異常によって引き起こされる疾患を治癒またはその影響を軽減する方法を提供する。
【0076】
治療または予防は、治療有効量の式Iの化合物、その立体異性体、互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩をそのまままたは薬学的に許容される形態で対象に投与することを含んでよい。幾つかの実施形態では、化合物は、0.01~1000mg/kg、0.1~100mg/kg、0.5~100mg/kg、または1~50mg/kgの用量で投与される。治療すべき状態、選択された投与経路、実際に投与される化合物、個々の患者の年齢、体重、および反応、患者の症状の重症度などに応じて投与される化合物の量を決定することは、当業者の能力の範囲内であろう。
【0077】
幾つかの実施形態では、本発明の化合物は、経腸的、非経口的または局所的に対象に投与される。特に、本発明の化合物は、注射(静脈内(ボーラスまたは注入)、動脈内、腹腔内、皮下(ボーラスまたは注入)、静脈内、筋肉内、またはくも膜下を含む)、経口摂取(例えば、錠剤、ゲル、ロゼンジ、または液体など)、吸入、局所、粘膜(口腔、鼻腔または直腸粘膜など)経由、スプレー、錠剤、経皮パッチ、皮下移植、または坐剤の形態での送達などの適切な経路によって投与することができるが、これらに限定されない。
【0078】
CELLフリーベースアッセイ(JAK-1、JAK-2、JAK-3アッセイ)
本発明の化合物を300μlのDMSOに溶解し、50mMの原液を調製した。この原液をさらにDMSOで希釈し、SelectScreen(登録商標)でセルフリーアッセイを実施した。
【0079】
精製したJAK1、JAK2、JAK3キナーゼを用いた生化学的アッセイを用い、JAKキナーゼの活性に対する本発明の化合物の効果を評価した。アッセイを行うため、50mM HEPES pH6.5、0.01%BRU-35、10mM MgCl、1mM EGTA、0.02%NaN、およびキナーゼバッファー中の精製酵素と蛍光色素結合基質からなるキナーゼ混合物を使用してキナーゼバッファーを調製する。さらに、100nlの100X+2.4μLのキナーゼバッファー、5μlのキナーゼ混合物(キナーゼバッファ中の21.2ng JAK1 と2μM Tyr06からなる10μlのキナーゼ反応)、2.5μl ATP溶液を含むアッセイ混合物でテストプレートをコーティングし、本発明の化合物を含まないアッセイ混合物をコントロールに含めた。プレートを室温で1時間インキュベートし、1時間のインキュベート後、展開試薬Aの1:128希釈液を5μL添加した。プレートを室温で1時間インキュベートした。蛍光プレートリーダーで蛍光を測定した。
【0080】
0.001μMから10μMの範囲の濃度で試験した本発明の化合物は、JAK-1、JAK-2、およびJAK-3を阻害することを示した。本発明の化合物が示すJAK-1の阻害率は、特に0.1μMから10μMの濃度で20%から99%であった。JAK-2の阻害率は、JAK-1と比較してやや低かった。0.1μMから10μMの濃度範囲において、化合物はJAK-2を10%から95%阻害した。0.1μMから10μMの濃度範囲において、本発明の化合物によるJAK-3の阻害率は、8%から99%であった。高いアルキル基、例えばCからC10の炭素を有するアルキルをアミド窒素上に有する化合物は、0.001μMから0.03μMといった低い濃度範囲であっても、より高い阻害率を示した。例えば、この窒素上にプロピルまたはイソプロピル基を有する化合物は、0.001μMから0.03μMの濃度でJAK-1を5%から25%阻害し、JAK-3を0.03μMの濃度で25%阻害した。
【実施例
【0081】
以下の実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明を実施する方法を示唆するものでしかないことが理解される。当業者は、記載された化学反応は、式Iの他の化合物を調製するために容易に適応できること、および式Iの化合物を調製するための代替方法は、本発明の範囲内であることを認識するであろう。例えば、本発明に係る非例示化合物の合成は、当業者に明らかな変更、例えば、干渉基を適切に保護することによって、記載されたもの以外の当技術分野で知られた他の適切な試薬を利用することによって、および/または反応条件を型通りに変更することによって、首尾よく実施することができる。あるいは、ここに開示された、または当技術分野で知られた他の反応も本発明の他の化合物を調製するための適用性を有すると認識されるであろう。
【0082】
実施例1:N,1-ジメチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド
【化5】
【0083】
ステップA:2-クロロ-N-メチル-5-ニトロピリジン-4-アミン
【化6】

メチルアミン(トルエン中2M溶液、15mL)中の2,4-ジクロロ-5-ニトロピリジン(15mmol)の溶液を40-50℃で18時間撹拌した。反応混合物を減圧下で蒸発させて濃縮し、残渣をろ過によって単離し、ヘキサン洗浄(3×30mL)によって精製して固体としての表題化合物を得た(収率68%)。
【0084】
ステップB:6-クロロ-N-4-メチルピリジン-3,4-ジアミン
【化7】

2-クロロ-N-メチル-5-ニトロピリジン-4-アミン(15mmol)の100mlエタノール中の懸濁液をPd/C(10%Pd)で処理し、大気圧下で12時間水添した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製して表題化合物を得た(収率72%)。
【0085】
ステップB1:6-クロロ-N-4-メチルピリジン-3,4-ジアミン
EtOAc(100mL)中の2-クロロ-N-メチル-5-ニトロピリジン-4-アミン(25mmol)の溶液にラネーニッケル(10%Pd)を加え、その後、水素下で2時間室温で撹拌した。反応混合物をろ過し、濾液を減圧下で濃縮することで粗6-クロロ-N-4-メチルピリジン-3,4-ジアミド(80%)を得た(収率74%)。
【0086】
ステップC:6-クロロ-1-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン
【化8】

100mlエタノール中の2-クロロ-N-メチル-5-ニトロピリジン-4-アミン(25mmol)の懸濁液をPd/C(10%Pd)で処理し、大気圧下で12時間水添した。反応混合物をセライトのプラグを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、6-クロロ-N-4-メチルピリジン-3,4-ジアミンを得た。得られたオイルを酢酸ジエトキシメチル(50mmol)で処理し、室温で4時間、90℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、50mlのジクロロメタンを加え、有機層を水(4×20ml)で洗浄した。合わせた有機層を10mlに濃縮し、分取HPLCで精製して表題化合物を得た(収率70%)。
【0087】
ステップD:1-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-アミン
【化9】

6-クロロ-1-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン化合物(6.5g)と28%アンモニア水溶液20mlを50mlオートクレーブに入れ、この混合物を100℃で24時間、さらに125℃で5時間反応させた(内圧:約2気圧)。反応終了後、反応生成物を冷却して結晶を得た。こうして得られた結晶を水で洗浄し、乾燥させて表題化合物を得た(収率74%)。
【0088】
ステップD1:1-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-アミン
窒素下トルエン中の6-クロロ-1-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(6.5mmol)にラセミBINAP(0.4mmol)、Pd(dba)(0.13mmol)、およびナトリウムtert-ブトキシド(9.1mmol)を加え、ベンゾフェノンイミン(7.81mmol)を添加し、混合物を80℃で3時間加熱し、室温に冷却した。反応混合物をエーテルで希釈し、セライトで濾過し、エーテルで洗浄した。濾液を濃縮し、残渣をメタノール(90ml)に取り込み、ヒドロキシルアミン(19.5mmol)で処理した。混合物を周囲環境温度で18時間攪拌し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(95-100%酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、表題化合物を得た。(収率84%)。
【0089】
ステップE:7-ヨード-1-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-アミン
【化10】

丸底フラスコに1-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-アミン(19.08mmol)をMeCN(200mL)に溶解し、0℃に冷却した。N-ヨードスクシンイミド(20.03mmol)を残ったMeCN(50mL)に溶解し、反応混合物に40分かけて滴下した。反応混合物を0℃でさらに10分間撹拌し、2Mの亜硫酸水素ナトリウム(125mL)でクエンチした。攪拌と温度を50分間維持した。混合物を分離漏斗に移した。水層をMDC(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を水およびブリンで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗残渣を20-100%酢酸エチル/ヘプタンで溶出するクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を得た(収率72%)。
【0090】
ステップF:7-エチニル-1-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-アミン
【化11】

冷却(0~5℃)、脱気したTHF(1.25L)中の7-ヨード-1-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-アミン(465mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(0)(23.2mmol)、ヨウ化銅(I)(27.9mmol)およびトリエチルアミン(1.4mol)にTHF(150mL)中のトリメチルシリルアセチレン(700mmol)溶液をカニューレを経由して添加した。混合物を0-5℃で30分間、その後周囲環境温度でさらに30分間攪拌した。固体を濾過により除去し、固まりをTHFで洗浄した。濾液を酢酸エチルで希釈し、2M塩酸で抽出した。合わせた酸抽出物をジエチルエーテルで洗浄し、炭酸カリウムを注意深く加えることによって塩基性にし、その後、ジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、蒸発させた。得られた残渣をテトラヒドロフラン溶液(300mL)に溶解させた。テトラブチルアンモニウムフルオリド(1Mテトラヒドロフラン溶液中20mmol)を反応マスに加え、室温で2~3時間攪拌した。反応溶液に水を加えた後、反応溶液を酢酸エチルで4回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=1:1、その後1:2)で精製することで表題化合物を与えた(72%)。
【0091】
ステップG:1-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン
【化12】

DMF150gを反応器に加え、カリウムt-ブトキシド70gをゆっくりと加え、反応混合物を60~70℃に撹拌し、50gの7-エチニル-1-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-アミンをゆっくりと加えた。温度制御は80℃より高くなく、TLC(PE/DCM=1/1)による完了をモニターしながら80-85℃で3時間インキュベートすることにより反応を完了し、反応完了後に冷却し、反応系を400gの氷水にゆっくりと加え、10℃に冷却し、2時間撹拌し、吸引濾過して約75gの重さの固体粗湿潤物を与えた。この湿潤物を500mLの反応容器に加え、酢酸エチル(EA)300gを加え、活性炭5gを加え、混合物を還流下で30分間加熱した後、吸引濾過した。濾過の固まりを適量のEAで洗浄した後、濾液と洗浄液を合わせ、減圧下でEAを約250gまで蒸発させ、0~5℃に2時間冷却後吸引濾過し、濾過の固まりを適量の冷EAで洗浄し、60℃で乾燥して固体製品の表題化合物を得た(80%)。
【0092】
ステップH:8-ブロモ-1-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン
【化13】

1-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン(0.9mmol)を室温でTHF(25mL)に溶解し、得られた溶液にN-ブロモスクシンイミド(1.08mmol)を添加した。得られた懸濁液を室温で14時間撹拌した後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチした。反応物を減圧下で濃縮し、得られた残渣を酢酸エチル(50mL)で希釈した。水層を酢酸エチル(50mL)で抽出し、合わせた有機層を1N炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)およびブリン(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して表題化合物(85%)を得、これを精製するまたは精製せずにさらに使用した。
【0093】
ステップI:エチル1-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシラート
【化14】

8-ブロモ-1-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン(173mmol)を-78℃で乾燥テトラヒドロフラン(500mL)に加え、n-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M溶液、487mmol)を2時間かけて添加した。反応混合物を-78℃でさらに30分間攪拌した。クロロギ酸エチル(186mmol)を30分かけて添加し、反応混合物を-60℃で2時間撹拌した。温度をゆっくりと30℃に上げ、混合物を30℃で12時間攪拌させた。反応の進行はTLCでモニターした。次に、反応混合物を0℃で飽和塩化アンモニウム溶液(150mL)でクエンチし、反応混合物を酢酸エチル(3×300mL)で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム(50 g)で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して粗反応混合物を得た。残渣をクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を得た(52%)。
【0094】
H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ:1.26(t,3H),3.23(s,3H),4.14(q,2H),7.90(s,1H),8.42(s,1H),8.95(s,1H),12.84(brs,1H)
【0095】
ステップJ:N,1-ジメチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド
【化15】

トリメチルアルミニウム(トルエン中2M、1.2mmol)の溶液をジオキサン(75mL)中のメチルアミン(トルエン中2M、1.2mmol)の溶液に滴下(発熱)し、得られた混合物を室温で1時間撹拌した。次に、ジオキサン(4mL)中のエチル1-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシラート(0.3mmol)の溶液を添加した。次いで、得られた混合物を85~95℃で3時間加熱し、その後室温まで冷却し、次いで水に注ぎ、MDCで抽出し、これをブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。クロマトグラフィー(SiO,MDC:MeOH=90:10)による精製により、表題化合物を白色固体として得た(72%)。
【0096】
HNMR(400MHz,CDOD)δ:2.96(s,3H),4.15(s,3H),7.74(s,1H),8.16(s,1H),8.64(s,1H)
【0097】
ステップJ-1:N,1-ジメチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミドの代替的調製方法
【化16】

アンモニアガスを-60℃から-80℃で丸底フラスコ中で液体アンモニア(10-50vol)に濃縮した。金属ナトリウム(25mmol)を上記の反応マスに少量ずつ添加した。完全に溶解するまで撹拌した後、ダークブルーの着色が観察された。6-ベンジル-N,1-ジメチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド(5mmol)を-60℃~-80℃で反応マス中に投入し、反応混合物を-60℃~-80℃でさらに60分間攪拌した。反応混合物を-30℃に加熱し、飽和塩化アンモニウム溶液(25vol)をゆっくり加え、30分間撹拌した。反応混合物を室温に加熱し、1.0時間撹拌した。反応マスをMDC中の5%メタノールで抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。粗残渣を2-30%メタノール/MDCで溶出するクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を得た(35%収率)。
【0098】
H NMR(400MHz,CD3OD)δ:2.96(s,3H),4.15(s,3H),7.74(s,1H),8.16(s,1H),8.64(s,1H)
【0099】
実施例2:N-エチル-1-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド
【化17】

トリメチルアルミニウム(トルエン中2M、1.2mmol)の溶液をジオキサン(7.5mL)中のエチルアミン(トルエン中2M、1.2mmol)の溶液に滴下(発熱)し、得られた混合物を室温で1時間撹拌した。次に、ジオキサン(4mL)中のエチル1-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシラート(0.3mmol)の溶液を加えた。次いで、得られた混合物を85~95℃で3時間加熱し、その後、室温まで冷却し、続いて水に注ぎ、MDCで抽出し、これを次にブリンで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。クロマトグラフィー(SiO、MDC:MeOH=90:10)による精製により、表題化合物を白色固体として得た(72%)。
【0100】
H NMR(400MHz,CDOD)δ:1.27(t,3H),3.44(q,2H),4.14(s,3H),7.73(s,1H),8.13(s,1H),8.63(s,1H)を得た。
【0101】
実施例3:1-メチル-N-プロピル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド
【化18】

トリメチルアルミニウム(トルエン中2M、1.2mmol)の溶液をジオキサン(7.5mL)中のn-プロピルアミン(トルエン中2M、1.2mmol)の溶液に滴下(発熱)し、得られた混合物を室温で1時間撹拌した。次に、ジオキサン(4mL)中のエチル1-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシラート(0.3mmol)の溶液を加えた。次いで、得られた混合物を85~95℃で3時間加熱し、次いで室温まで冷却し、次いで水に注ぎ、MDCで抽出し、これをブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。クロマトグラフィー(SiO、MDC:MeOH=90:10)による精製により、表題化合物を白色固体として得た(72%)。
【0102】
H NMR(400MHz,CDOD)δ:1.03(t,3H),1.71-1.64(m,2H),3.37(t,2H),4.14(s,3H),7.73(s,1H),8.12(s,1H),8.63(s,1H)
【0103】
実施例4:N-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド
【化19】
【0104】
ステップA:2-クロロ-5-ニトロピリジン-4-アミン
【化20】

2,4-ジクロロ-5-ニトロピリジン(15mmol)のメタノール性アンモニア(15mL)溶液を25-28℃で18時間撹拌した。反応混合物を減圧下で蒸発させて濃縮し、引き続き残渣をろ過で単離し、ヘキサン洗浄(3×30mL)で精製し、固体として表題化合物を得た(収率86%)。
【0105】
ステップB:6-クロロピリジン-3,4-ジアミン
【化21】

2-クロロ-5-ニトロピリジン-4-アミン(15mmol)の100mlエタノール中の懸濁液をPd/C(10%Pd)で処理し、大気圧下で12時間水添した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製して、表題化合物を得た(収率72%)。
【0106】
ステップB1:6-クロロピリジン-3,4-ジアミン
EtOAc(100mL)中の2-クロロ-5-ニトロピリジン-4-アミン(25mmol)の溶液にラネーニッケル(10%Pd)を加え、その後、水素下で2時間室温で撹拌した。反応混合物をろ過し、濾液を減圧下で濃縮することにより、粗6-クロロピリジン-3,4-ジアミン(80%)が得られた(収率74%)。
【0107】
ステップC:6-クロロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン
【化22】

100mlエタノール中の6-クロロピリジン-3,4-ジアミン(25mmol)の懸濁液をPd/C(10%Pd)で処理し、大気圧下で12時間水添した。反応混合物をセライトのプラグを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、(実施例A-3)を得た。得られたオイルを(50mmol)ジエトキシメチルアセテートで処理し、室温で4時間、90℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、50mlのジクロロメタンを加え、有機層を水(4×20ml)で洗浄した。合わせた有機層を10mlに濃縮し、分取HPLCで精製して表題化合物を得た。(収率70%)
【0108】
ステップD:1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-アミン
【化23】

50mlオートクレーブに6-クロロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン化合物6.5gと28%アンモニア水20mlを入れ、混合物を100℃で24時間、さらに125℃で5時間(内圧:約2atms)反応させた。反応終了後、反応生成物を冷却して結晶を得た。こうして得られた結晶を水で洗浄し、乾燥させて表題化合物を得た(収率74%)。
【0109】
ステップD1:1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-アミン
窒素下トルエン中の6-クロロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(6.5mmol)に、ラセミBINAP(0.4mmol)、Pd(dba)(0.13mmol)、およびナトリウムtert-ブトキシド(9.1mmol)を加え、ベンゾフェノンイミン(7.81mmol)を加え、混合物を80℃に3時間加熱し、室温に冷却した。反応混合物をエーテルで希釈し、セライトで濾過し、エーテルで洗浄した。濾液を濃縮し、残渣をメタノール(90ml)に取り込み、ヒドロキシルアミン(19.5mmol)で処理した。混合物を周囲環境温度で18時間攪拌し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(95-100%酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、表題化合物を得た。(収率84%)。
【0110】
ステップE:7-ヨード-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-アミン
【化24】

丸底フラスコ中で1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-アミン(19.08mmol)をMeCN(200 mL)に溶解し、0℃に冷却した。N-ヨードスクシンイミド(20.03mmol)を残りのMeCN(50mL)に溶解し、反応混合物に40分かけて滴下した。反応混合物を0℃でさらに10分間撹拌し、2Mの亜硫酸水素ナトリウム(125mL)でクエンチした。攪拌と温度を50分間維持した。混合物を分離漏斗に移した。水層をMDC(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を水およびブリンで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下でで濃縮した。粗残渣を20-100%酢酸エチル/ヘプタンで溶出するクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を得た(収率72%)。
【0111】
ステップF:7-エチニル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-アミン
【化25】

冷却(0~5℃)、脱気したTHF(1.25L)中の7-ヨード-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-アミン(465mmol)、ビス(トリフェニルフォスフィン)ジクロロパラジウム(0)(23.2mmol)、ヨウ化銅(I)(27.9mmol)、およびトリエチルアミン(1.4mol)の混合物にカニューレを経由してトリメチルシリルアセチレン(700mmol)のTHF(150mL)溶液を加えた。混合物を0-5℃で30分間、その後周囲環境温度でさらに30分間攪拌した。固体を濾過により除去し、固まりをTHFで洗浄した。濾液を酢酸エチルで希釈し、2M塩酸で抽出した。合わせた酸抽出物をジエチルエーテルで洗浄し、炭酸カリウムを注意深く添加して塩基性にした後、ジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、蒸発させた。得られた残渣をテトラヒドロフラン溶液(300mL)に溶解させた。テトラブチルアンモニウムフルオリド(1Mテトラヒドロフラン溶液中、20mmol)を反応マスに加え、室温で2~3時間攪拌した。反応液に水を加えた後、これを酢酸エチルで4回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=1:1、その後1:2)で精製し、表題化合物を得た(68%)。
【0112】
ステップG:1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン
【化26】

DMF150gを反応器に加え、カリウムt-ブトキシド70gをゆっくり加え、60-70℃で撹拌し、7-エチニル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-アミン50gをゆっくり加えた。温度制御は80℃より高くなく、反応の完結をTLCでモニタしながら(PE/DCM=1/1)、さらに80-85℃で3時間インキュベートすることによって反応を完了させ、反応完了後に冷却し、反応系を氷水400gにゆっくりと加え、10℃まで冷却し、2時間撹拌し、吸引ろ過して重量約75gの固体粗湿潤物を得た。この湿潤物を500mLの反応容器に加え、酢酸エチル(EA)300gを加え、活性炭5gを加え、この混合物を還流下で30分間加熱した後、吸引濾過した。濾過の固まりを適量のEAで洗浄した後、濾液と洗浄液を合わせ、減圧下でEAを約250gまで蒸発させ、0~5℃に2時間冷却後、吸引濾過し、濾過の固まりを適量の冷EAで洗浄し、60℃で乾燥して固体製品の表題化合物を得た(80%)。
【0113】
ステップH:8-ブロモ-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン
【化27】

1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン(0.9mmol)をTHF(25mL)に室温で溶解し、得られた溶液にN-スクシンイミド(1.08mmol)を添加した。得られた懸濁液を室温で14時間撹拌した後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチした。反応を減圧下で濃縮し、得られた残渣を酢酸エチル(50mL)で希釈した。水層を酢酸エチル(50mL)で抽出し、合わせた有機層を1N炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)とブリン(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮することで表題化合物が得られ(85%)、これを精製するまたは精製せずにさらに使用した。
【0114】
ステップI:エチル1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシラート
【化28】

8-ブロモ-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン(173mmol)を-78℃で乾燥テトラヒドロフラン(500mL)に加え、n-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M溶液、487mmol)を2時間にわたって加えた。反応混合物を-78℃でさらに30分間攪拌した。クロロギ酸エチル(186mmol)を30分かけて添加し、反応混合物を-60℃で2時間撹拌した。温度をゆっくりと30℃に上げ、混合物を30℃で12時間攪拌した。反応の進行はTLCでモニターした。次に、反応混合物を0℃で飽和塩化アンモニウム溶液(150mL)でクエンチし、反応混合物を酢酸エチル(3×300mL)で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム(50g)で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して粗反応混合物を得た。残渣をクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を得た(52%)。
【0115】
H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ:1.26(t,3H),3.23(s,3H),4.14(q,2H),7.90(s,1H),8.42(s,1H),8.95(s,1H),12.84(brs,1H)
【0116】
ステップJ:N,1-ジメチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド
【化29】

トリメチルアルミニウム(トルエン中2M、1.2mmol)の溶液を、ジオキサン(7.5mL)中のメチルアミン(トルエン中2M、1.2mmol)の溶液に滴下(発熱)し、次に、ジオキサン(4mL)中のエチル1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシラート(0.3mmol)の溶液を加えた。次いで、得られた混合物を85~95℃で3時間加熱し、次いで室温まで冷却し、次いで水に注ぎ、MDCで抽出し、これを次にブリンで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。クロマトグラフィー(SiO、MDC:MeOH=90:10)による精製により、表題化合物を白色の固体として得た(72%)。
【0117】
H NMR(400MHz,CDOD)δ:3.04(s,3H),8.02(s,1H),8.35(s,1H),8.66(s,1H).
【0118】
実施例5:N-エチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド
【化30】


トリメチルアルミニウム(トルエン中2M、1.2mmol)の溶液をジオキサン(7.5mL)中のエチルアミン(トルエン中2M、1.2mmol)の溶液に滴下(発熱)し、得られた混合物を室温で1時間撹拌した。次に、ジオキサン(4mL)中のエチル1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシラート(0.3mmol)の溶液を加えた。次いで、得られた混合物を85~95℃で3時間加熱し、次いで室温まで冷却し、次いで水に注ぎ、MDCで抽出し、これをブリンで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。クロマトグラフィー(SiO、MDC:MeOH=90:10)による精製により、表題化合物を白色固体として得た(72%)。
【0119】
H NMR(400MHz,DMSOd6)δ:1.19(t,3H),3.39(q,2H),7.98(s,1H),8.29(s,1H),8.62(s,1H),9.78(bs,1H),12.12(bs,1H)
【0120】
実施例6:N-(プロパン-2-イル)-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド
【化31】

トリメチルアルミニウム(トルエン中2M、1.2mmol)の溶液をジオキサン(7.5mL)中のイソプロピルアミン(1.2mmol)の溶液に滴下(発熱)し、得られた混合物を室温で1時間撹拌した。次に、ジオキサン(4mL)中のエチル1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシラート(0.3mmol)の溶液を加えた。次いで、得られた混合物を85~95℃で3時間加熱し、次いで室温まで冷却し、水に注ぎ、MDCで抽出し、次いでこれを
ブリンで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥さ、蒸発させた。クロマトグラフィー(SiO、MDC:MeOH=90:10)による精製により、表題化合物を白色固体として得た(72%)。
【0121】
H NMR(400MHz,CDOD)δ:1.25(d,6H),4.23(m,1H),7.99(s,1H),8.34(s,1H),8.57(s,1H).
【0122】
実施例7:N-(プロパン-2-イル)-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド塩酸塩
【化32】

N-(プロパン-2-イル)-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド(10mmol)の50mLエタノール中の溶液に、エタノール塩酸塩溶液を添加した。反応を周囲環境温度で3~4時間攪拌した。反応マスを減圧下で濃縮した。残渣に10mLのエタノールを加え、撹拌し、反応マスを減圧下で濃縮した。得られた固体を減圧下で乾燥させ、表題化合物の白色からオフホワイトの固体を得た(収率=95%)。
【0123】
H NMR(400MHz,DMSO-D6)δ:1.25(d,6H),4.23(m,1H),7.99(s,1H),8.34(s,1H),8.57(s,1H),8.7(bs1H),11.2(br.S,1H),12.9(br.S,2H)
【0124】
中間体の調製:6-ベンジル-N,1-ジメチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド
【化33】
【0125】
ステップA:6-ベンジル-1-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン
【化34】

丸底フラスコにおいてDMF(5vol)溶媒に水素化ナトリウム(0.3モル)を加え、1-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン(0.1モル)を5~15℃でゆっくりと加え、得られた懸濁液を室温で1時間撹拌し、次いで臭化ベンジル(0.12モル)を5~15℃でゆっくり加えた。反応マスを室温に温め、1~3時間攪拌した。反応はTLCでモニターした。反応完了後、反応マスを冷却し、メタノール(1vol)を5~15℃で反応マスに加え、10分間攪拌した。塩化アンモニウム(25vol)溶液を反応マスに加え、30分間攪拌した。反応マスを酢酸エチル(3×5vol)で抽出した。合わせた有機層を水(3×5vol)とブリン(1vol)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して表題化合物(86%)を得た。
【0126】
ステップB:6-ベンジル-8-ブロモ-1-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン
【化35】

6-ベンジル-1-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン(1mmol)を室温でTHF(25mL)に溶解し、得られた溶液にN-ブロモスクシンイミド(1.2mmol)を添加した。得られた懸濁液を室温で14時間撹拌した後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(20mL)でクエンチした。反応を減圧下で濃縮し、得られた残渣を酢酸エチル(75mL)で希釈した。水層を酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、合わせた有機層を1N炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)とブリン(50mL)で洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して表題化合物を得(87%)、これを精製しまたは精製せずにさらい用いた。
【0127】
ステップC:エチル6-ベンジル-1-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシラート
【化36】

6-ベンジル-8-ブロモ-1-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン(173mmol)を-78℃で乾燥テトラヒドロフラン(500mL)に加え、2時間かけてn-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M溶液、487mmol)を添加した。反応混合物を-78℃でさらに30分間攪拌した。クロロギ酸エチル(186mmol)を30分かけて添加し、反応混合物を-60℃で2時間撹拌した。温度をゆっくりと30℃に上げ、混合物を30℃で12時間撹拌した。反応の進行はTLCでモニターした。次に、反応混合物を0℃で飽和塩化アンモニウム溶液(150mL)でクエンチし、反応混合物を酢酸エチル(3×300mL)で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム(50g)で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して粗反応混合物を得た。残渣をクロマトグラフィーで精製することで、表題化合物を得た(50%)。
【0128】
ステップD:6-ベンジル-N,1-ジメチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド
【化37】

トリメチルアルミニウム(トルエン中2M、1.2mmol)の溶液をジオキサン(7.5mL)中のメチルアミン(トルエン中2M、1.2mmol)の溶液に滴下し(発熱)、得られた混合物を室温で1時間撹拌した。次に、ジオキサン(4mL)中のエチル6-ベンジル-1-メチル-1,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシラート(0.3mmol)の溶液を加えた。次いで、得られた混合物を85~95℃で3時間加熱し、次いで室温まで冷却し、次いで水に注ぎ、MDCで抽出し、これをブリンで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。クロマトグラフィー(SiO、MDC:MeOH=90:10)による精製により、白色固体として表題化合物を得た(70%)。
【0129】
実施例8:N-(プロパン-2-イル)-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド塩酸塩
【化38】
【0130】
ステップA:1-(1-ベンジル-4-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノン
【化39】

ジメチルアセトアミド(500mL)中の水素化ナトリウム(39.3g、1638.5mmol、60%)の撹拌懸濁液に4-クロロ-7-アザインドール(100g、655.4mmol)のジメチルアセトアミド(150mL)中の溶液を0-5℃で加え、続いて臭化ベンジル(134.5gm、786.5mmol)を添加した。得られた反応混合物を4.0時間撹拌し、メタノール100mL続いて飽和塩化アンモニウム(500mL)でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を減圧下で蒸発させ、茶色から黄色の液体、1-ベンジル-4-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(180gm)を得た。上記化合物をジメチルホルムアミド(700mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸無水物(129.8g、618.0mmol)を加えた。得られた反応混合物を70~75℃で3.0時間加熱した。反応混合物を10~15℃に冷却し、氷冷水(500mL)を加え、続いて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。反応混合物を濾過し、イソプロパノールを用いて精製することでベージュから淡黄色の固体1-(1-ベンジル-4-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノン(125.0g、89.6%)を得た。
【0131】
HNMR(400MHz、DMSO-d6):δ9.03(S,1H),δ8.38(m1H),δ7.46(m,1H),δ7.34(m,5H),δ5.66(S,2H)
【0132】
ステップB:1-(4-アミノ-1-ベンジル-5-ニトロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノン
【化40】

ジクロロメタン(2500mL)中の1-(1-ベンジル-4-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノン(100g、295.2mmol)の撹拌溶液に、硝酸テトラブチルアンモニウム(224.7g、738.0mmol)を分割して加え、この後、トリフルオロ無水酢酸(155g、738.0mmol)を0℃で滴下した。反応混合物を室温で5時間撹拌した。有機層を水で洗浄し、減圧下で濃縮することで、黄色固体の1-(1-ベンジル-4-クロロ-5-ニトロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノン(100gm、88.5%)を得た。
【0133】
ジクロロメタン(500mL)中の1-(1-ベンジル-4-クロロ-5-ニトロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノン(100g、260.6mmol)の撹拌溶液に、TLC上で反応が完了するまでアンモニアガスをパージした。溶媒を減圧下で除去した。残渣をジクロロメタン(300mL)に溶解し、5~10℃に冷却し、濾過した。得られた湿潤固体を減圧下で乾燥させ、黄色固体の1-(4-アミノ-1-ベンジル-5-ニトロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノン(85gm、89.5%)を得た。
【0134】
H NMR(400MHz、DMSO-d6):δ9.04(S,1H),δ8.94(m1H),δ8.73(S,1H),δ7.30(m,6H),δ5.57(S,2H)
【0135】
ステップC:1-(4,5-ジアミノ-1-ベンジル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノン
【化41】

メタノール:テトラヒドロフラン(1500mL、1:0.5)の混合溶媒中の1-(4-アミノ-1-ベンジル-5-ニトロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノン(85g、233.3mmol)の撹拌溶液にラネーニッケル(21.2g、25.0%w/w)を加え、次いでヒドラジン水和物(59.5ml、0.70w/v)を滴下し、反応混合物を室温で1.0時間攪拌した。完了後、反応混合物をハイフロベッドで濾過し、メタノール(400mL)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、得られたものを水(500mL)で精製し、濾過し、減圧下で乾燥することで、茶色の固体1-(4,5-ジアミノ-1-ベンジル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノンを得た(71,0gm、90.8%)。
【0136】
HNMR(400MHz、DMSO-d6)。δ8.59(d,1H),δ7.66(s1H),δ7.33(m,4H),δ7.26(m,1H),δ6.56(s,2H),δ5.45(s,2H),δ4.47(s,2H)
【0137】
ステップD:1-(6-ベンジル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノン
【化42】

トルエン(700mL)中の1-(4,5-ジアミノ-1-ベンジル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノン(70g、209.4mmol)の撹拌懸濁液にトリエチルオルソホルメート(96.7mL、418.8mmol)とパラトルエンスルホン酸1水和物(8.0g、41.88mmol)を添加した。得られた反応混合物を80~85℃で5.0時間加熱した。完了後、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣に水(700mL)を加え、室温で撹拌し、濾過し、乾燥することで1-(6-ベンジル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノン(65gm、90.1%)を得た。
【0138】
HNMR(400MHz、DMSO-d6):δ12.51(bs,1H),δ8.89(m2H),δ8.29(t,1H),δ7.31(m,5H),δ5.72(s,2H)
【0139】
ステップE:6-ベンジル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボン酸
【化43】

水酸化ナトリウム(151gm、3775mmol)の水(945mL)中の溶液に1-(6-ベンジル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノン(65gm、188.8mmol)を加え、反応マスを80~85℃で5.0時間加熱した。完了後、反応混合物を水で希釈し、次いで希釈HC1で希釈し、濾過した。得られた湿潤した固まりを減圧下で乾燥することで、ベージュから薄茶色の固体6-ベンジル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボン酸(50gm、90.5%)を得た。
【0140】
HNMR(400MHz,DMSO-d6)。δ12.2(s,1H),δ8.75(s,1H),δ8.22(s,1H),δ8.17(s,1H)δ7.27(m,5H),δ5.61(s,2H)
【0141】
ステップF:3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボン酸
【化44】

液体アンモニア(750mL)の溶液に金属ナトリウム(32.8g、1368.5mmol)を少量ずつ加えた。得られた反応混合物に3級ブタノール(50mL)、テトラヒドロフラン(500mL)を加え、続いて6-ベンジル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボン酸(50g、171.1mmol)を加えた。次に、反応混合物を-60℃から-30℃で4.0時間撹拌し、メタノール(50mL)と水(50mL)でクエンチした。溶媒を減圧下で蒸発させた。次に、残渣に水(100mL)を加え、続いてHC1を加えて攪拌した。反応混合物を濾過し、湿潤固体を減圧下で乾燥させることで、ベージュ色の固体3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボン酸(32gm、91.4%)を得た。
【0142】
HNMR(400MHz、DMSO-d6):δ12.39(bs,1H),δ12.07(bs1H),δ8.66(s,1H),δ8.14(d,1H),δ7.94(s,1H)
【0143】
ステップG:N-(プロパン-2-イル)-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド
【化45】

3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボン酸(30.0g、148.4mmol)のジメチルホルムアミド(15mL)中の溶液に塩化チオニル(300mL)を加え、反応混合物を65~70℃に加熱して4.0時間攪拌した。終了後、反応混合物を減圧下で濃縮して酸クロリド(30g)を得、これをそのまま次の反応に使用した。上記酸クロリド誘導体(30g)をジクロロメタン(300mL)に取り込み、5~10℃に冷却し、イソプロピルアミン(300mL)を加えた。得られた反応混合物を室温で5.0時間攪拌した。完了後、反応マスを減圧下で濃縮し、水(150mL)を加え、濾過した。
【0144】
得られた湿潤固体を減圧下で乾燥させ、ベージュ色からオフホワイト色の固体N-(プロパン-2-イル)-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミドを得た(29.0gm、80.3%)。
【0145】
HNMR(400MHz、DMSO-d6):δ13.04(bs,1H),δ12.19(t,1H),δ10.03(d,1H),δ8.59(d,2H),δ8.07(m,1H),δ4.19(m,1H),δ1.22(td,6H)
【0146】
ステップH:N-(プロパン-2-イル)-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド塩酸塩
【化46】

N-(プロパン-2-イル)-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド(25.0g、102.8mmol)のイソプロパノール(175mL)中の溶液に10~15℃でイソプロパノールのHC1溶液を加えた。得られた反応混合物を50~55℃で2.0時間攪拌した。完了後、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣に水(250mL)を加え、室温で1.0時間撹拌し、ろ過し、減圧下で乾燥させることで、ベージュ色の固体N-(プロパン-2-イル)-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド塩酸塩(25gm、87.0%)を得た。
【0147】
HNMR(400MHz,DMSO-d6):δ13.66(bs,1H),δ12.87(bs,1H),δ9.26(s,1H),δ8.86(s,1H),δ8.57(d,2H),δ4.81(bs1H),δ4.22(qd,1H),δ1.25(d,6H)
【0148】
実施例9:N-エチル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド
【化47】


3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボン酸(30.0g、148.4mmol)のジメチルホルムアミド(15mL)中の溶液に塩化チオニル(300mL)を加え、反応混合物を65~70℃に加熱し、4.0時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を減圧下で濃縮して酸クロリド(32g)を得、これをそのまま次の反応に使用した。
【0149】
上記酸クロリド誘導体(32g)をジクロロメタン(300mL)に溶解し、5~10℃に冷却し、エチルアミン(300mL)を加えた。得られた反応混合物を室温で5.0時間攪拌した。完了後、反応マスを減圧下で濃縮し、水(150mL)を加え、濾過した。
【0150】
得られた湿潤固体を減圧下で乾燥させることで、ベージュ色の固体N-エチル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド(27.0gm、79.4%)を得た。
【0151】
HNMR(400MHz、DMSO-d6):δ13.24(bs,1H),δ12.4(t,1H),δ10.2(d,1H),δ8.62(d,2H),δ8.23(m,2H),δ3.2(q,2H),81.22(t,3H)
【0152】
実施例10:N-プロピル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド
【化48】

3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボン酸(30.0g、148.4mmol)のジメチルホルムアミド(15mL)中の溶液に塩化チオニル(300mL)を加え、反応混合物を65~70℃に加熱し、4.0時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を減圧下で濃縮して酸クロリド(31g)を得、これをそのまま次の反応に使用した。
【0153】
上記酸クロリド誘導体(31g)をジクロロメタン(300mL)に溶解し、5~10℃に冷却したn-プロピルアミン(300mL)を加えた。得られた反応混合物を室温で5.0時間攪拌した。完了後、反応マスを減圧下で濃縮し、水(150mL)を加え、濾過した。
【0154】
得られた湿潤固体を減圧下で乾燥させることで、ベージュ色の固体N-プロピル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド(30.0gm、83.3%)を得た。
【0155】
HNMR(400MHz,DMSO-d6):δ12.15(t,1H),δ10.24(d,1H),δ8.24(d,2H),δ8.15(m,2H),δ3.22(t,2H),δ1.6(m,2H)δ1.2(t,3H)
【0156】
実施例11:N-ブチル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド
【化49】

3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボン酸(30.0g、148.4mmol)のジメチルホルムアミド(15mL)中の溶液に塩化チオニル(300mL)を加え、反応混合物を65~70℃に加熱し、4.0時間攪拌した。終了後、反応混合物を減圧下で濃縮して酸クロリド(33g)を得、これをそのまま次の反応に使用した。
【0157】
上記酸クロリド誘導体(33g)をジクロロメタン(300mL)に溶解し、5~10℃に冷却し、n-ブチルアミン(300mL)を加えた。得られた反応混合物を室温で5.0時間攪拌した。完了後、反応マスを減圧下で濃縮し、水(150mL)を加え、濾過した。
【0158】
得られた湿潤固体を減圧下で乾燥させることで、ベージュ色の固体N-ブチル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド32.0g(83.8%)を得た。
【0159】
HNMR(400MHz,DMSO-d6):δ12.12(t,1H),δ10.4(d,1H),δ8.25(d,2H),δ8.3(m,2H),δ3.2(t,2H).δ1.6(m,4H),δ1.2(t,2H)
【0160】
実施例12:N-メチル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド
【化50】

3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボン酸(30.0g、148.4mmol)のジメチルホルムアミド(15mL)中の溶液に塩化チオニル(300mL)を加え、反応混合物を65~70℃に加熱し、4.0時間攪拌した。完了後、反応混合物を減圧下で濃縮して酸クロリド(28g)を得、これをそのまま次の反応に使用した。
【0161】
上記酸クロリド(28g)をジクロロメタン(300mL)に溶解し、5~10℃に冷却し、塩酸メチルアミン(51.0g、757.0mmol)を加えた。得られた反応混合物を室温で5.0時間攪拌した。完了後、反応マスを減圧下で濃縮し、水(150mL)を加え、濾過した。
【0162】
得られた湿潤固体を減圧下で乾燥させることで、ベージュ色の固体N-メチル-3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド(25.0g、78.4%)を得た。
【0163】
HNMR(400MHz、DMSO-d6):δ12.2(t,1H),δ10.2(d,1H),δ8.3(d,2H),δ8.4(m,2H),δ3.3(S,3H)
【0164】
実施例13:3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド
【化51】

3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボン酸(30.0g、148.4mmol)のジメチルホルムアミド(15mL)中の溶液に塩化チオニル(300mL)を加え、反応混合物を65~70℃に加熱し、4.0時間攪拌した。完了後、反応混合物を減圧下で濃縮して酸クロリド(25g)を得、これをそのまま次の反応に使用した。
【0165】
上記酸クロリド(28g)をジクロロメタン(300mL)に溶解し、5~10℃に冷却し、TLC上で反応が完了するまでアンモニアガスをパージした。得られた反応混合物を室温で5.0時間攪拌した。完了後、反応マスを減圧下で濃縮し、水(150mL)を加え、濾過した。
【0166】
得られた湿潤固体を減圧下で乾燥させることで、ベージュ色の固体3,6-ジヒドロイミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-8-カルボキシアミド(22.0gm、73.7%)を得た。
【0167】
HNMR(400MHz,DMSO-d6):δ13.3(bs,1H),δ12.2(bs,1H),δ10.2(d,1H),δ8.3(d,1H),δ8.4(m,1H),δ7.3(bs,2H).
【国際調査報告】