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特表2023-544686瘻の作成および成熟のための回収可能な血管内埋込み装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】瘻の作成および成熟のための回収可能な血管内埋込み装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/848 20130101AFI20231018BHJP
   A61B 17/11 20060101ALI20231018BHJP
   A61M 1/36 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
A61F2/848
A61B17/11
A61M1/36 143
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023517290
(86)(22)【出願日】2021-09-16
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 US2021050592
(87)【国際公開番号】W WO2022060933
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】63/079,087
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100220065
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】テスマー,アレクサンダー・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】チャンダスズコ,アンジェイ・ジェイ
【テーマコード(参考)】
4C077
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C077EE03
4C160MM33
4C267AA42
4C267BB02
4C267BB20
4C267BB26
4C267BB27
4C267CC08
4C267GG05
4C267HH08
(57)【要約】
瘻を形成するための血管内埋込み装置は、遠位開口および近位開口を有する、内腔を形成する壁部を含む本体を含む。係留具が、遠位開口に隣接する本体の遠位端部に結合される。係留具は、本体の遠位端部の第1の側から延在する第1の係留具を含むことができ、第2の隔てられた係留具が本体の遠位端部の第2の側から延在することができる。回収装置が、近位開口に隣接する本体の近位端部に結合され得る。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
瘻を形成するための血管内埋込み装置であって、
内腔を形成する壁部を含む本体であって、前記本体が、遠位開口を有する遠位端部と、近位開口を有する近位端部とを含む、本体と、
前記遠位開口に隣接する前記本体の遠位端部に結合された係留具であって、前記係留具が、前記本体の遠位端部の第1の側から延在する第1の係留具と、前記本体の前記遠位端部の第2の側から延在する第2の係留具とを含み、前記第2の係留具が前記第1の係留具から隔てられている、係留具と
を備える、血管内埋込み装置。
【請求項2】
前記第1の係留具と前記第2の係留具とが前記内腔への入口によって隔てられている、請求項1に記載の血管内埋込み装置。
【請求項3】
回収装置をさらに含む、請求項1に記載の血管内埋込み装置。
【請求項4】
前記壁部が、厚みを有しかつ前記回収装置を形成する1対の相互連結したフックをさらに有する材料を備え、前記1対のフックのそれぞれのフックが、前記壁部から延在し前記壁部と一体に形成された第1の長手方向部分と、前記第1の長手方向部分に連結された第2の部分とを有し、前記相互連結したフックの前記第2の部分、それぞれのフックが、前記厚みを有する前記壁部の前記材料で形成されている、請求項3に記載の血管内埋込み装置。
【請求項5】
前記1対のフックが、接合部によって少なくとも部分的に互いに連結されている、請求項4に記載の血管内埋込み装置。
【請求項6】
前記接合部が溶着部を備える、請求項5に記載の血管内埋込み装置。
【請求項7】
前記1対の相互連結したフックが、前記本体の中心軸からオフセットした半径方向に最も内側の部分を含む、請求項4に記載の血管内埋込み装置。
【請求項8】
それぞれのフックの前記第1の長手方向部分が部分的にねじられ、前記第2の部分が前記第1の長手方向部分から半径方向に内向きに突出する、請求項4に記載の血管内埋込み装置。
【請求項9】
前記本体がコーティングを有するメッシュを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の血管内埋込み装置。
【請求項10】
瘻を形成するための血管内埋込み装置であって、
内腔を形成する壁部を含む本体であって、前記本体が、遠位開口を有する遠位端部と、近位開口を有する近位端部とを含む、本体と、
前記遠位開口に隣接する前記本体の前記遠位端部に結合された係留具と、
前記近位開口に隣接する前記本体の前記近位端部に結合された回収装置と
を備える、血管内埋込み装置。
【請求項11】
前記壁部が、厚みを有しかつ前記回収装置を形成する1対の相互連結したフックをさらに有する材料を備え、前記1対のフックのそれぞれのフックが、前記壁部から延在し前記壁部と一体に形成された第1の長手方向部分と、前記第1の長手方向部分に連結された第2の部分とを有し、前記相互連結したフックの前記第2の部分、それぞれのフックが、前記厚みを有する前記壁部の前記材料で形成されている、請求項10に記載の血管内埋込み装置。
【請求項12】
前記1対のフックが、接合部によって少なくとも部分的に互いに連結されている、請求項11に記載の血管内埋込み装置。
【請求項13】
前記接合部が溶着部を備える、請求項11に記載の血管内埋込み装置。
【請求項14】
前記1対の相互連結したフックが、前記本体の中心軸からオフセットした半径方向に最も内側の部分を含む、請求項11に記載の血管内埋込み装置。
【請求項15】
それぞれのフックの前記第1の長手方向部分が部分的にねじられ、前記第2の部分が前記第1の長手方向部分から半径方向に内向きに突出する、請求項11に記載の血管内埋込み装置。
【請求項16】
前記本体がコーティングを有するメッシュを備える、請求項11から15のいずれか一項に記載の血管内埋込み装置。
【請求項17】
前記係留具が、前記内腔への入口によって隔てられた第1の係留具および第2の係留具を備える、請求項11から16のいずれか一項に記載の血管内埋込み装置。
【請求項18】
瘻を形成するための血管内埋込み装置であって、
内腔を形成する壁部を含む本体であって、前記本体が、遠位開口を有する遠位端部と、近位開口を有する近位端部とを含む、本体と、
前記遠位開口に隣接する前記本体の遠位端部に結合された係留具であって、前記係留具が、前記本体の遠位端部の第1の側から延在する第1の係留具と、前記本体の前記遠位端部の第2の側から延在する第2の係留具とを含み、前記第2の係留具が前記第1の係留具から隔てられている、係留具と、
1対の相互連結したフックを備える回収装置であって、前記1対のフックのそれぞれのフックが、前記壁部から延在し前記壁部と一体に形成された第1の長手方向部分と、前記第1の長手方向部分に連結された第2の部分とを有し、前記相互連結したフックの前記第2の部分、それぞれのフックが、厚みを有する前記壁部の前記で形成されている、回収装置と
を備える、血管内埋込み装置。
【請求項19】
前記本体がコーティングを有するメッシュを備える、請求項18に記載の血管内埋込み装置。
【請求項20】
前記係留具が、前記内腔への入口によって隔てられた第1の係留具および第2の係留具を備える、請求項18または19に記載の血管内埋込み装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年9月16日出願の米国仮特許出願第63/079,087号の利益を主張する。本出願は、2019年1月3日出願の米国仮特許出願第62/787,985号、および2020年1月3日出願の米国特許出願第16/733,583号に関する。これらの出願のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[001]本開示は医療機器に関し、詳細には、瘻の作成および成熟のための回収可能な血管内埋込み装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[002]現在、透析を必要とする末期腎不全(ESRD)患者向けに米国内で動静脈(AV)瘻を作成するための唯一の選択肢は、侵襲的な手術を受けることである。2016年には、70,000をわずかに上回るAV瘻が作成されたと推定されている。
【0004】
[003]瘻の成熟は、瘻がカニューレ挿入に適するようになるプロセスであり、その基準は以下の通り、600ml/分よりも多い血流速度、6mmよりも大きい直径、皮下0.6cm未満の深さであり、外科的に作成した後4~6週間で上述の基準が満たされるべきである。瘻の成熟は継続して問題となっており、約50%の瘻が成熟に失敗する。瘻が成熟に失敗する考えられる理由は、不十分な拡張、副静脈、狭窄症、血栓症、動脈/静脈疾患、および低血圧を含む。既存の解決策は、バルーン血管形成術、競合する脈管の除去、および生分解性マグネシウムステントを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[004]したがって、瘻の成熟を助け、脈管を広げて適切な拡張を可能にし、流量を増加させ、狭窄症を防止する助けとなる装置が求められている。装置により、静脈と動脈との間の距離に関わらず、医師が、手術による脈管外傷を大いに減らすことになる経皮的な低侵襲技法によってAV瘻を作成し、再治療(re-interventions)の頻度を制限するばらつきを除去し、よりよい成熟の成功を実現し、より多くの解剖学的瘻の選択肢を提示することが可能になるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[005]本開示の第1の態様によれば、瘻を形成するための血管内埋込み装置が開示される。埋込み装置は、内腔を形成する壁部を含む本体を備え、本体は、遠位開口を有する遠位端部と、近位開口を有する近位端部とを含む。埋込み装置は、遠位開口に隣接する本体の遠位端部に結合された係留具をさらに備え、係留具は、本体の遠位端部の第1の側から延在する第1の係留具と、本体の遠位端部の第2の側から延在する第2の係留具とを含み、第2の係留具は第1の係留具から隔てられている。
【0007】
[006]一実施形態では、第1の係留具と第2の係留具とは内腔への入口によって隔てられる。埋込み装置は、回収装置(retriever)をさらに含むことができる。埋込み装置の壁部は、厚みを有しかつ回収装置を形成する1対の相互連結したフックをさらに有する材料を備えることができる。1対のフックのそれぞれのフックは、壁部から延在し壁部と一体に形成された第1の長手方向部分と、第1の長手方向部分に連結された第2の部分とを含み、相互連結したフックの第2の部分、それぞれのフックは厚みを有する壁部の材料で形成される。
【0008】
[007]一実施形態では、1対のフックは、接合部によって少なくとも部分的に互いに連結される。接合部は溶着部を備えてもよい。
[008]1対の相互連結したフックは、本体の中心軸からオフセットした半径方向に最も内側の部分を含むことができる。それぞれのフックの第1の長手方向部分は部分的にねじられてもよく、第2の部分は第1の長手方向部分から半径方向に内向きに突出する。
【0009】
[009]本開示の別の態様によれば、瘻を形成するための血管内埋込み装置が提供される。埋込み装置は、内腔を形成する壁部を含む本体を備える。本体は、遠位開口を有する遠位端部と、近位開口を有する近位端部とを含む。係留具が遠位開口に隣接する本体の遠位端部に結合され、回収装置が近位開口に隣接する本体の近位端部に結合される。
【0010】
[0010]一実施形態では、壁部は厚みを有する材料を備える。埋込み装置は、回収装置を形成する1対の相互連結したフックをさらに含むことができる。1対のフックのそれぞれのフックは、壁部から延在し壁部と一体に形成された第1の長手方向部分と、第1の長手方向部分に連結された第2の部分とを含む。相互連結したフックの第2の部分、それぞれのフックは厚みを有する壁部の材料で形成される。
【0011】
[0011]一実施形態では、1対のフックは、溶着部などの接合部によって少なくとも部分的に互いに連結される。1対の相互連結したフックは、本体の中心軸からオフセットした半径方向に最も内側の部分を含むことができる。それぞれのフックの第1の長手方向部分は部分的にねじられてもよく、第2の部分は第1の長手方向部分から半径方向に内向きに突出してもよい。
【0012】
[0012]本体は、コーティングを有するメッシュを備えることができる。係留具は、内腔への入口によって隔てられた第1の係留具および第2の係留具を備えることができる。
[0013]本開示の別の態様によれば、瘻を形成するための血管内埋込み装置が提供される。埋込み装置は、内腔を形成する壁部を含む本体を備え、本体は、遠位開口を有する遠位端部と、近位開口を有する近位端部とを含む。係留具が遠位開口に隣接する本体の遠位端部に結合される。係留具は、本体の遠位端部の第1の側から延在する第1の係留具と、本体の遠位端部の第2の側から延在する第2の隔てられた係留具とを含む。回収装置は1対の相互連結したフックを備え、1対のフックのそれぞれのフックは、壁部から延在し壁部と一体に形成された第1の長手方向部分と、第1の長手方向部分に連結された第2の部分とを有し、相互連結したフックの第2の部分、それぞれのフックは厚みを有する壁部の材料で形成される。係留具は、内腔への入口によって隔てられた第1の係留具および第2の係留具を備えることができる。
【0013】
[0014]前述の実施形態のいずれにおいても、本体はコーティングを有するメッシュを備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】[0015]図1は、本開示の一態様による埋込み装置の上面図である。 [0016]図1aは、図1の埋込み装置の側方断面図である。
図2】[0017]回収装置を含む埋込み装置を形成するための先行物の平面図である。
図4】[0018]瘻を形成する埋込み装置の考えられる使用を示す進行概略図である。
図5】瘻を形成する埋込み装置の考えられる使用を示す進行概略図である。
図6】瘻を形成する埋込み装置の考えられる使用を示す進行概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0019]以下の詳細な説明では、開示されている概念の徹底的な理解を可能にするために多くの具体的な詳細が述べられる。開示される本発明がこれらの具体的な詳細なしに実践されてもよいことが、当業者には知られていよう。他の場合、開示されている本発明を曖昧にしないために、よく知られている方法、手順、構成要素、または構造体については詳細に説明されない場合がある。
【0016】
[0020]以下に、また図に関連して提供される説明は、そうでないことが言及されていない限りすべての実施形態に当てはまり、それぞれの実施形態に共通の特徴は同様に示され、番号付けされている。
【0017】
[0021]図面の図を参照すると、上面(図1)と側面(図1a)の両方から示された、AV瘻を形成するための埋込み装置10が提供される。示されている実施形態では、埋込み装置10は、管状の本体12を形成する単一の管材を備える。図1aに示されているように、管状の本体12は、複数の閉じたセル12aを画定するワイヤまたはストラットを備えるメッシュで形成された壁部を備えることができ、したがってこれにより本体にかなりの柔軟性が与えられる。
【0018】
[0022]本体12は、生体適合性材料(たとえばePTFE、ポリウレタンなど)で形成されたコーティングまたは膜で少なくとも部分的に被覆されてもよい。この被覆は針穿刺後などに自己封止するものでもよい。図1および図1aから理解され得るように、このようにコーティングされた本体12は、対応する脈管が開存性を維持する支援も行いながら、関連付けられた脈管に挿入されるとその中で血液などの流体の流れを一緒に通すための遠位開口(入口I)および近位開口(出口O)を有する内腔Lをこのように形成する。
【0019】
[0023]埋込み装置10は、AV瘻を形成するなどのために埋込み装置を所望の場所で定位置に係留するための1つまたは複数の係留具14、16をさらに含むことができる。係留具14、16は埋込み装置10の遠位端部に示されており、これは瘻部位の動脈側に対応する。係留具14、16は形状が楕円でも、異なる形状を有してもよく、端部が閉じていてもよく、開いていてもよい。係留具14、16は埋込み装置10の開いた上方(入口)端部に隣接したところから斜めに、かつ逆方向に延在することができる。2つの係留具14、16が示されているが、3つ以上が提供されてもよい。使用時に静脈内の場所に対応する埋込み装置10の近位端部に、係留具(図示せず)が任意選択で提供される場合もある。
【0020】
[0024]埋込み装置10は、回収装置18も含むことができる。一実施形態では、回収装置18はフックの形態をとり、その詳細は以下の説明でさらに略述する。回収装置18を形成するフックは、埋込み装置10の近位(出口O)端部に隣接して位置付けられ得る。
【0021】
[0025]回収装置18を形成するフックは、示されている配向で埋込み装置10の一方の側(たとえば下側)に沿って長手方向に延在する細長い背骨部20に直接的に連結されるなど、本体12に連結され、閉じたセル12aにより、両方の外側部の境界が定められる。この背骨部20は、本体12の閉じたセル12aを形成するワイヤまたはストラットよりも周方向に概して幅広である材料で形成され、したがって関連付けられた回収装置18を使用して埋込み装置10を回収する能力を強化する。背骨部20が1つだけ示されているが、必要に応じて2つ以上存在してもよく、または背骨部が完全に省略されてもよい。
【0022】
[0026]埋込み装置10の形成は、単一の管状の材料から本体12を切断することによって実現され得る。図2の平面図に目を向けると、この処理により、長手方向に延在するJ形状の2つのフック18a、18bを単一の厚みの材料から直接切断することが可能になり、これが、埋込み装置10を形成するためのプリフォームを作成すると考えることができる(したがってフックは本体12の壁部と同様の厚みを有する)。それぞれのフック18a、18bのうち、半径方向に最も内側の部分は本体の中心軸Xからオフセットする。フック18a、18bは、このように折られ、または湾曲させられ/ねじられて、並んで当接する関係にされてもよく、次いで(溶着部などによって)互いに接合されて、図1および図1aの回収装置18として機能する二重の厚みのフックを形成してもよい。上述の形成プロセスに鑑みると、フック18a、18bの高さは埋込み装置10の本体12の直径に対して実質的に小さく、それにより流体の流れに対するインピーダンスを最小限にできることが理解され得る。
【0023】
[0027]ここで図4図6を参照して、AV瘻を形成するための埋込み装置10の使用について説明されている。静脈Vを通して瘻作成部位へとシースを送達することなどにより、シースSを使用して埋込み装置を送達することができ、針(図示せず)を使用して静脈および動脈壁Wを通る穴を作成(穿刺)することができる。次いで、針を介して動脈Aへと通過するためにガイドワイヤGが使用される。
【0024】
[0028]次いで、埋込み装置10をシースSの先端へと送達することができる。シースSは次いで後退させられる。その結果、埋込み装置10の遠位係留具14、16が留置され、管状の本体12がそれに続く。
【0025】
[0029]その結果、内腔Lは動脈血が静脈へと流れ込むための導管を提供し、したがってAV瘻を作成する。任意選択で、静脈Vは、埋込み装置の直径に概ね一致するように、埋込み前にPTAバルーンで拡張されてもよい。また、バルーンは針およびシースで作成された導管を埋込み前に拡張し、または埋込み装置をその留置後に拡張するために使用されてもよい。
【0026】
[0030]特定の時間(たとえば数日または数週間)の後、埋込み装置10は経皮的に取り出すことができる。これは、スネア(図示せず)を使用して埋込み装置を長手方向にシースに引き込むことでなされてもよい。図1aに戻ると、少なくとも回収装置18に関連付けられた端部は、水平軸Xとの間で第2の角度βを形成するように傾斜が付けられるかまたはテーパ付けされ得ることも理解され得る。理解され得るように、回収の目的で回収装置18が長手方向に引かれたとき、このテーパにより、シースの開口に引き込まれたとき、埋込み装置10のより細いテーパ付け部分が最初にシースに入ることが可能になる。したがって、シースの内径が埋込み装置10の外径よりもかなり小さい場合であっても、シースへとさらに長手方向に動かすことにより、埋込み装置10が部分的に変形して回収を確実とすることができる。
【0027】
[0031]埋込み装置10は種々の材料で作ることができる。たとえば、埋込み装置10は、ニチノールなどの形状記憶材料、または鋼(たとえばステンレス)、ニッケルクロム、コバルトクロム合金、チタン合金などのような他の金属/合金から製作されてもよい。埋込み装置10は、ポリマー材料、またはさらにはマグネシウムもしくは他のこうした材料などの生体吸収性材料、または任意の材料の複合材で形成することもできる。
【0028】
[0032]当技術分野で知られているように、埋込み装置10は、治療の目的で医薬品または薬剤(たとえばパクリタキセル)でコーティングされる場合もある。また、埋込み装置10はX線透視を使用した識別のために放射線不透過性にされてもよく、放射線不透過性マーカを組み込んでもよい。
【0029】
[0033]要約すると、本開示は以下の項目に関すると考えることができる。
[項目1]
瘻を形成するための血管内埋込み装置であって、
内腔を形成する壁部を含む本体であって、本体が、遠位開口を有する遠位端部と、近位開口を有する近位端部とを含む、本体と、
遠位開口に隣接する本体の遠位端部に結合された係留具であって、係留具が、本体の遠位端部の第1の側から延在する第1の係留具と、本体の遠位端部の第2の側から延在する第2の係留具とを含み、第2の係留具が第1の係留具から隔てられている、係留具と
を備える、血管内埋込み装置。
[項目2]
第1の係留具と第2の係留具とが内腔への入口によって隔てられている、項目1に記載の血管内埋込み装置。
[項目3]
回収装置をさらに含む、項目1または項目2に記載の血管内埋込み装置。
[項目4]
壁部が、厚みを有しかつ回収装置を形成する1対の相互連結したフックをさらに有する材料を備え、1対のフックのそれぞれのフックが、壁部から延在し壁部と一体に形成された第1の長手方向部分と、第1の長手方向部分に連結された第2の部分とを有し、相互連結したフックの第2の部分、それぞれのフックが、厚みを有する壁部の材料で形成されている、項目1から3のいずれか一項に記載の血管内埋込み装置。
[項目5]
1対のフックが、接合部によって少なくとも部分的に互いに連結されている、項目4に記載の血管内埋込み装置。
[項目6]
接合部が溶着部を備える、項目5に記載の血管内埋込み装置。
[項目7]
1対の相互連結したフックが、本体の中心軸からオフセットした半径方向に最も内側の部分を含む、項目4から6のいずれか一項に記載の血管内埋込み装置。
[項目8]
それぞれのフックの第1の長手方向部分が部分的にねじられ、第2の部分が第1の長手方向部分から半径方向に内向きに突出する、項目4から7のいずれか一項に記載の血管内埋込み装置。
[項目9]
本体がコーティングを有するメッシュを備える、項目1から8のいずれか一項に記載の血管内埋込み装置。
[項目10]
瘻を形成するための血管内埋込み装置であって、
内腔を形成する壁部を含む本体であって、本体が、遠位開口を有する遠位端部と、近位開口を有する近位端部とを含む、本体と、
遠位開口に隣接する本体の遠位端部に結合された係留具と、
近位開口に隣接する本体の近位端部に結合された回収装置と
を備える、血管内埋込み装置。
[項目11]
壁部が、厚みを有しかつ回収装置を形成する1対の相互連結したフックをさらに有する材料を備え、1対のフックのそれぞれのフックが、壁部から延在し壁部と一体に形成された第1の長手方向部分と、第1の長手方向部分に連結された第2の部分とを有し、相互連結したフックの第2の部分、それぞれのフックが、厚みを有する壁部の材料で形成されている、項目10に記載の血管内埋込み装置。
[項目12]
1対のフックが、接合部によって少なくとも部分的に互いに連結されている、項目11に記載の血管内埋込み装置。
[項目13]
接合部が溶着部を備える、項目11に記載の血管内埋込み装置。
[項目14]
1対の相互連結したフックが、本体の中心軸からオフセットした半径方向に最も内側の部分を含む、項目11に記載の血管内埋込み装置。
[項目15]
それぞれのフックの第1の長手方向部分が部分的にねじられ、第2の部分が第1の長手方向部分から半径方向に内向きに突出する、項目11に記載の血管内埋込み装置。
[項目16]
本体がコーティングを有するメッシュを備える、項目11から15のいずれか一項に記載の血管内埋込み装置。
[項目17]
係留具が、内腔への入口によって隔てられた第1の係留具および第2の係留具を備える、項目11から16のいずれか一項に記載の血管内埋込み装置。
[項目18]
瘻を形成するための血管内埋込み装置であって、
内腔を形成する壁部を含む本体であって、本体が、遠位開口を有する遠位端部と、近位開口を有する近位端部とを含む、本体と、
遠位開口に隣接する本体の遠位端部に結合された係留具であって、係留具が、本体の遠位端部の第1の側から延在する第1の係留具と、本体の遠位端部の第2の側から延在する第2の係留具とを含み、第2の係留具が第1の係留具から隔てられている、係留具と、
1対の相互連結したフックを備える回収装置であって、1対のフックのそれぞれのフックが、壁部から延在し壁部と一体に形成された第1の長手方向部分と、第1の長手方向部分に連結された第2の部分とを有し、相互連結したフックの第2の部分、それぞれのフックが、厚みを有する壁部の材料で形成されている、回収装置と
を備える、血管内埋込み装置。
[項目19]
本体がメッシュを備える、項目18に記載の血管内埋込み装置。
【0030】
[0034]本明細書で使用される、単数形の文法形態:「a」、「an」、および「the」で書かれた以下の用語のそれぞれは、「少なくとも1つの」、あるいは「1つまたは複数の」を意味する。本明細書において語句「1つまたは複数の」の使用は、「a」、「an」、または「the」のこの所期の意味を変更しない。したがって、そうでないことが本明細書に具体的に定義されるかもしくは述べられていない限り、または文脈からそうでないことが明確に示されていない限り、本明細書で使用される、用語「a」、「an」、および「the」は、複数の述べられた主体または物体も指し、包含することができる。たとえば、本明細書で使用される、語句:「ユニット(a unit)」、「機器(an apparatus」、「組立体(an assembly)」、「機構(a mechanism)」、「構成要素(a component)」、「要素(an element)」、および「ステップまたは手順(a step or procedure)」は、複数のユニット、複数の機器、複数の組立体、複数の機構、複数の構成要素、複数の要素、および複数のステップまたは手順もそれぞれ指し、包含することができる。
【0031】
[0035]本明細書で使用される、以下の用語:「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「備える(comprises)」、および「備えている(comprising)」のそれぞれ、ならびにこれらの言語学的/文法的変異形、派生形、または/および活用形は、「含むが、これらに限定されない(including,but not limited to)」を意味し、述べられている構成要素、特徴、特性、パラメータ、整数、またはステップを明記していると解釈されるべきであり、1つまたは複数の追加の構成要素、特徴、特性、パラメータ、整数、ステップ、またはこれらの群の追加を妨げない。これらの用語のそれぞれは、語句「本質的に~からなっている(consisting essentially of)」と意味が等価であると考えられる。本明細書で使用される、語句「~からなっている(consisting of)」および「~からなる(consists of)」のそれぞれは、「~を含み、それらに限定される(including and limited to)」を意味する。語句「本質的に~からなっている(consisting essentially of)」は、開示された本発明の例示的な一実施形態の全体もしくは一部であり、または/かつ開示された本発明の例示的な一実施形態を実施するために使用される、述べられた主体または項目(システム、システムユニット、システムサブユニット機器、組立体、サブ組立体、機構、構造体、構成要素、または周辺機器ユーティリティ、アクセサリ、または材料、方法もしくはプロセス、ステップもしくは手順、サブステップもしくはサブ手順)が、システムユニット、システムサブユニット機器、組立体、サブ組立体、機構、構造体、構成要素もしくは要素、または周辺機器ユーティリティ、アクセサリ、または材料、ステップもしくは手順、サブステップもしくはサブ手順である少なくとも1つの追加の特徴または特性を含んでもよいが、それはそれぞれのこうした追加の特徴または特性が、項目の基本的な新規かつ発明性のある特性または特別な技術的特徴を実質的に変更しない場合においてのみであることを意味する。
【0032】
[0036]本明細書で使用される、用語「方法」は、開示された本発明の関連分野の実務家に知られているか、または開示された本発明の関連分野の実務家により、知られているステップ、手順、やり方、手段、または/および技法から容易に開発されるステップ、手順、やり方、手段、または/および技法を含むがこれらに限定されない所与の作業を遂行するためのステップ、手順、やり方、手段、または/および技法を指す。
【0033】
[0037]本明細書で使用される、およそ、実質的に、約などの用語のような近似の用語は、述べられた値の±10%を指す。平行または垂直という用語の使用は、そうでないことが指定されていなければ、この条件をほぼ満たしていることを意味することを意図されている。
【0034】
[0038]明確さのために複数の別個の実施形態の文脈または形式において実例として説明および提示された本発明のいくつかの態様、特性、および特徴は、単一の実施形態の文脈または形式において任意の適した組合せまたはサブ組合せで実例として説明および提示される場合もあることを十分に理解されたい。その反対に、単一の実施形態の文脈または形式において組合せまたはサブ組合せで実例として説明および提示された本発明の種々の態様、特性、および特徴が、複数の別個の実施形態の文脈または形式において実例として説明および提示される場合もある。
【0035】
[0039]特定の例示的な実施形態およびその例として本開示の本発明を実例として説明および提示してきたが、その多くの代替形態、修正形態、または/および変形形態が当業者には明らかであろうことは明白である。たとえば、1対のフックについて上述されているが、3つ以上のフックを使用して単一のフック、したがって回収装置18を形成してもよいことが理解され得る。同様に、特定の使用のために所望される場合、二重フックでそれぞれ形成された複数の単一のフックが、単一の埋込み装置に提供されてもよい。したがって、すべてのこうした代替形態、修正形態、または/および変形形態は添付の特許請求の範囲に記載の広範な範囲の趣旨に含まれ、それによって包含されることが意図されている。
図1
図1a
図2
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-07-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
瘻を形成するための血管内埋込み装置であって、
内腔を形成する壁部を含む本体であって、前記本体が、遠位開口を有する遠位端部と、近位開口を有する近位端部とを含む、本体と、
前記遠位開口に隣接する前記本体の遠位端部に結合された係留具であって、前記係留具が、前記本体の遠位端部の第1の側から延在する第1の係留具と、前記本体の前記遠位端部の第2の側から延在する第2の係留具とを含み、前記第2の係留具が前記第1の係留具から隔てられている、係留具と
を備え、
前記壁部が、厚みを有しかつ1対のフックをさらに有する材料を備え、前記1対のフックは、接合部によって少なくとも部分的に相互連結され、回収装置を形成し、前記1対のフックのそれぞれのフックが、前記壁部から延在し前記壁部と一体に形成された第1の長手方向部分と、前記第1の長手方向部分に連結された第2の部分とを有し、それぞれのフックが、前記厚みを有する前記壁部の前記材料で形成されている、血管内埋込み装置。
【請求項2】
前記第1の係留具と前記第2の係留具とが前記内腔への入口によって隔てられている、請求項1に記載の血管内埋込み装置。
【請求項3】
前記接合部が溶着部を備える、請求項1に記載の血管内埋込み装置。
【請求項4】
前記1対の相互連結したフックが、前記本体の中心軸からオフセットした半径方向に最も内側の部分を含む、請求項1に記載の血管内埋込み装置。
【請求項5】
それぞれのフックの前記第1の長手方向部分が部分的にねじられ、前記第2の部分が前記第1の長手方向部分から半径方向に内向きに突出する、請求項1に記載の血管内埋込み装置。
【請求項6】
前記本体がコーティングを有するメッシュを備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の血管内埋込み装置。
【請求項7】
瘻を形成するための血管内埋込み装置であって、
内腔を形成する壁部を含む本体であって、前記本体が、遠位開口を有する遠位端部と、近位開口を有する近位端部とを含む、本体と、
前記遠位開口に隣接する前記本体の前記遠位端部に結合された係留具と、
前記近位開口に隣接する前記本体の前記近位端部に結合された回収装置と
を備え、
前記壁部が、厚みを有しかつ前記回収装置を形成する1対の相互連結したフックをさらに有する材料を備え、前記1対のフックのそれぞれのフックが、前記壁部から延在し前記壁部と一体に形成された第1の長手方向部分と、前記第1の長手方向部分に連結された第2の部分とを有し、前記相互連結したフックの前記第2の部分、それぞれのフックが、前記厚みを有する前記壁部の前記材料で形成されており、
それぞれのフックの前記第1の長手方向部分が部分的にねじられ、前記第2の部分が前記第1の長手方向部分から半径方向に内向きに突出する、血管内埋込み装置。
【請求項8】
前記1対のフックが、接合部によって少なくとも部分的に互いに連結されている、請求項7に記載の血管内埋込み装置。
【請求項9】
前記接合部が溶着部を備える、請求項7に記載の血管内埋込み装置。
【請求項10】
前記1対の相互連結したフックが、前記本体の中心軸からオフセットした半径方向に最も内側の部分を含む、請求項7に記載の血管内埋込み装置。
【請求項11】
それぞれのフックの前記第1の長手方向部分が部分的にねじられ、前記第2の部分が前記第1の長手方向部分から半径方向に内向きに突出する、請求項7に記載の血管内埋込み装置。
【請求項12】
前記本体がコーティングを有するメッシュを備える、請求項7から11のいずれか一項に記載の血管内埋込み装置。
【請求項13】
前記係留具が、前記内腔への入口によって隔てられた第1の係留具および第2の係留具を備える、請求項7から12のいずれか一項に記載の血管内埋込み装置。
【請求項14】
瘻を形成するための血管内埋込み装置であって、
内腔を形成する壁部を含む本体であって、前記本体が、遠位開口を有する遠位端部と、近位開口を有する近位端部とを含む、本体と、
前記遠位開口に隣接する前記本体の遠位端部に結合された係留具であって、前記係留具が、前記本体の遠位端部の第1の側から延在する第1の係留具と、前記本体の前記遠位端部の第2の側から延在する第2の係留具とを含み、前記第2の係留具が前記第1の係留具から隔てられている、係留具と、
接合部によって少なくとも部分的に互いに連結された1対のフックを備える回収装置であって、前記1対のフックのそれぞれのフックが、前記壁部から延在し前記壁部と一体に形成された第1の長手方向部分と、前記第1の長手方向部分に連結された第2の部分とを有し、前記相互連結したフックの前記第2の部分、それぞれのフックが、厚みを有する前記壁部の材料で形成されている、回収装置と
を備える、血管内埋込み装置。
【請求項15】
前記本体がコーティングを有するメッシュを備える、請求項14に記載の血管内埋込み装置。
【請求項16】
前記係留具が、前記内腔への入口によって隔てられた第1の係留具および第2の係留具を備える、請求項14または15に記載の血管内埋込み装置。
【国際調査報告】