IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジェイティー インターナショナル エス.エイ.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20231018BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20231018BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20231018BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
A24F40/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518869
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(85)【翻訳文提出日】2023-04-17
(86)【国際出願番号】 EP2021077912
(87)【国際公開番号】W WO2022074220
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】20200901.5
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライト, アレク
(72)【発明者】
【氏名】ローガン, アンドリュー ロバート ジョン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC22
4B162AC50
(57)【要約】
エアロゾル発生装置(100)が説明される。エアロゾル発生装置(100)は、エアロゾル基材(121)を受け入れるように配置された加熱チャンバ(110)であって、エアロゾル基材(121)を加熱してエアロゾルを発生させるように動作可能な当該加熱チャンバ(110)と、エアロゾル発生装置(100)の加熱動作中に圧縮要素(130)が加熱チャンバ(110)内へと延伸するように、閾値温度を上回ると形状変化するように構成された圧縮要素(130)と、を含む。このように、たとえ加熱中にエアロゾル基材(121)の収縮が生じても、エアロゾル基材(121)との改善された熱接触が達成され及び維持される。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置であって、
エアロゾル基材を受け入れるように配置された加熱チャンバであって、前記エアロゾル基材を加熱してエアロゾルを発生させるように動作可能な前記加熱チャンバと、
前記エアロゾル発生装置の加熱動作中に圧縮要素が前記加熱チャンバ内で半径方向内向きに延伸するように、
閾値温度を上回ると形状変化するように構成された前記圧縮要素と、
を備える、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記加熱チャンバは、開口を備え、長手方向に前記開口を通じて前記エアロゾル基材を前記加熱チャンバ内に受け入れるように配置され、前記圧縮要素は、前記加熱チャンバの内面に位置し、前記閾値温度を上回ると形状変化して前記長手方向に対して垂直な方向に前記加熱チャンバ内へと延伸するように構成される、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記加熱チャンバは、管状であり、管状のエアロゾル基材を受け入れるように配置され、前記圧縮要素は、前記管状のエアロゾル基材の細長軸に対して垂直な方向に前記加熱チャンバ内へと延伸するように構成される、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記加熱チャンバの外周の周りに配置された複数の圧縮要素を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記圧縮要素は、前記加熱チャンバの長さに沿って走る長手方向ストリップ群であって、前記加熱チャンバの前記外周の周りで間隔を置いて配置された当該長手方向ストリップ群を含み、前記長手方向ストリップ群は、前記閾値温度を上回ると前記加熱チャンバ内へと内向きに屈曲するように構成される、請求項4に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記圧縮要素は、前記加熱チャンバの前記外周の少なくとも一部の周りに延びる少なくとも部分的に環状の要素群であって、前記加熱チャンバの長さに沿って間隔を置いて配置された当該環状の要素群を含み、前記環状の要素は、前記閾値温度を上回ると収縮するように構成される、請求項4に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記圧縮要素は、前記エアロゾル発生装置の加熱動作中に、前記加熱チャンバによる加熱に起因して形状変化するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記圧縮要素は、前記加熱チャンバ内に位置し、前記圧縮要素は、
前記閾値温度より下では前記加熱チャンバの内壁に沿って伸びており、エアロゾル基材が前記チャンバに挿入され及び前記チャンバから除去されることを可能にし、
前記閾値温度を上回ると前記内壁から離れて前記加熱チャンバ内へと延伸する、
請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記圧縮要素は、前記加熱チャンバの壁の一部を形成し、前記閾値温度を上回ると前記加熱チャンバ内へと延伸して前記加熱チャンバの内部容積を低減する、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記圧縮要素は、加熱要素を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記圧縮要素は、熱伝導性材料を含み、前記エアロゾル発生装置は、前記圧縮要素に熱を伝達するように配置されたヒータをさらに備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記加熱チャンバの外面の周りに配置されたヒータをさらに備え、前記ヒータは、好ましくは薄膜ヒータである、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記圧縮要素は、形状記憶合金を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
前記圧縮要素は、バイメタル要素を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項15】
前記圧縮要素は、前記加熱チャンバの温度が前記閾値温度を下回ると元の形状に戻るように構成され、それによって、前記加熱チャンバから後退して、エアロゾル基材が前記チャンバ内に挿入されるか又は前記チャンバから除去されることを可能にする、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項16】
エアロゾル基材をさらに含み、前記エアロゾル基材は、加熱されると収縮する材料を含み、前記圧縮要素は、前記エアロゾル発生装置の加熱動作中に前記圧縮要素と前記エアロゾル基材との間の接触が維持されるように配置される、請求項1~15のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項17】
前記エアロゾル基材は、タバコを含む、請求項16に記載のエアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生装置に関する。本開示は、とりわけ、自己完結的であって低温であり得る携帯型エアロゾル発生装置に適用可能である。そのような装置は、タバコ又は他の好適なエアロゾル基材材料を、燃やすのではなく、伝導、対流、及び/又は放射によって加熱して、吸入のためのエアロゾルを発生させ得る。
【背景技術】
【0002】
リスク低減装置又はリスク修正装置(気化器としても知られる)の人気及び使用は、紙巻きタバコ、葉巻、シガリロ及び巻きタバコなど、従来のタバコ製品の使用を止めることを望む常習的喫煙者を支援するための補助として、ここ数年で急速に成長している。従来のタバコ製品においてタバコを燃焼させるのとは対照的に、エアロゾル化可能物質を加熱し又は加温する様々な装置及びシステムが利用可能である。
【0003】
一般に利用可能なリスク低減装置又はリスク修正装置は、基材加熱式エアロゾル発生装置又は加熱非燃焼式(HNB)装置である。このタイプの装置は、湿った葉タバコ又は他の好適なエアロゾル化可能材料を典型的に含むエアロゾル基材(すなわち、消耗品)を、典型的には150℃~300℃の範囲の温度に加熱することによってエアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル基材を燃焼させたり又は燃やしたりするのではなく加熱することにより、ユーザが求める成分は含むが、燃焼及び燃やすことによる毒性及び発癌性のある副生成物は含まないエアロゾルが放出される。さらに、タバコ又は他のエアロゾル化可能材料を加熱することにより生成されるエアロゾルは、ユーザにとって不快となり得る、燃焼に起因し得る焦げた味又は苦味を典型的には含まない。
【0004】
しかしながら、そのような装置では、エアロゾル基材は、加熱プロセス中に構造的完全性を失うことが知られており、収縮し、及び/又はエアロゾル化可能材料の放出をし始める場合がある。これにより、エアロゾル基材の一貫性のない加熱がもたらされ、装置のエアロゾル発生特性に悪影響を及ぼしかねない。さらに、加熱動作中にユーザが装置からエアロゾル基材を除去する場合に、ユーザがエアロゾル基材の高温部分に接触するリスクが存在する。
【0005】
したがって、本発明の目的は、これらの問題のうちの1つ以上に対処することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明の態様によれば、エアロゾル発生装置が提供され、当該エアロゾル発生装置は、エアロゾル基材を受け入れるように配置される加熱チャンバであって、上記エアロゾル基材を加熱してエアロゾルを発生させるように動作可能な当該加熱チャンバと、上記エアロゾル発生装置の加熱動作中に圧縮要素が加熱チャンバ内へと延伸するように、閾値温度を上回ると形状変化するように構成された当該圧縮要素と、を備える。
【0007】
このように、加熱動作中にエアロゾル基材が加熱されると、圧縮要素は、加熱チャンバ内へと延伸してエアロゾル基材に接触する。これにより、より均一で効率的な加熱のためのエアロゾル基材への熱伝達が改善する。さらに、加熱動作中にエアロゾル基材が除去されることを制限して、エアロゾル基材の温度上昇が安全上のリスクをもたらすことのないように、エアロゾル基材が不注意に除去されるリスクを低減する。さらなる利点は、タバコのような多くの基材に共通する、加熱中のエアロゾル基材の収縮を補償し、加熱プロセスを通して熱がエアロゾル基材に効果的に伝達されることを確実にすることである。
【0008】
「加熱チャンバ内へと延伸する」というフレーズは、圧縮要素が、閾値温度より下では加熱チャンバの内部容積の外にあり、閾値温度を上回ると加熱チャンバ内へと延伸する例を包含することを意図している。また、圧縮要素が加熱チャンバ内の外端、すなわち加熱チャンバの内部容積の先端に配置され、閾値温度を上回ると加熱チャンバの内部容積内にさらに延びる例も包含する。全ての例において、圧縮要素は、好ましくは、閾値温度より下ではエアロゾル基材を挿入し及び除去することを可能にし、且つ加熱チャンバに受容されたときのエアロゾル基材に対して押圧するために閾値温度を上回ると動くように構成される。
【0009】
好ましくは、上記圧縮要素は、上記圧縮要素が閾値温度を上回ると形状変化して上記加熱チャンバ内で半径方向内向きに延伸するように構成される。このようにして、圧縮要素は、エアロゾル基材の外部側面に接触するように作用し、エアロゾル基材の側面に対してグリップ作用を提供する。このように、エアロゾル基材は、加熱チャンバ内により効果的に固定され、エアロゾル基材への改善された熱伝導が提供される。
【0010】
1つ以上の圧縮要素が、好ましくは、上記加熱チャンバの内部側面に配置され、上記加熱チャンバの内部側面から上記加熱チャンバの中心に向かって(すなわち、半径方向内向き方向に)延伸する。半径方向とは、加熱チャンバの側壁に対して垂直で、加熱チャンバの中心に向かって方向付けられた方向、例えば、加熱チャンバの細長軸に対して垂直な方向として定義される。
【0011】
同様に、半径方向は、エアロゾル基材の挿入方向に対して垂直な方向として定義されてもよい。半径方向は、エアロゾル基材をチャンバに固定しないはずの長手方向又は軸方向に延びてエアロゾル基材の端部を圧縮することとは区別される。
【0012】
いくつかの実施例では、上記加熱チャンバは、管状であってもよく、半径方向は、上記加熱チャンバの内面から上記加熱チャンバの長手方向軸に向かう方向である。
【0013】
好ましくは、複数の圧縮要素が提供され、その各々が上記加熱チャンバの内部側壁に配置され(それらは上記加熱チャンバ側壁の一部を形成してもよく、又は半径方向先端に配置された加熱チャンバ内の別個の部品であってもよい)、その各々が内向きに延伸して上記エアロゾル発生基材を圧縮するように構成される。このように、エアロゾル基材はその外周の周りでグリップされて、エアロゾル基材を加熱しながら加熱チャンバ内にさらに固定し、エアロゾル基材の周りでの熱の均一な適用を改善する。
【0014】
好ましくは、上記加熱チャンバは、開口を備え、長手方向に上記開口を通じてエアロゾル基材を上記加熱チャンバ内に受け入れるように配置され、上記圧縮要素は、上記加熱チャンバの内面に位置し、上記閾値温度を上回ると形状変化して長手方向に対して垂直な方向に上記加熱チャンバ内へと延伸するように構成される。したがって、半径方向は、加熱チャンバの中心に向かって長手方向に対して垂直な方向として定義され得る。挿入方向に対して垂直な方向においてエアロゾル基材を圧縮することにより、エアロゾル基材は、使用中に加熱チャンバ内でより良好に固定されてエアロゾル基材への熱伝達が改善される一方で、圧縮要素が後退するとエアロゾル基材を容易に挿入し及び除去することが可能となる。
【0015】
好ましくは、上記加熱チャンバは、管状であり、管状のエアロゾル基材を受け入れるように配置され、上記圧縮要素は、上記管状のエアロゾル基材の細長軸に対して垂直な方向に上記加熱チャンバ内へと延伸するように構成される。このように、エアロゾル基材の側端部が圧縮要素の延長中に圧縮され、エアロゾル基材をチャンバ内に固定するためのエアロゾル基材に対する圧縮要素のグリップを改善する。
【0016】
好ましくは、上記圧縮要素は、上記エアロゾル発生装置の加熱動作中に形状変化して、上記加熱チャンバ内に受け入れられたエアロゾル基材に接触するように構成される。すなわち、圧縮要素は、閾値温度を上回ると動いて、加熱チャンバの内部寸法を収縮させる。好ましくは、上記圧縮要素は、上記エアロゾル発生装置の加熱動作中にエアロゾル基材に圧縮力を提供するために動くように構成される。
【0017】
好ましくは、上記圧縮要素は、上記エアロゾル発生装置の加熱動作中に、上記加熱チャンバによる加熱に起因して形状変化するように構成される。このように、上記圧縮要素は、別個の作動機構を要しないが、エアロゾル基材の加熱中に自動的に形状変化する。これにより、必要とされる制御回路の複雑さが低減される。
【0018】
圧縮力が大きすぎると、エアロゾルの生成に必要なエアロゾル基材内のボイドが除去され、圧力低下が生じ得ることが知られている。逆に、圧縮力が小さすぎると、第2の加熱要素とエアロゾル基材との間の接触が悪くなり、非効率な熱伝達をもたらす場合がある。したがって、圧縮要素は、好ましくは、加熱動作中にエアロゾル基材に対して制御された圧縮を提供するように構成される。
【0019】
いくつかの実施例では、上記圧縮要素は、上記加熱チャンバ内に配置され、上記圧縮要素は、閾値温度より下では上記加熱チャンバの内壁に沿って伸びており、エアロゾル基材が上記チャンバに挿入されること及びそこから除去されることを可能にし、閾値温度を上回ると内壁から離れて上記加熱チャンバ内へと延伸する。これにより、チャンバが閾値温度より下であるときにエアロゾル基材の加熱チャンバへの挿入が容易になる一方で、チャンバのサイズを低減し、それによってチャンバが加熱されたときに基材を圧縮することにより熱伝達を改善する。また、加熱チャンバのサイズを可能な限り低減することも可能である。これにより、チャンバが構成要素によって部分的に占有されるためにその容積をそれに応じてサイズ決めする必要がある先行技術の装置に対する改善がもたらされる。
【0020】
他の実施例では、上記圧縮要素は、上記加熱チャンバの壁の一部を形成し、上記加熱チャンバ内へと延伸して、閾値温度を上回ると上記加熱チャンバの内部容積を低減する。他の実施例では、上記加熱チャンバの壁の一部を形成する圧縮要素と、上記加熱チャンバ内に配置された別個の圧縮要素との両方を組み合わせることができる。これらの実施例はまた、エアロゾル基材の挿入を容易にするという点で上述の利点を提供すると共に、チャンバの使用可能なサイズを増大させ、より大きなエアロゾル基材を挿入することができる。
【0021】
本発明のいくつかの実施例では、1つ以上の圧縮要素が加熱要素を含んでもよい。例えば、上記圧縮要素は、電流の印加時に抵抗性加熱を提供するように構成さてもよい。例えば、上記圧縮要素には、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、及び/又はニクロムなどの抵抗性加熱材料が含まれ得る。上記エアロゾル発生装置は、上記圧縮要素を通って電流が印加され得るように、上記1つ以上の圧縮要素が接続される電気接点を備えてもよい。
【0022】
本発明のいくつかの実施例では、1つ以上の圧縮要素が熱伝導性材料を含んでもよく、上記エアロゾル発生装置は、上記圧縮要素に熱を伝達するように配置されたヒータをさらに備える。例えば、加熱チャンバ及び/又は圧縮要素を通って熱が伝導されてエアロゾル基材を加熱するように、外部ヒータが加熱チャンバの外面に適用されてもよい。好ましくは、ヒータは、加熱チャンバの外面の周りに巻き付けられた薄膜ヒータである。これらの実施例により、より均一な加熱を確実にし、ヒータ作成の複雑さを低減する。特に、加熱機能及び変形機能を2つの固有の要素によって扱うことで、最適な加熱技術を選択するための柔軟性をより広げると共に、圧縮要素に対して最適な変形材料(例えばSMA)を選択するための柔軟性をより広げることを可能する。これは、貫通要素が加熱要素でもあることで加熱技術及び材料の選択が制限される場合には当てはまらない。
【0023】
好ましくは、上記エアロゾル発生装置は、上記加熱チャンバの外周の周りに配置された複数の圧縮要素を備える。このように、エアロゾル基材はその外周の周りで圧縮されて、基材の外部加熱を適用する際に、特に効果的な熱接触の改善を確実にする。
【0024】
好ましくは、上記圧縮要素は、上記加熱チャンバの外周の周りに一定の間隔で周期的に配置される。このように、エアロゾル基材は、その外周の周りで均一にグリップされ、均一な加熱を提供する。あるいは、上記圧縮要素は、外周の周りに完全に延びて、熱伝達の均一性をさらに改善することができる。
【0025】
上記圧縮要素がエアロゾル基材に対して点接触を提供してもよい。他の実施例では、上記圧縮要素は、上記加熱チャンバの長さに沿って走る長手方向ストリップ群であって、上記加熱チャンバの外周の周りで間隔を置いて配置される当該長手方向ストリップ群を含む。上記長手方向ストリップ群は、閾値温度を上回ると上記加熱チャンバ内に内向きに(すなわち、加熱チャンバの中心に向かって半径方向内向きに)屈曲するように構成され得る。本発明のこれらの実施例は、圧縮要素間又はストリップ間の空気流を確実にし、対流加熱を提供すると共に基材の周りの空気循環を改善する。
【0026】
上記長手方向ストリップ群に沿った長手方向の中点が上記加熱チャンバ内へと外向きに屈曲するように、上記長手方向ストリップ群の端部が固定されてもよい。他の実施例では、上記長手方向ストリップ群が第1の長手方向端と第2の長手方向端との間のある幅を有してもよく、第1及び第2の長手方向端が固定され、当該幅全体の長手方向中央部が加熱チャンバの内部容積内に外向きに屈曲する。
【0027】
いくつかの実施例では、上記圧縮要素は、上記加熱チャンバの外周の少なくとも一部の周りに延びる少なくとも部分的に環状の要素群であって、上記加熱チャンバの長さに沿って間隔を置いて配置される当該環状の要素群を含んでもよく、上記環状の要素は、閾値温度を上回ると収縮するように構成される。とりわけ、当該要素群は、閾値温度を上回ると半径方向に収縮するように構成される環状要素群である。これらの実施例は、エアロゾル基材の改善されたグリップを提供し、基材がその外周の周りで完全に接触されるために熱伝導を改善し、それによってまた、加熱の均一性を高めることができる。
【0028】
いくつかの実施例では、上記圧縮要素は、上記加熱チャンバの外周の大部分又は好ましくは全体の周りに延びる環状要素群を含む。他の実施例では、上記圧縮要素は、閾値温度を上回ると接触する連続した螺旋を含んでもよい。例えば、上記圧縮要素は、加熱チャンバの内面の周りを螺旋状に囲んでもよい。
【0029】
1つ以上の圧縮要素は、形状記憶合金、例えば、Ni-Ti、Cu-Al-Ni、Cu-Zn-Alのうちの1つ以上を含んでもよい。閾値温度は、形状記憶合金のマルテンサイト変態温度に対応し得る。1つ以上の圧縮要素は、バイメタル要素を含んでもよい。
【0030】
好ましくは、上記圧縮要素は、第1の閾値温度を上回ると上記加熱チャンバ内へと延伸するように形状変化するように構成され、上記圧縮要素は、上記加熱チャンバの温度が第2の閾値温度を下回ると元の形状に戻るように構成され、それによって、上記加熱チャンバから後退して、エアロゾル基材が上記チャンバ内に挿入されるか又はそこから除去されることを可能にする。第2の閾値温度は、第1の閾値温度と等しくてもよい。
【0031】
上記エアロゾル発生装置は、エアロゾル基材をさらに含んでもよく、上記エアロゾル基材は、加熱されると収縮する材料を含み、上記エアロゾル発生装置の加熱動作中に上記圧縮要素と上記エアロゾル基材との間の接触が維持されるように上記圧縮要素が配置される。上記エアロゾル基材は、タバコを含んでもよい。
【0032】
好ましくは、上記エアロゾル基材は、上記エアロゾル発生装置内に挿入されるための第1端と、ユーザの口内に受容される反対側の第2端とを有するエアロゾル基材のロッドであり、上記圧縮要素は、圧縮力が上記エアロゾル基材のロッドの第1端に隣接して印加され、それによって上記エアロゾル基材の第1端からの放出を防止するように移動するように構成される。好ましくは、上記圧縮力は、上記エアロゾル基材のロッドの長さの1/6~1/4にわたって、上記エアロゾル基材のロッドの第1端に隣接して印加される。より好ましくは、上記圧縮力は、上記エアロゾル基材のロッドの長さの1/6にわたって、上記エアロゾル基材のロッドの第1端に隣接して印加される。このように、上記圧縮要素は、圧縮が最も望まれるエアロゾル基材の領域、すなわち、上記エアロゾル基材が脱落するリスクが存在する上記エアロゾル基材のロッドの端部にのみ、圧縮を提供するように配置される。さらに、上記圧縮要素は、上記エアロゾル基材のロッドの口端部とは反対側の上記エアロゾル基材のロッドの領域に接触するように配置されるため、エネルギーは、非エアロゾル発生材料、例えば、非タバコ材料(NTM)を加熱することで無駄にされない。
【0033】
本発明の第2の態様では、エアロゾル発生装置用の加熱構成が提供され、当該加熱構成は、エアロゾル基材を受け入れるように配置される加熱チャンバであって、上記エアロゾル基材を加熱してエアロゾルを発生させるように動作可能な当該加熱チャンバと、上記エアロゾル発生装置の加熱動作中に圧縮要素が上記加熱チャンバ内へと延伸するように、閾値温度を上回ると形状変化するように構成された当該圧縮要素とを備える。第2の態様の構成要素が、上で定義された第1の態様の特徴のいずれかを備えてもよい。加熱構成が、上記エアロゾル発生装置内に実装されるように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
これより、本発明の実施形態を次の図面を参照しながら例として説明する:
【0035】
図1A】圧縮要素が閾値温度未満である、本発明の実施形態におけるエアロゾル発生装置の概略断面図である。
図1B】圧縮要素が閾値温度を上回っている、本発明の実施形態におけるエアロゾル発生装置の概略断面図である。
図2A】本発明の実施形態におけるエアロゾル発生装置の加熱チャンバの概略断面図である。
図2B】本発明の実施形態におけるエアロゾル発生装置の加熱チャンバの概略断面図である。
図2C】本発明の実施形態におけるエアロゾル発生装置の加熱チャンバの概略断面図である。
図3A】本発明の実施形態におけるエアロゾル発生装置の加熱チャンバの概略断面図である。
図3B】本発明の実施形態におけるエアロゾル発生装置の加熱チャンバの概略断面図である。
図3C】本発明の実施形態におけるエアロゾル発生装置の加熱チャンバの概略断面図である。
図4A】本発明の実施形態におけるエアロゾル発生装置の加熱チャンバの概略断面図である。
図4B】本発明の実施形態におけるエアロゾル発生装置の加熱チャンバの概略断面図である。
図5A】本発明の実施形態におけるエアロゾル発生装置の加熱チャンバの概略断面図である。
図5B】本発明の実施形態におけるエアロゾル発生装置の加熱チャンバの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1A及び図1Bは、本発明によるエアロゾル発生装置100を概略的に示している。エアロゾル発生装置100は、エアロゾル基材121を含む消耗品120を受け入れるように配置された加熱チャンバ110を備える。加熱チャンバ110は、エアロゾル基材121を加熱して、ユーザによる吸入のためのエアロゾル(互換可能に蒸気とも呼ばれる)を発生するように動作可能である。装置100は、エアロゾル発生装置100の加熱動作中に圧縮要素130が加熱チャンバ110内へと延伸するように、閾値温度を上回ると形状変化するように構成された圧縮要素130をさらに含む。
【0037】
図1Aは圧縮要素130が閾値温度より下であるときのエアロゾル発生装置100を示しており、図1Bは加熱動作中の装置100において圧縮要素が閾値温度を超えた様子を示しており、圧縮要素は、チャンバ110に受容された消耗品120のエアロゾル基材121を圧縮するように加熱チャンバ内へと延伸する。このように、圧縮要素は、加熱チャンバ110からエアロゾル基材121への改善された熱伝達を提供するように、チャンバ110に受容された消耗品120に加熱中に接触する。
【0038】
圧縮要素130は、好ましくは、加熱チャンバ110を基準として動くように構成される。各圧縮要素は、好ましくは、圧縮要素とエアロゾル基材121との間の接触レベルを変えるために、エアロゾル基材121の表面に対して垂直(例えば、エアロゾル基材121のロッドの長さに対して垂直)な方向に変位することが可能である。とりわけ、圧縮要素130は、エアロゾル基材121への効率的な熱伝導を提供し、且つ使用中に装置100内に消耗品をさらに拘束するように、消耗品120をグリップすることができる。本発明は、加熱中のタバコなどのエアロゾル基材の収縮に関連する上述の問題を解決して、圧縮要素が動くことでチャンバの内部寸法を低減し、消耗品120をグリップして加熱動作によるエアロゾル基材121の体積のいかなる減少も補償する。
【0039】
エアロゾル発生装置100は、ハウジング101の第1端102に加熱チャンバの開口111を含むハウジング101を備え得る。エアロゾル発生装置100は、電池140と、電池140から加熱チャンバ110のヒータに選択的に電力を伝達するための制御用電子機器141と、をさらに備える。この実施形態では、加熱チャンバ110は、実質的に管状であって管状の消耗品120を受け入れるように配置され、管状の消耗品120は、当該消耗品120の全長の一部にわたって延びるエアロゾル基材121を含む。エアロゾル基材121は、消耗品120の管状本体の一端に向かって配置され、反対側の端部にマウスピース122が配置されている。代替的な実施形態では、加熱チャンバ110は、管状でなくてもよい。例えば、加熱チャンバ110は、立方体、円錐、半球体、又は他の形状のキャビティとして形成されてもよく、相補的形状の消耗品120を受け入れるように構成されてもよい。
【0040】
図1A及び図1Bに示されるように、消耗品120は、マウスピース122が加熱チャンバの開口111から延び、ユーザがマウスピース122を通じてエアロゾル基材121の加熱によって発生した蒸気を吸入することができるように、加熱チャンバ110よりも長い。エアロゾル発生装置100は、エアロゾル基材121を燃焼させることなく基材からエアロゾルを放出するように、エアロゾル基材121の加熱を選択的に制御可能に提供するように構成された加熱又は燃焼装置であってもよい。
【0041】
圧縮要素130は、複数の異なる方法で提供されてもよいが、概して、エアロゾル基材121に接触するように加熱下で形状変化する材料を含むという共通の特徴を共有する。圧縮要素130は、好ましくは、制御用電子機器を必要とせず、代わりに単に、消耗品及びエアロゾル基材121に接触して上述の効果を達成するように構成され得るような既知の制御可能な方法で、閾値温度を上回ると変形するような適切な特性を有する材料を含む。このように、エアロゾル発生装置100は、追加の作動機構又は温度センサのいずれも必要とせず、構造を単純化し、且つ製造上の容易さを改善する一方でまた、装置100のサイズ及びエネルギー消費量を低減する。
【0042】
1つ以上の圧縮要素130は、好ましくは、閾値温度を上回ると変形するように構成された形状記憶合金を含む。例えば、圧縮要素130は、Ni-Ti、Cu-Al-Ni、Cu-Zn-Alを含み得る。形状記憶合金は、温度に応じて変形して(すなわち、相変態を起こして)加熱チャンバ110の内部容積内へと変位するような形状記憶効果を呈する。とりわけ、圧縮要素130は、エアロゾル発生装置100の加熱動作中に第1の閾値温度で変形するように構成されてもよく、第1の閾値温度は、形状記憶合金のマルテンサイト変態温度に対応し得る。さらに、圧縮要素130は、温度が増加するにつれて圧縮要素130がエアロゾル基材121の方向に(すなわち、それに向かって)さらに変位するように、第1の閾値温度を上回ると変形し続ける(すなわち、作動する)ようにさらに構成され得る。エアロゾル基材121は加熱中に収縮しやすいため、この動作モードでは、加熱動作中にエアロゾル基材121との接触が維持されること、及び/又は加熱動作中にエアロゾル基材121に対して圧縮(例えば、一定の圧縮力)が提供されることを確実にする。
【0043】
圧縮要素130はまた、エアロゾル発生装置の冷却動作中に、圧縮要素130がエアロゾル基材121との接触から離れて変位するように、第2の閾値温度で変形する(すなわち作動する)ように構成されてもよい。好ましくは、圧縮要素130は、2方向形状記憶合金を含むが、他の実施例では、圧縮要素130は、1方向形状記憶合金を含んでもよい。
【0044】
従来の形状記憶合金(SMA)の変態温度は最大100℃であり、したがって、加熱動作中に適用される温度が消耗品120に対して圧縮力を印加する形状記憶合金を変形させるのに十分であるような、加熱温度が通常は150℃~300℃の範囲にある加熱又は燃焼エアロゾル発生装置における使用に適している。
【0045】
圧縮要素はまた、2つの金属の特性の違いにより加熱下で変形するバイメタル材料によって提供されてもよい。図1Aに示されるように、閾値温度より下では、圧縮要素130は加熱チャンバ110の外縁に沿って伸びるため、加熱チャンバ110の内部容積は制限されず、消耗品120を挿入し及び除去することができる。消耗品を加熱するために、ユーザが装置を動作させて加熱チャンバ110のヒータに電流を印加すると、温度は圧縮要素の閾値温度を上回るまで増加するため、圧縮要素130は、図1Bに示されるクランプ位置へ変位し、そこで消耗品120に機械的応力が印加されて熱伝達を改善し、消耗品120を装置内に固定し、エアロゾル基材121のあらゆる収縮を補償する。圧縮要素130は、温度が閾値温度を再度下回るまで低下すると、図1Aに示される後退位置に戻る。すると、消耗品120を装置から除去することができ、それにより、圧縮要素130は、消耗品が熱すぎるときにユーザが消耗品を除去することを防止する安全機能としても作用する。
【0046】
後述するように、加熱チャンバ110は、加熱チャンバ110の導電性シェルを通って及び圧縮要素130を通って熱が消耗品120に伝達されるように、加熱チャンバ110の外側に付加される外部加熱要素を備えてもよい。他の実施例では、圧縮要素130自体が、使用中に加熱要素がエアロゾル基材121と直接接触するように変位する当該加熱要素を含んでもよい。図1Bに示されるように、加熱中、圧縮要素は消耗品を圧縮するように変位する一方で、管状の加熱チャンバ110の残りの部分は静止している。圧縮要素130は、エアロゾル基材121の長さの1/4~5/6、好ましくは3/4程度に沿ってエアロゾル基材121に接触することができる。
【0047】
図2図5は、圧縮要素130及び加熱チャンバ110の複数の異なる可能な配置を図示している。
【0048】
図2A図2Cは、本発明による加熱チャンバ110の一例を示している。図2Aは、本発明による例示的な加熱チャンバ110を通る長手方向の断面を示している。上述したように、加熱チャンバ110は、消耗品120を受け入れるための開放端111と、反対側の閉鎖端とを有する、管状の導電性シェル112を備える。この実施例では、加熱チャンバ110は、図2B及び図2Cに示されるような実質的に円形の断面を含み、したがって、好ましくは、円筒形の消耗品120を受け入れるように構成される。この実施例では、圧縮要素130は、圧縮要素130の第1端131と下部の第2端132との間で加熱チャンバの長さの一部に沿って走る材料のストリップを含む。
【0049】
圧縮要素130は、加熱中に、図1Bに示されるような内向きに屈曲するように構成された形状記憶合金又はバイメタル材料のストリップを含む。以下により詳細に説明するように、外部ヒータを加熱チャンバ壁112の外面に付加することができ、その結果、熱が加熱チャンバの導電性シェル112を通り、圧縮要素130を通って、チャンバ内に受容されたときの消耗品120に伝導される。あるいは、圧縮要素130が加熱要素自体を備えてもよく、圧縮要素130は電源へ接続され、当該圧縮要素の加熱要素を加熱するための電流を供給して消耗品の加熱を提供する。
【0050】
図2B及び図2Cは、加熱チャンバ110を通る図2Aの線A-Aに沿った断面を示しており、図2Bは、閾値温度未満の加熱チャンバ110を示し、図2Cは、閾値温度超の加熱チャンバ110を示している。図2B及び図2Cに示されるように、この実施例では、加熱チャンバ壁112の内周の周りに配置された変形可能材料の4つの長手方向ストリップが存在する。各圧縮要素130は、加熱チャンバ110の全長の一部に沿って走り、その一部は、好ましくは、消耗品のエアロゾル基材121の位置に対応する。
【0051】
他の実施例では、加熱チャンバ壁112の内周の周りに配置された単一の圧縮要素130又は異なる数の圧縮要素130が存在してもよい。図1Bに示されるように、温度が閾値温度を超えると、圧縮要素の中間部分133が内向きに曲がってエアロゾル基材121を圧縮する。これは、図2Cに断面で示されており、圧縮要素130の中間部分は、加熱チャンバの内部容積内へと半径方向内向きに延びて、加熱チャンバ110の内部寸法を制限し、消耗品を圧縮する。
【0052】
図2Aの加熱チャンバ110の断面は、加熱チャンバが複数の他の特徴を備え得ることを示している。例えば、チャンバ110内に受容されたときの消耗品の追加のグリップを提供するために、加熱チャンバ壁112の内面113から加熱チャンバの内部容積内へと延伸する、開放端111付近の内部突起114を備えてもよい。また、閉鎖端における加熱チャンバの基部115が、加熱チャンバ110内に受容されたときのエアロゾル基材121の端部に当接するための、加熱チャンバの内部容積内へと上向きに延びる内部突起を備えてもよい。
【0053】
図示した実施例では、これらの形状114、115は、加熱チャンバ110の製造中に形作られる加熱チャンバシェル112の静的な形状である。しかしながら、それらはまた、図2A図2Cに示される圧縮要素130と同じ又は異なる温度で変形するように構成される圧縮要素130を含んでもよいことを理解されたい。これらの追加の圧縮要素130は、消耗品をグリップし、ヒータから消耗品120のエアロゾル基材121への熱伝達を改善することをさらに支援することができる。図2の実施例では、圧縮要素130は、加熱チャンバ110のシェル112とは別個であり、加熱チャンバ130の内壁113に沿って加熱チャンバ110内に位置する。圧縮要素131、132の端部は、図1B及び図2Cに示されるように、圧縮要素130の中央区画133が加熱チャンバ壁112の内面113から離れて自由に変位できる状態で加熱チャンバ壁112の内面131に取り付けられてよい。例えば、端部は加熱チャンバの壁にはんだ付けされてもよく、又はブラケットによって加熱チャンバに中間的に固定されてもよい。
【0054】
図3A図3Cは、圧縮要素130が、図2の例のように加熱チャンバ110内に位置する別個の要素ではなく加熱チャンバ110自体の壁112の一部を形成する、本発明による加熱チャンバ110の代替的な実施例を示している。図3の実施例では、圧縮要素130は、加熱チャンバ壁112の長手方向ストリップ部分を含み、長手方向ストリップ部分は、加熱チャンバ110内に受容された消耗品120に接触するために加熱下で形状変化するように構成された材料を含む。図2と同様に、この実施例では、加熱チャンバ壁112の外周の周り周期的に配置されている圧縮要素130として提供される4つの長手方向ストリップが存在し、その各々が第1端131と第2端132の間の加熱チャンバの長さの一部に沿って延びる。
【0055】
あらためていうと、図3B及び図3Cは、閾値温度未満及び閾値温度超の圧縮要素130をそれぞれ示している。図3Cに示されるように、加熱チャンバ130の温度が閾値温度超に増加すると、圧縮要素130を含む加熱チャンバ壁の一部が変形して、加熱チャンバ110の内部容積内に半径方向内向きに延伸する。この実施例では、圧縮要素130の長手方向の端部131、132が固定されて圧縮要素の長手方向中央部が加熱チャンバ110の内部容積内へと内向きに屈曲するのではなく、この実施例では、図3Bに示されるストリップの外周方向における端部134、135が固定されたままで、当該2つの端部134、135の間の中央部が加熱チャンバ内に内向きに屈曲する。このように、温度が閾値温度を超えると、圧縮要素は、変形して、内壁113上に加熱チャンバの細長軸に沿って走る長手方向の隆起を提供する。この実施例の圧縮要素130は、図1B及び図2Cに示される方法で変形するように同様に構成され得る。
【0056】
図2に関して上述したように、図3の実施例では加熱チャンバの外周の周りに周期的に設けられた4つの圧縮要素130が存在しているが、単一の圧縮要素30又は異なる数の圧縮要素が存在してもよい。図3Aは、加熱チャンバ壁の追加の形状の特徴、特に、外周の周りに配置された加熱チャンバの開口111付近の1つ以上の内部突起114と、加熱チャンバ110の閉鎖端の内面から上向きに延びる基部突起114をさらに示している。
【0057】
図示したように、これらの形状は加熱チャンバ壁の一部であって固定的であるものの、それらは、同様に、加熱中に加熱チャンバ110の内部容積内へと延伸するように構成された圧縮要素130として構成されるよう形状記憶合金又はバイメタル要素などの温度依存性材料で作成されてもよい。このように、加熱チャンバ110の内部容積は、複数の圧縮要素130が消耗品120に多方向から接触してそれを加熱チャンバ内に確実に保持し、且つエアロゾル基材121への熱伝達を改善するように、さらに収縮する。
【0058】
図4A及び図4Cは、本発明によるエアロゾル発生装置用の加熱チャンバ110のさらなる実施例を概略的に示している。図4A及び図4Bでは、マウスピース122及びエアロゾル基材121を含む消耗品120が加熱チャンバ110内に受容された状態で示されている。この実施例では、圧縮要素130は、長手方向ストリップではなく、加熱チャンバ110の外周の周りに延び、且つ加熱チャンバ110の長さに沿って間隔を置いて配置された複数の環状要素130を含む。環状圧縮要素130は、図4Bに示されるように加熱下で半径方向に収縮し、閾値温度を超えると消耗品120をグリップするように構成される。図4Aは、閾値温度未満の周囲温度における加熱チャンバを示しており、環状圧縮要素130は後退していて、消耗品120が加熱チャンバの開口111を通じて受容されること及び除去されることが可能である。温度が超えると、図4Bに示されるように、環状圧縮要素130は、消耗品120のエアロゾル基材121をグリップするように変形する。変形例では、要素130は、加熱チャンバの外周の一部にのみ沿って、例えば、180°~350°の外周部分に沿って延びる。
【0059】
図2及び図3に関して上述したように、環状圧縮要素130は、加熱チャンバ110の導電性シェル112の一部を形成するか、又は加熱チャンバ壁112の内周の周りを走るように加熱チャンバ内に設けられた別個の要素のいずれかであってよい。あらためていうと、圧縮要素130は、それ自体が加熱要素を備えてもよく、又は、導電性材料を含んでもよく、熱がシェル及び圧縮要素を通じてエアロゾル基材121に伝導されるように外部加熱要素が加熱チャンバ110の外面に適用され得る。圧縮要素は、加熱チャンバ110の内部容積を収縮させて制限するように変形し、消耗品120を圧縮するような任意の他の適切な形態で提供され得ることを理解されたい。例えば、複数の個別の環状圧縮要素130として提供されるのではなく、圧縮要素は、加熱チャンバ110の内面の周りを螺旋状に囲み、閾値温度を超えると半径方向内向きに収縮して内部容積を制限し、消耗品を圧縮する、単一のコイル構造として提供されてもよい。
【0060】
図5A及び図5Bは、使用中に消耗品を加熱するために、加熱チャンバにヒータを適用することができる考え得る方法を示している。図5Aは、加熱チャンバシェル112の外面に付加される外部ヒータ150を有する加熱チャンバ110を示している。この実施例では、外部ヒータは、可撓性の電気絶縁(誘電)裏打ちフィルム152と、薄膜裏打ちフィルム152にわたって設けられた導電性発熱体トラック151と、を含む薄膜ヒータを備える。加熱素子151を電源に接続することにより、ヒータトラック151は、抵抗性加熱によって加熱されてもよく、それに応じて加熱チャンバ及び基材121が加熱され得る。
【0061】
図5Aの場合、圧縮要素(図示せず)は、加熱チャンバ110内に、又は加熱チャンバシェル112の一部として提供され得る。ヒータ150に電流を供給することにより、熱は、導電性シェル112及び圧縮要素(図示せず)を通じて消耗品120に伝達される。図5Bの実施例では、圧縮要素130自体が加熱要素を備える。とりわけ、圧縮要素は、電流が印加されると抵抗性加熱を提供する適切な材料を含み得る。加熱要素を含む圧縮要素130は、電流が圧縮要素130に印加され得るように、圧縮要素130が電気接点153の間を走る電気接点153を用いて電流に接続され得る。
【0062】
電流は、SMA又はバイメタル要素のような温度依存性材料に直接印加されてもよく、又は圧縮要素130は、電流が抵抗性加熱材料にのみ印加されるように、温度依存性材料と抵抗性加熱材料(ステンレス鋼、チタン、ニッケル、ニクロムなど)の両方を含んでもよい。いずれの場合も、圧縮要素は、チャンバ110に受容されたときの消耗品120のエアロゾル基材121に熱を直接提供するために、直接加熱される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
【国際調査報告】