(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】熱可塑性加工のための高分子量アクリル加工助剤濃縮物
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20231018BHJP
C08L 25/00 20060101ALI20231018BHJP
C08L 33/20 20060101ALI20231018BHJP
C08L 33/06 20060101ALI20231018BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20231018BHJP
C08L 27/06 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
C08L101/00 ZAB
C08L25/00
C08L33/20
C08L33/06
C08L23/08
C08L27/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518945
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(85)【翻訳文提出日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 US2021051848
(87)【国際公開番号】W WO2022072220
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】コルネッタ、ジョン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ドレイク、イアン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ケッツ、リチャード ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】グオ、ハイラン
(72)【発明者】
【氏名】プライス、セオドア ピー.
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AA00W
4J002AA00X
4J002BB04X
4J002BC02W
4J002BD03Y
4J002BG04W
4J002BG05W
4J002BG10W
(57)【要約】
ポリオレフィンポリマーと、高分子量加工助剤及びキャリア樹脂を含むコア-シェルアクリルポリマーとを含む組成物が開示される。高分子量加工助剤は、高分子量加工助剤及びキャリア樹脂の総重量に対して30重量%~100重量%未満の範囲の量で存在し、キャリア樹脂は、高分子量加工助剤及びキャリア樹脂の総重量に対して0重量%超~70重量%の範囲の量で存在する。組成物は、少なくとも2mmの平均粒径を有する粒子の形態である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
高分子量加工助剤と、
キャリア樹脂と、
を含み、
前記高分子量加工助剤が、前記高分子量加工助剤及び前記キャリア樹脂の総重量に対して30重量%~100重量%未満の範囲の量で存在し、前記キャリア樹脂が、前記高分子量加工助剤及び前記キャリア樹脂の総重量に対して0重量%超~70重量%の範囲の量で存在し、
前記組成物が、少なくとも2mmの平均粒径を有する粒子の形態である、組成物。
【請求項2】
前記高分子量加工助剤が、ビニル芳香族、(メタ)アクリロニトリル、及びアルキル(メタ)アクリレートモノマーから選択されるモノマーを含むポリマー又はコポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記高分子量加工助剤が、アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含むコポリマーである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記高分子量加工助剤が、メチルメタクリレートと、アルキルアクリレートモノマーから選択される少なくとも1つのモノマーとを含むコポリマーである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記アルキルアクリレートモノマーが、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、又は2-エチルヘキシルアクリレートから選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記高分子量加工助剤が、少なくとも5,000,000g/molの重量平均分子量を有する、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記高分子量加工助剤が、少なくとも10,000,000g/molの重量平均分子量を有する、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記キャリア樹脂が、エチレンターポリマーから選択される、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記キャリア樹脂が、エチレン/アクリル酸n-ブチル/一酸化炭素ターポリマーである、請求項9に記載の組成物。
【請求項10】
ポリ塩化ビニル樹脂と、請求項1~9のいずれかに記載の組成物とを含む、ポリ塩化ビニル組成物。
【請求項11】
前記ポリ塩化ビニル樹脂が、リサイクルポリ塩化ビニル樹脂を含む、請求項10に記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項12】
前記ポリ塩化ビニル樹脂が、リサイクルポリ塩化ビニル樹脂と未使用ポリ塩化ビニル樹脂とのブレンドを含む、請求項11に記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか一項に記載の組成物から形成される、物品。
【請求項14】
ポリ塩化ビニル樹脂と請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物とをブレンドすることを含む、ポリ塩化ビニル組成物を調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、高分子量アクリル加工助剤濃縮物である。
【背景技術】
【0002】
ポリ塩化ビニル(Polyvinyl chloride、PVC)は、フェンス、サイディング、デッキ、トリムボード、仕切板、窓枠、敷居、及びドアなどの建築及び建設製品を含む様々な用途に広く使用されている。PVCポリマー未使用樹脂は、一般に粉末形態で供給される。PVCは、典型的には、同様に粉末形態である他の成分と幹式ブレンドすることによって配合され、溶融押出によって最終製品に熱加工される。
【0003】
アクリル加工助剤は、一般に、PVC製剤に組み込まれる粉末成分の1つである。アクリル加工助剤は、典型的には樹脂100部当たりの部(per hundred resin、phr)でPVCに添加される。
【0004】
環境の持続可能性から、PVCを含む材料を再利用及びリサイクルして、材料流における消費済み又は産業使用済みの廃棄物の量を増加させることへの関心が高まっている。PVC製剤に組み込まれる場合、消費済み又は産業使用済みのスクラップPVCは、典型的には、未使用PVC粉末と混合される。しかし、スクラップPVCの使用に伴って問題が生じる。
【0005】
リサイクルPVCは、既に形成されている部品から粉砕される。粉砕されたPVC粒子は、典型的には、未使用PVC粉末よりもはるかに大きい。粒径の差は、押出前に混合する際に問題となる。これらの問題は、粒子の分離及び組成物の不均一な混合を含み得る。
【0006】
スクラップPVCを使用する際、多くのPVC製剤が元の製剤からの添加成分を既に含有しているという事実から別の問題が生じる。これらの添加成分は粉砕プロセス中に除去されないので、スクラップPVC粒子は、未使用PVC粉末とは異なる組成を有する。
【0007】
本発明は、上述した問題のうちの1つ以上を解決しようとするものである。
【発明の概要】
【0008】
ポリオレフィンポリマーと、高分子量加工助剤及びキャリア樹脂を含むコアシェルアクリルポリマーと、を含む組成物であって、当該高分子量加工助剤が、当該高分子量加工助剤及び当該キャリア樹脂の総重量に対して30重量%~100重量%未満の範囲の量で存在し、当該キャリア樹脂が、当該高分子量加工助剤及び当該キャリア樹脂の総重量に対して0重量%超~70重量%の範囲の量で存在し、当該組成物が、少なくとも2mmの平均粒径を有する粒子の形態である、組成物が本明細書に開示される。
【0009】
ポリ塩化ビニル樹脂と、ポリオレフィンポリマー、並びに高分子量加工助剤及びキャリア樹脂を含むコアシェルアクリルポリマーを含む組成物と、を含むポリ塩化ビニル組成物であって、当該高分子量加工助剤が、当該高分子量加工助剤及び当該キャリア樹脂の総重量に対して30重量%~100重量%未満の範囲の量で存在し、当該キャリア樹脂が、当該高分子量加工助剤及び当該キャリア樹脂の総重量に対して0重量%超~70重量%の範囲の量で存在し、当該組成物が、少なくとも2mmの平均粒径を有する粒子の形態である、組成物も本明細書に開示される。
【0010】
ポリ塩化ビニル組成物を調製する方法及びそれから製造される物品も開示される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ポリ塩化ビニル組成物で使用するための改良された加工助剤が、本明細書に開示される。本発明の加工助剤は、高分子量加工助剤及びキャリア樹脂を含む組成物であって、少なくとも2mmの平均粒径を有する粒子の形態である、組成物である。
【0012】
本明細書で使用するとき、「高分子量加工助剤」は、少なくとも500,000g/molの重量平均分子量を有する加工助剤である。好ましくは、高分子量加工助剤は、少なくとも5,000,000g/molの重量平均分子量を有する。より好ましくは、高分子量加工助剤は、少なくとも10,000,000g/molの重量平均分子量を有する。
【0013】
本明細書で使用するとき、「平均粒径」は、全ての可能な直径の算術平均である。粒子のアスペクト比は、最長の直径の最短の直径に対する比である。粒子は、例えば、球形、円筒形、楕円形、立方形、角柱形、又は不規則形を含む任意の形状を有していてよい。
【0014】
本発明において有用である好適な高分子量ポリマー加工助剤としては、ビニル芳香族、(メタ)アクリロニトリル、及びアルキル(メタ)アクリレートモノマーを含有するポリマー及びコポリマーが挙げられる。本明細書で使用するとき、「(メタ)アクリロニトリル」は、メタクリロニトリル及びアクリロニトリルモノマーの両方を含む。同様に、「アルキル(メタ)アクリレート」は、アルキルメタクリレートモノマー及びアルキルアクリレートモノマーの両方を含む。
【0015】
好ましくは、高分子量加工助剤は、アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含むコポリマーである。例えば、高分子量加工助剤は、メチル(メタ)アクリレートを含むコポリマーである。メチル(メタ)アクリレートコポリマーは、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、及び2-エチルヘキシルアクリレートなどの他のアルキル(メタ)アクリレートモノマーから選択されるモノマーを含み得る。例示的な高分子量加工助剤は、過半量(すなわち、高分子量加工助剤の総重量に対して少なくとも50重量%)のメチルメタクリレート(methyl methacrylate、「MMA」)及び少量(すなわち、高分子量加工助剤の総重量に対して50重量%未満)のエチルアクリレート、ブチルアクリレート、又は2-エチルヘキシルアクリレートなどのアルキルアクリレートを含有するコポリマーを含む。
【0016】
高分子量加工助剤は、外部潤滑剤の機能性と加工助剤の機能性とを併せ持つコア-シェル型加工助剤を含み得る。これらの「潤滑加工助剤」は、アクリル加工助剤の典型的な加工性能特性を提供するが、加工設備の熱い金属表面への溶融ポリ塩化ビニル樹脂のくっつきを著しく減少させることによって流れ及び機械の稼働時間を改善する外部潤滑剤機能の追加の利点を有する。
【0017】
市販の高分子量加工助剤は、The Dow Chemical Company(Midland,Michigan)から商品名PARALOID(商標)及びSURECEL(商標)で入手可能である。1つの好ましい高分子量加工助剤は、SURECEL(商標)21607-XPである。
【0018】
キャリア樹脂は、組成物中の受動成分であってもよい。あるいは、キャリア樹脂は、加工助剤として能動的であってもよい。受動的キャリア樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンなどの不混和性ポリマー、並びにタルク、炭酸カルシウム、及び繊維などの無機材料が挙げられるが、これらに限定されない。能動的キャリア樹脂の例としては、エチレンターポリマーなどのターポリマー、ポリ塩化ビニルブレンド、及びポリエチレンワックスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
キャリア樹脂の1つの好ましいクラスとしては、エチレンターポリマーなどのターポリマーが挙げられる。例えば、キャリア樹脂は、The Dow Chemical Companyから入手可能なELVALOY(商標)HP661などのエチレン/アクリル酸n-ブチル/一酸化炭素ターポリマーを含んでいてよい。
【0020】
高分子量加工助剤は、好ましくは、高分子量加工助剤及びキャリア樹脂の総重量に対して30重量%~100重量%未満の範囲の量で存在する。例えば、高分子量加工助剤は、高分子量加工助剤及びキャリア樹脂の総重量に対して、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%の量で存在し得る。高分子量加工助剤は、高分子量加工助剤及びキャリア樹脂の総重量に対して、95重量%未満、90重量%未満、85重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、又は50重量%未満の量で存在し得る。
【0021】
キャリア樹脂は、好ましくは、高分子量加工助剤及びキャリア樹脂の総重量に対して0重量%超~70重量%の範囲の量で存在する。例えば、キャリア樹脂は、高分子量加工助剤の総重量に対して5重量%超、10重量%超、15重量%超、20重量%超、30重量%超、40重量%超、又は50重量%超の量で組成物中に存在し得る。キャリア樹脂は、高分子量加工助剤及びキャリア樹脂の総重量に対して60重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、又は5重量%未満の量で存在し得る。
【0022】
本発明の組成物は、少なくともNo.10メッシュ又は2mmの平均粒径を有する粒子の形態で存在する。例えば、粒子は、少なくともNo.8メッシュ、少なくともNo.6メッシュ、又は少なくともNo.5メッシュの平均粒径を有し得る。微粉砕された樹脂と共に使用される場合、組成物の平均粒径は、No.10メッシュより小さくてもよい。
【0023】
組成物は、潤滑剤、熱安定剤、酸化防止剤、充填剤、着色剤、及び他の添加剤を含む追加成分を更に含んでいてもよい。存在する場合、これらの添加剤は、高分子量加工助剤、キャリア樹脂、及び添加剤の総重量に対して0重量%超~50重量%、例えば、高分子量加工助剤、キャリア樹脂、及び添加剤の総重量に対して0重量%超~40重量%、1重量%~35重量%、2重量%~30重量%、又は5重量%~25重量%などの範囲の量で存在し得る。
【0024】
組成物中で使用され得る好適な潤滑剤としては、内部及び外部潤滑剤、並びに内部潤滑特性と外部潤滑特性との間の均衡を有する潤滑剤が挙げられる。一般に、外部潤滑剤は、溶融/ゲル化の遅延並びにくっつき及び摩擦の低減など、他の材料との界面における高温プラスチック化合物の挙動を決定し、内部潤滑剤は、ポリマー鎖間の潤滑の提供及びメルトフローの改善など、ポリマー相内部のレオロジープロセスに影響を及ぼす。潤滑剤の例としては、例えば、モノグリセリンエステルなどのエステル、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、及び酸化ポリエチレンワックスなどの炭化水素ワックス、エステル、ステアリルアルコール、ステアリン酸などの脂肪酸、エチレンビス-ステアラミド(すなわち、中心極性アミド基に共有結合している2つのC16~C18アルキル基)などの脂肪酸アミド、石鹸、並びにステアリン酸カルシウムなどのステアリン酸塩が挙げられる。好適な外部潤滑剤としては、長鎖モンタン酸(すなわち、カルボン酸などの極性基に共有結合している長鎖C28~C32アルキル基)、短い分岐鎖アルキル基を有するパラフィン及び炭化水素、長い直鎖炭化水素を有するn-パラフィン、数個の分岐を有する非常に長い直鎖炭化水素鎖を有するポリエチレンワックスが挙げられるが、これらに限定されない。内部潤滑と外部潤滑との間の均衡を提供する好適な潤滑剤としては、カルシウムで部分的に鹸化された合成脂肪酸及び長鎖モンタンエステル型(例えば、American Hoechst Corp.(Mountainside,NJ)から入手可能なWax OP及びWax E)が挙げられる。PVCのための潤滑剤に関する更なる情報は、McMurrer,M.C.編、「Update:Lubricants for PVC」、Plastics Compounding,pp.74-90 July/August 1982による総説に見出すことができる。
【0025】
好適な酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、ホスフェート系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、及びこれらのブレンドが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な酸化防止剤としては、AdekaによってADK STABブランドで販売されているものが挙げられる。
【0026】
組成物に好適な熱安定剤の例としては、有機スズ安定剤(例えば、Galata Chemicals製のMARK(登録商標)有機スズ熱安定剤)、混合金属熱安定剤(例えば、Galata Chemicals製のMARK(登録商標)液体及び固体混合金属熱安定剤)、及びホスファイト安定剤(例えば、Galata Chemicals製のMARKPHOS(登録商標)ホスファイト熱安定剤)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本発明の粒子は、例えば、成分を粉末としてブレンドし、押出成形機において熱加工するか、又は圧縮/圧密化して粒子の形態にすることによって調製することができる。高熱又は高剪断は加工助剤の分子量を低下させ得るので、粒子を生成するためのプロセスは、温度及び/又は剪断押出若しくは圧縮を最小限に抑えることが好ましい。
【0028】
ポリ塩化ビニル(PVC)組成物は、ポリ塩化ビニル樹脂を、高分子量加工助剤及びキャリア樹脂を含む組成物の粒子とブレンドすることによって調製することができる。高分子量加工助剤及びキャリア樹脂を含む組成物は、例えば、樹脂100部当たり0.5~20部(phr)の範囲の量でPVC組成物中に存在し得る。例えば、高分子量加工助剤及びキャリア樹脂を含む組成物は、例えば、1~15phr又は2~10phrの範囲の量でPVC組成物中に存在し得る。
【0029】
好ましくは、ポリ塩化ビニル樹脂は、リサイクルPVCを含む。本明細書で使用するとき、「リサイクルPVC」は、使用済み又は産業使用済みのスクラップ、すなわち、非未使用PVCを指す。典型的には、リサイクルPVCは、ポリ塩化ビニル製の物品を粉砕することによって加工される。粉砕プロセスは、例えば、2mm~20mmの範囲の平均粒径を有するポリ塩化ビニルの粒子を生成する。好ましくは、PVC組成物は、ポリ塩化ビニル樹脂の総重量に基づいて少なくとも25重量%のリサイクルPVCを含む。より好ましくは、PVC組成物は、ポリ塩化ビニル樹脂の総重量に基づいて、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%のリサイクルPVCを含む。
【0030】
ポリ塩化ビニル樹脂はまた、未使用ポリ塩化ビニル樹脂を含んでいてもよく、これは粉末として存在し得る。存在する場合、未使用ポリ塩化ビニル樹脂は、好ましくは、リサイクルポリ塩化ビニル樹脂との混合物中に存在する。ポリ塩化ビニル樹脂の混合物は、ポリ塩化ビニル樹脂の粉末及び粒子の両方を含んでいてよい。このような混合物が使用される場合、粉末化された加工助剤と、高分子量加工助剤及びキャリア樹脂を含む組成物の粒子との混合物を使用してよい。あるいは、加工助剤は、高分子量加工助剤及びキャリア樹脂を含む組成物の粒子によって単独で提供されてもよい。
【0031】
好ましくは、高分子量加工助剤及びキャリア樹脂を含む組成物の粒子は、ポリ塩化ビニル樹脂粒子の平均サイズの少なくとも10%である平均サイズを有する。より好ましくは、高分子量加工助剤及びキャリア樹脂を含む組成物の粒子は、ポリ塩化ビニル樹脂粒子の平均サイズの少なくとも20%である平均サイズを有する。例えば、ポリ塩化ビニル樹脂の平均粒径が20mmである場合、高分子量加工助剤及びキャリア樹脂を含む粒子の平均粒径は少なくとも2mmである。
【0032】
本発明はまた、上記の実施形態による高分子量加工助剤及びキャリア樹脂を含む粒子を有するポリ塩化ビニル樹脂組成物から作製される物品に関する。
【0033】
本発明の別の態様は、ポリ塩化ビニル樹脂を、高分子量加工助剤及びキャリア樹脂を含む組成物の粒子とブレンドすることを含む、ポリ塩化ビニル組成物を調製する方法に関する。高分子量加工助剤及びキャリア樹脂を含む組成物の粒子は、高濃度で組み込むことができ、これは押出プロセス中にバルクポリ塩化ビニル樹脂で希釈される。
【実施例】
【0034】
高分子量加工助剤SURECEL(商標)21607-XP(The Dow Chemical Company)、及びキャリア樹脂ELVALOY(商標)HP661を含む組成物の粒子を調製した。高分子量加工助剤及びキャリア樹脂を、それぞれ75%及び25%の重量パーセントでブレンドした。水槽及びペレタイザーを備えた3/4インチ(1.9cm)の低圧縮一軸スクリュー押出機を使用して、又は一軸スクリューが取り付けられたBanbury(登録商標)ミキサー及びダイフェース水中カッターを備えた連続ミキサーシステムを使用して、粒子を作製した。
【0035】
ゲル浸透クロマトグラフ(Gel permeation chromatograph、GPC)を使用して、高分子量加工助剤の分子量を求めた。GPCデータを以下の表1に示す。
【0036】
【国際調査報告】