(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】エアロゾル生成装置用の加熱チャンバ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20231018BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20231018BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20231018BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
A24F40/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519098
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(85)【翻訳文提出日】2023-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2021077947
(87)【国際公開番号】W WO2022074239
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライト, アレク
(72)【発明者】
【氏名】ローガン, アンドリュー ロバート ジョン
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 円
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC22
4B162AC50
(57)【要約】
エアロゾル生成装置(1)用の加熱チャンバ(11)であって、加熱チャンバ(11)は、熱活性材料を含む圧縮要素(111)と、反応面(112)とを含み、加熱チャンバ(11)は、圧縮要素(111)と反応面(112)との間にエアロゾル基材(2)を収容するように適合され、圧縮要素(111)は、エアロゾル基材を反応面(112)に押し付けて圧縮するように構成され、圧縮要素(111)は、加熱チャンバ(11)の温度と熱活性材料の磁気特性の熱応答特性とに応じて変位するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成装置用の加熱チャンバであって、
熱活性材料を含む圧縮要素と、
反応面とを含み、
前記加熱チャンバは、前記圧縮要素と前記反応面との間にエアロゾル基材を収容するように適合され、前記圧縮要素は、前記エアロゾル基材を前記反応面に押し付けて圧縮するように構成され、
前記圧縮要素は、前記加熱チャンバの温度と前記熱活性材料の磁気特性の熱応答特性とに応じて変位するように構成され、
前記加熱チャンバは、第1の磁性材料を含む磁気相互作用要素を更に含み、
前記熱活性材料は、第2の磁性材料を含み、
前記圧縮要素は、前記第1及び第2の磁性材料の間の磁力の変化に応答して変位し、
前記第1及び第2の磁性材料の少なくとも一方は、前記材料が磁気相転移する閾値温度を有し、
前記加熱チャンバは、エアロゾル生成中に前記加熱チャンバの温度を、前記閾値温度を超えるエアロゾル生成温度まで上げるように構成されている、加熱チャンバ。
【請求項2】
前記圧縮要素に配置された加熱要素を更に含む、請求項1に記載の加熱チャンバ。
【請求項3】
前記反応面に配置された加熱要素を更に含む、請求項1又は2に記載の加熱チャンバ。
【請求項4】
前記反応面は、前記加熱チャンバの温度に応じて変位するように構成された第2の圧縮要素である、請求項1から3のいずれか1項に記載の加熱チャンバ。
【請求項5】
前記圧縮要素は、前記磁気相互作用要素と前記反応面の間に配置され、
前記第1及び第2の磁性の一方は、前記エアロゾル生成温度よりも低いキュリー温度までは強磁性であり、前記第1及び第2の磁性の他方は、キュリー温度を超えれば常磁性である、請求項1に記載の加熱チャンバ。
【請求項6】
前記磁気相互作用要素は、前記反応面に配置され、
前記第1及び第2の磁性の一方は、前記エアロゾル生成温度よりも低いネール温度までは反強磁性であり、前記第1及び第2の磁性の他方は、前記エアロゾル生成温度では強磁性である、請求項1に記載の加熱チャンバ。
【請求項7】
前記磁気相互作用要素は、前記反応面に配置され、
前記第1及び第2の磁性の一方は、前記エアロゾル生成温度よりも低いキュリー温度まで強磁性であり、前記第1及び第2の磁性の他方は、反磁性である、請求項1に記載の加熱チャンバ。
【請求項8】
前記圧縮要素を前記反応面に向かう又は前記反応面から遠方に偏らせるように構成された弾性要素を更に含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の加熱チャンバ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の加熱チャンバを含むエアロゾル生成装置。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか1項に記載の加熱チャンバと、前記圧縮要素と前記反応面との間に配置されたエアロゾル基材とを含むエアロゾル生成システム。
【請求項11】
エアロゾルの生成方法であって、
請求項1から8のいずれか1項に記載の加熱チャンバの前記圧縮要素と前記反応面との間にエアロゾル基材を設けるステップと、
前記加熱チャンバの温度をエアロゾル生成温度まで上げるように前記加熱チャンバを操作するステップと、
前記加熱チャンバからエアロゾルを抽出するステップと、
前記加熱チャンバの温度をエアロゾル基材放出温度まで下げるように前記加熱チャンバを動作させるステップと、
前記エアロゾル基材を前記加熱チャンバから除去するステップと、
を有することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアロゾル生成装置に関する。本開示は特に、自己完結型且つ低温の携帯用エアロゾル生成装置に適用可能である。このような装置は、タバコその他の適当なエアロゾル基材を燃焼させるのではなく、伝導、対流、及び/又は放射により加熱して吸入用のエアロゾルを生成することができる。
【背景技術】
【0002】
タバコ、葉巻、シガリロ、巻きタバコ等、従来のタバコ製品の使用をやめたいと願う習慣的喫煙者を支援する補助器具として、リスク低減又はリスク改善装置(蒸気生成器としても知られる)の人気及び使用が過去数年来急速に拡大している。従来のタバコ製品ではタバコを燃やすのに対し、エアロゾル化可能な物質を加熱又は温める様々な装置及びシステムが利用可能である。
【0003】
一般に利用可能なリスク低減又はリスク改善装置は、加熱基材エアロゾル生成装置又は加熱非燃焼(HNB)装置である。この種の装置は、湿った葉タバコその他の適当なエアロゾル化可能な材料を含むエアロゾル基材(すなわち消耗品)を、典型的には150℃~300℃の温度に加熱することによりエアロゾル又は蒸気を生成する。エアロゾル基材を燃焼せずに加熱することによりユーザーが求める成分を含むエアロゾルを放出するが、燃焼による有毒及び発癌性の副産物は放出しない。また、タバコその他のエアロゾル化可能な材料の加熱により生成されるエアロゾルは典型的に、燃焼の結果使用者にとり不快になり得る焦げ臭い又は苦い味を含んでいない。
【0004】
しかし、このような装置内ではエアロゾル基材が加熱処理中に構造的完全性を失うことが知られており、収縮する、及び/又はエアロゾル材料を放出し始める場合がある。この結果、エアロゾル基材の加熱が不均一になって装置のエアロゾル生成特性に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0005】
更に、加熱動作中にユーザーがエアロゾル基材を装置から取り外した場合、ユーザーがエアロゾル基材の高温部に触れるリスクがある。
【0006】
従って、本発明の目的はこれらの問題の1つ以上を解決することである。
【発明の概要】
【0007】
第1の態様によれば、本開示は、エアロゾル生成装置用の加熱チャンバを提供し、加熱チャンバは、熱活性材料を含む圧縮要素と、反応面とを含み、加熱チャンバは、圧縮要素と反応面との間にエアロゾル基材を収容するように適合され、圧縮要素は、エアロゾル基材を反応面に押し付けて圧縮するように構成され、圧縮要素は、加熱チャンバの温度と熱活性材料の磁気特性の熱応答特性とに応じて変位するように構成されている。
【0008】
加熱チャンバの温度に応じてエアロゾル基材を圧縮することにより安定した加熱が可能となり、エアロゾル基材が高温の状態で取り外されるのを防止できる。また、エアロゾル基材を加熱しながら圧縮することによりエアロゾルの生成を向上させることができる。更に、磁気特性の熱応答特性は受動的応答であり、変位の制御に制御回路を必要としない。
【0009】
任意選択的に、加熱チャンバは更に、圧縮要素の上又は裏側に配置された、或いは内蔵された加熱要素を含む。任意選択的に、加熱チャンバは更に、反応面の上又は裏側に配置された、或いは内蔵された加熱要素を含む。圧縮要素及び/又は反応面の上、裏側、或いは内部に加熱要素を設けることにより、加熱要素は、いかなる変位及び圧縮が生じてもエアロゾル基材の近傍に留まるため、加熱の均一性が更に向上する。
【0010】
任意選択的に、反応面は、加熱チャンバの温度に応じて変位するように構成された第2の圧縮要素である。2個の対向する要素により圧縮を行うことにより、エアロゾル基材における圧縮の均一性を向上させることができる。また、各圧縮要素の可動域を単一の圧縮要素の例と比較して半減できる。可動域が狭まれば、最大磁場強度が低下した熱活性材料を用いることができ、又は熱活性材料の量を減らすことができる。
【0011】
任意選択的に、加熱チャンバは更に第1の磁性材料を含む磁気相互作用要素を含み、熱活性材料は第2の磁性材料を含み、圧縮要素は第1及び第2の磁性材料の間の磁力の変化に応答して変位し、第1及び第2の磁性材料の少なくとも一方が、材料が磁気相転移する閾値温度を有し、加熱チャンバは、エアロゾル生成中に加熱チャンバの温度を、閾値温度を超えるエアロゾル生成温度まで上げるように構成されている。熱活性材料と相互作用するように構成された磁気相互作用要素を設け、且つ熱活性材料が磁気相転移するように設計することにより、圧縮要素は、エアロゾル基材を加熱チャンバから取り外すことができる開位置と、エアロゾル基材を保持するように圧縮力が加えられた閉位置の間を滑らかに移動するように構成されていてよい。
【0012】
任意選択的に、圧縮要素は、磁気相互作用要素と反応面の間に配置され、第1及び第2の磁性材料の一方は、エアロゾル生成温度よりも低いキュリー温度まで強磁性であり、第1及び第2の磁性材料の他方はキュリー温度を超えれば常磁性である。本構成において、(キュリー温度よりも低い)低温状態で磁力が圧縮要素を開状態に保持し、圧縮要素は低温状態ではエアロゾル基材の追加又は除去を阻害しない。
【0013】
任意選択的に、磁気相互作用要素は反応面の上又は裏側に配置され、或いは内部に含まれ、第1及び第2の磁性材料の一方はエアロゾル生成温度よりも低いネール温度まで反強磁性であり、第1及び第2の磁性材料の他方はエアロゾル生成温度で強磁性である。本構成において、(ネール温度よりも高い)高温状態で磁力が圧縮要素を閉状態に保持する。
【0014】
任意選択的に、磁気相互作用要素は、反応面の上又は裏側に配置され、或いは内部に含まれ、第1及び第2の磁性材料の一方はエアロゾル生成温度よりも低いキュリー温度まで強磁性であり、第1及び第2の磁性材料の他方は反磁性である。本構成において、(キュリー温度よりも低い)低温状態で磁力が圧縮要素を開状態に保持する。
【0015】
任意選択的に、加熱チャンバは更に、圧縮要素を反応面の近方又は遠方に偏らせるように構成された弾性要素を含む。弾性要素は、加熱チャンバ内の温度に応じて圧縮要素を二つの異なる方向に偏らせるように、熱活性材料の磁気特性に起因して印加される力に対抗するように構成され得る。
【0016】
第2の態様によれば、本開示は、上述のように加熱チャンバを含むエアロゾル生成装置を提供する。
【0017】
第3の態様によれば、本開示は、上述のように加熱チャンバ、及び圧縮要素と反応面の間に配置されたエアロゾル基材を含むエアロゾル生成システムを提供する。
【0018】
第4の態様によれば、本開示は、エアロゾルを生成する方法であって、上述のように加熱チャンバの圧縮要素と反応面の間にエアロゾル基材を提供するステップと、加熱チャンバを操作して加熱チャンバの温度をエアロゾル生成温度まで上げるステップと、加熱チャンバからエアロゾルを抽出するステップと、加熱チャンバを操作して加熱チャンバの温度をエアロゾル基材放出温度まで下げるステップと、加熱チャンバからエアロゾル基材を取り外すステップとを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】消耗品を収容したエアロゾル生成装置の模式的断面図である。
【
図2A】エアロゾル基材を含む、第1の実施形態による加熱チャンバの模式的断面図である。
【
図2B】エアロゾル基材を含む、第1の実施形態による加熱チャンバの模式的断面図である。
【
図3】エアロゾル基材を含む、第2の実施形態による加熱チャンバの模式的断面図である。
【
図4】エアロゾル基材を含む、第3の実施形態による加熱チャンバの模式的断面図である。
【
図5】消耗品を収容した代替エアロゾル生成装置の模式的断面図である。
【
図6】空気流路を含む加熱チャンバの模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本開示による加熱チャンバが組み込まれたエアロゾル生成装置の模式的断面図である。
【0021】
エアロゾル生成装置1は、加熱チャンバ11、電力供給部12、及び制御回路13を含む。制御回路13は、加熱チャンバ11に収容された消耗品2を加熱するように電力供給部12から加熱チャンバ11への電力供給を制御する。
【0022】
加熱チャンバ11は、圧縮要素111及び反応面112を含む。消耗品2が圧縮要素111と反応面112の間に収容され、圧縮要素111は、消耗品2を反応面112に押し付けて圧縮するために変位するように構成されている。
【0023】
具体的には、消耗品は、エアロゾルを生成するように加熱チャンバ11に配置されたエアロゾル基材21を少なくとも含む。消耗品は、例えば、エアロゾル基材が包装材に収められたタバコの形式をとることができる。タバコは追加的に、フィルタを含む吸い口22を含んでいてよい。本構成において、エアロゾル基材21を加熱してエアロゾルを生成することによりユーザーは吸い口22を介してエアロゾルを吸引することができる。
【0024】
エアロゾルの吸入を容易にするように、エアロゾル生成装置は、エアロゾル生成装置の筐体の異なる箇所に入口及び出口を有する空気流路を含んでいてよく、空気流路は加熱チャンバ11を通って伸長している。
【0025】
特に、エアロゾル生成装置は、消耗品2を受容可能であって空気流路の出口として構成された開口部を含んでいてよい。消耗品2が吸い口22を含まない複数の実施形態において、エアロゾル生成装置は、消耗品2を加熱チャンバ11に挿入する開口部と組み合わされた、又は当該開口部から分離した吸い口を含んでいてよい。例えば、消耗品2を挿入する開口部は吸い口を含む蓋を有していてよい。
【0026】
電力供給部12は、例えば電池であっても、又は外部電源への接続部であってもよい。
【0027】
制御回路13は、加熱チャンバ11を制御する汎用プログラム可能回路又は有線接続された論理回路を含んでいてよい。
【0028】
制御回路13はまた、加熱チャンバ11の温度を判定する温度センサを含んでいてよい。制御回路13は代替的に、加熱チャンバ11を最近どのように制御したかに基づいて加熱チャンバ11の温度を推定してもよい。
【0029】
制御回路13はまた、加熱チャンバ内でエアロゾル生成を起動するための、又はエアロゾル生成動作の時間長、又は消耗品2がどの程度速く加熱されたかの温度プロファイル又は消耗品2が加熱されるピーク温度等、エアロゾル生成の特性を制御するボタン又はスライダ等のユーザーインターフェースを含んでいてよい。
【0030】
使用中、エアロゾル生成装置1は以下により動作してよい。
・圧縮要素111と反応面112の間の加熱チャンバ11に消耗品2を提供するステップ。これはエアロゾル生成装置の使用者により実行されてもよい。
・消耗品2のエアロゾル基材21からエアロゾルを放出するのに少なくとも充分高いエアロゾル生成温度まで加熱チャンバ11の温度を上げるように加熱チャンバ11を操作するステップ。熱は加熱チャンバ11に含まれる1個以上の加熱要素115に供給されてよい。
・加熱チャンバ11からエアロゾルを抽出するステップ。例えば、使用者は吸い口22から吸入できる。
・加熱チャンバ11の温度をエアロゾル基材放出温度まで下げるように加熱チャンバ11を操作するステップ。これは加熱チャンバ11への熱供給を停止することにより受動的に実現できる。
・加熱チャンバ11から消耗品2を除去するステップ。これは消耗品2が放出された後でユーザーが行ってよい。
【0031】
本発明の複数の実施形態において、圧縮要素111は、圧縮要素111の変位の少なくとも一部が、加熱チャンバ11の温度及び熱活性材料の熱応答特性に応じて受動的に生起するように構成された熱活性材料を含む。いくつかの実施形態において、この受動的変位は、アクチュエータにより駆動される変位等の能動的に制御される変位と組み合わせてもよいが、必須ではない。
【0032】
特に、圧縮要素111は、材料の温度に依存して磁気特性が変化する材料を含む。例えば、特定の実施形態を参照しながら示すように、この磁気特性の変化は、強磁性、常磁性、反強磁性及び反磁性挙動を含む2種類の磁気挙動の間の相転移であってよい。本明細書において、「強磁性」は強磁性及び強磁性挙動の両方を含む。代替的に(好適性は低下するが)、磁気特性の変化は、相転移を伴わない磁場強度の連続的変化であってよい。相転移が好適である理由は、圧縮要素の変位が例えばエアロゾル生成の副産物に伴う摩擦又はいかなる粘着性も克服できるように、転移が比較的高い瞬発力を生じることができるためである。
【0033】
図2A、2Bは、第1の実施形態における圧縮要素111及び反応面112の詳細を追加的に示す加熱チャンバ11の模式的断面図である。当該断面は、
図1に示すように消耗品2の「長さ」方向に沿った平面内で伸長している。
【0034】
第1の実施形態において、圧縮要素111は磁気相互作用要素113と磁気的に相互作用する。磁気相互作用要素113は例えば、圧縮要素111が磁気相互作用要素113と反応面112の間に配置されるように、加熱チャンバ11の内部に取り付けられた第1の磁性材料の1個以上の部分であってよい。
【0035】
本構成において、圧縮要素111の熱活性材料は、磁気相互作用要素113の第1の磁性材料と同一であっても又は異なっていてもよい第2の磁性材料を含む。エアロゾル生成動作中、加熱チャンバ11の温度は、消耗品2からエアロゾルが生成されるエアロゾル生成温度まで上げられる。エアロゾル生成動作中に加熱チャンバ11の温度が上がると第1及び第2の磁性材料の少なくとも一方の磁気特性が変化して、圧縮要素111と磁気相互作用113の間の相互作用の力が変化する。
【0036】
第1の実施形態の特定の構成において、加熱チャンバ11が
図2Aに示す低温状態にある場合、第1及び第2の磁性材料の少なくとも一方が強磁性であるのに対し、第1及び第2の磁性材料の他方が強磁性又は常磁性であってよい。その結果、圧縮要素111及び磁気相互作用要素113は、圧縮要素111を反応面112から遠方に偏らせる引力を受ける。
【0037】
一方、
図2Aに示すように、加熱チャンバ11がエアロゾル生成チャンバで高温状態にある場合、第1及び第2の磁性材料は共に常磁性であり、圧縮体111と磁気相互作用要素113の間に顕著な引力が存在しない。これを実現するには、磁性材料が常磁性温度範囲を有する場合に当該範囲の上限(キュリー温度)がエアロゾル生成温度よりも低くなるように磁性材料を選択する必要がある。
【0038】
加熱チャンバ11がキュリー温度(エアロゾル基材放出温度)未満まで冷却したならば、磁気特性は低温状態に戻り、圧縮要素111及び磁気相互作用要素113が再び引力を受けて圧縮要素111を、消耗品2を挿入及び除去できる開位置に戻す。
【0039】
図2A、2Bに更に示すように、キュリー温度を超える高温で磁気相互作用が消滅した場合に圧縮要素111を変位させるように第2の力が印加される。例えば、(ばね等の)弾性要素114を磁気相互作用要素113に隣接して配置することにより、磁気相互作用要素113と圧縮要素111の間の引力とは逆向きの力を与えて圧縮要素111を反応面112から遠方に偏らせることができる。磁気的な引力が消滅した場合、弾性要素114が圧縮要素111を反応面112に向けて変位させてエアロゾル基材21の圧縮を生じさせる。
【0040】
図2A、2Bに更に示すように、チャンバ11内に熱を供給するように1個以上の加熱要素115を設けていてよい。加熱要素115は、可燃性加熱要素又は電子抵抗加熱要素等、任意の既知の種類の加熱要素であってよい。
【0041】
加熱要素115は、加熱チャンバ11の周囲の様々な位置に配置されていてよい。例えば、加熱要素115は、圧縮要素111に配置されて(圧縮要素111の表面に、又は内部に含まれて)いてよい。この場合、圧縮要素111が変位するように構成されているため、加熱要素115に可撓性の、又はスライドする燃料/電力供給部を設けることが必要な場合がある。しかし、圧縮要素111はエアロゾル基材21を圧縮するように構成されているため、この配置により熱接触が向上して基材の加熱が効率的になる利点が得られる。
【0042】
代替的又は追加的に、加熱要素115は、加熱チャンバの壁等の固定位置、例えば圧縮要素111の裏側(すなわち圧縮要素が加熱要素と反応面の間にある)、又は反応面112に設けられて(反応面112上に配置されて、又は反応面112内に埋め込まれて)いてよい。
【0043】
図3に、
図2A、2Bに示した第1実施形態の変形例として加熱チャンバ11の第2の実施形態を示す。第2の実施形態は、反応面が固定された表面ではない点で第1実施形態とは異なり、圧縮要素について上で述べたものと同様に変位するように構成されている。換言すれば、反応面112は、加熱チャンバの温度に応じて変位するように構成された第2の圧縮要素として構成されていてよい。簡単なケースにおいて、加熱チャンバ11は、第1の圧縮要素111と同様に機能するように構成された第2の圧縮要素112の変位と実質的に対称である。
【0044】
より一般的に、圧縮要素の個数は限定されない。例えば、チャンバ11は、消耗品2の周囲に120度の間隔で配置された3個の圧縮要素の間に消耗品2を受容するように配置された三角形の構成を有していてよい。この場合、各圧縮要素の「反応面」機能は他の2個の圧縮要素の間で分割される。
【0045】
図4に、第1実施形態の変形例として、第3実施形態における代替的な配置を示す。
【0046】
第3の実施形態において、磁気相互作用要素113が、磁気相互作用要素113と圧縮要素111の間に消耗品2を受容するように加熱チャンバ11を隔てて圧縮要素111に対向するように配置されている。この場合の磁気相互作用要素113は、反応面112に隣接して、又は反応面112と組み合わせて配置(例えば、反応面の上、内部、又は裏側に配置)されていてよい。
【0047】
第3の実施形態において、複数種類の磁気構成を用いることができる。
【0048】
第1のケースにおいて、圧縮要素111及び磁気相互作用要素113は、低温では磁力を受けず、エアロゾル生成温度で磁力引力を受けるように構成されていてよい。これは、圧縮要素111及び磁気相互作用要素113の一方に、エアロゾル生成温度よりも低いネール温度未満の温度で反強磁性である磁性材料を用い、圧縮要素111及び磁気相互作用要素113の他方にエアロゾル生成温度で強磁性である磁性材料を用いて実現できる。
【0049】
同時に、第1のケースにおいて、弾性要素114は、消耗品2が放出される開位置に向けて圧縮要素111を偏らせるように構成されていてよい。このように、加熱チャンバ11が低温である(例えば、室温に近い)場合、消耗品2を挿入及び除去できる。代替的に本構成では低温で磁力がないため、弾性要素114を省略して、消耗品2を挿入及び除去できる開位置に圧縮要素111を移動させるために最小限の力を発揮することをエアロゾル生成装置の使用者に委ねてもよい。
【0050】
第2のケースにおいて、圧縮要素111及び磁気相互作用要素113は、低温で反発磁力を受けるが、エアロゾル生成温度で磁力を受けないように構成されていてよい。
【0051】
これは、2個の強磁性材料を互いに反発する構成で対向配置することにより実現できる。より具体的には、圧縮要素111は磁場が第1の方向に向くように配置され、磁気相互作用要素113は磁場が第1の方向とは逆方向に向くように配置されていてよい。磁気相互作用要素113に用いられる第1の磁性材料及び圧縮要素111に用いられる第2の磁性材料の少なくとも一方が、エアロゾル生成温度よりも低いキュリー温度を有する前提で、加熱チャンバ11がエアロゾル生成温度である場合は反発磁力は存在しない。
【0052】
代替的に、且つより好適に、第2のケースは、磁場を揃える必要がないように、強磁性及び強反磁性を用いることにより実現できる。より具体的には、反磁性材料は、強磁性材料の磁場の向きとは無関係に反対向きの磁場を生成し、強磁性材料と反磁性材料は互いに反発し合う。強磁性のキュリー温度がエアロゾル生成温度よりも低い場合、エアロゾル生成温度で反発力は生じない。
【0053】
第2のケースにおいて、弾性要素114は第1の実施形態と同様に、バイアスにより圧縮要素111を反応面112に向けて変位させるように構成されていてよい。
【0054】
図5は、消耗品2を収容した代替のエアロゾル生成装置1の模式的断面図である。エアロゾル生成装置1及び消耗品2は、
図1を参照して説明した特徴とほぼ同様であり、ここでは相違のみ記述する。
【0055】
図1では、空気流路が、エアロゾル生成装置1を貫通して入口と別個の出口の間で伸長している。しかし、
図5に示すように、空気流路の入口と出口は代替的にエアロゾル生成装置の筐体上の同じ点であってよく、加熱チャンバ11は、1個の開口部のみを有する鍋型の構成を有していてよい。本構成において、空気は開口部のある部分からエアロゾル基材21内に吸い込まれ、開口部の別の部分からエアロゾル基材21の外に排出される。
【0056】
このような空気流路の違いにより、
図6に示すように加熱チャンバ11の変更を要する場合がある。
【0057】
より具体的には、
図6に示すように、加熱チャンバ11は、消耗品2の周囲を空気が流れられるように、消耗品2と加熱チャンバ11の壁の間の空間を維持するように構成された1個以上の突起116を含んでいてよい。これらの突起は例えば、加熱チャンバ11に沿って伸長するリブであってよい。突起116は、圧縮要素111の変位を妨害しないように構成されなければならない。にもかかわらず、突起116は、消耗品2が占有できる加熱チャンバ11の断面を制限することにより圧縮を支援する相乗的利点をもたらし得る。
【0058】
一実施形態において、圧縮要素111自体が、突起116と同様に消耗品2の周囲の空気流路を維持するように構成されていてよい。すなわち、圧縮要素111は、加熱チャンバ11の流入部と加熱チャンバ11の消耗品収容部の間に配置されていてよい。従って、圧縮要素111が変位して消耗品2を圧縮する場合、加熱チャンバ11に空気が流入する流路の断面が広がるという副次的効果がある。このような実施形態において、圧縮要素111とは別に突起116を設けることなく、鍋型の加熱チャンバ11を用いることができる。
【国際調査報告】