(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】ビデオコーディング中の、ジョイント成分ニューラルネットワークベースのフィルタ処理
(51)【国際特許分類】
H04N 19/82 20140101AFI20231018BHJP
H04N 19/186 20140101ALI20231018BHJP
H04N 19/117 20140101ALI20231018BHJP
H04N 19/132 20140101ALI20231018BHJP
【FI】
H04N19/82
H04N19/186
H04N19/117
H04N19/132
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519515
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(85)【翻訳文提出日】2023-03-28
(86)【国際出願番号】 US2021053490
(87)【国際公開番号】W WO2022076355
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ジャンレー
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ホンタオ
(72)【発明者】
【氏名】コトラ、ベンカタ・メヘル・サトチット・アナンド
(72)【発明者】
【氏名】カルチェビチ、マルタ
【テーマコード(参考)】
5C159
【Fターム(参考)】
5C159LB05
5C159LC09
5C159MA04
5C159MA05
5C159MA21
5C159MC11
5C159ME01
5C159ME11
5C159PP16
5C159TA06
5C159TA68
5C159TD17
5C159UA02
5C159UA05
5C159UA16
(57)【要約】
ビデオデータを復号するための例示的なデバイスは、ビデオデータを記憶するように構成されたメモリと、回路中に実装された1つまたは複数のプロセッサとを含み、1つまたは複数のプロセッサは、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用することと、ブロックの第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを第1の色成分に適用することが、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する;フィルタ処理された第2の色成分を形成するために、第2のサイズを有する第2の色成分をフィルタ処理することと;連結された色成分を形成するために、ダウンサンプリングされた第1の色成分をフィルタ処理された第2の色成分と連結することと;フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を含むフィルタ処理された連結された成分を形成するために、連結された色成分をフィルタ処理することとを行うように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
復号されたビデオデータをフィルタ処理する方法であって、
ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用することと、前記ブロックの前記第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、前記ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを前記第1の色成分に適用することが、前記第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する、
フィルタ処理された第2の色成分を形成するために、前記第2のサイズを有する第2の色成分をフィルタ処理することと、
連結された色成分を形成するために、前記ダウンサンプリングされた第1の色成分を前記フィルタ処理された第2の色成分と連結することと、
フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を含むフィルタ処理された連結された成分を形成するために、前記連結された色成分をフィルタ処理することと
を備える方法。
【請求項2】
前記フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を前記第1のサイズにアップサンプリングすることをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のサイズを有するアップサンプリングされた第1の色成分を生成するために、前記フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を含む前記第1の色成分の2つ以上のフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを結合することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のサイズが2N×2Nを備え、前記第1の色成分の前記2つ以上のフィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分が、前記第1の色成分の4つのN×Nフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤが、ストライド2の3×3×M畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記畳込みニューラルネットワークレイヤが残差処理ユニットを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記残差処理ユニットが、第1の3×3×K×K畳込みレイヤと、PReLUレイヤと、第2の3×3×K×K畳込みレイヤとを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記畳込みニューラルネットワークレイヤを使用してビデオデータの前記ブロックの第3の色成分をフィルタ処理することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のサイズが、前記第2の色成分のサイズと前記第3の色成分のサイズとのうちの小さい方を備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の色成分がルミナンス成分を備え、前記第2の色成分が青色相クロミナンス成分と赤色相クロマクロミナンス成分とのうちの一方を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の色成分をフィルタ処理することが、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して前記第2の色成分をフィルタ処理することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記連結された色成分をフィルタ処理することが、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して前記連結された色成分をフィルタ処理することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ビデオデータを復号するためのデバイスであって、
ビデオデータを記憶するように構成されたメモリと、
回路中に実装された1つまたは複数のプロセッサとを備え、前記1つまたは複数のプロセッサが、
ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用することと、前記ブロックの前記第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、前記ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを前記第1の色成分に適用することが、前記第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する、
フィルタ処理された第2の色成分を形成するために、前記第2のサイズを有する第2の色成分をフィルタ処理することと、
連結された色成分を形成するために、前記ダウンサンプリングされた第1の色成分を前記フィルタ処理された第2の色成分と連結することと、
フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を含む連結された色成分を形成するために、前記連結された色成分をフィルタ処理することと
を行うように構成された、デバイス。
【請求項14】
前記1つまたは複数のプロセッサが、前記フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を前記第1のサイズにアップサンプリングするようにさらに構成された、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記1つまたは複数のプロセッサが、前記第1のサイズを有するアップサンプリングされた第1の色成分を生成するために、前記フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を含む前記第1の色成分の2つ以上のフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを結合するようにさらに構成された、請求項13に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第1のサイズが2N×2Nを備え、前記第1の色成分の前記2つ以上のフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックが、前記第1の色成分の4つのN×Nフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを備える、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤが、ストライド2の3×3×M畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタを備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項18】
前記畳込みニューラルネットワークレイヤが残差処理ユニットを備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項19】
前記残差処理ユニットが、第1の3×3×K×K畳込みレイヤと、PReLUレイヤと、第2の3×3×K×K畳込みレイヤとを備える、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記1つまたは複数のプロセッサが、前記畳込みニューラルネットワークレイヤを使用してビデオデータの前記ブロックの第3の色成分をフィルタ処理するようにさらに構成された、請求項13に記載のデバイス。
【請求項21】
前記第2のサイズが、前記第2の色成分のサイズと前記第3の色成分のサイズとのうちの小さい方を備える、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記第1の色成分がルミナンス成分を備え、前記第2の色成分が青色相クロミナンス成分と赤色相クロマクロミナンス成分とのうちの一方を備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項23】
前記1つまたは複数のプロセッサが、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して前記第2の色成分をフィルタ処理するように構成された、請求項13に記載のデバイス。
【請求項24】
前記1つまたは複数のプロセッサが、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して前記連結された色成分をフィルタ処理するように構成された、請求項13に記載のデバイス。
【請求項25】
前記連結された色成分に対応するビデオデータを表示するように構成されたディスプレイをさらに備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項26】
カメラと、コンピュータと、モバイルデバイスと、ブロードキャスト受信機デバイスと、セットトップボックスとのうちの1つまたは複数を備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項27】
命令を記憶したコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が、実行されたとき、
ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用することと、前記ブロックの前記第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、前記ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを前記第1の色成分に適用することが、前記第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する、
フィルタ処理された第2の色成分を形成するために、前記第2のサイズを有する第2の色成分をフィルタ処理することと、
連結された色成分を形成するために、前記ダウンサンプリングされた第1の色成分を前記フィルタ処理された第2の色成分と連結することと、
フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を含むフィルタ処理された連結された成分を形成するために、前記連結された色成分をフィルタ処理することと
をプロセッサに行わせる、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項28】
前記フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を前記第1のサイズにアップサンプリングすることを前記プロセッサに行わせる命令をさらに備える、請求項27に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項29】
前記第1のサイズを有するアップサンプリングされた第1の色成分を生成するために、前記フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を含む前記第1の色成分の2つ以上のフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを結合することを前記プロセッサに行わせる命令をさらに備える、請求項27に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項30】
前記第1のサイズが2N×2Nを備え、前記第1の色成分の前記2つ以上のフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックが、前記第1の色成分の4つのN×Nフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを備える、請求項29に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項31】
前記ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤが、ストライド2の3×3×M畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタを備える、請求項27に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項32】
前記畳込みニューラルネットワークレイヤが、第1の3×3×K×K畳込みレイヤと、PReLUレイヤと、第2の3×3×K×K畳込みレイヤとを備える、請求項27に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項33】
前記畳込みニューラルネットワークレイヤを使用してビデオデータの前記ブロックの第3の色成分をフィルタ処理することを前記プロセッサに行わせる命令をさらに備える、請求項27に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項34】
前記第2のサイズが、前記第2の色成分のサイズと前記第3の色成分のサイズとのうちの小さい方を備える、請求項33に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項35】
前記第1の色成分がルミナンス成分を備え、前記第2の色成分が青色相クロミナンス成分と赤色相クロマクロミナンス成分とのうちの一方を備える、請求項27に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項36】
前記第2の色成分をフィルタ処理することを前記プロセッサに行わせる前記命令が、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して前記第2の色成分をフィルタ処理することを前記プロセッサに行わせる命令を備える、請求項27に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項37】
前記第2の色成分をフィルタ処理することを前記プロセッサに行わせる前記命令が、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して前記連結された色成分をフィルタ処理することを前記プロセッサに行わせる命令を備える、請求項27に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項38】
復号されたビデオデータをフィルタ処理するためのデバイスであって、
ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用するための手段と、前記ブロックの前記第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、前記ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを前記第1の色成分に適用することが、前記第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する、
フィルタ処理された第2の色成分を形成するために、前記第2のサイズを有する第2の色成分をフィルタ処理するための手段と、
連結された色成分を形成するために、前記ダウンサンプリングされた第1の色成分を前記フィルタ処理された第2の色成分と連結するための手段と、
前記連結された色成分をフィルタ処理するための手段と
を備えるデバイス。
【請求項39】
前記第2の色成分をフィルタ処理するための前記手段が、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して前記第2の色成分をフィルタ処理するための手段を備える、請求項38に記載のデバイス。
【請求項40】
前記連結された色成分をフィルタ処理するための前記手段が、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して前記連結された色成分をフィルタ処理するための手段を備える、請求項38に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本出願は、各々の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年10月4日に出願された米国特許出願第17/493,543号および2020年10月5日に出願された米国仮出願第63/087,784号の優先権を主張する。2021年10月4日に出願された米国特許出願第17/493,543号は、2020年10月5日に出願された米国仮特許出願第63/087,784号の利益を主張する。
【0002】
[0002] 本開示は、ビデオ符号化(video encoding)とビデオ復号(video decoding)とを含むビデオコーディング(video coding)に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] デジタルビデオ能力は、デジタルテレビジョン、デジタルダイレクトブロードキャストシステム、ワイヤレスブロードキャストシステム、携帯情報端末(PDA)、ラップトップまたはデスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、電子ブックリーダー、デジタルカメラ、デジタル記録デバイス、デジタルメディアプレーヤ、ビデオゲーミングデバイス、ビデオゲームコンソール、セルラー電話または衛星無線電話、いわゆる「スマートフォン」、ビデオ遠隔会議デバイス、ビデオストリーミングデバイスなどを含む、広範囲のデバイスに組み込まれ得る。デジタルビデオデバイスは、MPEG-2、MPEG-4、ITU-T H.263、ITU-T H.264/MPEG-4、Part10,アドバンストビデオコーディング(AVC)、ITU-T H.265/高効率ビデオコーディング(HEVC)によって定義された規格、およびそのような規格の拡張に記載されているビデオコーディング技法など、ビデオコーディング技法を実装する。ビデオデバイスは、そのようなビデオコーディング技法を実装することによって、デジタルビデオ情報をより効率的に送信、受信、符号化、復号、および/または記憶し得る。
【0004】
[0004] ビデオコーディング技法は、ビデオシーケンスに固有の冗長性を低減または除去するための空間(ピクチャ内)予測および/または時間(ピクチャ間)予測を含む。ブロックベースのビデオコーディングでは、ビデオスライス(たとえば、ビデオピクチャまたはビデオピクチャの一部分)が、コーディングツリーユニット(CTU)、コーディングユニット(CU)および/またはコーディングノードと呼ばれることもある、ビデオブロックに区分され得る。ピクチャのイントラコード化(I)スライス中のビデオブロックは、同じピクチャ中の隣接ブロック中の参照サンプルに対する空間予測を使用して符号化される。ピクチャのインターコード化(PまたはB)スライス中のビデオブロックは、同じピクチャ中の隣接ブロック中の参照サンプルに対する空間予測、または他の参照ピクチャ中の参照サンプルに対する時間予測を使用し得る。ピクチャはフレームと呼ばれることがあり、参照ピクチャは参照フレームと呼ばれることがある。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 概して、本開示は、歪みがあり得る復号されたピクチャをフィルタ処理する(filter)ための技法について述べる。フィルタ処理プロセスは、ニューラルネットワーク技法に基づき得る。フィルタ処理プロセスは、ITU-T H.266/汎用ビデオコーディング(VVC)の拡張や後続世代のビデオコーディング規格などの高度ビデオコーデック、および他の任意のビデオコーデックのコンテキストで使用され得る。
【0006】
[0006] 一例では、復号されたビデオデータ(decoded video data)をフィルタ処理する方法は、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤ(downsampling convolutional neural network layer)をビデオデータ(video data)のブロック(block)の第1の色成分(first color component)に適用する(apply)ことと、ブロックの第1の色成分が第1のサイズ(first size)を有する、ここにおいて、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを第1の色成分に適用することが、第1のサイズよりも小さい第2のサイズ(second size)を有するダウンサンプリングされた第1の色成分(downsampled first color component)を生成する;フィルタ処理された第2の色成分(filtered second color component)を形成する(form)ために、第2のサイズを有する第2の色成分(second color component)をフィルタ処理することと;連結された色成分(concatenated color components)を形成するために、ダウンサンプリングされた第1の色成分をフィルタ処理された第2の色成分と連結する(concatenate)ことと;フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分(filtered downsampled first color component)を含むフィルタ処理された連結された成分(filtered concatenated component)を形成するために、連結された色成分をフィルタ処理することとを含む。
【0007】
[0007] 別の例では、復号されたビデオデータをフィルタ処理するためのデバイス(device)は、ビデオデータを記憶するように構成されたメモリ(memory)と、回路中に実装された1つまたは複数のプロセッサ(processor)とを含み、1つまたは複数のプロセッサは:ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用することと、ブロックの第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを第1の色成分に適用することが、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する;フィルタ処理された第2の色成分を形成するために、第2のサイズを有する第2の色成分をフィルタ処理することと;連結された色成分を形成するために、ダウンサンプリングされた第1の色成分をフィルタ処理された第2の色成分と連結することと;フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を含むフィルタ処理された連結された成分を形成するために、連結された色成分をフィルタ処理することとを行うように構成される。
【0008】
[0008] 別の例では、コンピュータ可読記憶媒体(computer-readable storage medium)が命令(instruction)を記憶しており、これらの命令は、実行されたとき、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用することと、ブロックの第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを第1の色成分に適用することが、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する;フィルタ処理された第2の色成分を形成するために、第2のサイズを有する第2の色成分をフィルタ処理することと;連結された色成分を形成するために、ダウンサンプリングされた第1の色成分をフィルタ処理された第2の色成分と連結することと;フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を含むフィルタ処理された連結された成分を形成するために、連結された色成分をフィルタ処理することとをプロセッサに行わせる。
【0009】
[0009] 別の例では、復号されたビデオデータをフィルタ処理するためのデバイスは、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用するための手段と、ブロックの第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを第1の色成分に適用することが、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する;フィルタ処理された第2の色成分を形成するために、第2のサイズを有する第2の色成分をフィルタ処理するための手段と;連結された色成分を形成するために、ダウンサンプリングされた第1の色成分をフィルタ処理された第2の色成分と連結するための手段と;フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を含むフィルタ処理された連結された成分を形成するために、連結された色成分をフィルタ処理するための手段とを含む。
【0010】
[0010] 1つまたは複数の例の詳細が添付の図面および以下の説明に記載される。他の特徴、目的、および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】[0011] 本開示の技法を実施し得る例示的なビデオ符号化および復号システムを示すブロック図。
【
図2】[0012] ハイブリッドビデオコーディングフレームワークを示す概念図。
【
図3】[0013] グループオブピクチャ(GOP)サイズ16を使用する階層型予測構造を示す概念図。
【
図4A】[0014] 残差ブロックを含む残差ネットワーク(Resnet)を有する、例示的なジョイント成分(joint component)畳込みニューラルネットワーク(CNN:convolutional neural network)ベースのフィルタを示す概念図。
【
図4B】残差ブロックを含む残差ネットワーク(Resnet)を有する、例示的なジョイント成分畳込みニューラルネットワーク(CNN)ベースのフィルタを示す概念図。
【
図5A】[0015] 例示的なクワッドツリーバイナリツリー(QTBT)構造を示す概念図。
【
図5B】対応するコーディングツリーユニット(CTU)を示す概念図。
【
図6】[0016] 本開示の技法を実施し得る例示的なビデオエンコーダを示すブロック図。
【
図7】[0017] 本開示の技法を実施し得る例示的なビデオデコーダを示すブロック図。
【
図8】[0018] 本開示の技法による、ジョイント成分CNNフィルタの例を示すブロック図。
【
図9】[0019] 例示的な残差処理ユニット(residual processing unit)を示す概念図。
【
図10】[0020] 本開示の技法による、ジョイント成分CNNフィルタ設計の別の例を示すブロック図。
【
図11】[0021] 本開示の技法による、復号されたブロックをフィルタ処理するための例示的な方法を示すフローチャート。
【
図12】[0022] 本開示の技法による、復号されたブロックをフィルタ処理するための例示的な方法を示すフローチャート。
【
図13】[0023] 本開示の技法による、復号されたビデオデータをフィルタ処理する例示的な方法を示すフローチャート。
【
図14】[0024] 本開示の技法による、復号されたビデオデータをフィルタ処理する例示的な方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0025] ビデオコーディング規格は、ITU-T H.261、ISO/IEC MPEG-1 Visual、ITU-T H.262またはISO/IEC MPEG-2 Visual、ITU-T H.263、ISO/IEC MPEG-4 Visual、およびITU-T H.264(ISO/IEC MPEG-4 AVCとしても知られる)、高効率ビデオコーディング(HEVC)またはITU-T H.265(その範囲拡張、マルチビュー拡張(MV-HEVC)、およびスケーラブル拡張(SHVC)を含む)を含む。別の例示的なビデオコーディング規格は、汎用ビデオコーディング(VVC)またはITU-T H.266であり、これは、ITU-Tビデオコーディングエキスパートグループ(VCEG)とISO/IECモーションピクチャエキスパートグループ(MPEG)とのジョイントビデオエキスパートチーム(JVET)によって策定された。以下で「VVC FDIS」と呼ばれるVVC仕様書のバージョン1は、http://phenix.int-evry.fr/jvet/doc_end_user/documents/19_Teleconference/wg11/JVET-S2001-v17.zipから入手可能である。
【0013】
[0026]
図1は、本開示の技法を実施し得る例示的なビデオ符号化および復号システム100を示すブロック図である。本開示の技法は、概して、ビデオデータをコーディング(符号化および/または復号)することを対象とする。概して、ビデオデータは、ビデオを処理するための何らかのデータを含む。したがって、ビデオデータは、生のコーディングされていないビデオ、符号化されたビデオ、復号された(たとえば、再構築された)ビデオ、およびシグナリングデータなどのビデオメタデータを含み得る。
【0014】
[0027]
図1に示されているように、システム100は、この例では、宛先デバイス116によって復号および表示されるべき符号化ビデオデータを提供するソースデバイス102を含む。特に、ソースデバイス102は、コンピュータ可読媒体110を介して宛先デバイス116にビデオデータを提供する。ソースデバイス102と宛先デバイス116とは、デスクトップコンピュータ、ノートブック(すなわち、ラップトップ)コンピュータ、モバイルデバイス、タブレットコンピュータ、セットトップボックス、スマートフォンなどの電話ハンドセット、テレビジョン、カメラ、ディスプレイデバイス、デジタルメディアプレーヤ、ビデオゲーミングコンソール、ビデオストリーミングデバイスなどを含む、広範囲のデバイスのいずれかを備え得る。いくつかの場合には、ソースデバイス102と宛先デバイス116とは、ワイヤレス通信のために装備され得、したがって、ワイヤレス通信デバイスと呼ばれることがある。
【0015】
[0028]
図1の例では、ソースデバイス102は、ビデオソース104と、メモリ106と、ビデオエンコーダ200と、出力インターフェース108とを含む。宛先デバイス116は、入力インターフェース122と、ビデオデコーダ300と、メモリ120と、ディスプレイデバイス118とを含む。本開示によれば、ソースデバイス102のビデオエンコーダ200と、宛先デバイス116のビデオデコーダ300とは、ジョイント成分ニューラルネットワークベースのフィルタ処理プロセスを使用してビデオデータをフィルタ処理するための技法を適用するように構成され得る。したがって、ソースデバイス102はビデオ符号化デバイスの一例を表し、宛先デバイス116はビデオ復号デバイスの一例を表す。他の例では、ソースデバイスと宛先デバイスとは、他の構成要素または配置を含み得る。たとえば、ソースデバイス102は、外部カメラなどの外部ビデオソースからビデオデータを受信し得る。同様に、宛先デバイス116は、一体型ディスプレイデバイスを含むのではなく、外部ディスプレイデバイスとインターフェースし得る。
【0016】
[0029]
図1に示されているシステム100は一例にすぎない。概して、いかなるデジタルビデオ符号化および/または復号デバイスも、ジョイント成分ニューラルネットワークベースのフィルタ処理プロセスを使用してビデオデータをフィルタ処理するための技法を実施し得る。ソースデバイス102と宛先デバイス116とは、ソースデバイス102が宛先デバイス116への送信のためにコード化ビデオデータを生成するようなコーディングデバイスの例にすぎない。本開示では、データのコーディング(符号化および/または復号)を実施するデバイスとして「コーディング」デバイスに言及する。したがって、ビデオエンコーダ200とビデオデコーダ300とは、コーディングデバイス、特に、それぞれビデオエンコーダとビデオデコーダとの例を表す。いくつかの例では、ソースデバイス102および宛先デバイス116は、ソースデバイス102および宛先デバイス116の各々がビデオ符号化構成要素およびビデオ復号構成要素を含むように、実質的に対称的に動作し得る。したがって、システム100は、たとえば、ビデオストリーミング、ビデオ再生、ビデオブロードキャスティング、またはビデオテレフォニーのための、ソースデバイス102と宛先デバイス116との間の一方向または双方向ビデオ送信をサポートし得る。
【0017】
[0030] 概して、ビデオソース104は、ビデオデータ(すなわち、生のコーディングされていないビデオデータ)のソースを表し、ビデオデータの連続的な一連のピクチャ(「フレーム」とも呼ばれる)をビデオエンコーダ200に提供し、ビデオエンコーダ200は、ピクチャのためにデータを符号化する。ソースデバイス102のビデオソース104は、ビデオカメラ、前にキャプチャされた生のビデオを含んでいるビデオアーカイブ、および/またはビデオコンテンツプロバイダからビデオを受信するためのビデオフィードインターフェースなど、ビデオキャプチャデバイスを含み得る。さらなる代替として、ビデオソース104は、ソースビデオとして、コンピュータグラフィックスベースのデータ、またはライブビデオとアーカイブビデオとコンピュータ生成されたビデオとの組合せを生成し得る。各場合において、ビデオエンコーダ200は、キャプチャされたビデオデータ、プリキャプチャされたビデオデータ、またはコンピュータ生成されたビデオデータを符号化する。ビデオエンコーダ200は、ピクチャを、(「表示順序」と呼ばれることがある)受信順序から、コーディングのためのコーディング順序に並べ替え得る。ビデオエンコーダ200は、符号化ビデオデータを含むビットストリームを生成し得る。ソースデバイス102は、次いで、たとえば、宛先デバイス116の入力インターフェース122による受信および/または取出しのために、出力インターフェース108を介して符号化ビデオデータをコンピュータ可読媒体110上に出力し得る。
【0018】
[0031] ソースデバイス102のメモリ106と、宛先デバイス116のメモリ120とは、汎用メモリを表す。いくつかの例では、メモリ106、120は、生のビデオデータ、たとえば、ビデオソース104からの生のビデオ、およびビデオデコーダ300からの生の復号ビデオデータを記憶し得る。追加または代替として、メモリ106、120は、たとえば、それぞれ、ビデオエンコーダ200とビデオデコーダ300とによって実行可能なソフトウェア命令を記憶し得る。メモリ106およびメモリ120は、この例ではビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300とは別個に示されているが、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、機能的に同様のまたは等価な目的で内部メモリをも含み得ることを理解されたい。さらに、メモリ106、120は、符号化ビデオデータ、たとえば、ビデオエンコーダ200からの出力、およびビデオデコーダ300への入力を記憶し得る。いくつかの例では、メモリ106、120の部分は、たとえば、生の復号および/または符号化ビデオデータを記憶するために、1つまたは複数のビデオバッファとして割り振られ得る。
【0019】
[0032] コンピュータ可読媒体110は、ソースデバイス102から宛先デバイス116に符号化ビデオデータを移送することが可能な任意のタイプの媒体またはデバイスを表し得る。一例では、コンピュータ可読媒体110は、ソースデバイス102が、たとえば、無線周波数ネットワークまたはコンピュータベースのネットワークを介して、符号化ビデオデータを宛先デバイス116にリアルタイムで直接送信することを可能にするための通信媒体を表す。ワイヤレス通信プロトコルなどの通信規格に従って、出力インターフェース108は、符号化ビデオデータを含む送信信号を変調し得、入力インターフェース122は、受信された送信信号を復調し得る。通信媒体は、無線周波数(RF)スペクトルまたは1つまたは複数の物理伝送線路など、任意のワイヤレスまたはワイヤード通信媒体を備え得る。通信媒体は、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、またはインターネットなどのグローバルネットワークなど、パケットベースネットワークの一部を形成し得る。通信媒体は、ルータ、スイッチ、基地局、またはソースデバイス102から宛先デバイス116への通信を容易にするために有用であり得る任意の他の機器を含み得る。
【0020】
[0033] いくつかの例では、ソースデバイス102は、出力インターフェース108から記憶デバイス112に符号化データを出力し得る。同様に、宛先デバイス116は、入力インターフェース122を介して記憶デバイス112から符号化データにアクセスし得る。記憶デバイス112は、ハードドライブ、Blu-ray(登録商標)ディスク、DVD、CD-ROM、フラッシュメモリ、揮発性または不揮発性メモリ、あるいは符号化ビデオデータを記憶するための任意の他の好適なデジタル記憶媒体など、様々な分散されたまたはローカルにアクセスされるデータ記憶媒体のいずれかを含み得る。
【0021】
[0034] いくつかの例では、ソースデバイス102は、ソースデバイス102によって生成された符号化ビデオデータを記憶し得るファイルサーバ114または別の中間記憶デバイスに符号化ビデオデータを出力し得る。宛先デバイス116は、ストリーミングまたはダウンロードを介して、ファイルサーバ114から、記憶されたビデオデータにアクセスし得る。
【0022】
[0035] ファイルサーバ114は、符号化ビデオデータを記憶し、その符号化ビデオデータを宛先デバイス116に送信することが可能な任意のタイプのサーバデバイスであり得る。ファイルサーバ114は、(たとえば、ウェブサイトのための)ウェブサーバ、(ファイル転送プロトコル(FTP)または単方向トランスポート上ファイル配信(FLUTE:File Delivery over Unidirectional Transport)プロトコルなどの)ファイル転送プロトコルサービスを提供するように構成されたサーバ、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)デバイス、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)サーバ、マルチメディアブロードキャストマルチキャストサービス(MBMS)または拡張MBMS(eMBMS)サーバ、および/あるいはネットワーク接続ストレージ(NAS)デバイスを表し得る。ファイルサーバ114は、追加または代替として、動的適応ストリーミングオーバーHTTP(DASH)、HTTPライブストリーミング(HLS)、リアルタイムストリーミングプロトコル(RTSP)、HTTP動的ストリーミングなど、1つまたは複数のHTTPストリーミングプロトコルを実装し得る。
【0023】
[0036] 宛先デバイス116は、インターネット接続を含む任意の標準的なデータ接続を通してファイルサーバ114から符号化ビデオデータにアクセスし得る。これは、ファイルサーバ114に記憶された符号化ビデオデータにアクセスするのに好適であるワイヤレスチャネル(たとえば、Wi-Fi(登録商標)接続)、ワイヤード接続(たとえば、デジタル加入者回線(DSL)、ケーブルモデムなど)、またはその両方の組合せを含み得る。入力インターフェース122は、ファイルサーバ114からメディアデータを取り出すまたは受信するための上記で説明された様々なプロトコル、あるいはメディアデータを取り出すための他のそのようなプロトコルのうちのいずれか1つまたは複数に従って動作するように構成され得る。
【0024】
[0037] 出力インターフェース108と入力インターフェース122とは、ワイヤレス送信機/受信機、モデム、ワイヤードネットワーキング構成要素(たとえば、イーサネット(登録商標)カード)、様々なIEEE802.11規格のいずれかに従って動作するワイヤレス通信構成要素、または他の物理的構成要素を表し得る。出力インターフェース108と入力インターフェース122とがワイヤレス構成要素を備える例では、出力インターフェース108と入力インターフェース122とは、4G、4G-LTE(登録商標)(ロングタームエボリューション)、LTEアドバンスト、5Gなど、セルラー通信規格に従って、符号化ビデオデータなどのデータを転送するように構成され得る。出力インターフェース108がワイヤレス送信機を備えるいくつかの例では、出力インターフェース108と入力インターフェース122とは、IEEE802.11仕様、IEEE802.15仕様(たとえば、ZigBee(登録商標))、Bluetooth(登録商標)規格など、他のワイヤレス規格に従って、符号化ビデオデータなどのデータを転送するように構成され得る。いくつかの例では、ソースデバイス102および/または宛先デバイス116は、それぞれのシステムオンチップ(SoC)デバイスを含み得る。たとえば、ソースデバイス102は、ビデオエンコーダ200および/または出力インターフェース108に帰属する機能を実施するためのSoCデバイスを含み得、宛先デバイス116は、ビデオデコーダ300および/または入力インターフェース122に帰属する機能を実施するためのSoCデバイスを含み得る。
【0025】
[0038] 本開示の技法は、オーバージエアテレビジョン放送、ケーブルテレビジョン送信、衛星テレビジョン送信、動的適応ストリーミングオーバーHTTP(DASH)などのインターネットストリーミングビデオ送信、データ記憶媒体上に符号化されたデジタルビデオ、データ記憶媒体に記憶されたデジタルビデオの復号、または他の適用例など、様々なマルチメディア適用例のいずれかをサポートするビデオコーディングに適用され得る。
【0026】
[0039] 宛先デバイス116の入力インターフェース122は、コンピュータ可読媒体110(たとえば、通信媒体、記憶デバイス112、ファイルサーバ114など)から符号化ビデオビットストリームを受信する。符号化ビデオビットストリームは、ビデオブロックまたは他のコード化ユニット(たとえば、スライス、ピクチャ、ピクチャのグループ、シーケンスなど)の特性および/または処理を記述する値を有するシンタックス要素など、ビデオデコーダ300によっても使用される、ビデオエンコーダ200によって定義されるシグナリング情報を含み得る。ディスプレイデバイス118は、復号ビデオデータの復号ピクチャをユーザに表示する。ディスプレイデバイス118は、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、または別のタイプのディスプレイデバイスなど、様々なディスプレイデバイスのいずれかを表し得る。
【0027】
[0040]
図1には示されていないが、いくつかの例では、ビデオエンコーダ200とビデオデコーダ300とは各々、オーディオエンコーダおよび/またはオーディオデコーダと統合され得、共通のデータストリーム中にオーディオとビデオの両方を含む多重化ストリームをハンドリングするために、適切なMUX-DEMUXユニット、あるいは他のハードウェアおよび/またはソフトウェアを含み得る。適用可能な場合、MUX-DEMUXユニットは、ITU H.223マルチプレクサプロトコル、またはユーザデータグラムプロトコル(UDP)などの他のプロトコルに準拠し得る。
【0028】
[0041] ビデオエンコーダ200とビデオデコーダ300とは各々、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ディスクリート論理、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアなど、様々な好適なエンコーダおよび/またはデコーダ回路のいずれか、あるいはそれらの任意の組合せとして実装され得る。本技法が部分的にソフトウェアで実装されるとき、デバイスは、好適な非一時的コンピュータ可読媒体にソフトウェアのための命令を記憶し、本開示の技法を実施するために1つまたは複数のプロセッサを使用してその命令をハードウェアで実行し得る。ビデオエンコーダ200とビデオデコーダ300との各々は、1つまたは複数のエンコーダまたはデコーダに含まれ得、それらのいずれかが、それぞれのデバイス中の複合エンコーダ/デコーダ(CODEC)の一部として統合され得る。ビデオエンコーダ200および/またはビデオデコーダ300を含むデバイスは、集積回路、マイクロプロセッサ、および/またはセルラー電話機などのワイヤレス通信デバイスを備え得る。
【0029】
[0042] ビデオエンコーダ200とビデオデコーダ300とは、高効率ビデオコーディング(HEVC)とも呼ばれるITU-T H.265、あるいはマルチビューおよび/またはスケーラブルビデオコーディング拡張などのそれらの拡張など、ビデオコーディング規格に従って動作し得る。代替的に、ビデオエンコーダ200とビデオデコーダ300とは、汎用ビデオコーディング(VVC)など、他のプロプライエタリまたは業界規格に従って動作し得る。VVC規格のドラフトは、Brossら、「Versatile Video Coding(Draft9)」、ITU-T SG16 WP3とISO/IEC JTC1/SC29/WG11とのジョイントビデオエキスパートチーム(JVET)、第18回会合、4月15~24日、JVET-R2001-v8(以下、「VVCドラフト9」)に記載されている。ただし、本開示の技法は、いかなる特定のコーディング規格にも限定されない。
【0030】
[0043] 概して、ビデオエンコーダ200とビデオデコーダ300とは、ピクチャのブロックベースのコーディングを実施し得る。「ブロック」という用語は、概して、処理されるべき(たとえば、符号化されるべき、復号されるべき、あるいは符号化および/または復号プロセスにおいて他の方法で使用されるべき)データを含む構造を指す。たとえば、ブロックは、ルミナンスおよび/またはクロミナンスデータのサンプルの2次元行列を含み得る。概して、ビデオエンコーダ200とビデオデコーダ300とは、YUV(たとえば、Y、Cb、Cr)フォーマットで表されるビデオデータをコーディングし得る。すなわち、ピクチャのサンプルのために赤色、緑色、および青色(RGB)データをコーディングするのではなく、ビデオエンコーダ200とビデオデコーダ300とは、ルミナンス成分とクロミナンス成分とをコーディングし得、ここで、クロミナンス成分は、赤色相と青色相の両方のクロミナンス成分を含み得る。いくつかの例では、ビデオエンコーダ200は、符号化より前に、受信されたRGBフォーマットのデータをYUV表現にコンバートし、ビデオデコーダ300は、YUV表現をRGBフォーマットにコンバートする。代替的に、前処理および後処理ユニット(図示せず)が、これらのコンバージョンを実施し得る。
【0031】
[0044] 本開示は、概して、ピクチャのデータを符号化または復号するプロセスを含むように、ピクチャのコーディング(たとえば、符号化および復号)に言及することがある。同様に、本開示は、ブロックについてのデータを符号化または復号するプロセス、たとえば、予測および/または残差コーディングを含むように、ピクチャのブロックのコーディングに言及することがある。符号化ビデオビットストリームは、概して、コーディング決定(たとえば、コーディングモード)とブロックへのピクチャの区分とを表すシンタックス要素についての一連の値を含む。したがって、ピクチャまたはブロックをコーディングすることへの言及は、概して、ピクチャまたはブロックを形成するシンタックス要素についての値をコーディングすることとして理解されるべきである。
【0032】
[0045] HEVCは、コーディングユニット(CU)、予測ユニット(PU)、および変換ユニット(TU)を含む、様々なブロックを定義する。HEVCに従って、(ビデオエンコーダ200などの)ビデオコーダは、クワッドツリー構造に従ってコーディングツリーユニット(CTU)をCUに区分する。すなわち、ビデオコーダは、CTUとCUとを4つの等しい重複しない正方形に区分し、クワッドツリーの各ノードは、0個または4つのいずれかの子ノードを有する。子ノードのないノードは、「リーフノード」と呼ばれることがあり、そのようなリーフノードのCUは、1つまたは複数のPUおよび/または1つまたは複数のTUを含み得る。ビデオコーダは、PUとTUとをさらに区分し得る。たとえば、HEVCでは、残差クワッドツリー(RQT)は、TUの区分を表す。HEVCでは、PUはインター予測データを表すが、TUは残差データを表す。イントラ予測されるCUは、イントラモード指示などのイントラ予測情報を含む。
【0033】
[0046] 別の例として、ビデオエンコーダ200とビデオデコーダ300とは、VVCに従って動作するように構成され得る。VVCに従って、(ビデオエンコーダ200などの)ビデオコーダは、ピクチャを複数のコーディングツリーユニット(CTU)に区分する。ビデオエンコーダ200は、クワッドツリーバイナリツリー(QTBT)構造またはマルチタイプツリー(MTT)構造など、ツリー構造に従ってCTUを区分し得る。QTBT構造は、HEVCのCUとPUとTUとの間の分離など、複数の区分タイプの概念を除去する。QTBT構造は、2つのレベル、すなわち、クワッドツリー区分に従って区分される第1のレベルと、バイナリツリー区分に従って区分される第2のレベルとを含む。QTBT構造のルートノードは、CTUに対応する。バイナリツリーのリーフノードは、コーディングユニット(CU)に対応する。
【0034】
[0047] MTT区分構造では、ブロックは、クワッドツリー(QT)区分と、バイナリツリー(BT)区分と、1つまたは複数のタイプのトリプルツリー(TT)(ターナリツリー(TT)とも呼ばれる)区分とを使用して区分され得る。トリプルツリーまたはターナリツリー区分は、ブロックが3つのサブブロックにスプリットされる区分である。いくつかの例では、トリプルツリーまたはターナリツリー区分は、中心を通して元のブロックを分割することなしにブロックを3つのサブブロックに分割する。MTTにおける区分タイプ(たとえば、QT、BT、およびTT)は、対称的または非対称的であり得る。
【0035】
[0048] いくつかの例では、ビデオエンコーダ200とビデオデコーダ300とは、ルミナンス成分とクロミナンス成分との各々を表すために単一のQTBTまたはMTT構造を使用し得、他の例では、ビデオエンコーダ200とビデオデコーダ300とは、ルミナンス成分のための1つのQTBT/MTT構造、および両方のクロミナンス成分のための別のQTBT/MTT構造(またはそれぞれのクロミナンス成分のための2つのQTBT/MTT構造)など、2つまたはそれ以上のQTBTまたはMTT構造を使用し得る。
【0036】
[0049] ビデオエンコーダ200とビデオデコーダ300とは、HEVCに従うクワッドツリー区分、QTBT区分、MTT区分、または他の区分構造を使用するように構成され得る。説明の目的で、本開示の技法の説明はQTBT区分に関して提示される。しかしながら、本開示の技法は、クワッドツリー区分、または同様に他のタイプの区分を使用するように構成されたビデオコーダにも適用され得ることを理解されたい。
【0037】
[0050] いくつかの例では、CTUは、ルーマサンプルのコーディングツリーブロック(CTB)、3つのサンプルアレイを有するピクチャのクロマサンプルの2つの対応するCTB、あるいはモノクロームピクチャ、またはサンプルをコーディングするために使用される3つの別個の色平面とシンタックス構造とを使用してコーディングされるピクチャのサンプルのCTBを含む。CTBは、CTBへの成分の分割が区分になるような何らかの値のNについて、サンプルのN×Nブロックであり得る。成分は、4:2:0、4:2:2、もしくは4:4:4色フォーマットのピクチャの場合は、3つのアレイ(ルーマおよび2つのクロマ)のうちの1つからのアレイもしくは単一サンプルであり得、または、モノクロームフォーマットのピクチャの場合は、アレイ、もしくはアレイの単一サンプルであり得る。いくつかの例では、コーディングブロックは、コーディングブロックへのCTBの分割が区分になるような何らかの値のMとNとについて、サンプルのM×Nブロックである。
【0038】
[0051] ブロック(たとえば、CTUまたはCU)は、ピクチャ中で様々な方法でグループ化され得る。一例として、ブリックは、ピクチャ中の特定のタイル内のCTU行の矩形領域を指し得る。タイルは、ピクチャ中の特定のタイル列および特定のタイル行内のCTUの矩形領域であり得る。タイル列は、ピクチャの高さに等しい高さと、(たとえば、ピクチャパラメータセット中などの)シンタックス要素によって指定された幅とを有するCTUの矩形領域を指す。タイル行は、(たとえば、ピクチャパラメータセット中などの)シンタックス要素によって指定された高さと、ピクチャの幅に等しい幅とを有するCTUの矩形領域を指す。
【0039】
[0052] いくつかの例では、タイルは複数のブリックに区分され得、それらの各々は、タイル内に1つまたは複数のCTU行を含み得る。複数のブリックに区分されないタイルもブリックと呼ばれることがある。しかしながら、タイルの真のサブセットであるブリックは、タイルと呼ばれないことがある。
【0040】
[0053] ピクチャ中のブリックはまた、スライス中に配置され得る。スライスは、もっぱら単一のネットワークアブストラクションレイヤ(NAL)ユニット中に含まれていることがあるピクチャの整数個のブリックであり得る。いくつかの例では、スライスは、いくつかの完全なタイル、または1つのタイルの完全なブリックの連続シーケンスのみのいずれかを含む。
【0041】
[0054] 本開示は、垂直寸法と水平寸法とに関して(CUまたは他のビデオブロックなどの)ブロックのサンプル寸法を指すために、「N×N(NxN)」および「N×N(N by N)」、たとえば、16×16サンプル(16x16 samples)または16×16サンプル(16 by 16 samples)を互換的に使用し得る。概して、16×16のCUは、垂直方向に16個のサンプルを有し(y=16)、水平方向に16個のサンプルを有する(x=16)。同様に、N×NのCUは、概して、垂直方向にN個のサンプルを有し、水平方向にN個のサンプルを有し、ここで、Nは非負整数値を表す。CU中のサンプルは、行と列とに配置され得る。その上、CUは、必ずしも、水平方向において垂直方向と同じ数のサンプルを有する必要があるとは限らない。たとえば、CUはN×Mサンプルを備え得、ここで、Mは必ずしもNに等しいとは限らない。
【0042】
[0055] ビデオエンコーダ200は、予測および/または残差情報、ならびに他の情報を表すCUのためにビデオデータを符号化する。予測情報は、CUについて予測ブロックを形成するためにCUがどのように予測されるべきかを示す。残差情報は、概して、符号化より前のCUのサンプルと予測ブロックとの間のサンプルごとの差分を表す。
【0043】
[0056] CUを予測するために、ビデオエンコーダ200は、概して、インター予測またはイントラ予測を通してCUについて予測ブロックを形成し得る。インター予測は、概して、前にコーディングされたピクチャのデータからCUを予測することを指すが、イントラ予測は、概して、同じピクチャの前にコーディングされたデータからCUを予測することを指す。インター予測を実施するために、ビデオエンコーダ200は、1つまたは複数の動きベクトルを使用して予測ブロックを生成し得る。ビデオエンコーダ200は、概して、たとえば、CUと参照ブロックとの間の差分に関して、CUにぴったり一致する参照ブロックを識別するために動き探索を実施し得る。ビデオエンコーダ200は、参照ブロックが現在CUにぴったり一致するかどうかを決定するために、絶対差分和(SAD)、2乗差分和(SSD)、平均絶対差(MAD)、平均2乗差(MSD)、または他のそのような差分計算を使用して差分メトリックを計算し得る。いくつかの例では、ビデオエンコーダ200は、単方向予測または双方向予測を使用して現在CUを予測し得る。
【0044】
[0057] VVCのいくつかの例はまた、インター予測モードと見なされ得るアフィン動き補償モードを提供する。アフィン動き補償モードでは、ビデオエンコーダ200は、ズームインまたはアウト、回転、パースペクティブの動き、あるいは他の変則の動きタイプなど、非並進の動きを表す2つまたはそれ以上の動きベクトルを決定し得る。
【0045】
[0058] イントラ予測を実施するために、ビデオエンコーダ200は、予測ブロックを生成するようにイントラ予測モードを選択し得る。VVCのいくつかの例は、様々な方向性モード、ならびに平面モードおよびDCモードを含む、67個のイントラ予測モードを提供する。概して、ビデオエンコーダ200は、現在ブロック(たとえば、CUのブロック)のサンプルをそれから予測すべき、現在ブロックに対する隣接サンプルを記述するイントラ予測モードを選択する。そのようなサンプルは、ビデオエンコーダ200がラスタ走査順序で(左から右に、上から下に)CTUとCUとをコーディングすると仮定すると、概して、現在ブロックと同じピクチャ中の現在ブロックの上、左上、または左にあり得る。
【0046】
[0059] ビデオエンコーダ200は、現在ブロックについて予測モードを表すデータを符号化する。たとえば、インター予測モードでは、ビデオエンコーダ200は、様々な利用可能なインター予測モードのうちのどれが使用されるか、ならびに対応するモードのための動き情報を表すデータを符号化し得る。たとえば、単方向または双方向インター予測では、ビデオエンコーダ200は、高度動きベクトル予測(AMVP)またはマージモードを使用して動きベクトルを符号化し得る。ビデオエンコーダ200は、アフィン動き補償モードのための動きベクトルを符号化するために、同様のモードを使用し得る。
【0047】
[0060] ブロックのイントラ予測またはインター予測などの予測に続いて、ビデオエンコーダ200は、ブロックについて残差データを計算し得る。残差ブロックなどの残差データは、ブロックと、対応する予測モードを使用して形成された、ブロックについての予測ブロックとの間の、サンプルごとの差分を表す。ビデオエンコーダ200は、サンプル領域ではなく変換領域中に変換データを生成するために、残差ブロックに1つまたは複数の変換を適用し得る。たとえば、ビデオエンコーダ200は、離散コサイン変換(DCT)、整数変換、ウェーブレット変換、または概念的に同様の変換を残差ビデオデータに適用し得る。さらに、ビデオエンコーダ200は、第1の変換に続いて、モード依存非分離可能2次変換(MDNSST:mode-dependent non-separable secondary transform)、信号依存変換、カルーネンレーベ変換(KLT)などの2次変換を適用し得る。ビデオエンコーダ200は、1つまたは複数の変換の適用に続いて変換係数を生成する。
【0048】
[0061] 上述のように、変換係数を生成するための任意の変換に続いて、ビデオエンコーダ200は、変換係数の量子化を実施し得る。量子化は、概して、変換係数を表すために使用されるデータの量をできるだけ低減するために変換係数が量子化され、さらなる圧縮を行うプロセスを指す。量子化プロセスを実施することによって、ビデオエンコーダ200は、変換係数の一部または全部に関連付けられたビット深度を低減し得る。たとえば、ビデオエンコーダ200は、量子化中にnビット値をmビット値に丸めることがあり、ここで、nはmよりも大きい。いくつかの例では、量子化を実施するために、ビデオエンコーダ200は、量子化されるべき値のビット単位右シフトを実施し得る。
【0049】
[0062] 量子化に続いて、ビデオエンコーダ200は、変換係数を走査して、量子化された変換係数を含む2次元行列から1次元ベクトルを生成し得る。走査は、より高いエネルギー(したがって、より低い頻度)の係数をベクトルの前方に配置し、より低いエネルギー(したがって、より高い頻度)の変換係数をベクトルの後方に配置するように設計され得る。いくつかの例では、ビデオエンコーダ200は、あらかじめ定義された走査順序を利用して、量子化された変換係数を走査してシリアル化ベクトルを生成し、次いで、ベクトルの量子化された変換係数をエントロピー符号化し得る。他の例では、ビデオエンコーダ200は適応型走査を実施し得る。量子化された変換係数を走査して1次元ベクトルを形成した後に、ビデオエンコーダ200は、たとえば、コンテキスト適応型バイナリ算術コーディング(CABAC)に従って、1次元ベクトルをエントロピー符号化し得る。ビデオエンコーダ200はまた、ビデオデータを復号する際のビデオデコーダ300による使用のために、符号化ビデオデータに関連付けられたメタデータを記述するシンタックス要素についての値をエントロピー符号化し得る。
【0050】
[0063] CABACを実施するために、ビデオエンコーダ200は、コンテキストモデル内のコンテキストを、送信されるべきシンボルに割り当て得る。コンテキストは、たとえば、シンボルの隣接値が0値であるか否かに関係し得る。確率決定は、シンボルに割り当てられたコンテキストに基づき得る。
【0051】
[0064] ビデオエンコーダ200は、さらに、ブロックベースのシンタックスデータ、ピクチャベースのシンタックスデータ、およびシーケンスベースのシンタックスデータなどのシンタックスデータを、たとえば、ピクチャヘッダ、ブロックヘッダ、スライスヘッダ、あるいはシーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、またはビデオパラメータセット(VPS)などの他のシンタックスデータ中で、ビデオデコーダ300に対して生成し得る。ビデオデコーダ300は、対応するビデオデータをどのように復号すべきかを決定するために、そのようなシンタックスデータを同様に復号し得る。
【0052】
[0065] このようにして、ビデオエンコーダ200は、符号化ビデオデータ、たとえば、ブロック(たとえば、CU)へのピクチャの区分ならびにブロックのための予測および/または残差情報を記述するシンタックス要素を含むビットストリームを生成し得る。最終的に、ビデオデコーダ300は、ビットストリームを受信し、符号化ビデオデータを復号し得る。
【0053】
[0066] 概して、ビデオデコーダ300は、ビットストリームの符号化ビデオデータを復号するために、ビデオエンコーダ200によって実施されたものの逆プロセスを実施する。たとえば、ビデオデコーダ300は、ビデオエンコーダ200のCABAC符号化プロセスと逆ではあるが、それと実質的に同様の様式でCABACを使用してビットストリームのシンタックス要素についての値を復号し得る。シンタックス要素は、CTUのCUを定義するために、ピクチャをCTUに区分するための区分情報と、QTBT構造などの対応する区分構造に従う、各CTUの区分とを定義し得る。シンタックス要素は、ビデオデータのブロック(たとえば、CU)についての予測および残差情報をさらに定義し得る。
【0054】
[0067] 残差情報は、たとえば、量子化された変換係数によって表され得る。ビデオデコーダ300は、ブロックのための残差ブロックを再生するために、ブロックの量子化された変換係数を逆量子化し、逆変換し得る。ビデオデコーダ300は、ブロックのための予測ブロックを形成するために、シグナリングされた予測モード(イントラまたはインター予測)と、関連する予測情報(たとえば、インター予測のための動き情報)とを使用する。ビデオデコーダ300は、次いで、元のブロックを再生するために(サンプルごとに)予測ブロックと残差ブロックとを組み合わせ得る。ビデオデコーダ300は、ブロックの境界に沿って視覚的アーティファクトを低減するためにデブロッキングプロセスを実施することなど、追加の処理を実施し得る。
【0055】
[0068] 本開示は、概して、シンタックス要素など、ある情報を「シグナリング」することに言及することがある。「シグナリング」という用語は、概して、符号化ビデオデータを復号するために使用されるシンタックス要素および/または他のデータについての値の通信を指し得る。すなわち、ビデオエンコーダ200は、ビットストリームにおいてシンタックス要素についての値をシグナリングし得る。概して、シグナリングは、ビットストリームにおいて値を生成することを指す。上述のように、ソースデバイス102は、実質的にリアルタイムでビットストリームを宛先デバイス116に移送するか、または、宛先デバイス116による後の取出しのためにシンタックス要素を記憶デバイス112に記憶するときに行われ得るように、非リアルタイムでビットストリームを宛先デバイス116に移送し得る。
【0056】
[0069]
図2は、ハイブリッドビデオコーディングフレームワークを示す概念図である。H.261以降のビデオコーディング規格は、
図2に示されるいわゆるハイブリッドビデオコーディング原理に基づいてきた。ハイブリッドという用語は、ビデオ信号中の冗長性を低減するための2つの手段の組合せ、すなわち、予測および変換コーディングを予測残差の量子化と組み合わせることを指す。予測および変換は脱相関によってビデオ信号中の冗長性を低減するが、量子化は、変換係数表現のデータを、それらの精度を下げることによって減少させ、理想的には、無関係の詳細のみを除去することによって減少させる。このハイブリッドビデオコーディング設計原理はまた、最近の2つの規格ITU-T H.265/HEVCおよびITU-T H.266/VVCにおいても使用される。
【0057】
[0070]
図2に示されるように、現代のハイブリッドビデオコーダ130は、一般に、ブロック区分と、動き補償付きまたはピクチャ間予測と、ピクチャ内予測と、変換と、量子化と、エントロピーコーディングと、ポスト/インループフィルタ処理とを含む。
図2の例では、ビデオコーダ130は、合計ユニット134と、変換ユニット136と、量子化ユニット138と、エントロピーコーディングユニット140と、逆量子化ユニット142と、逆変換ユニット144と、合計ユニット146と、ループフィルタユニット148と、復号ピクチャバッファ(DPB)150と、イントラ予測ユニット152と、インター予測ユニット154と、動き推定ユニット156とを含む。
【0058】
[0071] 一般に、ビデオコーダ130は、ビデオデータを符号化するとき、入力ビデオデータ132を受信し得る。ビデオデータの受信されたピクチャ(画像)を予測および変換プロセスの動作に向けてより小さいブロックに分割するために、ブロック区分が使用される。初期のビデオコーディング規格は、固定ブロックサイズ、典型的には16×16サンプルを使用していた。HEVCやVVCなどの最近の規格は、ツリーベースの区分構造を採用して、フレキシブルな区分を提供する。
【0059】
[0072] 動き推定ユニット156およびインター予測ユニット154は、たとえば前に復号されたDPB150のデータから、入力ビデオデータ132を予測し得る。動き補償付きまたはピクチャ間予測は、ビデオシーケンスのピクチャ間(よって「インター」)に存在する冗長性を利用する。現代のすべてのビデオコーデックではブロックベースの動き補償が使用されるが、ブロックベースの動き補償に従って、前に復号された1つまたは複数のピクチャ、すなわち参照ピクチャから予測が得られる。インター予測を生成するための対応するエリアは、動きベクトルと参照ピクチャインデックスとを含む動き情報によって示される。
【0060】
[0073] 合計ユニット134は、入力ビデオデータ132と、イントラ予測ユニット152またはインター予測ユニット154からの予測データとの間の差として、残差データを計算し得る。合計ユニット134は、残差ブロックを変換ユニット136に提供し、変換ユニット136は、残差ブロックに1つまたは複数の変換を適用して、変換ブロックを生成する。量子化ユニット138は、変換ブロックを量子化して、量子化された変換係数を形成する。エントロピーコーディングユニット140は、量子化された変換係数、ならびに動き情報やイントラ予測情報など他のシンタックス要素をエントロピー符号化して、出力ビットストリーム158を生成する。
【0061】
[0074] 一方、逆量子化ユニット142は量子化された変換係数を逆量子化し、逆変換ユニット144は変換係数を逆変換して、残差ブロックを再生する。合計ユニット146は、(サンプルごとに)残差ブロックを予測ブロックと結合して、ビデオデータの復号されたブロックを生成する。ループフィルタユニット(loop filter unit)148は、復号されたブロックに1つまたは複数のフィルタ(たとえば、ニューラルネットワークベースのフィルタ、ニューラルネットワークベースのループフィルタ、ニューラルネットワークベースのポストループフィルタ、適応インループフィルタ、または事前定義された適応インループフィルタ、のうちの少なくとも1つ)を適用して、フィルタ処理された復号されたブロックを生成する。
【0062】
[0075] CTUやCUなど、ビデオデータのブロックは、実際、複数の色成分、たとえば、ルミナンスまたは「ルーマ(luma)」成分、青色相クロミナンスまたは「クロマ(chroma)」成分、および赤色相クロミナンス(クロマ)成分を含み得る。ルーマ成分は、クロマ成分よりも大きい空間分解能を有し得、クロマ成分のうちの一方は、他方のクロマ成分よりも大きい空間分解能を有し得る。代替的に、ルーマ成分は、クロマ成分よりも大きい空間分解能を有し得、2つのクロマ成分は、相互に等しい空間分解能を有し得る。たとえば、4:2:2フォーマットでは、ルーマ成分は、水平ではクロマ成分の2倍大きく垂直ではクロマ成分と等しいものであり得る。別の例として、4:2:0フォーマットでは、ルーマ成分は、水平と垂直とでクロマ成分の2倍大きいものであり得る。上で論じられた様々な動作は、一般に、ルーマおよびクロマ成分の各々に個別に適用され得る(ただし、動き情報やイントラ予測方向など、いくらかのコーディング情報は、ルーマ成分について決定され、対応するクロマ成分によって継承され得る)。
【0063】
[0076] 本開示の技法によれば、ループフィルタユニット148は、第1のサイズを有する第1の色成分(たとえば、ルミナンスまたは「ルーマ」成分)と、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有する第2の色成分(たとえば、青色相または赤色相クロミナンスまたは「クロマ」成分)を合計ユニット146から受信し得る。ビデオデータの共通ブロックが、第1と第2の両方の色成分を含み得る。ループフィルタユニット148は、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用して、第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する、すなわち、第1の色成分を第2の色成分のサイズにダウンサンプリングするように構成され得る。一例では、第1の色成分はルーマ成分であり得、第2の色成分は、2つのクロマ成分のうちの一方であり得る。別の例では、第1の色成分は第1のクロマ成分であり得、第2の色成分は第2のクロマ成分であり得る。
【0064】
[0077] さらに別の例では、ループフィルタユニット148は、ルーマ成分および両方のクロマ成分の各々を受信し得、ルーマ成分は第1のサイズを有し、第1のクロマ成分は、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有し、第2のクロマ成分は、第2のサイズよりも小さい第3のサイズを有する。この例では、ループフィルタユニットは、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークフィルタ(convolutional neural network filter)をルーマ成分と第1のクロマ成分の両方に適用して、第3のサイズを有するダウンサンプリングされたルーマ成分と、第3のサイズを有するダウンサンプリングされた第1のクロマ成分とを生成し得る。
【0065】
[0078] ループフィルタユニット148はまた、畳込みニューラルネットワークフィルタをたとえば使用して、第2の色成分をフィルタ処理してフィルタ処理された第2の色成分を形成し得る。ループフィルタユニット148は、次いで、ダウンサンプリングされた第1の色成分をフィルタ処理された第2の色成分と連結して、連結された色成分を形成し得る。次いで、ループフィルタユニット148は、畳込みニューラルネットワークフィルタをたとえば使用して、連結された色成分をフィルタ処理して、フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を含むフィルタ処理された連結された成分を形成し得る。
【0066】
[0079] 特に、第1の色成分と第2の色成分とは元々、別々のアレイまたは行列に記憶されているものであり得る。色成分を連結するために、ループフィルタユニット148は、個々の色成分の2倍の幅または2倍の高さの、単一のアレイまたは行列を形成し得る。ループフィルタユニット148は、次いで、第1の色成分のサンプルを、新たに形成されたアレイまたは行列の第1の領域に記憶し、第2の色成分のサンプルを、新たに形成されたアレイまたは行列の第2の近隣領域に記憶し得る。3つの色成分が使用されるときは(たとえば、ルーマ、青色相クロマ、および赤色相クロマ)、ループフィルタユニット148は、個々の色成分の3倍の幅または高さの、単一のアレイまたは行列を形成し、3つの色成分の各々のサンプルを、新たに形成されたアレイまたは行列のそれぞれの領域に記憶し得る。
【0067】
[0080] 上で言及されたように、ループフィルタユニット148は、ルーマおよびクロマ成分の各々を受信し得る。ループフィルタユニット148は、畳込みニューラルネットワークフィルタをたとえば使用して、ダウンサンプリングされた第1のクロマ成分と第2のクロマ成分の両方をフィルタ処理して、フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1のクロマ成分とフィルタ処理された第2のクロマ成分とを生成し得る。ループフィルタユニット148は、次いで、ダウンサンプリングされたルーマ成分を、フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1のクロマ成分およびフィルタ処理された第2のクロマ成分と連結して、連結された色成分を形成し得る。ループフィルタユニット148は、次いで、畳込みニューラルネットワークフィルタをたとえば使用して、連結された色成分(ダウンサンプリングされたルーマ成分と、フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1のクロマ成分と、フィルタ処理された第2のクロマ成分とを含む)をフィルタ処理し得る。
【0068】
[0081] 連結された色成分をフィルタ処理した後、ループフィルタユニット148はさらに、フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分をアップサンプリングして、第1のサイズ(すなわち、第1の色成分の元のサイズ)に戻し得る。ループフィルタユニット148が第2の色成分も(たとえば、第2のサイズから第3のサイズに)ダウンサンプリングする場合、ループフィルタユニット148はまた、フィルタ処理された第2の色成分を第2のサイズ(すなわち、第2の色成分の元のサイズ)にアップサンプリングし得る。
【0069】
[0082]
図3は、グループオブピクチャ(GOP)サイズ16を使用する階層型予測構造166を示す概念図である。最近のビデオコーデックでは、コーディング効率を向上させるために、グループオブピクチャ(GOP)内部の階層型予測構造が適用される。
【0070】
[0083] 再び
図2を参照するが、ピクチャ内予測は、すでにコーディング/復号された空間的に近隣の(参照)サンプルからブロックについての予測を導出することによって、ピクチャ内(よって「イントラ」)に存在する空間的冗長性を活用する。AVC、HEVC、およびVVCを含む一番最近のビデオコーデックでは、方向性角度予測、DC予測、および平面(planeまたはplanar)予測が使用される。
【0071】
[0084] ハイブリッドビデオコーディング規格は、予測残差にブロック変換を適用する(予測残差がピクチャ間予測から来るかピクチャ内予測から来るかにかかわらず)。H.261、H.262、およびH.263を含む初期の規格では、離散コサイン変換(DCT)が採用される。HEVCおよびVVCでは、特定のビデオ信号における異なる統計に対処するために、DCTに加えてより多くの変換カーネルが適用される。
【0072】
[0085] 量子化は、入力値または入力値セットを表すのに必要とされるデータの量を低減するために、これらの値の精度を下げることを目的とする。ハイブリッドビデオコーディングでは、通常、個々の変換された残差サンプル、すなわち変換係数に量子化が適用され、この結果、整数係数レベルになる。最近のビデオコーディング規格では、ステップサイズは、忠実度とビットレートとを制御するいわゆる量子化パラメータ(QP)から導出される。ステップサイズが大きいほどビットレートが下がるが、品質も劣化し、この結果、たとえば、ビデオピクチャはブロッキングアーティファクトおよびぼやけた詳細を呈する。
【0073】
[0086] コンテキスト適応型バイナリ算術コーディング(CABAC)は、その高い効率ゆえに最近のビデオコーデック、たとえば、AVC、HEVC、およびVVCで使用されるエントロピーコーディングの形態である。
【0074】
[0087] ポスト/インループフィルタ処理は、コーディングアーティファクトを低減するために再構築されたピクチャに適用されるフィルタ処理プロセス(またはそのようなプロセスの組合せ)である。フィルタ処理プロセスの入力は一般に、再構築されたピクチャであり、これは、再構築された残差信号(量子化誤差を含む)と予測との結合である。
図2に示されるように、インループフィルタ処理後の再構築されたピクチャは、記憶され、後続ピクチャのピクチャ間予測のための参照として使用される。コーディングアーティファクトは、主としてQPによって決定され、したがって、フィルタ処理プロセスの設計ではQP情報が一般に使用される。HEVCでは、インループフィルタは、デブロッキングフィルタ処理およびサンプル適応オフセット(SAO)フィルタ処理を含む。VVC規格では、第3のフィルタとして適応ループフィルタ(ALF)が導入された。ALFのフィルタ処理プロセスが以下に示される。
【0075】
R’(i,j)=R(i,j)+((Σk≠0Σl≠0f(k,l)×K(R(i+k,j+l)-R(i,j),c(k,l))+64)>>7) (1)
ここで、R(i,j)は、フィルタ処理プロセス前のサンプルのセットであり、R’(i,j)は、フィルタ処理プロセス後のサンプル値である。f(k,l)はフィルタ係数を示し、K(x,y)はクリッピング関数であり、c(k,l)はクリッピングパラメータを示す。変数kおよびlは、
【0076】
【0077】
と
【0078】
【0079】
との間で変動し、Lはフィルタ長を示す。クリッピング関数K(x,y)=min(y,max(-y,x))であり、これは、関数Clip3(-y,y,x)に対応する。クリッピング演算は、現在サンプル値と過度に異なる近隣サンプル値の影響を低減することによって、非線形性を導入してALFをより効率的にする。VVCでは、フィルタ処理パラメータは、ビットストリーム中でシグナリングされることが可能であり、事前定義されたフィルタセットから選択されることが可能である。ALFフィルタ処理プロセスはまた、次の式を使用して要約されることも可能である。
【0080】
R’(i,j)=R(i,j)+ALF_residual_ouput(R) (2)
[0088]
図4Aおよび
図4Bは、残差ブロックを含む残差ネットワーク(Resnet)を有する、例示的なジョイント成分畳込みニューラルネットワーク(CNN)ベースのフィルタを示す概念図である。特に、
図4Aは、畳込みニューラルネットワーク(畳込みNN)フィルタ172と、連結ユニット174と、一連の残差ブロック176と、残差ブロック178A、178B(残差ブロック178)と、チャネル単位加算ユニット179A、179B(チャネル単位加算ユニット179)とを含むシステム170を描いている。
図4Bは、例示的な残差ブロック180を描いている。残差ブロック176、178のいずれかは、残差ブロック180の構成要素と同様の構成要素を含み得る。
図4Bの例では、残差ブロック180は、畳込みNNフィルタ182および186と、正規化線形ユニット(ReLU:rectified linear unit)レイヤ184と、合計ユニット188とを含む。
【0081】
[0089]
図4Aの例では、畳込みNNフィルタ172は、クロマ成分(すなわち、青色相(Cb)および赤色相(Cr)成分)を、対応するルミナンス(ルーマ(Y))成分のサイズにアップサンプリングする。連結ユニット174は、残差ブロック176によって形成されるNNベースのフィルタへの入力として使用されるように、アップサンプリングされたクロミナンスサンプルをルーマサンプルと連結する。残差ブロック176によって実施されるフィルタ処理プロセスはまた、次のように一般化されることも可能である。
【0082】
R’(i,j)=R(i,j)+NN_filter_residual_ouput(R) (3)
ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300のループフィルタは、
図4Aのシステム170の構成要素と同様の構成要素を含み得る。NNベースのフィルタのモデル構造およびモデルパラメータは、事前定義されて、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300において記憶されることが可能である。追加的または代替的に、ビデオエンコーダ200は、NNベースのフィルタを表すデータをビットストリーム中でシグナリングし得る。
【0083】
[0090] 残差ブロック176がNNベースのフィルタを連結された成分に適用した後、残差ブロック178Aおよび178Bは、チャネル固有フィルタ処理を個々の色成分に適用し得、次いで、チャネル単位加算ユニット179A、179Bは、成分をそれぞれの色チャネルY、Cb、およびCrに分離し得る。
【0084】
[0091]
図4Bの例では、畳込みNNフィルタ182は、最初に、受信されたビデオデータのサンプルをフィルタ処理し得る。畳込みNNフィルタ182および畳込みNNフィルタ186は、3×3×K×K畳込みNNフィルタであり得る。残差ブロック180はまた、「残差処理ユニット」とも呼ばれ得る。ReLUレイヤ184は活性化関数(activation function)を提供し得、この活性化関数は、各サンプルにつき、サンプル値が0よりも大きいときはサンプル値自体を出力し、そうでないとき、入力サンプル値が0未満の場合はサンプル値として0を出力する。すなわち、ReLU活性化関数は、次のように要約され得る。
【0085】
【0086】
[0092] 畳込みNNフィルタ186は、次いで、ReLUレイヤ184からの結果的なサンプル値をフィルタ処理し、フィルタ処理されたサンプル値を合計ユニット188に提供し得る。合計ユニット188は、フィルタ処理されたサンプル値を、対応する入力サンプル値に加え得る。
【0087】
[0093] 本開示は、場合によっては、クロマブロックを対応するルーマブロックのサイズにアップサンプリングする結果として、ニューラルネットワークサイズが増大され計算複雑性が高まることがあると認識する。
【0088】
[0094]
図1のビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300、または
図2のビデオコーダ130は、本開示の技法により、次の技法のいずれかまたはすべてを、単独でまたは任意の組合せで実施するように構成され得る。概して、ビデオエンコーダ200、ビデオデコーダ300、およびビデオコーダ130は、最初に畳込みニューラルネットワーク(CNN)レイヤを色成分のいくつかまたはすべてに別々に適用して、色成分間でサイズを整合し得る。ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、出力ニューラル(またはテンソル)ブロックのサイズを、色成分のすべてのうちで最も小さいサイズの色成分ブロックのサイズに等しくなるように設定し得る。次いで、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、ジョイント畳込みNNレイヤを同じサイズのすべての成分に適用し得る。具体的および一般的である有用な適用例として、4:2:0色フォーマットのビデオシーケンスの場合、ルーマ成分ブロックは、水平方向と垂直方向の両方にストライド(stride)2の畳込みNNレイヤを使用してダウンサンプリングされる。畳込みNNレイヤの出力は、クロマ成分と同じブロックサイズを有し得る。次いで、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、ジョイント畳込みNNレイヤを、入力としてのすべての色成分のデータに適用し得る。
【0089】
[0095]
図5Aおよび
図5Bは、例示的なクワッドツリーバイナリツリー(QTBT)構造190と、対応するコーディングツリーユニット(CTU)192とを示す概念図である。実線はクワッドツリースプリッティングを表し、点線はバイナリツリースプリッティングを示す。バイナリツリーの各スプリット(すなわち、非リーフ)ノードでは、どのスプリッティングタイプ(すなわち、水平または垂直)が使用されるかを示すために1つのフラグがシグナリングされ、ここで、この例では、0は水平スプリッティングを示し、1は垂直スプリッティングを示す。クワッドツリースプリッティングでは、クワッドツリーノードが、ブロックを、等しいサイズをもつ4つのサブブロックに水平および垂直にスプリットするので、スプリッティングタイプを示す必要がない。したがって、QTBT構造190の領域ツリーレベル(すなわち、実線)についての(スプリッティング情報などの)シンタックス要素と、QTBT構造190の予測ツリーレベル(すなわち、破線)についての(スプリッティング情報などの)シンタックス要素とを、ビデオエンコーダ200は符号化し得、ビデオデコーダ300は復号し得る。QTBT構造190の端末リーフノードによって表されるCUについての、予測および変換データなどのビデオデータを、ビデオエンコーダ200は符号化し得、ビデオデコーダ300は復号し得る。
【0090】
[0096] 概して、
図5BのCTU192は、第1および第2のレベルにおいてQTBT構造190のノードに対応するブロックのサイズを定義するパラメータに関連付けられ得る。これらのパラメータは、(サンプル中のCTU192のサイズを表す)CTUサイズと、最小クワッドツリーサイズ(最小許容クワッドツリーリーフノードサイズを表すMinQTSize)と、最大バイナリツリーサイズ(最大許容バイナリツリールートノードサイズを表すMaxBTSize)と、最大バイナリツリー深度(最大許容バイナリツリー深度を表すMaxBTDepth)と、最小バイナリツリーサイズ(最小許容バイナリツリーリーフノードサイズを表すMinBTSize)とを含み得る。
【0091】
[0097] CTUに対応するQTBT構造のルートノードは、QTBT構造の第1のレベルにおいて4つの子ノードを有し得、それらの各々は、クワッドツリー区分に従って区分され得る。すなわち、第1のレベルのノードは、(子ノードを有しない)リーフノードであるか、または4つの子ノードを有するかのいずれかである。QTBT構造190の例は、分岐のために実線を有する親ノードと子ノードとを含むようなノードを表す。第1のレベルのノードが最大許容バイナリツリールートノードサイズ(MaxBTSize)よりも大きくない場合、ノードは、それぞれのバイナリツリーによってさらに区分され得る。1つのノードのバイナリツリースプリッティングは、スプリットから生じるノードが最小許容バイナリツリーリーフノードサイズ(MinBTSize)または最大許容バイナリツリー深度(MaxBTDepth)に達するまで反復され得る。QTBT構造190の例は、分岐のために破線を有するようなノードを表す。バイナリツリーリーフノードはコーディングユニット(CU)と呼ばれ、CUは、さらなる区分なしに予測(たとえば、ピクチャ内またはピクチャ間予測)および変換のために使用される。上記で説明されたように、CUは「ビデオブロック」または「ブロック」と呼ばれることもある。
【0092】
[0098] QTBT区分構造の一例では、CTUサイズは、128×128(ルーマサンプルおよび2つの対応する64×64クロマサンプル)として設定され、MinQTSizeは16×16として設定され、MaxBTSizeは64×64として設定され、(幅と高さの両方について)MinBTSizeは4として設定され、MaxBTDepthは4として設定される。クワッドツリー区分は、クワッドツリーリーフノードを生成するために、最初にCTUに適用される。クワッドツリーリーフノードは、16×16(すなわち、MinQTSize)から128×128(すなわち、CTUサイズ)までのサイズを有し得る。クワッドツリーリーフノードが128×128である場合、クワッドツリーリーフノードは、サイズがMaxBTSize(すなわち、この例では、64×64)を超えるので、バイナリツリーによってさらにスプリットされない。他の場合、クワッドツリーリーフノードは、バイナリツリーによってさらに区分され得る。したがって、クワッドツリーリーフノードはまた、バイナリツリーのためのルートノードであり、0としてのバイナリツリー深度を有する。バイナリツリー深度がMaxBTDepth(この例では4)に達したとき、さらなるスプリッティングは許可されない。MinBTSize(この例では、4)に等しい幅を有するバイナリツリーノードは、そのバイナリツリーノードのためにさらなる垂直スプリッティング(すなわち、幅の分割)が許可されないことを暗示する。同様に、MinBTSizeに等しい高さを有するバイナリツリーノードは、そのバイナリツリーノードのためにさらなる水平スプリッティング(すなわち、高さの分割)が許可されないことを暗示する。上述のように、バイナリツリーのリーフノードは、CUと呼ばれ、さらなる区分なしに予測および変換に従ってさらに処理される。
【0093】
[0099]
図6は、本開示の技法を実施し得る例示的なビデオエンコーダ200を示すブロック図である。
図6は、説明の目的で提供されており、本開示において広く例示され、説明される技法を限定するものと見なされるべきではない。説明の目的で、本開示は、ITU-T H.265/HEVCビデオコーディング規格および開発中のVVCビデオコーディング規格などのビデオコーディング規格のコンテキストにおいて、ビデオエンコーダ200について説明する。しかしながら、本開示の技法は、これらのビデオコーディング規格に限定されず、他のビデオ符号化および復号規格に一般に適用可能である。
【0094】
[0100]
図6の例では、ビデオエンコーダ200は、ビデオデータメモリ230と、モード選択ユニット202と、残差生成ユニット204と、変換処理ユニット206と、量子化ユニット208と、逆量子化ユニット210と、逆変換処理ユニット212と、再構築ユニット214と、フィルタユニット216と、復号ピクチャバッファ(DPB)218と、エントロピー符号化ユニット220とを含む。ビデオデータメモリ230と、モード選択ユニット202と、残差生成ユニット204と、変換処理ユニット206と、量子化ユニット208と、逆量子化ユニット210と、逆変換処理ユニット212と、再構築ユニット214と、フィルタユニット216と、DPB218と、エントロピー符号化ユニット220とのいずれかまたはすべては、1つまたは複数のプロセッサにおいてまたは処理回路において実装され得る。たとえば、ビデオエンコーダ200のユニットは、1つまたは複数の回路または論理要素として、ハードウェア回路の一部として、あるいはプロセッサ、ASICまたはFPGAの一部として実装され得る。その上、ビデオエンコーダ200は、これらおよび他の機能を実施するための追加または代替のプロセッサまたは処理回路を含み得る。
【0095】
[0101] ビデオデータメモリ230は、ビデオエンコーダ200の構成要素によって符号化されるべきビデオデータを記憶し得る。ビデオエンコーダ200は、たとえば、ビデオソース104(
図1)から、ビデオデータメモリ230に記憶されるビデオデータを受信し得る。DPB218は、ビデオエンコーダ200による後続のビデオデータの予測において使用するための参照ビデオデータを記憶する参照ピクチャメモリとして働き得る。ビデオデータメモリ230とDPB218とは、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)(SDRAM)を含むDRAM、磁気抵抗RAM(MRAM)、抵抗性RAM(RRAM(登録商標))、または他のタイプのメモリデバイスなど、様々なメモリデバイスのいずれかによって形成され得る。ビデオデータメモリ230とDPB218とは、同じメモリデバイスまたは別個のメモリデバイスによって提供され得る。様々な例では、ビデオデータメモリ230は、図示のように、ビデオエンコーダ200の他の構成要素とともにオンチップであるか、またはそれらの構成要素に対してオフチップであり得る。
【0096】
[0102] 本開示では、ビデオデータメモリ230への言及は、特にそのように説明されない限り、ビデオエンコーダ200の内部のメモリに限定されるものとして解釈されるべきではなく、または特にそのように説明されない限り、ビデオエンコーダ200の外部のメモリに限定されるものとして解釈されるべきではない。そうではなく、ビデオデータメモリ230への言及は、ビデオエンコーダ200が符号化のために受信するビデオデータ(たとえば、符号化されるべきである現在ブロックのためのビデオデータ)を記憶する参照メモリとして理解されるべきである。
図1のメモリ106はまた、ビデオエンコーダ200の様々なユニットからの出力の一時的記憶を提供し得る。
【0097】
[0103]
図6の様々なユニットは、ビデオエンコーダ200によって実施される動作を理解するのを支援するために示されている。ユニットは、固定機能回路、プログラマブル回路、またはそれらの組合せとして実装され得る。固定機能回路は、特定の機能を提供する回路を指し、実施され得る動作に関してプリセットされる。プログラマブル回路は、様々なタスクを実施するように、および実施され得る動作においてフレキシブルな機能を提供するようにプログラムされ得る回路を指す。たとえば、プログラマブル回路は、ソフトウェアまたはファームウェアの命令によって定義される様式でプログラマブル回路を動作させるソフトウェアまたはファームウェアを実行し得る。固定機能回路は、(たとえば、パラメータを受信するかまたはパラメータを出力するために)ソフトウェア命令を実行し得るが、固定機能回路が実施する動作のタイプは、概して不変である。いくつかの例では、ユニットのうちの1つまたは複数は、別個の回路ブロック(固定機能またはプログラマブル)であり得、いくつかの例では、1つまたは複数のユニットは、集積回路であり得る。
【0098】
[0104] ビデオエンコーダ200は、算術論理ユニット(ALU)、基本機能ユニット(EFU)、デジタル回路、アナログ回路、および/またはプログラマブル回路から形成されるプログラマブルコアを含み得る。ビデオエンコーダ200の動作が、プログラマブル回路によって実行されるソフトウェアを使用して実施される例では、メモリ106(
図1)は、ビデオエンコーダ200が受信し、実行するソフトウェアの命令(たとえば、オブジェクトコード)を記憶し得るか、またはビデオエンコーダ200内の別のメモリ(図示せず)が、そのような命令を記憶し得る。
【0099】
[0105] ビデオデータメモリ230は、受信されたビデオデータを記憶するように構成される。ビデオエンコーダ200は、ビデオデータメモリ230からビデオデータのピクチャを取り出し、ビデオデータを残差生成ユニット204とモード選択ユニット202とに提供し得る。ビデオデータメモリ230中のビデオデータは、符号化されるべきである生のビデオデータであり得る。
【0100】
[0106] モード選択ユニット202は、動き推定ユニット222と、動き補償ユニット224と、イントラ予測ユニット226とを含む。モード選択ユニット202は、他の予測モードに従ってビデオ予測を実施するための追加の機能ユニットを含み得る。例として、モード選択ユニット202は、パレットユニット、(動き推定ユニット222および/または動き補償ユニット224の一部であり得る)イントラブロックコピーユニット、アフィンユニット、線形モデル(LM)ユニットなどを含み得る。
【0101】
[0107] モード選択ユニット202は、概して、符号化パラメータの組合せと、そのような組合せについての得られたレートひずみ値とをテストするために、複数の符号化パスを協調させる。符号化パラメータは、CUへのCTUの区分、CUのための予測モード、CUの残差データのための変換タイプ、CUの残差データのための量子化パラメータなどを含み得る。モード選択ユニット202は、他のテストされた組合せよりも良好であるレートひずみ値を有する符号化パラメータの組合せを最終的に選択し得る。
【0102】
[0108] ビデオエンコーダ200は、ビデオデータメモリ230から取り出されたピクチャを一連のCTUに区分し、スライス内の1つまたは複数のCTUをカプセル化し得る。モード選択ユニット202は、上記で説明されたHEVCのQTBT構造またはクワッドツリー構造など、ツリー構造に従ってピクチャのCTUを区分し得る。上記で説明されたように、ビデオエンコーダ200は、ツリー構造に従ってCTUを区分することから1つまたは複数のCUを形成し得る。そのようなCUは、概して「ビデオブロック」または「ブロック」と呼ばれることもある。
【0103】
[0109] 概して、モード選択ユニット202はまた、現在ブロック(たとえば、現在CU、またはHEVCでは、PUとTUとの重複する部分)のための予測ブロックを生成するように、それの構成要素(たとえば、動き推定ユニット222、動き補償ユニット224、およびイントラ予測ユニット226)を制御する。現在ブロックのインター予測のために、動き推定ユニット222は、1つまたは複数の参照ピクチャ(たとえば、DPB218に記憶された1つまたは複数の前にコーディングされたピクチャ)中で1つまたは複数のぴったり一致する参照ブロックを識別するために動き探索を実施し得る。特に、動き推定ユニット222は、たとえば、絶対差分和(SAD)、2乗差分和(SSD)、平均絶対差(MAD)、平均2乗差(MSD)などに従って、現在ブロックに対して潜在的参照ブロックがどのくらい類似しているかを表す値を計算し得る。動き推定ユニット222は、概して、現在ブロックと考慮されている参照ブロックとの間のサンプルごとの差分を使用してこれらの計算を実施し得る。動き推定ユニット222は、現在ブロックに最もぴったり一致する参照ブロックを示す、これらの計算から得られた最も低い値を有する参照ブロックを識別し得る。
【0104】
[0110] 動き推定ユニット222は、現在ピクチャ中の現在ブロックの位置に対して参照ピクチャ中の参照ブロックの位置を定義する1つまたは複数の動きベクトル(MV)を形成し得る。動き推定ユニット222は、次いで、動きベクトルを動き補償ユニット224に提供し得る。たとえば、単方向インター予測では、動き推定ユニット222は、単一の動きベクトルを提供し得るが、双方向インター予測では、動き推定ユニット222は、2つの動きベクトルを提供し得る。動き補償ユニット224は、次いで、動きベクトルを使用して予測ブロックを生成し得る。たとえば、動き補償ユニット224は、動きベクトルを使用して参照ブロックのデータを取り出し得る。別の例として、動きベクトルが部分サンプル精度を有する場合、動き補償ユニット224は、1つまたは複数の補間フィルタに従って予測ブロックについての値を補間し得る。その上、双方向インター予測では、動き補償ユニット224は、それぞれの動きベクトルによって識別された2つの参照ブロックについてデータを取り出し、たとえば、サンプルごとの平均化または重み付き平均化を通して、取り出されたデータを組み合わせ得る。
【0105】
[0111] 別の例として、イントラ予測、またはイントラ予測コーディングのために、イントラ予測ユニット226は、現在ブロックに隣接しているサンプルから予測ブロックを生成し得る。たとえば、方向性モードでは、イントラ予測ユニット226は、概して、予測ブロックを生成するために、隣接サンプルの値を数学的に組み合わせ、現在ブロックにわたって定義された方向にこれらの計算された値をポピュレートし得る。別の例として、DCモードでは、イントラ予測ユニット226は、現在ブロックに対する隣接サンプルの平均を計算し、予測ブロックの各サンプルについてこの得られた平均を含むように予測ブロックを生成し得る。
【0106】
[0112] モード選択ユニット202は、予測ブロックを残差生成ユニット204に提供する。残差生成ユニット204は、ビデオデータメモリ230から現在ブロックの生のコーディングされていないバージョンを受信し、モード選択ユニット202から予測ブロックを受信する。残差生成ユニット204は、現在ブロックと予測ブロックとの間のサンプルごとの差分を計算する。得られたサンプルごとの差分は、現在ブロックのための残差ブロックを定義する。いくつかの例では、残差生成ユニット204はまた、残差差分パルスコード変調(RDPCM)を使用して残差ブロックを生成するために、残差ブロック中のサンプル値間の差分を決定し得る。いくつかの例では、残差生成ユニット204は、バイナリ減算を実施する1つまたは複数の減算器回路を使用して形成され得る。
【0107】
[0113] モード選択ユニット202がCUをPUに区分する例では、各PUは、ルーマ予測ユニットと、対応するクロマ予測ユニットとに関連付けられ得る。ビデオエンコーダ200とビデオデコーダ300とは、様々なサイズを有するPUをサポートし得る。上記で示されたように、CUのサイズは、CUのルーマコーディングブロックのサイズを指し得、PUのサイズは、PUのルーマ予測ユニットのサイズを指し得る。特定のCUのサイズが2N×2Nであると仮定すると、ビデオエンコーダ200は、イントラ予測のための2N×2NまたはN×NのPUサイズと、インター予測のための2N×2N、2N×N、N×2N、N×N、または同様のものの対称PUサイズとをサポートし得る。ビデオエンコーダ200とビデオデコーダ300とはまた、インター予測のための2N×nU、2N×nD、nL×2N、およびnR×2NのPUサイズの非対称区分をサポートし得る。
【0108】
[0114] モード選択ユニット202がCUをPUにさらに区分しない例では、各CUは、ルーマコーディングブロックと、対応するクロマコーディングブロックとに関連付けられ得る。上記のように、CUのサイズは、CUのルーマコーディングブロックのサイズを指し得る。ビデオエンコーダ200とビデオデコーダ300とは、2N×2N、2N×N、またはN×2NのCUサイズをサポートし得る。
【0109】
[0115] いくつかの例として、イントラブロックコピーモードコーディング、アフィンモードコーディング、および線形モデル(LM)モードコーディングなどの他のビデオコーディング技法では、モード選択ユニット202は、コーディング技法に関連付けられたそれぞれのユニットを介して、符号化されている現在ブロックのための予測ブロックを生成する。パレットモードコーディングなど、いくつかの例では、モード選択ユニット202は、予測ブロックを生成しない場合があり、代わりに、選択されたパレットに基づいてブロックを再構築すべき様式を示すシンタックス要素を生成し得る。そのようなモードでは、モード選択ユニット202は、符号化されるべきこれらのシンタックス要素をエントロピー符号化ユニット220に提供し得る。
【0110】
[0116] 上記で説明されたように、残差生成ユニット204は、現在ブロックのためのビデオデータと、対応する予測ブロックとを受信する。残差生成ユニット204は、次いで、現在ブロックのための残差ブロックを生成する。残差ブロックを生成するために、残差生成ユニット204は、予測ブロックと現在ブロックとの間のサンプルごとの差分を計算する。
【0111】
[0117] 変換処理ユニット206は、(本明細書では「変換係数ブロック」と呼ばれる)変換係数のブロックを生成するために、残差ブロックに1つまたは複数の変換を適用する。変換処理ユニット206は、変換係数ブロックを形成するために、残差ブロックに様々な変換を適用し得る。たとえば、変換処理ユニット206は、離散コサイン変換(DCT)、方向性変換、カルーネンレーベ変換(KLT)、または概念的に同様の変換を残差ブロックに適用し得る。いくつかの例では、変換処理ユニット206は、残差ブロックに複数の変換、たとえば、回転変換などの1次変換および2次変換を実施し得る。いくつかの例では、変換処理ユニット206は、残差ブロックに変換を適用しない。
【0112】
[0118] 量子化ユニット208は、量子化された変換係数ブロックを生成するために、変換係数ブロック中の変換係数を量子化し得る。量子化ユニット208は、現在ブロックに関連付けられた量子化パラメータ(QP)値に従って変換係数ブロックの変換係数を量子化し得る。ビデオエンコーダ200は(たとえば、モード選択ユニット202を介して)、CUに関連付けられたQP値を調整することによって、現在ブロックに関連付けられた変換係数ブロックに適用される量子化の程度を調整し得る。量子化は、情報の損失をもたらし得、したがって、量子化された変換係数は、変換処理ユニット206によって生成された元の変換係数よりも低い精度を有し得る。
【0113】
[0119] 逆量子化ユニット210および逆変換処理ユニット212は、変換係数ブロックから残差ブロックを再構築するために、それぞれ、量子化された変換係数ブロックに逆量子化および逆変換を適用し得る。再構築ユニット214は、再構築された残差ブロックと、モード選択ユニット202によって生成された予測ブロックとに基づいて、(潜在的にある程度のひずみを伴うが)現在ブロックに対応する再構築されたブロックを生成し得る。たとえば、再構築ユニット214は、再構築されたブロックを生成するために、モード選択ユニット202によって生成された予測ブロックからの対応するサンプルに、再構築された残差ブロックのサンプルを加算し得る。
【0114】
[0120] フィルタユニット216は、再構築されたブロックに対して1つまたは複数のフィルタ演算を実施し得る。たとえば、フィルタユニット216は、CUのエッジに沿ってブロッキネスアーティファクトを低減するためのデブロッキング動作を実施し得る。フィルタユニット216の動作は、いくつかの例では、スキップされ得る。フィルタユニット216は、本開示の様々な技法を実施するように構成され得、たとえば、色成分を最も小さい色成分サイズにサイズ変更し、次いで、サイズ変更された色成分に畳込みニューラルネットワーク(CNN)フィルタ232を適用するように構成され得る。
【0115】
[0121] 特に、フィルタユニット216は、クロマ成分を対応するルーマ成分のサイズにアップサンプリングするのではなく、CNNフィルタ232のうちの1つまたは複数を適用してルーマ成分のサイズをクロマ成分のうちの小さい方のサイズに縮小し得る。すなわち、フィルタユニット216は、第1のサイズを有するルーマ成分と、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するクロマ成分とを受信し得る。フィルタユニット216は、CNNフィルタ232の畳込みNNフィルタをルーマ成分に適用して、ルーマ成分を第2のサイズにダウンサンプリングし得る。フィルタユニット216は、クロマ成分をフィルタ処理して、フィルタ処理されたクロマ成分を形成し得る。フィルタユニット216は、次いで、ダウンサンプリングされたルーマ成分をフィルタ処理されたクロマ成分と連結して連結された色成分を形成し得、次いで、連結された色成分をフィルタ処理して、フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を含むフィルタ処理された連結された成分を形成し得る。さらに、フィルタユニット216は、第2のサイズのフィルタ処理されたルーマ成分をアップサンプリングして第1のサイズに戻した後で、ルーマ成分をDPB218に記憶し得る。
【0116】
[0122] 特に、第1の色成分と第2の色成分とは元々、別々のアレイまたは行列に記憶されているものであり得る。色成分を連結するために、フィルタユニット216は、個々の色成分の2倍の幅または2倍の高さの、単一のアレイまたは行列を形成し得る。フィルタユニット216は、次いで、第1の色成分のサンプルを、新たに形成されたアレイまたは行列の第1の領域に記憶し、第2の色成分のサンプルを、新たに形成されたアレイまたは行列の第2の近隣領域に記憶し得る。3つの色成分が使用されるときは(たとえば、ルーマ、青色相クロマ、および赤色相クロマ)、フィルタユニット216は、個々の色成分の3倍の幅または高さの、単一のアレイまたは行列を形成し、3つの色成分の各々のサンプルを、新たに形成されたアレイまたは行列のそれぞれの領域に記憶し得る。
【0117】
[0123] ビデオエンコーダ200は、再構築されたブロックをDPB218に記憶する。たとえば、フィルタユニット216の動作が必要とされない例では、再構築ユニット214は、再構築されたブロックをDPB218に記憶し得る。フィルタユニット216の動作が必要とされる例では、フィルタユニット216は、フィルタ処理された再構築されたブロックをDPB218に記憶し得る。動き推定ユニット222と動き補償ユニット224とは、後で符号化されるピクチャのブロックをインター予測するために、再構築(および潜在的にフィルタ処理)されたブロックから形成された参照ピクチャをDPB218から取り出し得る。さらに、イントラ予測ユニット226は、現在ピクチャ中の他のブロックをイントラ予測するために、現在ピクチャのDPB218中の再構築されたブロックを使用し得る。
【0118】
[0124] 概して、エントロピー符号化ユニット220は、ビデオエンコーダ200の他の機能構成要素から受信されたシンタックス要素をエントロピー符号化し得る。たとえば、エントロピー符号化ユニット220は、量子化ユニット208からの量子化された変換係数ブロックをエントロピー符号化し得る。別の例として、エントロピー符号化ユニット220は、モード選択ユニット202からの予測シンタックス要素(たとえば、インター予測のための動き情報、またはイントラ予測のためのイントラモード情報)をエントロピー符号化し得る。エントロピー符号化ユニット220は、エントロピー符号化データを生成するために、ビデオデータの別の例であるシンタックス要素に対して1つまたは複数のエントロピー符号化動作を実施し得る。たとえば、エントロピー符号化ユニット220は、コンテキスト適応型可変長コーディング(CAVLC)動作、CABAC動作、可変対可変(V2V)長コーディング動作、シンタックスベースコンテキスト適応型バイナリ算術コーディング(SBAC)動作、確率間隔区分エントロピー(PIPE)コーディング動作、指数ゴロム符号化動作、または別のタイプのエントロピー符号化動作をデータに対して実施し得る。いくつかの例では、エントロピー符号化ユニット220は、シンタックス要素がエントロピー符号化されないバイパスモードで動作し得る。
【0119】
[0125] ビデオエンコーダ200は、スライスまたはピクチャのブロックを再構築するために必要とされるエントロピー符号化シンタックス要素を含むビットストリームを出力し得る。特に、エントロピー符号化ユニット220がビットストリームを出力し得る。
【0120】
[0126] 上記で説明された動作は、ブロックに関して説明される。そのような説明は、ルーマコーディングブロックおよび/またはクロマコーディングブロックのための動作であるものとして理解されるべきである。上記で説明されたように、いくつかの例では、ルーマコーディングブロックおよびクロマコーディングブロックは、CUのルーマ成分およびクロマ成分である。いくつかの例では、ルーマコーディングブロックおよびクロマコーディングブロックは、PUのルーマ成分およびクロマ成分である。
【0121】
[0127] いくつかの例では、ルーマコーディングブロックに関して実施される動作は、クロマコーディングブロックのために繰り返される必要はない。一例として、ルーマコーディングブロックのための動きベクトル(MV)と参照ピクチャとを識別するための動作は、クロマブロックのためのMVと参照ピクチャとを識別するために繰り返される必要はない。むしろ、ルーマコーディングブロックのためのMVは、クロマブロックのためのMVを決定するためにスケーリングされ得、参照ピクチャは同じであり得る。別の例として、イントラ予測プロセスは、ルーマコーディングブロックおよびクロマコーディングブロックについて同じであり得る。
【0122】
[0128]
図7は、本開示の技法を実施し得る例示的なビデオデコーダ300を示すブロック図である。
図7は、説明の目的で提供されており、本開示において広く例示され、説明される技法を限定するものではない。説明の目的で、本開示は、VVCおよびHEVC(ITU-T H.265)の技法に従って、ビデオデコーダ300について説明する。しかしながら、本開示の技法は、他のビデオコーディング規格に構成されたビデオコーディングデバイスによって実施され得る。
【0123】
[0129]
図7の例では、ビデオデコーダ300は、コード化ピクチャバッファ(CPB)メモリ320と、エントロピー復号ユニット302と、予測処理ユニット304と、逆量子化ユニット306と、逆変換処理ユニット308と、再構築ユニット310と、フィルタユニット312と、復号ピクチャバッファ(DPB)314とを含む。CPBメモリ320と、エントロピー復号ユニット302と、予測処理ユニット304と、逆量子化ユニット306と、逆変換処理ユニット308と、再構築ユニット310と、フィルタユニット312と、DPB314とのいずれかまたはすべては、1つまたは複数のプロセッサにおいてまたは処理回路において実装され得る。たとえば、ビデオデコーダ300のユニットは、1つまたは複数の回路または論理要素として、ハードウェア回路の一部として、あるいはプロセッサ、ASICまたはFPGAの一部として実装され得る。その上、ビデオデコーダ300は、これらおよび他の機能を実施するための追加または代替のプロセッサまたは処理回路を含み得る。
【0124】
[0130] 予測処理ユニット304は、動き補償ユニット316と、イントラ予測ユニット318とを含む。予測処理ユニット304は、他の予測モードに従って予測を実施するための追加のユニットを含み得る。例として、予測処理ユニット304は、パレットユニット、(動き補償ユニット316の一部を形成し得る)イントラブロックコピーユニット、アフィンユニット、線形モデル(LM)ユニットなどを含み得る。他の例では、ビデオデコーダ300は、より多数の、より少数の、または異なる機能構成要素を含み得る。
【0125】
[0131] CPBメモリ320は、ビデオデコーダ300の構成要素によって復号されるべき、符号化ビデオビットストリームなどのビデオデータを記憶し得る。CPBメモリ320に記憶されるビデオデータは、たとえば、コンピュータ可読媒体110(
図1)から取得され得る。CPBメモリ320は、符号化ビデオビットストリームからの符号化ビデオデータ(たとえば、シンタックス要素)を記憶するCPBを含み得る。また、CPBメモリ320は、ビデオデコーダ300の様々なユニットからの出力を表す一時データなど、コード化ピクチャのシンタックス要素以外のビデオデータを記憶し得る。DPB314は、概して、ビデオデコーダ300が符号化ビデオビットストリームの後続のデータまたはピクチャを復号するときに出力しおよび/または参照ビデオデータとして使用し得る復号ピクチャを記憶する。CPBメモリ320およびDPB314は、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)(SDRAM)を含むDRAM、磁気抵抗RAM(MRAM)、抵抗性RAM(RRAM)、または他のタイプのメモリデバイスなど、様々なメモリデバイスのいずれかによって形成され得る。CPBメモリ320とDPB314とは、同じメモリデバイスまたは別個のメモリデバイスによって提供され得る。様々な例では、CPBメモリ320は、ビデオデコーダ300の他の構成要素とともにオンチップであるか、またはそれらの構成要素に対してオフチップであり得る。
【0126】
[0132] 追加または代替として、いくつかの例では、ビデオデコーダ300は、メモリ120(
図1)からコード化ビデオデータを取り出し得る。すなわち、メモリ120は、CPBメモリ320とともに上記で説明されたようにデータを記憶し得る。同様に、メモリ120は、ビデオデコーダ300の機能の一部または全部が、ビデオデコーダ300の処理回路によって実行されるべきソフトウェアにおいて実装されたとき、ビデオデコーダ300によって実行されるべき命令を記憶し得る。
【0127】
[0133]
図7に示されている様々なユニットは、ビデオデコーダ300によって実施される動作を理解するのを支援するために示されている。ユニットは、固定機能回路、プログラマブル回路、またはそれらの組合せとして実装され得る。
図6と同様に、固定機能回路は、特定の機能を提供する回路を指し、実施され得る動作に関してプリセットされる。プログラマブル回路は、様々なタスクを実施するように、および実施され得る動作においてフレキシブルな機能を提供するようにプログラムされ得る回路を指す。たとえば、プログラマブル回路は、ソフトウェアまたはファームウェアの命令によって定義される様式でプログラマブル回路を動作させるソフトウェアまたはファームウェアを実行し得る。固定機能回路は、(たとえば、パラメータを受信するかまたはパラメータを出力するために)ソフトウェア命令を実行し得るが、固定機能回路が実施する動作のタイプは、概して不変である。いくつかの例では、1つまたは複数のユニットは、別個の回路ブロック(固定機能またはプログラマブル)であり得、いくつかの例では、1つまたは複数のユニットは、集積回路であり得る。
【0128】
[0134] ビデオデコーダ300は、ALU、EFU、デジタル回路、アナログ回路、および/またはプログラマブル回路から形成されるプログラマブルコアを含み得る。ビデオデコーダ300の動作が、プログラマブル回路上で実行するソフトウェアによって実施される例では、オンチップまたはオフチップメモリは、ビデオデコーダ300が受信し、実行するソフトウェアの命令(たとえば、オブジェクトコード)を記憶し得る。
【0129】
[0135] エントロピー復号ユニット302は、CPBから符号化ビデオデータを受信し、シンタックス要素を再生するためにビデオデータをエントロピー復号し得る。予測処理ユニット304と、逆量子化ユニット306と、逆変換処理ユニット308と、再構築ユニット310と、フィルタユニット312とは、ビットストリームから抽出されたシンタックス要素に基づいて復号ビデオデータを生成し得る。
【0130】
[0136] 概して、ビデオデコーダ300は、ブロックごとにピクチャを再構築する。ビデオデコーダ300は、各ブロックに対して個々に再構築動作を実施し得る(ここで、現在再構築されているブロック、すなわち、現在復号されているブロックは、「現在ブロック」と呼ばれることがある)。
【0131】
[0137] エントロピー復号ユニット302は、量子化された変換係数ブロックの量子化された変換係数を定義するシンタックス要素、ならびに量子化パラメータ(QP)および/または(1つまたは複数の)変換モード指示などの変換情報をエントロピー復号し得る。逆量子化ユニット306は、量子化の程度と、同様に、逆量子化ユニット306が適用すべき逆量子化の程度とを決定するために、量子化された変換係数ブロックに関連付けられたQPを使用し得る。逆量子化ユニット306は、量子化された変換係数を逆量子化するために、たとえば、ビット単位の左シフト演算を実施し得る。逆量子化ユニット306は、それにより、変換係数を含む変換係数ブロックを形成し得る。
【0132】
[0138] 逆量子化ユニット306が変換係数ブロックを形成した後に、逆変換処理ユニット308は、現在ブロックに関連付けられた残差ブロックを生成するために、変換係数ブロックに1つまたは複数の逆変換を適用し得る。たとえば、逆変換処理ユニット308は、逆DCT、逆整数変換、逆カルーネンレーベ変換(KLT)、逆回転変換、逆方向変換、または別の逆変換を変換係数ブロックに適用し得る。
【0133】
[0139] さらに、予測処理ユニット304は、エントロピー復号ユニット302によってエントロピー復号された予測情報シンタックス要素に従って予測ブロックを生成する。たとえば、予測情報シンタックス要素が、現在ブロックがインター予測されることを示す場合、動き補償ユニット316は、予測ブロックを生成し得る。この場合、予測情報シンタックス要素は、参照ブロックをそれから取り出すべきDPB314中の参照ピクチャ、ならびに現在ピクチャ中の現在ブロックのロケーションに対する参照ピクチャ中の参照ブロックのロケーションを識別する動きベクトルを示し得る。動き補償ユニット316は、概して、動き補償ユニット224(
図6)に関して説明されたものと実質的に同様である様式で、インター予測プロセスを実施し得る。
【0134】
[0140] 別の例として、予測情報シンタックス要素が、現在ブロックがイントラ予測されることを示す場合、イントラ予測ユニット318は、予測情報シンタックス要素によって示されるイントラ予測モードに従って予測ブロックを生成し得る。この場合も、イントラ予測ユニット318は、概して、イントラ予測ユニット226(
図6)に関して説明されたものと実質的に同様である様式で、イントラ予測プロセスを実施し得る。イントラ予測ユニット318は、DPB314から、現在ブロックに対する隣接サンプルのデータを取り出し得る。
【0135】
[0141] 再構築ユニット310は、予測ブロックと残差ブロックとを使用して現在ブロックを再構築し得る。たとえば、再構築ユニット310は、現在ブロックを再構築するために、予測ブロックの対応するサンプルに残差ブロックのサンプルを加算し得る。
【0136】
[0142] フィルタユニット312は、再構築されたブロックに対して1つまたは複数のフィルタ演算を実施し得る。たとえば、フィルタユニット312は、再構築されたブロックのエッジに沿ってブロッキネスアーティファクトを低減するためのデブロッキング動作を実施し得る。フィルタユニット312の動作は、必ずしもすべての例において実施されるとは限らない。フィルタユニット312は、本開示の技法を適用するように構成され得、たとえば、色成分を最も小さい色成分サイズにサイズ変更し、次いで、サイズ変更された色成分に畳込みニューラルネットワーク(CNN)フィルタ322を適用するように構成され得る。
【0137】
[0143] 特に、フィルタユニット312は、クロマ成分を対応するルーマ成分のサイズにアップサンプリングするのではなく、CNNフィルタ322のうちの1つまたは複数を適用してルーマ成分のサイズをクロマ成分のうちの小さい方のサイズに縮小し得る。すなわち、フィルタユニット312は、第1のサイズを有するルーマ成分と、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するクロマ成分とを受信し得る。フィルタユニット312は、CNNフィルタ322の畳込みNNフィルタをルーマ成分に適用して、ルーマ成分を第2のサイズにダウンサンプリングし得る。フィルタユニット312は、クロマ成分をフィルタ処理して、フィルタ処理されたクロマ成分を形成し得る。フィルタユニット312は、次いで、ダウンサンプリングされたルーマ成分をフィルタ処理されたクロマ成分と連結して連結された色成分を形成し、次いで、連結された色成分をフィルタ処理して、フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を含むフィルタ処理された連結された成分を形成し得る。さらに、フィルタユニット312は、第2のサイズのフィルタ処理されたルーマ成分をアップサンプリングして第1のサイズに戻した後で、ルーマ成分をDPB218に記憶し得る。
【0138】
[0144] 特に、第1の色成分と第2の色成分とは元々、別々のアレイまたは行列に記憶されているものであり得る。色成分を連結するために、フィルタユニット312は、個々の色成分の2倍の幅または2倍の高さの、単一のアレイまたは行列を形成し得る。フィルタユニット312は、次いで、第1の色成分のサンプルを、新たに形成されたアレイまたは行列の第1の領域に記憶し、第2の色成分のサンプルを、新たに形成されたアレイまたは行列の第2の近隣領域に記憶し得る。3つの色成分が使用されるときは(たとえば、ルーマ、青色相クロマ、および赤色相クロマ)、フィルタユニット312は、個々の色成分の3倍の幅または高さの、単一のアレイまたは行列を形成し、3つの色成分の各々のサンプルを、新たに形成されたアレイまたは行列のそれぞれの領域に記憶し得る。
【0139】
[0145] ビデオデコーダ300は、再構築されたブロックをDPB314に記憶し得る。たとえば、フィルタユニット312の動作が実施されない例では、再構築ユニット310は、再構築されたブロックをDPB314に記憶し得る。フィルタユニット312の動作が実施される例では、フィルタユニット312は、フィルタ処理された再構築されたブロックをDPB314に記憶し得る。上記で説明されたように、DPB314は、イントラ予測のための現在ピクチャのサンプル、および後続の動き補償のための前に復号されたピクチャなど、参照情報を、予測処理ユニット304に提供し得る。その上、ビデオデコーダ300は、DPB314からの復号ピクチャを、
図1のディスプレイデバイス118などのディスプレイデバイス上での後続の提示のために、出力し得る。
【0140】
[0146]
図8は、本開示の技法による、ジョイント成分畳込みニューラルネットワーク(CNN)フィルタユニット330の例を示すブロック図である。
図8のCNNフィルタは、フィルタユニット216によって実行される
図6のCNNフィルタ232、または
図7のフィルタユニット312によって実行されるCNNフィルタ322に対応し得る。
【0141】
[0147] この例では、フィルタユニット330(たとえば、フィルタユニット216または312)は、CNNフィルタ332、334、340、342、および344と、連結ユニット336と、隠れレイヤ(hidden layer)338A~338N(隠れレイヤ338)と、チャネル加算器346、348、350とを含む。CNNフィルタ332は、水平方向と垂直方向の両方にストライド2の畳込みNN(CNN)レイヤを用いて、ルミナンス(ルーマ)成分をダウンサンプリングし得る。すなわち、CNNフィルタ332は、ストライド(2,2)の3×3×M畳込みNNレイヤフィルタをルーマ成分に適用し、次いで、PReLU活性化関数をルーマ成分のフィルタ処理されたサンプルに適用し得る。
【0142】
[0148] CNNフィルタ334は、次いで、クロミナンス成分(すなわち、CbおよびCr)をフィルタ処理し、また、PReLU活性化関数をクロマ成分のフィルタ処理されたサンプルに適用し得る。連結ユニット336は、次いで、ダウンサンプリングされたルーマ成分の結果的な出力をCNNフィルタ334の出力と連結して、連結された色成分を形成し得る。次いで、隠れレイヤ338は、連結された色成分を入力として使用し得る。最後のレイヤにおいて、CNNフィルタ340は、隠れレイヤ338からの出力をアップサンプリングし、次いで、アップサンプリングされたデータをCNNフィルタ340に供給して、ルーマ成分出力を生成し得る。同様に、CNNフィルタ342および344は、隠れレイヤ338の出力の対応するクロマ成分をフィルタ処理し得る。それぞれのチャネル加算器346、348、350は、連結された色成分をそれぞれのルーマ成分およびクロマ成分に分離し得る。
【0143】
[0149]
図8の隠れレイヤ338のブロックは、フィルタまたは関数の組合せであり得る。たとえば、隠れレイヤ338の各々のブロックは、畳込みNNフィルタとそれに加えて活性化関数とを含み得るか、または、
図9に示されるような残差処理ユニットであり得る。
【0144】
[0150]
図9は、例示的な残差処理ユニット360を示す概念図である。残差処理ユニット360は、
図8の隠れレイヤ338のブロックのうちの1つまたは複数に対応し得る。この例では、残差処理ユニット360は、第1の3×3×K×K畳込みレイヤ(convolution layer)362と、パラメトリック正規化線形ユニット(PReLU:parametric rectified linear unit)レイヤ364と、第2の3×3×K×K畳込みレイヤ366と、合計ユニット368とを含む。第1の3×3×K×K畳込みレイヤ362は、受信されたサンプルに第1のCNNフィルタを適用し得、PReLUレイヤ364は、フィルタ処理されたサンプルにPReLU活性化関数を適用し得、第2の3×3×K×K畳込みレイヤ366は、PReLUレイヤ364からのフィルタ処理されたサンプルに第2のCNNフィルタを適用し得る。最終的に、合計ユニット368は、フィルタ処理されたサンプルを、受信された入力サンプルと結合し得る。
【0145】
[0151]
図10は、本開示の技法による、ジョイント成分CNNフィルタユニット330’の別の例を示すブロック図である。
図10のCNNフィルタユニット330’は、
図6のフィルタユニット216によって実行されるCNNフィルタ232、または
図7のフィルタユニット312によって実行されるCNNフィルタ322に対応し得る。
【0146】
[0152]
図10の例示的なCNNフィルタユニット330’は、
図8のCNNフィルタユニット330と実質的に同様である。しかし、この例では、CNNフィルタユニット330’は、
図8のCNNフィルタユニット330のCNNフィルタ340の代わりに、ブロック結合ユニット370を含む。ブロック結合ユニット370は、最後の畳込みNNレイヤの出力である4つのN×Nブロックを結合することによって、隠れレイヤのセットによって出力される2N×2Nルーマブロックを形成し得、最後の畳込みNNレイヤはまた、水平方向と垂直方向の両方にストライド2の「ConvTranspose2d/De-convolution」演算であることも可能である。
【0147】
[0153]
図11は、本開示の技法による、現在ブロックを符号化するための例示的な方法を示すフローチャートである。現在ブロックは現在CUを備え得る。ビデオエンコーダ200(
図1および
図3)に関して説明されるが、他のデバイスが
図11の方法と同様の方法を実施するように構成され得ることを理解されたい。
【0148】
[0154] この例では、ビデオエンコーダ200は、最初に、現在ブロックを予測する(380)。たとえば、ビデオエンコーダ200は、現在ブロックのための予測ブロックを形成し得る。ビデオエンコーダ200は、次いで、現在ブロックのための残差ブロックを計算し得る(382)。残差ブロックを計算するために、ビデオエンコーダ200は、元のコーディングされていないブロックと、現在ブロックのための予測ブロックとの間の差分を計算し得る。ビデオエンコーダ200は、次いで、残差ブロックの係数を変換し、量子化し得る(384)。次に、ビデオエンコーダ200は、残差ブロックの量子化された変換係数を走査し得る(386)。走査中に、または走査に続いて、ビデオエンコーダ200は、係数をエントロピー符号化し得る(388)。たとえば、ビデオエンコーダ200は、CAVLCまたはCABACを使用して係数を符号化し得る。ビデオエンコーダ200は、次いで、ブロックのエントロピー符号化データを出力し得る(390)。
【0149】
[0155] ビデオエンコーダ200はまた、(たとえば、インターまたはイントラ予測モードで)現在ブロックの復号されたバージョンを後でコーディングされるデータのための参照データとして使用するために、現在ブロックを符号化した後で現在ブロックを復号し得る。したがって、ビデオエンコーダ200は、残差ブロックを再生するために、係数を逆量子化および逆変換し得る(392)。ビデオエンコーダ200は、復号されたブロックを形成するために、残差ブロックを予測ブロックと結合し得る(394)。
【0150】
[0156] 本開示の技法によれば、ビデオエンコーダ200は、復号されたブロックをフィルタ処理および精緻化し得る(396)。たとえば、ビデオエンコーダ200は、畳込みニューラルネットワークフィルタをたとえば使用して、ルミナンス成分をダウンサンプリングし得る。ビデオエンコーダ200はまた、クロミナンス成分をフィルタ処理し、次いで、ダウンサンプリングされたルーマ成分をフィルタ処理されたクロマ成分と連結し得る。ビデオエンコーダ200はさらに、連結された色成分をフィルタ処理して、フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を含むフィルタ処理された連結された成分を形成し得る。ビデオエンコーダ200はさらに、連結された色成分をフィルタ処理し、次いで、フィルタ処理されたルーマ成分をその元のサイズにアップサンプリングし得る。ビデオエンコーダ200は、次いで、フィルタ処理された復号されたブロックをDPB218に記憶し得る(398)。
【0151】
[0157] このようにして、
図11の方法は、復号されたビデオデータをフィルタ処理する方法の例を表し、この方法は、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用することと、ブロックの第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを第1の色成分に適用することが、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する;フィルタ処理された第2の色成分を形成するために、第2のサイズを有する第2の色成分をフィルタ処理することと;連結された色成分を形成するために、ダウンサンプリングされた第1の色成分をフィルタ処理された第2の色成分と連結することと;連結された色成分をフィルタ処理することとを含む。
【0152】
[0158]
図12は、本開示の技法による、現在ブロックを復号するための例示的な方法を示すフローチャートである。現在ブロックは、現在CUを備え得る。ビデオデコーダ300(
図1および
図4)に関して説明されるが、他のデバイスが
図12の方法と同様の方法を実施するように構成され得ることを理解されたい。
【0153】
[0159] ビデオデコーダ300は、エントロピー符号化予測情報、および現在ブロックに対応する残差ブロックの係数についてのエントロピー符号化データなど、現在ブロックについてのエントロピー符号化データを受信し得る(400)。ビデオデコーダ300は、現在ブロックのための予測情報を決定するために、および残差ブロックの係数を再生するために、エントロピー符号化データをエントロピー復号し得る(402)。ビデオデコーダ300は、現在ブロックのための予測ブロックを計算するために、たとえば、現在ブロックのための予測情報によって示されるイントラ予測またはインター予測モードを使用して、現在ブロックを予測し得る(404)。ビデオデコーダ300は、次いで、量子化された変換係数のブロックを作成するために、再生された係数を逆走査し得る(406)。ビデオデコーダ300は、次いで、残差ブロックを生成するために、量子化された変換係数を逆量子化し、逆変換し得る(408)。ビデオデコーダ300は、予測ブロックと残差ブロックとを組み合わせることによって、最終的に現在ブロックを復号し得る(410)。
【0154】
[0160] ビデオデコーダ300はまた、本開示の技法により上で論じられたように、畳込みNNフィルタをたとえば使用して、復号されたビデオデータをフィルタ処理し得る(412)。たとえば、ビデオデコーダ300は、畳込みニューラルネットワークフィルタをたとえば使用して、ルミナンス成分をダウンサンプリングし得る。ビデオデコーダ300はまた、クロミナンス成分をフィルタ処理し、次いで、ダウンサンプリングされたルーマ成分をフィルタ処理されたクロマ成分と連結し得る。ビデオデコーダ300はさらに、連結された色成分をフィルタ処理し得る。ビデオデコーダ300はさらに、連結された色成分をフィルタ処理し、次いで、フィルタ処理されたルーマ成分をその元のサイズにアップサンプリングし得る。ビデオデコーダ300は、次いで、フィルタ処理された復号されたブロックをDPB218に記憶し得る(414)。
【0155】
[0161] このようにして、
図12の方法は、復号されたビデオデータをフィルタ処理する方法の例を表し、この方法は、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用することと、ブロックの第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを第1の色成分に適用することが、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する;フィルタ処理された第2の色成分を形成するために、第2のサイズを有する第2の色成分をフィルタ処理することと;連結された色成分を形成するために、ダウンサンプリングされた第1の色成分をフィルタ処理された第2の色成分と連結することと;連結された色成分をフィルタ処理することとを含む。
【0156】
[0162]
図13は、本開示の技法による、復号されたビデオデータをフィルタ処理する例示的な方法を示すフローチャートである。ビデオエンコーダ200、ビデオデコーダ300、またはビデオコーダ130が、
図13の方法を実施し得る。例の目的で、
図13の方法は、ビデオデコーダ300に関して説明される。
【0157】
[0163] 最初に、ビデオデコーダ300は、ビデオデータを受信して復号し得る。復号されたビデオデータは、ルミナンス(ルーマ)成分と、2つのクロミナンス(クロマ)成分(たとえば、CbおよびCrデータ)とを含み得る。この例では、これらの成分の各々は異なるサイズを有すると仮定される。すなわち、ルーマ成分は第1のサイズを有し、第1のクロマ成分は第2のサイズを有し、第2のクロマ成分は第3のサイズを有し、第2のサイズは第1のサイズよりも小さく、第3のサイズは第2のサイズよりも小さいと仮定される。たとえば、ビデオデータは、この例では4:2:0フォーマットを有し得る。
【0158】
[0164] ビデオデコーダ300は、ダウンサンプリングCNNレイヤをルーマ成分に適用し(420)、第3のサイズを有するダウンサンプリングされたルーマ成分を生成し得る。ビデオデコーダ300はまた、ダウンサンプリングCNNレイヤ(または異なるダウンサンプリングCNNレイヤ)を第1のクロマ成分に適用し(422)、第3のサイズを有する第1のダウンサンプリングされたクロマ成分を生成し得る。ビデオデコーダ300は、次いで、CNNフィルタをたとえば使用して、第1のダウンサンプリングされたクロマ成分と第2のクロマ成分とをフィルタ処理し得る(424)。
【0159】
[0165] ビデオデコーダ300は、次いで、ルーマおよびクロマ成分を連結し(426)、連結された色成分を生成し得る。ビデオデコーダ300は、次いで、CNNフィルタ(
図8および
図10の隠れレイヤ338など)をたとえば使用して、連結された色成分をフィルタ処理し得る(428)。
【0160】
[0166] ビデオデコーダ300は、次いで、フィルタ処理された連結された色成分のルーマ成分を第1のサイズにアップサンプリングし(430)、フィルタ処理された連結された色成分の第1のクロマ成分を第2のサイズにアップサンプリングし得る(432)。ビデオデコーダ300は、次いで、成分をDPB314に記憶し、成分を出力し得る(434)。
【0161】
[0167] このようにして、
図13の方法は、復号されたビデオデータをフィルタ処理する方法の例を表し、この方法は、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用することと、ブロックの第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを第1の色成分に適用することが、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する;フィルタ処理された第2の色成分を形成するために、第2のサイズを有する第2の色成分をフィルタ処理することと;連結された色成分を形成するために、ダウンサンプリングされた第1の色成分をフィルタ処理された第2の色成分と連結することと;連結された色成分をフィルタ処理することとを含む。
【0162】
[0168]
図14は、本開示の技法による、復号されたビデオデータをフィルタ処理する例示的な方法を示すフローチャートである。ビデオエンコーダ200、ビデオデコーダ300、またはビデオコーダ130が、
図14の方法を実施し得る。例の目的で、
図14の方法は、ビデオデコーダ300に関して説明される。
【0163】
[0169] 最初に、ビデオデコーダ300は、ビデオデータを受信して復号し得る。復号されたビデオデータは、ルミナンス(ルーマ)成分と、2つのクロミナンス(クロマ)成分(たとえば、CbおよびCrデータ)とを含み得る。この例では、ルーマ成分は第1のサイズを有し、第1のクロマ成分および第2のクロマ成分は第2のサイズを有し、第2のサイズは第1のサイズよりも小さいと仮定される。たとえば、ビデオデータは、この例では4:2:0フォーマットまたは4:2:2フォーマットを有し得る。
【0164】
[0170] ビデオデコーダ300は、ダウンサンプリングCNNレイヤをルーマ成分に適用し(440)、第2のサイズを有するダウンサンプリングされたルーマ成分を生成し得る。ビデオデコーダ300は、次いで、CNNフィルタをたとえば使用して、第1のクロマ成分と第2のクロマ成分とをフィルタ処理し得る(442)。
【0165】
[0171] ビデオデコーダ300は、次いで、ルーマおよびクロマ成分を連結し(444)、連結された色成分を生成し得る。ビデオデコーダ300は、次いで、CNNフィルタ(
図8および
図10の隠れレイヤ338など)をたとえば使用して、連結された色成分をフィルタ処理し得る(446)。
【0166】
[0172] ビデオデコーダ300は、次いで、フィルタ処理された連結された色成分のルーマ成分を第1のサイズにアップサンプリングし得る(448)。ビデオデコーダ300は、次いで、成分をDPB314に記憶し、成分を出力し得る(450)。
【0167】
[0173] このようにして、
図14の方法は、復号されたビデオデータをフィルタ処理する方法の例を表し、この方法は、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用することと、ブロックの第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを第1の色成分に適用することが、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する;フィルタ処理された第2の色成分を形成するために、第2のサイズを有する第2の色成分をフィルタ処理することと;連結された色成分を形成するために、ダウンサンプリングされた第1の色成分をフィルタ処理された第2の色成分と連結することと;連結された色成分をフィルタ処理することとを含む。
【0168】
[0174] 本開示の技法のいくつかの例が、次の条項において要約される。
【0169】
[0175] 条項1:復号されたビデオデータをフィルタ処理する方法であって、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用することと、ブロックの第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを第1の色成分に適用することが、第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する;1つまたは複数の畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタ(convolutional neural network layer filter)を使用してダウンサンプリングされた第1の色成分をフィルタ処理することと;1つまたは複数の畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタを使用してビデオデータのブロックの第2の色成分をフィルタ処理することとを備える方法。
【0170】
[0176] 条項2:フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を第1のサイズにアップサンプリングすることをさらに備える、条項1に記載の方法。
【0171】
[0177] 条項3:第1のサイズを有するアップサンプリングされた第1の色成分(upsampled first color component)を生成するために、フィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを含む第1の色成分の2つ以上のフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを結合する(combine)ことをさらに備える、条項1に記載の方法。
【0172】
[0178] 条項4:第1のサイズが2N×2Nを備え、第1の色成分の2つ以上のフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックが、第1の色成分の4つのN×Nフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを備える、条項3に記載の方法。
【0173】
[0179] 条項5:ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤが、ストライド2の3×3×M畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタを備える、条項1から4のいずれかに記載の方法。
【0174】
[0180] 条項6:1つまたは複数の畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタが残差処理ユニットを備える、条項1から5のいずれかに記載の方法。
【0175】
[0181] 条項7:残差処理ユニットが、第1の3×3×K×K畳込みレイヤと、PReLUレイヤと、第2の3×3×K×K畳込みレイヤとを備える、条項6に記載の方法。
【0176】
[0182] 条項8:ダウンサンプリングされた第1の色成分を第2の色成分と連結することをさらに備える、条項1から7のいずれかに記載の方法。
【0177】
[0183] 条項9:1つまたは複数の畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタを使用してビデオデータのブロックの第3の色成分(third color component)をフィルタ処理することをさらに備える、条項1から8のいずれかに記載の方法。
【0178】
[0184] 条項10:第2のサイズが、第2の色成分のサイズと第3の色成分のサイズとのうちの小さい方を備える、条項9に記載の方法。
【0179】
[0185] 条項11:第1の色成分がルミナンス成分(luminance component)を備え、第2の色成分が青色相クロミナンス成分(blue hue chrominance component)と赤色相クロマクロミナンス成分(red hue chroma chrominance component)とのうちの一方を備える、条項1から10のいずれかに記載の方法。
【0180】
[0186] 条項12:ビデオデータを復号するためのデバイスであって、条項1から11のいずれかに記載の方法を実施するための1つまたは複数の手段を備えるデバイス。
【0181】
[0187] 条項13:1つまたは複数の手段が、回路中に実装された1つまたは複数のプロセッサを備える、条項12に記載のデバイス。
【0182】
[0188] 条項14:復号されたビデオデータを表示するように構成されたディスプレイをさらに備える、条項12に記載のデバイス。
【0183】
[0189] 条項15:カメラと、コンピュータと、モバイルデバイスと、ブロードキャスト受信機デバイスと、セットトップボックスとのうちの1つまたは複数を備える、条項12に記載のデバイス。
【0184】
[0190] 条項16:ビデオデータを記憶するように構成されたメモリをさらに備える、条項12に記載のデバイス。
【0185】
[0191] 条項17:命令を記憶したコンピュータ可読記憶媒体であって、命令が、実行されたときに条項1から11のいずれかに記載の方法をプロセッサに実施させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【0186】
[0192] 条項18:復号されたビデオデータをフィルタ処理する方法であって、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用することと、ブロックの第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを第1の色成分に適用することが、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する;フィルタ処理された第2の色成分を形成するために、第2のサイズを有する第2の色成分をフィルタ処理することと;連結された色成分を形成するために、ダウンサンプリングされた第1の色成分をフィルタ処理された第2の色成分と連結することと;連結された色成分をフィルタ処理することとを備える方法。
【0187】
[0193] 条項19:フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を第1のサイズにアップサンプリングすることをさらに備える、条項18に記載の方法。
【0188】
[0194] 条項20:第1のサイズを有するアップサンプリングされた第1の色成分を生成するために、フィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを含む第1の色成分の2つ以上のフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを結合することをさらに備える、条項18に記載の方法。
【0189】
[0195] 条項21:第1のサイズが2N×2Nを備え、第1の色成分の2つ以上のフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックが、第1の色成分の4つのN×Nフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを備える、条項20に記載の方法。
【0190】
[0196] 条項22:ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤが、ストライド2の3×3×M畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタを備える、条項18に記載の方法。
【0191】
[0197] 条項23:1つまたは複数の畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタが残差処理ユニットを備える、条項18に記載の方法。
【0192】
[0198] 条項24:残差処理ユニットが、第1の3×3×K×K畳込みレイヤと、PReLUレイヤと、第2の3×3×K×K畳込みレイヤとを備える、条項23に記載の方法。
【0193】
[0199] 条項25:1つまたは複数の畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタを使用してビデオデータのブロックの第3の色成分をフィルタ処理することをさらに備える、条項18に記載の方法。
【0194】
[0200] 条項26:第2のサイズが、第2の色成分のサイズと第3の色成分のサイズとのうちの小さい方を備える、条項25に記載の方法。
【0195】
[0201] 条項27:第1の色成分がルミナンス成分を備え、第2の色成分が青色相クロミナンス成分と赤色相クロマクロミナンス成分とのうちの一方を備える、条項18に記載の方法。
【0196】
[0202] 条項28:第2の色成分をフィルタ処理することが、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して第2の色成分をフィルタ処理することを備える、条項18に記載の方法。
【0197】
[0203] 条項29:連結された色成分をフィルタ処理することが、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して連結された色成分をフィルタ処理することを備える、条項18に記載の方法。
【0198】
[0204] 条項30:ビデオデータを復号するためのデバイスであって、ビデオデータを記憶するように構成されたメモリと、回路中に実装された1つまたは複数のプロセッサとを備え、1つまたは複数のプロセッサが、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用することと、ブロックの第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを第1の色成分に適用することが、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する;フィルタ処理された第2の色成分を形成するために、第2のサイズを有する第2の色成分をフィルタ処理することと;連結された色成分を形成するために、ダウンサンプリングされた第1の色成分をフィルタ処理された第2の色成分と連結することと;連結された色成分をフィルタ処理することとを行うように構成された、デバイス。
【0199】
[0205] 条項31:1つまたは複数のプロセッサが、フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を第1のサイズにアップサンプリングするようにさらに構成された、条項30に記載のデバイス。
【0200】
[0206] 条項32:1つまたは複数のプロセッサが、第1のサイズを有するアップサンプリングされた第1の色成分を生成するために、フィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを含む第1の色成分の2つ以上のフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを結合するようにさらに構成された、条項30に記載のデバイス。
【0201】
[0207] 条項33:第1のサイズが2N×2Nを備え、第1の色成分の2つ以上のフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックが、第1の色成分の4つのN×Nフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを備える、条項32に記載のデバイス。
【0202】
[0208] 条項34:ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤが、ストライド2の3×3×M畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタを備える、条項30に記載のデバイス。
【0203】
[0209] 条項35:1つまたは複数の畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタが残差処理ユニットを備える、条項30に記載のデバイス。
【0204】
[0210] 条項36:残差処理ユニットが、第1の3×3×K×K畳込みレイヤと、PReLUレイヤと、第2の3×3×K×K畳込みレイヤとを備える、条項35に記載のデバイス。
【0205】
[0211] 条項37:1つまたは複数のプロセッサが、1つまたは複数の畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタを使用してビデオデータのブロックの第3の色成分をフィルタ処理するようにさらに構成された、条項30に記載のデバイス。
【0206】
[0212] 条項38:第2のサイズが、第2の色成分のサイズと第3の色成分のサイズとのうちの小さい方を備える、条項37に記載のデバイス。
【0207】
[0213] 条項39:第1の色成分がルミナンス成分を備え、第2の色成分が青色相クロミナンス成分と赤色相クロマクロミナンス成分とのうちの一方を備える、条項30に記載のデバイス。
【0208】
[0214] 条項40:1つまたは複数のプロセッサが、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して第2の色成分をフィルタ処理するように構成された、条項30に記載のデバイス。
【0209】
[0215] 条項41:1つまたは複数のプロセッサが、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して連結された色成分をフィルタ処理するように構成された、条項30に記載のデバイス。
【0210】
[0216] 条項42:連結された色成分に対応するビデオデータを表示するように構成されたディスプレイをさらに備える、条項30に記載のデバイス。
【0211】
[0217] 条項43:カメラと、コンピュータと、モバイルデバイスと、ブロードキャスト受信機デバイスと、セットトップボックスとのうちの1つまたは複数を備える、条項30に記載のデバイス。
【0212】
[0218] 条項44:命令を記憶したコンピュータ可読記憶媒体であって、命令が、実行されたとき、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用することと、ブロックの第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを第1の色成分に適用することが、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する;フィルタ処理された第2の色成分を形成するために、第2のサイズを有する第2の色成分をフィルタ処理することと;連結された色成分を形成するために、ダウンサンプリングされた第1の色成分をフィルタ処理された第2の色成分と連結することと;連結された色成分をフィルタ処理することとをプロセッサに行わせる、コンピュータ可読記憶媒体。
【0213】
[0219] 条項45:フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を第1のサイズにアップサンプリングすることをプロセッサに行わせる命令をさらに備える、条項44に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0214】
[0220] 条項46:第1のサイズを有するアップサンプリングされた第1の色成分を生成するために、フィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを含む第1の色成分の2つ以上のフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを結合することをプロセッサに行わせる命令をさらに備える、条項44に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0215】
[0221] 条項47:第1のサイズが2N×2Nを備え、第1の色成分の2つ以上のフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックが、第1の色成分の4つのN×Nフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを備える、条項46に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0216】
[0222] 条項48:ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤが、ストライド2の3×3×M畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタを備える、条項44に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0217】
[0223] 条項49:1つまたは複数の畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタが、第1の3×3×K×K畳込みレイヤと、PReLUレイヤと、第2の3×3×K×K畳込みレイヤとを備える、条項44に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0218】
[0224] 条項50:1つまたは複数のプロセッサが、1つまたは複数の畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタを使用してビデオデータのブロックの第3の色成分をフィルタ処理するようにさらに構成された、条項44に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0219】
[0225] 条項51:第2のサイズが、第2の色成分のサイズと第3の色成分のサイズとのうちの小さい方を備える、条項50に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0220】
[0226] 条項52:第1の色成分がルミナンス成分を備え、第2の色成分が青色相クロミナンス成分と赤色相クロマクロミナンス成分とのうちの一方を備える、条項44に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0221】
[0227] 条項53:第2の色成分をフィルタ処理することをプロセッサに行わせる命令が、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して第2の色成分をフィルタ処理することをプロセッサに行わせる命令を備える、条項44に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0222】
[0228] 条項54:第2の色成分をフィルタ処理することをプロセッサに行わせる命令が、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して連結された色成分をフィルタ処理することをプロセッサに行わせる命令を備える、条項44に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0223】
[0229] 条項55:復号されたビデオデータをフィルタ処理するためのデバイスであって、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用するための手段と、ブロックの第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを第1の色成分に適用することが、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する;フィルタ処理された第2の色成分を形成するために、第2のサイズを有する第2の色成分をフィルタ処理するための手段と;連結された色成分を形成するために、ダウンサンプリングされた第1の色成分をフィルタ処理された第2の色成分と連結するための手段と;連結された色成分をフィルタ処理するための手段とを備えるデバイス。
【0224】
[0230] 条項56:第2の色成分をフィルタ処理するための手段が、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して第2の色成分をフィルタ処理するための手段を備える、条項55に記載のデバイス。
【0225】
[0231] 条項57:連結された色成分をフィルタ処理するための手段が、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して連結された色成分をフィルタ処理するための手段を備える、条項55に記載のデバイス。
【0226】
[0232] 条項58:復号されたビデオデータをフィルタ処理する方法であって、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用することと、ブロックの第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを第1の色成分に適用することが、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する;フィルタ処理された第2の色成分を形成するために、第2のサイズを有する第2の色成分をフィルタ処理することと;連結された色成分を形成するために、ダウンサンプリングされた第1の色成分をフィルタ処理された第2の色成分と連結することと;連結された色成分をフィルタ処理することとを備える方法。
【0227】
[0233] 条項59:フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を第1のサイズにアップサンプリングすることをさらに備える、条項58に記載の方法。
【0228】
[0234] 条項60:第1のサイズを有するアップサンプリングされた第1の色成分を生成するために、フィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを含む第1の色成分の2つ以上のフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを結合することをさらに備える、条項58に記載の方法。
【0229】
[0235] 条項61:第1のサイズが2N×2Nを備え、第1の色成分の2つ以上のフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックが、第1の色成分の4つのN×Nフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを備える、条項60に記載の方法。
【0230】
[0236] 条項62:ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤが、ストライド2の3×3×M畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタを備える、条項58から61のいずれかに記載の方法。
【0231】
[0237] 条項63:1つまたは複数の畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタが残差処理ユニットを備える、条項58から62のいずれかに記載の方法。
【0232】
[0238] 条項64:残差処理ユニットが、第1の3×3×K×K畳込みレイヤと、PReLUレイヤと、第2の3×3×K×K畳込みレイヤとを備える、条項63に記載の方法。
【0233】
[0239] 条項65:1つまたは複数の畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタを使用してビデオデータのブロックの第3の色成分をフィルタ処理することをさらに備える、条項58から64のいずれかに記載の方法。
【0234】
[0240] 条項66:第2のサイズが、第2の色成分のサイズと第3の色成分のサイズとのうちの小さい方を備える、条項65に記載の方法。
【0235】
[0241] 条項67:第1の色成分がルミナンス成分を備え、第2の色成分が青色相クロミナンス成分と赤色相クロマクロミナンス成分とのうちの一方を備える、条項58から66のいずれかに記載の方法。
【0236】
[0242] 条項68:第2の色成分をフィルタ処理することが、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して第2の色成分をフィルタ処理することを備える、条項58から67のいずれかに記載の方法。
【0237】
[0243] 条項69:連結された色成分をフィルタ処理することが、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して連結された色成分をフィルタ処理することを備える、条項58から68のいずれかに記載の方法。
【0238】
[0244] 条項70:ビデオデータを復号するためのデバイスであって、ビデオデータを記憶するように構成されたメモリと、回路中に実装された1つまたは複数のプロセッサとを備え、1つまたは複数のプロセッサが、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用することと、ブロックの第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを第1の色成分に適用することが、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する;フィルタ処理された第2の色成分を形成するために、第2のサイズを有する第2の色成分をフィルタ処理することと;連結された色成分を形成するために、ダウンサンプリングされた第1の色成分をフィルタ処理された第2の色成分と連結することと;連結された色成分をフィルタ処理することとを行うように構成された、デバイス。
【0239】
[0245] 条項71:1つまたは複数のプロセッサが、フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を第1のサイズにアップサンプリングするようにさらに構成された、条項70に記載のデバイス。
【0240】
[0246] 条項72:1つまたは複数のプロセッサが、第1のサイズを有するアップサンプリングされた第1の色成分を生成するために、フィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを含む第1の色成分の2つ以上のフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを結合するようにさらに構成された、条項70に記載のデバイス。
【0241】
[0247] 条項73:第1のサイズが2N×2Nを備え、第1の色成分の2つ以上のフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックが、第1の色成分の4つのN×Nフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを備える、条項72に記載のデバイス。
【0242】
[0248] 条項74:ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤが、ストライド2の3×3×M畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタを備える、条項70から73のいずれかに記載のデバイス。
【0243】
[0249] 条項75:1つまたは複数の畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタが残差処理ユニットを備える、条項70から74のいずれかに記載のデバイス。
【0244】
[0250] 条項76:残差処理ユニットが、第1の3×3×K×K畳込みレイヤと、PReLUレイヤと、第2の3×3×K×K畳込みレイヤとを備える、条項75に記載のデバイス。
【0245】
[0251] 条項77:1つまたは複数のプロセッサが、1つまたは複数の畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタを使用してビデオデータのブロックの第3の色成分をフィルタ処理するようにさらに構成された、条項70から76のいずれかに記載のデバイス。
【0246】
[0252] 条項78:第2のサイズが、第2の色成分のサイズと第3の色成分のサイズとのうちの小さい方を備える、条項77に記載のデバイス。
【0247】
[0253] 条項79:第1の色成分がルミナンス成分を備え、第2の色成分が青色相クロミナンス成分と赤色相クロマクロミナンス成分とのうちの一方を備える、条項70から78のいずれかに記載のデバイス。
【0248】
[0254] 条項80:1つまたは複数のプロセッサが、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して第2の色成分をフィルタ処理するように構成された、条項70から79のいずれかに記載のデバイス。
【0249】
[0255] 条項81:1つまたは複数のプロセッサが、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して連結された色成分をフィルタ処理するように構成された、条項70から80のいずれかに記載のデバイス。
【0250】
[0256] 条項82:連結された色成分に対応するビデオデータを表示するように構成されたディスプレイをさらに備える、条項70から81のいずれかに記載のデバイス。
【0251】
[0257] 条項83:カメラと、コンピュータと、モバイルデバイスと、ブロードキャスト受信機デバイスと、セットトップボックスとのうちの1つまたは複数を備える、条項70から82のいずれかに記載のデバイス。
【0252】
[0258] 条項84:命令を記憶したコンピュータ可読記憶媒体であって、命令が、実行されたとき、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用することと、ブロックの第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを第1の色成分に適用することが、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する;フィルタ処理された第2の色成分を形成するために、第2のサイズを有する第2の色成分をフィルタ処理することと;連結された色成分を形成するために、ダウンサンプリングされた第1の色成分をフィルタ処理された第2の色成分と連結することと;連結された色成分をフィルタ処理することとをプロセッサに行わせる、コンピュータ可読記憶媒体。
【0253】
[0259] 条項85:フィルタ処理されたダウンサンプリングされた第1の色成分を第1のサイズにアップサンプリングすることをプロセッサに行わせる命令をさらに備える、条項84に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0254】
[0260] 条項86:第1のサイズを有するアップサンプリングされた第1の色成分を生成するために、フィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを含む第1の色成分の2つ以上のフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを結合することをプロセッサに行わせる命令をさらに備える、条項84に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0255】
[0261] 条項87:第1のサイズが2N×2Nを備え、第1の色成分の2つ以上のフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックが、第1の色成分の4つのN×Nフィルタ処理されたダウンサンプリングされたブロックを備える、条項86に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0256】
[0262] 条項88:ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤが、ストライド2の3×3×M畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタを備える、条項84から87のいずれかに記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0257】
[0263] 条項89:1つまたは複数の畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタが、第1の3×3×K×K畳込みレイヤと、PReLUレイヤと、第2の3×3×K×K畳込みレイヤとを備える、条項84から88のいずれかに記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0258】
[0264] 条項90:1つまたは複数のプロセッサが、1つまたは複数の畳込みニューラルネットワークレイヤフィルタを使用してビデオデータのブロックの第3の色成分をフィルタ処理するようにさらに構成された、条項84から89のいずれかに記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0259】
[0265] 条項91:第2のサイズが、第2の色成分のサイズと第3の色成分のサイズとのうちの小さい方を備える、条項90に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0260】
[0266] 条項92:第1の色成分がルミナンス成分を備え、第2の色成分が青色相クロミナンス成分と赤色相クロマクロミナンス成分とのうちの一方を備える、条項84から91のいずれかに記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0261】
[0267] 条項93:第2の色成分をフィルタ処理することをプロセッサに行わせる命令が、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して第2の色成分をフィルタ処理することをプロセッサに行わせる命令を備える、条項84から92のいずれかに記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0262】
[0268] 条項94:第2の色成分をフィルタ処理することをプロセッサに行わせる命令が、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して連結された色成分をフィルタ処理することをプロセッサに行わせる命令を備える、条項84から93のいずれかに記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0263】
[0269] 条項95:復号されたビデオデータをフィルタ処理するためのデバイスであって、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤをビデオデータのブロックの第1の色成分に適用するための手段と、ブロックの第1の色成分が第1のサイズを有する、ここにおいて、ダウンサンプリング畳込みニューラルネットワークレイヤを第1の色成分に適用することが、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するダウンサンプリングされた第1の色成分を生成する;フィルタ処理された第2の色成分を形成するために、第2のサイズを有する第2の色成分をフィルタ処理するための手段と;連結された色成分を形成するために、ダウンサンプリングされた第1の色成分をフィルタ処理された第2の色成分と連結するための手段と;連結された色成分をフィルタ処理するための手段とを備えるデバイス。
【0264】
[0270] 条項96:第2の色成分をフィルタ処理するための手段が、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して第2の色成分をフィルタ処理するための手段を備える、条項95に記載のデバイス。
【0265】
[0271] 条項97:連結された色成分をフィルタ処理するための手段が、畳込みニューラルネットワークフィルタを使用して連結された色成分をフィルタ処理するための手段を備える、条項95および96のいずれかに記載のデバイス。
【0266】
[0272] 上記例に応じて、本明細書で説明された技法のいずれかのいくつかの行為またはイベントは、異なるシーケンスで実施され得、追加、マージ、または完全に除外され得る(たとえば、すべての説明された行為またはイベントが本技法の実践のために必要であるとは限らない)ことを認識されたい。その上、いくつかの例では、行為またはイベントは、連続的にではなく、たとえば、マルチスレッド処理、割込み処理、または複数のプロセッサを通して同時に実施され得る。
【0267】
[0273] 1つまたは複数の例では、説明された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せで実装され得る。ソフトウェアで実装される場合、機能は、1つまたは複数の命令またはコードとして、コンピュータ可読媒体上に記憶されるか、あるいはコンピュータ可読媒体を介して送信され、ハードウェアベースの処理ユニットによって実行され得る。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体などの有形媒体に対応するコンピュータ可読記憶媒体、または、たとえば、通信プロトコルに従って、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を可能にする任意の媒体を含む通信媒体を含み得る。このようにして、コンピュータ可読媒体は、概して、(1)非一時的である有形コンピュータ可読記憶媒体、あるいは(2)信号または搬送波などの通信媒体に対応し得る。データ記憶媒体は、本開示で説明された技法の実装のための命令、コードおよび/またはデータ構造を取り出すために、1つまたは複数のコンピュータまたは1つまたは複数のプロセッサによってアクセスされ得る、任意の利用可能な媒体であり得る。コンピュータプログラム製品はコンピュータ可読媒体を含み得る。
【0268】
[0274] 限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM(登録商標)、CD-ROMまたは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ、または他の磁気ストレージデバイス、フラッシュメモリ、あるいは、命令またはデータ構造の形態の所望のプログラムコードを記憶するために使用され得、コンピュータによってアクセスされ得る任意の他の媒体を備えることができる。また、いかなる接続もコンピュータ可読媒体と適切に呼ばれる。たとえば、命令が、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術は媒体の定義に含まれる。ただし、コンピュータ可読記憶媒体およびデータ記憶媒体は、接続、搬送波、信号、または他の一時的媒体を含まないが、代わりに非一時的有形記憶媒体を対象とすることを理解されたい。本明細書で使用されるディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(disc)(CD)、レーザーディスク(登録商標)(disc)、光ディスク(disc)、デジタル多用途ディスク(disc)(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク(disk)およびBlu-rayディスク(disc)を含み、ここで、ディスク(disk)は、通常、データを磁気的に再生し、ディスク(disc)は、データをレーザーで光学的に再生する。上記の組合せもコンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0269】
[0275] 命令は、1つまたは複数のデジタル信号プロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、あるいは他の等価な集積またはディスクリート論理回路など、1つまたは複数のプロセッサによって実行され得る。したがって、本明細書で使用される「プロセッサ」および「処理回路」という用語は、上記の構造、または本明細書で説明された技法の実装に好適な任意の他の構造のいずれかを指し得る。さらに、いくつかの態様では、本明細書で説明された機能は、符号化および復号のために構成された専用ハードウェアおよび/またはソフトウェアモジュール内に提供されるか、あるいは複合コーデックに組み込まれ得る。また、本技法は、1つまたは複数の回路または論理要素において十分に実装され得る。
【0270】
[0276] 本開示の技法は、ワイヤレスハンドセット、集積回路(IC)またはICのセット(たとえば、チップセット)を含む、多種多様なデバイスまたは装置において実装され得る。本開示では、開示される技法を実施するように構成されたデバイスの機能的態様を強調するために、様々な構成要素、モジュール、またはユニットが説明されたが、それらの構成要素、モジュール、またはユニットは、必ずしも異なるハードウェアユニットによる実現を必要とするとは限らない。むしろ、上記で説明されたように、様々なユニットが、好適なソフトウェアおよび/またはファームウェアとともに、上記で説明された1つまたは複数のプロセッサを含めて、コーデックハードウェアユニットにおいて組み合わせられるか、または相互動作可能なハードウェアユニットの集合によって提供され得る。
【0271】
[0277] 様々な例が説明された。これらおよび他の例は以下の特許請求の範囲内に入る。
【国際調査報告】