(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】ウエハ形状物品を処理するための装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
H01L21/304 651M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519603
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2021076836
(87)【国際公開番号】W WO2022069569
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510141648
【氏名又は名称】ラム・リサーチ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH AG
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴラー・アロイス
(72)【発明者】
【氏名】フックス・ロマン
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157BB22
5F157CB13
5F157CB14
5F157CB22
5F157CF34
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】ウエハ形状物品を処理するための装置であって、装置は、ウエハ形状物品を支持するように構成された支持体と、支持体によって支持されたウエハ形状物品を加熱するように構成された発光加熱要素のアレイを備える加熱アセンブリと、1体積%未満の酸素含有量を有する第1のガス、および第1のガスよりも少なくとも2体積%高い酸素含有量を有する第2のガスを発光加熱要素のアレイに供給するように構成されたガス供給機構とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ形状物品を処理するための装置であって、
ウエハ形状物品を支持するように構成された支持体と、
前記支持体によって支持されたウエハ形状物品を加熱するように構成された発光加熱要素のアレイを備える加熱アセンブリと、
1体積%未満の酸素含有量を有する第1のガス、および
前記第1のガスよりも少なくとも2体積%高い酸素含有量を有する第2のガス
を前記発光加熱要素のアレイに供給するように構成されたガス供給機構と
を備える、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記第2のガスは、前記第1のガスよりも少なくとも5体積%高い酸素含有量を有する、装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置であって、
前記第1のガスは、0.5体積%未満、または0.1体積%未満の酸素含有量を有する、装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の装置であって、
前記第1のガスは、不活性ガスである、装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の装置であって、
前記第1のガスは、窒素を含む、装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の装置であって、
前記第2のガスは、空気を含む、装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の装置であって、
前記装置は、前記装置によるウエハ形状物品の処理中に前記第1のガスを前記発光加熱要素のアレイに供給するように構成される、装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の装置であって、
前記装置は、ウエハ形状物品が前記装置によって処理されていないとき、前記第2のガスのみを前記発光加熱要素のアレイに供給するように構成される、装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の装置であって、
前記発光加熱要素は、LEDである、装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の装置であって、
前記装置は、液体を前記ウエハ形状物品の表面上に分配するための液体ディスペンサを備える、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、
前記装置は、前記液体が前記ウエハ形状物品の前記表面上に分配されていないとき、前記第2のガスのみを前記発光加熱要素のアレイに供給するように構成される、装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の装置であって、
前記発光加熱要素のアレイは、前記液体が分配される前記ウエハの前記表面と比較して、前記ウエハの反対側にある前記ウエハの表面を加熱するように配置される、装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の装置であって、
前記装置は、前記第2のガスが前記発光加熱要素のアレイに供給されている間、電力を前記発光加熱要素のアレイに供給するように構成される、装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の装置であって、
前記装置は、ウエハ形状物品が前記支持体によって支持されていないとき、前記第2のガスのみを前記発光加熱要素のアレイに供給するように構成される、装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の装置であって、
前記装置は、
前記装置によるウエハ形状物品の所定の処理期間が経過した後、前記第2のガスを前記発光加熱要素のアレイに供給し、かつ/または
所定の数のウエハ形状物品が前記装置によって処理された後、前記第2のガスを前記発光加熱要素のアレイに供給し、かつ/または
前記発光加熱要素のうちの1つまたは複数の出力が所定の量だけ低下したとき、または所定の値になったとき、前記第2のガスを前記発光加熱要素のアレイに供給し、かつ/または
所定のスケジュールに基づいて前記第2のガスを前記発光加熱要素のアレイに供給する
ように構成される、装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の装置であって、
前記ガス供給機構は、
前記第1のガスの供給源に接続された第1のガス経路と、
前記第2のガスの供給源に接続された第2のガス経路と
を備える、装置。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の装置であって、
前記ガス供給機構は、前記発光加熱要素のアレイへの前記第1のガスの前記供給および/または前記第2のガスの前記供給を制御するように構成された1つまたは複数の弁を備える、装置。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の装置であって、
前記ガス供給機構は、
前記第1のガスの供給源に接続するための第1の弁、および前記第1のガスを前記第1の弁から前記発光加熱要素のアレイに搬送するためのガス流路と、前記第2のガスの供給源に接続するための第2の弁、および前記第2のガスを前記第2の弁から前記発光加熱要素のアレイに搬送するためのガス流路、または
前記第1のガスの供給源および前記第2のガスの供給源に接続された多方弁、ならびに前記第1のガスおよび前記第2のガスを前記多方弁から前記発光加熱要素のアレイに搬送するためのガス流路、または
前記第1のガスの供給源に接続された第1のガス経路、前記第2のガスの供給源に接続された第2のガス経路、および前記第2のガス経路内の弁
を備える、装置。
【請求項19】
ウエハ形状物品を処理するための装置であって、
ウエハ形状物品を支持するように構成された支持体と、
前記支持体によって支持されたウエハ形状物品を加熱するように構成された発光加熱要素のアレイを備える加熱アセンブリと、
ガスを前記発光加熱要素のアレイに供給するように構成されたガス供給機構であって、前記ガス供給機構は、
第1のガスの供給源に接続された第1のガス経路、
第2のガスの供給源に接続された第2のガス経路、および
前記発光加熱要素のアレイへの前記第1のガスの供給および/または前記第2のガスの供給を制御するように構成された1つまたは複数の弁
を備えるガス供給機構と
を備える、装置。
【請求項20】
ウエハ形状物品を処理するための装置であって、
ウエハ形状物品を支持するように構成された支持体と、
前記支持体によって支持されたウエハ形状物品を加熱するように構成された発光加熱要素のアレイを備える加熱アセンブリと、
前記装置によるウエハ形状物品の処理中、1体積%超の酸素含有量を有するガスを前記発光加熱要素のアレイに供給するように構成されたガス供給機構と
を備える、装置。
【請求項21】
ウエハ形状物品を処理するための装置において発光加熱要素の出力を少なくとも部分的に回復する方法であって、前記装置は、
ウエハ形状物品を支持するように構成された支持体と、
前記支持体によって支持されたウエハ形状物品を加熱するように構成された発光加熱要素のアレイを備える加熱アセンブリと、
1体積%未満の酸素含有量を有する第1のガス、および
前記第1のガスよりも少なくとも2体積%高い酸素含有量を有する第2のガス
を前記発光加熱要素のアレイに供給するように構成されたガス供給機構と
を備え、
前記方法は、
前記ガス供給機構を使用して、前記第2のガスを前記発光加熱要素のアレイに供給すること
を含む、
方法。
【請求項22】
ウエハ形状物品を処理するための装置において発光加熱要素の劣化を抑制する方法であって、前記装置は、
ウエハ形状物品を支持するように構成された支持体と、
前記支持体によって支持されたウエハ形状物品を加熱するように構成された発光加熱要素のアレイを備える加熱アセンブリと、
ガスを前記発光加熱要素のアレイに供給するためのガス供給機構と
を備え、
前記方法は、
前記ガス供給機構を使用して、前記装置によるウエハ形状物品の処理中、1体積%超の酸素含有量を有するガスを前記発光加熱要素のアレイに供給すること
を含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ形状物品を処理するための装置に関する。本発明はまた、ウエハ形状物品を処理するための装置において、発光加熱要素の劣化を抑制する、または発光加熱要素の出力を少なくとも部分的に回復する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハは、エッチング、洗浄、研磨、および材料堆積などの様々な表面処理プロセスを受ける場合がある。そのようなプロセスを実施するために、ウエハは回転可能なチャック上に取り付けられ、それにより様々なプロセスをウエハの表面上で実施することができる。
【0003】
例えば、ウエハの表面は、イソプロピルアルコールまたは脱イオン水などの洗浄液またはリンス液をウエハの表面に適用することによって洗浄することが可能である。次に、ウエハの表面は、回転可能なチャックを使用してウエハをスピンさせ、ウエハを加熱して洗浄液またはリンス液を蒸発させることによって乾燥させることができる。そのような洗浄プロセスは、一般にスピン洗浄プロセスと呼ばれる。
【0004】
ウエハの表面を洗浄するために使用することができる装置の一例は、米国特許出願公開第2017/0345681号に記載されており、上記の開示の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
米国特許出願公開第2017/0345681号に記載されている装置は、その上にウエハを取り付け可能な回転可能なチャックと、ウエハが回転可能なチャックに取り付けられたときにウエハの上面に液体を分配するための液体ディスペンサとを含む。装置はまた、ウエハが回転可能なチャックに取り付けられたときにウエハの下に配置され、ウエハを加熱するように配置されたLED加熱要素のアレイを含む。液体がウエハの表面に分配された後、LED加熱要素のアレイが制御されてウエハを加熱し、液体を蒸発させる。
【0006】
ウエハの処理中、1つまたは複数の可燃性液体をウエハの表面に分配することが可能である。例えば、上述のように、スピン洗浄プロセスにおいてウエハの上面を洗浄するために、イソプロピルアルコールをウエハの上面に分配することができる。
【0007】
そのような可燃性液体では、LED加熱要素のアレイがウエハを加熱して液体を蒸発させるように制御される場合、火災または爆発の危険性が潜在的に存在する。特に、電気回路が電力をLED加熱要素のアレイに供給するために設けられている。可燃性液体が電気回路と接触すると、電気回路により可燃性液体が火災または爆発を引き起こす危険性がある。
【0008】
このような火災または爆発の危険性を低減するために、LED加熱要素のアレイを不活性雰囲気、例えば純粋な窒素の雰囲気において動作させることが知られている。これは、不活性ガスをLED加熱要素のアレイに供給するガス供給機構を設けることによって達成される。不活性雰囲気中では酸素が欠乏しており、これは、可燃性液体が電気回路に接触したとしても火災または爆発を防止することができることを意味する。
【発明の概要】
【0009】
本発明者らは、驚くべきことに、不活性雰囲気中でLED加熱要素のアレイのLEDを動作させると、経時的にLEDの光出力が劣化することを発見した。例えば、LEDの光出力は、不活性雰囲気中で長時間動作させた後にLEDの元の光出力の30%まで低下することが見出された。また、本発明者らは、不活性雰囲気中で長時間動作させた後にLEDの著しい脱色が起こることを観察した。
【0010】
LEDの光出力の劣化が生じる正確なプロセスは現在完全には理解されていないが、これは本発明にとって不可欠であるとは考えられていない。しかし、いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、LEDの光出力の劣化は、LEDが酸素を含まない(または少量の酸素しか含まない)不活性雰囲気中で動作する結果として生じると考えられる。
【0011】
例えば、本発明者らは、通常の雰囲気(例えば空気)中でLEDを動作させると、LEDの動作寿命全体にわたってLEDの光出力は10%未満しか低下しないことを観察した。したがって、大量の酸素を含む空気中では、LEDの光出力の同じ劣化は発生しない。
【0012】
本発明者らはさらに、驚くべきことに、LEDの動作中にLEDに通常の雰囲気(例えば空気)を供給することによって、LEDの光出力のこの劣化を実質的に元に戻すことができることを発見した。
【0013】
ここでもまた、LEDの光出力の劣化が元に戻る正確なプロセスは現在完全には理解されていないが、これは本発明にとって不可欠であるとは考えられていない。しかし、いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、LEDの光出力の劣化の回復は、LEDが不活性雰囲気の代わりに酸素を含む雰囲気中で動作する結果として生じると考えられる。
【0014】
したがって、最も一般的には、本発明は、発光加熱要素に不活性雰囲気よりも多くの酸素を含む雰囲気を提供することによって、不活性雰囲気(例えば、酸素を含まない、または酸素が非常に少ない雰囲気、例えば酸素が1体積%未満の雰囲気)中で動作することにより劣化した発光加熱要素の出力を改善することに関する。
【0015】
特に、発光加熱要素の出力の劣化は、発光加熱要素により多くの酸素を含む雰囲気を提供することによって少なくとも部分的に修復することができる。実際には、発光加熱要素はまた、劣化の修復を加速するために、より多くの酸素を含む雰囲気が提供されると同時に動作する。
本発明の第1の態様によれば、ウエハ形状物品を処理するための装置が提供され、装置は、
ウエハ形状物品を支持するように構成された支持体と、
支持体によって支持されたウエハ形状物品を加熱するように構成された発光加熱要素のアレイを備える加熱アセンブリと、
1体積%未満の酸素含有量を有する第1のガス、および
第1のガスよりも少なくとも2体積%高い酸素含有量を有する第2のガス
を発光加熱要素のアレイに供給するように構成されたガス供給機構と
を備える。
【0016】
したがって、本発明によれば、ガス供給機構は、ウエハ形状物品を処理する際、1体積%未満の酸素含有量を有する第1のガス(不活性ガス)を発光加熱要素に供給し、ウエハ形状物品を処理する際の火災または爆発の危険性を低減することができる。加えて、ガス供給機構は、より多くの酸素含有量を有する第2のガスを発光加熱要素に供給し、劣化した発光加熱要素の光出力を少なくとも部分的に回復することができる。
【0017】
したがって、本発明によれば、発光加熱要素の光出力は、第2のガスを発光加熱要素に供給することによって少なくとも部分的に回復させることができる。
【0018】
本発明の第1の態様による装置は、以下の任意選択の特徴のうちの任意の1つ、または互換性がある場合は任意の組み合わせを有してもよい。
【0019】
ガス供給機構は、第1のガスおよび第2のガスを発光加熱要素のアレイに交互に供給するように構成されてもよい。言い換えれば、ガス供給機構は、所与の時点で、第2のガスではなく第1のガス、または第1のガスではなく第2のガスを供給するように構成されてもよい。
【0020】
ガス供給機構は、少なくとも2つの異なる酸素含有量を有するガスを発光加熱要素のアレイに代替的に供給するように構成されてもよい。
【0021】
支持体は、ウエハを保持するように適合されたウエハホルダであってもよい。
【0022】
支持体は、チャックであってもよい。
【0023】
支持体は、回転可能であってもよい。例えば、支持体は、回転可能なチャックであってもよい。
【0024】
支持体は、ウエハの表面に実質的に垂直な支持体の回転軸に対してウエハを回転させるように構成されてもよい。
【0025】
支持体は、ウエハを受け取り、支持体に対して適所にしっかりとウエハを保持するように適合された機構を含んでもよい(例えば、クランプ、ねじ、真空ホルダ、複数の把持ピンなど)。
【0026】
支持体は、所定のサイズのウエハ、例えば300mmまたは450mmの直径を有するウエハを受け取るように適合されてもよい。
【0027】
支持体は、回転軸に対する支持体の回転を駆動するためのモータを含んでもよい。あるいは、支持体は、例えば磁気誘導を介して、外部駆動手段によって回転させられてもよい。
【0028】
ウエハ形状物品は、ウエハ、例えば半導体ウエハであってもよい。
【0029】
加熱アセンブリは、支持体によって支持されたウエハを加熱するように機能する。加熱アセンブリは、支持体によって支持されたウエハを照明するように配置された発光加熱要素のアレイを備える。
【0030】
発光加熱要素は、光を使用する放射加熱によってウエハを加熱する。
【0031】
「アレイ」という用語は、単に複数の発光加熱要素を意味する場合があり、発光加熱要素が特定の順序で配置されることを必ずしも意味するものではない。
【0032】
発光加熱要素のアレイは、ウエハが支持体によって受け取られる際、ウエハの方を向くように配置されてもよい。
【0033】
発光加熱要素のアレイは、処理(例えば洗浄、材料の堆積など)が実施されるウエハの第2の表面の反対側にある、ウエハの第1の表面の方を向くように配置されてもよい。
【0034】
発光加熱要素は、実質的に平面の表面上(例えば、回路基板などの基板上)に配置されてもよい。
【0035】
基板は、ウエハが回転可能なチャックによって受け取られる際、ウエハに実質的に平行になるように配置されてもよい。
【0036】
発光加熱要素は、平面の表面の上に実質的に均等に分散され、均一にウエハを照明してもよく、これによりウエハを均一に加熱することができる。
【0037】
発光加熱要素のアレイは、ウエハの面積と実質的に同じ面積、またはウエハの面積の10%以内の面積をカバーするように配置されてもよい。
【0038】
すべての発光加熱要素は、同じタイプであってもよい(例えば、発光加熱要素はすべて同じ特性を有してもよい)。
【0039】
一般に、発光加熱要素は、光を使用して放射加熱を実施する要素(または部分)である。
【0040】
発光加熱要素によって放出される光は、可視光であってもよい。
【0041】
支持体が回転可能である場合、加熱アセンブリは、支持体が回転軸を中心に回転するときに支持体と一緒に回転しないように、支持体に対して取り付けられてもよい。言い換えれば、発光加熱要素のアレイは、支持体が回転軸を中心に回転するときに静止したままであってもよいこれにより、発光加熱要素のアレイへの電気接続を容易に行うことが可能である。
【0042】
本明細書では、発光加熱要素とは、ウエハを加熱するのに適した波長で光を放出する光源を指すことができる。例えば、発光加熱要素は、380nm~650nmの波長範囲で最大強度を有する光を放出することが可能である。
【0043】
いくつかの実施形態では、発光加熱要素は、蛍光体を含んでもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、発光加熱要素のうちの1つまたは複数は、発光ダイオード(LED)であってもよい。すべての発光加熱要素が、LEDであってもよい。
【0045】
発光加熱要素は、同心円(加熱アセンブリの中心の周りに同心)上で加熱アセンブリに配置されてもよい。
【0046】
各同心円では、加熱要素は、異なるグループにまとめることができる。言い換えれば、それぞれの同心円における加熱要素は、その同心円の周りに均等に分散していなくてもよい。
【0047】
異なるグループの各々は、例えば16個の加熱要素など、同じ数の加熱要素を含んでもよい。
【0048】
発光加熱要素の異なるグループは、例えば、異なる電力が発光加熱要素の異なるグループに供給されることによって、および/または発光加熱要素の異なるグループが異なる時間に動作することによって、独立して制御されてもよい。
ガス供給機構は、
1体積%未満の酸素含有量を有する第1のガス、および
第1のガスよりも少なくとも2体積%高い酸素含有量を有する第2のガス
を発光加熱要素のアレイに供給するように構成される。
【0049】
ガス供給機構は、一度に第1および第2のガスのうちの一方だけを発光加熱要素のアレイに供給するように構成されてもよい。言い換えれば、ガス供給機構は、一度に第1のガスまたは第2のガスのいずれかを発光加熱要素のアレイに供給することができ、両方を同時に供給することはできない。
【0050】
ガス供給機構とは、ガスを発光加熱要素のアレイに供給するための任意の構成を意味し、例えば1つまたは複数の弁、およびパイプまたはチューブなどの1つまたは複数のガス流通路を含んでもよい。
【0051】
ガス供給機構は、第1のガスを含む第1の容器と、第2のガスを含む第2の容器とを備えてもよい。
【0052】
ガス供給機構は、第1のガスを含む第1の供給源に接続された第1のガスパイプと、第2のガスを含む第2の供給源に接続された第2のガスパイプとを備えてもよい。
【0053】
ガスを発光加熱要素のアレイに供給することは、ガスを発光加熱要素の周り、および/または発光加熱要素の外側に供給することを意味する。
【0054】
例えば、発光加熱要素のアレイは、チャンバ、ボリューム、またはスペースに含まれてもよく、ガスを発光加熱要素のアレイに供給することは、ガスを発光加熱要素のアレイを含むチャンバ、ボリューム、またはスペースに供給することを含んでもよい。
【0055】
第1のガスは、0.5体積%未満、または0.1体積%未満の酸素含有量を有してもよい。
【0056】
第1のガスは、不活性ガスであってもよい。不活性とは、ガスがウエハ形状物品の処理に使用される処理液に対して不活性であることを意味し得る。例えば、ガスは、イソプロピルアルコールに対して不活性であってもよい。
【0057】
第1のガスの酸素含有量は、燃焼には不十分であってもよい。例えば、第1のガスの酸素含有量は、イソプロピルアルコールの燃焼には不十分であってもよい。
【0058】
第1のガスは、窒素を含んでもよいし、または窒素、例えば純粋な窒素、もしくは任意の希ガス、例えばアルゴンであってもよい。
【0059】
第1のガスは、二酸化炭素を含むか、または二酸化炭素であってもよい。
【0060】
あるいは、第1のガスは、2体積%未満の酸素含有量を有してもよい。
【0061】
第1のガスは、可燃性物質と反応しないガスである。
【0062】
第2のガスは、第1のガスよりも少なくとも5体積%高い酸素含有量を有してもよい。
【0063】
第2のガスの酸素含有量は、2体積%超、または3体積%超、または4体積%超、または5体積%超であってもよい。第2のガスは、10体積%超、または15体積%超の酸素含有量を有してもよい。
【0064】
第2のガスは、空気を含むか、または空気、例えば超清浄乾燥空気であってもよい。
【0065】
第2のガスは、空気と1つまたは複数の他のガスの混合物、例えば空気と不活性ガスまたは希ガス、例えば窒素の混合物であってもよい。
【0066】
装置は、1つまたは複数のガス供給源によって供給される1つまたは複数のガスを一緒に混合することによって、第1のガスまたは第2のガスを発生させるように構成されてもよい。
【0067】
第1のガスを発光要素のアレイに供給することは、第1のガスのみが発光要素のアレイに供給されることを意味し得る。
【0068】
第2のガスを発光要素のアレイに供給することは、第2のガスのみが発光要素のアレイに供給されることを意味し得る。
【0069】
実際には、装置は、装置によるウエハ形状物品の処理中に第1のガスを発光加熱要素のアレイに供給するように構成される。例えば、ウエハ形状物品の処理は、イソプロピルアルコールなどの液体をウエハ形状物品の表面上に分配することと、ウエハ形状物品を加熱することとを含んでもよく、第1のガスは、イソプロピルアルコールなどの液体をウエハ形状物品の表面上に分配すると同時に、および/またはウエハ形状物品を加熱すると同時に発光加熱要素のアレイに供給されてもよい。プロセスシーケンスは、コントローラにプログラムすることができる。
【0070】
第1のガスは、好ましくは、ウエハ形状物品の処理中に発光加熱要素のアレイの周りに不活性雰囲気を提供する。
【0071】
実際には、装置は、ウエハ形状物品が装置によって処理されていないとき、第2のガスのみを発光加熱要素のアレイに供給するように構成される。特に、第2のガスはより多くの酸素を含むため、可燃性処理液がウエハ形状物品の処理中に使用される場合、火災または爆発の危険性がより高くなる。したがって、安全のために、ウエハ形状物品が処理されているときは第2のガスが発光加熱要素のアレイに供給されないことが好ましい。
【0072】
装置は、液体をウエハ形状物品の表面上に分配するための液体ディスペンサを備えてもよい。例えば、液体ディスペンサは、分配ノズルを有する回転可能な分配アームを備えることが可能である。液体は、イソプロピルアルコールなどの可燃性液体であってもよい。
【0073】
実際には、装置は、可燃性液体がウエハ形状物品の表面上に分配されていないとき、第2のガスのみを発光加熱要素のアレイに供給するように構成される。コントローラを設けて装置の動作を制御し、第2のガス(酸素含有ガス)が、可燃性液体がウエハ形状物品の表面上に分配されていないときにのみ供給されるようにすることができる。特に、第2のガスはより多くの酸素を含むため、可燃性処理液がウエハ形状物品の処理中に使用される場合、火災または爆発の危険性がより高くなる。
【0074】
発光加熱要素のアレイは、液体が分配されるウエハの表面と比較して、ウエハの反対側にあるウエハの表面を加熱するように配置されてもよい。
【0075】
装置は、第2のガスが発光加熱要素のアレイに供給されている間、電力を発光加熱要素のアレイに供給するように構成されてもよい。
【0076】
上述のように、第2のガスの雰囲気中にある間に電力を発光加熱要素のアレイに供給することは、発光加熱要素の出力の回復を著しく加速する。
【0077】
同じ電力が、発光加熱要素の各々に供給されてもよい。あるいは、異なる電力が異なる発光加熱要素に、または発光加熱要素の異なるグループに供給されてもよい。発光加熱要素に供給される電力は、ウエハ形状物品を処理するときに発光加熱要素に供給される電力よりも小さくてもよい。
【0078】
装置は、第2のガスが発光加熱要素のアレイに供給される間、電力を発光加熱要素に供給することと、電力を発光加熱要素に供給しないこととを交互に行ってもよい。
【0079】
装置は、ウエハ形状物品が支持体によって支持されていないとき、第2のガスのみを発光加熱要素のアレイに供給するように構成されてもよい。
【0080】
装置は、装置によるウエハ形状物品の所定の処理期間が経過した後、第2のガスを発光加熱要素のアレイに供給し、かつ/または、所定の数のウエハ形状物品が装置によって処理された後、第2のガスを発光加熱要素のアレイに供給し、かつ/または、発光加熱要素のうちの1つまたは複数の出力が所定の量だけ低下したとき、または所定の値になったとき、第2のガスを発光加熱要素のアレイに供給し、かつ/または、所定のスケジュールに基づいて第2のガスを発光加熱要素のアレイに供給するように構成されてもよい。
【0081】
あるいは、装置は、ウエハ形状物品が装置によって処理されるたび、第2のガスを発光加熱要素に供給するように構成されてもよい。これにより、発光加熱要素の重大な劣化が最初に発生するのを防止することができる。
【0082】
あるいは、装置は、第1のガスが発光加熱要素に供給されるたび、第2のガスを発光加熱要素に供給するように構成されてもよい。これにより、発光加熱要素の重大な劣化が最初に発生するのを防止することができる。
【0083】
ガス供給機構は、第1のガスの供給源に接続された第1のガス経路(またはガスライン)と、第2のガスの供給源に接続された第2のガス経路(またはガスライン)とを備えてもよい。
【0084】
ガス供給機構は、発光加熱要素のアレイへの第1のガスの供給および/または第2のガスの供給を制御するように構成された1つまたは複数の弁を備えてもよい。1つまたは複数の弁は、第1および第2のガスの両方の供給、または第2のガスのみの供給を制御してもよい。
【0085】
ガス供給機構は、第1のガスの供給源に接続するための第1の弁、および第1のガスを第1の弁から発光加熱要素のアレイに搬送するためのガス流路と、第2のガスの供給源に接続するための第2の弁、および第2のガスを第2の弁から発光加熱要素のアレイに搬送するためのガス流路とを備えてもよい。
【0086】
あるいは、ガス供給機構は、第1のガスの供給源および第2のガスの供給源に接続された多方弁、ならびに第1のガスおよび第2のガスを多方弁から発光加熱要素のアレイに搬送するためのガス流路を備えてもよい。例えば、多方弁は、三方弁であってもよい。多方弁は、例えば第1のガスから第2のガスに切り替えることによって、第1のガスを供給するように動作可能であり、また第2のガスを供給するようにも動作可能であり得る。したがって、第1および第2の弁の代わりに、単一の弁を使用して第1および第2のガスの供給を制御することが可能である。あるいは、ガス供給機構は、第1のガスの供給源に接続された第1のガス経路、第2のガスの供給源に接続された第2のガス経路、および第2のガス経路内の弁を備えてもよい。したがって、弁を閉じて第1のガスのみを供給するか、または弁を開いて第1および第2のガスの混合物を供給することができる。第1および第2のガスの混合物は、得られるガスが、第1のガス単独の酸素含有量よりも少なくとも2体積%多い酸素含有量を有するように制御され得る。したがって、第1および第2の弁の代わりに、単一の弁のみを第2のガス経路に設けることができる。
【0087】
ガス供給機構はまた、第1の弁に接続された第1のガスの容器を備えてもよい。ガス供給機構はまた、第2の弁に接続された第2のガスの容器を備えてもよい。
【0088】
1つまたは複数の弁は、装置のコントローラによって制御される電子弁であってもよい。例えば、ウエハの処理中、コントローラは、第1の弁を開いて第2の弁を閉じるように制御することが可能である。対照的に、発光加熱要素の出力を回復するとき、コントローラは、第1の弁を閉じて第2の弁を開くように制御することが可能である。
【0089】
第1のガスを第1の弁から発光加熱要素のアレイに搬送するためのガス流路、および第2のガスを第2の弁から発光加熱要素のアレイに搬送するためのガス流路は、それらの範囲の一部に沿って組み合わされ得る。例えば、これらの流路は、発光加熱要素の上流で単一の流路として組み合わされてもよい。例えば、これらの流路は、静止ポスト25内の単一の流路として組み合わされてもよい。
【0090】
本発明の第2の態様によれば、ウエハ形状物品を処理するための装置が提供され、装置は、ウエハ形状物品を支持するように構成された支持体と、支持体によって支持されたウエハ形状物品を加熱するように構成された発光加熱要素のアレイを備える加熱アセンブリと、ガスを発光加熱要素のアレイに供給するように構成されたガス供給機構であって、ガス供給機構は、第1のガスの供給源に接続された第1のガス経路、第2のガスの供給源に接続された第2のガス経路、および発光加熱要素のアレイへの第1のガスの供給および/または第2のガスの供給を制御するように構成された1つまたは複数の弁を備えるガス供給機構とを備える。
【0091】
本発明の第2の態様は、互換性がある場合、上述の本発明の第1の態様の特徴のいずれかを含むことができる。
【0092】
特に、第1のガスおよび第2のガスは、上述の第1および第2のガスの特徴のいずれかを有することができる。
【0093】
加えて、支持体、加熱アセンブリ、およびガス供給機構は、上述の支持体、加熱アセンブリ、およびガス供給機構の特徴のいずれかを有することができる。
【0094】
ガス供給機構は、第1のガス源に接続するための第1の弁、および第1のガスを第1の弁から発光加熱要素のアレイに搬送するためのガス流路と、第2のガス源に接続するための第2の弁、および第2のガスを第2の弁から発光加熱要素のアレイに搬送するためのガス流路とを備えてもよい。
【0095】
本発明の第1の態様では、発光加熱要素の劣化は、酸素を含まない、または酸素をほとんど含まない雰囲気中における発光加熱要素の動作により生じる。その後、劣化は、発光加熱要素に酸素をより多く含む雰囲気を提供することによって少なくとも部分的に修復される。
【0096】
本発明の第3の態様では、ウエハ形状物品の処理中、ガス雰囲気中における発光加熱要素の動作中に発光加熱要素の重大な劣化を防止するのに十分に高いが、可燃性処理液の火災または爆発の危険性を低減するのに十分に低い酸素含有量を有するガスが発光加熱要素に供給される。この場合、発光加熱要素の劣化を抑制することができるため、発光加熱要素の出力の回復は必要でなくてもよい。
【0097】
したがって、本発明の第3の態様によれば、ウエハ形状物品を処理するための装置が提供され、装置は、ウエハ形状物品を支持するように構成された支持体と、支持体によって支持されたウエハ形状物品を加熱するように構成された発光加熱要素のアレイを備える加熱アセンブリと、装置によるウエハ形状物品の処理中、1体積%超の酸素含有量を有するガスを発光加熱要素のアレイに供給するように構成されたガス供給機構とを備える。
【0098】
本発明の第3の態様は、互換性がある場合、上述の第1または第2の実施形態の特徴のいずれかを含むことができる。
【0099】
ガスは、2体積%超、または3体積%超、または4体積%超、または5体積%超の酸素含有量を有してもよい。
【0100】
ガスは、10体積%未満、または9体積%未満、または8体積%未満、または7体積%未満、または6体積%未満の酸素含有量を有してもよい。
【0101】
ガスの酸素含有量は、燃焼には不十分である場合があり、例えばイソプロピルアルコールの燃焼には不十分である。
【0102】
装置によるウエハ形状物品の処理中にガスを発光加熱要素に供給することは、ウエハが支持体によって支持されている間、および/または処理液がウエハ形状物品上に分配されている間にガスを発光加熱要素に供給することを意味し得る。
【0103】
支持体および加熱アセンブリは、上述の本発明の第1の態様の支持体および加熱アセンブリの特徴のいずれかを有することができる。
【0104】
ガス供給機構は、ガスの供給源に接続された流路を備えてもよい。
【0105】
ガス供給機構は、ガスの容器と、ガスを発光加熱要素に供給するため、またはガスの供給を停止するためのコントローラによって制御される電子弁とを備えてもよい。
【0106】
あるいは、ガス供給機構は、ガスの2つ以上の容器およびそれぞれの弁を備えてもよく、容器のうちの2つ以上からのガスは、混合されてガスを発生させる。例えば、容器の1つは、窒素を含んでもよく、別の容器は、酸素または空気などの酸素含有ガスを含んでもよく、これらのガスは一緒に混合され、発光要素のアレイに供給されるガスを発生させることができる。あるいは、多方弁が複数の弁の代わりに使用されてもよい。
【0107】
本発明の第4の態様によれば、装置において発光加熱要素の出力を少なくとも部分的に回復する方法が提供され、装置は、ウエハ形状物品を支持するように構成された支持体と、支持体によって支持されたウエハ形状物品を加熱するように構成された発光加熱要素のアレイを備える加熱アセンブリと、1体積%未満の酸素含有量を有する第1のガス、および第1のガスよりも少なくとも2体積%高い酸素含有量を有する第2のガスを発光加熱要素のアレイに供給するように構成されたガス供給機構とを備え、方法は、ガス供給機構を使用して、第2のガスを発光加熱要素のアレイに供給することを含む。
【0108】
装置は、上述の本発明の第1~第3の態様の装置の特徴のいずれかを有することができる。特に、支持体、加熱アセンブリ、およびガス供給機構は、上述の本発明の他の態様のいずれかの支持体、加熱アセンブリ、またはガス供給機構と同じであってもよい。
【0109】
方法は、上述の本発明の第1および第2の態様と同様に、装置を用いてウエハ形状物品を処理することなく、第2のガスを劣化した発光加熱要素に供給することを含んでもよい。この方法は、上述の本発明の第1および第2の態様の特徴のいずれかを有することができる。
【0110】
典型的には、方法はまた、電力を発光加熱要素のアレイに供給しながら、ガスを発光加熱要素に供給することを含む。
【0111】
方法は、ウエハ形状物品の処理中に第1のガスを発光加熱要素のアレイに供給することをさらに含んでもよい。
【0112】
本発明の第5の態様によれば、ウエハ形状物品を処理するための装置において発光加熱要素の劣化を抑制する方法が提供され、装置は、ウエハ形状物品を支持するように構成された支持体と、支持体によって支持されたウエハ形状物品を加熱するように構成された発光加熱要素のアレイを備える加熱アセンブリと、ガスを発光加熱要素のアレイに供給するためのガス供給機構とを備え、方法は、ガス供給機構を使用して、装置によるウエハ形状物品の処理中、1体積%超の酸素含有量を有するガスを発光加熱要素のアレイに供給することを含む。
【0113】
装置は、上述の本発明の第1~第3の態様の装置の特徴のいずれかを有することができる。特に、支持体、加熱アセンブリ、およびガス供給機構は、上述の本発明の他の態様のいずれかの支持体、加熱アセンブリ、またはガス供給機構と同じであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0114】
本発明の実施形態が、添付の図を参照して、例としてのみここで説明される。
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による装置の概略断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態で使用することができる加熱アセンブリの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態で使用することができるガス供給機構の第1の例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態で使用することができるガス供給機構の第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0115】
本発明の態様および実施形態が、添付の図を参照してここで説明される。さらなる態様および実施形態は、当業者には明らかであろう。本明細書で言及されたすべての文書は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0116】
図1は、本発明の第1の実施形態によるウエハ形状物品を処理するための装置1の概略断面図を示す。
図1では、半導体ウエハ3が、処理のために装置1に取り付けられる。
【0117】
装置1は、ウエハ3を受け取るように適合された回転可能なチャック5を含む。回転可能なチャック5は、例えば1つまたは複数の軸受を介してベース9上に回転可能に取り付けられたチャック本体7を含む。チャック本体7は、参照番号11によって示される回転軸を中心にベース9に対して回転可能である。ベース9に対するチャック本体7の回転は、例えば、コントローラ(図示せず)によってそれ自体が制御され得るモータ(図示せず)によって駆動することができる。
【0118】
チャック本体7は、ウエハ3を受け取り、適所にしっかりとウエハ3を保持するように適合された一組の把持ピン13を含む。このようにして、ウエハ3が把持ピン13を介して回転可能なチャック5上に取り付けられるとき、ウエハ3は、ベース9に対してチャック本体7を回転させることによって回転され得る。
【0119】
図1に示す構成では、把持ピン13は、適所にウエハ3を保持する把持力を加える。しかし、把持ピン13の代わりに、他の適切な機構が適所にウエハ3を保持するために使用されてもよい(例えば、クランプ、ねじ、吸引ホルダなど)。
【0120】
回転可能なチャック5は、チャック本体7上に取り付けられたプレート15をさらに含む。プレート15は、ベース9に対してチャック本体7と共に回転するように、例えば1つまたは複数のねじまたはボルトを介してチャック本体7に固定される。
図1に示すように、プレート15は、ウエハ3が回転可能なチャック5に取り付けられたときにウエハ3に実質的に平行になるように配置される。この実施形態では、プレート15は、例えば石英またはサファイアで作製された透明プレートである。
【0121】
装置1は、加熱アセンブリ17をさらに備える。この実施形態では、加熱アセンブリ17は、回転可能なチャック5に取り付けられたウエハ3を照明するように配置されたLED19のアレイを備える。LED19は、回転可能なチャック5によって受け取られたウエハ3を加熱するための発光加熱要素として機能する。
【0122】
この実施形態では、加熱アセンブリ17は、チャック本体7の内部に形成され、透明プレート15によって覆われたチャンバ、ボリューム、またはスペース内に収容される。
【0123】
この実施形態では、LED19は、380nm~650nmの波長範囲の光を放出するように配置される。例えば、LED19は、380nm~650nmの波長範囲で最大強度を有する光を放出することが可能である。そのような波長範囲は、半導体ウエハを加熱するのに適している。
【0124】
透明プレート15は、LED19によって放出される波長に対して実質的に透明であるように、すなわち、LED19によって放出される光のすべてまたは大部分が透明プレート15によって透過されるように構成される。
【0125】
加熱アセンブリ17は、プレート21をさらに備える。LED19のアレイはプレート21の上面に取り付けられ、プレート21はLED19のアレイに対するヒートシンクとして作用し、LED19によって生成された熱を放散する。例えば、プレート21は、アルミニウムなどの金属で作製することができる。LED19用の駆動回路(図示せず)を含む回路基板23は、プレート21の下面に設けられる。LED19のアレイと回路基板上の駆動回路との間の相互接続は、プレート21を通して行われる。
【0126】
プレート21は、静止ポスト25、すなわち回転しないポスト上に取り付けられる。静止ポスト25は、チャック本体7と共に回転しないように、チャック本体7に接続されていない。プレート21は、透明プレート15に実質的に平行である。
【0127】
LED19のアレイは、ウエハが回転可能なチャック5に取り付けられたとき、ウエハ3の方を向くように配置される。
図1に示すように、ウエハ3が回転可能なチャック5に取り付けられると、透明プレート15は、LED19のアレイとウエハ3との間に位置する。したがって、LED19のアレイによって放出された光は、透明プレート15によって透過され、ウエハ3に衝突してウエハ3を加熱することができる。透明プレート15は、ウエハ3が回転可能なチャック5に取り付けられたとき、LED19のアレイをウエハ3上で実施されるプロセスから保護するように機能し得る。
【0128】
LED19のアレイは、ウエハ3の第2の表面29の反対側にあるウエハ3の第1の表面27を照明するように配置される。ウエハ3の第2の表面29は、プロセス(例えば、エッチング、材料の堆積、洗浄)がウエハ3の第2の表面29上で実施することができるように露出される。
【0129】
LED19のアレイは、回転可能なチャック5の回転軸11を中心に実質的に対称に配置され得る。このようにして、LED19のアレイは、回転軸11を中心に実質的に対称的にウエハを照明することができる。
【0130】
装置1は、例えば第2の表面29を洗浄するために、ウエハ3の第2の表面29上に液体を分配するための液体ディスペンサをさらに備える。この実施形態では、液体ディスペンサは、放出ノズル33を有するアーム31を含む。アーム31には、ウエハ3の第2の表面29上に放出ノズル33を通って下方に放出されるプロセス液および/またはリンス液が供給される。
【0131】
アーム31はスイングアーム31であり、これは放出ノズル33が位置するアーム31の端部とは反対側のアーム31の端部に枢動可能に取り付けられているため、アーム31は枢軸取付部を中心に回転し、ウエハ3の第2の表面29に対する放出ノズル33の位置を変更することができる。特に、枢軸取付部を中心にアーム31を回転させることによって、ウエハ3の第2の表面29に対する放出ノズル33の半径方向の位置は、例えばウエハ3の第2の表面29の中心に位置する第1の位置と、ウエハ3の外周縁の半径方向外側に位置する第2の位置との間で変更することが可能である。放出ノズル33は、ウエハ3の第2の表面29の上で円弧状に移動される。
【0132】
上述の液体ディスペンサの構成は、回転可能なチャック5によるウエハ3の回転と共に、ウエハ3を回転させながらアーム31を第2の表面29の中心から第2の表面29の縁部に枢動させることによって、ウエハ3の第2の表面29全体にわたって液体を分配するように液体ディスペンサを動作させることができることを意味する。
【0133】
もちろん、他の実施形態では、他の適切な液体ディスペンサがこの特定の液体ディスペンサの代わりに使用されてもよい。
【0134】
本発明の一実施形態における加熱アセンブリ17の例示的な構成が、
図2に示されている。
【0135】
図2に示すように、LED19は、加熱アセンブリ17の中心の周りの同心リング上に配置される。LED19の配置は、加熱アセンブリ17の中心の周りで回転対称である。
【0136】
所与の同心リング内において、LED19はグループ35にまとめられ、例えば各グループ35に16個のLED19を有する。言い換えれば、所与の同心リング内のLED19は、同心リングの周りに均等に分散されていない。LED19のグループ35の各々への電力は、独立して制御することができる。
【0137】
この例では、LED19の20個の同心リングが存在するが、もちろん他の実施形態では、同心リングの数は異なっていてもよい。
【0138】
図2では、加熱アセンブリ17は4つの象限37に分割され、これらはコネクタ39によって共に結合される。
【0139】
各LEDは、10Wの電力消費を有し、3Wの電力を供給することができる。
【0140】
もちろん、加熱アセンブリ17は、
図2に示したものとは異なるものであってもよい。特に、加熱アセンブリ17におけるLEDの配置は、本発明にとって不可欠ではない。
【0141】
本発明の装置1は、液体ディスペンサを使用してイソプロピルアルコールなどの洗浄液をウエハ3の第2の表面29に適用することによって、ウエハ3の第2の表面29を洗浄するために使用することができる。次に、ウエハ3の第2の表面29は、チャック本体7を用いてウエハ3をスピンさせ、LED19を用いてウエハ3を加熱して洗浄液またはリンス液を蒸発させることによって乾燥させることができる。そのような洗浄プロセスは、一般にスピン洗浄プロセスと呼ばれる。
【0142】
装置1によるウエハ3の処理中、1つまたは複数の可燃性液体が、放出ノズル33によってウエハ3の第2の表面29上に分配され得る。例えば、ウエハ3のスピン洗浄では、可燃性イソプロピルアルコールがウエハ3の第2の表面29上に分配されてもよい。
【0143】
上述のように、透明プレート15は、ウエハ3と加熱アセンブリ17との間に設けられ、加熱アセンブリ17がそのような処理液と接触するのを防止する。しかし、処理液の一部が、例えば透明プレート15とチャック本体7との間の接触面積に沿って、または透明プレート15に形成された1つまたは複数の取り付け穴を通って浸透することによって、チャック本体7の内部に浸透する可能性が依然として存在する。したがって、処理液の一部が、チャック本体7の内部に位置する加熱アセンブリ17と接触する可能性が依然として存在する。
【0144】
上述のように、加熱アセンブリ17は、プレート21の下面に設けられたLED19用の駆動回路を含む回路基板23を含む。可燃性処理液が回路基板23と接触する場合、可燃性液体の火災または爆発の潜在的な危険性が存在する。
【0145】
この危険性を除去または大幅に低減するために、加熱アセンブリ17の周りに不活性雰囲気を提供することが知られており、それにより可燃性処理液が回路基板23と接触した場合に火災または爆発の危険性はないか、または危険性が大幅に低減される。
【0146】
特に、純粋な窒素ガス(N2)を加熱アセンブリ17を囲むスペースに供給し、LED19および回路基板23が純粋な窒素ガスによって囲まれるようにすることが知られている。LED19および回路基板23の周りの雰囲気中に酸素が存在しないことにより、可燃性処理液が回路基板23と接触した場合の火災または爆発の危険性が低減される。
【0147】
特に、加熱アセンブリ17は、チャック本体7の内面および透明プレート15の底面によって形成されたチャンバ34内に実質的に取り囲まれる。純粋な窒素ガスをチャンバ34に供給することで、加熱アセンブリ17を囲むチャンバ34内における不活性雰囲気が存在するようにすることが可能である。
【0148】
例えば、ガス供給通路をチャンバ34に出口を有する静止ポスト25に設けることで、窒素ガスを静止ポスト25を通してチャンバ34に供給することができるようになる。しかし、ガス供給通路は代わりに別の場所に設けられてもよい。
【0149】
チャンバ34からチャンバ34の外側への1つまたは複数のガス出口を設けることで、チャンバ内へのガス流および1つまたは複数のガス出口からのガス流が存在するようにすることが可能である。
【0150】
本発明者らは、そのような不活性雰囲気中でLED19を動作させると、驚くべきことに、経時的にLED19の光出力が低下することを発見した。例えば、LED19の光出力は、不活性雰囲気中でLED19を長時間動作させた後、元の値の30%まで低下することが観察された。LEDの光出力の低下は、ウエハ3の加熱における対応する低下を引き起こし、したがってウエハ3の乾燥の有効性における対応する低下を引き起こす。対照的に、本発明者らは、通常の雰囲気(例えば空気)中でLED19を動作させると、LED19の寿命全体(はるかに長い期間)にわたってLED19の光出力は10%未満しか低下しないことを観察した。
【0151】
不活性雰囲気中におけるLED19の動作中のLED19の光出力の低下に伴うLED19の色の変化もまた、本発明者らによって観察された。
【0152】
本発明者らはさらに、LED19の光出力のこの劣化は、一定期間にわたって通常の雰囲気(例えば空気)中で劣化したLED19を動作させることによって、少なくとも部分的に元に戻すことができることを発見した。特に、本発明者らは、一定期間にわたって通常の雰囲気(例えば空気)中で劣化したLED19を動作させることによって、LEDの光出力を元の値に近い値、例えば元の値の1%以内に戻すことができることを見出した。
【0153】
したがって、本発明による装置1は、不活性ガス(酸素を含まないかまたは低レベルの酸素を含むガス)をチャンバ34に供給し、かつ非不活性ガス(酸素含有ガス)をチャンバ34に供給するように配置されたガス供給機構を含む。
【0154】
本発明におけるガス供給機構の一例が、
図3に示される。
図3に示すように、ガス供給機構41は、第1のガスを含む第1の容器43と、第2のガスを含む第2の容器45とを含む。
【0155】
第1の容器43内の第1のガスは、不活性ガス(酸素を含まないかまたは低レベルの酸素を含むガス)である。この実施形態では、第1のガスは、純粋な窒素である。しかし、他の実施形態では、異なる不活性ガスが窒素の代わりに使用されてもよい。
【0156】
第2の容器45内の第2のガスは、第1のガスよりも多くの酸素を含むガス(非不活性ガス)である。この実施形態では、第2のガスは、超清浄乾燥空気(XCDA)である。しかし、他の実施形態では、異なる酸素含有ガスが空気またはXCDAの代わりに使用されてもよい。
【0157】
ガス供給機構は、第1の容器43に接続された第1の弁47と、第2の容器43に接続された第2の弁49とをさらに備える。
【0158】
第1および第2の弁47および49は、コントローラによって制御されることで、開いてそれぞれ第1または第2のガスの流れを可能にし、かつ閉じてそれぞれ第1または第2のガスの流れを遮断することができる電子弁である。
【0159】
ガス供給機構41は、第1の容器43から第1の弁47を通過してチャンバ34の内部に至る第1のガス流路51と、第2の容器45から第2の弁49を通過してチャンバ34の内部に至る第2の流路53とをさらに備える。
【0160】
この実施形態では、第1および第2のガス流路47および53は、チャンバ34の内部に入る前に単一のガス流路55に組み合わされる。しかし、代替の実施形態では、第1および第2のガス流路47および53は、完全に分離されていてもよい。
【0161】
ガス流路は、静止ポスト25を介してチャンバ34と連通することができる。具体的には、静止ポスト25は、第1および第2のガス流路47、53の一部を形成し、例えば静止ポスト25の側面に形成された1つまたは複数の出口穴を介して、チャンバ34内への1つまたは複数の出口を有する通路(またはそれぞれの通路)を含むことができる。したがって、第1および第2のガスは、静止ポスト25を介してチャンバ34に供給することが可能である。
【0162】
したがって、第1および第2のガスは、第1および第2のガスが静止ポスト25に形成された通路(またはそれぞれの通路)を通して供給され、静止ポスト25の側面に形成された1つまたは複数の出口穴またはノズル26を通してチャンバ34内に放出されることによって、チャンバ34内に放出することができる。
【0163】
一実施形態では、通路が静止ポスト25に設けられ、静止ポスト25の底端面にある入口をチャンバ34に位置する静止ポスト25の側面にある出口(ノズル26)と接続する。したがって、第1または第2のガスは、第1または第2のガスを通路の入口に入力することによってチャンバ34に供給することができ、ノズル26を介してチャンバ34内に放出される。
【0164】
1つまたは複数のガス出口を設けることで、ガスがチャンバ34から逃れることが可能になる。したがって、第1または第2のガスがチャンバ34に供給されると、第1または第2のガスがチャンバに連続的に流入し、そしてガス出口から流出する。例えば、ガス出口は、チャック本体7の壁、または透明プレート15の周囲に形成された1つまたは複数の貫通穴を備えてもよい。
【0165】
これは、ガスが第1のガスから第2のガスに、またはその逆に切り替えられるとき、最初のガスが後続のガスによってチャンバ34から洗い流されることを意味する。
【0166】
したがって、本発明のガス供給機構41は、第1のガスをチャンバ34に供給し、加熱アセンブリ17を囲むチャンバ34内における第1のガスを含む雰囲気を提供するか、または第2のガスをチャンバ34に供給し、加熱アセンブリを囲むチャンバ34内における第2のガスを含む雰囲気を提供するように動作可能である。したがって、LED19は、第1のガス(この実施形態では純粋な窒素)を含む雰囲気または第2のガス(この実施形態では超清浄乾燥空気)を含む雰囲気のいずれかで動作することができる。
【0167】
次に、本発明の一実施形態における装置1の動作について説明する。
【0168】
図1に示されるように、ウエハ3が装置1によって処理されるとき、ウエハ3は、把持ピン13を介して回転可能なチャック5上に取り付けられる。特に、把持ピン13はウエハ3に接触し、ウエハ3の横方向の移動を拘束する。例えば、把持ピン13は、ウエハ3の外周の反対側でウエハ3の外周に接触するように移動可能であり得、それによりウエハ3は、把持ピン13によって所定の位置に保持される。もちろん、他の実施形態では、ウエハを回転可能なチャック5上に取り付けるための異なる機構が把持ピン13の代わりに設けられてもよい。
【0169】
ウエハ3が回転可能なチャック5上に取り付けられると、回転可能なチャック5に結合されたモータを使用して、ウエハ3を回転させるように回転可能なチャック5が回転される。
【0170】
ウエハ3が回転可能なチャック5によって回転されている間、イソプロピルアルコールなどの処理液が、放出ノズル33を使用してウエハ4の上面29上に分配される。放出ノズル33は、ウエハ3が回転している間にウエハ3の第2の表面29を横切って円弧状に移動し、それによりイソプロピルアルコールがウエハ3の表面全体にわたって分配されるようになる。
【0171】
ガス供給機構41は、第1の弁47が開かれ、かつ第2の弁45が閉じられるように装置1のコントローラによって制御される。これは、第1の容器43内の純粋な窒素ガスが加熱アセンブリ17の周りのチャンバ34に供給されることを意味する。したがって、加熱アセンブリ17の周りのチャンバ34は、不活性ガスである純粋な窒素で充填される。したがって、加熱アセンブリ17の周りの雰囲気は、不活性雰囲気である。
【0172】
装置のコントローラは、電力がLED19に供給されるように、電力を加熱アセンブリ17に供給する。上述のように、LED19またはLEDのグループが異なる量の光を提供するように、異なる量の電力をLEDの異なる1つまたはLED19の異なるグループに供給することができる。あるいは、LED19のすべてが同じ量の光を発生させるように、同じ量の電力をLED19のすべてに供給することができる。
【0173】
したがって、LED19は、透明プレート15を通過し、ウエハ3の第1の表面27に入射する光を放出する。光は、ウエハ3が加熱されるように、ウエハ3の第1の表面27によって吸収される。ウエハ3の加熱により、ウエハ3の第2の表面29上の処理液が蒸発する。
【0174】
透明プレート15は、加熱アセンブリ17とウエハ3との間に位置決めされ、加熱アセンブリ17を処理液から保護する。しかし、処理液の一部が透明プレート15を通過してチャンバ34内に浸透し、そこで加熱アセンブリ17と接触する可能性があるという危険性が存在する。
【0175】
上述のように、加熱アセンブリ17は、LED19用の駆動回路を含む回路基板23を含む。可燃性処理液が通常の雰囲気中で回路基板23と接触すると、可燃性液体の火災または爆発の危険性が存在する。しかし、本発明では、チャンバ34内の不活性雰囲気が、そのような火災または爆発の危険性を防止するか、または大幅に低減する。
【0176】
上述のように、本発明者らは、チャンバ34内の不活性雰囲気中でLED19を長時間動作させると、LEDの光出力が劣化することを発見した。例えば、LEDの光出力は、不活性雰囲気中で長時間動作させた後にLEDの元の光出力の30%まで低下することが見出された。
【0177】
上述のように、本発明者らはさらに、驚くべきことに、LED19の光出力のこの劣化は、一定期間にわたって通常の雰囲気(例えば空気)中で劣化したLED19を動作させることによって、少なくとも部分的に元に戻すことができることを発見した。特に、本発明者らは、一定期間にわたって通常の雰囲気(例えば空気)中で劣化したLED19を動作させることによって、LEDの光出力を元の値に近い値、例えば元の値の1%以内に戻すことができることを見出した。
【0178】
したがって、本発明では、装置1は、以下に説明するように、LED修復手順を定期的に実施することでLED19の光出力を回復する。
【0179】
LED修復手順は、不活性雰囲気中でLED19を所定の期間動作させた後、または所定の数のウエハ3が装置1によって処理された後、またはLED19のうちの1つまたは複数の光出力が所定の量だけまたは所定のレベルまで減少したことが検出されたときに(例えば、光センサまたはカメラを使用して検出される)実施され得る。あるいは、LED修復手順は、代わりに、設定された時間間隔で、または所定のスケジュールに従って、またはウエハ3が装置1によって処理されるたびに実施されてもよい。
【0180】
LED修復手順は、火災または爆発の危険性を低減するために、可燃性液体が放出ノズル33から分配されていないときにのみ実施される。
【0181】
LED修復手順は、一般に、ウエハ3が回転可能なチャック5上に受け取られることなく実施される。
【0182】
LED修復手順では、ガス供給機構41は、第1の弁47が閉じ、かつ第2の弁49が開かれるように制御される。これは、第2のガスのみがチャンバ34に供給されることを意味する。したがって、加熱アセンブリ17の周りのチャンバ34は、第2のガスで充填される。
【0183】
この実施形態では、第2のガスは、超清浄乾燥空気である。したがって、LED修復手順中のチャンバ34内の雰囲気は空気(通常の雰囲気)であり、不活性ガスではない。
【0184】
チャンバ34が超清浄乾燥空気で充填されている間、コントローラは、電力をLED19に供給する。例えば、すべてのLED19に同じ量の電力を供給することができる。あるいは、異なるLED19またはLED19のグループに異なる量の電力が供給されてもよい。LED19に供給される電力は、ウエハ3の処理動作中にLED19に供給される電力よりも低い量であり得る。
【0185】
電力が、所定の期間にわたって超清浄乾燥空気の雰囲気中でLED19に供給される。例えば、電力は、一例では、1時間にわたって超清浄乾燥空気の雰囲気中でLEDに供給することができる。しかし、場合によっては、電力は、数秒または数分間にわたって超清浄乾燥空気の雰囲気中でLEDに供給するだけでよい。電力がLEDに供給される時間の長さは、一般に、事前に決定される。
【0186】
本発明者らは、驚くべきことに、このLED修復手順がLED19の光出力の劣化を部分的または実質的に修復し、それによりLED19の光出力が元の値に近づくように増加する(少なくとも部分的に回復される)ことを発見した。例えば、LED19の出力は、LED19の元の光出力の1%以内に戻すことが可能であり得る。
【0187】
電力をLED19に供給することは、LED19の光出力の回復に必要な時間の長さを大幅に短縮するので有利である。しかし、代替の実施形態では、第2のガスは、電力をLEDに供給することなくLED回復手順においてLED19に供給されてもよく、この手順は、かなり長い期間にわたって実行されてもよい。
【0188】
この実施形態では、第1のガスは、窒素である。しかし、第1のガスが窒素である必要はない。代わりに、可燃性処理液の火災または爆発の危険性を低減するように、第1のガスが十分に低い酸素含有量を有し、実質的に不活性であることだけが必要である。一般に、第1のガスを十分に不活性にするためには、1体積%未満の酸素含有量で十分である。したがって、第1のガスは、代わりに、1体積%未満の酸素含有量を有する任意のガスであってもよい。一般に、第1のガスの酸素含有量は、燃焼には不十分である。
【0189】
この実施形態では、加熱要素は、LED19である。しかし、同様の劣化が他のタイプの発光加熱要素で起こると予想される。したがって、LED19は、代わりに、他のタイプの発光加熱要素であってもよい。
【0190】
この実施形態では、第2のガスは、超清浄乾燥空気である。もちろん、通常の空気が超清浄乾燥空気の代わりに使用されてもよい。より一般的には、適切な量の酸素を含む任意のガスを第2のガスとして使用することができる。例えば、1体積%超の酸素含有量は、LED19の劣化を修復するのに十分であり得る。好ましくは、第2のガスは、2体積%超、または3体積%超、または4体積%超、または5体積%超の酸素含有量を有する。第2のガスは、10体積%超、または15体積%超の酸素含有量を有することができる。
【0191】
他の実施形態では、チャック5は、回転可能でなくてもよい。
【0192】
他の実施形態では、チャック5の構造および/または外観は、
図1に示されるものとは異なっていてもよい。
【0193】
本発明の第2の実施形態によるガス供給機構57が、
図4に示されている。この実施形態では、ガス供給機構57は、単一の容器59および弁61のみを含む。ガス流路63が、容器59から弁61を介してチャンバ34の内部に設けられる。
【0194】
この実施形態では、容器59は、ガス雰囲気中におけるLED19の動作中にLED19の重大な劣化を防止するのに十分に高いが、可燃性処理液の火災または爆発の危険性を低減するのに十分に低い酸素含有量を有するガスを含む。例えば、ガスは、1体積%~10体積%、または2体積%~10体積%、または3体積%~10体積%、または1体積%~5体積%、または2体積%~5体積%、または3体積%~5体積%の酸素含有量を有してもよい。
【0195】
この実施形態では、LED修復手順は存在しない。代わりに、ウエハ3を処理する装置1の動作中、弁61が開かれ、それにより容器59からのガスがチャンバ34に供給され、次いでLED19が動作してガス雰囲気中でウエハ3を加熱する。ガスの酸素含有量はLED19の重大な劣化が発生しないのに十分であり、したがって別々のLED修復手順は必要とされない。
【0196】
さらなる実施形態では、
図3のように、2つのガス容器43、45および弁47、49を設けることができる。しかし、2つの容器43、45内の2つのガスは流路内で共に混合されて単一のガスをチャンバ34に供給することができ、単一のガスは、上述の単一のガスと同じ組成を有する。これは、弁47および49の両方を同時に開くかまたは部分的に開き、流路55内に2つのガスの混合物を発生させることによって達成することができる。例えば、容器43、45の一方は窒素などの不活性ガスを含んでもよく、容器43、45の他方は酸素または酸素含有ガスを含んでもよい。
【0197】
前述の説明、または以下の特許請求の範囲、または添付の図面に開示された特徴は、それらの特定の形態で、または開示された機能を実施するための手段、または開示された結果を得るための方法もしくはプロセスに関して表現され、必要に応じて、別々に、またはそのような特徴の任意の組み合わせにおいて、その多様な形態で本発明を実現するために利用することができる。
【0198】
本発明は上述の例示的な実施形態と併せて説明されてきたが、本開示が与えられると、多くの同等の修正および変形が当業者には明らかとなるであろう。したがって、上記の本発明の例示的な実施形態は、限定的ではなく例示的であるとみなされる。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に対する様々な変更を行うことができる。
【0199】
誤解を避けるために、本明細書で提供されるあらゆる理論的説明は、読者の理解を向上させる目的で提供される。本発明者らは、これらの理論的説明のいずれにも拘束されることを望まない。
【0200】
本明細書で使用される項目の見出しは、構成上の目的のためだけであり、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0201】
以下の特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、文脈上別段の要求がない限り、「備える(comprise)」および「含む(include)」という単語、ならびに「備える(comprises)」、「備えること(comprising)」、および「含むこと(including)」などの変形は、記載された整数もしくはステップ、または整数もしくはステップのグループを含むことを意味するが、いかなる他の整数もしくはステップ、または整数もしくはステップのグループを除外するものではないことを意味すると理解されるであろう。
【0202】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。範囲は、本明細書では、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして表現され得る。そのような範囲が表現される場合、別の実施形態は、1つの特定の値からおよび/または他の特定の値までを含む。同様に、前置詞「約」を使用して値が近似値として表現される場合、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。数値に関する「約」という用語は任意であり、例えば+/-10%を意味する。
【国際調査報告】