(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】抗AAV抗体を検出する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20231018BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
G01N33/53 N
G01N33/543 501A
G01N33/543 575
G01N33/543 541A
G01N33/543 541B
G01N33/543 545A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520106
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(85)【翻訳文提出日】2023-04-28
(86)【国際出願番号】 US2021053245
(87)【国際公開番号】W WO2022072888
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508241200
【氏名又は名称】サンガモ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フー, ジン
(72)【発明者】
【氏名】ルー, ヤンメイ
(57)【要約】
本開示は、対象における抗AAV(例えば抗AAV6)抗体の検出のためのスクリーニングアッセイ及び確認アッセイを含む、治療前及び治療後の総抗体レベルに関連する総抗体アッセイに関する。本開示はまた、rAAV(例えばrAAV6)ベクターを含む遺伝子療法で対象を治療する方法に関する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象における抗アデノ随伴ウイルス(抗AAV)抗体を検出する方法であって、
(a)前記試験対象から得られた試験試料を提供することと、
(b)前記試験試料を試験AAVカプシドと接触させることであって、前記試験AAVカプシドが、試験固体支持体上に固定されている、接触させることと、
(c)前記試験試料が接触した固定化試験AAVカプシドを試験二次抗体と接触させることであって、前記試験二次抗体が試験検出可能標識を含む、接触させることと、
(d)前記試験検出可能標識を検出することと、
を含み、陰性対照に対する正規化応答で検出された前記標識がカットポイント係数以上である場合、前記試験対象は抗AAV抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答で検出された前記標識が前記カットポイント係数未満である場合、前記試験対象は抗AAV抗体を含まない、方法。
【請求項2】
前記カットポイント係数が、
(1)複数の参照対象から得られた参照試料を提供することであって、前記参照対象のそれぞれが中和抗AAV抗体アッセイに対して陰性であった、提供することと、
(2)各参照試料を参照AAVカプシドと接触させることであって、前記参照AAVカプシドが参照固体支持体上に固定されている、接触させることと、
(3)各参照試料が接触した固定化参照AAVカプシドを参照二次抗体と接触させることであって、前記参照二次抗体が参照検出可能標識を含む、接触させることと、
(4)各参照試料について前記参照検出可能標識を検出することと、
(5)外れ値参照試料を除去することと、
(6)前記外れ値が除去された参照試料を使用して前記カットポイント係数を決定することと、を含む方法により決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記外れ値参照試料が、基準[Q1-1.5*(Q3-Q1),Q3+1.5*(Q3-Q1)]を使用して除去される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記カットポイント係数が、95%信頼区間を有するパラメトリック方法に基づいている、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記カットポイント係数が、95%信頼区間を有するロバストなパラメトリック方法に基づいている、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項6】
前記カットポイント係数が、非パラメトリック方法に基づいている、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項7】
前記抗AAV抗体が、抗AAV6抗体であり、前記AAVカプシドが、AAV6カプシドである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記試験試料が、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
各参照試料が、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(b)の後及びステップ(c)の前に、前記固定化AAVカプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(c)の後及びステップ(d)の前に、前記試料が接触した固定化AAVカプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記試験検出可能標識及び前記参照検出可能標識が、独立して、蛍光標識、蛍光発生標識、染料、比色標識、放射性標識、発光標識、化学発光標識、磁性粒子、金属粒子、荷電粒子、イオン溶液、胞子及び酵素標識又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記試験対象が、ヒトである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記試料が前記試験対象から得られる前に、前記試験対象にAAVベクターが投与された、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
試験対象における抗アデノ随伴ウイルス(抗AAV)抗体を検出する方法であって、
(a)前記試験対象から得られた第1の試験試料及び第2の試験試料を提供することと、
(b)前記第2の試験試料を試験可溶性AAVカプシドと接触させることと、
(c)前記第1の試験試料を第1の試験固定化AAVカプシドと接触させることであって、前記第1の試験固定化AAVカプシドが、第1の試験固体支持体上に固定されている、接触させることと、
(d)前記第2の試験試料及び前記可溶性試験AAVカプシドの混合物を第2の試験固定化AAVカプシドと接触させることであって、前記第2の試験固定化AAVカプシドが、第2の試験固体支持体上に固定されている、接触させることと、
(e)前記第1の試験試料が接触した第1の試験固定化AAVカプシドを第1の試験二次抗体と接触させることであって、前記第1の試験二次抗体が第1の試験検出可能標識を含む、接触させることと、
(f)前記混合物が接触した第2の試験固定化AAVカプシドを第2の試験二次抗体と接触させることであって、前記第2の試験二次抗体が第2の試験検出可能標識を含み、前記第2の試験二次抗体が前記第1の二次抗体と同じであり、前記第1の試験検出可能標識が前記第2の試験検出可能標識と同じである、接触させることと、
(g)前記第1及び第2の試験検出可能標識を検出することと、
を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較してカットポイントパーセンテージ以上減少する場合、前記対象は抗AAV抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較してカットポイント未満減少する場合、前記対象は抗AAV抗体を含まない、方法。
【請求項16】
前記カットポイントが、
(1)複数の参照対象から得られた第1及び第2の参照試料を提供することであって、前記参照対象のそれぞれが中和抗AAV抗体アッセイに対して陰性であった、提供することと、
(2)各参照対象について、前記第2の参照試料を参照可溶性AAVカプシドと接触させることと、
(3)各参照対象について、前記第1の参照試料を、第1の参照固定化AAVカプシドと接触させることであって、前記第1の参照固定化AAVカプシドが、第1の参照固体支持体上に固定されている、接触させることと、
(4)各参照対象について、前記第2の参照試料及び前記参照可溶性AAVカプシドの混合物を第2の参照固定化AAVカプシドと接触させることであって、前記第2の参照固定化AAVカプシドが、第2の参照固体支持体上に固定されている、接触させることと、
(5)各参照対象について、前記第1の参照試料が接触した第1の固定化AAVカプシドを第1の二次抗体と接触させることであって、前記第1の二次抗体が第1の参照検出可能標識を含む、接触させることと、
(6)各参照対象について、前記混合物が接触した第2の固定化AAVカプシドを、第2の二次抗体と接触させることであって、前記第2の二次抗体が、第2の参照検出可能標識を含み、前記第2の二次抗体が、前記第1の二次抗体と同じであり、前記第1の参照検出可能標識が、前記第2の参照検出可能標識と同じである、接触させることと、
(7)各参照対象について、前記第1及び第2の参照検出可能標識を検出することと、
(8)外れ値参照試料を除去することと、
(9)前記外れ値が除去された参照試料を使用して前記カットポイントパーセンテージを決定することと、を含む方法により決定される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記外れ値参照試料が、基準[Q1-1.5*(Q3-Q1),Q3+1.5*(Q3-Q1)]を使用して除去される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記カットポイントパーセンテージが、99%信頼区間を有するパラメトリック方法に基づいている、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記カットポイントパーセンテージが、99%信頼区間を有するロバストなパラメトリック方法に基づいている、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項20】
前記カットポイントパーセンテージが、非パラメトリック方法に基づいている、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項21】
前記抗AAV抗体が、抗AAV6抗体であり、前記可溶性AAVカプシドが、可溶性AAV6カプシドであり、前記第1の固定化AAVカプシドが、第1の固定化AAV6カプシドであり、前記第2の固定化AAVカプシドが、第2の固定化AAV6カプシドである、請求項15~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1及び第2の試験試料が、それぞれ、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む、請求項15~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
各第1及び第2の参照試料が、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む、請求項15~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
ステップ(c)の後及びステップ(e)の前に、前記第1の試験固定化AAV6カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、請求項15~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
ステップ(d)の後及びステップ(f)の前に、前記第2の試験固定化AAV6カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、請求項15~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
ステップ(e)の後及びステップ(g)の前に、前記試料が接触した第1の試験固定化AAV6カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、請求項15~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
ステップ(f)の後及びステップ(g)の前に、前記混合物が接触した第2の固定化AAV6カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、請求項15~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記第1及び第2の試験検出可能標識が、蛍光標識、蛍光発生標識、染料、比色標識、放射性標識、発光標識、化学発光標識、磁性粒子、金属粒子、荷電粒子、イオン溶液、胞子及び酵素標識又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記第1及び第2の参照検出可能標識が、蛍光標識、蛍光発生標識、染料、比色標識、放射性標識、発光標識、化学発光標識、磁性粒子、金属粒子、荷電粒子、イオン溶液、胞子及び酵素標識又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記試験対象が、ヒトである、請求項15~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記試料が前記試験対象から得られる前に、前記試験対象にAAVベクターが投与された、請求項15~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記試験可溶性AAVカプシドが、7.5E10~15E10cp/mLの濃度である、請求項15~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
遺伝子療法を必要とする試験対象を治療する方法であって、前記試験対象が抗アデノ随伴ウイルス(抗AAV)抗体を含まない場合にのみ、前記試験対象に組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを投与することを含み、
前記試験対象における任意の抗AAV抗体が、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法によって検出される、方法。
【請求項34】
前記試験対象が、遺伝障害に罹患している、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記試験対象が、神経障害に罹患している、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記障害が、血友病A及びB、ファブリー病、鎌状赤血球症、ベータサラセミア、ムコ多糖症I及びII型、フェニルケトン尿症、グリコーゲン貯蔵病1a型、GLUT1欠乏症症候群、並びにHIV/AIDSからなる群から選択される、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
前記障害が、ファブリー病である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記試験対象が、以前にAAV6ベクターを投与されていなかった、請求項33~37のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月1日に出願された米国仮出願第63/086,165号からの優先権を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)は、遺伝子療法を施すのに最も一般的に使用されるベクターの1つである。rAAVベクターの使用には多くの利点があるが、対象において少量の抗AAVでさえ、その有効性を大幅に低下させることができる。AAVは天然に存在するウイルスであるため、抗AAV抗体の集団には非ゼロベースラインが存在し、総抗体ツールのばらつきを引き起こし、処置前スクリーニング及び処置後モニタリングのための正確なカットポイントを評価することが困難である。
【0003】
ウイルス遺伝子送達に使用されるAAVのいくつかの血清型があり、ヒト及び非ヒト試料の両方に見出される。これらの血清型は、それらのカプシドのアミノ酸配列において多様である(Zincarelli et al.,Mol Ther.,2008;vol.16(6):1073-80)。したがって、1つのAAV血清型に曝露された対象は、そのAAV血清型に対する抗体を発症し得る。それらの抗AAV抗体は、他の血清型のAAVに結合する場合もあれば、しない場合もある。したがって、抗AAV抗体レベルの免疫原性分析は、十分な治療有効性を確保するために既存の免疫を持たない患者の登録、及び安全性を評価するための治療誘導抗体応答の検出にとって重要である。
抗AAV抗体は、中和抗体又は非中和抗体であり得る。中和抗体及び非中和抗体の両方が、AAVベースの遺伝子療法の有効性及び安全性に影響を及ぼし得る。例えば、中和抗体は、取り込みを阻害し、エンドソーム及び核輸送の調節に影響を及ぼし、カプシド処理に影響し、遺伝子放出を抑制し得る。非中和抗体は、安全性に悪影響を及ぼすことに加えて、AAVベクターのクリアランスにおいて役割を果たし得る。したがって、中和抗体及び非中和抗体の両方の存在を検出する試験を有することが重要である。中和抗体アッセイは、抗AAV(例えば抗AAV6)ベクターについて当技術分野で既知であるが、中和抗体及び非中和抗体の両方を検出するアッセイの必要性が当技術分野で残されており、すなわち、全抗体アッセイの必要性が残されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Zincarelli et al.,Mol Ther.,2008;vol.16(6):1073-80
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、対象における中和及び非中和抗AAV(例えば抗AAV6)抗体の検出に関する。本開示は、より高い感度及び低減された偽陽性率での患者試料中の抗AAV(例えば抗AAV6)抗体のより正確な検出のための、スクリーニングアッセイ及び確認アッセイを含む最適化された総抗体アッセイを提供する。本開示はまた、rAAV(例えばrAAV6)ウイルスベクターを使用する治療方法に関する。
【0006】
本開示の第1の態様は、スクリーニングアッセイを使用して、対象における抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を検出する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、(a)試験対象から得られた試験試料を提供することと、(b)試験試料をAAVカプシドと接触させることであって、AAVカプシドが固体支持体上に固定されている、接触させることと、(c)試験試料と接触した固定化AAVカプシドを試験二次抗体と接触させることであって、試験二次抗体が試験検出可能標識を含む、接触させることと、(d)試験検出可能標識を検出することとを含み、陰性対照に対する正規化応答で検出された標識がカットポイント係数以上である場合、試験対象は抗AAV抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答で検出された標識がカットポイント係数未満である場合、試験対象は抗AAV抗体を含まない。
【0007】
いくつかの実施形態において、カットポイント係数は、(1)複数の参照対象から得られた参照試料を提供することであって、参照対象のそれぞれが中和抗AAV抗体アッセイに対して陰性であった(すなわち陰性として事前にスクリーニングされた)、提供することと、(2)各参照試料をAAVカプシドと接触させることであって、AAVカプシドが固体支持体上に固定されている、接触させることと、(3)各参照試料が接触した固定化AAVカプシドを参照二次抗体と接触させることであって、参照二次抗体が参照検出可能標識を含む、接触させることと、(4)各参照試料について、参照検出可能標識を検出することと、(5)外れ値参照試料を除去することと、(6)外れ値が除去された参照試料を使用してカットポイント係数を決定することと、を含む方法により決定される。いくつかの実施形態において、外れ値参照試料は、基準[Q1-1.5*(Q3-Q1),Q3+1.5*(Q3-Q1)]を使用して除去される。いくつかの実施形態において、カットポイント係数は、95%信頼区間を有するパラメトリック方法に基づいている。いくつかの実施形態において、カットポイント係数は、95%信頼区間を有するロバストなパラメトリック方法に基づいている。いくつかの実施形態において、カットポイント係数は、非パラメトリック方法に基づいている。
【0008】
いくつかの実施形態において、抗AAV抗体は、抗AAV6抗体であり、AAVカプシドは、AAV6カプシドである。
【0009】
いくつかの実施形態において、試験試料は、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む。いくつかの実施形態において、各参照試料は、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(b)の後及びステップ(c)の前に、固定化AAVカプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(c)の後及びステップ(d)の前に、試料が接触した固定化AAVカプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、試験検出可能標識及び参照検出可能標識は、独立して、蛍光標識、蛍光発生標識、染料、比色標識、放射性標識、発光標識、化学発光標識、磁性粒子、金属粒子、荷電粒子、イオン溶液、胞子及び酵素標識又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0012】
いくつかの実施形態において、試験対象はヒトである。いくつかの実施形態において、試料が対象から得られる前に、試験対象にAAVベクターが投与された。
【0013】
いくつかの実施形態において、方法は、(a)対象から得られた試料を提供することと、(b)試料をAAV(例えばAAV6)カプシドと接触させることであって、AAV(例えばAAV6)カプシドが固体支持体上に固定されている、接触させることと、(c)試料と接触した固定化AAV(例えばAAV6)カプシドを二次抗体と接触させることであって、二次抗体が検出可能標識を含む、接触させることと、(d)標識を検出することとを含み、陰性対照に対する正規化応答で検出された標識が1.5以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答で検出された標識が1.5未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。
【0014】
いくつかの実施形態において、陰性対照に対する正規化応答が1.6以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が1.6未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。いくつかの実施形態において、陰性対照に対する正規化応答が1.7以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が1.7未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。いくつかの実施形態において、陰性対照に対する正規化応答が1.73以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が1.73未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。いくつかの実施形態において、陰性対照に対する正規化応答が1.75以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が1.75未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。
【0015】
いくつかの実施形態において、試料は、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(b)の後及びステップ(c)の前に、固定化AAV(例えばAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(c)の後及びステップ(d)の前に、試料が接触した固定化AAV(例えばAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。洗浄緩衝液は、1×リン酸緩衝生理食塩水、0.05%Tween(登録商標)20を含んでもよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、検出可能標識は、蛍光標識、蛍光発生標識、染料、比色標識、放射性標識、発光標識、化学発光標識、磁性粒子、金属粒子、荷電粒子、イオン溶液、胞子及び酵素標識又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、検出可能標識は、比色標識である。いくつかの実施形態において、検出可能標識は、西洋ワサビペルオキシダーゼである。
【0018】
いくつかの実施形態において、固体支持体は、培養プレートのウェルである。
【0019】
いくつかの実施形態において、対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態において、対象は、ヒト又は非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態において、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態において、二次抗体は、抗ヒトIgG抗体である。いくつかの実施形態において、試料が対象から得られる前に、対象にAAV(例えばAAV6)ベクターが投与された。
【0020】
いくつかの実施形態において、陰性対照は、事前にスクリーニングされた陰性試料である。いくつかの実施形態において、陰性対照は、中和抗体アッセイにおいて陰性であった。
【0021】
本開示の第2の態様は、確認アッセイを使用して、対象における抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を検出する方法を提供する。
【0022】
いくつかの実施形態において、方法は、(a)試験対象から得られた第1の試験試料及び第2の試験試料を提供することと、(b)第2の試験試料を試験可溶性AAVカプシドと接触させることと、(c)第1の試験試料を第1の試験固定化AAVカプシドと接触させることであって、第1の試験固定化AAVカプシドが、第1の試験固体支持体上に固定されている、接触させることと、(d)第2の試験試料及び試験可溶性AAVカプシドの混合物を第2の試験固定化AAVカプシドと接触させることであって、第2の試験固定化AAVカプシドが、第2の試験固体支持体上に固定されている、接触させることと、(e)第1の試験試料が接触した第1の試験固定化AAVカプシドを第1の試験二次抗体と接触させることであって、第1の試験二次抗体が第1の試験検出可能標識を含む、接触させることと、(f)混合物が接触した第2の試験固定化AAVカプシドを第2の試験二次抗体と接触させることであって、第2の試験二次抗体が、第2の試験検出可能標識を含み、第2の試験二次抗体が、第1の試験二次抗体と同じであり、第1の試験検出可能標識が、第2の試験検出可能標識と同じである、接触させることと、(g)第1及び第2の試験検出可能標識を検出することと、を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較してカットポイントパーセンテージ以上減少する場合、対象は抗AAV抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較してカットポイント未満減少する場合、対象は抗AAV抗体を含まない。
【0023】
いくつかの実施形態において、カットポイントは、(1)複数の参照対象から得られた第1及び第2の参照試料を提供することであって、参照対象のそれぞれが中和抗AAV抗体アッセイに対して陰性であった、提供することと、(2)各参照対象について、第2の参照試料を参照可溶性AAVカプシドと接触させることと、(3)各参照対象について、第1の参照試料を、第1の参照固定化AAVカプシドと接触させることであって、第1の参照固定化AAVカプシドが、第1の参照固体支持体上に固定されている、接触させることと、(4)各参照対象について、第2の参照試料及び参照可溶性AAVカプシドの混合物を第2の参照固定化AAVカプシドと接触させることであって、第2の参照固定化AAVカプシドが、第2の参照固体支持体上に固定されている、接触させることと、(5)各参照対象について、第1の参照試料が接触した第1の固定化AAVカプシドを第1の二次抗体と接触させることであって、第1の二次抗体が第1の参照検出可能標識を含む、接触させることと、(6)各参照対象について、混合物が接触した第2の固定化AAVカプシドを、第2の二次抗体と接触させることであって、第2の二次抗体が、第2の参照検出可能標識を含み、第2の二次抗体が、第1の二次抗体と同じであり、第1の参照検出可能標識が、第2の参照検出可能標識と同じである、接触させることと、(7)各参照対象について、第1及び第2の参照検出可能標識を検出することと、(8)外れ値参照試料を除去することと、(9)外れ値が除去された参照試料を使用してカットポイントパーセンテージを決定することと、を含む方法により決定される。
【0024】
いくつかの実施形態において、外れ値参照試料は、基準[Q1-1.5*(Q3-Q1),Q3+1.5*(Q3-Q1)]を使用して除去される。いくつかの実施形態において、カットポイントパーセンテージは、99%信頼区間を有するパラメトリック方法に基づいている。いくつかの実施形態において、カットポイントパーセンテージは、99%信頼区間を有するロバストなパラメトリック方法に基づいている。いくつかの実施形態において、カットポイントパーセンテージは、非パラメトリック方法に基づいている。
【0025】
いくつかの実施形態において、抗AAV抗体は、抗AAV6抗体であり、可溶性AAVカプシドは、可溶性AAV6カプシドであり、第1の固定化AAVカプシドは、第1の固定化AAV6カプシドであり、第2の固定化AAVカプシドは、第2の固定化AAV6カプシドである。
【0026】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験試料は、それぞれ、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む。いくつかの実施形態において、各第1及び第2の参照試料は、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(c)の後及びステップ(e)の前に、第1の固定化AAV6カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(d)の後及びステップ(f)の前に、第2の固定化AAV6カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(e)の後及びステップ(g)の前に、試料が接触した第1の固定化AAV6カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(f)の後及びステップ(g)の前に、混合物が接触した第2の固定化AAV6カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験検出可能標識は、蛍光標識、蛍光発生標識、染料、比色標識、放射性標識、発光標識、化学発光標識、磁性粒子、金属粒子、荷電粒子、イオン溶液、胞子及び酵素標識又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照検出可能標識は、蛍光標識、蛍光発生標識、染料、比色標識、放射性標識、発光標識、化学発光標識、磁性粒子、金属粒子、荷電粒子、イオン溶液、胞子及び酵素標識又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0029】
いくつかの実施形態において、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態において、試料が試料から得られる前に、対象にAAVベクターが投与された。
【0030】
いくつかの実施形態において、可溶性AAVカプシドは、7.5E10~15E10cp/mLの濃度である。
【0031】
いくつかの実施形態において、方法は、(a)対象から得られた第1の試料及び第2の試料を提供することと、(b)第2の試料を可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドと接触させることと、(c)第1の試料を第1の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドと接触させることであって、第1の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドが、第1の固体支持体上に固定されている、接触させることと、(d)第2の試料及び可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドの混合物を第2の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドと接触させることであって、第2の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドが、第2の固体支持体上に固定されている、接触させることと、(e)第1の試料が接触した第1の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドを第1の二次抗体と接触させることであって、第1の二次抗体が第1の検出可能標識を含む、接触させることと、(f)混合物が接触した第2の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドを第2の二次抗体と接触させることであって、第2の二次抗体が、第2の検出可能標識を含み、第2の二次抗体が、第1の二次抗体と同じであり、第2の検出可能標識が、第2の検出可能標識と同じである、接触させることと、(g)第1及び第2の標識を検出することと、を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して20%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して20%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。
【0032】
いくつかの実施形態において、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して22%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して22%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。いくつかの実施形態において、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。いくつかの実施形態において、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24.1%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24.1%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。いくつかの実施形態において、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24.5%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24.5%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。
【0033】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の試料は、それぞれ、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(c)の後及びステップ(e)の前に、第1の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(d)の後及びステップ(f)の前に、第2の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(e)の後及びステップ(g)の前に、試料が接触した第1の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(f)の後及びステップ(g)の前に、混合物が接触した第2の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、洗浄緩衝液は、1×リン酸緩衝生理食塩水、0.05%tweenを含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能標識は、それぞれ、蛍光標識、蛍光発生標識、染料、比色標識、放射性標識、発光標識、化学発光標識、磁性粒子、金属粒子、荷電粒子、イオン溶液、胞子及び酵素標識又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能標識は、それぞれ比色標識である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能標識は、それぞれ西洋ワサビペルオキシダーゼである。
【0036】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の固体支持体は、それぞれ独立して、培養プレートのウェルである。
【0037】
いくつかの実施形態において、対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態において、対象は、ヒト又は非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態において、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態において、二次抗体は、抗ヒトIgG抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試料が対象から得られる前に、対象にAAV(例えばAAV6)ベクターが投与された。
【0038】
いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、7.5E10~1.5E11cp/mLの濃度である。
【0039】
本開示の第3の態様は、遺伝子療法を必要とする対象(例えば試験対象)を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、対象(例えば試験対象)を提供することと、対象(例えば試験対象)が抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない場合にのみ、対象(例えば試験対象)に組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV、例えばrAAV6)ベクターを投与することとを含む。いくつかの実施形態において、対象(例えば試験対象)における任意の抗AAV(例えば抗AAV6)抗体が、本明細書に開示されるアッセイ方法のいずれかによって検出される。
【0040】
いくつかの実施形態において、対象(例えば試験対象)は、哺乳動物である。いくつかの実施形態において、対象(例えば試験対象)は、ヒト又は非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態において、対象(例えば試験対象)は、ヒトである。いくつかの実施形態において、二次抗体は、抗ヒトIgG抗体である。いくつかの実施形態において、対象(例えば試験対象)は、以前にAAV(例えばAAV6)ベクターを投与されていない。
【0041】
いくつかの実施形態において、対象(例えば試験対象)は、遺伝障害に罹患している。いくつかの実施形態において、対象(例えば試験対象)は、神経障害に罹患している。いくつかの実施形態において、障害は、血友病A及びB、ファブリー病、鎌状赤血球症、ベータサラセミア、ムコ多糖症I及びII型、フェニルケトン尿症、グリコーゲン貯蔵病1a型、GLUT1欠乏症症候群、並びにHIV/AIDSからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、障害は、ファブリー病である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】例示的なAAV抗体検出アッセイのグラフィック描写を示す図である。パネルAは、ルシフェラーゼレポーター遺伝子を含むAAVベクターを使用した例示的なAAV中和活性アッセイのグラフィック描写を示す。パネルBは、固定化AAVカプシドを使用した例示的なAAVスクリーニングアッセイのグラフィック描写を示す。パネルCは、固定化及び可溶性AAVカプシドの両方を使用した例示的なAAV確認アッセイのグラフィック描写を示す。
【
図2】AAV6中和活性アッセイについて陰性として事前にスクリーニングされた試料を使用したAAV6スクリーニングアッセイの結果を示す図である。血清試料(n=38)を光学密度(OD)によってグラフ化した。正規化応答を計算するために使用される陰性対照を、これらの試料のサブセットからプールした。同じ事前スクリーニング法を他の個体に対して実行して、カットポイント決定のためのドナー試料を選択した。
【
図3】カットポイントを決定するための方法の概略図である。パネルAは、外れ値除去に使用されるボックスプロットの図を示す。提供された計算を用い、四分位数(Q)1及びQ3を使用して外れ値を計算した。パネルBは、全抗体アッセイ(スクリーニングアッセイ(偽陽性率(FPR)5%)及び確認アッセイ(FPR1%))における抗薬物抗体(ADA)のカットポイントを決定するために使用する正規化応答のグラフを示す。カットポイントを決定するためのパラメトリック計算は次のとおりである。平均+1.645×SD(5%FPR)又は平均+2.33×SD(1%FPR)。SD:標準偏差。
【
図4-1】事前スクリーニングなしの100個の血清試料のボックスプロット図である。パネルAは、1、2、又は3ラウンドの外れ値除去を伴うカットポイント係数を示す。3ラウンドの外れ値除去の後、70個の試料を最終カットポイント係数計算でプロットし、これにより、スクリーニングアッセイの最終カットポイント係数が2.61に決定された。外れ値除去戦略は、カットポイント係数計算に影響を与えた。パネルBは、確認アッセイにおける100個のランダム血清試料からのデータのボックスプロット図を示す。外れ値は特定されなかった。スクリーニングアッセイで特定された外れ値を除去した後、カットポイントパーセンテージは、43.1%阻害であると決定された。
【
図5A】中和活性アッセイによって事前スクリーニングされた血清試料からのデータのボックスプロット及び分布を示す図である。パネルAは、中和活性アッセイを使用して事前スクリーニングされ、抗AAV6中和抗体について陰性であると決定された211個の血清試料(「事前スクリーニングされた陰性血清試料」)を使用した、スクリーニングアッセイのボックスプロット計算及び対数変換された正規化応答プロットを示す。スクリーニングアッセイのカットポイント係数は、1.73として計算された。パネルBは、211個の事前スクリーニングされた陰性血清試料を使用した確認アッセイのボックスプロット及びプロットを提供する。確認アッセイのカットポイントパーセンテージは、24.5%阻害であると計算された。
【
図6】陽性対照スクリーニングの結果を示す図である。パネルAは、光学密度(OD)によってグラフ化された63人の無作為のヒト対象からの血清試料を使用したスクリーニングアッセイの結果を示す。矢印は、最も高い信号を有する5つの試料を特定している。パネルBは、最も高い陽性シグナルを有する5つの試料の滴定を使用したスクリーニングアッセイを示す。矢印で特定された、最も低い濃度(すなわち最も高い希釈)で最も高いODを有する試料、PC-2を選択して、陽性対照を生成した。
【
図7】全抗体アッセイの感度決定を示す図である。パネルAは、タンパク質A/G及びAAV6結合磁気ビーズをそれぞれ使用して血清試料PC-2から単離したIgG抗体(上パネル)又は抗AAV6特異的抗体のいずれかによる滴定を使用したスクリーニングアッセイの感度決定を示す。全IgG抗体を使用したアッセイ感度は、15.4μg/mLと決定され、抗AAV6特異的抗体を使用したアッセイ感度は、0.241μg/mLと決定された。パネルBは、タンパク質A/G及びAAV6結合磁気ビーズをそれぞれ使用して血清試料PC-2から単離したIgG抗体(上パネル)又は抗AAV6特異的抗体のいずれかによる滴定を使用した確認アッセイの感度決定を示す。全IgG抗体を使用したアッセイ感度は、5.85μg/mLと決定され、抗AAV6特異的抗体を使用したアッセイ感度は、0.0734μg/mLと決定された。
【
図8】スクリーニングアッセイ対中和抗体アッセイのプロットを示す図である。パネルAは、100人の無作為な健常対象のパネルにおける抗AAV6抗体の検出のための、無作為な血清試料から得られたカットポイント係数を使用した全抗体(TAb)スクリーニングアッセイ(CPF=2.6)と、中和抗体(NAb)アッセイ(CPF=0.3)との比較を示す。楕円は、TAbスクリーニングアッセイにおける偽陰性を示す。パネルBは、100人の無作為な健常対象のパネルにおける抗AAV6抗体の検出のための、事前にスクリーニングされた陰性試料から得られたカットポイント係数を使用した全抗体(TAb)スクリーニングアッセイ(CPF=1.75)と、中和抗体(NAb)アッセイ(CPF=0.3)との比較を示す。偽陰性結果は特定されなかった。パネルCは、100人の無作為な健常対象のパネルにおける抗AAV6抗体の検出のための、事前にスクリーニングされた陰性試料から得られたカットポイントパーセンテージ(CPP=24.5%阻害)を使用した確認アッセイ(Tab%阻害)と、中和抗体(NAb)アッセイ(CPF=0.3、すなわち30%RLU)との比較を示す。偽陰性結果は特定されなかった。
【
図9】スクリーニングアッセイ及び確認アッセイの選択性を示す図である。パネルAは、スクリーニングアッセイの選択性を裏付けている。10個の事前スクリーニングされた陰性試料を、20μg/mL及び40μg/mLの総IgG陽性対照でスパイクした。スクリーニングアッセイは、事前スクリーニングされた陰性試料中で抗AAV6抗体を検出しなかったが、スパイクされた全ての試料中で抗AAV6抗体を検出した。NR=正規化応答である。パネルBは、確認アッセイの選択性を裏付けている。10個の事前スクリーニングされた陰性試料を、20μg/mL及び40μg/mLの総IgG陽性対照でスパイクした。確認アッセイは、全てのスパイクされた試料中で抗AAV6抗体を検出した。
【発明を実施するための形態】
【0043】
1.一般的な技術
本明細書で別途定義されない限り、本出願で使用される科学用語及び技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。一般に、本明細書に記載される、薬理学、細胞及び組織培養、分析化学、生化学、合成有機化学、医薬及び製薬化学、分子生物学、細胞及びがん生物学、神経生物学、神経化学、ウイルス学、免疫学、微生物学、遺伝学、並びにタンパク質及び核酸化学に関連して使用される、及びそれらにおいて実行される実験室手順の技術は、当技術分野で周知であり、一般的に使用されているものである。標準的な技術は、化学合成及び化学分析に使用される。矛盾する場合には、本明細書が、定義を含めて優先される。
【0044】
本開示の実践は、別段の指示がない限り、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、及び免疫学の従来の技術を使用し、これらは当技術分野の範囲内である。そのような技術は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrook et al.,1989)Cold Spring Harbor Press、Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984)、Methods in Molecular Biology,Humana Press、Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press、Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.,1987)、Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press、Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993-1998)J.Wiley and Sons、Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.)、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987)、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987)、PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.,eds.,1994)、Sambrook and Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd.ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(2001)、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY(2002)、Harlow and Lane Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1998)、Coligan et al.,Short Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY(2003)、Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999)などの文献において十分に説明されている。
【0045】
酵素反応及び精製技術は、製造業者の仕様に従って、当技術分野で一般的に達成されるように、又は本明細書に記載されるように実行される。
【0046】
本明細書及び実施形態全体を通して、「含む(comprise)」という語句、又は「含む(comprises)」若しくは「含むこと(comprising)」などの変化形は、述べられている整数又は整数の群を包含することを意味するが、任意の他の整数又は整数の群の除外を意味するものではないことが理解されるであろう。「含む(including)」という用語は、「含むが、これらに限定されない」を意味するために使用される。「含む(including)」及び「含むが、これらに限定されない」は、互換的に使用される。
【0047】
本明細書において、実施形態が「含む(comprising)」という言語で説明される場合、「~からなる(consisting of)」及び/又は「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語で説明される別様の類似の実施形態もまた提供されることが理解される。
【0048】
「例えば(e.g.)」又は「例えば(for example)」という用語に続く任意の例は、網羅的又は限定的であることを意味するものではない。
【0049】
文脈によって別段に必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0050】
冠詞「a」、「an」及び「the」は、本明細書において、冠詞の文法上の目的語の1つ又は2つ以上(すなわち少なくとも1つ)を指すように使用される。一例として、「要素」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。本明細書で使用される場合、本開示の組成物における、又は本開示の方法に使用される成分、パラメータ、計算、又は測定値の量を修飾する「約」及び「およそ」という用語は、例えば、現実の世界において単離されたポリペプチド又は医薬組成物を作製するために使用される典型的な測定及び液体取り扱い手順、これらの手順における不慮の誤差、組成物を作製又は方法を実行するために使用される成分の製造、供給源、又は純度の違いなどを介して、本開示の組成物又は方法の化学的又は物理的属性に実質的な影響を及ぼすことなく発生し得る数値の変化を指す。そのような変動は、ある桁の範囲内、典型的には所与の値又は範囲の10%以内、より典型的には更に所与の値又は範囲の5%以内であり得る。本明細書における値又はパラメータの「約」への言及は、その値又はパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(及びそれを説明する)。例えば、「約X」を指す説明は、「X」の説明を含む。数値範囲は、範囲を定義する数値を含む。
【0051】
本開示の広範な範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値ではあるが、特定の例で示される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、本質的に、それぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含む。更に、本明細書で開示される全ての範囲は、その中に含まれるありとあらゆる部分範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「1~10」と述べられた範囲は、最小値1と最大値10との間(これらの値を含む)のありとあらゆる部分範囲、すなわち、最小値1以上、例えば1~6.1で始まり、最大値10以下、例えば5.5~10で終わる全ての部分範囲を含むとみなされるべきである。
【0052】
本発明の態様又は実施形態が、マーカッシュ群又は代替の他の群分けの観点から説明される場合、本開示は、全体として列挙される群全体だけでなく、個々の群の各メンバー、及び主要群の全ての可能な部分群、及び群のメンバーのうちの1つ以上が存在しない主要群も包含する。本開示はまた、本発明の実施形態における群のメンバーのうちの1つ以上の明示的な除外を想定している。
【0053】
本明細書では例示的な方法及び材料が記載されているが、本明細書に記載の方法及び材料に類似又はそれらと同等の方法及び材料もまた、本開示の実践又は試験に使用することができる。材料、方法、及び例は、例示にすぎず、限定することを意図するものではない。
【0054】
2.定義
本明細書で別途定義されない限り、本出願で使用される全ての科学用語及び技術用語は、本開示が関与する先行技術の一般的な知識を有する人々によって一般的に理解される。一般に、これらの用語は、分子生物学、免疫学、細胞培養、及び分析生化学に関連する技術と関連して使用され、当技術分野で周知であり、一般的に使用されている。したがって、提供される指定及び定義は、用語の矛盾を減らすために行われる。
【0055】
「確認アッセイ」という用語は、本明細書で使用される場合、競合アッセイを指す。例えば、
図1Cを参照されたい。例えば、患者から得られた試料は、試料が固定化AAV(例えばAAV6)カプシド(又はその一部)に接触する前に、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシド(又はその一部)とインキュベートされ得る。可溶性分子は、試料中の任意の抗AAV(例えば抗AAV6)抗体への結合について、固定化分子と競合する。そのような競合は、アッセイ中の捕捉された抗AAV(例えば抗AAV6)抗体の数、ひいては捕捉された抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を介して固定化分子に結合した二次抗体の数を低減し、二次抗体からの全体的なシグナルを低減する。そのようなシグナルの低減は、本明細書では「パーセント阻害」と称される。
【0056】
「カットポイント係数」及び「CPF」という用語は、本明細書で使用される場合、全抗体スクリーニングアッセイ又は試料中の抗AAV(例えば抗AAV6)抗体の検出のためのスクリーニングアッセイにおける閾値シグナルを指す。閾値シグナル以上のシグナルは、抗体が検出されたことを示す。閾値シグナル未満のシグナルは、抗体が検出されていないことを示す。いくつかの実施形態において、シグナルは、例えば陰性対照に正規化された正規化値である。そのような実施形態において、特定のアッセイについて「カットポイント」シグナルが計算され得る。例えば、光学密度(OD)を測定するアッセイにおいて、「カットポイントOD」は、CPFに陰性対照からの平均ODシグナルを乗じることによって決定され得る。CPFは、パラメトリック方法、ロバストなパラメトリック方法、又は非パラメトリック方法を使用して決定され得る。いくつかの実施形態において、CPFは、パラメトリック方法を使用して決定される。いくつかの実施形態において、CPFは、ロバストなパラメトリック方法を使用して決定される。いくつかの実施形態において、CPFは、非パラメトリック方法を使用して決定される。いくつかの実施形態において、CPFは、それぞれが中和抗AAV抗体アッセイについて陰性であった、集団参照対象から得られた試料から決定される。
【0057】
「カットポイントパーセンテージ」及び「CPP」という用語は、本明細書で使用される場合、試料中の抗AAV(例えば抗AAV6)抗体の検出のための確認アッセイにおける閾値パーセント阻害を指す。閾値シグナル以上のパーセント阻害は、抗体が検出されたことを示す。閾値シグナル未満のパーセント阻害は、抗体が検出されていないことを示す。CPPは、パラメトリック方法、ロバストなパラメトリック方法、又は非パラメトリック方法を使用して決定され得る。いくつかの実施形態において、CPPは、パラメトリック方法を使用して決定される。いくつかの実施形態において、CPPは、ロバストなパラメトリック方法を使用して決定される。いくつかの実施形態において、CPPは、非パラメトリック方法を使用して決定される。いくつかの実施形態において、CPPは、それぞれが中和抗AAV抗体アッセイについて陰性であった、集団参照対象から得られた試料から決定される。
【0058】
「検出抗体」及び「二次抗体」という用語は、本明細書で互換的に使用され、抗AAV(例えば抗AAV6)抗体に結合し、試料中のその抗体の検出を可能にする抗体を指す。したがって、検出抗体は、典型的には、西洋ワサビペルオキシダーゼなどの検出可能標識にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、検出抗体は、抗IgG抗体である。いくつかの実施形態において、検出抗体は、試料が得られた対象の種由来の抗体に特異的に結合する。例えば、抗ヒトIgG抗体は、ヒト対象から得られた試料中の抗AAV(例えば抗AAV6)抗体に結合するための検出抗体を使用し得る。
【0059】
「非パラメトリック方法」という用語は、本明細書で使用される場合、CPF又はCPPを決定する方法を指す。非パラメトリック方法は、シャピロ-ウィルクP<0.05及び歪み>1又は<-1を有する集団に対して使用される。非パラメトリック方法に基づくスクリーニングアッセイのCPFは95パーセンタイルであり、非パラメトリック方法に基づく確認アッセイのCPPは99パーセンタイルである。
【0060】
「正規化応答」及び「NR」という用語は、本明細書で使用される場合、試料からのシグナルと、アッセイで使用される標準からのシグナルとの比率を指す。いくつかの実施形態において、標準は陰性対照である。例えば、各試料からのシグナルは、アッセイによって定義されるように、陰性対照からの平均シグナルによって除され得る。いくつかの実施形態において、スクリーニングアッセイに対する正規化応答は、以下のように計算される。
【数1】
【0061】
「光学密度」及び「OD」という用語は、本明細書で使用される場合、濃度の尺度を指し、試料が光を吸収又は反射する程度によって定義される。したがって、試料の光学密度(OD)を標準曲線と比較して、所与の成分の濃度を決定することができる。標準曲線は、例えば、陽性対照の連続希釈を使用して生成され得る。いくつかの実施形態において、検出可能標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼなどの比色標識)からのシグナルは、光学密度によって測定される。
【0062】
「パラメトリック方法」という用語は、本明細書で使用される場合、CPF又はCPPを決定する方法を指す。パラメトリック方法は、シャピロ-ウィルクP>0.05を有する集団に対して使用される。いくつかの実施形態において、CPF又はCPPは、95%信頼区間を有するパラメトリック方法に基づいており、平均+(1.645×SD)に等しい。いくつかの実施形態において、CPF又はCPPは、99%信頼区間を有するパラメトリック方法に基づいており、平均+(2.33×SD)に等しい。SD:標準偏差。
【0063】
「パーセント阻害」という用語は、本明細書で使用される場合、確認アッセイにおける可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドを含む試料中のシグナルの低減を指す。パーセント阻害は、以下の式によって計算することができる。
【数2】
応答は、正規化又は未処理であり得る。いくつかの実施形態において、パーセント阻害は、小数点として表すことができる。例えば、30%阻害は、0.3阻害とも称され得る。小数点で表す場合、パーセンテージ記号(%)は省略される。
【0064】
「ロバストなパラメトリック方法」という用語は、本明細書で使用される場合、CPF又はCPPを決定する方法を指す。ロバストなパラメトリック方法は、シャピロ-ウィルクP<0.05及び-1<歪み<1を有する集団に対して使用される。いくつかの実施形態において、CPF又はCPPは、95%信頼区間を有するロバストなパラメトリック方法に基づいており、中央値+(1.645×(1.483×MAD))に等しい。MAD:絶対偏差の中央値。いくつかの実施形態において、CPF又はCPPは、99%信頼区間を有するロバストなパラメトリック方法に基づいており、中央値+(2.33×SD)に等しい。SD:標準偏差。
【0065】
「試料」という用語は、本明細書で使用される場合、抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を検出するために使用することができる対象から得られる任意の組織又は流体を指す。対象から得られた試料は、試験の前に改変することができ、依然として本明細書において「試料」とみなされる。例えば、血液のバイアルが対象から得られる場合、血液の血清部分が血液の他の成分から単離され得る。本開示において、そのような単離された血清は、患者から得られた試料とみなされる。同様に、単一の試料を患者から得て、次いで2つ以上の試料に分割してもよい。各試料は、依然として、対象から入手されたものとみなされる。例えば、確認アッセイにおいて、単一の血清試料を対象から得て、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドによって接触されない第1の試料と、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドによって接触される第2の試料に分割してもよい。第1の試料及び第2の試料は両方とも、対象から得られた試料とみなされる。
【0066】
「スクリーニングアッセイ」及び「全抗体スクリーニングアッセイ」という用語は、本明細書で互換的に使用され、抗AAV(例えば抗AAV6)抗体の存在を検出するための抗体試験を指す。例えば、
図1Bを参照されたい。スクリーニングアッセイは、典型的には、固定化AAV(例えばAAV6)カプシド(又はその一部)を利用して、試料中の抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を捕捉する。次いで、捕捉された抗体は、検出可能標識にコンジュゲートされた二次抗体を使用して検出することができる。例えば、スクリーニングアッセイは、西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート二次抗体を使用するELISAであってもよい。スクリーニングアッセイは、典型的には、カットポイント係数に従って解釈される。
【0067】
「対象」、「患者」、及び「個体」という用語は、本明細書において互換的に使用され、抗AAV(例えば抗AAV6)抗体検出、陰性対照としての使用、及び/又は陽性対照生成のために試料が採取されるヒト又は非ヒト動物を指す。いくつかの実施形態において、対象は、遺伝子療法を必要とする。いくつかの実施形態において、対象は、AAV(例えばAAV6)ベクターでの治療を必要とする。いくつかの実施形態において、対象は、AAV(例えばAAV6)ベクターによる治療を受けている。いくつかの実施形態において、対象は、AAV(例えばAAV6)ベクターによる治療を受けていない。これらの用語には、ヒト、非ヒト霊長類(例えばサル)、及び実験動物(例えばマウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ブタなど)などの哺乳動物が含まれる。いくつかの実施形態において、対象は、ヒトである。
【0068】
「総抗体アッセイ」という用語は、本明細書で使用される場合、抗AAV(例えば抗AAV6)抗体が中和抗体であるか、又は非中和抗体であるかにかかわらず、試料中の抗AAV(例えば抗AAV6)抗体の存在を検出するために使用される試験を指す。本明細書に開示されるスクリーニングアッセイ及び確認アッセイは、総抗体アッセイである。
【0069】
3.スクリーニングアッセイを用いた抗AAV(例えば抗AAV6)抗体の検出
本開示の第1の態様は、スクリーニングアッセイを使用して、対象の抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を検出する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、(a)試験対象から得られた試験試料を提供することと、(b)試験試料をAAVカプシドと接触させることであって、AAVカプシドが固体支持体上に固定されている、接触させることと、(c)試験試料と接触した固定化AAVカプシドを試験二次抗体と接触させることであって、試験二次抗体が試験検出可能標識を含む、接触させることと、(d)試験検出可能標識を検出することとを含み、陰性対照に対する正規化応答で検出された標識がカットポイント係数以上である場合、試験対象は抗AAV抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答で検出された標識がカットポイント係数未満である場合、試験対象は抗AAV抗体を含まない。
【0070】
いくつかの実施形態において、カットポイント係数は、(1)複数の参照対象から得られた参照試料を提供することであって、参照対象のそれぞれが中和抗AAV抗体アッセイに対して陰性であった(すなわち陰性として事前にスクリーニングされた)、提供することと、(2)各参照試料をAAVカプシドと接触させることであって、AAVカプシドが固体支持体上に固定されている、接触させることと、(3)各参照試料が接触した固定化AAVカプシドを参照二次抗体と接触させることであって、参照二次抗体が参照検出可能標識を含む、接触させることと、(4)各参照試料について、参照検出可能標識を検出することと、(5)外れ値参照試料を除去することと、(6)外れ値が除去された参照試料を使用してカットポイント係数を決定することと、を含む方法により決定される。いくつかの実施形態において、外れ値参照試料は、基準[Q1-1.5*(Q3-Q1),Q3+1.5*(Q3-Q1)]を使用して除去される。いくつかの実施形態において、カットポイント係数を決定するための事前にスクリーニングされた陰性対象の使用は、カットポイント係数を決定するための無作為な対象の使用と比較して、少なくとも1つ少ない外れ値除去のラウンドをもたらす。いくつかの実施形態において、カットポイント係数は、95%信頼区間を有するパラメトリック方法に基づいている(すなわち平均+(1.645×SD)に等しい)。いくつかの実施形態において、カットポイント係数は、99%信頼区間を有するパラメトリック方法に基づいている(すなわち平均+(2.33×SD)に等しい)。いくつかの実施形態において、カットポイント係数は、95%信頼区間を有するロバストなパラメトリック方法に基づいている(すなわち中央値+(1.645×(1.483×MAD))に等しい)。いくつかの実施形態において、カットポイント係数は、99%信頼区間を有するロバストなパラメトリック方法に基づいている(すなわち中央値+(2.33×SD)に等しい)。いくつかの実施形態において、カットポイント係数は、非パラメトリック方法(すなわち95パーセンタイル)に基づいている。
【0071】
いくつかの実施形態において、抗AAV抗体は、抗AAV6抗体であり、AAVカプシドは、AAV6カプシドである。
【0072】
いくつかの実施形態において、試験試料は、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む。いくつかの実施形態において、各参照試料は、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(b)の後及びステップ(c)の前に、試験固定化AAVカプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(c)の後及びステップ(d)の前に、試料が接触した試験固定化AAVカプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。洗浄緩衝液は、1×リン酸緩衝生理食塩水、0.05%Tween20を含んでもよい。Tween20は、ポリソルベート20とも呼ばれる。いくつかの実施形態において、洗浄は、3回繰り返される。いくつかの実施形態において、洗浄は、プレートウォッシャーを使用して行われる。いくつかの実施形態において、洗浄は、室温で行われる。
【0074】
いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(2)の後及びステップ(3)の前に、参照固定化AAV(例えばAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(3)の後及びステップ(4)の前に、試料が接触した参照固定化AAV(例えばAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。洗浄緩衝液は、1×リン酸緩衝生理食塩水、0.05%Tween20を含んでもよい。Tween20は、ポリソルベート20とも呼ばれる。いくつかの実施形態において、洗浄は、3回繰り返される。いくつかの実施形態において、洗浄は、プレートウォッシャーを使用して行われる。いくつかの実施形態において、洗浄は、室温で行われる。
【0075】
いくつかの実施形態において、試験検出可能標識及び参照検出可能標識は、独立して、蛍光標識、蛍光発生標識、染料、比色標識、放射性標識、発光標識、化学発光標識、磁性粒子、金属粒子、荷電粒子、イオン溶液、胞子及び酵素標識又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、試験検出可能標識は、蛍光標識である。いくつかの実施形態において、試験検出可能標識は、蛍光発生標識である。いくつかの実施形態において、試験検出可能標識は、染料である。いくつかの実施形態において、試験検出可能標識は、比色標識である。いくつかの実施形態において、試験検出可能標識は、放射性標識である。いくつかの実施形態において、試験検出可能標識は、発光標識である。いくつかの実施形態において、試験検出可能標識は、化学発光標識である。いくつかの実施形態において、試験検出可能標識は、磁性粒子である。いくつかの実施形態において、試験検出可能標識は、金属粒子である。いくつかの実施形態において、試験検出可能標識は、荷電粒子である。いくつかの実施形態において、試験検出可能標識は、イオン溶液である。いくつかの実施形態において、試験検出可能標識は、胞子である。いくつかの実施形態において、試験検出可能標識は、酵素標識である。
【0076】
いくつかの実施形態において、参照検出可能標識は、蛍光標識である。いくつかの実施形態において、参照検出可能標識は、蛍光発生標識である。いくつかの実施形態において、参照検出可能標識は、染料である。いくつかの実施形態において、参照検出可能標識は、比色標識である。いくつかの実施形態において、参照検出可能標識は、放射性標識である。いくつかの実施形態において、参照検出可能標識は、発光標識である。いくつかの実施形態において、参照検出可能標識は、化学発光標識である。いくつかの実施形態において、参照検出可能標識は、磁性粒子である。いくつかの実施形態において、参照検出可能標識は、金属粒子である。いくつかの実施形態において、参照検出可能標識は、荷電粒子である。いくつかの実施形態において、参照検出可能標識は、イオン溶液である。いくつかの実施形態において、参照検出可能標識は、胞子である。いくつかの実施形態において、参照検出可能標識は、酵素標識である。
【0077】
いくつかの実施形態において、試験対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態において、試験対象は、ヒト又は非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態において、試験対象は、ヒトである。いくつかの実施形態において、試験対象は、非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態において、試験対象は、サルである。いくつかの実施形態において、試験対象は、実験動物である。いくつかの実施形態において、試験対象は、ブタである。いくつかの実施形態において、試験対象は、ラットである。いくつかの実施形態において、試験対象は、マウスである。いくつかの実施形態において、試験対象は、ネコである。いくつかの実施形態において、試験対象は、イヌである。いくつかの実施形態において、試験対象は、モルモットである。いくつかの実施形態において、試料が対象から得られる前に、試験対象にAAV(例えばAAV6)ベクターが投与された。
【0078】
いくつかの実施形態において、参照対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態において、参照対象は、ヒト又は非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態において、参照対象は、ヒトである。いくつかの実施形態において、参照対象は、非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態において、参照対象は、サルである。いくつかの実施形態において、参照対象は、実験動物である。いくつかの実施形態において、参照対象は、ブタである。いくつかの実施形態において、参照対象は、ラットである。いくつかの実施形態において、参照対象は、マウスである。いくつかの実施形態において、参照対象は、ネコである。いくつかの実施形態において、参照対象は、イヌである。いくつかの実施形態において、参照対象は、モルモットである。いくつかの実施形態において、試験対象及び参照試験対象は、同じ種である。
【0079】
当業者は、試験二次抗体が、試験対象によって産生される抗体に特異的に結合するべきであることを認識するであろう。いくつかの実施形態において、試験二次抗体は、抗ヒト抗体である。同様に、いくつかの実施形態において、試験二次抗体は、抗サル抗体であってもよい。いくつかの実施形態において、試験二次抗体は、抗ブタ抗体である。いくつかの実施形態において、試験二次抗体は、抗ラット抗体である。いくつかの実施形態において、試験二次抗体は、抗マウス抗体である。いくつかの実施形態において、試験二次抗体は、抗ネコ抗体である。いくつかの実施形態において、試験二次抗体は、抗イヌ抗体である。いくつかの実施形態において、試験二次抗体は、抗モルモット抗体である。いくつかの実施形態において、試験二次抗体は、IgM、IgG、IgA、IgD、又はIgG抗体である。いくつかの実施形態において、試験二次抗体は、抗IgG抗体である。いくつかの実施形態において、試験二次抗体は、抗IgM抗体である。いくつかの実施形態において、試験二次抗体は、抗IgE抗体である。いくつかの実施形態において、試験二次抗体は、抗IgA抗体である。いくつかの実施形態において、試験二次抗体は、抗IgD抗体である。いくつかの実施形態において、試験二次抗体は、抗ヒトIgGである。
【0080】
当業者は、参照二次抗体が、参照対象によって産生される抗体に特異的に結合するべきであることを認識するであろう。いくつかの実施形態において、参照二次抗体は、抗ヒト抗体である。同様に、いくつかの実施形態において、参照二次抗体は、抗サル抗体であってもよい。いくつかの実施形態において、参照二次抗体は、抗ブタ抗体である。いくつかの実施形態において、参照二次抗体は、抗ラット抗体である。いくつかの実施形態において、参照二次抗体は、抗マウス抗体である。いくつかの実施形態において、参照二次抗体は、抗ネコ抗体である。いくつかの実施形態において、参照二次抗体は、抗イヌ抗体である。いくつかの実施形態において、参照二次抗体は、抗モルモット抗体である。いくつかの実施形態において、参照二次抗体は、IgM、IgG、IgA、IgD、又はIgG抗体である。いくつかの実施形態において、参照二次抗体は、抗IgG抗体である。いくつかの実施形態において、参照二次抗体は、抗IgM抗体である。いくつかの実施形態において、参照二次抗体は、抗IgE抗体である。いくつかの実施形態において、参照二次抗体は、抗IgA抗体である。いくつかの実施形態において、参照二次抗体は、抗IgD抗体である。いくつかの実施形態において、参照二次抗体は、抗ヒトIgGである。いくつかの実施形態において、試験二次抗体及び参照二次抗体は、同じである。
【0081】
いくつかの実施形態において、試験固体支持体は、培養プレートのウェルである。いくつかの実施形態において、参照固体支持体は、培養プレートのウェルである。
【0082】
いくつかの実施形態において、試験固定化AAV(例えばAAV6)カプシドは、ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、試験固定化AAV(例えばAAV6)カプシドは、ポリヌクレオチドを含まない。いくつかの実施形態において、参照固定化AAV(例えばAAV6)カプシドは、ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、参照固定化AAV(例えばAAV6)カプシドは、ポリヌクレオチドを含まない。
【0083】
任意の抗AAV抗体が、本明細書に開示される方法のいずれかによって検出され得る。いくつかの実施形態において、抗AAV抗体は、抗AAV1抗体、抗AAV2抗体、抗AAV3B抗体、抗AAV3抗体、抗AAV4抗体、抗AAV5抗体、抗AAV6抗体、抗AAV7抗体、抗AAV8抗体、抗AAV9抗体、抗AAV10抗体、抗AAV11抗体、抗AAVrh10抗体、抗AAVrh39抗体、及び抗AAVrh74抗体からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、抗AAV抗体は、抗AAV6抗体である。いくつかの実施形態において、試験AAVカプシドは、AAV1カプシド、AAV2カプシド、AAV3Bカプシド、AAV3カプシド、AAV4カプシド、AAV5カプシド、AAV6カプシド、AAV7カプシド、AAV8カプシド、AAV9カプシド、AAV10カプシド、AAV11カプシド、AAVrh10カプシド、AAVrh39カプシド、及びAAVrh74カプシドからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、試験AAVカプシドは、AAV6カプシドである。当業者は、試験AAVカプシドが、検出されている抗AAV抗体に対応するべきであることを認識するであろう。いくつかの実施形態において、参照AAVカプシドは、AAV1カプシド、AAV2カプシド、AAV3Bカプシド、AAV3カプシド、AAV4カプシド、AAV5カプシド、AAV6カプシド、AAV7カプシド、AAV8カプシド、AAV9カプシド、AAV10カプシド、AAV11カプシド、AAVrh10カプシド、AAVrh39カプシド、及びAAVrh74カプシドからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、参照AAVカプシドは、AAV6カプシドである。いくつかの実施形態において、試験AAVカプシドは、参照AAVカプシドと同じである。
【0084】
いくつかの実施形態において、方法は、(a)対象から得られた試料を提供することと、(b)試料をAAV(例えばAAV6)カプシドと接触させることであって、AAV(例えばAAV6)カプシドが固体支持体上に固定されている、接触させることと、(c)試料と接触した固定化AAV(例えばAAV6)カプシドを二次抗体と接触させることであって、二次抗体が検出可能標識を含む、接触させることと、(d)標識を検出することとを含み、標識が、1.5以上の陰性対照に対する正規化応答で検出された場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、標識が、1.5未満の陰性対照に対する正規化応答で検出された場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。
【0085】
いくつかの実施形態において、陰性対照に対する正規化応答が約1.6以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が約1.6未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。いくつかの実施形態において、陰性対照に対する正規化応答が約1.7以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が約1.7未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。いくつかの実施形態において、陰性対照に対する正規化応答が約1.73以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が約1.73未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。いくつかの実施形態において、陰性対照に対する正規化応答が約1.75以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が約1.75未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。
【0086】
いくつかの実施形態において、陰性対照に対する正規化応答が1.5以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が1.5未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。いくつかの実施形態において、陰性対照に対する正規化応答が1.6以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が1.6未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。いくつかの実施形態において、陰性対照に対する正規化応答が1.7以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が1.7未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。いくつかの実施形態において、陰性対照に対する正規化応答が1.73以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が1.73未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。いくつかの実施形態において、陰性対照に対する正規化応答が1.75以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が1.75未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。
【0087】
いくつかの実施形態において、試料は、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む。いくつかの実施形態において、試料は、血清を含む。いくつかの実施形態において、試料は、血漿を含む。いくつかの実施形態において、試料は、唾液を含む。いくつかの実施形態において、試料は、脳脊髄液を含む。いくつかの実施形態において、試料は、眼液を含む。
【0088】
いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(b)の後及びステップ(c)の前に、固定化AAV(例えばAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(c)の後及びステップ(d)の前に、試料が接触した固定化AAV(例えばAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。洗浄緩衝液は、1×リン酸緩衝生理食塩水、0.05%Tween20を含んでもよい。Tween20は、ポリソルベート20とも呼ばれる。いくつかの実施形態において、洗浄は、3回繰り返される。いくつかの実施形態において、洗浄は、プレートウォッシャーを使用して行われる。いくつかの実施形態において、洗浄は、室温で行われる。
【0089】
いくつかの実施形態において、検出可能標識は、蛍光標識、蛍光発生標識、染料、比色標識、放射性標識、発光標識、化学発光標識、磁性粒子、金属粒子、荷電粒子、イオン溶液、胞子及び酵素標識又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、検出可能標識は、西洋ワサビペルオキシダーゼである。いくつかの実施形態において、検出可能標識は、蛍光標識である。いくつかの実施形態において、検出可能標識は、蛍光発生標識である。いくつかの実施形態において、検出可能標識は、染料である。いくつかの実施形態において、検出可能標識は、比色標識である。いくつかの実施形態において、検出可能標識は、放射性標識である。いくつかの実施形態において、検出可能標識は、発光標識である。いくつかの実施形態において、検出可能標識は、化学発光標識である。いくつかの実施形態において、検出可能標識は、磁性粒子である。いくつかの実施形態において、検出可能標識は、金属粒子である。いくつかの実施形態において、検出可能標識は、荷電粒子である。いくつかの実施形態において、検出可能標識は、イオン溶液である。いくつかの実施形態において、検出可能標識は、胞子である。いくつかの実施形態において、検出可能標識は、酵素標識である。いくつかの実施形態において、検出可能標識は、本明細書に列挙される検出可能標識のいずれかの組み合わせを含む。
【0090】
いくつかの実施形態において、固体支持体は、培養プレートのウェルである。
【0091】
いくつかの実施形態において、対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態において、対象は、ヒト又は非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態において、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態において、対象は、非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態において、対象は、サルである。いくつかの実施形態において、対象は、実験動物である。いくつかの実施形態において、対象は、ブタである。いくつかの実施形態において、対象は、ラットである。いくつかの実施形態において、対象は、マウスである。いくつかの実施形態において、対象は、ネコである。いくつかの実施形態において、対象は、イヌである。いくつかの実施形態において、対象は、モルモットである。いくつかの実施形態において、試料が対象から得られる前に、対象にAAV(例えばAAV6)ベクターが投与された。
【0092】
当業者は、二次抗体が、対象によって産生される抗体に特異的に結合するべきであることを認識するであろう。いくつかの実施形態において、二次抗体は、抗ヒト抗体である。同様に、いくつかの実施形態において、二次抗体は、抗サル抗体であってもよい。いくつかの実施形態において、二次抗体は、抗ブタ抗体である。いくつかの実施形態において、二次抗体は、抗ラット抗体である。いくつかの実施形態において、二次抗体は、抗マウス抗体である。いくつかの実施形態において、二次抗体は、抗ネコ抗体である。いくつかの実施形態において、二次抗体は、抗イヌ抗体である。いくつかの実施形態において、二次抗体は、抗モルモット抗体である。いくつかの実施形態において、二次抗体は、IgM、IgG、IgA、IgD、又はIgG抗体である。いくつかの実施形態において、二次抗体は、抗IgG抗体である。いくつかの実施形態において、二次抗体は、抗IgM抗体である。いくつかの実施形態において、二次抗体は、抗IgE抗体である。いくつかの実施形態において、二次抗体は、抗IgA抗体である。いくつかの実施形態において、二次抗体は、抗IgD抗体である。いくつかの実施形態において、二次抗体は、抗ヒトIgGである。
【0093】
いくつかの実施形態において、固定化AAV(例えばAAV6)カプシドは、ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、固定化AAV(例えばAAV6)カプシドは、ポリヌクレオチドを含まない。
【0094】
任意の抗AAV抗体が、本明細書に開示される方法によって検出され得る。いくつかの実施形態において、抗AAV抗体は、抗AAV1抗体、抗AAV2抗体、抗AAV3B抗体、抗AAV3抗体、抗AAV4抗体、抗AAV5抗体、抗AAV6抗体、抗AAV7抗体、抗AAV8抗体、抗AAV9抗体、抗AAV10抗体、抗AAV11抗体、抗AAVrh10抗体、抗AAVrh39抗体、及び抗AAVrh74抗体からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、抗AAV抗体は、抗AAV6抗体である。いくつかの実施形態において、AAVカプシドは、AAV1カプシド、AAV2カプシド、AAV3Bカプシド、AAV3カプシド、AAV4カプシド、AAV5カプシド、AAV6カプシド、AAV7カプシド、AAV8カプシド、AAV9カプシド、AAV10カプシド、AAV11カプシド、AAVrh10カプシド、AAVrh39カプシド、及びAAVrh74カプシドからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、AAVカプシドは、AAV6カプシドである。当業者は、AAVカプシドが、検出されている抗AAV抗体に対応するべきであることを認識するであろう。
【0095】
本明細書に開示される方法のいずれかのいくつかの実施形態において、陰性対照は、事前にスクリーニングされた陰性試料である。本明細書に開示される方法のいずれかのいくつかの実施形態において、陰性対照は、中和抗体アッセイにおいて陰性であった。例えば、
図1Aを参照されたい。
【0096】
本明細書に開示される方法のいずれかのいくつかの実施形態において、スクリーニングアッセイは、ELISAである。いくつかの実施形態において、ELISAは、以下のステップを含む。
1.100μL/ウェルの希釈AAV(例えばAAV6)カプシド(1.5E10cp/mL)、4℃でELISAプレートを一晩コーティングする
2.Tween20を含む300μLのリン酸緩衝生理食塩水でプレートを3回洗浄する。
3.200μLの試料緩衝液を全てのウェルに添加し、室温で2~3時間インキュベートする。
4.Tween20を含む300μLのリン酸緩衝生理食塩水でプレートを3回洗浄する。
5.100μLの試料を添加し、室温で2時間インキュベートする。
6.Tween20を含む300μLのリン酸緩衝生理食塩水でプレートを6回洗浄する。
7.100μLの西洋ワサビペルオキシダーゼにコンジュゲートしたヤギ抗ヒトIgG(Jackson、0.8mg/ml 1:40k希釈)を添加し、室温で1時間インキュベートする。
8.Tween20を含む300μLのリン酸緩衝生理食塩水でプレートを3回洗浄する。
9.100μLの3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)のを添加し、室温で15分間インキュベートする。
10.100μLの停止溶液を添加し、450/650nmでプレートを読み取る。
いくつかの実施形態において、試料緩衝液は、0.05%Tween20を含むリン酸緩衝生理食塩水中の0.5%ウシ血清アルブミンである。
【0097】
4.確認アッセイを用いた抗AAV(例えば抗AAV6)抗体の検出
本開示の第2の態様は、確認アッセイを使用して、対象における抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を検出する方法を提供する。
【0098】
いくつかの実施形態において、方法は、(a)試験対象から得られた第1の試験試料及び第2の試験試料を提供することと、(b)第2の試験試料を試験可溶性AAVカプシドと接触させることと、(c)第1の試験試料を第1の試験固定化AAVカプシドと接触させることであって、第1の試験固定化AAVカプシドが、第1の試験固体支持体上に固定されている、接触させることと、(d)第2の試験試料及び試験可溶性AAVカプシドの混合物を第2の試験固定化AAVカプシドと接触させることとであって、第2の試験固定化AAVカプシドが、第2の試験固体支持体上に固定されている、接触させることと、(e)第1の試験試料が接触した第1の試験固定化AAVカプシドを第1の試験二次抗体と接触させることであって、第1の試験二次抗体が第1の試験検出可能標識を含む、接触させることと、(f)混合物が接触した第2の試験固定化AAVカプシドを第2の試験二次抗体と接触させることであって、第2の試験二次抗体が、第2の試験検出可能標識を含み、第2の試験二次抗体が、第1の試験二次抗体と同じであり、第1の試験検出可能標識が、第2の試験検出可能標識と同じである、接触させることと、(g)第1及び第2の試験検出可能標識を検出することと、を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較してカットポイントパーセンテージ以上減少する場合、対象は抗AAV抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較してカットポイント未満減少する場合、対象は抗AAV抗体を含まない。
【0099】
いくつかの実施形態において、カットポイントパーセンテージは、(1)複数の参照対象から得られた第1及び第2の参照試料を提供することであって、参照対象のそれぞれが中和抗AAV抗体アッセイに対して陰性であった、提供することと、(2)各参照対象について、第2の参照試料を参照可溶性AAVカプシドと接触させることと、(3)各参照対象について、第1の参照試料を、第1の参照固定化AAVカプシドと接触させることであって、第1の参照固定化AAVカプシドが、第1の参照固体支持体上に固定されている、接触させることと、(4)各参照対象について、第2の参照試料及び参照可溶性AAVカプシドの混合物を第2の参照固定化AAVカプシドと接触させることであって、第2の参照固定化AAVカプシドが、第2の参照固体支持体上に固定されている、接触させることと、(5)各参照対象について、第1の参照試料が接触した第1の固定化AAVカプシドを第1の二次抗体と接触させることであって、第1の二次抗体が第1の参照検出可能標識を含む、接触させることと、(6)各参照対象について、混合物が接触した第2の固定化AAVカプシドを、第2の二次抗体と接触させることであって、第2の二次抗体が、第2の参照検出可能標識を含み、第2の二次抗体が、第1の二次抗体と同じであり、第1の参照検出可能標識が、第2の参照検出可能標識と同じである、接触させることと、(7)各参照対象について、第1及び第2の参照検出可能標識を検出することと、(8)外れ値参照試料を除去することと、(9)外れ値が除去された参照試料を使用してカットポイントパーセンテージを決定することと、を含む方法により決定される。
【0100】
いくつかの実施形態において、外れ値参照試料は、基準[Q1-1.5*(Q3-Q1),Q3+1.5*(Q3-Q1)]を使用して除去される。いくつかの実施形態において、カットポイントパーセンテージを決定するための事前にスクリーニングされた陰性対象の使用は、カットポイントパーセンテージを決定するための無作為な対象の使用と比較して、少なくとも1つ少ない外れ値除去のラウンドをもたらす。いくつかの実施形態において、カットポイントパーセンテージは、95%信頼区間を有するパラメトリック方法に基づいている(すなわち平均+(1.645×SD)に等しい)。いくつかの実施形態において、カットポイントパーセンテージは、99%信頼区間を有するパラメトリック方法に基づいている(すなわち平均+(2.33×SD)に等しい)。いくつかの実施形態において、カットポイントパーセンテージは、95%信頼区間を有するロバストなパラメトリック方法に基づいている(すなわち中央値+(1.645×(1.483×MAD))に等しい)。いくつかの実施形態において、カットポイントパーセンテージは、99%信頼区間を有するロバストなパラメトリック方法に基づいている(すなわち中央値+(2.33×SD)に等しい)。いくつかの実施形態において、カットポイントパーセンテージは、非パラメトリック方法(すなわち99パーセンタイル)に基づいている。
【0101】
いくつかの実施形態において、抗AAV抗体は、抗AAV6抗体であり、試験可溶性AAVカプシドは、可溶性試験AAV6カプシドであり、第1の試験固定化AAVカプシドは、第1の試験固定化AAV6カプシドであり、第2の試験固定化AAVカプシドは、第2の試験固定化AAV6カプシドである。いくつかの実施形態において、抗AAV抗体は、抗AAV6抗体であり、参照可溶性AAVカプシドは、可溶性参照AAV6カプシドであり、第1の参照固定化AAVカプシドは、第1の参照固定化AAV6カプシドであり、第2の参照固定化AAVカプシドは、第2の参照固定化AAV6カプシドである。
【0102】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験試料は、それぞれ、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験試料は、それぞれ血清を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験試料は、それぞれ血漿を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験試料は、それぞれ唾液を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験試料は、それぞれ脳脊髄液を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験試料は、それぞれ眼液を含む。
【0103】
いくつかの実施形態において、各第1及び第2の参照試料は、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照試料は、それぞれ血清を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照試料は、それぞれ血漿を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照試料は、それぞれ唾液を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照試料は、それぞれ脳脊髄液を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照試料は、それぞれ眼液を含む。
【0104】
いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(c)の後及びステップ(e)の前に、第1の試験固定化AAV6カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(d)の後及びステップ(f)の前に、第2の試験固定化AAV6カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(e)の後及びステップ(g)の前に、試料が接触した第1の試験固定化AAV6カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(f)の後及びステップ(g)の前に、混合物が接触した第2の試験固定化AAV6カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。洗浄緩衝液は、1×リン酸緩衝生理食塩水、0.05%Tween20を含んでもよい。Tween20は、ポリソルベート20とも呼ばれる。いくつかの実施形態において、洗浄は、3回繰り返される。いくつかの実施形態において、洗浄は、プレートウォッシャーを使用して行われる。いくつかの実施形態において、洗浄は、室温で行われる。
【0105】
いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(3)の後及びステップ(5)の前に、第1の参照固定化AAV6カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(4)の後及びステップ(6)の前に、第2の参照固定化AAV6カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(5)の後及びステップ(7)の前に、試料が接触した第1の参照固定化AAV6カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(6)の後及びステップ(8)の前に、混合物が接触した第2の参照固定化AAV6カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。洗浄緩衝液は、1×リン酸緩衝生理食塩水、0.05%Tween20を含んでもよい。Tween20は、ポリソルベート20とも呼ばれる。いくつかの実施形態において、洗浄は、3回繰り返される。いくつかの実施形態において、洗浄は、プレートウォッシャーを使用して行われる。いくつかの実施形態において、洗浄は、室温で行われる。
【0106】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験検出可能標識は、蛍光標識、蛍光発生標識、染料、比色標識、放射性標識、発光標識、化学発光標識、磁性粒子、金属粒子、荷電粒子、イオン溶液、胞子及び酵素標識又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験検出可能標識は、蛍光標識である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験検出可能標識は、蛍光発生標識である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験検出可能標識は、染料である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験検出可能標識は、比色標識である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験検出可能標識は、放射性標識である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験検出可能標識は、発光標識である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験検出可能標識は、化学発光標識である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験検出可能標識は、磁性粒子である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験検出可能標識は、金属粒子である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験検出可能標識は、荷電粒子である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験検出可能標識は、イオン溶液である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験検出可能標識は、胞子である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験検出可能標識は、酵素標識である。
【0107】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照検出可能標識は、蛍光標識、蛍光発生標識、染料、比色標識、放射性標識、発光標識、化学発光標識、磁性粒子、金属粒子、荷電粒子、イオン溶液、胞子及び酵素標識又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照検出可能標識は、蛍光標識である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照検出可能標識は、蛍光発生標識である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照検出可能標識は、染料である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照検出可能標識は、比色標識である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照検出可能標識は、放射性標識である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照検出可能標識は、発光標識である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照検出可能標識は、化学発光標識である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照検出可能標識は、磁性粒子である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照検出可能標識は、金属粒子である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照検出可能標識は、荷電粒子である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照検出可能標識は、イオン溶液である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照検出可能標識は、胞子である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照検出可能標識は、酵素標識である。
【0108】
いくつかの実施形態において、試験対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態において、試験対象は、ヒト又は非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態において、試験対象は、ヒトである。いくつかの実施形態において、試験対象は、非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態において、試験対象は、サルである。いくつかの実施形態において、試験対象は、実験動物である。いくつかの実施形態において、試験対象は、ブタである。いくつかの実施形態において、試験対象は、ラットである。いくつかの実施形態において、試験対象は、マウスである。いくつかの実施形態において、試験対象は、ネコである。いくつかの実施形態において、試験対象は、イヌである。いくつかの実施形態において、試験対象は、モルモットである。いくつかの実施形態において、試料が対象から得られる前に、試験対象にAAV(例えばAAV6)ベクターが投与された。
【0109】
いくつかの実施形態において、参照対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態において、参照対象は、ヒト又は非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態において、参照対象は、ヒトである。いくつかの実施形態において、参照対象は、非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態において、参照対象は、サルである。いくつかの実施形態において、参照対象は、実験動物である。いくつかの実施形態において、参照対象は、ブタである。いくつかの実施形態において、参照対象は、ラットである。いくつかの実施形態において、参照対象は、マウスである。いくつかの実施形態において、参照対象は、ネコである。いくつかの実施形態において、参照対象は、イヌである。いくつかの実施形態において、参照対象は、モルモットである。いくつかの実施形態において、試験対象及び参照試験対象は、同じ種である。
【0110】
当業者は、第1及び第2の試験二次抗体が、試験対象によって産生される抗体に特異的に結合するべきであることを認識するであろう。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験二次抗体は、抗ヒト抗体である。同様に、いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験二次抗体は、抗サル抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験二次抗体は、抗ブタ抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験二次抗体は、抗ラット抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験二次抗体は、抗マウス抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験二次抗体は、抗ネコ抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験二次抗体は、抗イヌ抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験二次抗体は、抗モルモット抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験二次抗体は、IgM、IgG、IgA、IgD、又はIgG抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験二次抗体は、抗IgG抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験二次抗体は、抗IgM抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験二次抗体は、抗IgE抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験二次抗体は、抗IgA抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験二次抗体は、抗IgD抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験二次抗体は、抗ヒトIgG抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験二次抗体は、同じである。
【0111】
当業者は、第1及び第2の参照二次抗体が、参照対象によって産生される抗体に特異的に結合するべきであることを認識するであろう。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照二次抗体は、抗ヒト抗体である。同様に、いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照二次抗体は、抗サル抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照二次抗体は、抗ブタ抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照二次抗体は、抗ラット抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照二次抗体は、抗マウス抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照二次抗体は、抗ネコ抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照二次抗体は、抗イヌ抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照二次抗体は、抗モルモット抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照二次抗体は、IgM、IgG、IgA、IgD、又はIgG抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照二次抗体は、抗IgG抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照二次抗体は、抗IgM抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照二次抗体は、抗IgE抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照二次抗体は、抗IgA抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照二次抗体は、抗IgD抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照二次抗体は、抗ヒトIgG抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の参照二次抗体は、同じである。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験二次抗体は、第1及び第2の参照二次抗体と同じである。
【0112】
いくつかの実施形態において、第1の試験固体支持体は、培養プレートのウェルである。いくつかの実施形態において、第2の試験固体支持体は、培養プレートのウェルである。いくつかの実施形態において、第1の参照固体支持体は、培養プレートのウェルである。いくつかの実施形態において、第2の参照固体支持体は、培養プレートのウェルである。
【0113】
いくつかの実施形態において、第1の試験固定化AAV(例えばAAV6)カプシドは、ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、第1の試験固定化AAV(例えばAAV6)カプシドは、ポリヌクレオチドを含まない。いくつかの実施形態において、第1の第2の試験固定化AAV(例えばAAV6)カプシドは、ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、第2の試験固定化AAV(例えばAAV6)カプシドは、ポリヌクレオチドを含まない。いくつかの実施形態において、第1の参照固定化AAV(例えばAAV6)カプシドは、ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、第1の参照固定化AAV(例えばAAV6)カプシドは、ポリヌクレオチドを含まない。いくつかの実施形態において、第2の参照固定化AAV(例えばAAV6)カプシドは、ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、第2の参照固定化AAV(例えばAAV6)カプシドは、ポリヌクレオチドを含まない。
【0114】
任意の抗AAV抗体が、本明細書に開示される方法のいずれかによって検出され得る。いくつかの実施形態において、抗AAV抗体は、抗AAV1抗体、抗AAV2抗体、抗AAV3B抗体、抗AAV3抗体、抗AAV4抗体、抗AAV5抗体、抗AAV6抗体、抗AAV7抗体、抗AAV8抗体、抗AAV9抗体、抗AAV10抗体、抗AAV11抗体、抗AAVrh10抗体、抗AAVrh39抗体、及び抗AAVrh74抗体からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、抗AAV抗体は、抗AAV6抗体である。いくつかの実施形態において、第1の試験AAVカプシドは、AAV1カプシド、AAV2カプシド、AAV3Bカプシド、AAV3カプシド、AAV4カプシド、AAV5カプシド、AAV6カプシド、AAV7カプシド、AAV8カプシド、AAV9カプシド、AAV10カプシド、AAV11カプシド、AAVrh10カプシド、AAVrh39カプシド、及びAAVrh74カプシドからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第1の試験AAVカプシドは、AAV6カプシドである。当業者は、第1の試験AAVカプシドが、検出されている抗AAV抗体に対応するべきであることを認識するであろう。いくつかの実施形態において、第2の試験AAVカプシドは、AAV1カプシド、AAV2カプシド、AAV3Bカプシド、AAV3カプシド、AAV4カプシド、AAV5カプシド、AAV6カプシド、AAV7カプシド、AAV8カプシド、AAV9カプシド、AAV10カプシド、AAV11カプシド、AAVrh10カプシド、AAVrh39カプシド、及びAAVrh74カプシドからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第2の試験AAVカプシドは、AAV6カプシドである。当業者は、第2の試験AAVカプシドが、検出されている抗AAV抗体に対応するべきであることを認識するであろう。いくつかの実施形態において、第1の試験AAVカプシドは、第2の試験AAVカプシドと同じである。
【0115】
いくつかの実施形態において、第1の参照AAVカプシドは、AAV1カプシド、AAV2カプシド、AAV3Bカプシド、AAV3カプシド、AAV4カプシド、AAV5カプシド、AAV6カプシド、AAV7カプシド、AAV8カプシド、AAV9カプシド、AAV10カプシド、AAV11カプシド、AAVrh10カプシド、AAVrh39カプシド、及びAAVrh74カプシドからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第1の参照AAVカプシドは、AAV6カプシドである。いくつかの実施形態において、第2の参照AAVカプシドは、AAV1カプシド、AAV2カプシド、AAV3Bカプシド、AAV3カプシド、AAV4カプシド、AAV5カプシド、AAV6カプシド、AAV7カプシド、AAV8カプシド、AAV9カプシド、AAV10カプシド、AAV11カプシド、AAVrh10カプシド、AAVrh39カプシド、及びAAVrh74カプシドからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第2の参照AAVカプシドは、AAV6カプシドである。いくつかの実施形態において、第1の参照AAVカプシドは、第2の参照AAVカプシドと同じである。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試験AAVカプシドは、第1及び第2の参照AAVカプシドと同じである。
【0116】
いくつかの実施形態において、試験可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約7.5E10~1.5E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、試験可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約7.5E10cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、試験可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約8E10cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、試験可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約9E10cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、試験可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約1.0E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、試験可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約1.1E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、試験可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約1.2E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、試験可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約1.3E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、試験可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約1.4E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、試験可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約1.5E11cp/mLの濃度である。
【0117】
いくつかの実施形態において、試験可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、7.5E10~1.5E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、試験可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、7.5E10cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、試験可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、8E10cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、試験可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、9E10cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、試験可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、1.0E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、試験可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、1.1E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、試験可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、1.2E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、試験可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、1.3E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、試験可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、1.4E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、試験可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、1.5E11cp/mLの濃度である。
いくつかの実施形態において、参照可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約7.5E10~1.5E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、参照可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約7.5E10cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、参照可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約8E10cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、参照可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約9E10cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、参照可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約1.0E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、参照可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約1.1E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、参照可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約1.2E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、参照可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約1.3E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、参照可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約1.4E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、参照可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約1.5E11cp/mLの濃度である。
【0118】
いくつかの実施形態において、参照可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、7.5E10~1.5E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、参照可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、7.5E10cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、参照可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、8E10cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、参照可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、9E10cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、参照可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、1.0E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、参照可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、1.1E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、参照可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、1.2E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、参照可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、1.3E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、参照可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、1.4E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、参照可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、1.5E11cp/mLの濃度である。
【0119】
いくつかの実施形態において、方法は、(a)対象から得られた第1の試料及び第2の試料を提供することと、(b)第2の試料を可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドと接触させることと、(c)第1の試料を第1の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドと接触させることであって、第1の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドが、第1の固体支持体上に固定されている、接触させることと、(d)第2の試料及び可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドの混合物を第2の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドと接触させることであって、第2の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドが、第2の固体支持体上に固定されている、接触させることと、(e)第1の試料が接触した第1の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドを第1の二次抗体と接触させることであって、第1の二次抗体が第1の検出可能標識を含む、接触させることと、(f)混合物が接触した第2の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドを第2の二次抗体と接触させることであって、第2の二次抗体が、第2の検出可能標識を含み、第2の二次抗体が、第1の二次抗体と同じであり、第2の検出可能標識が、第2の検出可能標識と同じである、接触させることと、(g)第1及び第2の標識を検出することと、を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して20%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して20%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。
【0120】
いくつかの実施形態において、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して約22%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して約22%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。いくつかの実施形態において、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して約24%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して約24%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。いくつかの実施形態において、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して約24.1%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して約24.1%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。いくつかの実施形態において、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して約24.5%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して約24.5%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。
【0121】
いくつかの実施形態において、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して22%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して22%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。いくつかの実施形態において、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。いくつかの実施形態において、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24.1%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24.1%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。いくつかの実施形態において、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24.5%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24.5%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない。
【0122】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の試料は、それぞれ、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む。第1の試料は、第2の試料と同じであってもよい。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試料は、それぞれ血清を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試料は、それぞれ血漿を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試料は、それぞれ唾液を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試料は、それぞれ脳脊髄液を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試料は、それぞれ眼液を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試料は、共通の試料から得られる。
【0123】
いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(c)の後及びステップ(e)の前に、第1の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(d)の後及びステップ(f)の前に、第2の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(e)の後及びステップ(g)の前に、試料が接触した第1の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(f)の後及びステップ(g)の前に、混合物が接触した第2の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む。洗浄緩衝液は、1×リン酸緩衝生理食塩水、0.05%Tween20を含んでもよい。いくつかの実施形態において、洗浄は、3回繰り返される。いくつかの実施形態において、洗浄は、プレートウォッシャーを使用して行われる。いくつかの実施形態において、洗浄は、室温で行われる。
【0124】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能標識は、それぞれ、蛍光標識、蛍光発生標識、染料、比色標識、放射性標識、発光標識、化学発光標識、磁性粒子、金属粒子、荷電粒子、イオン溶液、胞子及び酵素標識又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第1の検出可能標識は、第2の検出可能標識と同じである。いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能標識は、それぞれ西洋ワサビペルオキシダーゼである。いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能標識は、それぞれ蛍光標識である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能標識は、それぞれ蛍光発生標識である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能標識は、それぞれ染料である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能標識は、それぞれ比色標識である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能標識は、それぞれ放射性標識である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能標識は、それぞれ発光標識である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能標識は、それぞれ化学発光標識である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能標識は、それぞれ磁性粒子である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能標識は、それぞれ金属粒子である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能標識は、それぞれ荷電粒子である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能標識は、それぞれイオン溶液である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能標識は、それぞれ胞子である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能標識は、それぞれ酵素標識である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能標識は、それぞれ、本明細書に列挙される検出可能標識のいずれかの組み合わせを含む。
【0125】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の固体支持体は、それぞれ培養プレートのウェルである。
【0126】
いくつかの実施形態において、対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態において、対象は、ヒト又は非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態において、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態において、対象は、非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態において、対象は、サルである。いくつかの実施形態において、対象は、実験動物である。いくつかの実施形態において、対象は、ブタである。いくつかの実施形態において、対象は、ラットである。いくつかの実施形態において、対象は、マウスである。いくつかの実施形態において、対象は、ネコである。いくつかの実施形態において、対象は、イヌである。いくつかの実施形態において、対象は、モルモットである。いくつかの実施形態において、第1及び第2の試料が対象から得られる前に、対象にAAV(例えばAAV6)ベクターが投与された。
【0127】
当業者は、第1及び第2の二次抗体が、対象によって産生される抗体に特異的に結合するべきであることを認識するであろう。いくつかの実施形態において、第1及び第2の二次抗体は、それぞれIgM、IgG、IgA、IgD、又はIgG抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の二次抗体は、それぞれ抗IgG抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の二次抗体は、それぞれ抗IgM抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の二次抗体は、それぞれ抗IgE抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の二次抗体は、それぞれ抗IgA抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の二次抗体は、それぞれ抗IgD抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の二次抗体は、それぞれ抗ヒトIgG抗体である。同様に、いくつかの実施形態において、第1及び第2の二次抗体は、それぞれ抗サル抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の二次抗体は、それぞれ抗ブタ抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の二次抗体は、それぞれ抗ラット抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の二次抗体は、それぞれ抗マウス抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の二次抗体は、それぞれ抗ネコ抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の二次抗体は、それぞれ抗イヌ抗体である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の二次抗体は、それぞれ抗モルモット抗体である。
【0128】
いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約7.5E10~1.5E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約7.5E10の濃度である。いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約8E10cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約9E10cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約1.0E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約1.1E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約1.2E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約1.3E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約1.4E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、約1.5E11cp/mLの濃度である。
【0129】
いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、7.5E10~1.5E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、7.5E10cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、8E10cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、9E10cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、1.0E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、1.1E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、1.2E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、1.3E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、1.4E11cp/mLの濃度である。いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、1.5E11cp/mLの濃度である。
【0130】
いくつかの実施形態において、第1の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドは、ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、第1の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドは、ポリヌクレオチドを含まない。いくつかの実施形態において、第2の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドは、ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、第2の固定化AAV(例えばAAV6)カプシドは、ポリヌクレオチドを含まない。いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドは、ポリヌクレオチドを含まない。
【0131】
いくつかの実施形態において、確認アッセイは、ELISAである。いくつかの実施形態において、チャレンジELISAは、以下のステップを含む。
1.100μL/ウェルの希釈AAV(例えばAAV6)カプシド(1.5e10cp/mL)、4℃でELISAプレートを一晩コーティングする
2.Tween20を含む300μLのリン酸緩衝生理食塩水でプレートを3回洗浄する。
3.200μLの試料緩衝液を全てのウェルに添加し、室温で2~3時間インキュベートする。
4.Tween20を含む300μLのリン酸緩衝生理食塩水でプレートを3回洗浄する。
5.対象から得られた2つの試料のうちの1つに、7.5e10cp/mlの可溶性AAV(例えばAAV6)カプシドを添加する。
6.100μLの試料を添加し、室温で2時間インキュベートする。
7.Tween20を含む300μLのリン酸緩衝生理食塩水でプレートを6回洗浄する。
8.100μLの西洋ワサビペルオキシダーゼにコンジュゲートしたヤギ抗ヒトIgG(Jackson、0.8mg/ml 1:40k希釈)を添加し、室温で1時間インキュベートする。
9.Tween20を含む300μLのリン酸緩衝生理食塩水でプレートを3回洗浄する。
10.100μLの3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)のを添加し、室温で15分間インキュベートする。
11.100μLの停止溶液を添加し、450/650nmでプレートを読み取る。
いくつかの実施形態において、試料緩衝液は、0.05%Tween20を含むリン酸緩衝生理食塩水中の0.5%ウシ血清アルブミンである。
【0132】
任意の抗AAV抗体が、本明細書に開示される方法によって検出され得る。いくつかの実施形態において、抗AAV抗体は、抗AAV1抗体、抗AAV2抗体、抗AAV3B抗体、抗AAV3抗体、抗AAV4抗体、抗AAV5抗体、抗AAV6抗体、抗AAV7抗体、抗AAV8抗体、抗AAV9抗体、抗AAV10抗体、抗AAV11抗体、抗AAVrh10抗体、抗AAVrh39抗体、及び抗AAVrh74抗体からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、抗AAV抗体は、抗AAV6抗体である。いくつかの実施形態において、可溶性AAVカプシド、第1の固定化AAVカプシド、及び第2の固定化AAVカプシドは、それぞれ、AAV1カプシド、AAV2カプシド、AAV3Bカプシド、AAV3カプシド、AAV4カプシド、AAV5カプシド、AAV6カプシド、AAV7カプシド、AAV8カプシド、AAV9カプシド、AAV10カプシド、AAV11カプシド、AAVrh10カプシド、AAVrh39カプシド、及びAAVrh74カプシドからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、可溶性AAVカプシド、第1の固定化AAVカプシド、及び第2の固定化AAVカプシドは、それぞれAAV6カプシドである。当業者は、可溶性AAVカプシド、第1の固定化AAVカプシド、及び第2の固定化AAVカプシドが同じであるべきであり、検出されている抗AAV抗体に対応するべきであることを認識するであろう。
【0133】
5.治療方法
本開示の第3の態様は、遺伝子療法を必要とする対象を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、対象を提供することと、対象が抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない場合にのみ、対象に組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV、例えばrAAV6)ベクターを投与することとを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、対象が抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない場合にのみ、対象に組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV、例えばrAAV6)ベクターを投与することを含む。任意のrAAVベクターは、本明細書に開示される方法に従って投与され得る。いくつかの実施形態において、rAAVベクターは、rAAV1ベクター、rAAV2ベクター、rAAV3Bベクター、rAAV3ベクター、rAAV4ベクター、rAAV5ベクター、rAAV6ベクター、rAAV7ベクター、rAAV8ベクター、rAAV9ベクター、rAAV10ベクター、rAAV11ベクター、rAAVrh10ベクター、rAAVrh39ベクター、及びrAAVrh74ベクターからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、rAAVベクターは、rAAV6ベクターである。いくつかの実施形態において、抗AAV抗体は、抗AAV1抗体、抗AAV2抗体、抗AAV3B抗体、抗AAV3抗体、抗AAV4抗体、抗AAV5抗体、抗AAV6抗体、抗AAV7抗体、抗AAV8抗体、抗AAV9抗体、抗AAV10抗体、抗AAV11抗体、抗AAVrh10抗体、抗AAVrh39抗体、及び抗AAVrh74抗体からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、抗AAV抗体は、抗AAV6抗体である。当業者は、対象が、投与されているrAAVベクターに対応する抗AAV抗体に対して陰性であるべきであることを認識するであろう。
【0134】
いくつかの実施形態において、対象における任意の抗AAV(例えば抗AAV6)抗体は、本明細書に開示される全抗体アッセイ(例えば、スクリーニングアッセイ又は確認アッセイ)を使用して、抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を検出する方法のいずれかを用いて検出される。いくつかの実施形態において、対象における任意の抗AAV(例えば抗AAV6)抗体は、本明細書に開示されるスクリーニングアッセイを使用して、抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を検出する方法のいずれかを用いて検出される。そのような実施形態において、rAAV(例えばrAAV6)ベクターは、スクリーニングアッセイの対象にのみ投与され、対象における抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を検出しない(例えば、スクリーニングの正規化された応答は、カットポイント係数未満である)。
【0135】
いくつかの実施形態において、対象における任意の抗AAV(例えば抗AAV6)抗体は、本明細書に開示される確認アッセイを使用して、抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を検出する方法のいずれかを用いて検出される。そのような実施形態において、rAAV(例えばrAAV6)ベクターは、確認アッセイの対象にのみ投与され、対象における抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を検出しない(すなわち、確認アッセイにおけるパーセント阻害は、カットポイントパーセンテージ未満である)。
【0136】
いくつかの実施形態において、対象は、遺伝障害に罹患している。いくつかの実施形態において、対象は、神経障害に罹患している。いくつかの実施形態において、対象は、rAAV(例えばrAAV6)ベクターを投与される。いくつかの実施形態において、遺伝障害は、リソソーム蓄積症である。いくつかの実施形態において、障害は、血友病A及びB、ファブリー病、鎌状赤血球症、ベータサラセミア、ムコ多糖症I及びII型、フェニルケトン尿症、グリコーゲン貯蔵病1a型、GLUT1欠乏症症候群、並びにHIV/AIDSからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、対象は、血友病Aに罹患している。いくつかの実施形態において、対象は、血友病Bに罹患している。いくつかの実施形態において、対象は、鎌状赤血球症に罹患している。いくつかの実施形態において、対象は、ベータサラセミアに罹患している。いくつかの実施形態において、対象は、ムコ多糖症I型に罹患している。いくつかの実施形態において、対象は、ムコ多糖症II型に罹患している。いくつかの実施形態において、対象は、フェニルケトン尿症に罹患している。いくつかの実施形態において、対象は、グリコーゲン貯蔵病1a型に罹患している。いくつかの実施形態において、対象は、GLUT1欠乏症症候群に罹患している。いくつかの実施形態において、対象は、HIV/AIDSに罹患している。いくつかの実施形態において、対象は、ファブリー病に罹患している。
【0137】
いくつかの実施形態において、対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態において、対象は、ヒト又は非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態において、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態において、対象は、非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態において、対象は、サルである。いくつかの実施形態において、対象は、実験動物である。いくつかの実施形態において、対象は、ブタである。いくつかの実施形態において、対象は、ラットである。いくつかの実施形態において、対象は、マウスである。いくつかの実施形態において、対象は、ネコである。いくつかの実施形態において、対象は、イヌである。いくつかの実施形態において、対象は、モルモットである。いくつかの実施形態において、対象は、AAV(例えばAAV6)ベクターを以前に受けていない。
【0138】
6.付番された実施形態
本開示の特定の実施形態は、以下の番号を付けた段落に示される。
A1.試験対象における抗アデノ随伴ウイルス(抗AAV)抗体を検出する方法であって、
(a)試験対象から得られた試験試料を提供することと、
(b)試験試料を試験AAVカプシドと接触させることであって、試験AAVカプシドが、試験固体支持体上に固定されている、接触させることと、
(c)試験試料が接触した固定化試験AAVカプシドを試験二次抗体と接触させることであって、試験二次抗体が試験検出可能標識を含む、接触させることと、
(d)試験検出可能標識を検出することと、
を含み、陰性対照に対する正規化応答で検出された標識がカットポイント係数以上である場合、試験対象は抗AAV抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答で検出された標識がカットポイント係数未満である場合、試験対象は抗AAV抗体を含まない、方法。
A2.カットポイント係数が、
(1)複数の参照対象から得られた参照試料を提供することであって、参照対象のそれぞれが中和抗AAV抗体アッセイに対して陰性であった、提供することと、
(2)各参照試料を参照AAVカプシドと接触させることであって、参照AAVカプシドが参照固体支持体上に固定されている、接触させることと、
(3)各参照試料が接触した固定化参照AAVカプシドを参照二次抗体と接触させることであって、参照二次抗体が参照検出可能標識を含む、接触させることと、
(4)各参照試料について参照検出可能標識を検出することと、
(5)外れ値参照試料を除去することと、
(6)外れ値が除去された参照試料を使用してカットポイント係数を決定することと、を含む方法により決定される、実施形態A1に記載の方法。
A3.外れ値参照試料が、基準[Q1-1.5*(Q3-Q1),Q3+1.5*(Q3-Q1)]を使用して除去される、実施形態A2に記載の方法。
A4.カットポイント係数が、95%信頼区間を有するパラメトリック方法に基づいている、実施形態A2又はA3に記載の方法。
A5.カットポイント係数が、95%信頼区間を有するロバストなパラメトリック方法に基づいている、実施形態A2又はA3に記載の方法。
A6.カットポイント係数が、非パラメトリック方法に基づいている、実施形態A2又はA3に記載の方法。
A7.抗AAV抗体が、抗AAV6抗体であり、AAVカプシドが、AAV6カプシドである、実施形態A1~A6のいずれか1つに記載の方法。
A8.試験試料が、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む、実施形態A1~A7のいずれか1つに記載の方法。
A9.各参照試料が、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む、実施形態A1~A8のいずれか1つに記載の方法。
A10.ステップ(b)の後及びステップ(c)の前に、固定化AAVカプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、実施形態A1~A9のいずれか1つに記載の方法。
A11.ステップ(c)の後及びステップ(d)の前に、試料が接触した固定化AAVカプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、実施形態A1~A10のいずれか1つに記載の方法。
A12.試験検出可能標識及び参照検出可能標識が、独立して、蛍光標識、蛍光発生標識、染料、比色標識、放射性標識、発光標識、化学発光標識、磁性粒子、金属粒子、荷電粒子、イオン溶液、胞子及び酵素標識又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態A1~A11のいずれか1つに記載の方法。
A13.試験対象が、ヒトである、実施形態A1~A12のいずれか1つに記載の方法。
A14.試料が試験対象から得られる前に、試験対象にAAVベクターが投与された、実施形態A1~A13のいずれか1つに記載の方法。
A15.試験対象における抗アデノ随伴ウイルス(抗AAV)抗体を検出する方法であって、
(a)試験対象から得られた第1の試験試料及び第2の試験試料を提供することと、
(b)第2の試験試料を試験可溶性AAVカプシドと接触させることと、
(c)第1の試験試料を第1の試験固定化AAVカプシドと接触させることであって、第1の試験固定化AAVカプシドが、第1の試験固体支持体上に固定されている、接触させることと、
(d)第2の試験試料及び可溶性試験AAVカプシドの混合物を第2の試験固定化AAVカプシドと接触させることであって、第2の試験固定化AAVカプシドが、第2の試験固体支持体上に固定されている、接触させることと、
(e)第1の試験試料が接触した第1の試験固定化AAVカプシドを第1の試験二次抗体と接触させることであって、第1の試験二次抗体が第1の試験検出可能標識を含む、接触させることと、
(f)混合物が接触した第2の試験固定化AAVカプシドを第2の試験二次抗体と接触させることであって、第2の試験二次抗体が第2の試験検出可能標識を含み、第2の試験二次抗体が第1の二次抗体と同じであり、第1の試験検出可能標識が第2の試験検出可能標識と同じである、接触させることと、
(g)第1及び第2の試験検出可能標識を検出することと、
を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較してカットポイントパーセンテージ以上減少する場合、対象は抗AAV抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較してカットポイント未満減少する場合、対象は抗AAV抗体を含まない、方法。
A16.カットポイントが、
(1)複数の参照対象から得られた第1及び第2の参照試料を提供することであって、参照対象のそれぞれが中和抗AAV抗体アッセイに対して陰性であった、提供することと、
(2)各参照対象について、第2の参照試料を参照可溶性AAVカプシドと接触させることと、
(3)各参照対象について、第1の参照試料を、第1の参照固定化AAVカプシドと接触させることであって、第1の参照固定化AAVカプシドが、第1の参照固体支持体上に固定されている、接触させることと、
(4)各参照対象について、第2の参照試料及び参照可溶性AAVカプシドの混合物を第2の参照固定化AAVカプシドと接触させることであって、第2の参照固定化AAVカプシドが、第2の参照固体支持体上に固定されている、接触させることと、
(5)各参照対象について、第1の参照試料が接触した第1の固定化AAVカプシドを第1の二次抗体と接触させることであって、第1の二次抗体が第1の参照検出可能標識を含む、接触させることと、
(6)各参照対象について、混合物が接触した第2の固定化AAVカプシドを、第2の二次抗体と接触させることであって、第2の二次抗体が、第2の参照検出可能標識を含み、第2の二次抗体が、第1の二次抗体と同じであり、第1の参照検出可能標識が、第2の参照検出可能標識と同じである、接触させることと、
(7)各参照対象について、第1及び第2の参照検出可能標識を検出することと、
(8)外れ値参照試料を除去することと、
(9)外れ値が除去された参照試料を使用してカットポイントパーセンテージを決定することと、を含む方法により決定される、実施形態A15に記載の方法。
A17.外れ値参照試料が、基準[Q1-1.5*(Q3-Q1),Q3+1.5*(Q3-Q1)]を使用して除去される、実施形態A16に記載の方法。
A18.カットポイントパーセンテージが、99%信頼区間を有するパラメトリック方法に基づいている、実施形態A16又はA17に記載の方法。
A19.カットポイントパーセンテージが、99%信頼区間を有するロバストなパラメトリック方法に基づいている、実施形態A16又はA17に記載の方法。
A20.カットポイントパーセンテージが、非パラメトリック方法に基づいている、実施形態A16又はA17に記載の方法。
A21.抗AAV抗体が、抗AAV6抗体であり、可溶性AAVカプシドが、可溶性AAV6カプシドであり、第1の固定化AAVカプシドが、第1の固定化AAV6カプシドであり、第2の固定化AAVカプシドが、第2の固定化AAV6カプシドである、実施形態A15~A20のいずれか1つに記載の方法。
A22.第1及び第2の試験試料が、それぞれ、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む、実施形態A15~A21のいずれか1つに記載の方法。
A23.各第1及び第2の参照試料が、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む、実施形態A15~A22のいずれか1つに記載の方法。
A24.ステップ(c)の後及びステップ(e)の前に、第1の試験固定化AAV6カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、実施形態A15~A23のいずれか1つに記載の方法。
A25.ステップ(d)の後及びステップ(f)の前に、第2の試験固定化AAV6カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、実施形態A15~A24のいずれか1つに記載の方法。
A26.ステップ(e)の後及びステップ(g)の前に、試料が接触した第1の試験固定化AAV6カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、実施形態A15~A25のいずれか1つに記載の方法。
A27.ステップ(f)の後及びステップ(g)の前に、混合物が接触した第2の固定化AAV6カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、実施形態A15~A26のいずれか1つに記載の方法。
A28.第1及び第2の試験検出可能標識が、蛍光標識、蛍光発生標識、染料、比色標識、放射性標識、発光標識、化学発光標識、磁性粒子、金属粒子、荷電粒子、イオン溶液、胞子及び酵素標識又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態A15~A27のいずれか1つに記載の方法。
A29.第1及び第2の参照検出可能標識が、蛍光標識、蛍光発生標識、染料、比色標識、放射性標識、発光標識、化学発光標識、磁性粒子、金属粒子、荷電粒子、イオン溶液、胞子及び酵素標識又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態A15~A28のいずれか1つに記載の方法。
A30.対象が、ヒトである、実施形態A15~A29のいずれか1つに記載の方法。
A31.試料が試験対象から得られる前に、試験対象にAAVベクターが投与された、実施形態A15~A30のいずれか1つに記載の方法。
A32.試験可溶性AAVカプシドが、7.5E10~15E10cp/mLの濃度である、実施形態A15~A31のいずれか1つに記載の方法。
A33.遺伝子療法を必要とする試験対象を治療する方法であって、試験対象が抗AAV抗体を含まない場合にのみ、試験対象に組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを投与することを含み、
試験対象における任意の抗AAV抗体が、実施形態A1~A32のいずれか1つに記載の方法によって検出される、方法。
A34.試験対象が、遺伝障害に罹患している、実施形態A33に記載の方法。
A35.試験対象が、神経障害に罹患している、実施形態A33に記載の方法。
A36.障害が、血友病A及びB、ファブリー病、鎌状赤血球症、ベータサラセミア、ムコ多糖症I及びII型、フェニルケトン尿症、グリコーゲン貯蔵病1a型、GLUT1欠乏症症候群、並びにHIV/AIDSからなる群から選択される、実施形態A34又はA35に記載の方法。
A37.障害が、ファブリー病である、実施形態A36に記載の方法。
A38.試験対象が、以前にAAV6ベクターを投与されていなかった、実施形態A33~A37のいずれか1つに記載の方法。
B1.対象における抗アデノ随伴ウイルス(抗AAV;例えば抗AAV6)抗体を検出する方法であって、
(a)対象から得られた試料を提供することと、
(b)試料をAAV(例えばrAAV6)カプシドと接触させることであって、AAV(例えばrAAV6)カプシドが、固体支持体上に固定されている、接触させることと、
(c)試料が接触した固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドを二次抗体と接触させることであって、二次抗体が検出可能標識を含む、接触させることと、
(d)標識を検出することと、
を含み、陰性対照に対する正規化応答で検出された標識が1.5以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答で検出された標識が1.5未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない、方法。
B2.陰性対照に対する正規化応答が1.6以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が1.6未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない、実施形態B1に記載の方法。
B3.陰性対照に対する正規化応答が1.7以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が1.7未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない、実施形態B1に記載の方法。
B4.陰性対照に対する正規化応答が1.73以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が1.73未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない、実施形態B1に記載の方法。
B5.陰性対照に対する正規化応答が1.75以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が1.75未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない、実施形態B1に記載の方法。
B6.試料が、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む、実施形態B1~B5のいずれか1つに記載の方法。
B7.ステップ(b)の後及びステップ(c)の前に、固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、実施形態B1~B6のいずれか1つに記載の方法。
B8.洗浄緩衝液が、1×リン酸緩衝生理食塩水、0.05%Tween20を含む、実施形態B7に記載の方法。
B9.ステップ(c)の後及びステップ(d)の前に、試料が接触した固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、実施形態B1~B8のいずれか1つに記載の方法。
B10.洗浄緩衝液が、1×リン酸緩衝生理食塩水、0.05%Tween20を含む、実施形態B9に記載の方法。
B11.検出可能標識が、蛍光標識、蛍光発生標識、染料、比色標識、放射性標識、発光標識、化学発光標識、磁性粒子、金属粒子、荷電粒子、イオン溶液、胞子及び酵素標識又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態B1~B10のいずれか1つに記載の方法。
B12.検出可能標識が、比色標識である、実施形態B11に記載の方法。
B13.検出可能標識が、西洋ワサビペルオキシダーゼである、実施形態B12に記載の方法。
B14.固体支持体が、培養プレートのウェルである、実施形態B1~B13のいずれか1つに記載の方法。
B15.対象が、哺乳動物である、実施形態B1~B14のいずれか1つに記載の方法。
B16.対象が、ヒトである、実施形態B15に記載の方法。
B17.二次抗体が、抗ヒトIgG抗体である、実施形態B16に記載の方法。
B18.試料が対象から得られる前に、対象にAAV(例えばrAAV6)ベクターが投与された、実施形態B1~B17のいずれか1つに記載の方法。
B19.陰性対照が、事前にスクリーニングされた陰性試料である、実施形態B1~B18に記載の方法。
B20.陰性対照が、中和抗体アッセイで事前にスクリーニングされた、実施形態B19に記載の方法。
B21.対象における抗アデノ随伴ウイルス(抗AAV;例えば抗AAV6)抗体を検出する方法であって、
(a)対象から得られた第1の試料及び第2の試料を提供することと、
(b)第2の試料を可溶性AAV(例えばrAAV6)カプシドと接触させることと、
(c)第1の試料を第1の固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドと接触させることであって、第1の固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドが、第1の固体支持体上に固定されている、接触させることと、
(d)第2の試料及び可溶性AAV(例えばrAAV6)カプシドの混合物を第2の固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドと接触させることであって、第2の固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドが、第2の固体支持体上に固定されている、接触させることと、
(e)第1の試料が接触した第1の固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドを第1の二次抗体と接触させることであって、第1の二次抗体が第1の検出可能標識を含む、接触させることと、
(f)混合物が接触した第2の固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドを、第2の二次抗体と接触させることであって、第2の二次抗体が、第2の検出可能標識を含み、第2の二次抗体が、第1の二次抗体と同じであり、第2の検出可能標識が、第2の検出可能標識と同じである、接触させることと、
(g)第1及び第2の標識を検出することと、
を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して20%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して20%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない、方法。
B22.検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して22%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して22%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない、実施形態B21に記載の方法。
B23.検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない、実施形態B21に記載の方法。
B24.検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24.1%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24.1%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない、実施形態B21に記載の方法。
B25.検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24.5%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24.5%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない、実施形態B21に記載の方法。
B26.第1及び第2の試料が、それぞれ、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む、実施形態B21~B25のいずれか1つに記載の方法。
B27.ステップ(c)の後及びステップ(e)の前に、第1の固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、実施形態B21~B26のいずれか1つに記載の方法。
B28.ステップ(d)の後及びステップ(f)の前に、第2の固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、実施形態B21~B27のいずれか1つに記載の方法。
B29.洗浄緩衝液が、1×リン酸緩衝生理食塩水、0.05%Tween20を含む、実施形態B27又はB28に記載の方法。
B30.ステップ(e)の後及びステップ(g)の前に、試料が接触した第1の固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、実施形態B21~B29のいずれか1つに記載の方法。
B31.ステップ(f)の後及びステップ(g)の前に、混合物が接触した第2の固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、実施形態B21~B30のいずれか1つに記載の方法。
B32.洗浄緩衝液が、1×リン酸緩衝生理食塩水、0.05%Tween20を含む、実施形態B30又はB31に記載の方法。
B33.第1及び第2の検出可能標識が、それぞれ、蛍光標識、蛍光発生標識、染料、比色標識、放射性標識、発光標識、化学発光標識、磁性粒子、金属粒子、荷電粒子、イオン溶液、胞子及び酵素標識又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態B21~B32のいずれか1つに記載の方法。
B34.第1及び第2の検出可能標識が、それぞれ比色標識である、実施形態B33に記載の方法。
B35.第1及び第2の検出可能標識が、それぞれ西洋ワサビペルオキシダーゼである、実施形態B34に記載の方法。
B36.第1及び第2の固体支持体が、それぞれ培養プレートのウェルである、実施形態B21~B35のいずれか1つに記載の方法。
B37.対象が、哺乳動物である、実施形態B21~B36のいずれか1つに記載の方法。
B38.対象が、ヒトである、実施形態B37に記載の方法。
B39.二次抗体が、抗ヒトIgG抗体である、実施形態B38に記載の方法。
B40.試料が試料から得られる前に、対象にAAV(例えばrAAV6)ベクターが投与された、実施形態B21~B39のいずれか1つに記載の方法。
B41.可溶性AAV(例えばrAAV6)カプシドが、7.5E10~15E10cp/mLの濃度である、実施形態B21~B40のいずれか1つに記載の方法。
B42.遺伝子療法を必要とする対象を治療する方法であって、対象が抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない場合にのみ、対象に組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV、例えばrAAV6)ベクターを投与することを含み、
対象における任意の抗AAV(例えば抗AAV6)抗体は、
(a)対象から得られた試料を提供することと、
(b)試料をAAV(例えばrAAV6)カプシドと接触させることであって、AAV(例えばrAAV6)カプシドが、固体支持体上に固定されている、接触させることと、
(c)試料が接触した固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドを二次抗体と接触させることであって、二次抗体が検出可能標識を含む、接触させることと、
(d)標識を検出することと、
を含み、陰性対照に対する正規化応答で検出された標識が1.5以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答で検出された標識が1.5未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない、方法により検出される、治療する方法。
B43.陰性対照に対する正規化応答が1.6以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が1.6未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない、実施形態B42に記載の方法。
B44.陰性対照に対する正規化応答が1.7以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が1.7未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない、実施形態B42に記載の方法。
B45.陰性対照に対する正規化応答が1.73以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が1.73未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない、実施形態B42に記載の方法。
B46.陰性対照に対する正規化応答が1.75以上である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、陰性対照に対する正規化応答が1.75未満である場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない、実施形態B42に記載の方法。
B47.試料が、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む、実施形態B42~B46のいずれか1つに記載の方法。
B48.ステップ(b)の後及びステップ(c)の前に、固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、実施形態B42~B47のいずれか1つに記載の方法。
B49.洗浄緩衝液が、1×リン酸緩衝生理食塩水、0.05%Tween20を含む、実施形態B48に記載の方法。
B50.ステップ(c)の後及びステップ(d)の前に、試料が接触した固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、実施形態B42~B49のいずれか1つに記載の方法。
B51.洗浄緩衝液が、1×リン酸緩衝生理食塩水、0.05%Tween20を含む、実施形態B50に記載の方法。
B52.検出可能標識が、蛍光標識、蛍光発生標識、染料、比色標識、放射性標識、発光標識、化学発光標識、磁性粒子、金属粒子、荷電粒子、イオン溶液、胞子及び酵素標識又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態B42~B51のいずれか1つに記載の方法。
B53.検出可能標識が、比色標識である、実施形態B52に記載の方法。
B54.検出可能標識が、西洋ワサビペルオキシダーゼである、実施形態B53に記載の方法。
B55.固体支持体が、培養プレートのウェルである、実施形態B42~B54のいずれか1つに記載の方法。
B56.対象が、哺乳動物である、実施形態B42~B55のいずれか1つに記載の方法。
B57.対象が、ヒトである、実施形態B56に記載の方法。
B58.二次抗体が、抗ヒトIgG抗体である、実施形態B57に記載の方法。
B59.陰性対照が、所定の陰性試料である、実施形態B42~B58に記載の方法。
B60.遺伝子療法を必要とする対象を治療する方法であって、対象が抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない場合にのみ、対象に組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV、例えばrAAV6)ベクターを投与することを含み、
対象における任意の抗AAV(例えば抗AAV6)抗体は、
(a)対象から得られた第1の試料及び第2の試料を提供することと、
(b)第2の試料を可溶性AAV(例えばrAAV6)カプシドと接触させることと、
(c)第1の試料を第1の固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドと接触させることであって、第1の固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドが、第1の固体支持体上に固定されている、接触させることと、
(d)第2の試料及び可溶性AAV(例えばrAAV6)カプシドの混合物を第2の固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドと接触させることであって、第2の固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドが、第2の固体支持体上に固定されている、接触させることと、
(e)第1の試料が接触した第1の固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドを第1の二次抗体と接触させることであって、第1の二次抗体が第1の検出可能標識を含む、接触させることと、
(f)混合物が接触した第2の固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドを、第2の二次抗体と接触させることであって、第2の二次抗体が、第2の検出可能標識を含み、第2の二次抗体が、第1の二次抗体と同じであり、第2の検出可能標識が、第2の検出可能標識と同じである、接触させることと、
(g)第1及び第2の標識を検出することと、
を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して20%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して20%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない、方法により検出される、治療する方法。
B61.検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して22%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して22%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない、実施形態B60に記載の方法。
B62.検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない、実施形態B60に記載の方法。
B63.検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24.1%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24.1%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない、実施形態B60に記載の方法。
B64.検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24.5%以上減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含み、検出された第2の標識の量が、検出された第1の標識の量と比較して24.5%未満減少する場合、対象は抗AAV(例えば抗AAV6)抗体を含まない、実施形態B60に記載の方法。
B65.第1及び第2の試料が、それぞれ、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、及び眼液からなる群から選択される流体を含む、実施形態B60~B64のいずれか1つに記載の方法。
B66.ステップ(c)の後及びステップ(e)の前に、第1の固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、実施形態B60~B65のいずれか1つに記載の方法。
B67.ステップ(d)の後及びステップ(f)の前に、第2の固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、実施形態B60~B66のいずれか1つに記載の方法。
B68.洗浄緩衝液が、1×リン酸緩衝生理食塩水、0.05%Tween20を含む、実施形態B66又はB67に記載の方法。
B69.ステップ(e)の後及びステップ(g)の前に、試料が接触した第1の固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、実施形態B60~B68のいずれか1つに記載の方法。
B70.ステップ(f)の後及びステップ(g)の前に、混合物が接触した第2の固定化AAV(例えばrAAV6)カプシドを洗浄緩衝液と接触させるステップを更に含む、実施形態B60~B69のいずれか1つに記載の方法。
B71.洗浄緩衝液が、1×リン酸緩衝生理食塩水、0.05%Tween20を含む、実施形態B69又はB70に記載の方法。
B72.第1及び第2の検出可能標識が、それぞれ、蛍光標識、蛍光発生標識、染料、比色標識、放射性標識、発光標識、化学発光標識、磁性粒子、金属粒子、荷電粒子、イオン溶液、胞子及び酵素標識又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態B60~B71のいずれか1つに記載の方法。
B73.第1及び第2の検出可能標識が、それぞれ比色標識である、実施形態B72に記載の方法。
B74.第1及び第2の検出可能標識が、それぞれ西洋ワサビペルオキシダーゼである、実施形態B73に記載の方法。
B75.第1及び第2の固体支持体が、それぞれ培養プレートのウェルである、実施形態B60~B74のいずれか1つに記載の方法。
B76.対象が、哺乳動物である、実施形態B60~B75のいずれか1つに記載の方法。
B77.対象が、ヒトである、実施形態B76に記載の方法。
B78.二次抗体が、抗ヒトIgG抗体である、実施形態B77に記載の方法。
B79.可溶性AAV(例えばrAAV6)カプシドが、7.5E10~1.5E11cp/mLの濃度である、実施形態B60~B78のいずれか1つに記載の方法。
B80.対象が、遺伝障害に罹患している、実施形態B42~B79のいずれか1つに記載の方法。
B81.対象が、神経障害に罹患している、実施形態B42~B79のいずれか1つに記載の方法。
B82.障害が、血友病A及びB、ファブリー病、鎌状赤血球症、ベータサラセミア、ムコ多糖症I及びII型、フェニルケトン尿症、グリコーゲン貯蔵病1a型、GLUT1欠乏症症候群、並びにHIV/AIDSからなる群から選択される、実施形態B80又はB81に記載の方法。
B83.障害が、ファブリー病である、実施形態B82に記載の方法。
B84.対象が、以前にAAV(例えば、rAAV6)ベクターを投与されていなかった、実施形態B42~B83のいずれか1つに記載の方法。
【実施例】
【0139】
実施例1
中和抗体アッセイ
アッセイの感度及び選択性を更に増加させるために、AAV6中和抗体(NAb)活性アッセイを使用して、陰性対照(NC)試料を選択した。例えば、
図1Aを参照されたい。簡潔に述べると、試料血清の連続希釈液を、ルシフェラーゼ遺伝子を保有するAAV6ベースのレポーターベクターとともにインキュベートし、血清中の任意の中和抗体をレポーターベクターに結合させた。1時間後、試料を96ウェルプレートに移し、_HT1080_細胞とともにインキュベートした。22時間後、全てのウェルをマイクロプレートリーダー上で読み取り、ルシフェラーゼ発現を決定した。各血清希釈液の中和のパーセンテージを、陰性対照に正規化した後に計算した。各試料を重複して実行し、各プレートには、陽性対照(血清を含まないがAAV6ルシフェラーゼベクターを有するウェル)、陰性対照(細胞培養培地のみを有するウェル)、及び陰性対照試料血清が含まれた。
【0140】
スクリーニングアッセイ(OD=0.1)中の低濃度の血清試料を陰性対照(NC)試料として選択した(
図2)。
【0141】
実施例2
ヒト血清の抗AAV6抗体のスクリーニングアッセイ
本明細書に記載の手順を使用して、ヒト血清中の抗AAV6総抗体の存在を評価した。高結合容易洗浄マイクロタイターELISAプレート(Corning、カタログ番号3369)を、1×Dulbeccoのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)中で希釈した100μL/ウェルのAAV6カプシド(1.5e10cp/mL;Sangamo、REC-000841-130178)でコーティングし、密封し、2~8℃で一晩インキュベートした。翌日、プレートを室温で最低15分間インキュベートした後、プレートシーラントを除去し、プレートを300μL/ウェルの洗浄緩衝液(1×PBS 0.05%Tween20)で3回洗浄した。過剰な液体を除去した後、200μL/ウェルのアッセイ希釈剤(洗浄緩衝液中の0.5%ウシ血清アルブミン(BSA))を添加してプレートをブロックし、プレートをプレートシーラーでカバーし、2~3時間穏やかに攪拌しながら室温でインキュベートした。プレートシーラントを除去した後、プレートを300μL/ウェルの洗浄緩衝液で3回洗浄し、過剰な液体を除去した。
【0142】
プレートを最低2時間ブロックした後、陰性対照(プールした血清、Sangamo、1650-28)、陽性力価対照の連続希釈液(陰性対照血清中の陽性源抗体500μg/mL、Sangamo 1732-5)、及び血清試験試料を含む100μL/ウェルの対照をプレートに加えた。プレートをカバーし、穏やかに攪拌しながら室温で2時間±10分間インキュベートした。プレートシーラントを除去した後、プレートを洗浄緩衝液で300μL/ウェルで6回洗浄し、過剰な液体を除去した。抗AAV6抗体を検出するために、100μL/ウェルの希釈抗ヒトIgG西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート検出抗体(1:40,000)を添加した。次いで、プレートをプレートシーラーでカバーし、攪拌しながら室温で1時間±5分間インキュベートした。プレートを300μL/ウェルの洗浄緩衝液で6回洗浄し、過剰な液体を除去した。3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)2部キット(KPL、キット番号50-76-00、A:5120-0049、B:5120-0038)を使用して吸光度プレートリーダーでHRPの存在を検出したが、ここで等しい部の溶液A(TMBペルオキシダーゼ基質)及び溶液B(ペルオキシダーゼ溶液B)を組み合わせ、組み合わせた溶液100μL/ウェルをプレートに添加した。プレートを攪拌しながら室温で15分±2分間インキュベートして発色させ、100μL/ウェルの停止溶液(1M H
3PO
4;Surmodics、カタログ番号SLTP-1000-01)を添加して色反応を終了させた。SpectraMax I3Xプレートリーダー(Molecular Devices)を用いて、プレートを450nm及び650nmの波長で読み取った。
全ての試料を以下のようにNCに正規化した。
【数3】
【0143】
実施例3
確認アッセイ
対象試料中の抗AAV6抗体の特異性を確認するために、確認アッセイを行った。簡潔に述べると、血清試料を可溶性AAV6カプシド(7.5e10cp/mL又は1.5e11cp/mL)の存在下又は非存在下で試験したことを除いて、実施例2に記載のELISAアッセイを行った。阻害パーセントは以下のように計算した。
【数4】
【0144】
実施例4
無作為な試料を使用したカットポイントの決定
抗AAV6抗体に対する健康なドナーにおける高い血清陽性率によって、陽性の場合と陰性の場合との明確な分離が可能ではない。更に、これらの試料からのスクリーニングアッセイデータは、正規分布しておらず、カットポイント係数(CPF)に影響を及ぼし得る数ラウンドの外れ値除去を必要とする。実施例2のELISAスクリーニングアッセイ及び実施例3の確認アッセイを、102個の無作為な健常試料を使用して行った。中和抗体アッセイを使用してスクリーニングした場合(事前に0.3、すなわち(30%活性)であると決定されたCP;0.3以下のNRを有する試料は陽性であり、0.3を超えるNRを有する試料は陰性である)、58個の試料は陰性であり、44個の試料は陽性であった。ELISAスクリーニングアッセイからの正規化応答を、JMP v13(SAS Institute)を使用して箱ひげプロットでグラフ化し、分位数(Q)1及び3に基づいて外れ値を決定した(
図3A)。外れ値は、以下の基準を使用して除去した。
[Q1-1.5*(Q3-Q1),Q3+1.5*(Q3-Q1)]
【0145】
上述のスクリーニングアッセイのためのボックスプロットを使用した3ラウンドの外れ値除去の後、最終カットポイント計算に70個の試料を使用した。ログ変換後、ELISAスクリーニングアッセイの5%の偽陽性率(FPR)及び確認アッセイの1%のFPRを有するカットポイント係数(CPF)のパラメトリック計算は、以下のとおりであった(
図3Bを参照されたい):
ELISAスクリーニングアッセイ=平均+1.645XSD(5%FPR))
チャレンジアッセイ=平均+2.33XSD(1%FPR)
ランダム試料について、CPFは、ELISAスクリーニングアッセイでは2.6であると決定され(
図4A)、CPPは、確認アッセイでは43.1%阻害であると決定された(
図4B)。カットポイント以上の値を有する試料は陽性であり、カットポイント未満の値を有する試料は陰性であった。
【0146】
実施例5
事前にスクリーニングされた陰性試料を使用したカットポイントの決定
NAbアッセイ(CP=0.3)を使用して試料を事前にスクリーニングして、陰性試料を特定した。実施例2のELISAスクリーニングアッセイ及び実施例3の確認アッセイを、104個の事前にスクリーニングされた陰性試料を使用して行った。実施例4に記載のように、JMP v13を使用して外れ値を除去し、ログ変換を行ったが、ここで、ボックスプロットを使用して1ラウンドの外れ値除去がスクリーニングアッセイに行われ、1ラウンドが確認アッセイに行われ、したがって最終CP計算に99個の試料を使用した。3ラウンドの外れ値除去を利用し、32個の外れ値を除去した実施例4の無作為な試料と比較して、事前にスクリーニングされた試料の使用は、より良いデータセットをもたらし、これは1ラウンドの外れ値除去のみを利用し、5個の外れ値を除去した。実際に、実施例4の無作為な試料からの3ラウンドの外れ値除去後であっても、分布は正規ではなかった。
図4Aを参照されたい。対照的に、事前にスクリーニングされた試料を用いた1ラウンドの外れ値除去は、正規分布を提供した。事前にスクリーニングされた陰性試料を使用したCPF及びCPPを、実施例4に示すように計算した。スクリーニングアッセイにおける事前にスクリーニングされた陰性試料のCPF(5%FPR)は1.75であり、確認アッセイにおける事前にスクリーニングされた陰性試料のCPP(1%FPR)は24.1%であった(
図5)。
【0147】
実施例2のELISAスクリーニングアッセイ及び実施例3の確認アッセイを、追加の211個の事前にスクリーニングされた陰性試料を使用して繰り返した。反復実験では、スクリーニングアッセイにおける事前にスクリーニングされた陰性試料のCPF(5%FPR)は1.73であり、確認アッセイにおける事前にスクリーニングされた陰性試料のCPP(1%FPR)は24.5%であった。
【0148】
実施例6
アッセイ感度の決定
精製された陽性対照抗AAV6抗体を生成するために、実施例1の中和抗体アッセイを用いて抗AAV6抗体に対して陽性として予めスクリーニングした63個の個々の血清試料を、実施例2に記載のように、ELISAによって抗AAV6抗体についてスクリーニングした(
図5A及びBを参照されたい)。これらの63個のうち、最も高い光学密度(OD)を有する5個を選択し、陽性対照(PC)-1-5として標識し、滴定した(
図6A)。滴定曲線上の全ての濃度にわたって最も高いシグナルを有する試料、PC-2(
図6B)を、タンパク質A/Gスピンキット(Thermofisher、89950)を使用した全IgGの精製及びAAV6磁気ビーズ(Pierce(商標)NHS活性化磁気ビーズ;Thermofisher、88827)を使用したAAV6特異的抗体の親和性精製に選択した。アッセイ感度を評価するために、実施例2のELISAスクリーニングアッセイ及び実施例3の確認アッセイ(
図7A)を使用して、総IgG抗体対照及び親和性精製抗AAV6抗体の連続希釈液を評価した。親和性精製抗AAV6抗体は、総IgG抗体対照と比較して、感度を64倍超向上させた(
図7B)。例えば、実施例2のELISAスクリーニングアッセイにおけるCPFでの抗体濃度は、全IgG抗体対照では15.4μg/mlであったが、親和性精製抗AAV6対照では0.24μg/mlのみであった。同様に、実施例3の確認アッセイにおけるCPPでの抗体濃度は、総IgG抗体対照では5.85μg/mlであったが、親和性精製抗AAV6対照では0.073μg/mlであった。
【0149】
実施例7
アッセイ特異性の確認
この最適化されたCPFの有効性を決定するために、実施例1の中和抗体アッセイ(CP=0.3)及び実施例2のELISAスクリーニングアッセイを使用して100個の試料を評価した。中和抗体アッセイの結果(CPF=0.3、すなわち30%正規化RLU)を、無作為な健常試料から決定したCPFを用いたELISAスクリーニングアッセイの結果(CPF=2.6)、事前にスクリーニングされた陰性試料を用いて決定したCPFを用いたELISAスクリーニングアッセイの結果(CPF=1.73)、及び(
図8A~8Cを参照されたい)と比較した。CPF=2.6(無作為な健常対象)を用いて評価した場合、ELISAスクリーニングアッセイにより、8つの偽陰性が得られた(
図8A、左下の象限)。CPF=1.75(事前にスクリーニングされた陰性対象)を使用すると、ELISAスクリーニングアッセイ結果は、中和抗体アッセイ結果とより良好に相関し、偽陰性結果は排除された(
図8B、左下の象限)。同様に、CPP=24.1%阻害(事前にスクリーニングされた陰性対象)を使用すると、確認アッセイ結果は、ほぼ完全に中和抗体アッセイ結果と相関し、偽陰性結果は見られなかった(
図8C)。
【0150】
更に、実施例2のELISAスクリーニングアッセイ及び実施例3の確認アッセイを、実施例6で精製された陽性対照抗体の存在下及び非存在下で、実施例1の中和抗体アッセイに対して事前に陰性としてスクリーニングされた試料を使用して行った。具体的には、20μg/mL又は40μg/mLの陽性対照抗体を、10個の陰性の個々の血清試料に添加した(
図9A及び9Bを参照されたい)。ELISAスクリーニングアッセイでは、CPF=1.73を使用すると、陽性対照抗体を欠く全ての試料は陰性であり、陽性対照抗体でスパイクされた全ての試料は陽性であった(
図9A)。同様に、確認アッセイでは、CP=24.1%阻害を使用すると、陽性対照を欠く全ての試料は陰性であり、陽性対照でスパイクされた全ての試料は陽性であった(
図9B)。これらの結果は、抗AAV6抗体の検出のための、CPF及びCPPそれぞれの特異性を裏付けている。
【0151】
上記の実施例は、本発明の方法の実施形態を作製及び使用する方法の完全な開示及び説明を当業者に与えるために提供され、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。当業者に明らかである、本開示を実施するための上述の形態の修正は、本開示の範囲内であることが意図される。本明細書で言及される全ての特許及び刊行物は、本発明が関連する当業者の技術レベルを示す。本明細書で引用される全ての参考文献は、各参考文献が参照によりその全体が個別に組み込まれた場合と同じ程度に、参照により組み込まれる。
【0152】
全ての見出し及びセクションの指定は、明確化及び参照の目的でのみ使用されており、決して限定的であるとみなされるべきではない。例えば、当業者であれば、本明細書に記載の本開示の趣旨及び範囲に従って、異なる見出し及びセクションからの様々な態様を適宜組み合わせることの有用性を理解するであろう。
【0153】
本開示の多くの修正及び変形は、当業者に明らかであるように、その趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に記載の特定の実施形態及び実施例は、例としてのみ提供される。
【国際調査報告】