(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】エアロゾル供給デバイス加熱システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20231018BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20231018BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520439
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(85)【翻訳文提出日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2021078218
(87)【国際公開番号】W WO2022079050
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ロクトマン, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ビュロー, デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】シェリダン, ジェームズ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC12
4B162AC22
4B162AC34
4B162AD06
4B162AD23
(57)【要約】
エアロゾル供給デバイス加熱システムが記述されている。本システムは、エアロゾル生成材料を備える物品の少なくとも一部分を受け入れることができる加熱領域を含む。本システムはまた、加熱領域内において延在する第1のサセプタと、加熱領域の少なくとも一部分を少なくとも部分的に取り囲む第2のサセプタとを含む。第1の誘導コイルは、第1のサセプタに侵入して加熱させる第1の変動磁場を生成する。第2の誘導コイルは、第2のサセプタに侵入して加熱させる第2の変動磁場を生成する。第1及び第2の誘導コイルは独立に制御可能であってもよい。
【選択図】
図4B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成材料を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるように構成された加熱領域と、
前記加熱領域内において延在する第1のサセプタであって、変動磁場の侵入によって加熱可能な第1のサセプタと、
前記加熱領域の少なくとも一部分を少なくとも部分的に取り囲む第2のサセプタであって、変動磁場の侵入によって加熱可能な第2のサセプタと、
前記第1のサセプタに侵入する第1の変動磁場を生成するように構成された第1の誘導コイルと、
前記第2のサセプタに侵入する第2の変動磁場を生成するように構成された第2の誘導コイルと、
を備える、エアロゾル供給デバイス加熱システム。
【請求項2】
前記加熱領域が長手方向軸線を有し、前記第1のサセプタが、前記加熱領域内において軸線方向に延在する、請求項1に記載の加熱システム。
【請求項3】
前記第1のサセプタが、前記加熱領域によって受け入れられる物品内に延在するように構成された、請求項1又は2に記載の加熱システム。
【請求項4】
前記第1のサセプタが、自由端に鋭い刃又は尖端を備える、請求項1、2、又は3に記載の加熱システム。
【請求項5】
前記第2のサセプタが、前記加熱領域によって受け入れられる物品の少なくとも一部分の周りに延在するように構成された、請求項1~4のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項6】
前記第1の誘導コイルが、前記第1のサセプタの少なくとも一部分の周りに延在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項7】
前記第1の誘導コイルが、前記加熱領域の少なくとも一部分の周りに延在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項8】
前記第2の誘導コイルが、前記第2のサセプタの少なくとも一部分の周りに延在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項9】
前記第1の変動磁場が、前記第2のサセプタよりも前記第1のサセプタの温度を大きく上昇させるように構成された、請求項1~8のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項10】
前記第2の変動磁場が、前記第1のサセプタよりも前記第2のサセプタの温度を大きく上昇させるように構成された、請求項1~9のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項11】
前記第2のサセプタの一部分が前記第1のサセプタの一部分を取り囲む、請求項1~10のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項12】
前記第2のサセプタが前記第1のサセプタを取り囲まないように、前記第1のサセプタが前記第2のサセプタからずれている、請求項1~10のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項13】
前記第1及び第2の誘導コイルを独立に制御するように構成された制御回路を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項14】
前記第1のサセプタの温度を示す第1の温度を測定するように構成された第1のセンサと、前記第2のサセプタの温度を示す第2の温度を測定するように構成された第2のセンサとを備え、前記制御回路が、前記第1の温度に基づいて前記第1の誘導コイルを制御し、前記第2の温度に基づいて前記第2の誘導コイルを制御するように構成された、請求項13に記載の加熱システム。
【請求項15】
前記第1の変動磁場を生成するように第1の交流電流を前記第1の誘導コイルに供給するように構成された第1の交流電流供給源と、前記第2の変動磁場を生成するように第2の交流電流を前記第2の誘導コイルに供給するように構成された第2の交流電流供給源とを備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項16】
前記第1の交流電流の周波数が、前記第1のサセプタに関連する1つ以上の特性に基づいて選択され、前記第2の交流電流の周波数が、前記第2のサセプタに関連する1つ以上の特性に基づいて選択された、請求項15に記載の加熱システム。
【請求項17】
前記加熱領域が、非液体エアロゾル生成材料を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるように構成され、前記加熱システムが、前記非液体エアロゾル生成材料を加熱するように構成された、請求項1~16のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の加熱システムを備えるエアロゾル供給デバイス。
【請求項19】
非燃焼性エアロゾル供給デバイスである、請求項17に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項20】
請求項18又は19に記載のエアロゾル供給デバイスと、エアロゾル生成材料を備える物品とを具備するエアロゾル供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル供給デバイス加熱システム、エアロゾル供給デバイス、並びにエアロゾル供給デバイスと、エアロゾル生成材料を備える物品とを具備するエアロゾル供給システムに関する。
【背景】
【0002】
紙巻タバコ及び葉巻タバコなどの喫煙品は、使用中にタバコを燃焼させてタバコ煙を発生させる。燃焼させずに化合物を放出する製品を創出することによって、タバコを燃焼するこれらの物品に代わるものを提供する試みがなされている。そのような製品の例としては、材料を燃焼させるのではなく加熱することで化合物を放出する加熱デバイスがある。その材料は、例えば、タバコでもよいし、他の非タバコ製品でもよく、それらは、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【概要】
【0003】
一態様によれば、エアロゾル生成材料を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるように構成された加熱領域と、加熱領域内において延在する第1のサセプタであって、変動磁場の侵入によって加熱可能な第1のサセプタと、加熱領域の少なくとも一部分を少なくとも部分的に取り囲む第2のサセプタであって、変動磁場の侵入によって加熱可能な第2のサセプタと、第1のサセプタに侵入する第1の変動磁場を生成するように構成された第1の誘導コイルと、第2のサセプタに侵入する第2の変動磁場を生成するように構成された第2の誘導コイルとを備えるエアロゾル供給デバイス加熱システムが提供される。
【0004】
第1のサセプタは、加熱領域の端部で加熱領域内において延在してもよい。第1のサセプタは、加熱領域の端部から加熱領域内に突出してもよい。
【0005】
加熱領域は、長手方向軸線を有することができる。第1のサセプタは、加熱領域内に軸線方向(すなわち、長手方向軸線に平行)に延在してもよい。第1のサセプタは、長手方向軸線に沿って加熱領域内において延在してもよい。
【0006】
第1のサセプタは、物品内に延在してもよい。第1のサセプタは、物品が加熱領域によって受け入れられているとき、物品内に延在するように構成されてもよい。
【0007】
第1のサセプタは、自由端に鋭い刃又は尖端を備えてもよい。
【0008】
第1のサセプタは、i)≦40mm、ii)≦35mm、iii)≦30mm、iv)≦25mm、v)≦20mm,vi)≦15mm,vii)≦10mm、又はviii)≦5mmの長さにわたって延在してもよい。この長さは軸線方向の長さであってもよい。
【0009】
第2のサセプタは、加熱領域の少なくとも一部分を取り囲む実質的に管状の部材を備えてもよい。
【0010】
第2のサセプタは、物品が加熱領域によって受け入れられているとき、物品の少なくとも一部分の周りに延在するように構成されてもよい。
【0011】
第1のサセプタと第2のサセプタは合わせて、i)>10mm、ii)>20mm、iii)>30mm、iv)>40mm、v)>50mm、vi)>60mm、vii)70mm、又はviii)>80mmの長さにわたって延在してもよい。この長さは軸線方向の長さであってもよい。
【0012】
加熱システムは、加熱領域を画定する受入部を備えてもよい。受入部は、加熱領域の端部を画定する基部と周壁とを有してもよい。
【0013】
第1のサセプタは基部から立ち上がってもよい。
【0014】
周壁は、支持部材及び第2のサセプタを備えてもよい。
【0015】
第2のサセプタは、周壁の少なくとも一部を形成する支持部材によって支持されてもよい。
【0016】
支持部材は、内面から延在する凹部を備えてもよく、第2のサセプタは、凹部内にあってもよい。
【0017】
第1の誘導コイルは、(第1の変動磁場が第1のサセプタに浸入して加熱させるように)第1のサセプタの少なくとも一部分の周りに延在してもよい。
【0018】
第1の誘導コイルは、加熱領域の少なくとも一部分の周りに延在してもよい。
【0019】
第1の誘導コイルは、長手方向軸線の周りに延在してもよい。第1の誘導コイルは、第2のサセプタの周りに延在するよりも長く、第1のサセプタの周りに軸線方向に延在してもよい。
【0020】
第2の誘導コイルは、(第2の変動磁場が第2のサセプタに浸入して加熱させるように)第2のサセプタの少なくとも一部分の周りに延在してもよい。
【0021】
第2の誘導コイルは、長手方向軸線の周りに延在してもよい。第2の誘導コイルは、第1のサセプタの周りに軸線方向に延在するよりも長く、第2のサセプタの周りに軸線方向に延在してもよい。
【0022】
本システムは、第1の変動磁場が、第2のサセプタよりも第1のサセプタの温度を大きく上昇させるように構成されてもよい。
【0023】
本システムは、第2の変動磁場が、第1のサセプタよりも第2のサセプタの温度を大きく上昇させるように構成されてもよい。
【0024】
本システムは、第1の誘導コイルが、第2のサセプタよりも第1のサセプタに多くのパワーを伝達するように構成されてもよい。
【0025】
本システムは、第2の誘導コイルが、第1のサセプタよりも第2のサセプタに多くのパワーを伝達するように構成されてもよい。
【0026】
第1の誘導コイルと第2の誘導コイルは同軸であってもよい。第1のサセプタと第2のサセプタは同軸であってもよい。第1の誘導コイルと第1のサセプタは同軸であってもよい。第2の誘導コイルと第2のサセプタは同軸であってもよい。
【0027】
第2のサセプタの一部分は、第1のサセプタの一部分を取り囲んでもよい。すなわち、第1のサセプタの軸線方向長さの全部ではなく一部は、第2のサセプタの軸線方向長さの全部ではなく一部と軸線方向に重なってもよい。
【0028】
第2のサセプタは、1つ以上の不連続部を備えてもよい。1つ以上の不連続部は、第1の変動磁場がそこを通過することができるように構成されてもよい。
【0029】
これに代えて、第1のサセプタと第2のサセプタは、第2のサセプタが第1のサセプタを取り囲まないように互いからずれていてもよい。すなわち、第1のサセプタの軸線方向長さのいずれも、第2のサセプタの軸線方向長さのいずれにも軸線方向に重ならなくてもよい。
【0030】
第1のサセプタは、加熱領域の端部と第1のサセプタの(自由)端部との間の第1の距離にわたって少なくとも延在してもよい。第2のサセプタは、第2のサセプタの第1の端部と第2のサセプタの第2の端部との間の第2の距離にわたって延在してもよい。第1のサセプタ及び第2のサセプタは、加熱領域の端部から第2のサセプタの第2の端部までの距離が、第1の距離よりも長く、第2の距離よりも長くなるように互いからずれていてもよい。
【0031】
第1の誘導コイルと第2の誘導コイルは独立に制御可能であってもよい。
【0032】
本システムは、第1の誘導コイルと第2の誘導コイルを独立に制御するように構成された制御回路を備えてもよい。
【0033】
本システムは、第1のサセプタの温度を示す第1の温度を測定するように構成された第1のセンサを備えてもよい。本システムは、第2のサセプタの温度を示す第2の温度を測定するように構成された第2のセンサを備えてもよい。制御回路は、第1の温度に基づいて第1の誘導コイルを制御し、第2の温度に基づいて第2の誘導コイルを制御するように構成されてもよい。
【0034】
本システムは、第1の変動磁場を生成するように第1の交流電流を第1の誘導コイルに供給するように構成された第1の交流電流供給源を備えてもよい。本システムは、第2の変動磁場を生成するように第2の交流電流を第2の誘導コイルに供給するように構成された第2の交流電流供給源を備えてもよい。
【0035】
制御回路は、第1及び第2の交流電流を制御することができる。
【0036】
第1の交流電流の周波数は、第1のサセプタに関連する1つ以上の特性に基づいて選択されてもよい。第2の交流電流の周波数は、第2のサセプタに関連する1つ以上の特性に基づいて選択されてもよい。1つ以上の特性は、サセプタ材料、形状、大きさ、加熱深さなどのうちの1つ以上であってもよい。
【0037】
第1の交流電流の周波数は、第1のサセプタを効率的に加熱するように選択されてもよい。第2の交流電流の周波数は、第2のサセプタを効率的に加熱するように選択されてもよい。
【0038】
エアロゾル生成材料は非液体エアロゾル生成材料であってもよい。
【0039】
加熱領域は、非液体エアロゾル生成材料を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるように構成されてもよく、加熱システムは、非液体エアロゾル生成材料を加熱するように構成されてもよい。
【0040】
加熱システムは、第1及び/又は第2のサセプタを、約200℃~約350℃、例えば、約240℃~約300℃、又は約250℃~約280℃の温度に加熱するように構成されてもよい。
【0041】
一態様によれば、上記の加熱システムを備えるエアロゾル供給デバイスが提供される。
【0042】
本エアロゾル供給デバイスは、非燃焼性エアロゾル供給デバイスであってもよい。
【0043】
本デバイスは、非燃焼加熱式デバイスとしても知られているタバコ加熱デバイスであってもよい。
【0044】
一態様によれば、上記のエアロゾル供給デバイスと、エアロゾル生成材料を備える物品とを具備するエアロゾル供給システムが提供される。
【0045】
エアロゾル生成材料は非液体エアロゾル生成材料であってもよい。
【0046】
物品は、加熱領域内に少なくとも部分的に受け入れられるような寸法であってもよい。
【0047】
物品は、第2のサセプタ内に少なくとも部分的に受け入れられるような寸法であってもよい。
【0048】
物品は、第2のサセプタ内に受け入れられているとき、第2のサセプタと接触するような寸法であってもよい。物品は、第1のサセプタによって一端で突き刺されるような寸法であってもよい。
【0049】
一態様によれば、エアロゾル生成材料を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるように構成された加熱領域と、加熱領域内において延在する第1のサセプタであって、変動磁場の侵入によって加熱可能な第1のサセプタと、加熱領域の少なくとも一部分を少なくとも部分的に取り囲む第2のサセプタであって、変動磁場の侵入によって加熱可能な第2のサセプタとを備えるエアロゾル供給デバイス加熱システムが提供される。
【0050】
次に、添付図面を参照して単に例として様々な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】エアロゾル供給デバイスの例の前面図である。
【
図2】
図1のエアロゾル供給デバイスの概略図である。
【
図3A】エアロゾル供給デバイスのヒーターアセンブリの概略図である。
【
図3B】エアロゾル供給デバイスのヒーターアセンブリの概略図である。
【
図4A】エアロゾル供給デバイスのヒーターアセンブリに受け入れられる物品の斜視図である。
【
図4B】エアロゾル供給デバイスのヒーターアセンブリに受け入れられる物品の断面図である。
【
図5A】エアロゾル供給デバイスのヒーターアセンブリに受け入れられる物品の断面図である。
【
図5B】エアロゾル供給デバイスのヒーターアセンブリに受け入れられる物品の断面図である。
【詳細な説明】
【0052】
本明細書で使用するとき、「エアロゾル生成材料」という用語は、加熱されると、典型的にはエアロゾルの形態の揮発成分を供給する材料を含む。エアロゾル生成材料は、任意のタバコ含有材料を含み、例えば、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ以上を含んでもよい。エアロゾル生成材料はまた、他の非タバコ製品を含んでもよく、非タバコ製品は、製品によっては、ニコチンを含んでもよいし、含まなくてもよい。エアロゾル生成材料は、例えば、固体、液体、ゲル、又は蝋などの形態であってもよい。エアロゾル生成材料はまた、例えば、材料を組み合わせたもの、又はブレンドしたものであってもよい。エアロゾル生成材料はまた、「喫煙材」としても知られている場合がある。
【0053】
典型的には、エアロゾル生成材料を燃やさずに、又は燃焼させずに吸引することができるエアロゾルを形成するために、エアロゾル生成材料を加熱してエアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させる装置が知られている。このような装置は、「エアロゾル生成デバイス」、「エアロゾル供給デバイス」、「非燃焼加熱式デバイス」、「タバコ加熱製品デバイス」、又は「タバコ加熱デバイス」などとしても記述されることもある。同様に、いわゆるeシガレットデバイスもあり、これは、典型的には、ニコチンを含むことも含まないこともある液体の形態のエアロゾル生成材料を気化する。エアロゾル生成材料は、装置に挿入することができるロッド、カートリッジ、若しくはカセットなどの形態であってもよく、又は、これらの一部として提供されてもよい。エアロゾル生成材料を加熱して揮発させるためのヒーターは、装置の「永久的な」部分として設けられてもよい。
【0054】
エアロゾル供給デバイスは、エアロゾル生成材料を備える物品を加熱するために受け入れることができる。この文脈の「物品」とは、使用時にエアロゾル生成材料を含む、又はエアロゾル生成材料が入っている、使用時に加熱されて、エアロゾル生成材料及び任意選択で他の成分を揮発させる構成要素のことである。ユーザは、物品をエアロゾル生成デバイスに挿入してから、加熱してエアロゾルを発生させることができ、続いてユーザはそれを吸引する。物品は、例えば、物品を受け入れるような大きさのデバイスの加熱チャンバ内に配置されるように構成された予め決められた又は特定の大きさのものであってもよい。
【0055】
図1は、エアロゾル生成媒体/材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給デバイス100の例を示す。デバイス100は、エアロゾル生成媒体を備える交換可能な物品110を加熱して、デバイス100のユーザが吸引することができるエアロゾル又は他の吸引可能な媒体を生成するために使用することができる。
【0056】
デバイス100は、デバイス100の様々な構成要素を取り囲み、収容するハウジング102を備える。デバイス100は、一端に開口104を有し、デバイス100によって加熱するために物品110をこの開口104を通して挿入することができる。物品110は、デバイス100によって加熱するために、デバイス100に完全に、又は部分的に挿入することができる。
【0057】
デバイス100はまた、押下されるなど操作されると、デバイス100を動作させるボタン又はスイッチなどのユーザが操作可能な制御要素106を備えてもよい。例えば、ユーザは、スイッチ106を押すことによってデバイス100を作動させることができる。
【0058】
図2は、
図1のエアロゾル供給デバイス100の概略図であり、デバイス100の様々な構成要素を示している。デバイス100は、
図2に示されていない他の構成要素を含む場合があることは認識されよう。
【0059】
図2に示すように、デバイス100は、ヒーターアセンブリ201、電源204、及びコントローラ(制御回路)202を含む。ヒーターアセンブリ201は、デバイス100に挿入された物品110のエアロゾル生成媒体を加熱して、エアロゾルがエアロゾル生成媒体から生成されるように構成される。電源204は、ヒーターアセンブリ201に電力を供給し、ヒーターアセンブリ201は、供給された電気エネルギーを、エアロゾル生成媒体を加熱するための熱エネルギーに変換する。
【0060】
電源204は、例えば、再充電可能なバッテリー又は再充電できないバッテリーなどのバッテリーであってもよい。適切なバッテリーの例には、例えば、リチウム電池(リチウム-イオン電池など)、ニッケル電池(ニッケル-カドミウム電池など)、及びアルカリ電池が含まれる。
【0061】
バッテリー204は、ヒーターアセンブリ201に電気的に結合されて、必要なときに電力を供給し、コントローラ202の制御下で、エアロゾル生成材料を加熱することができる。制御回路202は、ユーザの制御要素106の操作に基づいて、ヒーターアセンブリ201を作動及び停止させるように構成することができる。例えば、制御回路202は、ユーザのスイッチ106の操作に応答して、ヒーターアセンブリ201を作動させることができる。
【0062】
デバイス100は、長手方向軸線101を定め、物品110は、デバイス100に挿入されたときにこの長手方向軸線101に沿って延在することができる。
【0063】
開口104に最も近いデバイス100の端部は、使用時にユーザの口に最も近いため、デバイス100の近位端(又は口側端部)として知られていることがある。使用時、ユーザは、物品110を開口104に挿入し、ユーザ制御部106を操作して、エアロゾル生成材料の加熱を開始し、デバイス内で生成されたエアロゾルを引き込む。これによって、エアロゾルは、流路に沿ってデバイス100を通ってデバイス100の近位端の方へ流れる。
【0064】
開口104から最も遠いデバイスの他端は、使用時にユーザの口から最も遠い端部であるため、デバイス100の遠位端として知られていることがある。ユーザがデバイス内で生成されたエアロゾルを吸うと、エアロゾルは、デバイス100の近位端に向かう方向に流れる。デバイス100の特徴部に適用される近位及び遠位という用語は、このような特徴部の軸線101に沿った近位-遠位方向の互いに対する相対的位置への参照によって説明される。
【0065】
図3A及び
図3Bは、様々な実施形態によるヒーターアセンブリ201のより詳細な概略図である。ヒーターアセンブリ201は、
図3A及び
図3Bに示されていない他の構成要素を含む場合があることは認識されよう。
【0066】
ヒーターアセンブリ201は誘導加熱アセンブリであり、物品110のエアロゾル生成材料を誘導加熱プロセスによって加熱するために様々な構成要素を備える。誘導加熱は、電磁誘導によって導電性加熱要素(サセプタなど)を加熱するプロセスである。誘導加熱アセンブリは、誘導要素、例えば1つ以上の誘導コイルと、交流などの変動電流を誘導コイルに流すためのデバイスとを備えることができる。誘導コイル内の変動電流は変動磁場を生じる。変動磁場は、誘導コイルに対して適切に配置されたサセプタ(加熱要素)に侵入し、サセプタ内に渦電流を生成する。サセプタは、渦電流に対して電気抵抗を有し、したがってこの抵抗に逆らって渦電流が流れることによって、サセプタがジュール加熱によって加熱される。サセプタが鉄、ニッケル、又はコバルトなどの強磁性材料を含む場合、サセプタの磁気ヒステリシス損失によっても、すなわち、磁性材料内の磁気双極子の向きが、変動磁場と向きを合わせる結果として変動することによっても、熱を発生させることができる。誘導加熱では、例えば、伝導による加熱と比較すると、熱はサセプタ内部で生成され、それによって急速な加熱が可能になる。さらに、誘導コイルとサセプタとの間のいかなる物理的な接触も必要なく、それは、構造及び用途の自由度を大きくすることができる。
【0067】
図3Aに示すように、加熱アセンブリ201は、加熱される物品110を受け入れるように構成され、そのような寸法の加熱チャンバ301を含む。加熱チャンバ301は加熱領域を画定する。本例では、物品110は概ね円筒状であり、加熱チャンバ301は、それに対応して概ね円筒形である。しかしながら、他の形状も可能であろう。
【0068】
図3Aに示すように、加熱チャンバ301は、支持部材315の内壁によって画定することができ、これは、デバイス100の長手方向軸線101に沿ってその周りに実質的に同軸に延在する概ね管状の部材を備えてもよい。支持部材315(したがって加熱チャンバ301)は、その近位端で開いていてもよく、その結果、デバイス100の開口104に挿入された物品110は、開口104を通って加熱チャンバ301によって受け入れることができる。支持部材315は、端部部分315Aによってその遠位端で閉じられていてもよい。遠位端部分315Aは、空気通路を形成する1つ以上の導管317を備えてもよい。使用時、物品110の遠位端は、加熱チャンバ301の遠位端315Aに近接して又は係合して配置されてもよい。空気は、1つ以上の導管317を通り、加熱チャンバ301に入り、デバイス100の近位端に向かって流れることができる。
【0069】
支持部材315は、絶縁材料、例えば非金属材料から形成されて、磁気誘導の干渉を制限することを助けることができる。例えば、支持部材315は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのプラスチックから形成されてもよい。他の適切な材料も可能である。支持部材315は、サセプタが加熱されるときに、アセンブリが剛性/丈夫さを保つことを確実にするような材料から形成されてもよい。支持部材315は、誘導コイル312、314などの他の構成要素の支持を助けるために、剛性の高い材料から形成されてもよい。
【0070】
支持部材315に対する他の構成も可能であろう。
【0071】
図3Aに示すように、加熱アセンブリ201は、第1のサセプタ302及び第2のサセプタ304を備える。第1及び第2のサセプタ302、304は、加熱チャンバ301のそれぞれの部分を加熱するようにそれぞれ構成される。第1のサセプタ302が加熱する加熱チャンバ301の部分は、第2のサセプタ304が加熱する加熱チャンバ301の部分と重なってもよいし、重ならなくてもよい。
【0072】
第1及び第2のサセプタ302、304は、電磁誘導による加熱に適した導電性材料をそれぞれ含む。例えば、第1及び/又は第2のサセプタ302、304は、炭素鋼から形成されてもよい。他の適切な材料、例えば、鉄、ニッケル、又はコバルトなどの強磁性材料が使用されてもよいことは理解されよう。第1及び第2のサセプタ302、304は、同じ材料から形成されても、異なる材料から形成されてもよい。
【0073】
図3Aに示すように、第1のサセプタ302は、加熱チャンバ301の遠位端に配置されてもよい。第1のサセプタ302は、デバイスの長手方向軸線101に沿って加熱チャンバ301の遠位端315Aから加熱チャンバ301内に(軸線方向に)延在してもよい。したがって、第1のサセプタ302と加熱チャンバ301は同軸であってもよい。第1のサセプタ302が、加熱チャンバ301内に、例えば軸ずれで、又は軸線101と平行でないように延在することは可能であろう。
【0074】
図3Aに示すように、第1のサセプタ302は、基部302A及び突出部302Bを備えてもよい。第1のサセプタ302は、基部302Aで支持されてもよく、突出部302Bは、加熱領域301内において延在し、使用時には、物品110A内に延在してもよい。
【0075】
第1のサセプタ302の突出部302Bは、任意の適切な距離だけ加熱領域301内において延在してもよい。例えば、第1のサセプタ302の突出部302Bは、加熱領域内に、(i)1~5mm、(ii)5~10mm、(iii)10~15mm、(iv)15~20mm、(v)20~25mm、(vi)25~30mm、(vii)30~35mm、又は(viii)35~40mmの軸線方向長さ(すなわち、加熱チャンバ301の遠位端と第1のサセプタ302の近位端との間の距離)を有してもよい。第1のサセプタ302の突出部302Bの加熱領域内の軸線方向長さは、i)≦40mm、ii)≦35mm、iii)≦30mm、iv)≦25mm、v)≦20mm,vi)≦15mm,vii)≦10mm、又はviii)≦5mmであってもよい。
【0076】
加熱アセンブリ201は、物品110が加熱チャンバ301によって受け入れられているとき、第1のサセプタ302の突出部302Bが物品110の遠位端内に延在するように構成されてもよい。したがって、第1のサセプタ302の突出部302Bは、使用時、物品110内に配置されてもよい。したがって、第1のサセプタ302は、物品110のエアロゾル生成材料を内側から加熱するように構成することができ、このため、内側サセプタ302と呼ばれることもある。これを容易にするために、第1の内側サセプタ302は、デバイス100に挿入された物品110を突き刺すように構成されてもよい。例えば、第1のサセプタ302の突出部302Bは、その近位端に鋭い刃又は尖端を備えてもよい。例えば、第1のサセプタ302の突出部302Bは、ピン又は刃の形状に形成されてもよい。
【0077】
図3Aに示すように、第2のサセプタ304は、加熱チャンバ301の近位端に、又は加熱チャンバ301の近位端の方に配置されてもよい。第2のサセプタ304は、長手方向軸線101に沿って長手方向軸線101と実質的に同軸に延在する概ね管状の部材であってもよい。第2のサセプタ304は、加熱チャンバ301の軸線方向部分の周りに少なくとも部分的に延在してもよい。第2のサセプタ304は、支持部材315によって支持されてもよい。第2のサセプタ304と支持部材315は同軸であってもよい。第1のサセプタ302と第2のサセプタ304は同軸であってもよい。
【0078】
第2のサセプタ304は、加熱チャンバ301の全周に連続して延在してもよいし、チャンバ301の周りに部分的にだけ延在してもよい。例えば、1つ以上の不連続部、例えば穴、隙間、又はスロットが、第2のサセプタ304に設けられてもよい。
【0079】
第2のサセプタ304は、加熱チャンバ301によって受け入れられる物品110の周りに延在するように構成され、そのような寸法であってもよい。したがって、第2のサセプタ304は、使用時、物品110の周りに配置されてもよい。したがって、第2のサセプタ304は、物品110のエアロゾル生成材料を外側から加熱するように構成することができ、このために、外側サセプタ304と呼ばれることもある。第2の外側サセプタ304は、円形断面、例えば、物品110の円形断面に対応する断面を有してもよい。他の断面形状も可能であろう。
【0080】
外側サセプタ304と物品110は、使用時、物品110の外面が外側サセプタ304の内面と当接するような寸法であってもよい。これは、加熱が効率的になることを確実にするのに役立つことができる。この例では、例えば、物品110が、外側サセプタ304の内面に当接するが、支持部材315の内面から半径方向に間隔を置いて配置されるように、第2のサセプタ304は、支持部材315の壁から半径方向内側に突出する。しかしながら、他の構成も可能であろう。例えば、第2のサセプタ304の半径方向内側の表面は、支持部材315の壁と面一であってもよい。
【0081】
第2のサセプタ304は、加熱領域301に沿って任意の適切な距離だけ延在してもよい。例えば、第2のサセプタ304は、(i)1~5mm、(ii)5~10mm、(iii)10~15mm、(iv)15~20mm、(v)20~25mm、(vi)25~30mm、(vii)30~35mm、又は(viii)35~40mmの軸線方向長さを有してもよい。第2のサセプタ304の軸線方向長さは、加熱領域301内の第1のサセプタ302の突出部302Bの軸線方向の長さより短くてもよく、それと同じでもよく、それより長くてもよい。
【0082】
内側サセプタ302及び外側サセプタ304の両方を設けることによって、例えば、物品110での温度勾配をより小さくすることができるので、物品110のより効率的で効果的な加熱が可能となり得る。
【0083】
加熱アセンブリ201は、第1の誘導コイル312及び第2の誘導コイル314をさらに備える。第1の誘導コイル312は、第1のサセプタ302の少なくとも一部分の周りに延在し、第2の誘導コイル314は、第2のサセプタ304の少なくとも一部分の周りに延在する。第1の誘導コイル312は、第1のサセプタ302に侵入する第1の変動磁場を生成するように構成される。第2の誘導コイル314は、第2のサセプタ304に侵入する第2の変動磁場を生成するように構成される。
【0084】
第1及び第2の誘導コイル312、314はそれぞれ、銅などの導電性材料を含む螺旋コイルであってもよい。各コイルは、支持部材315、及び、したがって加熱チャンバ301の周りに螺旋状に巻かれたリッツ線などのワイヤから形成されてもよい。リッツ線は、複数の個別のワイヤを含み、これらのワイヤは個々に絶縁されており、これらが撚り合わされて単一のワイヤを形成する。リッツ線は、導体の表皮効果損失を低減させるように設計されている。単線などの他のワイヤのタイプも使用することができる。
【0085】
第1の誘導コイル312と第2の誘導コイル314は、実質的に同じであってもよいし、互いに異なる少なくとも1つの特性を有してもよい。例えば、第1の誘導コイル312と第2の誘導コイル314は、インダクタンス、軸線方向長さ、半径、ピッチ、巻数などの値が実質的に同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1の誘導コイル312と第2の誘導コイル314は、同じ方向に巻かれてもよいし、反対方向に巻かれてもよい。コイルを反対方向に巻くと、一方のコイルによって誘導される他方のコイル内の電流を減少させる助けになり得る。
【0086】
第1及び第2の誘導コイル312、314はそれぞれ、支持部材315の周りに延在し、支持部材315によって支持されてもよい。したがって、第1及び第2の誘導コイル312、314はそれぞれ、加熱チャンバ301の一部分の周りに延在してもよい。第1及び第2の誘導コイル312、314は、支持部材315及び加熱チャンバ301(及び長手方向軸線101)と同軸に配置されてもよい。第1の誘導コイル312と第2の誘導コイル314は、互いに同軸に配置されてもよい。
【0087】
加熱アセンブリ201は、第1の誘導コイル312によって生成される第1の変動磁場が、第2のサセプタ304よりも第1のサセプタ302の温度を大きく上昇させるように構成されてもよい。同様に、加熱アセンブリ201は、第2の誘導コイル314によって生成される第2の変動磁場が、第1のサセプタ302よりも第2のサセプタ304の温度を大きく上昇させるように構成されてもよい。加熱アセンブリ201は、第2の変動磁場によって引き起こされる第1のサセプタ302の加熱が最小限になる、又は避けられるように構成されてもよい。加熱アセンブリ201は、第1の変動磁場によって引き起こされる第2のサセプタ304の加熱が最小限になる、又は避けられるように構成されてもよい。例えば、第1の変動磁場は、第2のサセプタ304の温度を無視できる程度にしか上昇させることができない、又は実質的に上昇させることができないが、第1のサセプタ302の温度を無視できない程度に上昇させることができる。第2の変動磁場は、第1のサセプタ302の温度を無視できる程度にしか上昇させることができない、又は実質的に上昇させることができないが、第2のサセプタ304の温度を無視できない程度に上昇させることができる。
【0088】
これは、任意の適切な態様で達成することができる。例えば、
図3Aに示すように、第1のサセプタ302と第2のサセプタ304は、長手方向軸線101に沿って互いから軸線方向にずれてもよく、第1の誘導コイル312と第2の誘導コイル314は、これに対応して、長手方向軸線101に沿って互いから軸線方向にずれていてもよく、その結果、第1のサセプタ302は、第2の誘導コイル314によって取り囲まれる軸線方向長さよりも、第1の誘導コイル312によって取り囲まれる軸線方向長さが長く、第2のサセプタ304は、第1の誘導コイル312によって取り囲まれる軸線方向長さよりも、第2の誘導コイル314によって取り囲まれる軸線方向長さが長い。
【0089】
例えば、
図3Aに示すように、第1の誘導コイル312は第2のサセプタ304の周りに延在しなくてもよく、第2の誘導コイル314は第1のサセプタ302の周りに延在しなくてもよい。
【0090】
第1のサセプタ302の軸線方向長さの全部又は一部だけが、第1の誘導コイル312によって取り囲まれてもよい。第2のサセプタ304の軸線方向長さの全部又は一部だけが、第2の誘導コイル314によって取り囲まれてもよい。
【0091】
図3Aに示すように、第1の誘導コイル312と第2の誘導コイル314は、デバイス100の長手方向軸線101に沿った方向に互いに隣り合って配置されてもよい。すなわち、第1の誘導コイル312と第2の誘導コイル314は軸線方向に重ならなくてもよい。
【0092】
図3Aに示すように、第1のサセプタ302と第2のサセプタ304は、軸線方向に重ならないように、すなわち、第2のサセプタ304が第1のサセプタ302を取り囲まないように(及び、第1のサセプタ302が第2のサセプタ304によって取り囲まれないように)互いから軸線方向にずれていてもよい。この場合、第1のサセプタ302の近位端と第2のサセプタ304の遠位端との間の軸線方向距離は、10mm未満、5mm未満、2mm未満、1mm未満、又は実質的に0mmであってもよい。
【0093】
図3Bは、第1のサセプタ302と第2のサセプタ304が軸線方向に重なっている代替の構成体を示す。
図3Bの構成体は、本明細書で論じるように、
図3Aの配置とその他の点で同一である。
【0094】
図3Bの例では、第1のサセプタ302の近位部分は、第2のサセプタ304の遠位部分によって取り囲まれている。言い換えれば、第1のサセプタ302の突出部302Bの一部は第2のサセプタ304によって取り囲まれておらず、第2のサセプタ304の一部は第1のサセプタ302を取り囲んでいない。すなわち、第1のサセプタ302の軸線方向長さの全部ではなく一部は、第2のサセプタ304の軸線方向長さの全部ではなく一部と軸線方向に重なっている。
【0095】
図3Bに示すように、この配置は、第1のサセプタ302の一部が第2の誘導コイル314によって取り囲まれるようなものであってもよい。第2のサセプタ304の一部が第1の誘導コイル312によって取り囲まれるような配置も可能であろう。
【0096】
第1のサセプタ302の突出部302Bの軸線方向長さの大部分は、第2のサセプタ304と軸線方向に重ならなくてもよい。例えば、加熱チャンバ301内の第1のサセプタ302の突出部302Bの軸線方向長さの50%未満、25%未満、10%未満、5%未満、又は実質的に0%は、第2のサセプタ304と軸線方向に重なってもよい。
【0097】
第2のサセプタ304の軸線方向長さの大部分は、第1のサセプタ302と軸線方向に重ならなくてもよい。例えば、第2のサセプタ304の軸線方向長さの50%未満、25%未満、10%未満、5%未満、又は実質的に0%は、第1のサセプタ302と軸線方向に重なってもよい。
【0098】
内側サセプタ302と外側サセプタ304を、それらの間の重なりが比較的短いか、又はそれらが重ならないように配置することにより、全体の加熱領域を比較的長くすることができる一方、内側サセプタ302を比較的短く保つことができ、その結果、内側サセプタ302は、例えば、物品110の挿入及び除去のときにかかる力によりよく耐えることができる場合がある。
【0099】
例えば、第1のサセプタ302と第2のサセプタ304は合わせて、第1のサセプタ302の軸線方向長さよりも長い、且つ、第2のサセプタ304の軸線方向長さよりも長い軸線方向の長さにわたって延在してもよい。例えば、第1のサセプタ302と第2のサセプタ304は合わせて、i)>10mm、ii)>20mm、iii)>30mm、iv)>40mm、v)>50mm、vi)>60mm、vii)70mm、又はviii)>80mmの軸線方向長さにわたって延在してもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、第1のサセプタ302の一部は、第2のサセプタ304によって取り囲まれてもよい。いくつかの実施形態の第2のサセプタ304は、第1のサセプタ302の少なくとも一部分と重なる。第1のサセプタ302を取り囲む第2のサセプタ304の少なくともその部分は、1つ以上の不連続部、例えば、穴、隙間、又はスロットを備えてもよく、これらの不連続部は、第1の変動磁場がこれらを通過して、所望の加熱を引き起こすのに十分な強度で第1のサセプタ302に達することができるよう構成される。
【0101】
少なくとも2つの誘導コイル312、314を設けることによって、それぞれのサセプタ302、304の加熱を独立に制御することができる。したがって、様々な実施形態では、コントローラ202は、第1の誘導コイル312と第2の誘導コイル314を互いに独立に制御するように構成される。これを行うために、コントローラ202は、第1の誘導コイル312を制御するように構成された第1の制御回路と、第2の誘導コイル314を制御するように構成された第2の(独立した)制御回路とを備えてもよい。
【0102】
例えば、コントローラ202は、第1のサセプタ302と第2のサセプタ304が同じ、若しくは異なる温度に加熱されるように、及び/又は、第1のサセプタ302と第2のサセプタ304が同じ、若しくは異なる温度-時間プロファイルに従って加熱されるように第1の誘導コイル312と第2の誘導コイル314を制御してもよい。例えば、誘導コイル312、314は、異なるときに作動させることができる。例えば、最初、第1の誘導コイル312が、物品110の第1のセクションを加熱するように動作してもよく、その後、第2の誘導コイル314が、物品110の第2のセクションを加熱するように動作してもよい(又はその逆も同様)。
【0103】
いくつかの実施形態では、第1の交流電流は、第1の変動磁場を生成するように第1の誘導コイル312に供給されてもよい。第2の交流電流は、第2の変動磁場を生成するように第2の誘導コイル314に供給されてもよい。デバイス100は、バッテリー204によって供給される直流電流を誘導コイルに供給するための交流電流に変換するための1つ以上のインバータを備えてもよい。
【0104】
コントローラ202は、第1の交流を制御する第1の制御回路、及び第2の交流を制御する第2の制御回路によって、第1の誘導コイル312と第2の誘導コイル314を互いに独立に制御することができる。コントローラ202は、第1の交流電流と第2の交流電流が同じになるように制御してもよいし、異なるように制御してもよい。
【0105】
例えば、第1の交流電流の周波数と第2の交流電流の周波数は同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1の交流電流の周波数は、例えば、第1のサセプタ302の材料、形状、大きさ、及び所望の加熱深さに基づいて、第1のサセプタ302を効率的に加熱するように選択されてもよい。第2の交流電流の周波数は、例えば、第2のサセプタ304の材料、形状、大きさ、及び所望の加熱深さに基づいて、第2のサセプタ304を効率的に加熱するように選択されてもよい。これにより、異なるサセプタを特に効率的に加熱することができる場合がある。
【0106】
図4Aは、様々な実施形態によるヒーターアセンブリ201に受け入れられる物品110の斜視図であり、
図4Bはその断面図である。
図4Aに示すように、デバイス100は、支持部材315の遠位端に端部支持部415を備えてもよい。端部支持部415は、遠位端に空気入口415Aを備えてもよい。空気通路は、空気入口415Aから、端部支持体415を通り、例えば導管317を通って加熱チャンバ301に入ることができる。
【0107】
図4A及び
図4Bに示すように、この例では、第1のサセプタ302は、第2のサセプタ304よりも軸線方向長さが短い。誘導コイル312、314の軸線方向長さは、それぞれのサセプタ302、304の軸線方向長さに対応してもよい。したがって、
図4A及び
図4Bに示すように、この例では、第1の誘導コイル312は、第2の誘導コイル314よりも巻数が少なく、軸線方向長さが短い。この例では、第1のサセプタ302の突出部302Bは、刃の形状を有する。
【0108】
図4Bに示すように、物品110は、エアロゾル生成材料を備える第1の遠位セグメント110Aと、第2の近位セグメント110Bとを備えてもよい。エアロゾル生成材料は、例えばタバコを含む非液体エアロゾル生成材料であってもよい。第2の近位セグメント110Bは、フィルタ構造及び/又は冷却構造及び/又は吸い口を備えてもよい。物品110の第1及び第2のセグメントは、ラッパー110Cで包まれてもよい。
【0109】
図4Bに示すように、使用時、第1のサセプタ302の突出部302Bは、物品110の第1のセグメント110A内に延在してもよい。第1のセグメント110A及び第1のサセプタ302の突出部302Bの軸線方向長さは、第1のサセプタ302の突出部302Bが物品110の第2のセグメント110B内に延在しないような長さであってもよい。これに対応して、第1の誘導コイル312は、物品110の第2のセグメント110Bを囲まなくてもよい。他の配置も可能であろう。
【0110】
図4Bにも示すように、使用時、第2のサセプタ304及び第2の誘導コイル314は、物品110の第1のセグメント110Aの少なくとも一部を取り囲んでもよい。第2のサセプタ304及び第2の誘導コイル314はまた、物品110の第2のセグメント110Bの少なくとも一部を取り囲んでもよい。しかしながら、第2のサセプタ304及び第2の誘導コイル314は、物品110の第2のセグメント110Bを取り囲まないことも可能であろう。
【0111】
図5A及び
図5Bは、様々な実施形態によるエアロゾル生成デバイス100に受け入れられる物品110の断面図である。
図5Aは、長手方向軸線101に平行な第1の平面を示し、
図5Bは、第1の平面に直交する長手方向軸線101に平行な第2の平面を示す。
【0112】
図5Aに示すように、デバイス100は、1つ以上の温度センサ、例えば1つ以上の熱電対502、504を備えてもよい。熱電対は、第1及び/又は第2のサセプタ302、304の温度を示す温度を測定するように構成されてもよい。測定された温度情報は、例えば、所望の加熱を達成するためのフィードバック機構を提供するように、コントローラ202に提供されてもよい。
【0113】
いくつかの実施形態では、デバイス100は、2つの独立した温度センサ、例えば2つの熱電対を備え、そのうちの第1の熱電対502は、第1のサセプタ302の温度を示す温度を測定するように構成され、第2の熱電対504は、第2のサセプタ304の温度を示す温度を測定するように構成される。測定された温度情報は、第1の誘導コイル312と第2の誘導コイル314を独立に制御するためのフィードバック機構を提供するように、コントローラ202に提供されてもよい。例えば、第1の制御回路は、第1のサセプタ302の温度情報に基づいて、第1の誘導コイル312を制御してもよく、第2の制御回路は、第2のサセプタ304の温度情報に基づいて、第2の誘導コイル314を制御してもよい。
【0114】
いくつかの実施形態では、第1のサセプタ302は、第2のサセプタ304に対して固定された位置で加熱領域内において延在するように、デバイス100に固定的に接続されている。これらの実施形態では、第1のサセプタ302は、物品110が加熱領域によって受け入れられているとき、物品110内に延在することができる。しかしながら、他の実施形態では、第1のサセプタ302は、デバイス100に挿入される物品110内に設けられてもよい。これらの実施形態では、第1のサセプタ302は、第2のサセプタ304に対して移動可能であってもよい。これらの実施形態では、第1のサセプタ302は、物品110が加熱領域によって受け入れられているとき、加熱領域内において延在してもよい。
【0115】
上記の実施形態は、本発明の説明のための例として理解されたい。本発明のさらなる実施形態も考えられる。任意の1つの実施形態に関連して説明した任意の特徴は、単独で、又は説明した他の特徴と組み合わせて使用されてもよく、また、任意の他の実施形態の1つ以上の特徴、又は任意の他の実施形態の任意の組合せの1つ以上の特徴と組み合わせて使用されてもよいことを理解されたい。さらに、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、上述していない均等物及び修正物も用いられてもよい。
【国際調査報告】