(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】エアロゾル供給デバイス
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20231018BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20231018BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520442
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2021078679
(87)【国際公開番号】W WO2022079279
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ロクトマン, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ビュロー, デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】シェリダン, ジェームズ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB13
4B162AB14
4B162AC12
4B162AC22
4B162AE02
(57)【要約】
本開示は、エアロゾル供給デバイスに関する。このデバイスは、エアロゾル生成材料を含む物品の少なくとも一部を受容するように構成された加熱チャンバを規定するレセプタクルと、加熱チャンバに受容された物品の一部を加熱するように構成された加熱要素と、加熱要素を支持するマウントと、を備えた加熱アセンブリを有する。加熱要素は、加熱部及び固定部を含み、固定部は、マウント内に埋め込まれるようにマウントにインサート成型されている。また、本開示は、このデバイスの加熱アセンブリ、その構成方法、並びにこのデバイス及びエアロゾル生成材料を含む物品を具備するエアロゾル供給システムに関する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成材料を含む物品の少なくとも一部を受容するように構成された加熱チャンバを規定するレセプタクルと、
前記加熱チャンバに受容された前記物品の一部を加熱するように構成された加熱要素と、
前記加熱要素を支持するマウントと、
を有する加熱アセンブリを備えたエアロゾル供給デバイスであって、
前記加熱要素が、加熱部及び固定部を含み、前記固定部が、前記マウント内に埋め込まれるように前記マウントにインサート成型された、エアロゾル供給デバイス。
【請求項2】
前記加熱部が、前記固定部から延びるとともに前記マウントから延びた、請求項1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項3】
前記固定部が、固定機構を備えた、請求項1又は2に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項4】
前記固定機構が、前記固定部に凹部を備え、前記マウントの一部が前記凹部に受容されることにより、前記固定部を前記マウントに結合した、請求項3に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項5】
前記凹部が、前記固定部に貫通孔を備え、前記マウントの一部が前記貫通孔を通って延びることにより、前記固定部を前記マウントに結合した、請求項4に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項6】
前記貫通孔が、正方形状である、請求項5に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項7】
前記加熱部が、前記加熱部が沿って延びる長手方向軸を規定し、前記固定機構が、前記長手方向軸と交差して延びた、請求項3~6のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項8】
前記加熱要素が、前記加熱チャンバ中で直立した、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項9】
前記加熱要素が、実質的にブレード状である、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項10】
前記加熱要素の前記加熱部を囲む前記加熱チャンバを規定するように前記マウントから突き出た壁をさらに備えた、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項11】
前記加熱要素が、前記加熱チャンバの少なくとも一部を規定する周壁を備えた、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項12】
前記加熱要素が、変動磁場の侵入により加熱可能なサセプタを備えた、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項13】
前記サセプタの周りに延びたインダクタコイルをさらに備え、前記インダクタコイルが、前記変動磁場を生成するように構成された、請求項12に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項14】
加熱アセンブリ受容チャンバをさらに備え、前記加熱アセンブリが、前記加熱アセンブリ受容チャンバにおいて前記デバイスに取り外し可能に固定された、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項15】
前記加熱要素の前記固定部が、前記加熱要素の前記加熱部の基部よりも大きな軸方向断面積を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項16】
前記加熱要素の前記固定部が、前記加熱要素の前記加熱部の基部と実質的に等しい軸方向断面積を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項17】
前記マウントが、成型可能材料を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項18】
前記成型可能材料が、ポリマー材料である、請求項17に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項19】
前記ポリマー材料が、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である、請求項18に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項20】
エアロゾル生成材料を含む物品の少なくとも一部を加熱するように構成された加熱要素と、
前記加熱要素を支持するマウントと、
を備えたエアロゾル供給デバイス加熱アセンブリであって、
前記加熱要素が、加熱部及び固定部を含み、前記固定部が、前記マウント内に埋め込まれるように前記マウントにインサート成型された、エアロゾル供給デバイス加熱アセンブリ。
【請求項21】
加熱要素の固定部をマウントにインサート成型することによってエアロゾル供給デバイス加熱アセンブリを形成する方法。
【請求項22】
固定部を有する加熱要素を金型に配置するステップであり、前記金型が、前記固定部を包み込むキャビティを含む、ステップと、
溶融材料を前記金型に射出するステップであり、前記金型が、溶融材料を前記キャビティにガイドする、ステップと、
前記固定部の周りの前記キャビティ中で前記溶融材料を固化させるステップと、
を含む、エアロゾル供給デバイス加熱アセンブリを形成する方法。
【請求項23】
請求項1~19のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイスと、
エアロゾル生成材料を含み、前記加熱アセンブリ内において少なくとも部分的に受容されるように寸法規定された物品と、
を備えたエアロゾル供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル供給デバイスに関する。また、本発明は、エアロゾル供給デバイス加熱アセンブリ、その形成方法、並びにエアロゾル供給デバイス及びエアロゾル生成材料を含む物品を備えたエアロゾル供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シガレット、シガー等の喫煙品は、使用中にタバコを燃焼させて、タバコ煙を生成する。燃焼なしに化合物を放出させる製品の創出によって、これらタバコを燃焼させる物品の代替物を提供しようとする試みがなされている。このような製品の例は、材料を燃焼させずに加熱することによって化合物を放出させる加熱デバイスである。この材料は、例えばタバコ又は他の非タバコ製品が考えられ、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一態様によれば、エアロゾル供給デバイスが提供される。このデバイスは、エアロゾル生成材料を含む物品の少なくとも一部を受容するように構成された加熱チャンバを規定するレセプタクルと、加熱チャンバに受容された物品の一部を加熱するように構成された加熱要素と、加熱要素を支持するマウントと、を有する加熱アセンブリを備える。加熱要素は、加熱部及び固定部を含み、固定部は、マウント内に埋め込まれるようにマウントにインサート成型されている。
【0004】
加熱要素は、一体型の構成要素として構成されていてもよい。言い換えると、加熱部及び固定部は、一体的に形成されていてもよい。
【0005】
また、固定部は、マウントに包み込まれると言える。
【0006】
上記態様の別の実施形態において、加熱部は、固定部から延びるとともにマウントから延びている。
【0007】
加熱部は、加熱アセンブリの長手方向軸に沿って延びていてもよい。
【0008】
上記のいずれかの別の実施形態において、固定部は、固定機構を備える。
【0009】
固定機構は、マウントと固定部との間の接触の面積を大きくすることにより、両者間の結合の強度の向上に役立つ機構である。
【0010】
上記の別の実施形態において、固定機構は、固定部に凹部を備え、マウントの一部が凹部に受容されることにより、固定部をマウントに結合する。
【0011】
上記の別の実施形態において、凹部は、固定部に貫通孔を備え、マウントの一部が貫通孔を通って延びることにより、固定部をマウントに結合する。
【0012】
上記の別の実施形態において、貫通孔は、正方形状である。他の実施形態において、貫通孔としては、任意の好適且つ代替的な規則的(例えば、円)又は不規則的形状が可能である。また、他の実施形態においては、複数の貫通孔が存在し、それぞれが同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。
【0013】
上記のいずれかの別の実施形態において、加熱部は、当該加熱部が沿って延びる長手方向軸を規定し、固定機構は、長手方向軸と交差して延びている。いくつかの実施形態において、固定機構は、固定部から延びた突起である。
【0014】
上記のいずれかの別の実施形態において、加熱要素は、加熱チャンバ中で直立する。
【0015】
上記のいずれかの別の実施形態において、加熱要素は、実質的にブレード状である。上記のいずれかの代替的な別の実施形態において、加熱要素は、実質的にピン状である。
【0016】
上記のいずれかの別の実施形態において、このデバイスは、加熱要素の加熱部を囲む加熱チャンバを規定するようにマウントから突き出た壁をさらに備える。
【0017】
上記のいずれかの別の実施形態において、加熱要素は代替として、加熱チャンバの少なくとも一部を規定する周壁を備える。
【0018】
上記のいずれかの別の実施形態において、加熱要素は、変動磁場の侵入により加熱可能なサセプタを備える。
【0019】
上記の別の実施形態において、このデバイスは、サセプタの周りに延びたインダクタコイルをさらに備え、インダクタコイルは、変動磁場を生成するように構成されている。
【0020】
上記のいずれかの別の実施形態において、このデバイスは、加熱アセンブリ受容チャンバをさらに備え、加熱アセンブリは、加熱アセンブリ受容チャンバにおいて当該デバイスに取り外し可能に固定されている。
【0021】
上記のいずれかの別の実施形態において、加熱要素の固定部は、加熱要素の加熱部の基部よりも大きな軸方向断面積を備える。上記のいずれかの代替的な別の実施形態において、加熱要素の固定部は、加熱要素の加熱部の基部と実質的に等しい軸方向断面積を有していてもよい。
【0022】
上記のいずれかの別の実施形態において、マウントは、成型可能材料を備えていてもよい。成型可能材料は、ポリマー材料(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))であってもよい。
【0023】
本開示の別の態様によれば、エアロゾル生成材料を含む物品の少なくとも一部を加熱するように構成された加熱要素と、加熱要素を支持するマウントと、を備えたエアロゾル供給デバイス加熱アセンブリが提供される。加熱要素は、加熱部及び固定部を含み、固定部は、マウント内に埋め込まれるようにマウントにインサート成型されている。
【0024】
上記エアロゾル供給デバイスに関連して論じた実施形態の加熱アセンブリの特徴のいずれもが、この態様にも等しく当てはまる。
【0025】
本開示の別の態様によれば、エアロゾル供給システムが提供される。このシステムは、上記態様又はその上位実施形態のいずれかに記載のエアロゾル供給デバイスと、エアロゾル生成材料を含む物品と、を備える。物品は、加熱アセンブリ内において少なくとも部分的に受容されるように寸法規定されている。
【0026】
本開示の別の態様によれば、加熱要素の固定部をマウントにインサート成型することによって加熱アセンブリを形成する方法が提供される。
【0027】
本開示の別の態様によれば、加熱アセンブリを形成する方法が提供される。この方法は、固定部を有する加熱要素を金型に配置するステップであり、金型が、固定部を包み込むキャビティを含む、ステップと、溶融材料を金型に射出するステップであり、金型が、溶融材料をキャビティにガイドする、ステップと、固定部の周りのキャビティ中で溶融材料を固化させるステップと、を含む。
【0028】
上記方法の態様のいずれかにおいて、形成された加熱アセンブリは、上記エアロゾル供給デバイスに関連して論じた実施形態の特徴のいずれかを有していてもよい。
【0029】
上記議論における「軸方向」の言及は、加熱アセンブリの長手方向軸に沿った方向を表す。同様に、「軸方向断面」は、長手方向軸を横切る垂直な平面における断面に関する。
【0030】
本発明の別の特徴及び利点については、本発明の好適な実施形態に関する以下の説明から明らかとなるであろうが、これは、添付の図面を参照しつつ、一例として示しているに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】エアロゾル供給デバイスの一例の側面図である。
【
図2】筐体、端部材、電源、エアロゾル生成アセンブリ、交換式物品、及び外カバーを示す
図1のエアロゾル供給デバイスの部分分解側面図である。
【
図3】
図1のエアロゾル供給デバイスの一部の断面図である。
【
図4】
図3のエアロゾル供給デバイスの一部の代替例の一部の断面図である。
【
図5】
図3のエアロゾル供給デバイスの一部からの加熱アセンブリの透明斜視図である。
【
図6】
図4のエアロゾル供給デバイスの一部からの加熱アセンブリの透明斜視図である。
【
図7】
図4のエアロゾル供給デバイスの一部からの加熱アセンブリを形成する場合に固定部をマウントに埋め込むためのインサート成型方法の概要を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[詳細な説明]
本明細書において、用語「エアロゾル生成材料(aerosol generating material)」は、通常はエアロゾルの形態で、加熱時に揮発成分を与える材料を含む。エアロゾル生成材料には、任意のタバコ含有材料を含み、例えば、タバコ、タバコ派生物、拡張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数が挙げられる。また、エアロゾル生成材料としては、他の非タバコ製品も挙げられ、製品によっては、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。エアロゾル生成材料は、例えば固体、液体、ゲル、ワックス等の形態であってもよい。また、エアロゾル生成材料は例えば、材料の組み合わせ又は混合であってもよい。また、エアロゾル生成材料は、「喫煙材」として知られる場合もある。
【0033】
エアロゾル生成材料を加熱して当該エアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させることにより、通常はエアロゾル生成材料の燃焼(burn又はcombust)なく吸引可能なエアロゾルを形成する装置が知られている。このような装置は、「エアロゾル生成デバイス」、「エアロゾル供給デバイス」、「非燃焼加熱式デバイス」、「タバコ加熱製品デバイス」、又は「タバコ加熱デバイス」等として記載される場合がある。同様に、通常は液体の形態のエアロゾル生成材料(ニコチンを含む場合もあれば、含まない場合もある)を気化させる、いわゆるeシガレットデバイスが存在する。エアロゾル生成材料は、装置に挿入可能なロッド、カートリッジ、又はカセット等の一部の形態であってもよいし、一部として提供されるようになっていてもよい。
【0034】
エアロゾル供給デバイスは、エアロゾル生成材料を含む物品を受容して加熱することができる。これに関連して、「物品」は、使用時にエアロゾル生成材料を具備又は含有し、加熱されてエアロゾル生成材料及び任意選択として使用中の他の成分を揮発させるコンポーネントである。ユーザが物品をエアロゾル供給デバイスに挿入した後、当該エアロゾル生成デバイスが加熱されて、ユーザが後で吸引するエアロゾルが生成されるようになっていてもよい。物品は、例えば当該物品を受容するようにサイズ規定されたデバイスの加熱チャンバ内に配置されるように構成された予め定められたサイズであってもよいし、特定のサイズであってもよい。
【0035】
図1は、エアロゾル生成媒体/材料からエアロゾルを生成するエアロゾル供給デバイス100の一例を示している。概略として、デバイス100は、エアロゾル生成媒体を含む交換式物品110を加熱して、当該デバイス100のユーザが吸引するエアロゾル又は他の吸引可能媒体を生成するのに用いられるようになっていてもよい。
【0036】
デバイス100は、当該デバイス100の様々な構成要素を囲んで収容する(外カバー108を含む)ハウジング102を備える。デバイス100は、物品110を挿通して加熱アセンブリ200(
図2参照)により加熱可能な開口104を一端に有する。使用時、物品110は、加熱アセンブリ200に全部又は一部が挿入され、加熱アセンブリ200の1つ又は複数の構成要素により加熱されるようになっていてもよい。
【0037】
また、デバイス100は、ボタン又はスイッチ等、押された場合に当該デバイス100を動作させるユーザ操作可能な制御要素112を具備していてもよい。例えば、ユーザは、スイッチ112の操作によって、デバイス100をオンするようにしてもよい。
【0038】
デバイス100は、長手方向軸101を規定する。
【0039】
図2は、
図1のデバイス100の分解組立図である。デバイス100は、外カバー108、第1の端部材106、及び第2の端部材116を備える。デバイス100は、筐体109、動力源118、及び加熱アセンブリ200を含むエアロゾル生成アセンブリ111を具備する。デバイス100は、少なくとも1つの電子機器モジュール122をさらに備える。
【0040】
外カバー108は、デバイスシェルの一部を形成する。第1の端部材106は、デバイス100の一端に配置されており、第2の端部材116は、デバイス100の反対端に配置されている。第1及び第2の端部材106、116が外カバー108を閉じている。また、第1及び第2の端部材106、116は、シェルの一部を形成している。実施形態において、デバイス100は、物品110が適所にない場合に、第1の端部材106に対する移動によって開口104を閉鎖し得る蓋(図示せず)を備える。
【0041】
また、デバイス100は、コネクタ/ポート114等、ケーブルを受容して当該デバイス100のバッテリを充電可能な電気的構成要素を備えていてもよい。例えば、コネクタは、USB充電ポート等の充電ポートであってもよい。いくつかの例において、コネクタは、上記の追加又は代替として、デバイス100とコンピュータデバイス等の別のデバイスとの間のデータの転送に用いられるようになっていてもよい。
【0042】
デバイス100は、筐体109を具備する。筐体109は、外カバー108により受容される。エアロゾル生成アセンブリ111は加熱アセンブリ200を備え、そこに使用時に物品110の全部又は一部を挿入して物品110を加熱アセンブリ200の1つ又は複数の構成要素により加熱可能である。エアロゾル生成アセンブリ111及び動力源118は、筐体109に搭載されている。筐体109は、一体型の構成要素である。
【0043】
一体型の構成要素は、デバイス100の組み立て後に2つ以上の構成要素に分離できないデバイス100の構成要素を表す。一体的な形態は、製造段階において一体型の構成要素となるように形成された2つ以上の特徴に関連する。
【0044】
第1及び第2の端部材106、116は一体的に、デバイス100の端面を少なくとも部分的に規定する。例えば、第2の端部材116の底面は、デバイス100の底面を少なくとも部分的に規定する。また、外カバー108の縁部が端面の一部を規定していてもよい。第1の端部材及び第2の端部材116が外カバー108の開放端を閉じている。第2の端部材116は、筐体109の一端に存在する。
【0045】
開口104に最も近いデバイス100の端部は、使用時にユーザの口に最も近いため、デバイス100の近位端(又は、口端)として知られていると考えられる。使用時、ユーザは、物品110を開口104に挿入し、ユーザ制御要素112を操作してエアロゾル生成材料の加熱を開始し、デバイス中で生成されたエアロゾルを利用する。これにより、流路に沿ってデバイス100の近位端に向かって、エアロゾルがデバイス100を流れる。
【0046】
開口104から最も遠いデバイスの他端は、使用時にユーザの口から最も遠くなる端部であるため、デバイス100の遠位端として知られていると考えられる。デバイス中で生成されたエアロゾルをユーザが利用する場合、エアロゾルは、デバイス100の近位端に向かう方向に流れる。デバイス100の特徴に適用する場合の近位(proximal)及び遠位(distal)という用語は、軸101に沿った近位-遠位方向におけるそのような特徴相互の相対的な配置を参照することにより説明される。
【0047】
動力源118は、例えば充電式バッテリ又は非充電式バッテリ等のバッテリである。好適なバッテリの例としては、例えばリチウムバッテリ(リチウムイオンバッテリ等)、ニッケルバッテリ(ニッケルカドミウムバッテリ等)、及びアルカリバッテリが挙げられる。バッテリは、エアロゾル生成アセンブリ111に対して電気的に結合され、必要に応じて電力を供給するとともに、コントローラ121の制御下でエアロゾル生成材料を加熱する。
【0048】
動力源118及びエアロゾル生成アセンブリ111は、動力源118がデバイス100の遠位端、エアロゾル生成アセンブリ111がデバイス100の近位端となるように軸方向配置にて配設されている。他の配置も考えられる。
【0049】
電子機器モジュール122は、例えばプリント配線板(PCB)123を備えていてもよい。PCB123は、プロセッサ等の少なくとも1つのコントローラ121及びメモリを支持していてもよい。また、PCB123は、デバイス100の様々な電子的構成要素を電気的に一体接続する1つ又は複数の電気的トラックを備えていてもよい。例えば、電力をデバイス100全体に配分可能となるように、バッテリ端子がPCB123に対して電気的に接続されていてもよい。また、コネクタ114は、電気的トラックを介して、バッテリ118に対して電気的に結合されていてもよい。
【0050】
エアロゾル生成アセンブリ111は、誘導加熱アセンブリであり、誘導加熱プロセスによって物品110のエアロゾル生成材料を加熱する様々な構成要素を備える。誘導加熱は、電磁誘導によって導電体(サセプタ等)を加熱するプロセスである。誘導加熱アセンブリは、誘導要素(例えば、1つ又は複数のインダクタコイル)と、交流等の変動電流を誘導要素に通過させるデバイスとを備えていてもよい。誘導要素中の変動電流は、変動磁場を生成する。変動磁場は、誘導要素に対して好適に配置されたサセプタに侵入して、サセプタの内側に渦電流を生成する。サセプタは、渦電流に対する電気抵抗を有するため、この抵抗に対する渦電流の流れによって、サセプタがジュール加熱により加熱される。また、サセプタが鉄、ニッケル、又はコバルト等の強磁性材料を含む場合は、サセプタ中の磁気ヒステリシス損すなわち変動磁場との位置合わせの結果としての磁性材料中の磁気双極子の変動配向によっても熱が生成される。誘導加熱においては、例えば伝導による加熱と比較して、サセプタの内側で熱が生成されるため、急速加熱が可能となる。さらに、誘導加熱器とサセプタとの間の物理的な接触が一切不要なため、構成及び用途の自由度が増す。
【0051】
図3は、加熱アセンブリ200及びインダクタコイルアセンブリ127を含むデバイス100の断面図である。
【0052】
図4は、加熱アセンブリ300及びインダクタコイルアセンブリ127の代替実施形態の断面図である。
【0053】
図3に示す加熱アセンブリ200と
図4に示す加熱アセンブリ300との間で共通の要素については、同じ参照番号を維持する。ただし、それぞれを2xx及び3xxというフォーマットで指定する。これら共通の要素の記述は、いずれの加熱アセンブリ200、300にも等しく当てはまる。
【0054】
エアロゾル生成アセンブリ111は、インダクタコイルアセンブリ127及び加熱アセンブリ200、300を備える。インダクタコイルアセンブリ127は、加熱アセンブリ200、300の周りに延びている。インダクタコイルアセンブリ127は、加熱アセンブリ200、300に巻き付けられた(すなわち、加熱アセンブリ200、300を囲み)、インダクタコイル124を含む。加熱アセンブリ200、300の遠位端には、入口管400が設けられている。入口管140は、加熱アセンブリ200、300を内部の適所に保持する加熱アセンブリ200、300の取り付けフック202を受容する漏斗部142を具備する。取り付けフック202は、締まり嵌めによって、漏斗部142に固定保持されていてもよい。加熱アセンブリ200、300の凹部206にOリングシール144が配置され、漏斗部142と加熱アセンブリ200、300との間の封止に用いられる。入口管140の使用によって、デバイス100の遠位端から加熱アセンブリ200、300への空気流の引き込み及び/又は洗浄を目的とした加熱アセンブリ200、300の遠位端へのアクセスが可能となり得る。入口管140は、デバイスハウジング102中への固定を可能にするためのフランジ146をその遠位端に備える。
【0055】
加熱アセンブリ200、300は、加熱要素を含む。
図3の例示的な実施形態において、この加熱要素は、サセプタ構成体210である(本明細書においては、「サセプタ」と称する)。本例のサセプタ210は、エアロゾル生成材料を周囲に配置可能なその軸方向長さに沿って円形断面を有するピン状部材である。例えば、物品110は、サセプタ210の上又は周りに挿入可能である。サセプタ210は、その軸方向長さの大部分に沿って大略一定の直径を有し、ピン先端212へと先細りしている。他の例において、サセプタ210の直径は、サセプタ210の軸方向長さに沿ってピン先端212まで連続的に変化していてもよい。
【0056】
別の例において、
図4に示すように、サセプタは、ブレード状サセプタ310であってもよい。ブレード状サセプタ310は、その軸方向長さの大部分に沿って一定の矩形断面を有し、ブレード先端312へと先細りしていてもよい。ピン状サセプタ210と同様に、物品110は、サセプタ310の上又は周りに挿入可能である。
【0057】
サセプタ210、310のピン状及びブレード状の実施形態を示したが、本開示の範囲内において、サセプタは、任意の数の好適な形状及び構成が可能であることが了解されるものとする。例えば、サセプタは、先端又はテーパ部を省略した軸方向長さに沿った断面が一定又は可変のロッド(例えば、円筒状ロッド又は正方形ロッド)の形態であってもよい。
【0058】
別の例において、サセプタ210は、物品110/エアロゾル生成材料が受容される管状部材であってもよい。このようなサセプタは、外側サセプタである。このような例において、サセプタは、物品110を受容して加熱可能な加熱チャンバの少なくとも一部を規定する周壁(例えば、環状壁)を規定していてもよい。このような例においては、上述のピン状及びブレード状の実施形態のように物品110がサセプタを囲む代わりに、サセプタが物品110を囲んでいる。外側サセプタの断面プロファイルは、多様なプロファイル形状に形成され得ることが了解される。
【0059】
また、他の例においては、複数のサセプタ(例えば、2つ以上の別個のサセプタ)が設けられていてもよく、必要に応じて異なる構成であってもよいし、類似の構成であってもよい(例えば、ピン状、ブレード状、ロッド状、又は管型等)。
【0060】
サセプタ210、310は、電磁誘導による加熱に適した導電材料により形成されている。本例におけるサセプタは、炭素鋼により形成されている。他の好適な材料(例えば、鉄、ニッケル、又はコバルト等の強磁性材料)も使用可能であることが了解される。
【0061】
他の実施形態において、加熱要素として作用する機構は、誘導加熱に限定されなくてもよい。したがって、加熱要素として作用する機構は、電気抵抗により加熱可能であってもよい。このため、加熱アセンブリ200は、装置との電気的接続によって、電気エネルギーを加熱要素に流すことで加熱要素を電気的に起動するための電気接点を備えていてもよい。このような実施形態においては、必要に応じてインダクタコイルアセンブリ127を省略可能である。
【0062】
インダクタコイル124は、導電材料により構成されている。本例において、インダクタコイル124は、螺旋状に巻回されてヘリカルインダクタコイル124を提供するリッツ線/ケーブルにより構成されている。リッツ線は、個別に絶縁され、一体的な撚り合わせによって単一のワイヤを形成する複数の個々のワイヤを備える。リッツ線は、導電体の表皮効果損を抑えるように設計されている。例示的なデバイス100において、インダクタコイル124は、断面が円形の銅リッツ線により構成されている。他の例において、リッツ線は、矩形等、他の形状の断面を有し得る。インダクタコイル124の端部130は、PCB123(
図2参照)への接続により、電子機器モジュール122及びスイッチ112を用いた誘導加熱の起動を制御可能である。
【0063】
また、使用するインダクタコイルの数が異なっていてもよい。例えば、
図3及び
図4に示す加熱アセンブリ200、300のインダクタコイルアセンブリ127は、コイル124を1つしか備えていないが、任意数の好適なコイルを特徴とし得ることが了解されるものとする。付加的なコイルの使用により、サセプタ210、310に対して異なる加熱特性を有する異なる加熱ゾーンを提供する(例えば、サセプタ210、310の軸方向長さに沿った異なるエリアへの異なる加熱条件の付与並びに/又は異なる時間若しくは異なる使用事例におけるサセプタ210、310への異なる加熱条件の付与を行う)ようにしてもよい。また、付加的なコイルの提供により、加熱アセンブリ200に配設し得る付加的なサセプタ(図示せず)において熱を生成するようにしてもよい。
【0064】
図5は、デバイス100のその他の部分から切り離した加熱アセンブリ200の斜視図である。加熱アセンブリ200は、本体220により規定される。
図5の本体220は、加熱アセンブリ200内の構造を明らかにしてその特徴の説明を容易にするため、透明なものとして示している。ただし、実際には、本体が透明ではなく、これらの特徴が見えなくなる場合もある。
【0065】
図示の例において、本体220は、デバイス100における使用の場合に長手方向軸101と大略平行に位置合わせされる長手方向軸201を規定する大略環状の要素である。いくつかの例においては、長手方向軸101と同軸であってもよいし、他の例においては、長手方向軸101からオフセットしていてもよい。本体220は、遠位方向に延びた前述の取り付けフック202と、その遠位端で円周方向に規定されたOリング凹部206と、を含む。また、本体220は、エアロゾル生成材料を含む交換式物品110の受容に適した近位開口204を含む。開口204は、環状凹部208により分離された2つの環状フランジ207a、207bによって規定される。フランジ207a、207b及び凹部208は、本体220のデバイス100への固定嵌合の補助に使用され得る。
【0066】
本体220は、デバイス100/筐体209中の固定部として規定されていてもよいし、デバイス100/筐体209に対して取り外し可能に取り付けられていてもよい。後者の場合、デバイス100/筐体209は、本体220を受容する加熱アセンブリチャンバ(図示せず)を規定していてもよい。本体220は、例えば取り付けフック202の使用によって入口管140との取り外し可能な係合(例えば、取り外し可能な回転係合、ねじ込み式係合、又は締まり嵌め)を形成することにより、チャンバにおいて取り外し可能に固定されている。このように、加熱アセンブリ200は全体として、デバイス100自体から取り外し可能であり、使用後の加熱アセンブリ200の洗浄及び加熱アセンブリ200の故障(例えば、加熱要素210の破損等)の場合の交換が容易化され得る。
【0067】
図示の例において、本体220は、マウント222と、マウント222から軸201に沿って軸方向に突き出た壁224と、を備える。本体220は、物品110が受容されるレセプタクルを規定する。レセプタクルには、エアロゾル生成材料が受容される。また、レセプタクルは、加熱チャンバ226を規定する。加熱チャンバ226は、使用時に、エアロゾル生成材料を含む物品110の少なくとも一部を受容するように構成されている。マウント222は、加熱チャンバ226の基部を規定する。壁224は、大略環状であり、加熱要素210を囲む。このように、壁224は、加熱要素210の周りに環状空間を規定しており、使用時にエアロゾル生成材料を加熱する加熱要素210の周りの空間を提供する。
【0068】
加熱要素210は、マウント222に埋め込まれた固定部216を含む。これは、固定部216がマウント222に包み込まれているとも言える。マウント222は、固定部216を内部の適所に固定することによって加熱要素210を支持する。固定部216の使用によって、加熱要素210をマウント222内の適所にしっかりと保持するための固定点を提供する。また、マウント222は、入口管140から加熱チャンバ226への空気流の連通に使用可能な空気通路223を内部に規定する。ただし、他の例においては、空気通路223がマウント222中に存在せず、本体220の他の部品中に存在していてもよい。また、空気通路223は、ユーザがデバイス100を利用する場合に、デバイス100の外部から加熱チャンバ226への空気流の連通を可能にするための任意の好適な形状又は空気経路構成を有していてもよい。
【0069】
また、加熱要素210は、固定部216から延び、マウント222から長手軸方向201に沿って突き出た加熱部214を含む。このように、加熱要素210の延伸部は、長手軸方向201に沿って規定されると言えるため、加熱チャンバ226において直立している。加熱部214は、加熱チャンバ226における使用時にエアロゾル生成材料が周囲で保持される加熱要素210の部分である。加熱部214及び固定部216は、加熱要素210が単一の一体構造となるように、一体的に形成されている。言い換えると、加熱要素210は、一体型の構成要素である。
【0070】
固定部216は、マウント222に埋め込まれて包み込まれるように、加熱アセンブリ200の製造時、マウント222とともにインサート成型される。
【0071】
図7に示すように、このようなインサート成型プロセス400においては、マウント222の形成前に、固定部216を金型キャビティに挿入する(ステップ401)。その後、マウント溶融材料をキャビティに射出することによって、マウント222を形成する(ステップ402)。その後のキャビティ中でのマウント溶融材料の固化(ステップ403)によって、固定部216が埋め込まれるとともに包み込まれる。このように、固定部216は、マウント222内に一体的に成型されると言える。また、本体220のその他の部分(壁224を含む)についても、使用する金型を適当に成形することにより、同じプロセスの一部として成型可能であることが了解されるものとする。
【0072】
このようにインサート成型した加熱アセンブリ200によれば、固定部216とマウント222との間の結合強度を改善可能となる結果、加熱チャンバ226内の加熱要素210の取り付け及び配置の強度及び耐久性を向上可能となり得る。これは、使用時に交換式物品110を加熱要素210の周りで繰り返し挿入・取り外しする必要があることから、例示的なデバイス100において重要となり得る。
【0073】
また、インサート成型した加熱アセンブリ200は、デバイス100の加熱チャンバ226と加熱用電子機器との間の流体及び汚染物質の隔離の改善に関連して、改善策を提供可能である。例えば、固定部216が埋め込まれることで加熱要素210がマウント222と一体的に形成されることにより、装置100の使用中に堆積したエアロゾル生成材料又は他の汚染物質(例えば、水蒸気等)が(例えば、加熱要素210の周囲から)装置100の加熱用電子機器に向かって不要に侵入することを防ぐことができる。
【0074】
マウント222(及び、本体220)は、このようなインサート成型プロセス用の任意の好適な成形可能材料で構成されている。一例において、成型可能材料は、ポリマー材料等の非金属材料である。
【0075】
非金属/ポリマー材料は、サセプタ加熱のための磁気誘導との干渉の制限に役立ち得る。また、加熱要素210により生成された熱からデバイス100の他の構成要素を断熱するのに役立つ断熱材料としても作用し得る。
【0076】
このような非金属/ポリマー材料は、使用時の加熱要素210の目的とする最高温度を上回る融点を有するべきであることが了解される。いくつかの例において、使用時、インダクタコイル124は、およそ240℃~およそ300℃又はおよそ250℃~およそ280℃等、およそ200℃~およそ350℃の温度までサセプタ210を加熱するように構成されている。
【0077】
特に好適なポリマー材料としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)があり、これは良好な断熱材であって、およそ343℃という十分に高い融点を有するとともに、インサート成型プロセスにおいて使用可能である。それにも関わらず、当業者には他の好適な材料が容易に明らかとなるであろうし、これらのいずれもが本開示の範囲内と考えられる。
【0078】
図示の例において、固定部216は、当該固定部216につながる加熱部214の基部215よりも大きな軸方向断面積を有する。これは、加熱部214が延伸するためのより強力な基部を提供するのに役立ち得る。図示の例は、加熱部214よりも直径が大きな円形断面を有する。他の例においては、固定部216のその他任意の好適な断面(例えば、正方形、六角形、長方形等)を使用可能であり、加熱部の基部215と一致していてもよいし、異なっていてもよい。それにも関わらず、他の例又は付加的な例においては、固定部216を加熱部214の基部215より小さくすることも可能であるし、同じ軸方向断面積を有することも可能である。
【0079】
図6は、デバイス100のその他の部分から切り離した加熱アセンブリ300の斜視図である。この場合も、
図6の本体320は、加熱アセンブリ300内の構造を明らかにしてその特徴の説明を容易にするため、透明なものとして示している。ただし、実際には、本体が透明ではなく、これらの特徴が見えなくなる場合もある。同じく、加熱アセンブリ200と比較した場合の加熱アセンブリ300の共通要素については、同じ参照番号を維持する。ただし、2xxの代わりに3xxというフォーマットで指定する。
図5に関連するこれら共通要素の記述は、
図6にも等しく当てはまるため、以下では繰り返さない。
【0080】
また、デバイス100における加熱アセンブリ200の固定又は取り外し可能な固定に関する特徴が
図6の加熱アセンブリ300/本体320にも等しく当てはまる。
【0081】
図6において、固定部316は、加熱部314と同じ軸方向断面積及び形状(すなわち、矩形)を有する。
【0082】
また、固定部316は、マウント222と固定部316との間の接触の面積を大きくすることにより、両者間の結合の強度の向上に役立つ固定機構をさらに具備する。
【0083】
図示の例において、固定機構は、固定部316を通過する貫通孔318である。貫通孔318は、長手方向軸301と交差して固定部316を通過する。インサート成型プロセスにおいては、マウント材料が貫通孔318を流れて内部で固化することになる。これによって、固定部316とマウント222との間の接続の強度及び耐久性がさらに向上可能となる。本例において、貫通孔318は正方形状である。ただし、貫通孔318としては、その他任意の好適な規則的又は不規則的形状が可能である。また、他の例においては、複数の貫通孔318が存在し、それぞれが同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。また、貫通孔318のサイズは、特定の設計要件を満たすように、必要に応じて変更又は選定可能である。
【0084】
図示の例における固定機構は貫通孔318であるが、本開示は、マウント22と固定部316との間の接触面積を増大させるのに有効なその他任意の好適な(1つ又は複数の)固定機能を網羅するように拡張されることが了解されるものとする。
【0085】
例えば、固定機構は代替として、一部だけが固定部316に延入した凹部であってもよい。凹部は、マウント材料の付加的な部分を受容する。このような凹部としては、別々の円形若しくは正方形凹部又は固定部316の周りに延びた溝若しくはチャネル等、任意の好適な形態も可能である。また、複数の凹部又はそのパターンが設けられていてもよい。
【0086】
さらに他の例において、固定機構は、固定部316からマウント222に延入した1つ又は複数の突起であってもよい。突起は、長手方向軸310から任意の好適な角度で(例えば、長手方向軸310と交差して)固定部316から延びていてもよく、また、円筒状又は正方形状ロッド等、任意の好適な形状であってもよい。
【0087】
さらに別の例において、固定機構は、固定部316の表面の粗面化であってもよい。このような表面の粗面化によれば、マウント222と固定部316との間の接触の表面積がより大きくなる。このような表面の粗面化としては、マウント222への成型前の固定部316に対する研磨又は他の表面処理により形成された一連の傷/窪み等、任意の好適な形態が可能である。
【0088】
他の例において、固定部316は、異なる種類の固定機構の組み合わせを特徴としていてもよい。
【0089】
上述の貫通孔318及び他の例示的な固定機構は、ブレード状加熱要素310に関連して示しているが、ピン状加熱要素210の固定部216等、その他任意の好適な形状の加熱要素の固定部にも等しく当てはまり得る。
【0090】
(上述のような)管型サセプタの場合は、周壁の基部によって、マウント222に成型される固定部が規定されることになるが、必要に応じて(1つ又は複数の)固定機構を内部に規定することも可能である。
【0091】
上記実施形態は、本発明の説明に役立つ実例として理解されるものとする。本発明の他の実施形態も考えられる。任意の一実施形態に関して記載の任意の特徴は、単独又は他の記載特徴との組み合わせで使用可能であり、また、実施形態のうちの任意の他の1つ又は複数の特徴との組み合わせ、又は実施形態のうちの任意の他の任意の組み合わせで使用可能であることが了解されるものとする。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲に規定の上述していない同等物及び改良も採用可能である。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成材料を含む物品の少なくとも一部を受容するように構成された加熱チャンバを規定するレセプタクルと、
前記加熱チャンバに受容された前記物品の一部を加熱するように構成された加熱要素と、
前記加熱要素を支持するマウントと、
を有する加熱アセンブリを備えたエアロゾル供給デバイスであって、
前記加熱要素が、加熱部及び固定部を含み、前記固定部が、前記マウント内に埋め込まれるように前記マウントにインサート成型された、エアロゾル供給デバイス。
【請求項2】
前記加熱部が、前記固定部から延びるとともに前記マウントから延びた、請求項1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項3】
前記固定部が、固定機構を備えた、請求項1又は2に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項4】
前記固定機構が、前記固定部に凹部を備え、前記マウントの一部が前記凹部に受容されることにより、前記固定部を前記マウントに結合した、請求項3に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項5】
前記凹部が、前記固定部に貫通孔を備え、前記マウントの一部が前記貫通孔を通って延びることにより、前記固定部を前記マウントに結合した、請求項4に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項6】
前記加熱部が、前記加熱部が沿って延びる長手方向軸を規定し、前記固定機構が、前記長手方向軸と交差して延びた、請求項3~
5のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項7】
前記加熱要素が、前記加熱チャンバ中で直立した、請求項1~
6のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項8】
前記加熱要素が、実質的にブレード状である、請求項1~
7のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項9】
前記加熱要素の前記加熱部を囲む前記加熱チャンバを規定するように前記マウントから突き出た壁をさらに備えた、請求項1~
8のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項10】
前記加熱要素が、前記加熱チャンバの少なくとも一部を規定する周壁を備えた、請求項1~
6のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項11】
前記加熱要素が、変動磁場の侵入により加熱可能なサセプタを備えた、請求項1~
10のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項12】
前記サセプタの周りに延びたインダクタコイルをさらに備え、前記インダクタコイルが、前記変動磁場を生成するように構成された、請求項
11に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項13】
加熱アセンブリ受容チャンバをさらに備え、前記加熱アセンブリが、前記加熱アセンブリ受容チャンバにおいて前記デバイスに取り外し可能に固定された、請求項1~
12のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項14】
前記加熱要素の前記固定部が、前記加熱要素の前記加熱部の基部よりも大きな軸方向断面積を有する、請求項1~
13のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項15】
前記加熱要素の前記固定部が、前記加熱要素の前記加熱部の基部と実質的に等しい軸方向断面積を有する、請求項1~
13のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項16】
前記マウントが、成型可能材料を含む、請求項1~
15のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項17】
前記成型可能材料が、ポリマー材料である、請求項
16に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項18】
エアロゾル生成材料を含む物品の少なくとも一部を加熱するように構成された加熱要素と、
前記加熱要素を支持するマウントと、
を備えたエアロゾル供給デバイス加熱アセンブリであって、
前記加熱要素が、加熱部及び固定部を含み、前記固定部が、前記マウント内に埋め込まれるように前記マウントにインサート成型された、エアロゾル供給デバイス加熱アセンブリ。
【請求項19】
加熱要素の固定部をマウントにインサート成型することによってエアロゾル供給デバイス加熱アセンブリを形成する方法。
【請求項20】
固定部を有する加熱要素を金型に配置するステップであり、前記金型が、前記固定部を包み込むキャビティを含む、ステップと、
溶融材料を前記金型に射出するステップであり、前記金型が、溶融材料を前記キャビティにガイドする、ステップと、
前記固定部の周りの前記キャビティ中で前記溶融材料を固化させるステップと、
を含む、エアロゾル供給デバイス加熱アセンブリを形成する方法。
【請求項21】
請求項1~
17のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイスと、
エアロゾル生成材料を含み、前記加熱アセンブリ内において少なくとも部分的に受容されるように寸法規定された物品と、
を備えたエアロゾル供給システム。
【国際調査報告】