(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】サイトのエネルギー効率を評価するための方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/063 20230101AFI20231018BHJP
【FI】
G06Q10/063
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520528
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 EP2021076578
(87)【国際公開番号】W WO2022073798
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】レンダース、フェリクス
(72)【発明者】
【氏名】グタームート、ゲオルグ
(72)【発明者】
【氏名】プリマス、ベルンハルト
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
本発明は、特に産業サイト又は商業サイトについて、エネルギー効率を評価する分野に関する。サイトの第2のエネルギー消費シナリオ(20)のエネルギー効率を評価するための方法であって、少なくとも1つの装置の第1の時系列のエネルギー消費データ(14)と、第1のエネルギー消費シナリオ(10)の品質尺度(18)と、を備える第1のエネルギー消費シナリオ(10)を取得するステップと、第2の時系列のエネルギー消費データ(24)を備える第2のエネルギー消費シナリオ(20)を取得するステップと、ここにおいて、第2のエネルギー消費シナリオ(20)は、第1のエネルギー消費シナリオ(10)と同じ又はそれよりも短い持続時間を有し、第2の時系列のエネルギー消費データ(24)を、第1の時系列のエネルギー消費データ(14)と比較するステップと、第2の時系列のエネルギー消費データ(24)が第1の時系列のエネルギー消費データ(14)に類似している場合、第1のエネルギー消費シナリオ(10)の品質尺度(18)を出力するステップと、を備える方法。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイトの第2のエネルギー消費シナリオ(20)のエネルギー効率を評価するための方法であって、前記方法は、
第1のエネルギー消費シナリオ(10)であって、少なくとも1つの装置の第1の時系列のエネルギー消費データ(14)と、前記第1のエネルギー消費シナリオ(10)の品質尺度(18)と、を備える第1のエネルギー消費シナリオ(10)を取得するステップと、
第2の時系列のエネルギー消費データ(24)を備える前記第2のエネルギー消費シナリオ(20)を取得するステップと、ここで、前記第2のエネルギー消費シナリオ(20)は、前記第1のエネルギー消費シナリオ(10)と同じ又はそれよりも短い持続時間を有し、
前記第2の時系列のエネルギー消費データ(24)を、前記第1の時系列のエネルギー消費データ(14)と比較するステップと、
前記第2の時系列のエネルギー消費データ(24)が前記第1の時系列のエネルギー消費データ(14)に類似している場合、前記第1のエネルギー消費シナリオ(10)の前記品質尺度(18)を出力するステップと、
前記品質尺度に基づいて、前記サイトの電力消費を制御するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記エネルギー消費データが類似していることは、前記第1の時系列のエネルギー消費データ(14)の各データの、前記第2の時系列のエネルギー消費データ(24)の前記データに対する偏差が、1%より小さい、5%より小さい、10%より小さい、20%より小さい、又は40%より小さいことを意味する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エネルギー消費データが類似していることは、請求項13に記載のトレーニングされた人工ニューラルネット(ANN)が、前記第1の時系列のエネルギー消費データ(14)の一部である前記第2の時系列のエネルギー消費データ(24)を出力することを意味する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記品質尺度(18)は、このシナリオにおいて消費されたエネルギーの測定結果、品質推定、及び/又はエネルギー消費クラスを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
本質的に同じ品質尺度(18)の第2のエネルギー消費シナリオ(20)が集約される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記品質尺度(18)は、属性付けされる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの装置は、電気的エネルギー源、機械的エネルギー源、化学的エネルギー源、及び/又は更なるエネルギー源によって駆動される機械を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のエネルギー消費シナリオ(10)及び前記第2のエネルギー消費シナリオ(20)は、少なくとも2つの装置のエネルギー消費データ(14、24)を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のエネルギー消費シナリオ(10)及び前記第2のエネルギー消費シナリオ(20)は、入力データ(12、22)を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記入力データ(12、22)は、環境データ、スケジュールデータ、生産サイクルデータ、及び/又はシナリオの少なくとも1つの装置に影響を及ぼすための他のデータを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の時系列の入力データ(22)が、1つより多くの第1の時系列の入力データ(12)に類似している、即ち、1次及び2次エネルギー消費シナリオの1次及び2次時系列の入力データに類似している場合、
前記1次及び前記2次エネルギー消費シナリオの前記品質尺度(18)を出力する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成された、エネルギー消費シナリオ(10、20)のエネルギー効率を評価するためのシステム。
【請求項13】
人工ニューラルネット(ANN)であって、前記人工ニューラルネット(ANN)が、
第1の学習フェーズにおいて、第1のエネルギー消費シナリオ(10)であって、少なくとも1つの装置の第1の時系列のエネルギー消費データ(14)と、前記第1のエネルギー消費シナリオ(10)の品質尺度(18)と、をそれぞれ備える複数の第1のエネルギー消費シナリオ(10)を取得することと、
第2の学習フェーズにおいて、少なくとも1つの装置の第2の時系列のエネルギー消費データ(24)と、各第1のエネルギー消費シナリオ(10)に対する各第2のエネルギー消費シナリオ(20)の類似性評価と、をそれぞれ備える複数の第2のエネルギー消費シナリオ(20)を取得することと、
第3の学習フェーズにおいて、前記ANNによって、前記類似性評価を分析することと、
生産フェーズにおいて、前記ANNによって、新たに取得された第2のエネルギー消費シナリオ(20)に前記類似性評価を適用することと、
前記新たに取得された第2のエネルギー消費シナリオ(20)の類似性評価が所定の値より大きい場合、前記第1のエネルギー消費シナリオのエネルギー効率についての前記品質尺度(18)を出力することと、
を行うように構成された人工ニューラルネット(ANN)。
【請求項14】
プロセッサ上で実行されると、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を実行するように前記プロセッサに命令するプログラムを記憶した非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
エネルギー消費シナリオのエネルギー効率及び/又は複数のエネルギー消費シナリオを稼働するサイトのエネルギー効率を評価するための請求項12に記載のシステムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に産業サイト又は商業サイトについて、エネルギー効率を評価する分野に関する。本発明は更に、システムに関し、使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、産業サイト又は商業サイトは、それらのサイト内で、それらのプロセス、建物、及び/又は更なるコンシューマ(consumers)を稼働させるために、膨大な量のエネルギーを使用する。サイトを分析して、サイト及び/又はそれらの機器動作のエネルギー最適化の可能性を見出すことは、典型的に、サイトの深い理解を必要とし、時間のかかる手動プロセスになり得る。一方では、異なるデータベースに格納された、異なるデータソースからのデータは、サイトのエネルギー消費の分析のために組み合わされる必要がある。他方では、サイトのエネルギー最適化は、少なくともいくつかの場合、サイトの少なくとも一部の最適化に好適な物理モデルを必要とする。高い複雑さ及び学際的性質により、正確な物理モデルを取得することは、本質的に困難な作業であり得る。
【発明の概要】
【0003】
従って、本発明の目的は、エネルギー消費シナリオのエネルギー効率を評価するための改善された方法を提供することである。この目的は、独立請求項の主題によって達成される。更なる実施形態は、従属特許請求項及び以下の説明から明らかになる。
【0004】
一態様は、サイトの第2のエネルギー消費シナリオのエネルギー効率を評価するための方法に関する。この方法は、下記のステップを備える:
少なくとも1つの装置の第1の時系列のエネルギー消費データと、第1のエネルギー消費シナリオの品質尺度と、を備える第1のエネルギー消費シナリオを取得するステップと、
第2の時系列のエネルギー消費データを備える第2のエネルギー消費シナリオを取得するステップと、ここにおいて、第2のエネルギー消費シナリオは、第1のエネルギー消費シナリオと同じ又はそれよりも短い持続時間を有し、
第2の時系列のエネルギー消費データを、第1の時系列のエネルギー消費データと比較するステップと、
第2の時系列のエネルギー消費データが第1の時系列のエネルギー消費データに類似している場合、第1のエネルギー消費シナリオの品質尺度を出力するステップと、
品質尺度に基づいて、サイトの電力消費を制御するステップ。
【0005】
サイトは、産業サイト又は商業サイト(又はその一部)であり得、これは、サイトにおいてプロセス、建物、及び/又は更なるコンシューマを稼働させ得る。サイトは、1つ以上のエネルギー消費シナリオを備え得る。エネルギー消費シナリオの各々は、複数のデータ、特に、少なくとも1つの装置の時系列のエネルギーデータを備え得る。この装置は、サイトで稼働される任意の目的のための機械、例えば、モーター、ヒーター、クーラー、計算機、及び/又は任意のエネルギー消費装置であり得る。この装置は、1つ以上の内蔵エネルギーセンサを有し得るか-又は、内蔵エネルギーセンサを全く有しないことがあり得-複数の装置が収集され得、それらのエネルギー消費が集合的な方法で測定及び/又は取得され得る。換言すれば、いくつかの装置は、詳細な情報-場合によっては、それらの部品及び/又は構成要素の詳細な情報さえも-を提供し得、他の「ダム(dumb)」装置は、共通のソースにおいてのみ測定され得る。複数の装置は、論理和的(disjunctive)部分集合又は重複部分集合として編成され得、それらは、例えば、ツリーとして、及び/又は別のトポロジで編成され得る。エネルギー消費シナリオは、エネルギー管理システム(EMS)によって取得され得る。いくつかのサイトは、それらの装置の少なくとも一部に対してEMSをインストールしている場合があり、従って、例えば、場合によっては、サブユニットについての個々の負荷プロファイルに分散されるか、又は集約されるかのいずれかである、電気的(又は他の)負荷の測定データとして、「履歴的な」及び/又は現在のエネルギー消費時系列を容易に入手可能にする。測定データは、バッテリ、太陽光発電、暖房、換気、空調、及び/又はその他多くのもの等の機器のエネルギーデータを備え得る。EMSは、設定点を有し得る。
【0006】
各第1のエネルギー消費シナリオは、この第1のエネルギー消費シナリオの品質尺度を備え得る。品質尺度は、自動化された方法及び/又は手動の方法で提供され得る。品質尺度は、評価に適した任意の値、例えば、{A;B;...}、{1;2;...}、{「良好」;「平均」;「不良」;...}、及び/又は更なる値を備え得る。品質尺度は、例えば、シナリオの持続時間にわたる、シナリオに関与する装置のエネルギー消費の合計に基づく、エネルギー消費を備え得る。品質尺度は、1つ以上の属性、例えば、(例えば、「アプリ」での)エネルギーステアリングシーケンス、コメント、並びに/又は他のインフォーマルな(informal)及び/若しくは自然言語の部分を備え得る。第1のエネルギー消費シナリオは、ラベル付けされた例となる時系列又はパターンのセットを使用し得る。同じ第1のエネルギー消費シナリオは、1つのクラスの動作モードを表し得、ここで、同一のクラスは、同じ種類の効率又は非効率を示す例を指定する。第1のエネルギー消費シナリオは、最悪(「非効率」)な動作モード又は最良(「ベストプラクティス」)の動作モードに限定され得る。
【0007】
第1のエネルギー消費シナリオは、「例」と見なされ得る一方で、第2のエネルギー消費シナリオは、「実際のプローブ(real-life probes)」と見なされ得る。第2の時系列は、第1の時系列より短くなり得るか、又は最大で第1の時系列と同じ持続時間を有し得る。第1及び第2の時系列は、本質的に同じ時間分解能を有し得るか、又は同じ時間分解能に適合され得る。
【0008】
比較は、例えば、第2の時系列の昼夜シナリオを、第1の時系列のものと比較すること、又は非効率的であると分類されている場合がある頻繁なオンオフ切替えを比較すること等、1つの装置のみの時系列に関連し得る。比較は、いくつかの装置の時系列に、例えば、ヒーター及びクーラーに関連し得る。これらの装置を、例えば、同じ部屋で、一緒に稼働させることは、非効率的であると分類されている場合がある。比較は、例えば、温度、太陽の角度、風等のような環境データを反映する、入力装置及び/又はセンサの時系列を備え得る。
【0009】
比較から、第2の時系列のエネルギー消費データが、第1の時系列のエネルギー消費データ(のうちの少なくとも1つ)に類似しているという結果が得られたとき、第1のエネルギー消費シナリオの品質尺度が出力され得、場合によっては、1つ以上の属性を含む。この出力は、品質尺度に基づいて、サイトの電力消費を制御するために使用され得る。制御は、例えば、サイトのエネルギーコンシューマ及び/又は関連装置をどのように稼働させるかについてのヒントをオペレータに与えることによって、「半自動化された方法」で行われ得る。制御は、追加又は代替として、自動化された方法で行われ得、即ち、説明される方法は、制御ループに統合され得、これは、サイトのエネルギーコンシューマ及び/又は関連装置を制御する。
【0010】
これは、有利には、エネルギー消費シナリオのエネルギー効率を評価するための著しく改善された方法につながり得る。更に、定量的基礎及び定性的基礎(a quantitative and a qualitative basis)の両方が、サイト又はその一部のエネルギー効率の迅速な改善のために提供され得る。これは、サイトの電力消費の「インテリジェント」ステアリング又は制御のための基礎とさえなり得る。少なくともいくつかの場合、いくつかのEMSによって「標準的に」記録された大きいデータセットが、機器の動作における改善を実現するために、柔軟性を活用するために系統的に使用され得る。
【0011】
様々な実施形態では、データが類似していることは、第1の時系列のエネルギー消費データの各データの、第2の時系列のエネルギー消費データのデータに対する偏差が、1%より小さい(less than)、5%より小さい、10%より小さい、20%より小さい、又は40%より小さいことを意味する。これは、1つのデータ、データのセット-例えば、いくつかの値の「スライディングウィンドウ」-及び/又はデータの相関に適用され得る。これは、有利には、データの対象となる比較(targeted comparing)のための基礎となり得、従って、方法の正確さにおける信頼を向上させる。
【0012】
様々な実施形態では、データが類似していることは、以下で説明されるようなトレーニングされた人工ニューラルネット(ANN)が、第1の時系列のエネルギー消費データのデータの一部である第2の時系列のエネルギー消費データのデータを出力することを意味する。ANN又はその一部は、「パターン検出器」と呼ばれ得る。「パターン検出器」は、パターンの発生を検出するためにトレーニングされるように構成されたソフトウェア及び/又はハードウェアのピース(piece)である。パターンは、第1のエネルギー消費シナリオの集合から得られ得、これは、「動作データベース」に格納され得る。時系列内で、ここで、入力時系列のサブ系列の発生とは、このサブ系列が、好適な分類器、例えば、再帰型ニューラルネットワークによって、他の例と同じ品質尺度-例えば、クラス-に分類されるようなものであることを意味する。
【0013】
様々な実施形態では、品質尺度は、このシナリオにおいて消費されたエネルギーの測定結果、品質推定、及び/又はエネルギー消費クラスを備える。従って、各第1のエネルギー消費シナリオは、この第1のエネルギー消費シナリオの品質尺度を備える。品質尺度は、自動化された方法及び/又は手動の方法で提供され得る。品質尺度は、評価に適した任意の値、例えば、{1;2;...}、{「良好」;「平均」;「不良」;...}、及び/又は更なる値を備え得る。品質尺度は、例えば、シナリオの持続時間にわたる、シナリオに関与する装置のエネルギー消費の合計に基づく、エネルギー消費を備え得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、本質的に同じ品質尺度の第2のエネルギー消費シナリオが集約される。「同じ」品質尺度(又はクラス)の定義に応じて、これは、いくらかの偏差、例えば、10%、20%、又はその他の偏差を備え得る。この集約は、有利には、考慮されるサブシステムの挙動が、最適からどれだけ離れているか-又はどれだけ近いか-についての直観的な理解をユーザに提供するのに役立ち得る。
【0015】
様々な実施形態では、品質尺度は、属性付けされる(attributed)。品質尺度は、例えば、コメント、推奨、ヒント、ステートメント、又は同様のもので属性付けされ得る。このようにして、ユーザは、このクラスの例が非効率を示す理由、及び動作を改善するために何が行われ得るかについての洞察を得ることができる。これは、有利には、例えば、第1のエネルギー消費シナリオの少なくとも1つの装置のエネルギー消費合計が、第2のエネルギー消費シナリオのものよりも良好である場合に、改善を提案するための基礎となり得る。これに基づいて、例えば、装置設定が変更され得る。
【0016】
様々な実施形態では、少なくとも1つの装置は、電気的エネルギー源、機械的エネルギー源、化学的エネルギー源、及び/又は更なるエネルギー源によって駆動される機械を備える。例は、ヒーター、クーラー、モーター、計算機、ローダー、圧縮器、圧力駆動装置、熱エネルギー並びに/又はガス及び/若しくは別の可燃性材料等の化学的手段によって駆動される装置であり得る。これは、サイトの「実際の」エネルギー消費の全体的な調査を得ることに寄与し得る。更に、これは、エネルギー消費の実質的な改善を達成するのに役立ち得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1のエネルギー消費シナリオ及び第2のエネルギー消費シナリオは、少なくとも2つの装置のエネルギー消費データを備える。2つの装置は、例えば、ANNによって又は相関計算装置によって、手動で又は自動的に選択され得る。これは、例えば、同じ部屋で並行して可動させたときに、悪化したエネルギー消費につながり得る、例えば、ヒーターとクーラーとの間の、明らかな及び/又は隠された相関を発見するのに役立ち得る。
【0018】
様々な実施形態では、第1のエネルギー消費シナリオ及び第2のエネルギー消費シナリオは、入力データを備える。これは、いくつかのサブシステムの反応を比較することに寄与し得る。これは、例えば、急速な温度変化-又は他の変化-に際して、いくつかのサブシステムが他のサブシステムよりもエネルギー効率的に反応し得ることを検出するための基礎となり得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、入力データは、環境データ、スケジュールデータ、生産サイクルデータ、及び/又はシナリオの少なくとも1つの装置に影響を及ぼすための他のデータを備える。例は、例えば、温度、太陽、雨、湿度のような気象データ、及び/又は更なる環境データ(例えば、埃)を備え得る。これは、生産スケジュールを含み得る。それらのうちのいくつかは専用の長さを有し、これは、エネルギー消費シナリオの長さに影響を及ぼし得る。これは、例えば、終日/終夜等のスケジュールを含み得る。更に、それは、製造実行システムからのデータ、生産サイクルデータ-即ち、入力材料#1(inputting material #1)等のようなもの-及び/又は他の多くのものを含み得る。これは、シナリオの比較可能性を増大させ得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、方法は、下記の更なるステップを備える:第2の時系列の入力データが、1つより多くの第1の時系列の入力データに類似している、即ち、1次及び2次エネルギー消費シナリオの1次及び2次時系列の入力データに類似している場合、1次及び2次エネルギー消費シナリオの品質尺度を出力するステップ。これは、エネルギーの使用のためのより効率的な方法があるかどうかを明らかにするので、エネルギー消費の自動的又は半自動的な改善につながり得る。属性付きの品質尺度の場合、改善の理由がこのようにして提供され得るので、これは、受け入れ(acceptance)を増大させる。
【0021】
一態様は、エネルギー消費シナリオのエネルギー効率を評価するためのシステムに関し、これは、上記で説明された及び/又は以下で説明される方法を実行するように構成される。
【0022】
一態様は、人工ニューラルネット(ANN)に関し、これは、下記を行うように構成される:
第1の学習フェーズにおいて、少なくとも1つの装置の第1の時系列のエネルギー消費データと、第1のエネルギー消費シナリオの品質尺度と、をそれぞれ備える複数の第1のエネルギー消費シナリオを取得することと、
第2の学習フェーズにおいて、少なくとも1つの装置の第2の時系列のエネルギー消費データと、各第1のエネルギー消費シナリオに対する各第2のエネルギー消費シナリオの類似性評価と、をそれぞれ備える複数の第2のエネルギー消費シナリオを取得することと、
第3の学習フェーズにおいて、ANNによって、類似性評価を分析することと、
生産フェーズにおいて、ANNによって、新たに取得された第2のエネルギー消費シナリオに類似性評価を適用することと、
新たに取得された第2のエネルギー消費シナリオの類似性評価が所定の値より大きい場合-即ち、マッチングの成功に際して-シナリオのエネルギー効率についての品質尺度を出力すること。
【0023】
一態様は、エネルギー消費シナリオのエネルギー効率、及び/又は複数のエネルギー消費シナリオを稼働するサイトのエネルギー効率を評価するための、上記で説明された及び/又は以下で説明されるシステムの使用に関する。
【0024】
更に明確にするために、本発明は、図に示される実施形態によって説明される。これらの実施形態は、限定としてではなく、例としてのみ考慮されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1a及び
図1bは、一実施形態による第1及び第2のエネルギー消費シナリオの取得を概略的に図示する。
【
図2】
図2は、一実施形態によるワークフローを概略的に図示する。
【
図3】
図3は、一実施形態によるフロー図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1aは、一実施形態による第1のエネルギー消費シナリオの取得を概略的に示し、
図1bは、同実施形態による第2のエネルギー消費シナリオ20の取得を概略的に示す。示される例では、第1のエネルギー消費シナリオ10は、第1の時系列の装置B及び装置Cのエネルギー消費データ14並びに入力Aの入力データ12を備える。データは-「アナログ」方式で示されているが-時系列のデジタルデータを備え、その値は、時刻t
0から時刻t
1までに取得されている。加えて、第1のエネルギー消費シナリオ10は、品質尺度18、即ち「5」を備える。品質尺度18は、例えば、エネルギー評価によって、自動的に及び/又は手動で取得されたものであり得る。
【0027】
図1bの第2のエネルギー消費シナリオ20は、第1のエネルギー消費シナリオ10を取得した後、時刻t
2から時刻t
3までに取得されている。第2のエネルギー消費シナリオ20は、第2の時系列の装置B及び装置Cのエネルギー消費データ24並びに入力Aの入力データ22を備える。これらの図から分かるように、第2のエネルギー消費シナリオ20は、第1のエネルギー消費シナリオ10よりも短い持続時間を有する。第2のエネルギー消費シナリオ20を取得した後、これは、第1のエネルギー消費シナリオ10、即ち、第1の時系列の装置B及び装置Cのエネルギー消費データ14並びに入力Aの入力データ12と比較される。示される場合において、第2の時系列のエネルギー消費データ24は、第1の時系列のエネルギー消費データ14に類似している。従って、第1のエネルギー消費シナリオ10の品質尺度18、即ち「5」が出力される。エネルギー消費シナリオ20の比較は、複数の第1のエネルギー消費シナリオ10と行われ得る。これは、例えば、場合によっては、様々な要因に応じて、サイトの装置の異なる「反応」を研究するために使用され得る。品質尺度18がコメント又はヒントで属性付けされている場合、これは、サイトのエネルギー消費の系統的改善のために使用され得る。
【0028】
図2は、一実施形態によるワークフローを概略的に示す。動作データベースには、複数の第1のエネルギー消費シナリオ10(
図1参照)が格納されている。第2のエネルギー消費シナリオ20を取得した後、これは、パターン検出器30によって、第1のエネルギー消費シナリオ10と比較される。動作データベースの第1のエネルギー消費シナリオ10に対する第2のエネルギー消費シナリオ20のマッチングが成功した後、マッチしたパターン32又はシナリオが、品質尺度と共に、即ち、示される場合においては、クラスと共に出力される。同じクラスを有するマッチしたパターン32は、集約34され得、これに基づいて、エネルギー消費を改善するための推奨36が出力され得る。改善は、例えば、サイトのエネルギーコンシューマ及び/又は関連装置をどのように稼働させるかについてのヒントをオペレータに与えることによって、「半自動化された方法」で行われ得る。制御は、追加又は代替として、自動化された方法で行われ得、即ち、説明される方法は、サイトのエネルギーコンシューマ及び/又は関連装置を制御する制御ループに統合され得る。
【0029】
図3は、一実施形態によるフロー
図100を図示する。ステップ101において、少なくとも1つの装置の第1の時系列のエネルギー消費データ14と、第1のエネルギー消費シナリオ10の品質尺度18と、を備える第1のエネルギー消費シナリオ10(
図1参照)が取得される。ステップ102において、第2の時系列のエネルギー消費データ24を備える第2のエネルギー消費シナリオ20が取得される。第2のエネルギー消費シナリオ20は、第1のエネルギー消費シナリオ10と同じ又はそれよりも短い持続時間を有し得る。ステップ103において、第2の時系列のエネルギー消費データ24が、第1の時系列のエネルギー消費データ14と比較される(
図2参照)。第2の時系列のエネルギー消費データ24が第1の時系列のエネルギー消費データ14に類似していると判明した場合、第1のエネルギー消費シナリオ10の品質尺度18が出力される。
【0030】
[参照符号のリスト]
10 第1のエネルギー消費シナリオ
12 入力データ
14 消費データ
18 品質尺度
20 第2のエネルギー消費シナリオ
22 入力データ
24 消費データ
30 パターン検出器
32 マッチしたパターン
34 集約されたクラス
36 推奨
100 フロー図
101~106 ステップ
【国際調査報告】