(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】膝蓋骨準備システム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/17 20060101AFI20231018BHJP
A61B 17/15 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
A61B17/17
A61B17/15
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521144
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 EP2021077107
(87)【国際公開番号】W WO2022073871
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブランク スティーブン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL12
4C160LL28
(57)【要約】
【解決手段】 本開示は、膝蓋骨(2)を固定的に保持するように適合された固定デバイスと、好ましくは直動および/または傾動移動/運動によって、固定デバイスに対して移動可能であるように固定デバイスに連結された案内デバイス(3)と、直動および傾動する態様で独立して別個に案内デバイス(3)を固定デバイス(9)に対して手動で移動させる動作デバイス(14、17)と、を備える膝蓋骨準備システム(1)に関する。さらに、本開示は、本開示の膝蓋骨準備システム(1)を使用する方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膝蓋骨(2)を、特に固定的に保持するように適合された、固定デバイス(9)と、
直動および傾動移動/運動によって、前記固定デバイスに対して移動可能であるように前記固定デバイスに連結された、案内デバイス(3)と、
直動および傾動する態様で独立して別個に前記案内デバイス(3)を前記固定デバイス(9)に対して手動で移動させる、動作デバイス(14、17)と、
を備える、膝蓋骨準備システム/デバイス(1)。
【請求項2】
前記膝蓋骨準備システム(1)は、四頭筋腱(2a)を介して四頭筋に接続されるとともに膝蓋腱(2b)を介して脛骨と接続された前記膝蓋骨(2)において、前記案内デバイス(3)の位置決めおよび/または固定を容易にするために使用される締付けデバイス(13)をさらに有し、
前記締付けデバイス(13)は、前記締付けデバイス(13)が前記四頭筋腱(2a)および前記膝蓋腱(2b)をそれぞれ包囲する締付け位置と、前記締付けデバイス(13)が前記四頭筋腱(2a)にも前記膝蓋腱(2b)にも固定されない解放位置と、の間で移行されるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の膝蓋骨準備システム(1)。
【請求項3】
前記締付けデバイス(13)は、互いに対して移動させることができるとともに、前記締付けデバイス(13)が前記締付け位置にあるときは締め付ける態様でともに働く、上側アーム要素(21)および下側アーム要素(22)をそれぞれ有する、第1の締付けアーム(13a)および第2の締付けアーム(13b)を含み、前記締付け位置では、前記第1の締付けアーム(13a)は前記四頭筋腱(2a)を包囲しており、前記第2の締付けアーム(13b)は前記膝蓋腱(2b)を包囲していることを特徴とする、請求項2に記載の膝蓋骨準備システム(1)。
【請求項4】
前記締付けデバイス(13)は、特に締付けまたは噛合い機構を介して、前記膝蓋骨準備システム(1)に取外し可能に装着することができ、
前記締付けデバイス(13)は、接続部分(12)に設けられたばね(26、27)を介して、前記固定デバイス(9)に対して、したがって前記膝蓋骨(2)に対して自動的に位置決めされることを特徴とする、請求項2または3に記載の膝蓋骨準備システム(1)。
【請求項5】
前記案内デバイス(3)は、前記膝蓋骨(2)の切除を実施するために使用される切断器具(6)を案内するように適合され、
前記固定デバイス(9)は、前記膝蓋骨(2)の前側表面に接触するように構成された上側固定部分(10)と、前記膝蓋骨の下側表面に接触するように構成された下側固定部分(11)と、を備え、
前記上側固定部分および下側固定部分(10、11)は、特に互いに対して平行であって、中央接続部分(12)にそれぞれ接続され、
前記案内デバイス(3)は、前記接続部分(12)の長さ軸線に平行な方向に移動可能であるとともに、前記上側固定部分および下側固定部分(10、11)に対して傾斜可能であり、
前記動作デバイス(14、17)は、
前記切断器具(6)が好ましい切断高さで前記膝蓋骨(2)の切除を実施できるように、前記膝蓋骨(2)に対してある高さで前記案内デバイス(3)を位置決めするように構成された、切断高さ調節デバイス(14)と、
前記切断器具(6)が好ましい角度で前記膝蓋骨(2)の切除を実施できるように、前記切断高さ調節デバイス(14)とは別個に、前記固定デバイス(9)の少なくとも前記上側固定部分(10)に対して、したがって前記膝蓋骨(2)に対して、前記案内デバイス(3)の角度を調節する、切断角度調節デバイス(17)と、を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の膝蓋骨準備システム(1)。
【請求項6】
前記案内デバイス(3)は、内側円筒状表面を画定する同心で中空の円筒状の穴(4)を有するとともに、前記穴(4)の直径が少なくとも前記膝蓋骨(2)の最大径の大きさである、ディスクまたはリング(3)の形態で具体化され、
前記ディスク(3)は、少なくとも部分的に前記ディスク(3)の周囲に沿って延在するとともに、前記ディスク(3)のシェル表面から前記ディスク(3)の前記内側円筒状表面まで前記ディスク(3)の径方向に延在する、スロット(5)を備え、
前記スロット(5)は、少なくとも前記切断器具(6)の作業端を収容することができる高さであり、
前記ディスク(3)は、切断高さ調節軸(7)と固定的に、特に一体的および/または垂直に接続されることを特徴とする、請求項5に記載の膝蓋骨準備システム(1)。
【請求項7】
前記切断高さ調節デバイス(14)は、第1のねじ山、特に雌ねじを有するとともに、自由に回転可能な態様で前記切断高さ調節軸(7)に結合される、回転要素(15)、特にノブを備え、
前記切断高さ調節デバイス(14)は、前記回転要素(15)の前記第1のねじ山と協働するように構成された第2のねじ山、特に雄ねじを有する、案内軸またはスピンドル(16)をさらに備え、それにより、特に前記案内軸(16)の長さ軸線周りに、前記回転要素(15)が回転するときに、前記切断高さ調節軸(7)およびそれに伴い前記ディスク(3)が前記案内軸(16)の長さ方向に沿って移動することを特徴とする、請求項6に記載の膝蓋骨準備システム(1)。
【請求項8】
前記切断高さ調節軸(7)は、前記案内軸(16)の外部に設けられた第2の案内部分(32)に対して補完的であるように構成された第1の案内部分(31)を内部に備え、
両方の案内部分(31、32)は、前記案内軸(16)に対する前記切断高さ調節軸(7)の回転移動を防ぐように具体化されることを特徴とする、請求項7に記載の膝蓋骨準備システム(1)。
【請求項9】
前記案内軸(16)は、前記膝蓋骨準備システム(1)のユーザに、前記膝蓋骨(2)に対する前記案内デバイス(3)の高さを示し、したがって前記切断高さを示す、目盛りを備えることを特徴とする、請求項7または8に記載の膝蓋骨準備システム(1)。
【請求項10】
前記切断角度調節デバイス(17)は、特に前記接続部分(12)の前記長さ軸線に垂直な方向で、前記中央接続部分(12)を通して挿入されるように構成されたシャフト(35)と一体的に提供される、特にノブの形態の回転構成要素(34)と、前記回転構成要素(34)に固定的に接続されたギヤホイール(36)と、を含み、前記ギヤホイール(36)と噛合うように構成された歯付き部(37)をさらに含み、
前記歯付き部(37)はレバーアーム(33)に固定的に接続され、前記レバーアーム(33)自体が、前記案内デバイス(3)と、特に前記案内軸(16)と固定的に接続されるとともに、前記案内デバイス(3)が前記上側固定部分(10)に対して傾斜可能であるように、前記上側固定部分(10)の自由端部分において軸受軸(39)を介して回転可能に支持されることを特徴とする、請求項5、または請求項6から9のいずれか一項に記載の膝蓋骨準備システム(1)。
【請求項11】
前記切断角度調節デバイス(17)は、特にノブまたはボルトの形態の、係止要素(40)をさらに含み、
前記係止要素(40)は、前記係止要素(40)を前記回転構成要素(34)と可逆的に接触させたときに、前記回転構成要素(34)の任意の回転を停止するように構成されていることを特徴とする、請求項10に記載の膝蓋骨準備システム(1)。
【請求項12】
前記係止要素(40)は、突出部分の形態の、特にピンの形態の係止部を有し、
前記回転構成要素(34)の前記シャフト(35)は、前記係止要素(40)を前記回転構成要素(34)に接触させたときに、前記係止要素(40)の前記係止部を受け入れるように構成された、周方向に配置された溝(41)を備えることを特徴とする、請求項11に記載の膝蓋骨準備システム(1)。
【請求項13】
前記レバーアーム(33)は、その遠位側自由端において、ドリルを前記上側固定部分(10)に対して、したがって前記膝蓋骨(2)に対して案内するために使用可能な、ドリル案内要素(42)を有し、
前記ドリル案内要素(42)は、前記軸受軸(39)を介して前記上側固定部分(10)に枢動可能に接続されることを特徴とする、請求項10に記載の膝蓋骨準備システム(1)。
【請求項14】
前記上側固定部分(10)は、その遠位側自由端において、前記ドリル案内要素(42)を受け入れるように構成された受入れ部分(43)を有することを特徴とする、請求項13に記載の膝蓋骨準備システム(1)。
【請求項15】
請求項2から14のいずれか一項に記載の前記膝蓋骨準備システム(1)を使用する方法であって、
a)前記膝蓋骨準備システム(1)を膝蓋骨(2)に対して位置決めする工程と、(次いで)
b)前記固定デバイス(9)を用いて、特に請求項2に記載の前記締付けデバイス(13)を利用して、前記膝蓋骨準備システム(1)を前記膝蓋骨において固定する工程と、(次いで)
c)前記切断高さ調節デバイス(14)を使用して、前記上側固定部分(10)に対して、したがって前記膝蓋骨(2)に対して、前記案内デバイス(3)の高さを調節する工程と、(次いで)
d)前記膝蓋骨における前記膝蓋骨準備システム(1)の固定を解放することなく、前記切断角度調節デバイス(17)を使用して、前記上側固定部分(10)に対して、したがって前記膝蓋骨(2)に対して、前記案内デバイス(3)の切断角度を調節する工程と、
によって特徴付けられる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、関節形成術、特に膝関節形成術および膝関節全置換術に関する。より具体的には、本開示は、膝蓋骨表面再建または膝蓋骨移植/膝蓋骨置換を背景にして、外科医が膝蓋骨を効率的かつ正確に切断/切除できるようにする、医療用デバイスに関する。特に、本開示は、膝蓋骨準備システム/デバイスおよびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
膝関節は、動いている間、人間の脚を屈曲させたり関節運動させたりすることができる。下側の骨(脛骨)は膝で上側の骨(大腿骨)につながる。膝蓋骨または膝皿は、膝関節の前側で支持される骨片である。機能的には、膝蓋骨はシールドとして作用する。膝蓋骨は、四頭筋腱を介して大腿骨をほぼ完全に包囲する四頭筋に固定され、また膝蓋腱を介して脛骨に固定される。
【0003】
膝関節は、長期の多用、疾患、または外傷によって、ほぼまたは完全に働かなくなることがある。多くの場合、最良の療法は全置換(関節形成術)である。膝関節全置換術の間に、膝で接合された大腿骨表面および脛骨表面は完全に置換される。多くの場合、膝蓋骨も少なくとも部分的に損傷しており、表面再建するかまたは完全に置換しなければならない。これを背景にして、膝蓋骨は、通常は特定の所定の高さで膝蓋骨の断面積に沿って、切断または切除しなければならない。
【0004】
最初に、膝蓋骨を、別個の切断/切除器具を案内する案内デバイス/ユニットを有する、膝蓋骨準備器具と固定しなければならないことは、良く知られている。次に、切断/切除高さ、したがって膝蓋骨に対する案内デバイス/ユニットの高さを、膝蓋骨準備器具によって調節する。膝蓋骨に対する器具の勾配/角度を変更すべきである場合、膝蓋骨に対する器具の固定を解放しなければならず、器具を再び膝蓋骨に固定し直さなければならない。
【0005】
この目的のため、通常の膝蓋骨準備器具/システムは、膝蓋骨をその外周面上で締め付けるように構成された複数のプロングを有する、少なくとも2つの締付け部分を備えたクランプとして/クランプを有して具体化される。切断高さは、高さゲージまたは等価の調節デバイスを介して調節することができる。上述したように、膝蓋骨に対する切断デバイスの角度は、膝蓋骨準備器具/デバイス全体を膝蓋骨において新たに位置決めするときにしか変更することができず、これは複雑かつ不正確である。
【0006】
したがって、膝蓋骨準備システムを使用しているユーザまたは外科医が、外科手術中に膝蓋骨準備システムを膝蓋骨から取り外す必要なしに、切断角度を変更することができるように、切断角度/勾配を自動的に調節することが必要とされている。さらに、膝蓋骨準備システム自体が外科手術中に不用意に滑ったりずれたりすることがないように、膝蓋骨における膝蓋骨準備システムの固定は改善されるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の目的は、請求項1に記載の膝蓋骨準備システム/器具によって解決される。さらに、この目的は、請求項15に記載のこの膝蓋骨準備システム/器具を使用するための方法によってさらに解決される。本開示のさらなる有利な発展は、それぞれの従属請求項の主題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の主旨によれば、膝蓋骨準備システム/器具は、
膝蓋骨を(固定的に)保持するように適合された、固定/保持ユニット/デバイスと、
(好ましくは)直動および/または傾動移動/運動によって、固定/保持ユニット/デバイスに対して移動可能であるようにそれに連結された、切断テンプレートまたは案内ユニット/デバイスと、
それぞれ直動および傾動する態様で(好ましくは)独立して別個に切断テンプレートまたは案内ユニット/デバイスを固定/保持ユニット/デバイスに対して手動で移動させる、(手動)作動/動作ユニット/デバイス/機構と、を備える。
【0009】
かかるシステム/デバイスによって、第1の工程として、固定/保持ユニット/デバイスによって(別個に独立して)膝蓋骨を保持/把持/締め付けることが可能になる。第2の工程として、切断テンプレートまたは案内ユニット/デバイスによって案内されている別個の切断ツールが、膝蓋骨に対して正確な切断位置および配向(角度)を達成するように、切断テンプレートまたは案内ユニット/デバイスを、独立して別個にそのシフト/直動移動まで、(線形的に)シフト/横移動させることができ、および/または固定/保持ユニット/デバイスに対して(したがって、膝蓋骨に対して)傾動させることができる。
【0010】
より具体的には、本明細書に記載する膝蓋骨準備システム/器具は、補綴デバイスの適切な取付けまたは埋込みを可能にするため、骨の中もしくは上に平面および/または曲面を作らなければならない外科処置としての膝関節全置換術(TKR)に適用されてもよい。TKRでは、補綴デバイスまたは他のデバイスを、大腿骨、脛骨、および/または膝蓋骨に取り付けることを可能にするため、一連の平面および/または曲面、即ち「切除部分」が作られる。
【0011】
上述の要件を満たすため、請求項1に記載の膝蓋骨準備システム/器具が提案される。膝蓋骨準備システム/器具は、膝蓋骨の表面再建または置換を背景にして使用される。
【0012】
本開示による膝蓋骨準備システム/器具は、特に(別個の)切断器具/切断ツール(システム/器具の一部ではない)、特に、膝蓋骨上で切除を実施するために使用される、切断器具の作業端/エフェクタ/鋸刃を案内する、(ディスク状の)切断テンプレートまたは案内ユニット/デバイス(以下、単に案内デバイスと呼ぶ)を有する。さらに、膝蓋骨準備システム/器具を膝蓋骨に対して(またはその逆に)固定する、固定/保持ユニット/デバイス(以下、単に固定デバイスと呼ぶ)を含む。
【0013】
有利には、本開示による膝蓋骨準備システム/器具は、固定デバイスを介した膝蓋骨の固定を解除することなく、膝蓋骨に対する別個の切断ツール/器具の角度を調節することを可能にする。したがって、この膝蓋骨準備システム/器具を使用する外科医は、システム/器具自体の中において2つの別個の工程で切断の位置および角度を調節することができ、切断角度を変更するために、システム/器具を取り外し、膝蓋骨に対して配置し直す必要がない。膝蓋骨の切断/切除の角度を0°~±7°の範囲で調節することにより、膝蓋骨の傾き角(大腿骨に対する膝蓋骨の面の内側/外側傾きの指数)を調節することができる。
【0014】
切断ツール/器具は手術用鋸であってもよく、手術用鋸の作業端は鋸刃であってもよい。
【0015】
したがって、膝蓋骨準備システム/器具は、膝蓋骨に対する案内デバイス/ユニットの位置決めおよび/または固定を容易にするために使用することができる、(フォーク状の)締付けデバイス/ユニットをさらに有してもよい。締付けデバイス/ユニットは、締付け位置と解放位置との間で移行させることができる。膝蓋骨は、四頭筋腱を介して四頭筋に接続されるとともに膝蓋腱を介して脛骨と接続されているので、締付け位置では、締付けデバイスは四頭筋および膝蓋腱を包囲する。解放位置では、締付けデバイスは四頭筋腱にも膝蓋腱にも固定されない。
【0016】
ここで、膝蓋骨に接続された(四頭筋および膝蓋)腱は、有利には、膝蓋骨準備システム/器具を膝蓋骨に対して安全に固定して、膝蓋骨準備システム/器具が膝蓋骨から意図せずに外れるのを防ぐために使用される。(四頭筋および膝蓋)腱は厚く強固なので、締付けデバイスおよびしたがって膝蓋骨準備システム/器具を膝蓋骨にしっかりと固定することができる。さらに、締付けデバイスを使用して膝蓋骨準備システム/器具を膝蓋骨に固定することにより、膝蓋骨準備システム/器具を膝蓋骨の矢状面/屈曲面内で良好に位置決めすることが可能になる。したがって、締付けデバイスを使用して膝蓋骨準備システム/器具を(四頭筋および膝蓋)腱に固定することにより、膝蓋骨が平らであろうと丸みを帯びていようと、波形または他の任意の形態であろうと、膝蓋骨準備システム/器具を膝蓋骨上で精密に位置合わせすることができる。
【0017】
好ましい実施形態では、締付けデバイス/ユニットは、上側および下側アーム要素をそれぞれ有する/提供する、第1および第2の(円弧状の)締付けアームを備える。上側アーム要素は下側アーム要素に対して移動させることができるが、両方の要素は、締付けデバイス/ユニットが締付け位置にあるとき、締め付ける態様でともに働く。締付け位置では、第1の締付けアーム要素は四頭筋腱を包囲しており、第2の締付けアーム要素は膝蓋腱を包囲している。
【0018】
そのように構成された締付けデバイス/ユニットは、作製および取り扱いが簡単であるとともに、締付けデバイス/ユニットの固定作業を確実にすることができる。
【0019】
膝蓋骨準備システム/器具の別の有利な実施形態は、(上述の)締付けデバイス/ユニットの実施形態に関連し、締付けデバイス/ユニットは、具体的には噛合いシステム/ユニットを介して、膝蓋骨準備システム/器具に、好ましくは中央接続部分に取外し可能に固定される。さらに好ましくは、締付けデバイス/ユニットは、固定デバイスの中央接続部分に設けられてもよい少なくとも1つのばねを使用して、固定デバイス/ユニットに対して、したがって膝蓋骨に対して、自動的/自律的に位置決めされる。
【0020】
したがって、膝蓋骨に対する膝蓋骨準備システムの安全な固定位置を特別に確保する必要がない場合、締付けデバイスを膝蓋骨準備システムから簡単に取り外すことができる。各患者は個々に構成された膝蓋骨を有する。ばねは、締付けシステムを患者の膝蓋骨に対して個々に自動的に配置することを可能にする。これにより、外科医が迅速かつ正確に作業することが可能になる。
【0021】
より有利には、案内デバイスは、膝蓋骨の切除を実施するために使用される切断器具を案内するように適合され、固定ユニット/デバイスは、好ましくは、膝蓋骨の上(前)面に接触するように構成された上側固定部分(上側スラストプレート)と、膝蓋骨の下(後)面に接触するように構成された下側固定部分(下側スラストプレート)とを有する。特に互いに平行である上側および下側固定部分はそれぞれ、上側および下側固定部分の間の距離を延長および/または低減するように適合された、膝蓋骨準備システム/器具の連結/接続部分に接続される。案内ユニット/デバイスは、接続部分の長さ軸線に実質的に平行な方向に移動可能であり(直動移動)、また、接続部分に対して、特に上側固定部分に対して傾斜可能/傾動可能である。膝蓋骨準備システム/器具はさらに、(手動)作動/動作ユニット/デバイス/機構(以下、単に動作デバイスと呼ぶ)を有し、この動作デバイスは、第1の動作ユニット/部として、切断器具が好ましい切断高さで、特に膝蓋骨の上面に対して1mmで、膝蓋骨の切除を実施することができるように、案内ユニット/デバイスを上側固定部分に対して、したがって膝蓋骨に対してある高さで位置決めするのに使用される、切断高さ調節デバイス(第1の独立した別個の動作ユニット/部)を備える。さらに、(手動)作動/動作ユニット/デバイス/機構は、第2の動作ユニット/部として、切断器具が好ましい角度または好ましい勾配で、特に1°刻みで0°~±7°の範囲の膝蓋骨切断/切除角度で、膝蓋骨の切除を実施することができるように、案内デバイスの(傾き)角度を上側固定部分に対して、したがって膝蓋骨に対して(高さ調節とは別個に)調節する、切断角度調節デバイス(第2の独立した別個の動作ユニット/部)を備える。
【0022】
換言すれば、本開示による膝蓋骨準備システム/器具は、周方向に配置されたスロットを備えるリング形の案内ディスクを有し、スロットは、作業端を膝蓋骨に対して案内するため、切断デバイスの少なくとも作業端/エフェクタをこのスロット内に摺動可能に収容することができるような高さのものである。膝蓋骨準備システム/器具はさらに、上側および下側固定部分/アーム/スラストプレートがそれぞれ中央接続部分に接続された、固定ユニット/デバイス(機構)を有し、好ましくは、固定部分/アーム/スラストプレートはそれぞれ垂直な形で接続部分と接続され、上側固定部分/アーム/スラストプレートを、中央接続部分の摺動可能な二部分構成を介して、下側固定部分/アーム/スラストプレートに対して移動させることができ、それにより、上側および下側固定部分/アーム/スラストプレートが、固定する/締め付ける態様で膝蓋骨を包囲することができる。さらに、膝蓋骨準備システム/器具は、回転要素(ノブ)と、案内ディスクが固定的に接続される切断高さ調節軸(U字形のソケット/ドーム)とを備える、軸案内式の回転機構を含み、回転要素は、切断高さ調節軸の長さ軸線周りに回転可能であり、したがって、自由に回転可能な態様で案内ディスクと接続される(回転要素は、上側固定部分に固定的に接続された案内軸/スピンドルと回転可能に相互接続され、高さ調節軸は、回転要素を介して案内軸/スピンドルによって軸線方向で支持される)。したがって、回転要素を切断高さ調節軸(ソケット)周りに回転させると、切断高さ調節軸(ソケット)が回転していないスピンドルに沿って上方および/または下方に移動し、上側固定部分およびしたがって膝蓋骨に対する案内ディスクの高さが調節/変更される。さらに、膝蓋骨準備システム/器具は、少なくともギヤホイールおよびギヤホイールと噛合うように構成された歯付き部を備える、ギヤホイール機構(トランスミッション)を含み、案内ディスクは、中央接続部分内に/中央接続部分に配置された傾動軸線周りに歯付き部とともに回転可能/傾動可能であるように歯付き部に固定(均一に接続)され、それにより、ギヤホイールを好ましくは別の回転要素(ノブ)によって回転させたとき、中央接続部分に対する、したがって膝蓋骨に対する案内ディスクの角度を変更することができる。
【0023】
さらに、案内デバイス/ユニットは、同心で配置された円筒状の穴を有し、穴の直径が少なくとも膝蓋骨の最大径の大きさである、ディスクの形態で具体化されてもよい。ディスクはさらに、ディスクの周囲に沿って少なくとも部分的に/断面に関して延在し、そのシェル表面からその内側円筒状表面までディスクの径方向に延在する、スロットを備える。スロットは少なくとも、切断器具の作業端を収容することができる高さである。ディスクは、固定的に、特に一体的および/または垂直に、案内軸に接続され、特に、切断高さ調節軸(U字形のソケット/ドーム)によってシフト可能に支持され、ソケットによって支持された回転要素とねじ係合されている、スピンドルに接続される。
【0024】
このように構成された案内デバイス/ユニットは、切断デバイスの作業端を、特に手術用鋸の鋸刃を、ディスクのスロット内に簡単に収容及び案内することができる。しかしながら、切断デバイスを案内する異なる手法が想像できる。
【0025】
膝蓋骨準備システム/器具はさらに、有利には、第1のねじ山、特に雌ねじを有する回転要素、特にノブを備え、回転要素が自由に回転可能な態様で案内デバイスに接続された、切断高さ調節デバイス/ユニットとともに具体化される。したがって、回転要素(ノブ)は案内軸/スピンドルに対して回転可能であるが、案内軸/スピンドルは回転要素とともに回転しない。スピンドルは、特に切断高さ調節軸の長さ軸線周りに、回転要素を回転させると、案内軸/スピンドル、およびそれとに伴いディスクが切断高さ調節軸に沿って移動する態様で、第1のねじ山と協働するように構成された、第2のねじ山、特に雄ねじを有する。
【0026】
このように設計された切断高さ調節デバイスは、回転要素のみを回転させればよいので、簡単かつ迅速に使用できる。さらに、切断高さの調節は非常に精密である。さらに、回転要素は案内軸とは別個に設けられるので、ノブの回転とともに案内デバイスが回転するのを防ぐことができる。
【0027】
本開示の別の好ましい実施形態は、案内軸が第1の案内部分を内部に備えるような態様で構成される。切断高さ調節軸は第2の案内部分を外部に備える。切断高さ調節軸の第2の案内部分は、案内軸の第1の案内部分に対して補完的であるように構成される。案内デバイスは両方とも、互いに係合させることができ、切断高さ調節軸(ソケット)に対する案内軸/スピンドルの回転移動を防ぎ、切断高さ調節軸および/または案内軸の長さ方向での案内デバイスおよび切断高さ調節デバイスの移動のみを可能にするようにして具体化されてもよい。
【0028】
第1および第2の案内部分の連携/係合によって、案内デバイスが回転要素とともに回転するのを効果的に防ぐことができる。さらに、第1および第2の案内部分の相互作用によって、回転要素の回転を介した切断高さの滑らかでぎくしゃくした動きの少ない調節ができる。
【0029】
第1の案内部分は、雌案内デバイスであってもよく、平坦な第1の摺動表面を有してもよい溝として構成されてもよい。第2の案内部分は、第1の案内部分に嵌合する雄案内デバイスであってもよい。さらに、第2の案内部分は、第2の案内部分が第1の案内部分に嵌合するのに用いられる、平坦な第2の摺動表面を有するロッドとして構成されてもよい。その結果、第2の摺動面は第1の摺動面と接触している。
【0030】
さらに、切断高さ調節デバイスの切断高さ調節軸は、膝蓋骨準備システムのユーザに、膝蓋骨に対する案内デバイスのディスクの高さ、およびしたがって切断高さを示す、目盛りを備えてもよい。目盛りは、1°刻みで0°~±7°の角度範囲を示してもよい。
【0031】
軸が目盛りを備える場合、ユーザが膝蓋骨準備システム上で好ましい切断高さを調節するのが非常に簡単である。
【0032】
さらに、本開示の別の好ましい実施形態では、切断角度調節デバイスは、特に中央接続部分の長さ軸線に垂直な方向で、中央接続部分を通して挿入されるように構成された、シャフトを一体的に備える、特にノブの形態の、回転構成要素/要素を含む。さらに、切断角度調節デバイスは、固定的に、特に一体的に、回転構成要素のシャフトと接続された、ギヤホイール、特にスパーギヤを含む。さらに、切断角度調節デバイスは、ギヤホイール/スパーギヤと噛合うように構成された歯付き部を含み、歯付き部は、案内デバイスまたは切断角度調節デバイスに固定的に接続され、回転/傾動軸を用いて中央接続部分によって傾動可能/回転可能に支持される。歯付き部および案内デバイスは、回転軸周りに互いに回転可能である。したがって、案内デバイスは、中央接続部分の上側固定部分/部に対して傾斜可能である。
【0033】
切断角度調節デバイスのこの設定により、上側固定部分に対する、また膝蓋骨に対する、案内デバイスの角度の簡単な調節が可能になる。回転構成要素をそのシャフトの長さ軸線周りに回転させると、回転構成要素のシャフトに固定されたギヤホイールも回転する。このギヤホイールは歯付き部と噛合うので、歯付き部は回転/傾動軸周りに回転する。歯付き部は、切断高さ調節軸に固定的に接続されるので、切断高さ調節軸は歯付き部とともに回転/傾動軸周りに回転する。案内デバイスは、切断高さ調節軸に対してその長さ軸線の方向にのみ移動可能なので、案内デバイスも回転/傾動軸周りに軸とともに回転する。したがって、膝蓋骨準備システムの上側固定部分に対する案内デバイスの傾斜、およびそれによる膝蓋骨に対する傾斜は、膝蓋骨準備システムが膝蓋骨に固定されたまま、切断角度調節デバイスを介して変更することができる。
【0034】
さらに、本開示の有利な実施形態は、切断角度調節デバイスがさらに、係止要素を可逆的に回転構成要素と接触させたときに、回転構成要素の任意の回転を停止して、案内デバイスの傾動移動を停止するように構成された、特にノブまたはボルトの形態の、係止要素を含むものである。たとえば、係止要素は、ユーザによって、回転構成要素に向かって押し下げられる。
【0035】
この係止要素を用いて、膝蓋骨に対する膝蓋骨準備システムの、特に案内デバイスの、好ましい傾き角を係止することができる。したがって、切断角度調節デバイスの回転構成要素の偶発的な回転、したがって切断角度の意図しない変更を防ぐことができる。この固定は、係止要素と回転構成要素との間の接触が解消されると、簡単に元に戻すことができる。
【0036】
有利には、係止要素は、突出部分の形態の、特にピンの形態の係止部を有してもよく、回転構成要素のシャフトは、係止要素が回転構成要素と接触しているときに、係止要素の係止部を受け入れるように構成された、周方向に配置された溝を備えてもよい。
【0037】
係止要素および溝を回転要素のシャフト内部に備えるこの係止機構は、簡単に達成され、製造される。
【0038】
さらに、上側スラストプレートは、ドリルを固定デバイスに対して、したがって膝蓋骨に対して案内するために使用可能な、ドリル案内要素/部を有してもよい。
【0039】
この設定はまた、膝蓋骨に対する穴開けを実施することを可能にする。
【0040】
本開示の別の好ましい実施形態は、固定デバイスの上側固定部分が、その遠位端において、ドリル案内要素/部を中に受け入れるように構成された受入れ部分を有するものである。
【0041】
この配置は省スペース設計であり、固定デバイスの受入れ部分は、たとえば意図しない傾斜に対して、ドリル案内要素を支持する。
【0042】
さらに、本開示による膝蓋骨準備システムは、膝蓋骨の上側に面する上側固定部分の下側、および膝蓋骨の下側に面する下側固定部分の上側がそれぞれ、複数のプロングを有するようにして、具体化されてもよい。
【0043】
このように、固定デバイスを簡単に膝蓋骨に固定することができる。
【0044】
本開示はさらに、請求項2~14に記載の膝蓋骨準備システム/デバイスを使用する方法に関し、方法は、
a)膝蓋骨準備システム/デバイスを膝蓋骨に対して位置決めする工程と、(次いで)
b)特に請求項2に記載の締付けデバイスを利用して、膝蓋骨準備システム/デバイスを固定/保持ユニット/デバイスを固定する工程と、(次いで)
c)固定/保持ユニット/デバイスに対して、したがって膝蓋骨に対して、切断高さ調節デバイスを使用して、切断テンプレートまたは案内ユニット/デバイスの高さを調節する工程と、(次いで)
d)切断角度調節デバイスを使用して、固定/保持ユニット/デバイスに対して、したがって膝蓋骨に対して案内デバイスの角度を調節する工程と、によって特徴付けられる。
【0045】
この手順は扱いが簡単かつ迅速である。膝蓋骨準備システムのユーザにとっての利点は、膝蓋骨に対するシステムの角度を変更するため、膝蓋骨準備システムを取り外す必要がないことである。
【0046】
換言すれば、本開示は、膝蓋骨に対する切断高さの調節および切断勾配の調節のような、すべての工程を1工程で管理することを可能にする、膝蓋骨準備システムに関する。本開示による膝蓋骨準備システムを用いて、膝蓋骨切断の高さ(各1mm)、また1°刻みで0°~±7°の膝蓋骨切断の勾配または角度が調節可能である。
【0047】
膝蓋骨上におけるシステムの位置決めは、(締付け)ハンドルによって、またはシステムの安定性をさらに促進する、膝蓋腱(四頭筋および膝蓋腱)を使用することによって管理することができる。
【0048】
本開示による膝蓋骨準備システムを用いて、駆動された膝蓋骨切断角度調節が可能であり、切断角度は調節し係止することができ、ツールを膝蓋骨上で位置決めする基準位置は明確である。さらに、本発明の膝蓋骨準備システムを使用する外科医は、切断角度を調節するのにシステムを膝蓋骨から取り外す必要なしに、切断高さおよび切断角度を示す指示または目盛りを有する。
【0049】
締付けデバイスは、四頭筋および/または膝蓋腱を締め付けて、それらを切断の基準として使用するために使用されてもよい。また、締付けデバイスを四頭筋腱および/または膝蓋腱から取り外す可能性もある。
【0050】
さらに、膝蓋骨準備システムは、接続部分の一部であるキャノンの内部のばねにより、締付けデバイスを四頭筋腱および/または膝蓋腱に対して位置決めするように適合される。
【0051】
膝蓋骨準備システムが膝蓋骨上に配置され(それに固定され)ると、ユーザは、切断高さ調節デバイスの回転要素を用いて切断高さを調節する。次に、案内デバイスは鉛直に固定されたねじ付き軸上を案内され、回転要素が回転/タップする。
【0052】
軸上に設けられた目盛りを介して、切断の高さは器具の前で簡単に見える。
【0053】
切断高さが固定されると、ユーザは、回転構成要素を用いて切断勾配/切断角度を調節し、それを係止要素に対して係止(解除)する。
【0054】
切断角度調節デバイス内で、ギヤホイールは固定部(固定デバイスの上側固定部分および接続部分)の内部にあり、回転構成要素はギヤホイールに固定される。
【0055】
歯付き部は、作業アームに固定的に接続され、ギヤホイールの前方に配置される。歯付き部は、ユーザが回転構成要素を回すと、歯付き部ならびにそれとともに作業アームおよび切断高さ調節軸が回転軸周りに回転するように、回転軸によって固定部に固定される。
【0056】
ユーザが適正な角度を規定すると、係止要素は、回転構成要素(のシャフト)の溝に入り、いかなる回転も停止する。
【0057】
案内デバイスが固定部の垂直軸線によって案内されるにつれて、案内デバイスも回転軸周りに回転する。そのように、ユーザは、少なくとも1°刻みで-7°~+7°で勾配/角度を固定することができる。
【0058】
本開示は、図を使用して、好ましい実施形態に基づいて、以下でさらに詳細に説明される。図は、概略的性質のものであり、本開示の理解を改善しようとするものである。同じ要素は同じ参照符号で参照される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】膝蓋骨に固定されている、本開示による膝蓋骨準備システム/器具を示す斜視図である。
【
図2】締付けデバイスを膝蓋骨準備システムに装着することができるように用いる機構を示す図である。
【
図3】ばねが膝蓋骨準備システムの接続部分に配置された膝蓋骨準備システムを示す縦断面図である。
【
図5】膝蓋骨準備システムの切断高さ調節デバイスを示す斜視断面図である。
【
図6】ユーザから見た膝蓋骨準備システムを示す斜視図である。
【
図7】切断角度調節デバイスの歯付き部が傾斜していない/傾いていない、膝蓋骨準備システムを示す、特に切断角度調節デバイスを示す側面図である。
【
図8】切断角度調節デバイスの歯付き部が傾斜している/傾いている、膝蓋骨準備システムを示す、特に切断角度調節デバイスを示す側面図である。
【
図9】切断角度調節デバイスを詳細に示す断面側面図である。
【
図10】本開示による膝蓋骨準備システムを示す、特に切断角度調節デバイスの主要構成要素を示す分解組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本出願では、第1の要素が第2の要素に「固定的に接続されている」と読み取ることができる場合、「固定的に接続されている」という文言は、第1のデバイスを任意の方法で移動させたとき、第2のデバイスが第1のデバイスとともに同じ方法で移動することを意味する。
【0061】
図1は、膝蓋骨2に固定される位置で示されている、膝蓋骨準備システム/器具(PPS)1の斜視図を示している。膝蓋骨2は、四頭筋腱2aを介して四頭筋(図示せず)と接続された第1の位置にあり、また、膝蓋腱2bを介して脛骨(図示せず)と接続された、第1の位置とは正反対の第2の位置にある。PPS1は、円形開口部を提供する同心状に配置された貫通穴4を有する、好ましくは円形ディスクまたはリング3の形態の、案内デバイス/ユニット3を含む。ディスク/リング3は真円の形態でなくてもよく、切頭円であってもよい。ディスク/リング3は円でもなくてもよく、たとえば、長方形状を有してもよい。穴4の直径は、PPS1を膝蓋骨2に位置決めおよび/または固定したとき、ディスク/リング3を膝蓋骨2の周りに配置することができるように、少なくとも膝蓋骨2の最大径以上の大きさである。
【0062】
ディスク/リング3は、ディスク/リング3の径方向および周方向に延在するスロット5を備える。スロット5は、ディスク/リング3の全周にわたって配置しなくてもよく、たとえば二部分であってもよい。この場合、スロット5の第1の個片5aは、少なくともPPS1を膝蓋骨2に位置決めしたときに膝蓋骨2が四頭筋腱2aと接続される、第1の位置に近い領域内で延在するように配置されてもよい。次に、スロット5の第2の個片5bは、PPS1を膝蓋骨2に位置決めしたときに膝蓋骨2が膝蓋腱2aと接続される、第2の位置に近い領域に配置されるように、スロット5の第1の個片5aの正反対に位置してもよい。
【0063】
スロット5は、ディスク/リング3の径方向で、ディスク/リング3のシェル表面から穴4によって提供されるその内側円筒状表面まで延在する。スロット5の高さは少なくとも、スロット5が、手術用鋸の鋸刃など、切断デバイス6の作業端を受け入れることができるような高さである。切断デバイス6は、PPS1とは別個に設けられ、本開示の一部ではない。
【0064】
ディスク/リング3は、固定的に、特に一体的に、ソケット状の切断高さ調節軸7と接続される。
図1によるPPS1の実施形態では、ディスク/リング3は、垂直の形で切断高さ調節軸7と接続される。切断高さ調節軸7は、ここでは、傾斜した外表面を有してもよい、および/またはその外周面に開口部を備えてもよい、一種のスリーブまたはドームとして構成される。換言すれば、切断高さ調節軸7は、好ましくは、バー/ヨーク7cによって一端(上端)において互いと相互接続され、他端(下端)において垂直な態様でディスク/リング3に接続された、2つの平行に距離を空けた脚部7a、7bを備えるU字形のソケットとして形成される。切断高さ調節軸7のディスク/リング3との接続は、補強リブまたは補剛材8によって強化されてもよい。ここで、2つの補強リブ/補剛材8は、ディスク3と切断高さ調節軸7との間に配置される。
【0065】
さらに、PPS1は固定デバイス/ユニット9を含む。固定デバイス9は、上側固定部分(上側スラストプレート装置)10と、
図1には図示されない下側固定部分(下側スラストプレート装置)11と、中央接続部分/部12とを含む。上側固定部分10は、接続部分12の上側接続部分12a(
図1には特に図示せず)において、好ましくは2つの平行に距離を空けた接続アームによって、中央接続部分12と固定的に、特に一体的に接続される。下側固定部分10は、接続部分12の下側接続部分12b(
図1には特に図示せず)において、中央接続部分12と固定的に、特に一体的に接続される。上側接続部分12aおよび下側接続部分12bは、接続部分12の長さ軸線に沿って摺動可能な、好ましくは入れ子状の態様で、互いに対して移動可能である。このように、PPS1を膝蓋骨2に位置決めしたとき、上側固定部分10を下側固定部分11に対して移動させて/距離を空けて、それらの間で膝蓋骨2を固定する/締め付けることができる。ここで、上側接続部分12aは、下側接続部分12bに挿入可能であるように構成される。
【0066】
上側固定部分10は、PPS1を膝蓋骨2に位置決めしたとき、膝蓋骨2の上側表面の上方に配置され、下側固定部分11は、PPS1を膝蓋骨2に位置決めしたとき、膝蓋骨2の下側表面の下方に配置される。PPS1を膝蓋骨2に固定位置で位置決めした場合、上側固定部分10の下側表面は膝蓋骨2の上側表面に接触/それを固定し、下側固定部分11の上側表面は膝蓋骨2の下側表面に接触/それを固定する。
【0067】
さらに、
図1に示される実施形態では、PPS1は、詳細に後述する締付けデバイス13を含む。さらに、PPS1は、詳細に後述する切断角度調節デバイス17と、以下で詳細に説明する、回転構成要素/要素(ノブ)15、スピンドル16、および切断高さ調節軸7を備える切断高さ調節デバイス14とを有する、動作デバイスを含む。
【0068】
したがって、動作デバイスは、ここでは、膝蓋骨2に対する案内デバイス3の高さを別個に独立して調節する、切断高さ調節デバイス14を含み、また、膝蓋骨2に対する案内デバイス3の傾斜/傾きを別個に独立して調節する、切断角度調節デバイス17を含む。ここで、案内デバイス3は、切断高さ調節デバイス14によって、PPS1(の接続部分12)の直動方向に移動可能であり、またそれとは別個に、PPS1(の接続部分12)の上下方向で、つまり下側固定部分11と上側固定部分10との間の方向で、切断角度調節デバイス17によって傾斜可能/傾動可能である。
【0069】
PPS1はさらに、鉗子のハンドルのように形成されたハンドル18を備える。ハンドル18は、可動のハンドルアームまたは分岐18aと、固定のハンドルアームまたは分岐18bとを有する。可動のハンドルアーム18aは、固定のハンドルアーム18bに枢動可能に接続され、後者は接続部分12の下側接続部分12bに固定される。したがって、固定のハンドルアーム18bに対して枢動可能に配置された可動のハンドルアーム18aは、中央接続部分12の上側接続部分12bと相互接続される。したがって、ハンドル18を手動で作動させた場合、中央接続部分12の上側および下側接続部分12a、12bが互いに対して移動して、上側および下側スラストプレート10、11の距離が離れ、および/または近付く。
【0070】
最後に、固定デバイスは、下側接続部分12bによって枢動可能に支持され、係止状態では上側接続部分12aと係止接触しているレストレバー19を有する、手動で作動可能な係止機構を備える。したがって、固定デバイス9は、レストレバーをその係止状態から解放状態へと移動させた場合、レストレバー19を介して、固定位置から、下側固定部分11が膝蓋骨2の下側表面と接触しなくなる開位置へと移行させることができる。この場合、上側固定部分10は上側接続部分12aと固定的に接続され、下側固定部分11は下側接続部分12bと固定的に接続されているので、直動する形で上側固定部分10を下側固定部分に対して移動させることができる。上側接続部分12aは、下側接続部分12bに対して直動する形で移動可能なので、上側固定部分10は、固定された下側固定部分11に対して上側接続部分12aとともに移動する。
【0071】
したがって、上側接続部分12aは、接続部分12bが上側接続部分12aを受け入れる領域において、下側接続部分12bの波形の内表面(穴)に対して補完的である、波形の外側シェル表面(ボルト)を備えてもよい。詳細は
図3を参照のこと。
【0072】
図2は、締付けデバイス13および上側接続部分12aの斜視図である。
【0073】
締付けデバイス13は、固定デバイス9に対する(したがって、膝蓋骨2に対する)案内デバイス3の、またしたがって切断デバイス6の位置決めを簡単にするため、上側接続部分12aを介してPPS1と取外し可能に接続されてもよい。締付けデバイス13は、締付けデバイス13が四頭筋腱2aおよび膝蓋腱2bを包囲する締付け位置と、締付けデバイス13が固定されておらず、四頭筋腱2aおよび膝蓋腱2bと接触していない解放位置との間で移行させることができる。
【0074】
締付けデバイス13は円弧状に形成される。締付けデバイス13は、ここでは、次の3つの部分から成る。第1の円弧状の締付けアーム13a、第1の締付けアーム13aとともにU字形のフォークを形成する、第2の円弧状の締付けアーム13b、および、接続部または中央連結個片13c。
【0075】
接続締付け部13cは、第1の締付けアーム13aと第2の締付けアーム13bとの間に配置され、両方のアームを互いに接続する。たとえば、各アーム13a、13bは、プラグ状の接続を介して接続部13cと接続される。
【0076】
各締付けアーム13a、13bは、互いに対して移動させることができ、締付けデバイスが締付け位置にあるとき、締め付ける態様でともに働く、上側アーム要素20および下側アーム要素21を有する。締付け位置では、第1の締付けアーム13aは四頭筋腱2aを包囲しており、第2の締付けアーム13bは膝蓋腱2bを包囲している。あるいは、上側および下側アーム要素は、板ばねの形で互いに固定的に相互接続される。
【0077】
接続締付け部13cは、L字状の形で形成されてもよいプラグ22を備える。上側接続部分12aは、少なくとも部分的に、閉じた/連続する上面を有する(中空)スリーブ状に形成される。スリーブの内部には、スリーブの長手方向に延在する溝23が設けられる。この溝23の内部には、締付け部分/部24および押圧部分/部25が互いに隣り合って配置される。押圧部分/部25は締付け部分/部24の上方に配置される(押圧部分は、上側接続部分12aの内側上面と締付け部分24との間に配置される)。押圧部分25および締付け部分24はともに働いて、凹部(
図2には特に図示せず)を形成する。この凹部は少なくとも、プラグ22の少なくとも接続締付け部13cから突出している部分(突出部分)を収容することができるような大きさである。この突出部分は、凹部に互換可能に挿入可能またはスナップ嵌め可能である。
【0078】
プラグ22の突出部分が凹部の内部に配置されると、締付けデバイス13はPPS1に装着される。PPS1のユーザは、締付けデバイス13を取り外したい場合、押圧部分25を締付け部分24まで押し下げることができる。それにより、凹部が大きくなって、締付けデバイス13の突出部分が解放される。かかる構成により、非常に簡単かつ迅速に、締付けデバイスをPPS1に装着し、またはそこから取り外すことができる。
【0079】
締付け部分24および押圧部分25は、上側接続部分12aの長手方向に摺動可能であるように、上側接続部分12aの内部空間内に配置される。
【0080】
図3は、PPS1の縦断面図である。理解を簡単にするため、この
図3では、案内デバイス/ディスク/リング3は図示されない。ここで、締付けデバイス13はPPS1に固定される。上側接続部分12aが2つのばね26、27をその内部空間(キャノン)に受け入れているのが見えている。第1のばね26は、上側接続部分12aの上端と押圧部分25の頂部との間に配置され固定される。第2のばね27は、可動アーム18aと締付け部分24の下側表面との間に配置され固定される。
【0081】
可動のハンドル部18aが(ユーザによって)固定のハンドル部18bに向かって押されると、ばね26が伸展され、したがって締付けデバイス13を、接続部分12の長さ方向で下向きに(接続部分12の底部に向かう方向に)引っ張る。したがって、締付けデバイス13の位置を、ばね26、27を利用して簡単かつ自動的に変更することができ、したがって膝蓋骨がPPS1とともに動作するように適切に配置することができる。
【0082】
さらに、
図3では、上側固定部分(上側スラストプレート装置)10の下側表面、および下側固定部分(下側スラストプレート装置)11の上側表面がそれぞれ、複数のプロングを備えていることが分かる。これらのプロングは、PPS1が膝蓋骨2に固定されたとき、膝蓋骨2を上側固定部分10と下側固定部分11との間で固定する助けとなる。
【0083】
図4は、締付けデバイス13がPPS1に固定された、PPS1全体の側面図である。ここで、上側固定部分12aが、膝蓋骨の高さをmm単位で示す目盛りを備えていることが分かる。この高さ目盛りは、どの高さでPPS1が膝蓋骨2に固定されるかを示す。
【0084】
図5は、案内軸7に接続されたPPS1の切断高さ調節デバイス14の斜視断面図を示している。既に上述したように、切断高さ調節デバイス14は、回転要素15と(U字形の)切断高さ調節軸7とを備える。ここで、回転要素15は、ディスク状の上側(手動で操作可能な)プレート28と、接続スロート29と、ディスク状の下側プレート30とを有するノブとして構成される。接続スロート29および下側プレート30は、回転要素15を切断高さ調節軸7の内部空間とその上側部分で接続するのに用いられる、フランジを構成する。したがって、回転要素15は、切断高さ調節軸7に対して自由に回転可能であるが、切断高さ調節軸7に対して軸線方向にシフトさせることはできないような態様で、切断高さ調節軸7と接続される。したがって、切断高さ調節軸7は、回転要素15のフランジを受け入れることができる、凹部を備える。
【0085】
案内軸16は、部分的にねじ付きのロッドまたはスピンドルのように形成され、その外表面上に、PPS1のユーザに対して実際の切断高さをmm単位で示す、目盛りを備える。少なくとも部分的に中空の切断高さ調節軸7の内表面は、第1の案内部分31を備える。この第1の案内部分31は、案内軸16の下側部分において案内軸/スピンドル16上で外部に設けられる、第2の案内部分32に対して補完的であるように構成される。案内部分は両方とも、案内軸16に対する切断高さ調節軸7の回転移動を防ぐようにして具体化される。切断高さ調節軸7は、切断高さ調節軸7を(鉛直に固定された)案内軸16に対してその長手方向に沿って移動させることができるようにして、案内軸16に接続/連結/結合される。
【0086】
ここで、第1の案内部分31は、回転要素15を回転させたとき、ボックス状の形で形成された第1の案内部分32の平坦な摺動表面をその上で摺動させることができる、レールとして構成される。
【0087】
さらに、回転要素15は、第1のねじ山を備えた、その長手方向に延在する同心で配置された貫通穴を備える。案内軸/スピンドル16は、その外表面上に第2のねじ山を備える。第1のねじ山および第2のねじ山は互いに噛合っている。
【0088】
したがって、案内軸/スピンドル16の長さ軸線周りに回転要素15を回転させると、第1のねじ山が第2のねじ山と噛合い、それによって回転要素15が、またそれとともに切断高さ調節軸/ソケット7が、案内軸/スピンドル16の長手方向に沿って下方または上方に移動する。回転要素15は切断高さ調節軸7に対して自由に回転可能であり、切断高さ調節軸7は摺動可能な形で案内軸16に接続/連結されるので、切断高さ調節軸7は、回転することなく回転要素15とともに上方または下方に移動する。切断高さ調節軸7は案内デバイス3のディスク/リング3に固定的に接続されるので、ディスク/リング3は切断高さ調節軸7とともに移動する。このように、膝蓋骨2に対するPPS1のディスク/案内デバイス3の高さ、したがってPPS1の切断高さを、このように構成された切断高さ調節デバイス14によって調節することができる。
【0089】
図6は、PPS1のユーザの視点から見たPPS1の斜視図を示している。案内軸16の目盛りがユーザの方に向けられているのが見えている。
【0090】
図7は、PPS1のいくつかの要素の側面図を示し、特に、切断角度調節デバイス17を形成するPPSの区画を示している。この図では、理解を簡単にするため、上側固定部分10、下側固定部分11、接続部分12、案内軸16、および切断角度調節デバイス17のみが示されている。
【0091】
図7では、ここでは垂直な形で、(その中間部分で)案内軸16と固定的に接続された、作業/レバーアーム33が示されている。作業/レバーアーム33は、それぞれの自由(遠位)端部分で上側固定部分10と枢動可能に連結され、作業/レバーアーム33は、上側固定部分の2つの平行に距離を空けた接続アームの間で、中央接続部分12に向かって延在する。したがって、作業/レバーアーム33、およびしたがって案内軸/スピンドル16(作業/レバーアーム33と固定的に接続されている)は、上側固定部分10の自由/遠位端部分で、連結部を中心にして上方および下方に枢動することができる。
【0092】
切断角度調節デバイス17は、中央接続部分12の上側固定部分12a内の開口部に挿入可能である/挿入される、回転シャフト35と一体的に設けられた回転構成要素(ノブ)34を備え、開口部は、上側固定部分12aを通ってその横断方向に沿って延在する。シャフト35の遠位/自由端は、ギヤホイール(スパーギヤ)36に固定的に接続される。ギヤホイール36は、好ましくは接続ピン38を介して作業/レバーアーム33に固定的に接続された、分割された円形の歯付き部37と噛合うように構成される。既に上述したように、作業/レバーアーム33は、軸受/枢動軸39によって上側固定部分10において枢動可能に支持される。この場合、作業/レバーアーム33の長さ軸線および上側固定部分10の長さ軸線は、互いに対して平行、特に同一である。
【0093】
図7では、ユーザUの指が示されている。矢印Aは、ユーザUが回転構成要素/要素34を回すことができる方向を示す。矢印Bは、係止要素40が、係止要素40が回転構成要素/要素34のシャフト35と接触していない、「上昇位置」にあることを示す。矢印Cは、回転構成要素/要素34を矢印Aの方向に回転させたとき、歯付き部37が移動していく方向を示す。これは、回転要素/ノブ34を手動で回した/回転させた場合に、作業/レバーアーム33が枢動軸39を中心にして枢動し、それによって、案内軸/スピンドル16、および案内ディスク/リング3がそこに固定されている切断高さ調節軸7が、傾動することを意味する。
【0094】
図8は、回転構成要素/要素34を、
図7に示される位置から延びるシャフト35の長さ軸線周りに、
図7の矢印Aの方向に回転させたときの、
図7のアセンブリを示している。この場合、ギヤホイール36は、係止要素40がシャフト35とまだ接触していない状態(解放位置)で、回転構成要素34のシャフト35とともに回転する。ギヤホイール36は歯付き部37と噛合うので、歯付き部37は
図7の矢印Cによって示される方向に入る。歯付き部37は作業/レバーアーム33に固定的に接続されるので、作業/レバーアーム33は、歯付き部37とともに回転軸38周りに回転する。作業/レバーアーム33は、軸受軸39によって、上側固定部分10に対して回転可能に支持される。作業/レバーアーム33は垂直であり、案内軸16と固定的に接続される。回転軸38周りの作業/レバーアーム33の回転により、案内軸/スピンドル16が上側固定部分10に対して傾斜する。
【0095】
切断高さ調節軸7(斜線として
図8に図示)は案内軸16と固定的に接続され、案内デバイス3(斜線として
図8に図示)は切断高さ調節軸7と固定的に、特に垂直に接続されるので、案内デバイス3も上側固定部分10に対して傾斜する。
【0096】
したがって、回転構成要素/要素34をそのシャフト35の長さ軸線周りに回転させると、作業アーム33の長さ軸線Dが上側固定部分10の長さ軸線Eに対して傾斜する。それにより、案内デバイス3の長さ軸線Fも、上側固定部分10の長さ軸線Eに対して傾斜する。結果として、回転構成要素34をそのシャフト35の長さ軸線周りに回転させていると、PPS1を膝蓋骨2に対して位置決めおよび/または固定したとき、上側固定部分11に対する案内デバイス3の角度が変更されており、したがって膝蓋骨2に対する案内デバイス3の角度が変更されている。このように構成された切断角度調節デバイス17を有するPPS1によって、PPS1を膝蓋骨2から取り外すことなく、切断角度/切断勾配の修正が可能になる。
【0097】
切断角度調節デバイス17を用いて好ましい切断角度が調節された後(したがって、回転構成要素34が回転された後)、係止要素40をシャフト35と接触させて、回転構成要素34がそれ以上(意図せずに)回転しないように停止することができる。
【0098】
図9は、切断角度調節デバイスの詳細な断面側面図を示している。ここで、歯付き部37が、現在の切断角度/勾配/傾斜が°単位で示される目盛りを備えていることが分かる。
【0099】
図10は、PPSの、特に切断角度調節デバイス17の主要構成要素の分解組立図である。この図では、係止要素40が、シャフト35の溝41に挿入可能であるように構成された、ピンとして構成されているのが見えている。溝41はシャフト35を中心にして周方向に配置される。上側固定部分12aの上面は、ピン状の係止要素40を受け入れることができる穴を備える。穴は、係止要素40を回転構成要素34の溝41に挿入することができるように構成されなければならない。
【0100】
さらに、回転軸38もピンとして構成されていることが分かる。作業アーム33はその遠位端に作業端42を備える。この作業端42はドリル(図示せず)の案内として使用することができる。この場合、作業端42は、ドリルを膝蓋骨2に向かって案内することができる貫通穴を備える。作業端42の安定した保持を確保するため、上側固定部分10はその遠位端に、作業端42を受け入れるように構成された受入れ部分43を備える。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膝蓋
骨を保持するように適合された、固定デバイ
スと、
直動および傾動移動/運動によって、前記固定デバイスに対して移動可能であるように前記固定デバイスに連結された、案内デバイ
スと、
直動および傾動する態様で独立して別個に前記案内デバイ
スを前記固定デバイ
スに対して手動で移動させる、動作デバイ
スと、
四頭筋腱を介して四頭筋に接続されるとともに膝蓋腱を介して脛骨と接続された前記膝蓋骨において、前記案内デバイスの位置決めおよび/または固定を容易にするために使用される締付けデバイスと、
を備え
、
前記締付けデバイスは、前記締付けデバイスが前記四頭筋腱および前記膝蓋腱をそれぞれ包囲する締付け位置と、前記締付けデバイスが前記四頭筋腱にも前記膝蓋腱にも固定されない解放位置と、の間で移行されるように構成されていることを特徴とする、膝蓋骨準備システム/デバイ
ス。
【請求項2】
前記締付けデバイ
スは、互いに対して移動させることができるとともに、前記締付けデバイ
スが前記締付け位置にあるときは締め付ける態様でともに働く、上側アーム要
素および下側アーム要
素をそれぞれ有する、第1の締付けアー
ムおよび第2の締付けアー
ムを含み、前記締付け位置では、前記第1の締付けアー
ムは前記四頭筋
腱を包囲しており、前記第2の締付けアー
ムは前記膝蓋
腱を包囲していることを特徴とする、請求項
1に記載の膝蓋骨準備システ
ム。
【請求項3】
前記締付けデバイ
スは、前記膝蓋骨準備システ
ムに取外し可能に装着することができ、
前記締付けデバイ
スは、接続部
分に設けられたば
ねを介して、前記固定デバイ
スに対して、したがって前記膝蓋
骨に対して自動的に位置決めされることを特徴とする、請求項
1に記載の膝蓋骨準備システ
ム。
【請求項4】
前記固定デバイスは、前記膝蓋骨を固定的に保持するように適合されている、請求項1に記載の膝蓋骨準備システム。
【請求項5】
前記締付けデバイスは、締付けまたは噛合い機構を介して、前記膝蓋骨準備システムに取外し可能に装着されている、請求項1に記載の膝蓋骨準備システム。
【請求項6】
前記締付けデバイスは、前記第1の締付けアームと、前記第2の締付けアームと、前記第1の締付けアーム及び前記第2の締付けアームの間に配置されるとともに、前記第1の締付けアーム及び前記第2の締付けアームを互いに接続する中央接続部分と、を備える、請求項2に記載の膝蓋骨準備システム。
【請求項7】
前記中央接続部分には、前記固定デバイスに前記締付けデバイスを装着するために、前記固定デバイスの一部内に形成された凹部内に挿入又はスナップ嵌めされるように適合されたプラグが設けられている、請求項6に記載の膝蓋骨準備システム。
【請求項8】
前記凹部は、前記固定デバイスの上側接続部分内に設けられるとともに前記上側接続部分の長手方向に延在する溝内であって、前記溝内に配置された締付け部分と押圧部分の間に形成されている、請求項7に記載の膝蓋骨準備システム。
【請求項9】
前記押圧部分は、前記締付け部分と前記押圧部分が前記締付けデバイスの前記プラグを固定的に保持するような前記凹部を形成する挿入位置と、前記締付け部分と前記押圧部分が前記締付けデバイスの前記プラグが解放されるような前記凹部を形成する解放位置と、の間で移行するために、前記締付け部分に対して移動可能である、請求項8に記載の膝蓋骨準備システム。
【請求項10】
前記締付けデバイスは、円弧状に形成される、請求項1に記載の膝蓋骨準備システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本開示は、関節形成術、特に膝関節形成術および膝関節全置換術に関する。より具体的には、本開示は、膝蓋骨表面再建または膝蓋骨移植/膝蓋骨置換を背景にして、外科医が膝蓋骨を効率的かつ正確に切断/切除できるようにする、医療用デバイスに関する。特に、本開示は、膝蓋骨準備システム/デバイスに関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
この目的のため、通常の膝蓋骨準備器具/システムは、膝蓋骨をその外周面上で締め付けるように構成された複数のプロングを有する、少なくとも2つの締付け部分を備えたクランプとして/クランプを有して具体化される。切断高さは、高さゲージまたは等価の調節デバイスを介して調節することができる。上述したように、膝蓋骨に対する切断デバイスの角度は、膝蓋骨準備器具/デバイス全体を膝蓋骨において新たに位置決めするときにしか変更することができず、これは複雑かつ不正確である。
例えば、米国特許第5,021,055A号は、膝蓋骨を保持するように適合された固定デバイスと、直動および傾斜移動/運動によって、固定デバイスに対して移動可能であるように固定デバイスに連結された案内デバイスと、直動および傾動する態様で独立して別個に案内デバイスを固定デバイスに対して手動で移動させる動作デバイスと、を備える膝蓋骨準備システムを開示している。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
このような背景に対して、膝蓋骨準備システム自体が外科手術中に不用意に滑ったりずれたりすることがないように、膝蓋骨における膝蓋骨準備システムの固定は改善されるべきである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上述の目的は、請求項1に記載の膝蓋骨準備システム/器具によって解決される。本開示のさらなる有利な発展は、それぞれの従属請求項の主題となる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
膝蓋骨準備システム/器具は、膝蓋骨に対する案内デバイス/ユニットの位置決めおよび/または固定を容易にするために使用することができる、(フォーク状の)締付けデバイス/ユニットを有する。締付けデバイス/ユニットは、締付け位置と解放位置との間で移行させることができる。膝蓋骨は、四頭筋腱を介して四頭筋に接続されるとともに膝蓋腱を介して脛骨と接続されているので、締付け位置では、締付けデバイスは四頭筋および膝蓋腱を包囲する。解放位置では、締付けデバイスは四頭筋腱にも膝蓋腱にも固定されない。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
換言すれば、本開示による膝蓋骨準備システム/器具は、周方向に配置されたスロットを備えてもよい(リング形の)案内ディスクを有し、スロットは、作業端を膝蓋骨に対して案内するため、切断デバイスの少なくとも作業端/エフェクタをこのスロット内に摺動可能に収容することができるような高さのものである。膝蓋骨準備システム/器具はさらに、それぞれ中央接続部分に接続された上側および下側固定部分/アーム/スラストプレートを好ましくは有する固定ユニット/デバイス(機構)を有し、好ましくは、固定部分/アーム/スラストプレートはそれぞれ垂直な形で接続部分と接続され、上側固定部分/アーム/スラストプレートを、中央接続部分の摺動可能な二部分構成を介して、下側固定部分/アーム/スラストプレートに対して移動させることができ、それにより、上側および下側固定部分/アーム/スラストプレートが、固定する/締め付ける態様で膝蓋骨を包囲することができる。さらに、膝蓋骨準備システム/器具は、回転要素(ノブ)と、案内ディスクが固定的に接続される切断高さ調節軸(U字形のソケット/ドーム)とを備える、軸案内式の回転機構を含んでもよい動作デバイスをさらに有し、回転要素は、切断高さ調節軸の長さ軸線周りに回転可能であり、したがって、自由に回転可能な態様で案内ディスクと接続される(回転要素は、上側固定部分に固定的に接続された案内軸/スピンドルと回転可能に相互接続され、高さ調節軸は、回転要素を介して案内軸/スピンドルによって軸線方向で支持される)。したがって、回転要素を切断高さ調節軸(ソケット)周りに回転させると、切断高さ調節軸(ソケット)が回転していないスピンドルに沿って上方および/または下方に移動し、上側固定部分およびしたがって膝蓋骨に対する案内ディスクの高さが調節/変更される。さらに、膝蓋骨準備システム/器具は、少なくともギヤホイールおよびギヤホイールと噛合うように構成された歯付き部を備える、ギヤホイール機構(トランスミッション)を含んでもよく、案内ディスクは、中央接続部分内に/中央接続部分に配置された傾動軸線周りに歯付き部とともに回転可能/傾動可能であるように歯付き部に固定(均一に接続)され、それにより、ギヤホイールを好ましくは別の回転要素(ノブ)によって回転させたとき、中央接続部分に対する、したがって膝蓋骨に対する案内ディスクの角度を変更することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
膝蓋骨準備システムが膝蓋骨上に配置され(それに固定され)ると、ユーザは、切断高さ調節デバイスの回転要素を用いて切断高さを調節することができる。次に、案内デバイスは鉛直に固定されたねじ付き軸上を案内され、回転要素が回転/タップする。
【国際調査報告】