(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】縮合環ジイミド誘導体、その製造方法と使用
(51)【国際特許分類】
C07D 221/14 20060101AFI20231018BHJP
C07D 209/48 20060101ALI20231018BHJP
C07D 491/048 20060101ALI20231018BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231018BHJP
A61K 31/473 20060101ALI20231018BHJP
A61K 31/403 20060101ALI20231018BHJP
A61K 31/4355 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
C07D221/14 CSP
C07D209/48
C07D491/048
A61P35/00
A61K31/473
A61K31/403
A61K31/4355
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521175
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 CN2021121330
(87)【国際公開番号】W WO2022073445
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】202011076343.8
(32)【優先日】2020-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520253328
【氏名又は名称】湘北威爾曼制薬股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】521387844
【氏名又は名称】広州新創意生物医薬有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】521387833
【氏名又は名称】広州新創憶薬物臨床研究有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522166286
【氏名又は名称】広州新創翼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】519144509
【氏名又は名称】南京康福順薬業有限公司
【氏名又は名称原語表記】NANJING KANGFUSHUN PHARMACEUTICAL CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】E3 Building,No.9,Weidi Road,Xianlin Street,Qixia District Nanjing,Jiangsu 210046,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】孫天宇
(72)【発明者】
【氏名】儲結根
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA02
4C050AA08
4C050BB07
4C050CC16
4C050EE01
4C050FF01
4C050GG03
4C050HH01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC27
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、式Iで示される化学構造を有する縮合環ジイミド誘導体を提供する。本発明は、その製造方法をさらに提供する。本発明の縮合環ジイミド誘導体は、優れた抗腫瘍活性を有し、様々ながん細胞に対する抗増殖活性が類似化合物より著しく優れている。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで示される縮合環ジイミド誘導体。
【化1】
(式Iにおいて、
Aは、2-3個の原子を介してジイミドと縮合する縮合環であり、Aは、任意に置換されていてもよく、
m又はnは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10であり、
R
1、R
2又はR
3は、窒素、酸素又は硫黄からなる群から選ばれるものであり、R
1、R
2又はR
3が窒素又は硫黄である場合、R
1、R
2又はR
3は、任意に置換されていてもよく、R
1とR
2とが任意に一緒になって環を形成してもよい。)
【請求項2】
式Iにおいて、R
1、R
2又はR
3が窒素である場合、R
1、R
2又はR
3は、任意に置換されていてもよい、請求項1に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項3】
式Iにおいて、Aは、共役不飽和構造を有する縮合環である、請求項1に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項4】
式Iにおいて、Aは、二環縮合環、三環縮合環、四環縮合環又は五環縮合環である、請求項1に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項5】
式Iにおいて、Aは、炭素環と炭素環とが形成した縮合環、又は炭素環とヘテロ環とが形成した縮合環である、請求項1に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項6】
式Iにおいて、Aは、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、クリセン、ピレン、ペリレン、キノリル、アクリジン、ピロロピリジン、ピリドカルバゾール、ナフト[1,2-b]フリル、ベンゾイミダゾール又はベンゾイミダゾール[1,2-C]キノリルからなる群から選ばれるものである、請求項1に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項7】
式Iにおいて、Aは、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ペリレン又はナフト[1,2-b]フリルからなる群から選ばれるものである、請求項6に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項8】
式Iにおいて、Aは、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、イミノ基、3級アミノ基又はハロゲンで置換される、請求項1に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項9】
式Iにおいて、Aは、C1-C5アルキル基、C1-C5アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、イミノ基、3級アミノ基又はハロゲンで置換される、請求項8に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項10】
式Iにおいて、m又はnは、1、2、3、4、5又は6である、請求項1に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項11】
式Iにおいて、R
1又は/及びR
2は、酸素又は硫黄である、請求項1に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項12】
式Iにおいて、R
1又は/及びR
2は、窒素である、請求項1に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項13】
式Iにおいて、R
1又は/及びR
2は、アルキル基、アルコキシ基、イミノ基、3級アミノ基、ニトロ基又はニトロソ基で置換される、請求項12に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項14】
式Iにおいて、R
1又は/及びR
2は、C1-C5アルキル基、C1-C5アルコキシ基、イミノ基、3級アミノ基、ニトロ基又はニトロソ基で置換される、請求項12に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項15】
式Iにおいて、R
1は、アルキル基、アルコキシ基、3級アミノ基又はニトロ基で置換される、請求項12に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項16】
式Iにおいて、R
2は、アルキル基又はアルコキシ基で置換される、請求項12に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項17】
式Iにおいて、R
1とR
2は、窒素であり、且つR
1とR
2とが一緒になって環を形成する、請求項1に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項18】
式Iにおいて、R
1とR
2とが一緒になって六員環を形成する、請求項17に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項19】
式Iにおいて、R
3は、酸素又は硫黄である、請求項1に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項20】
式Iにおいて、R
3は、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、ニトロ基又はニトロソ基で置換される、請求項19に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項21】
式Iにおいて、R
3は、C1-C5アルキル基、ハロC1-C5アルキル基、C1-C5アルコキシ基、C1-C5アルコキシ基C1-C5アルキル基、ニトロ基又はニトロソ基で置換される、請求項19に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項22】
式Iにおいて、R
3は、窒素である、請求項1に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項23】
式Iにおいて、R
3は、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、ニトロ基、又はニトロソ基からなる群から選ばれる基で一置換又は二置換される、請求項22に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項24】
式Iにおいて、R
3は、C1-C5アルキル基、ハロC1-C5アルキル基、C1-C5アルコキシ基、C1-C5アルコキシ基C1-C5アルキル基、ニトロ基、又はニトロソ基からなる群から選ばれる二つの同一又は異なる基で二置換される、請求項22に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項25】
【化2】
上記反応式に従って、式I-M7化合物と式I-M8化合物とを反応させて式I化合物を生成することを含み、ここで、反応式におけるA、m、n、R
1、R
2とR
3は、請求項1-24のいずれか1項に記載の通りである、式Iで示される縮合環ジイミド誘導体の製造方法。
【請求項26】
式I-M7化合物と式I-M8化合物とが、塩基の存在下で反応を行う、請求項25に記載の製造方法。
【請求項27】
式I-M7化合物は、次の方法により製造し、即ち、
【化3】
上記反応式に従って、まず、式I-M4化合物と式I-M5化合物とを反応させて式I-M6化合物を生成し、更に酸の存在下でI-M6を処理してI-M7を得ることであり、反応式におけるA、m、n、R
1とR
2は、請求項1-24のいずれか1項に記載の通りである、請求項25に記載の製造方法。
【請求項28】
式I-M4化合物は、次の方法により製造し、即ち、
【化4】
上記反応式に従って、まず、式I-M1化合物と式I-M2化合物とを反応させて式I-M3化合物を生成し、次に式I-M3化合物を水素化して式I-M4化合物を得ることであり、反応式におけるXは、ハロゲンであり、m、n、R
1とR
2は、請求項1-24のいずれか1項に記載の通りである、請求項27に記載の製造方法。
【請求項29】
細胞増殖性疾患を治療するための薬物の製造における、請求項1-24のいずれか1項に記載の縮合環ジイミド誘導体の使用。
【請求項30】
前記細胞増殖性疾患は、がんである、請求項29に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縮合環ジイミド誘導体、その製造方法と使用に関し、薬物化学分野に属する。
【背景技術】
【0002】
ジイミド系化合物は、薬物化学分野における重要な物質の一つであり、多くの注目の薬理活性を有する。
【0003】
ジイミドと幾つかの縮合環がさらに縮合した後、独自の平面構造を形成し、分子体積を格段に小さくし、そしてDNA二本鎖の塩基対の間に埋め込み、DNA二重らせん融解を引き起こすことができるため、細胞増殖性疾患、例えばがんなどに対して特別な応用価値がある。ジイミドと縮合する縮合環は、共役不飽和構造を有する様々な縮合環であってもよく、炭素環又はヘテロ環、例えばナフタレン、アントラセン、ピリドカルバゾールなどであってもよく、これらの構造を有する化合物の多くについて、抗腫瘍活性が報告されているが、臨床段階に入る化合物は少ない。
【0004】
アモナフィドは、その代表的な化合物の一つであり、その分子構造において、ナフタレン環とジイミド環とが縮合して平面構造を形成し、結腸がん、肺がん、胃がん、食道がん、白血病などの様々ながん細胞に対して細胞毒活性を有することが報告されている。Antisoma社は、アモナフィドを第III相臨床に進めて急性骨髄性白血病の治療に用いているが、結果的には奏効率が不良であったため開発を中止した。
【化1】
【0005】
現在、業界では、より優れた潜在活性薬が得られるように、他の縮合環ジイミド系化合物が研究されているが、アモナフィドよりも強い活性を有する化合物を探すことは依然として難しい。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、より優れた特性を有する縮合環ジイミド系化合物を提供することを目的とする。
【0007】
第一の態様によれば、本発明は、式Iで示される縮合環ジイミド構造を有する化合物を提供し、
【化2】
式Iにおいて、
【0008】
Aは、2-3個の原子を介してジイミドと縮合する縮合環であり、Aは、任意に置換されていてもよく;
【0009】
m又はnは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10であり;
【0010】
R1、R2又はR3は、窒素、酸素又は硫黄からなる群から選ばれるものであり、R1、R2又はR3が窒素又は硫黄である場合、R1、R2又はR3は、任意に置換されていてもよく、R1とR2とが任意に一緒になって環を形成してもよい。
【0011】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、R1、R2又はR3が窒素である場合、R1、R2又はR3は、任意にさらに置換されていてもよい。
【0012】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、R1、R2又はR3が硫黄である場合、R1、R2又はR3は、任意にオキソによってスルフォン又はスルホキシドを形成してもよい。
【0013】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、Aは、共役不飽和構造を有する縮合環である。
【0014】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、Aは、炭素環と炭素環とが形成した縮合環、又は炭素環とヘテロ環とが形成した縮合環である。
【0015】
幾つかの例では、Aは、2-3個の原子を介してジイミドと縮合して平面構造を形成する。好ましくは、Aは、2-3個の炭素原子を介してジイミドと縮合して平面構造を形成する。
【0016】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、Aは、二環縮合環、三環縮合環、四環縮合環又は五環縮合環である。
【0017】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、Aは、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、クリセン、ピレン、ペリレン、キノリル、アクリジン、ピロロピリジン、ピリドカルバゾール、ナフト[1,2-b]フリル、ベンゾイミダゾール、又はベンゾイミダゾール[1,2-C]キノリルからなる群から選ばれるものである。好ましくは、Aは、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ペリレン、又はナフト[1,2-b]フリルからなる群から選ばれるものである。
【0018】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、Aは、任意にアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アミノ基、イミノ基、3級アミノ基、又はハロゲンからなる群から選ばれる基で置換されていてもよく、ここで、置換基のうちのアルキル基とアルコキシ基は、任意に水酸基又はハロゲンで更に置換されていてもよい。好ましくは、Aは、C1-C5アルキル基、C1-C5アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、イミノ基、3級アミノ基、又はハロゲンからなる群から選ばれる基で置換される。
【0019】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、m又はnは、1、2、3、4、5又は6である。
【0020】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、R1及びR2は、酸素又は硫黄である。
【0021】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、R1及び/又はR2は、窒素である。
【0022】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、R1及びR2は、窒素である。
【0023】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、R1及び/又はR2は、窒素であり、且つR1及び/又はR2は、アルキル基、アルコキシ基、イミノ基、3級アミノ基、ニトロ基、又はニトロソ基からなる群から選ばれる基で置換されており、ここで、置換基のうちのアルキル基とアルコキシ基は、任意に水酸基又はハロゲンで更に置換されていてもよい。好ましくは、R1及び/又はR2は、C1-C5アルキル基、C1-C5アルコキシ基、イミノ基、3級アミノ基、ニトロ基、又はニトロソ基からなる群から選ばれる基で置換される。
【0024】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、R1は、窒素であり、且つ、アルキル基、アルコキシ基、3級アミノ基、ニトロ基からなる群から選ばれる基で置換される。好ましくは、R1は、C1-C5アルキル基、C1-C5アルコキシ基、3級アミノ基、ニトロ基からなる群から選ばれる基で置換される。
【0025】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、R2は、窒素であり、且つ、アルキル基、アルコキシ基からなる群から選ばれる基で置換される。好ましくは、R2は、C1-C5アルキル基、C1-C5アルコキシ基からなる群から選ばれる基で置換される。
【0026】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、R1とR2とが一緒になって環を形成する。好ましくは、R1とR2とが一緒になって六員環を形成する。
【0027】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、R3は、酸素又は硫黄であり、且つR3は、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、ニトロ基、又はニトロソ基からなる群から選ばれる基で置換されており、ここで、置換基のうちのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基は、任意に水酸基又はハロゲンで更に置換されていてもよい。好ましくは、R3は、C1-C5アルキル基、ハロC1-C5アルキル基、C1-C5アルコキシ基、C1-C5アルコキシ基C1-C5アルキル基、ニトロ基、又はニトロソ基からなる群から選ばれる基で置換される。
【0028】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、R3は、窒素であり、且つR3は、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、ニトロ基、ニトロソ基からなる群から選ばれる基で一置換又は二置換される。好ましくは、R3は、C1-C5アルキル基、ハロC1-C5アルキル基、C1-C5アルコキシ基、C1-C5アルコキシ基C1-C5アルキル基、ニトロ基、ニトロソ基からなる群から選ばれる基で一置換又は二置換される。
【0029】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、R3は、窒素であり、且つR3は、C1-C5アルキル基、ハロC1-C5アルキル基、C1-C5アルコキシ基、C1-C5アルコキシ基C1-C5アルキル基、ニトロ基、ニトロソ基からなる群から選ばれる二つの同一又は異なる基で二置換される。
【0030】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、R1、R2及びR3は、いずれも窒素である。好ましくは、R3は、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、ニトロ基、ニトロソ基からなる群から選ばれる基で一置換又は二置換される。好ましくは、R3は、C1-C5アルキル基、ハロC1-C5アルキル基、C1-C5アルコキシ基、C1-C5アルコキシ基C1-C5アルキル基、ニトロ基、ニトロソ基からなる群から選ばれる基で一置換又は二置換される。R1、R2及びR3がいずれも窒素であり、且つR3が一置換又は二置換される場合、幾つかの好ましい式I化合物は、より優れた特性、例えばより強い活性を有する。
【0031】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、R1、R2及びR3は、いずれも窒素である。好ましくは、R3は、C1-C5アルキル基、ハロC1-C5アルキル基、C1-C5アルコキシ基、C1-C5アルコキシ基C1-C5アルキル基、ニトロ基、ニトロソ基からなる群から選ばれる二つの同一又は異なる基で二置換される。R1、R2及びR3が窒素で、且つR3が二置換される場合、幾つかの好ましい式I化合物は、より優れた特性、例えばより強い活性を有する。
【0032】
幾つかの例では、前記式Iにおいて、上記のC1-C5アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基などが挙げられ、ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0033】
【0034】
I-M7とI-M8とを反応させてIを生成することを含む式I化合物の製造方法を提供し、A、m、n、R1、R2、R3は前述の通りである。
【0035】
幾つかの例では、I-M7とI-M8との反応は、塩基の存在下で行う。
【0036】
幾つかの例では、上記塩基は、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム又はリン酸ナトリウムからなる群から選ばれるものである。
【0037】
式I-M7化合物と式I-M8化合物は、市販品として入手してもよいし、化学合成により得てもよい。
【0038】
幾つかの例では、上記I-M7は、以下の方法により製造することができる:
【化4】
【0039】
まず、I-M4とI-M5とを反応させてI-M6を生成し、更に酸の存在下でI-M6を処理してI-M7を得て、ここで、A、m、n、R1、R2は、前述の通りである。
【0040】
式I-M4化合物は、市販品として入手してもよいし、化学合成により得てもよい。
【0041】
幾つかの例では、上記I-M4は、以下の方法により製造することができる:
【化5】
【0042】
まず、I-M1とI-M2とを反応させてI-M3を生成し、更にI-M3を水素化してI-M4を得て、ここで、Xは、ハロゲンであり、m、n、R1、R2は、前述の通りである。
【0043】
第三の態様によれば、本発明は、細胞増殖性疾患を治療するための薬物の製造における、前述した式I化合物の使用を提供する。
【0044】
幾つかの例では、上記細胞増殖性疾患は、がんである。
【0045】
第四の態様によれば、本発明は、前述した式I化合物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む細胞増殖性疾患を治療するための方法を提供する。
【0046】
幾つかの例では、上記細胞増殖性疾患は、がんである。
【発明の効果】
【0047】
本発明による縮合環ジイミド誘導体は、新規な化合物の一つであり、研究によれば、それは優れた抗腫瘍活性を有し、ヒト結腸がん細胞、肺がん細胞、白血病細胞に対していずれも顕著な阻害作用を有し、抗腫瘍活性は類似化合物より明らかに優れ、広い応用将来性を有することを発見した。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、実施例を用いて本発明をさらに説明し、幾つかの好ましい化合物を例示する。なお、実施例は、本発明の化合物及び技術的効果を限定するものではない。
【0049】
実施例1:化合物I-01
【0050】
【0051】
反応式に従って化合物I-01を製造し、具体的には、以下の通りである:
【0052】
1.1 中間体I-01-M3の製造:化合物I-01-M2(3.20g,20mmol)を30mL DMFに溶解させ、そして混合液にK2CO3(4.16g,30mmol)、NaI(3.00g,20mmol)と化合物I-01-M1(5.70g,20mmol)を順次添加し、30℃で一晩反応させた。反応終了後、反応液に純水(120ml)を加え、酢酸エチル(180ml)で3回抽出し、無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、母液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーを行って精製して中間体I-01-M3(4.46g,12.2mmol)を得た。収率は61%であった。
【0053】
1.2 中間体I-01-M4の製造:中間体I-01-M3(4.46g,12.2mmol)をメタノール(20mL)に溶解させ、10% Pd/C(0.3g)を加え、水素ガスで3回置換し、常圧で一晩反応させ、珪藻土で濾過し、母液を濃縮し、無色油状物中間体I-01-M4(2.80g,12.1mmol)を得た。収率は99.2%であった。
【0054】
1.3 中間体I-01-M6の製造:反応フラスコに中間体I-01-M4(2.80g,12.1mmol)、エタノール(55ml)、化合物I-01-M5(2.40g,12.1mmol)を順次添加し、80℃まで加熱して2時間反応させ、冷却し、反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーを行って精製して中間体I-01-M6(3.66g,8.9mmol)を得た。収率は73.6%であった。
【0055】
1.4 中間体I-01-M7の製造:中間体I-01-M6(3.66g,8.9mmol)を4%塩化水素酢酸エチル溶液(50ml)に溶解させ、室温で一晩反応させ、ろ過し、乾燥し、中間体I-01-M7(2.58g,8.3mmol)を得た。収率は93.3%であった。
【0056】
1.5 化合物I-01の合成:反応フラスコに化合物I-01-M8(2.50g,9mmol)、ジクロロメタン(27ml)、トリエチルアミン(2.02g,20mmol)を順次添加し、0℃まで冷却し、中間体I-01-M7(2.58g,8.3mmol)を数回に分けて添加し、0℃で一晩反応させ、水(15ml)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、母液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーを行って精製して化合物I-01(2.07g,4.6mmol)を得た。収率は55.4%であった。生成物の同定:1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)δ:1.38-1.52(4H,m),2.55(2H,t,J=6.8Hz),2.78(2H,t,J=6.8Hz),3.18(2H,t,J=6.5Hz),3.26(2H,t,J=6.5Hz),5.18(4H,s),6.11(1H,m),7.52(2H,m),7.87(2H,dd,J=2.3,8.1Hz),7.93(2H,dd,J=2.3,8.0Hz).
【0057】
【0058】
実施例1の方法を参照して化合物I-02を得た。生成物の同定:1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)δ:1.33-1.48(4H,m),3.20(2H,t,J=6.8Hz),3.28(2H,t,J=6.8Hz),3.58(2H,t,J=6.5Hz),4.32(2H,t,J=6.5Hz),5.12(4H,s),7.48(2H,m),7.89(2H,dd,J=2.3,8.1Hz),7.95(2H,dd,J=2.3,8.0Hz).
【0059】
【0060】
反応式に従って化合物I-03を製造し、具体的には、以下の通りである:
【0061】
3.1 中間体I-03-M3の合成:化合物I-03-M2(2.92g,20mmol)を30mL DMFに溶解させ、そして混合液にK2CO3(4.16g,30mmol)、NaI(3.00g,20mmol)、化合物I-03-M1(5.14g,20mmol)を順次添加し、30℃で一晩反応させた。反応終了後、反応液に純水(120ml)を加え、酢酸エチル(180ml)で3回抽出し、無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、母液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーを行って精製して中間体I-03-M3(3.75g,11.6mmol)を得た。収率は58%であった。
【0062】
3.2 中間体I-03-M4の合成:中間体I-03-M3(3.75g,11.6mmol)をメタノール(20mL)に溶解させ、10% Pd/C(0.3g)を加え、水素ガスで3回置換し、常圧で一晩反応させ、珪藻土で濾過し、母液を濃縮し、無色油状物中間体I-03-M4(2.19g,11.6mmol)を得た。収率は100%であった。
【0063】
3.3 中間体I-03-M6の合成:反応フラスコに中間体I-03-M4(2.19g,11.6mmol)、エタノール(50ml)、化合物I-03-M5(2.82g,11.6mmol)を順次添加し、80℃まで加熱して2時間反応させ、冷却し、反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーを行って精製して中間体I-03-M6(3.85g,9.3mmol)を得た。収率は80.2%であった。
【0064】
3.4 中間体I-03-M7の合成:中間体I-03-M6(3.85g,9.3mmol)を4%塩化水素酢酸エチル溶液(60ml)に溶解させ、室温で一晩反応させ、ろ過し、乾燥して中間体I-03-M7(2.80g,8.9mmol)を得た。収率は95.7%であった。
【0065】
3.5 化合物I-03の合成:反応フラスコに化合物I-03-M8(2.73g,10mmol)、ジクロロメタン(35ml)、トリエチルアミン(2.02g,20mmol)を順次添加し、0℃まで冷却し、中間体I-03-M7(2.80g,8.9mmol)を数回に分けて添加し、0℃で一晩反応させ、水(25ml)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、母液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーを行って精製して化合物I-03(2.60g,5.8mmol)を得た。収率は65.2%であった。生成物の同定:1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)δ:2.85(2H,t,J=6.8Hz),3.18(2H,t,J=6.8Hz),3.35(2H,t,J=6.5Hz),3.80(2H,t,J=6.5Hz),4.53(2H,s),6.31(1H,m),7.78(1H,m),8.22(1H,dd,J=2.3,8.1Hz),8.30(1H,dd,J=2.3,8.1Hz),8.78(1H,d,J=2.3Hz),8.95(1H,d,J=2.3Hz).
【0066】
【0067】
実施例3の方法を参照して化合物I-04を得た。生成物の同定:1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)δ:1.37-1.53(4H,m),2.53(2H,t,J=6.8Hz),2.79(2H,t,J=6.8Hz),3.20(2H,t,J=6.5Hz),3.29(2H,t,J=6.5Hz),3.38(2H,t,J=6.5Hz),3.62(2H,t,J=6.5Hz),6.21(1H,m),7.50(2H,m),7.91(2H,dd,J=2.3,8.0Hz),7.98(2H,dd,J=2.3,8.0Hz).
【0068】
【0069】
実施例3の方法を参照して化合物I-05を得た。生成物の同定:1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)δ:1.42-1.53(4H,m),2.53(2H,t,J=6.8Hz),2.63(3H,s),2.78(3H,s),2.83(2H,t,J=6.8Hz),2.92(6H,s),3.12(2H,t,J=6.5Hz),3.33(2H,t,J=6.5Hz),3.45(3H,s),6.83(1H,d,J=8.0Hz),7.48(1H,m),7.78(1H,d,J=8.0Hz),7.88(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),7.98(1H,dd,J=2.3,8.0Hz).
【0070】
【0071】
実施例3の方法を参照して化合物I-06を得た。生成物の同定:1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)δ:1.83(2H,m),2.48(2H,t,J=6.8Hz),2.68(3H,s),2.91(6H,s),3.12(2H,t,J=6.5Hz),4.25(2H,s),5.78(1H,m),6.21(1H,m),6.78(1H,d,J=8.0Hz),7.45(1H,m),7.77(1H,d,J=8.0Hz),7.85(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),7.95(1H,dd,J=2.3,8.0Hz).
【0072】
【0073】
実施例3の方法を参照して化合物I-07を得た。生成物の同定:1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)δ:1.23(3H,t,J=6.8Hz),1.45-1.75(6H,m),2.65(3H,s),3.06(2H,t,J=6.8Hz),3.15(2H,q,J=6.8Hz),3.25-3.38(4H,m),3.58(2H,t,J=6.5Hz),3.68(3H,s),6.01(1H,m),6.88(1H,d,J=2.3Hz),7.02(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),7.67(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.42(1H,s),8.49(1H,s).
【0074】
実施例8:化合物I-08
【0075】
【化13】
実施例3の方法を参照して化合物I-08を得た。生成物の同定:
1H-NMR(400MHz,d
6-DMSO)δ:2.63(6H,s),3.22(2H,t,J=6.8Hz),3.36(3H,s),3.63(2H,t,J=6.5Hz),5.73(2H,s),6.03(1H,m),6.85(1H,d,J=2.3Hz),7.01(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),7.63(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.38(1H,s),8.51(1H,s).
【0076】
【0077】
実施例3の方法を参照して化合物I-09を得た。生成物の同定:1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)δ:1.25-1.30(4H,m),1.45-1.53(4H,m),2.52(2H,t,J=6.8Hz),2.68(6H,s),3.08(2H,t,J=6.8Hz),4.51(2H,s),6.07(1H,m),7.30(2H,m),7.58(1H,m),7.86(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),7.95(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.03(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.20(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.62(1H,s).
【0078】
【0079】
実施例3の方法を参照して化合物I-10を得た。生成物の同定:1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)δ:1.69(2H,m),2.52(2H,t,J=6.8Hz),2.68(6H,s),2.82(2H,t,J=6.8Hz),3.12(2H,t,J=6.8Hz),3.28(2H,t,J=6.8Hz),6.03(1H,m),7.25(2H,m),7.63(1H,m),7.83(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),7.98(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.06(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.25(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.68(1H,s).
【0080】
【0081】
実施例3の方法を参照して化合物I-11を得た。生成物の同定:1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)δ:1.42-1.53(4H,m),2.55(2H,t,J=6.8Hz),2.70(3H,s),2.88(3H,s),3.10(2H,t,J=6.8Hz),3.28(3H,s),3.58(2H,t,J=6.8Hz),4.12(2H,t,J=6.8Hz),4.52(2H,s),7.33(2H,m),7.62(1H,m),7.88(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.02(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.09(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.22(1H,dd,J=2.3,8.0Hz).
【0082】
【0083】
実施例3の方法を参照して化合物I-12を得た。生成物の同定:1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)δ:1.23(3H,t,J=6.3Hz),1.42(2H,m),1.57(2H,m),2.61(2H,t,J=6.8Hz),2.70(3H,s),2.92(2H,t,J=6.3Hz),4.16(2H,t,J=6.7Hz),4.76(2H,s),7.52-7.65(3H,m),7.80(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),7.91(1H,dd,J=2.3,8.1Hz),8.03(1H,dd,J=2.3,8.2Hz),8.27(1H,dd,J=2.3,8.1Hz).
【0084】
【0085】
実施例3の方法を参照して化合物I-13を得た。生成物の同定:1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)δ:1.43-1.55(4H,m),2.48(2H,t,J=6.8Hz),2.58(3H,s),2.62(3H,s),2.78(3H,s),3.12(2H,t,J=6.8Hz),3.18(2H,t,J=6.8Hz),4.42(2H,s),7.38(2H,m),7.65(1H,m),7.83(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),7.97(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.12(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.25(1H,dd,J=2.3,8.0Hz).
【0086】
【0087】
実施例3の方法を参照して化合物I-14を得た。生成物の同定:1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)δ:2.43(6H,s),2.60(3H,s),2.72-2.83(4H,m),3.12(2H,t,J=6.8Hz),3.18(2H,t,J=6.8Hz),3.25(3H,s),3.32(2H,t,J=6.8Hz),3.69(2H,t,J=6.8Hz),5.88(1H,m),7.68-7.78(2H,m),8.01(1H,m),8.12(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.36(1H,s),8.48(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.89(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),9.21(1H,dd,J=2.3,8.0Hz).
【0088】
【0089】
実施例3の方法を参照して化合物I-15を得た。生成物の同定:1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)δ:1.28(3H,t,J=6.8Hz),2.68(3H,s),2.72-2.83(4H,m),3.12(2H,q,J=6.8Hz),3.30(3H,s),3.38(2H,t,J=6.8Hz),3.46(2H,t,J=6.8Hz),5.93(1H,m),7.65-7.72(2H,m),7.98(1H,m),8.10(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.33(1H,s),8.45(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.88(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),9.18(1H,dd,J=2.3,8.0Hz).
【0090】
【0091】
実施例3の方法を参照して化合物I-16を得た。生成物の同定:1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)δ:1.42-1.58(4H,m),2.68(3H,s),3.02(2H,t,J=6.8Hz),3.18(2H,t,J=6.8Hz),3.33(2H,t,J=6.8Hz),3.98(2H,t,J=6.8Hz),7.73-7.82(2H,m),7.01(1H,m),8.12(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.33(1H,s),8.47(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.93(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),9.23(1H,dd,J=2.3,8.0Hz).
【0092】
【0093】
実施例3の方法を参照して化合物I-17を得た。生成物の同定:1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)δ:1.25-1.58(8H,m),2.42(2H,t,J=6.8Hz),2.66(3H,s),3.12(2H,t,J=6.8Hz),4.45(2H,s),5.98(1H,m),7.68(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.02-8.12(2H,m),8.35(1H,s),8.47(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),8.67(1H,d,J=2.3Hz),9.12(1H,dd,J=2.3,8.0Hz).
【0094】
【0095】
実施例3の方法を参照して化合物I-18を得た。生成物の同定:1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)δ:1.43(9H,s),1.69(2H,m),2.45-2.76(6H,m),3.01-3.11(4H,m),3.25(2H,t,J=6.8Hz),7.32-7.45(3H,m),7.80-7.88(4H,m),8.02(1H,d,J=8.1Hz),8.10(1H,d,J=8.2Hz).
【0096】
【0097】
実施例3の方法を参照して化合物I-19を得た。生成物の同定:1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)δ:1.31(6H,d,J=6.8Hz),1.43-1.55(4H,m),2.92(2H,t,J=6.8Hz),3.32(2H,t,J=6.8Hz),5.45(2H,s),6.38(1H,m),6.68(1H,d,J=3.2Hz),7.43(1H,d,J=3.2Hz),7.48(1H,d,J=8.0Hz),7.77(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),7.86(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),7.93(1H,s).
【0098】
【0099】
実施例3の方法を参照して化合物I-20を得た。生成物の同定:1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)δ:1.49-1.58(4H,m),2.52(2H,t,J=6.8Hz),2.78(2H,t,J=6.8Hz),3.18(2H,t,J=6.8Hz),3.32(3H,s)3.45(2H,t,J=6.8Hz),3.55(3H,s),5.88(1H,m),6.38(1H,m),6.65(1H,d,J=3.2Hz),7.42(1H,d,J=3.2Hz),7.53(1H,d,J=8.0Hz),7.69(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),7.83(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),7.88(1H,s).
【0100】
【0101】
実施例3の方法を参照して化合物I-21を得た。生成物の同定:1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)δ:2.68(2H,s),2.82(2H,t,J=6.8Hz),3.26(2H,t,J=6.8Hz),4.45(2H,s),5.35(2H,s),6.63(1H,d,J=3.2Hz),7.48(1H,d,J=3.2Hz),7.52(1H,d,J=8.0Hz),7.73(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),7.82(1H,dd,J=2.3,8.0Hz),7.91(1H,s).
【0102】
実施例22:式I化合物の抗腫瘍活性の検討
【0103】
試験目的:複数種類の腫瘍細胞に対する本発明の化合物の抗増殖活性を試験する。
【0104】
試験化合物:本発明の化合物I-01、I-02、I-03、I-04、I-05、I-08、I-10、I-12、I-15、I-17、I-18、I-20;陽性薬物アモナフィド;及び比較化合物1d、1。そのうち、化合物1dは、文献Journal of Cancer Molecules,2010,5(2):p 41-47)に記載されている「1d」であり、化合物1は、文献Journal of Experimental Therapeutics and Oncology,2005,5:p 15-22に記載されている「compond 1」であり、両者とも文献に記載されている方法で製造したものであり、陽性薬物アモナフィドは、市販品であった。
【化27】
【0105】
試験細胞:ヒト結腸がん細胞(HT-29、COLO 205)、ヒト肺がん細胞(NCI-H460、A549)、ヒト白血病細胞(HL-60、U-937)。
【0106】
試験方法:各腫瘍細胞を個別に操作した。細胞を37℃で培地にて24時間培養させて使用に供した。対数増殖期にある細胞を採取し、トリプシナーゼで処理して細胞懸濁液を調製し、細胞懸濁液を遠心させ、そして、細胞を沈殿させて少量の新鮮培地に再懸濁して予備細胞液とした。このストック液を所要の細胞濃度に希釈した。各細胞濃度を表1に示す。
【0107】
【0108】
96ウェルプレートを取り、ブランク対照群、細胞対照群、化合物群を設置した。ブランク対照群は、ウェル当たり10%PBSのみを加え、細胞対照群と化合物群は、上記濃度の細胞をウェルごとに100μL添加し、200μLの10%PBSで充填した。プレートを細胞インキューベーターで一晩培養した。化合物群に異なる希釈濃度の各試験化合物を100μL添加し、化合物の希釈濃度を表2に示す。
【0109】
【0110】
薬注完了後、プレートをインキューベーターで96時間培養し、ウェルごとに22μLのレゾアズリンナトリウム溶液(Alarm blue,SIGMA R7017)を加え、プレートをインキューベーターに入れて、再び4時間培養した。取り出した後10秒間揺動し、530/590nmで各ウェルの蛍光値を記録した。
【0111】
上記操作を3回繰り返した。
【0112】
Prism7ソフトウェアを用いて化合物のIC50値を算出した。IC50を値の大きさによって異なるレベル、即ち、SS:<1μM;S:1-5μM;A:5-10μM;B:11-20μM;C:21-50μM;D:51-100μM;E:>100μMに分けた。主な結果を表3に示す:
【0113】
【0114】
試験結果から、本発明の化合物の抗腫瘍活性は全体的に陽性薬物アモナフィドより優れていることが分かった。本発明の化合物及び類似化合物の対比から明らかなように、本発明の化合物の腫瘍細胞に対する阻害活性は、化合物1d及び化合物1よりも全体的に有意に優れた。特に結腸がん細胞の場合、幾つかの好ましい化合物(例えば化合物I-03、I-04)の活性は、類似化合物の50倍以上に達した。
【0115】
化合物1dと化合物1は、いずれもアモナフィドの構造改質物であり、アモナフィド右側のアルキルアミノ位置で改質されているが、本発明の試験の場合、その全体の抗腫瘍活性はアモナフィドほど良くない。本発明の式I化合物と化合物1d及び化合物1との活性の違いは、アモナフィド右側のアルキルアミノ基改質において、ヘテロ原子(R1)を1つ導入し、このヘテロ原子(R1)と右側カルボニル基に結合したヘテロ原子(R2)とを炭素鎖又は炭素環で分離することが、活性の向上に非常に重要であることを示唆している。
【0116】
以上、本発明について一般的な説明、具体的な実施形態等を用いて詳細に説明した。本発明に基づいて、当業者は本発明の精神を維持しながら、本発明に対して幾つかの修正又は改善を行うことができ、これらの修正又は改善は、いずれも本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで示される縮合環ジイミド誘導体。
【化1】
(式Iにおいて、
Aは、共役不飽和構造を有する縮合環であり、2-3個の原子を介してジイミドと縮合する縮合環であり、Aは、任意に置換されていてもよく、
m又はnは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10であり、
R
1又はR
2は、窒素、酸素又は硫黄からなる群から選ばれるものであり、R
3は、窒素又は硫黄からなる群から選ばれるものであり、R
1、R
2又はR
3が窒素又は硫黄である場合、R
1、R
2又はR
3は、任意に置換されていてもよく、R
1とR
2とが任意に一緒になって環を形成してもよく、
R
1、R
2及びR
3が窒素である場合、R
3は、プロピル基で一置換されるものではない。)
【請求項2】
式Iにおいて、Aは、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、イミノ基、3級アミノ基又はハロゲンで置換される、請求項1に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項3】
式Iにおいて、R
1又は/及びR
2は、酸素又は硫黄である、請求項1に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項4】
式Iにおいて、R
1又は/及びR
2は、窒素である、請求項1に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項5】
式Iにおいて、R
1又は/及びR
2は、アルキル基、アルコキシ基、イミノ基、3級アミノ基、ニトロ基又はニトロソ基で置換される、請求項4に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項6】
式Iにおいて、R
1とR
2は、窒素であり、且つR
1とR
2とが一緒になって環を形成する、請求項1に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項7】
式Iにおいて、R
3は、硫黄である、請求項1に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項8】
式Iにおいて、R
3は、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、ニトロ基又はニトロソ基で置換される、請求項7に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項9】
式Iにおいて、R
3は、窒素である、請求項1に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項10】
式Iにおいて、R
3は、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、ニトロ基、又はニトロソ基からなる群から選ばれる基で一置換又は二置換される、請求項9に記載の縮合環ジイミド誘導体。
【請求項11】
【化2】
上記反応式に従って、式I-M7化合物と式I-M8化合物とを反応させて式I化合物を生成することを含み、ここで、反応式におけるA、m、n、R
1、R
2とR
3は、請求項1-10のいずれか1項に記載の通りである、式Iで示される縮合環ジイミド誘導体の製造方法。
【請求項12】
式I-M7化合物は、次の方法により製造し、即ち、
【化3】
上記反応式に従って、まず、式I-M4化合物と式I-M5化合物とを反応させて式I-M6化合物を生成し、更に酸の存在下でI-M6を処理してI-M7を得ることであり、反応式におけるA、m、n、R
1とR
2は、請求項1-10のいずれか1項に記載の通りである、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
式I-M4化合物は、次の方法により製造し、即ち、
【化4】
上記反応式に従って、まず、式I-M1化合物と式I-M2化合物とを反応させて式I-M3化合物を生成し、次に式I-M3化合物を水素化して式I-M4化合物を得ることであり、反応式におけるXは、ハロゲンであり、m、n、R
1とR
2は、請求項1-10のいずれか1項に記載の通りである、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
細胞増殖性疾患を治療するための薬物の製造における、請求項1-10のいずれか1項に記載の縮合環ジイミド誘導体の使用。
【請求項15】
前記細胞増殖性疾患は、がんである、請求項14に記載の使用。
【国際調査報告】