(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】冷却システム
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6551 20140101AFI20231018BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20231018BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20231018BHJP
H01M 10/652 20140101ALI20231018BHJP
H01M 10/651 20140101ALI20231018BHJP
H01M 10/617 20140101ALI20231018BHJP
【FI】
H01M10/6551
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/652
H01M10/651
H01M10/617
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521276
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(85)【翻訳文提出日】2023-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2021077472
(87)【国際公開番号】W WO2022074016
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ルクルヴール, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ロビン, クリストフ
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK01
(57)【要約】
本発明は、電気またはハイブリッド自動車(10)用の電池の冷却システム(1)であって、冷却システムが、冷却装置(12)および熱界面(11)を含む、冷却システム(1)において、- 冷却装置(12)が、冷却方向(13)における入口点(121)と出口点(122)との間の冷却流体の移動を生じ、- 熱界面(11)が、少なくとも実質的に冷却装置と接触した第1の面(111)と、熱交換面と称される、第1の面とは反対側の、電池と接触してまたは電池の近くに配置されるように構成された第2の面(112)とを有し、- 冷却システムの冷却方向(13)に対して垂直な二次方向(14)における熱交換面(112)のサイズが、冷却方向(13)に増大していることを特徴とする、冷却システム(1)に関する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気またはハイブリッド自動車(10)における電池用の冷却システム(1)であって、前記冷却システムが、冷却装置(12)および熱界面(11)を含む、冷却システム(1)において、
- 前記冷却装置(12)が、冷却方向(13)における入口点(121)と出口点(122)との間の冷却剤流体の移動を生じ、
- 前記熱界面(11)が、少なくとも実質的に前記冷却装置と接触した第1の面(111)と、熱交換面と称される、前記第1の面とは反対側の、電池と接触するまたは電池の近くにあるように構成された第2の面(112)とを有し、
- 前記冷却システムの前記冷却方向(13)に対して垂直な二次方向(14)における前記熱交換面(112)の寸法が、前記冷却方向(13)に増大していることを特徴とする、冷却システム(1)。
【請求項2】
前記第1の面(111)に対して平行な平面への前記熱交換面(112)の直交方向の投影が、前記冷却方向(13)に対して平行な軸線に沿って配向された実質的に漏斗の形状であることを特徴とする、請求項1に記載の冷却システム(1)。
【請求項3】
前記漏斗形状の輪郭が、1/Xの数学的法則によって規定されることを特徴とする、請求項2に記載の冷却システム(1)。
【請求項4】
前記熱界面(11)が、一定の厚さであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の冷却システム(1)。
【請求項5】
電池(2)と、請求項1から4のいずれか一項に記載の冷却システム(1)とを含む、電気またはハイブリッド自動車用の電力供給システム(3)において、前記電池が、前記冷却システムの交換界面(11)と接触しているまたは交換界面(11)の近くにあることを特徴とする、電力供給システム(3)。
【請求項6】
- 前記電池(2)が、前記二次方向(14)において分散させられた複数の同一のモジュール(21)を含み、
- 前記冷却システムの前記熱交換面(112)が、前記冷却方向に対して平行な長手方向軸線を有する単位面(113)のセットを含み、少なくとも1つの単位面(113)が、各モジュールと前記冷却装置(12)との間に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の電力供給システム(3)。
【請求項7】
- 各モジュール(21)が、前記冷却方向(13)に対して平行な長手方向対称軸線を有し、前記長手方向対称軸線に対して垂直に配置されかつ前記長手方向対称軸線に沿って均一に分散させられたセル(22)のセットを含み、
- 所定のモジュール内で、第1のセルと前記少なくとも1つの単位面(113)との間の接触面積が、前記第1のセルよりもさらに下流に配置された第2のセルと前記少なくとも1つの単位面(113)との間の接触面積よりも小さいことを特徴とする、請求項6に記載の電力供給システム(3)。
【請求項8】
前記熱界面(112)の前記単位面(113)の全てが同一であることを特徴とする、請求項5から7のいずれか一項に記載の電力供給システム(3)。
【請求項9】
請求項5から8のいずれか一項に記載の電力供給システム(3)が取り付けられた電気自動車またはハイブリッド自動車(10)。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、冷却システムに関する。
【0002】
電気またはハイブリッド自動車における電池の性能は、その作動温度に大きく依存する。したがって、このような電池が曝される温度範囲を制御する必要がある。
【0003】
このために、電気またはハイブリッド自動車におけるほとんどの電池は、一体化された冷却システムが取り付けられている。これらのシステムは、熱界面を介して流体と電池との間の熱交換を行うために液体またはガス流体流を使用する。
【0004】
しかしながら、これらの冷却システムは、システムの動作が均一ではなく、その結果、電池全体にわたる温度均一性の欠如を生じるという主な欠点を有する。均一性のこの欠如は、電池を所定の温度範囲内に維持することを困難にする。
【0005】
電池の熱均一性を制御する1つの方法は、冷却剤流体の質量流量を大幅に増大させることである。しかしながら、このソリューションは、大型ポンプの使用を必要とし、過剰な電力消費を生じる。
【0006】
米国特許第9979058号は、冷却システムと電池との間の熱交換能力を最大化するために所定の領域において増大した厚さを有する熱界面の使用を開示している。しかしながら、このソリューションは、熱界面の余分な厚さにより、電池の体積を増大させるという欠点を有する。
【0007】
本発明の目的は、上述の欠点を克服し、従来技術より公知の熱管理装置および方法を改善する、自動車電池の熱管理のための装置および方法を提供することである。特に、本発明は、前記電池の体積を増大させることなく電池における均一な温度分布を促進する単純かつ信頼できる装置および方法を提供する。
【0008】
本発明は、電気またはハイブリッド自動車における電池用の冷却システムであって、前記冷却システムが、冷却装置および熱界面を含み、
- 冷却装置が、冷却方向における入口点と出口点との間の冷却剤流体の移動を生じ、
- 熱界面が、少なくとも実質的に冷却装置と接触した第1の面と、熱交換面と称される、第1の面とは反対側の、電池と接触するまたは電池の近くにあるように構成された第2の面とを有し、
- 冷却システムの冷却方向に対して垂直な二次方向における前記熱交換面の寸法が、冷却方向に増大している、電気またはハイブリッド自動車における電池用の冷却システムに関する。
【0009】
1つの実施形態において、第1の面に対して平行な平面への熱交換面の直交方向の投影が、冷却方向に対して平行な軸線に沿って配向された実質的に漏斗の形状である。
【0010】
1つの実施形態において、前記漏斗形状の輪郭が、1/Xの数学的法則によって規定される。
【0011】
1つの実施形態において、熱界面が、一定の厚さである。
【0012】
本発明はまた、電池と、本発明による冷却システムとを含む、電気またはハイブリッド自動車用の電力供給システムであって、電池が、冷却システムの交換界面と接触しているまたは交換界面の近くにある、電気またはハイブリッド自動車用の電力供給システムに関する。
【0013】
電力供給システムの1つの実施形態において、
- 電池が、二次方向において分散させられた複数の同一のモジュールを含み、
- 冷却システムの熱交換面が、冷却方向に対して平行な長手方向軸線を有する単位面のセットを含み、少なくとも1つの単位面が、各モジュールと冷却装置との間に配置されている。
【0014】
電力供給システムの1つの実施形態において、
- 各モジュールが、冷却方向に対して平行な長手方向対称軸線を有し、長手方向対称軸線に対して垂直に配置されかつ長手方向対称軸線に沿って均一に分散させられたセルのセットを含み、
- 所定のモジュール内で、第1のセルと少なくとも1つの単位面との間の接触面積が、第1のセルよりもさらに下流に配置された第2のセルと少なくとも1つの単位面との間の接触面積よりも小さい。
【0015】
電力供給システムの1つの実施形態において、熱界面の単位面の全てが同一である。
【0016】
本発明はまた、本発明による電力供給システムが取り付けられた電気またはハイブリッド自動車に関する。
【0017】
添付の図面は、本発明による冷却システムの例示的な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明による冷却システムが取り付けられた自動車の概略図である。
【
図2a】冷却システムが取り付けられた電力供給システムの実施形態の斜視図である。
【
図2b】冷却システムが取り付けられた電力供給システムの実施形態の断面図である。
【
図3】本発明による冷却システムが取り付けられた電力供給システムの第1の実施形態を示す。
【
図4】本発明による冷却システムが取り付けられた電力供給システムの第2の実施形態を示す。
【
図5】本発明による冷却システムが取り付けられた電力供給システムの第3の実施形態を示す。
【
図6】本発明を実施した場合と本発明を実施しない場合との、冷却システムが取り付けられた電池のセルの最小温度および最大温度の時間的進化を比較している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明による冷却システム1が取り付けられた自動車10の実施形態の一例が、
図1を参照して以下に説明される。
【0020】
自動車10は、あらゆるタイプの電気自動車またはハイブリッド自動車であり、例えば、乗用車、商用車、トラックまたはバスを含んでよい。
【0021】
自動車10には、電力供給システム3が取り付けられている。
【0022】
電力供給システム3は、電池2および冷却システム1を含む。
【0023】
電池2は、あらゆるタイプの電池であることができる。特に、電池は、Li-イオン技術を使用するリチウム電池であることができる。代替的に、電池は、全固体リチウム電池であることができる。
【0024】
1つの実施形態において、電池2は、
図2aおよび
図2bに示したように、モジュール21のセットを含み、各モジュールは、
図4~
図6に示したように、直列または並列に組み立てられた複数の電池セル22を含む。セルは、例えば、Li-イオン技術またはリチウム-金属技術を使用する、電極アセンブリを含む。
【0025】
自動車10には、本発明による冷却システム1が取り付けられている。
【0026】
冷却システム1は、熱界面11および冷却装置12を含む。
【0027】
冷却装置12は、
図3に示したように、入口点121と出口点122との間で流体を移動させるための回路を実施した構造を含んでよい。
【0028】
1つの最小限の実施形態において、冷却装置12は受動的であってよく、すなわち、冷却装置の入口点と出口点との間の周囲空気の実質的に線形の移動を必要とし、空気の移動は、冷却装置を搭載した自動車の移動によって生じる。有利には、空気の移動方向は、冷却装置が取り付けられた車両の長手方向軸線に対応する。
【0029】
冷却装置12のその他の実施形態、特に、液体(水、グリコール水、冷媒または誘電性流体など)を移動させるための装置が実施されてよい。これらの能動的装置は、管および管内で液体を移動させるためのポンプの形式の回路を必要とする。
【0030】
流体がどのように移動させられるか、および流体の性質にかかわらず、電池と冷却剤流体との間の熱交換の実施は、流体が冷却装置12を通過するときに流体を徐々に加熱する。
【0031】
冷却回路を使用するあらゆる冷却装置は、冷却方向13、または主冷却方向13を有する。
【0032】
一般的に、冷却方向13は、冷却回路への流体の入口点から、冷却回路からの流体の出口点まで引かれた直線として規定することができる。この方向は、冷却装置12における流体の移動の全体的方向を表す。
【0033】
実施形態において、特に、冷却装置12が受動的である場合、冷却方向13は、自動車10の長手方向軸線であってよい。
【0034】
冷却システムが能動的である場合、冷却回路の形状は、冷却システムに依存して変化してよい。冷却方向13は、冷却剤流体において測定された主な温度勾配を表す配向された軸線として規定されてよい。
【0035】
冷却システム1は、電池2から冷却装置12への熱伝達を促進するように設計された熱界面11も含む。
【0036】
熱界面11は、固体材料(例えば、パッド)、ペースト状材料(例えば、シリコーン)、羊毛材料、または複合材料を含む、異なる熱伝導性材料から形成することができる。これらの異なる材料は、それらの熱伝導率、すなわち、所定の時間に材料を通じて伝達することができる熱の量によって特徴付けられる。
【0037】
熱界面11は、特に冷却装置12と電池2との間の熱伝導を妨げる可能性があるあらゆる気泡を追い出すために、冷却装置12と電池2との間で圧力下に維持することができる。
【0038】
熱界面は、1つまたは複数の方向において可変の厚さであることができる。好ましくは、熱界面は、一定の厚さである。
【0039】
熱界面11は、
- 冷却装置12と接触した第1の面111と、
- 第1の面111とは反対側にある、電池2と接触するまたは電池2の近くにあるように構成された、熱交換面と称される第2の面112と、
を有する。
【0040】
冷却システムの冷却方向13に対して垂直な二次方向14における熱交換面112の横方向寸法は、冷却方向13に増大している。この構造は、特に、交換面を増大させることによって冷却剤流体の温度上昇を補償し、これは、熱交換をより均一にすることを助け、これは、ひいては電池の温度をより均一にする。
【0041】
冷却方向における熱交換面の横方向寸法は、異なる基準に応じて増大させられてよい。
【0042】
厳しい増大に対応する第1の基準によれば、熱交換面の横方向寸法は、冷却方向13に厳しく増大している。言い換えれば、熱交換面の第1の横方向寸法の測定点Aにかかわらず、かつ熱交換面の第2の横方向寸法の測定点Bにかかわらず、点Aが冷却方向において厳しく点Bの下流にある場合、およびその場合にのみ、第1の寸法は第2の寸法よりも厳しく大きい。
【0043】
平均増大に対応する第2の基準によれば、熱交換面の横方向寸法は、冷却方向に全体的に増大している。
【0044】
例えば、本発明による熱界面の1つの実施形態において、熱交換面の所定の減少するセグメントは、冷却方向において熱交換面の横方向寸法において局所的な減少を有してよい。
【0045】
減少するセグメントは、熱交換面の制限された割合を表す。1つの制限は、熱界面の全表面積に対する減少するセグメントの表面積の比に関係し得る。例えば、減少するセグメントの表面積と熱界面の全表面積との比は、20%未満、10%未満、または5%未満であることができる。
【0046】
代替的にまたは加えて、制限は、冷却方向におけるそれらの投影に従ったこれらのセグメントの累積サイズに関係し得る。例えば、減少するセグメントの長さの合計は、冷却方向における熱交換面の全長のパーセンテージ未満であり、前記減少するセグメントの長さは冷却方向において測定される。このパーセンテージは、最大で20%、10%、または5%に設定することができる。
【0047】
本発明による冷却システム1における熱交換面112の様々な実施形態が、
図3~
図5を参照して以下に説明される。
【0048】
これらの異なる実施形態において、冷却システム1は、同一の電池モジュール21のセットを含む電池2と接触しているかまたはその近くにある。これらのモジュールは、冷却システムの冷却方向13に対して垂直な二次方向14において均一に分散させられている。
【0049】
これらのモジュールのそれぞれは、冷却方向13において長手方向軸線を有する。システムは、さらに、モジュール21の長手方向軸線に対して垂直に配置されかつこの長手方向軸線に沿って均一に分散させられた同一の電池セル22のセットを含む。言い換えれば、電池セルは、冷却方向に対して垂直に配置されておりかつこの冷却軸線に沿って均一に分散させられている。
【0050】
示された実施形態のそれぞれにおいて、熱交換面112は、電池モジュールごとに少なくとも1つの単位面113を含む。「単位面」という用語は、熱交換面112のそれぞれのワンピース要素、すなわち連続的な熱交換面を有する熱交換面112のそれぞれのサブアセンブリを指す。
【0051】
示された実施形態のそれぞれにおいて、全ての単位面は、単位面が関連している電池モジュールにかかわらず、同一である。説明されていない代替的な実施形態において、単位面は、単位面が関連しているモジュールに依存しておよび/または同じモジュールに関連した単位面のグループ内で変化することができる。
【0052】
図3~
図5において、電池2の1つのモジュール21のみが示されている。それにもかかわらず、電池2は、1つまたは複数のモジュール、例えば、20個のモジュールを含むことができる。
【0053】
本発明による熱交換界面11の第1の実施形態が、
図3に示されている。
【0054】
この実施形態において、電池の各モジュール21のために、単一の単位面113が、モジュールのセル22と接触して配置されている。単位面113は、冷却方向に配向された実質的に漏斗の形状であり、漏斗の最も狭い部分は冷却剤流体の流れ方向の上流部分にある。好ましくは、漏斗形状の輪郭は、1/Xの数学的法則によって規定される。代替的に、単位面113の輪郭は、あらゆるその他の形状を取ってもよい。
【0055】
したがって、電池モジュールのセル22とモジュールに関連した単位面113との間の接触面積は、モジュールの長手方向軸線に沿ったセルの位置に応じて変化する。特に、接触面積は、冷却方向で増大する。言い換えれば、電池セルが冷却剤流体の入口に近いほど、熱界面との電池セルの接触面積は小さくなる。逆に、セルが冷却剤流体の出口に近いほど、熱界面とのセルの接触面積は大きくなる。
【0056】
言い換えれば、所定のモジュール内で、第1のセルと単位面113との間の接触面積は、第1のセルよりもさらに下流に配置された第2のセルと単位面113との間の接触面積よりも小さい。
【0057】
この実施形態において、電池および冷却システムを全体として考えたとき、熱交換面112は、互いに同一の漏斗状単位面113のセットからなり、各単位面は、電池2のモジュールに関連している。
【0058】
熱界面11の熱抵抗は、以下の式によって決定される:
Rth(x)=Eit/[Cth・S(x)]
ここで、
- Eitは、この実施形態では一定であると仮定される、熱界面11の厚さであり、
- Cthは、熱界面を構成する材料の熱伝導率であり;Cthは一定であり、
- S(x)は、熱界面と、冷却方向に引かれた軸線上の距離xに配置された少なくとも1つの電池セルとの間の接触面積である。
【0059】
熱交換面112の形状が予め規定されていると仮定すると、S(x)は、xの増大する関数である。したがって、熱界面11は、冷却方向で減少する熱抵抗Rthを有する。
【0060】
冷却方向における熱抵抗Rthの減少は、電池2と冷却システム1との間の熱交換の均一性を改善する。実際、冷却方向における冷却剤流体の温度の上昇は、有利には、この同じ方向における熱抵抗の減少によって補償される。
【0061】
熱交換が冷却方向においてより均一であるため、電池のセルの温度は、特に冷却方向において、電池を通じてより均一である。
【0062】
図6は、第1の実施形態による本発明を実施する効果を示す。
【0063】
比較が、
- 一方では、本発明の第1の実施形態による熱界面11を含む冷却システムが取り付けられた第1の電池と、
- 他方では、電池セルとの均一な接触面積を有する熱界面を含む冷却システムが取り付けられた、第1の電池と同一の第2の電池であって、特に、熱界面と電池セルとの間の接触面積S(x)は冷却方向において一定である、第2の電池と
の間で行われる。
【0064】
第1の電池は第1の自動車に取り付けられており、第2の電池は、第1の自動車と同一の第2の自動車に取り付けられている。以下に説明される測定は、2つの自動車のための類似の使用条件下で行われる。
【0065】
第1の自動車における第1の電池および第2の自動車における第2の電池のセルの最低温度および最高温度の時間的進化が比較される:
- y軸150は、温度を摂氏で表し、
- 曲線101は、本発明を実施しない電池セルの最高温度の進化を表し(測定が第2の電池において行われる)、
- 曲線102は、本発明を実施した電池セルの最高温度の進化を表し(測定が第1の電池において行われる)、
- 曲線103は、本発明を実施しない電池セルの最低温度の進化を表し(測定は第2の電池において行われる)、
- 曲線104は、本発明を実施した電池セルの最低温度の進化を表す(測定は第1の電池において行われる)。
【0066】
図6は、第1の電池のセルの最高および最低温度の時間的進化を表す曲線102および104が、互いに非常に近く、第2の電池において測定された同じデータを表す曲線101および103の間にあることを示している。
【0067】
言い換えれば、
- 第1の電池(本発明を組み込んでいる)のセルの間の温度差は、第2の電池のセルの間の温度差よりも著しく小さく、
- 第1の電池のセルにおいて測定された最高温度は、第2の電池のセルにおいて測定された最高温度よりも著しく低く、
- 第1の電池のセルにおいて測定された最低温度は、第2の電池のセルにおいて測定された最低温度よりも著しく高い。
【0068】
これは、本発明の実施が、電池のセルの温度をより均一にすることを助けることを実証している。
【0069】
熱交換界面112の代替的な実施形態が、
図4および
図5に示されている。電池2の1つのモジュール21のみが示されている。それにもかかわらず、電池2は、1つまたは複数のモジュールを含むことができる。
【0070】
これらの実施形態において、複数の単位面113は、各電池モジュール21に関連している。
図4は、2つの単位面113に関連した電池モジュールを示し、
図5は、3つの単位面113に関連した電池モジュールを示す。これらの両実施形態において、単位面113は、冷却方向に配向された実質的に漏斗の形状であり、漏斗の最も狭い部分が冷却剤流体の流れ方向の上流部分にある。好ましくは、漏斗形状の輪郭は、1/Xの数学的法則によって規定される。代替的に、単位面113の輪郭は、完全に異なる形状を有してよく、選択的に、1つの単位面と別の単位面とで異なってもよい。
【0071】
単位面113は、冷却システムの冷却方向13に対して垂直な二次方向14において均一に分散させられている。
【0072】
したがって、
図4に示された実施形態において、2つの単位面113は、電池モジュールにおける各セルと接触している。同様に、
図5に示された実施形態において、3つの単位面113が、電池モジュールにおける各セルと接触している。
【0073】
電池セルのサイズに応じて、複数の単位面113を各モジュールに関連させる実施形態は、セルの温度を二次方向14においてより均一にすることができる。言い換えれば、各電池セルは複数の単位面と接触しているので、この実施形態は、熱界面と接触しているセルのゾーンと、熱界面と接触していないセルのゾーンのとの間の単一のセル内の温度差を制限することを助ける。
【0074】
示された実施形態は、概して単純な幾何学的形状を有する電気自動車またはハイブリッド自動車用の電池冷却システムに関する。より一般的には、本発明は、ユーザシステム2と接触することまたはユーザシステム2に近いよう構成された熱界面11を有するあらゆる熱管理システムに適用することができる。本発明は、ユーザシステム2における熱管理システム1の動作をより均一にする熱交換面112を規定することを含む。
【0075】
ユーザシステム2の幾何学的形状に応じて、熱界面11とユーザシステム2との間の熱交換面112を規定するために複雑な計算が要求される場合がある。例えば、熱交換面112の形状は、シミュレーションツール、特に3次元シミュレーションツールを使用して計算することができる。
【0076】
さらに、熱界面11、特に熱交換面112の形状の規定は、熱界面11を構成する材料の物理的特性、特にその粘度および熱伝導率を考慮に入れる場合がある。
【0077】
熱界面の形状の規定は、ユーザシステム2と熱管理システム1との間に熱界面を配置するために使用されるツールの技術的能力および制限も考慮に入れる場合がある。
【0078】
本発明は、多くの利点を提供する。本発明の目的は、第1に、ユーザシステムにおける熱管理システムの動作をより均一にし、それにより、ユーザシステムの温度の制御を容易にすることである。特に、より優れた温度制御は、ユーザシステムの構成要素の耐用年数、例えば電池におけるセルの耐用年数を延長させることができる。より優れた温度制御は、ユーザシステムの性能の最適化もする。例えば、電池の場合、電池温度のより優れた制御は、電池がその最適な熱動作範囲内で使用されることを可能にする。
【0079】
さらに、本発明は、熱界面11を形成するために使用される材料の量を最適化する。有利には、本発明は、使用される材料の量を減じることを助け、それにより、熱管理システムの製造コストおよび質量を減じる。
【0080】
さらに、本発明は、熱管理システムによって使用される流体(特に、冷却剤流体)の流量を減じることを助ける。例えば、電池の温度をより均一にする従来の方法は、冷却システムの熱出力を増大するために冷却剤流体の流量を増大することである。しかしながら、本発明による熱界面11は、冷却剤流体の温度勾配に応じて熱交換を調節することを可能にする。したがって、このソリューションは、冷却剤流体の流量を増大させることなくユーザシステムの温度をより均一にすることを助ける。したがって、本発明は、冷却剤流体の流れを生じるポンプなどの構成要素のサイズを減じることを助ける。
【国際調査報告】