(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】高強度低発熱性複合材
(51)【国際特許分類】
B32B 5/28 20060101AFI20231018BHJP
B32B 15/14 20060101ALI20231018BHJP
B29C 70/68 20060101ALI20231018BHJP
B29C 43/18 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
B32B5/28 A
B32B15/14
B29C70/68
B29C43/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521287
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(85)【翻訳文提出日】2023-06-06
(86)【国際出願番号】 US2021053606
(87)【国際公開番号】W WO2022076439
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516363053
【氏名又は名称】ブライト ライト ストラクチャーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドッドワース アンソニー
【テーマコード(参考)】
4F100
4F204
4F205
【Fターム(参考)】
4F100AB01
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4F205HT26
(57)【要約】
本明細書に開示される実施形態は、高い曲げ剛性および低い発熱性を有する複合構造体、ならびにそれを作製する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合構造体であって、
第1の複数の繊維および第1の熱硬化性樹脂を有する第1の熱硬化性樹脂層と、
前記第1の熱硬化性樹脂層の下に配置される第2の熱硬化性樹脂層であり、第2の複数の繊維および第2の熱硬化性樹脂を有する、第2の熱硬化性樹脂層と、
前記第1の熱硬化性樹脂層に接合される金属層と
を含むことを特徴とする複合構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の複合構造体であって、前記第1の熱硬化性樹脂層と前記第2の熱硬化性樹脂層との間に配置される芯材をさらに含み、前記芯材が、共に接合された複数のセルを含むことを特徴とする複合構造体。
【請求項3】
請求項2に記載の複合構造体であって、前記複数のセルが、平行配向で共に接合された複数の管、またはポリマー発泡体を含むことを特徴とする複合構造体。
【請求項4】
請求項3に記載の複合構造体であって、前記複数の管が、ポリカーボネート管、ポリプロピレン管、ポリスチレン管、またはポリエーテルイミド管を含むことを特徴とする複合構造体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の複合構造体であって、
前記第1の熱硬化性樹脂層が、複数のガラス繊維または複数の炭素繊維を含み、
前記第2の熱硬化性樹脂層が、複数のガラス繊維または複数の炭素繊維を含む
ことを特徴とする複合構造体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の複合構造体であって、
前記第1の複数の繊維が、約80gsm~約300gsmの密度を有し、
前記第2の複数の繊維が、約80gsm~約300gsmの密度を有する
ことを特徴とする複合構造体。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の複合構造体であって、前記金属層の真下に配置される熱可塑性樹脂層をさらに含み、前記熱可塑性樹脂層が、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ペルフルオロアルコキシ、ポリフルオロエチレンプロピレン、またはポリエチレンテレフタレート/ポリブチレンテレフタレートのうちの1つ以上を含む高温熱可塑性ポリマーを含むことを特徴とする複合構造体。
【請求項8】
請求項7に記載の複合構造体であって、
前記熱可塑性樹脂層が、ポリエーテルイミドポリマーを含み、
前記第1の熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂-ポリウレタン熱硬化性樹脂を含み、
前記第2の熱硬化性樹脂が、前記エポキシ樹脂-ポリウレタン熱硬化性樹脂を含む
ことを特徴とする複合構造体。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の複合構造体であって、前記金属層が、アルミニウム箔、アルミニウムメッシュ、または有孔アルミニウムシートを含むことを特徴とする複合構造体。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の複合構造体であって、前記金属層が、前記第1の熱硬化性樹脂層に面する酸腐食表面を含むことを特徴とする複合構造体。
【請求項11】
複合構造体を作製する方法であって、
第1の複数の繊維を有する第1の熱硬化性樹脂層と、
前記第1の熱硬化性樹脂層の下に配置される第2の熱硬化性樹脂層であり、第2の複数の繊維を有する、第2の熱硬化性樹脂層と、
前記第1の熱硬化性樹脂層の上に配置される金属層であり、レイアップ成形体の最外層である、金属層と
を含む、レイアップ成形体を金型内に配置する工程と、
前記レイアップ成形体を前記金型内で約10バール(1MPa)以下の圧力で押圧する工程と、
前記レイアップ成形体を少なくとも部分的に硬化させて、前記複合構造体を形成する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記金属層が、アルミニウム箔、アルミニウムメッシュ、また有孔アルミニウムシートを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の方法であって、前記レイアップ成形体が、前記第1の熱硬化性樹脂層と前記第2の熱硬化性樹脂層との間に配置される芯材を含み、前記芯材が、共に接合された複数のセルを含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記複数のセルが、平行配向で共に接合された複数の管、またはポリマー発泡体を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項11から14のいずれか1項に記載の方法であって、
前記第1の熱硬化性樹脂層が、第1の熱硬化性樹脂を含み、
前記第2の熱硬化性樹脂層が、第2の熱硬化性樹脂を含み、
前記第1の熱硬化性樹脂または前記第2の熱硬化性樹脂のうちの1つ以上が、エポキシ樹脂-ポリウレタン熱硬化性樹脂を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項11から15のいずれか1項に記載の方法であって、レイアップ成形体を金型内に配置する工程が、レイアップ成形体の形成を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記レイアップ成形体の形成が、前記第1の複数の繊維の上に前記第1の熱硬化性樹脂を適用して、前記第1の熱硬化性樹脂層を形成すること、および前記第2の複数の繊維の上に前記第2の熱硬化性樹脂を適用して、前記第2の熱硬化性樹脂層を形成することを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項11から17のいずれか1項に記載の方法であって、前記第1の複数の繊維または前記第2の複数の繊維の一方または両方が、炭素繊維またはガラス繊維を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記レイアップ成形体を金型内に配置する工程が、
前記金属層を前記金型内に配置する工程と、
前記第1の熱硬化性樹脂層を前記金属層の上に配置する工程と、
前記芯材を第1の熱硬化性樹脂層の上に配置する工程と、
前記第2の熱硬化性樹脂層を前記芯材の上に配置する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項11から19のいずれか1項に記載の方法であって、前記金型の1つ以上の成形表面の少なくとも一部分を、ゴム材料で被覆することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、前記ゴム材料が、室温加硫シリコーンを含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項20から21のいずれか1項に記載の方法であって、前記金属層を金型内に配置する工程が、前記金属層を前記金型内の前記ゴム材料の上に配置することを含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項11から22のいずれか1項に記載の方法であって、前記レイアップ成形体を前記金型内で約10バール(1MPa)以下の圧力で押圧する工程が、前記レイアップ成形体を前記金型内で9バール(0.9MPa)未満の圧力で押圧することを含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項11から23のいずれか1項に記載の方法であって、前記レイアップ成形体を前記金型内で約10バール(1MPa)以下の圧力で押圧する工程が、前記レイアップ成形体を選択された持続時間で押圧することを含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項11から24のいずれか1項に記載の方法であって、前記レイアップ成形体を前記金型内で約10バール(1MPa)以下の圧力で押圧する工程が、前記レイアップ成形体を加熱された金型内で押圧することを含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項11から25のいずれか1項に記載の方法であって、前記レイアップ成形体を少なくとも部分的に硬化させて前記複合構造体を形成する工程が、前記レイアップ成形体を前記金型内で押圧しながら前記レイアップ成形体を加熱すること、または前記レイアップ成形体を前記金型内で押圧した後に前記レイアップ成形体を周囲温度に冷却させることのうちの1つ以上を含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項11から26のいずれか1項に記載の方法であって、前記金型が、通信機器用パネル、外装体パネル、内装体パネル、フレーム、ダッシュボード、成形品、座席部材、テーブル、トレイ、収納箱、収納蓋、バッテリー、または電磁遮蔽材を形成するような寸法および形状にされることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項11から27のいずれか1項に記載の方法であって、
第1の熱硬化性樹脂層が、第1の複数のガラス繊維または炭素繊維の上にエポキシ樹脂-ポリウレタン樹脂を含み、
前記第2の熱硬化性樹脂層が、第2の複数のガラス繊維または炭素繊維の上に前記エポキシ樹脂-ポリウレタン樹脂を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項29】
複合構造体であって、
第1の複数の繊維および第1の熱硬化性樹脂を有する第1の熱硬化性樹脂層と、
前記第1の熱硬化性樹脂層の下に配置される第2の熱硬化性樹脂層であり、第2の複数の繊維および第2の熱硬化性樹脂を有する、第2の熱硬化性樹脂層と、
前記第1の熱硬化性樹脂層と前記第2の熱硬化性樹脂層との間に配置される芯材であり、共に接合された複数のセルを含む、芯材と、
前記第1の熱硬化性樹脂層の外表面に接合される金属層と
を含むことを特徴とする複合構造体。
【請求項30】
請求項29に記載の複合構造体であって、前記金属層が、アルミニウム箔、有孔アルミニウムシート、またはアルミニウムメッシュを含むことを特徴とする複合構造体。
【請求項31】
請求項29から30のいずれか1項に記載の複合構造体であって、通信機器用パネル、外装体パネル、内装体パネル、フレーム、ダッシュボード、成形品、座席部材、テーブル、トレイ、収納箱、収納蓋、バッテリー、または電磁遮蔽材としての寸法および形状にされることを特徴とする複合構造体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年10月6日に出願された米国特許出願第17/064,201号の優先権を主張し、これは2018年11月19日に出願された米国特許仮出願第62/769,446号の優先権を主張する、2019年11月19日に出願された国際特許出願番号PCT/US0219/062138の一部継続出願であり、それぞれの開示の全容を本願に引用して援用する。
【0002】
複合部材は、従来の製造方法と比較して、重量を著しく低減し、燃料効率を改善し、炭素排出量を低減し得る。複合材は、樹脂に埋め込まれた炭素繊維またはガラス繊維を含み得る。現在、複合部材は、樹脂トランスファー成形(RTM)、シート成形などを含む従来の成形プロセスによって製作されることが多い。複合部材はまた、あらかじめ含浸された繊維(「プリプレグ」)から形成され得て、プリプレグを硬化するために炉またはオートクレーブを必要とする場合がある。従来から、繊維強化された複合部材は、いくつかの理由から、金属部材と比較してコスト競争力がない。最初に、高圧RTMは、比較的に高価な機器、および繊維に含浸させて表面欠陥(例えば、ピンホールまたは所望されない多孔性)を低減するために、ポリマー樹脂を流動させる高圧力を必要とし得る。RTM部品の生産収率は、表面欠陥のために相対的に低い。
【0003】
複合部品は、その中の材料に応じて、さまざまな発熱量(heat release value)を示す。発熱性(heat release)は、複合部材を燃焼させ、部材が燃焼する時に生じる熱量を監視することによって、決定することができる。発熱性が比較的低い複合部材が所望される場合、フェノール樹脂が複合部材に使用されることが多い。
【0004】
製造者らは、複合部材を形成するための材料、工作機械、および製造技術の探索を継続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2016/028359号
【特許文献2】国際公開第2015/187873号
【特許文献3】国際公開第2015/187879号
【特許文献4】国際公開第2020/109342号
【特許文献5】国際公開第2020/128793号
【特許文献6】国際公開第2020/106678号
【特許文献7】米国特許出願公開第2017/190150号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2012/077401号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される実施形態は、高い曲げ剛性および低い発熱性を有する複合構造体に関する。一実施形態では、複合サンドイッチ構造体を開示する。複合サンドイッチ構造体は、高温熱可塑性ポリマーを含む熱可塑性樹脂層(thermoplastic layer)を含む。複合サンドイッチ構造体は、熱可塑性樹脂層の上に配置される第1の熱硬化性樹脂層を含む。複合サンドイッチ構造体は、第1の熱硬化性樹脂層の上に位置付けられる芯材を含み、芯材は複数のセルを含む。複合サンドイッチ構造体は、芯材の第1の熱硬化性樹脂層と実質的に反対側に配置される第2の熱硬化性樹脂層を含む。複合サンドイッチ構造体は、60kW×分/m2未満の発熱を有する。
【0007】
一実施形態では、複合サンドイッチ構造体を開示する。複合サンドイッチ構造体は、高温熱可塑性ポリマーを含む熱可塑性樹脂層を含む。複合サンドイッチ構造体は、熱可塑性樹脂層の上に配置される第1の熱硬化性樹脂層を含む。複合サンドイッチ構造体は、第1の熱硬化性樹脂層の上に位置付けられる芯材を含み、芯材は複数のセルを含む。複合サンドイッチ構造体は、芯材の第1の熱硬化性樹脂層とは実質的に反対側に配置される第2の熱硬化性樹脂層を含む。複合サンドイッチ構造体は、高温熱可塑性ポリマーを含む付加的な熱可塑性樹脂層を含む。複合サンドイッチ構造体は、60kW×分/m2未満の発熱性を有する。
【0008】
一実施形態では、複合サンドイッチ構造体を開示する。複合サンドイッチ構造体は、高温熱可塑性ポリマーを含む熱可塑性樹脂層を含む。複合サンドイッチ構造体は、熱可塑性樹脂層の上に配置される付加的な熱可塑性樹脂層を含み、付加的な熱可塑性樹脂層は高温熱可塑性ポリマーを含む。複合サンドイッチ構造体は、付加的な熱可塑性樹脂層の上に配置される第1の熱硬化性樹脂層を含む。複合サンドイッチ構造体は、第1の熱硬化性樹脂層の上に位置付けられる芯材を含み、芯材は複数のセルを含む。複合サンドイッチ構造体は、芯材の第1の熱硬化性樹脂層とは実質的に反対側に配置される第2の熱硬化性樹脂層を含む。複合サンドイッチ構造体は、60kW×分/m2未満の発熱性を有する。
【0009】
一実施形態では、複合材を作製する方法を開示する。本方法は、レイアップ(lay-up)成形体を形成することを含む。レイアップ成形体は、高温熱可塑性ポリマーを含む少なくとも1つの熱可塑性樹脂層を含み、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層はレイアップ成形体の最外層である。レイアップ成形体は、第1の熱硬化性樹脂層を含む。レイアップ成形体は、第2の熱硬化性樹脂層を含む。レイアップ成形体は、第1の熱硬化性樹脂層と第2の熱硬化性樹脂層との間に配置される芯材を含み、芯材は複数のセルを含む。本方法は、レイアップ成形体を金型内で押圧することを含む。本方法は、レイアップ成形体を金型内で硬化させて、60kW×分/m2未満の発熱性を有する複合サンドイッチを形成することを含む。
【0010】
一実施形態では、モノリシック複合材を開示する。モノリシック複合材は、その中に複数の繊維および高温熱可塑性樹脂を有する少なくとも1つの熱可塑性樹脂層を含み、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層は、60kW×分/m2未満の発熱性を示す。
【0011】
一実施形態では、モノリシック複合材を作製する方法を開示する。本方法は、その中に高温熱可塑性樹脂および複数の繊維を有する少なくとも1つの熱可塑性樹脂層を含むレイアップを形成することを含む。本方法は、レイアップ成形体を選択された形状に形成することを含む。本方法は、レイアップ成形体を硬化させて、60kW×分/m2未満の発熱性を有するモノリシック複合材を形成することを含む。
【0012】
一実施形態では、複合構造体を開示する。複合構造体は、第1の複数の繊維および第1の熱硬化性樹脂を有する第1の熱硬化性樹脂層を含む。複合構造体は、第1の熱硬化性樹脂層の下に配置される第2の熱硬化性樹脂層を含み、第2の熱硬化性樹脂層は、第2の複数の繊維および第2の熱硬化性樹脂を有する。複合構造体は、第1の熱硬化性樹脂層に接合される金属層を含む。
【0013】
一実施形態では、複合構造体を作製する方法を開示する。本方法は、レイアップ成形体を金型内に配置することを含み、レイアップ成形体は、第1の複数の繊維を有する第1の熱硬化性樹脂層と、第1の熱硬化性樹脂層の下に配置される第2の熱硬化性樹脂層であり、第2の複数の繊維を有する、第2の熱硬化性樹脂層と、第1の熱硬化性樹脂層の上に配置される金属層であり、レイアップ成形体の最外層である金属層とを含む。本方法は、レイアップ成形体を金型内で約10バール(1MPa)以下の圧力で押圧することを含む。本方法は、レイアップ成形体を少なくとも部分的に硬化させて、複合積層構造体を形成することを含む。
【0014】
一実施形態では、複合構造体を開示する。複合構造体は、第1の複数の繊維および第1の熱硬化性樹脂を有する第1の熱硬化性樹脂層を含む。複合構造体は、第1の熱硬化性樹脂層の下に配置される第2の熱硬化性樹脂層を含み、第2の熱硬化性樹脂層は、第2の複数の繊維および第2の熱硬化性樹脂を有する。複合構造体は、第1の熱硬化性樹脂層と第2の熱硬化性樹脂層との間に配置される芯材を含み、芯材は、共に接合された複数のセルを含む。複合構造体は、第1の熱硬化性樹脂層に接合される金属層を含む。
【0015】
開示された実施形態のいずれかからの特色は、限定されることなく、互いに組み合わせて使用され得る。加えて、本開示の他の特色および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面を考慮することを通して、当業者に明らかとなるであろう。
【0016】
図面は、本発明のいくつかの実施形態を例示するものであり、同一の参照番号は、図面に示された異なる図または実施形態において、同一または同様の要素または特色を指す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態による、複合サンドイッチの等角図である。
【
図2】一実施形態による、複合サンドイッチの側方断面図である。
【
図3】一実施形態による、複合サンドイッチの側方断面図である。
【
図4】一実施形態による、複合サンドイッチの側方断面図である。
【
図5】一実施形態による、モノリシック複合材の側方断面図である。
【
図6】一実施形態による、背もたれの等角図である。
【
図8】一実施形態による、複合材を作製する方法のフローチャートである。
【
図9】一実施形態による、モノリシック複合材を作製する方法のフローチャートである。
【
図10】一実施形態による、複合構造体の側方断面図である。
【
図11】一実施形態による、複合構造体の側方断面図である。
【
図12】一実施形態による、その中に位置付けられるレイアップ成形体を有する金型の側方断面図である。
【
図13】一実施形態による、成形された複合材構造体の等角図である。
【
図14】一実施形態による、複合構造体を作製する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書に開示される実施形態は、熱硬化性樹脂層に接合される熱可塑性樹脂層を含有する複合構造体に関する。より詳細には、実施形態は、ポリマー樹脂の組成および性質の組合せ、ポリマー樹脂を適用して、繊維強化された複合構造体を形成する装置および方法、ならびにポリマー樹脂を含有する繊維強化された複合構造体に関する。繊維強化された複合構造体における隣接する層中のポリマー樹脂は、それぞれ熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂を含む。本明細書に開示される熱可塑性樹脂およびこれを有する層は、複合構造体の最外(例えば、前面)表面またはその近傍に配置される場合、優れた発熱特性を提供する。複合構造体には、複合サンドイッチ、複合積層体、モノリシック複合材などが含まれ得る。
【0019】
エポキシ樹脂マトリックスにおける炭素繊維などの従来の複合積層体は、相対的に高い燃焼性および発熱性を有する。典型的には、比較的に低い発熱性を有する複合部材が所望される場合、フェノール樹脂が不活性であるため、複合部材に使用される。これは、低い発熱性を得るための従来的な材料選択であった。しかしながら、フェノール樹脂は相対的に不良な機械的性質を有する。少なくとも本明細書に開示される熱可塑性樹脂層を有する複合構造体は、発熱性を損なうことなく、より良好な機械的性質を提供する。
【0020】
熱硬化性樹脂ベースの複合積層体層は、美的に好ましい表面とならないことが多い。例えば、熱硬化性樹脂層は、表面欠陥(例えば、ピンホール不完全性)、不良な色の均一性、または他の欠陥に苦慮する場合がある。したがって、熱硬化性樹脂層を有する複合材は、通常、表面に塗装されるかまたはステッカー(例えば、ビニル)が適用されて、選択された外観をもたらす。しかしながら、そのような塗装またはステッカーは、熱硬化性樹脂層を引っ掻くかまたは剥落する場合がある。
【0021】
熱可塑性樹脂は、選択された表面仕上がりをより容易に提供する傾向があり、またその中に着色剤が含まれる場合、良好な彩度および均一性を可能にする。しかしながら、熱可塑性樹脂は、通常、熱硬化性樹脂に直接的に接合しない。例えば、本明細書に開示される熱硬化性樹脂は、ポリアミド、ポリエチレン(例えば、LDPEまたはHDPE)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などの熱可塑性樹脂に容易には接合しないエポキシ樹脂などの成分を含み得る。構造的部材として、その中に熱可塑性樹脂を含むことは、熱可塑性樹脂の相対的に低い機械的強度(例えば、強剛性、弾性率など)のために望ましくない。さらに、大部分の熱可塑性樹脂の相対的に低い融点により、一部の用途では熱可塑性樹脂は望ましくないものとなり得る。しかしながら、本明細書に開示される熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂に容易に接合するポリウレタンを含有する混合物を含み、本明細書に開示される熱可塑性樹脂層に接合する熱硬化性樹脂層を含有する複合積層(例えば、サンドイッチまたはモノリシック)構造体を、軽量で強度のあるものとし、色および質感の1つ以上において調整された表面仕上がりを持つことが可能となる。
【0022】
熱可塑性樹脂層と熱硬化性樹脂層の組合せは、複合サンドイッチ構造体(例えば、複合積層体)に使用され得る。本明細書に開示される複合サンドイッチは、1つ以上の熱可塑性樹脂層を含む。そのような熱可塑性樹脂層は、高温熱可塑性ポリマーを含む。一部の例では、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層は、複合サンドイッチの芯材より最外表面のより近傍などの、芯材の上方に配置され得る。一部の例では、複合サンドイッチは、芯材の片面または両面などの、熱可塑性樹脂層の下に配置される少なくとも1つの熱硬化性樹脂層を含み得る。一部の例では、複合サンドイッチは、複合サンドイッチの最内表面(例えば、最外表面と実質的に反対側)の近傍に配置される付加的な熱可塑性樹脂層を含み得る。さまざまな実施形態を以下に開示する。
【0023】
図1は、一実施形態による、複合サンドイッチ100の等角図である。複合サンドイッチ100は、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層110、芯材120、ならびに少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130および/または140を含み得る。少なくとも1つの熱可塑性樹脂層110は、少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130の上に配置され得る。少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130は、芯材120の上に配置され得る。芯材120は、少なくとも1つの熱硬化性樹脂層140の上に配置され得る。複合サンドイッチ100の層は、付加的な層(例えば、付加的な熱可塑性樹脂層、付加的な芯材、付加的な熱硬化性樹脂層、アルミニウム層、塗装など)をさらに含んでもよく、または1つ以上の実施形態では、図示された層のいずれかを省略してもよい。
【0024】
示されるように、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層110は、複合サンドイッチ100の最外層であり得る。したがって、熱可塑性樹脂層110は、複合積層構造体の最外表面などの、複合サンドイッチ100の表面112を形成し得る。したがって、熱可塑性樹脂層110は、複合積層構造体の外表面に、色または質感などの選択された外観をもたらし得る。熱可塑性樹脂層110は、1つ以上の熱可塑性成分を含む熱可塑性樹脂を含み得る。例えば、熱可塑性樹脂層110は、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、ポリフルオロエチレンプロピレン(FEP)、ポリエチレンテレフタレート/ポリブチレンテレフタレート(PET/PBT)、他の高温熱可塑性樹脂(例えば、200℃を超える融点を有する熱可塑性樹脂)、または200℃を超える融点を有する前述のいずれかの誘導体のうちの1つ以上を含み得る。熱可塑性樹脂は、液体または固体の形態で提供されてもよい。例えば、熱可塑性樹脂は、融点まで加熱される前に、粉末、結晶、粒状、ビーズ、パール、シート、棒状、あらかじめ含浸された繊維層(例えば、プリプレグ)などであってもよい。一部の例では、熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂の融点を超えるなどの液体、またはポリマー溶液もしくは樹脂の形態で提供されてもよい。
【0025】
熱可塑性樹脂層110は、本明細書に開示される熱可塑性樹脂のいずれかまたはそれらの組合せを保持または保有する複数の繊維を含んでもよい。一部の例では、複数の繊維は、ポリマーマトリックス(例えば、熱可塑性樹脂)に埋め込まれてもよい。複数の繊維には、繊維シート、繊維マット、繊維布、繊維織物、多層繊維シート、連続繊維、整列繊維、不連続繊維などが含まれ得る。一部の例では、配向または整列された連続繊維は、不連続繊維より高い性能を有する場合があり、織繊維などの不連続繊維より、表面美化のためにより魅力的であり得るが、高コストである。配向した連続繊維を含む熱可塑性樹脂層は、不連続繊維を含む熱可塑性樹脂層ほどには伸縮しない場合がある。不連続繊維は、低コストの再生ガラス繊維、ポリマー繊維、または炭素繊維であってもよい。例えば、樹脂トランスファー成形(RTM)または他の入手源からの廃棄物である再生炭素繊維が使用されてもよい。例えば、炭素繊維は、乾燥NCF廃棄物から35mm繊維に切断され、次に少なくとも約200g/m2の面積密度を有するランダムに配向した繊維シートに形成され得る。
【0026】
繊維には、炭素繊維、ガラス繊維、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、硫化ポリフェニレン(PPS)などのプラスチック繊維が含まれ得る。一部の例では、ガラス繊維は、炭素繊維より、熱可塑性樹脂層を形成するための経済的な選択肢が存在し得る。さらに、ガラス繊維は、加熱および押圧された場合、熱可塑性繊維ほどには変形(例えば、伸縮または曲がる)しない場合がある。例えば、成形/硬化プロセス中に、複合積層構造体におけるプラスチック繊維は、ガラス繊維よりはるかに伸縮し、曲がる。
【0027】
一部の例では、複数の繊維には、ガラス布、ポリマー布、または炭素繊維布が含まれ得る。布は、ノンクリンプ布(NCF)または織布であってもよい。一部の例では、NCFは、二軸構成(例えば、相対的に0°および90°の角度に配置された繊維)を有し得る。二軸NCFは、二方向の強度および剛性ならびに可撓性のある強度および剛性を有する。NCFは、熱可塑性樹脂単独より、高荷重領域において、より大きい引き抜き荷重または引張り強度を提供し得る。NCFはまた、複合芯材からのプリントスルーを低減し得る。繊維布は、その中に1つ以上の繊維の層を有し得る。
【0028】
一部の例では、熱可塑性樹脂層110中の複数の繊維は、約50g/m2以上、80g/m2以上、100g/m2以上、例えば、約150g/m2~約500g/m2、約175g/m2~約350g/m2、約200g/m2、約220g/m2、約300g/m2、または約500g/m2未満などの質量または重量を有し得る。一部の例では、熱可塑性樹脂層110(または他の選択された層)中の複数の繊維は、複合材をさらに強化するために、付加的な繊維の層(例えば、約300g/m2の質量または重量を有するNCF)を含んでもよい。付加的な繊維の層は、第1の層とは別個のものであってもよく、または第1の繊維の層と同じポリマーマトリックスに埋め込まれてもよい。
【0029】
複数の繊維は、熱可塑性樹脂層110の少なくとも10wt%、例えば、熱可塑性樹脂層110の10wt%~90wt%、20wt%~80wt%、30wt%~70wt%、40wt%~60wt%、10wt%~30wt%、30wt%~60wt%、60wt%~90wt%、33wt%~66wt%、63wt%~80wt%、90wt%未満、70wt%未満、50wt%未満、または30wt%未満を構成し得る。熱可塑性(樹脂)は、熱可塑性樹脂層110の少なくとも10wt%、例えば、熱可塑性樹脂層110の10wt%~90wt%、20wt%~80wt%、30wt%~70wt%、40wt%~60wt%、10wt%~30wt%、30wt%~60wt%、60wt%~90wt%、90wt%未満、70wt%未満、50wt%未満、または30wt%未満を構成し得る。一部の例では、熱可塑性樹脂層110において33wt%未満の熱可塑性樹脂を使用し、残りはガラス繊維などの繊維を含むことが望ましい場合がある。そのような例では、外層に33wt%未満の熱可塑性樹脂を含有する複合サンドイッチ構造体の発熱性は、非常に低い場合がある(例えば、30kW×分/m2未満)。
【0030】
一部の例では、熱可塑性樹脂層110はまた、ハードナー(hardener)、充填剤、着色剤などの1つ以上の付加的な材料を含んでもよい。例えば、熱可塑性樹脂層110のポリマー樹脂(例えば、熱可塑性樹脂)は、熱可塑性樹脂層110に選択された色をもたらすために、着色剤(例えば、顔料)を含んでもよい。一部の例では、熱可塑性樹脂層110は、熱可塑性樹脂などの熱可塑性材料のみを含有してもよい。
【0031】
熱可塑性樹脂層は、約0.01mmを超える厚さ、例えば、0.01mm~5mm、0.1mm~1mm、0.05mm~0.5mm、0.05mm~0.3mm、0.3mm~0.6mm、0.6mm~1mm、5mm未満、2mm未満、または1mm未満の厚さを有し得る。一部の例では、熱可塑性樹脂層110は、層全体にわたり、均一な厚さを持たない場合がある。
【0032】
一部の例では、熱可塑性樹脂層110は、予備成形体として提供されてもよい。例えば、PEIは相対的に高い融点を有し、硬化されて、1つ以上の熱硬化性樹脂層130または140と結び付ける前に、中間体または最終形状を形成し得る。そのような例では、1つ以上の(予備成形された)熱可塑性樹脂層110または熱硬化性樹脂層130もしくは140のうちの1つ以上(以下で論じられる)は、金型の角部をより容易に満たし得る。
【0033】
熱可塑性樹脂層110は、熱硬化性樹脂層130の上に配置されてもよい。熱可塑性樹脂層110は、熱硬化性樹脂層130に結合されてもよい。例えば、熱硬化性樹脂層130のポリマー樹脂中の成分(例えば、ポリウレタン)は、熱可塑性樹脂層110の熱可塑性樹脂(例えば、PEI樹脂)に接合してもよい。一部の例では、熱可塑性樹脂層110は、接合前に研磨されて、まだ未硬化の熱硬化性樹脂層130に接合するための粗面を提供し得る。一部の例では、表面112の触感は選択的に形成されて、滑らかな外観、ざらざらした外観、革の外観、または任意の他の質感を持つ外観などの所望の外観を提供し得る。
【0034】
熱硬化性樹脂層(例えば、熱硬化性樹脂-含有層)130は、複数の繊維の上に配置される熱硬化性樹脂を含み得る。熱硬化性樹脂層130は、相対的に低い粘度を有する1つ以上の熱硬化性樹脂と、相対的に高い粘度を有する1つ以上の熱硬化性樹脂とのポリマー樹脂混合物を含み得る。例えば、熱硬化性樹脂層130は、ポリウレタンおよびエポキシ樹脂を含むポリマー(例えば、熱硬化性)樹脂を含み得る。熱硬化性樹脂は、室温で相対的に低い粘度(例えば、約40mPa秒以下)を有し得る。一部の例では、より詳細は以下で説明するが、熱硬化性樹脂層130の熱硬化性樹脂は、少なくとも1つのハードナー、少なくとも1つのVIII族金属材料、少なくとも1つの充填材料、または少なくとも1つの熱可塑性樹脂のうちの1つ以上を含んでもよい。熱硬化性樹脂の相対的に低い粘度は、熱硬化性樹脂成分(例えば、エポキシ樹脂)が一般に低粘度の熱硬化性樹脂より相対的に高い粘度を有するため、低粘度熱硬化性樹脂(例えばポリウレタン、例えば室温で約150センチポアズの粘度を有するポリウレタン)が主に要因となり得る。ポリウレタンの粘度は、約30~40mPa秒であり得て、エポキシ樹脂の粘度は、約50~70mPa秒(または特定の場合は約15mPa秒)であり得る。一部の例では、熱硬化性樹脂層130の熱硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂層が熱硬化性樹脂として作用する限り、少量の(例えば、50wt%またはvol%未満)などの1つ以上の熱可塑性成分(例えば、樹脂)をその中に含み得る。
【0035】
熱硬化性(ポリマー)樹脂は、エポキシ樹脂とポリウレタンとの液体ブレンドまたは混合物を含み得る。一部の例では、熱硬化性樹脂は、硬化剤またはハードナーを含む最大で約50体積%のエポキシ樹脂、約20体積%までのVIII族金属材料を含み得て、残りの体積はポリウレタンであり得る。混合された場合、エポキシ樹脂は、ポリウレタンと(例えば、熱的および/または化学的に)反応し得る。エポキシ樹脂の量がある一定の量(例えば、約40体積%)を超過する場合、所望されない反応が起こる場合があり、所望されない熱および/または制御されない発泡を起こし得る。一部の例では、熱硬化性樹脂層のポリマー樹脂(熱硬化性樹脂)は、ポリマー樹脂の約50体積%未満のエポキシ樹脂、例えば、約40体積%のエポキシ樹脂、約5体積%~約40体積%、約10体積%~約35体積%、約20体積%~約30体積%、約20体積%~約40体積%、約25体積%~約35体積%、約28体積%~約32体積%、約20体積%、約25体積%、約35体積%、または約30体積%などを含み得る。一部の例では、熱硬化性樹脂は、約30体積%未満のエポキシ樹脂を含んでもよい。一部の例では、熱硬化性樹脂は、約20体積%未満のエポキシ樹脂を含んでもよい。一部の例では、熱硬化性樹脂は、約10体積%未満のエポキシ樹脂を含んでもよい。一部の例では、熱硬化性樹脂のポリウレタンのエポキシ樹脂に対する比は、約1:1以上、例えば、約2:1、約2.5:1、約3:1、約3.5:1、約4:1、約5:1、約7:1、または約9:1であり得る。一部の例では、熱硬化性樹脂は、約50体積%を超えるエポキシ樹脂を含み、残りはポリウレタンを含んでもよい。
【0036】
熱硬化性樹脂層130の熱硬化性樹脂中のポリウレタンは、熱可塑性樹脂層110の熱可塑性樹脂などとの、複合サンドイッチ100における隣接する材料との接合をもたらし得る。例えば、ポリウレタンは、PEIとの強い接合を形成する。したがって、熱硬化性樹脂中のポリウレタンは、熱可塑性樹脂層(例えば、表皮材)と熱可塑性芯材(例えば、PEI管)の両方と強い接合を形成し得る。
【0037】
熱硬化性樹脂は、複合積層体と複合サンドイッチの芯材との接合を高め得るポリウレタンフォーム(例えば、微細フォーム)の形成を可能にし得る。本明細書の一部の例では、選択された量の発泡が、熱硬化性樹脂層の熱硬化性樹脂において、その中の1つ以上の成分(例えば、反応して微細フォームを形成するポリウレタン)によるなどで所望され得る。熱硬化性樹脂中のポリウレタンが発泡すると、フォーム(例えば、微細フォーム)が、芯材120のセルまたは管の内に浸潤し、それによって、芯材120との化学的接合と機械的接合の一方または両方が形成され得る。そのような浸潤は、芯材120の開口端で起こり得て、開口端から内側への少なくとも部分的な浸潤を含み得る。本開示により形成された複合サンドイッチ構造体の複合表皮材(例えば、熱硬化性樹脂層)は、本明細書に開示される熱硬化性樹脂を用いないで形成された複合表皮材ほど容易には、本明細書に開示される芯材から剥離しないことが見出された。
【0038】
ポリウレタンとエポキシ樹脂との混合物などの熱硬化性樹脂は、その中の1つ以上の材料の性質に起因して、硬化後に耐水性となり得る。一般に、熱硬化性樹脂(例えば、ポリウレタン微細フォーム)は透水性を有し得て、一方、別の熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)は耐水性であり得る。したがって、熱硬化性樹脂層の熱硬化性樹脂は、耐水性の熱硬化性樹脂が十分な量で使用された場合、耐水性であるかまたは水から密封され得る。例えば、ポリウレタン/エポキシ熱硬化性樹脂中のエポキシ樹脂の量が、約28体積%を超える(例えば、30体積%)場合、熱硬化性樹脂層は、実質的に耐水特性を示し得る。
【0039】
エポキシ樹脂は、一般にポリウレタンより短い貯蔵寿命を有する。一部の例では、エポキシ樹脂は、使用のほんの数時間前に混合され得る。対照的に、ポリウレタンは、一般にエポキシ樹脂より長い貯蔵寿命を有し、イソシアネート化学に基づいて、調整可能な貯蔵寿命およびスナップ硬化能を有し得る。一部の例では、ポリウレタンまたはエポキシ樹脂は、1つ以上の難燃性成分を含み得る。例えば、熱硬化性樹脂は、フェノール系エポキシ樹脂またはその等価物を含み得る。
【0040】
一部の例では、熱硬化性樹脂は、少なくとも1つの硬化剤またはハードナーを含み得て、ハードナーは、熱硬化性樹脂の1つ以上の成分を硬化させるように構成され得る。例えば、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂およびポリウレタンを含む場合、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂またはポリウレタンの一方または両方のためのハードナーを含み得る。一部の例では、少なくとも1つのハードナーは、詳細には、熱硬化性樹脂の1つの成分のみを硬化させるように複合され得る。好適なハードナーには、エポキシ樹脂用のアミン系ハードナー、ポリウレタン用のポリイソシアネート含有ハードナー、または本明細書に開示される熱硬化性樹脂の1つ以上の成分を硬化させるのに好適な任意の他のハードナーが含まれ得る。例えば、少なくとも1つのハードナーは、エポキシ樹脂用のアミン系ハードナーおよびポリウレタン用のポリイソシアネート含有ハードナーを含み得る。一例では、少なくとも1つのハードナーは、体積で、熱硬化性樹脂またはその成分(例えば、エポキシ樹脂またはポリウレタン)の約1:100~約1:1、約1:100~約1:25、約1:25~約1:5、約1:10~約1:3、または約1:5~約1:3の比で存在し得る。例えば、エポキシ樹脂は、体積で、熱硬化性樹脂の約10%~約35%であり得て、少なくとも1つのハードナーは、体積で、熱硬化性樹脂またはその成分の約1:100~約1:3の比(例えば、1:5のハードナーと樹脂との比またはハードナーとエポキシ樹脂との比)で存在し得て、ポリウレタンは、熱硬化性樹脂の残りの少なくとも一部となり得る。少なくとも1つのハードナーは、熱硬化性樹脂を硬化させる(例えば、少なくとも部分的に固める)のに十分な量で、所望の時間で、熱硬化性樹脂に適用するのに必要とされる時間に応じて、例えば約3時間以下、約2時間以下、約1時間以下、約30分以下、約20分以下、約15分以下、または約10分以下で、複合されるかまたは使用され得る。硬化剤またはハードナーは、熱硬化性樹脂またはその成分の1部当たり、約1:100部~約1:3部の硬化剤またはハードナーの比において、熱硬化性樹脂中に存在し得る。一部の例では、ハードナーは、約50℃以上、例えば約50℃~約150℃、約70℃~約120℃、または約70℃~約90℃、または約70℃以上で硬化を開始するように複合され得る。
【0041】
一部の例では、熱硬化性樹脂はまた、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂のうちの1つ以上のブレンド、例えばエポキシ樹脂、ポリウレタンおよび熱可塑性繊維のうちの1つ以上の混合物などを含み得る。熱可塑性樹脂は、硬化された複合部品に、靭性または回復力をもたらすために含まれ得る。好適な熱可塑性樹脂には、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、硫化ポリフェニレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)もしくは別のポリアリールエーテルケトン、またはアクリル系物質のうちの1つ以上が含まれ得る。熱可塑性樹脂は、体積で、熱硬化性樹脂の約1%~約20%に相当し得る。例えば、エポキシ樹脂は、体積で熱硬化性樹脂の約10%~約35%であり得て、熱可塑性樹脂は、体積で熱硬化性樹脂の約1%~約20%であり得て、ポリウレタンは、熱硬化性樹脂の残りとなり得る。一部の例では、エポキシ樹脂は、体積で熱硬化性樹脂の約25%~約35%であり得て、熱可塑性樹脂は、体積で熱硬化性樹脂の約3%~約15%であり得て、ポリウレタンは、熱硬化性樹脂の残りとなり得る。一般にガラス繊維とコスト的に比較すると、熱可塑性繊維は、成形中に、熱硬化性樹脂層に埋め込まれた熱可塑性材料の伸縮が所望される場合に望ましい場合がある。注目すべきことに、ガラス繊維および炭素繊維は、成形中に伸縮しない。一部の例では、そのような耐伸縮性が所望される場合がある。
【0042】
エポキシ樹脂とポリウレタンとの間の所望されないかまたは制御されない反応(例えば、制御されない発泡)を起こすのに十分なエポキシ樹脂の体積百分率または比は、VIII族金属材料の添加に伴い変化し得る。VIII族金属材料は、熱硬化性樹脂中のエポキシ樹脂とポリウレタンとの反応を安定化するかまたは媒介するのに役立ち得る。VIII族金属材料には、中でも、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、これらの1つ以上を含むセラミック(例えば、フェライト)、またはこれらのいずれかを含む合金が含まれ得る。VIII族金属材料は、熱硬化性樹脂の20体積%以下、例えば熱硬化性樹脂の体積の約0.1%~約20%、約0.5%~約10%、約1%~約5%、約2%、約3%、または約4%以下などであり得る。一部の例では、VIII族金属材料は、熱硬化性樹脂の約15体積%未満、熱硬化性樹脂の約10体積%未満、約5体積%未満、約1体積%未満であり得る。VIII族金属材料を熱硬化性樹脂に添加することにより、その中のエポキシ樹脂の量を増加して、所望の表面硬さを提供し、および/または実質的に水密表面を作り出すことができる。例えば、熱硬化性樹脂中のエポキシ樹脂の体積百分率が約25%を超えて増加すると、硬化された複合材は、水密性を示し始める場合がある。最終製品において水密性が所望される場合、熱硬化性樹脂は、体積で約28%以上のエポキシ樹脂、例えば体積で約30%以上、約30%~約50%、約32%~約40%、または約35%のエポキシ樹脂を含み得る。熱硬化性樹脂中のエポキシ樹脂の量が増加すると、得られた複合材料中のピンホールまたは微小細孔を低減または実質的に除去するために、VIII族金属材料を添加して、発泡を低減するかまたは制御することができる。VIII族金属材料は、熱硬化性樹脂を安定化する助けとなり得るが、VIII族金属材料は、熱硬化性樹脂および複合部材のコストを増大させるか、または熱硬化性樹脂の粘度を増加させ得る。
【0043】
一部の例では、硬化中の収縮を低減するために、1つ以上の充填剤が熱硬化性樹脂混合物に添加され得る。例えば、非常に速く硬化するエポキシ樹脂が選択された場合、速く硬化するエポキシ樹脂は、より遅く硬化するエポキシ樹脂より高い、約7体積%などの収縮を示し得る。一部の例では、熱硬化性樹脂に1つ以上の充填剤を利用することにより、同じ樹脂においてそのような収縮を低減することができる。そのような充填剤には、炭酸カルシウム、三水酸化アルミニウム、アルミナ粉末、シリカ粉末、シリケート、金属粉末、または任意の相対的に不活性または不溶性(熱硬化性樹脂における)塩のうちの1つ以上が含まれ得る。過剰の充填材料により、硬化した複合材が望ましくない脆弱さを示す場合がある。したがって、熱硬化性樹脂中の充填材料の量の精密制御が望ましい。一部の例では、充填剤は、熱硬化性樹脂の体積の約30%以下、例えば、熱硬化性樹脂の体積の約1%~約30%、約2%~約20%、約5%~約15%、約10%~約30%、約1%~約10%、0パーセントより多く約10%まで、約1%~約7%、約3%~約9%、約10%未満、約25%、10%超(例えば、50%~75%)であり得る。例えば、熱硬化性樹脂は、ポリウレタン、エポキシ樹脂、および少なくとも1つの充填材料を含んでもよく、エポキシ樹脂は、体積でポリマー樹脂の約10%~約35%であり、少なくとも1つの充填材料は、体積でポリマー樹脂の約1%~約30%であり、ポリウレタンは、熱硬化性樹脂の残りの少なくとも一部となる。一部の例では、エポキシ樹脂は、体積で熱硬化性樹脂の約25%~約35%であり得て、少なくとも1つの充填材料は、体積で熱硬化性樹脂の約1%~約10%または約3%~約20%であり得て、ポリウレタンは、熱硬化性樹脂の残りの少なくとも一部となり得る。樹脂が硬化すると、充填材料は、熱硬化性樹脂のように収縮することはない。したがって、充填材料により置き換えられた熱硬化性樹脂の体積により、それにより得られた複合材料に安定な体積をもたらし、複合材料の全般的な収縮を低減する。そのような充填剤は、典型的には速い硬化中に起きる収縮を低減しながら、より速い硬化時間を可能にし得る。例えば、本明細書に開示される熱硬化性樹脂の硬化時間は、3体積%未満の収縮を維持しながら、約6分以下、例えば約3分以下、約90秒以下、約60秒、または約40秒などに低減され得る。充填剤は、収縮を低減または除去する助けとなり得るが、充填剤は、熱硬化性樹脂および複合部材のコストを増大させるか、または熱硬化性樹脂の粘度を増加させ得る。一部の例では、エポキシ樹脂、ポリウレタン、熱可塑性樹脂、VIII族金属材料、または充填材料のうちの1つ以上の組合せは、約3体積%未満の正味収縮率を提供し、および/または相対的に低い圧力において、噴霧チップから噴霧されるのに十分なほど低い粘度を依然として示すように構成され得る。
【0044】
ポリウレタン含有熱硬化性樹脂は、所望の曲げ耐性、回復力、低粘度、さまざまな材料に接合する能力、または発泡能(例えば、複合積層構造体の形成中に微細発泡を形成する能力)のうちの1つ以上を熱硬化性樹脂にもたらし得る。エポキシ樹脂を含有する熱硬化性樹脂は、所望のエネルギー吸収または部品の表面に平行な力ベクトルに沿った脆弱な破壊などの機械的破損プロファイルを熱硬化性樹脂にもたらし得る。エポキシ樹脂を含有する熱硬化性樹脂は、得られた複合積層体に耐水(例えば、水密)特性をもたらすか、または高ポリウレタン含有量またはポリウレタン単独より、良好な荷重伝達能力(例えば、より硬い表面)をもたらし得る。
【0045】
本明細書に開示される熱硬化性樹脂層(例えば、その中の熱硬化性樹脂)は、相対的に小さい収縮率(例えば、約3%未満)を示しながら、相対的に短い硬化時間を有し得る。その中のエポキシ樹脂は、120℃で5分の硬化時間、および約120℃のガラス転移温度(「Tg」)を有し得て、一方、ポリウレタンの硬化時間は約1時間以上、Tgは約250℃未満であり得る。本明細書で使用される場合、用語「硬化する」または「硬化される」は、少なくとも部分的にまたは完全に硬化するかまたは硬化されるという意味を含む。
【0046】
熱硬化性樹脂層の熱硬化性樹脂は、ポリウレタンのみまたはエポキシ樹脂のみを有する樹脂より、より良好な荷重伝達能、ならびに中でも、より高い剛性、強度、モジュラスおよび硬さを含む、改善された機械的性能を有し得る。熱硬化性樹脂はまた、未硬化の液体状態から硬化された固体状態へ、体積で、硬化中に3%以下、例えば、約1.5%~約3%、約2%~約3%、約2.5%~約3%、または約2.5%の低収縮を有し得る。低収縮率により、最終複合部材のより良好な寸法制御が可能となる。
【0047】
熱硬化性樹脂層130は、複数の繊維、例えば本明細書に開示される複数の繊維またはその形態のいずれかなどを含み得る。例えば、熱硬化性樹脂層130中の複数の繊維は、1つ以上の態様において、熱可塑性樹脂層110に関して上に開示された任意の複数の繊維と同様または同一であってもよい。例えば、少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130中の複数の繊維および熱可塑性樹脂層110中の複数の繊維は、繊維シートなどのガラス繊維を含んでもよい。一部の例では、熱硬化性樹脂層130中の複数の繊維は、1つ以上の態様において、熱可塑性樹脂層110中の複数の繊維と異なってもよい。例えば、少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130中の複数の繊維は、炭素繊維を含んでもよく、熱可塑性樹脂層110中の複数の繊維は、ガラス繊維を含んでもよい。少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130中の複数の繊維は、それぞれ、220gsmの繊維シートおよび80gsmの繊維シートなどの、熱可塑性樹脂層110中の複数の繊維とは異なる密度を有してもよい。
【0048】
複数の繊維は、熱硬化性樹脂層130の少なくとも10wt%、例えば、熱硬化性樹脂層130の10wt%~90wt%、20wt%~80wt%、30wt%~70wt%、40wt%~60wt%、10wt%~30wt%、30wt%~60wt%、60wt%~90wt%、33wt%~66wt%、63wt%~80wt%、90wt%未満、70wt%未満、50wt%未満、または30wt%未満を構成し得る。熱硬化性(樹脂)は、熱硬化性樹脂層130の少なくとも10wt%、例えば、熱硬化性樹脂層130の10wt%~90wt%、20wt%~80wt%、30wt%~70wt%、40wt%~60wt%、10wt%~30wt%、30wt%~60wt%、60wt%~90wt%、90wt%未満、70wt%未満、50wt%未満、または30wt%未満を構成し得る。
【0049】
熱硬化性樹脂層130は、約0.01mmを超える厚さ、例えば、0.01mm~1cm、0.01mm~5mm、0.05mm~0.5mm、0.05mm~0.3mm、0.3mm~0.6mm、0.6mm~1mm、1mm~3mm、2mm~5mm、1cm未満、5mm未満、2mm未満、または1mm未満の厚さを有し得る。一部の例では、熱可塑性樹脂層110および熱硬化性樹脂層130の厚さは、同一であってもよい。一部の例では、熱硬化性樹脂層130(および/または140)は、熱可塑性樹脂層110の厚さの少なくとも2倍、例えば、熱硬化性樹脂層130の厚さの少なくとも3倍、少なくとも5倍、または少なくとも10倍である厚さを有し得る。一部の例では、熱硬化性樹脂層130(および/または140)は、層全体にわたり均一な厚さを持たない場合がある。
【0050】
少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130は、芯材120の上に直接的または間接的のいずれかで配置され得て、その逆もまた同様である。芯材120は、「軟質」芯材または「硬質」芯材のうちの1つ以上の材料を含み得る。「硬質」芯材は、芯材の一端(例えば、側面)から芯材のもう一方の端部まで、荷重を効率的に伝達し得る。例えば、「硬質」芯材は、1つ以上のプラスチック材料を含む芯材ブランクから形成され得て、開口端を有するセル(例えば、密に圧縮された(closely-packed)実質的に平行のプラスチック管)などの複数のセルを含み得る。複数のセルは、対応する1つ以上のセル壁によって、少なくとも部分的に規定され得る(例えば、プラスチック材料は、セルが任意の数の好適な形状を有し得るハニカム様の構造を規定し得る)。一部の例では、芯材ブランクの圧縮性セルは、管またはストローによって形成されるかまたは規定され得る。一部の例では、セルは、飲用ストローなどの管であってもよい(例えば、各ストローは芯材の対応するセルを規定し得て、隣接する芯材はそれらの間の間隙または空間における付加的なセルを規定し得る)。セルは、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、硫化ポリフェニレン(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、PEI、または他の熱可塑性樹脂から形成され得る。熱可塑性ストローは、非常に低コストでポリカーボネートから商業的に作製され得て、全般的に平行に整列して共に固定され得る。芯材120におけるポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、PEI、または他のプラスチックの使用により、芯材120への張力の印加時に、ダンボールまたはボール紙の芯材材料に見出されるよりも、より大きい引き裂き耐性がもたらされ得る。一部の例では、ハニカム様の構造は、非円筒型管から形成される複数の非円筒型セルによって提供され得る。一部の例では、芯材120は、共通の壁を共有する複数の共押出しされた熱可塑性管を含む単位的構造体を含み得る。芯材120は、複数のセルにおいて、2つ以上の型または形状のセルを有し得る。複合サンドイッチの芯材120(例えば、PEIプラスチック管の束)は、シャーシまたはダッシュボード;背もたれなどの座席部材;隔壁または頭上の荷物棚などの構造的部材;などの自動車部材を製作するのに好適であり得る。
【0051】
硬質芯材は、独立気泡フォームなどのフォームを代替的または付加的に含み得る。フォームは、高密度フォームであっても、または低密度フォームであってもよい。フォームは、ブロック、シート、または他の発泡体などの発泡体であってもよい。フォームは、本明細書に開示される熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂のいずれかから作製され得る。一部の例では、フォームは、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリメタクリルイミド(PMI)、または任意の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂などの他のポリマーベースのフォームを含み得る。発泡体のフォームは、連続気泡フォームであっても、または独立気泡フォームであってもよい。発泡体のフォームは、自由発泡の(free rise)フォームであってもよい。一部の例では、グラフェン(例えば、グラフェンシート、フレーク、スプリングなど)、カーボンナノチューブ(例えば、単一もしくは多重のカーボンナノチューブ)、またはフラーレンなどのsp2炭素含有材料は、発泡芯材の材料に配置され得る。例えば、グラフェンフレークまたは別のsp2炭素含有材料は、発泡芯材のポリマー材料に組み込まれ得る。そのような例では、発泡芯材におけるsp2炭素含有材料の量は、発泡芯材の約30重量%未満、例えば、1wt%~30wt%、1wt%~10wt%、5wt%~15wt%、10wt%~20wt%、20wt%~30wt%、または発泡芯材の20wt%未満であり得る。発泡芯材を利用する例では、熱硬化性樹脂(例えば、これから形成された微細フォーム)は、ポリウレタンまたはフォームのセルへの浸潤を介するなどで、発泡芯材を(付加的な)熱硬化性樹脂層130に接合し得る。一部の例では、フォーム(例えば、発泡体)は、複数のセルに隣接する別個の層として存在してもよい。一部の例では、フォームは、複数のセルへの圧縮によるなどで、少なくとも一部の複数のセル内に少なくとも部分的に存在し得る。硬質芯材は、複合サンドイッチに高い曲げ剛性をもたらすことができる。「硬質」芯材は、「軟質」芯材より、複合サンドイッチの曲げ剛性を増加させ得る。
【0052】
管または飲用ストローなどの開口端プラスチックセルから形成されるなどの「硬質」芯材は、従来のエポキシ樹脂を使用して、複合積層体(例えば、芯材上の1つ以上の熱硬化性樹脂および/または熱可塑性樹脂層)に付着させることが困難な場合がある。例えば、複合積層体は、従来のエポキシ樹脂が使用された場合、「硬質」芯材から、より剥離しやすくなる場合がある。本明細書に開示される例による熱硬化性樹脂は、そこに十分な接着をもたらすことによって(例えば、開口端を介して少なくとも部分的にセル内に延在し得るポリウレタン/エポキシ樹脂のブレンドによって形成された微細フォームとのより大きい接着によって)、「硬質」芯材を含む複合サンドイッチに関する剥離問題を解決する。一部の例では、セルの開口端は、圧縮、溶融などの1つ以上を介するなどで、複合サンドイッチ構造体の製造中に、少なくとも部分的に変形され得る。そのような変形は、芯材120に隣接する層中の熱硬化性樹脂を、芯材120に接着する助けとなり得る。
【0053】
「硬質」芯材とは対照的に、例えば「軟質」芯材は、ボール紙、もしくはダンボール、または低密度のフォームなどから形成され得て、「軟質」芯材は、芯材の一端に荷重が印可された場合、芯材の一端から芯材の反対側の端に、荷重を伝達しない場合がある。「軟質」芯材は、衝撃がZ軸に沿っている(例えば、複合サンドイッチ100の表面112に概ね垂直)と仮定すると、「硬質」芯材よりも垂直的に(例えば、複合積層体に対して実質的に垂直方向に)、より多くのエネルギーまたは衝撃を吸収し得る。「硬質」芯材は、Z軸に垂直である複合積層体の平面(例えば、X-Y平面)に沿うなどで、水平方向により多くのエネルギーを吸収し得る。ボール紙を含む複合サンドイッチ(図示せず)は、車のフード、自動車表面パネル(例えば、そこに最低限のピンホールまたは多孔度を有するA-クラスの表面パネル)、航空宇宙用途、消費者製品(例えば、家具)、もしくは建設資材またはエネルギー吸収が所望される同様の用途に使用され得る。「軟質」芯材は、芯材に対して実質的に垂直なベクトルを有する荷重を、「硬質」芯材ほど良好には伝達しないので、製造プロセスは、「軟質」芯材複合サンドイッチに関して、「硬質」芯材複合サンドイッチとは異なる場合がある。
【0054】
一部の例では(図示せず)、芯材120は、芯材120の隣接層(例えば、二重芯材)におけるなどの、軟質芯材および硬質芯材の材料の両方を含んでもよい。例えば、複合サンドイッチは、複数のセルおよびそれに対して平行に走るボール紙を含み得る。そのような例では、ボール紙は消音性をもたらし得て、硬質芯材はボール紙より多くのエネルギーを吸収し得る。一部の例では、「硬質」芯材および「軟質」芯材の材料は、複合サンドイッチの異なる層に配置されてもよい。
【0055】
一部の例では、芯材120は、約20kg/m3以上、例えば約20kg/m3~約150kg/m3、約40kg/m3~約100kg/m3、約60kg/m3~約80kg/m3、または約65kg/m3~約75kg/m3などの密度を有し得る。芯材120は、約100μm~約10cm、約1mm~約5cm、約5mm~約3cm、約250μm~約1cm、約1cm~約5cm、約1mm~約5mm、約5mm~約1cm、約7mm、または約1cmの初期のセル高さを有し得る。一部の例では、芯材120は、約70kg/m3の密度および約7mmのセル高さを有し得る。芯材120は、複数の一体に成形された管(例えば、共に結合された複数の開口端構造体)を含み得て、これらは、金型内で、張力、熱、および/または圧力の印加時に、1つ以上の区域で集合的に曲がるかまたはそうでなければゆがむ場合があり、一方、ダンボールは、同じ条件下で裂ける場合がある。一部の例では、芯材120は、金型の幾何学的形状およびそれを含む部品の所望の仕上がり寸法に応じて、その中の1つ以上の区域で曲がり、圧縮され、または伸縮する場合がある。セルまたは管は、一体成形(例えば、共に押出しまたは成形される)、粘着剤、個々に押し出された後に共に接合されるなどの熱接合(例えば、溶融)、または任意の他の好適な付着手段によるなどで、共に接合され得る。セルまたは管は、特定量の熱の印可時に、少なくとも部分的に軟化または溶融するように複合され得る。例えば、セルまたは管は、金型にある間に、得られた複合サンドイッチが、金型の形状に少なくとも部分的に従い得るように、軟化または溶融され、少なくとも部分的に圧縮されるように複合され得る。圧縮前の各管の長さは、それへの熱および/または圧力の印可時に、所望の量の適合性をもたらすように選択され得る。例えば、圧縮済または未圧縮の管の長さまたは高さは、約100μm~約10cm、約1mm~約5cm、約5mm~約3cm、約250μm~約1cm、約1cm~約5cm、約1mm~約5mm、約5mm~約1cm、約7mm、または約1cmであり得る。管は、実質的に同様の高さおよび/または直径を示し得る。例えば、管は、約1mm以上、例えば約1mm~約5cm、約3mm~約3cm、約5mm、約1cmまで、約6mm、約2cm未満、または約1cm未満などの直径を示し得る。本明細書に図示されたセル(例えば、管)は、円形の断面形状を有するが、セルは、その縦軸に沿って見た場合、実質的に多角形の断面形状(例えば、三角形、四角形、五角形など)、楕円形の断面形状、または無定形の形状(例えば、所定のパターンを持たないか、または円形と多角形の組合せである)を示し得る。セルは、隣接するセルまたは管の間に共通壁を有する単一の一体構造によって規定され得る。用語「セル」または「管」が本明細書で使用されるが、一部の例では、セルまたは管は、1つ以上の閉口端を含む;または多角形(例えば、複数の閉口もしくは開口の五角形のセル)などの管状以外の構成(例えば、円形)、またはそれらの間に連結した側面を持たない構成(例えば、バッフル)を示し得る。
【0056】
一部の例では、芯材120は、完全に圧縮されて固体を形成し得るか、または部分的に圧縮されて芯材高さを低減し得る。圧縮された芯材高さは、初期の芯材高さの約15%以上、例えば初期の芯材高さの約15%~約90%、約25%~約75%、約40%~約60%、約15%~約50%、または約15%などであり得る。層の数は、その中に異なる層または材料を有するなどの複合サンドイッチの芯材120の上および下で変化し得ることが理解されよう。芯材120の寸法および密度は、その1つ以上の区域に、より多くのセル(例えば、管)を有すること、その1つ以上の区域に、隣接する区域より大きいかもしくはより小さい直径のセルを有すること、隣接する区域の管とは異なる(例えば、より小さいかもしくはより大きい)壁厚さを有する管を含む1つ以上の区域を有すること、または前述のいずれかの組合せなどで変化し得る。繊維シートまたはNCFの重量は、複合サンドイッチの1つ以上の区域において変化し得る。
【0057】
少なくとも1つの(第2の)熱硬化性樹脂層140は、1つ以上の態様において、(第1の)熱硬化性樹脂層130と同様または同一であってもよい。少なくとも1つの熱硬化性樹脂層140は、本明細書に開示される熱硬化性樹脂のいずれかなどの熱硬化性樹脂を含んでもよい。少なくとも1つの熱硬化性樹脂層140は、熱可塑性樹脂層110および/または少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130(例えば、第1の熱硬化性樹脂層)のうちの1つ以上における繊維と同一であるかまたは異なる複数の繊維を含んでもよい。例えば、熱可塑性樹脂層110はガラス繊維を含んでもよく、少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130は、ガラス繊維または炭素繊維を含んでもよく、少なくとも1つの熱硬化性樹脂層140は、ガラス繊維または炭素繊維を含んでもよい。一部の例では、熱可塑性樹脂層110は、ガラス繊維に埋め込まれたPEIを含んでもよく、少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130は、エポキシ樹脂-ポリウレタン樹脂に埋め込まれた複数のガラス繊維を含んでもよく、少なくとも1つの熱硬化性樹脂層140は、エポキシ樹脂-ポリウレタン樹脂に埋め込まれた複数の炭素繊維を含んでもよい。少なくとも1つの熱硬化性樹脂層140(例えば、第2の熱硬化性樹脂層)は、芯材120の下に、それに接合されるなどで配置されてもよい。熱硬化性樹脂層140の1つ以上の熱硬化性組成物(例えば、熱硬化性樹脂)、層中の熱硬化性組成物の量、層厚さ、繊維の種類、繊維の重量、横寸法などは、熱硬化性樹脂層130の同じ態様とは異なってもよい。
【0058】
一部の例では、1つ以上の熱硬化性樹脂層、1つ以上の熱可塑性樹脂層、および芯材120の材料は、積層複合構造体に配置され得る。そのような例では、熱可塑性樹脂層110は、熱硬化性樹脂層130に直接的に接合され得る。熱可塑性樹脂層110に直接的に接合された熱硬化性樹脂層130は、熱可塑性樹脂層110に対して同一平面または平行配向であり得る。一部の例では、熱可塑性樹脂層110の横寸法は、熱硬化性樹脂層130と同じく伸びてもよい。一部の例では、熱硬化性樹脂層130または140の横寸法は、熱可塑性樹脂層110の最大範囲を超えて、より大きく延在する場合がある。本明細書に開示される例のいずれかにおいて、熱硬化性樹脂層130および140のうちの1つ以上は、1つ以上の熱可塑性樹脂層で置き換えられてもよい。
【0059】
一部の例では、1つ以上の(任意選択の)付加的な層は、複合サンドイッチ100の部材のいずれかの間に配置されてもよい。例えば、アルミニウムの箔またはメッシュなどの金属層は、熱可塑性樹脂層110と少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130との間に配置されてもよい。そのような例では、金属層は、少なくとも約0.01mmの厚さ、例えば少なくとも約0.1mmの厚さ(例えば、約0.2mm)などであり得る。金属層が使用されてもよいが、
図1に示されるように、熱硬化性および熱可塑性の外側二層が使用される場合には、満足のいく発熱特性を達成するために、金属層は必要ではない。例えば、熱硬化性樹脂層の上方に配置された熱可塑性樹脂層の発熱特性は、自動車、航空機、船舶、鉄道などの用途における発熱に関する安全基準(例えば、65kW×分/m
2未満、60kW×分/m
2未満、40kW×分/m
2未満、または30kW×分/m
2未満)内に良好に入り得る。
【0060】
一部の例では、軟質芯材料(例えば、ダンボール)は、芯材120と少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130および/または140との間に配置され得る。一部の例では、複合サンドイッチ100は、少なくとも1つの熱硬化性樹脂層140の下に配置された熱可塑性樹脂層などの付加的な熱可塑性樹脂層を含み得る。付加的な熱可塑性樹脂層は、本明細書に開示される熱可塑性樹脂層のいずれかと同様または同一であってもよい。一部の例では、第1の熱可塑性樹脂層110は、1つ以上の態様において、第2の熱可塑性樹脂層(図示せず)と異なってもよい。
【0061】
一部の例では、樹脂がガラス繊維の中/上に配置される場合には、熱可塑性樹脂層中の相対的に低量の熱可塑性樹脂、例えば熱可塑性樹脂層中の40wt%未満(例えば、33wt%未満)の熱可塑性樹脂などを利用することが望ましい場合がある。そのような例では、熱可塑性樹脂層を含有する複合サンドイッチの発熱性は、少なくとも40kW×分/m2であると予期されたが、予期に反して30kW×分/m2未満であることが見出された。例えば、PEI埋め込みガラス繊維の熱可塑性樹脂層を有する複合サンドイッチは、PEI芯材が40kW×分/m2を超える発熱性を有するため、少なくとも40kW×分/m2の発熱性(例えば、ピーク発熱性)を有すると予期された。しかしながら、複合サンドイッチは、約24kW×分/m2の平均発熱性および26.7kW×分/m2の平均ピーク発熱性を示した。したがって、アルミニウム層を伴わない複合サンドイッチが、自動車、航空機、鉄道、船舶、および他の用途における使用のための満足のいく発熱特性をもたらし得ることが予期される。さらに、アルミニウム層を除去することによって、同様の硬化手順(例えば、熱押圧)中に、熱可塑性樹脂層においてピンホールおよび発泡を有する傾向がある、熱可塑性樹脂層の下にアルミニウム層を有する複合サンドイッチと比較して、硬化時に相対的に滑らかな熱可塑性樹脂層表面が達成され得る。本明細書に開示される複合サンドイッチ構造体は、40kW×分/m2の発熱性、例えば30kW×分/m2以下、25kW×分/m2~35kW×分/m2、または20kW×分/m2~40kW×分/m2などを有し得る。
【0062】
熱硬化性樹脂層130の上に配置される熱可塑性樹脂層110の組合せは、構造体の外表面として使用され得る。例えば、熱硬化性樹脂層130の上に配置される熱可塑性樹脂層110の組合せは、車両、飛行機、ボート、鉄道車両などの背もたれ、ダッシュボード、荷物、収納箱、荷物箱、隔壁、成形品、トリム、アーム、または他の部分の外表面として使用され得る。そのような例では、熱可塑性樹脂層110は、色および/または欠陥のない外観などの選択された美的外観を付け加えることができる。その中に着色剤を有する熱可塑性樹脂層110を有することによって、熱可塑性樹脂層110は、引っ掻き傷にもかかわらず、選択された色/外観を維持し得るが、一方、塗装された表面は、同様の引っ掻きから塗装がなくなることにより、引っ掻き傷が生じ得る。さらに、熱硬化性樹脂層130を含むことによって、熱可塑性樹脂層110と熱硬化性樹脂層130の組合せは、単一の熱可塑性樹脂層110単独より大きい構造的強剛性および強度をもたらし得る。したがって、芯材と結合した単一の熱硬化性樹脂層130と、直接的または間接的であっても結合した熱可塑性樹脂層110は、従来の複合積層体を超える美的および構造的の両方の利点をもたらし得る。
【0063】
複合サンドイッチのさらなる構成が利用され得る。一部の例では、複合サンドイッチ200は、発泡芯材を含み得る。
図2は、一実施形態による、複合サンドイッチ200の側方断面図である。複合サンドイッチ200は、熱硬化性樹脂層130の上に配置される熱可塑性樹脂層110を含み得る。熱硬化性樹脂層130は、発泡芯材220の上に配置され得る。発泡芯材220は、熱硬化性樹脂層140の上に配置され得る。発泡芯材220は、1つ以上の態様において、本明細書に開示される発泡芯材のいずれかと同様または同一であってもよい。例えば、発泡芯材220は、ポリメタクリルイミド(PMI)ベースの発泡芯材を含み得る。ポリメタクリルイミド(PMI)ベースの発泡芯材および最外の熱硬化性樹脂層を有する例は、ポリカーボネート管などを有する例より低い発熱量を示した。
【0064】
一部の例では、複合サンドイッチは、少なくとも2つの熱可塑性樹脂層、例えば、複合サンドイッチの2つの最外層または最外層および最内層などを有し得る。
図3は、一実施形態による、複合サンドイッチ300の側面断面図である。複合サンドイッチ300は、付加的な熱可塑性樹脂層310の上に配置される熱可塑性樹脂層110を含む。付加的な熱可塑性樹脂層310は、熱硬化性樹脂層130の上に配置される。熱硬化性樹脂層130は、芯材120の上に配置され得る。芯材120は、熱硬化性樹脂層140の上に配置され得る。熱硬化性樹脂層140は、熱可塑性樹脂層310の上に配置されてもよい。熱可塑性樹脂層310は、1つ以上の態様において、本明細書に開示される熱可塑性樹脂層110と同様または同一であってもよい。例えば、熱可塑性樹脂層310は、PEI樹脂を含み得る。一部の例では、熱可塑性樹脂層310は、その中に、ガラス繊維または高温熱可塑性繊維などの複数の繊維を含み得る。例えば、熱可塑性樹脂層310は、繊維シート(例えば、80gsmのガラス繊維布)の上に配置される高温熱可塑性樹脂を含み得る。
【0065】
最外表面の上に多数の熱可塑性樹脂層(例えば、高温熱可塑性樹脂層)を有する例では、複合サンドイッチは、機械的強度を損なうことなく、選択された美的外観と共に比較的に低い発熱特性をもたらし得る。付加的な芯材、熱硬化性樹脂層、アルミニウム層、塗装、ビニルなどのさらなる層が、複合サンドイッチ300に、図示された層の上、その間、または下のいずれかに含まれてもよい。
【0066】
図4は、一実施形態による、複合サンドイッチ400の側方断面図である。複合サンドイッチ400は、熱硬化性樹脂層130の上に配置される熱可塑性樹脂層110を含む。熱硬化性樹脂層130は、芯材120の上に配置され得る。芯材120は、熱硬化性樹脂層140の上に配置され得る。熱硬化性樹脂層140は、熱可塑性樹脂層410の上に配置され得る。熱可塑性樹脂層410は、1つ以上の態様において、本明細書に開示される熱可塑性樹脂層110と同様または同一であってもよい。例えば、熱可塑性樹脂層は、PEI樹脂を含み得る。一部の例では、熱可塑性樹脂層410は、その中に、ガラス繊維または高温熱可塑性繊維などの複数の繊維を含み得る。
【0067】
最外表面と最内表面の両方の上に熱可塑性樹脂層(例えば、高温熱可塑性樹脂層)を有する例では、複合サンドイッチは、機械的強度を損なうことなく、選択された美的外観を有する両方の表面からの比較的低い発熱特性をもたらし得る。そのような例は、構造体において仕切りとして有用であり得て、仕切りの片側または両側のいずれかが、熱源に直接的に曝露される、および/または視認でき得る。付加的な芯材、熱硬化性樹脂層、アルミニウム層、塗装、ビニルなどのさらなる層が、複合サンドイッチ400に、図示された層の上、その間、または下のいずれかに含まれてもよい。
【0068】
複合サンドイッチ100、200、300、または400における層のいずれかが、そこから省略されてもよく、または任意の他の複合サンドイッチ100、200、300、もしくは400のいずれかと組み合わせて使用されてもよい。
【0069】
熱硬化性樹脂層の上に配置される(高温)熱可塑性樹脂層の組合せは、積層複合構造体の外表面として使用され得る。例えば、熱硬化性樹脂層の上に配置される熱可塑性樹脂層の組合せは、車両、飛行機、ボート、鉄道車両などの背もたれ、ダッシュボード、荷物、収納箱、荷物箱、隔壁、成形品、トリム、アーム、または他の部分の外表面として使用され得る。そのような例では、複合サンドイッチの熱可塑性樹脂層は、選択された発熱性を部材にもたらし得る。さらに、付加的な熱硬化性樹脂層および芯材を含むことにより、本明細書の複合サンドイッチにおける組合せは、熱可塑性樹脂層を有する単一の熱硬化性樹脂層より大きい構造的強剛性および強度をもたらし得る。最外層として高温熱可塑性樹脂層(例えば、PEI層)を含むことによって、引っ掻かれた場合、容易には変色を示さない表面を提供しながら、複合サンドイッチ構造体の発熱性は、塗装された同様の寸法の熱硬化性樹脂層より改善される。本明細書に開示される、複合サンドイッチおよびそれらから形成される構造体は、70kW×分/m2以下、例えば1kW×分/m2~35kW×分/m2、20kW×分/m2~40kW×分/m2、25kW×分/m2~50kW×分/m2、40kW×分/m2~60kW×分/m2、65kW×分/m2以下、60kW×分/m2以下、50kW×分m2以下、40kW×分/m2以下、35kW×分/m2以下、30kW×分/m2以下、25kW×分/m2以下、20kW×分/m2以下の発熱性を有し得る。
【0070】
一部の例では、複合サンドイッチ構造体は、少なくとも2つの芯材を含み得る。そのような例では、その中に炭素繊維を有する熱硬化性樹脂層は、その両側に配置される芯材を有し得る。そのような例では、1つ以上の熱硬化性樹脂層および/または熱可塑性樹脂層が、芯材の上に配置されてもよい。例えば、複合サンドイッチは、少なくとも熱可塑性樹脂層、その真下の第1の芯材、第1の芯材の真下の熱硬化性樹脂層、熱硬化性樹脂層の真下の第2の芯材、および第2の芯材の真下の付加的な熱可塑性樹脂層を含み得る。一部の例では、複合サンドイッチは、第1の芯材と熱可塑性樹脂層との間、または第2の熱可塑性樹脂層と第2の芯材との間に付加的な熱硬化性樹脂層を含み得る。
【0071】
構造的部材、例えば、シャーシ;通信機器用のパネル;輸送または車両(例えば、自転車、オートバイ、乗用車、トラック、飛行機、鉄道車両および機器、ボートなど)用のフレーム、本体部品、または内装部材;農業用途(例えば、農業機器)、エネルギー関連の用途(例えば、風力、太陽光);衛星用途;航空宇宙用途(例えば、飛行機の構造体の一部または内装部材、例えば座席部材または頭上の荷物棚など);建設資材(例えば、建材など);および消費者製品(例えば、中でも、家具、便座、および電気製品)などを製作するための、相対的に低い発熱量(例えば、60kW×分/m2未満、40kW×分/m2未満、または30kW×分/m2未満)を有する、軽量で、強度があり、堅い複合材を製造することが望ましい。高い曲げ剛性、軽重量、および低い発熱性が所望される場合、良好なエネルギー吸収および発熱量を有する、軽量で、強度がある複合部材を製造することが望ましい。部材は、選択された美的外観(例えば、質感、色など)を提供しながら、自動車事故中などのエネルギー吸収を提供するように設計され得る。安全上の理由から、部材は、いくつかの制動またはエネルギー吸収特性を有するように設計され得る。本明細書に開示される積層複合構造体および部材は、選択された美的外観をその外表面に提供しながら、航空、海洋、鉄道または自動車などの使用のさまざまな分野におけるエネルギー吸収、剛性、または発熱量などの安全基準または規制要件を満足するように設計される。本明細書に開示される部材は、本明細書に開示されるように、選択された美的外観、高い曲げ剛性、および低い発熱性を有する複合サンドイッチ構造体を含み得る。
【0072】
一部の例では、モノリシック部材は、本明細書に開示される少なくとも高温熱可塑性樹脂層を使用して形成することができる。一部の例では、モノリシック部材は、熱可塑性ポリマー樹脂を含有する少なくとも複数の繊維のプリプレグから、または湿式レイアッププロセスによって形成することができる。
【0073】
図5は、一実施形態による、モノリシック複合材500の断面図である。モノリシック複合材500は、示されるような多層モノリシック複合材であっても、または単層モノリシック複合材であってもよい。モノリシック複合材500は、ポリマー樹脂中に配置される複数の繊維を有する1つ以上の層を含み、モノリシック複合材またはその最外層は、60kW×分/m
2未満の発熱性を示す。例えば、モノリシック複合材500は第1の層510、第2の層520、および第3の層530を含む。図示されるように、第1の層510は最外層であり得て、第2の層520および第3の層530が続く。一部の例では、モノリシック複合材は、
図5に示されたものよりも多くの層または少ない層を含んでもよい。モノリシック複合材が多層を含む例では、層の間に芯材は存在しない。例えば、その中またはその上に樹脂を有する繊維のシートのみが、モノリシック複合材500に存在してもよい。
【0074】
第1の層510、第2の層520、または第3の層530のうちの1つ以上は、1つ以上の態様において、熱可塑性樹脂層110と同様または同一であってもよい。例えば、第1の層510は、複数の繊維の上に配置される(高温)熱可塑性樹脂を有する熱可塑性樹脂層であってもよい。第2の層520または第3の層530のうちの1つ以上は、その中に熱可塑性樹脂を有する熱可塑性樹脂層であってもよい。熱可塑性樹脂には、本明細書に開示される熱可塑性樹脂のいずれかが含まれ得る。複数の繊維には、本明細書に開示される複数の繊維のいずれかが含まれ得る。第1の層510は、一部の例では、最外層である。一部の例では、第3の層は、複数の繊維の上に配置される高温熱可塑性樹脂を有する熱可塑性樹脂層である。そのような例では、モノリシック複合材500の両方の表面は、同じ位置における熱硬化性樹脂層より低い発熱特性を有し得る。一部の例では、第2の層520は、複数の繊維の上に配置される高温熱可塑性樹脂を有する熱可塑性樹脂層であってもよい。一部の例では、第1の層510、第2の層520、または第3の層530のうちの1つ以上における複数の繊維および熱可塑性樹脂は、隣接層におけるものと同様または同一であってもよい。
【0075】
第1の層510、第2の層520、または第3の層530のうちの1つ以上は、1つ以上の態様において、熱硬化性樹脂層130または熱硬化性樹脂層140と同様または同一であってもよい。そのような例では、第1の層510は、本明細書に開示される熱可塑性樹脂層であってもよく、第2の層520または第3の層530のうちの1つ以上は、熱硬化性樹脂層であってもよい。そのような例では、層中の複数の繊維は、1つ以上の態様において、互いに同様または同一であってもよい(例えば、繊維組成、繊維体の種類または形態、繊維体の厚さ、繊維体の密度など)。あるいは、層中の複数の繊維は、1つ以上の態様のいずれかにおいて互いに異なってもよい。
【0076】
一部の例では、第1の層510、第2の層520、または第3の層530のうちの1つ以上は、ポリマー樹脂組成、繊維の種類もしくは面積密度、厚さ、または任意の他の特性のうちの1つ以上において、隣接層と異なってもよい。例えば、第1の層510はガラス繊維を含んでもよく、第2の層520は炭素繊維を含んでもよく、第3の層530は炭素繊維またはガラス繊維を含んでもよい。そのような例では、各層におけるポリマー樹脂は、組成または量のうちの1つ以上において、隣接層と同一であってもまたは異なってもよい。
【0077】
一部の例では、第2の層520または第3の層530のうちの1つ以上が省略されて、例えば二重層または単層のモノリシック複合材を形成してもよい。
【0078】
一部の例では、第1の層510は、第1の複数のガラス繊維、炭素繊維または熱可塑性繊維のうちの複数の上に配置される熱可塑性樹脂を含み、第2の層520は、第2の複数のガラス繊維、炭素繊維または熱可塑性繊維の上に配置される熱可塑性樹脂を含み、第3の層530は、第3の複数のガラス繊維、炭素繊維または熱可塑性繊維の上に配置される熱可塑性樹脂を含む。そのような例では、複数の繊維は、各層において、同じ材料の種類であるなどで、同様または同一であってもよい。そのような例では、層におけるポリマー樹脂は、独立して熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそのブレンドであってもよい。本明細書に開示される熱可塑性樹脂を第1の層510に供給することによって、その下にある第2の層520および第3の層530は、高温熱可塑性ポリマーによって熱から「遮蔽され」得る。例えば、モノリシック複合材500または少なくとも第1の層510は、60kW×分/m2未満の発熱性、例えば本明細書に開示される発熱性に関する値のいずれかなどを有し得る。さらに、芯材を伴わず、複数の繊維によって強化された1つ以上の熱硬化性樹脂層を提供することによって、モノリシック複合材500は、高温熱可塑性樹脂層を用いることなく作製された複合サンドイッチおよびモノリシック複合材と比較して、機械的強度、改善された発熱性、およびより薄い横断面プロファイルをもたらし得る。
【0079】
本明細書に開示される複合サンドイッチ構造体またはモノリシック複合材は、部品内に配置されるかまたは部品を形成するために使用され得る。そのような複合サンドイッチまたはモノリシック部材の例には、パネル(例えば、車のフードなどの車体パネル、車両内装パネル例えば内装隔壁、ダッシュボード、成形品、電気パネルなど)、座席部材、テーブル、トレイ、収納箱(例えば、頭上の収納)もしくは他の収納容器パネル、または本明細書に開示される任意の他の部材が含まれ得る。
【0080】
図6は、一実施形態による、背もたれ600の等角図である。背もたれ600は、複合サンドイッチから形成され得る。背もたれ600における複合サンドイッチの層は、本明細書に開示される複合サンドイッチのいずれかとして構成され得る。例えば、背もたれ600における複合サンドイッチの層は、熱可塑性樹脂層110、熱硬化性樹脂層130および140、ならびに芯材120を含み得る。背もたれ600は、複合サンドイッチの熱可塑性樹脂層110が外側に面し、それによって、最外表面112を形成し得るように構成され得る。熱可塑性樹脂層110は、(付加的な)熱硬化性樹脂層140の上に配置される、芯材120上に配置される、熱硬化性樹脂層130の上に配置され得る。(付加的な)熱硬化性樹脂層140は、内側に(例えば、最外表面112から離れて)面し得る。そのような構成は、背もたれ600に相対的に高い強度、軽量、および変色-耐性表面を依然として提供しながら、背もたれが位置するシートの後ろに座る人に面する背もたれの表面において、比較的低い発熱性を有する背もたれ600をもたらし得る。
【0081】
図7は、一実施形態による、パネル700の正面図である。パネル700は、本明細書に開示される複合サンドイッチのいずれかから形成され得る。パネル700は、列車車両(例えば、地下鉄または小型レール車)の内装パネルとして構成され得る。パネル700は、窓またはドアなどのその中に適合する付加的な部材用の成形を有し得る。
【0082】
本明細書の熱可塑性樹脂層は、複合サンドイッチ(例えば、積層体)で使用されるように開示されるが、熱可塑性樹脂層を有する部材は、モノリシック部材を形成するためにさらに使用することができる。例えば、熱可塑性樹脂は、本明細書に開示される部材のいずれか(例えば、自動車、船舶、飛行機、鉄道など)などのモノリシック部材または構造体を形成するために使用され得る。一例では、熱可塑性樹脂層は、樹脂の単一モノリシック層から部材を形成するために使用され得る。一部の例では、熱可塑性樹脂のモノリシック層は、その中に複数の繊維を含み得る。モノリシック部材は、複合積層体に関連して本明細書に開示される特定の形状を形成するために成形され得る。そのようなモノリシック部材の例には、パネル(例えば、車のフードなどの車体パネル、車両内装パネル例えば内装隔壁、ダッシュボード、成形品、電気パネルなど)、座席部材、テーブル、トレイ、収納箱(例えば、頭上の収納)もしくは他の収納容器パネル、または本明細書に開示される任意の他の部材が含まれ得る。
【0083】
一部の例では、モノリシック部材は、RTMを使用して形成することができる。一部の例では、モノリシック部材は、そこに熱可塑性樹脂を含有する複数の繊維のプリプレグから形成することができる。
【0084】
図8は、一実施形態による複合サンドイッチ構造体を作製する方法800のフローチャートである。本方法は、高温熱可塑性ポリマーを含む少なくとも1つの熱可塑性樹脂層であり、レイアップ成形体の最外層である、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層;第1の熱硬化性樹脂層;第2の熱硬化性樹脂層;および第1の熱硬化性樹脂層と第2の熱硬化性樹脂層との間に配置される芯材であり、複数のセルを含む、芯材を含む、レイアップ成形体を形成する作業810と;金型内でレイアップ成形体を押圧する作業820と;レイアップ成形体を硬化させて、60kW×分/m
2未満の発熱性を有する複合サンドイッチを形成する作業830とを含む。一部の例では、付加的な作業が、方法800に含まれてもよい。一部の例では、作業810~830は、提示されたものとは異なる順序で実施されてもよく、または1つ以上の作業が省略されてもよい。
【0085】
レイアップ成形体を形成する作業810は、レイアップ成形体の部材を別々に、または複合サンドイッチ構造体の別個の層として提供することを含み得る。レイアップ成形体は、形成される構造的部材のまだ未硬化の層の組(例えば、積み重ね)であり得る。レイアップ成形体は、本明細書に開示される層のいずれか、例えば、高温熱可塑性ポリマーを含む少なくとも1つの熱可塑性樹脂層;第1の熱硬化性樹脂層;第2の熱硬化性樹脂層;および第1の熱硬化性樹脂層と第2の熱硬化性樹脂層との間に配置される芯材の任意の組合せを含み得て、芯材は複数のセルを含む。そのような例では、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層は、レイアップ成形体の最外層である。
【0086】
一部の例では、レイアップ成形体の形成は、レイアップ成形体の1つ以上の部材を別々に、または複合サンドイッチ構造体の別個の層として形成することを含み得る。例えば、レイアップ成形体の形成は、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂-ポリウレタン樹脂)を複数の繊維(例えば、ガラス布または炭素繊維布)の上に適用して、第1の熱硬化性樹脂層または第2の熱硬化性樹脂層のうちの1つ以上を形成することを含み得る。熱可塑性または熱硬化性の物質は、噴霧または手動での展延(例えば、こて、ローラー、ブラシ、またはへらによる)のうちの1つ以上によって、複数の繊維に適用され得る。一部の例では、表面仕上がりを改善するために、複数の繊維の片側により多くの熱可塑性含有量が添加され得る。熱可塑性および/または熱硬化性の物質は、複数の繊維に湿式でまたは埋め込んでもよい。熱硬化性樹脂中のポリウレタンは相対的に低い粘度を有し得るが、エポキシ樹脂は相対的に高い粘度を有する。しかしながら、エポキシ樹脂は、圧力釜または市販の噴霧ヘッドを使用することによる噴霧のために、加温して粘度を低減してもよい。熱可塑性樹脂は、金型内(例えば、加熱金型)などで、複数の繊維中に押圧されてもよい。一部の例では、熱可塑性樹脂は、固体(例えば、粉末)として複数の繊維に適用され、続いて、金型内などで溶融され、複数の繊維内に浸潤させてもよい。一部の例では、熱可塑性または熱硬化性の物質は、プリプレグ繊維シートまたは布として、複数の繊維中に存在してもよい。そのような例では、より多くの熱可塑性樹脂が、プリプレグに添加されて、例えば熱可塑性樹脂層に選択された仕上がりまたは熱可塑性含有量を提供することができる。一部の例では、熱可塑性樹脂は、プリプレグ全体を通して均一に分布し得る。一部の例では、熱可塑性樹脂(例えば、熱可塑性粉末)は、プリプレグの複数の繊維(例えば、繊維布シート)の外側表面に、より多くの量で存在して、例えば選択された表面仕上がりをもたらすことができる。
【0087】
一部の例では、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層は、第1の熱可塑性樹脂層を含み得て、第1の熱硬化性樹脂層が、第1の熱可塑性樹脂層の上に配置される。少なくとも1つの熱可塑性樹脂層は、本明細書に開示される熱可塑性樹脂層のいずれか(例えば、高温熱可塑性樹脂、複数の繊維など)を含み得る。そのような例では、第1の熱硬化性樹脂層は、第1の複数のガラス繊維または炭素繊維の上に、エポキシ樹脂-ポリウレタン樹脂を含み得て、第2の熱硬化性樹脂層は、第2の複数のガラス繊維または炭素繊維の上に、エポキシ樹脂-ポリウレタン樹脂を含み得る。芯材には、本明細書に開示される芯材のいずれか、例えば、平行に共に接合された複数の管、ハニカム芯材、または発泡体などが含まれ得る。例えば、芯材は、本明細書に開示される芯材のいずれかの任意の特性、例えば、押圧前の5mm未満(例えば、4mm)の厚さ、材料組成などを有し得る。
【0088】
一部の例では、レイアップ成形体は、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層、少なくとも1つの熱硬化性樹脂層、第1の熱硬化性樹脂層と第2の熱硬化性樹脂層との間に位置付けられる少なくとも1つの芯材、および任意選択で1つ以上の付加的な層(例えば、アルミニウムなどの金属層)を含み得る。一部の例では、レイアップ成形体の形成は、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層、少なくとも1つの熱硬化性樹脂層、または芯材のうちの1つ以上を提供することを含み得る。例えば、レイアップ成形体の形成は、本明細書に開示される熱可塑性樹脂層のいずれかを金型内に位置付けることを含み得る。
【0089】
一部の例では、レイアップ成形体の形成は、レイアップ成形体の層を金型内に積み重ねるかまたは他の方法で配置することを含み得る。金型は、部品(例えば、背もたれ、ひじ掛け、頭上の荷物棚など)の選択された形態を提供するような寸法および形状にすることができる。金型は、プレスの上に配置される2つ以上の金型部分を有し得て、各金型部分はプレスヘッドの上に位置付けられ、共に押圧され、その間の任意の材料(例えば、熱硬化性樹脂層および熱可塑性樹脂層)を圧縮する。レイアップ成形体の形成は、本明細書に開示される熱硬化性樹脂層のいずれかを金型内に、例えば熱可塑性樹脂層の上に位置付けることを含み得る。レイアップ成形体の形成は、本明細書に開示される熱硬化性樹脂層のいずれかを金型内に、例えば熱可塑性樹脂層の上に位置付けることを含み得る。レイアップ成形体の形成は、本明細書に開示される芯材のいずれかを金型内に、例えば熱硬化性樹脂層の上に位置付けることを含み得る。例えば、芯材は、熱硬化性樹脂層の上に配置されてもよく、芯材の複数のセルの開口端が熱硬化性樹脂層によってつなぎ合わされた場合には、その逆もまた同様である。レイアップ成形体の形成は、付加的な熱硬化性樹脂層を金型内に、例えば芯材の第1の熱硬化性樹脂層とは反対側に位置付けることを含み得る。例えば、第2の熱硬化性樹脂層は、芯材の複数のセルの第2の開口端の組が第2の熱硬化性樹脂層によってつなぎ合わされた場合には、芯材の上に位置付けられ得る。一部の例では、芯材は、熱硬化性樹脂層および/または熱可塑性樹脂層の横寸法全体に沿って延在しない場合もある。
【0090】
レイアップ成形体の形成は、繊維層(例えば、複数の繊維)を提供し、次に熱硬化性または熱可塑性の物質のうちの1つ以上を繊維層に添加することを含み得る。例えば、ガラス布を提供し、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂がガラス布の上に適用されてもよい。本明細書に開示される複数の繊維のいずれかが使用され、熱硬化性樹脂層または熱可塑性樹脂層を形成してもよい。例えば、炭素繊維布または高い溶融温度(例えば、Tgが少なくとも約200℃である)の熱可塑性繊維布でさえ、使用され得る。押圧時に、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂は、ガラス布内に浸潤し、硬化をより強固にして、硬化された熱可塑性樹脂層または熱硬化性樹脂層を形成し得る。熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂は、液体または固体の形態で適用されてもよい。例えば、PEI粉末が繊維層上にまき散らされて、少なくとも部分的に熱可塑性樹脂層を形成し得る。一部の例では、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂は、噴霧に好適な粘度まで加熱され得て、繊維布(例えば、複数の繊維)上に噴霧され得る。例えば、レイアップ成形体の形成は、熱硬化性樹脂を繊維布および第2の繊維布(例えば、層130および140)上に適用し、例えば熱硬化性樹脂を第1の繊維布および第2の繊維布に少なくとも部分的に含浸させることを含み得る。一部の例では、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の噴霧は、約90psi(0.620528MPa)未満の圧力で繊維布上に実行され得る。一部の例では、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂は、繊維布上に手動で展延され得る。一部の例では、複数の繊維は、層に応じて、プリプレグ材料、すなわち少なくともいくらかの熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含有する複数の繊維として提供されてもよい。一部の例では、第1の熱硬化性樹脂層は、1平方メートル当たり200グラム(「gsm」)の密度を有する複数のガラス繊維を含み得て、第2の熱硬化性樹脂層は、300gsmの密度を有する複数の炭素繊維を含み得る。熱硬化性樹脂層中の複数の繊維の密度は、80gsm~約300gsmの範囲であり得て、層間で異なってもよく、または同じであってもよい。
【0091】
一部の例では、他のレイアップ構成が提供され、金型内に位置付けられ得る。例えば、上述の例のものより、より多くのまたはより少ない部材がレイアップ成形体に利用されてもよい。一部の例では、レイアップ成形体は、熱硬化性樹脂層の上に配置される熱可塑性樹脂層のみ、または熱可塑性樹脂層、熱硬化性樹脂層、および芯材のみを含有してもよい。一部の例では、レイアップ成形体の層の位置は、上に提供された例とは異なってもよい。
【0092】
例えば、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層は、第1の熱可塑性樹脂層、および第1の熱可塑性樹脂層の上に配置される第2の熱可塑性樹脂層を含み得て、第1の熱可塑性樹脂層は、レイアップ成形体における最外層である。そのような例では、第1の熱硬化性樹脂層は、第2の熱可塑性樹脂層の上に配置されてもよい。さらに、複数のセルは、平行に共に結合された1つ以上の複数の管、またはポリメタクリルイミドベースの発泡体を含み得る。そのような例では、第1の熱可塑性樹脂層は、ポリエーテルイミド樹脂を含み得て、第2の熱可塑性樹脂層は、ポリエーテルイミド樹脂中に複数の繊維を含み得て、第1の熱硬化性樹脂層は、第1の複数のガラス繊維または炭素繊維の上にエポキシ樹脂-ポリウレタン樹脂を含み得て、第2の熱硬化性樹脂層は、第2の複数のガラス繊維または炭素繊維の上にエポキシ樹脂-ポリウレタン樹脂を含み得る。そのような例では、1つ以上の熱可塑性樹脂層中の熱可塑性樹脂は、本明細書に開示される熱可塑性樹脂のいずれかを含み得て、1つ以上の熱可塑性樹脂層中の熱可塑性樹脂は、本明細書に開示される熱可塑性樹脂のいずれかを含み得る。
【0093】
一部の例では、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層は、第1の熱可塑性樹脂層、および第2の熱硬化性樹脂層の上に配置される第2の熱可塑性樹脂層を含み得る。そのような例では、第1の熱可塑性樹脂層は、レイアップ成形体における最外層であり得て、第2の熱可塑性樹脂層は、レイアップ成形体における最内層(例えば、最外層または表面から最も離れた層)であり得る。そのような例では、第1の熱硬化性樹脂層は、第1の熱可塑性樹脂層の上に配置されてもよい。芯材は、第1の熱硬化性樹脂層の上に直接的または間接的に配置され得る。複数のセルは、平行に共に結合された1つ以上の複数の管、または発泡体(例えば、ポリメタクリルイミドベースの発泡体)を含み得る。第2の熱硬化性樹脂層は、芯材の上に直接的または間接的に配置され得る。そのような例では、第2の熱可塑性樹脂層は、第2の熱硬化性樹脂層の上に配置されて、例えばレイアップ成形体の最内表面を形成し得る。最外表面と最内表面の両方は、複合サンドイッチから形成される構造体における外部表面であり得ることが理解されよう。そのような例では、第1の熱可塑性樹脂層および第2の熱可塑性樹脂層は、ポリエーテルイミド樹脂を含み得る。第1の熱硬化性樹脂層は、第1の複数のガラス繊維または炭素繊維の上にエポキシ樹脂-ポリウレタン樹脂を含み得て、第2の熱硬化性樹脂層は、第2の複数のガラス繊維または炭素繊維の上にエポキシ樹脂-ポリウレタン樹脂を含み得る。一部の例では、レイアップ成形体は、第1の熱可塑性樹脂層と第1の熱硬化性樹脂層との間に配置される第3の熱可塑性樹脂層、および第2の熱可塑性樹脂層と第2の熱硬化性樹脂層との間に配置される第4の熱可塑性樹脂層を含み得る。そのような例では、第3の熱可塑性樹脂層または第4の熱可塑性樹脂層のうちの1つ以上は、その中に複数の繊維を含んでもよい。
【0094】
レイアップ成形体の形成は、予備成形された熱可塑性樹脂層を提供することを含み得る。例えば、レイアップ成形体の形成は、熱可塑性樹脂層を予備成形すること、ならびに予備成形された熱可塑性樹脂層の上に、第1の熱硬化性樹脂層、芯材、およびその上に第2の熱硬化性樹脂層を配置することを含み得る。例えば、その上および/またはその中に熱可塑性樹脂を持つ複数の繊維を、金型内で押圧し、硬化温度まで加熱し、冷却して、予備成形された熱可塑性樹脂層を形成することができる。レイアップ成形体の残りの層は、予備成形された熱可塑性樹脂層の中/上に位置付けられて、完成(例えば、成形された)部品の少なくとも粗い輪郭をもたらし得る。したがって、押圧時に、レイアップ成形体における予備成形された熱硬化性樹脂層および残りの材料は、より容易に金型の角部に押圧され、金型によって規定される部品の完全な最終形態を得ることができる。
【0095】
ガラス繊維および炭素繊維は、ポリマー繊維と比較して、あったとしてもあまり変形または伸縮しないため、熱硬化性樹脂層の予備成形は、ガラス繊維または炭素繊維に特に効果的である。したがって、熱硬化性樹脂層を予備成形し、レイアップ成形体の残りの部材を予備成形された熱硬化性樹脂層の上に置くことによって、ガラス繊維を含有する熱硬化性樹脂層は、金型の最終形状に少なくとも近づくように成形され得て、残りの部材は、熱硬化性樹脂層の予備成形された部分に処理され、成形部品の最終形状をより容易に提供することができる。これにより、特に熱硬化性樹脂層における不完全な成形、例えば成形部品の角部における完全な規定の欠如などが削減される。レイアップ成形体の形成は、熱硬化性樹脂層と結合することが意図される、表面上の予備成形された熱硬化性樹脂層を、磨きパッド、スチールウール、ヤスリ、または表面を研磨するのに好適な任意の他の道具を用いるなどで研磨することを含み得る。
【0096】
金型内でレイアップ成形体を押圧する作業820は、金型を閉じることを含み、外部圧力を金型に印可して、例えばその中の1つ以上の部材(例えば層)を圧縮することをさらに含み得る。方法800はまた、任意選択で、金型の空洞を真空処理することを含んでもよい。例えば、複合サンドイッチ構造体が形成される場合、金型を真空処理して、さまざまな層の複数の繊維および/または樹脂中に閉じ込められた空気を除去することが望ましい場合がある。金型は、本明細書に開示される部材または構造体のいずれかを形成するために、例えば通信機器用パネル、外装体パネル、内装体パネル、フレーム、ダッシュボード、成形品、座席部材、テーブル、トレイ、収納箱などを形成するような形状および大きさにすることができる。
【0097】
金型の押圧は、圧力を印可して、少なくとも部分的に金型を閉じて、金型の形状を有する複合サンドイッチ構造体(例えば、複合積層体)を形成すること、および/または少なくとも部分的に芯材を崩壊させることを含み得る。レイアップ成形体に印可された圧力は、少なくとも部分的に芯材を崩壊させ、かつ/または熱硬化性樹脂層の1つ以上の熱可塑性樹脂層中の複数の繊維の空気を少なくとも部分的に押し出すのに十分であり得る。金型中の複合積層構造体を圧縮するのに好適な技術は、2015年6月3日に出願された国際特許出願番号PCT/US15/34070;2015年6月3日に出願された国際特許出願番号PCT/US15/34061;および2015年6月3日に出願された国際特許出願番号PCT/US15/34072に開示され;それぞれの開示の全体を本願に引用して援用する。
【0098】
一部の例では、同時に熱が適用されて、熱硬化性樹脂層、熱可塑性樹脂層、芯材、またはレイアップ成形体中の任意の材料のうちの1つ以上を、少なくとも部分的に加熱してもよい。例えば、金型内でのレイアップ成形体の押圧は、加熱された金型内でレイアップ成形体を押圧することを含み得る。押圧中の熱の適用時に、芯材はより柔軟となり得るため、金型の形状との適合性を増加させるように圧縮しながら、芯材は少なくとも部分的に軟化または溶融する。ポリウレタンは、押圧中の熱の適用時に、より容易に微細フォームを形成し得る。成形または押圧はまた、金型中のレイアップ成形体を押圧しながら、レイアップ成形体に熱を適用するための1つ以上の熱要素を含み得る。熱硬化性樹脂および/または熱可塑性樹脂は、金型内での熱の適用時に、少なくとも硬化し始める場合がある。
【0099】
レイアップ成形体を硬化させて、60kW×分/m2未満の発熱性を有する複合サンドイッチを形成する作業830は、金型内でレイアップ成形体を加熱することを含み得る。レイアップ成形体の硬化は、レイアップ成形体における熱硬化性樹脂層の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂層の熱可塑性樹脂のうちの1つ以上を、少なくとも部分的に硬化させることを含み得る。例えば、レイアップ成形体の硬化は、熱硬化性樹脂、複合積層体、または複合サンドイッチを、金型、窯、または炉のうちの1つ以上において加熱することを含み得る。レイアップ成形体を硬化させて、複合サンドイッチを形成することは、レイアップ成形体に圧力を印加しながら、金型内でレイアップ成形体を加熱するなどで、金型内でレイアップ成形体を硬化させることを含み得る。
【0100】
熱硬化性樹脂および/または熱可塑性樹脂の硬化は、それぞれの樹脂を含有する繊維サンドイッチ構造体またはその前駆物質(積み重ねなど)を、約110℃以上、例えば約120℃~約200℃、約130℃~約180℃、約140℃~約160℃、約120℃、約130℃、約140℃、または約160℃などに加熱すること(金型内または金型外で)を含み得る。樹脂の組成に応じて、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の硬化は、約40秒以上の持続時間、例えば約40秒~約1日、約1分~約12時間、約90秒~約8時間、約2分~約4時間、約40秒~約10分、約1分~約8分、約5分~約20分、約8分~約15分、約90秒~約5分、約3分、約6分以下、約8分以下、または約20分以下などにわたって起こり得る。一部の例では、レイアップ成形体の硬化は、レイアップ成形体における熱硬化性樹脂の少なくとも硬化温度まで、レイアップ成形体を加熱することによるなどで、金型内で実行され得る。一部の例では、レイアップ成形体の硬化(加熱)は、金型内で部分的に実行され得て、次に炉または窯などの異なる場所で完了されてもよい。得られた硬化複合サンドイッチ構造体は、金型によって規定された形状を示し得る。得られた硬化複合サンドイッチ構造体は、本明細書に開示される発熱量のいずれか、例えば60kW×分/m2未満、50kW×分/m2未満、40kW×分/m2未満、30kW×分/m2未満、または25kW×分/m2未満などの発熱性を有し得る。
【0101】
レイアップ成形体の硬化は、レイアップ成形体を金型内で押圧した後、レイアップ成形体を周囲温度に冷却させることを含み得る。一部の例では、押圧されたレイアップ成形体の冷却は、レイアップ成形体の硬化とは別に実行されてもよい。例えば、方法800は、レイアップ成形体(例えば、ここでは少なくとも部分的に硬化された複合サンドイッチ構造体)を、レイアップ成形体の硬化後に冷却することをさらに含み得る。例えば、少なくとも部分的に硬化されたサンドイッチ構造体は、周囲温度、冷蔵環境で、サンドイッチ構造体上に空気を通過させることによってまたはレイアップ成形体を冷却トンネルを通過させることによって冷却させ得る。
【0102】
一部の例では、複合部品は、芯材を含まない場合がある。例えば、熱可塑性樹脂層は、プリプレグ繊維部材またはRTM成形部材などのモノリシック部品に適用され得る。例えば、熱硬化性セット樹脂を含有するプリプレグ繊維シートは、金型内に配置され得て、PEI熱可塑性樹脂層は、それぞれの層を押圧および加熱する前に、プリプレグの上に配置され得る。PEI熱可塑性樹脂層は、選択された表面仕上がりまたは外観をもたらす。一部の例では、熱可塑性樹脂層は、RTM金型内で、繊維シートの側面の上に配置され得て、熱硬化性樹脂が、RTM金型内に射出され、熱硬化性樹脂を繊維シートに少なくとも部分的に含浸させ得る。得られた熱硬化性樹脂上の熱可塑性(例えば、PEI)層は、最終部品に、選択された表面仕上がりまたは外観をもたらし得る。
【0103】
図9は、一実施形態による、モノリシック複合材を作製する方法900のフローチャートである。方法900は、その中に高温熱可塑性樹脂および複数の繊維を有する少なくとも1つの熱可塑性樹脂層を含むレイアップ成形体を形成する作業910と;レイアップ成形体を選択された形状に形成する作業920と;レイアップ成形体を硬化させて、モノリシック複合材を形成する作業930とを含む。一部の例では、作業910、920、または930は、提示されたものとは異なる順序で実施されてもよく、または1つ以上の作業が省略されてもよい。一部の例では、付加的な作業が、方法900に含まれてもよい。例えば、方法900の実施形態はまた、少なくとも1つのポリマー層の1つ以上の最外表面を、塗装またはビニル粘着ステッカーのうちの少なくとも1つを用いて、塗装または被覆する作業も含むことができる。方法900の1つ以上の部分は、1つ以上の態様において、方法800の任意の部分と同様または同一であってもよい。
【0104】
その中に高温熱可塑性樹脂および複数の繊維を有する少なくとも1つの熱可塑性樹脂層を含むレイアップ成形体を形成する作業910は、本明細書に開示される高温熱可塑性樹脂のいずれか、および複数の繊維のいずれかを有する少なくとも1つの熱可塑性樹脂層を提供または形成することを含み得る。レイアップ成形体は、1つ以上の層、例えば1層~10層、1層~3層、1層または3層、3層~5層、または1層のみを含み得る。高温熱可塑性樹脂および複数の繊維を有する少なくとも1つの熱可塑性樹脂層を含むレイアップ成形体の形成は、本明細書に開示される高温熱可塑性樹脂のいずれか、および複数の繊維のいずれかを有する複数の層を形成することを含み得る。そのような例では、複数のポリマー層には、本明細書に開示されるポリマー層のいずれか、例えば第1の層510、第2の層520、および第3の層530などが含まれ得る。レイアップ成形体を形成する作業910は、第1の層510、第2の層520、または第3の層530のうちの1つ以上を形成することを含み得る。
【0105】
少なくとも1つの熱可塑性樹脂層などの複数の層のいずれかにおける高温熱可塑性樹脂は、1つ以上の態様において、レイアップ成形体の任意の隣接する層または残りの層のいずれかにおける高温熱可塑性樹脂と同様または同一であってもよい。例えば、レイアップ成形体における各層は、その中にPEI樹脂を含んでもよい。そのような例では、各層における樹脂の量は、異なってもまたは同一であってもよい。
【0106】
複数の層のいずれかにおける数の繊維は、1つ以上の態様において、レイアップ成形体の隣接する層または残りの層のいずれかにおける複数の繊維と同様または同一であってもよい。例えば、レイアップ成形体における各層は、ガラス繊維、炭素繊維、熱可塑性繊維などを含んでもよい。そのような例では、複数の繊維層の量、密度、または厚さは、各層において、異なってもまたは同一であってもよい。複数の層のいずれかにおける複数の繊維は、1つ以上の態様において、レイアップ成形体の任意の隣接する層または残りの層中の複数の繊維と異なってもよい。例えば、レイアップ成形体における一部の層は、ガラス繊維を含んでもよく、レイアップ成形体における一部の層は、炭素繊維を含んでもよい。モノリシック複合材500の層中の部材の組合せは、本明細書に開示される部材のいずれか(例えば、ポリマー樹脂、複数の繊維、または層の特性)の任意の組合せを含み得る。
【0107】
少なくとも1つのポリマー層の形成は、ポリマー樹脂(例えば、高温熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂)および複数の繊維(例えば、本明細書の複数の繊維のいずれか)を有する少なくとも1つの層を形成することを含み得る。例えば、少なくとも1つのポリマー層の形成は、ポリマー樹脂を複数の繊維上に適用することを含み得る。ポリマー樹脂の適用は、噴霧、手動での展延、注入、またはそうでなければポリマー樹脂を複数の繊維上に適用することを含み得る。ポリマー樹脂は、液体、半固体または固体の形態で適用され得る。一部の例では、ポリマー樹脂および複数の繊維は、プリプレグで提供され得、少なくとも1つのポリマー層の形成は、プリプレグを提供することを含み得る。少なくとも1つのポリマー層の形成は、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層などの少なくとも1つのポリマー層のうちの1つ以上を予備成形することを含み得る。
【0108】
レイアップ成形体における少なくとも1つの熱可塑性樹脂層および任意の付加的な層は、形成される構造的部材のまだ未硬化の層または複数の層(例えば、積み重ね)であってもよい。レイアップ成形体は、高温熱可塑性樹脂を有する少なくとも1つの熱可塑性樹脂層と;少なくとも1つの熱可塑性樹脂層の上に配置される第2のポリマー層(例えば、第2の複数の繊維上の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂)と;少なくとも第3のポリマー層(例えば、少なくとも第3の複数の繊維上の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂)とを含み得る。したがって、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層および得られたモノリシック複合構造体は、その中に高温熱可塑性材料を有する少なくとも1つの最外表面を含む。そのような例は、高温可塑性層を用いないで形成されたモノリシック複合材と比較して、相対的に低い発熱性(60kW×分/m2未満)を提供する。
【0109】
レイアップ成形体を選択された形状に形成する作業920は、レイアップ成形体を金型内で押圧することを含み得る。例えば、レイアップ成形体を選択された形状に形成することは、第1の層510、第2の層520、または第3の層530のうちの1つ以上を金型内に位置付けすることを含み得る。金型は、方法800に関連して上述された通りであってもよい。少なくとも1つの熱可塑性樹脂層を有するレイアップ成形体を金型内で押圧することは、1つ以上の態様において、方法800に関連して上述されたように実行され得る。例えば、金型内でレイアップ成形体を選択された形状に押圧することは、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層を熱押圧することを含み得る。レイアップ成形体を選択された形状に形成することは、本明細書に開示される層のいずれかを金型内に位置付けることであり、金型内に第1の層510、第1の層510の上に第2の層520、および第2の層520の上に第3の層530を位置付けることである。一部の例では、第2の層520または第3の層530のうちの1つ以上は、モノリシック複合材用のレイアップ成形体中で省略されてもよい。
【0110】
レイアップ成形体を選択された形状に形成することは、金型を閉じ、その中の少なくとも1つの熱可塑性樹脂層を押圧することを含み得る。レイアップ成形体を選択された形状に形成することは、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層を金型内で、選択された時間、押圧することを含み得る。レイアップ成形体を選択された形状に形成することは、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層を型板または枠の上に置くことを含み得る。金型または成形されたレイアップ成形体の形状は、本明細書に開示されるこれらの形状または複合部材のいずれか、例えば車体パネル、座席部材、車両内装パネル、収納容器パネルなどを含み得る。
【0111】
押圧時または押圧後に、ポリマー樹脂は、個々の層それぞれの複数の繊維内に浸潤し、硬化をより強固にして、1つ以上の硬化ポリマー層の上に配置される硬化された熱可塑性樹脂層を形成し得る。
【0112】
レイアップ成形体を硬化させて、60kW×分/m2未満の発熱性を有するモノリシック複合材を形成する作業930は、1つ以上の態様において、方法800に関連して上述されたように、レイアップ成形体を硬化させて、60kW×分/m2未満の発熱性を有する複合サンドイッチを形成する作業830と同様または同一であってもよい。例えば、レイアップ成形体の硬化は、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層を硬化させて、本明細書に開示される発熱量のいずれかを有するモノリシック複合部品を形成することを含み得る。
【0113】
レイアップ成形体の硬化は、金型内のモノリシック層を、その中のポリマー樹脂の硬化温度に加熱することを含み得る。レイアップ成形体の硬化(例えば、その中の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のうちの1つ以上の硬化)は、レイアップ成形体を、金型から取り外し、周囲空気中での冷却、冷蔵環境での冷却などを介して、硬化温度から硬化温度未満までなどに冷却することを含み得る。一部の例では、方法900は、モノリシック複合部品を金型から取り外すことを含み得る。
【0114】
方法900は、レイアップ成形体(例えば、ここでは少なくとも部分的に硬化されたモノリシック複合材)を、硬化後に冷却することをさらに含み得る。例えば、少なくとも部分的に硬化されたモノリシック複合構造体は、周囲温度、冷蔵環境、冷却トンネルで、またはそうでなければモノリシック複合材の上に空気を通過させることにより、冷却させ得る。
【0115】
方法900は、樹脂トランスファー成形またはプリプレグを利用して、複合構造体を少なくとも部分的に形成することを含み得る。例えば、複数の繊維を金型内のレイアップ成形体に入れることができ、熱可塑性樹脂が金型内に射出され得た結果、樹脂がレイアップ成形体中の複数の繊維に含浸されて、まだ未硬化の複合積層構造体を形成する。一部の例では、プリプレグを含むレイアップ成形体が金型内に配置され、金型内で押圧されて部品を形成し得る。
【0116】
方法900は、硬化後に、モノリシック複合部品からバリ(flashing)をトリミングすることを含み得る。一部の例では、モノリシック複合部品は、硬化前または硬化後に、塗装され、着色され、ステッカーで覆われるか(例えば、ビニル)、または別の方法で、選択された色、質感、および外観を呈し得る。
【0117】
一部の例では、最外層は、電磁放射を少なくとも部分的に遮蔽(例えば、遮断または吸収)するために複合され得る。一部の例では、複合構造体の最外層は、その後ろの層を電磁放射から遮蔽するための金属層であってもよい。
【0118】
図10は、一実施形態による、複合構造体1000の側方断面図である。複合構造体1000は、外側金属層107、少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130または140、芯材120、および任意選択で少なくとも1つの熱可塑性樹脂層110を含む積層体である。金属層107は、少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130または(任意選択の)少なくとも1つの熱可塑性樹脂層110の上に配置され、複合構造体1000の最外層を形成し得る。金属層107は、アルミニウム、銅、鉄、鉛、ニッケル、銀、スズ、亜鉛、または前述のいずれかを含む合金(例えば、真鍮)を含み得る。金属層107は、少なくとも約0.01mmの厚さ、例えば約0.01mm~約1mm、約0.01mm~約0.1mm、約0.1mm~約0.3mm、約0.3mm~約0.6mm、約0.6mm~約1mm、1mm~2mm、1mmを超える厚さ、2mmを超える厚さ、または1mm未満の厚さであり得る。金属層107は、連続体、有孔体、メッシュ、ワイヤ、金属体のパターンなどであり得る。一部の例では、金属層107の少なくとも1つの表面の1つ以上の部分は、酸腐食(例えば、酸化)、物理的食刻(例えば、ヤスリをかけられ、引っ掻かれ、こすられる)、またはその他の質感加工をされ、非食刻表面より大きい接合面積を有する接合表面を提供し得る。金属層107は、(第1の)少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130の面積の少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、または実質的に全てに広がり得る。
【0119】
金属層107は、少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130または(任意選択の)熱可塑性樹脂層110と、その中の樹脂を介するなどで直接的に接合される。例えば、金属層107は、少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130と、その中の熱硬化性樹脂を介して直接的に接合(例えば、単一作業で共接合)され得る。そのような例では、少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130は、熱硬化性樹脂層140より、5%~15%多い熱硬化性樹脂を含み、金属層107をそれに接合させる(例えば、微細フォームの内へ)より多くの樹脂を提供し得る。少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130は、本明細書に開示される熱硬化性樹脂または複数の繊維のいずれかを含み得る。
【0120】
金属層107は、(任意選択の)少なくとも1つの熱可塑性樹脂層110と、その中の熱可塑性樹脂を介して直接的に接合され得る。そのような例では、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層110は、金属層107を伴わない例より、5%~15%多い熱可塑性樹脂を含み、金属層107をそれに接合させるより多くの材料を提供し得る。
【0121】
少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130は、少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130中の熱硬化性樹脂を介するなどで、本明細書に開示される芯材120と接合され得る。芯材120は、本明細書に開示される芯材のいずれかを含み得る。例えば、芯材120は、平行配向で共に接合されたポリマー管(例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、またはポリエーテルイミド)、またはポリマー発泡体などの複数のセルを含み得る。芯材120は、本明細書に開示される厚さのいずれかを有し得る。
【0122】
芯材120は、芯材120の(例えば、第1の)少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130とは反対側で、付加的な(例えば、第2の)少なくとも1つの熱硬化性樹脂層140と接合され得る。芯材120のそのようなサンドイッチ化により、複合(サンドイッチ)構造体1000が形成される。少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130または140は、本明細書の複数の繊維のいずれか(例えば、種類、密度、形態など)および本明細書に開示される熱硬化性樹脂のいずれかを独立して含み得る。例えば、第1の少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130は、第1の複数の繊維および第1の熱硬化性樹脂を有し得て、第2の熱硬化性樹脂層は、第2の複数の繊維および第2の熱硬化性樹脂を有し得る。第1および第2の複数の繊維は、繊維の種類、密度、形態、または層厚さのうちの1つ以上において同じであってもまたは異なってもよい。第1および第2の複数の熱硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂の種類または量のうちの1つ以上において同じであってもまたは異なってもよい。上記のように、第1の熱硬化性樹脂層(130)は、その中に第2の熱硬化性樹脂層(140)より多量の熱硬化性樹脂を含み、例えば金属層107を第1の熱硬化性樹脂層と接合する(例えば、単一作業で共接合)補助となり得る。
【0123】
複合構造体1000は、低い発熱性(例えば、14 C.F.R.pt.25、Appendix F、Part IV(a)~(h)(2011)に明示される試験手順下での発熱性に関して、少なくとも2分間で、60kW×分/m2未満)を有し、金属層107によって電磁放射から遮蔽される強固な構造を提供し得る。
【0124】
外側金属層107を有する複合構造体は、芯材120を含まない場合がある。そのような複合積層体は、本明細書に開示される電磁放射からの遮蔽、高い構造的強度、および低い発熱性のうちの1つ以上を提供し得る。
【0125】
図11は、一実施形態による、複合構造体1100の側方断面図である。複合構造体1100は、金属層107、少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130および140、ならびに任意選択で少なくとも1つの熱可塑性樹脂層を含む複合積層体である。複合構造体1100は、そこから芯材を省略することによって、複合構造体1000に対して、より薄い代替物を提供することができる。例えば、金属層107は、(第1の)少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130と接合され得て、少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130は、(第2の)少なくとも1つの熱硬化性樹脂層140と接合され得る。さまざまな層の接合は、単一作業(例えば金型内での押圧を介する共接合)で達成され得る。
【0126】
一実施形態では、複合構造体1100は、順番に、アルミニウムシートの金属層107、複数のガラス繊維または炭素繊維(例えば、NCF布)の上に配置されるエポキシ樹脂-ポリウレタン樹脂を有する(第1の)少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130、平行に整列したポリカーボネート管の芯材120、および複数のガラス繊維または炭素繊維(例えば、NCF布)の上に配置されるエポキシ樹脂-ポリウレタン樹脂を有する(第2の)少なくとも1つの熱硬化性樹脂層140を含み得る。熱硬化性樹脂層中のエポキシ樹脂-ポリウレタン樹脂は、共に個々の部材と接合し得る。
【0127】
任意選択で、複合構造体1100は、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層110を、例えば金属層107と少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130との間などに含んでもよい。少なくとも1つの熱可塑性樹脂層110は、本明細書に開示される熱可塑性樹脂または複数の繊維のいずれかを含み得る。
【0128】
複合構造体1000および1100において、(第2の)少なくとも1つの熱硬化性樹脂層140は、(第1の)少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130の下に位置付けられてもよい。したがって、第1の少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130は、その下にある少なくとも1つの熱硬化性樹脂層140より薄い場合がある。
【0129】
複合構造体1000および1100は、単一の金型工程におけるなどで、成形を介して作製され得る。
図12は、一実施形態による、その中に位置付けられるレイアップ成形体1205を有する金型1200の側方断面図である。金型1200は、第1の金型部分1201および第2の金型部分1202を含む。金型1200は、アルミニウム、鋼鉄、真鍮などの金属から形成され得る。レイアップ成形体1205は、第1の金型部分1201と第2の金型部分1202との一方または両方の上に配置され得る。レイアップ成形体1205は、本明細書に開示される複合構造体、積層体、またはサンドイッチのいずれかの未硬化の層の組を含み得る。例えば、レイアップ成形体1205は、金属層107、(第1の)少なくとも1つの熱硬化性樹脂層130、芯材120、および(第2の)少なくとも1つの熱硬化性樹脂層140を含み得る。任意選択で、レイアップ成形体1205は、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層を含んでもよい。
【0130】
ゴム材料1208は、レイアップ成形体1205の金属層107に面する、金型1200の成形表面の少なくとも一部分の上に配置され得る。例えば、ゴム材料1208は、第2の金型部分1202の成形表面の上に配置されてもよい。ゴム材料1208は、塗装、噴霧、注入、またはそうでなければ金型表面に適用されてもよい。ゴム材料1208には、シリコーン(例えば、室温加硫(「RTV」)シリコーン)、ゴムなどが含まれ得る。レイアップ成形体1205の金属層107は、ゴム材料1208の上に配置され得て、レイアップ成形体1205の付加的な層は、金属層107の上に配置され得る。金属層107をゴム材料1208の上に配置することによって、金属層107は、金型1200内で圧縮中に、金型表面による引き裂き、引っ掻き、またはその他の損傷を受けない可能性がある。したがって、外側金属層を有する複合構造体は、金型1200内で、熱硬化性樹脂層および芯材を圧縮した後に、金属層に適用するための付加的な加工工程を付け加える費用を伴うことなく、単一圧縮工程で形成され得る。加えて、ゴム材料1208は、金属層または複合構造体の製造プロセスに、弾性回復などの任意の公差を受け入れることができる。
【0131】
金型1200の成形表面は、任意の形状に形成され得る。したがって、金型1200は、選択された形状を有する複合構造体を形成するために利用され得る。
図13は、一実施形態による、成形された複合材構造体1300の等角図である。成形された複合構造体1300は、容器の一部分として形状化される。示されるように、成形された複合構造体1300の最外表面は、金属層107を含み、成形された複合構造体1300の最内表面は、(第2の)少なくとも1つの熱硬化性樹脂層140を含む。一部の例では、それぞれ、層は逆であってもよい。成形された複合構造体1300における金属層107は、成形された複合構造体1300の内容物を電磁放射から、または成形された複合構造体1300の外部の物体をその中の電磁放射から、少なくとも部分的に遮蔽することができる。
【0132】
図14は、一実施形態による、複合構造体を作製する方法1400のフローチャートである。方法1400は、第1の複数の繊維を有する第1の熱硬化性樹脂層と、第1の熱硬化性樹脂層の下に配置される第2の熱硬化性樹脂層であり、第2の複数の繊維を有する、第2の熱硬化性樹脂層と、第1の熱硬化性樹脂層の上に配置される金属層であり、レイアップ成形体の最外層である、金属層とを含むレイアップ成形体を、金型内に配置する作業1410と;約10バール(1MPa)以下の圧力で、金型内でレイアップ成形体を押圧する作業1420と、レイアップ成形体を少なくとも部分的に硬化させて、複合構造体を形成する作業1430とを含む。一部の例では、作業1410、1420、または1430は、提示されたものとは異なる順序で実施されてもよく、または1つ以上の作業が省略されてもよい。一部の例では、付加的な作業が、方法1400に含まれてもよい。例えば、方法1400の実施形態はまた、複合構造体の1つ以上の最外表面を、塗装またはビニル粘着ステッカーのうちの少なくとも1つを用いて、塗装または被覆する作業を含むこともできる。方法1400の1つ以上の部分は、1つ以上の態様において、方法800または900の任意の部分と同様または同一であってもよい。
【0133】
レイアップ成形体を金型内に配置する作業1410であり、レイアップ成形体が、第1の複数の繊維を有する第1の熱硬化性樹脂層と、第1の熱硬化性樹脂層の下に配置される第2の熱硬化性樹脂層であり、第2の複数の繊維を有する、第2の熱硬化性樹脂層と、第1の熱硬化性樹脂層の上に配置される金属層であり、レイアップ成形体の最外層である、金属層とを含む、作業1410は、レイアップ成形体を形成する工程を含み得る。レイアップ成形体は、金型内で形成されてもよく、またはレイアップ成形体を金型内に配置する前に形成されてもよい。レイアップ成形体は、それぞれの層を、互いの上に適用することにより、形成されてもよい。
【0134】
レイアップ成形体は、本明細書に開示される任意の複合構造体のいずれかの未硬化の層の組を含み得る。例えば、レイアップ成形体は、金属層、第1の複数の繊維および第1の熱硬化性ポリマーを有する第1の熱硬化性樹脂層、芯材、第2の複数の繊維および第2の熱硬化性ポリマーを有する第2の熱硬化性樹脂層を含み得る。レイアップ成形体を金型内に配置し、レイアップ成形体を形成する工程は、金属層を金型内に配置すること、第1の熱硬化性樹脂層を金属層の上に配置すること、芯材を第1の熱硬化性樹脂層の上に配置すること、および第2の熱硬化性樹脂層を芯材の上に配置することを含み得る。したがって、金属層は、レイアップ成形体の最外層(例えば、成形表面と接する層)を形成し得る。第1の熱硬化性樹脂層は、金属層の下(例えば、金型表面から離れて)であってもよく、第2の熱硬化性樹脂層は、第1の熱硬化性樹脂層の下であってもよい。芯材は、第1の熱硬化性樹脂層と第2の熱硬化性樹脂層との間に配置され得る。一部の例では、芯材は省略されてもよい。
【0135】
金属層には、本明細書に開示される金属層のいずれか、例えば箔、シート、メッシュ、ワイヤ、有孔シートなどが含まれ得る。金属層は、本明細書に開示される金属のいずれか、例えばアルミニウム、銅、鉄、鉛、ニッケル、銀、スズ、亜鉛、または前述のいずれかを含む合金(例えば、真鍮)を含み得る。金属層は、本明細書に開示されるように食刻された、内向き表面(例えば、第1の熱硬化性樹脂層に面する表面)を有し得る。外向き表面は、滑らかであるか、または選択された質感を有し得る。金属層は、金属層用に本明細書に開示される寸法のいずれかを有し得る。
【0136】
第1の複数の繊維および第2の複数の繊維には、本明細書に開示される複数の繊維のいずれか、例えば炭素繊維、ガラス繊維、またはポリマー繊維が、本明細書に開示される任意の形態(例えば、NCF、ランダムに配向したシートなど)で含まれ得る。第1の熱硬化性樹脂および第2の熱硬化性樹脂のうちの1つ以上には、本明細書に開示される熱硬化性樹脂のいずれか、例えばエポキシ樹脂-ポリウレタン樹脂が、本明細書に開示される量のいずれかで含まれ得る。第1の熱硬化性樹脂層は、繊維の種類、繊維密度、繊維形態、樹脂の種類、樹脂の量、厚さ、または任意の他の特性のうちの1つ以上において、第2の熱硬化性樹脂層と異なってもよい。例えば、第1の熱硬化性樹脂層中の第1の複数の繊維は、第2の熱硬化性樹脂層中の第2の複数の繊維の密度(例えば、200~300gsm)より低い密度(例えば、80~200gsm)を有し得る。第1の熱硬化性樹脂層は、第2の熱硬化性樹脂層より5%~15%多い樹脂を含み得る。
【0137】
レイアップ成形体の形成は、それぞれの層のうちの1つ以上の上、例えばその複数の繊維の上などに、樹脂を適用することを含み得る。例えば、レイアップ成形体の形成は、第1の複数の繊維の上に第1の熱硬化性樹脂を適用して、第1の熱硬化性樹脂層を形成すること、および第2の複数の繊維の上に第2の熱硬化性樹脂を適用して、第2の熱硬化性樹脂層を形成することを含み得る。
【0138】
芯材が、レイアップ成形体に含まれてもよい。例えば、レイアップ成形体は、第1の熱硬化性樹脂層と第2の熱硬化性樹脂層との間に配置された芯材を含み得る。芯材には、本明細書に開示される芯材のいずれかが含まれ得る。例えば、芯材は、平行配向で共に接合された複数の管、またはポリマー発泡体などの、共に接合された複数のセルを含み得る。
【0139】
少なくとも1つの熱可塑性樹脂層などの付加的な層が、レイアップ成形体に含まれ得る。例えば、少なくとも1つの熱可塑性樹脂層は、レイアップ成形体の層のいずれかの間、例えば金属層と第1の熱硬化性樹脂層との間に、金型内で配置され得る。レイアップ成形体を金型内に配置することは、本明細書に開示される任意の高温熱可塑性樹脂および複数の繊維のいずれかを有する少なくとも1つの熱可塑性樹脂層を提供または形成することを含み得る。レイアップ成形体は、1つ以上の層、例えば1層~10層、1層~3層、1層または3層、3層~5層、または1層のみを含み得る。
【0140】
金型は、任意の構造体または物品を形成するような寸法および形状、例えば通信機器または電子機器用のパネル、外装体パネル、内装体パネル、フレーム、ダッシュボード、成形品、座席部材、テーブル、トレイ、収納箱、収納蓋、バッテリー(例えば電気自動車用バッテリー)またはバッテリー収納体、電磁遮蔽材(例えば、電子部材用)などを形成するような寸法および形状にすることができる。
【0141】
レイアップ成形体を金型内で約10バール(1MPa)以下の圧力で押圧する作業1420は、その中にレイアップ成形体を有する金型を閉じることを含み得る。レイアップ成形体を金型内で押圧することは、レイアップ成形体を金型内で、1バール(0.1MPa)~3バール(0.3MPa)の圧力で、3バール(0.3MPa)~6バール(0.6MPa)、6バール(0.6MPa)~10バール(1MPa)、9バール(0.9MPa)未満、8バール(0.8MPa)未満、または7バール(0.7MPa)未満の圧力で押圧する(圧縮する)ことを含み得る。レイアップ成形体を金型内で押圧することは、金型を選択された持続時間、例えば少なくとも1秒、1秒~1分、1分~5分、5分~10分、10分より長く、または10分未満、押圧することを含み得る。レイアップ成形体を金型内で約10バール(1MPa)以下の圧力で押圧することは、加熱された金型内でレイアップ成形体を、本明細書に開示される圧力または持続時間のいずれかで押圧することを含み得る。
【0142】
レイアップ成形体を金型内で約10バール(1MPa)以下の圧力で押圧することは、レイアップ成形体を、金型内のゴム材料に対して押圧することを含み得る。例えば、方法1400は、展延、噴霧、塗装、注入などのうちの1つ以上を介するなどで、金型の少なくとも一部分をゴム材料で被覆することを含み得る。ゴム材料は、本明細書に開示されるゴム材料のいずれかであり得る。例えば、ゴム材料は、RTVシリコーンであってもよい。ゴム材料は、少なくとも1つの金型部分の全成形表面(例えば、金型の半分)などの、金型の成形表面の1つ以上の部分の上に配置され得る。ゴム材料は、金型内での圧縮中に、レイアップ成形体の金属層の表面が損傷されることを防止するように選択された厚さ、例えば少なくとも1mmの厚さを有し得る。そのような例では、レイアップ成形体を金型内に、または金属層を金型内に配置することは、金属層を金型内のゴム材料の上に配置することを含み得る。
【0143】
レイアップ成形体を少なくとも部分的に硬化させて複合構造体を形成する作業1430は、レイアップ成形体を金型内で少なくとも部分的に硬化させることを含み得る。例えば、レイアップ成形体を少なくとも部分的に硬化させて複合構造体を形成することは、レイアップ成形体を金型内で押圧しながらレイアップ成形体を加熱すること、またはレイアップ成形体を金型内で押圧した後にレイアップ成形体を周囲温度に冷却させることのうちの1つ以上を含む。レイアップ成形体を少なくとも部分的に硬化させて複合構造体を形成することは、レイアップ成形体を金型の外部で少なくとも部分的に硬化させることを含み得る。例えば、レイアップ成形体を少なくとも部分的に硬化させて複合構造体を形成することは、レイアップ成形体を金型内で押圧しながらレイアップ成形体を加熱すること、またはレイアップ成形体を金型内で押圧した後にレイアップ成形体を周囲温度に冷却させることのうちの1つ以上を含み得る。レイアップ成形体を少なくとも部分的に硬化させて複合構造体を形成することは、本明細書に開示される複合構造体のいずれか、例えば複合積層体または複合サンドイッチなどを形成することを含み得る。レイアップ成形体を少なくとも部分的に硬化させて複合構造体を形成することは、通信機器用パネル、外装体パネル、内装体パネル、フレーム、ダッシュボード、成形品、座席部材、テーブル、トレイ、収納箱、収納蓋、バッテリー(例えば電気自動車用バッテリー)または蓋もしくは収納体などのバッテリー部品、電磁遮蔽材(例えば、電子部材用)などの1つ以上の形成体を形成することを含み得る。
【0144】
方法1400は、レイアップ成形体(例えば、ここでは少なくとも部分的に硬化されたモノリシック複合材)を、硬化後に冷却することをさらに含み得る。例えば、少なくとも部分的に硬化された複合構造体は、周囲温度、冷蔵環境、冷却トンネルで、またはそうでなければモノリシック複合材の上に空気を通過させることにより、冷却させ得る。
【0145】
方法1400は、樹脂トランスファー成形またはプリプレグを利用して、複合構造体を少なくとも部分的に形成することを含み得る。例えば、複数の繊維を金型内のレイアップに入れることができ、熱硬化性樹脂が金型内に射出され得た結果、樹脂がレイアップ成形体中の複数の繊維に含浸されて、まだ未硬化の複合構造体(例えば、レイアップ成形体)を形成する。一部の例では、プリプレグを含むレイアップ成形体は、金型内に配置され、金型内で押圧されて複合構造体または部品を形成し得る。
【0146】
方法1400は、硬化後に、複合構造体または部品からバリ(flashing)をトリミングすることを含み得る。一部の例では、複合構造体または部品の少なくとも一部分は、硬化前または硬化後に、塗装され、着色され、ステッカーで覆われるか(例えば、ビニル)、または別の方法で、選択された色、質感、および外観を呈し得る。
【実施例1】
【0147】
実施例Aを、以下の手順により形成した。平織りのガラス表皮材を準備した。灰色顔料PEIをガラス表皮材に適用して、PEI(熱可塑性)層を形成した。PEIはPEI層の33wt%であり、ガラス繊維が層の残りを形成した。PEI層を、10バール(1MPa)の圧力で1分間、押圧し、310℃に加熱した。エポキシ樹脂/ポリウレタン熱硬化性樹脂を含有する220gsm(1平方メートル当たりのグラム)のガラス表皮材を、PEI層に適用した。複数の4mmの厚さの(例えば、開口端から開口端まで)PEI管を有する芯材を、まだ湿潤している(未硬化)の熱硬化性樹脂層の上に配置した。そこに適用されたエポキシ樹脂/ポリウレタン樹脂を有するNCF炭素繊維シート(300gsm)を、芯材の第1の熱硬化性樹脂層とは反対側に配置して、実施例Aのレイアップ成形体を形成した。レイアップ成形体を、押圧し、硬化させ、熱硬化性樹脂を固化させて、実施例Aを形成した。実施例Aは、約4.6mmの厚さで、平面であった。
【0148】
実施例Bを、以下の手順により形成した。平織りのガラス表皮材を準備した。灰色顔料PEIをガラス表皮材に適用して、PEI(熱可塑性)層を形成した。PEIはPEI層の33wt%であり、ガラス繊維が層の残りを形成した。PEI層を、10バール(1MPa)の圧力で1分間、押圧し、310℃に加熱した。エポキシ樹脂/ポリウレタン熱硬化性樹脂を含有する220gsmのガラス表皮材を、PEI層に適用した。13mmの厚さのポリカーボネートのハニカム芯材を、まだ湿潤している(未硬化)の熱硬化性樹脂層の上に配置した。そこに適用されたエポキシ樹脂/ポリウレタン樹脂を有するNCF炭素繊維シート(300gsm)を、芯材の第1の熱硬化性樹脂層とは反対側に配置して、実施例Bのレイアップ成形体を形成した。レイアップ成形体を、押圧し、硬化させ、熱硬化性樹脂を固化させて、実施例Bを形成した。実施例Bは、約9.0mmの厚さで、平面であった。
【0149】
実施例Cを、以下の手順により形成した。灰色顔料PEIをガラス表皮材に適用して、PEI(熱可塑性)層を形成した。PEIはPEI層の33wt%であり、ガラス繊維が層の残りを形成した。PEI層を、10バール(1MPa)の圧力で1分間、押圧し、310℃に加熱した。エポキシ樹脂/ポリウレタン熱硬化性樹脂を含有する220gsmのガラス表皮材を、PEI層に適用した。20mmの厚さのポリウレタン発泡芯材を、まだ湿潤している(未硬化)の熱硬化性樹脂層の上に配置した。そこに適用されたエポキシ樹脂/ポリウレタン樹脂を有するNCF炭素繊維シート(300gsm)を、芯材の第1の熱硬化性樹脂層とは反対側に配置して、実施例Cのレイアップ成形体を形成した。レイアップ成形体を、押圧し、硬化させ、熱硬化性樹脂を固化させて、実施例Cを形成した。実施例Cは、約18.5mmの厚さで、平面であった。
【0150】
実施例Dを、以下の手順により形成した。灰色顔料PEIをガラス表皮材に適用して、PEI(熱可塑性)層を形成した。PEIはPEI層の33wt%であり、ガラス繊維が層の残りを形成した。PEI層を、10バール(1MPa)の圧力で1分間、押圧し、310℃に加熱した。エポキシ樹脂/ポリウレタン熱硬化性樹脂を含有する220gsmのガラス表皮材を、PEI層に適用した。13mmの厚さのポリウレタン自由発泡フォームを発泡芯材に使用して、まだ湿潤している(未硬化)の熱硬化性樹脂層の上に配置した。そこに適用されたエポキシ樹脂/ポリウレタン樹脂を有するNCF炭素繊維シート(300gsm)を、芯材の第1の熱硬化性樹脂層とは反対側に配置して、実施例Dのレイアップ成形体を形成した。レイアップ成形体を、押圧し、硬化させ、熱硬化性樹脂を固化させて、実施例Dを形成した。実施例Dは、約11mmの厚さで、平面であった。
【0151】
比較例1を形成した。比較例1は、エポキシ樹脂/ポリウレタン熱硬化性樹脂を含有する80gsmのガラス布、ガラス布の上に配置される0.1mmの厚さのアルミニウム箔を含み、エポキシ樹脂/ポリウレタン熱硬化性樹脂を含有する220gsmのガラス布をアルミニウム層の上に配置し、複数の4mmの厚さの(例えば、高さ)PEI管を含有する芯材を220gsmガラス布層の上に配置し、そこに適用されたエポキシ樹脂/ポリウレタン樹脂を有するNCF炭素繊維シート(300gsm)を、芯材の220gsmのガラス布層とは反対側に配置した。80gsmのガラス布層の面を塗装して、選択された色をもたらした。比較例1は平面であった。
【0152】
実施例A~Dおよび比較例1のそれぞれの3つの試料を、14 C.F.R.pt.25、Appendix F、Part IV(a)~(h)(2011)に明示される試験手順に準拠して、発熱性に関して試験した。試験により、実施例Aは、24.0kW×分/m2の平均発熱性、および約110秒における26.7kW×分/m2の平均ピーク発熱性を有することが明らかとなった。試験により、実施例Bは、6.0kW×分/m2の平均発熱性、および約167秒における146.7kW×分/m2の平均ピーク発熱性を有することが明らかとなった。試験により、実施例Cは、11.7kW×分/m2の平均発熱性、および約290秒における45.9kW×分/m2の平均ピーク発熱性を有し、発熱性は、試験最後において依然として上昇していたことが明らかとなった。試験により、実施例Dは、91.8kW×分/m2の平均発熱性、および約130秒における158.2kW×分/m2の平均ピーク発熱性を有することが明らかとなった。試験により、比較例1が、86.8kW×分/m2の平均発熱性、および約130秒における105.9kW×分/m2の平均ピーク発熱性を有することが明らかとなった。
【0153】
実施例Aの発熱量は、最初は、発熱性が、純粋なPEI芯材に関して得られた、40kW×分/m2を超える発熱量と同様または同一であると考えられたため、驚くべきものであった。発熱性を制限するための箔を利用する比較例1と比較して、PEI熱可塑性外層が、実施例Aの発熱性を低減したと考えられる。
【0154】
実施例B、およびDに関する発熱量は、航空、鉄道、または他の用途にとって満足のいく以上の発熱性であった。実施例B、およびDの(実施例Aと比較して)より厚い芯材が、その相対的に高い発熱量の要因となったと考えられる。
【0155】
実施例Bの平均発熱性は極端に低く、ピーク発熱(167秒)の前の試験持続時間にわたり、6kW×分/m2であった。現時点で、実施例Bのポリカーボネート芯材が、実施例AおよびDの非ポリカーボネート芯材と比較して、発熱を遅らせたと考えられている。しかしながら、平均ピーク発熱性は非常に高く、146.7kW×分/m2であった。実施例Bの相対的に厚い芯材(13mm)が、実施例Bの相対的に高い平均ピーク発熱性の要因となったと考えられる。また、実施例BおよびDの芯材の厚さが、その中の相対的に高いピーク発熱量(peak release value)の要因となると考えられる。したがって、5mm未満の厚さなどのより薄い芯材を利用することが望ましい可能性がある。また、芯材用にポリエーテルイミドまたはポリカーボネート材料を利用することが、それに関連する相対的に低い発熱量に基づいて、望ましい場合もある。
【0156】
実施例Cは、ポリウレタンフォーム(極端に可燃性)から作製されたより厚い芯材、および他の実施例より大きい全般的な複合材厚さを有するにもかかわらず、予期に反して低い発熱量を有した。注目すべきことに、発熱量は、試験最後(約300秒における)に、そのピークに到達しなかった。したがって、実施例Cの他の層と組み合わせた熱可塑性外層が、航空、鉄道および他の安全基準に合格するのに十分なほど、発熱を遅らせたと考えられる。
【0157】
比較例1のアルミニウムおよび付加的な熱硬化性樹脂層を、実施例Aの熱可塑性樹脂層で置き換えることによって、複合サンドイッチ構造体は、航空、鉄道および他の安全基準内に良好に入る、大きく低減した発熱性を有し得る。したがって、本明細書に開示される複合サンドイッチ構造体を使用することによって、複合サンドイッチ構造体の内部部材から熱をそらすためにアルミニウム層を付け加えるという高価な工程を、安全に省略することができる。
【0158】
本明細書に開示される熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂層を有する複合サンドイッチに、望ましい発熱特性をもたらし得る。着色剤または顔料を有する熱可塑性樹脂層を提供することによって、熱可塑性樹脂層は、外表面として使用される場合、塗装を必要としない場合がある。代わりに、着色剤または顔料が、熱可塑性樹脂層全体にわたり選択された色をもたらし、それにより、引っ掻かれた時に色を維持するのに役立ち得る。そのような例では、熱可塑性樹脂層を含有する複合サンドイッチ構造体は、引っ掻きによる色落ちに耐性があり、それにより、無着色(例えば、無顔料)の熱可塑性または熱硬化性樹脂の外層を塗装する必要性を省くことができる。
【0159】
本明細書に開示される複合サンドイッチは、比較的低い発熱性、高い吸音性、高い熱絶縁性、高い曲げ剛性、高いエネルギー吸収性、および軽量を有し得る。複合サンドイッチは、自動車産業、航空宇宙用途(例えば、飛行機内装、座席、隔壁など)、海洋用途、農業機器、鉄道用途(例えば、エンジンまたは鉄道車両内装、座席、隔壁など)、自転車、衛星用途、建設資材、消費者製品(例えば、中でも、家具、便座、および電気製品)などに含まれる、さまざまな用途に使用され得る。
【0160】
さまざまな態様および実施形態が本明細書に開示されてきたが、他の態様および実施形態が企図される。本明細書に開示されるさまざまな態様および実施形態は、例示を目的とするものであり、限定することを意図するものではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合構造体であって、
第1の複数の繊維および第1の熱硬化性樹脂を有する第1の熱硬化性樹脂層と、
前記第1の熱硬化性樹脂層の下に配置される第2の熱硬化性樹脂層であり、第2の複数の繊維および第2の熱硬化性樹脂を有する、第2の熱硬化性樹脂層と、
前記第1の熱硬化性樹脂層に接合される
金属層であり、最外層であり、前記第1の熱硬化性樹脂層の少なくとも50%にわたり延在する、金属層と
を含むことを特徴とする複合構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の複合構造体であって、前記第1の熱硬化性樹脂層と前記第2の熱硬化性樹脂層との間に配置される芯材をさらに含み、前記芯材が、共に接合された複数のセルを含むことを特徴とする複合構造体。
【請求項3】
請求項2に記載の複合構造体であって、前記複数のセルが、平行配向で共に接合された複数の管、またはポリマー発泡体を含むことを特徴とする複合構造体。
【請求項4】
請求項1に記載の複合構造体であって、
前記第1の熱硬化性樹脂層が、複数のガラス繊維または複数の炭素繊維を含み、
前記第2の熱硬化性樹脂層が、複数のガラス繊維または複数の炭素繊維を含む
ことを特徴とする複合構造体。
【請求項5】
請求項1に記載の複合構造体であって、
前記第1の複数の繊維が、約80gsm~約300gsmの密度を有し、
前記第2の複数の繊維が、約80gsm~約300gsmの密度を有する
ことを特徴とする複合構造体。
【請求項6】
請求項1に記載の複合構造体であって、前記金属層の真下に配置される熱可塑性樹脂層をさらに含み、前記熱可塑性樹脂層が、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ペルフルオロアルコキシ、ポリフルオロエチレンプロピレン、またはポリエチレンテレフタレート/ポリブチレンテレフタレートのうちの1つ以上を含む高温熱可塑性ポリマーを含むことを特徴とする複合構造体。
【請求項7】
請求項6に記載の複合構造体であって、
前記熱可塑性樹脂層が、ポリエーテルイミドポリマーを含み、
前記第1の熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂-ポリウレタン熱硬化性樹脂を含み、
前記第2の熱硬化性樹脂が、前記エポキシ樹脂-ポリウレタン熱硬化性樹脂を含む
ことを特徴とする複合構造体。
【請求項8】
請求項1に記載の複合構造体であって、前記金属層が、アルミニウム箔、アルミニウムメッシュ、または有孔アルミニウムシートを含むことを特徴とする複合構造体。
【請求項9】
複合構造体を作製する方法であって、
第1の複数の繊維を有する第1の熱硬化性樹脂層と、
前記第1の熱硬化性樹脂層の下に配置される第2の熱硬化性樹脂層であり、第2の複数の繊維を有する、第2の熱硬化性樹脂層と、
前記第1の熱硬化性樹脂層の上に配置される金属層であり、レイアップ成形体の最外層であ
り、前記第1の熱硬化性樹脂層の少なくとも50%にわたり延在する、金属層と
を含む、レイアップ成形体を金型内に配置する工程と、
前記レイアップ成形体を前記金型内で約10バール(1MPa)以下の圧力で押圧する工程と、
前記レイアップ成形体を少なくとも部分的に硬化させて、複合構造体を形成する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記金属層が、アルミニウム箔、アルミニウムメッシュ、また有孔アルミニウムシートを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記レイアップ成形体が、前記第1の熱硬化性樹脂層と前記第2の熱硬化性樹脂層との間に配置される芯材を含み、前記芯材が、共に接合された複数のセルを含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、
前記第1の熱硬化性樹脂層が、第1の熱硬化性樹脂を含み、
前記第2の熱硬化性樹脂層が、第2の熱硬化性樹脂を含み、
前記第1の熱硬化性樹脂または前記第2の熱硬化性樹脂のうちの1つ以上が、エポキシ樹脂-ポリウレタン熱硬化性樹脂を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法であって、前記レイアップ成形体を金型内に配置する工程が、
前記金属層を前記金型内に配置する工程と、
前記第1の熱硬化性樹脂層を前記金属層の上に配置する工程と、
芯材を第1の熱硬化性樹脂層の上に配置する工程
であり、前記芯材が共に接合された複数のセルを含む、工程と、
前記第2の熱硬化性樹脂層を前記芯材の上に配置する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項9に記載の方法であって、前記金型の1つ以上の成形表面の少なくとも一部分を、ゴム材料で被覆することをさらに
含み、前記金属層を金型内に配置する工程が、前記金属層を金型内のゴム材料の上に配置することを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項9に記載の方法であって、前記レイアップ成形体を少なくとも部分的に硬化させて前記複合構造体を形成する工程が、前記レイアップ成形体を前記金型内で押圧しながら前記レイアップ成形体を加熱すること、または前記レイアップ成形体を前記金型内で押圧した後に前記レイアップ成形体を周囲温度に冷却させることのうちの1つ以上を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項9に記載の方法であって、前記金型が、通信機器用パネル、外装体パネル、内装体パネル、フレーム、ダッシュボード、成形品、座席部材、テーブル、トレイ、収納箱、収納蓋、バッテリー、または電磁遮蔽材を形成するような寸法および形状にされることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項9に記載の方法であって、
第1の熱硬化性樹脂層が、第1の複数のガラス繊維または炭素繊維の上にエポキシ樹脂-ポリウレタン樹脂を含み、
前記第2の熱硬化性樹脂層が、第2の複数のガラス繊維または炭素繊維の上に前記エポキシ樹脂-ポリウレタン樹脂を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項18】
複合構造体であって、
第1の複数の繊維および第1の熱硬化性樹脂を有する第1の熱硬化性樹脂層と、
前記第1の熱硬化性樹脂層の下に配置される第2の熱硬化性樹脂層であり、第2の複数の繊維および第2の熱硬化性樹脂を有する、第2の熱硬化性樹脂層と、
前記第1の熱硬化性樹脂層と前記第2の熱硬化性樹脂層との間に配置される芯材であり、共に接合された複数のセルを含む、芯材と、
前記第1の熱硬化性樹脂層の外表面に接合される金属層
であり、前記第1の熱硬化性樹脂層の少なくとも50%にわたり延在する金属層と
を含むことを特徴とする複合構造体。
【請求項19】
請求項18に記載の複合構造体であって、前記金属層が、アルミニウム箔、有孔アルミニウムシート、またはアルミニウムメッシュを含むことを特徴とする複合構造体。
【請求項20】
請求項18に記載の複合構造体であって、通信機器用パネル、外装体パネル、内装体パネル、フレーム、ダッシュボード、成形品、座席部材、テーブル、トレイ、収納箱、収納蓋、バッテリー、または電磁遮蔽材としての寸法および形状にされることを特徴とする複合構造体。
【国際調査報告】