(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】土壌を除去するための、土木機械及び土木工法
(51)【国際特許分類】
E02F 5/08 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
E02F5/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521294
(86)(22)【出願日】2021-09-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2021075311
(87)【国際公開番号】W WO2022073736
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502407107
【氏名又は名称】バウアー マシーネン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイクスラー レオンハルト
(57)【要約】
本発明は、土壌を除去するための土木機械に関し、土木機械は複数の機械モジュールで構成され、少なくとも2つの機械モジュールから構成される除去装置と、除去装置を吊り下げて鉛直方向に移動させて、地中に穴を形成するキャリア構造体とを含み、ここで人用通路が少なくとも2つの機械モジュールの中及び/又は上に形成されて、人が少なくとも2つの機械モジュールに沿って水平方向に通過することを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機械モジュール(40、50)で形成された、土壌を除去するための土木機械であって、
少なくとも2つの機械モジュール(40、50)から構成される除去装置(30)と、
前記除去装置(30)を吊り下げ、地中に穴を形成するために鉛直に前進方向に動かすキャリア構造体(20)と、
を備え、
前記キャリア構造体は、追加的にガイド装置を有して、個々の前記機械モジュール(40、50)を前記前進方向に対して横方向に運搬又は搬送し、
人用通路(18)が前記キャリア構造体(20)内の前記少なくとも2つの機械モジュール(40、50)に形成され、人が前記少なくとも2つの機械モジュール(40、50)に沿って水平方向に通過することを可能にする、
土木機械。
【請求項2】
人用通路(18)は、すべての機械モジュール(40、50)において機械モジュール(40、50)内又は機械モジュール(40,50)に形成され、人がすべての前記機械モジュール(40、50)に沿って水平方向に通過することを可能にすることを特徴とする請求項1に記載の土木機械。
【請求項3】
前記除去装置(30)はトレンチカッタ、把持装置、又は掘削装置を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の土木機械。
【請求項4】
ガイドフレーム(54)を有する少なくとも1つの更なる機械モジュールが設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の土木機械。
【請求項5】
前記キャリア構造体(20)は、少なくとも1つのガイドレール(25)を有し、このガイドレールに沿って個々の前記機械モジュール(40、50)が取り付けられ、前記前進方向に延びるトレンチに対して横方向に移動可能となることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の土木機械。
【請求項6】
前記機械モジュール(40、50)を移動させるための移動駆動装置を有する位置決め装置(26)が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の土木機械。
【請求項7】
前記機械モジュール(40、50)は連結面(48、58)を有し、当該連結面(48、50)上に解放可能な連結装置が配置されることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の土木機械。
【請求項8】
前記キャリア構造体(20)は、穴として挿入される隣接する複数のトレンチ又はボーリング孔が存在する作業領域に沿って延在することを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の土木機械。
【請求項9】
前記除去装置(30)を鉛直方向に動かすための少なくとも1つのホイストユニット(60)は、前記前進方向において前記キャリア構造体(20)上に配置されることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の土木機械。
【請求項10】
少なくとも1つのホースリール及び/又はラインリール(72、73、82)を有する少なくとも1つの供給ユニット(70、80)は、前記キャリア構造体(20)上に配置されることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の土木機械。
【請求項11】
除去装置、特に、請求項1~10のいずれか一項に記載の土木機械(10)のための、除去装置であって、
前記除去装置(30)は、前進方向に実質的に同じ高さである少なくとも2つの機械モジュール(40、50)から構成され、前記除去装置の前記少なくとも2つの機械モジュール(40、50)は人用通路(18)を有し、人用通路は、前記除去装置(30)の前記前進方向に対して横方向に配向されることを特徴とする除去装置。
【請求項12】
前記人用通路(18)を横方向において閉鎖するための1つ又は2つのドアが配置されることを特徴とする請求項11に記載の除去装置。
【請求項13】
特に請求項1~10のいずれか一項に記載の土木機械(10)を用いて土壌を除去するための土木工法であって、
ガイド装置(24)を有するキャリア構造体(20)が配置され、
除去装置(30)が前記キャリア構造体(20)上に配置され、鉛直に前進方向に地中へ下降され、ここで土壌物質が作業領域内で除去されて穴を形成し、
前記除去装置(30)は少なくとも2つの機械モジュール(40、50)からなり、それらが、互いに分離されて前記ガイド装置(24)によって前記作業領域へ運ばれ、前記作業領域で互いに連結されて前記除去装置(30)を形成し、
人用通路(18)が、前記キャリア構造体(20)内の少なくとも2つの機械モジュール(40、50)に形成され、そこを通って人が前記キャリア構造体(20)内の前記少なくとも2つの機械モジュール(40、50)を水平方向に通過することができる、
土木工法。
【請求項14】
少なくとも2つの隣接する穴が作られ、第1の穴を作った後、前記除去装置(30)が前記第1の穴から引き出され、前記機械モジュール(40、50)が分離され、
更なる穴を形成するために、前記機械モジュール(40、50)は、前記ガイド装置(24)に沿って動かされ、再び一緒に連結されて前記除去装置(30)を形成し、その後、土壌物質を除去しながら地中に下降されることを特徴とする請求項13に記載の工法。
【請求項15】
前記キャリア構造体はトンネル(5)内で地中に配置されることを特徴とする請求項13又は14に記載の工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1による、土壌を除去するための土木機械に関する。本発明は、さらに、請求項13による、このような土木機械を用いて土壌を除去するための土木工法に関する。
【背景技術】
【0002】
地中にトレンチ又はボーリング孔を作るために、土木機械の提供が知られており、例えば特許文献1に示され得る。ここでは、いわゆるトレンチカッタが鉛直方向に調整可能な方法でマスト又はブーム上に配置される。したがって、キャリア装置上のマスト又はブームの高さは、通常は15m~30m、又はそれ以上である。マストの高さは、主にトレンチカッタの高さによって決定される。
【0003】
このような土木機械を用いて、トレンチ壁(地中連続壁)、又は止水壁を作成し、それは100m以上の深さに達し得る。このようなトレンチ壁、又は止水壁は、例えば、掘削ピットを支え、又は地下遮水壁を作るのに役立つ。このようなカッタを用いて天然資源を採掘することも可能である。
【0004】
場合によっては、止水壁をトンネルの構造物の中又はその付近、あるいは狭い空間内に作ることが必要である。細長いマストを有するキャリア装置及び大きなトレンチカッタは、このような用途に使用できない。
【0005】
トレンチを作るためのコンパクトな土木機械は、特許文献2によって知られている。この土木機械は、フレーム及びブームを有する有軌道台車を有し、それは、トレンチカッタの鉛直長よりも僅かに背高である。吊り下げケーブル及び連結ケーブル用のケーブルリールと、供給ホース用のホースリールとは、地面に近いキャリアフレーム上に取り付けられる。トレンチカッタは、必須の構成要素、例えば切削ホイール、駆動装置及びポンプに限られており、ガイドフレームは小さいサイズとなる。
【0006】
さらにコンパクトな土木機械は、特許文献3で見つけられ得る。この機械では、コンパクトなトレンチカッタがヨークの下方に調整可能に取り付けられ、それは、2つのキャリア装置を並べて配置することで形成される。2つのキャリア装置は枢動ジョイントにより連結される。
【0007】
これら周知のコンパクトな土木機械では、展開高は主に、トレンチカッタの高さによって制限される。トレンチカッタは、任意に小さくすることができず、それはある程度の大きさが、切削ホイール、駆動装置、ポンプに対して、特にガイドフレームに対して必要なためである。
【0008】
切削ホイール上の切削歯を交換するためのメンテナンス時間を短縮し得るトレンチカッタが、特許文献4によって知られている。これは、個別の切削歯ではなく、そのカッタフレーム上の切削ヘッド全体を交換することによって達成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第102004013790号明細書
【特許文献2】欧州特許第0518297号明細書
【特許文献3】欧州特許第3208384号明細書
【特許文献4】欧州特許独文翻訳第602004008375号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、特に狭い空間条件においても効率的な作業が可能である、土壌を除去するための、土木機械及び土木工法を提供することである。
【0011】
本目的は、一方では、請求項1による土木機械により達成され、他方では請求項13による土木工法により達成される。本発明の好ましい特定の実施形態は、それぞれの従属請求項に示される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、土木機械が提供され、それは、少なくとも2つの機械モジュールで構成された除去装置と、その除去装置を吊り下げて、地中に穴を形成するために鉛直方向に動かすキャリア構造体と、を備え、ここで人用通路(personnel passage)が少なくとも2つの機械モジュール内に、及び/又は少なくとも2つの機械モジュールに形成されて、人が少なくとも2つの機械モジュールに沿って水平方向に通過することを可能にする。
【0013】
本発明の根底にある概念は、少なくとも2つの機械モジュールと、任意の更なる土木機械の構成要素と備えた除去装置を、運搬可能なコンパクトな機械モジュールとして設計することであると考えられ得る。さらに、除去装置を吊り下げて、鉛直方向に移動させて穴を形成するためのキャリア構造体が提供され、キャリア構造体は、追加的に別個の機械モジュールを搬送又は運搬するためのガイド装置を有している。したがって、本発明によれば、もはや、完全に使用準備が整った除去装置を、穴を作成する作業領域に移動させる必要がない。むしろ、本発明によれば、除去装置は、その機械モジュールに分離されて作業領域に運ばれ、そこで除去装置を形成するために組み立てられるのみである。更なる構成要素、例えば土木機械用の供給ユニット、コンクリート注入モジュール、又は補強材を組み込むためのモジュールもまた、機械モジュールとして設計され得る。この目的のために、キャリア構造体は、適切なガイド又は搬送装置を備えて設計される。キャリア構造体の全高は、好ましくは、使用準備が整った除去装置の高さよりも低くなり得る。キャリア構造体は、機械モジュールの高さと同じか、それよりも高いことのみを要する。
【0014】
したがって、原理的に、操作は、非常に低い作業高のみが利用可能な作業現場でも、さらには組み立てられた除去装置の高さよりも低い作業現場でさえも、実行することができる。これは、特に、約1m~4mの深さを有する、いわゆるガイドトレンチが、予め作業領域に作成され、1つ以上の機械モジュールをガイドトレンチ内に配置した後に、除去装置として組み立てられる場合に達成され得る。
【0015】
本発明による土木機械は、作業現場で、及び頭上空間が非常に低い建物内に配備され得て、それは5m未満、さらには3m未満にさえもすることができる。機械モジュール内又は機械モジュール上に形成された人用通路により、トンネル内、特に機械モジュールがトンネルの断面全体にわたって延在するトンネル内での配備も可能である。例えばメンテナンス目的のためのオペレータの安全な通過は、この方法で確保され得る。さらに、機械モジュールが、限られたトンネル断面を完全に、又は大部分を占めることができる。これにより、限られた空間を有効活用できる。
【0016】
同様に、個々のモジュールの側面を覆うことも可能であり、あるいはそれらを横方向又は完全に囲まれたコンテナとして直接実装することも可能であり、建設活動は、屋外での操作であっても、環境から保護される。人用通路は、モジュールの外装の内側に配置されることが好ましい。
【0017】
原理的には、人用通路は個々の機械モジュールにのみ設けられ得る。本発明の展開によれば、人用通路は、すべての機械モジュール内又はすべての機械モジュールに形成されることが特に好都合である。
【0018】
本発明の好ましい実施形態では、切削ホイールを有する第1の機械モジュールと、少なくとも1つの駆動ユニットを有する第2の機械モジュールが提供される。この場合、除去装置はトレンチカッタとして設計される。したがって、第1の機械モジュールは、トレンチカッタの下部分であって、切削ホイール及び切削ホイールのベアリングをベースサポート上に有する下部分を収容し得る。第2の機械モジュールは、少なくとも1つの駆動ユニットを、好ましくはポンプ装置用に含み、この駆動ユニットは、特に、切除された土壌物質を含有する懸濁液を洗浄及び/又は汲み出すように設計される。代替的又は追加的に、この駆動ユニット又は更なる駆動ユニットは、切削ホイール用であってもよい。除去装置は、土壌を除去するための任意の装置であり得る。除去装置は、好ましくは、トレンチカッタ、把持装置、又は掘削装置、特にインザホール(in-the-hole)ドリルを具備する。
【0019】
コンパクトな実施形態では、除去装置を穴の中で案内し、調整するためのガイド要素もまた、第2の機械モジュールに配置され得る。特に、伸縮可能な調整要素が設けられ得て、それは調整シリンダによって実現され、除去装置を壁に対して調整し得る。
【0020】
除去装置は、原理的には複数の更なる機械モジュールから構成され得て、それらは様々な機能を有し得る。ガイドフレームを有する更なる少なくとも1つの機械モジュールを設けることが、特に望ましい。ガイドフレームは純粋に受動的で、足場状のフレームの形態とされ、穴の壁に押し付けられ、穴の壁に沿って案内するための押し付け要素を有し得る。これらのプレート状要素はまた、穴、特にトレンチ又はボーリング孔の相対的な位置を変化させるために調整可能である。原理的に、ガイドフレームを備えた複数のこのような機械モジュールが配置され得て、ガイドフレームの高さが増加するにつれて、除去装置のガイド精度及びガイド安定性が向上される。この方法では、全高が制限されていても、最大100m以上の大きな深さの穴を良好なガイド精度で作ることができる。
【0021】
原理的に、少なくとも1つの機械モジュール、好ましくは上部モジュール又は下部モジュール上に、キャリア装置が配置され、キャリア装置を用いて、除去装置は、吊り下げケーブル又は棒状のキャリア装置によってキャリア構造体に保持される。
【0022】
本発明による除去装置の効率的な操作に関して、1つの実施形態の変形例によると、キャリア構造体が少なくとも1本のガイドレールを有し、それに沿って、個々の機械モジュールが取り付けられて、穴に対して横方向に移動することが有益である。これにより、キャリア構造体は、除去装置を鉛直に前進方向に移動させるのみでなく、個々の機械モジュールをこの前進方向に対して横方向に移動させることも可能となる。これにより、個々の機械モジュールの運搬と切り離しの効率化、特に横方向又は水平方向のトンネル内での便利な組み立てと分解が可能となる。
【0023】
適切なベアリングの使用により、手動での移動は、原理的に可能である。本発明の展開によれば、位置決め装置が機械モジュールを動かすための移動駆動装置を有することが特に好都合である。これは、例えば、ギアラックに沿って移動するスプロケットを備えたモータであり得る。ケーブルウィンチを備えたケーブル作動機構、リニア調整シリンダ又は別の適切な駆動手段を設けることもできる。駆動装置は、好ましくは、電気的又は油圧的に動作され得る。
【0024】
機械モジュールは、原理的に、可能な限り迅速な解放と連結を可能にする任意の適切な方法で連結され得る。本発明の展開によれば、機械モジュールが、長手方向又は除去方向に対して横方向及び/又は長手方向に配向された連結面を有することが特に有利である。これにより、可能な限り大きな連結面が作り出され、個々の機械モジュール間の特に安定した連結が可能になる。除去装置自体の機械モジュールに加えて、更なる機械モジュールが供給装置又は保持装置用に設けられ得て、それらは除去装置とは別個である。
【0025】
この場合、解除可能な連結装置をそれら連結面上に配置することが、特に好ましい。連結装置は、まず第1に、機械的連結装置であり、機械モジュールを安定して緊密に結合するためのものである。さらに、連結装置は、供給ホース及びラインを、例えば電力用及びデータ伝送用に連結するための装置も含み得る。クイック連結装置も原理的に設けることができる。これらは、手動で、又は少なくとも部分的に、調整シリンダなどの適切に駆動されるアクチュエータによって動作され得る。しかし、供給ユニットと機械モジュールとの間のラインは、好ましくは分離されず、したがって、除去装置が組み立てられるときに連結される必要はない。特に、各機械モジュールには、直接ライン連結された独自の供給ユニットが割り当てられ得る。連結装置は、機械モジュールの人用通路の近くにあることが好ましい。
【0026】
原理的に、キャリア構造体は全体として鉄骨梁からコンパクトな方法で構成され得て、キャリア構造体は作業領域にのみ配置される。土木機械の特に効率的な動作モードは、キャリア構造体が、隣接して穴が導入される作業領域に沿って延びる場合に達成され得る。これにより、最初の穴を作成した後、除去装置は、個々の機械モジュールに分解されてキャリア構造体に沿って移動され、再度、それらを組み立てて除去装置を形成し、第2の、又は更なる穴を作業領域に作ることができる。このようにして、例えば、擁壁又は遮断壁に望ましい連続したトレンチを効率的に作成し得る。
【0027】
本発明のさらに望ましい実施形態では、除去装置を鉛直方向に移動させる少なくとも1つのホイストユニットが、キャリア構造体上に配置される。ホイストユニットは、好ましくは、吊り下げケーブルを備えたウィンチ配置として、又は入れ子式ロッドアセンブリとして設計される。ホイストユニットは、適切なリフト駆動装置、例えばロータリ駆動装置を有する。これは、電気式又は油圧式に動作され得る。ホイストユニット自体は、容易に解放可能、かつ調整可能なモジュールとして、モジュール方式でキャリア構造体に取り付けられ得る。例えば、吊り下げケーブルは、少なくとも1つの対応するプーリを介して、ホイストユニットのウィンチ配置からキャリア構造体の上部領域に沿って除去装置に案内され、そこに解放可能に連結される。少なくとも1つのプーリは、ローラスライドに回転可能に取り付けられ得て、ローラスライドはキャリア構造体に移動可能に取り付けられている。
【0028】
さらに、本発明の展開によれば、少なくとも1個のホースリール及び/又はラインリールを有する少なくとも1つの供給ユニットを、キャリア構造体上に配置することが望ましい。1つ以上の供給ユニットも同様に、容易に解放可能かつ移動可能な機械モジュールとして、キャリア構造体上に取り付けられ得る。ホースは、懸濁液又は作動流体を除去装置へ運び/除去装置から排出するように、設計され得る。ラインリール上のラインは、電力、作動流体を送るように、又はデータラインとして設計され得る。ホイストユニット及び供給ユニットはまた、機械モジュール又は単一ユニット上に共通に形成され得る。
【0029】
キャリア構造体は、原理的に、任意の設計であり得る。好ましくは、キャリア構造体は垂直支柱を有し、その垂直支柱上に少なくとも1本のガイドレールが地面から離れて保持される。このようにして、機械モジュールは、1本以上の平行なガイドレール沿いでキャリア構造体に沿って確実に移動され、作業現場にて組み立てられ得る。個々の機械モジュールが、ホイストユニット、特に吊り下げケーブルを取り付けるための保持点を有し得ることで、個々の機械モジュールは、ガイドトレンチの中、又は穴の外へと持ち上げられた後、そのキャリア構造体に沿って移動され得る。キャリア構造体自体は、囲いを形成する1つ以上のコンテナから構成され得る。
【0030】
本発明は、さらに、除去装置であって、実質的に同じ高さである少なくとも2つの機械モジュールで構成され、少なくとも2つの機械モジュールが人用通路を有し、人用通路が除去装置の進行方向に対して横方向に配向されることを特徴とする除去装置に関する。この除去装置は、好ましくは上述した土木機械にて使用され得る。
【0031】
本発明の展開によれば、特に良好な搬送能力は、機械モジュールの高さが3m以下であるという事実によって実現される。このように、機械モジュールは、搬送目的で標準コンテナ、又は少なくともいわゆるハイキューブコンテナに収容され得て、本質的に道路輸送に適合する。ここで、本発明による機械モジュールのコンパクトな高さは、トンネル、又は他の狭い空間内での配備を可能にする。トンネルが土木機械の使用のために特別に作られる場合、より小さいトンネル断面は、既知の土木機械で必要とされる大きなトンネル断面よりも製造コスト効率がよい。さらに、1つ以上の標準コンテナ又はハイキューブコンテナは、トレンチカッタ用の囲い又はハウジングとして提供されてもよい。このようにして、第1に、搬送がさらに簡素化され、第2に、建設活動は、例えば屋外での作業時に環境から保護される。人用通路によって、オペレータはコンテナ列内ですべてのモジュールを、コンテナ壁の保護から離れることなく移動し得る。したがって、迅速な建設の進行が悪天候であっても達成され得る。
【0032】
人用通路は、原則として開いたままにすることができ、機械モジュールの第1の側から機械モジュールの反対側まで延在し得る。好ましくは、土木機械のすべての隣接する機械モジュールの人用通路は、通路が互いに隣接する隣接状態で設計され、人が一方の機械モジュールから他方の機械モジュールに移動できるようにする。人用通路は、個々の機械モジュールの側部領域又は内部領域に形成され得る。特に内部領域で実現される場合、本発明の展開によれば、人用通路を閉鎖するために1つ又は2つのドアが配置されることが好ましい。特に、除去装置を形成するために設けられた機械モジュールの場合、人用通路はドアを用いて緊密に閉じることができる。このようにして、トレンチ内の懸濁液が人用通路に入り、汚染するのを防ぐことができる。
【0033】
水平な人用通路の場合、格子状の通路格子が、好ましくは人用通路に設けられ得る。
【0034】
また、本発明によれば、上述の土木機械を用いて土壌を除去するための土木工法が提供され、この工法では、キャリア構造体がガイド装置を有して配置され、除去装置がキャリア構造体上に配置されて、地中に鉛直方向に下降され、ここで土壌物質が作業領域で除去されて穴を形成し、除去装置は、少なくとも2つの機械モジュールから構成され、ガイド装置により互いに別々に作業領域に運搬され、作業領域で互いに連結されて除去装置を形成し、ここで、人用通路は、少なくとも2つの機械モジュール内及び/又は上に形成され、人はそこを通って、キャリア構造体内の少なくとも2つの機械モジュールを水平方向に通過し得る。このようにして、オペレータが個々のモジュール又は作業現場に、土木機械の組み立て中及び/又は操作中に安全にアクセスできることが保証される。
【0035】
上述の利点は、本発明による方法で達成され得る。除去装置は、原理的に、構築されたトレンチから再び引き出され、逆の方法で分解される。
【0036】
本発明の特に有利な工法の変形例は、少なくとも2つの隣接する穴を生成することに関し、ここで第1の穴を形成した後、除去装置は第1の穴から引き出され、機械モジュールが分離され、そして更なる穴を形成するために、機械モジュールはガイド装置に沿って移動され、再び一緒に連結されて除去装置を形成し、次に除去装置は、土壌物質を除去しつつ地中に下降される、ことと考えられ得る。この工法を用いて、複数の穴は、限られた空間でも、効率的に、良好な制御を用いて比較的大きな深さで作成され得る。本発明の意味の範囲内で、トレンチ又はボーリング孔であり得る隣接する穴は、直接隣接して並んで配置される必要はない。それらは、例えば、バックステップ(back-step)法を使用して擁壁を作成するための一次穴、又は二次穴であってもよい。この場合、個々のステップは、必要に応じて何度でも繰り返され得て、キャリア構造体は、作業が進行するにつれてガイド装置を使用して作業領域に沿って任意に調整又は移動され得る。
【0037】
この方法は、原理的に、どの作業現場でも実行され得る。特に有利なことには、本発明の展開によれば、キャリア構造体はトンネル内の地中に配置される。したがって、この方法は、地中のトンネル内の、非常に狭い空間条件において実行することができる。したがって、この方法は、例えば、その目的のために作られたいわゆるマイクロトンネルの下に位置する天然資源を採掘するためにも使用され得る。
【0038】
本発明の展開によれば、構造物、特に地中に擁壁を形成するため、少なくとも1つの穴が硬化性懸濁液で充填され、それを硬化させて擁壁が形成される。硬化性懸濁液を用いた充填は、除去プロセス中に、いわゆる単相法で、又は引き続き安定用懸濁液を硬化性懸濁液で置き換える、いわゆる二相法で実行され得る。
【0039】
硬化性懸濁液を生成するために、除去された土壌物質のうち少なくとも一部分を用い、硬化性の液体と混合させ、硬化性懸濁液をその穴の中で直接、又はその穴の外側の処理プラント内で形成させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図5】本発明による
図1の、土木機械のキャリア構造体の斜視図である。
【
図6】
図1の土木機械の第1の機械モジュールの拡大斜視図である。
【
図7】
図1の土木機械の第2の機械モジュールの拡大斜視図である。
【
図8】本発明による、土木機械用のシフトスライドの斜視図である。
【
図9】本発明による、土木機械用のホースリールを備える供給ユニットの斜視図である。
【
図10】本発明による、土木機械用のラインリールを備える別の供給ユニットの斜視図である。
【
図11】本発明による、土木機械の使用時の正面図である。
【
図13】本発明による
図11の土木機械の、除去装置が組み立てられた正面図である。
【
図17】本発明による機械モジュールの、内部に人用通路を備えた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、図面に概略的に示されている好ましい例示的な実施形態を参照して、以下により詳細に説明される。
【0042】
図1~
図4は、本発明による、土木機械10の様々な図を示し、土木機械10は、略円形のトンネル断面を有するトンネル内に設置するように設計される。
図1~
図4による土木機械10は、本発明による切削プロセスが実行される前の休止又は初期位置で示される。
【0043】
土木機械10は、足場状のキャリア構造体20を有し、それはまた
図5でより詳細に示される。キャリア構造体20は、格子状の床部支持体21を具備し、それは長手方向梁及び横方向梁で構成される。さらに、天井領域23が設けられ、それは対応して格子状又は梯子状に構成され、床部支持体21によって、複数の垂直支柱22の方法で支えられる。ガイドレール25を有するガイド装置24は、その機能について後に詳述するが、天井領域23及び床部支持体21に沿って実装され得る。床部支持体21及び天井領域23の両方の長手方向梁により、位置決め装置26のガイドレール25を形成し得る。垂直支柱22は、それぞれ対で配置され、またそれぞれ床部支持体21と天井領域23を横方向梁の領域で連結し、互いに実質的に均一な距離にて配置され得る。除去装置をキャリア構造体20の中央領域で組み立て、分解するための切削セクション28は、その例外となり得る。トレンチカッタ用の床部通路29は、この切削セクション28で床部支持体21に形成され、そこでは垂直支柱22はさらに離隔される。原理的に、このような床部通路29は、垂直支柱22の全ての対の間に設けられ得る。横方向に突出する支柱12は、通路格子14を支持するのに役立ち、床部支持体21に形成される。1つ、又は2つの人用通路18は、このようにして形成され得る。人用通路18はまた、機械モジュール40、50がトンネル断面を完全に又は大部分横切って延在する場合、機械モジュール40、50の内部に配置され得る。
【0044】
図1~
図4に示すように、第1の機械モジュール40は、休止又は初期状態時において、切削セクション28内に配置される。第1の機械モジュール40は、ベースフレーム44を有し、切削ホイール42がベースフレーム44上に配置されている。第1の機械モジュール42は、ベースフレーム44により、上部のガイドレール25に沿って、キャリア構造体20の長手方向に移動可能となるよう取り付けられる。
【0045】
第1の機械モジュール40の側方には、第2の機械モジュール50が、ガイドフレーム54によって位置決め装置26の上部のガイドレール25に沿って移動可能となるよう同様に取り付けられる。第2の機械モジュール50は、その内部に取り付けられた駆動ユニット52を有し、2本のケーブル64に吊り下げられる。ケーブル64は、ホイストユニット60のウィンチ62によって、上部の天井領域23に沿い位置決めスライド27まで案内され、そこからケーブル64はプーリを介して第2の機械モジュール50まで案内され、そこに解放可能に取り付けられる。トレンチカッタを昇降させるホイスト機能に加えて、ケーブル64はまた、位置決め装置26の一部とすることができ、少なくとも第2の機械モジュール50を上部のガイドレール25に沿って長手方向に移動させる。
【0046】
図1~
図4に示す土木機械10では、複数本のライン84用の回転可能ラインリール82を有する第1の供給ユニット80は、第1の支持スライド86上で、切削セクション28に対してキャリア構造体20の左手側に移動可能に取り付けられる。ライン84は、データラインとして電流用に設計され、又はさらに切削ホイール42を有する第1の機械モジュール40への油圧エネルギ又は圧縮空気の供給用に設計され得る。図示の特定の実施形態では、第1の支持スライド86は、天井領域23のガイドレール25と床部支持体21のガイドレール25の両方に沿って長手方向に移動可能であり、また所定の位置に固定可能となるよう、取り付けられる。第1の供給ユニット80は、第1の機械モジュール40に直接連結される。
【0047】
第2の供給ユニット70は、第2の支持スライド76に回転可能に取り付けられたホースリール72及びラインリール73を有するもので、右手側に示される。第2の支持スライド76には、ウィンチ62の2つのウィンチドラムもまた回転可能に取り付けられており、上部の天井領域23上のガイドレール25に沿って長手方向に移動され、その位置で固定され得る。第2の供給ユニット70は、第2の機械モジュール50に直接供給するように機能する。勿論、ラインリール82、ホースリール72、及びラインリール73をすべて同じ供給ユニット70、80に配置することも可能である。
【0048】
ホースリール72のホースライン74は、
図1~
図4に示される。ホースライン74は、切除された土壌物質を支持流体と共に排出するよう設計され得る。ラインリール73上の更なるライン75は、制御又は計測信号用の電線であり得て、あるいは作動流体を供給又は排出するように設計され得る。キャリア構造体20への、かつキャリア構造体体20からの媒体の追加の供給及び排出は、ライン及びホースを介して従来の方法で行われ、明確にするために図示されていない。
【0049】
第1の機械モジュール40は、
図6により詳細に示される。2対の切削ホイール42は、断面が略U字形であるベースフレーム44に回転可能に取り付けられる。切削ホイール42の各対は、ベースフレーム44の下側に取り付けられた中央切削プレート43に回転可能に取り付けられる。切削ホイール42には、その外側に、一般的に周知の方法で、土壌物質を除去するための切除歯が設けられる。
【0050】
2対の切削ホイール42は、中心に対して反対方向に回転し、それらの間に、吸い取りノズル45が設けられ、切除された土壌物質を支持流体又は切削流体によって運び、吸い取る。切削ホイール42の各対のために、切削駆動装置46がベースフレーム44に取り付けられる。駆動装置は、原理的にも、切削ホイール42に組み込まれ得る。さらに、鉛直面及び水平面が、ベースフレーム44に第1の連結面48として設けられ、ボルト連結のための貫通孔49が設けられ得る。レセプタクル41は、
図10に関連してより詳細に説明されるように、第1の供給ユニット80への連結に役立つ。
【0051】
図7は、第2の機械モジュール50を示し、それは箱状ガイドフレーム54からなる。ガイドフレーム54の断面は、第1の機械モジュール40の切削断面にほぼ対応し、その結果、除去装置としてのトレンチカッタは、ガイドフレーム54によりトレンチ内自体に案内される。位置補正のために、プレート状の調整要素56が設けられ、それは油圧シリンダによる一般に周知の方法で調整可能であり、トレンチの壁に対してある程度の位置調整が可能である。
【0052】
第2の連結面58はガイドフレーム54上に設けられ、これにより、第1の機械モジュール40上の第1の連結面48への位置的に正確な連結が可能になる。ポンプ装置の形態である駆動ユニット52は、ガイドフレーム54の内側に取り付けられる。吊り下げケーブルを取り付けるための保持装置55は、ガイドフレーム54の上側の中央領域に設けられる。
【0053】
第1の機械モジュール40及び第2の機械モジュール50は、機械的に相互連結され得る。
【0054】
前述の位置決めスライド27は、
図8により詳細に示される。これはスライドフレーム34を有し、その外側には、4つのガイドローラ35が回転可能に取り付けられる。ガイドローラ35は、位置決めスライド27を、キャリア構造体20上のガイド装置24のガイドレール25上又はガイドレール25内で直線的に案内する。
【0055】
ガイドローラ35は互いに対向する対で配置され、2つの対の間にギャップを有し、そのギャップ内には、横方向に対向する2つのプーリ36が配置され、ケーブル64用であり、第2の機械モジュール50、ひいてはトレンチカッタ全体を保持するためのものである。プーリ36は、ウィンチ62から略水平に案内されたケーブル64を鉛直下向きに方向転換する。弓形の略四分円形状のホースガイド37は、スライドフレーム34上に配置され、ホースライン74及びライン75を第2の供給ユニット70から方向転換させる。これらのホースガイド37は、水平方向に運ばれたホースライン74及びライン75をトレンチカッタに対して鉛直方向に方向転換させる。
【0056】
図9は、前述の第2の供給ユニット70をより詳細に示す。それは第2の支持スライド76を有し、それには、流体用の大きなホースライン74用のホースリール72と、2本の油圧ホース75及び2本の電線75用のラインリール73が回転可能に取り付けられる。さらに、互いに平行に延びる2本のケーブル64用のウィンチ62のウィンチドラムは、第2の支持スライド76の後部領域に回転可能に取り付けられる。4つのガイドローラ35は、第2の支持スライド76の2つの側壁のそれぞれに沿って均等な分布で配置され、回転可能に取り付けられる。第2の供給ユニット70は、ガイドローラ35によりキャリア構造体20の天井領域23上のガイドレール25に沿って長手方向に移動できるように取り付けられる。
【0057】
図10に示される第1の供給ユニット80は、同様の方法で設計される。それは、第1の支持スライド86を含み、第1のスライドには、ラインリール82が回転可能に取り付けられる。第1の支持スライド86には、両側の側面部分のそれぞれに、3つの上部ガイドローラ35が設けられ、これらは、キャリア構造体20の天井領域23上のガイドレール25に沿って直線的に案内される。さらに、2つの横方向の支持ローラ38は、第1の支持スライド86の下部領域に回転可能に取り付けられ、床部支持体21上のガイドレール25上に置かれ、それらに沿って直線的に案内される。
【0058】
第1の支持スライド86の一方の端面上には、四分円状の湾曲したリターンガイド88があり、それを用いて、ラインリール82からのラインを水平方向から鉛直方向へと方向転換し、トレンチカッタに向けることができる。
【0059】
連動機構89は、第1の機械モジュール40のレセプタクル41(
図6を参照)に導入されることによって、第1の機械モジュール40への連結に役立ち、例えば、油圧シリンダにより、それを水平方向に延ばすことによる連結に役立つ。例えば1つ又は2つの油圧シリンダを含むことができるホイスト装置90を用いて、第1の機械モジュール40をガイドトレンチ内に下降させるか、又はトレンチの完成時に再び上昇させ得る。
【0060】
図11~
図16に関連して、本発明による土木機械10の使用、及び狭い空間条件でトレンチを切削するための本発明による方法の実行が、より詳細に説明される。
【0061】
図11は、本発明による土木機械10の、地中のトンネル管5内の配置を示し、
図12による部分断面図のトンネル管は、円形のトンネル断面を有する。土木機械10を管状トンネル5内に導入する前に、固いガイド壁7を有するガイドトレンチ6が一般に周知の方法でトンネル5の床部に作られる。ガイド壁7は、コンクリートで現場打ちされ得るか、又はコンクリート若しくは鋼製のガイド要素を挿入して形成され得る。ガイドトレンチ6は、1m~5mの間の深さを有し得て、一般的に知られているように、掘削機又はブレードカッタを使用して作られる。ガイドトレンチ6は、一般的に知られているように、ガイド壁7に沿ってトレンチカッタを最初に案内するよう機能する。本発明による工法では、ガイドトレンチはさらに、以下でより詳細に説明するように、第1の機械モジュール40を第2の機械モジュール50に組み立て、連結するための組み立て空間として機能する。
【0062】
トンネル5で使用される土木機械10は、前述の土木機械10に対応し、基本的な構成要素として、足場状のキャリア構造体20を含み、その中で、第1の機械モジュール40、第2の機械モジュール50、さらに第1の供給ユニット80及び第2の供給ユニット70が、直線的に移動可能な方法で案内され、所定の位置に保持される。キャリア構造体20はトンネル5に適合され、床部支持体21がトンネル5の床部に対して支えられ、キャリア構造体20の天井領域23がトンネル5の天井に対して支えられる。土木機械10を天井ではなく、床部のみで支持することも可能である。トンネル5は、約2m~6mの直径を有し得る。トンネル断面が相当する大きさの場合、土木機械10の側方支持も考えられ、側方の自由空間はオペレータのための人用通路18として使用され得る。人用通路18を形成するために、通路格子14が横方向に突出する下部水平支柱12上に置かれる。機械モジュールが水平方向に離隔される場合、人用通路18は、部分的にキャリア構造体20において延び、また部分的に機械モジュール40、50を通って延びる。
【0063】
図13による第1のステップでは、切削ホイール42を有する第1の機械モジュール40は、連動機構89を介して第1の供給ユニット80に連結され、次いで、ホイスト装置90によって、作成済みのガイドトレンチ6内に少なくとも部分的に下降され、その結果、第2の機械モジュール50は、キャリア構造体20に沿って第1の機械モジュール40上に押圧され得る。そのプロセスで、第2の供給ユニット70は、第2の機械モジュール50に対応して移動され追跡され得る。
図13及び
図14に示すように、この位置では、第1の機械モジュール40は第2の機械モジュール50と組み立てられて連結され、
図15及び
図16に示すように、除去装置として使用準備が整ったトレンチカッタ30を形成し得る。
【0064】
2つの機械モジュール40、50間の機械的連結が確立されると、連動機構89を介した第1の機械モジュール40と第1の供給ユニット80との間の連動は解除され得る。次に、除去装置30は、切削ホイール42が回転している状態で、吊り下げケーブル64を介して地中に下降され、土壌物質が除去されて切削トレンチを形成し得る。第2の供給ユニット70からのホースライン74及びライン75もまた、原理的に除去装置30に連結され得るが、第1の供給ユニット80からのライン84は恒久的に連結される。しかしながら、第1の供給ユニット80と第1の機械モジュール40との間のライン及び、第2の供給ユニット70と第2の機械モジュールとの間のラインは、いずれの場合も恒久的に連結され、もはや組み立て中に連結される必要がないことが好ましい。除去された土壌物質は、ポンプ装置の形態の駆動ユニット52によって吸い取りノズル45を介して汲み出され、ホースライン74によって、トンネル管5の穴としてのトレンチの外側に運ばれ、そこからトンネル管5の外へ運ばれ得る。
【0065】
所望の最終深さに達すると、除去装置30は再び引き上げられ、逆の方法で分解され得る。土木機械10をキャリア構造体20と一緒に全体として移動した後、又は機械モジュール40、50をキャリア構造体20に沿って直線的に、新しい作業領域に移動させた後、除去装置30を再組み立てし、新たなトレンチを切削するために、組み立てステップが繰り返され得る。
【0066】
キャリア構造体20は、前の例示的な実施形態に示されるように、一体部品として、又は離隔されるか、若しくは枢動ジョイントによって相互接続される複数の構成要素からなる複数の部品構造として設計され得る。除去装置30を制御するための制御ステーションが設けられ得て、それ自体は好ましくはキャリア構造体20上又は除去装置30近くに設けられる。除去装置30はまた、原理的に、除去装置30上に直接吸い取り装置を設けることなく設計され得る。この場合、適切な吸い取り装置は、キャリア構造体20の近くに配置され得る。代替的に、吸い取り装置、特にポンプは、切削ホイール42を備えた第1の機械モジュール40上に、又は切削ホイール42の真上の第2の機械モジュール50に配置され得る。
【0067】
本発明による土木機械10の別の実施形態は、
図17に示される。この場合、土木機械10の機械モジュール50は、トンネル5の断面をほぼ完全に、又は大部分覆う断面を有する。この場合、キャリア構造体20は、トンネル5に沿ったレール配置として設計され得る。人用通路18を提供するために、通路が機械モジュールの内部に設けられ、その床部はオペレータ又はメンテナンス要員のための通路格子14を形成する。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機械モジュー
ルで形成された、土壌を除去するための土木機械であって、
少なくとも2つの機械モジュー
ルから構成される除去装置と、
前記除去装
置を吊り下げ、地中に穴を形成するために鉛直に前進方向に動かすキャリア構造
体と、
を備え、
前記キャリア構造体は、追加的にガイド装置を有して、個々の前記機械モジュー
ルを前記前進方向に対して横方向に運搬又は搬送し、
人用通
路が前記キャリア構造
体内の前記少なくとも2つの機械モジュー
ルに形成され、人が前記少なくとも2つの機械モジュー
ルに沿って水平方向に通過することを可能にする、
土木機械。
【請求項2】
人用通
路は、すべての機械モジュー
ルにおいて機械モジュー
ル内又は機械モジュー
ルに形成され、人がすべての前記機械モジュールに沿って水平方向に通過することを可能にする
、請求項1に記載の土木機械。
【請求項3】
前記除去装
置はトレンチカッタ、把持装置、又は掘削装置を含む
、請求項
1に記載の土木機械。
【請求項4】
ガイドフレー
ムを有する少なくとも1つの更なる機械モジュールが設けられてい
る請求項
1に記載の土木機械。
【請求項5】
前記キャリア構造
体は、少なくとも1つのガイドレー
ルを有し、このガイドレールに沿って個々の前記機械モジュー
ルが取り付けられ、前記前進方向に延びるトレンチに対して横方向に移動可能となる
、請求項
1に記載の土木機械。
【請求項6】
前記機械モジュー
ルを移動させるための移動駆動装置を有する位置決め装
置が設けられてい
る請求項5に記載の土木機械。
【請求項7】
前記機械モジュー
ルは連結
面を有し、当該連結
面上に解放可能な連結装置が配置され
る請求項
1に記載の土木機械。
【請求項8】
前記キャリア構造
体は、穴として挿入される隣接する複数のトレンチ又はボーリング孔が存在する作業領域に沿って延在する
、請求項
1に記載の土木機械。
【請求項9】
前記除去装
置を鉛直方向に動かすための少なくとも1つのホイストユニッ
トは、前記前進方向において前記キャリア構造
体上に配置される
、請求項
1に記載の土木機械。
【請求項10】
少なくとも1つのホースリール及び/又はラインリー
ルを有する少なくとも1つの供給ユニッ
トは、前記キャリア構造
体上に配置される
、請求項
1に記載の土木機械。
【請求項11】
請求項
1に記載の土木機
械のため
の除去装置であって、
前記除去装
置は、前進方向に実質的に同じ高さである少なくとも2つの機械モジュー
ルから構成され、前記除去装置の前記少なくとも2つの機械モジュー
ルは人用通
路を有し、人用通路は、前記除去装
置の前記前進方向に対して横方向に配向される
、除去装置。
【請求項12】
前記人用通
路を横方向において閉鎖するための1つ又は2つのドアが配置される
、請求項11に記載の除去装置。
【請求項13】
請求項
1に記載の土木機
械を用いて土壌を除去するための土木工法であって、
ガイド装
置を有するキャリア構造
体が配置され、
除去装
置が前記キャリア構造
体上に配置され、鉛直に前進方向に地中へ下降され、ここで土壌物質が作業領域内で除去されて穴を形成し、
前記除去装
置は少なくとも2つの機械モジュー
ルからなり、それらが、互いに分離されて前記ガイド装
置によって前記作業領域へ運ばれ、前記作業領域で互いに連結されて前記除去装
置を形成し、
人用通
路が、前記キャリア構造
体内の少なくとも2つの機械モジュー
ルに形成され、そこを通って人が前記キャリア構造
体内の前記少なくとも2つの機械モジュー
ルを水平方向に通過することができる、
土木工法。
【請求項14】
少なくとも2つの隣接する穴が作られ、第1の穴を作った後、前記除去装
置が前記第1の穴から引き出され、前記機械モジュー
ルが分離され、
更なる穴を形成するために、前記機械モジュー
ルは、前記ガイド装
置に沿って動かされ、再び一緒に連結されて前記除去装
置を形成し、その後、土壌物質を除去しながら地中に下降される
、請求項13に記載の工法。
【請求項15】
前記キャリア構造体はトンネ
ル内で地中に配置される
、請求項1
3に記載の工法。
【国際調査報告】