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特表2023-544799凝集体形成物を含む製剤などの脈絡膜上投与用の製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】凝集体形成物を含む製剤などの脈絡膜上投与用の製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 48/00 20060101AFI20231018BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20231018BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20231018BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20231018BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20231018BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20231018BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20231018BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20231018BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20231018BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20231018BHJP
   A61K 39/395 20060101ALN20231018BHJP
   A61K 38/48 20060101ALN20231018BHJP
   A61K 38/46 20060101ALN20231018BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20231018BHJP
   C12N 15/52 20060101ALN20231018BHJP
【FI】
A61K48/00 ZNA
A61P27/02
A61P27/06
A61P3/06
A61P3/00
A61P21/00
A61P9/00
A61K9/08
A61K35/76
C12N15/864 100Z
A61K39/395 N
A61K38/48
A61K38/46
C12N15/13
C12N15/52 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521301
(86)(22)【出願日】2021-10-06
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 US2021053814
(87)【国際公開番号】W WO2022076591
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】63/088,828
(32)【優先日】2020-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/147,538
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518362720
【氏名又は名称】レジェンクスバイオ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ジャレド ビー
(72)【発明者】
【氏名】トリスタン ジェームズ マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】シェリ ヴァン エヴェレン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジョセフ パコーラ
(72)【発明者】
【氏名】エヴァ ブジンスキー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB11
4C076BB24
4C076CC10
4C076CC21
4C076DD09
4C076DD23
4C076DD26Z
4C076DD67
4C076EE23
4C076FF11
4C076FF14
4C076FF61
4C076GG47
4C084AA13
4C084BA44
4C084DC02
4C084DC22
4C084MA58
4C084MA66
4C084NA10
4C084NA12
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZA941
4C084ZA942
4C084ZC211
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4C084ZC331
4C084ZC332
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4C085GG01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA17
4C087MA58
4C087MA66
4C087NA10
4C087NA12
4C087ZA33
4C087ZA94
4C087ZC21
4C087ZC33
(57)【要約】
対象の眼の脈絡膜上腔への投与用の医薬組成物を本明細書で提供する。医薬組成物は、導入遺伝子をコードする組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)を含み得る。治療に有効な量の医薬組成物を必要な対象に投与することによって、対象における疾患を治療または予防するための方法もまた本明細書で提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)への投与に適した医薬組成物であって、前記医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、かつ、前記医薬組成物は、脈絡膜上投与の前に最大でも約200mMのイオン強度を含む、前記医薬組成物。
【請求項2】
ヒト対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)への投与に適した医薬組成物であって、前記医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、かつ、前記医薬組成物は、脈絡膜上投与の前に少なくとも約3%の凝集組換えAAVを含む、前記医薬組成物。
【請求項3】
ヒト対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)への投与に適した医薬組成物であって、前記医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、前記導入遺伝子は、抗ヒト血管内皮成長因子(抗VEGF)抗体であり、かつ、前記医薬組成物は、脈絡膜上投与の前に最大でも約200mMのイオン強度を含む、前記医薬組成物。
【請求項4】
ヒト対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)への投与に適した医薬組成物であって、前記医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、前記導入遺伝子は、抗ヒト血管内皮成長因子(抗VEGF)抗体であり、かつ、前記医薬組成物は、脈絡膜上投与の前に少なくとも約3%の凝集組換えAAVを含む、前記医薬組成物。
【請求項5】
前記医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間が、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間と同等またはそれ以上であり、前記参照医薬組成物は、前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記組換えAAVゲノムコピーの量は、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ前記医薬組成物は、前記参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の周辺への拡散が、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の周辺への拡散と比較して小さく、前記参照医薬組成物は、前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記組換えAAVゲノムコピーの量は、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ前記医薬組成物は、前記参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚さが、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚さと比較した場合に同等またはそれ以上であり、前記参照医薬組成物は、前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記組換えAAVゲノムコピーの量は、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ前記医薬組成物は、前記参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記導入遺伝子の発現レベルは、前記導入遺伝子の発現レベルが参照医薬組成物の脈絡膜上投与後に眼で検出される期間と比較して、前記医薬組成物の脈絡膜上投与後、より長い期間、眼で検出され、前記参照医薬組成物は、前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記組換えAAVゲノムコピーの量は、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ前記医薬組成物は、前記参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の眼における前記導入遺伝子の濃度は、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の眼における前記導入遺伝子の濃度と比較した場合に同等またはそれ以上であり、前記参照医薬組成物は、前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記組換えAAVゲノムコピーの量は、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ前記医薬組成物は、前記参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
脈絡膜上投与後の注入部位における形質導入率は、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位における形質導入率と比較した場合に同等またはそれ以上であり、前記参照医薬組成物は、前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記組換えAAVゲノムコピーの量は、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ前記医薬組成物は、前記参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルは、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルと比較した場合に同等またはそれより低く、前記参照医薬組成物は、前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記組換えAAVゲノムコピーの量は、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ前記医薬組成物は、前記参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する、請求項3~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記組換えAAVは、構築物IIである、請求項1~11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記導入遺伝子は、抗ヒト血管内皮成長因子(抗VEGF)抗体である、請求項1、2、5~10及び12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記組換えAAVは、AAV1、AAV2、AAV2tYF、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAVrh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、rAAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV.PHP.eB、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16からなる群から選択される1つ以上のアデノ随伴ウイルス血清型由来の成分を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記組換えAAVは、AAV8である、請求項1~14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記組換えAAVは、AAV9である、請求項1、2、5~10、及び12~14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記医薬組成物は、約または最大でも約5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、100mM、105mM、110mM、115mM、120mM、125mM、130mM、135mM、140mM、145mM、150mM、155mM、160mM、165mM、170mM、175mM、180mM、185mM、190mM、195mM、200mMのイオン強度を有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記医薬組成物は、少なくとも約または約3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の凝集組換えAAVを含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記医薬組成物は、約または最大でも約40mMのイオン強度を有する、請求項1~18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記医薬組成物は、約または最大でも約135mMのイオン強度を有する、請求項1~18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記医薬組成物は、約または最大でも約20mMのイオン強度を有する、請求項1~18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記医薬組成物は、約または少なくとも約10nm、15nm、20nm、25nm、26nm、27nm、28nm、29nm、30nm、31nm、32nm、33nm、34nm、35nm、36nm、37nm、38nm、39nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、または約もしくは少なくとも約100nmの平均組換えAAV直径を有する、請求項1~21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記医薬組成物は、前記参照医薬組成物における平均組換えAAV直径よりも、少なくとも2倍大きい、少なくとも3倍大きい、少なくとも4倍大きい、少なくとも5倍大きい、少なくとも6倍大きい、少なくとも7倍大きい、少なくとも8倍大きい、少なくとも9倍大きい、少なくとも10倍大きい、少なくとも15倍大きい、少なくとも20倍大きい、少なくとも50倍大きい、少なくとも100倍大きい、少なくとも5%大きい、少なくとも10%大きい、少なくとも15%大きい、少なくとも20%大きい、少なくとも25%大きい、少なくとも30%大きい、少なくとも35%大きい、少なくとも40%、少なくとも45%大きい、少なくとも50%大きい、少なくとも55%大きい、少なくとも60%大きい、少なくとも65%大きい、少なくとも70%大きい、少なくとも75%大きい、少なくとも80%大きい、少なくとも85%大きい、少なくとも90%大きい、少なくとも95%大きい、少なくとも100%大きい、少なくとも150%大きい、または少なくとも200%大きい、少なくとも250%大きい、または少なくとも300%、少なくとも400%大きい、または少なくとも500%大きい平均組換えAAV直径を有する、請求項5~22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記周辺への拡散は、少なくとも2分の1、少なくとも3分の1、少なくとも4分の1、少なくとも5分の1、少なくとも6分の1、少なくとも7分の1、少なくとも8分の1、少なくとも9分の1、少なくとも10分の1、少なくとも15分の1、少なくとも20分の1、少なくとも50分の1、少なくとも100分の1であるか、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%小さい、請求項6及び12~23のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記クリアランス時間は、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%長い、請求項5及び12~24のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記クリアランス時間は、約30分~約20時間、約2時間~約20時間、約30分~約24時間、約1時間~約2時間、約30分~約90日、約30分~約60日、約30分~約30日、約30分~約21日、約30分~約14日、約30分~約7日、約30分~約3日、約30分~約2日、約30分~約1日、約4時間~約90日、約4時間~約60日、約4時間~約30日、約4時間~約21日、約4時間~約14日、約4時間~約7日、約4時間~約3日、約4時間~約2日、約4時間~約1日、約4時間~約8時間、約4時間~約16時間、約4時間~約20時間、約1日~約90日、約1日~約60日、約1日~約30日、約1日~約21日、約1日~約14日、約1日~約7日、約1日~約3日、約2日~約90日、約3日~約90日、約3日~約60日、約3日~約30日、約3日~約21日、約3日~約14日、または約3日~約7日である、請求項1~25のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記クリアランス時間は、約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日より前ではない、請求項1~26のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記クリアランス時間は、最大でも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日である、請求項5~27のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記クリアランス時間は、SCSからまたは眼からのものである、請求項1~28のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記注入部位の厚さは、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%大きい、請求項7及び12~29のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記注入部位の厚さは、約500μm~約3.0mm、750μm~約2.8mm、約750μm~約2.5mm、約750μm~約2mm、または約1mm~約2mmである、請求項1~30のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記注入部位の厚さは、少なくとも約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1000μm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mm、5.5mm、6mm、6.5mm、7mm、7.5mm、8mm、8.5mm、9mm、9.5mm、または10mmである、請求項1~31のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記注入部位の厚さは、最大でも約1nm、5nm、10nm、25nm、50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、または1000μmである、請求項7及び12~32のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記注入部位の厚さは、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、少なくとも10日間、少なくとも21日間、少なくとも1ヶ月間、少なくとも6週間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも1年間、少なくとも3年間、または少なくとも5年間持続する、請求項1~33のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の眼における前記導入遺伝子の濃度は、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%高い、請求項9及び12~34のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記より長い期間は、少なくとも30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日より長い、請求項8及び12~35のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記導入遺伝子は、少なくとも約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日間、前記医薬組成物の脈絡膜上投与後に眼で検出される、請求項1~36のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記導入遺伝子は、最大でも約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日間、前記参照医薬組成物の脈絡膜上投与後に眼で検出される、請求項5~37のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルは、前記参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルと比較した場合に同等またはそれより低い、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記VEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルは、少なくとも約2分の1、少なくとも3分の1、少なくとも4分の1、少なくとも5分の1、少なくとも6分の1、少なくとも7分の1、少なくとも8分の1、少なくとも9分の1、少なくとも10分の1、少なくとも15分の1、少なくとも20分の1、少なくとも50分の1、少なくとも100分の1であるか、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%低い、請求項11及び13~39のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位における前記形質導入率は、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%高い、請求項10及び12~40のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記医薬組成物中の前記組換えAAVの安定性は、前記参照医薬組成物中の前記組換えAAVの安定性の少なくとも約50%である、請求項1~41のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記組換えAAVの安定性は、前記組換えAAVの感染力によって特定される、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記組換えAAVの安定性は、前記組換えAAVによって放出される遊離DNAのレベルによって特定される、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記医薬組成物は、前記参照医薬組成物中の遊離DNAのレベルと比較して、少なくとも約50%多い、約25%多い、約15%多い、約10%多い、約5%多い、約4%多い、約3%多い、約2%多い、約1%多い、約0%多い、約1%少ない、約2%少ない、約5%少ない、約7%少ない、約10%少ない、約2倍多い、約3倍多い、約2分の1、約3分の1の遊離DNAを含む、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記医薬組成物中の前記組換えAAVは、前記参照医薬組成物中の前記組換えAAVの感染力と比較して、約50%低い、およそ同じ、または少なくとも約2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍、または1000倍高い感染力を有する、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項47】
前記導入遺伝子は、目的の疾患の治療、または目的の疾患の進行の緩和、予防、もしくは遅延に適切な導入遺伝子である、請求項1~46のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項48】
前記ヒト対象は、nAMD(ウェット型AMD)、ドライ型AMD、網膜静脈閉塞症(RVO)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、または糖尿病性網膜症(DR)、バッテン病、緑内障、または非感染性ブドウ膜炎であると診断されている、請求項1~47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記ヒト対象は、ムコ多糖症IVA型(MPS IVA)、ムコ多糖症I型(MPS I)、ムコ多糖症II型(MPS II)、家族性高コレステロール血症(FH)、ホモ接合性家族性高コレステロール血症(HoFH)、冠状動脈疾患、脳血管性疾患、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー及び散発性封入体筋炎、またはカリクレイン関連疾患であると診断されている、請求項1~47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項50】
前記AAVは、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)、抗VEGF融合タンパク質、抗TNF融合タンパク質、抗VEGF抗体もしくはその抗原結合フラグメント、抗カリクレイン抗体もしくはその抗原結合フラグメント、抗TNF抗体もしくはその抗原結合フラグメント、抗C3抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または抗C5抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする、請求項1~2、5~10、及び12~49のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記組換えAAVゲノムコピーの量は、ベクターゲノム濃度に基づく、請求項5~50のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項52】
前記組換えAAVゲノムコピーの量は、1回の投与当たりのゲノムコピーに基づく、請求項5~50のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項53】
前記組換えAAVゲノムコピーの量は、前記ヒト対象に投与される総ゲノムコピーに基づく、請求項5~50のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項54】
前記1回の投与当たりのゲノムコピーは、脈絡膜上投与1回当たりの前記組換えAAVのゲノムコピーである、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項55】
前記投与される総ゲノムコピーは、脈絡膜上投与される前記組換えAAVの総ゲノムコピーである、請求項53に記載の医薬組成物。
【請求項56】
前記ベクターゲノム濃度(VGC)は、約3×10GC/mL、約1×1010GC/mL、約1.2×1010GC/mL、約1.6×1010GC/mL、約4×1010GC/mL、約6×1010GC/mL、約2×1011GC/mL、約2.4×1011GC/mL、約2.5×1011GC/mL、約3×1011GC/mL、約6.2×1011GC/mL、約1×1012GC/mL、約2.5×1012GC/mL、約3×1012GC/mL、約5×1012GC/mL、約6×1012GC/mL、約1.5×1013GC/mL、約2×1013GC/mL、または約3×1013GC/mLである、請求項51に記載の医薬組成物。
【請求項57】
前記投与されるゲノムコピーの総数は、約6.0×1010ゲノムコピー、約1.6×1011ゲノムコピー、約2.5×1011ゲノムコピー、約3×1011ゲノムコピー、約5.0×1011ゲノムコピー、約6×1011ゲノムコピー、約3×1012ゲノムコピー、約1.0×1012ゲノムコピー、約1.5×1012ゲノムコピー、約2.5×1012ゲノムコピー、または約3.0×1013ゲノムコピーである、請求項53及び55のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項58】
前記1回の投与当たりのゲノムコピーの総数は、約6.0×1010ゲノムコピー、約1.6×1011ゲノムコピー、約2.5×1011ゲノムコピー、約3×1011ゲノムコピー、約5.0×1011ゲノムコピー、約6×1011ゲノムコピー、約3×1012ゲノムコピー、約1.0×1012ゲノムコピー、約1.5×1012ゲノムコピー、約2.5×1012ゲノムコピー、または約3.0×1013ゲノムコピーである、請求項52及び54のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項59】
前記医薬組成物は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、15回、20回、25回、または30回投与される、請求項1~58のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項60】
前記参照医薬組成物は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、15回、20回、25回、または30回投与される、請求項5~59のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項61】
前記医薬組成物は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、1日に5回、1日に6回、または1日に7回投与される、請求項1~60のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項62】
前記参照医薬組成物は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、1日に5回、1日に6回、または1日に7回投与される、請求項5~60のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項63】
前記参照医薬組成物は、DPBS及びショ糖を含む、請求項1~62のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項64】
医薬組成物を調製する方法であって、
(i)リン酸緩衝生理食塩水、ショ糖、及び導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む組成物を調製することと、
(ii)リン酸緩衝生理食塩水及びショ糖を含む溶液を前記組成物に混合することと、を含み、
前記医薬組成物は、前記組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する、前記方法。
【請求項65】
医薬組成物を調製する方法であって、リン酸緩衝生理食塩水及びショ糖を含む溶液を組成物に混合することを含み、前記組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、かつ前記医薬組成物は、前記組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する、前記方法。
【請求項66】
(i)導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む組成物と、
(ii)リン酸緩衝生理食塩水及びショ糖を含む溶液と、を含む、キット。
【請求項67】
前記キットは、前記組成物と前記溶液とを混合することに関する指示書をさらに含む、請求項66に記載のキット。
【請求項68】
前記組成物は、リン酸緩衝生理食塩水及びショ糖を含む、請求項65に記載の方法または請求項66に記載のキット。
【請求項69】
前記組成物は、4%ショ糖を含む、請求項64及び68のいずれか1項に記載の方法または請求項66及び68のいずれか1項に記載のキット。
【請求項70】
前記溶液は、10%ショ糖を含む、請求項64、65、68及び69のいずれか1項に記載の方法または請求項66~69のいずれか1項に記載のキット。
【請求項71】
前記医薬組成物は、約または最大でも約135mMのイオン強度を有する、請求項64、65、及び68~70のいずれか1項に記載の方法または請求項1~63のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項72】
前記医薬組成物は、約または最大でも約40mMのイオン強度を有する、請求項64、65、及び68~71のいずれか1項に記載の方法または請求項1~63のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項73】
前記医薬組成物は、約または最大でも約20mMのイオン強度を有する、請求項64、65、及び68~72のいずれか1項に記載の方法または請求項1~63のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項74】
前記医薬組成物は、前記組成物と実質的に同じ等張性または重量オスモル濃度を有する、請求項64、65、及び68~73のいずれか1項に記載の方法または請求項1~63のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項75】
前記医薬組成物中の前記凝集組換えAAVの少なくとも一部は、前記医薬組成物がヒト対象の眼の脈絡膜上腔に投与された後に脱凝集する、請求項64、65、及び68~74のいずれか1項に記載の方法または請求項1~63のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項76】
前記組換えAAVの凝集体は、前記医薬組成物の脈絡膜上投与を受けて、非凝集AAVまたは単量体に逆転する、請求項64、65、及び68~75のいずれか1項に記載の方法または請求項1~63のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項77】
前記組成物は、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、無水二塩基性リン酸ナトリウム、ショ糖、及び任意選択で界面活性剤を含む、請求項64、65、及び68~76のいずれか1項に記載の方法または請求項66~69のいずれか1項に記載のキット。
【請求項78】
前記組成物は、改質ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、及び任意選択で界面活性剤を含む、請求項64、65、及び68~77のいずれか1項に記載の方法または請求項66~69及び77のいずれか1項に記載のキット。
【請求項79】
前記組成物は、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの無水二塩基性リン酸ナトリウム、40.0mg/mL(4%w/v)のショ糖、及び界面活性剤を含む、請求項64、65、及び68~78のいずれか1項に記載の方法または請求項66~69及び77~78のいずれか1項に記載のキット。
【請求項80】
前記溶液は、リン酸緩衝塩化ナトリウム及びショ糖を含む、請求項64、65、及び68~79のいずれか1項に記載の方法または請求項66~69及び77~79のいずれか1項に記載のキット。
【請求項81】
前記指示書は、前記溶液と前記組成物とを混合して医薬組成物を得ることに関する指示を含む、請求項67に記載のキット。
【請求項82】
前記溶液と前記組成物との前記混合により、約または少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または10倍に前記組成物を希釈する、請求項64、65、及び68~80のいずれか1項に記載の方法または請求項81に記載のキット。
【請求項83】
前記溶液と前記組成物とを前記混合することは、前記医薬組成物がヒト対象の眼の脈絡膜上腔に投与されるのと同じ日に行われる、請求項64、65、68~80及び82のいずれか1項に記載の方法または請求項81~82のいずれか1項に記載のキット。
【請求項84】
前記溶液と前記組成物とを前記混合することは、前記医薬組成物がヒト対象の眼の脈絡膜上腔に投与される24時間以内に行われる、請求項64、65、68~80、及び82~83のいずれか1項に記載の方法または請求項81~83のいずれか1項に記載のキット。
【請求項85】
前記医薬組成物は、ヒト対象への投与前に保管される、請求項64、65、68~80、及び82~84のいずれか1項に記載の方法または請求項81~84のいずれか1項に記載のキットまたは請求項1~63及び71~76のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項86】
前記医薬組成物は、ほぼ室温、20℃、4℃、または-80℃で保管される、請求項64、65、68~80、及び82~85のいずれか1項に記載の方法または請求項81~85のいずれか1項に記載のキットまたは請求項1~63、71~76及び85のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項87】
前記医薬組成物は、前記組換えAAVの約1.0×1012~約3.0×1012ゲノムコピーを含む、請求項64、65、68~80、及び82~86のいずれか1項に記載の方法または請求項81~86のいずれか1項に記載のキットまたは請求項1~63、71~76、及び85~86のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項88】
前記組換えAAVは、AAV1、AAV2、AAV2tYF、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAVrh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、rAAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV.PHP.eB、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16から選択される1つ以上のアデノ随伴ウイルス血清型由来の成分を含む、請求項64、65、68~80、及び82~87のいずれか1項に記載の方法または請求項81~87のいずれか1項に記載のキット。
【請求項89】
前記組換えAAVは、AAV8由来の成分を含み、かつ前記医薬組成物は、約30mM~約60mMのイオン強度を有する、請求項64、65、68~80、及び82~88のいずれか1項に記載の方法または請求項81~88のいずれか1項に記載のキットまたは請求項1~63、71~76、及び85~87のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項90】
前記組換えAAVは、AAV9由来の成分を含み、かつ前記医薬組成物は、約15mM~約30mMのイオン強度を有する、請求項64、65、68~80、及び82~88のいずれか1項に記載の方法または請求項81~88のいずれか1項に記載のキットまたは請求項1~63、71~76、及び85~87のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項91】
前記組換えAAVは、AAV2由来の成分を含み、かつ前記医薬組成物は、約100mM~約200mMのイオン強度を有する、請求項64、65、68~80、及び82~88のいずれか1項に記載の方法または請求項81~88のいずれか1項に記載のキットまたは請求項1~63、71~76、及び85~87のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項92】
前記医薬組成物は、改質ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、及び任意選択で界面活性剤を含む、請求項1~63、71~76、及び85~91のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項93】
前記医薬組成物は、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、無水二塩基性リン酸ナトリウム、ショ糖、及び任意選択で界面活性剤を含む、請求項1~63、71~76、及び85~92のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項94】
前記医薬組成物は、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの無水二塩基性リン酸ナトリウム、40.0mg/mL(4%w/v)のショ糖、及び任意選択で界面活性剤を含む、請求項1~63、71~76、及び85~93のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2020年10月7日に出願の米国特許出願第63/088,828号及び2021年2月9日に出願の米国特許出願第63/147,538号の優先権の利益を主張し、それぞれの内容の全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
電子的に提出した配列表の参照
本願では、2021年9月30日に作成したファイル名「12656-142-228_Sequence_Listing.txt」、ファイルサイズ107,143バイトのテキストファイルとして本願と共に提出した配列表を、参照により援用する。
【背景技術】
【0003】
1.背景技術
ヒトの眼は、非常に複雑で、高度に発達した感覚器官であり、多くの疾患及び障害を引き起こしやすい。世界で約2億8,500万人が視力障害をもっており、そのうち3,900万人が盲目であり、また2億4,600万人が中程度から重度の視力障害を有する(World Health Organization,2012,“Global Data On Visual Impairments 2010,”Geneva:World Health Organization)。失明の主な原因としては、白内障(47%)、緑内障(12%)、加齢性黄斑変性(AMD)(9%)、及び糖尿病性網膜症(5%)がある(World Health Organization,2007,“Global Initiative For The Elimination Of Avoidable Blindness:Action Plan 2006-2011,”Geneva:World Health Organization)。
【0004】
遺伝子治療が、特定の眼疾患を治療する際に利用されている(例えば、国際特許出願第PCT/US2017/027650号(国際公開特許第WO 2017/181021 A1号)を参照されたい)。アデノ随伴ウイルス(AAV)は、非病原性、広範な宿主及び細胞型(分裂細胞及び非分裂細胞の両方を含む)への感染性の向性範囲、ならびに長期間の導入遺伝子発現能力があるといった特性のため、遺伝子治療において魅力的なツールである(例えば、Goncalves,2005,Virology Journal,2:43)。
【0005】
眼の遺伝子治療で使用される現在の方法(例えば、硝子体内または網膜下投与)は、侵襲的であり、白内障、網膜剥離、及び中心窩における網膜色素上皮(RPE)からの光受容体の分離のリスクが上がるなど、深刻な障害がある。現在の眼の遺伝子治療を改善するか、障害を排除する治療法に対する大きな満たされていない医療ニーズがある。
【0006】
Parvoviridae科、Dependovirus属のメンバーであるアデノ随伴ウイルス(AAV)は、およそ4.7キロベース(kb)~6kbの一本鎖線状DNAゲノムを有する小型非エンベロープ正二十面体型ウイルスである。非病原性、広範な宿主及び細胞型(分裂細胞及び非分裂細胞の両方を含む)への感染性の向性範囲、ならびに長期間の導入遺伝子発現能力があるといった特性により、AAVは、遺伝子治療における魅力的なツールである(例えば、Goncalves,2005,Virology Journal,2:43)。
【0007】
構築物IIが、脈絡膜上腔への注入によって送達される治療剤として研究されている。脈絡膜上腔(SCS)は、薬液の注入時に拡張する強膜と脈絡膜との間の領域である(Habot-Wilner,2019)。SCS腔は、注入された溶液が、生理学的プロセスによって排除されると、注入前のサイズに逆転する。薬液は、SCS内部で拡散し、隣接する組織に吸収される。脈絡膜の毛細管は、低分子量オスモライトを透過させる。本開示は、脈絡膜上腔におけるより長い滞留時間をもたらし、その結果として有効性を改善する医薬組成物を提供するといった満たされていないニーズに対応する。
【発明の概要】
【0008】
2.発明の概要
一態様では、ヒト対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)への投与に適した医薬組成物を本明細書で提供するが、ここで、該医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、かつ、該医薬組成物は、脈絡膜上投与の前に最大でも約200mMのイオン強度を含む。
【0009】
一態様では、ヒト対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)への投与に適した医薬組成物を本明細書で提供するが、ここで、該医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、かつ、該医薬組成物は、脈絡膜上投与の前に少なくとも約3%の凝集組換えAAVを含む。
【0010】
一態様では、ヒト対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)への投与に適した医薬組成物を本明細書で提供するが、ここで、該医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、該導入遺伝子は、抗ヒト血管内皮成長因子(抗VEGF)抗体であり、かつ、該医薬組成物は、脈絡膜上投与の前に最大でも約200mMのイオン強度を含む。
【0011】
一態様では、ヒト対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)への投与に適した医薬組成物を本明細書で提供するが、ここで、該医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、該導入遺伝子は、抗ヒト血管内皮成長因子(抗VEGF)抗体であり、かつ、該医薬組成物は、脈絡膜上投与の前に少なくとも約3%の凝集組換えAAVを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間が、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間と同等またはそれ以上であり、ここで、該参照医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、該組換えAAVゲノムコピーの量は、医薬組成物または参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ該医薬組成物は、参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の周辺への拡散が、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の周辺への拡散と比較して小さく、ここで、該参照医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、該組換えAAVゲノムコピーの量は、医薬組成物または参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ該医薬組成物は、参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚さが、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚さと比較した場合に同等またはそれ以上であり、ここで、該参照医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、該組換えAAVゲノムコピーの量は、医薬組成物または参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ該医薬組成物は、参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する。いくつかの実施形態では、導入遺伝子の発現レベルは、導入遺伝子の発現レベルが参照医薬組成物の脈絡膜上投与後に眼で検出される期間と比較して、医薬組成物の脈絡膜上投与後、より長い期間、眼で検出され、ここで、該参照医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、該組換えAAVゲノムコピーの量は、医薬組成物または参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ該医薬組成物は、参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の眼における導入遺伝子の濃度は、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の眼における導入遺伝子の濃度と比較した場合に同等またはそれ以上であり、ここで、該参照医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、該組換えAAVゲノムコピーの量は、医薬組成物または参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ該医薬組成物は、参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する。いくつかの実施形態では、脈絡膜上投与後の注入部位における形質導入率は、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位における形質導入率と比較した場合に同等またはそれ以上であり、ここで、該参照医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、該組換えAAVゲノムコピーの量は、医薬組成物または参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ該医薬組成物は、参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルは、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルと比較した場合に同等またはそれより低く、ここで、該参照医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、該組換えAAVゲノムコピーの量は、医薬組成物または参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ該医薬組成物は、参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、組換えAAVは、構築物IIである。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、抗ヒト血管内皮成長因子(抗VEGF)抗体である。いくつかの実施形態では、組換えAAVは、AAV1、AAV2、AAV2tYF、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAVrh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、rAAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV.PHP.eB、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16からなる群から選択される1つ以上のアデノ随伴ウイルス血清型由来の成分を含む。いくつかの実施形態では、組換えAAVは、AAV8である。いくつかの実施形態では、組換えAAVは、AAV9である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約または最大でも約5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、100mM、105mM、110mM、115mM、120mM、125mM、130mM、135mM、140mM、145mM、150mM、155mM、160mM、165mM、170mM、175mM、180mM、185mM、190mM、195mM、200mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも約または約3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の凝集組換えAAVを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約または最大でも約40mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約または最大でも約135mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約または最大でも約20mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約または少なくとも約10nm、15nm、20nm、25nm、26nm、27nm、28nm、29nm、30nm、31nm、32nm、33nm、34nm、35nm、36nm、37nm、38nm、39nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、または約もしくは少なくとも約100nmの平均組換えAAV直径を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、参照医薬組成物における平均組換えAAV直径よりも、少なくとも2倍大きい、少なくとも3倍大きい、少なくとも4倍大きい、少なくとも5倍大きい、少なくとも6倍大きい、少なくとも7倍大きい、少なくとも8倍大きい、少なくとも9倍大きい、少なくとも10倍大きい、少なくとも15倍大きい、少なくとも20倍大きい、少なくとも50倍大きい、少なくとも100倍大きい、少なくとも5%大きい、少なくとも10%大きい、少なくとも15%大きい、少なくとも20%大きい、少なくとも25%大きい、少なくとも30%大きい、少なくとも35%大きい、少なくとも40%、少なくとも45%大きい、少なくとも50%大きい、少なくとも55%大きい、少なくとも60%大きい、少なくとも65%大きい、少なくとも70%大きい、少なくとも75%大きい、少なくとも80%大きい、少なくとも85%大きい、少なくとも90%大きい、少なくとも95%大きい、少なくとも100%大きい、少なくとも150%大きい、または少なくとも200%大きい、少なくとも250%大きい、または少なくとも300%、少なくとも400%大きい、または少なくとも500%大きい平均組換えAAV直径を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の周辺への拡散は、少なくとも2分の1、少なくとも3分の1、少なくとも4分の1、少なくとも5分の1、少なくとも6分の1、少なくとも7分の1、少なくとも8分の1、少なくとも9分の1、少なくとも10分の1、少なくとも15分の1、少なくとも20分の1、少なくとも50分の1、少なくとも100分の1であるか、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%小さい。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間は、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%長い。
【0017】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間は、約30分~約20時間、約2時間~約20時間、約30分~約24時間、約1時間~約2時間、約30分~約90日、約30分~約60日、約30分~約30日、約30分~約21日、約30分~約14日、約30分~約7日、約30分~約3日、約30分~約2日、約30分~約1日、約4時間~約90日、約4時間~約60日、約4時間~約30日、約4時間~約21日、約4時間~約14日、約4時間~約7日、約4時間~約3日、約4時間~約2日、約4時間~約1日、約4時間~約8時間、約4時間~約16時間、約4時間~約20時間、約1日~約90日、約1日~約60日、約1日~約30日、約1日~約21日、約1日~約14日、約1日~約7日、約1日~約3日、約2日~約90日、約3日~約90日、約3日~約60日、約3日~約30日、約3日~約21日、約3日~約14日、または約3日~約7日である。
【0018】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間は、約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日より前ではない。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間は、最大でも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日である。いくつかの実施形態では、クリアランス時間は、SCSからまたは眼からのものである。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚さは、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%大きい。
【0019】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚さは、約500μm~約3.0mm、750μm~約2.8mm、約750μm~約2.5mm、約750μm~約2mm、または約1mm~約2mmである。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚さは、少なくとも約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1000μm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mm、5.5mm、6mm、6.5mm、7mm、7.5mm、8mm、8.5mm、9mm、9.5mm、または10mmである。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚さは、最大でも約1nm、5nm、10nm、25nm、50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、または1000μmである。
【0020】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚さは、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、少なくとも10日間、少なくとも21日間、少なくとも1ヶ月間、少なくとも6週間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも1年間、少なくとも3年間、または少なくとも5年間持続する。
【0021】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の眼における導入遺伝子の濃度は、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%高い。
【0022】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後のより長い期間は、少なくとも30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日より長い。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、少なくとも約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日間、医薬組成物の脈絡膜上投与後に眼で検出される。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、最大でも約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日間、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後に眼で検出される。
【0023】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルは、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルと比較した場合に同等またはそれより低い。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルは、少なくとも約2分の1、少なくとも3分の1、少なくとも4分の1、少なくとも5分の1、少なくとも6分の1、少なくとも7分の1、少なくとも8分の1、少なくとも9分の1、少なくとも10分の1、少なくとも15分の1、少なくとも20分の1、少なくとも50分の1、少なくとも100分の1であるか、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%低い。
【0024】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位における形質導入率は、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%高い。
【0025】
いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVの安定性は、参照医薬組成物中の組換えAAVの安定性の少なくとも約50%である。いくつかの実施形態では、組換えAAVの安定性は、組換えAAVの感染力によって特定される。いくつかの実施形態では、組換えAAVの安定性は、組換えAAVによって放出される遊離DNAのレベルによって特定される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、参照医薬組成物中の遊離DNAのレベルと比較して、少なくとも約50%多い、約25%多い、約15%多い、約10%多い、約5%多い、約4%多い、約3%多い、約2%多い、約1%多い、約0%多い、約1%少ない、約2%少ない、約5%少ない、約7%少ない、約10%少ない、約2倍多い、約3倍多い、約2分の1、約3分の1の遊離DNAを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の組換えAAVの感染力と比較して、約50%低い、およそ同じ、または少なくとも約2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍、または1000倍高い感染力を有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、目的の疾患の治療、または目的の疾患の進行の緩和、予防、もしくは遅延に適切な導入遺伝子である。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、nAMD(ウェット型AMD)、ドライ型AMD、網膜静脈閉塞症(RVO)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、または糖尿病性網膜症(DR)またはバッテン病であると診断されている。その他の実施形態では、ヒト対象は、緑内障または非感染性ブドウ膜炎であると診断されている。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、ムコ多糖症IVA型(MPS IVA)、ムコ多糖症I型(MPS I)、ムコ多糖症II型(MPS II)、家族性高コレステロール血症(FH)、ホモ接合性家族性高コレステロール血症(HoFH)、冠状動脈疾患、脳血管性疾患、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー及び散発性封入体筋炎、またはカリクレイン関連疾患であると診断されている。いくつかの実施形態では、AAVは、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)またはトリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)をコードする。その他の実施形態では、AAVは、抗VEGF融合タンパク質、抗VEGF抗体もしくはその抗原結合フラグメント、抗カリクレイン抗体もしくはその抗原結合フラグメント、抗TNF抗体もしくはその抗原結合フラグメント、抗C3抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または抗C5抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする。
【0027】
いくつかの実施形態では、組換えAAVゲノムコピーの量は、ベクターゲノム濃度に基づく。いくつかの実施形態では、組換えAAVゲノムコピーの量は、1回の投与当たりのゲノムコピーに基づく。いくつかの実施形態では、組換えAAVゲノムコピーの量は、ヒト対象に投与される総ゲノムコピーに基づく。いくつかの実施形態では、1回の投与当たりのゲノムコピーは、脈絡膜上投与1回当たりの組換えAAVのゲノムコピーである。いくつかの実施形態では、投与される総ゲノムコピーは、脈絡膜上投与される組換えAAVの総ゲノムコピーである。
【0028】
いくつかの実施形態では、ベクターゲノム濃度(VGC)は、約3×10GC/mL、約1×1010GC/mL、約1.2×1010GC/mL、約1.6×1010GC/mL、約4×1010GC/mL、約6×1010GC/mL、約2×1011GC/mL、約2.4×1011GC/mL、約2.5×1011GC/mL、約3×1011GC/mL、約6.2×1011GC/mL、約1×1012GC/mL、約2.5×1012GC/mL、約3×1012GC/mL、約5×1012GC/mL、約1.5×1013GC/mL、約2×1013GC/mL、または約3×1013GC/mLである。いくつかの実施形態では、投与される総ゲノムコピーは、約6.0×1010ゲノムコピー、約1.6×1011ゲノムコピー、約2.5×1011ゲノムコピー、約5.0×1011ゲノムコピー、約1.5×1012ゲノムコピー、約3×1012ゲノムコピー、約1.0×1012ゲノムコピー、約2.5×1012ゲノムコピー、または約3.0×1013ゲノムコピーである。いくつかの実施形態では、1回の投与当たりのゲノムコピーは、約6.0×1010ゲノムコピー、約1.6×1011ゲノムコピー、約2.5×1011ゲノムコピー、約5.0×1011ゲノムコピー、約3×1012ゲノムコピー、約1.0×1012ゲノムコピー、約1.5×1012ゲノムコピー、約2.5×1012ゲノムコピー、または約3.0×1013ゲノムコピーである。
【0029】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、15回、20回、25回、または30回投与される。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、15回、20回、25回、または30回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、1日に5回、1日に6回、または1日に7回投与される。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、1日に5回、1日に6回、または1日に7回投与される。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、DPBS及びショ糖を含む。
【0030】
一態様では、医薬組成物を調製する方法を本明細書で提供するが、該方法は、(i)リン酸緩衝生理食塩水、ショ糖、及び導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む組成物を調製することと、(ii)リン酸緩衝生理食塩水及びショ糖を含む溶液を組成物に混合することとを含み、この際、該医薬組成物は、組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する。
【0031】
一態様では、医薬組成物を調製する方法を本明細書で提供するが、該方法は、リン酸緩衝生理食塩水及びショ糖を含む溶液を組成物に混合することを含み、この際、該組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、かつ該医薬組成物は、組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する。
【0032】
一態様では、(i)導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む組成物と、(ii)リン酸緩衝生理食塩水及びショ糖を含む溶液とを含むキットを本明細書で提供する。いくつかの実施形態では、キットは、組成物と溶液とを混合することに関する指示書をさらに含む。いくつかの実施形態では、指示書は、溶液と組成物とを混合して医薬組成物を得ることに関する指示を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、組成物は、リン酸緩衝生理食塩水及びショ糖を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、4%ショ糖を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、10%ショ糖を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約または最大でも約135mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約または最大でも約40mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約または最大でも約20mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、組成物と実質的に同じ等張性または重量オスモル濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の凝集組換えAAVの少なくとも一部は、医薬組成物がヒト対象の眼の脈絡膜上腔に投与された後に脱凝集する。いくつかの実施形態では、組換えAAVの凝集体は、医薬組成物の脈絡膜上投与を受けて、非凝集AAVまたは単量体に逆転する。いくつかの実施形態では、組成物は、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、無水二塩基性リン酸ナトリウム、ショ糖、及び任意選択で界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、改質ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、及び任意選択で界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの無水二塩基性リン酸ナトリウム、40.0mg/mL(4%w/v)のショ糖、及び界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、リン酸緩衝塩化ナトリウム及びショ糖を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、溶液と組成物との混合により、約または少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または10倍に組成物を希釈する。いくつかの実施形態では、溶液と組成物とを混合することは、医薬組成物がヒト対象の眼の脈絡膜上腔に投与されるのと同じ日に行われる。いくつかの実施形態では、溶液と組成物とを混合することは、医薬組成物がヒト対象の眼の脈絡膜上腔に投与される24時間以内に行われる。
【0035】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ヒト対象への投与前に保管される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ほぼ室温、20℃、4℃、または-80℃で保管される。いくつかの実施形態では、組換えAAVは、AAV8由来の成分を含み、かつ医薬組成物は、約30mM~約60mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、組換えAAVは、AAV9由来の成分を含み、かつ医薬組成物は、約15mM~約30mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、組換えAAVは、AAV2由来の成分を含み、かつ医薬組成物は、約100mM~約200mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、改質ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、及び任意選択で界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、無水二塩基性リン酸ナトリウム、ショ糖、及び任意選択で界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの無水二塩基性リン酸ナトリウム、40.0mg/mL(4%w/v)のショ糖、及び任意選択で界面活性剤を含む。
2.1 例示的実施形態
1.ヒト対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)への投与に適した医薬組成物であって、前記医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、かつ、前記医薬組成物は、脈絡膜上投与の前に最大でも約200mMのイオン強度を含む、前記医薬組成物。
2.ヒト対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)への投与に適した医薬組成物であって、前記医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、かつ、前記医薬組成物は、脈絡膜上投与の前に少なくとも約3%の凝集組換えAAVを含む、前記医薬組成物。
3.ヒト対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)への投与に適した医薬組成物であって、前記医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、前記導入遺伝子は、抗ヒト血管内皮成長因子(抗VEGF)抗体であり、かつ、前記医薬組成物は、脈絡膜上投与の前に最大でも約200mMのイオン強度を含む、前記医薬組成物。
4.ヒト対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)への投与に適した医薬組成物であって、前記医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、前記導入遺伝子は、抗ヒト血管内皮成長因子(抗VEGF)抗体であり、かつ、前記医薬組成物は、脈絡膜上投与の前に少なくとも約3%の凝集組換えAAVを含む、前記医薬組成物。
5.前記医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間が、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間と同等またはそれ以上であり、前記参照医薬組成物は、前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記組換えAAVゲノムコピーの量は、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ前記医薬組成物は、前記参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する、条項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
6.前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の周辺への拡散が、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の周辺への拡散と比較して小さく、前記参照医薬組成物は、前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記組換えAAVゲノムコピーの量は、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ前記医薬組成物は、前記参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する、条項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
7.前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚さが、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚さと比較した場合に同等またはそれ以上であり、前記参照医薬組成物は、前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記組換えAAVゲノムコピーの量は、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ前記医薬組成物は、前記参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する、条項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
8.前記導入遺伝子の発現レベルは、前記導入遺伝子の発現レベルが参照医薬組成物の脈絡膜上投与後に眼で検出される期間と比較して、前記医薬組成物の脈絡膜上投与後、より長い期間、眼で検出され、前記参照医薬組成物は、前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記組換えAAVゲノムコピーの量は、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ前記医薬組成物は、前記参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する、条項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
9.前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の眼における前記導入遺伝子の濃度は、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の眼における前記導入遺伝子の濃度と比較した場合に同等またはそれ以上であり、前記参照医薬組成物は、前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記組換えAAVゲノムコピーの量は、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ前記医薬組成物は、前記参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する、条項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
10.脈絡膜上投与後の注入部位における形質導入率は、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位における形質導入率と比較した場合に同等またはそれ以上であり、前記参照医薬組成物は、前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記組換えAAVゲノムコピーの量は、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ前記医薬組成物は、前記参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する、条項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
11.前記医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルは、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルと比較した場合に同等またはそれより低く、前記参照医薬組成物は、前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記組換えAAVゲノムコピーの量は、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与されるときに同じ量であり、かつ前記医薬組成物は、前記参照医薬組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する、条項3~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
12.前記組換えAAVは、構築物IIである、条項1~11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
13.前記導入遺伝子は、抗ヒト血管内皮成長因子(抗VEGF)抗体である、条項1、2、5~10及び12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
14.前記組換えAAVは、AAV1、AAV2、AAV2tYF、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAVrh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、rAAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV.PHP.eB、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16からなる群から選択される1つ以上のアデノ随伴ウイルス血清型由来の成分を含む、条項1~13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
15.前記組換えAAVは、AAV8である、条項1~14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
16.前記組換えAAVは、AAV9である、条項1、2、5~10、及び12~14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
17.前記医薬組成物は、約または最大でも約5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、100mM、105mM、110mM、115mM、120mM、125mM、130mM、135mM、140mM、145mM、150mM、155mM、160mM、165mM、170mM、175mM、180mM、185mM、190mM、195mM、200mMのイオン強度を有する、条項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
18.前記医薬組成物は、少なくとも約または約3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の凝集組換えAAVを含む、条項1~17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
19.前記医薬組成物は、約または最大でも約40mMのイオン強度を有する、条項1~18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
20.前記医薬組成物は、約または最大でも約135mMのイオン強度を有する、条項1~18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
21.前記医薬組成物は、約または最大でも約20mMのイオン強度を有する、条項1~18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
22.前記医薬組成物は、約または少なくとも約10nm、15nm、20nm、25nm、26nm、27nm、28nm、29nm、30nm、31nm、32nm、33nm、34nm、35nm、36nm、37nm、38nm、39nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、または約もしくは少なくとも約100nmの平均組換えAAV直径を有する、条項1~21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
23.前記医薬組成物は、前記参照医薬組成物における平均組換えAAV直径よりも、少なくとも2倍大きい、少なくとも3倍大きい、少なくとも4倍大きい、少なくとも5倍大きい、少なくとも6倍大きい、少なくとも7倍大きい、少なくとも8倍大きい、少なくとも9倍大きい、少なくとも10倍大きい、少なくとも15倍大きい、少なくとも20倍大きい、少なくとも50倍大きい、少なくとも100倍大きい、少なくとも5%大きい、少なくとも10%大きい、少なくとも15%大きい、少なくとも20%大きい、少なくとも25%大きい、少なくとも30%大きい、少なくとも35%大きい、少なくとも40%、少なくとも45%大きい、少なくとも50%大きい、少なくとも55%大きい、少なくとも60%大きい、少なくとも65%大きい、少なくとも70%大きい、少なくとも75%大きい、少なくとも80%大きい、少なくとも85%大きい、少なくとも90%大きい、少なくとも95%大きい、少なくとも100%大きい、少なくとも150%大きい、または少なくとも200%大きい、少なくとも250%大きい、または少なくとも300%、少なくとも400%大きい、または少なくとも500%大きい平均組換えAAV直径を有する、条項5~22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
24.前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記周辺への拡散は、少なくとも2分の1、少なくとも3分の1、少なくとも4分の1、少なくとも5分の1、少なくとも6分の1、少なくとも7分の1、少なくとも8分の1、少なくとも9分の1、少なくとも10分の1、少なくとも15分の1、少なくとも20分の1、少なくとも50分の1、少なくとも100分の1であるか、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%小さい、条項6及び12~23のいずれか1項に記載の医薬組成物。
25.前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記クリアランス時間は、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%長い、条項5及び12~24のいずれか1項に記載の医薬組成物。
26.前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記クリアランス時間は、約30分~約20時間、約2時間~約20時間、約30分~約24時間、約1時間~約2時間、約30分~約90日、約30分~約60日、約30分~約30日、約30分~約21日、約30分~約14日、約30分~約7日、約30分~約3日、約30分~約2日、約30分~約1日、約4時間~約90日、約4時間~約60日、約4時間~約30日、約4時間~約21日、約4時間~約14日、約4時間~約7日、約4時間~約3日、約4時間~約2日、約4時間~約1日、約4時間~約8時間、約4時間~約16時間、約4時間~約20時間、約1日~約90日、約1日~約60日、約1日~約30日、約1日~約21日、約1日~約14日、約1日~約7日、約1日~約3日、約2日~約90日、約3日~約90日、約3日~約60日、約3日~約30日、約3日~約21日、約3日~約14日、または約3日~約7日である、条項1~25のいずれか1項に記載の医薬組成物。
27.前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記クリアランス時間は、約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日より前ではない、条項1~26のいずれか1項に記載の医薬組成物。
28.前記参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記クリアランス時間は、最大でも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日である、条項5~27のいずれか1項に記載の医薬組成物。
29.前記クリアランス時間は、SCSからまたは眼からのものである、条項1~28のいずれか1項に記載の医薬組成物。
30.前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記注入部位の厚さは、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%大きい、条項7及び12~29のいずれか1項に記載の医薬組成物。
31.前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記注入部位の厚さは、約500μm~約3.0mm、750μm~約2.8mm、約750μm~約2.5mm、約750μm~約2mm、または約1mm~約2mmである、条項1~30のいずれか1項に記載の医薬組成物。
32.前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記注入部位の厚さは、少なくとも約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1000μm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mm、5.5mm、6mm、6.5mm、7mm、7.5mm、8mm、8.5mm、9mm、9.5mm、または10mmである、条項1~31のいずれか1項に記載の医薬組成物。
33.前記参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記注入部位の厚さは、最大でも約1nm、5nm、10nm、25nm、50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、または1000μmである、条項7及び12~32のいずれか1項に記載の医薬組成物。
34.前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記注入部位の厚さは、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、少なくとも10日間、少なくとも21日間、少なくとも1ヶ月間、少なくとも6週間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも1年間、少なくとも3年間、または少なくとも5年間持続する、条項1~33のいずれか1項に記載の医薬組成物。
35.前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の眼における前記導入遺伝子の濃度は、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%高い、条項9及び12~34のいずれか1項に記載の医薬組成物。
36.前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記より長い期間は、少なくとも30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日より長い、条項8及び12~35のいずれか1項に記載の医薬組成物。
37.前記導入遺伝子は、少なくとも約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日間、前記医薬組成物の脈絡膜上投与後に眼で検出される、条項1~36のいずれか1項に記載の医薬組成物。
38.前記導入遺伝子は、最大でも約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日間、前記参照医薬組成物の脈絡膜上投与後に眼で検出される、条項5~37のいずれか1項に記載の医薬組成物。
39.前記医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルは、前記参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルと比較した場合に同等またはそれより低い、条項13に記載の医薬組成物。
40.前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記VEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルは、少なくとも約2分の1、少なくとも3分の1、少なくとも4分の1、少なくとも5分の1、少なくとも6分の1、少なくとも7分の1、少なくとも8分の1、少なくとも9分の1、少なくとも10分の1、少なくとも15分の1、少なくとも20分の1、少なくとも50分の1、少なくとも100分の1であるか、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%低い、条項11及び13~39のいずれか1項に記載の医薬組成物。
41.前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位における前記形質導入率は、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%高い、条項10及び12~40のいずれか1項に記載の医薬組成物。
42.前記医薬組成物中の前記組換えAAVの安定性は、前記参照医薬組成物中の前記組換えAAVの安定性の少なくとも約50%である、条項1~41のいずれか1項に記載の医薬組成物。
43.前記組換えAAVの安定性は、前記組換えAAVの感染力によって特定される、条項42に記載の医薬組成物。
44.前記組換えAAVの安定性は、前記組換えAAVによって放出される遊離DNAのレベルによって特定される、条項42に記載の医薬組成物。
45.前記医薬組成物は、前記参照医薬組成物中の遊離DNAのレベルと比較して、少なくとも約50%多い、約25%多い、約15%多い、約10%多い、約5%多い、約4%多い、約3%多い、約2%多い、約1%多い、約0%多い、約1%少ない、約2%少ない、約5%少ない、約7%少ない、約10%少ない、約2倍多い、約3倍多い、約2分の1、約3分の1の遊離DNAを含む、条項44に記載の医薬組成物。
46.前記医薬組成物中の前記組換えAAVは、前記参照医薬組成物中の前記組換えAAVの感染力と比較して、約50%低い、およそ同じ、または少なくとも約2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍、または1000倍高い感染力を有する、条項43に記載の医薬組成物。
47.前記導入遺伝子は、目的の疾患の治療、または目的の疾患の進行の緩和、予防、もしくは遅延に適切な導入遺伝子である、条項1~46のいずれか1項に記載の医薬組成物。
48.前記ヒト対象は、nAMD(ウェット型AMD)、ドライ型AMD、網膜静脈閉塞症(RVO)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、糖尿病性網膜症(DR)、バッテン病、緑内障、または非感染性ブドウ膜炎であると診断されている、条項1~47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
49.前記ヒト対象は、ムコ多糖症IVA型(MPS IVA)、ムコ多糖症I型(MPS I)、ムコ多糖症II型(MPS II)、家族性高コレステロール血症(FH)、ホモ接合性家族性高コレステロール血症(HoFH)、冠状動脈疾患、脳血管性疾患、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー及び散発性封入体筋炎、またはカリクレイン関連疾患であると診断されている、条項1~47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
50.前記AAVは、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)、抗VEGF融合タンパク質、抗TNF融合タンパク質、抗VEGF抗体もしくはその抗原結合フラグメント、抗カリクレイン抗体もしくはその抗原結合フラグメント、抗TNF抗体もしくはその抗原結合フラグメント、抗C3抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または抗C5抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする、条項1~2、5~10、及び12~49のいずれか1項に記載の医薬組成物。
51.前記組換えAAVゲノムコピーの量は、ベクターゲノム濃度に基づく、条項5~50のいずれか1項に記載の医薬組成物。
52.前記組換えAAVゲノムコピーの量は、1回の投与当たりのゲノムコピーに基づく、条項5~50のいずれか1項に記載の医薬組成物。
53.前記組換えAAVゲノムコピーの量は、前記ヒト対象に投与される総ゲノムコピーに基づく、条項5~50のいずれか1項に記載の医薬組成物。
54.前記1回の投与当たりのゲノムコピーは、脈絡膜上投与1回当たりの前記組換えAAVのゲノムコピーである、条項52に記載の医薬組成物。
55.前記投与される総ゲノムコピーは、脈絡膜上投与される前記組換えAAVの総ゲノムコピーである、条項53に記載の医薬組成物。
56.前記ベクターゲノム濃度(VGC)は、約3×10GC/mL、約1×1010GC/mL、約1.2×1010GC/mL、約1.6×1010GC/mL、約4×1010GC/mL、約6×1010GC/mL、約2×1011GC/mL、約2.4×1011GC/mL、約2.5×1011GC/mL、約3×1011GC/mL、約6.2×1011GC/mL、約1×1012GC/mL、約2.5×1012GC/mL、約3×1012GC/mL、約5×1012GC/mL、約6×1012GC/mL、約1.5×1013GC/mL、約2×1013GC/mL、または約3×1013GC/mLである、条項51に記載の医薬組成物。
57.前記投与される総ゲノムコピーは、約6.0×1010ゲノムコピー、約1.6×1011ゲノムコピー、約2.5×1011ゲノムコピー、約3×1011ゲノムコピー、約5.0×1011ゲノムコピー、約6×1011ゲノムコピー、約3×1012ゲノムコピー、約1.0×1012ゲノムコピー、約1.5×1012ゲノムコピー、約2.5×1012ゲノムコピー、または約3.0×1013ゲノムコピーである、条項53及び55のいずれか1項に記載の医薬組成物。
58.前記1回の投与当たりのゲノムコピーは、約6.0×1010ゲノムコピー、約1.6×1011ゲノムコピー、約2.5×1011ゲノムコピー、約3×1011ゲノムコピー、約5.0×1011ゲノムコピー、約6×1011ゲノムコピー、約3×1012ゲノムコピー、約1.0×1012ゲノムコピー、約1.5×1012ゲノムコピー、約2.5×1012ゲノムコピー、または約3.0×1013ゲノムコピーである、条項52及び54のいずれか1項に記載の医薬組成物。
59.前記医薬組成物は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、15回、20回、25回、または30回投与される、条項1~58のいずれか1項に記載の医薬組成物。
60.前記参照医薬組成物は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、15回、20回、25回、または30回投与される、条項5~59のいずれか1項に記載の医薬組成物。
61.前記医薬組成物は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、1日に5回、1日に6回、または1日に7回投与される、条項1~60のいずれか1項に記載の医薬組成物。
62.前記参照医薬組成物は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、1日に5回、1日に6回、または1日に7回投与される、条項5~60のいずれか1項に記載の医薬組成物。
63.前記参照医薬組成物は、DPBS及びショ糖を含む、条項1~62のいずれか1項に記載の医薬組成物。
64.医薬組成物を調製する方法であって、
(i)リン酸緩衝生理食塩水、ショ糖、及び導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む組成物を調製することと、
(ii)リン酸緩衝生理食塩水及びショ糖を含む溶液を前記組成物に混合することと、を含み、
前記医薬組成物は、前記組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する、前記方法。
65.医薬組成物を調製する方法であって、リン酸緩衝生理食塩水及びショ糖を含む溶液を組成物に混合することを含み、前記組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、かつ前記医薬組成物は、前記組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する、前記方法。
66.
(i)導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む組成物と、
(ii)リン酸緩衝生理食塩水及びショ糖を含む溶液と、を含む、キット。
67.前記キットは、前記組成物と前記溶液とを混合することに関する指示書をさらに含む、条項66に記載のキット。
68.前記組成物は、リン酸緩衝生理食塩水及びショ糖を含む、条項65に記載の方法または条項66に記載のキット。
69.前記組成物は、4%ショ糖を含む、条項64及び68のいずれか1項に記載の方法または条項66及び68のいずれか1項に記載のキット。
70.前記溶液は、10%ショ糖を含む、条項64、65、68及び69のいずれか1項に記載の方法または条項66~69のいずれか1項に記載のキット。
71.前記医薬組成物は、約または最大でも約135mMのイオン強度を有する、条項64、65、及び68~70のいずれか1項に記載の方法または条項1~63のいずれか1項に記載の医薬組成物。
72.前記医薬組成物は、約または最大でも約40mMのイオン強度を有する、条項64、65、及び68~71のいずれか1項に記載の方法または条項1~63のいずれか1項に記載の医薬組成物。
73.前記医薬組成物は、約または最大でも約20mMのイオン強度を有する、条項64、65、及び68~72のいずれか1項に記載の方法または条項1~63のいずれか1項に記載の医薬組成物。
74.前記医薬組成物は、前記組成物と実質的に同じ等張性または重量オスモル濃度を有する、条項64、65、及び68~73のいずれか1項に記載の方法または条項1~63のいずれか1項に記載の医薬組成物。
75.前記医薬組成物中の前記凝集組換えAAVの少なくとも一部は、前記医薬組成物がヒト対象の眼の脈絡膜上腔に投与された後に脱凝集する、条項64、65、及び68~74のいずれか1項に記載の方法または条項1~63のいずれか1項に記載の医薬組成物。
76.前記組換えAAVの凝集体は、前記医薬組成物の脈絡膜上投与を受けて、非凝集AAVまたは単量体に逆転する、条項64、65、及び68~75のいずれか1項に記載の方法または条項1~63のいずれか1項に記載の医薬組成物。
77.前記組成物は、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、無水二塩基性リン酸ナトリウム、ショ糖、及び任意選択で界面活性剤を含む、条項64、65、及び68~76のいずれか1項に記載の方法または条項66~69のいずれか1項に記載のキット。
78.前記組成物は、改質ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、及び任意選択で界面活性剤を含む、条項64、65、及び68~77のいずれか1項に記載の方法または条項66~69及び77のいずれか1項に記載のキット。
79.前記組成物は、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの無水二塩基性リン酸ナトリウム、40.0mg/mL(4%w/v)のショ糖、及び界面活性剤を含む、条項64、65、及び68~78のいずれか1項に記載の方法または条項66~69及び77~78のいずれか1項に記載のキット。
80.前記溶液は、リン酸緩衝塩化ナトリウム及びショ糖を含む、条項64、65、及び68~79のいずれか1項に記載の方法または条項66~69及び77~79のいずれか1項に記載のキット。
81.前記指示書は、前記溶液と前記組成物とを混合して医薬組成物を得ることに関する指示を含む、条項67に記載のキット。
82.前記溶液と前記組成物との前記混合により、約または少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または10倍に前記組成物を希釈する、条項64、65、及び68~80のいずれか1項に記載の方法または条項81に記載のキット。
83.前記溶液と前記組成物とを前記混合することは、前記医薬組成物がヒト対象の眼の脈絡膜上腔に投与されるのと同じ日に行われる、条項64、65、68~80及び82のいずれか1項に記載の方法または条項81~82のいずれか1項に記載のキット。
84.前記溶液と前記組成物とを前記混合することは、前記医薬組成物がヒト対象の眼の脈絡膜上腔に投与される24時間以内に行われる、条項64、65、68~80、及び82~83のいずれか1項に記載の方法または条項81~83のいずれか1項に記載のキット。
85.前記医薬組成物は、ヒト対象への投与前に保管される、条項64、65、68~80、及び82~84のいずれか1項に記載の方法または条項81~84のいずれか1項に記載のキットまたは条項1~63及び71~76のいずれか1項に記載の医薬組成物。
86.前記医薬組成物は、ほぼ室温、20℃、4℃、または-80℃で保管される、条項64、65、68~80、及び82~85のいずれか1項に記載の方法または条項81~85のいずれか1項に記載のキットまたは条項1~63、71~76及び85のいずれか1項に記載の医薬組成物。
87.前記医薬組成物は、前記組換えAAVの約1.0×1012~約3.0×1012ゲノムコピーを含む、条項64、65、68~80、及び82~86のいずれか1項に記載の方法または条項81~86のいずれか1項に記載のキットまたは条項1~63、71~76、及び85~86のいずれか1項に記載の医薬組成物。
88.前記組換えAAVは、AAV1、AAV2、AAV2tYF、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAVrh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、rAAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV.PHP.eB、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16から選択される1つ以上のアデノ随伴ウイルス血清型由来の成分を含む、条項64、65、68~80、及び82~87のいずれか1項に記載の方法または条項81~87のいずれか1項に記載のキット。
89.前記組換えAAVは、AAV8由来の成分を含み、かつ前記医薬組成物は、約30mM~約60mMのイオン強度を有する、条項64、65、68~80、及び82~88のいずれか1項に記載の方法または条項81~88のいずれか1項に記載のキットまたは条項1~63、71~76、及び85~87のいずれか1項に記載の医薬組成物。
90.前記組換えAAVは、AAV9由来の成分を含み、かつ前記医薬組成物は、約15mM~約30mMのイオン強度を有する、条項64、65、68~80、及び82~88のいずれか1項に記載の方法または条項81~88のいずれか1項に記載のキットまたは条項1~63、71~76、及び85~87のいずれか1項に記載の医薬組成物。
91.前記組換えAAVは、AAV2由来の成分を含み、かつ前記医薬組成物は、約100mM~約200mMのイオン強度を有する、条項64、65、68~80、及び82~88のいずれか1項に記載の方法または条項81~88のいずれか1項に記載のキットまたは条項1~63、71~76、及び85~87のいずれか1項に記載の医薬組成物。
92.前記医薬組成物は、改質ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、及び任意選択で界面活性剤を含む、条項1~63、71~76、及び85~91のいずれか1項に記載の医薬組成物。
93.前記医薬組成物は、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、無水二塩基性リン酸ナトリウム、ショ糖、及び任意選択で界面活性剤を含む、条項1~63、71~76、及び85~92のいずれか1項に記載の医薬組成物。
94.前記医薬組成物は、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの無水二塩基性リン酸ナトリウム、40.0mg/mL(4%w/v)のショ糖、及び任意選択で界面活性剤を含む、条項1~63、71~76、及び85~93のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【図面の簡単な説明】
【0036】
3.図面の簡単な説明
図1】低塩及び/または低イオン強度の希釈液を使用して誘導されるAAVカプシドのクラスター形成の概要を示す。
【0037】
図2】AAVの直径に対するイオン強度及び塩濃度の影響を示すグラフである。
【0038】
図3】AAVの直径に対するイオン強度及び塩濃度の影響の電子顕微鏡の視覚的表現物である。Aは、対照または参照医薬組成物中のAAVを示す。Aは、参照医薬組成物中でAAVが凝集しないことを示している。Bは、低イオン強度溶液(参照医薬組成物と比較してより低いイオン強度を含む医薬組成物)中のAAV凝集を示す。
【0039】
図4】25℃での希釈時から希釈後約21時間までに測定された、異なるイオン強度及び塩の量を有する溶液中のAAVクラスターの平均見かけ直径を示すグラフである。対照は、4%ショ糖を含む改質DPBS中に組換えAAVを含んでいる。2倍、4倍、及び8倍の希釈液は、2倍、4倍、及び8倍の希釈液となるように異なる量のリン酸緩衝10%ショ糖希釈液で希釈した、4%ショ糖を含む改質DPBS中に組換えAAVを含む。クラスターは、25℃で少なくとも21時間、安定であった。およそ21.8時間後、塩のレベルが少なくとも75mMの溶液となるように塩化ナトリウムのスパイクを加えたところ、クラスターは単量体に逆転した。
【0040】
図5】組換えAAVのキュムラント動的光散乱法(DLS)強度加重平均見かけ直径を示すグラフである。図5は、低イオン強度のリン酸緩衝10%ショ糖希釈液に2倍、4倍、及び8倍に希釈した対照におけるAAVの、最大約21.8時間の、図4からの初期の誘導されたクラスター形成データを示す(図4を参照)。
【0041】
図6】組換えAAVのキュムラント動的光散乱法(DLS)強度加重平均見かけ直径を示すグラフである。図6は、低イオン強度のリン酸緩衝10%ショ糖希釈液に2倍、4倍、及び8倍に希釈した場合の、誘導されたクラスター形成の逆転を示す。誘導されたクラスター形成の逆転は、AAVの約21.8時間後の塩のスパイクによって影響を受けた(図4を参照)。
【0042】
図7】4%ショ糖を含む改質DPBS製剤中の組換えAAVのキュムラント径、リン酸緩衝10%ショ糖希釈液による希釈により調製された誘導されるクラスター形成の低塩溶液(10倍希釈液)中の組換えAAVのキュムラント径、及び塩の添加によるクラスター形成の逆転後の組換えAAVのキュムラント径を示すグラフである。この図はまた、試料を37℃まで加熱した後もクラスターが残ったことも示している。
【発明を実施するための形態】
【0043】
4.発明の詳細な説明
対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)への投与に適した、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む医薬組成物を本明細書で提供する。対象は、セクション4.5に記載する多くの疾患のうち1つであると診断された対象であり得る。AAVベクターについては、セクション4.4に記載し、かつそのようなベクターの投薬量については、セクション4.3に記載する。いくつかの実施形態では、セクション4.1に提示する医薬組成物は、セクション4.2に記載する1つ以上の機能的特性を有するように製剤化される。特定の実施形態では、本明細書で提供する医薬組成物は、種々の利点、例えば、クリアランス時間の延長または遅延(セクション4.2.1);周辺への拡散の減少(セクション4.2.2)、SCSの厚さの増加(セクション4.2.3)、血管拡張及び/または血管漏出の減少(セクション4.2.4)、注入部位におけるAAVレベルの増加及び形質導入率(感染率)の上昇(セクション4.2.5)、ならびに医薬組成物がSCSに投与された後の導入遺伝子の濃度の上昇を有する。理論に縛られることなく、機能的特性は、セクション4.1に開示するような凝集ウイルスベクター製剤を含む組成物を使用して実現することができる。また、関連する試験で使用することができるアッセイについても本明細書で提供する(セクション4.6)。
【0044】
4.1 医薬組成物の製剤化
本開示は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む、脈絡膜上投与に適した医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、異なる凝集レベルのAAVを有するいくつかの医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)は、導入遺伝子をコードするAAVの投与に使用される。
【0045】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、同等の医薬組成物(参照医薬組成物)よりも高いレベルのAAV凝集を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、同じベクターゲノム濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、同じ量のゲノムコピーを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、同じ量のゲノムコピーを使用して、それぞれ対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対照のウイルスベクター凝集のパーセンテージよりも高いパーセンテージの凝集ウイルスベクターを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、網膜下注入に通常使用される溶液の凝集ウイルスベクターのパーセンテージよりも高いパーセンテージの凝集ウイルスベクターを有する。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、医薬組成物よりもウイルスベクター凝集が少ない。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、医薬組成物と、同じまたは類似のパーセンテージのウイルスベクター凝集を有する。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、対照溶液(例えば、DPBS、PBS、水、またはHBSS)である。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、対照溶液(例えば、DPBS、PBS、水、またはHBSS)中にAAVを含む。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、ショ糖を含む。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、AAV網膜下注入に通常使用される医薬組成物である。
【0046】
いくつかの実施形態では、AAVを含む医薬組成物は、医薬組成物中のAAVがAAVクラスターまたは凝集を形成するように希釈される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、より低いイオン強度及び塩類含有量を有するAAV溶液を得るのに適した任意の溶液で希釈される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、医薬組成物のイオン強度を低下させるのに適した任意の溶液で希釈される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、AAVクラスター形成を誘導するために、減少させたイオン性賦形剤塩化ナトリウムを有する溶液で希釈される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、減少させたイオン性賦形剤及び/または増加させた非イオン性賦形剤を含有する溶液で希釈される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、減少させたイオン性賦形剤塩化ナトリウム及び増加させた非イオン性賦形剤であるショ糖を含有する溶液で希釈される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、リン酸緩衝10%ショ糖溶液で希釈される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、様々な非イオン性賦形剤レベル(例えば、4%ショ糖、6%ショ糖、8%ショ糖、10%ショ糖、15%ショ糖、または20%ショ糖)を含む溶液で希釈される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、4%ショ糖、6%ショ糖、または10%ショ糖を含む溶液で希釈される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、様々なイオン性賦形剤を含有する溶液(例えば、医薬組成物中の塩化ナトリウム濃度と比較して減少させた塩化ナトリウム濃度を有する溶液)で希釈される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、希釈の前後で同じ等張性/重量オスモル濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、参照医薬組成物または対照と同じ等張性/重量オスモル濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、参照医薬組成物または対照よりも高い等張性/重量オスモル濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、参照医薬組成物または対照よりも低い等張性/重量オスモル濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、240mOsm/kg以上の等張性/重量オスモル濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物または参照医薬組成物は、少なくとも240mOsm/kgの等張性/重量オスモル濃度を有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)は、投与(例えば、脈絡膜上投与)前に希釈される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、投与(例えば、脈絡膜上投与)と同じ日に希釈される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、投与(例えば、脈絡膜上投与)の約20時間前または約24時間前に希釈される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、投与の約5分、10分、15分、30分、45分、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、10.5時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、2週間、3週間、4週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、2年、3年、4年、5年、10年、15年、20年(またはそれ以上)前に希釈される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、投与の最大でも約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、2週間、3週間、4週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、2年、3年、4年、5年、10年、15年、20年(またはそれ以上)前に希釈される。
【0048】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、希釈されて、室温で保管される(例えば、希釈後、または投与前)。いくつかの実施形態では、医薬組成物は希釈され、希釈後約20℃で保管される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は希釈され、希釈後約25℃で保管される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は希釈され、希釈後4℃で保管される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は希釈され、希釈後-20℃で保管される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は希釈され、希釈後-80℃で保管される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は希釈され、希釈後、急速冷凍される。いくつかの実施形態では、希釈されていない医薬組成物、参照医薬組成物、希釈された医薬組成物及び/または希釈された参照医薬組成物は、長期間保管に適している(例えば、適切な温度で)。いくつかの実施形態では、長期間保管は、約または少なくとも約1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年、または5年超である。
【0049】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、約または最大でも約5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、100mM、105mM、110mM、115mM、120mM、125mM、130mM、135mM、140mM、145mM、150mM、155mM、160mM、165mM、170mM、175mM、180mM、185mM、190mM、195mM、200mM、205mM、210mM、215mM、220mM、225mM、230mM、235mM、240mM、245mM、250mM、255mM、260mM、265mM、270mM、275mM、280mM、285mM、290mM、295mM、300mM、350mM、400mM、450mM、500mM、550mM、600mM、650mM、700mM、800mM、900mM、または最大でも約1000mMのイオン強度を有する(またはイオン性賦形剤濃度を有する)。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、約または最大でも約15mM、20mM、40mM、60mM、80mM、100mM、130mM、150mM、175mM、200mM、または300mMのイオン強度を有する(またはイオン性賦形剤濃度を有する)。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、約5mM~約140mM、約15mM~約150mM、約5mM~約65mM、約5mM~約200mM、約15mM~約134mM、約10mM~約200mM、約20mM~約45mM、約15mM~約300mM、約5mM~約600mM、約15mM~約600mM、約10mM~約550mM、または約15mM~約70mMの範囲のイオン強度を有する(またはイオン性賦形剤濃度を有する)。いくつかの実施形態では、希釈された参照医薬組成物は、最大でも約40mMのイオン強度を有する(またはイオン性賦形剤濃度を有する)。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、最大でも約20mMのイオン強度を有する(またはイオン性賦形剤濃度を有する)。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、最大でも約100mMのイオン強度を有する(またはイオン性賦形剤濃度を有する)。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、最大でも約200mMのイオン強度を有する(またはイオン性賦形剤濃度を有する)。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物または希釈されていない医薬組成物は、少なくとも約または約80mM、100mM、120mM、150mM、200mM、または200mM超のイオン強度を有する(またはイオン性賦形剤濃度を有する)。
【0050】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)は、希釈前の希釈されていない医薬組成物よりも、より低いイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約または最大でも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、または100倍に希釈される。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、ウイルスベクターのクラスター形成を誘導するのに必要なイオン強度(例えば、クラスター形成閾値)を下回るイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、AAVクラスター形成のためのイオン強度を下回るイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、AAVクラスター形成のイオン強度を2倍下回るイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターに対するクラスター形成閾値が決定される。いくつかの実施形態では、クラスター形成閾値は、セクション4.6に記載する任意の好適な方法または任意の好適なアッセイによって決定される。いくつかの実施形態では、AAV8に対するクラスター形成閾値は、約60mMのイオン強度と相関する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)は、クラスター形成閾値に対するイオン強度の約半分のイオン強度(例えば、30mM)を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)は、約または最大でも約30mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)は、クラスター形成閾値に対するイオン強度の約3分の2のイオン強度(例えば、40mM)を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)は、約または最大でも約40mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、AAV9に対するクラスター形成閾値は、約30mMのイオン強度と相関する。いくつかの実施形態では、AAV2に対するクラスター形成閾値は、約200mMのイオン強度と相関する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)は、クラスター形成閾値に対するイオン強度の約半分のイオン強度(例えば、15mMまたは100mM)を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)は、クラスター形成閾値に対するイオン強度の約3分の2のイオン強度(例えば、20mMまたは134mM)を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)は、約または最大でも約20mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)は、約または最大でも約134mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)は、クラスター形成閾値に対するイオン強度の約4分の3のイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)は、クラスター形成閾値に対するイオン強度の約5分の2のイオン強度を有する。
【0051】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、クラスター形成閾値に対するイオン強度のおよそまたは最大でも2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%のイオン強度を有する。
【0052】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、約または最大でも約5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、100mM、105mM、110mM、115mM、120mM、125mM、130mM、135mM、140mM、145mM、150mM、155mM、160mM、165mM、170mM、175mM、180mM、185mM、190mM、195mM、200mM、205mM、210mM、215mM、220mM、225mM、230mM、235mM、240mM、245mM、250mM、255mM、260mM、265mM、270mM、275mM、280mM、285mM、290mM、295mM、300mM、350mM、400mM、450mM、500mM、550mM、600mM、650mM、700mM、800mM、900mM、または最大でも約1000mMの塩濃度(例えば、塩化ナトリウム)を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、約または最大でも約5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、100mM、200mM、または300mMの塩濃度(例えば、塩化ナトリウム)を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、約または最大でも約10mM、20mM、40mM、60mM、100mM、または150mMの塩濃度(例えば、塩化ナトリウム)を有する。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物または希釈されていない医薬組成物は、約または少なくとも約80mM、100mM、120mM、150mM、175mM、200mM以上の塩(例えば、塩化ナトリウム)濃度を有する。
【0053】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、少なくとも約240mOsm/kgの等張性/重量オスモル濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、少なくとも約100mOsm/kg、150mOsm/kg、160mOsm/kg、170mOsm/kg、180mOsm/kg、190mOsm/kg、200mOsm/kg、210mOsm/kg、220mOsm/kg、230mOsm/kg、240mOsm/kg、250mOsm/kg、260mOsm/kg、270mOsm/kg、280mOsm/kg、290mOsm/kg、300mOsm/kg、310mOsm/kg、320mOsm/kg、340mOsm/kg、350mOsm/kg、360mOsm/kg、370mOsm/kg、380mOsm/kg、390mOsm/kg、400mOsm/kg、450mOsm/kg、500mOsm/kg、550mOsm/kg、600mOsm/kg、650mOsm/kg、または700mOsm/kgの等張性/重量オスモル濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、少なくとも約240mOsm/kg~約600mOsm/kg、240mOsm/kg~約350mOsm/kg、少なくとも約220mOsm/kg~約400mOsm/kg、または少なくとも約200mOsm/kg~約500mOsm/kgの等張性/重量オスモル濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、約240mOsm/kg~約600mOsm/kgの等張性/重量オスモル濃度を有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、少なくともいくつかの凝集ウイルスベクターを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、約または少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の凝集ウイルスベクター(例えば、凝集AAV)を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、約1%~約20%、1%~約10%、1%~約50%、3%~約95%、3%~約90%、3%~約80%、3%~約70%、3%~約60%、3%~約50%、3%~約40%、3%~約30%、3%~約20%、3%~約15%、3%~約10%、5%~約95%、5%~約90%、5%~約80%、5%~約70%、5%~約60%、5%~約50%、5%~約40%、5%~約30%、5%~約20%、5%~約15%、5%~約10%、10%~約95%、10%~約90%、10%~約80%、10%~約70%、10%~約60%、10%~約50%、10%~約40%、10%~約30%、10%~約20%、10%~約15%、15%~約95%、15%~約90%、15%~約80%、15%~約70%、15%~約60%、15%~約50%、15%~約40%、15%~約30%、15%~約20%、20%~約95%、20%~約90%、20%~約80%、20%~約70%、20%~約60%、20%~約50%、20%~約40%、20%~約30%、30%~約95%、30%~約90%、30%~約80%、30%~約70%、30%~約60%、30%~約50%、30%~約40%、40%~約95%、40%~約90%、40%~約80%、40%~約70%、40%~約60%、または40%~約50%の凝集ウイルスベクター(例えば、凝集AAV)を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、対照溶液または希釈前の医薬組成物または希釈前の参照医薬組成物と比較して、少なくとも2倍多い、少なくとも3倍多い、少なくとも4倍多い、少なくとも5倍多い、少なくとも6倍多い、少なくとも7倍多い、少なくとも8倍多い、少なくとも9倍多い、少なくとも10倍多い、少なくとも15倍多い、少なくとも20倍多い、少なくとも50倍多い、少なくとも100倍多い、少なくとも5%多い、少なくとも10%多い、少なくとも15%多い、少なくとも20%多い、少なくとも25%多い、少なくとも30%多い、少なくとも35%多い、少なくとも40%、少なくとも45%多い、少なくとも50%多い、少なくとも55%多い、少なくとも60%多い、少なくとも65%多い、少なくとも70%多い、少なくとも75%多い、少なくとも80%多い、少なくとも85%多い、少なくとも90%多い、少なくとも95%多い、少なくとも100%多い、少なくとも150%多い、または少なくとも200%多い、少なくとも250%多い、または少なくとも300%、少なくとも400%多い、または少なくとも500%多い凝集ウイルスベクター(例えば、凝集AAV)を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの分子直径(例えば、ウイルスベクター凝集のレベル)は、任意の好適な方法または任意の好適なアッセイによって決定される(セクション4.6を参照されたい)。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの分子直径は、ウイルスベクター凝集(例えば、AAV凝集)の量を決定するために測定される。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)中または希釈された参照医薬組成物中のウイルスベクターの分子直径は、希釈前の医薬組成物中、または対照溶液中、または希釈前の参照医薬組成物中のウイルスベクターの分子直径よりも大きい。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)は、対照溶液中、または希釈前の医薬組成物中、または参照医薬組成物中のウイルスベクターの直径よりも、少なくとも2倍大きい、少なくとも3倍大きい、少なくとも4倍大きい、少なくとも5倍大きい、少なくとも6倍大きい、少なくとも7倍大きい、少なくとも8倍大きい、少なくとも9倍大きい、少なくとも10倍大きい、少なくとも15倍大きい、少なくとも20倍大きい、少なくとも50倍大きい、少なくとも100倍大きい、少なくとも5%大きい、少なくとも10%大きい、少なくとも15%大きい、少なくとも20%大きい、少なくとも25%大きい、少なくとも30%大きい、少なくとも35%大きい、少なくとも40%、少なくとも45%大きい、少なくとも50%大きい、少なくとも55%大きい、少なくとも60%大きい、少なくとも65%大きい、少なくとも70%大きい、少なくとも75%大きい、少なくとも80%大きい、少なくとも85%大きい、少なくとも90%大きい、少なくとも95%大きい、少なくとも100%大きい、少なくとも150%大きい、または少なくとも200%大きい、少なくとも250%大きい、または少なくとも300%、少なくとも400%大きい、または少なくとも500%大きい直径(例えば、平均で)のウイルスベクターを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)または希釈された参照医薬組成物は、約または少なくとも約10nm、15nm、20nm、25nm、26nm、27nm、28nm、29nm、30nm、31nm、32nm、33nm、34nm、35nm、36nm、37nm、38nm、39nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、125nm、150nm、175nm、200nm、225nm、250nm、275nm、300nm、325nm、350nm、375nm、400nm、450nm、500nm、または500nm超の直径(例えば、平均で)のウイルスベクターを含む。いくつかの実施形態では、希釈前の医薬組成物または希釈前の参照医薬組成物または対照は、約または最大でも約5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、26nm、27nm、28nm、29nm、30nm、31nm、32nm、33nm、34nm、35nm、36nm、37nm、38nm、39nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、または100nmの直径(例えば、平均で)のウイルスベクターを含む。いくつかの実施形態では、希釈前の医薬組成物または希釈前の参照医薬組成物または対照は、およそまたは最大でも25nm、30nm、35nm、または40nmの直径(例えば、平均で)のウイルスベクターを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、分子直径またはウイルスベクター凝集のレベルは、医薬組成物が希釈されてから30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、15時間、20時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、2週間、3週間、4週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、1年、2年、5年、または5年以上後に測定される。いくつかの実施形態では、分子直径またはウイルスベクター凝集のレベルは、投与(例えば、脈絡膜上投与)前に測定される。いくつかの実施形態では、分子直径またはウイルスベクター凝集のレベルは、投与(例えば、脈絡膜上投与)直前に測定される。いくつかの実施形態では、分子直径またはウイルスベクター凝集のレベルは、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)、希釈された参照医薬組成物、希釈されていない医薬組成物、希釈されていない参照医薬組成物、または対照の投与(例えば、脈絡膜上投与)の、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、15時間、20時間、24時間、または2日前に測定される。いくつかの実施形態では、分子直径またはウイルスベクター凝集のレベルは、長期間保管(例えば、25℃、20℃、4℃、-80℃での保管)後に測定される。いくつかの実施形態では、分子直径またはウイルスベクター凝集のレベルは、急速冷凍された希釈された医薬組成物が解凍された後に測定される。
【0058】
いくつかの実施形態では、希釈された医薬組成物、希釈されていない医薬組成物、参照医薬組成物、または対照は、同じベクターゲノム濃度を有する。いくつかの実施形態では、希釈された医薬組成物、希釈されていない医薬組成物、参照医薬組成物、または対照は、同じ量のゲノムコピーを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)は、希釈されていない医薬組成物と(または対照もしくは参照医薬組成物と)少なくとも同じベクターゲノム濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)は、希釈されていない医薬組成物と(または対照もしくは参照医薬組成物と)少なくとも同じ量のゲノムコピーを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)は、希釈されていない医薬組成物と(または対照もしくは参照医薬組成物と)少なくとも同じウイルスベクター力価(例えば、in vitroにおけるAAV力価)を有する。
【0059】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)のイオン強度は、投与(例えば、脈絡膜上投与)後に増大する。いくつかの実施形態では、ウイルスベクター凝集(クラスター形成)のレベルは、投与後に低下する。いくつかの実施形態では、投与前の医薬組成物中のウイルスベクター凝集(クラスター形成)により、ウイルスベクターを含むがウイルスベクター凝集のない溶液と比較して、またはウイルスベクター凝集の量が少ないウイルスベクターを含む溶液と比較して、ウイルスベクターまたは有効成分の注入部位での長時間の持続が可能となる。いくつかの実施形態では、投与前の医薬組成物中のウイルスベクター凝集(クラスター形成)により、ウイルスベクターを含むがウイルスベクター凝集のない溶液が投与された後、またはウイルスベクター凝集の量が少ないウイルスベクターを含む溶液が投与された後に得られる注入部位の厚さと比較して、投与後の注入部位の厚さが増加する。いくつかの実施形態では、投与前の医薬組成物中のウイルスベクター凝集(クラスター形成)により、ウイルスベクターを含むがウイルスベクター凝集のない溶液が投与された後、またはウイルスベクター凝集の量が少ないウイルスベクターを含む溶液が投与された後に得られる注入部位の周辺への拡散と比較して、投与後の注入部位の周辺への拡散が減少する。いくつかの実施形態では、投与前の医薬組成物中のウイルスベクター凝集(クラスター形成)により、ウイルスベクターを含むがウイルスベクター凝集のない溶液が投与された後、またはウイルスベクター凝集の量が少ないウイルスベクターを含む溶液が投与された後に得られる注入部位のクリアランス時間と比較して、投与後の注入部位のクリアランス時間が長くなる。いくつかの実施形態では、投与前の医薬組成物中のウイルスベクター凝集(クラスター形成)により、ウイルスベクターを含むがウイルスベクター凝集のない溶液が投与された後、またはウイルスベクター凝集の量が少ないウイルスベクターを含む溶液が投与された後に得られる血管拡張及び/または血管漏出のレベルと比較して、投与後の血管拡張及び/または血管漏出のレベルが減少する。いくつかの実施形態では、投与前の医薬組成物中のウイルスベクター凝集(クラスター形成)により、ウイルスベクターを含むがウイルスベクター凝集のない溶液が投与された後、またはウイルスベクター凝集の量が少ないウイルスベクターを含む溶液が投与された後に得られる注入部位の形質導入率(感染率)と比較して、投与後の注入部位の形質導入率(感染率)が高くなる。いくつかの実施形態では、投与前の医薬組成物中のウイルスベクター凝集(クラスター形成)により、ウイルスベクターを含むがウイルスベクター凝集のない溶液が投与された後、またはウイルスベクター凝集の量が少ないウイルスベクターを含む溶液が投与された後に得られる注入部位のAAVレベルと比較して、投与後の注入部位のAAVレベルが増加する。いくつかの実施形態では、投与前の医薬組成物中のウイルスベクター凝集(クラスター形成)により、ウイルスベクターを含むがウイルスベクター凝集のない溶液が投与された後、またはウイルスベクター凝集の量が少ないウイルスベクターを含む溶液が投与された後に得られる眼における導入遺伝子発現レベルと比較して、投与後の眼における導入遺伝子発現レベルが増加する。いくつかの実施形態では、希釈された医薬組成物とは、参照医薬組成物と比較して、より低いイオン強度及び/またはより低い塩濃度を有する医薬組成物を指す。いくつかの実施形態では、希釈された医薬組成物とは、最大でも約200mMのイオン強度を含む医薬組成物を指す。いくつかの実施形態では、希釈された医薬組成物とは、少なくとも約3%のウイルスベクター凝集(例えば、AAV凝集)を含む医薬組成物を指す。
【0060】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)は、投与後少なくとも2時間、注入部位(例えば、SCS)の少なくとも1部分を少なくとも500μmまたは約500μm~約3mmの厚さに拡張するのに十分な量のウイルスベクター凝集を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)のウイルスベクター凝集(例えば、AAV凝集)の量は、注入部位(例えば、SCS)を、約750μm~約2.8mm、約750μm~約2.5mm、約750μm~約2mm、または約1mm~約2mmの厚さに拡張するのに十分な量である。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)中のウイルスベクター凝集(例えば、AAV凝集)の量は、注入部位(例えば、SCS)を、投与後少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、少なくとも10日間、少なくとも21日間、少なくとも1ヶ月間、少なくとも6週間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも1年間、少なくとも3年間、または少なくとも5年間、約500μm~約3.0mmの厚さに拡張するのに十分な量である。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)中のウイルスベクター凝集(例えば、AAV凝集)の量は、注入部位(例えば、SCS)を、投与後少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、約1mm~約3mmの厚さに拡張するのに十分な量である。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)中のウイルスベクター凝集(例えば、AAV凝集)の量は、注入部位(例えば、SCS)を、投与後少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、少なくとも10日間、少なくとも21日間、少なくとも1ヶ月間、少なくとも6週間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも1年間、少なくとも3年間、または少なくとも5年間、約1mm~約2mmの厚さに拡張するのに十分な量である。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)中のウイルスベクター凝集(例えば、AAV凝集)の量は、注入部位(例えば、SCS)を、投与後少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、少なくとも10日間、少なくとも21日間、少なくとも1ヶ月間、少なくとも6週間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも1年間、少なくとも3年間、または少なくとも5年間、約2mm~約3mmの厚さに拡張するのに十分な量である。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)中のウイルスベクター凝集(例えば、AAV凝集)の量は、注入部位(例えば、SCS)を、無期限で約750μm~約2.8mm、約750μm~約2.5mm、約750μm~約2mm、または約1mm~約2mmの厚さに拡張するのに十分な量である。無期限は、注入部位(例えば、SCS)における医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)の安定性に起因して、少なくとも部分的に達成され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)は、注入部位(例えば、SCS)を少なくとも500μmまたは約500μm~約3mmの厚さに拡張するのに十分な量のウイルスベクター凝集(例えば、AAV凝集)を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)は、注入部位(例えば、SCS)を少なくとも約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1000μm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mm、5.5mm、6mm、6.5mm、7mm、7.5mm、8mm、8.5mm、9mm、9.5mm、10mm、または10mm超の厚さに拡張するのに十分な量のウイルスベクター凝集(例えば、AAV凝集)を有する。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物または希釈されていない医薬組成物は、注入部位を最大でも約1nm、5nm、10nm、25nm、50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1000μm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mm、5.5mm、6mm、6.5mm、7mm、7.5mm、8mm、8.5mm、9mm、9.5mm、または10mmの厚さに拡張することができる。
【0062】
セクション4.5に記載する疾患(例えば、眼疾患)を、本明細書にて開示する医薬組成物(例えば、希釈された医薬組成物)を使用して治療する方法も本明細書で提供する。いくつかの実施形態では、眼疾患を治療する方法は、有効量の医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター)を対象(例えば、ヒト)に投与することを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)に投与される。いくつかの実施形態では、SCSに投与された場合に治療応答を誘発するのに十分な医薬組成物の有効量は、網膜下に投与された場合に治療応答を誘発するのに十分な医薬組成物の有効量よりも少ない。いくつかの実施形態では、SCSに投与された場合に治療応答を誘発するのに十分な医薬組成物の有効量は、硝子体内に投与された場合に治療応答を誘発するのに十分な医薬組成物の有効量よりも少ない。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、SCSに投与された場合と、網膜下投与または硝子体内投与を介して投与された場合とで、同じベクターゲノム濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、SCSに投与された場合と、網膜下投与または硝子体内投与を介して投与された場合とで、同じ量のゲノムコピーを有する。いくつかの実施形態では、対象における治療応答を誘発するのに十分な医薬組成物の有効量は、SCSに投与された場合の対象における治療応答を誘発するのに十分な参照医薬組成物の有効量と比較して少ない。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、希釈される前の医薬組成物である。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、医薬組成物と比較してより高いイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、参照医薬組成物と比較してより高いレベルのウイルスベクター凝集(例えば、AAV凝集)を有する。いくつかの実施形態では、SCSに投与された場合に治療応答を誘発するのに十分な医薬組成物の有効量は、網膜下に投与された場合に治療応答を誘発するのに十分な参照医薬組成物の有効量よりも少ない。いくつかの実施形態では、SCSに投与された場合に治療応答を誘発するのに十分な医薬組成物の有効量は、硝子体内に投与された場合に治療応答を誘発するのに十分な参照医薬組成物の有効量よりも少ない。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、同じベクターゲノム濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、同じ量のゲノムコピーを有する。
【0063】
医薬組成物を調製する方法もまた、本明細書で提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物を調製する方法は、リン酸緩衝生理食塩水、ショ糖、及び導入遺伝子をコードする発現カセットを含む治療に有効な量の組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む組成物(例えば、参照医薬組成物)を調製することを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物を調製する方法は、リン酸緩衝生理食塩水及びショ糖を含む溶液を、AAVを含む組成物に混合することを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、組成物(または参照医薬組成物)よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約または最大でも約135mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約または最大でも約40mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約または最大でも約20mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、組成物と実質的に同じ等張性または重量オスモル濃度を有する。
【0064】
医薬組成物を調製する方法を本明細書で提供するが、該方法は、リン酸緩衝生理食塩水及びショ糖を含む溶液を組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを有する組成物)に混合することを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、組成物よりも、より低いイオン強度及び/またはより高いレベルの凝集組換えAAVを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約または最大でも約135mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約または最大でも約40mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約または最大でも約20mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、組成物と実質的に同じ等張性または重量オスモル濃度を有する。
【0065】
医薬組成物を調製するキットもまた、本明細書で提供する。いくつかの実施形態では、キットは、(i)導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む組成物と、(ii)リン酸緩衝生理食塩水及びショ糖を含む溶液とを含む。いくつかの実施形態では、キットは、組成物と溶液とを混合することに関する指示書を含む場合がある。いくつかの実施形態では、指示書は、溶液と組成物とを混合して医薬組成物を得ることに関する指示を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、リン酸緩衝生理食塩水及びショ糖を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、4%ショ糖を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、10%ショ糖を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約または最大でも約135mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約または最大でも約40mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約または最大でも約20mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、組成物と実質的に同じ等張性または重量オスモル濃度を有する。
いくつかの実施形態では、本開示の方法または医薬組成物またはキットのいずれかにより、医薬組成物中の少なくともいくつかの凝集組換えAAVが、医薬組成物がヒト対象の眼の脈絡膜上腔に投与された後に脱凝集する。いくつかの実施形態では、組換えAAVの凝集体は、ヒト対象への医薬組成物の脈絡膜上投与を受けて逆転することができる。いくつかの実施形態では、凝集組換えAAVは、対象のSCSに注入されると、単量体になるか、または凝集が減る。いくつかの実施形態では、組成物は、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、無水二塩基性リン酸ナトリウム、ショ糖、及び任意選択で界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、改質ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、及び任意選択で界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの無水二塩基性リン酸ナトリウム、40.0mg/mL(4%w/v)のショ糖、及び界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、リン酸緩衝塩化ナトリウム及びショ糖を含む。いくつかの実施形態では、溶液と組成物との混合により、約または少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または10倍に組成物を希釈する。いくつかの実施形態では、溶液と組成物とを混合することは、医薬組成物がヒト対象の眼の脈絡膜上腔に投与されるのと同じ日に行われる。いくつかの実施形態では、溶液と組成物とを混合することは、医薬組成物がヒト対象の眼の脈絡膜上腔に投与される24時間以内に行われる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、組換えAAVの約1.0×1012~約3.0×1012ゲノムコピーを含む。いくつかの実施形態では、組換えAAVは、AAV8由来の成分を含み、かつ医薬組成物は、約30mM~約60mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、組換えAAVは、AAV9由来の成分を含み、かつ医薬組成物は、約15mM~約30mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、組換えAAVは、AAV2由来の成分を含み、かつ医薬組成物は、約100mM~約200mMのイオン強度を有する。
【0066】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、挿入部位の近くに実質的に局在化される(例えば、セクション4.2.1及びセクション4.2.2を参照されたい)。いくつかの実施形態では、医薬組成物により、医薬組成物が網膜下または硝子体内に投与された場合と比較して、医薬組成物がSCSに投与された場合に、導入遺伝子発現(濃度)のレベルがより高くなる(セクション4.2.6を参照されたい)。いくつかの実施形態では、医薬組成物により、参照医薬組成物が網膜下、硝子体内またはSCSに投与された場合と比較して、医薬組成物がSCSに投与された場合に、導入遺伝子発現(濃度)のレベルがより高くなる(セクション4.2.6を参照されたい)。いくつかの実施形態では、医薬組成物により、医薬組成物が網膜下または硝子体内に投与された場合と比較して、医薬組成物がSCSに投与された場合に、AAVのレベルがより高くなる(セクション4.2.5を参照されたい)。いくつかの実施形態では、医薬組成物により、参照医薬組成物が網膜下、硝子体内またはSCSに投与された場合と比較して、医薬組成物がSCSに投与された場合に、AAVのレベルがより高くなる(セクション4.2.5を参照されたい)。いくつかの実施形態では、医薬組成物により、医薬組成物が網膜下または硝子体内に投与された場合と比較して、医薬組成物がSCSに投与された場合に、注入部位における形質導入率(感染率)がより高くなる(セクション4.2.5を参照されたい)。いくつかの実施形態では、医薬組成物により、参照医薬組成物が網膜下、硝子体内またはSCSに投与された場合と比較して、医薬組成物がSCSに投与された場合に、注入部位における形質導入率(感染率)がより高くなる(セクション4.2.5を参照されたい)。いくつかの実施形態では、医薬組成物により、医薬組成物が網膜下または硝子体内に投与された場合と比較して、医薬組成物がSCSに投与された場合に、血管拡張及び/または血管漏出が減少する(セクション4.2.4を参照されたい)。いくつかの実施形態では、医薬組成物により、参照医薬組成物が網膜下、硝子体内またはSCSに投与された場合と比較して、医薬組成物がSCSに投与された場合に、血管拡張及び/または血管漏出が減少する(セクション4.2.4を参照されたい)。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、参照医薬組成物よりも高いレベルのAAV凝集を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、同じベクターゲノム濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、同じ量のゲノムコピーを有する。
【0067】
4.1.1 イオン強度の希釈
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、医薬組成物のイオン強度を低下させるために、より低いイオン強度を有する溶液で希釈される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、投与前に希釈される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、希釈されて、保管される。いくつかの実施形態では、医薬組成物と比較してより低いイオン強度を有する溶液は、希釈されていない医薬組成物の5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%のイオン強度を含む医薬組成物(例えば、2倍、3倍、4倍、8倍、または10倍に希釈された医薬組成物)を得るために、医薬組成物に加えられる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、リン酸緩衝10%ショ糖溶液で希釈される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、4%ショ糖を含む改質DPBSを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ポロキサマー(例えば、P188)を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、より低いイオン強度を有し、かつ医薬組成物を希釈するのに使用される溶液は、希釈されていない医薬組成物と比較して、より少量のまたはより低濃度の塩を含む。このような塩類の例としては、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、及び硫酸アンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
いくつかの実施形態では、より低いイオン強度を有し、かつ希釈に使用される溶液は、希釈されていない医薬組成物中の塩濃度の約または最大でも約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%を含む。いくつかの実施形態では、より低いイオン強度を有し、かつ希釈に使用される溶液は、塩を含まない。いくつかの実施形態では、希釈に使用される溶液(例えば、より低いイオン強度を有する溶液)は、約または最大でも約0mM、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、100mM、110mM、115mM、120mM、125mM、130mM、135mM、140mM、145mM、150mM、155mM、160mM、165mM、170mM175mM、180mM、185mM、190mM、195mM、200mM、250mM、300mM、350mM、400mM、450mM、500mM、550mM、または600mMの塩(例えば、NaCl)を含む。いくつかの実施形態では、希釈に使用される溶液(例えば、より低いイオン強度を有する溶液)は、塩を含まない。いくつかの実施形態では、希釈に使用される溶液(例えば、より低いイオン強度を有する溶液)は、約0mM~約30mM、0mM~約25mM、0mM~約100mM、0mM~約50mM、0mM~約200mM、5mM~約100mM、10mM~約30mM、10mM~約40mM、10mM~約50mM、10mM~約60mM、10mM~約100mM、5mM~約50mM、5mM~約30mM、1mM~約100mM、1mM~約40mM、または1mM~約30mM、1mM~約200mM、1mM~約600mM、または1mM~約300mMの塩濃度を有する。いくつかの実施形態では、希釈に使用される溶液(例えば、より低いイオン強度を有する溶液)は、約または最大でも約10mMの塩を含む。いくつかの実施形態では、希釈に使用される溶液(例えば、より低いイオン強度を有する溶液)は、約または最大でも約100mMの塩を含む。いくつかの実施形態では、希釈に使用される溶液(例えば、より低いイオン強度を有する溶液)は、約または最大でも約200mMの塩を含む。いくつかの実施形態では、より低いイオン強度を有し、かつ希釈に使用される溶液は、ショ糖を含む。いくつかの実施形態では、より低いイオン強度を有し、かつ希釈に使用される溶液は、4%、6%、8%、10%、15%、20%、25%、30%(またそれ以上)ショ糖を含む。いくつかの実施形態では、希釈に使用される溶液(例えば、より低いイオン強度を有する溶液)は、4%ショ糖を含む。いくつかの実施形態では、希釈に使用される溶液は、6%ショ糖を含む。いくつかの実施形態では、希釈に使用される溶液は、10%ショ糖を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、希釈に使用される溶液(例えば、より低いイオン強度を有する溶液)は、約または最大でも約0mM、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、100mM、110mM、115mM、120mM、125mM、130mM、135mM、140mM、145mM、150mM、155mM、160mM、165mM、170mM175mM、180mM、185mM、190mM、195mM、200mM、250mM、300mM、350mM、400mM、450mM、500mM、550mM、または600mMのイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、希釈に使用される溶液(例えば、より低いイオン強度を有する溶液)は、約または最大でも約25mMのイオン強度を含む。いくつかの実施形態では、希釈に使用される溶液(例えば、より低いイオン強度を有する溶液)は、約または最大でも約50mMのイオン強度を含む。いくつかの実施形態では、希釈に使用される溶液(例えば、より低いイオン強度を有する溶液)は、約または最大でも約15mMのイオン強度を含む。いくつかの実施形態では、希釈に使用される溶液(例えば、より低いイオン強度を有する溶液)は、約または最大でも約80mMのイオン強度を含む。いくつかの実施形態では、希釈に使用される溶液(例えば、より低いイオン強度を有する溶液)は、約または最大でも約100mMのイオン強度を含む。いくつかの実施形態では、希釈に使用される溶液(例えば、より低いイオン強度を有する溶液)は、約5mM~約100mM、10mM~約30mM、10mM~約40mM、10mM~約50mM、10mM~約60mM、10mM~約100mM、5mM~約50mM、5mM~約30mM、1mM~約100mM、1mM~約40mM、または1mM~約30mM、1mM~約200mM、1mM~約600mM、または1mM~約300mMのイオン強度を有する。
【0071】
いくつかの実施形態では、低イオン強度の医薬組成物は、導入遺伝子をコードするAAVの投与に使用される。いくつかの実施形態では、参照と比較して低減されたイオン強度を有する医薬組成物(例えば、希釈された液体製剤)は、導入遺伝子をコードするAAVを投与するために使用される。いくつかの実施形態では、低塩の医薬組成物(例えば、希釈された液体製剤)は、導入遺伝子をコードするAAVの投与に使用される。いくつかの実施形態では、対照溶液と比較して、または参照医薬組成物と比較して、またはPBSと比較して、または一般に網膜下注入に使用される医薬組成物と比較して、より低い塩濃度を有する医薬組成物が、導入遺伝子をコードするAAVの投与に使用される。
【0072】
いくつかの実施形態では、塩を調製するために使用することができる化合物の例としては、酢酸アルミニウム、グルタミン酸塩、粘液酸塩、アルギニン、アスパラギン酸塩、グリコール酸塩、ナプシレート、ベンザチン、ベンゼンスルホン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、硝酸塩、カルシウム、安息香酸塩、ヘキサン酸塩、オクタン酸塩、クロロプロカイン、ベシル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、オレイン酸塩、コリン、重炭酸塩、ヒドラバミン、パモ酸塩、ジエタノールアミン、酒石酸水素塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、パントテン酸塩、エタノールアミン、臭化物、ヨウ化物、リン酸塩、エチレンジアミン、カンシル酸塩、イセチオン酸塩、ポリガラクツロ酸塩、ヒスチジン、炭酸塩、イセチオン酸塩、プロピオン酸塩、リチウム、塩化物、乳酸塩、サリチル酸塩、リジン、クエン酸塩、ラクトビオン酸塩、ステアリン酸塩、マグネシウム、デカン酸塩、りんご酸塩、塩基性酢酸塩、メグルミン、エデト酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、カリウム、エストレート、マンデル酸塩、硫酸塩、プロカイン、エシレート、メシレート、酒石酸塩、ナトリウム、フマル酸塩、臭化メチル、テオクル酸塩、トリメチルアミン、グルセプト酸塩、メチル硝酸塩、トシル酸塩、亜鉛、グルコン酸塩、メチル硫酸塩、及びトリエチオジドが挙げられる(ただしこれらに限定されない)。
【0073】
いくつかの実施形態では、溶液中の塩、または医薬組成物で使用される塩としては、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムアミド(NaNH)または任意の適切な塩または医薬製剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
4.1.2 製剤のその他の成分
いくつかの実施形態において、本開示は、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)、ならびに一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、無水二塩基性リン酸ナトリウム、ショ糖、及び界面活性剤のうち少なくとも1つを含む医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)は、ショ糖を含まない。
【0075】
いくつかの実施形態において、本開示は、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)、ならびにイオン性塩賦形剤または緩衝剤、ショ糖及び界面活性剤のうち少なくとも1つを含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、イオン性塩賦形剤または緩衝剤は、一塩基性リン酸カリウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウム、無水二塩基性リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム六水和物、一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、トロメタミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩(トリス-HCl)、アミノ酸、ヒスチジン、塩酸ヒスチジン(ヒスチジン-HCl)、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、及び(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)(HEPES)、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム6-水和物、硫酸カルシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、及びクエン酸カルシウムからなる群からの1つ以上の成分であり得る。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポロキサマー188、ポリソルベート20、及びポリソルベート80からなる群からの1つ以上の成分であり得る。
【0076】
特定の実施形態では、医薬組成物は、約60mM~約115mMのイオン強度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約60mM~約100mMのイオン強度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約65mM~約95mMのイオン強度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約70mM~約90mMのイオン強度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約75mM~約85mMのイオン強度を有する。
【0077】
特定の実施形態では、医薬組成物は、約30mM~約100mMのイオン強度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約35mM~約95mMのイオン強度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約40mM~約90mMのイオン強度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約45mM~約85mMのイオン強度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約50mM~約80mMのイオン強度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約55mM~約75mMのイオン強度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約60mM~約70mMのイオン強度を有する。
【0078】
特定の実施形態では、医薬組成物は、塩化カリウム(例えば、0.2g/Lの濃度で)を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、一塩基性リン酸カリウム(例えば、0.2g/Lの濃度で)を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、塩化ナトリウム(例えば、5.84g/Lの濃度で)を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、無水二塩基性リン酸ナトリウム(例えば、1.15g/Lの濃度で)を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、及び無水二塩基性リン酸ナトリウムを含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、医薬組成物と同じ成分を含む。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、医薬組成物と同じ成分を含むが、医薬組成物よりも低いイオン強度を有する。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、組成物または溶液のイオン強度に影響を与えるか、またはイオン強度を増大させる1つ以上の成分を除いて、医薬組成物と同じ成分を含む。
【0080】
特定の実施形態では、医薬組成物は、10%(重量/体積、30g/L)~18%(重量/体積、180g/L)の濃度でショ糖を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、4%(重量/体積、40g/L)の濃度でショ糖を含む。
【0081】
特定の実施形態では、医薬組成物は、0.001%(重量/体積、0.01g/L)の濃度でポロキサマー188を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、0.0005%(重量/体積、0.005g/L)~0.05%(重量/体積、0.5g/L)の濃度でポロキサマー188を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、0.001%(重量/体積、0.01g/L)の濃度でポロキサマー188を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、0.0005%(重量/体積、0.05g/L)~0.05%(重量/体積、0.5g/L)の濃度でポリソルベート20を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、0.0005%(重量/体積、0.05g/L)~0.05%(重量/体積、0.5g/L)の濃度でポリソルベート80を含む。
【0082】
特定の実施形態では、医薬組成物のpHは約7.4である。特定の実施形態では、医薬組成物のpHは約6.0~9.0である。特定の実施形態では、医薬組成物のpHは7.4である。特定の実施形態では、医薬組成物のpHは6.0~9.0である。
【0083】
特定の実施形態では、医薬組成物は、疎水性コーティングされたガラスバイアル中にある。特定の実施形態では、医薬組成物は、Cyclo Olefin Polymer(COP)バイアル中にある。特定の実施形態では、医薬組成物は、Daikyo Crystal Zenith(登録商標)(CZ)バイアル中にある。特定の実施形態では、医薬組成物は、TopLyoでコーティングされたバイアル中にある。
【0084】
特定の実施形態において、組換えAAV、ならびに(a)0.2g/Lの濃度の塩化カリウム、(b)0.2g/Lの濃度の一塩基性リン酸カリウム、(c)5.84g/Lの濃度の塩化ナトリウム、(d)1.15g/Lの濃度の無水二塩基性リン酸ナトリウム、(e)4%重量/体積(40g/L)の濃度のショ糖、(f)0.001%重量/体積(0.01g/L)の濃度のポロキサマー188、及び(g)水のうち少なくとも1つを含む医薬組成物であって、この際、組換えAAVがAAV8である、医薬組成物を本明細書で開示する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ショ糖を含まない。
【0085】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)抗ヒト血管内皮成長因子(hVEGF)抗体をコードする構築物II、ならびに(b)0.2g/Lの濃度の塩化カリウム、(c)0.2g/Lの濃度の一塩基性リン酸カリウム、(d)5.84g/Lの濃度の塩化ナトリウム、(e)1.15g/Lの濃度の無水二塩基性リン酸ナトリウム、(f)4%の濃度、重量/体積(40g/L)のショ糖、(g)0.001%重量/体積(0.01g/L)の濃度のポロキサマー188、及び(h)水のうち少なくとも1つを含み、かつ該抗hVEGF抗体は、配列番号2、または配列番号4のアミノ酸配列で構成される重鎖、及び配列番号1または配列番号3のアミノ酸配列で構成される軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ショ糖を含まない。
【0086】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)トリペプチジルペプチダーゼ1をコードするAAV8またはAAV9、ならびに(b)0.2g/Lの濃度の塩化カリウム、(c)0.2g/Lの濃度の一塩基性リン酸カリウム、(d)5.84g/Lの濃度の塩化ナトリウム、(e)1.15g/Lの濃度の無水二塩基性リン酸ナトリウム、(f)4%重量/体積(40g/L)の濃度のショ糖、(g)0.001%重量/体積(0.01g/L)の濃度のポロキサマー188、及び(h)水のうち少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ショ糖を含まない。いくつかの実施形態では、医薬組成物中のAAV凝集のレベルは、バッテン病CLN2関連視力喪失に影響を与える。
【0087】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、脈絡膜上注入(例えば、マイクロニードルを備えたマイクロインジェクターなどの脈絡膜上薬物送達デバイスを介した)に適した所望の粘度、密度、及び/または重量オスモル濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、液体組成物である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、凍結組成物である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書にて開示する液体組成物からの凍結乾燥組成物である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、溶液調製される凍結乾燥製剤である。
【0088】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1%~約7%の残存水分含有量を含む凍結乾燥組成物である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2%~約6%の残存水分含有量を含む凍結乾燥組成物である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10%~約4%の残存水分含有量を含む凍結乾燥組成物である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5%の残存水分含有量を含む凍結乾燥組成物である。
【0089】
特定の実施形態では、医薬組成物は、200mOsm/L~660mOsm/Lの範囲の重量オスモル濃度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約、少なくとも約、または最大でも約200mOsm/L、250mOsm/L、300mOsm/L,350mOsm/L,400mOsm/L、450mOsm/L,500mOsm/L、550mOsm/L、600mOsm/L、650mOsm/L、または660mOsm/Lの重量オスモル濃度を有する。
【0090】
特定の実施形態では、遺伝子治療構築物は、製剤用緩衝液中のAAVベクター有効成分の凍結滅菌の単回使用溶液として供給される。ある特定の実施形態では、脈絡膜上投与に適した医薬組成物は、生理学的に適合性の水性緩衝液、界面活性剤、及び任意の賦形剤を含む製剤用緩衝液中の組換え(例えば、rHuGlyFabVEGFi)ベクターの懸濁液を含む。いくつかの実施形態では、構築物は、pH7.4のダルベッコリン酸緩衝生理食塩水及び0.001%ポロキサマー188中で製剤化される。
【0091】
4.2 機能的特性
4.2.1 クリアランス時間
本開示は、SCSからのクリアランス時間を遅延させる医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)を提供する。いくつかの実施形態では、凝集AAVを含むか、またはより高いレベルの凝集AAVを含む医薬組成物により、より低いレベルの凝集AAVを含むか、または凝集AAVを実質的に含んでいない、または凝集体を含んでいない医薬組成物と比較して、SCSからのクリアランス時間が遅くなる。いくつかの実施形態では、凝集AAVを含むか、またはより高いレベルの凝集AAVを含む医薬組成物により、より低いレベルの凝集AAVを含むか、または凝集AAVを実質的に含んでいない、または凝集体を含んでいない医薬組成物と比較して、眼からのクリアランス時間が遅くなる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、網膜下注入に対して通常使用される参照組成物よりも多い凝集AAVを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物がSCSに投与された後の医薬組成物のクリアランス時間は、参照医薬組成物が網膜下または硝子体内に投与された後の参照医薬組成物のクリアランス時間と同等またはそれ以上である。いくつかの実施形態では、医薬組成物がSCSに投与された後の医薬組成物のクリアランス時間は、参照医薬組成物がSCSに投与された後の参照医薬組成物のクリアランス時間と同等またはそれ以上である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、参照医薬組成物中の凝集AAVのレベルよりも多い凝集AAVを有する。
【0092】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む希釈された製剤または低イオン強度の製剤)により、約30分~約20時間、約2時間~約20時間、約30分~約24時間、約1時間~約2時間、約30分~約90日、約30分~約60日、約30分~約30日、約30分~約21日、約30分~約14日、約30分~約7日、約30分~約3日、約30分~約2日、約30分~約1日、約4時間~約90日、約4時間~約60日、約4時間~約30日、約4時間~約21日、約4時間~約14日、約4時間~約7日、約4時間~約3日、約4時間~約2日、約4時間~約1日、約4時間~約8時間、約4時間~約16時間、約4時間~約20時間、約1日~約90日、約1日~約60日、約1日~約30日、約1日~約21日、約1日~約14日、約1日~約7日、約1日~約3日、約2日~約90日、約3日~約90日、約3日~約60日、約3日~約30日、約3日~約21日、約3日~約14日、または約3日~約7日のSCSからのクリアランス時間が生じる。いくつかの実施形態では、SCSからのクリアランス時間は、約3日~約365日、約3日~約300日、約3日~約200日、約3日~約150日、約3日~約125日、約7日~約365日、約7日~約300日、約7日~約200日、約7日~約150日、約7日~約125日である。「SCSからのクリアランス時間」とは、医薬組成物、医薬剤、またはAAVの実質的に全てがSCSから排除されるのに必要な時間である。いくつかの実施形態では、「SCSからのクリアランス時間」とは、医薬組成物、医薬剤、またはAAVが任意の標準的な方法(セクション4.6及びセクション5に記載するような方法)でSCSにおいて検出されなくなるのに必要な時間である。いくつかの実施形態では、「SCSからのクリアランス時間」とは、医薬組成物、医薬剤、またはAAVが、任意の標準的な方法(セクション4.6及びセクション5に記載するような方法)で検出する際に、最大でも約2%または最大でも約5%の量でSCSに存在する時間である。
【0093】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む希釈された製剤または低イオン強度の製剤)により、約30分~約20時間、約2時間~約20時間、約30分~約24時間、約1時間~約2時間、約30分~約90日、約30分~約60日、約30分~約30日、約30分~約21日、約30分~約14日、約30分~約7日、約30分~約3日、約30分~約2日、約30分~約1日、約4時間~約90日、約4時間~約60日、約4時間~約30日、約4時間~約21日、約4時間~約14日、約4時間~約7日、約4時間~約3日、約4時間~約2日、約4時間~約1日、約4時間~約8時間、約4時間~約16時間、約4時間~約20時間、約1日~約90日、約1日~約60日、約1日~約30日、約1日~約21日、約1日~約14日、約1日~約7日、約1日~約3日、約2日~約90日、約3日~約90日、約3日~約60日、約3日~約30日、約3日~約21日、約3日~約14日、または約3日~約7日の眼からのクリアランス時間が生じる。いくつかの実施形態では、眼からのクリアランス時間は、約3日~約365日、約3日~約300日、約3日~約200日、約3日~約150日、約3日~約125日、約7日~約365日、約7日~約300日、約7日~約200日、約7日~約150日、約7日~約125日である。「眼からのクリアランス時間」とは、医薬組成物、医薬剤、またはAAVの実質的に全てが眼から漏出するのに必要な時間である。いくつかの実施形態では、「眼からのクリアランス時間」とは、医薬組成物、医薬剤、またはAAVが任意の方法(セクション4.6及びセクション5に記載するような方法)で眼において検出されなくなるのに必要な時間である。いくつかの実施形態では、「眼からのクリアランス時間」とは、医薬組成物、医薬剤、またはAAVが、任意の標準的な方法(セクション4.6及びセクション5に記載するような方法)で検出する際に、最大でも約2%または最大でも約5%の量で眼に存在する時間である。
【0094】
いくつかの実施形態では、クリアランス時間は、医薬組成物(例えば、液体製剤)の投与後、約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日より前ではない(例えば、SCSまたは眼からのクリアランス時間は、これらの時間の前には起こらない)。いくつかの実施形態では、クリアランス時間は、医薬組成物(例えば、希釈された製剤または低イオン強度の製剤)の投与後、約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日である。
【0095】
いくつかの実施形態では、AAV凝集またはより高いレベルのAAV凝集を含む医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む希釈された製剤または低イオン強度の製剤)により、AAV凝集を含まないか、またはより低いレベルのAAV凝集を含む医薬組成物(参照医薬組成物)が、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVの投与(例えば、網膜下投与、硝子体内投与を介した、またはSCSへの投与)に使用される場合よりも、少なくとも2倍長い、少なくとも3倍長い、少なくとも4倍長い、少なくとも5倍長い、少なくとも6倍長い、少なくとも7倍長い、少なくとも8倍長い、少なくとも9倍長い、少なくとも10倍長い、少なくとも15倍長い、少なくとも20倍長い、少なくとも50倍長い、少なくとも100倍長い、少なくとも5%長い、少なくとも10%長い、少なくとも15%長い、少なくとも20%長い、少なくとも25%長い、少なくとも30%長い、少なくとも35%長い、少なくとも40%、少なくとも45%長い、少なくとも50%長い、少なくとも55%長い、少なくとも60%長い、少なくとも65%長い、少なくとも70%長い、少なくとも75%長い、少なくとも80%長い、少なくとも85%長い、少なくとも90%長い、少なくとも95%長い、少なくとも100%長い、少なくとも150%長い、または少なくとも200%長い、少なくとも250%長い、または少なくとも300%、少なくとも400%長い、または少なくとも500%長いクリアランス時間が生じる。
【0096】
いくつかの実施形態では、AAV凝集またはより高いレベルのAAV凝集を含む医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む希釈された製剤または低イオン強度の製剤)の脈絡膜上投与により、AAV凝集を含まないか、またはより低いレベルのAAV凝集を含む医薬組成物(参照医薬組成物)が、例えば、脈絡膜上投与による導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVの投与に使用される場合よりも、少なくとも2倍長い、少なくとも3倍長い、少なくとも4倍長い、少なくとも5倍長い、少なくとも6倍長い、少なくとも7倍長い、少なくとも8倍長い、少なくとも9倍長い、少なくとも10倍長い、少なくとも15倍長い、少なくとも20倍長い、少なくとも50倍長い、少なくとも100倍長い、少なくとも5%長い、少なくとも10%長い、少なくとも15%長い、少なくとも20%長い、少なくとも25%長い、少なくとも30%長い、少なくとも35%長い、少なくとも40%、少なくとも45%長い、少なくとも50%長い、少なくとも55%長い、少なくとも60%長い、少なくとも65%長い、少なくとも70%長い、少なくとも75%長い、少なくとも80%長い、少なくとも85%長い、少なくとも90%長い、少なくとも95%長い、少なくとも100%長い、少なくとも150%長い、または少なくとも200%長い、少なくとも250%長い、または少なくとも300%、少なくとも400%長い、または少なくとも500%長いクリアランス時間が生じる。
【0097】
いくつかの実施形態では、AAV凝集またはより高いレベルのAAV凝集を含む医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む希釈された製剤または低イオン強度の製剤)の脈絡膜上投与により、AAV凝集を含まないか、またはより低いレベルのAAV凝集を含む医薬組成物(参照医薬組成物)が、例えば、網膜下投与によるか、または硝子体内投与による導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVの投与に使用される場合よりも、少なくとも2倍長い、少なくとも3倍長い、少なくとも4倍長い、少なくとも5倍長い、少なくとも6倍長い、少なくとも7倍長い、少なくとも8倍長い、少なくとも9倍長い、少なくとも10倍長い、少なくとも15倍長い、少なくとも20倍長い、少なくとも50倍長い、少なくとも100倍長い、少なくとも5%長い、少なくとも10%長い、少なくとも15%長い、少なくとも20%長い、少なくとも25%長い、少なくとも30%長い、少なくとも35%長い、少なくとも40%、少なくとも45%長い、少なくとも50%長い、少なくとも55%長い、少なくとも60%長い、少なくとも65%長い、少なくとも70%長い、少なくとも75%長い、少なくとも80%長い、少なくとも85%長い、少なくとも90%長い、少なくとも95%長い、少なくとも100%長い、少なくとも150%長い、または少なくとも200%長い、少なくとも250%長い、または少なくとも300%、少なくとも400%長い、または少なくとも500%長いクリアランス時間が生じる。
【0098】
いくつかの実施形態では、AAV凝集または参照と比較してより高いレベルのAAV凝集を含む医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む希釈された製剤または低イオン強度の製剤)の脈絡膜上投与により、同じ医薬組成物が、例えば、網膜下投与または硝子体内投与を介した導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVの投与に使用される場合よりも、少なくとも2倍長い、少なくとも3倍長い、少なくとも4倍長い、少なくとも5倍長い、少なくとも6倍長い、少なくとも7倍長い、少なくとも8倍長い、少なくとも9倍長い、少なくとも10倍長い、少なくとも15倍長い、少なくとも20倍長い、少なくとも50倍長い、少なくとも100倍長い、少なくとも5%長い、少なくとも10%長い、少なくとも15%長い、少なくとも20%長い、少なくとも25%長い、少なくとも30%長い、少なくとも35%長い、少なくとも40%、少なくとも45%長い、少なくとも50%長い、少なくとも55%長い、少なくとも60%長い、少なくとも65%長い、少なくとも70%長い、少なくとも75%長い、少なくとも80%長い、少なくとも85%長い、少なくとも90%長い、少なくとも95%長い、少なくとも100%長い、少なくとも150%長い、または少なくとも200%長い、少なくとも250%長い、または少なくとも300%、少なくとも400%長い、または少なくとも500%長いクリアランス時間が生じる。
【0099】
いくつかの実施形態では、脈絡膜上注入によって投与される凝集AAVを含む医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)のクリアランス時間は、網膜下投与または硝子体内投与を介して投与される同じ医薬組成物のクリアランス時間よりも長い。いくつかの実施形態では、凝集AAVを含む医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)が脈絡膜上注入によって投与された後のクリアランス時間は、AAV凝集を含まないか、またはより低いレベルのAAV凝集を含む同等の医薬組成物(例えば、参照医薬組成物)が脈絡膜上注入によって投与された後のクリアランス時間よりも長い。いくつかの実施形態では、脈絡膜上注入後の凝集AAVを含む医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)のクリアランス時間は、網膜下投与後または硝子体内投与を介した後の、より低いレベルのAAV凝集を含む(または検出可能なAAV凝集を含まない)同等の医薬組成物のクリアランス時間よりも長い。いくつかの実施形態では、脈絡膜上注入によって投与される凝集AAVを含む医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)のクリアランス時間は、網膜下投与または硝子体内投与を介して投与される、より低いレベルのAAV凝集を含む(または検出可能なAAV凝集を含まない)同等の医薬組成物よりも長い。
【0100】
いくつかの実施形態では、脈絡膜上投与後の凝集AAVを含む医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)のクリアランス時間は、網膜下投与または硝子体内投与後の同じ医薬組成物のクリアランス時間よりも、少なくとも30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日長い。
【0101】
いくつかの実施形態では、脈絡膜上投与後の凝集AAVを含む医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)のクリアランス時間は、より少ない凝集AAVを含むか、または検出可能な凝集AAVを含まない同等の医薬組成物が脈絡膜上注入によって投与された後のクリアランス時間よりも、少なくとも30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日長い。
【0102】
いくつかの実施形態では、脈絡膜上投与後の凝集AAVを含む医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)のクリアランス時間は、より少ない凝集AAVを含むか、または検出可能な凝集AAVを含まない同等の医薬組成物が網膜下投与または硝子体内投与によって投与された後のクリアランス時間よりも、少なくとも30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日長い。
【0103】
いくつかの実施形態では、硝子体内注入を介して、または網膜下注入を介して投与された医薬組成物のクリアランス時間は、投与後、最大でも約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または最大でも約400日である。
【0104】
いくつかの実施形態では、硝子体内注入、網膜下注入によって、またはSCSに投与された参照医薬組成物のクリアランス時間は、投与後、最大でも約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または最大でも約400日である。
【0105】
いくつかの実施形態では、クリアランス時間は、眼からのクリアランス時間である。いくつかの実施形態では、クリアランス時間は、SCSからのクリアランス時間である。いくつかの実施形態では、クリアランス時間は、注入部位からのクリアランス時間である。
【0106】
4.2.2 周辺への拡散
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)は、注入部位において局在化する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)は、より少ないAAV凝集を含むか、または検出可能なAAV凝集を含まない参照医薬組成物よりも、より長い期間、注入部位において局在化する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)は、医薬組成物が網膜下注入または硝子体内注入によって投与される場合と比較して、SCSに注入される場合に、より長い期間、注入部位において局在化する。医薬組成物は、異なるレベルのウイルスベクター凝集を有する場合がある。いくつかの実施形態では、凝集AAVを含む医薬組成物は、より少ないAAV凝集を含むか、または検出可能なAAV凝集を含まない医薬組成物(例えば、参照医薬組成物)と比較して、より長い期間、SCSにおける局在化を維持する。
【0107】
いくつかの実施形態では、局在化は、周辺への拡散(例えば、2Dの周辺への拡散)を評価することによって特定することができる。いくつかの実施形態では、凝集AAVを含む医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)により、参照医薬組成物(例えば、より少ないAAV凝集を含むか、検出可能なレベルのAAV凝集を含まない)が、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVの投与(例えば、脈絡膜上注入による、網膜下注入による、または硝子体内注入による)に使用される場合よりも、少なくとも2分の1、少なくとも3分の1、少なくとも4分の1、少なくとも5分の1、少なくとも6分の1、少なくとも7分の1、少なくとも8分の1、少なくとも9分の1、少なくとも10分の1、少なくとも15分の1、少なくとも20分の1、少なくとも50分の1、少なくとも100分の1の周辺への拡散、少なくとも5%小さい、少なくとも10%小さい、少なくとも15%小さい、少なくとも20%小さい、少なくとも25%小さい、少なくとも30%小さい、少なくとも35%小さい、少なくとも40%、少なくとも45%小さい、少なくとも50%小さい、少なくとも55%小さい、少なくとも60%小さい、少なくとも65%小さい、少なくとも70%小さい、少なくとも75%小さい、少なくとも80%小さい、少なくとも85%小さい、少なくとも90%小さい、少なくとも95%小さい、少なくとも100%小さい、少なくとも150%小さい、または少なくとも200%小さい、少なくとも250%小さい、または少なくとも300%、少なくとも400%小さい、または少なくとも500%小さい周辺への拡散が生じる。
【0108】
いくつかの実施形態では、凝集AAVを含む医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)の脈絡膜上投与により、参照医薬組成物(例えば、より少ないAAV凝集を含むか、検出可能なレベルのAAV凝集を含まない)が、例えば、脈絡膜上投与、網膜下投与、または硝子体内投与による導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVの投与に使用される場合よりも、少なくとも2分の1、少なくとも3分の1、少なくとも4分の1、少なくとも5分の1、少なくとも6分の1、少なくとも7分の1、少なくとも8分の1、少なくとも9分の1、少なくとも10分の1、少なくとも15分の1、少なくとも20分の1、少なくとも50分の1、少なくとも100分の1の周辺への拡散、少なくとも5%小さい、少なくとも10%小さい、少なくとも15%小さい、少なくとも20%小さい、少なくとも25%小さい、少なくとも30%小さい、少なくとも35%小さい、少なくとも40%、少なくとも45%小さい、少なくとも50%小さい、少なくとも55%小さい、少なくとも60%小さい、少なくとも65%小さい、少なくとも70%小さい、少なくとも75%小さい、少なくとも80%小さい、少なくとも85%小さい、少なくとも90%小さい、少なくとも95%小さい、少なくとも100%小さい、少なくとも150%小さい、または少なくとも200%小さい、少なくとも250%小さい、または少なくとも300%、少なくとも400%小さい、または少なくとも500%小さい周辺への拡散が生じる。
【0109】
いくつかの実施形態では、凝集AAVを含む医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)の脈絡膜上投与により、同じ医薬組成物が、例えば、網膜下投与、または硝子体内投与による導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVの投与に使用される場合よりも、少なくとも2分の1、少なくとも3分の1、少なくとも4分の1、少なくとも5分の1、少なくとも6分の1、少なくとも7分の1、少なくとも8分の1、少なくとも9分の1、少なくとも10分の1、少なくとも15分の1、少なくとも20分の1、少なくとも50分の1、少なくとも100分の1の周辺への拡散、少なくとも5%小さい、少なくとも10%小さい、少なくとも15%小さい、少なくとも20%小さい、少なくとも25%小さい、少なくとも30%小さい、少なくとも35%小さい、少なくとも40%、少なくとも45%小さい、少なくとも50%小さい、少なくとも55%小さい、少なくとも60%小さい、少なくとも65%小さい、少なくとも70%小さい、少なくとも75%小さい、少なくとも80%小さい、少なくとも85%小さい、少なくとも90%小さい、少なくとも95%小さい、少なくとも100%小さい、少なくとも150%小さい、または少なくとも200%小さい、少なくとも250%小さい、または少なくとも300%、少なくとも400%小さい、または少なくとも500%小さい周辺への拡散が生じる。
【0110】
いくつかの実施形態では、周辺への拡散は、医薬組成物または参照医薬組成物が投与されてから30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日後に測定することができる。
【0111】
4.2.3 SCSの厚さ
いくつかの実施形態では、局在化は、医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)が対象に投与された後のSCSの厚さを評価することによって特定することができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)は、医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)がSCSに注入された後に、SCSの厚さを増加させる。いくつかの実施形態では、凝集AAVを含む医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)のSCSへの注入により、参照医薬組成物(例えば、より低いレベルのAAV凝集を含むか、検出可能なAAV凝集を含まない)がSCSに注入される場合に達成されるSCSの厚さ以上に、SCSの厚さを拡張できる。いくつかの実施形態では、凝集AAVを含む医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)によるSCSの厚さの増加により、SCSへの接近が容易になり、それにより、SCS内へのデバイスの配置を容易にまたは促進することができる。いくつかの実施形態では、SCSの厚さを拡張することにより、医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)及び/または導入遺伝子をコードしたAAVを、注入部位により長い期間維持させる(局在化させる)ことが可能になる。いくつかの実施形態では、凝集AAVを含む医薬組成物は、参照医薬組成物と比較して、より長い期間、注入部位における、または注入部位近くの厚さを増加させる。いくつかの実施形態では、凝集AAVを含む医薬組成物は、より少ないAAV凝集を含むか、または検出可能なレベルのAAV凝集を含まない医薬組成物と比較して、より長い期間、注入部位における、または注入部位近くの厚さを増加させる。いくつかの実施形態では、医薬組成物がSCSに投与された後の注入部位の厚さは、参照医薬組成物が網膜下または硝子体内に投与された後の参照医薬組成物の注入部位の厚さと同等またはそれ以上である。いくつかの実施形態では、医薬組成物がSCSに投与された後の医薬組成物の注入部位の厚さは、参照医薬組成物がSCSに投与された後の参照医薬組成物の注入部位の厚さと同等またはそれ以上である。
【0112】
いくつかの実施形態では、凝集AAVを含む医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)の脈絡膜上投与により、参照医薬組成物(より低いレベルのAAV凝集を含むか、または検出可能なAAV凝集を含まない)が、例えば、脈絡膜上投与による導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVの投与に使用される場合よりも、少なくとも2倍大きい、少なくとも3倍大きい、少なくとも4倍大きい、少なくとも5倍大きい、少なくとも6倍大きい、少なくとも7倍大きい、少なくとも8倍大きい、少なくとも9倍大きい、少なくとも10倍大きい、少なくとも15倍大きい、少なくとも20倍大きい、少なくとも50倍大きい、少なくとも100倍大きい、少なくとも5%大きい、少なくとも10%大きい、少なくとも15%大きい、少なくとも20%大きい、少なくとも25%大きい、少なくとも30%大きい、少なくとも35%大きい、少なくとも40%、少なくとも45%大きい、少なくとも50%大きい、少なくとも55%大きい、少なくとも60%大きい、少なくとも65%大きい、少なくとも70%大きい、少なくとも75%大きい、少なくとも80%大きい、少なくとも85%大きい、少なくとも90%大きい、少なくとも95%大きい、少なくとも100%大きい、少なくとも150%大きい、または少なくとも200%大きい、少なくとも250%大きい、または少なくとも300%、少なくとも400%大きい、または少なくとも500%大きいSCSの厚さの増加が得られる。
【0113】
いくつかの実施形態では、AAV凝集を含む医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)の脈絡膜上投与により、参照医薬組成物(より低いレベルのAAV凝集を含むか、または検出可能なAAV凝集を含まない)が、例えば、網膜下投与または硝子体内投与による導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVの投与に使用される場合よりも、少なくとも2倍大きい、少なくとも3倍大きい、少なくとも4倍大きい、少なくとも5倍大きい、少なくとも6倍大きい、少なくとも7倍大きい、少なくとも8倍大きい、少なくとも9倍大きい、少なくとも10倍大きい、少なくとも15倍大きい、少なくとも20倍大きい、少なくとも50倍大きい、少なくとも100倍大きい、少なくとも5%大きい、少なくとも10%大きい、少なくとも15%大きい、少なくとも20%大きい、少なくとも25%大きい、少なくとも30%大きい、少なくとも35%大きい、少なくとも40%、少なくとも45%大きい、少なくとも50%大きい、少なくとも55%大きい、少なくとも60%大きい、少なくとも65%大きい、少なくとも70%大きい、少なくとも75%大きい、少なくとも80%大きい、少なくとも85%大きい、少なくとも90%大きい、少なくとも95%大きい、少なくとも100%大きい、少なくとも150%大きい、または少なくとも200%大きい、少なくとも250%大きい、または少なくとも300%、少なくとも400%大きい、または少なくとも500%大きい注入部位における、または注入部位近くの厚さの増加が得られる。
【0114】
いくつかの実施形態では、AAV凝集を含む医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)の脈絡膜上投与により、同じ医薬組成物が、例えば、網膜下投与または硝子体内投与による導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVの投与に使用される場合よりも、少なくとも2倍大きい、少なくとも3倍大きい、少なくとも4倍大きい、少なくとも5倍大きい、少なくとも6倍大きい、少なくとも7倍大きい、少なくとも8倍大きい、少なくとも9倍大きい、少なくとも10倍大きい、少なくとも15倍大きい、少なくとも20倍大きい、少なくとも50倍大きい、少なくとも100倍大きい、少なくとも5%大きい、少なくとも10%大きい、少なくとも15%大きい、少なくとも20%大きい、少なくとも25%大きい、少なくとも30%大きい、少なくとも35%大きい、少なくとも40%、少なくとも45%大きい、少なくとも50%大きい、少なくとも55%大きい、少なくとも60%大きい、少なくとも65%大きい、少なくとも70%大きい、少なくとも75%大きい、少なくとも80%大きい、少なくとも85%大きい、少なくとも90%大きい、少なくとも95%大きい、少なくとも100%大きい、少なくとも150%大きい、または少なくとも200%大きい、少なくとも250%大きい、または少なくとも300%、少なくとも400%大きい、または少なくとも500%大きい注入部位における、または注入部位近くの厚さの増加が得られる。
【0115】
いくつかの実施形態では、凝集AAVを含む医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)が脈絡膜上注入によって投与された後に注入部位で得られる厚さは、参照医薬組成物が脈絡膜上注入によって投与された後よりも大きい。いくつかの実施形態では、凝集AAVを含む医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)が脈絡膜上注入によって投与された後に注入部位で得られる厚さは、参照医薬組成物が網膜下注入または硝子体内注入によって投与された後よりも大きい。いくつかの実施形態では、凝集AAVを含む医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)が脈絡膜上注入によって投与された後に注入部位で得られる厚さは、同じ医薬組成物が網膜下投与または硝子体内投与によって投与された後よりも大きい。
【0116】
いくつかの実施形態では、注入部位における、または注入部位近くの厚さ(例えば、SCSにおける、またはSCS近くの厚さ)は、医薬組成物または参照医薬組成物が投与されてから30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日後に測定することができる。
【0117】
4.2.4 血管拡張及び血管漏出
いくつかの実施形態では、医薬組成物(凝集AAVを含む)がSCSへ投与された後のVEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルは、参照医薬組成物が網膜下または硝子体内に投与された後のVEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルと同等またはそれより低い。いくつかの実施形態では、医薬組成物がSCSへ投与された後のVEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルは、参照医薬組成物がSCSに投与された後のVEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルと同等またはそれより低い。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセット含むAAVの希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)により、医薬組成物が網膜下投与または硝子体内投与を介して投与された後と比較して、同じ医薬組成物がSCSに投与された後に、VEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルが低下する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)により、参照医薬組成物が網膜下投与もしくは硝子体内投与を介して、またはSCSに投与された後と比較して、医薬組成物がSCSに投与された後に、VEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出のレベルが低下する。いくつかの実施形態では、VEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出は、少なくとも約2分の1、少なくとも3分の1、少なくとも4分の1、少なくとも5分の1、少なくとも6分の1、少なくとも7分の1、少なくとも8分の1、少なくとも9分の1、少なくとも10分の1、少なくとも15分の1、少なくとも20分の1、少なくとも50分の1、少なくとも100分の1であるか、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%減少する。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、抗ヒト血管内皮成長因子(抗VEGF)抗体である。
【0118】
いくつかの実施形態では、VEGF誘発性の血管拡張及び/または血管漏出は、投与から約30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、15時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または最大でも約400日後に測定される。
【0119】
4.2.5 注入部位における形質導入率(感染率)
いくつかの実施形態では、医薬組成物がSCSに投与された後の注入部位における形質導入率(感染率)は、同じ医薬組成物が網膜下投与または静脈内投与を介して投与された後の注入部位における形質導入率(感染率)と比較した場合に同等またはそれ以上である。いくつかの実施形態では、医薬組成物がSCSに投与された後の注入部位における形質導入率(感染率)は、参照医薬組成物が網膜下投与もしくは静脈内投与を介して、またはSCSに投与された後の注入部位における形質導入率(感染率)と比較した場合に同等またはそれ以上である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、参照医薬組成物よりも高いレベルのAAV凝集を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、同じベクターゲノム濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、同じ量のゲノムコピーを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物がSCSに投与された後の注入部位における形質導入率(感染率)は、同じ医薬組成物が網膜下または硝子体内投与を介して投与された後の注入部位における形質導入率(感染率)と比較して、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%上昇する。いくつかの実施形態では、医薬組成物がSCSに投与された後の注入部位における形質導入率(感染率)は、参照医薬組成物がSCSに、または網膜下もしくは硝子体内投与を介して投与された後の注入部位における形質導入率(感染率)と比較して、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%上昇する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、参照医薬組成物と比較して、より高いレベルのAAV凝集を有する。
【0120】
いくつかの実施形態では、注入部位におけるAAVのレベルは、同じ医薬組成物が網膜下投与または静脈内投与を介して投与された後の注入部位におけるAAVのレベルと比較して、医薬組成物が脈絡膜上に投与された後、同等またはそれ以上である。いくつかの実施形態では、医薬組成物が脈絡膜上に投与された後の注入部位におけるAAVのレベルは、参照医薬組成物が網膜下投与もしくは静脈内投与を介して、またはSCSに投与された後の注入部位におけるAAVのレベルと比較して、同等またはそれ以上である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、参照医薬組成物よりも高いレベルのAAV凝集を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、同じベクターゲノム濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、同じ量のゲノムコピーを有する。いくつかの実施形態では、注入部位におけるAAVのレベルの増加は、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%増加する。
【0121】
いくつかの実施形態では、医薬組成物がSCSに投与された後の注入部位におけるAAVのレベルは、同じ医薬組成物が網膜下または硝子体内投与を介して投与された後の注入部位におけるAAVのレベルと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%増加する。いくつかの実施形態では、医薬組成物がSCSに投与された後の注入部位におけるAAVレベルは、参照医薬組成物がSCSに、または網膜下もしくは硝子体内投与を介して投与された後の注入部位におけるAAVレベルと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%増加する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、参照医薬組成物と比較して、より高いレベルのAAV凝集を有する。
【0122】
いくつかの実施形態では、AAVレベルまたは形質導入率(感染率)は、投与から約30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、15時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または最大でも約400日後に測定される。
【0123】
4.2.6 導入遺伝子発現
いくつかの実施形態では、導入遺伝子産物の濃度は、参照医薬組成物がSCSに注入された後と比較して、医薬組成物がSCSに注入された後、少なくとも同等またはそれ以上である。いくつかの実施形態では、導入遺伝子産物の濃度は、参照医薬組成物が網膜下注入または硝子体内注入によって注入された後と比較して、医薬組成物がSCSに注入された後、少なくとも同等またはそれ以上である。いくつかの実施形態では、導入遺伝子産物の濃度は、同じ医薬組成物が網膜下注入または硝子体内注入によって注入された後と比較して、医薬組成物がSCSに注入された後、少なくとも同等またはそれ以上である。
【0124】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子産物(例えば、導入遺伝子産物の濃度)は、参照医薬組成物がSCSに注入された後と比較して、医薬組成物がSCSに注入された後、より長い期間、眼(例えば、硝子体液)で検出される。いくつかの実施形態では、導入遺伝子産物(例えば、導入遺伝子産物の濃度)は、参照医薬組成物が網膜下注入または硝子体内投与によって注入された後と比較して、医薬組成物がSCSに注入された後、より長い期間、眼(例えば、硝子体液)で検出される。いくつかの実施形態では、導入遺伝子産物(例えば、導入遺伝子産物の濃度)は、同じ医薬組成物が網膜下注入または硝子体内注入によって注入された後と比較して、医薬組成物がSCSに注入された後、より長い期間、眼(例えば、硝子体液)で検出される。
【0125】
いくつかの実施形態では、より長い期間は、少なくとも約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日長い。いくつかの実施形態では、より長い期間は、約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日長い。
【0126】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、医薬組成物がSCSに投与された後、投与後少なくとも約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日の期間、眼(例えば、硝子体液)で検出される。
【0127】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、投与後(例えば、参照医薬組成物が網膜下投与もしくは硝子体内投与を介して、またはSCSに投与された後;あるいは医薬組成物が網膜下または硝子体内投与を介して投与された後)最大でも約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、または100日の期間、眼(例えば、硝子体液)で検出される。
【0128】
いくつかの実施形態では、眼(例えば、硝子体液)における導入遺伝子産物の濃度は、医薬組成物または参照医薬組成物が投与されてから30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日、または400日後に測定することができる。
【0129】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)の脈絡膜上投与により、参照医薬組成物が、例えば、脈絡膜上投与による導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVの投与に使用された後よりも、少なくとも2倍高い、少なくとも3倍高い、少なくとも4倍高い、少なくとも5倍高い、少なくとも6倍高い、少なくとも7倍高い、少なくとも8倍高い、少なくとも9倍高い、少なくとも10倍高い、少なくとも15倍高い、少なくとも20倍高い、少なくとも50倍高い、少なくとも100倍高い、少なくとも5%高い、少なくとも10%高い、少なくとも15%高い、少なくとも20%高い、少なくとも25%高い、少なくとも30%高い、少なくとも35%高い、少なくとも40%、少なくとも45%高い、少なくとも50%高い、少なくとも55%高い、少なくとも60%高い、少なくとも65%高い、少なくとも70%高い、少なくとも75%高い、少なくとも80%高い、少なくとも85%高い、少なくとも90%高い、少なくとも95%高い、少なくとも100%高い、少なくとも150%高い、または少なくとも200%高い、少なくとも250%高い、または少なくとも300%、少なくとも400%高い、または少なくとも500%高い、より高濃度の導入遺伝子が得られる。
【0130】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)の脈絡膜上投与により、参照医薬組成物(より低いレベルのAAV凝集を含むか、または検出可能なAAV凝集を含まない)が、例えば、網膜下投与または硝子体内投与による導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVの投与に使用される場合よりも、少なくとも2倍高い、少なくとも3倍高い、少なくとも4倍高い、少なくとも5倍高い、少なくとも6倍高い、少なくとも7倍高い、少なくとも8倍高い、少なくとも9倍高い、少なくとも10倍高い、少なくとも15倍高い、少なくとも20倍高い、少なくとも50倍高い、少なくとも100倍高い、少なくとも5%高い、少なくとも10%高い、少なくとも15%高い、少なくとも20%高い、少なくとも25%高い、少なくとも30%高い、少なくとも35%高い、少なくとも40%、少なくとも45%高い、少なくとも50%高い、少なくとも55%高い、少なくとも60%高い、少なくとも65%高い、少なくとも70%高い、少なくとも75%高い、少なくとも80%高い、少なくとも85%高い、少なくとも90%高い、少なくとも95%高い、少なくとも100%高い、少なくとも150%高い、または少なくとも200%高い、少なくとも250%高い、または少なくとも300%、少なくとも400%高い、または少なくとも500%高い、より高濃度の導入遺伝子が得られる。
【0131】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)の脈絡膜上投与により、同じ医薬組成物が、網膜下投与または硝子体内投与を介して投与される場合よりも、少なくとも2倍高い、少なくとも3倍高い、少なくとも4倍高い、少なくとも5倍高い、少なくとも6倍高い、少なくとも7倍高い、少なくとも8倍高い、少なくとも9倍高い、少なくとも10倍高い、少なくとも15倍高い、少なくとも20倍高い、少なくとも50倍高い、少なくとも100倍高い、少なくとも5%高い、少なくとも10%高い、少なくとも15%高い、少なくとも20%高い、少なくとも25%高い、少なくとも30%高い、少なくとも35%高い、少なくとも40%、少なくとも45%高い、少なくとも50%高い、少なくとも55%高い、少なくとも60%高い、少なくとも65%高い、少なくとも70%高い、少なくとも75%高い、少なくとも80%高い、少なくとも85%高い、少なくとも90%高い、少なくとも95%高い、少なくとも100%高い、少なくとも150%高い、または少なくとも200%高い、少なくとも250%高い、または少なくとも300%、少なくとも400%高い、または少なくとも500%高い、より高濃度の導入遺伝子が得られる。
【0132】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)が脈絡膜上注入によって投与された後の導入遺伝子の濃度は、参照医薬組成物が脈絡膜上注入によって投与された後よりも高い。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)が脈絡膜上注入によって投与された後の導入遺伝子の濃度は、参照医薬組成物が網膜下投与によってまたは硝子体内投与を介して投与された後よりも高い。
【0133】
4.2.7 その他の機能的特性
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する医薬組成物は、脈絡膜上注入に適した所望のレベルのAAV凝集を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物(または同等の医薬組成物)中の組換えAAVと少なくとも同程度に安定である。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物(または同等の医薬組成物)中の組換えAAVと比べて、少なくとも50%安定である。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の組換えAAVと少なくとも同じまたは同等の感染力レベルを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の組換えAAVと少なくとも同じまたは同等の遊離DNAレベルを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の組換えAAVと少なくとも同じまたは同等のin vitro相対力価(IVRP)を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の組換えAAVと少なくとも同じまたは同等のサイズレベルの変化を有する。
【0134】
特定の実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同じ組換えAAVよりも、凍結/解凍サイクルに対して少なくとも2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍、または1000倍安定である。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同じ組換えAAVと比べて、凍結/解凍サイクルに対して少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%安定である。特定の実施形態では、組換えAAVの安定性は、セクション4.6及びセクション5に開示する1つ以上のアッセイによって特定される。
【0135】
特定の実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同じ組換えAAVよりも、少なくとも2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍、または1000倍高い感染力を呈する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同じ組換えAAVと比べて、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の感染力を有する。特定の実施形態では、組換えAAVのウイルス感染力は、本開示に開示する1つ以上のアッセイによって特定される。特定の実施形態では、組換えAAVのサイズは、セクション4.6及びセクション5に開示する1つ以上のアッセイによって決定される。特定の実施形態では、サイズは、凍結/解凍サイクル前または後に測定される。
【0136】
特定の実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同じ組換えAAVよりも、例えば、少なくとも約または約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約15ヶ月、約18ヶ月、約24ヶ月、約2年、約3年、約4年の期間にわたって、少なくとも2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍、または1000倍、より安定である(例えば、-20℃または37℃で保管した場合)。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同じ組換えAAVと比べて、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%、一定期間にわたって安定である。特定の実施形態では、組換えAAVの一定期間にわたる安定性は、本開示に開示する1つ以上のアッセイによって特定される。特定の実施形態では、組換えAAVの一定期間にわたる安定性は、セクション4.6及びセクション5に開示する1つ以上のアッセイによって特定される。
【0137】
特定の実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同じ組換えAAVよりも、in vitro相対力価(IVRP)が少なくとも約2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍、または1000倍高い(例えば、-20℃または37℃で保管された場合)。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同じ組換えAAVとおよそ同じin vitro相対力価(IVRP)を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同じ組換えAAVと比べて、約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%のin vitro相対力価(IVRP)を有する。特定の実施形態では、組換えAAVのin vitro相対力価(IVRP)は、本開示に開示する1つ以上のアッセイによって決定される。特定の実施形態では、in vitro相対力価(IVRP)は、凍結/解凍サイクル前または後に測定される。特定の実施形態では、組換えAAVのin vitro相対力価(IVRP)は、セクション4.6に開示する1つ以上のアッセイによって決定される。
【0138】
特定の実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同じ組換えAAVよりも、少なくとも2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%少ない、2分の1、3分の1、5分の1、10分の1、100分の1、または1000分の1の遊離DNAを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同じ組換えAAVとおよそ同じ量の遊離DNAを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同じ組換えAAVのおよそ2分の1以下の量の遊離DNAを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同じ組換えAAVと比べて、約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の量の遊離DNAを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同じ組換えAAVよりも、少なくとも約50%多い、約25%多い、約15%多い、約10%多い、約5%多い、約4%多い、約3%多い、約2%多い、約1%多い、約0%多い、約1%少ない、約2%少ない、約5%少ない、約7%少ない、約10%少ない、約2倍多い、約3倍多い、約2分の1、約3分の1の遊離DNAを含む。特定の実施形態では、組換えAAVの遊離DNAは、セクション4.6及びセクション5に開示する1つ以上のアッセイによって特定される。
【0139】
特定の実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、例えば、少なくとも約または約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約15ヶ月、約18ヶ月、約24ヶ月、約2年、約3年、及び約4年の期間にわたって、最大でも20%、15%、10%、8%、5%、4%、10%、2%、または1%のサイズの変化を有する(例えば、-20℃または37℃で保管される場合)。特定の実施形態では、組換えAAVのサイズは、本開示に開示する1つ以上のアッセイによって決定される。特定の実施形態では、サイズは、凍結/解凍サイクル前または後に測定される。特定の実施形態では、組換えAAVのサイズは、セクション4.6に開示する1つ以上のアッセイによって決定される。
【0140】
特定の実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同じ組換えAAVよりも、少なくとも2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍、または1000倍、より安定である(例えば、-20℃または37℃で保管された場合)。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同じ組換えAAVとほぼ同程度に安定である(例えば、-20℃または37℃で保管された場合)。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同じ組換えAAVと比べて、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%安定である(例えば、-20℃または37℃で保管された場合)。特定の実施形態では、組換えAAVの安定性は、セクション4.6に開示する1つ以上のアッセイによって特定される。
【0141】
特定の実施形態では、本明細書で提供する医薬組成物は、例えば、セクション4.6に記載する1つ以上のアッセイによって測定する際に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24ヶ月間、安定性を損なうことなく保管することができる。特定の実施形態では、本明細書で提供する医薬組成物は、4℃で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24ヶ月間、安定性を損なうことなく保管することができる。特定の実施形態では、本明細書で提供する医薬組成物は、≦60℃で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24ヶ月間、安定性を損なうことなく保管することができる。特定の実施形態では、本明細書で提供する医薬組成物は、-80℃で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24ヶ月間、安定性を損なうことなく保管することができる。特定の実施形態では、本明細書で提供する医薬組成物は、-20℃で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または12ヶ月保管した後に、4℃で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24ヶ月間、安定性を損なうことなく保管することができる。
【0142】
特定の実施形態では、本明細書で提供する医薬組成物は、例えば、セクション4.6に開示する1つ以上のアッセイによって測定する際に、最初に-80℃で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24ヶ月間保管し、その後解凍し、かつ解凍後、2~10℃、4~8℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃または9℃でさらに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または12ヶ月間、安定性を損なうことなく保管することができる。特定の実施形態では、本明細書で提供する医薬組成物は、例えば、セクション4.6または5に開示する1つ以上のアッセイによって測定する際に、最初に-80℃で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24ヶ月間保管し、その後解凍し、かつ解凍後、約4℃でさらに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または12ヶ月間、安定性を損なうことなく保管することができる。特定の実施形態では、本明細書で提供する医薬組成物は、例えば、セクション4.6または5に開示する1つ以上のアッセイによって測定する際に、最初に≦60℃で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24ヶ月間保管し、その後解凍し、かつ解凍後、約4℃でさらに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または12ヶ月間、安定性を損なうことなく保管することができる。
【0143】
本明細書に記載する方法または医薬組成物の効果は、視力喪失、感染、炎症及び網膜剥離を含むその他の安全性事象の徴候を測定することによってモニタリングすることができる。いくつかの実施形態では、異なるAAV凝集レベルを有する異なる医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)を使用して、SCSにベクターを送達することができる。いくつかの実施形態では、凝集AAVを含む医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)を使用して送達されるベクターは、参照医薬組成物を使用して送達されるベクターよりも(例えば、SCSに投与される場合に)より効果的である。いくつかの実施形態では、凝集AAVを含む製剤を使用して送達されるベクターにより、より低いレベルの凝集AAVを含むか、または検出可能なレベルの凝集AAVを含まない製剤を使用して送達されるベクターと比較して、視力が改善する。
【0144】
本明細書に記載する方法または医薬組成物の効果はまた、National Eye Institute Visual Functioning QuestionnaireのRaschスコアバージョン(NEI-VFQ-28-R)(総合スコア;活動制限領域スコア;及び社会-感情機能領域スコア)のベースラインからの変化によって測定することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載する方法の効果はまた、National Eye Institute Visual Functioning Questionnaireの25アイテムバージョン(NEI-VFQ-25)(総合スコア及び精神衛生部分尺度スコア)のベースラインからの変化によって測定することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載する方法の効果はまた、Macular Disease Treatment Satisfaction Questionnaire(MacTSQ)(総合スコア;安全性、有効性及び不快領域スコア;ならびに情報提供及び利便性領域スコア)のベースラインからの変化によって測定することができる。
【0145】
特定の実施形態では、本明細書に記載する方法またはベクター(ベクター製剤)の有効性は、約4週間、12週間、6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月、36ヶ月、または他の所望の時点での視力の改善を反映したものである。ある特定の実施形態では、視力の改善は、BCVAの改善、例えば、1文字、2文字、3文字、4文字、5文字、6文字、7文字、8文字、9文字、10文字、11文字、または12文字以上の改善によって特徴付けられる。特定の実施形態では、視力の改善は、ベースラインからの5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%以上の視力の改善によって特徴付けられる。
【0146】
特定の実施形態では、治療後に眼の炎症が見られないか、または治療後に眼の炎症がわずかに(例えば、ベースラインから10%、5%、2%、1%以下の炎症レベルの増加が)見られる。
【0147】
4.3 投薬量及び投与様式
一態様では、眼の病状を治療するための脈絡膜上投与の方法を本明細書で提供するが、該方法は、治療用産物をコードするヌクレオチド配列を含む組換えウイルスベクターを、治療を必要とするヒト対象の眼の脈絡膜上腔に投与することを含み、これにより、該治療用産物が発現し、眼の病状の治療をもたらす。特定の実施形態では、投与するステップは、脈絡膜上薬物送達デバイスを使用して組換えウイルスベクターを脈絡膜上腔に注入することによるものである。特定の実施形態では、脈絡膜上薬物送達デバイスは、マイクロインジェクターである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供する医薬組成物は、1つ、2つ以上の投与経路による投与に適している(例えば、脈絡膜上及び網膜下投与に適している)。
【0148】
特定の実施形態では、医薬組成物(または参照医薬組成物)のベクターゲノム濃度(VGC)は、約3×10GC/mL、約1×1010GC/mL、約1.2×1010GC/mL、約1.6×1010GC/mL、約4×1010GC/mL、約6×1010GC/mL、約2×1011GC/mL、約2.4×1011GC/mL、約2.5×1011GC/mL、約3×1011GC/mL、約3.2×1011GC/mL、約6.2×1011GC/mL、約6.5×1011GC/mL、約1×1012GC/mL、約2.5×1012GC/mL、約3×1012GC/mL、約5×1012GC/mL、約1.5×1013GC/mL、約2×1013GC/mL、または約3×1013GC/mLである。
【0149】
特定の実施形態では、医薬組成物(または参照医薬組成物)のベクターゲノム濃度(VGC)は、約3×10GC/mL、4×10GC/mL、5×10GC/mL、6×10GC/mL、7×10GC/mL、8×10GC/mL、9×10GC/mL、約1×1010GC/mL、約2×1010GC/mL、約3×1010GC/mL、約4×1010GC/mL、約5×1010GC/mL、約6×1010GC/mL、約7×1010GC/mL、約8×1010GC/mL、約9×1010GC/mL、約1×1011GC/mL、約2×1011GC/mL、約3×1011GC/mL、約4×1011GC/mL、約5×1011GC/mL、約6×1011GC/mL、約7×1011GC/mL、約8×1011GC/mL、約9×1011GC/mL、約1×1012GC/mL、約2×1012GC/mL、約3×1012GC/mL、約4×1012GC/mL、約5×1012GC/mL、約6×1012GC/mL、約7×1012GC/mL、約8×1012GC/mL、約9×1012GC/mL、約1×1013GC/mL、約1.5×1013GC/mL、約2×1013GC/mL、約3×1013GC/mLである。
【0150】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)の容量は、強膜及び脈絡膜を分離するための最低限の力を低減できる任意の容量である。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)の容量は、約50μL~約1000μL、50μL~約500μL、50μL~約400μL、50μL~約350μL、50μL~約300μL、約50μL~約275μL、約50μL~約250μL、約50μL~約225μL、約50μL~約200μL、約50μL~約175μL、約50μL~約150μL、約60μL~約140μL、約70μL~約130μL、約80μL~約120μL、約90μL~約110μL、または約100μLである。
【0151】
脈絡膜上腔(SCS)送達のための現在利用可能な技術が存在する。前臨床では、SC注入は、強膜フラップ技術、カテーテル及び標準的な皮下注射針、ならびにマイクロニードルを用いてこれまでに実現されてきた。750um長の中空マイクロニードル(Clearside Biomedical,Inc.)は、部分的に挿入することができ、臨床試験によって有望であることが証明されている。力覚センシング技術によって設計されたマイクロニードルが、Chitnisらによって説明されているようにSC注入に使用可能である(Chitnis,G.D.,et al.A resistance-sensing mechanical injector for the precise delivery of liquids to target tissue. Nat Biomed Eng 3,621-631 (2019).https://doi.org/10.1038/s41551-019-0350-2)。Oxular Limitedは、脈絡膜上腔内で、照明付きカニューレを前進させる送達システム(Oxulumis)を開発している。Orbitデバイス(Gyroscope)は、柔軟なカニューレを用いた脈絡膜上腔へのカニューレ挿入を可能にする特別に設計されたシステムである。目的の用量の送達を可能にするために、カニューレ内部のマイクロニードルを網膜下腔に前進させる。SCSへの眼内法による接近もまた、低侵襲緑内障手術(MIGS)デバイスとして機能するマイクロステントを使用して実現することができる。例としては、CyPass(登録商標)Micro-Stent(Alcon,Fort Worth,Texas,US)及びiStent(登録商標)(Glaukos)が挙げられ、これらは、前眼房からSCSまでに導管を設け、濾過胞を形成することなく眼房水を排出するために、外科的に植設される。脈絡膜上送達向けに検討される他のデバイスとしては、英国特許公報第GB 2531910A号、及び米国特許第10,912,883 B2号に記載されているものが挙げられる。
【0152】
いくつかの実施形態では、脈絡膜上薬物送達デバイスは、1ミリメートル30ゲージニードルを有するシリンジである。いくつかの実施形態では、シリンジは、より大きな円周(例えば、29ゲージニードル)を有する。このデバイスを使用した注入の間、ニードルは、強膜の基部を貫通し、薬物含有液体が脈絡膜上腔に入り、それにより脈絡膜上腔が拡張する。その結果、注入中に触覚的及び視覚的フィードバックがある。注入後、液体は、後方に流れ、脈絡膜及び網膜で優先的に吸収される。これにより、全ての網膜細胞層及び脈絡膜細胞から導入遺伝子タンパク質の産生がもたらされる。このタイプのデバイス及び処置を使用することで、合併症のリスクが低く、迅速かつ簡単な診療が可能となる。
【0153】
いくつかの実施形態では、マイクロニードルまたはシリンジは、医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)のAAV凝集のレベルに基づいて選択される。いくつかの実施形態では、マイクロニードルは、医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)が投与された場合の眼(例えば、SCS)において生じる圧力に基づいて選択される。例えば、より高いレベルのAAV凝集を有する医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)には、より太い注入用マイクロニードルの使用が有利である場合がある。いくつかの実施形態では、SCSにおける圧力は、より太いマイクロニードルが使用された場合、より細いマイクロニードルが使用された場合に生じる圧力と比較して小さい。いくつかの実施形態では、10ゲージニードル、11ゲージニードル、12ゲージニードル、13ゲージニードル、14ゲージニードル、15ゲージニードル、16ゲージニードル、17ゲージニードル、18ゲージニードル、19ゲージニードル、20ゲージニードル、21ゲージニードル、22ゲージニードル、23ゲージニードル、24ゲージニードル、25ゲージニードル、26ゲージニードル、27ゲージニードル、28ゲージニードル、29ゲージニードル、30ゲージニードル、31ゲージニードル、32ゲージニードル、33ゲージニードル、または34ゲージニードルが使用される。いくつかの実施形態では、27ゲージニードルが使用される。いくつかの実施形態では、28ゲージニードルが使用される。いくつかの実施形態では、29ゲージニードルが使用される。いくつかの実施形態では、30ゲージニードルが使用される。いくつかの実施形態では、31ゲージニードルが使用される。いくつかの実施形態では、27ゲージニードルより小さいゲージが使用される。いくつかの実施形態では、27ゲージニードルより大きいゲージが使用される。いくつかの実施形態では、30ゲージニードルより小さいゲージが使用される。いくつかの実施形態では、30ゲージニードルより大きいゲージが使用される。
【0154】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与中の圧力は、約10PSI、15PSI、20PSI、25PSI、30PSI、35PSI、40PSI、45PSI、50PSI、55PSI、60PSI、65PSI、70PSI、75PSI、80PSI、85PSI、90PSI、95PSI、100PSI、150PSI、または200PSIである。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与中の圧力は、約10PSI、15PSI、20PSI、25PSI、30PSI、35PSI、40PSI、45PSI、50PSI、55PSI、60PSI、65PSI、70PSI、75PSI、80PSI、85PSI、90PSI、95PSI、100PSI、150PSI、または200PSI以下である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与中のSCSを開く圧力は、約10PSI、15PSI、20PSI、25PSI、30PSI、35PSI、40PSI、45PSI、50PSI、55PSI、60PSI、65PSI、70PSI、75PSI、80PSI、85PSI、90PSI、95PSI、100PSI、150PSI、または200PSI以下である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与中の圧力(またはSCSを開けるのに必要な圧力)は、20PSI~50PSI、20PSI~75PSI、20PSI~40PSI、10PSI~40PSI、10PSI~100PSI、または10PSI~80PSIである。いくつかの実施形態では、圧力は、注入速度が低下するにつれて小さくなる(例えば、4秒の注入速度から10秒の注入速度まで圧力は小さくなる)。いくつかの実施形態では、圧力は、ニードルのサイズが大きくなるにつれて小さくなる。いくつかの実施形態では、圧力は、AAV凝集のレベルが増加するにつれて大きくなる。
【0155】
眼(例えば、硝子体液)内で少なくとも0.330μg/mL、または眼房水(眼の前眼房)内で0.110μg/mLのCminで導入遺伝子産物の濃度を3ヶ月間維持する用量が所望され、その後1.70~6.60μg/mLの範囲の導入遺伝子産物の硝子体Cmin濃度及び/または0.567~2.20μg/mLの範囲の眼房Cmin濃度を維持する必要がある。しかし、導入遺伝子産物は、連続的に産生される(構成的プロモーターの制御下で、または低酸素誘導性プロモーターを使用する際に低酸素状態によって誘導される)ため、低濃度の維持は、効果的である可能性がある。導入遺伝子濃度は、体液、眼液、硝子体液、もしくは前眼房から採取された液体の患者の試料において直接測定するか、または導入遺伝子産物の患者の血清濃度を測定することによって推定及び/またはモニタリングすることができる。導入遺伝子産物への全身曝露と硝子体曝露の比率は、約1:90,000である(例えば、Xu L,et al.,2013,Invest.Opthal.Vis.Sci.54:1616-1624,のp.1621及びp.1623のTable 5で報告されているvitreous humor and serum concentrations of ranibizumabを参照されたく、その全体は参照により本明細書に援用される。
【0156】
特定の実施形態では、投薬量は、1mlごとのゲノムコピー(GC/mL)または患者の眼に投与される(例えば、脈絡膜上に投与される)ゲノムコピー数によって測定される。いくつかの実施形態では、2.4×1011GC/mL~1×1013GC/mLが投与されるか、2.4×1011GC/mL~5×1011GC/mLが投与されるか、5×1011GC/mL~1×1012GC/mLが投与されるか、1×1012GC/mL~5×1012GC/mLが投与されるか、または5×1012GC/mL~1×1013GC/mLが投与される。いくつかの実施形態では、1.5×1013GC/mL~3×1013GC/mLが投与される。いくつかの実施形態では、約2.4×1011GC/mL、約5×1011GC/mL、約1×1012GC/mL、約2.5×1012GC/mL、約5×1012GC/mL、約1×1013GC/mLまたは約1.5×1013GC/mLが投与される。いくつかの実施形態では、1×10~1×1012ゲノムコピーが投与される。いくつかの実施形態では、3×10~2.5×1011ゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、1×10~2.5×1011ゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、1×10~1×1011ゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、1×10~5×10ゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、6×10~3×1010ゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、4×1010~1×1011ゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、2×1011~1×1012ゲノムコピーが投与される。ある特定の実施形態では、約3×10ゲノムコピーが投与される(250μlの容量で約1.2×1010GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約1×1010ゲノムコピーが投与される(250μlの容量で約4×1010GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約6×1010ゲノムコピーが投与される(250μlの容量で約2.4×1011GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約6.4×1010ゲノムコピーが投与される(200μlの容量で約3.2×1011GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約1.3×1011ゲノムコピーが投与される(200μlの容量で約6.5×1011GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約2.5×1011ゲノムコピーが投与される(100μlの容量で約2.5×1012GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約5×1011ゲノムコピーが投与される(200μlの容量で約5×1012GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約1.5×1012ゲノムコピーが投与される(100μlの容量で約1.5×1013GC/mLに相当する)。いくつかの実施形態では、約6.4×1010ゲノムコピーが、1眼当たり、または1回の投与量当たり、あるいは投与経路ごとに投与される。いくつかの実施形態では、約6.4×1010ゲノムコピーは、投与されるゲノムコピーの総数である。いくつかの実施形態では、約1.3×1011ゲノムコピーが、1眼当たり、または1回の投与量当たり、あるいは投与経路ごとに投与される。いくつかの実施形態では、約1.3×1011ゲノムコピーは、投与されるゲノムコピーの総数である。いくつかの実施形態では、約2.5×1011ゲノムコピーが、1眼当たり、または1回の投与量当たり、あるいは投与経路ごとに投与される。いくつかの実施形態では、約2.5×1011ゲノムコピーは、投与されるゲノムコピーの総数である。いくつかの実施形態では、約5×1011ゲノムコピーが、1眼当たり、または1回の投与量当たり、あるいは投与経路ごとに投与される。いくつかの実施形態では、約5×1011ゲノムコピーは、投与されるゲノムコピーの総数である。いくつかの実施形態では、約1.5×1012ゲノムコピーが、1眼当たり、または1回の投与量当たり、あるいは投与経路ごとに投与される。いくつかの実施形態では、約1.5×1012ゲノムコピーは、投与されるゲノムコピーの総数である。いくつかの実施形態では、約3×1012ゲノムコピーが、1眼当たり、または1回の投与量当たり、あるいは投与経路ごとに投与される。いくつかの実施形態では、約3×1012ゲノムコピーは、投与されるゲノムコピーの総数である。別の特定の実施形態では、約1.6×1011ゲノムコピーが投与される(250μlの容量で約6.2×1011GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約1.55×1011ゲノムコピーが投与される(250μlの容量で約6.2×1011GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約1.6×1011ゲノムコピーが投与される(250μlの容量で約6.4×1011GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約2.5×1011ゲノムコピー(250μlの容量で約1.0×1012に相当する)が投与される。別の特定の実施形態では、約3×1011ゲノムコピーが投与される(100μlの容量で約3×1012GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約6×1011ゲノムコピーが投与される(200μlの容量で約3×1012GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約6×1011ゲノムコピーが投与される(100μlの容量で約6×1012GC/mLに相当する)。
【0157】
特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約6.0×1010ゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約6.4×1010ゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約1.3×1011ゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約1.5×1011ゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約1.6×1011ゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約2.5×1011ゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約3×1011ゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約5.0×1011ゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約6×1011ゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約3×1012ゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約1.0×1012GC/mLが投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約2.5×1012GC/mLが投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約3×1012GC/mLが投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約3.0×1013ゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、最大3.0×1013ゲノムコピーが投与される。
【0158】
特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約1.5×1011ゲノムコピーが脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約2.5×1011ゲノムコピーが脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約3×1011ゲノムコピーが脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約5.0×1011ゲノムコピーが脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約6×1011ゲノムコピーが脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約1.5×1012ゲノムコピーが脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約3×1012ゲノムコピーが脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、1眼当たり、約2.5×1011ゲノムコピーが単回の脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約3×1011ゲノムコピーが単回の脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約3×1011ゲノムコピーが、100μlの容量で単回の脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約3×1011ゲノムコピーが、200μlの容量で単回の脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約3×1011ゲノムコピーが2回の脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約3×1011ゲノムコピーが2回の脈絡膜上注入によって投与され、この際、各注入は、50μlの容量である。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約3×1011ゲノムコピーが2回の脈絡膜上注入によって投与され、この際、各注入は、100μlの容量である。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約5.0×1011ゲノムコピーが2回の脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約6×1011ゲノムコピーが単回の脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約6×1011ゲノムコピーが、100μlの容量で単回の脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約6×1011ゲノムコピーが、200μlの容量で単回の脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約6×1011ゲノムコピーが2回の脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約6×1011ゲノムコピーが2回の脈絡膜上注入によって投与され、この際、各注入は、50μlの容量である。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約6×1011ゲノムコピーが2回の脈絡膜上注入によって投与され、この際、各注入は、100μlの容量である。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、約3.0×1013ゲノムコピーが脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、1回の投与当たりまたは1眼当たり、最大3.0×1013ゲノムコピーが、脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、1眼当たり、約2.5×1012GC/mLが、100μlの容量で単回の脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、1眼当たり、約2.5×1012GC/mLが2回の脈絡膜上注入によって投与され、この際、各注入は、100μlの容量である。特定の実施形態では、1眼当たり、約1.5×1013GC/mLが、100μlの容量で単回の脈絡膜上注入によって投与される。
【0159】
特定の実施形態では、組換えウイルスベクターは、2回の脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、右眼への第1の注入は、耳側上部(すなわち、10時方向から11時方向の間)、及び同じ眼への第2の注入は、鼻側下部(すなわち、4時方向から5時方向の間)に行われる。特定の実施形態では、右眼への第1の注入は、鼻側下部(すなわち、4時方向から5時方向の間)、及び同じ眼への第2の注入は、耳側上部(すなわち、10時方向から11時方向の間)に行われる。特定の実施形態では、左眼への第1の注入は、耳側上部(すなわち、1時方向から2時方向の間)、及び同じ眼への第2の注入は、鼻側下部(すなわち、7時方向から8時方向の間)に行われる。特定の実施形態では、左眼への第1の注入は、鼻側下部(すなわち、7時方向から8時方向の間)、及び同じ眼への第2の注入は、耳側上部(すなわち、1時方向から2時方向の間)に行われる。
【0160】
特定の実施形態では、組換えウイルスベクターは、単回の脈絡膜上注入によって投与される。特定の実施形態では、右眼への単回の注入は、耳側上部(すなわち、10時方向から11時方向の間)に行われる。特定の実施形態では、右眼への単回の注入は、鼻側下部(すなわち、4時方向から5時方向の間)に行われる。特定の実施形態では、左眼への単回の注入は、耳側上部(すなわち、1時方向から2時方向の間)に行われる。特定の実施形態では、左眼への単回の注入は、鼻側下部(すなわち、7時方向から8時方向の間)に行われる。
【0161】
いくつかの実施形態では、医薬組成物または参照医薬組成物は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、15回、20回、25回、または30回、ヒト対象に(例えば、脈絡膜上、網膜下、または硝子体内に)投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物または参照医薬組成物は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、1日に5回、1日に6回、または1日に7回、ヒト対象に投与される。いくつかの実施形態では、同じ量のAAVゲノムコピーが、投与ごとに投与される。例えば、同じゲノムコピーが、脈絡膜上、網膜下、または硝子体内に投与される。いくつかの実施形態では、同じ総量のAAVゲノムコピーが、投与される。例えば、同じ総量のAAVゲノムコピーが、総投与の数に関係なく、脈絡膜上、網膜下、硝子体内に投与される(例えば、網膜下投与が1回行われ、脈絡膜上投与が2回行われる場合、1回の網膜下投与のゲノムコピーは、脈絡膜上投与の両方のゲノムコピーの合計と同じである)。
【0162】
本明細書で使用される場合、及び別途指定されない限り、用語「約」は、所与の値または範囲の±10%を意味する。
【0163】
4.4 構築物及び製剤
いくつかの実施形態では、本明細書で提供する組換えベクターは、次の順番にて、以下の成分:a)構成プロモーター配列または低酸素誘導性プロモーター配列、及びb)導入遺伝子をコードする配列(例えば、治療用産物)を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供する組換えベクターは、次の順番にて、以下の成分:a)第1のITR配列、b)第1のリンカー配列、c)構成プロモーター配列または低酸素誘導性プロモーター配列、d)第2のリンカー配列、e)介在配列、f)第3のリンカー配列、g)第1のUTR配列、h)導入遺伝子をコードする配列(例えば、抗VEGF抗原結合フラグメント部位)、i)第2のUTR配列、j)第4のリンカー配列、k)ポリA配列、l)第5のリンカー配列、及びm)第2のITR配列、を含む。
【0164】
特定の実施形態では、本明細書で提供する組換えベクターは、次の順番にて、以下の成分:a)第1のITR配列、b)第1のリンカー配列、c)構成プロモーター配列または低酸素誘導性プロモーター配列、d)第2のリンカー配列、e)介在配列、f)第3のリンカー配列、g)第1のUTR配列、h)導入遺伝子をコードする配列(例えば、抗VEGF抗原結合フラグメント部位)、i)第2のUTR配列、j)第4のリンカー配列、k)ポリA配列、l)第5のリンカー配列、及びm)第2のITR配列、を含み、ここで、該導入遺伝子は、VEGFのシグナルペプチド(配列番号5)を含み、かつ該導入遺伝子は、切断可能なF/F2A配列によって分離された軽鎖及び重鎖配列をコードする。
【0165】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供するAAV(AAVウイルスベクター)は、次の順番にて、以下の成分:a)構成プロモーター配列または低酸素誘導性プロモーター配列、及びb)導入遺伝子をコードする配列(例えば、抗VEGF抗原結合フラグメント部位)を含む。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、VEGFに対抗する完全なヒト翻訳後修飾(HuPTM)抗体である。いくつかの実施形態では、VEGFに対抗する完全なヒト翻訳後修飾抗体は、VEGFに対抗するモノクローナル抗体(mAb)の完全なヒト翻訳後修飾抗原結合フラグメント(「HuPTMFabVEGFi」)である。いくつかの実施形態では、HuPTMFabVEGFiは、抗VEGF mAbの完全なヒトグリコシル化抗原結合フラグメント(「HuGlyFabVEGFi」)である。代替的実施形態では、完全長mAbが使用され得る。いくつかの実施形態では、導入遺伝子を送達するために使用されるAAVは、ヒト網膜細胞または光受容細胞に対する向性を有していなければならない。そのようなAAVは、非複製組換えアデノ随伴ウイルスベクター(「rAAV」)を含むことができ、特にAAV8カプシドを含有するものが好ましい。ある特定の実施形態では、本明細書に記載するウイルスベクターまたはその他のDNA発現構築物は、構築物Iであり、ここで、該構築物Iは、以下の成分:(1)発現カセットを挟むAAV8逆位末端反復;(2)a)CMVエンハンサー/ニワトリβ-アクチンプロモーターを含むCB7プロモーター、b)ニワトリβ-アクチン介在配列、及びc)ウサギβ-グロビンポリAシグナル含む制御要素;ならびに(3)自己切断フーリン(F)/F2Aリンカーによって分離され、確実に同量の重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドを発現する、抗VEGF抗原結合フラグメントの重鎖及び軽鎖をコードする核酸配列、を含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、シグナルペプチドを含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、MYRMQLLLLIALSLALVTNS(配列番号55)である。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、IL-2シグナル配列に由来する。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、表1に記載する任意のシグナルペプチドからのシグナルペプチド、例えば、MNFLLSWVHW SLALLLYLHH AKWSQA(VEGF-Aシグナルペプチド)(配列番号5);MERAAPSRRV PLPLLLLGGL ALLAAGVDA(フィブリン-1シグナルペプチド)(配列番号6);MAPLRPLLIL ALLAWVALA(ビトロネクチンシグナルペプチド)(配列番号7);MRLLAKIICLMLWAICVA(補体因子Hシグナルペプチド)(配列番号8);MRLLAFLSLL ALVLQETGT(オプティシンシグナルペプチド)(配列番号9);MKWVTFISLLFLFSSAYS(アルブミンシグナルペプチド)(配列番号22);MAFLWLLSCWALLGTTFG(キモトリプシノゲンシグナルペプチド)(配列番号23);MYRMQLLSCIALILALVTNS(インターロイキン-2シグナルペプチド)(配列番号24);MNLLLILTFVAAAVA(トリプシノーゲン-2シグナルペプチド)(配列番号25);またはMYRMQLLLLIALSLALVTNS(変異体インターロイキン-2シグナルペプチド)(配列番号55)を含む。別の特定の実施形態では、本明細書に記載するウイルスベクターまたはその他のDNA発現構築物は、構築物IIであり、ここで、該構築物IIは、以下の成分:(1)発現カセットを挟むAAV2逆位末端反復;(2)a)CMVエンハンサー/ニワトリβ-アクチンプロモーターを含むCB7プロモーター、b)ニワトリβ-アクチン介在配列、及びc)ウサギβ-グロビンポリAシグナル含む制御要素;ならびに(3)自己切断フーリン(F)/F2Aリンカーによって分離され、確実に同量の重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドを発現する、抗VEGF抗原結合フラグメントの重鎖及び軽鎖をコードする核酸配列、を含む。いくつかの実施形態では、抗hVEGF抗体は、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号1または配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、AAVカプシドのパッケージングに適したウイルスベクターまたはその他の発現構築物は、(1)発現カセットを挟むAAV逆位末端反復(ITR);(2)1つ以上のエンハンサー及び/またはプロモーター、d)ポリAシグナル、及びe)任意選択で介在配列から本質的になる調節制御要素;ならびに(3)目的の1つ以上のRNAまたはタンパク質産物を与える(例えば、それらをコードする)導入遺伝子を含む。
【0167】
いくつかの態様では、本開示は、使用のための核酸であって、本明細書に記載のプロモーターまたはエンハンサープロモーターに機能的に連結された治療用産物をコードする核酸を提供する。
【0168】
いくつかの態様では、本開示は、使用のための核酸であって、HuPTMFabVEGFi、例えば、CB7プロモーター(ニワトリβ-アクチンプロモーター及びCMVエンハンサー)、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、MMTプロモーター、EF-1αプロモーター、UB6プロモーター、ニワトリβ-アクチンプロモーター、CAGプロモーター、RPE65プロモーター及びオプシンプロモーターからなる群から選択されるプロモーターに機能的に連結されたHuGlyFabVEGFiをコードする核酸を提供する。ある特定の実施形態では、HuPTMFabVEGFiは、CB7プロモーターに機能的に連結される。
【0169】
特定の実施形態において、1つ以上の核酸(例えば、ポリヌクレオチド)を含む組換えベクターを本明細書で提供する。核酸は、DNA、RNA、またはDNA及びRNAの組み合わせを含み得る。特定の実施形態では、DNAは、プロモーター配列、目的の治療用産物(導入遺伝子、例えば、抗VEGF抗原結合フラグメント)をコードする配列、非翻訳領域、及び終止配列からなる群から選択される配列のうち1つ以上を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供する組換えベクターは、目的の治療用産物をコードする配列に操作可能に連結されたプロモーターを含む。
【0170】
特定の実施形態では、本明細書にて開示する核酸(例えば、ポリヌクレオチド)及び核酸配列は、例えば、当業者に既知のコドン最適化技法を介して、コドン最適化されている場合がある(例えば、Quax et al.,2015,Mol Cell 59:149-161による論評を参照されたい)。
【0171】
特定の実施形態では、本明細書で提供する組換えベクターは、目的の治療用産物(例えば、導入遺伝子、例えば、抗VEGF抗原結合フラグメント部位)をコードする修飾mRNAを含む。特定の実施形態において、抗VEGF抗原結合フラグメント部位をコードする修飾mRNAを本明細書で提供する。特定の実施形態では、本明細書で提供する組換えベクターは、shRNA、siRNAまたはmiRNAである、治療用産物をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0172】
特定の実施形態では、本明細書で提供するベクターは、タンパク質送達を調節する成分を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供するウイルスベクターは、1つ以上のシグナルペプチドを含む。シグナルペプチドの例としては、限定はされないが、VEGF-Aシグナルペプチド(配列番号5)、フィブリン-1シグナルペプチド(配列番号6)、ビトロネクチンシグナルペプチド(配列番号7)、補体因子Hシグナルペプチド(配列番号8)、オプティシンシグナルペプチド(配列番号9)、アルブミンシグナルペプチド(配列番号22)、キモトリプシノゲンシグナルペプチド(配列番号23)、インターロイキン-2シグナルペプチド(配列番号24)、及びトリプシノーゲン-2シグナルペプチド(配列番号25)、変異体インターロイキン-2シグナルペプチド(配列番号55)が挙げられる。
【0173】
(a) ウイルスベクター
いくつかの実施形態では、本明細書で提供するウイルスベクターは、AAVベースのウイルスベクターである。好ましい実施形態では、本明細書で提供するウイルスベクターは、AAV8ベースのウイルスベクターである。特定の実施形態では、本明細書で提供するAAV8ベースのウイルスベクターは、網膜細胞への向性を保持する。特定の実施形態では、本明細書で提供するAAVベースのベクターは、AAVrep遺伝子(複製に必要な)及び/またはAAVcap遺伝子(カプシドタンパク質の合成に必要な)をコードする。複数のAAV血清型が同定されている。特定の実施形態では、本明細書で提供するAAVベースのベクターは、AAVの1つ以上の血清型由来の成分を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供するAAVベースのベクターは、AAV1、AAV2、AAV2tYF、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAVrh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、rAAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV.PHP.eB、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16のうち1つ以上由来のカプシド成分を含む。好ましい実施形態では、本明細書で提供するAAVベースのベクターは、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、またはAAVrh10血清型のうち1つ以上由来の成分を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供する組換えウイルスベクターは、ヒトにおいて複製欠損であるように改変される。特定の実施形態では、組換えウイルスベクターは、ハイブリッドベクター、例えば、「無力(helpless)」のアデノウイルスベクター内に配置されるAAVベクターである。特定の実施形態において、第1のウイルス由来のウイルスカプシド及び第2のウイルス由来のウイルスエンベロープタンパク質を含む組換えウイルスベクターを本明細書で提供する。特定の実施形態では、第2のウイルスは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)である。さらなる特定の実施形態では、エンベロープタンパク質は、VSV-Gタンパク質である。
【0174】
特定の実施形態において、調節要素の制御下で、ITRによって挟まれた、導入遺伝子の発現のための発現カセットを含むウイルスゲノム、及びAAV8カプシドタンパク質のアミノ酸配列を有するか、またはAAV8カプシドの生物学的機能を保持しながらAAV8カプシドタンパク質のアミノ酸配列(配列番号48)と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%または99.9%同一であるウイルスカプシド、を含むAAV8ベクターを提供する。特定の実施形態では、コードが書き込まれたAAV8カプシドは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個または30個のアミノ酸置換を含む配列番号48の配列を有し、かつAAV8カプシドの生物学的機能を保持している。
【0175】
特定の実施形態では、本明細書に記載する方法で使用されるAAVは、Anc80またはAnc80L65であり、これらについては、その全体が参照により援用されるZinn et al.,2015,Cell Rep.12(6):1056-1068に記載されている。特定の実施形態では、本明細書に記載する方法で使用されるAAVは、以下のアミノ酸挿入:米国特許第9,193,956号、同第9458517号、及び同第9,587,282号、ならびに米国特許出願公開第2016/0376323号に記載されているようなLGETTRPまたはLALGETTRPのうち1つを含み、これら特許及び特許出願のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に援用される。特定の実施形態では、本明細書に記載する方法で使用されるAAVは、米国特許第9,193,956号、同第9,458,517号、及び同第9,587,282号、ならびに米国特許出願公開第2016/0376323号に記載されているようなAAV.7m8であり、これら特許及び特許出願のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に援用される。特定の実施形態では、本明細書に記載する方法で使用されるAAVは、米国特許第9,585,971号に開示されるような、AAV.PHP.Bなどの任意のAAVである。特定の実施形態では、本明細書に記載する方法で使用されるAAVは、以下の特許及び特許出願:米国特許第7,906,111号、同第8,524,446号、同第8,999,678号、同第8,628,966号、同第8,927,514号、同第8,734,809号、同第US9,284,357号、同第9,409,953号、同第9,169,299号、同第9,193,956号、同第9458517号、及び同第9,587,282号、米国特許出願公開第2015/0374803号、同第2015/0126588号、同第2017/0067908号、同第2013/0224836号、同第2016/0215024号、同第2017/0051257号、及び国際特許出願第PCT/US2015/034799号、同第PCT/EP2015/053335号のうちいずれかに開示されているAAVであり、これら特許及び特許出願のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0176】
AAV8ベースのウイルスベクターは、本明細書記載の特定の方法で使用される。AAVベースのウイルスベクターの核酸配列及び組換えAAV及びAAVカプシドの作成方法は、例えば、米国特許第7,282,199 B2号、米国特許第7,790,449 B2号、米国特許第8,318,480 B2号、米国特許第8,962,332 B2号、及び国際特許出願第PCT/EP2014/076466号にて教示されており、これら特許及び特許出願のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に援用される。一態様では、導入遺伝子(例えば、抗VEGF抗原結合フラグメント)をコードするAAV(例えば、AAV8)ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。特定の実施形態において、抗VEGF抗原結合フラグメントをコードするAAV8ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。さらなる特定の実施形態において、ラニビズマブをコードするAAV8ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。
【0177】
特定の実施形態では、上記において一本鎖AAV(ssAAV)を用いてよい。特定の実施形態では、自己相補型ベクター、例えばscAAVを用いてもよい(例えば、Wu,2007,Human Gene Therapy,18(2):171-82、McCarty et al,2001,Gene Therapy,Vol 8,Number 16,Pages1248-1254、ならびに米国特許第6,596,535号、同第7,125,717号及び同第7,456,683号(これらの文献はそれぞれ、参照により、その全体が本明細書に援用される)を参照されたい)。
【0178】
特定の実施形態では、本明細書に記載する方法で使用されるウイルスベクターは、アデノウイルスベースのウイルスベクターである。組換えアデノウイルスベクターは、抗VEGF抗原結合フラグメントの導入に使用することができる。組換えアデノウイルスは、E1欠失を含み、E3欠失を含有または非含有で、及び欠失領域のいずれかに挿入される発現カセットを含む第1世代ベクターであり得る。組換えアデノウイルスは、E2及びE4領域の完全欠失または部分欠失を含む第2世代ベクターであり得る。ヘルパー依存性アデノウイルスは、アデノウイルス逆位末端反復及びパッケージングシグナル(φ)のみを保持する。導入遺伝子は、ゲノムをおよそ36kbの野生型サイズに近づけて維持するために、スタッファー配列を含有または非含有で、パッケージングシグナルと3’ITRとの間に挿入される。アデノウイルスベクターを生成するための例示的なプロトコルについては、Alba et al.,2005,“Gutless adenovirus:last generation adenovirus for gene therapy,”Gene Therapy 12:S18-S27で確認することができ、この文献は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0179】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載する方法で使用されるベクターは、そのベクターが関連する細胞(例えば、in vivoまたはin vitroにおける網膜細胞)に導入されると、抗VEGF抗原結合フラグメントのグリコシル化及び/またはチロシン硫酸化多様体が細胞で発現するように、抗VEGF抗原結合フラグメント(例えば、ラニビズマブ)をコードするものである。ある特定の実施形態では、発現する抗VEGF抗原結合フラグメントは、グリコシル化及び/またはチロシン硫酸化パターンを含む。
【0180】
(b)治療用産物または導入遺伝子
治療用産物は、例えば、治療用タンパク質(例えば、抗体)、治療用RNA(例えば、shRNA、siRNA、及びmiRNA)、または治療用アプタマーであり得る。
【0181】
特定の実施形態において、本開示は、導入遺伝子をコードする組換えAAVを含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、抗VEGF Fabまたは抗VEGF抗体をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、抗VEGF Fabまたは抗VEGF抗体をコードするrAAV8ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、ラニビズマブをコードするrAAV8ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、イズロニダーゼ(IDUA)をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、IDUAをコードするrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、イズロン酸2-スルファターゼ(IDS)をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、IDSをコードするrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、LDLRをコードするrAAV8ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)タンパク質をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、TPP1をコードするrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、マイクロジストロフィンタンパク質をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、マイクロジストロフィンをコードするrAAV8ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、マイクロジストロフィンをコードするrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、抗カリクレイン(抗pKal)タンパク質をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、ラナデルマブFabまたは完全長抗体をコードするrAAV8ベースのまたはrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、ヒト-α-サルコグリカン-γ-サルコグリカンをコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、huFollistatin344をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、ヒト-α-サルコグリカン-γ-サルコグリカンをコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、CLN2をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、CLN3をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、CLN6をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、ヒト-α-サルコグリカン-γ-サルコグリカンをコードするrAAV8ベースのまたはrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、huFollistatin344をコードするrAAV8ベースのまたはrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、ヒト-α-サルコグリカン-γ-サルコグリカンをコードするrAAV8ベースのまたはrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、CLN2をコードするrAAV8ベースのまたはrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、CLN3をコードするrAAV8ベースのまたはrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、CLN6をコードするrAAV8ベースのまたはrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。
【0182】
特定の実施形態において、アフリベルセプト(抗VEGF融合タンパク質)をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。特定の実施形態において、エタネルセプト(抗TNF融合タンパク質)をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。特定の実施形態において、アダリムマブ(抗TNFab)をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。
【0183】
特定の実施形態では、治療用産物(例えば、導入遺伝子)は、(1)抗ヒト血管内皮成長因子(hVEGF)抗体またはアプタマー、(2)抗hVEGF抗原結合フラグメント、(3)抗hVEGF抗原結合フラグメントであるFab、F(ab’)2、または単鎖可変フラグメント(scFv)、(4)パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)、(5)トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)、(6)Battenin(CLN3)、及び(7)CLN6膜貫通ERタンパク質(CLN6)である。
【0184】
特定の実施形態において、本開示は、導入遺伝子をコードする組換えAAVを含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、抗VEGF Fabまたは抗VEGF抗体をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、抗VEGF Fabまたは抗VEGF抗体をコードするrAAV8ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。さらなる実施形態において、ラニビズマブをコードするrAAV8ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、イズロニダーゼ(IDUA)をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、IDUAをコードするrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、イズロン酸2-スルファターゼ(IDS)をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、IDSをコードするrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、LDLRをコードするrAAV8ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)タンパク質をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、TPP1をコードするrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、マイクロジストロフィンタンパク質をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、マイクロジストロフィンをコードするrAAV8ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、マイクロジストロフィンをコードするrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、抗カリクレイン(抗pKal)タンパク質をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、ラナデルマブFabまたは完全長抗体をコードするrAAV8ベースのまたはrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、ヒト-α-サルコグリカン-γ-サルコグリカンをコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、huFollistatin344をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、ヒト-α-サルコグリカン-γ-サルコグリカンをコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、CLN2をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、CLN3をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、CLN6をコードするrAAVウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、ヒト-α-サルコグリカン-γ-サルコグリカンをコードするrAAV8ベースのまたはrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、huFollistatin344をコードするrAAV8ベースのまたはrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、ヒト-α-サルコグリカン-γ-サルコグリカンをコードするrAAV8ベースのまたはrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、CLN2をコードするrAAV8ベースのまたはrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、CLN3をコードするrAAV8ベースのまたはrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、CLN6をコードするrAAV8ベースのまたはrAAV9ベースのウイルスベクターを本明細書で提供する。
【0185】
特定の実施形態では、本明細書で提供するベクターは、(1)バッテン病CLN1に関連する眼の病状に対して使用でき、かつ治療用産物は、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)であり;(2)バッテン病CLN2に関連する眼の病状に対して使用でき、かつ治療用産物は、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)であり;(3)バッテン病CLN3に関連する眼の病状に対して使用でき、かつ治療用産物は、Battenin(CLN3)であり;(4)バッテン病CLN6に関連する眼の病状に対して使用でき、かつ治療用産物は、CLN6膜貫通ERタンパク質(CLN6)であり、(5)バッテン病CLN7に関連する眼の病状に対して使用でき、かつ治療用産物は、主要ファシリテータースーパーファミリードメイン含有8(MFSD8)であり;ならびに(6)バッテン病CLN1に関連する眼の病状に対して使用でき、かつ治療用産物は、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)である。
【0186】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子によってコードされるHuPTMFabVEGFi、例えば、HuGlyFabVEGFiとしては、限定はされないが、ベバシズマブなどの、VEGFに結合する抗体の抗原結合フラグメント;ラニビズマブなどの抗VEGF Fab部位;またはFabドメインに追加のグリコシル化部位を含めるために操作された、かかるベバシズマブもしくはラニビズマブFab部位が挙げられる(例えば、完全長抗体のFabドメインで過剰グリコシル化されたベバシズマブの誘導体を説明している、Courtois et al.,2016,mAbs 8:99-112を参照されたく、この文献は、その全体が参照により本明細書に援用される)。
【0187】
特定の実施形態では、本明細書で提供するベクターは、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子をコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、網膜細胞における発現のための適切な発現制御要素によって制御される。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、軽鎖及び重鎖cDNA配列(それぞれ、配列番号10及び11)のベバシズマブFab部分を含む。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、ラニビズマブ軽鎖及び重鎖cDNA配列(それぞれ、配列番号12及び13)を含む。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、それぞれ、配列番号3及び4の軽鎖及び重鎖を含むベバシズマブFabをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号3に記載されている配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、910%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号4に記載されている配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、910%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号3に記載されている配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、910%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号4に記載されている配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、910%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、それぞれ、配列番号1及び2の軽鎖及び重鎖を含む過剰グリコシル化ラニビズマブをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号1に記載されている配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、910%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号2に記載されている配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、910%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号1に記載されている配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、910%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号2に記載されている配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、910%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗原結合フラグメントをコードする。
【0188】
特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、L118N(重鎖)、E195N(軽鎖)またはQ160NもしくはQ160S(軽鎖)の変異のうち1つ以上を伴う、配列番号3及び4の軽鎖及び重鎖を含む、過剰グリコシル化ベバシズマブFabをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、L118N(重鎖)、E195N(軽鎖)またはQ160NもしくはQ160S(軽鎖)の変異のうち1つ以上を伴う、配列番号1及び2の軽鎖及び重鎖を含む、過剰グリコシル化ラニビズマブをコードする。抗原結合フラグメント導入遺伝子cDNAの配列については、例えば、表1で確認することができる。特定の実施形態では、抗原結合フラグメント導入遺伝子cDNAの配列は、配列番号10及び11または配列番号12及び13のシグナル配列を、1つ以上のシグナル配列と置き換えることによって得られる。
【0189】
特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、抗原結合フラグメントをコードし、かつ6個のベバシズマブCDRのヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、抗原結合フラグメントをコードし、かつ6個のラニビズマブCDRのヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、ラニビズマブの重鎖CDR1~3(配列番号20、18、及び21)を含む重鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、ラニビズマブの軽鎖CDR1~3(配列番号14~16)を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、ベバシズマブの重鎖CDR1~3(配列番号17~19)を含む重鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、ベバシズマブの軽鎖CDR1~3(配列番号14~16)を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、ラニビズマブの重鎖CDR1~3(配列番号20、18、及び21)を含む重鎖可変領域、及びラニビズマブの軽鎖CDR1~3(配列番号14~16)を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、ベバシズマブの重鎖CDR1~3(配列番号17~19)を含む重鎖可変領域、及びベバシズマブの軽鎖CDR1~3(配列番号14~16)を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードする。
【0190】
特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードし、ここで、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の中の2番目のQ)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有していない。ある特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードし、ここで、軽鎖CDR1の8番目及び11番目のアミノ酸残基(すなわち、SASQDISNYLN(配列番号14)の中の2つのN)のそれぞれは、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、かつ軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の中の2番目のQ)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有していない。ある特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードし、ここで、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の中の2番目のQ)は、アセチル化されない。ある特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードし、ここで、軽鎖CDR1の8番目及び11番目のアミノ酸残基(すなわち、SASQDISNYLN(配列番号14)の中の2つのN)のそれぞれは、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、かつ軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の中の2番目のQ)は、アセチル化されない。好ましい実施形態では、本明細書に記載する化学修飾(複数可)または化学修飾(複数可)の欠如(場合によっては)は、質量分析によって決定される。
【0191】
特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号20、18、及び21の重鎖CDR1~3を含む重鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードし、ここで、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)の中のN)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有していない。ある特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号20、18、及び21の重鎖CDR1~3を含む重鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードし、ここで、重鎖CDR1の9番目のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のM)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、重鎖CDR2の3番目のアミノ酸残基(すなわち、WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号18)のN)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、かつ重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有していない。ある特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号20、18、及び21の重鎖CDR1~3を含む重鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードし、ここで、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)の中のN)は、アセチル化されない。ある特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号20、18、及び21の重鎖CDR1~3を含む重鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードし、ここで、重鎖CDR1の9番目のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のM)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、重鎖CDR2の3番目のアミノ酸残基(すなわち、WINTYTGEPTYAADFKR (配列番号18)のN)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、かつ重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)は、アセチル化されない。好ましい実施形態では、本明細書に記載する化学修飾(複数可)または化学修飾(複数可)の欠如(場合によっては)は、質量分析によって決定される。
【0192】
特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3を含む軽鎖可変領域、及び配列番号20、18、及び21の重鎖CDR1~3を含む重鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードし、ここで、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の中のQ)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有しておらず、かつ重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有していない。ある特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3を含む軽鎖可変領域、及び配列番号20、18、及び21の重鎖CDR1~3を含む重鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードし、ここで、(1)重鎖CDR1の9番目のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のM)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、重鎖CDR2の3番目のアミノ酸残基(すなわち、WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号18)のN)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、かつ重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有しておらず、さらに(2)軽鎖CDR1の8番目及び11番目のアミノ酸残基(すなわち、SASQDISNYLN(配列番号14)の中の2つのN)のそれぞれは、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、かつ軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の中の2番目のQ)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有していない。ある特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3を含む軽鎖可変領域、及び配列番号20、18、及び21の重鎖CDR1~3を含む重鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードし、ここで、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の中のQ)は、アセチル化されず、かつ重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)は、アセチル化されない。ある特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、配列番号20の重鎖CDR1を含み、ここで、(1)重鎖CDR1の9番目のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のM)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、重鎖CDR2の3番目のアミノ酸残基(すなわち、WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号18)のN)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、かつ重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)は、アセチル化されず、さらに(2)軽鎖CDR1の8番目及び11番目のアミノ酸残基(すなわち、SASQDISNYLN(配列番号14)の中の2つのN)のそれぞれは、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、かつ軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の中の2番目のQ)は、アセチル化されない。好ましい実施形態では、本明細書に記載する化学修飾(複数可)または化学修飾(複数可)の欠如(場合によっては)は、質量分析によって決定される。
【0193】
特定の態様では、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3ならびに配列番号20、18、及び21の重鎖CDR1~3を含む抗VEGF抗原結合フラグメント、ならびにかかる抗原VEGF抗原結合フラグメントをコードする導入遺伝子を本明細書で提供するが、ここで、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の中の2番目のQ)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有していない。ある特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3ならびに配列番号20、18、及び21の重鎖CDR1~3を含み、ここで、軽鎖CDR1の8番目及び11番目のアミノ酸残基(すなわち、SASQDISNYLN(配列番号14)の中の2つのN)のそれぞれは、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、かつ軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の中の2番目のQ)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有していない。ある特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3ならびに配列番号20、18、及び21の重鎖CDR1~3を含み、ここで、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の中の2番目のQ)は、アセチル化されない。ある特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3ならびに配列番号20、18、及び21の重鎖CDR1~3を含み、ここで、軽鎖CDR1の8番目及び11番目のアミノ酸残基(すなわち、SASQDISNYLN(配列番号14)の中の2つのN)のそれぞれは、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、かつ軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の中の2番目のQ)は、アセチル化されない。本明細書で提供する抗VEGF抗原結合フラグメント及び導入遺伝子は、本明細書に記載の本発明による任意の方法で使用することができる。好ましい実施形態では、本明細書に記載する化学修飾(複数可)または化学修飾(複数可)の欠如(場合によっては)は、質量分析によって決定される。
【0194】
特定の態様では、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3ならびに配列番号20、18、及び21の重鎖CDR1~3を含む抗VEGF抗原結合フラグメント、ならびにかかる抗原VEGF抗原結合フラグメントをコードする導入遺伝子を本明細書で提供するが、ここで、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)の中のN)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有していない。ある特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3ならびに配列番号20、18、及び21の重鎖CDR1~3を含み、ここで、重鎖CDR1の9番目のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のM)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、重鎖CDR2の3番目のアミノ酸残基(すなわち、WINTYTGEPTYAADFKR (配列番号18)のN)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、かつ重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有していない。ある特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3ならびに配列番号20、18、及び21の重鎖CDR1~3を含み、ここで、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)の中のN)は、アセチル化されない。ある特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3ならびに配列番号20、18、及び21の重鎖CDR1~3を含み、ここで、重鎖CDR1の9番目のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のM)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、重鎖CDR2の3番目のアミノ酸残基(すなわち、WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号18)のN)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、かつ重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)は、アセチル化されない。本明細書で提供する抗VEGF抗原結合フラグメント及び導入遺伝子は、本明細書に記載の本発明による任意の方法で使用することができる。好ましい実施形態では、本明細書に記載する化学修飾(複数可)または化学修飾(複数可)の欠如(場合によっては)は、質量分析によって決定される。
【0195】
特定の態様では、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3ならびに配列番号20、18、及び21の重鎖CDR1~3を含む抗VEGF抗原結合フラグメント、ならびにかかる抗原VEGF抗原結合フラグメントをコードする導入遺伝子を本明細書で提供するが、ここで、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有しておらず、かつ軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の中の2番目のQ)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有していない。ある特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3ならびに配列番号20、18、及び21の重鎖CDR1~3を含み、ここで、(1)重鎖CDR1の9番目のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のM)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、重鎖CDR2の3番目のアミノ酸残基(すなわち、WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号18)のN)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、かつ重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有しておらず、さらに(2)軽鎖CDR1の8番目及び11番目のアミノ酸残基(すなわち、SASQDISNYLN(配列番号14)の中の2つのN)のそれぞれは、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、かつ軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の中の2番目のQ)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有していない。ある特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3ならびに配列番号20、18、及び21の重鎖CDR1~3を含み、ここで、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)の中のN)は、アセチル化されず、かつ軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の中の2番目のQ)は、アセチル化されない。ある特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3ならびに配列番号20、18、及び21の重鎖CDR1~3を含み、ここで、(1)重鎖CDR1の9番目のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のM)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、重鎖CDR2の3番目のアミノ酸残基(すなわち、WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号18)のN)は、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、かつ重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)は、アセチル化されず、さらに(2)軽鎖CDR1の8番目及び11番目のアミノ酸残基(すなわち、SASQDISNYLN(配列番号14)の中の2つのN)のそれぞれは、酸化、アセチル化、脱アミド化、及びピログルタミル化(pyro Glu)の化学修飾のうち1つ以上を有し、かつ軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の中の2番目のQ)は、アセチル化されない。本明細書で提供する抗VEGF抗原結合フラグメント及び導入遺伝子は、本明細書に記載の本発明による任意の方法で使用することができる。好ましい実施形態では、本明細書に記載する化学修飾(複数可)または化学修飾(複数可)の欠如(場合によっては)は、質量分析によって決定される。
【表1】
【0196】
4.5 疾患
本明細書で提供する医薬組成物または参照医薬組成物(セクション4.1)は、nAMD(ウェット型AMD)、ドライ型AMD、網膜静脈閉塞症(RVO)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、糖尿病性網膜症(DR)またはバッテン病であると診断された対象に投与され得る。
【0197】
いくつかの実施形態において、nAMD(ウェット型AMD)、ドライ型AMD、網膜静脈閉塞症(RVO)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、糖尿病性網膜症(DR)またはバッテン病であると診断された対象を治療する方法を本明細書にて開示するが、この方法は、治療に有効な量の医薬組成物を脈絡膜上注入によって(例えば、マイクロニードルを備えたマイクロインジェクターなどの脈絡膜上薬物送達デバイスを介して)対象に投与することによるものである。
【0198】
いくつかの実施形態では、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの無水二塩基性リン酸ナトリウム、40.0mg/mL(4%w/v)のショ糖、及び任意選択で界面活性剤を含む医薬組成物の約2.5×1011GC/眼、約5×1011GC/眼、または約1.5×1012GC/眼の構築物IIを含有する医薬組成物が、脈絡膜上投与を介して患者に投与される。いくつかの実施形態では、患者は、糖尿病性網膜症を患っている。
【0199】
いくつかの実施形態では、10%w/vのショ糖を含む医薬組成物の約2.5×1011GC/眼、約5×1011GC/眼、または約1.5×1012GC/眼の構築物IIを含有する医薬組成物が、脈絡膜上投与を介して患者に投与される。いくつかの実施形態では、患者は、糖尿病性網膜症を患っている。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、240mOsm/kg以上の等張性/重量オスモル濃度を有する。
【0200】
いくつかの態様では、ムコ多糖症IVA型(MPS IVA)、ムコ多糖症I型(MPS I)、ムコ多糖症II型(MPS II)、家族性高コレステロール血症(FH)、ホモ接合性家族性高コレステロール血症(HoFH)、冠状動脈疾患、脳血管性疾患、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー及び散発性封入体筋炎、またはカリクレイン関連疾患であると診断されている対象の治療に適した医薬組成物または治療する方法を本明細書にて開示するするが、該方法は、治療に有効な量の医薬組成物を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、SCSに投与される。
【0201】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供する医薬組成物または参照医薬組成物(セクション4.1)は、(1)バッテン病CLN2であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がトリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)であり;(2)アッシャー症候群1型であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がミオシンVIIA(MYO7A)であり;(3)アッシャー症候群1型であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がカドヘリン関連23(CDH23)であり;(4)アッシャー症候群2型であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がプロトカドヘリン関連15(PCDH15)であり;(5)アッシャー症候群2型であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がウシェリン(USH2A)であり;(6)アッシャー症候群3型であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がクラリン1(CLRN1)であり;(7)シュタルガルト病であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がATP結合カセットサブファミリーAメンバー4(ABCA4)であり;(8)シュタルガルト病であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がELOVL脂肪酸エロンガーゼ4(ELOVL4)であり;(9)赤緑色色覚異常であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がLオプシン(OPN1LW)であり;(10)赤緑色色覚異常であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がMオプシン(OPN1MW)であり;(11)青錐体全色覚異常であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がMオプシン(OPN1MW)であり;(12)レーベル先天黒内障1(LCA1)であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がグアニル酸シクラーゼ2Dレチナール(GUCY2D)であり;(13)レーベル先天黒内障2(LCA2)であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がレチノイドイソメロヒドロラーゼRPE65(RPE65)であり;(14)レーベル先天黒内障4(LCA4)であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がアリール炭化水素受容体相互作用タンパク質様1(AIPL1)であり;(15)レーベル先天黒内障7(LCA7)であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物が錐体-ロッドホメオボックス(CRX)であり;(16)レーベル先天黒内障8(LCA8)であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がクラム細胞極性複合体成分1(CRB1)であり;(17)レーベル先天黒内障9(LCA9)であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がニコチンアミドヌクレオチドアデニリルトランスフェラーゼ1(NMNAT1)であり;(18)レーベル先天黒内障10(LCA10)であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物が中心体タンパク質290(CEP290)であり;(19)レーベル先天黒内障11(LCA11)であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がイノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ1(IMPDH1)であり;(20)レーベル先天黒内障15(LCA15)であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がTubby類似タンパク質1(TULP1)であり;(21)LHONであると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がミトコンドリアにコードされたNADHデヒドロゲナーゼ4(MT-ND4)であり;(22)LHONであると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がミトコンドリアにコードされたNADHデヒドロゲナーゼ6(MT-ND6)であり;(23)脈絡膜欠損症であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がRabエスコートタンパク質1(CHM)であり;(24)X連鎖性網膜分離症(XLRS)であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がレチノスキシン(RS1)であり;(25)バルデー-ビードル症候群1であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がバルデー-ビードル症候群1(BBS1)であり;(26)バルデー-ビードル症候群6であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がマキュージック-コーフマン症候群1(MKKS)であり;(27)バルデー-ビードル症候群10であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がバルデー-ビードル症候群10(BBS10)であり;(28)錐体ジストロフィーであると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がグアニル酸シクラーゼ活性化因子1A(GUCA1A)であり;(29)視神経萎縮症であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がOPA1ミトコンドリアダイナミン様GTPase(OPA1)であり;(30)網膜色素変性症1であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がRP1軸糸微小管関連(RP1)であり;(31)網膜色素変性症2であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がARL3 GTPaseのRP2活性化因子(RP2)であり;(32)網膜色素変性症7であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がペリフェリン2(PRPH2)であり;(33)網膜色素変性症11であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がmRNA前駆体プロセシング因子31(PRPF31)であり;(34)網膜色素変性症13であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がmRNA前駆体プロセシング因子8(PRPF8)であり;(35)網膜色素変性症37であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物が核受容体サブファミリー2グループEメンバー3(NR2E3)であり;(36)網膜色素変性症38であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がMER癌原遺伝子チロシンキナーゼ(MERTK)であり;(37)網膜色素変性症40であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がホスホジエステラーゼ6B(PDE6B)であり;(38)網膜色素変性症41であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がプロミニン1(PROM1)であり;(39)網膜色素変性症56であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物が光受容体間マトリックスプロテオグリカン2(IMPG2)であり;(40)網膜色素変性症62であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物が男性生殖細胞関連キナーゼ(MAK)であり;(41)網膜色素変性症80であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物が鞭毛内輸送140(IFT140)であり;または(42)ベスト病であると診断された対象に投与され得、かつ治療用産物がベストロフィン1(BEST1)である。
【0202】
4.6 アッセイ
当業者は、本明細書に記載の及び/または当技術分野で公知のアッセイを使用して、本明細書に記載の組成物及び方法を試験する、例えば、本明細書で提供する製剤を試験することができる。セクション5に詳細を記載されているように、以下のアッセイもまた本明細書で提供する。
【0203】
4.6.1 超音波Bスキャン
高周波超音波(U/S)プローブ(UBM Plus;Accutome,Malvern,PA,USA)を使用して、様々なレベルのAAV凝集の異なる容量を注入した後、ex vivoでの動物の眼内のSCSの2D断面画像を作成することによってSCSの厚さを測定することができる。異なる量のAAV凝集を注入することができる。U/Sプローブカバー(Clearscan,Eye-Surgical-Instruments,Plymouth,MN)を、UBM Plusに取り付けて、U/S画像取得を促進することが可能である。U/Sプローブを使用して、眼の周囲の矢状方向視点(例えば、8つの矢状方向視点)を取得することができる。U/S Bスキャンの後処理を実施して、強膜の外側から網膜の内側の厚さ、例えば、強膜岬の後方1、5、及び9mmの厚さを見つけることができる。各眼の平均、中央値、及び標準偏差を計算することができる。
【0204】
4.6.2 液体の体積に基づくSCSの厚さの測定
3Dクライオ再構成イメージングを使用して、SCSの厚さを測定することができる。例えば、赤色蛍光粒子を含有する25μL~500μLを注入された動物の眼は、注入後数分(例えば、3~5分)で凍結し、凍結切片作成向けに準備される。デジタルカメラを使用することで、クライオスタットを用いて試料をスライスすることによって、組織の凍結ブロックの1個の赤色蛍光画像を300μmごとに取得することができる。赤色蛍光画像を含む画像スタックを分析して、SCSの厚さを測定する。
【0205】
4.6.3 製剤に基づくSCSの厚さの測定
U/S Bスキャンを使用して、様々なレベルのAAV凝集を含む医薬組成物を動物のSCSへ注入した後、SCSの厚さを測定することができる。高周波超音波Bスキャンを使用して、SCSの崩壊率を決定することができる。毛様体扁平部の8つの矢状方向視点、(a)注射部位の上鼻側、(b)上方、(c)鼻側、(d)上耳側、(e)耳側、(f)下耳側、(g)下方、及び(h)下鼻側を取得することができる。
【0206】
SCSの厚さを測定するために、オフラインの後処理を、U/S視点で実施することができる。U/Sプローブの最小軸分解能は15μmとすることができる。U/S視点ごとに、強膜岬の後方及び強膜に対して垂直な5mmの線分を作成することができる。線は、強膜の外側表面から始まり、網膜の内側表面に至るものであり得る。確実に線を垂直とするために、強膜及び網脈絡膜を測定に含めてもよい。次に、SCSの厚さを、測定された線の長さから組織の厚さを減算して計算する。曲線適合を実施して、SCSの崩壊率を決定する。
【0207】
U/S Bスキャンを使用して、複数個所における経時的なSCSの厚さを測定することができ、かつSCSの崩壊率を計算することができる。注入した蛍光材料のSCSからのおおよそのクリアランス時間は、蛍光が検出されなくなるまで、経時的に(例えば、様々な時点で)in vivoでの動物の眼の蛍光眼底画像を撮像することによって確認することができる。
【0208】
4.6.4 眼底画像によるSCSクリアランス動態
SCS内の移動に関するAAV凝集の影響を試験するために、様々なAAV凝集レベルを含み、フルオレセインを含有する異なる医薬組成物を、SCSに注入することができる。注入した蛍光材料のSCSからのおおよそのクリアランス速度またはクリアランス時間は、経時的にin vivoでの動物の眼の蛍光眼底画像を撮像することによって確認することができる。場合によっては、クリアランス速度は、経時的な総蛍光シグナルの正規化された濃度から導出される曲線適合を使用して計算された総クリアランス時間及びクリアランス時間定数(tclearance)を特定することによって決定することができる。眼を拡張させるために、トロピカミド及びフェニレフリン(Akorn,Lake Forest,IL)などの局所点眼薬を各イメージングセッションの前に投与することができる。130°レンズアタッチメント及びビルトイン蛍光眼底血管撮影モジュールを備えたRetCam II(Clarity Medical Systems,Pleasanton,CA)を使用して、画像を取得することができる。RetCam IIからの青色光出力を、例えば、0.0009、1.6、及び2.4W/mに設定して複数の画像を撮像することができる。眼球の内側表面全体を取り込もうとする場合、9つの画像:中心、上鼻側、上方、上耳側、耳側、下耳側、下方、下鼻側、及び鼻側を取り込むことができる。これにより、遠位周辺部へのイメージングが可能になる。イメージングは、注入の直後、注入の1時間後、注入後3時間ごとに12時間、及び注入後2日ごとに行うことができる。注入後の最初の時点、つまり、蛍光が視覚的観察で検出されなくなる時点と定義され得る総クリアランス時間を、注入された全ての眼で測定する。フルオレセインイソチオシアネート結合AAV(FITC-AAV)、またはFITC結合AAVカプシドタンパク質特異的モノクローナル抗体を類似の実験で使用して、SCS内のAAV粒子の移動及びクリアランスを追跡することができる。AAVの蛍光標識の方法は、当技術分野において既知である(Shi,et al.Sci.Adv.2020;6:eaaz3621;及びTsui,T.Y.,et al.Hepatology 42,335-342(2005))。多数のAAV血清型を認識する抗体(FITC Conjugated)が市販されている。
【0209】
4.6.5 2Dの周辺への拡散の特性を決定するフラットマウント
フルオレセインまたは蛍光標識されたAAVを含有する本開示の医薬組成物を、SCSに注入する。SCS注入及び凍結処理後、粒子及びフルオレセインの2D拡散を評価するために、眼を整えることができる。縁から後極に向かって凍結した眼をスライスして、等距離の強膜フラップを作成する。得られた強膜フラップを開き、凍結した硝子体液、レンズ、及び房水を取り除く。
【0210】
100mmレンズ(Canon)を備えたデジタルSLRカメラ(Canon 60D,Canon,Melville,N.Y.)を使用して、明視野画像及び蛍光画像を取得することができる。カメラパラメーターを一定に保つ。フルオレセイン拡散の領域を取得するために、緑色光学バンドパスフィルター(520±10nm;Edmunds Optics,Barrington,N.J.)をレンズに設置することができ、かつ多色LEDバルブのバイオレット設定のランプによって試料に照明を当てることができる(S Series RGB MR16/E26. HitLights,Baton Rouge,La.)。赤色蛍光粒子の位置を視覚化するために、赤色フィルター(610±10nm;Edmunds Optics)をレンズに設置することができ、かつ同じランプを緑色の光に変えて試料に照明を当てることができる。各眼の閾値を超える緑色及び赤色蛍光の面積は、ImageJ(National Institutes of Health,Bethesda,Md.)を使用して算出することができる。閾値は、バックグラウンドシグナルの目視検査に基づいて手動で設定することができる。
【0211】
4.6.6 眼圧測定
圧力測定システムを使用して、SCS注入後のSCS内の圧力を測定することができる。ケタミン/キシラジンカクテルの皮下注射によって動物に末期的に麻酔をかけることができる。SCS注入後(N=4)、SCS内の圧力は、数分ごとに測定することができる。注入前の元のベースライン値(つまり約15mmHg)に達するまで、圧力をモニタリングする。測定後、動物に致死量のペントバルビタールを静脈内注射することによって安楽死させる。動物の死後、SCS注入の2番目のセットを行うことができる。死後の測定では、注入が行われた組織空間(すなわち、SCS)でのみ圧力を測定する。
【0212】
4.6.7 温度ストレスアッセイ
温度ストレス開発安定性試験を、1.0×1012GC/mLで、37℃、4日間にわたって実施して、本明細書で提供する製剤の相対的安定性を評価することができる。安定性を評価するために使用され得るアッセイとしては、in vitro相対力価(IVRP)、ベクターゲノム濃度(ddPCRによるVGC)、染料蛍光による遊離DNA、動的光散乱法、外観、及びpHが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で提供する製剤において-80℃(≦-60℃)及び-20℃(-25℃~-15℃)でin-vitro相対力価及びその他の品質が維持されることを実証するために、長期間の開発安定性試験を12ヶ月間行う場合がある。
【0213】
4.6.8 in vitro相対力価(IVRP)アッセイ
ddPCR GC力価を遺伝子発現に関連付けるために、HEK293細胞を形質導入し、細胞培養上清を抗VEGF Fabタンパク質レベルについてアッセイすることにより、in vitroバイオアッセイを実施してもよい。HEK293細胞を3枚のポリ-D-リジンでコーティングした96ウェル組織培養プレートに一晩プレーティングする。次いで、細胞を野生型ヒトAd5ウイルスに事前感染させた後、AAVベクター参照標準及び被験物質の3つの独立して調製した段階希釈液で形質導入し、各調製物を別々のプレートの異なる位置にプレーティングする。形質導入の3日後に、細胞培養培地をプレートから回収し、ELISAを介してVEGF結合Fabタンパク質レベルを測定する。ELISAの場合、VEGFでコーティングされた96ウェルELISAプレートをブロックし、次いで回収した細胞培養培地と共にインキュベートして、HEK293細胞によって産生された抗VEGF Fabを捕捉する。Fab特異的抗ヒトIgG抗体を使用して、VEGFで捕捉されたFabタンパク質を検出する。洗浄後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)基質溶液を添加し、発色させ、停止緩衝液で停止させ、プレートリーダーでプレートを読み取る。HRP産物の吸光度またはODを対数希釈に対してプロットし、各被験物質の相対力価を、平行類似性試験に合格した後の4パラメーターロジスティック回帰モデルでフィッティングした同じプレート上の参照標準に対して、式:EC50参照÷EC50被験物質を使用して計算する。被験物質の力価は、3枚のプレートの加重平均から計算した、参照標準力価の割合として報告される。
【0214】
ddPCR GC力価を機能的遺伝子発現に関連付けるために、HEK293細胞に形質導入し、導入遺伝子(酵素など)の活性をアッセイすることにより、in vitroバイオアッセイを実施してもよい。HEK293細胞を、3枚の96ウェル組織培養プレートに一晩プレーティングする。次いで、細胞を野生型ヒトアデノウイルス血清型5型ウイルスに事前感染させた後、酵素参照標準と被験物質の3つの独立して調製した段階希釈液で形質導入し、各調製物を別々のプレートの異なる位置にプレーティングする。形質導入の2日後に、細胞を溶解し、低pHで処理して酵素を活性化し、導入遺伝子(酵素)による切断時に蛍光シグナルを増加させるペプチド基質を使用して酵素活性をアッセイする。RFUの蛍光を対数希釈に対してプロットし、各被験物質の相対力価を、平行類似性試験に合格した後の4パラメーターロジスティック回帰モデルでフィッティングした同じプレート上の参照標準に対して、式:EC50参照÷EC50被験物質を使用して計算する。被験物質の力価は、3枚のプレートの加重平均から計算した、参照標準力価の割合として報告される。
【0215】
4.6.9 ベクターゲノム濃度アッセイ
ddPCRを使用して、ベクターゲノム濃度(GC)を評価することもできる。注入後、異なる時点で、何匹かのマウスを屠殺し、眼組織に対して、総DNA抽出及びベクターコピー数のddPCRアッセイを行う。一連の時点での種々の組織切片で識別された組織1グラム当たりのベクターゲノム(導入遺伝子)のコピーにより、眼内のAAVの拡散が明らかとなるであろう。
【0216】
採取した眼組織切片からの総DNAを、DNeasy Blood & Tissue Kitを用いて抽出し、かつNanodrop分光光度計を使用してDNA濃度を測定する。組織切片中のベクターコピー数を決定するために、Naica Crystal Digital PCRシステム(Stilla technologies)を用いてデジタルPCRを実行した。この際、導入遺伝子AAV及び内因性コントロール遺伝子を同時に測定するために、2色多重システムを適用した。手短に言えば、FAM(6-カルボキシフルオレスセイン)染料で導入遺伝子プローブを標識することができ、それと同時に、VIC蛍光染料で内因性コントロールプローブを標識することができる。二倍体細胞当たりの特定の組織切片に送達されたベクターのコピー数は、(ベクターコピー数)/(内因性コントロール)×2と計算する。RPE細胞などの特定の細胞型のベクターコピーは、網膜への持続的な送達を明らかにする可能性がある。
【0217】
4.6.10 染料蛍光アッセイを使用した遊離DNA分析
DNAに結合したSYBR(登録商標)Gold核酸ゲル染色(「SYBR Gold色素」)の蛍光によって、遊離DNAを測定することができる。マイクロプレートリーダーを使用して蛍光を測定し、DNA標準で定量することができる。ng/μLでの結果を報告することができる。
【0218】
測定したng/μLでの遊離DNAを、遊離DNAの割合に変換するために、2つのアプローチを使用して総DNAを推定することができる。第1のアプローチでは、UV-可視分光法によって測定したGC/mL(OD)を使用して、試料中の総DNAを推定した(式中、MはDNAの分子量、1E6は単位変換係数である):
【0219】
推定総DNA(ng/μL)=1E6×GC/mL(OD)×M(g/mol)/6.02E23
【0220】
第2のアプローチでは、試料を0.05%ポロキサマー188と共に85℃に20分間加熱することができ、加熱した試料中でSYBR Gold色素アッセイによって測定した実際のDNAを総量として使用することができる。したがって、これは全てのDNAを回収し、定量化したという仮定を有する。トレンド分析には、生のng/μLを使用することができ、または一貫した方法で測定した割合を使用することができる。
【0221】
4.6.11 サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
SECは、Waters Acquity Arc機器ID0447(C3PO)で、パス長25mmのフローセルを用いて、Sepax SRT SEC-1000ピークカラム(PN215950P-4630、SN:8A11982、LN:BT090、5μm 1000A、4.6×300mm)を使用して実施することができる。移動相は、例えば、20mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、0.005%ポロキサマー188、pH6.5とすることができ、流速は0.35mL/分で20分間、カラムは周囲温度とする。データ収集は、2ポイント/秒のサンプリングレートと1.2nmの解像度で実施することができ、214、260、及び280nmで25ポイントの平均平滑化を行う。理想的な標的負荷は1.5E11GCであり得る。試料には、理想的な標的の約1/3である50μLを注入するか、5μLを注入することができる。
【0222】
4.6.12 動的光散乱(DLS)アッセイ
動的光散乱(DLS)は、試料量30μLのCorning3540 384ウェルプレートを使用してWyatt DynaProIIIで実施することができる。反復ごとに10秒間にそれぞれ10回の取得結果を取得することができ、試料ごとに3回の反復測定を実施することができる。溶媒は、例えば、dPBS中のAAVベクターの場合は「PBS」といったように、試料に使用される溶媒に応じて設定することができる。データ品質基準(ベースライン、SOS、ノイズ、適合)を満たさない結果を「マーク」して、分析から除外することができる。
【0223】
4.6.13 粘度測定
粘度は、当技術分野で公知の方法、例えば、2019年に公開されたUnited States Pharmacopeia(USP)及びそれ以前のバージョン(その全体が参照により本明細書に援用される)で提供されている方法を使用して測定することができる。低剪断での粘度を、細管粘度計を使用して、USP<911>に記載されている方法を使用して測定した。
【0224】
粘度対剪断速度は、円錐-平板型回転検流計を使用して測定することができる。流動測定についてはUnited States Pharmacopeia(USP)USP<1911>に記載されており、回転粘度測定についてはUSP<912>に記載されている。回転流動測定粘度測定値は、60mm、1°の角度のアルミニウム円錐付属品を備えたPeltier温度制御プレートを装着したAR-G2検流計(TA Instruments,New Castle,DE)によって収集することができる。粘度対剪断速度のスイープを、基本値の10倍ごとに5つのポイントが収集される状態で、<0.3s-1から開始して最大5000s-1まで上昇させて行うことができる。粘度対剪断速度を20℃で収集した。10,000及び20,000s-1での粘度を、データから外挿した。場合によっては、0、0.1s-1、1s-1、1000s-1、5000s-1、10,000s-1、20,000s-1、または20,000s-1超で、医薬組成物または参照医薬組成物の粘度を測定することができる。
【0225】
4.6.14 ウイルス感染力アッセイ
Francois,et al. Molecular Therapy Methods & Clinical Development(2018)Vol.10,pp.223-236(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているようにTCID50感染力価アッセイを使用することができる。2018年10月15日に提出された仮出願第62/745859号に記載されている相対感染力アッセイを使用することができる。
【0226】
4.6.15 示差走査蛍光定量法
タンパク質及びタンパク質で構成されるウイルスカプシドの熱安定性は、示差走査蛍光定量法(DSF)によって特定することができる。DSFは、温度の関数としてのタンパク質の内在性トリプトファン及びチロシンの放出を測定する。Trp及びTyr残基の局所環境は、タンパク質が展開するにつれて変化し、その結果、蛍光が大幅に増加する。タンパク質の50%が展開する温度が、融解温度(T)と定義されている。蛍光分光法については、USP<853>及びUSP<1853>に記載されている。
【0227】
Promethius NTPlex Nano DSF Instrument(NanoTemper technologies,Munich,Germany)を使用して、DSFデータを収集することができる。試料を20℃でキャピラリーセルに置き、温度を1℃/分の速度で95℃まで上昇させることができる。350nm(展開)及び330nm(展開)での発光のシグナル出力比を使用して、Tを決定することができる。
【0228】
4.6.16 注入圧力測定
Flow Screen及びFluid Sensor(Viscotec America,Kennesaw,GA)または使い捨て圧力センサーS-N-000を備えたPressureMAT-DPG(PendoTECH,Princeton,NJ)を使用して、注入圧力を測定した。
【0229】
均一な流量を適用するために、空気への注入を手動で行うか、またはLegato-100シリンジポンプ(Kd Scientific,Holliston,MA)を使用して行った。摘出したブタの眼への注入では、眼の眼圧を調節するために吸引を適用して、眼をMandellアイマウント(Mastel)上に取り付けた。
【0230】
4.6.17 参照組成物
本明細書で提供する組成物のAAV凝集レベルは、組成物と参照医薬組成物とを比較することによって評価することができる。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、リン酸緩衝生理食塩水中で評価される組成物と同じ組換えAAVを同じ濃度で含む医薬組成物である。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、0.001%ポロキサマー188を含み、pH7.4のダルベッコリン酸緩衝生理食塩水中で評価される組成物と同じ組換えAAVを同じ濃度で含む医薬組成物である。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、4%ショ糖及び0.001%ポロキサマー188を含み、pH7.4のダルベッコリン酸緩衝生理食塩水中で評価される組成物と同じ組換えAAVを同じ濃度で含む医薬組成物である。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、リン酸緩衝10%ショ糖希釈液中で評価される組成物と同じ組換えAAVを同じ濃度で含む医薬組成物である。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、4%ショ糖を含む改質DPBS製剤中で評価される組成物と同じ組換えAAVを同じ濃度で含む医薬組成物である。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、0.001%P188を含むDPBS生理食塩水中で評価される組成物と同じ組換えAAVを同じ濃度で含む医薬組成物である。
【実施例
【0231】
5.実施例
このセクション(すなわち、セクション5)の実施例は、例示として提示するものであり、限定するために示すものではない。
【0232】
5.1 実施例1:AAVのクラスター形成を誘導するのに適した希釈液の調製
導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、AAV8-antiVEGFfabまたは構築物II)を含有するショ糖を含む改質DPBS溶液(表2)を、リン酸緩衝10%ショ糖希釈液(表3)で希釈して、より低いイオン強度溶液を得た。リン酸緩衝10%ショ糖希釈液は、改質DPBSと同じ賦形剤及び緩衝能を有するが、所望の範囲の等張性/重量オスモル濃度(240mOsm/kg以上)に維持しながら、イオン性賦形剤の塩化ナトリウムを減らし、非イオン性賦形剤のショ糖を増やしてイオン強度を低下させる。ショ糖を含む改質DPBS及びリン酸緩衝10%ショ糖希釈液の特性の概要については表4に示す。
【表2】
【表3】
【表4】
【0233】
5.2 実施例2:AAVクラスター形成
本実施例では、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含有する対照溶液を使用した。手短に言えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、AAV8-antiVEGFfabまたは構築物II)を含有するショ糖を含む改質DPBS溶液(表2)を、リン酸緩衝10%ショ糖希釈液(表3)で希釈して、より低いイオン強度及び塩類含有量を有するAAV溶液を得た(図1)。希釈により、2倍、4倍、または8倍希釈AAV溶液を得た。
【0234】
次に、対照溶液中、及び2倍、4倍、または8倍希釈溶液中のAAVの分子直径(nm)を測定した。本実験により、イオン強度が低下するにつれて、AAVの分子直径(nm)が増大することが明らかとなった(図4及び図5)。この結果は、AAV溶液のイオン強度が低下するにつれて、AAVが凝集したという事実と相互に関連する(図3A~3B)。本実験により、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含有する液体医薬組成物を、減少させたイオン性賦形剤塩化ナトリウムの溶液の存在下で希釈して、AAVクラスター形成を誘導できることが明らかとなった(図2及び図3A~3B)。クラスターは、25℃で少なくとも21時間、安定であった。表5は<25mMの塩化ナトリウム(<51mMのイオン強度に相当)への希釈により、2.6nmの平均(平均直径)サイズの増加を伴うAAVクラスター形成が誘導され、かつ12.5mMの塩化ナトリウム(<38mMのイオン強度に相当)への希釈により、さらに大きなクラスター形成、及び6.5nmの平均サイズの増加がもたらされた(表5の試料A4及びA5を参照されたい)。
【0235】
さらに、本実験により、AAVの分子直径及び凝集が可逆的であることが明らかとなった。約21時間後、NaClを含有する溶液(例えば、1モル生理食塩水逆転溶液、図4)を、AAV対照溶液に、及び2倍、4倍、または8倍希釈溶液に加え、150mM以上のイオン強度を得た(図6)。NaClを加えてから、約5時間、AAVクラスターの逆転をモニタリングした。データにより、NaCl溶液をAAV対照溶液に、ならびに2倍、4倍、及び8倍希釈溶液に加えた後、イオン強度が直ちに(5分未満で)増大することが明らかとなった(図4)。イオン強度の増大の結果としてAAVクラスターが可逆的であることが明らかとなった(図4及び図6)。したがって、AAVカプシドの構造及び機能は、誘導されたクラスター形成によって不可逆的に変化することはない。データにより、イオン強度に基づいてAAV凝集が可逆的であり、かつ凝集AAVを含有する溶液の脈絡膜上投与により、体液(例えば、眼液またはSCS液)と接触すると、AAVが脱凝集し始めるか、または凝集が少なくなり得ることが明らかとなった。
【0236】
クラスター形成したAAVを含有する溶液は、対象の眼の脈絡膜上腔に投与することができ、その結果、注入部位における局在化時間が増加し(図1)、それにより、クリアランス速度及び全体的なクリアランス時間が遅くなる。脈絡膜上腔におけるin vivoでのボーラス/ブレブ溶液組成物交換の実際の速度を遅くすることができるため、注入部位におけるクラスターの持続時間を延長し、それにより有効性を増大させることができる。クラスター形成したAAVを含有する溶液の投与により、SCSからのAAVのクリアランス時間を遅延させ、かつAAVが注入部位に留まる期間を延長させることができる。AAVの凝集により、一定期間にわたるSCSにおけるAAV粒子の徐放が可能になる。
【表5】
【0237】
5.3 実施例3:最適化したin vitro試験
AAVのショ糖を含む改質DPBS中及び10倍希釈溶液中の導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、AAV8-antiVEGFfab、または構築物II)の加重平均見かけ直径をキュムラント動的光散乱法(DLS)によって特定した(図7)。ショ糖を含む改質DPBS溶液中のAAVを、リン酸緩衝10%ショ糖希釈液を加えることによって10倍に希釈した(表4)。本実験はまた、10倍希釈溶液をNaClでスパイクした(例えば、0.001%P188を含むDPBS生理食塩水逆転溶液を10倍希釈溶液に加えることによる)後の加重平均見せかけ直径も試験した(表4及び図7)。
【0238】
次に、クラスターのサイズを25℃で45分間評価し、投与準備処置(例えば、脈絡膜上投与)をシミュレートした。温度を37℃まで昇温させて、投与後の温度上昇をシミュレートし(例えば、体温と相関させるために)、かつクラスターのサイズを、合計87分間モニタリングした。塩(塩化ナトリウム)レベル、イオン強度、重量オスモル濃度、平均キュムラント径、ddPCRによるベクターゲノム濃度、及び試料のin vitro効力の影響を表6に示す。本実験により、ショ糖を含む対照改質DPBS中のAAVと比較して、10倍希釈溶液(リン酸緩衝10%ショ糖希釈液で希釈した)中のAAVの場合、直径が約5nm増加することが明らかとなった(表6中の試料1及び試料2の平均キュムラント径を参照)。このAAVの直径の増加は、脈絡膜上投与後の注入部位におけるAAVの持続時間に影響を与え、ゆえに治療の有効性を高める可能性がある。重量オスモル濃度で測定した際の10倍希釈溶液の等張性は、357mOsm/kgであり、かつ脈絡膜上腔への投与に対して許容可能な範囲内(240<重量オスモル濃度<600mOsm/kg)であった(表6の試料2を参照)。本実験により、10倍希釈溶液(リン酸緩衝10%ショ糖希釈液で希釈した)と、ショ糖を含む対照改質DPBSとの間でベクターゲノム濃度に著しい低下は観察されなかったことが明らかとなった(表6の試料1及び試料2のベクターゲノム濃度を参照)。加えて、試料間の効力は著しく低下しないことが予想される(データは示さず)。このデータは、AAVの凝集またはクラスター形成がAAVの効力を低下させることを予測しているこれまでに公開されている文献(Wright et. al.,2005)と矛盾する。
【0239】
本実験により明らかとなったAAVクラスター形成が効力に影響を与えないという事実は、予想外であった。本実験により、短時間での誘導されたAAVクラスター形成が可逆的であるため、効力の不可逆的損失をもたらさないことが明らかとなった。ゆえに、AAV溶液を希釈することで、脈絡膜上投与の直前にクラスター形成を誘導することができる(図1)。例えば、AAV溶液を希釈して、脈絡膜上投与と同日(または脈絡膜上投与の約21時間前)にAAVクラスター形成を誘導することができる。あるいは、クラスター形成したAAVを含有する希釈溶液を、将来の使用のために(例えば、急速冷凍で、または室温で、または20℃で、または4℃で、または-80℃で)保管できる。
【0240】
場合によっては、あるバイアルでAAV溶液、及び別のバイアルで希釈溶液が、開業医に提供される。その後、開業医は、明記されている容量の希釈液をAAV溶液に加えることによって(例えば、10倍希釈液を得るために)投与の準備を行うことができる。例えば、3×1013GC/mLの50μLのAAV溶液を、450μLのリン酸緩衝10%ショ糖希釈液で3×1012GC/mLに10倍希釈して、クラスター形成を誘導することができ、次いで、100μLの10倍希釈AAV溶液を、1眼当たり3×1011GCの総用量で脈絡膜上腔に投与することができる。最終的な投与準備容量及び用量は、前臨床及び臨床研究に基づいて変化し得る。あるいは、凝集AAVを含有する希釈AAV溶液(例えば、10倍希釈液)は、直接使用向けに1つのバイアルで開業医に提供され得る。このように、開業医が使用前にAAV溶液を希釈液と混合する必要はない。
【表6】
【0241】
AAVクラスター形成に対する閾値、希釈液のイオン強度、及び希釈比は、他のAAV(例えば、AAV2及びAAV9)についても類似の方式で最適化することができる。例えば、クラスター形成を阻止する場合のAAV8閾値は、約60mMのイオン強度であった。本実験により、好適な誘導されるクラスター形成の投与準備は、ショ糖を含む改質DPBS(イオン強度=126mM)中のAAVを、リン酸緩衝ショ糖(イオン強度=26mM)で希釈(10倍)して、約36mMのイオン強度(AAVクラスター形成を阻止する場合に必要な閾値イオン強度(すなわち60mM)のおよそ半分から3分の2)にすることによって実現できることが明らかとなった。AAV9の場合、誘導されるクラスター形成に対する確固たる目標は、クラスター形成を阻止する場合のAAV9の30mMの閾値の半分から3分の2であり、これは約15mM~20mMのイオン強度である。したがって、AAV9の場合、AAV8よりも、より低いイオン強度が望ましい場合がある。これを達成するための一方法は、リン酸塩緩衝液10%ショ糖希釈液の緩衝液含量を5分の1に減らして、イオン強度を26mMから5.2mMに低下させることである。したがって、5.2mMのイオン強度希釈液によるAAV溶液(イオン強度=126mM)の10倍希釈により、必要なクラスター形成閾値を下回る約17mMの総イオン強度の溶液が得られる。同様に、AAV2のクラスター形成は、そのイオン強度を低下させることによって実現することができる。AAV2が200mM~600mMのイオン強度で製剤化されていると仮定すると、リン酸緩衝10%ショ糖による10倍希釈により、クラスター形成に対する閾値を著しく下回る43mM~83mMのイオン強度が得られる。
【0242】
異なる希釈比及び/または異なる希釈液を使用して所望の臨床クラスター形成投与準備(例えば、特定のクラスター形成閾値の半分から3分の2のイオン強度)を実現することができる。AAV8の場合、クラスター形成閾値は、約60mMであるため、<40mMの溶液目標を、クラスター形成の誘導に用いることができる。AAV9の場合、閾値は、約30mMであるため、<20mMのイオン強度の溶液目標を、クラスター形成の誘導に用いることができる。AAV2の場合、クラスター形成に対する閾値は、200mMであるため、<133mMの溶液目標を、クラスター形成の誘導に用いることができる。
【0243】
5.4 実施例4:血管新生加齢性黄斑変性(nAMD)を患う被験者の脈絡膜上腔に施される遺伝子治療
5.4.1 試験の概要:
本実施例は、血管新生(ウェット型)加齢性黄斑変性(nAMD)を患う患者に対する遺伝子治療に関する。本実施例では、可溶性抗VEGF Fabタンパク質のコード配列を持つ構築物IIまたは複製欠損アデノ随伴ウイルス8(AAV8)を、異なるAAV凝集レベルを有する異なる溶液または異なるイオン強度(低いイオン強度から非常に高いイオン強度までの範囲)を有する異なる溶液を使用して、nAMDを患う患者に投与する。遺伝子治療の目標は、網膜変性の進行を遅らせるか、または防ぐことであり、かつ最小限の介入/侵襲的な処置で視力低下を遅らせるか、または防ぐことである。現在の抗VEGF療法は、ウェット型AMDの治療の状況を大きく変え、大多数の患者の視力喪失の進行を防ぐ能力があるため、標準治療となりつつある。しかし、これらの療法には、有効性を維持するために、典型的には、4~12週間ごとの頻度で繰り返される生涯にわたる眼内注入が必要である。治療の負担に起因して、患者はしばしば、時間の経過とともに治療の頻度が減り、視力の低下を経験する。脈絡膜上腔に施される遺伝子治療は、ウェット型AMDまたは任意のその他の眼疾患に対する潜在的な1回限りの治療として開発されている。
【0244】
試験の詳細な説明:この用量漸増試験は、nAMDを患う被験者における構築物IIまたはAAV8-抗VEGF-ab遺伝子治療の有効性、安全性、及び忍容性を評価するように設計されている。有効性は、試験の主な焦点である。試験の全体を通して、構築物IIまたはAAV8-抗VEGF-abの安全性及び忍容性について、被験者を評価する。選択/除外基準を満たすおよそ40人の被験者を、2つの用量コホートのうち1つにランダムに分ける。一部の被験者には、対照治療剤としてラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))を投与し、一部の被験者には、脈絡膜上腔(SCS)への単回注入を介して、構築物IIまたはAAV8-抗VEGF-abを投与し、さらに一部の被験者には、脈絡膜上腔(SCS)への2回の注入を介して構築物IIまたはAAV8-抗VEGF-abを投与する。本実施例を使用して、種々のAAV凝集レベルを有するか、または異なるイオン強度もしくは塩類含有量を有する異なる溶液中に存在する遺伝子療法剤を送達することができる。例えば、一部の溶液は、AAV凝集を有する場合があり、その一方で、他の溶液は、検出可能なレベルのAAV凝集を有していない場合がある。構築物IIまたはAAV8-抗VEGF-ab(または任意のその他の遺伝子療法剤)の有効性、安全性、及び忍容性もまた、送達溶液のAAV凝集またはイオン強度に関連して分析することができる。
【0245】
本試験の主要評価項目は、毎月(40週間の期間にわたって)、構築物IIまたはAAV8-抗VEGF-abに対する最大矯正視力(BCVA)の平均変化をラニビズマブと比較して評価することである。使用するスケールは、0~100の早期治療糖尿病性網膜症試験(ETDRS)文字スコアである(スコアが高いほど、視力が良好である)。
【0246】
本試験の副次評価項目には、1)52週間の期間にわたる眼及び非眼の有害事象(AE)及び重篤な有害事象(SAE)の発現率を検出することによる、構築物IIまたはAAV8-抗VEGF-abの安全性及び忍容性の評価;2)40週目及び52週目での蛍光眼底血管撮影(FA)に基づいてCNV病変サイズ及び漏出領域のベースラインからの平均変化を分析することによる、52週間の期間にわたる脈絡膜血管新生(CNV)病変の増殖及び漏出に対する構築物IIまたはAAV8-抗VEGF-abの効果の評価;3)52週目までのBCVAのベースラインからの平均変化を分析することによる、52週間の期間にわたるBCVAに対する構築物IIまたはAAV8-抗VEGF-abの効果の評価;4)40週目及び52週目までのスペクトル領域光干渉断層法(SD-OCT)により測定した際のCRTのベースラインからの平均変化を分析することによる、52週間の期間にわたる中心網膜厚さ(CRT)に対する構築物IIまたはAAV8-抗VEGF-abの効果の評価;及び5)52週間の期間にわたる構築物IIまたはAAV8-抗VEGF-ab治療を受ける参加者に対する補助的な抗血管内皮成長因子(VEGF)療法の必要性の評価(例えば、40週目及び52週目までの年率換算した補助的な抗VEGF注入率を確認することによる)が含まれる。
【0247】
5.4.2 適格基準:
本試験に以下の適格基準を適用する:
【0248】
最低年齢:50歳
【0249】
最高年齢:89歳
【0250】
性別:全て
【0251】
性別ベース:なし
【0252】
健康なボランティアの受け入れ:なし
【0253】
5.4.3 選択基準:
試験眼が加齢性黄斑変性(AMD)に続発する傍中心窩CNVと診断された≧50歳から≦89歳までの患者。
【0254】
参加者は、抗VEGF療法に対して有意な反応を示している必要がある。
【0255】
5.4.4 除外基準:
AMD以外のなんらかの原因に続発する試験眼のCNVまたは黄斑浮腫がある場合。
【0256】
試験眼の傍中心窩繊維症または萎縮がある場合。
【0257】
硝子体切除を以前に受けたことがある被験者。
【0258】
試験眼の視力(VA)改善を制限する可能性があると、治験責任医師が判断した任意の状態がある場合。
【0259】
試験眼における網膜剥離の活動性または既往がある場合。
【0260】
試験眼の緑内障が制御されない場合。
【0261】
なんらかの遺伝子治療を受けている場合。
【0262】
眼底の視覚化または試験眼のVA改善を妨げる状態、例えば、白内障、硝子体混濁、繊維症、萎縮、または中心窩の中心において網膜上皮裂離がある場合。
【0263】
試験眼に眼内手術の既往がある場合。
【0264】
2回目の訪問の30日以内になんらかの治験薬の投与を受けている場合。
【0265】
試験参加から6ヶ月以内に心筋梗塞、脳血管障害、または一過性虚血性発作があった場合。
【0266】
5.5 実施例5:動物モデルにおけるAAV(例えば、AAV8-antiVEGFfab)の脈絡膜上注入と網膜下注入との比較
5.5.1 試験の概要
AAV(例えば、可溶性抗VEGF Fabタンパク質のコード配列を持つ複製欠損アデノ随伴ウイルス8(AAV8))を含有する種々の医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)の脈絡膜上注入と網膜下注入とによって実現される発現を比較するために、以下の試験を行う。凝集AAVを有するかまたは低イオン強度もしくは塩類含有量を有する溶液中のAAV(例えば、AAV8-antiVEGFfab)の脈絡膜上注入が、AAV凝集を有していないか、または通常用いられるイオン強度及び塩類含有量を有する溶液中のAAVの網膜下注入または脈絡膜上注入による送達と比較して、眼におけるVEGF誘導漏出及び血管新生を低減できるかどうか、かつ抗VEGFを増加させることができるかどうかを測定するためにも、本実験を使用する。異なるAAV凝集レベルまたは異なるイオン強度または異なる塩濃度を有するいくつかの医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)を試験する。
【0267】
結果は、溶液のAAV凝集のレベルまたはイオン強度または塩類含有量が、脈絡膜上または網膜下にAAV-antiVEGFfabを注入された眼で検出されたantiVEGFfabに影響を及ぼし、網膜対脈絡膜中の抗VEGFタンパク質分布に影響を及ぼし、かつ中和VEGF誘導漏出及び血管新生に影響を及ぼすことを示している。antiVEGFfabタンパク質の濃度を、凝集AAVまたはより低いイオン強度またはより低い塩濃度(PBSと比較して、またはAAV網膜下注入に通常使用される溶液と比較して、または参照と比較して)を含む溶液の存在下で送達されたAAV-antiVEGFfabにより、参照溶液(例えば、DPBS、またはAAV網膜下注入に通常使用される溶液)の存在下で送達されるAAV-antiVEGFfabと比較して、溶液をSCSに注入した(脈絡膜上注入の)場合に、眼で検出されるantiVEGFfabのレベルが高くなることを実証すためにELISAによって測定する。また、本実験は、参照溶液中(例えば、AAV網膜下注入に通常使用される溶液、または凝集AAVを含んでいないか、または検出可能なAAV凝集レベルを含まない溶液)のAAV-antiVEGFfabの網膜下注入と比較して、AAV-antiVEGFfabを含有し、かつ凝集AAVまたはより低いイオン強度またはより低い塩濃度を含む溶液が脈絡膜上注入を介して注入された場合に、より高いレベルのantiVEGFfabが眼で検出されることを示している。また、本実験は、同じ医薬組成物が網膜下注入によって投与される場合と比較して、AAV-antiVEGFfabを含有し、かつ凝集AAVまたはより低いイオン強度またはより低い塩濃度を有する医薬組成物が脈絡膜上注入を介して注入された場合に、より高いレベルのantiVEGFfabが眼で検出されることも示している。同じ濃度のウイルスゲノムをSCS及び網膜下投与に使用する。同じ量のゲノムコピーをSCS及び網膜下投与に使用する。
【0268】
AAV-antiVEGFfabを含有する同じ溶液の網膜下注入と比較して、AAV-antiVEGFfabを含有し、かつ凝集AAVを含む溶液の脈絡膜上注入が、VEGF誘導漏出及び血管新生を中和する際により有効であることを実証するために、ELISAによる硝子体試料のアルブミンの測定によって、血管漏出を評価する。
【0269】
5.5.2 方法
動物(例えば、Norway Brownラット)に、例えば、一方の眼にAAV8-CB7-antiVEGFfabの1眼当たり2.85×1010ゲノムコピー(GC)を含有する(4×1010GC/mlの濃度)3μLの脈絡膜上または網膜下注入を行い、もう片方の眼にAAV8-CB7-GFPの7.2×10GCを含有する3μLの脈絡膜上または網膜下注入を行う。数週間後(例えば、2週間後)、VEGF(例えば、200ng)を両眼に注入する。動物のサブセットに、異なる量のVEGF(例えば、100ng)を注入する。
【0270】
5.5.3 結果
VEGF注入から24時間後に撮像した眼底写真(例えば、2週間目)は、AAV8-antiVEGFfabを注入した眼において標準的な網膜及び網膜血管口径を示しているが、AAV8-GFPを注入した眼は、膨張した血管、浮腫のエビデンス、視神経円板の境界のぼやけ、及び網膜の乳光を示している。
【0271】
ELISAによる硝子体試料におけるアルブミンの測定によって血管漏出を評価する。同じ医薬組成物が同じ濃度のウイルスゲノムまたは同じ数のゲノムコピーを使用して網膜下投与を介して注入された場合と比較して、AAV8-antiVEGFfabを含有し、かつ凝集AAVを含む溶液をSCSに注入した眼でより高いレベルのantiVEGFfabが検出される。また、SCSに注入されるか、または網膜下送達を介して注入されるAAV8-antiVEGFfabを含有する参照溶液(例えば、AAV網膜下注入に通常使用される溶液)と比較して、AAV8-antiVEGFfabを含有し、かつ凝集AAVを含む溶液をSCSに注入した眼でより高いレベルのantiVEGFfabが検出される。AAV antiVEGFfabは、参照溶液(例えば、AAV網膜下注入に通常使用される溶液)がSCSへの、または網膜下送達を介したAAVの注入に使用される場合と比較して、凝集AAVを含む溶液がSCSへのAAVの注入に使用される場合に注入部位に留まり(拡散が少なく)、かつより局在化する。
【0272】
5.6 実施例6:脈絡膜上腔(SCS)の厚さに対する液体製剤の効果
経時的なSCSの厚さ及びSCS崩壊率に対する液体製剤の効果を、生きている動物(例えば、ウサギ、マウス、またはサル)で測定する。異なるAAV凝集レベルまたはイオン強度または塩濃度を有する異なる溶液を使用する。本実験で使用することができる溶液の例については本開示にて開示する。注射部位の初期のSCSの厚さを、例えば、超音波イメージングを使用することによって種々の医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)に対して計算する(セクション4.6を参照)。SCSの厚さ(例えば、注入前、及び注入後に測定したSCSの厚さ)は、溶液のAAV凝集のレベルに応じて変化する。SCSの厚さは、注入前及び注入後の異なる時点など、異なる時点で測定することができる。例えば、AAV凝集を含む溶液は、参照溶液またはわずかな量のAAV凝集を含む溶液と比較して、より増加したSCSの厚さを示す。また、SCSの厚さを、眼の異なる位置で経時的に測定する。溶液のAAV凝集のレベルは、経時的なSCSの厚さに影響を及ぼす。例えば、凝集AAVを含む溶液は、経時的に測定した場合であっても注入部位近くのSCSの厚さを増加させるが、その一方で、参照溶液を使用した場合、注入部位のSCSの厚さは経時的に減少する。PBSまたは参照溶液を使用する場合の経時的な注入部位におけるSCSの厚さの減少は、SCSにおける隣接する部位のSCSの厚さの付随する増加に伴うものである。溶液のAAV凝集のレベルまたはイオン強度または塩濃度は、SCSの厚さの持続、及びSCSの厚さの局在化に影響を及ぼす。溶液のAAV凝集またはイオン強度または塩濃度はまた、SCSから溶液が除去されるのにかかる時間量に影響を及ぼす。例えば、AAV凝集を有する溶液は、参照溶液と比較して、SCS(または眼)により長い期間留まる。
【0273】
5.7 実施例7:脈絡膜上腔(SCS)の厚さを測定するための超音波イメージング
高周波超音波(U/S)プローブ(例えば、UBM Plus,Accutome,Malvern,PA)を使用して、ex vivoでの眼(例えば、動物の眼)のSCSの2D断面画像を作成する(セクション4.6を参照されたい)。眼に溶液を用いて注入した後、断面画像を生成する。溶液のAAV凝集、イオン強度、塩濃度、及び容量の範囲は変動し得る。例えば、容量は、1μL~500μLの範囲で変動し得る。場合によっては、容量は、1μL未満または500μL超である場合がある。溶液は、水溶液(例えば、水)、PBS、ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)、DPBS、または本開示の任意の他の溶液とすることができる。溶液は、染料(例えば、蛍光染料、赤色蛍光、青色蛍光、青色染料、または任意のその他の染料)をさらに含んでいる場合がある。溶液はまた、本開示と共に使用可能な任意の組成物、薬物、薬剤、またはウイルス(例えば、AAV)も含んでいる場合がある。U/Sプローブカバー(Clearscan,Eye-Surgical-Instruments,Plymouth,MN)を、UBM Plusに取り付けて、U/S画像取得を促進する。注入の数分後、U/Sプローブを使用して、眼の周囲の矢状方向視点(例えば、12時方向、1時30分方向、3時方向、4時30分方向、6時方向、7時30分方向、9時方向、及び10時30分方向)を取得する。U/S Bスキャンの画像後処理を実施して、強膜岬の後方の強膜の外側から網膜の内側の厚さ(例えば、1、5、及び9mm)を見つける。各眼の平均、中央値、及び標準偏差を計算する。例えば、強膜の外側から網膜の内側までの、強膜及び脈絡膜に対して垂直な線分を見つけることによって、超音波BスキャンでのSCSの厚さを計算することができる。結膜は測定から除外する。組織の厚さを検出し、減算し、SCSの厚さを算出する。
【0274】
5.8 実施例8:脈絡膜上注入によるバッテン病CLN1またはCLN2関連視力喪失の治療
バッテン病CLN1関連視力喪失を示している対象に、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1をコードするAAV8またはAAV9を、3ヶ月間、眼(例えば、硝子体液)において治療に有効な濃度の導入遺伝子産物を産生するのに十分な用量で投与する。バッテン病CLN2関連視力喪失を示している対象に、トリペプチジルペプチダーゼ1をコードするAAV8またはAAV9を、3ヶ月間、眼(例えば、硝子体液)において治療に有効な濃度の導入遺伝子産物を産生するのに十分な用量で投与する。投与は、脈絡膜上腔への投与によって行う。異なるAAV凝集レベルを有するいくつかの医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)を使用する。医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)のAAV凝集のレベル、イオン強度、または塩濃度は、バッテン病CLN2またはCLN1関連視力喪失及び治療の有効性に影響を与える。治療後、バッテン病CLN2関連視力喪失の改善について対象を評価する。治療後、バッテン病CLN1関連視力喪失の改善について対象を評価する。凝集AAVを含む医薬組成物が使用された場合のSCSにAAVが投与された対象は、同じ医薬組成物が網膜下注入によって投与された対象と比較して、バッテン病CLN1またはCLN2関連視力喪失のより良好な改善が見られる。凝集AAVを含む医薬組成物が使用された場合のSCSにAAVが投与された対象は、参照医薬組成物が網膜下注入によって、硝子体内投与によって、またはSCSへ投与された対象と比較して、バッテン病CLN1またはCLN2関連視力喪失のより良好な改善が見られる。
【0275】
視覚障害に対する本明細書に記載する方法の効果を、視線運動性眼振(OKN)を含む1つ以上の視力スクリーニングによって測定する。OKN視力スクリーニングは、OKN不随意反射の原理を用いて、患者の眼が動いているターゲットを追うことができるかどうかを客観的に評価する。上記治療の前後のOKNスクリーニング結果のパーセンテージの変化を計算する。
【0276】
5.9 実施例9:ヒト患者への注入をモニタリングするための赤外線サーマルカメラの使用
ウェット型AMDを示している対象に、ラニビズマブFabをコードするAAV8を、3ヶ月間、眼(例えば、硝子体液)において少なくとも0.330μg/mLのCminの導入遺伝子産物の濃度を生み出すのに十分な用量で投与する(例えば、網膜下投与、脈絡膜上投与、または硝子体内によって)。異なるAAV凝集レベルを有するいくつかの医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)を使用して脈絡膜上投与によって、ラニビズマブFabをコードするAAV8を投与することができる。凝集AAVを含む溶液(参照溶液と比較して、またはAAV網膜下注入に通常使用される溶液と比較して)で、ラニビズマブFabをコードするAAV8を投与された対象は、参照溶液で脈絡膜上投与、網膜下投与、または硝子体内投与によって、ラニビズマブFabをコードするAAV8を投与された対象における導入遺伝子の濃度と比較して、より高濃度の導入遺伝子を示す(例えば、投与から1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、8週間後、または12週間後に測定した際に)。導入遺伝子の濃度は、ラニビズマブFabをコードするAAV8の投与後いつでも測定することができる。例えば、凝集AAVを含む溶液を使用して、AAV8をSCSに投与された対象は、参照溶液を使用して、SCSに、または網膜下を介して、または硝子体内投与を介してAAV8を投与された対象と比較して、AAVの投与から1週間後、4週間後、2ヶ月後、または3ヶ月後に測定した際に、眼においてより高濃度の導入遺伝子を示す。同様に、凝集AAVを含む溶液を使用して、AAV8をSCSに投与された対象は、網膜下投与を介して同じ医薬組成物を投与された対象と比較して、より高濃度の導入遺伝子を示す。本実験で使用する全ての溶液は、同じ量のゲノムコピーを有する。
【0277】
FLIR T530赤外線サーマルカメラを使用して、処置中の注入を評価し、かつ投与が正常に完了したかどうか、または投与に誤りがあったかどうかのいずれかを確認するために注入後評価することができる。あるいは、FLIR T420、FLIR T440、Fluke Ti400、またはFLIRE60赤外線サーマルカメラを使用する。治療後、臨床効果の徴候ならびにウェット型AMDの徴候及び症状の改善について、対象を臨床的に評価する。
【0278】
5.10 実施例10:製剤A及び製剤Bの成分
本実施例では、≦-60℃で保管される製剤A(0.001%ポロキサマー188を含み、pH7.4のダルベッコリン酸緩衝生理食塩水)、及び-20℃で保管される製剤B(「4%ショ糖及び0.001%ポロキサマー188を含み、pH7.4の改質ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水」)の成分を示す。2つの製剤の比較及び影響分析を表7に提示する。製剤Bは、2年間の保管後、現在までに観察されているAAV産物に影響を及ぼすことなく、保管の実現可能性が改善した。異なるAAV凝集レベルまたはイオン強度または塩濃度を有するその他の医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)を試験する。本開示の医薬組成物は、例えば、製剤Bの1つ以上の成分を含むことができる。本開示の医薬組成物(例えば、AAV凝集を含む)は、AAV産物に影響を及ぼすことなく(2年間の保管後)、保管の実現可能性が改善した。
【表7】
【0279】
製剤B(ショ糖を含む改質DPBS)は、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの無水二塩基性リン酸ナトリウム、40.0mg/mL(4%w/v)のショ糖、0.001%(0.01mg/mL)のポロキサマー188を含み、pH7.4である(表8)。モル単位では、製剤Bは、2.70mMの塩化カリウム、1.47mMの一塩基性リン酸カリウム、100mMの塩化ナトリウム、8.1mMの無水二塩基性リン酸ナトリウム、117mMのショ糖、0.001%(0.01mg/mL)のポロキサマー188を含み、pH7.4である。製剤Bの密度は、1.0188g/mLであり得、製剤Bの重量オスモル濃度は、およそ345(331~354)であり得る。
【表8】
【0280】
5.11 実施例11:製剤A及び製剤Bの長期間の安定性の比較
本実施例では、製剤A及び製剤Bの長期間の安定性の比較を示す。製剤A及びBは、-80℃で類似の長期間凍結安定性を有しており、かつ製剤Bは、-20℃でも安定であった。「4%ショ糖を含む改質dPBS」製剤Bは、-20℃、及び-80℃で12ヶ月間効力を維持した。異なるAAV凝集レベルを有するその他の医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)を試験する。本開示の医薬組成物(例えば、凝集AAVを含む)は、-20℃及び-80℃で安定である。AAV凝集を含む医薬組成物は、-20℃、及び-80℃で12ヶ月間効力を維持する。本開示の医薬組成物(例えば、凝集AAVを含む)は、例えば、製剤Bの1つ以上の成分を含むことができる。
【0281】
5.12 実施例12:製剤A及び製剤Cのin-vitro効力の比較
本実施例では、製剤A及び製剤Cの長期間の安定性の比較を示す。製剤Cは、60mMのNaCl及び6%ショ糖を含む「ショ糖を含む改質dPBS」の変形形態である。製剤Cは、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、3.50mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの無水二塩基性リン酸ナトリウム、60.0mg/mL(6%w/v)のショ糖、0.001%(0.01mg/mL)のポロキサマー188を含み、pH7.4である。
【0282】
製剤Cは、-20℃で2年間安定であった。参照製剤A(dPBS)は、-20℃で不安定であった。製剤B及びCは、同等、かつ-20℃で長期間の安定性が優れている可能性がある。異なるAAV凝集レベルを有するその他の医薬組成物(例えば、希釈された製剤またはより低いイオン強度の製剤)を試験する。本開示の医薬組成物(例えば、AAV凝集を含む)は、例えば、製剤Bまたは製剤Cの1つ以上の成分を含むことができる。本開示の医薬組成物(例えば、AAV凝集を含む)は、-20℃で2年間安定である。
5.13 実施例13:異なる脈絡膜上製剤を使用したカニクイザルにおける薬力学的研究、生体内分布研究、及び忍容性研究
本研究の目的は、カニクイザルに脈絡膜上注入を介して単回投与を行った場合の、AAV8-抗VEGF-abを含む異なる製剤の生体内分布、薬力学的特性(導入遺伝子濃度)、及び忍容性を評価することである。投与後、少なくとも4週間、動物の投与後観察を行う。また、1つの群には、高容量の製剤を投与する。製剤の一部は、低凝集から高凝集まで、様々なAAV凝集レベルを有する。製剤の一部は、低イオン強度から高イオン強度まで、様々なイオン強度レベルを有する。例えば、製剤1は、低AAV凝集レベルを有し、製剤2は、中程度のAAV凝集レベルを有し、かつ製剤3は高AAV凝集レベルを有する。群の割り付け及び用量レベルを表9に示す。被験物質は、AAV8-抗VEGF-abである。対照物質は、プラセボである。製剤及び対照を、-60℃~-80℃の冷凍庫で保管し、使用日に室温で解凍するか、または製剤がその日に使用される場合は室温で保管するか、または2℃~8℃の冷蔵庫で保管した。
【表9】
【0283】
動物の供給業者での抗体事前スクリーニング:およそ90匹の雌サルからの血液(少なくとも1mL)を、大腿静脈を介して各動物から採取し、抗凝固薬を含んでいないチューブに入れる。必要に応じて、別の静脈を使用して採取することもできる。事前スクリーニングの結果に基づいて、動物を研究候補として選択する。血液を室温で凝固させ、1時間以内に遠心分離にかけ、血清を得る。血清を2つのアリコートに分けて、クライオバイアルに入れ、およそ-70℃の保管の前にドライアイス上で維持する。試料を分析のためにドライアイス上で一晩輸送する。次に、許容される任意の方法によって、抗AAV8中和抗体(NAbs)に関して試料を分析する。抗AAV8 Nabの結果に基づいて動物を輸送のために選択する。
【0284】
投与:動物を一晩絶食させて、脈絡膜上注入の前に、ケタミン及びデクスメデトミジンを用いて麻酔をかける。手短に言えば、100μLの単回の脈絡膜上注入(または50μLずつの2回の注入)を5~10秒にわたって各眼(縁から3~4mm)に行う。高容量製剤の場合、1眼当たり200μLを投与する。製剤はClearside SCS Microinjectorを用いて投与する。マイクロニードルのサイズは製剤の粘度に応じて変更することができる。場合によっては、30ゲージマイクロニードルを使用する。右眼への注入を、耳側上部(すなわち、10時方向から11時方向の間)に行う。左眼への注入を、耳側上部(すなわち、1時方向から2時方向の間)に行う。注入後、ニードルを引き抜く前におよそ5秒間眼の中で維持する。マイクロニードルを引き抜いた後、先端が綿のアプリケーター(ドーズワイプ)をおよそ10秒間注入部位に置く。局所抗生物質(例えば、Tobrex(登録商標)または適切な代替物)を、投与後、各眼に点眼する。各投与時間を、各注入の完了時間として記録する。最初に右眼に投与し、続いて、左眼に投与する。
【0285】
眼科処置:眼科検査を行う(例えば、投与後4、8、15、及び29日目)。細隙灯生体顕微鏡及び倒像鏡を用いて動物を検査する。細隙灯生体顕微鏡を使用して、両眼の付属器及び前部分を検査する。倒像鏡を使用して両眼の眼底を検査する(目に見える場合)。倒像鏡による検査前に、瞳孔を散瞳薬(例えば、1%トロピカミド)で拡張する。投与日(投与前10分以内)、及び例えば、4、8、15,及び29日目に、眼圧を測定する。リバウンド眼圧測定(TonoVet)を使用して、眼圧を評価することができる。およそ4週間目に眼の写真撮影を行う。デジタル眼底カメラで写真撮影を行う。各眼のカラー写真を撮影して、後極の立体的な写真及び2つの中間周辺領域(耳側及び鼻側)の非立体的な写真を撮像する。周辺部の写真撮影も行う。さらに、インドシアニングリーンを用いる自己蛍光イメージングを行い、投与の拡散を(例えば、1日目及び2日目に)記録する。
【0286】
抗AAV8中和抗体分析:異なる時点で(例えば、投与前、投与日、及び投与後)各動物の大腿静脈から採取した血液試料を、室温で保持し、少なくとも30分凝固させ、その後遠心分離にかける。試料を、採取の1時間以内に遠心分離にかけ、血清を回収する。回収後、試料を-60℃~-80℃で保管するまでドライアイス上に置く。次に、AAV8抗体に対する血清分析を認定されている中和抗体アッセイを使用して行う。
【0287】
抗AAV8-抗VEGF-ab導入遺伝子産物抗体分析:上述のように血液試料を採取し、本開示のアッセイのいずれかまたは任意の許容されるアッセイを使用して、AAV8-抗VEGF-abに対する抗体に関して血清試料を分析する。AAV8-抗VEGF-ab導入遺伝子分析では、上述のように血液試料を、投与の少なくとも2週間前、15日目、動物屠殺の日(29日目)に採取する。投与前に前眼房から50μLを採取する。房水及び硝子体液からの試料は、最後の剖検の際に採取することができる。血清試料は、投与前、15日目、及び剖検前に採取することができる。続いて、本開示の任意のアッセイまたは任意の許容されるアッセイもしくは方法(例えば、導入遺伝子濃度に関する)によって、試料を分析する。
【0288】
房水採取:投与の少なくとも2週間前、15日目、及び動物を屠殺する日に、各眼からおよそ50μLを採取する。各眼からの房水試料を、Watsonバーコードラベルの付いた別々のチューブに入れ、液体窒素で瞬間凍結し、-60℃~-80℃で保管するまで、ドライアイス上に置く。
【0289】
房水採取処置後の投薬レジメン:この治療レジメンの目的は、房水採取処置に関連した緩和的治療を提供することである。採取日の後の治療目標は、有害事象(例えば、不快感)の適切な一時的軽減を提供することである。眼痛及び副作用について動物を試験する。
【表10】
【0290】
研究の終了:ナトリウムペントバルビタールを用いて動物に麻酔をかけ、29日目に瀉血する。
【0291】
房水及び硝子体液の剖検採取:房水及び硝子体液からそれぞれ、1眼あたり最大50μL及び1眼あたり最大100μLを採取する。瀉血後、眼を摘出し、各眼から房水及び硝子体液試料を採取する。硝子体液試料をほぼ等しい2つのアリコートに分け、房水試料を1つのアリコートとして保管する。それぞれの採取後、動物の右眼に、膨張するまで改質デーヴィッドソン固定液を注入する。眼を改質デーヴィッドソン固定液中で48~96時間保管し、続いて、10%中性緩衝ホルマリンに移す。試料を急速冷凍して、-60℃~-80℃で保管する。導入遺伝子濃度について房水及び硝子体試料を分析する。
【0292】
生体内分布研究に向けた眼組織採取:瀉血後、種々の製剤群の全ての動物から左眼及び2匹の動物から右眼(生存に依存する)を摘出し、組織を採取する。Watsonバーコードラベルの付いた別々のチューブに組織を採取する。採取する組織には、網膜色素上皮、角膜、虹彩-睫毛体、視交叉、視神経、網膜、強膜、及び後眼杯を伴う脈絡膜が含まれる。眼を4つのほぼ等しい部分(投与部位の領域を含む上耳側、投与部位の領域を含む上鼻側、下耳側、及び下鼻側)に分割する。各部分から、8mm生検パンチを使用して1つの試料を採取する。試料を-60℃~-80℃で保管する。qPCRまたはqRT-PCR法を使用してベクターDNAまたはRNAについて試料を分析する。
【0293】
生体内分布研究に向けた非眼組織採取:およそ5mm×5mm×5mmの2つの試料を、右脳半球(例えば、小脳(外側)、小脳(背側)、前頭皮質(ブロートマン野4)、前頭皮質(ブロートマン野6)、後頭皮質(皮質表面)、後頭皮質(実質)、卵巣、心臓、腎臓、涙腺(左)、肝臓(左側葉)、肺(左尾葉)、リンパ節(耳下腺)、リンパ節(下顎)、下垂体、唾液腺(下顎)、脾臓、胸腺、後根神経節(頸部、左)、後根神経節(腰部部、左)、及び後根神経節(胸部、左)から採取する。試料を-60℃~-80℃で保管する。
【0294】
組織学研究:動物の右眼及び右視神経から公称5μmの切片を作成し、ヘマトキシリン・エオジンで染色する。眼組織の切片を作成し、中心窩、注入部位領域、黄斑、視神経円板、及び視神経の検査を促進する。下方帽子様組織片のほぼ中心を通る単一の垂直断面を取る。これにより、1つのスライド/ブロック/眼(眼ごとに合計3つのスライド)が作成される。さらに、デジタルスキャン(仮想スライド)を選択した微視的スライドから準備することができる。
【0295】
データ評価及び統計的解析:平均及び標準偏差を使用して統計的データ解析値を計算する。絶対体重、体重変化、及び眼圧測定値について、平均及び標準偏差を計算する。
【0296】
5.14 実施例14:異なる脈絡膜上製剤を使用したカニクイザルにおける薬力学的研究、生体内分布研究、及び忍容性研究
本研究の目的は、カニクイザルに脈絡膜上注入を介して単回投与を行った場合の、AAV8-抗VEGF-abを含むクラスター形成製剤の生体内分布(DNA及びmRNA)、薬力学的特性(導入遺伝子濃度)、及び忍容性を評価することであった。投与後、少なくとも4週間、動物の投与後観察を行った。各群に同じ投与容量を実現するように2回の注入を行った。群の割り付け及び用量レベルを表11に示した。被験物質はAAV8-抗VEGF-abであった。対照物質は、プラセボであった。
【表11】
【0297】
投与:被験物質及び対照物質の調製を表12に示す。被験物質及び対照物質を-60℃~-80℃の冷凍庫で保管し、使用日に室温で解凍した。製剤を室温で解凍し、ストック濃度を希釈して調製し、シリンジに充填するまで室温で保管した。脈絡膜上注入の前に、ケタミン及びデクスメデトミジンを用いて動物に麻酔をかけた。投与の際、50μLの2回の脈絡膜上注入(群1及び2)を10~15秒にわたって各眼(縁から3~4mm)に投与した。シリンジ及びマイクロニードルのサイズを表12に示す。右眼への第1の注入を、耳側上部(すなわち、10時方向から11時方向の間)、及び右眼への第2の注入(必要に応じて)を、鼻側下部(すなわち、4時方向から5時方向の間)に行った。左眼への第1の注入を、耳側上部(すなわち、1時方向から2時方向の間)、及び左眼への第2の注入(必要に応じて)を、鼻側下部(すなわち、7時方向から8時方向の間)に行った。注入後、ニードルを引き抜く前におよそ30秒間眼の中で維持した。マイクロニードルを引き抜いた後、先端が綿のアプリケーター(ドーズワイプ)をおよそ10秒間注入部位に置いた。
【表12】
【0298】
房水採取:投与の少なくとも2週間前、15日目、及び予定された屠殺の日(29日目)に、各眼からおよそ50μLを採取した。各眼からの房水試料を、Watsonバーコードラベルの付いた別々のチューブに入れ、液体窒素で瞬間凍結し、-60℃~-80℃で保管するまで、ドライアイス上に置いた。バリデートされた方法によって抗VEGF濃度について試料を分析した。
【0299】
研究の終了:ナトリウムペントバルビタールを用いて動物に麻酔をかけ、29日目に瀉血した。
【0300】
房水及び硝子体液の剖検採取:瀉血後、眼を摘出し、両眼から房水及び硝子体液試料を採取した。採取後、試料を急速冷凍して、-60℃~-80℃で保管した。バリデートされた方法によって導入遺伝子濃度について房水及び硝子体試料を分析した。
【0301】
生体内分布研究に向けた眼組織採取:瀉血後、群2の各動物から右眼及び最後の2匹の動物から左眼(生存に依存する)を摘出し、組織を採取した。採取した組織には、網膜色素上皮、網膜、及び強膜を伴う脈絡膜が含まれた。上述のように超清浄処置を使用して組織を採取して、生理食塩水ですすぎ、ブロットドライした。試料を急速冷凍して、-60℃~-80℃で保管した。qPCRまたはqRT-PCR法を使用してベクターDNAまたはRNAについて試料を分析した。
【0302】
【0303】
比較試験:本実施例に記載する手順と類似するカニクイザル試験を行い、対照製剤(対照物質3.5)を各眼のSCSに注入した(マイクロインジェクターによる耳側上方及び鼻側下方注入)。対照製剤は、AAVクラスター形成を含んでいない。
【表13】
【0304】
対照製剤もAAV8-抗VEGF-abを含み、100μL/眼/容量(2回の50μL注入)中3×1011gc/眼で投与した。
【0305】
データ評価及び統計的解析:平均及び標準偏差を使用して統計的データ解析値を計算した。房水内の導入遺伝子産物(タンパク質)を、15日目及び29日目に評価し、他の点では、硝子体液内のTP、DNA及びRNAを29日目に評価した。
【0306】
結果
【表14】
【0307】
眼の耳側上方及び鼻側下方位置でSCSに注入した被験物質3(クラスター形成製剤)により、対照製剤と比較して、房水における導入遺伝子産物(TP)が増加した。
【表15】
【0308】
耳側上方及び鼻側下方位置でSCSに注入した被験物質3により、対照製剤と比較して、VHにおける導入遺伝子産物の濃度が上昇した。硝子体液導入遺伝子産物濃度は、注入から29日後に房水で見られたTPよりも全体的に高かった。
【表16】
【0309】
AAV8-抗VEGF-abを含有する被験物質3または対照製剤をSCSに注入したところ、血清において導入遺伝子産物(抗VEGF)の力価は最小限であった。
【表17】
【0310】
対照製剤と比較して、被験物質3(クラスター形成製剤)は、網膜及び脈絡膜への送達に影響を及ぼした。
【0311】
等価物
本発明の特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳細に説明しているが、機能的に等価である変形形態が、本発明の範囲内であることを理解されよう。実際に、本明細書に示し、かつ記載したものに加えて本発明の様々な修正が、前述の説明及び添付図面から当業者には明らかであろう。そのような修正は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。当業者は、ほんの日常的な実験を使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または確認することができるであろう。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。
【0312】
本明細書に記述される全ての刊行物、特許及び特許出願は、各個別の刊行物、特許及び特許出願が明確かつ個別にその全体が参照により援用されることが示されているのと同程度に、本明細書に対する参照により本明細書に援用される。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2023544799000001.app
【国際調査報告】