(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】ピロール酸誘導体の合成
(51)【国際特許分類】
C07D 207/48 20060101AFI20231018BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20231018BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
C07D207/48
A61K31/40
A61P31/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521304
(86)(22)【出願日】2021-10-06
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 GB2021052580
(87)【国際公開番号】W WO2022074385
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520446089
【氏名又は名称】インフェックス・セラピューティクス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INFEX THERAPEUTICS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100136696
【氏名又は名称】時岡 恭平
(72)【発明者】
【氏名】ウィルキンソン,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】クーパー,イアン
(72)【発明者】
【氏名】オー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】フィンレイソン,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】バント,アダム
(72)【発明者】
【氏名】カーカム,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】リス,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ブレーズ,ケビン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA04
4C086BC05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB35
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、他の抗菌剤と組み合わせて、より具体的にはカルバペネムとして知られる抗菌剤のクラスと組み合わせて、細菌感染を治療するために使用することができる、化合物の合成に関する。本発明の新規な方法から得られる化合物は、酵素阻害剤であり、より具体的には、メタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を製造する方法であって、
(a)式(I)の化合物を、Pd/Cの存在下、式(II)の化合物と反応させて、式(III)の化合物を形成する工程:
【化1】
;および、
(b)式(III)の化合物から、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を形成する工程:
【化2】
[式中、
Xは、独立して、Cl、Br、I、N
2
+、またはOSO
2CF
3から選択され;
R
1は、独立して、H、またはC
1-4アルキルから選択され;
R
2は、保護基であり;
R
3は、独立して、-CH
2-アリール、またはtert-ブチルから選択され;
各R
4は、出現ごとに独立して、C
1-4アルキルであり;
R
8aは、BF
3K、またはB(OR
9a)
2であり、ここで、R
9aは、出現ごとに、H、またはC
1-4アルキルであり;または、2つのR
9a置換基は、一緒になって、(CR
aR
b)
nを形成し;または、2つのR
9a置換基は、一緒になって、-C(O)-(CR
aR
b)-N(R
c)-(CR
aR
b)-C(O)-を形成し;
R
a、R
bおよびR
cは、出現ごとに独立して、H、およびC
1-4アルキルから選択され;
nは、2または3であり;および、
Aは、独立して、H、またはカチオンから選択される。]
を含む、方法。
【請求項2】
工程(b)が、下記の工程:
(i)式(III)の化合物を、式(V)の化合物と反応させて、式(VI)の化合物を形成する工程:
【化3】
;および、
(ii)式(VI)の化合物から、R
2、R
3およびR
5の置換基を切断して、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を形成する工程:
【化4】
[式中、R
5は、保護基である。]
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I)の化合物が、式(VII)の化合物を、式(VIII)の化合物と反応させて、式(I)の化合物を形成する工程:
【化5】
[式中、R
6は、独立して、F、Cl、Br、I、または
【化6】
から選択される。]
によって形成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を製造する方法であって、
(a)式(I)の化合物を、式(IX)の化合物と反応させて、式(X)の化合物を形成する工程:
【化7】
;および、
(b)式(X)の化合物から、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を形成する工程:
【化8】
[式中、
Xは、独立して、Cl、Br、I、N
2
+、またはOS(O)
2CF
3から選択され;
R
1は、独立して、H、またはC
1-4アルキルから選択され;
R
2は、保護基であり;
R
3は、独立して、-CH
2-アリール、またはtert-ブチルから選択され;
各R
4は、出現ごとに独立して、C
1-6アルキルであり;
R
5は、保護基であり;
R
7は、独立して、-OR
7a、および-N(R
4)CH
2CH
2NR
4R
5から選択され;
R
7aは、-C
1-6アルキル、および-CH
2-アリールから選択され;
R
8bは、独立して、BF
3K、またはB(OR
9b)
2から選択され、ここで、各R
9bは、Hであり;または、2つのR
9b置換基は、一緒になって、(CR
aR
b)
nとなり、酸素およびホウ素原子を含む環を形成し;または、2つのR
9a置換基は、一緒になって、-C(O)-(CR
aR
b)-N(R
c)-(CR
aR
b)-C(O)-となり;
R
a、R
bおよびR
cは、出現ごとに独立して、H、およびC
1-4アルキルから選択され;
nは、2または3であり;および、
Aは、独立して、H、またはカチオンから選択される。]
を含む、方法。
【請求項5】
R
7が、-OR
7aであり、
工程(b)が、
(i)式(Xa)の化合物から、R
7a置換基を切断して、式(III)の化合物を形成する工程:
【化9】
;および、
(ii)式(III)の化合物を、式(V)の化合物と反応させて、式(VI)の化合物を形成する工程:
【化10】
;および、
(iii)式(VI)の化合物から、R
2、R
3およびR
5の置換基を切断して、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を形成する工程:
【化11】
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
R
7が、-N(R
4)CH
2CH
2NR
4R
5であり、
工程(b)が、式(VI)の化合物から、R
2、R
3およびR
5の置換基を切断して、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を形成する工程:
【化12】
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
R
2、R
3およびR
5の置換基が、接触水素化によって、式(VI)の化合物から切断される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
式(VI)の化合物が、
(i)式(XI)の化合物を、式(V)の化合物と反応させて、式(XII)の化合物を形成する工程:
【化13】
によって形成される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を製造する方法であって、
(a)式(XIII)の化合物を、式(XIV)の化合物と反応させて、式(XV)の化合物を形成する工程:
【化14】
;および、
(b)式(XV)の化合物から、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を形成する工程:
【化15】
[式中、
R
1は、独立して、H、またはC
1-4アルキルから選択され;
R
3は、独立して、-CH
2-アリール、またはtert-ブチルから選択され;
各R
4は、出現ごとに独立して、C
1-6アルキルであり;
R
7は、独立して、-OR
7a、および-N(R
4)CH
2CH
2NR
4R
5から選択され;および、
R
7aは、C
1-6アルキル、またはCH
2-アリールである。]
を含む、方法。
【請求項10】
R
7が、-N(R
4)CH
2CH
2NR
4R
5であり、
工程(b)が、
(i)式(XV)の化合物を、式(VIII)の化合物と反応させて、式(VI)の化合物を形成する工程:
【化16】
;および、
(ii)式(VI)の化合物から、R
2、R
3およびR
5の置換基を切断して、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を形成する工程:
【化17】
[式中、R
5は、保護基であり;および、R
6は、独立して、F、Cl、Br、I、または
【化18】
から選択される。]
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
R
7が、-N(R
4)CH
2CH
2NR
4R
5であり、式(XIIIa)の化合物が、式(XVI)の化合物を、式(V)の化合物と反応させる工程:
【化19】
[式中、R
5は、保護基である。]
によって形成される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
R
7が、-OR
7aであり、
工程(b)が、
(i)式(XVb)の化合物から、R
7a置換基を切断して、式(XVII)の化合物を形成する工程:
【化20】
;
(ii)式(XVII)の化合物を、式(V)の化合物と反応させて、式(XVa)の化合物を形成する工程:
【化21】
;
(iii)式(XVa)の化合物を、式(VIII)の化合物と反応させて、式(VI)の化合物を形成する工程:
【化22】
;および、
(iv)式(VI)の化合物から、R
2、R
3およびR
5の置換基を切断して、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を形成する工程:
【化23】
[式中、R
5は、保護基であり;および、R
6は、独立して、F、Cl、Br、I、または
【化24】
から選択される。]
を含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の抗菌剤と組み合わせて、より具体的にはカルバペネムとして知られる抗菌剤のクラスと組み合わせて、細菌感染を治療するために使用できる化合物の合成に関する。本発明の新規な方法により得られる化合物は、酵素阻害剤であり、より具体的には、メタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤である。
【背景技術】
【0002】
毎年、ヨーロッパ全体で、400万人を超える人々が、医療関連の細菌感染症にかかり、約37,000人が死亡している(Public Health England)。多剤耐性菌の蔓延は、患者の転帰を悪化させ、入院期間を長期化させ、コリスチンやポリミキシンBなどの潜在的に有毒な抗菌薬と「最後の手段」の使用を余儀なくさせている。抗生物質耐性菌は、毎年1,000万人以上の人々を死に至らしめ、これは、100兆米ドルの経済的負担に相当する。
【0003】
臨床において、抗生物質耐性グラム陰性病原体は、肺炎、血流感染、手術部位感染、皮膚感染および軟部組織感染、および尿路感染を含む、多様な感染を引き起こす。これらの微生物に対する有効な治療選択肢は限られており、経験的な抗生物質療法は、ESKAPE病原体グループのグラム陰性菌(Enterococcus faecium、Staphylococcus aureus、Klebsiella pneumoniae、Acinetobacter baumannii、Pseudomonas aeruginosa、およびEnterobacter species)に感染した患者では失敗することがよくある。
【0004】
2017年2月、世界保健機関(WHO)は、加盟国が最も必要とする分野に研究開発を集中させるのを支援するために、病原菌の優先リストを発行した。これらの細菌のうち、WHOは、次のグラム陰性菌を重要な優先事項として分類した:カルバペネム耐性アシネトバクター・バウマニ(carbapenem resistant A. baumannii);カルバペネム耐性緑膿菌(carbapenem resistant P. aeruginosa);カルバペネム耐性およびESBL産生腸内細菌科(carbapenem resistant and ESBL-producing Enterobacteriaceae)(K. pneumoniaeおよびE. coliを含む)。その結果、カルバペネム耐性グラム陰性菌は、満たされていない重要な医療ニーズとして定義されている。カルバペネムなどのβ-ラクタムの作用機序は、細菌細胞壁のペプチドグリカン鎖を連結するトランスペプチダーゼの活性部位への共有結合に関与する。これにより、細胞壁合成が阻害され、最終的に細胞死が起こる。カルバペネムの利点は、他のほとんどのβ-ラクタムと比較してより広いスペクトルで活性があることであり、最近までそれらの使用は耐性の発達によって大きな影響を受けていなかった。
【0005】
多剤耐性グラム陰性菌に対する最後の防衛線としてのカルバペネムの使用は、メタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)クラスからのカルバペネマーゼの出現によって危うくなってきた。これらの酵素はカルバペネムに結合し、β-ラクタム環を切断して、抗生物質を失活させる。Amblerの分類システムは、既知のβ-ラクタマーゼ酵素を、アミノ酸配列に従って、4つのクラスに分類する。クラスA、CおよびDのβ-ラクタマーゼは、酵素の活性部位内のセリン基がβ-ラクタム環のカルボニルに一時的に結合することにより、β-ラクタムを切断する。これにより、アシル酵素が形成され、β-ラクタム環が切断される。続いて、活性化した水分子がアシル酵素中間体を脱アシル化し、セリンとカルボニルの間の結合を加水分解して、不活性化されたβ-ラクタムを放出する。MBLは、クラスA、CおよびDのセリン-β-ラクタマーゼとは、機構的および構造的に区別される。この場合、β-ラクタムの切断は、共有結合中間体を形成することなく、1つのステップで発生する。MBLは、水分子と亜鉛イオンを、その活性部位のHis、CysおよびAsp残基に配置させ、そこで水分子は求核攻撃を促進し、β-ラクタム環内の結合切断を促進する。MBLのサブクラスは構造的に異なり、B1およびB3酵素は、活性部位に2つの亜鉛イオンを含み、幅広い基質プロファイルを示す。グループB2の酵素は、単一の亜鉛イオンに依存し、カルバペネムのみを加水分解する。臨床的には、NDM、VIM、およびIMPを含む、B1クラスのMBLが、最も一般的であり、可動遺伝因子内で頻繁に確認される。
【0006】
既存のセリン-β-ラクタマーゼ阻害剤(AmblerクラスA、CおよびいくつかのクラスDのβ-ラクタマーゼに対して有効)は、多数のβ-ラクタムの活性を回復するのに成功した。阻害剤は、酵素の活性部位に高い親和性で一時的または永続的に結合し、β-ラクタムの結合を効果的に打ち負かす。市販されているβ-ラクタム/β-ラクタマーゼ阻害剤の組み合わせとして、アモキシシリンとクラブラン酸(Co-amoxiclav)、およびセフタジジムとアビバクタム(Avycaz)が挙げられる。現在、臨床開発中または臨床的に利用可能なメタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤(MBLI)はなく、カルバペネムの活性を回復させる広いスペクトルのMBLIの商業的可能性が示される。
【0007】
臨床的に使用された最初のカルバペネムは、複雑な微生物感染症の治療のためのイミペネムであった。イミペネムの欠点は、デヒドロペプチダーゼI(DHPI)による哺乳動物の腎臓での加水分解であり、デヒドロペプチダーゼ阻害剤であるシラスタチンとの共製剤が必要になる。メロペネムを含むその後のカルバペネムの反復物は、カルバペネム部分の1-β位にメチル基が存在するため、DHPIの加水分解の影響を受けない。メロペネムは、グラム陽性病原体に対してはイミペネムほど強力ではないが、グラム陰性菌に対する効力が強化されており、臨床で広く使用されている。カルバペネムに対する耐性と戦うために、我々はメタロ-β-ラクタマーゼ酵素を阻害する一連の化合物を発見した。化合物は、メロペネムと同時投与すると、薬剤耐性菌に対するメロペネムの有効性を大幅に改善する。本発明は特に、これらの化合物を製造する方法に関する。
【0008】
他の承認されたカルバペネムも、本発明の化合物との共製剤により利益を得ることができると考えられる。現在承認されているその他のカルバペネムとしては、エルタペネム、ドリペネム、パニペネム、ビアペネム、およびテビペネムが挙げられる。
【0009】
比較的最近まで、細菌感染は、死亡、外観損傷および障害の最も一般的な原因の1つであった。19世紀には、一連の抗生物質クラスが開発され、これは、細菌感染症の良好な治療が日常的に行われるようになったことを意味する。しかしながら、抗生物質に対する微生物の耐性が重大な問題になってきており、多くの人は、これが人間の健康にとって最も重要な課題の1つになると考えている。実際、一部の細菌性病原体では、多剤耐性がすでに一般的になっている。
【0010】
満たされていない最大の医学的必要性は、多剤耐性グラム陰性菌に対する効果的な治療法が不足していることである。したがって、重要事項としてWHOにリストされた病原体に対して有効な新規抗生物質、または既存の細菌耐性メカニズムを回避する薬剤の発見が不可欠である。
【0011】
WO2019/220125およびGB1916915.0(未公開)は、細菌感染を治療するために抗菌剤と組み合わせて使用されるメタロ-β-ラクタマーゼの阻害剤である、一連の化合物を開示している。
【0012】
本発明の特定の実施形態の目的は、メタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤を合成する別の方法を提供することである。目的は、以前に開示されたものよりも、よりスケール拡大性があり、より純粋な生成物を提供し、またはより資源効率のよい、メタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤を合成する方法を提供することである。
【発明の概要】
【0013】
本発明の以下の態様のそれぞれにおいて、式(I)から式(XIX)の化合物は、表された遊離酸または遊離塩基であってよく、またはその薬学的に許容される塩であってもよい。
【0014】
本発明の第1の態様において、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を製造する方法であって、
(a)式(I)の化合物を、Pd/Cの存在下、式(II)の化合物と反応させて、式(III)の化合物を形成する工程:
【化1】
;および、
(b)式(III)の化合物から、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を形成する工程:
【化2】
[式中、
Xは、独立して、Cl、Br、I、N
2
+、またはOSO
2CF
3から選択され;
R
1は、H、またはC
1-4アルキルから選択され;
R
2は、保護基であり;
R
3は、独立して、-CH
2-アリール、またはtert-ブチルから選択され;
各R
4は、出現ごとに独立して、C
1-4アルキルであり;
R
8aは、BF
3K、またはB(OR
9a)
2であり、ここで、R
9aは、出現ごとに、H、またはC
1-4アルキルであり;または、2つのR
9a置換基は、一緒になって、(CR
aR
b)
nを形成し;または、2つのR
9a置換基は、一緒になって、-C(O)-(CR
aR
b)-N(R
c)-(CR
aR
b)-C(O)-を形成し;
R
a、R
bおよびR
cは、出現ごとに独立して、H、およびC
1-4アルキルから選択され;
nは、2または3であり;および、
Aは、H、またはカチオンである。]
を含む、方法が提供される。
【0015】
特定の実施形態において、第1の態様の工程(b)は、
(i)式(III)の化合物を、式(V)の化合物と反応させて、式(VI)の化合物を形成する工程:
【化3】
;および、
(ii)式(VI)の化合物から、R
2、R
3およびR
5の置換基を切断して、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を形成する工程:
【化4】
[式中、R
5は、保護基である。]
を含み得る。
【0016】
特定の実施形態において、式(I)の化合物は、式(VII)の化合物を、式(VIII)の化合物と反応させて、式(I)の化合物を形成する工程:
【化5】
[式中、R
6は、独立して、F、Cl、Br、I、または
【化6】
から選択される。]
によって形成される。
【0017】
本発明の第2の態様において、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を製造する方法であって、
(a)式(I)の化合物を、式(IX)の化合物と反応させて、式(X)の化合物を形成する工程:
【化7】
;および、
(b)式(X)の化合物から、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を形成する工程:
【化8】
[式中、
Xは、独立して、Cl、Br、I、またはOS(O)
2CF
3から選択され;
R
1は、独立して、H、またはC
1-4アルキルから選択され;
R
2は、保護基であり;
R
3は、独立して、-CH
2-アリール、またはtert-ブチルから選択され;
各R
4は、出現ごとに独立して、C
1-6アルキルであり;
R
5は、保護基であり;
R
7は、独立して、-OR
7a、または-N(R
4)CH
2CH
2NR
4R
5から選択され;
R
7aは、-C
1-6アルキル、および-CH
2-アリールから選択され;
R
8bは、独立して、BF
3K、またはB(OR
9b)
2から選択され、ここで、各R
9bは、H、またはC
1-4アルキルであり;または、2つのR
9b置換基は、一緒になって、(CR
aR
b)
nを形成し;または、2つのR
9a置換基は、一緒になって、-C(O)-(CR
aR
b)-N(R
c)-(CR
aR
b)-C(O)-を形成し;
R
a、R
bおよびR
cは、出現ごとに独立して、H、およびC
1-4アルキルから選択され;
nは、2または3であり;および、
Aは、独立して、H、またはカチオンから選択される。]
を含む、方法が提供される。
【0018】
第2の態様の特定の実施形態において、R
7は、-OR
7aであり、
工程(b)は、
(i)式(Xa)の化合物から、R
7a置換基を切断して、式(III)の化合物を形成する工程:
【化9】
;および、
(ii)式(III)の化合物を、式(V)の化合物と反応させて、式(VI)の化合物を形成する工程:
【化10】
;および、
(iii)式(VI)の化合物から、R
2、R
3およびR
5の置換基を切断して、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を形成する工程:
【化11】
を含み得る。
【0019】
第2の態様の別の実施形態において、R
7は、-N(R
4)CH
2CH
2NR
4R
5であり(すなわち、式(X)の化合物は、式(VI)の化合物であり)、
工程(b)は、式(VI)の化合物から、R
2、R
3およびR
5の置換基を切断して、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を形成する工程:
【化12】
を含み得る。
【0020】
この反応は、本発明の第1の態様について上述した通りであり得る。したがって、特定の実施形態において、R2、R3およびR5の置換基は、触媒水素化によって切断され、これは、例えば、本発明の第1の態様について説明した通りである。
【0021】
さらなる実施形態において、製造方法は、式(XI)の化合物を、式(V)の化合物と反応させて、式(XII)の化合物(式(IX)の化合物の具体例)を形成する工程:
【化13】
を含み得る。
【0022】
その後、式(XII)の化合物を、式(I)の化合物と反応させることができる。
【0023】
式(I)の化合物は、本発明の第1の態様について上述したように、製造することができる。
【0024】
本発明の第3の態様において、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を製造する方法であって、
(a)式(XIII)の化合物を、式(XIV)の化合物と反応させて、式(XV)の化合物を形成する工程:
【化14】
;および、
(b)式(XV)の化合物から、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を形成する工程:
【化15】
[式中、
R
1は、独立して、H、またはC
1-4アルキルから選択され;
R
3は、独立して、-CH
2-アリール、またはtert-ブチルから選択され;
各R
4は、出現ごとに独立して、C
1-6アルキルであり;
R
7は、独立して、-OR
7a、および-N(R
4)CH
2CH
2NR
4R
5から選択され;および、
R
7aは、C
1-6アルキル、またはCH
2-アリールである。]
を含む、方法が提供される。
【0025】
第3の態様の特定の実施形態において、R
7は、-N(R
4)CH
2CH
2NR
4R
5であり、
工程(b)は、
(i)式(XV)の化合物を、式(VIII)の化合物と反応させて、式(VI)の化合物を形成する工程:
【化16】
;および、
(ii)式(VI)の化合物から、R
2、R
3およびR
5の置換基を切断して、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を形成する工程:
【化17】
[式中、R
5は、保護基であり;および、R
6は、独立して、F、Cl、Br、I、または
【化18】
から選択される。]
を含み得る。
【0026】
第3の態様の特定の実施形態において、R
7は、-N(R
4)CH
2CH
2NR
4R
5であり、式(XIIIa)の化合物は、式(XVI)の化合物を、式(V)の化合物と反応させる工程:
【化19】
[式中、R
5は、保護基である。]
によって形成され得る。
【0027】
第3の態様の特定の実施形態において、R
7は、-OR
7aであり、工程(b)は、
(i)式(XVb)の化合物から、R
7a置換基を切断して、式(XVII)の化合物を形成する工程:
【化20】
;
(ii)式(XVII)の化合物を、式(V)の化合物と反応させて、式(XVa)の化合物を形成する工程:
【化21】
;
(iii)式(XVa)の化合物を、式(VIII)の化合物と反応させて、式(VI)の化合物を形成する工程:
【化22】
;および、
(iv)式(VI)の化合物から、R
2、R
3およびR
5の置換基を切断して、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を形成する工程:
【化23】
[式中、R
5は、保護基であり;および、R
6は、独立して、F、Cl、Br、I、または
【化24】
から選択される。]
を含み得る。
【0028】
本発明の第4の態様において、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を製造する方法であって、
(a)式(XVIII)の化合物を、式(XIX)の化合物と反応させて、式(XV)の化合物を形成する工程:
【化25】
;および、
(b)式(XV)の化合物から、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を形成する工程:
【化26】
[式中、
R
1は、独立して、H、またはC
1-4アルキルから選択され;
R
2は、保護基であり;
R
3は、独立して、-CH
2-アリール、またはtert-ブチルから選択され;
各R
4は、出現ごとに独立して、C
1-6アルキルであり;
R
7は、独立して、-OR
7a、および-N(R
4)CH
2CH
2NR
4R
5から選択され、
R
7aは、C
1-6アルキル、またはCH
2-アリールであり;および、
R
8cは、BF
3K、またはB(OR
9c)
2であり、ここで、R
9cは、出現ごとに、H、またはC
1-4アルキルであり;または、2つのR
9c置換基は、一緒になって、(CR
aR
b)
nを形成し;または、2つのR
9c置換基は、一緒になって、-C(O)-(CR
aR
b)-N(R
c)-(CR
aR
b)-C(O)-を形成する。]
を含む、方法が提供される。
【0029】
第4の態様の特定の実施形態において、工程(b)は、第3の態様について上述した手法のいずれかに従って、式(XV)の化合物を、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩に変換する工程を含み得る。
【0030】
R1は、Hであり得る。R1は、C1-4アルキルであり得る。
【0031】
R2は、出現ごとに独立して、tert-ブチルオキシカルボニル基(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、tert-ブチル(tBu)、パラ-メトキシベンジル(PMB)、およびフタルイミドから選択され得る。R2は、独立して、tert-ブチルオキシカルボニル基(Boc)、またはベンジルオキシカルボニル(Cbz)から選択されてもよい。R2は、tert-ブチルオキシカルボニル基(Boc)であってもよい。R2は、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)であってもよい。
【0032】
R3は、-CH2-アリール、例えば、ベンジル、またはパラメトキシベンジルであり得る。R3は、ベンジルであってもよい。R3は、tert-ブチルであり得る。
【0033】
R4は、出現ごとに独立して、メチル、エチル、n-プロピル、またはイソプロピルから選択され得る。R4は、メチルであってもよい。R4は、エチルであってもよい。
【0034】
R5は、独立して、tert-ブチルオキシカルボニル基(Boc)、またはベンジルオキシカルボニル(Cbz)から選択され得る。R5は、tert-ブチルオキシカルボニル基(Boc)であってもよい。R5は、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)であってもよい。
【0035】
R2が、Cbzであり、R5が、Cbzであり、R3が、ベンジルであり得る。R2が、Bocであり、R5が、Bocであり、R3が、tert-ブチルであり得る。
【0036】
R2、R3およびR5は、R2、R3およびR5のそれぞれが、同じ条件下で切断されるように選択することができる。例えば、R2、R3およびR5のそれぞれは、接触水素化によって切断され得る(例えば、R2、R5およびR3が、ベンジルおよびCbz基である場合)。あるいは、R2、R3およびR5のそれぞれは、ブレンステッド酸を使用して切断され得る(例えば、R2、R5およびR3が、tert-ブチルおよびBoc基である場合)。
【0037】
あるいは、R2、R3およびR5は、それらがすべて異なる条件下で切断されるように、または、R2、R3およびR5のうちの任意の2つが、R2、R3およびR5のうちの残りの1つとは異なる条件下で切断されるように、選択されてもよい。したがって、R3の切断をもたらす条件下でR2およびR5が切断されないように、R2、R3およびR5を選択することができる。
【0038】
R7は、-OR7aであり得、例えば、-O-CH3、-O-CH2CH3、-CH2CH2CH3、またはO-C(CH3)3であり得る。R7は、O-C(CH3)3であり得る。R7は、O-ベンジルであり得る。あるいは、R7は、N(R4)CH2CH2NR4R5であり得、例えば、N(R4)CH2CH2NR4Cbz、またはN(R4)CH2CH2NR4Bocであり得る。
【0039】
R
8a、R
8bまたはR
8cは、出現ごとに独立して、BF
3K、-B(OH)
2、-B(OCH
3)
2、
【化27】
から選択され得る。
【0040】
第1、第2または第3の態様のいずれかの特定の実施形態において、式(IV)の化合物は、式(IVa):
【化28】
(IVa)
で示される化合物である。
【0041】
第1、第2または第3の態様のいずれかの特定の実施形態において、式(V)の化合物は、式(Va):
【化29】
(Va)
で示される化合物である
【0042】
Xは、独立して、Cl、Br、およびIから選択され得る。Xは、Clであり得る。Xは、Brであり得る。
【0043】
R9aは、出現ごとに、Hであり得る。したがって、R8aは、B(OH)2であり得る。
【0044】
式(I)の化合物と式(II)の化合物との反応は、無機塩基(例えば、NaHCO3)の存在下で行うことができる。式(I)の化合物と式(II)の化合物との反応は、水とC1-C4-アルコール(例えば、メタノール)との混合物中で行うことができる。式(I)の化合物と式(II)の化合物との反応は、水と芳香族炭化水素(例えば、トルエン)の混合物中で行うことができる。
【0045】
式(III)の化合物と式(V)の化合物との反応は、まず、式(III)の化合物を酸塩化物に変換し、続いて、酸塩化物を、アミン(V)と反応させることにより、行うことができる。式(III)から酸塩化物への変換は、塩化オキサリルを用いて、例えば、DMAPまたはDMFの存在下で、行うことができる。あるいは、塩化チオニルを用いて、例えば、DMAPまたはDMFの存在下で、行うことができる。酸塩化物とアミン(V)との反応は、塩基、例えば無機塩基(例えば、NaHCO3)の存在下で、行うことができる。
【0046】
式(III)の化合物と式(V)の化合物との反応は、適切なアミドカップリング試薬(例えば、プロパンホスホン酸無水物)を用いて行ってもよい。反応は、適切な有機塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で行うことができる。反応は、アセトニトリル中で行うことができる。
【0047】
式(VI)の化合物から式(IV)の化合物への変換は、パラジウム触媒(例えば、H2とPd/Cの使用)による水素化を用いて行うことができる。反応は、NH3およびメタノールの存在下で行うことができる。反応は、1,4-ジオキサン中で行うことができる。反応は、ポリフッ素化C1-C4-アルコール(例えば、2,2,2-トリフルオロエタノール、または1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール)中で行うこともできる。
【0048】
式(VII)の化合物と式(VIII)の化合物との反応は、典型的には、塩基(例えば、NaH)の存在下で行われる。反応は、THF中で行うことができる。
【0049】
Aは、Naであり得る。
【0050】
【0051】
式(I)の化合物と式(IX)の化合物との反応は、典型的には、パラジウム(例えば、Pd/C、XPhos Pd G2、Pd(PPh3)4、Pd(dppf)Cl2)の存在下で行われる。反応は、XPhos Pd G2、Pd(PPh3)4、またはPd(dppf)Cl2の存在下で行ってもよい。反応は、無機塩基(例えば、K3PO4)の存在下で行うことができる。反応は、1,4-ジオキサン中で行うことができる。
【0052】
R7は、-O-C1-6-アルキル、または-O-CH2-アリールから選択されてもよい。R7は、-O-tert-ブチル、およびO-ベンジルから選択されてもよい。R7が、-O-C1-6-アルキル、または-O-CH2-アリールから選択される場合、R2およびR3は、好ましくは、R7と同じ条件下で切断されないように選択される。R7は、-O-C1-6-アルキル、例えば-O-tert-ブチルであり得る。R7が、-O-C1-6-アルキル、例えば-O-tert-ブチルである場合、R2は、好ましくは、Cbzであり、R3は、好ましくは、ベンジルである。R7は、-O-CH2-アリール、例えば-O-ベンジルであり得る。R7が、-O-CH2-アリール、例えば-O-ベンジルである場合、R2は、好ましくは、Bocであり、R3は、好ましくはt-Buである。
【0053】
R7が、-O-tert-ブチルである場合、式(Xa)の化合物から式(III)の化合物への変換は、ブレンステッド酸(例えば、TFA)の存在下で行うことができる。変換は、DCM中で行うことができる。
【0054】
R7が、-O-ベンジルである場合、式(Xa)の化合物から式(III)の化合物への変換は、パラジウム触媒水素化(例えば、H2とPd/Cの使用)を用いて行うことができる。反応は、NH3およびメタノールの存在下で行うことができる。反応は、1,4-ジオキサン中で行うことができる。
【0055】
R7は、N(R4)CH2CH2NR4R5、例えば、N(R4)CH2CH2NR4Cbz、またはN(R4)CH2CH2NR4Boc、であり得る。R7は、N(Me)CH2CH2NMeR5、例えば、N(Me)CH2CH2NMeCbz、またはN(Me)CH2CH2NMeBoc、であり得る。
【0056】
式(XI)の化合物と式(V)の化合物との反応は、まず、式(XI)の化合物を酸塩化物に変換し、続いて、酸塩化物をアミン(V)と反応させることにより、行うことができる。式(XI)から酸塩化物への変換は、塩化オキサリルを用いて、例えば、DMAPまたはDMFの存在下で、行うことができる。あるいは、塩化チオニルを用いて、例えば、DMAPまたはDMFの存在下で、行うことができる。酸塩化物とアミン(V)との反応は、塩基、例えば無機塩基(例えば、NaHCO3)の存在下で行うことができる。
【0057】
式(XIII)の化合物と式(XIV)の化合物との反応は、銀塩または銅塩の存在下で行うことができる。反応は、銀塩(例えば、Ag2CO3)の存在下で行うことができる。反応は、銅塩の存在下で行うことができる。銅塩は、Cu(I)塩、例えば、Cs2CO3/CuBr、Cu2O/1,10-フェナントロリン、または、Cu(I)チオフェン-2-カルボキシレート、であり得る。銅塩は、銅(II)塩、例えば、Cu(OAc)2であり得る。反応は、1,4-ジオキサン中で行うことができる。
【0058】
式(XVIII)の化合物と式(XIX)の化合物との反応は、パラジウム(例えば、Pd/C、XPhos Pd G2、Pd(PPh3)4、Pd(dppf)Cl2)の存在下で行うことできる。反応は、XPhos Pd G2、Pd(PPh3)4、またはPd(dppf)Cl2の存在下で行ってもよい。反応は、無機塩基(例えば、K3PO4)の存在下で行うことができる。反応は、1,4-ジオキサン/水中で行うことができる。
【0059】
式(XV)の化合物と式(VIII)の化合物との反応は、典型的には、塩基(例えば、NaH)の存在下で行われる。反応は、THF中で行うことができる。
【0060】
式(XVI)の化合物と式(V)の化合物との反応は、HBTUの存在下で行うことができる。反応は、DCM中で行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本明細書で使用される化学用語は、当技術分野で一般的に受け入れられている意味を有する。
【0062】
「ハロ」との用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを意味する。
【0063】
「アルキル」との用語は、直鎖状または分枝鎖状の飽和一価炭化水素鎖を意味する。例えば、C1-C6-アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、およびn-ヘキシルを意味し得る。アルキル基は、置換されていないか、または1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0064】
「アルキレン」との用語は、直鎖状の飽和二価炭化水素鎖を意味する。アルキレン基は、置換されていないか、または1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0065】
「ハロアルキル」との用語は、出現ごとに独立して、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される少なくとも1個のハロゲン原子で置換された炭化水素基を意味する。ハロゲン原子は、炭化水素鎖上の任意の位置に存在し得る。例えば、C1-C6-ハロアルキルは、クロロメチル、フルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロエチル、例えば、1-クロロエチルおよび2-クロロエチル、トリクロロエチル、例えば、1,2,2-トリクロロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、フルオロエチル、例えば、1-フルオロエチルおよび2-フルオロエチル、トリフルオロエチル、例えば、1,2,2-トリフルオロエチルおよび2,2,2-トリフルオロエチル、クロロプロピル、トリクロロプロピル、フルオロプロピル、トリフルオロプロピル、を意味し得る。ハロアルキル基は、フルオロアルキル基、すなわち、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭化水素鎖であり得る。したがって、ハロアルキル基は、任意の数のハロゲン置換基を有し得る。この基は、単一のハロゲン置換基を含んでいてもよく、また、2つまたは3つのハロゲン置換基を有していてもよく、またはハロゲン置換基で飽和されていてもよい。
【0066】
「アルケニル」との用語は、少なくとも1つの二重結合を含む分枝状または直鎖状の炭化水素基を意味する。二重結合は、EまたはZ異性体として存在し得る。二重結合は、炭化水素鎖の可能な任意の位置にあり得る。例えば、「C2-C6-アルケニル」は、エテニル、プロペニル、ブテニル、ブタジエニル、ペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、およびヘキサジエニルを意味し得る。アルケニル基は、置換されていないか、または1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0067】
「アルキニル」との用語は、少なくとも1つの三重結合を含む分枝状または直鎖状の炭化水素鎖を意味する。三重結合は、炭化水素鎖の可能な任意の位置にあり得る。例えば、「C2-C6-アルキニル」は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、およびヘキシニルを意味し得る。アルキニル基は、置換されていないか、または1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0068】
「シクロアルキル」との用語は、例えば、3、4、5または6個の炭素原子を含む飽和炭化水素環系を意味する。例えば、「C3-C6-シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルを意味し得る。シクロアルキル基は、置換されていないか、または1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0069】
「ヘテロシクロアルキル」との用語は、環系において示された数の原子を有し、環系においてO、SおよびNから独立して選択される1個または2個のヘテロ原子を含む(換言すれば、環系を形成する原子の1つまたは2つが、O、SおよびNから選択される)、単環式または二環式の飽和または部分飽和の基を意味し得る。部分飽和とは、環が1つまたは2つの二重結合を含み得ることを意味する。これは、特に5~6員の単環式環に適用される。二重結合は、典型的には2つの炭素原子の間であるが、炭素原子と窒素原子の間であってもよい。ヘテロシクロアルキル基の例としては、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、ジオキサン、アゼピンが挙げられる。ヘテロシクロアルキル基は、置換されていないか、または1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0070】
「アリール」との用語は、芳香族炭素環系(すなわち、2(2n+1)のπ電子を含む環系)を意味し得る。アリール基は、環系に6~12個の炭素原子を有し得る。アリール基は、典型的にはフェニル基である。アリール基は、ナフチル基、またはビフェニル基であってもよい。
【0071】
「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」との用語は、芳香族(すなわち、2(2n+1)のπ電子を含む環系)の、O、SおよびNから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を含む(換言すれば、環系を形成する原子の1~4個が、O、SおよびNから選択される)、5~10員の環系を意味する。したがって、ヘテロアリール基は、ヘテロ芳香族環が、O、SおよびNから独立して選択される1~4個のヘテロ原子で置換されている、5員ヘテロアリール基;ヘテロ芳香族環が1~3個(例えば1~2個)の窒素原子で置換されている、6員ヘテロアリール基;ヘテロ芳香族系が、O、SおよびNから独立して選択される1~4個のヘテロ原子で置換されている、9員の二環式ヘテロアリール基;ヘテロ芳香族系が1~4個の窒素原子で置換されている、10員の二環式ヘテロアリール基、から独立して選択され得る。具体的には、ヘテロアリール基は、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、イソキサゾール、トリアゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソキサゾール、ベンゾフラジン、プリン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、プテリジン、フタラジン、ナフチリジン、カルバゾール、フェナジン、ベンゾイソキノリン、ピリドピラジン、チオフェノフラン、2H-フロピラジン、5H-ピリドオキサジン、1H-ピラゾロオキサゾール、4H-イミダゾチアゾール、ピラジノピリダジン、イミダゾチアゾール、イミダゾトリアジン、から独立して選択され得る。
【0072】
本明細書において、「保護基」との用語は、当業者に容易に理解可能な通常の意味が付与される。それは、本明細書では、窒素または酸素を保護するのに適した基を意味するために使用される。窒素を保護するのに適した保護基の例としては、tert-ブチルオキシカルボニル基(Boc基)、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz)、tert-ブチル基(tBu)、パラ-メトキシベンジル(PMB)、およびフタルイミドが挙げられる。酸素を保護するのに適した保護基の例としては、ベンジル基(Bn)、およびtert-ブチル基(tBu)が挙げられる。
【0073】
複数の保護基が同じ化合物に存在する場合、保護基は、互いに無関連(orthogonal)であっても無関連でなくてもよい(すなわち、第2の保護基を除去することなく第1の保護基を除去することができる場合、2つの基は、無関連であると言える)。本発明の方法において、保護基は、典型的には互いに無関連ではない。
【0074】
1つ以上の不斉炭素原子を含む本明細書に開示される化合物は、2つ以上の立体異性体として存在することができる。化合物がC=CまたはC=N基などの二重結合を含む場合、幾何学的なシス/トランス(またはZ/E)異性体が可能である。構造異性体が低エネルギー障壁を介して相互変換可能な場合、互変異性体(「互変異性」)が発生する可能性がある。これは、例えば、イミノ、ケト、またはオキシム基を含む本明細書に開示される化合物におけるプロトン互変異性の形態、または、芳香族部分を含む化合物におけるいわゆる原子価互変異性の形態をとり得る。したがって、単一の化合物が複数の種類の異性体を表す可能性がある。
【0075】
本発明の範囲内には、複数の種類の異性体を表す化合物、およびそれらの1つ以上の混合物を含めた、本発明の方法で製造される化合物の、すべての立体異性体、幾何異性体、および互変異性形態が含まれる。
【0076】
本発明の方法で製造される化合物は、薬学的に許容される塩の形態で、製造され、保存し、および/または使用することができる。適切な塩としては、これに限定されるものではないが、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸、および臭化水素酸などの許容される無機酸の塩、または、酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、ムチン酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸、および吉草酸などの農学的に許容される有機酸の塩、が挙げられる。適切な塩には、無機塩基および有機塩基の塩も挙げられ、例えば、Na、Ca、K、Li、Mg、アンモニウム、トリメチルスルホニウムなどの対イオンの塩基が挙げられる。化合物は、N-オキシドの形態で、製造され、保存し、および/または使用することもできる。また、対イオンが光学活性である酸付加塩または塩基塩、例えば、d-乳酸またはl-リジン、またはラセミ体、例えば、dl-酒石酸塩またはdl-アルギニンも含まれる。
【0077】
本発明の方法で製造される化合物の薬学的に許容される塩は、例えば、以下の方法の1つまたは複数によって調製することができる:
(i)化合物を所望の酸または塩基と反応させる;
(ii)所望の酸または塩基を使用して、本発明の化合物の適切な前駆体から酸または塩基に不安定な保護基を除去する、または、適切な環状前駆体、例えば、ラクトンまたはラクタムを開環する;または、
(iii)適切な酸または塩基との反応によって、または適切なイオン交換カラムによって、化合物の1つの塩を別の塩に変換する。
これらの方法は、典型的には溶液中で実施される。得られた塩は、沈殿し、濾過によって回収するか、または、溶媒の蒸発留去によって収集することができる。結果として得られる塩のイオン化の程度は、完全にイオン化されているものからほとんどイオン化されていないものまでさまざまであり得る。
【0078】
シス/トランス異性体は、当業者によく知られた従来の技術、例えば、クロマトグラフィーおよび分別結晶によって、分離することができる。
【0079】
必要に応じて、個々のエナンチオマーを調製/単離するための従来の技術としては、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または、例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いたラセミ体(あるいは塩または誘導体のラセミ体)の分離、が挙げられる。したがって、本発明のキラル化合物(およびそのキラル前駆体)は、典型的には、0~50体積%のイソプロパノール、典型的には2%~20%のもの、および、特定の例では、0~5体積%のアルキルアミン、例えば、0.1%ジエチルアミンを含む、ヘプタンまたはヘキサンの炭化水素で構成する移動相を用いた、不斉樹脂でのクロマトグラフィー、典型的にはHPLC、を用いて、エナンチオマー濃縮形態で、得ることができる。溶出液を濃縮すると、濃縮した混合物を得ることができる。
【0080】
あるいは、ラセミ体(またはラセミ前駆体)は、適切な光学活性化合物、例えばアルコールと反応させることができ、または、本発明の化合物が酸部分または塩基部分を含む場合には、1-フェニルエチルアミンまたは酒石酸などの塩基または酸と反応させることができる。得られたジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶によって分離することができ、ジアステレオマーの一方または両方を、当業者によく知られた手段によって、対応する純粋なエナンチオマーに変換することができる。
【0081】
ラセミ体が結晶化する場合、2つの異なる種類の結晶となる可能性がある。第1の種類は、上述したラセミ化合物(真のラセミ化合物)であり、両方のエナンチオマーを等モル量で含む結晶の1つの均質な形態が生成される。第2の種類は、ラセミ混合物またはコングロメレートであり、それぞれ単一のエナンチオマーを含む2つの形態の結晶が等モル量で生成される。
【0082】
ラセミ混合物中に存在する両方の結晶形は、同一の物理的性質を有するが、それらは真のラセミ体と比較して異なる物理的性質を有し得る。ラセミ混合物は、当業者に知られている従来の技術によって分離することができる。例えば、E. L. ElielおよびS. H. Wilenによる“Stereochemistry of Organic Compounds” (Wiley, 1994) を参照されたい。
【0083】
立体化学の決定および立体異性体の分離の方法は、当技術分野でよく知られている(“Advanced Organic Chemistry”, 7th edition J. March, John Wiley and Sons, New York, 2013のdiscussionを参照)。
【0084】
本発明はまた、本明細書で定義される本発明の方法で製造され、1つ以上の同位体置換を含む化合物を包含する。例えば、Hは、1H、2H(D)、および3H(T)を含む、同位体形態であり得;Cは、12C、13C、および14Cを含む、同位体形態であり得;Oは、16Oおよび18Oを含む、同位体形態であり得る。同様に、N、S、およびPの同位体バリアントを利用することもできる。
【0085】
個々の工程として上述した工程はタンデムに実行されることもあり得る。換言すれば、ある工程からの反応生成物が、次の工程の前に単離および精製されない可能性がある。第1の工程の反応が完了した際に、直前の工程で得られた反応混合物に、ある工程の試薬を添加することもできる。例えば、反応手順が鈴木(Suzuki)反応(例えば工程a)または本発明の第1の態様とそれに続く水素化分解を含む場合、その反応が完了すると、鈴木反応の反応混合物にH2を簡単に加えることができる。
【0086】
本明細書の説明および特許請求の範囲を通じて、「含む」および「含有する」との用語、ならびにそれらの変形は、「含むが、これらに限定されない」ことを意味し、他の部分、添加剤、成分、整数、または工程を排除することを意図するものではない(および排除しない)。本明細書の説明および特許請求の範囲を通じて、単数形は、文脈上特に断りのない限り、複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、明細書は、文脈上特に断りのない限り、単一のものだけでなく複数のものも企図していると理解されるべきである。
【0087】
本発明の特定の態様、実施形態または例に関連して記載される、特徴、整数、特性、化合物、化学部分または基は、それらと両立しない場合を除き、本明細書に記載される任意の他の態様、実施形態または例に適用可能であると理解されるべきである。
【0088】
読者の注意は、本出願に関連して本明細書と同時またはそれ以前に提出され、本明細書と共に公衆の閲覧に供されているすべての論文および文書に向けられており、そのようなすべての論文および文書の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0089】
以下の実施例は、式(IV)の化合物を製造する具体的な方法を表す。
【0090】
一般的な実験
以下の略語が使用される。
Bn:ベンジル
Cbz:カルボキシベンジル
DCM:ジクロロメタン
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMAP:N,N-ジメチル-4-アミノピリジン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
HBTU:N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウム ヘキサフルオロホスフェート
HFIP:1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール
T3P:プロパンホスホン酸無水物
TFA:トリフルオロ酢酸
TFE:2,2,2-トリフルオロエタノール
THF:テトラヒドロフラン
XPhos:2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル
XPhos Pd G2:クロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)
【0091】
分析方法
1H-NMRスペクトルはすべて、5mm QNPを有するBruker AVI 500により得た。化学シフト(δ)は、パーツ・パー・ミリオン(ppm)で表し、溶媒を参照している。カップリング定数(J)は、ヘルツ(Hz)で表される。
【0092】
LC-MSは、以下に詳述する方法を用いて、Waters Alliance ZQ(方法AおよびB)、または、Waters Acquity H-class UPLC(方法C)により得た。波長は、254nmおよび210nmであった。
方法A
カラム:YMC-Triart C18、2.0×50mm、5μm。
流速:0.8mL/min。
注入量:6μL。
移動相:A=水、B=アセトニトリル、C=1:1の水:アセトニトリル+1.0%ギ酸。
【表1】
方法B
カラム:YMC-Triart C18、2.0×50mm、5μm。
流速:0.8mL/min。
注入量:6μL。
移動相:A=水、B=アセトニトリル、C=1:1の水:アセトニトリル+1.0%ギ酸。
【表2】
方法C
カラム:CSH C18、2.1×50mm、1.7μm。
流速:1.0mL/min。
注入量:5μL。
移動相:A=水+0.1%ギ酸、B=アセトニトリル+0.1%ギ酸。
【表3】
【0093】
中間体の合成
中間体1:ベンジル N-メチル-N-[2-(メチルアミノ)エチル]カルバメート
【化31】
N,N’-ジメチルエタン-1,2-ジアミン(130mL、1.20mol)のDCM(500mL)の冷却(0℃)溶液に、N-(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(60g、241mmol)のDCM(500mL)溶液を、約90分かけて滴下して加え、室温でさらに2.5時間撹拌した。
ワークアップA:HCl塩の単離
反応混合物を濃縮乾燥し、残渣を酢酸エチル(1500mL)に再溶解し、水(2×750mL)で洗浄した。水相を酢酸エチル(500mL)で抽出し、合わせた有機物をブライン(500mL)で洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾燥して、無色の油を得た。油状物を酢酸エチル(500mL)に再溶解し、0℃に冷却し、4MのHClの1,4-ジオキサン(78.2mL、313mmol)液を、撹拌した溶液に滴下して加えた。得られた沈殿物を濾過により単離し、酢酸エチル、続いて石油エーテルで洗浄して、目的のHCl塩を、白色の固体として得た(49.1g、79%)。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d
6) δ 9.19-8.97 (m, 2H), 7.42-7.30 (m, 5H), 5.08 (s, 2H), 3.60-3.51 (m, 2H), 3.03 (br s, 2H), 2.94-2.85 (m, 3H), 2.57-2.48 (m, 3H).
ワークアップB:遊離塩基の蒸留
反応混合物を減圧下で濃縮し、続いて、水(300mL)を添加し、ジエチルエーテル(2×300mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾燥した。得られた黄色の油を短行程蒸留(生成物は、116℃、0.45mbarで蒸留)により精製して、目的の遊離塩基を無色の油として得た(36g、64%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.39-7.28 (m, 5H), 5.13 (s, 2H), 3.41 (br s, 2H), 2.96 (s, 3H), 2.80-2.69 (m, 2H), 2.49-2.36 (m, 3H).
【0094】
中間体2:ベンジル N-クロロスルホニルカルバメート
【化32】
クロロスルホニルイソシアネート(30mL、346mmol)をDCM(500mL)に加え、窒素雰囲気下、0℃に冷却した。冷却後、ベンジルアルコール(37.4g、35.7mL、346mmol)のDCM(100mL)溶液を混合物にゆっくり加え、次いで反応物を室温まで温め、1時間撹拌した。混合物を溶媒体積の約50%までエバポレートし、激しく撹拌しながら、固形物が砕けるまで石油エーテルを加えた。得られたスラリーを20分間撹拌した後、濾過し、窒素流下で1時間乾燥させて、目的の生成物を白色の固体として得た(79g、91%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 8.88 (br s, 1H), 7.40 (s, 5H), 5.31 (s, 2H).
【0095】
実施例1
3-[4-[メチル-[2-(メチルアミノ)エチル]カルバモイル]フェニル]-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸の合成
【化33】
工程1
ナトリウム ベンジルオキシカルボニル-(2-ベンジルオキシカルボニル-3-ブロモ-ピロール-1-イル)スルホニル-アザニド
水素化ナトリウム(鉱油中60%、23.6g、589mmol)の無水THF(200mL)の懸濁液を、窒素雰囲気下で-10℃に冷却し、続いて、ベンジル 3-ブロモ-1H-ピロール-2-カルボキシレート(55g、196mmol)の無水THF(200mL)溶液を、温度を-5℃未満に維持しながら45分間かけて滴下して加えた。反応混合物を室温に温め、1時間撹拌した後、-10℃に再冷却した。反応混合物に、ベンジル N-クロロスルホニルカルバメート(53.9g、216mmol)を、温度を-5℃未満に維持しながら30分間かけて少しずつ加えた。反応混合物を室温に温め、2時間撹拌した後、-10℃に再冷却し、50:50の水:ブライン(250mL)を滴下してクエンチした。混合物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた有機相をブライン(200mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、溶液をデカントし、濃縮乾燥した。残渣をジエチルエーテル(200mL)で処理し、濾過し、吸引乾燥し、次いでジエチルエーテル(250mL)で再度処理し、濾過し、吸引乾燥して、目的の生成物を白色の固体として得た(99.8g、98%)。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d
6) δ 7.56-7.52 (m, 2H), 7.36-7.26 (m, 9H), 6.17 (d, J=3.4 Hz, 1H), 5.23 (s, 2H), 4.85 (s, 2H).
【0096】
工程2
4-[2-ベンジルオキシカルボニル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-3-イル]安息香酸
ナトリウム ベンジルオキシカルボニル-(2-ベンジルオキシカルボニル-3-ブロモ-ピロール-1-イル)スルホニル-アザニド(20.0g、38.8mmol)、および4-カルボキシフェニルボロン酸(7.08g、42.7mmol)のメタノール(100mL)液を、窒素で30分間脱気し、続いて活性炭10%パラジウム(タイプ58、標準、還元、表示上50%水湿潤、2.07g、0.97mmol)を添加し、混合物について、3回、真空下での排気と、雰囲気の窒素への置換を行った。重炭酸ナトリウム(6.52g、77.6mmol)の水(100mL)の脱気(30分、窒素)溶液を、反応混合物にゆっくりと加えた。添加の完了後、反応混合物を真空下で排気し、雰囲気を窒素で置換した後、80℃で一晩加熱した。室温まで冷却した後、反応混合物をセライト(登録商標)のパッド(水で前処理したもの)で濾過し、パッドを水(2×100mL)で洗浄し、合わせた濾液をジエチルエーテル(2×100mL)で抽出した。水層をゆっくりと安定した流れで、酢酸(30mL)と水(270mL)の撹拌混合物に50℃で約1時間かけて、加えた。添加の完了後、得られたスラリーを50℃で10分間撹拌し、次いで室温まで冷却し、さらに1時間撹拌した。沈殿した固体をろ過により単離し、水(2×50mL)で洗浄し、真空下、60℃で乾燥させて、目的の生成物を白色の固体として得た(17.0g、80%)。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.84 (d, J=8.2 Hz, 2H), 7.43-7.39 (m, 3H), 7.36-7.30 (m, 5H), 7.29-7.25 (m, 5H), 6.42 (d, J=2.6 Hz, 1H), 5.19 (s, 2H), 5.00 (s, 2H). LC-MS (方法A): RT = 3.42 min, m/z = 533.8 [M-H]-.
【0097】
工程3
ベンジル 3-[4-[2-[ベンジルオキシカルボニル(メチル)アミノ]エチル-メチル-カルバモイル]フェニル]-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート
4-[2-ベンジルオキシカルボニル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-3-イル]安息香酸(15.0g、28.0mmol)の酢酸エチル(150mL)の懸濁液に、DMF(43μL、0.56mmol)を加え、続いて、塩化オキサリル(2.68mL、30.9mmol)を滴下して加えた。得られた懸濁液を40℃で1時間加熱し、次いで減圧下で体積が約半分になるまで濃縮した。次いで、これに固体の重炭酸ナトリウム(5.19g、61.7mmol)を加え、続いて、ベンジル N-メチル-N-[2-(メチルアミノ)エチル]カルバメート(7.49g、33.7mmol)の酢酸エチル(75mL)溶液を滴下した。室温で一晩撹拌した後、反応混合物を、2MのHCl水溶液(100mL)の添加により酸性化した。層を分離し、有機相を2MのHCl水溶液(100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で体積約100mLまで濃縮した。これを60℃に加熱し、続いてシクロヘキサン(200mL)をゆっくりと添加した。60℃で15分間撹拌した後、得られた懸濁液を室温に冷却し、一晩撹拌した。沈殿した固体を濾過によって単離し、シクロヘキサン(2×50mL)で洗浄し、吸引乾燥して、目的の生成物を白色の固体として得た(17.0g、82%)。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.52-7.09 (m, 20H), 6.51-6.34 (m, 1H), 5.20 (br s, 2H), 5.14-4.78 (m, 4H), 3.71-2.53 (m, 10H). LC-MS (方法A): RT = 3.70 min, m/z = 739.9 [M+H]+.
【0098】
工程4
3-[4-[メチル-[2-(メチルアミノ)エチル]カルバモイル]フェニル]-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸 (化合物IVa)
活性炭10%パラジウム(タイプ58、標準、還元、表示上50%水湿潤、720mg、0.34mmol)を、パージ(真空下で排気後に窒素で置き換えを3回実施)した、ベンジル 3-[4-[2-[ベンジルオキシカルボニル(メチル)アミノ]エチル-メチル-カルバモイル]フェニル]-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート(5.00g、6.77mmol)の、メタノール(17.5mL)と1,4-ジオキサン(17.5mL)の混合液に加えた。反応混合物を真空/窒素で3回パージし、7Mアンモニアのメタノール液(7.73mL、54.1mmol)を加えた。反応混合物を真空で1回パージし、雰囲気を水素(1atm)で置換し、室温で一晩撹拌した。反応混合物を、セライト(登録商標)パッド(7Mアンモニアのメタノール液で前処理したもの)を通して濾過し、パッドをさらに7Mアンモニアのメタノール(50mL)液で洗浄した。合わせた濾液をメタノール(50mL)で希釈し、減圧下で濃縮して、約50mLの溶媒を3回の合計で除去し、次いで室温で1時間撹拌した。得られた沈殿物を濾過により単離し、真空下60℃で一晩乾燥させて、目的の生成物を白色の固体として得た(2.20g、85%)。
1H NMR (500 MHz, D2O) δ 7.51 (br d, J=7.9 Hz, 2H), 7.44 (d, J=7.9 Hz, 1.5 H), 7.37 (br d, J=7.9 Hz, 0.5 H), 7.19 (d, J=3.1 Hz, 1H), 6.41 (d, J=3.0 Hz, 1H), 3.81 (t, J=5.7 Hz, 1.5H), 3.69-3.65 (m, 0.5H), 3.31 (t, J=5.7 Hz, 1.5H), 3.15 (t, J=6.3 Hz, 0.5H), 3.05 (s, 0.8H), 3.01 (s, 2.2H), 2.72 (s, 2.2H), 2.53 (s, 0.8H). 複数の回転異性体が観察される。 LC-MS (方法B): RT = 4.93 min, m/z = 379.7 [M-H]-.
【0099】
実施例2:実施例1の工程3の代替条件
ベンジル 3-[4-[2-[ベンジルオキシカルボニル(メチル)アミノ]エチル-メチル-カルバモイル]フェニル]-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレートの合成
【化34】
ベンジル N-メチル-N-[2-(メチルアミノ)エチル]カルバメート塩酸塩(25.4g、98.2mmol)、および4-[2-ベンジルオキシカルボニル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-3-イル]安息香酸(50.0g、93.5mmol)の、アセトニトリル(125mL)の懸濁液に、トリエチルアミン(78.2mL、561mmol)を加え、20℃で20分間撹拌した。プロパンホスホン酸無水物(酢酸エチル中50%、82.7mL、140mmol)を、温度を25℃未満に維持しながら、1時間かけて添加し、室温でさらに1時間撹拌した。反応混合物を、酢酸エチル(500mL)および5%クエン酸水溶液(500mL)で希釈し、次いで15分間撹拌した。層を分離し、有機相を、5%クエン酸水溶液(500mL)、および1M重炭酸ナトリウム水溶液(500mL)で順次洗浄した。有機相を、最終体積100mLまで濃縮し、酢酸エチル(150mL)で希釈して移動性スラリーを形成し、20℃で一晩撹拌した。n-ヘプタン(100mL)を4時間かけてスラリーに加え、混合物を一晩撹拌した。生成物を濾過により単離し、1:3の酢酸エチル:n-ヘプタン(100mL)、n-ヘプタン(100mL)で洗浄し、真空下、40℃で一晩乾燥させて、目的の生成物を白色の固体として得た(63.0g、91%)。
分析データは、実施例1の工程3で報告したものと一致した。
【0100】
実施例3:実施例1の工程4の代替条件
3-[4-[メチル-[2-(メチルアミノ)エチル]カルバモイル]フェニル]-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸の合成
【化35】
ベンジル 3-[4-[2-[ベンジルオキシカルボニル(メチル)アミノ]エチル-メチル-カルバモイル]フェニル]-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート(100g、135mmol)、および活性炭10%パラジウム(タイプ58、標準、還元、表示上50%水湿潤、4.50g、2.13mmol)のHFIP(500mL)の混合物を、真空/窒素で3回パージし、次いで、水素で3回パージした後、約850mbarの水素に加圧した。反応混合物をこの圧力において20℃で24時間維持し、次いで、窒素でパージし、Solka-floc(60g)のパッドを通して濾過し、HFIP(150mL)で洗浄した。合わせた濾液をSEM26(60g)とともに20℃で68時間撹拌し、次いで、濾紙を通して濾過し、HFIP(150mL)で洗浄した。合わせた濾液を減圧下で最終体積200mLまで濃縮し、続いて、水(100mL)およびメタノール(100mL)を添加し、最後に生成物の種結晶(200mg)を得た。混合物を20℃で30分間撹拌し、メタノール(300mL)を2時間かけて添加し、得られたスラリーを一晩撹拌した。スラリーを濾過し、ケークを80:20のメタノール:水(2×300mL)で洗浄し、真空下30℃で一晩乾燥させて、粗生成物を白色の固体として得た(44.5g、粗収率87%)。
【0101】
再結晶化工程
粗生成物(40.6g、107mmol)のDMSO(160mL)の懸濁液を、溶液が形成されるまで20℃で撹拌した。温度を25℃未満に維持しながら、水(200mL)を1時間かけて添加し、得られたスラリーを1時間撹拌した。メタノール(240mL)を1時間かけて投入し、混合物を一晩撹拌した。得られたスラリーを濾過し、ケークを80:20のメタノール:水(2×120mL)で洗浄し、真空下、フィルター上で乾燥させた。次いで、湿ったケークをメタノール(400mL)と水(40mL)の混合液中、20℃で20時間スラリー化し、濾過により単離し、80:20のメタノール:水(240mL)で洗浄し、真空下、30℃で一晩乾燥させて、目的の生成物を白色の固体として得た(37.1g、再結晶収率91%、全体の収率79%)。
分析データは、実施例1の工程4で報告したものと一致した。
【0102】
実施例4:実施例1の工程4の代替条件
3-[4-[メチル-[2-(メチルアミノ)エチル]カルバモイル]フェニル]-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸の合成
【化36】
ベンジル 3-[4-[2-[ベンジルオキシカルボニル(メチル)アミノ]エチル-メチル-カルバモイル]フェニル]-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート(20g、27mmol)、および活性炭10%パラジウム(表示上50%水湿潤、2.0g、0.94mmol)のTFE(1000mL)の混合物を、真空/窒素で2回パージし、次いで水素で3回パージした後、2~4atmの水素に加圧した。反応混合物を室温でこの圧力で16時間維持し、次いで窒素でパージし、濾過し、TFE(20mL)で洗浄した。合わせた濾液を減圧下で濃縮して最終体積160mLとし、6時間撹拌した後、沈殿した固体を濾過により単離した。固体をメタノール(400mL)に再懸濁し、2時間撹拌し、濾過により単離し、メタノール(60mL)で洗浄した。濾過した固体をメタノール(200mL)と水(200mL)の混合物に再懸濁し、2時間撹拌した。固体を濾過により単離し、メタノール(60mL)で洗浄し、真空下40℃で8時間乾燥させて、目的の生成物を白色の固体として得た(7.2g、70%)。
分析データは、実施例1の工程4で報告したものと一致した。
【0103】
実施例5
4-[2-ベンジルオキシカルボニル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-3-イル]安息香酸への代替合成経路(ナトリウム塩経由)
【化37】
工程1
ナトリウム [(ベンジルオキシ)カルボニル]({2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-3-{4-[(tert-ブトキシ)カルボニル]フェニル}-1H-ピロール-1-イル}スルホニル)アザニド
ナトリウム ベンジルオキシカルボニル-(2-ベンジルオキシカルボニル-3-ブロモ-ピロール-1-イル)スルホニル-アザニド(35.0g、67.9mmol)、tert-ブチル 4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾエート(22.7g、74.7mmol)、およびXPhos Pd G2(2.67g、3.40mmol)の、1,4-ジオキサン(350mL)の撹拌した懸濁液を脱気し、窒素でパージした後、3MのK
3PO
4水溶液(67.9mL、204mmol)を加えた。45℃で2時間加熱した後、反応混合物を冷却し、相を分離し、有機相を濃縮乾燥した。残渣を酢酸エチル(300mL)に再溶解し、水(2×300mL)、および飽和重炭酸ナトリウム溶液(2×300mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で約60mLに濃縮した。これをジエチルエーテル(150mL)で希釈し、得られた溶液を激しく撹拌しながら石油エーテルに滴下した。沈殿した固体を濾過により単離し、吸引乾燥して、目的の生成物をオフホワイトの固体として得た(40.4g、97%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.61 (br d, J=7.6 Hz, 2H), 7.56 (br s, 1H), 7.11-6.86 (m, 11H), 6.58 (br d, J=6.7 Hz, 2H), 5.87 (br s, 1H), 4.86 (br s, 2H), 4.78 (s, 2H), 1.61 (s, 9H). LC-MS (方法A): R
T = 3.93 min, m/z = 589.6 [M - H]
-.
【0104】
工程2
4-[2-ベンジルオキシカルボニル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-3-イル]安息香酸
ナトリウム[(ベンジルオキシ)カルボニル]({2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-3-{4-[(tert-ブトキシ)カルボニル]フェニル}-1H-ピロール-1-イル}スルホニル)アザニド(40.5g、65.8mmol)のDCM(300mL)の撹拌した溶液に、TFA(73mL、0.99mol)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで濃縮乾燥した。残渣をイソプロパノールで処理し、濾過し、吸引乾燥して、目的の生成物をオフホワイトの固体として得た(25.0g、71%)。これは、残留塩をさらに除去することなく、次に続く工程で使用した。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.85 (br d, J=7.9 Hz, 2H), 7.49 (br s, 1H), 7.44-7.23 (m, 10H), 7.19 (br d, J=6.4 Hz, 2H), 6.51 (br s, 1H), 5.22 (s, 2H), 5.12 (s, 2H). LC-MS (方法A): RT = 3.20 min, m/z = 533.5 [M-H]-.
【0105】
化合物IVaは、実施例1の工程3および工程4の方法に従って、4-[2-ベンジルオキシカルボニル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-3-イル]安息香酸から合成される。
【0106】
実施例6
4-[2-ベンジルオキシカルボニル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-3-イル]安息香酸への代替合成経路(遊離スルホンアミド経由)
【化38】
工程1
ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-(4-tert-ブトキシカルボニルフェニル)ピロール-2-カルボキシレート
ナトリウム ベンジルオキシカルボニル-(2-ベンジルオキシカルボニル-3-ブロモ-ピロール-1-イル)スルホニル-アザニド(51.9g、101mmol)を、ナトリウム [(ベンジルオキシ)カルボニル]({2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-3-{4-[(tert-ブトキシ)カルボニル]フェニル}-1H-ピロール-1-イル}スルホニル)アザニドに、上記と同様の方法で変換した。これをDCM(500mL)に再溶解し、2MのHCl水溶液(500mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾燥して、目的の生成物をオフホワイトの固体として得た(58.0g、96%)。
LC-MS (方法A): R
T = 4.12 min, m/z = 589.6 [M - H]
-.
【0107】
工程2
4-[2-ベンジルオキシカルボニル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-3-イル]安息香酸
ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-(4-tert-ブトキシカルボニルフェニル)ピロール-2-カルボキシレート(58.0g、98.2mmol)のDCM(300mL)の撹拌溶液に、TFA(109mL、1.47mol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで濃縮乾燥した。残渣をイソプロパノールで処理し、濾過し、吸引乾燥して、目的の生成物をオフホワイトの固体として得た(39.2g、75%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.68 (br s, 1H), 7.94 (br d, J=7.6 Hz, 2H), 7.65 (br s, 1H), 7.40-7.21 (m, 10H), 7.00 (br d, J=7.0 Hz, 2H), 6.29 (br s, 1H), 5.19 (s, 2H), 5.11 (s, 2H). LC-MS (方法A): RT = 3.17 min, m/z = 533.5 [M-H]-.
【0108】
化合物IVaは、実施例1の工程3および工程4の方法に従って、4-[2-ベンジルオキシカルボニル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-3-イル]安息香酸から合成される。
【0109】
実施例7
ベンジル 3-[4-[2-[ベンジルオキシカルボニル(メチル)アミノ]エチル-メチル-カルバモイル]フェニル]-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレートへの代替合成経路
【化39】
工程1
ベンジル N-メチル-N-[2-[メチル-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾイル]アミノ]エチル]カルバメート
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)安息香酸(1.0g、4.03mmol)の酢酸エチル(10mL)の懸濁液に、DMF(6μL、81μmol)を加えた。0℃に冷却した後、塩化チオニル(0.32mL、4.43mmol)を滴下して加えた後、反応混合物を室温に温め、一晩撹拌した。得られた溶液を減圧下で濃縮して体積を約半分にし、続いて固体の重炭酸ナトリウム(745mg、8.87mmol)を加え、次いで、ベンジル N-メチル-N-[2-(メチルアミノ)エチル]カルバメート(986mg、4.43mmol)の酢酸エチル(5mL)溶液を滴下して加えた。室温で1時間撹拌した後、反応混合物を濾過した。濾液を、約5mLに濃縮し、続いて石油エーテル(40mL)を加え、10分間撹拌した。沈殿した固体を濾過により単離し、吸引乾燥して、目的の生成物を白色の固体として得た(1.44g、79%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.85-7.77 (m, 2H), 7.39-7.20 (m, 7H), 5.18-4.93 (m, 2H), 3.77-2.63 (m, 10H), 1.35 (s, 12H). LC-MS (方法A): R
T = 3.65 min, m/z = 453.6 [M+H]
+.
【0110】
工程2
ベンジル 3-[4-[2-[ベンジルオキシカルボニル(メチル)アミノ]エチル-メチル-カルバモイル]フェニル]-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート
XPhos(278mg、0.58mmol)、および酢酸パラジウム(II)(44mg、0.19mmol)を、1,4-ジオキサン(5mL)中で5分間予備撹拌した後、ナトリウム ベンジルオキシカルボニル-(2-ベンジルオキシカルボニル-3-ブロモ-ピロール-1-イル)スルホニル-アザニド(2.00g、3.88mmol)、および、ベンジル N-メチル-N-[2-[メチル-[4-(4,4,5,5-テトラメチル)-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾイル]アミノ]エチル]カルバメート(2.28g、5.05mmol)を、1,4-ジオキサン(10mL)とともに加えた。混合物を脱気し、窒素雰囲気下に置いた後、3MのK3PO4水溶液(3.88mL、11.6mmol)を加え、60℃で2.5時間加熱した。反応混合物を酢酸エチル(約100mL)で希釈し、水(2×約60mL)、およびブライン(約60mL)で洗浄した。有機相を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾燥し、次いで、残渣をIPAから再濃縮し、ジエチルエーテルで処理し、濾過により単離した。単離した固体を、メタノールを補助として用いてDCMに再溶解し、1MのHCl水溶液で洗浄することにより酸性化した。有機相を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾燥し、次いで、DCMと石油エーテルの混合物から再濃縮して、目的の生成物をオフホワイトの固体として得た(2.55g、88%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.64 (br s, 1H), 7.55 (d, J=3.1 Hz, 1H), 7.39-7.20 (m, 17H), 7.10-7.01 (br m, 2H), 6.25 (d, J=2.4 Hz, 1H), 5.20-4.95 (m, 6H), 3.76 (br t, J=5.5 Hz, 1H), 3.70-3.57 (br m, 2H), 3.45-3.28 (br m, 1H), 3.20-2.76 (m, 5H), 2.72-2.61 (br m, 1H). LC-MS (方法A): RT = 3.31 min, m/z = 739.5 [M+H]+.
【0111】
化合物IVaは、実施例1の工程4の方法に従って、ベンジル 3-[4-[2-[ベンジルオキシカルボニル(メチル)アミノ]エチル-メチル-カルバモイル]フェニル]-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレートから合成される。
【0112】
実施例8
ベンジル 3-[4-[2-[ベンジルオキシカルボニル(メチル)アミノ]エチル-メチル-カルバモイル]フェニル]-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレートへの代替合成経路(塩化物とのカップリングによる)
【化40】
工程1
ナトリウム ベンジルオキシカルボニル-(2-ベンジルオキシカルボニル-3-クロロ-ピロール-1-イル)スルホニル-アザニド
水素化ナトリウム(鉱油中60%、25.2g、630mmol)の無水THF(200mL)の懸濁液を、窒素雰囲気下で-10℃に冷却し、続いて、ベンジル 3-クロロ-1H-ピロール-2-カルボキシレート(49.5g、210mmol)の無水THF(200mL)の溶液を、温度を-5℃未満に維持しながら、60分間かけて滴下して加えた。反応混合物を室温に温め、1時間撹拌した後、-10℃に再冷却した。反応混合物に、ベンジル N-クロロスルホニルカルバメート(57.7g、231mmol)を、温度を-5℃未満に維持しながら、45分間かけて少しずつ加えた。反応混合物を室温に温め、2時間撹拌した後、-10℃に再冷却し、50:50の水:ブライン(250mL)を滴下してクエンチした。混合物を、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた有機相をブライン(200mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、溶液をデカントし、濃縮乾燥した。残渣を、ジエチルエーテル(200mL)で処理し、濾過し、吸引乾燥して、目的の生成物を白色の固体として得た(94.5g、96%)。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d
6) δ 7.54-7.50 (m, 2H), 7.36-7.25 (m, 9H), 6.13 (d, J=3.1 Hz, 1H), 5.23 (s, 2H), 4.85 (s, 2H). LC-MS (方法A): R
T = 3.48 min, m/z = 447.2/449.2 [M-H]
-.
【0113】
工程2
ベンジル 3-[4-[2-[ベンジルオキシカルボニル(メチル)アミノ]エチル-メチル-カルバモイル]フェニル]-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート
ナトリウム ベンジルオキシカルボニル-(2-ベンジルオキシカルボニル-3-クロロ-ピロール-1-イル)スルホニル-アザニド(500mg、1.06mmol)、および、ベンジル N-メチル-N-[2-[メチル-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾイル]アミノ]エチル]カルバメート(606mg、1.34mmol)の、1,4-ジオキサン(4mL)混合液を、窒素の5分間のバブリングにより脱気し、続いて、XPhos Pd G2 (88mg、0.11mmol)、および、K3PO4(711mg、3.35mmol)の水(1mL)溶液を加えた。次いで、反応混合物を、窒素雰囲気下、50℃で2時間加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却し、50:50の水:ブライン(3mL)で希釈し、酢酸エチル(3×3mL)で抽出した。合わせた有機相を、2MのHCl水溶液(5mL)、およびブライン(5mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮乾燥した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、90:10~0:100のグラジエント溶出)により精製して、目的の生成物を淡黄色の固体として得た(280mg、収率36%)。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.45-7.17 (m, 20H), 6.46-6.32 (m, 1H), 5.19 (br s, 2H), 5.13-4.99 (m, 4H), 3.71-2.72 (m, 10H). LC-MS (方法A): RT = 3.73 min, m/z = 740.0 [M+H]+.
【0114】
化合物IVaは、実施例1の工程4の方法に従って、ベンジル 3-[4-[2-[ベンジルオキシカルボニル(メチル)アミノ]エチル-メチル-カルバモイル]フェニル]-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレートから合成される。
【0115】
実施例9
ベンジル 3-[4-[2-[ベンジルオキシカルボニル(メチル)アミノ]エチル-メチル-カルバモイル]フェニル]-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレートへの代替合成経路
【化41】
工程1
ベンジル N-{2-[1-(4-エチニルフェニル)-N-メチルホルムアミド]エチル}-N-メチルカルバメート
4-エチニル安息香酸(6.86g、46.9mmol)、および、ベンジル N-メチル-N-[2-(メチルアミノ)エチル]カルバメート塩酸塩(13.4g、51.6mmol)のDCM(150mL)の混合液に、HBTU(23.1g、61.0mmol)を加え、続いて、DIPEA(36.1mL、211mmol)を加えた後、20℃で3日間撹拌した。反応混合物を濃縮乾燥し、酢酸エチル(400mL)に再溶解し、2MのHCl水溶液(2×200mL)、水(200mL)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(2×200mL)、水(200mL)およびブライン(100mL)で洗浄した。有機相をMgSO
4で乾燥し、濾過し、濃縮乾燥し、カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、100:0~0:100のグラジエント溶出)で精製して、目的の生成物を、わら色のガムとして得た(16.0g、97%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.47 (br d, J=7.8 Hz, 2H), 7.40-7.25 (m, 7H), 5.20-4.90 (m, 2H), 3.74 (t, J=5.2 Hz, 1H), 3.68-3.27 (br m, 3H), 3.17-2.79 (m, 6H), 2.76-2.65 (br m, 1H). LC-MS (方法C): R
T = 1.76 min, m/z = 351.2 [M+H]
+.
【0116】
工程2
ベンジル 3-{4-[(2-{[(ベンジルオキシ)カルボニル](メチル)アミノ}エチル)(メチル)カルバモイル]フェニル}-1H-ピロール-2-カルボキシレート
ベンジル N-{2-[1-(4-エチニルフェニル)-N-メチルホルムアミド]エチル}-N-メチルカルバメート(3.50g、9.99mmol)、および、炭酸銀(551mg、2.00mmol)の無水1,4-ジオキサン(10mL)の混合液を、アルゴン雰囲気下で100℃に加熱した。加熱した懸濁液に、ベンジル 2-イソシアノアセテート(2.10g、12.0mmol)の無水1,4-ジオキサン(10mL)の溶液を、(シリンジポンプにより約80分で)滴下して加え、その後、100℃でさらに2時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物をジエチルエーテル(200mL)で希釈し、10分間撹拌し、次いで、セライト(登録商標)を通して濾過した。濾液を濃縮乾燥して、目的の生成物を黄色のガムとして得た(4.26g、81%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.28 (br s, 1H), 7.54 (br d, J=7.8 Hz, 2H), 7.40-7.25 (m, 12H), 6.95 (t, J=2.7 Hz, 1H), 6.34 (br s, 1H), 5.24 (s, 2H), 5.20-4.92 (m, 2H), 3.76 (br s, 1H), 3.69-3.26 (br m, 3H), 3.20-2.82 (br m, 5H), 2.75-2.55 (br m, 1H). LC-MS (方法C): RT = 1.98 min, m/z = 526.3 [M+H]+.
【0117】
工程3
ベンジル 3-[4-[2-[ベンジルオキシカルボニル(メチル)アミノ]エチル-メチル-カルバモイル]フェニル]-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート
水素化ナトリウム(鉱油中60%、228mg、5.71mmol)の無水THF(5mL)の懸濁液を、アルゴン雰囲気下で-10℃に冷却し、続いて、ベンジル 3-{4-[(2-{[(ベンジルオキシ)カルボニル](メチル)アミノ}エチル)(メチル)カルバモイル]フェニル}-1H-ピロール-2-カルボキシレート(1.00g、1.90mmol)の無水THF(5mL)溶液を、30分間かけて滴下して加えた。反応混合物を室温に温め、さらに60分間撹拌した後、-10℃に再冷却した。反応混合物に、ベンジル N-クロロスルホニルカルバメート(523mg、2.09mmol)を、25分かけて少しずつ加え、次いで、混合物を室温に温め、さらに2時間撹拌した。反応混合物を-10℃に再冷却し、1:1のブライン:水の溶液(20mL)で注意してクエンチし、2MのHCl水溶液(50mL)で酸性化し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾燥して、粗生成物を無色のガムとして得た(1.29g、92%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.67 (br s, 1H), 7.55 (d, J=3.2 Hz, 1H), 7.40-7.20 (m, 17H), 7.05 (br s, 2H), 6.15 (br d, J=2.3 Hz, 1H), 5.20-5.00 (m, 6H), 3.79-3.72 (br m, 1H), 3.70-3.56 (br m, 2H), 3.45-3.29 (br m, 1H), 3.18-2.77 (br m, 5H), 2.71-2.62 (br m ,1H). LC-MS (方法C): RT = 2.17 min, m/z = 739.3 [M+H]+.
【0118】
化合物IVaは、実施例1の工程4の方法に従って、ベンジル 3-[4-[2-[ベンジルオキシカルボニル(メチル)アミノ]エチル-メチル-カルバモイル]フェニル]-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレートから合成される。
【国際調査報告】