(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】双方向車両輸送ネットワークにおける交通管理のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
G08G1/09 C
G08G1/09 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521471
(86)(22)【出願日】2021-10-11
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 GB2021052625
(87)【国際公開番号】W WO2022074406
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522414006
【氏名又は名称】アイ アール キネティクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】I R KINETICS LIMITED
【住所又は居所原語表記】29 Rostle Top Road, Earby, Lancashire, BB18 6NJ, United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガードナー, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー, アンドリュー
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC14
5H181DD04
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF35
5H181LL04
5H181LL08
5H181MB02
5H181MB03
(57)【要約】
【解決手段】輸送ネットワークの現在の地理的位置における通路に沿った複数の車両の移動を制御するための車両管理システムであって、現在の地理的位置で複数の車両の検知済み運動パラメータを受信して複数の車両の移動に関するイベントの発生に関連するイベントデータを受信する受信機と、イベントに応答するために複数の車両の少なくとも1台の必要運動パラメータを決定して検知済み運動パラメータおよび必要運動パラメータに基づいて複数の車両の1台またはそれ以上の車両が取るべき1つ以上の必要運動パラメータの達成を可能にする1つ以上のアクションを決定して1台以上の車両に1つ以上のアクションを取るように命令するための1つ以上の命令信号を生成するプロセッサと、1つ以上のアクションの実行を可能にするために1台以上の車両のそれぞれに1つ以上の命令信号を送信する送信機を備える車両管理システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送ネットワークの現在の地理的位置における通路(pathway)に沿った複数の車両の移動を制御するための車両管理システムであって、前記車両管理システムは、
受信機であって、
前記現在の地理的位置において前記複数の車両の検知済み運動パラメータを受信し、
前記複数の車両の前記移動に関するイベントの発生に関連するイベントデータを受信するように構成された受信機と、
プロセッサであって、
前記イベントに応答するために、前記複数の車両のうち少なくとも1台の必要運動パラメータを決定し、
前記検知済み運動パラメータおよび前記必要運動パラメータに基づいて、前記複数の車両のうち前記1台またはそれ以上の車両が取るべき1つ以上のアクションであって、前記必要運動パラメータの達成を可能にする1つ以上のアクションを決定し、
前記1つ以上のアクションを取るように命令するための前記1台またはそれ以上の車両に対する1つ以上の命令信号を生成するように構成されたプロセッサと、
前記1つ以上のアクションの実行を可能にするために、前記1台またはそれ以上の車両のそれぞれに前記1つ以上の命令信号を送信するように構成された送信機と
を備える車両管理システム。
【請求項2】
前記イベントデータは、車両からの操作要求、車両移動パラメータ(例えば、交通密度)の閾値、または緊急イベントに関する警告を含む、請求項1に記載の車両管理システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、イベントに関係する車両の現在位置を判定するように構成されている、請求項2に記載の車両管理システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記複数の車両のうち前記イベントに関係する車両の前記現在位置の下流にある車両の速度を増加させて、前記複数の車両のうち隣接する車両間にギャップを形成するアクションを生成するように構成されている、請求項3に記載の車両管理システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記複数の車両のうち前記イベントに関係する車両の前記現在位置の上流にある車両の速度を減少させて、前記複数の車両のうち隣接する車両間にギャップを形成するアクションを生成するように構成されている、請求項3または請求項4に記載の車両管理システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記イベントに関係する車両を前記ギャップ内に移動させるアクションを生成するように構成されている、請求項4または請求項5に記載の車両管理システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記イベントに関係する車両が前記ギャップ内に移動した後に、前記複数の車両のうち隣接する車両間の離隔距離を一様化する1つ以上のアクションを生成するように構成されている、請求項6に記載の車両管理システム。
【請求項8】
前記通路は複数の車線を含み、前記プロセッサは、
前記複数の車両のうち前記イベントに関係する車両または危険因子の前記現在位置の上流にある車両の速度を減少させ、かつ/または前記複数の車両のうち前記イベントに関係する車両または危険因子の前記現在位置の下流にある車両の速度を増加させることにより、前記イベントに関係する車両または危険因子の現在の車線に対する隣接車線内にギャップを形成し、
前記複数の車両のうち、前記イベントに関係する車両または危険因子の上流にありかつ前記イベントに関係する車両または危険因子と同じ車線内にある車両を前記ギャップ内に移動させるアクションを生成するように構成されている、請求項2から請求項7のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記イベントに関係する車両または危険因子の下流にありかつ前記イベントに関係する車両または危険因子の隣接車線内にある車両を前記イベントに関係する車両または危険因子と同じ車線に移動させるアクションを生成するように構成されている、請求項8に記載の車両管理システム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記複数の車両のうちの任意の車両の速度を変更して、隣接する車両間の距離を所定の最小値に最小化し、それにより交通密度パラメータを増加させるアクションを生成するように構成されている、請求項2から請求項9のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記複数の車両のうちの任意の車両を、誘電充電装置または伝導充電装置と位置合わせされた前記通路内の位置に移動させ、前記誘電充電装置または伝導充電装置に対する前記車両の位置合わせを一定期間維持して、前記車両が前記通路に沿って移動している間に、前記車両の誘導充電または伝導充電が行われることを可能するアクションを生成するように構成されている、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項12】
前記プロセッサは、
前記複数の車両のうちのドッキング車両(docking vehicle)を前記通路に対して一定の速度および一定の位置に維持し、
前記ドッキング車両が前記通路に沿って移動している間に、別の車両を前記ドッキング車両とドッキングするように案内するアクションを生成するように構成されている、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項13】
前記受信機は、前記複数の車両のうちの任意の車両から事象データを受信するように構成されており、前記事象データは、前記車両が検知した事象の地理的位置に関連し、
前記プロセッサは、前記事象の前記地理的位置をデータストアに格納するように構成されている、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項14】
前記送信機は、前記事象データをインフラ監視システムに送信するように構成されている、請求項13に記載の車両管理システム。
【請求項15】
前記事象データは、複数の特定の地理的位置において前記車両が検知した前記通路の物理的状態に関連している、請求項13または請求項14に記載の車両管理システム。
【請求項16】
前記受信機は、前記車両管理システムと通信可能に結合された別のシステムから、さらなる検知済みパラメータを受信するように構成されており、前記プロセッサは、前記さらなる検知済みパラメータから前記必要パラメータを決定するように構成されている、請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項17】
前記さらなる検知済みパラメータは、前記複数の車両が進行している方向側の位置であって、前記現在の地理的位置の下流にある位置において発生しているイベントに関連している、請求項16に記載の車両管理システム。
【請求項18】
前記さらなる検知済みパラメータは、所望の交通密度イベントまたは交通流量イベントに関連している、請求項16または請求項17に記載の車両管理システム。
【請求項19】
前記受信機は、前記通路の周辺に設けられた1つ以上の車両追跡装置から前記検知済み運動パラメータを受信するように構成されている、請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項20】
前記送信機は、前記通路の周辺に設けられた1つ以上の車両追跡装置を介して、前記1つ以上の命令信号を前記複数の車両のうちの前記1台またはそれ以上の車両に送信するように構成されている、請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項21】
前記複数の車両のうちの1台は、自立車両または半自立車両からなり、前記命令信号は、前記自立車両または半自立車両の移動を制御するように構成された制御信号を含む、請求項1から請求項20のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項22】
前記地理的位置において前記通路の周辺に設けられた1つ以上の車両追跡装置をさらに備え、前記車両追跡装置は、10cm以内の位置測定精度を有し、動的遅延(dynamic latency)が20ミリ秒未満である、請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項23】
前記1つ以上の車両追跡装置は、前記通路に向けられた視野を有し、前記複数の車両のそれぞれの位置を検知し、前記検知した位置から前記検知済み運動データを一定期間にわたって決定するように構成されている、請求項22に記載の車両管理システム。
【請求項24】
前記1つ以上の車両追跡装置は、ローカルエリアネットワーク構成において互いに通信可能に接続された複数の車両追跡装置を含む、請求項22または請求項23に記載の車両管理システム。
【請求項25】
前記1つ以上の車両追跡装置は、赤外線センサを備える、請求項22から請求項24のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項26】
前記1つ以上の車両追跡装置は、赤外線エミッタを備える、請求項25に記載の車両管理システム。
【請求項27】
前記1つ以上の車両追跡装置は、前記1つ以上の命令信号を前記複数の車両のうちの前記1台またはそれ以上の車両に提供するように構成されている、請求項22から請求項26のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項28】
前記1つ以上の車両追跡装置は、1台以上の航空車両、水上車両または陸上車両の移動を追跡するように構成されている、請求項22から請求項27のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項29】
前記プロセッサは、前記イベントデータが関連しているイベントの種類を判定するためのイベント認識エンジンと、前記1つ以上の取るべきアクションを決定するための1つ以上のイベント応答処理エンジンとを含む、請求項1から請求項28のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項30】
前記1つ以上のイベント処理エンジンは、多車線通路の現在の車線内の前記複数の車両のうち要求元車両が前記多車線通路の別の所望の車線に移動することを可能にするアクションを生成するように構成された車線変更要求処理エンジンを備え、前記車線変更処理エンジンは、
前記多車線通路の前記所望の車線への変更を要求している前記要求元車両の現在位置を判定し、
前記所望の車線内の前記複数の車両のうち、前記要求元車両の前記現在位置の下流にある車両の速度を増加させ、かつ/または、前記所望の車線内の前記複数の車両のうち、前記要求元車両の前記現在位置の上流にある車両の速度を減少させて、前記所望の車線内に前記複数の車両のうち隣接する移動車両間にギャップを形成することを可能にするアクションを生成し、
前記要求元車両を前記ギャップ内に移動させるアクションを生成するように構成されている、請求項29に記載の車両管理システム。
【請求項31】
前記1つ以上のイベント処理エンジンは、前記複数の車両のうちの要求元車両が前記通路の現在の車線から退出車線に移動することを可能にするアクションを生成するように構成された退出/進入要求処理エンジンを含み、前記退出/進入要求処理エンジンは、
前記要求元車両の現在位置を判定し、
前記退出車線内の前記複数の車両のうち、前記要求元車両の前記現在位置の下流にある車両の速度を増加させ、かつ/または、前記退出車線内の前記複数の車両のうち、前記要求元車両の前記現在位置の上流にある車両の速度を減少させて、前記退出車線内に前記退出車線内の前記複数の車両のうち隣接する車両間にギャップを形成することを可能にするアクションを生成し、
前記要求元車両を前記ギャップに移動させるアクションを生成するように構成されている、請求項29または請求項30に記載の車両管理システム。
【請求項32】
前記1つ以上のイベント処理エンジンは、前記複数の車両のうちの要求元車両を前記通路の進入車線から所望の車線に移動させるアクションを生成するように構成された退出/進入要求処理エンジンを含み、前記退出/進入要求処理エンジンは、
進入車線から多車線通路の前記所望の車線への変更を要求している要求元車両の現在位置を判定し、
前記所望の車線内の前記複数の車両のうち、前記要求元車両の前記現在位置の下流にある車両の速度を増加させ、かつ/または、前記複数の車両のうち、前記要求元車両の前記現在位置の上流にある車両の速度を減少させて、前記所望の車線内に前記複数の車両のうち隣接する車両間にギャップを形成すること可能にするアクションを生成し、
前記要求元車両を前記ギャップに移動させるアクションを生成するように構成されている、請求項29から請求項31のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項33】
前記通路は多車線通路からなり、前記退出/進入要求処理エンジンは、
前記隣接車線内の前記複数の車両のうち、前記要求元車両の前記現在位置の下流にある車両の速度を増加させ、かつ/または、前記複数の車両のうち、前記要求元車両の前記現在位置の上流にある車両の速度を減少させることにより、前記複数の車両のうちの前記要求元車両が、前記多車線通路のうち前記現在の車線に隣接する車線を横断すること可能にして、前記隣接車線内に前記複数の車両のうち隣接する移動車両間に隣接車線ギャップを形成することを可能にし、
前記要求元車両を前記隣接車線ギャップに移動させるアクションを生成するように構成されている、請求項31または請求項32に記載の車両管理システム。
【請求項34】
前記1つ以上のイベント処理エンジンは、前記通路において障害物/危険因子の位置を特定するように構成された障害物/危険因子検出処理エンジンを含み、前記障害物/危険因子検出処理エンジンは、前記障害物/危険因子の前記位置の上流にある車両が前記障害物/危険因子を回避することを可能にするための戦略を決定し、前記戦略の実行する1つ以上のアクションを生成するように構成された立入禁止区域生成部を備える、請求項29から請求項33のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項35】
前記立入禁止区域生成部は、
前記障害物/危険因子の前記位置の上流にある車両の速度を減少させることにより、隣接車線内にギャップを形成し、
前記障害物/危険因子と同じ車線内の車両を、前記隣接車線内の前記ギャップに移動させ、それによって前記障害物/危険因子の周囲に仮想島を形成するアクションを生成するように構成されている、請求項34に記載の車両管理システム。
【請求項36】
前記1つ以上のイベント処理エンジンは、隣接する車両間の距離を所定の最小値に最小化するように前記複数の車両のうち1台以上の車両の速度を変更することによって前記複数の車両の交通密度/流量パラメータを増加させるように構成された交通密度/流量管理エンジンを含む、請求項29から請求項35のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項37】
輸送ネットワークの現在の地理的位置における通路に沿った複数の車両の移動を制御するための方法であって、前記方法は、
前記現在の地理的位置において前記複数の車両の検知済み運動パラメータを受信するステップと、
前記複数の車両の前記移動に関するイベントの発生に関連するイベントデータを受信するステップと、
前記イベントに応答するために、前記複数の車両のうち少なくとも1台の必要運動パラメータを決定するステップと、
前記検知済み運動パラメータおよび前記必要運動パラメータに基づいて、前記複数の車両のうち前記1台またはそれ以上の車両が取るべき1つ以上のアクションであって、前記必要運動パラメータの達成を可能にする1つ以上のアクションを決定するステップと、
前記1つ以上のアクションを取るように命令するための前記1台またはそれ以上の車両に対する1つ以上の命令信号を生成するステップと、
前記1つ以上のアクションの実行を可能にするために、前記1台またはそれ以上の車両のそれぞれに前記1つ以上の命令信号を送信するステップと
を含む方法。
【請求項38】
命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータによって実行されたときに、前記コンピュータに請求項37記載の方法の前記ステップを実行させるコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方向車両輸送ネットワーク、例えば、自律車両に関係する双方向車両輸送ネットワークのためのシステムおよび方法に関する。より詳細には、本発明は、都市や市街地内で、あるいは、指定された高速自動車道路(motorway)、フリーウェイ(freeway)、道路、鉄道線路、水路または都市間もしくは市街地間の他の経路に沿って、上方でまたは近傍で、乗客または物の輸送を提供する陸上車両、航空車両または浮遊車両に関係する輸送ネットワークの運用のためのシステムおよび方法の改良またはそれらに関連する改良に向けられているが、これらに限定されるものではない。上記車両のいずれかまたは全ては、完全な自立型から完全な運転者/操縦者制御型までの範囲のいずれにあってもよい。また、これらは、地方交通管理システム、地域交通管理システムまたは全国交通管理システムに接続されてもよいし、接続されなくてもよい。
【背景技術】
【0002】
自律車両の運転の動作の発達が進む中、交通管理システムを自律車両の新たな能力を利用するように適合させる必要性が存在する。具体的には、自らの移動を調整する車両の能力が向上するにつれて、運転者または操縦者の反応速度、集中レベル、疲労等といった、ユーザ操作の欠点の一部が解消されている。その結果、自立モードで動作する自律車両または半自律車両(以下、いずれも自律車両と称する)は、交通イベントまたは環境危険因子に迅速に反応することができるようになり、その結果、安全停止距離を考慮する際に空送距離などの要因を適用しなければならない、ユーザによって操作される車両と比較して、車両の速度および密度を安全に高めることができる。
【0003】
交通ネットワークがより複雑になるにつれて、交通管理システムが、自律車両の予測される挙動における変化を迅速かつ安全に補償することができることがより一層重要となっている。例えば、交通ネットワーク内の自律車両のユーザが、以前に予測された位置とは異なる位置において当該車両が交通ネットワークを出る(例えば高速自動車道路の出口を使用することによって)ことが必要となるように、そのルートまたは意図した目的地を変更することを決定した場合、交通管理システムは、車両が安全に出ることを可能にするために、これを補償することができなければならない。同様に、衝突などの予期せぬイベントが発生した場合、交通管理システムは、当該イベントの場所の近傍の車両が安全に走行を継続できることを確実にするために、これも補償することができなければならない。高密度交通ネットワークにおける高い速度においては、このような管理の複雑性は高くなる。
【0004】
この分野で現在知られているシステムは、各車両が自身状況認識を独立して維持し、その存在、軌跡および意図を自身の地域の周辺の他の車両に通信し、場合によっては、自身の周辺の車両から対応する情報を受信し、その後、各車両は、自身で決定を下して実行するために独立して動作するという全体的なエンジニアリングアーキテクチャ概念に基づいている。
【0005】
これらのタイプの独立的アプローチの複雑性および制限は、それらを実施する上で大きな欠点を有する。実際に実行される動作の独立性により、安全上の問題に関わるリスクが高まる。加えて、これらは調整が非常に困難であり、強制的な技術基準が存在しない限り、特に、本実施形態によってカバーされるような複雑な意思決定および実行場所において協調的かつ安全に相互運用可能な自立車両または半自立車両を作製するための実行可能な手段を世界中の製造業者に対して提供しない。さらに、これらのタイプのアプローチは、高速自動車道路の合流点(合流点)などの位置において関与する数百台の車両の操作を、それらを効率的かつ安全に連携させることによって制御することを可能にするものではない。
【0006】
例えば、車両が、3車線の幹線道路(highway)/フリーウェイ/高速自動車道路上で合流点に接近中の高速で移動する交通車両の流れから退出するためには、合流点よりも相当な距離(典型的には1マイル)手前で、意思決定、計画の策定および操作の開始を行う(ユーザ/運転者の頭の中または車両のコンピュータシステムの中で)必要があり、車両がその存在および意図を自車の局所近傍の他の車両に送信することに基づく戦略では、これを実現することはできない。別の例として、例えば、特定の長さの多車線車道の車線のうち1つに設けられた、電動車両用の伝導型または誘導型電力伝送システムが存在する場合、電力または充電を要する車両が優先されかつ充電用車線を使用するように選択される必要があり、必要な決定および操作が同様の距離にわたって行われる必要がある。
【0007】
多くの大手技術会社によって自動運転車に巨額の投資が行われているもかかわらず、過去十年間に示された進歩はごくわずかであり、安全上の問題に関わるリスクは、自動運転車両に対する規制当局による承認の可能性が疑問視されるほどますます大きくなっている。本実施形態は、走行時間の改善ならびに駆動車両(地上及び航空の両方)用のスマートモーターウェイ(Smart Motorways)および類似のトラフィック・アドバイザリ・システム(Traffic Advisory Systems)(TAS)によって実現されたより安全な高速自動車道路/幹線道路に向けて達成された進歩を拡張し、それらを自立車両および半自律車両の機能を補完することが可能な追跡装置の地域化された協調ネットワークに発展させて、効率性、安全性およびインフラ保全性の所望の向上、ならびに陸上輸送ネットワーク、航空輸送ネットワークおよび水上輸送ネットワークのための適応可能なインフラ使用料徴収をオプションとした電力への移行を実現しようとするものである。
【0008】
本発明は、上述の問題のうち少なくとも1つ以上に対処することを目的とする。
【開示の概要】
【0009】
本実施形態の第1の態様によれば、輸送ネットワークの現在の地理的位置における通路(pathway)に沿った複数の車両の移動を制御するための車両管理システムが提供される。車両管理システムは、受信機、プロセッサおよび送信機を備える。受信機は、現在の地理的位置において複数の車両の検知済み運動パラメータを受信し、複数の車両の移動に関するイベントの発生に関連するイベントデータを受信するように構成されている。プロセッサは、イベントに応答するために、複数の車両のうち少なくとも1台の必要運動パラメータを決定し、検知済み運動パラメータおよび必要運動パラメータに基づいて、複数の車両のうち1台またはそれ以上の車両が取るべき1つ以上のアクションであって、必要運動パラメータの達成を可能にする1つ以上のアクションを決定し、1つ以上のアクションを取るように命令するための1台またはそれ以上の車両に対する1つ以上の命令信号を生成するように構成されている。最後に、送信機は、1つ以上のアクションの実行を可能にするために、1台またはそれ以上の車両のそれぞれに1つ以上の命令信号を送信するように構成されている。
【0010】
いくつかの実施形態では、イベントデータは、車両からの操作要求、車両移動パラメータ(例えば、交通密度)の閾値、または緊急イベントに関する警告を含む。このような実施形態において、プロセッサは、イベントに関係する車両の現在位置を判定するように構成されていてもよい。さらに、プロセッサは、複数の車両のうちイベントに関係する車両の現在位置の下流にある車両の速度を増加させて、複数の車両のうち隣接する車両間にギャップを形成するアクションを生成するように構成されていてもよい。プロセッサはまた、複数の車両のうちイベントに関係する車両の現在位置の上流にある車両の速度を減少させて、複数の車両のうち隣接する車両間にギャップを形成するアクションを生成するように構成されていてもよい。ギャップが形成されている場合、プロセッサは、イベントに関係する車両をギャップ内に移動させるアクションを生成するように構成されていてもよい。プロセッサは、イベントに関係する車両がギャップ内に移動した後に、複数の車両のうち隣接する車両間の離隔距離を一様化する1つ以上のアクションを生成するように構成されていてもよい。
【0011】
いくつかの関連する実施形態では、通路は複数の車線を含み、プロセッサは、複数の車両のうちイベントに関係する車両または危険因子の現在位置の上流にある車両の速度を減少させ、かつ/または複数の車両のうちイベントに関係する車両または危険因子の現在位置の下流にある車両の速度を増加させることにより、イベントに関係する車両または危険因子の現在の車線に対する隣接車線内にギャップを形成し、複数の車両のうち、イベントに関係する車両または危険因子の上流にありかつイベントに関係する車両または危険因子と同じ車線内にある車両をギャップ内に移動させるアクションを生成するように構成されている。このような実施形態において、プロセッサは、イベントに関係する車両または危険因子の下流にありかつイベントに関係する車両または危険因子の隣接車線内にある車両をイベントに関係する車両または危険因子と同じ車線に移動させるアクションを生成するように構成されていてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、複数の車両のうちの任意の車両の速度を変更して、隣接する車両間の距離を所定の最小値に最小化し、それにより交通密度パラメータを増加させるアクションを生成するように構成されている。
【0013】
さらなる実施形態では、プロセッサは、複数の車両のうちの任意の車両を、誘電充電装置または伝導充電装置と位置合わせされた通路内の位置に移動させ、誘電充電装置または伝導充電装置に対する車両の位置合わせを一定期間維持して、車両が通路に沿って移動している間に、車両の誘導充電または伝導充電が行われることを可能するアクションを生成するように構成されている。
【0014】
プロセッサは、複数の車両のうちのドッキング車両(docking vehicle)を通路に対して一定の速度および一定の位置に維持し、ドッキング車両が通路に沿って移動している間に、別の車両をドッキング車両とドッキングするように案内するアクションを生成するように構成されていてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、受信機は、複数の車両のうちの任意の車両から事象データを受信するように構成されており、事象データは、車両が検知した事象の地理的位置に関連し、プロセッサは、事象の地理的位置をデータストアに格納するように構成されている。これらの実施形態において、送信機は、事象データをインフラ監視システムに送信するように構成されていてもよい。事象データは、複数の特定の地理的位置において車両が検知した通路の物理的状態に関連していてもよい。
【0016】
さらなる実施形態では、受信機は、車両管理システムと通信可能に結合された別のシステムから、さらなる検知済みパラメータを受信するように構成されており、プロセッサは、さらなる検知済みパラメータから必要パラメータを決定するように構成されている。このような実施形態において、さらなる検知済みパラメータは、複数の車両が進行している方向側の位置であって、現在の地理的位置の下流にある位置において発生しているイベントに関連していてもよい。さらなる検知済みパラメータは、所望の交通密度イベントまたは交通流量イベントに関連していてもよい。
【0017】
さらなる実施形態では、受信機は、通路の周辺に設けられた1つ以上の車両追跡/監視装置から検知済み運動パラメータを受信するように構成されている。
【0018】
本態様のいくつかの実施形態では、送信機は、通路の周辺に設けられた1つ以上の車両/監視追跡装置を介して、1つ以上の命令信号を複数の車両のうちの1台またはそれ以上の車両に送信するように構成されている。
【0019】
本態様のいくつかの実施形態では、複数の車両のうちの1台は、自立車両または半自立車両からなり、命令信号は、自立車両または半自立車両の移動を制御するように構成された制御信号を含む。
【0020】
地理的位置において通路の周辺に設けられた1つ以上の車両追跡装置をさらに備えてもよく、車両追跡装置は、10cm以内の位置測定精度を有し、動的遅延(dynamic latency)が20ミリ秒未満である。このような実施形態において、1つ以上の車両追跡装置は、通路に向けられた視野を有していてもよく、複数の車両のそれぞれの位置を検知するように構成されていてもよく、検知した位置から検知済み運動データを一定期間にわたって決定してもよい。このような実施形態において、1つ以上の車両追跡装置は、ローカルエリアネットワーク構成において互いに通信可能に接続された複数の車両追跡装置を含んでいてもよい。1つ以上の車両追跡装置は、赤外線センサを備えていてもよく、赤外線エミッタをさらに備えていてもよい。関連する実施形態では、1つ以上の車両追跡装置は、1つ以上の命令信号を複数の車両のうちの1台またはそれ以上の車両に提供するように構成されていてもよい。さらに、1つ以上の車両追跡装置は、1台以上の航空車両、水上車両または陸上車両の移動を追跡するように構成されていてもよい。
【0021】
本態様のいくつかの実施形態では、プロセッサは、イベントデータが関連しているイベントの種類を判定するためのイベント認識エンジンと、1つ以上の取るべきアクションを決定するための1つ以上のイベント応答処理エンジンとを含む。このような実施形態において、1つ以上のイベント処理エンジンは、多車線通路の現在の車線内の複数の車両のうち要求元車両が多車線通路の別の所望の車線に移動することを可能にするアクションを生成するように構成された車線変更要求処理エンジンを備えていてもよく、車線変更処理エンジンは、多車線通路の所望の車線への変更を要求している要求元車両の現在位置を判定し、所望の車線内の複数の車両のうち、要求元車両の現在位置の下流にある車両の速度を増加させ、かつ/または、所望の車線内の複数の車両のうち、要求元車両の現在位置の上流にある車両の速度を減少させて、所望の車線内に複数の車両のうち隣接する移動車両間にギャップを形成することを可能にするアクションを生成し、要求元車両をギャップ内に移動させるアクションを生成するように構成されていてもよい。
【0022】
上記に係る実施形態では、1つ以上のイベント処理エンジンは、複数の車両のうちの要求元車両が通路の現在の車線から退出車線に移動することを可能にするアクションを生成するように構成された退出/進入要求処理エンジンを含んでいてもよく、退出/進入要求処理エンジンは、要求元車両の現在位置を判定し、退出車線内の複数の車両のうち、要求元車両の現在位置の下流にある車両の速度を増加させ、かつ/または、退出車線内の複数の車両のうち、要求元車両の現在位置の上流にある車両の速度を減少させて、退出車線内に退出車線内の複数の車両のうち隣接する車両間にギャップを形成することを可能にするアクションを生成し、要求元車両をギャップに移動させるアクションを生成するように構成されている。
【0023】
関連する実施形態では、1つ以上のイベント処理エンジンは、複数の車両のうちの要求元車両を通路の進入車線から所望の車線に移動させるアクションを生成するように構成された退出/進入要求処理エンジンを含んでいてもよく、退出/進入要求処理エンジンは、進入車線から多車線通路の所望の車線への変更を要求している要求元車両の現在位置を判定し、所望の車線内の複数の車両のうち、要求元車両の現在位置の下流にある車両の速度を増加させ、かつ/または、複数の車両のうち、要求元車両の現在位置の上流にある車両の速度を減少させて、所望の車線内に複数の車両のうち隣接する車両間にギャップを形成すること可能にするアクションを生成し、要求元車両をギャップに移動させるアクションを生成するように構成されている。
【0024】
関連する実施形態では、通路は多車線通路からなっていてもよく、退出/進入要求処理エンジンは、隣接車線内の複数の車両のうち、要求元車両の現在位置の下流にある車両の速度を増加させ、かつ/または、複数の車両のうち、要求元車両の現在位置の上流にある車両の速度を減少させることにより、複数の車両のうちの要求元車両が、多車線通路のうち現在の車線に隣接する車線を横断すること可能にして、隣接車線内に複数の車両のうち隣接する移動車両間に隣接車線ギャップを形成することを可能にし、要求元車両を隣接車線ギャップに移動させるアクションを生成するように構成されている。
【0025】
1つ以上のイベント処理エンジンは、通路において障害物/危険因子の位置を特定するように構成された障害物/危険因子検出処理エンジンを含み、障害物/危険因子検出処理エンジンは、障害物/危険因子の位置の上流にある車両が障害物/危険因子を回避することを可能にするための戦略を決定し、戦略の実行する1つ以上のアクションを生成するように構成された立入禁止区域生成部を備えていてもよい。このような実施形態において、立入禁止区域生成部は、障害物/危険因子の位置の上流にある車両の速度を減少させることにより、隣接車線内にギャップを形成し、障害物/危険因子と同じ車線内の車両を、隣接車線内のギャップに移動させ、それによって障害物/危険因子の周囲に仮想島を形成するアクションを生成するように構成されていていてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、1つ以上のイベント処理エンジンは、隣接する車両間の距離を所定の最小値に最小化するように複数の車両のうち1台以上の車両の速度を変更することによって複数の車両の交通密度/流量パラメータを増加させるように構成された交通密度/流量管理エンジンを含む。
【0027】
本実施形態のさらなる態様では、輸送ネットワークの現在の地理的位置における通路に沿った複数の車両の移動を制御するための方法が提供され、当該方法は、現在の地理的位置において複数の車両の検知済み運動パラメータを受信するステップと、複数の車両の移動に関するイベントの発生に関連するイベントデータを受信するステップと、イベントに応答するために、複数の車両のうち少なくとも1台の必要運動パラメータを決定するステップと、検知済み運動パラメータおよび必要運動パラメータに基づいて、複数の車両のうち1台またはそれ以上の車両が取るべき1つ以上のアクションであって、必要運動パラメータの達成を可能にする1つ以上のアクションを決定するステップと、1つ以上のアクションを取るように命令するための1台またはそれ以上の車両に対する1つ以上の命令信号を生成するステップと、1つ以上のアクションの実行を可能にするために、1台またはそれ以上の車両のそれぞれに1つ以上の命令信号を送信するステップとを含む。本発明のこの態様は、適用可能な場合には、本発明の第1の態様に関して上述した変形例のいずれと組み合わせてもよいことが理解される。
【0028】
本実施形態の第3の態様では、命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータによって実行されたときに、コンピュータに本実施形態の第2の態様の方法のステップを実行させるコンピュータ可読記憶媒体が提供される。実施形態のこの態様は、適用可能な場合には、本実施形態の第1および第2の態様に関して上述した変形例のいずれと組み合わせてもよいことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本開示の理解をより容易にするため、例として、添付の図面を以下に参照する。
【
図1】典型的な幹線道路/高速自動車道路/フリーウェイの退出合流点における陸上交通の管理のための本実施形態によって提供されるシステムレイアウトの等角図を示す。
【
図2A】
図1のシステムに関連付けられた追跡装置、LAN制御装置(追跡装置であってもよい)、地域TMSおよび全国TMS、ならびに主要通信路の補完的な図示表現である。
【
図2B】
図2のLAN制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
【
図2C】
図2Aに示すプロセッサの構成を示す概略ブロック図である。
【
図3A】
図1のシステムの機能の例を説明するフローチャートである。
【
図3B】
図3Aのステップ304の詳細な例を示すフローチャートである。
【
図4】典型的な幹線道路/高速自動車道路/フリーウェイ上の進入合流点における陸上交通の管理のための
図1のシステムレイアウトの等角図を示す。
【
図5】追跡される装備を有する車両もあれば、有しない車両もある場合の、システムへの進入点および将来の中間時点における
図1のシステムの等角図を示す。
【
図6】典型的な幹線道路/高速自動車道路/フリーウェイ上の2か所の可能性のある位置において車両故障が発生した状況に対する
図1のシステムのシステムレイアウトの等角図を示す。
【
図7A】
図1のシステムの機能のさらなる例を説明するフローチャートである。
【
図7B】
図7Aのステップ724の詳細な例を示すフローチャートである。
【
図8】表面下/上のコイルの形態の誘導充電システムが左側車線に装備され、適合車両が運動中に電気エネルギーを受け取ることができる、幹線道路/高速自動車道路/フリーウェイの3車線車道に配置された
図1のシステムのシステムレイアウトの等角図を示す図である。
【
図9】、車両がポットホールを検知し、その位置に関するデータを追跡機器、および場合によっては広域インフラ監視システムに送信する、幹線道路/高速自動車道路/フリーウェイの3車線車道に配置された
図1のシステムのシステムレイアウトの等角図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面を参照しながら、具体的な実施形態について説明する。
【0031】
本明細書における追跡対象の物体への言及は、地面に沿って走行する物体、水上で走行する物体、および空中で走行する物体を含む、様々な可動性の機械的物体を指す場合があると理解される。非網羅的なリストとして、これらの車両は、自動車、貨物自動車、自動二輪車、ボート、船、ドローンおよび小型飛行機を含み得る。これらの車両は、車両内に存在するか遠隔に位置しかつ接続されているユーザによって手動で操作されるようにさらに構成されていてもよい。あるいは、車両は、自律型となるように構成されるか、両者の組合せ、すなわち、半自立型であってもよい。
【0032】
本開示によれば、通路(場合によっては、相互接続された通路のネットワークを含む)に沿った車両の流れを処理する方法が提供され、当該方法は、複数の地理的位置における通路に沿って複数の移動車両の相対位置を追跡するステップと、複数の移動車両のサブセットを含む少なくとも1台の車両の相対位置の変更を必要とする処理イベントの発生の通知を受信するステップと、処理イベントへの対処を可能とするために、サブセットのうち少なくとも1台の移動車両の新たな相対位置を決定するステップと、処理イベントへの対処を可能とするために、新たな相対位置にサブセットのうち少なくとも1台の車両を移動させることができるように、サブセットのうち少なくとも1台の車両の新たな相対位置に関連するデータをサブセットのうち少なくとも1台の車両に送信するステップとを含む。
【0033】
好ましくは、上記受信ステップは、複数の移動車両のサブセットを含む複数の車両の相対位置の変更を必要とする処理イベントの発生の通知を受信するステップを含み、上記決定ステップは、処理イベントへの対処を可能とするために、サブセットの複数の移動車両の新たな相対位置を決定するステップを含み、上記送信ステップは、処理イベントに対処するために、サブセットの複数の車両を新たな相対位置に移動させることができるように、サブセットの複数の車両の新たな相対位置に関連するデータをサブセットの車両に送信するステップを含む。
【0034】
なお、いくつかの実施形態において、「相対位置」という用語は、1台以上の他の車両の位置に対するものであると考えられると理解される。他の実施形態では、「相対位置」という用語は、通路の周辺に設けられたインフラとの関連であると考えられる。インフラは、通路の周辺に設けられた車両追跡システムおよびその装置または移動車両充電システムおよびその装置またはインフラ監視システムおよびその装置に関連していてもよい。
【0035】
後に示す実施形態の説明から理解されるように、通路は、地上、水中または空中のいずれかにおいて、場合によっては交差点、合流点、待機経路(holding pattern)等によって連結された多数の車線を含んでもよく、各車線は複数の車両を収容し、処理イベントは、1つの車線から別の車線に変更するか、またはネットワーク内でルーティングされる車両を含む。加えて、1台以上の車両の位置または運動データを妥当なレベルの精度で、例えば、本明細書に記載の精度レベルで決定する限り、任意の適した追跡システムを使用してもよい。
【0036】
「車線」という用語は、通路のうち車両が案内される部分を示すことが意図される。このような案内は、ユーザ/運転者、あるいは車両自身が検知することができる物理的なマーキング/マーカ/リフレクタ/エミッタが設けられることによるものであってもよい。このようなマーキング/マーカは、例えば、航空機が異なる高度を区別するために使用されるもののような特定の信号通路内の異なる位置に設けることによっても形成することができる。このようなマーキング/マーカは、車両が自身の位置を必要な精度でかつ通路の所定の地図モデルまたはコンピュータモデルを参照して決定することによっても形成することができる。車線を使用することにより、交通密度の増加を実現することが可能となる。なぜなら、それによってより多数の車両が安全に近接して移動することができるからである。
【0037】
後に示す実施形態の説明から理解されるように、上記決定ステップは、交通の流れに沿って処理イベントの位置よりも早期(上流)の位置におけるサブセットの車両のうち少なくとも一部の車両の位置であって、車両間にギャップを形成する必要のある位置を決定するステップと、少なくとも1台の車両を当該ギャップに移動させることを可能にするために、処理イベントの位置におけるサブセットの他の車両の位置を判定するステップとを含んでもよい。この点で、「上流」という用語は、車両の流れにおける相対的な用語であり、1台以上の車両が現在位置に到達するより前に位置している領域を示す。同様に、「下流」という用語は、車両の流れにおける相対的な用語であり、1台以上の車両が現在位置より後に、典型的には、現在位置を通過した後に位置している領域を示す。
【0038】
本実施形態は、都市や市街地内で、あるいは、指定された高速自動車道路、フリーウェイ、道路、鉄道線路、空中回廊、水路、海路または都市間もしくは市街地間の他の輸送路に沿ってまたはその上方で、乗客または物の輸送を提供する陸上車両、水上車両または航空車両に関係する「双方向輸送ネットワーク」の運用のためのシステムおよび方法の改良またはそれらに関連する改良に関する。上記車両のいずれかまたは全ては、完全な自立型から完全な運転者/操縦者制御型までの範囲のいずれにあってもよい。双方向輸送ネットワークとは、車両の位置をリアルタイムで追跡し、車両に追跡情報を高い精度、低い遅延および高い整合性で提供する道路脇/鉄道脇/水辺/エアサイド/新規ルート装置に関係するものであると定義される。このような双方向輸送ネットワークは、この目的に適した任意のシステム、例えば、カメラを用いてカメラの視野内で車両の位置を要求される精度で判定するシステムを含んでいてもよい。考えられる双方向輸送ネットワークシステムの一例として、英国特許出願公開第2585165号に記載のシステムでは、車両の位置を追跡するために、車両によって放出される反射されるIR信号を検出する赤外線(IR)センサを備える車両追跡装置が使用される。英国特許出願公開第2585165号の内容および当該文献に記載される追跡装置技術は、参照により本明細書に援用される。しかしながら、本実施形態は、英国特許出願公開第2585165号に記載される特定の追跡技術に依拠するものではなく、典型的には、街路/幹線道路の照明設備または鉄道線路の高架電源ガントリ(power gantries)のギャップと同様の間隔で、道路の車道、鉄道線路の線路、水路、または新規経路に沿って配置された追跡装置(デバイス)から車両に高品質の追跡データを提供することにのみ依拠するものである。したがって、これらの追跡技術装置は、車両自体の外部にあり、すなわち、これらは、追跡装置の部品の部品を車両自体に内部に配置することを必要としない。本実施形態では、陸上交通、水上交通および/または航空交通のための様々な交通管理機能および交通支援機能を提供するために、このような装置をどのように協働させることができるかについて説明する。
【0039】
本明細書では、監視対象の車両の位置および/または他の運動パラメータを追跡する追跡装置が記載されているが、いくつかの想定される実施形態では、これらの位置および/または他の運動パラメータは、適切に構成された車両自体によって提供されてもよいことが理解される。例えば、車両は、本発明書に記載される管理システムの機能を可能にするのに十分な精度で、所要の位置および/または他の運動パラメータを決定することができるシステムを備えていてもよい。このような実施形態において、本明細書において言及される追跡装置は、単に、それぞれの車両の位置および/または他の運動データを示す情報を該当する車両から受信するように構成されてもよい。これらの場合において、追跡装置は、後述する実施形態に係る関連する機構に(例えば、ローカルエリアネットワーク制御装置に)関連する情報を送信するか、そうでなければ提供するようにさらに構成されてもよい。
【0040】
本実施形態は、道路の合流点、退出車線、分岐幹線道路、港湾、空港等といった、車両が経路選択または操作選択をしなければならないか、あるいは、斜路(slipway)、進入車線、コレクター車線(collector lane)、合流幹線道路、飛行経路入口等といった交通流が合流する、様々な基準位置において、陸上/水上/航空車両交通を従来可能であったよりも安全かつ高速および/または高密度に管理することを共に可能にするシステムおよび方法を提供する。本実施形態によって可能となる交通速度および交通密度は、現在の上限を大きく上回るとともに、航空車両交通が都市内で、あるいは、高速自動車道路、フリーウェイ、道路、鉄道線路または都市間の他の経路の上方で、係る基準位置の上方または付近を安全かつ効率的に走行することを可能にする。本実施形態は、計画された道路整備、例外的な車両、予期せぬ車両故障、車両衝突、緊急対応等といった異常な運行状況が発生した場合に、道路交通を安全かつ効率的に管理することを可能にする、関連するシステムおよび方法も提供する。本実施形態は、動力の直接提供、または伝導型もしくは誘導型の電力伝送によるバッテリの「移動中」充電をいかなる既存のシステムまたは方法よりもより効率的に行うために、電動車両またはハイブリット電動車両(陸上車両および航空車両の両方)を電力源に接続することを可能にする、関連するシステムおよび方法も提供する。本実施形態は、交通状況、気象状況、時刻/週/年等に適応し得る柔軟な道路課税・使用料徴収システムも可能にする。最後に、本明細書に記載の実施形態のいくつかは、適切な監視機器、例えば、車輪懸架システム上のたわみモニタが装備され、かつ係る機器によって収集された遠隔測定データを送信する能力を有する車両が、当該データを正確な車両/車輪位置との組み合わせることが可能であり、かつ路面状態をリアルタイムにかつ従来は実現できなかった精度レベルで監視するために広域監視システムに送信可能である場合に、当該データを車両追跡機器に返送すること可能にする、関連するシステムおよび方法も提供する。このデータは、後続車両が、路面の欠陥を回避しそれによって欠陥の増大速度を低減するために、わずかに移動することを保証する「イベント」を生成することもできる。本システムおよびその運用方法により、常設または臨時の局所交通管理システム(TMS)および局所インフラ監視システム(IMS)が形成され、これらのシステムは、陸上輸送ネットワークおよび水上輸送ネットワークの容量を増加させるか、その上方または側方に新たな空中交通経路を形成するように、あらゆる種類の車両が当該システムが装備された経路上で動作し、かつ本明細書に記載される実施形態のシステムが装備された経路上で効率的に電源供給される充電されることを、より従来的な電力伝送システムと共に、安全かつ効率的に可能にするための精度、性能、適時性および整合性において適している。
【0041】
従来技術に係る駆動車両および自動運転車両の多国間の独立意思決定を局所的な有機TMSによって置き換えるかそれによって補完することは本実施形態の特徴であり、当該有機TMSは、その後、地域TMSまたは全国TMSに接続されるか、それらに通知されるか、あるいはそれらによって制御されてもよい。工学的根拠は、監視機能および制御機能を、システムアーキテクチャ全体において、性能、安全性および費用効果の点でそれらが最適に働くレベルに設置するということである。この点で、監視および制御の様々なレベルに関連付けられた時定数を考慮することより、この根拠が与えられる。完全にかつ独立して車両内に設置しなければならない機構は、最も短い時定数(典型的にはミリ秒)を有する。例えば、緊急ブレーキ、トラクションコントロール、アンチスキッド等である。本実施形態で説明される局所TMSに設置すべき機構は、中間の時定数(典型的には数十ミリ秒)を有する。例えば、多車両協働制御における通常のステアリング、ブレーキおよび加速である。地域TMSおよび全国TMSまたはスマートモーターウェイなどの既成TASに設置すべき機構は、最も長い時定数(数秒から数日あるいはさらには数シーズン)を有する。例えば、需要、時刻、天候、自然光レベル等に応じた交通密度・流量制御である。
【0042】
高架電源ガントリ上にあるか、地面に埋め込まれるか地面に取り付けられるか、あるいは路側構造物に取り付けられている、特定の動力車線への車両の進入を要する伝導型または誘導型電力伝送システムが、これを効率的かつ安全に行うことを容易とされていることは本実施形態のさらなる特徴であり、さらに、インフラに対して正確に位置決めされたままとなっているときに電力伝送が最も効率的である場合、本実施形態は、車両が自立型であれ駆動型であれ、当該位置合わせを可能にする。この1つの例は、道路内の電気コイルと車両内の電気コイルとの間の動的誘導型電力伝送にある。別の例は、車両内の部品(例えば、ブラシ)と、道路内、道路上または道路近傍に装着された部品(例えば、レール)との間の伝導型電力伝送にある(「第3レール」電気鉄道線路システムに類似)。本実施形態は、車両が関連する道路上(または空中)インフラとの正確な位置合わせ(1cm以内まで)を維持することを可能にする。道路に埋め込まれたコイルに対して、上方を通過する車両と同時に給電する必要がある場合、本実施形態は、このような同期化に必要とされる正確なタイミングも与える。本実施形態は、陸上車両または水上車両と航空車両とが電力伝送期間中に近接しかつ位置合わせされた状態で走行することを可能にすることにより、両者間の電力伝送も可能とする。よって、本実施形態は、輸送の電化に関連する多数の利点をもたらす。すなわち、
a.効率を最大化し、したがって、陸上車両および航空車両に対して電力伝送を提供するコストを削減する。
b.各陸上車両が道路の専用電力供給エリアに居る必要がある時間を最小限にし、したがって、所与の交通量を支えるために必要な道路配備型インフラの規模および量を低減する。
c.電力伝送を必要とする車両が道路の専用電力供給エリア内に優先され、スケジュールされ、管理されることを可能にし、したがって、所与の交通量を支えるために必要な道路配備型インフラの規模および量をさらに低減する。
【0043】
したがって、本実施形態において説明されるシステムおよび方法は、定位精度(縦方向、横方向)がおよそ1~10cmであり、動的遅延がおよそ10~20ミリ秒であり、昼夜を問わず耐候性であり、安全性に関連する車両配備型機器と組み合わせた未検出危険故障率が1車両マイル当たり1x10-8故障数よりも良好である、車両の位置(および他の導出された運動属性)の測定に依拠している。これらの要件のうちいくつかは、道路、水路または空路の種類および陸上車両、水上車両または航空車両の種類によって異なる場合があるが、英国特許出願公開第2585165号のシステムおよび方法によって例示される明確な基準が存在する。しかながら、英国特許出願公開第2585165号に記載される特定の技術に依拠することはここでは想定されておらず、要求される測定精度が満たされることを可能とするに任意の適したシステムが使用され得る。
【0044】
特定位置における交通管理のための改良された方法およびシステムを双方向輸送ネットワーク内で提供することも本実施形態の特徴であり、各位置は、当該特定位置において特定の交通管理機能を提供するためにローカルエリアネットワーク(LAN)に常時または一時的に構成される、隣接する一連の追跡/通信装置、または関連付けられた1連以上の追跡/通信装置によって特徴付けられる。各追跡/通信装置は、計算機器と、通信機器と、複数の車両を追跡/監視し、LAN内の追跡/監視装置間(直接的にまたは間接的に)およびLAN追跡装置と車両との間で追跡データを送信するために必要な他の機器とを備える。追跡装置は、1台以上の車両に装着された機器に接続しても接続しなくてもよく、当該機器と通信を行っても行わなくてもよく、車両を追跡するために、追跡されている車両の特定の機構のトラッキングを利用してもよい。さらなる実施形態では、追跡装置は、これに加えて、またはこの代わりに、標準的なカメラ、レーダ、または車両の位置を判定するための他の機器を利用してもよい。いくつかの実施形態では、追跡装置は、車両によって放出されるか反射されるIR放射を検出するIRセンサを備えていてもよい。追跡装置のうち1つまたはそれ以上は、追跡されている車両とのデータ通信を可能にする機器(例えば、送信機、受信機、または送受信機)を備える。したがって、車両には、追跡装置によって送信された追跡データまたはそれに関連する情報を受信し利用するのに適した機器も備えていてもよい。加えて、本実施形態は、車両または車両のユーザに対し、走行に関連する情報、例えば、道路の合流点に接近した際にそれらによって選択された退出オプション、またはそれらの健全性状態、例えば、車両故障によりそれらが安全な位置に停止する必要があるということ、またはそれらのバッテリ充電状態および電力伝送要件の予測、または交通LANならびに/もしく上位のTMSおよびIMSが要求するかそれらにとって有用である他の情報を提供するために、追跡装置に時々データを送信するのに適した機器を備えることを要求する場合がある。車両に備えられた機器は、例えば、以下を含んでもよい。
a.適切なアプリがインストールされた携帯電話のみ、または
b.必要な計算機器、通信機器および情報表示機器を備えた、適切に配置された専用「ブラックボックス」、または
c.正規自動車メーカーによって上記目的で装着された電子機器、または
d.上記目的で後付けされた電子機器。
【0045】
上述の機能のうち一部の要素のみが含まれる本実施形態の実施例においては、上記システムは、当該機能を可能にするのに必要な機構のみを含んでもよいことが理解される。例えば、車両が車両追跡装置にデータを送信することを要求されない場合、追跡装置は係る情報を受信するように構成された受信機を含まなくてもよい。
【0046】
例として、追跡装置LANの運用方法は、LANがスリップレーン(slip lane)(出口ランプなどの幹線道路のランプ)の始点の手前からスリップレーンの終端までまたはそれを越える距離に延在する、高速自動車道路/幹線道路の車道上の退出合流点の例を用いた以下のステップを特徴とする。
a.LAN内の上記隣接する一連の追跡装置のそれぞれは、その追跡範囲内で複数の車両の位置を連続的に監視し、その周辺および近傍の車両に高精度の運動データを提供し、高精度の運動データは、上述したような任意の適したシステムによって提供される。車両が自己監視を行い、位置および/または他の運動パラメータを追跡装置に提供するように構成されている実施形態では、当該監視は、車両から関連情報を受信するステップを含んでもよい。
b.上記合流点において高速自動車道路/フリーウェイを退出しようとしている車両の場合、車両は、追跡装置のうち1つまたはそれ以上に要求信号を送信する。
c.LAN内の追跡装置のそれぞれは、その範囲内の車両についての運動データ(追跡装置によって決定されるか、あるいは車両から受信される)および合流点において退出する旨の車両からの要求を単一の装置、すなわち、LAN制御装置に連続的に送信する。LAN制御装置は、LAN内の一組の追跡装置のうちの指定された1つであってもよく、あるいは別個の装置であってもよい。LAN制御装置は、LANの範囲内の全ての車両の運動データの連続的に更新されるイメージを維持する。
d.LAN制御装置は、上記退出要求を処理し、LANの範囲内の全ての車両の安全かつ効率的な順方向軌跡を計算し、勧告信号、強制信号または直接制御信号を車両に返信して、必要な操作を安全に行うことができることを保証する。
【0047】
水上交通のための追跡装置の操作方法は、極めて類似しており、港湾などの交通需要が高いエリアの周囲の便利な場所にある。海上および開放水域での航海は、レーダ、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)およびAIS(自動識別装置)といった従来のシステムを用いて典型的に、完全にかつ適切に管理される。しかしながら、数百の停泊地、水門、および1日に数千回の船舶操作を処理する進入/退出車線を有し得る、港湾などの複雑で交通量の多い区域においては、本実施形態により、海洋作業の効率および安全性の両方が高められる。
【0048】
上向き追跡装置(すなわち、航空車両を監視するように構成された装置)の操作方法も極めて類似しているが、航空車両は、独立したまったく別の機構により一定の高度を維持する。当該機構の例は、英国特許出願公開第2585165号に記載されている。一定の高度を維持することにより、双方向輸送ネットワークの「空中道路」要素が形成されるとともに、道路、線路または新たな経路に沿った上向き追跡装置を下向き追跡装置と多くの点で同様に動作させることが可能となる。空中道路は、例えば、異なる高度に構成され、下向き追跡装置が装着された街灯柱のサブセットに沿って配置された上向き追跡装置によって監視される多数の車線を有してもよい。例えば、1つの車線は150フィートの高度にあり、「奇数」の街灯柱に位置する追跡装置によって監視されてもよく、もう1つの車線は300フィートにあり、「偶数」の街灯柱に位置する追跡装置によって監視されてもよい。追跡装置はすべて、二組の上向き追跡装置の視野が互いに干渉しないように構成されている。配送ドローンやエアタクシーといった低空航空交通はまだ大量には確立されていないが、そうなるであろうという予測が多くなされている。この種の交通の成長の初期段階においては、本実施形態により、港湾と類似した場所、例えば、荷物受け取り、離陸および帰港便の着陸の中心である「ドローン貨物操車場」の周囲において安全かつ効率的な交通管理が提供される可能性が高い。双方向輸送ネットワークの安全性の例については、英国特許出願公開第2585165号に要約されており、本発明に含まれる交通管理のためのシステムおよび方法と完全に互換である。
【0049】
便利な構成において、LAN制御装置は、多数のLANにまたがるより広い範囲にわたる車両に関する高精度運動データまたは車両から導出された高精度運動データを含む共用の共通イメージを提供するために、地域交通管理システムまたは全国交通管理システム(TMS)にも接続されてもよい。これにより、各LANおよびさらには各車両についての生きた正確なデータがTMSに提供され、TMSは、それらのすぐ近くの場所の周辺の車両に提供される運動データを、搭載システムまたは運転者/操縦者が取り扱う、それらの走行およびより広範囲の輸送ネットワークにわたる交通に関する勧告情報または強制情報または制御情報で補うことが可能となる。
【0050】
以下に、本実施形態によって提供されるシステムおよび方法の多数の例として、上記で言及した添付の図面を参照して読まれるべき詳細な説明を示す。示される例は例示のためのものであって、限定を意図しないことが理解される。記載される特徴に代えて、記載される機能を可能にする他の特徴を用いてもよい。
【0051】
図1および
図2Aに示すシステムは、3つの交通車線70、80、90ならびに斜路120および退出車線130を含む退出合流点を有する典型的な高速自動車道路/フリーウェイ110を備え、交通全体が隣接する一連の街灯柱または他のインフラに取り付けられた車両追跡装置10によって追跡され、当該装置は、全ての車両が
図1全体にわたる全ての位置において連続的かつ正確に追跡されることを保証する視野11を有する。
図1および
図2Aに示す車両追跡装置10は、上述の実施形態に従って特定の位置に特定の交通管理機能を提供するために、ローカルエリアネットワーク(LAN)に構成されている。各車両には、その搭載システムに接続されるかその運転者にデータを表示する通信機器も装着されており、当該通信機器は、車両が追跡装置10から運動データ15を受信し、かつ必要に応じて走行データ、健全性関連データおよび他のデータ16を追跡装置に送信することを可能にする。上記他のデータは、制御アクションを計算し、当該制御アクションを車両のうち1台またはそれ以上の車両に返信することを必要とする、発生したイベントを示す情報を含んでいてもよく、制御アクションにより、車両の1つ以上の運動パラメータが変更される。イベントの例について、
図1、
図2A、
図2Bおよび
図2Cを参照して以下に説明する。
【0052】
各追跡装置10は、LANの範囲内および場合によって範囲外で、その上流および下流に隣接する追跡装置、および直接または場合によっては介在する装置を介してLAN制御装置20と通信25を行うことを可能にする機器を内蔵している。LAN制御装置20については、
図2Bを参照してより詳細に説明する。
【0053】
説明を容易にするため、追跡装置10の間の2つの通信路25のみが
図1に示されているが、通信はいずれの2つの追跡装置10の間でも可能にされ得ることが理解される。車両追跡装置のLANは、出口の手前から一定の距離を隔ててスリップレーン120の少なくとも終端までの延在しており、効率的かつ安全な交通操作の必要に応じて、退出車線130内に延在していても、退出車線130を越えて延在していてもよく、また、主要車道110上の合流点を越えて延在していてもよい。
【0054】
図1および
図2Aは、複数の車両のうち合流点で退出することを意図しない(ただし、他の車両の退出を可能とするために操作する必要がある場合がある)1台の車両を30において示し、複数の車両のうち、退出する意図を示している車両追跡装置10の1つまたはそれ以上に信号16を送信する1台の車両を40において示す。これはイベントの例である。本明細書で使用される場合、「操作(manoeuvre)」という用語は、方向、高度および/または速度の変化を含む、車両の運動力学的挙動における全ての変化を含むとことが理解される。全ての退出要求(イベントデータ)は、LANの視野内で全車両について連続的に生成される追跡データ(検知済み運動パラメータ)と共に追跡装置からLAN制御装置20に送信される。
図2Bに示すように、LAN制御装置20は、少なくとも、メモリ/データストア206、プロセッサ204およびデータ通信部品202(例えば、データ送信部品およびデータ受信部品)を備える。プロセッサ204については、
図2Cを参照して以下に詳述する。データ通信部品202は、LAN制御装置20が通信ネットワークを介し、車両追跡装置10とダウンストリーム通信を行うことを可能にする。同様に、データ通信部品202もまた、LAN制御装置20が通信ネットワークを介して地域/全国交通管理システムおよび/またはインフラ監視システムとアップストリーム通信を行うことを可能にする。LAN制御装置20と通信を行っている追跡装置10の視野内の全ての車両40について、LAN制御装置20は、任意の車両40から受信した全ての「退出意図」信号、および主要車道上の複数の車両40が安全に移動して退出スリップレーン120上の車両50となり次いで退出車線130上に移動することを保証する車両の将来の移動および操作を自身のプロセッサ204が計算することができるのに十分なだけの車両追跡装置10の視野内の車両40に関する最近の運動データを格納する。LAN制御装置は、退出中の車両40、および車両30のうち、退出する車両40を通過させるために操作が必要な車両に対し、必要な操作(具体的には位置制御命令)を定義する情報を直接または車両追跡装置10を介して送信する。
【0055】
次に
図2Cを参照すると、
図2Bに示すLAN制御装置20のプロセッサ204の模式図が示されている。プロセッサ204は、LAN制御装置20のデータ通信部品202によって受信されたデータに含まれているイベントタイプを識別するように構成されたイベント認識エンジン210を備える。イベントタイプは、各車両の要件に応じて効率的かつ安全な連続交通流を保証するために、被監視車両のうち1台またはそれ以上の車両の運動パラメータを変更することが必要となる、LANの範囲内または範囲外での任意の発生であってもよい。
図1および
図2Aの例では、このデータは、合流点での自身の退出意図を示す車両によって送信された信号16を含む。しかしながら、LAN制御装置20によって受信されるイベントの範囲は、このタイプのイベントに限定されず、イベントは、このようなイベントであると識別されるために専用の信号16が送信されることを必ずしも必要とするものではないことが理解される。例えば、LAN制御装置20は、ある特定の被監視車両がその予測速度でもはや走行していない(例えば、車両が動作不良を起こした場合)ことを示す追跡データを車両追跡装置10から受信してもよい。このような場合、イベントが発生したことを示す信号は車両から受信されることはなく、むしろ、係るイベントは別のどこかで判定されてLAN制御装置に伝えられてもよい。しかしながら、上記システムは、安定した交通流を維持するため、エリア内の他の車両が動作不良を起こしている車両を効率的かつ安全に回避して走行することを可能にするアクションを引き続き決定する必要がある。イベントは、交通ネットワーク内での発生に関連していなくてもよく、交通ネットワーク状態を変える(例えば、各被監視車両が移動している平均速度の変更、または平均交通密度または平均交通流量を変えるために車両間の距離を増減させる)命令に関連していてもよい。このような命令は、地域TMSまたは全国TMSの監視システムおよびインフラ監視システムといった、被監視交通ネットワークの外部の場所から受信されてもよい。
【0056】
再び
図2Cを参照すると、イベント認識エンジン210は、上述の実施形態に従って受信したデータから特定のタイプのイベントを識別するように構成されている。イベントが識別された後、データは、次いで、この特定のイベント用の適切な処理エンジンに送られる。適切なエンジンによってデータが受信されると、当該エンジンは、次いで、受信されたイベントに応答して被監視車両のそれぞれについて1つ以上の制御アクションを計算するために、当該データを処理する。場合によっては、これには被監視車両のそれぞれについてのアクションを決定することが含まれる。他の場合では、全ての被監視車両のうち、サブセットのみがアクションを取る必要がある。さらなる場合においては、いずれの車両もアクションと取る必要がないと決定されてもよい。制御アクションが計算された後、アクション(命令信号の形態での)は、次いで、直接または車両追跡装置を介して送信される。これらの命令信号は、上述の実施形態に従い、車両40に対する必要な操作(具体的には位置制御命令)を定義する情報を含む。
【0057】
例として、
図2Cは、特定のイベントタイプに関連する複数の処理エンジンの図を示す。退出/進入要求処理エンジン212が最初に示されている。交通ネットワークの特定の地理的位置から退出するかあるいは当該位置に進入する(例えば、高速自動車道路またはフリーウェイの退出スリップロードの入口を利用することによって)要求が車両から受信されたとイベント認識エンジン210によって識別されると、受信されたデータが当該エンジン212に提供される。
【0058】
車線変更処理エンジン214も示されている。特定の車両が車線を変更すべきであるとイベント認識エンジン210によって識別されると、受信されたデータが当該エンジン214に提供される。これは、充電機能を有する特定の車線への進入を車両が要求している場合に起こり得る(これについてはより詳しく後述する)。
【0059】
さらに、障害物/危険因子検出処理エンジン216が示されている。車両が故障したか動作不良を起こしているとイベント認識エンジン210によって識別されると、あるいはより一般的には、輸送ネットワークの特定のセクションへの車両のアクセスを妨げる障害物が地理的位置に存在していると識別された場合(例えば、重量物車両から物体が外れた場合や、樹木が道路に落下した場合)、受信されたデータが当該エンジン216に提供される。この場合、イベントを明確に示す直接信号が車両から受信される必要はないが、イベント認識エンジン210は、決定されたパラメータに従って車両が動作していないか、あるいは道路の一部がふさがれていると識別してもよい。障害物/危険因子検出処理エンジンは、このような危険因子の正確な地理的位置を判定する。障害物/危険因子処理エンジン216は、危険因子を、具体的には、当該危険因子の周囲に立入禁止区域を設けることによって回避するための戦略を決定する立入禁止区域生成部218を備える。障害物が長期間にわたって存在すると判定されるいくつかの場合において、障害物/危険因子処理エンジン216は(立入禁止区域生成部218を用いて)上記地理的位置における交通ネットワークのうち、当該障害物が撤去されるまで車両による立ち入りが禁止されるエリアを特定するように構成されてもよい。この立入禁止区域は、容易にアクセスできるように、LAN制御装置20のメモリ/データストア206に格納されてもよい。これは、イベントに応答して制御アクションが取られるたびに立入禁止区域を再計算する必要を回避するために用いることができる。ひとたび立入禁止区域が生成されると、当該立入禁止区域は、後続の各制御アクションに自動的に含められ、計算および実行されるように構成されてもよい。ひとたび危険因子/障害物が撤去されると、立入禁止区域は解除されてもよい。
【0060】
図2Cは、交通密度管理エンジン220も示す。交通密度または流量の変更に対する要求が実行される(被監視車両の平均速度を変更し、かつ/または車両間の平均距離を変更することによって)とイベント認識エンジン210によって識別されると、受信されたデータが当該エンジン220に提供される。これは、典型的には、地域TMSまたは全国TMSの監視システムおよびインフラ監視システムといった、被監視交通ネットワークの外部の場所から受信される。あるいは、このような交通密度は、交通密度管理エンジン220によって監視されてもよく、密度または流量のパラメータが所定レベルを下回る場合、これにより、密度を要求される所定レベルに増加させるために1台以上の車両を操作する1つ以上の命令信号の生成を交通密度管理エンジン220に開始させてもよい。
【0061】
上述のエンジンおよびイベントは、LAN制御装置20に処理され得る考えられるイベントの非網羅的なリストであり、本明細書に記載されていない他のイベントへの応答がおこなわれてもよい(適切な制御アクションを計算することによって)ことが理解される。また、他の実施形態では、列記したエンジンのうち1つまたはいくつかのみが提供されてもよい。プロセッサ204は、これらのイベントに応答して適切な制御アクションを計算するソフトウェア命令を実行するように配置された後続のエンジンを適切に追加することによって、これらのイベントを処理するように構成されていてもよいことが意図される。
図2Cでは、考えられる「他の」機能管理エンジン222を含めることでこのことが強調されている。
【0062】
追跡装置10による車両の運動パラメータの「検知」あるいは決定に関して説明が与えられる場合、いくつかの追加実施形態では、車両は、これらのパラメータを自身で決定するように構成されてもよく、追跡装置10は、この情報を提供する伝送を該当する車両から受信するように構成されてもよいことも理解される。このような実施形態において、追跡装置10は、この情報を該当する車両から受信し、当該情報をイベントデータと共にLAN制御装置20に送信するように構成されていてもよい。一部の車両は本システムにおいて使用される自身の該当する運動パラメータを決定することができ、一部の車両はできないというシナリオが発生することも想定される。このようなシナリオにおいて、追跡装置10は、この情報を提供しない車両の運動パラメータを決定し、この情報を提供できる車両から当該情報を受信するように構成されていてもよい。さらなる実施形態では、追跡装置10は、車両から受信した運動パラメータの検証を行うように構成されてもよく、この場合、追跡装置10は、上述の実施形態に従って運動パラメータを決定し、これらを車両から受信した運動パラメータと比較する。パラメータが一致する場合、これらはLAN制御装置20に送られる。一致しない場合、該当する車両およびLAN制御装置20の両方にエラーメッセージを送信して、設定が不適当である可能性があることを通知してもよい。このようなシナリオでは、追跡装置10によって決定されたか、あるいは車両から受信した決定済みパラメータを優先的に使用して、ユーザによって決定された設定に従って操作アクション(上述のような)を決定してもよい。
【0063】
図3Aは、LAN装置の視野内の車両に必要な操作を定義する情報を提供するために、
図1のLAN制御装置20を用いて行われる計算の例の機能フローチャート300を示す。具体的には、
図3は、
図2Cの退出/進入要求処理エンジンの動作の例を示す。非常に要求の厳しい例として、車線80および90は、それぞれの長さが4m、離隔間隔が20mであり、36ms
-1(130Kph)で走行する自動車からなる交通流を有していてもよく、車線70は、それぞれの長さが12m、離隔間隔が20mであり、28ms
-1(100Kph)で走行するトラックを含む。現行の自由流動交通と比較すると、およそ350%の交通密度の増加となり、したがって、現行の従来型のフリーウェイ/高速自動車道路/幹線道路をはるかに超える流量であり、フリーウェイ/高速自動車道路/幹線道路における自立/半自律車両交通の典型的な正常動作設計事例である。LANの視野に入る車両40から、合流点において退出する要求が定期的に45件なされると仮定し、さらに、安全・動作規則により、車両離隔距離はいかなる状況においても16mを下回ってはならないものと仮定する。
【0064】
図3Aのステップ302において、LAN制御装置は、場合によっては他の追跡装置を介して、車線90の車両40から退出要求を受信する(
図1)。空間が形成されるような都合の良い他の要求が車線70および80内の近くの車両からなされないと仮定すると、LAN制御装置20は(退出/進入要求処理エンジン212を用いて)ステップ304において、少なくとも、LANの視野内の複数の車両のための操作のセットを含む実行可能で、かつ好ましくは最適な退出戦略を決定する。係る操作は、車両の位置決めおよび速度の変更を含んでいてもよい。単純な決定性計算から人工知能アルゴリズムに至るまで、考えられる様々な技術がプロセッサ204、関連ソフトウェアプログラムおよびLAN制御装置20のメモリ206によって使用されてもよい。ひとたびこの戦略が構築されると、本方法は、ステップ306に進み、決定された退出戦略に基づいて、1つ以上の制御信号(命令信号とも称する)を形成する。1つ以上の制御信号は、典型的には、当該信号が関連する車両によって実行され得る形式とされる。典型的には、退出戦略を定式化するためには、複数の車両が操作のセットを実行することが必要である(例えば、要求元車両が入る空間を形成するために)ことが理解される。したがって、ステップ306において、典型的には多数の制御信号が生成され、各制御信号は、特定の受信先車両を対象とし、当該特定の車両が実行する必要がある特定の操作のセットを含む。1つ以上の制御信号が生成された後、本方法は、次いで、ステップ308に進み、生成された制御信号を関連車両に送信する。この送信は、LAN制御装置20から直接車両に行われてもよく、あるいは、車両追跡装置10のうち1つ以上を介して行われてもよい。車両は、次いで、当該車両の退出を行うために操作される。上記戦略は、条件的な側面を有することが理解される。例えば、退出する車両のための空間を特定の車線に形成する命令信号が車両にひとたび送信されると、当該空間が実際に形成されたことをLANが検知することに応じて、退出する車両にも操作を行わせる命令を送信するタイミングを取ることができる。これにより、本システムのためのさらなる安全機能がもたらされ、また、本システムを半自律車両と共に使用することが可能となる。本方法は、次いで、ステップ310に進み、終了する。
【0065】
退出操作の詳細な例320について、
図3Bを参照して以下に説明する。係る例は、ステップ302において要求が受信された後に、ステップ304の定式化の一部として利用され得ることが想定される。ステップ322において、車両40が通過し、次いでスリップレーン120に退出することができる空間を上記操作により車線70および80において車両40の横に形成してもよい。これは、車線80内の車両40のすぐ前の6台の車両が、平行して一時的に速度を上げるように命令され、これらの前方の6つのギャップのそれぞれが16mまで閉じ、車両40の横を中心として36mのギャップが形成されることによって行うことができる。同様の交通圧縮(traffic squeezing)戦略を車線70において並行して実施することができるが、車線70の交通の速度が遅いため、ややさらに下流で開始される。このような操作は例示目的でのみ示されるものであり、車両40をスリップレーン120に退出させる所望の機能を可能にする他の操作も利用できることが理解される。
【0066】
ステップ324において、退出する車両を、本例では退出する車両の速度変更を必要としない車線80内の当該車両の横にあるギャップに移動させ、次いで、直ちに車線70のギャップに移動させる。このギャップは、横移動中に縦速度が減少するため、適切なタイミングで「到着」している。この操作全体は、想定される速度では、およそ10秒で容易に計算可能であり、その間に、要求元車両は約360メートル走行しており、これはおそらく、LAN装置の始点から退出合流点までの距離の20%である。よって、この大まかな退出戦略を使用し、かつ交通流量が非常に高い状態で、交通流の25%を合流点において退出させることができる能力がある。
【0067】
ステップ326において、車線90に残されているギャップは、退出した車両によって均一化されるか、後続の交通を前進させることによって埋められるか、あるいは、退出合流点のすぐ後に続く進入合流点において通常発生する、予想される車両の流入に備えてギャップとして保持されてもよい。最後に、ステップ328において、退出する車両が退出スリップレーンの横にあり、かつ、十分な容量を有する追跡装置によって退出スリップレーンが監視されると仮定した場合、退出する車両は、スリップレーンに移動するように命令されてもよい。車線70および80に残されたその他のギャップは、ひとたび車両40がスリップレーンに進入すると、上述の車線90のギャップと同様に扱われてもよい。例320は、次いで、決定された退出戦略に従って制御信号を生成することにより、
図3Aのステップ306に進む。
【0068】
LAN制御装置20が安全に取り扱われるようにプログラムされる多くの異なる予想可能なシナリオが存在し、これらには、典型的な例として、
図1の退出車線130が渋滞し、スリップレーン120が徐々に渋滞するという状況が含まれる。この結果、主要車道の低速車線70が渋滞するか静止する可能性があり、その場合、LAN制御装置20は、自身が制御している追跡装置10の範囲を上流に拡張してもよい。LANのサイズは、システムの現在の要件に応じて可変であってよいことが意図される。別の典型的な例は、スリップレーン120上の車両50が主要車道に戻ることを決定するということであり、その場合、LAN制御装置20によって、よりタイムクリティカルな操作が定式化され、影響を受ける車両に伝えられるか、あるいは当該操作に対する要求は、拒絶されてもよい。すなわちシステムによって許可されなくてもよい。いくつかの実施形態では、LAN制御装置20によって監視される様々な要求を階層的にランク付けしてもよい。この階層は、例えば、特定の操作に関連付けられた時間的制約および距離的制約によって決定されてもよく、時間および距離がより短いものが先に実行されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の操作要求が同時に受信されてもよく、これらの要求のそれぞれは、全ての要求元車両40について適切な退出戦略を決定するために、LAN制御装置20によって同時に考慮されてもよい。
【0069】
図4は、本実施形態400の別の例として、車道410への進入車線420とスリップレーン430との相補的な状況を示す。LANの運用方法は、主要車道上の影響を受けない車両30と、主要車道に合流する車両50のために道をあける必要がある車両40とで完全に同様である。合流を所望する車両50の流量を受け入れる収容能力を主要車道が有しないシナリオでは、進入車線420上の進入交通車両は、進入車線上の追跡装置からの制御コマンドまたは勧告コマンドの形態の「仮想交通信号灯」60によって計量しながら供給される。係るコマンドは、適切な進入操作を決定するステップの一部としてLAN制御装置20により決定される。幹線道路/高速自動車道路/フリーウェイの合流点は、出口と入口の両方を近接して備える場合が多いため、合流点での交通管理の性能をさらに向上させるために、出口のLAN制御装置と入口のLAN制御装置とが互いに通信を行うことが便利である。適切な場合、退出斜路に「仮想交通信号灯」を含めてもよいことも理解される。
【0070】
例として、典型的な幹線道路/高速自動車道路/フリーウェイ上では、街灯柱の離隔間隔は約40メートルであり、したがって、3車線車道の場合、車両の全てが平均サイズを有し、前方車両の後部と後方車両の前部との離隔距離がわずか1メートルで走行する自動車であると仮定すると(システムを徐々に配備し、交通密度を徐々に増加させた後でのみ実現され得る非常に極端なケース)、各追跡装置の視野内には、最大絶対値で約20台の車両が存在し得る。
図1に示すような退出スリップレーンは、典型的には、主要車道に沿って500メートル延在し、加えて、当該退出スリップレーンが準備車両操作に関与することが必要となるまでに、主要車道に沿ってさらに1500メートル延在する。したがって、最大交通密度が車両約500台という極端なケースでは、約50台の車両追跡装置がLANに存在し得る。これは、車両追跡装置間の所要通信容量にすると約100Kbpsとなり、これは、装置49が装置1~49全ての追跡データを装置50に送信するという最悪のケースでは最大5Mbpsと同等であり、有線技術および無線技術の両方の現在の容量の範囲内に十分に収まる。
【0071】
上述のように、
図1から
図4では、全ての車両が車両追跡装置によって検出可能であり、また、全ての車両が追跡データおよび操作のための勧告コマンド、強制コマンドまたは制御コマンドを必要に応じて受信し利用することができることが暗黙裡に仮定されている。これは双方向輸送ネットワーク内の交通管理の将来の望ましい状態ではものの、自立性の程度が様々である車両が混在する期間、および検出および通信が可能な車両と可能でない車両が混在する期間が長く続くことになるであろう。本発明のシステムおよび方法ならびに英国特許出願公開第2585165号のシステムおよび方法が徐々に配備されることが想定される。例として、検出可能でかつ潜在的に制御可能な自動車が少数派である場合、高速車線は、これらの車両に専用のものとするしかなく、これらの車両の当該レーンへの合流および当該レーンからの退出は、検出不能な自動車が介在する場合、運転者の介入によって自動化することができる。中間的な構成の別の例として、フリーウェイ/高速自動車道路/幹線道路の合流点間の区間は、実施形態のシステムおよび方法の一部または全ての制御下での3車線のうち1つまたは2つにおける完全な自立動作用に構成してもよく、さらに、合流点へのアプローチにおいては、全ての車両を運転者による制御に戻し、それによって従来の方法で必要な操作を行えるようにしてもよい。
【0072】
図5は、標準的なフリーウェイ/幹線道路/高速自動車道路505上の車両のうち一部のみが、本実施形態のシステムが必要とする追跡精度で追跡機器によって検出可能である状況の例500を示す。標準的なフリーウェイ/幹線道路/高速自動車道路の区間(部分)505から、車両のうち一部を正確に追跡し、かつ制御信号を送信することにより当該車両を自律的に動作させることが可能な区間(被追跡セクション)への移行が示されている。したがって、被追跡セクションへのアプローチにおいて、ランダムに配置された検出可能(黒色)な車両と検出不能(白色)な車両が存在し、これら全てが運転者による制御下にある(すなわち、全てが非自律的に動作している)。被追跡セクションは、本実施形態によって可能となる自律車両動作に対応する1つの車線510を含み、他の2つの車線は、検出および追跡を必要とされる精度で行うことができない標準的な運転者制御型交通車両に使用される。標準セクション505上には、車両をその運転者によって適切な車両に操作することを要求する標準的な道路標識60があり、したがって、白色車両35は高速車線を退出しなければならず、黒色車両45は、高速車線に合流することを要求されるかあるいは合流することを選択することができる。
図5は、いくつかの異なるシナリオを示している。例えば、被追跡セクション510への進入時、車両41は、追跡装置によって検出され、場合によっては、地域交通管理システムへのリンクを介して認証されたばかりの状態である。この検出は、車両使用料徴収サービスの必須の要素として使用されてもよい。
図5は、車両42が、高速車線に移動し忘れたかあるいは高速車線に進入することを直前に決めた(そうすべき時期よりも後で)ために誤った車線に存在しているシナリオも示している。この場合、
図1から
図4に関連して上述した方法を適用して被追跡車線510の車両43、44および被追跡車線外の車両42に命令信号を送信し、車両42を自立動作、すなわち、被追跡車線510に安全に移動させる。
【0073】
いくつかの実施形態では、本システムは、道路上、水中、または空中に存在し得る車両または他の障害物を、これらの車両または障害物に勧告情報または制御情報を提供するために通信を行うことができない場合であっても検出することができるように構成されていてもよい。この情報は、非制御型の車両または障害物を考慮に入れるために、勧告情報、強制情報または制御情報の提供を受けることができる車両が取るべき運動学的アクションをLAN制御装置が決定しているときに追加的に使用されてもよい。例えば、
図1を再び参照すると、車両40は退出斜路130に移動することを所望しているが、通信不能な物体が車線70、80のうち一方に存在しているために、車両40は、移動が可能な場所に制限されるというシナリオが存在し得る。これは、貨物自動車から大きな残骸物が落下するか、あるいは単に通信不能な車両が存在することに起因して発生し得る。この追加機能を備えることにより、本システムは、予期せぬ衝突を防止することができる。本システムは、車両追跡装置10(または任意の類似追跡機器)がこのような障害物を検出し、当該障害物のデータをLAN制御装置に提供することができるように構成されていてもよい。これに加えて、またはこの代わりに、追跡装置10は、このような障害物情報を受信するために車両追跡装置10と通信可能に結合された車両10から遠隔測定データを受信するように構成されていてもよい。例えば、車両30は、自身の付近にある障害物を検出する前方向きレーダまたは後方向きレーダを備えていてもよく、これによる遠隔測定データが車両追跡装置10を介してLAN制御装置20に提供されてもよい。これを用いて予期せぬ障害物(すなわち、道路上、水中または空中にある別の車両30として知られていない障害物)を検出してもよく、操作を計算する際に適切なアクションが取られてれもよい。レーダで得られたたデータの例が示されているが、任意の適切な遠隔測定データがこの目的で使用されてもよい(例えば、上記障害物に起因する減速時の制動情報)。
【0074】
上述の例から、同様の方法およびシステムは、フリーウェイ/高速自動車道路/幹線道路上だけでなく、あらゆる都市、市街地経路および田野横断経路上に存在する様々な標準交通制御シナリオにどのように拡張されるかは明らかである。高速・高密度道路の例を選択したが、その理由は、車両追跡装置の数が最も多く、交通密度および流量が最も高いLANが含まれ、それによってLAN制御装置および装置間の通信に対する需要が最大となるからである。同様に、本実施形態のシステムおよび方法は、車両力学および交通密度はおいて大きく異なるが、例えば英国特許出願公開第2585165号に記載される航空交通シナリオにも適用される。
【0075】
上記に示した例では、本実施形態を、「トリガ」イベント(例えば、道路のあるエリアに対する退出/進入、事故の発生)の後に適切な操作を計算するように構成されたLAN制御装置20との関連で説明した。しかしながら、いくつかの実施形態では、本システムは、道路、水域または空域のあるエリアをLAN制御装置20によって連続監視するように構成されていてもよく、また、LAN制御装置20は、そのような明らかなトリガイベントが存在しない場合であっても、車両30に制御情報または勧告情報を提供するように構成されていてもよいことも想定される。これは、適切な場合には交通密度/平均交通速度の増加を可能にする一般的な交通流管理において有用であり得る。このような実施形態において、LAN制御装置20は、車両30に関する運動学的/遠隔測定データを車両追跡装置10を介して連続的に受信してもよく、また、交通流の効率を高めるために取るべきアクションを計算してもよい(例えば、交通密度が所定の最小値を下回った場合)。これは、車両30間の空間を狭めるか、あるいは1台以上の車両30の速度を増加させることを含んでもよい。このような管理に必要な通信チャネルは、上記実施形態に記載されるものと同様であり、交通密度を増加させる(おそらくは、所定レベルを下回ったために)という決定は、どのイベントデータが受信されるかについてのイベントであるとみなされる。
【0076】
いくつかの実施形態では、本システムの車両追跡装置10とLAN制御装置20との通信は並列に行われてもよい。つまり、各車両追跡装置10は、データが交換される直接通信チャネルをLAN制御装置20との間に有するように構成されてもよい。他の実施形態では、本システムの車両追跡装置10とLAN制御装置20との通信は、順次行われてもよい。このような実施形態において、車両追跡装置10は、自身に隣接する車両追跡装置10と通信可能に結合されるように構成されていてもよく、また、互いにデータを送信し、当該データをチェーンに沿って実質的に「送る」ように構成されていてもよい。この実施形態では、車両追跡装置10のうち1つは、LAN制御装置20と通信可能に結合され、かつLAN内の全ての車両追跡装置10に関連するデータを送受信するように構成されていてもよい。
【0077】
いくつかの例では、実装されたシステムにより、TMS/IMS/地方TMSと車両30との間の「基準化された」通信方法が実現され得る。係る基準を、このようなシステムおよび車両の全てにわたって一方的に実装し要件としてもよく、それにより、機器および車両30の様々な製造業者間での互換性が保証される。これによって、異なる製造業者によって様々な基準が実装されているために安全で信頼性の高いシステムが実用化できないという、上記で明示した現在のシステムの問題を回避することができる。
【0078】
本実施形態は、計画された道路整備、例外的な車両、予期せぬ車両故障、事故、緊急対応等といった異常な運行状況が発生した場合に、道路交通を安全かつ効率的に管理することを可能にする、密接に関連するシステムおよび方法も提供する。
図6は、2つの車線のそれぞれで車両のうち1台が故障した高速フリーウェイ/高速自動車道路/幹線道路上の車道の2つのシナリオを示す。当該道路の上の車両追跡装置10は、自律的に、半自立的に、あるいは運転者―による制御下で動作している車両に対し、単に運動データを提供するものであると仮定する。この状況において、故障車両は、自車の故障状態および停止予測を車両追跡装置10に伝えるか、あるいは、追跡装置は、単に車両の減速および停止を追跡する。減速期間中、隣接する影響を受ける車両は、自律的に、半自立的に、あるいは運転者―による制御下で応答する。ただし、車両追跡装置10は、故障車両の停止箇所の近くにある1つの装置をLAN制御装置20の役割を担うように指定し、隣接する一連の装置が当該臨時LANに含まれるように定義するようプログラムされている。
【0079】
この場合、臨時LANの交通管理機能は、上記の常設例と完全に同様に動作し、直接制御または運転者に対して勧告を行うことにより、健全な車両を、LAN制御装置20においてモデル化された「仮想交通島」(すなわち、車両が侵入できない、立入禁止区域として指定されている道路のエリア)の周りに最も効率的に移動させる。指定されたLAN制御装置20において実装可能な特定の機能の例を
図7Aのフローチャートに示す。明らかに、この機能は、例えば、故障車両付近で低速移動する緊急対応車両の周りに移動式仮想島が形成されることを可能にするために適用することができる。
【0080】
図7Aは、
図6のシナリオのための方法の動作700を示す。
図7Aでは、追跡装置10は、ステップ702において、誤った挙動を示す車両を上記実施形態に従って検出する。これは、車両が予想外に減速していることに追跡装置10が着目することによって検出されてもよい。本方法は、次いで、ステップ704に進み、問題の車両に最も近接した車両追跡装置をLAN制御装置20に指定する。いくつかの例では、予め指定されたLAN制御装置20が存在する場合がある。これらの例において、指定ステップは必要ではなく、代わりに、遭難車両の状態および運動パラメータを示す伝送が予め指定されたLAN制御装置20に送られる。この後、LAN制御装置20は(障害物/危険因子検出処理エンジン216を用いて)、ステップ706において、遭難車両(可能な場合)を安全な場所に移動させ、かつ他の車両を遭難車両を避けて移動させるために、少なくとも、LANの視野内の複数の車両のための操作のセットを含む実行可能で、かつ好ましくは最適な配置戦略を決定する。係る操作は、車両の位置決めおよび速度の変更を含む。遭難車両の場合、上記操作は、高速自動車道路の路肩といった、混乱が最小限となるエリアに車両を配置することを含んでもよい。場合によっては、これは必要でない可能性があり、障害物/危険因子検出処理エンジン216は、遭難車両に対する制限に留意して、他の車両のための操作のセットを計算するように構成されている。単純な決定性計算から人工知能アルゴリズムに至るまで、考えられる様々な技術がプロセッサ204、関連ソフトウェアプログラムおよびLAN制御装置20のメモリ206によって使用されてもよい。ひとたびこの戦略が構築されると、本方法は、ステップ708に進み、決定された退出戦略に基づいて、1つ以上の制御信号を形成する。1つ以上の制御信号は、典型的には、当該信号が関連する車両によって実行され得る形式とされる。典型的には、適切な戦略を定式化するためには、複数の車両が操作のセットを実行することが必要である(例えば、要求元車両が入る空間を形成するために)ことが理解される。したがって、ステップ708において、典型的には多数の制御信号が生成され、各制御信号は、特定の受信先車両を対象とし、当該特定の車両が実行する必要がある特定の操作のセットを含む。1つ以上の制御信号が生成された後、本方法は、次いで、ステップ710に進み、生成された制御信号を関連車両に送信する。この送信は、LAN制御装置20から直接車両に行われてもよく、あるいは、車両追跡装置10のうち1つ以上を介して行われてもよい。車両は、次いで、当該戦略を行うために操作される。上記戦略は、条件的な側面を有することが理解される。例えば、特定の車線に空間を形成する命令信号が車両にひとたび送信されると、当該空間が実際に形成されたことをLANが検知することに応じて、他の車両にも操作を行わせる命令を送信するタイミングを取ることができる。これにより、本システムのためのさらなる安全機能がもたらされ、また、本システムを半自律車両と共に使用することが可能となる。本方法は、次いで、ステップ712に進み、終了する。
【0081】
遭難車両の操作の詳細な例720について、
図7Bを参照して以下に説明する。係る例は、ステップ704において要求が受信された後に、ステップ706の定式化の一部として利用され得ることが想定される。ステップ722において、最短法定離隔距離を維持しつつ、上記操作によって、指定された低速車線において遭難車両のすぐ後ろの交通を圧縮して、減速中の遭難車両のためのギャップを形成してもよい。ステップ724において、遭難車両を低速車線に移動させ、より高速の2つの車線の交通を圧縮する。これにより、法定離隔距離を維持しつつ、遭難車両の後ろの低速車線の交通を、より高速の2つの車線に徐々に進路変更させるための空間が形成される。この後、ステップ726において、遭難車両が停止した場合、法定離隔距離を維持しつつ、3つの車線は、引き続き、LAN制御装置のプロセッサ204において生成された「仮想島」コンピュータモデルを囲む2つの車線に圧縮される。例720は、次いで、ステップ728に進み、法定離隔距離を維持しつつ、障害物を通過した車両について、車両をより低速の車線に徐々に移動させることによって仮想島の縮小を実施して、3車線および均一な分布を復旧する。ひとたび本例が完了すると、方法720は、
図7Aのステップ708に進み、制御信号が生成される。
【0082】
制御信号が生成される本例および上記に示した例では、上記に示した方法は、不連続であっても、連続であってもよいことが理解される。いくつかの例では、制御信号の単一のセットを生成するだけでよい場合があり、他の例では、制御信号の連続したセットを生成する必要があり得る。具体的には、被監視地理的エリアへの車両の入退出が常時行われる場合や、遭難車両の状態が変化している場合である。このような場合、上述の方法は、制御信号を生成する必要がなくなるまで、繰り返されるように構成されていてもよい。
【0083】
本実施形態は、動力の直接提供、または伝導型もしくは誘導型の電力伝送によるバッテリの「移動中」充電をいかなる既存のシステムまたは方法よりもより効率的に行うために、電動車両またはハイブリット電動車両(陸上車両、水上車両および航空車両)を電力源に接続することを可能にする、関連するシステムおよび方法も提供する。
図8は、道路820の1つの車線870にコイル850を備え、車両860にコイルを備える動的誘導型電力伝送システムが、車両の移動中に電力を伝送することを可能にする一例を示す。これは、以下を必要とする。
a.電源を備える車線の利用率を最大化し、それによって、高価な動力車線を最小限とすることができるように、充電を必要とする車両を選択し、電源を備える車線に移動させること、および
b.道路インフラであるコイル850に対する車両の高精度・連続横方向位置合わせ820、および場合によっては、充電を可能な限り効率的に行うことを可能にし、電源を備える車線870において車両が費やす時間が最小限となるように、車両が通過し、動的に充電される際に各道路コイル850を極めて正確なタイミングで通電すること。
【0084】
本実施形態は、幹線道路/フリーウェイ/高速自動車道路の合流点に関して上述したものと同様にa)の機能の機能を提供し、および、さらに、b)に必要な誘導精度およびタイミングを提供する。本実施形態はまた、他の形式の電力伝送(例えば、道路内または道路上のレールから、当該レールと連続的に位置合わせが行われなければならないブラシやスケートといった車両内の部品への伝導型伝送、あるいは、別の例として、架空送電線によって電力が利用可能とされ、車両の電力伝送システム(例えば、カテナリ架線(catenary pair)を連続的に位置合わせする必要がある場合など)にもこれらの機能を提供する。
【0085】
本システムを用いて航空機も充電することができることが理解される。この場合、本システムにより、充電用の陸上車両または水上車両に対し、特定の車線に移動するよう命令し、当該車線内の当該車両の相対位置(横方向位置)を保持してもよい。同様に、車両の速度も一定となるように制御してもよい。その後、小型飛行機(例えば、ドローン)に対し、充電用車両上に着陸し、かつ陸上車両または水上車両から離陸して空中回廊に戻るまで一定期間バッテリを充電するよう命令する信号を送信することにより、当該小型飛行機を誘導してもよい。
【0086】
最後の機能として、本実施形態は、従来のいかなる手法よりも効率的に路面状態を測定する手段として道路上の車両を使用することを可能にする。
図9は、フリーウェイ/幹線道路/高速自動車道路上の3車線車道900の短い区間を再び示す。車線70は、ポットホール950を有しており、車両930の右前輪940が当該ポットホールを通り過ぎようとしている。車両930には、車輪がポットホールを通り過ぎる際に当該ポットホールを検出することができる機器が装着されているものとする。このような装着機器は簡単なものであり、説明のための2つの例として、車両のボディまたはサスペンションに装着された振動センサまたは衝突センサを備えていてもよく、あるいは、車輪940の懸架装置の1つ以上の部品に装着された撓みモニタを備えていてもよい。
【0087】
道路欠陥の少なくとも存在および場合によってはその重大度を示す、上記機器によって生成されたデータは、次いで、車両を車両追跡機器にリンクする通信システムによって送信されてもよい。この送信は、本実施形態全体の低遅延性を有し、したがって、道路欠陥データが生成された時点で追跡機器によって生成された車両の正確な位置と組み合わせるか、あるいは関連付けることができる。このように、追跡機器により、道路欠陥の正確な位置(数センチメートルの精度)を判定することができる。
【0088】
この高精度で最新の道路状態データは、上述のローカルエリアネットワーク、または有線通信チャネル、無線通信チャネルもしくは衛星通信チャネルなどの他の様々な手段を介して、地方道路状態監視システム、地域道路状態監視システムまたは全国道路状態監視システムにその後送信されてもよい。さらに、交通車両が道路欠陥を繰り返し通り過ぎることにより、確認データが提供されると共に、欠陥の大きさおよび欠陥の増大率を監視することも可能となる。これにより、インフラの保全性が大きく向上する。加えて、道路欠陥の増大率を低下させるために、追跡機器は、車両が他の道路車両との安全な横方向離隔距離を維持しながら正確に操舵を行い、当該欠陥を回避することを可能にする勧告信号または制御信号を、車両が欠陥に接近する際車両に対して提供してもよい。最後に、この道路状態監視機能は、車両に搭載された機器によって検出が可能な道路上の異物の検出にも適用することができ、それにより、車両は当該異物を回避し、保守サービス事業者に対して、それらの存在を通知して除去作業を促すことができる。
【0089】
本実施形態のいくつかの例示的な実施形態およびその装置の異なる機能の実施について詳細に記載したが、当業者であれば、同システムの基本構成を改変して、記載された機能を、それがどのようにして実現されるかに関する説明を必要とすることなく、実行することが容易にできると理解される。したがって、本明細書において、システムのいくつかの機能は、必要とされる詳細な実装について説明することなく様々な箇所で記載されているが、これは、機能をシステムに実装する当業者の能力を想定すれば必要ではないからである。
【0090】
さらに、本明細書に記載される異なる実施形態の特徴、利点および機能は、状況が許す場合には、組み合わせてもよいことが理解される。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送ネットワークの現在の地理的位置における通路(pathway)に沿った複数の車両の移動を制御するための車両管理システムであって、前記車両管理システムは、
受信機であって、
前記現在の地理的位置において前記複数の車両の検知済み運動パラメータを受信し、
前記複数の車両の前記移動に関するイベントの発生に関連するイベントデータを受信するように構成された受信機と、
プロセッサであって、
前記イベントに応答するために、前記複数の車両のうち少なくとも1台の必要運動パラメータを決定し、
前記検知済み運動パラメータおよび前記必要運動パラメータに基づいて、前記複数の車両のうち前記1台またはそれ以上の車両が取るべき1つ以上のアクションであって、前記必要運動パラメータの達成を可能にする1つ以上のアクションを決定し、
前記1つ以上のアクションを取るように命令するための前記1台またはそれ以上の車両に対する1つ以上の命令信号を生成するように構成されたプロセッサと、
前記1つ以上のアクションの実行を可能にするために、前記1台またはそれ以上の車両のそれぞれに前記1つ以上の命令信号を送信するように構成された送信機と
を備える車両管理システム。
【請求項2】
前記イベントデータは、車両からの操作要求、車両移動パラメータ(例えば、交通密度)の閾値、または緊急イベントに関する警告を含む、請求項1に記載の車両管理システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、イベントに関係する車両の現在位置を判定するように構成されている、請求項2に記載の車両管理システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記複数の車両のうち前記イベントに関係する車両の前記現在位置の下流にある車両の速度を増加させて、前記複数の車両のうち隣接する車両間にギャップを形成するアクションを生成するように構成されている、請求項3に記載の車両管理システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記複数の車両のうち前記イベントに関係する車両の前記現在位置の上流にある車両の速度を減少させて、前記複数の車両のうち隣接する車両間にギャップを形成するアクションを生成するように構成されている、請求項
3に記載の車両管理システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記イベントに関係する車両を前記ギャップ内に移動させるアクションを生成するように構成されている、請求項
4に記載の車両管理システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記イベントに関係する車両が前記ギャップ内に移動した後に、前記複数の車両のうち隣接する車両間の離隔距離を一様化する1つ以上のアクションを生成するように構成されている、請求項6に記載の車両管理システム。
【請求項8】
前記通路は複数の車線を含み、前記プロセッサは、
前記複数の車両のうち前記イベントに関係する車両または危険因子の前記現在位置の上流にある車両の速度を減少させ、かつ/または前記複数の車両のうち前記イベントに関係する車両または危険因子の前記現在位置の下流にある車両の速度を増加させることにより、前記イベントに関係する車両または危険因子の現在の車線に対する隣接車線内にギャップを形成し、
前記複数の車両のうち、前記イベントに関係する車両または危険因子の上流にありかつ前記イベントに関係する車両または危険因子と同じ車線内にある車両を前記ギャップ内に移動させるアクションを生成するように構成されている、請求項
2に記載の車両管理システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記イベントに関係する車両または危険因子の下流にありかつ前記イベントに関係する車両または危険因子の隣接車線内にある車両を前記イベントに関係する車両または危険因子と同じ車線に移動させるアクションを生成するように構成されている、請求項8に記載の車両管理システム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記複数の車両のうちの任意の車両の速度を変更して、隣接する車両間の距離を所定の最小値に最小化し、それにより交通密度パラメータを増加させるアクションを生成するように構成されている、請求項
2に記載の車両管理システム。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記複数の車両のうちの任意の車両を、誘電充電装置または伝導充電装置と位置合わせされた前記通路内の位置に移動させ、前記誘電充電装置または伝導充電装置に対する前記車両の位置合わせを一定期間維持して、前記車両が前記通路に沿って移動している間に、前記車両の誘導充電または伝導充電が行われることを可能するアクションを生成するように構成されている、請求項
1に記載の車両管理システム。
【請求項12】
前記プロセッサは、
前記複数の車両のうちのドッキング車両(docking vehicle)を前記通路に対して一定の速度および一定の位置に維持し、
前記ドッキング車両が前記通路に沿って移動している間に、別の車両を前記ドッキング車両とドッキングするように案内するアクションを生成するように構成されている、請求項
1に記載の車両管理システム。
【請求項13】
前記受信機は、前記複数の車両のうちの任意の車両から事象データを受信するように構成されており、前記事象データは、前記車両が検知した事象の地理的位置に関連し、
前記プロセッサは、前記事象の前記地理的位置をデータストアに格納するように構成されている、請求項
1に記載の車両管理システム。
【請求項14】
前記送信機は、前記事象データをインフラ監視システムに送信するように構成されている、請求項13に記載の車両管理システム。
【請求項15】
前記事象データは、複数の特定の地理的位置において前記車両が検知した前記通路の物理的状態に関連している、請求項1
3に記載の車両管理システム。
【請求項16】
前記受信機は、前記車両管理システムと通信可能に結合された別のシステムから、さらなる検知済みパラメータを受信するように構成されており、前記プロセッサは、前記さらなる検知済みパラメータから前記必要パラメータを決定するように構成されている、請求項1に記載の車両管理システム。
【請求項17】
前記さらなる検知済みパラメータは、前記複数の車両が進行している方向側の位置であって、前記現在の地理的位置の下流にある位置において発生しているイベントに関連している、請求項16に記載の車両管理システム。
【請求項18】
前記さらなる検知済みパラメータは、所望の交通密度イベントまたは交通流量イベントに関連している、請求項1
6に記載の車両管理システム。
【請求項19】
前記受信機は、前記通路の周辺に設けられた1つ以上の車両追跡装置から前記検知済み運動パラメータを受信するように構成されている、請求項
1に記載の車両管理システム。
【請求項20】
前記送信機は、前記通路の周辺に設けられた1つ以上の車両追跡装置を介して、前記1つ以上の命令信号を前記複数の車両のうちの前記1台またはそれ以上の車両に送信するように構成されている、請求項
1に記載の車両管理システム。
【請求項21】
前記複数の車両のうちの1台は、自立車両または半自立車両からなり、前記命令信号は、前記自立車両または半自立車両の移動を制御するように構成された制御信号を含む、請求項1に記載の車両管理システム。
【請求項22】
前記地理的位置において前記通路の周辺に設けられた1つ以上の車両追跡装置をさらに備え、前記車両追跡装置は、10cm以内の位置測定精度を有し、動的遅延(dynamic latency)が20ミリ秒未満である、請求項
1に記載の車両管理システム。
【請求項23】
前記1つ以上の車両追跡装置は、前記通路に向けられた視野を有し、前記複数の車両のそれぞれの位置を検知し、前記検知した位置から前記検知済み運動データを一定期間にわたって決定するように構成されている、請求項22に記載の車両管理システム。
【請求項24】
前記1つ以上の車両追跡装置は、ローカルエリアネットワーク構成において互いに通信可能に接続された複数の車両追跡装置を含む、請求項2
2に記載の車両管理システム。
【請求項25】
前記1つ以上の車両追跡装置は、赤外線センサを備える、請求項2
2に記載の車両管理システム。
【請求項26】
前記1つ以上の車両追跡装置は、赤外線エミッタを備える、請求項25に記載の車両管理システム。
【請求項27】
前記1つ以上の車両追跡装置は、前記1つ以上の命令信号を前記複数の車両のうちの前記1台またはそれ以上の車両に提供するように構成されている、請求項2
2に記載の車両管理システム。
【請求項28】
前記1つ以上の車両追跡装置は、1台以上の航空車両、水上車両または陸上車両の移動を追跡するように構成されている、請求項2
2に記載の車両管理システム。
【請求項29】
前記プロセッサは、前記イベントデータが関連しているイベントの種類を判定するためのイベント認識エンジンと、前記1つ以上の取るべきアクションを決定するための1つ以上のイベント応答処理エンジンとを含む、請求項
1に記載の車両管理システム。
【請求項30】
前記1つ以上のイベント処理エンジンは、多車線通路の現在の車線内の前記複数の車両のうち要求元車両が前記多車線通路の別の所望の車線に移動することを可能にするアクションを生成するように構成された車線変更要求処理エンジンを備え、前記車線変更処理エンジンは、
前記多車線通路の前記所望の車線への変更を要求している前記要求元車両の現在位置を判定し、
前記所望の車線内の前記複数の車両のうち、前記要求元車両の前記現在位置の下流にある車両の速度を増加させ、かつ/または、前記所望の車線内の前記複数の車両のうち、前記要求元車両の前記現在位置の上流にある車両の速度を減少させて、前記所望の車線内に前記複数の車両のうち隣接する移動車両間にギャップを形成することを可能にするアクションを生成し、
前記要求元車両を前記ギャップ内に移動させるアクションを生成するように構成されている、請求項29に記載の車両管理システム。
【請求項31】
前記1つ以上のイベント処理エンジンは、前記複数の車両のうちの要求元車両が前記通路の現在の車線から退出車線に移動することを可能にするアクションを生成するように構成された退出/進入要求処理エンジンを含み、前記退出/進入要求処理エンジンは、
前記要求元車両の現在位置を判定し、
前記退出車線内の前記複数の車両のうち、前記要求元車両の前記現在位置の下流にある車両の速度を増加させ、かつ/または、前記退出車線内の前記複数の車両のうち、前記要求元車両の前記現在位置の上流にある車両の速度を減少させて、前記退出車線内に前記退出車線内の前記複数の車両のうち隣接する車両間にギャップを形成することを可能にするアクションを生成し、
前記要求元車両を前記ギャップに移動させるアクションを生成するように構成されている、請求項2
9に記載の車両管理システム。
【請求項32】
前記1つ以上のイベント処理エンジンは、前記複数の車両のうちの要求元車両を前記通路の進入車線から所望の車線に移動させるアクションを生成するように構成された退出/進入要求処理エンジンを含み、前記退出/進入要求処理エンジンは、
進入車線から多車線通路の前記所望の車線への変更を要求している要求元車両の現在位置を判定し、
前記所望の車線内の前記複数の車両のうち、前記要求元車両の前記現在位置の下流にある車両の速度を増加させ、かつ/または、前記複数の車両のうち、前記要求元車両の前記現在位置の上流にある車両の速度を減少させて、前記所望の車線内に前記複数の車両のうち隣接する車両間にギャップを形成すること可能にするアクションを生成し、
前記要求元車両を前記ギャップに移動させるアクションを生成するように構成されている、請求項2
9に記載の車両管理システム。
【請求項33】
前記通路は多車線通路からなり、前記退出/進入要求処理エンジンは、
前記隣接車線内の前記複数の車両のうち、前記要求元車両の前記現在位置の下流にある車両の速度を増加させ、かつ/または、前記複数の車両のうち、前記要求元車両の前記現在位置の上流にある車両の速度を減少させることにより、前記複数の車両のうちの前記要求元車両が、前記多車線通路のうち前記現在の車線に隣接する車線を横断すること可能にして、前記隣接車線内に前記複数の車両のうち隣接する移動車両間に隣接車線ギャップを形成することを可能にし、
前記要求元車両を前記隣接車線ギャップに移動させるアクションを生成するように構成されている、請求項3
1に記載の車両管理システム。
【請求項34】
前記1つ以上のイベント処理エンジンは、前記通路において障害物/危険因子の位置を特定するように構成された障害物/危険因子検出処理エンジンを含み、前記障害物/危険因子検出処理エンジンは、前記障害物/危険因子の前記位置の上流にある車両が前記障害物/危険因子を回避することを可能にするための戦略を決定し、前記戦略の実行する1つ以上のアクションを生成するように構成された立入禁止区域生成部を備える、請求項2
9に記載の車両管理システム。
【請求項35】
前記立入禁止区域生成部は、
前記障害物/危険因子の前記位置の上流にある車両の速度を減少させることにより、隣接車線内にギャップを形成し、
前記障害物/危険因子と同じ車線内の車両を、前記隣接車線内の前記ギャップに移動させ、それによって前記障害物/危険因子の周囲に仮想島を形成するアクションを生成するように構成されている、請求項34に記載の車両管理システム。
【請求項36】
前記1つ以上のイベント処理エンジンは、隣接する車両間の距離を所定の最小値に最小化するように前記複数の車両のうち1台以上の車両の速度を変更することによって前記複数の車両の交通密度/流量パラメータを増加させるように構成された交通密度/流量管理エンジンを含む、請求項2
9に記載の車両管理システム。
【請求項37】
輸送ネットワークの現在の地理的位置における通路に沿った複数の車両の移動を制御するための方法であって、前記方法は、
前記現在の地理的位置において前記複数の車両の検知済み運動パラメータを受信するステップと、
前記複数の車両の前記移動に関するイベントの発生に関連するイベントデータを受信するステップと、
前記イベントに応答するために、前記複数の車両のうち少なくとも1台の必要運動パラメータを決定するステップと、
前記検知済み運動パラメータおよび前記必要運動パラメータに基づいて、前記複数の車両のうち前記1台またはそれ以上の車両が取るべき1つ以上のアクションであって、前記必要運動パラメータの達成を可能にする1つ以上のアクションを決定するステップと、
前記1つ以上のアクションを取るように命令するための前記1台またはそれ以上の車両に対する1つ以上の命令信号を生成するステップと、
前記1つ以上のアクションの実行を可能にするために、前記1台またはそれ以上の車両のそれぞれに前記1つ以上の命令信号を送信するステップと
を含む方法。
【請求項38】
命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータによって実行されたときに、前記コンピュータに請求項37に記載の方法の前記ステップを実行させるコンピュータ可読記憶媒体。
【国際調査報告】