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  • 特表-収縮性ポリエステルフィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】収縮性ポリエステルフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/183 20060101AFI20231018BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20231018BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
C08G63/183
B32B27/36
C08J5/18 CFD
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521493
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(85)【翻訳文提出日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 US2021054079
(87)【国際公開番号】W WO2022076765
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】63/198,295
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】フー,ファミン
(72)【発明者】
【氏名】ストランド,マーク・アラン
(72)【発明者】
【氏名】ナピエララ,ジェイコブ・イー
(72)【発明者】
【氏名】パウエル,ジェフェリー・アール・グラント
(72)【発明者】
【氏名】ピータース,マーク・アレン
【テーマコード(参考)】
4F071
4F100
4J029
【Fターム(参考)】
4F071AA46
4F071AA86
4F071AA88
4F071AF61Y
4F071AG28
4F071AH04
4F071AH05
4F071AH12
4F071AH19
4F071BA01
4F071BB03
4F071BB07
4F071BC01
4F071BC12
4F100AK42A
4F100AL01A
4F100AT00
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4F100YY00A
4J029AA03
4J029AB01
4J029AB07
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4J029AD07
4J029AE03
4J029BA03
4J029BA04
4J029BA05
4J029BA07
4J029BA10
4J029BD02
4J029BD04A
4J029BF08
4J029BF09
4J029CA02
4J029CA04
4J029CA05
4J029CA06
4J029CB04A
4J029CB05A
4J029CD03
4J029HA01
4J029HB01
4J029KE05
(57)【要約】
本発明は、特定の割合のグリコールと二酸とのある特定の組合せを含むポリエステルから構成される収縮性フィルムを提供する。これらのポリエステルは、得られる収縮性フィルムにいくつかの有利な特性を与え、したがって、ポリ(塩化ビニル)を使用して作製された市販の収縮フィルムの互換性のある代替品として適している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i.1.約75モル%超のテレフタル酸残基、
2.約0~約25モル%の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸またはコハク酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分と;
ii.1.約60~90モル%のエチレングリコール残基、ならびに
2.約0~約30モル%の、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、および2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールから選択される残基、ならびに
3.約0~約15モル%のジエチレングリコール残基、ならびに
4.約0~約35モル%の、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、および1,4-ブタンジオールのうちの1種または複数種、
を含むが、但し、2-メチル-1,3-プロパンジオール以外である、ジオール構成成分と;
を含むポリエステルであって、
前記ジカルボン酸構成成分の総モル%が100モル%であり、前記ジオール構成成分の総モル%が100%である、ポリエステル。
【請求項2】
前記ジカルボン酸構成成分が、約95モル%超のテレフタル酸の残基を含む、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項3】
前記ジカルボン酸構成成分が、約8~約25モル%の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸の残基を含む、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項4】
前記ジカルボン酸構成成分が、約5~約10モル%のコハク酸の残基をさらに含む、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項5】
前記ジカルボン酸構成成分が、約3~約15モル%のアジピン酸の残基を含む、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項6】
前記ジオール構成成分が、
a.約5~約30モル%のネオペンチルグリコールの残基、または
b.約5~約30モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノールの残基、または
c.約5~約30モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールの残基
を含む、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項7】
前記ジオール構成成分が、約2~約14モル%のジエチレングリコールの残基を含む、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項8】
前記ジオール構成成分が、約10~約31モル%の、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、および1,4-ブタンジオールの残基のうちの1種または複数種の残基を含む、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項9】
約5~約25モル%の、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、およびイソフタル酸から選択される1種または複数種のジカルボン酸の残基をさらに含む、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項10】
約5~約30モル%の、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-プロポキシ-1,3-プロパンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、および次式の化合物
【化1】
から選択される1種または複数種のジオールの残基をさらに含む、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項11】
a.i.約88~92モル%のテレフタル酸の残基、および
ii.約8~約12モル%の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分と;
b.i.約80~約86モル%のエチレングリコールの残基、および
ii.約16~約20モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノールの残基、
を含むジオール構成成分と;
を含むか、または
a.i.約74~約78モル%のテレフタル酸の残基、および
ii.約22~約26モル%の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分と;
b.i.約88~約92モル%のエチレングリコールの残基、および
ii.約8~約12モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールの残基、
を含むジオール構成成分と;
を含むか、または
a.i.約91~約95モル%のテレフタル酸の残基、および
ii.約5~約9モル%のコハク酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分と;
b.iii.約72~約76モル%のエチレングリコールの残基、
iv.約1~約3モル%のジエチレングリコールの残基、および
v.約22~約26モル%のネオペンチルグリコールの残基、
を含むジオール構成成分と;
を含む、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項12】
a.i.約98~約100モル%のテレフタル酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分と;
b.i.約60~約63モル%のエチレングリコールの残基、
ii.最大で約4モル%のジエチレングリコールの残基、
iii.約4~約7モル%のネオペンチルグリコールの残基、および
iv.約29~約33モル%の1,3-プロパンジオールの残基、
を含むジオール構成成分と;
を含むか、または
a.i.約98~約100モル%のテレフタル酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分と;
b.i.約60~約64モル%のエチレングリコールの残基、
ii.約3~約7モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノールの残基、
iii.最大で約4モル%のジエチレングリコールの残基、および
iv.約29~約33モル%の1,3-プロパンジオールの残基、
を含むジオール構成成分と;
を含むか、または
a.i.約98~約100モル%のテレフタル酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分と;
b.i.約64~約68モル%のエチレングリコールの残基、
ii.約2~約6モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールの残基、および
iii.約29~約33モル%の1,3-プロパンジオールの残基、
を含むジオール構成成分と;
を含む、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項13】
a.i.約98~約100モル%のテレフタル酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分と;
b.i.約68~約72モル%のエチレングリコールの残基、
ii.約6~約10モル%のジエチレングリコールの残基、
iii.約3~約7モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールの残基、および
iv.約15~約19モル%の1,3-プロパンジオールの残基、
を含むジオール構成成分と;
を含むか、または
a.i.約98~約100モル%のテレフタル酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分;
b.i.約63~約67モル%のエチレングリコールの残基、
ii.最大で約4モル%のジエチレングリコールの残基、
iii.約15~約19モル%のネオペンチルグリコールの残基、および
iv.約14~約18モル%の1,4-ブタンジオール、
を含むジオール構成成分;
を含む、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項14】
a.i.約98~約100モル%のテレフタル酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分;
b.i.約70~約74モル%のエチレングリコールの残基、
ii.約11~約15モル%のジエチレングリコールの残基、および
iii.約13~約17モル%の次式の化合物の残基、
【化2】
を含むジオール構成成分;
を含む、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項15】
a.i.約98~約100モル%のテレフタル酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分;
b.i.約60~約64モル%のエチレングリコールの残基、
ii.約12~約16モル%のジエチレングリコールの残基、および
iii.約22~約26モル%の1,3-シクロヘキサンジメタノールの残基、
を含むジオール構成成分;
を含む、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項16】
a.i.約85~97モル%のテレフタル酸の残基、
ii.約3~約15モル%のアジピン酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分;
b.i.約70~約85モル%のエチレングリコールの残基、
ii.約0~約25モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノールの残基、
iii.約0.1~約2モル%のジエチレングリコールの残基、
iv.約0~約18モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールの残基、および
v.約0~約27モル%のネオペンチルグリコールの残基、
を含むジオール構成成分;
を含む請求項5に記載のポリエステル。
【請求項17】
請求項1に記載のポリエステルを含む収縮性フィルム。
【請求項18】
請求項1に記載の収縮フィルムで構成されているラベルまたはスリーブが付けられた製造品、成形品、容器、プラスチックボトル、ガラス瓶、包装、電池、高温充填容器、または工業用物品。
【請求項19】
請求項1に記載のポリエステルを含む成形品、熱成形シート、押出シートまたはフィルム。
【請求項20】
以下の特性:
A.TD収縮率 60℃では≦10%;
B.TD収縮率 65℃では0~35%;
C.TD収縮率 95℃では>60%;
D.収縮速度 65~80℃では<4%/℃;
E.収縮力 80℃で測定した場合<8MPa;
F.Tg <70℃;
破断ひずみ率 ASTM法D882に基づいて、横方向または縦方向または両方向での引上速度300mm/分において100%超;
のうちの1つまたは複数を示す、請求項1に記載のポリエステルを含む収縮性フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、一般に、性能が向上した、ある特定の組成範囲のある種の二酸残基とジオール残基との組合せを含むポリエステルを含む収縮性ポリエステルフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]熱収縮性プラスチックフィルムは、複数の物体をまとめるための被覆材として、ならびにボトル、缶、および他の種類の容器の外装材として使用される。例えば、そのようなフィルムは、製品のラベル貼り、保護、小包装、または価値の向上を目的として、ボトルの蓋、首部、肩部、もしくは胴部、またはボトル全体を被覆するために使用される。上記の用途は、フィルムの内部収縮応力によって生じる収縮性能を利用するものである。フィルムは、強靭でなければならず、制御された方法で収縮しなければならず、内容物を潰すことなくフィルム自体をボトルに固定するのに十分な収縮力を提供しなければならない。熱収縮性フィルムは、様々な材料の要求を満たすために、様々な原材料から作製することができる。
【0003】
[0003]収縮性プラスチックフィルムの製造に最も広く使用されている出発材料の1つは、ポリ(塩化ビニル)(PVC)であり、少量ではあるがかなりの量の収縮性フィルムが、配向ポリスチレン(OPS)から作製される。歴史的には、価格と性能との組合せから、PVCまたはOPSで作製された収縮性フィルムが使用されてきた。性能の観点から見ると、PVC系およびOPS系の収縮性フィルムは、収縮速度が遅く、収縮力が低く、収縮開始温度が低く、極限または最大収縮率が低い。OPSおよびPVCで作製された収縮性フィルムは、ポリ(エチレンテレフタラート)PET容器に利用することができるが、多くの場合、収縮速度、収縮開始温度、および収縮力が用途にとって重要となる高密度ポリエチレン(HDPE)容器に使用される。これらの材料で作製された収縮性フィルムは、高温および大きな温度勾配が一般的に存在する熱風収縮トンネルを使用してボトルに付けるのに適している。したがって、このフィルムの性能基準は、有利なことに、湿気に敏感な製品を包装するために熱風収縮トンネルを使用してラベルが一般に付けられる、栄養補助食品および医薬品のような湿気に敏感な製品の単純なボトル設計に適合する。
【0004】
[0004]ポリエステル収縮フィルム組成物は、食品、飲料、パーソナルケア用品、家庭用品などのための収縮フィルムラベルの製造に商業的に使用されている。ポリエステル組成物は、これらの樹脂で作製された収縮フィルムが一連の有利な性能基準を有するように設計することができる。ポリエステル系収縮性フィルムは、65℃~80℃の間で急速に収縮し、主収縮方向と直交する方向の収縮率が最小であり、最大収縮率が70%を超え、適度な収縮力を有するように設計することができる。ポリエステル系熱収縮性フィルム組成物は、食品、飲料、パーソナルケア用品、家庭用品などのための収縮フィルムラベルとして商業的に使用されている。多くの場合、これらの収縮フィルムは、透明なポリエチレンテレフタラート(PET)のボトルまたは容器と組み合わせて使用される。
【0005】
[0005]ポリスチレンの内層およびポリエステルの外層を有する多層収縮性フィルム(しばしば「ハイブリッド」フィルムと呼ばれる)は、両方の材料の一番良いところを組み合わせるために開発されてきたが、これらの多層フィルムは、外層と内層を互いに接合するための接着性中間層をしばしば必要とする。これらの多層フィルムは、製造中に特殊な加工装置を必要とし、(剥離を最小限にするために)外層および内層を接合するための特殊な接着タイ層を必要とし、フィルムの不均質構造のために再利用またはリサイクルすることができない。これらのフィルムは、好適なOPS特性とポリエステル特性との組合せ(収縮開始温度が低い、収縮力が低い、収縮速度が低い、極限収縮率が高い)を有する。これらのフィルムは、HDPEから作製された複雑なボトルデザイン(例えば、幅の広い底部および狭い首部)が熱風トンネルでラベル付けされる用途において使用されている。
【0006】
[0006]現在、消費者用包装材料は、ポリエステルの場合のように、容易にリサイクルできる材料で作製され、リサイクルされた材料を含み、または原材料としてもしくは最終的なポリマー材料(スチレン、ポリスチレン、PVCなど)として環境に有害でないと考えられる材料で作製されることが強く望まれている。したがって、現在の包装の「互換性のある(drop-in)」代替品として機能し、既存の熱風収縮トンネル装置を使用して付けることができるように、OPSおよびPVCで作製されたフィルムに匹敵する性能を有する収縮性ポリエステルフィルムの改良が必要とされている。ポリエステル系収縮フィルムに望まれる性質には、以下のものがある:(1)収縮開始温度が比較的低いこと、(2)温度の上昇とともに制御された方法で徐々に全体収縮が増大すること、(3)基礎をなす容器の破砕を防ぐために収縮力が低いこと、および(4)収縮前後のフィルムの不必要なちぎれおよび裂けを防ぐためにフィルム靭性が備わっていること。さらに、高い極限収縮率(>70%)を提供することが特に有利である。
【発明の概要】
【0007】
[0007]本発明のポリエステルは、収縮性フィルムの製造に有用である。本発明の収縮性フィルムは、特定の割合のグリコールと二酸とのある種の組合せを含むポリエステルから構成される。これらのポリエステルは、得られる収縮性フィルムにいくつかの有利な特性をもたらす。ある種の実施形態では、Tgは、約60~75℃の間にある。フィルムの主収縮方向の収縮率は、60℃で約2%未満、65℃で約5~30%の間、約95℃で70%超である。さらに、収縮フィルムは、有利なことに、65~80℃の間で4%/℃未満の収縮速度を有する。(収縮速度は、80℃での横方向収縮率(TD収縮率、主収縮方向)から65℃でのTD収縮率を引き、次いで、その量を15℃で割ることによって測定される)。本発明の収縮フィルムはまた、80℃(または延伸温度)で測定した収縮力が8MPa未満である。
【0008】
[0008]一般に、本発明の収縮性ポリエステルフィルムは、(a)二塩基酸をジオールと混合かつ重合して、ランダムな反応器グレードのコポリマー樹脂を得るステップと、(b)ランダムコポリマー樹脂を溶融かつプレス加工するか、または典型的なフィルム押出装置を使用してコポリエステル樹脂を押し出すかして、未延伸フィルムを得るステップと、(c)未延伸フィルムをそのTg~Tg+55℃の温度で一方向に延伸するステップと、(d)様々なフィルム特性(ガラス転移温度(Tg)、Tm、温度の関数としての収縮率(収縮曲線)、65℃~80℃の間の収縮速度、フィルム靭性、および収縮力を含む)を評価するステップとを含む方法によって製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[0009]比較例1、比較例2の収縮フィルムからの収縮曲線と、実施例1のフィルムからの収縮曲線との比較を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0010]第1の態様において、本発明は、
i.1.約75モル%超のテレフタル酸残基、
2.約0~約25モル%の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸またはコハク酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分と;
ii.1.約60~90モル%のエチレングリコール残基、ならびに
2.約0~約30モル%の、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、および2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールから選択される残基、ならびに
3.約0~約15モル%のジエチレングリコール残基、ならびに
4.約0~約35モル%の、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、および1,4-ブタンジオールのうちの1種または複数種、
を含むが、但し、2-メチル-1,3-プロパンジオール以外である、ジオール構成成分と;
を含むポリエステルであって、
ジカルボン酸構成成分の総モル%が100モル%であり、ジオール構成成分の総モル%が100%である、ポリエステルを提供する。
【0011】
[0011]ある種の実施形態では、ジカルボン酸構成成分は、約95モル%超のテレフタル酸の残基、または約98モル%超のテレフタル酸、または約100モル%のテレフタル酸を含む。別の一実施形態では、ジカルボン酸構成成分は、約8~約25モル%の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸の残基を含む。別の一実施形態では、ジカルボン酸構成成分は、約5~約10モル%のコハク酸の残基を含む。別の一実施形態では、ジカルボン酸構成成分は、約3~約15モル%のアジピン酸を含む。
【0012】
[0012]他の諸実施形態では、ジオール構成成分は、
a.約5~約30モル%のネオペンチルグリコールの残基、または
b.約5~約30モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノールの残基、または
c.約5~約30モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールの残基
を含む。
【0013】
[0013]他の諸実施形態では、ジオール構成成分は、意図的に添加するかまたはその場で生成するかにかかわらず、約0~約14モル%のジエチレングリコールの残基を含む。他の諸実施形態では、ジオール構成成分は、約2~約31モル%の、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールのうちの1種または複数種の残基を含む。
【0014】
[0014]他の諸実施形態では、ポリエステルはさらに、約5~約25モル%の、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ヘキサヒドロフタル酸(HHPA)、およびイソフタル酸から選択される1種または複数種のジカルボン酸残基を含む。
【0015】
[0015]他の諸実施形態では、ポリエステルはさらに、約5~約30モル%の、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-プロポキシ-1,3-プロパンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、および次式の化合物
【0016】
【化1】
【0017】
から選択される1種または複数種のジオール残基を含む。
[0016]他の諸実施形態では、構成成分(ii)2に列挙したジオール、すなわち、「約0~約30モル%の、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、および2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールから選択される残基」において、残基は、前述のジオールのいずれかから個々に、またはそれらの任意の組合せから選択することができる。
【0018】
[0017]他の諸実施形態では、ポリエステルは、以下のポリエステル(A~K)のうちの1種である。
A.a.i.約88~92モル%のテレフタル酸の残基、および
ii.約8~約12モル%の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分と;
b.i.約80~約86モル%のエチレングリコールの残基、および
ii.約16~約20モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノールの残基、
を含むジオール構成成分と;
を含むポリエステル。
B.a.i.約74~約78モル%のテレフタル酸の残基、および
ii.約22~約26モル%の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分と;
b.i.約88~約92モル%のエチレングリコールの残基、および
ii.約8~約12モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールの残基、
を含むジオール構成成分と;
を含むポリエステル。
C.a.i.約91~約95モル%のテレフタル酸の残基、および
ii.約5~約9モル%のコハク酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分と;
b.i.約72~約76モル%のエチレングリコールの残基、
ii.約1~約3モル%のジエチレングリコールの残基、および
iii.約22~約26モル%のネオペンチルグリコールの残基、
を含むジオール構成成分と;
を含むポリエステル。
D.a.i.約98~約100モル%のテレフタル酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分と;
b.i.約60~約63モル%のエチレングリコールの残基、
ii.最大で約4モル%のジエチレングリコールの残基、
iii.約4~約7モル%のネオペンチルグリコールの残基、および
iv.約29~約33モル%の1,3-プロパンジオールの残基、
を含むジオール構成成分と;
を含むポリエステル。
E.a.i.約98~約100モル%のテレフタル酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分と;
b.i.約60~約64モル%のエチレングリコールの残基、
ii.約3~約7モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノールの残基、
iii.最大で約4モル%のジエチレングリコールの残基、および
iv.約29~約33モル%の1,3-プロパンジオールの残基、
を含むジオール構成成分と;
を含むポリエステル。
F.a.i.約98~約100モル%のテレフタル酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分と;
b.i.約64~約68モル%のエチレングリコールの残基、
ii.約2~約6モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールの残基、および
iii.約29~約33モル%の1,3-プロパンジオールの残基、
を含むジオール構成成分と;
を含むポリエステル。
G.a.i.約98~約100モル%のテレフタル酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分と;
b.i.約68~約72モル%のエチレングリコールの残基、
ii.約6~約10モル%のジエチレングリコールの残基、
iii.約3~約7モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールの残基、および
iv.約15~約19モル%の1,3-プロパンジオールの残基、
を含むジオール構成成分と;
を含むポリエステル。
H.a.i.約98~約100モル%のテレフタル酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分;
b.i.約63~約67モル%のエチレングリコールの残基、
ii.最大で約4モル%のジエチレングリコールの残基、
iii.約15~約19モル%のネオペンチルグリコールの残基、および
iv.約14~約18モル%の1,4-ブタンジオール、
を含むジオール構成成分;
を含むポリエステル。
I.a.i.約98~約100モル%のテレフタル酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分;
b.i.約70~約74モル%のエチレングリコールの残基、
ii.約11~約15モル%のジエチレングリコールの残基、および
iii.約13~約17モル%の次式の化合物の残基、
【0019】
【化2】
【0020】
を含むジオール構成成分;
を含むポリエステル。
J.a.i.約98~約100モル%のテレフタル酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分;
b.i.約60~約64モル%のエチレングリコールの残基、
ii.約12~約16モル%のジエチレングリコールの残基、および
iii.約22~約26モル%の1,3-シクロヘキサンジメタノールの残基、
を含むジオール構成成分;
を含むポリエステル。
K.a.i.約85~97モル%のテレフタル酸の残基、
ii.約3~約15モル%のアジピン酸の残基、
を含むジカルボン酸構成成分;
b.i.約70~約85モル%のエチレングリコールの残基、
ii.約0~約25モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノールの残基、
iii.約0.1~約2モル%のジエチレングリコールの残基、
iv.約0~約18モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールの残基、および
v.約0~約27モル%のネオペンチルグリコールの残基、
を含むジオール構成成分;
を含むポリエステル。
【0021】
[0018]このようなポリエステルの具体的な例を、以下の例a~mに示す。
【0022】
【表1-1】
【0023】
【表1-2】
【0024】
【表1-3】
【0025】
[0019]別の一態様では、本発明は、上記の実施形態のうちのいずれかのポリエステルを含む収縮性フィルムを提供する。
[0020]一実施形態では、本発明の収縮性フィルムは、以下の特性のうちの1つまたは複数を示す:
A.TD収縮率 60℃では<2%;
B.TD収縮率 65℃では5~30%;
C.TD収縮率 95℃では>70%;
D.収縮速度 65~80℃では<4%/℃;
E.収縮力 <8MPa;
F.Tg <70℃;
G.破断ひずみ率 ASTM法D882に基づいて、横方向または縦方向または両方向での引上速度300mm/分において100%超または100~300%または100~500%または100~800%;
H.5℃の温度上昇あたりの収縮率 40%以下。
【0026】
[0021]有利なことに、本発明の収縮性フィルムは、以下の特性のうちの1つまたは複数を示す:
TD収縮率 60℃では≦10%;
TD収縮率 65℃では0~35%;
TD収縮率 95℃では>60%;
収縮速度 65~80℃では<4%/℃;
収縮力 80℃で測定した場合<8MPa;
Tg <70℃;
破断ひずみ率 ASTM法D882に基づいて、横方向または縦方向または両方向での引上速度300mm/分において100%超または100~300%または100~500%または100~800%。
【0027】
[0022]用語「ポリエステル」は、本明細書で使用する場合、「コポリエステル」を含むことを意図しており、1種または複数種の二官能性カルボン酸および/または多官能性カルボン酸と、1種または複数種の二官能性ヒドロキシル化合物および/または多官能性ヒドロキシル化合物、例えば、分岐剤との反応によって調製される合成ポリマーを意味すると理解されたい。典型的には、二官能性カルボン酸は、ジカルボン酸でよく、二官能性ヒドロキシル化合物は、二価アルコール、例えば、グリコールおよびジオールでよい。用語「グリコール」は、本明細書で使用する場合、ジオール、グリコール、および/または多官能性ヒドロキシル化合物、例えば、分岐剤を含むが、それらだけに限らない。用語「残基」は、本明細書で使用する場合、対応するモノマーからの重縮合および/またはエステル化反応によってポリマーに組み込まれる任意の有機構造を意味する。用語「繰返し単位」は、本明細書で使用する場合、エステル基を介して結合したジカルボン酸残基およびジオール残基を有する有機構造を意味する。したがって、例えば、ジカルボン酸残基は、ジカルボン酸モノマー、もしくはその関連の酸ハロゲン化物、エステル、塩、無水物、および/またはこれらの混合物から誘導され得る。さらに、本明細書で使用する場合、用語「二酸」は、多官能性酸、例えば、分岐剤を含む。したがって、本明細書で使用する場合、用語「ジカルボン酸」は、ジオールと反応させてポリエステルを作製するプロセスにおいて有用なジカルボン酸および任意のジカルボン酸誘導体、例えば、その関連の酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物、および/またはそれらの混合物を含むことを意図する。本明細書で使用する場合、用語「テレフタル酸」は、テレフタル酸自体およびその残基、ならびにジオールと反応させてポリエステルを作製するプロセスにおいて有用な任意のテレフタル酸誘導体、例えば、その関連の酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物、および/もしくはそれらの混合物またはそれらの残基を含むことを意図する。
【0028】
[0023]本発明で使用するポリエステルは、典型的には、ジカルボン酸およびジオールから調製することができ、それらは、実質上等しい割合で反応し、対応する残基としてポリエステルポリマーに組み込まれる。したがって、本発明のポリエステルは、繰返し単位の総モルが100モル%に等しくなるように、実質上等モル割合の酸残基(100モル%)ならびにジオール(および/または多官能性ヒドロキシル化合物)残基(100モル%)を含有することができる。したがって、本発明で示されるモル%は、酸残基の総モルに基づいても、ジオール残基の総モルに基づいても、または繰返し単位の総モルに基づいてもよい。
【0029】
[0024]ある種の実施形態では、テレフタル酸またはそのエステル、例えばテレフタル酸ジメチル、またはテレフタル酸残基とそのエステルとの混合物は、本発明において有用なポリエステルを形成するために使用されるジカルボン酸構成成分の一部または全部を構成することができる。ある種の実施形態では、テレフタル酸残基は、本開示において有用なポリエステルを形成するために使用されるジカルボン酸構成成分の一部または全部を構成することができる。本開示においては、用語「テレフタル酸」および「テレフタル酸ジメチル」は、本明細書で互換的に使用される。
【0030】
[0025]ジカルボン酸の代わりに、テレフタル酸および他のジカルボン酸のエステル、またはそれらに相当するエステルおよび/もしくは塩を使用することができる。ジカルボン酸エステルの適切な例には、ジメチル、ジエチル、ジプロピル、ジイソプロピル、ジブチル、およびジフェニルエステルが挙げられるが、それらだけに限らない。一実施形態では、エステルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびフェニルエステルのうちの少なくとも1種から選択される。
【0031】
[0026]一実施形態では、本発明において有用なポリエステル組成物のジオール構成成分は、1,4-シクロヘキサンジメタノールを含むことができる。別の一実施形態では、本発明において有用なポリエステルのジオール構成成分は、1,4-シクロヘキサンジメタノールおよび1,3-シクロヘキサンジメタノールを含む。1,4-シクロヘキサンジメタノールのシス/トランスのモル比は、50/50~0/100の範囲内、例えば、40/60~20/80の間で変動してよい。
【0032】
[0027]他のいくつかのジオール残基は、工程中にその場で形成される可能性があることに留意されたい。ジエチレングリコール残基の総量は、その場で形成されるか否かにかかわらず、ポリエステル中に最大約15モル%で存在するときの総量で存在することができる。
【0033】
[0028]いくつかの実施形態では、本発明によるポリエステルは、ジオール残基または二酸残基のいずれかの総モル%に対して0~10モル%、例えば、0.01~5モル%、0.01~1モル%、0.05~5モル%、0.05~1モル%、または0.1~0.7モル%の、本明細書では分岐剤とも呼ばれる、3個以上のカルボキシル置換基、ヒドロキシル置換基、またはそれらの組合せを有する分岐モノマーの1種または複数種の残基を含むことができる。ある種の実施形態では、分岐モノマーまたは分岐剤は、ポリエステルの重合前および/または重合中および/または重合後に添加することができる。したがって、いくつかの実施形態では、本発明において有用なポリエステルは、直鎖状または分岐状であり得る。
【0034】
[0029]分岐モノマーの例としては、多官能性酸または多官能性アルコール、例えば、トリメリト酸、無水トリメリト酸、ピロメリト酸二無水物、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、クエン酸、酒石酸、3-ヒドロキオキシグルタル酸などが挙げられるが、それらだけに限らない。一実施形態では、分岐モノマー残基は、0.1~0.7モル%の、無水トリメリト酸、ピロメリト酸二無水物、グリセロール、ソルビトール、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、および/またはトリメシン酸のうちの少なくとも1種から選択される、1種または複数種の残基を含むことができる。分岐モノマーは、例えば参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,654,347号および同第5,696,176号に記載されるように、ポリエステル反応混合物に添加しても、または濃縮物の形でポリエステルとブレンドしてもよい。
【0035】
[0030]本発明のポリエステルはまた、少なくとも1種の鎖延長剤を含むことができる。適切な鎖延長剤としては、多官能性(二官能性を含むがそれだけに限らない)イソシアナート、例えばエポキシ化ノボラックポリマーを含む多官能性エポキシド、およびフェノキシ樹脂が挙げられるが、それらだけに限らない。ある種の実施形態では、鎖延長剤は、重合工程の最後または重合工程の後に添加することができる。重合工程の後に添加する場合、鎖延長剤は、配合によって、または射出成形もしくは押出成形などの転化工程中での添加によって組み込むことができる。
【0036】
[0031]使用する鎖延長剤の量は、使用する特定のモノマー組成物および所望の物理的性質に応じて変化し得るが、一般に、ポリエステルの総重量に対して約0.1重量%~約10重量%、例えば約0.1~約5重量%などである。
【0037】
[0032]本発明のポリエステルは、別段の指示がない限り、本明細書に記載の固有粘度範囲の少なくとも1つおよび本明細書に記載のポリエステルのモノマー範囲の少なくとも1つを有し得ることが企図されている。また、本発明において有用なポリエステルは、別段の指示がない限り、本明細書に記載のTg範囲の少なくとも1つおよび本明細書に記載のポリエステルのモノマー範囲の少なくとも1つを有し得ることが企図されている。また、本発明において有用なポリエステルは、別段の指示がない限り、本明細書に記載の固有粘度範囲の少なくとも1つ、本明細書に記載のTg範囲の少なくとも1つ、および本明細書に記載のポリエステルのモノマー範囲の少なくとも1つを有し得ることが企図されている。
【0038】
[0033]ある種の実施形態では、本発明において有用なポリエステルは、60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタンにおいて25℃で0.25g/50mlの濃度で測定した場合、以下の固有粘度の少なくとも1つを示すことができる:0.50~1.2dL/g、0.50~1.0dL/g、0.50~0.90dL/g、0.50~0.80dL/g、0.55~0.80dL/g、0.60~0.80dL/g、0.65~0.80dL/g、0.70~0.80dL/g、0.50~0.75dL/g、0.55~0.75dL/g、または0.60~0.75dL/g。一実施形態では、固有粘度は0.65~0.75である。ASTM5225
[0034]ポリエステルのガラス転移温度(Tg)は、Thermal Analyst InstrumentのTA DSC2920を使用して、20℃/分のスキャン速度で測定される。ASTM E1356
[0035]ある種の実施形態では、本発明の配向フィルムまたは収縮フィルムは、60~80℃、70~80℃、または65~80℃、または65~75℃のTgを有するポリエステルを含む。一実施形態では、Tgは60~75℃である。ある種の実施形態では、これらのTg範囲は、重合中に少なくとも1種の可塑剤を添加してもまたはしなくても満たすことができる。ASTM E1356
[0036]一実施形態では、本発明のポリエステルは、視覚的に透明であり得る。用語「視覚的に透明」は、本明細書では、視覚的に検査したときに、曇り、かすみ、および/または濁りが感知できないこととして定義される。
【0039】
[0037]本開示において有用なポリエステルは、文献から既知の方法、例えば、均質溶液での方法、溶融物でのエステル交換方法、および二相界面方法によって作製することができる。適切な方法には、1種または複数種のジカルボン酸と1種または複数種のジオールとを、100℃~315℃の温度で、0.01~101.3kPa(0.1~760mmHg)の圧力で、ポリエステルを形成するのに十分な時間反応させるステップが含まれるが、それだけに限らない。ポリエステルを製造する方法については米国特許第3,772,405号を参照されたく、このような方法に関する開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
[0038]ポリエステルは一般に、ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルとジオールとを、不活性雰囲気中、触媒の存在下、縮合の過程中に温度を約225℃から310℃まで徐々に上昇させる温度で縮合させ、縮合の後半中は低圧で縮合を行うことによって調製することができるが、これについては参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2,720,507号にさらに詳細に記載されている。
【0041】
[0039]いくつかの実施形態では、本発明において有用なポリエステルを作製するプロセス中に、トナーまたは染料を含む、ポリマーを着色するある種の薬剤を溶融物に添加することができる。一実施形態では、得られるポリエステルポリマー溶融相生成物のbを調整するために、青味付けトナー(bluing toner)を溶融物に添加する。そのような青味付け剤には、青色の無機および有機のトナーおよび/または染料がある。さらに、赤色のトナーおよび/または染料も、a色を調整するために使用することができる。一実施形態では、本発明において有用なポリマーおよび/または本発明のポリマー組成物は、トナーの有無にかかわらず、カラー値L、a、およびbを有することができ、これらは、Hunter Associates Lab Inc.、レストン、バージニア州により製造されたHunter Lab Ultrascan Spectra Colorimeterを使用して測定することができる。カラー測定値は、ポリマーのペレットもしくは粉末、またはそれらから射出成形もしくは押出成形された板状物(plaque)もしくは他の物品で測定した値の平均値である。それらは、CIE(International Commission on Illumination)(翻訳すると国際照明委員会)のL表色系によって測定され、Lは明度座標、aは赤/緑座標、bは黄/青座標を表す。有機トナー、例えば、参照により全体が組み込まれる米国特許第5,372,864号および同第5,384,377号に記載されているトナーなどの青色および赤色有機トナーを使用することができる。有機トナーは、プレミックス組成物として供給することができる。プレミックス組成物は、赤色化合物と青色化合物の無溶媒(neat)ブレンドでもよく、またはプレミックス組成物は、ポリエステルの原料の1種、例えばエチレングリコールに予め溶解もしくはスラリー化されていてもよい。
【0042】
[0040]添加されるトナー構成成分の総量は、ベースとなるポリエステルの固有の黄色の量およびトナーの有効性に依存し得る。一実施形態では、組み合わせた有機トナー構成成分の濃度は、最大で約15ppm、最小濃度で約0.5ppmを使用することができる。一実施形態では、青味付け添加剤の総量は、0.5~10ppmの範囲とすることができる。一実施形態では、トナーは、エステル化ゾーンまたは重縮合ゾーンに添加することができる。有利には、トナーは、エステル化ゾーン、もしくは重縮合ゾーンの初期段階、例えば予備重合反応器などに添加されるか、または押出機に添加される。
【0043】
[0041]ある種の実施形態では、ポリエステル組成物はまた、一般的な添加剤、例えば、着色剤、染料、離型剤、難燃剤、可塑剤、ガラス中空球(glass bubble)、ボイド化剤(voiding agent)、造核剤;UV安定剤、熱安定剤、および/またはそれらの反応生成物を含むがそれらだけに限らない安定剤;充填剤、ならびに衝撃改質剤などを、組成物全体の0.01~25重量%含有することができる。市販の衝撃改質剤の例には、エチレン/プロピレンターポリマー、官能基化ポリオレフィン、例えば、アクリル酸メチルおよび/またはメタクリル酸グリシジルを含有するものなど、スチレンベースのブロックコポリマー衝撃改質剤、ならびに様々なアクリルコア/シェル型衝撃改質剤が挙げられるが、それらだけに限らない。そのような添加剤の残留物も、ポリエステル組成物の一部として企図される。
【0044】
[0042]別の一態様では、本発明は、本明細書に記載のポリエステルを含む本開示の収縮フィルムおよび成形品を提供する。ポリエステルをフィルムおよび/またはシートに形成する方法は、当技術分野で周知である。本発明において有用なフィルムおよび/またはシートの例には、押出フィルムおよび/またはシート、圧縮成形フィルム、カレンダー加工フィルムおよび/またはシート、溶液キャストフィルムおよび/またはシートが挙げられるが、それらだけに限らない。一態様では、本発明の収縮フィルムを製造するのに有用なフィルムおよび/またはシートを製造する方法には、押出成形、圧縮成形、カレンダー加工、および溶液キャスト成形が挙げられるが、それらだけに限らない。
【0045】
[0043]したがって、別の一態様では、本発明は、本明細書の様々な実施形態のポリエステルを含む、成形品、熱成形シート、押出シートまたはフィルムを提供する。
[0044]本発明の収縮フィルムは、約55~約80℃、または約55~約75℃、または約55~約70℃の収縮開始温度を有することができる。収縮開始温度は、収縮が起こる最低温度である。
【0046】
[0045]ある種の実施形態では、本発明のポリエステルは、1.6g/cc以下、または1.5g/cc以下、または1.4g/cc以下、または1.1g/cc~1.5g/cc、または1.2g/cc~1.4g/cc、または1.2g/cc~1.35g/ccの密度を有することができる。一実施形態では、本発明のポリエステルは、1.2g/cc~1.3g/ccの密度を有する。
【0047】
[0046]密度を低下させるための一手法は、成形品に多くの小さな空隙または穴を導入することである。このプロセスは「ボイド化」と呼ばれ、「キャビテーション」または「マイクロボイド化」と呼ばれることもある。空隙は、約5~約50重量%の小さな有機もしくは無機粒子または「包含物」(当技術分野では「ボイド化」剤または「キャビテーション」剤と呼ばれる)をマトリックスポリマーに組み込み、少なくとも一方向に延伸してポリマーを配向させることによって得られる。さらに、不混和性または不相溶性の樹脂を使用すると、空隙が生じることがある。延伸中、ボイド化剤の周囲に小さな空洞または空隙が形成される。空隙がポリマーフィルムに導入されると、得られる空隙ありフィルムは、空隙のないフィルムよりも密度が低くなるだけでなく、不透明になり、紙のような表面になる。この表面はまた、印刷適性が向上するという利点を有する。すなわち、表面は、空隙のないフィルムよりも実質上大きな容量で多くのインクを受容することができる。空隙ありフィルムの典型的な例は、各々が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,426,754号、同第3,944,699号、同第4,138,459号、同第4,582,752号、同第4,632,869号、同第4,770,931号、同第5,176,954号、同第5,435,955号、同第5,843,578号、同第6,004,664号、同第6,287,680号、同第6,500,533号、同第6,720,085号;それらと共に米国特許出願公開第2001/0036545号、同第2003/0068453号、同第2003/0165671号、同第2003/0170427号;特開昭61-037827号、特開昭63-193822号、特開2004-181863号;欧州特許第0581970B1号、および欧州特許出願公開第0214859A2号に記載されている。
【0048】
[0047]ある種の実施形態では、押し出されたままのフィルムは、延伸される間に配向される。本発明の配向フィルムまたは収縮性フィルムは、所望の最終用途に応じて、任意の厚さを有するフィルムから作製することができる。望ましい条件は、一実施形態では、配向フィルムおよび/または収縮性フィルムが、ラベル、紙などの基材に付着させることができる写真フィルム、および/またはそれが有用である他の用途を含む用途のためにインクで印刷できることである。本発明において有用なポリエステルをPETなどの別のポリマーと共押出しして、本開示の配向フィルムおよび/または収縮フィルムの作製に有用な多層フィルムを作製することが望ましい場合がある。これを行うことの利点の1つは、いくつかの実施形態において、タイ層が不要になる可能性があることである。多層フィルムの別の利点は、異なる材料の性能を1つの構造に組み合わせることである。
【0049】
[0048]一実施形態では、本発明の一軸および二軸配向フィルムは、約100~400μmの厚さを有するフィルム、例えば、押出フィルム、キャストフィルム、またはカレンダー加工フィルムから作製することができ、フィルムのTg~Tg+55℃の温度で、6.5:1~3:1の比で延伸することができ、20~80μmの厚さに延伸することができる。一実施形態では、押し出されたままの最初のフィルムの配向は、これらの配向条件に従って幅出機で行うことができる。本発明の収縮フィルムは、本明細書に記載の配向フィルムから作製することができる。
【0050】
[0049]ある種の実施形態では、本発明の収縮フィルムは、しわがほとんどまたは全くない段階的な収縮を有する。ある種の実施形態では、本発明の収縮フィルムは、5℃の温度上昇増分あたりの横方向の収縮率が40%以下である。
【0051】
[0050]本発明のある種の実施形態では、収縮フィルムは、65℃の水中に10秒間浸漬したとき、4%以下、もしくは3%以下、もしくは2.5%以下、もしくは2%以下の縦方向の収縮率を有し、または収縮なしである。ある種の実施形態では、収縮フィルムは、65℃の水中に10秒間浸漬したとき、-15%~5%、-5%~4%、-5%~3%、もしくは-5%~2.5%、もしくは-5%~2%、もしくは-4%~4%、もしくは-3%~4%、もしくは-2%~4%、もしくは-2%~2.5%、もしくは-2%~2%、もしくは0~2%の縦方向の収縮率を有し、または収縮なしである。ここでの負の縦方向収縮率は、縦方向の伸びを示す。正の縦方向収縮率は、縦方向の縮みを示す。
【0052】
[0051]ある種の実施形態では、収縮フィルムは、95℃の水に10秒間浸漬したとき、50%以上、または60%以上、または70%以上の主収縮方向の収縮率を有する。
[0052]ある種の実施形態では、収縮フィルムは、95℃の水中に10秒間浸漬したとき、50~80%の量の主収縮方向の収縮率、および4%以下、または-15%~5%の縦方向の収縮率を有する。
【0053】
[0053]一実施形態では、本発明のポリエステル組成物は、ポリエステルからフィルムを製造するための当技術分野で既知の任意の方法、例えば、溶液キャスト成形、押出成形、圧縮成形、またはカレンダー加工を使用してフィルムにされる。次いで、押し出されたままの(または形成されたままの)フィルムを、1または複数の方向に配向させる(例えば、一軸および/または二軸配向フィルム)。フィルムのこの配向は、標準的な配向条件を使用して、当技術分野で既知の任意の方法によって行うことができる。例えば、本発明の一軸配向フィルムは、約100~400μmの厚さを有するフィルム、例えば、押出フィルム、キャストフィルム、カレンダー加工フィルムから作製することができる。
【0054】
[0054]次いで、フィルムを、フィルムのTg~Tg+50℃の間の温度で予熱することができるゾーンに入れることができる。予熱後、フィルムは、フィルムを延伸させるゾーンに入り、フィルムをフィルムのTg~Tg+55℃の温度で6.5:1~3:1の比で延伸させることができ、20~80μmの厚みに延伸させることができる。
【0055】
[0055]次いで、フィルムを、フィルムのTgより10℃低い温度~Tgより10℃高い温度でアニールまたは熱処理して、いくつかの要件を満たすようにフィルムの特性を調整することができる。
【0056】
[0054]一実施形態では、これらの配向条件に従って、押し出されたままの最初のフィルムの配向を幅出機で行うことができる。
[0055]ある種の実施形態では、本開示の収縮フィルムは、5℃の温度上昇増分あたりの横方向の収縮率が40%以下である。
【0057】
[0056]ある種の実施形態では、収縮フィルムは、約55~約80℃、または約55~約75℃、または55~約70℃の収縮開始温度を有することができる。「収縮開始温度」は、収縮の開始が起こる温度である。
【0058】
[0057]ある種の実施形態では、収縮フィルムは、55℃~70℃の間の収縮開始温度を有することができる。
[0058]ある種の実施形態では、収縮フィルムは、ASTM法D882に基づいて、主収縮方向と直交する方向に300mm/分の延伸速度で100%超の破断ひずみ率を有することができる。
【0059】
[0059]ある種の実施形態では、収縮フィルムは、ASTM方法D882に基づいて、主収縮方向と直交する方向に300mm/分の延伸速度で300%超の破断ひずみ率を有することができる。
【0060】
[0060]ある種の実施形態では、収縮フィルムは、ASTM法D882に従って測定した場合、20~400MPa、または40~260MPa、または42~260MPaの引張破断応力(破断応力)を有することができる。
【0061】
[0061]ある種の実施形態では、収縮フィルムは、延伸条件および所望の最終使用用途に応じて、ISO法14616で測定した場合、4~18MPa、または4~15MPaの収縮力を有することができる。例えば、80℃でLabThink製の収縮力試験機を使用してISO法14616で測定した場合、プラスチックボトル用に作製されたいくつかのラベルは4~8MPaの収縮力を有することができ、ガラス瓶用に作製されたいくつかのラベルは10~14MPaの収縮力を有することができる。
【0062】
[0062]一実施形態では、ポリエステルは、一般に反応器グレードポリエステルと呼ばれるポリエステルを作製するための既知の方法によって、モノマーを反応させて形成することができる。
【0063】
[0063]強化材料を本開示において有用なポリエステル組成物に添加することができる。強化材料には、炭素フィラメント、ケイ酸塩、マイカ、粘土、タルク、二酸化チタン、珪灰石、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラス繊維、およびポリマー繊維、ならびにそれらの組合せを挙げることができるが、それらだけに限らない。一実施形態では、強化材料には、ガラス繊維フィラメント、ガラスとタルクとの混合物、ガラスとマイカとの混合物、およびガラスとポリマー繊維との混合物などのガラスが挙げられる。
【0064】
[0064]成形品はまた、収縮フィルムからなっていてもなっていなくてもよい、または収縮フィルムを含有していてもしていなくてもよい本明細書に開示のポリエステルのいずれかから製造することができ、本発明の範囲内に含まれるものである。
【0065】
[0065]一般に、本発明の収縮フィルムは、存在する場合、0.01~10重量%のポリエステル可塑剤を含有することができる。これに関して、有用なポリエステル可塑剤は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,329,395号に記載されたものでよい。一般に、そのようなポリエステル可塑剤は、(i)2~8個の炭素原子を有するポリオールの残基を含むポリオール構成成分、および(ii)4~12個の炭素原子を有するジカルボン酸の残基を含む二酸構成成分を含むことを特徴とする。一実施形態では、収縮フィルムは、0.1~5重量%のポリエステル可塑剤を含有することができる。一般に、収縮フィルムは、90~99.99重量%のコポリエステルを含有することができる。ある種の実施形態では、収縮フィルムは、95~99.9重量%のコポリエステルを含有することができる。
【0066】
[0066]一実施形態では、予備配向厚さが約100~400μmで、その後、幅出機においてTg~Tg+55℃の温度で6.5:1~3:1の比で約20~約80μmの厚さに配向させた場合、本発明の収縮フィルムは、以下の特性のうちの1つまたは複数を有することができる:
TD収縮率 60℃では≦10%;
TD収縮率 65℃では0~35%;
TD収縮率 95℃では>60%;
収縮速度 65~80℃では<4%/℃;
収縮力 80℃で測定した場合<8MPa;
Tg <70℃;
破断ひずみ率 ASTM法D882に基づいて、横方向または縦方向または両方向での引上速度300mm/分において100%超または100~300%または100~500%または100~800%。
【0067】
[0067]これらの特性の任意の組合せ、またはこれらの特性のすべてが、本発明の収縮フィルムに存在する可能性がある。本発明の収縮フィルムは、上述の収縮フィルム特性のうちの2つ以上の組合せを有することができる。本発明の収縮フィルムは、上述の収縮フィルム特性のうちの3つ以上の組合せを有することができる。本発明の収縮フィルムは、上述の収縮フィルム特性のうちの1つまたは複数の組合せを有することができる。ある種の実施形態では、特性(A)~(H)が存在する。ある種の実施形態では、特性(A)~(B)が存在する。ある種の実施形態では、特性(A)~(C)などが存在する。
【0068】
[0068]本明細書の収縮率は、幅出機においてTg~Tg+55℃の温度で6.5:1~3:1の比で、例えば、70℃~85℃の温度で5:1の比で配向された、約20~80μmの厚さを有するフィルムを基準とする。一実施形態では、本開示の収縮フィルムの作製に使用した配向フィルムの収縮特性は、それを配向させた温度よりも高い温度でフィルムをアニールすることによる調整は行われなかった。別の一実施形態では、フィルム特性は、延伸前または延伸後の熱処理によるアニールによって調整される。
【0069】
[0069]本発明の配向フィルムまたは収縮フィルムの作製に有用なフィルムの形状は、まったく制限されない。例えば、それは、平らなフィルムでも、または管状に成形されたフィルムでもよい。本発明において有用な収縮フィルムを製造するために、ポリエステルはまず平らなフィルムに形成され、次いで、「一軸延伸」されるが、これは、ポリエステルフィルムが一方向に配向されることを意味する。フィルムはまた、「二軸配向」することもでき、これは、ポリエステルフィルムが2つの異なる方向に配向されることを意味し、例えば、フィルムは、縦方向および縦方向とは異なる方向の両方に延伸される。典型的には、常にではないが、2つの方向は実質上垂直である。例えば、一実施形態では、2つの方向は、フィルムの長手または縦方向(「MD」)(フィルム製造機でフィルムが製造される方向)およびフィルムの横方向(「TD」)(フィルムのMDに直交する方向)である。二軸配向フィルムは、逐次配向されても、同時配向されても、または同時配向と逐次配向とのいくつかの組合せによって配向されてもよい。
【0070】
[0070]フィルムは、ロール延伸法、ロングギャップ延伸法、テンター延伸法、およびチューブラ延伸法など、任意の通常の方法によって配向させることができる。これらの方法のいずれを使用しても、連続二軸延伸、同時二軸延伸、一軸延伸、またはそれらの組合せを行うことが可能である。上述の二軸延伸では、縦方向および横方向の延伸を同時に行うことができる。また、効果的な二軸延伸をもたらすために、最初に一方向に延伸を行い、次いで、他の方向に延伸を行ってもよい。一実施形態では、フィルムの延伸は、それらのガラス転移温度(Tg)からTgより55℃高い温度までの温度でフィルムを予備加熱することによって行われる。一実施形態では、フィルムは、そのTgより0℃~30℃高い温度で予備加熱することができる。一実施形態では、延伸速度は、毎秒0.10~90.0cm(0.04~35インチ)である。次に、フィルムは、例えば、縦方向、横方向、または両方向のいずれかで、元の測定値の2~6倍に配向させることができる。フィルムは、単一フィルム層として配向させることができ、または多層フィルムとして、PET(ポリエチレンテレフタラート)などの他のポリエステルと共押出しした後に配向させることができる。
【0071】
[0071]別の一態様では、本発明は、本明細書に記載の収縮フィルムの実施形態のいずれかの収縮フィルムを含む製造品または造形品を提供する。別の一実施形態では、本発明は、本開示の配向フィルムの実施形態のいずれかの配向フィルムを含む製造品または造形品を提供する。
【0072】
[0072]ある種の実施形態では、本発明は、限定するものではないが、容器、プラスチックボトル、ガラス瓶、包装、電池、高温充填容器、および/もしくは工業用物品、または他の用途に使用される収縮フィルムを提供する。一実施形態では、本発明は、限定するものではないが、容器、包装、プラスチックボトル、ガラス瓶、紙などの写真基材、電池、高温充填容器、および/もしくは工業用物品、または他の用途に使用される収縮フィルムを含む。
【0073】
[0073]ある種の実施形態では、本発明の収縮フィルムは、ラベルまたはスリーブに形成することができる。次いで、ラベルまたはスリーブを、容器の壁、電池、またはシートもしくはフィルムなどの製造品に付けることができる。したがって、別の一態様では、本発明は、ラベルまたはスリーブが付けられた製造品、成形品、容器、プラスチックボトル、カップ、ガラス瓶、包装、電池、高温充填容器、または工業用物品を提供するが、前記ラベルまたはスリーブは、様々な実施形態で本明細書に記載した本発明の収縮フィルムで構成されている。例えば、本発明の収縮フィルムは、成形品が良好な印刷適性、高い不透明度、高い収縮力、良好な質感、および良好な剛性などの特性を示す多くの包装用途において使用することができる。
【0074】
[0074]したがって、本発明の組成物は、改善された収縮特性ならびに改善された靭性の組合せを提供し、それ故、容器、プラスチックボトル、ガラス瓶、包装、電池、高温充填容器、および/もしくは工業用物品、または他の用途に使用される収縮フィルムを含むがそれらだけに限らない新しい商業的選択肢を提供すると予想される。
【0075】
[0075]以下の実験の部に記載するように、比較例1~4および実施例1~13の合成において、モノマーを高転化率で重合して、0.5~0.9dL/gの範囲の固有粘度(I.V.)を特徴とする高分子量コポリエステルを製造した。ここでは、固有粘度は、250℃のフェノール/テトラクロロエタンの60/40重量部溶液において、前記溶媒50ml中にポリマー約0.25gを含む濃度で測定されるが、最小のポリマー物性として少なくとも0.5dL/gの固有粘度が必要である。
【0076】
[0076]一実施形態では、ポリエステルのTgは、約50℃~約80℃である。別の一実施形態では、ポリエステルのTgは、約58℃~約71℃である。
[0077]本発明では、ポリエステルを調製するための既知の方法を使用し、それはエステル交換またはエステル化段階とそれに続く重縮合段階を含む。有利なことに、ポリエステル合成は、有機溶媒の不在下で溶融相プロセスとして実施することができる。エステル交換またはエステル化は、不活性雰囲気下、約150℃~約280℃の温度で約0.5~約8時間、または約180℃~約240℃の温度で約1~約4時間行うことができる。モノマー(二酸またはジオール)は、処理条件に応じて反応性が異なるが、グリコール官能性モノマーは、酸官能性モノマーの総モルに対して1.05~3モルのモル過剰で一般に使用される。重縮合段階は、有利には、減圧下、約220℃~約350℃、または約240℃~約300℃、または約250℃~約290℃の温度で約0.1~約6時間、または約0.5~約3時間行われる。両段階中の反応は、アルキルおよびアルコキシチタン化合物、アルカリ金属水酸化物およびアルコキシド、有機スズ化合物、酸化ゲルマニウム、有機ゲルマニウム化合物、アルミニウム化合物、マンガン塩、亜鉛塩、希土類化合物、酸化アンチモンなどを含むがそれらに限らない当業者に既知の触媒を適切に選択することによって促進される。残留触媒の色および反応性を制御するための安定剤として、リン化合物を使用することができる。典型的な例は、リン酸、ホスホン酸、およびリン酸エステル、例えば、Stepan Chemical Companyの製品のMerpol(商標)Aなどである。
【0077】
[0078]フィルムの製造は、樹脂試料をフィルムに変換するすべての既知の手段によって実施される。小さい、ラボスケールの試料の場合、ラボスケールのプレス加工法および延伸法を利用することができる。ポリマーペレットを220℃~290℃または240℃~260℃の温度で溶融し、所望の寸法のフィルムに成形することができる。より大きな試料の場合、コポリエステル試料を、約220℃~290℃の間の温度で一軸または二軸スクリュー押出機を使用してフィルムの状態に押し出すことができる。得られたフィルム(押出工程を使用して作製)は、樹脂のTg~Tg+55℃の温度で、押出方向または縦方向と直交する方向に元の寸法の2~6倍延伸することができる。真の縦方向がないラボスケール工程を使用して作製されたフィルムの場合、試料は、樹脂のTg~Tg+55℃の温度でいずれかの方向に元の寸法の2~6倍延伸することができる。どちらの場合も、樹脂のTg~Tg+55℃の温度で一方向に、直交方向より約3~5倍延伸することが好ましい。本発明に従って製造された熱収縮性ポリエステルフィルムの厚さは、20μm~80μmまたは30μm~50μmとすることができる。
【0078】
[0079]本発明は、そのいくつかの実施形態の以下の例によってさらに説明することができるが、これらの例は単に説明のために含まれ、特記しない限り、本発明の範囲を限定することを意図しないことが理解されるであろう。
【0079】
実験の部
テレフタル酸/エチレングリコール(TPA/EG)オリゴマー合成
[0080]TPA/EGオリゴマーは、単一の連続式撹拌槽型反応器(CSTR)に、PTA(1.73重量%)、EG(98モル%)、およびDEG(2モル%)のスラリーを、1.44供給モル比を使用して10~23g/分の速度で連続的に供給することによって作製した。CSTR反応器のレベルは、TPA/EGオリゴマー生成物を連続的に取り出し、圧力下(206.8kPa(30psig))での蒸留により反応水を分離/除去して、260℃の反応温度で一定に保った。その後、TPA/EGオリゴマーバッチを合わせて、新しい組成物を作製するための出発材料とした。
【0080】
コポリエステル合成
[0081]重合は、Ti触媒を用いて行った。組成に応じて、TPA/EGオリゴマー(TPAベース)またはDMTを用いて合成を開始する。重合のセットアップ後、すべての反応は、Camille Tg(商標)ソフトウェアを装備したコンピュータ自動化ポリマーリグで行われた。Camilleレシピを表1に示す。左側はTPA/EGオリゴマーから出発するCamilleレシピであり、右側はDMTから出発するCamilleレシピである。比較例1を作製するための説明は以下のとおりである。この組成物の作製には、TPA/EGオリゴマーからの典型的な合成が含まれ、説明は以下のとおりである。TPA/EGオリゴマー(100g、0.52モル)、CHDM(17.58g、0.12モル)、DEG(6.72g、0.063モル)、および0.33重量%のTi溶液(0.5g)を500mLの丸底フラスコに装入した。次いで、反応容器に、窒素流入口、ステンレス製撹拌機を装備した。サイドアームを、真空フラスコに接続させた冷却器に取り付けた。P溶液(0.33g)を、段階4でサイドアームを通して反応ボトルに添加した。
【0081】
[0082]DMTからの典型的な合成は以下のとおりである。20モル%のCHDA、80%のDMT、15モル%のNPG、および85%のEGを含有するコポリエステルを作製するために、DMT(69.98g、0.36モル)、CHDA(8.24g、0.04モル)、EG(29.24g、0.47モル)、NPG(14.85g、0.14モル)、および0.33重量%のTi溶液(0.6g)を、500mLの丸底フラスコに装入した。試料の反応セットアップを使用して、重合用Camilleレシピ(表1)をロードした。ポリマー組成物およびIVを分析した。
【0082】
[0083]各樹脂の特性評価を表2~9に示す。
【0083】
【表2】
【0084】
フィルム形成の手順
[0084]加熱した手動空気圧または油圧プレスを使用して、ポリマーペレットからプレス加工フィルムを製造した。ポリマーペレットを、真空オーブン内で55℃で一晩乾燥させ、続いて、以下の手順に従って254μm(10ミル)フィルムにプレス加工した:
1.プレス機を250℃に加熱する、
2.ポリマーペレット約8gを秤量し、15cm(6インチ)×15cm(6インチ)×254μm(10ミル)のシムの中央に置く;手動プレス機において以下の構成に従ってシムおよびポリマーを組み立てる:プレスプレート、カプトンフィルム、シムおよびポリマー、カプトンフィルム、プレスプレート、
3.前述の構成物を手動プレス機の圧盤の間に置き、公称圧力下で約2分間ポリマーを溶融する、
4.圧力を82.7kPa(12,000psi)に上昇させ、約45秒間圧力を維持する、
5.圧力を0kPa(0psi)に急速に解放し、その後すぐに89.6kPa(13,000psi)に圧力を上昇させる;圧力を0kPa(0psi)に急速に解放し、その後すぐに96.5kPa(14,000psi)に圧力を上昇させる;これらの手順を繰り返して、圧力を0kPa(0psi)に連続して解放するようにし、続いて、110.3kPa(16,000psi)の最終圧力に達するまで6.9kPa(1,000psi)ずつ上昇させる、
6.圧力を110.3kPa(16,000psi)で約45秒間保持し、次いで、圧力を0kPa(0psi)に解放し、ポリマーをプレス機から取り出す、
7.出来上がったポリマーフィルムをシムから切り取る、
8.必要に応じてフィルムのプレス加工を繰り返す。
【0085】
[0085]プレス加工フィルムを181mm×181mmの正方形に切断し、Bruckner Karo4幅出機において10秒のソーク時間およびTgより15℃高い温度(すなわち、80℃)で最終厚さ50μmに延伸させた。100mm/分の延伸速度を用いて5:1(TD:MD)の目標延伸比を達成した。
【0086】
[0086]幅出機によるフィルム試料は、6.4cm(2.5インチ)の一軸スクリュー押出機を使用してフィルムを押し出す市販の幅出機(Parkinson Technologiesの一部門であるMarshall and Williamsの幅出機)において樹脂試料を押し出しかつ延伸することによって作製した。フィルムは、約250μm(10ミル)の厚さでキャストされ、次いで、5:1の延伸比で、50μmの厚さに延伸される。一般に、キャストの厚さは250μmであり、最終的な延伸フィルムの厚さは50μmである。ライン速度は13.7m/分(45fpm)であった。
【0087】
収縮フィルム特性試験
収縮力
[0087]収縮力は、Labthink FST-02収縮力試験装置を使用して決定した。収縮力測定は、Brucknerでフィルムを延伸するのに使用される延伸温度と同じ温度条件(80℃)で行い、加熱室で60秒間保持した。各フィルムの最大の収縮力値を測定した。
【0088】
収縮率
[0088]収縮は、50mm×50mmの正方形のフィルム試料を、どの方向にも収縮を制限せずに、60℃~95℃の範囲の温度の水中に10秒間置くことによって測定した。次いで、収縮率を次式によって計算した:
収縮率%=[(50mm-収縮後の長さ)/50mm]×100%
・収縮を、主収縮方向と直交する方向(縦方向、MD)において測定し、また、主収縮方向(横方向、TD)においても測定した。
・負の収縮率は伸びを示した
引張フィルム特性を、ASTM法D882を使用して、本明細書の例について測定した。複数のフィルム延伸速度(300mm/分および500mm/分)を使用して、フィルムの靭性を評価した。
【0089】
[0089]ポリエステルのガラス転移温度およびひずみ誘起結晶融点(それぞれTおよびT)は、Thermal Analyst InstrumentのTA DSC2920を使用して、スキャン速度20℃/分で測定した。Tmは延伸させた試料の1回目の加熱で測定し、Tgは2回目の加熱工程中に測定した。さらに、試料を165℃の強制空気オーブンで30分間結晶化させ、次いで、DSCで分析した。すべての試料について、結晶融点は、典型的には、20℃/分の加熱速度を用いたDSCスキャンの2回目の加熱中には存在しなかった。
【実施例
【0090】
比較例
[0090]比較例1の組成およびフィルム特性をそれぞれ表2および表3に示す。比較例1および4のフィルムはプレス加工フィルム手順を使用して製造し、比較例2および3のフィルム試料は幅出機手順を使用して製造した。比較例2および3の具体的な幅出機条件を表3に含める。
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
[0091]実施例1~3を表4および表5に示す。
[0092]重合中の副反応から1.0モル%~2.5モル%のDEGが形成された。
[0093]これらの実施例は、本発明が記載する収縮フィルム用途の要件を満たす収縮性フィルムに変換することができるポリエステル樹脂を説明するものである。比較例1の収縮フィルム特性データと比較して、実施例1、2、および3は、収縮速度が温度範囲全体にわたって遅く、収縮力が小さく、極限収縮率が高く(95℃で測定)、60℃および65℃で目標とする収縮率が得られる。
【0094】
【表5】
【0095】
【表6】
【0096】
【表7】
【0097】
【表8】
【0098】
[0094]これらの実施例は、本発明が記載する収縮フィルム用途の要件を満たす収縮性フィルムに変換することができるポリエステル樹脂を説明するものである。比較例1~4の収縮フィルム特性データと比較して、実施例1~13は、収縮速度が温度範囲全体にわたって遅く、収縮力が小さく、極限収縮率が高く(95℃で測定)、60℃および65℃で目標とする収縮率が得られる。
【0099】
【表9】
【0100】
【表10】
【0101】
【表11】
【0102】
【表12】
【0103】
[0092]本発明は、そのいくつかの実施形態を特に参照して詳細に説明してきたが、本発明の趣旨および範囲内で変形および修正を行うことができることが理解されるであろう。
図1
【国際調査報告】