(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】内視鏡切除アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20231018BHJP
A61B 17/94 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
A61B17/32 528
A61B17/94
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521559
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(85)【翻訳文提出日】2023-04-06
(86)【国際出願番号】 US2021054266
(87)【国際公開番号】W WO2022076882
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503423661
【氏名又は名称】ユナイテッド ステイツ エンドスコピー グループ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】グレガン,ダレン
(72)【発明者】
【氏名】ルッソ,ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】バイアーズ,セス
(72)【発明者】
【氏名】モハンマドポア,レザ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF04
4C160FF19
4C160MM32
4C160NN01
4C160NN09
(57)【要約】
内視鏡切除アセンブリは、内視鏡装置に適合するように構成されたアダプターを備える。プッシャーは、プッシャーにより画定された中央開口にアダプターを挿入することにより、アダプター上に配置される。切断装置は、スネアループと、スネア駆動ケーブルとを備え、プッシャーに取り外し可能に連結される。切断装置は、スネアドライバの起動によりスネアループが収縮した場合に、組織を切除するように構成される。組織に係合するためのクリップは、プッシャーから離れた位置でアダプターに装着することができる。
【選択図】
図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡切除アセンブリであって、
内視鏡装置に連結するように構成されたアダプターと、
前記アダプターに配置されたプッシャーと、
前記プッシャーを前記アダプターに対して遠位方向に移動させるように構成された少なくとも1つのドライバと、
前記プッシャーに取り外し可能に連結された切断装置と、
を含み、
前記切断装置は、前記プッシャーの少なくとも一部が前記アダプターから離れている場合に、前記プッシャーから取り外されるように構成され、
前記アダプターにはクリップが装着されるように構成されることにより、前記クリップは、前記切断装置が前記プッシャーから取り外される前に、前記アダプターから解放されて組織に係合する、前記内視鏡切除アセンブリ。
【請求項2】
前記切断装置は、スネア駆動ケーブルと、スネアループとを備え、
前記スネアループは、前記スネア駆動ケーブルが起動すると収縮する、請求項1に記載の内視鏡切除アセンブリ。
【請求項3】
前記プッシャーは、少なくとも1つのリテーナを含み、
前記スネアループは、少なくとも1つのリテーナにより画定される通路に収容される、請求項2に記載の内視鏡切除アセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのリテーナがスリットを画定し、
前記スネアループは、前記スネアループが収縮したときに前記スリットを介して前記通路から抜ける、請求項3に記載の内視鏡切除アセンブリ。
【請求項5】
前記切断装置は、前記プッシャーの遠位面から設定距離に配置される、請求項1に記載の内視鏡切除アセンブリ。
【請求項6】
前記設定距離が1~5mmである、請求項5に記載の内視鏡切除アセンブリ。
【請求項7】
前記プッシャーが前記アダプターの外面に配置され、前記クリップが前記アダプターの前記外面に装着される、請求項1に記載の内視鏡切除アセンブリ。
【請求項8】
前記プッシャーが前記クリップを遠位方向に押すことにより、前記クリップが前記アダプターから解放されて組織に係合する、請求項1に記載の内視鏡切除アセンブリ。
【請求項9】
前記プッシャーと前記クリップとが互いに固定される、請求項1に記載の内視鏡切除アセンブリ。
【請求項10】
内視鏡用把持器は、前記クリップが前記組織に係合する前に、前記アダプター内に前記組織をリクルートする、請求項1に記載の内視鏡切除アセンブリ。
【請求項11】
前記少なくとも1つのドライバは、前記クリップが前記組織に係合した後、前記プッシャーを前記クリップの真上の位置に移動させる、請求項1に記載の内視鏡切除アセンブリ。
【請求項12】
前記少なくとも1つのドライバは、前記クリップが前記組織に係合した後、前記プッシャーが前記アダプターの縁から0~3cmの範囲を超えて延在するように前記プッシャーを移動させる、請求項1に記載の内視鏡切除アセンブリ。
【請求項13】
組織を切除する方法であって、
切断装置をプッシャーに取り外し可能に連結することと、
前記プッシャーをアダプターに配置することであって、前記アダプターは、内視鏡装置に連結するように構成され、前記アダプターは、クリップが装着されるように構成される、前記配置することと、
前記組織を前記アダプターにリクルートすることと、
前記クリップを前記組織上に展開することであって、前記クリップは、前記アダプターから解放されて前記組織に係合する、前記展開することと、
前記切断装置によって前記組織を切除することであって、前記切断装置は、前記プッシャーから取り外され、前記組織を切除する、前記切除することと、
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月8日に出願された米国仮出願第63/089,360号に対する優先権の利益を主張するものであり、その全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、内視鏡手術などの外科手術で使用される装置に関し、より具体的には、内視鏡装置に接続可能な内視鏡切除アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
消化管からの診断用組織の取得などの内視鏡切除手術は、内視鏡および内視鏡切除装置を使用して行うことができる。一般に、内視鏡は、小型の柔軟性のある器具を挿入して前進させることができる1つまたは複数のチャネルを有する長くて柔軟性の挿入管を含む。一般に、内視鏡は、侵襲的な手術を必要とせずに、特定の部位、臓器、通路等の内視を可視化することができる種々の光学的特徴を有する。例えば、挿入管は、画像または画像生成信号を照射された手術部位から観察手段に送信し、内視鏡の作業端で行われる動作の全視野をオペレータに提供することができる。
【0004】
一部の内視鏡全層切除術では、オペレータは最初に消化管内の病変などの組織を特定する。組織は、吸引または他の手段を介して内視鏡装置に設けられたキャップ内に引き込まれる。次に、クリップが組織上に展開される。最後に、例えば、スネア等の切断装置は、クリップの先端を切断して組織を取り外し、クリップを他の開口欠陥上に閉じた状態にする。
【0005】
切断に起因する欠陥を事前に閉塞するために、切断前にクリップを展開する必要がある。また、クリップは、身体が治癒するまで切除部位に残る必要がある。したがって、クリップが展開される前に組織の切断を防止する必要がある。クリップが切除部位に固定されたままであることができるように、組織の切除および除去後、一部の組織がクリップの上に残ることを確実にする必要もある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態は、内視鏡手術で使用するための内視鏡切除アセンブリを提供する。本発明の内視鏡切除アセンブリは、一般的な内視鏡装置に対応するように設計および形状を変更してもよいし、内視鏡装置の製造メーカに固有の構造を有する内視鏡装置に対応するように設計および形状を変更してもよい。
【0007】
また、本発明の一態様では、内視鏡切除アセンブリは、内視鏡装置に連結されるアダプターを有する。アダプターにはプッシャーが配置される。少なくとも1つのドライバは、プッシャーをアダプターに対して遠位方向に移動させるように構成される。切断装置は、プッシャーに取り外し可能に連結され、プッシャーの少なくとも一部がアダプターから離れている場合に、プッシャーから取り外されるように構成される。アダプターは、クリップを装着するように構成される。クリップは、切断装置がプッシャーから取り外される前に、アダプターから解放されて組織に係合する。
【0008】
本発明の更なる特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】一実施形態に係る内視鏡切除アセンブリのアセンブリ全体の正面図である。
【
図2A】
図1A~1Cに示される内視鏡切除アセンブリの分解図である。
【
図2B】
図2Aに示される切断装置、プッシャーおよびクリップの拡大図である。
【
図2C】
図2Aに示される第1のシース、第2のシース、第1のドライバ、第2のドライバ、スネア駆動ケーブル、アダプター、およびカテーテルの拡大図である。
【
図2D】一実施形態に係るプッシャーの斜視図である。
【
図3A】一実施形態に係るプッシャーと切断装置のアセンブリの斜視図である。
【
図3B】一実施形態に係るプッシャー、切断装置、第1のドライバ、および第2のドライバのアセンブリの斜視図である。
【
図3C】一実施形態に係るプッシャーと切断装置のアセンブリの斜視図である。
【
図3D】一実施形態に係る切断装置、カテーテル、およびアダプターの斜視図である。
【
図3E】一実施形態に係るクリップの説明図である。
【
図4】一実施形態に係るアダプター、クリップ、ならびにプッシャー、切断装置、第1のドライバ、第2のドライバ、およびカテーテルのアセンブリの説明図である。
【
図5A】一実施形態に係るアダプターを有するプッシャーおよびクリップのアセンブリの斜視図である。
【
図5B】一実施形態に係る切除作業中のアダプターを有するプッシャーおよびクリップのアセンブリの斜視図である。
【
図5C】一実施形態に係る切除作業中のアダプターを有するプッシャーおよびクリップのアセンブリの斜視図である。
【
図6A】一実施形態に係る内視鏡切除アセンブリの展開位置におけるアセンブリ全体の斜視図である。
【
図6B】一実施形態に係る内視鏡切除アセンブリの展開位置におけるアセンブリ全体の正面図である。
【
図6C】
図6Aに示される展開位置にあるアダプター、プッシャー、クリップ、切断装置、カテーテル、第1のシース、第2のシース、第1のドライバ、および第2のドライバの拡大図である。
【
図6D】
図6Bに示される一実施形態の展開位置にあるアダプター、プッシャー、クリップ、切断装置、カテーテル、第1のシース、第2のシース、第1のドライバ、および第2のドライバの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、本発明は、様々な実施形態を参照して、以下により完全に説明される。これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全になり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。実際に、本発明は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に説明される実施形態に限定して解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用される法的要件を満たすように提供される。本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用される、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈によりそうでないことが明確に示されない限り、複数形の指示対象を含む。
【0011】
本発明の実施形態は、組織の粘膜層を過去に浸潤させた異形成を除去するために、GI管の粘膜筋を切断または貫通させるために用いることができる。切除により生じた欠陥を事前に閉塞するために、切除前に組織上にクリップを展開することができる。
【0012】
図1A~1Cおよび2A~2Cに示すように、いくつかの実施形態では、内視鏡切除アセンブリ100は、アダプター170、プッシャー180、切断装置150、およびクリップ160を含む。アダプター170は、内視鏡装置に取り付けるように構成される。
図5A~5Cに示すように、プッシャー180は、アダプター170上に配置され、アダプター170に対して軸方向にスライドするように構成される。切断装置150は、開状態と閉状態との間で動作する、組織を切断するための内視鏡ツールである。
図3Aおよび3Bに示すように、切断装置150は、プッシャー180に取り外し可能に連結される。クリップ160は、開状態と閉状態との間で動作するように構成された内視鏡ツールであり、組織に係合するように構成される。
図5A~5Cに示すように、クリップ160は、プッシャー180から離れた位置で、開状態のアダプター170に装着される。内視鏡切除アセンブリ100は、オペレータによって制御され、プッシャー180をアダプター170に対して遠位方向にスライドさせるように構成された少なくとも1つのドライバをさらに含む。プッシャー180がアダプター170に対して遠位方向にスライドすると、クリップ160は、プッシャー180によって押されてアダプター170の先端縁1701から滑り落ち、閉状態に向かって再形成することによって組織に係合する。次いで、切断装置150は、オペレータによって起動されてプッシャー180から取り外され、閉状態に向かって操作することによってプッシャー上の組織を切除することができる。
【0013】
図1A~Cおよび2A~2Cに示すように、いくつかの実施形態では、内視鏡切除アセンブリ100は、少なくとも1つのドライバおよび少なくとも1つのシース、カテーテル140、クリップ展開ハンドル190、およびハンドル130を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのドライバは、第1のドライバ121および第2のドライバ122を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシースは、第1のシース111および第2のシース112を含む。いくつかの実施形態では、これらのドライバは、互いに直接隣接するか、プッシャー180の円周に沿って幾分離間していてもよい。例えば、これらのドライバは、約10度~約180度、または約15度~約90度、または約30度の間隔で配置されてもよい。
【0014】
図3Bは、プッシャー180、切断装置150、および少なくとも1つのドライバを含む、内視鏡切除アセンブリ100の遠位構成要素の組立を示す。切断装置150は、組織を切断するための内視鏡ツールであり、開状態と閉状態との間で動作する。いくつかの実施形態では、切断装置150は、スネア駆動ケーブル152およびスネアループ154を有する。いくつかの実施形態では、プッシャー180は、少なくとも1つのリテーナを含む。
図3Bに示すように、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリテーナは、第1のリテーナ183および第2のリテーナ184を含み、切断装置150がプッシャー180に取り外し可能に連結されるように、スネアループ154を保持する。プッシャー180は、少なくとも1つのドライバによって駆動される。
図3Bに示すように、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのドライバは、第1のドライバ121および第2のドライバ122を含む。いくつかの実施形態では、第1のドライバ121および第2のドライバ122を作動させて、プッシャー180を遠位方向に移動させることができる。
【0015】
図5A~5Cに示すように、プッシャー180は、アダプター170に配置され、アダプター170に対して軸方向にスライドするように構成される。アダプター170は、摩擦を低減し、プッシャー180およびクリップ160の動きをサポートするための材料を含み得る。アダプター170に適した材料としては、ポリカーボネート、K樹脂、アクリル、キシラー、ASA、ポリプロピレン、シリコーン、TPES等のプラスチック、または他の同様の材料が挙げられる。アダプター170は、全体的または部分的に、そのようなプラスチックまたは他の材料を含むことができる。クリップ160は、開状態と閉状態との間で動作するように構成された内視鏡ツールであり、組織に係合するように構成される。クリップ160は、プッシャー180から離れた位置で、開状態のアダプターに装着される。いくつかの実施形態では、プッシャー180およびクリップ160は一体に固定されない。しかし、いくつかの実施形態では、プッシャー180およびクリップ160は一体に固定される。例えば、プッシャー180に1つまたは複数の凹部を形成することができ、クリップ160に1つまたは複数の突起を形成することができ、1つまたは複数の突起は、1つまたは複数の凹部に固定されるように構成される。プッシャー180およびクリップ160は、溶接、接着、およびオーバーモールドなどの他の手段によって一体に固定することができる。いくつかの実施形態では、切断装置150のスネア駆動ケーブル152は、カテーテル140内に延在する。いくつかの実施形態では、カテーテル140は、アダプター170と連結される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのドライバは、少なくとも1つのシース内にそれぞれ延在する。
図2Cに示すように、いくつかの実施形態では、第1のドライバ121および第2のドライバ122は、それぞれ第1のシース111および第2のシース112内に延在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシースをアダプター170に取り付けることができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのドライバを作動させて、プッシャー180を遠位方向に移動させることができる。その結果、プッシャー180は、アダプター170に対して遠位方向にスライドする。いくつかの実施形態では、プッシャー180がアダプター170に対して遠位方向にスライドすると、クリップ160は、プッシャーによって押されてアダプター170の先端縁1701から滑り落ち、閉状態に復帰することで組織に係合する。切断装置150は、起動されてプッシャー180から取り外され、閉状態に向かって操作することによって組織を切断することができる。
【0017】
図2Aおよび2Cに示すように、アダプター170は、内面および外面を有する。いくつかの実施形態では、アダプター170は、管腔173および少なくとも1つのオーバーモールドを含む。
図2Aおよび2Cに示すように、少なくとも1つのオーバーモールドは、オーバーモールド171およびオーバーモールド172を含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、アダプター170は、遠位開放端および近位開放端を有する略筒状に形成される。アダプター170は中空であり、組織チャンバチャネルを画定する。様々な実施形態において、アダプター170は、異なるタイプの内視鏡装置(例えば、Olympus(登録商標)、Fujinon(登録商標)、またはPentax(登録商標)内視鏡)に取り付けるように構成される。例えば、アダプター170の内面および外面は輪郭付けされ、アダプター170の内径および外径は、内視鏡装置との良好な適合を提供するために変更され得る。いくつかの実施形態では、内視鏡装置は、アダプター170の近位端に圧入される。ゴムや他の弾性ポリマーなどの柔軟性材料は、内視鏡装置とアダプター170の適合を強化するために、アダプター170の内面にオーバーモールドまたは接着することができる。いくつかの実施形態では、アダプター170は、内視鏡装置の遠位端の周りに巻き付けられるように構成されたゴムバンドなどの柔軟なバンドを備える。当業者であれば、アダプター170の形状または組織チャンバチャネルの形状が、内視鏡装置の動作を妨げない限り、任意の適切な形状であり得ることを理解すべきである。組織チャンバチャネルは、切除作業中に切除される組織を受け入れるように構成される。いくつかの実施形態では、アダプター170は、アダプター170の内部から様々な光学特性を通して外部環境を可視化できるように十分に透明な材料で全体的または部分的に形成される。いくつかの実施形態では、切除作業中、十分に透明な材料により、オペレータは、クリップ160が展開されているかどうかを確認することができ、組織切除前に切断装置150の位置を観察することができる。
【0019】
アダプター170は、クリップ160およびプッシャー180がアダプター170上に配置されることを可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、
図5A~5Cに示すように、アダプター170は、クリップ160およびプッシャー180がアダプター170の外面に配置されることを可能にするように構成される。アダプター170は、クリップ160およびプッシャー180がアダプター170に対して軸方向にスライドできるように構成される。いくつかの実施形態では、
図5A~5Cに示すように、アダプター170の外面は、クリップ160およびプッシャー180がアダプター170に対して軸方向にスライドできるように滑らかな表面である。
【0020】
当業者であれば、アダプター170は、クリップ160およびプッシャー180がアダプター170に配置され、かつアダプター170に対して軸方向にスライド可能であれば、任意の形状および構造構成要素を有してもよいことを理解すべきである。例えば、いくつかの実施形態では、アダプター170は、クリップ160及び/またはプッシャー180がアダプター170の内面に配置されることを可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、アダプター170は、クリップ160及び/またはプッシャー180が支持面上に配置されてもよいように、アダプター170の内部に形成された支持面を含む。いくつかの実施形態では、アダプター170は、クリップ160及び/またはプッシャー180が1つまたは複数のガイドレールに沿って軸方向にスライドできるように、1つまたは複数のガイドレールを含むことができる。いくつかの実施形態では、アダプター170は、クリップ160及び/またはプッシャー180が1つまたは複数の縦スリットに沿って軸方向にスライドできるように、1つまたは複数の縦スリットを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、アダプター170は、カテーテル140と連結するように構成され得る。
図2Cに示すように、いくつかの実施形態では、アダプター170は、カテーテル140をアダプター170の管腔173に挿入することによってカテーテル140と連結される。管腔173は、カテーテル140がアダプター170の外面と連結されるように、アダプター170の外面上に形成されてもよい。管腔173は、カテーテル140がアダプター170に対して軸方向に自在にスライドできるように、カテーテル140とアダプター170との間に滑りばめを提供し得る。当業者であれば、カテーテル140が内視鏡装置および内視鏡切除アセンブリ100の他の構成要素の動作を妨げない限り、カテーテル140がアダプター170の内面などのアダプター170の任意の部分に連結され得ることを理解すべきである。いくつかの実施形態では、カテーテル140は、カテーテル140がアダプター170に形成された孔を通って延在するように、アダプター170を貫通することができる。さらに、当業者であれば、カテーテル140が内視鏡装置および内視鏡切除アセンブリ100の他の構成要素の動作を妨げない限り、アダプター170をカテーテル140に固定するか、またはカテーテル140から取り外すことができることを理解すべきである。
【0022】
いくつかの実施形態では、アダプター170は、少なくとも1つのシースに取り付けるように構成され得る。
図5A~5Cに示すように、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシースは、第1のシース111および第2のシース112を含み、第1のシース111および第2のシース112は、それぞれオーバーモールド171およびオーバーモールド172によってアダプター170に取り付けられる。いくつかの実施形態では、オーバーモールド171およびオーバーモールド172は、少なくとも1つのシースがアダプター170の外面に取り付けられるように、アダプター170の外面に形成される。当業者であれば、少なくとも1つのシースを他の手段、例えば摩擦、熱かしめ、接着、または溶接によってアダプター170に取り付けることができることを理解すべきである。当業者であれば、少なくとも1つのシースが内視鏡切除アセンブリ100の内視鏡装置および他の構成要素の動作を妨げない限り、少なくとも1つのシースがアダプター170の内面等のアダプター170の任意の部位に取り付けることができることを理解すべきである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシースは、アダプター170に形成された孔を通って延在するように、アダプター170を貫通することができる。さらに、当業者であれば、少なくとも1つのシースがアダプター170に取り付けられないことを理解すべきである。代わりに、少なくとも1つのシースが内視鏡装置および内視鏡切除アセンブリ100の他の構成要素の動作を妨げない限り、少なくとも1つのシースを内視鏡装置または内視鏡切除アセンブリ100の任意の構成要素に取り付けることができる。
【0023】
図2Bに示すように、いくつかの実施形態では、プッシャー180は、第1のノブ181および第2のノブ182を含む少なくとも1つのノブと、第1のリテーナ183および第2のリテーナ184を含む少なくとも1つのリテーナとを含む。
【0024】
プッシャー180は、アダプター170上に配置されるように構成され、アダプター170に対して軸方向にスライドすることができる。
図2Bに示すように、いくつかの実施形態では、プッシャー180は、略環状であり、中央開口185を規定する。
図5Aに示すように、いくつかの実施形態では、プッシャー180がアダプター170の外面に配置され、アダプター170に対して軸方向にスライドできるように、アダプターを中央開口185に挿入することができる。様々な実施形態では、中央開口185は、アダプター170の外面の異なる形状に適合するように異なる形状を有してもよい。様々な実施形態では、プッシャー180は、アダプター170の内面または外面上、またはアダプター170の内側に形成された支持面上に配置されるように構成され得る。様々な実施形態では、プッシャー180は、プッシャー180がアダプター170に対して軸方向にスライドできるように、アダプター170のガイドレールや縦スリット等に嵌合するための突起や凹部等の構造構成要素または他の構造構成要素を含み得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、プッシャー180は、
図5Aに示されるように、アダプター170の全周に配置されるように構成された閉環構造を有する。当業者であれば、内視鏡装置および内視鏡切除アセンブリ100の他の構成要素の動作を妨害しない限り、プッシャー180がアダプター170の周囲の一部に配置され得ることを理解すべきである。例えば、プッシャー180は、アダプター170の周囲の半分に配置されるように構成されたハーフリング構造を有してもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、プッシャー180は、少なくとも1つのドライバに取り付けられる。プッシャー180は、少なくとも1つのドライバに取り付けるための少なくとも1つのノブを含み得る。いくつかの実施形態では、
図2Bおよび2Cに示すように、少なくとも1つのドライバは、第1のドライバ121および第2のドライバ122を含み、少なくとも1つのノブは、第1のノブ181および第2のノブ182を含む。いくつかの実施形態では、
図2Cおよび3Bに示すように、第1のドライバ121および第2のドライバ122の遠位端は、円形に曲げられ、第1のノブ181および第2のノブ182の周りに取り付けられる。したがって、少なくとも1つのドライバは、プッシャー180の少なくとも1つのノブに固定される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのノブは、少なくとも1つのドライバの曲げられた遠位端を挿入可能な丸ノブである。当業者であれば、少なくとも1つのドライバが、プッシャー180の他の構造構成要素、例えば、プッシャー180に形成された1つまたは複数の孔に適合するか、またはそれに固定され得ることを理解すべきである。少なくとも1つのドライバのプッシャー180への取り付けを強化するために、接着剤を塗布することができる。様々な実施形態では、少なくとも1つのドライバは、異なる手段、例えば、接着、溶接、またはオーバーモールドによってプッシャー180に取り付けられ得る。
【0027】
少なくとも1つのドライバは、プッシャー180を遠位方向に移動させるように構成される。いくつかの実施形態では、
図5A~5Cに示すように、第1のドライバ121および第2のドライバ122は、それぞれ第1のシース111および第2のシース112内に延在する。いくつかの実施形態では、第1のドライバ121および第2のドライバ122を作動させて、第1のシース111および第2のシース112に対して遠位方向に前進させ、プッシャー180を遠位方向に押すことができる。当業者であれば、少なくとも1つのドライバが、プッシャー180を遠位方向に移動させるように構成された様々な構造構成要素を含み得ることを理解すべきである。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのドライバは、遠位端がプッシャー180に結び付けられたプルスレッドを備えることができ、プルスレッドは、プルスレッドの近位端が後退したときに、プッシャー180を遠位方向に引っ張るように構成される。当業者であれば、プッシャー180が少なくとも1つのドライバによって遠位方向に駆動され得る限り、少なくとも1つのドライバがプッシャー180に連結または取り付けられなくてもよいことを理解すべきである。
【0028】
いくつかの実施形態では、ばねがクリップ展開ハンドル190または少なくとも1つのシースに連結される。ばねは、ばねが軸方向に少なくとも1つのドライバに力を及ぼすように、圧縮または延在されるように構成することができる。クリップ展開ハンドル190は、少なくとも1つのシースに対する少なくとも1つのドライバの軸方向の動きを防止するためのストッパーを含むことができる。クリップ展開ハンドル190は、ストッパーが少なくとも1つのドライバの軸方向の動きを防止しないように、例えば、ストッパーを変形させることによってストッパーを作動させるように構成することができる。その結果、圧縮または延在されたばねは、少なくとも1つのドライバを少なくとも1つのシースに対して軸方向に移動させ、少なくとも1つのドライバは、プッシャー180を遠位方向に移動させる。
【0029】
いくつかの実施形態では、プッシャー180は、アダプター170に装着されたばねである。ばねは、アダプター170と連結され、プッシャー180がアダプター170上に配置されたときに、プッシャー180によって圧縮または延在されるように構成することができる。したがって、ばねは、遠位方向にプッシャー180に力を加える。ストッパーは、アダプター170、内視鏡装置、または内視鏡切除アセンブリ100の他の構造構成要素に連結することができ、アダプター170に対するプッシャー180の遠位方向の動きを防止するように構成することができる。シース内に延在するプルスレッドなどのアクチュエータは、ストッパーと動作可能に連結することができる。アクチュエータは、ストッパーがプッシャー180の遠位方向の動きを防止するように、例えば、ストッパーを変形させるか、ストッパーを他の構造構成要素から取り外すことによって、ストッパーを作動させるように構成される。その結果、圧縮されたばねがプッシャー180を押し、プッシャー180がアダプター170に対して遠位方向にスライドする。
【0030】
いくつかの実施形態では、アダプター170が内視鏡装置に対して軸方向にスライドできるように、アダプター170は内視鏡装置とスライド可能に連結される。シース内に延在するプルスレッドなどのアクチュエータは、アダプターと動作可能に連結することができる。アクチュエータは、プッシャー180がアダプター170に対して遠位方向に移動するように、アダプター170を内視鏡装置およびプッシャー180に対して近位方向に移動させるように構成される。
【0031】
プッシャー180は、切断装置150と取り外し可能に連結される。切断装置150は、開状態と閉状態との間で動作する、組織を切断するための内視鏡ツールである。いくつかの実施形態では、
図2Bに示すように、切断装置150は、スネア駆動ケーブル152およびスネアループ154を含む。
図2Bは、開状態の切断装置150を示す。スネア駆動ケーブル152は、切断装置150が閉状態に向かって動作するように、スネアループ154を収縮させるように作動することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、プッシャー180は、少なくとも1つのリテーナを含む。
図2Dおよび3Aに示すように、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリテーナは、第1のリテーナ183および第2のリテーナ184を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリテーナのそれぞれが通路およびスリットを画定する。
図2Dおよび3Aに示すように、第1のリテーナ183は、通路1831およびスリット1832を画定し、第2のリテーナ184は、通路1841およびスリット1842を画定する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリテーナによって画定される通路は、切断装置150のスネアループ154を収容するように構成される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリテーナによって画定されるスリットは、プッシャー180によって画定される中央開口185と通路を連通させるように構成される。
図3Bは、プッシャー180を有する切断装置150の組立を示す。
図3Bに示すように、スネアループ154は、開状態にあり、第1のリテーナ183によって画定される通路1831および第2のリテーナ184によって画定される通路1841に収容される。したがって、スネアループ154は、プッシャー180によって画定される平面に実質的に平行な平面内にあり、プッシャー180が軸方向に移動するとき、プッシャー180と連携して移動する。スネア駆動ケーブル152を作動させることによってスネアループ154が収縮されると、第1のリテーナ183によって画定されるスリット1832および第2のリテーナ184によって画定されるスリット1842によって、スネアループ154は、通路から脱出して、プッシャー180によって画定された中央開口185内に径方向内側に移動する。プッシャー180は、溝加工、接着、溶着等が可能な1つまたは複数の構成要素から形成することができ、切断装置150をプッシャー180に取り外し可能に保持する少なくとも1つのリテーナを形成することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、プッシャー180は、少なくとも1つのノブの周りに形成された少なくとも1つのハウジングを含む。
図3Cに示すように、ハウジング1811は、ノブ181の周りに形成することができ、ハウジング1821は、ノブ182の周りに形成することができる。
図3Cに示すように、いくつかの実施形態では、スネアループ154は、スネアループ154が少なくとも1つのハウジングの内向き表面に沿って配置されるように、少なくとも1つのハウジングが配置される位置で曲げられる。したがって、少なくとも1つのハウジングは、開状態と閉状態との間でスネアループ154の動作を妨げない。当業者であれば、任意の実施形態では、構造構成要素が開状態と閉状態との間でスネアループ154の動作を妨げないように、スネアループ154は、プッシャー180に形成された様々な構造構成要素の周りに延在するように曲げたり変形させたりすることができることを理解すべきである。当業者であれば、任意の実施形態では、構造構成要素が開状態と閉状態との間でスネアループ154の動作を妨げないように、プッシャー180の各構成要素の表面には、スネアループ154を収容するための通路を形成することができることを理解すべきである。
【0034】
図2Dおよび3Aに示すように、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリテーナがプッシャー180の近位面上に形成される。したがって、スネアループ154が少なくとも1つのリテーナを通して形成された通路に収容されるとき、スネアループ154は、プッシャー180の遠位面から設定距離に配置される。設定距離は、例えば、2~4mmまたは1~5mmとすることができる。いくつかの実施形態では、設定距離は、ユーザのニーズや解剖学的な制約に応じて変更することができる。当業者であれば、少なくとも1つのリテーナが、切断装置150と取り外し可能に連結するように構成された様々な構造構成要素を含み得ることを理解すべきである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリテーナは、スネアループ154を保持するように構成された溝を含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリテーナは、スネアループ154の曲がった部分または突出した部分に適合するように構成された孔または凹部を含み得る。当業者であれば、少なくとも1つのリテーナがプッシャー180の任意の部分、例えば近位面、遠位面、内向き表面、または外向き表面上に形成され得ることを理解すべきである。
【0035】
様々な実施形態では、プッシャー180は、様々な手段によってスネアループ154に取り外し可能に連結することができる。いくつかの実施形態では、スネアループ154は、プッシャー180に取り外し可能に接着することができる。いくつかの実施形態では、スネアループ154は、プッシャー180に磁気的に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、スネアループ154は、破断可能なシールによりプッシャー180に取り外し可能に連結されてもよい。破断可能なシールは、プッシャー180に取り付けられ、プッシャー180から取り外すように構成された剛性シールを含み得る。破断可能なシールは、プッシャー180に取り付けられた軟質シールをさらに含み、スネアループ154は、軟質シールを切断することによってシールを破断するように構成される。当業者であれば、様々な実施形態では、スネアループ154がプッシャー180と取り外し可能に連結されるとき、スネアループ154がプッシャー180の遠位面から設定距離に配置され得ることを理解すべきである。ここで、設定距離は、例えば、2~4mmまたは1~5mmとすることができる。
【0036】
切断装置150は、組織を切除するための内視鏡ツールであり、開状態と閉状態との間で動作する。いくつかの実施形態では、
図2Bに示すように、切断装置150は、スネア駆動ケーブル152およびスネアループ154を含む。いくつかの実施形態では、スネア駆動ケーブル152およびスネアループ154は、導電性金属ワイヤで形成されており、スネア駆動ケーブル152およびスネアループ154に電流を向けることによって、誘電エネルギーの使用が可能になる。いくつかの実施形態では、スネア駆動ケーブル152およびスネアループ154は、ステンレス鋼、ニチノール、ニッケル-チタン形状記憶合金、PTFE、ポリオレフィン、フッ素化エチレンプロピレン等のポリマーを含む材料で形成することができる。いくつかの実施形態では、スネア駆動ケーブル152は、スネアループ154によって画定される平面に対して実質的に垂直な角度で溶接することによって、スネアループ154に取り付けられる。いくつかの実施形態では、
図3Dに示すように、スネア駆動ケーブル152は、カテーテル140内に延在する。いくつかの実施形態では、スネア駆動ケーブル152の近位端は、ハンドル130と動作可能に連結される。
図2B及び
図3Dは、開状態の切断装置150を示す。いくつかの実施形態では、ハンドル130は、カテーテル140に対してスネア駆動ケーブル152を後退させるように構成される。その結果、スネア駆動ケーブル152は、スネアループ154の一部または全体をカテーテル140内に引き込むことにより、スネアループ154は、開状態のループ面積よりも小さいループ面積を有する閉状態に向かって収縮する。
【0037】
いくつかの実施形態では、切断装置150は、一体のワイヤである。切断装置150は、カテーテル140内で近位端から遠位端まで延在し、カテーテル140の遠位端から突出してスネアループを形成し、カテーテル140内で遠位端から近位端まで延在する。そのため、切断装置150の両端は、カテーテル140がハンドル130と動作可能に連結されるカテーテル140の近位端に配置される。ハンドル130は、切断装置150の一端または両端をカテーテル140に対して後退させることにより、スネアループ154を収縮させて切断装置150を作動させるように構成される。
【0038】
いくつかの実施形態では、切断装置150は、一体のワイヤである。切断装置150は、近位端がカテーテル140の近位端に配置され、遠位端がカテーテル140の遠位端に取り付けられた状態で、カテーテル140内に延在する。ハンドル130は、切断装置150の近位端をカテーテル140に対して後退させることによって切断装置150を作動させ、スネアループ154を収縮させるように構成される。
【0039】
切断装置150は、プッシャー180に取り外し可能に連結される。いくつかの実施形態では、
図3Bに示すように、切断装置150のスネアループ154は、プッシャー180の少なくとも1つのリテーナによって画定される通路1831および通路1841内に保持される。いくつかの実施形態では、ハンドル130によってスネア駆動ケーブル152が後退されると、スネアループ154は、収縮して、プッシャー180によって画定されたスリット1832およびスリット1842を介して、通路1831および通路1841から脱出し、プッシャー180によって画定された中央開口185内に径方向内側に移動する。
【0040】
当業者であれば、切断装置150がプッシャー180と取り外し可能に連結され得る限り、切断装置150が組織を切断するための任意の既知の内視鏡ツールを含み得ることを理解すべきである。いくつかの実施形態では、切断装置150は、組織を切断するための1つまたは複数の爪を備える。当業者であれば、切断装置150がプッシャー180の任意の部分、例えば、プッシャー180の近位面、遠位面、内向き表面、または外向き表面に取り外し可能に連結され得ることを理解すべきである。さらに、当業者であれば、任意の実施形態では、切断装置150がプッシャー180の遠位面から設定距離に配置され得ることを理解すべきである。ここで、設定距離は、例えば、2~4mmまたは1~5mmとすることができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、
図3Bに示すように、切断装置150は、開状態でプッシャー180に取り外し可能に連結される。当業者であれば、切断装置150が開状態と閉状態で操作できる種々の内視鏡ツールを含み得ることを理解すべきである。様々な実施形態では、切断装置150は、閉状態又は開状態と閉状態との中間状態で、プッシャー180に取り外し可能に連結される。
【0042】
クリップ160は、組織に係合するように展開可能な内視鏡用クリップである。クリップは、現在ステリス社から販売されているPadlock Clip(登録商標)欠陥閉鎖システムに基づくものであってもよい。いくつかの実施形態では、クリップ160は、組織に係合するための複数のタインを備える。いくつかの実施形態では、クリップ160の各タインは、様々な目的、例えば、組織を圧迫することによって出血を止めること、組織への血流を依然として可能にしながら最適な治癒能力を可能にすること、および組織が自分治癒するまで組織と一緒に保持することなどのために、鈍っていてもよいし、尖っていてもよい。
図2Bは、開状態のクリップ160を示し、
図3Eは、閉状態のクリップ160を示す。クリップ160は、歪みエネルギーを貯蔵することが可能な弾性材料、例えば、ニチノールなどの弾性金属合金から作られる。いくつかの実施形態では、クリップ160は、ステンレス鋼、ニチノール、ニッケル‐チタン形状記憶合金、PTFE、ポリオレフィン、フッ素化エチレンプロピレン等のポリマーを含む材料で形成することができる。クリップ160は、外力が加えられていない状態では閉状態となり、外力が加えられることで開状態となる。開状態にあるとき、クリップ160は、中央開口165を画定する。外力が加えられていないと、クリップ160は、蓄えられたエネルギーを解放して再び閉状態に戻る。
【0043】
図4は、アダプター170へのプッシャー180およびクリップ160のアセンブリを示す。いくつかの実施形態では、プッシャー180は、アダプター170をプッシャー180によって画定された中央開口185に挿入することによって、アダプター170上に配置される。言い換えれば、プッシャー180はアダプター170の外面に沿って乗り上げ、プッシャー180はアダプター170に対して軸方向にスライドすることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのドライバは、プッシャー180の少なくとも1つのノブに固定することによって、プッシャー180に取り付けられる。いくつかの実施形態では、クリップ160は、外力によって開状態に変形され、開状態のクリップ160は、中央開口165を画定する。次に、クリップ160は、プッシャー180から離れた位置で、アダプター170に装着される。いくつかの実施形態では、クリップ160を開状態に保持するようにアダプター170の外面がクリップ160を支持することで、アダプター170に対するクリップ160の軸方向の摺動に対して摩擦が生じる。所定量の力がクリップ160に遠位方向に加えられると、クリップ160は、摩擦に抗してアダプター170の先端縁1701から滑り落ち、アダプター170から取り外される。
図5Aは、いくつかの実施形態に係るアダプター170にプッシャー180とクリップ160を組み付けた状態を示す。いくつかの実施形態では、
図5Aに示されるように、クリップ160は、プッシャー180が遠位方向に移動したときに、プッシャー180に接触してクリップ160を遠位方向に押すことができる。
【0044】
当業者であれば、クリップ160が開放位置に保持され、かつアダプター170の先端縁1701から滑り落ちれば、クリップ160がアダプター170の内面または外面、またはアダプター170の内部に形成された支持面に装着されてもよいことを理解すべきである。いくつかの実施形態では、クリップ160およびプッシャー180は、アダプター170の異なる表面上に配置されてもよく、アダプター170には、アダプター180がクリップ160に接触してクリップ160を遠位方向に押すための1つまたは複数の縦スリットが設けられている。
【0045】
いくつかの実施形態では、プッシャー180は、クリップ160と接触せず、クリップ160を遠位方向に押すことができる。代わりに、駆動ワイヤまたはプルスレッドなどのクリップドライバは、クリップ160がアダプター170の先端縁1701から滑り落ちることができるように、クリップ160を遠位方向に移動させるように構成することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシースのそれぞれが、少なくとも1つのドライバのそれぞれのための通路を画定する。いくつかの実施形態では、
図2Cに示すように、第1のドライバ121および第2のドライバ122は、それぞれ第1のシース111および第2のシース112内に延在する。少なくとも1つのシースは、ステンレス鋼、HDPE、PTFE、およびニチノールを含むがこれらに限定されない様々な材料で形成された、ばねシースなどの強化シースとすることができる。少なくとも1つのシースは、装置の展開性を向上させるために、内部または外部に被覆されていてもよい。少なくとも1つのシースの上部に熱収縮を適用して、シースがアセンブリの柔軟性セグメントからより剛性のセグメントに移行する長さに沿って強度を高めることができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシースの近位端は、クリップ展開ハンドル190と連結することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシースの遠位端は、例えば、熱かしめ、接着、溶接、またはオーバーモールドによってアダプター170に取り付けられる。いくつかの実施形態では、
図5Aに示すように、第1のシース111および第2のシース112は、それぞれオーバーモールド171およびオーバーモールド172によってアダプター170に取り付けられる。
図2Cに示すように、オーバーモールド171およびオーバーモールド172は、1回のオーバーモールドで管腔173と一体成形されてもよい。いくつかの実施形態では、管腔173が形成される前または後に、少なくとも1つのシースのそれぞれをアダプター170に別々に取り付けることができる。当業者であれば、少なくとも1つのシースが内視鏡装置および内視鏡切除アセンブリ100の他の構成要素の動作を妨げない限り、少なくとも1つのシースをアダプター170の内面等のアダプター170の任意の部位に取り付けることができることを理解すべきである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシースは、アダプター170に形成された孔を通って延在するように、アダプター170を貫通することができる。さらに、当業者であれば、少なくとも1つのシースがアダプター170に取り付けられないことを理解すべきである。代わりに、少なくとも1つのシースが内視鏡装置および内視鏡切除アセンブリ100の他の構成要素の動作を妨げない限り、少なくとも1つのシースを内視鏡装置または内視鏡切除アセンブリ100の任意の構成要素に取り付けることができる。
【0048】
少なくとも1つのドライバは、プッシャー180を遠位方向に押すための内視鏡ツールを含む。いくつかの実施形態では、
図2Cに示すように、少なくとも1つのドライバは、第1のシース111および第2のシース112内にそれぞれ延在する駆動ワイヤである第1のドライバ121および第2のドライバ122を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのドライバの近位端は、クリップ展開ハンドル190と動作可能に連結される。クリップ展開ハンドル190は、少なくとも1つのドライバが少なくとも1つのシースに対して前進するように、少なくとも1つのドライバを作動させるように構成される。
【0049】
カテーテル140は、開状態と閉状態との間で切断装置150の動作を可能にするように構成されたカテーテルである。いくつかの実施形態では、カテーテル140は、切断装置150のスネア駆動ケーブル152のための通路を画定する。カテーテル140は、ステンレス鋼、HDPE、PTFE、およびニチノールを含むがこれらに限定されない様々な材料で形成されたシースであり得る。いくつかの実施形態では、カテーテル140および少なくとも1つのシース、例えば、第1のシース111および第2のシース112は、マルチルーメンカテーテルシースなどの同じカテーテルサブアセンブリ内に含まれる。いくつかの実施形態では、カテーテル140の近位端は、ハンドル130と連結される。いくつかの実施形態では、
図2Cに示すように、カテーテル140は、アダプター170の管腔173に滑り嵌めすることによってアダプター170と連結される。当業者であれば、カテーテル140が内視鏡装置および内視鏡切除アセンブリ100の他の構成要素の動作を妨げない限り、カテーテル140がアダプター170の内面などのアダプター170の任意の部分に連結され得ることを理解すべきである。いくつかの実施形態では、カテーテル140は、カテーテル140がアダプター170に形成された孔を通って延在するように、アダプター170を貫通することができる。さらに、当業者であれば、カテーテル140が内視鏡装置および内視鏡切除アセンブリ100の他の構成要素の動作を妨げない限り、カテーテル140をアダプター170に固定するか、またはアダプター170から取り外すことができることを理解すべきである。
【0050】
さらに、切除される標的組織の周囲の輪郭を描くために、プローブなどのマーキング装置を内視鏡装置に設けることができる。
【0051】
動作中、内視鏡切除アセンブリは、例えば圧入によって内視鏡装置(例えば、Olympus(登録商標)、Fujinon(登録商標)、またはPentax(登録商標)内視鏡)に取り付けるように構成されたアダプター170を介して内視鏡装置に取り付けられる。オペレータは、内視鏡をGI管に誘導し、切除が必要な病変まで誘導する。切除される標的組織の周囲は、内視鏡装置に設けられたプローブなどのマーキング装置でマーキングすることができる。
【0052】
次のステップでは、切除される標的組織は、アダプター170によって画定された組織チャンバチャネルにリクルートされる。標的組織が病変である場合、病変に加えて、病変を取り囲むいくつかの余分な組織をアダプター170にリクルートすることができ、これにより、病変全体を確実に切除および除去することができる。いくつかの実施形態では、アダプター170に内視鏡用把持器が提供される。いくつかの実施形態では、内視鏡用把持器は、アダプター170から前進し、組織を把持し、組織をアダプター170内に引き込む。いくつかの実施形態では、組織は、吸引によって、または他の手段および内視鏡ツールによってアダプター170内にリクルートすることができる。標的組織の周囲が最初にマーキング装置でマーキングされると、マーキングされたエッジは、オペレータが標的組織が完全にキャップ内に引き込まれたかどうかを判断するのに役立つ。
【0053】
次のステップでは、クリップ160が組織上に展開される。いくつかの実施形態では、クリップ展開ハンドル190は、少なくとも1つのシースに対して少なくとも1つのドライバを前進させるように作動される。いくつかの実施形態では、プッシャー180を少なくとも1つのドライバに取り付けることによって、遠位方向に力がプッシャー180に加えられる。その結果、
図5A~5Cに示すように、プッシャー180は、アダプター170に対して遠位方向に移動する。いくつかの実施形態では、クリップ160は、プッシャー180から離れた位置でアダプター170に装着され、開状態に維持される。いくつかの実施形態では、プッシャー180が遠位方向に移動すると、プッシャー180の遠位面がクリップ160に接触することにより、クリップ160とアダプター170との間の摩擦に抗する力が作用する。その結果、クリップ160は、アダプター170の外面に対して遠位方向にスライドする。クリップ160がアダプター170の先端縁1701から滑り落ちると、
図5Bおよび5Cに示すように、アダプター170の外面によって提供される支持は、クリップ160を開状態に維持するのに不十分になる。クリップ160に蓄えられたエネルギーにより、クリップ160は、クリップ160のタインがアダプター170にリクルートされた組織に係合する閉状態に向かって再形成される。標的組織が病変である場合、クリップ160は、病変全体を確実に切除および除去できるように、病変を取り囲むいくつかの余分な組織または周辺組織に係合することができる。
【0054】
クリップ展開ハンドル190をさらに作動させて少なくとも1つのドライバを前進させ、プッシャー180をさらに遠位方向に移動させてもよい。いくつかの実施形態では、クリップ展開ハンドル190は、プッシャー180がクリップ160の真上に着座するまで作動される。
図6A~6Dは、いくつかの実施形態における展開位置にあるクリップ160およびプッシャー180を示しており、組織の図示を省略する。
図6A~6Dに示すように、いくつかの実施形態では、プッシャー180が展開位置にあるとき、プッシャー180の少なくとも一部は、アダプター170から離れている。言い換えれば、いくつかの実施形態では、展開位置にあるプッシャー180の少なくとも一部は、アダプター170の縁1701を超えて延在する。例えば、展開位置にあるプッシャー180は、アダプター170の縁1701を0~3cm越えて延在することができる。
【0055】
次のステップでは、切断装置150を操作することによって組織が切除される。いくつかの実施形態では、切断装置150は、組織を切断しながら、開状態から閉状態に向かって操作される。いくつかの実施形態では、切断装置150は、組織を切断しながら、閉状態から開状態に向かって操作され、次に、開状態から閉状態に向かって操作される。いくつかの実施形態では、ハンドル130は、スネアループ154をカテーテル140内に引き込む、カテーテル140に対してスネア駆動ケーブル152を後退させるように作動される。その結果、スネアループ154は、切断装置150が開状態から閉状態に向かって動作するように収縮する。いくつかの実施形態では、切断装置150は、スネアループ154がプッシャー180の少なくとも1つのリテーナによって画定される通路に収容されるプッシャー180に取り外し可能に連結される。収縮すると、スネアループ154は、少なくとも1つのリテーナによって画定されるスリットを通って通路から脱出し、プッシャー180によって画定される中央開口185内に径方向内側に移動する。したがって、切断装置150はプッシャー180から取り外され、アダプター170内にリクルートされた組織は、径方向内側に移動するスネアループ154によって切除される。スネアループを介して誘電エネルギーを適用して切除を補助してもよい。切除可能な組織の量は、プッシャー180の遠位端とプッシャー180上の切断装置150が連結される位置との軸方向距離に影響される。いくつかの実施形態では、
図2Dおよび3A~3Cに示すように、切断装置150は、プッシャー180の上面に連結される。このように、プッシャー180の遠位端とプッシャー180上の切断装置150が連結される位置との軸方向距離は、プッシャー180のスタック高さ、すなわち、プッシャー180の上面と底面との間の距離に等しい。そのような実施形態では、プッシャー180が大きなスタック高さを有する場合、プッシャー180の遠位端とプッシャー180上の切断装置150が連結される位置との間に大きな軸方向距離がある。したがって、切除は浅くなり、切断装置150によって切除される組織が少なく、切除後にプッシャー180によって画定される中央開口185内に残る組織が多い。一方、プッシャー180が小さなスタック高さを有する場合、プッシャー180の遠位端とプッシャー180上の切断装置150が連結される位置との間に小さな軸方向距離がある。したがって、切除は深くなり、切断装置150によって切除される組織がより多く、切除後にプッシャー180によって画定される中央開口185内に残る組織が少なくなる。種々の実施形態では、プッシャー180の遠位端とプッシャー180上の切断装置150が連結される位置との軸方向距離は、適切な量の組織が切除され、かつ切除後にプッシャー180によって画定された中央開口185内に適切な量の組織が残ることを確実にするために、例えば、プッシャー180のスタック高さを調整することにより可変調整することができる。切除後、一部の組織は、クリップ160とプッシャー180上の切断装置150が連結される位置との軸方向距離により、クリップ160の近位側の切除部位に残り、これにより、クリップ160が組織と係合したままで欠陥を閉じることが保証される。いくつかの実施形態では、スネアループ154がプッシャー180の遠位面から1~5mmに位置する通路に収容されると、約1~5mmの組織が切除後にクリップ160の近位側に残る。次に、クリップ160を除く内視鏡切除アセンブリがGI管から取り外される。いくつかの実施形態では、外傷の少ない除去プロセスのために、クリップ展開ハンドル190を作動させて、プッシャー180を近位方向に動かし、アダプター170に戻す少なくとも1つのドライバを後退させることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、ばねがクリップ展開ハンドル190または少なくとも1つのシースに連結される。ばねが少なくとも1つのドライバに近位方向に力を加えるように、ばねは、プッシャー180が展開位置にあるときに圧縮または延在するように構成することができる。クリップ展開ハンドル190は、少なくとも1つのシースに対する少なくとも1つのドライバの後退を防止するためのストッパーを含み得る。クリップ展開ハンドル190は、ストッパーが少なくとも1つのドライバの近位方向への動きを防止しないように、例えば、ストッパーを変形させることによってストッパーを作動させるように構成することができる。その結果、圧縮または延在されたばねは、少なくとも1つのドライバを少なくとも1つのシースに対して近位方向に動かし、少なくとも1つのドライバは、プッシャー180を近位方向に動かし、アダプター170に戻す。
【0057】
本明細書に記載された本発明の多くの修正および他の実施形態は、これらの発明が関係し、前述の説明で提示された教示の利益を有する当業者に思い浮かぶであろう。したがって、本発明は開示された特定の実施形態に限定されるべきではなく、修正および他の実施形態は添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることが理解されるべきである。本明細書では特定の用語が使用されているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用されており、限定を目的として使用されていない。
【国際調査報告】