IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バックボーンの特許一覧

<>
  • 特表-頸椎用の椎間板プロテーゼ装置 図1
  • 特表-頸椎用の椎間板プロテーゼ装置 図2
  • 特表-頸椎用の椎間板プロテーゼ装置 図3
  • 特表-頸椎用の椎間板プロテーゼ装置 図4
  • 特表-頸椎用の椎間板プロテーゼ装置 図5
  • 特表-頸椎用の椎間板プロテーゼ装置 図6A
  • 特表-頸椎用の椎間板プロテーゼ装置 図6B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】頸椎用の椎間板プロテーゼ装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
A61F2/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521566
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(85)【翻訳文提出日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 FR2021051607
(87)【国際公開番号】W WO2022074309
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】2010361
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518290423
【氏名又は名称】バックボーン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ポインティラール,ビンセント
(72)【発明者】
【氏名】セネガ,ジャック
(72)【発明者】
【氏名】アサカー,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ミンフェルデ,リチャード
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA10
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC03
4C097CC12
4C097DD06
4C097DD10
4C097EE11
(57)【要約】
椎間板プロテーゼであって、前記椎間板プロテーゼは、可撓性クッションの形態のインサートと、第1のハーフシェル(10a)と、第2のハーフシェル(30a)とを備え、可撓性クッションの形態の前記インサートは前記ハーフシェル同士の間に配置され、前記ハーフシェルのうちの第1のハーフシェル(10a)は、第1の脊椎に取り付けるための第1の面(12a)と、第1のカップ(11a)を形成するためのくぼんだクラウン(15a)とを備えた第1の基部を備え、前記ハーフシェルのうちの第2のハーフシェル(30b)は、第2の脊椎に取り付けるための第1の面と、第2のカップ(31a)を囲む縁部(33a)を担持する第2の面とを備え、前記カップ(11a、31a)は、互いに対向し、それぞれ、インサートの上部キャップ(21)および下部キャップ(23)を受け入れ、前記クラウンおよび前記縁部は、遊びを持って互いに嵌合する壁を形成して、ハーフシェル間の角運動および剪断運動に対する停止部を生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎間板プロテーゼであって、
前記椎間板プロテーゼは、可撓性クッションの形態のインサートと、第1のハーフシェル(10a、10b)と、第2のハーフシェル(30a、30b)とを備え、可撓性クッションの形態の前記インサートは前記ハーフシェル同士の間に配置され、
前記ハーフシェルのうちの第1のハーフシェル(10a、10b)は、第1の脊椎に取り付けるための第1の面(12a、12b)と、第1のカップ(11a、11b)を囲むクラウン(15)を担持する第2の面とを備えた第1の基部を備え、
前記ハーフシェルのうちの第2のハーフシェル(30a、30b)は、第2の脊椎に取り付けるための第1の面(32a、32b)と、第2のカップ(31a、31b)を囲む縁部(33a、33b)を担持する第2の面とを備え、
前記カップ(11a、31a、11b、31b)は、互いに対向し、それぞれ、前記インサートの上部キャップ(21)および下部キャップ(23)を受け入れ、
前記クラウンおよび前記縁部は、クリアランス(g)を持って互いに嵌合する、互いに対向する傾斜壁を形成して、ハーフシェル間の角運動(α)および剪断運動(C1、C2)に対する停止部を生成し、
前記互いに対向する傾斜壁は、他方のハーフシェルに対する一方のハーフシェルの近接および傾斜の両方に対する停止部を形成し、
前記ハーフシェル同士は、プロテーゼ上の通常の生理学的ストレスの間、前記インサートによって離間されて保持される
ことを特徴とする、椎間板プロテーゼ。
【請求項2】
前記クラウンおよび前記縁部は、相補的な傾斜で傾斜した、互いに対向する壁を含むことを特徴とする、請求項1に記載の椎間板プロテーゼ。
【請求項3】
前記縁部(33b)の最下部は、前記第2のハーフシェルの前記第1の面(32b)の続きとしてのフランジ(16)によって囲まれていることを特徴とする、請求項1または2に記載の椎間板プロテーゼ。
【請求項4】
前記クラウン(15)および前記縁部(33a、33b)は、円形の基部、楕円形の基部、または丸みを帯びた角部を有する長方形の基部を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の椎間板プロテーゼ。
【請求項5】
前記クラウン(15)および前記縁部(33a、33b)は、丸みを帯びた角部を有する長方形の基部を有し、
前記角部は、前記ハーフシェルの取り付け面の平面に実質的に垂直な軸(A)の周りの、前記ハーフシェルの一方の、前記ハーフシェルの他方に対する回転(β)に対する停止部を形成することを特徴とする、請求項4に記載の椎間板プロテーゼ。
【請求項6】
前記インサート(20)が前記ハーフシェル(10a、30a、10b、30b)の間の位置にあり、
前記ハーフシェル(10a、30a、10b、30b)は、前記第1の基部(12a、12b)および前記第2の基部(32a、32b)に対して最初は垂直である軸(A)に対して、前記インサートのエッジの少なくとも一部の圧縮または変形によって傾斜(α)して互いに対して移動可能であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の椎間板プロテーゼ。
【請求項7】
可撓性クッションの形態の前記インサートは、平坦化されたまたは平坦化されていない極冠(21、23)を有する略回転楕円体形状のインサートであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の椎間板プロテーゼ。
【請求項8】
可撓性クッションの形態の前記インサート(20)は、中空であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の椎間板プロテーゼ。
【請求項9】
中空の前記インサート(20)は、ガス、液体またはゲルで充填されていることを特徴とする、請求項8に記載の椎間板プロテーゼ。
【請求項10】
中空の前記インサート(20)は、非圧縮性の変形可能な材料で充填されていることを特徴とする、請求項8に記載の椎間板プロテーゼ。
【請求項11】
前記基部のうちの少なくとも1つは、メッシュ構造および/または鋸歯状の刻み目、溝、リッジを含むか、または、前記基部が適用される脊椎の骨に取り付けるための多孔質テクスチャ(112)を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の椎間板プロテーゼ。
【請求項12】
前記インサート(20)および前記ハーフシェル(10、30)は、互いに接着されるか、または相補的な幾何学的形状を有することによって連結されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の椎間板プロテーゼ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移植可能な脊椎椎間板プロテーゼの分野に関し、特に、特に頸椎に適合された脊椎椎間板プロテーゼに関する。
【背景技術】
【0002】
脊椎椎間板が受ける摩耗は、椎間板プロテーゼ(人工椎間板)の必要性につながる。
【0003】
椎間板プロテーゼ装置は例えば、剛性の上部プレートと、剛性の下部プレートと、弾性的に圧縮可能であり、2つのプレートの内面の間に収容される中間クッションとを含む分離不可能な構造の形態の椎間板プロテーゼであって、クッションは自由状態、すなわち、圧縮応力なしで、2つのプレート間の楔の形状を有する、椎間板プロテーゼ装置が知られている。2つの平らなプレートの間に可撓性環を備え、環の中心の空間がゲルまたは液体で満たされている椎間板プロテーゼ装置、または、ゲルで満たされかつ可撓性環によって囲まれている円板形状のブラダーを備える椎間板プロテーゼ装置も知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの装置は、クッションに垂直な、脊椎を接続する軸に対する脊椎の傾斜運動に対して、この軸の周りの回転運動に対して、またはクッションの平面に従った剪断運動に対して、ほとんど制限を与えない。椎間板プロテーゼは、プロテーゼ(人工装具、人工補綴物)が取り付けられる脊椎の移動の自由度を制限することによって改良される必要がある。このようなプロテーゼ装置はまた、頸椎椎間板プロテーゼとして使用可能にする小さな寸法であっても、製造が容易でなければならず、また、移植が容易でなければならない。また、その調製およびその移植のために、プロテーゼの高さを制御できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これを行うために、本願は、椎間板プロテーゼを提案し、前記椎間板プロテーゼは、可撓性クッションの形態のインサートと、第1のハーフシェルと、第2のハーフシェルとを備え、可撓性クッションの形態の前記インサートは前記ハーフシェル同士の間に配置され、
前記ハーフシェルのうちの第1のハーフシェルは、第1の脊椎に取り付けるための第1の面と、第1のカップを囲むクラウンを担持する第2の面とを備えた第1の基部を備え、
前記ハーフシェルのうちの第2のハーフシェルは、第2の脊椎に取り付けるための第1の面と、第2のカップを囲む縁部を担持する第2の面とを備え、
前記カップは、互いに対向し、それぞれ、前記インサートの上部キャップおよび下部キャップを受け入れ、
前記クラウンおよび前記縁部は、クリアランス(g)を持って互いに嵌合する、互いに対向する傾斜壁を形成して、ハーフシェル間の角運動(α)および剪断運動(C1、C2)に対する停止部を生成し、
前記互いに対向する傾斜壁は、他方のハーフシェルに対する一方のハーフシェルの近接および傾斜の両方に対する停止部を形成し、
前記ハーフシェル同士は、プロテーゼ上の通常の生理学的ストレスの間、前記インサートによって離間されて保持される。
【0006】
本発明のプロテーゼは、特に頸椎椎間板プロテーゼの形成によく適しており、容易に移植可能であり、頸椎のレベルでの移植に適合する小さなサイズで作製することができ、これらの脊椎間の運動を制限することができる。
【0007】
以下の段落に記載される特徴は、任意選択で実施することができる。それらは、互いに独立して、または互いに組み合わせて実施することができる。
【0008】
有利には、前記クラウンおよび前記縁部は、相補的な傾斜で傾斜した、互いに対向する壁を備える。
【0009】
前記縁部の最下部は、第2のハーフシェルの第1の面の続きとしてのフランジによって囲むことができる。
【0010】
前記クラウンおよび前記縁部は、円形の基部、楕円形の基部、または丸みを帯びた角部を有する長方形の基部を有することができる。
【0011】
前記クラウンおよび前記基部は、丸みを帯びた角部を有する長方形の基部を有し、前記角部は、有利には、ハーフシェルの取り付け面の平面に実質的に垂直な軸の周りの、ハーフシェルの一方の、他方に対する回転するに対する停止部を形成する。
【0012】
インサートがハーフシェルの間の位置にあり、ハーフシェルは、第1の基部および第2の基部に対して最初は垂直である軸に対して、インサートのエッジ(縁部)の少なくとも一部の圧縮または変形によって傾斜して互いに対して移動可能であり得る。
【0013】
可撓性クッションの形態のインサートは、平坦化されたまたは平坦化されていない極冠を有する略回転楕円体形状のインサートであり得る。
【0014】
可撓性クッションの形態のインサートは、中空であってもよい。
【0015】
中空のインサートは、有利には、ガス、液体またはゲルで充填される。
【0016】
好ましくは、中空のインサートは、非圧縮性の変形可能な材料で充填される。インサートはまた、中実であり、それ自体が変形可能かつ非圧縮性であり得る。
【0017】
基部のうちの少なくとも1つは、メッシュ構造および/または鋸歯状の刻み目(ぎざぎざ、くぼみ)(indentations)、溝(grooves)もしくはリッジ(隆起部)(ridges)を備えることができ、または、基部のうちの少なくとも1つは、基部が適用される脊椎の骨に取り付けるための多孔質テクスチャを備える。
【0018】
前記インサートおよび前記ハーフシェルは、互いに接着されてもよく、または相補的な幾何学的形状を有することによって連結(嵌合)(interlocked)されてもよい。
【0019】
本発明の他の特徴、詳細および利点は、以下の詳細な説明を読み、添付の図面を分析することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第一の実施形態に係るプロテーゼの分解図を示す。
図2】インサートの一例の破断斜視図を示す。
図3】ハーフシェルの実施形態の縦断面図を示す。
図4】プロテーゼの第2の実施形態の破断斜視図を示す。
図5】本発明のプロテーゼの自由度の模式図を示す。
図6A】本願による変形していないプロテーゼの概略断面側面図を示す。
図6B】角度的に変形したときの、図6Aからのプロテーゼの概略断面側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の図面および非限定的な実施例の説明は、本発明のより良い理解を可能にするだけでなく、必要な場合にはその定義に寄与するのにも役立ち得る。
【0022】
ここで、第1の実施形態による、本願のインプラントまたは椎間板プロテーゼを分解図で示す図1を参照する。前記インプラントは、上部ハーフシェルと呼ばれる第1のハーフシェル10aと、可撓性インサート20の形態の体間(intersomatic)要素と、下部ハーフシェルと呼ばれる第2のハーフシェル30aとを備えるシステムである。
【0023】
ハーフシェルの外面は、インプラントが間に配置される脊椎と接触するプレートを構成する。
【0024】
可撓性インサートは、ハーフシェル内に形成された互いに対向するカップ11a、31a内に受け入れられる。
【0025】
インプラントは、より具体的には、頸椎椎間板プロテーゼを製造するのに適している。
【0026】
可撓性インサートは、有利には、図2に示されるようなクッションである。このインサートは、形状が回転楕円体であってもよく、その極冠(polar caps)21、32は、ハーフシェルの内側と接触して、平坦化されても、平坦化されていなくてもよい。可撓性インサートは有利には中空であり、可撓性赤道フープを備えることができる。
【0027】
中空インサートは、封止され、それに与えられるべき可撓性に応じて、ガス、液体、またはゲルを含む。
【0028】
特定の実施形態では、中空可撓性インサートは、液体または非圧縮性ゲル40で充填され、したがって、その変形は例えば、図6A図6Bに示されるように、フープ22の変形によってもたらされる。
【0029】
図3によれば、図1の実施形態では、上部および下部ハーフシェルは、他のハーフシェルに対する一方のハーフシェルの近接および傾斜の両方に関する停止部を形成する傾斜壁13、14を備える。
【0030】
本発明のハーフシェルの第2の実施形態を示す図4によれば、上部ハーフシェル11bおよび下部ハーフシェルは、上部ハーフシェルの下部エッジ15および下部ハーフシェルのフランジ(鍔部)16によって形成された当接手段を備える。
【0031】
2つのハーフシェル間に配置された可撓性インサートの利点は、以下のような、脊椎椎間板の解剖学的構造に近似することである:
- ボールジョイント式等の機械的な接続の形態の移動性中心が固定されていない;
- インプラントの運動学は、本質的に、体間インサートと呼ばれる可撓性インサート20によって保証される;
- ハーフシェルは、脊椎間に配置されると、可撓性インサートを囲み、停止部を形成しながら可撓性インサートの周りを回転するように移動可能である。
【0032】
インプラントは、ハーフシェル間に配置された可撓性インサート20によって、非剛性の動的安定化を可能にする減衰特性を有する。可変厚さの壁を有するこの中空可撓性インサートを製造することによって、インプラントに可変剛性を提供することができ、異なる回転軸に従ってインサートの剛性を適合させることが可能になる。
【0033】
この場合、可撓性インサートの可撓性は、胸部に対する頭部の自然な動きを可能にしなければならず、したがって、頸部適用のためのインプラントのサイズに応じて、少なくとも0.6mm~2mmの屈曲-伸展および前後方向並進(剪断)において14°を超える振幅の傾斜を生成することができなければならない。したがって、これらは、約10~15%の有意な変形振幅である。
【0034】
このため、本発明においてはハーフシェル間の遊びの概念が不可欠であり、遊びは、通常の動作において、すなわち、生理学的角度および並進の範囲内で、上部ハーフシェルが下部ハーフシェルと接触せず、クッションがそのバランスを確保するような遊びである。
【0035】
さらに、ハーフシェルの形状は、処理されたレベルでのプレートに対するインプラントの容易かつ直感的なセンタリングを可能にするように画定される。
【0036】
遊びを持って互いに嵌合する、第1のハーフシェルのクラウン13a、13bと第2のハーフシェルの縁部(リム)33a、33bとは、可撓性インサートのための容器を形成する。縁部の内壁およびカップ11aは、このインプラントのための保持壁を形成する。
【0037】
脊椎プレートのレベルでのインプラントの固定は、脊椎への取り付けを促進する構造、例えば、骨結合の良好な特徴を示すために、リブ12および/またはスタッドで補足されてもされなくてもよいメッシュ構造(網目構造)(mesh structure)によって保証される。また、骨と接触する表面に、例えば、化学処理または多孔質材料の層の追加によって、多孔質テクスチャを与えることも可能である。脊椎と接触するハーフシェルの面上にハイドロキシアパタイトコーティングを形成することもできる。
【0038】
ハーフシェルは、患者の解剖学的構造上にモデル化された3Dプリントから生成することができる。それらが作製される材料は、チタン合金、ウレタンタイプの材料、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、セラミック、または十分に強く、ハーフシェル間の摩擦中に粒子を放出しないように適合された任意の他の生体適合性材料をベースとすることができる。ハーフシェルはまた、例えば、取り付けのための外層と、特に摩擦に敏感でない内層とを製造するために、前記材料の組み合わせを使用して製造することができる。
【0039】
インプラントの範囲は、患者の脊椎の形態に適合する3つまたは4つのサイズで利用可能である。
【0040】
インプラントの材料は、実質的な放射線透過性を提供し、MRI画像化との非常に良好な適合性を提供するように選択される。
【0041】
インプラントの形状および寸法は、小さな寸法の補助部を使用することを可能にする。
【0042】
図1の実施形態および図3の実施形態の両方において、ハーフシェル10a、10bの一方は、長手方向の遊び、横方向の遊びおよび可撓性インサートの周りの回転遊びを伴って、他方のハーフシェル30a、30bに部分的に配置される。
【0043】
可撓性インサートの圧縮方向において、図3によれば、下部ハーフシェルのカップは、上部カップの縁部の傾斜した内壁13aを支えることができる傾斜した外壁33aの形態の縁部によって囲まれる。これは圧縮停止部を構成し、この圧縮停止部は、プロテーゼの調製およびその移植のためにプロテーゼの高さを制御することを可能にする。同様に、一旦移植されると、軸に対するハーフシェルのうちの1つの傾斜は、傾斜壁間の接触によって制限される。
【0044】
図4の場合、インサートの圧縮中に行われる停止は、壁10bの上端部15とフランジ16との間で行われ、一方、ハーフシェルの互いに対する傾斜に対する停止は、傾斜壁13b、33b上で行われる。
【0045】
図5は、図1の実施形態において、ハーフシェル10、30が互いに対して起こし得る様々な動きを示している。この図によれば、上部ハーフシェルがインサートに位置する場合に、クラウンのおよび縁部の傾斜壁13、14がインサートによって互いに離間しているという事実によって得られるクリアランス(隙間)(clearance)gによって、壁13、14は元々離間している。第1に、脊椎軸Aに対して角度αでのハーフシェルのうちの1つの傾斜が可能であるが、その傾斜は、壁13、14のうちの一方の側または他方の側の当接によって制限される。
【0046】
剪断運動C1、C2も、その一部について、壁13、14間のクリアランスgによって制限される。軸Aの周りの一方のシェルの他方に対する回転運動βは、それ自体、図1に見られるように、ハーフシェルの一般的な長方形形状によって制限される。図4の実施形態の場合、および方向Hへの圧縮運動の場合、クラウン15の自由上端部は、フランジ16に当接する。同様に、図3の実施形態の場合、壁33bまたはその上端部は、下部ハーフシェル10のカップの内壁13bと当接することができる。しかしながら、これらの接触は、安全手段としてのインサートの異常な圧縮または故障の場合にのみ生じる。
【0047】
図6Aおよび図6Bは、引き続き図3の実施例の場合に、一方のハーフシェルが他方に対して傾斜している間の、ハーフシェル間のクッション20の変形を示す。
【0048】
図3および図4の実施形態の場合、一方のハーフシェルの他方に対する剪断運動は、壁13a、13b、33a、33bの接触によって制限される。
【0049】
ハーフシェルおよび可撓性インサートの上端部は、一体型椎間板を形成するために互いに接着され得、これは移植することがより容易である。
【0050】
頸椎椎間板プロテーゼの形態の脊椎インプラントの場合、3~4つのインプラントサイズを提供することができ、このインプラントの寸法は、以下の程度であり得る:
- 小型:幅12~14mm程度、長さ14~16mm程度;
- 中型:幅14~16mm程度、長さ16~18mm程度;
- 大型:幅16~18mm程度、長さ18~20mm程度。インプラントの高さは、インプラントを受ける患者の形態に応じて、4~5mm、5~6mm、6~7mmまたは7~8mmの程度の4つのサイズであり得る。
【0051】
ハーフシェルは、以下のような、2成分型であってもよい:
- 脊椎との接触のために提供され、脊椎プレートにおける良好な一体化のためにチタン合金で作られた部品。ある多孔度(図示せず)はまた、再移植(recolonization)のために使用することができ、付加製造によって製造される;
- 低摩耗性を提供するためにPEEK、PEKK、ポリエチレンのようなポリマーで作られ、クッションと接触し、移動中に互いに接触する部分。
【0052】
単一成分のハーフシェルを想定することも可能であり、その場合、セラミックまたはチタン合金でさえも選択して、ただし中心部分の摩耗特性を強化および改善することを可能にするコーティングを有するようにするか、または、骨と接触するプレートの表面を、骨形成を促進する材料でコーティングするようにして、結局は任意のポリマーを選択する。
【0053】
クッションは、シリコーン樹脂、ポリウレタン、または変形可能なポリマーで作ることができ、ハーフシェルに配置されると、ハーフシェルがクッション上に配置されてそれゆえ通常の生理学的ストレスの間互いに離間しているときに得られるクリアランスgに従って、ハーフシェルと組み合わせて18°程度の屈曲-伸展移動性、またそれに加えて、サイズに応じた可変の前後方向並進、特に約1mm~2mmの振幅、15°程度の横方向傾斜、および、少なくとも10°の回転を可能にしなければならない。
【0054】
本発明は、例としてのみ上述された実施例に限定されず、代わりに、当業者が、求められる保護の範囲内で考慮し得る全ての変形を包含する。特に、上部ハーフシェルおよび下部ハーフシェルという用語は、テキストを読みやすくするために利便性のみのために使用され、インサートを上下逆に配置することもできることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
【国際調査報告】