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特表2023-544871固体バイオマス燃料を生成するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】固体バイオマス燃料を生成するための方法
(51)【国際特許分類】
   C10L 5/44 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
C10L5/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521866
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(85)【翻訳文提出日】2023-05-23
(86)【国際出願番号】 GB2021052635
(87)【国際公開番号】W WO2022079427
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】2016162.6
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519385397
【氏名又は名称】バイ ホン メイ
【氏名又は名称原語表記】BAI, HONG MEI
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】バイ ホン メイ
【テーマコード(参考)】
4H015
【Fターム(参考)】
4H015AA12
4H015AB01
4H015BA01
4H015BA08
4H015BA09
4H015BA13
4H015BB03
4H015BB04
4H015BB05
4H015BB06
4H015BB10
4H015BB13
4H015CB01
(57)【要約】
本発明は、固体バイオマス燃料を生成するための方法、及び前記方法によって生成される固体バイオマス燃料に関する。加えて、本発明は、前記固体バイオマス燃料を、エネルギーを生じるように燃焼させるステップを含む燃焼方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体バイオマス燃料を生成するための方法であって、以下の一連のステップ:
(i)1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ、
(ii)前記1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~20,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供するステップ、
任意に、(iii)前記微粉化バイオマス粉末を圧縮して、圧縮バイオマス粉末を提供するステップ、
(iv)前記圧縮バイオマス粉末又は前記微粉化バイオマス粉末を水性洗浄液で洗浄して、洗浄バイオマス粉末を提供するステップ、
(v)前記洗浄バイオマス粉末を機械的に脱水して、脱水バイオマス粉末と水性排液とを提供するステップ、
(vi)前記脱水バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥バイオマス粉末を提供するステップ、
(vii)前記乾燥バイオマス粉末を成形して、成形バイオマス生成物を提供するステップ、
(viii)前記成形バイオマス生成物を、0.25~5時間、160℃~420℃の温度に加熱して、固体バイオマス燃料を提供するステップ、及び
(ix)前記固体バイオマス燃料を水性洗浄液で洗浄するステップ
を含む、前記方法。
【請求項2】
1又は2以上のバイオマスの供給源が、農業廃棄物、カリアンドラ・カロティルスス、アカシア・マンギウム、センゴンジャワ、パラゴムノキ、イネ殻、麦藁、ヤム、トウモロコシ穂軸、木材、例えば混合木材、イネ科植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxb、バガス、ヒマワリ茎、小麦茎、トウモロコシ茎、ソルガム茎、大豆茎、ピーナッツ茎、綿茎、菜種茎、ココナッツ殻、ヤシ核外殻(PKS)、アブラヤシ樹木、例えばアブラヤシ樹木の幹、海藻、ピーナッツ皮、又はこれらの任意の組合せを含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1又は2以上のバイオマスの供給源が、農業廃棄物、例えば、トウモロコシ藁、ゴマ藁、麦藁、バナナ樹木、ピーナッツ藁、ヤシ空果房(EFB)、ヤシ繊維、ヤシ外殻、竹、ヤシ樹木の幹、又はこれらの任意の組合せを含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
1又は2以上のバイオマスの供給源が、麦藁、トウモロコシ藁、又はこれらの組合せを含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ(i)が、(a)50重量%未満の水分率を有するように、前記1若しくは2以上のバイオマスの供給源を圧縮するステップ、及び/又は(b)30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有するように、前記1若しくは2以上のバイオマスの供給源をチョッピングするステップを含み、好ましくは、方法が、ステップ(a)とステップ(b)との両方を含み、より好ましくは、方法が、前記1又は2以上のバイオマスの供給源を圧縮するステップ(a)を、前記1又は2以上のバイオマスの供給源をチョッピングするステップ(b)の前に含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~20,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供するステップ(ii)が、負圧空気輸送装置の使用を伴う方法で前記1又は2以上のバイオマスの供給源を粉砕することであって、前記1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率が20重量%以下である、前記粉砕することを含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
微粉化バイオマス粉末を圧縮して、圧縮バイオマス粉末を提供するステップ(iii)が、前記微粉化バイオマス粉末を圧搾して、圧縮バイオマス粉末と水性排液とを提供することを含み、任意に、前記微粉化バイオマス粉末を圧搾して、30重量%未満、好ましくは25重量%未満、より好ましくは20重量%未満の水分率を有する圧縮バイオマス粉末を提供する、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
圧縮バイオマス粉末又は微粉化バイオマス粉末を水性洗浄液で洗浄して、洗浄バイオマス粉末を提供するステップ(iv)が、前記圧縮バイオマス粉末又は微粉化バイオマス粉末を2回以上洗浄することを含み、好ましくは、前記圧縮バイオマス粉末又は微粉化バイオマス粉末が2~10の連続洗浄段階で洗浄され、より好ましくは、前記圧縮バイオマス粉末又は微粉化バイオマス粉末が2~5の連続洗浄段階で洗浄される、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
各連続洗浄段階が、圧縮バイオマス粉末若しくは微粉化バイオマス粉末に水性洗浄液を噴霧すること、及び/又は前記圧縮バイオマス粉末若しくは微粉化バイオマス粉末を前記水性洗浄液中に浸漬させることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
連続洗浄段階が、後の洗浄段階からの水性洗浄排液が、より早期の洗浄段階のための水性洗浄液として使用される向流式で実行され、好ましくは、真新しい水性洗浄液が、最後の洗浄段階において圧縮バイオマス粉末又は微粉化バイオマス粉末を洗浄するために使用され、他の洗浄段階の各々については、使用される前記水性洗浄液が、直後の前記洗浄段階からの前記水性洗浄排液を含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
圧縮バイオマス粉末又は微粉化バイオマス粉末を水性洗浄液で洗浄して、洗浄バイオマス粉末を提供するステップ(iv)中、前記水性洗浄液が5℃~160℃の温度であり、好ましくは、ステップ(iv)の各連続洗浄段階中、前記水性洗浄液が5℃~160℃の温度である、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
圧縮バイオマス粉末又は微粉化バイオマス粉末を水性洗浄液で洗浄して、洗浄バイオマス粉末を提供するステップ(iv)中、前記水性洗浄液が5℃~35℃の温度であり、好ましくは、ステップ(iv)の各連続洗浄段階中、前記水性洗浄液が5℃~35℃の温度である、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
圧縮バイオマス粉末又は微粉化バイオマス粉末を水性洗浄液で洗浄して、洗浄バイオマス粉末を提供するステップ(iv)が、1.1bar~15barの圧力において行われ、好ましくは、ステップ(iv)が大気圧において行われ、より好ましくは、ステップ(iv)が大気圧かつ5℃~35℃の温度において行われる、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
微粉化バイオマス粉末を圧縮して、圧縮バイオマス粉末を提供するステップ(iii)を含む、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
微粉化バイオマス粉末が少なくとも30重量%の水分率を有し、圧縮するステップ(iii)の後、圧縮バイオマス粉末が、30重量%未満、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下の水分率を有する、請求項14に記載方法。
【請求項16】
洗浄バイオマス粉末を機械的に脱水して、脱水バイオマス粉末と水性排液とを提供するステップ(v)が、前記洗浄バイオマス粉末を圧縮することを含む、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
脱水バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥バイオマス粉末を提供するステップ(vi)が、脱水バイオマスを乾燥させて、15重量%未満、好ましくは10重量%~15重量%の水分率を有する乾燥バイオマス粉末を提供することを含む、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
脱水バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥バイオマス粉末を提供するステップ(vi)が、乾燥させながら微粉化バイオマス粉末粒子を混合することをさらに含む、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
脱水バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥バイオマス粉末を提供するステップ(vi)が、乾燥シリンダー中で微粉化バイオマス粉末を乾燥させることを含む、請求項1~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
(a)脱水バイオマス粉末の水分率が20重量%以下であり、方法が、単一の乾燥シリンダー中で前記脱水バイオマス粉末を乾燥させることを含む、又は(b)前記脱水バイオマス粉末の水分率が20重量%以上であり、前記方法が、複数の乾燥シリンダー中で前記脱水バイオマス粉末を乾燥させることを含む、請求項1~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
乾燥バイオマス粉末を成形して、成形バイオマス生成物を提供するステップ(vii)が、前記成形バイオマス生成物の密度が制御されるように、前記成形するステップを適応させることを含み、任意に、前記成形バイオマス生成物の密度が制御されるように、前記成形するステップを適応させることが、前記成形するステップに使用される型の圧縮比を制御することを含む、請求項1~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
乾燥バイオマス粉末を成形するステップ(vii)の前に、前記乾燥バイオマス粉末に添加剤を加え、任意に、前記添加剤が、成形バイオマス生成物の収率を上昇させる、請求項1~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
成形バイオマス生成物を加熱するステップ(viii)が、0.4~2.5時間行われる、及び/又は前記成形バイオマス生成物を加熱するステップが、前記成形バイオマス生成物を、180℃~350℃、任意に210℃~280℃の温度に加熱することを含む、請求項1~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
成形バイオマス生成物を加熱するステップ(viii)が、前記成形バイオマス生成物の焙焼を誘導するための条件下で、前記成形バイオマス生成物を加熱することを含む、請求項1~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
成形バイオマス生成物を加熱するステップ(viii)を、固体バイオマス燃料の一様性が制御されるように適応させ、任意に、ステップ(viii)を、前記固体バイオマス燃料の一様性が制御されるように適応させることが、前記成形バイオマス生成物を加熱しながら回転させる装置において、ステップ(viii)を実施することを含み、任意に、ステップ(viii)を、前記固体バイオマス燃料の一様性が制御されるように適応させることが、前記成形バイオマス生成物の回転の速さ又は方向を制御することを含み、任意に、前記成形バイオマス生成物を、前記装置において、反時計回りと時計回りとの両方の方向に回転させる、請求項1~24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
固体バイオマス燃料を冷却するステップを、加熱するステップ(viii)の後、かつ前記固体バイオマス燃料を水性洗浄液で洗浄するステップ(ix)の前にさらに含む、請求項1~25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
固体バイオマス燃料を水性洗浄液で洗浄するステップ(ix)が、前記固体バイオマス燃料に前記水性洗浄液を噴霧することを含む、請求項1~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップをさらに含み、好ましくは、前記固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップが、前記固体バイオマス燃料を水性洗浄液で洗浄するステップ(ix)と同時に行われる、請求項1~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップが、スクリーンを用いて、前記固体バイオマス燃料から塵粒子を除去することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
スクリーンが2mm~8mmのポアサイズを有し、好ましくは、前記スクリーンが2mm~5mmのポアサイズを有し、より好ましくは、前記スクリーンが2mm~3mmのポアサイズを有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するスクリーニングデバイスとしてドラムシーブが使用され、好ましくは、前記ドラムシーブが回転ドラムシーブを含む、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップが、前記固体バイオマス燃料を、振動、回転、ローリング、又はこれらの任意の組合せに供することを含む、請求項1~31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップが、振動スクリーンを使用することを含み、前記振動スクリーンが2mm~8mmのポアサイズを有し、好ましくは、スクリーンが2mm~5mmのポアサイズを有し、より好ましくは、前記スクリーンが2mm~3mmのポアサイズを有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップが、前記固体バイオマス燃料を水性洗浄液で洗浄するステップ(ix)と同時に行われ、前記固体バイオマス燃料を水性洗浄液で洗浄するステップ(ix)が、前記固体バイオマス燃料に前記水性洗浄液を噴霧することを含み、前記固体バイオマス燃料から前記水性洗浄液を排出するために、スクリーンが使用される、請求項29~33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
1又は2以上のバイオマスの供給源が、トウモロコシ藁、ゴマ藁、麦藁、バナナ樹木、ピーナッツ藁、ヤシ空果房(EFB)、ヤシ繊維、アブラヤシ樹木、例えばアブラヤシ樹木の幹、ヤシ外殻、竹、又はこれらの任意の組合せから本質的になり、又はこれらからなり、
(i)固体バイオマス燃料が、単位重量当たり、前記1若しくは2以上のバイオマスの供給源のカリウム含有量の10重量%未満のカリウム含有量を有する、
(ii)洗浄バイオマス粉末が、単位重量当たり、前記1若しくは2以上のバイオマスの供給源のカリウム含有量の10重量%未満のカリウム含有量を有する、
(iii)前記洗浄バイオマス粉末が、単位重量当たり、前記1若しくは2以上のバイオマスの供給源の窒素含有量の90重量%未満の窒素含有量を有する、
(iv)前記洗浄バイオマス粉末が、単位重量当たり、前記1若しくは2以上のバイオマスの供給源の塩素含有量の90重量%未満の塩素含有量を有する、
(v)前記洗浄バイオマス粉末が、単位重量当たり、前記1若しくは2以上のバイオマスの供給源の硫黄含有量の60%以下の硫黄含有量を有する、及び/又は
(vi)前記固体バイオマス燃料が、単位重量当たり、前記1若しくは2以上のバイオマスの供給源の硫黄含有量の50%以下の硫黄含有量を有する、
請求項1~34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
1又は2以上のバイオマスの供給源が、トウモロコシ藁、ゴマ藁、麦藁、バナナ樹木、ピーナッツ藁、ヤシ空果房(EFB)、ヤシ繊維、ヤシ外殻、アブラヤシ樹木、例えばアブラヤシ樹木の幹、竹、又はこれらの任意の組合せから本質的になり、又はこれらからなる、
(i)洗浄バイオマス粉末の灰分が、単位重量当たり、前記1若しくは2以上のバイオマスの供給源の灰分の75重量%以下である、
(ii)前記洗浄バイオマス粉末の発熱量が、単位重量当たり、前記1若しくは2以上のバイオマスの供給源の発熱量よりも2%以上高い、
(iii)固体バイオマス燃料の固定炭素含有量が、単位重量当たり、前記1若しくは2以上のバイオマスの供給源の固定炭素含有量よりも40%以上高い、
(iv)前記固体バイオマス燃料の揮発性物質含有量が、単位重量当たり、前記1若しくは2以上のバイオマスの供給源の揮発性物質含有量の94%以下である、及び/又は
(v)前記固体バイオマス燃料の発熱量が、単位重量当たり、前記1若しくは2以上のバイオマスの供給源の発熱量よりも16%以上高い、
請求項1~35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
固体バイオマス燃料が、以下の特性:前記固体バイオマス燃料の灰分が、15重量%以下、好ましくは12重量%以下である、前記固体バイオマス燃料のカリウム含有量が、0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の窒素含有量が、2重量%以下、好ましくは1重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の塩素含有量が、0.05重量%以下、好ましくは0.02重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の硫黄含有量が、0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の固定炭素含有量が、40重量%以下、好ましくは30重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の揮発性物質含有量が、15重量%以下、好ましくは12重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の内部水分率が、1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の受け取りベース水分率が、6重量%以下、好ましくは4重量%以下である、又は前記固体バイオマス燃料の発熱量が、4500MJ/Kg以上、好ましくは4750MJ/Kg以上である、の1又は2以上を有し、好ましくは、前記固体バイオマス燃料が、前記特性のすべてを有する、請求項1~36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
1又は2以上のバイオマスの供給源が、麦藁、トウモロコシ藁、又はこれらの組合せから本質的になる、又はこれらからなる、請求項35~37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
硫黄含有量が、DIN EN15289によって決定され、窒素含有量が、DIN EN 15104によって決定され、固定炭素含有量が、DIN EN 51734によって決定され、灰分が550℃において、EN 14775によって決定され、揮発性物質含有量が、DIN EN 15148によって決定され、発熱量が、DIN EN 14918によって決定され、塩素含有量が、ISO16994:2015によって決定され、カリウム含有量が、ISO16995:2015によって決定され、固体バイオマス燃料の受け取りベース水分率が、GB/T211-2017によって決定され、及び/又は前記固体バイオマス燃料の内部水分率が、DIN EN 14774によって決定される、請求項35~38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
DIN EN 15103によって決定される固体バイオマス燃料のバルク密度が、1.0~1.4g/cm、好ましくは1.1~1.3g/cm、より好ましくは1.2~1.3g/cmである、請求項1~39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
固体バイオマス燃料が、最大20日間、好ましくは最大30日間、より好ましくは最大40日間耐水性である、請求項1~40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
固体バイオマス燃料の燃焼時のPM1.0放出が、175mg/kg未満、好ましくは150mg/kg未満である、請求項1~41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
成形バイオマス生成物のバルク密度がAであり、バイオマス固体燃料のバルク密度がBであって、B/Aが0.55~1であり、前記バルク密度がDIN EN 15103に従って決定される、請求項1~42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
バイオマスに由来する材料が、固体バイオマス燃料中に、前記固体バイオマス燃料の総燃料含有量の少なくとも95重量%の量で存在する、請求項1~43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
固体バイオマス燃料を生成するための方法であって、以下の一連のステップ:
(i)1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ、
(ii)前記1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~20,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供するステップ、
任意に、(iii)前記微粉化バイオマス粉末を圧縮して、圧縮バイオマス粉末を提供するステップ、
(iv)前記圧縮バイオマス粉末又は微粉化バイオマス粉末を水性洗浄液で洗浄して、洗浄バイオマス粉末を提供するステップ、
(v)前記洗浄バイオマス粉末を機械的に脱水して、脱水バイオマス粉末と水性排液とを提供するステップ、
(vi)前記脱水バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥バイオマス粉末を提供するステップ、
(vii)前記乾燥バイオマス粉末を成形して、成形バイオマス生成物を提供するステップ、及び
(viii)前記成形バイオマス生成物を、0.25~5時間、160℃~420℃の温度に加熱して、固体バイオマス燃料を提供するステップ
を含み、
前記1又は2以上のバイオマスの供給源が、ゴマ藁、ヤシ空果房(EFB)、ヤシ繊維、アブラヤシ樹木、例えばアブラヤシ樹木の幹、バナナ樹木、カリアンドラ・カロティルスス、アカシア・マンギウム、センゴンジャワ、パラゴムノキ、イネ殻、ヤム、トウモロコシ穂軸、木材、例えば混合木材、ペニセタム・シネセ・Roxb、又はこれらの任意の組合せを含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる、
前記方法。
【請求項46】
固体バイオマス燃料を水性洗浄液で洗浄するステップ(viii)をさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
請求項2~44のいずれかにさらに規定される通りである、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項48】
請求項1~47のいずれかに記載の方法によって得ることできる又は得られた固体バイオマス燃料。
【請求項49】
1又は2以上のバイオマスの供給源に由来する固体バイオマス燃料であって、前記1又は2以上のバイオマスの供給源が、
(i)ゴマ藁からなる、若しくはゴマ藁から本質的になる、
(ii)ヤシ空果房からなる、若しくはヤシ空果房から本質的になる、
(iii)ヤシ繊維からなる、若しくはヤシ繊維から本質的になる、
(iv)バナナ樹木からなる、若しくはバナナ樹木から本質的になる、
(v)アブラヤシ樹木の幹からなる、若しくはアブラヤシ樹木の幹から本質的になる、又は
(vi)農業廃棄物、カリアンドラ・カロティルスス、アカシア・マンギウム、センゴンジャワ、パラゴムノキ、イネ殻、麦藁、ヤム、トウモロコシ穂軸、木材、例えば混合木材、イネ科植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxb、バガス、ヒマワリ茎、小麦茎、トウモロコシ茎、ソルガム茎、大豆茎、ピーナッツ茎、綿茎、菜種茎、ココナッツ殻、ヤシ核外殻(PKS)、アブラヤシ樹木、例えばアブラヤシ樹木の幹、海藻、ピーナッツ皮、若しくはこれらの任意の組合せを含み、これらからなり、若しくはこれらから本質的になり、前記固体バイオマス燃料が、以下の特性:前記固体バイオマス燃料の灰分が、15重量%以下、好ましくは12重量%以下である、前記固体バイオマス燃料のカリウム含有量が、0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の窒素含有量が、2重量%以下、好ましくは1重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の塩素含有量が、0.05重量%以下、好ましくは0.02重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の硫黄含有量が、0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の固定炭素含有量が、40重量%以下、好ましくは30重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の揮発性物質含有量が、15重量%以下、好ましくは12重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の内部水分率が、1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の受け取りベース水分率が、6重量%以下、好ましくは4重量%以下である、若しくは前記固体バイオマス燃料の発熱量が、4500MJ/Kg以上、好ましくは4750MJ/Kg以上である、の1若しくは2以上を有し、好ましくは、前記固体バイオマス燃料が、前記特性のすべてを有する、前記固体バイオマス燃料。
【請求項50】
1若しくは2以上のバイオマスの供給源又は固体バイオマス燃料が、請求項1~47のいずれか1つ又は2つ以上にさらに規定される通りである、請求項48又は49に記載の固体バイオマス燃料。
【請求項51】
請求項48~50のいずれかに記載の固体バイオマス燃料を、エネルギーを生じるように燃焼させるステップを含む、燃焼方法。
【請求項52】
石炭などの化石燃料と一緒に固体バイオマス燃料を同時焼成し、燃焼させる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
方法のPM1.0放出が、175mg/kg未満、好ましくは150mg/kg未満である、請求項51又は52に記載の方法。
【請求項54】
燃焼方法における燃料としての、請求項48~50のいずれかに記載の固体バイオマス燃料の使用であって、任意に、固体バイオマス燃料を、請求項51~53のいずれかに記載の方法に使用することを含み、任意に、前記燃焼方法が、石炭などの化石燃料と一緒に前記固体バイオマス燃料を同時焼成することを含む、前記使用。
【請求項55】
燃焼方法のPM1.0放出が、175mg/kg未満、好ましくは150mg/kg未満である、請求項54に記載の使用。
【請求項56】
固体バイオマス燃料を生成するための1又は2以上のバイオマスの供給源の使用であって、(i)前記1若しくは2以上のバイオマスの供給源が、農業廃棄物、カリアンドラ・カロティルスス、アカシア・マンギウム、センゴンジャワ、パラゴムノキ、イネ殻、麦藁、ヤム、トウモロコシ穂軸、木材、例えば混合木材、イネ科植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxb、バガス、ヒマワリ茎、小麦茎、トウモロコシ茎、ソルガム茎、大豆茎、ピーナッツ茎、綿茎、菜種茎、ココナッツ殻、アブラヤシ樹木、例えばアブラヤシ樹木の幹、ヤシ核外殻(PKS)、海藻、ピーナッツ皮、若しくはこれらの任意の組合せを含み、これらからなり、若しくはこれらから本質的になり、前記固体バイオマス燃料が、以下の特性:前記固体バイオマス燃料の灰分が、15重量%以下、好ましくは12重量%以下である、前記固体バイオマス燃料のカリウム含有量が、0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の窒素含有量が、2重量%以下、好ましくは1重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の塩素含有量が、0.05重量%以下、好ましくは0.02重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の硫黄含有量が、0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の固定炭素含有量が、40重量%以下、好ましくは30重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の揮発性物質含有量が、15重量%以下、好ましくは12重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の内部水分率が、1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下である、前記固体バイオマス燃料の受け取りベース水分率が、6重量%以下、好ましくは4重量%以下である、若しくは前記固体バイオマス燃料の発熱量が、4500MJ/Kg以上、好ましくは4750MJ/Kg以上である、の1若しくは2以上を有し、好ましくは、前記固体バイオマス燃料が、前記特性のすべてを有する、又は(ii)前記1若しくは2以上のバイオマスの供給源が、ゴマ藁、バナナ樹木、ヤシ空果房(EFB)、ヤシ繊維、アブラヤシ樹木の幹、若しくはこれらの組合せからなる、若しくはこれらから本質的になる、前記使用。
【請求項57】
1又は2以上のバイオマスの供給源を、請求項1~47のいずれかに記載の方法に使用することを含む、及び/又は固体バイオマス燃料が、請求項48~50のいずれかに規定される通りである、請求項56に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体バイオマス燃料を生成するための方法、及び前記方法によって生成される固体バイオマス燃料に関する。したがって、本発明は、前記固体バイオマス燃料を、エネルギーを生じるように燃焼させるステップを含む、燃焼方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭火力発電は、世界中で発電所及び工業プロセスにおいて使用されている。石炭及び他の化石燃料は、非再生可能エネルギー資源である。ここ数十年にわたって、石炭火力発電所における石炭の消費を低減し、代わりにエネルギーのために再生可能資源を使用することが要求されている。
【0003】
バイオマスに由来する燃料は、石炭に取って代わる、又は少なくとも部分的に取って代わるように使用することができる、再生可能エネルギー源の一例である。バイオマス由来燃料は、発電所におけるエネルギーを生じるための燃焼方法において、酸素の存在下で燃やすことができる。バイオマス由来燃料は、当初は石炭燃焼用に設計された伝統的な発電所において燃焼させることができ、又はバイオマス由来燃料は、特にバイオマス燃焼用に建設された発電所において燃焼させることができる。ある特定の形態のバイオマスは、石炭と混合して、発電所内の同じ燃焼方法において燃焼させることができる。このような方法は、バイオマスの石炭同時焼成として公知である。石炭との同時焼成に好適であるためには、バイオマス由来燃焼は、典型的には、特性に関するある特定のレベルの質及び均質性など、ある特定の特性を有しなければならない。例えば、均質なサイズ、密度、水分率等の粒子を含むバイオマス燃料は、同時焼成方法に特に望ましい。バイオマス燃料が低レベルの灰を含有することも望ましい。バイオマス由来燃料中の灰のレベルは、典型的には、石炭に見られるレベルよりも高い。
【0004】
バイオマス供給源から固体バイオマス燃料を生成するための様々な方法が公知である。国際公開第2014/087949号パンフレットは、バイオマスの供給源を水蒸気爆砕した後でバイオマスブロックに成形し、次いで、バイオマス燃料が形成されるように加熱する、固体バイオマス燃料を生成するための方法を開示している。この方法の狙いは、貯蔵時の十分な取り扱い性を有し、貯蔵時の排水中の化学的酸素要求量(COD,chemical oxygen demand)が低減した、バイオマス燃料を生成することである。この方法において使用されるバイオマス供給源は、パーム核外殻である。
【0005】
国際公開第2016/056608号パンフレットは、国際公開第2014/087949号パンフレットの教示のもとに構築され、燃料を生成するために水蒸気爆砕ステップを必要としない、固体バイオマス燃料を製造するための方法を開示している。この方法は、バイオマス供給源を粉砕した後、圧縮してバイオマスブロックに成形する、成形するステップを含み、その後バイオマスブロックを加熱する。前記方法における使用について教示されるバイオマス供給源は、ベイマツ、ベイツガ、スギ、ヒノキ、ヨーロッパアカマツ、アーモンド古木、アーモンド外殻、アカシア木部、アカシア樹皮、クルミ外殻、サゴヤシ、空果房、メランティ、及びゴムなどの樹木である。
【0006】
国際公開第2017/175733号パンフレットは、バイオマス供給源を粉砕した後、圧縮してバイオマスブロックに成形する、成形するステップを含み、その後バイオマスブロックを加熱する、同様の方法を開示している。国際公開第2017/175733号パンフレットの方法は、低崩壊を呈し、雨水に曝露した場合の排水中のCODの低減を達成するバイオマス燃料を提供することを対象とする。この方法に使用されるバイオマスの供給源は、ゴムノキ、アカシア、メランティ、ユーカリ、チーク、及びカラマツとトウヒとカバノキとの混合物から選択される。
【0007】
国際公開第2019/069849号パンフレットは、輸送及び貯蔵が容易であり、貯蔵時の自然燃焼への抵抗性があるバイオマス燃料を提供することを狙いとする。バイオマス燃料は、バイオマス供給源を粉砕した後、圧縮してバイオマスブロックに成形する、成形するステップを含み、その後バイオマスブロックを加熱する方法によって作製される。燃料を生成するためのバイオマス供給源は、ゴムノキ、アカシア樹木、ラジアータパイン、カラマツとトウヒとカバノキとの混合物、並びにトウヒ、マツ、及びモミから選択される。
【0008】
国際公開第2019/069860号パンフレットは、バイオマス固体燃料を生成するための装置を開示している。この装置は、成形バイオマス生成物を炭化させて、バイオマス固体燃料を得るための炭化炉を含む。この装置は、収率算出ユニット、温度測定ユニット、及び制御ユニットをさらに含む。制御ユニットは、バイオマス燃料の自然燃焼特性に基づいて、炭化炉に適用される熱を制御する。成形バイオマス生成物は、バイオマス供給源を微粉化してペレットにした後、前記ペレットを成形バイオマス燃料に成形することによって形成される。バイオマス供給源は、ゴムノキ、アカシア、フタバガキ(dipterocarp)、ラジアータパイン、カラマツとトウヒとカバノキとの混合物、又はトウヒとマツとモミとの混合物から選択される。
【0009】
国際公開第2018/181919号パンフレットは、固体バイオマス燃料を生成するための、上に論じたものとは異なる方法を開示している。この方法には、バイオマスの供給源を、バイオマスが炭化されるように熱水中で加圧する、バイオマスの水熱炭化のステップが伴う。この方法は、高収率かつ低減した製造コストで、高い微粉砕性を有するバイオマス燃料を提供することが報告されている。バイオマスの供給源は、殻、パーム核外殻、ココヤシ、竹、空果房、アンズ、及びナスから選択される。
【0010】
国際公開第2017/175737号パンフレットは、炭化バイオマスを冷却するための冷却装置を開示している。この装置は、半炭化成形バイオマスの冷却効率を改善する。この装置はバイオマスを、水を噴霧することによって冷却する。冷却器は、振動平板、及び平板に水を噴霧するための噴霧セクションを含む。バイオマス燃料は、上に論じたものと同じ方法によって生成する。バイオマス燃料を生成するためのバイオマスの供給源は、ベイマツ、ベイツガ、スギ、ヒノキ、ヨーロッパアカマツ、アーモンド古木、アーモンド外殻、アカシア木部、アカシア樹皮、クルミ外殻、サゴヤシ、空果房、メランティ、及びゴムノキである。
【0011】
国際公開第2014/050964号パンフレットは、石炭とともに微粉砕できるように、バイオマスの微粉砕性を改善するための方法を開示している。この方法には、微粉砕木質バイオマスの水分率を10~50%に上昇させること、0.55g/cm以上の密度を有するようにバイオマスを高密度化した後、バイオマスを焙焼に供することが伴う。バイオマスの供給源としては、ウッドチップ、樹皮、経木、及びおがくずが挙げられる。
【0012】
国際公開第2013/162355号パンフレットは、バイオマス固体燃料を調製するための方法であって、バイオマス原材料から塩及び親水性有機物質を除去するために、バイオマス原材料が固体燃料に加工される前に、バイオマス原材料が高温高圧で水によって洗浄される、方法を開示している。洗浄プロセスの根本的理由は、塩並びにその成分、例えば、アルカリ金属及びハロゲン化物イオンを除去することである。このような塩は、低融点の灰を形成し、これによって燃焼時の灰及びベッドマテリアルのスラグ化、付着及び凝塊を生じうるなど、バイオマスが燃焼する際に深刻な問題をもたらすことがある。塩はまた、腐食をもたらすこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2014/087949号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2016/056608号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2017/175733号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2019/069849号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2019/069860号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2018/181919号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2017/175737号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2014/050964号パンフレット
【特許文献9】国際公開第2013/162355号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の発明者らは、上の文献において論じられた固体バイオマス燃料及びその製造のための方法が、これらに関連する様々な問題を有することを認識している。例えば、上の文献に記載されるバイオマス供給源はすべて、典型的には天然にのみ存在し、商業規模において栽培及び収穫することが容易ではない植物及び樹木である。本発明者らは、容易に成長させ、収穫できる、又は商業規模において利用可能なバイオマスの供給源を有することが有利であると認識している。バイオマス供給源の質及び特定の特徴を制御できるように、成長させ、収穫できるバイオマスの供給源を有することも有利である。燃料として使用するための十分な量のバイオマス供給源を提供するために、大規模な伐採を必要としない、代替バイオマス供給源を有することも有利であろう。
【0015】
加えて、本発明者らは、すべて木質材料又は同様の材料を含む、上の文献に記載されるバイオマスの供給源は、当技術分野において公知である従来の微粉化技法に供する場合、低い均質度を有する粒子を形成することを見出した。さらに、バイオマス供給源を微粉化することは、木材及び木材様材料は微粉化が困難であるという性質に起因して、費用がかかる。本発明の発明者らは、当技術分野において公知である従来の微粉化技法によってより容易に微粉化され、微粉化した場合により均質なサイズの粒子を形成するバイオマスの供給源を有することは、有利であると認識している。
【0016】
加えて、本発明者らは、上の文献において論じられたバイオマス供給源から調製される、及び上の文献における方法によって調製される、固体バイオマス燃料は、十分な防水特徴を有しないことを見出した。固体バイオマス燃料は、燃焼方法(単独で、又は石炭との同時焼成の場合のいずれか)に使用する時点で乾燥(又は少なくとも十分に乾燥)している必要があるため、防水特徴は固体バイオマス燃料には重要である。バイオマス燃料は、貯蔵又は輸送中に(例えば雨水から)、頻繁に水分に曝露される。したがって、耐水能力が上昇したバイオマス燃料が望ましい。
【0017】
本発明者らはまた、上の文献に記載されるバイオマス燃料生成方法は、十分な質及び一様性を有する燃料を提供しないことを認識している。特に、上に論じた方法は、成形するステップ中のバイオマスの密度の十分な制御を提供しない。
【0018】
本発明者らはまた、当技術分野において公知である現行の洗浄プロセス、例えば、バイオマス原材料を燃料に加工する前に、洗浄して塩の除去を達成する、上の文献において論じられたプロセスに伴う問題があることを認識している。典型的には、当技術分野において公知であるプロセスでは、十分に低い塩レベルを達成するために、洗浄プロセスのための高温高圧が必要となる。このようなプロセスでは、高温高圧を提供するために必要となるエネルギーに起因して、燃料生成方法のコストが上昇する。本発明者らは、より低温でより効果的な塩の除去を行うことができるように、洗浄プロセスの効率を改善することができれば、有用であろうことを認識している。
【0019】
本発明者らはまた、上の文献において論じられたものなど、当技術分野において公知であるバイオマス燃料生成方法において、かなりの量の塵粒子が固体バイオマス燃料に付着することを認識している。この塵は、固体バイオマス燃料の輸送及び包装中に大気を汚染しうるため、問題である。塵はまた、局地的な環境も汚染しうる。さらに、開放空気中に貯蔵する場合、塵粒子が白カビを形成し、固体バイオマス燃料の性能及び質に影響を及ぼす。したがって、固体バイオマス燃料の粒子の表面の塵は、除去することが有益であることになる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、以前の方法に関連して上に論じた問題に対処するものである。本発明の発明者らは、驚くべきことに、固体バイオマス燃料を提供するのに有用な、ある特定のバイオマスの供給源を、商業規模において成長させ、収穫できることを見出した。そうすることで、決まった一定のバイオマスの供給源を、燃料の生成のために、成長サイクルにおいて提供することができる。加えて、前記バイオマスの供給源を商業規模において成長させ、収穫すると、例えば、栽培及び交配の技法によって、バイオマス供給源の質及び一様性を制御することができる。
【0021】
加えて、本発明の発明者らはまた、農業廃棄生成物である、ある特定のバイオマスの供給源を使用して、固体バイオマス燃料を生成できることを見出した。
【0022】
上記に加えて、本発明の発明者らはまた、方法の微粉化するステップ、成形するステップ及び/又は加熱するステップを変更することによって、改善された耐水特徴を有するバイオマス燃料を提供できることを見出した。本発明の方法の微粉化するステップ、成形するステップ及び加熱するステップの適応及び制御によって、固体バイオマス燃料生成物の質及び一様性が改善し、燃焼方法における使用に非常に好ましいある特定の物理的特徴が、固体バイオマス燃料生成物に付与されることも見出した。さらに、成形するステップ及び加熱するステップを適応させることで、固体バイオマス燃料の収率が上昇し、輸送及び貯蔵を容易にする特徴が、燃料に付与されることが見出されている。本発明者らは、バイオマス供給源の性質と、微粉化、成形及び加熱するステップの特定の特性とがともに作用して、当技術分野において公知のものを超える、燃焼方法における使用のための優れたバイオマス燃料生成物を提供することを見出した。
【0023】
本発明の発明者らによって、塩などの物質を未加工バイオマス材料から除去するための洗浄プロセスの効率は、洗浄するステップへのある特定の適応によって、上昇させられうることも見出されている。下でさらに詳細に説明されるように、洗浄するステップの前に、バイオマス粒子を特定の粒子サイズに微粉化した後、バイオマス粉末を圧縮することで、ある特定の利点を洗浄プロセスに付与することができ、これによって、有効性が上昇することが見出されている。
【0024】
最後に、本発明の発明者らによって、製造後に塵粒子を含む固体バイオマス燃料の問題は、燃料が製造された後、固体バイオマス燃料粒子を水性洗浄液によって洗浄するステップを使用することによって、軽減できることも見出されている。驚くべきことに、このようなステップを使用して、塵粒子を燃料から除去することによって、製造後の固体燃料中に存在する塵粒子の存在に関係する、上に論じた問題を軽減又は排除できることが見出されている。このステップのさらなる利点として、燃料中に存在しうる他の不純物が、洗浄するステップによって除去されうる。このような不純物としては、予備製造物を洗浄するステップによって効果的に除去されていないことがある、上に論じた塩及び親水性有機物質、並びにまた製造中、例えば、成形又は焙焼ステップ中に固体燃料に導入されることがある他の不純物が挙げられる。
【0025】
驚くべきことに、当技術分野において公知である固体バイオマス燃料とは対照的に、本発明の固体バイオマス燃料粒子は、固体バイオマス燃料粒子の良好な耐水特性のため(上に論じた通り)、製造後に水性洗浄液によって洗浄できることが見出されている。多くの以前から公知の固体バイオマス燃料は、洗浄するステップに耐えるのに十分な耐水特性を有しないことに起因して、満足に洗浄することができないことが見出されている。十分には耐水性でない粒子を用いると、洗浄液の適用は、バイオマス固体燃料粒子が水を多く吸収しすぎる、又は劣化する原因になりうる。このような状況では、前記湿潤粒子は、構造的完全性の低減に起因して、水を吸収し、劣化し、分解しうる。したがって、ある特定の公知のバイオマス燃料粒子を、洗浄液によって洗浄できないことが見出されている。対照的に、本発明のバイオマス固体燃料を用いると、上に論じた最適な微粉化、成形及び加熱ステップによって付与されると考えられる、燃料の優れた耐水特性によって、固体バイオマス燃料粒子を損傷することなく、又はその有利な燃料特性を損なうことなく、効果的に洗浄できることを意味する。
【0026】
本発明の第1の態様によれば、固体バイオマス燃料を生成するための方法であって、以下の一連のステップ:
(i)1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ、
(ii)1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~20,000μmの平均粒子直径(average particle diameter)(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供するステップ、
任意に、(iii)微粉化バイオマス粉末を圧縮して、圧縮バイオマス粉末を提供するステップ、
(iv)圧縮バイオマス粉末又は微粉化バイオマス粉末を水性洗浄液で洗浄して、洗浄バイオマス粉末を提供するステップ、
(v)洗浄バイオマス粉末を機械的に脱水して、脱水バイオマス粉末と水性排液とを提供するステップ、
(vi)脱水バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥バイオマス粉末を提供するステップ、
(vii)乾燥バイオマス粉末を成形して、成形バイオマス生成物を提供するステップ、
(viii)成形バイオマス生成物を、0.25~5時間、160℃~420℃の温度に加熱して、固体バイオマス燃料を提供するステップ、及び
(ix)固体バイオマス燃料を水性洗浄液で洗浄するステップ
を含む、方法が提供される。
【0027】
典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源は、農業廃棄物、カリアンドラ・カロティルスス(calliandra calothyrsus)、アカシア・マンギウム(acacia mangium)、センゴンジャワ(albizia chinensis)、パラゴムノキ(hevea brasiliensis)、イネ殻、麦藁、ヤム、トウモロコシ穂軸、木材、例えば混合木材、イネ科植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxb(Pennisetum sinese Roxb)、バガス、ヒマワリ茎、小麦茎、トウモロコシ茎、ソルガム茎、大豆茎、ピーナッツ茎、綿茎、菜種茎、ココナッツ殻、ヤシ核外殻(PKS)、アブラヤシ樹木、例えばアブラヤシ樹木の幹、海藻、ピーナッツ皮、又はこれらの任意の組合せを含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる。好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源は、上に論じた1又は2以上のバイオマスの供給源から本質的になる。
【0028】
好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源は、農業廃棄物、例えば、トウモロコシ藁、ゴマ藁、麦藁、バナナ樹木、ピーナッツ藁、ヤシ空果房(EFB)、ヤシ繊維、ヤシ外殻、アブラヤシ樹木、例えばアブラヤシ樹木の幹、竹、又はこれらの任意の組合せを含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる。好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源は、上に論じた1又は2以上のバイオマスの供給源から本質的になる。
【0029】
より好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源は、麦藁、トウモロコシ藁、又はこれらの組合せを含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる。最も好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源は、麦藁、トウモロコシ藁、又はこれらの組合せから本質的になる。
【0030】
いくつかの実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ(i)は、(a)50重量%未満の水分率を有するように、1若しくは2以上のバイオマスの供給源を圧縮するステップ、及び/又は(b)30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有するように、1若しくは2以上のバイオマスの供給源をチョッピングするステップを含む。これらの実施形態では、好ましくは、方法は、ステップ(a)と(b)との両方を含む。より好ましくは、方法は、1又は2以上のバイオマスの供給源をチョッピングするステップ(b)の前に、1又は2以上のバイオマスの供給源を圧縮するステップ(a)を含む。1又は2以上のバイオマスの供給源が農業廃棄物、例えばイネ科植物を含む場合、方法は、このようなステップを含むことが好ましい。
【0031】
1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率が20重量%以下である実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~20,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供するステップ(ii)は、負圧空気輸送装置の使用を伴う方法で1又は2以上のバイオマスの供給源を粉砕することを含んでもよい。
【0032】
好ましくは、方法は、微粉化バイオマス粉末を圧縮して、圧縮バイオマス粉末を提供するステップ(iii)を含む。典型的には、微粉化バイオマス粉末を圧縮して、圧縮バイオマス粉末を提供するステップ(iii)は、微粉化バイオマス粉末を圧搾して、圧縮バイオマス粉末と水性排液とを提供することを含む。典型的には、微粉化バイオマス粉末を圧縮して、圧縮バイオマス粉末を提供するステップ(iii)は、微粉化バイオマス粉末が30重量%以上の水分率を有する場合に行われる。しかしながら、微粉化バイオマス粉末を圧縮して、圧縮バイオマス粉末を提供するステップ(iii)は、微粉化バイオマス粉末がより低い水分率を有する場合にも行われてもよい。好ましい実施形態では、微粉化バイオマス粉末は30%以上の水分率を有し、微粉化バイオマス粉末を圧搾して、30重量%未満、好ましくは25重量%未満、より好ましくは20重量%未満の水分率を有する圧縮バイオマス粉末を提供する。
【0033】
典型的には、圧縮バイオマス粉末又は微粉化バイオマス粉末を水性洗浄液で洗浄して、洗浄バイオマス粉末を提供するステップ(iv)は、圧縮バイオマス粉末又は微粉化バイオマス粉末を2回以上洗浄することを含み、好ましくは、圧縮バイオマス粉末又は微粉化バイオマス粉末は2~10の連続洗浄段階で洗浄され、より好ましくは、圧縮バイオマス粉末又は微粉化バイオマス粉末は2~5の連続洗浄段階で洗浄される。典型的には、各連続洗浄段階は、圧縮バイオマス粉末若しくは微粉化バイオマス粉末に水性洗浄液を噴霧すること、及び/又は圧縮バイオマス粉末若しくは微粉化バイオマス粉末を水性洗浄液中に浸漬させることを含む。
【0034】
典型的には、連続洗浄段階は、後の洗浄段階からの水性洗浄排液が、より早期の洗浄段階のための水性洗浄液として使用される向流式で実行され、より好ましくは、真新しい水性洗浄液が、最後の洗浄段階において圧縮バイオマス粉末又は微粉化バイオマス粉末を洗浄するために使用され、他の洗浄段階の各々については、使用される水性洗浄液が、直後の洗浄段階からの水性洗浄排液を含む。
【0035】
代替実施形態では、洗浄するステップ(iv)は、微粉化バイオマス粉末又は圧縮バイオマス粉末を、向流洗浄メカニズムを通じて水性洗浄液で洗浄することを含み、洗浄するステップ(iv)は、微粉化バイオマス粉末又は圧縮バイオマス粉末を、装置を通して第1の方向に輸送するように適応させたスクリューを含む装置において行われ、装置は、水性洗浄液を受け入れ、装置を通して、第1の方向とは反対の第2の方向に輸送するように適応しており、その結果、水性洗浄液は、微粉化バイオマス粉末又は圧縮バイオマス粉末と装置内で接触する。
【0036】
典型的には、圧縮バイオマス粉末を水性洗浄液で洗浄して、洗浄バイオマス粉末を提供するステップ(iv)中、水性洗浄液は5℃~160℃の温度である。典型的には、ステップ(iv)の各連続洗浄段階中、水性洗浄液は5℃~160℃の温度である。好ましくは、圧縮バイオマス粉末を水性洗浄液で洗浄して、洗浄バイオマス粉末を提供するステップ(iv)中、水性洗浄液は5℃~35℃の温度である。より好ましくは、ステップ(iv)の各連続洗浄段階中、水性洗浄液は5℃~35℃の温度である。
【0037】
典型的には、圧縮バイオマス粉末又は微粉化バイオマス粉末を水性洗浄液で洗浄して、洗浄バイオマス粉末を提供するステップ(iv)は、1.1bar~15barの圧力において行われ、好ましくは、ステップ(iv)は大気圧において行われ、より好ましくは、ステップ(iv)は大気圧かつ5℃~35℃の温度において行われる。
【0038】
典型的には、洗浄バイオマス粉末を機械的に脱水して、脱水バイオマス粉末と水性排液とを提供するステップ(v)は、洗浄バイオマス粉末を圧縮することを含む。
【0039】
典型的には、脱水バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥バイオマス粉末を提供するステップ(vi)は、脱水バイオマスを乾燥させて、15重量%未満、好ましくは10重量%~15重量%の水分率を有する乾燥バイオマス粉末を提供することを含む。
【0040】
典型的には、脱水バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥バイオマス粉末を提供するステップ(vi)は、微粉化バイオマス粉末粒子を乾燥させながら混合することをさらに含む。
【0041】
典型的には、脱水バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥バイオマス粉末を提供するステップ(vi)は、乾燥シリンダー中で微粉化バイオマス粉末を乾燥させることを含む。
【0042】
典型的には、脱水バイオマス粉末の水分率が20重量%以下である場合、方法は、単一の乾燥シリンダー中で脱水バイオマス粉末を乾燥させることを含む。典型的には、脱水バイオマス粉末の水分率が20重量%以上である場合、方法は、複数の乾燥シリンダー中で脱水バイオマス粉末を乾燥させることを含む。
【0043】
典型的には、乾燥バイオマス粉末を成形して、成形バイオマス生成物を提供するステップ(vii)は、成形バイオマス生成物の密度が制御されるように、成形するステップを適応させることを含み、任意に、成形バイオマス生成物の密度が制御されるように、成形するステップを適応させることは、前記成形するステップに使用される型の圧縮比を制御することを含んでもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、乾燥バイオマス粉末を成形するステップ(vii)の前に、乾燥バイオマス粉末に添加剤を加え、添加剤は、成形バイオマス生成物の収率を上昇させてもよい。
【0045】
典型的には、成形バイオマス生成物を加熱するステップ(viii)は、0.4~2.5時間行われる。
【0046】
典型的には、成形バイオマス生成物を加熱するステップは、成形バイオマス生成物を、180℃~350℃、好ましくは210℃~280℃の温度に加熱することを含む。
【0047】
好ましくは、成形バイオマス生成物を加熱するステップ(viii)は、0.4~2.5時間行われ、成形バイオマス生成物を加熱するステップは、成形バイオマス生成物を、180℃~350℃の温度に加熱することを含み、210℃~280℃の温度に加熱することを含んでもよい。
【0048】
典型的には、成形バイオマス生成物を加熱するステップ(viii)は、成形バイオマス生成物の焙焼を誘導するための条件下で、成形バイオマス生成物を加熱することを含む。
【0049】
典型的には、成形バイオマス生成物を加熱するステップ(viii)は、固体バイオマス燃料の一様性が制御されるように適応させ、好ましくは、固体バイオマス燃料の一様性が制御されるようにステップ(viii)を適応させることは、成形バイオマス生成物を加熱しながら回転させる装置において、ステップ(viii)を実施することを含む。好ましくは、固体バイオマス燃料の一様性が制御されるようにステップ(viii)を適応させることは、装置内の成形バイオマス生成物の回転の速さ又は方向を制御することを含む。より好ましい実施形態では、成形バイオマス生成物を、装置において、反時計回りと時計回りとの両方の方向に回転させる。
【0050】
典型的には、方法は、固体バイオマス燃料を冷却するステップを、加熱するステップ(viii)の後、かつ固体バイオマス燃料を水性洗浄液で洗浄するステップ(ix)の前にさらに含む。
【0051】
典型的には、固体バイオマス燃料を水性洗浄液で洗浄するステップ(ix)は、固体バイオマス燃料に水性洗浄液を噴霧することを含む。
【0052】
典型的には、方法は、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップをさらに含み、好ましくは、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップは、固体バイオマス燃料を水性洗浄液で洗浄するステップ(ix)と同時に行われる。好ましくは、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップは、スクリーンを用いて、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去することを含む。典型的には、スクリーンは2mm~8mmのポアサイズを有し、好ましくは、スクリーンは2mm~5mmのポアサイズを有し、より好ましくは、スクリーンは2mm~3mmのポアサイズを有する。
【0053】
いくつかの実施形態では、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するスクリーニングデバイスとしてドラムシーブが使用され、好ましくは、ドラムシーブは回転ドラムシーブを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップは、固体バイオマス燃料を、振動、回転、ローリング、又はこれらの任意の組合せに供することを含む。このような実施形態では、典型的には、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップは、振動スクリーンを使用することを含み、振動スクリーンは、2mm~8mmのポアサイズを有し、好ましくは、スクリーンは2mm~5mmのポアサイズを有し、より好ましくは、スクリーンは2mm~3mmのポアサイズを有する。
【0055】
好ましくは、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップは、固体バイオマス燃料を水性洗浄液で洗浄するステップ(ix)と同時に行われ、固体バイオマス燃料を水性洗浄液で洗浄するステップ(ix)は、固体バイオマス燃料に水性洗浄液を噴霧することを含み、固体バイオマス燃料から水性洗浄液を排出するために、スクリーンが使用される。
【0056】
いくつかの実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、トウモロコシ藁、ゴマ藁、麦藁、バナナ樹木、ピーナッツ藁、ヤシ空果房(EFB)、ヤシ繊維、ヤシ外殻、アブラヤシ樹木、例えばアブラヤシ樹木の幹、竹、又はこれらの任意の組合せから本質的になり、又はこれらからなり、
(i)固体バイオマス燃料は、単位重量当たり、1若しくは2以上のバイオマスの供給源のカリウム含有量の10重量%未満のカリウム含有量を有する、
(ii)洗浄バイオマス粉末は、単位重量当たり、1若しくは2以上のバイオマスの供給源のカリウム含有量の10重量%未満のカリウム含有量を有する、
(iii)洗浄バイオマス粉末は、単位重量当たり、1若しくは2以上のバイオマスの供給源の窒素含有量の90重量%未満の窒素含有量を有する、
(iv)洗浄バイオマス粉末は、単位重量当たり、1若しくは2以上のバイオマスの供給源の塩素含有量の90重量%未満の塩素含有量を有する、
(v)洗浄バイオマス粉末は、単位重量当たり、1若しくは2以上のバイオマスの供給源の硫黄含有量の60%以下の硫黄含有量を有する、及び/又は
(vi)固体バイオマス燃料は、単位重量当たり、1若しくは2以上のバイオマスの供給源の硫黄含有量の50%以下の硫黄含有量を有する。
【0057】
いくつかの実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、トウモロコシ藁、ゴマ藁、麦藁、バナナ樹木、ピーナッツ藁、ヤシ空果房(EFB)、ヤシ繊維、ヤシ外殻、アブラヤシ樹木、例えばアブラヤシ樹木の幹、竹、又はこれらの任意の組合せから本質的になり、又はこれらからなり、
(i)洗浄バイオマス粉末の灰分は、単位重量当たり、1若しくは2以上のバイオマスの供給源の灰分の75重量%以下である、
(ii)洗浄バイオマス粉末の発熱量は、単位重量当たり、1若しくは2以上のバイオマスの供給源の発熱量よりも2%以上高い、
(iii)固体バイオマス燃料の固定炭素含有量は、単位重量当たり、1若しくは2以上のバイオマスの供給源の固定炭素含有量よりも40%以上高い、
(iv)固体バイオマス燃料の揮発性物質含有量は、単位重量当たり、1若しくは2以上のバイオマスの供給源の揮発性物質含有量の94%以下である、及び/又は
(v)固体バイオマス燃料の発熱量は、単位重量当たり、1若しくは2以上のバイオマスの供給源の発熱量よりも16%以上高い。
【0058】
いくつかの実施形態では、固体バイオマス燃料は、以下の特性:固体バイオマス燃料の灰分が、15重量%以下、好ましくは12重量%以下である、固体バイオマス燃料のカリウム含有量が、0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である、固体バイオマス燃料の窒素含有量が、2重量%以下、好ましくは1重量%以下である、固体バイオマス燃料の塩素含有量が、0.05重量%以下、好ましくは0.02重量%以下である、固体バイオマス燃料の硫黄含有量が、0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である、固体バイオマス燃料の固定炭素含有量が、40重量%以下、好ましくは30重量%以下である、固体バイオマス燃料の揮発性物質含有量が、15重量%以下、好ましくは12重量%以下である、固体バイオマス燃料の内部水分率が、1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下である、固体バイオマス燃料の受け取りベース水分率が、6重量%以下、好ましくは4重量%以下である、又は固体バイオマス燃料の発熱量が、4500MJ/Kg以上、好ましくは4750MJ/Kg以上である、の1又は2以上を有し、好ましくは、固体バイオマス燃料は、前記特性のすべてを有する。
【0059】
上に記載した実施形態では、好ましくは、硫黄含有量は、DIN EN15289によって決定され、窒素含有量は、DIN EN 15104によって決定され、固定炭素含有量は、DIN EN 51734によって決定され、灰分は550℃において、EN 14775によって決定され、揮発性物質含有量は、DIN EN 15148によって決定され、発熱量は、DIN EN 14918によって決定され、塩素含有量は、ISO16994:2015によって決定され、カリウム含有量は、ISO16995:2015によって決定され、固体バイオマス燃料の受け取りベース水分率は、GB/T211-2017によって決定され、及び/又は固体バイオマス燃料の内部水分率は、DIN EN 14774によって決定される。
【0060】
非常に好ましい実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、麦藁、トウモロコシ藁、又はこれらの組合せから本質的になる、又はこれらからなる。
【0061】
好ましくは、DIN EN 15103によって決定される固体バイオマス燃料のバルク密度は、1.0~1.4g/cm、好ましくは1.1~1.3g/cm、最も好ましくは1.2~1.3g/cmである。
【0062】
好ましくは、固体バイオマス燃料は、最大20日間、好ましくは最大30日間、より好ましくは最大40日間耐水性である。
【0063】
好ましくは、固体バイオマス燃料の燃焼時のPM1.0放出は、175mg/kg未満、好ましくは150mg/kg未満である。
【0064】
好ましくは、成形バイオマス生成物のバルク密度がAであり、バイオマス固体燃料のバルク密度がBであって、B/Aは0.55~1であり、バルク密度はDIN EN 15103に従って決定される。
【0065】
好ましくは、バイオマスに由来する材料は、固体バイオマス燃料中に、固体バイオマス燃料の総燃料含有量の少なくとも95重量%の量で存在する。
【0066】
本発明の第2の態様によれば、固体バイオマス燃料を生成するための方法であって、以下の一連のステップ:
(i)1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ、
(ii)1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~20,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供するステップ、
任意に、(iii)微粉化バイオマス粉末を圧縮して、圧縮バイオマス粉末を提供するステップ、
(iv)圧縮バイオマス粉末を水性洗浄液で洗浄して、洗浄バイオマス粉末を提供するステップ、
(v)洗浄バイオマス粉末を機械的に脱水して、脱水バイオマス粉末と水性排液とを提供するステップ、
(vi)脱水バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥バイオマス粉末を提供するステップ、
(vii)乾燥バイオマス粉末を成形して、成形バイオマス生成物を提供するステップ、及び
(viii)成形バイオマス生成物を、0.25~5時間、160℃~420℃の温度に加熱して、固体バイオマス燃料を提供するステップ
を含み、
1又は2以上のバイオマスの供給源が、ゴマ藁、ヤシ空果房(EFB)、ヤシ繊維、アブラヤシ樹木、例えばアブラヤシ樹木の幹、バナナ樹木、カリアンドラ・カロティルスス、アカシア・マンギウム、センゴンジャワ、パラゴムノキ、イネ殻、ヤム、トウモロコシ穂軸、木材、例えば混合木材、ペニセタム・シネセ・Roxb、又はこれらの任意の組合せを含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる、
方法が提供される。
【0067】
好ましくは、方法は、固体バイオマス燃料を水性洗浄液で洗浄するステップ(viii)をさらに含む。
【0068】
好ましくは、方法は、本発明の第1の態様に従って上に記載した通りである。
【0069】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1又は第2の態様による方法によって得ることができる又は得られた固体バイオマス燃料が提供される。
【0070】
本発明の第4の態様によれば、1又は2以上のバイオマスの供給源に由来する固体バイオマス燃料であって、1又は2以上のバイオマスの供給源が、
(i)ゴマ藁からなる、若しくはゴマ藁から本質的になる、
(ii)ヤシ空果房からなる、若しくはヤシ空果房から本質的になる、
(iii)ヤシ繊維からなる、若しくはヤシ繊維から本質的になる、
(iv)バナナ樹木からなる、若しくはバナナ樹木から本質的になる、
(v)アブラヤシ樹木の幹からなる、若しくはアブラヤシ樹木の幹から本質的になる、又は
(vi)農業廃棄物、カリアンドラ・カロティルスス、アカシア・マンギウム、センゴンジャワ、パラゴムノキ、イネ殻、麦藁、ヤム、トウモロコシ穂軸、木材、例えば混合木材、イネ科植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxb、バガス、ヒマワリ茎、小麦茎、トウモロコシ茎、ソルガム茎、大豆茎、ピーナッツ茎、綿茎、菜種茎、ココナッツ殻、ヤシ核外殻(PKS)、アブラヤシ樹木、例えばアブラヤシ樹木の幹、海藻、ピーナッツ皮、若しくはこれらの任意の組合せを含み、これらからなり、若しくはこれらから本質的になり、固体バイオマス燃料が、以下の特性:固体バイオマス燃料の灰分が、15重量%以下、好ましくは12重量%以下である、固体バイオマス燃料のカリウム含有量が、0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である、固体バイオマス燃料の窒素含有量が、2重量%以下、好ましくは1重量%以下である、固体バイオマス燃料の塩素含有量が、0.05重量%以下、好ましくは0.02重量%以下である、固体バイオマス燃料の硫黄含有量が、0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である、固体バイオマス燃料の固定炭素含有量が、40重量%以下、好ましくは30重量%以下である、固体バイオマス燃料の揮発性物質含有量が、15重量%以下、好ましくは12重量%以下である、固体バイオマス燃料の内部水分率が、1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下である、固体バイオマス燃料の受け取りベース水分率が、6重量%以下、好ましくは4重量%以下である、若しくは固体バイオマス燃料の発熱量が、4500MJ/Kg以上、好ましくは4750MJ/Kg以上である、の1若しくは2以上を有し、好ましくは、固体バイオマス燃料が、前記特性のすべてを有する、
固体バイオマス燃料が提供される。
【0071】
固体バイオマス燃料が上の選択肢(v)において規定された通りである場合、好ましくは、固体バイオマス燃料は、言及した1若しくは2以上のバイオマスの供給源からなる、又はこれらから本質的になる1又は2以上のバイオマスの供給源に由来する。
【0072】
好ましくは、1若しくは2以上のバイオマスの供給源、又は固体バイオマス燃料は、本発明の第1及び第2の態様に従って上に論じた通りである。
【0073】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第3又は第4の態様に従った固体バイオマス燃料を、エネルギーを生じるように燃焼させるステップを含む、燃焼プロセスが提供される。
【0074】
好ましくは、石炭などの化石燃料と一緒に固体バイオマス燃料を同時焼成し、燃焼させる。
【0075】
好ましくは、方法のPM1.0放出は、175mg/kg未満、好ましくは150mg/kg未満である。
【0076】
本発明の第6の態様によれば、燃焼プロセスにおける本発明の第3又は第4の態様による固体バイオマス燃料の使用であって、本発明の第5の態様による方法において固体バイオマス燃料を使用することを含んでもよく、燃焼方法が、石炭などの化石燃料と一緒に固体バイオマス燃料を同時焼成することを含んでもよい、使用が提供される。
【0077】
好ましくは、燃焼プロセスのPM1.0放出は、175mg/kg未満、好ましくは150mg/kg未満である。
【0078】
本発明の第7の態様によれば、固体バイオマス燃料を生成するための1又は2以上のバイオマスの供給源の使用であって、(i)1若しくは2以上のバイオマスの供給源が、農業廃棄物、カリアンドラ・カロティルスス、アカシア・マンギウム、センゴンジャワ、パラゴムノキ、イネ殻、麦藁、ヤム、トウモロコシ穂軸、木材、例えば混合木材、イネ科植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxb、バガス、ヒマワリ茎、小麦茎、トウモロコシ茎、ソルガム茎、大豆茎、ピーナッツ茎、綿茎、菜種茎、ココナッツ殻、ヤシ核外殻(PKS)、アブラヤシ樹木、例えばアブラヤシ樹木の幹、海藻、ピーナッツ皮、若しくはこれらの任意の組合せを含み、これらからなり、若しくはこれらから本質的になり、固体バイオマス燃料が、以下の特性:固体バイオマス燃料の灰分が、15重量%以下、好ましくは12重量%以下である、固体バイオマス燃料のカリウム含有量が、0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である、固体バイオマス燃料の窒素含有量が、2重量%以下、好ましくは1重量%以下である、固体バイオマス燃料の塩素含有量が、0.05重量%以下、好ましくは0.02重量%以下である、固体バイオマス燃料の硫黄含有量が、0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である、固体バイオマス燃料の固定炭素含有量が、40重量%以下、好ましくは30重量%以下である、固体バイオマス燃料の揮発性物質含有量が、15重量%以下、好ましくは12重量%以下である、固体バイオマス燃料の内部水分率が、1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下である、固体バイオマス燃料の受け取りベース水分率が、6重量%以下、好ましくは4重量%以下である、若しくは固体バイオマス燃料の発熱量が、4500MJ/Kg以上、好ましくは4750MJ/Kg以上である、の1若しくは2以上を有する、好ましくは、固体バイオマス燃料が、前記特性のすべてを有する、又は(ii)1若しくは2以上のバイオマスの供給源が、ゴマ藁、バナナ樹木、ヤシ空果房(EFB)、アブラヤシ樹木の幹、ヤシ繊維、若しくはこれらの組合せからなる、若しくはこれらから本質的になる、使用が提供される。
【0079】
好ましくは、使用は、本発明の第1若しくは第2の態様による方法において、1若しくは2以上のバイオマスの供給源を使用することを含み、及び/又は固体バイオマス燃料は、本発明の第3若しくは第4の態様によるものである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1】本発明の方法において使用されうる、チップ化装置の写真である。
図2】本発明の方法において使用されうる、圧縮装置の写真である。
図3】本発明の方法において使用されうる、圧縮装置の写真である。
図4】本発明の方法において使用されうる、圧縮装置の略図である。
図5】本発明の方法の洗浄するステップ(iv)のために使用されうる装置の略図である。
図6】本発明の方法に従って使用されうる、圧縮型の略図である。
図7】~
図8】本発明の方法において、バイオマス固体燃料粒子のローリング、回転及び振動のために使用されうる装置を示す図である。
図9】本発明の方法の洗浄するステップ(iv)のために使用することができる装置のさらなる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
バイオマスの供給源
本発明において使用される1又は2以上のバイオマスの供給源は、固体バイオマス燃料に加工するのに好適な、任意の形態の植物系バイオマスであってもよい。好ましくは、本発明に従って使用される1又は2以上のバイオマスの供給源は、上に論じたもののいずれかである。典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源は農業廃棄物を含む。本発明に従って使用するために上述したバイオマスの供給源の多くは、農業廃棄物であってもよい。本明細書で使用される「農業廃棄物」という用語は、典型的には、農業操業の副生成物として生成する植物系廃棄生成物を指す。例えば、農業廃棄物は、収穫されて残った植物系生成物、又は収穫された植物系生成物の不用な成分を含みうる。
【0082】
本発明に従って使用されるバイオマスの供給源は、農業操業の副生成物として、農業廃棄物として生成しうる。あるいは、これらのバイオマスの供給源は、特に、バイオマス固体燃料の調製のための供給原料とする目的のために成長させてもよい。トウモロコシ茎は、農業廃棄物として生成しうる材料の特定の例である。例えば、ヒトが消費するために、トウモロコシを育て、収穫してもよい。ヒトが消費するためのトウモロコシ植物を加工する場合、加工には、非食用のトウモロコシ穂軸から、食用のトウモロコシを取り去ることが伴いうる。したがって、トウモロコシ穂軸及び茎は、農業廃棄生成物である。
【0083】
本発明において使用される1又は2以上のバイオマスの供給源、例えば上に論じたものは、当技術分野において公知の従来の方法によって得る又は収穫することができる。
【0084】
本明細書で使用される「含む(comprising)」という用語は、任意のさらなる不定の成分が存在してもよいことを意味するために使用される。本明細書で使用される「からなる(consisting)」という用語は、特に列挙されたもの以外のさらなる成分が、存在してはならないことを意味するために使用される。本明細書で使用される「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、さらなる不定の成分が存在してもよいが、これらの成分は、組成物の本質的な特徴には実質的に影響しないことを意味するために使用される。
【0085】
上に論じたように、本発明に使用する特定の好ましい1又は2以上のバイオマスの供給源は、商業規模において成長させ、収穫することができ、先行技術において使用される材料と比較して、バイオマス供給源の質及び特定の特徴の制御の上昇を提供することが見出されている。前記材料の使用によって、必要な伐採など、樹木を使用することに関連する環境への損害も回避される。
【0086】
本発明に使用する1又は2以上のバイオマスの供給源の使用では、驚くべきことに、木材などの前記以前から使用されていた材料よりも、微粉砕するのが容易であることも見出されている。これによって、微粉砕プロセスのコストが低減する。
【0087】
本発明の材料の使用はまた、微粉砕する場合、木材などの前記以前から使用されていた材料よりも、均質な粒子サイズのミックスを提供する。理論によって限定されるものではないが、これによって、バイオマス燃料生成物のより高い一様性及び連続性など、最終的な固体燃料生成物に有利な特性が付与されると考えられる。これは、複数の理由のために、燃焼方法において望ましい。
【0088】
1又は2以上のバイオマスの供給源の準備
1又は2以上のバイオマスの供給源は、当技術分野において公知である従来の収穫技法及び加工技法によって提供されうる。上に論じたように、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有する、1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップを含んでもよい。
【0089】
バイオマス供給源の1又は2以上の供給源は、当技術分野において公知の標準的な技法によって、サイズを低減してもよい。バイオマスは、30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)、例えば40,000μm~50,000μmの平均粒子直径をバイオマスが有するように、サイズを低減してもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、従来のチップ化装置に導入することによって、上記範囲におけるサイズを有する粒子として準備されるが、これは当然、特定のバイオマスの供給源次第である。例えば、バイオマスの供給源が自然に存在し、粒子が上記範囲におけるサイズを有するならば、チップ化は必要でないことになる。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有するように、1又は2以上のバイオマスの供給源をチョッピングするステップを含んでもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有する1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップは、従来のコンバインで1又は2以上のバイオマスの供給源を収穫することを含んでもよい。コンバインプロセスは、1又は2以上のバイオマスの供給源を所望のサイズの粒子にチョッピングすること、及び分解することを伴う。
【0092】
30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有する1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップは、バイオマスの水分率を50重量%未満に低減することをさらに含んでもよい。このようなステップは、1又は2以上のバイオマスの供給源を圧縮することを含んでもよい。この圧縮ステップは、典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率が、50重量%未満に低減するように、1又は2以上のバイオマスの供給源から水分を圧搾する。したがって、いくつかの実施形態では、上に論じた粒子サイズを有するバイオマスを準備するステップは、70重量%超の水分率を有する1又は2以上のバイオマスの供給源を、圧縮後には、1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率が50重量%未満となるように、圧縮するステップを含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、上に論じた粒子サイズを有するバイオマスを準備するステップは、バイオマスを圧縮するステップ、及びまたバイオマスをチョッピングするステップの両方を含む。
【0094】
チョッピングするステップ、及び圧縮ステップ(含まれる場合)は、別々の装置を使用して行ってもよい。あるいは、これらのステップを、バイオマスのチップ化と圧縮との両方のために構成された、単一の装置において行ってもよい。例えば、バイオマスを圧縮するのに好適なモーター付きローリングデバイスを、従来のチップ化デバイスに供給する搬送ベルト上に設置してもよい。この点において、バイオマス供給源はチッパーに入る前に圧縮される。1又は2以上のバイオマスの供給源を圧縮及びチップ化するステップを行うのに好適な装置は、当技術分野において公知である。チップ化のために使用される装置の例を、図1に示す。図1に示したものなどのチップ化装置は、典型的には、供給ポートを通じて材料を供給する搬送ベルトなどの搬送システムを介して、材料がチッパーに入るという原理において動作する。次いで、高速回転ブレード(図示せず)及び機械の基部に取り付けられたブレード(図示せず)によって、材料が切断されてチップとなる。前記メカニズム及び同様のチップ化メカニズムの機能は、当技術分野における当業者には公知である。
【0095】
圧縮ステップのために使用される装置の例を、図2に示す。
【0096】
上に論じたように、いくつかの実施形態では、図2に示したものなどのローリングデバイスを搬送ベルト上に設置して、供給源材料を圧縮した後で、前記供給源材料を図1に示したものなどのチップ化デバイスに入れることができる。
【0097】
他の実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップは、1若しくは2以上のバイオマスの供給源を圧縮することを含まない、及び/又は1若しくは2以上のバイオマスの供給源の水分率を低減させることを含まない。
【0098】
バイオマスの微粉化
ステップ(ii)は、1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~20,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供することを含む。
【0099】
バイオマス供給源は、当技術分野において公知の標準技法によって、バイオマス粉末に微粉化されうる。バイオマス供給源は、バイオマス粉末が1000μm~20,000μmの平均粒子直径(D50)を有するように、微粉化されうる。好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源は微粉化されて、1000μm~10,000μm、より好ましくは1000~5000μmの平均粒子直径を有する。上に論じたように、本発明における使用のために特定の好ましいバイオマス供給源を微粉化することで、以前から公知のバイオマス供給源、例えば木材を微粉砕することによって提供されるよりも小さい、有利な粒子サイズ分布を有するバイオマス粉末が提供されることが見出されている。
【0100】
上で特定した限度内で微粉化バイオマス粉末の粒子が小さいほど、バイオマス固体燃料生成物の質及び性能特徴が向上することがさらに見出されている。理論によって限定されるものではないが、これは最終的な固体バイオマス燃料生成物の一様性及び均質性がより高いためと考えられる。最終的な燃料生成物の粉末粒子サイズを小さくし、一様性及び均質性を高めることは、燃料の燃焼時における性能特徴の向上、また固体燃料生成物の防水特徴の向上につながると考えられる。
【0101】
微粉化の前に、1又は2以上のバイオマスの供給源は、典型的には30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有し、典型的には50重量%未満の水分を含む。
【0102】
異なる水分率を有する、異なるバイオマスの供給源においては、異なる微粉化方法が好ましい。例えば、1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率が20重量%以下である場合、好ましくは、バイオマスを微粉化するステップは、負圧空気輸送装置の使用を伴う。そのような負圧空気輸送装置は、当技術分野において公知である。
【0103】
1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率が20重量%以上である場合、1又は2以上のバイオマスの供給源は、負圧空気輸送装置を使用せずに直接微粉化してもよい。
【0104】
上に論じたように、驚くべきことに、1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~20,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供することによって、続いて行われる洗浄するステップ(iv)に、ある特定の利点が提供されることが見出されている。理論によって限定されるものではないが、粒子サイズの低減によって、洗浄するステップの効率が促進されると考えられる。微粉化によって粒子サイズを低減することで、バイオマスの供給源の表面積が増加する。微粉化バイオマスを続いて洗浄する場合、表面積がより大きいことは、より小さな表面積の粒子を洗浄する場合よりも、効率的かつ効果的に洗浄が行われることを意味する。洗浄プロセスの効率及び有効性がより大きいとは、洗浄するステップにより過酷でない条件を使用できること、例えば、洗浄するステップに使用される水性洗浄液がより低温であってもよいことを意味する。より低温の水性洗浄液は、水が低温であるので、水を液体として保つための高圧を必要としないため、低圧を使用してよいことも意味する。方法について低温低圧であることは、方法のコストを、大きな表面積を有するバイオマス粒子のより効果的な洗浄を提供するために、典型的には高温高圧の洗浄するステップを使用する先行技術の方法と比較して、低減できることを意味する。より低い温度及び圧力を使用することによって、安全性も上昇する。したがって、洗浄する前に微粉化ステップを使用することによって、効率が導入される。微粉化ステップに起因して、バイオマス原材料を効果的に洗浄するために、典型的には、非常に多くの連続洗浄段階を使用する先行技術のプロセスよりも、連続的でない洗浄段階を使用することもできうる。
【0105】
しかしながら、本発明の発明者らによって、洗浄プロセスの効率及び有効性を上昇させることは、単にバイオマスの供給源を、表面積が増加した任意の小さなバイオマス粒子サイズに微粉化することほど単純ではないことが見出されている。バイオマスのサイズを低減しすぎると(1000μm未満)、洗浄プロセスの有効性は悪影響を受ける。これは、とりわけ、水と微粉化バイオマスとの混合物は、固体粒子の構造的完全性が低下したスラリーを形成しうるため、洗浄後に水を洗浄バイオマスから分離すること(例えば、後続の圧縮ステップにおいて)が非常に困難であること、及び洗浄するステップ中に(例えば、洗浄水をバイオマスから排出するために、メッシュ又はスクリーンを使用する場合)、洗浄水が微粉化バイオマスを運び去ることがあり、これが起こるのを防止するための複雑な機器を使用しない限り、方法の収率が低下しうるという事実に起因する。したがって、後続の洗浄するステップの効率を増強するためには、このように、1000μm~20,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末が、最適であることが見出されている。
【0106】
微粉化バイオマス粉末の圧縮
本発明の方法は、微粉化バイオマス粉末を圧縮して、圧縮バイオマス粉末を提供するステップ(iii)を含んでもよい。
【0107】
微粉化後のバイオマスの圧縮は、バイオマス粉末が30重量%超の水分率を有する場合、典型的には所望されうるが、圧縮は、より低い水分率を有するバイオマス粉末に対しても行われうる。一般に、洗浄する前にバイオマス粉末を圧縮することは、微粉化バイオマスの水分率とは関係なく、有利であることが見出されている。
【0108】
圧縮ステップには、当技術分野において公知である好適な装置を使用して、バイオマス粉末を圧縮することが伴いうる。このような装置の例を、図3に示す。このような装置は、液圧圧縮デバイスによってバイオマス粉末を圧縮することによって動作する。材料を、図3に示したメッシュ付きコンテナに挿入することができる。次いで、材料を、液圧圧縮デバイスによる液圧圧縮に供してもよく、メッシュの孔を通じて、水がメッシュ付きコンテナを出ていく。
【0109】
バイオマス粉末を圧縮するために使用されうる別の装置は、図4に示した装置であり、スクリュー水圧搾機である。圧縮する材料を、螺旋状押出容器に導入する。材料から出た水分は、モーター駆動螺旋スクリューの回転によって、スクリーンメッシュを通じて圧搾される。
【0110】
上に論じたようにバイオマスを微粉化した後で圧縮ステップを行うことで、いっそう低い水分率を有する圧縮バイオマス粉末が提供されることが見出されている。典型的には、圧縮バイオマス粉末の水分率は、30重量%未満、例えば25重量%未満、又は20重量%未満である。
【0111】
驚くべきことに、本発明の発明者らによって、微粉化バイオマス粉末を圧縮して、圧縮バイオマス粉末を提供するステップは、続いて行われる洗浄するステップに、様々な利点を与えることが見出されている。微粉化バイオマス粉末を圧縮することは、バイオマスの含水分率の低減をもたらす。このとき、バイオマスが続いて水で洗浄される場合(例えば、下でさらに詳細に記載するように、バイオマスに水を噴霧する、又はバイオマスを水中に浸漬させることによって)、含水率の低減に起因して、洗浄水で、より効果的に圧縮バイオマス粉末を洗浄することができる。理論によって限定されるものではないが、これは、バイオマスの水分率の低減によって、より大きな拡散勾配に起因して、洗浄中に洗浄水をより良好にバイオマスに浸透させるためであると考えられる。洗浄するステップの効率及び有効性の改善とは、より低い温度及び圧力を洗浄するステップに使用でき、上に論じた利点が提供されることを意味する。やはり上に論じたように、微粉化バイオマス粉末について、1000μm~20,000μmの平均粒子直径(D50)は、バイオマスを圧縮する場合、このようなサイズの粒子から水分を除去することはより容易であるため、圧縮ステップに特に有利であることが見出されている。
【0112】
他の実施形態では、本発明の方法は、微粉化バイオマス粉末を圧縮するステップを含まない、及び/又は、微粉化バイオマス粉末の水分率を低減させることを含まない。
【0113】
微粉化バイオマス粉末の洗浄
方法は、圧縮バイオマス粉末又は微粉化バイオマスを水性洗浄液で洗浄して、洗浄バイオマス粉末を提供するステップを含む。洗浄ステップは、バイオマスからカリウム、ナトリウム、塩素、カルシウム及びリンを含む塩などのミネラルを除去する点で有利であることが、本発明者らによって見出されている。バイオマス粉末中のミネラルが少ないと、後述する後続の加熱(焙焼)プロセスが容易になり、また、形成後の固体バイオマス燃料の燃焼が容易になる。塩などのミネラルの存在は、低融点の灰を形成し、これによって燃焼時の灰及びベッドマテリアルのスラグ化、付着及び凝塊を生じうるなど、バイオマスが燃焼する際に深刻な問題をもたらすことがある。塩はまた、腐食をもたらすこともある。
【0114】
上に論じたように、好ましくは、洗浄するプロセスは、圧縮バイオマス粉末又は微粉化バイオマス粉末を、連続洗浄段階で2回以上洗浄することを伴う。本発明の利点は、より少ない連続洗浄段階を使用してもよいことであり、この洗浄プロセスは当技術分野において公知であり、同じ有効性の洗浄及びミネラル塩除去が達成される。理論によって制限されるものではないが、これは、上に詳細に論じた洗浄するステップの前に、微粉化ステップ及び圧縮ステップを適応したことに起因すると考えられる。
【0115】
各連続洗浄段階は、圧縮バイオマス粉末若しくは微粉化バイオマス粉末に水性洗浄液を噴霧すること、及び/又は圧縮バイオマス粉末若しくは微粉化バイオマス粉末を水性洗浄液中に浸漬させることを含んでもよい。洗浄液は、例えば、バイオマスから洗浄液を排出するメッシュ又はスクリーンによって、各連続洗浄段階から除去されうる。メッシュ又はスクリーンは、圧縮又は微粉化バイオマス粉末がスクリーンに留まり、水性洗浄液が、スクリーンから排出されて各連続洗浄段階から除去されるように、圧縮又は微粉化バイオマス粉末のサイズよりも小さなメッシュサイズを有しうる。
【0116】
任意の好適な水性洗浄液を使用してよい。水性洗浄液の例としては、水が挙げられる。好ましくは、水は純粋であり、その中に溶解又は分散した塩又は他の化合物を含まない。しかしながら、水性洗浄液は、所望される場合、その中に溶解又は分散した他の成分を含有してもよい。
【0117】
微粉化バイオマス粉末を洗浄するための好適な装置を、図5に示す。圧縮又は微粉化バイオマス粉末は、図5に示した装置の左手側に入る。水は、図5に示した装置の右手側に入る。図5における装置には、4つの連続洗浄段階が示されている。圧縮又は微粉化バイオマス粉末は、各段階において洗浄される。真新しい水性洗浄液、例えば水は、略図の右端において、最後の連続洗浄段階におけるバイオマスを洗浄するために使用される。最後の洗浄段階からの洗浄水は、次いで排出され、洗浄後、収集された後、第3の洗浄段階のための洗浄水として使用される。第3の洗浄段階からの洗浄水は、次いで収集され、第2の洗浄段階のための洗浄水として使用され、第2及び第1の洗浄段階についても同様である。この点において、バイオマス粉末は向流式で洗浄される。このように洗浄することは、有利なことに、より効果的な洗浄及びミネラル塩の除去を提供することが見出されている。
【0118】
上に論じたように、圧縮若しくは微粉化バイオマス粉末に水性洗浄液を噴霧すること、又はこれらのバイオマス粉末を水性洗浄液中に浸漬させることができる。圧縮又は微粉化バイオマス粉末に水性洗浄液を噴霧する実施形態では、本発明の方法の洗浄するステップはまた、微粉化又は圧縮バイオマス粉末に洗浄液を噴霧するステップ中又はステップ後に、微粉化又は圧縮バイオマス粉末をブラッシングすることを含んでもよい。
【0119】
例えば、図5に示した装置を使用して、微粉化バイオマス粉末に洗浄液を噴霧し、同時に、洗浄液を微粉化又は圧縮バイオマス粉末からブラッシングしてもよい。あるいは、図5に示した機械を使用して、微粉化又は圧縮バイオマス粉末に洗浄液を噴霧した後、これをブラッシングしてもよい。
【0120】
上に論じた洗浄するステップに従って使用されうる装置、例えば図5に示した装置は、微粉化又は圧縮バイオマス粉末が中に入る、洗浄ドラムを含んでもよい。微粉化バイオマス粉末は、次いで、好適な噴霧部品(典型的には噴霧チューブ)による噴霧を受けた後、好適なブラッシング部品(典型的にはブラシプレート)によってブラッシングされうる。あるいは、微粉化バイオマスが噴霧を受けるのと同時に、ブラッシング部品が微粉化バイオマス粉末をブラッシングすることもできる。
【0121】
洗浄段階中又は洗浄段階後に圧縮又は微粉化バイオマス粉末をブラッシングするステップは、有利なことに、洗浄するステップの有効性を上昇させ、上に論じたミネラル塩の除去を支援することが見出されている。ブラッシングするステップはまた、圧縮又は微粉化バイオマス粉末から、汚れ及び他の不純物を除去することによって、バイオマスの清浄化を支援しうる。
【0122】
したがって、洗浄するステップ(iv)の少なくとも1つの洗浄段階は、洗浄中又は洗浄後に、圧縮又は微粉化バイオマス粉末をブラッシングすることを含む。好ましくは、洗浄するステップ(iv)の各連続洗浄段階は、洗浄中又は洗浄後に、圧縮又は微粉化バイオマス粉末をブラッシングすることを含む。
【0123】
上に論じた洗浄するステップに従って使用されうる装置、例えば図5に示した装置は、水タンク、例えば洗浄ドラムの下に位置する水タンクを含んでもよい。いくつかの実施形態では、洗浄するステップ(iv)の各連続洗浄段階は、洗浄ドラムと2つの洗浄タンクとを含む。一方の洗浄タンクは、圧縮若しくは微粉化バイオマス粉末に噴霧する、又はこれらのバイオマス粉末を浸漬させるための、洗浄チューブ又は他の好適な洗浄液提供部品に、真新しい水を供給するために使用されうる。他方の洗浄タンクは、微粉化又は圧縮バイオマス粉末に噴霧するために使用した洗浄液を収集しうる。洗浄液がこの水タンクに収集されると、再生利用して別の洗浄段階、例えば上記の向流プロセスにおける、例えば直前の洗浄段階において、再び使用できる清浄な水を生成できるように、好適な濾過部品によって水タンク内で濾過されうる。
【0124】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、回転させる洗浄ドラムに微粉化又は圧縮バイオマス粉末を入れる、洗浄するステップを含む。いくつかの実施形態では、微粉化バイオマス粉末を回転洗浄ドラム内に入れ、微粉化バイオマス粉末を洗浄するために、洗浄液を噴霧した後、洗浄粉末をブラッシングする。
【0125】
洗浄するステップ(iv)の他の特性は、国際公開第2013/162355号パンフレットに記載される通りでありうる。
【0126】
図9は、本発明の方法の洗浄するステップ(iv)を行うために使用することができるさらなる装置を図示している。図9に示した装置では、洗浄するステップ(iv)のために、スクリューを含む押出成形タイプの装置を使用することができる。洗浄するバイオマス粉末は、左手側で装置に入り、スクリューの回転によって装置の右手側に移送される。水性洗浄液は右手側から装置に入り、バイオマス材料の経路の方向に対して反対方向に、装置の左手側に向かって流される。この点において、真新しい水性洗浄液が、バイオマス材料に対して反対方向に装置を通過するため、バイオマス材料は、向流メカニズムで水性洗浄液によって洗浄される。
【0127】
したがって、いくつかの実施形態では、洗浄するステップ(iv)は、微粉化バイオマス粉末又は圧縮バイオマス粉末を、向流洗浄メカニズムを通じて水性洗浄液で洗浄することを含み、洗浄するステップ(iv)は、微粉化バイオマス粉末又は圧縮バイオマス粉末を、装置を通して第1の方向に輸送するように適応させたスクリューを含む装置において行われ、装置は、水性洗浄液を受け入れ、装置を通して、第1の方向とは反対の第2の方向に輸送するように適応しており、その結果、水性洗浄液は、微粉化バイオマス粉末又は圧縮バイオマス粉末と装置内で接触する。
【0128】
上に詳細に論じた、洗浄する前に微粉化及び圧縮するステップを適応することは、上記及び図9に例示される実施形態についても、特に有用である。
【0129】
図5に示したものなどの実施形態を上回る、上に論じた実施形態、例えば図9に示したものの利点は、各連続洗浄段階において、先行する洗浄段階におけるバイオマス材料に再導入する前に、水性洗浄液をバイオマス材料から排出し、除去する必要がないことである。このような洗浄液の連続的な排出、収集、及び再導入では、方法のエネルギー要求が増加することがあり、このようなステップを回避して、方法の効率を上昇させることができれば有利である。図9に示したものなどの実施形態では、水性洗浄液は、単純に装置を通って、バイオマス材料の経路に対して反対方向に流れ、洗浄液を反復的に排出、収集、及び再導入する必要がない。
【0130】
向流洗浄メカニズムという用語は、本明細書において、当技術分野における用語の通常の意味の文脈で使用される。例えば、典型的な向流洗浄メカニズムには、水性洗浄液に最も多く曝露したバイオマス材料の部分が、水性洗浄液の最も新しい部分に接触することを伴うことになる。水性洗浄液に最も多く曝露したバイオマス材料の部分を洗浄した後、洗浄液は次いで、水性洗浄液に続いてより曝露していないバイオマス材料の部分に向かい、接触する。この方法では、水性洗浄液と洗浄されるバイオマス材料との間で、溶存塩濃度勾配が維持されうるが、その結果、塩が継続的に洗浄され、バイオマス材料から除去される。図5及び9の両方に示される装置は、このように、向流洗浄メカニズムを伴う。
【0131】
上記のように、洗浄するステップ(iv)は、好ましくは5℃~160℃の温度において、より好ましくは5℃~35℃の周囲温度において行われる。洗浄するステップ(iv)はまた、好ましくは1.1~15barの圧力、最も好ましくは大気圧において行われる。本発明の洗浄方法の主要な利点は、大気圧かつ周囲温度において行ってもよいが、依然として非常に効果的なミネラル塩除去が達成されることである。これは、より商業的に実行可能であり、より安全でもある方法をもたらす。この周囲に近い条件でより高い有効性は、少なくとも部分的には、上に論じた微粉化ステップ及び圧縮ステップを適応したことに起因すると考えられる。この適応は、150℃超の温度を使用して効果的なミネラル塩除去を達成する、当技術分野において公知の技法によって達成されるもの(例えば、国際公開第2013/162355号パンフレットに開示されているもの)と同様のレベルのミネラル塩除去を、本発明の方法では、周囲温度かつ周囲圧力を使用して達成できることを意味する。
【0132】
洗浄バイオマス粉末の機械的脱水
ステップ(v)は、洗浄バイオマス粉末を機械的に脱水することを含む。好ましくは、洗浄バイオマス粉末は、機械的に脱水されて、脱水バイオマス粉末と水性排液とを提供する。好ましくは、ステップ(v)は、洗浄バイオマス粉末を圧搾又は圧縮することを含む。圧縮装置及び使用される方法は、方法の圧縮ステップ(iii)のために使用されるものと同じであってもよい。代替実施形態では、ステップ(v)は、国際公開第2013/162355号パンフレットに開示されている機械的に脱水するステップに記載されている通りであってもよい。
【0133】
圧縮ステップ(v)の目的は、洗浄バイオマス粉末から水を除去して、後続の乾燥させるステップ(v)の容易さ及び効率を改善することである。
【0134】
微粉化バイオマス粉末の乾燥
この方法のステップ(vi)において、バイオマスを乾燥させる。脱水バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥バイオマス粉末を提供するステップ(vi)は、典型的には、乾燥バイオマス粉末が、10重量%~18重量%、好ましくは12重量%~15重量%の水分率を有するように、脱水バイオマス粉末を乾燥させることを含む。しかし、乾燥バイオマス粉末がこの範囲内の水分率を有することは必須ではないことが理解されよう。
【0135】
バイオマス粉末を乾燥させるステップはまた、乾燥中にバイオマス粉末を混合することを含んでもよい。方法において1種類のバイオマスの供給源を使用する場合、この単一のバイオマスの供給源は混合されてもよい。あるいは、方法において2種以上のバイオマスの供給源を使用する場合、乾燥ステップには、微粉化バイオマス粉末と、1又は2以上の追加のバイオマスの供給源とを混合することが伴いうる。例えば、1又は2以上のバイオマスの供給源が少なくとも2のバイオマスの供給源を含む場合、本発明の方法の任意のステップ中に、2又は3以上のバイオマスの供給源を混合することができるが、好ましくは、本発明の方法の乾燥ステップ中に、1又は2以上のバイオマスの供給源を混合する。いくつかの実施形態では、微粉化バイオマス粉末を、やはり本発明のステップ(i)~(v)によって調製した、追加のバイオマスの供給源と混合する。他の実施形態では、1又は2以上の追加のバイオマスの供給源は、本明細書に記載するようには加工されない。例えば、本明細書に記載するように調製した脱水バイオマス粉末を、異なる方法で調製した、1又は2以上の追加のバイオマスの供給源と混合してもよい。
【0136】
脱水バイオマス粉末は、当技術分野において公知の標準的な乾燥シリンダーを使用するなど、任意の好適な方法を使用して乾燥させてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、乾燥ステップは、回転乾燥ドラムを含む乾燥装置において行う。回転乾燥ドラムの回転を使用して、脱水バイオマス粉末を、上に記載した1又は2以上の追加のバイオマスの供給源と混合することができる。典型的には、回転乾燥ドラムは、リフティングプレートを含む。リフティングプレートは、乾燥シリンダーを回転させながら、材料を連続的に持ち上げる。驚くべきことに、本発明の発明者らは、1若しくは2以上のバイオマス粉末を追加の材料とともに乾燥させる、又は2若しくは3以上のバイオマス粉末を混合する、リフティングプレートを有する回転乾燥シリンダーを使用することで、1又は2以上のバイオマス粉末の混合が改善することを見出した。
【0137】
脱水バイオマス粉末が20重量%未満の水分率を有する実施形態では、典型的には、脱水バイオマス粉末は単一の乾燥シリンダー中で乾燥される。したがって、これらの実施形態では、本発明の方法は、単一の乾燥シリンダー1つのみで、脱水バイオマス粉末を乾燥させることを含む。
【0138】
脱水バイオマス粉末が20重量%を超える水分率を有する実施形態では、脱水バイオマス粉末は、典型的には、複数の乾燥シリンダー中で乾燥される。したがって、これらの実施形態では、本発明の方法は、2種以上の乾燥シリンダー中で、脱水バイオマス粉末を乾燥させることを含む。例えば、本方法は、2若しくは3以上、3若しくは4以上、4若しくは5以上、又は5若しくは6以上の乾燥シリンダー中で脱水バイオマス粉末を乾燥させることを含んでもよい。
【0139】
乾燥バイオマス粉末の成形
乾燥バイオマス粉末を成形して、成形バイオマス生成物を提供する。成形するステップは、当技術分野において公知である任意の成形装置において、当技術分野において公知のバイオマス成形技法に従って行ってよく、押出成形システムを含んでもよい。好ましくは、成形するステップは、圧縮型において行われる。好ましくは、圧縮型は、成形物脱出孔を含む。成形するステップは、中国特許第105435708号明細書に記載される装置を使用して行ってもよい。
【0140】
好ましくは、成形するステップは、乾燥バイオマス粉末をペレットに成形することを含む。したがって、好ましい実施形態では、成形バイオマス生成物と固体バイオマス燃料生成物とが、バイオマスペレットを構成する。
【0141】
バイオマス粉末を成形して成形バイオマス生成物を生成することは公知であるが、本発明の本発明者らは、驚くべきことに、成形するステップを、前記ステップから生成される成形バイオマス生成物の密度が、ある特定の範囲内に制御されるように適応させることで、最終的な固体バイオマス燃料生成物に、ある特定の有利な特性が付与されることを発見した。特に、成形するステップを、成形バイオマス生成物の密度が1.0~1.35kg/Lの範囲内となるように制御することで、最終的なバイオマス燃料生成物に有利な特性が付与されることが見出された。好ましくは、成形するステップを、成形バイオマス生成物の密度が1.0kg/L~1.35kg/Lの範囲内となるように制御する。典型的には、上述の密度は、NY/T 1881.7-2010によって決定される。したがって、いくつかの実施形態では、成形するステップは、成形バイオマス生成物の密度が1.0kg/L~1.35kg/Lであるように制御されており、密度はNY/T 1881.7-2010によって決定される。
【0142】
成形するステップは、多様な方法で制御されうる。成形プロセスが圧縮型の使用を含む場合、典型的には、9未満、より好ましくは3.8~9の圧縮比を使用することによって、密度が制御される。典型的には、圧縮比が小さいほど、成形バイオマス生成物の密度が低くなる。しかしながら、圧縮比が大きいほど、成形バイオマス生成物の収率が低くなる。
【0143】
いくつかの実施形態では、3.8~6.5の圧縮比が使用される。
【0144】
他の実施形態では、6~9、好ましくは6.5~9、最も好ましくは6.5~8の圧縮比が使用される。
【0145】
上に論じた成形バイオマス生成物について、好ましい密度を達成するために使用する最適な圧縮比は、方法に使用されるバイオマスの供給源に依存することになる。典型的には、高密度のバイオマス供給源出発材料では、好ましい密度を達成するために、上に論じた範囲の下端における圧縮比が必要となることになり、一方で、低密度のバイオマス供給源出発材料では、好ましい密度を達成するために、上に論じた範囲の上端における圧縮比が必要となることになる。
【0146】
1又は2以上のバイオマスの供給源が麦藁又はトウモロコシ藁を含む実施形態では、好ましくは6~9、より好ましくは6.5~9、最も好ましくは6.5~8の圧縮比が使用される。
【0147】
成形物脱出孔を有する圧縮型についての圧縮比は、成形物脱出孔の長さと直径との比として定義されうる。
【0148】
図6は、本発明に従って使用されうる圧縮型の例を示す。乾燥バイオマス粉末を型の内部に挿入した後、図における成形物脱出孔を出ていくように、圧力によって型の内側から押し出す。圧力比を、成形物脱出孔の長さと直径との比として図に示す。
【0149】
本発明の方法において、好ましくは、乾燥バイオマス粉末を成形するステップ(vii)は、成形バイオマス生成物の密度が1.1kg/L~1.35kg/Lの範囲内に制御されるように、成形するステップを適応させることを含み、典型的には、密度は、NY/T 1881.7-2010によって決定される。好ましくは、圧縮型を使用し、圧縮型の圧縮比を制御することによって、密度が制御される。より好ましくは、圧縮比は6.5~8である。非常に好ましい実施形態では、圧縮比は6.5~8であり、1又は2以上のバイオマスの供給源は、麦藁、トウモロコシ藁、又はこれらの組合せを含む。
【0150】
成形するステップ中の成形バイオマス生成物の密度を制御することで、驚くべきことに、最終的なバイオマス燃料生成物に耐水能の上昇が提供されることが見出されている。好ましくは、1.1kg/L~1.35kg/Lの範囲内の密度を有する成形バイオマス生成物から生成される固体バイオマス燃料生成物は、最大20日間、好ましくは最大30日間、十分に耐水性である。
【0151】
好ましくは、乾燥バイオマス粉末を成形するステップ(vii)の前に、乾燥バイオマス粉末に添加剤を加える。前記添加剤は、成形プロセスを改善し、成形するステップから生成される成形バイオマス生成物の収率を上昇させると考えられる。好適な添加剤は、当技術分野において公知であり、限定するものではないが、デンプン又はデンプン誘導体が挙げられる。
【0152】
典型的には、上に論じたものなどの添加剤の他には、成形するステップ中の乾燥微粉化バイオマス粉末に、他の燃料供給源を加えない。したがって、成形するステップの成形バイオマス生成物は、典型的には、固体バイオマス燃料中に、燃料供給源としてバイオマスに由来する材料のみを含む。例えば、乾燥微粉化バイオマス粉末をペレットに成形する場合、典型的には、この方法の終了時に生成する固体バイオマス燃料ペレットが、バイオマスに由来する燃料供給源のみを含有するように、成形する前に、他の燃料供給源を乾燥微粉化バイオマス生成物に加えない。したがって、好ましい実施形態では、固体バイオマス燃料は、燃料の全燃料含有量の少なくとも50重量%、例えば、バイオマスに由来する材料の少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%を構成する。
【0153】
固体燃料の全燃料含有量という用語が本明細書において使用される場合、これは、バイオマス由来材料及び石炭など、可燃性材料である固体燃料の成分を指すことが意図される。固体燃料に対する燃料含有量という用語は、固体燃料ペレット中に存在しうる、それ自体の燃焼によってエネルギーを生じない添加剤を包含することを意図しない。
【0154】
成形するステップはまた、最終的なバイオマス固体燃料生成物の耐水特性を増強することも見出されている。成形するステップ中に起こる密度の上昇は、より高密度の成形バイオマス生成物粒子には、水がより染み込みにくいことを意味する。
【0155】
さらに、生成物が高密度化するにつれて、より多くのバイオマスが成形物の内部に濃縮され、水とは直接接触しなくなる。
【0156】
成形バイオマス生成物の加熱
成形バイオマス生成物を、固体バイオマス燃料が生成するように加熱する。加熱は、0.25~5時間、160℃~420℃の温度において行われる。好ましくは、成形バイオマス生成物を加熱するステップは、0.4~2時間行われる。好ましくは、成形バイオマス生成物を加熱するステップは、成形バイオマス生成物を、180℃~350℃の温度に、より好ましくは210℃~280℃の温度に加熱することを含む。
【0157】
好ましくは、成形バイオマス生成物を加熱するステップ(viii)は、成形バイオマス生成物の焙焼を誘導するための条件下で、成形バイオマス生成物を加熱することを含む。焙焼は、10%未満の酸素含有量の雰囲気など、低酸素雰囲気において加熱を行う、穏やかな熱分解のプロセスである。焙焼の好適な条件及びプロセスは、当技術分野において公知である。したがって、好ましくは、成形バイオマス生成物を加熱するステップ(viii)は、焙焼を含む。
【0158】
加熱するステップは、成形バイオマス生成物を加熱するために好適な、当技術分野において公知である任意の装置において行ってよい。例えば、加熱するステップは、欧州特許出願公開第3287509(A1)号明細書に開示されている装置において、開示されているプロセス条件を使用して行ってよい。
【0159】
好ましくは、成形バイオマス生成物を加熱するステップ(viii)を、固体バイオマス燃料の一様性が制御されるように適応させ、任意に、ステップ(viii)を、固体バイオマス燃料の一様性が制御されるように適応させることは、成形バイオマス生成物を加熱しながら回転させる装置において、ステップ(viii)を実施することを含み、任意に、ステップ(viii)を、固体バイオマス燃料の一様性が制御されるように適応させることは、成形バイオマス生成物の回転の速さ又は方向を制御することを含み、任意に、成形バイオマス生成物を、装置において、反時計回りと時計回りとの両方の方向に回転させる。固体バイオマス燃料の一様性も、上に論じた加熱温度及び期間によって最適化される。
【0160】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、加熱後に固体バイオマス燃料を冷却するステップを含んでもよい。本発明の方法が、バイオマスを加熱するステップの後に冷却するステップを含む場合、冷却するステップは、固体バイオマス燃料を回転させることを含んでもよい。バイオマスは、欧州特許出願公開第3287509(A1)号明細書に開示されているものなど、好適な装置において回転させてもよい。好ましくは、加熱するステップ(viii)と、バイオマスを冷却するステップとの両方が、バイオマスを回転させることを含む。冷却するステップ又は加熱するステップのいずれかにおいてバイオマスを回転させる場合、バイオマスを、連続サイクルにおいて時計回りと反時計回りとの両方など、異なる方向に回転させてもよい。
【0161】
固体バイオマス生成物の「一様性」という用語は、固体バイオマス燃料又は成形バイオマス生成物の各粒子の端から端まで、及び固体バイオマス燃料生成物又は成形バイオマス生成物のバルク試料内の複数の粒子の端から端まで、一定の又は同様の特性を有する固体バイオマス燃料又は成形バイオマス生成物を指すために使用される。例えば、限定するものではないが、粒子の密度、粒子の燃焼の容易さ、粒子の化学組成、及び粒子の水抵抗特性。一様性は、燃焼プロセスにおいて使用するためのバイオマス燃料について、非常に望ましい特性である。
【0162】
本発明者らはまた、上に論じたように加熱するステップを制御すると、先行技術のバイオマス燃料と比較して、増強された耐水特性を有する固体バイオマス燃料生成物の提供がさらに支援されることも見出した。加熱するステップの間に、バイオマス粉末中に存在する、水を吸収する親水性化合物が分解する。さらに、加熱するステップによって、バイオマス粉末中に存在する油が、バイオマス粉末粒子の外部に移動して、前記粒子の疎水性が上昇する。
【0163】
固体バイオマス燃料の洗浄
上に論じたように、本発明の方法は、固体バイオマス燃料を水性洗浄液で洗浄するステップ(ix)を伴う。水性液は、好ましくは純水を含む。しかしながら、ある特定の物質、例えばある特定の塩が中に溶解した水も、本発明の固体バイオマス燃料を洗浄するために使用してもよい。
【0164】
固体バイオマス燃料は、水性洗浄液中に浸漬させてもよく、水性洗浄液を噴霧してもよい。好ましい実施形態では、固体バイオマス燃料は、洗浄するステップ(ix)において、水性洗浄液を噴霧される。
【0165】
固体バイオマス燃料を洗浄するステップ(ix)は、上にさらに詳細に論じたように、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するための追加のステップも含んでもよい。
【0166】
本発明者らは、バイオマス固体燃料粒子の表面の塵は、粒子間の摩擦を誘起することによって除去されうることを見出した。例えば、固体バイオマス燃料粒子を振動又は回転させることなどの手段により、摩擦を誘起することで、粒子に付着している塵が除去されうる。したがって、ステップ(ix)は、固体バイオマス燃料の粒子間の摩擦を誘起することを含んでもよい。例えば、ステップ(ix)は、振動、回転、ローリング、又はこれらの任意の組合せに、粒子を供することを含んでもよい。固体バイオマス燃料粒子のローリング、回転、及び振動を実施するのに好適な装置は、当技術分野における当業者に公知であり、これを図7及び8に示す。粒子から塵を除去するために使用することができる装置の一例は、回転ドラムシーブである。
【0167】
ステップ(ix)は、スクリーンを用いて、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去することを含んでもよい。典型的には、スクリーンは2mm~10mm、好ましくは2mm~8mm、より好ましくは2mm~5mm、最も好ましくは2mm~3mmのポアサイズを有する。固体バイオマス燃料粒子に混入している塵粒子は、スクリーンを通過することによって、固体バイオマス燃料から分離されうる。より大きな固体バイオマス燃料粒子はスクリーンを通過せず、したがって、塵粒子から分離される。スクリーニングステップを実行するのに好適な装置及び方法は、当技術分野における当業者に公知であり、前記好適な装置のいずれかを使用してもよい。例えば、固体バイオマス燃料のスクリーニング、ローリング、及び回転を用いる装置を使用して、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去してもよい。このようなデバイスの使用において、固体バイオマス燃料をスクリーン上に置いてもよく、モーターの動作によってスクリーンを駆動して、軸上でローリング及び回転させてもよい。スクリーンのローリング/傾斜及び回転中、スクリーンの篩表面の材料はひっくり返る。一部の材料はスクリーンを通過して、スクリーンを通過しない材料から分離される。スクリーンのローリング及び回転によって、スクリーンの空隙にはまり込んだ材料が落ち、これによって、スクリーンの空隙の詰まりが防止される。あるいは、固体バイオマス燃料粒子を振動させてスクリーニングする装置を使用してもよい。この場合、モーターを使用してスクリーンを振動させてもよく、これによって、スクリーン表面の材料が投げ上げられる。このプロセスによって、大きな粒子に付着している小さな粒子が解き放たれ、次いでスクリーンにおける空隙を通過しうる。スクリーンと振動とを用いて小さな粒子から大きな粒子を分離する、小さな粒子は大きな粒子に付着していても、していなくてもよい、装置の例は、中国実用新案登録第201324717号に教示されているデバイスである。
【0168】
したがって、本発明の方法は、固体バイオマス燃料粒子間の摩擦が誘起されるように、固体バイオマス燃料粒子を、ローリング、回転、及び振動のうち1又は2以上に供して、前記固体バイオマス燃料粒子に付着している塵粒子が、前記粒子から除去されるステップを含みうる。この方法は、次いで、好ましくは、固体バイオマス燃料粒子と塵粒子との混合物を、上に論じたスクリーニングステップに供して、前記固体バイオマス燃料粒子から前記塵粒子を除去することを含む。したがって、ステップ(ix)は、前記固体バイオマス燃料の粒子から塵を除去するための、有効な後処理である。
【0169】
スクリーンを使用する実施形態では、ステップ(ix)において使用した洗浄液を除去及び排出するために、スクリーンを追加で使用してもよく、例えば、固体バイオマス燃料粒子がスクリーン上に載置され、水性洗浄液を噴霧される。
【0170】
固体バイオマス燃料生成物
固体バイオマス燃料生成物は、上に論じた物理的特性のいずれかを有しうる。
【0171】
上に論じたように、本発明のバイオマス固体燃料は、好ましくはペレットを含む。ペレットは、任意の好適なサイズであってよい。好ましくは、ペレットは、3mm~100mm、より好ましくは、5mm~8mmの直径を有する。好ましくは、ペレットは、20mm~60mm、より好ましくは30mm~50mmの長さを有する。上に論じたように、驚くべきことに、本発明の固体バイオマス燃料生成物は、先行技術の方法によって作製される固体バイオマス燃料生成物と比較して、増強された耐水特徴を有することが見出されている。これは、微粉化、成形及び/又は加熱するステップが、上に論じたように制御されることに起因すると考えられる。本発明者らは、先行技術のバイオマス燃料が最大10日間しか十分に耐水性でないことを見出した。対照的に、本発明の固体バイオマス燃料生成物は、最大20日間、好ましくは30日間、より好ましくは40日間、十分に耐水性であることを見出した。
【0172】
固体バイオマス燃料の耐水特性は、Energy Research Centre of the Netherlands(ECN)の標準試験によって決定されうる。
【0173】
本発明のバイオマス固体燃料の水分率も、標準ECN試験方法によって決定されうる。本発明の固体バイオマス燃料の内部水分率は、典型的には8重量%未満、好ましくは6重量%未満、より好ましくは5重量%未満であり、内部水分率は、DIN EN 14774によって決定される。
【0174】
バイオマス固体燃料は、典型的には、10重量%未満、好ましくは8重量%未満、最も好ましくは6重量%未満のベース水分率を有し、ベース水分率はGB/T211-2017によって決定される。
【0175】
本発明の固体バイオマス燃料はまた、予想外に高い機械的耐久性を有することも見出されている。機械的耐久性は、典型的には90%超、好ましくは95%超である。これは、95%以上の機械的耐久性のバイオマスペレットは、2カ月もの期間、損傷せずに外に貯蔵できることが見出されているため、有利である。対照的に、90%未満の機械的耐久性を有するバイオマスペレットは、典型的には、降雨によって損傷し、外に貯蔵できない。したがって、高い機械的耐久性は、本発明のバイオマスペレットのさらなる利点である。
【0176】
固体バイオマス燃料粒子の高い耐久性に関連するさらなる利点は、ペレットが力によって何らかの形で破壊された場合、低い機械的耐久性を有するペレットよりも大きなピースに分解することである。これによって、粉塵爆発のリスクがあるとしても、最小化される。
【0177】
上に論じたように、好ましい実施形態では、典型的には、上に論じたものなどの添加剤の他には、成形するステップ中の加熱バイオマス生成物に、他の燃料供給源を加えない。したがって、固体バイオマス燃料は典型的には、固体バイオマス燃料中に、燃料供給源としてバイオマスに由来する材料のみを含む。例えば、加熱バイオマス生成物をペレットに成形する場合、典型的には、成形するステップによって生成される固体バイオマス燃料ペレットが、バイオマスに由来する燃料供給源のみを含有するように、成形する前に、他の燃料供給源を加熱バイオマス生成物に加えない。
【0178】
したがって、好ましい実施形態では、固体バイオマス燃料は、燃料の全燃料含有量の少なくとも50重量%、例えば、バイオマスに由来する材料の少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%を構成する。
【0179】
燃焼方法
本発明の生成物は、多様な異なる燃焼方法に使用されうる。特定の方法における使用についての前記生成物の適合性は、当技術分野における当業者には明らかであろう。例えば、本発明のバイオマス燃料は単独で、発電所における燃焼方法、又は工業プロセスに使用してもよい。あるいは、本発明のバイオマス生成物は同時焼成において、石炭などの追加の燃料とともに、燃焼方法に使用してもよい。
【0180】
有利なことに、本発明の生成物は、当技術分野において公知である他のバイオマス燃料と比較した場合、非常に少ないPM1.0放出を提供することが見出されている。加えて、この方法のPM1.0放出は、石炭の燃焼を伴う方法よりも少ない。
【0181】
有利なことに、本発明のバイオマス燃料の改善された物理的特性によって、バイオマスが、石炭との同時焼成に特に好適となることが見出されている。例えば、生成物の改善された質及び一様性によって、本発明のバイオマス燃料を、石炭と特に良好に同時焼成させることができる。本発明のバイオマス燃料の改善された耐水特性はまた、バイオマスを石炭と同時焼成させ、その耐水的性質に起因して、貯蔵及び輸送をより容易とするのに特に好適であることを意味する。
【実施例1】
【0182】
本発明の方法を、トウモロコシ藁から本質的になるバイオマス供給源に対して行った。洗浄するステップ(iv)に使用される洗浄プロセスは、4つの連続する洗浄段階を伴い、水性洗浄液を使用して、周囲(非加熱)温度かつ大気圧において行った。方法は、圧縮ステップ(iii)を含んでいた。洗浄するステップ(iv)及び機械的に脱水するステップ(v)の後の脱水バイオマス粉末における様々なミネラルの重量パーセントを、下の表に与える。
【0183】
【表1】
【実施例2】
【0184】
本発明の方法を、麦藁から本質的になるバイオマス供給源に対して行った。洗浄するステップ(iv)に使用される洗浄プロセスは、4つの連続する洗浄段階を伴い、水性洗浄液を使用して、周囲(非加熱)温度かつ大気圧において行った。方法は、圧縮ステップ(iii)を含んでいた。洗浄するステップ(iv)及び機械的に脱水するステップ(v)の後の脱水バイオマス粉末における様々なミネラルの重量パーセントを、下の表に与える。
【0185】
【表2】
【0186】
上に示した表1及び2におけるデータは、バイオマス供給源出発材料を洗浄することによって、効果的なミネラル塩の除去が得られたことを示している。有利なことに、本発明の方法を使用すると、洗浄するステップのために穏和条件かつ周囲条件を使用して、効果的なミネラル塩の除去を得ることができる。大気圧かつ周囲温度(すなわち、非加熱水)を使用して、効果的なミネラル塩の除去が得られる。これは、典型的には、効果的なミネラル塩除去を達成するために遥かに高い温度の水と、プロセスに使用される水を液体として保つために高い圧力との使用を伴う、公知の洗浄プロセスとは対照的である。
【0187】
固体バイオマス燃料、並びに実施例1及び2において生成した脱水バイオマス粉末の他の特性を、下の表3に示す。
【0188】
【表3】
【実施例3】
【0189】
バイオマス供給源として、ゴマ藁、バナナ樹木、ピーナッツ藁、ヤシ空果房、ヤシ繊維、ヤシ外殻及び竹を使用して、実施例1及び2における上記のものと同じ方法を行った。
【0190】
すべてのバイオマス出発材料について、窒素及び塩素含有量を、洗浄するステップ(iv)によって少なくとも10%低減できることが見出された。すべての場合において、硫黄含有量は、洗浄するステップ(iv)によって少なくとも40%低減した。
【0191】
すべての場合において、固体バイオマス燃料のミネラル含有量をバイオマス供給源出発材料と比較すると、カリウム含有量は少なくとも90%低減し、硫黄含有量は少なくとも50%低減し、窒素含有量は大幅に低減した。
【0192】
すべての場合において、バイオマス供給源の灰分は、洗浄するステップ(iv)によって30%以上低減し、発熱量は、洗浄するステップ(iv)によって2%以上増加した。
【0193】
すべての場合において、固体バイオマス燃料の揮発性物質含有量は、バイオマス出発材料に対して6%以上低減し、固体バイオマス燃料の固定炭素含有量は、バイオマス出発材料に対して35%以上増加し、固体バイオマス燃料の発熱量は、バイオマス出発材料に対して16%以上増加した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】