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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】心臓内ECGノイズの検出及び低減
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/367 20210101AFI20231018BHJP
   A61B 5/346 20210101ALI20231018BHJP
【FI】
A61B5/367
A61B5/346
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522452
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 IB2021059387
(87)【国際公開番号】W WO2022079622
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】63/091,186
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
3.FIREWIRE
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アミット・マティットヤフ
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドバーグ・スタニスラフ
(72)【発明者】
【氏名】アモス・ヤリブ・アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】ボッツァー・リオル
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127CC01
4C127FF02
4C127LL08
(57)【要約】
ECG環境におけるノイズを検出及び低減するためのシステム及び方法が開示される。このシステム及び方法は、ECG及びECGノイズに関するデータをデータベースに入力することであって、データベースは、他のECG患者及び患者のそれぞれの信号に関するデータを含む、入力することと、静かな環境におけるECGのノイズをモデル化して、ECGシステムにおけるノイズを識別するように訓練及びモデル化するためのサンプルを提供することと、ECGデータ内のノイズ信号を識別し、信号からノイズを除去することと、を含む。ノイズは、サイト毎のノイズ信号、加法性ノイズ、接触ノイズ、及び偏向ノイズを含み得る。静かな環境は、水槽を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ECG環境におけるノイズを検出及び低減するためのシステムであって、
ECG内の信号を測定することができる複数のマッピングカテーテルと、
前記ECG内の信号を測定することができる複数のペンタレイカテーテルと、
前記複数のマッピングカテーテル及び前記複数のペンタレイカテーテルの少なくとも一部分上で測定された信号を処理及び記録するように協働して動作する、信号プロセッサ及びデータベースと、を備え、
前記複数のマッピングカテーテル及び前記複数のペンタレイカテーテルの少なくとも一部分は、前記ECG及びECGノイズに関するデータを前記データベースに入力し、前記データベースは、他のECG患者及び前記患者のそれぞれの信号に関するデータを含み、
前記プロセッサは、静かな環境における前記ECGの前記ノイズをモデル化して、ECGシステムにおけるノイズを識別するように訓練及びモデル化するためのサンプルを提供し、
前記プロセッサは、前記ECGデータ内の前記ノイズ信号を識別し、前記信号から前記ノイズを除去する、システム。
【請求項2】
前記ノイズは、加法性ノイズを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ノイズは、接触ノイズを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ノイズは、偏向ノイズを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記静かな環境は、水槽を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記識別することは、サイト毎のノイズを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ノイズが除去された前記信号は、測定されたECG信号として出力される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
ECG環境におけるノイズを検出及び低減するための方法であって、
前記ECG及びECGノイズに関するデータをデータベースに入力することであって、前記データベースは、他のECG患者及び前記患者のそれぞれの信号に関するデータを含む、入力することと、
静かな環境における前記ECGの前記ノイズをモデル化して、ECGシステムにおけるノイズを識別するように訓練及びモデル化するためのサンプルを提供することと、
前記ECGデータ内の前記ノイズ信号を識別し、前記信号から前記ノイズを除去することと、を含む、方法。
【請求項9】
前記ノイズは、サイト毎のノイズ信号を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ノイズは、加法性ノイズを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記ノイズは、接触ノイズを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記ノイズは、偏向ノイズを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記静かな環境は、水槽を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記識別することは、サイト毎のノイズを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
実験室特有のノイズを除去するための方法であって、
前記実験室内の信号を測定することによって、実験室プロファイルを構築することと、
前記実験室内で収集された信号に適用するように実験室特有のフィルタを設計することと、
前記実験室内の信号を測定し、前記設計されたフィルタを前記信号に適用して、前記信号から実験室特有のノイズを除去することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記ノイズは、サイト毎のノイズ信号を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ノイズは、加法性ノイズを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ノイズは、接触ノイズを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ノイズは、偏向ノイズを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記静かな環境は、水槽を含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2020年10月13日に出願された米国仮出願第63/091,186号の利益を主張するものであり、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、心臓内心電図(electrocardiogram、ECG)ノイズ検出及び低減に関連する人工知能及び機械学習に関する。
【背景技術】
【0003】
心電図(ECG)信号及び心臓内ECG信号などの電気信号は、多くの場合、心臓処置前及び/又は心臓処置中に検出される。例えば、ECG信号及び心臓内ECG信号を使用して、不整脈に起因する信号が生じる心臓の潜在的な位置を識別することができる。一般に、ECG又は心臓内ECGは、心臓の電気活動を説明する信号である。また、ECG信号及び心臓内ECG信号を使用して、心臓の一部分がマッピングされ得る。医師がECG又は心臓内ECGを使用して心臓の活動を分析するとき、心臓からの電気信号を分離するために干渉を考慮する必要性が生じる。このような干渉はまた、鋭い変化、ピーク、並びに/又は高周波及び高調波の領域を含むペーシング信号を有する信号の領域を処理することに起因し得る。干渉は、ECG及び心臓内ECG読み取りの精度を不明瞭にする。したがって、そのような特徴の影響が電気信号分析から除去され得、それによって心臓の電気信号を観察することができるように、特徴を識別する改善された方法を提供する必要性が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
より詳細な理解は、添付の図面と併せて例として示される以下の説明から得ることができ、図中の同様の参照番号は、同様の要素を示す。
図1】患者の生体指標を遠隔監視及び通信するための例示的なシステムのブロック図である。
図2】ネットワークと通信するコンピューティング環境の一例のシステム図である。
図3】本開示の1つ又は2つ以上の特徴を実装することができる例示的なデバイスのブロック図である。
図4図3の例示的なデバイスを組み込んだ人工知能システムのグラフィック描写を例解する。
図5図4の人工知能システムにおいて実行される方法を例解する。
図6】単純ベイズ計算の確率の例を例解する。
図7】例示的な決定木を例解する。
図8】例示的なランダムフォレスト分類器を例解する。
図9】例示的なロジスティック回帰を例解する。
図10】例示的なサポート・ベクター・マシンを例解する。
図11】例示的な線形回帰モデルを例解する。
図12】例示的なK平均クラスタリングを例解する。
図13】例示的なアンサンブル学習アルゴリズムを例解する。
図14】例示的なニューラルネットワークを例解する。
図15】ハードウェアベースのニューラルネットワークを例解する。
図16A】P波(心房脱分極に起因する)、QRS群(心房再分極及び心室脱分極に起因する)、並びにT波(心室再分極に起因する)を含むECG信号を例解する。
図16B】基線変動の周波数成分を例解する。
図16C】EMGノイズによって干渉されたECG信号を示す。
図16D】電力線ノイズの例を例解する。
図16E】基線変動を含む心室活動中の信号を例解する。
図16F】基線変動除去後の図16Eの信号を例解する。
図16G】双極測定についての高周波ノイズ及び基線変動の例を例解する。
図17A】本開示の主題の1つ又は2つ以上の特徴が実施され得る例示的なシステムの図である。
図17B】双極心臓内ECG信号とともに右心房に配置された例示的なカテーテルを例解する。
図18】実験室の例解図の描写である。
図19】特定の実験室内で見出され得る信号及びそれらのそれぞれの周波数を例解する。
図20】説明したノイズ信号を処理するための方法を例解する。
図21】実験室(A及びB)の信号のノイズを除去するために実行される方法を例解する。
図22】制御された水槽環境内で記録された接触ノイズ例を例解する。
図23A】制御された水槽環境内で記録された偏向ノイズ例を例解する。
図23B】x軸の増加に伴う図23Aの偏向ノイズ例を例解し、特徴に関して拡大している。
図24】付加的な偏向ノイズ例を例解する。
図25】接触及び偏向ノイズモデルを例解する。
図26】CNN開始モデルを例解する。
図27】本明細書で説明される方法を捕捉するために実装され得る第2の学習段階を例解する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
そのような特徴の影響が電気信号分析から除去され得、それによって心臓の電気信号を観察することができるように、特徴を識別する改善された方法を提供するためのシステム及び方法を説明する。
【0006】
図1は、患者の生体指標(すなわち、患者データ)を遠隔監視及び通信するための例示的なシステム100のブロック図である。図1に例解される例では、システム100は、患者104に関連付けられた患者生体計測監視及び処理装置102と、ローカルコンピューティングデバイス106と、遠隔コンピューティングシステム108と、第1のネットワーク110と、第2のネットワーク120と、を含む。
【0007】
一実施形態によれば、監視及び処理装置102は、患者の身体の内部にある装置(例えば、皮下移植可能)であり得る。監視及び処理装置102は、経口注射、静脈若しくは動脈を介した外科的挿入、内視鏡処置、又は腹腔鏡処置を含む任意の適用可能な方法を介して患者に挿入され得る。
【0008】
一実施形態によれば、監視及び処理装置102は、患者の外部にある装置であり得る。例えば、以下により詳細に説明されるように、監視及び処理装置102は、取り付け可能なパッチ(例えば、患者の皮膚に取り付けられる)を含み得る。監視及び処理装置102はまた、1つ若しくは2つ以上の電極を有するカテーテル、プローブ、血圧計カフ、体重計、ブレスレット又はスマートウォッチ生体計測トラッカ、グルコースモニタ、持続気道陽圧(continuous positive airway pressure、CPAP)マシン、又は患者の健康若しくは生体計測に関する入力を提供し得る実質上任意のデバイスを含み得る。
【0009】
ある実施形態によれば、監視及び処理装置102は、患者の内部にある構成要素及び患者の外部にある構成要素の両方を含み得る。
【0010】
単一の監視及び処理装置102が、図1に示されている。しかしながら、例示的なシステムは、複数の患者生体計測監視及び処理装置を含み得る。患者生体計測監視及び処理装置は、1つ又は2つ以上の他の患者生体計測監視及び処理装置と通信し得る。追加的に又は代替的に、患者生体計測監視及び処理装置は、ネットワーク110と通信し得る。
【0011】
1つ又は2つ以上の監視及び処理装置102は、患者生体計測データ(例えば、電気信号、血圧、体温、血糖値又は他の生体計測データ)を取得することができ、かつ取得された患者の生体指標を表す患者生体計測データの少なくとも一部分、並びに1つ又は2つ以上の他の監視及び処理装置102から取得された患者の生体指標に関連付けられた追加情報を受信することができる。追加情報は、例えば、ウェアラブルデバイスなどの追加のデバイスから得られる診断情報及び/又は追加情報であり得る。各監視及び処理装置102は、それ自体の取得された患者の生体指標、並びに1つ又は2つ以上の他の監視及び処理装置102から受信されたデータを含むデータを処理し得る。
【0012】
図1では、ネットワーク110は、近距離ネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)、又はパーソナルエリアネットワーク(personal area network、PAN))の一例である。情報は、Bluetooth、Wi-Fi、Zigbee、Z-Wave、近接場通信(near field communication、NFC)、ウルトラバンド、Zigbee、又は赤外線(infrared、IR)などの様々な近距離無線通信プロトコルのうちのいずれか1つを使用して、監視及び処理装置102とローカルコンピューティングデバイス106との間で、近距離ネットワーク110を介して送信され得る。
【0013】
ネットワーク120は、有線ネットワーク、無線ネットワークであり得るか、又は1つ若しくは2つ以上の有線及び無線ネットワークを含み得る。例えば、ネットワーク120は、長距離ネットワーク(例えば、広域ネットワーク(wide area network、WAN)、インターネット、又はセルラーネットワーク)であり得る。情報は、様々な長距離無線通信プロトコル(例えば、TCP/IP、HTTP、3G、4G/LTE、又は5G/New Radio)のいずれか1つを使用して、ネットワーク120を介して送信され得る。
【0014】
患者監視及び処理装置102は、患者生体計測センサ112、プロセッサ114、ユーザ入力(user input、UI)センサ116、メモリ118、及び送信受信機(すなわち、送受信機)122を含み得る。患者監視及び処理装置102は、ネットワーク110を介して、任意の数の様々な患者の生体指標を連続的又は周期的に監視、記憶、処理、及び通信し得る。患者の生体指標の例としては、電気信号(例えば、ECG信号及び脳生体指標)、血圧データ、血糖データ、及び体温データが挙げられる。患者の生体指標は、心臓血管疾患(例えば、不整脈、心筋症、及び冠動脈疾患)、並びに自己免疫疾患(例えば、I型及びII型糖尿病)などの任意の数の様々な疾患にわたって治療するために監視及び通信され得る。
【0015】
患者生体計測センサ112は、例えば、生体計測患者の生体指標の種類を感知するように構成された1つ又は2つ以上のセンサを含み得る。例えば、患者生体計測センサ112は、電気信号(例えば、心臓信号、脳信号又は他の生体電気信号)を取得するように構成された電極、体温センサ、血圧センサ、血糖センサ、血液酸素センサ、pHセンサ、加速度計、及びマイクロフォンを含み得る。
【0016】
以下により詳細に説明されるように、患者生体計測監視及び処理装置102は、心臓のECG信号を監視するためのECGモニタであり得る。ECGモニタの患者生体計測センサ112は、ECG信号を取得するための1つ又は2つ以上の電極を含み得る。ECG信号は、様々な心血管疾患の治療に使用することができる。
【0017】
別の例では、患者生体計測装置102は、I型及びII型糖尿病などの様々な疾患を治療するために、患者の血糖値を連続ベースで連続的に監視するための連続的グルコースモニタ(continuous glucose monitor、CGM)であり得る。CGMは、患者の間質液から血糖値を監視することができる、皮下に配置された電極を含み得る。CGMは、例えば、ユーザの介入のない計算されたインスリンの送達のために、血糖データがインスリンポンプに送られる閉ループシステムの構成要素であり得る。
【0018】
送受信機122は、別個の送信機及び受信機を含み得る。代替的に、送受信機122は、単一のデバイスに統合された送信機及び受信機を含み得る。
【0019】
プロセッサ114は、患者生体計測センサ112によって取得されたメモリ118内の患者生体計測データなどの患者データを保存し、送受信機122の送信機を介してネットワーク110上で患者データを通信するように構成され得る。1つ又は2つ以上の他の監視及び処理装置102からのデータはまた、以下により詳細に説明されるように、送受信機122の受信機によって受信され得る。
【0020】
一実施形態によれば、監視及び処理装置102は、例えば、タップ又はタッチなどのユーザ入力を受信するように構成された圧電センサ又は静電容量センサを含み得るUIセンサ116を含む。例えば、UIセンサ116は、患者104が監視及び処理装置102の表面をタップ又はタッチすることに応答して、容量結合を実装するように制御され得る。ジェスチャ認識は、抵抗容量性、表面容量性、投影容量性、表面超音波、圧電及び赤外線タッチなどの、様々な容量型のうちのいずれか1つを介して実装することができる。静電容量センサは、表面のタップ又はタッチが監視デバイスを起動させるように、表面の小さい領域又は長さにわたって配置され得る。
【0021】
以下でより詳細に説明するように、プロセッサ114は、UIセンサ116であり得る静電容量センサの異なるタッピングパターン(例えば、シングルタップ又はダブルタップ)に選択的に応答するように構成され得、その結果、パッチの異なるタスク(例えば、データの取得、記憶、又は送信)が、検出されたパターンに基づいて起動され得る。いくつかの実施形態では、ジェスチャが検出されると、可聴フィードバックが処理装置102からユーザに与えられ得る。
【0022】
システム100のローカルコンピューティングデバイス106は、患者生体計測監視及び処理装置102と通信し、第2のネットワーク120を介して遠隔コンピューティングシステム108へのゲートウェイとして機能するように構成され得る。ローカルコンピューティングデバイス106は、例えば、ネットワーク120を介して他のデバイスと通信するように構成されたスマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、又は他のポータブルスマートデバイスであり得る。代替的に、ローカルコンピューティングデバイス106は、例えば、モデム及び/又はルータ能力を含む固定式基地局、PCの無線モジュールを介して処理装置102と遠隔コンピューティングシステム108との間で情報を通信するための実施可能プログラムを使用するデスクトップコンピュータ又はラップトップコンピュータ、又はUSBドングルなどの固定式又は独立型デバイスであり得る。患者の生体指標は、ローカルエリアネットワーク(LAN)(例えば、パーソナルエリアネットワーク(PAN))などの近距離無線ネットワーク110を介して、近距離無線技術規格(例えば、Bluetooth、Wi-Fi、ZigBee、Z-wave、及び他の近距離無線規格)を使用して、ローカルコンピューティングデバイス106と患者生体計測監視及び処理装置102との間で通信され得る。いくつかの実施形態では、ローカルコンピューティングデバイス106はまた、以下により詳細に説明されるように、取得された患者電気信号及び取得された患者電気信号に関連する情報を表示するように構成され得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、遠隔コンピューティングシステム108は、監視された患者の生体指標及び監視された患者に関連付けられた情報のうちの少なくとも一方を、長距離ネットワークであるネットワーク120を介して受信するように構成され得る。例えば、ローカルコンピューティングデバイス106が携帯電話である場合、ネットワーク120は、無線セルラーネットワークであり得、情報は、上記の無線技術のいずれかなどの無線技術規格を介して、ローカルコンピューティングデバイス106と遠隔コンピューティングシステム108との間で通信され得る。以下により詳細に説明されるように、遠隔コンピューティングシステム108は、患者の生体指標及び関連する情報のうちの少なくとも一方を医療専門家(例えば、医師)に提供する(例えば、視覚的に表示及び/又は聴覚的に提供する)ように構成され得る。
【0024】
図2は、ネットワーク120と通信するコンピューティング環境200の一例のシステム図である。いくつかの例では、コンピューティング環境200は、パブリッククラウドコンピューティングプラットフォーム(Amazon Web Services又はMicrosoft Azureなど)、ハイブリッドクラウドコンピューティングプラットフォーム(HP Enterprise OneSphereなど)又はプライベートクラウドコンピューティングプラットフォームに組み込まれる。
【0025】
図2に示されるように、コンピューティング環境200は、本明細書に説明される実施形態が実装され得るコンピューティングシステムの一実施例である遠隔コンピューティングシステム108(以下、コンピュータシステム)を含む。
【0026】
遠隔コンピューティングシステム108は、1つ又は2つ以上のプロセッサを含み得るプロセッサ220を介して、様々な機能を実行し得る。機能は、監視された患者の生体指標及び関連する情報を分析することと、医師によって決定された又はアルゴリズム駆動された閾値及びパラメータに従って、警告、追加情報又は命令を(例えば、ディスプレイ266を介して)提供することと、を含み得る。以下により詳細に説明されるように、遠隔コンピューティングシステム108は、医療従事者が他の患者よりも重大なニーズを有する患者を識別及び優先することを患者情報が可能にし得るように、患者情報ダッシュボードを(例えば、ディスプレイ266を介して)医療従事者(例えば、医師)に提供するために使用することができる。
【0027】
図2に示されるように、コンピュータシステム210は、バス221などの通信機構、又はコンピュータシステム210内の情報を通信するための他の通信機構を含み得る。コンピュータシステム210は、情報を処理するためにバス221と結合された1つ又は2つ以上のプロセッサ220を更に含む。プロセッサ220は、1つ若しくは2つ以上のCPU、GPU、又は当技術分野において既知の任意の他のプロセッサを含み得る。
【0028】
コンピュータシステム210はまた、プロセッサ220によって実行される情報及び命令を記憶するためにバス221に結合されたシステムメモリ230を含む。システムメモリ230は、読み取り専用システムメモリ(read only system memory、ROM)231及び/又はランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)232などの揮発性及び/又は不揮発性メモリの形態のコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。システムメモリRAM232は、他の動的記憶デバイス(例えば、ダイナミックRAM、スタティックRAM、及びシンクロナスDRAM)を含み得る。システムメモリROM231は、他の静的記憶デバイス(例えば、プログラマブルROM、消去可能PROM、及び電気的消去可能なPROM)を含み得る。加えて、システムメモリ230は、プロセッサ220による命令の実行中に一時変数又は他の中間情報を記憶するために使用することができる。基本入力/出力システム233(basic input/output system、BIOS)は、システムメモリROM231に記憶され得る情報を、始動時などに、コンピュータシステム210内の要素間で転送するルーチンを含み得る。RAM232は、プロセッサ220に即座にアクセス可能である、かつ/又はプロセッサ220によって現在操作されているデータ及び/又はプログラムモジュールを含み得る。システムメモリ230は、例えば、オペレーティングシステム234、アプリケーションプログラム235、他のプログラムモジュール236、及びプログラムデータ237を更に含み得る。
【0029】
例解されるコンピュータシステム210はまた、磁気ハードディスク241及び取り外し可能な媒体ドライブ242(例えば、フロッピーディスクドライブ、コンパクトディスクドライブ、テープドライブ、及び/又はソリッドステートドライブ)などの、情報及び命令を記憶するための1つ又は2つ以上の記憶デバイスを制御するためにバス221に結合されたディスクコントローラ240を含む。記憶デバイスは、適切なデバイスインターフェース(例えば、小型コンピュータシステムインターフェース(small computer system interface、SCSI)、統合デバイス電子機器(integrated device electronics、IDE)、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus、USB)、又はFireWire)を使用して、コンピュータシステム210に追加され得る。
【0030】
コンピュータシステム210はまた、コンピュータユーザに情報を表示するための、陰極線管(cathode ray tube、CRT)又は液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)などのモニタ又はディスプレイ266を制御するためにバス221に結合されたディスプレイコントローラ265を含み得る。例解されるコンピュータシステム210は、ユーザ入力インターフェース260と、コンピュータユーザと対話してプロセッサ220に情報を提供するための、キーボード262及びポインティングデバイス261などの1つ又は2つ以上の入力デバイスとを含む。ポインティングデバイス261は、例えば、プロセッサ220に方向情報及びコマンド選択を通信し、ディスプレイ266上のカーソル移動を制御するためのマウス、トラックボール、又はポインティングスティックであり得る。ディスプレイ266は、ポインティングデバイス261及び/又はキーボード262による方向情報及びコマンド選択の通信を補完する、又は置き換える入力を可能にし得るタッチスクリーンインターフェースを提供し得る。
【0031】
コンピュータシステム210は、システムメモリ230などのメモリに含まれる1つ又は2つ以上の命令の1つ又は2つ以上のシーケンスを実行するプロセッサ220に応答して、本明細書に説明される機能及び方法の一部分又は各々を実行し得る。そのような命令は、ハードディスク241又は取り外し可能な媒体ドライブ242などの別のコンピュータ可読媒体からシステムメモリ230に読み込まれ得る。ハードディスク241は、本明細書に説明される実施形態によって使用される1つ又は2つ以上のデータストア及びデータファイルを含み得る。データストアコンテンツ及びデータファイルは、セキュリティを改善するために暗号化され得る。プロセッサ220はまた、システムメモリ230に含まれる命令の1つ又は2つ以上のシーケンスを実行するために、マルチ処理構成で採用され得る。代替的な実施形態では、ハードワイヤード回路は、ソフトウェア命令の代わりに、又はソフトウェア命令と組み合わせて使用することができる。したがって、実施形態は、ハードウェア回路とソフトウェアとの任意の特定の組み合わせに限定されない。
【0032】
上述のように、コンピュータシステム210は、本明細書に説明される実施形態に従ってプログラムされた命令を保持し、本明細書に説明されるデータ構造、テーブル、記録、又は他のデータを含むための、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体又はメモリを含み得る。本明細書で使用するとき、「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行のためにプロセッサ220に命令を提供することに関与する、任意の非一時的な有形媒体を指す。コンピュータ可読媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び送信媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態を採ることができる。不揮発性媒体の非限定的な例としては、ハードディスク241又は取り外し可能な媒体ドライブ242などの、光ディスク、ソリッドステートドライブ、磁気ディスク、及び光磁気ディスクが挙げられる。揮発性媒体の非限定的な例としては、システムメモリ230などの動的メモリが挙げられる。送信媒体の非限定的な例としては、バス221を構成するワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、及び光ファイバが挙げられる。送信媒体はまた、電波及び赤外線データ通信の間に生成されるものなどの音響波又は光波の形態を採ることができる。
【0033】
コンピューティング環境200は、ローカルコンピューティングデバイス106への論理接続、及びパーソナルコンピュータ(ラップトップ又はデスクトップ)、モバイルデバイス(例えば、患者モバイルデバイス)、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピアデバイス、若しくは他の共通ネットワークノードなどの1つ又は2つ以上の他のデバイスへの論理接続を使用してネットワーク化された環境内で動作するコンピュータシステム210を更に含み得、典型的には、コンピュータシステム210に関して上で説明される要素の多く又は全てを含む。ネットワーク環境で使用される場合、コンピュータシステム210は、インターネットなどのネットワーク120を介して通信を確立するためのモデム272を含み得る。モデム272は、ネットワークインターフェース270を介して、又は別の適切な機構を介してシステムバス221に接続され得る。
【0034】
図1及び図2に示されるようなネットワーク120は、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)、広域ネットワーク(wide area network、WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(metropolitan area network、MAN)、直接接続若しくは一連の接続、セルラー電話ネットワーク、又はコンピュータシステム610と他のコンピュータ(例えば、ローカルコンピューティングデバイス106)との間の通信を円滑にすることができる任意の他のネットワーク若しくは媒体を含む、当該技術分野で一般的に既知である任意のネットワーク又はシステムであり得る。
【0035】
図3は、本開示の1つ又は2つ以上の特徴を実装することができる例示的なデバイス300のブロック図である。デバイス300は、例えば、ローカルコンピューティングデバイス106であり得る。デバイス300は、例えば、コンピュータ、ゲームデバイス、ハンドヘルドデバイス、セットトップボックス、テレビ、携帯電話、又はタブレットコンピュータを含むことができる。デバイス300は、プロセッサ302と、メモリ304と、記憶デバイス306と、1つ又は2つ以上の入力デバイス308と、1つ又は2つ以上の出力デバイス310と、を含む。デバイス300はまた、任意選択的に、入力ドライバ312及び出力ドライバ314を含むことができる。デバイス300は、人工知能アクセラレータを含む、図3に示されていない追加の構成要素を含むことができることが理解される。
【0036】
様々な代替例では、プロセッサ302は、中央処理装置(central processing unit、CPU)、グラフィック処理ユニット(graphics processing unit、GPU)、同じダイ上に位置するCPU及びGPU、又は1つ又は2つ以上のプロセッサコアを含み、各プロセッサコアは、CPU又はGPUであり得る。様々な代替例では、メモリ304は、プロセッサ302と同じダイ上に位置するか、又はプロセッサ302とは別個に位置する。メモリ304は、揮発性メモリ又は不揮発性メモリ、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックRAM、又はキャッシュを含む。
【0037】
記憶デバイス306は、固定又は取り外し可能な記憶手段、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、光ディスク、又はフラッシュドライブを含む。入力デバイス308は、限定するものではないが、キーボード、キーパッド、タッチスクリーン、タッチパッド、検出器、マイクロフォン、加速度計、ジャイロスコープ、バイオメトリックスキャナ、又はネットワーク接続(例えば、無線IEEE802信号の送信及び/又は受信のための無線ローカルエリアネットワークカード)を含む。出力デバイス310は、限定するものではないが、ディスプレイ、スピーカ、プリンタ、触覚フィードバックデバイス、1つ若しくは2つ以上のライト、アンテナ、又はネットワーク接続(例えば、無線IEEE802信号の送信及び/又は受信のための無線ローカルエリアネットワークカード)を含む。
【0038】
入力ドライバ312は、プロセッサ302及び入力デバイス308と通信し、プロセッサ302が入力デバイス308から入力を受信することを可能にする。出力ドライバ314は、プロセッサ302及び出力デバイス310と通信し、プロセッサ302が出力デバイス310に出力を送信することを可能にする。入力ドライバ312及び出力ドライバ314は、任意選択的な構成要素であり、入力ドライバ312及び出力ドライバ314が存在しない場合、デバイス300は、同じ方式で動作することに留意されたい。出力ドライバ316は、表示デバイス318に結合された加速処理デバイス(accelerated processing device、「APD」)316を含む。APDは、プロセッサ302からの計算コマンド及びグラフィックレンダリングコマンドを受け付け、それらの計算コマンド及びグラフィックレンダリングコマンドを処理し、表示のために表示デバイス318に画素出力を提供する。以下に更に詳細に説明されるように、APD316は、単一命令複数データ(single-instruction-multiple-data、「SIMD」)パラダイムに従って計算を実行する、1つ又は2つ以上の並列処理ユニットを含む。したがって、様々な機能がAPD316によって、又はAPD316と連携して実行されるものとして本明細書に説明されているが、様々な代替例では、APD316によって実行されるものとして説明される機能は、追加的に又は代替的に、ホストプロセッサ(例えば、プロセッサ302)によって駆動されず、表示デバイス318にグラフィカル出力を提供する類似の能力を有する他のコンピューティングデバイスによって実行される。例えば、SIMDパラダイムに従って処理タスクを実行する任意の処理システムは、本明細書に説明される機能を実行することができることが企図される。代替的に、SIMDパラダイムに従って処理タスクを実行しないコンピューティングシステムは、本明細書に説明される機能を実行することが企図される。
【0039】
図4は、図3の例示的なデバイスを組み込んだ人工知能システム200のグラフィック描写を例解する。システム400は、データ410と、マシン420と、モデル430と、複数の転帰440と、基盤となるハードウェア450と、を含む。システム400は、複数の転帰440を予測できるようにするモデル430を構築しながら、データ410を使用してマシン420を訓練することによって動作する。システム400が、ハードウェア450に対して動作し得る。そのような構成では、データ410は、ハードウェア450に関連し得、例えば装置102に由来し得る。例えば、データ410は、進行中のデータ又はハードウェア450に関連する出力データであり得る。マシン420は、ハードウェア450に関連付けられたコントローラ若しくはデータ収集として動作し得るか、又はこれに関連付けられ得る。モデル430は、ハードウェア450によって達成される転帰を予測するために、ハードウェア450の動作をモデル化するとともに、ハードウェア450から収集されたデータ410をモデル化するように構成され得る。ハードウェア450は、予測される転帰440を使用して、ハードウェア450からの所定の所望される転帰440を提供するように構成され得る。
【0040】
図5は、図4の人工知能システムにおいて実行される方法500を例解する。方法500は、ステップ510において、ハードウェアからデータを収集することを含む。このデータは、ハードウェアからの現在収集されているデータ、履歴データ又は他のデータを含み得る。例えば、このデータは、外科的処置中の測定を含み得、処置の転帰と関連付けることができる。例えば、心臓の温度を収集し、心臓処置の転帰と相関させることができる。
【0041】
方法500は、ステップ520において、ハードウェア上でマシンを訓練することを含む。訓練は、ステップ510において収集されたデータの分析及び相関を含み得る。例えば、心臓の場合、温度及び転帰のデータが、処置中の心臓の温度と転帰との間に相関又は関連が存在するか否かを判定するために訓練され得る。
【0042】
方法500は、ステップ530において、ハードウェアに関連するデータに基づいてモデルを構築することを含む。モデルの構築が、以下に説明するように、物理的ハードウェア又はソフトウェアモデリング、アルゴリズムモデリングなどを含み得る。このモデリングが、収集され訓練されたデータを表現することを目指し得る。
【0043】
方法500は、ステップ540において、ハードウェアに関連するモデルの転帰を予測することを含む。この転帰の予測は、訓練されたモデルに基づき得る。例えば、心臓の場合、処置中の温度が97.7~100.2のときに処置から肯定的な転帰が得られるとすれば、処置中の心臓の温度に基づいて所与の処置における転帰を予測することができる。このモデルは初歩的なものであるが、本発明の理解を深めるために例示的な目的で提供されている。
【0044】
本システム及び方法は、マシンを訓練し、モデルを構築し、アルゴリズムを使用して転帰を予測するように動作する。これらのアルゴリズムを使用して、訓練されたモデルを解き、ハードウェアに関連する転帰を予測し得る。これらのアルゴリズムは、通常、分類アルゴリズム、回帰アルゴリズム、及びクラスタリングアルゴリズムに区分することができる。
【0045】
例えば、分類アルゴリズムは、予測される変数である従属変数が複数のクラスに分割され、所与の入力に対して1つのクラス、すなわち従属変数を予測する状況で使用される。したがって、分類アルゴリズムは、転帰を所定数の一定の事前定義された転帰から予測するために使用される。分類アルゴリズムが、単純ベイズアルゴリズム、決定木、ランダムフォレスト分類器、ロジスティック回帰、サポート・ベクター・マシン及びk近傍法を含み得る。
【0046】
一般的に、単純ベイズアルゴリズムは、ベイズ定理に従い、確率論的アプローチに従う。他の確率論に基づくアルゴリズムも使用可能であり、一般に、例示的な単純ベイズアルゴリズムについて以下に説明するものと同様の確率論の原理を使用して動作することが理解されよう。
【0047】
図6は、単純ベイズ計算の確率の例を例解する。ベイズ定理の確率論的アプローチは、本質的には、データに直接ジャンプする代わりに、アルゴリズムが、ターゲットのクラス毎に事前確率のセットを持っていることを意味する。データが入力された後、単純ベイズアルゴリズムは、事前確率を更新して事後確率を形成し得る。これは、以下の式:
【0048】
【数1】
で表される。
【0049】
この単純ベイズアルゴリズム及びベイズアルゴリズムは、一般に、入力がn個のクラスの所与のリストに属しているか否かを予測する必要がある場合に有用であり得る。n個全てのクラスの確率は非常に低いため、確率論的アプローチを使用することができる。
【0050】
例えば、図6に例解されるように、ゴルフをプレーする人は、第1のデータセット610に示されている外の天気を含む要因に依存する。第1のデータセット610は、第1の列に天気を、かつ第2の列にその天気に関連するプレーの結果を例解する。頻度テーブル620では、特定の事象が発生する頻度が生成される。頻度テーブル620では、ある人が各気象条件においてゴルフをプレーするか又はプレーしない頻度が求められる。そこから、尤度テーブルがコンパイルされ、初期確率が生成される。例えば、天気が曇りである確率は、0.29であるが、プレーすることの一般的な確率は、0.64である。
【0051】
事後確率が、尤度テーブル630から生成され得る。これらの事後確率は、気象条件及びゴルフがそれらの気象条件でプレーされるか否かについての質問に答えるように構成され得る。例えば、外が晴れであり、かつゴルフがプレーされる確率は、ベイズ式:
P(はい|晴れ)=P(晴れ|はい)×P(はい)/P(晴れ)
によって表され得る。
【0052】
尤度テーブル630によると、
P(晴れ|はい)=3/9=0.33、
P(晴れ)=5/14=0.36、
P(はい)=9/14=0.64
である。
【0053】
したがって、P(はい|晴れ)=0.33×0.64/0.36、つまり約0.60(60%)である。
【0054】
一般に、決定木はフローチャートに似たツリー構造であり、各外部ノードは属性のテストを示し、各ブランチはそのテストの結果を表す。葉ノードは、実際の予測ラベルを含む。決定木は、ツリーの根から始まり、葉ノードに到達するまで属性値が比較される。決定木は、高次元のデータを処理する場合、及びデータの準備に費やされた時間がほとんどない場合に、分類器として使用することができる。決定木は、単純決定木、線形決定木、代数決定木、確定的決定木、ランダム化決定木、非確定的決定木及び量子決定木の形態を採ることができる。例示的な決定木が、図7において以下に提供される。
【0055】
図7は、ゴルフをプレーするか否かを決定する際の、上記のベイズの例と同じ構造に沿った決定木を例解する。決定木において、第1のノード710は、決定木を下に進むための選択肢として、天気が晴れ712、曇り714、及び雨716である場合を調べる。天気が晴れである場合、木の枝は、気温を調べる第2のノード720に続く。この例では、ノード720の気温は、高722又は正常724であり得る。ノード720で気温が高722である場合、ゴルフ「いいえ」723の予測結果が発生する。ノード720で気温が正常724である場合、ゴルフ「はい」725の予測結果が発生する。
【0056】
更に、第1のノード710から、曇り714、ゴルフ「はい」715の結果が発生する。
【0057】
第1のノードの天気710から、雨716の結果として、(再び)第3のノード730が温度を調べる。第3のノード730で気温が正常732である場合、ゴルフをプレーする「はい」733となる。第3のノード730で気温が低734である場合、ゴルフをプレーしない「いいえ」735となる。
【0058】
この決定木から、あるゴルファーは曇天715の場合、正常の気温の晴天725の場合及び正常の気温の雨天733の場合はゴルフをプレーするが、このゴルファーは晴天の高温723又は雨天の低温735の場合はプレーしない。
【0059】
ランダムフォレスト分類器は、決定木のコミッティーであり、各決定木は、データの属性のサブセットを与えられ、そのサブセットに基づいて予測する。決定木の実際の予測値のモードが考慮され、最終的なランダムフォレストの回答が提供される。ランダムフォレスト分類器は一般に、スタンドアロンの決定木に存在する過剰適合を軽減することで、より堅牢かつ正確な分類器となっている。
【0060】
図8は、衣服の色を分類するための例示的なランダムフォレスト分類器を例解する。図8に例解されるように、ランダムフォレスト分類器は、5つの決定木810、810、810、810及び810(集合的に又は概略的に決定木810と称される)を含む。木の各々は、衣服の色を分類するように設計されている。個々の木は概ね図7の決定木のように動作するので、木及び行われる決定の各々の考察は提供されない。この例解図では、5つの木のうち3つ(810、810、810)は、衣服が青色であると判定し、1つの木は衣服が緑色(810)であると判定し、残りの木は衣服が赤色(810)であると判定する。ランダムフォレストは、5つの木のこれらの実際の予測値を受け取り、実際の予測値のモードを計算して、衣服が青色であるというランダムフォレストの回答を提供する。
【0061】
ロジスティック回帰は、バイナリ分類タスクの別のアルゴリズムである。ロジスティック回帰は、シグモイド関数とも呼ばれるロジスティック関数に基づいている。このS字曲線は、任意の実数値を取り、これを0~1でマッピングして、漸近的にこれらの限界に近づくことができる。ロジスティックモデルは、合格/不合格、勝ち/負け、生存/死亡、又は健康/病気など、特定のクラス又は事象が存在する確率をモデル化するために使用できる。これは、画像に猫、犬、ライオンなどが含まれているか否かの判定など、いくつかのクラスの事象をモデル化するように拡張され得る。画像において検出される各オブジェクトには、0~1の確率が割り当てられ、これらの確率の合計は、1となる。
【0062】
ロジスティックモデルでは、「1」とラベル付けされた値の対数オッズ(オッズの対数)は、1つ又は2つ以上の独立変数(「予測子」)の線形結合であり、独立変数は各々、バイナリ変数(インジケータ変数でコード化された2つのクラス)又は連続変数(任意の実数値)であり得る。「1」とラベル付けされた値の対応する確率は、0(確実に「0」の値)と1(確実に「1」の値)との間で変化する可能性があることから、このようにラベル付けされ、ロジスティック関数は、対数オッズを確率に変換する関数であることから、このように称される。対数オッズスケールの測定単位は、ロジスティック単位の別名であるロジットと呼ばれる。プロビットモデルなどの、ロジスティック関数の代わりにシグモイド関数が異なる類似のモデルも使用できる。ロジスティックモデルの特徴は、独立変数のうちの1つを増加させると、与えられた結果のオッズが一定の割合で乗法的にスケーリングされ、各独立変数がそれ自体のパラメータを有することである。バイナリ従属変数の場合、これはオッズ比を一般化する。
【0063】
バイナリロジスティック回帰モデルでは、従属変数には2つのレベル(カテゴリ)がある。3つ以上の値を有する出力は、多項ロジスティック回帰によってモデル化され、複数のカテゴリが順序付けられている場合は、順序ロジスティック回帰(例えば、比例オッズ順序ロジスティックモデル)によってモデル化される。ロジスティック回帰モデル自体は、出力の確率を入力に関して単純にモデル化し、統計的分類を実行しない(分類器ではない)が、例えば、カットオフ値を選択し、確率がカットオフよりも大きい入力を1つのクラスとして、確率がカットオフ未満である入力を他のクラスとして分類することにより、分類器の作成に使用できる。これは、バイナリ分類器を作成する一般的な方法である。
【0064】
図9は、例示的なロジスティック回帰を例解する。この例示的なロジスティック回帰は、変数のセットに基づいた結果の予測を可能にする。例えば、個人の成績点平均に基づいて、学校に受け入れられる結果を予測することができる。成績点平均の過去の履歴及び合格との関係により、予測を行うことができる。図9のロジスティック回帰は、成績点平均変数920の分析が、0~1によって定義される結果910を予測することを可能にする。S字曲線の下端930では、成績点平均920は、受け入れられないという結果910を予測する。S字曲線の上端940では、成績点平均920は、受け入れられるという結果910を予測する。ロジスティック回帰を使用して、住宅価値、保険セクタの顧客生涯価値などを予測することができる。
【0065】
サポート・ベクター・マシン(support vector machine:SVM)を使用して、2つのクラス間のマージンを可能な限り離してデータを並べ替えることができる。これは、マージン最大化分離と呼ばれる。SVMは、その目的でデータセット全体を使用する線形回帰とは異なり、超平面をプロットしながらサポートベクターを考慮することが可能である。
【0066】
図10は、例示的なサポート・ベクター・マシンを例解する。例示的なSVM1000では、データは、正方形1010及び三角形1020として表される2つの異なるクラスに分類され得る。SVM1000は、ランダムな超平面1030を描画することによって動作する。この超平面1030は、超平面1030と各クラスからの最も近いデータポイント1050との間の距離(線1040で例解される)を比較することによって監視される。超平面1030に最も近いデータポイント1050は、サポートベクターとして既知である。超平面1030は、これらのサポートベクター1050に基づいて描かれ、最適な超平面は、サポートベクター1050のそれぞれからの最大距離を有する。超平面1030とサポートベクター1050との間の距離は、マージンとして既知である。
【0067】
SVM1000は、超平面1030とサポートベクター1050との間の距離が最大になるように超平面1030を使用することによって、データ分類に使用され得る。このようなSVM1000を、例えば心臓疾患を予測するために使用し得る。
【0068】
k近傍法(k Nearest Neighbors:KNN)は、一般に基本的なデータ分散を想定しておらず、合理的に短い訓練フェーズを実行する一連のアルゴリズムを指す。一般に、KNNは、複数のクラスに分割された多数のデータポイントを使用して、新しいサンプルポイントの分類を予測する。運用上、KNNは、新しいサンプルで整数Nを指定する。新しいサンプルに最も近いシステムのモデル内のN個のエントリが選択される。これらのエントリの最も一般的な分類が判定され、その分類が新しいサンプルに割り当てられる。KNNは一般に、訓練セットが増加するにつれて記憶空間を増加させる必要がある。これは、推定時間が訓練ポイントの数に比例して増加することも意味する。
【0069】
回帰アルゴリズムでは、出力は連続量であるため、目標変数が連続的な変数である場合に回帰アルゴリズムを使用することができる。線形回帰は、回帰アルゴリズムの一般的な例である。線形回帰は、一貫した変数を考慮して、真の品質(住宅コスト、コール回数、全ての取引など)を測定するために使用可能である。変数と結果との間のつながりが、最適な線を当てはめることによって求められる(このことから線形回帰)。この最適線は回帰線として知られ、直接条件Y=a×X+bで表される。線形回帰は、次元数が少ないアプローチで最良に使用される。
【0070】
図11は、例示的な線形回帰モデルを例解する。このモデルでは、予測変数1110が測定変数1120に対してモデル化される。予測変数1110及び測定変数1120のインスタンスのクラスタは、データポイント1130としてプロットされている。次いで、データポイント1130は、最適線1140に当てはめられる。次いで、後続の予測で最適線1140を使用するが、測定変数1120が与えられている場合、その例では線1140を使用して予測変数1110を予測する。線形回帰を使用して、金融ポートフォリオ、給与予測、不動産及び交通機関の到着予定時刻をモデル化及び予測することができる。
【0071】
クラスタリングアルゴリズムを、データセットのモデル化及び訓練に使用し得る。クラスタリングでは、入力は、特徴の類似性に基づいて2つ又は3つ以上のクラスタに割り当てられる。クラスタリングアルゴリズムは、通常、ガイダンスなしでデータからパターン及び有用な洞察を学習する。例えば、K平均クラスタリングなどの教師なし学習アルゴリズムを使用して、視聴者を興味、年齢、地理などに基づいて類似のグループにクラスタリングすることができる。
【0072】
K平均クラスタリングは、一般に、単純な教師なし学習アプローチとみなされる。K平均クラスタリングでは、同様のデータポイントを一緒にクラスタリングし、クラスタの形でバインドすることができる。データポイントを一緒にバインドする方法の1つは、データポイント群の重心を計算することによって行われる。効果的なクラスタを判定する際、K平均クラスタ化において、各ポイント間のクラスタの重心からの距離が評価される。データポイントと重心との間の距離に応じて、データは最も近いクラスタに割り当てられる。クラスタリングの目的は、一連のラベルなしデータの固有のグループ化を判定することである。K平均における「K」は、形成されたクラスタの数を表す。クラスタの数(基本的には、データの新しいインスタンスが分類され得るクラスの数)は、ユーザによって判定され得る。この判定は、例えば、フィードバックを使用し、訓練中にクラスタのサイズを見ることで行うことができる。
【0073】
K平均は、主にデータセットが別個かつ良好に分離されたポイントを有する場合に使用され、そうでなければ、クラスタが分離されていない場合、モデリングは、クラスタを不正確にレンダリングすることがある。また、データセットに多数の外れ値が含まれている場合、又はデータセットが非線形である場合には、K平均を回避することができる。
【0074】
図12は、K平均クラスタリングを例解する。K平均クラスタリングでは、データポイントがプロットされ、K値が割り当てられる。例えば、図12のK=2の場合、データポイントは、描写1210に示されるようにプロットされる。次いで、ステップ1220において、ポイントが同様の中心に割り当てられる。クラスタの重心が、1230に示されるように特定される。重心が特定されると、1240に例解されるように、データポイントと各クラスタの重心との間の距離が最小となるようにポイントがクラスタに再割り当てされる。次いで、クラスタの新しい重心が、描写1250に例解されるように判定され得る。データポイントがクラスタに再割り当てされて、クラスタの新しい重心が形成されると、反復又は一連の反復が発生して、クラスタのサイズを最小化し、最適な重心を判定することができる。次いで、新しいデータポイントが測定されると、その新しいデータポイントが重心及びクラスタと比較され、そのクラスタで特定され得る。
【0075】
アンサンブル学習アルゴリズムを使用し得る。これらのアルゴリズムは、複数の学習アルゴリズムを使用して、構成要素である学習アルゴリズムのいずれかのみから得られるよりも優れた予測パフォーマンスを実現する。アンサンブル学習アルゴリズムは、仮説空間を検索するタスクを実行して、特定の問題について良好な予測を行う、好適な仮説を見出す。仮説空間に特定の問題に非常に適した仮説が含まれている場合でも、適切な仮説を見出すのは非常に困難である場合がある。アンサンブルアルゴリズムは、複数の仮説を組み合わせてより良い仮説を形成する。アンサンブルという用語は通常、同じ基本学習器を使用して複数の仮説を生成する方法で用いられる。複数分類器システムのより広い概念は、同じ基本学習器によって誘導されない仮説のハイブリダイゼーション(hybridization of hypotheses)も網羅する。
【0076】
アンサンブルの予測を評価するには、通常、単一のモデルの予測を評価するよりも多くの計算が必要になるため、アンサンブルは、多くの余分な計算を実行することにより、貧弱な学習アルゴリズムを補う方法と考えることができる。決定木などの高速アルゴリズムは、一般にはランダムフォレストなどのアンサンブル法で使用されているが、より低速のアルゴリズムでもアンサンブル法の恩恵を受けることができる。
【0077】
アンサンブルは、訓練後に使用して予測を行うことができるため、それ自体が教師付き学習アルゴリズムである。したがって、訓練されたアンサンブルは、単一の仮説を表す。しかしながら、この仮説は、それが構築されたモデルの仮説空間内に含まれているとは限らない。したがって、アンサンブルは、それらが表すことができる関数において、より多くの柔軟性を有するように示され得る。この柔軟性により、理論的には、単一のモデルよりも訓練データを過剰適合させることができるが、実際には、一部のアンサンブル法(特にバギング)は、訓練データの過剰適合に関連する問題を低減する傾向がある。
【0078】
経験的に、モデル間にかなりの多様性がある場合、アンサンブルアルゴリズムは、より良い結果をもたらす傾向がある。したがって、多くのアンサンブル法は、それらが組み合わせるモデル間の多様性を促進することを目指している。直感的ではないが、(エントロピ低減決定木などの)非常に慎重なアルゴリズムよりも強力なアンサンブルを生成するために、(ランダム決定木などの)よりランダムなアルゴリズムを使用することができる。しかしながら、様々な強力な学習アルゴリズムの使用は、多様性を促進するためにモデルを簡略化しようとする手法を使用することよりも効果的であることが示されている。
【0079】
アンサンブルの構成要素分類器の数は、予測の精度に大きな影響を与える。アンサンブルのサイズとビッグデータストリームの量及び速度とを先験的に判定することは、これを、オンラインアンサンブル分類器にとって、更に重要にする。理論上のフレームワークは、理想的な数の構成要素分類器がアンサンブルに存在し、分類器がこの数より多いか又は少ないと精度が低下することを示唆している。理論上のフレームワークは、クラスラベルと同じ数の独立した構成要素分類器を使用すると、最も高い精度が得られることを示している。
【0080】
アンサンブルのいくつかの一般的なタイプには、ベイズ最適分類器、ブートストラップ集約(バギング)、ブースティング、ベイズモデル平均化、ベイズモデルの組み合わせ、モデルのバケット及びスタッキングが含まれる。図13は、バギングが並行して実行されており(1310)、ブースティングが順次に実行されている(1320)例示的なアンサンブル学習アルゴリズムを例解する。
【0081】
ニューラルネットワークは、ニューロンのネットワーク若しくは回路、又は現代的な意味では、人工ニューロン若しくはノードで構成されている人工ニューラルネットワークである。生物学的ニューロンの接続が、重みとしてモデリングされる。正の重みは興奮性の接続を反映し、負の値は抑制性の接続を意味する。入力は重みで修正され、線形結合を使用して合計される。活性化関数が、出力の振幅を制御することができる。例えば、出力の許容範囲は通常0~1であるが、-1~1の場合もある。
【0082】
これらの人工ネットワークは、予測モデリング、適応制御及びアプリケーションに使用され得、データセットを介して訓練することができる。経験から生じる自己学習がネットワーク内で発生する可能性があり、複雑で一見無関係なセットの情報から結論を導出することができる。
【0083】
完全を期すために、生物学的ニューラルネットワークは、化学的に接続されたニューロン又は機能的に関連付けられたニューロンのグループから構成されている。1つのニューロンが他の多くのニューロンに接続され得、ネットワーク内のニューロン及び接続の総数は、広範囲にわたり得る。シナプスと呼ばれる接続は、通常、軸索から樹状突起へと形成されるが、樹状突起間シナプス及び他の接続も可能である。電気的な信号伝達とは別に、神経伝達物質の拡散から生じる他の信号伝達形態がある。
【0084】
人工知能、認知モデリング及びニューラルネットワークは、生物学的神経システムのデータ処理方法に着想を得た情報処理パラダイムである。人工知能及び認知モデリングは、生物学的ニューラルネットワークのいくつかの特性をシミュレートしようとする。人工知能分野では、人工ニューラルネットワークが音声認識、画像分析及び適応制御にうまく適用され、(コンピュータゲーム及びビデオゲームにおける)ソフトウェアエージェント又は自律ロボットが構築されている。
【0085】
ニューラルネットワーク(neural network:NN)は、人工ニューラルネットワーク(artificial neural network:ANN)又はシミュレートニューラルネットワーク(simulated neural network:SNN)と呼ばれる人工ニューロンの場合、情報処理に計算への接続論的アプローチに基づいて数学的モデル又は計算モデルを使用する、天然のニューロン又は人工ニューロンの相互接続されたグループである。ほとんどの場合、ANNは、ネットワークを通って流れる外部情報又は内部情報に基づいてその構造を変更する適応型システムである。より実際的には、ニューラルネットワークは、非線形の統計データモデリングツール又は意思決定ツールである。これらを、入力と出力の間の複雑な関係をモデリングするため及びデータのパターンを見出すために使用することができる。
【0086】
人工ニューラルネットワークは、処理要素と要素パラメータとの間の接続によって判定される複雑でグローバルな挙動を呈することができる単純な処理要素(人工ニューロン)のネットワークを含む。
【0087】
人工ニューラルネットワークの1つの古典的なタイプは、再帰型ホップフィールドネットワークである。人工ニューラルネットワークモデルの有用性は、それらを使用して、観測から関数を推定し、かつそれを使用することができるという事実にある。教師なしニューラルネットワークは、入力分布の顕著な特徴をキャプチャする入力の表現の学習、及び、最近では、観測データの分布関数を暗黙的に学習することができるディープラーニングアルゴリズムにも使用することができる。ニューラルネットワークでの学習は、データ又はタスクの複雑さのためにそのような関数の設計を手作業で行うのが現実的ではない用途において特に有用である。
【0088】
ニューラルネットワークは、様々な分野において使用することができる。人工ニューラルネットワークが適用されるタスクは、以下の広いカテゴリにわたる傾向がある:関数近似、又は時系列予測及びモデリングを含む回帰分析、パターン及び配列認識、新規性の検出及び逐次的な意思決定を含む分類、フィルタリング、クラスタリング、ブラインド信号分離、及び圧縮を含むデータ処理。
【0089】
ANNの適用領域には、非線形システムの識別及び制御(車両制御、プロセス制御)、ゲームのプレー及び意思決定(バックギャモン、チェス、レース)、パターン認識(レーダシステム、顔識別、オブジェクト認識)、シーケンス認識(ジェスチャ、スピーチ、手書きテキスト認識)、医療診断、金融アプリケーション、データマイニング(又はデータベースでの知識発見(knowledge discovery in database)、「KDD」)、視覚化、並びに電子メールスパムフィルタリングが含まれる。例えば、オブジェクト認識のために訓練された写真から生じるユーザの興味のセマンティックプロファイルを作成することが可能である。
【0090】
図14は、例示的なニューラルネットワークを例解する。ニューラルネットワークには、1410及び1410などの複数の入力で表される入力層がある。入力1410、1410は、ノード1420、1420、1420、1420を含むものとして描写されている隠れ層に提供される。これらのノード1420、1420、1420、1420は、出力層において出力1430を生成するために組み合わされる。ニューラルネットワークは、単純な処理要素であるノード1420、1420、1420、1420の隠れ層を介して単純な処理を実施し、これらのノードは、処理要素と要素パラメータとの間の接続によって判定される複雑でグローバルな挙動を呈することができる。
【0091】
図14のニューラルネットワークがハードウェアで実装され得る。図15に例解されているように、ハードウェアベースのニューラルネットワークが描写されている。
【0092】
心電図(ECG)信号などの電気信号は、多くの場合、心臓処置前及び/又は心臓処置中に検出される。例えば、ECG信号を使用して、不整脈に起因する信号が生じる心臓の潜在的な位置を特定することができる。一般に、ECGは、心臓の電気活動を説明する信号である。また、ECG信号を使用して、心臓の一部分がマッピングされ得る。医師がECGを使用して心臓の活動を分析するとき、心臓からの電気信号を分離するために干渉を考慮する必要性が生じる。このような干渉はまた、鋭い変化、ピーク、並びに/又は高周波及び高調波の領域を含むペーシング信号を有する信号の領域を処理することに起因し得る。干渉は、ECGの読み取りの正確さを不明瞭にする。したがって、そのような特徴の影響を電気信号分析から除去することができ、それによって心臓の電気信号を観察することができるように、特徴を識別する改善された方法を提供する必要性が存在する。
【0093】
ECG信号は、心臓の心房筋及び心室筋の収縮(脱分極)及び弛緩(再分極)によって生成される。図16Aの信号1602によって示されるように、ECG信号は、P波(心房脱分極に起因する)、QRS群(心房再分極及び心室脱分極に起因する)、並びにT波(心室再分極に起因する)を含む。ECG信号を記録するために、電極を人体上の特定の位置に定置することができ、又はカテーテルを介して人体内に位置付けることができる。アーチファクト(例えば、ノイズ)は、ECG信号などの電子信号と融合し、あるときには心臓状態の診断及び/又は処置の障壁を作成する、不要な信号である。電気信号におけるアーチファクトは、基線変動、電力線干渉、筋電図(electromyogram、EMG)ノイズ、電力線ノイズなどであり得る。これらのノイズ信号は、サイトベースノイズ及び他の加法性ノイズを含み得る。
【0094】
基線変動又は基線ドリフトは、信号のベース軸(x軸)が直線であることよりも、「変動」又は上下に移動するように見えるところで生じる。これにより、信号全体をその正常なベースからシフトさせることができる。ECG信号において、基線変動は、不適切な電極接触(例えば、電極皮膚インピーダンス)、患者の動き、及び周期的な動き(例えば、呼吸)に起因して引き起こされる。図16Bは、基線変動の影響を受けた典型的なECG信号1612を示す。図16Bの例に示されるように、基線変動の周波数成分は、0.5Hzの範囲内にある。運動又はストレス試験中に身体の動きが増加すると、基線変動の周波数成分は増加する。実装形態によれば、基線信号が低周波数信号であることを考慮すると、ECG信号内の基線変動を推定及び除去するために、0.5Hzのカットオフ周波数を用いて高域通過ゼロ位相前方後方フィルタリングを行う有限インパルス応答(Finite Impulse Response、FIR)が使用され得る。
【0095】
電力線によって生じる電磁場は、ECGなどの電子信号において、並びに患者の身体から記録された任意の他の生体電気信号に対し共通のノイズ源を表す。そのようなノイズは、例えば、50又は60Hz正弦波干渉によって特徴付けられ、場合によっては、多くの高調波が付随する。そのような狭帯域ノイズは、ECGの分析及び解釈をより困難にし、その理由は、低振幅波形の描写の信頼性がなくなり、スプリアス波形がもたらされ得るからである。P波及びT波のような低周波数ECG波と重畳するので、ECG信号から電力線干渉を除去することが必要であり得る。
【0096】
筋肉ノイズの存在がECG分野などの多くの電気信号分野で干渉し得、このため、低振幅波形が隠れて見えなくなる場合がある。筋肉ノイズは、基線変動及び50/60Hz干渉とは対照的に、狭帯域フィルタリングによっては除去されないが、筋肉活動のスペクトル成分がPQRST複合体のスペクトル成分とかなり重なり合うため、異なるフィルタリング問題を提示する。ECG信号は繰り返し信号であるため、誘発電位の処理と同様の方法で筋肉ノイズを低減するための技術を使用することができる。図16Cは、EMGノイズ1632によって干渉されたECG信号1630を示す。
【0097】
ECG信号などの電気信号を測定するための計器は、線、又は電源、周波数に対応する電気的干渉を検出することが多い。ほとんどの国の線周波数は、名目上、50Hz又は60Hzに設定されるが、これらの公称値から数パーセントだけ変動し得る。
【0098】
電気信号から電気的干渉を除去するための様々な技術が実施され得る。これらの技術のいくつかは、1つ又は2つ以上の低域通過フィルタ又はノッチフィルタを使用する。例えば、ECG信号内のノイズを可変フィルタリングするためのシステムが実装され得る。このシステムは、例えば、ほぼ50Hzにおいて3dBポイントを有する1つのフィルタ、及びほぼ5Hzにおいて3dBポイントを有する第2の低域通過フィルタを含む複数の低域通過フィルタを有することができる。
【0099】
別の例によれば、電子信号の線周波数成分を阻止するためのシステムが、2つの直列結合されたノッチフィルタに信号を通過させることによって実装され得る。ECG信号から線周波数成分を除去するための低域通過係数及び高域通過係数のどちらか一方又はその両方を有することができるノッチフィルタを備えるシステムが、実装され得る。このシステムはまた、バーストノイズの除去をサポートすることもでき、ノッチフィルタ出力からの心拍数を計算することもできる。
【0100】
別の例によれば、干渉を除去するためのいくつかのユニットを備えるシステムが、実装され得る。これらのユニットは、いくつかの心臓周期にわたって平均信号を生成するための平均値ユニット、入力信号から平均信号を減算して残余信号を生成するための減算ユニット、残余信号からフィルタリングされた信号を提供するためのフィルタユニット、及び/又はフィルタリングされた信号を平均信号に加算するための加算ユニットを含み得る。
【0101】
別の例によれば、アナログデジタル(A/D)変換器が、その変換器のクロックを、線周波数に設定された位相ロックループと同期させることによって、ノイズ除去を提供することができる。
【0102】
更に、生体情報(例えば、生体電位)患者モニタは、表面電極を使用して、ECG又は脳電図(electroencephalogram、EEG)などの生体電位の測定を行うことができる。これらの測定値の忠実度は、電極の、患者との接続の有効性によって制限される。電極システムの、電流の流れに対する抵抗は、電気インピーダンスとして既知であり、接続の有効性を特徴付ける。典型的には、インピーダンスが高いほど、測定の忠実度は低くなる。いくつかの機構は、より低い忠実度に寄与し得る。
【0103】
高インピーダンスを有する電極からの信号は、熱ノイズ(又はいわゆるジョンソンノイズ)、インピーダンス値の平方根とともに増加する電圧から影響を受ける。更に、生体電位電極は、ジョンソンによって予測される電圧ノイズを上回る電圧ノイズを有する傾向がある。また、生体電位電極から測定を行う増幅器システムは、より高い電極インピーダンスにおいて、性能を低下させた場合がある。それらの悪化は、低品位の共通モード阻止によって特徴付けられ、それは、患者の動き、及び患者の上又はその周りで使用され得る電子機器などのノイズ源によって、生体電気信号の汚染を増加させる傾向がある。これらのノイズ源は、特に、手術室において蔓延しており、電気外科ユニット(electrosurgical unit、ESU)、人工心肺ポンプ(cardiopulmonary bypass pump、CPB)、電気モータ駆動式外科用のこぎり、レーザ、及び他の供給源などの機器を含み得る。
【0104】
心臓手術中、多くの場合、患者を監視しながら、電極インピーダンスをリアルタイムで連続的に測定することが望ましい。これを実行するため、非常に小さい電流が、通常、電極に注入され、その結果得られた電圧が測定され、それによって、オームの法則を使用してインピーダンスを確立する。この電流は、DC又はAC電源を使用して注入され得る。多くの場合、干渉から生じる電圧アーチファクトから、電極インピーダンスに起因する電圧を分離することは不可能である。干渉は、測定された電圧を増加させる傾向があり、したがって、見かけの測定されたインピーダンスは、生体電子測定システムに、実際に提示されたものよりも高いインピーダンスを誤って検出させる。多くの場合、そのような監視システムは、最大インピーダンス閾値限界を有し、その限界は、プログラムされて、それらの監視システムがこれらの限界を上回るインピーダンスを検出したときに、監視システムの動作を防止することができる。これは、EEGなどの非常に小さい電圧の測定を行うシステムには、特に当てはまる。そのようなシステムは、非常に低い電極インピーダンスを必要とする。
【0105】
図16Dは、電力線ノイズの例を例解する。図16Dは、体表面リードと、双極、単極遠位、及び単極近位信号を含むマッピングカテーテルからの信号と、を例解する。灰色の信号の周りに示された領域は、電力線ノイズを例解する関心対象の信号であり、特に、単極遠位信号及び単極近位信号上のドットは、ノイズの更なる領域を示す。
【0106】
図16Eは、基線変動を含む心室活動中の信号を例解する。図16Eは、上部にMAP1-2信号、MAP1及びMAP2信号を含む。
【0107】
図16Fは、基線変動除去後の図16Eの信号を例解する。図16Fは、再び、基線除去後の、上部にMAP1-2信号、MAP1及びMAP2信号を含む。
【0108】
図16Gは、双極測定についての高周波ノイズ及び基線変動の例を例解する。
【0109】
図17Aは、本開示の主題の1つ又は2つ以上の特徴を実装することができる例示的なシステム1720の図である。システム1720の全て若しくは一部が、訓練データセットの情報を収集するために使用され得、かつ/又はシステム1720の全て若しくは一部が、訓練されたモデルを実装するために使用され得る。システム1720は、体内器官の組織部域を損傷するように構成されたカテーテル1740などの構成要素を含み得る。カテーテル1740はまた、電子信号を含む生体データを得るように更に構成され得る。カテーテル1740は、ポイントカテーテルであることが示されているが、1つ又は2つ以上の要素(例えば、電極)を含む任意の形状のカテーテルを使用して、本明細書に開示される実施形態を実装することができることが理解されよう。システム1720は、テーブル1729上に横になっている患者1728の心臓1726などの身体部分に医師1730によってナビゲートされ得るシャフトを有するプローブ1721を含む。実施形態によれば、複数のプローブが提供され得るが、簡潔にするために、単一のプローブ1721が本明細書に説明されているが、プローブ1721が複数のプローブを表し得ることが理解されるであろう。図17Aに示されるように、医師1730は、カテーテル1740の近位端の近くのマニピュレータ1732及び/又はシース1723からの偏向を使用して、シャフト1722の遠位端を操作しながら、シース1723を通してシャフト1722を挿入することができる。差し込み図1725に示されるように、カテーテル1740は、シャフト1722の遠位端に取り付けられ得る。カテーテル1740は、折りたたまれた状態でシース1723を通して挿入され得、次いで、心臓1726内で拡張され得る。本明細書に更に開示されるように、カテーテル1740は、少なくとも1つのアブレーション電極1747及びカテーテル針1748を含み得る。
【0110】
実施形態によれば、カテーテル1740は、心臓1726の心腔の組織領域をアブレーションするように構成され得る。差し込み図1745は、心臓1726の心腔内部のカテーテル1740を拡大図で示している。図示のように、カテーテル1740は、カテーテルの本体に結合された少なくとも1つのアブレーション電極1747を含み得る。他の実施形態によれば、カテーテル1740の形状を形成するスプラインを介して複数の要素を接続することができる。1つ又は2つ以上の他の要素(図示せず)を設けることができ、それらは、アブレーションを行うか又は生体データを取得するように構成された任意の要素であってよく、電極、トランスデューサ、又は1つ又は2つ以上の他の要素であり得る。
【0111】
本明細書に開示される実施形態によれば、電極1747などのアブレーション電極は、心臓1726などの体内器官の組織部域にエネルギーを供給するように構成され得る。エネルギーは、熱エネルギーであってよく、組織領域の表面から始まって組織領域の厚さに延びる組織領域への損傷を引き起こす可能性がある。
【0112】
本明細書に開示される複数の実施形態によれば、生体データは、LAT、電気活動、トポロジ、双極マッピング、優位周波数、インピーダンスなどのうちの1つ又は2つ以上を含み得る。局所活性化時間は、正規化された初期開始点に基づいて計算された、局所活性化に対応する閾値活動の時点であり得る。電気活動は、1つ又は2つ以上の閾値に基づいて測定され得る任意の適用可能な電気信号であってよく、信号対ノイズ比及び/又は他のフィルタに基づいて、検知及び/又は拡張され得る。トポロジは、身体部分又は身体部分の一部分の物理的構造に対応し得、身体部分の異なる部分に関する、又は異なる身体部分に関する物理的構造の変化に対応し得る。主要周波数は、身体部分の一部分に行き渡る周波数又は周波数の範囲であり得、同じ身体部分の異なる部分において異なり得る。例えば、心臓の肺静脈の主要周波数は、同じ心臓の右心房の主要周波数と異なり得る。インピーダンスは、身体部分の所与の領域における抵抗測定値であり得る。
【0113】
図17Aに示されるように、プローブ1721及びカテーテル1740は、コンソール1724に接続され得る。コンソール1724は、カテーテルとの間で信号を送受信するため、並びにシステム1720の他の構成要素を制御するための、好適なフロントエンド及びインターフェース回路1738を備えた汎用コンピュータなどのプロセッサ1741を含み得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ1741は、電気活動などの生体データを受信し、所与の組織領域が電気を伝導するかどうかを判定するように更に構成され得る。一実施形態によれば、プロセッサは、コンソール1724の外部にあり得、例えば、カテーテル内、外部デバイス内、モバイルデバイス内、クラウドベースのデバイス内に位置し得るか、又はスタンドアロン型プロセッサであり得る。
【0114】
上述のように、プロセッサ1741は、汎用コンピュータを含み得、このコンピュータは、本明細書で説明される機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされ得る。ソフトウェアは、例えば、ネットワーク上で、汎用コンピュータに電子形態でダウンロードされてよく、又は代替的に若しくは追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的有形媒体上で提供及び/若しくは保存され得る。図17Aに示される例示的な構成は、本明細書に開示される実施形態を実施するように修正され得る。本開示の実施形態は、他のシステム構成要素及び設定を使用して、同様に適用することができる。更に、システム1720は、電気活動を感知するための要素、有線又は無線コネクタ、処理及び表示デバイスなどの追加の構成要素を含み得る。
【0115】
一実施形態によれば、プロセッサ(例えば、プロセッサ1741)に接続されたディスプレイは、別個の病院などの隔地に配置され得、又は別個の医療提供者ネットワーク内に配置され得る。更に、システム1720は、心臓などの患者の器官の解剖学的及び電気的測定値を取得するように構成されており、心臓アブレーション処置を実施する外科システムの一部であり得る。そのような外科システムの一例は、Biosense Websterにより販売されているCARTO(登録商標)システムである。
【0116】
システム1720はまた、任意選択により、超音波、コンピュータ断層撮影(computed tomography、CT)、磁気共鳴映像法(MRI)、又は当該技術分野において既知の他の医療撮像技術を使用して、患者の心臓の解剖学的測定値などの生体データを取得することができる。システム1720は、カテーテル、心電図(EKG)、又は心臓の電気的特性を測定する他のセンサを使用して電気的測定値を取得することができる。次いで、解剖学的及び電気的測定値を含む生体データは、図17Aに示されるように、マッピングシステム1720のメモリ1742内に記憶され得る。生体データは、メモリ1742からプロセッサ1741に送信され得る。代替的に、又は加えて、生体データは、ネットワーク1762を使用して、ローカル又はリモートであり得るサーバ1760に送信され得る。
【0117】
ネットワーク1762は、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、直接接続若しくは一連の接続、携帯電話ネットワーク、又はマッピングシステム1720とサーバ1760との間の通信を円滑にすることができる任意の他のネットワーク若しくは媒体など、当該技術分野で一般に知られている任意のネットワーク又はシステムであり得る。ネットワーク1762は、有線、無線、又はこれらの組み合わせであり得る。有線接続は、イーサネット、ユニバーサルシリアルバス(USB)、RJ-11、又は当該技術分野において一般的に知られている任意の他の有線接続を使用して実装することができる。無線接続は、Wi-Fi、WiMAX、及びBluetooth、赤外線、セルラーネットワーク、衛星、又は当該技術分野において一般的に知られている任意のその他の無線接続方法を使用して実装することができる。追加的に、いくつかのネットワークは、ネットワーク1762内の通信を容易にするために、単独で、又は互いに通信して動作し得る。
【0118】
いくつかの場合では、サーバ1762は、物理サーバとして実装され得る。他の場合では、サーバ1762は、仮想サーバ、パブリッククラウドコンピューティングプロバイダ(例えば、Amazon Web Services(AWS)(登録商標))として実装され得る。
【0119】
制御コンソール1724は、ケーブル1739によって体表面電極1743に接続され得、体表面電極は、患者1730に貼り付けられた接着性皮膚パッチを含み得る。プロセッサは、電流追跡モジュールと連動して、患者の身体部分(例えば、心臓1726)内のカテーテル1740の位置座標を判定し得る。位置座標は、体表面電極1743と電極1748又はカテーテル1740の他の電磁構成要素との間で測定されたインピーダンス又は電磁場に基づいたものであってよい。追加的に又は代替的に、位置特定パッドは、ベッド1729の表面上に配置され得、また、ベッド1729から分離され得る。
【0120】
プロセッサ1741は、典型的にはフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)として構成されたリアルタイムノイズ低減回路と、その後のアナログ-デジタル(analog-to-digital、A/D)ECG(electrocardiograph、心電計)又はEMG(electromyogram、筋電図)信号変換集積回路と、を含み得る。プロセッサ1741は、A/D ECG又はEMG回路から別のプロセッサへと信号を通過させ得、及び/又は本明細書に開示される1つ又は2つ以上の機能を行うようにプログラムされることができる。
【0121】
制御コンソール1724はまた、制御コンソールが電極1747から信号を転送すること、及び/又は電極1747に信号を転送することを可能にする入力/出力(I/O)通信インターフェースを含み得る。
【0122】
処置中、プロセッサ1741は、ディスプレイ1727上で身体部分レンダリング1735を医師1730に提示することを容易にし得、また身体部分レンダリング1735を表すデータをメモリ1742に保存し得る。メモリ1742は、ランダムアクセスメモリ又はハードディスクドライブなど、任意の好適な揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを含み得る。いくつかの実施形態では、医療専門家1730は、タッチパッド、マウス、キーボード、ジェスチャ認識装置などの1つ又は2つ以上の入力デバイスを使用して、身体部分レンダリング1735を操作することが可能であり得る。例えば、レンダリング1735が更新されるように、入力デバイスを使用してカテーテル1740の位置を変更させ得る。代替的な実施形態では、ディスプレイ1727は、身体部分レンダリング1735を提示することに加えて、医療専門家1730からの入力を受け取るように構成することができるタッチスクリーンを含み得る。
【0123】
図17Bは、心臓内ECGリード1770を介して双極心臓内ECG信号1780を有する右心房内に配置された例示的なカテーテル1750を例解する。
【0124】
上に記載されるように、ノイズは、ECG測定において常に懸念を引き起こす問題である。このノイズは、ノイズ除去に加えて、接触及び偏向ノイズを含む加法性ノイズの除去を必要とする。例えば、図18を参照すると、実験室の例解図1800が描写されている。例解図1800は、測定値にノイズを与える多くの特定の電子デバイスを含む。多くのモニタ、マシン光源、及び内部実験室環境で一般的に見られる他のマシンがある。加えて、実験室内の電子信号に影響を及ぼす外部(実験室からの)源が存在し得る。例えば、病院用の電源バンク(例えば、実験室が病院内に含まれる場合)は、実験室のフロアの下方に配置され得る。空調ユニットは、実験室の上方に配置され得る。ノイズを与える又は増加させる他のデバイスが、隣接する部屋に配置される場合がある。内部マシン及び外部マシンの全てが、実験室内のECG信号の環境に影響を及ぼす可能性がある。更に、各実験室は、内部及び外部ノイズ信号に関して固有である。すなわち、1つの実験室は、空調、別の電力バンクを含む可能性があり、実際に、各実験室は、モニタ及び他の内部デバイスの特定の構成を有する場合がある。
【0125】
図19は、特定の実験室内で見出され得る信号及びそれらのそれぞれの周波数を例解する。例えば、200Hz付近の蛍光ノイズ、50/60Hzの電力ノイズ、及びこれらの信号のそれぞれの高調波である。図19に例解されるように、本考察では、各実験室は異なる典型的なノイズスペクトルを有し、実験室ベースで典型的なノイズ信号を特徴付けることによって、本システム及び方法は、各特定の実験室に特有のフィルタセットを設計することができる。ECG及びICEGを検討することにより、各実験室が固有のノイズパターンを有することが示された。したがって、実験室特有のノイズアルゴリズムを生成する方法を定義する必要がある。
【0126】
図20は、説明したノイズ信号を処理するための方法2000を例解する。これらのタイプのノイズに対処するための現在の概念は、フィールド上で現在展開されている全てのECG処理システムに対する「全てに適合する1つの方法」ECG/ICEGノイズ除去アルゴリズムを生成することに基づいている。方法2000は、ステップ2010において、ECGに加えてノイズ信号を収集することを含む。ステップ2020において、方法2000は、フィルタのセット(全ての実験室に対して同じフィルタ)を適用する。ステップ2030において、方法2000は、綺麗なECG信号を提供する。
【0127】
本明細書で説明される方法は、各特定の実験室に対して特定のノイズ除去アルゴリズムを生成することに基づき、その結果、ECG/ICEG信号形態に対するノイズ除去の影響を低減する。各実験室に固有のノイズアルゴリズムを提供するために、データは、各実験室のノイズのタイプ、内部及び外部ノイズ源の両方について収集される。これは、例えば、電力線、コンバータ、X線マシン、及びCARTO ACTさえも含む。いくつかの実験室では床下に配置された変圧器、並びに他の外部源からのノイズも収集される。
【0128】
例えば、図21では、方法2100を実行して、実験室の信号のノイズを除去することができる。方法2100Aは、第1の実験室のために採用され得る。方法2100Aは、ステップ2110Aにおいて、ECGに加えてノイズ信号を収集することを含む。ステップ2120Aにおいて、方法2100Aは、実験室Aのための実験室ノイズプロファイルを構築するために十分なデータが収集されることを確実にする。ステップ2130Aにおいて、方法2100Aは、フィルタのセット(実験室Aのために設計された特定のフィルタ)を適用する。ステップ2140Aにおいて、方法2100Aは、綺麗なECG信号を提供する。
【0129】
同様に、図21に示されるように、方法2100Bは、第2の実験室のために採用され得る。方法2100Bは、ステップ2110Bにおいて、ECGに加えてノイズ信号を収集することを含む。ステップ2120Bにおいて、方法2100Bは、実験室Aのための実験室ノイズプロファイルを構築するために十分なデータが収集されることを確実にする。ステップ2130Bにおいて、方法2100Bは、フィルタのセット(実験室Aのために設計された特定のフィルタ)を適用する。ステップ2130A及びステップ2130Bにおいて適用されるフィルタのセットは、各フィルタセットがそれぞれの実験室内で見出されるノイズに依存するので、異なり得る。ステップ2140BAにおいて、方法2100Bは、綺麗なECG信号を提供する。
【0130】
サイトベースのノイズに対処するために各実験室からのデータを図4のシステムに提供するために、どの実験室が試験されているかに応じて、各特定の実験室からのデータがステップ2120のうちの1つにおいて収集される。ECG/ICEG収集は、各実験室記録をデータベースに集約することによって行った。CARTO(登録商標)データをCARTONETに裏付けることによって、データベースにアップロードされる各ケースは、施設及び特定の実験室の識別を含む。データは、フィルタリングを用いて記録され得る。生データ、すなわちフィルタリングなしのECG/ICEG信号も収集することができ、全ての実験室ベースノイズを含むWCT記録(チャネル21)も収集され得る。代替的に、各特定のWSに関するデータが収集され得る。例えば、収集のための特定のディスクスペースがあり得る。図4に関して考察されるように、収集後、ローカルアルゴリズムがディスクスペース内で実行され得る。ECG/ICEGノイズ除去アルゴリズムは、データ上で訓練することができる。ステップ2130において、実験室ノイズをフィルタリングするために特定のアルゴリズムが設計され生成され得る。そうするために、全てのECG/ICEG信号に対してFFTを実行して、典型的な実験室ノイズを判定し得る。生物学的ノイズは患者間で異なり、実験室ノイズは特定の実験室において一貫しているので、データ上の相関(例えば、30を超える)は、生物学的ノイズと実験室ノイズとを区別する能力を提供する。図4で説明されるように、機械学習は、マシンがコヒーレントノイズを学習することを可能にするために実行され得る。アルゴリズムは、クラウド又はワークステーション上の特定のアプリケーションにおいて生成され得る。アルゴリズムは、例えば、オートエンコーダに基づき得る。これは、上で説明されるように、LTSM及び/又はCNNアーキテクチャを含み得る。生成されると、訓練されたモデルは、ステップ2140において、特定の実験室のために展開され、その実験室から綺麗なECGを提供し得る。
【0131】
各実験室について得られたフィルタは、臨床データに基づいてアルゴリズム結果を承認するためにユーザ(医師)に提示され得る。そのような提示は、生データ、以前のフィルタリングアルゴリズム、及び承認の容易さを可能にする他のフィルタリングアルゴリズムを含み得る。承認されると、訓練されたアルゴリズム(又は特定の実験室ノイズの周波数)は、CARTO(登録商標)システム(すなわち、ECG/ICEG提示及び記憶システム)にロードされ得る。
【0132】
実験室特有のノイズに加えて、他の加法性ノイズもまた、ECG信号内に見出され得る。本明細書は、加法性ノイズのための自動ノイズサンプル生成技術を提供する。AIを使用してそのような問題を解決することを含む、ノイズ除去問題を解決する際に、特定のノイズの可能な例の良好なカバレッジを提供するために十分なサンプルを収集することがしばしば重要である。
【0133】
記録された信号における環境関連の加法性ノイズの存在は、例えば、電力ノイズ、接触ノイズ、及び偏向ノイズを含み得る。接触ノイズは、データ収集中のカテーテル衝突によって生成されるノイズを含み得る。偏向ノイズは、カテーテル偏向中の静電気の放電によって生成されるノイズを含み得る。
【0134】
現在、いくつかの加法性ノイズ信号は、検出することが困難であり、いくつかのノイズイベントを識別するために何時間ものECG記録を見る必要がある検査者に注釈を付けることが面倒な場合がある。今日、ノイズの影響を受けたポイントを見出す作業はかなり面倒であり、仮にあったとしても手動で行われる。例えば、手動の例において、いくつかの検査者が配置され、各検査者は、数時間のECG信号を検査して、いくつかのノイズ事象を見出して注釈を付けることができる。
【0135】
結果として、生理学的特徴のCARTOの検出(例えば、接触に影響されたポイントECG内の注釈のマッピング)は、アーチファクトを生成し、したがって、CARTO(登録商標)マップの臨床的理解に影響を及ぼす可能性が高い。この方法は、ユーザが、接触ノイズに影響されたCARTO(登録商標)ポイントを自動的にフィルタ除去して、アーチファクトのないCARTO(登録商標)マップを生成することを可能にする。
【0136】
本方法は、「静かな実験室」条件でノイズサンプルのセットを生成することを可能にし、これを現実の信号に追加し得、事実上無制限の数の現実のノイズサンプルの生成を可能にする。例えば、かなりの実験室が、低ノイズ又はノイズなしで使用され得る。サンプルは、無菌環境(水槽としても知られる)において記録され得る。この環境では、意図的な電極衝突及びカテーテル偏向が提供され得る。収集されたノイズ信号は、ノイズセグメントへの注釈として時間基準を記憶することによって、ECGデータに埋め込まれ得る。
【0137】
再び図4を参照すると、データは、可能なノイズの数が最小限であるか、又は理想的にはノイズがない「静かな実験室」でシステムを構成することによって収集され得る。関心のあるノイズが加法性であり、システム内の信号又は他のノイズへの依存性を生じていないと仮定して、関心のある特定のノイズを伴う1セットの信号が生成及び記録され得る。必要とされる、要求される、又は所望される数のノイズサンプルは、記録されたノイズサンプルを現実のシステムの信号記録に追加することによって、収集されたノイズサンプルを現実のシステムの信号記録に埋め込むことによって提供され得る。加法性ノイズとして提供され得る信号は、電力ノイズ、接触ノイズ、及び偏向ノイズを含むが、それらに限定されない。
【0138】
例えば接触ノイズの場合、ノイズ検出は、完全に接続された(密な)層を有するディープオートエンコーダを使用して行われ得る。接触ノイズは、カテーテル電極が互いに接触しているときに引き起こされる特徴的な非臨床的アーチファクトである。この接触は、カテーテル又は異なるカテーテルの2つ又は3つ以上の電極が交差する、すなわち互いに接触するときに生じ得る。本明細書は、CARTO(登録商標)ポイントECGにおけるそのようなノイズを検出し、CARTO(登録商標)マップからそれらのポイントをフィルタ除去する方法を提示する。
【0139】
一例として、心臓内ECG信号は、以下の式に説明されるように、信号といくつかのノイズ成分との線形結合としてモデル化され得る。
【0140】
ICECG=信号+DN+CN+PN+筋アーチファクト+・・・
ここで、例えば、DNは、偏向ノイズであり、CNは、接触ノイズであり、PNは、電力線ノイズである。
【0141】
ノイズ成分は、ユーザの手動操作に基づいて生成される場合もある。
【0142】
図22は、制御された水槽環境内で記録された接触ノイズ例を例解する。例解されるように、いくつかの信号が、2.5秒間隔にわたって記録され得る。信号は、それぞれのプロット上に表示される。24個の信号が記録され得る。マップ1~4は、この例ではマッピングカテーテルとして提供され得る。これらのマッピングカテーテル信号は、最初の4つのプロット2202、2204、2206、2208において提供され得る。カテーテルP1~P20は、ペンタレイ別カテーテルとして提供される。カテーテルは、残りの20個のプロット2210、2212、2214、2216、2218、2220、2222、2224、2226、2228、22300、2232、2234、2236、2238、2240、2242、2244、2246、2248に提供される。
【0143】
この例では、プロット2202に表されるマップ1(マッピングカテーテル電極1)は、プロット2218に表されるペンタレイ電極5及びプロット2220に表されるペンタレイ電極6(P5、P6)に接触している。プロット2202は、プロット2218、2220に表される信号によって影響を受ける。
【0144】
プロット2204に表されるマップ2は、接触ノイズを例解するプロット2224に表されるP8に接触する。信号は、カテーテル接触状況の各々の接触ノイズを表す。プロット2204は、プロット2224に表される信号によって影響を受ける。
【0145】
データは、実験室臨床的記録をデータベースに集約することによって、ICEG及びECGデータ収集を使用して収集される。これは、例えば、CARTONETへのCARTO(登録商標)データのバックアップであり得る。指定されたGUIは、各CARTO(登録商標)ポイントの電極毎の接触開始及び終了時間の手動マーキングを可能にし、その結果、データを2つのクラスに分割する。これは、バイナリ分類に関して上で説明されるように動作し得る。クラスのうちの1つは、ポイントに存在する接触ノイズ(CN)である。他のクラスは、接触ノイズのないECGポイント(FR)を含む。データベースから、図4に関して上で説明されるように、モデルに対して訓練及び評価を行うことができる。訓練は、ディープオートエンコーダネットワークに基づく深層学習モデルアーキテクチャを含み得る。例えば、エンコーダとして3層の2D畳み込みニューラルネットワークを使用し、デコーダとして同様の3層の2D畳み込みネットワークを使用する。エンコーダの出力は、チャネル毎に接触ノイズを分類するために、高密度層に接続される。そのような構成では、モデルは、5GBのIC ECGデータで訓練され得る。
【0146】
このモデルは、臨床処置中に各CARTO(登録商標)ポイントの(CN.FR)クラスへの分類を可能にする。これにより、ユーザは、CNに分類されたCARTO(登録商標)ポイントをフィルタ除去し、接触ノイズによって引き起こされるアーチファクトのないCARTO(登録商標)マップを表示することができる。
【0147】
偏向ノイズ検出のために、LSTMディープネットワークが説明される。上に記載されるように、ノイズの影響を受けたポイントを見出す作業はかなり面倒であり、仮にあったとしても手動で行われる。結果として、生理学的特徴のCARTOの検出(例えば、偏向影響ポイントECG内の注釈のマッピング)は、アーチファクトを生成し、したがって、CARTO(登録商標)マップの臨床的理解に影響を及ぼす可能性が高い。この方法は、アーチファクトのないCARTO(登録商標)マップを生成するために、ユーザが偏向ノイズに影響されたCARTO(登録商標)ポイントを自動的にフィルタ除去することを可能にする。偏向ノイズは、カテーテルが臨床専門家によって偏向されるときに無秩序なピークとして現れる。本開示は、CARTO(登録商標)ポイントECGにおけるそのようなノイズを検出し、CARTO(登録商標)マップからそれらのポイントをフィルタ除去する方法を提示する。
【0148】
図23Aは、制御された水槽環境内で記録された偏向ノイズ例を例解する。これらのデータサンプルは、ランダムな開始時間が提供され得、ランダムな持続時間を有し得る。図23Bは、図23Aの描写から特徴を拡大するためにx軸を増加させた、図23Aの偏向ノイズ例を例解する。特に、下のプロット(オレンジ色)2310(図23Bにおいて拡大プロット2310.1としても示される)は、水槽において記録された偏向ノイズを表す。下のプロットは、カテーテルが3回偏向されたことを示す3つの高周波バーストを例解する。上のプロット(緑色)2320(図23Bにおいて拡大プロット2320.1としても示される)は、偏向又は接触ノイズがない信号を表す。中央のプロット(青色)2330(図23Bに拡大プロット2330.1としても示される)は、偏向及び接触ノイズの合計である信号を例解する。
【0149】
データは、ICEG(偏向ノイズはICEGにのみ現れる)及びECGデータ収集を使用して、実験室臨床記録をデータベースに集約することによって収集される。これは、例えば、CARTONETへのCARTO(登録商標)データのバックアップであり得る。指定されたGUIは、各CARTO(登録商標)ポイントの電極毎の偏向開始及び終了時間の手動マーキングを可能にし、その結果、データを2つのクラスに分割する。これは、バイナリ分類に関して上で説明されるように動作し得る。クラスの1つは、ポイントのECGに存在する偏向ノイズ(DN)である。他のクラスは、偏向ノイズのないECGポイント(FR)を含む。データベースから、図4に関して上で説明されるように、モデルに対して訓練及び評価を行うことができる。訓練は、LSTMディープネットワークに基づく深層学習モデルアーキテクチャを含み得る。例えば、偏向ノイズの特徴表現を捕捉するための3層LSTMネットワークである。最後の層出力は、偏向ノイズの存在を予測するために、密な全結合層に結合される。モデルは、10GBのBS ECG及びIC ECGデータで訓練され得る。
【0150】
モデルは、臨床処置中の各CARTOポイントの(DN.FR)クラスへの分類を可能にする。これは、ユーザが、DNに分類されたCARTO(登録商標)ポイントをフィルタ除去し、偏向ノイズが引き起こしたアーチファクトのないCARTO(登録商標)マップを表示することを可能にする。
【0151】
図24は、追加の偏向ノイズ2450の例を例解する。この偏向ノイズ2450が例解されているが、前のビートでは、偏向ノイズは存在しないか、又は低減されている。例解されるように、最初の2つのプロット2452、2454は、体表面ECGを表し、次の10個のプロット2456、2458、2460、2462、2464、2466、2468、2470、2472、2474は、偏向ノイズ中の心臓内ECGの10個の双極チャネルを表す。偏向ノイズ2450は、各信号上に例解されている。
【0152】
接触及び偏向ノイズモデル2500は、LSTMネットワークを例解する図25に提供される。入力データは、Penta、Lassoなどを含む単極心臓内ECG、及び2~4個の単極カテーテルを有するマッピングカテーテルを含み得る。モデル2500は、入力層2510としてLSTM1入力を含む。LSTM1は、LSTM2520を実行する。次いで、ドロップアウト1が、ステップ2530において発生する。LSTM2は、ステップ2540において実行される。ドロップアウト2が、ステップ2550において発生する。LSTM3が、ステップ2560において実行される。ドロップアウト3が、ステップ2570において発生する。ステップ2580において、dense1結合層が発生する。ドロップアウト4が、ステップ2590において発生する。dense2結合層が、ステップ2595において発生する。出力は、0、1、2のサンプル毎の分類を含み、ここで、0は正常信号であり、1は接触ノイズであり、2は偏向ノイズである。
【0153】
CNN開始モデル2600が、図26に提供されている。入力データは、Penta、Lassoなどを含む単極心臓内ECG、及び2~4個の単極カテーテルを有するマッピングカテーテルを含み得る。入力データは、位置情報(x,y,z)、角運動、及び運動又は変位を含み得る。例えば。入力1は、ECG信号であり得、入力2は、位置情報(x、y、z)、角運動、及びカテーテルの運動又は変位であり得る。
【0154】
モデル2600は、入力層2605に入力1を含む。ステップ2610において、2D畳み込みが実行される。これは、2610a、2610b、2610cにおいて3重に実行され得る。それぞれのconv2d(2610a、2610b、2610c)は、ステップ2615においてバッチ正規化で正規化される。これらのバッチ正規化は、ステップ2620における第1の連結において連結される。ステップ2625において、2D畳み込みの第2のセットが実行される。これは、2625a、2625b、2625cにおいて3重に実行され得る。それぞれのconv2d(2625a、2625b、2625c)は、ステップ2630においてバッチ正規化で正規化される。これらのバッチ正規化は、ステップ2635において第2の連結において連結される。ステップ2640において、2D畳み込みの第3のセットが実行される。これは、2640a、2640b、2640cにおいて3重に実行され得る。それぞれのconv2d(2640a、2640b、2640c)は、ステップ2645においてバッチ正規化で正規化される。これらのバッチ正規化は、ステップ2650における第3の連結において連結される。ステップ2655において、第4のセットの2D畳み込みが実行される。これは、2655a、2655b、2655cにおいて3重に実行され得る。それぞれのconv2d(2655a、2655b、2655c)は、ステップ2660においてバッチ正規化で正規化される。これらのバッチ正規化は、ステップ2665において第4の連結において連結される。次いで、データは、ステップ2670において、第1の平坦化において平坦化され、ステップ2675において、第1の密なフィルタリングに出力される。一方、第2の入力層がステップ2680において提供され、これは、ステップ2685において第2の密なフィルタに供給される。ステップ2675における第1の密なフィルタ及びステップ2685における第2の密なフィルタの出力は、ステップ2690において連結され、次いで、ステップ2695において第3の密なフィルタに提供される。出力は、0、1、2のサンプル毎の分類を含み、ここで、0は正常信号であり、1は接触ノイズであり、2は偏向ノイズである。
【0155】
図27は、本明細書で説明する方法を捕捉するために実装され得る第2の学習フェーズ2700を例解する。第2の学習フェーズ2700は、反復的に実行され得る。方法2700は、ステップ2710において、実験室内のノイズを記録することを含む。この記録は、本明細書において上で説明されている。ステップ2720において、ノイズサンプルが綺麗な心臓内信号に加えられる。加えられるノイズサンプルは、上で詳細に説明されている。ステップ2730において、モデルが構築される。このモデルは、例えば、ニューラルネットワークを含み得る。モデルは、上記の式に例解されるように、現実データ上で評価されるノイズの加法性仮定に基づいて構築され得る。ステップ2710、2720、及び2730は、様々な加法性信号について本明細書において上で説明されている。ステップ2740において、モデルは、一般的なデータセット上で評価され得、手動注釈と比較され得る。このモデルの再訓練は、第2の学習段階を提供する。再訓練は、所望されるレベルを上回るモデルの特異性及び感度が達成されるまで、反復的に繰り返され得る。
【0156】
特徴及び要素が特定の組み合わせにて上記で説明されたが、当業者であれば、特徴又は要素の各々を単独で使用することもでき、又は他の特徴及び要素と組み合わせて使用することもできることを理解するであろう。加えて、本明細書に説明される方法は、コンピュータ又はプロセッサで実行するために、コンピュータ可読媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア、又はファームウェアにおいて実装され得る。コンピュータ可読媒体の例としては、電子信号(有線又は無線接続を介して送信される)及びコンピュータ可読記憶媒体が挙げられる。コンピュータ可読記憶媒体の例には、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、磁気媒体、例えば、内蔵ハードディスク及び取り外し可能なディスク、磁気光学媒体、並びに光学媒体、例えば、CD-ROMディスク及びデジタル多用途ディスク(digital versatile disks、DVD)が挙げられるが、これらに限定されない。ソフトウェアに関連するプロセッサを使用して、WTRU、UE、端末、基地局、RNC、又は任意のホストコンピュータで使用するための無線周波数トランシーバを実装し得る。
【0157】
〔実施の態様〕
(1) ECG環境におけるノイズを検出及び低減するための方法であって、
前記ECG及びECGノイズに関するデータをデータベースに入力することであって、前記データベースは、他のECG患者及び前記患者のそれぞれの信号に関するデータを含む、入力することと、
静かな環境における前記ECGの前記ノイズをモデル化して、ECGシステムにおけるノイズを識別するように訓練及びモデル化するためのサンプルを提供することと、
前記ECGデータ内の前記ノイズ信号を識別し、前記信号から前記ノイズを除去することと、を含む、方法。
(2) 前記ノイズは、サイト毎のノイズ信号を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記ノイズは、加法性ノイズを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記ノイズは、接触ノイズを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記ノイズは、偏向ノイズを含む、実施態様1に記載の方法。
【0158】
(6) 前記静かな環境は、水槽を含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記識別することは、サイト毎のノイズを含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 実験室特有のノイズを除去するための方法であって、
前記実験室内の信号を測定することによって、実験室プロファイルを構築することと、
前記実験室内で収集された信号に適用するように実験室特有のフィルタを設計することと、
前記実験室内の信号を測定し、前記設計されたフィルタを前記信号に適用して、前記信号から実験室特有のノイズを除去することと、を含む、方法。
(9) 前記ノイズは、サイト毎のノイズ信号を含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記ノイズは、加法性ノイズを含む、実施態様8に記載の方法。
【0159】
(11) 前記ノイズは、接触ノイズを含む、実施態様8に記載の方法。
(12) 前記ノイズは、偏向ノイズを含む、実施態様8に記載の方法。
(13) 前記静かな環境は、水槽を含む、実施態様8に記載の方法。
(14) ECG環境におけるノイズを検出及び低減するためのシステムであって、
ECG内の信号を測定することができる複数のマッピングカテーテルと、
前記ECG内の信号を測定することができる複数のペンタレイカテーテルと、
前記複数のマッピングカテーテル及び前記複数のペンタレイカテーテルの少なくとも一部分上で測定された信号を処理及び記録するように協働して動作する、信号プロセッサ及びデータベースと、を備え、
前記複数のマッピングカテーテル及び前記複数のペンタレイカテーテルの少なくとも一部分は、前記ECG及びECGノイズに関するデータを前記データベースに入力し、前記データベースは、他のECG患者及び前記患者のそれぞれの信号に関するデータを含み、
前記プロセッサは、静かな環境における前記ECGの前記ノイズをモデル化して、ECGシステムにおけるノイズを識別するように訓練及びモデル化するためのサンプルを提供し、
前記プロセッサは、前記ECGデータ内の前記ノイズ信号を識別し、前記信号から前記ノイズを除去する、システム。
(15) 前記ノイズは、加法性ノイズを含む、実施態様14に記載のシステム。
【0160】
(16) 前記ノイズは、接触ノイズを含む、実施態様14に記載のシステム。
(17) 前記ノイズは、偏向ノイズを含む、実施態様14に記載のシステム。
(18) 前記静かな環境は、水槽を含む、実施態様14に記載のシステム。
(19) 前記識別することは、サイト毎のノイズを含む、実施態様14に記載のシステム。
(20) 前記ノイズが除去された前記信号は、測定されたECG信号として出力される、実施態様14に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図16F
図16G
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図24
図25
図26
図27
【国際調査報告】