(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】コンピュータ断層撮影装置、その製造方法および駆動方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
A61B6/03 320B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547170
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(85)【翻訳文提出日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 KR2021013980
(87)【国際公開番号】W WO2022080797
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】10-2020-0131033
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523136352
【氏名又は名称】エスエスティラボズ
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】チョイ, カンユン
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA07
4C093EA06
4C093EA20
4C093EB30
4C093FF42
(57)【要約】
本発明は、コンピュータ断層撮影装置、その製造方法および駆動方法に関するものであって、本発明に係るコンピュータ断層撮影装置は、被検体の移送方向に沿って重畳する複数の円周上に1つずつ互いに異なる角度に配置され、被検体に向けてファンビーム(fan beam)方式のX線を発生するN個のソース、および前記ソースのそれぞれに対応して円周上の反対側に配置され、前記被検体を透過したX線を検出するN個のディテクタを含み、前記N個のソースは、360度/Nの離隔角度をなすN個の配置角にそれぞれ配置され、前記被検体の移送方向に沿って配置されるN個のソースの配置角順序は隣接する一対のソースの夾角が90度~180度の範囲内に属するように設定されることを特徴とする。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の移送方向に沿って重畳する複数の円周上に1つずつ互いに異なる角度に配置され、被検体に向けてファンビーム(fan beam)方式のX線を発生するN個のソースと、
前記ソースのそれぞれに対応して円周上の反対側に配置され、前記被検体を透過したX線を検出するN個のディテクタと、
を含み、
前記N個のソースが、360度/Nの離隔角度をなすN個の配置角にそれぞれ配置され、前記被検体の移送方向に沿って配置されるN個のソースの配置角順序は隣接する一対のソースの夾角が90度~180度の範囲内に属するように設定されるコンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
前記N個のディテクタで取得したN個の断層画面が互いに同じ角度で整列するように、前記ソースの配置角に対応する補正値を提供するプロセッサを含む請求項1に記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
前記N個のディテクタで取得された断層画面を取得順序に従って前記補正値を適用して使用者に表示するディスプレイを含む請求項2に記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記プロセッサが、前記N個のディテクタで取得されたN個の2次元形態の断層画面を撮影角度順に整列した後、3次元映像データに変換する請求項2に記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】
1つの本体に前記N個のソースおよびN個のディテクタを支持するガントリーを含む請求項1に記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項6】
ファンビーム(fan beam)方式のX線を発生する計N個のソースを被検体の移送方向に沿って重畳する仮想の円周上に互いに異なる角度で配置し、被検体の透過光線を検出するために前記ソースのそれぞれに対応して円周上の反対側に計N個のディテクタを配置したコンピュータ断層撮影装置の製造方法において、
(a)前記N個のソースを360度/Nの離隔角度で配置するためのN個の配置角を求める段階と、
(b)隣接する一対のソースの夾角が90度~180度の範囲内に属するように前記N個のソースの配置角順序を決定する段階と、
(c)前記(b)段階で決定された配置角に従ってN個のソースを配置する段階と、
を含む、コンピュータ断層撮影装置の製造方法。
【請求項7】
前記(b)段階において、先に配置されたソースに対する後続ソースの配置角が、先に配置されたソースの配置角に対して90度~180度の範囲内に属する配置角のうち、先に配置されたソースの配置角と重複しないいずれか1つで決定される請求項6に記載のコンピュータ断層撮影装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載のコンピュータ断層撮影装置の駆動方法において、
円周の中心を貫通するように被検体を移送する段階と、
第1ソース、…、第Nソースを順に動作させて被検体を透過したX線を第1ディテクタ、…、第Nディテクタで順に検出して被検体の断層画面を取得する段階と、
を含む、コンピュータ断層撮影装置の駆動方法。
【請求項9】
前記ディテクタで取得した断層画面を取得順にディスプレイに表示する段階を含む請求項8に記載のコンピュータ断層撮影装置の駆動方法。
【請求項10】
前記断層画面をディスプレイに表示する前に、前記ディテクタで取得したN個の断層画面が一定の角度で表示できるように、前記ソースの配置角に応じた断層画面の傾きを補正する段階を含む請求項9に記載のコンピュータ断層撮影装置の駆動方法。
【請求項11】
N個の断層画面を全て取得した後、
N個の断層画面を撮影角度順に整列する段階と、
整列したN個の2次元断層画面を用いて3次元映像データを生成する段階と、
を含む請求項8に記載のコンピュータ断層撮影装置の駆動方法。
【請求項12】
ファンビーム(fan beam)方式のX線を発生する計N個のソースを円周上に等間隔で設置し、被検体の透過光線を検出するために、前記ソースのそれぞれに対応して円周上の反対側に計N個のディテクタを設置したガントリーの計L個を駆動して被検体のコンピュータ断層映像を取得する方法において、
(a)各ガントリー別にソースおよびディテクタの駆動順番を設定する段階と、
(b)t=t1時刻に一番目の駆動順番に設定された第1ガントリーの第1ソース、…、第Lガントリーの第1ソースを同時(simultaneously)に動作させて透過光データを第1ガントリーの第1ディテクタ、…、第Lガントリーの第1ディテクタで検出する段階と、
(c)t=t1+n△t(ただし、0≦n≦N)時刻に設定された駆動順番に従って第1ガントリーの第nソース、…、第Lガントリーの第nソースを△t/L間隔で同時に動作させて透過光データを第1ガントリーの第nディテクタ、…、第Lガントリーの第nディテクタで順に検出する段階と、
を含み(△tは、前記ソースが1回照射したX線が被検体を透過してディテクタが検出した透過光データから断層映像を取得するのにかかる時間である)、
前記(a)段階で前記ソースおよびディテクタの駆動順番が、同時に動作する複数のソースのうち、隣接する一対のソースの夾角が90度~180度となるように設定される、コンピュータ断層撮影装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線(X-ray)を用いたコンピュータ断層撮影(computed tomography;CT)装置に関し、特に固定型ガントリー(stationary gantry)コンピュータ断層撮影装置に関する。より詳細には、本発明はファンビーム(fan beam)方式のマルチソース(multi-source)を被検体の移送方向に沿って離隔配置し、隣接する一対のソースが90度~180度の夾角を有するようにしてファンビーム(fan beam)間の散乱ノイズ(scatter)の影響を最小化することができるコンピュータ断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線コンピュータ断層撮影は、診断、手術中のリアルタイムイメージング、手術後の予後評価など様々な臨床分野に使用されている。また、コンピュータ断層撮影は、医療用映像診断機器だけでなく、空港の貨物検索目的またはマイクロ構造物のような産業体の生産品に対する非破壊検査(nondestructive inspection)の目的にも応用されている。
【0003】
コンピュータ断層撮影装置は、X線を被検体に入射させて、一部は被検体に吸収され、残りの透過した放射線を線状または面状に配列された複数の検出器で検出した後、各検出器の出力データを電気信号に変換して映像を再構成することで被検体の断層映像を取得する。
【0004】
従来技術によるコンピュータ断層撮影装置は、被検体の周囲に設置されたガントリー(gantry)を回転させてX線投影データを取得するため、ガントリーへの電力供給、大容量データのリアルタイム伝送および精密な位置制御が容易ではないという短所がある。さらに、断層映像データを取得するためのコンピュータ断層撮影時間が長く、取得された投影データを再構成して3次元立体映像を得るのにかなりの時間がかかり、コンピュータ断層撮影をリアルタイムで手術中に使用するのに技術的障害となってきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、このような従来の問題点を解決するためのものであって、ファンビーム(fan beam)方式のマルチソース(multi-source)を被検体の移送方向に沿って離隔配置し、隣接する一対のソースが90度~180度の夾角を有するようにしてファンビーム(fan beam)間の散乱ノイズ(scatter)の影響を最小化することができるコンピュータ断層撮影装置、その製造方法および駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的は、本発明によって、被検体の移送方向に沿って重畳する複数の円周上に1つずつ互いに異なる角度に配置され、被検体に向けてファンビーム(fan beam)方式のX線を発生するN個のソース、および前記ソースのそれぞれに対応して円周上の反対側に配置され、前記被検体を透過したX線を検出するN個のディテクタを含み、前記N個のソースは、360度/Nの離隔角度をなすN個の配置角にそれぞれ配置され、前記被検体の移送方向に沿って配置されるN個のソースの配置角の順序は隣接する一対のソースの夾角が90度~180度の範囲内に属するように設定されることを特徴とするコンピュータ断層撮影装置によって達成される。
【0007】
ここで、前記N個のディテクタで取得したN個の断層画面が互いに同じ角度で整列するように、前記ソースの配置角に対応する補正値を提供するプロセッサを含むことが好ましい。
【0008】
また、前記N個のディテクタで取得された断層画面を取得順序に従って前記補正値を適用して使用者に表示するディスプレイをさらに含むことが好ましい。
【0009】
また、前記プロセッサは、前記N個のディテクタで取得されたN個の2次元形態の断層画面を撮影角度順に整列した後、3次元映像データに変換することが好ましい。
【0010】
また、1つの本体に前記N個のソースおよびN個のディテクタを支持するガントリーをさらに含むことが好ましい。
【0011】
また、本発明の目的は、ファンビーム(fan beam)方式のX線を発生する計N個のソースを被検体の移送方向に沿って重畳する仮想の円周上に互いに異なる角度で配置し、被検体の透過光線を検出するために前記ソースのそれぞれに対応して円周上の反対側に計N個のディテクタを配置したコンピュータ断層撮影装置の製造方法において、(a)前記N個のソースを360度/Nの離隔角度で配置するためのN個の配置角を求める段階、(b)隣接する一対のソースの夾角が90度~180度の範囲内に属するように前記N個のソースの配置角順序を決定する段階、および(c)前記(b)段階で決定された配置角に従ってN個のソースを配置する段階を含むことを特徴とするコンピュータ断層撮影装置の製造方法によって達成される。
【0012】
また、前記(b)段階において、先に配置されたソースに対する後続ソースの配置角は、先に配置されたソースの配置角に対して90度~180度の範囲内に属する配置角のうち、先に配置されたソースの配置角と重複しないいずれか1つで決定することを特徴とすることが好ましい。
【0013】
また、本発明の目的は、コンピュータ断層撮影装置の駆動方法において、円周の中心を貫通するように被検体を移送する段階、および第1ソース、…、第Nソースを順に動作させて被検体を透過したX線を第1ディテクタ、…、第Nディテクタで順に検出して被検体の断層画面を取得する段階を含むことを特徴とするコンピュータ断層撮影装置の駆動方法によって達成される。
【0014】
ここで、前記ディテクタで取得した断層画面を取得順にディスプレイに表示する段階を含むことが好ましい。
【0015】
また、前記断層画面をディスプレイに表示する前に、前記ディテクタで取得したN個の断層画面が一定の角度で表示できるように、前記ソースの配置角に応じた断層画面の傾きを補正する段階を含むことが好ましい。
【0016】
また、N個の断層画面を全て取得した後、N個の断層画面を撮影角度順に整列する段階、および整列したN個の2次元断層画面を用いて3次元映像データを生成する段階をさらに含むことが好ましい。
【0017】
本発明の目的は、ファンビーム(fan beam)方式のX線を発生する計N個のソースを円周上に等間隔で設置し、被検体の透過光線を検出するために、前記ソースのそれぞれに対応して円周上の反対側に計N個のディテクタを設置したガントリー計L個を駆動して被検体のコンピュータ断層映像を取得する方法において、(a)各ガントリー別にソースおよびディテクタの駆動順番を設定する段階、(b)t=t1時刻に一番目の駆動順番に設定された第1ガントリーの第1ソース、…、第Lガントリーの第1ソースを同時(simultaneously)に動作させて透過光データを第1ガントリーの第1ディテクタ、…、第Lガントリーの第1ディテクタで検出する段階、および(c)t=t1+n△t(ただし、0≦n≦N)時刻に設定された駆動順番に従って第1ガントリーの第nソース、…、第Lガントリーの第nソースを△t/L間隔で同時に動作させて透過光データを第1ガントリーの第nディテクタ、…、第Lガントリーの第nディテクタで順に検出する段階を含み(△tは、前記ソースが1回照射したX線が被検体を透過してディテクタが検出した透過光データから断層映像を取得するのにかかる時間である)、前記(a)段階で前記ソースおよびディテクタの駆動順番は、同時に動作する複数のソースのうち、隣接する一対のソースの夾角が90度~180度となるように設定されることを特徴とするコンピュータ断層撮影装置の駆動方法によっても達成されることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ファンビーム(fan beam)方式のマルチソース(multi-source)を被検体の移送方向に沿って離隔配置し、隣接する一対のソースが90度~180度の夾角を有するようにしてファンビーム(fan beam)間の散乱ノイズ(scatter)の影響を最小化することができるコンピュータ断層撮影装置、その製造方法および駆動方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施例に係るコンピュータ断層撮影装置を構成するガントリー(gantry)を示す図である。
【
図2】本発明の一実施例に係るコンピュータ断層撮影装置の平面構造を示す図である。
【
図3】本発明の一実施例に係るコンピュータ断層撮影装置の正面構造を示す図である。
【
図4】本発明に係るガントリー別断層撮影スイッチング動作シーケンスを示す図である。
【
図5】本発明の一実施例に係るコンピュータ断層撮影装置の第1ガントリーの第1ソースと第2ガントリーの第1ソースおよび第3ガントリーの第1ソースとの間の夾角を示す図である。
【
図6】本発明の一実施例に係るコンピュータ断層撮影装置を作動させるシーケンスの実施例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施例に係るコンピュータ断層撮影装置を作動させるシーケンスの実施例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施例に係るコンピュータ断層撮影装置の正面構成図である。
【
図9】
図8に示すN個のソースとディテクタの配置関係を立体的に示す図である。
【
図10】
図9に示すN個のソースとディテクタの正面をそれぞれ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面の
図1~
図5を参照して、本発明の一実施例に係るコンピュータ断層撮影装置を詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の良好な実施例に係るコンピュータ断層撮影装置を構成するガントリー(gantry)を示す図である。
図1を参照すると、本発明に係るガントリー100は回転するのではなく、固定式であることを特徴とする。
図1を参照すると、被検体200は移送ユニット300の上に載置され、制御装置の制御に応じて移送ユニット300はz方向に被検体200を移送する。図面において、ガントリー100が載置された平面を便宜上、x-y平面とした。
【0022】
本発明に係る固定式ガントリー100には、ファンビーム(fan beam)状のX線を被検体200に照射するソース110を複数備えていることを特徴とする。
図1を参照すると、本発明の良好な実施例として、計6つのソース110がガントリーの周りの円周上に同じ間隔で配列されている。また、各ソースの反対側には、それぞれのソースに対応したディテクタ(detector array;120)が設置されており、本発明の良好な実施例として、計6つのディテクタ120がガントリーの周りの円周上に配列されている(図示せず)。ここで、本発明の良好な実施例により、ディテクタ120は、計6つのフォトディテクタ(photodetector)で構成されることができ、必ずしもここに限定する必要はない。
【0023】
本発明の良好な実施例として、ガントリーを複数備えて断層映像を取得することを技術上の特徴とする。本発明に係る方式を便宜上、マルチガントリーコンピュータ断層撮影装置と呼ぶことができる。
【0024】
図4は、本発明に係るマルチガントリーコンピュータ断層撮影装置を図式的に示す図である。
図4を参照すると、本発明の一実施例として、3つのガントリー100a、100b、100cが示されている。本発明の一実施例に係るコンピュータ断層撮影装置は、計3つのガントリー100a、100b、100cで構成され、それぞれのガントリー100a、100b、100cには、計6つのソース110と計6つのディテクタ120が備えられている。本発明の良好な実施例により、被検体200は、移送ユニット300の上に載置された状態でモータ制御によってz軸方向に移送されながら、x-y平面の断層映像が取得される。
【0025】
図3は、本発明に係るマルチガントリーコンピュータ断層撮影装置に付着したソース110を1つの図面に重畳して図式的に示した図である。1つの図面に重畳して示しているので、計18のソース110が示されていることに留意する。3つのガントリー100a、100b、100cには、それぞれ6つのソース110が60度間隔に配置され、各ガントリー100a、100b、100cは、20度ずつずらして配置されることによって、計18のソース110が互いに重畳せずに20度ずつ離隔されてガントリーの周りの上に設置される。なお、各ソース110の向い側には、該当ソース110に対応するディテクタ120がソース110と向き合うように配置される。
【0026】
図4は、本発明の良好な実施例によりガントリー別断層撮影スイッチング動作のシーケンスを示す図である。
図4を参照すると、第1ガントリー100aの第1ソース110a1、…、第Nソース110aN、第2ガントリー100bの第1ソース110b1、…、第Nソース110bN、第3ガントリー100cの第1ソース110c1、…、第Nソース110cNは、それぞれ駆動順番に従って指定されることができ、前記駆動順番は連続して駆動する複数のソースの夾角がそれぞれ90度~180度になるように設定される。
【0027】
図4は、駆動順番に従って順次的に駆動するソースが140度の夾角を有するように設定したものを例に挙げて示し、
図5は、T1周期で各ガントリー別ソースとディテクタの位置関係を示したものであって、T1周期で第1ガントリーの第1ソース110a1、第2ガントリーの第1ソース110b1および第3ガントリーの第1ソース110c1がX線を照射すると、被検体を通過したX線が反対側に設置された第1ガントリーの第1ディテクタ120a1、第2ガントリーの第1ディテクタ120b1および第3ガントリーの第1ディテクタ120c1に検出されて断層映像を取得することができる。
【0028】
ここで、本発明の良好な実施例により、計L個のガントリーが使用され、それぞれのガントリーに計N個のソースとディテクタが使用されると、それぞれのガントリーに設置されたソースの間の離隔角度は360度/(LxN)になる。このときに、断層画面を取得するタイミングは、T1周期で順次的に実施する一般モード(
図6参照)で動作することもでき、同時に実施する高速モード(
図7)で動作することもできる。
【0029】
再び
図4を参照すると、T2周期で第1ガントリーの第2ソース110a2、第2ガントリーの第2ソース110b2、第3ガントリーの第2ソース110c2でX線が被検体に照射され、それぞれのガントリーで第2ソースに対応して反対側に設置された第2ディテクタで透過X線が検出されてプロセッサ(図示せず)に送られて断層画面に変換される。
【0030】
同様に、TN周期で第1ガントリーの第Nソース110aN、第2ガントリーの第Nソース110bN、第3ガントリーの第Nソース110cNでX線が被検体に照射され、それぞれのガントリーで第Nソースに対応して反対側に設置された第Nディテクタで透過X線が検出されてプロセッサ(図示せず)に送られて断層画面に変換される。
【0031】
このとき、前記各周期別に順次的に撮影を実施する複数のソースのうち、被検体の移動方向(z方向)に隣接する一対のソースの夾角は、90度~180度内に属するように設定される。
【0032】
すなわち、T1周期では、
図5(a)のように、第1ガントリー100aの第1ソース110a1から投射したファンビーム方式のX線が被検体を透過して、第1ガントリー100aの第1ディテクタ120a1に検出され、
図5(b)のように、第2ガントリー100bの第1ソース110b1から投射したファンビーム方式のX線が第2ガントリー100bの第1ディテクタ120b1に検出され、
図5(c)のように、第3ガントリー100cの第1ソース110c1から投射したファンビーム方式のX線が第3ガントリー100cの第1ディテクタ120c1に検出される。このとき、前記第1ガントリー100aの第1ソース110a1と第2ガントリー100bの第1ソース110b1との夾角aと、第2ガントリー100bの第1ソース110b1と第3ガントリー100cの第1ソース110c1との夾角aがそれぞれ90度~180度に設定されることによって、z方向に隣接する前記第1ガントリー100aの第1ディテクタ120a1と第2ガントリー100bの第1ディテクタ120b1および前記第2ガントリー100bの第1ディテクタ120b1と第3ガントリー100cの第1ディテクタ120c1が比較的互いに反対方向に位置することになるので、ファンビーム(fan beam)間の散乱ノイズ(scatter)の影響を最小化することができ、これによってダイレクトオーバースキャン(direct over scan)領域を回避することはもちろん、後方散乱(back scatter)検出によるノイズ発生を回避することができる。
【0033】
一方、前記第1ガントリー100aの第1ディテクタ120a1と第3ガントリー100cの第1ディテクタ120c1とは、第2ガントリー100bを間に挿んで離隔配置されるので、前記第1ガントリー100aの第1ディテクタ120a1と第3ガントリー100cの第1ディテクタ120c1との配置方向が比較的並んで設定されても、ファンビーム(fan beam)間の散乱ノイズ(scatter)の影響を受けない。
【0034】
図6および7は、本発明に係るマルチガントリー/マルチソース/マルチディテクタのコンピュータ断層撮影装置を作動させるシーケンスの2つの実施例を示す図である。
図6に示すシーケンスを順次スイッチングモードと称することができ、
図7に示すシーケンスを高速スイッチングモードと称することができる。
【0035】
図6を参照すると、T1周期で第1ガントリーの第1ソース、第2ガントリーの第1ソースおよび第3ガントリーの第1ソースでX線が順次的に発射され、第1ガントリーの第1ディテクタ、第2ガントリーの第1ディテクタおよび第3ガントリーの第1ディテクタで撮影を行って断層映像を取得する。
【0036】
もし、1つのソースからX線が投射されてディテクタで検出された透過X線量から映像を取得するのにかかる時間が△tであれば、それぞれのガントリーの第1ソースをトリガーする信号は△t/Lのタイミングで印加されることが好ましい。例えば、1つのソースからX線が投射されて、ディテクタで検出された透過X線量から映像を取得するのにかかる時間△tが20~25msecであれば、それぞれのガントリーを構成する全てのソースが透過X線データを検出するのにかかる時間は全てT=N△tとなるので、秒当たり3D映像を取得できる回数f=1/T=6.6~8.3Hz、すなわち7~8回程度可能となる。
【0037】
図7を参照すると、T1周期で第1ガントリーの第1ソースと、第2ガントリーの第1ソース、第3ガントリーの第1ソースからX線が同時(simultaneously)に発射され、撮影を行って断層映像を取得する。1つのソースからX線が投射され、ディテクタで検出された透過X線量から映像を取得するのにかかる時間△tは、約8~10msecとなり、それぞれのガントリーを構成する全てのソースが透過X線データを検出するのにかかる時間は、全てT=6△tとなるので、秒当たり3D映像を取得できる回数f=1/T=16.6~20Hz、すなわち20回程度可能となる。
【0038】
本発明に係るコンピュータ断層撮影装置は、デュアルエネルギーディテクタを備えることを特徴とする。本発明に係るデュアルエネルギーディテクタは、高エネルギー(例えば120KeV)のX線を被検体に入射させて出る透過線量を第1次的に検出し、フィルターを経た後に第2次で検出することによって、高エネルギー映像と低エネルギー映像を取得することを特徴とする。X線ソースは、1つの広帯域スペクトル(wide spectrum)または多重ピークX線スペクトルを生成し、検出器側でフィルターを用いて入射X線フォトン(x-ray photon)のエネルギーを区分してエネルギー帯域別に映像を同時に取得することによって、デュアルエネルギー映像を取得する。
【0039】
以下では、本発明の一実施例に係るコンピュータ断層撮影装置について説明する。
添付図面のうち、
図8は本発明の一実施例に係るコンピュータ断層撮影装置の正面構成図であり、
図7は
図8に示すN個のソースとディテクタの配置関係を立体的に示す図であり、
図10は
図9に示すN個のソースとディテクタの正面をそれぞれ示す図である。
【0040】
図8~
図10に示す本発明の一実施例に係るコンピュータ断層撮影装置は、中心軸が被検体の移送方向と並んだz方向に配置され、固定式(非回転式)に配置される円筒形ガントリー100、前記円筒形ガントリー100の中心軸に沿って離隔されるN個の円周上に互いに異なる角度に配置され、ガントリー100の中心を通過する被検体200に向けてファンビーム方式のX線を発生するN個のソース110a~110i、および前記ソース110a~110iから投射されて被検体200を透過したX線を検出するために、前記ソース110a~110iのそれぞれに対応して円周上の反対側に配置される計N個のディテクタ120a~120iを含む。
【0041】
前記N個のソース110a~110iは、計9つからなり得、計9つのソース110a~110iは、
図8のように正面から見たとき、ガントリー100の円周上に40度の間隔を有するように配列されることができる。また、前記N個のディテクタ120a~120iは、ソースと同様に計9つからなり得、各円周上で前記ソース110a~110iの反対側でソース110a~110iと被検体200を間に挿んで向き合うように配置される。
【0042】
被検体200は、移送ユニット300の上に載置された状態でモータ制御によってz軸方向に移送されながら、前記N個のソース110a~110iおよびディテクタ120a~120iによってx-y平面の断層映像が取得される。
【0043】
図9および
図10のように、前記N個のソース110a~110iは、z方向の配置順序に従って第1ソース~第9ソース110a~110iに区分されることができ、z方向に隣接する一対のソースの夾角は90度~180度以内になるように設定される。本実施例においては、計9つのソース110a~110iが40度の間隔に配置され、z方向に隣接する一対のソースの夾角は、160度に設定されたものを例にあげて説明する。
【0044】
具体的には、計9つのソース110a~110iを用いて被写体200の周囲を回りながら被写体200の断層を撮影しようとする場合、9つのソース110a~110iが被写体200を中心に40度ごとに配置されなければならないので、計9つのソース110a~110iは、円周上で0度、40度、60度、120度、160度、200度、240度、280度および320度の配置角を有することができる。
【0045】
このとき、第1ソース110aの配置角を0度に選択する場合、第2ソース110bの配置角は、0度に対して90度~180度の夾角を有する120度、160度、200度、240度のうちのいずれか1つである160度に選択されることができる。また、第3ソース110cの配置角は、160度に対して90度~180度の夾角を有する280度、320度、0度、40度のうちの0度を除いた残りのうちのいずれか1つである320度に選択されることができ、第4ソース110dの配置角は、320度に対して90度~180度の夾角を有する80度、120度、160度、200度のうちの第2ソース110bの配置角である160度を除いたいずれか1つの120度に選択されることができ、第5ソース110eの配置角は、120度に対して90度~180度の夾角を有する240度、280度、320度、0度のうちの第1ソース110aの配置角である0度を除いたいずれか1つである280度に選択されることができる。このような原理によって、第6ソース110fの配置角は80度、第7ソース110gの配置角は240度、第8ソース110hの配置角は40度、第9ソース110iの配置角は200度に選択されることができる。
【0046】
すなわち、前記のように計9つのソース110a~110iを被検体200を中心に互いに異なる角度で配置し、隣接する一対のソースの夾角を90度~180度に設定する場合、隣接する一対のディテクタが互いに反対方向に位置することになるので、ファンビーム(fan beam)間の散乱ノイズ(scatter)の影響を最小化することができ、これによりダイレクトオーバースキャン(direct over scan)領域を回避することはもちろん、後方散乱(back scatter)検出によるノイズ発生を回避することができる。
【0047】
また、被検体200を中心として360度回転しながら連続的にX線を照射する従来技術とは異なり、本実施例に係るコンピュータ断層撮影装置は、計N個のソースが被検体を中心に複数の固定された配置角でのみX線を照射するので、被検体に被爆するX線線量を減少させることができる。
【0048】
一方、前記のように複数のソース110a~110iの配置角を順に配置せずに非定型に配置する場合には、複数のソース110a~110iおよびディテクタ120a~120iを用いて取得された複数の断層画面を表示する過程でソース110a~110iの配置角(撮影角度)により断層画面がディスプレイ上で互いに異なる角度に見えることがあるので、ディスプレイに表示する過程でソース110a~110iの配置角に対応する補正値を補償して、複数の断層画面が全体的に同じ角度に表示されるようにすることが好ましい。
【0049】
なお、複数のディテクタで取得した複数の断層画面を撮影角度順に整列すると、被検体を中心に螺旋状に回転する形態の複数の断層画面を得ることができるので、螺旋式コンピュータ断層撮影装置(Helical CT)のように連続的なボリュームデータを得ることができるだけでなく、専用アルゴリズムを用いて3次元映像に変換して使用者に提供することも可能である。
【0050】
なお、被検体200を移送ユニット300を介して移動する過程で、ソース110a~110iおよびディテクタ120a~120iの配置順に映像が取得されるにあたり、計N個のディテクタ120a~120iで断層画面が全て取得されるまで待たずに、各ディテクタ120a~120iで取得された断層画面を優先的にディスプレイに表示することによって、表示された断層画面を用いて判読者が先行判読できるようにして判読遅延時間を最小化することができる。
【0051】
本発明に係るコンピュータ断層撮影装置の駆動方法は、被検体移送段階S110、断層画面取得段階S120、断層画面傾き補正段階S130および断層画面ディスプレイ段階S140を含む。
【0052】
前記被検体移送段階110では、移送ユニット300を用いて被検体200をz方向に移送する。
【0053】
前記断層画面取得段階120では、z方向に離隔された円周上で互いに異なる角度に配置され、隣接する一対のソースの夾角が90度~180度の夾角に設定された第1ソース~第9ソース110a~110iを順に動作させ、被検体200を透過したX線を第1ディテクタ~第9ディテクタ120a~120iで順に検出して被検体200の断層画面を取得する。
【0054】
前記断層画面傾き補正段階130では、前記ディテクタ120a~120iで取得した複数の断層画面が一定の角度に表示できるように、前記ソース110a~110iの配置角に応じた断層画面の傾きを補正する。例えば、第1ディテクタ120aで取得した断層画面を基準角に設定し、第1ディテクタ120aに対して160度の夾角を有する第2ディテクタ120bで取得した断層画面は、-160度の補正値を適用して、第1ディテクタ120aで取得した断層画面と同じ角度に整列できるようにする。
【0055】
前記断層画面ディスプレイ段階S140では、前記計N個のディテクタ120a~120iで取得した断層画面を取得順にディスプレイ(図示せず)に表示する。すなわち、被検体200がガントリー100を通過する過程において、計N個のディテクタ120a~120iで断層画面が全て取得されるまで待たずに、ディテクタ120a~120iで取得された断層画面を直ちにディスプレイに表示すると、判読者がスキャン過程で先行判読できるようにすることができるので、判読遅延時間を最小化することができる。
【0056】
一方、計N個の断層画面が全て取得された以後には、N個の断層画面を撮影角度順に整列する段階と、整列されたN個の2次元断層画面を用いて3次元映像データを生成する段階をさらに行うことができる。
【0057】
例えば、前記計9つのソース110a~110iおよびディテクタ120a~120iによって取得された断層画面は、ソース120a~120iの配置角を基準に0度、160度、320度、120度、280度、80度、240度、40度、200度の順に撮影される。したがって、これを配置角順に整列すると、被検体200を中心に螺旋状に回転する形態の断層画面を得ることができ、これを螺旋式コンピュータ断層撮影装置のアルゴリズムを介して3次元映像データに変換して使用者に提供することができる。
【0058】
また、本発明に係るコンピュータ断層撮影装置の駆動方法は、ファンビーム(fan beam)方式のデュアルエネルギーピークのX線を発生する計N個のソース-ディテクタシステムから取得されたデータの活用方法において、(a)N個の角度で撮影された映像から物質のボリューム計算を正確に補正する段階、および(b)N個の角度で撮影されたデュアルエネルギー映像で個別的に物質の吸収度を計算する段階、および(c)物質の吸収度とボリュームに基づいて密度を計算する段階、および(d)吸収度と密度を用いた物質の成分を判別する段階、および(e)物質の成分に基づいた断層映像の具現段階を含み、形態的断層映像と物質成分別断層映像を共に求めることができる。
【0059】
本発明の権利範囲は、前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲内で様々な形態の実施例で具現することができる。特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば誰でも変形可能な多様な範囲まで本発明の請求範囲の記載の範囲内にあるものとみなす。
【符号の説明】
【0060】
100:ガントリー
110:ソース
120:ディテクタ
200:被検体
300:移送ユニット
【国際調査報告】