(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】保存安定性眼科用薬物のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20231018BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20231018BHJP
A61K 31/439 20060101ALI20231018BHJP
A61K 31/5575 20060101ALI20231018BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20231018BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20231018BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20231018BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20231018BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20231018BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20231018BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20231018BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20231018BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20231018BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20231018BHJP
A61J 1/05 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P27/02
A61K31/439
A61K31/5575
A61K9/08
A61K47/26
A61K47/10
A61K47/40
A61K47/20
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/22
A61K47/36
A61K47/38
A61J1/05 310
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547174
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-06-08
(86)【国際出願番号】 US2021029536
(87)【国際公開番号】W WO2022081204
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523133270
【氏名又は名称】レンズ・セラピューティクス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホーン,ジェラルド
【テーマコード(参考)】
4C047
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C047AA01
4C047AA05
4C047AA27
4C047CC24
4C076DD41F
4C076DD46F
4C076DD49F
4C076DD52F
4C076DD55F
4C076DD57F
4C076DD60F
4C076EE06G
4C076EE07G
4C076EE16G
4C076EE23F
4C076EE30G
4C076EE31G
4C076EE36G
4C076EE39F
4C076FF36
4C076FF63
4C076GG41
4C084AA17
4C084MA58
4C084NA03
4C084ZA331
4C084ZA332
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB17
4C086DA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA16
4C086NA03
4C086ZA33
(57)【要約】
本発明は、眼科用薬物を安定化させる方法であって、界面活性剤及び粘度増強剤を眼科用薬物に添加して、組成物を作り出し、組成物は、摂氏25度にて、1秒当たり1/1000のせん断率で約25センチポアズ以下の粘度、及び摂氏25度にて、1秒当たり1のせん断率で約70センチポアズ以上の粘度を有するステップ、組成物をコンテナ中に充填するステップ、並びにコンテナを、摂氏約2度~摂氏約25度の温度にて保存するステップによる方法に関連する。本発明は、本発明の方法により調製されるコンテナをさらに対象とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用薬物を安定化させる方法であって、以下のステップ:
a)界面活性剤及び粘度増強剤を眼科用薬物に添加して、組成物を作り出し、組成物が、摂氏25度にて、1秒当たり1/1000のせん断率で約25センチポアズ以下の粘度、及び摂氏25度にて、1秒当たり1のせん断率で約70センチポアズ以上の粘度を有するステップ、
b)ステップa)からの組成物を、コンテナ中に充填するステップ、並びに
c)コンテナを、摂氏約2度~摂氏約25度の温度にて保存するステップを含む、方法。
【請求項2】
眼科用薬物が、アセクリジン、ラタノプロスト及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
眼科用薬物がアセクリジンである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
界面活性剤が、ポリソルベート、ポロキサマー、ポリオキシルアルキル、シクロデキストリン、硫酸ラウリルアンモニウム、スルホコハク酸ナトリウムジオクチル、ラウレス硫酸ナトリウム、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート、ドデシル硫酸ナトリウム、パーフルオロオクタンスルホネート、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ミレス硫酸ナトリウム、パレス硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、リグノスルホネート、ラウリル硫酸ナトリウム、αオレフィンスルホネート、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウムエステル、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、アルキルジメチルジクロロベンゼンアンモニウムクロリド、塩化デカリニウム、塩化フェナミリニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セトリモニウム、臭化セテキソニウム、アルキルアンホアセテート、アルケニルアンホアセテート、アルキルアンホジアセテート、アルケニルアンホジアセテート、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアンホジプロピオネート、アルキルアンホヒドロキシプロピルスルタイン及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
粘度増強剤が、ガム、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゲラン、カラギーナン、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
摂氏25度にて、1秒当たり1のせん断率の粘度が、約150センチポアズ以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
摂氏25度にて、1秒当たり1のせん断率の粘度が、約300センチポアズ以上である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
コンテナが、摂氏約2~約8度の温度にて保存される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
コンテナが、摂氏約5度の温度にて保存される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
組成物が、不活性ガスオーバーレイ下でコンテナ中に充填される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
充填するステップが、コンテナにヘッドスペースを作り出し、ヘッドスペースが、不活性ガスでパージされる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
コンテナが、クロージャー及び容器を含み、クロージャーの一部及び容器の一部が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン及びアルミニウム箔からなる群から選択される浸出防止材料で封止される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
コンテナが、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン及びアルミニウム箔からなる群から選択される浸出防止材料で形成されている、又は裏打ちされている第2のコンテナに配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
眼科用薬物を含むコンテナであって、
a)コンテナを用意するステップ、
b)コンテナに、眼科用薬物、界面活性剤及び粘度増強剤を含む組成物を、好ましくは不活性ガスオーバーレイ、好ましくは窒素下で充填し、組成物が、摂氏25度にて、1秒当たり1/1000のせん断率で約25センチポアズ以下の粘度、及び摂氏25度にて、1秒当たり1のせん断率で約70センチポアズ以上の粘度を有するステップ、
c)コンテナにキャッピングするステップ、並びに
d)コンテナを、摂氏約2~約25度の温度にて保存するステップを含むプロセスにより調製される、コンテナ。
【請求項15】
眼科用薬物が、アセクリジン、ラタノプロスト及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項14に記載のコンテナ。
【請求項16】
眼科用薬物がアセクリジンである、請求項14に記載のコンテナ。
【請求項17】
界面活性剤が、ポリソルベート、ポロキサマー、ポリオキシルアルキル、シクロデキストリン、硫酸ラウリルアンモニウム、スルホコハク酸ナトリウムジオクチル、ラウレス硫酸ナトリウム、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート、ドデシル硫酸ナトリウム、パーフルオロオクタンスルホネート、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ミレス硫酸ナトリウム、パレス硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、リグノスルホネート、ラウリル硫酸ナトリウム、αオレフィンスルホネート、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウムエステル、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、アルキルジメチルジクロロベンゼンアンモニウムクロリド、塩化デカリニウム、塩化フェナミリニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セトリモニウム、臭化セテキソニウム、アルキルアンホアセテート、アルケニルアンホアセテート、アルキルアンホジアセテート、アルケニルアンホジアセテート、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアンホジプロピオネート、アルキルアンホヒドロキシプロピルスルタイン及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項14に記載のコンテナ。
【請求項18】
粘度増強剤が、ガム、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゲラン、カラギーナン、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項14に記載のコンテナ。
【請求項19】
摂氏25度にて、1秒当たり1のせん断率の粘度が、約150センチポアズ以上のものである、請求項14に記載のコンテナ。
【請求項20】
摂氏25度にて、1秒当たり1のせん断率の粘度が、約300センチポアズ以上のものである、請求項19に記載のコンテナ。
【請求項21】
摂氏約2~約8度の温度にて保存される、請求項14に記載のコンテナ。
【請求項22】
摂氏約5度の温度にて保存される、請求項21に記載のコンテナ。
【請求項23】
ステップb)の後で、及びステップc)の前に、充填するステップ中に作り出されたヘッドスペースが、不活性ガスでパージされる、請求項14に記載のコンテナ。
【請求項24】
不活性ガスが窒素である、請求項14に記載のコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
いくつかの眼科用薬物は、点眼の直前に希釈されなければならず、又は予め製剤化されている場合、保存可能期間が限定される、若しくは冷蔵を必要とする。安定性の問題に悩まされる現在の眼科用薬物は、アセクリジン、ラタノプロスト、ラタノプロスト-チモロール、クロラムフェニコール、アザサイト、シクロペントラート、タンパク質、ペプチド、アミノ酸及びそれらの誘導体を含む。
【0002】
アセクリジンは、緑内障の処置に有効であることが示されている。現在のアセクリジン製剤は、アセクリジンの凍結乾燥、及び点眼の直前に希釈剤との混合を必要とする。アセクリジンは、老眼という、年齢およそ40歳に始まり、ほとんどすべての人に影響を及ぼす、眼の状態を処置することも実証されている。米国特許第9,089,562号;第9,314,427号;第9,320,709号;第9,833,441号;第9,844,537号;第9,968,594号;第10,052,313号;第10,064,818号;第10,307,408号;第10,617,763号及び第10,959,990号明細書を参照されたい。
【0003】
ラタノプロストも、緑内障を効率的に処置することが示されている。アセクリジンのように、ラタノプロストは、室温での保存可能期間が限定されているため、冷蔵を必要とする。
【0004】
アセクリジン及びラタノプロストを含むこれらの眼科用薬物の不安定性は、不都合を引き起こし、効用を低下させ、これらの処置を必要とする対象、並びにこれらの薬物を製造、販売及び包装する会社の両方でコストを増加させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第9,089,562号明細書
【特許文献2】米国特許第9,314,427号明細書
【特許文献3】米国特許第9,320,709号明細書
【特許文献4】米国特許第9,833,441号明細書
【特許文献5】米国特許第9,844,537号明細書
【特許文献6】米国特許第9,968,594号明細書
【特許文献7】米国特許第10,052,313号明細書
【特許文献8】米国特許第10,064,818号明細書
【特許文献9】米国特許第10,307,408号明細書
【特許文献10】米国特許第10,617,763号明細書
【特許文献11】米国特許第10,959,990号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、当業界では、保存可能期間の延長が達成されるように、眼科用薬物を安定化させる方法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
ある他の実施形態では、本発明は、眼科用薬物を安定化させる方法であって、以下のステップ:
a)界面活性剤及び粘度増強剤を眼科用薬物に添加して、組成物を作り出し、組成物は、摂氏25度にて、1秒当たり1/1000のせん断率で約25センチポアズ以下の粘度、及び摂氏25度にて、1秒当たり1のせん断率で約70センチポアズ以上の粘度を有するステップ、
b)ステップa)からの組成物をコンテナ中に充填するステップ、並びに
c)コンテナを、摂氏約2度~摂氏約25度、好ましくは摂氏約2~約8度、より好ましくは摂氏約5度の温度にて保存するステップを含む、方法を対象とする。
【0008】
ある他の実施形態では、眼科用薬物は、アセクリジン、ラタノプロスト、ラタノプロスト-チモロール、クロラムフェニコール、アザサイト、シクロペントラート、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、それらの塩、それらの誘導体及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0009】
ある他の実施形態では、本発明のコンテナは、クロージャー及び容器を含み、クロージャーの一部及び容器の一部は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン及びアルミニウム箔からなる群から選択される浸出防止材料、好ましくは二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで封止される。
【0010】
ある他の実施形態では、本発明のコンテナは、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン及びアルミニウム箔からなる群から選択される浸出防止材料、好ましくは二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで形成されている、又は裏打ちされている第2のコンテナに配置される。
【0011】
ある他の実施形態では、本発明は、アセクリジンを含む組成物を安定化させる方法であって、ヘッドスペースを有するコンテナに、組成物を摂氏約22度~摂氏約25度の温度にて保存するステップを含み、コンテナは、クロージャー及び容器を含み、クロージャーの一部及び容器の一部は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン及びアルミニウム箔からなる群から選択される浸出防止材料で封止され、並びに/又は、コンテナは、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン及びアルミニウム箔で形成されている、若しくは裏打ちされている第2のコンテナに配置される、方法を対象とする。
【0012】
ある他の実施形態では、第2のコンテナは、第2のクロージャーを含み、第2のクロージャーは、気密シールを備える。
【0013】
ある他の実施形態では、気密シールは、再封止可能である。
【0014】
ある他の実施形態では、眼科用薬物は、アセクリジンであり、約0.25%~約4.0%w/vアセクリジンの濃度である。
【0015】
ある他の実施形態では、本発明の方法により、眼科用薬物の少なくとも90%の安定性が、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも20ヶ月、又は少なくとも22ヶ月、又は少なくとも24ヶ月得られる。
【0016】
ある他の実施形態では、本発明の組成物は、摂氏25度にて、1秒当たり1/1000のせん断率で、約0.5センチポアズ以下の粘度、及び摂氏25度にて、1秒当たり1のせん断率で約150センチポアズ以上、好ましくは300センチポアズ以上の粘度を有する。
【0017】
ある他の実施形態では、本発明の組成物は、0のせん断率で約75~約1,000センチポアズの粘度を有する。
【0018】
ある他の実施形態では、本発明は、アセクリジン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリソルベート80、マンニトール、ソルベート及びアスコルビン酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ソイダム(soidum metabisulfite)、n-アセチルシステイン若しくはそれらの組合せからなる群から選択される抗酸化剤を含む組成物を安定化させる方法であって、ヘッドスペースを有するコンテナに、組成物を摂氏約2度~摂氏約8度の温度にて保存するステップを含み、組成物は、不活性ガスオーバーレイ、好ましくは窒素下でコンテナ中に充填され、ヘッドスペースは、不活性ガス、好ましくは窒素でパージされる方法を対象とする。
【0019】
ある他の実施形態では、アセクリジンは、約0.25%~約4.00%w/vの濃度であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、約0.75%~約1.25%w/vの濃度であり、ポリソルベート80は、約2%~約4%w/vの濃度であり、マンニトールは、約2%~約4%w/vの濃度であり、ソルベートは、約0.10%~約0.12%w/vの濃度であり、抗酸化剤は、約0.10%~約0.25%w/vの濃度である。
【0020】
ある他の実施形態では、本発明は、眼科用薬物を含むコンテナであって:
a)コンテナを用意するステップ、
b)コンテナに、眼科用薬物、界面活性剤及び粘度増強剤を含む組成物を、好ましくは不活性ガスオーバーレイ、好ましくは窒素下で充填し、組成物は、摂氏25度にて、1秒当たり1/1000のせん断率で約25センチポアズ以下の粘度、及び摂氏25度にて、1秒当たり1のせん断率で約70センチポアズ以上の粘度を有するステップ、
c)任意選択的に、充填するステップb)中に作り出されたヘッドスペースを、不活性ガス、好ましくは窒素でパージするステップ、
d)コンテナにキャッピングするステップ、並びに
e)任意選択的に、コンテナを、摂氏約2~約25度の温度にて、好ましくは摂氏約2~約8度にて、より好ましくは摂氏約5度にて保存するステップを含むプロセスにより調製される、コンテナを対象とする。
【0021】
ある他の実施形態では、本発明は、アセクリジンを含む組成物を安定化させる方法であって、組成物を、ヘッドスペースを有するコンテナに、摂氏約2度~摂氏約8度の温度にて、好ましくは摂氏約5度にて保存するステップを含む、方法を対象とする。
【0022】
ある他の実施形態では、本発明の組成物は、不活性ガスオーバーレイ、好ましくは窒素下でコンテナ中に充填され、好ましくはヘッドスペースは、不活性ガスオーバーレイ、好ましくは窒素でパージされる。
【0023】
ある他の実施形態では、本発明は、約0.25%~約4.0%w/vアセクリジンを含む組成物を対象とし、組成物を安定化させる1つ以上の手段は、組成物をコンテナ中に、不活性ガスオーバーレイ、好ましくは窒素下で充填し、充填するステップ中に作り出されたヘッドスペースを、不活性ガスオーバーレイ、好ましくは窒素でパージすること、少なくとも50センチポアズ以上の組成物全体の粘度を有すること、ソルベート、塩化ベンザルコニム(benzalkonim chloride)、アスコルビン酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、n-アセチルシステイン及びそれらの組合せからなる群から選択される防腐剤を組成物に添加することからなる群から選択され、組成物は、摂氏(Celsisus)約2~約8度の温度にて保存され、w/vは、組成物の合計体積に対する重量を表す。
【0024】
ある他の実施形態では、本発明は、老眼を処置する方法であって、それを必要とする対象に、本発明の組成物を投与するステップを含む、方法を対象とする。
【0025】
ある他の実施形態では、本発明は、眼の屈折異常を処置する方法を必要とする対象において、それを処置する方法であって、それを必要とする対象に、薬学的に許容される量の本発明の組成物を投与するステップを含み、眼の屈折異常は、老眼、近視、遠視、乱視又はそれらの組合せから選択される、方法を対象とする。
【0026】
本発明は、瞳孔収縮に続発する被写界深度(すなわち焦点深度)を増大する方法であって、それを必要とする対象に、薬学的有効量の本発明の眼科用組成物を投与するステップを含む、方法をさらに対象とする。
【0027】
本発明は、眼の毛様体に対するアゴニスト効果を変調することにより、眼科用アセクリジン投与の副作用を低下させ、その結果、毛様体痙攣、毛様体誘発性眼窩痛及び/又は毛様体誘発性頭痛が、実質的に抑制される、又は取り除かれる方法をさらに対象とする。
【0028】
本発明は、両眼の生理学的局所老眼矯正を可能にする方法をさらに対象とする。
【0029】
本発明は、遠見のぼやけによる単眼の限定の必要性を除去する、又は、軽度遠視者の処置を緩和させて、誘発される近視のぼやけを抑制する、典型的にはピロカルピン又はピロカルピン及びアルファアゴニストの組合せを伴う方法をさらに対象とする。
【0030】
本発明は、遠見視力の鮮明さを低下させることなく調節を向上させることにより、近見視力を改善する方法をさらに対象とする。これは、同時に増分調節(incremental accommodation)を向上させることにより達成されるが、増分調節は、さらなる近見視力向上をもたらすのに十分な一方、誘発率及び全体の調節度を留めるように変調され、その結果関連する近視のぼやけは、屈折異常をフィルタリングし、遠距離の鮮明さを維持する、同時に誘発される瞳孔収縮ピンホール効果の能力を損なわない。
【0031】
本発明は、裸眼の近見視力を改善した際に、深径覚を向上させる方法であって、それを必要とする対象に、両眼(両眼視)において、薬学的有効量の本発明の眼科用組成物を投与するステップを含み、そのような両眼性が、近見視力を、いずれかの眼のものを別々に超えてさらに向上させる、方法をさらに対象とする。
【0032】
本発明は、アメトロピア(ammetropia)(視力障害)を有する対象における視力を改善する方法であって、それを必要とする対象に、薬学的有効量の本発明の組成物を投与するステップを含む、方法をさらに対象とする。
【0033】
本発明は、アメトロピアを有する対象における視力を改善する方法であって、それを必要とする対象に、薬学的有効量の本発明の組成物を投与するステップを含み、アメトロピアが、近視眼、遠視眼、正乱視、不正乱視及び高度の正乱視からなる群から選択される、方法をさらに対象とする。
【0034】
本発明は、中心1.5mmの光学ゾーンに隣接した、又はその周辺の領域を含む角膜の凹凸、混濁又はきわめて高度の正乱視により誘発される光学収差を除去すること、及びそれにより、例えば、円錐角膜、レーザー屈折矯正角膜切除術に誘発される角膜薄濁、層間角膜炎(「DLK」)(レーシック後DLK)、他の医原性、例として白内障切開、緑内障濾過胞、移植緑内障バルブ、除去の有無を問わない角膜インレー、角膜手術(レーシック)後の拡張症の、及び感染症に続発する、角膜に誘発される凹凸のような状態に発生する不正乱視又は高度のさらなる正乱視に罹患した者におけるこれらの光学的異常(aberrant optics)を除くことで、視力及び視覚の質の改善を誘発することをさらに対象とする。
【0035】
本発明は、既存の矯正されていない屈折異常と比較して視力を改善することをさらに対象とする。この視力の改善で、快適さに乏しく、毎度のまばたきの間ずれるおそれがある光学を有する乱視用のトーリックコンタクトレンズを現在必要とする患者は、今や多くのケースで、非トーリックソフトコンタクトレンズしか必要としない、又はコンタクトレンズを必要としない可能性がある。さらに、通気性コンタクトレンズを必要とする者は、コンタクトレンズをもはや必要としない、又ははるかに快適なソフトコンタクトレンズしか必要としない可能性がある。高度の乱視を有する患者は、今や矯正を必要としない、又は軽減された乱視の矯正しか必要としない可能性がある。軽度から中等度の近視眼を有する患者は、矯正をさほど必要としない、又は矯正をもはや必要としない可能性がある。軽度から中等度の遠視(遠視眼)を有する患者は、矯正を必要としない、又は軽減された矯正しか必要としない可能性がある。
【0036】
本発明は、視覚を改善するための方法及び眼科用組成物を対象とする。好ましい実施形態では、本発明は、老眼を処置するための方法及び眼科用組成物を対象とする。より好ましい実施形態では、本発明は、アセクリジンを含む眼科用組成物を対象とする。
【0037】
本発明は、乱視の有無を問わず不正乱視、ケラトコニック拡張症(keratoconic ectasia)、及び弱度近視又は遠視を処置する方法であって、それを必要とする対象に、本発明の眼科用組成物を投与するステップを含む方法を対象とする。
【0038】
本発明は、アセクリジンを安定化させる方法であって、約1.75%w/vアセクリジン及び約2.5%w/vマンニトールを含む第1の組成物を、第1のチャンバに供給するステップ、並びに、約0.01%w/vトロピカミド、約4.0%w/vポリソルベート80、約1.25%w/vヒドロキシプロピルメチルセルロース、約0.10%~0.12%w/vソルビン酸、約0.1%w/vエチレンジアミン四酢酸二水和物、約0.02%w/v塩化ベンザルコニウム及び任意選択的に、約0.1%w/vクエン酸ナトリウム又はクエン酸緩衝液を含む第2の組成物を、第2のチャンバに供給するステップを含み、第1の組成物及び第2の組成物を混合すると、アセクリジンの効用が少なくとも1ヶ月維持される、方法をさらに対象とする。
【0039】
本発明は、本発明の組成物を摂氏0度~摂氏8度にて保存することを含む、アセクリジンを安定化させる方法をさらに対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】トロピカミドの有無を問わず、担体の有無を問わない、ピロカルピン及びアセクリジンの、年齢45歳超の患者における近見及び遠見視力に対する効果のグラフ表示である。
【
図2】非イオン界面活性剤及び粘性剤の添加の、近見視力に対する効果及び効果の持続時間のグラフ表示である。直線-時間は、効果の持続時間を改善した直線を表す。
【
図3】製剤#L33~#L94での効用指標のグラフ表示である。ボックスの色は、白色では良好な、クロスハッチでは並の、また黒色では不良な快適さのレベルを表す。
【
図4】摂氏5及び25度にて30ヶ月かけた、アセクリジン冷蔵組成物のパーセント安定性のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、組成物、並びに眼科用薬物を安定化させる方法であって、薬物を、組成物で非線形粘性を達成する界面活性剤及び粘性剤と組み合わせて製剤すること、並びに、組成物をコンテナに保存することによる、方法を対象とする。
【0042】
定義
本明細書で使用されている、「組成物」という用語は、特定の原料を特定の量で含む生成物、並びに、特定の原料の特定の量での組合せから、直接的又は間接的に生じるある生成物を包含することが意図される。
【0043】
本明細書で使用されている「安定化させること」という用語は、活性剤が溶液に留まることを促進する、及び/又は可能にする、あるプロセスを指す。本明細書で使用されている「安定化させること」という用語は、アセクリジンを含む、ムスカリンアゴニストを含む活性剤が分解する傾向を阻害する、及び/又は低下させる、ある手段又はプロセスも指す。
【0044】
本明細書で使用されている、それぞれの特定の値の「約」と定義される量、重量などに関するすべての数値は、プラス又はマイナス10%である。例えば、語句「約5%w/v」は、「4.5%~5.5%w/v」と理解されるべきである。したがって、請求されている値の10%以内の量は、特許請求の範囲により包含される。
【0045】
本明細書で使用されている「%w/v」は、全体の組成物のパーセント重量を指す。
【0046】
本明細書で使用される「対象」という用語は、ヒト又は他の動物を指すが、それに限定されない。
【0047】
本明細書で使用されている「コンテナ」という用語は、液体薬物製品を収容するのに好適なチャンバを含む薬学的に許容されるコンテナを指す。コンテナは、例えば、バイアル、シリンジ、カプセル及びアンプルを含む。
【0048】
本明細書で使用されている「ヘッドスペース」は、キャップが重力の引力から離れるように方向づけられている場合、組成物とキャップとの間における、コンテナのチャンバ内の領域を指す。
【0049】
本明細書で使用されている「キャップ」又は「クロージャー」という用語は、組成物がコンテナから流出するのを防止することが可能な任意の物品を指す。
【0050】
ムスカリン受容体アゴニスト(「ムスカリンアゴニスト」)という用語は、ムスカリンアセチルコリン受容体(「ムスカリン受容体」)を活性化するアゴニストを包含する。ムスカリン受容体は、M1~M5と命名された5つのサブタイプに分けられる。本発明のムスカリンアゴニストは、M2、M4及びM5受容体よりもM1及びM3受容体を優先的に活性化するムスカリンアゴニスト(「M1/M3アゴニスト」)を含む。M1/M3アゴニストは、アセクリジン、キサノメリン、タルサクリジン、サブコメリン、セビメリン、アルバメリン、アレコリン、ミラメリン、SDZ-210-086、YM-796、RS-86、CDD-0102A(5-[3-エチル-1,2,4-オキサスジアゾール(oxasdiazol)-5-イル]-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジンヒドロクロリド)、N-アリール尿素-置換3-モルホリンアレコリン、VUO255-035(N-[3-オキソ-3-[4-(4-ピリジニル)-1-ピペラジニル]プロピル]-2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4-スルホンアミド)、ベンジルキノロンカルボン酸(BQCA)、WAY-132983、AFB267B(NGX267)、AC-42、AC-260584、L-687,306、L-689-660、77-LH-28-1、LY593039を含むが、それらに限定されないクロロピラジン、並びに、置換されている窒素(複数可)及び、又は酸素(複数可)とを含む、特にエステル、硫黄又は5若しくは6個の炭素環構造を含む1つ以上の炭素置換を有するあるキニクリジン(quiniclidine)環、或いは、それらの薬学的に許容されるある塩、エステル、類似体、プロドラッグ又はそれらの誘導体を含むが、それらに限定されない。好ましいM1/M3アゴニストは、アセクリジンである。好ましい実施形態では、本発明のムスカリンアゴニストは、M2、M4、及びM5よりもM1及びM3を優先的に活性化し、より一層好ましくはM3よりもM1を活性化するムスカリンアゴニストを含む。より好ましい実施形態では、本発明のムスカリンアゴニストは、M1のみを活性化するムスカリンアゴニストを含む。
【0051】
「アセクリジン」という用語は、ラセミ混合物としてのアセクリジン、アセクリジン(+)鏡像異性体、アセクリジン(-)鏡像異性体、Ward.J.S.ら、1,2,5-Thiadiazole analogues of aceclidine as potent m1 muscarinic agonists、J Med Chem、1998年1月、29、41(3)、379~392頁で開示されているもののような高度にM1選択的な1,2,5チアジアゾール置換類似体を含むが、それらに限定されないアセクリジン類似体、及びカルバメートエステルを含むが、それらに限定されないアセクリジンプロドラッグを含むが、それらに限定されないその塩、エステル、類似体、プロドラッグ及び誘導体を包含する。
【0052】
「選択的α-2アドレナリン受容体アゴニスト」又は「α-2アゴニスト」という用語は、α-1アドレナリン受容体よりもα-2で900倍以上、又はα-1アドレナリン受容体よりもα-2a若しくはα-2bで300倍以上の結合親和性を有するすべてのα-2アドレナリン受容体アゴニストを包含する。この用語は、選択的α-2アドレナリン受容体アゴニストの薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、及び他の誘導体も包含する。
【0053】
「不活性ガス」という用語は、化学的に不活性であり、他の化合物と反応しないガスを指す。不活性ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン及び窒素を含むが、それらに限定されない。
【0054】
アルファ-2アドレナリン受容体アゴニストの「低濃度」又は「低用量」という用語は、約0.0001%~約0.065%w/vの間、より好ましくは約0.001%~約0.035%w/v、より一層好ましくは、約0.01%~約0.035%w/v、及びより一層好ましくは、約0.03%~約0.035%w/vの濃度を指す。
【0055】
「ブリモニジン」という用語は、ブリモニジン塩及び他の誘導体を包含するが、それらに限定されず、具体的には、ブリモニジン酒石酸塩、5-ブロモ-6-(2-イミダゾリン-2-イルアミノ)キノキサリンD-酒石酸塩及びAlphagan(登録商標)を含むが、それらに限定されない。
【0056】
「処置すること」及び「処置」という用語は、疾患、障害、若しくはそのような用語が当てはまる状態、又はそのような疾患、障害若しくは状態の1つ以上の症状の進展を逆転する、軽減する、阻害する、又は遅くすることを指す。
【0057】
「薬学的に許容される」という用語は、生物学的にせよそうでないにせよ、望ましくないことがない材料(すなわち望ましくない生物学的効果の許容できないレベルを引き起こすることがなく、又は有害な手段で相互反応することがない)について記載する。
【0058】
本明細書で使用されている、「薬学的有効量」という用語は、望ましい生物学的効果、例えば、疾患又は障害の兆候又は症状の防止、低減、寛解又は排除を含むが、それらに限定されない有益な結果をきたすのに十分な量を指す。したがって、医薬組成物又は方法の各活性成分の合計量は、有意義な対象利益を示すのに十分である。したがって、「薬学的有効量」は、それが投与される状況によって決まる。薬学的有効量は、1回以上回の予防的又は治療投与で投与され得る。
【0059】
「プロドラッグ」という用語は、切断可能な基を有し、生理学的条件下で、インビボにおいて薬学的に活性の化合物になる、本発明の化合物のモノマー及びダイマーを含むが、それらに限定されない化合物を指す。
【0060】
本明細書で使用されている「塩」は、未変化体の生物学的有効性及び性質を保ち、生物学的にせよそうでないにせよ、投与される投与量で有害ではない塩を指す。本発明の化合物の塩は、無機又は有機酸又は塩基から調製され得る。
【0061】
「高次収差」という用語は、スターバースト、ハロ(球面収差)、複視、多重画像、汚れ視覚(smeared vision)、コマ及びトレフォイルから選択される視野における異常を指す。
【0062】
「コールドチェーン」という用語は、製造から投与直前までの、約2~約8℃の温度での保存を指す。
【0063】
本発明の化合物は、無機又は有機酸又は塩基に由来する薬学的に許容される塩の形態で使用され得る。「薬学的に許容される塩」という語句は、医学的良識の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などを伴わず、妥当な利益/危険性比に見合っている、ヒト及び下等動物の組織との接触における使用に好適な塩を意味する。薬学的に許容される塩は、当業界で周知である。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences、1977年、66:1頁以下に薬学的に許容される塩を詳細に記載している。
【0064】
塩は、本発明の化合物の最終的な単離及び精製中にインサイチュで、又は遊離塩基官能基を好適な有機酸と反応させることにより別々に調製され得る。代表的な酸付加塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イソチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルミトエート(palmitoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、炭酸水素塩、p-トルエンスルホン酸塩及びウンデカン酸塩を含むが、それらに限定されない。また、塩基性窒素含有基は、低級ハロゲン化アルキル、例えば塩化、臭化及びヨウ化メチル、エチル、プロピル及びブチル;硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチル及びジアミルのような硫酸ジアルキル;長鎖ハロゲン化物、例えば塩化、臭化及びヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチル及びステアリル;臭化ベンジル及びフェネチルなどのようなハロゲン化アリールアルキルのような作用剤で四級化され得る。水又は油溶性又は分散性生成物は、それにより得られる。薬学的に許容される酸付加塩を形成するのに用いられ得る酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヒアルロン酸、リンゴ酸、硫酸及びリン酸のような無機酸、並びにシュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、メタノスルホン酸(methanosulfonic acid)、コハク酸及びクエン酸のような有機酸を含む。
【0065】
塩基付加塩は、カルボン酸含有部分を好適な塩基、例えば、薬学的に許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩若しくは炭酸水素塩と、又はアンモニア若しくは有機第一級、第二級又は第三級アミンと反応させることにより、本発明の化合物の最終単離及び精製中にインサイチュで調製され得る。薬学的に許容される塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウム塩などに基づくカチオン、並びに、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、とりわけエチルアンモニウムを含む非毒性第四級アンモニア及びアミンカチオンを含むが、それらに限定されない。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンは、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジンなどを含む。
【0066】
本明細書で使用されている「エステル」という用語は、式-OC(O)A1又は-C(O)OA1により表され、式中、A1は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール基又は他の好適な置換基であり得る。
【0067】
本発明の方法
ある実施形態では、本発明は、眼科用薬物を安定化させる方法であって、以下のステップ:
a)界面活性剤及び粘度増強剤を眼科用薬物に添加して、組成物を作り出し、組成物は、摂氏25度にて、1秒当たり1/1000のせん断率で約25センチポアズ以下の粘度、並びに摂氏25度にて、1秒当たり1のせん断率で約70センチポアズ以上、好ましくは約150センチポアズ以上、より好ましくは約300センチポアズ以上の粘度を有するステップ;
b)ステップa)からの組成物を、コンテナ中に充填するステップと;
c)コンテナを、摂氏約2度~摂氏約25度の温度、好ましくは摂氏約2~約8度、より好ましくは摂氏約5度にて保存するステップを含む、方法を対象とする。
【0068】
ある他の実施形態では、本発明の組成物は、不活性ガスオーバーレイ、好ましくは窒素下でコンテナ中に充填され、好ましくはヘッドスペースは、不活性ガスオーバーレイ、好ましくは窒素でパージされる。
【0069】
ある他の実施形態では、眼科用薬物は、アセクリジン、ラタノプロスト、ラタノプロスト-チモロール、クロラムフェニコール、アザサイト、シクロペントラート、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、それらの塩、それらの誘導体及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0070】
ある他の実施形態では、本発明のコンテナは、クロージャー及び容器を含み、クロージャーの一部及び容器の一部は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン及びアルミニウム箔からなる群から選択される浸出防止材料、好ましくは二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで封止される。
【0071】
ある他の実施形態では、本発明のコンテナは、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン及びアルミニウム箔からなる群から選択される浸出防止材料、好ましくは二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで形成されている、又は裏打ちされている第2のコンテナに配置される。
【0072】
ある他の実施形態では、本発明は、アセクリジンを含む組成物を安定化させる方法であって、ヘッドスペースを有するコンテナに、組成物を摂氏約22度~摂氏約25度の温度にて保存するステップを含み、コンテナは、クロージャー及び容器を含み、クロージャーの一部及び容器の一部は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン及びアルミニウム箔からなる群から選択される浸出防止材料で封止され、並びに/又はコンテナは、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン及びアルミニウム箔で形成されている、又は裏打ちされている第2のコンテナに配置される方法を対象とする。
【0073】
ある他の実施形態では、第2のコンテナは、第2のクロージャーを含み、第2のクロージャーは、気密シールを備える。
【0074】
ある他の実施形態では、気密シールは、再封止可能である。
【0075】
ある他の実施形態では、眼科用薬物は、アセクリジンであり、これは、約0.25%~約4.0%w/vのアセクリジンの濃度である。
【0076】
ある他の実施形態では、本発明の方法により、眼科用薬物の少なくとも90%の安定性が、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも20ヶ月、又は少なくとも22ヶ月、又は少なくとも24ヶ月得られる。
【0077】
ある他の実施形態では、本発明の組成物は、摂氏25度にて、1秒当たり1/1000のせん断率で約0.5センチポアズ以下の粘度、及び摂氏25度にて、1秒当たり1のせん断率で約150センチポアズ以上、好ましくは300センチポアズ以上の粘度を有する。
【0078】
ある他の実施形態では、本発明の組成物は、0のせん断率で約75~約1,000センチポアズの粘度を有する。
【0079】
ある他の実施形態では、本発明は、アセクリジン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリソルベート80、マンニトール、ソルベート及びアスコルビン酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ソイダム(soidum metabisulfite)、n-アセチルシステイン若しくはそれらの組合せからなる群から選択される抗酸化剤を含む組成物を安定化させる方法であって、ヘッドスペースを有するコンテナに、組成物を摂氏約2度~摂氏約8度の温度にて保存するステップを含み、組成物は、不活性ガスオーバーレイ、好ましくは窒素下でコンテナ中に充填され、ヘッドスペースは、不活性ガス、好ましくは窒素でパージされる方法を対象とする。
【0080】
ある他の実施形態では、アセクリジンは、約0.25%~約4.00%w/vの濃度であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、約0.75%~約1.25%w/vの濃度であり、ポリソルベート80は、約2%~約4%w/vの濃度であり、マンニトールは、約2%~約4%w/vの濃度であり、ソルベートは、約0.10%~約0.12%w/vの濃度であり、抗酸化剤は、約0.10%~約0.25%w/vの濃度である。
【0081】
ある他の実施形態では、本発明は、眼科用薬物を含むコンテナであって:
a)コンテナを用意するステップ、
b)コンテナに、眼科用薬物、界面活性剤及び粘度増強剤を含む組成物を、好ましくは不活性ガスオーバーレイ、好ましくは(prefereably)窒素下で充填し、組成物は、摂氏25度にて、1秒当たり1/1000のせん断率で約25センチポアズ以下の粘度、及び摂氏25度にて、1秒当たり1のせん断率で約70センチポアズ以上の粘度を有するステップ、
c)任意選択的に、充填するステップb)中に作り出されたヘッドスペースを、不活性ガス、好ましくは窒素でパージするステップ、
d)コンテナにキャッピングするステップ、並びに
e)任意選択的に、コンテナを摂氏約2~約25度、好ましくは摂氏(Celsisus)約2~約8度、より好ましくは摂氏約5度の温度にて保存するステップを含むプロセスにより調製される、コンテナを対象とする。
【0082】
ある他の実施形態では、本発明は、約0.25%~約4.0%w/vアセクリジンを含む組成物を対象とし、組成物を安定化させる1つ以上の手段は、組成物をコンテナ中に、不活性ガスオーバーレイ、好ましくは窒素下で充填し、充填するステップ中に作り出されたヘッドスペースを、不活性ガスオーバーレイ、好ましくは窒素でパージすること、少なくとも50センチポアズ以上の組成物全体の粘度を有すること、ソルベート、塩化ベンザルコニム、アスコルビン酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、n-アセチルシステイン及びそれらの組合せからなる群から選択される防腐剤を組成物に添加することからなる群から選択され、組成物は、摂氏(Celsisus)約2~約8度の温度にて保存され、w/vは、組成物の合計体積に対する重量を表す。
本発明の組成物
【0083】
本発明における使用に好適な眼科用薬物は、アセクリジン、ラタノプロスト、ラタノプロスト-チモロール、クロラムフェニコール、アザサイト、シクロペントラート、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、それらの塩、それらの誘導体及びそれらの組合せを含むが、それらに限定されない。
【0084】
本発明における使用に好適な界面活性剤は、非イオン性、イオン性及び両性(両性イオン性)界面活性剤を含む。好ましい実施形態では、本発明に使用される界面活性剤は、その界面活性剤の臨界ミセル濃度を超える濃度である。
【0085】
本発明に好適な非イオン性界面活性剤は、シクロデキストリン、ポリオキシルアルキル、ポロキサマー、ポリソルベート又はそれらの組合せを含む。好ましい実施形態は、ポロキサマー108、ポロキサマー188、ポロキサマー407、ポリソルベート20、ポリソルベート80、酪酸塩の有無を問わないイオン荷電(例えばアニオン性)ベータ-シクロデキストリン(Captisol(登録商標))、2-ヒドロキシプロピルベータシクロデキストリン(「HPβCD」)、アルファシクロデキストリン、ガンマシクロデキストリン、ポリオキシル35ヒマシ油、及びポリオキシル40水素化ヒマシ油、又はそれらの組合せを含む。さらに、眼科的使用と適合する他の非イオン性界面活性剤の置換は、非イオン性界面活性剤、例えばポロキサマー、ポロキサマー103、ポロキサマー123及びポロキサマー124、ポロキサマー407、ポロキサマー188及びポロキサマー338、あるポロキサマー類似体若しくは誘導体、ポリソルベート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、あるポリソルベート類似体若しくは誘導体、シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、無作為にメチル化されたβ-シクロデキストリン、β-シクロデキストリンスルホブチルエーテル、γ-シクロデキストリンスルホブチルエーテル若しくはグルコシル-β-シクロデキストリン、あるシクロデキストリン類似体若しくは誘導体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレングリコール、ポリソルベート類似体若しくは誘導体、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン(200)、ポリオキシプロピレングリコール(70)、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油60、ポリオキシル、ステアリン酸ポリオキシル、ノノキシノール、オクチフェノールエトキシレート(octyphenol ethoxylates)、ノニルフェノールエトキシレート、カプリオール、ラウログリコール、ポリエチレングリコール(「PEG」)、Brij(登録商標)35、78、98、700(ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル)、ラウリン酸グリセリル、ラウリルグルコシド、デシルグルコシド若しくはセチルアルコール;又は双性イオン界面活性剤、例えばパルミトイルカルニチン、コカミドDEA、コカミドDEA誘導体、コカミドプロピルベタイン、若しくはトリメチルグリシンベタイン、N-2(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、N-2-アセトアミドイミノ二酢酸(ADA)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、2-[ビス-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ]-2-ヒドロキシメチル-プロパン-1,3-ジオール(ビス-トリス)、3-シクロヘキシルアミノ-1-プロパンスルホン酸(CAPS)、2-シクロヘキシルアミノ-1-エタンスルホン酸(CHES)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンプロパンスルホン酸(EPPS)、N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N’-2-エタンスルホン酸(HEPES)、2-(N-モルホリノ)-エタンスルホン酸(MES)、4-(N-モルホリノ)-ブタンスルホン酸(MOBS)、2-(N-モルホリノ)-プロパンスルホン酸(MOPS)、3-モルホリノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、1,4-ピペラジン-ビス-(エタンスルホン酸)(PIPES)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)(POPSO)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(TAPSO)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸(TES)、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-プロパン-1,3-ジオール(トリス)、チロキサポール、Solulan(商標)C-24(2-[[10,13-ジメチル-17-(6-メチルヘプタン-2-イル)-2,3,4,7,8,9,11,12,14,15,16,17-ドデカンヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル]オキシ]エタノール)及びSpan(登録商標)20-80(ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、及びソルビタンモノオレエート)の1つ以上を含み得るが、それらに限定されない同様の製剤の利点を可能にする。他の実施形態では、ポリソルベート80の添加が好ましい。上記の非イオン性界面活性剤に加えて、ある非イオン性界面活性剤は、非イオン性界面活性剤の濃度が、その非イオン界面活性剤の臨界ミセル濃度を超える限り、本発明における使用に好適である。好ましくは、本発明に使用される非イオン性界面活性剤は、サブミクロン直径のミセル、より好ましくは200ナノメートル未満、より好ましくは150ナノメートル未満の直径を達成する。
【0086】
本(pesent)発明における使用に好適なイオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤を含むが、それらに限定されない。本発明における使用に好適なアニオン性界面活性剤は、硫酸ラウリルアンモニウム、スルホコハク酸ナトリウムジオクチル、ラウレス硫酸ナトリウム、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート、ドデシル硫酸ナトリウム、パーフルオロオクタンスルホネート、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ミレス硫酸ナトリウム、パレス硫酸ナトリウム、ナトリウムステアルト(sodium stearte)、リグノスルホネート、ラウリル硫酸ナトリウム、αオレフィンスルホネート、ラウレス硫酸アンモニウム及びラウリル硫酸ナトリウムエステルを含むが、それらに限定されない。本発明における使用に好適なカチオン性界面活性剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、アルキルジメチルジクロロベンゼンアンモニウムクロリド、塩化デカリニウム、塩化フェナミリニウム(phenamylinium chloride)、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セトリモニウム及び臭化セテキソニウムを含むが、それらに限定されない。
【0087】
両性(両性イオン性)界面活性剤は、アニオン性電荷及びカチオン性電荷を同時に所有する、ある界面活性剤である。本発明における使用に好適な両性界面活性剤は、アルキル又はアルケニルアンホアセテート又はアンホジアセテート、アルキルアンホプロピオネート又はジプロピオネート、アルキルアンホヒドロキシプロピルスルタインを含むが、それらに限定されず、アルキル基は、8~24個の炭素原子、例えばココ又はラウリルを含有する。
【0088】
界面活性剤は、その臨界ミセル濃度を超える濃度で本発明に使用され得る。ある特定の界面活性剤の臨界ミセル濃度は、当業者により計算され得る。好ましい実施形態では、本発明における界面活性剤の濃度は、約1.5%~約7%w/vである。非イオン性、カチオン性又はアニオン性界面活性剤の選択は、1)薬物相互作用;及び2)角膜に浸透する能力に主に基づき;粘性剤と組み合わせた界面活性剤の質は、作り出された非線形(非ニュートン性)粘度に重要である。
【0089】
1つ以上の界面活性剤に代わり得る、又はそれに加えて添加され得る眼科用インサイチュゲルは、ゼラチン、カルボマー934 P及び974 Pを含む様々な分子量のカルボマー、キサンタンガム、アルギン酸(アルギン酸塩)、グアーガム、ローカストビーンガム、キトサン、ペクチン並びに当業界で専門家に周知の他のゲル化剤を含むが、それらに限定されない。
【0090】
他の好ましい実施形態では、非イオン性界面活性剤は、約0.5%~約10%w/v、より好ましくは約1%~約7%w/v、より一層好ましくは約2%~約5%w/v、さらにより好ましくは約2.5%~約4%w/v、最も好ましくは約2.5%、又は2.75%、又は3%、又は4%、又は5%w/vの濃度のポリソルベート80である。
【0091】
本発明に好適な粘性剤は、ガム、例えばグアーガム、ヒドロキシプロピル-グアー(「hp-グアー」)及びキサンタンガム、アルギン酸塩、キトサン、ゲルライト、ヒアウルロン酸(hyauluronic acid)、デキストラン、Carbopol(登録商標)940(カルボマー940)、Carbopol(登録商標)910(カルボマー910)及びCarbopol(登録商標)934(カルボマー934)を含むCarbopol(登録商標)900シリーズを含むCarbopol(登録商標)(ポリアクリル酸又はカルボマー)、セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース(「CMC」)、メチルセルロース、メチルセルロース4000、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース2906、カルボキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゲラン、カラギーナン、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー又はそれらの組合せを含むが、それらに限定されない。
【0092】
粘性剤は、その臨界ミセル濃度を超えて、界面活性剤と組み合わせた場合、摂氏25度にて、1秒当たり1/1000のせん断率で約0.5センチポアズ以下の粘度、及び摂氏25度にて、1秒当たり1のせん断率で約150センチポアズ以上、好ましくは300センチポアズ以上の粘度を達成するのに必要な濃度で本発明に使用され得る。
【0093】
ある他の実施形態では、本発明の組成物は、0のせん断率で、約75~約1,000センチポアズの粘度を有する。
【0094】
別の実施形態では、粘性剤は、100cps未満、好ましくは約15~約35cps、最も好ましくは約30cpsの平衡粘度を有する。好ましい実施形態では、粘性剤は、約0.05%~約1.5%w/v、好ましくは約0.09%~約1.0%w/v、より好ましくは0.09%、0.25%、0.5%、0.75%、0.9%又は1.0%w/vの濃度のCarbopol(登録商標)940(カルボマー940)である。ある組合せでは、非イオン性界面活性剤/粘度の組合せにより、長期間にわたって相分離が生じ、沈殿物が形成されることが驚くべきことに発見された。そのような状況において、特にポリオキシルの場合、好ましい実施形態のステアリン酸ポリオキシル40、及びセルロース誘導体、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースでは、粘度を向上させるための非ポリサッカリド誘導体、例えばポリアクリル酸誘導体(カルボマー、好ましい実施形態ではカルボマー934又は940)の使用は、そのような分離を防止し得る;又は代替として、非ポリオキシル非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80とセルロース誘導体若しくは非セルロース誘導体粘性剤のいずれかとの使用に代わり得る。
【0095】
別の好ましい実施形態では、粘性剤は、約1%~約2%w/v、より好ましくは1.35%~約1.45%w/v、最も好ましくは1.42%w/v又は1.40%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロースである。
【0096】
別の好ましい実施形態では、粘性剤は、約0.5%~約1.75%、より好ましくは約0.75%又は1.5%、さらにより好ましくは約1.0%~約1.5%、最も好ましくは約1.25%の濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0097】
本発明の組成物は、抗凍結剤、ポリオール、増量剤、可溶化剤、抗酸化剤、等張化剤、防腐剤をさらに含み得、抗凍結剤は、冷凍を防止する、又は冷凍中の化合物への損傷を防止するいずれかの化合物である。本明細書で使用されている「抗凍結剤」(複数可)という用語は、凍結乾燥保護剤を含む。主題発明における使用に好適な抗凍結剤は、ポリオール、糖、アルコール、低級アルカノール、親油性溶媒、親水性溶媒、増量剤、可溶化剤、界面活性剤、抗酸化剤、シクロデキストリン、マルトデキストリン、コロイド状二酸化ケイ素、ポリビニルアルコール、グリシン、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、セロビオース、ゼラチン、ポリエチレングリコール(PEG)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ホルムアミド、抗冷凍タンパク質752又はそれらの組合せを含むが、それらに限定されない。
【0098】
本明細書で使用される「ポリオール」という用語は、有機反応に利用できる複数のヒドロキシル官能基を有する化合物、例えばモノマーポリオール、例としてグリセリン、ペンタエリトリトール、エチレングリコール及びスクロースを指す。さらに、ポリオールは、プロピレンオキシド又はエチレンオキシドと反応させたグリセリン、ペンタエリトリトール、エチレングリコール及びスクロースを含むポリマーポリオールを指し得る。好ましい実施形態では、ポリオールは、マンニトール、グリセロール、エリトリトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール、イソソルビド、エチレングリコール、プロピレングリコール、マルチトール、トレイトール、アラビトール及びリビトールからなる群から選択される。より好ましい実施形態では、ポリオールは、マンニトールである。
【0099】
本発明における、抗凍結剤としての使用に好適な糖は、グルコース、スクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、フルクトース及びデキストランを含むが、それらに限定されない。
【0100】
別の好ましい実施形態では、アルコールは、メタノールを含むが、それに限定されない。
【0101】
一実施形態では、本発明は、各抗凍結剤を、抗凍結剤の定義から個々に除外する。
【0102】
抗凍結剤は、本発明の組成物に、約0.1%~約99%w/v、好ましくは約1%~約50%w/v、より好ましくは約1%~約10%w/vの濃度で存在し得る。
【0103】
本明細書で使用されている「低級アルカノール」は、C1~C6アルカノールを含む。本発明における使用に好適な低級アルカノールは、アミルアルコール、ブタノール、sec-ブタノール、t-ブチルアルコール、n-ブチルアルコール、エタノール、イソブタノール、メタノール、イソプロパノール及びプロパノールを含むが、それらに限定されない。
【0104】
本発明における使用に好適な増量剤は、サッカリド、ポリビニルピロリドン、シクロデキストリン及びトレハロースを含むが、それらに限定されない。
【0105】
本発明における使用に好適な可溶化剤は、環状アミド、ゲンチシン酸及びシクロデキストリンを含むが、それらに限定されない。
【0106】
好ましい実施形態では、本発明における使用に好適な抗酸化剤は、亜硫酸水素塩、アスコルビン酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム又は四ナトリウム、クエン酸塩、ブチル化ヒドロキシアニソール(「BHA」)、ブチル化ヒドロキシトルエン(「BHT」)、スルホキシレート、没食子酸プロピル、チオ基含有アミノ酸及びチオールを含むが、それらに限定されない。好ましい実施形態では、抗酸化剤は、約0.005%~約0.50%w/vの濃度のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、約0.01%~約0.3%w/wの濃度のクエン酸塩、約0.001%~約0.2%w/vの濃度のジエチレントリアミン五酢酸二カルシウム(「Ca2DTPA」)、好ましくは約0.01%w/vのCa2DTPAであり、Ca2DTPAは、0.0084%w/v Ca(OH)2及び0.0032%w/vペンテト酸を製剤に添加すること、及びゆっくり混合することにより製剤化され得る。抗酸化剤のさらなる組合せを使用してよい。本発明に対して使用され得る他の抗酸化剤は、当業界で専門家に周知のもの、例えばエチレンジアミン四酢酸を約0.0001%~約0.015%w/vの濃度で含む。
【0107】
等張化剤は、限定されないが、塩、例えば塩化ナトリウム(「NaCl」)、塩化カリウム、マンニトール若しくはグリセリン、又は別の薬学的若しくは眼科的に許容できる等張化剤であり得る。ある実施形態では、等張化剤は、0.037%w/v NaClである。
【0108】
本発明に対して使用され得る防腐剤は、塩化ベンザルコニウム(「BAK」)、ソルビン酸、オキシクロロ錯体、クエン酸、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、硝酸フェニル水銀、過ホウ酸塩又はベンジルアルコールを含むが、それらに限定されない。好ましい実施形態では、防腐剤は、BAK、ソルビン酸、オキシクロロ錯体又はそれらの組合せである。さらにより好ましい実施形態では、BAKは、約0.001%~約1.0%w/vの濃度、より好ましくは約0.007%、0.01%又は0.02%w/vの濃度である。別の好ましい実施形態では、防腐剤は、0.01%~約1.0%w/vの濃度、より好ましくは約0.02%w/vの濃度の過ホウ酸塩である。
【0109】
pHを調整するための様々な緩衝液及び手段を使用して、本発明の眼科用組成物を調製できる。そのような緩衝液は、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液及びホウ酸緩衝液を含むが、それらに限定されない。酸又は塩基を使用して、必要に応じて、好ましくは1~10mM、より好ましくは約3mM又は5mM濃度の組成物のpHを調整できることは理解される。好ましい実施形態では、pHは、約4.0~約8.0であり、より好ましい実施形態では、pHは、約5.0~約7.0である。
【0110】
アセクリジン
本発明の方法により安定化され得る眼科用薬物の1つは、アセクリジンである。アセクリジンは、以前より緑内障の処置として使用されている。アセクリジンが緑内障を処置するために使用される場合、通常2つのボトルシステムで保存され;1本目のボトルは、凍結乾燥アセクリジンを含有し、第2のボトルは、局所点眼前に凍結乾燥アセクリジンを再構成するのに必要な希釈剤を含有する。Romano J.H.、Double-blind cross-over comparison of Aceclidine and pilocarpine in open-angle glaucoma、Brit J Ophthal、1970年8月、54(8)、510~521頁。本発明のさらなる態様は、コールドチェーン保存と組み合わせた、安定な水性アセクリジン組成物を提供することである。さらに本発明のさらなる態様は、有効な賦形剤、pH範囲及び温度範囲を組み合わせることにより、水性アセクリジンを安定化させる方法を提供することである。
【0111】
本発明の組成物及び方法は、暗中又は薄暗い光の中での瞳孔拡張を低下させ、調節なしで特定の程度及び持続時間の縮瞳を生じさせ、美容的増白が得られる、及び/又は赤み予防を誘導する眼科用組成物を眼に投与することにより、老眼を有する患者における焦点深度を改善して老眼を処置する。本発明の組成物及び方法はまた、著しい瞳孔リバウンド、タキフィラキシー、毛様体痙攣、近視の誘発又は遠見視力の低下を引き起こさない。さらに、本発明の組成物及び方法は、両眼(両方の眼)処置の視力及び奥行知覚のさらなる改善を可能にする。本発明の眼科用組成物は、驚くべきことに、虹彩前面に約1.5~約2.4mm、及び角膜表面に約2.0mmの瞳孔を生じさせる。特定の理論にとらわれることを望まないが、臨床効果は、調節性緊張増大の変調、及び約-1.25D以下と見積もられる、改善した近見視力のための焦点深度近くのピンホールの向上の両方に関与するとみられるが、約-1.00D以下と見出される遠視のピンホール矯正の範囲内に留まるように効力が制約され、いくつかのケースでは、遠見のぼやけなしで近見視力の+2.00D以上の追加を生じ得る総和の増加となり;そうでなければ、縮瞳剤使用の特質である赤みの減少又は低下を伴う。ピークの調節性緊張のそのような調節、及び制約を用いた本発明の瞳孔収縮は、Kamra(登録商標)及びFlexivue Microlens(登録商標)角膜インレーのピンホール効果より優れており、ピークの不鮮明さがない両眼処置を可能にする。調節が変調された本発明の瞳孔収縮はまた、インレーよりも優れているが、その理由は、実際の瞳孔の収縮が、インレーにより作り出される前角膜ピンホールの光散乱境界によって引き起こされる付随する重度の夜間視力障害を生じないためである。さらに、瞳孔収縮により視野がより広くなり、光がより集中的に透過し、本発明の製剤の発見を使用して発見された約1.5mm~2.1mmの最適な瞳孔範囲においてそれが行われ、不鮮明さは、取るに足らないほどから軽度まで、十分容認できるようになり、コントラスト、遠見視力が向上し、夜のまぶしさが低下し、また近見視力が改善される。
【0112】
アセクリジンの使用は、縦の毛様体筋に対して最小限の効果を有し、したがって、一般的なムスカリンアゴニスト、例えばピロカルピン及びカルバコールの使用と比較した場合、網膜剥離の危険性を低下させる。毛様体筋麻痺剤をさらに包含すると、前房は0.04mmしか浅くならなかった。アセクリジンはまた、特に本発明のために向上させると、アルファアゴニストの有無を問わず、従来のピロカルピンより大きな規模、持続時間、及び最小瞳孔径の制御を示し、慢性的に使用しても前房炎症をきたすことが少ない。本発明の組成物は、ピンホール近見視力奥行知覚の利益、及び、縮瞳瞳孔を通して誘発される近視距離のぼやけの閾値を下回る穏当な調節性増大の両方を可能にすることにより、これらの利点を達成し、それによって、特定の理論にとらわれることを望まないが、好ましい実施形態では、縮瞳及び調節性増大の速度が同期バランスを維持し、これにより、老眼矯正するための縮瞳薬の従来技術適用で、別途誘発される調節性のぼやけのピンホール矯正が可能となると考えられる。この組合せは、したがって、典型的には、本発明の製剤発見なしにピロカルピン及び/又はカルバコールに誘発される縮瞳に対する応答として患者で見られる遠見のぼやけ、並びに、眼窩痛又は汎発性片頭痛様頭痛として現れる過剰な調節性近視、及び毛様体痙攣を避けることが見出される。
【0113】
ピロカルピンのそのような従来の製剤は、一定の妥当な効果の持続時間を生じるために、依然として大半のケースでは約4時間以下に制約されるが、その理由は、調節対瞳孔縮瞳の高い比は、距離に誘発される近視のぼやけ及び毛様体痙攣を排除はしないが最小化するために、約1.0%のピロカルピン最小濃度を必要とするためである。さらに、ピロカルピンは、単眼で点眼して、容認できない遠見のぼやけを、やはり煩わしい2~3ラインの遠見のぼやけにまで最小化しなければならない。単眼で点眼されても、ピロカルピンは、やはり煩わしい、付随する遠見のぼやけを作り出す可能性があり、約1.0%に制約されなければならない。1.0%のピロカルピンを点眼すると、大半の対象で瞳孔の大きさは約2.3mm以上となり、それにより一定の有意のピンホール距離知覚の利益、並びに誘発された近視光線の一定のピンホールフィルタリングが制約される。正視者又は近視者において、持続時間の短さ、及び抑制されてもやはり煩わしい遠見のぼやけが付随する(軽度の遠視者でやや中和される)ピロカルピンのこうした従来の製剤での約1.0%への制約は、より高濃度のピロカルピンで発生することが周知である、5D~11Dのきわめて強い調節を防止しよう試みている。
【0114】
調節に対する一定の効果は、好ましい実施形態では、縮瞳薬を毛様体筋麻痺剤と、縮瞳薬対毛様体筋麻痺剤の狭い特定の比で組み合わせることによりさらに抑制される、又は全体的に取り除かれ、US9,089,562で発見された比、例えば好ましい実施形態では約35:1は、本発明では、抗凍結剤の存在下で、約300%~700%の倍率に大幅に増加するようになる。アセクリジンは、2.3mm未満の瞳孔収縮、及び本発明に記載されている穏当な調節の両方により、焦点深度を増加させることが可能である。特に、縮瞳の向上は、本発明の組成物の使用を用いて発生する。この向上した縮瞳は、必要に応じて、軽度の眼の赤みを低下させるためにα-2アゴニストをきわめて低濃度で使用することを可能にする。不活性原料の他の組合せは、そのようなアゴニストなしで、誘発された赤みを低下させる、又は効率的に排除する。さらに、アセクリジンの明らかな、また驚くほど選択的な性質、及び商業的に安定なアセクリジン製剤の本発明による発見によって、本発明の組成物の眼への投与は、瞳孔縮瞳性ピンホール効果及び中等度の変調された毛様体調節の両方から、正味の近見視力の強い向上を引き起こした。これらの有益な効果は、フィルタリング瞳孔効果を伴い、これは、調節からの遠見のぼやけを排除し、多くのケースで遠見視力を同様に改善する、存在し得る残留屈折異常及び光学収差を矯正する。したがって、アセクリジンの投与により、過剰な調節及び付随する遠見のぼやけなしで、瞳孔収縮が生じる。しかし、アセクリジン単体は、かなりの赤み及び眼窩痛を引き起こすおそれがある。例えば、毛様体筋麻痺剤、抗凍結剤又はその両方を必要とする本発明の製剤向上がなければ、アセクリジンは、低濃度又はより高濃度で最適とはいえない瞳孔収縮を生じる、又は、3~4時間を超える満足すべき持続時間を達成するために過大なピーク縮瞳を必要とする、いずれかの可能性がある。しかし、毛様体筋麻痺剤の使用は、製剤において、活性剤に対して効果を通常伴わない他の不活性原料に高度に感受性であり、特に、アセクリジンに対して商業的に好ましいと見出されている抗凍結剤では、好ましい実施形態ではきわめて低濃度まで、この毛様体筋麻痺要件の必要性を低下させ、又は排除し、抗凍結剤(例えばポリオール、例としてマンニトール)が存在する場合、0.042%は、効用のかなりの損失を引き起こすのに十分な高さとなることが見出されている。さらに、本発明の製剤の向上を伴わないアセクリジンは、薄暗い、又は光がないときの視覚の不鮮明さ、並びに妥当に容認できる閾値を超え、1時間以上続き、重度の片頭痛と同様であり得る毛様体の疼痛を引き起こす。
【0115】
本発明のある実施形態は、非イオン性界面活性剤及び粘性剤の好ましい実施形態を使用して、大半の患者に約1.50~2.20mmの一貫した範囲の効果を提供することにより、発見した好ましい程度の瞳孔縮瞳を向上させる。同様の利益は、他の透過強化剤、特にヒドロキシプロピルメチルセルロース、高い粘度のカルボキシメチルセルロース、Carbopol(登録商標)(ポリアクリル酸又はカルボマー)並びにキサンタンガム、グアーガム、アルギネート及び当技術分野における専門家に周知である他のインサイチュゲルのような薬物残留時間を増加させる様々な粘度の添加剤を使用して達成することができる。同様の利益は、他の浸透向上剤、特にヒドロキシプロピルメチルセルロース、高粘度カルボキシメチルセルロース、Carbopol(登録商標)(ポリアクリル酸又はカルボマー)、並びに薬滞留時間を増加させる様々な粘度添加剤、例えばキサンタンガム、グアーガム、アルギネート、及び当業界で専門家に周知の他のインサイチュゲルを使用して達成され得る。特定の粘性剤の正確な濃度は、分子量を増加させるために、低下させた濃度が同一の粘度を有することができるように、選択される作用剤の分子量及び濃度の両方によって決まることが当業界で専門家に周知である。本発明は、好ましい実施形態のレオロジー性質のため、かなりのアセクリジンレベルが鼻粘膜に達する場合、別途発生する鼻閉をさらに防止する。
【0116】
アセクリジン及び低濃度の選択的α-2アドレナリン受容体アゴニスト(α-2アゴニスト又はα-2アドレナリン作動薬)、例えばファドルミジン、ブリモニジン又はグアンファシンの組合せは、赤みが低下した、又はない、望ましい縮瞳効果を可能とする。低濃度の選択的α-2アゴニストを使用すると、充血がかなり抑制され、約0.06%w/v以上の濃度で見出されるリバウンド充血の危険性は大幅に低下する。さらに、低濃度の選択的α-2アゴニストの使用は、アセクリジンによって引き起こされる瞳孔収斂を有害に改変しない。対照的に、ブリモニジン0.20%w/vの使用は、夜間視力での瞳孔調節に局所的に適用される場合、使用の4週間以内における、処置した対象のほぼ100%でα-2受容体上方制御により、瞳孔調節のタキフィラキシーを生じる。
【0117】
想定外なことに、毛様体筋麻痺剤の添加は、縮瞳反応を損なうことなく、毛様体痙攣の局所点眼に対する程度をさらに低下させることにより、何らかの眼窩痛又は関連する不快感の低下を引き起こす。さらに想定外、また驚くべきことに、米国特許第9,089,562号の好ましい実施形態では、1.40%アセクリジン対約0.040%トロピカミドの比(35:1)は、マンニトールの存在下で約1.75%アセクリジン対約0.004%~0.010%トロピカミド(それぞれ350:1、175:1)となり、2.5%は、4.0%よりも優れた効果を生じる。
【0118】
特定の毛様体筋麻痺剤、例えばトロピカミドは、0.01%w/vほどの低い濃度で公知の瞳孔拡張効果を有するので、縮瞳反応を損なうことがないことは、想定外の驚くべき発見である(Grunberger J.ら、The pupillary response test as a method to differentiate various types of dementia、Neuropsychiatr、2009年、23(1)、57頁)。より具体的には、毛様体筋麻痺剤は、瞳孔散瞳(すなわち虹彩の放射状筋の拡張)を引き起こす。さらに、毛様体筋麻痺剤の縮瞳剤への添加は、瞳孔が、制約されすぎるようになることなく、望ましい大きさの範囲を維持する時間を想定外に増加させる。30~60分でのピーク縮瞳効果は、毛様体筋麻痺の濃度と反比例して漸増され得る。本発明で発見されたトロピカミドの濃度は、虹彩放射状筋系より毛様体筋の弛緩を明らかに引き起こす。実際に、虹彩散瞳は、トロピカミドを、本発明に使用される濃度のアセクリジンを含有する組成物に添加することにより抑制され、代わりに縮瞳は、縮瞳効果の持続時間にわたり、より一貫したレベルであることが発見されている。さらに、また実に驚くべきことに、想定外、また有益なことに、トロピカミドの添加は、散瞳を誘発することなく、ピーク瞳孔収縮の程度を低下させることができ、それにより、薬物誘発性の縮瞳の間、より一定な、また理想的な瞳孔の大きさを作り出す。このより一貫した瞳孔の大きさは、ピーク瞳孔収縮で見られる、きわめて減少した瞳孔の大きさ(例えば1.25mm)での回折限界による有害な不鮮明さ、又は解像度の損失なしで、有益な近見及び遠見視力を可能とする。
【0119】
以前に、US9,089,562では、少なくとも0.04%w/v毛様体筋麻痺剤の添加は、好ましい実施形態では、アセクリジン(1.40%)を眼へ投与することによって引き起こされる毛様体の副作用の軽減をもたらすことが驚くべきことに見出されたが、そのような製剤は、商用使用に十分に安定して構成されておらず、典型的には最大約5~6時間の持続時間を有する。
【0120】
本発明のいくつかの追加の発見により、効用及び持続時間が向上した、商業的に安定なアセクリジン製剤が可能となる:
【0121】
アセクリジン1.40%に0.040%添加されるサイロプレジックス(cyloplegics)の相乗効果と同等、又はそれよりも驚くべきことは、アセクリジン1.50%~2.0%、好ましくは約1.75%、及び抗凍結剤、好ましくはポリオール、好ましい実施形態では、特に0.5%~4.0%、最も好ましくは約2.5%のマンニトールの組合せは、毛様体の副作用が減少する、又はない、同様の瞳孔範囲を達成できるという本発明の発見である。アセクリジンと組み合わせた場合、抗凍結剤は次いで、アセクリジンを分解せずに凍結乾燥を可能とするため、及び同時に、US9,089,562で必要とされる毛様体筋麻痺濃度範囲の教示に対する、本発明での毛様体筋麻痺剤の必要性をさらに低下させる、又は排除するために組み合わせられ得る。したがって任意選択的に、抗凍結剤の添加も、特に若い老視者において、軽度ではあるが潜在的に煩わしい毛様体の副作用をさらに排除し、アセクリジン及び抗凍結剤の組合せのみを上回って、瞳孔収縮をさらに調節するのに必要とされる毛様体筋麻痺濃度を大幅に減少させる(すなわちわずか0.025%w/v毛様体筋麻痺剤、好ましくは0.004%~0.015%、最も好ましくは0.005%~0.010%)ために使用され得、本発明の好ましい実施形態で見出されるように、ある煩わしいピーク濃度の不鮮明さは抑制され、大半のケースでは除去される。好ましい実施形態では、アセクリジン約1.50%~2.0%、より好ましくは1.75、%及びマンニトール約0.5%~4.0%、より好ましくは2.5%が、本発明に最適な濃度の組合せを提供することを発見したが、これは、追加の製剤発見が、望ましい臨床的なおよその改善の度合い及び持続時間をさらに向上できる場合、有効な局所老眼組成物に望ましい約3ラインのおよその改善、及び5時間以上の持続時間が必須であるが、十分ではない;
【0122】
驚くべきことに、粘性剤を、上記のa.に記載されている組成物に添加しても、度合い及び持続時間を穏当にしか改善しないことを発見したが、非イオン性界面活性剤、例えばステアリン酸ポリオキシル又はポリソルベート80を最初に添加する場合、本発明に大幅に改善した度合い及び持続時間を示す最適な濃度が発見され、粘度は次いで、単体で添加された場合よりはるかに実質的に延長された持続時間を生じる。ポリソルベート80又はステアリン酸ポリオキシル40では、1.0%~10.0%、より好ましくは約2.5%~5.0%w/vの濃度が有益と見出された;
【0123】
上記のa.及びb.の製剤改善が組み合わせられる場合、好ましい実施形態、例えばアセクリジン1.75%、マンニトール2.5%、及びポリソルベート80 2.75%の結果となる。粘性剤、例えば高粘度カルボキシメチルセルロース(「CMC」)では、上記のa.において製剤を単体で用いるのとは異なり、度合いを中等度に向上させ、持続時間を大幅に向上させることが驚くべきことに発見されている。0.75%~1.75%、最も好ましくは約1.40%の高分子量CMC濃度、又は約0.25%~2.0%、より好ましくは約0.50%若しくは1.50%、最も好ましくは約1.0%~1.25%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)は、組み合わせた場合、今度は、約4時間未満のピロカルピン1.0%に対して、5~10時間、約7時間以上の平均の持続時間で近見視力を約+3ライン以上改善する結果となる;
【0124】
特定の理論にとらわれることを望まないが、クエン酸塩は、好ましい実施形態の緩衝液としてEDTAと組み合わせて、1)赤みを低下させ;2)ソルベート防腐剤の保存可能期間を向上させ、BAK 0.005%~0.02%(0.02%が好ましい)との上記の組合せでは、近見視力ラインを約4ラインに、また持続時間を約8~12時間にさらに向上させるとみられる。
【0125】
さらに0.5%又は1.5%塩化ナトリウムが、好ましい実施形態では添加される。任意選択的に、塩化ナトリウムは、好ましくは0.35%のホウ酸、又は好ましくは0.47%のホウ酸カリウムで置換され得る;
【0126】
特定の理論にとらわれることを望まないが、約2.5%~5.0%の最適化した濃度での非イオン性界面活性剤の添加は、最適なミセルの大きさ、特にマイクロミセル又はナノミセルの範囲の1つに関し得るアセクリジンの眼内への浸透を向上させるとみられる。この増加した浸透は、度合い及び持続時間の望ましい増加、並びにトロピカミドはないが、マンニトールの存在下での、毛様体の感覚及び不鮮明さのわずかな増加と一致する。したがって、上記a~d.の組み合わせた製剤向上の存在下で、毛様体筋麻痺剤が上記a~d.にもはや必要とされない場合、好ましいと見出された濃度での非イオン性界面活性剤の添加は、US9,089,562で見出されたものよりはるかに低い濃度の毛様体筋麻痺剤で、例えば約0.042%トロピカミドとアセクリジン1.40%の使用で、さらに改善され得る。次いで、本発明で好ましい実施形態は、約1.75%のアセクリジン、マンニトール2.5%、約2.5%~5.0%のポリソルベート80、約1.42%のCMC又は約1.8%のHPMC、及び約0.004%~0.010%、より好ましくは約0.005%~0.007%、最も好ましくは約0.005%~0.006%のトロピカミドを含む。臨界ミセル濃度を超えるミセル形成は、ミセルが涙膜表面全体に広がり、低濃度で広がってこの表面をカバーすることを可能にし得る一方、より高い濃度でこれらのミセルは、表面に沿ってますます収縮及び「圧迫」されることになる。特定の理論にとらわれることを望まないが、著しい多重ラメラ(層状化)が発生する前に、最適な濃度で、最小限のミセル直径は達成されると考えられる。表面に沿った約100~250nmの最適な濃度のナノミセルは、高電荷及び親水性アセクリジンを取り巻いて達成され、きわめて親油性の上皮を通して浸透を促すと考えられている;
【0127】
特定の理論にとらわれることを望まないが、アセクリジン1.75%、マンニトール2.5%、トロピカミド0.01%、及びクエン酸緩衝液(1~100mM 3~5mMが好ましい)の好ましい組成物における、BAK0.02%の、ソルベート約0.10%、EDTA約0.10%への添加は、BAK臨界ミセル濃度を超える。カチオン性界面活性剤であるBAK、並びに+電荷NH4+第四級窒素を用いてイオン性ミセルの勾配を作り出すBAKミセルは、外側に凝集する極性頭部、内側で凝集する疎水性尾部における親油性アルキル鎖を生じ、これらは、その双極子により有意な同様のアセクリジンの配列を引き起こし得、第四級NH3求核性又はNH4プロトン化窒素は、外側の極性頭部に沿って配向され、より疎水性のカルボニルC=Oは、疎水性BAKミセル尾部に沿い、これらは、求核試薬である、ある非イオン性アセクリジン分子の衝突を防止し、大幅に低下させ、又は中等度に低下させ、別のアセクリジンカルボニルと無作為に衝突するように溶液中で配向された場合、標的化カルボニルでの求核攻撃を介してそのアセクリジンの化学的変換を引き起こし、変換は、そのような求核試薬から、そのように繰り返し配向された他のアセクリジンへと再び起き、0.005%、好ましくは0.01%~0.02%の最も好ましいミセルを介したそのようなBAK配向がないと、安定性の欠如を引き起こす。好ましい実施形態において、好ましいpHでの、そのような非イオン性求核試薬の濃度は比較的低いが、そうでなければ、これらの非イオン性求核試薬は、隣接したアセクリジンを、それら自体分解せず繰り返し不安定にする能力が高い。結果は、デュアルチャンバボトルにおいて一旦開口し、凍結乾燥アセクリジン/マンニトールと、希釈剤における製剤の残りの混合が発生した混合溶液の1ヶ月プラスの改善した効力、及び、又は、室温にて、若しくはコールドチェーンを介してのいずれかでの、溶液中での商業化に十分改善した安定性であり得る;
【0128】
BAK単体は、十分な細菌及び真菌の防腐剤効用を提供しないが、そのBAK及びソルベート、又はソルベート単体は、本発明の希釈剤及び、又は混合溶液を満足できるように保存することが発見されている;
【0129】
特定の理論にとらわれることを望まないが、例えば1.25%ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する本発明の好ましい実施形態は、点眼前に約400cpsの粘度を有し得、さらに、従来の高粘度人工涙液製剤、例えば、10~20分間視覚をぼやけさせることがある約400cpsのCelluvisc(登録商標)、又は、同様だがわずかに軽減されたぼやけを引き起こす約100cpsのLiquigel(登録商標)とは異なり、涙液分泌の流入で急速に消散するぼやけを、約60秒しか引き起こさず;高せん断での粘度の非ニュートン減少(例えばまばたき中の約1/1000sec、及びシアロゲン(sialogen)としての涙液分泌のアセクリジン副交感神経トリガーの両方が寄与し得る。
【0130】
瞳孔収縮を引き起こすことが可能である一般的な縮瞳剤、例えばピロカルピン、カルバコール及びホスホリンジエステラーゼは、老眼の患者の近見視力を改善する。しかし、これらの一般的な縮瞳剤に関連する遠見視力において、ピーク効果及び調節時の縮瞳からの逆低下(inverse reduction)が存在し、これは、アセクリジンを用いると見られない。毛様体筋麻痺剤とアセクリジンの同時投与は、驚くべきことにこの遠見視力低下の減弱を引き起こす。
【0131】
本発明の眼科用組成物の好ましい実施形態の快適さ、安全性及び効用は、非イオン性界面活性剤、例えばシクロデキストリンアルファ、ベータ若しくはガンマ鎖、好ましくは2-ヒドロキシプロピルベータ-シクロデキストリン(「HPβCD」)、及びβ-シクロデキストリンのスルホブチルエーテル誘導体(Captisol(登録商標))、ポリオキシルアルキル、例えばステアリン酸ポリオキシル40及びポリオキシル35ヒマシ油、又はポロキサマー、例えばポロキサマー108及びポロキサマー407、ポリソルベート、例えばポリソルベート80、又はBrij(登録商標)35(Brijは、Uniqema Americas LLCの登録商標である。);粘度向上剤、例えばカルボキシメチルセルロース(「CMC」);等張化剤、例えば塩化ナトリウム;防腐剤、例えば塩化ベンザルコニウムの存在、並びにpH約5.0~約8.0に由来する。さらに、非イオン性界面活性剤の濃度の上昇は、赤みの低下を引き起こし得る。具体的には、0.10%から、0.50~1.0%へのポリソルベートの上昇は、赤みの低下を引き起こす。さらに、CMC又はCarbopol(登録商標)940の、0.50%~1.5%w/v(好ましくは1.40~1.43%w/v)の上昇は、定量的改善及び持続時間改善の両方で、近見視力の向上を引き起こす。
【0132】
粘性剤を含む本発明の組成物の粘度は、眼における局所点眼前に、約1~約10,000cpsであり得る。投与に使用されるデバイスを出るときに組成物に適用されるせん断力の結果として、粘度は、高せん断のまばたきで約1~約25cps、まばたき間の低せん断で50cps~200cpsの範囲に低下し、局所点眼する際の、こぼれの少なさ、並びに鼻涙ドレナージ及び全身吸収の少なさで、より多くの液滴保持を可能とする。
【0133】
一実施形態では、本発明は、アセクリジンを含む眼科用組成物を対象とする。好ましい実施形態では、アセクリジンは、約0.25%~約2.0%w/v、より好ましくは約0.50%~約1.90%w/v、さらにより好ましくは約1.65%~約1.85%w/v、最も好ましくは約1.75%w/vの濃度である。アセクリジンは、不斉を有する第三級アミンなので、+及び-光学異性体の両方が存在する(一部の研究では、(+)はより強力であり、他方では(-)がより強力な可能性があると感じられる)。上記濃度について、旋光分析は、これらの濃度に対する(+)及び(-)異性体の正確な等比を実証した。したがってこの比を変更すると、比の変化に比例して、この濃度範囲が変更される可能性がある。
【0134】
本発明の発見は、いくつかの改変を、単体で、又は組み合わせて使用して、コールドチェーン安定性保存を向上させることであり、好ましい実施形態に加えて、アセクリジン1.40%~1.75%、トロピカミド0.025%~0.10%、任意選択的に非イオイニック(nonioinic)界面活性剤、例えばステアリン酸ポリオキシル40 0.5%~10%、好ましくは5.5%、以下の1つ以上を含む(表1を参照されたい):
酸性pH、好ましくは5.5未満、好ましくは5.0未満、最も好ましくは約4.75のpH;
粘性剤、好ましくは25Cにて約15~50cps、より好ましくは20~45cpsの粘度、好ましい実施形態は、カルボマー940 0.09%~1.5%である;
抗凍結剤、好ましい実施形態では、ポリオール、好ましくはマンニトール2.5%~4.0%の添加;
緩衝液の添加、アセテート又はリン酸緩衝液が好ましい、2~100mモルの範囲、3~5mモルが好ましい;また、
防腐剤、BAK 0.015%の添加が好ましい。
【0135】
ムスカリンアゴニスト
本発明は、ムスカリンアゴニスト、好ましくは非イオン性界面活性剤を、組成物に対してその臨界ミセル濃度を超えて含み、及び粘度向上剤;或いはインサイチュでのゲル化剤を含む、眼科用組成物をさらに対象とする。好ましい実施形態では、組成物の局所塗布に対する初期粘度は、低せん断(1/s)で、20cps、好ましくは50cps、より好ましくは70cpsを超える。
【0136】
ムスカリンアゴニストは、選択的α-2アゴニストを含み、これは、本発明の組成物内に含まれ得る、又は、鼻閉若しくは赤みを低下させる追加手段が、感受性の対象に望ましい場合、好ましくはわずか数分前、又はそれより好ましくないがわずか数分後に、局所的に適用され得る。本発明に好適な選択的α-2アゴニストは、低濃度で最小限のα-1アゴニスト活性を有している。例えば、ブリモニジン又はファドルミジンでは、1%~2%w/vはきわめて高いと考えられ、0.5%~1.0%w/vはやはり高度にα-1受容体を誘導し、本発明の目的には毒性である。さらに、0.10%~0.5%w/vはやはり高過ぎて、0.070%~0.10%w/vでもリバウンド充血の好ましい発生率より高い発生率を伴う(しかし、デクスメデトミジンでは、その高い親油性及び眼内浸透は、この範囲のリバウンドの危険性を低下させる)。わずか0.065%w/v以下が潜在的に許容でき、大半のα-2アゴニストでは、選択性の程度に応じて、0.050%w/v、又はより一層好ましくは0.035%w/v以下が望ましい。一方、ある程度の有用な活性は、1桁以上のさらなる濃度低下を発生し得る。本発明の好ましい実施形態、ブリモニジン、ファドルミジン及びグアンファシンは、α-1アドレナリン受容体が、過剰な大血管細動脈収縮及び血管収縮性虚血を引き起こすほど十分に刺激されない、α-2アドレナリン受容体、より一層好ましくはα-2bアドレナリン受容体を優先的に刺激する。さらに、別途直接的に赤みを誘導する薬物、例えばアセチルコリンアゴニスト、アセクリジンでは、赤みを防止し、又は低下させ、α-2アゴニストを含まない本発明の製剤を用いても、赤み若しくは鼻閉を誘発した可能性がある感受性の対象のコンプライアンスを向上させることが発見されている。しかし、α-2アゴニストはイオン化平衡にシフトするため、酸性pHは、そのようなアゴニストは、中性又はアルカリ性pHで強いアフェクトを発揮する事実によりやや相殺される。したがって、各α-2アゴニストは、アセクリジンを有する本発明の組成物に添加された場合の親油性及びpKa値に応じて、好ましいpH範囲を有する。本発明では、5.0~8.0のpH範囲は耐容性を示したが、好ましい実施形態は、pH5.5~7.5、より好ましくは6.5~7.0である。さらに、非イオン性界面活性剤成分として、又は単独の非イオン性界面活性剤としてのシクロデキストリン及び/又はステアリン酸ポリオキシル40は、ポロキサマー407ではなくα-2アゴニストが組成物に含まれる場合、より高い増白効果を生じることが発見されている。α-2アゴニストは、時折感受性の対象を除いて必要とされないが、α-2アゴニストは、任意選択的に別々に、又はある好ましい実施形態で、α-2アゴニストを含まない本発明の製剤、例えば非イオン界面活性剤としてのステアリン酸ポリオキシル40 5.5%w/vを有する製剤と適用され得る。ファドルミジンは、最高の親水性、ひいては本発明では高い表面保持率を有するα-2アゴニストを表す。グアンファシンも高度に選択的、また親水性である。ブリモニジンは、高度に選択的であり、中等度の親油性を有する。最後に、デクスメデトミジンは、高い選択性と高い親油性を有し、これは、本発明の目的のため、赤みを低下させるのに低い効用で使用され得る(しかし、一部の患者では副作用として疲労を誘発する可能性がある)。好ましい実施形態では、ステアリン酸ポリオキシル40 5.5%w/v;CMC 0.80%w/v;NaCl 0.037%w/v;エチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)0.015%w/v、ホウ酸緩衝液5mM及びBAK 0.007%w/vを使用すると、4のうち約1.0~1.5の赤みを生じ、これは、一過性に約10分続き、30分までにおよそベースラインに戻る。
【0137】
一実施形態では、選択的α-2アドレナリン受容体アゴニストは、約900倍以上、より一層好ましくは約1000倍以上、最も好ましくは約1500倍以上の結合親和性を有する化合物である。
【0138】
選択的α-2アドレナリン受容体アゴニストは、約0.0001%~約0.065%w/v;より好ましくは、約0.001%~約0.035%w/v;より一層好ましくは、約0.01%~約0.035%w/v;より一層好ましくは、約0.020%~約0.035%w/vの濃度で存在し得る。
【0139】
一実施形態では、選択的α-2アドレナリン受容体は、ブリモニジン、グアンファシン、ファドルミジン、デクスメデトミジン、(+)-(S)-4-[1-(2,3-ジメチル-フェニル)-エチル]-1,3-ジヒドロ-イミダゾール-2-チオン、1-[(イミダゾリジン-2-イル)イミノ]インダゾール、及びこれらの化合物の混合物からなる群から選択される。高度選択的α-2アゴニストとして作用するこれらの化合物の類似体は、本発明の組成物及び方法にも使用され得る。
【0140】
より好ましい実施形態では、選択的α-2アゴニストは、ファドルミジン、グアンファシン及びブリモニジンからなる群から選択される。さらにより好ましい実施形態では、選択的α-2アゴニストは、0.025%~0.065%w/v、より好ましくは0.03%~0.035%w/vの濃度で、塩の形態のブリモニジンである。好ましい実施形態では、塩は、酒石酸塩である。
【0141】
別のさらにより好ましい実施形態では、選択的α-2アゴニストは、約0.005%~約0.05%w/v、より好ましくは0.02%~約0.035%w/vの濃度で、塩酸(「HCl」)塩の形態のファドルミジンである。
【0142】
別のさらにより好ましい実施形態では、選択的α-2アゴニストは、約0.005%~約0.05%w/v、より好ましくは0.02%~約0.035%w/vの濃度で、HCl塩の形態のグアンファシンである。
【0143】
別のさらにより好ましい実施形態では、選択的α-2アゴニストは、約0.005%~約0.05%w/v、より好ましくは0.04%~約0.05%w/v濃度でHCl塩の形態のデクスメデトミジンである。
【0144】
別の好ましい実施形態では、生理学的pH未満のpHは、ブリモニジンでは増白効果を向上させることが見出され、好ましくはpH4.5~6.5、より好ましくはpH5.5~6.0である。しかし、赤みの減少は、すべてのpHで達成され、アセクリジン吸収の向上は、アルカリ性pHで発生し、その結果、より多くの効果が所定の濃度から発生し、ひいてはpHは4.5~8.0の範囲で有効であるが、6.5~7.5のpH範囲が本発明には好ましく、7.0~7.5が最も好ましい。
【0145】
本発明は、ムスカリンアゴニストを含み、毛様体筋麻痺剤をさらに含む眼科用組成物をさらに対象とする。これは、ある毛様体筋麻痺剤を縮瞳剤、特に本発明ではアセクリジンと、縮瞳の発症、度合い又は持続時間を低下させることなく組み合わせることができ;水性製剤におけるピーク吸収の時間と一致する縮瞳効果の通常付随するスパイクをさらに鈍化させて、望ましい製剤に応じて発症後の時間に対して15~30分から6~10時間、一定の縮瞳を生じる、驚くべき、またまったく想定外な本発明の発見である。毛様体筋麻痺剤の添加は、おそらく毛様体痙攣又は過剰な瞳孔縮瞳の結果である、局所点眼の直後に別途発生し得る残留に関連する何らかの不快感も低下させる。
【0146】
本発明に好適な毛様体筋麻痺剤は、アトロピン、Cyclogyl(登録商標)(シクロペントラート塩酸塩)、ヒヨスチン、ピレンゼピン、トロピカミド、アトロピン、4-ジフェニルアセトキシ-N-メチルピペリジンメトブロミド(4-DAMP)、AF-DX 384、メトクトラミン、トリピトラミン、ダリフェナシン、ソリフェナシン(ベシケア)、トルテロジン、オキシブチニン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、チオトロピウム(Spriva)、及びオテンゼパド(別名AF-DX 116又は11-{[2-(ジエチルアミノ)メチル]-1-ピペリジニル}アセチル]-5,11-ジヒドロ-6H-ピリド[2,3b][1,4]ベンゾジアゼピン-6-オン)を含むが、それらに限定されない。好ましい実施形態では、毛様体筋麻痺剤は、約0.004%~約0.025%w/v、より好ましくは約0.005%~約0.015%w/v、さらにより好ましくは約0.005%~約0.011%w/v、約0.005%~約0.007%w/v及び約0.005%~約0.006%w/vの濃度のトロピカミドである。別の好ましい実施形態では、毛様体筋麻痺剤は、約0.04%~約0.07%w/vの濃度のトロピカミド、又は、約0.002%~約0.05%w/vの濃度のピレンゼピン若しくはオテンゼパドの混合物である。
【0147】
好ましい実施形態では、トロピカミド0.01%w/vは、眼窩痛をわずかに低下させ、0.030%w/vは眼窩痛をさらに低下させ、0.04%~約0.07%w/vは、効果の持続時間にかけて瞳孔縮瞳の平均直径を減少させずに、眼窩痛を完全に排除すると見出された。トロピカミドは、好ましい実施形態では、完全に想定外の効果の感受性が実証されており、約0.04%w/vで、眼窩痛及び毛様体痙攣疼痛を想定外に、及びきわめて効率的に低下させ、又は排除し、毛様体筋麻痺がない好ましい実施形態では、0.042%w/vできわめて目立ってさらに低下させ、0.044%w/vで存在しなくなる(驚くべきことに、瞳孔拡張剤としての通例の使用のため)。さらに、トロピカミドは、平均の瞳孔収縮の程度、瞳孔収縮発生の時間又は後続する視覚的利益を低下させなかった。それどころか、トロピカミドは、水性製剤で見られるピーク縮瞳を鈍化させて、滑らかな一貫した縮瞳効果を長期間にわたって作り出した。これにより、ピーク瞳孔収縮の調節が可能となって、以前の使用で見出された拡張なしで、長期間にわたってより均一な効果が達成された。具体的には、トロピカミドは、いくつかの実施形態では、アセクリジン後30~60分で、1.50mm未満の一過性の収縮を防止するのに有用であり、約30分のピーク発生で別途発生し得る一過性の過剰な、また望ましくない視覚の不鮮明さを低下させるのに有用である。例として、1.53%w/vアセクリジン、5%w/v HPβCD、0.75%w/v CMC、0.25%w/v NaCl、0.01%w/v BAK及びリン酸緩衝液をpH7.0で;又は1.45%w/vアセクリジン;5.5%w/vステアリン酸ポリオキシル40;0.80%w/v CMC;0.037%w/v NaCl;0.015%w/v EDTA;0.007%w/v BAK及び5mMリン酸緩衝液をpH7.0で含む眼科用組成物は;中等度の不鮮明さが認められた0.040%w/vトロピカミドから、不鮮明さは、きわめて薄暗い光条件下以外でほぼ検出不可能になる0.044%w/vトロピカミドに変動した。毛様体筋麻痺剤を用いる、このさらなる瞳孔の大きさの調節は、望ましくない付随するピークの過剰な収縮、並びに何らかの不快な眼窩痛を鈍化させる一方、効果を延長するのに十分なアセクリジン濃度を可能とする。驚くべきことに、また、短時間作用性のため、トロピカミドは、散瞳を引き起こすことなくこの鈍化させる効果を達成する。さらに、好ましい実施形態では、トロピカミド0.014%w/vは、眼窩痛を低下させ、0.021%w/vは眼窩痛をさらに低下させ、0.028%~0.060%w/v、また、いくつかの実施形態では、0.09%w/vまでは、毛様体筋麻痺(すなわち眼の毛様体筋の麻痺)を伴わずに、眼窩痛を完全に排除することが見出された。
【0148】
(+)及び(-)アセクリジン光学異性体のラセミ50:50(一部の研究では、(+)がより強力であり、他方では(-)がより強力な可能性があるように感じられる)混合物では、アセクリジン対トロピカミドの比に応じて、トロピカミド効果が変動し得ると見出された。例えば、1.55%w/vアセクリジン、5.5%w/v HPβCD、又は好ましい実施形態では、ステアリン酸ポリオキシル40、0.75%w/v CMC(1%=2,500センチポアズ)、0.25%w/v NaCl、及び0.01%w/v BAK、並びにpH7.5で、0.042%w/vトロピカミドを含む本発明の眼科用組成物では、0.035%w/vとさえも区別でき、前者は通常の屋内夜間視力を実証し、後者はさらに低い濃度でより顕著になる軽度の不鮮明さを示す。より高い濃度、例えば約0.075%~約0.090%w/vトロピカミドでは、最適な範囲である1.50mm~1.80mm範囲の瞳孔収斂の損失が始まり、より高い濃度ではっきりした散瞳が発生し始める。異性体比は有効な濃度を変えることができるので、これは、アセクリジンを使用した予想される臨床的効用の考慮に入れなければならず;本発明の好ましい実施形態では、旋光計を使用して、正確な50:50異性体比を判定し、これを使用した(個人通信機関Toronto Research Chemicals)。
【0149】
図1は、毛様体筋麻痺剤の有無を問わず、また、担体の有無を問わない、縮瞳剤の効果を示す。対象は、年齢45歳を超え、20.100のベースライン近見視力及び20.20のベースライン遠見視力を有する正視者である。生理食塩水溶液中1%w/vピロカルピンの眼への局所投与により、近見視力が20.40に改善される(8a)が、この改善は、遠見視力の20.100への低下を犠牲にしている(8b)。0.015%w/vトロピカミドの添加により、20.25へと近見視力が改善され(9a)、20.55へと遠見視力の低下が抑制される(9b)が、ある例では、一部で不正乱視(読取り視野にやや不規則な領域)が誘発される。生理食塩水溶液中の1.55%w/vアセクリジンの局所投与により、6時間の延長された時間にわたり20.40へと近見視力が改善され(10a)、ベースライン遠見視力に対する効果は一切ない(10b)。10c及び10dは、5.5%w/v 2-ヒドロキシプロピルベータシクロデキストリン、0.75%w/v CMC(1%=2,500センチポアズ)、0.25%w/v NaCl、及び0.01%w/v BAKで構成される担体中におけるアセクリジン投与の効果を示した。10cで見られるように、担体は、20.20より優れた近見視力をもたらすアセクリジンの有益な効果を増大させる。10dで見られるように、遠見視力において同様の増大が発生する。10e及び10fは、担体中のアセクリジンに0.042%w/vトロピカミドを添加する効果を示す。10eで見られるように、最大視力が迅速に発現して、近見視力は20.15に改善される。10fで見られるように、同様の改善が遠見視力で見られる。まとめると、
図1は、アセクリジンが、老眼の対象において、ベースライン遠見視力に影響を与えずに、近見視力を一時的に矯正することが可能であると示す。同様の結果は、毛様体筋麻痺剤、例えばトロピカミドの添加を伴う異なる縮瞳剤、ピロカルピンで達成され得る。適正な薬物担体も、有益な効果を有し得る。
【0150】
本発明の局所製剤、特に、アセクリジン1.35%~1.55%w/v;5.5%w/vステアリン酸ポリオキシル40;0.80%w/v CMC;0.037%w/v NaCl;0.015%w/v EDTA;0.007%w/v BAK;及びpH7.0の5mMリン酸緩衝液を含む好ましい実施形態の1つにより、毎日の単回の局所点眼後に、かなり延長されたコンタクトレンズの装用及び快適さが得られることは、驚くべき、また想定外の発見である。好ましい実施形態の毎日の単回使用は、以前は一晩の後でさえ、視力がぼやけ、フィルムでコーティングされたコンタクトレンズは、除去及びクリーニング、又は交換を必要としていたが、ドライアイを有する対象が、レンズを付けて1週間にわたり睡眠をとることを可能とした(実施例7を参照されたい)。
【0151】
好ましい実施形態では、本発明の眼科用組成物は、アセクリジン、抗凍結剤、任意選択的に毛様体筋麻痺剤、非イオン性界面活性剤を、約1%~約5%w/vの濃度で、また、粘性剤を約0.75%~約1.6%w/v、好ましくは約1.25%~約1.5%w/vの濃度で含む。
【0152】
以下の代表的な実施形態は、単に例証の目的で示されており、本発明の限定を決して意味するものではない。
【0153】
代表的な実施形態
一実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを約1.75%w/vの濃度で、また
マンニトールを約2.5%w/vの濃度で含む。
【0154】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを約1.75%w/vの濃度で、
マンニトールを約2.5%w/vの濃度で、また
トロピカミドを約0.02%w/vの濃度で含む。
【0155】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを約1.75%w/vの濃度で、
マンニトールを約2.5%w/vの濃度で、
ポリソルベート80を約5.0%w/vの濃度で、
カルボキシメチルセルロースを約1.4%w/vの濃度で、
BAKを約0.015%w/vの濃度で、また
任意選択的に、リン酸緩衝液を約3mMの濃度で含み、
pHは約5である。
【0156】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを約1.75%w/vの濃度で、
マンニトールを約2.5%w/vの濃度で、
ポリソルベート80を約0.5%w/vの濃度で、
NaClを約0.10%~約0.50%w/vの濃度で、
Carbopol(登録商標)940を約0.95%w/vの濃度で、
BAKを約0.01%w/vの濃度で、また
任意選択的に、リン酸緩衝液を約3mMの濃度で含み、
pHは約5である。
【0157】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを約1.75%w/vの濃度で、
マンニトールを約2.5%w/vの濃度で、
ポリソルベート80を約2.0%w/vの濃度で、
NaClを約0.50%w/vの濃度で、
Carbopol(登録商標)940を約1.5%w/vの濃度で、
BAKを約0.015%w/vの濃度で、また
任意選択的に、リン酸緩衝液を約3mMの濃度で含み、
pHは約5.25である。
【0158】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを約1.75%w/vの濃度で、
マンニトールを約2.5%w/vの濃度で、
ポリソルベート80を約0.25%w/vの濃度で、
NaClを約0.1%w/vの濃度で、
ホウ酸を約0.12%w/vの濃度で、
Carbopol(登録商標)940を約0.95%w/vの濃度で、また
BAKを約0.015%w/vの濃度で含み、
pHは約5である。
【0159】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを約1.75%w/vの濃度で、
マンニトールを約2.5%w/vの濃度で、
ポリソルベート80を約0.50%w/vの濃度で、
NaClを約0.05%w/vの濃度で、
ホウ酸を約0.2%w/vの濃度で、
Carbopol(登録商標)940を約0.95%w/vの濃度で、
BAKを約0.01%w/vの濃度で、また
任意選択的に、リン酸緩衝液を約3mMの濃度で含み、
pHは約5である。
【0160】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを約1.75%w/vの濃度で、
マンニトールを約2.5%w/vの濃度で、
ポリソルベート80を約0.1%w/vの濃度で、
ホウ酸を約0.2%w/vの濃度で、
Carbopol(登録商標)940を約0.9%w/vの濃度で、
BAKを約0.05%w/vの濃度で、また
任意選択的に、リン酸緩衝液を約3mMの濃度で含み、
pHは約5である。
【0161】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを約1.75%w/vの濃度で、
マンニトールを約2.5%w/vの濃度で、
ポリソルベート80を約0.1%w/vの濃度で、
NaClを約0.1%w/vの濃度で、
ホウ酸を約0.12%w/vの濃度で、
Carbopol(登録商標)940を約0.95%w/vの濃度で、
BAKを約0.01%w/vの濃度で、また
任意選択的に、リン酸緩衝液を約3mMの濃度で含み、
pHは約5である。
【0162】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを約1.75%w/vの濃度で、
トロピカミドを約0.01%w/vの濃度で、
マンニトールを約2.5%w/vの濃度で、
ポリソルベート80を約5.0%w/vの濃度で、
CMCを約1.4%w/vの濃度で、
BAKを約0.015%w/vの濃度で、また
任意選択的に、リン酸緩衝液を約3mMの濃度で含み、
pHは約5である。
【0163】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを約1.75%w/vの濃度で、
トロピカミドを約0.02%w/vの濃度で、
マンニトールを約2.5%w/vの濃度で、
ポリソルベート80を約0.25%w/vの濃度で、
NaClを約0.1%w/vの濃度で、
ホウ酸を約0.12%w/vの濃度で、
Carbopol(登録商標)940を約0.95%w/vの濃度で、また
BAKを約0.01%w/vの濃度で含み、
pHは約5である。
【0164】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを約1.75%w/vの濃度で、
トロピカミドを約0.015%w/vの濃度で、
マンニトールを約2.5%w/vの濃度で、
ポリソルベート80を約0.75%w/vの濃度で、
NaClを約0.05%w/vの濃度で、
ホウ酸を約0.2%w/vの濃度で、
Carbopol(登録商標)940を約0.95%w/vの濃度で、
BAKを約0.01%w/vの濃度で、また
任意選択的に、リン酸緩衝液を約3mMの濃度で含み、
pHは約5である。
【0165】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを約1.75%w/vの濃度で、
トロピカミドを約0.025%w/vの濃度で、
マンニトールを約2.5%w/vの濃度で、
ポリソルベート80を約0.1%w/vの濃度で、
ホウ酸を約0.2%w/vの濃度で、
Carbopol(登録商標)940を約0.9%w/vの濃度で、
BAKを約0.05%w/vの濃度で、また
任意選択的に、リン酸緩衝液を約3mMの濃度で含み、
pHは約5である。
【0166】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを約1.75%w/vの濃度で、
トロピカミドを約0.02%w/vの濃度で、
マンニトールを約2.5%w/vの濃度で、
ポリソルベート80を約0.1%w/vの濃度で、
NaClを約0.1%w/vの濃度で、
ホウ酸を約0.12%w/vの濃度で、
Carbopol(登録商標)940を約0.95%w/vの濃度で、
BAKを約0.01%w/vの濃度で、また
任意選択的に、リン酸緩衝液を約3mMの濃度で含み、
pHは約5である。
【0167】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを約1.75%w/vの濃度で、
トロピカミドを約0.040%w/vの濃度で、
ステアリン酸ポリオキシル40を約5.0%w/vの濃度で、
マンニトールを約2.5%w/vの濃度で、
任意選択的に、酢酸又はリン酸緩衝液を約3.0mMの濃度で、また
BAKを約0.01%w/vの濃度で含み、
前記組成物は、約4.75のpHを有する。
【0168】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを約1.55%w/vの濃度で、
トロピカミドを約0.040%w/vの濃度で、
ステアリン酸ポリオキシル40を約5.0%w/vの濃度で、
クエン酸一水和物を約0.1%w/vの濃度で、
マンニトールを約4.0%w/vの濃度で、
Carbopol(登録商標)940を0.09%w/vの濃度で、また
任意選択的に、酢酸又はリン酸緩衝液を約3.0mMの濃度で含み、
前記組成物は、約5.0のpHを有する。
【0169】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを約1.50%w/vの濃度で、
トロピカミドを約0.042%w/vの濃度で、
ステアリン酸ポリオキシル40を約5.5%w/vの濃度で、
マンニトールを約2.5%w/vの濃度で、
任意選択的に、リン酸緩衝液を約3.0mMの濃度で、
Carbopol(登録商標)940を約0.85%w/vの濃度で、また
BAKを約0.01%w/vの濃度で含み、
前記組成物は、約4.75のpHを有する。
【0170】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを約1.45%w/vの濃度で、
トロピカミドを約0.042%w/vの濃度で、
ステアリン酸ポリオキシル40を約5.5%w/vの濃度で、
クエン酸一水和物を約0.1%w/vの濃度で、
任意選択的に、酢酸緩衝液を約3.0mMの濃度で、また
Carbopol(登録商標)940を約0.75%w/vの濃度で含み、
前記組成物は、約4.75のpHを有する。
【0171】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを約1.45%w/vの濃度で、
トロピカミドを約0.042%w/vの濃度で、
ステアリン酸ポリオキシル40を約5.5%w/vの濃度で、
マンニトールを約2.0%w/vの濃度で、
クエン酸一水和物を約0.1%w/vの濃度で、
任意選択的に、リン酸緩衝液を約3.0mMの濃度で、また
Carbopol(登録商標)940を約1.0%w/vの濃度で含み、
前記組成物は、約4.75のpHを有する。
【0172】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
約1.75%w/vアセクリジン、
約2.5%w/vマンニトール、
約2.75%w/vポリソルベート80、及び
約1.25%、1.0%~1.80%w/vヒドロキシプロピルメチルセルロース(その分子量に応じて)を含む。
【0173】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
約1.75%w/vアセクリジン、
約0.005%~約0.011%トロピカミド、
約2.5%w/vマンニトール、
約2.75%w/vポリソルベート80、及び
約1.25%、1.0%~1.80%w/vヒドロキシプロピルメチルセルロース(その分子量に応じて)を含む。
【0174】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
約1.75%w/vアセクリジン、
約0.010%w/vトロピカミド、
約2.5%w/vマンニトール、
約5.0%w/vポリソルベート80、
約1.40%w/vカルボキシメチルセルロース、高粘度、
任意選択的に、約3mMリン酸緩衝液、及び
約0.010%BAK=防腐剤としてを含み、
pHは約5.0である。
【0175】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
約1.75%w/vアセクリジン、
約0.006%w/vトロピカミド、
約2.5%w/vマンニトール、
約2.5%w/vポリソルベート80、
約1.25%、1.0%~1.80%w/vヒドロキシプロピルメチルセルロース(その分子量に応じて)、
任意選択的に、約3mMリン酸緩衝液、及び
約0.020%BAK=防腐剤としてを含み、
pHは約5.0である。
【0176】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
約1.75%w/vアセクリジン、
約0.006%w/vトロピカミド、
約2.5%w/vマンニトール、
約2.5%w/vポリソルベート80、
約1.25%、1.0%~1.80%w/vヒドロキシプロピルメチルセルロース(その分子量に応じて)、
任意選択的に、約3mMリン酸緩衝液、
約0.50%w/v NaCl、及び
約0.020%BAK=防腐剤としてを含み、
pHは約5.0である。
【0177】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
約1.75%w/vアセクリジン、
約2.5%w/vマンニトール、
約3.5%w/vポリソルベート80、
約1.25%、1.0%~1.80%w/vヒドロキシプロピルメチルセルロース(その分子量に応じて)、
任意選択的に、約3mMリン酸緩衝液、
約0.50%w/v NaCl、及び
防腐剤として約0.020%BAK又は0.15%ソルビン酸を含み、
pHは約5.0である。
【0178】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
約1.75%w/vアセクリジン、
約2.5%w/vマンニトール、
約3.5%w/vポリソルベート80、及び
約1.25%、1.0%~1.80%w/vヒドロキシプロピルメチルセルロース(その分子量に応じて)を含み、
別の実施形態では、眼科用組成物は:
約1.75%w/vアセクリジン、
約2.5%w/vマンニトール、
約3.5%w/vポリソルベート80、
約1.25%、1.0%~1.80%w/vヒドロキシプロピルメチルセルロース(その分子量に応じて)、並びに
約0.50%w/v塩化ナトリウム、約0.02%w/v塩化ベンザルコニウム、約0.10%w/vソルベート、約0.01%w/vエチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び0.10%w/vクエン酸からなる群から選択される1つ以上の賦形剤を含む。
【0179】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
約1.75%w/vアセクリジン、
約2.5%w/vマンニトール、
約0.01%w/vトロピカミド、
約0.1%w/vクエン酸ナトリウム、無水、
約0.02%w/v塩化ベンザルコニウム、
約0.12%w/vソルビン酸、
約0.1%w/vエデト酸二ナトリウム二水和物、
約4.0%w/vポリソルベート80、及び
約1.25%w/vヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、
pHは約5.0である。
【0180】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
約1.75%w/vアセクリジン、
約2.5%w/vマンニトール、
約0.01%w/vトロピカミド、
約0.1%w/vクエン酸ナトリウム、無水、
約0.02%w/v塩化ベンザルコニウム、
約0.1%w/vソルビン酸、
約0.1%w/v EDTA、
約3.5%w/vポリソルベート80、及び
約1.25%、1.0%~2.25%w/vヒドロキシプロピルメチルセルロース(その分子量に応じて)を含み、
pHは約5.0である。
【0181】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
約1.75%w/vアセクリジン、
約2.5%w/vマンニトール、
約0.01%w/vトロピカミド、
任意選択的に、約3mMリン酸緩衝液、
約0.02%w/v塩化ベンザルコニウム、
約0.1%w/vソルビン酸、
約0.1%w/vクエン酸塩、
約3.5%w/vポリソルベート80、及び
約1.25%、0.25%~2.25%w/vヒドロキシプロピルメチルセルロース(その分子量に応じて)を含み、
pHは約5.0である。
【0182】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを1.5%w/vの濃度で、マンニトール2.5%w/vの濃度で含む。
【0183】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを1.55%w/vの濃度で、マンニトール2.5%w/vの濃度で含む。
【0184】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを1.6%w/vの濃度で、マンニトールを2.5%w/vの濃度で含む。
【0185】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを1.65%w/vの濃度で、マンニトールを2.5%w/vの濃度で含む。
【0186】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを1.7%w/vの濃度で、マンニトールを2.5%w/vの濃度で含む。
【0187】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを1.75%w/vの濃度で、マンニトールを2.5%w/vの濃度で含む。
【0188】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを1.80%w/vの濃度で、マンニトールを2.75%w/vの濃度で、またCarbopol(登録商標)940を0.09%w/vの濃度で含む。
【0189】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを1.48%w/vの濃度で、マンニトール1.5%w/vの濃度で、またCarbopol(登録商標)940を0.50%w/vの濃度で含む。
【0190】
別の実施形態では、眼科用組成物は:
アセクリジンを1.80%w/vの濃度で、マンニトールを2.5%w/vの濃度で、またCarbopol(登録商標)940を0.9%w/vの濃度で含む。
【0191】
ある好ましい実施形態では、本発明は、約1.75%w/wアセクリジン、約4.0%w/wポリソルベート80、約2.5%w/wマンニトール、約1.2%w/wヒドロキシプロピルメチルセルロース、約0.1%w/wエチレンジアミン四酢酸、約0.02%w/w塩化ベンザルコニウム、約0.12%w/wソルビン酸カリウム及び約0.077%w/wクエン酸塩を含む、老眼を処置するための組成物を対象とし、組成物は、約5.0のpHを有する。
【0192】
ある好ましい実施形態では、本発明は、約1.75%w/wアセクリジン、約4.0%w/wポリソルベート80、約2.5%w/wマンニトール、約1.2%w/wヒドロキシプロピルメチルセルロース、約0.1%w/wエチレンジアミン四酢酸、約0.02%w/w塩化ベンザルコニウム、約0.12%w/wソルビン酸カリウム及び約0.1%w/wクエン酸塩を含む、老眼を処置するための組成物を対象とし、組成物は、約5.0のpHを有する。
【0193】
ある好ましい実施形態では、本発明は、約1.40%w/wアセクリジン、約2.0%w/wステアリン酸ポリオキシル、約2.5%w/wマンニトール、約0.1%w/wエチレンジアミン四酢酸、約0.02%w/w塩化ベンザルコニウム、約0.12%w/wソルビン酸カリウム及び約0.1%w/wクエン酸塩を含む、老眼を処置するための組成物を対象とし、組成物は、約5.0のpHを有する。
【0194】
以下の実施例は、単に例証の目的で示されており、本発明の限定を決して意味するものではない。
【実施例】
【0195】
[実施例1] 47~67歳の対象の視力に対するアセクリジンの効果
表1は、アセクリジンを含有する組成物の眼科投与の前後における、老眼の対象の近焦点能力に対する効果を実証する。各組成物は、アセクリジンを指し示されている濃度で、また5.5%w/v HPβCD、0.75%w/v CMC、0.25%w/v NaCl及び0.01%w/v BAKを含んでいた。さらに対象4及び5に投与される組成物は、0.125%w/vトロピカミドを含んでいた。アセクリジンは鏡像異性体なので、臨床的有効性は、異なる比によって変動し得る。本研究では、立体異性体のほぼ正確な50:50比を、旋光分析により最適なように判定した。
【0196】
【0197】
表1で見られるように、すべての対象は、左右両眼で完全ではない近見視力(20.20)(対象物が眼から15インチ)を有し、大半の対象は、組成物の投与前に完全ではない遠見視力を有していた。組成物の投与後、すべての対象は、近見視力の改善を経験し、これは7~12時間続いた。驚くべきことに、対象の大多数は、遠見視力の改善も同期間経験した。さらになお驚くべきことに、近点の改善は、快適な読取りに典型的に必要とされる16”よりはるかに近く、いくつかのケースでは、30歳以下の個人でより多く見られる約8.5”に近かった。毛様体筋麻痺剤であるトロピカミドの添加は、視力矯正に対する付加的又は有害な効果を有さなかった。
【0198】
[実施例2] アセクリジン及びトロピカミドの濃度の濃度の効果
【0199】
【0200】
すべてのパーセンテージは、w/vである。「pt」は、印刷材の大きさを反映し、4は20/20視力に等しく、3は20/15視力に等しい。
【0201】
「時間」は、効果の持続時間を指す。
【0202】
表2で見られるように、少なくとも1.1%w/vの濃度のアセクリジンは、局所点眼の1時間後に瞳孔の大きさを1.63mmに減少させることが可能であり、近見及び遠見視力を少なくとも10時間矯正した。アセクリジンの濃度を0.75%w/vに低下させると(製剤#3)、1時間後、縮瞳効果は2.0~2.5mmに低下し、視力矯正は、6.5時間しか続かなかった。0.03%w/vブリモニジンの添加は、眼の赤みを、局所点眼後30分以内に4のうち1.5に低下させ(4のうち4、ブリモニジンなし、示されていない)、これは視力が矯正された全時間にわたり維持された。非イオン性界面活性剤をHPβCDに切り替えると(製剤#2~6)、眼の赤みがさらに低下した。アセクリジンの濃度を0.75%w/vに低下させると(製剤#3)、眼の赤みがさらに低下したが、上述のように、製剤の視力矯正の持続時間も減少させた。
【0203】
眼における眼窩痛及び刺痛感は、軽度の吐き気、胃の不調及び疲労も伴う疼痛の4レベルのうち2を示す製剤#1~3で顕著であった。驚くべきことに、毛様体筋麻痺剤であるトロピカミドの添加は、眼窩痛及び刺痛感を4のうち0.5、及び4のうち0にそれぞれ低下させ、眼窩痛は60分後に消散した(製剤#4)。さらに、アセクリジンの濃度を1.1%w/vに上昇させると、眼の赤みを増大させることなく、製剤#1~2で見られる矯正した視力の長い持続時間を回復した。しかし、10時間の終わりに製剤#4を再度局所点眼すると、顕著な眼窩痛が発生した。製剤#5の局所点眼(OD)及び(OS)は、製剤#4後のトロピカミド濃度の上昇と共に、製剤#4の再導入を経験した眼窩痛を軽減した。製剤#5の有効な持続時間の終わりの、3回目の局所点眼の際に、製剤#5の再度の局所点眼は、かなりの眼窩痛を引き起こした。再度、製剤#6で、トロピカミドの濃度の上昇は、眼窩痛を克服することが可能であった。さらに、また想定外に、トロピカミドは、毛様体筋麻痺剤であるにもかかわらず、瞳孔収縮又は視力矯正に対して効果を有さなかった。驚くべきことに、トロピカミドの添加は、最適な瞳孔の大きさの収縮持続時間を延長させた。
【0204】
瞳孔収縮に対するブリモニジンの効果を判定するために、製剤#7が投与された。製剤#7の投与は、瞳孔収縮において、1.70mmへのわずかな減少のみが生じ、製剤#5のものと同一の遠見及び近見視力改善が生じた。2~3+結膜充血が認められた。
【0205】
すべてのベースラインの視力データは、遠見コンタクトレンズで矯正した視力に基づいていた。近見視力は、導入後1.5時間で水平に8インチから突出していると対象により認められた。赤外カメラ及びスーパーインポーズ瞳孔較正スケールを有するMarco自動屈折計を、すべての瞳孔の大きさの測定に使用した。画像が選択されると、スクリーン上に留まって、正確な較正が可能となった。
【0206】
[実施例3] アセクリジン、ブリモニジン、グアンファシン、ファドルミジン、トロピカミド及び添加剤の濃度の効果
【0207】
【0208】
すべてのパーセンテージは、w/vである。鼻閉、刺痛感初期、刺痛感3min、赤み初期、赤み15min、増白、疼痛及び総合スコアは、4のうちである。
【0209】
「pt」は、印刷材の大きさを反映し、4は20/20視力に等しく、3は20/15視力に等しい。
【0210】
ベースライン視力は、遠見で両眼20.20;近見で裸眼右眼20.70;近見で裸眼左眼20.80(最高@16”)であった。
【0211】
D/Cは、容認できない刺痛感のため、眼の洗浄後に中断したことを意味する。
【0212】
1.55%w/vの濃度のアセクリジンは、局所点眼後30分で瞳孔の大きさを約1.63mmに減少させることが可能であり、近見及び遠見視力を20.20以上に少なくとも6時間矯正し、表3で見られるように、顕著な影響が約7.5時間続いた。アセクリジンの濃度を1.25%w/vに低下させると(示されていない)、近見視力が約20.25~20.30に有用に改善したが、より高用量の範囲で、アルカリ性pHが発現を迅速にし、持続時間を長くし、効果を大きくするほど有効ではなかった。0.037%w/vブリモニジンを添加すると、局所点眼後15分以内に、眼の赤みがベースラインに低下し(4のうち4、ブリモニジンなし、示されていない)、これは視力が矯正されたおよその全時間にわたり維持された。グリセリン0.10%w/vを添加すると、刺痛感が目立って低下した。しかし、代わりにポロキサマー188 0.05%w/v及びステアリン酸ポリオキシル40 0.05%w/vを添加すると、初期刺痛感はさらに低下したが、より粘性になった。6.5のpHでのグリセリン0.1%w/v、ポロキサマー188 0.1%w/vの組合せは、発現、持続時間、快適さ及び有効性を目立って低下させた。AB11Tは、グリセリン、ポロキサマー188又はステアリン酸ポリオキシル40を含んでおらず、これにより、かなりの刺痛感及び実験の中断が生じ、局所点眼後直ちに眼をすすぎ洗いした。AB12Tにおいて、ブリモニジンをグアンファシン0.037%w/vに置き変えると、初期の赤みが最小限になり、赤みの低下及びある程度の増白が延長し、総合的に最高の美容術が得られたと思われたが、最適な効果には、それよりわずかに高いアセクリジン濃度を必要とした。
【0213】
すべてのベースライン視力データは、遠見コンタクトレンズで矯正した視力に基づいていた。近見視力は、AB4T及びAB6Tで導入後30分に、水平に8~10インチ突出していると対象により認められた。
【0214】
AB4T及びAB6Tは、単眼及び両眼の両方で繰り返した。両眼が処置された場合、単眼の処置に対して距離知覚、3ptまでの近点視力(20.15)、及び近点距離(8”、20.20)においてかなりの改善が認められた。単眼の処置により、処置された眼のみのテストに対して、両眼を開けると視力が悪化した。
【0215】
[実施例4] アセクリジン、ブリモニジン、トロピカミド及び添加剤の濃度の効果
【0216】
【0217】
表4で見られるように、製剤#8~9、ブリモニジンの0.42%w/vへの増加は、赤みを0.5に減少させ、一方で0.75%w/v CMCは、水様の粘稠度となった。想定外に、製剤#10~11におけるCMCの0.75%w/vから0.80%w/v~0.87%w/vの範囲への増加、及びNaClの0.25%w/vから0.75%w/vへの増加は、粘稠度をより濃厚にし、滞留時間を7時間から10~12時間へと増加させ、鼻涙管へ排出される薬物の量を減少させた。経鼻経路へのこの薬物送達の減少は、鼻閉を軽減する。
【0218】
製剤#13~18では、1.61%~1.53%w/vのアセクリジンの量が減少することにより、瞳孔の大きさが1.8~2.0mmの範囲になる。瞳孔が制約を受ける結果としての不鮮明さは、アセクリジンの量が減少すると共に1.5~0.5に直線的に低下した。具体的には、1.8~2.0mmの瞳孔は、1.5~1.7mmの瞳孔より41%多く光を作り出した。驚くべきことに、1.8~2.0mmの瞳孔は、1.75Dの近見深度増加を示した。これは、1.5~1.7mmの範囲で見られる有益な2.00Dからのわずか0.25Dのみの損失である。したがって、1.80~2.0mmの範囲は、41%多い光を生成しながら、さらに年齢60歳を下回る個人における近見視力を上昇させる十分な利益を可能とし;一方、年齢60歳以上の個人は、全体でコンピュータ使用時の利益、また一部で増大した近見利益をやはり経験する。
【0219】
トロピカミド濃度の、0.042%w/v(製剤#8~#11)から0.044%w/v(製剤#13~#18)への上昇により、痛みが取るに足らない量に減少した。痛みの量は、個人の年齢と関連している可能性がある。45歳未満の個人では、トロピカミド濃度の0.046%~0.060%w/vの範囲への上昇が好ましいことがある。
【0220】
さらに、表4は、製剤#13及び#17で見られる想定外の結果を示し、NaClの0.25%w/vから0.50~0.75%w/vの範囲への増加により、赤み低下剤であるブリモニジンを添加しなくても、わずか1.0の許容できる赤みスコアが得られた。
【0221】
製剤#15、#16及び#17はそれぞれ:(1)アセクリジン濃度を低下させて、製剤#8~#12で見られる近見視力の利益に著しく影響を与えることなく、生成された光の量を改善する;(2)NaCl濃度の上昇により、ブリモニジンなしでも赤みをさらに低下させる;及び(3)CMC濃度の上昇により、眼におけるレジデンシー時間をより長くする利益を組み合わせることにより、総合最大評定5を得る。
【0222】
製剤#19は、製剤#15~#17に対して高い応答者であり、1.53%w/vアセクリジンで顕著な不鮮明さが生じる少数の個人に優れた代用物である。製剤#20は、製剤#19に対して低い応答者である少数の個人に優れた代用物である。最後に、製剤#21は、低い応答者であり、製剤#20で不十分な瞳孔応答を生じる、少数の個人に優れた代用物である。
【0223】
[実施例5] ステアリン酸ポリオキシル40、HPβCD及びポロキサマー407の効果の比較
【0224】
【0225】
臨床的プロトコール
完全に遠見矯正した20名の老眼患者はそれぞれ、上の製剤(#22~#23)の1つを与えられた。すべての患者は、点滴前及び点滴後に、遠見及び近見視力測定、Zeiss Visante(登録商標)(Visanteは、Carl Zeiss Meditec AGの登録商標である)光干渉断層撮影、眼軸長及びコントラスト視力テスト(すなわちColenbrander-Michelson 10%Lumターゲット)を受け、以下の結果であった:
すべての患者は、1.5~2.20mmの縮瞳瞳孔を達成した;
毛様体の痛み、毛様体痙攣又は調節の誘発を経験した患者はいなかった;
すべての患者は、14”で20/30+以上の視力を達成し、高いコントラスト近見視力の結果に非常に満足し、灼熱感又は痛むという著しい愁訴はなかった;
効果の持続時間は、すべてのケースにおいて6~8hrs続いた;
両眼視は、すべての患者に、単眼のテストよりさらに1~1.5ラインの近見視力を与えた;
最後の10名の患者は、20”(すなわちコンピュータ距離、携帯電話距離)でテストし、全員が20/25以上の近見視力を達成した;
中等度遠視性(およそ+2.25球体)の矯正されていない老視者は、20/30の範囲において、遠見及び近見視力で20/25以上のレベルに改善した遠見視力に非常に満足した;また
矯正されていない遠見視力は、わずかな屈折異常を日常的に矯正されないことを選択した患者で改善することが多かった。
【0226】
表5で見られるように、ステアリン酸ポリオキシル40の使用により、視覚的ぼやけ及び赤みが最小限に抑えられる最も快適なアセクリジン製剤が得られる。製剤#22のものと同様の結果を達成するために、製剤#23は、10~15%高い濃度の非イオン界面活性剤を必要とし、製剤#24は、15~20%高い濃度の非イオン界面活性剤を必要とする。HPβCDは、長期間にわたって色の変化を誘発したが、これはおそらく酸化を示す。Captisol(登録商標)(スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン)を代用し、同様の所見であった。
【0227】
[実施例6] 好ましい実施形態におけるアセクリジン濃度の調節。
【0228】
好ましい実施形態:
アセクリジン1.35%~1.55%w/v;
ステアリン酸ポリオキシル40 5.5%w/v;
NaCl 0.037%w/v;
粘性剤、好ましくはCMC 0.80%w/v、又は局所点眼した際に約5~約35cpsの粘度を達成するのに十分な量のCarbopol(登録商標)934若しくは940、例えば約0.09%~約1.0%w/vの濃度のCarbopol(登録商標)940;
BAK 0.015%w/v;及び
任意選択的に、約3~約10mMのリン酸、クエン酸、シトロリン酸又は酢酸緩衝液
pHは、約4.75~約6.0である。
【0229】
1.35%w/vアセクリジンでは、
局所点眼0.25/4.0で刺痛感(約2~5秒続く);
10分で誘発された赤み:1.0~1.5/4.0;
30分で誘発された赤み:0.0~0.25/4.0;
快適さ:きわめて高い。
湿潤:きわめて高く、眼は、単回の局所点眼後に24時間の期間の大半で改善した湿潤の感覚を維持する。
遠見焦点深度:優れている。
近見焦点深度:優れている。
【0230】
上記の製剤のいくつかの対象におけるテストでは、アセクリジンの濃度に応じて、臨床的効果にわずかな範囲が存在することが発見されており、1.35%~1.55%w/vアセクリジンが好ましいが、それに対して1.35%w/v及び1.45%w/vが、大半の対象に望ましい利益を与える。
【0231】
さらに、1.35%w/vアセクリジンの臨床的効果は、以下のように点眼された場合に改善できることが発見される:
1)ベースライン効果:各眼に1滴。
2)向上した効果:各眼に2滴。
3)より高い効果:上記2)の後、上記1)を繰り返す。
4)最大効果:上記2)の後で、上記2)を繰り返す。
【0232】
[実施例7] コンタクトレンズ装用を延長する、好ましい実施形態の使用。
【0233】
好ましい実施形態:
アセクリジン1.45%w/v;
ステアリン酸ポリオキシル40 5.5%w/v;
NaCl 0.037%w/v;
粘性剤、好ましくはCMC 0.80%w/v、又は局所点眼した際に約5~約35cpsの粘度を達成するのに十分な量のCarbopol(登録商標)934若しくは940、例えば約0.09%~約1.0%w/vの濃度のCarbopol(登録商標)940;
BAK 0.02%w/v;及び
任意選択的に、約3~約10mMのリン酸、クエン酸、シトロリン酸又は酢酸緩衝液
pHは、約4.75~約6.0である。
【0234】
ベースラインとして、1日装用のみのための長時間装用レンズ(Air Optix(登録商標);Air Optixは、Novartis AGの登録商標である。)を通常通りに装用した対象は、これらのレンズを付けて一晩寝た。毎朝起床時に、対象の視力はぼやけており、コンタクトレンズは、一晩で形成されたフィルム及び堆積物の除去及びクリーニングを必要とする。起床時の遠見での平均視力:20.60;Michelsonコントラスト視力チャートでの近見での平均視力:20.80。
【0235】
次いで、連続7日間で、上記の製剤を、各日7am~10amの間に単回投与として点眼した。
対象は各日の間Air Optix(登録商標)レンズを装用し、レンズを付けて一晩寝た。毎朝起床時、遠見での対象の視力:20.20+;近見での裸眼視力20.40(対象がレンズを一晩装用せず、代わりに起床時にレンズを挿入した場合、対象のベースライン老眼と一致する)。
【0236】
[実施例8] ステアリン酸ポリオキシル40及びCaptisol(登録商標)(スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンの効果の比較
【0237】
【0238】
表6で見られるように、ステアリン酸ポリオキシル40を界面活性剤として使用する場合、EDTAの除外は、赤みを低下させ、ステアリン酸ポリオキシル40組成物(製剤#25及び#26)のうち、最高の総合評定が得られる。コカミドプロピルベタイン(「CAPB」)の添加は、赤みをさらに低下させるが、著しい痛みをきたす(製剤#31)。ステアリン酸ポリオキシル40をCaptisol(登録商標)(スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン)で置き換え、マンニトールを添加すると、赤みの減少に関して、CAPBのステアリン酸ポリオキシル40への添加と同様の結果が達成されるが、付随する痛みなしで、アセクリジン組成物のうち、最高の総合的評定が得られる(製剤#32)。数週間後、Captisol(登録商標)(スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン)を用いた製剤は、オレンジ色相を有しており、これはおそらく酸化を示す。
【0239】
[実施例9] 好ましいコールドチェーン組成物
組成物
約1.40%~1.80%w/vの濃度のアセクリジン;及び
約0.42%w/vのトロピカミド;
約5.5%w/vのステアリン酸ポリオキシル40;
約2.5%~4.5%w/vの濃度のマンニトール;
約0.09%~約2.0%w/vの濃度のカルボマー940;
任意選択的に、防腐剤、例えば約0.2%w/vの濃度のBAK;
任意選択的に約0.1%の濃度のクエン酸塩と;
任意選択的に2~100mM、より好ましくは3~5mMの酢酸又はリン酸緩衝液
前記組成物は、約4.50~約5.0;好ましくは、約4.75~約5.0のpHを有し;
w/vは、体積に対する重量を表す。
【0240】
上記のように組成物を62歳の対象に投与した。これにより、1.8~1.9mm ouの瞳孔、20.20+読取り視力、及び20.20+遠見視力が得られ;一方、カルボマー940なしでは、2.5%マンニトールで有効性が低下する結果となり、4.0%マンニトールで近見視力の効果はない結果となった。毛様体痙攣がない、又は遠見視力の損失は少ない結果となった。発現は、約15分以内であった。アルファアゴニスト血管収縮薬なしで、約1+/4の一過性の赤みが約20分認められた。BAKの有無は、臨床的効果を有さず、任意選択の防腐剤を得るために使用された。
【0241】
[実施例10] 安定なアセクリジン製剤
テストされた組成物:
約1.50%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.042%w/vの濃度のトロピカミド;
約5.5%w/vの濃度のステアリン酸ポリオキシル40;
約2.5%w/vの濃度のマンニトール;
約3mMの濃度のクエン酸塩;
前記組成物は、約4.75のpHを有する。
【0242】
上記の組成物の20例の試料を均等に分け、25℃及び4℃にて保存した。保存する前に、アセクリジンの初期濃度は、高パス(high-pass)液体クロマトグラフィー(「HPLC」)を使用して測定した。各溶液中のアセクリジンの量は、アセクリジンの参照溶液と比較して、主要ピーク下面積により計算した。試料に次いで3ヶ月保存を施した。アセクリジン測定を1、2及び3ヶ月で行った。安定性テストの結果は、表7に示されている。
【0243】
【0244】
表7で見られるように「コールドチェーン保存」又は2℃~8℃のアセクリジン組成物の保存により、3つの時点すべてでアセクリジンの安定性が著しく増大した。
【0245】
[実施例11] 毛様体筋麻痺剤をほとんど含有しない、又は含有しない組成物の使用
アセクリジン単体は、片頭痛様の重度の毛様体痙攣(眼窩痛)及び近視のぼやけの発生を引き起こす。これらの効果は、年齢と逆相関しており、年齢40歳の対象で、最高発生率が報告され、年齢60+歳の対象で、最低発生率が報告されている。毛様体筋麻痺剤を添加すると、毛様体痙攣及び付随する眼窩痛、ミグラニオス頭痛、眼周囲の圧迫感又は毛様体痙攣の他の症状が抑制される。毛様体筋麻痺剤の添加は、驚くべきことに、アセクリジンの近視効果を低下させない。しかし2.5%w/vマンニトールの添加は、アセクリジンの近視効果を実際に低下させる。アセクリジン濃度を上昇させると、マンニトールの添加で見られるこの近視効果の低下が克服される。しかし驚くべきことに、アセクリジンの増加は、毛様体痙攣の増加と一致しない。さらに一層驚くべきことに、毛様体筋麻痺剤の濃度は、毛様体痙攣を増加させることなく、マンニトールの存在下で低下し得る、又は排除できる。したがって、高濃度のアセクリジンを、マンニトールの存在下で毛様体筋麻痺剤とほとんど組み合わせない、又は組み合わせないことにより、低濃度のアセクリジン及び高濃度の毛様体筋麻痺剤と同レベルで、毛様体筋麻痺剤なしで、付随する副作用なしで近見視力が改善される。
【0246】
さらに、また想定外に、非イオン性界面活性剤を添加すると、近見視力の改善の定量的測定及び持続時間の両方を増加させる。この効果は、濃度感受性である。好ましい実施形態では、非イオン界面活性剤は、少なくとも1%、好ましくは少なくとも2%、より好ましくは約1%~約5%、最も好ましくは約5%である。例えば、約1%~約5%w/vの濃度のポリソルベート80又はステアリン酸ポリオキシル40により、約1.5~約2.0ラインの改善及び約4~約5時間の持続時間が得られる。
【0247】
特定の理論にとらわれるべきではないが、界面活性剤の濃度の上昇は、角膜の表面を曇らせることがあり、最適な濃度では、この曇りが小さくなり、おそらくナノメートルの直径となり、界面活性剤の二重極性を考慮に入れると、非イオン性が最も好ましい場合、捕捉された高度極性アセクリジン分子の角膜吸収を向上させる。
【0248】
粘性剤をそれ自体さらに添加しても、持続時間は向上しない。驚くべきことに、最適な比のアセクリジン、トロピカミド及び非イオン界面活性剤を有する製剤中に粘性剤を添加すると、持続時間が劇的に改善する。例えば、1.75%アセクリジン、2.5%マンニトール、0.01%トロピカミド、5%ポリソルベート80を含む本発明の製剤は、老眼患者において近見視力を3ラインの視力まで約4~約5時間改善する。1.4%CMCを添加すると、近見視力の改善が約7~約10時間にさらに延長される。特定の理論にとらわれるべきではないが、臨界ミセル閾値を超える閾値は、ミセルの大きさをマイクロメートルからナノメートルへと減少させることにより、角膜を通した浸透を大幅に向上させる。
図2を参照されたい。
【0249】
毛様体筋麻痺剤をほとんど含有しない、又は含有しない組成物の例は、以下の表8に示されている。
【0250】
【0251】
効用指標は、
図3で実証されている。簡潔には、スコアは、近見視力における改善のラインに改善が続く時間数をかけることにより計算される。例えば以下のスコア:5は、近見視力5時間における+1ラインの改善に等しく;10は、6.7時間の+1.5ラインの改善に等しく;15は、7.5時間の2ラインの改善に等しく;20は、8時間の2.5ラインの改善に等しく;25は、8.3時間の3+ラインの改善に等しく、35は、9時間の3.75+ラインの改善に等しい。
【0252】
読取りvs.ベースライン40cm、及び製剤#L33~#L37の効用指標を比較することにより実証されるように、1.40%以上のアセクリジンを含有する製剤は、老眼の矯正において、1.25%アセクリジンを含有する製剤より優れている。反比例して、アセクリジンの濃度が低いほど、使用者に対して総合的快適さが良好になる。2.5%マンニトールの、1.45%アセクリジンを有する製剤への添加は、総合的快適さを改善するが、代償として老眼の矯正効果が低下する(#L37を#L47と比較されたい)。近見視力改善におけるこの低下は、4.0%マンニトールを添加すると悪化する(#L47を#L48と比較されたい)。アセクリジン濃度を1.65%又は1.75%に上昇させると、マンニトールの添加で見られる近見視力改善の低下が克服される(#L47を#L49及び#L50と比較されたい)。
【0253】
さらに、1.75%アセクリジン及び2.5%マンニトールを含有する製剤は、老眼の処置において増大した効用及び持続時間を有し、これは、ポリソルベート80の5.0%までの上昇と相関し、次いでCMC1.45%~1.40%の低下と逆相関する(製剤#L66を#L78と比較されたい)。最適な製剤は、#L77、#L78及び#L85~#L94により実証され、これらはそれぞれ、3.5~3.75の間の視力ラインにおいて、40cmで最高の改善した読取り、及び25~34の最高の効用指標スコア、及び7~9時間の最長持続時間を示す。製剤#L66~#L78の有効性及び持続時間の増大は、0.0275%から0.01%へのトロピカミドの低下とも逆相関する。この同一の傾向は、#L85~#L94を比較した場合の有効性の増大(すなわち読取りvs.ベースライン40cm)により実証される。
【0254】
このデータは、マンニトールが、アセクリジンによって引き起こされる毛様体痙攣を効率的に抑制でき、ひいては毛様体筋麻痺剤、例えばトロピカミドの必要性を低下させることができることを実証する。さらに、このデータは、非イオン界面活性剤及び粘性剤を添加すると、アセクリジン、マンニトール及びわずかなトロピカミドを含有する組成物の効用及び持続時間をさらに向上できることを実証する。このデータは、ポリソルベート80及びCMCを含有するアセクリジン組成物における毛様体筋麻痺剤の使用が、毛様体筋麻痺剤が0.025%よりも0.006%に近い場合に、老眼矯正に最も有益であることも実証する。最終的に、このデータは、アセクリジン及びマンニトールを含む組成物が、容認できる疼痛を伴う老眼を矯正するのに十分であることを実証する。
【0255】
[実施例12] さらなる高トロピカミド製剤の使用
以下の実施例は、0.03%超のトロピカミドを含有するアセクリジン製剤のものである。
【0256】
【0257】
製剤#L39~#L41により実証されるように、また、表8において製剤#L74~#L78と比較されるように、約1.40%~約1.45%アセクリジン、約0.035%~約0.04%トロピカミド、約5.5%ステアリン酸ポリオキシル40及び約0.75%CMCを含有する製剤は、老眼の処置において、約1.65%~約1.75%アセクリジン、約2.5%マンニトール、約5%ポリソルベート80、約1.40%CMC製剤を含有する製剤ほど有効ではないが、ほとんどで有効である。この有効性は、トロピカミドが約0.05%~約0.08%トロピカミドに上昇した場合、劇的に低下する。
【0258】
[実施例13] マンニトールを含有する化合物の使用
製剤:
アセクリジン1.75%w/v
トロピカミド0.006%w/v
マンニトール2.5%w/v
ポリソルベート80 2.75%w/v
NaCl 0.5%w/v
ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.5%~1.80%w/v
リン酸緩衝液3mM
pH5.0、及び
防腐剤としてのBAK 0.020%。
【0259】
方法:
対象は、上記の製剤を各眼に2滴点眼し、過剰分をまぶた及び睫毛から拭き取った。
【0260】
結果:
20分以内に、視力の約3ラインの近見視力改善が認められ、不鮮明さはきわめて軽度であった。1日を通じて近見視力は向上したままであり、遠見視力の損失はなかった。さらに対象が、ある軽度の屈折異常に以前悩まされていた場合、遠見視力が改善した。5~8時間の期間をかけて、瞳孔はわずかに回復し始め、数時間後、もはや最小限の不鮮明さも認められなかった。瞳孔が、当日の早くに最小限の大きさからわずかに増大し始めるので、発生近くの優れた近見視力、及びおそらく依然わずかに改善された近見視力の両方が続いた。
【0261】
[実施例14] トロピカミド及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを最適化する好ましい実施形態の使用
組成物
アセクリジン1.75%w/v
トロピカミド0.010%w/v
マンニトール2.50%w/v
ポリソルベート80 3.50%w/v
NaCl 0.50%w/v
HPMC 1.25%w/v
BAK 0.02%w/v
リン酸緩衝液3mM
pH5.00
【0262】
方法
対象は、上記の製剤を各眼に単一の1滴、及び5分後に、各眼に2滴目を点眼した。
【0263】
結果:
快適さ、持続時間及び効用を評価した。点眼した際及び最初の時間の刺痛感は、最小限であり、スコアは4のうち0.25であった。最初の時間の赤みも最小限であり、20分に評価されたスコアは4のうち0.5であった。視力改善の発現は、点眼後の最初の20~25分で発生した。ベースライン近見視力(すなわち40センチメートル)は、3.5ラインの視力により改善した。近見視力の改善は、8.5時間続いた。この製剤を表8におけるものと比較すると、効用指標スコアは29.75であった。HPMC1.80%w/vをHPMC1.65%w/vで置き換えると、近見視力改善が3.25ラインの視力へとやや低下し、持続時間が約6時間を超えたばかりにやや減少した。この製剤を表8におけるものと比較すると、効用指標スコアは19.5であった。
【0264】
[実施例15] マンニトールと様々な非イオン性界面活性剤を含有する化合物の使用
組成物
表10は、非イオン性界面活性剤のテスト例及び仮想例両方に対する、組成物の活性成分、賦形剤及びそれらの濃度を列挙する。
【0265】
方法
対象は、上記の組成物の2滴を各眼に独立して点眼し、過剰分をまぶた及び睫毛から拭き取った。
【0266】
結果
テストされたすべての非イオン性界面活性剤は、かなりの近見視力改善を実証する。テストされたもののうち、Brij(登録商標)35のみが、著しい角膜刺激、充血及び生じた持続時間が減少したため重要ではなかった。ポリソルベート80及びポリ35ヒマシ油が最も好ましく、ステアリン酸ポリオキシル40及びポロキサマー407が同様に優れていた。しかし、ステアリン酸ポリオキシル40は、セルロース粘性剤との沈殿反応を引き起こし、他の安定性の問題が追加された。
【0267】
各非イオン界面活性剤の快適さ及び持続時間もテストされ、表10で言及されている。刺痛感及び赤みは、0~4の尺度に基づき、0はなしであり、4は最も重度である。Brij(登録商標)35以外の刺痛感及び赤みは、軽度からほぼなしであった。持続時間は、テストされた各非イオン性界面活性剤で優れていた。
【0268】
【0269】
[実施例16] 非イオン性界面活性剤及び抗酸化添加剤及び濃度の最適化を含有する、化合物の使用
組成物
アセクリジン1.75%w/v
トロピカミド0.010%w/v
マンニトール2.50%w/v
ポリソルベート80 4.00%w/v
NaCl 0.00%w/v
HPMC 1.25%w/v(約400cpsの粘度単位に等しい高MW)
BAK 0.02%w/v
ソルベート0.12%w/v
BAK 0.02%w/v
EDTA 0.01%
クエン酸緩衝液3mM
pH5.00
【0270】
方法
2名の対象が、上記の製剤を各眼にそれぞれ2滴、約5分間隔で点眼した。
【0271】
結果:
快適さ、持続時間及び効用を評価した。点眼した際及び最初の時間の刺痛感は、各対象で最小限であり、約15秒でのスコアは0.54のうち0であった。最初の時間の赤みも各対象で最小限であり、20分に評価されたスコアは4のうち0.25であった。視力改善の発現は、点眼後の最初の20~25分で発生した。対象1でのベースライン近見視力(すなわち40センチメートル)は、4.0~4.25ラインの視力により改善し、11.5時間続いた。対象2でのベースライン近見視力は、3.5ラインの視力により改善し、9.5時間続いた。効用指標スコアは、47.38及び33.25であり、いずれかの製剤で達成されたものの中でも最高であった。
【0272】
[実施例17] コールドチェーン保存のためのアセクリジン組成物(仮想)
【0273】
【0274】
方法
アセクリジンコールドチェーン保存組成物CS#1~5及び11~20を、窒素オーバーレイ下でバイアル中にそれぞれ充填し、続いて残りのヘッドスペースを窒素パージした。CS#6~10を周囲空気下でバイアル及びヘッドスペース中にそれぞれ充填した。各組成物のバイアル1本を摂氏25度にて保存し、他方は摂氏5度にて保存した。
【0275】
【0276】
結果
図4で見られるように、0.10%アスコルビン酸ナトリウム、0.10%重硫酸ナトリウム又は0.10%ナトリウムメタビスリファイト(sodium metabisulifite)を含有する(contaiining)CS#3~5は、セルシスス25度で約2ヶ月、また、摂氏5度で約26ヶ月安定していた。
【0277】
表12で見られるように、窒素オーバーレイ下でのバイアルの充填、及びヘッドスペースの窒素パージにより、冷蔵安定性が4~5ヶ月増大した。HPMCを添加すると、安定性はさらにもう3ヶ月;クエン酸ナトリウム、ナトリウムビスレート(sodium bisulate)又はナトリウムメタビスリファイトを添加すると、もう3ヶ月増大し;また、ソルビン酸及びBAKをさらに添加すると、安定性の長さがもう2ヶ月さらに増大した。CS#20は、安定性を22ヶ月まで増大させた。
【0278】
[実施例18] Mylar(登録商標)で裏打ちされたポーチの安定性
本発明のアセクリジン製剤をコンテナに入れ、これを、続いて二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで裏打ちされた小袋に、-20、5及び25Cにて3ヶ月まで入れた。アセクリジンの全関連物質は、1、2、3及び6ヶ月で記録した。この研究の結果は、以下の表13で見られる。
【0279】
Mylar(登録商標)を、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートの供給源として使用した。Mylarは、登録商標であり、DuPont Teijin Films US Limitedから入手できる。
【0280】
【0281】
表13で見られるように、Mylar(登録商標)で裏打ちされたポーチの使用は、分解速度を低下させることにより、アセクリジン効力を維持するのに役立った。具体的には、室温(25C)にてポーチなしの全体の%変化4.46%と、室温(25C)にてポーチありの全体の%変化-0.05%及び0.041%を比較する。
【0282】
[実施例19] 保存後のアセクリジン効力
本発明のアセクリジン製剤をコンテナに入れ、これを続いて二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで裏打ちされたポーチに、-20、5及び2Cにて3ヶ月まで入れた。アセクリジン効力を、1、2、3及び6ヶ月で記録した。この研究の結果は、以下の表14で見られる。
【0283】
【0284】
表14で見られるように、摂氏5度の保存の使用は、アセクリジン効力を維持するのに役立った。具体的には、99.70%の初期の結果に対して、室温(25C)にてポーチなしの全体の%変化が-2.0%である効力と、冷蔵(5C)にてポーチなしの0.8%変化を比較し、99.60%の初期の結果に対して、室温(25C)にてポーチなしの全体の%変化3.6%である効力と、冷蔵(5C)にてポーチなしの2.6%変化を比較した。
【国際調査報告】