(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】成形システム
(51)【国際特許分類】
B22D 18/04 20060101AFI20231019BHJP
B22D 21/04 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
B22D18/04 S
B22D21/04
B22D18/04 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022576481
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 IB2021058846
(87)【国際公開番号】W WO2022074510
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】102020000023728
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520359480
【氏名又は名称】メッカニカ・ピエッレ・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ・ディ・ペデルツォーリ・ルッジェーロ・エ・コンパニア
【氏名又は名称原語表記】MECCANICA PI.ERRE S.R.L. DI PEDERZOLI RUGGERO & C.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100224616
【氏名又は名称】吉村 志聡
(72)【発明者】
【氏名】ペデルツォーリ,ルッジェーロ
(57)【要約】
本発明は、低圧軽合金鋳造プラント用の成形システム(1)に関する。成形システム(1)は、下部ハーフ金型(S1)及び上部ハーフ金型(S2)を含む金型(S)を備え、高さが主軸(X-X)に沿って延びる。成形システム(1)は、(1)下部ハーフ金型(S1)が収容される第1の下部固定プレート(11)と、(2)上部ハーフ金型(S2)が収容される可動プレート(12)と、(3)可動プレート(12)の上部に配置された第2の上部固定プレート(13)と、(4)電気駆動モータ(20)及び伝動部材(21)を備え、可動プレート(12)を主軸(X-X)に沿って移動させるのに適した移動グループ(2)と、(5)電気排出モータ(30)及び排出部材(31)を備える鋳物排出グループ(3)と、(6)電気駆動モータ(20)及び電気排出モータ(30)の動作を制御するのに適したコマンドユニットと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽合金鋳造射出システムを備える低圧軽合金鋳造プラントの成形システム(1)であって、
前記成形システム(1)は、高さが主軸(X-X)に沿って延び、底部に配置されたベース領域(R)を備え、前記軽合金鋳造射出システムは、少なくとも部分的に前記ベース領域(R)内に収容可能であり、前記成形システム(1)は、下部ハーフ金型(S1)及び上部ハーフ金型(S2)を含む金型(S)を備え、
前記成形システム(1)は、
(1)前記下部ハーフ金型(S1)が収容される第1の下部固定プレート(11)であって、前記第1の下部固定プレート(11)と前記下部ハーフ金型(S1)とは、前記鋳造射出システムに流体的接続可能である、前記第1の下部固定プレート(11)と、
(2)前記上部ハーフ金型(S2)が収容される可動プレート(12)と、
(3)前記可動プレート(12)の上部に配置された第2の上部固定プレート(13)と、
(4)作業位置と複数の上昇位置との間で前記主軸(X-X)に沿って前記可動プレート(12)を移動させるのに適した移動グループ(2)であって、前記作業位置では、前記金型(S)が閉じた状態であって、前記上昇位置では、前記上部ハーフ金型(S2)が前記下部ハーフ金型(S1)から分離された状態であって、
前記第2の上部固定プレート(13)に収容された電気駆動モータ(20)と、
前記電気駆動モータ(20)と前記可動プレート(12)とに動作可能に接続され、前記電気駆動モータ(20)の回転運動を並進運動に転換するのに適合された伝動部材(21)と、
を含む、前記移動グループ(2)と、
(5)可動プレート(12)に収容された鋳物排出グループ(3)であって、
電気排出モータ(30)と、
前記電気排出モータ(30)と、前記可動プレート(12)と、前記上部ハーフ金型(S2)とに動作可能に接続された排出部材(31)であって、前記電気排出モータ(30)により、前記上部ハーフ金型(S2)から鋳物が取り外される排出位置に移動可能である、前記排出部材(31)と、
を含む、鋳物排出グループ(3)と、
(6)前記移動グループ(2)と、前記鋳物排出グループ(3)とに動作可能に接続され、前記電気駆動モータ(20)及び前記電気排出モータ(30)の動作をコマンドするのに適したコマンドユニットと、
を備える、
成形システム(1)。
【請求項2】
前記コマンドグループは、前記電気排出モータ(30)の動作と前記電気駆動モータ(20)の動作とを同時にコマンドする、
請求項1に記載の成形システム(1)。
【請求項3】
前記電気駆動モータ(20)はブラシレスタイプである、
請求項1又は2に記載の成形システム(1)。
【請求項4】
前記伝動部材(21)は、前記可動プレート(12)と係合するスラスト端(211)を有するウォームスクリュー要素(210)を含み、
前記電気駆動モータ(20)は、前記ウォームスクリュー要素(21)と係合して前記ウォームスクリュー要素(21)を回転させることによって、前記可動プレート(12)を前記主軸(X-X)に沿って平行移動させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の成形システム(1)。
【請求項5】
前記伝動部材(21)は、前記電気駆動モータ(20)を前記ウォームスクリュー要素(210)に接続するのに適した接続要素(220)、好ましくは、ベルト又はチェーンを更に備える、
請求項4に記載の成形システム(1)。
【請求項6】
鋳物収集グループ(5)を更に備え、前記鋳物収集グループ(5)は、
前記主軸(X-X)に対して横方向の収集軸(Y-Y)に沿って移動するのに適した収集プレート(51)と、
前記収集プレート(51)に動作可能に接続されて、前記収集プレート(51)を前進位置と後退位置とに移動させる電気収集モータ(50)であって、前記前進位置では、前記収集プレート(51)が前記主軸(X-X)に位置し、前記後退位置では、前記収集プレート(51)が前記主軸(X-X)から離れる、前記電気収集モータ(50)と、
を備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の成形システム(1)。
【請求項7】
前記コマンドグループは、前記電気収集モータ(50)に動作可能に接続されて、前記電気収集モータ(50)の動作をコマンドし、そして、前記可動プレート(12)と前記上部ハーフ金型(S1)との上昇位置に対応するときに、前記収集プレート(51)を前記前進位置へ並進させるようにコマンドする、
請求項6に記載の成形システム(1)。
【請求項8】
前記コマンドグループは、前記収集プレート(51)が前記前進位置に位置すると、前記鋳物排出グループ(3)の動作をコマンドする、
請求項7に記載の成形システム(1)。
【請求項9】
前記下部ハーフ金型(S1)は、複数のスライダ要素(S11、S12、S13、S14)を備え、
複数の前記スライダ要素(S11、S12、S13、S14)は、閉鎖ハーフ金型位置と開放ハーフ金型位置とに配置可能であり、
前記成形システム(1)は、各前記スライダ要素(S11、S12、S13、S14)用のそれぞれの電気スライダモータ(40)を備える下部ハーフ金型開閉グループ(4)を備える、
請求項1から8のいずれか1項に記載の成形システム(1)。
【請求項10】
前記コマンドグループは、各前記電気スライダモータ(40)に動作可能に接続されて、各前記電気スライダモータ(40)の動作及び前記下部ハーフ金型(S1)の開閉をコマンドする、
請求項9に記載の成形システム(1)。
【請求項11】
前記下部ハーフ金型開閉グループ(4)は、前記スライダ要素(S11、S12、S13、S14)ごとに、それぞれのスライダ要素及びそれぞれの電気スライダモータ(40)に動作可能に接続されたそれぞれのコマンドジャック(41)を備える、
請求項9及び10に記載の成形システム(1)。
【請求項12】
前記軽合金鋳造射出システムによって生成された熱から前記電気モータを保護するのに適した熱シールドを更に備える、
請求項1から11のいずれか1項に記載の成形システム(1)。
【請求項13】
前記シールドは、前記第1の固定プレート(11)と、前記可動プレート(12)と、前記第2の固定プレート(13)とに配置された一次シールドを含み、及び/又は、前記電気モータの周りに配置された二次シールドを含む、
請求項12に記載の成形システム(1)。
【請求項14】
前記成形システム(1)に含まれる可動部品のストロークは、前記金型(S)と鋳物とのサイズ及び種類によって異なる、
請求項1から13のいずれか1項に記載の成形システム(1)。
【請求項15】
前記コマンドグループは、前記金型(S)と鋳物とのサイズ及び種類に応じて、動作を実行し、又は前記電気モータをコマンドする、
請求項1から14のいずれか1項に記載の成形システム(1)。
【請求項16】
軽合金鋳造-射出システム及び請求項1から15のいずれか一項に記載の成形システム(1)を備える低圧軽合金鋳造プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧鋳造法によって得られる軽合金鋳物を成形するための特有の成形システムに関する。特に、本発明は、前記成形システムを備える低圧軽合金鋳造プラントにも関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において、「鋳物」という用語は、成形によって得られる製品を指す。換言すれば、「鋳物」は、金型内に溶融金属を射出し、該溶融金属を凝固させた後に得られる製品である。通常、「鋳造」には、鋳造作業を最適に成功させるために必要な一連の部分、例えば、スプルー(sprues)、鋳造ランナー(cast runners)、ウェル(wells)、真空ブランチ(vacuum branches)、鋳造バリ(foundry burrs)、及び/又はその他も含まれるが、これらは後述の説明で省略される。これらの操作は、本明細書ではカバーされていない特別な機械又は特別なプラントで実行される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本明細書において、「軽合金」とは、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛などの金属合金を意味する。
【0004】
更に、本明細書において、低圧軽合金鋳造とは、溶融状態の軽合金が、約1から2バール(bar)、好ましくは1バールに近い表示圧力で金型に射出される製造モードを意味する。
【0005】
したがって、上記によれば、本発明に係る鋳造プラント及び成形システムの特徴は、軽合金の特徴、例えば、温度、粘度、冷却時間、及びその射出力の関数である。
【0006】
したがって、前記鋳造プラントによって得られる「鋳物」は、典型的には、自動車業界で適用される構造的機械的な特徴を有する部材である。
【0007】
従来技術では、複数の成形システムの解決策が知られ、ときには「プレス」として知られている。既知の解決策では、典型的には、ハーフモールド又はシェルとして知られている2つ以上の部分からなる金型がある。これらの部分、ハーフモールド又はシェルは、作業位置に、且つ、開放位置に配置される。作業位置では金型が閉じられる。すなわち、先ず溶融金属が内部に注入され、次に溶融金属が凝固するのを待って、そして「鋳物」が得られる。開放位置において、金型の部分が開放し、「鋳物」を取り出すことができる。このように、新しいサイクルの実行が可能となる。
【0008】
先行技術において、成形システムの無数の実施形態が知られており、その中、金型の制御及び移動動作は、特定の油圧駆動装置を利用して行われている。
【0009】
一方、油圧駆動装置は一連の問題を呈している。例えば、油圧駆動装置には制御不能な動きがあることを強調すべきである。実際、油圧プラントでは、部材を2つの位置のみに配置することができ、2つの位置は、油圧作用があるときによる位置、及び油圧作用がないときによる位置である。
【0010】
したがって、この問題を回避する必要性、すなわち、様々な部材の位置を完全に制御できる成形システムが必要であることを強く感じている。
【0011】
本発明の目的は、低圧軽合金鋳造成形作業の特定の状況における前述した要求を満たすことができる成形システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に記載の成形システムによって達成される。更に、この目的は、請求項16に記載の前記成形システムを備える低圧軽合金鋳造プラントによって達成される。従属請求項は、更なる有利な態様を含む好ましい実施形態の変形例を記載している。
【0013】
本発明について、以下、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】好ましい実施形態による本発明に係る成形システムの開放構成を示す斜視図である。
【
図3】
図2aの断面A-Aにおける成形システムの断面図である。
【
図4】好ましい実施形態による本発明に係る成形システムの作業構成又は閉鎖構成を示す斜視図である。
【
図6】
図5aの断面A-Aにおける成形システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記の図において、符号1は、全体として、本発明の発明対象である成形システム1を示している。
【0016】
成形システム1は、低圧軽合金鋳造プラントの一部であるように特化しており、低圧軽合金鋳造プラント自体も本発明の発明対象である。前記低圧鋳造プラントは、成形システム1に流体的に接続可能な軽合金鋳造射出システムも備える。
【0017】
具体的には、成形システム1は、高さ方向において主軸X-Xに沿って延び、底部に位置するベース領域Rを備え、当該ベース領域Rには、軽合金鋳造射出システムが少なくとも部分的に収容可能である。
【0018】
更に、成形システム1は、以下で詳細に説明するように、金型Sを備え、当該金型Sを移動させる。
【0019】
具体的には、金型Sは、下部ハーフ金型S1と上部ハーフ金型S2とを備え、下部ハーフ金型S1と上部ハーフ金型S2とは、作業位置又は閉鎖位置の間で相互的な位置決めが可能である。相互的な位置決めにおいて、下部ハーフ金型S1と上部ハーフ金型S2とは、相互に係合し、主軸X-Xに沿って互いに軸方向において離間した複数の開放位置に位置決め可能である。
【0020】
好ましくは、一方のハーフ金型が固定され、他方のハーフ金型が並進運動される。
【0021】
好ましくは、以下に詳細に説明するように、可動なハーフ金型は、複数の軸方向における位置に位置決め可能である。
【0022】
更に、好ましい実施形態によれば、下部ハーフ金型S1は、複数のスライダ要素S11、S12、S13、S14を備え、これらのスライダ要素S11、S12、S13、S14は、閉鎖ハーフ金型位置及び少なくとも1つの開放ハーフ金型位置に配置可能である。好ましくは、スライダ要素S11、S12、S13、S14は、それらが主軸X-Xに近接する位置である閉鎖ハーフ金型位置と、それらが主軸X-Xから離れる位置である開放ハーフ金型位置との間で平行移動するように、主軸X-Xに対して半径方向に移動可能である。
【0023】
好ましい実施形態によれば、以下の説明からわかるように、成形システム1は、例えば、車両の合金ホイールなど、実質的に軸対称形状の鋳物の作製において好ましい用途を有する。
【0024】
本発明によれば、成形システム1は、第1の固定プレート11と、可動プレート12と、第2の固定プレート13とを備える。
【0025】
好ましくは、成形システム1は、前記プレート11、12、13を備える本体構造部10を備える。
【0026】
好ましい実施形態によれば、第1の固定プレート11と第2の固定プレート13とは、本体構造部10に含まれる複数の支持梁15によって相互に接合されている。好ましくは、複数の支持梁15は、互いに角度的に等間隔に配置され、好ましくは、支持梁15は4本である。
【0027】
本発明によれば、第1の固定プレート11は、ベース面に近接する下部プレートである。前記第1の固定プレート11は、ベース面とベース領域Rを画定する。
【0028】
下部ハーフ金型S1は、第1の固定プレート11上に収容される。
【0029】
更に、第1の固定プレート11と下部ハーフ金型S1は、鋳造射出システムに流体的に接続可能である。好ましくは、実際に、第1の固定プレート11上に流体通路110があり、溶融金属は当該流体通路110を通って流れ、金型Sに到達する。好ましい実施形態によれば、前記流体通路110は高融点の材料で作製され、例えば、セラミック材料で作られたインジェクタを含む。
【0030】
一方、可動プレート12上には、上部ハーフ金型S2が収容されている。可動プレート12の軸方向位置は、上部ハーフ金型S2の軸方向位置に対応している。
【0031】
最後に、第2の固定プレート13を上方に配置する。第2の固定プレート13は、可動プレート12の上部に位置する。
【0032】
換言すれば、可動プレート12は、2枚の固定プレートの間、そして、2枚の固定プレートを一体的に接合する複数の支持梁15の間で収容されている。
【0033】
本発明によれば、成形システム1は移動グループ2を含み、当該移動グループ2は、可動プレート12を、金型Sが閉じられている作業位置と、上部ハーフ金型S2が下部ハーフ金型S1から分離されている複数の上昇位置との間で、主軸X-Xに沿って移動させるのに適している。
【0034】
移動グループ2は、第2の固定プレート13に収容される電気駆動モータ20と、伝動部材21とを備える。伝動部材21は、電気駆動モータ20及び可動プレート12に動作可能に接続され、電気駆動モータ20の回転運動を並進運動に変換するのに適している。
【0035】
好ましい実施形態によれば、電気駆動モータ20はブラシレスタイプのものである。
【0036】
更に、好ましい実施形態によれば、伝動部材21は、可動プレート12と係合するスラスト端211を含むウォームスクリュー要素(worm screw element)210を備える。
【0037】
好ましくは、電気駆動モータ20は、前記ウォームスクリュー要素210と係合して回転させ、可動プレート12を主軸X-Xに沿って並進運動させる。
【0038】
好ましい実施形態によれば、更に、伝動部材21は、好ましくは、ベルト又はチェーンである接続要素220を更に備える。当該接続要素220は、電気駆動モータ20をウォームスクリュー要素210に接続するのに適している。
【0039】
好ましい実施形態によれば、ウォームスクリュー要素210は、主軸X-X上に配置される。
【0040】
好ましくは、ウォームスクリュー要素210は、第2の固定プレート13と交差して、可動プレート12の並進運動、及び可動プレート12と電気駆動モータ20との係合を可能にする。
【0041】
好ましい実施形態によれば、移動グループ2は、支持構造25も備え、当該支持構造25は、可動プレート12と係合し、第2の固定プレート13を横断する。好ましくは、支持構造25は、可動プレート12を支持し、所定の位置に維持するように機能する。
【0042】
好ましい実施形態によれば、支持構造25は、複数のガイド要素251を含み、複数のガイド要素251は、主軸X-Xに平行して、第2の固定プレート13を通って延びる。好ましくは、支持構造25は、ガイド要素251を支持するためのベースフレーム255も備える。換言すれば、ガイド要素251は、可動プレート12とベースフレーム255との間に延在している。好ましくは、支持構造25は、可動プレート12と共に並進運動する。
【0043】
また、本発明によれば、成形システム1は、可動プレート12上に収容された鋳物排出グループ3も備える。鋳物排出グループ3は、それが上部ハーフ金型S2から取り外されることによって、鋳造において作用を実行するように機能する。
【0044】
前記鋳物排出グループ3は、電気排出モータ30と排出部材31とを備え、排出部材31は、電気排出モータ30と、可動プレート12と、上部ハーフ金型S2とに動作可能に接続され、電気排出モータ30によって排出位置に移動することができる。当該排出位置では、鋳物が上部ハーフ金型S2から取り外される。
【0045】
好ましくは、電気排出モータ30はブラシレスタイプのものである。
【0046】
好ましくは、前記排出部材31は、電気排出モータ30の動作によって制御される1つ以上の機械的ジャッキ(mechanical jacks)310を備える。前記機械的ジャッキ310の動きは、特有のスラストピン311の軸方向の動きを伴い、当該スラストピン311は、突出して、鋳物を突き出すように係合するのに適しており、これによって、鋳物を上部ハーフ金型S2から取り外すことができる。
【0047】
好ましくは、排出部材31は、2つの機械的ジャッキ310を備える。
【0048】
好ましい実施形態によれば、成形システム1は、下部ハーフ金型開閉グループ4を備え、当該下部ハーフ金型開閉グループ4は、スライダ要素S11、S12、S13、S14ごとに、それぞれの電気スライダモータ40を備える。
【0049】
好ましくは、各電気スライダモータ40の動作は、下部ハーフ金型S1の開閉を伴う。具体的には、下部ハーフ金型開閉グループ4は、各スライダ要素S11、S12、S13、S14に対して、それぞれのコマンドジャック41を備える。それぞれのコマンドジャック41は、それぞれのスライダ要素およびそれぞれの電気スライダモータ40に動作可能に接続される。
【0050】
好ましい実施形態によれば、成形システム1は、鋳物収集グループ5も備える。当該鋳物収集グループ5は、鋳物排出グループ3の作用により上部ハーフ金型S2から取り外された鋳物5を回収可能な部品グループである。
【0051】
好ましくは、鋳物収集グループ5は、主軸X-Xに対して横方向の収集軸Y-Yに沿って平行移動するのに適した収集プレート51を備える。
【0052】
更に、鋳物回収グループ5は、回収プレート51に動作可能に接続された電気収集モータ50を備え、当該電気収集モータ50は、回収プレート51を前進位置又は後退位置に移動させ、前進位置においては、収集プレート51が主軸X-Xに位置し、後退位置においては、収集プレート51が主軸X-Xから離れる。
【0053】
好ましくは、電気収集モータ50はブラシレスモータである。
【0054】
好ましい実施形態によれば、電気収集モータ50は、駆動状態でコマンドし、駆動を制御する目的を有する。したがって、収集プレート51が前進位置に入る平行移動は、可動プレート12及び上部ハーフ金型S1の上昇位置に対応する。
【0055】
好ましい実施形態によれば、鋳物排出グループ3の作動、及びその後工程としての上部ハーフ金型S2から鋳物の取り外しは、収集プレート51が前進位置に位置するときにのみ実行される。
【0056】
本発明によれば、成形システム1は、移動グループ2と鋳物排出グループ3とに動作可能に接続されたコマンドユニットを備え、当該コマンドユニットは、電気駆動モータ20と電気排出モータ30との動作をコマンドするのに適している。
【0057】
好ましい実施形態によれば、コマンドユニットは、下部ハーフ金型開閉グループ4にも動作可能に接続されている。
【0058】
好ましい実施形態によれば、コマンドユニットはまた、鋳物収集グループ5に動作可能に接続されている。
【0059】
本発明によれば、コマンドユニットは、動作可能に接続されているそれぞれのグループに含まれるそれぞれの電気モータに動作可能に接続されている。好ましくは、コマンドユニットは、複数の前記電気モータの駆動を制御するのに適している。
【0060】
好ましい実施形態によれば、コマンドユニットは、電気駆動モータ20の駆動と同時に電気排出モータ30の駆動を制御する。換言すれば、コマンドユニットは、上部プレートの持ち上げ動作中に鋳物の排出動作を制御する。好ましくは、前記コマンドは、収集プレート51を前進位置に位置させた後に実行される。
【0061】
好ましい実施形態によれば、コマンドユニットは、スライダ要素S11、S12、S13、S14が開くようにコマンドするとすぐに、可動プレート12が作業位置から持ち上げる動作の開始を制御するのに適している。
【0062】
本発明によれば、いくつかの動きはコマンドユニットによって決定された速度で動くようにコマンドされ、他の動きは異なる速度で動くようにコマンドされる。
【0063】
好ましい実施形態によれば、コマンドユニットの動作モードは、要求に従って構成可能である。例えば、好ましくは、成形システム1に含まれる可動部品のストローク(stroke)は、金型S及び鋳物のサイズ及びタイプの関数である。同様に、コマンドユニットは、金型Sと鋳物のサイズ及びタイプに応じて、電気モータの制御動作を実行し、そして、動きを実行する。
【0064】
好ましい実施形態によれば、特定の位置に到達すると、コマンドユニットは、対応する電気モータのスイッチオフを制御するのに適している。好ましい実施形態によれば、スイッチオフに切り替えられるように制御された電気モータは、トルクがそのまま維持され、したがって、それらの位置が維持される。例えば、コマンドユニットは、スライダ要素が閉鎖下部ハーフ金型位置に位置されると、電気スライダモータ40のスイッチオフを制御するのに適している。例えば、コマンドユニットは、可動プレート12が作業位置に位置されると、電気駆動モータ20のスイッチオフを制御するのに適している。
【0065】
好ましい実施形態によれば、成形システム1は、熱シールドを更に備え、当該熱シールドは、軽合金鋳造射出システムによって生成された熱から電気モータを保護するのに適している。
【0066】
好ましくは、熱シールドは、第1の固定プレート11上、可動プレート12上、及び第2の固定プレート13上に配置された一次シールドを含む。
【0067】
好ましくは、熱シールドは、電気モータの周りに配置された二次シールドを含む。
【0068】
上記によれば、電気モータに言及する場合、これは駆動部を含む構成要素を指すことに留意されたい。例えば、固定子-回転子を含み、コマンド部は、例えば、コマンドボードを含む。好ましくは、コマンドユニットは、各コマンドボードに動作可能に接続される。
【0069】
革新的に、本発明の成形システムは、意図された目的を完全に満たすのに適している。
【0070】
有利なことに、本発明の対象である成形システムは、電気的に動く構成要素を有し、油圧装置を必要としない。
【0071】
有利なことに、油圧供給パイプ又は導管、油圧管理のためのバルブグループ、油圧オイルを洗浄するためのフィルタグループ、オイルタンクなどの存在が回避される。したがって、有利なことに、成形システムは非常に簡素化される。
【0072】
有利なことに、本発明の対象である成形システムは、必要に応じて、金型及び/又は得られた、若しくは得られる鋳物の特有の寸法及び形状に応じて、調節可能である。
【0073】
有利なことに、移動速度は、現在の電気モータのトルクの関数であるため、既知の解決策よりもかなり速い。
【0074】
有利なことに、移動速度、ストローク寸法、及びそれらが実行されるタイミングは、金型及び鋳物のニーズに従って具体的に構成可能である。
【0075】
有利なことに、動作の全ての実行時間が最適化可能であり、サイクル時間は、先行技術による油圧式の成形システムの解決策よりも大幅に短縮される。有利なことに、記載された動きのいくつかは、互いに同時に実行可能である。有利なことに、下流の軽合金射出及び冷却操作のサイクル時間が最適化される。
【0076】
有利なことに、本発明の対象である成形システムは、非常に安全であり、信頼性が高い。
【0077】
有利なことに、本発明の対象である成形システムは非常にコンパクトである。
【0078】
有利なことに、本発明の対象である成形システムは非常に低消費(low consumption)である。
【0079】
有利なことに、本発明の対象である成形システムは、既知の解決策と比較して、環境への影響が最小限であるか、又はゼロさえあり得る。
【0080】
有利なことに、本発明の対象である成形システムは、既知の油圧の解決策とは異なり、最小限のメンテナンスしか必要としないため、「機械停止」の回数が最小になり、場合によっては「機械停止」の回数がゼロになる。
【0081】
有利なことに、本発明の成形システムは、高い生産能力の達成を可能にする。
【0082】
当業者は、特有のニーズを満たすために、成形システムの実施形態に対していくつかの変更、又は他の機能的に等価的なもので要素の置換を行うことができる。また、そのような変形は、特許請求の範囲によって定義される保護の範囲内に含まれる。
【0083】
更に、可能な実施形態に属するものとして説明された各変形は、説明された他の変形とは無関係に実施されてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽合金鋳造射出システムを備える低圧軽合金鋳造プラントの成形システム(1)であって、
前記成形システム(1)は、高さが主軸(X-X)に沿って延び、底部に配置されたベース領域(R)を備え、前記軽合金鋳造射出システムは、少なくとも部分的に前記ベース領域(R)内に収容可能であり、前記成形システム(1)は、下部ハーフ金型(S1)及び上部ハーフ金型(S2)を含む金型(S)を備え、
前記成形システム(1)は、
(1)前記下部ハーフ金型(S1)が収容される第1の下部固定プレート(11)であって、前記第1の下部固定プレート(11)と前記下部ハーフ金型(S1)とは、前記鋳造射出システムに流体的接続可能である、前記第1の下部固定プレート(11)と、
(2)前記上部ハーフ金型(S2)が収容される可動プレート(12)と、
(3)前記可動プレート(12)の上部に配置された第2の上部固定プレート(13)と、
(4)作業位置と複数の上昇位置との間で前記主軸(X-X)に沿って前記可動プレート(12)を移動させるのに適した移動グループ(2)であって、前記作業位置では、前記金型(S)が閉じた状態であって、前記上昇位置では、前記上部ハーフ金型(S2)が前記下部ハーフ金型(S1)から分離された状態であって、
前記第2の上部固定プレート(13)に収容された電気駆動モータ(20)と、
前記電気駆動モータ(20)と前記可動プレート(12)とに動作可能に接続され、前記電気駆動モータ(20)の回転運動を並進運動に転換するのに適合された伝動部材(21)と、
を含む、前記移動グループ(2)と、
(5)可動プレート(12)に収容された鋳物排出グループ(3)であって、
電気排出モータ(30)と、
前記電気排出モータ(30)と、前記可動プレート(12)と、前記上部ハーフ金型(S2)とに動作可能に接続された排出部材(31)であって、前記電気排出モータ(30)により、前記上部ハーフ金型(S2)から鋳物が取り外される排出位置に移動可能である、前記排出部材(31)と、
を含む、鋳物排出グループ(3)と、
(6)前記移動グループ(2)と、前記鋳物排出グループ(3)とに動作可能に接続され、前記電気駆動モータ(20)及び前記電気排出モータ(30)の動作をコマンドするのに適したコマンドユニットと、
を備える、
成形システム(1)。
【請求項2】
前記コマンド
ユニットは、前記電気排出モータ(30)の動作と前記電気駆動モータ(20)の動作とを同時にコマンドする
のに適している、
請求項1に記載の成形システム(1)。
【請求項3】
前記電気駆動モータ(20)はブラシレスタイプである、
請求項1又は2に記載の成形システム(1)。
【請求項4】
前記伝動部材(21)は、前記可動プレート(12)と係合するスラスト端(211)を有するウォームスクリュー要素(210)を含み、
前記電気駆動モータ(20)は、前記ウォームスクリュー要素(21)と係合して前記ウォームスクリュー要素(21)を回転させることによって、前記可動プレート(12)を前記主軸(X-X)に沿って平行移動させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の成形システム(1)。
【請求項5】
前記伝動部材(21)は、前記電気駆動モータ(20)を前記ウォームスクリュー要素(210)に接続するのに適した接続要素(220)、好ましくは、ベルト又はチェーンを更に備える、
請求項4に記載の成形システム(1)。
【請求項6】
鋳物収集グループ(5)を更に備え、前記鋳物収集グループ(5)は、
前記主軸(X-X)に対して横方向の収集軸(Y-Y)に沿って移動するのに適した収集プレート(51)と、
前記収集プレート(51)に動作可能に接続されて、前記収集プレート(51)を前進位置と後退位置とに移動させる電気収集モータ(50)であって、前記前進位置では、前記収集プレート(51)が前記主軸(X-X)に位置し、前記後退位置では、前記収集プレート(51)が前記主軸(X-X)から離れる、前記電気収集モータ(50)と、
を備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の成形システム(1)。
【請求項7】
前記コマンド
ユニットは、前記電気収集モータ(50)に動作可能に接続されて、前記電気収集モータ(50)の動作をコマンドし、そして、前記可動プレート(12)と前記上部ハーフ金型(S1)との上昇位置に対応する
ように前記収集プレート(51)を前記前進位置へ並進させるようにコマンドする、
請求項6に記載の成形システム(1)。
【請求項8】
前記コマンド
ユニットは、前記収集プレート(51)が前記前進位置に位置すると、前記鋳物排出グループ(3)の動作をコマンドする
のに適している、
請求項7に記載の成形システム(1)。
【請求項9】
前記下部ハーフ金型(S1)は、複数のスライダ要素(S11、S12、S13、S14)を備え、
複数の前記スライダ要素(S11、S12、S13、S14)は、閉鎖ハーフ金型位置と開放ハーフ金型位置とに配置可能であり、
前記成形システム(1)は、各前記スライダ要素(S11、S12、S13、S14)用のそれぞれの電気スライダモータ(40)を備える下部ハーフ金型開閉グループ(4)を備える、
請求項1から8のいずれか1項に記載の成形システム(1)。
【請求項10】
前記コマンド
ユニットは、各前記電気スライダモータ(40)に動作可能に接続されて、各前記電気スライダモータ(40)の動作及び前記下部ハーフ金型(S1)の開閉をコマンドする、
請求項9に記載の成形システム(1)。
【請求項11】
前記下部ハーフ金型開閉グループ(4)は、前記スライダ要素(S11、S12、S13、S14)ごとに、それぞれのスライダ要素及びそれぞれの電気スライダモータ(40)に動作可能に接続されたそれぞれのコマンドジャック(41)を備える、
請求項9及び10に記載の成形システム(1)。
【請求項12】
前記軽合金鋳造射出システムによって生成された熱から前記電気モータを保護するのに適した熱シールドを更に備える、
請求項1から11のいずれか1項に記載の成形システム(1)。
【請求項13】
前記シールドは、前記第1の固定プレート(11)と、前記可動プレート(12)と、前記第2の固定プレート(13)とに配置された一次シールドを含み、及び/又は、前記電気モータの周りに配置された二次シールドを含む、
請求項12に記載の成形システム(1)。
【請求項14】
前記成形システム(1)に含まれる可動部品のストロークは、前記金型(S)と鋳物とのサイズ及び種類によって異なる、
請求項1から13のいずれか1項に記載の成形システム(1)。
【請求項15】
前記コマンド
ユニットは、前記金型(S)と鋳物とのサイズ及び種類に応じて、動作を実行
するか又は前記電気モータをコマンドする
ように構成可能である、
請求項1から14のいずれか1項に記載の成形システム(1)。
【請求項16】
軽合金鋳造-射出システム及び請求項1から15のいずれか一項に記載の成形システム(1)を備える低圧軽合金鋳造プラント。
【国際調査報告】