(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】タバコ味のホワイトスヌース
(51)【国際特許分類】
A24B 13/00 20060101AFI20231019BHJP
A24B 15/16 20200101ALI20231019BHJP
【FI】
A24B13/00
A24B15/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507822
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 EP2021078594
(87)【国際公開番号】W WO2022079230
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソリアーノ, ミグエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーラーン, テオ
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BA80
4B043BB10
4B043BB22
4B043BB25
4B043BC02
4B043BC11
4B043BC12
4B043BC18
4B043BC20
(57)【要約】
本発明は、製造プロセス中に湿らせられない小袋材料、好ましくはパウチを有し、充填材、ニコチン源及び香料を含むホワイトスヌースであって、香料は、不活性担体に付着した30μm以下のサイズ(sD50レーザ回折)を有するタバコ粒子を含む、ホワイトスヌースに関する。本発明のさらなる主題は、充填材を準備するステップと、ニコチン源を準備するステップと、担体に付着した30μm以下のサイズ(sD50レーザ回折)を有するタバコ粒子を準備するステップと、さらなる香料を準備するステップと、任意選択でさらなる成分を準備するステップと、成分を機械的に混合するステップとを含むホワイトスヌースの製造方法である。担体は、周囲環境に対して不活性であり、担体自体は、スヌースの他の成分と接触したときに化学的に変化しないままであり、ニコチン源は、タバコを含有していない。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造プロセス中に湿らせられない小袋材料、好ましくはパウチを有し、充填材、ニコチン源及び香料を含むホワイトスヌースであって、
前記香料は、担体に付着した30μm以下のサイズを有するタバコ粒子を含み、前記担体は、周囲環境に対して不活性であり、前記担体自体は、前記スヌースの他の成分と接触したときに化学的に変化しないままであり、前記ニコチン源は、タバコを含有していない、ことを特徴とするホワイトスヌース。
【請求項2】
前記タバコ粒子の量は、前記スヌースの2%(重量/重量)未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.01~0.1%の範囲内である、ことを特徴とする請求項1に記載のホワイトスヌース。
【請求項3】
前記タバコ粒子は、セルロース、好ましくはセルロース繊維、粉末又は顆粒を含む不活性担体に付着している、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のホワイトスヌース。
【請求項4】
タバコ風味は、唾液によって前記不活性担体に付着した前記タバコ粒子から抽出可能である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のホワイトスヌース。
【請求項5】
前記スヌースの前記ニコチン源の量(重量)は、前記タバコ粒子の量の少なくとも5倍、好ましくは7倍以上、10倍以上、又はさらには20倍以上である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のホワイトスヌース。
【請求項6】
前記不活性担体に付着した前記タバコ粒子は、化学的に準安定な香料分子を含み、前記香料分子は、15℃以下、好ましくは12℃以下、より好ましくは0°~10℃の温度で液体媒体とともにタバコ源の粉砕することによって得られる、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のホワイトスヌース。
【請求項7】
充填材、水、保湿剤、セルロース、グリコール、プロピレングリコール、グリセロール、甘味料、糖、糖アルコール、ガム、pH調整剤、膨化剤、アンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、保存料、塩を含む群から選択される、少なくとも2種、好ましくは3種以上、より好ましくは4種以上、より好ましくは5種以上、より好ましくは6種以上の物質をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のホワイトスヌース。
【請求項8】
前記スヌースの含水率が、1~60%(w/w)の範囲、好ましくは5~55%の範囲、より好ましくは30~50%の範囲、又は15%以上である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のホワイトスヌース。
【請求項9】
前記タバコ粒子は、低温殺菌される、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のホワイトスヌース。
【請求項10】
前記スヌースは、タバコ葉を含有しておらず、前記タバコ粒子が、前記スヌースの唯一のタバコ化合物である、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のホワイトスヌース。
【請求項11】
ホワイトスヌースの製造方法であって、
- フィラー材料を準備するステップと、
- ニコチン源を準備するステップと、
- 不活性担体に付着した30μm以下のサイズを有するタバコ粒子を準備するステップと、
- さらなる香料を準備するステップと、
- 任意選択でさらなる成分を準備するステップと、
- 機械的に前記成分を混合するステップと、
を含む方法。
【請求項12】
不活性担体に付着した前記タバコ粒子を、他の全成分の混合中に、前記混合物に添加する、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
不活性担体に付着した前記タバコ粒子を低温殺菌する、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記低温殺菌ステップは、前記不活性担体に付着した前記タバコ粒子を前記他の成分の前記混合物に添加する前に行われる、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記低温殺菌ステップと、前記担体の表面に前記タバコ粒子を付着させるステップとが同時に行われる、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
不活性担体に付着した前記タバコ粒子は、保湿剤との混合物として提供され、これは、前記さらなる成分のうちの1つとして好ましくは同じ保湿剤である、ことを特徴とする請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
固体担体材料に前記タバコ粒子を付着させ、任意選択でさらなる成分を添加することによって、中間組成物を調製する、ことを特徴とする請求項11~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填材、ニコチン源及び香料を含むホワイトスヌースに関する。香料は、不活性担体に付着した30μm以下のサイズ(sD50レーザ回折)を有するタバコ粒子を含む。さらに、充填材を準備するステップと、ニコチン源を準備するステップと、不活性担体に付着した30μm以下のサイズ(sD50レーザ回折)を有するタバコ粒子を準備するステップと、さらなる香料を準備するステップと、任意選択でさらなる成分を準備するステップと、成分を機械的に混合するステップとを含むホワイトスヌースの製造方法が記載されている。
【背景技術】
【0002】
スヌースは、通常、唇の内側で唇と歯ぐきとの間に長時間置くことにより消費される無煙タバコ製品である。(ブラウン)スヌースは、通常、パウチ内にタバコ組成物を含む。多くの場合、タバコ組成物は、湿った粉末として小さなティーバッグ状の小袋に予め包装される。スヌースは、多くの場合、米国特許出願公開第2012/0055494A1号明細書に記載されているように、食品用のベルガモット、柑橘類、ジュニパーベリー、ハーブ及び/又は花のフレーバーで軽く風味付けされる。嗅ぎタバコとは対照的に、スヌースタバコは通常、発酵されていない。その伝統的な形態では、小袋の材料を製造プロセス中に湿らせる。これにより、パウチの外観は茶色がかる。
【0003】
茶色がかったパウチは不衛生に見えると考えられることが多いため、いわゆるホワイトスヌースが人気になっている。ホワイトスヌースは通常、よりマイルドな味わいで、わずかにゆっくりとした放出形態である。従来の形態との主な差異は、製造プロセス中に小袋材料を湿らせないことである。パウチは乾燥したままであり、パウチ材料を通して着色剤が拡散することによる変色は遅れる。さらに、たとえパウチ内のタバコ組成物が同じ含水率を有していても、ニコチン及びフレーバーはパウチ材料をよりゆっくりと通過する。さらに、タバコ葉を収容していないニコチンパウチもホワイトスヌースとみなされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、タバコ組成物の含水率故に、保管中にパウチ材料の変色がしばしば起こる。したがって、長期間の保管後に不衛生に見えないホワイトスヌースを提供することが本発明の主題である。好ましくは、タバコ成分の色による使用者の歯の変色さえも、低減、又は回避さえされ得る。
【0005】
さらに、ホワイトスヌースの製造方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの課題は、請求項1に記載のホワイトスヌース及び請求項11に記載の方法によって克服され得ることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明によるホワイトスヌースは、製造プロセス中に湿らせられない小袋材料、好ましくはパウチを備える。さらに、ホワイトスヌースは、充填材、ニコチン源及び香料を含む。香料は、不活性担体に付着した30μm以下のサイズ(sD50レーザ回折)を有するタバコ粒子を含む。驚くべきことに、そのような小さなサイズを有し、担体材料の表面に付着したタバコ粒子は、ほんの少ししかパウチ(及び/又は使用者の歯)を変色させないか、又は全く変色させないことさえあることが分かっている。小さなサイズ故に、粒子は人間の目には、少なくともパウチの細孔を通しては見えない。さらに、小さな粒子は、完全なタバコ風味を使用者に送達することが示されている。完全なタバコ風味は、非常に迅速に提供されることさえあり得る。タバコ粒子は、タバコ植物の任意の部分、例えば、葉、茎又は根に由来していてもよい。
【0008】
ニコチン源はタバコであってもよいが、本発明は、タバコを(主な)ニコチン源として含むホワイトスヌースに限定されない。好ましい実施形態では、ニコチン源のタバコは、小さなタバコ粒子を製造するために使用されるタバコの種類とは異なる。タバコの風味は主に小さなタバコ粒子の風味によって提供される(且つ決定される)ため、より安価なタバコの品質をニコチン源に使用することもできる。
【0009】
用語「不活性」は、特に用語「担体」との組み合わせにおいて、本発明の文脈では、第1の物質が第2の物質(例えば、担体)と化学的に相互作用しないことを意味する。不活性担体は、好ましくは、周囲環境に対して不活性である。したがって、担体自体は、スヌースの他の成分、例えばニコチン源又はパウチ材料と接触したときに化学的に変化しないままである。しかしながら、「不活性」とは、他の成分と(不活性)担体との間の相互作用がないことを意味するものではない。特に、エネルギー移動のような物理的相互作用が起こり得る。また、不活性材料(例えば担体)の他の物理的特性は、そのような相互作用により変化し得る。例えば、外力が加わることにより、その形状又は(比)表面積が変化し得る。
【0010】
好ましくは、タバコ粒子の平均サイズ(sD50レーザ回折)は、1μm以上、好ましくは2.5μm以上、より好ましくは5μm以上、最も好ましくは8μm以上である。タバコ粒子をより小さな粒径に粉砕すると、風味に影響を与え得ることが分かっている。タバコの風味付け分子の一部は、高いせん断エネルギーによって粉砕プロセス中に分解すると考えられている。さらに、一部の風味付け分子は、粉砕プロセス中、又は後の取り扱いプロセス中に小さすぎるタバコ粒子から出てしまう可能性がある。これは、タバコ粒子内のこれらの風味付け分子の枯渇と、完全なタバコ風味とは異なる風味とをもたらすであろう。さらに、より大きな粒子は、スヌースの消費の間、完全なタバコ風味をより長い期間維持できることが分かっている。
【0011】
そのような小さな平均粒径を有するタバコ粒子は、風味付け分子が粒子から離れることができる大きな表面積を提供している。30μm以下の粒径は、複数の風味付け分子を長時間にわたって均一に移動させることができることが分かっている。したがって、長期間にわたって完全なタバコ風味を維持することができるであろう。この粒径は、粒子の容積部からその表面への大きな分子及び小さな分子の移動を可能にし、これらの分子は、その表面を出て次に、使用者によって味わわれる。タバコ粒子の平均サイズは、最適な体積対表面比を提供することが示されており、これによって、長い時間間隔を経て、風味付け分子の比率が広く一定している混合物が粒子から離れる。
【0012】
小さなタバコ粒子は、長期間にわたって完全なタバコ風味を提供するため、タバコの総量を低減することができる。本実施形態において、スヌースは、好ましくは、タバコ葉以外のニコチン源を含む。好ましくは、ニコチン源は、タバコを含有していない。好ましくは、スヌースはタバコ葉を含有しておらず、より好ましくは、不活性担体に付着した30μm以下のサイズを有するタバコ粒子が、スヌースの唯一のタバコ化合物である。対応する総タバコ含有量の減少故に、高い税金又は制限が回避され得る。
【0013】
好ましくは、乾燥したタバコ粒子の量は、乾燥スヌースの2%(重量/重量)未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.01~0.1%の範囲内である。先に述べた割合は、いずれもパウチを含むスヌース全体の乾燥重量に対するタバコ粒子の乾燥重量を定義している。本文脈における用語「乾燥」とは、重量パーセントが液体成分を一切含まない乾燥重量のみを指すことを意味する。また、以下において、異なるように明記されていなければ、どの割合もこのように理解すべきである。上記怒りのタバコ粒子の量は、長期間にわたって完全なタバコ風味を提供するのに十分多いことが示されている。他方、タバコ粒子のこれらの量は、パウチの変色を低減させるか、又は回避さえするのに十分少ない。したがって、スヌースの外観は衛生的なままである。
【0014】
好ましい実施形態では、担体材料の形態は、繊維、ろ過材、繊維トウ、ステープル繊維、ランダム配向ステープル繊維、シート、紙シート、折り畳まれた紙、ロール紙、皺寄せ紙、マトリックス材料、スポンジタイプ、セラミック材料、フリース、多重チューブ、単一チューブ、顆粒、球状粒子、立方体、及び平行六面体を含む群から選択される。これらの種類の担体材料は、タバコ製品の製造において他の目的で一般的に使用されているため、有利であることが分かっている。したがって、これらの材料の取り扱い方法は当該技術分野で公知である。さらに、これらの材料は、一般的なハンドリングマシンで処理することができる。
【0015】
好ましい実施形態では、タバコ粒子はセルロースを含む不活性担体に付着している。セルロースは、タバコ産業で頻繁に使用される天然物であるため、使用者によく許容され、風味に全く又はほんの少ししか影響を与えず、タバコ産業で公知のハンドリングマシンにより大量に取り扱うことができる。好ましくは、担体は、セルロース繊維、粉末又は顆粒(又はそれらの組み合わせ)を含む。これらの形態は、容易に製造され、取り扱われ得る。セルロースの繊維構造故に、セルロース製品に関する「繊維」、「粉末」及び「顆粒」の用語間の明確な区別は困難であり、しばしば繊維の長さ(所定の直径)にのみ依存する。本発明の意味において、繊維とは、幅方向及び高さ方向におけるその延びを20倍以上、好ましくは50倍以上、より好ましくは100倍以上超える長手方向の延びを有する粒子として理解されるべきである。セルロースのこれらすべての形態は、タバコ粒子の付着を可能にする(その体積に対して)大きな表面積を提供する。したがって、タバコ粒子の全体の密度は高くなり得る。これは、完全なタバコ風味の送達に有利であることが分かっている。
【0016】
小さなタバコ粒子の相対表面積が(それらの体積に関して)大きいため、タバコの風味は、容易に表面に到達し、粒子から出ることができる。好ましくは、タバコ風味は、唾液によって不活性担体に付着したタバコ粒子から抽出可能である。この実施形態は、保管中の風味の望ましくない損失を制限できるため好ましい。
【0017】
好ましくは、タバコ粒子からの風味付け分子の放出は、活性化信号によって開始可能である。この実施形態は、風味付け分子の放出が使用者によってトリガーされ得るため有利である。したがって、保管中のタバコ粒子からの風味付け分子の枯渇が回避できる。好ましくは、活性化信号は、温度変化、機械的歪み、湿度変化、pH値の変化、液体への接触、水への接触、及び唾液への接触を含む群から選択される。したがって、スヌースが使用されるときに、小さなタバコ粒子からの風味付け分子の放出が開始されることが可能である。好ましくは、小さなタバコ粒子からの風味付け分子の抽出は、唾液の1種又は複数種のタンパク質によって開始される。好ましくは、タバコ粒子は、唾液に接触したときに、不活性担体に付着したままである。
【0018】
好ましい実施形態では、スヌースのニコチン源の量(重量)は、小さいタバコ粒子の量の少なくとも5倍、好ましくは7倍以上、10倍以上、又はさらには20倍以上である。大量のニコチン源が存在していても、少量の小さなタバコ粒子でも、完全なタバコ風味を使用者に提供するのに適していることが分かっている。安価な及び/又はタバコを含まないニコチン源を使用することができ、完全なタバコ風味をいずれにしても維持することができるため、上記比率が好ましい。スヌース中のニコチン源の量と小さなタバコ粒子の量との間の高い比率は、法的制限又は高い税金によってスヌース製品中のニコチン源としてのタバコ葉の受け入れが制限される場合に特に好ましい。
【0019】
好ましくは、不活性担体に付着したタバコ粒子は、タバコ源の粉砕によって得られる。さらに好ましくは、タバコ粒子は、化学的に準安定な風味付け分子を含む。より好ましくは、粉砕プロセスは、15℃以下、好ましくは12℃以下、より好ましくは0°~10℃の温度の低下した温度で実行される。より低い温度により、粉砕中の風味付け分子の分解を回避する。
【0020】
粉砕プロセス中の風味付け分子の分解を回避するために、粉砕組成物の粘度を低下させることが有利だと分かっている。これは、この組成物に溶媒を添加することによって達成され得る。このような溶媒(又は「分散媒」)は、好ましくは、水、一価アルコール、多価アルコール、糖アルコール、糖及び多価アルコールエステルを含む群から選択される。そのような分散媒を用いることによって、風味を顕著に変化させることなく、タバコの平均粒径を所望の値に調整することができる。
【0021】
より好ましくは、1種又は複数種の分散媒は、水、1価アルコール、1価脂肪族アルコール、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2,2-ジメチルエタノール、シクロヘキサノール、芳香族置換基を有する1価アルコール、ベンジルアルコール、1個又は複数個のハロゲン元素を含む1価アルコール1個又は複数個のエーテル結合を有する1価アルコール、多価アルコール、グリセロール、プロピレングリコール、糖アルコール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、ソルビタン、キシロース、アラビノース、マンノース、トレハロース、糖、ラクトース、スクロース、カップリングシュガー、グルコース、酵素糖化水飴、酸糖化水飴、麦芽糖水飴、マルトース、異性化糖、フルクトース、還元麦芽糖、還元水飴、蜂蜜、多価アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、及び脂肪酸トリグリセリドを含む群から選択される。
【0022】
好ましくは、粉砕分散液中のタバコ粒子の比率は、0.5%(w/w)以上、好ましくは1%(w/w)以上、2%(w/w)以上又は5%(w/w)以上、より好ましくは10%(w/w)以上、最も好ましくは20%(w/w)以上、且つ95%(w/w)以下、好ましくは90%(w/w)以下、80%(w/w)以下又は70%(w/w)以下、より好ましくは60%(w/w)以下、最も好ましくは50%(w/w)以下である。これらの比率により、風味を顕著に損なうことなく、ほとんどの溶媒中でタバコを所望の平均粒径に粉砕できることが分かっている。
【0023】
好ましくは、スヌースは、さらなる添加物を含む。追加の物質(又は添加物)を添加することによって、スヌースは異なる使用者の個々の嗜好に適応させることができる。好ましくは、スヌースは、少なくとも2種、好ましくは3種以上、より好ましくは4種以上、より好ましくは5種以上、より好ましくは6種以上のさらなる物質を含む。好ましくは、これらの添加物は、充填材、水、保湿剤、セルロース、グリコール、プロピレングリコール、グリセロール、甘味料、糖、糖アルコール、ガム、pH調整剤、膨化剤、アンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、保存料、塩を含む群から選択される。
【0024】
スヌースの含水率が、スヌース組成物を通る着色分子及び/又は風味付け分子の拡散に影響を与えていることが分かっている。この拡散は、風味の損失及び/又はパウチの変色をもたらし得る。風味の損失及び/又は変色を低減又は回避さえするために、スヌースの含水率が15%以上、好ましくは15~70%(w/w)の範囲、より好ましくは20~65%の範囲、最も好ましくは30~60%又はであることが好ましい。所定の重量パーセントは、パウチを除いたスヌース全体を指す。しかし、本発明を乾燥スヌースに適用することが好ましい。乾燥スヌースは、15%未満の全体含水率を有する。乾燥スヌースでは、低含水率故に拡散に関する問題は生じない。
【0025】
好ましい実施形態では、タバコ粒子は低温殺菌される。これはスヌースの貯蔵寿命を増加させ得る。好ましくは、殺菌(用語「低温殺菌された」及び「低温殺菌」は、用語「殺菌された」及び「殺菌」と同義で用いられる)は、粉砕プロセスに続いて行われる。好ましい実施形態では、殺菌プロセスは、温度を上昇させて行われる。より高い温度は、粉砕プロセス中に添加された溶媒(又は分散媒)を取り除くために使用され得る。殺菌プロセスは、担体にタバコ粒子を付着させるプロセスを含むことも可能である。
【0026】
本発明のさらなる態様は、
- 充填材を準備するステップと、
- ニコチン源を準備するステップと、
- 不活性担体に付着した30μm以下のサイズを有するタバコ粒子を準備するステップと、
- さらなる香料を準備するステップと、
- 任意選択でさらなる成分を準備するステップと、
- 機械的に成分を混合するステップと
を含むホワイトスヌースの製造方法である。
【0027】
本方法は、このタバコが主なニコチン源でなくても、所望のタバコ風味を提供するホワイトスヌースの容易な製造を可能にする。したがって、本方法は、ニコチン源の最終的に存在する風味とは独立して、所望のタバコ風味の選択を可能にする。元々タバコ風味を提供しない(例えば、ニコチンがタバコに由来しないため)スヌース組成物であっても、所望のタバコ風味を提供するように容易に調整することができる。
【0028】
好ましくは、不活性担体に付着したタバコ粒子は、他の全成分の混合中に、他の全成分の混合物に添加される。この方法の変形形態は、スヌース組成物の特性をその風味から独立して調整することを可能にする。好ましくは、含水率、湿気、粘度、温度、及びpH値を含む群から選択される組成物の特性は、不活性担体に付着したタバコ粒子を添加する前に所望の値に設定される。
【0029】
好ましくは、中間組成物は、タバコ抽出物を不活性(好ましくは固体)担体材料に付着させることによって調製される。さらに好ましくは、中間組成物は、タバコ粒子を不活性担体材料に付着させることによって調製される。そのような中間組成物は、さらなる構成成分(又は成分)を含み得る。中間組成物を調製することは、それが大量に製造され、長期間(好ましくは気密条件で)保管され得るため有利であると分かっている。同じ中間組成物は、スヌース組成物の複数のバッチのために使用され得る。これにより、スヌースの複数の異なるバッチに対して、(同一の)高い製品品質が保証される。
【0030】
不活性担体に付着したタバコ粒子を非常に遅い取り扱いステップ中に添加することにより、次の取り扱いプロセスによる風味の損失又は香料分子の分解のリスクを低減する。
【0031】
好ましくは、不活性担体に付着したタバコ粒子は、他の成分の混合物に、2%(重量/重量)未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.01~0.1%の範囲で添加される。通常、不活性担体に付着したタバコ粒子のそのようなわずかな割合は、スヌース組成物の特性(例えば、含水率、粘度、温度及びpH値)をあまり変化させない。
【0032】
好ましくは、本方法は、不活性担体に付着したタバコ粒子を低温殺菌するステップをさらに含む。このステップは、好ましくは、スヌース組成物の他の成分から独立して実施される。好ましくは、このステップは、不活性担体に付着したタバコ粒子を他の成分の混合物に添加する前に行われる。低温殺菌ステップは、好ましくは、温度を上昇させて行われる。このより高い温度により、不活性担体に付着したタバコ粒子から溶媒を低減又は除去するためにも使用することもできる。
【0033】
溶媒の低減又は除去は、不活性担体の表面上にタバコ粒子を付着させることにもなり得る。したがって、低温殺菌ステップ及び担体の表面にタバコ粒子を付着させるステップは、同時に行われる。この文脈では、同時とは、低温殺菌のステップと、担体の表面にタバコ粒子を付着させるステップとが少なくとも部分的に互いに並行していると理解されるべきである。しかしながら、これらのステップのうちの1つ(好ましくは、担体の表面にタバコ粒子を付着させるステップ(最終的には溶媒の除去を含む))は、これらのステップのうちの他のステップの前に終了され得る。好ましくは、これらの2つのステップの間には、さらなる取り扱いステップは行われない。
【0034】
本方法の好ましい変形形態では、不活性担体に付着したタバコ粒子は、保湿剤をさらに含む。本実施形態では、不活性担体に付着したタバコ粒子は、保湿剤との混合物として提供される。そのような混合物は、しばしば、より低い粘度を提供し、より容易に取り扱うことができる。そのような混合物をスヌース組成物の他の成分の混合物に添加する場合、これらの成分とタバコ粒子との間の相互作用(例えば、異なる温度によるエネルギー移動及び/又は混合プロセスによるせん断力)が緩衝され得る。これは、香料分子の分解を低減し得る。好ましくは、保湿剤は、さらなる成分のうちの1つとして使用されるのと同じ保湿剤である。本実施形態では、不活性担体に付着したタバコ粒子、及びスヌース組成物の他の成分の混合物は、同じ保湿剤を含み、これは、混合特性に関して有利であることが分かっている。特に、(不活性担体に付着したタバコ粒子を含む)スヌース組成物の全成分の均質な混合物が得られるまでに要する時間は、本実施形態では減少し得る。
【0035】
上で説明した実施形態は、本発明の方法及び/又はシステムの第1の実施形態に過ぎないことが理解されるであろう。この点で、本発明の開示は、これらの実施形態に限定されるものではない。
【0036】
本出願書類に開示されたすべての特徴は、それらが個々に、又は組み合わせて先行技術に対して新規である限り、本発明に必須のものであることが主張される。
【国際調査報告】