(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】ホワイトスヌースのパウチ用の生地
(51)【国際特許分類】
A24B 13/00 20060101AFI20231019BHJP
A24B 15/16 20200101ALI20231019BHJP
【FI】
A24B13/00
A24B15/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023508102
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 EP2021078620
(87)【国際公開番号】W WO2022079244
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソリアーノ, ミグエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーラーン, テオ
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BB08
4B043BB10
4B043BB22
4B043BB25
4B043BC02
4B043BC20
(57)【要約】
本発明は、ホワイトスヌースに適したパウチに関し、ホワイトスヌースは、タバコは存在することなく担体材料及びニコチンを含む。パウチは生地を備え、生地の表面は、平均サイズ30μm以下のタバコ粒子を含む着臭組成物で少なくとも部分的にコーティングされる。本発明のさらなる主題は、生地を準備するステップと、平均サイズ30μm以下のタバコ粒子を含む着臭組成物を準備するステップと、生地の表面の少なくとも一部を着臭組成物でコーティングするステップと、生地からパウチを形成するステップと、パウチにホワイトスヌース組成物を充填するステップとを含む、ホワイトスヌース用のパウチの製造方法である。着臭組成物は、好ましくは液体及び着色剤を含むインクであり、液体は、好ましくは、水、プロピレングリコール及びグリセリン、プロピレングリコール及びグリセリンを含む群から選択される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホワイトスヌースに適したパウチであって、前記ホワイトスヌースは、タバコは存在することなく担体材料及びニコチンを含み、前記パウチは生地を備え、
前記生地の表面が、平均サイズ30μm以下のタバコ粒子を含む着臭組成物で少なくとも部分的にコーティングされ、前記着臭組成物がインクであり、好ましくは液体及び着色剤を含み、前記液体は好ましくは、水、プロピレングリコール及びグリセリン、プロピレングリコール及びグリセリンを含む群から選択されることを特徴とする、ホワイトスヌースに適したパウチ。
【請求項2】
前記タバコ粒子の平均サイズは、1μm以上、好ましくは2.5μm以上、より好ましくは5μm以上、最も好ましくは8μm以上であることを特徴とする、請求項1に記載のホワイトスヌースに適したパウチ。
【請求項3】
前記着臭組成物は、タバコ粒子の0.05~60%(重量/重量)、好ましくは1~50%、より好ましくは2~30%を構成する、請求項1又は2に記載のホワイトスヌースに適したパウチ。
【請求項4】
前記着臭組成物は、20~500dPas、好ましくは40~400dPas、より好ましくは50~350dPasの粘度を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のホワイトスヌースに適したパウチ。
【請求項5】
前記着臭組成物は、0.5g/cm
3~2.5g/cm
3、好ましくは0.7g/cm
3~2.0g/cm
3、より好ましくは0.8g/cm
3~1.5g/cm
3の密度を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のホワイトスヌースに適したパウチ。
【請求項6】
前記着臭組成物は、溶剤、顔料、染料、樹脂、潤滑剤、可溶化剤、界面活性剤、粒子状物質、蛍光、水、保湿剤、接着剤、染料及び樹脂を含む群から選択される物質をさらに含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のホワイトスヌースに適したパウチ。
【請求項7】
前記着臭組成物は、前記生地の前記表面の一部にのみ、所定のパターンで配置され、前記パターンは、文字、ロゴ、対称的な幾何学的パターン又は形状、企業ロゴ、企業名、商標及び機械可読コードを含む群から選択され、前記機械可読コードは、好ましくは、EAN、UPC、IAN、JAN、ITF、2/5i、Code39、Code93、Codabar、Code128 Codablock、Code49、PDF417、QRコード、DataMatrix、MaxiCode、Aztecコード、JABコード、Han Xinコード、ドットコードA、Snowflakeコード、BeeTagg合成コード及びRM4SCCを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のホワイトスヌースに適したパウチ。
【請求項8】
前記着臭組成物でコーティングされた前記生地の表面と、前記着臭組成物でコーティングされていない前記生地の前記表面とのコントラストが、少なくとも、ISO/IEC 15416:2016又はISO/IEC 15415:2011に従って測定されたグレードC、好ましくはグレードB、より好ましくはグレードAであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のホワイトスヌースに適したパウチ。
【請求項9】
前記タバコ粒子の量は、前記パウチの2%(重量/重量)未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.01~0.1%の範囲内であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のホワイトスヌースに適したパウチ。
【請求項10】
前記着臭組成物の着臭分子は、好ましくは使用者によってトリガされた活性化信号によって、放出可能であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のホワイトスヌース用のパウチ。
【請求項11】
前記活性化信号は、温度変化、人間の接触、摩擦、機械的歪み、可視光への曝露、湿度変化、圧力変化、電気信号、UM光、赤外線、光及び電磁波を含む群から選択されることを特徴とする、請求項10に記載のホワイトスヌース用のパウチ。
【請求項12】
タバコは存在することなく担体材料及びニコチンを含むホワイトスヌース製品であって、
ホワイトスヌースは、請求項1から11のいずれか一項に記載のパウチ内に配置されることを特徴とする、ホワイトスヌース製品。
【請求項13】
ホワイトスヌースに適したパウチの製造方法であって、前記ホワイトスヌースは、タバコは存在することなく担体材料及びニコチンを含み、前記方法は、
- 生地を準備するステップと、
- 平均サイズ30μm以下のタバコ粒子を含む着臭組成物を準備するステップと、
- 前記生地の表面の少なくとも一部を前記着臭組成物でコーティングするステップと、
- 前記生地からパウチを形成するステップと、
- ホワイトスヌース組成物を前記パウチに充填するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
前記生地の表面の一部を前記着臭組成物でコーティングすることは、印刷によって行われることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記印刷プロセスは、従来の印刷機によって、好ましくはインライン印刷又はオフライン印刷によって行われることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記着臭組成物は、接着剤の一部であり、前記生地の表面はこの接着剤でコーティングされ、続いて前記パウチを形成するために前記生地の他の部分に折り重ねられることを特徴とする、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホワイトスヌース用のパウチに関する。このパウチは生地を備え、少なくとも部分的にコーティングされている。さらに、生地を準備するステップと、着臭組成物を提供するステップと、生地の表面の少なくとも一部を着臭組成物でコーティングするステップと、生地からパウチを形成するステップと、パウチにホワイトスヌースを充填するステップとを含む、ホワイトスヌース用のパウチの製造方法が記載されている。
【背景技術】
【0002】
スヌースは、通常、唇の内側で唇と歯ぐきとの間に長時間置くことにより消費される無煙タバコ製品である。(ブラウン)スヌースは、通常、パウチ内にタバコ組成物を含む。多くの場合、タバコ組成物は、湿った粉末として小さなティーバッグ状の小袋(パウチとも呼ばれる)に予め包装される。スヌースは、多くの場合、食品用のベルガモット、柑橘類、ジュニパーベリー、ハーブ及び/又は花のフレーバーで軽く風味付けされる。嗅ぎタバコとは対照的に、スヌースタバコは通常、発酵されていない。その伝統的な形態では、小袋の材料を製造プロセス中に湿らせる。これにより、パウチの外観は茶色がかる。
【0003】
茶色がかったパウチは不衛生に見えると考えられることが多いため、いわゆるホワイトスヌースが人気になっている。ホワイトスヌースは通常、よりマイルドな味わいで、わずかにゆっくりとした放出形態である。従来の形態との主な差異は、製造プロセス中に小袋材料を湿らせないことである。パウチは乾燥したままであり、パウチ材料を通して着色剤が拡散することによる変色は遅れる。さらに、たとえパウチ内のタバコ組成物が同じ含水率を有していても、国際出願公開第2017/093941号パンフレットに記載されているように、ニコチン及びフレーバーはパウチ材料をよりゆっくりと通過する。さらに、タバコ葉を収容していないニコチンパウチもホワイトスヌースとみなされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ホワイトスヌースの異なる組成物及び/又はそのような組成物中のタバコの欠如さえによっても、これらの製品は、ブラウンスヌースの通常の臭いをもたらさない。既知のタバコ臭は、使用者のほとんどが望んでいるため、要求される臭いを提供するホワイトスヌースのパウチを提供することが本発明の主題である。
【0005】
さらに、ホワイトスヌースのパウチの製造方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの課題は、請求項1に記載のホワイトスヌース及び請求項12に記載の方法によって克服され得ることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明によるホワイトスヌースに適したパウチは、生地を備えたパウチを構成する。好ましくは、ホワイトスヌースは、タバコは存在することなく担体材料及びニコチンを含む。生地の表面は、30μm以下の平均サイズ(sD50レーザ回折)を有するタバコ粒子を含む着臭組成物で少なくとも部分的にコーティングされる。着臭組成物は、さらなる着臭物質を含んでいてもよい。しかしながら、小さなタバコ粒子は、長期間にわたって完全なタバコ臭を提供するため、重要であることが分かっている。タバコ粒子は、タバコ植物の任意の部分、例えば、葉、茎又は根に由来していてもよい。
【0008】
完全なタバコ臭がパウチによって提供され得るため、スヌースは、タバコ葉以外のニコチン源を含むことができる。スヌース組成物は、タバコを含まないことさえ可能である。
【0009】
好ましくは、タバコ粒子の平均サイズ(sD50レーザ回折)は、1μm以上、好ましくは2.5μm以上、より好ましくは5μm以上、最も好ましくは8μm以上である。タバコ粒子をより小さな粒径に粉砕すると、臭いに影響を与え得ることが分かっている。葉タバコの着臭分子の一部は高いせん断エネルギーによって分解すると考えられている。さらに、一部の着臭分子は、粉砕プロセス中、又は後の取り扱いプロセス中に小さすぎるタバコ粒子から出てしまう可能性がある。これは、タバコ粒子内のこれらの着臭分子の枯渇と、完全なタバコ臭とは異なる着臭組成とをもたらすであろう。
【0010】
驚くべきことに、そのような小さなサイズを有し、担体材料の表面に付着したタバコ粒子は、ほんの少ししかパウチを着色しないか、又は着色しないことさえあることが分かっている。小さなサイズ故に、粒子は人間の目には見えない。さらに、これらの粒子は、タバコの臭いを十分に使用者に送達することが示されているため、粒子の小さなサイズは好ましい。
【0011】
そのような小さな平均粒径を有するタバコ粒子は、着臭分子が粒子から離れることができる大きな表面積を提供している。30μm以下の平均粒径は、複数の着臭分子を長時間にわたって均一に移動させることができることが分かっている。したがって、完全なタバコ臭を維持することができるであろう。この粒径は、粒子の容積部から表面への大きな分子及び小さな分子の移動を可能にし、これらの分子は、その表面から包装体積部に移動し、包装を開封した後、使用者によって感知され得る。タバコ粒子の平均サイズは、最適な体積対表面比を提供することが示されており、これによって、長い時間間隔を経て、着臭分子の比率が広く一定している混合物が粒子から離れる。
【0012】
30μm以下の平均サイズを有するタバコ粒子は、不活性担体に付着していてもよい。不活性担体は、パウチの生地の一部であってもよい。しかし、不活性担体は、異なる材料であることもできる。
【0013】
用語「不活性」は、特に用語「担体」との組み合わせにおいて、本発明の文脈では、第1の物質が第2の物質(例えば、担体)と化学的に相互作用しないことを意味する。不活性担体は、好ましくは、周囲環境に対して不活性である。したがって、担体自体は、スヌースの他の化合物、スヌースの包装及び/又は着臭組成物と接触したときに化学的に変化しないままである。しかしながら、「不活性」とは、スヌース組成物、包装及び/又は着臭組成物と(不活性)担体との間の相互作用がないことを意味するものではない。特に、エネルギー移動(例えば、摩擦)のような物理的相互作用が起こり得る。また、不活性材料(例えば担体)の他の物理的特性は、そのような相互作用により変化し得る。例えば、外力が加わることにより、その形状又は(比)表面積が変化し得る。
【0014】
後述するように、本発明の好ましい実施形態では、着臭分子は、活性化信号(例えば、摩擦又は温度変化)によりタバコ粒子から放出される。また、不活性担体材料の少なくとも1つの物理的特性の結果としての変化は起こり得るものであり、用語「不活性」によって除外されない。
【0015】
好ましい実施形態では、担体材料の形態は、繊維、ろ過材、繊維トウ、ステープル繊維、ランダム配向ステープル繊維、シート、紙シート、折り畳まれた紙、ロール紙、皺寄せ紙、マトリックス材料、スポンジタイプ、セラミック材料、フリース、多重チューブ、単一チューブ、顆粒、球状粒子、立方体、及び平行六面体を含む群から選択される。これらの種類の担体材料は、タバコ製品の製造において他の目的で一般的に使用されているため、有利であることが分かっている。したがって、これらの材料の取り扱い方法は当該技術分野で公知である。さらに、これらの材料は、一般的なハンドリングマシンで処理することができる。
【0016】
好ましくは、タバコ粒子の平均サイズ(sD50レーザ回折)は、1μm以上、好ましくは2.5μm以上、より好ましくは5μm以上、最も好ましくは8μm以上である。タバコ粒子をより小さな粒径に粉砕すると、臭いに影響を与え得ることが分かっている。葉タバコの着臭分子の一部は、高いせん断エネルギー故に粉砕プロセス中に分解すると考えられている。さらに、一部の着臭分子は、粉砕プロセス中、又は後の取り扱いプロセス中に小さすぎるタバコ粒子から出てしまう可能性がある。これは、タバコ粒子内のこれらの着臭分子の枯渇と、完全なタバコ臭に関して異なる着臭組成とをもたらすであろう。さらに、より大きな粒子は、スヌースの保管及び/又は消費の間、完全なタバコ臭をより長い期間維持できることが分かっている。
【0017】
小さなタバコ粒子は、長期間にわたって完全なタバコ臭を提供するため、着臭組成物の総量を非常に少なくすることができる。好ましい実施形態では、タバコ粒子の量は、パウチの2%(重量/重量)未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.01~0.1%の範囲内である。先に述べた割合は、いずれもパウチの重量に対するタバコ粒子の重量を定義している。また、以下において、異なるように明記されていなければ、どの割合もこのように理解すべきである。上記範囲のタバコ粒子の量は、長期間にわたって完全なタバコ臭を提供するのに十分多いことが示されている。
【0018】
好ましくは、着臭組成物自体が、タバコ粒子の0.05~60%(重量/重量)を構成している。好ましくは、着臭組成物は、タバコ粒子の1~50%、より好ましくは2~30%を構成する。これらの割合は、パウチの一部にのみ適用された場合、長期にわたって所望のタバコ臭を提供するのに十分であることが分かっている。
【0019】
本発明によれば、着臭組成物は、インクである。そのようなインクは、液体及び/又は着色剤を含んでいてもよい。着色物質とともに着臭組成物を適用することにより、印刷及び着臭組成物を単一のステップで、好ましくは一般的な印刷機で適用できるため、製造プロセスが容易になる。液体は、好ましくは、水、アルコール、プロピレングリコール及びグリセリンを含む群から選択される。
【0020】
好ましい実施形態において、着臭組成物は、担体に所定のパターンで適用される。この実施形態により、使用者によって認識され得る標識の適用を可能にする。好ましくは、所定のパターンは、対称的な幾何学的パターン、文字、記号、ロゴ及び/又は商標である。したがって、製品を他の製品と容易に区別することができる。この実施形態は、着臭組成物がインクの一部である上記実施形態との組み合わせにおいて、特に好ましい。
【0021】
好ましくは、着臭組成物は、生地の表面の一部にのみ、好ましくは所定のパターンで配置される。パターンは、製品、その使用法及び/又はその製造に関連する情報を含み得る。好ましくは、パターンは、文字、ロゴ、対称的な幾何学的パターン又は形状、企業ロゴ、企業名、商標及び機械可読コードを含む群から選択され、機械可読コードは、好ましくは、EAN、UPC、IAN、JAN、ITF、2/5i、Code39、Code93、Codabar、Code128 Codablock、Code49、PDF417、QRコード(登録商標)、DataMatrix、MaxiCode、Aztecコード、JABコード、Han Xinコード、ドットコードA、Snowflakeコード、BeeTagg合成コード及びRM4SCCを含む群から選択される。そのようなパターンは、使用者又はハンドリングマシンによるパウチの認識を容易にする。したがって、取り扱いの失敗又は誤用が回避又は削減され得る。
【0022】
着臭組成物の認識性を高めるために、着臭組成物でコーティングされた生地の表面と、着臭組成物でコーティングされていない生地の表面とのコントラストが、少なくとも、ISO/IEC 15416:2016又はISO/IEC 15415:2011に従って測定されたグレードC、好ましくはグレードB、より好ましくはグレードAであることが好ましい。
【0023】
好ましくは、着臭組成物は、溶剤、顔料、染料、樹脂、潤滑剤、可溶化剤、界面活性剤、粒子状物質、蛍光、水、保湿剤、接着剤、染料及び樹脂を含む群から選択される物質を含む。これらの物質は、着臭組成物の視認性を高め、且つ/又は(例えば、粘度を調整することによって)その取り扱いを容易にする。
【0024】
着臭組成物の粘度は、好ましくは20~500dPas、より好ましくは40~400dPas、さらに好ましくは50~350dPasである。これらの粘度は、落下ロッド粘度計を用いて25℃で測定されている。また、以下において、異なるように明記されていなければ、粘度に関するどの値もこのように理解されるべきである。この粘度の組成物は、取り扱いが容易であり、一般的な印刷機で所定のパターンを適用することができる。
【0025】
好ましくは、着臭組成物は、0.5g/cm3~2.5g/cm3、好ましくは0.7g/cm3~2.0g/cm3、より好ましくは0.8g/cm3~1.5g/cm3の密度を有する。この密度の組成物は取り扱いが容易であり、一般的な機械で処理することができる。
【0026】
好ましくは、着臭組成物からの着臭分子の放出は、活性化信号によって開始可能である。この実施形態は、着臭分子の放出が使用者によってトリガされ得るため有利である。したがって、保管中(臭いが必要とされないとき)の着臭組成物からの着臭分子の枯渇を回避することができる。好ましくは、活性化信号は、パウチが使用者によって扱われるときに与えられる。例えば、活性化信号は、包装が開封されたとき、且つ/又はパウチが包装から取り出されたときに自動的にトリガされ得る。
【0027】
好ましい実施形態では、活性化信号は、温度変化、人間の接触、摩擦、機械的歪み、可視光への曝露、湿度変化、圧力変化、電気信号、紫外線、赤外線、光及び電磁波を含む群から選択される。したがって、包装が開封されたとき、又はパウチが包装から取り出されたときに、着臭デバイスからの着臭分子の放出が開始されることが可能である。包装を開封するプロセスは、例えば、温度、湿度若しくは圧力の変化、並びに/又は可視光線、紫外線若しくは赤外線などの電磁放射線への曝露をもたらすことが可能である。
【0028】
これらの信号のいずれかを、着臭組成物から着臭分子を放出するために使用できる。例えば、着臭分子とパウチとの間の結合(化学結合、ファンデルワールス結合及び/又はロンドン力)は、熱によって、又は放射線によって切断され得る。代替的に、又はそれに加えて、包装からパウチを取り出すプロセスに起因する機械的応力も、着臭分子の放出を開始させ得る。好ましい実施形態では、スヌースを包装から取り出すときのパウチの動きによって引き起こされる機械的な力によって、着臭分子が放出される。
【0029】
好ましい実施形態では、着臭組成物は、閉鎖環境に配置される。この閉鎖環境は、例えば、包装から取り出されたときのスヌースの動きによって引き起こされ得る機械的な力を加えることによって開放することができる。好ましくは、閉鎖環境は、カプセルである。これは、カプセルが容易に取り扱うことができ、様々な活性化信号によって開封され得る様々なカプセルが知られているため有利である。より好ましくは、カプセルはマイクロカプセルである。マイクロカプセルは、少量の着臭組成物が異なるマイクロカプセルに互いに別々に封入でき、そこから単一のマイクロカプセル又は少数のマイクロカプセルのみが、活性化信号が与えられたときに開封されるため、有利である。これにより、残りの(未開封の)マイクロカプセルに長期間にわたって着臭組成物を保存することができる。
【0030】
好ましくは、着臭組成物は、パウチの外面に配置される。この実施形態は、着臭組成物が、包装が開封されたときに与えられる活性化信号を受けやすいため好ましい。例えば、活性化信号は、開封時に包装内に進入する(可視)光であり得る。
【0031】
好ましくは、着臭組成物は、容器からスヌースを取り出すことによって生じる機械的歪み及び/又は摩擦が生じやすいパウチの位置に配置される。機械的歪み及び/又は摩擦によって使用者が与えるエネルギーは、活性化信号として機能し得る。
【0032】
好ましくは、小さいタバコ粒子はまた、上記のようなパウチを含むスヌースの消費中に風味を提供する。小さなタバコ粒子の相対表面積が(それらの体積に関して)大きいため、タバコの風味は、容易に表面に到達し、粒子から出ることができる。好ましくは、タバコ風味は、唾液によってタバコ粒子から抽出可能である。この実施形態は、保管中の風味の望ましくない損失を制限できるため好ましい。
【0033】
好ましくは、タバコ粒子からの風味付け分子の放出は、活性化信号によって開始可能である。この実施形態は、風味付け分子の放出が使用者によってトリガされ得るため有利である。したがって、保管中のタバコ粒子からの風味付け分子の枯渇が回避できる。好ましくは、活性化信号は、温度変化、機械的歪み、湿度変化、pH値の変化、液体への接触、水への接触、及び唾液への接触を含む群から選択される。したがって、スヌースが使用されるときに、小さなタバコ粒子からの風味付け分子の放出が開始されることが可能である。好ましくは、小さなタバコ粒子からの風味付け分子の抽出は、唾液の1種又は複数種のタンパク質によって開始される。好ましくは、タバコ粒子は、唾液に接触したときに、パウチ又は不活性担体に付着したままである。
【0034】
好ましい実施形態では、スヌースのニコチン源の量(重量)は、小さいタバコ粒子の量の少なくとも5倍、好ましくは7倍以上、10倍以上、又は20倍以上である。大量のニコチン源が存在していても、少量の小さなタバコ粒子でも、完全なタバコ風味及び/又はタバコ臭を使用者に提供するのに適していることが分かっている。安価な及び/又はタバコを含まないニコチン源を使用することができ、完全なタバコ風味/タバコ臭をいずれにしても維持することができるため、上記比率が好ましい。スヌース組成物中のニコチン源の量と小さなタバコ粒子の量との間の高い比率は、法的制限又は高い税金によってスヌース組成物中のニコチン源としてのタバコ葉の受け入れが制限される場合に特に好ましい。
【0035】
好ましくは、不活性担体に付着したタバコ粒子は、タバコ源の粉砕によって得られる。より好ましくは、粉砕プロセスは、15℃以下、好ましくは12℃以下、より好ましくは0°~10℃の温度の低下した温度で実行される。より低い温度により、粉砕中の着臭分子の分解を回避する。
【0036】
粉砕プロセス中の着臭分子の分解を回避するために、粉砕組成物の粘度を低下させることが有利だと分かっている。これは、この組成物に溶媒を添加することによって達成され得る。このような溶媒(又は「分散媒」)は、好ましくは、水、一価アルコール、多価アルコール、糖アルコール、糖及び多価アルコールエステルを含む群から選択される。そのような分散媒を用いることによって、臭いを顕著に変化させることなく、葉タバコの平均粒径を所望の値に調整することができる。
【0037】
より好ましくは、1種又は複数種の分散媒は、水、1価アルコール、1価脂肪族アルコール、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2,2-ジメチルエタノール、シクロヘキサノール、芳香族置換基を有する1価アルコール、ベンジルアルコール、1個又は複数個のハロゲン元素を含む1価アルコール1個又は複数個のエーテル結合を有する1価アルコール、多価アルコール、グリセロール、プロピレングリコール、糖アルコール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、ソルビタン、キシロース、アラビノース、マンノース、トレハロース、糖、ラクトース、スクロース、カップリングシュガー、グルコース、酵素糖化水飴、酸糖化水飴、麦芽糖水飴、マルトース、異性化糖、フルクトース、還元麦芽糖、還元水飴、蜂蜜、多価アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、及び脂肪酸トリグリセリドを含む群から選択される。
【0038】
好ましくは、粉砕分散液中のタバコ粒子の比率は、0.5%(w/w)以上、好ましくは1%(w/w)以上、2%(w/w)以上又は5%(w/w)以上、より好ましくは10%(w/w)以上、最も好ましくは20%(w/w)以上、且つ95%(w/w)以下、好ましくは90%(w/w)以下、80%(w/w)以下又は以下70%(w/w)以下、より好ましくは60%(w/w)以下、最も好ましくは50%(w/w)以下である。これらの比率により、臭いを顕著に損なうことなく、ほとんどの溶媒中で葉タバコを所望の平均粒径に粉砕できることが分かっている。
【0039】
好ましくは、スヌースは、さらなる添加物を含む。追加の物質(又は添加物)を添加すると、スヌースは異なる使用者の個々の嗜好に適応させることができる。好ましくは、スヌースは、少なくとも2種、好ましくは3種以上、より好ましくは4種以上、より好ましくは5種以上、より好ましくは6種以上のさらなる物質を含む。好ましくは、これらの添加物は、充填材、水、保湿剤、セルロース、グリコール、プロピレングリコール、グリセロール、甘味料、糖、糖アルコール、ガム、pH調整剤、膨化剤、アンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、保存料、塩を含む群から選択される。
【0040】
好ましい実施形態では、タバコ粒子は低温殺菌される。これは、パウチ及び/又はスヌースの貯蔵寿命を増加させ得る。好ましくは、殺菌(用語「低温殺菌された」及び「低温殺菌」は、用語「殺菌された」及び「殺菌」と同義で用いられる)は、粉砕プロセスに続いて行われる。好ましい実施形態では、殺菌プロセスは、高温で行われる。高温は、粉砕プロセス中に添加された溶媒(又は分散媒)を取り除くために使用され得る。殺菌プロセスは、担体にタバコ粒子を付着させるプロセスを含むことも可能である。
【0041】
本発明のさらなる態様は、
- 生地を準備するステップと、
- 平均サイズ30μm以下のタバコ粒子を含む着臭組成物を準備するステップと、
- 生地の表面の少なくとも一部を着臭組成物でコーティングするステップと、
- 生地からパウチを形成するステップと、
- パウチにホワイトスヌースを充填するステップと
を含む、ホワイトスヌース用のパウチの製造方法である。
【0042】
本方法によれば、ホワイトスヌース用のパウチを容易に製造することができる。そのようなパウチは、たとえこのタバコがスヌースの主なニコチン源ではない場合、又はスヌース組成物がタバコを含有しない場合であっても、所望のタバコ臭を提供する。したがって、本方法は、ニコチン源の最終的に存在する臭いとは独立して、所望のタバコ臭の選択を可能にする。元々タバコ風味を提供しない(例えば、ニコチンがタバコに由来しないため)スヌース組成物であっても、所望のタバコ臭を提供するように容易に調整することができる。
【0043】
好ましくは、本方法は、生地の表面の一部を印刷によって着臭組成物でコーティングするステップをさらに含む。本実施形態において、着臭組成物は、好ましくはインクの一部である。
【0044】
好ましくは、印刷プロセスは、従来の印刷機によって行われる。印刷は、インライン印刷又はオフライン印刷によって適用され得る。
【0045】
好ましくは、着臭組成物の適用は、着色物質の適用と一緒に行われる。これにより、好ましくは一般的な印刷機によって、印刷及び着臭組成物が単一のステップで適用できるため製造プロセスが容易になる。そのような、着臭組成物及び着色物質を含むインクは、好ましくは、水、アルコール、プロピレングリコール及びグリセリンを含む群から選択される液体を主成分とする。
【0046】
好ましくは、印刷ステップは、製品、その使用法及び/又はその製造に関連する情報を含むパターンを印刷することを含む。好ましくは、文字、ロゴ、対称的な幾何学的パターン又は形状、企業ロゴ、企業名、商標及び機械可読コードを含む群から選択されたパターンが印刷される。ここで、機械可読コードは、好ましくは、EAN、UPC、IAN、JAN、ITF、2/5i、Code39、Code93、Codabar、Code128 Codablock、Code49、PDF417、QRコード、DataMatrix、MaxiCode、Aztecコード、JABコード、Han Xinコード、ドットコードA、Snowflakeコード、BeeTagg合成コード及びRM4SCCを含む群から選択される。
【0047】
さらなる好ましい実施形態では、着臭組成物は接着剤の一部であり、生地の表面はこの接着剤でコーティングされ、続いてパウチを形成するために生地の他の部分に折り重ねられる。このプロセスは、着臭組成物及び接着剤の適用が単一のステップで行うことができるため非常に容易である。
【0048】
好ましくは、本方法は、不活性担体に付着したタバコ粒子を低温殺菌するステップを含む。低温殺菌ステップは、好ましくは、温度を上昇させて行われる。このより高い温度により、着臭組成物から溶媒を低減又は除去するためにも使用することもできる。溶媒の低減又は除去は、不活性担体の表面上にタバコ粒子を付着させることにもなり得る。したがって、低温殺菌ステップ及び担体の表面にタバコ粒子を付着させるステップは、同時に行われる。この文脈では、同時とは、低温殺菌のステップと、担体の表面にタバコ粒子を付着させるステップとが少なくとも部分的に互いに並行していると理解されるべきである。しかしながら、これらのステップのうちの1つ(好ましくは、担体の表面にタバコ粒子を付着させるステップ(最終的には溶媒の除去を含む))は、これらのステップのうちの他のステップの前に終了され得る。好ましくは、これらの2つのステップの間には、さらなる取り扱いステップは行われない。
【0049】
上で説明した実施形態は、本発明の方法及び/又はシステムの第1の実施形態に過ぎないことが理解されるであろう。この点で、本発明の開示は、これらの実施形態に限定されるものではない。
【0050】
本出願書類に開示されたすべての特徴は、それらが個々に、又は組み合わせて先行技術に対して新規である限り、本発明に必須のものであることが主張される。
【国際調査報告】