(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】ハロゲンフリー難燃性エラストマー組成物、それから調製された物品、及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
C08L 23/08 20060101AFI20231019BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20231019BHJP
C08K 5/5399 20060101ALI20231019BHJP
C08L 23/16 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
C08L23/08
C08K3/013
C08K5/5399
C08L23/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023508476
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(85)【翻訳文提出日】2023-03-29
(86)【国際出願番号】 CN2020108811
(87)【国際公開番号】W WO2022032554
(87)【国際公開日】2022-02-17
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100156476
【氏名又は名称】潮 太朗
(72)【発明者】
【氏名】タン、シン
(72)【発明者】
【氏名】チー、ユドン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ヨン
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AE052
4J002BB033
4J002BB151
4J002BB182
4J002CH023
4J002DA037
4J002DH058
4J002DJ017
4J002DJ037
4J002EH026
4J002EH046
4J002EH079
4J002EH096
4J002EH146
4J002EK019
4J002EK039
4J002EK049
4J002EK059
4J002EN079
4J002ER009
4J002EU119
4J002EU198
4J002EU199
4J002EV139
4J002EW046
4J002EX019
4J002EX079
4J002EX089
4J002FD017
4J002FD022
4J002FD026
4J002FD079
4J002FD138
4J002FD149
4J002FD159
4J002FD173
4J002FD209
4J002GG00
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
本開示は、ハロゲンフリー難燃性エラストマー組成物、それから調製されたハロゲンフリー難燃性物品、及びその調製方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーと、
B)0~100重量部の可塑剤と、
C)0~120重量部の補強性フィラーと、
D)60~150重量部のN-P系複合難燃剤と、
E)0~5重量部のシランカップリング剤と、
F)0~5重量部の抗酸化剤と、
G)0~8重量部の加工助剤と、
H)2~10重量部の架橋剤と、
I)0~5重量部の架橋助剤と、を含む、ハロゲンフリー難燃性エラストマー組成物。
【請求項2】
前記エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーが、エチレン/プロピレン/ジエンインターポリマー(EPDM)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ジエンモノマーが、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、又は5-エチリデン-2-ノルボネン(ENB)である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーが、
エチレンから誘導された40.0~80.0重量%のポリマー単位と、
プロピレンから誘導された20~60重量%のポリマー単位と、
ジエンモノマーから誘導された0.5~15.0重量%のポリマー単位と、を含み、前記ジエンモノマーが、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、又は5-エチリデン-2-ノルボネン(ENB)である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーが、
エチレンから誘導された45~70重量%のポリマー単位と、
プロピレンから誘導された30~50重量%のポリマー単位と、
ジエンモノマーから誘導された4~6重量%のポリマー単位と、を含み、前記ジエンモノマーが、5-エチリデン-2-ノルボネン(ENB)である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
前記エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーが、125℃で55~150のムーニー粘度、ML(1+4)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記N-P系複合難燃剤が、(1)窒素-リン系難燃剤及び(2)難燃助剤の混合物、又は(1)窒素-リン系難燃剤、(2)難燃助剤、及び(3)金属水酸化物の混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記N-P系複合難燃剤が、100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて80~130重量部の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
A)100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーと、
B)0~100重量部の可塑剤と、
C)0~120重量部の補強性フィラーと、
D)60~150重量部のN-P系複合難燃剤と、
E)0~5重量部のシランカップリング剤と、
F)0~5重量部の抗酸化剤と、
G)0~8重量部の加工助剤と、
H)2~10重量部の架橋剤と、
I)0~5重量部の架橋助剤と、を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のハロゲンフリー難燃性エラストマー組成物から調製されるハロゲンフリー難燃性物品。
【請求項10】
前記物品が、クッション又はシーリングガスケットに使用される、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記物品が、電池パック、電気器具、及び電子包装におけるクッション又はシーリングガスケットに使用される、請求項9に記載の物品。
【請求項12】
前記物品が、40~60ショアAの硬度を有し、並びに/又は1.6mmの厚さでUL94 V-0難燃性を満たし、並びに/又は5.0~9.0MPaの引張強さ、及び/若しくは1.10~1.30g/ccの密度、及び/若しくは150℃で70時間後に40%未満の圧縮永久歪み抵抗、及び/若しくは10%の圧縮歪みで0.4~1.6MPaの圧縮応力、及び/若しくは20%の圧縮歪みで1.5~3.0MPaの圧縮応力、及び/若しくは30%の圧縮歪みで2.7~4.0MPaの圧縮応力を有する、請求項9に記載の物品。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか一項に記載のハロゲンフリー難燃性エラストマー組成物を調製するための方法であって、最初に任意選択のC)前記補強性フィラー、D)前記N-P系複合難燃剤、及び任意選択のB)前記可塑剤を混合し、次いでA)前記エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーと、H)前記架橋剤及び任意選択のI)前記架橋助剤を除く全ての残りの成分とを添加し、最後にH)前記架橋剤及び任意選択のI)前記架橋助剤を添加することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハロゲンフリー難燃性エラストマー組成物、それから調製されたハロゲンフリー難燃性物品、及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クッション又はシーリングガスケットは、2つの部品の間に配置されて減衰を提供するか、又は2つの表面の間に完全な接合を作り出す部品である。エラストマーは、それらの優れたクッション性及び回復能力により、クッション又はシーリングガスケットにしばしば使用される。電気自動車(EV)電池パック、電気器具、及び電子包装に使用されるクッション又はシーリングガスケットに関して、難燃性は、安全性の懸念から有益である。EV電池パックにおいて最も広く使用されているクッションガスケットは、シリコーンゴムであり、これは良好な難燃性、広い使用温度、及び良好な弾性を有する。しかしながら、難燃性シリコーンゴムは通常高価であり、中程度の機械的特性を有する。したがって、EV電池パック用の既存のシリコーンゴムガスケットに取って代わる、より良好な機械的特性を有する、より費用効率の高い難燃性クッションガスケットが緊急に必要とされている。
【0003】
EPDMは、その優れた弾性、優れた機械的強度、広い使用温度、優れた耐水性及び耐蒸気性、良好な耐薬品性、低い密度、及び費用対効果により、ガスケット用途に広く使用されている。EPDM自体は、その炭化水素構造により、可燃性材料に属する。難燃性EPDM技術が数十年にわたって開発され、使用されてきた。しかしながら、これらの技術のほとんどはハロゲン化難燃剤に基づいており、ハロゲン化難燃剤は、その固有の毒性と、金属構成要素を腐食し、敏感な電子機器に損傷を引き起こす可能性のある大量の腐食性及び毒性ガスを放出する可能性とにより、環境に優しくない。
【0004】
アルミニウム三水和物及び水酸化マグネシウムなどの水和金属化合物は、ハロゲンフリー難燃剤(HFFR)EPDM溶液に一般的に使用される。しかし、UL94 V-0難燃性に達するためには、通常、非常に高い難燃剤添加量(50重量%超)が必要である。水和金属化合物の高い添加量は、この種のHFFR EPDM化合物に物理的特性の制限をもたらす。例えば、EPDMガスケットの典型的な硬度である40~60ショアAの範囲の硬度を有する軟質金属水酸化物ベースのUL94 V-0等級のHFFR EPDM化合物を作製することは非常に困難である。更に、機械的特性及び圧縮特性が悪影響を受ける。
【0005】
したがって、良好な難燃性、低い硬度(40~60ショアA)、優れた機械的強度及び圧縮特性を有する、クッションガスケットなどの物品に調製することができるハロゲンフリー難燃性エラストマー組成物が緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、ハロゲンフリー難燃性エラストマー組成物、それから調製された物品、及びその調製方法を提供する。本開示のエラストマー組成物から調製されたハロゲンフリー難燃性物品は、良好な難燃性と低硬度の両方、優れた機械的特性、及び圧縮特性を示す。ガスケットなどのハロゲンフリー難燃性物品は軟質(硬度40~60ショアA)であり、1.6mmの厚さでUL94 V-0難燃性を満たすことができ、これはHFFR EPDMにとって非常に困難なことである。ガスケットなどのこれらの軟質物品の引張強さは5.0~9.0MPaであり、これは既存のシリコーンガスケットの引張強さよりも高い。EPDMガスケットなどのハロゲンフリー難燃性物品の密度は、既存のシリコーンガスケットの密度よりも軽い。圧縮弾性率及び圧縮永久歪み抵抗は、クッション及びシーリング用途に非常に適している。
【0007】
本開示の第1の態様では、本開示は、
A)100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーと、
B)0~100重量部の可塑剤と、
C)0~120重量部の補強性フィラーと、
D)60~150重量部のN-P系複合難燃剤と、
E)0~5重量部のシランカップリング剤と、
F)0~5重量部の抗酸化剤と、
G)0~8重量部の加工助剤と、
H)2~10重量部の架橋剤と、
I)0~5重量部の架橋助剤と、を含む、ハロゲンフリー難燃性エラストマー組成物を提供する。
【0008】
本開示の第2の態様では、本開示は、
A)100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーと、
B)0~100重量部の可塑剤と、
C)0~120重量部の補強性フィラーと、
D)60~150重量部のN-P系複合難燃剤と、
E)0~5重量部のシランカップリング剤と、
F)0~5重量部の抗酸化剤と、
G)0~8重量部の加工助剤と、
H)2~10重量部の架橋剤と、
I)0~5重量部の架橋助剤と、を含む、ハロゲンフリー難燃性エラストマー組成物から調製されるハロゲンフリー難燃性物品を提供する。
【0009】
本開示の第3の態様では、本開示は、最初に任意選択のC)補強性フィラー、D)N-P系複合難燃剤、及び任意選択のB)可塑剤を混合し、次いでA)エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーと、H)架橋剤及び任意選択のI)架橋助剤を除く全ての残りの成分とを添加し、最後にH)架橋剤及び任意選択のI)架橋助剤を添加することを含む、ハロゲンフリー難燃性エラストマー組成物を調製するための方法を提供する。
【0010】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明はいずれも、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0011】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。また、本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照により組み込まれる。
【0012】
本明細書で開示されるように、「及び/又は」は、「及び、又は代替として」を意味する。全ての範囲は、特に指示がない限り、終点を含む。特に記載がない限り、全ての百分率及び比率は重量に基づいて計算され、全ての分子量は数平均分子量である。
【0013】
本明細書で使用するとき、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2種類の異なるモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。したがって、インターポリマーという用語は、コポリマーという用語(2つの異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、及び2つを超える異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0014】
本明細書で使用される「エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマー」という語は、重合形態で、エチレン、α-オレフィン、及び非共役ポリエンを含むポリマーを指す。一実施形態では、「エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマー」は、過半重量パーセント(インターポリマーの重量に基づく)のエチレンを含む。
【0015】
本明細書で使用される「エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー」という用語は、重合形態で、エチレン、α-オレフィン、及びジエンを含むポリマーを指す。一実施形態では、「エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー」は、過半重量パーセント(インターポリマーの重量に基づく)のエチレンを含む。
【0016】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する」という用語、及びそれらの派生語は、それが具体的に開示されているかどうかにかかわらず、任意の追加の成分、工程、又は手順の存在を除外することを意図しない。いかなる疑念も避けるために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して特許請求される全ての組成物は、別段矛盾する記述がない限り、ポリマー性か又は別のものであるかにかかわらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、又は化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる以降の記述の範囲から任意の他の成分、工程、又は手順を除外する。「からなる(consisting of)」という用語は、具体的に描写又は列記されていないあらゆる成分、工程、又は手順を除外する。
【0017】
本開示は、以下の成分を含むハロゲンフリー難燃性エラストマー組成物を提供する。
【0018】
A)エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマー
本明細書に記載の本発明の組成物のためのエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、重合形態で、エチレン、α-オレフィン、及び非共役ポリエンを含む。α-オレフィンの好適な例として、C3~C20α-オレフィン、更にC3~C10α-オレフィン、及び好ましくはプロピレンが挙げられる。非共役ポリエンの好適な例としては、C4~C40非共役ジエンが挙げられる。
【0019】
α-オレフィンは、脂肪族化合物又は芳香族化合物のいずれかであってもよい。α-オレフィンは、好ましくはC3~C20の脂肪族化合物、好ましくはC3~C16の脂肪族化合物、より好ましくはC3~C10の脂肪族化合物である。好ましいC3~C10脂肪族α-オレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択され、より好ましくはプロピレンである。更なる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)ターポリマーである。更なる実施形態では、ジエンは5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)である。
【0020】
例示の非共役ポリエンとしては、1,4-ヘキサジエン及び1,5-ヘプタジエンなどの直鎖非環式ジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,7-オクタジエン、5,7-ジメチル-1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、及びジヒドロミルセンの混合異性体などの分枝鎖非環式ジエン、1,4-シクロヘキサジエン、1,5-シクロオクタジエン、及び1、5-シクロドデカジエンなどの単一環脂環式ジエン、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデンなどの多環脂環式縮合及び架橋環ジエン、5-メチレン-2-ノルボルネン(MNB)、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、及び5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネンなどのアルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル、及びシクロアルキリデンノルボルネンが挙げられる。ポリエンは、好ましくは、ENB、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエンから、好ましくはENB、ジシクロペンタジエン、及び1,4-ヘキサジエンから、より好ましくはENB及びジシクロペンタジエンから、更により好ましくはENBからなる群から選択される非共役ジエンである。
【0021】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、インターポリマーの重量に基づいて、過半量の重合エチレンを含む。更なる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマーである。更なる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。更なる実施形態では、ジエンはENBである。
【0022】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、2~50、更には2~35、更には2~25の分子量分布(Mw/Mn)を有する。更なる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。更なる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。更なる実施形態では、ジエンはENBである。
【0023】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、125℃で60以上、更には70以上、更には85以上であるが、150以下、更には140以下、更には130以下、更には120以下のムーニー粘度、ML(1+4)を有する。更なる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマーである。更なる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。更なる実施形態では、ジエンはENBである。
【0024】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、125℃で60~150、又は60~130、又は65~120、又は70~110のムーニー粘度、ML(1+4)を有する。更なる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマーである。更なる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。更なる実施形態では、ジエンはENBである。
【0025】
ムーニー粘度は、ニートインターポリマーのムーニー粘度(又はカーボンブラックなどのフィラー及び/若しくは油を含有するポリマーのニートポリマーの計算粘度)である。ニートポリマーは、フィラーを含まず、オイルを含まないポリマーを指す。
【0026】
エチレン/アルファ-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、本明細書に記載されるような2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0027】
エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。
【0028】
EPDMターポリマーは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。
【0029】
本開示によるプロセスにおいて使用されるEPDMは、例えば、エチレンから誘導された40~80重量%のポリマー単位を含んでもよい。好ましくは、EPDMは、45~75重量%のエチレン、より好ましくは45~70重量%を含む。
【0030】
EPDMは、プロピレンから誘導された20~60重量%のポリマー単位を含んでもよい。好ましくは、EPDMは、プロピレンから誘導された25~55重量%のポリマー単位、より好ましくは30~50重量%を含む。
【0031】
EPDMは、ジエンモノマーから誘導された0.5~15重量%のポリマー単位を含んでもよい。好ましくは、EPDMは、ジエンモノマーから誘導された1~10重量%のポリマー単位、より好ましくはジエンモノマーから誘導された2~8重量%のポリマー単位、更により好ましくは4~6重量%重量%(wt % wt %)を含む。
【0032】
ジエンモノマーは、例えば、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、及び/又は2,5-ノルボルナジエンから選択される1つ以上であってもよい。例えば、ジエンモノマーは、例えば、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、又は2,5-ノルボルナジエンから選択される1つであってもよい。例えば、ジエンモノマーは、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-ビニル-2-ノルボルネン、又は5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)から選択されてもよい。ジエンモノマーが5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)であることが特に好ましい。
【0033】
EPDMは、例えば、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、及び/又は2,5-ノルボルナジエンから選択される1つ以上から誘導された0.5~15重量%のポリマー単位を含んでもよい。EPDMは、例えば、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、又は2,5-ノルボルナジエンから誘導された0.5~15重量%のポリマー単位を含んでもよい。より好ましくは、EPDMは、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、又は2,5-ノルボルナジエンから誘導された0.5~10重量%、更により好ましくは2~8重量%、更により好ましくは4~6重量%のポリマー単位を含む。更により好ましくは、EPDMは、DCPD、ENB、又はVNBから誘導された0.5~15重量%のポリマー単位、更により好ましくは2~8重量%、又は4~6重量%を含む。特定の実施形態では、EPDMは、ENBから誘導された0.5~15重量%のポリマー単位、より好ましくは2~8重量%、又は4~6重量%を含む。
【0034】
特定の実施形態では、EPDMは、ジエンモノマーから誘導された0.5~15重量%、好ましくは2~8重量%、より好ましくは4~6重量%のポリマー単位を含み、ジエンモノマーは、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボネン(ENB)、又は2,5-ノルボルナジエンから選択される。より好ましくは、EPDMは、ジエンモノマーから誘導された0.5~15重量%、好ましくは2~8重量%、より好ましくは4~6重量%のポリマー単位を含み、ジエンモノマーは、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、又は5-エチリデン-2-ノルボネン(ENB)から選択される。更により好ましくは、EPDMは、ジエンモノマーから誘導された0.5~15重量%、好ましくは2~8重量%、より好ましくは4~6重量%のポリマー単位を含み、ジエンモノマーは、5-エチリデン-2-ノルボネン(ENB)である。
【0035】
更なる特定の実施形態では、EPDMは、
エチレンから誘導された40.0~80.0重量%のポリマー単位と、
プロピレンから誘導された20.0~60.0重量%のポリマー単位と、
ジエンモノマーから誘導された0.5~15.0重量%のポリマー単位と、を含む。
【0036】
別の特定の実施形態では、EPDMは、
エチレンから誘導された40.0~80.0重量%のポリマー単位と、
プロピレンから誘導された20.0~60.0重量%のポリマー単位と、
ジエンモノマーから誘導された0.5~15.0重量%のポリマー単位と、を含み、ジエンモノマーは、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、又は5-エチリデン-2-ノルボネン(ENB)である。
【0037】
EPDMは、以下を含むことが特に好ましい。
エチレンから誘導された45~75重量%のポリマー単位、
プロピレンから誘導された30~50重量%のポリマー単位、及び
ジエンモノマーから誘導された2~8重量%のポリマー単位。ジエンモノマーは、5-エチリデン-2-ノルボネン(ENB)である。
【0038】
更により具体的には、EPDMは以下を含むことが好ましい。
エチレンから誘導された45~70重量%のポリマー単位、
プロピレンから誘導された30~50重量%のポリマー単位、及び
ジエンモノマーから誘導された4~6重量%のポリマー単位。ジエンモノマーは、5-エチリデン-2-ノルボネン(ENB)である。
【0039】
B)可塑剤
本組成物は、任意選択的に、1つ以上の可塑剤を含み得る。
【0040】
可塑剤としては、芳香族油及びナフテン油などの石油;ポリアルキルベンゼン油;アルキル及びアルコキシアルキルオレエート及びステアレートなどの有機酸モノエステル;フタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、アジピン酸及びグルタル酸のジアルキル、ジアルコキシアルキル、及びアルキルアリールなどの有機酸ジエステル;トリ-、テトラ-、及びポリエチレングリコールジアルカノエートなどのグリコールジエステル;パラフィン油;クマロン-インデン樹脂;パインタール;ヒマシ油、トール油、ナタネ油、及びダイズ油並びにそれらのエステル及びエポキシ化誘導体などの植物油;リン酸トリクレジル及びリン酸トリオクチルなどのリン酸エステル系可塑剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
一実施形態では、可塑剤としては、パラフィン油、フタル酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、アジピン酸ジオクチル、低分子量ポリイソブチレン、ナフテン油、及びフタル酸ジブチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
一実施形態では、可塑剤は、非芳香族油、パラフィン油、ナフテン油、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。好適な可塑剤としては、SUNPAR 2280、PARALUX 6001、HYDROBRITE 550、及びCALSOL 5550が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
可塑剤は、100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて0~100重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて10~98重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて20~95重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて30~95重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて50~90重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて60~90重量部の量で存在する。
【0044】
C)補強性フィラー
補強性フィラーは、カーボンブラック、シリカ、及びカオリンのうちの1つ以上であってもよい。カーボンブラックは、N330、N550、N660、N774、N990、及びスプレーカーボンブラックのうちの1つ以上であってもよい。
【0045】
補強性フィラーは、100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて0~120重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて10~90重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて10~80重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて15~75重量部の量で存在する。
【0046】
D)N-P系複合難燃剤
N-P系複合難燃剤は、(1)メラミンシアヌレート及びポリリン酸アンモニウムなどの窒素-リン系難燃剤と、(2)赤リンなどの難燃助剤との混合物、又は(1)メラミンシアヌレート及びポリリン酸アンモニウムなどの窒素-リン系難燃剤と、(2)赤リンなどの難燃助剤と、(3)水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物との混合物である。窒素-リン系難燃剤:難燃助剤:金属水酸化物の重量比は、約20~90:5~10:75~0である。難燃剤は、市販のFR690又はLongsafe 100Eであってもよい。
【0047】
N-P系複合難燃剤は、100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて60~150重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて70~140重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて75~125重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて80~130重量部の量で存在する。
【0048】
E)シランカップリング剤
シランカップリング剤は、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメチルシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビス(γ-トリエトキシシリルプロピル)-テトラスルフィド、γ-アミノプロピルトリエトキシシランのうちの1つ以上から選択されてもよい。
【0049】
シランカップリング剤は、100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて0~5重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて0.5~4.5重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて1~4重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて1~2重量部の量で存在する。
【0050】
F)抗酸化剤
抗酸化剤は、ジブチルニッケルジチオカルバメート、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンポリマー、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、アセトンとジフェニルアミンとの高温反応生成物、及び2-メルカプトベンゾイミダゾールのうちの1つ以上から選択されてもよい。
【0051】
抗酸化剤は、100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて0~5重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて0.5~4.5重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて1~3重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて1~2重量部の量で存在する。
【0052】
G)加工助剤
加工助剤は、ポリエチレングリコール、ポリエチレンワックス、WB42、WA48、WB212、又はそれらの混合物のうちの1つ以上から選択されてもよい。
【0053】
加工助剤は、100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて0~8重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて1~6重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて2~5重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて3~4.5重量部の量で存在する。
【0054】
H)架橋剤
架橋剤は、過酸化物硬化剤、硫黄、又はフェノール系硬化剤であってもよい。
【0055】
好適な過酸化物としては、芳香族ジアシル過酸化物;脂肪族ジアシル過酸化物;二塩基酸過酸化物;ケテン過酸化物;アルキルペルオキシエステル;アルキルヒドロペルオキシド(例えば、過酸化ジアセチル;ジベンゾイルペルオキシド;ビス-2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド;ジ-tert-ブチルペルオキシド;ジクミルペルオキシド;tert-ブチル-ペルベンゾエート;tert-ブチルクミルペルオキシド;2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン;2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン;4,4,4’,4’-テトラ-(t-ブチルペルオキシ)-2,2-ジシクロヘキシルプロパン;1,4-ビス-(t-ブチルペルオキシイソプロピル)-ベンゼン;n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレラート、1,1-ビス-(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチル-シクロヘキサン;ラウロイルペルオキシド;コハク酸ペルオキシド;シクロヘキサノンペルオキシド;t-ブチルペルアセテート;ブチルヒドロペルオキシドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
架橋剤は、100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて2~10重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて3~9重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて4~8重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて6~7.5重量部の量で存在する。
【0057】
I)架橋助剤
過酸化物硬化剤のための架橋助剤は、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、硫黄、エチレングリコールジメタクリレート、N,N’-ビスフルフリルアセトン、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、ジンクジメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテートのうちの1つ以上から選択されてもよい。
【0058】
架橋助剤は、100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて0~5重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて0.5~4.5重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて1~3重量部、更には100重量部のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーに基づいて1~2重量部の量で存在する。
【0059】
他の添加剤
本組成物は、任意選択的に、1つ以上の追加の添加剤を含み得る。好適な添加剤としては、フィラー、UV安定剤、着色剤、又は顔料、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
フィラーとしては、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウムのケイ酸塩及びそれらの混合物;カルシウム、マグネシウムの炭酸塩、及びそれらの混合物;ケイ素、カルシウム、亜鉛、鉄、チタン、及びアルミニウムの酸化物;カルシウム、バリウム、及び鉛の硫酸塩、天然繊維、合成繊維などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
本開示のハロゲンフリー難燃性エラストマー組成物は、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVAコポリマー)を含まない
【0062】
組成物は、最初に任意選択のC)補強性フィラー、D)N-P系複合難燃剤、及び任意選択のB)可塑剤を混合し、次いでA)ポリマーと、H)架橋剤及び任意選択のI)架橋助剤を除く全ての残りの成分とを添加し、最後にH)架橋剤及び任意選択のI)架橋助剤を添加することによって調製することができる。
【0063】
本開示の組成物を成形し、硬化させて物品を得ることができる。本開示の組成物は、圧縮成形、射出成形、トランスファー成形など、当該技術分野における従来の手段によって成形することができる。硬化は150~220℃で行い得る。物品は、クッション又はシーリングガスケットtに使用することができ、好ましくは、電池パック、電気器具、及び電子包装におけるクッション又はシーリングガスケットに使用することができる。
【0064】
本開示のハロゲンフリー難燃性物品は、40~60ショアAの硬度を有し、並びに/又は1.6mmの厚さでUL94 V-0難燃性を満たし、並びに/又は5.0~9.0MPaの引張強さ、及び/若しくは1.10~1.30g/ccの密度、及び/若しくは150 ℃で70時間後に40%未満の圧縮永久歪み抵抗、及び/若しくは10%の圧縮歪みで0.4~1.6MPaの圧縮応力、及び/若しくは20%の圧縮歪みで1.5~3.0MPaの圧縮応力、及び/若しくは30%の圧縮歪みで2.7~4.0MPaの圧縮応力を有する。
【0065】
好ましくは、本開示のハロゲンフリー難燃性物品は、45~60ショアAの硬度を有し、並びに/又は1.6mmの厚さでUL94 V-0難燃性を満たし、並びに/又は6.0~9.0MPaの引張強さ、及び/若しくは150℃で70時間後に37%未満の圧縮永久歪み抵抗、及び/若しくは10%の圧縮歪みで0.8~1.5MPaの圧縮応力、及び/若しくは20%の圧縮歪みで1.8~3.0MPaの圧縮応力、及び/若しくは30%の圧縮歪みで3.0~4.0MPaの圧縮応力を有する。
【実施例】
【0066】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例において説明する。しかしながら、本開示の範囲は、当然ながら、これらの実施例に示される配合に限定されない。むしろ、実施例は単に本開示の発明に関する。
【0067】
実施例で使用された原材料の情報を以下の表1に列挙する。
【0068】
【0069】
試料調製
(1)化合物混合
典型的な「アップサイドダウン」混合手順を使用して、表2に示されるように全ての化合物を混合した。初期混合温度は40℃であった。カーボンブラック、遅延剤、及び可塑剤を、10rpmの密閉式ミキサー(HF mixing groupによって製造されたIM1.5E Laboratory Mixer)内で120秒間ゆっくりと混合し、その後、ポリマーと、過酸化物架橋剤及び架橋助剤を除く全ての残りの成分とを添加した。混合を30rpmで更に5分間続け、その後、過酸化物架橋剤及び架橋助剤を添加した。混合物を更に5分間混合し、約100℃でダンプアウトした。充填率は0.80であった。更に6インチ2本ロール(Well Shyang Machinery Co.,Ltdによって製造されたSYM-8-18)で混合を完了し、レオロジー及び機械的試験のためにシート状にして0.2インチ厚のブランケットを得た。
【0070】
(2)圧縮成形及び硬化
上記で得られたブランケットを、ASTM D3182-5に従って引張試験用にホットプレス上で180℃、t90+5分間圧縮成形及び硬化させた。硬化したEPDMシートから試験片を切断した。
【0071】
特性評価及び試験
(1)引張試験
硬化したシートの引張特性を、ASTM D1708に従って試験した。
【0072】
(2)圧縮試験
硬化したEPDMシートの圧縮特性を、ASTM D575に従って得た。試験片サイズは50mm×50mm×2mmであった。予荷重力は50Nであり、圧縮速度は2mm/分であった。
【0073】
(3)圧縮永久歪み
圧縮永久ひずみを、ASTM D395 Method Bに従って150℃の70時間の時点で測定した。
【0074】
(4)UL94垂直燃焼試験
難燃性を、UL94垂直燃焼基準に従って試験及び等級付けした。
【0075】
(5)ムーニー粘度
全てのEPDMのムーニー粘度を、ASTM D1646-19に従ってAlpha Technologies Mooney Viscometerを使用して125℃で測定した。
【0076】
全ての本発明の実施例及び比較例の重要な特性を表2で比較した。
【0077】
電池パックに使用されている市販のシリコーンクッションガスケットを、比較例CE0として使用する。クッションガスケットの重要なパラメータである硬度及び圧縮応力に基づいて、IE2及びIE3は、シリコーンゴムガスケット材料CE-0に最も類似した材料である。本発明の実施例(IE2)には、シリコーンゴムガスケットに対していくつかの利点が存在する。第1に、IE-2の材料コストは、シリコーンゴムガスケットの材料コストよりも約30%安い。第2に、IE-2の密度はCE0の密度よりも16%低い。また、IE-2の引張強さは8.6MPaであり、シリコーンゴムガスケットの約2倍である。最後に、IE-2の圧縮永久ひずみ(長期圧縮力又はシーリング力の重要な指標である)は、シリコーンゴムガスケットよりも33%低い(良好である)。
【0078】
全ての実施例の硬度は、EPDMガスケットの典型的な硬度である、40~60ショアA以内であった。IE1~IE6の引張強さは非常に良好であり(6MPa~9MPa)、比較例の引張強さ(3MPa~5MPa)よりも有意に高かった。6つの本発明の実施例の圧縮永久歪みは全て、150℃で70時間後に40%未満であった。対照的に、比較例の圧縮永久歪みは45%を超えていた。低い圧縮永久歪みは、EPDM材料の優れたシーリング能力及び圧縮応力保持を示した。
【0079】
シーリング力を示す圧縮応力も検討した。10%~30%は、静的シール又はクッションガスケットの非常に一般的な初期圧縮歪みである。全ての実施例の圧縮応力は、10%~30%の圧縮ひずみで0.8~4MPaであったが、これはシーリング又はクッション用途に非常に適している。より重要なことに、IE1~IE6は、ハロゲン成分を添加せずに1.6mmの厚さでUL94 V-0難燃性基準に合格するが、CE1~CE2はUL94垂直燃焼試験に不合格であった。
【0080】
CE1~4と比較して、IE3は、より軽い密度、より高い機械的強度、より良好な伸展性、より低い(より良好な)圧縮永久歪み、及び難燃性を有し、これは、EPDMシートの特性に対するEDPMのムーニー粘度の重要性、及びEPDMシートの特性に対するN-P系複合難燃剤の重要性を示した。
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【表2-4】
*NR:等級付けされず、UL94 V-0、V-1、V-2基準に合格しない。
【国際調査報告】