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特表2023-544978ターボチャージャーを用いたメタン化
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】ターボチャージャーを用いたメタン化
(51)【国際特許分類】
   C07C 1/04 20060101AFI20231019BHJP
   C07C 9/04 20060101ALI20231019BHJP
   F02C 6/00 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
C07C1/04
C07C9/04
F02C6/00 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516178
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 EP2021076604
(87)【国際公開番号】W WO2022078747
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】20201565.7
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504150162
【氏名又は名称】テクニシェ ユニバーシタット ミュンヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】シュプリートフ,ハルトムート
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC29
4H006BD10
4H006BD84
(57)【要約】
本発明は、改良されたメタン化の方法に関し、該方法では、メタン化工程中に放出されるエネルギーは、工程を実施および/または維持するためのターボチャージャーを駆動するために使用される。さらに本発明は、少なくとも1つのメタン化反応器と少なくとも1つのターボチャージャーを含む、水素および炭素含有出発原料からメタン富化ガスおよび電力を生成するためのシステムに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの単段または多段のメタン化工程を含むシステムにおいて、水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するための方法であって、
以下のステップを含む方法:
a)以下を提供するステップ:
少なくとも1つの単段または多段メタン化工程のための、それぞれに1つのメタン化反応器(1)であって、各メタン化反応器が、水素および炭素含有出発原料または前のメタン化段階からのメタン富化ガスを含む供給ガスの導入のための入口と、メタン富化された生成ガスの出口を含むメタン化反応器;
水素と炭素含有出発原料の導入のための入口(6)およびシステムからメタン富化ガスを除去するための出口(7)を有する連続ガスライン;ならびに、
圧縮機(3)とタービン(4)が共通のシャフト(5)によって機械的に接続している少なくとも1つのターボチャージャー(2)であって、連続ガスラインを経由してメタン化反応器と接続している少なくとも1つのターボチャージャー
(ここで、少なくとも1つの圧縮機は、連続ガスラインに接続され、連続ガスラインの一部である出発原料の導入からメタン富化ガスの除去までの経路を規定する部分、特にメタン化反応器の上流、メタン化反応器の間、またはメタン化反応器の下流を規定する部分に配置されている);
b)連続ガスラインの入口に、水素と炭素含有出発原料を導入するステップ;
c)メタン化反応器において、メタン富化ガスを生成するステップ;ならびに、
d)メタン化工程中に放出されたエネルギーを用いて、少なくとも1つの圧縮機を介して連続ガスライン内のシステム圧力を上昇させるステップ。
【請求項2】
ステップb)とc)の間に、少なくとも1つのメタン化反応器に水または蒸気を直接注入する、または少なくとも1つのメタン化反応器および/またはターボチャージャーのタービンの供給ガスを導入するための入口の上流の連続ガスラインに水または蒸気を注入する、追加のステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップa)において、火力発電プラントのライン内を移動する作動媒体を有する火力発電プラントが提供され、火力発電プラントが、少なくとも1つの熱交換器(8)を介して少なくとも1つのメタン化反応器またはそれから得られるガス流に連結され、火力発電プラントが電力を生成し、任意に火力発電プラントが蒸気タービンサイクルのライン内を移動する蒸気(15)を有する蒸気タービン(16)である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つのターボチャージャーのタービンが、連続ガスラインに接続されるか、または存在する場合には火力発電プラントのラインの1つに接続される;および/または、連続ガスラインの出口でメタン富化ガスをシステムから除去するステップe)をさらに含む;および/または、炭素含有出発物質がCOおよび/またはCOである;および/または、水素および炭素含有出発原料が大気圧で提供される;および/または、連続ガスラインの入口の圧力よりも連続ガスラインの出口の圧力が高い、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
請求項1のステップb)の前に、メタン化反応器を予熱することをさらに含み;および/または、メタン化工程の前に水素および炭素含有出発原料の初期圧縮を促進するために圧縮機に外部エネルギーを供給することをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
1つ以上の圧縮機が、連続ガスラインの入口と第1のメタン化反応器の入口の間に位置する場所で連続ガスライン内の圧力を上昇さる;および/または、1つ以上の圧縮機が、メタン化反応器の出口と連続ガスラインの出口の間に位置する場所で連続ガスライン内の圧力を上昇させる;および/または、タービンが1つ以上の圧縮機の上流の位置に配置される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
複数のターボチャージャーが使用され、好ましくは2つ、3つ、またはそれを超えるターボチャージャーが使用される;または、連続ガスラインの中間冷却または中間加熱が熱交換器要素(8)を介して行われる;および/または、少なくとも1つの単段メタン化工程が断熱的であるか、または多段メタン化工程の少なくとも1つの段階が断熱的である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの単段メタン化工程が等温であるか、または多段メタン化工程の少なくとも1つの段階が等温であり、等温工程において、メタン化反応器内の温度が火力発電プラントにより制御される、請求項2~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
タービンがメタン化反応器を出るガスの圧力を低下させる;または、存在する場合、メタン化反応器の温度を制御するために使用される火力発電プラントのライン内を移動する作動媒体の圧力をタービンが低下させる;および/または、熱交換器(8)が、存在する場合、レキュペレーターであり、レキュペレーターが、水素および炭素含有出発原料がメタン化反応器に入る前にタービンを出るガスからの熱を水素および炭素含有出発原料に伝達する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのターボチャージャーがメタン化反応器の上流に位置し、メタン化反応器で生成された熱が、少なくとも1つの熱交換器を介してタービンと圧縮機の間の位置でターボチャージャーに供給される;または、少なくとも1つのターボチャージャーが、メタン化反応器の下流に位置し、メタン化反応器で生成された熱が少なくとも1つの熱交換器を介してタービンと圧縮機の間の位置でターボチャージャーに供給される;または、少なくとも1つのターボチャージャーが、2つのメタン化反応器の間に位置し、ターボチャージャーの上流に位置するメタン化反応器で生成された熱が、ターボチャージャーのタービン入口の前、好ましくはタービンと圧縮機の間の位置で、少なくとも1つの熱交換器を介してターボチャージャーに供給される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
メタン化工程で生成された熱の一部がターボチャージャーで使用され、別の部分、好ましくはより大きな部分が蒸気または電力を生成するために使用される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの単段または多段メタン化工程において、水素および炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムであって、
以下を含むシステム:
少なくとも1つの単段または多段メタン化工程のための、それぞれに1つのメタン化反応器(1)であって、各メタン化反応器が、水素および炭素含有出発原料または前のメタン化段階からのメタン富化ガスを含む供給ガスの導入のための入口と、メタン富化された生成ガスの出口を含むメタン化反応器;
水素と炭素含有出発原料の導入のための入口(6)およびシステムからメタン富化ガスを除去するための出口(7)を有する連続ガスライン;ならびに、
圧縮機(3)とタービン(4)が共通のシャフト(5)によって機械的に接続している少なくとも1つのターボチャージャー(2)
(ここで、少なくとも1つの圧縮機は、連続ガスラインに接続され、連続ガスラインの一部である出発原料の導入からメタン富化ガスの除去までの経路を規定する部分、特にメタン化反応器の上流、メタン化反応器の間、またはメタン化反応器の下流を規定する部分に配置されている)。
【請求項13】
水または蒸気を少なくとも1つのメタン化反応器に直接注入するための、または供給ガスの導入のための入口の上流の連続ガスラインに注入するための水/蒸気注入ユニットをさらに含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
火力発電プラントのライン、特に蒸気タービンサイクルのラインを有する蒸気タービン(16)内を移動する作動媒体を有する火力発電プラントをさらに含み、メタン化反応器と少なくとも1つのターボチャージャーが連続ガスラインを介して連結され、火力発電プラントが少なくとも1つの熱交換器(8)を介して少なくとも1つのメタン化反応器またはそれから得られるガス流に連結し、火力発電プラントが電力を生成するように構成される、請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
少なくとも1つのタービンが、連続ガスラインに接続されるか、または存在する場合には、火力発電プラントラインの1つに接続される、請求項12、13、または14に記載のシステム。
【請求項16】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法のための、請求項12~15のいずれか一項に記載のシステムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良されたメタン化の方法に関し、該方法では、メタン化工程中に放出されるエネルギーは、工程を実施および/または維持するためのターボチャージャーを駆動するために使用される。さらに本発明は、少なくとも1つのメタン化反応器と少なくとも1つのターボチャージャーを含む、水素および炭素含有出発原料からメタン富化ガスおよび任意に電力を生成するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
メタン化とは、水素化による一酸化炭素(CO)および/または二酸化炭素(CO)のメタン(CH)への変換である。この工程は、20世紀初頭に発見された。一酸化炭素と二酸化炭素それぞれのメタン化の例示的反応を説明する。
【0003】
【化1】
【0004】
メタン化反応は発熱性に分類される。
【0005】
可能な出発原料の例は、バイオガスプラントからのCOおよび高温電解プラントからのHである。従来技術のメタン化の方法の例としては、Haldor TopsoeによるTopsoe Recycle Energy-efficient Methanation Process(TREMP(商標))が挙げられる。
【0006】
TREMP法は、本方法に使用されているMCR-2Xメタン化触媒のため、973Kまでの高温での実施が可能である。この触媒により、高圧過熱水蒸気の形で反応熱の回収を可能とし、低リサイクル率で省エネルギーを確実にする。COメタン化は断熱性の固定床反応器内で行われる。
【0007】
反応の発熱により高温が上昇する。この過程で発生する反応生成物であるメタン富化ガスは、メタン化反応器の温度上昇を抑制するために一部リサイクルされる。過去10年の間に、代替天然ガスへの関心が高まっている。この技術への取り組みが再開され、何年にもわたって得られた知識は、試行錯誤された技術や触媒を改良するために使用されている。
【0008】
スコットランドに実証プラント(Westfield Coal Gasification plant)が建設され、石炭から246万Nm/hのSNGを生産している。このプラントで使用されたメタン化装置は、ガスリサイクルを行う固定床反応器で構成されていた。
【0009】
英国ガス公社のさらなる発展はHICOM法であった。該方法では、精製されたガス化装置の生成ガスから、触媒上での蒸気との反応によってメタン富化ガスを直接製造し、ホットガスのリサイクルと分割流操作によって温度上昇を制御している。
【0010】
ドイツでは、Linde社が間接熱交換を備えた等温固定床反応器を開発した。反応器自体は、発熱性メタン化反応の熱から蒸気を生成することができる。蒸気の一部は、等温および断熱メタン化反応器に供給される前に、炭素析出のリスクを最小限に抑えるために合成ガス混合物に添加される。
【0011】
上記のすべての方法は、冷却された生成ガスのリサイクルおよび/または蒸気の添加を伴う固定床反応器を使用する。これは、高い反応エンタルピー(供給ガスの発熱量の約20%)を効率的に消散させ、必要に応じて、特に蒸気発生や任意に過熱蒸気の発生に有利に使用するために必要である。
【0012】
一方、小規模なシステムでは、単段のほぼ等温の反応器の配置が頻繁に使用され、火力発電プラントと組み合わせることがよくある。メタン化工程で発生する熱は、火力発電プラントで作動媒体を加熱するために使用される。通常、作動媒体は水であり、メタン化反応器内の反応温度を制御するために沸騰水型反応器が使用される。代替の作動媒体は、熱媒油と溶融塩である。水を加熱して蒸気を発生させる。次いで、この蒸気の大部分を蒸気タービンで膨張させ、電気を発生させる。
【0013】
CO/COメタン化には、多くの実用的な用途がある。これは、プロセスガスから炭素酸化物を除去する手段であり、また、移動式燃料電池用の燃料プロセッサにおいて、触媒による混合ガス中の一酸化炭素の優先酸化(PReferential OXidation(PROX))の代替手段としても考えられている。合成天然ガスを生産する手段としてのメタン化は、1970年代から検討されてきた。
【0014】
最近では、それは太陽光発電または風力発電で生成したエネルギーを、パワー・トゥ・ガスシステム(power-to-gas system)を使用して、既存の天然ガスの貯蔵と組み合わせて、貯蔵する方法として検討されている。エネルギー転換の一環として、季節的なエネルギー貯蔵の必要性が高まる可能性がある。ドイツでは、電力の80%を再生可能エネルギーで発電した場合、30TWhの蓄電容量が必要になると予想されている。
【0015】
余剰電力を使用してガスを合成することによりエネルギーを貯蔵するパワー・トゥ・ガスプロセスは、季節的なエネルギー貯蔵の最も有望な技術である。主な貯蔵媒体は水素とメタンである。メタンは水素に比べて、既存のインフラ(ガス管や天然ガスタンク)を利用できるという利点がある。2018年には、ヨーロッパに、128のパワー・トゥ・ガスプロセスの研究および実証プラントがあり、この技術への大きな関心が示されている。
【0016】
経済的に実行可能で技術的に実現可能なメタン化の方法を提供するために、生成されるメタンがいくつかの要件を満たしている必要がある。純度が不十分なメタンは天然ガスネットワークに供給してはならないため、メタン化工程で生成されるメタンは高純度である必要がある。さらにメタンは、天然ガスネットワークに供給する前に加圧する必要がある。したがって、満足のいくメタン化工程は、高純度の加圧メタンを生成する必要がある。
【0017】
しかし、メタン化工程の出発原料として可能性のあるソースは、COを供給するバイオガスプラントとHを供給する高温電解プラントである。これらのプラントは、通常、低圧でその製品を提供する。したがって、従来技術のいくつかのメタン化プラントは低圧で運転され、これによりメタンの純度が低下する。このメタンは、天然ガスネットワークに供給される前に、精製および加圧する必要がある。
【0018】
そのため、出発原料を圧縮して加圧メタンを生成する工程が開発されてきた。メタン化は、ルシャトリエの原理に従って平衡をメタンに移行させるために、しばしば高圧で行われる。用途にもよるが、目標は通常、最大残留水素含有量2~5%である。
【0019】
初期の入口圧力が低い供給ガスの場合、モーター駆動圧縮機が主に使用される。平衡位置を改善するために、2つのメタン化段階の間に形成される水蒸気の(部分的な)中間凝縮も提供され得る。これにより、バランスはそれに応じて方程式の右側にシフトする。
【0020】
加圧された純粋なメタンを得ることができるように出発原料を加圧するには、エネルギーが必要である。従来技術では、出発原料を加圧するために、電気エネルギーなどの外部エネルギーを必要とするモーター駆動圧縮機が通常採用されている。この部分に関連する費用は、システムの総費用の50%を占めている。そのため、出発原料を加圧する工程に関連する費用を最小化する工程が必要である。この目標を達成するためには、工程を経済的かつ技術的に実行可能にするよう、エネルギーを効率的に利用する必要がある。
【0021】
したがって、発熱反応によって提供されるエネルギーを効率的に使用し、外部エネルギーの使用の必要性を最小限に抑え、それによって天然ガスネットワークに供給するのに十分に純粋な加圧されたメタン富化ガスを効率的に提供する、改良されたメタン化の方法およびシステムが必要である。
【発明の概要】
【0022】
本発明は、発熱反応によって提供されるエネルギーを効率的に使用し、外部エネルギーの使用の必要性を最小限に抑え、それによって天然ガスネットワークに供給または他の下流用途に使用できる純粋なメタンにまで加圧されメタン富化されたガスを効率的に提供する、改良型のメタン化の方法およびシステムを提供する。
【0023】
本発明は、メタン化反応器で発生する反応熱で駆動するターボチャージャーを用いて、システム内で発生する出発原料および/またはメタン富化ガスを加圧し、それによってモーター駆動圧縮機を用いた場合に発生するであろう費用を大幅に削減する。
【0024】
本発明の改良されたメタン化の方法およびシステムは、1つ以上のメタン化工程と1つ以上のターボチャージャーの新規な組み合わせを使用し、熱交換器で補完することができる。メタン化工程は、全段階において断熱的工程とすることができる。しかし、メタン化工程は、1つ以上の段階で等温にすることもできる。
【0025】
本発明の改良されたメタン化の方法およびシステムは、いくつかの方法で達成することができる。
【0026】
一実施形態では、メタン化されるガス(供給ガス)またはメタン富化された(メタン化された)ガス(生成ガス)は、ターボチャージャーの両方のコンポーネントを完全に通過して流れる。
【0027】
別の実施形態では、メタン化されるガスまたはメタン化されたガスは、ターボチャージャーの圧縮機のみを通過する。
【0028】
本発明の一実施形態では、メタン化ガスは、それが生成されたメタン化反応器に戻されない。メタン化ガスは、連続ガスラインを通って下流に進み、システムから完全に取り除かれる。換言すると、連続ガスラインの出口で、生成されたメタン化ガスのすべてを除去することができる。メタン化ガスの全てをシステムから除去することは、工程で生成されたメタン富化ガスが連続ガスラインの出口から1つ以上のメタン化反応器へ戻されないことを意味する。再循環を回避することにより、システム構造が簡素化され、従来技術のTREMP法のように、比較的高価な高温圧縮機または中間冷却ステップを使用する必要がなくなる。
【0029】
別の実施形態では、メタン富化ガスの一部を再循環してメタン化反応器に戻して、反応温度を制御することができる。
【0030】
別の実施形態では、再循環用圧縮機を追加で設置することなく、簡単な制御弁によってメタン富化ガスの一部を再循環することができる。これは、ターボチャージャーによるメインガス流の圧縮により、システムの出口の圧力が入口の圧力よりも高くなるため可能である。
【0031】
本発明の主な利点は、システムの出口で、出発原料の初期圧力と比較して増加した圧力が得られることである。加圧されたメタン富化ガスは、下流の用途に直接使用することができる。例えば、メタン富化ガスをさらに加圧する必要なく、天然ガスネットワークに供給することができる。
【0032】
したがって、本発明の方法およびシステムは、大気圧などの低圧で出発原料を使用し、それでも加圧されたメタン富化ガスを提供することができる。したがって、本発明の方法およびシステムは、高圧の出発原料を必要とせず、したがって、例えば、出発原料を加圧する圧縮機用の電気エネルギーを使用することに関連するまたは引き起こされる高価なプロセス費用を回避することができる。
【0033】
さらに、本発明の方法およびシステムでは、下流工程で使用する前にメタン富化ガスをさらに加圧する必要がない。したがって、この加圧ステップに関連する費用も回避される。
【0034】
したがって、本発明は、発熱反応によって提供されるエネルギーを効率的に使用し、外部エネルギーの使用の必要性を最小限に抑え、それによって天然ガスネットワークに供給できる純粋なメタンにまで加圧されメタン富化されたガスを効率的に提供する、改良型のメタン化の方法およびシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示す。このシステムは、ターボチャージャー(2)および統合断熱メタン化反応器(1)を含む。
図2図2は、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示す。このシステムは、ターボチャージャー、統合断熱メタン化反応器および熱交換器(8)を含む。熱交換器はレキュペレーターであり、生成されたメタン富化ガスが圧縮機(3)から出る水素および炭素含有出発原料を加熱する。
図3図3は、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示す。このシステムは、ターボチャージャー、ターボチャージャーの下流に配置されたメタン化反応器(1)および熱交換器(8)を含む。熱交換器はレキュペレーターであり、生成されたメタン富化ガスが圧縮機から出る水素および炭素含有出発原料を加熱する。
図4図4は、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示す。このシステムは、ターボチャージャーと、ターボチャージャーの上流に配置されたメタン化反応器(1)を含む。システムは、さらに、2つの熱交換器(8)を含む。
図5図5は、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示す。このシステムは、図4に示したシステムと同様である。メタン化反応からの熱流(10)は、タービンに入る前に圧縮機から出る生成したメタン富化ガスの回収のために使用される。
図6図6は、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示す。このシステムは、ターボチャージャーの圧縮機に入る前にタービンに入る、生成されたメタン富化ガスの逆流を有するターボチャージャーを含む。
図7図7は、図1のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示す。さらに、ポンプ(12)によって加圧され、予熱要素/蒸発器(8c/8d)において予熱および/または一部もしくは全部が蒸発する水(11)を、温度制御および質量流量の増加のためにメタン化反応器に注入することを含む。
図8図8は、図7のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示すが、2つのメタン化反応器を含む。第1のメタン化反応器は断熱メタン化反応器であり、第2のメタン化反応器は等温メタン化反応器である。
図9図9は、2つのメタン化反応器を含む、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスと電力を生成するためのシステムの概略図を示す。第1のメタン化反応器は、沸騰水冷却器によって冷却される。第1のメタン化反応器におけるメタン化工程は等温である。第2のメタン化反応器は、断熱メタン化反応器である。
図10図10は、図1のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示すが、2つのターボチャージャーを含み、中間冷却要素(8b)がそれぞれのターボチャージャーの圧縮機間に配置される。
図11図11は、図10のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスと電力を生成するためのシステムの概略図を示すが、それぞれのターボチャージャーのタービン間に配置された第2の断熱メタン化反応器を含む。
図12図12は、図11のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示すが、追加のレキュペレーターを含む。
図13図13は、図12のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスと電力を生成するためのシステムの概略図を示すが、等温メタン化工程が行われる第3のメタン化反応器と、電力の生成のための火力発電プラントを含む。
図14図14は、2つのターボチャージャーを含む、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示し、両方のターボチャージャーが断熱メタン化反応器の上流に配置され、熱は、第1のタービンに入る前にレキュペレーターで生成ガスから供給ガスに移動する。
図15図15は、図14のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示すが、追加の断熱メタン化反応器および追加のレキュペレーターを含む。
図16図16は、それぞれのメタン化反応器の下流に配置された、回収とターボチャージャーを備えた2段階のメタン化工程を含む、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示し、各メタン化反応器で生成されたメタン富化ガスは圧縮機に入る前にタービンに入る(逆流)。
図17図17は、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスと電力を生成するためのシステムの概略図を示し、これは、図1のシステムに対応する第1段階、下流のターボチャージャーで第2のメタン化反応器で生成されたメタン富化ガスの逆流を伴う第2段階、ならびに蒸気回路によって制御される等温メタン化工程を用いる第3のメタン化反応器およびシステムを出るメタン富化ガスで非常に高いメタン含有量を得るために研磨された第4のメタン化反応器を含む第3段階の組み合わせである。
図18図18は、メタン化反応器の下流に位置するターボチャージャーを含む、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示す。
図19図19は、メタン化反応器の熱流を用いる圧縮機と熱交換器の間に配置された追加のレキュペレーターを含む、図18のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタンを生成するためのシステムの概略図を示す。
図20図20は、追加のメタン化段階を含む図18のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスと電力を生成するためのシステムの概略図を示す。
図21図21は、図18のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図であるが、断熱メタン化反応器および下流のレキュペレーターを含む。
図22図22は、追加の等温メタン化段階と火力発電プラントを含む、図21のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスと電力を生成するためのシステムの概略図を示す。
図23図23は、追加の第3のメタン化段階を含む、図16のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスと電力を生成するためのシステムの概略図を示す。
図24図24は、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するための複合的な例示的システムの概略図を示し、前の図に示したシステムのいくつかの利点を組み合わせている。
【発明を実施するための形態】
【0036】
発明の説明
本発明は、少なくとも1つの単段または多段のメタン化工程を含むシステムにおける水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスまたはメタンおよび任意に電力を生成するための方法に関し、以下のステップを含む:
a)以下を提供するステップ:
少なくとも1つの単段または多段メタン化工程のための、それぞれに1つのメタン化反応器(1)であって、各メタン化反応器が、水素および炭素含有出発原料または前のメタン化段階からのメタン富化ガスを含む供給ガスの導入のための入口と、メタン富化された生成ガスの出口を含むメタン化反応器;
水素と炭素含有出発原料の導入のための入口(6)およびシステムからメタン富化ガスを除去するための出口(7)を有する連続ガスライン;ならびに、
圧縮機(3)とタービン(4)が共通のシャフト(5)によって機械的に接続している少なくとも1つのターボチャージャー(2)であって、連続ガスラインを経由してメタン化反応器と接続している少なくとも1つのターボチャージャー;
(少なくとも1つの圧縮機は、連続ガスラインに接続され、連続ガスラインの一部である出発原料の導入からメタン富化ガスの除去までの経路を規定する部分、特にメタン化反応器の上流、メタン化反応器の間、またはメタン化反応器の下流を規定する部分に配置されている);
【0037】
b)連続ガスラインの入口に、水素と炭素含有出発原料を導入するステップ;
c)メタン化反応器において、メタン富化ガスを生成するステップ;ならびに、
d)メタン化工程中に放出されたエネルギーを用いて、少なくとも1つの圧縮機を介して連続ガスライン内のシステム圧力を上昇させるステップ。
【0038】
本発明はまた、少なくとも1つの単段または多段メタン化工程において、水素および炭素含有出発原料からメタン富化ガスまたはメタンおよび任意に電力を生成するためのシステムに関する。本発明はまた、少なくとも1つの単段または多段メタン化工程において、水素および炭素含有出発原料からのメタン富化ガスまたはメタンおよび電力の生成を維持するためのシステムに関する。
【0039】
当該システムは本発明の方法で使用されるシステムであり、以下を含む:
少なくとも1つの単段または多段メタン化工程のための、それぞれに1つのメタン化反応器(1)であって、各メタン化反応器が、水素および炭素含有出発原料または前のメタン化段階からのメタン富化ガスを含む供給ガスの導入のための入口と、メタン富化された生成ガスの出口を含むメタン化反応器;
水素と炭素含有出発原料の導入のための入口(6)およびシステムからメタン富化ガスを除去するための出口(7)を有する連続ガスライン;ならびに、
【0040】
圧縮機(3)とタービン(4)が共通のシャフト(5)によって機械的に接続している少なくとも1つのターボチャージャー(2)
(少なくとも1つの圧縮機は、連続ガスラインに接続され、連続ガスラインの一部である出発原料の導入からメタン富化ガスの除去までの経路を規定する部分、特にメタン化反応器の上流、メタン化反応器の間、またはメタン化反応器の下流を規定する部分に配置されている)。
【0041】
本発明の別の態様は、本発明のメタン化の方法のための本発明のシステムの使用である。
【0042】
本発明の方法またはシステムでは、メタン化反応器で発生する熱を用いてターボチャージャーを駆動し、システム内の圧力を上昇させることにより、メタン化工程を効率的に維持することができる。したがって、また本発明は、上記の少なくとも1つの単段または多段のメタン化工程を含むシステムにおいて、水素および炭素含有出発原料からメタン富化ガスまたはメタンおよび任意に電力の生成を維持するための方法またはシステムであると説明することができる。
【0043】
本発明の文脈における供給ガスはメタン化反応器に入るガスであり、最初のメタン化段階の前にメタン化反応器に入る供給ガスは、水素と炭素含有出発原料を含む。後続のメタン化段階における供給ガスは、前のメタン化段階で生成されたメタン富化ガスである前のメタン化段階の生成ガスを含む。
【0044】
本発明の文脈における生成ガスはメタン化反応器から出るガスである。生成ガスは、メタン富化ガスまたはメタン化ガスであり、同じメタン化反応器に入る供給ガスと比較して、メタンの含有量が増加している。
【0045】
供給ガスの組成、例えば供給ガス中のメタンの含有量、およびメタン化反応器における反応条件に応じて、メタン富化された生成ガスは、約97%超のメタン濃度を有することができる。炭素含有出発原料は、好ましくはCOおよび/またはCOである。
【0046】
本方法及びシステムは、当業者が使用するパラメータを用いて動作させることができる。
【0047】
炭素含有出発原料は、好ましくは大気圧で提供される。本発明による圧縮機を使用することにより、連続ガスラインの出口における圧力は、連続ガスラインの入口における圧力よりも高くなる。好ましくは、その圧力は、0.1~100バール、より好ましくは1.5~25バール、さらに好ましくは2~8バールの範囲であり得る。
【0048】
一般的な設定では、ターボチャージャーの圧縮機は圧力を2~8倍上昇させ、タービンは圧力を1.5~3倍下げる。具体的な性能はターボチャージャーの品質に依存する。ターボチャージャーの各段階で、約1.5~3倍の圧力上昇が予想される。
【0049】
実施例1および図1に示すシステムでは、入口圧力は1バールである。圧縮機の後、圧力は3バールに上昇する。メタン化工程は3バールで行われる。タービンでは、圧力は1.5バールに低下する。生成ガスは、1.5バールの圧力でシステムから排出される。
【0050】
実施例12および図12に示す2段式システムでは、第1の圧縮機後の3バールの圧力が、第2の圧縮機後に9バールに上昇する(各段階につき3倍)。最初のメタン化工程は、9バールで行われる。第1のタービンでは、圧力は4.5バールに低下する。第2のメタン化工程は、温度を下げながら4.5バールで行われる。第2のタービンでは、圧力は2.25バールまで低下する。生成ガスは2.25バールの圧力でシステムから排出される。
【0051】
本発明の方法およびシステムは、進行中のメタン化工程を維持するのに特に有効である。しかし、これらは、新しいメタン化反応を開始する場合にも使用することができる。
【0052】
新たなメタン化反応を開始するために、本発明の方法は、水素と炭素含有出発原料を連続ガスラインの入口に導入する前に、メタン化反応器を予熱することをさらに含むことができる。
【0053】
連続ガスラインの入口における出発原料の温度範囲は、室温などの周囲温度から100℃までの範囲とすることができる。第1のメタン化反応器の入口における温度は、好ましくは少なくとも約130~150℃である。この温度範囲では反応器内の発熱反応がそれ自体を維持するからである。
【0054】
メタン化工程は、反応器温度が約200℃、より好ましくは約250℃で開始する。水素と炭素含有出発原料を含む供給ガスを電気的に約200℃に加熱してシステム内に供給し、工程を開始させることができる。
【0055】
本発明の方法は、ステップb)とc)の間に、少なくとも1つのメタン化反応器に水または蒸気を直接注入する、または少なくとも1つのメタン化反応器の供給ガスを導入するための入口の上流の連続ガスラインに水または蒸気を注入する、追加のステップをさらに含むことができる。これにより、圧縮機と比較してタービンにおける質量流量が増加し、圧縮機の加圧比を増加できるという利点が得られる。
【0056】
さらに、反応器内の温度は必要に応じて、メタン化反応器への蒸気または水の直接注入またはメタン化反応器の入口前の注入によって制限することもできる。水/蒸気の注入ステップを含むこれらの実施形態において、本発明のシステムは、水または蒸気を少なくとも1つのメタン化反応器に直接注入するための水/蒸気注入ユニット、または供給ガスの導入のための入口の上流の連続ガスラインに注入するための水/蒸気注入ユニットを含む。水/蒸気注入ユニットは、水および/または蒸気を運ぶラインを含む。
【0057】
水は、メタン化反応器の入口の前の位置で、ポンプによってメタン化反応器または連続ガスラインに向かって圧送される。水は、生成ガスがシステムから出る前に、生成ガスから供給される熱を用いて熱交換器要素で蒸気または熱水に変換される。
【0058】
本発明の方法は、追加的または代替的に、メタン化工程の開始前に、水素および炭素含有出発原料の初期圧縮を促進するために、圧縮機に外部エネルギーを供給することをさらに含むことができる。
【0059】
本発明の方法およびシステムにおける圧縮機の設置位置は、連続ガスラインのガスを加圧できる位置に設置されていれば、特に限定されない。
【0060】
一つの選択肢では、圧縮機は、連続ガスラインの入口とメタン化反応器の入口の間に位置する場所で連続ガスライン内の圧力を上昇させる。すなわち、圧縮機は、メタン化反応器の前に位置する連続ガスライン内の位置に配置することができる。
【0061】
これは、メタン化工程を増加した圧力レベルで行うという利点を提供する。別の選択肢では、圧縮機は、メタン化反応器の出口と連続ガスラインの出口の間に位置する場所で連続ガスライン内の圧力を上昇させる。すなわち、圧縮機は、メタン化反応器の後に位置する連続ガスラインの位置にも配置することができる。
【0062】
これにより、圧縮機内の体積流量が減少するという利点が得られる。メタン化反応では、4分子のHと1分子のCOが反応して2分子の水と1分子のメタンになるので、体積が約3/5に減少することに相当する。圧縮機の体積流量を減らすことで、圧縮機の性能を向上させることができる。
【0063】
別の選択肢では、タービンを圧縮機の上流の位置に配置することもできる。これにより、圧縮機内の体積流量をさらに減少できるという利点がある。タービンを出るガスは冷却することができ、圧縮機に入る前に水蒸気を凝縮して除去することができる。これにより、特にタービン内のガス体積と圧縮機内のガス体積を比較した場合、ガス体積はさらに減少する。
【0064】
1つ以上のターボチャージャーを有する実施形態では、1つの圧縮機を最初のメタン化反応器の前に配置することができ、別の圧縮機を最後のメタン化反応器の後に配置することができる。また1つ以上の圧縮機は、任意の2つのメタン化反応器の間に配置することができる。
【0065】
本発明の方法又はシステムにおいて、少なくとも1つのターボチャージャーをメタン化反応器の上流に配置することができ、メタン化反応器で生成された熱は、少なくとも1つの熱交換器を介してタービンと圧縮機の間の位置でターボチャージャーに供給することができる。
【0066】
あるいは、少なくとも1つのターボチャージャーをメタン化反応器の下流に配置し、メタン化反応器で生成された熱を、少なくとも1つの熱交換器を介してタービンと圧縮機の間の位置でターボチャージャーに供給することができる。
【0067】
熱交換器は、ターボチャージャーがメタン化反応器の上流または下流に配置されている場合でも、圧縮機とタービンのコンポーネント間でターボチャージャーに熱を確実に伝えることができるようにする。
【0068】
あるいは、少なくとも1つのターボチャージャーは、2つのメタン化反応器の間に配置することができ、ターボチャージャーの上流に配置されたメタン化反応器で生成された熱は、ターボチャージャーのタービン入口の前に、好ましくはタービンと圧縮機の間の位置で、少なくとも1つの熱交換器を介してターボチャージャーに供給される。
【0069】
本発明の方法またはシステムは、少なくとも1つのターボチャージャーを含む。それらはまた、複数のターボチャージャーを含むこともできる。特定の実施形態では、2つ、3つ、またはそれを超えるターボチャージャーを使用することができる。ターボチャージャーの段階が増えるごとに、システム内の圧力を増加することができる。
【0070】
本発明の方法またはシステムは、熱交換器要素を介した連続ガスラインの中間冷却または中間加熱によってさらに制御することができる。
【0071】
本明細書で使用される用語「熱交換要素/熱交換器」は、中間冷却要素、中間加熱要素、レキュペレーター、ガス冷却要素、予熱要素、凝縮器、および/または蒸発器を指すことができる。好ましい実施形態では、熱交換器は、レキュペレーターとすることができ、このレキュペレーターは、タービンを出るガスから、メタン化反応器に入れるための水素および炭素含有出発原料に熱を伝達する。
【0072】
本発明の方法またはシステムにおいて、少なくとも1つの単段メタン化工程は断熱的とすることができ、または多段メタン化工程の少なくとも1つの段階は断熱的とすることができる。断熱的工程では、ガス温度が上昇し、これはタービンの性能を向上させる。好ましい実施形態では、第1段階は断熱メタン化反応器内で行われて、システム内の温度を最大にする。
【0073】
反応器内で到達する最高温度は、350~800℃、例えば500~800℃の範囲とすることができ、ガスの組成および圧力に依存する。好ましい最高温度は、約430~約720℃、例えば630~約720℃の範囲である。
【0074】
断熱的工程で発生した熱流をターボチャージャー、特にターボチャージャーの圧縮機の駆動に使用できるため、断熱的工程が好ましく使用される。さらなる段階も断熱的とすることができる。
【0075】
本発明の方法またはシステムにおいて、少なくとも1つの単段メタン化工程は等温とすることができ、または多段メタン化工程の少なくとも1つの段階は等温とすることができる。等温反応は、約200~300℃の低い温度範囲で行われ、さらに処理することなく下流の用途で使用できる、より優れたガス組成を提供するという利点がある。
【0076】
より優れたガス組成とは、より多くの出発原料がメタンに反応することを意味する。等温工程の生成ガスは、同じ出発原料を使用する断熱的工程の生成ガスよりも多くのメタンを含む。これはメタンへの反応の断熱的工程で到達する高温での反応バランスが最適ではないためである。
【0077】
本発明の好ましい実施形態では、方法またはシステムは、少なくとも1つの断熱的工程と少なくとも1つの等温工程の組み合わせを含み、これらの工程の両方によって提供される利点から利益を得る。メタン化段階の数は、システムで生成されるメタン富化ガスの要件に応じて当業者が選択することができる。追加的な段階により、生成ガス中のメタン濃度を高めることができる。
【0078】
本発明の等温メタン化工程では、メタン化反応器内の温度は火力発電プラントにより制御される。
【0079】
本発明の文脈における火力発電プラントは、熱エネルギーを電力に変換できるシステムである。本発明のシステムまたは方法に火力発電プラントが存在する場合、本発明のシステムまたは方法は、メタン富化ガスおよび電力を生成するために使用することができる。例えば、蒸気駆動のタービンは、熱を電力への中間体として機械的な力に変換することができる。蒸気タービンは、火力発電プラントのラインに接続され、その中で作動媒体が移動する。好ましい実施形態では、作動媒体は水および/または蒸気である。
【0080】
あるいは、作動媒体は熱媒油または溶融塩であってもよい。熱媒油または溶融塩は、通常、熱を蓄える中間回路で使用される。熱媒油/溶融塩回路に蓄えられた熱は、蒸気回路に送られる。そのため、水/蒸気による直接冷却を使用するシステムと比較して、このシステムは追加の回路を含み、システムがより複雑になる。一方、熱媒油/溶融塩回路による間接冷却では、水/蒸気回路による直接冷却の場合のように、反応器を最大80バールなどの高圧に対応するように設計する必要はない。これは、熱媒油回路が圧力を必要としないためである。
【0081】
火力発電プラントでは、水などの作動媒体が加熱され、蒸気に変わり、蒸気タービンを駆動し、これにより発電機を駆動することができる。本発明のいくつかの実施形態では、等温メタン化反応器で生成した熱流は、火力発電プラントシステム内の作動媒体を加熱するために使用することができる。さらに、作動媒体は熱交換器要素で予熱することができ、加熱されたメタン化ガスは、メタン化ガスがシステムを出る前に作動媒体を予熱する。蒸気がタービンを通過した後、蒸気は凝縮器で凝縮され、加熱された場所にリサイクルされる。
【0082】
本発明の方法またはシステムにおいて、ターボチャージャーのタービンは、メタン化反応器から出るガスの圧力を低減することができる。追加的または代替的に、タービンを火力発電プラントの蒸気回路に配置し、別のメタン化反応器の温度を制御するために使用される火力発電プラントのライン内を移動する作動媒体の圧力を低下させることができる。
【0083】
本発明の方法またはシステムにおいて、メタン化工程で生成された熱の一部をターボチャージャーで使用することができ、別の部分、好ましくはより大きな部分を使用して蒸気または電力を生成することができる。メタン化工程で生成された熱のすべてをターボチャージャーで使用することは熱力学的に不可能であるため、残りの熱を発電に使用することが有利である。これにより、方法とシステムがより効率的になる。
【0084】
本発明は、以下の実施例でさらに説明される。
【実施例
【0085】
実施例1
本発明のシステムと方法に関する1つの例を図1に示す。
【0086】
図1は、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示す。このシステムは、共通のシャフト(5)によって機械的に接続された圧縮機(3)およびタービン(4)を含むターボチャージャーと、圧縮機とタービンとの間に配置された断熱(非冷却)メタン化反応器(1)を含む。入口圧力は1バール(a)、温度は20℃である。供給ガスは、例えば4mol/sのHと1mol/sのCOから構成されている。水素と炭素含有出発原料は、圧縮機を通過する。圧縮機の出口の圧力は、例えば3バール(a)である。圧縮機とタービンの等エントロピー効率は90%と仮定する。
【0087】
次に、3バール(a)の断熱メタン化反応器で、約0.48mol/sのメタンを有するメタン化ガスと、628℃の出口温度が生成される。生成されたメタン富化ガスは、メタン化反応器から出てタービンに入る。このガスは圧縮機を駆動するためにタービンで約1.5バール(a)まで膨張する。約17.5kWの電力がターボチャージャーのシャフトを介して伝達される。その後、膨張したメタン富化ガスがシステムから排出される。出発原料ガスの完全な変換を達成するために、示された例では、タービンの後に少なくとも1つの追加のメタン化反応器を加えることができる。これは例えば280℃で等温運転することができ、メタン化における温度は火力発電プラントを介して制御される。
【0088】
実施例2
図2は、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示す。このシステムは、共通のシャフト(5)によって機械的に接続された圧縮機(3)およびタービン(4)を含むターボチャージャー(2)と、圧縮機とタービンの間に配置された断熱メタン化反応器(1)を含む。このシステムは、さらに、熱交換器(8)を含む。熱交換器はレキュペレーターであり、生成されたメタン富化ガスが圧縮機から出る水素と炭素含有出発原料を加熱する。レキュペレーター(50Kピンチ)は、メタン化反応器への入口の温度を約513℃に上昇させる(図1に示すシステムにおける約131℃との比較)。
【0089】
反応器を出たメタン化ガスは約702℃の温度である(図1に示すシステムにおける約628℃との比較)。これにより、メタン生成量が減少する(反応器出口でのメタンは0.26mol/sである)。しかし、温度が上昇したことで、圧縮機を駆動するための圧力差が減少した状態でタービンが動作できる。したがって、メタン富化ガスには、1.7バール(図1に示すシステムにおける1.5バールとの比較)の増加した圧力を与えることができる。レキュペレーターを通過した後にシステムを出るメタン富化ガスは、約181℃の温度である。
【0090】
実施例3
図3は、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示す。このシステムは、共通のシャフト(5)によって機械的に接続された圧縮機(3)およびタービン(4)を含むターボチャージャーと、圧縮機およびタービンの下流に配置されたメタン化反応器(1)を含む。システムは、熱交換器(8)をさらに含む。熱交換器はレキュペレーターであり、生成されたメタン富化ガスが、圧縮機から出る水素および炭素含有出発原料を加熱する。
【0091】
実施例4
図4は、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示す。このシステムは、共通のシャフト(5)によって機械的に接続された圧縮機(3)およびタービン(4)を含むターボチャージャーと、圧縮機およびタービンの上流に配置されたメタン化反応器(1)を含む。このシステムは、さらに、2つの熱交換器(8/8a)を含む。生成されたメタン富化ガスは、圧縮機とタービンの間に配置されたレキュペレーター(8)である1つの熱交換器を通過し、圧縮機を出る生成メタン富化ガスはメタン化反応器を出る生成メタン富化ガスと逆流する。反応で生成された蒸気は、さらなる熱交換要素であるガス冷却要素(8a)で凝縮され、その結果、凝縮物(9)は、メタン富化ガスが圧縮機に入る前にシステムから流出する。
【0092】
実施例5
図5は、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示す。このシステムは、図4に示したシステムと同様である。メタン化反応からの熱流(10)は、タービンに入る前に圧縮機から出る生成したメタン富化ガスの回収のために使用される。
【0093】
実施例6
図6は、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示す。このシステムは、ターボチャージャーの圧縮機に入る前にタービンに入る、生成されたメタン富化ガスの逆流を有するターボチャージャーを含む。生成されたメタン富化ガスはタービンに入り、次にレキュペレーターで水素と炭素含有出発原料の向流により冷却される。反応で生成された蒸気は、さらなる熱交換要素である中間冷却要素(8b)で凝縮され、その結果、凝縮物(9)は、メタン富化ガスが圧縮機に入る前にシステムから流出する。圧縮機から出たメタン富化ガスはシステムから出る。
【0094】
実施例7
図7は、図1のシステムと同様の、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示す。それは、水が移動するラインを含む水/蒸気注入ユニットをさらに含む。予熱要素(8c)または蒸発器(8d)とすることができる熱交換器(8c/8d)(そこでは、メタン化反応で生成された蒸気が凝縮し、凝縮物がシステム外に流出する)を介してポンプ(12)により圧送された水(11)は加熱されて熱水/蒸気(13)となり、メタン化反応器に注入される。
【0095】
実施例8
図8は、図7のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示すが、2つのメタン化反応器を含む。第1のメタン化反応器は断熱メタン化反応器である。第1のメタン化反応器で生成された加熱されたメタン富化ガスは、メタン富化ガスがタービンに入る前に、第2のメタン化反応器を出るメタン富化ガスを加熱するために使用される。
【0096】
第2のメタン化反応器は、沸騰水冷却器によって冷却される。第2のメタン化反応器におけるメタン化工程は等温である。水/蒸気注入ユニットは、図7に示す水/蒸気注入ユニットと同様である。圧送された水は、システムを出る前に、生成されたメタン富化ガスの余熱を用いて予熱熱交換器内で熱水(14)に加熱され、そして熱水は、第2のメタン化反応器で生成された熱流を用いて追加の熱交換器で蒸気(15)を得るために加熱される。蒸気は、第2のメタン化反応器の下流であるがタービンの上流であるポイントにおいて、連続ガスラインに注入される。
【0097】
実施例9
図9は、2つのメタン化反応器を含む、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスと電力を生成するためのシステムの概略図を示す。第1のメタン化反応器は、沸騰水冷却器によって冷却される。第1のメタン化反応器におけるメタン化工程は等温である。第2のメタン化反応器は、断熱メタン化反応器である。第1のメタン化反応器で生成された加熱されたメタンは、蒸気回路を含む火力発電プラント内の水を加熱するために使用される。回路の一部では、水は火力発電プラントのラインを通って熱交換器に圧送され、第1のメタン化反応器で生成されたメタン富化ガスと水を向流させることによって加熱される。
【0098】
メタン富化ガス流からの凝縮物は、回路のこのポイントでシステムから流出する。回路の別の部分では、水が火力発電プラントのラインを通って別の熱交換器に圧送され、第2のメタン化反応器で生成されたメタン富化ガスと水を向流させることによって加熱される。回路の両方の部分から加熱された水は追加の熱交換器に入り、蒸気を発生させる。第1のメタン化反応器からの熱流は、水の加熱に使用され、その結果、第1のメタン化反応器が冷却される。蒸気は、ターボチャージャーのタービン(4)の駆動に使用される。残圧は発電用蒸気タービン(16)で使用される。残留蒸気は凝縮器で冷却され、ポンプに送られ、それによって回路が完成する。蒸気タービンによって生成した電力は、蒸気回路のポンプを駆動するために、および/または電力供給網に送り出すなどの他の目的のために一部使用することができる。
【0099】
水素と炭素含有出発原料は、第1のメタン化反応器に入る。生成されたメタン富化ガスは、第1のメタン化反応器を出て、熱交換器で冷却され、その結果、凝縮物がシステムから流出する。次いで、メタン富化ガスは、第2のメタン化反応器に入る前に、圧縮機に入る。生成されたメタン富化ガスは、第2のメタン化反応器を出て、ポンプからターボチャージャーのタービンに流れる水を加熱するために使用され、その後、システムから出る。
【0100】
実施例10
図10は、図1のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示すが、2つのターボチャージャーを含み、中間冷却要素がそれぞれのターボチャージャーの圧縮機間に配置される。
【0101】
実施例11
図11は、図10のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示すが、それぞれのターボチャージャーのタービン間に配置された第2の断熱メタン化反応器を含む。
【0102】
実施例12
図12は、図11のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示すが、追加のレキュペレーターを含む。そこではシステムから出る前に、生成されたメタン富化ガスを使用して、水素と炭素含有出発原料を加熱してから第1のメタネーション反応器に入れる。
【0103】
実施例13
図13は、図12のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスと電力を生成するためのシステムの概略図を示すが、等温メタン化工程が行われる第3のメタン化反応器を含む。第3のメタン化反応器は、第3のメタン化反応器で生成された熱流を使用して発電するための蒸気タービンを含む火力発電プラントと相互作用する。
【0104】
実施例14
図14は、2つのターボチャージャーを含む、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示し、中間冷却要素(8b)がそれぞれのターボチャージャーの圧縮機の間に配置される。水素および炭素含有出発原料は、メタン化反応器を出る生成されたメタン富化ガスを用いて、レキュペレーターで加熱される。メタン化反応器は、ターボチャージャーの下流に配置される。
【0105】
実施例15
図15は、図14のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示すが、追加の断熱メタン化反応器を含む。第2のメタン化反応器で生成されたメタン富化ガスは、2つのタービンの間の位置で水素および炭素含有出発原料を加熱するために使用される。
【0106】
実施例16
図16は、それぞれのメタン化反応器の下流に配置された、回収とターボチャージャーを備えた2段階のメタン化工程を含む、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示し、各メタン化反応器で生成されたメタン富化ガスは圧縮機に入る前にタービンに入る(逆流)。
【0107】
実施例17
図17は、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスと電力を生成するためのシステムの概略図を示し、これは、図1のシステムに対応する第1段階、下流のターボチャージャーで第2のメタン化反応器で生成されたメタン富化ガスの逆流を伴う第2段階、ならびに蒸気回路によって制御される等温メタン化工程を用いる第3のメタン化反応器およびシステムを出るメタン富化ガスで非常に高いメタン含有量を得るための研磨装置としての第4のメタン化反応器を含む第3段階の組み合わせである。
【0108】
実施例18
図18は、メタン化反応器の下流に位置するターボチャージャーを含む、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示す。メタン化反応器の熱流は、タービンに入る前に圧縮機から出るメタン富化ガスを加熱するために使用される。メタン化反応器で生成されたメタン富化ガスは、圧縮機に入る前に冷却される。凝縮物はシステムから流出する。メタン化反応器に入る前の水素と炭素含有出発原料を加熱するために、レキュペレーターが使用される。
【0109】
実施例19
図19は、メタン化反応器の熱流を用いて圧縮機と熱交換器の間に配置された追加のレキュペレーターを含む、図18のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図を示す。
【0110】
実施例20
図20は、追加のメタン化段階を含む図18のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスと電力を生成するためのシステムの概略図を示す。追加のメタン化反応器は、熱流を用いて火力発電プラントの蒸気回路内の水を気化させて発電することにより、火力発電プラントによって冷却される。
【0111】
実施例21
図21は、図18のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するためのシステムの概略図であるが、断熱メタン化反応器および下流の熱交換器を含む。メタン化反応器を出るメタン富化ガスは、圧縮機を出るメタン富化ガスを加熱するために使用される。
【0112】
実施例22
図22は、追加のメタン化段階を含む、図21のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスと電力を生成するためのシステムの概略図を示す。追加のメタン化反応器は、熱流を用いて火力発電プラントの蒸気回路内の水を気化させて発電することにより、火力発電プラントによって冷却される。
【0113】
実施例23
図23は、追加の第3のメタン化段階を含む、図16のシステムと同様の本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスと電力を生成するためのシステムの概略図を示す。追加の第3のメタン化反応器は、熱流を用いて火力発電プラントの蒸気回路内の水を気化させて発電することにより、火力発電プラントによって冷却される。
【0114】
実施例24
図24は、本発明による水素と炭素含有出発原料からメタン富化ガスを生成するための複合的な例示的システムの概略図を示す。断熱的メタン化段階の後に、第1のメタン化反応器において生成された熱流の回収利用が続き、次いで凝縮物をシステムから流出させる中間冷却が続き、次いで2つのターボチャージャーの圧縮機における2段階圧縮が続く。
【0115】
熱水/蒸気の注入を伴う第2の断熱的メタン化段階の後に、回収加熱とそれぞれのターボチャージャーのタービンにおける膨張が続く。第3のターボチャージャーのタービンでのさらなる膨張ステップの後、メタンは第3のターボチャージャーの圧縮機で圧縮され、第3のメタン化反応器に入る。第3のメタン化反応器の熱流は、第2のメタン化反応器に注入する蒸気を生成するために使用される。
【0116】
この複合的なシステムの利点は、膨張タービンを通る質量流量が大幅に増加することである。これにより、システムの最後で非常に高い出口圧力、例えば、1バール(a)の入口圧力で最大50バール(a)を達成することができる。第2のメタン化段階の前の2段階圧縮により、約5~20バール(a)の圧力を得ることができる。中間冷却と凝縮物の分離を組み合わせることで、非常に高いメタン濃度(>97%)を達成することができる。別の利点は、メタン化段階が断熱的であるため、複雑な冷却回路が必要ないことである。第1段階(高温)は大気圧でのみ動作するため、出口温度は本質的に約600℃に制限される。
【0117】
参照符号リスト
1:メタン化反応器
2:ターボチャージャー
3:圧縮機
4:タービン
5:シャフト
6:水素と炭素含有出発原料(供給ガス)を導入するための連続ガスラインの入口
7:生成されたメタン富化ガス(生成ガス)を除去するための出口
8:熱交換器/レキュペレーター
8a:ガス冷却要素
8b:中間冷却要素
8c:予熱要素
8d:蒸発器
8e:凝縮器
9:凝縮物の流出
10:熱流
11:水
12:ポンプ
13:熱水/蒸気
14:熱水
15:蒸気
16:発電用蒸気タービン
図1
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【国際調査報告】