(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】CPAPヘッドギアのための柔軟性スライド通過機構
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20231019BHJP
【FI】
A61M16/06 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519687
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(85)【翻訳文提出日】2023-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2021075588
(87)【国際公開番号】W WO2022069255
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】シュトルム ヨルダン
(72)【発明者】
【氏名】チョドコウスキ ローレン パトリシア
(57)【要約】
加圧された呼吸ガスの流れを患者の気道に提供するための患者インタフェースとともに使用するためのヘッドギアは、ストラップに切り込まれたスロットを使用したスライド通過デザインを組み込んだフィット調節機構を有するストラップから製造される。スライド通過デザインは、ハードウェアからもたらされることがある圧力ポイントをなくし、器用さに問題を有する患者によるより容易な調節を促進する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸可能ガスの圧流を患者の気道に供給するための患者インタフェースとともに使用するためのヘッドギアであって、前記ヘッドギアは前記患者インタフェースを前記患者の顔に固定するように構成され、前記ヘッドギアは本体部を備え、
前記本体部は、
前記本体部の第1の端部と前記本体部の前記第1の端部の反対側の第2の端部との間に配置されたインタフェースポケットであって、前記患者インタフェースを保持し、前記患者インタフェースを前記患者の顔に固定する、インタフェースポケットと、
前記インタフェースポケットの第1の縁部から前記本体部の前記第1の端部に延在し、前記患者の頭部の第1の側部に対して配置された第1の横方向ストラップ部分であって、第1の取り付け部分及びスロットを備える、第1の横方向ストラップ部分と、
前記インタフェースポケットの前記第1の縁部の反対側に配置された第2の縁部から前記本体部の前記第2の端部に延在し、前記患者の頭部の第2の側部に対して配置された第2の横方向ストラップ部分であって、前記第2の横方向ストラップ部分は、前記第1の横方向ストラップ部分における前記スロットを通過し、第2の取り付け部分を備え、前記本体部の前記第1の端部が前記第2の取り付け部分に結合され、前記本体部の前記第2の端部が前記第1の取り付け部分に結合される、第2の横方向ストラップ部分と
を備える、ヘッドギア。
【請求項2】
前記ヘッドギアは上部ストラップを更に備え、前記上部ストラップは、前記患者の前記頭部の上部側に配置され、前記上部ストラップの第1の端部において前記第1の横方向ストラップ部分に結合され、前記上部ストラップの前記第1の端部の反対側に配置された第2の端部において前記第2の横方向ストラップ部分に結合される、請求項1に記載のヘッドギア。
【請求項3】
前記本体部は布から製造される、請求項1に記載のヘッドギア。
【請求項4】
前記本体部はいくつかの柔軟性ポリマーから製造される、請求項1に記載のヘッドギア。
【請求項5】
前記本体部の前記第1の端部及び前記本体部の前記第2の端部の各々は、面ファスナのフック又はループのうちの一方を備え、前記第1の取り付け部分及び前記第2の取り付け部分の各々は、面ファスナのフック又はループのうちの他方を備える、請求項1に記載のヘッドギア。
【請求項6】
前記第2の横方向ストラップ部分は2つのスロットを備え、前記第1の横方向ストラップ部分は、前記第2の横方向ストラップ部分の前記2つのスロットを通過する、請求項1に記載のヘッドギア。
【請求項7】
前記第1の横方向ストラップ部分及び前記第2の横方向ストラップ部分の各々はタブセクションとストッパセクションとを備え、
前記第1の横方向ストラップ部分の前記ストッパセクションは、前記第1の横方向ストラップ部分の前記タブセクション及び前記第2の横方向ストラップ部分の前記2つのスロットよりも広く、
前記第2の横方向ストラップ部分の前記ストッパセクションは、前記第2の横方向ストラップ部分の前記タブセクション及び前記第1の横方向ストラップ部分の前記スロットよりも広い、請求項6に記載のヘッドギア。
【請求項8】
前記第1の横方向ストラップ部分の前記ストッパセクションは、前記第2の横方向ストラップ部分の前記2つのスロットを通過できず、
前記第2の横方向ストラップ部分の前記ストッパセクションは、前記第1の横方向ストラップ部分の前記スロットを通過できない、請求項7に記載のヘッドギア。
【請求項9】
呼吸ガスの流れを患者の気道に提供するための機器であって、前記機器は、
送達管路を介して呼吸ガス生成器に動作可能に結合された患者インタフェースと、
前記患者インタフェースを前記患者の顔に固定するヘッドギアとを備え、前記ヘッドギアは本体部を備え、
前記本体部は、
前記本体部の第1の端部と前記本体部の前記第1の端部の反対側の第2の端部との間に配置されたインタフェースポケットであって、前記患者インタフェースを保持し、前記患者インタフェースを前記患者の顔に固定する、インタフェースポケットと、
前記インタフェースポケットの第1の縁部から前記本体部の前記第1の端部に延在し、前記患者の頭部の第1の側部に対して配置された第1の横方向ストラップ部分であって、第1の取り付け部分及びスロットを備える、第1の横方向ストラップ部分と、
前記インタフェースポケットの前記第1の縁部の反対側に配置された第2の縁部から前記本体部の前記第2の端部に延在し、前記患者の前記頭部の第2の側部に対して配置された第2の横方向ストラップ部分であって、前記第1の横方向ストラップ部分における前記スロットを通過し、第2の取り付け部分を備える、第2の横方向ストラップ部分とを備え、
前記本体部の前記第1の端部が前記第2の取り付け部分に結合され、前記本体部の前記第2の端部が前記第1の取り付け部分に結合される、
機器。
【請求項10】
前記機器は上部ストラップを更に備え、前記上部ストラップは、前記患者の前記頭部の上部側に配置され、前記上部ストラップの第1の端部において前記第1の横方向ストラップ部分に結合され、前記上部ストラップの前記第1の端部の反対側に配置された第2の端部において前記第2の横方向ストラップ部分に結合される、請求項9に記載の機器。
【請求項11】
前記本体部は布から製造される、請求項9に記載の機器。
【請求項12】
前記本体部はいくつかの柔軟性ポリマーから製造される、請求項9に記載の機器。
【請求項13】
前記本体部の前記第1の端部及び前記本体部の前記第2の端部の各々は、面ファスナのフック又はループのうちの一方を備え、前記第1の取り付け部分及び前記第2の取り付け部分の各々は、面ファスナのフック又はループのうちの他方を備える、請求項9に記載の機器。
【請求項14】
前記第2の横方向ストラップ部分は2つのスロットを備え、前記第1の横方向ストラップ部分は、前記第2の横方向ストラップ部分の前記2つのスロットを通過する、請求項9に記載の機器。
【請求項15】
前記第1の横方向ストラップ部分及び前記第2の横方向ストラップ部分の各々はタブセクションとストッパセクションとを備え、前記第1の横方向ストラップ部分の前記ストッパセクションは、前記第1の横方向ストラップ部分の前記タブセクション及び前記第2の横方向ストラップ部分の前記2つのスロットよりも広く、前記第2の横方向ストラップ部分の前記ストッパセクションは、前記第2の横方向ストラップ部分の前記タブセクション及び前記第1の横方向ストラップ部分の前記スロットよりも広い、請求項14に記載の機器。
【請求項16】
前記第1の横方向ストラップ部分の前記ストッパセクションは、前記第2の横方向ストラップ部分の前記2つのスロットを通過できず、前記第2の横方向ストラップ部分の前記ストッパセクションは、前記第1の横方向ストラップ部分の前記スロットを通過できない、請求項15に記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[01] 本特許出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2020年9月30日出願の米国仮特許出願第63/085,374号の優先権の利益を主張するものであり、この仮特許出願の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[02] 開示される概念は、呼吸可能ガスの圧流を患者の気道に供給するための患者インタフェースとともに使用するためのヘッドギアに関する。詳細には、本発明は、患者の首における張力を低減するヘッドギアに関する。
【背景技術】
【0003】
[03] 患者インタフェースは、多様なコンテキストにおいて、呼吸ガスの流れをユーザに送達するために使用される。特には、加圧された呼吸ガスは、医学的障害を治療するためにしばしば使用される。例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)又は睡眠時無呼吸症候群、特には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)などの症状を治療するために気道陽圧(PAP)を送達することが知られている。知られたPAP療法としては、患者の気道をスプリント開放するために患者の気道に一定の陽圧が提供される持続性気道陽圧(CPAP)、及び患者の気道に提供される圧力が患者の呼吸周期とともに変動される可変気道内圧などがある。
【0004】
[04] OSAは、通常、上気道の閉塞によって生じる。OSAは、睡眠中の呼吸における反復的な中断によって特徴付けられ、通常、血中酸素飽和度の低下に関連している。非侵襲的換気及び圧力補助療法は、マスクコンポーネントを含む患者インタフェースデバイスの患者の顔の上への設置を伴う。マスクコンポーネントは、これらに限定されるものではないが、患者の鼻を覆う鼻マスク、患者の鼻孔に受け入れられる鼻プロングを有する鼻クッション、鼻及び口を覆う鼻/口腔マスク、又は患者の顔を覆うフルフェイスマスクなどである。患者インタフェースデバイスは、換気装置又は圧力/流れ生成デバイスを患者の気道とインタフェースし、呼吸ガスの流れが換気装置又は圧力/流れ生成デバイスから患者の気道へと送達され得る。患者の頭部の上/周りにフィットするように適合された1つ又は複数のストラップを有するヘッドギアによってこのようなデバイスを着用者の顔の上に維持することが知られている。このような患者インタフェースデバイスは、典型的には、長期間にわたって、例えば、患者が眠っているときに一晩中にわたって着用されるので、ヘッドギアが、患者の顔に対するデバイスのマスクコンポーネントの十分に密接な封止を不快感なしに維持することが重要である。
【0005】
[05]
図1Aは、患者Pの頭部に位置されたヘッドギア1の側面図であり、
図1Bは、その後面図である。ヘッドギア1は、本明細書においてより詳細に説明されるように、関連分野において知られたフィット調節機構を代表するフィット調節機構を含む。ヘッドギア1は、呼吸療法デバイス(図示されず)、例えば、CPAP装置によって生成された呼吸可能ガスの圧流が、患者インタフェース2に動作可能に結合された送達管路3を介して患者Pの気道に送達され得るように、患者インタフェース2を患者Pの頭部に固定する。ヘッドギア1は、一対の側部ストラップ4と、上部ストラップ5と、後部ストラップ6とを含む。呼吸療法の有効性を最適化するためには、患者インタフェース2から外に加圧ガスの流れが漏れることを防止するために、後部ストラップ6が患者インタフェース2と患者Pの顔との間に密接な封止を生むために十分な程度にピンと張られていなければならない。
【0006】
[06] 財布のストラップやカメラのストラップなどのいくつかのタイプのストラップの長さを調節するために一般的に使用される一対のスライドアジャスタ7A、7B(集合的にスライドアジャスタ7)及びリング8が、患者インタフェース2と患者Pの顔との間の十分に密接な封止が達成されるように、患者Pの頭部上の後部ストラップ6のフィットを調節するために使用される。
図2A及び
図2Bは、スタンドアロンのコンポーネントとしてのスライドアジャスタ7及びリング8を図示する。図示されたように、後部ストラップ6はスライドアジャスタ7及びリング8に固定され、スライドアジャスタ7Bが所定位置に保持され、固定されたときに、矢印11によって示される方向に後部ストラップ6を引っ張ることで、患者Pの頭部の周りの後部ストラップ6のフィットが緩められ、スライドアジャスタ7Bが所定位置に保持され、固定されたときに、矢印12によって示される方向に後部ストラップ6を引っ張ることで、患者Pの頭部の周りの後部ストラップ6のフィットが密接になる。
【0007】
[07] スライドアジャスタ7及びリング8は後部ストラップ6などのヘッドギアストラップのフィットを調節するための関連分野において知られた様々なタイプのハードウェアの代表的なものである。スライドアジャスタ7、リング8、及びヘッドギアストラップの長さ調節のための関連分野において知られ、使用される様々な他のタイプのハードウェアは、通常、硬質プラスチック又は他の同様に耐久性の高い材料から製造されるが、このようなハードウェアは、患者が眠っている間に患者の頭部の頭部に不快な圧力ポイントを生むことがある。不快な圧力ポイントを生むことに加えて、このようなハードウェアは、しばしば、特に器用さに問題を有する高齢の患者にとっては、調節が難しいことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[08] ヘッドギア調節装置の一般的な形態は、患者の頭部に不快な圧力ポイントを生むことがある硬質プラスチックの部品を伴う。調節可能でない弾性のヘッドギアは、同レベルの所望の快適さを達成し得るが、長時間にわたって伸長されていると、患者インタフェースと患者の顔との間の適切な封止が犠牲にされる。故に、患者インタフェースを患者の顔に対して固定するために使用されるヘッドギアのデザインにおいて向上の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[09] それ故、一実施形態において、呼吸可能ガスの圧流を患者の気道に供給するための患者インタフェースとともに使用するヘッドギアを提供することが本発明の目的であり、ヘッドギアは、患者インタフェースを患者の顔に固定するように構成され、ヘッドギアは、本体部を備え、本体部は、本体部の第1の端部と本体部の第1の端部の反対側の第2の端部との間に配置されたインタフェースポケットであって、患者インタフェースを保持し、患者インタフェースを患者の顔に固定するように構成される、インタフェースポケットと;インタフェースポケットの第1の縁部から本体部の第1の端部に延在し、患者の頭部の第1の側部に対して配置されるように構成された第1の横方向ストラップ部分であって、第1の取り付け部分及びスロットを備える、第1の横方向ストラップ部分と;インタフェースポケットの第1の縁部の反対側に配置された第2の縁部から本体部の第2の端部に延在し、患者の頭部の第2の側部に対して配置されるように構成された第2の横方向ストラップ部分であって、第1の横方向ストラップ部分におけるスロットを通過するように構造化され、第2の取り付け部分を備える、第2の横方向ストラップ部分とを備え、本体部の第1の端部が第2の取り付け部分に結合されるように構造化され、本体部の第2の端部が第1の取り付け部分に結合されるように構造化される。
【0010】
[10] 別の実施形態において、呼吸ガスの流れを患者の気道に提供するための機器は、送達管路を介して呼吸ガス生成器に動作可能に結合されるように構造化された患者インタフェースと、ヘッドギアとを備え、ヘッドギアは、患者インタフェースを患者の顔に固定するように構成され、ヘッドギアは本体部を備え、本体部は、本体部の第1の端部と本体部の第1の端部の反対側の第2の端部との間に配置されたインタフェースポケットであって、患者インタフェースを保持し、患者インタフェースを患者の顔に固定するように構成される、インタフェースポケットと;インタフェースポケットの第1の縁部から本体部の第1の端部に延在し、患者の頭部の第1の側部に対して配置されるように構成された第1の横方向ストラップ部分であって、第1の取り付け部分及びスロットを備える、第1の横方向ストラップ部分と;インタフェースポケットの第1の縁部の反対側に配置された第2の縁部から本体部の第2の端部に延在し、患者の頭部の第2の側部に対して配置されるように構成された第2の横方向ストラップ部分であって、第1の横方向ストラップ部分におけるスロットを通過するように構造化され、第2の取り付け部分を備える、第2の横方向ストラップ部分とを備え、本体部の第1の端部が第2の取り付け部分に結合されるように構造化され、本体部の第2の端部が第1の取り付け部分に結合されるように構造化される。
【0011】
[11] 本発明のこれらの及び他の目的、特徴及び特性、並びに、構造体の関連要素及び部品の組み合わせの動作及び機能の方法、並びに製造の経済性は、添付の図面を参照して以下の説明及び添付の特許請求の範囲を検討することによって、より明らかになるであろう。全ての図面は、本明細書の一部を形成し、類似の参照番号は、様々な図面において対応する部分を指す。しかしながら、図面は単に例示及び説明のためにものであり、本発明の制限の定義として意図されるものではないことは明確に理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】[12] 患者の頭部に位置された状態を図示された、関連分野における知られたフィット調節機構を代表するフィット調節機構を有するヘッドギアの側面図である。
【
図1B】[13] 患者の頭部に位置された、
図1Aにおいて図示されたヘッドギアの後面図である。
【
図2A】[14]
図1A及び
図1Bにおいて図示されたヘッドギアの個別のハードウェアコンポーネントを図示する。
【
図2B】
図1A及び
図1Bにおいて図示されたヘッドギアの個別のハードウェアコンポーネントを図示する。
【
図3A】[15] 本発明の例示的実施形態によるヘッドギアの部分的等角図である。
【
図3B】[16] 本発明の例示的実施形態による、
図3Aにおいて図示されたヘッドギアの代替的な部分的等角図である。
【
図4A】[17] 本発明の別の例示的実施形態による、
図3A及び
図3Bにおいて図示されたヘッドギアのストラップを調節するための代替的な機構を図示する。
【
図4B】[18] 本発明の例示的実施形態による、
図4Aにおいて図示された機構を組み込んだヘッドギアの部分的等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[19] 本明細書において使用されるとき、単数形は、コンテキストがそうでないことを明らかに示さない限り、複数への言及を含む。
【0014】
[20] 本明細書において使用されるとき、2つ以上の部品又はコンポーネントが「結合された」という記載は、リンクが生じる限りにおいて、これらの部品が、直接的に又は間接的に、すなわち、1つ又は複数の中間部品又はコンポーネントを介して一緒に接合され又は動作することを意味する。本明細書において使用されるとき、「直接的に結合された」は、2つの要素が互いに直接的に接触していることを意味する。本明細書において使用されるとき、「固定的に結合された」又は「固定された」は、2つのコンポーネントが、互いに対して一定の向きを維持しながら1つのものとして移動するように結合されることを意味する。本明細書において使用されるとき、「移動可能に結合された」は、2つのコンポーネントが結合されることであって、コンポーネントのうちの少なくとも1つのコンポーネントが、この少なくとも1つのコンポーネントの他のコンポーネントに対する向きが変化するように移動可能であるように、2つのコンポーネントが結合されることを意味する。
【0015】
[21] 本明細書において使用されるとき、2つ以上の部品又はコンポーネントが「一体化された」という記載は、これらの部品又はコンポーネントが個別に製造され、その後、1つに接合されてより大きな物品を生むことを意味する。本明細書において使用されるとき、「数」という語は、1又は1よりも大きな整数(すなわち、複数)を意味する。
【0016】
[22] 本明細書において使用されるとき、「単体の」という語は、コンポーネントが単一の部品又はユニットとして作成されることを意味する。つまり、個別に作成された後にユニットとして1つに結合された部品を含むコンポーネントは、「単体の」コンポーネント又は物品ではない。
【0017】
[23] 本明細書において使用される方向を表す語句、例えば、これらに限られるものではないが、図面において図示された要素の向きに関する上部、底部、左、右、上側、下側、前、後及びこれらの派生語などは、本明細書おいて明確に記載されていない限り、特許請求の範囲に制限を加えるものではない。
【0018】
[24] 様々な特定の例示的実施形態に関連して本明細書においてより詳細に説明されるように、開示される概念は、呼吸可能ガスの圧流を患者の気道に供給するための患者インタフェースとともに使用するためのヘッドギアにおける向上、詳細には、患者の頭部上のこのようなヘッドギアのフィットを密接にする機構における向上に関する。
【0019】
[25]
図3Aは、患者Pの頭部に位置された、開示される概念の非限定的な例示的実施形態によるフィット調節機構を含むヘッドギア100の側面図であり、
図3Bはその後面図である。
図3C及び
図3Dは、患者Pの頭部に位置されていないときのヘッドギア100の部分的俯瞰等角図を図示する。ヘッドギア100は、呼吸療法デバイス(図示されず)によって生成された呼吸可能ガスの圧流が、患者インタフェース2に動作可能に結合された送達管路3を介して患者Pの気道に送達され得るように、患者インタフェース2を患者Pの頭部に固定する。ヘッドギア100の(
図3Cにおいて図示された)本体部101は、布のチューブであって、チューブの2つの端部のおよそ中間に配置されて、その中に患者インタフェース2が置かれ得るポケット102を有する布のチューブを縫製することによって構築される。
図3Aにおいて示された図において、患者インタフェース2の表面はポケット102の布によって覆われていることが理解されよう。
【0020】
[26]
図3Aにおいて、患者インタフェース2は鼻インタフェースであるものとして描かれているが、ヘッドギア100は、開示される概念の範囲から逸脱することなく、鼻及び口の両方を覆う患者インタフェースなどの異なる寸法及び形状を有する他の患者インタフェースを収容するために十分なサイズを有するポケットを有する布のチューブから構築されてもよいことが理解されよう。ヘッドギア100は、開示される概念の範囲から逸脱することなく、布以外の材料、例えば、これらに限定されるものではないが、ネオプレン又は他の柔軟性ポリマーから構築され得ることも更に理解されよう。
【0021】
[27] 本体部101に加えて、ヘッドギア100は、本体部101に結合され、ヘッドギア100が患者Pの頭部から下に(
図3A及び
図3Bの図に対して)滑り落ちないように補助する上部ストラップ105を含む。上部ストラップ105は、患者Pの一方の耳の近くの領域から患者Pの他方の耳へと患者P頭部上を横断する単一のストラップとして描かれているが、上部ストラップ105は、ヘッドギア100に含まれ得る追加的な支持具の非限定的な実施例として提供されていること、及び、開示される概念の範囲から逸脱することなく、上部ストラップ105の代替物が使用されてよく、又は上部ストラップ105が削除されてよいことが理解されよう。
【0022】
[28] 呼吸療法の有効性を最適化するためには、患者インタフェース2から外に加圧ガスの流れが漏れることを防止するために、本体部101の横方向ストラップ106A、106B(集合的に、横方向ストラップ106)が患者インタフェース2と患者Pの顔との間に密接な封止を生むために十分な程度にピンと張られていなければならない。横方向ストラップ106Aは、ポケット102の縁部103Aにおいて開始され、本体部101の端部116Aまで延在し、横方向ストラップ106Bは、ポケット102の縁部103Bにおいて開始され、本体部101の端部116Bまで延在する。横方向ストラップ106Aは、スロット107を備え、横方向ストラップ106Bは、このスロットに挿入され得、通過し得る。スロット107は、横方向ストラップ106Aに開口を作成することによって作り出される。スロット107は、必要があれば追加的な構造を与えるように発泡体又は他の類似の材料によって補強されてよいことが理解されよう。ヘッドギア100は布又は他の可撓性の材料から製造されるので、横方向ストラップ106Bは、横方向ストラップ106Bがスロット107に容易に挿入され、通過することを可能とする形状に圧縮され及び/又はこれに一致する。
【0023】
[29]
図3Dを参照すると、図示されたように横方向ストラップ106Bがスロット107に挿入された後、横方向ストラップ106の端部116A,116Bをスロット107から離れるように矢印108A、108B(
図3Dにおいて図示される)によって示される全体的方向に引っ張り、横方向ストラップ106A、106Bの端部116A、116Bを、横方向ストラップ106B、106Aにそれぞれ位置するそれらの対応する取り付けポイント117A、117Bに取り付けることによって、患者Pの頭部上のヘッドギア100のフィットが調節され得る。ヘッドギア100の布は、横方向ストラップ106A、106Bが患者Pの頭部の周りでのヘッドギア100のフィットを密接にするように引っ張られたときに患者Pの頭部の後部で束になって材料の積み重なりを生むことがないように縫製され得ることが理解されよう。例示的実施形態において、取り付けポイント117A、117Bは、面ファスナのフック部分を備え、端部116A、116Bは、面ファスナのループ部分を備える。
【0024】
[30] ヘッドギア100のフィットを調節するためにスロット107を使用し、端部116A、116Bを取り付けポイント117A、117Bに結合するために面ファスナを使用することによって、スライドアジャスタ7、リング8、及び関連分野において知られる他のハードウェアなどのハードウェアによって生じる不快な圧力ポイントが存在しなくなる。加えて、単純に横方向ストラップ106を引っ張って顔に対する患者インタフェース2の封止を調節し、横方向ストラップ106を面ファスナによって固定することが可能であると、関連分野において典型的に使用されているハードウェアにおいて必要とされるような微細運動技能を使用して調節を行うものよりも、器用さに問題を有する患者にとってアクセスしやすくなる。
図3Aは、スロット107を有するものとして横方向ストラップ106Aだけを描いているが、開示される概念の範囲から逸脱することなく、横方向ストラップ106Aではなく横方向ストラップ106Bがスロット107を含み、横方向ストラップ106Aがスロット107に挿入されてもよく、又は、両方の横方向ストラップ106がスロット107を含み、どちらかの横方向ストラップ106が他の横方向ストラップ106のスロット107に挿入されてもよいことが理解されよう。加えて、面ファスナ以外の固定機構が、患者の頭部に圧力ポイントを生むことなく、及び、器用さに問題を有する患者にとっての困難さを生むことなく横方向ストラップ106を固定し得る限りにおいて、このような固定機構が、開示される概念の範囲から逸脱することなく、使用され得る。
【0025】
[31]
図4Aは、開示される概念の別の非限定的な例示的実施形態による、ストラップの緊縮性調節のために使用され得るスライド通過機構120を図示し、
図4Bは、スライド通過機構120が組み込まれた本体部101’を図示する。本体部101’は、本体部101と実質的に同様であり、本体部101と同一のいくつかのコンポーネントを備え、本体部101と実質的に同一のやり方で動作する。
図3A~
図3D及び
図4A~
図4Bにおいて同一の参照番号によって識別される本体部101及び本体部101’の要素は、異なる実施形態において同一の要素であり、同一のやり方で動作することが理解されよう。本体部101’に関して、横方向ストラップ106を備え、本体部101からのスロット107を含む代わりに、本体部101’は、
図4Aにおいて図示されたスライド通過機構120からのスロット107A’、107B’、107C’(集合的に、スロット107’)を組み込んだスロット横方向ストラップ106A’、106B’(集合的に、横方向ストラップ106’)を備える。本体部101’は、本体部101と同様のやり方で構築され、スロット107’は、スロット107と同一のやり方、すなわち、横方向ストラップ106’において開口を作成することによって作り出される。スロット107と同様に、スロット107’は、必要があれば追加的な構造を与えるように発泡体又は他の類似の材料によって補強されてよい。加えて、本体部101’は、
図3A及び
図3Bからの上部ストラップ105などの上部に結合されてよい。上部ストラップ105は、本体部101‘に結合され得る追加的な支持具の非限定的な実施例として提供されていること、及び、開示される概念の範囲から逸脱することなく、上部ストラップ105の代替物が使用されてよく、又は上部ストラップ105が削除されてよいことが理解されよう。
【0026】
[32]
図4Aを参照すると、スライド通過機構120は、2つのスライド部材と、単一スロット部材121と、二重スロット部材131とを備える。以前に述べられたように、スライド通過機構120のデザインは本体部101’に組み込まれ、単一スロット部材121は、横方向ストラップ106A’又は横方向ストラップ106B’のうちの一方を表すものと考えられ、二重スロット部材131は横方向ストラップ106A’又は横方向ストラップ106B’のうちの他方を表すものと考えられるべきである。単一スロット部材121の第1の端部は、幅w
Tのタブ122を備え、第1の端部の反対側に配置された第2の端部は、幅w
Sのストッパ123を備える。同様に、二重スロット部材131の第1の端部は、幅w
Tのタブ132を備え、第1の端部の反対側に配置された第2の端部は、幅w
Sのストッパ133を備える。単一スロット部材121のスロット107A’は、タブ132が矢印141によって示されるように引っ張られたときにタブ132がスロット107A’を通過することを可能とするために十分なくらい広く構築され、同様に、スロット107B’107C’は、タブ122が矢印142によって示されるように引っ張られたときにタブ122がスロット107B’107C’を通過することを可能とするために十分なくらい広く構築される。矢印141、142によって示される方向にタブ122、132を引っ張ることは、患者Pの頭部に対する本体部101’のフィットを密接にする。
【0027】
[33]
図4Aにおいて、タブ122及び132は同一の幅w
Tを有するものとして描かれ、ストッパ123及び133は同一の幅w
Sを有するものとして描かれ、幅w
Sは幅w
Tよりも大きいものとして描かれている。タブ122、132の幅とストッパ123、133の幅との差は、タブ122が矢印142によって示される方向においてどのくらい遠くまで引っ張られ得るか、及びタブ132が矢印141によって示される方向においてどのくらい遠くまで引っ張られ得るかについての限界を生み、このことは、本体部101’の締め過ぎを防止するため、及び端部116A’、116B’を取り付けポイント117A、117Bに固定するために使用される面ファスナのための整列ゾーンを制御するために有益である。しかしながら、
図4Aにおいて図示されたスライド機構120のコンポーネントの相対的な寸法及びスケールは代表的なものであると意図されるものであること、並びに、タブ122及び132の互いに対する幅、ストッパ123及び133の互いに対する幅、及びタブ122、132のストッパ123、133に対する幅は全て、開示される概念の範囲から逸脱することなく、
図4Aにおいて図示された比率とは異なり得ることが理解されよう。加えて、本体部101’の締め過ぎを防止すること及び端部116A、116Bを取り付けポイント117A、117Bと整列させることが優先的でないならば、開示される概念の範囲から逸脱することなく、スライダ121及び131は、(タブ及びストッパを備え、タブの幅がストッパの幅よりも小さくなるように作られるのとは逆に)均一な幅を有するように作られてよい。本体部101’は、本体部101と同じように、布又は他の可撓性の材料から製造されるので、もしもスライダ121及び131が均一な幅を有するように作られたとしても、スライダ121及び131は、スロット107’に挿入され、引っ張られることを可能とするために圧縮され及び/又は他のやり方によって歪む能力を有するように製造され得ることが理解されよう。
【0028】
[34] 本体部101と同様に、スライド通過機構120のデザインを本体部101’に組み込むことによって、スライドアジャスタ7及びリング8、又は関連分野において知られる他のハードウェアなどのハードウェアの必要性がなくなるので、このようなハードウェアによって生じる患者の顔の上の如何なる不快な圧力ポイントも存在しなくなる。加えて、単純に横方向ストラップ106’を引っ張って顔に対する患者インタフェース2の封止を調節し、横方向ストラップ106’を面ファスナによって固定することが可能であると、関連分野において典型的に使用されているハードウェアにおいて必要とされるような微細運動技能を使用して調節を行うものよりも、器用さに問題を有する患者にとってアクセスしやすくなる。
【0029】
[35] 特許請求の範囲において、括弧の間に置かれた任意の参照符号は、請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。「備える」又は「含む」という語は、請求項に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。いくつかの手段を列挙するデバイス請求項において、これらの手段のうちのいくつかは、ハードウェアの全く同一のアイテムによって具現化され得る。単数形の要素は、複数のこのような要素の存在を排除するものではない。いくつかの手段を列挙する任意のデバイス請求項において、これらの手段のうちのいくつかは、ハードウェアの全く同一のアイテムによって具現化され得る。特定の要素が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの要素が組み合わされて使用され得ないことを示すものではない。
【0030】
[36] 本発明が、現在のところ最も実際的で好ましい実施形態であると思われるものに基づいて、例示を目的として詳細に説明されたが、このような詳細はもっぱらその目的のためのものであること、及び、本発明は開示される実施形態に限定されるものではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲の中にある修正例及び等価の構成をカバーするものと意図されることを理解されたい。例えば、本発明は、可能である限りにおいて、任意の実施形態の1つ又は複数の特徴が、任意の他の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わされ得るものと想定していることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸可能ガスの圧流を患者の気道に供給するための患者インタフェースとともに使用するためのヘッドギアであって、前記ヘッドギアは前記患者インタフェースを前記患者の顔に固定するように構成され、前記ヘッドギアは本体部を備え、
前記本体部は、
前記本体部の第1の端部と前記本体部の前記第1の端部の反対側の第2の端部との間に配置されたインタフェースポケットであって、前記患者インタフェースを保持し、前記患者インタフェースを前記患者の顔に固定する、インタフェースポケット
を備え、前記本体部は、
前記インタフェースポケットの第1の縁部から前記本体部の前記第1の端部に延在し、前記患者の頭部の第1の側部に対して配置された第1の横方向ストラップ部分であって、第1の取り付け部分及びスロットを備える、第1の横方向ストラップ部分と、
前記インタフェースポケットの前記第1の縁部の反対側に配置された第2の縁部から前記本体部の前記第2の端部に延在し、前記患者の頭部の第2の側部に対して配置された第2の横方向ストラップ部分であって、前記第2の横方向ストラップ部分は、前記第1の横方向ストラップ部分における前記スロットを通過し、第2の取り付け部分を備え、前記本体部の前記第1の端部が前記第2の取り付け部分に結合され、前記本体部の前記第2の端部が前記第1の取り付け部分に結合される、第2の横方向ストラップ部分と
を
さらに備える、ヘッドギア。
【請求項2】
前記ヘッドギアは上部ストラップを更に備え、前記上部ストラップは、前記患者の前記頭部の上部側に配置され、前記上部ストラップの第1の端部において前記第1の横方向ストラップ部分に結合され、前記上部ストラップの前記第1の端部の反対側に配置された第2の端部において前記第2の横方向ストラップ部分に結合される、請求項1に記載のヘッドギア。
【請求項3】
前記本体部は布から製造される、請求項1に記載のヘッドギア。
【請求項4】
前記本体部はいくつかの柔軟性ポリマーから製造される、請求項1に記載のヘッドギア。
【請求項5】
前記本体部の前記第1の端部及び前記本体部の前記第2の端部の各々は、面ファスナのフック又はループのうちの一方を備え、前記第1の取り付け部分及び前記第2の取り付け部分の各々は、面ファスナのフック又はループのうちの他方を備える、請求項1に記載のヘッドギア。
【請求項6】
前記第2の横方向ストラップ部分は2つのスロットを備え、前記第1の横方向ストラップ部分は、前記第2の横方向ストラップ部分の前記2つのスロットを通過する、請求項1に記載のヘッドギア。
【請求項7】
前記第1の横方向ストラップ部分及び前記第2の横方向ストラップ部分の各々はタブセクションとストッパセクションとを備え、
前記第1の横方向ストラップ部分の前記ストッパセクションは、前記第1の横方向ストラップ部分の前記タブセクション及び前記第2の横方向ストラップ部分の前記2つのスロットよりも広く、
前記第2の横方向ストラップ部分の前記ストッパセクションは、前記第2の横方向ストラップ部分の前記タブセクション及び前記第1の横方向ストラップ部分の前記スロットよりも広い、請求項6に記載のヘッドギア。
【請求項8】
前記第1の横方向ストラップ部分の前記ストッパセクションは、前記第2の横方向ストラップ部分の前記2つのスロットを通過できず、
前記第2の横方向ストラップ部分の前記ストッパセクションは、前記第1の横方向ストラップ部分の前記スロットを通過できない、請求項7に記載のヘッドギア。
【請求項9】
呼吸ガスの流れを患者の気道に提供するための機器であって、前記機器は、
送達管路を介して呼吸ガス生成器に動作可能に結合された患者インタフェースと、
請求項1に記載のヘッドギア
と
を備え
る、機器。
【国際調査報告】