(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】デジタルPINGクランプランプ
(51)【国際特許分類】
H02J 50/80 20160101AFI20231019BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20231019BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/10
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520311
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 US2021052870
(87)【国際公開番号】W WO2022072629
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520310643
【氏名又は名称】アイラ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIRA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】グッドチャイルド,エリック,ハインデル
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB08
(57)【要約】
ワイヤレス充電のためのシステム、方法および装置が開示されている。ワイヤレス充電装置で実行される1つの方法は、前記ワイヤレス充電装置の伝送コイルに第1の電力レベルでデジタルPingの送信を開始するステップと、前記伝送コイルに流れる電流が前記デジタルPingの振幅シフトキー変調をサポートする振幅になるまで前記デジタルPingの電力レベルを1回以上上げるステップと、前記デジタルPingに対する応答を充電式デバイスから受信したときに当該充電式デバイスに電力を伝送する充電設定を決定するステップとを含む。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス充電装置で実行される方法であって、
前記ワイヤレス充電装置の伝送コイルに第1の電力レベルでデジタルPingの送信を開始するステップと、
前記伝送コイルに流れる電流が前記デジタルPingの振幅シフトキー(ASK)変調をサポートする振幅になるまで前記デジタルPingの電力レベルを1回以上上げるステップと、
前記デジタルPingに対する応答を充電式デバイスから受信したときに当該充電式デバイスに電力を伝送する充電設定を決定するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記応答において提供される前記充電式デバイスの能力または構成を特定する情報に基づいて、前記充電設定を決定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記応答において提供される要求された充電電流を特定する情報から、充電設定を決定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記伝送コイルで測定された電圧レベルを用いて、前記伝送コイルに流れる電流を計算するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記デジタルPingに対する応答は、前記伝送コイルで測定された電圧レベルで符号化された情報を含み、ASK変調を使用して変調される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
さらに、前記伝送コイルに流れる電流が閾値と同等以上の振幅を有する場合に、前記デジタルPingのASK変調をサポートする振幅を有すると判定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
さらに、ASK変調された応答が受信されない限り、予め設定された継続時間の後に前記デジタルpingを終了させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記デジタルpingの電力レベルは、1以上の電力レベルの増加のそれぞれについて、予め設定されたステップ値だけ増加される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
さらに、前記充電式デバイスが前記ワイヤレス充電装置の充電面上またはその近くに存在することを判定するステップであって、前記充電式デバイスが前記ワイヤレス充電装置の充電面上またはその近くに存在するかは、パッシブping手順を用いて判定されるステップと、
前記充電面上またはその近くに前記充電式デバイスが存在するとの判定に基づいて前記デジタルpingを送信するステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
プロセッサ可読記憶媒体であって、処理回路の1以上のプロセッサによって実行されると、前記処理回路に、
ワイヤレス充電装置の伝送コイルに第1の電力レベルでデジタルpingの送信を開始させ、
前記伝送コイルに流れる電流がデジタルpingの振幅シフトキー(ASK)変調をサポートする振幅になるまで前記デジタルpingの電力レベルを1回以上増加させ、
充電式デバイスから前記デジタルpingに対する応答が受信されたときに前記充電式デバイスに電力を伝送する充電構成を決定させる
命令を格納していることを特徴とするプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項11】
前記命令はさらに、前記処理回路に、前記応答で提供される前記充電式デバイスの能力または構成を特定する情報に基づいて、前記充電設定を決定するステップを実行させる、請求項10に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記命令はさらに、前記処理回路に、前記応答で提供される要求された充電電流を特定する情報から前記充電設定を決定するステップを実行させる、請求項10に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項13】
前記命令がさらに、前記処理回路に、前記伝送コイルで測定された電圧レベルを用いて、前記伝送コイルに流れる電流を計算させる、請求項10に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項14】
前記デジタルPingに対する応答は、前記伝送コイルで測定された電圧レベルで符号化された情報を含み、ASK変調を使用して変調される、請求項13に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項15】
前記命令がさらに、前記処理回路に、前記伝送コイルに流れる電流が閾値と同等以上の振幅を有する場合に、前記デジタルPingのASK変調をサポートする振幅を有すると判定させる、請求項10に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記命令がさらに、前記処理回路に、ASK変調された応答が受信されない限り、予め設定された継続時間の後に前記デジタルpingを終了させる、請求項10に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項17】
前記デジタルpingの電力レベルは、1以上の電力レベルの増加のそれぞれについて、予め設定されたステップ値だけ増加される、請求項10に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記命令がさらに、前記処理回路に、前記充電式デバイスが前記ワイヤレス充電装置の充電面上またはその近くに存在することを判定させ、ここで前記充電式デバイスが前記ワイヤレス充電装置の充電面上またはその近くに存在するかは、パッシブping手順を用いて判定され、
前記充電面上またはその近くに前記充電式デバイスが存在するとの判定に基づいて前記デジタルpingを送信させる、請求項10に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項19】
ワイヤレス充電装置であって、前記ワイヤレス充電装置の充電面上に設けられた1以上の充電セルと、コントローラとを具え、
当該コントローラが、
前記ワイヤレス充電装置の伝送コイルに第1の電力レベルでデジタルPingの送信を開始するステップと、
前記伝送コイルに流れる電流が前記デジタルPingの振幅シフトキー(ASK)変調をサポートする振幅になるまで前記デジタルPingの電力レベルを1回以上上げるステップと、
前記デジタルPingに対する応答を充電式デバイスから受信したときに当該充電式デバイスに電力を伝送する充電設定を決定するステップとを行うように構成されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2020年10月1日に米国特許庁に出願された仮特許出願第63/086,588号および2021年9月29日に米国特許庁に出願された米国特許出願第17/489,577号の優先権と利益を主張するものであり、これらの出願の内容全体は以下に完全に記載されているかのようにその全体およびすべての適用目的のために参照により本書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般にモバイルコンピューティングデバイスのバッテリを含むバッテリのワイヤレス充電に関し、より具体的には、充電されるデバイスを検出し通信する技術に関する。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレス充電システムは、特定のタイプのデバイスが物理的な充電接続を使用せずに内部バッテリを充電できるようにするために開発されてきた。ワイヤレス充電を利用できるデバイスには、モバイル機器および/または通信機器などがある。ワイヤレスパワーコンソーシアムが定めるQi規格などの標準規格では、第1のサプライヤが製造した機器を、第2のサプライヤが製造した充電器でワイヤレス充電することが可能である。ワイヤレス充電の規格は、比較的単純な構成のデバイス向けに最適化されており、基本的な充電機能を提供する傾向にある。
【0004】
従来のワイヤレス充電システムは、ワイヤレス充電用ベースステーションの伝送コイル上またはその近くに受電デバイスが存在するかどうかを判断するために、典型的には「デジタルPing」を用いる。伝送コイルはインダクタンス(L)を有し、伝送コイルに結合して共振LC回路を得るための静電容量(C)を持つ共振コンデンサを有する。
【0005】
ワイヤレス充電機能の改善は、絶えず複雑化するモバイルデバイスや変化するフォームファクタを識別しサポートするために必要である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本明細書に開示される特定の態様に従って充電面を提供するために採用され得る充電セルの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る充電面のセグメントの単一層に設けられた充電セルの配列の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る、充電面のセグメント内に複数の層が重ねられる場合の充電セルの配置の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本明細書に開示される特定の態様に従って構成された複数層の充電セルを採用する充電面によって提供される電力伝達領域の配置を示す図である。
【
図5】
図5は、本明細書に開示される特定の態様による、充電器ベースステーションに設けられ得るワイヤレストランスミッタを示す図である。
【
図6】
図6は、本明細書に開示される特定の態様に従ってASK復調をサポートするマイクロコントローラを示す図である。
【
図7】
図7は、本明細書に開示される特定の態様に従って、電力レシーバと電力トランスミッタと間で交換されるメッセージをデジタル的に符号化するために適応され得る符号化スキームの例を示す。
【
図8】
図8は、ワイヤレス充電装置の充電面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本明細書に開示される特定の態様に従って多周波ASK変調をサポートするように構成され得るワイヤレス充電装置における通信インターフェースの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本明細書に開示される特定の態様に従ってASK変調のために構成され得るワイヤレス電力レシーバを示す。
【
図11】
図11は、本明細書に開示される特定の態様によるデジタルPingへの応答を示す図である。
【
図12】
図12は、本開示の特定の態様に従って適合されたデジタルPingに対する応答を示す図である。
【
図13】
図13は、本開示の特定の態様に従って実行されるデジタルPing手順の一例を示す第1のフローチャートである。
【
図14】
図14は、本開示の特定の態様に従って実行されるデジタルPing手順の一例を示す第2のフローチャートである。
【
図15】
図15は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る処理回路を採用する装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成を説明することを意図しており、本明細書に記載の概念が実施され得る唯一の構成を示すことを意図したものではない。詳細な説明には、様々な概念の完全な理解を提供するための具体的な詳細が含まれている。しかしながら、それらの概念が具体的な詳細なしで実施できることは当業者には明らかであろう。時には、そのような概念を不明瞭にしないために、周知の構造および構成要素をブロック図の形式で示している。
【0008】
次に、ワイヤレス充電システムの特定の態様を、様々な装置および方法を参照して提示する。これらの装置および方法は、以下の詳細な説明に記載されるとともに、添付の図面において、様々なブロック、モジュール、コンポーネント、回路、ステップ、プロセス、アルゴリズムなど(総称して「要素」と呼ぶ)によって示される。これらの要素は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたはそれらの任意の組合せを使用して実装することができる。そのような要素がハードウェアとして実装されるか、またはソフトウェアとして実装されるかは、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課される設計上の制約に依存する。
【0009】
例えば、要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せは、1以上のプロセッサを含む「処理システム」で実装され得る。プロセッサの例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載された様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。処理システムの1以上のプロセッサは、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プロシージャ、関数などを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、プロセッサ可読記憶媒体に常駐するようにしてもよい。本明細書でコンピュータ可読媒体とも呼ばれるプロセッサ可読記憶媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、近距離ワイヤレス通信(NFC)トークン、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、搬送波、伝送路、ソフトウェアを格納または伝送するのに適した他の任意の媒体を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、処理システムに存在していても、処理システムの外部にあっても、処理システムを含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、特定の用途およびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実装するための最良の方法を認識するであろう。
【0010】
概要
本開示の特定の態様は、ワイヤレス充電装置に適用可能なシステム、装置、および方法に関する。充電セルは1以上の誘導コイルで構成されて充電装置に充電面を提供し、充電面によって充電装置が1以上の充電式デバイスをワイヤレスで充電できるようにする。充電されるデバイスの位置は、デバイスの位置を充電面上の既知の位置を中心とする物理的特性の変化に関連付けるセンシング技術を介して検出することができる。位置の感知は、容量性、抵抗性、誘導性、接触、圧力、負荷、歪み、および/または別の適切なタイプのセンシングを使用して実装することができる。
【0011】
本開示の一態様では、装置は、バッテリ充電電源と、ワイヤレス充電装置の充電面に設けられた1つまたは複数の充電セルと、コントローラとを具える。コントローラは、ワイヤレス充電装置の伝送コイルが第1の電力レベルでデジタルpingの送信を開始し、伝送コイルに流れる電流がデジタルpingのASK変調をサポートする振幅になるまでデジタルpingの電力レベルを1回以上増加させ、充電式デバイスからデジタルpingに対する応答が受信されたときに充電式デバイスに電力を伝送する充電構成を決定するように構成され得る。
【0012】
充電セル
本明細書に開示される特定の態様によれば、充電面に隣接配備された充電セルを用いて充電面が提供される。一例では、充電セルはハニカムパッケージ構成に従って配備される。充電セルは、それぞれがコイルに隣接する充電面に実質的に直交する軸に沿って磁場を誘導することができる1以上のコイルを使用して実装することができる。本明細書において、充電セルとは、各コイルが充電セル内の他のコイルによって生成される場に対して加算的であって共通の軸に沿うか近接して配向される電磁場を生成するように構成された1以上のコイルを有する構成要素をいう。
【0013】
いくつかの実装例では、充電セルは、共通の軸に沿って積層され、および/または、充電面に実質的に直交する誘導磁界に寄与するように重なり合うコイルを含む。いくつかの実装例では、充電セルは、充電面の規定された部分内に配置され、充電セルに関連する充電面の実質的に直交する部分内の誘導磁界に寄与するコイルを含む。いくつかの実装例では、充電セルは、動的に定義される充電セルに含まれるコイルにアクティベート電流を供給することによって構成可能であり得る。例えば、充電装置は、充電面にわたって配備された複数のコイルのスタックを含むことができ、この充電装置は、充電対象デバイスの位置を検出し、充電対象デバイスに隣接する充電セルを提供するためにコイルのスタックのいくつかの組み合わせを選択し得る。ある実施例では、充電セルは、単一のコイルを含むか、または単一のコイルとして特徴付けられ得る。しかしながら、充電セルは、複数の積層コイルおよび/または複数の隣接するコイルもしくはコイルの積層を含むことができることを理解されたい。本明細書では、コイルを、充電コイル、ワイヤレス充電コイル、伝送器コイル、伝送コイル、送電コイル、送電器コイルなどと呼ぶことがある。
【0014】
図1は、充電装置の充電面を提供するために配備され、および/または構成され得る充電セル100の一例を示す。本明細書で説明するように、充電面は、1以上の基板106上に設けられた充電セル100のアレイを含むことができる。1以上の基板106上に、1以上の集積回路(IC)および/またはディスクリート電子部品からなる回路を設けることができる。この回路は、受電デバイスに電力を伝送するために使用するコイルに供給される電流を制御するために使用されるドライバおよびスイッチを含み得る。この回路は、本明細書に開示される特定の機能を実行するように構成され得る1以上のプロセッサおよび/または1以上のコントローラを含む処理回路として構成することができる。いくつかの実施例では、処理回路の一部または全部を充電装置の外部に設けてもよい。いくつかの実施例では、電源を充電装置に結合することができる。
【0015】
充電セル100は、充電装置の外表面領域の近くに設けることができ、その上に充電のために1つまたは複数のデバイスを配置することができる。充電装置は、充電セル100の複数のインスタンスを含むことができる。一例では、充電セル100は、電力伝送領域104に電磁場を生成するのに十分な電流を受け取ることができる導体、配線または回路基板トレースを用いて構築することができる1以上のコイル102を囲む、実質的に六角形の形状を有している。様々な実施態様において、いくつかのコイル102は、
図1に例示される六角形の充電セル100を含む、実質的に多角形である形状を有してもよい。他の実施態様では、他の形状を有するコイル102が提供される。コイル102の形状は、少なくとも部分的に、製造技術の能力または制限によって、および/またはプリント回路基板などの基板106上の充電セルのレイアウトを最適化するために決定することができる。各コイル102は、スパイラル構成のワイヤ、プリント回路基板トレースおよび/または他のコネクタを使用して実装することができる。各充電セル100は、異なる層のコイル102が共通軸108に中心を持つように、絶縁体または基板106によって分離された2以上の層にわたることができる。
【0016】
図2は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る充電装置の充電面のセグメントの単一層に設けられた充電セル202の配列200の一例を示す図である。充電セル202は、ハニカムパッケージング構成に従って配置されている。本実施例では、充電セル202は、重なり合うことなく端と端を合わせて配置されている。この配置は、スルーホールやワイヤ配線なしで提供することができる。充電セル202の一部が重なり合う配置など、他の配置も可能である。例えば、2以上のコイルでなるワイヤをある程度インターリーブすることができる。
【0017】
図3は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る、充電面のセグメント内に複数の層が重ねられる場合の、2つの視点300、310(例えば、上面図と側面図)からの充電セルの配置の一例を示す図である。充電セル302、304、306、308の層が、充電面の1セグメント内に設けられている。各層の充電セル302、304、306、308内の充電セルは、ハニカムパッケージング構成に従って配置されている。一実施例では、充電セル302、304、306、308の層は、4層以上のプリント回路基板上に形成され得る。充電セル100の配置は、図示されたセグメントに隣接する割り当てられた充電領域を完全にカバーするように選択することができる。充電セルは、
図3に例示した302、304、306、308が、多角形の伝送コイルが提供する電力伝送領域に対応することができる。他の実装例では、充電コイルは、ワイヤから構成された螺旋状に巻かれた平面コイルを具え、それぞれが略円形の電力伝送領域を提供するように巻かれてもよい。後者の例では、複数の螺旋状に巻かれた平面コイルが、ワイヤレス充電装置の充電面の下に積層して配備され得る。
【0018】
図4は、本明細書に開示される特定の態様に従って構成された複数層の充電セルを採用する充電面400に提供される電力伝送領域の配置を示す図である。図示された充電面は、4層の充電セル402、404、406、408から構成されており、これらは
図3の充電セルの層302、304、306、308に対応しうるものである。
図4において、第1層の充電セル402の充電セルが提供する各電力伝達領域が「L1」と記され、第2層の充電セル404の充電セルが提供する各電力伝達領域が「L2」と記され、第3層の充電セル406の充電セルが提供する各電力伝達領域が「L3」と記され、第4層の充電セル408の充電セルが提供する各電力伝達領域が「L4」と記されている。
【0019】
図5は、充電器ベースステーションに設けられ得るワイヤレストランスミッタ500を示す図である。コントローラ502は、調整回路508でフィルタリングされるか、他の方法で処理されたフィードバック信号を受信することができる。コントローラは、コンデンサ512およびインダクタ514を含む共振回路506に交流を供給するドライバ回路504の動作を制御し得る。共振回路506のLCノード510で測定された電圧516である。共振回路506は、本明細書においてタンク回路、LCタンク回路、またはLCタンクとも呼ばれ、共振回路506のLCノード510で測定される電圧516はタンク電圧とも呼ばれる。
【0020】
電力トランスミッタと電力レシーバをワイヤレスで相互接続するためのプロトコルとして、最も一般的に採用されているのがQiプロトコルである。Qiプロトコルにより、電力レシーバが電力トランスミッタをワイヤレスで制御することが可能になる。電力レシーバから電力トランスミッタへのメッセージ交換は、通常、振幅シフトキーイング(ASK)プロトコルによって行われる。いくつかの例では、誘導型電力伝送装置のタンク回路の電圧または電流からASK信号を復号するために、デジタル信号プロセッサ(DSP)が採用される。ASK信号のレベル変化間のタイミングを測定するために、割り込み(interrupts)を使用することができる。一例では、外部復調回路がマイクロコントローラ(MCU)が提供するタイマと協働して、エッジ間の時間を算出するために使用される割り込みを生成し、これをASK変調信号を復調するのに利用することができる。別の例では、DSPまたはデジタル信号コントローラを使用して、デジタル信号処理方法を使用してASK変調された信号を復調することができる。これらの例や他の例では、最小限の復号化システムを得るために高価な資源が消費される。
【0021】
図6は、ASK変調信号を受信して復号するように構成され得る処理回路600の一例を示す図である。処理回路600は、ASK変調信号612を使用して送信されるメッセージおよび/または受信したASK変調信号612から復号されたメッセージを格納することができるメモリデバイス604および/またはレジスタに結合され得るプロセッサ602を含む。処理回路600は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの何らかの組合せを用いて実装され得るASKデコーダ606を含む。ASKデコーダ606は、クロック生成または回復回路から受信したクロック信号を使用して、送信ASK変調信号612のタイミングを制御し、受信ASK変調信号612のサンプリングおよび復号を制御することができる。
【0022】
図7は、電力レシーバと電力トランスミッタの間で交換されるメッセージをデジタル的に符号化するために適応され得る符号化スキーム700、720の例を示す。第1の例では、差動バイフェーズ符号化スキーム700は、データ信号704の位相でバイナリビットを符号化する。図示の例では、データバイト706の各ビットは、エンコーダクロック信号702の対応するサイクル708で符号化される。各ビットの値は、対応するサイクル708中のデータ信号704に遷移710の有無(位相変化)で符号化される。
【0023】
第2の例では、電源724は、電源信号振幅符号化スキーム720を用いて符号化される。図示の例では、データバイト726のバイナリビットは、電源724のレベルで符号化される。データバイト726の各ビットは、エンコーダクロック信号722の対応するサイクル728で符号化される。各ビットの値は、対応するサイクル708の間の電源724の公称100%電圧レベル730に対する電源724の電圧レベルで符号化される。
【0024】
パッシブPing
本明細書に開示された特定の態様に従って、物体または他の充電式デバイスの位置が、充電セル内のコイルを形成する導電体の何らかの特性の変化に基づいて検出され得る。導電体の特性の測定可能な差は、物体が1以上のコイルに近接して置かれたときの静電容量、抵抗、インダクタンスおよび/または温度の変化を含み得る。いくつかの例では、充電面へ物体を配置すると、配置点の近くに位置するコイルの測定可能な抵抗、静電容量、インダクタンスに影響を与え得る。いくつかの実装例では、配置点の近傍に位置する1以上のコイルの抵抗、静電容量、および/またはインダクタンスの変化を測定する回路が提供され得る。いくつかの実装例では、充電面におけるタッチ、圧力、荷重、および/またはひずみの変化を検出することによって、位置検出を可能にするセンサを提供することができる。現在のワイヤレス充電アプリケーションで使用されているデバイス検出のための従来の技術は、伝送コイルを駆動して動作し、かなりの電力(例えば、100~200mW)を消費する「アクティブPing」または「デジタルPing」方式を採用する。伝送コイルで発生した電界は、受電デバイスの検出に使用することができる。
【0025】
ワイヤレス充電装置は、本明細書に開示される特定の態様に従って、従来のアクティブPing送信に代替および/または補足することができる低電力発見技術をサポートするように適合され得る。従来のPingは、ベースステーションの伝送コイルを含む共振LC回路を駆動することで生成される。その後、ベースステーションは受電デバイスからのASK変調応答を待つ。低電力発見技術は、パッシブPingを用いて高速および/または低電力の発見を提供することができる。特定の態様によれば、パッシブPingは、共振LC回路を含むネットワークを少量のエネルギーを含む高速パルスで駆動することによって生成することができる。高速パルスは共振LC回路を励起し、注入されたエネルギーが減衰して消滅するまで、その固有の共振周波数でネットワークを発振させる。一例では、高速パルスは、ネットワークおよび/または共振LC回路の共振周波数の半周期に相当する持続時間を有し得る。ベースステーションが周波数範囲100kHz~200kHzで電力をワイヤレス伝送するように構成されている場合、高速パルスの持続時間は2.5μs未満であり得る。別の例では、高速パルスは、ネットワークおよび/または共振LC回路の共振周波数の複数周期に相当する持続時間を有し得る。
【0026】
パッシブPingは、共振LC回路を含むネットワークが鳴動する固有周波数、およびネットワーク内のエネルギーの減衰率に基づいて特徴付けおよび/または構成され得る。ネットワークおよび/または共振LC回路のリンギング周波数は、次のように定義することができる。
【0027】
減衰率は、以下に定義される発振器ネットワークの品質係数(Qファクタ)によって制御される。
【0028】
式1および式2は、共振周波数がLおよびCによって影響を受け、QファクタがL、CおよびRによって影響されることを示している。本明細書に開示される態様に従って提供されるベースステーションにおいて、ワイヤレスドライバは、共振コンデンサの選択によって定まるCの固定値を有する。LとRの値は、ワイヤレス伝送コイルと、このワイヤレス伝送コイルに隣接配置された物体やデバイスによって定まる。
【0029】
ワイヤレス伝送コイルは、伝送コイルに近接配置されたデバイスの受電コイルと磁気的に結合し、そのエネルギーの一部を近くの充電式デバイスにカップリングするように構成される。伝送回路のLとRの値は、充電式デバイスの特性や伝送コイルの近くにある他の物体の影響を受け得る。例えば、透磁率の高い鉄材を伝送コイルの近くに置くと、式1のように伝送コイルの総インダクタンス(L)が大きくなり、結果として共振周波数が低くなり得る。渦電流誘導による材料の加熱でエネルギーが失われることがあり、この損失は式2のようにRの値が増加し、それによってQファクタを下げるという特徴がある。
【0030】
伝送コイルの近くにワイヤレス受電デバイスを置いても、Qファクタや共振周波数に影響を与えることがある。レシーバは高いQファクタを有する同調LCネットワークを含み、それによって伝送コイルのQファクタが低くなり得る。伝送コイルの共振周波数は、レシーバに磁性体を追加することによって低下する場合があり、これが全体の磁気システムの一部となる。表1は、伝送コイルに近接する物体の種類による影響を示したものである。
【0031】
デジタルPingのための動的電力管理
共振LC回路に一定期間電力を供給することでデジタルPingが生成され、その間トランスミッタは受電デバイスからの応答を待つ。一例では、電力は、デジタルPingに際して公称90msの間適用される。応答は、ASK変調を用いて符号化された信号で提供され得る。一例では、典型的な送信ベースステーションは、毎秒80mJの電力レベルで毎秒12.5回(周期=1/80ms)の頻度でpingを行い、このようなデジタルping発見手順は1Wを消費する。本明細書に開示された特定の態様によれば、1つまたは複数の充電セルのコイルを選択的に励起して、異なる受信感度を有する充電式デバイスに対応する最適なデジタルPingを提供することができる。
【0032】
本開示の特定の態様は、異なるタイプの充電式デバイスの検出、充電設定の選択、および充電に関する。充電設定は、充電面上の充電ゾーン、充電セルのセット、または充電式デバイスに電力をワイヤレス伝送するために使用される1以上の伝送コイルを定義することができる。充電設定は、充電式デバイスを充電するために使用される1以上の伝送コイルに供給される電流の周波数、位相または振幅を定義することができる。
【0033】
図8は、3つの充電セル802、804、806が画定されたワイヤレス充電装置の充電面800を示す図である。図示の例では、充電セル802、804、806の各々を用い、独立して充電式デバイスに電力をワイヤレス伝送することができる。ワイヤレス充電装置のコントローラは、アクティブな各充電セル802、804、806の充電設定を定義することができる。図示の例では、アクティブな充電式デバイスの受電コイル808、810、812は、関連する充電セル802、804、806の中央付近に配置されている。動作時、受電コイル808、810、812は、充電面800の1以上の伝送コイル(LP-1~LP-18と表示)と電磁気的に結合させることができる。図示の例では、ワイヤレス充電装置は、充電セル内の伝送コイルに充電電流を供給するように構成可能な複数のドライバを含み得る。ワイヤレス充電装置は、さらに、受電コイル808、810、812を具える充電式デバイスを通じて、受電コイル808、810、812の同時デバイス発見および/または同時制御が可能であり得る。
【0034】
図9は、多周波ASK変調をサポートするワイヤレス充電装置における通信インターフェース900の一例を示す図である。特定のワイヤレス充電プロトコルは、電力伝送のために電力トランスミッタに供給する充電電流の公称周波数と電力レベルを定義する。動作周波数は、ASK変調のキャリア周波数としても機能する。ワイヤレス充電装置は、1つまたは複数の受電デバイス908、910、912から受信したASK変調信号924を復号することによって、能力および構成情報を特定することができる。ワイヤレス充電装置は、受信した能力および構成情報に基づいて、受電デバイス908、910、912の充電設定を定義することができる。受電デバイス908、910、912は、異なる電力要件を有してもよく、受電デバイス908、910、912のいくつかは、異なる感度を有するか、異なる最大および最小受信電力レベルに定格され得る受電回路を有し得る。
【0035】
図示された通信インターフェース900において、マルチデバイスワイヤレス充電器は、プロセッサ、シーケンサ、ステートマシンまたは他のコントローラ902によって制御される1つまたは複数のマルチコイル電力伝送回路906を具える。コントローラ902は、電力伝送回路906のアクティブな各充電コイルに充電電流を供給するために、ドライバのセット904を構成し得る。一例では、アクティブな各充電コイルは、異なる受電デバイス908、910、912に結合される。いくつかの実施例では、充電電流は、単一の受電デバイス内の1以上の受電コイルに電磁気的に結合された複数のコイルに供給され得る。コントローラ902は、異なる電力レベルで充電電流を提供するように、ドライバのセット904を構成することができる。
【0036】
電力伝送回路906から抽出されたASK変調信号926は、コントローラ902から供給されるバンドセレクト信号930によって構成されるバンドパスフィルタ914に供給され得る。バンドセレクト信号930は、ASK符号化に供されるチャネルに関連しない周波数成分をブロックするようにバンドパスフィルタ914を構成することができる。充電電流は、例えば、公称値ではない結合によって生じる共振の変化に対応するために、異なる周波数で提供されてもよい。いくつかの実装例では、バンドセレクト信号930は、バンドパスフィルタ914の中心周波数および帯域幅を定義する。SK変調信号926のフィルタリングされたバージョンは、検出器918に供給するピーク検出器916に提供され、この検出器は、ASK変調信号926に搬送される情報928の復号化を可能にするために、搬送波信号922の表現が供給されるコヒーレント復調器920の出力も受信する。
【0037】
電力伝送回路906は、1以上のデジタルPing中に受信される能力および構成情報に基づいて、充電のための動作周波数および電力レベルを構成することができる。ワイヤレス充電器は、ワイヤレス充電器の表面に対する受電デバイス908、910、912の正確な位置または距離が分からず、通常はさらに、受電デバイス908、910、912における受電回路の能力および感度をさらに認識していない。したがって、ワイヤレス充電器は、公称電力レベルでデジタルPingを送信する。
【0038】
ワイヤレス充電装置は、ASK変調伝送の交換を含むデジタルPingを使用して、能力および構成情報を特定することができる。一例では、デジタルPingでは、充電器と充電対象デバイスの間でやり取りが行われる。充電装置は、充電式デバイスの存在を検知した後、短い文字列のデータを送信する。充電式デバイスは、充電状態、能力、充電プロセスに関連する特定のパラメータに関する情報を提供するASK変調伝送で応答する。一例では、充電式デバイスは、充電式デバイスが受信した充電信号の強度信号を示す情報で応答する。充電装置は、デジタルPingに対する1以上の応答に基づいて充電設定を定義し、充電設定に基づいて充電を開始することができる。ASK変調されたデータパケットは、充電プロセス中に充電式デバイスによって送信され、充電装置がステータスを判定し、電力レベルを調整し、適切な場合に充電プロセスを終了するために使用する情報を提供し得る。
【0039】
多くのアプリケーションでは、ワイヤレス充電器は、同じデジタルPingの振幅に対して非常に異なる応答を有し得る、大きな範囲のデバイスタイプおよびサイズに遭遇し得る。あるデバイスにとっては低いかもしれないPing振幅が、より敏感なデバイスの最大限界に近い場合がある。従来の多くのシステムでは、低感度デバイスを検出できないことと、高感度デバイスの回路を保護することの間でトレードオフが生じ得る。
【0040】
本開示の特定の態様によれば、デジタルPingは、充電されるデバイスのタイプに適した電力レベルで充電装置がデジタルPingを提供できるように適合され得る。一例では、デジタルPingは、充電式デバイスの見かけの感度を特定し、デジタルPingの電力レベルを選択するために使用できるクランプランプ(clamp ramp)を含むか、それに先行し得る。
【0041】
図10は、受電回路1004が伝送回路1002からのワイヤレス伝送電力を受信可能な充電システム1000を示す。受電回路1004および伝送回路1002は、Qi規格に定義されたプロトコルに従って動作することができる。伝送回路1002は、
図5に例示した共振回路506に対応し得る。受電回路1004は、トランスの2次側として動作する受電コイル1014を含み、トランスの1次側は、伝送回路1002の伝送コイル1012によって提供される。受電コイル1004はインダクタンス(L
s)を有し、受電コイル1014のインダクタンスに基づいて選択される静電容量(C
s)を有し、伝送コイル1012によって提供される充電フラックスの周波数に受電回路1004を同調させる直列共振コンデンサ1016に結合されている。一例では、充電フラックスの周波数は、公称100kHzである。Qi規格では、受電コイル1014と並列に検出コンデンサ1018を設けることが規定されている。検出用コンデンサ1018は、受電コイル1014のインダクタンスに基づいて、1MHzで共振する検出共振回路を提供するように選択される静電容量(C
d)を有する。
【0042】
受電回路1004は、伝送コイル1012から供給される充電フラックスによって受電コイル1014に誘導される電流を受けて直流(DC)出力1010を得るように構成された整流器1008に結合されている。充電式デバイスは通常、デバイスの許容範囲や設定された限界を超えた状態を検出する保護回路を備える。例えば、充電式デバイスは、1以上の回路の高温を検出または先取りし、回路を設定または指定された温度範囲内に維持するために、受ける電力を要求または制限できる回路を含み得る。
【0043】
Qi規格で定義されたプロトコルと互換性のある充電式デバイスは過電圧保護回路1006を有し、これがクランパ(Clamper)を含み得る。クランパは、信号の振動のピークを定められた電圧に制限することができる回路である。いくつかの実施例では、充電式デバイスは、受けた電力または電圧が指定または設定された限界を超えたときに、受電回路1004の両端子1022、1024を接地1020に短絡させる回路を含み得る。伝送装置は、電流および/またはタンク電圧の急激な上昇に基づいて、伝送コイル1012と受電コイル1014との間のクランパに起因する結合度の変化を検出することができる。結合度が変化することで、伝送装置が電力伝送を縮小したり、終了したりすることがある。
【0044】
過電圧保護回路1006のクランパは、受電デバイスによるデジタルPingに対するASK変調応答を防止またはブロックすることができる。受電デバイスは、例えば、パルス幅変調信号に応じて伝送コイル1012と受電コイル1014との間の結合を変化させて伝送装置のタンク電圧を変調するために用いられるクランプ回路を含み得る。過電圧保護回路1006のクランパがASKクランプ回路をオーバーライドした場合、受電デバイス内のASK変調回路が無効にされ得る。
【0045】
ワイヤレス充電装置は、センサ、ウォッチ、スマートフォン、タブレットコンピュータなど、様々なタイプの充電式デバイスの充電に使用することができる。デバイスが受信できるワイヤレス電力のレベルは、デバイスのタイプ、場所、および方向に依存し得る。デバイスタイプが異なると、他のデバイスよりもワイヤレス電力伝送に敏感である場合がある。平均的な電力レベルで送信されるデジタルPingが、高感度デバイスでは過電圧保護をトリガする可能性があり、低感度デバイスでは関知されない可能性がある。本開示の特定の態様は、高感度デバイスのクランプを防止できる電力ランピング技術を提供する。一例として、デジタルPingの開始時には低いデジタルPing電力を供給し、デジタルPing中に、伝送回路で指定された最小または希望の電流が測定されるまで段階的に増加することができる。測定された電流レベルは、受電デバイスのカップリング品質、電圧または受信電力レベルを示し得る。
【0046】
図11は、デジタルPingに対する充電式デバイスの特定の応答1100、1120を示す。応答1100、1120は、伝送装置におけるタンク電圧によって示され得る。第1の応答1100において、第1の受電装置は、伝送電力レベルでデジタルPingを受信することが可能である。デジタルPingの開始は、測定されたタンク電圧の遷移(エッジ1102)で示される。タンク電圧のピークレベルまたは平均レベル1104は、信号強度を示すための受電デバイスによるASK変調情報の送信1106中を含め、デジタルPing全体を通して一定の電圧レベルに留まるか徐々に変化する。
【0047】
第2の応答1120は、第2の受電デバイスにおいてクランパをトリガするデジタルPingの例を示す。この例では、第2の受電デバイスは第1の受電デバイスよりも感度が高く、デジタルPingの電力レベルによって過電圧保護回路のクランパがトリガされる。デジタルPingの開始は、測定されたタンク電圧の遷移(エッジ1122)で示される。タンク電圧の初期レベル1124は、受電デバイス内に誘導された電力レベルによって受電デバイス内のクランパがトリガされると、ステップ状に変化し得る。図示の例では、受電デバイスによる信号強度を示すASK変調情報の送信1126が、受電デバイス内の過電圧クランパをトリガする。過電圧クランパが作動すると、受電デバイス内のASK変調回路が無効化または抑制される。過電圧クランパは、受電デバイスの受電コイルを短絡させ、結合特性のステップ変化を引き起こし、これは、電流振幅のステップ増加または高い電圧レベルへのステップ増加1128として登録され得る。充電装置は結合度の変化を認識すると、デジタルPingを終了させる。
【0048】
本開示の特定の態様によれば、デジタルPingは、伝送デバイスがデジタルPingの電力レベルをPing送信される充電式デバイスに適したレベルに制限することを可能にするクランプランプを有して構成され得る。このクランプランプは、より少ないデバイスに十分な電力を供給しながら、敏感なデバイスがデジタルPingに応答してクランプするのを防止する方法を提供する。クランプランプは、デジタルPing中に構成プロセスに広いダイナミックレンジ能力を提供することができる。
【0049】
図12は、本開示の特定の態様に従って適合されたデジタルPing1202に対する応答1200を示す図である。応答1200は、ワイヤレス充電装置の伝送回路で測定されるタンク電圧で表され得る。
【0050】
デジタルPing1202は、ワイヤレス充電装置がデジタルPing1202の電力レベルを選択できるようにするクランプランプ1208を含むかまたはそれに先行し得る。タンク回路で測定された開始電圧1206によって示される初期電力レベルは、最も感度の高い受電デバイスが初期電力レベルでデジタルPing1202に応答できるように選択される。ワイヤレス充電装置は、その伝送コイルに流れる電流が、受電デバイスがデジタルPing1202に応答できるようにする受電デバイスとの結合を示す最小振幅または振幅範囲に対応する振幅を有するかどうかを判定し得る。ワイヤレス充電装置は、伝送コイルに流れる電流が最小振幅または振幅範囲に対応する振幅を有するまで、クランプランプ1208の間にデジタルPing1202の電力レベルを1回または複数回増加させ得る。一例では、ワイヤレス充電装置は、タンク電圧レベル1210(Vping)に基づいて、適切な振幅の電流が伝送コイルに流れていることを判定し得る。
【0051】
クランプランプ1208中にトランスミッタ電力レベルを増加させるステップサイズは、敏感な受電デバイスに対応するように構成することができる。例えば、ステップサイズは、最も敏感な受電デバイスが受け入れることができる最小電力レベルと最大電力レベルとの差よりも小さくなるように選択することができ、それにより、クランプランプ1208中のトランスミッタ電力の増加が受電デバイスのクランパ回路をトリガしないことが保証される。クランプランプ1208の持続時間およびステップ数は、典型的には、デジタルPing1202の持続時間の5%未満であるクランプランプ1208となり、このクランプランプ1208は、デバイス発見に必要な時間を増やすことなく使用することができる。
【0052】
図13は、本開示の特定の態様に従って実行されるデジタルPing手順における動的電力管理方法の一例を示すフローチャート1300である。この方法は、マルチデバイスワイヤレス充電器のコントローラによって実行することができる。ブロック1302において、コントローラは、送信電力をデジタルPingの最低レベルに設定することができる。最低レベルは、充電装置の表面に置かれると予想される最も感度の高い受電デバイスで扱える電力レベルに基づいて決定され得る。コントローラは、ステップカウンタをクリアするなどして、ステップカウンタを初期化することができる。クランプランプ1208に設定された最大数のステップが実行されたときを判定するために、ステップカウンタを用いることができる。コントローラは、デジタルPingの最大継続時間を定義するタイマーを初期化することもできる。
【0053】
ブロック1302において、コントローラは、Ping電流が最小レベル、またはデジタルPingのASK符号化をサポートする電力レベルに対応する閾値レベルに達したかどうかを判定することができる。選択された電力設定において測定されるPing電流は、伝送コイルと受電コイルとの間の結合の質に依存し得る。選択された電力設定において測定されるPing電流は、受電デバイスの感度に依存し得る。ping電流が最小レベルまたは閾値レベルに達したとき、本方法はブロック1312に続く。ping電流が最小レベルまたは閾値レベルに達していない場合、方法はブロック1306に進み、コントローラは、クランプランプ1208の最大ステップ数が実行されたかどうかを判定することができる。クランプランプ1208の最大ステップ数が実行された場合、方法はブロック1312に進むことができる。クランプランプ1208の最大ステップ数が実行されていない場合、方法はブロック1308に進み、コントローラはステップカウントをインクリメントすることができる。ブロック1310において、コントローラは次に、デジタルPingの電力レベルを増加させることができる。その後、本方法はブロック1304に戻る。
【0054】
ブロック1312において、コントローラは、デジタルPingタイマを開始することができる。ブロック1314において、コントローラは、デジタルPingタイマが満了したかどうかを判定し、ブロック1316において、タイマが満了していない場合に、受電デバイスからメッセージが受信されたかどうかをチェックすることができる。メッセージが受信されていない場合、コントローラはブロック1314に戻ることができる。メッセージが受信されたら、コントローラは、デジタルPingが正常に完了したと判断することができる。一例では、コントローラは、メッセージで提供される情報を使用して、受電デバイスを充電するための充電設定を定義することができる。ブロック1314でデジタルPingタイマが満了したと判定された場合に、コントローラは、ブロック1318に進むことができる。ブロック1318において、コントローラは、次のデジタルPingを構成することができる。一例では、次のデジタルPingを構成することは、次のデジタルPingを送信するために使用される伝送コイルを選択することを含む。
【0055】
図14は、本開示の特定の態様に従って実行されるデジタルPing手順における動的電力管理方法の一例を示すフローチャート1400である。この方法は、マルチデバイスワイヤレス充電器のコントローラによって実行することができる。ブロック1402において、コントローラは、ワイヤレス充電装置の伝送コイルに第1の電力レベルでデジタルPingの送信を開始することができる。ブロック1404において、コントローラは、伝送コイルに流れる電流がデジタルpingのASK変調をサポートする振幅を有するまで、デジタルpingの電力レベルを1回または複数回増加させることができる。ブロック1406において、コントローラは、デジタルpingに対する応答が充電式デバイスから受信された場合に、充電式デバイスに電力を伝送するための充電設定を決定することができる。
【0056】
一例では、コントローラは、応答で提供された充電可能なデバイスの能力または構成を特定する情報に基づいて、充電設定を決定することができる。コントローラはさらに、応答で提供される要求された充電電流を特定する情報から、充電設定を決定するように構成され得る。コントローラは、伝送コイルで測定された電圧レベルを用いて、伝送コイルに流れる電流を計算することができる。デジタルPingに対する応答は、伝送コイルで測定された電圧レベルで符号化された情報を含み、ASK変調を使用して変調される。コントローラは、伝送コイルに流れる電流が閾値と同等以上の振幅を有する場合に、デジタルPingのASK変調をサポートする振幅を有すると判定することができる。コントローラは、ASK変調された応答が受信されない限り、予め設定された継続時間の後にデジタルpingを終了させることができる。デジタルpingの電力レベルは、1以上の電力レベルの増加のそれぞれについて、予め設定されたステップ値だけ増加され得る。コントローラは、充電式デバイスがワイヤレス充電装置の充電面上またはその近傍に存在すると判定してもよい。充電面上またはその近くに充電式デバイスが存在するか否かは、パッシブPing手順で判定することができる。コントローラは、充電面上またはその近くに充電式デバイスが存在するとの判定に基づいて、第1のPingを送信することができる。
【0057】
処理回路の例
図15は、バッテリをワイヤレス充電することを可能にする充電装置または受電デバイスに組み込むことができる装置1500のハードウェア実装の一例を示す図である。いくつかの例では、装置1500が、本明細書に開示の1以上の機能を実行することができる。本開示の様々な態様によれば、本明細書に開示の要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せを、処理回路1502を用いて実装することができる。処理回路1502は、ハードウェアモジュールおよびソフトウェアモジュールのある組合せによって制御される1以上のプロセッサ1504を含むことができる。プロセッサ1504の例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、SoC、ASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、シーケンサ、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。1以上のプロセッサ1504は、特定の機能を実行する専用のプロセッサを含むことができ、ソフトウェアモジュール1516の1つによって構成、増強または制御され得る。1以上のプロセッサ1504は、初期化中にロードされるソフトウェアモジュール1516の組合せを通じて構成されてもよく、動作中に1以上のソフトウェアモジュール1516をロードまたはアンロードすることによってさらに構成されてもよい。
【0058】
図示の例では、処理回路1502が、概してバス1510で示されるバスアーキテクチャで実装され得る。バス1510は、処理回路1502の特定の用途および全体的な設計上の制約に応じて、任意の数の相互接続バスおよびブリッジを含むことができる。バス1510は、1以上のプロセッサ1504およびストレージ1506を含む様々な回路をリンクする。ストレージ1506は、メモリデバイスおよび大容量ストレージデバイスを含むことができ、本明細書では、コンピュータ可読媒体および/またはプロセッサ可読媒体とも呼ばれる。ストレージ1506は、一時的な記憶媒体および/または非一時的な記憶媒体を含むことができる。
【0059】
バス1510は、タイミングソース、タイマ、周辺機器、電圧レギュレータおよび電源管理回路などの様々な他の回路をリンクしてもよい。バスインターフェース1508は、バス1510と1以上のトランシーバ1512との間のインターフェースを提供することができる。一例では、標準規定プロトコルに従って、装置1500が充電装置または受電デバイスと通信できるようにするために、トランシーバ1512を設けることができる。また、装置1500の性質に応じて、ユーザインターフェース1518(例えば、キーパッド、ディスプレイ、スピーカ、マイク、ジョイスティック)が提供されてもよく、バス1510に直接またはバスインターフェース1508を介して通信可能に結合することができる。
【0060】
プロセッサ1504は、バス1510の管理と、ストレージ1506を含むコンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアの実行を含む全体的な処理とを担うことができる。この点において、プロセッサ1504を含む処理回路1502は、本明細書に開示の方法、機能および技術のいずれかを実装するために使用することができる。ストレージ1506は、ソフトウェアの実行時にプロセッサ1504によって操作されるデータを格納するために使用することができ、ソフトウェアは、本明細書に開示の方法のいずれか一つを実行するように構成することができる。
【0061】
処理回路1502の1以上のプロセッサ1504は、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかに拘わらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、関数、アルゴリズムなどを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、コンピュータ可読形式でストレージ1506に存在するようにしても、外部のコンピュータ可読媒体に存在するようにしてもよい。外部のコンピュータ可読媒体および/またはストレージ1506は、非一時的なコンピュータ可読媒体を含み得る。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、「フラッシュドライブ」、カード、スティック、キードライブ)、RAM、ROM、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、EEPROMを含む消去可能PROM(EPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を格納するための他の任意の適切な媒体を含むことができる。また、コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1506は、例えば、搬送波、伝送線、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を伝送するための他の任意の適切な媒体も含むことができる。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1506は、処理回路1502に存在していても、プロセッサ1504に存在していても、処理回路1502の外部にあっても、処理回路1502を含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1506は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、特定の用途およびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実装するための最良の方法を認識するであろう。
【0062】
ストレージ1506は、本明細書でソフトウェアモジュール1516とも呼ばれる、ロード可能なコードセグメント、モジュール、アプリケーション、プログラムなどのソフトウェアを維持および/または編成することができる。ソフトウェアモジュール1516の各々は、処理回路1502にインストールまたはロードされて、1以上のプロセッサ1504によって実行されると、1以上のプロセッサ1504の動作を制御するランタイムイメージ1514に寄与する命令およびデータを含むことができる。特定の命令は、実行されると、処理回路1502に、本明細書に記載の特定の方法、アルゴリズムおよびプロセスに従って機能を実行させることができる。
【0063】
ソフトウェアモジュール1516のいくつかは、処理回路1502の初期化中にロードされるものであってもよく、これらのソフトウェアモジュール1516は、本明細書に開示の様々な機能の実行を可能にするように処理回路1502を構成することができる。例えば、いくつかのソフトウェアモジュール1516は、プロセッサ1504の内部デバイスおよび/または論理回路1522を構成することができ、トランシーバ1512、バスインターフェース1508、ユーザインターフェース1518、タイマ、数値演算コプロセッサなどの外部デバイスへのアクセスを管理することができる。ソフトウェアモジュール1516は、割り込みハンドラおよびデバイスドライバと相互作用し、処理回路1502が提供する様々なリソースへのアクセスを制御する制御プログラムおよび/またはオペレーティングシステムを含むことができる。リソースは、メモリ、処理時間、トランシーバ1512へのアクセス、ユーザインターフェース1518などを含むことができる。
【0064】
処理回路1502の1以上のプロセッサ1504は多機能であり、それによってソフトウェアモジュール1516のいくつかがロードされ、異なる機能または同じ機能の異なるインスタンスを実行するように構成される。さらに、1以上のプロセッサ1504は、例えばユーザインターフェース1518、トランシーバ1512およびデバイスドライバからの入力に応答して開始されるバックグラウンドタスクを管理するように適合されてもよい。複数の機能の実行をサポートするために、1以上のプロセッサ1504は、マルチタスク環境を提供するように構成されてもよく、それによって複数の機能の各々が、必要に応じて1以上のプロセッサ1504によって提供されるタスクのセットとして実装される。一例では、マルチタスク環境は、異なるタスク間でプロセッサ1504の制御を引き渡すタイムシェアリングプログラム1520を使用して実装されてもよく、それによって各タスクは、未処理の動作の完了時および/または割り込みなどの入力に応答して、1以上のプロセッサ1504の制御をタイムシェアリングプログラム1520に戻す。タスクが1以上のプロセッサ1504の制御を有する場合、処理回路は、制御タスクに関連する機能によって対処される目的のために効果的に特化される。タイムシェアリングプログラム1520は、オペレーティングシステム、ラウンドロビン方式で制御を転送するメインループ、機能の優先順位に従って1以上のプロセッサ1504の制御を割り当てる機能、および/または、1以上のプロセッサ1504の制御を処理機能に提供することによって外部イベントに応答する割込み作動メインループを含むことができる。
【0065】
一例では、装置1500は、充電回路に結合されたバッテリ充電電源と、複数の充電セルと、1以上のプロセッサ1504に含まれ得るコントローラとを有するワイヤレス充電装置を含むか、またはそのように動作する。複数の充電セルは、充電面を提供するように構成され得る。少なくとも1つのコイルは、各充電セルの電荷伝送領域を通して電磁場を導くように構成され得る。
【0066】
コントローラは、ワイヤレス充電装置の伝送コイルが第1の電力レベルでデジタルpingの送信を開始し、伝送コイルに流れる電流がデジタルpingのASK変調をサポートする振幅になるまでデジタルpingの電力レベルを1回以上増加させ、充電式デバイスからデジタルpingに対する応答が受信されたときに充電式デバイスに電力を伝送する充電構成を決定するように構成され得る。一例では、コントローラは、応答で提供された充電可能なデバイスの能力または構成を特定する情報に基づいて、充電設定を決定することができる。この充電設定は、応答で提供される要求された充電電流を特定する情報から決定され得る。
【0067】
特定の例では、伝送コイルで測定された電圧レベルを用いて、伝送コイルに流れる電流を計算することができる。デジタルPingに対する応答は、伝送コイルで測定された電圧レベルで符号化された情報を含み、ASK変調を使用して変調される。コントローラは、伝送コイルに流れる電流が閾値と同等以上の振幅を有する場合に、デジタルPingのASK変調をサポートする振幅を有すると判定することができる。コントローラは、ASK変調された応答が受信されない限り、予め設定された継続時間の後にデジタルpingを終了させることができる。いくつかの例では、デジタルpingの電力レベルは、1以上の電力レベルの増加のそれぞれについて、予め設定されたステップ値だけ増加される。
【0068】
いくつかの実装例では、コントローラは、充電式デバイスがワイヤレス充電装置の充電面上またはその近傍に存在すると判定してもよい。充電面上またはその近くに充電式デバイスが存在するか否かは、パッシブPing手順で判定することができる。コントローラは、充電面上またはその近くに充電式デバイスが存在するとの判定に基づいて、第1のPingを送信することができる。
【0069】
いくつかの実装例では、プロセッサ可読記憶媒体が、処理回路1502の1以上のプロセッサによって実行されると、処理回路1502に、ワイヤレス充電装置の伝送コイルが第1の電力レベルでデジタルpingの送信を開始させ、伝送コイルに流れる電流がデジタルpingのASK変調をサポートする振幅になるまでデジタルpingの電力レベルを1回以上増加させ、充電式デバイスからデジタルpingに対する応答が受信されたときに充電式デバイスに電力を伝送する充電構成を決定させる命令を格納し得る。
【0070】
命令はさらに、プロセッサ1502に、応答において提供される充電式デバイスの能力または構成を識別する情報に基づいて、充電設定を決定させるように構成され得る。
【0071】
命令はさらに、プロセッサ1502に、応答で提供される要求された充電電流を識別する情報から充電設定を決定させるように構成され得る。命令はさらに、処理回路1502に、伝送コイルで測定された電圧レベルを用いて伝送コイルに流れる電流を計算させるように構成され得る。デジタルPingに対する応答は、伝送コイルで測定された電圧レベルで符号化された情報を含み、ASK変調を使用して変調される。命令はさらに、処理回路1502に、伝送コイルに流れる電流が閾値と同等以上の振幅を有する場合に、デジタルPingのASK変調をサポートする振幅を有すると判定させるように構成され得る。命令はさらに、処理回路1502に、ASK変調された応答が受信されない限り、予め設定された継続時間の後にデジタルpingを終了させるように構成され得る。デジタルpingの電力レベルは、1以上の電力レベルの増加のそれぞれについて、予め設定されたステップ値だけ増加され得る。命令はさらに、処理回路1502に、充電式デバイスがワイヤレス充電装置の充電面上またはその近傍に存在すると判定させるように構成され得る。充電面上またはその近くに充電式デバイスが存在するか否かは、パッシブPing手順で判定することができる。命令はさらに、処理回路1502に、充電面上またはその近くに充電式デバイスが存在するとの判定に基づいて、第1のPingを送信させるように構成され得る。
【0072】
いくつかの実施例を以下の番号の項目に記載する。
1.ワイヤレス充電装置で実行される方法であって、前記ワイヤレス充電装置の伝送コイルに第1の電力レベルでデジタルPingの送信を開始するステップと、前記伝送コイルに流れる電流が前記デジタルPingの振幅シフトキー(ASK)変調をサポートする振幅になるまで前記デジタルPingの電力レベルを1回以上上げるステップと、前記デジタルPingに対する応答を充電式デバイスから受信したときに当該充電式デバイスに電力を伝送する充電設定を決定するステップとを含むことを特徴とする方法。
2.前記応答において提供される前記充電式デバイスの能力または構成を特定する情報に基づいて、前記充電設定を決定するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
3.前記応答において提供される要求された充電電流を特定する情報から、充電設定を決定するステップをさらに含む、項目1または項目2に記載の方法。
4.さらに、前記伝送コイルで測定された電圧レベルを用いて、前記伝送コイルに流れる電流を計算するステップを含む、項目1乃至3のいずれかに記載の方法。
5.前記デジタルPingに対する応答は、前記伝送コイルで測定された電圧レベルで符号化された情報を含み、ASK変調を使用して変調される、項目4に記載の方法。
6.さらに、前記伝送コイルに流れる電流が閾値と同等以上の振幅を有する場合に、前記デジタルPingのASK変調をサポートする振幅を有すると判定するステップを含む、項目1乃至5のいずれかに記載の方法。
7.さらに、ASK変調された応答が受信されない限り、予め設定された継続時間の後に前記デジタルpingを終了させるステップを含む、項目1乃至6のいずれかに記載の方法。
8.前記デジタルpingの電力レベルは、1以上の電力レベルの増加のそれぞれについて、予め設定されたステップ値だけ増加される、項目1乃至7のいずれかに記載の方法。
9.さらに、前記充電式デバイスが前記ワイヤレス充電装置の充電面上またはその近くに存在することを判定するステップであって、前記充電式デバイスが前記ワイヤレス充電装置の充電面上またはその近くに存在するかは、パッシブping手順を用いて判定されるステップと、前記充電面上またはその近くに前記充電式デバイスが存在するとの判定に基づいて前記デジタルpingを送信するステップとをさらに含む、項目1乃至8のいずれかに記載の方法。
10.プロセッサ可読記憶媒体であって、処理回路の1以上のプロセッサによって実行されると、前記処理回路に、ワイヤレス充電装置の伝送コイルに第1の電力レベルでデジタルpingの送信を開始させ、前記伝送コイルに流れる電流がデジタルpingの振幅シフトキー(ASK)変調をサポートする振幅になるまで前記デジタルpingの電力レベルを1回以上増加させ、充電式デバイスから前記デジタルpingに対する応答が受信されたときに前記充電式デバイスに電力を伝送する充電構成を決定させる命令を格納していることを特徴とするプロセッサ可読記憶媒体。
11.前記命令はさらに、前記処理回路に、前記応答で提供される前記充電式デバイスの能力または構成を特定する情報に基づいて、前記充電設定を決定するステップを実行させる、項目10に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
12.前記命令はさらに、前記処理回路に、前記応答で提供される要求された充電電流を特定する情報から前記充電設定を決定するステップを実行させる、項目10または11に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
13.前記命令がさらに、前記処理回路に、前記伝送コイルで測定された電圧レベルを用いて、前記伝送コイルに流れる電流を計算させる、項目10乃至12のいずれかに記載のプロセッサ可読記憶媒体。
14.前記デジタルPingに対する応答は、前記伝送コイルで測定された電圧レベルで符号化された情報を含み、ASK変調を使用して変調される、項目13に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
15.前記命令がさらに、前記処理回路に、前記伝送コイルに流れる電流が閾値と同等以上の振幅を有する場合に、前記デジタルPingのASK変調をサポートする振幅を有すると判定させる、項目10乃至14のいずれかに記載のプロセッサ可読記憶媒体。
16.前記命令がさらに、前記処理回路に、ASK変調された応答が受信されない限り、予め設定された継続時間の後に前記デジタルpingを終了させる、項目10乃至15のいずれかに記載のプロセッサ可読記憶媒体。
17.前記デジタルpingの電力レベルは、1以上の電力レベルの増加のそれぞれについて、予め設定されたステップ値だけ増加される、項目10乃至16のいずれかに記載のプロセッサ可読記憶媒体。
18.前記命令がさらに、前記処理回路に、前記充電式デバイスが前記ワイヤレス充電装置の充電面上またはその近くに存在することを判定させ、ここで前記充電式デバイスが前記ワイヤレス充電装置の充電面上またはその近くに存在するかは、パッシブping手順を用いて判定され、前記充電面上またはその近くに前記充電式デバイスが存在するとの判定に基づいて前記デジタルpingを送信させる、項目10乃至17のいずれかに記載のプロセッサ可読記憶媒体。
19.ワイヤレス充電装置であって、前記ワイヤレス充電装置の充電面上に設けられた1以上の充電セルと、コントローラとを具え、当該コントローラが、前記ワイヤレス充電装置の伝送コイルに第1の電力レベルでデジタルPingの送信を開始するステップと、前記伝送コイルに流れる電流が前記デジタルPingの振幅シフトキー(ASK)変調をサポートする振幅になるまで前記デジタルPingの電力レベルを1回以上上げるステップと、前記デジタルPingに対する応答を充電式デバイスから受信したときに当該充電式デバイスに電力を伝送する充電設定を決定するステップとを行うように構成されることを特徴とする方法。
【0073】
上述した説明は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実施できるようにするために提供されたものである。これらの態様に対する様々な変更は、当業者には明らかであり、本明細書で規定される一般的な原理は、他の態様に適用することができる。このため、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されることを意図するものではなく、請求項の文言と一致する全範囲が認められるものであり、単数形の要素への言及は、特に明記がなければ、「唯一の」を意味するものではなく、「1以上」を意味するものとする。特に明記されていない限り、「いくつか」という用語は1以上を指している。当業者に知られている、または後に当業者に知られるようになる、本開示を通して説明される様々な態様の要素に対するすべての構造的および機能的均等物は、引用により本明細書に明示的に援用されるとともに、特許請求の範囲に含まれることが意図される。さらに、本明細書に開示されているものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かにかかわらず、公衆に捧げられることを意図していない。クレームの要素は、その要素が「means for」という語句で明示的に記載されているか、方法クレームの場合には「step for」という語句で記載されていなければ、35U.S.C.§112、第6章の規定に基づいて解釈されるべきではない。
【国際調査報告】