(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】タンパク質精製プロセスにおいて宿主細胞タンパク質含有量を減少させるための方法
(51)【国際特許分類】
C07K 1/22 20060101AFI20231019BHJP
C07K 1/18 20060101ALI20231019BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231019BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20231019BHJP
C07K 16/10 20060101ALN20231019BHJP
【FI】
C07K1/22
C07K1/18
A61K39/395 K
C12N15/13 ZNA
C07K16/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520349
(86)(22)【出願日】2021-10-04
(85)【翻訳文提出日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 US2021053318
(87)【国際公開番号】W WO2022072919
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】ボウズ,ブライアン デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】クレブス,ララ エレン
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085DD31
4C085DD33
4H045AA11
4H045AA20
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA29
4H045FA74
4H045GA23
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、患者への投与を意図したタンパク質の製造プロセスにおいて、宿主細胞内で組換えによって産生されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させるための方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、
a.前記タンパク質調製物をアフィニティークロマトグラフィーカラムに供するステップと、
b.弱酸及び強酸を含む酸の組み合わせを用いて前記クロマトグラフィーカラムから前記目的のタンパク質を溶出して、前記目的のタンパク質を含む溶出液を得るステップと、
c.前記溶出液のpHをpH約6.0超に上昇させるステップと、
d.前記溶出液をデプスフィルターにかけて、濾過されたタンパク質調製物を得るステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記クロマトグラフィーカラムが、プロテインA、プロテインG又はプロテインLアフィニティークロマトグラフィーカラムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記弱酸が、7.0未満のpKa値を1つのみ有し、前記強酸が、7.0未満のpKa値を1つのみ有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記弱酸が、酢酸であり、前記強酸が、リン酸又は乳酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記酢酸の濃度が、約20mMであり、前記強酸が、リン酸であり、前記リン酸の濃度が、約5mM~約10mMである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記酢酸の濃度が、約20mMであり、前記強酸が、乳酸であり、前記乳酸の濃度が、約5mMである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
ウイルス不活性化を行うステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ウイルス不活性化を行うステップであって、前記クロマトグラフィーカラムから前記タンパク質を溶出する前記ステップからの前記溶出液の前記pHをpH約4.0未満に調整することを含み、前記溶出液が、pH約4.0未満に約0分~約180分間維持される、ステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記溶出液の前記pHを調整する前記ステップが、前記溶出液の前記pHをpH約3.3~pH約3.7に調整することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記溶出液の前記pHが、pH約3.5に調整される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記溶出液の前記pHを調整することが、HCl、リン酸、又は酢酸及びリン酸の組み合わせのうちのいずれか1つを添加することを含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記溶出液の前記pHを上昇させる前記ステップが、前記pHをpH約6.5~pH約7.5に上昇させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記溶出液の前記pHが、pH約7.0に上昇される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記溶出液の前記pHを上昇させる前記ステップが、トリスを添加することを含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記pHを約6.0超に上昇させる前記ステップにおける前記溶出液が、約10mM~約45mMのイオン強度を有する、請求項1~14のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記デプス濾過されたタンパク質調製物をイオン交換クロマトグラフィーに供するステップを更に含む、請求項1~15のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量が、100ppm未満に減少する、請求項1~16のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記濾過されたタンパク質調製物中の前記宿主細胞タンパク質含有量が、PLBL2を含み、前記PLBL2が、100ppm未満に減少する、請求項1~16のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記タンパク質調製物が、採取した細胞の培養液、捕捉プール、又は回収タンパク質プールを含む、請求項1~18のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記タンパク質が、治療用又は診断用タンパク質である、請求項1~19のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記タンパク質が、抗体、Fc融合タンパク質、ペプチド、イムノアドヘシン、酵素、成長因子、受容体、ホルモン、調節因子、サイトカイン、抗原、ペプチド、又は結合剤である、請求項1~19のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記抗体が、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、二重特異性抗体、又は抗体フラグメントである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記抗体が、IgG1抗体である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記タンパク質が、抗SARS-COV-2抗体である、請求項1~23のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記抗SARS-COV-2抗体が、バムラニビマブである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記抗SARS-COV-2抗体が、配列番号1のVH及び配列番号2のVLを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記抗SARS-COV-2抗体が、配列番号3のHC及び配列番号4のLCを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記抗SARS-COV-2抗体が、エテセビマブである、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記抗SARS-COV-2抗体が、配列番号5のVH及び配列番号6のVLを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記抗SARS-COV-2抗体が、配列番号7のHC及び配列番号8のLCを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記抗SARS-COV-2抗体が、ベブテロビマブである、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記抗SARS-COV-2抗体が、配列番号9のVH及び配列番号10のVLを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記抗SARS-COV-2抗体が、配列番号11のHC及び配列番号12のLCを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
宿主細胞内で組換えによって産生された抗SARS-COV-2抗体調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、
宿主細胞内で組換えによって産生された抗SARS-COV-2抗体調製物を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムに供することと、
b.酢酸及びリン酸を含む酸の組み合わせ、又は酢酸及び乳酸の組み合わせを用いて前記抗SARS-COV-2抗体を溶出して、前記抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液を得ることと、
c.約20mM HClの添加により前記抗SARS-COV-2抗体を含む前記溶出液のpHを調整するステップであって、前記pHが、pH約3.3~pH約3.7に低下され、前記溶出液がpH約3.3~pH約3.7に約0分~約180分間維持されることと、
d.約250mMのトリス緩衝液の添加により前記抗SARS-COV-2抗体を含む前記溶出液の前記pHを上昇させるステップであって、前記pHが、pH約6.5~pH約7.5に上昇されることと、
e.前記抗SARS-COV-2抗体を含む前記溶出液をデプスフィルターにかけて、濾過された抗SARS-COV-2抗体調製物を得ることとを含み、
前記濾過された抗SARS-COV-2抗体調製物中の宿主細胞タンパク質含有量が、約0ppm~約20ppmに減少し、前記抗SARS-COV-2抗体が、IgG1抗体である、方法。
【請求項35】
ステップbの酸の組み合わせが、20mM酢酸及び5mMリン酸、又は20mM酢酸及び5mMリン酸、又は20mM酢酸及び5mM乳酸を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記溶出液の前記pHを調整するステップcが、前記溶出液の前記pHを約3.5に調整することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
約20mM HClの添加により前記抗SARS-COV-2抗体を含む前記溶出液の前記pHを調整する前記ステップが、ウイルス不活性化を達成する、請求項34~36のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記溶出液の前記pHを上昇させる前記ステップが、前記pHをpH約7.25に上昇させることを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記pHを上昇させる前記ステップ後の前記溶出液が、約10mM~約45mMのイオン強度を有する、請求項34又は38に記載の方法。
【請求項40】
前記デプス濾過された抗SARS-COV-2抗体調製物をイオン交換クロマトグラフィーに供するステップを更に含む、請求項34~39のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記抗SARS-COV-2抗体が、バムラニビマブである、請求項34~40のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記抗SARS-COV-2抗体が、アミノ酸の配列番号1のVH及びアミノ酸の配列番号2のVLを含む、請求項34~40のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記抗SARS-COV-2抗体が、アミノ酸の配列番号3のHC及びアミノ酸の配列番号4のLCを含む、請求項34~40のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記抗SARS-COV-2抗体が、エテセビマブである、請求項34~40のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記抗SARS-COV-2抗体が、配列番号5のVH及び配列番号6のVLを含む、請求項34~40のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記抗SARS-COV-2抗体が、配列番号7のHC及び配列番号8のLCを含む、請求項34~40のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記抗SARS-COV-2抗体が、ベブテロビマブである、請求項34~40のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記抗SARS-COV-2抗体が、アミノ酸の配列番号9のVH及びアミノ酸の配列番号10のVLを含む、請求項34~40のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記抗SARS-COV-2抗体が、アミノ酸の配列番号11のHC及びアミノ酸の配列番号12のLCを含む、請求項34~40のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記デプスフィルターが、C0SP、X0SP、X0HC、Emphaze AEX Hybrid Purifier、又はZeta Plus(ZB Media)を含む、請求項1~49のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記宿主細胞が、哺乳動物細胞である、請求項1~50のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記哺乳動物細胞が、CHOである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
請求項1~52のうちのいずれか一項に記載の方法によって生成される、組成物。
【請求項54】
前記組成物中の宿主細胞タンパク質含有量が、約100ppm未満である、請求項53に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組換えタンパク質製造の分野に関する。より具体的には、本発明は、患者への投与を意図したタンパク質の製造プロセスにおいて、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させるための方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
宿主細胞タンパク質(HCP)は、細胞の維持及び増殖、並びにタンパク質の合成及びプロセシングに関与する宿主細胞のタンパク質である。しかしながら、治療用又は診断用タンパク質の領域では、HCPの存在は、凝集、触媒活性による生成物の断片化、及び/又は免疫原性等の問題を引き起こし、製品の品質及び患者の安全を脅かす。したがって、HCPは、タンパク質製剤の重要品質特性(CQA)として特定されている。望ましくない凝集体の形成及び生成物の断片化は、HCPを減少させる/除去するための追加の精製ステップを必要とし、これらの追加の精製ステップは、多くの場合、所望のタンパク質の収量を減少させ、全体的な製造コストを増加させる。
【0003】
製造プロセスからHCPを排除するという課題、及びHCPを減少させるプロセスを改善する試みが、例えば、Gilgunn et al;Goey et al.,Biotechnology Advances 36(2018)1223-1237、及びCurrent Opinion in Chemical Engineering 2018,22:98-106に開示されている。しかしながら、HCPを除去するためのこれらのプロセスには限界がある。例えば、場合によっては、これらの開示は、HCPの不完全な除去、凝集につながるHCPの除去におけるプロセスの不一致、所望のタンパク質及びHCPの同時精製、製品機能の低下、患者における免疫原性の懸念、及び/又は半減期等の薬物動態特性の低下のうちの1つ以上を示している。更に、HCPを除去するために開発されたプロセスは、多くの場合、例えば、作業量が多く、追加の精製ステップを必要とし、製造コストが増加し、収率が低下することが多い。場合によっては、この方法の適用可能性は、特定の分子及び/又は形態に限定される。そのため、治療用又は診断用タンパク質の精製プロセスにおいてHCPを減少させる代替方法が必要とされている。このような代替方法は、好ましくは、最終的に製品の品質を維持するために、製品の安定性、収率、又はコストに影響を与えることなくHCPを減少させ、大規模な製造に適しており、患者の安全を保障する。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明は、治療用又は診断用タンパク質の調製においてHCPを減少させる代替方法を提供することによって、上記の問題のうちの1つ以上に対応する。本発明の方法は、HCPの除去に非常に効果的である一方で、タンパク質の安定性を維持し、凝集を低減し、生成物の収率を維持し、免疫原性のリスクを低下させる可能性を有する、再現可能な方法を提供する。そのような方法は、タンパク質調製量を増加する必要なく、HCPを効果的に除去することができる。驚くべきことに、本発明の方法は、<100ppmの業界許容基準を十分に下回るHCP数を達成した。驚くべきことに、実施形態において、本発明の方法は、タンパク質の安定性を維持し、凝集を低減し、生成物の収率を維持しながら、<50ppmのHCP数を達成した。更に驚くべきことに、本発明の他の実施形態は、タンパク質の安定性を維持し、凝集を低減し、生成物の収率を維持しながら、<20ppmのHCP数を達成した。更に、本発明の実施形態は、広範囲の分子に適用可能なHCP除去の方法を提供する。本発明の他の実施形態は、追加の精製ステップの排除を可能にし、バッチ処理時間の短縮、及び製造コストの削減をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0005】
したがって、特定の実施形態は、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、宿主細胞内で組換えによって産生されたタンパク質調製物をアフィニティークロマトグラフィーカラムに供することと、弱酸及び強酸を含む酸の組み合わせを用いてクロマトグラフィーカラムから目的のタンパク質を溶出して、目的のタンパク質を含む溶出液を得ることと、溶出液のpHをpH約6.0超に上昇させることと、溶出液をデプスフィルターにかけて、濾過されたタンパク質調製物を得ることと、を含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、pHをpH約6.0超に上昇させるステップからの溶出液のイオン強度は、約10mM~約45mMである。いくつかの実施形態において、弱酸は7.0未満のpKa値を1つのみ有し、強酸は7.0未満のpKa値を1つのみ有する。好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は減少する。より好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約100ppm未満、約50ppm未満、又は約20ppm未満に減少する。
【0006】
したがって、特定の実施形態において、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、宿主細胞内で組換えによって産生されたタンパク質調製物をアフィニティークロマトグラフィーカラムに供することと、弱酸及び強酸を含む酸の組み合わせを用いてクロマトグラフィーカラムから目的のタンパク質を溶出して、目的のタンパク質を含む溶出液を得ることと、溶出液に対してウイルス不活性化を行うことと、溶出液のpHをpH約6.0超に上昇させることと、溶出液をデプスフィルターにかけて、濾過されたタンパク質調製物を得ることと、を含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、pHをpH約6.0超に上昇させるステップからの溶出液のイオン強度は、約10mM~約45mMである。いくつかの実施形態において、弱酸は7.0未満のpKa値を1つのみ有し、強酸は7.0未満のpKa値を1つのみ有する。好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は減少する。より好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約100ppm未満、約50ppm未満、又は約20ppm未満に減少する。
【0007】
したがって、特定の実施形態において、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、宿主細胞内で組換えによって産生されたタンパク質調製物をアフィニティークロマトグラフィーカラムに供することと、弱酸及び強酸を含む酸の組み合わせを用いてクロマトグラフィーカラムから目的のタンパク質を溶出して、目的のタンパク質を含む溶出液を得ることと、ウイルス不活性化を行うことであって、クロマトグラフィーカラムからタンパク質を溶出する上記ステップからの溶出液のpHをpH約4.0未満に調整することを含み、溶出液がpH約4.0未満に約0分~約180分間維持される、ウイルス不活性化を行うことと、溶出液のpHをpH約6.0超に上昇させることと、タンパク質を含む溶出液をデプスフィルターにかけて、濾過されたタンパク質調製物を得ることと、を含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、pHをpH約6.0超に上昇させるステップからの溶出液のイオン強度は、約10mM~約45mMである。好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は減少する。より好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約100ppm未満、約50ppm未満、又は約20ppm未満に減少する。
【0008】
したがって、特定の実施形態において、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、宿主細胞内で組換えによって産生されたタンパク質調製物をアフィニティークロマトグラフィーカラムに供することと、弱酸及び強酸を含む酸の組み合わせを用いてクロマトグラフィーカラムから目的のタンパク質を溶出して、目的のタンパク質を含む溶出液を得ることであって、弱酸が酢酸であり、強酸がリン酸又は乳酸である、得ることと、クロマトグラフィーカラムからタンパク質を溶出する上記ステップからのタンパク質を含む溶出液のpHをpH約4.0未満に調整することであって、溶出液がpH約4.0未満に約0分~約180分間維持される、調整することと、溶出液のpHをpH約6.0超に上昇させることと、タンパク質を含む溶出液をデプスフィルターにかけて、濾過されたタンパク質調製物を得ることと、を含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、pHをpH約6.0超に上昇させるステップからの溶出液のイオン強度は、約10mM~約45mMである。好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は減少する。より好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約100ppm未満、約50ppm未満、又は約20ppm未満に減少する。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態において、本開示は、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、宿主細胞内で組換えによって産生されたタンパク質調製物をアフィニティークロマトグラフィーカラムに供することと、弱酸及び強酸を含む酸の組み合わせを用いてクロマトグラフィーカラムから目的のタンパク質を溶出して、目的のタンパク質を含む溶出液を得ることであって、弱酸が酢酸であり、強酸がリン酸又は乳酸であり、酢酸の濃度が約20mMであり、リン酸の濃度が約5mM~約10mMである、得ることと、クロマトグラフィーカラムからタンパク質を溶出する上記ステップからのタンパク質を含む溶出液のpHをpH約4.0未満に調整することであって、溶出液がpH約4.0未満に約0分~約180分間維持される、調整することと、溶出液のpHをpH約6.0超に上昇させることと、タンパク質を含む溶出液をデプスフィルターにかけて、濾過されたタンパク質調製物を得ることと、を含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、pHをpH約6.0超に上昇させるステップからの溶出液のイオン強度は、約10mM~約45mMである。好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は減少する。より好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約100ppm未満、約50ppm未満、又は約20ppm未満に減少する。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態において、本開示は、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、宿主細胞内で組換えによって産生されたタンパク質調製物をアフィニティークロマトグラフィーカラムに供することと、弱酸及び強酸を含む酸の組み合わせを用いてクロマトグラフィーカラムから目的のタンパク質を溶出して、目的のタンパク質を含む溶出液を得ることであって、弱酸が酢酸であり、強酸が乳酸であり、酢酸の濃度が約20mMであり、乳酸の濃度が約5mMである、得ることと、クロマトグラフィーカラムからタンパク質を溶出する上記ステップからのタンパク質を含む溶出液のpHをpH約4.0未満に調整することであって、溶出液がpH約4.0未満に約0分~約180分間維持される、調整することと、溶出液のpHをpH約6.0超に上昇させることと、タンパク質を含む溶出液をデプスフィルターにかけて、濾過されたタンパク質調製物を得ることと、を含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、pHをpH約6.0超に上昇させるステップからの溶出液のイオン強度は、約10mM~約45mMである。好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は減少する。より好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約100ppm未満、約50ppm未満、又は約20ppm未満に減少する。
【0011】
いくつかの実施形態において、本開示は、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、宿主細胞内で組換えによって産生されたタンパク質調製物をアフィニティークロマトグラフィーカラムに供することと、弱酸及び強酸を含む酸の組み合わせを用いてクロマトグラフィーカラムから目的のタンパク質を溶出して、目的のタンパク質を含む溶出液を得ることであって、弱酸が酢酸であり、強酸がリン酸又は乳酸である、得ることと、クロマトグラフィーカラムからタンパク質を溶出する上記ステップからのタンパク質を含む溶出液のpHを調整することであって、溶出液のpHを調整する上記ステップが、約20mMのHClを溶出液に添加することを含み、溶出液のpHがpH約3.3~pH約3.7に調整され、溶出液がpH約3.3~pH約3.7に約0分~約180分間維持される、調整することと、溶出液のpHをpH約6.0超に上昇させることと、タンパク質を含む溶出液をデプスフィルターにかけて、濾過されたタンパク質調製物を得ることと、を含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、pHをpH約6.0超に上昇させるステップからの溶出液のイオン強度は、約10mM~約45mMである。好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は減少する。より好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約100ppm未満、約50ppm未満、又は約20ppm未満に減少する。
【0012】
いくつかの実施形態において、本開示は、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、宿主細胞内で組換えによって産生されたタンパク質調製物をアフィニティークロマトグラフィーカラムに供することと、弱酸及び強酸を含む酸の組み合わせを用いてクロマトグラフィーカラムから目的のタンパク質を溶出して、目的のタンパク質を含む溶出液を得ることであって、弱酸が酢酸であり、強酸がリン酸又は乳酸である、得ることと、クロマトグラフィーカラムからタンパク質を溶出する上記ステップからのタンパク質を含む溶出液のpHを調整することであって、溶出液のpHを調整する上記ステップが、約20mMのHClを溶出液に添加することを含み、溶出液のpHがpH約3.5に調整され、溶出液がpH約3.5に約0分~約180分間維持される、調整することと、溶出液のpHをpH約6.0超に上昇させることと、タンパク質を含む溶出液をデプスフィルターにかけて、濾過されたタンパク質調製物を得ることと、を含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、pHをpH約6.0超に上昇させるステップからの溶出液のイオン強度は、約10mM~約45mMである。好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は減少する。より好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約100ppm未満、約50ppm未満、又は約20ppm未満に減少する。
【0013】
いくつかの特定の実施形態において、本開示は、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、宿主細胞内で組換えによって産生されたタンパク質調製物をアフィニティークロマトグラフィーカラムに供することと、弱酸及び強酸を含む酸の組み合わせを用いてクロマトグラフィーカラムから目的のタンパク質を溶出して、目的のタンパク質を含む溶出液を得ることであって、弱酸が酢酸であり、強酸がリン酸又は乳酸である、得ることと、クロマトグラフィーカラムからタンパク質を溶出する上記ステップからのタンパク質を含む溶出液のpHをpH約4.0未満に調整することであって、溶出液がpH約4.0未満に約0分~約180分間維持される、調整することと、約250mMのトリス緩衝液を溶出液に添加することを含む、溶出液のpHをpH約6.5~pH約7.5に上昇させることと、タンパク質を含む溶出液をデプスフィルターにかけて、濾過されたタンパク質調製物を得ることと、を含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、溶出液のpHをpH約6.5~pH約7.5に上昇させることは、約100mM~約1000mMのトリス緩衝液を溶出液に添加することを含む。いくつかの実施形態において、pHをpH約6.5超~pH約7.5に上昇させるステップからの溶出液のイオン強度は、約10mM~約45mMである。好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は減少する。より好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約100ppm未満、約50ppm未満、又は約20ppm未満に減少する。
【0014】
いくつかの実施形態において、本開示は、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、宿主細胞内で組換えによって産生されたタンパク質調製物をアフィニティークロマトグラフィーカラムに供することと、弱酸及び強酸を含む酸の組み合わせを用いてクロマトグラフィーカラムから目的のタンパク質を溶出して、目的のタンパク質を含む溶出液を得ることであって、弱酸が酢酸であり、強酸がリン酸又は乳酸である、得ることと、クロマトグラフィーカラムからタンパク質を溶出する上記ステップからのタンパク質を含む溶出液のpHをpH約4.0未満に調整することであって、溶出液がpH約4.0未満に約0分~約180分間維持される、調整することと、約250mMのトリス緩衝液を溶出液に添加することを含む、溶出液のpHをpH約7.0に上昇させることと、タンパク質を含む溶出液をデプスフィルターにかけて、濾過されたタンパク質調製物を得ることと、を含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、溶出液のpHをpH約6.5~pH約7.5に上昇させることは、約100mM~約1000mMのトリス緩衝液を溶出液に添加することを含む。いくつかの実施形態において、pHをpH約7.0に上昇させるステップからの溶出液のイオン強度は、約10mM~約45mMである。好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は減少する。より好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約100ppm未満、約50ppm未満、又は約20ppm未満に減少する。
【0015】
いくつかの実施形態において、本開示は、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、宿主細胞内で組換えによって産生されたタンパク質調製物をアフィニティークロマトグラフィーカラムに供することと、弱酸及び強酸を含む酸の組み合わせを用いてクロマトグラフィーカラムから目的のタンパク質を溶出して、目的のタンパク質を含む溶出液を得ることであって、弱酸が酢酸であり、強酸がリン酸又は乳酸である、得ることと、クロマトグラフィーカラムからタンパク質を溶出する上記ステップからのタンパク質を含む溶出液のpHをpH約4.0未満に調整することであって、溶出液がpH約4.0未満に約0分~約180分間維持される、調整することと、溶出液のpHをpH約6.0に上昇させることと、タンパク質を含む溶出液をデプスフィルターにかけて、濾過されたタンパク質調製物を得ることであって、デプスフィルターにかけられる溶出液は、約10mM~約45mMのイオン強度を有する、得ることと、を含む方法を提供する。好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は減少する。より好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約100ppm未満、約50ppm未満、又は約20ppm未満に減少する。
【0016】
特定の実施形態において、本開示は、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、宿主細胞内で組換えによって産生されたタンパク質調製物をアフィニティークロマトグラフィーカラムに供することと、弱酸及び強酸を含む酸の組み合わせを用いてクロマトグラフィーカラムから目的のタンパク質を溶出して、目的のタンパク質を含む溶出液を得ることであって、弱酸が酢酸であり、強酸がリン酸又は乳酸である、得ることと、クロマトグラフィーカラムからタンパク質を溶出する上記ステップからのタンパク質を含む溶出液のpHをpH約4.0未満に調整することであって、溶出液がpH約4.0未満に約0分~約180分間維持され、ウイルス不活性化が達成される、調整することと、を含む方法を提供する。
【0017】
本開示は、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、宿主細胞内で組換えによって産生されたタンパク質調製物をアフィニティークロマトグラフィーカラムに供することと、弱酸及び強酸を含む酸の組み合わせを用いてクロマトグラフィーカラムから目的のタンパク質を溶出して、目的のタンパク質を含む溶出液を得ることであって、弱酸が、約20mMの濃度で酢酸を含み、強酸が、リン酸、ギ酸、又は乳酸のうちのいずれか1つを含み、強酸の濃度が約5mM~約10mMである、得ることと、クロマトグラフィーカラムからタンパク質を溶出する上記ステップからのタンパク質を含む溶出液のpHを調整することであって、溶出液のpHを調整する上記ステップが、HCl、リン酸、クエン酸、又は酢酸及びリン酸の組み合わせのうちのいずれか1つを溶出液に添加することを含み、pHがpH約4.0未満に調整され、溶出液がpH約4.0未満に約0分~約180分間維持される、調整することと、溶出液のpHをpH約6.0超~pH7.5に上昇させることと、タンパク質を含む溶出液をデプスフィルターにかけて、濾過されたタンパク質調製物を得ることと、を含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、pHをpH約6.0超~約7.5に上昇させるステップからの溶出液のイオン強度は、約10mM~約45mMである。好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は減少する。より好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約100ppm未満に減少する。更なる実施形態において、溶出ステップは、酢酸及びリン酸、酢酸及び乳酸、又は酢酸及びギ酸からなる酸の組み合わせを含み、pHをpH約4.0未満に調整するステップは、HCl、リン酸、クエン酸、又は酢酸及びリン酸の組み合わせのうちのいずれか1つを添加することを含む。更なる実施形態において、溶出ステップは、約20mMの酢酸及び約10mMのリン酸、約20mMの酢酸及び約5mMのリン酸、又は約20mMの酢酸及び約5mMのギ酸のうちのいずれか1つの組み合わせを含み、pHをpH約4.0未満に調整するステップは、約20mMのHCl、約15mM~約200mMのリン酸、約1000mMのクエン酸、又は約20mMの酢酸及び約10mMのリン酸の組み合わせのうちのいずれか1つを添加するステップを含む。そのような実施形態において、pHを約6.0超のpHに上昇させるステップからの溶出液のイオン強度は、約10mM~約45mMである。
【0018】
本発明の一態様では、本発明は、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、
宿主細胞内で組換えによって産生されたタンパク質調製物をアフィニティークロマトグラフィーカラムに供するステップと、
弱酸及び強酸を含む酸の組み合わせを用いてクロマトグラフィーカラムから目的のタンパク質を溶出して、目的のタンパク質を含む溶出液を得るステップであって、弱酸が酢酸であり、強酸がリン酸又は乳酸である、ステップと、
クロマトグラフィーカラムからタンパク質を溶出する上記ステップからのタンパク質を含む溶出液のpHをpH約4.0未満に調整するステップであって、溶出液がpH約4.0未満に約0分~約180分間維持される、ステップと、
溶出液のpHをpH約6.0超に上昇させるステップと、
タンパク質を含む溶出液をデプスフィルターにかけて、
濾過されたタンパク質調製物を得るステップと、を含む方法を提供する。
【0019】
好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は減少する。より好ましくは、濾過されたタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約100ppm未満、約50ppm未満、又は約20ppm未満に減少する。
【0020】
いくつかの実施形態において、タンパク質は、治療用又は診断用タンパク質、例えば、抗体、Fc融合タンパク質、ペプチド、イムノアドヘシン、酵素、成長因子、受容体、ホルモン、調節因子、サイトカイン、抗原、ペプチド、又は結合剤である。更なる実施形態において、タンパク質は、抗体、例えば、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、二重特異性抗体、又は抗体フラグメントである。いくつかの実施形態において、タンパク質はIgG1抗体であるか、又はIgG1抗体のFc部分を含有する。いくつかの実施形態において、タンパク質は抗SARS-COV-2抗体である。
【0021】
本発明の別の態様において、本発明は、宿主細胞内で組換えによって産生された抗SARS-COV-2抗体調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、
宿主細胞内で組換えによって産生された抗SARS-COV-2抗体調製物を、アフィニティークロマトグラフィーカラム、例えば、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムに供するステップと、
酢酸及びリン酸を含む酸の組み合わせ、又は酢酸及び乳酸の組み合わせを用いて抗SARS-COV-2抗体を溶出して、抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液を得るステップと、
約20mM HClの添加により抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液のpHを調整するステップであって、pHがpH約3.3~pH約3.7に調整され、溶出液がpH約3.3~pH約3.7に約0分~約180分間維持される、ステップと、
約250mMのトリス緩衝液の添加により抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液のpHを上昇させるステップであって、pHがpH約6.5~pH約7.5に上昇される、ステップと、
抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液をデプスフィルターにかけて、濾過された抗SARS-COV-2抗体調製物を得るステップと、を含み、
デプス濾過後の濾過された抗SARS-COV-2抗体調製物中の宿主細胞タンパク質含有量が、約0ppm~約100ppmに減少し、抗SARS-COV-2抗体がIgG1抗体である、方法を提供する。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態において、本開示は、宿主細胞内で組換えによって産生された抗SARS-COV-2抗体調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、宿主細胞内で組換えによって産生された抗SARS-COV-2抗体調製物を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムに供することと、約20mMの酢酸及び約5mMのリン酸を含む酸の組み合わせ、又は約20mMの酢酸及び約10mMのリン酸を含む酸の組み合わせ、又は約20mMの酢酸及び約5mMの乳酸を含む酸の組み合わせを用いて、クロマトグラフィーカラムからの抗SARS-COV-2抗体を溶出して、抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液を得ることと、約20mM HClの添加により抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液のpHを調整することであって、pHがpH約3.3~pH約3.7に低下され、溶出液がpH約3.3~pH約3.7に約0分~約180分間維持される、調整することと、約250mMのトリス緩衝液の添加により抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液のpHを上昇させることであって、pHがpH約6.5~pH約7.5に上昇される、上昇させることと、抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液をデプスフィルターにかけて、濾過された抗SARS-COV-2抗体調製物を得ることと、を含み、濾過された抗SARS-COV-2抗体調製物中の宿主細胞タンパク質含有量が約0ppm~約100ppmであり、抗SARS-COV-2抗体がIgG1抗体である、方法を提供する。いくつかの実施形態において、溶出液のpHをpH約6.5~pH約7.5に上昇させることは、約100mM~約1000mMのトリス緩衝液を溶出液に添加することを含む。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態において、本開示は、宿主細胞内で組換えによって産生された抗SARS-COV-2抗体調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、宿主細胞内で組換えによって産生された抗SARS-COV-2抗体調製物を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムに供することと、約20mMの酢酸及び約5mMのリン酸を含む酸の組み合わせ、又は約20mMの酢酸及び約10mMのリン酸を含む酸の組み合わせ、又は約20mMの酢酸及び約5mMの乳酸を含む酸の組み合わせを用いて、クロマトグラフィーカラムからの抗SARS-COV-2抗体を溶出して、抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液を得ることと、約20mM HClを用いて抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液のpHを調整することであって、pHがpH約3.5に調整され、溶出液がpH約3.5に約0分~約180分間維持される、調整することと、約250mMのトリス緩衝液を用いて抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液のpHを上昇させることであって、pHがpH約6.5~pH約7.5に上昇される、上昇させることと、抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液をデプスフィルターにかけて、濾過された抗SARS-COV-2抗体調製物を得ることと、を含み、濾過された抗SARS-COV-2抗体調製物中の宿主細胞タンパク質含有量が約0ppm~約100ppmであり、抗SARS-COV-2抗体がIgG1抗体である、方法を提供する。いくつかの実施形態において、溶出液のpHをpH約6.5~pH約7.5に上昇させることは、約100mM~約1000mMのトリス緩衝液を溶出液に添加することを含む。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態において、本開示は、宿主細胞内で組換えによって産生された抗SARS-COV-2抗体調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、宿主細胞内で組換えによって産生された抗SARS-COV-2抗体調製物を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムに供することと、約20mMの酢酸及び約5mMのリン酸を含む酸の組み合わせ、又は約20mMの酢酸及び約10mMのリン酸を含む酸の組み合わせ、又は約20mMの酢酸及び約5mMの乳酸を含む酸の組み合わせを用いて、クロマトグラフィーカラムからの抗SARS-COV-2抗体を溶出して、抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液を得ることと、約20mM HClの添加により抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液のpHを調整することであって、pHがpH約3.5に低下され、溶出液がpH約3.5に約0分~約180分間維持され、ウイルス不活性化が達成される、調整することと、を含む、方法を提供する。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態において、本開示は、宿主細胞内で組換えによって産生された抗SARS-COV-2抗体調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、宿主細胞内で組換えによって産生された抗SARS-COV-2抗体調製物を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムに供することと、約20mMの酢酸及び約5mMのリン酸を含む酸の組み合わせ、又は約20mMの酢酸及び約10mMのリン酸を含む酸の組み合わせ、又は約20mMの酢酸及び約5mMの乳酸を含む酸の組み合わせを用いて、クロマトグラフィーカラムからの抗SARS-COV-2抗体を溶出して、抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液を得ることと、約20mM HClの添加により抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液のpHを調整することであって、pHがpH約3.3~pH約3.7に低下され、溶出液がpH約3.3~pH約3.7に約0分~約180分間維持される、調整することと、約250mMのトリス緩衝液を用いて抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液のpHを上昇させることであって、pHがpH約7.25に上昇される、上昇させることと、抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液をデプスフィルターにかけて、濾過された抗SARS-COV-2抗体調製物を得ることと、を含み、濾過された抗SARS-COV-2抗体調製物中の宿主細胞タンパク質含有量が約0ppm~約100ppmであり、抗SARS-COV-2抗体がIgG1抗体である、方法を提供する。いくつかの実施形態において、溶出液のpHをpH約7.25に上昇させることは、約100mM~約1000mMのトリス緩衝液を溶出液に添加することを含む。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態において、本開示は、宿主細胞内で組換えによって産生された抗SARS-COV-2抗体調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法であって、宿主細胞内で組換えによって産生された抗SARS-COV-2抗体調製物を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムに供することと、約20mMの酢酸及び約5mMのリン酸を含む酸の組み合わせ、又は約20mMの酢酸及び約5mMのリン酸を含む酸の組み合わせ、又は約20mMの酢酸及び約5mMの乳酸を含む酸の組み合わせを用いて、クロマトグラフィーカラムからの抗SARS-COV-2抗体を溶出して、抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液を得ることと、約20mM HClの添加により抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液のpHを調整することであって、pHがpH約3.5に低下され、溶出液がpH約3.5に約0分~約180分間維持される、調整することと、約250mMのトリス緩衝液の添加により抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液のpHを上昇させることであって、pHがpH約7.25に上昇される、上昇させることと、抗SARS-COV-2抗体を含む溶出液をデプスフィルターにかけて、濾過された抗SARS-COV-2抗体調製物を得ることと、を含み、濾過された抗SARS-COV-2抗体調製物中の宿主細胞タンパク質含有量が約0ppm~約100ppmであり、抗SARS-COV-2抗体がIgG1抗体である、方法を提供する。いくつかの実施形態において、溶出液のpHをpH約7.25に上昇させることは、約100mM~約1000mMのトリス緩衝液を溶出液に添加することを含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、本発明は、宿主細胞内で組換えによって産生された抗SARS-COV-2抗体調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法を提供する。
いくつかの実施形態において、抗SARS-COV-2抗体はバムラニビマブである。いくつかの実施形態において、抗SARS-COV-2抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む可変重鎖と、配列番号2のアミノ酸配列を含む可変軽鎖とを含む。いくつかの実施形態において、抗SARS-COV-2抗体は、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。他の実施形態において、抗SARS-COV-2抗体はエテセビマブである。更に他の実施形態において、抗SARS-COV-2抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含む可変重鎖と、配列番号6のアミノ酸配列を含む可変軽鎖とを含む。なおも更なる実施形態において、抗SARS-COV-2抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。いくつかの実施形態において、抗SARS-COV-2抗体はベブテロビマブである。更に他の実施形態において、抗SARS-COV-2抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む可変重鎖と、配列番号10のアミノ酸配列を含む可変軽鎖とを含む。なおも更なる実施形態において、抗SARS-COV-2抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、タンパク質、例えば、治療用又は診断用タンパク質は、哺乳動物細胞において産生される。いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又はベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、ネズミハイブリドーマ細胞、又はネズミ骨髄腫細胞である。いくつかの実施形態において、治療用又は診断用タンパク質は、最近細胞において産生される。他の実施形態において、治療用又は診断用タンパク質は、酵母細胞で産生される。
【0029】
いくつかの実施形態において、本発明は、デプスフィルターに供した後に宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法が、更にイオン交換クロマトグラフィーに供される方法を提供する。
【0030】
いくつかの実施形態において、本開示は、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法を提供し、タンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約100ppm未満に減少する。他の実施形態において、タンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約50ppm未満に減少する。他の実施形態において、タンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約20ppm未満に減少する。他の実施形態において、タンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約10ppm未満に減少する。他の実施形態において、タンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約0ppmに減少する。
【0031】
いくつかの実施形態において、本開示は、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法を提供し、タンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量はPLBL2を含み、PLBL2は約100ppm未満に減少する。他の実施形態において、PLBL2は約50ppm未満に減少する。他の実施形態において、PLBL2は約20ppm未満に減少する。他の実施形態において、PLBL2は約10ppm未満に減少する。他の実施形態において、PLBL2は約0ppmに減少する。
【0032】
いくつかの実施形態において、本開示は、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法を提供し、タンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、タンパク質捕捉溶出液からのデプス濾過後に約97%減少する。他の実施形態において、タンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約99%減少する。他の実施形態において、タンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約99.9%減少する。他の実施形態において、タンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約99.99%減少する。他の実施形態において、タンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量は、約100%減少する。
【0033】
いくつかの実施形態において、本開示は、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法を提供し、タンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量はPLBL2を含み、PLBL2は約100ppm未満に減少する。他の実施形態において、PLBL2は約50ppm未満に減少する。他の実施形態において、PLBL2は約20ppm未満に減少する。他の実施形態において、PLBL2は約10ppm未満に減少する。他の実施形態において、PLBL2は約0ppmに減少する。
【0034】
いくつかの実施形態において、本発明は、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法を提供し、タンパク質調製物はデプス濾過に供される。いくつかの実施形態において、デプスフィルターは、X0SP、C0SP、X0HC、Emphaze(商標)AEX Hybrid Purifier、Zeta Plus(ZB Media)、例えば、Zeta Plus(60ZB05A)、Zeta Plus(90ZB05A)、又はZeta Plus(90ZB08A)のうちの1つ以上である。
【0035】
いくつかの実施形態において、本開示は、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法を提供し、pHをpH約6.0超のpHに上昇させるステップからの溶出液のイオン強度は、約10mM~約45mMである。いくつかの実施形態において、イオン強度は約30mM未満である。いくつかの実施形態において、イオン強度は約20mM未満である。他の実施形態において、イオン強度は約15mM未満である。
【0036】
いくつかの実施形態において、本発明は、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物がクロマトグラフィーカラムに供される方法を提供する。いくつかの実施形態において、クロマトグラフィーカラムは、アフィニティーカラム、イオン交換カラム、疎水性相互作用カラム、ヒドロキシアパタイトカラム、又は混合モードカラムのうちの1つ以上である。いくつかの実施形態において、アフィニティークロマトグラフィーカラムは、プロテインAカラム、プロテインGカラム、又はプロテインLカラムである。他の実施形態において、イオン交換クロマトグラフィーカラムは、陰イオン交換カラム又は陽イオン交換カラムである。いくつかの実施形態において、本発明は、HCPが最終生成物から十分に除去される方法を提供する。
【0037】
いくつかの実施形態において、本発明は、宿主細胞内で組換えによって産生された目的のタンパク質を含むタンパク質調製物中の宿主細胞タンパク質含有量を減少させる方法を提供し、タンパク質は治療用又は診断用タンパク質である。更なる実施形態において、治療用又は診断用タンパク質は、抗体、Fc融合タンパク質、イムノアドヘシン、酵素、成長因子、受容体、ホルモン、調節因子、サイトカイン、抗原、又は結合剤である。更なる実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、二重特異性抗体、又は抗体フラグメントである。
【0038】
別の態様では、本明細書に記載のタンパク質調製物、核酸、又はベクターを含む医薬組成物が本明細書に提供される。更なる態様では、本開示は、本明細書に記載の方法によって生成される組成物を提供する。更に他の実施形態において、本開示は、本明細書に記載の方法によって生成される組成物を提供し、組成物中の宿主細胞タンパク質含有量は約100ppm未満である。
【0039】
「宿主細胞タンパク質」(HCP)という用語は、細胞の維持及び増殖、並びにタンパク質の合成及びプロセシングに関与する宿主細胞のタンパク質である。そのようなHCPには、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞由来のもの、例えばホスホリパーゼB様2(PLBL2)、vLPL(リポタンパク質リパーゼ)、vLAL(リソソーム酸性リパーゼ、リソソームリパーゼ、LIPA)、vPLA2(ホスホリパーゼA2)、vPPT1(パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1)、PLBD2、及び/又はペルオキシレドキシンが含まれる。
【0040】
「弱酸」という用語は、約4より大きい最低pKaを有する酸を指す。弱酸の例としては、酢酸、コハク酸、及び2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
「強酸」という用語は、約4未満の最低pKaを有する酸を指す。強酸の例としては、リン酸、乳酸、ギ酸、リンゴ酸、マロン酸、グリコール酸、クエン酸、酒石酸、及び塩酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
「デプスフィルター」という用語は、媒体の表面だけでなく、媒体全体(媒体内及び媒体上)に粒子を保持する多孔性濾過媒体を使用するフィルター要素を指す。デプスフィルターは、それらが構成される材料の化学的特性に起因する吸着能力を更に有し得る。市販のデプスフィルターの例としては、X0SP、C0SP、X0HC、Emphaze(商標)AEX Hybrid Purifier、Zeta Plus(60ZB05A)、Zeta Plus(90ZB05A)、及びZeta Plus(90ZB08A)が挙げられるが、これらに限定されない。「デプス濾過」という用語は、不均一又は均一であり得る液体材料をデプスフィルターに通過させる行為を指す。いくつかの実施形態において、液体材料は、目的のタンパク質を含むタンパク質調製物を含む。
【0043】
溶液に言及する場合の「イオン強度」という用語は、その溶液中のイオン濃度の尺度である。イオン強度(I)は、全てのイオン種について、イオン濃度c
iと正味電荷z
iの関数である。イオン強度を決定するために、式1が使用される。
【数1】
【0044】
「タンパク質調製物」は、目的の治療用又は診断用タンパク質を含有し、また様々な不純物を含有し得る、精製プロセス又は方法のために提供される材料又は溶液である。非限定的な例としては、例えば、採取細胞培養液(HCCF)、採取細胞培養材料、浄化細胞培養液、浄化細胞培養材料、1つ以上の遠心分離ステップ、及び/又は濾過ステップ後に目的の治療用若しくは診断用タンパク質を含有する捕捉プール、回収プール、及び/又は収集プールを挙げることができ、この捕捉プール、回収タンパク質プール及び/又は収集プールは、1つ以上の精製ステップ後に目的の治療用若しくは診断用タンパク質を含有する。
【0045】
「不純物」という用語は、所望のタンパク質製品とは異なる材料を指す。不純物としては、宿主細胞タンパク質CHOP等の宿主細胞材料;浸出したタンパク質A;核酸;所望のタンパク質の変異体、サイズ変異体、フラグメント、凝集体又は誘導体;別のタンパク質;エンドトキシン;ウイルス汚染物質;細胞培養培地成分等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
「タンパク質」及び「ポリペプチド」という用語は、本明細書では、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために交換可能に使用される。ポリマーは線状又は分枝状であってもよく、それは修飾されたアミノ酸を含んでもよく、それは非アミノ酸によって中断されてもよい。この用語はまた、自然に、又は介入、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、若しくは任意の他の操作若しくは修飾、例えば、標識成分とのコンジュゲーションによって修飾されているアミノ酸ポリマーも包含する。また、定義には、例えば、アミノ酸の1つ以上の類似体(例えば、非天然アミノ酸等を含む)、及び当該技術分野で既知の他の修飾を含有するタンパク質も含まれる。タンパク質の例としては、抗体、ペプチド、酵素、受容体、ホルモン、調節因子、抗原、結合剤、サイトカイン、Fc融合タンパク質イムノアドヘシン分子等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、抗原に結合する免疫グロブリン分子を指す。抗体の実施形態には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性若しくは多重特異性抗体、又はコンジュゲート抗体が含まれる。抗体は、任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA)、及び任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)であってもよい。
【0048】
本開示の例示的な抗体は、4つのポリペプチド鎖:鎖間ジスルフィド結合を介して架橋される2つの重鎖(HC)及び2つの軽鎖(LC)から構成された、免疫グロブリンG(IgG)型抗体である。4つのポリペプチド鎖の各々のアミノ末端部分は、抗原認識に主に関与する約100~125個以上のアミノ酸の可変領域を含む。4つのポリペプチド鎖の各々のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能に主に関与する定常領域を含有する。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)及び重鎖定常領域から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)及び軽鎖定常領域から構成される。IgGアイソタイプは、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4)に更に分割され得る。
【0049】
VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存されている領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、超可変領域に更に細分され得る。CDRはタンパク質の表面上に露出しており、抗原結合特異性のための抗体の重要な領域である。各VH及びVLは、3つのCDR及び4つのFRから構成されており、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序でアミノ末端からカルボキシ末端へと配置される。本明細書では、重鎖の3つのCDRを「HCDR1、HCDR2、及びHCDR3」と称し、軽鎖の3つのCDRを「LCDR1、LCDR2、及びLCDR3」と称する。CDRは、抗原との特異的相互作用を形成する残基の大部分を含有する。アミノ酸残基のCDRへの割り当ては、Kabat(Kabat et al.,“Sequences of Proteins of Immunological Interest”,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))、Chothia(Chothia et al.,“Canonical structures for the hypervariable regions of immunoglobulins”,Journal of Molecular Biology,196,901-917(1987)、Al-Lazikani et al.,“Standard conformations for the canonical structures of immunoglobulins”,Journal of Molecular Biology,273,927-948(1997))、North(North et al.,“A New Clustering of Antibody CDR Loop Conformations”,Journal of Molecular Biology,406,228-256(2011))、又はIMGT(www.imgt.orgで利用可能な国際的なImMunoGeneTicsデータベース;Lefranc et al.,Nucleic Acids Res.1999;27:209-212を参照のこと)に記載されているものを含む、周知のスキームに従って行われ得る。
【0050】
本開示の実施形態はまた、本明細書で使用される場合、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvフラグメント、scFv抗体フラグメント、scFab、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、Fdフラグメント等の、抗原又は抗原のエピトープと特異的に相互作用する能力を保持する抗体の少なくとも一部を含む、抗体フラグメント又は抗原結合フラグメントを含む。
【0051】
本明細書で使用される「抗SARS-CoV2抗体」という用語は、SARS-CoV-2のスパイク(S)タンパク質に結合する抗体を指す。SARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質のアミノ酸配列は、例えば、GenBank登録番号:YP_009724390.1に記載されている。
【0052】
「限外濾過」又は「濾過」という用語は、静水圧が液体を半透膜に押し付ける膜濾過の一形態である。水及び低分子量の溶質が膜を通過する間、高分子量の浮遊物質及び溶質は保持される。いくつかの例では、限外濾過膜は、1μm~100μmの範囲の孔径を有する。「限外濾過膜」、「限外濾過フィルター」、「濾過膜」及び「濾過フィルター」という用語は、交換可能に使用され得る。濾過膜の例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、テフロン)、塩化ポリビニル、ポリエーテルスルホン、ガラス繊維、又はcGMP製造環境での使用に好適な他の濾過材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書で使用される場合、数値範囲には、範囲を定義する数値が含まれる。
【0054】
当該技術分野で認識されている「EU番号付け」という用語は、免疫グロブリン分子のアミノ酸残基の番号付けシステムを指す。EU番号付けは、例えば、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991);Edelman,G.M,et al.,Proc.Natl.Acad.USA,63,78-85(1969);及びhttp://www.imgt.org/IMGTScientificChart/Numbering/Hu_IGHGnber.html#refsに記載されている。「Kabat番号付け」という用語は、重鎖及び軽鎖可変領域内の他のアミノ酸残基よりも可変的である(すなわち、超可変的)アミノ酸残基を番号付けするシステムを指すものとして当該技術分野で認識されている(例えば、Kabat,et al.,Ann.NY Acad.Sci.190:382-93(1971);Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242(1991)を参照のこと)。「North番号付け」という用語は、重鎖及び軽鎖可変領域内の他のアミノ酸残基よりも可変的である(すなわち、超可変的)アミノ酸残基を番号付けするシステムを指し、少なくとも部分的に、(North et al.,A New Clustering of Antibody CDR Loop Conformations,Journal of Molecular Biology,406:228-256(2011)に記載される多数の結晶構造との親和性伝播クラスター化に基づく。
【0055】
本明細書で使用される場合、「アフィニティークロマトグラフィー」という用語は、生体分子間の特異的な可逆的相互作用に基づいて生化学的混合物(例えば、タンパク質と望ましくない生体分子種)を分離するためのクロマトグラフィー法を指す。アフィニティークロマトグラフィーの例示的な実施形態には、プロテインAアフィニティー、プロテインGアフィニティー、プロテインLアフィニティー、カッパアフィニティーリガンドクロマトグラフィー(CaptureSelect(商標)、KappaXL(商標)、KappaSelect(商標)、KappaXP(商標)等)又はラムダアフィニティーリガンドクロマトグラフィーが含まれる。
【0056】
本開示のタンパク質は、当該技術分野で周知の方法によって調製することができ、かつ、本開示のタンパク質と、1つ以上の薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤とを含む医薬組成物に組み込むことができる(例えば、一般に開業医に知られている製剤化技術の概要を提供する、Remington,The Science and Practice of Pharmacy,22nd Edition,Loyd V.,Ed.,Pharmaceutical Press,2012)。医薬組成物に好適な担体には、タンパク質と組み合わせたときに、分子の活性を保持し、かつ患者の免疫系とは非反応性である、任意の材料が含まれる。
【0057】
動作可能に連結されている遺伝子の発現を導くことができる発現ベクターは、当技術分野において周知である。発現ベクターは、宿主細胞からのポリペプチドの分泌を促進するシグナルペプチドをコードすることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチド又は異種性シグナルペプチドであり得る。発現されたポリペプチドの各々は、1つのベクター内でそれらが動作可能に連結している異なるプロモーターから独立して発現され得るか、又は複数のベクター内でそれらが動作可能に連結している異なるプロモーターから独立して発現され得る。発現ベクターは、典型的には、エピソーム、又は宿主染色体DNAの一体化した部分のいずれかとして、宿主生物中で複製可能である。一般に、発現ベクターは、所望のDNA配列で形質転換されたそれらの細胞の検出を可能にするために、選択マーカー、例えば、テトラサイクリン、ネオマイシン、及びジヒドロ葉酸レダクターゼを含む。
【0058】
宿主細胞は、本開示の1つ以上のタンパク質を発現する1つ以上の発現ベクターで安定に又は一過性にトランスフェクト、形質転換、形質導入又は感染された細胞を指す。本開示のタンパク質を産生する宿主細胞株の作製及び単離は、当該技術分野で既知の標準的な技術を用いて達成され得る。哺乳動物細胞は、本開示のタンパク質の発現に好ましい宿主細胞である。具体的な哺乳動物細胞は、HEK293、NS0、DG-44、及びCHOを含む。好ましくは、タンパク質は、宿主細胞が培養される培地中に分泌され、そこからタンパク質が、例えば従来の技術を用いて回収又は精製され得る。例えば、培地は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラム及び/又はカッパアフィニティーリガンド若しくはラムダアフィニティーリガンドクロマトグラフィーカラムに適用され、そこから溶出され得る。可溶性凝集体及び多量体を含む望ましくない生体分子種は、サイズ排除、疎水性相互作用、イオン交換、又はヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーを含む、一般的な技術によって効率的に除去することができる。生成物は、例えば、-70℃で直ちに凍結させてもよいか、又は凍結乾燥させてもよい。タンパク質精製の様々な方法が採用され得、そのような方法は、当該技術分野において既知であり、例えば、Deutscher,Methods in Enzymology 182:83-89(1990)、及びScopes,Protein Purification:Principles and Practice,3rd Edition,Springer,NY(1994)に記載される。
【実施例】
【0059】
LCMSによる宿主細胞タンパク質(HCP)の測定:以下の実施例において宿主細胞タンパク質(HCP)レベルに対する精製の影響を評価するために、例えば、Thermo Scientific質量分析計に連結された超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)によるペプチドマッピング/LC-MS/MS HCPプロファイリングによって試料を分析する。この分析では、試料をトリプシンによる消化に供し、ジチオスレイトール(DTT)で還元/沈殿させた後、LC-MS/MS分析用のHPLCバイアルに上清を移して酸性化する。LC-MS/MSデータは、Proteome Discovererによって、抗体、スパイク、及び対照タンパク質配列を追加したCHO-K1タンパク質データベースに対して分析される。HCP含有量は、総HCP含有量(製品1mg当たりのHCPのng)に対する試料当たりのHCPの百万分率(ppm)の合計として報告される。更に、ホスホリパーゼB様2(PLBL2)の含有量も提供される。
【0060】
ELISAによるHCP測定:試料中のHCP含有量は、以下の実施例において、Gyrolab(登録商標)CHO-HCPキット1(Cygnus Technologies、製造者の指示に従って実施)を使用するELISAアッセイによっても評価される。HCP含有量は、総HCP含有量に対する試料当たりのHCPの百万分率(ppm)の合計として報告される。
【0061】
実施例1-mAb1(エテセビマブ)精製プロセスにおけるHCPの減少
タンパク質捕捉ステップ:殺菌したプロテインAカラム(MabSelectSuReプロテインA媒体)を平衡化し、mAb1(エテセビマブ)無細胞バイオリアクターの回収物をプロテインAカラムに負荷し、最終洗浄として20mMトリス(pH7.0)を使用してプロテインAカラムの洗浄を3回行う。5カラム体積(CV)の20mM酢酸+5mMリン酸を使用して、mAb1をカラムから溶出する。前面及び背面での吸光度に基づくピークカットを用いて、主要な生成物画分を単一のバルク画分に回収する。
【0062】
低pHウイルス不活性化ステップ及び中和ステップ:ウイルス不活性化は、20mM HClの添加により、mAb1を含有する回収された主要な生成物画分(タンパク質捕捉溶出液バルク画分)のpHを3.30~3.60のpHに調整することによって行われる。混合物を18℃~25℃で約180分間インキュベートする。次いで、250mMトリス塩基pH未調整緩衝液を使用して、混合物をpH7.0に中和する。
【0063】
デプス濾過ステップ:デプスフィルター(X0SP、Millipore)を注射用水(WFI)で洗い流す。低pHウイルス不活性化ステップ及び中和ステップから得られたmAb1混合物を、1200g/m2(デプスフィルター膜面積1m2当たりのmAbのグラム数)の負荷量でデプスフィルターに適用する。負荷されたデプスフィルターをWFIで洗い流す。デプスフィルターからの濾液は、任意選択的に負荷後のWFI洗浄液を含んでおり、250mMトリス塩基pH未調整緩衝液を使用してpH8.0に中和される。
【0064】
陰イオン交換(AEX)クロマトグラフィーステップ:殺菌したカラム(Q Sepharose Fast Flow陰イオン交換クロマトグラフィー媒体、又はQFF)を2CVの20mMトリス(pH8.0)で平衡化する。デプス濾過ステップから得られたmAb1溶液を、樹脂1リットル当たり25g~100gの負荷量でカラムに負荷し、平衡緩衝液で追加の洗浄を行う。mAb1は、非結合画分と追加の洗浄によって形成されたピーク領域の前面及び背面での吸光度に基づくピークカットによって回収される。
【0065】
結果:記載した精製プロセスを用いて、LC-MSで測定された総HCPレベルは以下の通りである:
・プロテインA溶出後 23299ppm;
・X0SPデプス濾過後 13ppm;
・AEXクロマトグラフィー後 2ppm。
【0066】
mAb1のためのデプスフィルターセット1の評価:mAb1を、本質的に上記のようなプロテインA、低pHウイルス不活性化、中和、及びデプス濾過ステップによって処理する。4つの異なるデプスフィルター:Emphaze(商標)AEX Hybrid Purifier、Zeta Plus BC25-60ZB05A、Zeta Plus BC25-90ZB05A、及びZeta Plus BC25-90ZB08A(3M)を、表1に示すように2000g/m
2の負荷量で試験する。表1の結果は、LCMS(28901ppm)及びElisa(527ppm)によるプロテインAの溶出後に観察された総HCP含有量と比較した場合、試験した4つのデプスフィルターで、LCMS(24~31ppmの範囲)及び/又はELISA(6~16ppmの範囲)によるデプス濾過後に総HCP含有量が有意に減少したことを示している。
【表1】
【0067】
実施例2-mAb2(バムラニビマブ)精製プロセスにおけるHCPの減少
プロテインA溶出緩衝液の比較:mAb2(バムラニビマブ)は、以下の例外を除いて、本質的に実施例1でmAb1について記載したように調製される:1)mAb2は、表2に列挙される緩衝液の組み合わせを使用して、プロテインA捕捉カラムから溶出する、2)低pHウイルス不活性化ステップの後、かつデプス濾過ステップの前に、250mMトリス塩基pH未調整緩衝液を使用して、mAb2溶液を7.0ではなく7.25のpHに中和する、及び3)AEXクロマトグラフィーはPoros XQ樹脂を使用して行う。HCP含有量(総HCP含有量とPLBL2含有量の両方)は、表2及び表3に列挙される精製単位操作の後に、LCMSによって評価される。
【0068】
表2及び表3の結果は、デプス濾過ステップ後の総HCP及びPLBL2含有量が、試験した3つ全ての酸の組み合わせで減少したことを示している。具体的には、20mM酢酸+5mMリン酸及び20mM酢酸+5mML乳酸の組み合わせが、20mM酢酸+5mMクエン酸の組み合わせと比較して、デプス濾過後に総HCP含有量を20ppm未満まで大幅に減少させたことを示した。更に、20mM酢酸+5mMリン酸及び20mM酢酸+5mML乳酸の組み合わせによるデプス濾過ステップ後のPLBL2含有量は、定量限界未満まで減少した。
【表2】
【表3】
【0069】
デプスフィルターセット2の評価:mAb2は、以下の例外を除いて、本質的にmAb1について記載したように調製される:1)低pHウイルス不活性化ステップの後、かつデプス濾過ステップの前に、250mMトリス塩基pH未調整緩衝液を使用して、mAb2溶液を7.0ではなく7.25のpHに中和する、及び2)デプス濾過ステップは、表4に示すデプスフィルターを用いて行う。
【0070】
表4の結果は、1500g/m
2を負荷したセット2のデプスフィルター(X0SP、C0SP、X0HC、(Millipore))を3つ全部用いたデプス濾過後の総HCP及びPLBL2含有量が、デプス濾過ステップ後に20ppm未満に減少したことを示している。
【表4】
【0071】
実施例3.mAb3(ベブテロビマブ)精製プロセスにおけるHCPの減少
mAb3(ベブテロビマブ)は、900g/m2の負荷量でX0SPデプスフィルターを使用することを除いて、本質的に実施例1でmAb1について記載したように、タンパク質捕捉、低pHウイルス不活性化、中和、及びデプス濾過ステップを用いて調製される。記載した精製プロセスを用いて、LCMSで測定された総HCPレベルは以下の通りである:
・プロテインA溶出後 179964ppm、
・X0SP(Millipore)デプス濾過後 77ppm。
【0072】
実施例4.二重特異性抗体(mAb4)精製プロセスにおけるHCPの減少
二重特異性抗体mAb4は、プロテインLアフィニティー捕捉カラム(Cytiva)を使用し、表5に示される緩衝系で溶出することを除いて、本質的に実施例1でmAb1について記載したように、タンパク質捕捉ステップを用いて調製される。総HCP含有量は、約1300~約2500ppmの範囲が得られるELISAによって測定される。タンパク質の捕捉に続いて、表5に列挙される滴定剤を使用することを除いて、本質的に実施例1でmAb1について記載したように低pHウイルス不活性化を行い、続いて、500mMトリス塩基pH未調整緩衝液を使用してpH7.0まで中和する。デプス濾過ステップは、X0SPデプスフィルターを1200g/m2の負荷量で使用して、本質的に実施例1でmAb1について記載したように行われる。HCP含有量は、ELISAによるデプス濾過後に測定される。
【0073】
表5の結果は、デプス濾過後に、エントリー1~7の総HCP含有量が≦50ppm未満まで有意に減少し、デプスフィルターに適用された混合物のイオン強度が約45mM未満であったことを示している。加えて、デプスフィルターに適用された混合物のイオン強度と、デプス濾過後の総HCP含有量との間に相関関係が観察された。更に、エントリー2は、緩衝液を希釈することによりイオン強度を低下させることができ、デプス濾過後に低HCP含有量をもたらすことができるが、希釈による体積の増加は製造プロセスに不利になる可能性があることを示している。
【表5】
【0074】
実施例5.mAb5精製プロセスにおけるHCPの減少
mAb5は、溶出ステップが表6に示される緩衝系で行われることを除いて、本質的に実施例1でmAb1について記載したように、タンパク質捕捉ステップを用いて調製される。総HCP含有量は、約2800~約3200ppmの範囲が得られるELISAによって測定される。タンパク質捕捉に続いて、本質的に実施例1でmAb1について記載したように低pHウイルス不活性化ステップを行い、続いて500mMトリス塩基pH未調整緩衝液を使用してpH5.0又はpH7.0のいずれかで中和ステップを行う。デプス濾過ステップは、X0SPデプスフィルターを1000g/m2の負荷量で使用して、本質的に実施例1でmAb1について記載したように行われる。デプス濾過ステップ後のHCP含有量はELISAによって測定される。
【0075】
表6の結果は、デプスフィルターに適用される混合物のpHがpH7.0である場合、デプス濾過後に、mAb5の総HCP含有量が≦50ppm未満まで有意に減少したことを示している。デプスフィルターに適用される混合物のpHがpH5.0である場合、総HCP含有量はそれほど減少しない。
【表6】
【0076】
実施例6.生体分子精製プロセス中のイオン強度の決定方法
ここでは、生体分子精製単位プロセス中に既知の緩衝液組成に基づいてイオン強度を推定する方法について説明する。溶液のイオン強度(I)は、その溶液中のイオンの濃度の尺度であり、全てのイオン種について、種濃度c
iと正味電荷z
iの関数である。イオン強度を決定するために、式1が使用される。
【数2】
【0077】
強電解質:低濃度(例えば、50mM未満)の強電解質の場合、完全な解離が想定される。完全な解離では、組成が容易に算出され、イオン強度の計算が単純になる。例えば、50mM NaClの溶液が解離すると、0.5×[50mM×12+50mM×(-1)2]=50mMのイオン強度を有する、それぞれ50mMのNa+及びCl-がもたらされる。別の例として、50mM Na2SO4が解離すると、100mMのNa+及び50mMのSO4
2-がもたらされ、0.5×[100mM×12+50mM×(-2)2]=150mMのイオン強度が得られる。緩衝種がない場合、これらの計算では中性に近いpHが予想されるため、水の解離によるイオン濃度はイオン強度に大きく寄与しない。水の解離定数は、[H+]=10-pHでKw=[H+][OH-]=10-14であるとみなされる(角括弧は濃度を示す)。ここでの計算のために、(例えば、ヒドロニウムイオンとは対照的に)H+イオンの物理的解釈は必要ではなく、同様に、H+濃度と活性を区別する必要もない。
【0078】
緩衝系:緩衝系の場合、完全な解離を想定することはできない。緩衝液の酸解離定数を使用して、酸及び塩基形態の緩衝液の割合を決定する必要がある。H
+及びA
-に解離する一般的な酸であるHAの場合、式2は酸解離定数K
a及び種濃度に関連している。
【数3】
【0079】
酸解離定数は、多くの場合、pK
a=-log
10(K
a)の対数形式で使用される。pK
a,0として示される熱力学的pK
aは、目的の多くの緩衝液について文献において入手可能である。しかしながら、活量係数が1から逸脱するため、非常に希薄な溶液を除いて、緩衝液の有効pK
aは熱力学的値からそれる。本開示で考慮される適度に希薄な溶液については、拡張デバイ・ヒュッケル式又はデービス式を使用して、1ではない活量係数を説明した。文献に見られる定数のいくつかの値は若干異なる場合があるが、本開示における目的のイオン強度値の範囲で同様の結果が得られる。拡張デバイ・ヒュッケル式は、式3として提供される:
【数4】
【0080】
デービス式は式4として提供される:
【数5】
式中、n=2z-1であり、zはnを算出するための酸性緩衝液形態の正味の電荷である(Scopes,Protein Purification:Principles and Practices,2013)。
【0081】
pKaはイオン強度の関数であるため、組成とイオン強度は独立して決定することはできないが、方程式系の一部である。方程式系には、前述のイオン強度、各緩衝液の酸解離定数、及び各緩衝液のpKaの方程式が含まれ、また、各緩衝液の電気的中性条件と全種のバランスも含まれる。この方程式系を用いて、いくつかの値を推定することができる。例えば、既知の溶液のpHを用いて緩衝液製剤の酸/塩基比を推定することができ、逆に、酸/塩基比を用いて溶液のpH及び対応する滴定量を推定することができる。これらの用途のいずれにおいても、イオン強度を推定して、溶離液及び滴定剤のオプションを合理的に選択するのに役立てることができる。
【0082】
本開示の緩衝系に関連するイオン強度、例えば、デプス濾過用の供給材料のイオン強度を算出するためには、溶液の緩衝液組成が必要である。この組成は、プロセスで使用される緩衝液及び滴定剤の量と組成に基づいて合理的に推定することができる。本分野で既知のイオン測定技術も、組成を推定するために使用することができる。
【0083】
溶液組成を推定するための出発点として、考えられる方法の1つは、アフィニティーカラムの溶出液プールが、溶出液プールの測定されたpHで緩衝されることを除いて、溶離液と同じ緩衝液組成を有すると想定することである。例えば、目的のタンパク質がプロテインAカラムから20mM酢酸、5mM乳酸で溶出され、溶出液プールが4.2の測定pHを有する場合、溶出液プールの緩衝液組成は、20mM酢酸塩、5mM乳酸塩、及びpHを4.2にするのに十分なNaOH(これは約8.2mM NaOHに相当する)であると仮定される。ナトリウム陽イオンNa+の総含有量のみが計算に重要であるため、溶出液のナトリウム含有量が酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、又はそれらの組み合わせに由来すると想定するかどうかは問題ではなく、便宜上、ナトリウムをNaOHに帰属させるという慣習が用いられる。
【0084】
溶離液の組成及び溶出液のpHを用いて溶出液の緩衝液組成を推定した後、溶液の滴定を検討する。例えば、20mM酢酸塩、5mM乳酸塩、pH4.2で約8.2mMのNaOHの推定溶出液組成では、ウイルス不活性化のためにpHを標的値の3.45に低下させるのに必要な20mM HClの体積が開始体積の0.305倍に等しい場合、pH3.45でのそのプロセス中間体の組成は希釈から分かるであろう。酢酸塩、乳酸塩、及びNaOHは、滴定剤中に、それぞれの初期値の1/1.305倍(すなわち、約15.3mM酢酸塩、約3.8mM乳酸塩、及び約6.2mMのNaOH)で存在し、HClは、その値の0.305/1.305(約4.7mM HCl)で存在する。同様に、250mMトリス塩基による中和の場合、pHを標的であるpH7.0に上昇させるための比率がpH3.45溶液の体積の0.0743倍である場合、1/1.0743と0.0743/1.0743の比率を適用して中和溶液の最終濃度を求める(約14.3mMの酢酸塩、約3.6mMの乳酸塩、約5.8mMのNaOH、約4.4mMのHCl、約17.3mMのトリス)。全ての既知の値は、イオン強度を算出するために方程式系(式5~15)に代入される。
【数6】
【数7】
【数8】
【数9】
【数10】
【数11】
【数12】
【数13】
【数14】
【数15】
【数16】
トリス、酢酸塩、及び乳酸塩のそれぞれのpK
a,o値は、22℃で8.15、4.76、及び3.86であると見なされた。デプス濾過供給材料のイオン強度について得られた推定値は22.1mMである。
【0085】
本明細書に記載されているように、タンパク質製品の緩衝能力は直接モデル化されていない。したがって、滴定に強酸又は強塩基を使用する場合、計算と経験的滴定結果の間に多少の偏差が生じる可能性がある。例えば、プロテインA溶出液をウイルス不活性化のための低いpHまで滴定する場合、緩衝液の計算は通常、必要な20mM HClの経験的量を過小評価する。必要な経験的量は、算出される推定値よりも50%程度多くなる場合がある。この違いを説明する1つの方法は、より高いpHでアフィニティーカラム溶出液をモデル化し、推定滴定量が実験値と一致するまで経験的に値を調整することである。例えば、上記の例で、20mM HClの量が最初に推定された0.305の比率よりも50%多かった場合、プロテインA溶出液はpH4.2ではなくpH約4.45としてモデル化される。モデル化にこの経験的な変更を加えると、この例の推定イオン強度は一方向に低下するが、それはごくわずかであり、最初の推定値である22.1mMから21.9mMに低下する。したがって、本開示の好ましい実施形態を導くためのイオン強度を推定するためには、どちらのアプローチでも十分であると結論付けられる。
【0086】
代替方法:イオン含有量測定方法を用いて、デプス濾過供給材料の緩衝液組成を決定し、イオン強度を算出することができる。これには、測定値が、添加される滴定剤の量等の任意の既知の量と一貫性のある結果をもたらすことを確認する必要がある。アフィニティーカラム溶出液の緩衝液組成は、溶離液の緩衝液組成と同等であると想定されるが、異なるpHであるため、実際の組成の違いは、イオン含有量測定値によって決定することができる。例えば、溶離液の組成に基づく量又は測定値のいずれかを使用して、溶離液中の緩衝液成分のイオン強度を算出することができる。
【0087】
配列
以下の核酸配列及び/又はアミノ酸配列が本開示において言及され、参照のために以下に提供される。
配列番号:1-バムラニビマブ可変重鎖(VH)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSNYAISWVRQAPGQGLEWMGRIIPILGIANYAQKFQGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGYYEARHYYYYYAMDVWGQGTAVTVSS
配列番号:2-バムラニビマブ可変軽鎖(VL)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLSWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTITSLQPEDFATYYCQQSYSTPRTFGQGTKVEIK
配列番号:3-バムラニビマブ重鎖(HC)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSNYAISWVRQAPGQGLEWMGRIIPILGIANYAQKFQGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGYYEARHYYYYYAMDVWGQGTAVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号:4-バムラニビマブ軽鎖(LC)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLSWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTITSLQPEDFATYYCQQSYSTPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号:5-エテセビマブ可変重鎖(VH)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTVSSNYMSWVRQAPGKGLEWVSVIYSGGSTFYADSVKGRFTISRDNSMNTLFLQMNSLRAEDTAVYYCARVLPMYGDYLDYWGQGTLVTVSS
配列番号:6-エテセビマブ可変軽鎖(VL)
DIVMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISRYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPEYTFGQGTKLEIKRTV
配列番号:7-エテセビマブ重鎖(HC)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTVSSNYMSWVRQAPGKGLEWVSVIYSGGSTFYADSVKGRFTISRDNSMNTLFLQMNSLRAEDTAVYYCARVLPMYGDYLDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号:8-エテセビマブ軽鎖(LC)
DIVMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISRYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPEYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号:9-ベブテロビマブ可変重鎖(VH)
QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGFSLSISGVGVGWLRQPPGKALEWLALIYWDDDKRYSPSLKSRLTISKDTSKNQVVLKMTNIDPVDTATYYCAHHSISTIFDHWGQGTLVTVSS
配列番号:10-ベブテロビマブ可変軽鎖(VL)
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTATSSDVGDYNYVSWYQQHPGKAPKLMIFEVSDRPSGISNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYTTSSAVFGGGTKLTVL
配列番号:11-ベブテロビマブ重鎖(HC)
QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGFSLSISGVGVGWLRQPPGKALEWLALIYWDDDKRYSPSLKSRLTISKDTSKNQVVLKMTNIDPVDTATYYCAHHSISTIFDHWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号:12-ベブテロビマブ軽鎖(LC)
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTATSSDVGDYNYVSWYQQHPGKAPKLMIFEVSDRPSGISNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYTTSSAVFGGGTKLTVLGQPKAAPSVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADSSPVKAGVETTTPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHRSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECS
【配列表】
【国際調査報告】