(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】バルブ診断及び性能システム
(51)【国際特許分類】
F16K 37/00 20060101AFI20231019BHJP
【FI】
F16K37/00 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520350
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 US2021052867
(87)【国際公開番号】W WO2022072627
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506018363
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェンタ、パブロ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】アル-アルファジュ、エッサム アフメド
【テーマコード(参考)】
3H065
【Fターム(参考)】
3H065AA06
3H065BB11
(57)【要約】
産業用パイプラインに使用されるボールバルブについて説明する。ボールバルブは、弁箱と、弁箱に取り付けられた入口閉鎖片と、出口閉鎖片であって、弁箱、入口閉鎖片、及び出口閉鎖片が共に内部キャビティを画定する、出口閉鎖片と、内部キャビティに配置されたボールであって、ボールを貫通して延びるボアを画定するボールと、ボールに隣接する弁座と、入口閉鎖片に取り付けられた第1の歪みセンサと、出口閉鎖片に取り付けられた第2の歪みセンサと、リングセンサと弁座に配置された磁化されたインサートリングとを含む弁座ずれセンサシステムと、第1の歪みセンサ及び第2の歪みセンサと通信する電子コントローラシステムであって、ボールバルブを通過するピグの位置を推定し、弁座ずれを特定する、ように構成された電子コントローラシステムシステムと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用パイプラインに使用されるボールバルブであって、
弁箱と、
前記弁箱に取り付けられた入口閉鎖片と、
前記弁箱に取り付けられた出口閉鎖片であって、前記弁箱、前記入口閉鎖片、及び前記出口閉鎖片が共に内部キャビティを画定する、出口閉鎖片と、
前記内部キャビティに配置されたボールであって、前記ボールを貫通して延びるボアを画定するボールと、
前記ボールに隣接する弁座と、
前記入口閉鎖片に取り付けられた第1の歪みセンサと、
前記出口閉鎖片に取り付けられた第2の歪みセンサと、
前記出口閉鎖片の閉鎖片本体に組み込まれたリングセンサと、前記弁座に配置された磁化されたインサートリングと、を備える弁座ずれセンサシステムと、
前記第1の歪みセンサ及び前記第2の歪みセンサと通信する電子コントローラシステムであって、
前記第1の歪みセンサ及び前記第2の歪みセンサからの信号に基づいて、前記入口閉鎖片及び前記出口閉鎖片にピグが到着する時間を比較することにより前記ボールバルブを通過する前記ピグの位置を推定し、
前記リングセンサからの信号に基づいて弁座ずれを特定する、
ように構成された電子コントローラシステムシステムと、を備える、
ボールバルブ。
【請求項2】
前記リングセンサのための出力ケーブルが、前記出口閉鎖片の前記閉鎖片本体に画定された第1の導管を通り、当該導管は、前記リングセンサから圧力分離ねじプラグまで延びている、
請求項1に記載のボールバルブ。
【請求項3】
圧力分離ねじプラグに直接終端する出力端子を有するセンサ調整電子ボードをさらに備える、
請求項2に記載のボールバルブ。
【請求項4】
弁座の移動によって加えられる圧力に応答する圧電センサアセンブリをさらに備える、
請求項1に記載のボールバルブ。
【請求項5】
前記圧電センサアセンブリは、前記出口閉鎖片の弁座ポケット領域に機械加工された溝に着座する、埋め込まれたファイバーを有する光ファイバーインサートを備える、
請求項4に記載のボールバルブ。
【請求項6】
前記圧電センサアセンブリは、前記弁座に取り付けられたスプリングであって、前記弁座の動きが前記光ファイバーインサートの機械的負荷に変換されるように前記弁座と前記光ファイバーインサートとの間に延びるスプリングをさらに備える、
請求項5に記載のボールバルブ。
【請求項7】
前記圧電センサアセンブリは、複数の前記光ファイバーインサート及び関連するスプリングを備え、圧電センサ出力信号ケーブルが、前記弁座の周りの環状導管を通って複数の前記光ファイバーインサート間に延びている、
請求項6に記載のボールバルブ。
【請求項8】
前記入口閉鎖片及び前記出口閉鎖片は、それぞれ、閉鎖片本体、内側フランジ、及び外側フランジを備え、前記第1の歪みセンサは、前記入口閉鎖片の前記閉鎖片本体に直接接触する歪みゲージと、トランスデューサの回路とを含む、
請求項5に記載のボールバルブ。
【請求項9】
前記歪みゲージは、溶接ボス内側キャビティに着座している、
請求項8に記載のボールバルブ。
【請求項10】
前記歪みゲージは、回転接触によって前記トランスデューサに接続された歪みゲージケーブルを含む、
請求項9に記載のボールバルブ。
【請求項11】
産業用パイプラインに使用されるボールバルブであって、
弁箱と、
前記弁箱に取り付けられた入口閉鎖片と、
前記弁箱に取り付けられた出口閉鎖片であって、前記弁箱、前記入口閉鎖片、及び前記出口閉鎖片が共に内部キャビティを画定する、出口閉鎖片と、
前記内部キャビティに配置されたボールであって、前記ボールを貫通して延びるボアを画定するボールと、
前記ボールに隣接する弁座と、
前記出口閉鎖片の閉鎖片本体に組み込まれたリングセンサと、前記弁座に配置された磁化されたインサートリングと、を備える弁座ずれセンサシステムと、
第1の歪みセンサ及び第2の歪みセンサと通信する電子コントローラシステムであって、前記リングセンサからの信号に基づいて弁座ずれを特定するように構成された電子コントローラシステムシステムと、を備える、
ボールバルブ。
【請求項12】
前記リングセンサのための出力ケーブルが、前記出口閉鎖片の前記閉鎖片本体に画定された第1の導管を通り、当該導管は、前記リングセンサから圧力分離ねじプラグまで延びている、
請求項11に記載のボールバルブ。
【請求項13】
圧力分離ねじプラグに直接終端する出力端子を有するセンサ調整電子ボードをさらに備える、
請求項12に記載のボールバルブ。
【請求項14】
弁座の移動によって加えられる圧力に応答する圧電センサアセンブリをさらに備える、
請求項11に記載のボールバルブ。
【請求項15】
前記圧電センサアセンブリは、前記出口閉鎖片の弁座ポケット領域に機械加工された溝に着座する、埋め込まれたファイバーを有する光ファイバーインサートを備える、
請求項14に記載のボールバルブ。
【請求項16】
前記圧電センサアセンブリは、前記弁座に取り付けられたスプリングであって、前記弁座の動きが前記光ファイバーインサートの機械的負荷に変換されるように前記弁座と前記光ファイバーインサートとの間に延びるスプリングをさらに備える、
請求項15に記載のボールバルブ。
【請求項17】
前記圧電センサアセンブリは、複数の前記光ファイバーインサート及び関連するスプリングを備え、圧電センサ出力信号ケーブルが、前記弁座の周りの環状導管を通って複数の前記光ファイバーインサート間に延びている、
請求項16に記載のボールバルブ。
【請求項18】
産業用パイプラインに使用されるボールバルブであって、
弁箱と、
前記弁箱に取り付けられた入口閉鎖片と、
前記弁箱に取り付けられた出口閉鎖片であって、前記弁箱、前記入口閉鎖片、及び前記出口閉鎖片が共に内部キャビティを画定する、出口閉鎖片と、
前記内部キャビティに配置されたボールであって、前記ボールを貫通して延びるボアを画定するボールと、
前記入口閉鎖片に取り付けられた第1の歪みセンサと、
前記出口閉鎖片に取り付けられた第2の歪みセンサと、
前記第1の歪みセンサ及び前記第2の歪みセンサと通信する電子コントローラシステムであって、前記第1の歪みセンサ及び前記第2の歪みセンサからの信号に基づいて、前記入口閉鎖片及び前記出口閉鎖片にピグが到着する時間を比較することにより前記ボールバルブを通過する前記ピグの位置を推定するように構成された電子コントローラシステムシステムと、を備える、
ボールバルブ。
【請求項19】
前記入口閉鎖片及び前記出口閉鎖片は、それぞれ、閉鎖片本体、内側フランジ、及び外側フランジを備え、前記第1の歪みセンサは、前記入口閉鎖片の前記閉鎖片本体に直接接触する歪みゲージと、トランスデューサの回路とを含む、
請求項18に記載のボールバルブ。
【請求項20】
前記歪みゲージは、溶接ボス内側キャビティに着座している、
請求項19に記載のボールバルブ。
【請求項21】
前記歪みゲージは、回転接触によって前記トランスデューサに接続された歪みゲージケーブルを含む、
請求項20に記載のボールバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権主張]
本出願は、2020年10月1日に出願された米国特許出願第17/061,384号の優先権を主張し、その全内容は参照によりここに組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、概して、ボールバルブの診断及び性能監視システムに関し、特に、機能不全及び部品の故障を検出するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
[背景]
バルブは、様々な流路を開いたり閉じたり又は部分的に塞いだりすることで、流体(気体、流動体、スラリー、液体)の流れを調節する。バルブは、流体のバルブに対する流入及び流出を可能にする2つ以上のポート(出入口)を有している。バルブは、弁座と接する弁部材を収容する弁箱を含む。弁座は弁箱の内面に沿って形成され、弁部材が完全に閉じたときに漏れのないシールを形成する。弁部材は、弁座に対する内部の弁部材の位置を制御するための運動を伝達するために使用される弁棒に取り付けられ、又は接触する。弁棒は、弁箱の外側で、ハンドルや他の制御装置に取り付けられている。
【0004】
隔離弁は、多くの産業プラントで不可欠な要素である。バルブには4つの基本設計があり、それは、グローブバルブ、ボールバルブ、バタフライバルブ、及びゲートバルブである。バルブの性能は、システムの寿命を通じて、及びプラントの効率性を確保するために、重要である。
【発明の概要】
【0005】
本明細書は、例えば産業プラントの隔離弁に使用可能な診断及び性能監視システムを含むバルブを説明する。これらの診断及び性能監視システムの構成は、概ね、スプリットボディバルブ(分割本体バルブ)のメンテナンスとアクセスの容易性を向上させるものである。これらのシステムは、弁軸上のトルクや位置、弁座の流量、弁棒パッキンの漏れ、弁箱閉塞部の漏れ、バルブ内部のパイプラインピグ(スクレーパー)位置、バルブ性能の本来の仕様条件に対するずれを定量的に検出及び計測する。また、本システムは、予防的保守手順を監視し、弁座の損傷やずれを特定する。本システムは、ローカルデータ記録装置、ロジックソルバ、及びバルブの設計を記録し性能データと性能偏差を評価する遠隔読取可能なタグを備えている。「ロジックソルバ」という用語は、従来、安全上重要な機器に入出力が接続されているハードウェア装置又はソフトウェアシステムを示すために使用されている。
【0006】
本システムは、弁箱に接続され挿入されたセンサ、弁座リーク測定用のコントローラ、通信装置、及びインターフェース電気ハウジングを備える。インターフェース電気ハウジングは、診断用ロジックソルバをホストする。ロジックソルバは、不揮発性メモリ、外部電源のための内部電源函接続、及び通信ポートを主要としている。本開示のシステムは、漏洩する弁座を特定し、温度及び圧力に対して補正された漏洩流量を計算する、弁座漏洩流通装置を含む。
【0007】
本システムは、ソフトシート(軟質弁座)又はメタルシート(金属弁座)の1つ又は複数の本体片で組み立てられたボールバルブの弁箱の漏れを検出する。本監視システムは、ボールバルブ、溶接本体タイプ、スプリットボディタイプ、トップエントリータイプ、3ピースタイプのバルブに組み込むことができる。本システムは、問題を診断、測定、及び検出して、弁座の全体的な物理的状態、トリムとボディ(本体)との間のバルブキャビティ内の流体の存在、バルブトリムのバルブ開口部に対する実際の位置、及びバルブボアに対する弁座のアライメント(位置合わせ)を評価することができる。本システムは、パイプラインのピグ装置が隔離弁を横切って移動している間に、その位置を特定することができる。パイプラインのスクレーピング(清掃)中に、バルブボアを通過するピグが捕捉され、弁座に損傷を与えることがある。ピグに信号機が装備されていない場合、バルブの検査が行われるまで、ピグの位置がわからないままになってしまうことがある。
【0008】
本監視システムは、弁棒パッキンの漏れを検出及び測定する。弁棒パッキンの漏れは、バルブグランドとバルブアクチュエータとの間の連絡フランジに加工されていてパッキン内の漏洩流れプロファイルを測定する1つの内蔵装置によって測定される。本監視システムは、取り付け前にバルブの状態を評価するために、シートの損傷を検出して位置を特定する。この技術は、バルブ内部部品に組み込まれた電気センサを大気から隔離するための特定のアセンブリを提供することができる。
【0009】
本監視システムは、弁箱内のバルブ閉鎖の各片に取り付けられた非侵入型センサを含む。センサはピグ通路の位置を特定し、ロジックソルバに信号を送る。ロジックサーバは、ピグの位置を推定し、バルブ内部のトラッピング(捕捉)を防ぐ。ロジックソルバは、バルブの入口閉鎖片及び出口閉鎖片におけるピグの到達時刻を比較する。信号は、1つの閉鎖片で検出されると、別の閉鎖片でも検出される。
【0010】
本監視システムは、2ピース以上のアセンブリ(組立体)で設計されたボールバルブ(例えば、スプリットボディ、トップエントリー)の接続部漏れ及びフランジボルトの状態を検出し、位置を特定するための統合装置を含んでいる。この装置は、溝に挿入された無電圧の高感度光ファイバーケーブルからなる。溝は弁箱の接合面に加工されている。光ファイバーは、ボルト締めトルクのアンバランスによって生じる機械的応力を検出し、その位置を特定する。光ファイバーは、弁箱を漏れる流体の存在を検出することもできる。ロジックソルバで動作する反射測定ルーチンにより、ファイバーは指定されたパラメータを検出することができる。いくつかの実施では、1つ又は複数のファイバーが、バルブボールのボトムプレートに加工された機械的な導管に組み込まれている。一部のファイバーは局所応力の測定に特化し、他のファイバーは流体の検出に特化している。
【0011】
本監視システムは、弁箱に対する浮動弁座(フロート弁座)のアライメント(位置合わせ)を検出する装置を含む。この装置は、弁箱の溝に挿入された無電圧のファイバーセンサからなる。本体シート部分に対する浮動弁座要素のいかなるミスアライメント(ずれ)も、ロジックソルバで実行される反射測定ルーチンを通じて、ファイバーによって検出される。
【0012】
本監視システムは、キャピラリ圧力センサと、弁箱閉鎖片における流体継手の漏れを検出するための隔離アセンブリと、を含む。
【0013】
本監視システムは、弁座漏洩流量装置及びコントローラを含む。この装置は、電磁弁によって隔離され、コントローラによって制御される複数の較正済みオリフィスを提供する。いくつかの実施では、ロジックソルバは、コントローラルーチンを実行する。コントローラは、予め決められたルーチンを実行し、流量測定に使用されるオリフィスを自動的に選択する。この実行は、範囲外の条件が検出されたときに、より大きいオリフィスの実行とより小さいオリフィスの実行とを切り替えることによって行われる。コントローラは、温度と圧力を補償した漏洩流量を計算するために、選択されたオリフィスを横切る差圧読み取り値を受け取る。
【0014】
本監視システムは、バルブメインケーブルの耐圧アセンブリを含む。これにより、内側のバルブセンサが3段階のシールで外部環境と安全に接続することができる。この3段階は、内側のセンサを隔離するケーブル・オス・コネクタプラグ、外部の電気導管付きケーブル、完全な回収位置での密閉性を提供するメス・コネクタのバックシール、及び操作中にコネクタプラグが破損した場合に流体密閉性を提供するパイプティーパッキンネックを含む。バルブメインケーブルの耐圧アセンブリは、隔離弁をさらに提供し、プラグが破損した場合に完全に隔離することを可能にする。
【0015】
ある態様では、産業用パイプラインに使用されるボールバルブは、弁箱と、前記弁箱に取り付けられた入口閉鎖片と、前記弁箱に取り付けられた出口閉鎖片であって、前記弁箱、前記入口閉鎖片、及び前記出口閉鎖片が共に内部キャビティを画定する、出口閉鎖片と、前記内部キャビティに配置されたボールであって、前記ボールを貫通して延びるボアを画定するボールと、前記ボールに隣接する弁座と、前記入口閉鎖片に取り付けられた第1の歪みセンサと、前記出口閉鎖片に取り付けられた第2の歪みセンサと、前記出口閉鎖片の閉鎖片本体に組み込まれたリングセンサと、前記弁座に配置された磁化されたインサートリングと、を備える弁座ずれセンサシステムと、前記第1の歪みセンサ及び前記第2の歪みセンサと通信する電子コントローラシステムであって、前記第1の歪みセンサ及び前記第2の歪みセンサからの信号に基づいて、前記入口閉鎖片及び前記出口閉鎖片にピグが到着する時間を比較することにより前記ボールバルブを通過する前記ピグの位置を推定し、前記リングセンサからの信号に基づいて弁座ずれを特定する、ように構成された電子コントローラシステムシステムと、を含む。
【0016】
ある態様では、産業用パイプラインに使用されるボールバルブは、弁箱と、前記弁箱に取り付けられた入口閉鎖片と、前記弁箱に取り付けられた出口閉鎖片であって、前記弁箱、前記入口閉鎖片、及び前記出口閉鎖片が共に内部キャビティを画定する、出口閉鎖片と、前記内部キャビティに配置されたボールであって、前記ボールを貫通して延びるボアを画定するボールと、前記ボールに隣接する弁座と、前記出口閉鎖片の閉鎖片本体に組み込まれたリングセンサと、前記弁座に配置された磁化されたインサートリングと、を備える弁座ずれセンサシステムと、第1の歪みセンサ及び第2の歪みセンサと通信する電子コントローラシステムであって、前記リングセンサからの信号に基づいて弁座ずれを特定するように構成された電子コントローラシステムシステムと、を含む。
【0017】
ある態様では、産業用パイプラインに使用されるボールバルブは、弁箱と、前記弁箱に取り付けられた入口閉鎖片と、前記弁箱に取り付けられた出口閉鎖片であって、前記弁箱、前記入口閉鎖片、及び前記出口閉鎖片が共に内部キャビティを画定する、出口閉鎖片と、前記内部キャビティに配置されたボールであって、前記ボールを貫通して延びるボアを画定するボールと、前記入口閉鎖片に取り付けられた第1の歪みセンサと、前記出口閉鎖片に取り付けられた第2の歪みセンサと、前記第1の歪みセンサ及び前記第2の歪みセンサと通信する電子コントローラシステムであって、前記第1の歪みセンサ及び前記第2の歪みセンサからの信号に基づいて、前記入口閉鎖片及び前記出口閉鎖片にピグが到着する時間を比較することにより前記ボールバルブを通過する前記ピグの位置を推定するように構成された電子コントローラシステムシステムと、を含む。
【0018】
この産業用パイプラインに使用されるボールバルブの実施の形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含む。
【0019】
ある実施の形態では、前記リングセンサのための出力ケーブルが、前記出口閉鎖片の前記閉鎖片本体に画定された第1の導管を通り、当該導管は、前記リングセンサから圧力分離ねじプラグまで延びている。場合によっては、圧力分離ねじプラグに直接終端する出力端子を有するセンサ調整電子ボード。
【0020】
ある実施の形態では、ボールバルブは、弁座の移動によって加えられる圧力に応答する圧電センサアセンブリを含む。場合によっては、前記圧電センサアセンブリは、前記出口閉鎖片の弁座ポケット領域に機械加工された溝に着座する、埋め込まれたファイバーを有する光ファイバーインサートを備える。場合によっては、前記圧電センサアセンブリは、また、前記弁座に取り付けられたスプリングであって、前記弁座の動きが前記光ファイバーインサートの機械的負荷に変換されるように前記弁座と前記光ファイバーインサートとの間に延びるスプリングを含む。場合によっては、前記圧電センサアセンブリは、複数の前記光ファイバーインサート及び関連するスプリングを含み、圧電センサ出力信号ケーブルが、前記弁座の周りの環状導管を通って複数の前記光ファイバーインサート間に延びている。場合によっては、前記入口閉鎖片及び前記出口閉鎖片は、それぞれ、閉鎖片本体、内側フランジ、及び外側フランジを備え、前記第1の歪みセンサは、前記入口閉鎖片の前記閉鎖片本体に直接接触する歪みゲージと、トランスデューサの回路とを含む。場合によっては、前記歪みゲージは、溶接ボス内側キャビティに着座している。場合によっては、前記歪みゲージは、回転接触によって前記トランスデューサに接続された歪みゲージケーブルを含む。
【0021】
要約すると、開示された技術は、世界中のプラントの工業用バルブに見られる様々なバルブの問題に対処するための固有かつ特有な装置及び計測器を提供する総合バルブ診断システムである。この発明の装置は、既存のバルブ部品の内部に組み込むことができる。あらゆる既存のバルブは、追加の計測器を必要とせず、その現在の状態を自己診断するために適用することができる。この技術は、石油及びガス、石油化学、化学、製薬、食品加工、及び水運など、多くの産業で応用されるバルブの組み込み診断システムを含む。
【0022】
これらのシステム及び方法の1つ又は複数の実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。これらのシステム及び方法の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】診断及び性能監視システムを組み込んだクラス1ディビジョン2設置のボールバルブの側面図である。
【0024】
【0025】
【
図3】クラス1ディビジョン1防爆設置の弁のロジックソルバのエンクロージャを示す斜視図である。
【0026】
【
図4】本体漏洩センサの内部導管を有する弁箱上部及び弁箱閉鎖部の断面の概略図である。
【0027】
【
図5】弁箱と端部閉鎖片との間の弁箱外側導管の接合部を示す斜視図である。
【0028】
【
図6】弁箱の外側で電力及びセンサ信号を伝送する弁箱外側導管の断面図である。
【0029】
【
図7】統合された位置及びトルクアセンブリと共に、上流圧力センサ及び下流圧力センサをロジックソルバエンクロージャ及びステムパッキン漏洩装置に接続する弁箱外側導管を利用するクラス1ディビジョン1防爆設置のバルブの概略図である。
【0030】
【
図8】センサファイバーを導くための浮動弁座ずれセンサの加工された導管の等角図である。
【0031】
【
図9】ボールに対する弁座の位置ずれによって生じる浮動弁座の傾きを示す断面図である。
【0032】
【0033】
【0034】
【
図12】バルブの浮動弁座及び非金属インサートの等角図である。
【0035】
【
図13A】一体型弁棒漏れ流量・トルク・位置検出装置及び上部バルブアクチュエータ連絡フランジの設計特徴を示す概略図である。
【
図13B】一体型弁棒漏れ流量・トルク・位置検出装置及び上部バルブアクチュエータ連絡フランジの設計特徴を示す概略図である。
【0036】
【0037】
【
図15】ピグ検出センサ、電気導管、及びロジックソルバエンクロージャに接続する導管継手の機械的接続を示す等角図である。
【0038】
【
図16】機器、バルブ、ロジックソルバ、機器・電磁弁・ロジックソルバの電気信号、並びに機械的及び電気的接続を示す、弁座漏洩流量測定装置の配管及び機器図である。
【0039】
【
図17】内部バルブメインケーブル耐圧アセンブリ、ソケット挿入物、及び取り出し機構を示す概略図である。
【0040】
【
図18】ソケットセンサ出力メスコネクタの概略図である。
【0041】
【
図19】ケーブル出力ブッシングを示すソケットセンサ出力メスコネクタの概略図である。
【0042】
【
図20】ケーブルブッシング、ケーブル、及びバックメタルバックシールリングを示すソケットセンサ出力メスコネクタの等角図である。
【0043】
【
図21】プッシャーステムパイプのカバープレートを示す上面図である。
【0044】
【
図22】バルブボア内のセンサ出力メスコネクタを示す概略図である。
【0045】
【
図23】センサ出力メスコネクタのバックメタル-金属弁座を示す概略図である。
【0046】
【
図24】弁箱接続部漏洩センサ、弁箱接続部荷重センサ、及び内部導管を示す概略図である。
【0047】
【0048】
【
図26】弁箱漏洩及び荷重センサケーブルを受けるキャビティの概略図である。
【0049】
【
図27】ロジックソルバエンクロージャを有する内部センサのインターフェース絶縁フランジを示す概略図である。
【0050】
【
図28】インターフェース絶縁フランジを示す概略図である。
【0051】
【
図29】データ転送システムの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本明細書は、例えば産業プラントの隔離弁に使用可能な診断及び性能監視システムを含むバルブを説明する。これらの診断及び性能監視システムの構成は、一般に、スプリットボディバルブのメンテナンスとアクセスの容易性を向上させるものである。これらのシステムは、弁棒上のバルブトルク及び位置、弁座の流量、弁棒パッキンの漏れ、弁箱閉塞部の漏れ、弁内部のパイプラインピグ(スクレーパー)位置、及び弁性能の本来の仕様条件に対するずれを定量的に検出及び計測する。また、このシステムは、予防的なメンテナンス処置の実施状況を監視し、弁座の損傷やずれを特定する。このシステムは、バルブの設計を記録し、性能データ及び性能偏差を評価するための、ローカルデータ記録装置、ロジックソルバ、及び遠隔読取可能なタグを備えている。ロジックソルバという用語は、慣例的に、安全上重要な機器に入出力が接続されているハードウェア装置又はソフトウェアシステムを示すために使用される。
【0053】
このシステムは、弁箱に接続され挿入されたセンサ、弁座リーク測定用のコントローラ、通信装置、及びインターフェース電気ハウジングを含む。インターフェース電気ハウジングは、診断用ロジックソルバをホストする。ロジックソルバは、不揮発性メモリ、外部電源のための内部電源函接続、及び通信ポートを主要としている。本開示のシステムは、漏洩する弁座を特定し、温度及び圧力に対して補正された漏洩流量を計算する、弁座漏洩流通装置を含む。
【0054】
流量測定は実際の流動状態で行われ、流量は圧力及び温度の標準的な条件で表される。実際の流量測定は、流体密度の変化を含む圧力及び温度の特定の流動条件に対して再計算(すなわち補正)される。
【0055】
[バルブ構成]
図1A及び
図1Bは、それぞれ、クラス1ディビジョン2設置の隔離弁1000の斜視図及び断面図である。隔離弁1000は、中央ボア1108を画定するボール1104を保持する弁箱1100を有する3ピースボール弁である。ボール1104内を通る中央ボア1108は、隔離弁1000が取り付けられるパイプラインと同じ大きさである。この大きさは、バルブ1000を通る流れが制限されないので摩擦損失が少なく、パイプラインのピギングを可能にするが、バルブ1000は、より小さなボールを持つバルブよりも大きく、より高価である。
【0056】
弁棒1110は、ボール1104から上方に延びる。バルブアクチュエータ332は、弁棒1110に取り付けられ、ボール1104をその開位置とその閉位置との間で回転させるように動作可能である。弁箱1100は、上流側閉鎖片1112と下流側閉鎖片1116とに取り付けられている。閉鎖片(クロージャピース)は、本体1117と、外側フランジ1118と、内側フランジ1119とを含む。閉鎖片は、本体フランジと呼ばれることもある。弁箱1100内の浮動弁座(フロート弁座)1120は、ボール1104を弁箱内の適切な位置に保持する。
【0057】
3ピース設計により、ボール1104、弁棒1110、及び弁座1120を含む弁箱1100を、パイプラインから容易に取り外すことができる。これにより、バルブ1000の効率的なメンテナンス及び修理が容易になる。
【0058】
弁1000はロジックソルバ1124を含み、それは
図8~
図24に関して詳細に説明されるセンサを監視し制御する。ロジックソルバエンクロージャ(筐体)70は、弁箱1100に取り付けられ、センサシステムからセンサ入力電線用導管84、85、86、87、88、89、90、91を受け取る。いくつかの実施形態では、弁座ずれセンサ、ピグ通過センサ、本体フランジ荷重及び流体耐火本体接続センサのケーブルは、導管84内に移動してロジックソルバエンクロージャ70へ至る。いくつかの実施形態では、ピグセンサ75、76は、それぞれ、導管86、90によってロジックソルバエンクロージャ70に接続する。
【0059】
ルートバルブ79によって隔離された上流側圧力センサ71、及び、ルートバルブ83によって隔離された下流側圧力センサ74は、それぞれ、導管91、88を介してロジックソルバエンクロージャに接続する。これらのルートバルブは、計測器をプロセスから隔離するバルブであり、一般にプロセスラインに近い位置にある。これらの圧力センサは、クラスI、ディビジョン1の危険区域でATEX又はIECExの承認を受けた防爆型圧力トランスミッタ(伝送器)であり得る。これらのトランスミッタは、電流又は電圧出力を提供することができ、過酷な周囲条件用に設計されている。導管89は、接続カプラ92を介してロジックソルバエンクロージャ70とバルブアクチュエータとを接続するための経路を提供する。
【0060】
[ロジックソルバ接続性及びエンクロージャ]
図2は、ロジックソルバ300とその接続性を説明するための概略図である。ロジックソルバ300は、データリンク308を介して、通信モジュール301に接続している。通信モジュール301は、
図1Aに示すロジックソルバエンクロージャ70内に収容されている。通信モジュール301は、配線接続リンク302による配線で接続された通信又はアンテナ303による無線通信を携帯用デバイス304に提供する。デバイス304は、ロジックソルバ300からのデータの読み出し及びロジックソルバ300へのデータの書き込みを行う。ロジックソルバ300は、電源の自律性を可能にするために、ロジックソルバエンクロージャ70の内部に設置された電源函(パワーパック)305によって外部から電力供給を受ける。いくつかの実施形態では、ロジックソルバは、代替的又は追加的に他の電源(例えば、プラントの電気系統に配線で接続される)を備える。
【0061】
ロジックソルバ300は通信ポート306、307を提供し、これらは、それぞれ、プログラミング用、弁座漏洩流通流量測定装置(例えば、
図16に関して説明される弁座漏洩流通流量測定装置)との通信用、及び外部ディスプレイ及びキーボードモジュール309との接続用である。また、ロジックソルバ300は、バルブアクチュエータ332と通信するための通信ポート340を提供する。ロジックソルバは、システム333全体のデータを格納するRFIDタグ322からのデータリンク321、センサ310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、並びにバルブ331及びアクチュエータ332のデータを受信する。ロジックソルバ300においてユーザによって指定された時間枠で定期的に、RFIDタグ322は、バルブ及びアクチュエータパラメータの性能偏差、並びに、すべてが不揮発性メモリブロック305に同時に格納されているシステム333パラメータを含むように、プログラムされている。ロジックソルバ300は、ピグ通路歪みセンサ310、311、本体フランジ荷重センサ312、流体耐火本体接合センサ313、圧電弁座荷重センサ320、弁棒漏洩センサ319、上流圧力センサ314及び下流圧力センサ315、弁座ずれセンサ316、バルブトルク317及びバルブ位置318からの入力を受け取る。これらのセンサは、
図8~
図24に関してより詳細に説明される。
【0062】
図3は、隔離弁1000の弁棒522及び上部フランジ521に対する位置にあるクラス1ディビジョン1防爆設置の弁のロジックソルバ300のエンクロージャ523を示す。ボルト518は、閉鎖片525をバルブ1000の弁箱1100に取り付ける。同様のボルトは、閉鎖片525の外側フランジ519に画定されたボア520を通して取り付けられる。RFID515は、エンクロージャカバー513に取り付けられたプレート514の下に挿入されている。プレート514は、ユーザが現場で見ることができるように、システムの設計及び設置の詳細を記載するために使用される。エンクロージャ523は、主弁箱510に溶接された支持板511、524によって弁箱510に取り付けられている。封止用導管継手512、517は、ロジックソルバ300の入出力ケーブルに保護を与える。
【0063】
図4は、弁箱550の上端、弁箱閉鎖片551のジョイント566、及びバルブフランジ565の上部を示す断面図である。主内部導管路563は、本体フランジ荷重センサ、本体接続漏洩センサ、及びずれセンサのケーブルのための経路を提供するために、弁箱551内に機械加工されており、それらはそれぞれ機械加工された内部導管562、561、556によって主経路553に接続する。本体フランジ荷重センサキャビティ559、本体接続漏洩キャビティ558、及びずれセンサキャビティ555、557は、センサのための主閉鎖片本体551への接合を提供する。ずれセンサキャビティ555、557内のセンサは、弁座にかかる力を測定する。
【0064】
[内部導管及び外部導管]
図5は、弁箱のセクション573、580に示されるように溶接された分割電気導管575、570と、主弁箱578と閉鎖片本体579との間のジョイント572における二重結合アセンブリ、574、571、ニップル576の斜視図である。二重結合アセンブリ、571、574、及び576は、メンテナンス目的又は分解目的のために、ジョイント572で電気導管片570を575から切り離すことを容易にする。特に、この特定の構造oは、フランジ付片から主弁箱を分解することを可能にし、他の任意の分割ボディ設計バルブに使用することができる。図示のジョイントは、メンテナンス目的のためにバルブ片を分解するために使用することができ、また、二重結合片574での電気接続を解除するために切断することができる電気導管内の電気コネクタをホストすることができる。
【0065】
図6は、弁箱及び弁箱閉鎖体に取り付けられた溶接された導管体の一部を示す断面図である。この図は、導管体560、溶接ねじ部562、及び内側導管561を示す。
【0066】
図7は、主弁箱に取り付けられた外弁箱溶接導管604、617、616、上流及び下流弁ポートの弁閉鎖片体に取り付けられた導管620、621の図である。導管620、621はインターフェース片622、623に接続しており、それらは機械加工(通過穴)されていて、メンテナンスのために適切な工具によって二重結合ナットを回転させるため、二重結合605、607に閉鎖本体から必要なクリアランス(隙間)を与える。別の結合614により、導管システムはバルブアクチュエータに接続することができる。導管620、621は、それぞれ、上流及び下流の圧力トランスミッタ609、608の電気出力に接続する。隔離弁611、612は、トランスミッタの流体接続を隔離する。チーズ606、610は、オペレータが上流及び下流の圧力を視覚的に監視するための圧力ゲージの接続を可能にする。導管616、617は、導管封止体602、622、603を介して主ロジックソルバ600に接続する。さらに、ロジックソルバエンクロージャは、この図ではプラグを付けた状態で見られるシール体601を介して、ロジックソルバを他のデバイスに接続することを可能にする。圧力トランスミッタ609、608は、通常、弁座の永久的な損傷の後に起こる持続的な方法で漏れるたびに、弁座漏れ流の方向を検出することによって使用される。また、
図14でより詳細に説明されている弁棒パッキン漏れ流量装置613とその隔離弁615の図も示されている。
【0067】
[弁座ずれ感知]
図8~
図12は、弁箱1100内の浮動弁座1120のずれを感知するためのいくつかのアプローチを示す。
【0068】
上流側閉塞片本体1112と下流側閉塞片本体1116の両方は、シートずれセンサを含む。
【0069】
図8は、閉鎖片本体に組み込まれたリングセンサ23と、浮動弁座21内に挿入された磁化されたインサートリング22とのアセンブリ(組立体)を用いて浮動弁座21の位置ずれを測定する弁座ずれセンサシステム316aを示す。上流側閉鎖片本体1112の弁座ずれセンサ316aは、
図9に示されている。浮動弁座21は、ボール20と上流側閉鎖片本体1112との間に示されている。
【0070】
リングセンサ23の出力ケーブル27は、平坦な仕上げ面で終わるねじ式の密閉プラグ24を通過する。この構成は、閉鎖片本体に機械加工された溝に着座したOリング25に対してさらなる隔離を提供する。内側導管26は、センサ出力ケーブル27がセンサ調整電子ボード19に到達できる角度で穿孔されている。センサ調整電子ボード19の出力端子は、圧力分離ねじプラグ16に直接終端する。圧電センサ1128のセンサケーブル29は、内部導管を通ってセンサ調整電子ボード19に達する。両センサ出力ケーブル27、29は、センサ調整電子ボード19に到達していることにより、両センサに電力を供給し、両センサから読み取り値を受信する。センサ調整電子ボードは、読み取り値を外部の受信電子ボードに中継する。センサ調整電子ボードを外部受信電子ボードに接続する1つの方法を、
図27に関して詳細に説明する。圧力分離ねじプラグ16のセンサ出力ケーブル27は、インターフェース絶縁フランジ14によってさらに保護され、このフランジはボルト18によって閉鎖片の本体1117にボルト止めされ、Oリング15及び耐火ガスケット17によって侵入防止が施される。
【0071】
図9は、弁箱1100内の浮動弁座1120のずれを感知するための別の方法を用いる弁座ずれセンサシステム316bを示す。弁座ずれセンサシステム316bは、弁棒漏れのための複数の読み取り値を与える。弁座ずれセンサ316bでは、弁座インサート2がボール7と内側本体との間に浮いている。弁座インサート2は、浮動弁座3内に画定されたキャビティ内に延びている。弁座Oリング1は、浮動弁座3と閉鎖片6との間にシール(密閉)を提供する。ファイバー4が埋め込まれた光ファイバーインサート5は、末端閉鎖6の弁座ポケット領域に機械加工された溝内に着座している。スプリング8は、浮動弁座3に取り付けられ、浮動弁座3と光ファイバーインサート5との間で延びている。浮動弁座5は、光ファイバーインサート5に着座しているスプリング8を押す。浮動弁座の機械的圧力は、光ファイバー4によって受信された光ファイバーインサート5の機械的負荷に変換され、ロジックソルバ300に接続されて、浮動弁座3の円周に沿う負荷の不均衡を測定する。負荷の不均衡は、閉鎖片に対するシートの位置ずれによって引き起こされる。位置ずれは、流体内を移動する破片、汚れ又は汚染物質の結果として生じる。
【0072】
図10は、弁座ずれセンサシステム316cを示す。弁座ずれセンサ316cは、弁座ポケット領域に穿設されたボア37内に弁座30から延びるスプリング34を含む点で弁座ずれセンサ316bと概ね同様である。スプリング34は、スプリングリング35に着座する。弁座30を閉鎖片のポケット領域31に面したその背面側から保持するスプリング34は、圧電センサ32に取り付けられたピン36を押すことによって、圧電センサ32に力を及ぼす。圧電センサ出力信号ケーブル33は、環状の導管を通って延びている。ボールバルブの四方のいずれかに向かうずれの向きを決定するため、シートリングの周囲の12、9、6、3時の位置に、ポケット領域に対する浮動弁座リングの垂直及び水平変位を検出する、最低4つの圧電ずれセンサが必要である。圧電センサ出力信号ケーブル33は、シートリングの周囲(例えば、12、9、6、3時の位置)に配置されたセンサの信号を収集する。
【0073】
図11は、浮動弁座40に挿入されたプッシャリング41が圧電センサ42を接近させる弁座ずれセンサシステム316dを示す。本実施形態では、加工溝46の周囲に配された複数の圧電センサ42が、ポケットシート領域47に向かう浮動弁座40の動きを検出する。圧電センサ42の出力ケーブル48は、複数の圧電センサからの出力ケーブルを伝送する内部導管リング44に進入する。
【0074】
図12は、浮動弁座50上のプッシャーインサート51の等角図である。
【0075】
[一体型弁棒漏れ流量・トルク・位置検出装置]
図13A及び
図13Bは、一体型弁棒漏れ流量・トルク・位置検出装置900の詳細と、関連するバルブグランド500及び上部バルブアクチュエータ連絡フランジ502の設計特徴を示す概略図である。弁棒漏れ流量・トルク・位置検出装置900では、トルクはホール効果センサ481、455によって測定され、これらは弁棒の位置測定にも使用される。センサ481、455は、それぞれ、上部バルブアクチュエータ連絡フランジ502及びアクチュエータフランジ450に機械加工された穴あきキャビティ内に取り付けられている。弁棒漏れ流量・トルク・位置検出装置900は、ホール効果センサ455と同様にアクチュエータフランジ450上の穴あきキャビティに設置される別のホール効果センサ454を含む。この方法により、バルブアクチュエータ連絡フランジ502を機械加工することなく、既に動作しているバルブにこのシステムを実装することができる。バルブアクチュエータ連絡フランジ502上のホール効果センサ481を有するバルブのために、アクチュエータフランジ上の第2のホール効果センサは必要ないため、一部のアクチュエータフランジは単一のホール効果センサのみを含む。
【0076】
トルクホール効果センサ481は、弁棒509に取り付けられた磁気インサート480によって発生する磁気誘導のベクトル角を読み取る。センサ481の出力信号ケーブルは、フランジ502内に機械加工された内側導管482の内部を通る。一体型弁棒漏れ流量・トルク・位置検出装置900では、より高い分解能及び精度を達成するために、複数のセンサ(例えば、センサ454、455、481)によってトルクが測定される。例えば、バルブアクチュエータから加えられるトルクによって引き起こされる弁棒509の回転の結果として、センサ454の位置での変位に対してセンサ481での変位を測定することを比較することによって、より高い分解能及び精度を提供することができる。
【0077】
ホール効果センサ455は、弁棒509に穿設されたキャビティに設置された磁気インサート456の強度及び角度を測定することによって位置を読み取る。
図10Aでは磁気インサート456が1つしか示されていないが、アクチュエータフランジ450上の1つのキャビティを位置測定に使用するためには、複数の磁気インサート及びホール効果センサが必要である。この方法では、位置センサ455は、ステム(弁棒)が回転するときの運動角度ごとに、ずらりと並んだセンサに面した磁極の組み合わせを検出する。トルクは、所定の既知の負荷に対する静止時の測定値に対して、負荷条件下でステムが回転している、作業状態での磁束の角度及び強度を測定することによって決定される。校正プロセスは、無負荷状態(すなわち、流体を通さない状態)でバルブを開位置から閉位置までストロークさせ、様々な開口位置における無負荷状態でのトルクの測定値を記録し、次に様々な負荷をかけながらストローク運動を繰り返し、最後にヒステリシスとともに開閉曲線に沿って無負荷状態と負荷状態からの偏差を決定することからなる。位置計測の目的は、アクチュエータレベルにおける位置計測というよりも、全開や全閉時の弁棒の実際の位置を把握することである。大口径のバルブでは、アクチュエータが読み取る全開位置は、実際の弁棒の位置を反映していない。例えば、アクチュエータは100%の開度を示していても、実際の位置は98%である。このような事象により、スクレーパーが動かなくなり、弁座が損傷する可能性がある。位置測定は、静的な条件下で、以前に記録された0%と100%の実際のステム(弁棒)位置に対して、バルブの実際の位置を決定する。したがって、同じホール効果センサで、静的状態における実際の0%と100%での角度及び磁気強度を測定し、ロジックソルバが実際の負荷がかかる作業条件と比較して、測定位置が許容範囲及び安全マージン内で全開又は全閉位置と見なされるかどうかを判断する。別の可能な実施形態として、同じ手法のセンサをバルブの周りのネックボディ片(ピース)の周りに配置することで、その片(ピース)の周りの複数のセンサを使用して、円周上の様々な点での位置を測定することができる。
【0078】
センサ454、455、481の出力ケーブルは、それぞれ内側導管453、457、482の内部を通る。ねじ付きコネクタ465、469、475は、それぞれ導管ニップル466、479、474に接続する。これらのセンサケーブルは、それぞれ、導管継手のチーズ467、471、473の中を通る。チーズ467、471は、ニップル468、472によって相互に接続されている。センサケーブルは、導管476を介してロジックソルバ300のエンクロージャに接続する。トルクと位置を検知する手法(アプローチ)により、安全性、弁座性能、及びシステムの耐久性を低コストで改善することができる。
【0079】
図示のボールバルブは、弁棒509を支持し、ステムベアリング(すなわち、下部ステムベアリング459及び上部ステムベアリング462)、並びにパッキングOリング458、460、497及び防火ガスケットリング461を保持するバルブグランド500を含む。フランジ502、450は、一定の間隔で配置されたフランジ周囲のスタッド484及びナット485によって定位置に保持されている。バルブアクチュエータインターフェースフランジは、保持ボルト501によってバルブグランド500に取り付けられ、グランド500は、ボルト483によって弁箱に保持される。
【0080】
漏れが起こると、流体はOリング458、460及び防火リング461を通過する。押さえリング(Oリング497)は追加のシールを提供し、漏洩流体が、ドリルで穴を開けた内側導管486に接続するキャビティ464に入るようにする。その後、漏洩流体は、パイプニップル488及び電磁弁489に接続するねじ付きコネクタ487に達する。電磁弁489は、導管継手チーズ490、直線導管491及びチーズ492の内部を通るケーブルによって指令される。チーズ492は、ロータメータ495からの信号ケーブルを集め、ロジックソルバ300のエンクロージャに向かう導管493に通じる。漏れ流量測定は、手動バルブ494によって手動で隔離され得るロータメータ495に流体が入るとすぐに開始される。漏れが排出されると、排出管496に取り込まれる。弁棒キー451は、この図には示されていないが、バルブアクチュエータ駆動カプラへの機械的リンクを保持する。
【0081】
いくつかの一体型弁棒漏れ流量、トルク及び位置検知装置において、弁棒漏れ流量タッピングポイント478は、トルク測定センサが設置されるのと同じ側に配置される。
【0082】
図14は、パッキン漏れ流量操作の配管及び機器図である。弁棒パッキン漏れ流量は、流量トランスデューサ出力と、信号ケーブル550を介してシステム548のメインロジックソルバに送られる流量信号を提供する内圧トランスデューサと、を主とするロータメータ553によって測定される。ロジックソルバ548は、電磁弁554を閉じることによって、流量測定を分離することができる。漏れ流も、隔離弁552によって手動で隔離することが可能である。ロータメータ553は、チーズ45に接続されており、バルブ547によって手動で隔離することができる。漏れ流量の排出は、信号ケーブル551を通したロジックソルバ548が、制御バルブ546によって調節することができる。バルブ546は、ロータメータレンジを超えたときに、漏れ流量の非常に低い範囲を推定するために使用される較正されたニードル制御バルブである。この実施形態では、流量測定の方法は、ロジックソルバ548から出力されるすべての信号を、対応するバルブCv値に連動してバルブ546の開度割合に対して較正させることによって達成される。バルブ546を通過する流量は、ロータメータ553の内圧トランスデューサからの上流バルブ圧力に基づいて、制御バルブ理論式を用いて推定することができる。場合によっては、流量測定アセンブリ全体が、主隔離弁552を提供してブロック555全体の取り外しを容易にするマニホールドブロック555に組み込まれる。漏れの排出は、排出管556を介して大気に放出される。
【0083】
[ピグアセンブリセンサ]
図15は、ピグセンサアセンブリを示す図である。ピグセンサ531は、バルブ閉鎖片本体539に直接接着された歪みゲージと、センサ531のハウジングに含まれるトランスデューサ回路と、を備える非侵入型歪み測定センサである。歪みゲージは、溶接ボス530の内側キャビティの内部に配置されている。歪みゲージのケーブルの出力ケーブルは、回転接触によってセンサ531のトランスデューサに接続されている。センサ531は、ねじ538によって、バルブ閉鎖片本体539に直接溶接された溶接ボス530に接続されている。センサハウジング531は、その出力信号ケーブル及びロジックソルバハウジングから来る入力電力ケーブルのためのねじ接続部536を提供する。ケーブルは、導管及び導管継手、すなわちねじ付きニップル533、エルボ534、ロジックソルバハウジング300に向かう導管535、の中を通る。ピグセンサ方式は、ピグの通過によって生じる局所的な振動を、ピグの背面側で流れ方向や管壁に対する圧力の上昇によってパイ外周面に生じる微小なたわみとして検出する。
【0084】
[弁座の漏れ]
図16は、弁座漏れ測定装置406の配管及び機器図を示している。バルブ350へのメカニカル配管407は、キャビティドレンバルブ353に接続し、漏れた流体を測定用装置に入れることができる。場合によっては、メカニカル配管407は、可撓性圧力ホースである。場合によっては、メカニカル配管407は、硬質管である。迅速な結合を容易にするために、クイック配管カプラ354は、バルブ350に対する装置の迅速な結合及び切り離しを可能にする。装置406は、多芯ケーブル352によって、バルブセンサ取り出し金具351(
図17に関してより詳細に説明する)から利用可能なバルブセンサ出力に電気的に接続する。一端では、ケーブル352は、電気的に安全なコネクタ405を提供し、バルブ350から装置406全体を取り外すことを容易にする。コネクタ405は、ケーブル352のためのシールドされた可撓性カプラ又は金属導管を提供しない実施形態に対して、装置406を弁箱接地端子に接地する外部接地ケーブル及びコネクタ409を提供する。この手法は、バルブセンサ取り出し金具351への結合及び切り離しの前に、装置406を接地することができる。場合によっては、接地を有するコネクタ405とコネクタ409とは、バルブセンサ取り出し金具351に直接接続することができる。場合によっては、ケーブル352とコネクタ405とは、電気的な可撓性接続ホースの内部に設置されている。場合によっては、コネクタ405は、周囲の気体の発火を回避する防爆コネクタである。
【0085】
図17は、バルブセンサ取り出し金具351の断面図である。電気コネクタ405及びクイック配管カプラ354により、装置406は、バルブから切り離された携帯ツールとして操作することができる。電気コネクタ405は、接地ケーブル409を提供し、静電気スパークを避けるために、バルブとの安全な接続を確保する。キャビティドレンバルブ353は通常閉じており、それはパイプ407によってクイック配管カプラ354に接続する。
【0086】
装置406は、通常閉じている隔離弁355によって、メインバルブ350から隔離されている。操作者は、バルブ355を開いて、漏れ流量測定プロセスを開始する。装置406は、ドレンバルブ408を備え、メインバルブ350から切り離す前に、あらゆる流体を減圧して排出する。
【0087】
装置の入口圧力は、操作者が圧力計359で読み取ることができる。これにより、漏れ流量測定プロセスを開始する前に、入口圧力を迅速に読み取ることが容易になる。バルブ358はゲージ359を隔離し、バルブ360はゲージ359のプロセス接続をパージすることができる。入口圧力信号は、圧力計トランスミッタ362によって信号ケーブル394を介して装置内部ロジックソルバ400に伝送される。トランスミッタ362は、バルブ361によって隔離され、バルブ363によってパージされる。温度計トランスミッタ364は、流体温度信号を、信号ケーブル393を介して装置内部ロジックソルバ400に伝送する。トランスミッタ364は、バルブ365によってメインヘッダ401から隔離されている。下流では、通常閉鎖されているバルブ367が、複数の流れ要素マニホールド410を隔離している。場合によっては、流れ要素は3つの導管から構成され、各導管は、それぞれ、差圧トランスミッタ369、373、378を用いて低、中、高の漏れ流量率を測定するために、各導管が1つのオリフィスプレート372、377、382を提供する。トランスミッタ369、373、378は、個々の信号を、ケーブル395、396、397(これらは多芯ケーブル399に束ねられる)を介して装置内部のロジックソルバ400に送る。場合によっては、マニホールド410は、中間レベルの漏れ流量測定に対応するために、複数の導管を含む。場合によっては、各差圧トランスミッタ369、373、378は、それぞれ、図示された一対のバルブ370/371、374/375、379/380によって隔離されている。マニホールド410は、マニホールドの保守作業を容易にし、フラッシング/バイパスライン384を利用する場合にマニホールド410の加圧を防止するために、隔離弁419によって出口管ヘッダ403から隔離されている。上流側のバルブ367及び下流側のバルブ419を閉じた後、マニホールド410全体を取り外すことができる。出口ヘッダ403の圧力は、バルブ385によって隔離されると共にバルブ404によってパージされる圧力計386においてオペレータによって監視される。出口ヘッダは、装置が扱う全流量範囲の出口圧力に対応する大きさの排出管389に接続されている。汚れた気体又は液の流体を管理するために、装置は、切替スイッチ416でフラッシュ/バイパスモードを選択したときにオペレータが実行するフラッシング動作モードを提供する。切替スイッチ416は、装置に対して、フラッシング/バイパスモード、測定モード、及びアイドルモードの3つの動作モードを提供する。切替スイッチは、ケーブル415によって装置内部ロジックソルバ400に接続されている。緊急時には、ケーブル417によって装置内部ロジックソルバ400に接続されている非常用押しボタン418によって、装置全体をシャットダウンすることができる。非常用押しボタン418を押すと、常閉型電磁弁414が、装置全体をメインバルブ350から隔離することを完了する。
【0088】
装置の動作開始時に、オペレータは、弁355、366、419を開いて、装置の動作モードを有効にする。フラッシング/バイパスモードでは、バルブ355、366は既に開いており、ロジックソルバ400は電磁弁411、368、376、381を閉じ、その後電磁弁356、387を開ける。測定モードでは、ロジックソルバ400は、356、387を閉じた後、411、368を開き、流れ要素372によって提供される最低測定範囲での流量の測定を開始する。
【0089】
ロジックソルバは、ユーザによって予め選択された時間内に測定された流量プロファイルに応じて、次の測定導管を420から421、そして422へと自動的に切り替える。自動切り替えにより、液体の場合はキャビテーション状態、高圧の気体流体の場合はマニホールドの凍結、気体流体や汚染された流体の場合は音波出口速度の潜在的な侵食損傷を防ぐことができる。漏れを測定する原因となっている、メインバルブ350の弁座上の実際の流量条件及び損傷、すなわち弁座上の流路のサイズ及び長さは、不明である。それは、キャビテーション、凍結、侵食など、装置の開口部から流体を放出することに関連する流体現象に起因する。弁座漏洩流量測定装置は、前記現象による損傷を防止するために、流量範囲の自動選択を提供する。
【0090】
各導管420、421、422の流量は、各差圧トランスミッタ369、373、378から受信した信号から、ロジックソルバによって計算される。流量が流れ要素372の測定容量を超える場合、ロジックソルバ400は、368を閉じ、376を開く。流れ要素377の容量を超えた場合、ロジックソルバ400は、376を閉じ、381を開く。流れ要素容量382を超えた場合、ロジックソルバ400は電磁弁381、414を閉じ、装置を安全に隔離する。流れ要素の容量を決定するために、ロジックソルバ400は、測定する導管の差圧曲線を、予め決められた差圧プロファイルと比較する。ドレンバルブ353を開いて測定モードを開始した後にメインバルブ350のキャビティが加圧されたままである場合(これは通常、バルブ350の弁座の持続的な漏れ状態によって起こる)、現在の流量要素にかかる差圧は、通常パイプライン動作圧力であるバルブ350キャビティ圧力によって流量が持続されていることを示す、予め定められたプロファイルに従うであろう。
【0091】
図16は、また、ロジックソルバ400による算出された流量のさまざまな状態を示す。上側のハッシュ線(点破線)は、範囲外の大きな漏れ流量を示しており、弁座漏れ流量測定装置の破損を招く可能性がある。この種の漏れは、通常、メインバルブ350内の圧力によって維持される。これは、バルブ350の弁座の損傷が永久的なものである場合に発生する。次の3つの実線は、前記装置で測定できる様々な範囲の持続的な漏れ流量を示す。破線は、メインバルブ(バルブ350、
図15)の弁座の可能性のある正常な(損傷していない)状態を示す、減衰する漏れ流量を示している。
【0092】
図16を参照すると、ロジックソルバ400は、減衰する漏れプロファイルについて実際の漏れ流量状態を決定することができる。ユーザによって設定された所定の期間が経過した後、ロジックソルバ400は、電磁弁411を閉じて装置を通る流れを遮断し、その後、圧力トランスミッタ362からの圧力読み取り値を監視する。ユーザによって設定された別の所定の期間が経過した後、362によって測定されたヘッダ401の圧力が、既定値と比較してゼロ又は常に非常に低いままであれば、ロジックソルバ400は、その不揮発性メモリに、バルブ350の状態を「正常な弁座状態」と書き込む。
【0093】
ロジックソルバ400は、予め決定されたルーチンを実行し、バルブ設計データに基づいて、
図16の線420として例示の目的で示されている最小流量の導管を予め開くことによって、流量測定導管を選択する。漏れ流量が超過した場合、ロジックソルバ400は、より大きな流れ要素に自動的に切り替える。ロジックソルバ400は、差圧トランスミッタ369、372、378の読み取り値から、各導管の漏れ流の方向も決定する。また、ロジックソルバ400は、圧力計トランスミッタ(PIT)362及び温度計トランスミッタ(TIT)364のそれぞれから圧力及び温度の測定値を受信することにより、温度及び圧力について流量計算を補償する。ロジックソルバ400は、メインロジックソルバ300(
図2)からロジックソルバ400に送られる各シートリングの出力信号を、現在の流れ導管から計算された漏れ流量と比較することにより、バルブ350の入口ポート又は出口ポートのいずれから来るのか、弁座漏れ流れの方向を決定する。シートリングの出力信号は、電気コネクタ405を経由して、ケーブル425を横切って送られる。
【0094】
図17は、センサメインケーブル、挿入物及び取り出し機械部品の組み立てを示すバルブセンサ取り出し金具の機械図である。内部センサケーブル100は、溝130、131の内部にそれぞれ着座するOリング101及び耐火リング102によって本体に密封された密封ねじプラグ103に挿入されている。ねじプラグ103は、雌型プラグ108に組む雄ピンコネクタアレイ107を提供する。内ねじ溶接ボス105は、本体129に溶接105され、入口及び出口ねじポートのバルブ106に機械的に接続するニップル132を収容する。雌型コネクタ109は、一端がバルブ106にねじ込まれたチーズに収容されると共に、フランジ115によってフランジ付きプッシャーステムパイプ125にボルト117及びナット116で接続されている。雌型コネクタステム111は、内部にねじ込まれ128、ねじ付きプラグ118が内部ねじ付きステム111の中に回転できるようになっており、このステム111は直線的に上下に移動してセンサ出力雌型コネクタ109をその移動終了時にプラグ103に押し込む。ステム111の直線運動は、シャフト119に運動を伝達するハンドホイール123の回転により駆動ねじプラグを回転させることによって達成される。シャフトは、プレート124に取り付けられたベアリング120と、プッシャーステムパイプ125の本体にボルトで固定されたカバープレート122によって収容されたベアリング121と、によって保持されている。
【0095】
ステム111は、同じチーズ本体126に加工されたパイプパッキンネック136によって収容されているOリングパッキン114、133、135の中を直線的に摺動する。ケーブル112は、コネクタ109を取り出す際に損傷を受けることなく雌型コネクタ109と共にケーブルがスライドして戻ることができるばね付きケーブルリール113によって巻かれている。
【0096】
雌型コネクタ109が雄型プラグ103へ入ると、ソケット108によって固定される。ソケット108とプラグピン107との正しい位置合わせを確実にするために、雌型コネクタは、ボールバルブのねじ接続部に延びる溝134を提供する。
【0097】
図18は、案内溝143、ソケット雌壁141、及び雌型ピン142を有する雌型コネクタ140の正面図である。
【0098】
図19は、ステムヘッド152と、コネクタ150の完全に取り出された位置でチーズパッキンネック136(
図17)に対してチーズを密閉可能にするバックシート151と、に連結される雌型コネクタ150の背面図を示す。ケーブルブッシング153は、メインセンサケーブル112(
図17)に保護を与える。
【0099】
図20は、雌型コネクタの挿入時と取り出し時の両方で移動している間にケーブル161を保護すると共にケーブルをガイドするブッシング(受筒)162を示す。
【0100】
図21は、プッシャーステムパイプ125のカバー170を示す。カバー170は、ベアリング171と、外部環境から埃や水分の侵入を防止するOリング172と、を機械的に支持する。カバー170は、ボルト173によってプッシャーステムパイプ125にボルト止めされている。
【0101】
図22は、雌型コネクタ180が、ねじ付きチーズ185の案内キー183に沿って移動する際にスライドする様子を示している。雌型コネクタ180が移動すると、内側ボアにボールバルブ188(
図17、部品106)に取り付けられたボールバルブガイドキー187によってさらにガイドされる。これにより、雄型プラグピン107は、正しい雌型ピンコネクタ181にロックされる。
【0102】
図23は、スライドステム111にシールを提供するOリング191、192を示す。場合によっては、リング193は、
図17において上に描かれた、アセンブリ全体の耐火シールを提供する。ガスケット194は、フランジ199とチーズパッキンネック200との間の表面接触を密封する。フランジ199は、
図17において既に部品115として示されているが、200の内周に沿って配置された一連のねじによって、チーズパッキンネック200に機械的に接続されている。ねじ196の1つは、
図23に示されている。ねじ196は、その頭部をキャビティ197に着座させる。フランジ199は、通過孔198を通して、
図17に部品125として示されているプッシャーステムパイプフランジにボルトで固定されている。雌型コネクタ109(
図17)及びバックリング195は、チーズネック190に着座する。
【0103】
[本体荷重センサ]
図24は、弁箱225に内部加工された導管231の内部を通る本体荷重センサリング232のケーブルを示す。導管231の端部によって、センサ232のケーブルが、流体感応型圧力センサ222のケーブルも封止するメインケーブル封止プラグ227に接続することができる。荷重センサ232は、クロージャ(封止体)226と本体225との間の機械的荷重を放射状に測定する。センサ222の内部キャピラリ(毛細管)223は、キャピラリ流体を運び、これはキャピラリ圧力センサ230と機械的に接触している。センサ230の圧力信号ケーブル233は、ケーブル封止プラグ227の中に入る。本体接続Oリング221は、閉鎖片220と弁箱225を密閉する。耐火ガスケットリング224は、Oリング221にさらなる保護を提供する。ボール228は、
図24にキャビティなしで示されているシートリング229に着座する。場合によっては、センサ222は、弁箱225に機械加工されたリングキャビティ上に配置された流体感受性ケーブルであり、流体感受性センサケーブル222の端部セグメントは、キャピラリ圧力センサ230を必要とせずに、内側導管223に入り、メインケーブル封止プラグ227に達する。場合によっては、流体感受性ケーブルは、漏出した流体の通過を検出することができる光ファイバーであり、これは、本発明のロジックソルバに接続して、光パルス帯域幅散乱反射測定法に基づく漏出位置ルーチンをロジックソルバが実行することによって、弁箱-閉鎖片接合部周縁の任意の点にわたって漏出の位置を特定する。
【0104】
図25は、
図24では222と番号付けされたセンサ252の本発明の一実施形態を示している。センサダイアフラム252は、本体Oリング250と耐火リング253との間で測定された圧力を伝達する。Oリング250から漏れが発生した場合、2つのリング250、253の間に生じた圧力は、バルブの水力テスト圧力に耐えるように構築されているダイアフラム252によって測定される。キャピラリ254は、最終的に圧力を圧力センサ230(
図24)に伝達する流体256を収容する。
【0105】
図26では、キャピラリ圧力センサ282は、キャピラリ286の端にあるキャビティ281にねじ込まれている。圧力センサ282は、ナットヘッド286を回転させることによってねじ込まれている。センサ282の頭部は、複合体285によって密閉され、センサ出力ケーブル283に対して電気絶縁を行う。荷重センサ232(
図23)のケーブル284は、封止プラグ227(
図23)に向かう出力ケーブルを含むキャビティ280に入る。
【0106】
図27は、非強磁性材料で造られ、ボルト300及びナット301によって閉鎖片本体にボルト止めされた、インターフェース絶縁フランジ302の一実施形態を示している。インターフェース絶縁フランジ302は、2つの磁気結合インターフェースを提供し、1つは強磁性核313による電力用、1つはセンサ信号314用である。電磁力は、外部受信電子基板309上のコイル316によって受信され、電力信号メイン基板304によって生成される。センサ信号用コイル315は、センサ信号用核314によって電磁気的に結合され、メインボード304上のコイル307によって受信される。外部受信電子基板309は、耳部312に着座するスタンドオフ310によって機械的に支持され、ねじ311によって確実に固定される。
【0107】
図28は、インターフェース絶縁フランジ302(
図27)のボア323と、外部受信電子基板309(
図27)の支持耳部322、ねじ321及びナット320の底面図である。荷重センサは、漏れを生じさせるそのボディ内部の力のアンバランスを検出する。
【0108】
[システム運用]
図2に示すように、ロジックソルバ300は、システムセンサ、具体的には、弁座ずれセンサ316の信号を受信する。場合によっては、ロジックソルバ300は、上流ピグセンサ310及び下流ピグセンサ311からの信号も受信する。場合によっては、ピグ通過は、単一のセンサ、上流圧力センサ314、下流圧力センサ315、弁座荷重センサ320、本体フランジ荷重センサ312、本体接合シール漏洩センサ313、パッキン弁棒漏洩センサ319、バルブトルクセンサ317、及びバルブ位置センサ318によって検出される。ロジックソルバは、センサ入力のいずれかがあらかじめ定められた低-低、低、高-高-高の設定から逸脱するたびにアラームを提供するようにユーザによって設定される。ロジックソルバは、それぞれのセンサ入力に対して複数のコンパレータ(比較器)を有する。アラームは、ローカルの不揮発性メモリに格納され、通信ポートに送信される。ロジックソルバ300は、外部のヒューマンインターフェースデータ入力装置309に対して、設定パラメータ、プログラミングロジック、及び設定点の形態でデータを受信及び送信する。同様に、ロジックソルバ300は、ポート306を介して、本明細書に開示されたものと同じ性質の他のシステムと通信し、また、ポート304を介して又はアンテナ303を介した無線で、携帯型機器と通信する。プログラミング、パラメータ、設定点、及びバルブとアクチュエータとのデータは、不揮発性メモリブロック305に格納されている。RFID322は、バルブ331及びアクチュエータ332の関連データを記憶し、システム全体は、機能ブロック333及びセンサ310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320によって表されている。
【0109】
ボールバルブでは、弁座ポケット領域に浮動弁座が配置されている。
図6に示す浮動弁座ずれは、弁座ポケット領域と浮動弁座との間の汚れの閉じ込め(トラップ)により、バルブの通常運転中に起こる可能性がある。通常の運転中、バルブを通過する流体によって運ばれる固体粒子は、弁座の背後に形成され、これにより浮動弁座が引っかかり、ボールに対して滑らかに浮遊する能力を失う原因となる。このため、弁座はボールを弁箱に対してシールすることができず、バルブが閉じているときでも流体を通過させることとなる。本明細書では、シートのずれを検出し、バルブの気密性のさらなる低下を防ぐか、発生し得る弁座漏洩の問題を管理する方法及びシステムを提供する。
【0110】
図29は、データ転送システム2900の概略を示すブロック図である。例示のデータ転送システム2900は、本開示のいくつかの実施による、本開示に記載されている、記述されたアルゴリズム、方法、機能、プロセス、フロー、及び手順に関連付けられた計算機能を提供するために使用される。図示されたコンピュータ2902は、以下のような任意のコンピューティングデバイスを包含することを意図しており、例えば、サーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップ/ノートブックコンピュータ、無線データポート、スマートフォン、パーソナルデータアシスタント(PDA)、タブレットコンピューティングデバイス、又はこれらの内部にある1つ又は複数のプロセッサ(物理インスタンス又は仮想インスタンス又はこの両方)を含む。コンピュータ2902は、ユーザ情報を受け付けることができる、キーパッド、キーボード、及びタッチスクリーン等の入力デバイスを含み得る。また、コンピュータ2902は、コンピュータ2902の動作に関連する情報を伝達することができる出力デバイスを含むことができる。情報は、デジタルデータ、視覚データ、音声情報、又は情報の組合せを含み得る。情報は、グラフィカルユーザインターフェース(UI)(又はGUI)において提示することができる。
【0111】
コンピュータ2902は、本開示で説明される主題を実行するために、クライアント、ネットワークコンポーネント、サーバ、データベース、パーシスタンス、コンピュータシステムのコンポーネントとして役割を果たし得る。図示のコンピュータ2902は、ネットワーク2930に通信可能に結合されている。いくつかの実施では、コンピュータ2902の1つ又は複数のコンポーネントは、クラウドコンピューティングベースの環境、ローカル環境、グローバル環境、及び複数の環境の組み合わせを含む異なる環境内において動作するように構成することができる。
【0112】
概して、コンピュータ2902は、記載されている主題に関連付けられたデータ及び情報を受信し、送信し、処理し、格納し、及び管理するように動作可能な電子式コンピューティングデバイスである。いくつかの実施によれば、コンピュータ2902は、アプリケーションサーバ、電子メールサーバ、ウェブサーバ、キャッシングサーバ、ストリーミングデータサーバ、又は複数のサーバの組み合わせを含むことができ、又は当該サーバに通信可能に結合することができる。
【0113】
コンピュータ2902は、ネットワーク2930を介してクライアントアプリケーション(例えば、別のコンピュータ上で実行している)からリクエストを受けることができる。コンピュータ2902は、ソフトウェアアプリケーションを用いて受信リクエストを処理することによって受信リクエストに応答することができる。リクエストは、コンピュータ2902へ、内部ユーザ(例えば、コマンドコンソール)、外部(又は第三者)パーティ、自動アプリケーション、エンティティ、個人、システム、及びコンピュータから送ることも可能である。
【0114】
コンピュータ2902の各コンポーネントは、システムバス2912を用いて通信することができる。いくつかの実施では、ハードウェアコンポーネント又はソフトウェアコンポーネント等のコンピュータ2902のコンポーネントのいずれか又はすべては、システムバス2912を介して、互いに又はインターフェース(又は両者の組み合わせ)と連結(インタフェース接続)することができる。インターフェースは、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)2912、サービスレイヤ2913、又はAPI2912及びサービスレイヤ2913の組み合わせを用いることができる。2912は、ルーチン、データ構造、及びオブジェクトクラスの仕様を含むことができる。API2912は、コンピュータ言語に依存しないか、又は依存することのいずれかであることができる。API2912完全なインターフェース、又は単一の機能、或いは一組のAPIを参照することができる。
【0115】
サービスレイヤ2913は、コンピュータ2902に、及びコンピュータ2902に通信可能に結合された他のコンポーネント(図示されているか否かにかかわらず)に、ソフトウェアサービスを提供することができる。コンピュータ2902の機能は、このサービスレイヤ2913を用いるすべてのサービス消費者のためにアクセス可能であり得る。サービスレイヤ2913によって提供されるサービスといったソフトウェアサービスは、定義されたインターフェースを介して再利用可能な定義された機能を提供することができる。例えば、そのインターフェースは、Java(登録商標)、C++、又は拡張マークアップ言語(XML)フォーマットでデータを提供する言語で記述されたソフトウェアであり得る。コンピュータ2902の統合コンポーネントとして示されているが、代替の実施では、API2912又はサービスレイヤ2913は、コンピュータ2902の他のコンポーネントに関連したスタンドアロンコンポーネント及びコンピュータ2902に通信可能に結合された他のコンポーネントであり得る。さらには、API2912又はサービスレイヤ2913のいずれか又はすべての部分は、本開示の範囲から逸脱することなく、別のソフトウェアモジュール、企業アプリケーション、又はハードウェアモジュールの子モジュール又はサブモジュールとして実装することができる。
【0116】
コンピュータ2902は、インターフェース2904を含む。
図18には単一のインターフェース2904として示されているが、コンピュータ2902及び記述された機能の特定のニーズ、要求、又は特定の実施に従って2以上のインターフェース2904を使用することができる。インターフェース2904は、分散環境においてネットワーク2930に接続された別のシステム(図示されているか否かにかかわらず)と通信するために、コンピュータ2902によって使用される。概して、インターフェ-ス2904は、ネットワーク2930と通信するように作動可能なソフトウェア又はハードウェア(又はソフトウェア及びハードウェアの組み合わせ)においてエンコードされたロジックを、含むことができるか、利用して実装され得る。より具体的には、インターフェース2904は、通信に関連付けられた1つ又は複数の通信プロトコルをサポートするソフトウェアを含むことができる。そのため、ネットワーク2930又はインターフェースのハードウェアは、図示のコンピュータ2902の内部及び外部において物理信号を送受信するように動作可能であり得る。
【0117】
コンピュータ2902は、プロセッサ2905を含む。
図29には単一のプロセッサ2905として示されているが、コンピュータ2902及び記述された機能の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従って、2以上のプロセッサ2905を使用することができる。概して、プロセッサ2905は、命令を実行し、データを操作して、コンピュータ2902の動作、例えば、本開示において説明されたアルゴリズム、方法、機能、プロセス、フロー、及び手順を実行することができる。
【0118】
コンピュータ2902はデータベース2906をも含み、データベース2906は、コンピュータ2902、及びネットワーク2930に接続された別のコンポーネント(図示されているか否かにかかわらず)のためのデータを保持することができる。例えば、データベース2906は、本開示に整合するデータを格納する、インメモリ、従来型、又はデータベースであり得る。いくつかの実施では、データベース2906は、コンピュータ2902及び記述された機能の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従って、2以上の異なるデータベースタイプの組み合わせ(例えば、インメモリと従来型とのハイブリッドデータベース)であり得る。
図18には単一のデータベース2906として図示されているが、(同様の、異なる、又は組み合わせたタイプの)2以上のデータベースを、コンピュータ2902及び記述された機能の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従って使用することができる。データベース2906は、コンピュータ2902の内部コンポーネントとして示されているが、代替の実施では、データベース2906は、コンピュータ2902の外部にあってもよい。
【0119】
また、コンピュータ2902はメモリ2907を含み、このメモリ2907は、コンピュータ2902、又はネットワーク2930に接続された複数のコンポーネントの組み合わせ(図示されているか否かにかかわらず)のためのデータを保持することができる。メモリ2907は、本開示に整合する任意のデータを格納することができる。いくつかの実施では、メモリ2907は、コンピュータ2902及び記述された機能の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従って2以上の異なるタイプのメモリの組み合わせ(例えば、半導体及び磁気ストレージの組み合わせ)であり得る。
図29には単一のメモリ2907として示されているが、(同様の、異なる、又は組み合わせたタイプの)2以上のメモリ2907を、コンピュータ302及び記述された機能の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従って使用することができる。メモリ2907は、コンピュータ2902の内部コンポーネントとして示されているが、代替の実施では、メモリ2907はコンピュータ2902の外部にあってもよい。
【0120】
アプリケーション2908は、コンピュータ2902及び記述された機能の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に係る機能を、提供するアルゴリズムソフトウェアエンジンであり得る。例えば、アプリケーション2908は、1つ又は複数のコンポーネント、モジュール、又はアプリケーションとして機能し得る。さらに、アプリケーション2908は、単一のアプリケーション2908として図示されているが、コンピュータ2902上の複数のアプリケーション2908として実装することができる。加えて、アプリケーション2908は、コンピュータ2902の内部として図示されているが、代替の実施では、コンピュータ2902の外部にあってもよい。
【0121】
また、コンピュータ2902は、電源2914を含むことができる。電源2914は、ユーザによる交換可能又はユーザによる交換不可能に構成できる充電式又は非充電式バッテリを含むことができる。いくつかの実施では、電源2914は、電力変換及び管理回路(例えば、再充電、スタンバイ、又は電力管理の機能)を含むことができる。いくつかの実施では、電源2914は、コンピュータ2902を壁のソケットや電源に接続できる電源プラグを含むことができ、これにより例えばコンピュータ2902に電力を供給したり充電式バッテリを再充電したりすることができる。
【0122】
それぞれがネットワーク2930を介して通信するコンピュータ2902を含むコンピュータシステムに関連付けられた、又は該コンピュータシステムの外部にある、いくつものコンピュータ2902が存在し得る。さらに、用語「クライアント」、「ユーザ」、及び他の適切な用語は、本開示の範囲から逸脱することなく、必要に応じて、交換可能に使用することができる。さらに、本開示では、多くのユーザが1台のコンピュータ2902を使用できることや、1人のユーザが複数のコンピュータを使用できることを想定している。
【0123】
本明細書で記述された主題及び機能的な作動の実施は、デジタル電子回路、有形に具体化されたコンピュータのソフトウェア又はファームウェア、本明細書に開示された構造及びこれらの構造的な同等物を含むコンピュータハードウェア、又はこれらの1つ又は複数の組み合わせで実施できる。記載された主題をソフトウェアが実行することは、1つ又は複数のコンピュータプログラムとしての実行であり得る。それぞれのコンピュータプログラムは、コンピュータプログラム命令の1つ又は複数のモジュールを含むことができ、コンピュータプログラム命令は、データ処理装置による実行のために、あるいはデータ処理装置の動作を制御するために、有形の非一時的なコンピュータ読取可能コンピュータ記憶可能媒体上にエンコードされている。代替的に又は追加的に、プログラム命令は、人工的に生成された伝播信号にエンコードされ得る。この例では、その伝播信号は、機械的に生成された電気的、光学的、又は電磁気的な信号とすることができ、この信号は、データ処理装置による実行のために適切な受振器装置への送信用の情報をエンコードするために生成される。コンピュータ記憶媒体は、機械により読取可能な記憶装置、機械により読取可能な記憶基板、ランダム若しくはシリアルアクセスのメモリデバイス、又は複数のコンピュータ記憶媒体の組み合わせであり得る。
【0124】
用語「データ処理装置」、「コンピュータ」、及び「電子コンピュータデバイス」(又は当業者によって理解される同等のもの)は、データ処理ハードウェアを指す。例えば、データ処理装置は、データを処理するためのあらゆる種類の装置、デバイス、及びマシンを包含し、例示として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ若しくはコンピュータを含む。装置は、また、例えば、中央処理装置(CPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は特定用途向け集積回路(ASIC)等の、専用ロジック回路を含むことができる。いくつかの実施では、データ処理装置又は専用ロジック回路(又はデータ処理装置と専用ロジック回路との組み合わせ)は、ハードウェア系又はソフトウェア系(又はソフトウェア系及びハードウェア系の両方の基づく組み合わせ)であり得る。装置は、オプションとして、コンピュータプログラムの実行環境を生成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又は実行環境の組み合わせ、を構成するコード、を含むことができる。本開示は、従来のオペレーティングシステムを持つ又は持たないデータ処理装置の使用を想定しており、オペレーティングシステムは、例えば、LINUX(登録商標)、UNIX(登録商標)、WINDOWS(登録商標)、MAC OS(登録商標)、ANDROID(登録商標)、又はIOSである。
【0125】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、又はコードとして参照され又は記述され得るコンピュータプログラムは、プログラミング言語の形式で記載できる。プログラミング言語は、例えば、コンパイル言語若しくはインタープリタ言語、宣言型言語、又は手続き型の言語を含み得る。プログラムは、例えば、スタンドアロンプログラム、モジュール、コンポーネント、サブルーチン、又はコンピューティング環境における使用のためのユニットとして、任意の形式で、展開することができる。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応することができるが、必ずしも対応する必要はない。プログラムは、マークアップ言語ドキュメント内に格納された1つ又は複数のスクリプト等の他のプログラム又はデータを保持するファイルの一部に、又は問題のプログラム専用の単一ファイル内に、又は1つ又は複数のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部を格納する複数の連携したファイル内に、格納することができる。コンピュータプログラムは、一つのコンピュータ上で実行されるように、又は、一のサイトに位置する又は複数のサイトに分散されて配置されて通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように、展開することができる。様々な図面に例示されたプログラムの部分は、様々なオブジェクト、方法、又はプロセスを通して様々な特徴及び機能を実施する個々のモジュールとして示されているが、プログラムは、それらの代わりに、いくつかのサブモジュール、サードパーティのサービス、コンポーネント、及びライブラリを含むことができる。逆に、様々なコンポーネントの機能及び特徴は、必要に応じて、単一のコンポーネントに組み合わせることができる。計算上の特定を為すために使用されたしきい値は、静的に、動的に、又は静的と動的との両方で特定できる。
【0126】
本願明細書において記載された方法、プロセス、又は論理フローは、1つ又は複数のプログラム可能なコンピュータによって実行でき、該コンピュータは、入力データ上で操作することによってかつ出力データを生成することによって、機能を実行する1つ又は複数のコンピュータプログラムを実行する。方法、プロセス、又は論理フローは、特定用途のロジック回路、例えばCPU、FPGA、又はASICにより実行することができ、装置は、特定用途のロジック回路、例えばCPU、FPGA、又はASICとして実装することもできる。
【0127】
コンピュータプログラムを実行するために適したコンピュータは、汎用用途のマイクロプロセッサ及び特定用途のマイクロプロセッサ並びに他の種類のCPUの1つ又は複数に基づくことができる。コンピュータの要素は、命令を行い又は実行するためのCPU、並びに命令及びデータを記憶するための1つ又は複数のメモリデバイスである。一般に、CPUはメモリから命令及びデータを受け取る(及びデータを書き込む)ことができる。コンピュータは、また、データを記憶するための1つ又は複数の大容量記憶装置を含むことができ、又はそれに動作可能に結合することができる。いくつかの実装では、コンピュータは、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は光ディスクを含む大容量記憶装置に対して、データを受信し、データを転送することができる。さらには、コンピュータを別のデバイスに組み込むことができ、このような別のデバイスは、例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、モバイルオーディオ若しくはビデオプレーヤー、ゲームコンソール、全地球測位システム(GPS)受信機、又はポータブルメモリストレージデバイス(例えばユニバーサル・シリアル・バス(USB)フラッシュドライブ)である。
【0128】
コンピュータプログラム命令及びデータを格納するために適したコンピュータ読取可能な媒体(必要に応じて一時的または非一時的)は、あらゆる形態の常設/非常設又は揮発/不揮発性のメモリ、媒体、及びメモリデバイスを含むことができる。コンピュータ読取可能な媒体は、例えば、半導体メモリデバイス(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、相変化メモリ(PRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、及びフラッシュメモリデバイス等)を含むことができる。コンピュータ読取可能な媒体は、また、例えば、磁気デバイス(例えば、テープ、カートリッジ、カセット、内部/リムーバブルディスク等)を含むことができる。コンピュータ読取可能な媒体は、また、例えば、光磁気ディスク、光学メモリデバイス(例えば、デジタルビデオディスク(DVD)、CD-ROM、DVD+/-R、DVD-RAM、DVD-ROM、HD-DVD、及びBLU-RAY(登録商標))を含むことができる。メモリは、様々なオブジェクト又はデータを格納することができ、オブジェクト又はデータは、キャッシュ、クラス、フレームワーク、アプリケーション、モジュール、バックアップデータ、ジョブ、ウェブページ、ウェブページテンプレート、データ構造、データベーステーブル、リポジトリ、及び動的情報等を含む。メモリに格納されたオブジェクトやデータの種類には、パラメータ、変数、アルゴリズム、命令、ルール、制約、及び参照を含む。さらに、メモリは、ログ、ポリシー、セキュリティ又はアクセスのデータ、レポートファイルを含むことができる。プロセッサ及びメモリは、特定用途ロジック回路によって補完され又は特定用途ロジック回路に組み込むことができる。
【0129】
本開示に記載の主題の実装は、ユーザへの情報の表示(及びユーザからの入力の受信)を含む、ユーザとのインタラクション(やりとり)を提供するためのディスプレイデバイスを有するコンピュータ上で実施することができる。ディスプレイデバイスの種類としては、例えば、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)、及びプラズマモニタを挙げることができる。ディスプレイデバイスは、キーボードと、例えばマウス、トラックボール、又はトラックパッド等のポインティングデバイスとを含むことができる。ユーザ入力は、圧力感度を有するタブレットコンピュータの表面や、静電容量式又は電気的な感知を用いるマルチタッチスクリーンなどのタッチスクリーンの使用を通じてコンピュータに提供することも可能である。他の種類のデバイスを使用して、例えば、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、又は触覚的フィードバックを含む感覚的フィードバック等のユーザーフィードバックを受け取ることを含む、ユーザとのインタラクションを提供することができる。ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、又は触覚入力の形態で受け取ることができる。さらに、コンピュータは、ユーザが使用するデバイスに文書を送信したり、当該デバイスから文書を受信したりすることによって、ユーザとインタラクションすることができる。例えば、コンピュータは、ウェブブラウザから受信した要求に応じて、ユーザのクライアントデバイス上のウェブブラウザにウェブページを送信することができる。
【0130】
用語「グラフィカルユーザインターフェース」又は「GUI」は、単数又は複数で使用して、1つ又は複数のグラフィカルユーザインターフェース及び特定のグラフィカルユーザインターフェースの各表示を表すことができる。したがって、GUIは、ウェブブラウザ、タッチスクリーン、又は情報を処理して情報結果をユーザに効率的に提示するコマンドラインインタフェース(CLI)を含むが、これらに限定されない、任意のグラフィカルユーザインターフェースを提示することができる。一般的に、GUIは、複数のユーザインタフェース(UI)要素を含むことができ、これらのいくつか又はすべては、インタラクティブフィールド、プルダウンリスト、ボタンなどのウェブに関連付けられる。これら及び他のUI要素は、ウェブブラウザの機能に関連付けられまたウェブブラウザの機能を表すことができる。
【0131】
本明細書に記載された主題の実装は、例えばデータサーバとしてのバックエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステムで、又は例えばアプリケーションサーバとしてのミドルウェアコンポーネントを含むコンピューティングシステムで、実施することができる。さらに、コンピューティングシステムは、例えば、ユーザがコンピュータと対話できるグラフィカルユーザインターフェース及びウェブブラウザの一方又は両方を有するクライアントコンピュータ等のフロントエンドコンポーネントを含むことができる。このシステムのコンポーネントは、通信ネットワークにおける有線又は無線デジタルデータ通信(又はデータ通信の組み合わせ)の任意の形態又は媒体によって相互接続することができる。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線アクセスネットワーク(RAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、広域ネットワーク(WAN)、マイクロ波アクセスのための世界的相互運用性(WIMAX)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)(例えば、802.11a/b/g/n又は802.20又はプロトコルの組み合わせを使用)、インターネットの全部又は一部、又は他の通信システムあるいは1つ若しくは複数の場所(あるいは通信ネットワークの組み合わせ)のシステム、が挙げられる。ネットワークは、例えば、インターネットプロトコル(IP)パケット、フレームリレーフレーム、非同期転送モード(ATM)セル、音声、映像、データ、又はネットワークアドレス間の通信形式の組合せで通信することができる。
【0132】
コンピューティングシステムは、クライアント及びサーバを含むことができる。クライアント及びサーバは、一般的には、互いに遠隔にあることができ、また典型的には、通信ネットワークを介してインタラクション(相互作用)することができる。クライアント及びサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で動作すると共にクライアント・サーバ関係にあるコンピュータプログラムのおかげで生じる。
【0133】
クラスターファイルシステムは、読み込み及び更新のために複数のサーバからアクセス可能な任意のファイルシステムタイプであり得る。交換ファイルシステムのロックはアプリケーションレイヤで実行し得るので、ロッキング又は整合性の追跡は必要ないかもしれない。さらに、ユニコードデータファイルは、非ユニコードデータファイルとは異なる可能性がある。
【0134】
本明細書は多くの特定の実施の詳細を含む一方で、これらは、請求される得る範囲の制限として解釈されるべきではなく、むしろ、特定の実施に固有の特徴の説明として解釈されるべきである。個別の実施の観点で本明細書において説明された特徴は、組み合わせて又は単一の実施で、実現できる。逆に、単一の実施の観点で既述された様々な特徴は、複数の実施で、個別に、又は任意のサブコンビネーションで実施され得る。さらには、既述の特徴は特定の組み合わせで動作するものとして説示され、最初はそのようなものとして請求されているかもしれないが、請求された組合せからの1つ又は複数の特徴を、請求された組み合わせから場合によっては削除することができ、また請求された組合せをサブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形に導いてもよい。
【0135】
主題の特定の実施を説明してきた。記載された実施の他の実施、変更、及び置換は、当業者には明らかであるように以下の請求の範囲内である。動作は、図面又は特許請求の範囲に特定の順序で描かれているが、これは、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序で又は一連の順番でそのような動作が実行されることを要求するものとして理解されるべきではなく、又はすべての図示された動作が実行される(いくつかの操作は随意的と見なすことができる)ことを要求するものとして理解されるべきではない。ある状況では、マルチタスク又は並列処理(又はマルチタスク及び並列処理の組み合わせ)を行うことが有利であり、適切と思われる場合に実行されるかもしれない。
【0136】
さらに、既述の実施における様々なシステムモジュール及びコンポーネントの分離又は統合が、すべての実施においてそのような分離又は統合を必要とするものとして理解されるべきではない。また、記載されたプログラムコンポーネント及びシステムは、一般的には、単一のソフトウェア製品に統合でき、又は複数のソフトウェア製品にパッケージ化できることが理解されるべきである。
【0137】
したがって、既述の例示的な実施は、本開示を定義又は制約しない。他の変更、置換、及び変更も、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく可能である。
【0138】
さらには、請求された任意の実施は、少なくとも、コンピュータにより実施される方法、非一時的なコンピュータ読取可能媒体、及びコンピュータシステムに適用可能であると考えられ、非一時的なコンピュータ読取可能媒体は、コンピュータにより実施される方法を実行するコンピュータにより読取可能な命令を格納し、またコンピュータシステムは、ハードウェアプロセッサに相互に動作可能に結合されたコンピュータメモリを含み、ハードウェアプロセッサは、非一時的なコンピュータ読取可能媒体に格納されたコンピュータにより実施される方法又は命令を実行するように構成される。
【0139】
これらのシステム及び方法の多数の実施形態を説明してきた。それでもなお、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な改変がなされ得ることが理解されよう。したがって、他の実施形態は、以下の請求項の範囲内にある。
【国際調査報告】