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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】空気浄化システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/00 20220101AFI20231019BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20231019BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20231019BHJP
   A61L 9/014 20060101ALI20231019BHJP
   B01D 39/16 20060101ALI20231019BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20231019BHJP
   F24F 8/15 20210101ALI20231019BHJP
   F24F 8/22 20210101ALI20231019BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20231019BHJP
【FI】
B01D46/00 F
A61L9/16 F
A61L9/20
A61L9/014
B01D39/16 A
F24F8/108 210
F24F8/15
F24F8/108 310
F24F8/22
F24F8/80 135
F24F8/80 210
F24F8/80 250
F24F8/80 260
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520365
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 US2021053069
(87)【国際公開番号】W WO2022072766
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】63/086,437
(32)【優先日】2020-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518459042
【氏名又は名称】ティミロン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】ナッペンバーガー, カイル
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー, ブランドン
(72)【発明者】
【氏名】ネグロン, ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】サンフォード, ビル アール.
【テーマコード(参考)】
4C180
4D019
4D058
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180AA16
4C180AA17
4C180BB12
4C180BB15
4C180CC01
4C180CC04
4C180CC05
4C180CC13
4C180CC15
4C180CC16
4C180CC17
4C180DD03
4C180DD09
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4C180EB34Y
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4D058TA03
4D058TA07
4D058TA08
4D058UA25
(57)【要約】
粒子物質、悪臭、ウイルス、細菌、真菌、及び毒素などの望ましくない物質を閉鎖環境内に存在する空気から除去する空気浄化用装置が提供される。装置は、装置ハウジングのすぐ近隣の空気が引き込まれて浄化されるモードと、装置ハウジングから離れた空気が細長いダクトの使用によって閉鎖環境内の特定のポイントから引き込まれるモードとの間で切り替え可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にフィルタ媒体が位置付けされたフィルタフレームを備える空気浄化装置のためのフィルタカートリッジであって、前記フィルタ媒体が、
空気中に浮遊する粒子を捕捉することができるポリマー繊維マット材を備える第1のフィルタセクションと、
複数の個別のセルを備える第2のフィルタセクションであって、各セルが、多数の粒状ナノ結晶金属酸化物又は金属水酸化物材料を包含する、第2のフィルタセクションと、
高性能微粒子空気(HEPA)フィルタ材を備える第3のフィルタセクションと、を備える、
フィルタカートリッジ。
【請求項2】
前記第2のフィルタセクションが、多孔質材料を備え、前記多孔質材料が、各セルの第1の開口面及び第2の開口面を覆って、前記多数の粒状ナノ結晶金属酸化物又は金属水酸化物材料を前記多孔質材料内に閉じ込める、請求項1に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項3】
ナノ結晶金属酸化物又は金属水酸化物細粒が、前記第2のフィルタセクション全体にわたって実質的に均一に分布したままである、請求項2に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項4】
前記多数の粒状ナノ結晶金属酸化物又は金属水酸化物材料が、1平方フィート当たり約50g~約1kgの充填で前記第2のフィルタセクション内に存在する、請求項3に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項5】
前記多孔質材料が、織布材料又は不織布材料を含む、請求項2に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項6】
前記不織布材料又は前記織布材料が、天然繊維又は合成繊維を含む、請求項5に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項7】
前記フィルタ媒体が、0.3ミクロンのサイズを有する任意の浮遊粒子の少なくとも99.97%及び空気中に存在する望ましくない化学物質又は生物学的物質の少なくとも99%を除去することができる、請求項1に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項8】
各セルが、六角形に構成されている、請求項1に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項9】
前記第3のフィルタセクションが、前記第2のフィルタセクションよりも厚い、請求項1に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項10】
前記フィルタカートリッジが、第1の面及び第2の面を有し、
前記第1のフィルタセクションが、前記フィルタカートリッジの前記第1の面に隣接しており、前記第3のフィルタセクションが、前記フィルタカートリッジの前記第2の面に隣接しており、前記第2のフィルタセクションが、前記第1のフィルタセクションと前記第3のフィルタセクションとの間に並置されており、
前記フィルタカートリッジが、空気の流れが前記第1の面に入り、前記第2の面を通って出るように構成されている、
請求項1に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項11】
前記フィルタカートリッジの前記第1の面が、UV光源の近くに位置決めされており、前記UV光源が、UVC放射線を、前記第1のフィルタセクションを貫通し、前記第2のフィルタセクション及び任意選択的に前記第3のフィルタセクションに到達するように前記フィルタカートリッジ内に導く、請求項10に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項12】
空気浄化装置であって、
少なくとも第1の空気入口及び第2の空気入口並びに少なくとも1つの空気出口を有するハウジングと、
前記ハウジング内に空気の流れを誘導するように動作可能な送風機であって、前記空気の流れが、前記第1の空気入口と前記少なくとも1つの空気出口との間に位置付けされた第1の流路、又は前記第2の空気入口と前記少なくとも1つの空気出口との間に位置付けされた第2の流路のいずれかに沿って選択的に導かれる、送風機と、
前記ハウジング内に包含されており、前記ハウジング内の前記空気の流れが前記フィルタ媒体を通過するように、前記流路を横切るように位置決めされたフィルタ媒体であって、
前記フィルタ媒体が、前記空気の流れから1つ以上の望ましくない物質を除去することができる吸着材、吸収材、及び/又は中和材を含む、フィルタ媒体と、を備える、
空気浄化装置。
【請求項13】
前記ハウジングが、上壁、底壁、及び側壁構造を有し、前記第1の空気入口及び前記第2の空気入口が、前記ハウジング上壁内に位置付けされており、前記少なくとも1つの空気出口が、前記側壁構造内に位置付けされている、請求項12に記載の空気浄化装置。
【請求項14】
前記装置が、前記フィルタ媒体及び/又は前記ハウジングの1つ以上の内面上にUVC放射線を送達するように動作可能なUV光アセンブリをさらに備える、請求項12に記載の空気浄化装置。
【請求項15】
前記UV光アセンブリが、最小の1つのUV光源と、少なくとも1つのUV光源の上に位置決めされ、前記第1の空気入口及び前記第2の空気入口を前記UVC放射線に対する曝露から遮蔽するように構成された、少なくとも1つのシールドと、を備える、請求項14に記載の空気浄化装置。
【請求項16】
前記フィルタ媒体が、金属酸化物又は金属水酸化物ナノ結晶粒子を含む第1のフィルタセクションと、高性能微粒子空気(HEPA)フィルタを含む第2のフィルタセクションと、を備える、請求項12に記載の空気浄化装置。
【請求項17】
前記装置が、前記空気が第1の入口及び第2の入口と1つ以上の空気出口との間で前記装置を通って垂直に流れるように構成されている、請求項12に記載の空気浄化装置。
【請求項18】
前記装置が、前記第1の流路が遮断され前記第2の流路が開放された第1の構成と、前記第2の流路が遮断され前記第1の流路が開放された第2の構成との間で切り替え可能に構成された空気分流器アセンブリをさらに備える、請求項12に記載の空気浄化装置。
【請求項19】
前記空気分流器アセンブリが、前記第1の流路及び前記第2の流路の両方が同時に開放された第3の構成に切り替え可能であるように構成されている、請求項18に記載の空気浄化装置。
【請求項20】
前記第1の空気入口が、概して、前記装置が中に位置付けされた閉鎖空間から前記ハウジング内に空気を引き込むように構成されている、請求項12に記載の空気浄化装置。
【請求項21】
前記第2の空気入口が、ダクト入口及びダクト出口を有する細長いダクトと結合されており、前記ダクト入口が、前記閉鎖空間内の局所領域に隣接するように選択的に位置決めされ、かつ前記局所領域から前記ダクト内に空気を引き込むように構成されており、前記ダクト出口が、前記第2の空気入口に連結されている、請求項20に記載の空気浄化装置。
【請求項22】
前記吸着材又は前記吸収材が、金属酸化物又は金属水酸化物ナノ結晶粒子を含む、請求項12に記載の空気浄化装置。
【請求項23】
空気浄化装置であって、
第1の空気入口及び第2の空気入口並びに少なくとも1つの空気出口を有するハウジングであって、
前記第1の空気入口が、概して前記装置が中に位置付けされた閉鎖空間から前記ハウジング内に空気を引き込むように構成されており、
前記第2の空気入口が、ダクト入口及びダクト出口を有する細長いダクトと結合されており、前記ダクト入口が、前記閉鎖空間内の局所領域に隣接するように選択的に位置決めされ、かつ前記局所領域から前記ダクト内に空気を引き込むように構成されており、前記ダクト出口が、前記第2の空気入口に連結されている、ハウジングと、
前記第1の空気入口と前記少なくとも1つの空気出口との間に位置付けされた第1の流路又は前記第2の空気入口と前記少なくとも1つの空気出口との間に位置付けされた第2の流路のいずれかの間で、前記ハウジング内に空気の流れを誘導するように動作可能な送風機と、
前記第1の流路が遮断され前記第2の流路が開放された第1の構成と、前記第2の流路が遮断され前記第1の流路が開放された第2の構成との間で切り替え可能に構成された空気分流器アセンブリと、
前記ハウジング内に包含されているフィルタ媒体であって、前記フィルタ媒体が、前記第1の流路又は前記第2の流路のいずれかを通って流れる空気が前記フィルタ媒体を通過するように、前記第1の空気入口及び前記第2の空気入口と前記少なくとも1つの空気出口との間に位置決めされおり、
前記フィルタ媒体が、前記空気の流れから1つ以上の望ましくない物質を除去することができる金属酸化物又は金属水酸化物ナノ結晶粒子を含む第1のフィルタセクション、及び高性能微粒子空気(HEPA)フィルタを含む第2のフィルタセクションを備える、フィルタ媒体と、を備える、
空気浄化装置。
【請求項24】
前記ハウジングが、上壁、底壁、及び側壁構造を有し、前記第1の空気入口及び前記第2の空気入口が、前記ハウジング上壁内に位置付けされており、少なくとも1つの空気出口が、前記側壁構造内に位置付けされている、請求項23に記載の空気浄化装置。
【請求項25】
前記装置が、前記フィルタ媒体及び/又は前記ハウジングの1つ以上の内面上にUVC放射線を送達するように動作可能なUV光アセンブリをさらに備える、請求項23に記載の空気浄化装置。
【請求項26】
前記UV光アセンブリが、前記HEPAフィルタ上にUVC放射線を送達するように動作可能である、請求項25に記載の空気浄化装置。
【請求項27】
前記UV光アセンブリが、最小の1つのUV光源と、少なくとも1つのUV光源の上に位置決めされており、前記第1の空気入口及び前記第2の空気入口を前記UVC放射線に対する曝露から遮蔽するように構成された、少なくとも1つのシールドと、を備える、請求項25に記載の空気浄化装置。
【請求項28】
前記第1のフィルタセクションが、前記空気入口と前記少なくとも1つのシールドとの間に位置決めされている、請求項27に記載の空気浄化装置。
【請求項29】
前記第2のフィルタセクションが、前記UV光源と前記送風機との間に位置決めされている、請求項27に記載の空気浄化装置。
【請求項30】
前記装置が、前記空気が第1の入口及び第2の入口と1つ以上の空気出口との間で前記装置を通って垂直に流れるように構成されている、請求項23に記載の空気浄化装置。
【請求項31】
前記空気分流器アセンブリが、前記第1の流路及び前記第2の流路の両方が同時に開放された第3の構成に切り替え可能であるように構成されている、請求項23に記載の空気浄化装置。
【請求項32】
空気から汚染物質を除去する方法であって、
空気の流れを空気浄化用装置のハウジング内に、前記ハウジング内に設置された送風機を使用して誘導することと、
前記空気の流れを、少なくとも第1の空気入口又は第2の空気入口のいずれかを通して前記ハウジングに選択的に流入させ、少なくとも1つの空気出口を通して前記ハウジングから流出させることであって、前記空気の流れが、前記ハウジングを通って流れるときに、前記第1の空気入口と前記少なくとも1つの空気出口との間に位置付けされた第1の流路、又は前記第2の空気入口と前記少なくとも1つの空気出口との間に位置付けされた第2の流路のいずれかに沿って導かれる、流入させること及び流出させることと、
前記空気の流れを、前記ハウジング内に包含され、かつ前記第1の流路及び前記第2の流路を横切るように位置決めされたフィルタ媒体を通過させることであって、前記フィルタ媒体が、前記空気の流れから1つ以上の望ましくない物質を除去することができる吸着材、吸収材、及び/又は中和材を含む、通過させることと、を含む、
方法。
【請求項33】
前記空気の流れを前記ハウジングに選択的に流入させるステップが、前記第1の流路が遮断され前記第2の流路が開放された第1の構成と、前記第2の流路が遮断され前記第1の流路が開放された第2の構成との間で、空気分流器アセンブリを転換させることを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記空気浄化用装置が、UV光アセンブリをさらに備え、前記UV光アセンブリが、前記フィルタ媒体及び/又は前記ハウジングの1つ以上の内面上にUVC放射線を送達する、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記空気が、少なくとも第1の空気入口及び第2の空気入口と1つ以上の空気出口との間で前記装置を通って垂直に流れ、前記少なくとも第1の空気入口及び第2の空気入口が、ハウジング上壁内に位置付けされており、少なくとも1つの空気出口が、ハウジング側壁構造内に位置付けされている、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記第2の空気入口が、ダクト入口及びダクト出口を有する細長いダクトと結合されており、前記ダクト入口が、前記装置が中に位置付けされた閉鎖空間内の局所領域に隣接するように選択的に位置決めされており、かつ前記局所領域から前記ダクト内に空気を引き込み、前記ダクト出口が、前記第2の空気入口に連結されている、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の空気入口が、概して、前記装置が中に位置付けされた閉鎖空間から前記ハウジング内に空気を引き込む、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記吸着材又は前記吸収材が、金属酸化物又は金属水酸化物ナノ結晶粒子を含む、請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月1日に出願された米国仮特許出願第63/086,437号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、概して、粒子物質、悪臭、ウイルス、細菌、真菌、及び毒素などの望ましくない物質を閉鎖環境内に存在する空気から除去する空気浄化用装置に関する。装置は、概して閉鎖環境から空気を吸い込んで処理する能力、及び閉鎖環境内の特定の局所的な空間から空気を吸い込む能力を有する。
【背景技術】
【0002】
病原性及び/又は毒性物質を含むエアロゾルは、多くの種類のプロセスによって生成され得る。有害な病原体を包含し得るエアロゾルを生成するものとして、特定の医療及び歯科処置が周知である。歯科処置の特定の状況において、圧縮空気と水との組合せにより、細菌及びウイルスを包含する患者の口腔からのエアロゾルの生成がもたらされ得る。これらの細菌及びウイルスは、患者の身体から放出されると、数時間又は数日間処置室に滞留し、オフィススタッフ及び他の患者に危険をもたらす可能性がある。
【0003】
これらのエアロゾルを捕捉し、危険な汚染物質を除去するための口腔外歯科用吸引システムが提案されている。特に、これらのデバイスはかさばり、既に機器で一杯の治療室内のかなりの空間を占める。これらのシステムの多くは、「部屋全体」の空気浄化システムである機能性も有していない。したがって、処置中に使用されていないときは、これらのシステムはスイッチが切られ、治療室内に継続的な空気浄化を提供しない。これに対処するために、口腔外吸引システムに加えて第2の部屋全体空気浄化機が必要である。この解決策は、標準的な歯科治療室内の限られた空間の問題を悪化させるだけである。
【0004】
手術室、獣医科診療所、及び他のポイント・オブ・ケア施設などの他の医療環境にも同様の問題が存在する。医療分野以外において、他の産業もまた、毒性物質が取り扱われている実験室及び製造環境を含む点源及び部屋全体の空気浄化システムから恩恵を受け得る。
【0005】
したがって、両方の要求が単一のデバイスによって対処される、部屋全体及びポイント・オブ・プロシージャ(point-of-procedure)の空気浄化のための統合された解決策に対する必要性が当技術分野に存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、ハウジングと、送風機と、ハウジング内に包含されたフィルタ媒体と、を備える空気浄化装置が提供される。ハウジングは、少なくとも第1の空気入口及び第2の空気入口と、少なくとも1つの空気出口と、を備える。送風機は、ハウジング内に空気の流れを誘導するように動作可能である。空気の流れは、第1の空気入口と少なくとも1つの空気出口との間に位置付けされた第1の流路、又は第2の空気入口と少なくとも1つの空気出口との間に位置付けされた第2の流路のいずれかに沿って選択的に導かれる。フィルタ媒体は、ハウジング内に包含されており、ハウジング内の空気の流れがフィルタ媒体を通過するように、流路を横切るように位置決めされている。フィルタ媒体は、空気の流れから1つ以上の望ましくない物質を除去することができる吸着材、吸収材、及び/又は中和材を含む。
【0007】
本発明の別の実施形態によれば、第1の空気入口及び第2の空気入口並びに少なくとも1つの空気出口を有するハウジングと、空気の流れをハウジング内に誘導するように動作可能な送風機と、空気分流器アセンブリと、フィルタ媒体と、を備える空気浄化装置が提供される。第1の空気入口は、一般に、装置が中に位置付けされた閉鎖空間からハウジング内に空気を引き込むように構成されている。第2の空気入口は、ダクト入口及びダクト出口を有する細長いダクトと結合されている。ダクト入口は、閉鎖空間内の局所領域に隣接するように選択的に位置決めされ、かつ局所領域からダクト内に空気を引き込むように構成されている。ダクト出口は、第2の空気入口に連結されている。送風機は、第1の空気入口と少なくとも1つの空気出口との間に位置付けされた第1の流路、又は第2の空気入口と少なくとも1つの空気出口との間に位置付けされた第2の流路のいずれかの間で、ハウジング内に空気の流れを誘導するように動作可能である。空気分流器アセンブリは、第1の流路が遮断され第2の流路が開放された第1の構成と、第2の流路が遮断され第1の流路が開放された第2の構成との間で切り替え可能に構成されている。フィルタ媒体は、ハウジング内に包含されており、第1の流路又は第2の流路のいずれかを通って流れる空気がフィルタ媒体を通過するように、第1の空気入口及び第2の空気入口と少なくとも1つの空気出口との間に位置決めされている。フィルタ媒体は、空気の流れから1つ以上の望ましくない物質を除去することができる金属酸化物又は金属水酸化物ナノ結晶粒子を含む第1のフィルタセクション、及び高性能微粒子空気(HEPA)フィルタを含む第2のフィルタセクションを備える。
【0008】
本発明のさらに別の実施形態によれば、空気から汚染物質を除去する方法が提供される。方法は、ハウジング内に設置された送風機を使用して、空気浄化用装置のハウジング内に空気の流れを誘導することを含む。空気の流れは、選択的に、第1の空気入口又は第2の空気入口のいずれかを通してハウジングに流入させられ、少なくとも1つの空気出口を通してハウジングから流出させられる。空気の流れは、ハウジングを通って流れるときに、第1の空気入口と少なくとも1つの空気出口との間に位置付けされた第1の流路、又は第2の空気入口と少なくとも1つの空気出口との間に位置付けされた第2の流路のいずれかに沿って導かれる。空気の流れは、ハウジング内に包含されており、かつ第1の流路及び第2の流路を横切るように位置決めされた、フィルタ媒体を通過させられる。フィルタ媒体は、空気の流れから1つ以上の望ましくない物質を除去することができる吸着材、吸収材、及び/又は中和材を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態による空気浄化装置の正面斜視図である。
図2図1の装置の背面斜視図である。
図3】代替的な細長いダクト構造を有する空気浄化装置の正面斜視図である。
図4】装置ハウジングの内部を露出させるために後部パネルが除去された、図3の装置の底面背面斜視図である。
図5】空気分流器アセンブリを示す図3の装置の上面背面斜視図である。
図6a】空気浄化装置とともに使用するように構成されたナノ結晶金属酸化物又は水酸化物粒子を包含するプリーツ付き空気フィルタカートリッジの部分切欠図である。
図6b】空気浄化装置とともに使用するように構成された粒状のナノ結晶金属酸化物又は水酸化物粒子を包含する複数のセルを有するハニカム型フィルタカートリッジの部分切欠図である。
図7】送風機及び空気分流器アセンブリを明らかにするためにハウジングパネルが部分的に切り取られた空気浄化装置の底面背面斜視図である。
図8】空気分流器アセンブリが代替的な構成に転換されて示されている空気浄化装置の上部の区分された図である。
図9】空気浄化装置の上部を底部の視点から見た区分された図である。
図10】ナノ結晶粒子とHEPAフィルタ媒体とを含む代替的な空気フィルタカートリッジの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面は、図示された構成要素又は構造の正確な寸法又は公差を必ずしも提供しないが、図面は、図面に示された構造の構成要素間の関係に関しては縮尺通りである。
【0011】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による空気浄化用装置10が示されている。装置10は、一般に、内部にフィルタ媒体14、16が包含されたハウジング12と、ハウジング内に空気の流れを誘導するように動作可能な送風機18(図7を参照)と、を備える。
【0012】
1つ以上の実施形態では、ハウジング10は、上壁20、底壁22、及び側壁構造24を備える。側壁構造24は、複数の個々のパネルから構成され得、そのうちのいくつか(例えば、パネル26)は、フィルタ媒体14、16が中に位置付けされたハウジング12内の内部空間28を露出させるために取り外し可能であり得ることに留意されたい。ハウジング12は、上壁20内に形成され得る少なくとも第1及び第2の空気入口30、32を備えるが、これは必ずしもそうである必要はない。ハウジング12は、装置10の用途に応じて、複数の空気入口(例えば、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上)で構成され得ることに留意されたい。ハウジング12は、少なくとも1つの空気出口34をさらに備える。特定の実施形態では、ハウジングは、側壁構造24を構成する2つ、3つ、又はそれ以上のパネルの各々内に形成された少なくとも1つの空気出口34を備える。1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの空気出口34は、側壁構造24内に複数のルーバ付き開口部36を備え得るが、これは必ずしもそうである必要はない。
【0013】
第1の空気入口30及び少なくとも1つの空気出口34は、空気がハウジングを通って流れ得る第1の流路を画定する。第2の空気入口32及び少なくとも1つの空気出口34は、空気がハウジング12を通って流れ得る第2の流路を画定する。フィルタ媒体14、16は、流路と交差し、かつハウジング12内の空気の流れがフィルタ媒体14、16を通過するようにハウジング12内に位置決めされている。
【0014】
図1及び図2に示すように、第2の空気入口32は、ダクト出口40(図7を参照)及びダクト入口42を有する細長いダクト38と結合されている。この実施形態では、ダクト38は、ダクト入口42が、装置10が位置付けされた閉鎖空間内のハウジング12から離れた局所領域(例えば、特定のポイント)に隣接して位置決めされることを可能にする複数の関節セグメントを含む。例えば、閉鎖空間は、歯科処置が患者に対して行われている歯科治療室であり得る。そのような処置の間、エアロゾルが生成されることが多く、エアロゾルは、患者に対して作業している歯科医、衛生士、及び/又は任意の支援要員のオペレータ全体に広がる可能性がある。ダクト38の関節構造は、ダクト入口42を患者の口に近接して配置することを可能にし、それにより、生成されたエアロゾルをダクト38内に、最終的には生成されたエアロゾルがフィルタ媒体14、16を通過することとなるハウジング12の内部空間28内に引き込むことができる。図示されていないが、細長いダクト38は、収集ポイントでのユーザ制御を強化するために、ダクト入口42に又はその近くに別個のダンパ又は空気流制御構造を備え得る。
【0015】
対照的に、第1の空気入口30は、はるかに全般に及ぶ閉鎖空間からハウジング12内に空気を引き込んで、部屋全体又は閉鎖空間全体の空気浄化をもたらすように構成されている。ハウジング12に対する第1の空気入口30の位置は、通常、固定されており、ダクト入口42のように調整可能ではない。装置10の動作及び各入口の機能は、以下でさらに詳細に説明される。
【0016】
図3及び図4は、細長いダクト38aの別の実施形態を示している。ダクト38aは、ダクトをその長さの大部分に沿って可撓性にする複数の波形セグメント44を備える。波形セグメント44は、ダクト38aがほぼ任意の構成をとることを可能にし、それにより、ダクト入口42は閉鎖空間内の所望の場所に配置され維持され得る。ダクトの構成にかかわらず、細長いダクト38は、上壁20に取り付けられたフランジ46によって第2の空気入口32に固設されてもよく、また、内部空間28内に延在する出口セクション48を備えてもよい。
【0017】
図5及び図7図9に示すように、装置10は、第1の流路が遮断され第2の流路が開放された第1の構成と、第2の流路が遮断され第1の流路が開放された第2の構成との間で切り替え可能に構成された空気分流器アセンブリ50を備え得る。図示のように、空気分流器アセンブリ50は、制御レバー54に取り付けられた転換可能なゲート部材52を備える。しかしながら、他の構成及び構造は、電子的又は機械的に制御されるスライディングルーバ若しくはプレート、交換可能なハウジング上壁、入口30、32用のキャップ、又は第1の空気入口及び第2の空気入口30、32を選択的に遮断及び遮断解除し、それによって空気がそこを通って引き込まれるのを防止若しくは許容するための任意の他の適切な手段を含む、アセンブリ50を備え得る。1つの例示的な実施形態では、アセンブリ50は、空気入口30、32のうちの少なくとも一方に差し込まれて覆う上部を備え得る。そのためには、細長いダクト38を最初に上壁20から取り外す必要があり得ることに留意されたい。特定の実施形態では、空気が一度にただ1つの空気入口を通ってハウジング12内に引き込まれることが好ましい場合があるが、空気が第1及び第2の空気入口30、32の両方を通って同時にハウジング12内に引き込まれることは本発明の範囲内である。したがって、空気分流器アセンブリ50はまた、第1の流路及び第2の流路の両方が同時に開放されている第3の構成に切り替え可能に構成され得る。
【0018】
本発明の一実施形態では、図4及び図5に描写されているように、例えば、フィルタ媒体は、吸着材、吸収材、及び/又は他の中和材を含む、第1のフィルタセクション又はカートリッジ14を備える。好ましい実施形態では、吸着材又は吸収材は、空気の流れから1つ以上の望ましくない物質を除去することができる金属酸化物又は金属水酸化物ナノ結晶粒子を含む。ナノ結晶材料は、ナノ結晶金属酸化物及び水酸化物、被覆金属酸化物/水酸化物(すなわち、ハロゲン被覆)、ドープ金属酸化物/水酸化物、界面活性剤被覆ナノ結晶金属酸化物、及びそれらの組合せを含み得るか、それらからなり得るか、又はそれらから本質的になり得る。本明細書で使用される「金属酸化物」及び「金属水酸化物」という用語は、好ましくは主成分として金属酸化物又は金属水酸化物材料を含む、全てのそのような材料を集合的に指す。本発明に関連して使用するための好ましいナノ結晶材料としては、Mg、Sr、Ba、Ca、Ti、Zr、Fe、V、Mn、Ni、Cu、Al、Si、Zn、Ag、Mo、Sb、Cr、Co、及びそれらの混合物の金属酸化物及び金属水酸化物が含まれる。さらなる好ましいナノ結晶材料には、米国特許第6,093,236号明細書及び第5,759,939号明細書に開示されているものなどの被覆ナノ結晶材料(別の金属酸化物で被覆された金属酸化物)、米国特許第6,653,519号明細書、第6,087,294号明細書、及び第6,057,488号明細書に開示されているものなどのハロゲン化粒子(反応性原子をその表面に安定化させたナノ結晶材料であり、反応性原子には、酸素イオン部分、オゾン、ハロゲン、及びI族金属が含まれる)、銀ドープアルミナなどのドープ金属酸化物及び水酸化物、Mg、Al、及びTiの組合せなどの密接に混合された金属酸化物、炭素被覆金属酸化物、並びに米国特許第6,887,302号明細書及び第6,860,924号明細書に開示されているものなどの空気安定性ナノ結晶材料(界面活性剤、ワックス、油、シリル、合成若しくは天然ポリマー、又は樹脂で被覆されたナノ結晶材料)が含まれ、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。ナノ結晶材料は、好ましくは約25nm未満、より好ましくは20nm未満、最も好ましくは10nm未満の結晶子径を呈する。ナノ結晶粒子は、少なくとも約15m/g、より好ましくは少なくとも約70m/g、最も好ましくは約100~850m/gのブルナウアー・エメット・テラー(BET)多点表面積を示すのが好ましい。ナノ結晶材料は、単結晶を含む必要はなく、したがって、必ずしも示された結晶子径に一致する粒径を有さないことに留意されたい。むしろ、ナノ結晶材料は、複数の結晶子の凝集体を含み、約0.5ミクロン~約5mm、約1ミクロン~約2.5mm、又は約10ミクロン~約1mm程度など、より大きな実際の粒径(粒子の最大寸法にわたって測定されたとき)を有し得る。
【0019】
一般に、フィルタカートリッジ14は、吸着材又は吸収材を包含する第1のフィルタ材、及び任意選択的に、装置10を通って流れる空気から粒子状物質を除去することができる第2のフィルタ材を備える。第2のフィルタ材は、第1のフィルタ材と相互に分散させられ得るか、又は第1のフィルタ材の完全に上流若しくは下流に位置付けされ得る。特定の実施形態では、空気中に分散した粒子状物質を、粒子による空気流の目詰まり又は遮断を回避するように、ナノ結晶粒子を包含する第1のフィルタ材と接触する前に除去することができるように、第1のフィルタ材の上流に第2のフィルタ材を位置付けすることが望ましい。
【0020】
第1のフィルタ材は、ナノ結晶粒子が閉じ込められた多孔質織布又は不織布材料を備え得る。織布又は不織布材料は、ナノ結晶粒子を包含する合成樹脂発泡体又はフィルムを備え得る。例示的な織布又は不織布材料には、天然繊維(例えば、セルロース、綿、ウールなど)、及び合成繊維(例えば、アクリル芳香族ポリアラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、ガラス、ポリフェニレンスルファイド、二成分繊維など)が含まれる。第2のフィルタ材は、第1のフィルタ材で使用されるのと同じ又は同様の材料を備え得る。第2のフィルタ材はまた、ナノ結晶粒子を包含してもよいし、包含しなくてもよい。第2のフィルタ材として使用される例示的な材料には、天然繊維(例えば、セルロース、綿、ウールなど)、及び合成繊維(例えば、アクリル芳香族ポリアラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、ガラス、ポリフェニレンスルファイド、二成分繊維など)が含まれる。
【0021】
図6a及び図6bは、ナノ結晶粒子を含み得る例示的なフィルタカートリッジを示している。最初に図6aを参照すると、カートリッジ14aは、ナノ結晶粒子がその中に実質的に均一に分布している不織布材料のプリーツ付きシート56を備える。好ましくは、ナノ結晶粒子は不織布材料全体に均等に閉じ込められ、それによって、空気流と接触する有効な表面積を最大化し、またカートリッジ14aの製造後の粒子の不均一な沈降に関連する問題を回避する。ナノ結晶粒子をフィルタ媒体全体に均一に分布させ続ける能力は、ナノ結晶粒子が単に緩い粉末としてフィルタに適用されないことを示している。むしろ、粒子及び第1のフィルタ材は、粒子が閉じ込められており、フィルタ材内において比較的一定の局所位置を維持するように形成されている。他の実施形態では、第1のフィルタ材は、ナノ結晶粒子が被覆としてその上に堆積された細粒を含む。細粒は、ナノ結晶金属酸化物/水酸化物粒子自体であってもよく、活性炭などの別の種類の不活性多孔質基材であってもよい。ナノ結晶粒子は、後続の内層が空気調和装置によってフィルタを通って循環されている空気に徐々に曝露されることとなり得る「タイムリリース」臭気吸収度効果を与えるために、複数の被覆層として細粒に適用され得る。
【0022】
図6bは、本発明に従って作製されたフィルタカートリッジの代替的な実施形態を示している。カートリッジ14bは、各セルが多数の粒状ナノ結晶金属酸化物又は金属水酸化物材料62を包含する、複数の個別のセル60を含むハニカム状構造58を備える。細粒62は、微細多孔質材料の第1及び第2のシート64、66によってセル60内に包含されている。シート64、66は、空気が自由に通過することを可能にするように十分に透過性であるが、細粒62がセル60から逃げることを可能にしない、織布又は不織布材料を含み得る。したがって、細粒62は、セル60内に閉じ込められ、カートリッジ14b全体にわたって実質的に均一に分布したままである。シート64、66はまた、上述の第1のフィルタ材及び第2のフィルタ材と同様の材料から作製され得、ハニカムセクション58を通過する前に空気から粒子状物質を濾過し得る。
【0023】
本発明による特定の実施形態では、ナノ結晶粒子は、約50g~約1kg/平方フィート(約538g~約10.74kg/平方メートル)の充填でフィルタカートリッジ14内に存在する。
【0024】
本発明とともに使用され得る他のフィルタ媒体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,496,735号明細書に記載されている。
【0025】
本発明の実施形態では、フィルタ媒体はまた、第2のフィルタセクション又はカートリッジ16を備え得る。フィルタカートリッジ16は、装置10の対象用途に基づいて選択される。1つ以上の実施形態では、装置10の対象用途は粒子除去を必要とする。したがって、フィルタカートリッジ16は、高性能微粒子空気(HEPA)フィルタセクション又はカートリッジを備え得る。本明細書で使用される場合、「HEPA」フィルタは、米国エネルギー省規格3020-2015に記載されている要件を満たす任意の種類のフィルタである。一般に、このこのタイプの空気フィルタは、理論的には、粉塵、花粉、カビ、細菌、及び0.3ミクロン(μm)のサイズの任意の浮遊粒子の少なくとも99.97%を除去することができる。代替的な実施形態では、装置10の対象用途は、粒子状物質の除去ではなく、化合物の除去であり得る。そのような実施形態では、HEPAフィルタを採用する必要はない。代わりに、活性炭又はナノ結晶金属酸化物若しくは金属水酸化物の充填床を含むフィルタなどの、標的化合物を吸着又は吸収することができるフィルタ材が使用され得る。
【0026】
したがって、1つ以上の実施形態では、フィルタ媒体は、空気中に分散した粒子(すなわち、粉塵、ペットの毛、綿埃など)を除去することができるが、ナノ結晶粒子の存在に起因して、臭気、細菌、ウイルス、真菌、及び毒素などの空気中に存在する望ましくない化学物質及び生物学的物質を除去及び中和することもできる。本発明のフィルタカートリッジによって除去され得る一般的な臭気には、尿、糞便、汗、腐敗性生体物質、農薬、有機溶媒、揮発性有機化合物、及びそれらの組合せからなる群から選択された要素によって引き起こされるものが含まれる。参照により上記に組み込まれる米国特許出願公開第2009/0098016号明細書は、本フィルタカートリッジとともに使用されるナノ結晶粒子によって除去され得るさらなる例示的な臭気原因物質を開示している。さらに、ナノ結晶粒子は、閉鎖空間内の空気から有害な非臭気材料及び物質を除去する能力を有する。例示的な材料及び物質には、HCN、CO、並びにウイルス、細菌、毒素、及び真菌などの生物種が含まれる。
【0027】
当業者は、フィルタカートリッジ14、16の幾何学的形状は、例えばキャニスタ型フィルタ、ラウンドフィルタなど、必要な用途に適合するように変更され得ることを認識するであろう。
【0028】
図に示すように、本発明の1つ以上の実施形態では、フィルタカートリッジ14は、フィルタカートリッジ16の上方に位置付けされており、すなわち、空気はハウジング内で上部から底部に一般に垂直方向に流れるため、フィルタカートリッジ14は、フィルタカートリッジ16の上流に位置付けされている。したがって、第1又は第2の空気入口30、32のいずれかを通って入る空気は、ハウジング12内を垂直下方に進み、フィルタカートリッジ14を通り、次いでフィルタカートリッジ16を通って垂直下方方向に続く。空気がフィルタカートリッジ16を通過すると、空気流の方向が変化し、その結果、空気は開口部36を通って排出される。しかしながら、1つ以上の実施形態では、内部空間28内の空気流、特にフィルタカートリッジ14及び16によって境界付けられた内部空間28の部分では、空気は垂直下方方向のみに流れることが好ましい。
【0029】
図7に示すように、内部空間28の底部マージンは、プレート68によって画定され得る。プレート68は、一般に、ハウジングを通って流れる空気が送風機18に入ることができるように中央開口部を備えるが、送風機18は、内部空間28の下及び外側に位置決めされることが好ましい。したがって、第1の空気入口及び第2の空気入口30、32とプレート68の中央開口部との間の内部空間内の空気流の方向は、垂直下方方向である。
【0030】
代替的な実施形態では、図10に示すように、別個のフィルタカートリッジ14、16が単一のフィルタカートリッジ70に置き換えられ得る。特定の実施形態では、この複合フィルタカートリッジは、送風機18に近接してフィルタカートリッジ14と同様にハウジング12内に位置付けされ得るが、本発明の範囲から逸脱することなく、確かに他の配置も可能であり得る。
【0031】
フィルタカートリッジ70は、本明細書で前述した任意の織布又は不織布フィルタ材などの、フィルタ材の上部シート72を備える。その隣には、本明細書で前述した任意の実施形態によるナノ結晶粒子を含むフィルタ層74が位置付けされている。図6aのプリーツ付きフィルタ材は、単に例示を目的として示されている。フィルタ層74の隣にはHEPAフィルタ層76があり、これも本明細書で前述した任意の実施形態に従って構成されている。フィルタ層72、74、76の全てを単一のフィルタカートリッジ70内に配置することによって、装置10を保守点検するエンドユーザの負担が大幅に軽減される。フィルタ層76は、必ずしもHEPAフィルタを備える必要はないが、上述したように、フィルタ層は、化学吸着又は吸収などの装置10の対象用途に特に対処するように選択され得ることに留意されたい。
【0032】
1つ以上の実施形態では、図9に見られるように、例えば、装置10は、UVC放射線をフィルタ媒体上に送達するように動作可能なUV光アセンブリ78を任意選択的に備える。一般に、UVC放射線は、100~280nmの範囲内の波長を有する紫外線である。この短波放射は殺菌特性を有し、ウイルス、細菌、及び真菌などの有害な生物学的物質を破壊又は不活性化するのによく適している。
【0033】
1つ以上の実施形態では、UV光アセンブリは、最小の1つのUV光源80と、少なくとも1つのUV光源80の上に位置決めされており、第1の空気入口及び第2の空気入口30、32をUVC放射線に対する曝露から遮蔽するように、すなわち、光源80によって生成されたUVC光がハウジング12から漏れないように構成された少なくとも1つのシールド82と、を備える。特定の実施形態では、ハウジング12から漏れるUVC光の量は、100μW/cm未満である。光源80は、短波紫外線ランプ、UVCLED、及び紫外線レーザなどのUVC放射線を放出することができる任意のデバイスであり得る。シールド82は、好ましくは、光源80の真上に位置決めされた屈曲した金属シートであるが、UVC放射線を吸収又は偏向することができる他の材料もまた使用され得る。
【0034】
1つ以上の実施形態では、UV光アセンブリ80は、UVC放射線をHEPAフィルタ上に送達するように動作可能であることが好ましい。フィルタ媒体によって捕捉された全ての粒子物質の大部分は、HEPAフィルタ16内に捕捉され保持されることとなることが企図されている。したがって、アセンブリ80から放出されたUVC放射線を使用して、HEPAフィルタ上の病原体レベルを妨害、抑制、又はそうでなければ低減することができ、それによって、空気流が出口34を介してハウジング12から出るときにそれらが閉鎖空間に再導入されるのを防ぐ。
【0035】
したがって、特定の実施形態では、フィルタカートリッジ14は、空気入口30、32と少なくとも1つのシールド82との間に位置決めされている。この実施形態では、UVC放射線は、ほとんど又は全くフィルタカートリッジ14上に導かれない。特定の実施形態では、フィルタカートリッジ16は、UV光源80と送風機18との間に位置決めされている。
【0036】
組み合わされたフィルタカートリッジ70が採用される実施形態では、UV光源80は、UVC放射線をシート72上及びフィルタ層74内に導く。好ましくは、フィルタ層74は、UVC放射線の少なくとも一部がフィルタ層74を貫通してHEPAフィルタ層76に到達するように構成される。
【0037】
制御パネル84をハウジング12の前面上に設けて、電源スイッチ86、送風機速度制御ダイヤル88、及び電力ポート90を提供してもよい。電力ポート90は、標準的な電気レセプタクル及び/又はUSB充電ポートを備えてもよく、これにより、装置10が位置付けされている空間内で使用されている他のデバイスを都合良く差し込むことができる。また、図2に見られるように、装置10に電力を供給するために、電源ポート92がハウジング12の背面上に設けられている。
【0038】
装置10はまた、装置が閉鎖空間又は同じ閉鎖空間内の異なる場所の間で容易に移動可能であることを可能にする一組のキャスタ94を備え得る。キャスタ94はまた、装置10が所望の場所に置かれたときに、移動するのを防止するためのロックされる能力を有し得る。
【0039】
装置10は、空間内の空気からの汚染物質の除去をもたらすために様々な環境で使用され得る。装置10は、歯科治療室、手術室、実験室、及び特定の種類の製造施設など、潜在的に危険なエアロゾルが生成される用途において非常に有用である。
【0040】
本発明の1つ以上の実施形態による方法は、ハウジング内に設置された送風機18を使用してハウジング12内に空気流を誘導することを含む。次いで、空気流は、第1の空気入口及び第2の空気入口30、32のいずれか(又は両方)を通ってハウジング12に選択的に入り、次いで少なくとも1つの空気出口34を通ってハウジングから出るようにされる。空気流は、ハウジング12を通って流れるとき、第1の空気入口30と少なくとも1つの空気出口34との間に位置付けされた第1の流路、又は第2の空気入口32と少なくとも1つの空気出口34との間に位置付けされた第2の流路のいずれかに沿って導かれる。空気がハウジング12を通って流れるとき、空気は、第1の流路及び第2の流路の両方を横切るように位置決めされたフィルタ媒体14、16を通過させられる。空気がフィルタ媒体14を通過するとき、病原体、固体粒子、液滴、及び臭気などの望ましくない物質が除去される。したがって、出口34を通って出る空気流は、入口30、32を通して引き込まれる空気よりも清浄度が高い。
【0041】
空気流を選択的にハウジング12に流入させるステップは、第1の流路が遮断され第2の流路が開放された第1の構成と、第2の流路が遮断され第1の流路が開放された第2の構成との間で、空気分流器アセンブリ50を転換させることを含む。上述したように、アセンブリ50はまた、空気が両方の入口30、32を介してハウジング12に同時に引き込まれることを可能にするように構成されてもよい。特定の実施形態では、空気は、第1及び第2の入口30、32と1つ以上の出口34との間で装置10を通って垂直に流れる。特定の実施形態では、送風機18は、装置10を通して毎分少なくとも100、少なくとも150、又は少なくとも200立方フィートの空気を引き出すことができる。したがって、歯科医院で通常見られ得る小さな治療室の状況では、治療室内の空気は、毎分又は2分以内毎に装置10を通して循環させることができる。
【0042】
UV光アセンブリ78が存在する本発明の実施形態では、UV光アセンブリは、UVC放射線をフィルタ媒体の少なくとも一部に、好ましくは少なくともHEPAフィルタ16上に送達する。さらに、UV光アセンブリ78はまた、装置10の動作中に粒子状物質及び病原体が上に蓄積する可能性があるハウジング12の任意の露出した内面上に殺菌UVC放射線を送達するように構成されてもよい。
【0043】
装置10は、一般に閉鎖空間から(すなわち、ハウジング12に近接して位置する空気)、及び細長いダクト38の使用によってハウジング12から離れた閉鎖空間内の特定のポイントから空気を引き込むように動作可能である。装置10が第2の空気入口32を通して、したがってダクト入口42を通して空気を引き込むように動作しているとき、ダクト入口42は、閉鎖空間内のポイントに隣接するように位置決めされている。歯科治療室の状況では、ダクト入口42は、歯科処置中に生成されたエアロゾル又は他の物質がダクト入口42に引き込まれ、装置10によって処理され得るように、患者の口に隣接するように位置決めされ得る。ポイント特定の空気浄化を必要とする歯科処置が行われていないとき、装置10は、閉鎖空間の空気中に一般に存在する可能性がある不純物を処理して除去するように、空気が第1の空気入口30を通って引き込まれるように動作し得る。
【0044】
この方法論は、ダクト入口42を処置を受けている患者の身体の部分に隣接するように位置決めして、処置によって生成される患者の身体からのエアロゾル又は粒子を引き込むことができる一般的な医療及び外科的処置などの他の分野にもつながる。実験室での使用の状況では、装置10は、有毒な化学薬品又は生物学的薬剤を用いて作業するときに、ダクト入口42を作業部位に隣接するように位置決めすることによって実験室での作業中に生成され得る臭気、煙、固体粒子、又は液滴を除去及び隔離するために使用することができる。実験室での作業が完了したとき、分流器アセンブリ50は切り替えることができ、それによって、装置10に隣接する空気が第1の空気入口30を通って引き込まれる。
【0045】
本発明による装置及び方法は、他の産業及びサービス産業の環境でも使用することができる。例えば、装置10は、ダクト入口42を溶接部位に隣接するように位置決めして、溶接作業から生成された粒子状物質及び/又はガスを引き込むことができるため、溶接が行われている閉鎖空間内で使用することができる。また、装置10をネイルサロン、美容院、及びスパなどのパーソナルサービスの環境において使用して、揮発した有機化合物及び他の化学物質、又は特定のサービスの提供において生成され得る他の有害な臭気若しくは煙を除去することができる。さらに、装置10をキッチン及びレストランで使用して、食品調理中に生成される臭気を取り除くことができる。
【0046】
これらの例は例示として提供されており、本発明によって企図される多くの他の用途があることに留意されたい。したがって、これらの例は、決して本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】