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特表2023-545027繊維断熱製品中のバインダー組成物用添加剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】繊維断熱製品中のバインダー組成物用添加剤
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/08 20060101AFI20231019BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20231019BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20231019BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20231019BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20231019BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20231019BHJP
   C08L 91/00 20060101ALI20231019BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20231019BHJP
   C08K 3/32 20060101ALI20231019BHJP
   C08L 33/02 20060101ALI20231019BHJP
   D04H 1/587 20120101ALI20231019BHJP
【FI】
C08L101/08
C08K5/00
C08K5/54
C08K5/053
C08L71/02
C08L83/04
C08L91/00
C08K3/36
C08K3/32
C08L33/02
D04H1/587
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520391
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-05-19
(86)【国際出願番号】 US2021052755
(87)【国際公開番号】W WO2022072568
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】63/086,271
(32)【優先日】2020-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507220187
【氏名又は名称】オウェンス コーニング インテレクチュアル キャピタル リミテッド ライアビリティ カンパニー
(71)【出願人】
【識別番号】523119676
【氏名又は名称】パロック グループ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】クリック ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】チェン リアン
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー ガート
(72)【発明者】
【氏名】ペッテション カルロッテ
(72)【発明者】
【氏名】チャン シウジュアン
【テーマコード(参考)】
4J002
4L047
【Fターム(参考)】
4J002AE052
4J002BG011
4J002CH022
4J002CP032
4J002DH047
4J002DJ017
4J002EC047
4J002EC056
4J002EC057
4J002EN106
4J002EN116
4J002EX038
4J002EX048
4J002EX068
4J002EX078
4J002FD141
4J002FD202
4J002FD206
4J002FD207
4J002GL00
4L047AA06
4L047AB02
4L047BA15
4L047BC07
4L047CB06
(57)【要約】
バインダー組成物の全固形分含有量に対して少なくとも30.0質量%の、少なくとも2つのカルボン酸基を含むポリマー架橋剤;バインダー組成物の全固形分含有量に対して10.0~50.0質量%の、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオールであって、糖アルコール、アルカノールアミン、ペンタエリスリトール、又はそれらの混合物を含むポリオール;バインダー組成物の全固形分含有量に対して1.5~15質量%の1種又は複数のプロセス添加剤を含む添加剤ブレンド;及びバインダー組成物の全固形分含有量に対して0~3.0質量%のシランカップリング剤を含む、低タック水性バインダー組成物が開示される。水性バインダー組成物は、4.0~7.0の未硬化pH、及び60%のバインダー固形分で80グラム以下の未硬化ピークタック力を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー組成物の全固形分含有量に対して少なくとも30.0質量%の、少なくとも2つのカルボン酸基を含むポリマー架橋剤;
バインダー組成物の全固形分含有量に対して10.0~50.0質量%の、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオールであって、糖アルコール、アルカノールアミン、ペンタエリスリトール、又はそれらの混合物を含むポリオール;
バインダー組成物の全固形分含有量に対して1.5~15.0質量%の、1種又は複数のプロセス添加剤を含む添加剤ブレンド;及び
バインダー組成物の全固形分含有量に対して0~3.0質量%のシランカップリング剤
を含む低タック水性バインダー組成物であって、水性バインダー組成物が添加ホルムアルデヒドを含まず、水性バインダー組成物が、4.0~7.0の未硬化pH、及び60%のバインダー固形分で80グラム以下の未硬化ピークタック力を有する
低タック水性バインダー組成物。
【請求項2】
プロセス添加剤が、界面活性剤、グリセロール、1,2,4-ブタントリオール、1,4-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ポリ(エチレングリコール)、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、シリコーン、ポリジメチルシロキサン、鉱物、パラフィン若しくは植物油、ワックス、疎水化シリカ若しくはリン酸アンモニウム、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の低タック水性バインダー組成物。
【請求項3】
プロセス添加剤が、グリセロール、ポリジメチルシロキサン又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の低タック水性バインダー組成物。
【請求項4】
添加剤ブレンドが少なくとも2種のプロセス添加剤を含む、請求項1に記載の低タック水性バインダー組成物。
【請求項5】
添加剤ブレンドが、バインダー組成物の全固形分含有量に対して5.0~15.0質量%の量のグリセロールを含む、請求項1に記載の低タック水性バインダー組成物。
【請求項6】
添加剤ブレンドが、バインダー組成物の全固形分含有量に対して0.5~2.0質量%のシランカップリング剤を含む、請求項1に記載の低タック水性バインダー組成物。
【請求項7】
添加剤ブレンドが、バインダー組成物の全固形分含有量に対して7.0~12質量%のグリセロール及び0.5~5.0質量%のポリジメチルシロキサンを含む、請求項1に記載の低タック水性バインダー組成物。
【請求項8】
糖アルコールが、グリセロール、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、イジトール、イソマルチトール、ラクチトール、セロビトール、パラチニトール、マルトトリトール、それらのシロップ、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の低タック水性バインダー組成物。
【請求項9】
ポリマー架橋剤がアクリル酸のホモポリマー又はコポリマーを含む、請求項1に記載の低タック水性バインダー組成物。
【請求項10】
バインダー組成物の全固形分含有量に対して50%~85%の、少なくとも2つのカルボン酸基を有するポリマー架橋剤;
バインダー組成物の全固形分含有量に対して1.5~15質量%の添加剤ブレンドであって、
バインダー組成物の全固形分含有量に対して6.5~13.0質量%のグリセロール;及び
バインダー組成物の全固形分含有量に対して1.2~3.5質量%のポリジメチルシロキサン
の1種又は複数を含む添加剤ブレンド;並びに
0.5~3.0質量%のシランカップリング剤
を含む、請求項1に記載の低タック水性バインダー組成物。
【請求項11】
複数のランダムに配向した繊維、及び
繊維を少なくとも部分的に被覆する架橋ホルムアルデヒド不含バインダー組成物
を含む繊維断熱製品であって、
架橋前に、バインダー組成物が、4.0~7.0の未硬化pHを有し、かつ以下の成分:
バインダー組成物の全固形分含有量に対して少なくとも30質量%の、少なくとも2つのカルボン酸基を含むポリマー架橋剤;
バインダー組成物の全固形分含有量に対して10.0~50.0質量%の、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオールであって、糖アルコール、アルカノールアミン、ペンタエリスリトール、又はそれらの混合物を含むポリオール;
バインダー組成物の全固形分含有量に対して1.5~15.0質量%の、1種又は複数のプロセス添加剤を含む添加剤ブレンド;及び
0~3.0質量%のシランカップリング剤
を含む水性組成物を含み、
水性バインダー組成物が添加ホルムアルデヒドを含まず、繊維製品が、2.4%以下のLOIにおいて3.0kPa~8kPaのEN1608による機械方向の引張強度を有する、繊維断熱製品。
【請求項12】
プロセス添加剤が、界面活性剤、グリセロール、1,2,4-ブタントリオール、1,4-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ポリ(エチレングリコール)、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、シリコーン、ポリジメチルシロキサン、鉱物、パラフィン若しくは植物油、ワックス、疎水化シリカ、又はリン酸アンモニウムの1種又は複数を含む、請求項11に記載の繊維断熱製品。
【請求項13】
プロセス添加剤が、グリセロール又はポリジメチルシロキサンの1種又は複数を含む、請求項11に記載の繊維断熱製品。
【請求項14】
添加剤ブレンドが少なくとも2種のプロセス添加剤を含む、請求項11に記載の繊維断熱製品。
【請求項15】
添加剤ブレンドが、バインダー組成物の全固形分含有量に対して5.0~15質量%の量のグリセロールを含む、請求項11に記載の繊維断熱製品。
【請求項16】
添加剤ブレンドが、バインダー組成物の全固形分含有量に対して0.5~2.0質量%のシランカップリング剤を含む、請求項11に記載の繊維断熱製品。
【請求項17】
繊維製品が鉱物ウール断熱製品を含む、請求項11に記載の繊維断熱製品。
【請求項18】
断熱製品の底面が、EN1609に従い、1日後に0.2kg/m2以下の吸水率を示す、請求項11に記載の繊維断熱製品。
【請求項19】
繊維製品が、2.4%以下のLOIにおいて少なくとも1.0kPaの圧縮強度を含む、請求項11に記載の繊維断熱製品。
【請求項20】
製品の粘着が低減された繊維断熱製品を作製するための方法であって、
水性バインダー組成物を複数の繊維に塗布するステップであり、水性バインダー組成物が添加ホルムアルデヒドを含まず、かつ
界面活性剤、グリセロール、1,2,4-ブタントリオール、1,4-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ポリ(エチレングリコール)、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、シリコーン、ポリジメチルシロキサン、鉱物、パラフィン若しくは植物油、ワックス、疎水化シリカ、リン酸アンモニウム、又はそれらの混合物からなる群から選択される1種又は複数のプロセス添加剤を含む、1.5~15.0質量%の固形分の添加剤ブレンド;及び
0.5~3.0質量%のシランカップリング剤を含む、塗布するステップ、
繊維を基材上に集め、バインダー入り繊維パックを形成するステップ、及び
バインダー入り繊維パックバインダーを硬化するステップ
を含み、硬化前に、水性バインダー組成物が、60%のバインダー固形分で80グラム以下のピークタック力を有し、繊維断熱製品が、2.4%以下のLOIにおいて、3.0kPa~8kPaのEN1608による機械方向の引張強度を有する、方法。
【請求項21】
繊維を基材上に集める前に、複数の繊維にシランカップリング剤を塗布するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
添加剤ブレンドが少なくとも2種のプロセス添加剤を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して少なくとも50質量%の、少なくとも2つのカルボン酸基を含むポリマーポリカルボン酸架橋剤;
水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して10.0~35.0質量%の、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオールであって、糖アルコール、アルカノールアミン、ペンタエリスリトール、又はそれらの混合物を含むポリオール;
水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して1.5~15.0質量%の、1種又は複数のプロセス添加剤を含む添加剤ブレンド;及び
水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して0.5~3.0質量%のシランカップリング剤
を含み、4~7の未硬化pH、及び60%のバインダー固形分で80グラム以下の未硬化ピークタック力を有する
低減されたタック性を有するホルムアルデヒド不含水性バインダー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年10月1日に出願された米国仮出願第63/086,271号の優先権及びあらゆる利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
水性バインダー組成物は、断熱製品、複合製品、木質繊維板などの織布及び不織布繊維製品の形成に従来利用されている。断熱製品、例えば無機繊維から形成された断熱製品は、典型的には溶融ガラス又は鉱物ベース組成物を採糸し、回転スピナーなどの採糸装置から繊維を紡糸することによって製造される。断熱製品を形成するために、回転スピナーによって作製された繊維は、ブロワーによってスピナーからコンベアに向かって下方に引き出される。繊維が下方に移動するにつれて、バインダー材料が繊維に噴霧され、繊維はコンベア上で高ロフトの連続したブランケットへと収集される。バインダー材料は、断熱製品に包装後の復元のための弾力性を与え、断熱製品を取り扱い、必要に応じて建物の断熱空洞に適用できるように、硬さ及び取り扱い性をもたらす。バインダー組成物はまた、フィラメント間摩耗から繊維を保護し、個々の繊維間の適合性を促進する。バインダーで被覆された繊維を含有するブランケットは、次に硬化オーブンに通され、バインダーが硬化してブランケットが所望の厚さに設定される。
バインダーが硬化した後、繊維断熱材を一定の長さに切断して個々の断熱製品を形成することができ、断熱製品は、顧客拠点に出荷するために包装することができる。このように準備された断熱製品は、異なる用途に使用するために、バット、ブランケット及びボード(加熱圧縮されたバット)を含む様々な形態で提供してもよい。
【0003】
鉱物繊維製品は、一般に、例えばガラス繊維、セラミック繊維、バサルト繊維、スラグウール、鉱物ウール及びストーンウールなどの人造ガラス質繊維(MMVF)を含み、これらはポリマーバインダー組成物によって結合されている。鉱物繊維断熱材、特に特定の鉱物ウール断熱材に使用される従来のバインダー組成物は、フェノール-ホルムアルデヒド(PF)樹脂、及び尿素で増量されたPF樹脂(PUF樹脂)に基づく。しかし、このようなバインダー組成物は、断熱製品に好適な特性を与えるが、ホルムアルデヒドバインダーは、製造プロセス中に望ましくない放出物を放出し、ホルムアルデヒドベースのバインダーの使用から脱却することが望まれてきた。
ホルムアルデヒドベースのバインダーの代替として、断熱製品中のバインダーとして使用するために、特定のホルムアルデヒド不含配合物が開発されている。このようなホルムアルデヒド不含配合物は、エステル化反応による架橋を意図したポリヒドロキシ成分を有するポリカルボン酸を含んでもよい。そのようなポリカルボン酸ベースのバインダー組成物は、しばしば酸性であり、pHが5未満である。しかし、鉱物ウール繊維は高アルカリ性であり、グラスファイバーなどの他の無機繊維に比べ、繊維中の二価及び三価の金属酸化物の濃度が高い。したがって、従来のバインダー組成物中のポリカルボン酸基は、塗布時に鉱物ウール繊維の金属酸化物と不可逆的に反応し、酸基がポリヒドロキシ架橋剤とのエステル化反応に利用可能になるのを妨げる。したがって、酸性バインダーは、鉱物ウールと共に使用した場合、PFバインダーの強度を欠く傾向があり、そこから形成された製品は不十分な性能を示す。
【0004】
さらに、ホルムアルデヒド不含バインダー組成物は粘着性があり、加工ライン上で問題を引き起こすタック性を有する傾向がある。例えば、インラインランプ(in-line ramp)上のバインダーで被覆された繊維のタック性により、繊維がランプに粘着し、加工機器から取り出された際に下流の断熱製品に欠陥が生じる。バインダーの水分を増加させることなどによってバインダーのタック性を低下させる過去の試みでは、増加した許容できない吸水レベルを有する極度に親水性の断熱製品が作製された。
したがって、疎水性及び全体的な断熱製品の特性を改善しつつ、タック性が低減した繊維断熱製品の作製に使用するための非酸性ホルムアルデヒド不含バインダー組成物に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の概念の様々な例示的な態様は、バインダー組成物の全固形分含有量に対して少なくとも30.0質量%の、少なくとも2つのカルボン酸基を含むポリマー架橋剤;バインダー組成物の全固形分含有量に対して10.0~50.0質量%の、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオールであって、糖アルコール、アルカノールアミン、ペンタエリスリトール、又はそれらの混合物を含むポリオール;バインダー組成物の全固形分含有量に対して1.5~15質量%の、1種又は複数のプロセス添加剤を含む添加剤ブレンド;及びバインダー組成物の全固形分含有量に対して0~3.0質量%のシランカップリング剤を含む低タック水性バインダー組成物に関する。水性バインダー組成物は、添加ホルムアルデヒドを含まない。本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、水性バインダー組成物は、4.0~7.0の未硬化pH、及び60%のバインダー固形分で80グラム以下の未硬化ピークタック力を有してもよい。
【0006】
例示的な実施形態のいずれかにおいて、プロセス添加剤は、界面活性剤、グリセロール、1,2,4-ブタントリオール、1,4-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ポリ(エチレングリコール)、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、シリコーン、ポリジメチルシロキサン、鉱物、パラフィン若しくは植物油、ワックス、疎水化シリカ若しくはリン酸アンモニウム、又はそれらの混合物を含んでもよい。
例示的な実施形態のいずれかにおいて、添加剤ブレンドは、少なくとも2種のプロセス添加剤を含む。
例示的な実施形態のいずれかにおいて、添加剤ブレンドは、バインダー組成物の全固形分含有量に対して5.0~15.0質量%の量のグリセロールを含んでもよい。
例示的な実施形態のいずれかにおいて、添加剤ブレンドは、バインダー組成物の全固形分含有量に対して0.5~2.0質量%のシランカップリング剤を含んでもよい。
例示的な実施形態のいずれかにおいて、添加剤ブレンドは、バインダー組成物の全固形分含有量に対して7.0~12質量%のグリセロール及び0.5~5.0質量%のポリジメチルシロキサンを含んでもよい。
例示的な実施形態のいずれかにおいて、糖アルコールは、グリセロール、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、イジトール、イソマルチトール、ラクチトール、セロビトール、パラチニトール、マルトトリトール、それらのシロップ、又はそれらの混合物を含んでもよい。
例示的な実施形態のいずれかにおいて、ポリマー架橋剤は、アクリル酸のホモポリマー又はコポリマーを含んでもよい。
【0007】
例示的な実施形態のいずれかにおいて、組成物は、バインダー組成物の全固形分含有量に対して50%~85%の、少なくとも2つのカルボキシル基を有するポリマーカルボン酸;バインダー組成物の全固形分含有量に対して1.5~15質量%の添加剤ブレンドであって、バインダー組成物の全固形分含有量に対して6.5~13.0質量%のグリセロールを含む添加剤ブレンド;及びバインダー組成物の全固形分含有量に対して1.2~3.5質量%のポリジメチルシロキサンの1種又は複数を含む添加剤ブレンド;並びに0.5~3.0質量%のシランカップリング剤を含んでもよい。
【0008】
本発明の概念のさらなる例示的な態様は、複数のランダムに配向した繊維、及び繊維を少なくとも部分的に被覆する架橋ホルムアルデヒド不含バインダー組成物を含む繊維断熱製品に関する。架橋前に、バインダー組成物は4.0~7.0の未硬化pHを有し、かつ以下の成分:バインダー組成物の全固形分含有量に対して少なくとも30質量%の、少なくとも2つのカルボン酸基を含むポリマー架橋剤;バインダー組成物の全固形分含有量に対して10.0~50.0質量%の、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオールであって、糖アルコール、アルカノールアミン、ペンタエリスリトール、又はそれらの混合物を含むポリオール;バインダー組成物の全固形分含有量に対して1.5~15.0質量%の、1種又は複数のプロセス添加剤を含む添加剤ブレンド;及び0~3.0質量%のシランカップリング剤を含む水性組成物を含み、水性バインダー組成物は、添加ホルムアルデヒドを含まない。例示的な実施形態のいずれかにおいて、繊維製品は、2.4%以下のLOIで、3.0kPa~8kPaのEN1608による機械方向の引張強度を有する。
【0009】
例示的な実施形態のいずれかにおいて、プロセス添加剤は、界面活性剤、グリセロール、1,2,4-ブタントリオール、1,4-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ポリ(エチレングリコール)、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、シリコーン、ポリジメチルシロキサン、鉱物、パラフィン若しくは植物油、ワックス、疎水化シリカ、又はリン酸アンモニウムの1種又は複数を含んでもよい。
例示的な実施形態のいずれかにおいて、プロセス添加剤は、グリセロール又はポリジメチルシロキサンの1種又は複数を含んでもよい。
例示的な実施形態のいずれかにおいて、添加剤ブレンドは、少なくとも2種のプロセス添加剤を含んでもよい。
例示的な実施形態のいずれかにおいて、添加剤ブレンドは、バインダー組成物の全固形分含有量に対して5.0~15質量%の量のグリセロールを含んでもよい。
例示的な実施形態のいずれかにおいて、添加剤ブレンドは、バインダー組成物の全固形分含有量に対して0.5~2.0質量%のシランカップリング剤を含んでもよい。
繊維断熱製品は、鉱物ウール断熱製品又はグラスファイバー断熱製品を含んでもよい。
例示的な実施形態のいずれかにおいて、断熱製品の底面は、EN1609に従い、1日後に0.2kg/m2以下の吸水率を示してもよい。
例示的な実施形態のいずれかにおいて、繊維製品は、2.4%以下のLOIで少なくとも1.0kPaの圧縮強度を含んでもよい。
【0010】
本発明の概念のまたさらなる例示的な態様は、製品の粘着が低減された繊維断熱製品を作製するための方法であって、水性バインダー組成物を複数の繊維に塗布するステップ、繊維を基材上に集め、バインダー入り繊維パックを形成するステップ;及びバインダー入り繊維パックを硬化するステップを含む方法に関する。水性バインダー組成物は、界面活性剤、グリセロール、1,2,4-ブタントリオール、1,4-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ポリ(エチレングリコール)、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、シリコーン、ポリジメチルシロキサン、鉱物、パラフィン若しくは植物油、ワックス、疎水化シリカ、リン酸アンモニウム、又はそれらの混合物からなる群から選択される1種又は複数のプロセス添加剤を含む1.5~15.0質量%の固形分の添加剤ブレンド;及び0.5~3.0質量%のシランカップリング剤を含む。硬化前に、水性バインダー組成物は、60%のバインダー固形分で80グラム以下のピークタック力を有してもよい。
【0011】
例示的な実施形態のいずれかにおいて、繊維断熱製品は、2.4%以下のLOIで、3.0kPa~8kPaのEN1608による機械方向の引張強度を有してもよい。
上記の方法は、繊維を基材上に集める前に、複数の繊維にシランカップリング剤を塗布するステップをさらに含んでもよい。
例示的な実施形態のいずれかにおいて、添加剤ブレンドは、少なくとも2種のプロセス添加剤を含む。
【0012】
本発明の概念のまたさらなる例示的な態様は、水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して少なくとも30質量%の、少なくとも2つのカルボン酸基を含むポリマーポリカルボン酸架橋剤;水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して10.0~50.0質量%の、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオールであって、糖アルコール、アルカノールアミン、ペンタエリスリトール、又はそれらの混合物を含むポリオール;水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して1.5~15.0質量%の、1種又は複数のプロセス添加剤を含む添加剤ブレンド;及び水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して0.5~3.0質量%のシランカップリング剤を含む、低減されたタック性を有するホルムアルデヒド不含水性バインダー組成物に関する。
例示的な実施形態のいずれかにおいて、水性バインダー組成物は、4~7の未硬化pH、及び60%のバインダー固形分で80グラム以下の未硬化ピークタック力を有してもよい。
一般的な本発明の概念の多数の他の態様、利点及び/又は特徴は、例示的な実施形態の以下の詳細な説明、及び本明細書と共に提出される添付の図面からより容易に明らかになる。
【0013】
一般的な本発明の概念、並びにその例示的な実施形態及び利点が、例として図面を参照しながら以下により詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】鉱物ウール繊維と保護されていないカルボン酸の間のカルボン酸金属錯体の形成による、限定的な架橋下の例示的なエステル化反応を示す。
図2】部分的に保護されたカルボン酸ベースのバインダーを用いた例示的なエステル化反応を示す。
図3】本発明による鉱物ウール製品を作製するための例示的な方法を示す。
図4】本明細書で提供されるバインダーのタックを測定するための方法の図式的な概要を示す。
図5】様々な例示的なバインダー組成物に対するタック試験の結果をグラフによって示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、これらの例示的な実施形態が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書の説明で使用される用語は、例示的な実施形態を説明するためのみのものであり、例示的な実施形態を限定することを意図しない。したがって、一般的な本発明の概念は、本明細書に例示された特定の実施形態に限定されることを意図しない。本明細書に記載されたものと類似又は同等の他の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができるが、好ましい方法及び材料が本明細書に記載される。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、複数形も含むことを意図する。
【0016】
「実質的に含まない」とは、組成物が、0.8質量%以下、0.6質量%以下、0.4質量%以下、0.2質量%以下、0.1質量%以下、及び0.05質量%以下を含む、1.0質量%未満の列挙された成分を含むことを意味する。例示的な実施形態のいずれかにおいて、「実質的に含まない」とは、組成物が0.01質量%以下の列挙された成分を含むことを意味する。
別段指示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分、化学的及び分子特性、反応条件などの量を表すすべての数は、すべての場合において「約」という用語で修飾されていることを理解されたい。したがって、逆のことが指示されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に示される数値パラメーターは、本発明の例示的な実施形態によって得ようとする所望の特性によって変化し得る近似値である。最低限、各数値パラメーターは、有効数字の数及び一般的な丸め手法に照らして解釈されるべきである。
【0017】
別段指示されない限り、任意の要素、特性、特徴又は要素、特性及び特徴の組合せは、要素、特性、特徴又は要素、特性及び特徴の組合せが実施形態で明示的に開示されたかどうかにかかわらず、本明細書に開示される任意の実施形態で使用し得る。本明細書に記載される任意の特定の態様に関連して記載される特徴は、特徴がその態様と互換性があることを条件として、本明細書に記載された他の態様に適用可能であり得ることが容易に理解される。特に、方法に関連して本明細書に記載される特徴は、繊維製品に適用可能であり、その逆も同様であってもよく、方法に関連して本明細書に記載される特徴は、水性バインダー組成物に適用可能であり、その逆も同様であってもよく、繊維製品に関連して本明細書に記載される特徴は、水性バインダー組成物に適用可能であり、その逆も同様であり得る。
本明細書及び特許請求の範囲を通して与えられるすべての数値範囲は、より厳密な数値範囲がすべて本明細書に明示的に記されているのと同様に、そのような広範な数値範囲に入るすべてのそのようなより厳密な数値範囲を含む。
本開示は、ガラス又は鉱物ウール繊維などの無機繊維と共に使用するための、ホルムアルデヒド不含又は「ホルムアルデヒド無添加」水性バインダー組成物に関する。本明細書で使用される場合、用語「バインダー組成物」、「水性バインダー組成物」、「バインダー配合物」、「バインダー」及び「バインダー系」は、互換的に使用でき、同義である。さらに、本明細書で使用される場合、「ホルムアルデヒド不含」又は「ホルムアルデヒド無添加」という用語は、互換的に使用でき、同義である。
【0018】
バインダー組成物は、繊維強化マット、ベール、不織布などの繊維断熱製品及び関連製品(以下、すべて繊維製品と総称する)の製造に使用し得る。バインダー組成物は、特に、硬化バインダー組成物を用いて作製された鉱物ウール断熱製品などのロック又は鉱物ウール製品と共に使用することができる。他の製品は、複合製品、木質繊維板製品、金属建物断熱材、パイプ断熱材、天井板、天井タイル、例えば天井板、ダクトボード、基礎ボード、パイプ及びタンク断熱材、吸音板、音響パネル、一般ボード製品、ダクトライナーを含むボード製品などの「重量」製品、さらに例えば住宅断熱材、ダクトラップ、金属建物断熱材、フレキシブルダクトメディアを含む「軽量」製品を含み得る。さらなる繊維製品は、不織布繊維マット及びパーティクルボード、並びにそれらから製造される複合製品を含む。
本発明の概念は、断熱製品、特に繊維断熱製品の製造に使用するための改善されたホルムアルデヒド不含バインダー組成物に関する。バインダー組成物は、新規の添加剤ブレンドを含むことにより、改善された加工性、疎水性及び製品性能を示す。
【0019】
本開示の繊維製品に使用するのに適した繊維は、これらに限定されないが、鉱物繊維(例えば、鉱物ウール、ロックウール、ストーンウール、スラグウールなど)、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、天然繊維及び合成繊維を含む。特定の例示的な実施形態では、複数のランダムに配向された繊維は、これらに限定されないが、鉱物ウール繊維、ロックウール繊維、スラグウール繊維、ストーンウール繊維、又はそれらの組合せを含む鉱物ウール繊維である。
繊維断熱製品は、全体が1種類の繊維から形成してもよいし、2種類以上の繊維の組合せから形成してもよい。例えば、断熱製品は、所望の用途に応じて様々な種類の鉱物繊維の組合せ、又は異なる無機繊維及び/若しくは天然繊維の様々な組合せから形成してもよい。特定の例示的な実施形態では、断熱製品は、全体が鉱物ウール繊維から形成される。
【0020】
断熱製品の製造に使用されるガラス繊維と比較して、鉱物ウールは、一般に二価及び三価の金属酸化物のパーセンテージが高い。表1は、典型的なガラスウールの配合範囲及び典型的なストーン(又は鉱物)ウールの配合範囲を示す。Guldberg, Marianne, et al. “The Development of Glass and Stone Wool Compositions with Increased Biosolubility” Regulatory Toxicology and Pharmacology 32, 184-189 (2000)。以下に示すように、ガラスウールは、25質量%以下の二価及び三価の酸化物(CaO/MgO/Al23/FeO)の全質量パーセンテージを有する。対照的に、鉱物又はストーンウールは、最低25質量%の二価及び三価の金属酸化物、又は一部の場合では30質量%より高い二価及び三価の金属酸化物、一部の場合では少なくとも50質量%の二価及び三価の金属酸化物を含む。このような金属酸化物、特にアルミニウムは、カルボン酸などの酸性官能基と錯体形成する傾向が強く、繊維上のバインダーの湿潤を阻害し、十分なエステル化及び架橋を防止する。したがって、グラスファイバー断熱材の製造に使用される従来の酸性ホルムアルデヒド不含バインダーは、鉱物ウール繊維による性能低下を示す。
【0021】
【0022】
バインダー組成物は、典型的には、繊維が形成された直後に水溶液又は分散液として繊維に塗布され、その後高温で硬化される。本明細書で使用する場合、「分散液」は、粒子のサイズ又は分散液の特性に関係なく、液体媒体中に分散した固体のすべての形態を含み、固体が液体媒体中に可溶性かつ溶解している真の「溶液」を含む。バインダー組成物の硬化条件は、残存する溶媒を蒸発させるため、及びバインダーを熱硬化状態に硬化させるための両方で選択される。得られた製品の繊維は、熱硬化性樹脂の薄層で少なくとも部分的に被覆される傾向があり、繊維が接触するか、互いに近接して配置される点でバインダー組成物の蓄積を示す。
【0023】
ホルムアルデヒド不含バインダー組成物のタック性を低下させるための以前の方法は、水分の添加を含み、それによりバインダーの含水量が最大50%増加した。しかし、このような含水量の増加により、従来の硬化条件下で断熱製品を完全に硬化させることが困難になった。さらに、バインダー組成物の含水量を増加させることにより、バインダーの親水性が増加して問題が生じる。したがって、不完全な硬化又は吸水レベルの増加による問題を引き起こさない、ホルムアルデヒド不含バインダー組成物のタック性を低減するための代替的な方法が必要とされる。
【0024】
したがって、バインダーのタック性を低減することによってバインダー組成物の加工性を改善し、増加した引張強度及び疎水性を有するより均一な断熱製品をもたらす、1種又は複数の加工添加剤を含む新規の添加剤ブレンドが驚くべきことに発見された。バインダー組成物のタック性を低減することができる様々な添加剤が存在し得るが、従来の添加剤は親水性であり、したがってそのような添加剤の包含により、バインダー組成物の全体的な吸水率が高まる。
したがって、新規の添加剤ブレンドは、バインダー組成物を用いて形成された断熱製品の疎水性も改善しつつ、バインダーのタック性の低減の間の正確なバランスを提供する。この添加剤ブレンドはさらに、新規の添加剤ブレンドを含まない他の同等のバインダー組成物を使用して製造された断熱製品と比較して、断熱製品の全体的な引張強度の改善をもたらす。
【0025】
上述したように、添加剤ブレンドは、1種又は複数の加工添加剤を含んでもよい。加工添加剤の例は、界面活性剤、1,2,4-ブタントリオール、1,4-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ポリ(エチレングリコール)(例えば、Carbowax(商標))、モノオレイン酸ポリエチレングリコール(MOPEG)、シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)の分散液、鉱物、パラフィン又は植物油のエマルション及び/又は分散液、アミドワックス(例えばエチレンビス-ステアラミド(EBS))及びカルナバワックス(例えばML-155))などのワックス、疎水化シリカ、リン酸アンモニウム、短鎖酸(すなわち、モノマー酸、又は例えばコハク酸、グルタル酸、マレイン酸、クエン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、アジピン酸などの1000ダルトン未満の分子量を含む酸、短鎖アルコール(すなわち、750ダルトン未満、500ダルトン未満、250ダルトン未満、200ダルトン未満、又は175ダルトン未満を含む2,000ダルトン未満の分子量を有するアルコール)、例えば、例えばグリセロール、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、イジトール、イソマルチトール、ラクチトール、セロビトール、パラチニトール、マルトトリトール、これらのシロップなど)、又はこれらの組合せを含む。界面活性剤は、アルコール官能基を有する非イオン性界面活性剤を含む非イオン性界面活性剤を含んでもよい。例示的な界面活性剤は、Surfynol(登録商標)、アルキルポリグルコシド(例えば、Glucopon(登録商標))、及びアルコールエトキシレート(例えば、Lutensol(登録商標))を含む。
【0026】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、添加剤ブレンドは、単一の加工添加剤、少なくとも2種の加工添加剤の混合物、少なくとも3種の加工添加剤の混合物、又は少なくとも4種の加工添加剤の混合物を含み得る。本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、添加剤ブレンドは、グリセロールとポリジメチルシロキサンとの混合物を含む。
添加剤ブレンドは、バインダー組成物中の全固形分含有量に対して1.0~20質量%、1.25~17.0質量%、又は1.5~15.0質量%、又は約3.0~12.0質量%、又は5.0~10.0質量%の量でバインダー組成物中に存在し得る。例示的な実施形態のいずれかにおいて、バインダー組成物は、バインダー組成物中の全固形分含有量に対して少なくとも8.0質量%、及び少なくとも9質量%を含む、少なくとも7.0質量%の添加剤ブレンドを含んでもよい。したがって、例示的な実施形態のいずれかにおいて、水性バインダー組成物は、バインダー組成物中の全固形分含有量に対して8.0~13.5質量%、9.0~12.5質量%を含む、7.0~15質量%の添加剤ブレンドを含んでもよい。
【0027】
添加剤ブレンドがグリセロールを含む実施形態では、グリセロールは、バインダー組成物の全固形分含有量に対して少なくとも5.0質量%、又は少なくとも6.0質量%、又は少なくとも7.0質量%、又は少なくとも7.5質量%の量で存在し得る。例示的な実施形態のいずれかにおいて、バインダー組成物は、バインダー組成物の全固形分含有量に対して6.5~13.0質量%、7.0~12.0質量%、及び7.5~11.0質量%のグリセロールを含む5.0~15質量%のグリセロールを含んでもよい。
添加剤ブレンドがポリジメチルシロキサンを含む実施形態では、ポリジメチルシロキサンは、バインダー組成物の全固形分含有量に対して少なくとも0.2質量%、又は少なくとも0.5質量%、又は少なくとも0.8質量%、又は少なくとも1.0質量%、又は少なくとも1.5質量%、又は少なくとも2.0質量%の量で存在し得る。例示的な実施形態のいずれかにおいて、バインダー組成物は、バインダー組成物の全固形分含有量に対して1.0~4.0質量%、1.2~3.5質量%、1.5~3.0質量%、及び1.6~2.3質量%のポリジメチルシロキサンを含む0.5~5.0質量%のポリジメチルシロキサンを含んでもよい。
【0028】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、添加剤ブレンドは、グリセロールとポリジメチルシロキサンの混合物を含んでよく、グリセロールは、バインダー組成物の全固形分含有量に対してバインダー組成物の5.0~15質量%を構成し、ポリジメチルシロキサンは、バインダー組成物の0.5~5.0質量%を構成する。本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、添加剤ブレンドは、グリセロールとポリジメチルシロキサンの混合物を含んでよく、グリセロールは、バインダー組成物の全固形分含有量に対してバインダー組成物の7.0~12質量%を構成し、ポリジメチルシロキサンは、バインダー組成物の1.2~3.5質量%を構成する。
【0029】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、添加剤ブレンドは、増加した濃度のシランカップリング剤を含んでもよい。従来のバインダー組成物は、一般に、バインダー組成物の全固形分含有量に対して0.5質量%未満のシラン、より一般的には約0.2質量%以下のシランを含む。鉱物ウール繊維と比較して、グラスファイバー製品には一般的により高いシラン濃度が関連するが、これはグラスファイバーが鉱物ウールよりも親水性が高いため、シランが水分の攻撃からグラスファイバーを保護することと、疎水性を改善することの両方に作用するためである。しかし、鉱物ウールはグラスファイバーよりも疎水性が高いため、繊維を水分から保護するためにシランは必要とされない。むしろ、シランは典型的には、グラスファイバーと比較してより低いレベルで鉱物ウール断熱材の製造に含まれる。しかし、驚くべきことに、バインダー組成物の全固形分含有量に対して増加した鉱物ウール製品のシラン濃度(少なくとも0.5%)が、そこから作製される断熱製品の引張強度を改善するのに有益であることが発見された。したがって、本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、シランカップリング剤は、約0.7~2.5質量%、0.85~2.0質量%、又は0.95~1.5質量%を含む、バインダー組成物の全固形分の0.5~5.0質量%の量でバインダー組成物中に存在してもよい。本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、シランカップリング剤は、1.0質量%までの量でバインダー組成物中に存在してもよい。
【0030】
シラン濃度は、繊維断熱製品の繊維上のシランの量によってさらに特徴付けられてもよい。典型的には、グラスファイバー断熱製品は、0.001~0.03質量%のガラス繊維上のシランカップリング剤を含む。しかし、繊維に塗布されて含まれるシランカップリング剤の量を増加させることにより、ガラス繊維上のシランの量は、少なくとも0.10質量%まで増加する。鉱物ウール断熱製品に関して、繊維上のシランの量は、典型的には0.3%のLOIで約0.0006~約0.0015質量%、5%のLOIで約0.01~0.02質量%である。繊維に塗布されるシランカップリング剤の量を増加させることにより、繊維上のシランの量は、0.3%のLOIで少なくとも0.003質量%、5%のLOIで少なくとも0.05まで増加する。
【0031】
代替的に、又はバインダー組成物中に添加剤ブレンド若しくはシランカップリング剤を包含することに加えて、添加剤ブレンド及び/又はシランは、バインダー組成物とは別に繊維及び/又は加工ラインに添加することができる。例えば、添加剤ブレンド及び/又はシランカップリング剤は、バインダー組成物の塗布前又は後に、繊維がコンベアに接触する前に繊維に噴霧してもよい。
代替的に、バインダー組成物は、存在する場合、従来の量のシランカップリング剤を含んでもよい。そのような実施形態では、シランカップリング剤は、0.05~0.4質量%、0.1~0.35質量%、又は0.15~0.3質量%を含む、バインダー組成物の全固形分の0~0.5質量%未満の量でバインダー組成物中に存在してもよい。
【0032】
バインダー組成物に使用し得るシランカップリング剤の非限定的な例は、官能基アルキル、アリール、アミノ、エポキシ、ビニル、メタクリロキシ、ウレイド、イソシアネート及びメルカプトによって特徴付けられてもよい。例示的な実施形態では、シランカップリング剤は、アミン(第一級、第二級、第三級及び第四級)、アミノ、イミノ、アミド、イミド、ウレイド又はイソシアネートなどの1種又は複数の官能基を有する1種又は複数の窒素原子を含有するシランを含む。好適なシランカップリング剤の具体的な非限定的な例は、これらに限定されないが、アミノシラン(例えば、トリエトキシアミノプロピルシラン;3-アミノプロピル-トリエトキシシラン及び3-アミノプロピル-トリヒドロキシシラン)、エポキシトリアルコキシシラン(例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)、メチアクリルトリアルコキシシラン(例えば、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン及び3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン)、炭化水素トリアルコキシシラン、アミノトリヒドロキシシラン、エポキシトリヒドロキシシラン、メタクリルトリヒドロキシシラン及び/又は炭化水素トリヒドロキシシランを含む。1つ又は複数の例示的な実施形態では、シランは、γ-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシランである。
【0033】
添加剤ブレンドは、任意の従来のホルムアルデヒド不含バインダー組成物、例えばZhang et al.の米国特許出願公開第2019/0106564号に記載されるカルボン酸ベースのバインダー組成物に使用されてもよく、この特許はポリカルボキシ架橋剤、短鎖ポリオール及び長鎖ポリオールを含む水性バインダー組成物を教示しており、参照によって完全に組み込まれる。別のホルムアルデヒド不含バインダー組成物は、Chen et al.の米国特許第8,864,893号に開示され、これは少なくとも1種の炭水化物及び少なくとも1種の架橋剤を含むバインダー組成物を教示しており、参照により本明細書に完全に組み込まれる。Chen et al.の米国特許出願第17/460,805号は、少なくとも2つのカルボン酸基を含む架橋剤、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むポリオール成分、及び窒素ベースの保護剤を含む水性バインダー組成物を開示しており、参照により本明細書に完全に組み込まれる。一般に、ポリカルボン酸架橋剤を組み込んだホルムアルデヒド不含バインダー組成物は酸性であり、グラスファイバーとの使用に許容し得るが、そのような酸性バインダー組成物は、一般に鉱物ウールと適合性がない。
上述のように、添加剤ブレンドは、任意のホルムアルデヒド不含バインダー組成物において有用であり得るが、例示的なバインダー組成物が以下により詳細に示される。
【0034】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、バインダー組成物は、エステル化反応によってポリオール成分と架橋するのに適した架橋剤を含んでもよい。例示的な実施形態のいずれかにおいて、架橋剤は、約90ダルトン~約10,000ダルトン、又は約190ダルトン~約5,000ダルトンなどの、90ダルトンより大きい数平均分子量を有してもよい。例示的な実施形態のいずれかにおいて、架橋剤は、約2,000ダルトン~5,000ダルトン、又は約4,000ダルトンの数平均分子量を有する。
【0035】
好適な架橋剤の非限定的な例は、1つ又は複数のカルボン酸基(-COOH)を有する材料、例えば、その塩又は無水物及びそれらの混合物を含むモノマー及びポリマーポリカルボン酸を含む。例示的な実施形態のいずれかにおいて、ポリカルボン酸は、アクリル酸のホモポリマー又はコポリマーなどのポリマーポリカルボン酸であってもよい。適切な架橋剤の非限定的な例は、ジ-、トリ-及びポリカルボン酸(並びにその塩)、無水物、モノマー及びポリマーポリカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、クエン酸(クエン酸アンモニウムなどのその塩を含む)、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、アジピン酸及びこれらの混合物を含む。ポリマーポリカルボン酸は、ポリアクリル酸(その塩又は無水物を含む)、並びにいずれもThe Dow Chemical Companyから市販のQR-1629S及びAcumer 9932などのポリアクリル酸系樹脂、CH Polymerから市販のポリアクリル酸組成物、及びCoatexから市販のポリアクリル酸組成物を含み得る。Acumer 9932は、約4000の分子量、及びポリアクリル酸/次亜リン酸ナトリウム樹脂の全質量に対して6~7質量%の次亜リン酸ナトリウム含有量を有するポリアクリル酸/次亜リン酸ナトリウム樹脂である。QR-1629Sは、ポリアクリル酸/グリセリン樹脂組成物である。各種類の酸について、酸の代わりに酸塩を使用することもできることが理解されるべきである。また、2種類以上の異なるポリカルボン酸の混合物又はブレンドを使用し得ることも理解されるべきである。
【0036】
本明細書に開示される例示的な実施形態のいずれかにおいて、架橋剤は、水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して少なくとも25.0質量%でバインダー組成物中に存在してもよく、限定されないが、少なくとも30質量%、少なくとも40質量%、少なくとも45質量%、少なくとも50質量%、少なくとも54質量%、少なくとも56質量%、少なくとも58質量%、少なくとも60質量%、少なくとも62質量%、少なくとも64質量%、少なくとも66質量%、少なくとも68質量%及び少なくとも70質量%を含む。本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、架橋剤は、バインダー組成物の全固形分含有量に対して27~87質量%の量でバインダー組成物中に存在してもよく、限定されないが、それらの間のすべての端点及び部分組合せを含め、バインダー組成物の全固形分含有量に対して30~85質量%、50~80質量%、50超~78質量%を含み、限定されないが59~75質量%、61~72質量%、及び63~70質量%を含む。
【0037】
任意に、ポリカルボン酸中の酸官能基のすべて又は一定の割合は、保護剤の使用によって一時的にブロックでき、保護剤は、酸官能基が鉱物ウール繊維と錯体を形成することを一時的にブロックし、その後バインダー組成物を少なくとも150℃の温度に加熱することによって除去され、酸官能基が遊離し、硬化プロセス中にポリオール成分と架橋してエステル化プロセスが完了する。例示的な実施形態のいずれかにおいて、その間の範囲のすべての部分範囲及び組合せを含め、約25%~約99%、約30%~約90%及び約40%~85%を含む、カルボン酸官能基の10%~100%を保護剤によって一時的にブロックしてもよい。例示的な実施形態のいずれかにおいて、酸官能基の最低40%を保護剤によって一時的にブロックしてもよい。
【0038】
保護剤は、架橋剤のカルボン酸基と可逆的に結合可能であってもよい。例示的な実施形態のいずれかにおいて、保護剤は、単一の酸官能基と少なくとも1つの可逆的なイオン結合を形成することができる分子を含む任意の化合物を含む。本明細書に開示される例示的な実施形態のいずれかにおいて、保護剤は、窒素ベースの保護剤、例えばアンモニウムベースの保護剤;アミンベースの保護剤;又はそれらの混合物を含んでもよい。例示的なアンモニウムベースの保護剤は、水酸化アンモニウムを含む。例示的なアミンベースの保護剤は、アルキルアミン及びジアミン、例えば、例えばエチレンイミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン;アルカノールアミン、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン;エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など、又はこれらの混合物を含む。また、驚くべきことに、アルカノールアミンは、保護剤と硬化バインダー中でエステルを形成する架橋反応の参加剤の両方として使用できることが発見された。このように、アルカノールアミンは、保護剤及びエステル化によるポリカルボン酸との架橋のためのポリオールという2つの機能を有する。
【0039】
図1に示されるように、保護されないまま放置すると、ポリカルボン酸成分中のカルボン酸基は、鉱物ウール繊維の金属イオン(Mg2+、Al3+、Ca2+、Fe3+、Fe2+)とカルボン酸-金属錯体を形成する。このような状況では、バインダー組成物が硬化する際に、ポリオールがカルボン酸基との架橋に対して極めて制限された利用可能性を有し、バインダーの性能が弱くなる。これに対し、図2は、ポリカルボン酸と水酸化アンモニウム又はアミンなどの窒素ベースの保護剤との予備反応を示す。このような予備反応は、酸官能基が金属イオンと永久的に反応するのを一時的に阻止する。バインダーが硬化するにつれ、アンモニアが放出され、酸官能基が遊離し、エステル化によってポリオールと反応する。
【0040】
従来のpH調整剤とは逆に、本明細書で定義される保護剤は、ポリマーポリカルボン酸成分中の酸官能基を一時的かつ可逆的にブロックするのみである。対照的に、水酸化ナトリウムなどの従来のpH調整剤は、酸官能基を永久的に終端させ、ブロックされた酸官能基によって酸とヒドロキシル基の間の架橋を防止する。したがって、水酸化ナトリウムなどの従来のpH調整剤の包含は、酸官能基を一時的にブロックする一方で、その後エステル化による架橋を可能にするために、硬化中にそれらの官能基を遊離させるという所望の効果をもたらさない。したがって、本明細書に開示される例示的な実施形態のいずれかにおいて、バインダー組成物は、例えば水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどの従来のpH調整剤を含まないか、又は実質的に含まなくてもよい。高温用途のためのそのような従来のpH調整剤は、カルボン酸基と永久的に結合し、架橋エステル化が可能になるようにカルボン酸官能基を放出しない。
さらに、一時的なブロック機能をもたらすとともに、保護剤はまた、バインダー組成物のpHを上昇させ、鉱物ウール繊維のpHとの適合性をもたらす。バインダー組成物のpHが繊維のpHより著しく低い場合、バインダー組成物が鉱物繊維を損傷し、組成を変化させて繊維を弱める可能性がある。バインダー組成物の機能は繊維を互いに接着させることであり、繊維それ自体と反応すべきではない。
【0041】
未硬化状態でのバインダー組成物のpHは、意図された用途に応じて、バインダー組成物の成分の適合性を促進するために、又は様々な種類の繊維と機能するように調整し得る。上述のように、本明細書に開示される例示的な実施形態のいずれかにおいて、未硬化状態にあるとき、バインダー組成物のpHは、少なくとも約4のpHを有する。このような例示的な実施形態において、未硬化状態にあるときのバインダー組成物のpHは、約4.0~7.0であってもよく、約4.2~6.8、及び約4.5~6.5を含む。硬化後、バインダー組成物のpHは、少なくとも6.5のpHまで、最大8.5のpHまで上昇してもよい。本明細書に開示される例示的な実施形態のいずれかにおいて、バインダー組成物の硬化pHは、7.2~7.8である。
【0042】
保護剤は、バインダー組成物中の全固形分に対して0~50.0質量%の量でバインダー組成物中に存在してもよく、限定されないが、1.50~25.0質量%、又は2.5~15.5質量%の量を含む。本明細書に開示される例示的な実施形態のいずれかにおいて、保護剤は、少なくとも3.5質量%でバインダー組成物中に存在してもよく、少なくとも4.0質量%、少なくとも5.0質量%、少なくとも5.5質量%、及び少なくとも6.0質量%を含む。例示的な実施形態のいずれかにおいて、保護剤は、ポリカルボン酸の酸官能基の少なくとも40%をブロックするのに十分な量で使用し得る。
例示的な実施形態のいずれかにおいて、バインダー組成物は、約6:1~約1:1、又は約4:1~約1.5:1の範囲のカルボン酸基とアミン基の比を含む。
例示的な実施形態のいずれかにおいて、バインダー組成物は、2つ以上のヒドロキシル基を有する少なくとも1種のポリオール(本明細書ではポリヒドロキシ化合物とも称される)をさらに含む。例示的な実施形態のいずれかにおいて、ポリオールは、モノマー又はポリマーポリヒドロキシ化合物の1種又は複数を含む。
【0043】
例示的な実施形態のいずれかにおいて、ポリオールは、例えば、例えば糖アルコール、ペンタエリスリトール、アルカノールアミンなどのモノマー化合物であってもよい。糖アルコールは、糖のアルド又はケト基が(例えば水素化によって)対応するヒドロキシ基に還元されるときに得られる化合物を意味すると理解される。出発糖は、単糖、オリゴ糖及び多糖並びにそれらの生成物の混合物、例えばシロップ、糖蜜及びデンプン加水分解物から選択し得る。出発糖はまた、糖の脱水形態であってもよい。糖アルコールは、対応する出発糖に酷似しているが、それらは糖ではない。したがって、例えば、糖アルコールは還元能力を有さず、還元糖に典型的なメイラード反応に関与することができない。例示的な実施形態のいずれかにおいて、糖アルコールは、グリセロール、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、イジトール、イソマルチトール、ラクチトール、セロビトール、パラチニトール、マルトトリトール、これらのシロップ、及びこれらの混合物のいずれかを含む。様々な例示的な実施形態では、糖アルコールは、ソルビトール、キシリトール及びそれらの混合物から選択される。例示的な実施形態のいずれかにおいて、ポリオールは、糖アルコールの二量体又はオリゴマー縮合生成物であってもよい。例示的な実施形態のいずれかにおいて、糖アルコールの縮合生成物は、イソソルビドであってもよい。例示的な実施形態のいずれかにおいて、糖アルコールは、ジオール又はグリコールであってもよい。
【0044】
他の実施形態では、ポリオールは、合成又は天然に存在するポリマーであってもよく、例えば、ポリビニルアルコール、ポリグリセロール、ポリ(エーテル)ポリオール、ポリ(エステル)ポリオール、ポリエチレングリコール、溶液又はエマルションの形態のJONCRYL(登録商標)(BASF Resins)、MACRYNAL(登録商標)(Cytec Industries)PARALOID(登録商標)(Dow Coating Materials)、G-CURE(登録商標)、TSAX(登録商標)及びSETALUX(登録商標)(Nuplex Resins,LLC)などのポリオール及びヒドロキシ官能性アクリル樹脂;又はジ-、トリ-及びそれ以上の多糖。
【0045】
例示的な実施形態のいずれかにおいて、ポリオールは、ソルビトール、ペンタエリスリトール、アルカノールアミン、これらの混合物又はこれらの誘導体を含む。例示的な実施形態のいずれかにおいて、アルカノールアミンは、トリエタノールアミン又はその誘導体を含んでもよい。したがって、例示的な実施形態のいずれかにおいて、ポリオールは、ソルビトール、ペンタエリスリトール、トリエタノールアミン、それらの誘導体、又はそれらの混合物の1種又は複数を含む。
【0046】
例示的な実施形態のいずれかにおいて、ポリオールは、天然起源であり、再生可能な供給源に由来する少なくとも1種の炭水化物を含んでもよい。例えば、炭水化物は、マメ科植物、トウモロコシ、コーン、ワキシーコーン、サトウキビ、ミロ、ホワイトミロ、ジャガイモ、サツマイモ、タピオカ、米、もち米、エンドウ、サゴ、小麦、オート麦、大麦、ライ麦、アマランス及び/又はキャッサバなどの植物源、並びに高いデンプン含有量を有する他の植物に由来してもよい。炭水化物はまた、タンパク質、ポリペプチド、脂質、及び低分子量炭水化物の残基を含有する植物に由来する粗デンプン含有生成物に由来してもよい。炭水化物は、単糖(例えば、キシロース、グルコース及びフルクトース)、二糖(例えば、スクロース、マルトース及びラクトース)、オリゴ糖(例えば、グルコースシロップ及びフルクトースシロップ)、並びに多糖及び水溶性の多糖(例えば、ペクチン、デキストリン、マルトデキストリン、デンプン、変性デンプン及びこれらの混合物)から選択してもよい。
【0047】
炭水化物は、約1,000~約8,000の数平均分子量を有する炭水化物ポリマーであってもよい。さらに、炭水化物ポリマーは、2~20、7~11又は9~14のデキストロース当量(DE)数を有してもよい。少なくとも1種の例示的な実施形態では、炭水化物は、デキストリン又はマルトデキストリンなどの水溶性多糖である。
【0048】
ポリオールは、約75質量%又は約70質量%までの全固形分の量でバインダー組成物中に存在してもよく、限定されないが、約68質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、33質量%、30質量%、27質量%、25質量%及び20質量%までの全固形分を含む。例示的な実施形態のいずれかにおいて、ポリオールは、2.0~約69.0質量%の全固形分の量でバインダー組成物中に存在してもよく、限定されないが、その間のすべての端点及び部分組合せを含む5.0~約50質量%、10~45質量%、13~40質量%、15~38質量%、18~35質量%、20~32質量%、22~30質量%及び17~27質量%の全固形分を含む。例示的な実施形態のいずれかにおいて、ポリオールは、10:1~0.2:1又は3:1~0.5:1のカルボン酸基とヒドロキシル基の比をもたらす量で存在してもよい。
【0049】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、水性バインダー組成物は、3未満のヒドロキシル基を含むポリオールを含まない若しくは実質的に含まなくてもよい、又は4未満のヒドロキシル基を含むポリオールを含まない若しくは実質的に含まなくてもよい。本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、水性バインダー組成物は、2,000ダルトン以上の数平均分子量、例えば3,000ダルトン~4,000ダルトンの分子量を有するポリオールを含まない又は実質的に含まない。したがって、本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、水性バインダー組成物は、ジオール、例えばグリコール、トリオール、例えば、例えばグリセロール及びトリエタノールアミン、並びに/又は部分的若しくは完全に加水分解されていてもよいポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルなどのポリマーポリヒドロキシ化合物、又はこれらの混合物を含まない又は実質的に含まない。
【0050】
例示的な実施形態のいずれかにおいて、バインダー組成物は、還元糖を含まない場合がある。還元糖は、遊離アルデヒド又はケトン基を含み、別の分子に電子を供与することができる炭水化物又は糖の一種である。バインダー組成物は還元糖を含まないため、還元糖がアミンと反応するときに起こるプロセスであるメイラード反応に関与することができない。メイラード反応により、茶色のバインダー組成物が得られるが、これは主題のバインダー組成物にとって望ましくない。
【0051】
任意に、バインダー組成物は、硬化促進剤としても公知のエステル化触媒を含んでもよい。触媒は、無機塩、ルイス酸(すなわち、塩化アンモニウム又は三フッ化ホウ素)、ブレンステッド酸(すなわち、硫酸、p-トルエンスルホン酸及びホウ酸)有機金属錯体(すなわち、カルボン酸リチウム、カルボン酸ナトリウム)及び/又はルイス塩基(すなわち、ポリエチレンイミン、ジエチルアミン若しくはトリエチルアミン)を含んでもよい。さらに、触媒は、リン含有有機酸のアルカリ金属塩、特にリン酸、次亜リン酸、又はポリリン酸のアルカリ金属塩を含んでもよい。そのようなリン触媒の例として、これらに限定されないが、次亜リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸二ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、トリメタリン酸ナトリウム、テトラメタリン酸ナトリウム、及びそれらの混合物が挙げられる。さらに、触媒又は硬化促進剤は、フルオロボレート化合物、例えばフルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸カルシウム、テトラフルオロホウ酸マグネシウム、テトラフルオロホウ酸亜鉛、テトラフルオロホウ酸アンモニウム及びそれらの混合物であってもよい。さらに、触媒は、リン化合物とフルオロボレート化合物の混合物であってもよい。他のナトリウム塩、例えば硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウムも同様に、又は代替的に触媒として使用し得る。
【0052】
触媒は、バインダー組成物の全固形分の約0~約10質量%の量でバインダー組成物中に存在してもよく、限定されないが、約0~約5質量%、又は約0.5~約4.5質量%、又は約1.0~約4.0質量%、又は約1.15~約3.8質量%、又は約1.35~約2.5質量%の量を含む。
バインダー組成物は、添加剤ブレンドに含まれる任意の界面活性剤とは独立して、又はそれに加えて界面活性剤をさらに含んでもよい。バインダーの霧化、湿潤及び界面接着を補助するために、1種又は複数の界面活性剤がバインダー組成物に含まれてもよい。
【0053】
界面活性剤は特に限定されず、これらに限定されないが、イオン性界面活性剤(例えば、サルフェート、スルホネート、ホスフェート及びカルボキシレート)、サルフェート(例えば、アルキルサルフェート、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、アルキルエーテルサルフェート、ラウレス硫酸ナトリウム及びミレス硫酸ナトリウム)、両性界面活性剤(例えば、アルキルベタイン、例えばラウリル-ベタイン)、スルホネート(例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロブタンスルホネート及びアルキルベンゼンスルホネート)、ホスフェート(例えば、アルキルアリールエーテルホスフェート及びアルキルエーテルホスフェート)、カルボキシレート(例えば、アルキルカルボキシレート、脂肪酸塩(石けん)、ステアリン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、カルボキシレートフッ素系界面活性剤、ペルフルオロナノエート及びペルフルオロオクタノエート)、カチオン(例えば、アルキルアミン塩、例えばラウリルアミン酢酸塩)、pH依存性界面活性剤(第一級、第二級又は第三級アミン)、恒久的に荷電した第四級アンモニウムカチオン(例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド及びベンゼトニウムクロリド)並びに双性イオン性界面活性剤、第四級アンモニウム塩(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド及びアルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリオキシエチレンアルキルアミン及びそれらの混合物などの界面活性剤を含む。
【0054】
バインダー組成物と共に使用することができる好適な非イオン性界面活性剤として、ポリエーテル(例えば、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの縮合物、これには直鎖状及び分枝鎖状アルキル及びアルカリールポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールエーテル及びチオエーテルが含まれる)、約7~約18個の炭素原子を含むアルキル基を有し、約4~約240個のエチレンオキシ単位を有するアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール(例えば、ヘプチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール及びノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール)、ソルビタン、ソルビド、マンニタン及びマンニドを含むヘキシトールのポリオキシアルキレン誘導体、部分長鎖脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート及びソルビタントリオレエートのポリオキシアルキレン誘導体)、エチレンオキシドと疎水性塩基の縮合物であって、塩基がプロピレンオキシドとプロピレングリコールを縮合することによって形成される縮合物、硫黄含有縮合物(例えば、エチレンオキシドと高級アルキルメルカプタン、例えばノニル、ドデシル若しくはテトラデシルメルカプタンを、又はアルキルチオフェノールを縮合することによって調製される縮合物、ここでアルキル基は約6~約15個の炭素原子を含む)、長鎖カルボン酸(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びオレイン酸、例えばトール油脂肪酸)のエチレンオキシド誘導体、長鎖アルコール(例えば、オクチル、デシル、ラウリル又はセチルアルコール)のエチレンオキシド誘導体、並びにエチレンオキシド/プロピレンオキシドのコポリマーが挙げられる。
【0055】
例示的な実施形態のいずれかにおいて、界面活性剤は、2,5,8,11-テトラメチル-6-ドデシン-5,8-ジオールであるDynol 607、エトキシ化2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール界面活性剤であるSURFONYL(登録商標)420、SURFONYL(登録商標)440及びSURFONYL(登録商標)465(Evonik Corporation(Allentown、Pa.)から市販されている)、Stanfax(ラウリル硫酸ナトリウム)、Surfynol 465(エトキシ化2,4,7,9-テトラメチル5デシン-4,7-ジオール)、Triton(商標)GR-PG70(1,4-ビス(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム)、及びTriton(商標)CF-10(ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、アルファ-(フェニルメチル)-オメガ-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシ)のうちの1種又は複数を含んでもよい。
界面活性剤は、バインダー組成物中の全固形分含有量に対して0~約10質量%、約0.1~約5.0質量%、又は約0.15~約2.0質量%、又は約0.2~約1.0質量%の量でバインダー組成物中に存在してもよい。
【0056】
任意に、バインダー組成物は、その後の断熱材料の製作及び取付けに悪影響を及ぼす可能性がある無機及び/又は有機粒子の存在を低減する又は排除するために、粉塵抑制剤を含有してもよい。粉塵抑制剤は、任意の従来の鉱物油、鉱物油エマルション、天然又は合成油、バイオベース油、又は潤滑剤、例えば、これらに限定されないがシリコーン及びシリコーンエマルション、ポリエチレングリコール、並びにオーブン内の油の蒸発を最小限に抑えるように高い引火点を有する任意の石油系又は非石油系油であってもよい。
例示的な実施形態のいずれかにおいて、バインダー組成物は、最大約8質量%、又は最大約6質量%を含む、最大約10質量%の粉塵抑制剤を含んでもよい。例示的な実施形態のいずれかにおいて、バインダー組成物は、バインダー組成物中の全固形分含有量に対して約1.0~約7.0質量%、又は約1.5~約6.5質量%、又は約2.0~約6.0質量%、又は約2.5~5.8質量%を含む、0~10の粉塵抑制剤を含んでもよい。
【0057】
バインダー組成物は、補強繊維上に塗布するために、活性固形物を溶解又は分散させるための水をさらに含む。水は、バインダー組成物を、補強繊維への塗布に適した粘度に希釈し、繊維上の所望の固形分含有量を達成するのに十分な量で添加し得る。本発明のバインダー組成物は、従来のフェノール-尿素ホルムアルデヒド又は炭水化物ベースのバインダー組成物よりも低い固形分含有量を含み得ることが発見された。特に、バインダー組成物は、3~35質量%のバインダー固形分を含んでもよく、限定されないが、10~30質量%、12~20質量%、及び15~19質量%のバインダー固形分を含む。
製品上のバインダー含有量は、強熱減量(LOI)として測定し得る。例示的な実施形態のいずれかにおいて、断熱製品を形成するガラス繊維上のLOIは、限定されずに0.15%~10%、0.2%~8%及び0.3%~5%を含む0.1%~50%でもよい。
【0058】
例示的な実施形態のいずれかにおいて、バインダー組成物は、1種又は複数の添加剤、例えば増量剤、架橋密度向上剤、脱臭剤、酸化防止剤、殺生物剤、防湿剤又はこれらの組合せも含み得る。任意に、バインダーは、限定されないが、染料、顔料、さらなる充填剤、着色剤、UV安定化剤、熱安定化剤、発泡防止剤、乳化剤、保存剤(例えば、安息香酸ナトリウム)、腐食阻害剤及びこれらの混合物を含み得る。プロセス及び製品性能を改善するために、他の添加剤をバインダー組成物に添加してもよい。添加剤は、微量(例えば、バインダー組成物の約0.1質量%未満)からバインダー組成物の全固形分の約10質量%までバインダー組成物中に存在してもよい。
【0059】
例示的な実施形態のいずれかにおいて、バインダー組成物は、モノマーカルボン酸成分を含まなくてもよいか、又は実質的に含まなくてもよい。例示的なモノマーポリカルボン酸成分は、アコニット酸、アジピン酸、アゼライン酸、ブタンテトラカルボン酸二水和物、ブタントリカルボン酸、クロレンド酸無水物、シトラコン酸、クエン酸、ジシクロペンタジエン-マレイン酸付加物、ジエチレントリアミンペンタ酢酸ペンタナトリウム塩、ジペンテンと無水マレイン酸の付加物、エンドメチレンヘキサクロロフタル酸無水物、完全マレエート化ロジン、マレエート化トール油脂肪酸、フマル酸、グルタル酸、イソフタル酸、イタコン酸、過酸化カリウムでアルコールに、次いでカルボン酸に酸化不飽和化されるマレエート化ロジン、リンゴ酸、無水マレイン酸、メサコン酸、シュウ酸、無水フタル酸、ポリ乳酸、セバシン酸、コハク酸、酒石酸、テレフタル酸、テトラブロモフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、トリメリト酸無水物及びトリメシン酸を含む。
【0060】
本明細書に開示されるバインダー組成物は、グラスファイバー又は鉱物ウール断熱製品などの繊維断熱製品の製造に使用し得る。したがって、本発明の概念の態様はまた、断熱製品を作製するための方法に関し、鉱物ウール及び/又はガラス繊維を本明細書に開示されるバインダー組成物と接触させるステップを含む。断熱製品は、その主面の一方又は両方にフェーサーを含んでもよい。フェーサーは、例えば、不織布マット、箔マット、ポリマーサーフェーシングマット、織物などの当技術分野で公知の任意の種類のフェーシング基材であってもよい。
本発明による鉱物ウール製品を作製するための例示的な方法を図3に概説する。原料鉱物材料の溶融物をリザーバ12で調製し、溶融物ストリーム14を紡績機16(遠心スピナーなど)に降下させ、そこで溶融物を採糸して収集チャンバー18に吹き込み、収集ベルト20上に鉱物ウールウェブを形成する。バインダー組成物は、収集ベルト上に収集する前、繊維が収集されている際、又は鉱物ウールウェブの形成後に、鉱物ウール繊維に塗布することができる。バインダー組成物は、例えば、噴霧などの公知の手段によって鉱物ウール繊維に塗布することができる。次いで、バインダーで被覆された鉱物ウールウェブを従来の硬化オーブン中で加熱し、バインダーで被覆された鉱物ウールウェブを硬化させて鉱物ウール製品を形成する。鉱物ウールウェブは、最終製品の所望の厚さを得るために圧縮に供してもよい。
【0061】
硬化は、例えば約200℃~約400℃、例えば約225℃~約350℃及び約230℃~約300℃などの従来の温度で硬化オーブンで行われてもよい。
繊維断熱製品は、多くの異なる特性によって特徴付けられ、分類されてもよく、そのうちの1つは密度である。密度は、製品に応じて約3.2kg/m3~約350kg/m3の高さの広い範囲に及んでもよい。低密度又は軽密度の断熱バット及びブランケットは、典型的には約3.2kg/m3~約128.15kg/m3、より一般的には約4.8kg/m3~約64kg/m3の密度を有し、約0.1~5%LOIの塗布率を有する。住宅用断熱バットなどの製品は、このグループに入る可能性がある。
【0062】
繊維断熱製品は、異なる用途で使用するために、ボード(加熱圧縮されたバット)及び成型用メディア(加熱圧縮されたバットの代替形態)を含む他の形態で提供することができる。繊維断熱製品はまた、ボード及びパネルなどの約160kg/m3~約320.40kg/m3の密度を有する(かつ多くの場合、約1%~5%のバインダーLOIを有する)より高密度の製品、及びより典型的には約16kg/m3~約160kg/m3の密度を有する(かつ約1%~5%のバインダーLOIを有する)中密度製品を含む。中及びより高密度の断熱製品は、これらに限定されないが、金属建物断熱材、パイプ又はタンク断熱材、断熱天井及び壁パネル、屋根パネル、ダクトボード及びHVAC断熱材、家電及び自動車用断熱材などを含む工業及び/又は商業用途で使用することができる。
【0063】
分類に有用な別の特性は、製品の剛性である。住宅用断熱バットは典型的には極めて柔軟であり、ロール又はバットに圧縮することができる一方で、減圧時に「ロフト」を復元させる。これを本明細書では「復元」と称する場合がある。対照的に、いくつか例を挙げると、天井タイル、壁パネル、基礎ボード及び特定のパイプ断熱材などの他の繊維製品は、設計上極めて剛性であり、柔軟性がない。このような製品は、ほとんど屈曲せず、特定の空間に適応又は適合する可能性が低い。
成形品又は造形品は、任意に硬化中に、製品を特定の最終形状に圧縮、成型又は造形するさらなるステップを含んでもよい。剛性ボードは一種の造形品であり、形状は平面である。他の造形品は、ダイ若しくは金型、又は他の成形装置によって成形し得る。剛性は、より高密度の繊維の使用及び/又はより高レベルのバインダーの塗布によって付与し得る。回転採糸の代替として、いくつかの繊維断熱製品、特により高密度の不織布断熱製品は、ランダムな配向に分散され、バインダーと接触して製品を形成するガラス、鉱物ウール又はポリマーの既製繊維を使用して、エアレイド又はウェットレイドプロセスによって製造し得る。
【0064】
「製品特性」又は「機械的特性」は、断熱製品が有する様々な試験可能な物理的特性を指す。これらは、少なくとも以下の一般的な特性を含んでもよい:バット又はブランケットが、包装又は保管中の圧縮から解放された後に元の厚さ又は設計された厚さを回復する能力である「復元」。これは、公知又は意図された公称厚さの製品の圧縮後の高さを測定することにより、又は他の適切な手段により試験し得る。バット又はブランケットが剛性を保ち、その直線的な形状を保持する能力を指す「硬さ」又は「サグ」。これは、一定の長さの部分を支点にかけ、曲げ撓みの角度範囲、すなわちサグを測定することによって測定される。値が低いほど、より硬く、より望ましい製品特性であることを示す。繊維製品を二つに裂くのに必要な力を指す「引張強度」。これは、典型的には機械方向(MD又はX軸)と機械横方向(「CD」又は「XMD」又はY軸)の両方で、一部の場合では深さ又はZ軸方向でも測定される。繊維断熱製品を圧縮するのに必要な力を指す「圧縮強度」。これは、バット(又は包装)を所定の距離圧縮するために必要な力として、又は所定の力によって圧縮された距離として測定し得る。引張強度と同様に3方向のいずれかで測定し得るが、CDが最も一般的である。
【0065】
当然ながら、他の製品特性も最終製品の評価に使用することができるが、上記の製品特性は、断熱製品の消費者にとって重要であることが判明しているものである。機械的な製品特性は、本明細書で「初期」又は「エンドオブライン(end of line)」と称される時間である、製造後比較的すぐに試験し得る。しかし経時的に、機械的特性は劣化する可能性があり、したがってより適切な試験は、「老化した」機械的特性を測定するものである。老化は、数カ月から数年にわたる自然なリアルタイムの老化であってもよい。より典型的には、「老化」は、高温多湿の試験条件の場合のように代理的な加速老化条件でシミュレートされる。いずれの種類の老化でも、測定可能な「老化した」特性が得られるが、加速されたバージョンは、数カ月ではなく数日で試験し得る妥当な代替物である。
【0066】
ある程度まで、これらの機械的な製品特性の絶対的な尺度は、どれほどのバインダーが繊維に塗布されているかに依存し得ることを理解されたい。より高密度で剛性の高い製品は、部分的に、より高レベルのバインダーを使用することによって典型的には製造される。繊維製品にどれほどのバインダーが塗布されているかを示す尺度は、LOI又は強熱減量として公知であり、有機バインダー成分を燃焼させた後の質量差によって測定される。
【0067】
本発明の概念に従って作製された繊維断熱製品は、添加剤ブレンドを含まない他の同一のバインダー組成物を用いて形成された繊維断熱製品と比べて改善された特性を示す。そのような改善された特性の1つは、製造直後(エンドオブライン)と老化後の両方で、高温/多湿条件(65℃/95%相対湿度)下での引張強度を含む。
例えば、約2.5%~3.7%のLOI及び50kg/m3より高い密度を有する本発明の概念に従って作製された鉱物ウール断熱製品に関して、そのような製品は、製造直後に少なくとも40kPaのEN1607によるY方向の引張強度を示し、高温/多湿条件下で28日後に少なくとも50%の引張強度を維持し、少なくとも53%の引張強度、少なくとも55%の引張強度、少なくとも58%の引張強度及び少なくとも60%の引張強度を含む。本明細書に開示される例示的な実施形態のいずれかにおいて、約2.5%~3.7%のLOIを有する本発明の概念による鉱物ウール断熱製品は、製造直後に42kPa~75kPa及び45kPa~72kPaを含む、40kPa~80kPaのEN1607によるY方向の引張強度を有してもよい。
【0068】
約2.4%以下のLOI、及び52kg/m3以下の密度を有する本発明の概念に従って作製された鉱物ウール断熱製品に関して、そのような製品は、少なくとも3.0kPaのEN1608による機械方向の引張強度、例えば3.5kPa~8kPa、3.8kPa~7.5kPa及び4.0kPa~6.0kPaを示す。横方向において、約2.4%以下のLOI及び52kg/m3の密度を有する本発明の概念に従って作製された鉱物ウール断熱製品は、少なくとも7.0kPaのEN1608による引張強度、例えば7.5kPa~20kPa、8.0kPa~15.0kPa及び10.0kPa~14.0kPaを示す。
【0069】
本発明の概念に従って作製された鉱物ウール断熱製品は、添加剤ブレンドを含まない他の同一のバインダー組成物を用いて形成された鉱物ウール断熱製品と比較して、改善された圧縮強度をさらに示す。圧縮強度は、標準的なEN826試験方法を使用して試料で測定及び試験された。2.5%~3.7%のLOIを有する本発明の概念に従って形成された鉱物ウール断熱板製品は、少なくとも13kPa及び少なくとも15kPaを含む、少なくとも12kPaの圧縮強度を示す。2.4%以下のLOIを有する本発明の概念に従って形成された鉱物ウール断熱板製品は、少なくとも1.3kPa及び少なくとも1.5kPaを含む、少なくとも1.0kPaの圧縮強度を示す。
さらに、本発明の概念に従って作製された鉱物ウール断熱製品は、添加剤ブレンドを含まない他の同一のバインダー組成物を用いて形成された鉱物ウール断熱製品と比較して低減したタック性をさらに示す。本発明の概念に従って形成された鉱物ウール断熱板製品は、60%のバインダー固形分で80グラム以下のピークタック力を示す。
主題のバインダー組成物は、低減されたタック性を有するが、バインダー組成物は、それを用いて形成される断熱製品の疎水性を犠牲にすることなく低減されたタック性を有する。断熱製品の疎水性は、製品の吸水率によって測定される。
本発明を一般的に説明したが、以下に示す特定の具体例を参照することによってさらなる理解を得ることができ、これらの具体例は、説明の目的のみに提供され、特に指定されない限り、包含的又は限定的であることを意図しない。
【実施例
【0070】
(実施例1)
表2に概説されるように、新規の添加剤ブレンド及び/又は増加したシラン濃度を含む例示的なバインダー組成物を調製した。従来の量のシラン(0.2質量%)を含む比較バインダー組成物も調製した(表2、比較例1を参照されたい)。各バインダー組成物は、ポリアクリル酸架橋剤、ポリオール及び次亜リン酸ナトリウム触媒を含んでいた。実施例1~6及び比較例1は保護剤も含み、これを最初にポリアクリル酸架橋剤と混合してバインダープレミックスを形成した。バインダープレミックスを水で希釈し、以下の表2に示される様々な添加剤を組み込み、最終的なバインダー組成物を作製した。例示的なバインダー組成物のそれぞれを以下に列挙する:
【0071】
【0072】
上記のバインダー組成物を調製し、以下に詳述するように特定のLOIまで希釈し、スループットが4.5トン/時間である典型的な鉱物ウール生産ラインによって鉱物ウールに塗布した。繊維が収集コンベアに粘着するのを最小限にするために、注入システムを通して追加の水を投与した。一次鉱物ウール層を追加の鉱物ウール層とクロスラップして所望の製品密度にした後、鉱物ウールスラブを硬化オーブンに通した。硬化オーブンの温度を250℃~300℃に設定した。
鉱物ウールスラブ製品を収集し、包括的な標準試験を実施した。表3~6に示す結果は、保護剤を含む本発明のバインダー組成物によって付与された改善された鉱物ウール製品性能を、そのような保護剤を除いて同様の酸性バインダー組成物によって付与された製品特性と比較して例示する。各特性の試験方法を以下に示す。
10%歪みでの圧縮強度:試料の調製及び試験には、標準的なEN826試験方法を利用した。鉱物ウールスラブは、厚さ100mmであった。鉱物ウールスラブを、Instron又は同等の圧縮試験機の2枚のプレート間の中央に置いた。この試験機を使用して、10%歪みに達するまで試験片を圧縮し、10%歪みにおける圧縮応力を得た。10%歪み時の圧縮強度を、以下の式に基づいて計算した:
【0073】
σm=103・Fm/A0[kPa]*
*F10=-10%変形に対応する力[N]
m=最大力[N]
0=初期断面積[m2]。
【0074】
膨張(%):圧力釜(或いはオートクレーブ)を使用して製品の膨張能を決定する。この処理は、トロピックボックスに保管された製品の挙動を補足するものであり、より短時間で製品の老化の問題を示すことができる。圧力釜中で、製品を0.8~1バールの圧力及び121℃で15分間保管する(オートクレーブは、2バール及び134℃で2.5時間)。膨張(%)は、圧力釜(或いはオートクレーブ)での処理後の正味の体積増加である。
【0075】
吸水率(Wp)(EN1609及びEN12087):寸法200mm×200mmの試料製品を秤量し、試料の初期質量(m0)を決定した。その後、試料を水面に置き、試料の下面が水面下1cmになるよう加重した。短期間の部分浸漬の場合、試料を24時間水中に放置した。長期間の部分浸漬の場合、試料を28日間水中に放置した。その後、試料を10分間乾燥させ、再度秤量して試料の最終質量(m1)を決定した。吸水率は、試料の初期質量と最終質量の差(Δm)を試料製品の底面積(A(kg/m2))で除したものである。したがって、吸水率は以下の式によって決定することができる:Wp=(m1-m0)/A。
【0076】
Y方向の引張強度(EN1607):寸法100mm×100mmのY配向の試料製品を用意し、機械のY方向の両端に合板を接着した。試料を引張試験用治具に取り付け、最大力を引張強度として記録した。試料製品は、1)エンドオブライン(EOL)時、2)引張試験前の老化及び高温/多湿コンディショニングのために、トロピックボックスに1日、3)7日、及び4)28日間置いた後に試験した。トロピックボックス内の条件は、温度65℃及び相対湿度95%を含んだ。トロピックボックスでの28日後の引張保持パーセンテージを、Res%(28日後の引張をエンドオブラインの引張で除したもの)として列挙する。
【0077】
【0078】
表3に示されるように、実施例1~5及び7~8のそれぞれは、添加剤ブレンド又は増加したシラン濃度を含まない比較例1と比較して、増加した圧縮強度を示す。さらに、実施例1~5及び7~8のそれぞれは、鉱物ウールスラブの上部で、1日後(EN 1609)と28日後(EN 12087)の両方の後に同等又は減少した吸水率を示した。さらに、高濃度のシラン(1.0質量%)と2.0質量%のPDMSの両方を含む実施例2及び4は、鉱物ウールスラブの底部で、1日後と28日後の両方で同等又は減少した吸水率を示した。さらに、従来の濃度のシラン(0.2質量%)を含み、添加剤ブレンドを含まない比較例1は、1.0質量%のシランを含む実施例1、1.0質量%のシラン及び2.0質量%のPDMSを含む実施例2、4及び7、並びに1.0質量%のシラン、2.0質量%のPDMS及び10質量%のグリセロールを含む実施例8と比べて高い膨張の発生率を示した(0.9%)。実施例3及び5は、組成物中のシリコーン(PDMS)の不足により、わずかに増加した膨張を示す。
【0079】
【0080】
表4に示されるように、1.0質量%のシラン及び10質量%のグリセロールを含む実施例5及び8のそれぞれは、形成ライン終了の開始時、並びに高温/多湿条件での1及び28日後に、Y及びZ方向の引張強度の著しい改善を示した。さらに、実施例1及び7は、比較例1と比較してエンドオブラインでわずかに低下したY及びZ方向の引張強度を示したが、両方の鉱物ウールスラブは、高温/多湿条件で1及び28日後に高い引張強度を維持した。実施例3及び4は、比較例1と比較して、エンドオブラインでより高いY方向の引張強度を示し、Y方向及びZ方向ともに、高温/多湿条件で1及び28日後により高い引張強度を維持した。
【0081】
以下の表5に示されるように、実施例3~6のバインダー組成物(表2に詳述される)を0.7%~2.4%のLOIまで希釈し、鉱物繊維に塗布して硬化させ、39~52kg/m3の密度を有する鉱物ウール断熱製品を作製した。以下の(a)又は(b)で示された試料は、同じバインダー組成物を2つの異なるLOIで使用したことを示す。
【0082】
【0083】
表5に示されるように、実施例3及び4b~6のそれぞれは、0.7の低いLOIを有する実施例4aと比較して同様の圧縮強度を示す。実施例4はグリセロールを含まず、これは低いLOIでのより低い圧縮強度(実施例6aと比較して)に寄与する。実施例4a及び6aは、低いLOIに起因する高い膨張の発生率を示した。しかし、20%未満の膨張パーセンテージは許容可能な性能である。
【0084】
表6に示すように、わずか0.7%のLOIを有する実施例4a及び6aは、比較的低い引張強度を示したが、依然として許容可能な性能を示した。
【0085】
(実施例2)
様々な添加剤ブレンドを含む例示的なバインダー組成物を調製し、グラスファイバー基材に塗布して、バインダー入りグラスファイバー基材(BIFS)を形成した。バインダー組成物を以下の表7に示す。
【0086】

【0087】
このBIFSを分析して、バインダー入り基材のタックを測定した。タック測定器の結果を得るために、バインダーの濃度を31%から60%に上昇させる必要があった。これを行うために、31%バインダー溶液5グラムをグラスファイバー基材に塗布した。その後、バインダー入りグラスファイバー基材を140℃の水分平衡装置に4分30秒間入れ、バインダー溶液の濃度を約60%に上昇させた。タック試験を開始するために、テクスチャーアナライザー(TA XT Plus)を使用して、BIFSのピークタック力を測定した。ステンレス鋼プローブ(TA-57R、7mm-1”R)を0.5mm/秒で試料に下ろし、500gの力を10秒間かけてから10mm/秒で取り外した。
図5に示されるように、比較例Aは約124gのピークタック力を示したが、実施例A~Gのそれぞれはピークタック力の減少を示した。さらに、10%の添加剤ブレンドを含む各実施例は、約100g未満のピークタック力を示した。実施例A、B、及びFは、それぞれ約64g、約40g及び約43gのピークタック力を有し、最低レベルのタックを示した。
【0088】
次に、BIFSを430°Fのオーブンで硬化させ、吸水率を試験した。MOPEGを10%含むバインダー組成物が最も低いタックを示したが、それを用いて作製された硬化BIFSは、高度に吸水性であった。対照的に、ML-155ワックスを使用して作製されたBIFS(実施例C、D及びF)は、高度に耐水性であり、接触角が約90°であった。
図示された製品及びプロセスの多くのより詳細な態様は、大部分が当技術分野で公知であり、これらの態様は、一般的な本発明の概念を簡潔に提示する目的で省略されていることが理解される。特定の手段、材料及び実施形態を参照して本発明を記載したが、前述の説明から、当業者は、本開示の本質的な特徴を容易に確認することができ、かつ上述され、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の用途及び特徴に適応するために種々の変更及び修正をなし得る。
以下の項は、さらなる例示的な実施形態を提供する。
【0089】
項1.バインダー組成物の全固形分含有量に基づいて少なくとも50.0質量%の、少なくとも2つのカルボン酸基を含むポリマー架橋剤;
バインダー組成物の全固形分含有量に対して10.0~35.質量%の、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオールであって、糖アルコール、アルカノールアミン、ペンタエリスリトール又はそれらの混合物を含むポリオール;
バインダー組成物の全固形分含有量に対して1.5~15質量%の、1種又は複数のプロセス添加剤を含む添加剤ブレンド;及び
バインダー組成物の全固形分含有量に対して0~3.0質量%のシランカップリング剤を含む低タック水性バインダー組成物であって、水性バインダー組成物が添加ホルムアルデヒドを含まず、水性バインダー組成物が、4.0~7.0の未硬化pH、及び60%のバインダー固形分で80グラム以下の未硬化ピークタック力を有する、低タック水性バインダー組成物。
【0090】
項2.プロセス添加剤が、界面活性剤、グリセロール、1,2,4-ブタントリオール、1,4-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ポリ(エチレングリコール)、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、シリコーン、ポリジメチルシロキサン、鉱物、パラフィン若しくは植物油、ワックス、疎水化シリカ若しくはリン酸アンモニウム、又はそれらの混合物を含む、項1に記載の低タック水性バインダー組成物。
項3.プロセス添加剤が、グリセロール、ポリジメチルシロキサン又はそれらの混合物を含む、項1又は項2に記載の低タック水性バインダー組成物。
項4.添加剤ブレンドが少なくとも2種のプロセス添加剤を含む、項1~3のいずれかに記載の低タック水性バインダー組成物。
【0091】
項5.添加剤ブレンドが、バインダー組成物の全固形分含有量に対して5.0~15.0質量%の量のグリセロールを含む、項1~4のいずれかに記載の低タック水性バインダー組成物。
項6.添加剤ブレンドが、バインダー組成物の全固形分含有量に対して0.5~2.0質量%のシランカップリング剤を含む、項1~5のいずれかに記載の低タック水性バインダー組成物。
項7.添加剤ブレンドが、バインダー組成物の全固形分含有量に対して7.0~12質量%のグリセロール及び0.5~5.0質量%のポリジメチルシロキサンを含む、項1~6のいずれかに記載の低タック水性バインダー組成物。
項8.糖アルコールが、グリセロール、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、イジトール、イソマルチトール、ラクチトール、セロビトール、パラチニトール、マルトトリトール、それらのシロップ、又はそれらの混合物を含む、項1~7のいずれかに記載の低タック水性バインダー組成物。
【0092】
項9.ポリマー架橋剤がアクリル酸のホモポリマー又はコポリマーを含む、項1~8のいずれかに記載の低タック水性バインダー組成物。
項10.バインダー組成物の全固形分含有量に対して50%~85%の、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオール;
バインダー組成物の全固形分含有量に対して1.5~15質量%の添加剤ブレンドであって、
バインダー組成物の全固形分含有量に対して6.5~13.0質量%のグリセロール;及び
バインダー組成物の全固形分含有量に対して1.2~3.5質量%のポリジメチルシロキサン
の1種又は複数を含む添加剤ブレンド;並びに
0.5~3.0質量%のシランカップリング剤
を含む、項1~9に記載の低タック水性バインダー組成物。
【0093】
項11.複数のランダムに配向した繊維、及び
繊維を少なくとも部分的に被覆する架橋ホルムアルデヒド不含バインダー組成物を含む繊維断熱製品であって、架橋前に、バインダー組成物が4.0~7.0の未硬化pHを有し、かつ以下の成分:
バインダー組成物の全固形分含有量に対して少なくとも50質量%の、少なくとも2つのカルボン酸基を含むポリマー架橋剤;
バインダー組成物の全固形分含有量に対して10.0~35.0質量%の、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオールであって、糖アルコール、アルカノールアミン、ペンタエリスリトール、又はそれらの混合物を含むポリオール;
バインダー組成物の全固形分含有量に対して1.5~15.0質量%の、1種又は複数のプロセス添加剤を含む添加剤ブレンド;及び
0~3.0質量%のシランカップリング剤
を含む水性組成物を含み、水性バインダー組成物が添加ホルムアルデヒドを含まず、繊維製品が、2.4%以下のLOIで、3.0kPa~8kPaのEN1608による機械方向の引張強度を有する、繊維断熱製品。
【0094】
項12.プロセス添加剤が、界面活性剤、グリセロール、1,2,4-ブタントリオール、1,4-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ポリ(エチレングリコール)、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、シリコーン、ポリジメチルシロキサン、鉱物、パラフィン若しくは植物油、ワックス、疎水化シリカ、又はリン酸アンモニウムの1種又は複数を含む、項11に記載の繊維断熱製品。
項13.プロセス添加剤が、グリセロール又はポリジメチルシロキサンの1種又は複数を含む、項11又は12のいずれかに記載の繊維断熱製品。
項14.添加剤ブレンドが少なくとも2種のプロセス添加剤を含む、項11~13のいずれかに記載の繊維断熱製品。
項15.添加剤ブレンドが、バインダー組成物の全固形分含有量に対して5.0~15質量%の量のグリセロールを含む、項11~14のいずれかに記載の繊維断熱製品。
【0095】
項16.添加剤ブレンドが、バインダー組成物の全固形分含有量に対して0.5~2.0質量%のシランカップリング剤を含む、項11~15のいずれかに記載の繊維断熱製品。
項17.繊維製品が鉱物ウール断熱製品を含む、項11~16のいずれかに記載の繊維断熱製品。
項18.断熱製品の底面が、EN1609に従い、1日後に0.2kg/m2以下の吸水率を示す、項11~17のいずれかに記載の繊維断熱製品。
項19.繊維製品が、2.4%以下のLOIで少なくとも1.0kPaの圧縮強度を含む、項11~18のいずれかに記載の繊維断熱製品。
【0096】
項20.製品の粘着が低減された繊維断熱製品を作製するための方法であって、
水性バインダー組成物を複数の繊維に塗布するステップであり、水性バインダー組成物が添加ホルムアルデヒドを含まず、かつ
界面活性剤、グリセロール、1,2,4-ブタントリオール、1,4-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ポリ(エチレングリコール)、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、シリコーン、ポリジメチルシロキサン、鉱物、パラフィン若しくは植物油、ワックス、疎水化シリカ、リン酸アンモニウム、又はそれらの混合物からなる群から選択される1種又は複数のプロセス添加剤を含む、1.5~15.0質量%の固形分の添加剤ブレンド;及び
0.5~3.0質量%のシランカップリング剤を含む、塗布するステップ、
繊維を基材上に集め、バインダー入り繊維パックを形成するステップ、及び
バインダー入り繊維パックバインダーを硬化するステップを含み、硬化前に、水性バインダー組成物が、60%のバインダー固形分で80グラム以下のピークタック力を有し、繊維断熱製品が、2.4%以下のLOIで、3.0kPa~8kPaのEN1608による機械方向の引張強度を有する方法。
【0097】
項21.繊維を基材上に集める前に、複数の繊維にシランカップリング剤を塗布するステップをさらに含む、項20に記載の方法。
項22.添加剤ブレンドが少なくとも2種のプロセス添加剤を含む、項20~21のいずれかに記載の方法。
【0098】
項23.水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して少なくとも50質量%の、少なくとも2つのカルボン酸基を含むポリマーポリカルボン酸架橋剤;
水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して10.0~35.0質量%の、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオールであって、糖アルコール、アルカノールアミン、ペンタエリスリトール、又はそれらの混合物を含むポリオール;
水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して1.5~15.0質量%の、1種又は複数のプロセス添加剤を含む添加剤ブレンド;及び
水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して0.5~3.0質量%のシランカップリング剤
を含み、水性バインダー組成物が、4~7の未硬化pH、及び60%のバインダー固形分で80グラム以下の未硬化ピークタック力を有する、低減されたタック性を有するホルムアルデヒド不含水性バインダー組成物。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】