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特表2023-545049高消化性加水分解ケラチン系材料を製造するための改善された方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】高消化性加水分解ケラチン系材料を製造するための改善された方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20231019BHJP
   A23K 10/26 20160101ALN20231019BHJP
【FI】
C08J3/12 A CFG
A23K10/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521161
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2021078501
(87)【国際公開番号】W WO2022079192
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】20201894.1
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518247656
【氏名又は名称】テッセンデルロ グループ エヌ.ヴィー.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】フィリエール, ロマン
【テーマコード(参考)】
2B150
4F070
【Fターム(参考)】
2B150AA06
2B150AA07
2B150AB03
2B150AE08
2B150BA01
2B150BD01
2B150BD06
2B150BE01
2B150BE04
2B150CB06
2B150CD12
2B150DA49
4F070AA62
4F070AC12
4F070AE30
4F070BA02
4F070BA04
4F070BA07
4F070DA46
4F070DA48
4F070DC07
(57)【要約】
本発明は、高消化性の部分的加水分解ケラチン系材料を製造するための方法に関し、方法は、(1)水の存在下、加水分解装置中、約2バール~約100バールの圧力で熱を用いてケラチン系材料を加水分解して、部分的加水分解ケラチン系材料を得る工程、(2)工程(1)の部分的加水分解ケラチン系材料を予備乾燥して約50重量%以上の固形分含量を有する半乾燥された部分的加水分解ケラチン系材料を得る工程、及び(3)工程(2)の半乾燥された部分的加水分解ケラチン系材料を、ほぼ大気圧で空気乱流ミル中で同時に乾燥及び粉砕して、乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料を得る工程を含み、得られた乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料は、少なくとも部分的に不溶性の材料を含み、レーザー回折で測定して、空気乱流ミルを出る乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料の平均粒径(d50)は20μm~0.7mmであり、d90は1mm未満である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは羽毛、毛、羊毛、蹄、又は爪から、高消化性の部分的加水分解ケラチン系材料を製造する方法であって、
(1)ケラチン系材料を、水の存在下、加水分解装置中、約2バール~約100バールの圧力で、熱を用いて加水分解して、部分的加水分解ケラチン系材料を得る工程、
(2)工程(1)の前記部分的加水分解ケラチン系材料を予備乾燥して、約60重量%以上、好ましくは60~85重量%の固形分含量を有する半乾燥された部分的加水分解ケラチン系材料を得る工程、及び
(3)工程(2)の前記半乾燥された部分的加水分解ケラチン系材料を、ほぼ大気圧で、空気乱流ミル中で同時に乾燥及び粉砕して、乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料を得る工程を含み、
好ましくは、工程(2)及び(3)は、工程(2)及び(3)によって引き起こされるペプシン及び/若しくは回腸の消化率の低下が10%未満であるように、並びに/又は、前記乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料のペプシン及び回腸の消化率がそれぞれ75%及び80%より高くなるように実施され、
前記得られた乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料は、少なくとも部分的に不溶性の材料を含み、
乾燥粉体用ベックマンコールター粒子径測定装置を使用してレーザー回折で測定される、前記空気乱流ミルを出る前記乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料の平均粒径(d50)は20μm~0.7mmであり、d90は1mm未満である、方法。
【請求項2】
工程(3)の前記半乾燥された部分的加水分解ケラチン系材料の空気乱流ミル中での同時の乾燥及び粉砕が、前記ケラチン系材料が約90℃未満、好ましくは約80℃未満の温度のままであるような温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(2)の前記予備乾燥が、回転ディスク乾燥機、回転パドル乾燥機、回転チューブバンドル乾燥機、ドラム乾燥機、パン型撹拌乾燥機などの、撹拌接触乾燥機とも呼ばれ、大気圧条件若しくは真空下で操作される表面接触乾燥機、又は流動床乾燥機、リング型乾燥機、回転ドラム乾燥機、及び/若しくはベルト乾燥機などの熱風乾燥機、好ましくは大気圧条件若しくは真空下で操作されるディスク乾燥機を含む、従来の乾燥装置を使用して行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(3)の前記空気乱流ミルが、生成物及びガス流のための適切な入口及び出口を有するチャンバを備え、その中に、高速で回転することができる回転部材が、多くの衝撃装置と共に取り付けられ、好ましくは、ステータの内壁に衝撃部材が付けられ、前記回転部材は、20~150m/sの先端速度で回転する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料が、CIE Lb色空間を使用して測定される均質なクリーム色の明るい色を有し、前記ケラチン系材料の(L)値は、約50以上、好ましくは54以上、より好ましくは約60以上であり、及び/又は(b)値は、約10以上、好ましくは約12以上、より好ましくは約14以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料が、乾燥粉体用ベックマンコールター粒子径測定装置を使用するレーザー回折で測定される、約20μm~約0.5mm、好ましくは約50μm~約300μmの平均粒径(d50)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記乾燥及び粉砕された消化性ケラチン系材料が、約20以下、好ましくは約15以下のd10で除したd90を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記空気乱流ミルを出る前記乾燥及び粉砕された消化性ケラチン系材料が、約0.2g/cm以上、好ましくは約0.25g/cm以上の注入密度を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記空気乱流ミルを出るときの前記乾燥及び粉砕された消化性ケラチン系材料が、約0.25g/cm以上、好ましくは約0.3g/cm以上、さらにより好ましくは約0.35g/cm以上のタップかさ密度を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
全血、凝固血液(例えば、蒸気凝固血液)、乾燥血液ミール、半乾燥血液ミール又は他の血液画分などの血液製品が、工程(1)で得られた前記部分的加水分解ケラチン系材料と一緒に工程(2)の従来の乾燥装置に供給され、乾燥重量に基づく血液とケラチン系材料の相対量が、約10~50重量%の血液と約50~90%のケラチン系材料である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
全血、凝固血液(例えば、蒸気凝固血液)、乾燥血液ミール、半乾燥血液ミール又は他の血液画分などの血液製品が、工程(2)で得られた前記半乾燥された部分的加水分解ケラチン系材料と一緒に工程(3)の前記空気乱流ミルに供給され、乾燥重量に基づく血液とケラチン系材料の相対量が、約10~50重量%の血液と約50~90%のケラチン系材料である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
血液を含む、又は含まない前記得られた乾燥したケラチン系材料が、それぞれ約80%及び約90%より高い、より好ましくはそれぞれ約82%及び約92%より高いペプシン及び/又は回腸の消化率を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ペットフード中又は水産養殖飼料用などでの飼料及び/又は飼料添加物としての、又は化粧品中での、ペットフード及び食味増強剤の担体及び/又は増量剤としての、請求項1~12のいずれか一項に記載の乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料の使用。
【請求項14】
フェザーミール処理ラインなどのケラチン系材料処理ラインを、その既存の従来の乾燥装置に、空気乱流ミルをその補助装置と共に追加することによって改造する方法であって、好ましくは、前記ケラチン系材料処理ラインは加水分解装置を含む、方法。
【請求項15】
フェザーミール処理ラインなどのケラチン系材料処理ラインであって、
(i)加水分解装置、
(ii)従来の乾燥機、及び
(iii)空気乱流ミルを含み、
前記加水分解装置と前記従来の乾燥機は、前記加水分解装置の生産物の少なくとも一部、好ましくは全部が前記従来の乾燥機に供給され得るように配置され、前記従来の乾燥機と前記空気乱流ミルは、前記従来の乾燥機の生産物の少なくとも一部、好ましくは全部が前記空気乱流ミルに供給され得るように配置される、処理ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェザーミール又は毛由来のミールなどの高消化性加水分解ケラチン系材料を製造するための改善された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動物の羽毛、毛、羊毛、蹄、爪などはケラチン系材料の供給源である。このようなケラチン系材料は、一般に家禽、ブタ、ウシ、ヒツジなどからの副産物であり、タンパク質含量は高いが、そのようなタンパク質の多くは難消化性であり、例えば、わずかに20%程度のタンパク質しか消化できない。家禽の羽毛は一般的には、β-ケラチンの形態で約80~90%のタンパク質を含有する。ケラチンはタンパク質中に架橋を生じる比較的多量のシステインを含有する。(ジ)スルフィド架橋による架橋度が高いことが、例えば羽毛中のタンパク質の多くが難消化性である理由である。したがって、そのタンパク質含量を動物が消化できるようにするには、ケラチンが切断されなければならない(McCasland and Richardson 1966,Poult.Sci.,45:1231~1236;Moranら 1966 Poult.Sci.,45:1257~1266)。したがって、加水分解された羽毛は、消化性タンパク質及びアミノ酸の貴重な供給源を提供することができる。したがって、羽毛加水分解物(すなわち、加水分解された羽毛)は、動物飼料、ペットフード及び水産養殖飼料などの多くの方法で利用することができる。
【0003】
羽毛又は毛を処理して消化率を高め、家禽及び家畜に給餌するためのタンパク質供給源としてそれらの使用を可能にする方法は、当技術分野において公知である。一般に、このような方法は、加水分解を用いてケラチン系タンパク質中のスルフィド架橋を破壊し、得られた加水分解タンパク質を飼料に組み込むことを含む。ケラチン含有原料の処理に一般的に使用される方法は、1)熱水及び加圧処理法、2)酸、アルカリ、及び/又は酵素加水分解法、あるいは3)これらの組合せに細分される。
【0004】
フェザーミールなどの部分的加水分解ケラチン系材料を製造するためのいくつかの方法が当技術分野で知られており、米国特許第5772968号、米国特許第4286884号、米国特許第4172073号、及び欧州特許第2832236号が挙げられる。
【0005】
ケラチン系材料は一般に、消化性を改善するために、完全にモノアミノ酸に加水分解されることはない。ケラチン系材料の部分的加水分解から得られる材料は、部分的に水に不溶性であり、液体(溶解材料)と固体(不溶性材料)との混合物を含み得る。一般に、得られた生成物を続いて乾燥させて固体生成物を得る。乾燥は、例えばペプシン及び/又は回腸の消化率試験による材料の消化率に影響を与え得る。
【0006】
熱感受性アミノ酸及びポリペプチドの分解並びに得られる生成物の比較的低い消化率などの現在の手順の欠点により、過酷な処理条件を必要としないケラチン系材料の経済的な新しい加水分解方法に引き続き関心が集まっている。
【0007】
国際公開第2015/014860号には、乾燥温度を低く保つために、好ましくは乾燥工程を減圧下で実施する方法が記載されており、それにより、乾燥中にフェザーミールの分解はほとんど生じない。
【0008】
国際公開第2017/121897号には、乾燥工程を、部分的加水分解ケラチン系材料を同時に乾燥及び粉砕することによって実施する方法が記載されている。
【0009】
ホソカワミクロングループ(Hosokawa Micro Group)のパンフレット、Functional Proteinsには、空気乱流ミル及びその使用のいくつかの利点が開示されている。それには、その乾燥機が噴霧乾燥機及び他の乾燥機に代わる、より経済的なものであることが開示されている。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、良好な粉末特性を有する一方で、非常に高い消化率を有し、高い栄養価を有する部分的加水分解ケラチン系材料を効率的なプロセスで製造するための改善された方法を提供することである。
【0011】
本発明のこの目的は、好ましくは羽毛、毛、蹄、羊毛、又は爪から、部分的に加水分解された消化性のケラチン系材料を製造するための方法によって達成され、方法は、
(1)ケラチン系材料を、水の存在下、加水分解装置中、約2バール~約100バールの圧力で、熱を用いて加水分解して、部分的加水分解ケラチン系材料を得る工程、
(2)工程(1)の部分的加水分解ケラチン系材料を予備乾燥して、約50重量%以上、好ましくは50~85重量%の固形分含量を有する半乾燥された部分的加水分解ケラチン系材料を得る工程、及び
(3)工程(2)の半乾燥された部分的加水分解ケラチン系材料を、ほぼ大気圧で、空気乱流ミル中で同時に乾燥及び粉砕して、乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料を得る工程を含み、
好ましくは、工程(2)及び(3)は、工程(2)及び(3)によって引き起こされるペプシン及び/若しくは回腸の消化率の低下が10%未満であるように、並びに/又は乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料のペプシン及び回腸の消化率がそれぞれ75%及び80%より高くなるように実施され、
得られた乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料は、少なくとも部分的に不溶性の材料を含み、乾燥粉体用ベックマンコールター粒子径測定装置を使用してレーザー回折で測定して、空気乱流ミルを出る乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料の平均粒径(d50)は、20μm~0.7mmであり、d90は、1mm未満である。
【0012】
本発明のさらなる目的は、飼料用途のための改善された栄養価を有する高消化性の部分的加水分解ケラチン系材料を提供することである。
【0013】
本発明のこれらの、及びさらなる態様を以下に考察する。
【0014】
本発明者らは、フェザーミールなどの部分的加水分解ケラチン系材料の消化率が、従来の乾燥機(ディスク乾燥機、真空ディスク乾燥機、滞留時間の長い熱風乾燥機など)が使用される場合、乾燥によって著しく低下することを見出した。特に、驚くべきことに、消化率の低下は、従来の乾燥機によって乾燥される部分的加水分解ケラチン系材料の水分含有量の減少とは非線形の関係を示すことを見出した。消化率は、乾燥段階の大部分にわたって実質的に影響を受けないままであり、乾燥の最終段階の間に急速に低下する。したがって、乾燥が適時に停止され、残留水分の除去が空気乱流ミルを使用して行われるという条件で、従来の乾燥機(ディスク乾燥機、滞留時間の長い熱風乾燥機など)を使用して、消化率に全く影響を及ぼすことなく、又は最小限の影響で、材料から著しい量の水分を除去することが可能であることを見出した。
【0015】
本発明の方法は多くの利点を有する。本方法の工程(3)の前の予備乾燥によって、空気乱流ミル中での同時の乾燥及び粉砕と比較して、従来のより経済的な乾燥技術で水分含有量の大部分を除去することができる。しかしながら、本発明の工程(2)及び(3)の組合せによって、乾燥を空気乱流ミル中での同時の乾燥及び粉砕によってのみ行う乾燥プロセスと比較して、依然として望ましい消化率及び粒径特性の特徴が有益に得られる。
【0016】
本発明の方法は、乾燥が従来の乾燥機(すなわち、回転ディスク乾燥機、回転パドル乾燥機、回転チューブバンドル乾燥機、ドラム乾燥機、パン型撹拌乾燥機などの撹拌接触乾燥機とも呼ばれ、大気圧条件若しくは真空下で操作される表面接触乾燥機、又は流動床乾燥機、リング型乾燥機、回転ドラム乾燥機、及び/若しくはベルト乾燥機などの熱風乾燥機、好ましくは大気圧条件若しくは真空下で操作されるディスク乾燥機)で行われる既存の従来のラインを容易に改造できるという利点を有する。実際、そのような従来のラインの既存の乾燥装置を完全に置き換える代わりに、乾燥工程を完了するために1つの空気乱流ミルを追加することで十分である。必要に応じて、例えば、乾燥能力を維持するために、2つ以上の空気乱流ミルを既存の乾燥装置に追加してもよい。したがって、同じ乾燥能力を維持するために、そのような従来のラインの既存の乾燥装置全体を多くの空気乱流ミルで置き換える必要はない。
【0017】
さらに、水分除去の最終部分のみを空気乱流ミルによって行うことから、必要な空気乱流ミルの容量、したがって量(又はサイズ)は、全ての乾燥工程を空気乱流ミルによって行う場合よりも小さい。このように、既存の従来のラインの改造は、本発明の方法を使用して、より迅速で、より簡略化され、より経済的である。
【0018】
さらに、短時間での工程(3)の効率的な乾燥によって、例えば、好ましくは80%以上、又はさらに82%以上、例えば85%以上のようなペプシンの消化率、及び85%超、又はさらには90%超、例えば92%以上のような回腸の消化率などの優れた品質属性を有する生成物が得られる。さらに、国際公開第2015/014860号に記載されているような真空ディスク乾燥機で使用される60~90分に対して、総乾燥時間を短縮することができる。
【0019】
本開示に照らして当業者によって理解されるように、工程(2)及び(3)は異なり、異なる乾燥技術によるなど、固形分を増加させるための異なる手段を用いて実施される。乾燥技術は、圧搾機を使用して含水量を減少させることとは異なり、水の蒸発を利用してケラチン系材料の含水量を低下させる。スクリュー圧搾機の使用では、可能な水の減少は約45%に事実上制限され、圧力をさらに増加させた場合、ケラチン系材料があまりに硬い材料の塊になる。工程2で使用される乾燥技術によって、一般に、10重量%未満の水分のケラチン系材料を得ることができる。
【0020】
本発明の方法はまた、乾燥生成物のサルモネラなどによる微生物汚染の危険性を著しく軽減するというさらなる利点を有する。ロータの高回転速度及びガス流によって生成される乱流のために空気乱流ミル内にデッドゾーンがないこと、及び製造運転中に必要に応じてガス流の温度を容易に上昇させることができることは、生成物の堆積又はコールドスポットを回避し、したがって微生物汚染を防止及び軽減するための重要な要因である。
【0021】
本発明はさらに、製造ラインの乾燥装置の後に空気乱流ミルを追加することを含むフェザーミール製造ライン(又は他のタイプのケラチン系材料の製造ライン)を改造する方法に関し、ここで、上記ラインは、羽毛を加水分解するための装置と加水分解された羽毛を乾燥させるための乾燥装置とを含み、上記乾燥装置は、ディスク乾燥機、真空ディスク乾燥機、流動床乾燥機、ベルト乾燥機、滞留時間の長い熱風乾燥機などのうちの1つ以上である。
【0022】
別の態様において、本発明は、フェザーミールラインなどのケラチン系材料の処理ラインに関し、処理ラインは、
(i)加水分解装置、
(ii)従来の乾燥機(回転ディスク乾燥機、回転パドル乾燥機、回転チューブバンドル乾燥機、ドラム乾燥機、パン型撹拌乾燥機などの撹拌接触乾燥機とも呼ばれ、大気条件若しくは真空下で操作される表面接触乾燥機、又は流動床乾燥機、リング型乾燥機、回転ドラム乾燥機、及び/若しくはベルト乾燥機などの熱風乾燥機、好ましくは大気圧条件若しくは真空下で操作されるディスク乾燥機)、及び
(iii)空気乱流ミルを含み、
加水分解装置と従来の乾燥機は、加水分解装置の生産物の少なくとも一部、好ましくは全部が従来の乾燥機に供給され得るように配置され、
従来の乾燥機と空気乱流ミルは、従来の乾燥機の生産物の少なくとも一部、好ましくは全部が空気乱流ミルに供給され得るように配置される。
【0023】
このような処理ラインは、改造プラントだけでなく、大規模羽毛処理プラントにおいても有利である。例えば、1時間当たり10トン以上の処理量を有する大規模処理プラントでは、全ての生成物を乾燥させることができるように多数の空気乱流ミルが必要であり、これは投資コストの観点から不利であり得る。ディスク乾燥機と1つ又は2つのみの空気乱流ミルとの組合せが、投資コストがより低く、一方で依然として高品質のフェザーミールを製造することができることから、費用対効果が良いものであり得る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
「約」という用語は、±20%、好ましくは±10%、より好ましくは±5%、最も好ましくは±2%を意味する。
【0025】
「ケラチン系」という用語は、「ケラチン性」という用語もまた包含し、これは、羽毛、蹄、羊毛、爪、毛などの高いケラチン含量を有する全ての材料を意味する。
【0026】
本明細書で使用する場合、「ケラチン加水分解物」という用語は、ケラチンを含む材料の加水分解後に得られる生成物を指す。
【0027】
原材料
本発明で使用されるケラチン系材料としては、好ましくは、羽毛、毛、羊毛、蹄又は爪が挙げられる。羽毛は家禽(ニワトリ、七面鳥、アヒルなど)からの副産物であり、毛及び羊毛はブタ、ウシ、ヒツジなどからの副産物である。蹄又は爪は、様々な動物源に由来してもよく、ケラチン系材料の供給源として粉砕形態で使用することができる。
【0028】
好ましい実施形態では、羽毛が実質的な量で連続的に入手可能であることから、この材料がケラチン系材料として使用され、それにより、ケラチン系材料を製造する工業プラントを連続的に稼働させることができる。
【0029】
有益なことに、本発明の方法に従って製造されたケラチン系材料は、動物飼料中の貴重なタンパク質供給源及び/又はアミノ酸供給源を提供することができる。例えば、ケラチン系材料は、以下のアミノ酸、すなわち、メチオニン、システイン、リジン、スレオニン、アルギニン、イソロイシン、ロイシン、バリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、グリシン、セリン、プロリン、アラニン、アスパラギン酸、チロシン、トリプトファン及びグルタミン酸のうちの1つ以上の供給源を提供することができる。
【0030】
本発明で使用するためのケラチン系材料は、好ましくは、少なくとも17個のアミノ酸を含む高タンパク質含量(一般に、乾燥物質の70重量%超)を有する。タンパク質含量は、通常、窒素の総量を測定し、上記総窒素含量にいわゆるジョーンズ係数6.25を掛けることによって決定される。その結果がタンパク質の理論量である。一般に、羽毛は固形分に対して70~90%のタンパク質を含み、屠殺場から収集された未処理の羽毛中の固形分の量は一般に約30重量%である。フェザーミールは一般に、8重量%未満の水分と仮定して、約72~約87重量%のタンパク質を含有する。
【0031】
本発明の一実施形態では、屠殺された動物の血液、例えば全血、凝固血液(例えば蒸気凝固血液)、乾燥血液ミール、半乾燥血液ミール又は他の血液画分もまた、ケラチン系材料と一緒に処理してもよい。
【0032】
血液製品(全血、凝固血液(例えば、蒸気凝固血液)、乾燥血液ミール、半乾燥血液ミール又は他の血液画分など)を、加水分解工程の前に、未処理の羽毛又は他のケラチン系材料と混合し、本発明の方法に従って加水分解し乾燥させて、食品又は飼料製品としての使用に適したミールを得ることができる。例えば、血液製品(全血、凝固血液(例えば、蒸気凝固血液)、乾燥血液ミール、半乾燥血液ミール又は他の血液画分など)及び羽毛を、別々の入口から加水分解装置に導入して、加水分解装置中で混合及び加水分解してもよい。
【0033】
さらには、又は代替的に、血液製品(全血、凝固血液(例えば、蒸気凝固血液)、乾燥血液ミール、半乾燥血液ミール又は他の血液画分など)を、工程(2)に送る前に、工程(1)で得られた湿潤した部分的加水分解ケラチン系材料と組み合わせてもよい。
【0034】
さらには、又は代替的に、本発明の好ましい実施形態では、血液製品(全血、凝固血液(例えば、蒸気凝固血液)、乾燥血液ミール、半乾燥血液ミール又は他の血液画分など)を、工程(3)の空気乱流ミルに入れる前に、工程(2)で得られた半乾燥された部分的加水分解ケラチン系材料と組み合わせてもよい。
【0035】
血液製品は、好ましくは、生蒸気と直接接触させ混合することによって最初に凝固させ、さらに遠心分離して凝固血液から血液水を機械的に除去した、未処理の全血から得られる凝固血液である。あるいは、動物の屠殺後の凝固していない血液を使用することができる。血液は、EDTAやクエン酸塩などの従来の抗凝固剤で処理してもよい。あるいは、赤血球を、浸透圧ショック、pHショックなどによって溶解させる。次いで、血液を、ケラチン系材料について記載された方法に従ってさらに処理してもよく、血液が凝固していない場合は、好ましくは、未処理のケラチン系材料と混合して、本明細書に記載の方法の工程(1)で処理する。
【0036】
血液をケラチン系材料と組み合わせて使用する場合、羽毛又は他のケラチン系材料と一緒に使用され得る血液に対するケラチン系材料の好適な量の比としては、1~10、好ましくは1.3~3が挙げられる。一般に、乾燥物質に基づく相対量は、約10~50重量%の血液製品と50~90重量%のケラチン系材料、好ましくは25~45重量%の血液製品と55~75重量%のケラチン系材料である。
【0037】
工程(1)-加水分解プロセス
本発明の方法の工程(1)におけるケラチン系材料の部分的加水分解は、好ましいプロセスでは以下の、(a)未処理の羽毛又は他のケラチン系材料、任意で未処理の血液を連続式又は不連続式の垂直又は水平加水分解装置に投入する工程(未処理の羽毛の場合、これらは例えば55%~70%の水分を有し、その水分は概して、羽毛をむしり取る前に鳥が熱水に入れられ、その後、むしり取られた羽毛は、受入れビン内に排出される前に水中で遠心分離機、又は圧搾機に搬送されるため、屠殺場由来のものである)、(b)蒸気ジャケット(及び/又は直接の蒸気の注入)によって加水分解装置を加熱し、水の蒸発及び/又は直接の蒸気注入によって圧力を上昇させ、5秒~240分まで、好ましくは90秒~30分まで、より好ましくは5分~40分、最も好ましくは10~30分の間、圧力を約2バール~約100バール、好ましくは約2~約15バール、より好ましくは2~8バールに維持する工程、(c)減圧して乾燥セクションに排出する工程、である。適切な加水分解を得るためには、より低い圧力では一般により長い処理時間が必要であり、一方、より高い圧力ではより短い処理時間を必要とする。
【0038】
未処理のケラチン系材料は、加水分解装置に投入する前に、粉砕又は破砕してサイズを小さくしてもよい。一般に、羽毛及びブタ又はウシの毛のサイズは小さくする必要はない。
【0039】
湿潤した未処理のケラチン系材料は一般に、加水分解装置に供給されるときに約30~約80%の含水量(ケラチン系材料+水分の総重量に対する水分%)を有し、好ましくは含水量は約50重量%以上であり、一般に約70%前後である。添加した水は除去する必要があり、また加水分解装置内で加熱するためにエネルギーを要するため、75重量%未満の水分(すなわち、1部の乾燥物質のケラチン系材料に3部未満の水)を使用することが好ましい。したがって、好ましい水の量は、約65重量%以下(1部の乾燥物質のケラチン系材料、好ましくは羽毛に対して最大で約2部の水)である。
【0040】
圧力が高いほどコストが高くなるため、加水分解装置は一般に、約15バール以下、好ましくは10バール以下の圧力で作動する。しかしながら、使用する装置のタイプに応じて、100バールまでの圧力を使用することができる。圧力は一般に約2バール以上である。加水分解の程度及び速度を向上させるためには、より高い圧力が好ましい。したがって、圧力は、好ましくは約4バール以上、さらにより好ましくは約6バール以上である。一般に、圧力は約9バール以下である。圧力は絶対圧のバールとして与えられる。
【0041】
水熱法による加水分解反応は、水、温度及び圧力の作用によってペプチド結合を分解する。一般に、酸又は塩基は存在しないが、いくらかは屠殺場から来るケラチン系材料中に存在し得る。一般に少量の添加試薬、例えば水酸化カルシウム又はCibenza、Valkerase酵素調製物のような高温耐性酵素を使用することができる。活性試薬として水/蒸気のみを用いる加水分解反応を有することが好ましい。
【0042】
工程(1)における加水分解は、一般に蒸気加水分解装置と呼ばれる加水分解装置中で行われる。このような加水分解装置は、本質的に撹拌容器であり、バッチ又は連続プロセスとして操作することができる。加水分解装置は、好ましくは、連続プロセスを可能にし、押出機又は垂直撹拌容器のような撹拌管状容器である。加水分解装置は、水平加水分解装置であっても、又は垂直加水分解装置であってもよい。撹拌は、好ましくは、ゆっくりと推進するスクリュータイプのミキサー、パドルなどを用いて行われる。
【0043】
加水分解工程(1)は、一般に約5秒~約240分、好ましくは90秒以上であり、約15バール未満の圧力では、一般に約5分~約240分、好ましくは約10分~約180分継続する。より低い圧力は一般に、より長い反応時間を必要とする。加水分解装置における滞留時間が約60分以下、最も好ましくは約40分以下であるような方法で反応を行うことが好ましい。
【0044】
蒸気は、直接注入してもよく、及び/又は間接加熱のために使用してもよい。間接加熱はまた、例えば熱媒体油コイルを用いて行ってもよい。最終的に、圧力は必要とされる圧力でなければならず、水の量は、好ましくは、選択された圧力及び温度で飽和蒸気が存在するような量である。好ましくは、存在する蒸気の量は、ケラチン系材料1kg当たり約200グラム以上の蒸気である。
【0045】
工程(2)-従来の乾燥装置を使用した半乾燥生成物への予備乾燥
部分的加水分解ケラチン系材料を、この後、本発明の工程(2)に従って、従来の乾燥装置を使用して予備乾燥する。
【0046】
本発明において、従来の乾燥装置は表面接触乾燥機及び熱風乾燥機と呼ばれる。したがって、乾燥は、湿潤したケラチン系材料への熱伝達によって行われる。これは、単に圧力を使用してケラチン系材料から水を搾り出す圧搾機とは異なる。スクリュー圧搾機では、そのような湿潤したケラチン系材料で達成することができる最大固形分は、実際には約55%である。より高い圧力では、必要な電力の入力が高すぎ、材料の損失が観察される。対照的に、本明細書で使用される従来の乾燥装置は、水分が10重量%未満の乾燥した材料を得ることができる。
【0047】
撹拌接触乾燥機とも呼ばれる表面接触乾燥機では、水分蒸発のための熱は、蒸気又は熱媒油又は他の流体によって、加熱された壁又は管からの伝導によって供給される。このような乾燥機には、回転ディスク乾燥機、回転パドル乾燥機、回転チューブバンドル乾燥機、ドラム乾燥機、パン型撹拌乾燥機などが挙げられ、大気圧条件又は真空下で操作することができる。
【0048】
熱風乾燥機には、流動床乾燥機、リング型乾燥機、回転ドラム乾燥機、及び/又はベルト乾燥機が挙げられ、湿潤した生成物と直接接触するガス流、一般に空気(低酸素であり得る)が使用される。
【0049】
代替的に、又は上述の従来の乾燥装置と組み合わせて、加水分解装置がバッチ式加水分解装置である場合、予備乾燥は加水分解装置自体で行ってもよく、含水量の低減に寄与する。
【0050】
これらの従来の乾燥機における滞留時間は、一般的に1分以上、好ましくは5分以上である。滞留時間は最大で2時間であってもよい。ディスク乾燥機の滞留時間は1又は2時間であり得るが、流動床乾燥機の滞留時間は10~20分であり得、リング型乾燥機の滞留時間はさらにわずかに短くてもよい。
【0051】
本発明の好ましい実施形態では、工程(2)は粉砕を含まない。本発明の実施形態では、ケラチン系材料の平均粒径(D50)は、工程(2)の間に40%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満減少し、最も好ましくは、平均粒径(D50)は工程(2)の間には有意に変化しない。
【0052】
加水分解装置を出る生成物は一般に、大きな粒径範囲を有する。特に、それは微細な材料と粗い材料との混合物であり、大きな粒径分布を有する。一般に、製品の少なくとも10重量%は2mmより大きい粒子からなり、一部の粒子は最大で1cmである。加水分解装置を出る生成物、又は加水分解装置を出る生成物から水を搾り出す場合は圧搾機を出る生成物は、多くの場合、20%以上の2mmを超える粒子を含む。
【0053】
乾燥は、一般に多くの工程で行われる。第1の工程は、水の一部を蒸発させながら、加水分解装置を出る混合物(工程(1)の部分的加水分解ケラチン系材料を含む)を大気圧にすることを含む。この水蒸気は、さらに熱酸化装置で直接酸化してもよいし、凝縮して廃水処理プラントなどで処理してもよい。
【0054】
本発明の好ましい一実施形態では、その水の一部が圧力の低下のために蒸発している加水分解装置を出る混合物(工程(1)の部分的加水分解ケラチン系材料を含む)は、予備乾燥工程(2)に供給される前に圧搾工程で処理される。この圧搾工程では、ケラチン系材料から水の一部を除去して、含水量を例えば約65重量%~約45重量%にする。
【0055】
加水分解工程後にケラチン系材料から圧搾された水は一般に、スティックウォーターと呼ばれる。スティックウォーターは栄養価を有する可溶化タンパク質が豊富である。スティックウォーターは、一般的なやり方として廃熱回収を使用して蒸発によって濃縮され、適切な乾燥システムを使用してそれ自体でさらに乾燥され、そのままで価値化されてもよいが、一般には、乾燥フェザーミールを製造するために、濃縮され、加水分解された羽毛に戻される。
【0056】
本発明の一実施形態では、加水分解工程後にケラチン系材料から搾り出され得るスティックウォーターは、好ましくは濃縮され、濃縮溶液は、固体のケラチン系材料とは別に空気乱流ミルに注入してもよく、又はケラチン系材料を空気乱流ミルに導入する前に混合して戻してもよく、あるいは工程2で使用される乾燥機の供給物に混合してもよい。
【0057】
代替的な、より好ましい実施形態では、本発明の方法において、大気圧まで減圧された加水分解装置を出る混合物を、依然として高温である間に、本明細書に記載の予備乾燥工程(2)に直接供給する。
【0058】
乾燥プロセスは、フェザーミールなどのケラチン系材料の最終品質にとって非常に重要である。一般的な乾燥技術は、消化率を低下させると考えられる。特に、驚くべきことに、部分的加水分解ケラチン系材料の消化率の低下は、従来の乾燥機によって乾燥される部分的加水分解ケラチン系材料の含水量の減少とは非線形の関係を示すことを見出した。消化率は、乾燥段階の大部分にわたって実質的に影響を受けないままであり、乾燥の最終段階の間に急速に低下する。したがって、乾燥が適時に停止され、残留水分の除去が空気乱流ミルを用いて行われるという条件で、本明細書に記載の従来の乾燥機を使用して、消化率に全く影響を及ぼすことなく、又は最小限の影響で、材料から著しい量の水分を除去することが可能であることを見出した。
【0059】
本発明の好ましい実施形態によれば、工程(2)は、本明細書に記載の従来の乾燥装置を使用して、工程(1)の部分的加水分解ケラチン系材料を乾燥させることを含む。
【0060】
本発明の好ましい実施形態では、工程(2)は、工程(1)の部分的加水分解ケラチン系材料を、少なくとも約55重量%、好ましくは少なくとも約60重量%、より好ましくは少なくとも約65重量%、さらにより好ましくは少なくとも約70重量%、なおより好ましくは少なくとも約75重量%、なおさらにより好ましくは少なくとも約80重量%の固形分含量まで予備乾燥することを含む。
【0061】
上で説明したように、予備乾燥工程(2)は、熱を加えて水分を蒸発させる従来の乾燥装置を使用する。
【0062】
本発明の好ましい実施形態では、工程(2)は、工程(1)の部分的加水分解ケラチン系材料を、約76重量%、又は77重量%、又は78重量%、又は79重量%、又は80重量%、又は81重量%、又は82重量%、又は83重量%、又は84重量%、又は85重量%、又は86重量%、又は87重量%、又は88重量%、又は89重量%、又は90重量%の固形分含量まで予備乾燥することを含む。
【0063】
本発明の好ましい実施形態では、工程(2)は、工程(1)の部分的加水分解ケラチン系材料を、90重量%以下、好ましくは85重量%以下、より好ましくは最大でも、従来の乾燥装置を用いてさらに乾燥させた場合に半乾燥された部分的加水分解ケラチン系材料の消化率が著しく低下し始める点までの固形分含量まで予備乾燥することを含む。
【0064】
本発明の好ましい実施形態では、工程(2)は、工程(1)の部分的加水分解ケラチン系材料を、少なくとも50~80重量%、より好ましくは約55~80重量%、より好ましくは60~80重量%、より好ましくは65~80重量%の固形分含量まで予備乾燥することを含む。
【0065】
好ましくは、工程(2)の間のケラチン系材料の温度は、約90℃以下、好ましくは約80℃以下、より好ましくは約75℃以下、例えば約60~約75℃、又は例えば約70℃以下の温度に維持される。したがって、好ましくは、工程(2)は、工程(1)の部分的加水分解ケラチン系材料を、大気圧で作動するディスク乾燥機又は真空ディスク乾燥機を用いて予備乾燥することを含み、ここで、工程(2)の間のケラチン系材料の温度は、約90℃以下、好ましくは約80℃以下、より好ましくは約75℃以下に維持される。
【0066】
大気圧条件又は真空下で作動する回転ディスク乾燥機、回転パドル乾燥機、回転チューブバンドル乾燥機、ドラム乾燥機、パン型撹拌乾燥機などの蒸気又は熱媒油又は他の流体によって加熱された壁又は管からの伝導によって水分蒸発のための熱が供給される撹拌接触乾燥機とも呼ばれる表面接触乾燥機を使用する場合、それが単独の乾燥手段として使用される場合の通常の操作と比較して乾燥効果を低減するために、乾燥機への湿潤供給物の流量を増加させる、及び/又は二重エンベロープ内の蒸気圧若しくは加熱流体の温度を低下させる、及び/又は回転速度(生成物の処理量)を増加させる、又はそれらの組合せを行う必要がある。本発明の工程(2)によって必要とされる半乾燥生成物の所望の残留水分含量を達成するために、そのような操作設定(供給速度、蒸気圧、回転速度)を調整することは、当業者のルーティング能力(routing capabilities)の一部である。
【0067】
あるいは、ステップ(2)は、流動床乾燥機、リング型乾燥機、回転ドラム乾燥機など(本明細書では「熱風乾燥機」と表される)の熱風の流れの中で、部分的加水分解ケラチン系材料を効果的に乾燥させることを含んでもよい。そのような場合、それが単独の乾燥手段として使用される場合の通常の操作と比較して熱暴露を最小限に制限することが重要である。本発明の工程(2)によって必要とされる半乾燥生成物の所望の残留水分含量を達成するために、そのような操作設定(供給速度、空気又はガスの温度、空気又はガスの流れ)を調節することは、当業者の通常の能力の一部である。
【0068】
工程(3)-空気乱流ミルを用いた最終乾燥
予備乾燥工程(2)を出た半乾燥生成物は、好ましくは高温のまま空気乱流ミルに直接供給されることが好ましい。そのような好ましい場合、湿って熱い半乾燥生成物は、周囲温度のガス流を使用して空気乱流ミル中で材料を乾燥させることができるほど多くのエネルギーを依然として有している。湿潤した半乾燥生成物は、一般に約70℃以上、例えば約80℃以上、例えば約70℃~100℃の温度を有する。ケラチン系材料は大気圧であるため、温度は約100℃(周囲圧力に依存する)以下である。
【0069】
本発明の非常に好ましい実施形態では、工程(3)は、工程(2)からの半乾燥された部分的加水分解ケラチン系材料を、約10重量%以下、好ましくは約8重量%以下の残留水分含量まで乾燥させることを含む。約4重量%未満の残留水分含量まで乾燥させることは一般に必要ではないが、害はない。乾燥は、最も好ましくは、約5~7重量%の残留水分含量まで行われる。乾燥により、貯蔵安定性のある生成物が得られる。本発明の好ましい実施形態では、工程(3)の乾燥は、小さい粒子を形成しながら大気圧で行われるため、乾燥が非常に効率的である。大気圧とは、ガスの流れ及び粉末の輸送を助けるためにしばしば使用されるわずかな真空を含む。小粒子の形態の乾燥生成物をガス流から分離し、この分離は一般に、1つ以上のサイクロン、好ましくは1つのサイクロンにおいて、又はバッグフィルタ若しくは両方の組合せによって、及び回転式エアロック弁によって行われる。ミルの前の圧力は、-5~-8ミリバールであってよく、ミルの後の圧力は-30~-50ミリバールであってよい。
【0070】
1つの好ましい実施形態では、工程(1)から得られる部分的に加水分解された材料を、限定的な熱損傷から低い熱損傷を可能とする方法を用いて工程(2)において予備乾燥し、それにより、工程(2)によって引き起こされる部分的加水分解ケラチン系材料の消化率の低下が制限される。したがって、工程(3)で得られた乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料は、それぞれ約80%超及び85%超の、好ましくはそれぞれ約82%超及び90%超の、より好ましくはそれぞれ約85%超及び92%超のペプシン及び/又は回腸の消化率で特徴付けられる。より好ましくは、工程(2)及び(3)は、工程(2)及び(3)によって引き起こされるペプシン及び/又は回腸の消化率の低下が5%未満であるように行われる。熱損傷の低いそのような材料を得るために、本発明の発明者らは、部分的加水分解ケラチン系材料からの水分除去の最後の部分を、材料を同時に粉砕しながらガス流で乾燥させて行うべきであることを見出した。本発明者らは、粉砕作用の結果生じる小粒子が加水分解された材料の速やかな乾燥を助けることから、空気乱流ミルを使用することにより、ケラチン系材料のインビトロでの消化率及び材料特性のさらなる改善が実現可能であることを見出した。
【0071】
したがって、本発明によれば、工程(1)から得られる部分的に加水分解された材料を、最初に上記のように工程(2)で予備乾燥し、続いて、方法の工程(3)において空気乱流ミルを使用してガス流、一般的には空気(低酸素であり得る)で同時に乾燥させ、粉砕する。空気乱流ミルは高速粉砕及び乾燥効果の利点を有し、本発明による空気乱流ミルの使用はガス流、一般には空気流中で乾燥させる材料を密閉チャンバ内の高速ロータに導入することによって、半乾燥された部分的加水分解ケラチン系材料を乾燥させ、同時に微粉化又は粉砕する。
【0072】
空気乱流ミルは一般に、生成物及びガス流のための適切な入口及び出口を有するチャンバ(ステータ)を備え、チャンバ内には、回転部材(ロータ)が多くの衝撃装置と共に取り付けられ、回転部材は高速で回転することができる。ステータの内壁には、付加的な摩擦及びせん断力で粉砕効率を高めるために、波形シートなどの衝撃部材が付けられていることが好ましい。ロータは一般に、出口に対して垂直に置かれる。
【0073】
いくつかのタイプの空気乱流ミルが存在する。それらは一般に、乱流空気粉砕ミル又はボルテックス空気ミルと呼ばれる。これらのうちのいくつかは「スピン乾燥粉砕機」とも呼ばれ、他のものは「瞬間乾燥粉砕機」とも呼ばれる。スピン乾燥粉砕機及び瞬間乾燥粉砕機は基本的に、非常に短時間で湿潤した生成物を乾燥させ粉砕する。ロータは一般に、出口に対して垂直に配置される。本発明は、「空気乱流ミル」という概念の下でそれらの全てを使用することを意図している。使用するエネルギーがより少ないように考えられることから、垂直に配置されたロータを使用することが好ましい。
【0074】
Atritor(Cell Mill)、ホソカワ(ドライマイスタ)、Larsson(Whirl flash)、Jackering(Ultra Rotor)、Rotormill、Gorgens Mahltechnik(TurboRotor)又はSPX製の当技術分野で知られているものなどの空気乱流ミルを、本発明における乾燥及び粉砕に使用することができる。そのような空気乱流ミルのいくつかは、例えば、米国特許第4747550号、国際公開第1995/028512号及び国際公開第2015/136070号に記載されている。
【0075】
空気乱流ミルは、より大きい粒子とより小さい粒子とを分離させる分級機を含んでもよい。分級機を使用して、より大きな粒子を粉砕機に戻すことができ、一方で、より小さな粒子をさらなる処理のために排出することができる。別の実施形態では、分級機の外に2つの出口を有することによって、異なる粒径及びバルク特性を有する2つ以上のグレードの粒子状フェザーミールが製造される。
【0076】
空気乱流ミル中での乾燥は、高速ロータ中へのガス流(一般に空気、これは低酸素であり得る)を用いて行われる。入口温度は、一般に約20℃~500℃、好ましくは約20℃~450℃、さらにより好ましくは約20℃~180℃の範囲である。温度がより高い側では、慎重な処理を必要とする場合があり、及び/又は使用される加熱ガスの量をより少なくする必要がある場合もある。例えば、高いガス速度が必要とされる場合、約450℃の温度の加熱ガスと室温の第2ガス流を使用することができる。
【0077】
空気の出口温度は、一般に100℃未満、好ましくは90℃未満である。入口ガスの温度は、ケラチン系供給材料がより高い温度を有する場合、より低くてもよい。
【0078】
空気の流量は一般に、供給材料1kg当たり約5m/h以上、好ましくは供給材料1kg当たり約10m/hである。一般に、その量は、供給材料1kg当たり約50m/h以下、好ましくは約40m/h以下である。適切で最も好ましい量は、例えば、供給される生成物1kg当たり20~25m/hなど15~30m/hである。
【0079】
ガス流は、供給材料と共に直接ミルに供給されてもよく、又は間接的に供給されてもよく、半乾燥された部分的加水分解ケラチン系材料は1つの場所で供給され、ガス流は1つ又はいくつかの他の場所で別々に空気乱流ミルに供給される。
【0080】
本発明で使用される空気乱流ミルは、好ましくは、生成物及びガス流のための適切な入口及び出口を有する密閉チャンバ(ステータ)を備え、その中で、ブレード、ディスク、プレートなどの多くの切断及び衝撃装置が取り付けられて垂直に配置されたシャフト(ロータ)が高速で回転する。ステータの内壁には、付加的な摩擦力及びせん断力で粉砕効率を高めるために、波形シートが付けられていてもよい。
【0081】
ロータは一般に、約10m/s以上、より好ましくは約15m/s以上、さらにより好ましくは約20m/s以上の先端速度で回転する。一実施形態では、一般に、速度は約50m/s以下、好ましくは約30m/s以下である。適切な速度は、例えば約25m/sである。さらにより好ましい別の実施形態では、先端速度は、約150m/s以下、好ましくは約100m/s以下、最も好ましくは約75m/s以下である。一般に、先端速度は、約20m/s以上、好ましくは約30m/s以上である。
【0082】
粉砕機は、かなりの熱を発生し得る。さらに、入ってくる半乾燥された部分的加水分解ケラチン系材料は、室温より高い温度であり得る。有用であれば、ガス流を、例えば、ガスバーナーで直接加熱することによって(これはまた、酸素レベルを低下させ、発火の危険性を低下させる)、又は蒸気若しくは熱媒体油との熱交換による間接加熱によって加熱してもよい。
【0083】
空気乱流ミルは、ガス流のための1つ以上の入口を有する。これらのガス流の1つ以上を加熱することができる。1つのガス流を加熱する場合、好ましくは約50℃以上の温度に加熱する。
【0084】
ガス流は、様々な方法で導入することができる。一般に、主ガス流は、空気乱流ミルの底部で導入される。この入口は、湿潤した生成物の入口と同じ入口であってもよい。このような場合、ガス流は一般に生成物を輸送するために使用される。第2ガス流を使用して、ミルの微粉化及び流動挙動に影響を与えることができる。特に、ガス流で生成物を輸送することが容易でない場合、スクリュー又はポンプを介して生成物をミルに導入してもよい。
【0085】
乾燥した部分的に加水分解された材料の高い消化率を維持するために、空気乱流ミル中の平均滞留時間は、好ましくは短く、例えば10秒未満、好ましくは5秒未満、より好ましくは2秒未満、さらにより好ましくは1秒未満である。ミル中で乾燥させる材料の平均滞留時間が短いことにより、ケラチン系材料の温度の比較的わずかな上昇が観察されるのみで、効率的な乾燥が可能になる。分級機を使用する場合、平均滞留時間はより長くなるが、任意の粉末が実際に粉砕機内にある時間は、好ましくは10秒未満、さらにより好ましくは5秒未満のままである。
【0086】
好ましくは、工程(2)の半乾燥された部分的加水分解ケラチン系材料の空気乱流ミル中での同時の乾燥と粉砕は、ケラチン系材料が約90℃未満、好ましくは約80℃未満の温度のままであるような温度で行われる。
【0087】
好ましくは、空気乱流ミルから出てくるケラチン系材料の温度は、約30℃~90℃、より好ましくは約40℃~80℃、さらにより好ましくは約45℃~75℃の温度範囲である。
【0088】
ガス流は、乾燥生成物と共に、任意で分級機を通って、空気乱流ミルを出る。小粒子の形態の乾燥生成物をガス流から分離し、この分離は一般に、1つ以上のサイクロン、好ましくは1つのサイクロンにおいて、又はバッグフィルタによって、又は両方の組合せによって行われる。
【0089】
サイクロンから出る得られた粉末を、例えば、サイズが大きすぎる大きな粒子を篩い分けるため、及び/又は粉塵を除去するために水平篩などでさらに分級してもよい。さらに、より小さい粒径、及びより大きい粒径を有する様々なグレードの加水分解ケラチン系材料及び/又は本明細書に記載の血液製品との組合せを製造することができる。
【0090】
篩の排除物(大きすぎる粒子及び/又は粉塵)は、好ましくは、空気乱流ミル中でのさらなる処理のために供給物中に再導入されるか、又はその乾燥物質を増加させるために空気乱流ミルに供給される前に半乾燥された部分的加水分解ケラチン系材料と混合してもよい(「バックミキシング」とも呼ばれる)。排除物又は乾燥生成物を工程(2)の半乾燥材料と混合することにより、空気乱流ミルの供給操作及び乾燥と粉砕の全体の効率を改善することができる。
【0091】
好ましくは、分級は、1mm以下、好ましくは800μm以下のカットオフを有する篩(又は他の分級装置)上で行われる。分級は、例えば、300μm、500μm又は900μmのカットオフを有する篩上で行うことができる。
【0092】
さらに、空気乱流ミルに入る空気の流量を、滞留時間及び/又は粒径に影響を与えるように調整することができる。例えば、空気の流量は、チャンバ内の滞留時間及び粉砕装置との接触時間に直接影響を及ぼし、空気流量が高いほど滞留時間は短くなり、したがって粒子は大きくなり、逆に、空気流量が低いほど粒子は小さくなる。粒径は、分級機によってさらに影響を受ける。当業者は、空気乱流ミルを平衡させて、必要に応じた粒径を提供することができる。
【0093】
得られた乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料(フェザーミール)
乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料は、約10重量%以下の含水量を有する乾燥生成物(出発ケラチン系材料が羽毛である場合、一般にフェザーミールと呼ばれる)としてさらに使用される。
【0094】
乾燥材料は、好ましくは8%未満の水分を含む。最も好ましくは、乾燥材料は5~7重量%の含水量を有する。
【0095】
工程(3)における乾燥後の部分的に加水分解された材料は、好ましくは、それぞれ約80%及び約90%より高い、より好ましくはそれぞれ約82%及び約92%より高いペプシン及び回腸の消化率を有する。さらにより好ましいペプシンの消化率は、85%超である。
【0096】
加水分解工程によって消化率は実質的に向上するが、フェザーミールの大部分は淡水(脱塩水)に不溶性である。一般に、フェザーミールの50重量%超は不溶性であり、より一般的には90%超が不溶性である。
【0097】
工程(3)の空気乱流ミル中での乾燥及び粉砕は、材料の色がクリーム色がかった淡褐色であり、これは古典的に乾燥させた材料よりも明るく、より均質であるというさらなる利点を有する。粉末の色は、例えば、CIE-Lb色空間による色彩色差計を使用して測定することができる。より明るい色は、比較的高い(L)値によって、比較的高い(b)値と任意に組み合わされて特徴付けられる。高い(L)値は粉末の明度を示し、一方、より高い(b)値は明確な黄色を示す。
【0098】
一般に、ケラチン系材料の(L)値は約50以上、好ましくは54以上、より好ましくは約60以上である。
【0099】
一般に、(b)値は約10以上、好ましくは12以上、より好ましくは約14以上である。
【0100】
(L)値と(b)値との組合せは、好ましくは、(L)値が50より高く、(b)値が10より高く、12より高く、又は14より高い。(L)値と(b)値との組合せは、より好ましくは、(L)値が約54以上であり、(b)値が10より高く、12より高く、又は14より高い。(L)値と(b)値との組合せは、さらにより好ましくは、(L)値が約60以上であり、(b)値が10より高く、12より高く、又は14より高い。
【0101】
本発明の方法から得られる乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料は、好ましくは粉末が、ペットフード及び動物飼料を配合するための良好な流動特性、包装特性、並びに良好な投与特性を有するような粉末特性を有する粉末の形態である。
【0102】
本発明の方法によって得ることができる消化性ケラチン系粉末材料、例えばフェザーミールは、システイン及びチロシンなどの少なくとも17個のアミノ酸、好ましくは少なくとも18個のアミノ酸を含む。
【0103】
好ましくは、システインの量は、総タンパク質含量に対して約2重量%以上、より好ましくは約3重量%以上、さらにより好ましくは約4~約5重量%以上である。
【0104】
好ましくは、チロシンの量は、総タンパク質含量に対して約1重量%以上、より好ましくは約1.5重量%以上、さらにより好ましくは約2~約3重量%以上である。
【0105】
本発明の工程(3)で得られる乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料は、一般に、その約99重量%超が数mmより小さい、例えば約2mmより小さい粒子の形態である。容易に取り扱うことができ、さらに例えば配合ペットフード及び動物飼料に加工することができる自由流動性粉末を得るために、一般に、約95重量%超が約8μmより大きい。
【0106】
好ましい実施形態では、平均粒径(粒子の体積分率の50%がそれより大きく、50%がそれより小さいと定義されるd50)は、標準ソフトウェアを使用してベックマンコールターの粒子径測定装置でレーザー回折で測定して、約20μm~約0.7mm、好ましくは約20μm~約500μm、より好ましくは約50μm~約300μmである。例えば、平均粒径は、約75又は約150μmである。
【0107】
d90は、好ましくは約1mm未満、より好ましくは約0.7mm未満である。d10は、好ましくは約10μm超、より好ましくは約15μm超である。
【0108】
上記のサイズは非常に有利である。本明細書に記載の従来の乾燥装置のみを使用して完全に乾燥される加水分解ケラチン系材料は、乾燥機の出口で平均粒径が2mm超、非常に多くの場合5mm超の粗い不均一な粒径分布を有して、さらなる粉砕及び篩い分け装置を必要とし、したがって追加の設置面積要件、追加の粉塵排出を必要とし、一般にあまり魅力的でないプロセス設定を行う必要がある。
【0109】
本発明の乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料の粒径分布は、比較的均質である。例えば、d90をd10で除した値は約20以下、好ましくは約15以下であり、d90は約1mm以下である。
【0110】
その酸化安定性及びその流動性をそれぞれ改善するために、抗酸化剤及び/又は固化防止剤をケラチン系粉末材料にブレンドすることができる。
【0111】
好ましい実施形態では、酸化防止剤は、組み込みを均質とし、そのような組み込みを完成粉末に対して行った場合の望ましくない斑点や凝集を回避するために、空気乱流ミルの前に半乾燥された供給材料に添加され、混合される。
【0112】
本発明の好ましい実施形態では、乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料は、約0.2g/cm以上、より好ましくは約0.25g/cm以上、さらにより好ましくは約0.3g/cm以上の注入密度を有する。一般に、注入密度は約0.6g/cm以下、例えば約0.55g/cm以下である。
【0113】
本発明のさらに好ましい実施形態では、乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料は、約0.25g/cm以上、より好ましくは約0.3g/cm以上、さらにより好ましくは0.35g/cm以上、より好ましくは約0.4g/cm以上、さらにより好ましくは約0.45g/cm以上のタップ密度を有する。一般に、タップ密度は、約0.7g/cm以下、例えば0.65g/cm以下である。
【0114】
さらなる実施形態において、本明細書に記載の従来の乾燥装置中でのみ乾燥された従来のフェザーミールとは対照的に、乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料は、ペレット化してその密度を増加させて、体積及び輸送コストを最適化することができる。
【0115】
工程(2)の前若しくは後、及び/又は工程(3)の前若しくは後に、いくつかのアミノ酸を部分的加水分解ケラチン系材料に添加してもよい。特に、メチオニン、リジン、及びトリプトファンのうちの1つ以上、又はこれらのアミノ酸を比較的大量に含有する消化性タンパク質を添加することが、これらのアミノ酸の量がケラチン系材料において比較的少ないため、有用であり得る。
【0116】
乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料は、小さい袋、大きい袋又は他のバルク容器に詰めることができる。ケラチン系材料は、任意の種類のバルク容器、大きな袋、又は他の容器に詰めて輸送することができる。
【0117】
フェザーミールなどの乾燥した部分的加水分解ケラチン系材料は、ペットフード及び/又は水産養殖飼料などの飼料として、飼料サプリメントとして使用することができる。材料は、粉末形態で使用してもよく、又は従来の加工技術を使用して、顆粒、フレークなどの形態のより大きな投与単位に変換してもよい。フェザーミールは、他の成分の担体として使用してもよく、及び/又は増量剤として使用してもよい。
【0118】
飼料の調製に使用する場合、本発明に従って製造されたケラチン系材料は、栄養的に許容される担体若しくは増量剤、栄養的に許容される希釈剤、栄養的に許容される賦形剤、栄養的に許容されるアジュバント又は栄養的に活性な成分のうちの1つ以上と併せて使用してもよい。ケラチン系材料はそれ自体が、香味剤、食味増強剤、及び誘引剤などの他の機能性成分のための担体又は増量剤であってもよい。
【0119】
本発明の方法は、任意での分級機、サイクロン及び空気供給源を備えた空気乱流ミルが大きな空間を占有しないため、従来のフェザーミールプラントに容易に適用することができる。
【0120】
したがって、本発明はまた、本明細書に記載の既存の従来の乾燥装置に、その付属装置を備えた空気乱流ミルを追加することによって、フェザーミール処理ラインなどのケラチン系材料処理ラインを改造する方法に関する。好ましくは、フェザーミール処理ラインなどのケラチン系材料処理ラインは加水分解装置を含む。本発明によれば、空気乱流ミルは、従来の乾燥装置の生産物の少なくとも一部が空気乱流ミルの入力となるように配置される。
【0121】
別の態様において、本発明はフェザーミールラインなどのケラチン系材料の処理ラインに関し、処理ラインは、
(i)加水分解装置、
(ii)本明細書に記載の従来の乾燥機、及び
(iii)空気乱流ミルを含み、
加水分解装置と従来の乾燥機は、加水分解装置の生産物の少なくとも一部、好ましくは全部が、従来の乾燥機に供給され得るように配置され、
従来の乾燥機と空気乱流ミルは、従来の乾燥機の生産物の少なくとも一部、好ましくは全部が空気乱流ミルに供給され得るように配置される。
【0122】
測定方法
以下の方法を実施例において使用し、それらは明細書及び特許請求の範囲に記載されたパラメータの測定方法として適している。
【0123】
水分の重量百分率(重量%):湿ったケラチン系材料を、減圧下の真空ストーブ内で、乾燥剤を用いて一晩乾燥させる。乾燥工程の前と後に材料を秤量し、全ての揮発性材料が水であると仮定し、初期測定重量を100%として使用して水分量を計算する。
【0124】
定量試験において、ケラチン系材料の溶解度は以下のように実施することができ、すなわち、100gのフェザーミールを1000mLの水に混合し、混合物を20℃で15分間撹拌する。混合物を加圧下で350μmのフィルタで濾過する。濾液及びフィルタ上の固体を乾燥させて、それらの重量を測定する。この分析では、材料の水分含有量を補正することができ、すなわち、フェザーミールの水分含有量も測定されるべきである。さらに、濾過された湿潤した固体中に残る可溶性物質の量を補正すべきである。一般に、フェザーミールの50重量%超は不溶性であり、より一般的には90%超が不溶性である。
【0125】
ペプシンの消化率は、ISO6655(1997年8月)に従い、そこに記載の基準に従って塩酸中のペプシン濃度0.02%を用いて測定される。
【0126】
回腸の消化率(Boisen消化率とも呼ばれる)は、S.Boisenによって、”Prediction of the apparent ileal digestibility of protein and amino acid in feedstuffs for pigs by in vitro analysis”,Animal Feed Science Technology,51,pp.29~43(1995年))に記載され、さらに、”In vitro analysis for determining standardized ileal digestibility of protein and amino acids in actual batches of feedstuffs and diets for pigs”,Livestock Science,309:pp.182~185(2007年))に記載されている方法によって測定される。
【0127】
アミノ酸分析、ランチオニン及び脱カルボキシル化アミノ酸(カダベリン、プトレシン又はヒスタミンなど)分析は、標準的なHPLC法を用いて実施する。
【0128】
粒度分布は、ベックマンコールターの粒子径測定装置-乾燥粉体用システムで、レーザー回折によって測定した。製造業者の標準ソフトウェアを使用した。結果は、体積分率に関連するd10、d50、d90などとして記載する。
【0129】
注入密度及びタップ密度は、一定量のフェザーミールを100mLのシリンダー(直径2.5cm)に注ぎ入れて、存在するミールの量をグラムで測定することによって測定できる。タッピングは、ビーカーを振動面(0.5mmの垂直振動:240回/分)上に5分間置いて、フェザーミールの体積を測定することによって行う。注入密度は、フェザーミールの量を100で割ったものとして計算される(g/cm)。タップ密度は、同じグラム量を測定された体積で割ったものである。
【0130】
色測定は、標準技術に従って、CIE-Labを用いて行われる。色彩色差計を標準ソフトウェアと共に使用した。
【0131】
本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の材料及び方法に対して、上記のものに加えてさらなる改変を行うことができる。
【0132】
したがって、特定の実施形態を説明してきたが、以下は単なる例であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0133】
実施例
実施例1
2.7バール(ゲージ圧)で作動し、加水分解装置のシャフト及び二重エンベロープ中の7バール(絶対圧)の飽和蒸気で加熱されるバッチ式水平加水分解装置において、65重量%の平均含水量を有するニワトリの羽毛を加圧下で25分間処理した。部分的加水分解ケラチン系材料を、レットダウンバルブを介して大気圧にして、材料を同じ装置内でさらに予備乾燥した。予備乾燥時間を長くしながら多数の製造作業を行って、51%から38%までの残留水分含量の範囲を得て、したがって、生成物はそれぞれ、49重量%の加水分解された羽毛と51重量%の水、62重量%の加水分解された羽毛と38重量%の水を含んでいた。
【0134】
各作業の数百キログラムの試料を収集し、約100kg/hの供給速度で空気乱流ミル(JACKERING、モデルUltra Rotor IIIa)中で、さらに乾燥させ、同時に粉砕した。空気乱流ミルは、160℃の温度の入口ガス(空気)を用いて操作した。ガスの量は約15~30m3/hkgであった。ロータの先端速度は50~60m/sであった。
【0135】
空気乱流ミル内の生成物の平均滞留時間は、約1秒未満と推定された。空気乱流ミルの出口における空気の温度が約90℃であったことから、乾燥及び粉砕の間、生成物は約80℃より高い温度には達しなかったと推定された。
【0136】
乾燥及び粉砕後の粒子の水分は約5%であった。色は均一にクリーム色から淡褐色であった。
【0137】
全窒素物質のインビトロでのペプシンの消化率(塩酸中0.02%のペプシン濃度)及び乾燥した生成物の回腸(Boisen)の消化率を測定し、下の表に示す。
【表1】
【0138】
この表から、回転パドルミキサーとみなすことができる加水分解装置中での予備乾燥が、空気乱流ミル中でさらに乾燥させた生成物のペプシン及び回腸の消化率に影響を及ぼさなかったことは明らかである。
【0139】
実施例2
加水分解の圧力の設定点を2.9バール(ゲージ圧)に上げた以外は実施例1と同じ手順を繰り返した。全窒素物質のインビトロでのペプシンの消化率(塩酸中0.02%のペプシン濃度)及び乾燥した生成物の回腸(Boisen)の消化率を測定して、下の表に示し、結果から、回転パドルミキサーとみなすことができる加水分解装置中での予備乾燥が、空気乱流ミル中でさらに乾燥させた生成物のペプシン及び回腸の消化率に影響を及ぼさなかった実施例1の結果が確認される。
【表2】
【0140】
実施例3
5バール(ゲージ圧)及び飽和蒸気で作動する連続式水平加水分解装置において、65重量%の含水量を有するニワトリの羽毛を約25分間処理した。部分的加水分解ケラチン系材料を、フラッシュ減圧容器を介して大気圧にしたところ、この繊維質の塊は、約55%の水を含有し、温度は95℃であった。
【0141】
部分的に加水分解された羽毛をディスク乾燥機で約80%固形分まで乾燥させた。ディスク乾燥機を出る粒子は、微細粒子から最大で1cmの粗い粒子までの混合物であり、約20重量%の粒子は2mmより大きかった。
【0142】
この予備乾燥生成物を空気乱流ミルでさらに乾燥させた。空気乱流ミル中の空気の入口温度は、半乾燥供給物を置いておいて冷却したため、約180℃であった。ガスの量は、約15~30m/hkgであった。
【0143】
生成物の平均滞留時間は約1秒であると推定された。乾燥と粉砕を同時に行っている間、生成物は約80℃より高い温度には達しなかった。
【0144】
乾燥及び粉砕後の粒子の水分は約6%であった。全窒素物質のインビトロでのペプシンの消化率(塩酸中0.02%のペプシン濃度)は85%であり、回腸(Boisen)の消化率は92%であった。色は均一にクリーム色から淡褐色であった。
【0145】
実施例4
実施例3と同様の方法でさらなる試験を実施し、ここでは、従来のディスク乾燥機(SILからの168m)を使用し、比較的低い蒸気投入を用いて、フェザーミールを約50%の水分から30~20%の水分まで乾燥させた。消化率の低下は観察されなかった。空気乱流ミル(Jackering製ULTRA-ROTOR IIIa)中で5~7%の水分までさらに乾燥させて、81~87%のペプシンの消化率及び89~93の回腸の消化率を有する生成物を得た。
【0146】
この連続した乾燥機を従来のディスク乾燥機と比較すると、全体の処理時間は20~40%短縮した。これにより、全乾燥セクションを空気乱流ミルで置き換えるコストと比較して低減された投資コストで、フェザーミールの品質を実質的に向上させると共に処理量を最大40%増加させることができる。
【国際調査報告】