(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンスデバイス及び表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 85/60 20230101AFI20231019BHJP
H10K 50/12 20230101ALI20231019BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20231019BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20231019BHJP
H10K 50/17 20230101ALI20231019BHJP
H10K 50/18 20230101ALI20231019BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20231019BHJP
H10K 101/20 20230101ALN20231019BHJP
【FI】
H10K85/60
H10K50/12
H10K50/15
H10K50/16
H10K50/17
H10K50/18
C09K11/06 660
C09K11/06 690
H10K101:20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521167
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(85)【翻訳文提出日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 CN2021115212
(87)【国際公開番号】W WO2022127191
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】202011480750.5
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515179325
【氏名又は名称】昆山国顕光電有限公司
【氏名又は名称原語表記】KUNSHAN GO-VISIONOX OPTO-ELECTRONICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 4, No. 1, Longteng Road, Development Zone Kunshan, Jiangsu, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】李国孟
(72)【発明者】
【氏名】張躍威
(72)【発明者】
【氏名】李夢真
(72)【発明者】
【氏名】姚純亮
(72)【発明者】
【氏名】劉彬
(72)【発明者】
【氏名】許瑾
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC04
3K107CC12
3K107CC21
3K107DD53
3K107DD59
3K107DD66
3K107DD68
3K107DD72
3K107DD75
3K107FF14
(57)【要約】
【要約】
【課題】有機エレクトロルミネッセンスデバイス及び表示装置を提供する。
【手段】有機エレクトロルミネッセンスデバイスは第1の電極、第2の電極及び第1の電極と第2の電極との間に位置する有機層を含み、有機層は発光層を含み、発光層はホスト材料、熱活性化遅延蛍光増感剤及び蛍光染料を含み、蛍光染料は式(1)で示される化合物から選択される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極、第2の電極及び前記第1の電極と第2の電極との間に位置する有機層を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスであって、
前記有機層は発光層を含み、前記発光層はホスト材料、熱活性化遅延蛍光増感剤及び蛍光染料を含み、前記蛍光染料は式(1)で示される化合物から選択される、有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化1】
(式(1)中、
環A、B、C、D及びEはそれぞれ独立に、芳香環又はヘテロ芳香環を代表し、且つ隣り合う2つの環の間に縮合可能にX
1又はX
2を含有する5員環又は6員環を形成し、
X
1及びX
2はそれぞれ独立に、O、S、N、C又はSiの1種から選択され、
mは0、1又は2であり、nは0、1又は2であり、且つ
R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5はそれぞれ独立に、単一置換から最大許容置換基を表し、且つそれぞれ独立に、水素、C
1~C
10鎖状アルキル基、C
3~C
10シクロアルキル基、C
1~C
10アルコキシ基、ハロゲン、シアン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、エステル基、シリル基、アミノ基、置換又は非置換のC
6~C
30アリールアミノ基、置換又は非置換のC
3~C
30ヘテロアリールアミノ基、置換又は非置換のC
6~C
30アリール基もしくは置換又は非置換のC
3~C
30ヘテロアリール基の1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択され、且つR
1、R
2、R
3、R
4及びR
5の少なくとも1つは式(G)であり、
式(G)中、
Z
1はC又はSiから選択され、
R
A、R
B及びR
Cはそれぞれ独立に、C
1~C
10鎖状アルキル基、C
3~C
10シクロアルキル基、置換又は非置換のC
6~C
30アリール基もしくは置換又は非置換のC
3~C
30ヘテロアリール基の1種から選択され、且つR
A、R
B及びR
Cの少なくとも1つは置換又は非置換のC
6~C
30アリール基もしくは置換又は非置換のC
3~C
30ヘテロアリール基から選択され、同時に少なくとも1つはC
1~C
10鎖状アルキル基もしくはC
3~C
10シクロアルキル基であり、且つ
上記基が置換基を有する場合、前記置換基はハロゲン、シアン基、カルボニル基、C
1~C
12のアルキル基、C
3~C
12のシクロアルキル基、C
2~C
10アルケニル基、C
1~C
6のアルコキシ基又はチオアルコキシ基、C
6~C
30の単環アリール基又は縮合環アリール基もしくはC
3~C
30の単環ヘテロアリール基又は縮合環ヘテロアリール基の1種もしくは少なくとも2種の組み合わせから選択される。)
【請求項2】
前記蛍光染料は式(2)で示される化合物から選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化2】
(式(2)中、環C、D、X
1、X
2、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、m及びnの定義は一般式(1)の中の定義と同じである。)
【請求項3】
前記蛍光染料は式(3)で示される化合物から選択される、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化3】
(式(3)中、環C、D、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、m及びnの定義は一般式(1)の中の定義と同じであり、前記X
1及びX
2はそれぞれ独立に、O、S又はNから選択され、且つX
1及びX
2の少なくとも1つはNである。)
【請求項4】
前記蛍光染料は以下の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)又は(VIII)で示される化合物のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化4】
(R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5の定義は一般式(1)の中の定義と同じである。)
【請求項5】
前記蛍光染料は式(I)、(II)又は(III)で示される化合物のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項6】
前記式(G)は下記の式(G1)である、請求項1~5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化5】
(式(G1)中、
R
A及びR
Bの少なくとも1つはC
1~C
10鎖状アルキル基もしくはC
3~C
10シクロアルキル基であり、
R
C1は水素、C
1~C
10鎖状アルキル基、C
3~C
10シクロアルキル基、C
1~C
10アルコキシ基、置換又は非置換のC
6~C
30アリールアミノ基、置換又は非置換のC
3~C
30ヘテロアリールアミノ基、置換又は非置換のC
6~C
30アリール基もしくは置換又は非置換のC
3~C
30ヘテロアリール基の1種から選択される。)
【請求項7】
前記式(G)は下記の式a、b、c又はdの1種である、請求項1~6のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化6】
(R
6及びR
7はそれぞれ独立に、水素、重水素、ハロゲン、C
1~C
10鎖状アルキル基もしくはC
3~C
10シクロアルキル基の1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択される。)
【請求項8】
前記蛍光染料は以下の化合物M1からM144のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【請求項9】
前記ホスト材料は以下の化合物TDH-1からTDH-30のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化13】
【請求項10】
前記熱活性化遅延蛍光増感剤は以下の化合物TDE1からTDE37のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化14】
【化15】
【化16】
【請求項11】
前記発光層の全質量に占める前記蛍光染料の質量は0.1%~10%である、請求項1~10のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項12】
前記有機層は正孔注入層、正孔輸送層、正孔バリア層、電子バリア層、電子輸送層又は電子注入層のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイスを含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は有機エレクトロルミネッセンス技術分野に関し、特に有機エレクトロルミネッセンスデバイス及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱活性化増感蛍光(TASF)とは、熱活性化遅延蛍光(TADF)材料が増感剤として使用されると、ホスト材料エネルギーがTADF材料に伝達し、そしてその三重項エネルギーは逆項間交差(RISC)プロセスによって一重項に戻り、さらにエネルギーを蛍光ドーピング染料に伝達して発光する。このようにホストが染料分子への完全のエネルギー伝達を実現でき、伝統的な蛍光ドーピング染料は25%の内部量子効率の制限を突破することができる。
【0003】
しかし、TASF発光デバイスでは、常に染料キャリアの捕獲が大きい問題があり、デバイスの駆動電圧が比較的高く、効率のロールオフが大きく、寿命が比較的低い。
【0004】
したがって、本分野は、駆動電圧を低減し、デバイス効率及び寿命を向上した新規のTASFデバイスの開発が急務である。
【発明の概要】
【0005】
本願は有機エレクトロルミネッセンスデバイスを提供する。前記有機エレクトロルミネッセンスデバイスは比較的低い駆動電圧、比較的高いデバイス効率及び使用寿命を有する。
【0006】
一方で、本願は、第1の電極、第2の電極、及び前記第1の電極と第2の電極との間に位置する有機層を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスを提供する。
【0007】
前記有機層は発光層を含み、前記発光層はホスト材料、熱活性化遅延蛍光増感剤及び蛍光染料を含み、前記蛍光染料は式(1)で示される化合物から選択される。
【0008】
【0009】
【0010】
式(1)中:
環A、B、C、D及びEはそれぞれ独立に、芳香環又はヘテロ芳香環を代表し、且つ隣り合う2つの環の間に縮合可能にX1又はX2を含有する5員環又は6員環を形成し、
X1及びX2はそれぞれ独立に、O、S、N、C又はSiの1種から選択され、
mは0、1又は2であり、nは0、1又は2であり、且つ
R1、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ独立に、単一置換から最大許容置換基を表し、且つそれぞれ独立に、水素、C1~C10鎖状アルキル基、C3~C10シクロアルキル基、C1~C10アルコキシ基、ハロゲン、シアン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、エステル基、シリル基、アミノ基、置換又は非置換のC6~C30アリールアミノ基、置換又は非置換のC3~C30ヘテロアリールアミノ基、置換又は非置換のC6~C30アリール基もしくは置換又は非置換のC3~C30ヘテロアリール基の1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択され、且つR1、R2、R3、R4及びR5の少なくとも1つは式(G)である。
【0011】
式(G)中:
Z1はC又はSiから選択され、
RA、RB及びRCはそれぞれ独立に、C1~C10鎖状アルキル基、C3~C10シクロアルキル基、置換又は非置換のC6~C30アリール基もしくは置換又は非置換のC3~C30ヘテロアリール基の1種から選択され、且つRA、RB及びRCの少なくとも1つは置換又は非置換のC6~C30アリール基もしくは置換又は非置換のC3~C30ヘテロアリール基から選択され、同時に少なくとも1つはC1~C10鎖状アルキル基もしくはC3~C10シクロアルキル基であり、且つ
上記基が置換基を有する場合、前記置換基はハロゲン、シアン基、カルボニル基、C1~C12のアルキル基、C3~C12のシクロアルキル基、C2~C10アルケニル基、C1~C6のアルコキシ基又はチオアルコキシ基、C6~C30の単環アリール基又は縮合環アリール基もしくはC3~C30の単環ヘテロアリール基又は縮合環ヘテロアリール基の1種もしくは少なくとも2種の組み合わせから選択される。
【0012】
好ましくは、前記蛍光染料は式(2)で示される化合物から選択される。
【0013】
【0014】
式(2)中、環C、D、X1、X2、R1、R2、R3、R4、R5、m及びnの定義は一般式(1)の中の定義と同じである。
【0015】
好ましくは、前記蛍光染料は式(3)で示される化合物から選択される。
【0016】
【0017】
式(3)中、環C、D、R1、R2、R3、R4、R5、m及びnの定義は一般式(1)の中の定義と同じであり、前記X1及びX2はそれぞれ独立に、O、S又はNから選択され、且つX1及びX2の少なくとも1つはNである。
【0018】
前記蛍光染料は以下の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)又は(VIII)で示される化合物のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択されることが好ましい。
【0019】
【0020】
R1、R2、R3、R4及びR5の定義は一般式(1)の中の定義と同じである。
【0021】
前記蛍光染料は式(I)、(II)又は(III)で示される化合物のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択されることが好ましい。
【0022】
前記式(G)は下記の式(G1)であることが好ましい。
【0023】
【0024】
式(G1)中:
RA及びRBの少なくとも1つはC1~C10鎖状アルキル基もしくはC3~C10シクロアルキル基であり、且つ
RC1は水素、C1~C10鎖状アルキル基、C3~C10シクロアルキル基、C1~C10アルコキシ基、置換又は非置換のC6~C30アリールアミノ基、置換又は非置換のC3~C30ヘテロアリールアミノ基、置換又は非置換のC6~C30アリール基もしくは置換又は非置換のC3~C30ヘテロアリール基の1種から選択される。
【0025】
前記式(G)は下記の式a、b、c又はdの1種であることが好ましい。
【0026】
【0027】
R6、R7はそれぞれ独立に、水素、重水素、ハロゲン、C1~C10鎖状アルキル基もしくはC3~C10シクロアルキル基の1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択される。
【0028】
一方で、本願は目的の1つである前記有機エレクトロルミネッセンスデバイスを含む表示装置を提供する。
【0029】
従来技術と比べて、本願は以下の発明効果を有する。
【0030】
本願は式(1)で示される化合物を蛍光染料として採用される新規のTASFデバイスを提供する。この蛍光染料中に含まれたホウ素原子は同一の環内のO、S、N、C又はSi原子と共鳴効果を有し、狭いスペクトル及び熱活性化遅延蛍光発射の特点を有する。また、この蛍光染料中に4級炭素又は4級シリコン類基の置換を含有するとともに、この基の上に少なくとも1つのアルキル基を有することを保証し、伝達能力を保証すると同時に、さらに分子ピッチを向上し、堆積による焼入れを抑制し、さらに効率のロールオフを低減し、デバイス寿命を延長することができる。本願は特定構造の蛍光染料を採用し、ホスト材料、増感剤を配合して発光層を形成し、TASFデバイスが比較的高い効率及び寿命、及び比較的低い駆動電圧を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本願の実施例及び対比例より提供した有機エレクトロルミネッセンスデバイスの構造模式図。
【
図2】実施例3と対比例2のデバイスの外部量子効率-輝度の対比図。
【
図3】実施例3と対比例2のデバイスが輝度1000cd/m
2における輝度減衰グラフ。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本願の理解を容易にするために、本願は以下の実施例を挙げる。当業者は、前記実施例単に本願の理解に寄与し、本願に具体的な制限を見なされないことを明らかにすべきである。
【0033】
今まで、熱活性化遅延蛍光電致発光デバイスでは、常に染料キャリア捕獲が大きい問題があり、デバイスの駆動電圧が比較的高く、効率のロールオフが大きく、寿命が比較的低い。発明者が研究したところ、上記問題を起こす主な原因の1つは、デバイス発光層で、ホスト材料及び増感剤材料のエネルギーギャップは蛍光染料のエネルギーギャップより大きいことから、蛍光染料自身の一定のキャリア捕獲及び焼入れ問題を招くことを見出した。
そのため、本願は、第1の電極、第2の電極及び前記第1の電極と第2の電極との間に位置する有機層を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスを提供する。
【0034】
前記有機層は発光層を含み、前記発光層はホスト材料、熱活性化遅延蛍光増感剤及び蛍光染料を含み、前記蛍光染料は式(1)で示される化合物から選択される。
【0035】
【0036】
式(1)中:
環A、B、C、D及びEはそれぞれ独立に、芳香環又はヘテロ芳香環を代表し、且つ隣り合う2つの環の間に縮合可能にX1又はX2を含有する5員環又は6員環を形成し、
X1及びX2はそれぞれ独立に、O、S、N、CもしくはSiの1種から選択され、
mは0、1又は2であり、nは0、1又は2であり、
R1、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ独立に、単一置換から最大許容置換基を表し、且つそれぞれ独立に、水素、C1~C10鎖状アルキル基、C3~C10シクロアルキル基、C1~C10アルコキシ基、ハロゲン、シアン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、エステル基、シリル基、アミノ基、置換又は非置換のC6~C30アリールアミノ基、置換又は非置換のC3~C30ヘテロアリールアミノ基、置換又は非置換のC6~C30アリール基もしくは置換又は非置換のC3~C30ヘテロアリール基の1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択され、且つR1、R2、R3、R4及びR5の少なくとも1つは式(G)である。
【0037】
式(G)中:
Z1はC又はSiから選択され、
RA、RB及びRCはそれぞれ独立に、C1~C10鎖状アルキル基、C3~C10シクロアルキル基、置換又は非置換のC6~C30アリール基もしくは置換又は非置換のC3~C30ヘテロアリール基の1種から選択され、且つRA、RB及びRCの少なくとも1つは置換又は非置換のC6~C30アリール基もしくは置換又は非置換のC3~C30ヘテロアリール基から選択され、同時に少なくとも1つはC1~C10鎖状アルキル基もしくはC3~C10シクロアルキル基であり、且つ
上記基が置換基を有する場合、前記置換基はハロゲン、シアン基、カルボニル基、C1~C12のアルキル基、C3~C12のシクロアルキル基、C2~C10アルケニル基、C1~C6のアルコキシ基又はチオアルコキシ基、C6~C30の単環アリール基又は縮合環アリール基もしくはC3~C30の単環ヘテロアリール基又は縮合環ヘテロアリール基の1種もしくは少なくとも2種の組み合わせから選択され、
式(1)において、X1はO又はSから選択される場合、mは0であり、X2はOもしくはSから選択される場合、nは0である。
【0038】
なお、本願において、最大許容置換基とは、前記置換基の個数は置換された基が化合物結合の要件を満たすことを前提とする最大置換個数である。
【0039】
本願において、Ca~Cbの表現方式はこの基の主鎖が有する炭素数はa~bであることを代表し、特に説明がない限り、一般にはこの炭素数は基の置換基の炭素数を含まない。
【0040】
本願において、「置換された基」とは、「置換又は非置換」の基が置換された時の置換基の選択範囲であり、個数は具体的に限定されず、化合物結合の要件を満たす限り、例示的に、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つであってもよく、且つ置換基の個数は2つ及びそれ以上である場合、この2つ及びそれ以上の置換基は同じでも異なってもよい。
【0041】
本願において、「-」で描かれた環構造の表現方式は、接続部位がこの環構造上に任意で結合可能な位置に位置することを表す。
【0042】
本願において、置換又は非置換のC6~C30アリール基はC6~C20アリール基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナントリル基、インデニル基、フルオニル基及びその誘導体、フルオランテニル基、トリフェニレン基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基及びテトラフェニル基からなる群から選択された基がより好ましい。具体的には、ビフェニル基は2-ビフェニル基、3-ビフェニル基及び4-ビフェニル基から選択され、ターフェニル基はp-ターフェニル-4-イル、p-ターフェニル-3-イル、p-ターフェニル-2-イル、m-ターフェニル-4-イル、m-ターフェニル-3-イル及びm-ターフェニル-2-イルを含み、前記ナフチル基は1-ナフチル基及び2-ナフチル基を含み、アントラニル基は1-アントラニル基、2-アントラニル基及び9-アントラニル基から選択され、前記フルオニル基は1-フルオニル基、2-フルオニル基、3-フルオニル基、4-フルオニル基及び9-フルオニル基から選択され、前記フルオニル基誘導体は9,9’-ジメチルフルオレン、9,9’-スピロビフルオレン及びベンゾフルオレンから選択され、前記ピレニル基は1-ピレニル基、2-ピレニル基及び4-ピレニル基から選択され、テトラフェニル基は1-テトラフェニル基、2-テトラフェニル基及び9-テトラフェニル基から選択される。
【0043】
本願に記載されたヘテロ原子通常はN、O、S、P、Si及びSe中の原子又は原子団から選択され、好ましくはN、O、Sから選択される。本願において、前記の原子名称、及びその対応する種々の同位体、例えば、水素(H)は1H(軽水素又はH)、2H(重水素又はD)等を含み、炭素(C)は12C、13C等を含む。
【0044】
本願において、置換又は非置換のC3~C30ヘテロアリール基としてC4~C20ヘテロアリール基が好ましく、窒素含有ヘテロアリール基、酸素含有ヘテロアリール基、硫黄含有ヘテロアリール基等がより好ましく、具体的な例には、フラン基、チオフェン基、ピロール基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、イソベンゾフラン基、インドール基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、カルバゾール基及びその誘導体であってもよく、前記カルバゾール誘導体は9-フェニルカルバゾール、9-ナフチルカルバゾールベンゾカルバゾール、ジベンゾカルバゾール、又はインドールカルバゾールであることが好ましい。
【0045】
本願において、上記C1~C20鎖状アルキル基はC1~C10の鎖状アルキル基が好ましく、C1~C6の鎖状アルキル基がより好ましく、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ヘキシル、n-オクチル、イソプロピル、イソブチル、t-ブチル等である。
【0046】
本願において、C3~C12シクロアルキル基は単環のシクロアルキル基及び多環のシクロアルキル基が含み、C1~C10のアルキル基及びC3~C10のシクロアルキル基が好ましい。
【0047】
本願は、式(1)で示される化合物を蛍光染料として採用される新規のTASFデバイスを提供する。この蛍光染料中に含まれたホウ素原子は同一の環内のO、S、N、C又はSi原子と共鳴効果を有し、狭いスペクトル及び熱活性化遅延蛍光発射の特点を有する。また、この蛍光染料中に4級炭素又は4級シリコン類基の置換を含有するとともに、この基の上に少なくとも1つのアルキル基を有することを保証し、伝達能力を保証すると同時に、さらに分子ピッチを向上し、堆積による焼入れを抑制し、さらに効率のロールオフを低減し、デバイス寿命を延長することができる。本願は采用特定構造の蛍光染料を採用し、ホスト材料、増感剤を配合して発光層を形成し、TASFデバイスが比較的高い効率及び寿命、及び比較的低い駆動電圧を有することができる。
【0048】
1つの好ましい実施形態において、環Aと環Cは縮合してX1を含有する5員環又は6員環を形成し、もしくは、環Bと環Dは縮合してX2を含有する5員環又は6員環を形成し、もしくは、環Aと環Cは縮合してX1を含有する5員環又は6員環を形成し、同時に、環Bと環Dは縮合してX2を含有する5員環又は6員環を形成する。
【0049】
1つの好ましい実施形態において、前記環A、B、C、D及びEはそれぞれ独立に、5~8員のアリール基環から選択され、もしくは5~8員のヘテロアリール基環から選択される。
【0050】
1つの好ましい実施形態において、前記環A、B、C、D及びEはそれぞれ独立に、6員アリール基環又は5員ヘテロアリール基環から選択される。
【0051】
1つの好ましい実施形態において、前記環A、B、C、D及びEはそれぞれ独立に、置換又は非置換のC6~C30アリール基、置換又は非置換のC3~C30のヘテロアリール基の1種から選択される。
【0052】
1つの好ましい実施形態において、前記環A、B、C、D及びEはそれぞれ独立に、置換又は非置換のベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ナフタレン環、フェナントレン環又はカルバゾール環から選択される。
【0053】
1つの好ましい実施形態において、前記蛍光染料は式(2)で示される化合物から選択される。
【0054】
【0055】
式(2)中、環C、D、X1、X2、R1、R2、R3、R4、R5、m及びnの定義は一般式(1)の中の定義と同じである。
【0056】
前記蛍光染料は式(3)で示される化合物から選択されることが好ましい。
【0057】
【0058】
式(3)中、環C、D、R1、R2、R3、R4、R5、m及びnの定義は一般式(1)の中の定義と同じであり、前記X1及びX2はそれぞれ独立に、O、S又はNから選択され、且つX1及びX2の少なくとも1つはNである。
【0059】
1つの好ましい実施形態において、前記蛍光染料は以下の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)又は(VIII)で示される化合物のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択される。
【0060】
【0061】
R1、R2、R3、R4、R5の定義は一般式(1)の中の定義と同じである。
【0062】
前記蛍光染料は式(I)、(II)又は(III)で示される化合物のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択されることが好ましい。
【0063】
本願は、蛍光染料の母核は2つのN原子を含有し、B原子とB-N共鳴構造を形成することがさらに好ましく、この構造の蛍光染料はより狭いスペクトル及びより優れた熱活性化遅延蛍光発射特性を有し、ホスト材料及び増感剤と配合することで、TASFデバイス性能を向上できる。
【0064】
1つの好ましい実施形態において、前記式(G)は下記の式(G1)である。
【0065】
【0066】
式(G1)中:
RA及びRBの少なくとも1つはC1~C10鎖状アルキル基もしくはC3~C10シクロアルキル基であり、且つ
RC1は水素、C1~C10鎖状アルキル基、C3~C10シクロアルキル基、C1~C10アルコキシ基、置換又は非置換のC6~C30アリールアミノ基、置換又は非置換のC3~C30ヘテロアリールアミノ基、置換又は非置換のC6~C30アリール基もしくは置換又は非置換のC3~C30ヘテロアリール基の1種から選択される。
【0067】
本願は、蛍光染料中の置換基の上に少なくとも1つのベンゼン環を含有することが好ましく、この構造は立体障害特性を向上し、ホスト材料及び増感剤と配合することで、TASFデバイス性能を向上する役割を奏する。
【0068】
1つの好ましい実施形態において、RA及びRBの少なくとも1つはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル又はシクロオクチルから選択され、RC1は水素、重水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、ベンゼン基、ナフチル基、アントラニル基、チオフェン基、ピロール基、インドール基、カルバゾール基又はピリジン基から選択される。
【0069】
1つの好ましい実施形態において、前記式(G)は下記の式a、b、c又はdの1種である。
【0070】
【0071】
R6及びR7はそれぞれ独立に、水素、重水素、ハロゲン、C1~C10鎖状アルキル基もしくはC3~C10シクロアルキル基の1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択される。
【0072】
1つの好ましい実施形態において、前記式(G)は式a又は式cから選択される。
【0073】
本願は、蛍光染料にアリール基置換4級炭素基を含有することがさらに好ましく、この構造の蛍光染料は分子量の大きさが適当であり、障害効果能力が適当であり、ホスト材料及び増感剤と配合して使用することで、よりデバイス性能を向上でき、且つ導入後の染料全体の分子量が大きくならず、蒸着しやすい。
【0074】
1つの好ましい実施形態において、前記のR6及びR7はそれぞれ独立に、水素から選択され、もしくはそれぞれ独立に以下の基の1つから選択される。
【0075】
【0076】
1つの好ましい実施形態において、前記のR6及びR7はそれぞれ独立に、水素から選択される。
【0077】
1つの好ましい実施形態において、前記R1、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ独立に、水素から選択され、もしくはそれぞれ独立に以下の基の1つから選択される。
【0078】
【0079】
1つの好ましい実施形態において、前記蛍光染料は以下の化合物M1からM144のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択される。
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
本願には、前記蛍光染料は本分野における常法によって調製して得られることができ、本願は単に例示的に以下の代表的な合成路径を提供する。
【0086】
【0087】
【0088】
なお、本願の蛍光染料を取得することは本願においてに使用された合成方法及び原料に限らず、当業者は他の方法又は路線を選択し、本願に提出された蛍光染料を得られる。
【0089】
1つの好ましい実施形態において、前記ホスト材料は以下の化合物TDH-1からTDH-30のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせ(例えばTDH-2及びTDH-10の組み合わせ、TDH-23及びTDH-8の組み合わせ、もしくはTDH-16、TDH-22及びTDH-30の組み合わせ)から選択される。
【0090】
【0091】
1つの好ましい実施形態において、前記熱活性化遅延蛍光増感剤は以下の化合物TDE1からTDE37のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせ(例えばTDE3及びTDE8の組み合わせ、TDE25及びTDE9の組み合わせ、もしくはTDE18、TDE21及びTDE35の組み合わせ)から選択される。
【0092】
【0093】
【0094】
1つの好ましい実施形態において、前記発光層の全質量に占める前記蛍光染料の質量は0.1%~10%(単にドーピング濃度を称する。)であり、具体的には、好ましくは0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.8%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%等であり、さらに好ましくは1%である。
【0095】
本願が選択して使用された特定構造の蛍光染料に対して、その発光層中のドーピング濃度は上記濃度の範囲内にあることがさらに好ましく、TASFデバイスの性能がさらに向上する。ドーピング量は低すぎると、発光に関与する染料分子が比較的少なく、デバイス効率は比較的低いことを招く。ドーピング量は高すぎると、デバイス中の染料焼入れが進行を招いて、デバイス効率、駆動電圧及びデバイス寿命が劣ることを招く。
【0096】
1つの好ましい実施形態において、前記発光層の全質量に占める前記熱活性化遅延蛍光増感剤の質量は1%~99%であり、具体的には、好ましくは2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%等であり、さらに好ましくは10%~50%である。
【0097】
1つの好ましい実施形態において、前記有機層は正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、正孔バリア層(HBL)、電子バリア層(EBL)、電子輸送層(ETL)又は電子注入層(EIL)のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせをさらに含む。
【0098】
本願の実施例は上記のように提供された有機エレクトロルミネッセンスデバイスを含む表示装置をさらに提供する。この表示装置は具体的にはOLED表示パネル、及びこの表示パネルを含むテレビ、デジタルカメラ、携帯電話、タブレットコンピュータ等いかなる表示功能を有する製品もしくは部品であってよい。この表示装置は上記有機エレクトロルミネッセンスデバイスが従来技術に対して有する利点と同じであり、ここでその説明は省略する。
【0099】
本願には、第1の電極及び第2の電極はそれぞれ陽極、陰極を代表することが理解できる。
【0100】
以下、本願の正孔輸送区、電子輸送区、陽極及び陰極について紹介する。正孔輸送区は陽極及び発光層の間に位置する。正孔輸送区は単層構造の正孔輸送層であってもよく、単に1種の化合物を含有する単層の正孔輸送層及び複数の種類の化合物を含有する単層正孔輸送層を含む。正孔輸送区は正孔注入層、正孔輸送層、電子バリア層の少なくとも2層の多層構造であってもよい。
【0101】
正孔輸送区の材料(HIL及びHTLを含む。)はフタロシアニン誘導体、例えばCuPc、導電ポリマー又は導電ドーピング剤含有ポリマー、例えばポリフェニレンビニレン、ポリアリニン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホン酸塩)(PEDOT/PSS)、ポリアリニン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)、ポリアリニン/ポリ(4-スチレンスルホン酸塩)(Pani/PSS)、芳香アミン誘導体から選択されてもよいが、これに限定されない。
【0102】
芳香アミン誘導体は以下のHT-1からHT-34で示される化合物である。正孔輸送区の材料は芳香アミン誘導体である場合、HT-1からHT-34で示される化合物の1種又は少なくとも2種の組み合わせ(例えばHT-5及びHT-8の組み合わせもしくはHT-11、HT-12及びHT-15の組み合わせ等)であってもよい。
【0103】
【0104】
【0105】
正孔注入層が陽極及び正孔輸送層の間に位置する。正孔注入層は単一の化合物材料であっても、複数の種類の化合物の組み合わせであってもよい。例えば、正孔注入層は上記HT-1からHT-34の1種又は少なくとも2種の化合物を採用し、もしくは下記HI-1-HI-3の1種又は少なくとも2種の組み合わせを採用し、HT-1からHT-34の1種又は少なくとも2種の組み合わせに下記HI-1-HI-3の1種又は少なくとも2種の組み合わせ(例えばHI-1及びHI-2の組み合わせ等)をドーピングしたものを採用することもできる。
【0106】
【0107】
電子輸送区は単層構造の電子輸送層であってもよく、1種の化合物のみを含有する単層電子輸送層及び複数の種類の化合物を含有する単層電子輸送層を含む。電子輸送区は電子注入層、電子輸送層、正孔バリア層の少なくとも2層を含む多層構造であってもよい。
【0108】
さらに、本願の実施例には、電子輸送層材料は以下の例示されたET-1からET-65の1種又は少なくとも2種の組み合わせ(例えばET-2及びET-9の組み合わせもしくはET-12、ET-17及びET-33の組み合わせ等)から選択されてもよいが、これに限定されない。
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
1つの好ましい実施形態において、正孔バリア層中の正孔バリア材料は以下のHB-1からHB-6で示される化合物のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせ(例えばHB-1及びHB-2の組み合わせ、HB-5、HB-6及びHB-4の組み合わせ、HB-1、HB-3、HB-4及びHB-6の組み合わせ等)から選択される。
【0113】
【0114】
1つの好ましい実施形態において、電子バリア層の電子バリア材料は以下のEB-1からEB-21で示される化合物、化合物TDH-1からTDH-30のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択される。
【0115】
【0116】
1つの好ましい実施形態において、電子注入層中の電子注入材料は以下の化合物のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0117】
Liq、LiF、NaCl、CsF、Li2O、Cs2CO3、BaO、Na、Li、Ca、Mg、Ag、Yb。
【0118】
1つの好ましい実施形態において、第1の電極の下方もしくは第2の電極の上方に基板を使用する。基板はいずれも機械的強度、熱安定性、防水性、透明度に優れたガラス又はポリマー材料。また、ディスプレイ用の基板としては薄膜トランジスター(TFT)をつけることができる。
【0119】
1つの好ましい実施形態において、第1の電極は基板上に第1の電極として使用される材料をスパッタリングもしくは堆積した方式によって形成することができる。第1の電極が陽極とする場合、酸化インジウム錫(ITO)、インジウム酸化亜鉛(IZO)、酸化第二錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の酸化物の透明導電材料及びこれらの任意の組み合わせを採用することができる。第1の電極は陰極とした時、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、アルミニウム-リチウム(Al-Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム-インジウム(Mg-In)、マグネシウム-銀(Mg-Ag)等の金属又は合金及びこれらの間に任意な組み合わせを採用してもよい。
【0120】
デバイスは、陰極の上方に光取出層(CPL層)を蒸着することができ、デバイス効率を向上し、光学的マイクロキャビティを調節する等の作用を奏する。
【0121】
上記各層の厚みは本分野におけるこれらの層の通常な厚みとすることができる。
【0122】
本願は、基板上に順次に陽極、正孔輸送区、発光層、電子輸送区、陰極を堆積し、そして封止する当該有機エレクトロルミネッセンスデバイスの調製方法を提供する。発光層を調製する時に、複数の蒸着源が共蒸着する方法を利用する。陽極、正孔輸送区、電子輸送区、陰極の堆積方式は本分野における従来の方式と同じである。
【0123】
以下の合成例は、例示的に前記蛍光染料の具体的な合成方法を開示し、化合物の分析検測はABSCIEX質量分析計(4000QTRAP)を使用する。
【0124】
合成例1:M1の合成
【0125】
【0126】
中間体M1-1の合成:
室温で、1,3-ジブロモ-5-(2-ベンゼンプロパン-2-イル)ベンゼン(35.2g、100mmol)、ジアリニン(41.7g、250mmol)、Pd2(dba)3(0.92g、1mmol)、s-Phos(0.82g、2mmol)、t-ブチルアルコールナトリウム(24g、250mmol)、キシレン(500mL)を1Lの一口フラスコに入れ、窒素ガスで3回置換し、130℃に加熱し、一晩反応する。反応液を室温に降温し、反応系を濃縮した後、ジクロロメタンで抽出し、大量の水で水洗し、有機相を乾燥した後に濃縮してカラムクロマトグラフィー(PE:DCM=20:1)により42.4gの粗品を得て、n-ヘキサンで加熱してゆでて洗って、33.1gの白色固体を得て、収率は62.4%であった。
質量スペクトル分析によって確定された分子質量:530.29(理論値:530.27)。
【0127】
化合物M1の合成:
M1-1(5.3g、10mmol)を250mLの三つ口フラスコに入れ、p-t-ブチルベンゼン(80mL)を入れ、20分撹拌した後、反応系を-20℃に降温し、その後、15mmolのt-ブチルリチウムを入れ、低温を維持し30分撹拌し続ける。その後、徐々に90℃に昇温し、3hの加熱を続ける。最後に反応系の温度を再度-20℃に降温し、窒素ガスの保護で三臭化ホウ素(5.1g、20mmol)を入れ、30分撹拌した後、ジイソプロピルエチルアミン(13g、80mmol)を入れる。最後に反応系を110℃に加熱し、12h反応する。反応が室温に下げられた後、有機相を減圧し回転して除去する。酢酸エチル(200mL)で3回抽出し、有機相を合併して、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。有機相のシリカゲルに伴う濃縮を行い、カラムクロマトグラフィー(PE:DCM=100:1)により2.1gの粗品をえて、トルエン/n-ヘキサンで再結晶して0.95gの黄色固体を得て、収率は17.6%であった。
質量スペクトル分析によって確定された分子質量:538.22(理論値:538.26)。
【0128】
合成例2:M6の合成
合成方法はM1の合成と類似し、ジアリニンを等物質量のジ(4-t-ブチルフェニル)アミンで代替する点で異なり、化合物M6を得て、収率は15.1%であった。分子質量スペクトル分析によって確定された分子イオン質量:762.49(理論値:762.51)。
【0129】
合成例3:M37の合成
【0130】
【0131】
中間体M37-1の合成:
室温で、(1-(3,5-ジブロモフェニル)エタン-1,1-ジフェニル)ジベンゼン(41.4g、100mmol)、ジ(4-t-ブチルフェニル)アミン(90.0g、320mmol)、Pd2(dba)3(2.8g、3mmol)、2-ビシクロヘキシルホスフィン-2’,6’-ジメトキシビフェニル(s-Phos)(1.2g、3mmol)、t-ブチルアルコールナトリウム(33.6g、350mmol)、キシレン(1200mL)を2Lの一口フラスコに入れ、窒素ガスで3回置換し、130℃に加熱し、一晩反応する。反応液を室温に降温し、酢酸エチルで抽出し、大量の水で水洗し、有機相を乾燥した後に濃縮してカラムクロマトグラフィー(PE:DCM=20:1)により66.4gの白色固体を得て、収率は81.4%であった。
質量スペクトル分析によって確定された分子質量:816.58(理論値:816.54)。
【0132】
化合物M37の合成:
M53-1(8.2g、10mmol)を500mLの三つ口フラスコに入れ、p-t-ブチルベンゼン(150mL)を入れ、20分撹拌した後、反応系を-20℃に降温し、その後、15mmolのt-ブチルリチウムを入れ、低温を維持し30分撹拌し続ける。その後、徐々に90℃に昇温し、3hの加熱を続ける。最後に反応系の温度を再度-20℃に降温し、窒素ガスの保護で三臭化ホウ素(5.1g、20mmol)を入れ、30分撹拌した後、ジイソプロピルエチルアミン(13g、80mmol)を入れる。最後に反応系を110℃に加熱し、12h反応する。反応が室温に下げられた後、有機相を減圧し回転して除去する。酢酸エチル(200mL)で3回抽出し、有機相を合併して、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。有機相のシリカゲルに伴う濃縮を行い、カラムクロマトグラフィー(PE:DCM=40:1)により1.9gの粗品を得て、トルエン/n-ヘキサンで再結晶して1.1gの黄色固体を得て、収率は13.3%であった。質量スペクトル分析によって確定された分子質量:824.54(理論値:824.52)。
【0133】
合成例4:M49の合成
合成方法はM37の合成と類似し、ジアリニンを等物質量のジ(3-t-ブチルフェニル)アミンで代替する点で異なり、化合物M49を得て、収率は15.5%であった。分子質量スペクトル分析によって確定された分子質量:816.57(理論値:816.54)。
【0134】
合成例5:M55の合成
【0135】
【0136】
中間体M55-1の合成:
室温で、1-ブロモ-2,3-ジクロロベンゼン(22.4g、100mmol)、ビス(4-(2-ベンゼンプロパン-2-イル)フェニル)アミン(129.7g、320mmol)、Pd2(dba)3(2.8g、3mmol)、s-Phos(1.2g、3mmol)、t-ブチルアルコールナトリウム(33.6g、350mmol)、キシレン(1200mL)を2Lの一口フラスコを入れ、窒素ガスで3回置換し、130℃に加熱し、一晩反応する。反応液を室温に降温し、酢酸エチルで抽出、大量の水で水洗し、有機相を乾燥した後に濃縮してカラムクロマトグラフィー(PE:DCM=15:1)により60.8gの白色固体を得て、収率は66.2%であった。
質量スペクトル分析によって確定された分子質量:918.48(理論値:918.47)。
【0137】
化合物M55の合成:
M55-1(9.2g、10mmol)を500mLの三つ口フラスコに入れ、p-t-ブチルベンゼン(150mL)を入れ、20分撹拌した後、反応系を-20℃に降温し、その後、15mmolのt-ブチルリチウムを入れ、低温を維持し30分撹拌し続ける。その後、徐々に90℃に昇温し、3hの加熱を続ける。最後に反応系の温度を再度-20℃に降温し、窒素ガスの保護で三臭化ホウ素(5.1g、20mmol)を入れ、30分撹拌した後、ジイソプロピルエチルアミン(13g、80mmol)を入れる。最後に反応系を110℃に加熱し、12h反応する。反応が室温に下げられた後、有機相を減圧し回転して除去する。酢酸エチル(200mL)で3回抽出し、有機相を合併して、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。有機相のシリカゲルに伴う濃縮を行い、カラムクロマトグラフィー(PE:DCM=40:1)により3.2gの粗品を得て、トルエン/n-ヘキサンで再結晶して2.3gの黄色固体を得て、収率は26.3%であった。質量スペクトル分析によって確定された分子質量:892.45(理論値:892.49)。
【0138】
合成例6:M66の合成
合成方法はM55の合成と類似し、1-ブロモ-2,3-ジクロロベンゼンを等物質量の1-ブロモ-2,3-ジクロロ-5-メチルベンゼンで代替する点で異なり、化合物M66を得て、収率は23.5%であった。分子質量スペクトル分析によって確定された分子質量:906.48(理論値:906.51)。
【0139】
合成例7:M89の合成
【0140】
【0141】
中間体M89-1の合成:
室温で、500mL一口フラスコに3,6-ジ(2-ベンゼンプロパン-2基)カルバゾール(34.3g、85mmol)、2-ブロモ-1,3-ジフルオロベンゼン(7.7g、40mmol)、炭酸セシウム(32.6g、100mmol)、N、N-ジメチルホルムアミド(350mL)を入れ、窒素ガスで3回置換後、130℃に加熱し、一晩反応する。反応停止後、室温に降温した後に500mLの水に入れ10min撹拌し、大量の白色固体が析出する。吸引濾過し、ケーキをエタノールで2hのゆでて洗いを行い、降温し、吸引濾過し、37.4gの白色固体生成物を得て、収率は97.6%であった。質量スペクトル分析によって確定された分子質量:958.42(理論値:958.39)。
【0142】
化合物M89の合成:
M89-1(9.6g、10mmol)を500mLの三つ口フラスコに入れ、p-t-ブチルベンゼン(100mL)を入れ、20分撹拌した後、反応系を-20℃に降温し、その後、15mmolのt-ブチルリチウムを入れ、低温を維持し30分撹拌し続ける。その後、徐々に90℃に昇温し、3hの加熱を続ける。最後に反応系の温度を再度-20℃に降温し、窒素ガスの保護で三臭化ホウ素(5.1g、20mmol)を入れ、30分撹拌した後、ジイソプロピルエチルアミン(13g、80mmol)を入れる。最後に反応系を110℃に加熱し、12h反応する。反応が室温に下げられた後、有機相を減圧し回転して除去する。酢酸エチル(200mL)で3回抽出し、有機相を合併して、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。有機相のシリカゲルに伴う濃縮を行い、カラムクロマトグラフィー(PE:DCM=40:1)により1.9gの粗品を得て、トルエン/n-ヘキサンで再結晶して1.2gの黄色固体を得て、収率は20.3%であった。質量スペクトル分析によって確定された分子質量:888.47(理論値:888.46)。
【0143】
合成例8:M90の合成
合成方法はM89の合成と類似し、2-ブロモ-1,3-ジフルオロベンゼンを等物質量の2-ブロモ-1,3-ジフルオロ-5-メチルベンゼンで代替する点で異なり、化合物M90を得て、収率は19.6%であった。分子質量スペクトル分析によって確定された分子質量:902.51(理論値:902.48)。
【0144】
他の化合物の合成方法は類似して、相関する合成一般式によって合成を行うとともに、質量スペクトルテスト確認を行い、結果は以下の通りであった。
【0145】
【0146】
以下は、具体的な実施例によって、さらに本願の有機エレクトロルミネッセンスデバイスについて紹介する。
【0147】
実施例1-21、対比例1-2
上記実施例及び対比例によりそれぞれ1種の有機エレクトロルミネッセンスデバイスの構造は
図1に示すように、下から上に順次に陽極、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、電子バリア層(EBL)、発光層(EML)、正孔バリア層(HBL)、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)及び陰極を含み、発光層はホスト材料、熱活性化遅延蛍光増感剤及び蛍光染料を含み、具体的な材料の選択の詳細は表1に示される。
【0148】
上記有機エレクトロルミネッセンスデバイスの具体的な調製方法は以下の通りであった。
(1)ITO透明導電層を塗布されたガラス板を市販の洗浄剤で超音波にて処理し、脱イオン水で濯ぎ、アセトン:エタノール混合溶剤で超音波にて油を除去し、クリーンな環境で完全に水分を除去されるまでベークし、紫外光及びオゾンで洗浄するとともに、低いエネルギー陽イオンビームで表面を衝撃した。
(2)上記陽極をつけたガラス基片を真空キャビティ内にセッティングし、1×10-5Pa未満までに真空引きを行い、上記陽極層膜の上に正孔注入層としてHI-3を真空蒸着し、蒸着レートは0.1nm/sであり、蒸着膜厚は2nmであった。
(3)正孔注入層の上に正孔輸送層HT-28を真空蒸着し、蒸着レートは0.1nm/sであり、蒸着の全膜厚は30nmであった。
(4)正孔輸送層の上に電子バリア層EB-12を真空蒸着し、蒸着レートは0.1nm/sであり、蒸着の全膜厚は5nmであった。
(5)電子バリア層の上に発光層を真空蒸着し、発光層はホスト材料、増感剤及び蛍光染料を含み、複数の蒸着源が共蒸着の方法を利用し、ホスト蒸着レートは0.1nm/sであり、蒸着膜厚は30nmであった。
(6)発光層の上に正孔バリア層としてHB-5を真空蒸着し、蒸着レートは0.1nm/sであり、蒸着の全膜厚は5nmであった。
(7)正孔バリア層の上に電子輸送層としてET-60及びET-57を真空蒸着し、割合は1:1であり、蒸着レートは0.1nm/sであり、蒸着の全膜厚は25nmであった。
(8)電子輸送層上に電子注入層として厚みは1nmのLiqを真空蒸着し、厚みは150nmのAl層をデバイスの陰極とした。
【0149】
対比例1及び2に使用された蛍光染料はそれぞれD-1又はD-2の構造を有する。
【0150】
【0151】
デバイス性能テスト:
(1)同じ輝度で、ソースメーター及びPR650を使用してデバイスの実施例及び対比例で調製して得られた有機エレクトロルミネッセンスデバイスの駆動電圧及び外部量子効率を測定する。具体的には、毎秒0.1Vのレートで電圧を向上し、有機エレクトロルミネッセンスデバイスの輝度が1000cd/m2を到達した電圧を測定して対応する輝度下の駆動電圧とし、同時にPR650上に直接にテストを行い、デバイスの外部量子効率(EQE、%)を得ることができる。
(2)寿命テスト
輝度計を使用し1000cd/m2輝度で、一定の電流を保持し、有機エレクトロルミネッセンスデバイスの輝度が800cd/m2下げた時間を測定し、このデバイスのLT80寿命を称じ、本テストには、対比例1の寿命を100%と記載し、他の実施例又は対比例の寿命値はいずれも対比例1に対する割合である。
【0152】
上記テストの結果は表2に示す通りであった。
【0153】
【0154】
表2により、本願はTASFデバイスの発光層に特定構造の蛍光染料を導入し、従来技術の染料に比べて、デバイス性能を効果的に向上でき、具体的には駆動電圧を低減し、外部量子効率及び寿命を向上する。
【0155】
対比例1の蛍光染料D-1は、実施例6の蛍光染料M1に比べて、4級炭素類置換基がない点のみで異なり、対比例2の蛍光染料D-2は、実施例3の蛍光染料M6に比べて、4級炭素に置換されたものはいずれもフェニル基であったが、M6の4級炭素にアルキル基が置換された点のみで異なる。データによると、対比例1及び2のデバイス性能は明らかに実施例より劣り、本願の蛍光染料中の4級炭素類置換基はとても重要の役割を奏することが証明された。
【0156】
実施例1~5を比較して分かるように、本願の蛍光染料ドーピング割合が0.1%~10%範囲内に制御される(実施例2-4)ことで、さらにTASFデバイス性能を向上し、中でもドーピング量は1%である場合(実施例3)の効果は最適である。
【0157】
実施例3と実施例7を比較して分かるように、蛍光染料中にアリール基置換4級炭素基を含有する場合(実施例3)、アリール基置換4級シリコン基を含有する場合(実施例7)に比べて、TASFデバイス性能の向上により寄与する。
【0158】
図2は実施例3と対比例2のデバイスの外部量子効率-輝度の対比図であり、同じ輝度で、実施例3のデバイスがより高い外部量子効率を有することを示した。
【0159】
図3は実施例3と対比例2のデバイスが輝度1000cd/m
2における輝度減衰グラフであり、
図3には、L
0は初期輝度を代表し、Lは相応時間を経過した輝度を代表し、実施例3のデバイスの輝度減衰レートがより遅いことを示した。
【0160】
出願人は、本願は上記実施例により本願の詳細な方法を説明するが、本願は上記の詳細な方法に限定されず、すなわち本願は実施するために上記詳細な方法に依存しなければならないことを意味するものではない。当該技術分野の技術者は、本願のいかなる改善、本願の製品の各原料の等価置換及び補助成分の添加、具体的な方式の選択等が、いずれも本願の保護範囲及び開示範囲内に収まっていたことを明らかにすべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極、第2の電極及び前記第1の電極と第2の電極との間に位置する有機層を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスであって、
前記有機層は発光層を含み、前記発光層はホスト材料、熱活性化遅延蛍光増感剤及び蛍光染料を含み、前記蛍光染料は式(1)で示される化合物から選択される、有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化1】
(式(1)中、
環A、B、C、D及びEはそれぞれ独立に、芳香環又はヘテロ芳香環を代表し、且つ隣り合う2つの環の間に縮合可能にX
1又はX
2を含有する5員環又は6員環を形成し、
X
1及びX
2はそれぞれ独立に、O、S、N、C又はSiの1種から選択され、
mは0、1又は2であり、nは0、1又は2であり、且つ
R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5はそれぞれ独立に、単一置換から最大許容置換基を表し、且つそれぞれ独立に、水素、C
1~C
10鎖状アルキル基、C
3~C
10シクロアルキル基、C
1~C
10アルコキシ基、ハロゲン、シアン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、エステル基、シリル基、アミノ基、置換又は非置換のC
6~C
30アリールアミノ基、置換又は非置換のC
3~C
30ヘテロアリールアミノ基、置換又は非置換のC
6~C
30アリール基もしくは置換又は非置換のC
3~C
30ヘテロアリール基の1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択され、且つR
1、R
2、R
3、R
4及びR
5の少なくとも1つは式(G)であり、
式(G)中、
Z
1はC又はSiから選択され、
R
A、R
B及びR
Cはそれぞれ独立に、C
1~C
10鎖状アルキル基、C
3~C
10シクロアルキル基、置換又は非置換のC
6~C
30アリール基もしくは置換又は非置換のC
3~C
30ヘテロアリール基の1種から選択され、且つR
A、R
B及びR
Cの少なくとも1つは置換又は非置換のC
6~C
30アリール基もしくは置換又は非置換のC
3~C
30ヘテロアリール基から選択され、同時に少なくとも1つはC
1~C
10鎖状アルキル基もしくはC
3~C
10シクロアルキル基であり、且つ
上記基が置換基を有する場合、前記置換基はハロゲン、シアン基、カルボニル基、C
1~C
12のアルキル基、C
3~C
12のシクロアルキル基、C
2~C
10アルケニル基、C
1~C
6のアルコキシ基又はチオアルコキシ基、C
6~C
30の単環アリール基又は縮合環アリール基もしくはC
3~C
30の単環ヘテロアリール基又は縮合環ヘテロアリール基の1種もしくは少なくとも2種の組み合わせから選択される。)
【請求項2】
前記蛍光染料は式(2)で示される化合物から選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化2】
(式(2)中、環C、D、X
1、X
2、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、m及びnの定義は一般式(1)の中の定義と同じである。)
【請求項3】
前記蛍光染料は式(3)で示される化合物から選択される、請求項
1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化3】
(式(3)中、環C、D、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、m及びnの定義は一般式(1)の中の定義と同じであり、前記X
1及びX
2はそれぞれ独立に、O、S又はNから選択され、且つX
1及びX
2の少なくとも1つはNである。)
【請求項4】
前記蛍光染料は以下の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)又は(VIII)で示される化合物のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化4】
(R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5の定義は一般式(1)の中の定義と同じである。)
【請求項5】
前記蛍光染料は式(I)、(II)又は(III)で示される化合物のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択される、請求項
4に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項6】
前記式(G)は下記の式(G1)である、請求項1~5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化5】
(式(G1)中、
R
A及びR
Bの少なくとも1つはC
1~C
10鎖状アルキル基もしくはC
3~C
10シクロアルキル基であり、
R
C1は水素、C
1~C
10鎖状アルキル基、C
3~C
10シクロアルキル基、C
1~C
10アルコキシ基、置換又は非置換のC
6~C
30アリールアミノ基、置換又は非置換のC
3~C
30ヘテロアリールアミノ基、置換又は非置換のC
6~C
30アリール基もしくは置換又は非置換のC
3~C
30ヘテロアリール基の1種から選択される。)
【請求項7】
前記式(G)は下記の式a、b、c又はdの1種である、請求項1~
5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化6】
(R
6及びR
7はそれぞれ独立に、水素、重水素、ハロゲン、C
1~C
10鎖状アルキル基もしくはC
3~C
10シクロアルキル基の1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択される。)
【請求項8】
前記蛍光染料は以下の化合物M1からM144のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択される、請求項1~
5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【請求項9】
前記ホスト材料は以下の化合物TDH-1からTDH-30のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択される、請求項1~
5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化13】
【請求項10】
前記熱活性化遅延蛍光増感剤は以下の化合物TDE1からTDE37のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択される、請求項1~
5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化14】
【化15】
【化16】
【請求項11】
前記発光層の全質量に占める前記蛍光染料の質量は0.1%~10%である、請求項1~
5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項12】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイスを含む表示装置。
【国際調査報告】