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特表2023-545068園芸において使用されるペリレン-BODIPY三連構造化合物
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  • 特表-園芸において使用されるペリレン-BODIPY三連構造化合物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】園芸において使用されるペリレン-BODIPY三連構造化合物
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/02 20060101AFI20231019BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20231019BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
C07F5/02 D CSP
C09K11/06 660
G02B5/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521427
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(85)【翻訳文提出日】2023-04-06
(86)【国際出願番号】 US2021054244
(87)【国際公開番号】W WO2022076867
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】63/089,914
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/152,705
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003845
【氏名又は名称】弁理士法人籾井特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シジュン
(72)【発明者】
【氏名】ハンメーカー、ジェフリー、アール.
(72)【発明者】
【氏名】カイ、ジェ
(72)【発明者】
【氏名】サジョートー、 ティッサ
(72)【発明者】
【氏名】北原 勇
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ポン
【テーマコード(参考)】
2H148
4H048
【Fターム(参考)】
2H148AA05
4H048AA01
4H048AA03
4H048AB92
4H048VA11
4H048VA12
4H048VA20
4H048VA32
(57)【要約】
本開示は、少なくとも2つの青色光吸収性ペリレン誘導体に共有結合されたBODIPY部分を含む新規のフォトルミネッセンス錯体に関する。フォトルミネッセンス錯体を含む色変換フィルム、それを使用するバックライトユニット、それを作製する方法、及びそれを使用する園芸用途も記載されている。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のリンカー部分によってホウ素-ジピロメテン(BODIPY)部分に共有結合により連結された第1の任意に置換されたペリレンと、
第2のリンカー部分によって前記BODIPY部分に共有結合により連結された第2の任意に置換されたペリレンと、
を含むペリレン-BODIPY三連構造化合物を含む、フォトルミネッセンス錯体であって、
前記第1の任意に置換されたペリレン及び前記第2の任意に置換されたペリレンは、第1の励起波長の青色光を吸収し、吸収された青色光からのエネルギーの部分を前記BODIPY部分に移動し、
前記BODIPY部分は、移動したエネルギーの部分を第2のより長い波長の光として放出し、かつ、
前記第1の励起波長と前記第2のより長い波長との間の差は、35nmより大きい、フォトルミネッセンス錯体。
【請求項2】
前記BODIPY部分によって放出される光は、少なくとも40nmの半値全幅(FWHM)を有する、請求項1に記載のフォトルミネッセンス錯体。
【請求項3】
前記BODIPY部分によって放出される光は、前記フォトルミネッセンス錯体が450nmの波長を有する光を吸収する場合に、少なくとも85%である量子収率を有する、請求項1又は2に記載のフォトルミネッセンス錯体。
【請求項4】
前記ペリレン-BODIPY三連構造化合物は、400nm~475nmの範囲の波長範囲の光を吸収して、570nm~750nmの波長範囲の光を放出する、請求項1、2、又は3に記載のフォトルミネッセンス錯体。
【請求項5】
以下の式:
【化1】

(式中、R及びRは、独立して、H、任意に置換されたアルキル基、フッ素化されたアルキル基、エステル基、又は任意に置換されたアリール基であり、
及びRは、独立して、任意に置換されたアリール基であり、
及びGは、独立して、H、-CH、又はClであり、
は、H、-CH、又は-CFであり、
及びLは、独立して、-OC(=O)-(CHであり、ここで、それぞれのnは、独立して、1、2、3、4、5、又は6であり、かつ、
及びZは、独立して、任意に置換されたペリレンである)によって表される、請求項1、2、3、又は4に記載のフォトルミネッセンス錯体。
【請求項6】
以下の式:
【化2】
(式中、R及びRは、独立して、L-Z及びL-Zであり、
及びLは、独立して、-C(=O)-O(CHO-C(=O)(CH-であり、ここで、それぞれのnは、独立して、1、2、3、4、5、又は6であり、
及びZは、独立して、任意に置換されたペリレンであり、
及びRは、独立して、任意に置換されたアリール基であり、
及びGは、独立して、H、-CH、又はClであり、
は、H、-CH、又は-CFであり、かつ、
及びYは、独立して、H又はC~C10アルキルである)によって表される、請求項1、2、3、又は4に記載のフォトルミネッセンス錯体。
【請求項7】
前記ペリレン誘導体は、以下の式:
【化3】
(式中、R、R10、及びR11は、独立して、H又は-CFである)によって表される、請求項5又は6に記載のフォトルミネッセンス錯体。
【請求項8】
【化4】
を含む、請求項7に記載のフォトルミネッセンス錯体。
【請求項9】
【化5】
を含む、請求項7に記載のフォトルミネッセンス錯体。
【請求項10】
【化6】
を含む、請求項7に記載のフォトルミネッセンス錯体。
【請求項11】
【化7】
を含む、請求項7に記載のフォトルミネッセンス錯体。
【請求項12】
【化8】
を含む、請求項7に記載のフォトルミネッセンス錯体。
【請求項13】
【化9】
を含む、請求項7に記載のフォトルミネッセンス錯体。
【請求項14】
【化10】
を含む、請求項7に記載のフォトルミネッセンス錯体。
【請求項15】
【化11】
を含む、請求項7に記載のフォトルミネッセンス錯体。
【請求項16】
【化12】
を含む、請求項7に記載のフォトルミネッセンス錯体。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載のフォトルミネッセンス錯体を含む波長変換フィルム。
【請求項18】
植物に光を与える方法であって、請求項17に記載の波長変換フィルムから放出される光に植物を曝露することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において、波長変換フィルム、背面照明ユニット、及び園芸用途において使用されるペリレン-BODIPY三連構造化合物(triad compounds)が記載されている。
【背景技術】
【0002】
2025年までに、米国の垂直農法市場は世界市場全体の50%を占めると推定されている。2018年には、屋内垂直農法及びコンテナシステム農法が米国内の全屋内農法の37%を占めた。世界の育成ライト市場は、2025年までに86億4000万ドルになると予想されている。光源としての発光ダイオード(LED)は、白熱灯、蛍光灯、及び高圧ナトリウム灯等の従来の光源で通常発生する赤外線又は熱線を一切含まないため、植物栽培用の光源として有利である。LED照明の不利点の1つはLEDのコストであった。LEDの生産が増加するにつれて、LEDを製造するコストは下がり続けていることから、LEDは屋内農法にとって魅力的な光源となっている。
【0003】
植物は光合成の過程を使用して、光、CO、及びHOを炭水化物(糖類)に変換する。これらの糖類を使用して、代謝過程にエネルギーが供給される。殆どの糖類は、茎の伸長、葉の表面積の増加、開花、実形成等を含むバイオマス形成に利用される。植物のクロロフィルa及びクロロフィルbの2つの重要な吸収ピークは、特にそれぞれ425nm~475nmの青色領域及び625nm~675nmの赤色領域にある。毎日の光の持続時間は多くの植物にとって重要である。24時間周期の明期及び暗期の比率は、多くの植物における開花応答に影響を与える。明暗比の減少に起因して、殆どの植物は夏季にのみ実を結ぶ。屋内農法において秋、冬、及び春の間に補助照明を使用すると、世界の生産性を高めることができる。
【発明の概要】
【0004】
本明細書において、フォトルミネッセンス錯体において使用されるペリレン-BODIPY三連構造化合物が記載されている。本明細書において記載されるペリレン-BOIDPY三連構造物は、高い量子収率を有し、かつ熱及び湿気に耐え、光のアウトカップリングを増加させる耐久性がある、青色LED光を赤色光波長に変換する波長変換フィルムとともに使用され得る。本開示のペリレン-BODIPY三連構造化合物は、良好な青色光吸収及び赤色光放出帯域幅を有し、40nmより大きい放出帯域の半値全幅(FWHM)を有する新規の色変換化合物を提供する。幾つかの実施の形態においては、ペリレン-BODIPY三連構造化合物は、第1の波長の光を吸収して、第1の波長よりも長い第2の波長の光を放出する。本明細書において開示されるペリレン-BODIPY三連構造化合物は、人工園芸照明において使用される波長変換フィルムで利用され得る。
【0005】
幾つかの実施の形態は、第1のリンカー部分によってホウ素-ジピロメテン(BODIPY)部分に共有結合により連結された第1の任意に置換されたペリレンと、第2のリンカー部分によってBODIPY部分に共有結合により連結された第2の任意に置換されたペリレンとを含むペリレン-BODIPY三連構造化合物を含む、フォトルミネッセンス錯体を含む。幾つかの実施の形態においては、第1の任意に置換されたペリレン及び第2の任意に置換されたペリレンは、第1の励起波長の青色光を吸収し、吸収された青色光からのエネルギーの部分をBODIPY部分に移動させ、BODIPY部分は、移動したエネルギーの部分を第2のより長い波長の光として放出する。幾つかの実施の形態においては、第1の励起波長と第2のより長い波長との間の差は、35nmより大きい。
【0006】
幾つかの実施の形態においては、フォトルミネッセンス錯体は、少なくとも85%の量子収率を有し得る。
【0007】
本開示は、青色光エネルギーを優れた発光特性を有する赤色光波長に変換するフォトルミネッセンス錯体を提供する。これらの実施の形態及びその他の実施の形態を以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】フォトルミネッセンス錯体の一実施形態の吸収スペクトル及び放出スペクトルを示すグラフである。
図2】フォトルミネッセンス錯体の一実施形態の吸収スペクトル及び放出スペクトルを示すグラフである。
図3】白色LEDスペクトルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、ペリレン-BODIPY三連構造化合物を使用して青色光から赤色光へのアップスケーリングに対処する新規のアプローチが記載されている。ペリレン-BODIPY三連構造化合物は、従来のフォトルミネッセンス化合物と比較して、より広い半値全幅(FWHM)、高い蛍光効率、湿気・熱の両方に対する安定性、及び低い生産コストを有する。従来のBODIPY含有材料は、例えば400nm~475nmの青色LED光の吸収が非常に低いため、青色LED光から赤色光への非効率的な変換をもたらす等の幾つかの不利点を有し得る。
【0010】
本開示は、青色光を赤色光にシフト(又はアップスケーリング)するのに使用されるペリレン-BODIPY三連構造化合物を記載している。ペリレン-BODIPY三連構造化合物を使用して、波長色変換フィルム内での1つ以上の所望の発光帯域幅の透過を改善及び増強することができる。
【0011】
本明細書において使用される場合に、化合物又は化学構造物が「任意に置換された」と言及される場合に、これは非置換である場合も又は置換されている場合もあり、つまり、これは1つ以上の置換基を含み得る。置換された基は、親構造物上の1つ以上の水素原子が、独立して1つ以上の置換基によって置き換えられているという点で非置換の親構造物に関連している。置換基は、親基構造物上に1つ以上の置換基を有し得る。1つ以上の形態において、置換基は、独立して、F、Cl、Br、I、C0~71~151~20~2、C0~71~150~21~2、任意に置換されたアルキル(例えば、メチル、エチル、Cアルキル、Cアルキル等の非置換のアルキル等)、フルオロアルキル(例えば、-CF等)、アルケニル、又はC~Cヘテロアルキルであり得る。
【0012】
本明細書において使用される「アルキル」基という用語は、C=C部分又はC≡C部分を一切含まない脂肪族炭化水素基を指す。アルキル部分は、分岐状、直鎖状、又は環状であり得る。
【0013】
アルキル部分は、1個~6個の炭素原子を有し得る。本明細書に現れるかどうかにかかわらず、「1~6」等の数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指す。例えば、「1個~6個の炭素原子」は、アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子等、最大6個の炭素原子まで含めて有し得ること意味するが、本定義は、数値範囲が指定されていない「アルキル」という用語の出現も包含する。本明細書で指定される化合物のアルキル基は、「C~Cアルキル」又は同様の呼称として指定され得る。ほんの一例として、「C~Cアルキル」は、アルキル鎖に1個~6個の炭素原子が存在すること、すなわち、アルキル鎖がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、又はt-ブチルであることを示す。したがって、C~Cアルキルは、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキルを含む。アルキル基は、置換又は非置換であり得る。典型的なアルキル基としては、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。
【0014】
本明細書において使用される「アルケン」という用語は、プロペニル又はブテニル等の少なくとも1つの炭素-炭素二重結合(-C=C-)を有する基を指し、「アルキン」部分は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合(-C≡C-)を有する基を指す。
【0015】
本明細書において使用される「ヘテロアルキル」という用語は、本明細書において定義される、1つ以上の構成炭素原子が窒素、酸素、又は硫黄によって置き換えられたアルキル基を指す。例としては、限定するものではないが、-CH-O-CH、-CH-CH-O-CH、-CH-NH-CH、-CH-N(CH)-CH、-CH-CH-NH-CH、-CH-CH-N(CH)-CH、-CH-S-CH-CH、-CH-CH-S(O)-CHが挙げられる。さらに、最大2個のヘテロ原子は連続していてもよく、例としては-CH-NH-O-CH等がある。
【0016】
「芳香族」という用語は、4n+2(ここで、nは整数である)個のπ電子を含む非局在化π電子系を有する平面環を指す。芳香族環は、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個以上の原子から形成され得る。芳香族は、任意に置換されている場合がある。「芳香族」という用語は、炭素環式アリール(例えば、フェニル)及び複素環式アリール(すなわち「ヘテロアリール」又は「複素芳香族」)基(例えば、ピリジン)の両方を含む。この用語は、単環式基又は縮合環多環式(すなわち、隣接する炭素原子の対を共有する環)基を含む。
【0017】
本明細書において使用される場合に、「アリール」という用語は、環を形成する原子のそれぞれが炭素原子である芳香族環又は芳香族環系を意味する。アリール環は、5個、6個、7個、8個、又は9個以上の炭素原子によって形成され得る。アリール基は、置換又は非置換であり得る。アリール基の例としては、限定されるものではないが、フェニル、ナフタレニル、フェナントレニル等が挙げられる。
【0018】
本明細書において使用される「ヘテロアリール」という用語は、窒素、酸素、及び硫黄等の1個以上の環ヘテロ原子を含む芳香族環又は芳香族環系を指し、ここで、ヘテロアリール基は、その環系において4個~10個の原子を有するが、但し、この基の環は、2個の隣接する窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を含まない。ヘテロアリール環は、環内に追加のヘテロ原子を有し得ることが理解される。2個以上のヘテロ原子を有するヘテロアリール環において、2個以上のヘテロ原子は、同じである場合も又は互いに異なる場合もある。ヘテロアリール環は、任意に置換されている場合がある。含窒素ヘテロアリール部分は、環の骨格原子の少なくとも1個が窒素原子であるアリール基を指す。ヘテロアリール基の実例としては、以下の部分:ピロール、イミダゾール、ピリジン等が挙げられる。
【0019】
本明細書において使用される「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を意味する。
【0020】
本明細書において使用される「結合」、「結合された」、「直接結合」、又は「単結合」という用語は、結合によってつなぎ合わされた原子がより大きな構造の一部であると見なされる場合の2つの原子間の化学結合又は2つの部分間の化学結合を意味する。
【0021】
本明細書において使用される「部分」という用語は、分子の特定のセグメント又は官能基を指す。
【0022】
本明細書において使用される「シアノ」又は「ニトリル」という用語は、-CN官能基を含むあらゆる有機化合物を指す。
【0023】
本明細書において使用される「エステル」という用語は、式-COOR(式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、(環炭素を介して結合された)ヘテロアリール、又は(環炭素を介して結合された)複素環式部である)を有する化学的部分を指す。本明細書において記載される化合物上のあらゆるヒドロキシ側鎖又はカルボキシル側鎖はエステル化されている場合がある。そのようなエステルにするのに適切な手順及び特定の基は参照元において容易に見出すことができる。
【0024】
本明細書において使用される場合に、「エーテル」という用語は、R-O-R’(式中、R及びR’は、独立して、アルキル又はアリールであり、ここで、アルキル及びアリールという用語は、本明細書において定義される通りである)の一般式を有する、2つのアルキル基、2つのアリール基、又は1つのアルキル基及び1つのアリール基に接続された酸素原子を含む化学的部分を指す。
【0025】
本明細書において使用される場合に、「ケトン」という用語は、RC(=O)R’(式中、R及びR’は、独立して、アルキル又はアリールであり、ここで、アルキル及びアリールという用語は、本明細書において定義される通りである)の一般式を有する、2つのアルキル基、2つのアリール基、又は1つのアルキル基及び1つのアリール基に接続されたカルボニル基(炭素-酸素二重結合)を含む化学的部分を指す。
【0026】
本明細書において使用される「BODIPY」という用語は、下記一般式:
【化1】
を有する化学的部分を指す。
【0027】
BODIPY部分は、二置換ホウ素原子、典型的にはBF単位と錯形成されたジピロメテンから構成され得る。BODIPYコアのIUPAC名は、4,4-ジフルオロ-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセンである。便宜上、BODIPY部分に関連する正電荷及び負電荷は、本開示の構造物の一部には示されていない。
【0028】
幾つかの実施形態においては、任意に置換されたペリレンは、
【化2】
を含む。
【0029】
幾つかの実施形態においては、任意に置換されたペリレンは、
【化3】
を含む。
【0030】
本明細書において、第2の波長の光エネルギーの放出のための第1の波長の光エネルギーの移動に適した新規のペリレン-BODIPY三連構造物が記載されている。特段の指示がない限り、当該技術の通常の技量の範囲内であるNMR、HPLC、及び質量分光測定の従来の方法が使用される。
【0031】
本明細書において記載されるペリレン-BODIPY三連構造化合物は、約400nm~475nmの吸収された第1の光エネルギーを約570nm~750nm(例えば、612nm又は590nm)の第2の放出される光エネルギーに変換するのに適している。本開示のペリレン-BODIPY三連構造化合物は、2つの吸収性発光部分及び1つの放出性発光部分を含み、これらはリンカーを介してカップリングされており、こうして、それらの距離は、2つの吸収性発光部分がそれらのエネルギーをアクセプター発光部分に移動して、アクセプター発光部分が吸収された第1の波長よりも高い(長い)第2の波長でエネルギーを放出するように最適化されている。
【0032】
本明細書において記載される幾つかのペリレン-BODIPY三連構造化合物は、式(A):
【化4】
によって表され得る。
【0033】
式(A)に関して、Rは、水素(H)、置換若しくは非置換のアルキル基(例えば、C1~12アルキル、C1~6アルキル、C1~3アルキル、C3~6アルキル、CH、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル等)、フッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)、エステル基(例えば、C1~12エステル、C1~6エステル、C1~3エステル、C3~6エステル、CH、Cエステル、Cエステル、Cエステル、Cエステル、Cエステル等)、又は置換若しくは非置換のアリール基である。
【0034】
式(A)に関して、Rは、水素(H)、置換若しくは非置換のアルキル基(例えば、C1~12アルキル、C1~6アルキル、C1~3アルキル、C3~6アルキル、CH、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル等)、フッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)、エステル基(例えば、C1~12エステル、C1~6エステル、C1~3エステル、C3~6エステル、CH、Cエステル、Cエステル、Cエステル、Cエステル、Cエステル等)、置換若しくは非置換のアリール基である。
【0035】
式(A)に関して、Rは、非置換のアリール基、又は置換されたアリール基である。幾つかの実施形態においては、Rは、任意に置換されたフェニルである。
【0036】
式(A)に関して、Rは、非置換のアリール基、又は置換されたアリール基である。幾つかの実施形態においては、Rは、任意に置換されたフェニルである。
【0037】
式(A)に関して、Gは、水素(H)、メチル(-CH)、又は塩素原子(-Cl)である。幾つかの実施形態においては、Gは、水素(H)である。幾つかの実施形態においては、Gは、メチル(-CH)である。幾つかの実施形態においては、Gは、塩素原子(-Cl)である。
【0038】
式(A)に関して、Gは、水素(H)、メチル(-CH)、又は塩素原子(-Cl)である。幾つかの実施形態においては、Gは、水素(H)である。幾つかの実施形態においては、Gは、メチル(-CH)である。幾つかの実施形態においては、Gは、塩素原子(-Cl)である。
【0039】
式(A)に関して、Gは、水素(H)、メチル(-CH)、又はフッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)である。幾つかの実施形態においては、Gは、水素(H)である。幾つかの実施形態においては、Gは、メチル(-CH)である。幾つかの実施形態においては、Gは、フッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)である。
【0040】
式(A)に関して、Lは、-OC(=O)-(CH(式中、nは、1、2、3、4、5、又は6である)等のエステルである。
【0041】
式(A)に関して、Lは、-OC(=O)-(CH(式中、nは、1、2、3、4、5、又は6である)等のエステルである。Lに関連するn及びLに関連するnは、同一又は異なっている場合がある。
【0042】
式(A)に関して、Zは、ペリレン誘導体である。
【0043】
式(A)に関して、Zは、ペリレン誘導体である。
【0044】
本明細書において記載されるペリレン-BODIPY三連構造化合物は、式(B):
【化5】
によって表され得る。
【0045】
式(B)に関して、Rは、L-Zである。Lは、-C(=O)-O(CHO-C(=O)(CH-(式中、nは、1、2、3、4、5、又は6である)である。Zは、ペリレン誘導体である。
【0046】
式(B)に関して、Rは、L-Zである。Lは、-C(=O)-O(CHO-C(=O)(CH-(式中、nは、1、2、3、4、5、又は6である)である。Lに関連するn及びLに関連するnは、同一又は異なっている場合がある。Zは、ペリレン誘導体である。
【0047】
式(B)に関して、Rは、非置換のアリール基、又は置換されたアリール基である。
【0048】
式(B)に関して、Rは、非置換のアリール基、又は置換されたアリール基である。
【0049】
式(B)に関して、Gは、水素(H)、メチル(-CH)、又は-Clである。幾つかの実施形態においては、Gは、水素(H)である。幾つかの実施形態においては、Gは、メチル(-CH)である。幾つかの実施形態においては、Gは、塩素原子(-Cl)である。
【0050】
式(B)に関して、Gは、水素(H)、メチル(-CH)、又は-Clである。幾つかの実施形態においては、Gは、水素(H)である。幾つかの実施形態においては、Gは、メチル(-CH)である。幾つかの実施形態においては、Gは、塩素原子(-Cl)である。
【0051】
式(B)に関して、Gは、水素(H)、メチル(-CH)、又はトリフルオロメチル(-CF)である。幾つかの実施形態においては、Gは、水素(H)である。幾つかの実施形態においては、Gは、メチル(-CH)である。幾つかの実施形態においては、Gは、フッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)である。
【0052】
式(B)に関して、Yは、H又はC~C10アルキルである。幾つかの実施形態においては、Yは、Hである。幾つかの実施形態においては、Yは、C~C10アルキルである。
【0053】
式(B)に関して、Yは、H又はC~C10アルキルである。幾つかの実施形態においては、Yは、Hである。幾つかの実施形態においては、Yは、C~C10アルキルである。
【0054】
幾つかの実施形態においては、Z及びZは、式(C):
【化6】
のペリレン誘導体から選択される。
【0055】
式Cに関して、Rは、水素(H)、又はフッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)である。幾つかの実施形態においては、Rは、水素(H)である。幾つかの実施形態においては、Rは、フッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)である。
【0056】
式Cに関して、R10は、水素(H)、又はフッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)である。幾つかの実施形態においては、R10は、水素(H)である。幾つかの実施形態においては、R10は、フッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)である。
【0057】
式Cに関して、R11は、水素(H)、又はフッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)である。幾つかの実施形態においては、R11は、水素(H)である。幾つかの実施形態においては、R11は、フッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)である。
【0058】
本明細書において記載されるペリレン-BODIPY三連構造化合物は、光のアップスケーリングを必要とする多岐にわたる産業用途に使用され得ることが期待される。これらの化合物は長期間にわたって動作する必要があり、光安定性の向上が必要とされる。R及びRの部位に電子求引性基を追加すると、ペリレン-BODIPY三連構造化合物の光安定性が大幅に向上すると考えられる。
【0059】
本明細書において、様々な置換基及び官能基について上記した基のあらゆる組合せが企図される。本明細書において提供される化合物の置換基及び置換パターンを当業者が選択して、化学的に安定であり、かつあらゆる適切な技術、及び本明細書において示される技術によって合成され得る化合物を提供することができると理解される。
【0060】
幾つかの実施形態においては、R及びRは、それぞれ水素(H)を含む場合があり、R及びRは、それぞれ非置換のアリールである場合があり、ここで、アリールはフェニルであり、G、G、及びGは、それぞれメチルである場合があり、L及びLは、エステル(-OC(=O)-(CH、式中、n=3である)から選択され、かつZ及びZは、式(C)のペリレン(式中、R、R10、及びR11は、フッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)である場合があり、かつRは、水素(H)である)を含む。
【0061】
更なる実施形態又は代替的な実施形態においては、R及びRは、独立してエステル基である場合があり、ここで、エステル基は、例えば、-COR(式中、Rは、エチル基又は2-エチルヘキシル基である)である場合があり、R及びRは、それぞれ非置換のアリールである場合があり、ここで、アリールはフェニルであり、G、G、及びGは、それぞれメチルである場合があり、L及びLは、エステル(-OC(=O)-(CH、式中、n=3である)から選択され、かつZ及びZは、式(C)のペリレン(式中、R、R10、及びR11は、フッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)である場合があり、かつRは、水素(H)である)を含む。
【0062】
他の実施形態においては、R及びRは、それぞれ、置換されたアリール基を含む場合があり、ここで、置換されたアリール基は、置換基として2つのフッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)を有するフェニルを含む場合があり、R及びRは、それぞれ非置換のアリールである場合があり、ここで、アリールはフェニルであり、G、G、及びGは、それぞれメチルである場合があり、L及びLは、エステル(-OC(=O)-(CH、式中、n=3である)から選択され、かつZ及びZは、式(C)のペリレン(式中、R、R10、及びR11は、フッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)である場合があり、かつRは、水素(H)である)を含む。
【0063】
更なる実施形態又は代替的な実施形態においては、R及びRは、それぞれ、置換されたアルキル基を含む場合があり、ここで、置換されたアルキル基は、フッ素化されたアルキル(例えば、-CF)を含む場合があり、R及びRは、それぞれ非置換のアリールである場合があり、ここで、アリールはフェニルであり、G、G、及びGは、それぞれメチルである場合があり、L及びLは、エステル(-OC(=O)-(CH、式中、n=3である)から選択され、かつZ及びZは、式(C)のペリレン(式中、R、R10、及びR11は、フッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)である場合があり、かつRは、水素(H)である)を含む。
【0064】
幾つかの実施形態においては、R及びRは、それぞれエステル基を含む場合があり、ここで、エステル基は、例えば、-COR(式中、Rは、エチル基又は2-エチルヘキシル基である)である場合があり、R及びRは、それぞれ非置換のアリールである場合があり、ここで、アリールはフェニルであり、G、Gは、-Clを含む場合があり、かつGは、それぞれ水素(H)である場合があり、L及びLは、エステル(-OC(=O)-(CH、式中、n=3である)から選択され、かつZ及びZは、式(C)のペリレン(式中、R、R10、及びR11は、フッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)である場合があり、かつRは、水素(H)である)を含む。
【0065】
別の実施形態においては、R及びRは、それぞれエステル基を含む場合があり、ここで、エステル基は、例えば、-COR(式中、Rは、エチル基又は2-エチルヘキシル基である)である場合があり、R及びRは、それぞれ、置換されたアリールである場合があり、ここで、置換されたアリール基は、置換基として2つのフッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)を有するフェニルを含む場合があり、G、G、及びGは、それぞれメチルである場合があり、L及びLは、エステル(-OC(=O)-(CH、式中、n=3である)から選択され、かつZ及びZは、式(C)のペリレン(式中、R、R10、及びR11は、フッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)である場合があり、かつRは、水素(H)である)を含む。
【0066】
ペリレン-BODIPY三連構造化合物の更なる実施形態としては、限定されるものではないが、以下のものから選択される化合物が挙げられる:
【化7A】
【化7B】
【化7C】
【化7D】
【0067】
幾つかの実施形態においては、ペリレン-BODIPY三連構造化合物のストークスシフト、ペリレン-BODIPY三連構造化合物の第1の励起波長と、放出される第2のより長い波長との間の差は、30nmより大きい場合がある。幾つかの代替的な実施形態においては、ペリレン-BODIPY三連構造化合物のストークスシフト、ペリレン-BODIPY三連構造化合物の第1の励起波長と、放出される第2のより高い波長との間の差は、35nmより大きい場合がある。幾つかの実施形態においては、ペリレン-BODIPY三連構造化合物の第1の励起波長と、放出される第2のより高い波長との間の差は、約30nm~約35nm、35nm~約40nm、40nm~約45nm、45nm~約50nm、約50nm~約55nm、約55nm~約60nm、約60nm~約65nm、約65nm~約70nm、約70nm~約75nm、約75nm~約80nm、約80nm~約85nm、約85nm~約90nm、約90nm~約95nm、約95nm~約100nmであるか、又は約100nmより大きいか、又はこの範囲を境界とするあらゆる数である場合がある。BODIPY部分のストークスシフトが増加すると、ペリレン-BODIPY三連構造化合物のより低い自己吸収がもたらされることが期待される。
【0068】
幾つかの実施形態においては、本明細書において開示されるペリレン-BODIPY三連構造化合物の第2のより長い波長の放出帯域は、少なくとも40nmの半値全幅(FWHM)を有し得る。FWHMは、帯域についての最大放出強度の半分である放出強度でのナノメートル単位の放出帯域の幅である。幾つかの実施形態においては、フォトルミネッセンス錯体は、約40nmに等しい又はそれより大きい、約45nmより小さい又はそれに等しい、約50nmより小さい又はそれに等しい、約60nmより小さい又はそれに等しい放出帯域のFWHM値を有する。幾つかの実施形態においては、FWHMは、約40nm~約45nm、約45nm~約50nm、約50nm~約55nm、約55nm~約60nmであるか、又は60nmより大きい。
【0069】
一実施形態においては、ペリレン-BODIPY三連構造化合物は、高い放出量子収率を有し得る。幾つかの実施形態においては、放出量子収率は、85%を超える、90%を超える、又は95%を超える場合がある。放出量子収率は、放出された光子の数を吸収された光子の数により割ることによって測定され得る。これは、発光部分の放出効率に相当する。幾つかの実施形態においては、吸収発光部分(absorbing luminescent moiety)は、85%を超える放出量子収率を有する場合がある。幾つかの実施形態においては、量子収率は、0.85(85%)を超える、0.86(86%)を超える、0.87(87%)を超える、0.88(88%)を超える、0.89(89%)を超える、0.9(90%)を超える、0.91(91%)を超える、0.92(92%)を超える、0.93(93%)を超える、0.94(94%)を超える、及び/又は0.95(95%)を超える場合がある。フィルムにおける量子収率測定は、分光光度計、例えば、Quantaurus-QY分光光度計(Hammamatsu, Inc.、米国カリフォルニア州、キャンベル)によって実施され得る。幾つかの実施形態においては、量子収率は、約0.85(85%)、約0.85(85%)~約0.86(86%)、約0.86(86%)~約0.87(87%)、約0.87(87%)~約0.88(88%)、約0.88(88%)~約0.89(89%)、約0.89(89%)~約0.9(90%)、約0.9(90%)~約0.91(91%)、約0.91(91%)~約0.92(92%)、約0.92(92%)~約0.93(93%)、約0.93(93%)~約0.94(94%)、約0.94(94%)~約0.95(95%)、約0.85(85%)~約0.9(90%)、約0.9(90%)~約0.95(95%)、約0.95(95%)~約1(100%)、又は約0.85(85%)~約1(100%)である場合がある。
【0070】
本開示のペリレン-BODIPY三連構造化合物は、調整可能な放出波長を有し得る。BODIPY部分の置換基を変更することにより、放出波長を、約570nmから約750nmの間、又はこれらの値のいずれかを境界とする範囲内のあらゆる数に調整することができる。
【0071】
幾つかの実施形態においては、青色光吸収部分は、約400nmから約475nmの間のピーク吸収波長を有し得る。幾つかの実施形態においては、ピーク吸収は、約400nmから405nmの間、約405nmから410nmの間、約410nmから415nmの間、約415nmから420nmの間、約420nmから425nmの間、約425nmから430nmの間、約430nmから435nmの間、約435nmから440nmの間、約440nmから445nmの間、約445nmから450nmの間、約450nmから455nmの間、約455nmから460nmの間、約460nmから465nmの間、約465nmから470nmの間、470nmから475nmの間、又はこれらの範囲のいずれかを境界とする範囲内のあらゆる値であり得る。
【0072】
幾つかの実施形態においては、ペリレン-BODIPY三連構造化合物を含むフォトルミネッセンス錯体は、約570nmから約750nmの間の放出ピーク波長を有し得る。幾つかの実施形態においては、放出ピークは、約570nmから575nmの間、約575nmから580nmの間、約580nmから585nmの間、約585nmから590nmの間、約590nmから595nmの間、約595nmから600nmの間、約600nmから605nmの間、約605nmから610nmの間、約610nmから615nmの間、約615nmから620nmの間、約620nmから625nmの間、約625nmから630nmの間、約630nmから635nmの間、約635nmから640nmの間、約640nmから645nmの間、約645nmから650nmの間、約650nmから655nmの間、約655nmから660nmの間、約660nmから665nmの間、約665nmから670nmの間、約670nmから675nmの間、約675nmから680nmの間、約680nmから685nmの間、約685nmから690nmの間、約690nmから725nmの間、約725nmから750nmの間、約570nmから630nmの間、約630nmから690nmの間、約690nmから750nmの間、又はこれらの範囲のいずれかを境界とする範囲内のあらゆる値であり得る。
【0073】
特段の指示がない限り、本明細書及び実施形態において使用される、成分の量、分子量、反応条件等のような特性を表すあらゆる数字は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。したがって、反する指示がない限り、本明細書及び付属の実施形態に示される数値パラメーターは、得ることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、均等論の適用を制限する試みとしてではない。実施形態の範囲で、各数値パラメーターは、報告された有効桁数に照らして、通常の丸め技法を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。
【0074】
開示されたプロセス及び/又は方法について、プロセス及び方法において発揮される機能は、文脈によって示され得るように、様々な順序で実現され得る。さらに、概説された工程及び操作は例として示されているにすぎず、一部の工程及び操作は、任意であるか、より少ない工程及び操作にまとめられるか、又は追加の工程及び操作に拡張され得る。
【0075】
本開示は時々、異なる他の構成要素内に含まれる、又はそれらと関連する異なる構成要素を説明する場合がある。そのような表された構成は単なる例示であり、同じ又は類似の機能を達成する多くの他の構成を実現することができる。
【0076】
概して、本開示及び付属の実施形態(例えば付属の実施形態の本文)において使用される用語は、「オープン」な用語として意図されている(例えば、用語「含む(including)」は、「限定されるものではないが、~を含む(including,but not limited to)」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は、「限定されるものではないが、~を含む(includes,but not limited to)」等と解釈されるべきである)。さらに、特定の数の要素が導入される場合に、これは、文脈によって示され得るように、少なくとも記載された数を意味すると解釈され得る(例えば、他の修飾語を持たない「2つの記載」のありのままの記載は2つ以上の記載の少なくとも2つの記載を意味する)。本開示において使用される場合に、2つ以上の代替用語を表す任意の離接語及び/又は離接句は、用語の一方、用語のいずれか、又は両方の用語を含む可能性を企図するように理解されるべきである。例えば、語句「A又はB」は、「A又はB」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されることになる。
【0077】
本開示を説明する文脈において(特に以下の実施形態の文脈において)使用される用語「単数形("a","an","the")」及び同様の指示対象は、本明細書において特段の指示がない限り、又は文脈により明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を対象に含めると解釈されるべきである。本明細書において示されるありとあらゆる例、又は関連する文言(例えば、「等(such as)」)の使用は、単に本開示をより良好に明らかにすることが意図されており、任意の実施形態の範囲に対する制限をもたらすものではない。本明細書における文言は、本開示の実施に不可欠な具体化されていないあらゆる要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0078】
本明細書に開示される代替的な要素又は実施形態の群分けは、限定として解釈されるべきではない。各群の成員は、個別に又は群の他の成員若しくは本明細書に見られる他の要素と任意に組み合わせて参照され、具体化され得る。利便性及び/又は特許性の理由から、群の1つ以上の成員を群に含めることも、又は群から削除することもできると予想される。そのような包含又は削除が行われる場合、本明細書は、変更された群を含むため、付属の実施形態において使用される全てのマーカッシュ群の記述を満たすと考えられる。
【0079】
本開示を実施するために本発明者らに知られるベストモードを含めて、或る特定の実施形態が本明細書に記載されている。当然ながら、これらの記載された実施形態の変形形態は、上述の説明を読めば、当業者に明らかになるであろう。本発明者は、当業者が必要に応じてそのような変形形態を使用することを予想し、本発明者らは、本明細書において具体的に記載される以外の方法で本開示が実施されることを意図している。したがって、実施形態には、適用法によって認められるように、実施形態において記載される主題のあらゆる変更形態及び均等物が含まれる。さらに、本明細書において特段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、その全ての可能な変形形態における上記の要素のあらゆる組合せが企図される。最後に、本明細書において開示される実施形態は、実施形態の原理の例示であることが理解されるべきである。使用され得る他の変更形態は、実施形態の範囲内である。したがって、限定されるものではないが、例として、本明細書の教示に従って代替的な実施形態を利用することができる。したがって、実施形態は、厳密に示され、記載されている実施形態に限定されない。
【0080】
実施形態
実施形態1.ペリレン-BODIPY三連構造化合物であって、
少なくとも2つの青色光吸収部分と、
ここで、少なくとも2つの青色光吸収部分は、任意に置換されたペリレンを含む;
任意に置換されたペリレンとホウ素-ジピロメテン(BODIPY)部分とを共有結合により連結する少なくとも2つのリンカー部分と、
を含み、
任意に置換されたペリレンは、第1の励起波長の光エネルギーを吸収し、吸収された光エネルギーの部分をBODIPY部分に移動し、
BODIPY部分は、移動したエネルギーの部分を第2のより長い波長の光エネルギーとして放出し、かつ、
BODIPY部分の第1の励起波長と、BODIPY部分の放出される第2のより高い波長との間の差は、35nmより大きい、ペリレン-BODIPY三連構造化合物。
【0081】
実施形態2.少なくとも40nmの半値全幅(FWHM)を有する、実施形態1のペリレン-BODIPY三連構造化合物。
【0082】
実施形態3.量子収率は、少なくとも85%である、実施形態1又は2のペリレン-BODIPY三連構造化合物。
【0083】
実施形態4.ペリレン-BODIPY三連構造化合物は、400nm~475nmの波長範囲の光を吸収し、570nm~750nmの波長範囲の光を放出する、実施形態1、2、又は3のペリレン-BODIPY三連構造化合物。
【0084】
実施形態5.フォトルミネッセンスカセット(cassette)は、以下の式:
【化8】
(式中、R及びRは、同一であるか、又は互いに独立しており、それぞれ水素(H)、置換若しくは非置換のアルキル基、フッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)、エステル基、又は置換若しくは非置換のアリール基から選択され、
及びRは、同一であるか、又は互いに独立しており、それぞれ非置換のアリール基、又は置換されたアリール基であり、
及びGは、H、メチル、又はClから選択され、
は、H、メチル(-CH)、又はフッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)であり、
及びLは、エステル(-OC(=O)-(CH、式中、n=1~6である)から選択され、かつ、
及びZは、ペリレン誘導体から選択される)によって表される、実施形態1、2、3、又は4のペリレン-BODIPY三連構造化合物。
【0085】
実施形態6.ペリレン誘導体は、以下の式:
【化9】
(式中、R、R10、及びR11は、H、又はフッ素化されたアルキル基(例えば、-CF)から選択され、かつRは、Hである)によって表される、実施形態5のペリレン-BODIPY三連構造化合物。
【0086】
実施形態7.化合物は、
【化10】
を含む、実施形態1、2、3、4、5、又は6のペリレン-BODIPY三連構造化合物。
【0087】
実施形態8.化合物は、
【化11】
を含む、実施形態1、2、3、4、5、又は6のペリレン-BODIPY三連構造化合物。
【0088】
実施形態9.化合物は、
【化12】
を含む、実施形態1、2、3、4、5、又は6のペリレン-BODIPY三連構造化合物。
【0089】
実施形態10.化合物は、
【化13】
を含む、実施形態1、2、3、4、5、又は6のペリレン-BODIPY三連構造化合物。
【0090】
実施形態11.化合物は、
【化14】
を含む、実施形態1、2、3、4、5、又は6のペリレン-BODIPY三連構造化合物。
【0091】
実施形態12.化合物は、
【化15】
を含む、実施形態1、2、3、4、5、又は6のペリレン-BODIPY三連構造化合物。
【実施例
【0092】
本明細書に記載のフォトルミネッセンス錯体の実施形態は、色変換フィルムで使用される他の形態の染料と比較して改善された性能を有することが発見された。これらの利点は、以下の例によって更に示され、これらの例は、開示を説明することを目的とするにすぎず、範囲又は基本的な原則を制限することを何ら意図するものではない。
【0093】
実施例1:化合物の合成
例WLC-1
【化16】
【0094】
化合物1.1.3,7-ビス(4-ブロモフェニル)-5,5-ジフルオロ-10-メシチル-1,9-ジフェニル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン:
工程1:80mLの1,2-ジクロロエタン中の2-(4-ブロモフェニル)-4-フェニル-1H-ピロール(Synlett, 2016, 27(11), 1738-1742に従って合成した;1.0g、3.36mmol)、2,4,6-トリメチルベンズアルデヒド(メシトアルデヒドとも呼ばれる、0.249g、1.68mmol)、及びp-TsOH・HO(100mg)の混合物を脱ガスした後に、60℃で40時間加熱した。LCMS分析により、主生成物がm/e=727のピークをもって所望の生成物であることが示される。
【0095】
工程2:室温で、工程1から得られた混合物にDDQ(454mg、2mmol)を加え、全体を室温で1時間撹拌した。LCMS分析により、出発物質がm/e=724のピークをもって所望の生成物に完全に変換されたことが示される。
【0096】
工程3:氷浴で冷却しながら、トリエチルアミン(0.85mL、6mmol)及びBF-ジエチルエーテレート(1.1mL、9mmol)を工程2からの混合物に加えた。全体を50℃で1時間加熱した後に、もう1回分のトリエチルアミン(0.5mL)及びBF-ジエチルエーテレート(0.5mL)を加え、混合物を更に1時間加熱した。LCMS分析により、反応がm/e=772の主ピークをもって完了したことが示される。混合物を50mLのジクロロメタンで希釈し、水で2回洗浄し、ブラインで1回洗浄した。有機相を収集し、100mLまで濃縮した後に、シリカゲル上にロードし、ヘキサン類/ジクロロメタンの溶離液を(40%→100%のジクロロメタンの勾配で)使用したフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。主画分を収集し、減圧下で濃縮して溶剤を除去して固体を得て、これをメタノールで洗浄した後に、濾過し、空気中で乾燥させて、紫色の固体を得た(1.06g、81.6%の収率)。H NMR(400MHz、クロロホルム-d) δ 7.81~7.73(m,4H)、7.61~7.54(m,4H)、6.97~6.90(m,2H)、6.85(dd,J=8.3,6.9Hz,4H)、6.78~6.71(m,4H)、6.42(s,2H)、6.00(s,2H)、1.98(s,6H)、1.85(s,3H)。LCMS(APCI-):C4231BBrについての計算値:772.1、実測値:772。
【0097】
化合物1.2.4’,4’’’-(5,5-ジフルオロ-10-メシチル-1,9-ジフェニル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-3,7-ジイル)ビス([1,1’-ビフェニル]-4-オール):ジオキサン/水(8mL/1mL)共溶剤中の化合物1.1(160mg、0.207mmol)、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノール(120mg、0.54mmol)、Pd(PPh(25mg、0.022mmol)、及び炭酸カリウム(140mg、1.01mmol)の混合物を20分間脱ガスした後に、マイクロ波反応器において120℃で90分間加熱した。室温に冷却した後に、得られた混合物を20mLのジクロロメタンで希釈し、次にシリカゲル上にロードし、ジクロロメタン/酢酸エチルの溶離液を(0%→20%の酢酸エチルの勾配で)使用したフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。所望の画分を収集し、減圧下で濃縮した。溶剤を除去した後に、暗青色の固体を得た(130mg、79%の収率)。H NMR(400MHz,d2-TCE) δ 7.98~7.91(m,4H)、7.62~7.54(m,4H)、7.54~7.46(m,4H)、6.92~6.85(m,4H)、6.84(d,J=2.1Hz,2H)、6.82~6.74(m,4H)、6.73~6.66(m,4H)、6.46(s,2H)、5.92(s,2H)、4.88(s,2H)、1.92(s,6H)、1.78(s,3H)。LCMS(APCI-):C5441BFについての計算値:798.3、実測値:798。
【0098】
WLC-1.(5,5-ジフルオロ-10-メシチル-1,9-ジフェニル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-3,7-ジイル)ビス([1,1’-ビフェニル]-4’,4-ジイル)ビス(4-(4,9,10-トリス(トリフルオロメチル)ペリレン-3-イル)ブタノエート):5mLの無水ジクロロメタン中の化合物1.2(40mg、0.05mmol)、トリス(トリフルオロメチル)ペリレン-3-イル)ブタン酸(54mg、0.10mmol)、DIC(25mg、0.2mmol)、及びDMAP/p-TsOH(59mg、0.2mmol)の混合物を室温で2日間撹拌した。得られた混合物を0.2μmのフィルターを通して濾過した後に、シリカゲル上にロードし、ジクロロメタン/ヘキサン類の溶離液を(0%→80%のジクロロメタンの勾配で)使用したフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。所望の画分を収集した。溶剤を減圧下で除去した後に、得られた固体をメタノールで洗浄し、濾過し、空気中で乾燥させて、生成物を固体として得た(80mg、87%の収率)。H NMR(400MHz,d-TCE) δ 8.40~7.43(m,30H)、7.11(dd,J=24.4,8.2Hz,4H)、6.94~6.64(m,10H)、6.56~6.40(m,2H)、3.26(d,J=10.6Hz,4H)、2.83~2.54(m,4H)、2.21~2.01(m,4H)、1.92(s,6H)、1.78(s,3H)。LCMS(APCI-):C10867BF20についての計算値:1846.5、実測値:1847
【0099】
例WLC-2
【化17】
【0100】
化合物2.1.(4’-(ベンジルオキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボニトリル):250mLの2つ口丸底フラスコにガスアダプターを取り付け、撹拌子を入れた。フラスコをアルゴンでフラッシュし、4’-ヒドロキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボニトリル(30.0mmol、5.857g)及び炭酸カリウム(45.0mmol、6.219g)を加え、続いて無水DMF(30mL)を加えた。フラスコに臭化ベンジル(36.0mmol、4.28mL)を加えた。2つ目の口に栓をして、フラスコをアルミ製ヒートブロック内に入れた。このヒートブロックの温度を50℃に設定し、反応混合物をこの温度でアルゴン下にて90分間撹拌した。TLCにより反応が失速したことが示されるので、更なる臭化ベンジル(36.0mmol、4.28mL)及び炭酸カリウム(45.0mmol、6.219g)を加え、アルゴン下で50℃にて更に60分間撹拌を続けた。ヒーターを止め、反応混合物を水(150mL)で希釈して、生成物を沈殿させた。粗生成物を吸引濾過により単離し、水で洗浄した後に、DCM中に溶解し、真空中で蒸発乾固させた。粗生成物をシリカゲル上に蒸発させ、シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(330g、5%のEtOAc/ヘキサン類で平衡化し、5%のEtOAc/ヘキサン類(1CV)→20%のEtOAc/ヘキサン類(10CV)で溶出させる)により精製した。この物質は非常に不溶性であったため、溶媒系を2%のEtOAc/DCMに切り替え、次に20%のEtOAc/DCM(10CV)で溶出させた。画分に生成物が沈殿する。生成物を含む全ての画分をプールし、真空中で蒸発させて、白色の固体を得た。8.084gが得られる(94.4%の収率)。H NMR(400MHz、クロロホルム-d) δ 7.69(d,J=8.6Hz,2H)、7.64(d,J=8.6Hz,2H)、7.54(d,J=8.8Hz,2H)、7.48~7.31(m,5H)、7.08(d,J=8.8Hz,2H)、5.13(s,2H)。MS(APCI):化学式:C2015NO(M+H)についての計算値=286、実測値:286。
【0101】
化合物2.2.(エチル2-(4’-(ベンジルオキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-ピロール-3-カルボキシレート):25mLの2つ口丸底フラスコに空気冷却器を取り付け、撹拌子を入れた。フラスコをアルゴンでフラッシュし、亜鉛粉末(10μm未満、4.59mmol、300mg)を加え、続いて無水THF(0.70mL)を加えた。2つ目の口に栓をして、一式をアルミ製ヒートブロック内に入れ、ヒートブロックの温度を80℃に設定した。反応混合物が還流したら、乾燥THF中の0.15mLの1.0Mのメタンスルホン酸溶液を加え、この混合物を80℃で5分間撹拌した。化合物2.1(2.29mmol、653mg)を一度に加えた。2-ブロモ酢酸エチル(3.44mmol、0.381mL)を、アルゴン下で80℃にて加熱及び撹拌しながら、シリンジポンプを介して1時間かけて加えた。30分間加熱した後に、更に2.4mLの無水THFを加えて、蒸発により失われた溶剤に置き換えた。2-ブロモ酢酸エチルを加えた後に更に2時間加熱し、次にエチニルベンゼン(2.52mmol、0.277mL)を加え、アルゴン下で80℃にて更に1時間撹拌を続けた。TLCにより更なる進行が示されないので、反応混合物を水浴中で室温まで冷却した。反応混合物に無水DMF(6mL)を加え、続いてPd(OAc)(0.230mmol、52mg)、Cu(OAc)(5.05mmol、917mg)、及び酢酸(4.59mmol、260μL)を加えた。反応混合物を95℃に予熱したヒートブロック内に入れ、空気に曝した状態で撹拌して環化させ、酸化して、最終生成物ピロールを得た。反応混合物を95℃で3時間撹拌した後に、室温で一晩撹拌した。反応物を酢酸エチル(300mL)、水(150mL)で希釈し、6NのHClで約1のpHまで酸性化した。層を分離し、有機層をブライン(25mL)で洗浄し、MgSOを介して乾燥させ、濾過し、真空中で蒸発乾固させた。粗生成物をDCM中に溶解し、酸洗浄したセライト及び砂の9:1の混合物上に蒸発させた。シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(120g、50%のDCM/ヘキサン類で平衡化し、固体ローディング(solid load)し、50%のDCM/ヘキサン類(5CV)→100%のDCM(20CV)で溶出させる)により精製した。生成物を含む画分を真空中で蒸発乾固させた。307mgのオフホワイト色の固体が得られる(28.3%の収率)。H NMR(400MHz、クロロホルム-d) δ 8.41(s,1H)、7.62(s,4H)、7.57(d,J=8.7Hz,2H)、7.49~7.27(m,10H)、7.07(d,J=8.8Hz,2H)、6.85(d,J=2.6Hz,1H)、5.13(s,2H)、4.11(q,J=7.1Hz,2H)、1.02(t,J=7.1Hz,3H)。MS(APCI):化学式:C3227NO(M+H)についての計算値=474、実測値:474。
【0102】
化合物2.3.(ジエチル3,7-ビス(4’-(ベンジルオキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-5,5-ジフルオロ-10-メシチル-1,9-ジフェニル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-2,8-ジカルボキシレート):40mLのスクリューキャップバイアルをアルミ製ヒートブロック内に入れ、テフロン(登録商標)/シリコーンシールのスクリューキャップを取り付け、撹拌子を入れた。このバイアルに、化合物2.2(0.646mmol、306mg)を加え、続いて無水DCE(20mL)を加えた。溶液を撹拌しながら室温にて乾燥窒素で10分間スパージした。バイアルに2,4,6-トリメチルベンズアルデヒド(0.323mmol、0.476mL)を加え、溶液を乾燥窒素で更に10分間スパージした。溶液にp-TsOH・HO(0.105mmol、20mg)を加え、撹拌しながら室温にて乾燥窒素で更に10分間スパージを続けた。窒素源を静的なアルゴンのブランケットに置き換え、スクリューキャップのセプタムシール及びバイアルを、60℃に設定されたアルミ製ヒートブロックにより撹拌しながら加熱した。30分後に、ヒートブロックの温度を70℃に上昇させ、反応混合物をこの温度で30分間撹拌した後に、室温で40時間撹拌した。DDQ(0.388mmol、88mg)を撹拌しながら室温にて1時間かけてバイアルに加えた。ヒートブロックの温度を20分間で40℃に上昇させ、次いで追加のDDQ(0.0065mmol、14mg)を加え、アルゴン下で40℃にて撹拌及び加熱を30分間続けた。反応混合物は氷水浴を用いて0℃に冷却し、トリエチルアミン(1.154mmol、0.161mL)を加え、続いてBF・OEt(1.730mmol、0.214mL)を加えた。反応混合物を0℃で1分間撹拌した後に、冷却浴を取り外し、反応混合物を50℃に設定した加熱ブロック内に戻した。反応混合物をアルゴン下で50℃にて1時間撹拌した後に、追加のトリエチルアミン(2.308mmol、0.322mL)及びBF・OEt(3.460mmol、0.428mL)を加え、50℃で更に1時間撹拌を続けた。反応混合物を加熱ブロックから取り出し、DCM(100mL)及び水(100mL)で希釈した。混合物を激しく撹拌し、水層を6NのHClで約1のpHまで酸性化した。2相混合物を薄いセライト層を通して濾過して、微細な白色の沈殿物を除去した。層を分離し、水層をDCM(2×25mL)で抽出した。合わせた有機層はMgSOを介して乾燥させ、濾過し、真空中で蒸発乾固させた。粗生成物をDCM中に溶解し、酸洗浄したセライト及び砂の9:1の混合物上に真空中で蒸発させた。シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(80g、80%のトルエン/ヘキサン類で平衡化し、固体ローディングし、80%のトルエン/ヘキサン類(2CV)→100%のトルエン(5CV)→均一濃度のトルエン(isocratic toluene)(10CV)→次に5%のEtOAc/トルエン(20CV)で溶出させる)により精製した。純粋な生成物を含む画分を真空中で蒸発乾固させた。鈍赤色の固体が得られる(256mg、70.5%の収率)。H NMR(400MHz、クロロホルム-d) δ 7.69(d,J=8.3Hz,4H)、7.58(d,J=6.2Hz,4H)、7.56(d,J=6.6Hz,4H)、7.48~7.30(m,10H)、7.03(d,J=8.8Hz,4H)、6.96~6.90(m,2H)、6.84(t,J=7.7Hz,4H)、6.80~6.76(m,4H)、5.96(s,2H)、5.11(s,4H)、3.75(q,J=7.1Hz,4H)、2.01(s,6H)、1.83(s,3H)、0.63(t,J=7.1Hz,6H)。MS(APCI):化学式:C7461BF(M+H)についての計算値=1123、実測値:1123。
【0103】
化合物2.4.(ジエチル5,5-ジフルオロ-3,7-ビス(4’-ヒドロキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-10-メシチル-1,9-ジフェニル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-2,8-ジカルボキシレート):500mLのナスフラスコに撹拌子を入れ、アルゴンでフラッシュした。フラスコに200プルーフのエタノール(10mL)を加え、続いて10%のPd/C(湿潤)(20mg)を加えた。内容物を15秒間撹拌した後に、酢酸エチル(50mL)を加え、続いて化合物2.3(0.1335mmol、150mg)を加えた。フラスコを室温で撹拌し、真空及び水素ガス(バルーン)でのバックフィルのサイクルに3回かけた。反応混合物を水素雰囲気(バルーン)下で室温にて1時間撹拌した。水素を真空下で除去し、アルゴンにより置き換えた後に、更に10%のPd/C(湿潤)を加えた(100mg)。真空/水素バックフィルのサイクルを3回繰り返し、反応物を水素雰囲気下で90分間撹拌した。反応物を再び排気し、アルゴンにより置き換え、更に10%のPd/C(湿潤)を加え(200mg)、酢酸エチル(50mL)も加えた。真空/水素バックフィルのサイクルを3回繰り返し、反応物を水素雰囲気下で2時間撹拌したところ、その時点で反応が完了した。触媒をセライトのパッドを通して濾別し、溶剤を真空中で蒸発させ、粗製固体を得て、これを更に精製せずに使用した。
【0104】
WLC-2.(ジエチル5,5-ジフルオロ-10-メシチル-1,9-ジフェニル-3,7-ビス(4’-((4-(4,9,10-トリス(トリフルオロメチル)ペリレン-3-イル)ブタノイル)オキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-2,8-ジカルボキシレート):スクリューキャップセプタムを備えた40mLのスクリューキャップバイアルに撹拌子を入れた。バイアルをアルゴンでフラッシュした。バイアルに、化合物2.4(0.050mmol、47mg)及び(トリス-CF)-4-(ペリレン-3-イル)ブタン酸(異性体の混合物、0.200μmol、108mg)、並びにp-TsOH・DMAP塩(0.025mmol、7.4mg)を加えた。ジイソプロピルカルボジイミド(0.338mmol、53μL)はピペットを介して加えた。バイアルをスクリューキャップで密閉し、アルゴン下で室温にて4時間撹拌した。バイアルをアルミ製ヒートブロック内に入れ、ヒートブロックの温度を50℃に設定した。反応混合物をアルゴン下で50℃にて1時間撹拌した。数滴の水を加え、反応混合物を50℃で数分間撹拌した後に、粗製反応混合物を蒸発乾固させた。生成物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(80g、50%のトルエン/ヘキサン類で平衡化し、1:1のトルエン:ヘキサン類中でロードし、50%のトルエン/ヘキサン類(2CV)→100%のトルエン(5CV)→均一濃度のトルエン(2CV)→5%のEtOAc/トルエン(20CV)で溶出させる)により精製した。生成物を含む画分を真空中で蒸発乾固させた。粗生成物を熱メタノールでトリチュレートし、室温まで冷やし、固体を吸引濾過により単離し、DCM中に再溶解し、真空中で蒸発乾固させた(微量の不純物を除去した)。定量的な収率の赤色の固体が得られる。H NMR(400MHz、クロロホルム-d) δ 8.44~7.32(m,28H)、7.21~6.72(m,14H)、5.96(s,2H)、3.91~3.69(m,4H)、3.55~3.25(m,4H)、2.86~2.55(m,4H)、2.35~2.05(m,4H)、2.02(s,6H)、1.83(s,3H)、0.67~0.57(m,6H)。MS(APCI):化学式:C11475BF20(M-)についての計算値=1991、実測値:1991。
【0105】
例WLC-3.
【化18】
【0106】
化合物3.1.3,7-ビス(4-ブロモフェニル)-5,5-ジフルオロ-10-メシチル-1,9-ジフェニル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン:
工程1:80mLの1,2-ジクロロエタン中の2-(4-ブロモフェニル)-4-フェニル-1H-ピロール(1.0g、3.36mmol)、2,4,6-トリメチルベンズアルデヒド(0.249g、1.68mmol)、及びp-TsOH・HO(100mg)の混合物を脱ガスした後に、60℃で40時間加熱した。LCMS分析により、主生成物がm/e=727のピークをもって所望の生成物であることが示される。
【0107】
工程2:室温で、工程1から得られた混合物にDDQ(454mg、2mmol)を加え、全体を室温で1時間撹拌した。LCMS分析により、出発物質がm/e=724のピークをもって所望の生成物に完全に変換されたことが示される。
【0108】
工程3:氷バッチで冷却しながら、トリエチルアミン(0.85mL、6mmol)及びBF-ジエチルエーテル(1.1mL、9mmol)を工程2からの混合物に加えた。全体を50℃で1時間加熱した後に、もう1回分のトリエチルアミン(0.5mL)及びBF-ジエチルエーテル(0.5mL)を加え、混合物を更に1時間加熱した。LCMS分析により、反応がm/e=772の主ピークをもって完了したことが示される。混合物を50mLのジクロロメタンで希釈し、水で2回洗浄し、ブラインで1回洗浄した。有機相を収集し、100mLまで濃縮した後に、シリカゲル上にロードし、ヘキサン類/ジクロロメタンの溶離液を(40%→100%のジクロロメタンの勾配で)使用したフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。主画分を収集し、減圧下で濃縮して溶剤を除去して固体を得て、これをメタノールで洗浄した後に、濾過し、空気中で乾燥させて、紫色の固体を得た(1.06g、81.6%の収率)。H NMR(400MHz、クロロホルム-d) δ 7.81~7.73(m,4H)、7.61~7.54(m,4H)、6.97~6.90(m,2H)、6.85(dd,J=8.3,6.9Hz,4H)、6.78~6.71(m,4H)、6.42(s,2H)、6.00(s,2H)、1.98(s,6H)、1.85(s,3H)。LCMS(APCI-):C4231BBrについての計算値:772.1、実測値:772。
【0109】
化合物3.2.4’,4’’’-(5,5-ジフルオロ-10-メシチル-1,9-ジフェニル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-3,7-ジイル)ビス([1,1’-ビフェニル]-4-オール):ジオキサン/水(8mL/1mL)共溶剤中の化合物3.1(160mg、0.207mmol)、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノール(120mg、0.54mmol)、Pd(PPh(25mg、0.022mmol)、及び炭酸カリウム(140mg、1.01mmol)の混合物を20分間脱ガスした後に、マイクロ波反応器において120℃で90分間加熱した。室温に冷却した後に、得られた混合物を20mLのジクロロメタンで希釈し、次にシリカゲル上にロードし、ジクロロメタン/酢酸エチルの溶離液を(0%→20%の酢酸エチルの勾配で)使用したフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。所望の画分を収集し、減圧下で濃縮した。溶剤を除去した後に、暗青色の固体を得た(130mg、79%の収率)。H NMR(400MHz,d2-TCE) δ 7.98~7.91(m,4H)、7.62~7.54(m,4H)、7.54~7.46(m,4H)、6.92~6.85(m,4H)、6.84(d,J=2.1Hz,2H)、6.82~6.74(m,4H)、6.73~6.66(m,4H)、6.46(s,2H)、5.92(s,2H)、4.88(s,2H)、1.92(s,6H)、1.78(s,3H)。LCMS(APCI-):C5441BFについての計算値:798.3、実測値:798。
【0110】
化合物3.3.(5,5-ジフルオロ-10-メシチル-1,9-ジフェニル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-3,7-ジイル)ビス([1,1’-ビフェニル]-4’,4-ジイル)ビス(4-(4,9,10-トリス(トリフルオロメチル)ペリレン-3-イル)ブタノエート):5mLの無水ジクロロメタン中の化合物3.2(40mg、0.05mmol)、トリス(トリフルオロメチル)ペリレン-3-イル)ブタン酸(54mg、0.10mmol)、DIC(25mg、0.2mml)、及びDMAP/p-TsOH(59mg、0.2mmol)の混合物を室温で2日間撹拌した。得られた混合物を0.2μmのフィルターを通して濾過した後に、シリカゲル上にロードし、ジクロロメタン/ヘキサン類の溶離液を(0%→80%のジクロロメタンの勾配で)使用したフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。所望の画分を収集した。溶剤を減圧下で除去した後に、得られた固体をメタノールで洗浄し、濾過し、空気中で乾燥させて、生成物を固体として得た(80mg、87%の収率)。H NMR(400MHz,d2-TCE) δ 8.40~7.43(m,30H)、7.11(dd,J=24.4,8.2Hz,4H)、6.94~6.64(m,10H)、6.56~6.40(m,2H)、3.26(d,J=10.6Hz,4H)、2.83~2.54(m,4H)、2.21~2.01(m,4H)、1.92(s,6H)、1.78(s,3H)。LCMS(APCI-):C10867BFONについての計算値:1846.5、実測値:1847。
【0111】
化合物3.4.(5,5-ジフルオロ-2,8-ジヨード-10-メシチル-1,9-ジフェニル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-3,7-ジイル)ビス([1,1’-ビフェニル]-4’,4-ジイル)ビス(4-(4,9,10-トリス(トリフルオロメチル)ペリレン-3-イル)ブタノエート):無水DMF(5mL)中の化合物3.3(50mg、0.027mmol)の溶液に、N-ヨードスクシンイミド(NIS)(112mg、0.5mmol)を加えた。混合物を80℃で16時間加熱した。得られた混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈した後に、水(30mL×3回)で洗浄し、30mLの5%のチオ硫酸ナトリウム水溶液で1回洗浄し、ブライン(30mL)で洗浄した。有機相はMgSOを用いて乾燥させた後に、溶剤を減圧下で除去して固体を得た(50mg、88%の収率)。H NMR(400MHz、クロロホルム-d) δ 8.35~7.87(m,12H)、7.83~7.65(m,8H)、7.63~7.47(m,8H)、7.20~7.07(m,4H)、7.03~6.83(m,6H)、6.80~6.69(m,4H)、5.97(d,J=11.4Hz,2H)、3.31(dt,J=16.2,8.2Hz,4H)、2.78(d,J=7.7Hz,4H)、2.37~2.17(m,5H)、2.04(s,3H)、2.02(s,6H)。
【0112】
化合物WLC-3.(2,8-ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジフルオロ-10-メシチル-1,9-ジフェニル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-3,7-ジイル)ビス([1,1’-ビフェニル]-4’,4-ジイル)ビス(4-(4,9,10-トリス(トリフルオロメチル)ペリレン-3-イル)ブタノエート):1,4-ジオキサン/水(4mL/0.5mL)の混合物中の化合物3.4(50mg、0.0238mmol)、(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボロン酸(21mg、0.08mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(5mg、0.004mmol)、及び炭酸カリウム(13.8mg、0.1mmol)の混合物を、マイクロ波反応器において100℃で60分間加熱した。得られた混合物を20mLのジクロロメタンで希釈した後に、シリカゲル上にロードし、ヘキサン類/ジクロロメタンの溶離液(0%→50%のジクロロメタン)を使用したフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。所望の画分を収集した後に、減圧下で濃縮した。得られた固体をメタノールで洗浄し、空気中で乾燥させて、暗赤色の固体を得た(30mg、49%の収率)。H NMR(400MHz、クロロホルム-d) δ 8.40~7.67(m,16H)、7.60~7.48(m,12H)、7.44(s,2H)、7.17(d,J=5.8Hz,4H)、7.01(d,J=12.3Hz,4H)、6.86(dt,J=39.9,7.8Hz,6H)、6.72~6.57(m,4H)、5.99(d,J=5.5Hz,2H)、3.33(s,4H)、2.79(s,4H)、2.29(s,3H)、2.10(d,J=20.2Hz,6H)。
【0113】
例WLC-4
【化19】
【0114】
化合物WLC-4.(5,5-ジフルオロ-10-メシチル-1,9-ジフェニル-2,8-ビス(トリフルオロメチル)-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-3,7-ジイル)ビス([1,1’-ビフェニル]-4’,4-ジイル)ビス(4-(4,9,10-トリス(トリフルオロメチル)ペリレン-3-イル)ブタノエート):
工程1:1mLの無水DMF中のCuCl(50mg、0.5mmol)の混合物に、THF(1.0mmol)中のカリウムt-ブトキシドの1mLの1Mの溶液を加えた。混合物をアルゴン雰囲気下で室温にて1時間撹拌した後に、2,2,2-トリフルオロアセトフェノン(68μL、0.5mmol)を加えた。得られた混合物を室温で30分間撹拌して、所望のCuCF種を形成させた。
【0115】
工程2.上記混合物に、乾燥トリエチルアミン塩酸塩(68mg、0.5mmol)を加えて、過剰のカリウムt-ブトキシドを中和した後に、化合物3.4(100mg、0.048mmol)を加えた。全体を50℃で20時間撹拌した後に、10mLのDCMで希釈し、シリカゲル上にロードし、ヘキサン類/DCMの溶離液(0%→80%のDCM)を使用したフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。所望の画分を収集し、溶剤を除去して赤色の固体を得た(65mg、65%の収率)。H NMR(400MHz、塩化メチレン-d) δ 8.43~7.47(m,28H)、7.19(m,4H)、7.06~6.69(m,10H)、6.00(two singlet,2H)、3.33(m,4H)、2.78(m,4H)、2.30(m,4H)、2.02(s,6H)、1.85(s,3H)。
【0116】
例WLC-5.
【化20】
【0117】
化合物5.1.(2-エチルヘキシル2-ブロモアセテート):250mLの2つ口丸底フラスコに撹拌子を入れ、アルゴンでフラッシュし、2-エチルヘキサノール(30.0mmol、4.70mL)、ブロモ酢酸(45.0mmol、6.253g)、及びDMAP・pTsOH塩(0.750mmol、221mg)を順次加え、続いて無水DCM(30mL)を加えた。反応混合物を室温で撹拌し、DIC(60.0mmol、9.4mL)はシリンジを介して滴加した。反応は発熱性であったため、DICの添加速度を制御して、反応混合物を沸点未満に維持した。反応物をアルゴン下で室温にて30分間撹拌したところ、その時点でTLCによりアルコールが残留していないことが示された。反応混合物をヘキサン類(300mL)で希釈し、反応混合物を飽和NaHCO/水溶液(3×50mL)及びブライン(50mL)で洗浄した。反応混合物はMgSOを介して乾燥させ、濾過し、真空中で蒸発乾固させた。粗生成物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(330g、1%のEtOAc/ヘキサン類で平衡化し、ヘキサン類中でロードし、1%のEtOAc/ヘキサン類(2CV)→20%のEtOAc/ヘキサン類(20CV)で溶出させる)により精製した。生成物を含む画分を真空中で蒸発させて、生成物を非常に薄い黄色の油状物として得た。6.588gが得られる(87%の収率)。H NMR(400MHz,テトラクロロエタン-d) δ 4.14~4.03(m,2H)、3.87(s,2H)、1.66~1.56(m,1H)、1.42~1.22(m,8H)、0.96~0.86(m,6H)。
【0118】
化合物5.2.(2-エチルヘキシル2-(4’-(ベンジルオキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-ピロール-3-カルボキシレート):化合物5.2を、化合物5.1(3.44mmol、864mg)、Zn((10μm未満の粉末)、4.59mmol、300mg)、化合物5.1(2.29mmol、653mg)、フェニルアセチレン(2.57mmol、0.277mL)、Pd(OAc)(0.230mmol、52mg)、Cu(OAc)(5.05mmol、917mg)、及び酢酸(4.59mmol、0.210mL)から、化合物1.2と同様にして合成した。シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(120g、約9:1のセライト:砂から固体ローディングし、30%のDCM/ヘキサン類で平衡化し、30%のDCM/ヘキサン類(2CV)→100%のDCM(20CV)で溶出させる)により精製した。生成物を含む画分を真空中で蒸発乾固させて、オフホワイト色の固体を得た。334mgが得られる(26%の収率)。H NMR(400MHz,テトラクロロエタン-d) δ 8.48(s,1H)、7.62(dd,J=9.7,2.3Hz,6H)、7.53~7.41(m,6H)、7.41~7.34(m,3H)、7.33~7.27(m,1H)、7.11(d,J=8.8Hz,2H)、6.86(d,J=2.5Hz,1H)、5.13(s,2H)、4.00~3.87(m,2H)、1.34~1.22(m,1H)、1.20~0.88(m,8H)、0.81(t,J=7.0Hz,3H)、0.69(t,J=7.4Hz,3H)。MS(APCI):化学式:C3839NO(M+H)についての計算値=558、実測値:558。
【0119】
化合物5.4.(ビス(2-エチルヘキシル)3,7-ビス(4’-(ベンジルオキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-5,5-ジフルオロ-10-メシチル-1,9-ジフェニル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-2,8-ジカルボキシレート):化合物5.4を、化合物5.2(0.287mmol、160mg)、メシトアルデヒド(0.151mmol、0.0222mL)、pTsOH・HO(0.0351mmol、6.8mg)、DDQ(0.215mmol、49mg)に続いて、2回のトリエチルアミン(0.861mmol、0.120mL)及び2回のBF・OEt(1.291mmol、0.159mL)から、DCE(15mL)中で70℃にて、化合物2.3と同様にして合成した。フラッシュシリカゲルを介してクエンチし、濾過し、水性後処理し、真空中で蒸発乾固させた後に、粗生成物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(80g、9:1のセライト:砂から固体ローディングし、40%のDCM/ヘキサン類で平衡化し、40%のDCM/ヘキサン類(2CV)→100%のDCM(20CV)で溶出させる)により精製した。生成物を含む画分を真空中で蒸発乾固させた。161mgが得られる(化合物3.2から3段階かけて87%の収率)。H NMRによれば、化合物は約85%の純度である。更に精製せずに次の工程に進めた。H NMR(400MHz,テトラクロロエタン-d) δ 7.72(d,J=8.2Hz,4H)、7.66~7.59(m,8H)、7.50~7.46(m,4H)、7.45~7.40(m,4H)、7.40~7.35(m,2H)、7.14~7.02(m,4H)、6.99~6.91(m,2H)、6.84(t,J=7.6Hz,4H)、6.80~6.73(m,4H)、5.95(s,2H)、5.11(s,4H)、3.70~3.56(m,4H)、1.99(s,6H)、1.85(s,3H)、1.17~1.04(m,4H)、1.03~0.91(m,6H)、0.92~0.70(m,14H)、0.56(t,J=7.4Hz,6H)。MS(APCI):化学式:C8685BF(M-)についての計算値=1291、実測値:1291。
【0120】
化合物5.5.(ビス(2-エチルヘキシル)5,5-ジフルオロ-3,7-ビス(4’-ヒドロキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-10-メシチル-1,9-ジフェニル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-2,8-ジカルボキシレート):500mLのナスフラスコに撹拌子を入れた。フラスコに、化合物5.4(0.124mmol、160mg)及びジオキサン(100mL)を加えた。フラスコをアルミ製ヒートブロック内に入れ、反応混合物を室温で撹拌し、ヘッドスペースをアルゴンでフラッシュした。フラスコに10%のPd/C(200mg)を加えた。真空/H(バルーン)バックフィルのサイクル(3回)によって水素雰囲気を確立した。反応混合物を水素雰囲気(バルーン)下で60℃(ブロック温度)にて20時間撹拌した。TLCにより、出発物質の完全な消費が示される。反応混合物をセライトのパッドを通して濾過し、真空中で蒸発乾固させた。粗生成物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(80g、1:1のトルエン:ヘキサン類中でロードし、60%のトルエン/ヘキサン類で平衡化し、60%のトルエン/ヘキサン類(2CV)→100%のトルエン(5CV)→20%のEtOAc/トルエン(20CV)で溶出させる)により精製した。生成物を含む画分を真空中で蒸発乾固させた。57mgの紫色の固体が得られる(41%の収率)。MS(APCI):化学式:C7273BF(M-)についての計算値=1111、実測値:1111。
【0121】
化合物WLC-5.(ビス(2-エチルヘキシル)5,5-ジフルオロ-10-メシチル-1,9-ジフェニル-3,7-ビス(4’-((4-(4,9,10-トリス(トリフルオロメチル)ペリレン-3-イル)ブタノイル)オキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-2,8-ジカルボキシレート):化合物WLC-5を、化合物5.5(0.0504mmol、56mg)、(トリス-CF)-4-(ペリレン-3-イル)ブタン酸(異性体の混合物、0.126mmol、68mg)、DMAP・pTsOH塩(0.0252mmol、7.4mg)、及びDIC(0.202mmol、0.0315mL)から、無水DCM(5mL)中で、化合物WLC-1と同様にして合成した。粗生成物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(120g、60%のトルエン/ヘキサン類で平衡化し、9:1のセライト:砂から固体ローディングし、60%のトルエン/ヘキサン類(2CV)→100%のトルエン(4CV)→3%のEtOAc/トルエン(20CV)で溶出させる)により精製した。生成物を含む画分を真空中で蒸発乾固させた。生成物がトリス-CF-ペリレン異性体の混合物(42mg)として得られる(38%の収率)。H NMR(400MHz,テトラクロロエタン-d) δ 8.36~7.92(m,12H)、7.85~7.72(m,6H)、7.72~7.56(m,8H)、7.23(dt,J=19.2,7.7Hz,6H)、6.95(t,J=7.4Hz,2H)、6.85(t,J=7.6Hz,4H)、6.78(d,J=7.0Hz,4H)、5.96(s,2H)、3.72~3.56(m,4H)、3.39~3.23(m,4H)、2.78(dd,J=14.6,7.3Hz,4H)、2.28(s,4H)、1.33~1.19(m,2H)、1.17~1.04(m,4H)、1.03~0.93(m,4H)、0.92~0.71(m,14H)、0.56(t,J=7.3Hz,6H)。
【0122】
例WLC-6
【化21】
【0123】
化合物6.2.(ビス(2-エチルヘキシル)3,7-ビス(4’-(ベンジルオキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-10-(2,6-ジクロロフェニル)-5,5-ジフルオロ-1,9-ジフェニル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-2,8-ジカルボキシレート):化合物6.1を、化合物5.2(0.302mmol、168mg)、2,6-ジクロロベンズアルデヒド(0.158mmol、27.7mg)、pTsOH・HO(0.0377mmol、7.2mg)から、乾燥DCE中で70℃にて合成した後に、化合物5.4と同様にしてDDQ、EtN、及びBF・OEtを使用して化合物6.2に変換した。粗生成物を、シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(80g、9:1のセライト:砂から固体ローディングし、30%のDCM/ヘキサン類で平衡化し、30%のDCM/ヘキサン類(hex)(5CV)→100%のDCM(20CV)で溶出させる)により精製した。生成物を含む画分を真空中で蒸発乾固させた。174mgの暗赤色の固体が得られる(化合物5.2から3段階かけて87%の収率)。H NMR(400MHz,テトラクロロエタン-d) δ 7.73(d,J=8.2Hz,4H)、7.67~7.59(m,8H)、7.52~7.34(m,10H)、7.12~7.00(m,8H)、6.98~6.89(m,6H)、6.55~6.43(m,3H)、5.11(s,4H)、3.72~3.56(m,4H)、1.35~1.18(m,2H)、1.10(hept,J=6.7,6.2Hz,4H)、1.04~0.92(m,6H)、0.92~0.72(m,12H)、0.56(t,J=7.4Hz,6H)。MS(APCI):化学式:C8377BCl(M-)についての計算値=1316、実測値:1316。
【0124】
化合物6.3.(ビス(2-エチルヘキシル)10-(2,6-ジクロロフェニル)-5,5-ジフルオロ-3,7-ビス(4’-ヒドロキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1,9-ジフェニル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-2,8-ジカルボキシレート):化合物6.3を、化合物6.2(0.100mmol、132mg)及び10%のPd/C(250mg)から、EtOAc(50mL)中の水素雰囲気(バルーン)下で70℃にて60時間にわたって、化合物3.4と同様にして合成した。粗生成物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(80g、2:1のヘキサン類:トルエン中でロードし、80%のトルエン/ヘキサン類で平衡化し、80%のヘキサン類/トルエン(2CV)→100%のトルエン(3CV)→20%のEtOAc/トルエン(20CV)で溶出させる)により精製した。生成物を含む画分を真空中で蒸発乾固させた。56mgの帯紫色の固体が得られる(49%の収率)。MS(APCI):化学式:C6965BCl(M-)についての計算値=1136、実測値:1136。
【0125】
WLC-6.(ビス(2-エチルヘキシル)10-(2,6-ジクロロフェニル)-5,5-ジフルオロ-1,9-ジフェニル-3,7-ビス(4’-((4-(4,9,10-トリス(トリフルオロメチル)ペリレン-3-イル)ブタノイル)オキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-2,8-ジカルボキシレート):化合物WLC-6を、化合物6.3(0.0492mmol、56mg)、(トリス-CF)-4-(ペリレン-3-イル)ブタン酸(異性体の混合物、0.123mmol、67mg)、DMAP・pTsOH塩(0.0246mmol、7.2mg)、及びDIC(0.197mmol、0.0308mL)から、無水DCM(10mL)中で、化合物WLC-1と同様にして合成した。粗生成物を真空中でフラッシュシリカ:セライト(1:9)上に蒸発乾固させた。シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(120g、60%のトルエン/ヘキサン類で平衡化し、固体ローディングし、60%のトルエン/ヘキサン類(2CV)→100%のトルエン(4CV)→3%のEtOAc/トルエン(20CV)で溶出させる)により精製した。生成物を含む画分を真空中で蒸発乾固させた。生成物がトリス-CF-ペリレン異性体の混合物(帯赤色の固体)(92mg)として得られる(86%の収率)。H NMR(400MHz,テトラクロロエタン-d) δ 8.38~7.92(m,12H)、7.85~7.72(m,6H)、7.72~7.55(m,10H)、7.25~7.16(m,4H)、7.09~7.00(m,4H)、7.00~6.88(m,6H)、6.56~6.43(m,3H)、3.73~3.55(m,4H)、3.41~3.21(m,4H)、2.88~2.72(m,4H)、2.38~2.18(m,4H)、1.36~1.17(m,2H)、1.11(h,J=7.6Hz,4H)、1.04~0.92(m,6H)、0.92~0.69(m,12H)、0.56(t,J=7.4Hz,6H)。
【0126】
例WLC-7
【化22】
【0127】
化合物7.1.(ベンジル2-(4’-(オクチルオキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-ピロール-3-カルボキシレート):化合物7.1を、亜鉛((顆粒、20メッシュ)、80.0mmol、5.231g)、メタンスルホン酸(0.500mmol、0.0325mL)、4’-(オクチルオキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボニトリル(15.0mmol、4.611g)、2-ブロモ酢酸ベンジル(22.5mmol、3.56mL)(シリンジポンプを介して1時間かけて加えた)、FeCl(6.00mmol、973mg)、及びβ-ニトロスチレン(10.0mmol、1.491mg)から、化合物2.2と同様にして合成した。シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(330g、9:1のセライト:砂から固体ローディングし、10%のDCM/ヘキサン類で平衡化し、10%のDCM/ヘキサン類(2CV)→100%のDCM(20CV)で溶出させる)により精製した。生成物を含む画分を真空中で蒸発乾固させた。1.409gの有色の固体が得られる(25.3%の収率)。H NMR(400MHz,) δ 8.52(d,J=2.5Hz,1H)、7.57(d,J=7.4Hz,6H)、7.48~7.43(m,2H)、7.39~7.28(m,3H)、7.26~7.17(m,3H)、7.02(d,J=8.8Hz,2H)、6.95~6.90(m,2H)、6.87(d,J=2.6Hz,1H)、5.10(s,2H)、4.02(t,J=6.6Hz,2H)、1.82(p,J=6.8Hz,2H)、1.54~1.43(m,2H)、1.43~1.25(m,8H)、0.95~0.88(m,3H)。MS(APCI):化学式:C3839NO(M+H)についての計算値=558、実測値:558。
【0128】
化合物7.2.(2-ヒドロキシエチル2-(4’-(オクチルオキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-ピロール-3-カルボキシレート):100mLの2つ口丸底フラスコにフィン付き冷却器を取り付け、撹拌子を入れた。装置をアルゴンでフラッシュし、120℃の予熱したアルミ製ヒートブロック内に入れた。フラスコに、数mLのDCM中の溶液として化合物7.1(0.479mmol、267mg)を加えた。DCMをアルゴン流下で1時間蒸発させた。フラスコをヒートブロックから取り出した。温かいフラスコに水素化ナトリウム(鉱油中60%、9.575mmol、383mg)を加え、続いて無水エチレングリコール(20mL)はシリンジを介して加えた。最初はエチレングリコールをゆっくりと加えて、水素ガスのガス放出を抑えた。水素の発生が全て止んだ後に、フラスコに栓をしてヒートブロックに戻し入れた。ヒートブロック温度を150℃に上昇させ、反応物をこの温度で1時間撹拌した。撹拌速度を高速に高めて、エチレングリコールの上部にある溶融した化合物7.1の液溜を壊すのを助けた。反応物を150℃で約4時間撹拌した後に、室温で一晩撹拌した。反応混合物を水(約100mL)で希釈し、6NのHCl/水溶液を用いて約1のpHまで酸性化した。得られた沈殿物を濾別し、水で洗浄した。湿った沈殿物を酢酸エチル中に溶解し、真空中で約40mLのフラッシュシリカゲル上に蒸発乾固させた。シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(120g、固体ローディングし、100%のヘキサン類で平衡化し、100%のヘキサン類(2CV)→5%のEtOAc/ヘキサン類(0CV)→100%のEtOAc(30CV)で溶出させる)により精製した。未反応の出発物質及び生成物が溶出する。生成物を含む画分を真空中で蒸発乾固させた。127mgの白色の固体が得られる(51%の収率)。H NMR(400MHz,テトラクロロエタン-d) δ 8.54(d,J=2.4Hz,1H)、7.66(s,4H)、7.59(d,J=8.7Hz,2H)、7.50~7.45(m,2H)、7.44~7.39(m,2H)、7.38~7.32(m,1H)、7.01(d,J=8.8Hz,2H)、6.87(d,J=2.5Hz,1H)、4.12~4.06(m,2H)、4.01(t,J=6.6Hz,2H)、3.55~3.47(m,2H)、1.81(p,J=6.7Hz,2H)、1.53~1.42(m,2H)、1.42~1.27(m,8H)、0.97~0.86(m,3H)。MS(APCI):化学式:C3337NO(M+H)についての計算値=512、実測値:512。
【0129】
化合物7.3.(ビス(2-ヒドロキシエチル)10-(2,6-ジメチルフェニル)-5,5-ジフルオロ-3,7-ビス(4’-(オクチルオキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1,9-ジフェニル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-2,8-ジカルボキシレート):化合物7.3を、化合物7.2(0.244mmol、125mg)、メシトアルデヒド(128mmol、0.0189mL)、pTsOH・HO(0.037mmol、7.0mg)、DDQ(0.159mmol、74mg)、BF・OEt(1.098mmol、0.136mL)、及びEtN(0.732mmol、0.10mL)から、化合物5.4と同様にして合成した。反応は非常に遅く、良好な収率で進行しなかったが、フラッシュシリカゲル(40mL)を加えた後に、メタノールでクエンチし、続いて真空中で蒸発乾固させ、フラッシュクロマトグラフィー(80g、固体ローディングし、100%のヘキサン類で平衡化し、100%のヘキサン類(2CV)→26%のEtOAc/ヘキサン類(20CV)→100%のEtOAc(15CV)で溶出させる)により精製した。生成物を含む画分を真空中で蒸発乾固させて、暗色の固体を得た。35mgが得られる(24%の収率)。MS(APCI):化学式:C7579BF(M-)についての計算値=1199、実測値:1199。
【0130】
WLC-7(ビス(2-((4-(4,9,10-トリス(トリフルオロメチル)ペリレン-3-イル)ブタノイル)オキシ)エチル)10-(2,6-ジメチルフェニル)-5,5-ジフルオロ-3,7-ビス(4’-(オクチルオキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1,9-ジフェニル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-2,8-ジカルボキシレート):化合物WLC-7を、化合物7.3(0.0146mmol、17.5mg)、(トリス-CF)-4-(ペリレン-3-イル)ブタン酸(異性体の混合物、0.0365mmol、19.8mg)、DMAP・pTsOH塩(0.0073mmol、2.1mg)、及びDIC(0.0584mmol、0.0092mL)から、無水DCM(4mL)中で、化合物5.4と同様にして合成した。溶剤を無水DCEに切り替え、温度を70℃に高めて、反応の完了を促した。粗製反応混合物を、固体ロードカートリッジ(solid load cartridge)において約60mLのフラッシュシリカゲル上にロードし、シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(80g、100%のヘキサン類中で平衡化し、固体ローディングし、100%のヘキサン類(2CV)→50%のEtOAc/ヘキサン類(40CV)で溶出させる)により精製した。定量的な収率の暗色の固体が得られる。33mgが得られる(100%の収率)。H NMR(400MHz、クロロホルム-d) δ 8.36~7.33(m,28H)、6.94~6.73(m,14H)、5.90(s,2H)、3.99~3.92(m,4H)、3.92~3.84(m,4H)、3.73~3.57(m,4H)、3.21~2.98(m,4H)、2.32~2.21(m,4H)、1.97(d,J=2.7Hz,10H)、1.78(s,3H)、1.71(q,J=7.2Hz,4H)、1.45~1.35(m,4H)、1.34~1.18(m,16H)、0.92~0.81(m,6H)。
【0131】
例WLC-8
【化23】
【0132】
化合物8.1.(4’,4’’’-(5,5-ジフルオロ-10-メシチル-1,9-ジフェニル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-3,7-ジイル)ビス([1,1’-ビフェニル]-3-オール)):30mLの広口マイクロ波バイアル(Anton-Paar)に、撹拌子、化合物3.1(0.300mmol、232mg)、3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノール(0.800mmol、177mg)、KCO(1.60mmol、221mg)、及びPd(PPh(0.030mmol、35mg)を入れた。バイアルにジオキサン(8mL)及び水(1mL)を加えた。溶液をアルゴンで5分間スパージした後に、キャップを閉め、Anton-Paarのマイクロ波合成装置内で120℃にて90分間加熱した。粗製反応混合物はTLCによれば完了していた。反応混合物をDCM(20mL)で希釈し、室温で15分間撹拌した後に、固体ロードカートリッジにおいて約100mLのフラッシュシリカゲル上に注いだ。粗生成物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(120g、100%のDCMで平衡化し、固体ローディングし、100%のDCM(2CV)→20%のEtOAc/DCM(20CV)で溶出させる)により精製した。生成物を含む画分を真空中で蒸発乾固させた。生成物にはまだ少量の不純物が含まれていたため、これをシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(120g、DCM溶液から固体ローディングし、100%のヘキサン類で平衡化し、100%のヘキサン(2CV)→60%のEtOAc/ヘキサン類(30CV)で溶出させる)によって再精製した。生成物を含む画分を真空中で蒸発乾固させて、暗赤色の固体を得た。173mgが得られる(72%の収率)。H NMR(400MHz,テトラクロロエタン-d) δ 8.05(d,J=8.5Hz,4H)、7.70(d,J=8.5Hz,4H)、7.35(t,J=7.8Hz,2H)、7.27(dt,J=7.9,1.2Hz,2H)、7.15(dd,J=2.5,1.6Hz,2H)、7.00~6.93(m,2H)、6.91~6.83(m,6H)、6.82~6.76(m,4H)、6.56(s,2H)、6.02(s,2H)、4.94(s,2H)、2.00(s,6H)、1.87(s,3H)。MS(APCI):化学式:C5441BF(M+H)についての計算値=799、実測値:799。
【0133】
WLC-8.((5,5-ジフルオロ-10-メシチル-1,9-ジフェニル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-3,7-ジイル)ビス([1,1’-ビフェニル]-4’,3-ジイル)ビス(4-(4,9,10-トリス(トリフルオロメチル)ペリレン-3-イル)ブタノエート)):化合物WLC-8を、化合物8.1(0.015mmol、12.0mg)、(トリス-CF)-4-(ペリレン-3-イル)ブタン酸(異性体の混合物、0.0375mmol、20.4mg)、DMAP・pTsOH塩(0.0075mmol、2.2mg)、及びDIC(0.060mmol、0.0094mL)から、無水DCE(6mL)中で70℃にて、化合物WLC-1と同様にして合成した。粗製反応混合物を真空中でフラッシュシリカゲル(約30mL)上に蒸発させ、シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(40g、100%のヘキサン類で平衡化し、固体ローディングし、100%のヘキサン類(2CV)→50%のEtOAc/ヘキサン類(30CV)で溶出させる)により精製した。生成物を含む画分を蒸発乾固させて、生成物(異性体の混合物として)を暗赤色の固体として得た。21mgが得られる(76%の収率)。H NMR(400MHz、クロロホルム-d) δ 8.38~7.33(m,30H)、7.12~7.01(m,2H)、6.99~6.92(m,2H)、6.90~6.83(m,4H)、6.81~6.74(m,4H)、6.50(s,2H)、6.01(s,2H)、3.42~3.22(m,4H)、2.85~2.59(m,4H)、2.35~2.21(m,4H)、2.02(s,6H)、1.86(s,3H)。MS(APCI):化学式:C10867BF20(M-)についての計算値=1847、実測値:1847。
【0134】
例WLC-9
【化24】
【0135】
化合物9.1:(4’,4’’’-(5,5-ジフルオロ-10-メシチル-1,9-ジフェニル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-3,7-ジイル)ビス([1,1’-ビフェニル]-2-オール)):化合物9.1を、化合物3.1(0.188mmol、145mg)、2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノール(0.752mmol、0.158mL)、KCO(4.34mmol、600mg)、そして次にPd(dppf)Cl(0.00470mmol、3.44mg)から、無水THF(20mL)及び水(3mL)中で80℃にて6時間にわたって、化合物8.1と同様にして合成した。反応混合物を固体ローダー(solid loader)において約120mLのフラッシュシリカゲル上に直接ロードし、シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(120g、100%のヘキサン類で平衡化し、固体ローディングし、100%(2CV)→50%のEtOAc/ヘキサン類(20CV)で溶出させる)により精製した。生成物を含む画分を蒸発乾固させて、紫色の固体を得た。139mgが得られる(93%の収率)。H NMR(400MHz,テトラクロロエタン-d) δ 8.12~8.05(m,4H)、7.67~7.61(m,4H)、7.36(dd,J=7.6,1.7Hz,2H)、7.30(td,J=7.7,1.7Hz,2H)、7.08~6.95(m,6H)、6.89(t,J=7.6Hz,4H)、6.82~6.76(m,4H)、6.56(s,2H)、6.02(s,2H)、2.01(s,6H)、1.88(s,3H)。MS(APCI):化学式:C5441BF(M+H)についての計算値=799、実測値:799。
【0136】
WLC-9:((5,5-ジフルオロ-10-メシチル-1,9-ジフェニル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-3,7-ジイル)ビス([1,1’-ビフェニル]-4’,2-ジイル)ビス(4-(4,9,10-トリス(トリフルオロメチル)ペリレン-3-イル)ブタノエート)):WLC-9を、化合物9.1(0.021mmol、17.3mg)、(トリス-CF)-4-(ペリレン-3-イル)ブタン酸(異性体の混合物、0.0522mmol、28.5mg)、DMAP・pTsOH塩(0.021mmol、6.2mg)、及びEDC・HCl(0.084mmol、16.1mg)から、無水DCM(5mL)中で40℃にて、化合物WLC-1と同様にして合成した。反応が完了した後に、溶剤を真空中で蒸発させ、粗生成物を1:1のDCM:ヘキサン類中に再溶解し、固体ローダーにおいてフラッシュシリカゲル上にロードした。シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(80g、100%のヘキサン類で平衡化し、固体ローディングし、100%(2CV)→20%のEtOAc/ヘキサン類(30CV)で溶出させる)により精製した。生成物を含む画分を真空中で蒸発乾固させて、赤色の固体を得た。この固体をメタノールでトリチュレートして、少量の不純物を除去した。得られた固体をアルゴン流下で100℃にて乾燥させた。28.6mgが得られる(68%の収率)。H NMR(400MHz、塩化メチレン-d) δ 8.35~7.27(m,30H)、7.19~7.10(m,2H)、6.86~6.43(m,10H)、6.31~6.08(m,2H)、5.97~5.87(m,2H)、2.89~2.73(m,4H)、2.60~2.47(m,4H)、1.97~1.83(m,10H)、1.82~1.75(m,3H)。MS(APCI):化学式:C10867BF20(M-)についての計算値=1847、実測値:1847。
【0137】
実施例2:PVBフィルムにおけるペリレン-BODIPY三連構造化合物の特性評価
ガラス基材を、実質的に以下のように作製した。1インチ×1インチの大きさの1.1mm厚のガラス基材をサイズに合わせて切断した。次に、ガラス基材を洗剤及び脱イオン(DI)水で洗浄し、新しいDI水ですすぎ、約1時間超音波処理した。次に、ガラスをイソプロパノール(IPA)中に浸し、約1時間超音波処理した。次に、ガラス基材をアセトン中に浸し、約1時間超音波処理した。次に、ガラスをアセトン浴から取り出し、室温にて窒素ガスで乾燥させた。
【0138】
シクロペンタノン(99.9%の純度)中のポリ(ビニルブチラール-co-ビニルアルコール-co-ビニルアセテート)(GPCによる分子量50K~80K)(MilliporeSigma、米国マサチューセッツ州、バーリントン)コポリマーの25重量%の溶液を調製した。調製したコポリマーをPVBが完全に溶解するまで50℃で撹拌した。[PVB]CAS:27360-07-2;[シクロペンタノン]CAS:120-92-3。
【0139】
20mLのバイアルにおいて、4mgのペリレン-BODIPY三連構造化合物をPVB溶液中に加えて、2.5×10-3Mの溶液を作製し[PVB容量を、式:VPVB(mL)=(4000/2.5)×(mdye/Mwdye)を使用して計算した]、次にボルテックスによって約5分間よく混合し、約30分間超音波処理した。次に、PVB/化合物溶液を、作製されたガラス基材上に1000RPMで20秒間スピンコートした。スピンコートした試料を150℃に設定されたホットプレート上で15分間焼き付け、残りの溶剤を蒸発させた。
【0140】
1インチ×1インチの試料を、ShimadzuのUV-3600 UV-VIS-NIR分光光度計(Shimadzu Instruments, Inc.、米国メリーランド州、コロンビア)に挿入して、吸収スペクトルを測定した。
【0141】
上記のように作製された1インチ×1インチのフィルム試料の蛍光スペクトル(放出スペクトル)を、Fluorologmax分光蛍光光度計(Horiba Scientific、米国ニュージャージー州、エジソン)を使用して決定した。励起波長として、3つの波長(450nm、500nm、及び550nm)を選択した。最大放出及びFWHMを表1に示す。WLC-1について得られた吸収/放出スペクトルを図1に示し、WLC-2について得られた吸収/放出スペクトルを図2に示す。
【0142】
HamamatsuのC11347絶対PL量子収率分光計(Hamamatsu, Inc.、米国カリフォルニア州、キャンベル)を使用して、上記のスピンコートされた試料の量子収率を決定した。ガラス基材から0.5インチ×0.5インチのサイズのフィルムを取り外して、QY測定を行った。波長を(励起波長として)450nmから600nmまで15nmごとにスキャンした。450nmでのQYを表1に報告する。
【0143】
フィルムの特性評価の結果(吸収ピーク波長(absorbance peak wavelength)、FWHM、及び量子収率)を以下の表1に示す。
【0144】
実施例3:光安定性
本明細書において上記に記載されるPVBを含む1インチ×1インチの試料において、フォトルミネッセンス錯体の光安定性を成し遂げた。フォトルミネッセンス錯体は、PVBフィルム試料に関して2.5×10-3Mの濃度で個別に含まれていた。次に、試料を537ppfdの白色LED(6000K、Inspired LED、米国アリゾナ州、テンピ)、370ppfdの青色LED(4.8mW/cm、457nm、Inspired LED、米国アリゾナ州、テンピ)、及び/又は2000ppfdの白色LED(6000K)(CREE、米国ノースカロライナ州、ダーラム)に曝露した。白色LEDのスペクトル(6000K)を図3に示す。
【0145】
上記の同じ手順に従って、吸収、放出、及びQYについて、試料を毎週(3週間~4週間)評価した。発色団の光安定性を吸収(Abs%)の減少によって定量化する。QY%、つまり放出特性の変化も監視する。結果を以下の表2に示す。
【0146】
【表1A】
【表1B】
【0147】
【表2】

図1
図2
図3
【国際調査報告】