(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】CD1a抗体およびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20231019BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20231019BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20231019BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20231019BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231019BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231019BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231019BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20231019BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20231019BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20231019BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20231019BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20231019BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20231019BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20231019BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20231019BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20231019BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20231019BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20231019BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20231019BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20231019BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231019BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20231019BHJP
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A61P 3/10 20060101ALI20231019BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20231019BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20231019BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20231019BHJP
A61P 9/08 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C12N15/63 Z
C12P21/08
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P43/00 111
A61P29/00
A61P37/08
A61P1/04
A61P11/02
A61P27/02
A61P11/06
A61P17/00
A61P11/00
A61P31/12
A61P31/16
A61P31/14
A61P1/00
A61P43/00 105
A61P1/16
A61P13/12
A61P25/00
A61P31/04
A61P1/18
A61P3/10
A61P37/06
A61P25/28
A61P29/00 101
A61P17/06
A61P9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521457
(86)(22)【出願日】2021-10-07
(85)【翻訳文提出日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 US2021071779
(87)【国際公開番号】W WO2022077021
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(71)【出願人】
【識別番号】501475701
【氏名又は名称】チルドレンズ メディカル センター コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン ワイナウ
(72)【発明者】
【氏名】オレグ ヴイ. コヴァレンコ
(72)【発明者】
【氏名】チュウ シュン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ディ ウー
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス アンドリュー マーゼ
(72)【発明者】
【氏名】シアン-ヒューイ チャン
【テーマコード(参考)】
4B064
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG26
4B064AG27
4B064CA19
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4B064CE10
4B064DA01
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB33
4C085BB34
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4C085EE01
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
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4C085GG06
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA21
4H045GA26
(57)【要約】
分化抗原群1a(CD1a)に特異的に結合する抗体およびその抗原結合性断片が提供される。実施形態は、抗体およびその抗原結合性断片の使用、および関連の使用方法を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト分化抗原群1a(CD1a)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み、前記CDR-H3が、配列番号17、49、または52のアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項2】
(i)配列番号15、30、40、62、および66からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号16、31、41、48、59、63および76からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H2、配列番号17、49および52からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H3、配列番号8および25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号9、26、37、44、および71からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L2、ならびに配列番号10、27、34、および45からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L3;
(ii)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-H2、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H3、配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-L2、ならびに配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
(iii)配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-H2、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H3、配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR-L2、ならびに配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR-L3;または
(iv)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-H2、配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR-H3、配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR-L2、ならびに配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項3】
以下のうち少なくとも1つ:
(i)IGHV1-2
*02、IGHV1-3
*01、IGHV1-46
*01、IGHV1-69
*01、IGHV1-69
*02、IGHV1-8
*01、IGHV3-7
*01、IGHV3-13
*01、IGHV3-23
*01、IGHV3-23
*04、IGHV3-30
*01、IGHV3-30*18、IGHV5-10-1
*01、IGHV5-10-1
*04、およびIGHV5-51
*01からなる群から選択されるヒト生殖系列VH配列に由来する重鎖可変領域(VH)フレームワーク配列;
(ii)IGKV1-12
*01、IGKV1-13
*02、IGKV1-33
*01、IGKV1-39
*01、IGKV1-5
*01、IGKV3-11
*01、IGKV3-15
*01、IGKV3-20
*01、IGKV3D-20
*02、およびIGKV4-1
*01からなる群から選択されるヒト生殖系列VL配列に由来する軽鎖可変領域(VL)フレームワーク配列;
(iii)IgA(例えば、IgA
1もしくはIgA
2)、IgD、IgE、IgM、もしくはIgG(例えば、IgG
1、IgG
2、IgG
3、もしくはIgG
4)を含む重鎖定常ドメイン;ならびに/または
(iv)ヒトV
κもしくはV
λ軽鎖定常ドメイン
を含む、請求項1から2のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項4】
(i)配列番号22、32、42、50、53、55、57、60、64、67、69、74および77からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに配列番号12、28、35、38、46、72および79からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(ii)配列番号22、32、42、50、53、55、57、60、64、67、69、74もしくは77に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含むVH、および配列番号12、28、35、38、46、72もしくは79に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含むVL;
(iii)配列番号22のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号12のアミノ酸配列を含むVL;
(iv)配列番号55のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号28のアミノ酸配列を含むVL;
(v)配列番号74のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号28のアミノ酸配列を含むVL;
(vi)配列番号22に示されるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3配列、ならびに配列番号12に示されるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列;
(vii)配列番号55に示されるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3配列、ならびに配列番号28に示されるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列;
(viii)配列番号74に示されるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3配列、ならびに配列番号28に示されるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列;
(ix)配列番号14、29、39、47、51、54、56、58、61、65、68、73、および75からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖(HC)、ならびに配列番号7、24、33、36、43、70および78からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖(LC);
(x)配列番号14、29、39、47、51、54、56、58、61、65、68、73、および75に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含むHC、ならびに配列番号7、24、33、36、43、70および78に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含むLC;
(xi)配列番号14のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるHCおよび配列番号7のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるLC;
(xii)配列番号54のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるHCおよび配列番号24のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるLC;
(xiii)配列番号73のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるHCおよび配列番号24のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるLC;または
(xiv)ATCCに寄託され、ATCCアクセッション番号PTA-126810を有するプラスミド中の挿入物によってコードされるアミノ酸配列、およびATCCに寄託され、ATCCアクセッション番号PTA-126811を有するプラスミド中の挿入物によってコードされるアミノ酸配列
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項5】
(i)配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-H2、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H3、配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR-L2、ならびに配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR-L3;または
(ii)配列番号96のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号97のアミノ酸配列を含むCDR-H2、配列番号98のアミノ酸配列を含むCDR-H3、配列番号99のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号100のアミノ酸配列を含むCDR-L2、ならびに配列番号101のアミノ酸配列を含むCDR-L3;または
(iii)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-H2、配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR-H3、配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR-L2、ならびに配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、ヒトCD1aに特異的に結合する、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項6】
配列番号28の配列を含むVLおよび配列番号55の配列を含むVHを含む、請求項5に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項7】
配列番号28の配列を含むVLおよび配列番号74の配列を含むVHを含む、請求項5に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項8】
配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項5に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項9】
配列番号28の配列を含むVLおよび配列番号74の配列を含むVH、または配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号73のアミノ酸配列を含む重鎖のいずれかを含む、請求項5に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項10】
分化抗原群1a(CD1a)上のエピトープに結合する抗体またはその抗原結合性断片であって、前記エピトープが、配列番号1の番号付けに従って、Glu82および/またはHis170を含み、前記エピトープが、
(i)配列番号1の番号付けに従って、Ile92および/またはArg93をさらに含んでもよく、
(ii)以下のアミノ酸残基:配列番号1の番号付けに従って、Glu78、Lys81、Thr85、Ile89、Arg93、Asp173、およびAsn177のうち少なくとも1つを含んでもよく、
(iii)以下の残基のうち少なくとも1つ:配列番号1の番号付けに従って、Leu86、Asn146、Asn168、Ile174、His176、Asp181、およびArg185を含んでもよく、
(iv)以下の残基:配列番号1の番号付けに従って、Glu79、Leu83、Glu84、Arg88、Ile92、Gln167、Gln169、Leu178、Ser180、およびThr182のうち少なくとも1つを含んでもよく、
(v)配列番号1の番号付けに従って、Asn146および/またはAsn168を含まなくてもよく、
(vi)以下の残基:配列番号1の番号付けに従って、Glu78、Glu79、Lys81、Glu82、Leu83、Glu84、Thr85、Leu86、Arg88、Ile89、Ile92、Arg93、Asn146、Gln167、Asn168、Gln169、His170、Asp173、Ile174、His176、Asn177、Leu178、Ser180、Asp181、Thr182およびArg185を含んでもよい、
抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片と、CD1aへの結合について競合する、または請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片と実質的に同じエピトープに結合する、抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項12】
以下の特徴のうち1つ以上を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片:
(i)約500nM、400nM、300nM、200nM、175nM、150nM、125nM、100nM、90nM、80nM、70nM、60nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、5nM、2nM、1nM、900pM、800pM、700pM、600pM、500pM、400pM、300pM、200pM、180pM、160pM、140pM、120pM、100pM、80pM、60pM、40pM、20pMおよび10pMからなる群から選択されるおよその値のK
Dまたはその値未満のK
Dで、CD1aに結合すること;
(ii)約250pM~約150pMまたは約190pM~約170pMのK
D値でヒトCD1aに結合すること;
(iii)約50nM以下、40nM以下、20nM以下、10nM以下、5nM以下、4nM以下、3nM以下、2nM以下、または1nM以下のIC
50値で、CD1a依存性分化抗原群69(CD69)発現を阻害すること;
(iv)5nM以下、4nM以下、3nM以下、2nM以下、1.9nM以下、1.8nM以下、1.7nM以下、1.6nM以下、1.5nM以下、1.4nM以下、1.3nM以下、1.2nM以下、1.1nM以下、1nM以下、0.9nM以下、0.8nM以下、0.7nM以下、0.6nM以下、0.5nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.22nM以下、0.2nM以下、0.18nM以下、または0.1nM以下のIC
50値で、CD1a依存性インターロイキン2(IL-2)産生を阻害すること;
(v)ヒトCD1aトランスジェニックハウスダストマイト(HDM)誘導性皮膚炎マウスモデルにおける皮膚炎スコアを、無処置のまたはアイソタイプで処置した対照における皮膚炎スコアと比較して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または100%低減させること;
(vi)ヒトCD1aトランスジェニックハウスダストマイト(HDM)誘導性皮膚炎マウスモデルにおける血清IgEレベルを、無処置のまたはアイソタイプで処置した対照における血清IgEレベルと比較して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または100%低減させること;
(vii)ヒトCD1aトランスジェニックハウスダストマイト(HDM)誘導性皮膚炎マウスモデルにおけるHDM特異的IgE抗体価を、無処置のまたはアイソタイプで処置した対照における血清IgEレベルと比較して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または100%低減させること;ならびに
(viii)ヒトCD1aトランスジェニックハウスダストマイト(HDM)誘導性皮膚炎マウスモデルにおけるアトピー性皮膚炎関連遺伝子の発現レベルを、無処置のまたはアイソタイプで処置した対照におけるアトピー性皮膚炎関連遺伝子の発現レベルと比較して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または100%低減させること。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片をコードする核酸配列を含む、単離された核酸分子であって、任意選択により、
(i)配列番号80の核酸配列、
(ii)配列番号81の核酸配列、
(iii)配列番号82の核酸配列、
(iv)配列番号83の核酸配列、
(v)配列番号84の核酸配列、
(vi)配列番号85の核酸配列、
(vii)ATCCアクセッション番号PTA-126810の下でAb571-VHとして寄託されたベクターの挿入物の核酸配列、およびATCCアクセッション番号PTA-126811の下でAb571-VLとして寄託されたベクターの挿入物の核酸配列
からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項14】
請求項13に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項15】
請求項13に記載の核酸分子または請求項14に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項16】
抗体またはその抗原結合性断片を作製する方法であって、請求項15に記載の宿主細胞を、前記抗体または抗原結合性断片が前記宿主細胞によって発現される条件下で培養するステップを含む、方法。
【請求項17】
請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片、および薬学的に許容できる担体または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項18】
CD1aの発現および/またはCD1aのリガンドへの結合と関連するまたはそれによって媒介される疾患、障害および/または状態を処置および/または予防する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片または請求項17に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項19】
前記疾患、障害、および/または状態が、炎症性腸疾患、アレルギー、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、春季カタル、季節性アレルギー、ペットアレルギー、喘息、食物アレルギー、ピーナッツアレルギー、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)、アレルギー性鼻炎、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸器疾患のウイルス性増悪、小児および成体におけるウイルス感染症、(呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ライノウイルス、インフルエンザ)、蕁麻疹、好酸球性食道炎、慢性線維症、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、慢性腎疾患、特発性肺線維症(IPF)、強皮症、全身性硬化症、急性腎傷害、敗血症、膵炎、1型糖尿病、移植片対宿主病(GVHD)、組織移植、アルツハイマー病、関節リウマチ、過敏性腸症候群(IBS)、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、乾癬、小児脂肪便症およびレイノー病またはレイノー現象からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
炎症性疾患を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片または請求項17に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項21】
アトピー性皮膚炎を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片または請求項17に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項22】
炎症性腸疾患(IBD)を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片または請求項17に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項23】
CD1aの発現、活性および/またはCD1aのT細胞受容体への結合と関連するまたはそれによって媒介される疾患、障害または状態を処置するための医薬の製造における、請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片または請求項17に記載の医薬組成物の使用。
【請求項24】
炎症性疾患の少なくとも1つの徴候および/または症状の処置および/または予防における使用のための、請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片または請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項25】
治療有効量の請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片を含む、アトピー性皮膚炎(AD)を処置するためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、2020年10月9日出願の米国仮特許出願第63/090,055号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
共同研究の当事者に関する記載
現在特許請求されている発明は、以下に列挙する共同研究契約の当事者によって、または当事者を代表してなされたものである。共同研究契約は、特許請求された発明がなされた日またはそれ以前に発効し、特許請求された発明は、共同研究契約の範囲内で行われる活動の結果としてなされた。共同研究契約の当事者は、CHILDREN’S MEDICAL CENTER CORPORATIONおよびPFIZER INCである。
【0003】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる配列表を含有する。2021年9月29日に作成された前記ASCIIコピーは、PFZR_P0002WO_1001182153_SL.txtという名称であり、サイズは141,658バイトである。
【0004】
発明の分野
本発明は、分化抗原群1a(CD1a)に特異的に結合する抗体およびその抗原結合性断片、ならびにアトピー性皮膚炎(AD)および炎症性腸疾患(IBD)の処置および予防を含めた炎症性疾患および状態を処置するための本開示の抗体の使用を含む、組成物、方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0005】
アトピー性皮膚炎(ADとしても公知)は、米国(US)だけで1,800万人を超える人に影響を及ぼしている、最も一般的な型の湿疹である(National Eczema Association)。ADは、重度のそう痒、乾燥皮膚および湿疹性病変を特徴とする、慢性、再発性、炎症性の状態である。ADは、食物アレルギー、喘息、およびアレルギー性鼻炎に関連する。重症疾患は、うつ病および不安障害、著しい不眠、および生活の質が損なわれることを含めた大きな心理学的問題に起因して極度に消耗性のものになり得る。
【0006】
ADは、その病態生理は完全には理解されていないが、多因子性疾患である。遺伝因子および環境因子(例えば、低湿度、低温の気候など)によってADが誘発されるまたは悪化することが分かっている。この疾患には、免疫グロブリンE(IgE)媒介性過敏化、関門機能障害、細胞媒介性免疫応答の変更、および環境因子の複雑な相互作用が関与する。フィラグリンの機能喪失変異が、潜在的な経表皮水分蒸散量の増加、pH変更、および脱水に起因して、重症アトピー性皮膚炎に関係づけられている。主要な皮膚の異常は、IgE媒介性感作を引き起こす免疫学的撹乱であり得、遺伝子変異および局所的炎症の両方の結果である上皮関門機能障害が伴う。
【0007】
ADに対する典型的な処置には、局部ローション剤および保湿剤、コルチコステロイド、抗ヒスタミン薬および抗生物質が含まれる。しかし、コルチコステロイドの長期にわたる使いすぎには、皮膚線条、点状出血、毛細血管拡張症、皮膚薄化、萎縮、および、ざ瘡の悪化を含む局所的なおよび全身性の有害作用が伴う(Charman CR、Morris AD、Williams HC.Topical corticosteroid phobia in patients with atopic eczema.Br J Dermatol.2000;142:931~6)。コルチコステロイドに付随する副作用の最も懸念すべきものは、全身性有害作用(主に視床下部・下垂体・副腎軸抑制、小児における直線的成長の低下、および成人における骨密度の変化)である。ADに対して、健康に関連する生活の質に主な影響を及ぼす重要な症状であるそう痒を低減するために、H1-抗ヒスタミン薬、特に鎮静型のものが長時間にわたって処方されている。しかし、経口H1-抗ヒスタミン薬とプラセボまたは対照を比較したランダム化試験は行われていない。さらに、大多数の処置選択肢では、一時的な、不完全な症状の軽減しかもたらされず、中等症から重度のADを有する多くの患者が処置に対して抵抗性をもつようになる。したがって、ADを処置および/または予防するため、特に、基礎をなす病態生理に対処するための新規の標的化療法が当該分野において大いに必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】
概要
本発明は、CD1aに特異的に結合する抗体およびその抗原結合性断片、ならびに使用、および関連の方法を提供する。当業者は、慣用的に過ぎない実験を使用して、本明細書に記載される発明の具体的な実施形態に対する多くの等価物を認識する、またはそれを確認することができる。かかる等価物は、以下の実施形態(E)によって包含される意図である。
【0010】
E1.分化抗原群1a(CD1a;例えば、ヒト、カニクイザル、イヌおよび/またはウサギCD1a)に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合性断片。
【0011】
E2.エピトープが、配列番号1の番号付けに従って、Glu82および/またはHis170を含む、分化抗原群1a(CD1a)上のエピトープに結合する単離された抗体またはその抗原結合性断片。
【0012】
E3.エピトープが、配列番号1の番号付けに従って、Ile92および/またはArg93をさらに含む、E2に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0013】
E4.重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み、CDR-H3が、配列番号17、49、および52からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、E1からE3のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0014】
E5.重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み、CDR-H3が、配列番号17または49のアミノ酸配列を含む、E1からE3のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0015】
E6.重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み、CDR-H3が、配列番号17のアミノ酸配列を含む、E5に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0016】
E7.
(i)配列番号15、30、40、62、および66からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1);
(ii)配列番号16、31、41、48、59、63および76からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および/または
(iii)配列番号17、49および52からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む、E1からE6のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0017】
E8.配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)を含み、1つまたは2つのアミノ酸が、異なるアミノ酸で置換されていてもよい、E1からE7のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0018】
E9.1つまたは2つのアミノ酸置換が、(i)7位のSerの、Tyr、Leu、Arg、またはTrpによる置換および(ii)8位のAsnの、Phe、Glu、Ile、Lys、Leu、Met、Gln、Arg、TrpまたはTyrによる置換からなる群から選択される、E8に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0019】
E10.
(i)配列番号8および25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、
(ii)配列番号9、26、37、44、および71からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L2、および/または
(iii)配列番号10、27、34、および45からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、E1からE9のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0020】
E11.
(i)配列番号15、30、40、62、および66からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(ii)配列番号16、31、41、48、59、63および76からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H2、
(iii)配列番号17、49および52からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H3、
(iv)配列番号8および25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(v)配列番号9、26、37、44、および71からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L2、および/または
(vi)配列番号10、27、34、および45からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、E1からE10のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0021】
E12.
(i)配列番号15、30および40からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(ii)配列番号16、41および63からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H2、
(iii)配列番号17および49からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H3、
(iv)配列番号8および25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(v)配列番号9および26からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L2、ならびに/または
(vi)配列番号10および27からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、E1からE11のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0022】
E13.
(i)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(ii)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-H2、
(iii)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H3、
(iv)配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(v)配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および
(vi)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、E1からE12のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0023】
E14.
(i)配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(ii)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-H2、
(iii)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H3、
(iv)配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(v)配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および
(vi)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、E1からE52のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0024】
E15.
(i)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(ii)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-H2、
(iii)配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR-H3、
(iv)配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(v)配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および
(vi)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、E1からE12のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0025】
E16.IGHV1-2*02、IGHV1-3*01、IGHV1-46*01、IGHV1-69*01、IGHV1-69*02、IGHV1-8*01、IGHV3-7*01、IGHV3-13*01、IGHV3-23*01、IGHV3-23*04、IGHV3-30*01、IGHV3-30*18、IGHV5-10-1*01、IGHV5-10-1*04、およびIGHV5-51*01からなる群から選択されるヒト生殖系列VH配列に由来する重鎖可変領域(VH)フレームワーク配列を含む、E1からE15のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0026】
E17.重鎖可変領域(VH)フレームワーク配列が、IGHV3-7*01のヒト生殖系列VH配列に由来する、E16に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0027】
E18.IGKV1-12*01、IGKV1-13*02、IGKV1-33*01、IGKV1-39*01、IGKV1-5*01、IGKV3-11*01、IGKV3-15*01、IGKV3-20*01、IGKV3D-20*02、およびIGKV4-1*01からなる群から選択されるヒト生殖系列VL配列に由来する軽鎖可変領域(VL)フレームワーク配列を含む、E1からE17のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0028】
E19.軽鎖可変領域(VL)フレームワーク配列が、IGKV1-39*01のヒト生殖系列VL配列に由来する、E18に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0029】
E20.
(i)配列番号22、32、42、50、53、55、57、60、64、67、69、74および77からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);ならびに
(ii)配列番号12、28、35、38、46、72および79からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む、E1からE19のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0030】
E21.
(i)配列番号22、32、42、50、53、55、57、60、64、67、69、74または77に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むVH;および
(ii)配列番号12、28、35、38、46、72または79に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むVL
を含む、E1からE20のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0031】
E22.
(i)配列番号22のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号12のアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号55のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号28のアミノ酸配列を含むVL;
(iii)配列番号74のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号28のアミノ酸配列を含むVL;
(iv)配列番号22に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号12に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むVL;
(v)配列番号55に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号28に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むVL;または
(vi)配列番号74に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号28に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むVL
を含む、E1からE21のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0032】
E23.
(i)配列番号22に示されるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3配列、ならびに配列番号12に示されるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列、
(ii)配列番号55に示されるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3配列、ならびに配列番号28に示されるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列、または
(iii)配列番号74に示されるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3配列、ならびに配列番号28に示されるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列
を含む抗体またはその抗原結合性断片。
【0033】
E24.ヒトVκまたはVλ軽鎖定常ドメインを含む、E1からE23のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0034】
E25.ヒトVκ軽鎖定常ドメインを含む、E24に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0035】
E26.重鎖定常ドメインを含む、E1からE25のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0036】
E27.重鎖定常ドメインが、IgA(例えば、IgA1またはIgA2)、IgD、IgE、IgM、またはIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)を含む、E26に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0037】
E28.重鎖定常ドメインが、IgGを含む、E27に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0038】
E29.IgGが、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4からなる群から選択される、E28に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0039】
E30.IgGが、IgG1である、E29に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0040】
E31.Fcドメインを含む、E1からE30のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0041】
E32.Fcドメインが、IgG1重鎖CH2ドメインおよびIgG重鎖CH3ドメインを含む、E31に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0042】
E33.
(i)配列番号14、29、39、47、51、54、56、58、61、65、68、73、および75からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖(HC);ならびに
(ii)配列番号7、24、33、36、43、70および78からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)
を含む、E1からE32のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0043】
E34.
(i)配列番号14、29、39、47、51、54、56、58、61、65、68、73、および75に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むHC;および
(ii)配列番号7、24、33、36、43、70および78に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むLC
を含む、E1からE33のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0044】
E35.
(i)配列番号14のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるHCおよび配列番号7のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるLC;
(ii)配列番号54のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるHCおよび配列番号24のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるLC;
(iii)配列番号73のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるHCおよび配列番号24のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるLC;
(iv)配列番号14に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるHCおよび配列番号7に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるLC;
(v)配列番号54に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるHCおよび配列番号24のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるLC;または
(vi)配列番号73に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むまたはそれからなるHCおよび配列番号24に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むまたはそれからなるLC
を含む、E1からE34のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0045】
E36.配列番号54のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるHCおよび配列番号24のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるLCを含む抗体またはその抗原結合性断片。
【0046】
E37.配列番号73のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるHCおよび配列番号24のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるLCを含む抗体またはその抗原結合性断片。
【0047】
E38.ATCCに寄託され、ATCCアクセッション番号PTA-126810を有するプラスミドの挿入物によってコードされるアミノ酸配列を含む、E1からE37のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0048】
E39.ATCCに寄託され、ATCCアクセッション番号PTA-126811を有するプラスミドの挿入物によってコードされるアミノ酸配列を含む、E1からE38のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0049】
E40.ATCCに寄託され、ATCCアクセッション番号PTA-126810を有するプラスミド中の挿入物によってコードされるアミノ酸配列を含み、ATCCに寄託され、ATCCアクセッション番号PTA-126811を有するプラスミド中の挿入物によってコードされるアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片。
【0050】
E41.Fc融合タンパク質、モノボディ(monobody)、マキシボディ(maxibody)、二機能性抗体、scFab、scFv、またはペプチボディである、E1からE40のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0051】
E42.エピトープが、以下のアミノ酸残基のうち少なくとも1つ:配列番号1の番号付けに従って、Glu78、Lys81、Thr85、Ile89、Arg93、Asp173、およびAsn177をさらに含む、E2からE41のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0052】
E43.エピトープが、配列番号1の番号付けに従って、Glu78、Lys81、Glu82、Thr85、Ile89、Arg93、His170、Asp173、およびAsn177を含む、E42に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0053】
E44.(i)接触表面積(ASA)の>80Å2がCD1aとの相互作用によって埋没する、(ii)遊離状態にあるASAの>90%が界面によって埋没し、かつASAの>30Å2がCD1aとの相互作用によって埋没する、および/または、(iii)少なくとも1つのエピトープアミノ酸残基が、3.8Å以内の抗体またはその抗原結合性断片と、塩橋もしくは水素結合のいずれかによって相互作用し、かつ少なくとも6つの交差界面非水素原子対が3.8Å以内にある、E2からE43のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0054】
E45.エピトープが、以下の残基:配列番号1の番号付けに従って、Leu86、Asn146、Asn168、Ile174、His176、Asp181、およびArg185のうち少なくとも1つをさらに含む、E2からE44のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0055】
E46.エピトープが、以下の残基:配列番号1の番号付けに従って、Glu78、Lys81、Leu86、Glu82、Thr85、Ile89、Arg93、Asn146、Asn168、His170、Asp173、Ile174、His176、Asn177、Asp181、およびArg185を含む、E45に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0056】
E47.(i)接触表面積(ASA)の>40Å2がCD1aとの相互作用によって埋没する、(ii)遊離状態にあるASAの>50%がCD1aとの相互作用によって埋没する、(iii)少なくとも1つのエピトープアミノ酸残基が3.8Å以内の抗体もしくはその抗原結合性断片と相互作用し、かつ少なくとも4つの交差界面非水素原子対が3.8Å以内にある、(iv)少なくとも1つのエピトープアミノ酸残基が、抗体もしくはその抗原結合性断片と塩橋によって相互作用する、および/または(v)少なくとも1つのエピトープアミノ酸残基が、抗体もしくはその抗原結合性断片と水素結合によって相互作用する、E45からE46のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0057】
E48.エピトープが、以下の残基:配列番号1の番号付けに従って、Glu79、Leu83、Glu84、Arg88、Ile92、Gln167、Gln169、Leu178、Ser180、およびThr182のうち少なくとも1つをさらに含む、E2からE43、E45~E46のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0058】
E49.エピトープが、以下の残基:配列番号1の番号付けに従って、Glu78、Glu79、Lys81、Glu82、Leu83、Glu84、Thr85、Leu86、Arg88、Ile89、Ile92、Arg93、Asn146、Gln167、Asn168、Gln169、His170、Asp173、Ile174、His176、Asn177、Leu178、Ser180、Asp181、Thr182およびArg185を含む、E48に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0059】
E50.エピトープが、配列番号1の番号付けに従って、Asn146および/またはAsn168を含まない、E49に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0060】
E51.(i)接触表面積(ASA)の>20Å2がCD1aとの相互作用によって埋没し、それと交換的に、CD1aエピトープの接触表面積(ASA)の>10Å2が埋没する、(ii)少なくとも1つのエピトープアミノ酸残基が3.8Å以内の抗体もしくはその抗原結合性断片と相互作用する、(iii)少なくとも1つのエピトープアミノ酸残基が抗体もしくはその抗原結合性断片と塩橋によって相互作用する、(iv)少なくとも1つのエピトープアミノ酸残基が抗体もしくはその抗原結合性断片と水を介した水素結合によって相互作用する、および/または(v)少なくとも1つのエピトープアミノ酸残基が抗体もしくはその抗原結合性断片と水素結合によって相互作用する、E48からE49のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0061】
E52.CD1aに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片であって、Ab138、Ab491、Ab492、Ab504、Ab514、Ab555、Ab556、Ab559、Ab560、Ab571、Ab572、Ab579、Ab585、Ab599、Ab609、Ab610、Ab616、Ab623、Ab624、Ab656、Ab657、Ab660、Ab673、Ab681、およびAb689(例えば、表14に開示される)からなる群から選択される、抗体またはその抗原結合性断片。
【0062】
E53.E1からE52のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片と、CD1aへの結合について競合する、単離された抗体またはその抗原結合性断片。
【0063】
E54.Ab138、Ab571、およびAb673からなる群から選択される抗体またはその抗原結合性断片と、CD1aへの結合について競合する、単離された抗体またはその抗原結合性断片。
【0064】
E55.抗体Ab571の抗体またはその抗原結合性断片と、CD1aへの結合について競合する、単離された抗体またはその抗原結合性断片。
【0065】
E56.CD1aに特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合性断片であって、E1からE52のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片と実質的に同じエピトープに結合する、抗体またはその抗原結合性断片。
【0066】
E57.CD1aに特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合性断片であって、Ab138、Ab491、Ab492、Ab504、Ab514、Ab555、Ab556、Ab559、Ab560、Ab571、Ab572、Ab579、Ab585、Ab599、Ab609、Ab610、Ab616、Ab623、Ab624、Ab656、Ab657、Ab660、Ab673、Ab681、およびAb689(例えば、表14に開示される)からなる群から選択される抗体またはその抗原結合性断片と実質的に同じエピトープに結合する、抗体またはその抗原結合性断片。
【0067】
E58.CD1aに特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合性断片であって、Ab138、Ab571、およびAb673からなる群から選択される抗体またはその抗原結合性断片と実質的に同じエピトープに結合する抗体またはその抗原結合性断片。
【0068】
E59.CD1aに特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合性断片であって、抗体Ab571と実質的に同じエピトープに結合する抗体またはその抗原結合性断片。
【0069】
E60.E1からE59のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片であって、約500nM、400nM、300nM、200nM、175nM、150nM、125nM、100nM、90nM、80nM、70nM、60nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、900pM、800pM、700pM、600pM、500pM、400pM、300pM、200pM、180pM、160pM、140pM、120pM、100pM、80pM、60pM、40pM、20pMおよび10pMからなる群から選択されるおよその値のKDまたはその値未満のKDで、CD1aに結合する、抗体またはその抗原結合性断片。
【0070】
E61.500pM、400pM、300pM、200pM、190pM、180pM、181pM、170pM、160pM、150pM、140pM、130pM、120pM、110pM、100pM、90pM、80pM、70pM、60pM、50pM、40pM、30pM、20pMまたは10pMのKD値またはそれ未満のKD値で、CD1aに結合する、E1からE60のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0071】
E62.CD1aが、ヒトCD1a、カニクイザルCD1a、イヌCD1aおよび/またはウサギCD1aである、E1からE61のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0072】
E63.約250pM~約100pM、約200pM~約150pMまたは約190pM~約170pMのKD値でヒトCD1aに結合する、E1からE62のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0073】
E64.約181.39+/-11.92pMまたは約0.17nMのKD値でヒトCD1aに結合する、E63に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0074】
E65.約100pM~約30pM、約80pM~約40pM、または約70pM~約50pMのKD値でカニクイザルCD1aに結合する、E1からE64のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0075】
E66.約60.35+/-11.04pMのKD値でカニクイザルCD1aに結合する、E65に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0076】
E67.配列番号17、49、および52からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含む、E60からE66のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0077】
E68.配列番号17および49からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含む、E60からE67のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0078】
E69.KD値が、任意選択によりBiacore T200またはBiacore 8K機器を使用し、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定される、E60からE68のいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合性断片。
【0079】
E70.KD値が、任意選択によりForteBio Octet機器を使用し、バイオレイヤー干渉法(BLI)によって測定される、E60からE68のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0080】
E71.抗薬物抗体を誘導しない、E1からE70のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0081】
E72.Tレジトープ(Tregitope)(T-reg)調整済スコアによって示される、抗体の予測される免疫原性潜在力が、約-35以下である、E1からE71のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0082】
E73.T-reg調整済スコアによって示される、抗体の予測される免疫原性潜在力が、約-52以下である、E1からE71のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0083】
E74.T-reg調整済スコアによって示される、抗体の予測される免疫原性潜在力が、約-69以下である、E1からE71のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0084】
E75.T-reg調整済スコアによって示される、抗体の予測される免疫原性潜在力が、約-35以下であり、8以下の非生殖系列T細胞エピトープが存在する、E1からE72のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0085】
E76.T-reg調整済スコアによって示される、抗体の予測される免疫原性潜在力が、約-52以下であり、3以下の非生殖系列T細胞エピトープが存在する、E1からE73のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0086】
E77.Tレジトープ(T-reg)調整済スコアによって示される、抗体の予測される免疫原性潜在力が、約-69以下であり、1以下の非生殖系列T細胞エピトープが存在する、E1からE74のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0087】
E78.例えばAC-SINSアッセイ、DNA結合アッセイおよび/またはインスリン結合アッセイによって測定した場合に、多反応性のリスクが低い、E1からE77のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0088】
E79.カニクイザルもしくはヒトCD1bに対して、カニクイザルもしくはヒトCD1cに対して、および/またはカニクイザル、ラット、マウスもしくはヒトCD1dに対して、弱い結合を有するまたは結合を有さない、E1からE78のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。「弱い」結合とは、表面プラズモン共鳴によって、またはバイオレイヤー干渉法によって測定した場合に、KDが500nM以上であることを意味する。
【0089】
E80.約50nM以下、40nM以下、20nM以下、10nM以下、5nM以下、4nM以下、3nM以下、2nM以下、または1nM以下のIC50値で、CD1a依存性分化抗原群69(CD69)発現を阻害する、E1からE79のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0090】
E81.約5nM以下、約4nM以下、約3nM以下、約2nM以下、約1.97nM以下、約1.9nM以下、約1.8nM以下、約1.7nM以下、約1.6nM以下、約1.5nM以下、約1.4nM以下、約1.3nM以下、約1.2nM以下、約1.1nM以下、約1nM以下、約0.9nM以下、約0.8nM以下、約0.7nM以下、約0.6nM以下、約0.5nM以下、約0.4nM以下、約0.3nM以下、約0.2nM以下、または約0.1nM以下のIC50値で、CD1a依存性CD69発現を阻害する、E1からE80のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0091】
E82.約2000pM以下、約1970pM以下、約1500pM以下、約1110pM以下、約1000pM以下、約500pM以下、約400pM以下、約300pM以下、約200pM以下、約100pM以下、約90pM以下、約80pM以下、約70pM以下、約60pM以下、約50pM以下、約40pM以下、約30pM以下、約20pM以下、約10pM以下、約9pM以下、約8pM以下、約7pM以下、約6pM以下、約5pM以下、約4pM以下、約3pM以下、約2pM以下、または約1pM以下のIC50値で、CD1a依存性CD69発現を阻害する、E1からE81のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0092】
E83.約1.11nMまたは0.894nMのIC50値で、CD1a依存性CD69発現を阻害する、E1からE82のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0093】
E84.約1.97nMのIC50値で、CD1a依存性CD69発現を阻害する、E1からE82のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0094】
E85.約0.3nMのIC50値で、CD1a依存性CD69発現を阻害する、E1からE82のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0095】
E86.5nM以下、4nM以下、3nM以下、2nM以下、1.9nM以下、1.8nM以下、1.7nM以下、1.6nM以下、1.5nM以下、1.4nM以下、1.3nM以下、1.2nM以下、1.1nM以下、1nM以下、0.9nM以下、0.8nM以下、0.7nM以下、0.6nM以下、0.5nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.22nM以下、0.2nM以下、0.18nM以下、または0.1nM以下のIC50値で、CD1a依存性インターロイキン2(IL-2)産生を阻害する、E1からE85のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0096】
E87.約500pM以下、約400pM以下、約300pM以下、約220pM以下、約200pM以下、約100pM以下、約90pM以下、約80pM以下、約70pM以下、約60pM以下、約50pM以下、約40pM以下、約30pM以下、約20pM以下、約10pM以下、約9pM以下、約8pM以下、約7pM以下、約6pM以下、約5pM以下、約4pM以下、約3pM以下、約2pM、または1pMのIC50値でCD1a依存性IL-2産生を阻害する、E1からE86のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0097】
E88.約0.268nMまたは0.18nMのIC50値でCD1a依存性IL-2産生を阻害する、E1からE87のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0098】
E89.IC50値が、CD1a制限T細胞受容体BK6を発現するJurkat 76(J76)細胞を使用して決定される、E80からE88のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0099】
E90.アトピー性皮膚炎を有する患者における皮膚炎スコアを、無処置の患者における皮膚炎スコアと比較して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または100%低減させる、E1からE89のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0100】
E91.アトピー性皮膚炎を有する患者における皮膚炎スコアを、無処置の患者における皮膚炎スコアと比較して70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または100%低減させる、E90に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0101】
E92.ヒトCD1aトランスジェニックハウスダストマイト(HDM)誘導性皮膚炎マウスモデルにおける皮膚炎スコアを、無処置のまたはアイソタイプで処置した対照における皮膚炎スコアと比較して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または100%低減させる、E1からE91のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0102】
E93.ヒトCD1aトランスジェニックハウスダストマイト(HDM)誘導性皮膚炎マウスモデルにおける皮膚炎スコアを、無処置のまたはアイソタイプで処置した対照における皮膚炎スコアと比較して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または100%低減させる、E92に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0103】
E94.ヒトCD1aトランスジェニックハウスダストマイト(HDM)誘導性皮膚炎マウスモデルにおける血清IgEレベルを、無処置のまたはアイソタイプで処置した対照における血清IgEレベルと比較して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または100%低減させる、E1からE93のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0104】
E95.ヒトCD1aトランスジェニックハウスダストマイト(HDM)誘導性皮膚炎マウスモデルにおける血清IgEレベルを、無処置のまたはアイソタイプで処置した対照における血清IgEレベルと比較して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または100%低減させる、E94に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0105】
E96.ヒトCD1aトランスジェニックハウスダストマイトHDM誘導性皮膚炎マウスモデルにおけるHDM特異的IgE抗体価を、無処置のまたはアイソタイプで処置した対照における血清IgEレベルと比較して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または100%低減させる、E1からE95のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0106】
E97.ヒトCD1aトランスジェニックHDM誘導性皮膚炎マウスモデルにおけるHDM特異的IgE抗体価を、無処置のまたはアイソタイプで処置した対照におけるHDM特異的IgE抗体価と比較して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または100%低減させる、E96に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0107】
E98.ヒトCD1aトランスジェニックハウスダストマイト(HDM)誘導性皮膚炎マウスモデルにおけるアトピー性皮膚炎関連遺伝子の発現レベルを、無処置のまたはアイソタイプで処置した対照におけるアトピー性皮膚炎関連遺伝子の発現レベルと比較して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または100%低減させる、E1からE97のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0108】
E99.ヒトCD1aトランスジェニックハウスダストマイト(HDM)誘導性皮膚炎マウスモデルにおけるアトピー性皮膚炎関連遺伝子の発現レベルを、無処置のまたはアイソタイプで処置した対照におけるアトピー性皮膚炎関連遺伝子の発現レベルと比較して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または100%低減させる、E98に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0109】
E100.アトピー性皮膚炎関連遺伝子が、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)、フィラグリン(FLG)、インターロイキン-33(IL-33)、C-Cモチーフケモカインリガンド26(CCL-26)、IL-23p40、C-X-Cケモカインリガンド1(CXCL-1)およびCCL-20を含む、E98からE99のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0110】
E101.E1からE100のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片をコードする核酸配列を含む、単離された核酸分子。
【0111】
E102.E1からE101のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片をコードする少なくとも1つの核酸配列を含む、単離された核酸分子。
【0112】
E103.ヒトCD1aに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片をコードする単離された核酸分子であって、
(i)配列番号80の核酸配列、
(ii)配列番号81の核酸配列、
(iii)配列番号82の核酸配列、
(iv)配列番号83の核酸配列、
(v)配列番号84の核酸配列、
(vi)配列番号85の核酸配列、
(vii)ATCCアクセッション番号PTA-126810の下でAb571-VHとして寄託されたベクターの挿入物の核酸配列、およびATCCアクセッション番号PTA-126811の下でAb571-VLとして寄託されたベクターの挿入物の核酸配列
からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【0113】
E104.番号80の核酸配列、配列番号81の核酸配列、またはそれら両方を含むまたはそれからなる、単離された核酸分子。
【0114】
E105.番号82の核酸配列、配列番号83の核酸配列、またはそれら両方を含むまたはそれからなる、単離された核酸分子。
【0115】
E106.ヒトCD1aに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片をコードする単離された核酸分子であって、ATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126810を有するプラスミドの挿入物の核酸配列を含む、単離された核酸分子。
【0116】
E107.ヒトCD1aに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片をコードする単離された核酸分子であって、ATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126811を有するプラスミドの挿入物の核酸配列を含む、単離された核酸分子。
【0117】
E108.ヒトCD1aに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片をコードする単離された核酸分子であって、ATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126810を有するプラスミドの挿入物の核酸配列、およびATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126811を有するプラスミドの挿入物の核酸配列を含む、単離された核酸分子。
【0118】
E109.ATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126810を有するプラスミドの挿入物の核酸配列を含む、単離された核酸分子。
【0119】
E110.ATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126811を有するプラスミドの挿入物の核酸配列を含む、単離された核酸分子。
【0120】
E111.ATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126810を有するプラスミドの挿入物の核酸配列、およびATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126811を有するプラスミドの挿入物の核酸配列を含む、単離された核酸分子。
【0121】
E112.ヒトCD1aに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片のVHをコードする単離された核酸分子であって、配列番号80または配列番号84の核酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一な核酸を含む、単離された核酸分子。
【0122】
E113.ヒトCD1aに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片のVLをコードする単離された核酸分子であって、配列番号81の核酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一な核酸を含む、単離された核酸分子。
【0123】
E114.ヒトCD1aに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片のHCをコードする単離された核酸分子であって、配列番号82または配列番号85の核酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一な核酸を含む、単離された核酸分子。
【0124】
E115.ヒトCD1aに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片のLCをコードする単離された核酸分子であって、配列番号83の核酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一な核酸を含む、単離された核酸分子。
【0125】
E116.E101からE115のいずれか1つに記載の核酸分子を含む、ベクター。
【0126】
E117.E101からE115のいずれか1つに記載の核酸分子またはE116に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【0127】
E118.配列番号80の核酸配列および/または配列番号81の核酸配列を含む核酸分子を含む宿主細胞。
【0128】
E119.配列番号82の核酸配列および/または配列番号83の核酸配列を含む核酸分子を含む宿主細胞。
【0129】
E120.哺乳動物細胞または昆虫細胞である、E117からE119のいずれか1つに記載の宿主細胞。
【0130】
E121.CHO細胞、HEK-293細胞、NS0細胞、PER.C6(登録商標)細胞、またはSp2.0細胞からなる群から選択される哺乳動物細胞である、E120に記載の宿主細胞。
【0131】
E122.抗体またはその抗原結合性断片を作製する方法であって、E117からE121のいずれか1つに記載の宿主細胞を、前記抗体または抗原結合性断片が宿主細胞によって発現される条件下で培養するステップを含む、方法。
【0132】
E123.抗体またはその抗原結合性断片を単離するステップをさらに含む、E122に記載の方法。
【0133】
E124.E1からE100のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片、ならびに薬学的に許容できる担体または賦形剤を含む、医薬組成物。
【0134】
E125.1.12mg/mL L-ヒスチジン、2.67mg/mL L-ヒスチジン塩酸塩一水和物、85mg/mLスクロース、0.05mg/mL EDTA二ナトリウム二水和物、0.2mg/mLポリソルベート80 pH5.8を含む、E124に記載の医薬組成物。
【0135】
E126.20mMヒスチジン、8.5%スクロース、および0.02%ポリソルベート80、0.005%EDTA pH5.8を含む、E124またはE125に記載の医薬組成物。
【0136】
E127.約2mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、15mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、50mg/mL、75mg/mL、100mg/mL、125mg/mL、150mg/mlの抗体またはその抗原結合性断片を含む、E124からE126のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0137】
E128.約100mg/mLの抗体またはその抗原結合性断片を含む、E127に記載の医薬組成物。
【0138】
E129.用量が、1mL用量である、E124からE128のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0139】
E130.皮下(SC)および/または静脈内(IV)投与に適切である、E124からE129に記載の医薬組成物。
【0140】
E131.抗体またはその抗原結合性断片が、i)配列番号55に示されるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3配列および配列番号28のCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列;ii)配列番号55のアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号28のアミノ酸配列を含むVLドメイン;またはiii)配列番号54のアミノ酸配列を含むHCおよび配列番号24のアミノ酸配列を含むLCを含む、E124からE130のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0141】
E132.さらなる治療的に活性な化合物をさらに含む、E124からE131のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0142】
E133.さらなる治療的に活性な化合物が、IL-1a、IL-1b、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、IL-25、IL-26、IL-31、IL36、IFNα、IFNγのうち1つまたは複数に対するアンタゴニスト、もしくはそれらのそれぞれの受容体に対するアンタゴニスト、抗炎症剤、組換えインターフェロンガンマ、NSAID、ステロイド、カルシニューリン阻害剤、および/またはコルチコステロイドを含む、E132に記載の医薬組成物。
【0143】
E134.さらなる治療的に活性な化合物が、デュピルマブを含む、E132に記載の医薬組成物。
【0144】
E135.CD1a活性を低減させるまたは阻害する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のE1からE100のいずれか1つに記載の抗体もしくはその抗原結合性断片またはE124からE134のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【0145】
E136.投与前のCD1aの活性を抗体の投与後のCD1a活性のレベルと比較するステップをさらに含む、E35に記載の方法。
【0146】
E137.CD1a活性を低減させるまたは阻害することにより、CD1a活性の除去、阻害または低減によって改善、寛解、阻害または予防される疾患、障害、または状態を処置する、E135からE136のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
E138.CD1aの活性が、
(a)CD1aのT細胞受容体への結合;
(b)CD1aにより媒介されるT細胞への脂質提示および引き続くT細胞活性化;
(c)CD1a依存性CD69発現;
(d)CD1a依存性IL-2産生;
(e)CD1a依存性血清IgEレベル増加;
(f)CD1a依存性抗原特異的IgE抗体増加;ならびに
(g)CD1a依存性アトピー性皮膚炎関連遺伝子(例えば、これらに限定されないが、TSLP、FLG、IL-33、CCL-26、IL-23p40、CCL-20、および/またはCCL-20)発現レベル増加
からなる群から選択される、E135からE137のいずれか1つに記載の方法。
【0148】
E139.それを必要とする対象において、CD1aのレベルを低減させる方法であって、対象に、治療有効量のE1からE100のいずれか1つに記載の抗体もしくはその抗原結合性断片またはE124からE134のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【0149】
E140.それを必要とする対象において、CD1aのT細胞受容体への結合を低減させるまたは阻害する方法であって、対象に、治療有効量のE1からE100のいずれか1つに記載の抗体もしくはその抗原結合性断片またはE124からE134のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【0150】
E141.CD1aの発現および/もしくはCD1aのリガンドへの結合と関連するまたはそれによって媒介される疾患、障害および/もしくは状態を処置および/または予防する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のE1からE100のいずれか1つに記載の抗体もしくはその抗原結合性断片またはE124からE134のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【0151】
E142.疾患、障害、および/または状態が、炎症性腸疾患、アレルギー、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、春季カタル、季節性アレルギー、ペットアレルギー、喘息、食物アレルギー、ピーナッツアレルギー、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)、アレルギー性鼻炎、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸器疾患のウイルス性増悪、小児および成体におけるウイルス感染症、(呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ライノウイルス、インフルエンザ)、蕁麻疹、好酸球性食道炎、慢性線維症、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、慢性腎疾患、特発性肺線維症(IPF)、強皮症、全身性硬化症、急性腎傷害、敗血症、膵炎、1型糖尿病、移植片対宿主病(GVHD)、組織移植、アルツハイマー病、関節リウマチ、過敏性腸症候群(IBS)、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、乾癬、小児脂肪便症およびレイノー病または現象からなる群から選択される、E41に記載の方法。
【0152】
E143.炎症性疾患を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のE1からE100のいずれか1つに記載の抗体もしくはその抗原結合性断片またはE124からE134のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【0153】
E144.アトピー性皮膚炎を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のE1からE100のいずれか1つに記載の抗体もしくはその抗原結合性断片またはE124からE134のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【0154】
E145.炎症性腸疾患(IBD)を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のE1からE100のいずれか1つに記載の抗体もしくはその抗原結合性断片またはE124からE134のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【0155】
E146.処置が、予防的処置である、E135からE145のいずれか1つに記載の方法。
【0156】
E147.対象が、ヒトである、E135からE146のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
E148.対象が、炎症性疾患(例えば、これに限定されないが、アトピー性皮膚炎またはIBD)を有する患者である、E135からE147のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
E149.抗体もしくはその抗原結合性断片または医薬組成物が、皮下投与される、E135からE148のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
E150.抗体もしくはその抗原結合性断片または医薬組成物が、静脈内投与される、E135からE149のいずれか1つに記載の方法。
【0160】
E151.抗体もしくはその抗原結合性断片または医薬組成物が、約1週間に2回、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間毎に1回、6週間毎に1回、7週間毎に1回、8週間毎に1回、9週間毎に1回、10週間毎に1回、1カ月に2回、1カ月に1回、2カ月毎に1回、3カ月毎に1回、4カ月毎に1回、5カ月毎に1回、6カ月毎に1回、7カ月毎に1回、8カ月毎に1回、9カ月毎に1回、10カ月毎に1回、11カ月毎に1回または12カ月毎に1回投与される、E135からE150のいずれか1つに記載の方法。
【0161】
E152.抗体もしくはその抗原結合性断片または医薬組成物が、1カ月に1回または4週間毎に1回投与される、E135からE151のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
E153.抗体もしくはその抗原結合性断片または医薬組成物が、1週間に1回投与される、E135からE152のいずれか1つに記載の方法。
【0163】
E154.治療有効量が、約1mg~約1000mgの抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片の用量を含む、E135からE153のいずれか1つに記載の方法。
【0164】
E155.用量が、初期固定用量である、E154に記載の方法。
【0165】
E156.用量が、約1mg~約10mg、約10mg~約20mg、約20mg~約30mg、約30mg~約40mg、約40mg~約50mg、約50mg~約60mg、約60mg~約70mg、約70mg~約80mg、約80mg~約90mg、約90mg~約100mg、約100mg~約150mg、約150mg~約200mg、約200mg~約300mg、約300mg~約400mg、約400mg~約500mg、約500mg~約600mg、約600mg~約700mg、約700mg~約800mg、約800~約900mg、または約900~約1000mgの抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片である、E154からE155のいずれか1つに記載の方法。
【0166】
E157.用量が、約15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、100mg、150mg、300mg、500mgまたは600mgの抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片である、E154からE156のいずれか1つに記載の方法。
【0167】
E158.用量が、約30mgの抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片である、E154からE157のいずれか1つに記載の方法。
【0168】
E159.E154からE158のいずれか1つに記載の方法であって、用量を、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、1カ月に1回、2カ月毎に1回、またはこれらの組み合わせで投与するステップを含む、方法。
【0169】
E160.抗体もしくはその抗原結合性断片または医薬組成物が、約30mgの用量で4週間毎に1回投与され、抗体が、抗体Ab571またはAb673である、E154からE159のいずれか1つに記載の方法。
【0170】
E161.投与が、皮下または静脈内投与である、E154からE160のいずれか1つに記載の方法。
【0171】
E162.i)配列番号55に示されるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3配列ならびに配列番号28に示されるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列;ii)配列番号55のアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号28のアミノ酸配列を含むVLドメイン;またはiii)配列番号54のアミノ酸配列を含むHCおよび配列番号24のアミノ酸配列を含むLCを含む抗体またはその抗原結合性断片を投与するステップを含む、E154からE161のいずれか1つに記載の方法。
【0172】
E163.i)配列番号74に示されるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3配列ならびに配列番号28に示されるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列;ii)配列番号74のアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号28のアミノ酸配列を含むVLドメイン;またはiii)配列番号73のアミノ酸配列を含むHCおよび配列番号24のアミノ酸配列を含むLCを含む抗体またはその抗原結合性断片を投与するステップを含む、E154からE161のいずれか1つに記載の方法。
【0173】
E164.対象が、アトピー性皮膚炎を有する、E154からE163のいずれか1つに記載の方法。
【0174】
E165.アトピー性皮膚炎を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の、i)配列番号55に示されるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3配列ならびに配列番号28に示されるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列;ii)配列番号55のアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号28のアミノ酸配列を含むVLドメイン;またはiii)配列番号54のアミノ酸配列を含むHCおよび配列番号24のアミノ酸配列を含むLCを含む抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片、および薬学的に許容できる担体または賦形剤を投与するステップを含む、方法。
【0175】
E166.アトピー性皮膚炎を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の、i)配列番号74に示されるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3配列ならびに配列番号28に示されるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列;ii)配列番号74のアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号28のアミノ酸配列を含むVLドメイン;またはiii)配列番号73のアミノ酸配列を含むHCおよび配列番号24のアミノ酸配列を含むLCを含む抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片、ならびに薬学的に許容できる担体または賦形剤を投与するステップを含む、方法。
【0176】
E167.抗体またはその抗原結合性断片が、治療有効量の、アトピー性皮膚炎の少なくとも1つの徴候および/または症状の処置および/または予防において有効である、1つ以上のさらなる治療的に活性な化合物または処置モダリティと組み合わせて投与される、E135からE166のいずれか1つに記載の方法。
【0177】
E168.抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片の量、ならびにアトピー性皮膚炎の少なくとも1つの徴候および/または症状の処置および/または予防において有効である治療的に活性な化合物または処置モダリティの量が、一緒になって、アトピー性皮膚炎の少なくとも1つの徴候および/または症状の処置および/または予防において相乗的効果を達成する量で投与される、E167に記載の方法。
【0178】
E169.抗CD1a抗体もしくはその抗原結合性断片の量、ならびに/またはアトピー性皮膚炎の少なくとも1つの徴候および/もしくは症状の処置および/もしくは予防において有効である治療的に活性な化合物もしくは処置モダリティの量が、各々、組み合わせない場合に投与される投薬量よりも少ない投薬量で投与される、E167に記載の方法。
【0179】
E170.さらなる治療的に活性な化合物が、IL-1a、IL-1b、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、IL-25、IL-26、IL-31、IL36、IFNα、IFNγのうち1つまたは複数に対するアンタゴニスト、もしくはそれらのそれぞれの受容体のアンタゴニスト、抗炎症剤、組換えインターフェロンガンマ、NSAID、ステロイド、カルシニューリン阻害剤、および/またはコルチコステロイドを含む、E167からE169のいずれか1つに記載の方法。
【0180】
E171.さらなる治療的に活性な化合物が、デュピルマブを含む、E167からE169のいずれか1つに記載の方法。
【0181】
E172.抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片と、アトピー性皮膚炎の少なくとも1つの徴候および/または症状の処置および/または予防において有効である治療的に活性な化合物または処置モダリティが、同時投与される、E167からE171のいずれか1つに記載の方法。
【0182】
E173.組み合わせ治療が、同じ投薬レジメンに従って投与される(例えば、両方の治療が毎日投与される)または異なる投薬レジメンに従って投与される(例えば、1つの治療が毎日投与され、他の治療が毎週投与される)、E167からE172のいずれか1つに記載の方法。
【0183】
E174.組み合わせ治療が、対象に同じまたは異なる経路の投与によって投与される、E167からE173のいずれか1つに記載の方法。
【0184】
E175.CD1aの発現、活性および/またはCD1aのT細胞受容体への結合と関連するまたはそれによって媒介される疾患、障害または状態を処置するための医薬の製造における、E124から134のいずれか1つに記載の医薬組成物の使用。
【0185】
E176.CD1aの発現、活性および/またはCD1aのT細胞受容体への結合と関連するまたはそれによって媒介される疾患、障害または状態を処置および/または予防するための医薬の製造における、E1からE100のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片の使用。
【0186】
E177.医薬としての使用のための、E1からE100のいずれか1つに記載の抗体もしくはその抗原結合性断片またはE124からE134に記載の医薬組成物。
【0187】
E178.炎症性疾患(例えば、これらに限定されないが、アトピー性皮膚炎)の少なくとも1つの徴候および/または症状の処置および/または予防における使用のための、E1からE100のいずれか1つに記載の抗体もしくはその抗原結合性断片またはE124からE134のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0188】
E179.
(a)配列番号96のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(b)配列番号97のアミノ酸配列を含むCDR-H2;
(c)配列番号98のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
(d)配列番号99のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(e)配列番号100のアミノ酸配列を含むCDR-L2;または
(f)配列番号101のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、ヒトCD1aに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片。
【0189】
E180.
(a)配列番号96のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(b)配列番号97のアミノ酸配列を含むCDR-H2;
(c)配列番号98のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
(d)配列番号99のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(e)配列番号100のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(f)配列番号101のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、ヒトCD1aに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片。
【0190】
E181.
(a)配列番号96のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(b)配列番号97のアミノ酸配列を含むCDR-H2;
(c)配列番号98のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
(d)配列番号99のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(e)配列番号100のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および/または
(f)配列番号101のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、E1からE100のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【0191】
E182.E181を含む任意の抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物。
【0192】
E183.
(a)CDR-H1が、配列番号96のアミノ酸配列を含む;
(b)CDR-H2が、配列番号97のアミノ酸配列を含む;
(c)CDR-H3が、配列番号98のアミノ酸配列を含む;
(d)CDR-L1が、配列番号99のアミノ酸配列を含む;
(e)CDR-L2が、配列番号100のアミノ酸配列を含む;および/または
(f)CDR-L3が、配列番号101のアミノ酸配列を含む、
E135からE174に記載の任意の方法またはE1からE100のいずれかに記載の抗体もしくはその抗原結合性断片の任意の使用、またはE124からE134に記載の任意の医薬組成物。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【
図1A】
図1Aは、T細胞活性化アッセイにおけるキメラ抗CD1a抗体のCD69発現に対する効果を示す。OKT6は、市販のCD1a遮断抗体である。OKT6配列を、ATCCから入手したハイブリドーマからクローニングし、キメラヒトIgG1として作製した。
【
図1B】
図1Bは、T細胞活性化アッセイにおけるキメラ抗CD1a抗体のIL-2分泌に対する効果を示す。
【
図2】
図2は、キメラ抗体Ab40のAb138、Ab139およびAb140-ヒト化抗体バリアントを用いた競合ELISAを示す。このアッセイでは、ヒト化クローンAb138(丸)およびAb140(上向きの三角形)は親キメラAb40と非常に類似した活性を示し、それらの結合親和性が良好に保持されていることが示唆される。
【
図3A】
図3Aは、CD1a/Ab138界面の図を示す。抗体重鎖および軽鎖が明示されている。骨格トレース図がリボンとして示されている。3つの高度に埋没した界面残基(Ab138-重鎖-I99、CD1a-E82、CD1a-H170)が明示され、側鎖が強調表示されている(太線)。交差界面での塩橋を作っている残基側鎖も示されており(細線)、塩橋の接触が破線で示されている。CD1aが最前面に黒色で示されており(明確にするためにベータシートおよび界面から遠位のドメインは除かれている)、一方、Ab138が背後に陰影付きの白色で示されている。
【
図3B】
図3Bは、CD1a/Ab138界面の図を示す。抗体重鎖および軽鎖が明示されている。骨格トレース図がリボンとして示されている。3つの高度に埋没した界面残基(Ab138-重鎖-I99、CD1a-E82、CD1a-H170)が明示され、側鎖が強調表示されている(太線)。交差界面での塩橋を作っている残基側鎖も示されており(細線)、塩橋の接触が破線で示されている。CD1aが上部に黒色で示されており、一方、Ab138が下部に白色で示されている。
【
図4】
図4は、CD1aエピトープの表面図を示す。抗CD1a Ab138および/またはBK6 TCRと接触する残基が示されている。BK6独占的残基(E171、D181、T182)は薄い灰色であり、Ab138独占的残基(E78、K81、L83、E84、R88、N146、Q167、Q169、S180)は黒色であり、両方と接触する残基(E79、E82、T85、L86、I89、R93、N168、H170、D173、I174、H176、N177、R185)は濃い灰色であり、接触しない残基は陰影付きの白色である。図は、
図3Aと同様の方向付けで表されているが、垂直方向のページ軸に関して180度回転させたものである。
【
図5】
図5は、最適化ライブラリーからの初代scFvクローンのHTRFアッセイスクリーニングを示す。HTRFシグナルがより低いことはヒトCD1aに対する結合親和性がより高いことと相関する。親Ab138よりも良好に結合するクローンに関して任意のカットオフ閾値を選択した。陰性対照mAbはヒトCD1aに結合しない。
【
図6A】
図6Aは、ヒトおよびカニクイザルCD1aへのAb571結合についての1:1 Langmuir Fitを用いた、代表的な動態データSPRセンサーグラムを示す。灰色の線は、各注入について生成された生Biacoreデータである。重なるセンサーグラム黒色のフィットする線は、Biacore解析ソフトウェアによって生成された。会合を90秒間モニタリングし、解離を550秒間モニタリングし、秒単位で経時的に(x軸)レゾナンスユニット(y軸)に関して測定した。ヒトCD1aに関しては6つの濃度について、およびカニクイザルCD1aに関しては8つの濃度についてのデータが示されている。相対的応答はRU=レゾナンスユニット;s=秒間で測定される。
【
図6B】
図6Bは、ヒトおよびカニクイザルCD1aへのAb571結合についての1:1 Langmuir Fitを用いた、代表的な動態データSPRセンサーグラムを示す。灰色の線は、各注入について生成された生Biacoreデータである。重なるセンサーグラム黒色のフィットする線は、Biacore解析ソフトウェアによって生成された。会合を90秒間モニタリングし、解離を550秒間モニタリングし、秒単位で経時的に(x軸)レゾナンスユニット(y軸)に関して測定した。ヒトCD1aに関しては6つの濃度について、およびカニクイザルCD1aに関しては8つの濃度についてのデータが示されている。相対的応答はRU=レゾナンスユニット;s=秒間で測定される。
【
図7】
図7は、Ab571における変異およびそれらのCD1a相互作用に対する影響を示す。Ab571変異N(L31)F、S(L30)Y、K(L93)SおよびN(H53)Gが
図3に示されているAb138結晶構造に基づいてモデリングされる。Ab138/Ab571のこれらの位置と相互作用するCD1a残基I92、R93、N168およびN146が
図3Bに示されているCD1a結晶構造において例示される。
【
図8A】
図8Aは、センサー先端に最初にOKT6をカップリングさせた場合の、CD1a結合、その後の抗体結合のOctetセンサーグラムを示す。カップリングステップは示されていない。
【
図8B】
図8Bは、センサー先端に最初にAb571をカップリングさせた場合の、CD1a結合、その後の抗体結合のOctetセンサーグラムを示す。カップリングステップは示されていない。
【
図9】
図9は、in vivo抗体投与により、HDM抗原誘導性皮膚炎の抑制が導かれることを示す。マウスに抗体を投与し、翌日、ハウスダストマイト(HDM)抗原を用いて感作を行った。抗体注射を2日に1回、合計10日間にわたって継続し、HDM抗原を用いた感作を4日毎に合計16日間にわたって行った。皮膚炎スコアを抗原感作の前および研究完了時点(18日目)で評価した。アイソタイプ対照抗体を与えられた感作されたマウス(丸)では皮膚炎症の増加が観察されたが、一方、Ab571を与えられた感作されたマウス(三角形)およびAb673を与えられた感作されたマウス(ひし形)では、皮膚炎が有意に抑制された。***は<0.005のP値を表す。
【
図10】
図10は、in vivo抗体投与により、HDM抗原を用いた感作後の血清IgEレベルの低減が導かれることを示す。アイソタイプ対照またはCD1a中和抗体の存在下でHDM抗原を用いて感作されたマウスから単離された血清中の総IgEのレベルを決定した。中和抗体の投与により、総血清IgEレベルの有意な低減が導かれた。****は<0.0001のp値を表す。
【
図11】
図11は、in vivo抗体投与により、HDM抗原を用いた感作後のHDM特異的IgE力価の低減が導かれることを示す。アイソタイプ対照またはCD1a中和抗体の存在下でHDM抗原を用いて感作されたマウスから単離された血清中のHDM特異的IgEのレベルを決定した。中和抗体の投与により、抗HDM IgE力価の有意な低減が導かれた。****は<0.0001のp値を表す。
【
図12】
図12は、in vivo抗体投与により、アトピー性皮膚炎遺伝子シグネチャーの抑制が導かれることを示す。抗体による処置後、感作された皮膚からRNAを単離し、アトピー性皮膚炎(AD)遺伝子シグネチャーに関連する遺伝子の発現について評価した。CD1a中和抗体、Ab571およびAb673の投与により、アイソタイプ対照で処置した動物と比較してAD遺伝子シグネチャーの有意な抑制がもたらされた。
【発明を実施するための形態】
【0194】
本開示は、分化抗原群1a(CD1a)に特異的に結合し、これに限定されないが、T細胞受容体に結合し、引き続いてそれらを活性化するCD1aの能力を含む、CD1a活性を低減させるまたは阻害する抗体およびその抗原結合性断片を提供する。本開示は、抗CD1a抗体を作製、調製、または産生するためのプロセスも提供する。本開示の抗体は、炎症性障害および状態、例えば、炎症性腸疾患、アレルギー、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、春季カタル、季節性アレルギー、ペットアレルギー、喘息、食物アレルギー、ピーナッツアレルギー、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)、アレルギー性鼻炎、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸器疾患のウイルス性増悪、小児および成体におけるウイルス感染症、(呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ライノウイルス、インフルエンザ)、蕁麻疹、好酸球性食道炎、慢性線維症、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、慢性腎疾患、特発性肺線維症(IPF)、強皮症、全身性硬化症、急性腎傷害、敗血症、膵炎、1型糖尿病、移植片対宿主病(GVHD)、組織移植、アルツハイマー病、関節リウマチ、過敏性腸症候群(IBS)、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、乾癬、小児脂肪便症およびレイノー病または現象など(これらに限定されない)が含まれるがこれらに限定されない、CD1a活性(例えば、T細胞受容体への結合および引き続くそれらの活性化)によって媒介される、またはそれと関連する障害または状態の診断、予防、および/または処置において有用である。本開示は、抗体の発現、ならびに本開示の抗体またはその抗原結合性断片を含む組成物、例えば、抗体の使用のための医薬の調製および製造をさらに包含する。抗体重鎖もしくは軽鎖、またはそれら両方をコードするポリヌクレオチドが含まれるがこれらに限定されない、CD1aに結合する抗体またはその抗原結合性断片をコードするポリヌクレオチドが提供される。抗CD1a抗体を発現する宿主細胞もまた提供される。
【0195】
MHCクラスI様分子であるCD1aは、ランゲルハンス細胞において主に発現され、皮膚由来脂質抗原を発現し、この皮膚由来脂質抗原が抗原特異的T細胞によって認識され得、それにより、引き続くT細胞活性化が導かれる。いずれの特定の理論に束縛されることも望まないが、ヒトCD1aトランスジェニックマウスを使用した最近の研究により、CD1aが、接触皮膚炎、乾癬、およびADなどの炎症性皮膚疾患の重要な駆動因子である可能性があることが示唆された(Kim JH、Yongqing T、Kim Jら、CD1a on Langerhans cells controls inflammatory skin disease.Nat Immunol 2016;17(10):1159~66)。MHCクラスI様分子であるCD1aは、皮膚における特殊化された型の樹状細胞であるランゲルハンス細胞において主に発現される(Igyarto BZ、Kaplan DH.AntIgEn presentation by Langerhans cells.Curr Opin Immunol 2013;25(1):115~9;Merad M、Ginhoux F、Collin M.Origin、homeostasis and function of Langerhans cells and other langerin-expressing dendritic cells.Nat Rev Immunol 2008;8(12):935~47)。CD1aは、皮膚において見い出される脂質抗原を提示し、この脂質抗原が抗原特異的T細胞によって認識され、それにより、引き続くT細胞活性化が導かれる(de Jong A、Cheng TY、Huang Sら、CD1a-autoreactive T cells recognize natural skin oils that function as headless antigens.Nat Immunol 2014;15(2):177~85)。したがって、CD1aは、炎症性皮膚疾患を駆動する重要な役割を有する可能性があり、CD1aに結合し、引き続くT細胞活性化を阻害する抗体およびその抗原結合性断片がADに付随する皮膚炎症を低減させるという仮説が立てられる。本明細書の実施例に開示されるように、本開示の抗体およびその抗原結合性断片は、T細胞受容体(TCR)対立遺伝子BK6を発現するJurkat 76(J76)細胞におけるCD1a依存性分化抗原群69(CD69)発現およびインターロイキン-2(IL-2)産生の強力な阻害によって実証された通り、CD1a依存性T細胞活性化を低減させる。さらに、抗CD1a抗体をヒトCD1aトランスジェニックハウスダストマイト(HDM)マウスモデルに投与することにより、皮膚炎スコア、総血清IgEレベルおよびHDM特異的IgE抗体価の低減がもたらされ、それにより、これらのCD1a中和抗体の、AD疾患活動性を著しく抑制する能力が実証される。
【0196】
ヒト化抗体を含めた抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、炎症性障害および状態、例えば、炎症性腸疾患、アレルギー、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、春季カタル、季節性アレルギー、ペットアレルギー、喘息、食物アレルギー、ピーナッツアレルギー、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)、アレルギー性鼻炎、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸器疾患のウイルス性増悪、小児および成体におけるウイルス感染症、(呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ライノウイルス、インフルエンザ)、蕁麻疹、好酸球性食道炎、慢性線維症、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、慢性腎疾患、特発性肺線維症(IPF)、強皮症、全身性硬化症、急性腎傷害、敗血症、膵炎、1型糖尿病、移植片対宿主病(GVHD)、組織移植、アルツハイマー病、関節リウマチ、過敏性腸症候群(IBS)、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、乾癬、小児脂肪便症およびレイノー病またはレイノー現象など(これらに限定されない)の少なくとも1つの徴候および/または症状の予防、処置、および/または寛解において、単独でまたは第2の治療と組み合わせて使用され得る。
【0197】
本明細書で使用されるセクション見出しは、構成のみを目的としており、記載される主題を限定すると解釈すべきではない。
【0198】
特許出願、特許公開、UniProtKBアクセッション番号を含む、本明細書で引用される全ての参考文献は、各個々の参考文献がその全体が参照によって組み込まれると具体的かつ個々に示されるかのように、本明細書で参照によって組み込まれる。
【0199】
本明細書に記載されるまたは本明細書で言及される技術および手順は、一般に、十分に理解され、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual 第3版(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y. CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY(F.M.Ausubelら編(2003));シリーズMETHODS IN ENZYMOLOGY(Academic Press,Inc.):PCR 2:A PRACTICAL APPROACH(M.J.MacPherson、B.D.HamesおよびG.R.Taylor編(1995))、HarlowおよびLane編(1988)ANTIBODIES,A LABORATORY MANUAL,and ANIMAL CELL CULTURE(R.I.Freshney編(1987));Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984);Methods in Molecular Biology、Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis編、1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney)編、1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.MatherおよびP.E.Roberts、1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture Laboratory Procedures(A.Doyle、J.B.GriffithsおよびD.G.Newell編、1993-8)J.Wiley and Sons;Handbook of Experimental Immunology(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.MillerおよびM.P.Calos編、1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction(Mullisら編、1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編、1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons、1999);Immunobiology(C.A.JanewayおよびP.Travers、1997);Antibodies(P.Finch、1997);Antibodies:A Practical Approach(D.Catty編、IRL Press、1988~1989);Monoclonal Antibodies:A Practical Approach(P.ShepherdおよびC.Dean編、Oxford University Press、2000);Using Antibodies:A Laboratory Manual(E.HarlowおよびD.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999));The Antibodies(M.ZanettiおよびJ.D.Capra編、Harwood Academic Publishers、1995);ならびにそれらの最新版に記載される広く利用される方法論などの、当業者による従来の方法論を使用して、一般に使用される。
【0200】
本開示は、本発明の例示的な実施形態およびその中に含まれる実施例に関する以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解され得る。
【0201】
本発明の態様または実施形態がマルクーシュ群または他の代替の群分けに関して記載されている場合、本発明は、全体として、しかし群の各メンバーが個別に、および主要群の全ての可能性のある亜群が列挙されている群全体を包含するだけでなく、群のメンバーのうち1つ以上が存在しない主要群もまた包含する。本発明では、特許請求された発明における群のメンバーのいずれか1つ以上の明確な除外も想定される。
【0202】
定義
他に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。矛盾する場合は、定義を含めた本明細書が支配する。
【0203】
さらに、文脈が他を要求しない限りまたは明白に示されない限り、単数形の用語は、複数を含むものとし、複数形の用語は、単数を含むものとする。
【0204】
広範囲の本発明を記載する数値範囲および数値パラメーターは概数であるにもかかわらず、特定の実施例において記載されている数値はできる限り正確に報告される。しかし、あらゆる数値は、それらのそれぞれの試験測定値に見出される標準偏差から必ず生じるある特定の誤差を本質的に含有する。さらに、本明細書に開示される範囲は全て、その中に包含されるありとあらゆる部分範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「1~10」と述べられた範囲は、最小値である1と最大値である10の間(両端を含む)のありとあらゆる部分範囲;即ち、最小値である1以上から始まる部分範囲、例えば、1~6.1、および最大値である10以下で終わる部分範囲、例えば、5.5~10の全てを含むものとみなされるべきである。
【0205】
本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」には、他が示されない限り、複数の参照対象が含まれる。
【0206】
本明細書で使用する場合、用語「および/または」は、付随する列挙された項目のうち1つ以上のありとあらゆる可能性のある組み合わせ、ならびに、選択肢「または(or)」として解釈される場合には組み合わせの欠如を指し、包含する。
【0207】
本明細書で使用する場合、用語「約」または「およそ」は、例えば、生物学的活性の量、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の長さ、GおよびCヌクレオチドの含量、コドン適応指標、CpGジヌクレオチドの数、用量、時間、温度などの測定可能な値を指し、他の指定のない限り、文脈から他が明らかでない限り、またはかかる数が可能性のある値の100%を超える場合を除き、特定された量のいずれかの方向(より大きいまたはより小さい)に25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%またはさらには0.1%の変動を包含することを意味する。
【0208】
本明細書で使用する場合、用語「寛解させる」は、対象の疾患、障害もしくは状態(例えば、アトピー性皮膚炎)またはその症状(例えば、重度のそう痒)、または基礎をなす細胞応答(例えば、CD1a依存性T細胞活性化)の検出可能なまたは測定可能な改善を意味する。検出可能なまたは測定可能な改善には、疾患、障害もしくは状態の発生、頻度、重症度、進行もしくは持続時間の主観的もしくは客観的な減少、低減、阻害、抑制、限定もしくは制御、疾患、障害もしくは状態によって引き起こされるまたはそれと関連する合併症の発生、頻度、重症度、進行もしくは持続時間の主観的もしくは客観的な減少、低減、阻害、抑制、限定もしくは制御、疾患、障害もしくは状態の症状の改善、または、疾患、障害もしくは状態の逆転が含まれる。
【0209】
本明細書で使用する場合、「別の」は、少なくとも第2のものまたはそれ以上を意味し得る。本明細書で他に定義されない限り、本発明と併せて使用される科学用語および技術用語は、当業者が一般に理解する意味を有するものとする。さらに、文脈が他を要求しない限り、単数形の用語は、複数を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。
【0210】
本明細書で使用する場合、用語「と関連する」は、存在する場合、互いに、一方のレベルおよび/または形態が他方のレベルおよび/または形態と相関することを指す。例えば、特定の実体(例えば、ポリペプチド、遺伝子シグネチャー、代謝産物、微生物など)は、その存在、レベルおよび/または形態が特定の疾患、障害、または状態の発生率および/またはそれに対する易罹患性と相関する場合、その疾患、障害、または状態と関連するとみなされる(例えば、関連性のある集団にわたって)。一部の実施形態では、2つ以上の実体が直接または間接的に相互作用し、その結果、それらの実体が互いに物理的近傍にあるおよび/または物理的近傍のままである場合、それらの実体は互いに物理的に「関連する」。一部の実施形態では、互いに物理的に関連する2つ以上の実体は、互いに共有結合により連結している;一部の実施形態では、互いに物理的に関連する2つ以上の実体は、互いに共有結合による連結はしていないが、例えば、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、磁性、およびこれらの組み合わせによって非共有結合により関連している。
【0211】
本明細書で使用する場合、用語「コード配列」は、特定のタンパク質をコードする配列を指す、または、「コード核酸」は、in vitroまたはin vivoにおいて、適切な調節配列の制御下に置かれた(それに作動可能に連結された)場合に、転写され(DNAの場合)、ポリペプチドに翻訳される(mRNAの場合)核酸配列を意味する。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドンおよび3’(カルボキシ)末端の翻訳終止コドンによって決定される。コード配列には、原核生物または真核生物mRNAに由来するcDNA、原核生物または真核生物DNAに由来するゲノムDNA配列、およびさらには合成DNA配列が含まれ得るがこれらに限定されない。
【0212】
本明細書および特許請求の範囲全体を通して、単語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形および単語「有する(having)/含む(including)」は、述べられた整数または整数の群の包含を意味するが、任意の他の整数または整数の群の除外を意味するものではないと理解されたい。文脈が他を要求しない限り、単数形の用語は複数を含むものとし、複数形の用語は単数を含むものとする。用語「例えば(e.g.)」または「例えば(for example)」の後ろに続く任意の例は、網羅するものでも限定するものでもない。本明細書において実施形態が語「含む(comprising)」と共に記載されている場合はいつでも、「からなる(consisting
of)」および/または「から本質的になる(consisting essentially of)の点で記載される他の類似の実施形態も提供されることが理解される。
【0213】
本明細書で使用する場合、用語「保存的置換」は、1つのアミノ酸の、生物学的、化学的または構造的に類似した残基による置き換えを指す。生物学的に類似したとは、置換により生物学的活性が破壊されないことを意味する。構造的に類似したとは、アミノ酸が、例えば、アラニン、グリシンおよびセリンなど、類似の長さの側鎖を有する、または類似のサイズを有することを意味する。化学的類似性は、残基が同じ電荷を有するまたはどちらも親水性であるもしくは疎水性であることを意味する。特定の例には、イソロイシン、バリン、ロイシンもしくはメチオニンなどの疎水性残基の別の疎水性残基での置換、または1つの極性残基の別の極性残基での置換、例えば、アルギニンでのリジンの置換、グルタミン酸でのアスパラギン酸の置換、またはグルタミンでのアスパラギンの置換、セリンでのトレオニンなの置換などが含まれる。保存的置換の特定の例には、イソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニンなどの疎水性残基での互いの置換、極性残基での別の極性残基の置換、例えば、アルギニンでのリジンの置換、グルタミン酸でのアスパラギン酸の置換、またはグルタミンでのアスパラギンの置換などが含まれる。典型的には、保存的アミノ酸置換には、例えば、以下の群内での置換が含まれる:グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リジン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。「保存的置換」には、非置換親アミノ酸の代わりに置換アミノ酸を使用することも含まれる。
【0214】
本明細書で使用する場合、用語「発現制御配列」は、核酸の転写を方向付ける核酸配列を意味する。発現制御配列は、構成的もしくは誘導性プロモーターなどのプロモーター、またはエンハンサーであり得る。発現制御配列は、転写される核酸配列に作動可能に連結される。
【0215】
本明細書で使用する場合、薬物、化合物、または医薬組成物の「有効投薬量」または「有効量」という用語は、任意の1つ以上の有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な量である。より具体的な態様では、有効量は、疾患、例えばADの少なくとも1つの徴候および/または症状を予防する、軽減する、および/または寛解させる量である。予防的使用について、有益なまたは所望の結果には、リスクを排除もしくは低減させること、重症度を低下させること、または疾患、その合併症、および疾患の発達の間に存在する中間の病理学的表現型の生化学的、組織学的および/もしくは行動学的症状を含む、疾患の開始を遅延させることが含まれる。治療的使用について、有益なまたは所望の結果には、臨床結果、例えば、CD1aに媒介される疾患、障害または状態の少なくとも1つの徴候および/または症状を低減させること、疾患を処置するために要求される他の薬物療法の用量を減少させること、別の薬物療法の効果を増強すること、および/または患者の疾患の進行を遅延させることが含まれる。有効投薬量は、1つ以上の投与で投与され得る。本発明の目的のために、薬物、化合物または医薬組成物の有効投薬量は、予防的処置または治療的処置を直接的または間接的に達成するのに十分な量である。臨床状況において理解されるように、薬物、化合物または医薬組成物の有効投薬量は、別の薬物、化合物または医薬組成物と併せて達成されてもされなくてもよい。したがって、「有効投薬量」は、1つ以上の治療剤を投与する観点から検討され得、単一の薬剤は、1つ以上の他の薬剤と併せて、望ましい結果が達成され得るまたは達成される場合に、有効量で与えられたとみなされ得る。
【0216】
本明細書で使用する場合、用語「機能的」は、生体分子が、それを特徴付ける特性および/または活性を示す形態にあることを指す。生体分子は、2つの機能を有し得る(即ち、二機能性)または多くの機能を有し得る(即ち、多機能性)。
【0217】
本明細書で使用する場合、用語「相同な」または「相同性」は、所与の領域または断片にわたって少なくとも部分的な同一性を共有する、2つ以上の参照実体(例えば、ヌクレオチドまたはポリペプチド配列)を指す。例えば、2つのペプチド内のあるアミノ酸位置が同一なアミノ酸によって占有されている場合、これらのペプチドはその位置において相同である。とりわけ、相同なペプチドは、改変されていないまたは参照ペプチドと関連する活性または機能を保持し、改変されたペプチドは、一般に、改変されていない配列のアミノ酸配列と「実質的に相同な」アミノ酸配列を有する。ポリペプチド、核酸またはその断片について言及する場合、「実質的な相同性」または「実質的な類似性」は、別のポリペプチド、核酸(またはその相補鎖)またはその断片と適切な挿入または欠失を伴って最適にアラインメントした場合に、配列の少なくとも約95%~99%に配列同一性が存在することを意味する。2つの配列間の相同性(同一性)の程度は、コンピュータープログラムまたは数理アルゴリズムを使用して確認され得る。パーセント配列相同性(または同一性)を計算するかかるアルゴリズムでは、一般に、比較領域またはエリアにわたって配列ギャップおよびミスマッチを説明する。例示的なプログラムおよびアルゴリズムを以下に提示する。
【0218】
本明細書で使用する場合、用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養物」は互換的に使用され、ポリヌクレオチド挿入物の取り込みのためのベクターのレシピエントであり得るまたはレシピエントであった個々の細胞または細胞培養物を意味する。宿主細胞には、「形質転換体」、「形質転換された細胞」、および「形質導入された細胞」が含まれ、これらには、初代の形質転換または形質導入された細胞、および継代の数に関係なく、それに由来する子孫が含まれる。宿主細胞の子孫は、天然の、偶然のまたは意図的な変異に起因して(形態学的に、またはゲノムDNA相補性において)元の親細胞とは必ずしも完全に同一でなくてもよい。宿主細胞には、本発明のポリヌクレオチド(例えば、抗CD1a抗体のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド)でin vivoでトランスフェクトおよび/または形質転換された細胞が含まれる。
【0219】
本明細書で使用する場合、用語「同一性」または「に対して同一」は、ポリマー分子間、例えば、核酸分子(例えば、DNA分子および/もしくはRNA分子)間ならびに/またはポリペプチド分子間の全体的な関連性を指す。「同一性」は、特定の数理モデルのコンピュータープログラム(即ち、「アルゴリズム」)によって扱われるギャップアラインメントを用いて、2つ以上の配列間の同一な一致のパーセントを測定する。
【0220】
一部の実施形態では、ポリマー分子は、それらの配列が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一である場合、互いに「実質的に同一」であるとみなされる。
【0221】
2つの核酸またはポリペプチド配列のパーセント同一性の計算は、例えば、2つの配列を最適に比較するためにアラインメントすることによって実施され得る(例えば、最適なアラインメントのために第1と第2の配列の一方または両方にギャップを導入することができ、比較のために、同一でない配列を無視することができる)。ある特定の実施形態では、比較のためにアラインメントされた配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%である。次いで、対応する位置のヌクレオチドを比較する。第1の配列内のある位置が第2の配列内の対応する位置と同じ残基(例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸)に占有されている場合、その結果これらの分子は、その位置において同一である。2つの配列間のパーセント同一性は、2つの配列を最適にアラインメントするために導入する必要があるギャップの数、および各ギャップの長さを考慮に入れた、それらの配列が共有する同一な位置の数の関数である。配列の比較および2つの配列間のパーセント同一性の決定は、数理アルゴリズムを使用して達成され得る。
【0222】
パーセント同一性を決定するために、配列のアラインメントを、ワールドワイドウェブncbi.nlm.nih.gov/BLAST/を通じて入手可能なBLASTを含めた方法およびコンピュータープログラムを使用して行うことができる。他のアラインメントプログラムには、Lasergene(登録商標)suite of bioinformatics software内のMegAlign(登録商標)プログラム(DNASTAR(登録商標),Inc.、Madison、WI)が含まれる。別のアラインメントアルゴリズムは、Madison、Wis.、USAのGenetics Computing Group(GCG)パッケージとして入手可能なFASTAである。アラインメントのための他の技術は、Methods in Enzymology、266巻:Computer Methods for Macromolecular Sequence Analysis(1996)、Doolittle編、Academic Press、Incに記載されている。配列内のギャップが許容されるアラインメントプログラムが特に興味深い。Smith-Watermanは、配列アラインメント内にギャップが許容されるアルゴリズムの型の1つである。Meth.Mol.Biol.70: 173~187(1997)を参照のこと。また、NeedlemanおよびWunschのアラインメント法を使用するGAPプログラムを使用して配列をアラインメントすることもできる。J.Mol.Biol.48: 443~453(1970)を参照のこと。
【0223】
また、SmithおよびWaterman(1981、Advances in Applied Mathematics 2: 482~489)の局所相同性アルゴリズムを使用して配列同一性を決定するBestFitプログラムも興味深い。ギャップ生成ペナルティは、一般に1~5まで、通常は2~4までにわたり、一部の実施形態では3になる。ギャップ伸長ペナルティは、一般に約0.01から0.20までにわたり、一部の場合では0.10になる。このプログラムは、比較のためにインプットされる配列によって決定されるデフォルトパラメーターを有する。プログラムによって決定されたデフォルトパラメーターを使用して配列同一性を決定することが好ましい。このプログラムは、Madison、WI、USAのGenetics Computing Group(GCG)パッケージでも入手可能である。
【0224】
興味深い別のプログラムはFastDBアルゴリズムである。FastDBは、Current Methods in Sequence Comparison and Analysis、Macromolecule Sequencing and Synthesis、Selected Methods and Applications、127~149頁、1988、Alan R.Liss、Incに記載されている。パーセント配列同一性はFastDBによって以下のパラメーターに基づいて計算される:ミスマッチペナルティ:1.00;ギャップペナルティ(Gap Penalty):1.00;ギャップサイズペナルティ(Gap Size Penalty):0.33;およびジョイニングペナルティ(Joining Penalty):30.0。
【0225】
用語「類似性」は、関連する概念であるが、「同一性」とは対照的に、同一の一致および保存的置換一致の両方を含む類似性の尺度を指す。保存的置換は、ポリペプチドには当てはまり、核酸分子には当てはまらないので、類似性は、ポリペプチド配列比較のみに当てはまる。2つのポリペプチド配列が、例えば、20個のうち10個の同一なアミノ酸を有し、残りが全て非保存的置換である場合、パーセント同一性および類似性は、共に50%である。同じ例において、保存的置換が存在する5つのさらなる位置が存在する場合、パーセント同一性は、50%のままであるが、パーセント類似性は、75%(20個のうち15個)である。したがって、保存的置換が存在する場合、2つのポリペプチド配列間の類似性の程度は、その2つの配列間のパーセント同一性よりも高い。
【0226】
本明細書で使用する場合、用語「増加させる」、「改善する」、「減少させる」または「低減させる」は、ベースライン測定値、例えば、本明細書に記載される処置を開始する前の同じ個体における測定値、または本明細書に記載される処置の非存在下での対照個体(もしくは複数の対照個体)における測定値などと比較した値を示す。一部の実施形態では、「対照個体」は、処置される個体と同じ形態の疾患または傷害を患っている個体である。一部の実施形態では、「対照個体」は、処置される個体と同じ形態の疾患または傷害を患っていない個体である。
【0227】
本明細書で使用する場合、用語「単離された分子」(分子が、例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、または抗体もしくはその抗原結合性断片の場合)は、それが引き出された起源または供給源に基づいて、(1)そのネイティブ状態では付随する天然に関連する構成要素と関連していない、(2)同じ種に由来する他の分子を実質的に含まない、(3)異なる種に由来する細胞によって発現される、または(4)天然に存在しない、分子を意味する。したがって、化学的に合成される、またはそれが天然に起源とする細胞とは異なる細胞の系で発現される分子は、その天然には関連する構成要素から「単離された」ものになる。分子を、当該分野で周知の精製技術を使用して単離することにより、天然には関連する構成要素を実質的に含まないものにすることもできる。分子の純度または均一性は、当該分野で周知の多数の手段によってアッセイされ得る。例えば、ポリペプチドサンプルの純度は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、および当該分野で周知の技術を使用してゲルを染色してポリペプチドを可視化することを使用してアッセイされ得る。ある特定の目的に関しては、HPLCまたは精製のための当該分野で周知の他の手段を使用することによって、より高い分解能が提供され得る。
【0228】
本明細書で使用する場合、用語「リーダーペプチド」または「リーダー配列」または「リーダーシグナル配列」または「シグナル配列」(本明細書では互換的に使用される)は、核酸分子の5’末端および/またはポリペプチドのN末端もしくはその付近に存在し得、存在する場合には、細胞からのポリペプチドの分泌が含まれるがこれらに限定されない、ポリペプチドの目的地の細胞小器官への輸送を媒介し得る、任意の核酸配列、またはそれによってコードされるアミノ酸配列を意味する。かかるリーダー配列には、配列番号1のヌクレオチド1~16を含む核酸配列が含まれるがこれらに限定されない。実施形態は、ポリペプチドの、所望の細胞小器官、例えば小胞体への輸送、および/または細胞からの分泌をもたらし得る、これらのおよび当該分野で公知のまたは同定される任意の他のリーダーシグナル(核酸およびアミノ酸配列)を包含する。一般に、シグナルペプチドは成熟ポリペプチドから除去され、および/または成熟ポリペプチドには存在しない。
【0229】
本明細書で使用する場合、用語「残基」は、タンパク質内の位置およびそれの関連するアミノ酸同一性を意味する。例えば、アスパラギン297(Asn297とも呼ばれ、N297とも呼ばれる)は、ヒト抗体IgG1内の残基である。
【0230】
本明細書で使用する場合、用語「対象」は、哺乳動物、より好ましくは、ヒトを意味する。哺乳動物には、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリなど)、ペット、霊長類、ウマ、イヌ、ネコ、マウスおよびラットもまた含まれるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、対象は患者である。一部の実施形態では、対象は、CD1aのT細胞受容体への結合および引き続く活性化によって媒介されるまたはそれと関連する疾患、障害または状態のリスクがある。一部の実施形態では、対象は、本明細書に記載される疾患、障害または状態、例えば炎症性障害または状態を有する患者である。一部の実施形態では、対象(例えば、患者)は、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、炎症性腸疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、慢性腎疾患、過敏性腸症候群(IBS)、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、および乾癬を有する。
【0231】
本明細書で使用する場合、用語「実質的に純粋」は、目的の種が、存在する優勢な種である(即ち、モル濃度に基づいて、組成物中の任意の他の個々の種よりも豊富である)こと、および、好ましくは、実質的に精製された画分が、存在する全ての高分子種の少なくとも約50パーセント(モル濃度に基づいて)を目的の種(例えば、抗体または受容体を含めた糖タンパク質)が構成する組成物であることを意味する。一般に、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全ての高分子種を約80パーセントよりも多く、より好ましくは約85%よりも多く、約90%よりも多く、約95%よりも多く、および約99%よりも多く構成する。最も好ましくは、目的の種は必須の均一性まで精製され(従来の検出方法によって組成物中に夾雑種を検出することができない)、組成物は単一の高分子種から本質的になる。ある特定の実施形態では、実質的に純粋な材料は、少なくとも50%純粋である(即ち、夾雑物を含まない)、より好ましくは、少なくとも90%純粋である、より好ましくは、少なくとも95%純粋である、さらにより好ましくは、少なくとも98%純粋である、および最も好ましくは、少なくとも99%純粋である。
【0232】
本発明によるポリペプチドまたは抗体「断片」または「部分」は、短縮によって、例えば、ポリペプチドのNおよび/またはC末端から1つ以上のアミノ酸を除去することによって作製され得る。1個、2個、3個、4個、5個、最大で10個、最大で20個、最大で30個、最大で40個またはそれよりも多くのアミノ酸を、このようにNおよび/またはC末端から除去することができる。断片は、1つ以上の内部の欠失によっても生成され得る。
【0233】
本明細書で使用する場合、用語「核酸配列」および「ヌクレオチド配列」は、互換的に、モノマー性ヌクレオチドで構成されるまたはモノマー性ヌクレオチドを含む任意の分子を指す。核酸は、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドであり得る。ヌクレオチド配列は、DNAまたはRNA(例えば、ゲノムDNA、cDNA、アンチセンスDNA、mRNA、tRNA、rRNAなど)であり得る。ヌクレオチド配列は、化学修飾されたものまたは人工的なものであり得る。ヌクレオチド配列には、ペプチド核酸(PNA)、モルフォリノおよびロックド核酸(LNA)、ならびにグリコール核酸(GNA)およびトレオース核酸(TNA)が含まれる。これらの配列は各々、分子の骨格に対する変化により、天然に存在するDNAまたはRNAから識別される。また、ホスホロチオエートヌクレオチドが使用され得る。他のデオキシヌクレオチド類似体には、本開示のヌクレオチド配列に使用され得るメチルホスホネート、ホスホラミデート、ホスホロジチオエート、N3’-P5’-ホスホラミデート、およびオリゴリボヌクレオチド
ホスホロチオエートおよびそれらの2’-0-アリル類似体および2’-0-メチルリボヌクレオチドメチルホスホネートが含まれる。
【0234】
本明細書で使用する場合、用語「核酸構築物」は、組換えDNA技術の使用の結果生じた天然に存在しない核酸分子(例えば、組換え核酸)を指す。核酸構築物は、核酸配列のセグメントを含有するように改変されており、天然に見出されない様式で組み合わされ、配置される、一本鎖または二本鎖のいずれかの核酸分子である。核酸構築物は、「ベクター」(例えば、プラスミド)、即ち、外因的に創出されたDNAを宿主細胞内に送達するように設計された核酸分子である。
【0235】
本明細書で使用する場合、用語「作動可能に連結された」は、ポリヌクレオチド(またはポリペプチド)エレメントの機能的関連性での連結を指す。核酸が別の核酸配列との機能的関連性に置かれている場合、その核酸は作動可能に連結されている。例えば、プロモーターまたは他の転写調節配列(例えば、エンハンサー)は、それがコード配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結されている。一部の実施形態では、作動可能に連結されたとは、連結された核酸配列が連続していることを意味する。一部の実施形態では、作動可能に連結されたとは、核酸配列が連続して連結されていることを意味するのではなく、連結されているそれらの核酸配列の間に介在配列が存在することを意味する。
【0236】
本明細書で使用する場合、用語「ポリヌクレオチド」(本明細書では「核酸分子」とも呼ばれる)は、リン酸ジエステル連結によって接続されたヌクレオチドの配列を指す。ポリヌクレオチドは、本明細書では、5’から3’への方向で示されている。本開示のポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)分子またはリボ核酸(RNA)分子であり得、二本鎖分子、一本鎖分子、低分子(small or short)ヘアピン型RNA(shRNA)、マイクロRNA、低分子(small
or short)干渉RNA(siRNA)、トランス-スプライシングRNA、アンチセンスRNAなどの、核酸の全形態を指す。ポリヌクレオチドがDNA分子である場合、その分子は、遺伝子、cDNA、アンチセンス分子または前述の分子のいずれかの断片であり得る。ヌクレオチド塩基は、本明細書では1文字コード:アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)、イノシン(I)およびウラシル(U)で示される。本開示のポリヌクレオチドは、当業者に周知の標準の技術を使用して調製され得る。
【0237】
本明細書で使用する場合、ポリヌクレオチド(核酸配列またはヌクレオチド配列)によってコードされる「ポリペプチド」、「タンパク質」および「ペプチド」という用語は、天然に存在するタンパク質と同様に全長のネイティブ配列、ならびに、部分配列、改変形態またはバリアントがネイティブ全長タンパク質の機能性をある程度保持する限りは、機能的な部分配列、改変形態または配列バリアントを指す。本開示の方法および使用では、ポリヌクレオチド配列によってコードされるかかるポリペプチド、タンパク質およびペプチドは、遺伝子治療を用いた処置を受ける対象において欠陥があるまたはその発現が不十分である、または欠損している内因性タンパク質に対して同一であり得るが、そうである必要はない。
【0238】
本明細書で使用する場合、用語「予防する」または「予防」は、特定の疾患、障害または状態(例えば、AD)の少なくとも1つの徴候および/または症状(例えば、重度の掻痒症)の発症の遅延、ならびに/または頻度および/もしくは重症度の低減を指す。一部の実施形態では、予防は集団に基づいて評価され、したがって、疾患、障害または状態にかかりやすい集団において、疾患、障害または状態の1つ以上の症状の発達、頻度および/または強度の統計的に有意な減少が観察された場合、薬剤は、特定の疾患、障害または状態を「予防する」とみなされる。予防は、疾患、障害または状態の発症が予め定義された期間にわたって遅延した場合、完了したとみなされ得る。
【0239】
本明細書で使用する場合、用語「組換え」は、クローニング、制限またはライゲーションステップ(例えば、その中に含まれるポリヌクレオチドまたはポリペプチドに関する)、および/または天然に見出される産物とは別個の構築物を生じさせる他の手順の、種々の組み合わせの産物であるベクター、ポリヌクレオチド、ポリペプチドまたは細胞を指す。
【0240】
本明細書で使用する場合、用語「処置する」または「処置」は、特定の疾患、障害および/または状態(例えば、AD)の1つ以上の症状、特色および原因を部分的にもしくは完全に軽減する、寛解させる、緩和する、阻害する、その発症を遅延させる、その重症度を低減させる、および/またはその発生率を低減させる、治療を投与することを意味する。本発明の目的のために、有益なまたは所望の臨床結果には、以下のうち1つ以上が含まれるがこれらに限定されない:湿疹面積・重症度指標(Eczema Area and Severity Index)(EASI)の改善、そう痒数値評価尺度(pruritus numerical rating scale)(NRS)の改善、罹患体表面積(affected body surface area)(BSA)の低減、患者向け湿疹評価(Patient-Oriented Eczema Measure)(POEM)の改善、皮膚科学の生活の質指標(Dermatology Life Quality Index)(DLQI)の改善、研究者による全般評価(Investigator’s Global Assessment)(IGA)の改善、医師による全般評価(Physician’s Global Assessment)(PGA)の改善、6領域6兆候アトピー性皮膚炎スコア(Six Area Six Sign Atopic Dermatitis)(SASSAD)の改善、アトピー性皮膚炎評価尺度(Scoring Atopic Dermatitis)(SCORAD)の改善、ビジュアルアナログスケール(Visual Analogue Scale)(VAS)の改善、皮膚炎スコア(例えば、以下の2つ以上のスコアの合計として計算され得るがこれらに限定されない:紅斑、瘢痕/乾燥状態、浮腫および皮膚びらん)の低減、総血清IgEレベルの低減、抗原特異的IgE力価の低減、および遺伝子シグネチャーに関連するアトピー性皮膚炎の抑制の減少。一部の実施形態では、有益なまたは所望の臨床結果には、疾患による損傷の程度の減少、疾患の持続時間の減少、および/または疾患に関連する症状の数、程度、もしくは持続時間の低減が含まれる。一部の実施形態では、この用語には、疾患の症状、合併症、もしくは生化学的徴候の発症を予防するもしくは遅延させる、症状を軽減する、または疾患、状態もしくは障害のさらなる発達を停止もしくは阻害するために、本発明の化合物または薬剤を投与することが包含される。処置は、予防的なもの(疾患の発症を予防するもしくは遅延させるためまたはその臨床的もしくは無症候性の症状の顕在化を防止するため)または疾患が顕在化した後の症状の治療的抑制もしくは軽減であり得る。一部の実施形態では、この用語には、予防的投与は包含されない(即ち、この用語には、疾患の発症を予防するもしくは遅延させる、または臨床的もしくは無症候性の症状の顕在化を防止することは包含されない)。一部の実施形態では、疾患、状態または障害は、ADである。
【0241】
抗体
「抗体」または「Ab」は、免疫グロブリン分子の可変領域中に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を介して、特異的標的または抗原(Ag)、例えば、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどを認識しそれに結合することが可能な免疫グロブリン分子である。本明細書で使用する場合、用語「抗体」は、所与の抗原(例えば、CD1a)に特異的に結合する能力を保持する、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、インタクトな抗体の抗原結合性断片(または部分)および任意の他の改変された立体配置の、抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子が含まれるがこれらに限定されない、任意の型の抗体を包含し得る。
【0242】
抗体にはIgG、IgA、またはIgMなどの任意のクラス(またはそのサブクラス)の抗体が含まれ、抗体は任意の特定のクラスのものである必要はない。免疫グロブリンは、その重鎖(HC)の定常領域の抗体アミノ酸配列に応じて異なるクラスに割り当てられ得る。免疫グロブリンには5つの主要なクラスが存在する:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM、およびこれらのうちいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2にさらに分類される。一部の実施形態では、本開示の抗CD1a抗体は、IgG1抗体である。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常領域は、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および3次元立体配置は周知である。
【0243】
抗体は、ヒト、サル、ブタ、ウマ、ウサギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット(例えば、スプラーグドーリー(Sprague Dawley)ラット)などが含まれるがこれらに限定されない任意の哺乳動物、または他の動物、例えば、鳥類(例えば、ニワトリ)、魚類(例えば、サメ)およびラクダ科の動物(例えば、ラマ)などに由来し得る。
【0244】
用語「抗原」は、抗原を認識する抗体を産生するため、または発現ライブラリー(例えば、とりわけ、ファージ、酵母またはリボソームディスプレイライブラリー)をスクリーニングするために、免疫適格性脊椎動物の免疫化のために使用される分子実体を指す。本明細書で、抗原は、より広い用語であり、抗体によって特異的に認識される標的分子を含むこと、したがって、抗体を生じさせるための免疫化プロセスにおいて、または抗体を選択するためのライブラリースクリーニングにおいて使用される分子の断片または模倣物を含むことを一般に意図する。したがって、CD1aに結合する本発明の抗体について、そのモノマーおよびマルチマー、例えば、ダイマー、トリマーなどを含む、哺乳動物種(例えば、ヒト、サル(カニクイザルを含む)、イヌおよびウサギ)由来の全長CD1a、CD1aの短縮型および他のバリアント(例えば、細胞外ドメイン)、ならびに可溶性CD1aおよび細胞表面に発現されるCD1aが、本明細書において抗原と呼ばれる。
【0245】
抗体の「抗原結合性断片」は、抗原に(好ましくは、実質的に同じ結合親和性で)特異的に結合する能力を保持する、全長の抗体の1つ以上の断片を指す。全長の抗体の断片によって、抗体の抗原結合機能が発揮され得ることが示されている。抗体の「抗原結合性断片」という用語の範囲内に包含される結合性断片の例には、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一のアームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)1つのVHドメインからなるdAb断片(Wardら、Nature 1989;341:544~546);ならびに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、ジスルフィド連結されたFvs(dsFv)、ならびに抗イディオタイプ(抗Id)抗体および細胞内抗体が含まれる。さらに、Fv断片の2つのドメインVLおよびVHは、別々の遺伝子によってコードされるが、これらは、組換え方法を使用して、VLおよびVH領域が対になって一価分子(単鎖Fv(scFv)としても公知)を形成している単一のタンパク質鎖としてそれらが作製されるのを可能にする合成リンカーによって、接合され得る;例えば、Birdら、Science 1988;242:423~426およびHustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.1988 USA 85:5879~5883を参照のこと。他の形態の単鎖抗体、例えば、ダイアボディ(diabody)もまた包含される。かかる単鎖抗体もまた抗体の「抗原結合性断片」という用語の範囲内に包含されることが意図される。ダイアボディは、VHおよびVLドメインが単一のポリペプチド鎖上で発現されるが、同じ鎖上の2つのドメイン間での対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用し、それによって、これらのドメインをもう一方の鎖の相補的ドメインと対形成させ、2つの抗原結合部位を創出する、二価の二重特異性抗体である(例えば、Holligerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1993;90:6444~6448;Poljakら、Structure 1994;2:1121~1123を参照のこと)。
【0246】
抗体「可変ドメイン」は、単独のまたは組み合わせた、抗体軽鎖の可変領域(VL)または抗体重鎖の可変領域(VH)を指す。当該分野で公知のように、重鎖および軽鎖の可変領域は各々、3つの「相補性決定領域」(CDR)によって接続された4つのフレームワーク領域(FR)からなり、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。対象可変領域のバリアント、特に、CDR領域の外側(即ち、フレームワーク領域内)のアミノ酸残基に置換を有するものが望まれる場合、適切なアミノ酸置換、好ましくは、保存的アミノ酸置換は、対象可変領域を、対象可変領域と同じカノニカルなクラス内のCDR1およびCDR2配列を含有する他の抗体の可変領域と比較することによって同定され得る(ChothiaおよびLesk、J.Mol.Biol.1987;196(4):901~917)。
【0247】
可変ドメイン内の残基は、典型的には、抗体のコンパイルの重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに使用される番号付け体系を提供するKabatに従って番号付けされる。Kabatら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MDを参照のこと。この番号付け体系を使用すると、実際の線状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはCDRを短くすること、または可変ドメインのFRまたはCDRへの挿入に対応して、より少ないまたはさらなるアミノ酸を含有し得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入物(Kabatに従って残基52a)、ならびに重鎖FR残基82の後に挿入残基(例えば、Kabatに従って残基82a、82b、および82c)を含み得る。残基のKabat番号付けは、所与の抗体について、抗体の配列の相同性領域を「標準の」Kabatにより番号付けされた配列とアラインメントすることによって決定され得る。Kabat番号付けを割り当てるための種々のアルゴリズムが入手可能である。例えば、Abysis(www.abysis.org)のバージョン2.3.3リリースでインプリメントされるアルゴリズムを使用して、Kabat番号付けを可変領域CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H2、およびCDR-H3に割り当てることができ、次いで、AbM定義をCDR-H1に対して使用することができる。
【0248】
ある特定の実施形態では、CDRの最終的な線引きおよび抗体の結合性部位を含む残基の同定は、抗体の構造を解明することおよび/または抗体-リガンド複合体の構造を解明することによって実現される。ある特定の実施形態では、これは、X線結晶構造解析などの当業者に公知の様々な技術のいずれかによって実現され得る。ある特定の実施形態では、様々な解析方法を使用してCDR領域を同定または推定することができる。かかる方法の例には、Kabat定義、Chothia定義、AbM定義、接触定義、およびコンフォメーション定義が含まれるがこれらに限定されない。
【0249】
「相補性決定領域」(CDR)は、Kabat、Chothia、KabatおよびChothiaの両方の集積、AbM、接触、Northおよび/もしくはコンフォメーション定義または当該分野で周知のCDR決定の任意の方法の定義に従って同定され得る。例えば、Kabatら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版(超可変領域);Chothiaら、Nature 1989;342:877~883(構造的ループ構造)を参照のこと。特定の抗体中のCDRを構成するアミノ酸残基の同一性は、当該分野で周知の方法を使用して決定され得る。CDRのAbM定義は、KabatとChothiaとの間の妥協であり、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェア(Accelrys(登録商標))を使用する。
【0250】
CDRの「接触」定義は、MacCallumら、J.Mol.Biol.1996;262:732~745に示される、観察された抗原接触に基づく。CDRの「コンフォメーション」定義は、抗原結合にエンタルピー的に寄与する残基に基づく(例えば、Makabeら、J.Biol.Chem.、2008;283:1156~1166を参照のこと)。Northは、異なる好ましいセットのCDR定義を使用して、カノニカルなCDRコンフォメーションを同定している(Northら、J.Mol.Biol.2011;406:228~256)。CDRの「コンフォメーション定義」と本明細書で呼ばれる別のアプローチでは、CDRの位置は、抗原結合にエンタルピー的に寄与する残基として同定され得る(Makabeら、J.Biol.Chem.2008、283:1156~1166)。なお他のCDR境界定義は、上記アプローチのうちの1つに厳密に従わなくてもよいが、それにもかかわらず、Kabat CDRの少なくとも一部分と重複するが、これらは、特定の残基もしくは残基の群またはさらにはCDR全体であっても抗原結合に顕著には影響しないという予測または実験的知見に照らして、短縮または延長され得る。本明細書で使用する場合、CDRは、アプローチの組み合わせを含む、当該分野で公知の任意のアプローチによって定義されるCDRを指し得る。本明細書で使用される方法は、これらのアプローチのいずれかに従って定義されるCDRを利用し得る。1つよりも多くのCDRを含む任意の所与の実施形態について、CDR(または抗体の他の残基)は、Kabat、Chothia、North、拡張型(extended)、AbM、接触および/またはコンフォメーション定義のいずれかに従って定義され得る。
【0251】
「接触残基」は、抗体またはそれが特異的に結合する抗原に関して本明細書で使用する場合、同族抗体/抗原上に存在するアミノ酸残基の重原子に対して4Å以下(例えば、3.8Å)である、少なくとも1つの重原子(即ち、水素ではない)を含む抗体/抗原上に存在するアミノ酸残基を指す。
【0252】
「フレームワーク」(FR)残基は、CDR残基以外の抗体可変ドメイン残基である。VHまたはVLドメインフレームワークは、以下の構造:FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4でCDRが散在する4つのフレームワークサブ領域FR1、FR2、FR3およびFR4を含む。
【0253】
当該分野で公知のように、抗体の「定常領域」は、単独のまたは組み合わせた、抗体軽鎖の定常領域または抗体重鎖の定常領域を指す。
【0254】
用語「Ig Fc領域」、「Fc領域」、「Fcドメイン」および「Fc」は、本明細書で相互交換可能に使用される場合、免疫グロブリン(Ig)分子のパパイン消化によって得られる結晶化可能な断片と相関する、Ig分子の部分を指す。本明細書で使用する場合、これらの用語は、第1の定常領域免疫グロブリンドメインを除外する抗体の定常領域に関し、その領域の部分にさらに関する。したがって、Fcは、IgA、IgDおよびIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにIgEおよびIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにこれらのドメインに対してN末端側の可動性ヒンジ、またはそれらの部分を指す。IgAおよびIgMについて、Fcは、J鎖を含み得る。
【0255】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性断片は、Fcドメインを含む。Fcドメインは、IgA(例えば、IgA1またはIgA2)、IgD、IgE、IgMまたはIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)に由来し得る。一部の実施形態では、抗CD1a抗体は、IgG1抗体である。一部の実施形態では、抗CD1a抗体(例えば、Ab571またはAb673)は、IgG1抗体である。
【0256】
IgGについて、Fcは、免疫グロブリンドメインCγ2およびCγ3(Cガンマ2およびCガンマ3)ならびにCγ1(Cガンマ1)とCγ2(Cガンマ2)との間のヒンジを含む。Fc領域の境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、残基C226またはP230からそのカルボキシル末端までを含むと定義され、この番号付けは、Edelmanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1969;63(1):78~85のEUインデックスに従い、Kabatら、1991に記載される通りである。典型的には、Fcドメインは、ヒトIgG1定常ドメインのアミノ酸残基約236~約447を含む。例示的なヒト野生型IgG1 Fcドメインアミノ酸配列は、配列番号86に示される(任意選択の末端リジン(K)残基およびエフェクター変異を含む)。Fcポリペプチドは、単離状態にあるこの領域、または抗体もしくはその抗原結合性断片、またはFc融合タンパク質と関連したこの領域を指し得る。
【0257】
重鎖定常ドメインは、Fc領域を含み、IgG重鎖のCH1ドメインおよびヒンジならびにCH2およびCH3(ならびに、任意選択により、IgAおよびIgEのCH4)ドメインをさらに含む。
【0258】
本明細書で使用する場合、「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載する。一部の実施形態では、FcγRは、ネイティブヒトFcRである。一部の実施形態では、FcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合し、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIサブクラスの受容体が含まれ、これらの受容体の対立遺伝子バリアントおよび選択的スプライシングを受けた形態が含まれるものである。FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害性受容体」)が含まれ、これらは、主にその細胞質ドメインが異なる、類似のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメイン内に免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を含有する。阻害性受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメイン内に免疫受容抑制性チロシンモチーフ(ITIM)を含有する(例えば、Daeron、Annu.Rev.Immunol.1997;15:203~234を参照のこと)。FcRは、例えば、RavetchおよびKinet、Annu.Rev.Immunol 1991;9:457~92;Capelら、Immunomethods 1994;4:25~34;およびde Haasら、J.Lab.Clin.Med.1995;126:330~41に総説されている。今後同定されるものを含めた他のFcRも本明細書の用語「FcR」に包含される。
【0259】
用語「Fc受容体」または「FcR」にはまた、母系IgGの胎児への移行(Guyerら、J.Immunol.1976;117:587およびKimら、J.Immunol.1994;24:249)および免疫グロブリンの恒常性の調節を担う胎児性受容体FcRnも含まれる。FcRnへの結合を測定する方法は公知である(例えば、GhetieおよびWard.、Immunol.Today 1997;18(12):592~598;Ghetieら、Nature Biotechnology、1997;15(7):637~640;Hintonら、J.Biol.Chem.2004;279(8):6213~6216;WO2004/92219を参照のこと)。
【0260】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体が重鎖ポリペプチド上にC末端リジン(K)アミノ酸残基を含む(例えば、ヒトIgG1重鎖は末端リジンを含む)場合、リジン残基を切り取り、それにより、C末端リジン残基を欠く重鎖を有する抗体を生じさせることができることが、当業者によって理解される。さらに、抗体重鎖は、リジンをコードしない核酸を使用して作出され得る。したがって、一部の実施形態では、抗CD1a抗体は、そうでなければ存在する末端リジンが存在しない重鎖を含む。したがって、本開示は、C末端リジン残基を欠く重鎖を有する抗CD1a抗体を含む組成物を包含する。一部の実施形態では、本開示は、C末端リジン残基を有する重鎖を有する抗CD1a抗体およびC末端リジン残基を欠く重鎖を有する抗CD1a抗体を含む組成物を包含する。一部の実施形態では、本開示は、C末端リジン残基を欠く抗CD1a抗体を含む組成物を包含する。
【0261】
「Fc融合」タンパク質は、1つ以上のポリペプチドがFcポリペプチドに作動可能に連結されたタンパク質である。Fc融合は、免疫グロブリンのFc領域を融合パートナーと組み合わせる。
【0262】
「ネイティブ配列Fc領域」は、天然に見出されるFc領域のアミノ酸配列に対して同一なアミノ酸配列を含む。「バリアントFc領域」は、ネイティブ配列Fc領域のものと少なくとも1つのアミノ酸の改変によって異なるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、バリアントFc領域は、ネイティブ配列Fc領域のエフェクター機能を少なくとも1つ保持する。一部の実施形態では、バリアントFc領域は、ネイティブ配列Fc領域のいかなるエフェクター機能も保持しない。好ましくは、バリアントFc領域は、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して、少なくとも1つのアミノ酸の置換、例えば、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域における約1個から約10個までのアミノ酸の置換、好ましくは、約1個から約5個までのアミノ酸の置換を有する。本明細書のバリアントFc領域は、好ましくはネイティブ配列Fc領域および/または親ポリペプチドのFc領域に対して少なくとも約80%の配列同一性、最も好ましくは、それらに対して少なくとも約90%の配列同一性、より好ましくは、それらに対して少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%の配列同一性を有することになる。
【0263】
「エピトープ」は、当該分野で周知の任意の方法によって、例えば、従来のイムノアッセイによってまたは本開示の実施例4に記載されるように決定される、抗体が特異的に結合する抗原のエリアまたは領域、例えば、抗体と相互作用する残基を含むエリアまたは領域を指す。例えば、HarlowおよびLane、Using Antibodies、a Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York、1999の第11章に記載されるように、抗体-抗原複合体の結晶構造の解明、競合アッセイ、遺伝子断片発現アッセイ、および合成ペプチドに基づくアッセイが含まれる、タンパク質上のエピトープの位置をマッピングするためおよび特徴付けるための当該分野で公知の方法が多く存在する。さらなる例では、エピトープマッピングを使用して、抗CD1a抗体が結合する配列を決定することができる。エピトープマッピングは種々の供給源、例えば、Pepscan Systems(Edelhertweg 15、8219 PH Lelystad、The Netherlands)から市販されている。あるいは、発見プロセスの間に、抗体の生成および特徴付けにより、望ましいエピトープに関する情報を解明することができる。次いで、この情報から、抗体を同じエピトープへの結合について競合的にスクリーニングすることができる。これを達成するための手法は、競合および交差競合試験を行って、CD1aへの結合について互いに競合するまたは交差競合する抗体、例えば、抗原への結合について競合する抗体を見つけることである。
【0264】
さらに、抗CD1a抗体が結合するエピトープは、系統的なスクリーニングにおいて、CD1a(例えば、ヒトCD1a配列)に由来する重複するペプチドを使用し、抗体の結合を決定することによって決定され得る。遺伝子断片発現アッセイに従って、CD1aをコードするオープンリーディングフレームを無作為にまたは特定の遺伝子構築物によって断片化することができ、CD1aの発現された断片の試験される抗体との反応性を決定する。遺伝子断片を、例えばPCRによって作出し、次いで、in vitroにおいて、放射性アミノ酸の存在下で転写し、タンパク質に翻訳することができる。次いで、抗体の、放射標識したCD1a断片への結合を免疫沈降およびゲル電気泳動によって決定する。
【0265】
また、ある特定のエピトープを、ファージ粒子(ファージライブラリー)または酵母(酵母ディスプレイ)の表面上にディスプレイされた無作為なペプチド配列の大きなライブラリーを使用して同定することもできる。あるいは、重複するペプチド断片の定義されたライブラリーを試験抗体への結合について単純な結合アッセイで試験することができる。さらなる例では、抗原の変異誘発、ドメインスワッピング実験およびアラニンスキャニング変異誘発を実施して、エピトープ結合のために要求される、十分である、および/または必要である残基を同定することができる。
【0266】
その最も詳細なレベルでは、抗原と抗体との間の相互作用のためのエピトープは、抗原-抗体相互作用中に存在する原子接触を定義する空間座標、ならびに結合熱力学へのそれらの相対的寄与についての情報によって、定義され得る。あまり詳細でないレベルでは、エピトープは、抗原と抗体との間の原子接触を定義する空間座標によって特徴付けられ得る。さらにあまり詳細でないレベルでは、エピトープは、具体的な基準によって、例えば、抗体および抗原中の原子(例えば、重原子、即ち、非水素原子)間の距離によって定義される、それが含むアミノ酸残基によって特徴付けられ得る。さらにあまり詳細でないレベルでは、エピトープは、機能を介して、例えば、他の抗体との競合結合によって、特徴付けられ得る。エピトープはまた、別のアミノ酸による置換(例えば、アラニンスキャニングを使用する)が抗体と抗原との間の相互作用の特徴を変更するアミノ酸残基を含むものとして、より一般に定義され得る。
【0267】
使用されるエピトープマッピング法に依存するエピトープの説明および定義が、異なるレベルの詳細さで得られるという事実から、同じ抗原上の、異なる抗体に対するエピトープの比較は、異なるレベルの詳細さで同様に実施することができるということになる。
【0268】
アミノ酸レベルで記載される、例えば、X線結晶構造解析、核磁気共鳴(NMR)分光法、水素/重水素交換質量分析(H/D-MS)によって決定されるエピトープは、それらが同じアミノ酸残基のセットを含有する場合、同一であると言える。エピトープは、少なくとも1つのアミノ酸がそれらのエピトープによって共有される場合、重複すると言われる。エピトープは、アミノ酸残基がそれらのエピトープによって共有されない場合、別々(独自)であると言われる。
【0269】
抗CD1a抗体を特徴付けるために使用することができるさらに別の方法は、同じ抗原に結合することが分かっている他の抗体を用いた競合アッセイ(例えば、本開示の実施例12に記載されるように)を使用して、抗CD1a抗体が他の抗体と同じエピトープに結合するかどうかを決定することである。競合アッセイは当業者には周知である。競合結合によって特徴付けられるエピトープは、対応する抗体の結合が相互に排他的である場合、即ち、1つの抗体の結合が、他の抗体の同時のまたは連続的な結合を排除する場合、重複していると言われる。エピトープは、抗原が、両方の対応する抗体の結合を同時に受け入れることが可能である場合、別々(独自)であると言われる。
【0270】
エピトープは、線状またはコンフォメーションであり得る。線状エピトープでは、タンパク質と、相互作用する分子(例えば、抗体など)との間の相互作用点は全て、タンパク質の一次アミノ酸配列に沿って線状に存在する。「非線状エピトープ」または「コンフォメーションエピトープ」は、エピトープに特異的な抗体が結合する抗原性タンパク質内の連続していないポリペプチド(またはアミノ酸)を含む。
【0271】
抗体の結合親和性は、特定の抗原-抗体相互作用の解離速度を指すKD値として表され得る。KDは、「オフレート(koff)」とも呼ばれる解離の速度の、会合速度または「オンレート(kon)」に対する比である。したがって、KDは、koff/konと等しく、モル濃度(M)として表され、KDが小さいほど、結合の親和性はより強い。抗体についてのKD値は、当該分野で十分に確立された方法を使用して決定され得る。KDを測定するための1つの例示的な方法は、BIACORE(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを典型的には使用する、表面プラズモン共鳴(SPR)である。BIAcore動態分析は、それらの表面上に固定化された分子(例えば、エピトープ結合ドメインを含む分子)を有するチップからの、抗原の結合および解離を分析することを含む。抗体のKDを決定するための別の方法は、Bio-Layer Interferometryを使用すること、典型的には、OCTETテクノロジー(Octet QKe system、ForteBio)を使用することによる。あるいは、またはさらに、Sapidyne Instruments(Boise、ID)から入手可能なKinExA(Kinetic Exclusion Assay)アッセイもまた使用され得る。
【0272】
エピトープに「優先的に結合する」または「特異的に結合する」(本明細書で相互交換可能に使用される)抗体は、当該分野で十分に理解された用語であり、かかる特異的または優先的結合を決定するための方法もまた、当該分野で周知である。分子(例えば、タンパク質、核酸、抗体など)は、それが代替的な細胞または物質と反応または会合するよりも、特定の細胞または物質と、より頻繁に、より迅速に、より長い持続時間で、および/またはより高い親和性で反応または会合する場合、「特異的結合」または「優先的結合」を示すと言われる。抗体が他の物質に結合する場合よりも、より高い親和性、結合力で、より容易に、および/またはより長い持続時間で結合する場合、抗体は、標的に「特異的に結合する」または「優先的に結合する」。例えば、CD1aエピトープに特異的にまたは優先的に結合する抗体は、それがCD1bおよび/またはCD1cエピトープを含む他のCD1aエピトープまたは非CD1aエピトープに結合する場合よりも、より高い親和性、結合力で、より容易に、および/またはより長い持続時間で特定のCD1aエピトープに結合する抗体である。したがって、指定されたアッセイ条件下で、特定された結合部分(例えば、抗体もしくはその抗原結合性断片または受容体もしくはそのリガンド結合性断片)は、特定の標的分子に優先的に結合し、試験サンプル中に存在する他の構成要素には、顕著な量では結合しない。一般に、必ずではないが、結合に対する言及は、優先的結合を意味する。
【0273】
種々のアッセイフォーマットが、目的の分子に特異的に結合する抗体またはペプチドを選択するために使用され得る。抗原と特異的に反応する抗体、または、同族リガンドもしくは結合パートナーに特異的に結合する受容体もしくはそのリガンド結合性断片を同定するために使用され得る多くのアッセイの中では、例えば、固相ELISAイムノアッセイ(競合結合ELIAが含まれる)、AlphaLISA(登録商標)イムノアッセイ(Perkin-Elmer)、免疫沈降、BIAcore(商標)(GE Healthcare、Piscataway、NJ)、蛍光活性化細胞選別(FACS)、Octet(商標)(ForteBio,Inc.、Menlo Park、CA)およびウエスタンブロット分析である。典型的には、特異的または選択的反応は、背景シグナルまたはノイズの少なくとも2倍であり、より典型的には、背景の10倍を超える、背景の50を超える、背景の1000倍を超える、またはそれを超える。抗体は、平衡解離定数(KD)が、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nMまたは≦100pMである場合、抗原に「特異的に結合する」と言われる。一部の実施形態では、抗CD1a抗体は、<250pM(例えば、181.38+/-11.92pM)のKDでCD1a(例えば、ヒトCD1a)に結合する。一部の実施形態では、抗CD1a抗体は、<100pM(例えば、60.35+/-11.04pM)のKDでCD1a(例えば、カニクイザルCD1a)に結合する。
【0274】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体は、約250pM、245pM、240pM、235pM、230pM、225pM、220pM、215pM、210pM、205pM、200pM、195pM、190pM、185pM、180pM、175pM、170pM、165pM、160pM、155pM、150pM、140pM、130pM、120pM、110pMおよび100pMからなる群から選択されるKDでヒトCD1aに結合する。一部の実施形態では、抗CD1a抗体は、約3.87nM、0.62nM、0.77nM、0.53nM、0.28nM、0.27nM、0.17nMおよび0.1nMからなる群から選択されるKDでヒトCD1aに結合する。
【0275】
用語「競合する」は、抗体に関して本明細書で使用する場合、抗原への第1の抗体またはその抗原結合性断片の結合が、第2の抗体またはその抗原結合性断片による同じ抗原の引き続く結合を低減させることを意味する。代替的に、抗原への第2の抗体の結合もまた第1の抗体の存在下で検出可能に減少する場合もあり得るが、そうである必要はない。即ち、第1の抗体は抗原への第2の抗体の結合を阻害し得、その第2の抗体によるそのそれぞれのエピトープへの第1の抗体の結合の阻害は伴わない。しかし、各抗体が他の抗体とその同族エピトープまたはリガンドとの結合を、程度が同じであるかより大きいかより小さいかにかかわらず検出可能に阻害する場合、抗体は、それらのそれぞれのエピトープの結合について互いに「交差競合する」と言える。競合および交差競合抗体のどちらも本発明に包含される。かかる競合または交差競合が起こる機構(例えば、立体障害、コンフォメーション変化、または共通のエピトープもしくはその断片への結合)にかかわらず、本明細書で提供される教示に基づいて、かかる競合および/または交差競合抗体が本明細書に開示される方法に包含され、有用であり得ることが、当業者によって理解される。
【0276】
標準的な競合アッセイが、2つの抗体が互いに競合するかどうかを決定するために使用され得る。抗体競合についての1つの適切なアッセイには、表面プラズモン共鳴(SPR)テクノロジーを使用して、典型的には、バイオセンサーシステム(例えば、BIACOREシステム)を使用して相互作用の程度を測定することができる、Biacoreテクノロジーの使用が関与する。例えば、SPRは、第2の抗体の結合を阻害する1つの抗体の能力を決定するために、in vitro競合的結合阻害アッセイにおいて使用され得る。抗体競合を測定するための別のアッセイは、ELISAベースのアプローチを使用する。
【0277】
さらに、それらの競合に基づいて抗体を「ビニング」するためのハイスループットプロセスが、国際特許出願公開WO2003/48731に記載されている。競合は、1つの抗体(または断片)がCD1aへの別の抗体(または断片)の結合を低減させる場合に存在する。例えば、逐次的な結合競合アッセイが使用され得、異なる抗体は逐次的に添加される。第1の抗体は、飽和に近い結合に到達するまで添加され得る。次いで、第2の抗体が添加される。CD1aへの第2の抗体の結合が検出されない場合、または第1の抗体の非存在下での並行アッセイ(その値が100%と設定され得る)と比較して、顕著に低減される(例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%または少なくとも約90%の低減)場合、これら2つの抗体は、互いに競合するとみなされる。
【0278】
用語「パラトープ」の定義は、上記の「エピトープ」の定義から視点を逆転させることによって引き出される。したがって、用語「パラトープ」は、抗原に特異的に結合する、抗体のエリアまたは領域、即ち、抗原(CD1aまたはその断片)と接触する抗体のアミノ酸残基を指し、「接触」は本明細書の他の場所で定義されている通りである。所与の抗体/抗原対のパラトープは、常套的な方法によって同定され得る。例えば、抗体と標的分子を組み合わせることができ、抗体/抗原複合体を結晶化することができる。複合体の結晶構造を決定し、抗体とその標的との間の相互作用の特定の部位を同定するために使用することができる。
【0279】
一部の実施形態では、抗体は、「バリアント抗体」である。バリアント抗体は、本明細書、特に表9に開示される特定の配列および断片からの、1、2、3、4、5、最大で10、最大で20、最大で30またはそれよりも多くのアミノ酸置換および/または欠失および/または挿入を含み得る。「欠失」バリアントは、個々のアミノ酸の欠失、アミノ酸の小さい群、例えば、1、2、3、4もしくは5アミノ酸の欠失、またはより大きいアミノ酸領域の欠失、例えば、特定のアミノ酸ドメインもしくは他の特色の欠失を含み得る。「挿入」バリアントは、個々のアミノ酸の挿入、アミノ酸の小さい群、例えば、1、2、3、4もしくは5アミノ酸の挿入、またはより大きいアミノ酸領域の挿入、例えば、特定のアミノ酸ドメインもしくは他の特色の挿入を含み得る。「置換」バリアントには、好ましくは、1つ以上のアミノ酸の、同じ数のアミノ酸による置き換え、および保存的アミノ酸置換を行うことが関与する。例えば、アミノ酸は、類似の特性を有する代替的アミノ酸、例えば、別の塩基性アミノ酸、別の酸性アミノ酸、別の中性アミノ酸、別の荷電アミノ酸、別の親水性アミノ酸、別の疎水性アミノ酸、別の極性アミノ酸、別の芳香族アミノ酸または別の脂肪族アミノ酸で置換され得る。
【0280】
置換バリアントは、抗体分子中の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、その場所に異なる残基が挿入されている。置換変異誘発のために最も目的とされる部位には、超可変領域が含まれるが、フレームワーク変更もまた企図される。保存的置換は、表16中に示される。かかる置換が生物学的活性における変化を生じる場合、以下に示される「例示的な置換」と称される、またはアミノ酸クラスを参照して以下にさらに記載される、より実質的な変化が導入され得、産物がスクリーニングされ得る。
【0281】
【0282】
抗体の生物学的特性における実質的な改変は、(a)例えば、ベータ-シートもしくはらせんコンフォメーションとしての、置換のエリアにおけるポリペプチド骨格の構造、(b)標的部位における分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖の嵩、を維持することに対するそれらの効果が顕著に異なる置換を選択することによって達成される。天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいて、以下の群へと分けられる:
非極性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
電荷なし極性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
酸性(負に荷電):Asp、Glu;
塩基性(正に荷電):Lys、Arg;
鎖の配向に影響を与える残基:Gly、Pro;および
芳香族:Trp、Tyr、Phe、His。
【0283】
非保存的置換は、これらのクラスのうち1つのメンバーを、別のクラスと交換することによって行われる。
【0284】
例えば、行われ得る1つの型の置換は、抗体中の化学的に反応性であり得る1つ以上のシステインを、別の残基、例えば、限定なしに、アラニンまたはセリンに変化させることである。例えば、非カノニカルなシステインの置換が存在し得る。置換は、抗体の可変ドメインのCDRもしくはフレームワーク領域中、または定常領域中で行われ得る。一部の実施形態では、システインは、カノニカルである。抗体の適切なコンフォメーションを維持することに関与しない任意のシステイン残基もまた、分子の酸化安定性を改善するためおよび異常な架橋結合を防止するために、一般にはセリンで置換され得る。逆に、システイン結合は、特に、抗体がFv断片などの抗体断片である場合、その安定性を改善するために抗体に付加され得る。
【0285】
「生殖系列化(germlining)」として公知のプロセスでは、VHおよびVL配列中の特定のアミノ酸が、生殖系列VHおよびVL配列中に天然に見出されるアミノ酸と一致するように変異され得る。特に、VHおよびVL配列中のフレームワーク領域のアミノ酸配列は、抗体が投与された場合の免疫原性のリスクを低減させるために、生殖系列配列と一致するように変異され得る。本明細書で使用する場合、用語「生殖系列」は、それらが生殖細胞を介して親から子孫に受け継がれるときの、抗体遺伝子および遺伝子セグメントのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を指す。この生殖系列配列は、B細胞成熟化の過程の間の組換えおよび超変異事象によって変更された、成熟B細胞中の抗体をコードするヌクレオチド配列から識別される。特定の生殖系列を「利用する」抗体は、その生殖系列ヌクレオチド配列またはそれが特定するアミノ酸配列と最も密接にアラインするヌクレオチドまたはアミノ酸配列を有する。かかる抗体は、生殖系列配列と比較して、頻繁に変異される。ヒトVHおよびVL遺伝子についての生殖系列DNA配列は、当該分野で公知である(例えば、「Vbase」ヒト生殖系列配列データベースを参照のこと;Kabat,E.A.ら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S.Department of Health and Human Services、NIH Publication No.91-3242;Tomlinsonら、J.Mol.Biol.1992;227:776~798;およびCoxら、Eur.J.Immunol.1994;24:827~836もまた参照のこと)。
【0286】
CD1aに対する抗体
一部の実施形態では、本開示は、分化抗原群1a(CD1a)に結合する抗体およびその抗原結合性断片を提供する。このタンパク質は、主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)タンパク質に構造的に関連し、ベータ2-ミクログロブリンとヘテロ二量体を形成する膜貫通糖タンパク質のCD1ファミリーのメンバーである。CD1タンパク質は、主に自己または微生物起源の脂質および糖脂質抗原のT細胞への提示を媒介する。ヒトゲノムは、1番染色体上のクラスターに組織化される5種のCD1ファミリー遺伝子を含有する。CD1ファミリーメンバーは、細胞局在および特定の脂質リガンドに対する特異性が異なると考えられている。CD1a遺伝子によってコードされるタンパク質は、原形質膜および初期エンドサトーシス系の再利用されている小胞に局在化する。
【0287】
本明細書で使用する場合、用語「CD1a」には、ヒトCD1aのバリアント、アイソフォーム、ホモログ、オルソログおよびパラログが含まれる。一部の実施形態では、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト以外の種からのCD1a、例えば、カニクイザルのCD1a、ならびに異なる形態のCD1aと交差反応する。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトCD1aに対して完全に特異的であり得、種交差反応性を示さなくてもよく(例えば、サルCD1aには結合しない)、他の型の交差反応性を示さなくてもよい(例えば、CD1b、CD1cおよび/もしくはCD1dには結合しない)。本明細書で使用する場合、用語CD1aは、文脈上他のように定められない限り、天然に存在するヒトCD1aを指す。したがって、「CD1a抗体またはその抗原結合性断片」、「抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片」または他の類似の指定は、CD1a、そのアイソフォーム、断片または誘導体と特異的におよび/または優先的に会合、結合または反応する任意の抗体またはその抗原結合性断片(本明細書で定義される)を意味する。UniProtKB/Swiss-Protアクセッション番号P06126(アミノ酸17~327)によって示される全長成熟形態のヒトCD1aは、本明細書で配列番号1として提供される。
【0288】
CD1糖タンパク質は、主に、脂質アンカリングが異なる3つの群に分類することができる:群1のCD1分子にはCD1a、CD1bおよびCD1cが含まれ、これらは、抗原提示のために特殊化された細胞において発現される。群2のCD1分子にはCD1dが含まれ、これは、より広範な種類の細胞において発現される。群3のCD1にはCD1eが含まれる(Zajonc DM、Wilson IA(2007).「Architecture of CD1 proteins」.Curr.Top.Microbiol.Immunol.Current Topics in Microbiology and Immunology.314:27~50;Skold M、Behar SM(2005)。「The role of group 1およびgroup 2 CD1-restricted T cells in microbial immunity」.Microbes Infect.7(3):544~51)。群1のCD1分子は、主に、脂質抗原を、広範囲の微生物脂質抗原に対する適応免疫を媒介するクローン的に多様なT細胞に対して提示する。対照的に、CD1d(群2)分子は、脂質抗原をナチュラルキラーT(NKT)細胞に提示する。NKT細胞のサブセットであるインバリアントNKT(iNKT)細胞は、インバリアントT細胞受容体(TCR)α鎖を発現し、抗原認識後に迅速に一斉に応答し、自然免疫の強力なエフェクターである。
【0289】
CD1タンパク質は、β2-ミクログロブリン(β2m)と非共有結合により関連している3つの細胞外ドメインを有する重鎖で構成される。MHCクラスI分子と同様に、CD1重鎖は、β-プリーツシートの上に位置する2つの逆平行α-らせん構造内に含有される抗原結合性領域を形成するα1ドメインとα2ドメインとからなる。α1およびα2抗原結合性領域は、膜貫通セグメントによって膜に付着しており、短い細胞質尾部が続く免疫グロブリン様α3ドメインに連結されている。群1のCD1アイソフォームは、構造的に多様な抗原結合溝を有し、それにより、全く異なる脂質クラスに結合することが可能である。
【0290】
CD1a分子は、皮膚に存在する樹状細胞、またはランゲルハンス細胞において高度に発現される(Wollenberg A、Kraft S、Hanau D,Bieber T.Immunomorphological and ultrastructural characterization of Langerhans cells and a novel,inflammatory dendritic epidermal cell(IDEC)population in lesional skin of atopic eczema.J Invest Dermatol(1996)106(3):446~53)。CD1bは、遊走リンパ液樹状細胞および骨髄系由来樹状細胞のサブセットにおいて最も高度に発現される(Olivier M、Foret B、Le Vern Y、Kerboeuf D、Guilloteau LA.Plasticity of migrating CD1b+ and CD1b- lymph dendritic cells in the promotion of Th1,Th2 and Th17 in response to Salmonella and helminth secretions.PLoS One(2013)8(11):e79537)。CD1cは、最も遍在的に発現される群1のCD1分子であり、定常状態下の単球由来DC、B細胞、およびランゲルハンス細胞において見い出される(Sugita M、van Der Wel N、Rogers RA、Peters PJ、Brenner MB.CD1c molecules broadly survey the endocytic system.Proc Natl Acad Sci U S A(2000)97(15):8445~50;Milne P、Bigley V、Gunawan M、Haniffa M、Collin M.CD1c+ blood dendritic cells have Langerhans cell potential.Blood(2015)125(3):470~3)。CD1eは、APCの表面上に発現されない唯一のCD1アイソフォームである(Angenieux C、Salamero J、Fricker D、Cazenave JP、Goud B、Hanau Dら、Characterization of CD1e、third type of CD1 molecule expressed in dendritic cells.J Biol Chem(2000)275(48):37757~64)。
【0291】
好ましくは、本開示の抗体およびその抗原結合性断片は、CD1aに結合するが、他のCD1分子(例えば、CD1b、CD1c、CD13および/もしくはCD1e)には結合しない、またはより低い親和性で結合する。一部の実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合性断片は、CD1aに特異的に結合し、より好ましくは、ヒトおよび/またはカニクイザルCD1aに特異的に結合する。本開示は、かかる抗体およびその抗原結合性断片を含む組成物、ならびに、治療的および医薬としての使用を含む、かかる抗体の使用もまた提供する。
【0292】
本開示の抗体およびその抗原結合性断片は、CD1aに特異的に結合し、CD1aの、これに限定されないがBK6などのT細胞受容体への結合、およびそれらの引き続く活性化を阻害する潜在力を有する。いずれの特定の理論に束縛されることも望まないが、ヒトCD1aトランスジェニックマウスを使用した最近の研究により、CD1aが、接触皮膚炎、乾癬、およびADなどの炎症性皮膚疾患の重要な駆動因子である可能性があることが示唆された(Kim JH、Yongqing T、Kim Jら、CD1a Langerhans cells controlls inflammatory skin disease.Nat Immunol 2016;17(10):1159~66)。CD1aに結合し、引き続くT細胞活性化を阻害する抗体およびその抗原結合性断片は、AD、接触皮膚炎および乾癬などの疾患に付随する皮膚炎症を低減させるという仮説が立てられる。
【0293】
したがって、一部の実施形態では、CD1aに特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合性断片が提供される。一部の実施形態では、CD1aは、ヒト、カニクイザル、イヌおよび/またはウサギCD1aである。一部の実施形態では、CD1a上のエピトープに結合する抗体またはその抗原結合性断片が提供される。エピトープは、配列番号1の番号付けに従って、Glu82および/またはHis170を含む。一部の実施形態では、エピトープは、配列番号1の番号付けに従って、Ile92および/またはArg93をさらに含む。一部の実施形態では、エピトープは、以下の残基のうち少なくとも1つまたは複数を含む:配列番号1の番号付けに従って、Glu82、His170、Arg93、Glu78、Lys81、Thr85、Ile89、Arg93、Asp173、およびAsn177。一部の実施形態では、エピトープは、以下の残基のうち少なくとも1つまたは複数を含む:配列番号1の番号付けに従って、Glu82、His170、Arg93、Glu78、Lys81、Thr85、Ile89、Arg93、Asp173、Asn177、Leu86、Asn146、Asn168、Ile174、His176、Asp181、およびArg185。一部の実施形態では、エピトープは、以下の残基のうち少なくとも1つまたは複数を含む:配列番号1の番号付けに従って、Glu78、Glu79、Lys81、Glu82、Leu83、Glu84、Thr85、Leu86、Arg88、Ile89、Ile92、Arg93、Asn146、Gln167、Asn168、Gln169、His170、Asp173、Ile174、His176、Asn177、Leu178、Ser180、Asp181、Thr182およびArg185。一部の実施形態では、エピトープは、配列番号1の番号付けに従って、Asn146および/またはAsn168を含まない。
【0294】
「中和」または「遮断」抗体は、E-セレクチンへのその結合が、(i)CD1aもしくはCD1a断片とT細胞受容体、例えばBK6との間の相互作用を妨害、制限もしくは阻害する;および/または(ii)CD1aの少なくとも1つの生物学的機能の低下または阻害を生じる、抗体を指す。本開示の抗体による中和を決定するためのアッセイは、本明細書の他の場所に記載されおり、当該分野で周知である。
【0295】
CD1aの「生物学的機能」または「生物学的活性」は、(a)CD1aのT細胞受容体への結合;(b)CD1aにより媒介されるT細胞への脂質提示および引き続くT細胞の活性化;(c)CD1a依存性CD69発現;(d)CD1a依存性IL-2産生;(e)CD1a依存性血清IgEレベル増加;(f)CD1a依存性抗原特異的IgE抗体増加;(g)CD1a依存性アトピー性皮膚炎関連遺伝子(例えば、これらに限定されないが、TSLP、FLG、IL-33、CCL-26、IL-23p40、CCL-20、および/またはCCL-20)発現レベル増加を含む意味である。
【0296】
したがって、本開示は、中和または遮断抗体またはその抗原結合性断片を含む。即ち、実施形態は、(i)CD1aに特異的に結合し、CD1aもしくはCD1a断片とBK6などのT細胞受容体の相互作用に干渉する、それを限定する、もしくは阻害する;および/または(ii)例えば、これらに限定されないが、(a)CD1aのT細胞受容体への結合;(b)CD1aにより媒介されるT細胞への脂質提示および引き続くT細胞の活性化;(c)CD1a依存性CD69発現;(d)CD1a依存性IL-2産生;(e)CD1a依存性血清IgEレベル増加;(f)CD1a依存性CD1a依存性抗原特異的IgE抗体増加;(g)CD1a依存性アトピー性皮膚炎関連遺伝子(例えば、これらに限定されないが、TSLP、FLG、IL-33、CCL-26、IL-23p40、CCL-20、および/またはCCL-20)発現レベル増加などの、CD1aの少なくとも1つの生物学的機能の低減もしくは阻害をもたらす、単離された抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0297】
CD1aの生物学的活性は、in vitro T細胞活性化アッセイにおいて、CD1aまたはCD1aを発現する細胞およびT細胞受容体(例えば、T細胞受容体対立遺伝子BK6を発現するJurkat 76細胞)を使用して評価され得る。CD1aの結合はまた、可溶性または細胞表面に発現されるタンパク質を使用し、当該分野で公知であり、本開示の実施例の節に示される生理的流動アッセイで評価され得る。CD1a結合を防止する中和抗体の能力は、漸増濃度の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片の非存在下または存在下で、CD1a(例えば、ヒト、カニクイザル)を発現する細胞を細胞表面に発現されるT細胞受容体(例えば、BK6を発現するJ76細胞上)と共にインキュベートすることによっても評価され得る。
【0298】
本開示の抗CD1a抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fcなど)、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、単鎖(ScFv)、その変異体、抗体断片(例えば、ドメイン抗体)を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、ならびに、抗体のグリコシル化バリアント、抗体のアミノ酸配列バリアント、および共有結合により改変された抗体を含む、任意の他の改変された立体配置の、要求される特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子を包含し得る。抗体は、マウス、ラット、ヒト、または任意の他の起源もの(キメラまたはヒト化抗体を含む)であり得る。一部の実施形態では、抗CD1a抗体はモノクローナル抗体である。一部の実施形態では、抗CD1a抗体はヒトまたはヒト化抗体である。一部の実施形態では、抗CD1a抗体はキメラ抗体である。
【0299】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、これらの領域について表14および15に示される配列のいずれかが含まれるがこれらに限定されない、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CH1、CH2、CH1-CH2 ヒンジ、CH3、CL、VH、VL、VH FW4、および/またはVL FW4、またはこれらの任意の組み合わせを含むまたはそれからなる。
【0300】
一部の実施形態では、本開示は、表15に記載されるキメラおよびヒト化抗CD1a抗体を含む。一般に、具体的に示されない限り、本開示の抗CD1a抗体は、1つ以上のCDRの任意の組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、本開示の抗CD1a抗体は、表15に示される1つ以上のVHおよび/またはVL配列と表14の配列番号によって定義される特定の抗体の任意の組み合わせを含み得る。抗CD1aVHおよびVLのCDRを、拡張型H1を伴うKabat定義を使用して定義した。CDR-H1については、最後の残基は、H36位の前の任意の挿入物(即ち、H35a、H35b、H35cなど)を含む。CDRを以下と定義した:CDR-H1(H26~H35c)、CDR-H2(H50~H65)、CDR-H3(H95~H102)、CDR-L1(L24~L34)、CDR-L2(L50~L56)、およびCDR-L3(L89~L87)(表4および5も参照されたい)。
【0301】
一部の実施形態では、本開示は、重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含む抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片であって、CDR-H3が、配列番号17、49、および52からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、CDR-H3を含み、ここで、CDR-H3は、配列番号17または49のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、CDR-H3を含み、ここで、CDR-H3は、配列番号17のアミノ酸配列を含む。
【0302】
一部の実施形態では、本開示は、(i)配列番号15、30、40、62、および66からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1);(ii)配列番号16、31、41、48、59、63および76からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;ならびに/または(iii)配列番号17、49および52からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0303】
一部の実施形態では、本開示は、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)を含む抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片であって、1つ以上のアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されていてよい、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、配列番号8の1つまたは2つのアミノ酸残基が置換されている。1つ以上のアミノ酸置換は、本明細書に開示される保存的または非保存的アミノ酸置換を伴い得る。一部の実施形態では、1つ以上の(例えば、1つまたは2つ)アミノ酸置換は、(i)7位のSer(Kabatに従って、L30に対応する)のTyr、Leu、Arg、またはTrpによる置換、および(ii)8位のAsn(Kabatに従って、L31に対応する)のPhe、Glu、Ile、Lys、Leu、Met、Gln、Arg、TrpまたはTyrによる置換からなる群から選択される。
【0304】
一部の実施形態では、本開示は、(i)配列番号8および25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、(ii)配列番号9、26、37、44、および71からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L2、ならびに/または(iii)配列番号10、27、34、および45からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0305】
一部の実施形態では、本開示は、(i)配列番号15、30、40、62、および66からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号16、31、41、48、59、63および76からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H2、(iii)配列番号17、49および52からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H3、(iv)配列番号8および25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号9、26、37、44、および71からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L2、および/または(vi)配列番号10、27、34、および45からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0306】
一部の実施形態では、本開示は、(i)配列番号15、30および40からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号16、41および63からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H2、(iii)配列番号17および49からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H3、(iv)配列番号8および25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号9および26からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L2、ならびに/または(vi)配列番号10および27からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0307】
一部の実施形態では、本開示は、(i)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-H2、
(iii)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(iv)配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(vi)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0308】
一部の実施形態では、本開示は、(i)配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(iii)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(iv)配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(vi)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0309】
一部の実施形態では、本開示は、(i)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(iii)配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(iv)配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(vi)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0310】
一部の実施形態では、本開示は、(i)配列番号96のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号97のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(iii)配列番号98のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(iv)配列番号99のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号100のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および/または(vi)配列番号101のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0311】
CDR-H1または配列番号15、30、40、62、もしくは66のいずれかに関する任意の実施形態は、配列番号96を用いて実施され得る。配列番号96における任意の代替的アミノ酸がある実施形態では除外され得ることが具体的に意図されている。CDR-H2または配列番号16、31、41、48、59、63、もしくは76のいずれかに関する任意の実施形態は、配列番号97を用いて実施され得る。配列番号97における任意の代替的アミノ酸がある実施形態では除外され得ることが具体的に意図されている。CDR-H3または配列番号17、49、もしくは52のいずれかに関する任意の実施形態は、配列番号98を用いて実施され得る。配列番号98における任意の代替的アミノ酸がある実施形態では除外され得ることが具体的に意図されている。CDR-L1または配列番号8もしくは25のいずれかに関する任意の実施形態は、配列番号99を用いて実施され得る。配列番号99における任意の代替的アミノ酸がある実施形態では除外され得ることが具体的に意図されている。CDR-L2または配列番号9、26、37、44もしくは71のいずれかに関する任意の実施形態は、配列番号100を用いて実施され得る。配列番号100における任意の代替的アミノ酸がある実施形態では除外され得ることが具体的に意図されている。CDR-L3または配列番号10、27、34、もしくは45のいずれかに関する任意の実施形態は、配列番号101を用いて実施され得る。配列番号101における任意の代替的アミノ酸がある実施形態では除外され得ることが具体的に意図されている。かかる実施形態は、CH1、CH1_CH2ヒンジ、CH2、および/もしくはCH3をさらに含む、または本明細書に記載されるVHもしくはVL領域に具体化される抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0312】
生殖系列置換
多種多様なアクセプターヒト生殖系列配列が入手可能であり、ヒトにおける使用のために非ヒト種抗体を「ヒト化」するプロセスは当該分野で周知であり、本明細書の他の場所でも議論されている。したがって、マウス、ラットなどからの上記のCDR配列をヒト可変ドメインアミノ酸配列の状況に置くことができることが、当業者によって理解される。そうすることで、元の親(即ち、ドナー)抗体の抗体結合および他の望ましい特徴を保存するためにアクセプターヒト生殖系列配列の変化を一般に行うことができる。CDRおよびフレームワーク領域(FW)の両方を以下の通り操作することができる。
【0313】
ある特定の実施形態では、置換は、(ドナー)CDR残基が、例えば、どちらも全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2017/0073395号およびTownsendら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 2015;112(50):15354~15359に記載されるように、ヒトアミノ酸含量を増加させ、抗体の免疫原性を潜在的に低減させるように、対応するヒト生殖系列(アクセプター)残基で置き換えられる、ヒト生殖系列置換である。
【0314】
抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト生殖系列VHフレームワーク配列を含むVHフレームワークを含み得る。一部の態様では、以下の生殖系列からのVHフレームワークが使用され得る:IGHV1-2*02、IGHV1-3*01、IGHV1-46*01、IGHV1-69*01、IGHV1-69*02、IGHV1-8*01、IGHV3-7*01、IGHV3-13*01、IGHV3-23*01、IGHV3-23*04、IGHV3-30*01、IGHV3-30*18、IGHV5-10-1*01、IGHV5-10-1*04またはIGHV5-51*01(生殖系列の名称は、IMGT生殖系列定義に基づく)。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片には、生殖系列IGHV3-7*01からのVHフレームワークが使用される。
【0315】
好ましいヒト生殖系列軽鎖フレームワークは、VκまたはVλ生殖系列に由来するフレームワークである。一部の態様では、以下の生殖系列からのVLフレームワークが使用され得る:IGKV1-12*01、IGKV1-13*02、IGKV1-33*01、IGKV1-39*01、IGKV1-5*01、IGKV3-11*01、IGKV3-15*01、IGKV3-20*01、IGKV3D-20*02およびIGKV4-1*01(生殖系列の名称は、IMGT生殖系列定義に基づく)。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片には、生殖系列IGHV1-39*01からのVLフレームワークが使用される。
【0316】
あるいは、またはさらに、フレームワーク配列は、ヒト生殖系列コンセンサスフレームワーク配列、例えば、ヒトVλ1コンセンサス配列、Vκ1コンセンサス配列、Vκ2コンセンサス配列、Vκ3コンセンサス配列、VH3生殖系列コンセンサス配列、VH1生殖系列コンセンサス配列、VH5生殖系列コンセンサス配列、またはVH4生殖系列コンセンサス配列のフレームワークであり得る。ヒト生殖系列フレームワークの配列は、種々の公的データベース、例えば、V-base、IMGT、NCBIまたはAbysisから入手可能である。
【0317】
抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト生殖系列VLフレームワーク配列を含むVLフレームワークを含み得る。VLフレームワークは、それが由来した生殖系列との機能的および構造的類似性をなおも保持しつつ、1つ以上のアミノ酸置換、付加または欠失を含み得る。一部の態様では、VLフレームワークは、ヒト生殖系列VLフレームワーク配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト生殖系列VLフレームワーク配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個のアミノ酸置換、付加または欠失を含むVLフレームワークを含む。一部の実施形態では、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸置換、付加または欠失は、フレームワーク領域中のみにある。一部の実施形態では、パーセント同一性は、本明細書でCDRと定義される部分を除いたVLドメインとの類似性に基づく。
【0318】
本開示のポリペプチドの領域または断片は、配列番号7~79、86、および96~102のいずれかに対して1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個のアミノ酸置換、連続するアミノ酸付加、または連続するアミノ酸欠失を有する、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個のアミノ酸置換、連続するアミノ酸付加、または連続するアミノ酸欠失を有する、または多くても1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個のアミノ酸置換、連続するアミノ酸付加、または連続するアミノ酸欠失を有するアミノ酸配列を有し得ることが意図されている。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号7~79、86、および96~102のいずれかに対して、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%(もしくはその中で導き出せる任意の範囲)同一な、少なくとも50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%(もしくはその中で導き出せる任意の範囲)同一な、または多くても50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%(もしくはその中で導き出せる任意の範囲)同一なアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。さらに、一部の実施形態では、領域または断片は、配列番号7~79、86、および96~102のいずれか(1位はその配列番号のN末端にある)の1位、2位、3位、4位、5位、6位、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492位、493位、494位、495位、496位、497位、498位、499位、500位から出発して、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500またはそれよりも多くの連続するアミノ酸のアミノ酸領域を含む。本開示の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50またはそれよりも多くのバリアントアミノ酸またはアミノ酸置換を含み得る。一部の実施形態では、バリアントまたはアミノ酸置換は、配列番号7~79、86、および96~102のいずれかの1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、
26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496位、497位、498位、499位、および/または500位にあり(1位はその配列番号のN末端にある)、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号7~79、86、および96~102のいずれかの、少なくともまたは多くても3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、300、400、500、550、600、またはそれよりも多くの連続するアミノ酸、またはその中で導き出せる任意の範囲に対して、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一または相同であり得る。具体的には、配列番号7~79、86、または96~102のうち任意の1つ以上が本明細書に開示される実施形態から除外され得ることが意図されている。
【0319】
ヒト生殖系列VLフレームワークは、例えば、IGKV1-39*01のフレームワークであり得る。ヒト生殖系列VLフレームワークは、例えば、IGKV1-33*01のフレームワークであり得る。ヒト生殖系列VLフレームワークは、Vλ、Vλ1、Vλ3、Vκ、Vκ1、Vκ2またはVκ3を含むヒトコンセンサス配列のうちいずれか1つのフレームワークであり得る。
【0320】
一部の実施形態では、VLフレームワークは、IGK-39*01_IGKJ1*01である。他の類似のフレームワーク領域もまた、配列番号8~10、25~27、34、37、44、45、71のCDR;ならびに、それぞれ、IGKV1-12*01、IGKV1-13*02、IGKV1-33*01、IGKV1-39*01、IGKV1-5*01、IGKV3-11*01、IGKV3-15*01、IGKV3-20*01、IGKV3D-20*02、およびIGKV4~1*01のうちいずれか1つのフレームワーク領域に対して99%、97%、97%、96%、80%、76%、74%および66%の同一性を含み得る、以下のVLアミノ酸配列によって特定されるCDR:配列番号12、28、35、38、46、72および79を含む有利な抗体を送達することが予測される。一部の実施形態では、パーセント同一性は、本明細書においてCDRとして定義されている部分を除いたVLとの類似性に基づく。
【0321】
抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト生殖系列VHフレームワーク配列を含むVHフレームワークを含み得る。VHフレームワークは、それが由来した生殖系列との機能的および構造的類似性をなおも保持しつつ、1つ以上のアミノ酸置換、付加または欠失を含み得る。一部の態様では、VHフレームワークは、ヒト生殖系列VHフレ0ムワーク配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または10%同一である。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト生殖系列VHフレームワーク配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個のアミノ酸置換、付加または欠失を含むVHフレームワークを含む。一部の実施形態では、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸置換、付加または欠失は、フレームワーク領域中のみにある。一部の実施形態では、パーセント同一性は、本明細書でCDRと定義される部分を除いたVHドメインとの類似性に基づく。
【0322】
ヒト生殖系列VHフレームワークは、例えば、IGHV3-7*01のフレームワークであり得る。ヒト生殖系列VHフレームワークは、例えば、IGHV1-46*01のフレームワークであり得る。ヒト生殖系列VHフレームワークは、例えば、IGHV1-69*01であり得る。ヒト生殖系列VHフレームワークは、ヒトVH生殖系列コンセンサス配列のフレームワークであり得る。ヒト生殖系列VHフレームワークは、VH3、VH5、VH1またはVH4を含むヒト生殖系列コンセンサス配列のフレームワークであり得る。
【0323】
一部の実施形態では、VHフレームワークは、IGHV3-7*01である。他の類似のフレームワーク領域もまた、配列番号15~17、30、31、40、41、48、49、52、59、62、63、66、76のCDR、および以下:それぞれ、DP-54のFW領域に対して92、93、94、95、96、97、98、99%同一性および共通の構造的特色に1つまたは少数のアミノ酸差異を含み得る(Kabat番号付け)、IGHV1-2*02、IGHV1-3*01、IGHV1-46*01、IGHV1-69*01、IGHV1-69*02、IGHV1-8*01、IGHV3-7*01、IGHV3-13*01、IGHV3-23*01、IGHV3-23*04、IGHV3-30*01、IGHV3-30*18、IGHV5~10-1*01、IGHV5~10-1*04、またはIGHV5~51*01を含む、配列番号22、32、42、50、53、55、57、60、64、67、69、74および77のVHアミノ酸配列のいずれかによって特定されるCDRを含む有利な抗体を送達することが予測される。一部の態様では、パーセント同一性は、本明細書においてCDRとして定義されている部分を除いたVHドメインとの類似性に基づく。
【0324】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、(i)配列番号22、32、42、50、53、55、57、60、64、67、69、74および77からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または(ii)配列番号12、28、35、38、46、72および79からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。これらのVLおよびVH配列の任意の組み合わせも種々の実施形態に包含される。
【0325】
一部の実施形態では、(i)VHは、配列番号22、32、42、50、53、55、57、60、64、67、69、74もしくは77に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含む;および/または(ii)VLは、配列番号12、28、35、38、46、72もしくは79に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含む。これらのVLおよびVH配列の任意の組み合わせも種々の実施形態に包含される。
【0326】
一部の実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合性断片は、(i)配列番号22のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号12のアミノ酸配列を含むVL;(ii)配列番号55のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号28のアミノ酸配列を含むVL;(iii)配列番号74のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号28のアミノ酸配列を含むVL;(iv)配列番号22に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号12に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含むVL;(v)配列番号55に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号28に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含むVL;または(vi)配列番号74に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号28に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0327】
一部の実施形態では、本開示は、(i)配列番号22に示されるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3配列、ならびに配列番号12に示されるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列、(ii)配列番号55に示されるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3配列、ならびに配列番号28に示されるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列、または(iii)配列番号74に示されるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3配列、ならびに配列番号28に示されるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列を含む抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0328】
本開示の抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトカッパ(Vκ)またはラムダ(Vλ)軽鎖定常ドメインを含み得る。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトVκ軽鎖定常ドメインを含む。
【0329】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号12、28、35、38、46、72および79のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLドメインを含む軽鎖を含み、カッパ定常ドメインをさらに含む。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号28のアミノ酸配列からなるVLドメインを含む軽鎖を含み、カッパ定常ドメインをさらに含む。
【0330】
本開示の抗体またはその抗原結合性断片は、重鎖定常ドメインを含む。重鎖定常ドメインは、IgA(例えば、IgA1もしくはIgA2)、IgD、IgE、IgM、またはIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、もしくはIgG4)を含む。一部の実施形態では、重鎖定常ドメインは、IgGを含む。一部の実施形態では、IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4からなる群から選択される。一部の実施形態では、IgGは、IgG1である。
【0331】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号22、32、42、50、53、55、57、60、64、67、69、74および77のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHドメインを含み、配列番号86のアミノ酸配列を含むIgG1定常ドメインをさらに含む、重鎖を含み得る。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号55のアミノ酸配列を含むVHドメインを含み、配列番号86のアミノ酸配列を含むIgG1定常ドメインをさらに含む、重鎖を含み得る。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号74のアミノ酸配列を含むVHドメインを含み、配列番号86のアミノ酸配列を含むIgG1定常ドメインをさらに含む、重鎖を含み得る。
【0332】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片の定常領域を変更、例えば、変異させて、抗体の特性を改変すること(例えば、Fc受容体結合、抗体のグリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞機能、および/または補体機能のうち1つ以上を増加または減少させること)ができる。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、エフェクター機能を欠く(即ち、エフェクター欠損である)。
【0333】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、Fcドメインを含む。Fcドメインは、IgG1重鎖CH2ドメインおよびIgG重鎖CH3ドメインを含み得る。
【0334】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、(i)配列番号14、29、39、47、51、54、56、58、61、65、68、73、および75からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖(HC);ならびに(ii)配列番号7、24、33、36、43、70および78からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)を含む。
【0335】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、(i)配列番号14、29、39、47、51、54、56、58、61、65、68、73、および75に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むHC;および(ii)配列番号7、24、33、36、43、70および78に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むLCを含む。
【0336】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、(i)配列番号14のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるHCおよび配列番号7のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるLC;(ii)配列番号54のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるHCおよび配列番号24のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるLC;(iii)配列番号73のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるHCおよび配列番号24のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるLC;(iv)配列番号14に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるHCおよび配列番号7に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるLC;(v)配列番号54に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるHCおよび配列番号24のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるLC;または(vi)配列番号73に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるHCおよび配列番号24に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるLCを含む。
【0337】
一部の実施形態では、本開示は、配列番号54のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるHCおよび配列番号24のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるLCを含む抗体またはその抗原結合性断片を提供する。一部の実施形態では、本開示は、配列番号73のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるHCおよび配列番号24のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるLCを含む抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0338】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ATCCに寄託され、ATCCアクセッション番号PTA-126810を有するプラスミドの挿入物によってコードされるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ATCCに寄託され、ATCCアクセッション番号PTA-126811を有するプラスミドの挿入物によってコードされるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示は、ATCCに寄託され、ATCCアクセッション番号PTA-126810を有するプラスミド中の挿入物によってコードされるアミノ酸配列を含み、ATCCに寄託され、ATCCアクセッション番号PTA-126811を有するプラスミド中の挿入物によってコードされるアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0339】
一部の態様では、抗体または抗原結合性断片、バリアントは、全長重鎖(例えば、配列番号54もしくは73のアミノ酸配列のHC)および/または全長軽鎖(例えば、配列番号24のアミノ酸配列のLC)に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、もしくは15の保存的もしくは非保存的置換、および/または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、もしくは15の付加および/または欠失を含む。さらなる態様では、バリアント抗体は、全長重鎖(例えば、配列番号54または73のアミノ酸配列のHC)に対して、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を共有し、ここで、前記抗体または抗原結合性断片は、CD1aに特異的に結合する。さらなる態様では、バリアント抗体は、全長軽鎖(例えば、配列番号24のアミノ酸配列のLC)に対して、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を共有し、ここで、前記抗体または抗原結合性断片は、CD1aに特異的に結合する。
【0340】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、Fc融合タンパク質、モノボディ、マキシボディ(maxibody)、二機能性抗体、scFab、scFv、ペプチボディ(peptibody)である。
【0341】
抗CD1A抗体の特性
一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトCD1aの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、またはそれよりも多くのアミノ酸残基に結合する。ヒトCD1aアミノ酸残基は、配列番号1の番号付けに従って、Glu78、Glu79、Lys81、Glu82、Leu83、Glu84、Thr85、Leu86、Arg88、Ile89、Ile92、Arg93、Asn146、Gln167、Asn168、Gln169、His170、Asp173、Ile174、His176、Asn177、Leu178、Ser180、Asp181、Thr182およびArg185からなる群から選択することができる。
【0342】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、以下のヒトCD1aアミノ酸残基のうち少なくとも1つと相互作用する:配列番号1の番号付けに従って、Glu78、Lys81、Thr85、Ile89、Arg93、Asp173、およびAsn177。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトCD1aアミノ酸残基:配列番号1の番号付けに従って、Glu78、Lys81、Thr85、Ile89、Arg93、Asp173、およびAsn177と相互作用する。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトCD1aアミノ酸残基:(i)接触表面積(ASA)の>80Å2がCD1aとの相互作用によって埋没する、および/または(ii)遊離状態にあるASAの>90%が界面によって埋没し、かつASAの>30Å2がCD1aとの相互作用によって埋没する、配列番号1の番号付けに従って、Glu78、Lys81、Thr85、Ile89、Arg93、Asp173、およびAsn177と相互作用する。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトCD1aアミノ酸残基:3.8Å以内の、配列番号1の番号付けに従って、Glu78、Lys81、Thr85、Ile89、Arg93、Asp173、およびAsn177と、塩橋または水素結合のいずれかによって相互作用する。
【0343】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、以下のヒトCD1aアミノ酸残基のうち少なくとも1つと相互作用する:配列番号1の番号付けに従って、Glu78、Lys81、Leu86、Glu82、Thr85、Ile89、Arg93、Asn146、Asn168、His170、Asp173、Ile174、His176、Asn177、Asp181、およびArg185。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、以下のヒトCD1aアミノ酸残基:配列番号1の番号付けに従って、Glu78、Lys81、Leu86、Glu82、Thr85、Ile89、Arg93、Asn146、Asn168、His170、Asp173、Ile174、His176、Asn177、Asp181、およびArg185と相互作用する。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、以下のヒトCD1aアミノ酸残基:(i)接触表面積(ASA)の>40Å2がCD1aとの相互作用によって埋没する、および/または(ii)遊離状態にあるASAの>50%がCD1aとの相互作用によって埋没する、配列番号1の番号付けに従って、Glu78、Lys81、Leu86、Glu82、Thr85、Ile89、Arg93、Asn146、Asn168、His170、Asp173、Ile174、His176、Asn177、Asp181、およびArg185と相互作用する。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、以下のヒトCD1aアミノ酸残基:3.8Å以内の、配列番号1の番号付けに従って、Glu78、Lys81、Leu86、Glu82、Thr85、Ile89、Arg93、Asn146、Asn168、His170、Asp173、Ile174、His176、Asn177、Asp181、およびArg185と、塩橋によって、および/または水素結合によって相互作用する。
【0344】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、以下のヒトCD1aアミノ酸残基のうち少なくとも1つと相互作用する:配列番号1の番号付けに従って、Glu78、Glu79、Lys81、Glu82、Leu83、Glu84、Thr85、Leu86、Arg88、Ile89、Ile92、Arg93、Asn146、Gln167、Asn168、Gln169、His170、Asp173、Ile174、His176、Asn177、Leu178、Ser180、Asp181、Thr182およびArg185。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、以下のヒトCD1aアミノ酸残基:配列番号1の番号付けに従って、Glu78、Glu79、Lys81、Glu82、Leu83、Glu84、Thr85、Leu86、Arg88、Ile89、Ile92、Arg93、Asn146、Gln167、Asn168、Gln169、His170、Asp173、Ile174、His176、Asn177、Leu178、Ser180、Asp181、Thr182およびArg185と相互作用する。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、以下のヒトCD1aアミノ酸残基:(i)接触表面積(ASA)の>20Å2がCD1aとの相互作用によって埋没し、かつ、それと交換的に、CD1aエピトープの接触表面積(ASA)の>10Å2が埋没する、配列番号1の番号付けに従って、Glu78、Glu79、Lys81、Glu82、Leu83、Glu84、Thr85、Leu86、Arg88、Ile89、Ile92、Arg93、Asn146、Gln167、Asn168、Gln169、His170、Asp173、Ile174、His176、Asn177、Leu178、Ser180、Asp181、Thr182およびArg185と相互作用する。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、以下のヒトCD1aアミノ酸残基:3.8Å以内の、配列番号1の番号付けに従って、Glu78、Glu79、Lys81、Glu82、Leu83、Glu84、Thr85、Leu86、Arg88、Ile89、Ile92、Arg93、Asn146、Gln167、Asn168、Gln169、His170、Asp173、Ile174、His176、Asn177、Leu178、Ser180、Asp181、Thr182およびArg185と、塩橋によって、水を介した水素結合によって、および/または水素結合によって相互作用する。
【0345】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトCD1aアミノ酸残基、配列番号1の番号付けに従って、Asn146および/またはAsn168とは相互作用しない。
【0346】
一部の実施形態では、本開示は、CD1aに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片であって、Ab138、Ab491、Ab492、Ab504、Ab514、Ab555、Ab556、Ab559、Ab560、Ab571、Ab572、Ab579、Ab585、Ab599、Ab609、Ab610、Ab616、Ab623、Ab624、Ab656、Ab657、Ab660、Ab673、Ab681、およびAb689(例えば、表14に開示される)からなる群から選択される、抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0347】
一部の実施形態では、本開示の抗CD1a抗体は、本明細書に記載される抗体または抗原結合性断片と、ヒトCD1aへの結合について競合する、および/またはそれと実質的に同じエピトープに結合する抗体を包含する。一部の実施形態では、本開示の抗CD1a抗体は、Ab138、Ab571、およびAb673(例えば、表14に開示される)と、ヒトCD1aへの結合について競合する、および/またはそれと実質的に同じエピトープに結合する抗体を包含する。一部の実施形態では、本開示の抗CD1a抗体は、Ab571(例えば、表14に開示される)と、ヒトCD1aへの結合について競合する、および/またはそれと同じエピトープに結合する抗体を包含する。
【0348】
一部の実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合性断片は、CD1aに、500nM、400nM、300nM、200nM、175nM、150nM、125nM、100nM、90nM、80nM、70nM、60nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、5nM、2nM、1nM、900pM、800pM、700pM、600pM、500pM、400pM、300pM、200pM、180pM、160pM、140pM、120pM、100pM、80pM、60pM、40pM、20pMおよび10pMからなる群から選択されるおよその値のまたはその値未満の、KDとして表される結合親和性で結合する。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、CD1aに、500pM以下、400pM以下、300pM以下、200pM以下、190pM以下、180pM以下、181pM以下、170pM以下、160pM以下、150pM以下、140pM以下、130pM以下、120pM以下、110pM以下、100pM以下、90pM以下、80pM以下、70pM以下、60pM以下、50pM以下、40pM以下、30pM以下、20pM以下または10pMのKD値で結合する。CD1aは、ヒトCD1a、カニクイザルCD1a、イヌCD1aおよび/またはウサギCD1aであり得る。
【0349】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片、約250pM~約100pM、約200pM~約150pM、または約190pM~約170pMのKD値でヒトCD1aに結合する。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片(例えば、Ab571)は、約181.39+/-11.92pMのKD値でヒトCD1aに結合する。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、約100pM~約30pM、約80pM~約40pM、または約70pM~約50pMのKD値でカニクイザルCD1aに結合する。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片(例えば、Ab571)は、約60.35+/-11.04pMのKD値でカニクイザルCD1aに結合する。
【0350】
一部の実施形態では、本開示は、約2~4nM、約250pM~約100pM、約200pM~約150pMまたは約190pM~約170pMのKD値でヒトCD1aに結合する単離された抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号17および49からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含む、抗体またはその抗原結合性断片を提供する。一部の実施形態では、本開示は、約250pM~約150pMのKD値でヒトCD1aに結合する単離された抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号17および49からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含む、抗体またはその抗原結合性断片を提供する。一部の実施形態では、本開示は、約190pM~約170pMのKD値でヒトCD1aに結合する単離された抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含む、抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0351】
本明細書に記載されるように、KD値は、任意選択により、Biacore T200またはBiacore 8K機器を使用し、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定され得る。一部の実施形態では、KD値は、任意選択によりForteBio Octet機器を使用し、バイオレイヤー干渉法(BLI)によって測定され得る。
【0352】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片、カニクイザルまたはヒトCD1b、カニクイザルまたはヒトCD1cに対して、および/またはカニクイザル、ラット、マウスまたはヒトCD1dに対して、弱い結合を有するまたは結合を有さない。
【0353】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、例えば、実施例1および9に記載されているようにT細胞活性化アッセイを使用して測定した場合に、約50nM以下、40nM以下、20nM以下、10nM以下、5nM以下、4nM以下、3nM以下、2nM以下、または1nM以下のIC50値で、CD1a依存性分化抗原群69(CD69)発現を阻害する。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、約5nM以下、約4nM以下、約3nM以下、約2nM以下、約1.97nM以下、約1.9nM以下、約1.8nM以下、約1.7nM以下、約1.6nM以下、約1.5nM以下、約1.4nM以下、約1.3nM以下、約1.2nM以下、約1.1nM以下、約1nM以下、約0.9nM以下、約0.8nM以下、約0.7nM以下、約0.6nM以下、約0.5nM以下、約0.4nM以下、約0.3nM以下、約0.2nM以下、または約0.1nM以下のIC50値で、CD1a依存性CD69発現を阻害する。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片、約2000pM以下、約1970pM以下、約1500pM以下、約1110pM以下、約1000pM以下、約500pM以下、約400pM以下、約300pM以下、約200pM以下、約100pM以下、約90pM以下、約80pM以下、約70pM以下、約60pM以下、約50pM以下、約40pM以下、約30pM以下、約20pM以下、約10pM以下、約9pM以下、約8pM以下、約7pM以下、約6pM以下、約5pM以下、約4pM以下、約3pM以下、約2pM、または1pMのIC50値で、CD1a依存性CD69発現を阻害する。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片(例えば、Ab571)は、約1.11nMのIC50値で、CD1a依存性CD69発現を阻害する。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片(例えば、Ab673)は、約0.3nMのIC50値で、CD1a依存性CD69発現を阻害する。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片(例えば、Ab138)は、約1.97nMのIC50値で、CD1a依存性CD69発現を阻害する。
【0354】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、例えば、実施例1および9に記載されているようにT細胞活性化アッセイを使用して測定した場合に、5nM以下、4nM以下、3nM以下、2nM以下、1.9nM以下、1.8nM以下、1.7nM以下、1.6nM以下、1.5nM以下、1.4nM以下、1.3nM以下、1.2nM以下、1.1nM以下、1nM以下、0.9nM以下、0.8nM以下、0.7nM以下、0.6nM以下、0.5nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.22nM以下、0.2nM以下、0.18nM以下、または0.1nM以下のIC50値で、CD1a依存性インターロイキン2(IL-2)産生を阻害する。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、約500pM以下、以下400pM以下、以下300pM以下、以下220pM以下、以下200pM以下、以下100pM以下、以下90pM以下、以下80pM以下、以下70pM以下、以下60pM以下、以下50pM以下、以下40pM以下、以下30pM以下、以下20pM以下、以下10pM以下、以下9pM以下、以下8pM以下、以下7pM以下、以下6pM以下、以下5pM以下、以下4pM以下、以下3pM以下、以下2pM以下、または約1pM以下のIC50値で、CD1a依存性IL-2産生を阻害する。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、約0.18nMのIC50値で、CD1a依存性IL-2産生を阻害する。
【0355】
例えば、実施例1に記載されるように、IC50値は、CD1a制限T細胞受容体BK6を発現するJurkat 76(J76)細胞を使用して決定され得る。
【0356】
免疫原性
免疫原性は、抗体およびFc融合タンパク質が含まれるタンパク質治療薬の開発および利用に対する主な障壁である。タンパク質配列、投与の経路および頻度、ならびに患者集団が含まれるがこれらに限定されないいくつかの因子が、タンパク質免疫原性に寄与し得る。免疫応答は、典型的には、マウス抗体などの非ヒトタンパク質に対して最も激しいが、主にまたは完全にヒト配列内容を有する治療薬であっても、免疫原性であり得る。免疫原性は、外来として把握される物質に対する複雑な一連の応答であり、これには、中和および非中和抗体の産生、免疫複合体の形成、補体活性化、肥満細胞活性化、炎症ならびにアナフィラキシーが含まれ得る。望まれない免疫応答は、抗原認識を直接妨害すること、エフェクター分子との相互作用を変更すること、または治療薬の血清半減期もしくは組織分布を乱すことによって、抗体およびFc融合タンパク質治療薬の効力を低減させ得る。
【0357】
タンパク質治療薬は、Providence、R.I.のEpivax,Inc.によって提供されるような市販のサービスを使用して、潜在的な免疫原性エピトープの存在を予測するために分析され得る。潜在的な免疫原性エピトープはまた、IEDBコンセンサス法などの方法を使用しても予測され得る。一部の実施形態では、in silicoアルゴリズムが、クラスII MHC分子に結合するエピトープを予測できる。かかるアルゴリズムを用いたポリペプチドのデータセットの分析は、予測されたエピトープを提供する。予測されたエピトープは、自動ペプチド合成または組換えDNA技術の標準的な方法によって調製されるペプチドを作製するために使用される。Epivaxから提供されたスコアリング情報は、集団中に認識された予測されたエピトープがどのように広がっているかの指標を提供し得る。より低いスコアは、より低い免疫原性潜在力を予測する。
【0358】
本明細書で使用する場合、「Tレジトープ」は、天然の調節性T細胞を活性化し、望まれない免疫応答を低減させることが潜在的にできる、モノクローナル抗体フレームワーク領域内のアミノ酸配列である。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、8、7、6、5、4、3、2、1または0の非生殖系列T細胞エピトープを含む。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、免疫原性リスクが低く、例えば、-15以下、-20以下、-30以下、-35以下、-40以下、-45以下、-50以下、-55以下、-60以下、-65以下、-70以下、-75以下、-80以下、-85以下、-90以下、-95以下、または-100以下のT-reg調整済スコアを有する。一部の実施形態では、Tレジトープ(T-reg)調整済スコアによって示される、抗体の予測される免疫原性潜在力またはその抗原結合性断片は、約-35以下である。一部の実施形態では、Tレジトープ(T-reg)調整済スコアによって示される、抗体の予測される免疫原性潜在力またはその抗原結合性断片は、約-52以下である。一部の実施形態では、Tレジトープ(T-reg)調整済スコアによって示される、抗体の予測される免疫原性潜在力またはその抗原結合性断片は、約-69以下である。
【0359】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体(例えば、Ab138)は、約-35以下のT-reg調整済スコアおよび8以下の非生殖系列T細胞エピトープを有する。一部の実施形態では、抗CD1a抗体(例えば、Ab138)は、約-35以下(例えば、-37.94)のT-reg調整済スコアおよび8以下の非生殖系列T細胞エピトープを有する。一部の実施形態では、抗CD1a抗体(例えば、Ab571)は、約-52以下(例えば、-57.37)のT-reg調整済スコアおよび3以下の非生殖系列T細胞エピトープを有する。一部の実施形態では、抗CD1a抗体(例えば、Ab673)は、約-69以下(例えば、-72.89)のT-reg調整済スコアおよび1以下の非生殖系列T細胞エピトープを有する。
【0360】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、例えばAC-SINSアッセイ、DNA結合アッセイおよび/またはインスリン結合アッセイによって測定した場合に、多反応性のリスクが低い。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、抗薬物抗体を誘導しない。
【0361】
一部の実施形態では、抗CD1a中和抗体またはその抗原結合性断片を用いた処置により、これに限定されないがADなどの炎症性疾患に関連するパラメーターの1つ以上が改善される。例えば、一部の実施形態では、抗CD1a中和抗体またはその抗原結合性断片を用いた処置により、これらに限定されないが、湿疹面積・重症度指標(Eczema Area and Severity Index)(EASI)、そう痒数値評価尺度(pruritus numerical rating scale)(NRS)、罹患体表面積(affected body surface area)(BSA)、患者向け湿疹評価(Patient-Oriented Eczema Measure)(POEM)、皮膚の状態に関するアンケート(Dermatology Life Quality Index)(DLQI)、研究者による全般評価(InvestIgAtor’s Global Assessment)(IGA)、医師による全般評価(Physician’s Global Assessment)(PGA)、6領域6兆候アトピー性皮膚炎スコア(Six Area Six Sign Atopic Dermatitis)(SASSAD)、アトピー性皮膚炎評価尺度(Scoring Atopic Dermatitis)(SCORAD)、ビジュアルアナログスケール(Visual Analogue Scale)(VAS)、皮膚炎スコア(例えば、以下の2つ以上のスコアの合計として計算され得るがこれらに限定されない:紅斑、瘢痕/乾燥状態、浮腫および皮膚びらん)、総血清IgEレベル、抗原特異的IgE力価、および遺伝子シグネチャーに関連するアトピー性皮膚炎などの、AD関連パラメーターの1つ以上が改善される(例えば、低減する)。抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を用いた処置により、これらのパラメーターのうち1つ以上が、無処置の患者におけるこれらのパラメーターと比較して5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または100%改善され得る(例えば、低減し得る)。
【0362】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、アトピー性皮膚炎を有する患者における皮膚炎スコアを、無処置の患者における皮膚炎スコアと比較して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または100%低減させる。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、アトピー性皮膚炎を有する患者における皮膚炎スコアを、無処置の患者における皮膚炎スコアと比較して70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または100%低減させる。
【0363】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトCD1aトランスジェニックハウスダストマイト(HDM)誘導性皮膚炎マウスモデルにおける皮膚炎スコアを、無処置のまたはアイソタイプで処置した対照における皮膚炎スコアと比較して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または100%低減させる。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトCD1aトランスジェニックハウスダストマイト(HDM)誘導性皮膚炎マウスモデルにおける皮膚炎スコアを、無処置のまたはアイソタイプで処置した対照における皮膚炎スコアと比較して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または100%低減させる。
【0364】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトCD1aトランスジェニックハウスダストマイト(HDM)誘導性皮膚炎マウスモデルにおける血清IgEレベルを、無処置のまたはアイソタイプで処置した対照における血清IgEレベルと比較して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または100%低減させる。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトCD1aトランスジェニックハウスダストマイト(HDM)誘導性皮膚炎マウスモデルにおける血清IgEレベルを、無処置のまたはアイソタイプで処置した対照における血清IgEレベルと比較して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または100%低減させる。
【0365】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトCD1aトランスジェニックハウスダストマイトHDM誘導性皮膚炎マウスモデルにおけるHDM特異的IgE抗体価を、無処置のまたはアイソタイプで処置した対照における血清IgEレベルと比較して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または100%低減させる。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトCD1aトランスジェニックHDM誘導性皮膚炎マウスモデルにおけるHDM特異的IgE抗体価を、無処置のまたはアイソタイプで処置した対照におけるHDM特異的IgE抗体価と比較して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または100%低減させる。
【0366】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、1つ以上のアトピー性皮膚炎関連遺伝子の発現レベルを低減させる。アトピー性皮膚炎関連遺伝子の例には、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)、フィラグリン(FLG)、インターロイキン-33(IL-33)、C-Cモチーフケモカインリガンド26(CCL-26)、IL-23p40、C-X-Cケモカインリガンド1(CXCL-1)およびCCL-20が含まれるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上または7つ以上のアトピー性皮膚炎関連遺伝子の発現レベルを低減させる。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトCD1aトランスジェニックハウスダストマイト(HDM)誘導性皮膚炎マウスモデルにおける1つ以上の(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上)アトピー性皮膚炎関連遺伝子の発現レベルを、無処置のまたはアイソタイプで処置した対照におけるアトピー性皮膚炎関連遺伝子の発現レベルと比較して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または100%低減させる。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトCD1aトランスジェニックハウスダストマイト(HDM)誘導性皮膚炎マウスモデルにおける1つ以上の(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上の)アトピー性皮膚炎関連遺伝子の発現レベルを、無処置のまたはアイソタイプで処置した対照におけるアトピー性皮膚炎関連遺伝子の発現レベルと比較して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または100%低減させる。
【0367】
抗CD1a抗体をコードする核酸
本開示は、本明細書に記載される抗体部分および改変抗体を含む本発明の抗体のいずれかをコードするポリヌクレオチドもまた提供する。本発明は、本明細書に記載されるポリヌクレオチドのいずれかを作製する方法もまた提供する。当該分野で公知の手順によって、ポリヌクレオチドは作製され得、タンパク質は発現され得る。
【0368】
所望の抗体またはその抗原結合性断片およびかかる抗体またはその抗原結合性断片をコードする核酸の配列は、標準的な配列決定技術を使用して決定され得る。所望の抗体またはその抗原結合性断片をコードする核酸分子は、組換え産生および特徴付けのために、種々のベクター(例えば、クローニングおよび発現ベクター)中に挿入され得る。重鎖または重鎖の抗原結合性断片をコードする核酸分子、および軽鎖または軽鎖の抗原結合性断片をコードする核酸分子は、同じベクターまたは異なるベクター中にクローニングされ得る。
【0369】
一部の実施形態では、本開示は、以下の抗CD1a抗体およびその抗原結合性断片のいずれかのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを提供する:Ab138、Ab491、Ab492、Ab504、Ab514、Ab555、Ab556、Ab559、Ab560、Ab571、Ab572、Ab579、Ab585、Ab599、Ab609、Ab610、Ab616、Ab623、Ab624、Ab656、Ab657、Ab660、Ab673、Ab681、およびAb689(例えば、表14に開示される)。一実施形態では、以下の抗CD1a抗体およびその抗原結合性断片:Ab138、Ab571およびAb673のいずれかのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドが存在する。一部の実施形態では、本開示は、Ab571のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0370】
一部の実施形態では、本開示は、配列番号14、29、39、47、51、54、56、58、61、65、68、73および75からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗CD1a抗体HCポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。一部の実施形態では、本開示は、配列番号54または配列番号73のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる抗CD1a抗体HCポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0371】
一部の実施形態では、本開示は、配列番号7、24、33、36、43、70および78からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗CD1A抗体LCポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。一部の実施形態では、本開示は、配列番号24のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる抗CD1A抗体LCポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0372】
一部の実施形態では、本開示は、配列番号22、32、42、50、53、55、57、60、64、67、69、74および77からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗CD1A抗体VHドメインポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。一部の実施形態では、本開示は、配列番号55または配列番号74のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる抗CD1A抗体VHドメインポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0373】
一部の実施形態では、本開示は、配列番号12、28、35、38、46、72および79からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗CD1A抗体VLドメインポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。一部の実施形態では、本開示は、配列番号28のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる抗CD1A抗体VLドメインポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0374】
一部の実施形態では、本開示は、ヒトCD1aに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片をコードする単離された核酸分子であって、(i)配列番号80の核酸配列、(ii)配列番号81の核酸配列、(iii)配列番号82の核酸配列、(iv)配列番号83の核酸配列、(v)配列番号84の核酸配列、(vi)配列番号85の核酸配列、(vii)ATCCアクセッション番号PTA-126810の下でAb571-VHとして寄託されたベクターの挿入物の核酸配列、およびATCCアクセッション番号PTA-126811の下でAb571-VLとして寄託されたベクターの挿入物の核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子を提供する。
【0375】
一部の実施形態では、本開示は、番号80の核酸配列、配列番号81の核酸配列、またはそれら両方を含むまたはそれからなる、単離された核酸分子配列を提供する。
【0376】
一部の実施形態では、本開示は、番号82の核酸配列、配列番号83の核酸配列、またはそれら両方を含むまたはそれからなる、単離された核酸分子配列を提供する。
【0377】
一部の実施形態では、本開示は、ヒトCD1aに特異的に結合する抗体、またはその抗原結合性断片をコードする単離された核酸分子であって、ATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126810を有するプラスミドの挿入物の核酸配列を含む、核酸分子を提供する。
【0378】
一部の実施形態では、本開示は、ヒトCD1aに特異的に結合する抗体、またはその抗原結合性断片をコードする単離された核酸分子であって、ATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126811を有するプラスミドの挿入物の核酸配列を含む、核酸分子を提供する。
【0379】
一部の実施形態では、本開示は、ヒトCD1aに特異的に結合する抗体、またはその抗原結合性断片をコードする単離された核酸分子であって、ATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126810を有するプラスミドの挿入物の核酸配列、およびATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126811を有するプラスミドの挿入物の核酸配列を含む、核酸を提供する。
【0380】
一部の実施形態では、本開示は、ATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126810を有するプラスミドの挿入物の核酸配列を含む、単離された核酸分子を提供する。一部の実施形態では、本開示は、ATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126811を有するプラスミドの挿入物の核酸配列を含む、単離された核酸分子を提供する。一部の実施形態では、本開示は、ATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126810を有するプラスミドの挿入物の核酸配列、およびATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126811を有するプラスミドの挿入物の核酸配列を含む、単離された核酸分子を提供する。
【0381】
一部の実施形態では、本開示は、Ab571のVHドメインをコードする、ATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126810を有するプラスミドのDNA挿入物によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。本開示は、Ab571のVLドメインをコードする、ATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126811を有するプラスミドの挿入物によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチドをさらに提供する。
【0382】
一部の実施形態では、本開示は、Ab571のHCDR-1、HCDR-2およびHCDR-3をコードする、ATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126810を有するプラスミドの挿入物の核酸配列、ならびにAb571のLCDR-1、LCDR-2およびLCDR-3をコードする、ATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126811を有するプラスミドの挿入物の核酸配列、を含むポリヌクレオチドもまた提供する。
【0383】
一部の実施形態では、本開示は、Ab571のVHドメインをコードする、ATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126810を有するプラスミドの挿入物の核酸配列、および、Ab571のVLドメインをコードする、ATCCに寄託され、アクセッション番号PTA-126811を有するプラスミドの挿入物の核酸配列を含むポリヌクレオチドもまた提供する。
【0384】
一部の実施形態では、本開示は、配列番号80または配列番号84の核酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一な核酸を含む、ヒトCD1aに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片のVHをコードする、単離された核酸分子を提供する。
【0385】
一部の実施形態では、本開示は、配列番号81の核酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一な核酸を含む、ヒトCD1aに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片のVLをコードする、単離された核酸分子を提供する。
【0386】
一部の実施形態では、本開示は、配列番号82または配列番号85の核酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一な核酸を含む、ヒトCD1aに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片のHCをコードする、単離された核酸分子を提供する。
【0387】
一部の実施形態では、本開示は、配列番号83の核酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一な核酸を含む、ヒトCD1aに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片のLCをコードする、単離された核酸分子を提供する。
【0388】
一部の実施形態では、本開示は、抗CD1a抗体をコードするポリヌクレオチドおよびそのバリアントを提供し、かかるバリアントポリヌクレオチドは、表14に開示される核酸配列のいずれかに対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の核酸配列同一性を共有する。これらの量は限定を意味せず、列挙されたパーセンテージ間の増分は、本開示の一部として具体的に想定される。
【0389】
一実施形態では、VHおよびVLドメインもしくはその抗原結合性断片、または全長HCもしくはLCは、別々のポリヌクレオチドによってコードされる。あるいは、VHおよびVLもしくはその抗原結合性断片、またはHCおよびLCは共に、単一のポリヌクレオチドによってコードされる。
【0390】
任意のかかる配列に対して相補的なポリヌクレオチドもまた、本開示によって包含される。ポリヌクレオチドは、一本鎖(コーディングまたはアンチセンス)または二本鎖であり得、DNA(ゲノム、cDNAまたは合成)またはRNA分子であり得る。RNA分子には、イントロンを含み、一対一の様式でDNA分子に対応するHnRNA分子、およびイントロンを含まないmRNA分子が含まれる。さらなるコードまたは非コード配列が、本開示のポリヌクレオチド内に存在してもよいがその必要はなく、ポリヌクレオチドは、他の分子および/または支持体材料に連結されてもよいがその必要はない。
【0391】
ポリヌクレオチドは、抗体もしくはその断片をコードする核酸配列を含み得、またはかかる配列のバリアントを含み得る。ポリヌクレオチドバリアントは、コードされたポリペプチドの結合特徴がネイティブ抗体分子と比較して減弱されるような、1つ以上の置換、付加、欠失および/または挿入を含む。バリアント核酸配列によってコードされるポリペプチドの結合特徴に対する影響は、一般に、本明細書に記載されるように評価され得る。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドバリアントは、いずれの置換、付加、欠失および/もしくは挿入も含まない元の(親)抗体またはその断片をコードするポリヌクレオチド配列に対して、少なくとも約70%の同一性、少なくとも約80%の同一性、少なくとも約90%の同一性、少なくとも約95%の同一性、少なくとも98%の同一性または少なくとも99%の同一性を示す。これらのパーセント同一性は限定を意味せず、列挙されたパーセンテージ間の増分は、本開示の一部として具体的に想定される。
【0392】
2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、2つの配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が、本明細書に記載されるように、最大の対応を求めてアラインした場合に同じである場合、「同一」であると言われる。2つの配列間の比較は、典型的には、配列類似性の局所的領域を同定および比較するために、比較ウインドウにわたって配列を比較することによって実施される。「比較ウインドウ」は、本明細書で使用する場合、少なくとも約20、通常は30~約75または40~約50連続する位置のセグメントを指し、ここで、配列は、2つの配列を最適にアラインした後に、同じ数の連続する位置の参照配列と比較され得る。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、本明細書に開示されるポリヌクレオチドに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%同一である。
【0393】
ポリヌクレオチドバリアントはまた、またはあるいは、遺伝子、またはその断片もしくは相補体に対して実質的に相同であり得る。かかるポリヌクレオチドバリアントは、抗体をコードする天然に存在するDNA配列(または相補的配列)に、中程度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが可能である。
【0394】
適切な「中程度にストリンジェントな条件」は、5×SSC、0.5%SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の溶液中で事前洗浄すること;約50℃~65℃、5×SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)で一晩ハイブリダイズさせること;その後、0.1%SDSを含む2×、0.5×および0.2×SSCの各々で、65℃で20分間2回洗浄すること、を含む。
【0395】
本明細書で使用する場合、「高度にストリンジェントな条件」または「高ストリンジェンシー条件」は、以下の条件である:(1)洗浄のために、低いイオン強度および高い温度、例えば、50℃で、0.015M塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを使用する;(2)ハイブリダイゼーションの間に、変性剤、例えば、ホルムアミド、例えば、50%(v/v)ホルムアミドを、750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムを含む0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%Ficoll/0.1%ポリビニルピロリドン/50mMリン酸ナトリウム緩衝液pH6.5と共に、42℃で使用する;または(3)50%ホルムアミド、5×SSC、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、超音波処理したサケ精子DNA(50μg/mL)、0.1%SDSおよび10%硫酸デキストランを42℃で使用し、0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中で42℃および50%ホルムアミド中で55℃での洗浄、その後の、EDTAを含む0.1×SSCからなる55℃での高ストリンジェンシー洗浄を使用する。当業者は、例えば、プローブ長さなどの因子に適応するために、必要に応じて、温度、イオン強度などを調整する方法を認識する。
【0396】
遺伝コードの縮重の結果として、本明細書に記載されるポリペプチドのアミノ酸配列をコードする多くのヌクレオチド配列が存在することが、当業者によって理解される。これらのポリヌクレオチドの一部は、任意のネイティブ遺伝子のヌクレオチド配列に対する最小限の相同性を保有する。即ち、20種の天然アミノ酸をコードする64種の異なるコドンが存在し、一部のアミノ酸はそれをコードするコドンを多数有する(例えば、6種の異なるコドンがロイシンをコードする)。したがって、多数の核酸配列が同じタンパク質配列をコードし得、したがって、同じポリペプチドアミノ酸配列をコードする2つの核酸は、非常に低い核酸配列同一性を共有し得る。したがって、コドン使用の差異に起因して変動するポリヌクレオチドは、本開示によって具体的に企図される。
【0397】
さらに、本明細書で提供されるポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子は、本開示の範囲内である。対立遺伝子は、ヌクレオチドの1つ以上の変異、例えば、欠失、付加および/または置換の結果として変更された内因性遺伝子である。得られたmRNAおよびタンパク質は、変更された構造または機能を有し得るが、その必要はない。対立遺伝子は、標準的な技術(例えば、ハイブリダイゼーション、増幅および/またはデータベース配列比較)を使用して同定され得る。
【0398】
本開示のポリヌクレオチドは、化学的合成、組換え法またはPCRを使用して得ることができる。化学的ポリヌクレオチド合成の方法は、当該分野で周知であり、本明細書で詳細に記載する必要はない。当業者は、所望のDNA配列を産生するために、本明細書で提供される配列および市販のDNA合成機を使用することができる。
【0399】
組換え法を使用してポリヌクレオチドを調製するために、所望の配列を含むポリヌクレオチドが、適切なベクター中に挿入され得、このベクターは、次に、本明細書でさらに議論されるように、複製および増幅に適切な宿主細胞中に導入され得る。ポリヌクレオチドは、当該分野で公知の任意の手段によって、宿主細胞中に挿入され得る。細胞は、直接的取り込み、エンドサイトーシス、トランスフェクション、F交配(F-mating)またはエレクトロポレーションによって外因性ポリヌクレオチドを導入することによって形質転換される。いったん導入されると、外因性ポリヌクレオチドは、非組み込みベクター(例えば、プラスミド)として細胞内で維持され得、または宿主細胞ゲノム中に組み込まれ得る。そうして増幅されたポリヌクレオチドは、当該分野で周知の方法によって、宿主細胞から単離され得る。例えば、Sambrookら、1989を参照のこと。
【0400】
あるいは、PCRは、DNA配列の再生産を可能にする。PCRテクノロジーは、当該分野で周知であり、米国特許第4,683,195号、同第4,800,159号、同第4,754,065号および同第4,683,202号、ならびにPCR:The Polymerase Chain Reaction、Mullisら編、Birkauswer Press、Boston、1994に記載されている。
【0401】
RNAは、適切なベクター中の単離されたDNAを使用し、それを適切な宿主細胞中に挿入することによって得ることができる。細胞が複製し、DNAがRNAへと転写される場合、RNAは、例えば、Sambrookら、1989に示される、当業者に周知の方法を使用して単離され得る。
【0402】
本明細書で使用する場合、用語「ベクター」は、目的の1つ以上の遺伝子または配列(例えば、抗CD1a抗体のHC、LC、VH、VLおよび/またはその断片をコードする核酸)を宿主細胞中に送達すること、好ましくは、それを宿主細胞において発現させることが可能な、構築物を意味する。ベクターの例には、ウイルスベクター(例えば、AAV)、ネイキッドDNAもしくはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドもしくはファージベクター、カチオン性縮合剤と関連したDNAもしくはRNA発現ベクター、リポソーム中に封入されたDNAもしくはRNA発現ベクター、および特定の真核生物細胞、例えば、産生細胞が含まれるがこれらに限定されない。
【0403】
適切なクローニングおよび発現ベクターは、種々の構成要素、例えば、プロモーター、エンハンサーおよび他の転写調節配列を含み得る。ベクターはまた、異なるベクター中への抗体可変ドメインの引き続くクローニングを可能にするように構築され得る。適切なクローニングベクターは、標準的な技術に従って構築され得、または当該分野で入手可能な多数のクローニングベクターから選択され得る。選択されるクローニングベクターは、使用が意図される宿主細胞に従って変動し得るが、有用なクローニングベクターは、一般に、自己複製する能力を有し、特定の制限エンドヌクレアーゼに対する単一の標的を保有し得、および/またはベクターを含むクローンを選択する際に使用され得るマーカーの遺伝子を保有し得る。適切な例には、プラスミドおよび細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)およびその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにシャトルベクター、例えば、pSA3およびpAT28が含まれる。これらおよび多くの他のクローニングベクターが、供給業者、例えば、BioRad、StratageneおよびInvitrogenから入手可能である。
【0404】
発現ベクターがさらに提供される。発現ベクターは、一般に、本開示に従うポリヌクレオチドを含む複製可能なポリヌクレオチド構築物である。発現ベクターは、エピソームとして、または染色体DNAの不可欠な一部として、宿主細胞中で複製可能でなければならないことが暗示される。適切な発現ベクターには、プラスミド、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスが含まれるウイルスベクター、コスミド、およびPCT公開番号WO87/04462に開示される発現ベクターが含まれるがこれらに限定されない。ベクター構成要素には、一般に、以下のうち1つ以上が含まれ得るがこれらに限定されない:シグナル配列;複製起点;1つ以上のマーカー遺伝子;適切な転写制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサーおよびターミネーター)。発現(即ち、翻訳)のために、リボソーム結合部位、翻訳開始部位および停止コドンなどの、1つ以上の翻訳制御エレメントもまた通常は必要とされる。
【0405】
一部の実施形態では、細胞(例えば、単離されたものまたは生物体内にあるもの)に、異種ポリヌクレオチド(例えば、抗CD1a抗体のHC、LC、VHドメイン、VLドメインまたはその抗原結合性断片)をコードする組換え核酸およびAAVカプシドを含む組換えAAV(rAAV)を形質導入する。組換え核酸は、形質導入された細胞内で異種ポリヌクレオチドを発現させるための調節エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、イントロン、エクソン、ポリA)をさらに含み得る。組換え核酸は、ウイルス逆位タンデムリピート(ITR)配列をさらに含み得る。一部の実施形態では、AAVカプシドは、当該分野で公知のAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、または任意の他の野生型または組換えAAVカプシドである。ITR配列は、当該分野で公知のAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、または任意の他の野生型または組換えITR配列(例えば、AAV2)であり得る。一部の実施形態では、rAAVは、抗CD1a抗体のHC、LC、VHドメイン、VLドメインまたはその抗原結合性断片をコードする組換え核酸、プロモーター、AAV ITRおよびウイルスカプシドを含む。かかるrAAVは、対象(例えば、患者)におけるCD1aによって媒介される疾患、障害または状態(例えば、AD)を処置または予防するために、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を細胞において発現させるために適している。
【0406】
目的のポリヌクレオチドを含有するベクターおよび/またはポリヌクレオチド自体は、エレクトロポレーション、塩化カルシウムもしくはポリエチレンイミン(PEI)、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストラン、または他の物質を使用するトランスフェクション;微粒子銃;リポフェクション;および感染(例えば、ベクターが、ワクシニアウイルスなどの感染性因子である場合)が含まれるいくつかの適切な手段のいずれかによって、宿主細胞中に導入され得る。ベクターまたはポリヌクレオチドを導入する選択は、宿主細胞の特色に依存する場合が多い。
【0407】
一部の実施形態では、ベクターは、配列番号80、81、82、83、84および85からなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号80、81、82、83、84および85からなる群から選択される核酸配列に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一な核酸配列を含むポリヌクレオチドを含む。
【0408】
一部の実施形態では、ベクターは、i)配列番号80の核酸配列;ii)配列番号81の核酸;またはiii)それら両方を含むポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ベクターは、i)配列番号82の核酸配列;ii)配列番号83の核酸;またはiii)それら両方を含むポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ベクターは、i)配列番号84の核酸配列;ii)配列番号81の核酸;またはiii)それら両方を含むポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ベクターは、i)配列番号85の核酸配列;ii)配列番号83の核酸;またはiii)それら両方を含むポリヌクレオチドを含む。
【0409】
本明細書で使用する場合、用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養物」は互換的に使用され、ポリヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチド挿入物の取り込みのためのベクターのレシピエントであり得るまたはレシピエントであった個々の細胞または細胞培養物を意味する。宿主細胞には、「形質転換体」、「形質転換された細胞」、および「形質導入された細胞」が含まれ、これらには、初代の形質転換または形質導入された細胞および継代の数に関係なく、それに由来する子孫が含まれる。宿主細胞の子孫は、天然の、偶然の、または意図的な変異に起因して、(形態学的に、またはゲノムDNA相補性において)元の親細胞とは必ずしも完全に同一でなくてもよい。宿主細胞には、本開示のポリヌクレオチド(例えば、抗CD1a抗体のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド)またはそれを含むベクターでin vivoでトランスフェクトおよび/または形質転換された細胞が含まれる。
【0410】
宿主細胞は、原核細胞または真核細胞であり得る。例示的な真核細胞には、霊長類または非霊長類動物細胞などの哺乳動物細胞;酵母などの真菌細胞;植物細胞;および昆虫細胞が含まれる。
【0411】
抗体またはその抗原結合性断片は、適切な宿主細胞を使用して、組換え作製され得る。本開示の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片をコードする核酸は、発現ベクター中にクローニングされ得、これは次いで、組換え宿主細胞における抗体の合成を得るために、さもなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない宿主細胞中に導入され得る。細胞培養、およびタンパク質またはポリペプチドの発現を行いやすい任意の宿主細胞が本開示に従って利用され得る。ある特定の実施形態では、宿主細胞は哺乳動物である。発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は当該分野で周知であり、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞株が含まれる。非限定的な例示的な哺乳動物細胞には、NS0細胞、HEK293およびチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ならびにそれらの誘導体、例えば、293-6EおよびCHO DG44細胞、CHO DXB11、およびPotelligent(登録商標)CHOK1SV細胞(BioWa/Lonza、Allendale、NJ)が含まれるがこれらに限定されない。哺乳動物宿主細胞には、ヒト子宮頸癌細胞(HeLa、ATCC CCL 2)、ベビーハムスター腎臓(BHK、ATCC CCL 10)細胞、サル腎臓細胞(COS)、およびヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)もまた含まれるがこれらに限定されない。本開示に従って使用され得る哺乳動物細胞の他の非限定的な例には、ヒト網膜芽細胞(PER.C6(登録商標);CruCell、Leiden、The Netherlands);SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7、ATCC CRL 1651);浮遊培養下で成長させるためにサブクローニングされたヒト胎児由来腎臓株293(HEK 293)または293細胞(Grahamら、J.Gen Virol.1997;36:59);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather、Biol.Reprod.1980;23:243~251);サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1 587);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳房腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TR1細胞(Matherら、Annals N.Y.Acad.Sci.1982;383:44~68);MRC 5細胞;FS4細胞;ヒトヘパトーマ株(Hep G2);ならびに、BALB/cマウス骨髄腫株(NS0/1、ECACC No:85110503)、NS0細胞およびSp2/0細胞が含まれるがこれらに限定されない、多数の骨髄腫細胞株が含まれる。
【0412】
さらに、ポリペプチドまたはタンパク質を発現する、任意の数の市販のおよび非商業的に入手可能な細胞株が本開示に従って利用され得る。最適な成長およびポリペプチドまたはタンパク質の発現のために、異なる細胞株は異なる栄養要件を有し得る、および/または異なる培養条件を要求し得、必要に応じて条件を改変することができることが、当業者によって理解されることになる。
【0413】
処置の方法
一部の実施形態では、本開示は、CD1a活性を低減させるまたは阻害するための治療方法であって、治療有効量の、抗CD1a抗体もしくはその抗原結合性断片または抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物を含む、投与するステップを含む、方法を提供する。処置される障害は、CD1a活性(例えば、AD)の除去、阻害または低減によって改善、寛解、阻害または予防される任意の疾患または状態である。
【0414】
CD1a活性の例には、(a)CD1aのT細胞受容体への結合;(b)CD1aにより媒介されるT細胞への脂質提示および引き続くT細胞の活性化;(c)CD1a依存性CD69発現;(d)CD1a依存性IL-2産生;(e)CD1a依存性血清IgEレベル増加;(f)CD1a依存性抗原特異的IgE抗体増加;ならびに/または(g)CD1a依存性アトピー性皮膚炎関連遺伝子(例えば、これらに限定されないが、TSLP、FLG、IL-33、CCL-26、IL-23p40、CCL-20、および/もしくはCCL-20)発現レベル増加が含まれるがこれらに限定されない。
【0415】
一部の実施形態では、本開示は、抗体またはその抗原結合性断片の投与前のCD1aの活性を投与後のCD1a活性のレベルと比較する、方法を提供する。
【0416】
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において、CD1aのレベルを低減させるための方法であって、対象に、治療有効量の抗体もしくはその抗原結合性断片または抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0417】
一部の実施形態では、本開示は、CD1aの発現および/またはCD1aのリガンドへの結合と関連するまたはそれによって媒介される疾患、障害および/または状態を処置および/または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の抗体もしくはその抗原結合性断片または抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0418】
抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片によって処置する、予防する、改善する、寛解させる、または阻害することができる疾患、障害、および/または状態の例には、炎症性腸疾患、アレルギー、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、春季カタル、季節性アレルギー、ペットアレルギー、喘息、食物アレルギー、ピーナッツアレルギー、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)、アレルギー性鼻炎、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸器疾患のウイルス性増悪、小児および成体におけるウイルス感染症、(呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ライノウイルス、インフルエンザ)、蕁麻疹、好酸球性食道炎、慢性線維症、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、慢性腎疾患、特発性肺線維症(IPF)、強皮症、全身性硬化症、急性腎傷害、敗血症、膵炎、1型糖尿病、移植片対宿主病(GVHD)、組織移植、アルツハイマー病、関節リウマチ、過敏性腸症候群(IBS)、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、乾癬、小児脂肪便症およびレイノー病またはレイノー現象が含まれるがこれらに限定されない。
【0419】
一部の実施形態では、本開示は、炎症性疾患を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の抗体もしくはその抗原結合性断片または抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0420】
一部の実施形態では、本開示は、アトピー性皮膚炎を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の抗体もしくはその抗原結合性断片または抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0421】
一部の実施形態では、本開示は、炎症性腸疾患(IBD)を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の抗体もしくはその抗原結合性断片または抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0422】
本開示の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を使用する処置方法は、予防的処置および/または治療的処置を含む。処置が状態の臨床所見の前に投与される場合、その処置は予防的とみなされる。例えば、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片の投与は、ADに対する予防的処置(例えば、1つ以上の用量、ある期間にわたって)として利用される場合、重度の掻痒症を予防するために使用され得る。治療的処置には、例えば、疾患を寛解させるもしくは疾患の重症度を低減させる、または疾患の長さを短縮することが含まれる。例えば、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片の投与は、ADを有する患者における重度のそう痒を、そう痒の持続時間、強度および/または重症度を減少させることによって処置するために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、予防的なものではない。
【0423】
一部の実施形態では、処置される対象は、哺乳動物、特にヒト患者、例えば、これらに限定されないが、AD、接触皮膚炎、乾癬、またはIBDなどの炎症性疾患を有する患者であり得る。一部の実施形態では、抗体もしくはその抗原結合性断片または医薬組成物は、皮下投与される。一部の実施形態では、抗体もしくはその抗原結合性断片または医薬組成物は、静脈内投与される。
【0424】
本開示は、医薬としての使用のための、本明細書で定義される抗CD1a抗体もしくはその抗原結合性断片または医薬組成物をさらに包含する。一部の実施形態では、本開示は、処置および/または予防の定義された方法における使用のための、本明細書で定義される抗CD1a抗体もしくはその抗原結合性断片または医薬組成物を包含する。一部の実施形態では、本開示は、炎症性疾患(例えば、これに限定されないが、アトピー性皮膚炎)の少なくとも1つの徴候および/または症状の処置および/または予防の定義された方法における使用のための、本明細書で定義される抗CD1a抗体もしくはその抗原結合性断片または医薬組成物を包含する。
【0425】
本開示は、CD1aの発現、活性および/またはCD1aのT細胞受容体への結合と関連するまたはそれによって媒介される疾患、障害または状態を処置するための医薬の製造における、本明細書で定義される抗CD1a抗体もしくはその抗原結合性断片または医薬組成物の使用もまた包含する。
【0426】
組み合わせ治療
本開示の抗体またはその抗原結合性断片は、CD1aの発現、活性および/またはCD1aのT細胞受容体への結合と関連するまたはそれによって媒介される疾患、障害または状態の少なくとも1つの徴候および/または症状の処置および/または防止において有効である、1つ以上のさらなる治療的に活性な化合物または処置モダリティと組み合わせて投与され得る。一部の実施形態では、本明細書で定義される抗CD1a抗体もしくはその抗原結合性断片または医薬組成物は、炎症性疾患(例えば、これに限定されないが、アトピー性皮膚炎)の少なくとも1つの徴候および/または症状処置および/または防止において有効である、1つ以上のさらなる治療的に活性な化合物または処置モダリティと組み合わせて投与され得る。
【0427】
実施形態は、ADの少なくとも1つの徴候および/または症状を処置および/または予防する方法であって、それを必要とする患者に、一定量の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片、ならびに、一定量の、ADの少なくとも1つの徴候および/または症状の処置および/または予防において有効である、治療的に活性な化合物または処置モダリティを投与するステップを含み、これらの量が一緒になって、ADの少なくとも1つの徴候および/または症状の処置および/または予防において有効である、方法もまた包含する。
【0428】
一部の実施形態では、本開示は、ADの少なくとも1つの徴候および/または症状を処置および/または予防する方法であって、それを必要とする患者に、一定量の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片、および一定量の、ADの少なくとも1つの徴候および/または症状の処置および/または予防において有効である、治療的に活性な化合物または処置モダリティを投与するステップを含み、これらの量が一緒になって、ADの少なくとも1つの徴候および/または症状の処置および/または予防において相乗効果を達成する、即ち、組み合わせが「相乗的」である(即ち、組み合わせが、2つ以上の個々の治療の単なる相加効果よりも大きい効果を提供する)、方法を含む。かかる相乗的組み合わせ治療では、投与される治療剤をより少ない投薬量で有利に利用し、したがって、種々の単剤療法と関連する可能性のある毒性または合併症を回避することができる。
【0429】
ADの少なくとも1つの徴候および/または症状の処置および/または予防に有用である、さらなる治療的に活性な化合物には、例えば、IL-1a、IL-1b、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、IL-25、IL-26、IL-31、IL36、IFNα、IFNγのうち1つまたは複数に対するアンタゴニスト、もしくはそれらのそれぞれの受容体のアンタゴニスト、抗炎症剤、組換えインターフェロンガンマ、NSAID、ステロイド、カルシニューリン阻害剤、および/またはコルチコステロイドが含まれる。一部の実施形態では、さらなる治療的に活性な化合物は、デュピルマブを含む。
【0430】
本開示は、ADの少なくとも1つの徴候および/または症状の処置および/または予防における使用のための、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片、ADの少なくとも1つの徴候および/または症状の処置および/または予防において有効である治療的に活性な化合物または処置モダリティ、ならびに薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物を包含する。本開示は、ADの少なくとも1つの徴候および/または症状の処置および/または予防における使用のための、相乗的治療有効量の抗CD1a抗体、ADの少なくとも1つの徴候および/または症状の処置および/または予防において有効である相乗的治療有効量の治療的に活性な化合物または処置モダリティ、ならびに薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物を包含する。組成物は、例えば、ADの少なくとも1つの徴候および/または症状の処置および/または予防において有効である少なくとも1つの他の治療的に活性な化合物または処置モダリティであるがこれらに限定されないさらなる治療剤をさらに含み得る。
【0431】
当業者は、本明細書で提供される開示に基づいて、ADの少なくとも1つの徴候および/または症状を処置および/または予防するために、少なくとも1つのさらなる治療剤で以前に処置されたまたはそれを現在受けている患者に、ADの少なくとも1つの徴候および/または症状を処置および/または予防する方法が、相乗的治療有効量の抗CD1a抗体およびADの少なくとも1つの徴候および/または症状の処置および/または予防において有効である相乗的治療有効量の治療的に活性な化合物または処置モダリティを投与することを包含することを理解する。
【0432】
かかるさらなる治療剤は、ADの少なくとも1つの徴候および/または症状を処置および/または予防するための標準治療である薬剤を包含する。即ち、組み合わせ治療は、デュピルマブおよび当該分野で公知の任意の他の治療が含まれるがこれらに限定されない異なる治療をすでに受けているAD患者の治療レジメンに追加され得る。
【0433】
当業者は、公知の方法に従って、ADを有する患者に投与するために本開示の組み合わせにおいて使用される、各化合物の適切な量、用量または投薬量を、年齢、体重、総体的な健康、投与される化合物、投与の経路、ADの処置の性質および進行、ならびに他の薬物療法の存在などの因子を考慮に入れて、決定することができる。
【0434】
抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を含む組み合わせ治療の予防剤または治療剤は、同じ医薬組成物中で対象に投与され得る(例えば、治療薬が共製剤化される)。あるいは、組み合わせ治療の予防剤または治療剤は、別々の医薬組成物中で対象に同時発生的に投与され得る(例えば、治療が同時投与される)。組み合わせ治療の予防剤または治療剤は、同じ投薬レジメンに従って(例えば、両方の治療が毎日投与される)または異なる投薬レジメンに従って(例えば、1つの治療が毎日投与され、他の治療が毎週投与される)投与され得る。予防剤または治療剤は、同じまたは異なる経路の投与によって、対象に投与され得る。
【0435】
本開示は、処置および/または予防の定義された方法における使用のための、本明細書で定義される抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を含む、組み合わせ治療の予防剤または治療剤をさらに包含する。本明細書に記載される処置および/または予防の方法に言及する実施形態では、かかる実施形態はまた、その処置および/もしくは予防における使用のための、またはあるいは、ADの少なくとも1つの徴候および/もしくは症状のその処置および/もしくは予防における使用のための医薬の製造のための、抗CD1a抗体もしくはその抗原結合性断片または医薬組成物が含まれる、組み合わせ治療に関するさらなる実施形態もまた含む。
【0436】
本開示は、単独での、または他の治療と組み合わせた、本開示の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物を必要とする対象への、単独での、または他の治療と組み合わせた、本開示の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物の投与のためのプロトコールを提供する。本開示の組み合わせ治療の治療(例えば、予防剤または治療剤)は、対象に、付随的または逐次的に投与され得る。本開示の組み合わせ治療の治療(例えば、予防剤または治療剤)は、周期的にも投与され得る。周期的治療には、治療(例えば、薬剤)のうち1つの副作用を回避もしくは低減させるために治療(例えば、薬剤)のうち1つに対する抵抗性の発達を低減させるため、および/または治療の効力を改善するために、一定期間にわたる第1の治療(例えば、第1の予防剤または治療剤)の投与、その後の、一定期間にわたる第2の治療(例えば、第2の予防剤または治療剤)の投与、およびこの逐次的な投与、を反復すること、即ち、サイクルが関与する。
【0437】
本開示の組み合わせ治療の治療(例えば、予防剤または治療剤)は、対象に同時発生的に投与され得る。用語「同時発生的に」は、治療(例えば、予防剤または治療剤)の投与が正確に同時であることに限定されないが、むしろ、それらが他の方法で投与された場合よりも増加した利益を提供するように他の治療と一緒に本開示の抗体またはそのコンジュゲートが作用できるような順番で、かつそのような時間間隔内に、本開示の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物が対象に投与されることを意味する。例えば、各治療は、対象に、同時に、または異なる時点において任意の順序で逐次的に投与され得る;しかし、同時に投与されない場合、これらは、所望の治療効果または予防効果を提供するために、時間的に十分に接近して投与すべきである。各治療は、任意の適切な形態で、任意の適切な経路によって、対象に別々に投与され得る。種々の実施形態では、治療(例えば、予防剤または治療剤)は、15分未満、30分未満、1時間未満離れて、約1時間離れて、約1時間~約2時間離れて、約2時間~約3時間離れて、約3時間~約4時間離れて、約4時間~約5時間離れて、約5時間~約6時間離れて、約6時間~約7時間離れて、約7時間~約8時間離れて、約8時間~約9時間離れて、約9時間~約10時間離れて、約10時間~約11時間離れて、約11時間~約12時間離れて、24時間離れて、48時間離れて、72時間離れて、または1週間離れて、対象に投与される。他の実施形態では、2つ以上の治療(例えば、予防剤または治療剤)は、同じ患者来院内に、投与される。
【0438】
組み合わせ治療の予防剤または治療剤は、同じ医薬組成物中で対象に投与され得る。あるいは、組み合わせ治療の予防剤または治療剤は、別々の医薬組成物で、対象に同時発生的に投与され得る。予防剤または治療剤は、同じまたは異なる経路の投与によって、対象に投与され得る。
【0439】
診断的使用
本明細書に記載の抗CD1a抗体、抗体組成物および方法は、イムノアッセイ、ならびにE-セレクチン媒介性障害の診断、および処置の評価のための使用を含む、in vitroおよびin vivoの有用性を有する。これらの方法は、CD1aの存在と関連する障害を有するヒト患者を診断、評価および処置するために特に適切である。CD1aの存在と関連するこの障害には、AD、接触皮膚炎、乾癬、およびIBDなどの炎症性疾患が含まれるがこれらに限定されない。
【0440】
一部の実施形態では、サンプル中のCD1aの存在を検出するための方法であって、CD1aを含むと疑われるサンプルを、CD1aに対して特異的な抗体と接触させるステップ、および抗体と結合したCD1aの存在を検出するステップを含み、それによって、サンプル中のCD1aを検出する、方法が存在する。CD1aが固体支持体に結合され、サンプルがそれに添加されて、サンプル中のCD1aに抗体を結合させるアッセイが含まれるがこれに限定されない、抗体と結合したCD1aを検出するための方法が、当該分野で周知である。固体支持体に結合した抗体と同じまたはそれとは異なる第2のCD1a抗体が添加され、直接的標識化(即ち、第2の抗体は、検出可能な標識にコンジュゲートされる)によって、または例えば、第2の抗体の定常ドメインと反応し、検出可能な標識を含む、別の種由来の第3の抗体を添加することによって、検出され得る。したがって、このアッセイは、サンプル中のCD1aの存在または非存在を検出するために使用され得る。
【0441】
一部の実施形態では、サンプル中のCD1aの濃度を決定するための方法であって、検出可能な標識にカップリングされたCD1aを含む標識された競合相手を提供するステップ;CD1aに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片を提供するステップ;サンプル、抗体および標識された競合相手を組み合わせるステップであって、サンプル中のCD1aが、抗体への結合について、標識された競合相手と競合する、ステップ;ならびに標識の検出によって、抗体に結合していない標識された競合相手の量を測定することによって、このサンプル中のCD1aの濃度を決定するステップ、を含む方法が存在する。サンプルの非存在下で抗体に結合した標識された競合相手の量が、サンプルが添加された場合の抗体に結合した標識された競合相手の量と比較される。サンプルの存在下での結合した標識された競合相手の減少の量は、サンプル中に存在する標識されていないCD1aの量の指標であり、その結果、このアッセイは、サンプル中のCD1aの存在およびレベルを評価するために使用され得る。一部の実施形態では、CD1aは、可溶性CD1aである。一部の実施形態では、CD1aは、膜結合型E CD1aである。
【0442】
一実施形態では、対象において、増加したレベルのCD1aと関連する疾患または障害に対する処置の有効性を評価するための方法であって、対象に処置を投与するステップ、および処置の前に対象から得られたサンプル中のCD1aのレベルを、処置の後に対象から得られた他の点では同一のサンプル中のCD1aのレベルと比較するステップ、を含み、サンプル中のCD1aのレベルが、CD1a特異的抗体を使用して評価され、さらに、処置の前に対象から収集されたサンプル中のCD1aのレベルと比較した、処置の後に対象から収集されたサンプル中のCD1aのより低いレベルが、処置の過程の有効性の指標である、方法が存在する。
【0443】
CD1a特異的抗体または標識された競合相手に関して、「標識された」という用語は、検出可能な物質を抗体または標識された競合相手にカップリングする(即ち、物理的に連結する)ことによる直接的標識化、ならびにそれを直接標識される別の試薬にカップリングすることによる、抗体または標識された競合相手の間接的標識化を含む。間接的標識化の一例には、蛍光標識した二次抗体を使用した一次抗体の検出が含まれる。ポリペプチドの検出のためのin vitro技術には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウエスタンブロット、免疫沈降および免疫蛍光が含まれる。
【0444】
用語「サンプル」は、対象から単離された組織、細胞および生物学的流体(例えば、血液、CSF、尿など)、ならびに対象内に存在する組織、細胞および流体を含む意図である。
【0445】
本明細書に記載される抗体、標識された競合相手、および潜在的な治療的化合物は、様々な検出システムを用いたいくつかの他の均一および不均一イムノアッセイのいずれかとの使用のためにも適切である。
【0446】
組成物
【0447】
本開示の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、医薬組成物として製剤化され得る。医薬組成物は、凍結乾燥された製剤または水溶液の形態の、薬学的に許容できる担体、賦形剤および/または安定剤(Remington:The Science and practice of Pharmacy、第21版、2005、Lippincott Williams and Wilkins、K.E.Hoover編)をさらに含み得る。本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容できる担体」または「薬学的に許容できる賦形剤」には、活性成分と組み合わされた場合に、成分が生物学的活性を保持することを可能にし、かつ、対象の免疫系とは非反応性である任意の材料が含まれる。
【0448】
例には、リン酸緩衝溶液(PBS)、水、通常の生理食塩水(0.9%)、エマルション(例えば、油/水エマルション)および種々の型の湿潤剤などの標準の医薬担体のいずれかが含まれるがこれらに限定されない。エアロゾルまたは非経口投与のために好ましい希釈剤は、PBSおよび通常の生理食塩水である。
【0449】
許容できる担体、賦形剤、または安定剤は、投薬量および濃度においてレシピエントにとって非毒性であり、緩衝液、例えば、リン酸、クエン酸、および他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンが含まれる抗酸化剤;防腐剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルもしくはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン;グルコース、マンノース、もしくはデキストランが含まれる、単糖、二糖および他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール;塩形成性対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);および/または非イオン性界面活性物質、例えば、TWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80(PS80)、ポリソルベート60(PS60)、ポリソルベート20(PS20))もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含み得る。薬学的に許容できる賦形剤は本明細書にさらに記載される。
【0450】
本開示の医薬化合物には、1つ以上の薬学的に許容できる塩が含まれ得る。かかる塩の例には、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。酸付加塩には、非毒性無機酸、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸などに由来するもの、ならびに非毒性有機酸、例えば、脂肪族モノおよびジカルボン酸、フェニル置換されたアルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族ならびに芳香族スルホン酸などに由来するものが含まれる。塩基付加塩には、アルカリ土類金属、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどに由来するもの、ならびに非毒性有機アミン、例えば、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、N-メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどに由来するものが含まれる。
【0451】
本開示の医薬組成物は、薬学的に許容できる抗酸化剤もまた含み得る。薬学的に許容できる抗酸化剤の例には、以下が含まれる:(1)水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性抗酸化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロールなど;および(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸など。
【0452】
本開示の医薬組成物において使用され得る適切な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物、植物油、例えば、オリーブ油、ならびに注射可能な有機エステル、例えば、オレイン酸エチルが含まれる。適切な流動性は、例えば、コーティング材料、例えば、レシチンの使用によって、分散物の場合には要求される粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持され得る。
【0453】
これらの組成物は、アジュバント、例えば、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤もまた含み得る。微生物の存在の防止は、無菌化手順、ならびに種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含めること、の両方によって確実にされ得る。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを組成物中に含めることが望ましい場合もある。さらに、注射可能な医薬形態の延長された吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含めることによってもたらされ得る。
【0454】
医薬組成物は、典型的には、製造および貯蔵の条件下で無菌かつ安定でなければならない。組成物は、高い薬物濃度に適切な、溶液、マイクロエマルジョン、リポソームまたは他の秩序立った構造として製剤化され得る。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、コーティング、例えば、レシチンの使用によって、分散物の場合には要求される粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持され得る。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを含めることが適切である。注射可能な組成物の延長された吸収は、組成物中に、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを含めることによってもたらされ得る。
【0455】
無菌の注射可能な溶液は、上に列挙した成分のうち1つまたはその組み合わせと共に、適切な溶媒中に活性化合物を要求される量で取り込み、その後、必要に応じて、無菌化精密濾過することによって、調製され得る。
【0456】
一般に、分散物は、基本分散媒および上に列挙したものからの要求される他の成分を含む無菌のビヒクル中に活性化合物を取り込むことによって調製される。無菌の注射可能な溶液の調製のための無菌の粉末の場合、調製の好ましい方法は、その以前に無菌濾過された溶液から、活性成分プラス任意のさらなる所望の成分の粉末を得る、真空乾燥およびフリーズドライ(凍結乾燥)である。
【0457】
本開示の医薬組成物は、点眼投与に適切な製剤で、調製、包装または販売され得る。かかる製剤は、例えば、水性または油性液体担体中の活性成分の0.1%~1.0%(w/w)溶液または懸濁物を例えば含む点眼薬の形態であり得る。かかる点眼薬は、緩衝剤、塩、または本明細書に記載されるさらなる成分のうち1つ以上の他のものをさらに含み得る。有用な他の点眼投与可能な製剤には、微結晶形態で、またはリポソーム調製物中に、活性成分を含むものが含まれる。
【0458】
本明細書で使用する場合、「さらなる成分」には、以下のうち1つ以上が含まれるがこれらに限定されない:賦形剤;表面活性剤;分散剤;不活性希釈剤;造粒および崩壊剤;結合剤;滑沢剤;甘味剤;香味剤;着色剤;防腐剤;生理学的に分解可能な組成物、例えば、ゼラチン;水性ビヒクルおよび溶媒;油性ビヒクルおよび溶媒;懸濁化剤;分散剤または湿潤剤;乳化剤、乳化破壊剤(demulcent);緩衝液;塩;増粘剤;フィラー;乳化剤;抗酸化剤;抗生物質;抗真菌剤;安定化剤;および薬学的に許容できるポリマー性または疎水性材料。本開示の医薬組成物中に含められ得る他の「さらなる成分」は、当該分野で公知であり、例えば、本明細書で参照によって組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences、Genaro編、Mack Publishing Co.、Easton、PA(1985)に記載されている。
【0459】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、水性緩衝溶液1mL中100mgの抗CD1a抗体(例えば、AB571)またはその抗原結合性断片を含有するバイアル中に製剤化される。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、水性緩衝溶液1mL中150mgの抗CD1a抗体(例えば、AB571)またはその抗原結合性断片を含有するバイアル中に製剤化される。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、任意選択により皮下投与のために、水性緩衝溶液1mL中15mg、40mg、100mg、300mg、または600mgの抗CD1a抗体(例えば、AB571)またはその抗原結合性断片を含有するバイアル中に製剤化される。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、任意選択により静脈内投与のために、水性緩衝溶液1mL中500mgの抗CD1a抗体(例えば、AB571)またはその抗原結合性断片を含有するバイアル中に製剤化される。
【0460】
一部の実施形態では、医薬組成物は、約25mg/mL、50mg/mL、75mg/mL、100mg/mL、125mg/mL、150mg/mlの抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、約100mg/mLの抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、SCおよび/またはIV投与に適した医薬組成物は、約100mg/mLの抗CD1a抗体(例えば、AB571)またはその抗原結合性断片を含む。
【0461】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号54または配列番号73のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む無菌の水溶液として、静脈内または皮下製剤で投与される。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号24のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む無菌の水溶液として、静脈内または皮下製剤で投与される。一部の実施形態では、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号54または配列番号73のアミノ酸配列を含むポリペプチドおよび配列番号24のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む無菌の水溶液として、静脈内または皮下製剤で投与される。
【0462】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体(例えば、AB571)またはその抗原結合性断片は、約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mLの抗体、約25mg/mL、約50mg/mL、約75mg/ml、約100mg/mL、約125mg/mL、または約150mg/mLの抗体またはその抗原結合性断片を含有する無菌の水溶液である静脈内または皮下製剤として投与される。一部の実施形態では、静脈内または皮下製剤は、約5~6の範囲のpHで酢酸ナトリウム、ポリソルベート80、および塩化ナトリウムを含む無菌の水溶液である。一部の実施形態では、静脈内製剤は、pH5.5で、20mM酢酸ナトリウム、0.2mg/mLポリソルベート80および140mM塩化ナトリウムと共に、5または10mg/mLの抗体を含む、無菌の水溶液である。さらに、抗体またはその抗原結合性断片を含む溶液は、多くの他の化合物の中でも、グルタミン酸、ヒスチジン、マンニトール、スクロース、トレハロース、グリシン、ポリ(エチレン)グリコール、EDTA、メチオニン、ポリソルベート80およびそれらの任意の組み合わせ、ならびに当該分野で公知の多くの他の化合物を含み得る。
【0463】
一実施形態では、本開示の医薬組成物は、以下の構成要素を含む:pH5.8で、50mg/mLまたは100mg/mLの本開示の抗CD1a抗体(例えば、AB571)または抗原結合性断片、20mMヒスチジン、8.5%スクロースおよび0.02%ポリソルベート80、0.005%EDTA。一実施形態では、医薬組成物は、以下の構成要素を含む:pH5.8で、100mg/mLの本開示の抗CD1a抗体(例えば、AB571)または抗原結合性断片、10mMヒスチジン、5%スクロースおよび0.01%ポリソルベート80。
【0464】
一部の実施形態では、医薬組成物は、100mg/mLの濃度の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片(例えば、AB571)、1.12mg/mL L-ヒスチジン、2.67mg/mL L-ヒスチジン塩酸塩一水和物、85mg/mLスクロース、0.05mg/mLエデト酸二ナトリウム二水和物および0.2mg/mLポリソルベート80 pH5.8を公称充填体積1.0mLで含む。かかる医薬組成物は、SCまたはIV投与に適したものである。
【0465】
かかる医薬組成物は、液体製剤として、または凍結乾燥された粉末として、提供され得る。粉末が最大体積で再構成される場合、組成物は、同じ製剤を保持する。あるいは、粉末は、半分体積で再構成され得、その場合、組成物は、同じ構成要素を含むが、濃度が2倍である。
【0466】
治療剤に関して、この薬剤が例えば組み合わせ治療において使用される小分子である場合、これは、当該分野で周知のように、例えば、生理的に許容できるカチオンまたはアニオンと組み合わせた、生理的に許容できるエステルまたは塩の形態で、医薬組成物中に存在し得る。
【0467】
本明細書に記載される医薬組成物の製剤は、薬理学の分野で公知のまたは今後開発される任意の方法によって調製され得る。一般に、かかる調製方法は、活性成分を、担体または1つ以上の他の補助成分と関連させるステップ、および次いで、必要な場合または望ましい場合、産物を所望の単回用量単位または複数用量単位へと成形または包装するステップを含む。
【0468】
一部の実施形態では、本開示の組成物は、エンドトキシンおよび/または関連の発熱性物質を実質的に含まない、発熱物質を含まない製剤である。エンドトキシンには、微生物の内側に制限される毒素が含まれ、これは、微生物が破壊または死亡した場合に放出される。発熱性物質には、細菌および他の微生物の外膜からの、発熱誘導性の熱安定性物質(糖タンパク質)もまた含まれる。これらの物質は、ヒトに投与されると、発熱、低血圧およびショックを引き起こし得る。潜在的な有害作用に起因して、静脈内投与される医薬薬物溶液から、低い量のエンドトキシンでさえも除去することが有利である。食品医薬品局(「FDA」)は、静脈内薬物適用のための、単一の1時間の期間における、体重1キログラム当たり1用量当たり、5エンドトキシン単位(EU)の上限を設定している(The United States Pharmacopeial Convention、Pharmacopeial Forum 26(1):223(2000))。治療的タンパク質が、体重1キログラム当たり数百または数千ミリグラムの量で投与される場合、微量のエンドトキシンでさえも除去することが有利である。一実施形態では、組成物中のエンドトキシンおよび発熱物質のレベルは、10EU/mg未満、または5EU/mg未満、または1EU/mg未満、または0.1EU/mg未満、または0.01EU/mg未満、または0.001EU/mg未満である。別の実施形態では、組成物中のエンドトキシンおよび発熱物質のレベルは、約10EU/mg未満、または約5EU/mg未満、または約1EU/mg未満、または約0.1EU/mg未満、または約0.01EU/mg未満、または約0.001EU/mg未満である。
【0469】
投薬および投与
本開示の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬または無菌の組成物を調製するために、抗体は、薬学的に許容できる担体または賦形剤(上記を参照のこと)と混合される。治療剤および診断剤の製剤は、例えば、凍結乾燥された粉末、スラリー、水溶液、ローションまたは懸濁物の形態の、生理学的に許容できる担体、賦形剤または安定剤と混合することによって調製され得る(例えば、Hardmanら(2001)Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics、McGraw-Hill、New York、N.Y.;Gennaro(2000)Remington:The Science and Practice of Pharmacy、Lippincott,Williams,and Wilkins、New York、N.Y.;Avisら(編)(1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications、Marcel Dekker、NY;Liebermanら(編)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets、Marcel Dekker、NY;Liebermanら(編)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems、Marcel Dekker、NY;WeinerおよびKotkoskie(2000)Excipient Toxicity and Safety、Marcel Dekker,Inc.、New York、N.Y.を参照のこと)。
【0470】
治療薬のために投与レジメンを選択することは、実体の血清または組織ターンオーバー速度、症状のレベル、実体の免疫原性、および生物学的マトリックス中の標的細胞のアクセス可能性が含まれるいくつかの因子に依存する。ある特定の実施形態では、投与レジメンは、許容できるレベルの副作用と合致した、患者に送達される治療薬の量を最大化する。したがって、送達される生物製剤の量は、特定の実体、および処置されている状態の重症度に一部依存する。抗体、サイトカインおよび小分子の適切な用量を選択する際のガイダンスは、入手可能である(例えば、Wawrzynczak、1996、Antibody Therapy、Bios Scientific Pub.Ltd、Oxfordshire、UK;Kresina(編)、1991、Monoclonal Antibodies,Cytokines and Arthritis、Marcel Dekker、New York、N.Y.;Bach(編)、1993、Monoclonal Antibodies and Peptide Therapy in Autoimmune Diseases、Marcel Dekker、New York、N.Y.;Baertら、New Engl.J.Med.2003;348:601~608;Milgromら、New Engl.J.Med.1999;341:1966~1973;Slamonら、New Engl.J.Med.2001;344:783~792;Beniaminovitzら、New Engl.J.Med.2000;342:613~619;Ghoshら、New Engl.J.Med.2003;348:24~32;Lipskyら、New Engl.J.Med.2000;343:1594~1602を参照のこと)。
【0471】
適切な用量の決定は、例えば、当該分野で公知の、または処置に影響を与えると疑われるもしくはは処置に影響を与えると予測される、パラメーターまたは因子を使用して、臨床医によってなされる。一般に、用量は、最適な用量よりもいくらか少ない量で開始し、任意の負の副作用と比較して所望のまたは最適な効果が達成されるまで、その後小さい増分ずつ増加される。特定の投薬プロトコールは、著しい望ましくない副作用を回避する最大用量または投薬頻度を伴うものであり得る。
【0472】
一部の実施形態では、CD1a機能活性、例えば、(a)CD1aのT細胞受容体への結合;(b)CD1aにより媒介されるT細胞への脂質提示および引き続くT細胞の活性化;(c)CD1a依存性CD69発現;(d)CD1a依存性IL-2産生;(e)CD1a依存性血清IgEレベル増加;(f)CD1a依存性抗原特異的IgE抗体増加;および(g)CD1a依存性アトピー性皮膚炎関連遺伝子(例えば、これらに限定されないが、TSLP、FLG、IL-33、CCL-26、IL-23p40、CCL-20、および/またはCCL-20)発現レベル増加を低減させる、中和する、阻害するために、有効用量の抗CD1a抗体が投与される。
【0473】
本明細書で使用する場合、薬物、化合物または医薬組成物の「有効投薬量」、「有効用量」、「有効量」または「治療有効量」は、任意の1つ以上の有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な量である。予防的使用について、有益なまたは所望の結果には、リスクを排除もしくは低減させること、重症度を低下させること、または疾患、その合併症、および疾患の発達の間に存在する中間の病理学的表現型の生化学的、組織学的および/もしくは行動学的症状を含む、疾患の開始を遅延させることが含まれる。治療的使用について、有益なまたは所望の結果には、検出可能な臨床結果、例えば、体重減少の比率を低減もしくは減少させること、またはCD1aの発現から生じる1つ以上の症状を低減させること、疾患を処置するために要求される他の薬物療法の用量を減少させること、別の薬物療法の効果を増強すること、および/もしくは患者の疾患の進行を遅延させること、が含まれる。有効投薬量は、1つ以上の投与で投与され得る。本開示の目的のために、薬物、化合物、または医薬組成物の有効投薬量は、予防的処置または治療的処置を直接的または間接的に達成するのに十分な量である。臨床状況において理解されるように、薬物、化合物、または医薬組成物の有効投薬量は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と併せて達成されてもされなくてもよい。したがって、「有効投薬量」は、1つ以上の治療剤を投与する観点から検討され得、単一の薬剤は、1つ以上の他の薬剤と併せて、望ましい結果が達成され得るまたは達成される場合に、有効量で与えられたとみなされ得る。
【0474】
一部の実施形態では、有効用量の抗CD1a抗体は、これらに限定されないが、AD、接触皮膚炎、乾癬およびIBDなどの炎症性疾患を有する患者に投与される。
【0475】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体(例えば、Ab571)の有効用量は、これらに限定されないが、AD、接触皮膚炎、乾癬およびIBDなどの炎症性疾患が含まれるがこれらに限定されない、CD1aの発現および/またはCD1a活性と関連するまたはそれによって媒介される疾患、障害および状態を処置および/または予防するために投与される。
【0476】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体(例えば、Ab571)の有効用量は、ADの徴候または症状の発生を予防するまたは低減させるために投与される。一部の実施形態では、抗CD1a抗体(例えば、Ab571)の予防的投与は、1回投与される。一部の実施形態では、抗CD1a抗体(例えば、Ab571)の予防的投与は、継続的に投与される(例えば、ある期間にわたって1回以上の投薬)。
【0477】
一部の実施形態では、方法または使用は、約1mg~約1000mgの用量を投与することを含む。一部の実施形態では、方法または使用は、約1mg~1000mgの用量を初期固定用量として投与することを含む。一部の実施形態では、方法または使用は、約1mg~約2mg、約2mg~約5mg、約5mg~約10mg、約10mg~約20mg、約20mg~約30mg、約30mg~約40mg、約40mg~約50mg、約50mg~約60mg、約60mg~約70mg、約70mg~約80mg、約80mg~約90mg、約90mg~約100mg、約100mg~約150mg、約150mg~約200mg、約200mg~約300mg、約300mg~約400mg、約400mg~約500mg、約500mg~約600mg、約600mg~約700mg、約700mg~約800mg、約800mg~約900mgまたは約900mg~約1000mgの用量を任意選択により初期固定用量として投与することを含む。一部の実施形態では、方法または使用は、抗CD1a抗体もしくはその抗原結合性断片またはその医薬組成物の約15mg、30mg、40mg、50mg、75mg、100mg、150mg、300mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mgまたは1000mgの用量を投与することを含む。一部の実施形態では、用量は、初期固定用量である。
【0478】
一部の実施形態では、方法または使用は、本発明の抗CD1a抗体もしくはその抗原結合性断片またはその医薬組成物の約2mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、75mg、100mg、125mgまたは150mgの用量を投与することを含む。一部の実施形態では、方法または使用は、本発明の抗CD1a抗体もしくはその抗原結合性断片またはその医薬組成物の約2mg、10mg、30mg、50mg、75mg、100mg、125mgまたは150mgの用量を毎週投与することを含む。一部の実施形態では、方法または使用は、抗CD1a抗体(例えば、AB571)もしくはその抗原結合性断片またはその医薬組成物の約2mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、75mg、100mg、125mgまたは150mgの用量を、毎週、皮下投与することを含む。
【0479】
一部の実施形態では、方法または使用は、抗体もしくはその抗原結合性断片または医薬組成物の約0.01mg/kg~約300mg/kg、約1mg/kg~約250mg/kg、約10mg/kg~約200mg/kg、約50mg/kg~約150mg/kgまたは約75mg/kg~約100mgの用量を、任意選択により初期用量として投与することを含む。初期用量には、1つ以上の引き続く用量が後に続き得る。一部の実施形態では、1つ以上の引き続く用量は、毎週、1週間おき、3週間毎、4週間毎、5週間毎、6週間毎、7週間毎、8週間毎、9週間毎、10週間毎、11週間毎または12週間毎の少なくともいずれかで投与され得る。
【0480】
初期用量には、1つ以上の引き続く用量が後に続き得る。一部の実施形態では、引き続く用量は、抗CD1a抗体の、初期用量と比較して同じ用量、より少ない用量またはより多い用量である。一部の実施形態では、1つ以上の引き続く用量は、毎週、1週間おき、3週間毎、4週間毎、5週間毎、6週間毎、7週間毎、8週間毎、9週間毎、10週間毎、11週間毎または12週間毎の少なくともいずれかで投与され得る。特定の投薬プロトコールは、著しい望ましくない副作用を回避する最大用量または投薬頻度を伴うものである。
【0481】
本開示の医薬組成物は、当該分野で公知の種々の方法のうち1つ以上を使用して1つ以上の経路の投与によっても投与され得る。当業者には理解されるように、投与の経路および/または形式は所望の結果に応じて変動する。本開示の抗体のために選択される投与の経路には、例えば、注射または注入による、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、脊髄または他の非経口経路の投与が含まれる。非経口投与は、通常は注射による、経腸および局部投与以外の投与形式であり得、限定なしに、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内注射および注入が含まれる。あるいは、本開示の組成物は、非経口でない経路、例えば、局部、表皮または粘膜投与経路によって、例えば、鼻腔内、経口、膣、直腸、舌下または局部に投与され得る。
【0482】
一部の実施形態では、本開示の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は静脈内投与される。一部の実施形態では、本開示の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は皮下投与される。一部の実施形態では、本開示の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、局部に投与される。
【0483】
一部の実施形態では、本開示の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、毎週、静脈内または皮下投与される。一部の実施形態では、本開示の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、約15mg、約30mg、約40mg、約100mg、約150mg、約300mg、または約600mgの単位用量で、毎週、皮下投与される。一部の実施形態では、本開示の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、約150mgまたは約500mgの単位用量で、毎週、静脈内投与される。
【0484】
一部の実施形態では、対象は、本開示の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を毎週投与され、疾患(例えば、AD)の少なくとも1つの徴候および/または症状の処置および/または予防において有効である、治療的に活性な化合物または処置モダリティを毎日、毎週、隔週、毎月、または必要に応じて投与される。本開示は、本開示の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物を単独で、または他の治療と組み合わせて、それを必要とする対象に投与するためのプロトコールを提供する。本開示の組み合わせ治療の治療(例えば、予防剤または治療剤)は、対象に、付随的または逐次的に投与され得る。本開示の組み合わせ治療の治療(例えば、予防剤または治療剤)は、周期的にも投与され得る。
【0485】
一部の実施形態では、抗CD1a抗体もしくはその抗原結合性断片またはそれを含む医薬組成物は、約1週間に2回、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間毎に1回、6週間毎に1回、7週間毎に1回、8週間毎に1回、9週間毎に1回、10週間毎に1回、1カ月に2回、1カ月に1回、2カ月毎に1回、3カ月毎に1回、4カ月毎に1回、5カ月毎に1回、6カ月毎に1回、7カ月毎に1回、8カ月毎に1回、9カ月毎に1回、10カ月毎に1回、11カ月毎に1回または12カ月毎に1回、投与される。一部の実施形態では、抗CD1a抗体もしくはその抗原結合性断片またはそれを含む医薬組成物は、約4週間毎に1回、投与される。
【0486】
一部の実施形態では、本開示の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回または5週間毎に1回、静脈内または皮下投与される。一部の実施形態では、本開示の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、約15mg、約30mg、約40mg、約100mg、約150mg、約300mg、または約600mgの単位用量で、2週間毎に1回、3週間毎に1回または4週間毎に1回、皮下投与される。一部の実施形態では、本開示の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、約30mgの単位用量で、4週間毎に1回(Q4W)、皮下投与される。
【0487】
一部の実施形態では、用量の一部は、静脈内ボーラスによって投与され、用量の残りは、抗体製剤の注入によって投与される。例えば、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片の0.01mg/kg静脈内注射は、ボーラスとして与えられ得、抗体用量の残りは、静脈内注射によって投与され得る。所定の用量の抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片は、例えば、1時間半~2時間~5時間の期間にわたって、投与され得る。
【0488】
必要であれば、組成物は、可溶化剤、および、注射部位の疼痛を和らげるためのリドカインなどの局所麻酔薬もまた含み得る。さらに、例えば、吸入器またはネブライザー、およびエアロゾル化剤を伴う製剤の使用により、経肺投与もまた使用され得る。例えば、それぞれの全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,019,968号、同第5,985,320号、同第5,985,309号、同第5,934,272号、同第5,874,064号、同第5,855,913号、同第5,290,540号、および同第4,880,078号;およびPCT公開第WO92/19244号、同第WO97/32572号、同第WO97/44013号、同第WO98/31346号、および同第WO99/66903号を参照のこと。
【0489】
キット
本開示は、本明細書に記載される抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片のいずれかまたは全てを含むキットもまた提供する。本開示のキットは、本明細書に記載される抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片および本明細書に記載される本開示の方法のいずれかに従った使用に関する指示を含む1つ以上のコンテナを含む。一般に、これらの指示は、上記の治療的処置のための抗体の投与に関する記載を含む。一部の実施形態では、キットは、単回投薬の投与単位を生じさせるために提供される。ある特定の実施形態では、キットは、乾燥タンパク質を有する第1のコンテナおよび水性製剤を有する第2のコンテナの両方を含み得る。ある特定の実施形態では、アプリケーター、例えば、単一のおよび複数チャンバーの事前充填シリンジまたはデバイス(例えば、液体シリンジおよびリオシリンジ(lyosyringe))を含むキットが含まれる。
【0490】
一部の実施形態では、キットは、抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片を含むアプリケーターを含み、ここで、アプリケーターは、患者(例えば、ADを有する患者)による自己投与のために設計されたまたはそれが許容できるものである。一部の実施形態では、自己投与は皮下投与による。
【0491】
抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片の使用に関する指示は、一般に、意図した処置のための投薬量、投薬スケジュール、および投与の経路(例えば、SCまたはIV)に関する情報を含む。コンテナは、単位用量、バルク包装(例えば、多用量包装)またはサブ単位用量であり得る。本開示のキット中に供給される指示は、典型的には、ラベルまたは添付文書(例えば、キット中に含まれる紙シート)上の書面による指示であるが、機械可読指示(例えば、磁気または光学保存ディスク上で運搬される指示)もまた許容できる。
【0492】
本開示のキットは、適切な包装中にある。適切な包装には、バイアル、ボトル、ジャー、可撓性包装(例えば、密封Mylarまたはプラスチックバッグ)などが含まれるがこれらに限定されない。特定のデバイス、例えば、インヘラー、経鼻投与デバイス(例えば、アトマイザー)または注入デバイス、例えば、ミニポンプと組み合わせた使用のための包装もまた企図される。キットは、無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、コンテナは、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであり得る)。コンテナもまた、無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、コンテナは、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性な薬剤は、本開示の抗CD1a抗体である。コンテナは、さらなる治療剤をさらに含み得る。
【0493】
一実施形態では、これに限定されないがADなどの炎症性疾患の症状の処置または予防において有効である第2の治療的に活性な化合物または処置モダリティをさらに含むキットが存在し、ここで、抗CD1a抗体および第2の化合物またはモダリティの量が一緒になって、炎症性疾患の症状の処置または予防において相乗効果を達成する、即ち、組み合わせが「相乗的」である(即ち、組み合わせが、2つ以上の個々の治療の単なる相加効果よりも大きい効果を提供する)。相乗的組み合わせ治療を含むかかるキットにより、投与される治療剤をより少ない投薬量で有利に利用し、したがって、種々の単剤療法と関連する可能性のある毒性または合併症を回避することができる。
【0494】
一部の実施形態では、キットは、例えば、IL-1a、IL-1b、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、IL-25、IL-26、IL-31、IL36、IFNα、IFNγのうち1つまたは複数に対するアンタゴニスト、もしくはそれらのそれぞれの受容体のアンタゴニスト、抗炎症剤、組換えインターフェロンガンマ、NSAID、ステロイド、カルシニューリン阻害剤、デュピルマブおよび/またはコルチコステロイドが含まれる、ADの徴候および/または症状の処置または予防のために有用な少なくとも1つのさらなる治療的に活性な化合物をさらに含み得る。
【0495】
キットは、任意選択により、さらなる構成要素、例えば、緩衝液および説明情報を提供し得る。通常、キットは、コンテナ、およびコンテナ上にあるまたはそれと関連したラベルまたは添付文書を含む。
【0496】
本開示は、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性断片のいずれかまたは全てを含む診断用キットもまた提供する。診断用キットは、例えば、サンプル中のCD1aの存在を検出するために有用である。一部の実施形態では、診断用キットは、個体をCD1aに媒介される疾患、障害または状態を発生するリスクにさらす可能性がある不顕性の疾患、障害または状態を有する個体を同定するために使用され得る。一部の実施形態では、診断用キットは、CD1aに媒介される疾患、障害または状態を有する疑いがある個体におけるCD1aの存在および/またはレベルを検出するために使用され得る。
【0497】
本開示の診断用キットは、本明細書に記載される抗CD1a抗体またはその抗原結合性断片および本明細書に記載される本開示の方法のいずれかに従った使用に関する指示を含む1つ以上のコンテナを含む。一般に、指示は、CD1aに媒介される疾患、障害または状態、例えばADのリスクがあるまたはそれを有する疑いがある個体におけるCD1aの存在を検出するための、CD1a抗体またはその抗原結合性断片の使用に関する記載を含む。一部の実施形態では、例示的な診断用キットは、例えば、CD1a抗体またはその抗原結合性断片、陰性対照サンプル、陽性対照サンプルなどの試薬、およびキットの使用に関する指図を含有するように構成され得る。
【0498】
生物学的寄託
抗CD1a Ab571の重鎖および軽鎖は、2020年7月29日に、ブダペスト条約による条項に従ってAmerican Type Culture Collection(ATCC)、10801 University Boulevard、Manassas、Va.20110~2209、USAに寄託された。
【0499】
【0500】
これらの寄託は、特許手続き上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約の条項およびその規則(ブダペスト条約)の規定の下で行われた。これは、寄託の日から30年間にわたって寄託物の生存可能な培養物の維持を保証する。寄託物は、Pfizer Inc.とATCCとの間での同意を条件として、ブダペスト条約の条項の下でATCCによって入手可能にされ、これは、関連する米国特許の発行の際、または任意の米国もしくは外国の特許出願の公衆への公開の際のいずれか早い方の時点における、公衆への寄託物の培養物の子孫の恒久的かつ無制限の入手可能性を保証し、米国特許商標庁長官が米国特許法122条およびそれに従う長官規則(特に886 OG 638に関連した米国特許規則1.14を含む)に従って資格ありと決定した者への子孫の入手可能性を保証する。
【0501】
本出願の譲受人は、寄託にかかる材料の培養物が、適切な条件下で培養した場合に万一死んだり失われたり破壊されたりしたときには、通知があり次第それらの材料が同一物の別のもので速やかに置き換えられることに同意している。寄託された材料の入手可能性は、その特許法に従って任意の政府の権限の下で与えられた権利に違反して本発明を実施することの許諾として解釈すべきではない。
【0502】
一般技術
本発明は、当然変動し得る、それを作製する特定の合成方法に限定されないことを理解すべきである。本明細書で他に定義されない限り、本発明と併せて使用される科学用語および技術用語は、当業者が一般に理解する意味を有するものとする。さらに、文脈が他を要求しない限り、単数形の用語は、複数を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。一般に、本明細書に記載される細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学ならびにタンパク質および核酸化学、ならびにハイブリダイゼーションと併せて使用される術語体系、ならびにそれらの技術は、当該分野で周知かつ一般に使用されるものである。
【0503】
本発明の実施は、他に示されない限り、当業者の技術範囲内にある分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来技術を使用する。かかる技術は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(Sambrookら、1989)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984);Methods in Molecular Biology、Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis編、1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney編、1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.MatherおよびP.E.Roberts、1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle、J.B.GriffithsおよびD.G.Newell編、1993~1998)J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.MillerおよびM.P.Calos編、1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編、1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction(Mullisら編、1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編、1991);SambrookおよびRussell、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY(2001);Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、NY(2002);HarlowおよびLane、Using Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY(1998);Coliganら、Short Protocols in Protein Science、John Wiley & Sons、NY(2003);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons、1999);Immunobiology(C.A.JanewayおよびP.Travers、1997);Antibodies(P.Finch、1997);Antibodies:a practical approach(D.Catty.編、IRL Press、1988~1989);Monoclonal antibodies:a practical approach(P.ShepherdおよびC.Dean編、Oxford University Press、2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.HarlowおよびD.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999);The Antibodies(M.ZanettiおよびJ.D.Capra編、Harwood Academic Publishers、1995)などの文献中で完全に説明されている。
【0504】
酵素反応および精製技術は、当該分野で一般に達成されるように、または本明細書に記載されるように、製造業者の仕様書に従って実施される。本明細書に記載される分析化学、生化学、免疫学、分子生物学、合成有機化学ならびに医薬品化学および薬化学と併せて使用される術語体系、ならびにそれらの実験室手順ならびに技術は、当該分野で周知かつ一般に使用されるものである。標準的な技術が、化学的合成、化学的分析、医薬の調製、製剤および送達、ならびに患者の処置のために使用される。
【0505】
等価物
上述の説明および以下の実施例は、本開示のある特定の具体的な実施形態を詳述し、本発明者らによって企図される最良の形態を記載する。しかし、上述がテキスト中に出現し得ることがどんなに詳述されても、本開示が多くの方法で実施され得、本開示が添付の特許請求の範囲およびその任意の等価物に従って実施されるべきであることが、理解される。
【0506】
開示された教示は、種々の適用、方法、キットおよび組成物に関して記載されてきたが、種々の変化および改変が、本明細書の教示および以下の特許請求される開示から逸脱することなしになされ得ることが理解される。以下の実施例は、開示された教示をよりよく説明するために提供されるのであって、本明細書に提示された教示の範囲を限定することを意図しない。本明細書の教示は、これらの例示的な実施形態に関して記載されてきたが、当業者は、これらの例示的な実施形態の多数のバリエーションおよび改変が過度の実験なしに可能であることを容易に理解する。全てのかかるバリエーションおよび改変は、本明細書の教示の範囲内である。
【0507】
特許、特許出願、論文、教科書などを含む、本明細書で引用される全ての参考文献、ならびにまだ引用されていない範囲までその中で引用される参考文献は、それらの全体が本明細書で参照によって組み込まれる。組み込まれた文献および類似の資料のうち1つ以上が、定義された用語、用語の用法、記載された技術などが含まれるがこれらに限定されない本出願とは異なるまたはそれと矛盾する場合、本出願が支配する。
【実施例】
【0508】
本発明がより良く理解され得るように、以下の実施例が示される。これらの実施例は、例示のみを目的としており、本発明の範囲をいかなる方法によっても限定しないと解釈すべきである。
【0509】
(実施例1)
ラットハイブリドーマからの抗CD1a抗体の同定およびキメラIgGの試験。
雌Sprague Dawleyラットを、ヒト単鎖CD1a-β2M組換えタンパク質(配列番号2)をRIBIアジュバントと一緒に用い、週2回、4週間にわたって免疫化した。抗原-アジュバント混合物を動物に腹腔内注射によって与えた。投薬期間の最後に、試験出血液を、免疫化された動物から採取し、ヒトおよびカニクイザルCD1a-β2M組換えタンパク質に対する力価をELISAによって決定した。さらに、試験出血液の反応性を、ヒトまたはカニクイザルCD1aタンパク質を細胞表面上に安定に発現するCHO細胞、ならびにCD1aを発現しない親CHOに対してもフローサイトメトリーによって調査した。
【0510】
組換えおよび細胞表面CD1aタンパク質の両方に対して強力な力価を有する動物をハイブリドーマ作出のために選択した。簡単に述べると、免疫化された動物から脾臓を回収し、単離された脾細胞をマウスP3X63Ag8.653骨髄腫細胞(ATCC、cat#CRL-1580)と融合した。得られた融合物を、HAT(ヒポキサンチンナトリウム塩、アミノプテリンおよびチミジン)を含有する培地中で成長させることによって選択した。首尾よく融合したハイブリドーマを、まず、ヒトまたはカニクイザルCD1a-β2M組換えタンパク質に対する反応性についてスクリーニングした。融合タンパク質のβ2M部分を特異的に認識するハイブリドーマを除外するために、ハイブリドーマを、β2Mポリペプチドを含有するヒトFcRnタンパク質に対してカウンタースクリーニングした。ヒトおよびカニクイザルCD1a反応性ハイブリドーマを、細胞表面CD1aを特異的に認識するハイブリドーマを同定するために、CHO/ヒトCD1aおよびCHO/カニクイザルCD1a細胞に対する反応性についてさらにスクリーニングした。さらに、他のCD1ファミリーメンバーに対する交差反応性を示すハイブリドーマをさらに除外するために、ハイブリドーマを、ヒトCD1bまたはCD1cタンパク質を安定に発現するCHO細胞に対してもスクリーニングした。次いで、CD1a特異的モノクローナル抗体を産生したハイブリドーマの最終的なパネルを、下記のようにin vitroにおける操作されたT細胞株のCD1a依存性活性化を阻害する能力について試験した。
【0511】
T細胞活性化アッセイのために、ヒトCD1aをトランスフェクトしたC1R細胞(C1R-huCD1a細胞)を、CD1aを特異的に認識するT細胞受容体(TCR)対立遺伝子BK6を発現するJurkat 76(J76)細胞と共にインキュベートした(Birkinshawら、Nature Immunol 2015 Mar;16(3):258~66)。ハイブリドーマ上清および対照抗体の非存在下または存在下でのJ76-BK6細胞の活性化を、下記のように、培養培地中へのインターロイキン2(IL-2)分泌をMesoscale Discovery(MSD、K151QQD-4)アッセイによって測定すること、および細胞表面の分化抗原群69(CD69)発現(%CD69+細胞)をフローサイトメトリーによって測定することにより評価した。BK6 TCRへのCD1a結合を遮断した抗体は、IL-2分泌およびCD69発現の両方の抑制を引き起こした。
【0512】
C1R-huCD1a細胞を、力価設定された量のハイブリドーマ上清または精製抗体と共にプレインキュベートし、次いで、J76-BK6細胞と37℃で一晩共培養した。翌日、アッセイプレートを遠心分離し、上清を取り出し、-20℃で凍結させ、後でIL-2の存在についてMSDアッセイを使用して分析した。残りの細胞を緩衝液中に再懸濁し、CD3、CD1a、およびCD69の細胞表面発現について特異的抗体を使用した染色を行った(それぞれBioLegend 344816、300110および310920)。細胞を30分間染色し、洗浄し、フローサイトメーターに流した。次いで、CD1a依存性T細胞活性化を阻害した(即ち、IL-2分泌およびCD69発現の両方を抑制した)ハイブリドーマからの可変重(VH)および可変軽(VL)鎖遺伝子を分子クローニングおよび引き続く分析のために選択した。
【0513】
(実施例2)
ラット抗CD1a抗体重鎖および軽鎖可変領域のクローニング
抗CD1a抗体の重鎖および軽鎖可変領域を、SMART(登録商標)cDNA合成システム(Clontech Laboratories Inc.)を使用してクローニングし、その後PCR増幅した。cDNAを、RNEasyキット(Qiagen)およびSMART(登録商標)IIAオリゴ(Clontech Laboratories Inc.)をSuperscript(商標)III逆転写酵素(Invitrogen)と共に使用して、およそ500,000個のハイブリドーマ細胞から単離した1μgの総RNAから合成した。次いで、cDNAを、SMART(登録商標)IIAオリゴ配列にアニールするプライマーおよびラット定常領域特異的プライマー(軽鎖についてはラットカッパ、重鎖についてはラットIgG1)をQ5(登録商標)High-Fidelity 2X Master Mix(New England Biolabs Inc.)と共に使用するPCRによって増幅した。重鎖および軽鎖PCR産物を、pCR4-TOPOベクター(Invitrogen)中にサブクローニングし、核酸配列を決定した。次いで、可変重領域を、エフェクター機能が消滅するように変異させた(Leu234Ala、Leu235AlaおよびGly237Ala、EU番号付け;米国特許第5,624,821号)ヒトIgG1定常領域(配列番号86)を含有するpTT5哺乳動物発現ベクターにクローニングし、それにより、キメラ重鎖を作出した。可変軽領域を、ヒトカッパの定常領域(配列番号11)を含有するpTT5哺乳動物発現ベクターにクローニングして、キメラ軽鎖を作出した。
【0514】
次いで、キメラ抗体を、標準の技術を使用してヒト胎児由来腎臓(HEK)細胞において発現させ、その細胞から精製し、精製されたキメラ抗体の活性を上記のT細胞活性化アッセイで再度試験した。T細胞活性化アッセイの代表的な結果が
図1A、1Bおよび表1に示される。キメラ抗CD1a抗体は、CD1a依存性CD69発現の減少(
図1A)およびBK6を発現するJ76細胞によるIL-2産生の阻害(
図1B)によって実証された通り、CD1a依存性T細胞活性化を強力に阻害した。
図1Aおよび1Bに示される、この実験によるIC
50値が、表1に示される。OKT6は、市販のCD1a遮断抗体である。OKT6配列は、ATCCから入手したハイブリドーマ(CRL8020(商標))からクローニングされ、キメラヒトIgG1として作製されたものであった。
【0515】
【0516】
(実施例3)
ラット抗CD1a抗体のヒト化
4種のラット抗CD1a抗体(Ab8、Ab36、Ab40およびAb80)の可変領域のヒト化を、当該分野で公知のCDRグラフト戦略(例えば、Hwangら、2005;Methods 36、p35~42)を使用して実施した。抗CD1a抗体の相補性決定領域(CDR)をKabat定義に基づいて決定し(Kabat EA、Wu TT、Perry HM、Gottesman KS、Foeller C.Sequences of Proteins of Immunological Interest.US Department of Health and Human Services、NIH Publication No.91~3242、1991)、例外として、CDR-H1については、ループを、出発点をH31(Kabat)からH26にして延長した。親ラットAbのCDRをヒトアクセプターフレームワーク配列、重鎖についてはIGHV3-7*01および軽鎖についてはIGKV1-39*01に挿入(グラフト)し、それぞれヒトIgG1(エフェクター機能が消滅するように以下のように変異させたもの:Leu234Ala、Leu235AlaおよびGly237Ala、EU番号付け;米国特許第5,624,821号)またはヒトカッパ定常領域を含有するベクター中に合成した。VHおよびVLドメインの両方のフレームワーク領域における親ラット配列への限定された復帰変異を構造モデリングに基づいて導入した。下記のように、AbバリアントをHEK細胞において産生させ、それらの結合活性の保持を、親キメラ(CDRグラフトされていない)抗体に対する競合ELISAを使用して測定した。
【0517】
競合ELISAのために、高結合性Costar ELISAプレートを、ウェル当たり0.1μg(1μg/mLの100μL)のPBS緩衝液中CD1aタンパク質を用いて4℃で一晩コーティングした。次いで、プレートを洗浄し、PBS+3%ウシ血清アルブミン(BSA)を用いて室温で3時間にわたってブロッキングした。種々の濃度(典型的には3倍希釈度)の抗体バリアントを、固定濃度のビオチン化親(キメラ)抗体と予備混合し、混合物をブロッキングしたプレートのウェルに添加した。2時間のインキュベーション後、プレートを洗浄し、ストレプトアビジン-HRP二次試薬と共に1時間インキュベートした。洗浄後、プレートを1構成要素HRP基質と共にインキュベートし、Envisionプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して450nmにおける発色を測定した。
【0518】
図2に示されるように、このアッセイでは、ヒト化クローンAb138およびAb140は親キメラ(CDRグラフトされていない)Ab40と非常に類似した活性を実証し、それらの結合親和性の良好な保持が示唆される。Ab138を、他のクローンと比較した、その全体的な許容できるヒト/カニクイザルCD1a親和性および等価性、合理的な数の予測されるT細胞エピトープおよび化学的に不都合な部位に基づき、さらなる最適化のために選択した。
【0519】
(実施例4)
Ab138 FabとヒトCD1aの共結晶構造の決定
抗CD1a抗体Ab138のFab断片(Fab138)を、全長IgGをパパインで切断し、プロテインA樹脂を使用してFcを除去することによって得た。ヒトβ2M-CD1a-His6タンパク質(配列番号95)をHEK細胞において発現させ、標準の技術を使用して精製した。X線結晶構造解析を使用して、ヒトCD1aタンパク質と複合体を形成したAb138のFabドメインの構造を決定した。
【0520】
結晶化試験のために、ヒトβ2M-CD1a-His6タンパク質をFab138と1:1.5のモル比で混合し、複合体をTBS緩衝液、pH7.5中10mg/mlまで濃縮した。100mMのカコジル酸ナトリウム、pH6.5、100mMの酢酸マグネシウム、および15%PEG6000を含有する条件下でハンギングドロップ蒸気拡散法によって結晶を得た。結晶は、単斜晶系空間群P21と一致する対称性を有し、単位格子パラメーターはa=42.23Å;b=174.13Å;c=120.16Å、β=90.1°であり、結晶学的非対称単位内に2コピーのCD1a-Fab138複合体を有した。Argonne National LaboratoryにおいてIMCA beamline 17-IDで2.14Å分解能までのデータセットを単一の凍結結晶から収集した。
【0521】
autoPROCを使用してデータを処理し、スケーリングを行った。構造を、PDB=4x6fからのCD1aモデルおよび発明者らの内部構造データベースからの最も近い相同的構造に基づいて構築されたFab138の相同性モデルから出発して、PHASERを用いて分子置換によって解明した。2コピーのCD1aおよび2コピーのFab138を検索することによって解を得た。2コピーの複合体をモデルとして用いて計算した、得られた電子密度マップの品質は明確なものであった。いくつかの反復ラウンドのマニュアル調整およびCOOTを使用したモデル再構築およびautoBUSTERを使用した結晶学的精緻化により、CD1a-Fab138の最終的なモデルを得、結晶学的R
workは21.1%であり、R
freeは25.8%であり、ここで、R
work=||F
obs|-|F
calc||/|F
obs|であり、R
freeは、R
workと等価であるが、精緻化プロセスから省かれたランダムに選択された5%の反映について計算される。共結晶構造から、CD1aとAb138の相互作用が明らかになる(
図3)。相互作用残基対を、残基対が以下の5つの基準を満たす場合、相互作用するものと同定した:1)3.8オングストローム以内での交差界面での重原子間(非水素)接触;2)交差界面での塩橋による接触;3)交差界面での水素結合による接触;4)界面にまたがる共有される水分子との3.8オングストローム以内での極性接触;5)遊離状態と結合状態の間での残基接触表面積(ASA)の20平方オングストロームを超える低減、かつ界面にわたる残基における遊離状態と結合状態の間でのASAの少なくとも10平方オングストロームの低減の対応する誘導。56のCD1a/Ab138残基対相互作用が同定され、これには、総アミノ酸残基54:CD1a抗原において26、Ab138重鎖において14、および抗体軽鎖において14が含まれた。
【0522】
相互作用残基を、界面へのそれらの寄与に基づいて3つの階層にさらに分けた。階層1残基(表2に列挙される)は、以下の3つの基準のうち少なくとも1つを満たした:1)ASAの>80平方オングストロームが界面によって埋没する;2)遊離状態にあるASAの>90%が界面によって埋没し、かつASAの>30平方オングストロームが界面によって埋没する;3)3.8オングストローム以内の交差界面での重原子間接触が>6であり、かつ交差界面での塩橋または水素結合接触が>1である。階層2残基は、階層1基準のいずれも満たさないが、以下の4つの緩い基準のうち少なくとも1つを満たす:1)ASAの>40平方オングストロームが界面によって埋没する;2)遊離状態にあるASAの>50%が界面によって埋没する;3)3.8オングストローム以内の交差界面での重原子間接触が>4である;4)交差界面での塩橋または水素結合接触が>1である。階層1基準も階層2基準も満たさない相互作用残基は階層3にカテゴリー化される。階層1の界面残基およびそれらの相互作用特性を界面全体の特性と共に表2に要約する。3つ全ての階層カテゴリーからの残基が表3の配列において強調表示されている。
【0523】
【0524】
【0525】
CD1a上のエピトープ領域(Ab138と相互作用する残基)は、タンパク質の第1および第3のヘリックス領域に大きく限局されており、これらの領域が一緒になって、相互作用残基26個のうち23個および階層1の相互作用残基9個全てを含む。抗体-抗原界面にある唯一の他のCD1a残基は、第3のヘリックス領域のキャップ形成残基であるQ167およびN168(配列番号1の番号付けに従って)、ならびに、第2のヘリックス領域の前の最終的なベータターン(N末端ドメインのベータシートにおける最後のターン)に存在するN146である。Ab138の対応するパラトープ領域は、6つのCDR全てから、ならびにフレームワーク-L2残基Y49からの寄与残基を含む。H1およびL1以外の全てのCDRが少なくとも5残基をパラトープに寄与し、H3(相互作用残基7個、階層1の相互作用残基4個)が最も大きく関与する。
【0526】
階層1の相互作用残基の中で、3個の残基が界面相互作用に特に関与し、BSAが>100平方オングストロームであり、残基ASAの>90%が結合時に埋没する。抗体側では、重鎖のI99が遊離状態では高度に露出し、結合状態では界面の中心付近で第1のCD1aへリックスと第3のCD1aへリックスの間に包埋される。抗原側では、H170がこの挙動を模倣する;H170も遊離状態では高度に露出し、結合状態ではAb重鎖とAb軽鎖の間に包埋され、3.8オングストローム以内で、全部で18の交差鎖接触がなされ、そのうち2つは水素結合である。さらに、抗原側では、E82が抗体H3ループによって囲まれ、ループ内の4つの残基と相互作用する;E82はまた、抗体軽鎖からの残基1つとも相互作用する。
【0527】
界面にわたって6つの塩橋が存在し、6つのうち5つは界面の外縁部に存在する;6番目のA-R93/L-D32はより中心部に存在する。塩橋と共在するものとは離れて、20の水素結合によっても界面が架橋される;これらのうち5つは、共有される水分子によって媒介されるものである。全部で、CD1aとAb138の間の2397平方オングストロームの表面積が界面に埋没する。Protein Data Base結晶構造X6Cによって明らかになる通り、CD1a/Ab138界面はCD1a/BK6 TCR界面と同様である(Birkinshawら、Nature Immunol.16(3)、258~266、2015に記載されている)。Ab138とBK6のCD1a上のエピトープの重複が
図4に例示される。BK6アルファ鎖は、Ab138の重鎖と同様のCD1aに対する相対的位置を占める;BK6ベータ鎖とAb138の軽鎖は同様ではないが、特にCDR3内でいくらか重複する。BK6は16個のCD1a残基と3.8オングストローム接触をなす。これらのうち13個はAb138とも3.8オングストローム接触をなす;このセットの残りの3個のCD1a残基のうち2個はAb138から3.8オングストローム以内にないが、他の手段によって相互作用する;最後の残りの残基(Glu-171)はAb138と相互作用しない。BK6アルファ鎖は、2つのTCR鎖のうち、より大きく関与し、3つのCDR全てにわたって9個の残基がCD1aと接触する。BK6ベータ鎖はCD1aと接触する残基を5個しか有さず、これらの残基は全てCDR3内にある。
【0528】
(実施例5)
結晶構造に基づく合理的設計を使用したファージディスプレイによるAb138の親和性成熟および配列最適化。
次に、下記のように、潜在的な免疫原性リスクを低減させるためにAb138の配列最適化を実施した。
【0529】
免疫原性リスク予測
ヒト化抗CD1a抗体Ab138の免疫原性リスクを、MHCIIペプチド結合の予測のためのin silicoツールを使用して予測した。これらのツールを以下のために使用した:(1)配列中の各個々のペプチドについての潜在的MHCII結合のエピトープ同定、(2)潜在的MHCIIペプチド結合子のリスクを評価するためのエピトープ分類、および(3)MHCII結合関連の免疫原性リスクを有する配列全体の全体的リスクを予測するための全体的配列スコア。これらの方法は以下に記載される。
【0530】
エピトープ同定
配列を2つのプロトコール(下記の「プロトコール1」および「プロトコール2」と表示される)を使用して分析して、エピトープを同定した。いずれかのプロトコールについて本明細書に記載される規則によってフラグ付けされた任意の配列を、エピトープとみなした。これらの同定方法は、主にアミノ酸9マーのレベルで配列を試験するものである。
【0531】
プロトコール1:ISPRI/EpiMatrix
配列を、ISPRIソフトウェアパッケージ(ISPRI v 1.8.0、EpiVax Inc.、Providence、RI(2017).;Schafer JRA、Jesdale BM、George JA、Kouttab NM、De Groot AS.Prediction of well-conserved HIV-1 ligands using a matrix-based algorithm、EpiMatrix.Vaccine 16(19)、1880~84(1998))でのEpiMatrix分析に供した。生結果は、8つの異なるHLA型に対する各9マーアミノ酸断片の結合の可能性のランキングを提供した(標準化された尺度でのパーセンタイルとして)。したがって、各9マーについて、8つの予測(「観測」)が存在する。これらの9マーを、配列の各個々の直線的な番号付け位置で開始して生成する(したがって、同じ9マーが同じ配列中に1回よりも多く存在することが可能である)。任意の4つの観測が、9マーが結合子の上位5%にあることを示す場合(少なくとも4つのHLA型について、それが結合子の上位5%にあると予測されることを意味する)、その9マーを、予測されたエピトープ(「エピトープ」)とみなす。あるいは、8つの予測のうちいずれか1つが、9マーが結合子の上位1%にあることを示す場合、この9マーも、予測されたエピトープとみなす。
【0532】
プロトコール2:IEDBコンセンサス法
配列を、IEDB(Vita R、Overton JA、Greenbaum JA、Ponomarenko J、Clark JD,Cantrell JR、Wheeler DK、Gabbard JL、Hix D、Sette A、Peters B.The immune epitope database(IEDB)3.0.Nucleic Acids Res.Jan 28(43)、D405~12(2015).;IEDB MHC-II Binding Predictions、http://www.iedb.org)においてMHC-II binding Consensus method(Wang P、Sidney J、Kim Y、Sette A、Lund O、Nielsen M、Peters B.Peptide binding predictions for HLA DR,DP and DQ molecules.BMC Bioinformatics 11、568(2010);Wang P、Sidney J、Dow C、Mothe B、Sette A、Peters B.A systematic assessment of MHC class II peptide binding predictions and evaluation of a consensus approach.PLoS Comput Biol.4(4)、e1000048(2008).)を使用する分析に供した。ソフトウェアのアウトプットは、結果を15マーずつ配置した。コンセンサススコアおよびパーセンタイルランキングを、15マーおよびHLA型の各組み合わせについて提供した。各15マーのコンセンサスが由来した個々のスコアは、15マー中に見出される特定の9マーのランキングであった:コンセンサスのために使用される各方法は、15マー内の最も密接に予測されたHLA結合を有する9マーについてのパーセンタイルランクを報告した。15マー全体についての値として取られたコンセンサスは、コンセンサスのために使用された全ての方法にわたる中央値スコアを有する9マーについての予測であった。9マーを、(a)それが15マーを代表するコンセンサスとして選択された場合、および(b)検討されているHLA型に対する結合子の上位10%中にパーセンタイルランキングを有した場合、ならびに基準(a)および(b)が、同じ9マーについて3つ以上の別個のHLA型(即ち、3つの観測)について生じた場合、エピトープとして分類した。検討したHLA型は、DRB1*01、1*03、1*04、1*07、1*08、1*11、1*13および1*15であり、これらは、標準的なISPRI/EpiMatrix報告では、同じHLA型である。このように、プロトコール1との比較の容易さのために、この方法の一次アウトプットは、15マーのランキングであったが、データを再解釈して、予測された9マーエピトープのリストを得た。
【0533】
エピトープ分類
各エピトープを、生殖系列または非生殖系列エピトープとして分類した。抗体について、本発明者らは、抗体内でのその位置(例えば、CDRまたは非CDR)に基づいて、各エピトープをさらに分類した。
【0534】
本発明者らは、IMGT(www.imgt.org)から得たヒトVドメインの配列をフィルタリングして、偽遺伝子またはオープンリーディングフレーム(ORF)としてアノテーションされた生殖系列を除去した。残りの配列中に見出される任意の予測された9マーエピトープを、生殖系列エピトープとみなした。JもしくはC領域(IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む)またはこれらの領域間の接合部中に見出されるエピトープもまた、生殖系列エピトープとして分類した。さもなければ、エピトープは、非生殖系列エピトープとして分類する。可変ドメイン残基を、Kabatの番号付けシステム(Kabat EA、Wu TT、Perry HM,Gottesman KS、Foeller C.Sequences of Proteins of Immunological Interest.US Department of Health and Human Services、NIH Publication No.91~3242(1991).)に基づいて番号付けした。番号付け後、CDRを、以下の残基を含むと定義する:CDR-H1(例えばH35Aであるが、H36未満の挿入を含むH26~H35)、CDR-H2(H50~H65包含的)、CDR-H3(H95~H102包含的)、CDR-L1(L24~L34包含的)、CDR-L2(L50~L56包含的)、CDR-L3(L89~L97、包含的)。予測された9マーエピトープは、そのアミノ酸のうちいずれか1つがCDR領域の一部である場合、CDRエピトープである。CDR-H1についての本発明者らの選択した開始位置(H26)は、Kabatのアノテーションを使用する一部の他の刊行物とは異なることに留意されたい。
【0535】
全体的配列免疫原性スコア(Tレジトープ調整済スコア)
個々の鎖について、または抗体VHおよびVLドメインの対形成について、全体的スコアを、構成成分9マーの各々を以下のように、合計することによって計算することができる:
【0536】
9マーおよびHLA型の全ての個々の組み合わせ(「観測」)を、9マーがエピトープであったかどうかにかかわりなく試験した。特定の観測が、そのペプチドが所与のHLA型に対する結合子の上位5%にあることを示した場合、この観測についてのEpiMatrix Zスコアを、タンパク質全体配列濾関連する中間合計に加算した。試験した観測の総数もまた記録した。唯一の例外は、ISPRIによって「Tレジトープ」(T-reg)として同定された9マーに関する全ての観測が、ゼロのEpiMatrixスコアを有すると仮定したことであった。
【0537】
中間合計では、0.05*2.2248のベースラインスコアを、各観測(Tレジトープを含む)から減算した。最終スコアは、以下のように計算した:
T-reg調整済スコア=(中間合計)*1000/(観測の数)
【0538】
より低いスコアは、より低い予測される免疫原性潜在力を示す。スコアは、ISPRI/EpiMatrixからの予測のみを含み、IEDBからの情報は含まないことに留意されたい。したがって、IEDBによって予測されたがISPRIによっては予測されなかったいずれの強いHLA結合子も、スコアに寄与しない。理論上、配列は、多くのIEDB予測されたHLA結合子を含み得、EpiMatrixもまた同じ配列を結合子である可能性が高いと予測しない場合、好ましいT-reg調整済スコアをなおも有する。
【0539】
免疫原性リスクの軽減
上記のプロトコールにより、抗CD1a抗体Ab138配列において8つ-VHにおいて4つ(残基H29、H32、H47およびH50から始まる)およびVLにおいて4つ(残基L45、L46、L48およびL86から始まる)の非生殖系列T細胞エピトープが同定された。これらの8つのエピトープの9マーアミノ酸配列は、以下の通りである:FTDFYMNWV(配列番号87)、FYMNWVRQA(配列番号88)、WVAFIRNKA(配列番号89)、FIRNKANGY(配列番号90)、KLLIYGANR(配列番号91)LLIYGANRL(配列番号92)、IYGANRLKD(配列番号93)およびYYCQQSYKY(配列番号94)。さらに、全体的配列免疫原性(Epivax)スコアは-37.94であった。エピトープの数および全体的配列スコアの低減により、配列の全体的免疫原性リスクの減少が予測された。
【0540】
免疫原性リスクを低減させるために、8つの同定された非生殖系列T細胞エピトープの一部に変異を導入し、したがって、変異した配列は、もはや本発明者らのin silicoプロトコールにおいてT細胞エピトープとして登録されない。非生殖系列T細胞エピトープを除去する変異セットは、1)合理的な構造に基づく設計によって、または2)合理的に設計されたファージディスプレイライブラリー(下記)によるセミランダム変異誘発のスクリーニングされたアウトプットのいずれかで引き出した。
【0541】
合理的な構造に基づく設計
CD1a/抗CD1a抗体Ab138の共結晶構造を使用して、結合相互作用を破壊せず、したがってT細胞エピトープをモジュレートすることができる変異を同定した。2つのコンピュータによるプロトコールを使用して、Ab138 CDR内の全ての可能性のある点変異のCD1a/Ab138結合(ΔΔG)に対する影響を予測した:1)Rosetta ddG(v.3.5)を使用して、変異体複合体のCD1a/Ab138複合体と比較した安定性の変化を予測した;2)foldXを使用して、変異体複合体とCD1a/Ab138複合体の間の結合の自由エネルギーの変化を予測した。変異を、Rosetta ddGで1kcal/molを下回る、またはfoldXで0.75kcal/molを下回るΔΔG値を記録した場合、「許容される」ものと指定した;そうでなければ棄却した。次いで、許容される変異を入れ替えて、Ab138配列からの変異を2つまで含有する各エピトープ領域の代替的配列を生成し、それらを本発明者らのin silico免疫原性プロトコールに対して試験した;目的のT細胞エピトープが除去されない配列を棄却した。
【0542】
ファージディスプレイを使用した最適化戦略
下記のように、得られた構造的情報に基づき、合理的な設計およびファージに基づくライブラリー選択戦略を適用して、増加した親和性、さらなるヒト化CDR領域、改善された生物物理学的特性および低減した配列責任を有する抗CD1a Ab138のバリアントを単離した。
【0543】
第1のファージライブラリーに基づく手法において、ヒト化Ab138のVHおよびVLドメインのDNA配列を組み合わせて、ファージ発現ベクターにおいてC末端6×His(配列番号102)およびmycタグが付加された単鎖可変断片(scFv)を作出した。Ab138のVHおよびVL CDR内の構造的に重要な部位において、ソフトランダム化された変異および/または縮重コドンを設計した。これらの残基を選択的に変異させるためのオリゴヌクレオチドを合成し、次いで、それらを使用して、scFv核酸鋳型で変異体配列ライブラリーを生成した。
【0544】
第2の合理的設計手法において、Ab138 CDRの定義された部位における点変異体を設計し、次いで、ハイスループット様式で、hIgG1フォーマットで発現させ、精製した。操作されたバリアントの結合親和性を、競合ELISAおよび/またはBiacoreを使用して評価した。
【0545】
ファージライブラリーに基づく手法において、ビオチン化CD1aタンパク質を使用して選択を実施した。上記のファージプールのアリコートおよび磁性ストレプトアビジンビーズ(Dynabeads M-280ストレプトアビジン)を別々に3%乳/PBS中、回転式ミキサー(20rpm)において室温で1時間ブロッキングした。ブロッキングされたファージプールを4000rpmで10分間遠心分離し、上清を新しい管に移し、6%ブロッキング緩衝液と混合した。ブロッキングされたファージを、過剰モル濃度の選択解除試薬(例えば、dsDNA、インスリンおよび/または膜抽出物)と共に回転式振とう機(20rpm)において室温で1時間インキュベートし、ブロッキングされたストレプトアビジン-磁気ビーズと混合し、1時間インキュベートした。選択解除処理したライブラリーを、磁気分離器を使用してビーズをペレット化することによって収集した。
【0546】
Kingfisher磁気精製機器(ThermoFisher)を使用し、ビオチン化ヒトまたはカニクイザルCD1aを種々の濃度で、選択解除処理したファージライブラリーと共に96ディープウェルプレート中、断続的に混合しながら室温で1時間インキュベートした。ビーズを、Kingfisher機器で磁気分離器を使用して分離し、別の96ディープウェルプレート中、PBS/0.1%Tween(登録商標)-20で7回、およびPBSで11回洗浄した。結合したファージを、新しい96ウェルプレート中、100mMのトリエチルアミン(TEA)と共に8分間インキュベートし、その後、磁気ビーズから分離することによって溶出させた。溶出したファージを2MのTris-HCl、pH7.5で中和した。溶出したファージを、対数増殖中期(OD600約0.5に対応する)まで成長させたE.coli ER2738(Lucigen、cat#NC0292392)培養物10mLへの感染に使用した。細菌に、37℃、150rpmで振とうしながら1時間にわたってファージを感染させ、遠心分離ステップ後に濃縮し、2%グルコースおよび100μg/mLのアンピシリンを含有する2×YT寒天プレート(2×YTAG)にプレートした。インプットまたはアウトプットファージのいずれかを感染させた種々の希釈度のE.coli培養物も2×YTAG寒天にプレートして、ファージ力価を決定した。30℃で一晩成長させた後、2×YTAG培地10mLを各バイオアッセイプレートに添加し、菌叢をこすることによって細胞を再懸濁した。この細胞懸濁液にグリセロールを添加して、最終濃度17%を得、アリコートとして、さらなる使用まで-80℃で貯蔵した。次のラウンドの選択のためのファージをレスキューするために、この細胞懸濁液100mLを使用して、2×YTAG培地20mLに接種し、それを37℃(300rpm)でOD600が0.3~0.5になるまで成長させた。次いで、細胞にMK13K07ヘルパーファージ3.3mLを重感染させ、37℃(150rpm)で1時間インキュベートした。次いで、細胞を遠心分離し、ペレットをカナマイシン/非グルコース含有培地(50mg/mLのカナマイシンおよび100μg/mLのアンピシリンを伴う2×YT)に再懸濁した。この培養物を30℃(300rpm)で一晩成長させた。ファージを、遠心分離後に上清中に回収し、上記のように、次のラウンドの選択に使用する準備を整えた。
【0547】
ファージパニング後、アウトプットファージクローンを、発現されたscFvを使用して評価し、下記のように、HTRF(均一時間分解蛍光)アッセイによってperi-Prepから抽出した。
【0548】
(実施例6)
均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイ
HTRFアッセイにおける使用のためのperiprep材料の調製
ScFvを、使用する成長条件に応じてファージ粒子の表面上または細菌細胞膜周辺腔内溶液中のいずれかで発現させることができる。scFvのペリプラズム中への放出を誘導するために、0.1%グルコース/100mg/mLのアンピシリンを伴う2×YT培地を含有する96ディープウェルプレートに、QPix Colony picker(Molecular Devices)を使用して、解凍したグリセロールストック(ウェル当たり1クローン)を接種し、37℃(850rpm)で約4時間成長させた。培養物に対して、イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)を0.1mMの最終濃度で用いて誘導を行い、30℃(850rpm)で一晩成長させた。細菌ペリプラズムの内容物(即ち、periprep)を浸透圧ショックによって放出させた。簡単に述べると、プレートを遠心分離し、ペレットをHEPESペリプラズム緩衝液(50mMのHEPES、0.5mMのEDTA、20%
スクロース、pH7.4)150mLに再懸濁し、その後、1:5のHEPES:水、150mLを添加し、氷上で30分間インキュベートした。プレートを4000rpmで20分間遠心分離し、scFvを含有する上清を回収した。
【0549】
HTRFアッセイ
親和性改善されたクローンの同定を容易にするために、ハイスループット競合HTRFアッセイを確立した。親抗体Ab138を、標識キット(CisBio)を製造業者の指示に従って使用し、蛍光ドナーであるテルビウム(Tb)で標識した。CD1a抗原をビオチン化し、次いで、ストレプトアビジン-d2を添加することにより、蛍光アクセプターであるd2で標識した。最終的なアッセイ混合物は、最大シグナル-ノイズ比を実現するために交差力価決定から導き出されたある特定の濃度比のビオチン化ヒトCD1aとTb標識された親抗体からなった。この結合系に、目的のscFvを含有するperiprep抽出物を4つの異なる希釈度(最大10倍)で、総反応体積を1×アッセイ緩衝液(50mMのリン酸ナトリウム、pH7.5、400mMのフッ化カリウム、0.1%BSA)中20μLとして添加した。1時間のインキュベーション後、665nmおよび620nmにおける蛍光をEnvisionマルチラベルプレートリーダー(Perkin Elmer)で測定した。HTRF比を、665nmにおける蛍光/620nmにおける蛍光×10,000として計算した。最大シグナルをscFvの非存在下でのTb標識されたAb138とd2標識されたCD1aのHTRF比と定義し、最小最大シグナルをd2標識されたCD1aのみのHTRF比と定義した。試験したscFvが親Ab138よりも低いシグナルをもたらす場合、この抗体が親Ab138よりも高い親和性を有する可能性があることが示唆される。潜在的に親Ab138よりも高い親和性を示す独特のscFvクローンを同定し(
図5)、全長ヒトIgGに再フォーマットした。次いで、アッセイを、精製IgGを使用して上記のように繰り返し、得られたデータを親抗体のものと比較した。
【0550】
Ab138と強力に競合する選択された抗体を、以前に記載されているものと同様の手順を用い、競合ELISAを使用してさらに確認した。
【0551】
次のステップにおいて、いくつかの個々のクローンからの有利な変異を、ミックスアンドマッチ(mix-and-match)法を使用して組み合わせた。コンビナトリアルミックスアンドマッチ変異体をバッチで精製した;7バッチで合計305種の異なるクローンを作製し、競合ELISAおよびBiacoreによって試験した。上記のプロトコールを使用し、予測されるT細胞エピトープの数および全体的なEpivaxスコアを計算することによってこれらのバリアントの潜在的な免疫原性を推定するためにin silico配列解析を実施した。さらに、翻訳後修飾(例えば、脱アミド、異性化、酸化)の潜在的部位などの配列責任を同定した。新しい抗体バリアントの物理化学特性をさらに特徴付けるために、さらなるアッセイを実施した。具体的には、DNAおよびインスリンに対する多反応性ELISA結合アッセイ、ならびに自己相互作用AC-SINSアッセイを行った(下記)。これらのアッセイにより、これらのIgG分子の、それらのin vivo挙動(例えば、クリアランス速度)と相関すると予測される非特異的または自己相互作用の見込みを評価した。
【0552】
(実施例7)
DNAおよびインスリン多反応性ELISAアッセイ
384ウェルELISAプレート(Nunc Maxisorp)を、PBS、pH7.5中、10mg/mLのサケ精巣由来DNA(SIgMa-Aldrich、D1626)または5mg/mLのヒトインスリン(SIgMa-Aldrich、I9278)を用いて4℃で一晩コーティングした。ELISAをPerkinElmer Janus Automated Workstation liquid handling robotで実施した。ウェルを水で洗浄し、Polyreactivity ELISA Buffer(0.05%Tween(登録商標)-20、1mMのEDTAを含有するPBS)50μLを用いて室温で1時間にわたってブロッキングし、水で3回すすいだ。25μL中に段階希釈したmAbを4連でウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートを水で3回洗浄し、10ng/mLの、西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートしたヤギ抗ヒトIgG(Fc特異的)25μL(Jackson ImmunoResearch、109-035-008)を各ウェルに添加した。プレートを室温で1時間インキュベートし、水80μLで3回洗浄し、TMB基質(SIgMa-Aldrich、T-0440)25μLを各ウェルに添加した。反応を、およそ7分後に、0.18Mのオルトリン酸25μLを各ウェルに添加することによって停止させ、吸光度を450nmで読み取った。DNA結合スコアおよびインスリン結合スコア(表5に示される)を、10mg/mLの抗体のELISAシグナルと一次抗体の代わりに緩衝液含有するウェルのシグナルの比として計算した。
【0553】
表5に示されるように、Ab138についてのDNAおよびインスリンELISAスコアはそれぞれ5および7であった。5以下のスコアが低/好都合とみなされる。Ab571は、両方のスコアの改善を示した(それぞれ4および3)。さらに、この多反応性アッセイにおいて試験した全ての他の最適化されたAb138のバリアントで<5の好都合なスコアが実証された(表5)。
【0554】
(実施例8)
親和性-捕捉自己相互作用ナノ粒子分光法(AC-SINS)アッセイ
AC-SINSアッセイをPerkin-Elmer Janus liquid handling robotで384ウェルフォーマットに標準化した。20nmの金ナノ粒子(Ted Pella、Inc.、15705)を、80%ヤギ抗ヒトFc(Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.109-005-098)と20%非特異的ヤギポリクローナル抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.005-000-003)の混合物でコーティングし、20mMの酢酸ナトリウム、pH4.3に緩衝液を交換し、0.4mg/mLまで希釈した。室温で1時間のインキュベーション後、金ナノ粒子上の占有されていない部位をチオール化ポリエチレングリコール(2kD)でブロッキングした。次いで、コーティングされたナノ粒子を、シリンジフィルターを使用して10倍に濃縮し、10μLを、PBS、pH7.2中0.05mg/mLのmAb 100μLに添加した。コーティングされたナノ粒子を、96ウェルポリプロピレンプレート中、目的の抗体と共に2時間インキュベートし、次いで、384ウェルポリスチレンプレートに移し、Tecan M1000分光光度計で読み取った。吸光度を450~650nmにおいて2nmきざみで読み取り、Microsoft Excel macroを使用して最大吸光度を同定し、データを平滑化し、二次多項式を使用してデータをフィットさせた。平均ブランク(PBS単独)の平滑化された最大吸光度を抗体サンプルの平滑化された最大吸光度からから減算して、抗体AC-SINSスコアを決定した(表5に示される)。
【0555】
5未満のAC-SINSスコアを好都合/低とみなした。Ab138はAC-SINSスコア-1を示し、一方、Ab571のスコアは+1であった。このアッセイにおいて試験した最適化抗体の全てが5以下のスコアを示した(表5)。
【0556】
VHおよびVLドメインにおける特定の変化の影響は、以下の通りである(Kabatに基づく番号付け):VHドメインでは、F32HおよびN35H/T変異により、潜在的なT細胞エピトープが除去され、CD1aに対する結合親和性が改善される。変異F50H、I51TおよびN52aDが一緒になって2つのT細胞エピトープが除去された。変異N53Gにより脱アミド部位が除去され、S62Aによりグリコシル化部位が除去された。G98R/T変異によりCD1aに対する抗体結合親和性が大きく改善された。
【0557】
VLドメインでは、S30YおよびN31F変異により脱アミド部位が除去され、CD1aに対する結合親和性が改善された。変異A51G、N52D/S、L54PおよびD56Eが一緒になって2つのT細胞エピトープ、1つの異性化部位が除去され、CD1a結合が改善された。Y92EおよびK93Sにより1つのT細胞エピトープが除去された。最後に、抗体多反応性(例えば、DNAおよびインスリンELISAアッセイにおいて)を低減させるために、VH変異T28D、T30E、R52S、K52BSおよび軽鎖変異R53T、K55Qを設計した。
【0558】
【0559】
【0560】
(実施例9)
CD1a依存性JurkatT細胞活性化の阻害における、最適化抗体の活性。
CD1aを発現する細胞を、力価設定された量の抗体と共にプレインキュベートし、次いで、BK6 T細胞受容体を発現するJurkat(J76-BK6)細胞と共培養した。一晩のインキュベーション後、細胞をCD69の発現および培養上清中のIL-2の存在について実施例1において詳細に記載されているように評価した。最適化されたAbを用いて、CD69発現およびIL-2産生の強力な阻害が観察された。それらのAbの効力は親Ab138と同等またはより良好であった(表6)。
【0561】
【0562】
(実施例10)
表面プラズモン共鳴(Biacore)によるCD1aに対する抗体Ab571親和性の決定
SPR動態アッセイを、10Hzの収集速度で37℃でBiacore 8K機器(GE Healthcare)で実施した。抗体Ab571を、CM5センサーチップ(GE Healthcare、29-1496-03)に共有結合によりカップリングした抗ヒトIgG(Fc特異的)抗体(GE Healthcare、BR-1008-39)により、製造業者のプロトコールに従って捕捉した。Ab571の最終的な捕捉レベルは35レゾナンスユニット(RU)未満であった。HBS-EP+、pH7.4(10mMのHEPES、pH7.4、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.05%Tween(登録商標)20)をサンプルおよびランニング緩衝液として使用した。フローセル1を参照フローセルとして使用した。ヒトCD1a(lot SJ_20180420_01)およびカニクイザル(cyno)CD1a(lot SJ_20160901_001)の2倍段階希釈物を、ヒトCD1aを50nMから1.56nMまでにわたる濃度で、およびカニクイザルCD1aについては25nMから0.2nMまでにわたる濃度で用いて調製した。希釈物を、手動でおよびJanus automated workstation(Perkin Elmer)を使用しての両方で、3連で調製した。希釈物を、毎分50μLの流速で90秒にわたって全てのフローセル上に注入した。解離を900秒間モニタリングし、3MのMgCl
2の30秒間にわたる注入を3回行うことによって表面を再生させた。速度定数および親和性を、Biacore Insight Evaluationソフトウェアバージョン2.0.15.12933(GE Healthcare)を使用してLangmuir 1:1モデルに得られたセンサーグラムデータをフィットさせることによって決定した(
図6および表7を参照されたい)。
【0563】
【0564】
(実施例11)
リード最適化抗体Ab571と親Ab138の比較。
Ab138と比較したAb571のいくつかのアミノ酸の変化(表4および5参照)の結果、Ab571について、Ab138と比較してCD1aに対する親和性増大がもたらされた。特に、分子モデリングに基づいて、:a)変異S(L30)Yにより、CD1a Arg93との既存の接触が強化されること、およびb)変異N(L31)Fにより、CD1a Ile92との既存の接触が強化されることが決定された(抗体番号付けはKabatに基づき、CD1aの位置は配列番号1の番号付けに従う)。同時に、K(L93)SおよびN(H53)Gという変化により、それぞれCD1a残基Asn168およびAsn146との既存の接触が弱められるかまたは排除された。これらの変化が
図7に例示される。
【0565】
これらの研究に基づいて、VLのL30位およびL31位における代替的変異によっても、変異S(L30)YおよびN(L31)Fと同様の親和性増大がもたらされることが予測された。具体的には、L30位(配列番号8の7位に対応する)のLeu、Arg、もしくはTrpに対する変異、またはL31位(配列番号8の8位に対応する)のGlu、Ile、Lys、Leu、Met、Gln、Arg、Trp、もしくはTyrに対する変異により、Ab571において観察されたものと同様の親和性への影響が創出されることが予想される。
【0566】
(実施例12)
Octetアッセイを使用した、ヒトCD1a上の抗体Ab571、Ab673およびOKT6に対するエピトープの比較
競合Octet結合アッセイを使用して、ヒトCD1a上の抗体Ab571、Ab673およびOKT6に対する結合性エピトープを比較した。OKT6は、米国特許第4364933号(Kung PC and Goldstein G.Monoclonal antibody to a human thymocyte antigen and methods of preparing same)に記載されているヒトCD1aに対するマウスモノクローナル抗体であり、ハイブリドーマ株ATCC(登録商標)CRL-8020(商標)として入手可能である。
【0567】
簡単に述べると、競合Octetアッセイは、第1の抗体(Ab1)をOctetバイオセンサー先端に共有結合によりカップリングし、その後、抗原(CD1a)を添加し、次いで、第2の抗体(Ab2)を添加することを伴う。Ab1のエピトープとAb2のエピトープが重複する(即ち、抗体がCD1a結合について互いに競合する)場合、Ab2は結合することができない。本明細書に記載される研究により、Ab571およびAb673が、OKT6とは別個の/競合しない、CD1a上のエピトープを認識することが実証された。
【0568】
この実験を実施するためにOctet RED384機器を使用し、製造業者(ForteBio)によって提供された試薬を使用した。競合Octetアッセイのために、第1の抗体を100nMのローディング緩衝液中に希釈し、次いで、アミン反応性AR2Gセンサー先端に共有結合により固定化(カップリング)した。先端をまず活性化溶液に300秒間浸漬することによって活性化し、次いで、第1の抗体と480秒間反応させ、クエンチング緩衝液中、240秒間クエンチした。クエンチング後、ベースラインを、Abをカップリングさせた先端を1×動態緩衝液に120秒間浸漬させることによって確立し、その後、ヒトCD1aの捕捉を200nMの動態緩衝液中で480秒間行った。簡単な30秒間の解離を、センサー先端を動態緩衝液に浸漬することによって実施した。最後に、第2の抗体の結合を、センサー先端を100nMのAbに300秒間浸漬し、その後、動態緩衝液中で100秒間の最終的な解離を行うことによって測定した。全ての結合曲線を毎秒1000の振とうスピードで作成した。並行実験において、Ab571またはOKT6のいずれかを、AR2Gセンサー先端に固定化する第1の抗体として使用した。抗体Ab571、Ab673、OKT6、またはアイソタイプ対照IgGを第2の抗体として使用した。
【0569】
図8Aに示されるように、CD1aタンパク質にセンサーとカップリングしたOKT6が結合した後、CD1aタンパク質にAb571またはAb673はさらに結合することができるが、OKT6もアイソタイプ対照IgGも結合することができない。この結果は、Ab571およびAb673が、OKT6とは別個の競合しないエピトープを認識することを実証している。
【0570】
図8Bに示されるように、CD1aタンパク質にセンサーとカップリングしたAb571が結合した後、CD1aタンパク質に、OKT6はさらに結合することができるが、Ab571自体、Ab673、またはアイソタイプ対照IgGはいずれも結合することができない。この結果は、Ab571とAb673が、OKT6とは別個のエピトープを認識するが、CD1a結合について互いに競合することを確認している。
【0571】
(実施例13)
ヒトCD1a TGマウスにおける、ハウスダストマイトADモデルを使用したin vivo有効性。
8週齢から10週齢の間の、性別および年齢を釣り合わせたCD1aトランスジェニックマウス(Kobayashi、C.ら.GM-CSF-independent CD1a expression in epidermal Langerhans cells:evidence from human CD1A genome-transgenic mice.J.Invest.Dermatol.132、241~244(2012))を、ウスダストマイト(HDM)抗原(Greer Laboratories、XPB81D3A2.5)感作の4日前に剃毛した。感作の前日、マウスに、関連性のある抗体(抗CD1a抗体Ab571もしくはAb673、またはアイソタイプ対照)の注射を受けさせ、次いで、2日毎に全部で9日間にわたってさらなる投薬を行った。HDM抗原感作のために、4%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液を剃毛した皮膚に適用し、3時間後に粗製HDM抗原を皮膚に適用した。HDM抗原へのさらなる曝露を同じ手順に従って4日毎、16日間の期間にわたって行った。マウスを、抗原感作の各ラウンドの前に病的逸脱についてモニタリングし、皮膚炎スコアを以下のスコアの合計として計算した:紅斑、瘢痕/乾燥状態、浮腫および皮膚びらん(
図9)。
【0572】
図9に示されるように、Ab571またはAb673の投与により、18日間の実験の過程にわたって、アイソタイプ対照と比較して皮膚炎スコアの有意な低減がもたらされた。Ab571での処置により、研究の過程にわたって、および研究の完了時点(18日目)で炎症の減少および皮膚炎スコアの低減が導かれた;アイソタイプ対照で処置したマウスの平均皮膚炎スコアは8(SD±1)であったが、一方、Ab571では有意な抑制が導かれ、皮膚炎スコアは2であった(SD±0.71、p値=4×10
4)。
【0573】
このin vivo実験の最後に、マウス血清を収集して、総IgEのレベルおよび抗原特異的IgE抗体をモニタリングした。血清サンプル中の総IgEレベルは、BD OptEIA Mouse IgE ELISA set(BD Biosciences、555248)を使用し、製造業者の指示に従って定量化し(
図10)、一方、HDM特異的IgE抗体は、ELISAプレートをHDM抽出物でコーティングすることにより定量化した(
図11)。プレートの洗浄およびブロッキング後、希釈した血清サンプルを添加した。インキュベーション後、結合した抗体の存在を、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートしたヤギ抗マウスIgE抗体(Southern Biotech、1110-05)によって検出した。プレートを洗浄し、TMB基質を添加することによって可視化した。硫酸を添加することによって反応を停止させた後、光学濃度を450nmで読み取った。終点力価を、バックグラウンドの光学濃度の3×というカットオフを使用して計算した。中和抗体の投与(Ab571およびAb673)により、総血清IgEレベル(
図10)および抗HDM IgE力価(
図11)の有意な低減が導かれた。
【0574】
総IgEレベルが有意に低減した;アイソタイプ対照抗体を用いて処置した、感作したCD1aTgマウスは、高レベルの総血清IgEを有し、平均1.10×104ng/mL(SD±1.08×103ng/mL)であったが、一方、Ab571で処置したマウスは、有意に低いレベルの総IgEを有し、平均値が719ng/mL(SD±105ng/mL、p値<1×104)であった。総IgEレベルと同様に、HDM特異的IgE力価も、アイソタイプ対照で処置したマウスにおける平均力価が3.18×105(SD±1.45×105、p値<1×104)であったのと比較してAb571で処置したマウスの平均力価が556(SD±832)であったように、有意に低下した。
【0575】
皮膚において分泌されるサイトカインを評価するために、マウス皮膚サンプルから得た単一細胞調製物をcRPMI培地中に懸濁し、2×106個の細胞を、cRPMI中、50ng/mlのPMA(SIgMa Aldrich P8139)、1μMのイオノマイシンおよび10μg/mLのブレフェルジンAを用い、37℃に設定したCO2インキュベーター中で4時間にわたって刺激した。インキュベーション後、細胞を2回洗浄し、cRPMI 200μLに再懸濁し、Viablity色素(PBS中1:1000希釈したもの)を用いて5分間、染色を行った。その後、細胞を500×gで5分間遠心分離し、FACS緩衝液(5%BSAを含有するPBS)100μL中に再懸濁し、抗CD16/32抗体1μg(1μg/2×106個の細胞で使用)と共に4℃で10分間インキュベートした。その後、抗CD4-Pacific Blue(最終希釈度1:100)抗体を細胞に添加し、4℃で15分間インキュベートした。次に、細胞をFACS緩衝液200μLで洗浄し、500×gで5分間遠心分離し、細胞をcytofix/cytoperm緩衝液200μL中に4℃で20分間にわたって再懸濁することによって固定した。その後、細胞を、1×wash/perm緩衝液(H2O中に1:10希釈したもの)200μLで2回洗浄し、以前に記載されているように遠心分離した。細胞を1×wash/perm緩衝液200μL中に再懸濁し、次いで、2つの管に等しく分け、抗マウスIL-4 PE-Cy7およびIL-13-PerCP-eFluor 710(第1の管)、またはIFNγ-PEおよびGM-CSF-PerCP抗体(第2の管)を用いて4℃で30分間にわたって染色を行った。全ての抗体を最終希釈度1:100で使用した。インキュベーション後、細胞を、FACS緩衝液200μLを添加することによって2回洗浄し、上記のように遠心分離した。洗浄後、細胞を、FACS Canto IIフローサイトメーターで分析するために、FACS緩衝液200μL中に再懸濁した。別々の管における顆粒球のパーセンテージを数えるために、マウス皮膚サンプル由来の細胞2×106個を抗CD16/32抗体(1μg/細胞2×106個で使用)1μgと共に4℃で10分間インキュベートし、その後、上記のように、PBS中、5分間にわたってviability色素染色を行った。その後、細胞の染色を以下の抗体のカクテルを最終希釈度1:100で添加して4℃で20分間行った:抗マウスCD45-PerCP、CD11b-FITC、およびGr-1-Pacific Blue。上記のようにFACS緩衝液を用いて細胞を2回洗浄し、データ取得のためにFACS緩衝液200μL中に懸濁した。データを、まず、BD Cantoフローサイトメーターで取得し、次いで、Flowjoソフトウェアを使用して解析した。
【0576】
皮膚炎症は、常在免疫細胞の拡大または循環細胞の浸潤に起因し得る。皮膚サンプルを記載のように処理し、炎症性(CD11b+Gr-1+)細胞の存在についてフローサイトメトリーによって評価した。HDMによる感作後、アイソタイプ対照で処置した動物は、皮膚において、Ab571で処置した動物(13.7%±3.34%)と比較して高い平均パーセンテージの炎症細胞を有した(28.8%±4.36%)。皮膚をまた、IL-13+細胞などの、アレルギー反応を駆動し、IgEの分泌を促進するサイトカイン分泌細胞の存在についても評価した。アイソタイプ対照で処置したマウスは、平均12.2%±2.70%のIL-13+細胞を有したが、一方、Ab571で処置した動物は、有意に低いパーセンテージのIL-13+細胞を有し、平均は3.19%±1.86%であった。
【0577】
同じin vivo実験において、マウス皮膚由来の全RNAを、Trizol試薬を使用し、製造業者の指示に従って単離した。RNAを、NanoDrop 2000分光光度計を使用して定量化し、逆転写およびリアルタイムRT-PCR分析のために製造業者の指示に従って処理した。反応をAb7300リアルタイムPCRシステムにおいてSYBR greenマスターミックスを使用して実行した。β-アクチンを参照遺伝子として使用し、平均倍率変化を、2
^ΔΔCT法を使用して計算した(Livak KJ、Schmittgen TD.Analysis of relative gene expression data using real-time quantitative PCR and the 2(-Delta Delta C(T))Method.Methods 2001;25(4):402~8)。TSLP、FLG、IL-33、CCL-26、CCL-20およびCXCL-1が含まれる、アトピー性皮膚炎(AD)シグネチャーを構成する遺伝子の発現を決定した(
図12)。アイソタイプ対照で処置した動物は、調査した全ての遺伝子の上昇を有し、最低でCCL-26発現が8.60±0.60倍増加し、最高で、TSLP遺伝子発現が28.0±7.55倍増加した。CD1a中和抗体であるAb571およびAb673の投与により、アイソタイプ対照で処置した動物と比較してAD遺伝子シグネチャーの有意な抑制がもたらされた。Ab571で処置した動物における遺伝子発現は、評価したすべての遺伝子について有意に抑制された。例えば、CCL-26は1.63±1.40倍の増加のみを有し(p値=6×10
-4)、一方、TSLP発現は2.30±1.69倍の増加のみ有した(p値<1×10
-4)。これらのデータを合わせると、これらのCD1a中和抗体の、in vivoにおけるCD1a依存性炎症およびAD疾患活動性を著しく抑制する能力が実証される。
【0578】
(実施例14)
非臨床的薬理学
in vitroにおける主要な薬力学的研究は、Ab571が、ヒトCD1aおよびカニクイザルCD1aの両方に結合する、CD1aに対する親和性が高い選択的なmAbであることを示している。in vitro研究は、組換えヒトまたはカニクイザルCD1aタンパク質への用量依存的結合を実証している;CD1aをCHO細胞にトランスフェクトし、発現させた場合、および初代単球由来樹状細胞において内因性に発現された場合、Ab571は、T細胞活性化のマーカーであるCD69のCD1a依存性上方調節、およびJurkat-BK6 T細胞によるIL-2分泌を用量依存的に阻害する。さらに、Ab571は、カニクイザル、健康なボランティア、AD患者、または健康なボランティアヒト皮膚から単離された初代末梢血CD3+細胞によるCD1a依存性IL-17分泌を抑制する。
【0579】
ヒトCD1aトランスジェニックマウスを使用したADのマウスモデルにおけるin vivo研究を使用して、HDM誘導性炎症を抑制するための、Ab571の有効性を評価した。Ab571の予防的投与により、CD1a依存性HDM誘導性炎症の統計的に有意な抑制が導かれた。
【0580】
ELISAによって決定される、Ab571の組換えヒトCD1aに対する結合特異性
Ab571の特異性を評価するために、ELISAプレートを、組換え型のCD1a、または3つの関連するファミリーメンバー、CD1b、CD1cもしくはCD1dのうち1つでコーティングした。非特異的結合を防止するためにプレートをブロッキングした後、コーティングされたプレートを、力価設定された量のAb571と共にインキュベートした。結合した試験物品を、関連性のあるHRPコンジュゲートした二次抗体と共にインキュベートすることによって検出した。結合した抗体を、TMB基質を添加することによって可視化した。硫酸を添加することによって比色定量反応を停止させ、吸光度を450nmで読み取った。EC50を、データを変換し(Ab濃度X=log[X])、次いで、OD450nmに対してlog[Ab]の4パラメーター可変勾配を使用して非線形回帰分析を実施することによって決定した。ヒトCD1aに対するAb571のEC50は6.52×10-3nMであることが決定された。プレートをCD1b、CD1cまたはCD1dでコーティングした場合にはAb571との結合は検出されず、それにより、Ab571がCD1aに特異的に結合することが実証された。
【0581】
CHO細胞において過剰発現されるヒトまたはカニクイザルCD1aへのAb571の結合
細胞表面に発現されたCD1aへのAb571の結合を評価するために、CHO細胞にヒトCD1aまたはカニクイザルCD1aのいずれかを安定にトランスフェクトし、力価設定された量のAb571と共にインキュベートした。細胞をヤギ抗ヒトIgG-Rhodamine Red-X二次抗体と共にインキュベートすることを使用して、結合した試験物品を検出した。染色された細胞をフローサイトメトリーによって分析し、幾何平均蛍光強度を決定した。Ab571は、トランスフェクトされていない親CHO細胞に対してはわずかな結合を有し、試験された範囲の抗体濃度でのgMFIは4.98×102から5.60×102までにわたった。Ab571は、ヒトCD1aタンパク質またはカニクイザルCD1aタンパク質のいずれかを発現するCHO細胞への用量依存的結合を実証した。ヒトCD1a CHO細胞へのAb571結合により、4.67×105~1.95×106にわたるgMFI値が生じた。CHO/cyCD1a細胞へのAb571結合により、1.45×105~2.52×105にわたるgMFI値がもたらされた。これらのデータを合わせると、Ab571が細胞表面に発現されるCD1aに結合したことが実証される。
【0582】
初代単球由来樹状細胞上のヒトCD1aへのAb571の結合
細胞表面に発現される内因性CD1aへのAb571の結合を評価するために、健康なボランティアから全血を得、PBMCを、密度勾配遠心分離によって単離した。次いで、単球を、PBMCから、Miltenyi Pan Monocyte Isolation kitを使用し、製造業者の指示に従って、正の選択によって精製した。樹状細胞分化を促進させるために、単球を、in vitroにおいて20ng/mLのIL-4および25ng/mLのGM-CSFと共に5日間培養した。2日目に、新しいIL-4およびGMCSFを同じ最終濃度で培養物に添加した。5日目に、細胞を回収し、洗浄し、TruStain FcX(登録商標)受容体ブロッキング溶液中に再懸濁した。次いで、樹状細胞を力価設定された量のAF-647コンジュゲートしたヒトIgG1またはAb571と共にインキュベートした。細胞をBD LSRFortessaフローサイトメーターで分析した。エクスポートされたデータを解析し、EC50を、4-パラメーターロジスティック回帰曲線を使用したAF-647シグナルのgMFIの曲線フィットによって決定した。平均EC50は7.83±6.75nMであり、値は3.67nMから15.6nMまでにわたった。これらから、Ab571が、内因性に発現されるヒトCD1aに高い親和性で結合することが実証される。
【0583】
初代単球由来樹状細胞上のカニクイザルCD1aへのAb571の結合
細胞表面に発現される内因性CD1aへのAb571の結合を評価するために、カニクイザル全血を得、PBMCを密度勾配遠心分離によって単離した。次いで、単球を、PBMCから、Miltenyi抗CD14ビーズを使用し、製造業者の指示に従って正の選択によって精製した。樹状細胞分化を促進するために、単球をin vitroにおいて40ng/mLのIL-4および25ng/mLのGM-CSFと共に7日間培養した。3日ごとに培養培地の1/3を取り出し、3×濃度のIL-4およびGM-CSFを含有する新鮮な培地と交換した。7日目に、細胞を回収し、洗浄し、力価設定された量のFITCコンジュゲートしたヒトIgG1またはAb571と共にインキュベートした。細胞をNovocyteフローサイトメーターで分析した。FITC-Ab571結合の濃度応答の非線形回帰分析を行って、Ab571についてのEC50値を計算した。平均EC50は2.06±1.58nMであった。これらから、Ab571が、内因性に発現されるカニクイザルCD1aに高い親和性で結合することが実証される。
【0584】
CD69上方調節およびIL-2分泌によって評価される、Jurkat BK6細胞のCD1a依存性活性化の阻害
T細胞活性化により、CD69などのマーカーの表面発現、およびIL-2などのサイトカインの分泌を含め、多くのタンパク質の上方調節がもたらされる。Jurkat76-BK6細胞は、CD1a制限T細胞受容体(BK6)を発現するT細胞株であり、CD1aを発現するC1R細胞(C1R-CD1a)などのCD1a+抗原細胞の存在下で共培養すると、CD69発現を上方調節し、また、IL-2を分泌する。
【0585】
T細胞活性化を機能的に阻害するAb571の能力を評価するために、C1RCD1aおよびJurkat76BK6細胞を力価設定された量のAb571の存在下で培養した。T細胞活性化を、表面CD69発現をフローサイトメトリーによって測定し、IL-2分泌をMSDアッセイによって測定することにより、評価した。C1RCD1a細胞を力価設定された量のAb571またはアイソタイプ対照抗体と共に室温で30分間プレインキュベートした。インキュベーション後、Jurkat76BK6細胞を添加し、一晩共培養した。翌日、アッセイプレートを遠心分離して細胞をペレット化した。培養上清を回収し、IL-2についてMSDによって製造業者の指示に従ってアッセイした。細胞を0.5%BSA/DPBS中に再懸濁し、CD3に対する抗体、CD1aに対する抗体、およびCD69に対する抗体を用いた染色を行った;染色完了後、細胞をBD LSRFortessa血球計算器を使用して分析した。エクスポートされたデータをCD3+CD1a-細胞におけるCD69発現について解析し、4パラメーターロジスティック回帰曲線分析をIC50決定のために使用した。
【0586】
Ab571の添加により、0.894の平均IC50(n=2)でCのD69発現の用量依存的な低減、および0.268の平均IC50(n=2)でのIL-2分泌の用量依存的な低減がもたらされた。
【0587】
ELISpotによって評価される、初代ヒトCD3+細胞によるCD1a依存的IL-17分泌の阻害
Ab571が初代ヒトT細胞活性化を機能的に阻害し得ることを確認するために、CD3+細胞によるIL-17AのCD1a誘導性分泌を中和するAb571の能力を、ヒトCD1aを発現するK562細胞および初代CD3+細胞を使用してELISpotアッセイによって評価した。CD3+細胞は、製造業者の指示に従って正の選択によって精製したものであった。CD3+細胞は、AD患者もしくは健康なボランティア由来、または健康な皮膚由来のいずれかのPBMCから単離したものであった。ヒトCD1aを発現するようにトランスフェクトされたK562細胞を、最終濃度50μg/mLのAb571またはアイソタイプ対照抗体と共に室温で30分間プレインキュベートした後、CD3+細胞を添加した。CD3+細胞をまた、トランスフェクトされていない細胞とも培養して、CD1a非依存性IL-17A分泌を測定し、測定されたCD1a非依存性IL-17A分泌を引き続く分析において差し引くバックグラウンドとした。ELISpotプレートを一晩インキュベートし、翌日、製造業者の指示に従って発色させた。Ab571は、健康なドナーから単離されたCD3+細胞およびAD患者から単離されたCD3+細胞のどちらにおいても、CD1a誘導性スポット形成を39%~80%低減させた。
【0588】
ELISpotによって評価される、初代カニクイザルCD3+細胞によるCD1a依存性IL-17分泌の阻害
薬理学的に関連性のある種としてカニクイザルを支持するために、初代カニクイザルCD3+細胞によるIL-17AのCD1a誘導性分泌を中和するAb571の能力を、カニクイザルCD1aを発現するK562細胞および初代CD3+細胞を使用してELISpotアッセイによって評価した。CD3+細胞を健康なカニクイザルのPBMCから単離した。カニクイザルCD1aを安定に発現するK562細胞を、最終濃度50μg/mLのAb571またはアイソタイプ対照抗体と共に室温で30分間プレインキュベートした後、CD3+細胞を添加した。CD3+細胞をまた、トランスフェクトされていない細胞とも培養して、CD1a非依存性IL-17A分泌を測定し、測定されたCD1a非依存性IL-17A分泌を引き続く分析において差し引くバックグラウンドとした。ELISpotプレートを一晩インキュベートし、翌日、製造業者の指示に従って発色させた。Ab571は、カニクイザルから単離されたCD3+細胞におけるスポット形成を19%~53%低減させた(n=7)。Ab571の重要な薬理的特性を表8に要約する。
【0589】
【0590】
動物における薬物動態および産物代謝
Ab571の非臨床PKは、典型的なIgG mAbのPKプロファイルと一致した。カニクイザルにおける単回IV投薬後、TMDDと一致して、非線形PKが観察された。13週間のGood Laboratory Practice(医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準)(GLP)反復用量毒性研究において、反復SCおよびIV投薬後に、全身性曝露に明らかな性別に関連する差異は認められなかった(CmaxおよびAUCによって評価して)。全身性曝露は、用量増加と共に増加し、反復SCおよびIV投薬後により高くなった。Ab571に対するADA誘導の発生率は、全ての用量群にわたって18%であった。
【0591】
ヒトにおけるAb571のPKは、典型的な治療用IgG mAbのPKと同じであると予想され、集団薬物動態モデリング手法を使用して引き出された公開ヒトPKパラメーター値を使用して予測されたものであった。作用部位PK/PDモデル、ヒトPK予測および標的化>95%CD1a受容体占有率に基づいて、ヒトにおけるAb571の予測される効果的用量は、30mg SC Q4W(即ち、4週間毎)である。効果的用量レベルについての予測定常状態ヒトAUCtauは、1730μg・h/mLであり、予測CmaxおよびCav値はそれぞれ3.67μg/mLおよび2.58μg/mLである。
【0592】
分析方法
カニクイザルにおける13週間のGLP反復用量毒性研究におけるAb571の定量化およびADAの検出を支持するために、検証されたリガンド結合アッセイ(LBA)を使用した。
【0593】
カニクイザルにおけるAb571の定量化
Gyrolabプラットフォームを使用したLBAを、カニクイザル血清中のAb571の定量化について検証した。このアッセイでは、Ab571を、Gyrolab Bioaffy(商標)CD内のストレプトアビジンビーズカラムにコーティングされたβ2-ミクログロブリンと連結したヒト単鎖CD1aからなるビオチン化組換えタンパク質によって捕捉した。結合したAb571を、Alexa Fluor 647標識したヤギ抗ヒトIgG H+L、サル吸着抗体を使用して検出した。サンプル濃度を、5-パラメーターロジスティック回帰モデルを使用し、重み付け係数1/y2を用いてフィットさせた較正曲線からの内挿によって決定した。100%カニクイザル血清における定量化の範囲は0.040~5.12μg/mLであった。
【0594】
カニクイザルにおける抗薬物抗体の検出
MSDアッセイプラットフォームを使用してカニクイザル血清中のADAの存在を検出するために、LBAを検証した。この方法では、ビオチン標識したAb571およびルテニウム標識したAb571を研究サンプルおよび対照と共インキュベートした。このアッセイでは、サンプル中に存在するAb571に対する抗体は、Ab571のビオチン標識されたバージョンとルテニウム標識されたバージョンの両方に結合しないと検出されない。ストレプトアビジンコーティングされたMSD Multi-Array(登録商標)プレートに結合させたビオチン化Ab571によってADA複合体を捕捉した。最終的な検出を、MSD機器内で使用されるECLシグナルを生じさせるためにルテニウム標識したAb571およびTPAを含有する読み取り緩衝液を使用して行った。研究サンプルを、段階的戦略を使用してADAについて試験し、投薬前と投薬後のサンプルについての結果の比較に基づいて、ADAの誘導に関する結論を下した。
【0595】
薬物動態学
単回投薬薬物動態学
Ab571についての単回投薬PKをTg32マウスおよびカニクイザルにおいて評価した。PKデータを表9に簡単に要約する。5mg/kgでのマウス(n=4)への単回IV投薬後、Ab571により示された平均全身CL、平均Vssおよび平均t1/2は、それぞれ、およそ0.004L/日/kg、0.081L/kg、および17日であった。カニクイザルにおける0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kgおよび3mg/kgでの単回IV投薬後(n=1/用量)、CL値は用量の増加とともにおよそ0.010L/日/kgから0.003L/日/kgまで減少し、Vssは用量にわたって0.031L/kgから0.053L/kgまでにわたった。t1/2値は、この研究では非線形PKおよび明らかなTMDDに起因して報告されなかった。
【0596】
【0597】
反復用量の毒物動態
GLP反復用量毒性研究の一部として、カニクイザルに、13週間にわたり、Ab571を10mg/kg/週もしくは30mg/kg/週で週1回SC投薬した後、またはAb571を200mg/kg/週で週1回IV投薬した後、毒物動態(TK)およびADA評価を行った。用量群にわたって、全身性曝露(CmaxおよびAUC168によって評価して)に関して明らかな性別に関連する差異は認められなかった;したがって、雄および雌両方のカニクイザルからの合わせたデータを使用して群平均TKパラメーターを考察し、提示する(表10)。
【0598】
SC投薬後、平均全身性曝露が用量の増加とともにほぼ用量に比例する様式で増加した。単回SC投薬後、バイオアベイラビリティはおよそ60~70%であった。全身性曝露は、反復用量後により高く、平均蓄積比(AUC168、85日目/1日目)は用量群にわたって2.9から3.9までにわたった。全体的なAb571に対するADA誘導の発生率は全ての用量群にわたって18%(動物4/22匹)であった。血清曝露は、ADA陽性動物とADA陰性動物を比較して概して同様であった。サンプル中のAb571の循環レベルがADAの検出に干渉した可能性があることに留意するべきである。
【0599】
【0600】
ヒト薬物動態の予測
非臨床種においてAb571について観察された血清PKパラメーター値に基づいて、ヒトにおける予測される2コンパートメントPKパラメーター値は、典型的な治療用IgG mAbと同じであると予測される。これらの値は以前に報告されており(例えば、Dirks,N.L.and B.Meibohm、Population pharmacokinetics of therapeutic monoclonal antibodies.Clin Pharmacokinet 2010;49(10):633~59;Betts,Aら、Linear pharmacokinetics parameters for monoclonal antibodies are similar within a species and across different pharmacological targets:A comparison between human,cynomolgus monkey and hFcRn Tg32 transgenic mouse using a population-modeling approach.MAbs 2018;10(5):751~764)、以下のようにAb571ヒトPK予測のために使用することができる:中心容積について3.2L、末梢容積について2.2L、中心CLについて0.25L/日、分布クリアランスについて0.45L/日、SC吸収速度定数について0.26L/日、およびSCバイオアベイラビリティについて60%。予測される体積およびクリアランス値から、t1/217日およびVss5.4Lがもたらされた。
【0601】
PK/PDならびにヒト効果的用量および曝露の予測
Ab571のKDおよび予測されるヒトPKパラメーター、皮膚におけるCD1a濃度、ならびにCD1a内部移行/ターンオーバー速度を使用してAb571曝露とCD1a受容体占有率を関連付けるために作用部位モデルを使用した。アトピー性皮膚炎における有効性のために必要なCD1a標的モジュレーションのレベルは不明である;したがって、作用部位(皮膚)における定常状態トラフ濃度で>95%のCD1a受容体占有率が実現される用量を効果的用量の推定値として使用した。この手法を使用すると、Ab571の予測されるヒト効果的用量は、30mg SC Q4Wであると推定される。予測される効果的用量レベルに関連する推定AUC、CavおよびCmax値を以下の表11に示す。
【0602】
【0603】
毒性学
表12に概説されている非臨床研究においてAb571を評価した。用量をSCおよびIV注射によって投与した。齧歯類はCD1a遺伝子を発現せず、したがって、Ab571の潜在的な毒性を評価するための関連性のあるモデルとはみなされなかった。カニクイザルを以下の理由で毒性種として選択した:Ab571のカニクイザル単球由来樹状細胞への結合効力がヒト単球由来樹状細胞について観察されるものと同様であったこと(表8);Ab571が、ヒトおよびカニクイザルCD3+T細胞によるCD1a依存性IL-17A産生を中和したこと。
【0604】
【0605】
Ab571をカニクイザルに週1回、13週間にわたって投与した後、試験物品に関連する影響も標的臓器も同定されなかった。したがって、中心的な13週間のサル研究におけるNOAELは試験した最高用量である200mg/kg/週(IV)であった。Ab571の血清濃度および付随する曝露マージンを表13に示す。曝露マージンは、予測されるヒト効果的用量である30mg(SC Q4W)および予測される最大単回臨床用量である1000mg(IV)における推定CmaxおよびCav値に基づいて計算される。
【0606】
その他の研究からの所見には、ヒト下垂体におけるAb71を用いた神経内分泌細胞の染色(サル下垂体における染色は観察されなかった)およびヒトPBMCからのAb571誘導性IFNγ放出が含まれた。
【0607】
反復用量毒性
中心的な反復用量毒性研究において、Ab571を、雄および雌カニクイザル(n=3/性別/用量)に、0mg/kg/週(SCおよびIV)、10mg/kg/週(SC)、30mg/kg/週(SC)、または200mg/kg/週(IV)で週1回、13週間にわたって投与した(合計14回の投薬)。試験物品に関連する臨床徴候も、体重、摂食量、眼科所見、ECGパラメーター、血液学的検査値、凝固、臨床化学的検査値、尿検査値、器官の重量への影響、または肉眼で見えるまたは顕微鏡レベルの所見のいずれも認められなかった。NOAELは200mg/kg/週(IV)であった。ADAの発生率は、Ab571用量群にわたって18%であったが、曝露はADA陽性とADA陰性動物の間で概して同様であった。
【0608】
局所的耐性
Ab571を用いた局所的耐性研究は実施していない。しかし、カニクイザルにおける中心的な13週間の反復用量毒性研究においてSCおよびIV注射部位を肉眼的におよび顕微鏡レベルで評価し、Ab571に関連する所見は観察されなかった。
【0609】
抗原性
抗体応答を誘導するAb571の潜在力をカニクイザルにおける中心的な13週間の反復用量毒性研究において評価した。ADA誘導の発生率は、10mg/kg/週(SC)、30mg/kg/週(SC)、および200mg/kg/週(IV)用量群について、それぞれ17%、17%、および20%であった。血清Ab571曝露はADA陽性とADA陰性動物の間で概して同様であった。
【0610】
免疫毒性
Ab571をC1qおよびFcγR in vitro結合アッセイにおいて評価して、それぞれCDCまたはADCC活性を引き出すその潜在力を決定した。Ab571を用いてC1q結合もFcγR結合も観察されず、これにより、CDCまたはADCC活性を引き出す潜在力が低いことが示唆される。
【0611】
Ab571を、in vitro可溶性相(全血)および固相(PBMC)ヒトCRAの両方において試験した。可溶性相CRAでは、Ab571はIL-6放出、TNF放出、IFNγ放出を誘導しなかった。固相CRAでは、Ab571は、8例のドナーのうち1例由来のPBMCサンプルにおいてIFNγ放出を誘導した。
【0612】
組織交差反応性
ヒトおよびカニクイザル組織サンプルを使用し、Ab571を用いて組織交差反応性研究を実施した。ヒトおよびサル胸腺における単核細胞、ならびに同等の割合のヒトおよびサル組織の樹状細胞および上皮細胞の細胞質~膜陽性染色を、FITC-Ab571を用いて観察した。
【0613】
下垂体の神経内分泌細胞の細胞質~膜陽性染色はヒトについてのみ観察された。
【0614】
胸腺における単核細胞および多数の組織におけるランゲルハンス細胞を含めた樹状細胞の染色は、予測されるCD1aの発現のパターンと一致した。いくつかの組織における上皮細胞および下垂体の神経内分泌細胞の染色は、報告されたCD1aの発現に基づいては予測されなかった。
【0615】
所見の薬物動態との関連性
カニクイザルにおける中心的な13週間の反復用量毒性研究において決定されたAb571の平均全身性曝露(CmaxおよびAUC168)は、用量の増加とともに増加し、2つのSC用量でほぼ用量に比例するものであった。用量群にわたって、Ab571全身性曝露に一貫した性別に関連する差異は認められなかった;したがって、雄および雌の曝露データをまとめて提示する。200mg/kg/週(IV)用量群では、回復期の51日目(最後のサンプルを収集した)まで、定量化可能な濃度のAb571が観察された。1日目と85日目の間の平均蓄積比(AUC168に基づく)は用量群にわたって2.9×から3.9×にわたった。
【0616】
【0617】
標的臓器毒性
中心的な13週間の反復用量毒性研究において標的臓器は同定されなかった。その他の研究からの所見には、Ab571を用いたヒト下垂体における神経内分泌細胞の染色およびヒトPBMCからのAb571誘導性IFNγ放出が含まれた。
【0618】
ヒト下垂体における神経内分泌細胞染色
組織交差反応性研究では、FITC-Ab571を用いた細胞型の陽性染色はヒト組織とサル組織の間で概して一致し、例外として、下垂体については、神経内分泌細胞の染色がヒトについてのみ観察された。GTEX portal(World Wide Web gtexportal.org)およびHuman Protein Atlas(World Wide Web proteinatlas.org)から公的に入手可能なヒト遺伝子発現データに基づいて、CD1a、および他のCD1ファミリータンパク質がヒト下垂体では発現されないことが予測された。
【0619】
13週間の反復用量サル毒性研究において、TCR研究でFITC-Ab571染色陽性を示した多数の組織(例えば、膀胱、腎臓、膵臓、前立腺、尿管、食道、十二指腸、回腸、結腸、肺、皮膚、子宮頸部)について毒性は観察されなかった。さらに、分子の設計特徴(例えば、エフェクター機能を低減させるためのFc変異)、ならびにAb571を用いて観察されたC1qおよびFcγR結合の欠如に基づいて、下垂体の神経内分泌細胞のCDCおよび/またはADCCの潜在性は低い。集合的に、これらのデータは、ヒトにおける下垂体毒性のリスクが低いことを支持している。
【0620】
ヒトPBMCからのサイトカイン放出
固相サイトカイン放出アッセイ(CRA)において、8例のヒトドナーのうち1例由来のPBMCサンプルからのin vitro Ab571誘導性IFNγ放出が観察された。可溶性相(全血)CRAでは、IL-6、TNF、IFNγ放出に対するAb571の影響は観察されなかった。
【0621】
IFNγ応答は8例のドナーのうち1例に限られ、また、この同じドナー由来のPBMCサンプルについてIL-6またはTNFに対する影響は観察されなかた。カニクイザル毒性研究ではサイトカインの測定は行わなかったが、急性サイトカイン放出が示唆された可能性のある動物において臨床徴候は観察されなかった。
【0622】
これらの結果は、Ab571誘導性サイトカイン放出の潜在性を同定している。しかし、in vitro CRAの所見の臨床的変換は確立されていない。サイトカイン放出症候群および血清サイトカインは診療所においてモニタリング可能である。
【0623】
ファースト・イン・ヒューマン(first-in-human)研究において、静脈内に単回投薬を施行する一方で、静脈内および皮下投薬の両方を反復投薬で評価することができ、単回投薬および複数回投薬漸増の曝露限界をCmaxおよびAUC168Hについてそれぞれ1020μg/mLおよび106000μg.h/mLに設定する。曝露限界は、13週間のカニクイザル毒性研究においてNOAELで観察された平均曝露の1/10として決定した。Ab571に対する薬物有害反応(ADR)は同定されなかった。
【0624】
非臨床研究において投与された最高用量は200mg/kg/週であった。この用量は忍容性が良好であり、標的臓器毒性は同定されなかった。臨床研究における計画された最高用量は1000mg(IV)である。13週間のGLP毒性研究において、対象の安全性に影響を及ぼすと思われる非臨床所見は同定されていない。NOAELは、この研究で試験された最高用量の200mg/kg/週(IV)であった。NOAELでの曝露マージンは、予測される最高ヒト単回iv用量である1000mgにおいて予測される曝露(CmaxおよびCav)の>30倍である。標準の安全性モニタリング(例えば、注射/注入反応、臨床検査、心臓パラメーター、ならびにADAおよび中和抗体についての試験が含まれる、臨床的評価)をFIH研究に含める。
【0625】
Ab571を、in vitro可溶性(全血)および固相(PBMC)ヒトCRAの両方において試験した。Ab571は、可溶性相CRAではIL-6、TNF、IFNγ放出を誘導しなかった。固相CRAでは、Ab571は、8例のドナーのうち1例由来のPBMCサンプルにおいてIFNγ放出を誘導した。これらのデータは、Ab571を用いたヒト研究におけるサイトカイン放出の誘導の潜在性を示唆している一方で、応答が固相においてのみ、8例のドナーのうち1例のみであることは、Ab571の作用機序が中和抗体でありアゴニストではないことと一緒になって、臨床的に重要なサイトカイン放出症候群の潜在的なリスクが低いことを示唆している。サイトカイン放出症候群のリスクを軽減するために、ファースト・イン・ヒューマン研究における開始用量は、安全域および予測される標的薬理学に関して低くし、単回用量漸増相の研究ではセンチネル投薬を使用する。サイトカイン放出症候群が観察されるまたは疑われる場合にはサイトカインの測定のためにサンプルを収集する。
【0626】
FITCコンジュゲートしたAb571を用い、選択されたヒトおよびカニクイザル組織を使用してTCR研究を実施した。FITC-Ab571染色パターンは種類内でならびにヒト組織と類似のサル組織とで重複したが、一方で、細胞質~膜陽性染色下垂体の神経内分泌細胞はヒトについてのみ観察された。したがって、カニクイザルにおける13週間のGLP毒性研究を使用してヒト下垂体前葉に対する影響の潜在的なリスクを評価することはできない。他のCD1ファミリータンパク質に対して実施した結合評価に基づいて、Ab571はCD1aに対して高度に選択的であると思われる。ヒト遺伝子発現データは、CD1aが、ヒト下垂体前葉においては発現されないと予測されること、ならびに、分子の設計特徴(例えば、エフェクター機能を低減させるためのFc変異)およびAb571を用いて観察されたC1qおよびFcγR結合の欠如に基づいて、下垂体の可能性のあるオフターゲット結合に起因する神経内分泌細胞のCDCおよび/またはADCCの潜在性が低いことを実証している。これは、13週間の反復用量サル毒性研究において、TCR研究においてFITC-Ab571染色陽性を示したヒトおよびサルにおける多数の組織(例えば、膀胱、腎臓、膵臓、前立腺、尿管、食道、十二指腸、回腸、結腸、肺、皮膚、子宮頸部)について観察された毒性の欠如によってさらに支持される。集合的に、これらのデータは、ヒトにおける下垂体毒性のリスクが低いことを支持している。初期臨床研究において下垂体ホルモンレベルおよびそれらによって調節されるホルモンをモニタリングして、ヒトにおけるあらゆる可能性のある影響を特徴付けることができる。結論として、最大13週間の持続時間の臨床試験への進行を支持するために、Ab571の非臨床安全性プロファイルがin vitroでおよびカニクイザルにおいてin vivoで十分に特徴付けられた。
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上記の個々の節で参照される本発明の種々の特色および実施形態は、必要に応じて、他の節に必要な変更を加えて適用される。したがって、1つの節に明記されている特色を必要に応じて他の節に明記されている特色と組み合わせることができる。特許、特許出願、論文、教科書などを含む、本明細書で引用される全ての参考文献、および引用された配列アクセッション番号、ならびにそこで引用されている参考文献は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。組み込まれた文献および類似の資料のうち1つ以上が、定義された用語、用語の用法、記載された技術などが含まれるがこれらに限定されない本出願と異なるまたはそれと矛盾する場合、本出願が支配する。
【配列表】
【国際調査報告】