(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】ガラス系物品およびその性質
(51)【国際特許分類】
C03C 10/04 20060101AFI20231019BHJP
C03C 21/00 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
C03C10/04
C03C21/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521742
(86)(22)【出願日】2021-10-11
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 US2021054375
(87)【国際公開番号】W WO2022081457
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】アミン,ジェイミン
(72)【発明者】
【氏名】ビール,ジョージ ホールジー
(72)【発明者】
【氏名】フゥ,チアン
(72)【発明者】
【氏名】スミス,シャーリーン マリー
(72)【発明者】
【氏名】ウクラインツィク,リェルカ
【テーマコード(参考)】
4G059
4G062
【Fターム(参考)】
4G059AA01
4G059AC04
4G059AC16
4G059HB08
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4G062JJ01
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4G062KK01
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4G062KK07
4G062KK10
4G062MM23
4G062NN33
(57)【要約】
ガラスセラミック物品などのガラス系物品およびその性質が開示されている。実施の形態において、ガラス系物品は、葉長石および二ケイ酸リチウムを含む相集合を有するガラス系物品を含むことがある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
60モル%以上かつ72モル%以下のSiO
2、
0モル%超かつ6モル%以下のAl
2O
3、
0モル%以上かつ2モル%以下のB
2O
3、
20モル%以上かつ32モル%以下のLi
2O、
0モル%以上かつ2モル%以下のNa
2O、
0モル%以上かつ2モル%以下のK
2O、
0.7モル%以上かつ2.2モル%以下のP
2O
5、および
1.7モル%以上かつ4.5モル%以下のZrO
2
を含むガラス系物品であって、
前記ガラス系物品は、35~50質量%の葉長石、35~50質量%の二ケイ酸リチウムを含む相集合を有し、葉長石に対する二ケイ酸リチウムの比は0.8~1である、ガラス系物品。
【請求項2】
200MPa以上かつ350MPa以下の表面圧縮応力、および
tが前記ガラス系物品の厚さである、0.14
*t以上かつ0.24
*t以下の圧縮深さ、
を有する、請求項1記載のガラス系物品。
【請求項3】
前記ガラス系物品の結晶粒の最大寸法が200nm未満である、請求項1または2記載のガラス系物品。
【請求項4】
SCI UVC条件下でCIE光源F02について、
L
*=70から100、
a
*=-20から40、および
b
*=-60から60、
のCIELAB色空間の透過率色座標を有する、請求項1から3いずれか1項記載のガラス系物品。
【請求項5】
2.35g/cm
3以上かつ2.6g/cm
3以下の密度を有する、請求項1から4いずれか1項記載のガラス系物品。
【請求項6】
400nmから770nmの波長について0.6mmの物品厚で4.4%以上かつ4.8%以下の平均可視反射率を有する、請求項1から5いずれか1項記載のガラス系物品。
【請求項7】
350nmから400nmの波長について0.6mmの物品厚で4.7%以上かつ5.0%以下の平均紫外反射率を有する、請求項1から6いずれか1項記載のガラス系物品。
【請求項8】
770nmから1000nmの波長について0.6mmの物品厚で4.3%以上かつ4.5%以下の平均赤外反射率を有する、請求項1から7いずれか1項記載のガラス系物品。
【請求項9】
圧縮深さに対する中央張力の比が、0.6MPa/μm以上かつ1.0MPa/μm以下である、請求項1から8いずれか1項記載のガラス系物品。
【請求項10】
前記ガラス系物品のヘイズが0.15%以下である、請求項1から9いずれか1項記載のガラス系物品。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2020年10月12日に出願された米国仮特許出願第63/090688号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、広く、ガラス系物品に関し、より詳しくは、前駆体ガラス組成物から形成されたガラスセラミック物品に関する。
【背景技術】
【0003】
家電業界を含む様々な業界で、強度が比較的高いガラス系材料が求められている。ガラスセラミック物品などのガラス系物品は、少なくともガラス物品に対して、この性質を示すであろう。しかしながら、制限なく、光透過率特性、落下性能特性、引っ掻き特性、および破壊靱性を含むガラスセラミック物品の他の性質は、目的の用途にとって不十分なことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、代わりのガラス系物品が当該技術分野で求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
態様1. 60モル%以上かつ72モル%以下のSiO2、0モル%超かつ6モル%以下のAl2O3、0モル%以上かつ2モル%以下のB2O3、20モル%以上かつ32モル%以下のLi2O、0モル%以上かつ2モル%以下のNa2O、0モル%以上かつ2モル%以下のK2O、0.7モル%以上かつ2.2モル%以下のP2O5、および1.7モル%以上かつ4.5モル%以下のZrO2を含むガラス系物品であって、このガラス系物品は、35~50質量%の葉長石、35~50質量%の二ケイ酸リチウムを含む相集合を有し、葉長石に対する二ケイ酸リチウムの比は0.8~1である、ガラス系物品。
【0006】
態様2. 200MPa以上かつ350MPa以下の表面圧縮応力、およびtがガラス系物品の厚さである、0.14*t以上かつ0.24*t以下の圧縮深さを有する、態様1のガラス系物品。
【0007】
態様3. 圧縮深さが85μm以上かつ150μm以下である、態様1または2のいずれか1つのガラス系物品。
【0008】
態様4. ガラス系物品の結晶粒が、4超のアスペクト比を有する、態様1から3のいずれか1つのガラス系物品。
【0009】
態様5. ガラス系物品の結晶粒の最大寸法が200nm未満である、態様1から4のいずれか1つのガラス系物品。
【0010】
態様6. 1MPa*m1/2以上の破壊靱性を有する、態様1から5のいずれか1つのガラス系物品。
【0011】
態様7. SCI UVC条件下でCIE光源F02について、L*=70から100、a*=-20から40、およびb*=-60から60のCIELAB色空間の透過率色座標(transmittance color coordinate)を有する、態様1から6のいずれか1つのガラス系物品。
【0012】
態様8. 1.50以上かつ1.60以下の屈折率を有する、態様1から7のいずれか1つのガラス系物品。
【0013】
態様9. 95GPa以上かつ110GPa以下の弾性率を有する、態様1から8のいずれか1つのガラス系物品。
【0014】
態様10. 2.35g/cm3以上かつ2.6g/cm3以下の密度を有する、態様1から9のいずれか1つのガラス系物品。
【0015】
態様11. 400nmから770nmの波長について0.6mmの物品厚で89%以上の平均可視透過率を有する、態様1から10のいずれか1つのガラス系物品。
【0016】
態様12. 400nmから770nmの波長について0.6mmの物品厚で4.4%以上かつ4.8%以下の平均可視反射率を有する、態様1から11のいずれか1つのガラス系物品。
【0017】
態様13. 350nmから400nmの波長について0.6mmの物品厚で70%以上の平均紫外透過率を有する、態様1から12のいずれか1つのガラス系物品。
【0018】
態様14. 350nmから400nmの波長について0.6mmの物品厚で4.7%以上かつ5.0%以下の平均紫外反射率を有する、態様1から13のいずれか1つのガラス系物品。
【0019】
態様15. 770nmから1000nmの波長について0.6mmの物品厚で89%以上の平均赤外透過率を有する、態様1から14のいずれか1つのガラス系物品。
【0020】
態様16. 770nmから1000nmの波長について0.6mmの物品厚で4.3%以上かつ4.5%以下の平均赤外反射率を有する、態様1から15のいずれか1つのガラス系物品。
【0021】
態様17. 中央張力が90MPa以上から125MPa以下である、態様1から16のいずれか1つのガラス系物品。
【0022】
態様18. 積分張力面積に対する中央張力の比が、3.0μm-1以上から5.5μm-1以下である、態様1から17のいずれか1つのガラス系物品。
【0023】
態様19. 圧縮深さに対する中央張力の比が、0.6MPa/μm以上から1.0MPa/μm以下である、態様1から18のいずれか1つのガラス系物品。
【0024】
態様20. ガラス系物品のヘイズが0.15%以下である、態様1から19のいずれか1つのガラス系物品。
【0025】
態様21. ガラス系物品が、100cm以上の破壊高さを有する、態様1から20のいずれか1つのガラス系物品。
【0026】
態様22. ガラス系物品が、250MPa以上の残留強度を有する、態様1から21のいずれか1つのガラス系物品。
【0027】
態様23. ガラス系物品が、モース硬度計で測定して7.0以上の硬度を有する、態様1から22のいずれか1つのガラス系物品。
【0028】
態様24. ガラス系物品が、8Nまでの荷重でヌープ引っ掻き試験を使用して行った場合、300μm未満の引っ掻き幅を有する、態様1から23のいずれか1つのガラス系物品。
【0029】
態様25. ガラス系物品が、2Nまでの荷重で錐状球体(conospherical)引っ掻き試験を使用して行った場合、300μm未満の引っ掻き幅を有する、態様1から24のいずれか1つのガラス系物品。
【0030】
態様26. ガラス系物品が、1.0MPa*m1/2以上の破壊靱性を有する、態様1から25のいずれか1つのガラス系物品。
【0031】
態様27. ガラス系物品が、0.10以上から0.20以下のポアソン比を有する、態様1から26のいずれか1つのガラス系物品。
【0032】
態様28. ガラス系物品が、35GPa以上から50GPa以下の剛性率を有する、態様1から27のいずれか1つのガラス系物品。
【0033】
態様29. イオン交換されていないガラス系物品が、750kgf/mm2以上から840kgf/mm2以下のビッカース硬度を有する、態様1から28のいずれか1つのガラス系物品。
【0034】
態様30. イオン交換されたガラス系物品が、770kgf/mm2以上から860kgf/mm2以下のビッカース硬度を有する、態様1から29のいずれか1つのガラス系物品。
【0035】
態様31. ガラス系物品が、6.8log(Ω・cm)以上から8.3log(Ω・cm)以下の体積抵抗率を有する、態様1から30のいずれか1つのガラス系物品。
【0036】
ここに記載されたガラス系物品の追加の特徴と利点が、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者に容易に明白となるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、ここに記載された実施の形態を実施することによって認識されるであろう。
【0037】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、様々な実施の形態を記載しており、請求項の主題の性質と特徴を理解するための概要または骨子を提供する意図があることを理解すべきである。添付図面は、様々な実施の形態のさらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、ここに記載された様々な実施の形態を示しており、説明とともに、請求項の主題の原理と作動を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】ガラスセラミックに関する相集合の31P NMRグラフ
【
図2】破壊靱性を向上させる、成形されたガラスセラミック物品のかみ合ったまたは絡まった微細構造を示すSEM顕微鏡写真
【
図3】破壊靱性を向上させる、成形されたガラスセラミック物品のかみ合ったまたは絡まった微細構造を示すSEM顕微鏡写真
【
図4】圧縮応力領域を有するガラスまたはガラスセラミック物品を示す概略図
【
図5】様々なイオン交換条件でのCT/TAのプロット
【
図6】様々なイオン交換条件でのCT
*TAのプロット
【
図7】様々なイオン交換条件でのCT/TAのプロット
【
図8】様々なイオン交換条件でのCT
*TAのプロット
【
図9】様々なイオン交換条件でのCT/DOCのプロット
【
図10】様々なイオン交換条件でのCT/DOCのプロット
【
図11】イオン交換されたガラス系物品とイオン交換されていないガラス系物品の透過率曲線
【
図12】ガラス系物品を落下試験するための装置と過程を示す概略図
【
図13】ガラス系物品を落下試験するための装置と過程を示す概略図
【
図14】ガラス系物品を落下試験するための装置と過程を示す概略図
【
図15】ガラス系物品を衝撃試験するための装置と過程を示す概略図
【
図17】異なるpHの洗浄剤を使用する様々な洗浄サイクルでの表面粗さを示すグラフ
【
図19】異なるpHを持つ洗浄剤で洗浄したガラス系物品のサイクルに対する水接触角を示すグラフ
【
図20】異なるpHを持つ洗浄剤で洗浄したガラス系物品のサイクルに対する水接触角を示すグラフ
【
図21】イオン交換されたガラス系物品に関する深さに対する応力を示すグラフ
【
図22】ガラス系物品の落下試験の結果を示すグラフ
【
図23】ガラス系物品の落下試験の結果を示すグラフ
【
図24】ガラス系物品の落下試験の結果を示すグラフ
【
図25】ガラス系物品の落下試験の結果を示すグラフ
【
図26】0.8mm厚のガラス系物品に関するモース硬度計で測定した硬度の結果を示す写真
【
図27】ガラス系物品へのヌープ引っ掻き試験に関するμmで表された平均最大幅を示すグラフ
【
図28】ガラス系物品への錐状球体引っ掻き試験に関するμmで表された平均最大幅を示すグラフ
【
図30】事前高温多湿経時変化におけるイオン交換済み部品のSIMS深さプロファイル
【
図31】0.05%のLiおよび0.065%のLiで処理された後の85℃および85%の相対湿度で500時間に亘り保持されたガラスセラミックの光学顕微鏡写真と対応するFSMデータ
【
図32】85℃および85%の相対湿度で500時間に亘り保持されたガラスセラミックの光学顕微鏡写真と対応するFSM
【
図33】ガラス系物品についての85℃および85%の相対湿度での500時間に亘る保持の前後の近似NaおよびOH濃度のSIMS深さプロファイルおよび対応するFSM
【
図34】ガラス系物品についての85℃および85%の相対湿度での500時間に亘る保持の前後の近似NaおよびOH濃度のSIMS深さプロファイルおよび対応するFSM
【
図35】85℃および85%の相対湿度における500時間後のガラスセラミックの腐食およびアルカリ種を示す図
【
図36】85℃および85%の相対湿度における500時間後の0.6mmのSIOXおよび表面近くのアルカリ変化が0.1μm未満に制限された0.5mmの新たなDIOXの深さプロファイルを示すSIMS
【
図37】85℃および85%の相対湿度における72時間後の元のDIOXと比べた、表面近くのアルカリ変化が最小の0.5mmの新たなDIOXの深さプロファイルを示すSIMS、および対応するFSM
【
図38】深さプロファイルを示すSIMS、および対応するFSM
【
図39】右側のLiによる0.8mmのSIMSと比べた、左側のLiを含まない0.8mmの新たなSIOXの深さプロファイルを示すSIMS、および対応するFSM
【
図40】0.1%のLiでイオン交換された試料(左側)およびLiを含まずにイオン交換された試料(右側)のSIMSプロファイル
【
図41】0.1%のLiでイオン交換された試料(左側)およびLiを含まずにイオン交換された試料(右側)のSIMSプロファイル
【
図42】Liでイオン交換されていな試料および0.1質量%のLiでイオン交換された試料に関する深さに対する水素拡散を示すグラフ
【
図43】85℃および85%の相対湿度における500時間後のガラスセラミックの腐食を示す図
【
図44】加熱が全て85℃および85%の相対湿度で行われたガラス系物品のFSM画像
【
図46】左側のSIMSプロファイルおよび右側のイオン交換にLiが存在せずに調製されたガラスセラミックの腐食の顕微鏡写真、並びにピンボケ移行部を示すFSM
【
図47】左側のモル分率での元素の侵入深さを示す図、および右側の深さに対する成分の濃度を示す図
【
図48】左側のSIMSプロファイルおよび右側のイオン交換にLiが存在せずに調製されたガラスセラミック、並びにピンボケ移行部を示すFSM
【
図49】左側のモル分率での元素の侵入深さを示す図、および右側の深さに対する成分の濃度を示す図
【
図50】左側のモル分率での元素の侵入深さを示す図、および右側のイオン交換にLiが存在するガラスセラミックの表面の顕微鏡写真
【
図51】左側のモル分率での元素の侵入深さを示す図、および右側の深さに対する成分の濃度を示す図
【
図52】左側のモル分率での元素の侵入深さを示す図、および右側のイオン交換にLiが存在するガラスセラミックの表面の顕微鏡写真、並びに急な移行部を示すFSM
【
図53】左側のモル分率での元素の侵入深さを示す図、および右側の深さに対する成分の濃度を示す図
【
図54】左側のモル分率での元素の侵入深さを示す図、および右側のイオン交換にLiが存在するガラスセラミックの表面の顕微鏡写真、並びにFSM画像
【
図55】左側のモル分率での元素の侵入深さを示す図、および右側の深さに対する成分の濃度を示す図
【
図56】左側のモル分率での元素の侵入深さを示す図、および右側のイオン交換にLiが存在するガラスセラミックの表面の顕微鏡写真
【
図57】左側のモル分率での元素の侵入深さを示す図、および右側の深さに対する成分の濃度を示す図
【発明を実施するための形態】
【0039】
ここにはガラス系物品が開示されている。ここに用いられているように、「ガラス系」および/または「ガラス系物品」という用語は、ガラス材料およびガラスセラミック材料を含む、少なくとも部分的にガラスから作られた任意の材料または物品を意味する。実施の形態において、ガラス系物品は、適切な熱処理が施されたときに、少なくとも1つの結晶相を含むガラスセラミック組成物に転化される前駆体ガラス組成物から形成されることがある。
【0040】
ここに用いられているような「軟化点」という用語は、前駆体ガラス組成物の粘度が1×107.6ポアズである温度を称する。
【0041】
ここに用いられているような「徐冷点」という用語は、前駆体ガラス組成物の粘度が1×1013ポアズである温度を称する。
【0042】
ここに用いられているような「歪み点」および「T歪み」という用語は、前駆体ガラス組成物の粘度が3×1014ポアズである温度を称する。
【0043】
ここに用いられているような「液相温度」という用語は、熱力学的平衡状態で結晶がガラス溶融物中に溶融ガラスと共存できる最高温度を称する。
【0044】
ガラス系物品の弾性率(ヤング率とも称される)は、ギガパスカル(GPa)の単位で与えられる。ガラスの弾性率は、ASTM C623にしたがって各ガラス系物品のバルク試料に対する共鳴超音波スペクトロスコピーで決定される。
【0045】
ここに用いられているような「CTE」という用語は、約20℃から約300℃の温度範囲に亘るガラス系物品の熱膨張係数を称する。
【0046】
剛性率は、ASTM C623にしたがって、共鳴超音波スペクトロスコピーで測定される。
【0047】
歪み点と徐冷点は、ASTM C598にしたがって、温度の関数として1012から1014ポアズの無機ガラスの粘度を測定するビーム曲げ粘度法にしたがって測定した。
【0048】
軟化点は、ASTM C1351Mと同様に、温度の関数として107から109ポアズの無機ガラスの粘度を測定する平行平板粘度法にしたがって測定した。
【0049】
液相温度は、ASTM C829-81にしたがう勾配炉法で測定した。
【0050】
ここに用いられているような「単一イオン交換過程」という用語は、ガラス系物品が、KNO3またはNaNO3溶融塩浴などの1つのイオン交換溶液に曝露される過程を称する。
【0051】
ここに用いられているような「二重イオン交換過程」という用語は、ガラス系物品が、第1のイオン交換溶液と第2のイオン交換溶液に曝露される過程を称する。
【0052】
ここに用いられているような「多重イオン交換過程」という用語は、ガラス系物品が3つ以上のイオン交換溶液に曝露される過程を称する。
【0053】
ここに用いられているような「圧縮深さ」(DOC)という用語は、応力が正の(圧縮)応力から負の(引張)応力に変化し、それゆえ、ゼロの応力値を示す深さを称する。DOCは、六次多項式フィッティングを使用してSLP2000(405nm)で測定される。
【0054】
ここに用いられているような「層の深さ」(DOL)という用語は、金属酸化物またはアルカリ金属酸化物のイオン(例えば、金属イオンまたはアルカリ金属イオン)がガラス系物品中に拡散し、そのイオンの濃度が、グロー放電発光分光法(GD-OES)で決定して、最小値に到達する、ガラス系物品内の深さ(すなわち、ガラス系物品の表面から内部領域までの距離)を称する。特に明記のない限り、DOLは、イオン交換(IOX)過程で導入される最も遅く拡散するイオンの交換深さとして与えられる。
【0055】
金属酸化物に関して第一面から層の深さ(DOL)まで変化する、または物品厚(t)の少なくともかなりの割合に沿って変動するゼロではない金属酸化物濃度は、イオン交換の結果として、物品中に応力が生じたことを表す。金属酸化物濃度の変動は、ここでは、金属酸化物濃度勾配と称されることがある。濃度がゼロではなく、第一面からDOLまで、または厚さの一部に沿って変動する金属酸化物は、ガラス系物品に応力を生じると記載されることがある。金属酸化物の濃度勾配または変動は、ガラス系基板を化学強化することによって生じ、ここで、ガラス系基板中の複数の第1の金属イオンが複数の第2の金属イオンと交換されている。
【0056】
当該技術分野で通常使用される慣習にしたがって、圧縮または圧縮応力は、負の(<0)応力と表され、引張または引張応力は、正の(>0)応力と表される。しかしながら、本明細書の記載を通して、CSは、正の値または絶対値と表される-すなわち、ここに挙げられるように、CS=|CS|である。圧縮応力(CS)は、ガラスの表面でまたはその近くで最大値を有し、CSは、関数にしたがって、表面からの距離dと共に変化する。
【0057】
圧縮応力(CS)および層の深さ(DOL)は、有限会社折原製作所(日本国)により製造されている、FSM-6000などの市販の機器を使用して、表面応力計(FSM)で測定される。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関連する応力光学係数(SOC)の精密測定に依存する。SOCは、次に、その内容がここに全て引用される、「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」と題する、ASTM基準C770-16に記載された手順C(ガラスディスク法)にしたがって測定される。ここに記載されたガラス系物品の実施の形態において、構成成分(例えば、SiO2、Al2O3など)の濃度は、特に明記のない限り、酸化物基準のモルパーセント(モル%)で指定される。
【0058】
「含まない」および「実質的に含まない」という用語は、ガラス系物品中の特定の構成成分の濃度および/または不在を記述するために使用される場合、その構成成分がガラス系物品に意図的に添加されていないことを意味する。しかしながら、そのガラス系物品は、0.01モル%未満の量で汚染物質または混入物として微量の構成成分を含有することがある。
【0059】
透過率データ(全透過率および拡散透過率)は、PerkinElmer Inc.(米国、マサチューセッツ州、ウォルサム)により製造されたLambda 950 UV/Vis分光光度計で測定される。このLambda 950装置は、150mmの線分球を備えていた。データは、試料位置に何も置かない状態をベースライン(open bema baseline)とし、Spectralon(登録商標)基準反射率ディスクを使用して収集した。全透過率(Total Tx)について、試料は、積分球のエントリーポイントに固定される。拡散透過率(Diffuse Tx)について、球の出口ポートの上にある「Spectralon」基準反射率ディスクを取り除いて、軸上光を球から出し、ライトトラップに入れることができる。試料が置かれていない状態で、拡散部分のゼロオフセット測定を行って、ライトトラップの効率を決定する。拡散透過率測定値を補正するために、式:Diffuse Tx=Diffuse測定-(Zero Offset*(Total Tx/100))を使用して、試料測定値からゼロオフセット寄与を差し引く。(%Diffuse Tx/%Total Tx)として、全波長について、散乱比を測定する。
【0060】
ここに用いられているような「平均透過率」という用語は、各整数の波長が等しく重み付けられた、所定の波長範囲内で行われた透過率測定値の平均を称する。ここに記載された実施の形態において、「平均透過率」は、400nmから800nmの波長範囲(端点を含む)に亘り報告される。
【0061】
「透明」という用語は、ここに記載されたガラスセラミック組成物から形成されたガラスセラミック物品を記載するために使用される場合、そのガラスセラミック物品が、0.8mmの物品厚で400nmから800nmの波長範囲(端点を含む)の光の垂直入射で測定したときに、85%以上の平均透過率を有することを意味する。
【0062】
「透明ヘイズ(transparent haze)」という用語は、ここに記載されたガラスセラミック組成物から形成されたガラスセラミック物品を記載するために使用される場合、そのガラスセラミック物品が、0.8mmの物品厚で400nmから800nmの波長範囲(端点を含む)の光の垂直入射で測定したときに、70%以上かつ85%未満の平均透過率を有することを意味する。
【0063】
「半透明」という用語は、ここに記載されたガラスセラミック組成物から形成されたガラスセラミック物品を記載するために使用される場合、そのガラスセラミック物品が、0.8mmの物品厚で400nmから800nmの波長範囲(端点を含む)の光の垂直入射で測定したときに、20%以上かつ70%未満の平均透過率を有することを意味する。
【0064】
「不透明」という用語は、ここに記載されたガラスセラミック組成物から形成されたガラスセラミック物品を記載するために使用される場合、そのガラスセラミック物品が、0.8mmの物品厚で400nmから800nmの波長範囲(端点を含む)の光の垂直入射で測定したときに、20%未満の平均透過率を有することを意味する。
【0065】
ここに用いられているような「無色」という用語は、厚さ10mmのガラス系物品の試料が、電磁スペクトルの可視部分(すなわち、380nmから740nmの波長)において80%超の透過率を有することを意味する。
【0066】
範囲は、「約」ある特定値から、および/または「約」別の特定値まで、とここに表現されることがある。そのような範囲が表現された場合、別の実施の形態は、そのある特定値から、および/または他方の特定値まで、を含む。同様に、値が、「約」という先行詞を使用して、近似として表現されている場合、その特定値が別の実施の形態を形成することが理解されよう。範囲の各々の端点が、他方の端点に関してと、他方の端点とは関係なくの両方で有意であることがさらに理解されよう。
【0067】
ここに用いられている方向を示す用語-例えば、上、下、右、左、前、後、上部、底部-は、描かれた図面に関してのみ使用され、絶対的な向きを暗示する意図はない。
【0068】
特に明記のない限り、ここに述べられたどの方法も、その工程を特定の順序で行うことを必要とすると解釈されることも、またはどの装置についても、特定の向きが要求されていることも決して意図されていない。したがって、方法の請求項が、その工程がしたがうべき順序を実際に挙げていない場合、または装置の請求項が、個々の構成部材に対する順序または向きを実際に列挙していない場合、もしくはそれらの工程が特定の順序に限定されるべきことが、請求項または説明において他に具体的に述べられていない場合、もしくは装置の構成部材に対する特定の順序または向きが列挙されていない場合、順序または向きがいかようにも暗示されることは決して意図されていない。このことは、工程の配列、操作の流れ、構成部材の順序、または構成部材の向き;文法構成または句読法に由来する明白な意味;および明細書に記載された実施の形態の数またはタイプに関する論理事項を含む、解釈に関するどの可能性のある非表現基準にも適用される。
【0069】
ここに用いられているように、名詞は、文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、複数の対象を含む。それゆえ、例えば、構成部材に対する言及は、文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、そのような構成部材を2つ以上有する態様を含む。
【0070】
葉長石(LiAlSi4O10)は、LiとAlの四面体で結合された折り畳まれたSi2O5層を有する層状構造を持つ三次元骨格構造を有する単斜晶である。Liは、酸素と四面体配位にある。葉長石は、リチウム源であり、ガラスセラミック部品またはセラミック部品の熱衝撃抵抗を改善するための低熱膨張相として使用される。
【0071】
いくつかの実施の形態において、ここに記載されたガラス系物品中の葉長石結晶相の質量百分率は、20から70質量%、20から65質量%、20から60質量%、20から55質量%、20から50質量%、20から45質量%、20から40質量%、20から35質量%、20から30質量%、20から25質量%、25から70質量%、25から65質量%、25から60質量%、25から55質量%、25から50質量%、25から45質量%、25から40質量%、25から35質量%、25から30質量%、30から70質量%、30から65質量%、30から60質量%、30から55質量%、30から50質量%、30から45質量%、30から40質量%、30から35質量%、35から70質量%、35から65質量%、35から60質量%、35から55質量%、35から50質量%、35から45質量%、35から40質量%、40から70質量%、40から65質量%、40から60質量%、40から55質量%、40から50質量%、40から45質量%、45から70質量%、45から65質量%、45から60質量%、45から55質量%、45から50質量%、50から70質量%、50から65質量%、50から60質量%、50から55質量%、55から70質量%、55から65質量%、55から60質量%、60から70質量%、60から65質量%、または65から70質量%の範囲、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあり得る。
【0072】
上述したように、ケイ酸リチウム結晶相は、二ケイ酸リチウムまたはメタケイ酸リチウムであることがある。二ケイ酸リチウム(Li2Si2O5)は、{Si2O5}四面体配列の波形板に基づく斜方晶である。この結晶は、典型的に、劈開面が目立つ、板状または木摺状の形状である。二ケイ酸リチウムに基づくガラスセラミックは、無作為に配向したかみ合った結晶の微細構造のために、高い本体強度および破壊靱性を含む、非常に望ましい機械的性質を有する。この結晶構造のために、亀裂は、かみ合った結晶の周りの蛇行経路を通じて材料を伝播し、それによって、強度と破壊靱性が改善される。メタケイ酸リチウム、Li2SiO3は、(Si2O6)鎖がc軸に平行に延在し、リチウムイオンで互いに結合された、斜方対称性を有する。
【0073】
実施の形態において、前記ガラス系物品中のケイ酸リチウム結晶相の質量百分率は、20から60質量%、20から55質量%、20から50質量%、20から45質量%、20から40質量%、20から35質量%、20から30質量%、20から25質量%、25から60質量%、25から55質量%、25から50質量%、25から45質量%、25から40質量%、25から35質量%、25から30質量%、30から60質量%、30から55質量%、30から50質量%、30から45質量%、30から40質量%、30から35質量%、35から60質量%、35から55質量%、35から50質量%、35から45質量%、35から40質量%、40から60質量%、40から55質量%、40から50質量%、40から45質量%、45から60質量%、45から55質量%、45から50質量%、50から60質量%、50から55質量%、または55から60質量%の範囲、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあり得る。
【0074】
いくつかの実施の形態において、ガラスセラミック物品は、XRDスペクトルのリートベルト解析にしたがって決定して、5から30質量%、5から25質量%、5から20質量%、5から15質量%、5から10質量%、10から30質量%、10から25質量%、10から20質量%、10から15質量%、15から30質量%、15から25質量%、15から20質量%、20から30質量%、20から25質量%、または25から30質量%の残留ガラス含有量を有する。残留ガラス含有量は、上述した端点の任意と全てから形成された部分的範囲にあってもよいことを理解すべきである。
【0075】
実施の形態において、ガラスセラミック物品中の葉長石(質量%)に対する二ケイ酸リチウム(質量%)の比は、0.5~1、またさらには0.8~1である。実施の形態において、ガラスセラミック物品中の残留ガラス(質量%)に対する二ケイ酸リチウム(質量%)の比は、0.5~6、またさらには1~5である。実施の形態において、ガラスセラミック物品中の残留ガラス(質量%)に対する葉長石(質量%)の比は、0.5~6、またさらには0.5である。
【0076】
図1は、DXR2 Smart Raman ThermoFischerおよびXRDで測定した、ここに記載された実施の形態によるガラスセラミック物品の1つの実施の形態の相集合を示す。この実施の形態におけるガラスセラミック物品の相集合は、40質量%以上かつ48質量%以下の二ケイ酸リチウム、39質量%以上かつ45質量%以下の葉長石、および3質量%未満のメタケイ酸リチウムを含む。
図1に示されたガラスセラミックの実施の形態の相集合は、XRDリートベルト解析で測定して、10質量%以上かつ16質量%以下のガラス相を含み、結晶性Li
3PO
4は、その結晶サイズが小さすぎてXRDで検出されないので、このガラス相に含まれると考えられる。より詳しくは、
図1に示されるように、そのガラス相は、非晶相中に全P
2O
5の8質量%以上かつ12質量%以下を含有し、残りのP
2O
5は、Li
3PO
4として結晶化されている(31P NMR分析に基づく)。
【0077】
図2および3は、ここに記載されたガラスセラミック物品の破壊靱性を向上させる、形成されたガラスセラミック物品のかみ合ったまたは絡まった微細構造を示すSEM顕微鏡写真である。
図2および3の顕微鏡写真は、下記の実施例1(表2)と同じ組成を有した。かみ合った「角柱ブレード」または棒状構造は、葉長石と二ケイ酸リチウム両方の特徴である。一般に、セラミック相の結晶粒の最大寸法は、200nm未満である。実施の形態において、ガラスセラミック物品の結晶粒は、4以上、またさらには5以上のアスペクト比(すなわち、粒子の最短寸法に対する粒子の最長寸法の比)を有する。
【0078】
二ケイ酸リチウムガラスセラミックには、2つの広い部類がある。第1の群は、セリアおよび銀などの貴金属がドープされたものを含む。これらは、Fotoceram(登録商標)などの頑丈なガラスセラミックを生成するために、紫外線で感光により核形成し、その後、熱処理することができる。二ケイ酸リチウムガラスセラミックの第2の部類は、P2O5の添加により核形成され、この場合、核形成相はLi3PO4である。P2O5で核形成された二ケイ酸リチウムガラスセラミックは、高温シーリング材、コンピュータ・ハード・ドライブ用ディスク、透明装甲、および歯科用途などの様々な用途のために開発されてきた。
【0079】
ここに記載された前駆体ガラス組成物(すなわち、前駆体ガラス)およびガラスセラミックは、総称的に、リチウム含有アルミノケイ酸塩ガラスまたはガラスセラミックと記載されることがあり、SiO2、Al2O3、およびLi2Oを含む。ここに具体化されたガラスおよびガラスセラミックは、SiO2、Al2O3、およびLi2O以外に、Na2O、K2O、Rb2O、またはCs2Oなどのアルカリ酸化物、並びにP2O5とZrO2、および下記に記載されるような多数の他の成分をさらに含有することがある。1つ以上の実施の形態において、主結晶相は、葉長石およびケイ酸リチウムを含むが、β-スポジュメン固溶体、β-石英固溶体、リン酸リチウム、クリストバライト、およびルチルも、前駆体ガラスの組成に応じて、副相として存在することがある。
【0080】
SiO2は、主要なガラス形成材であり、前駆体ガラスおよびガラスセラミックの網目構造を安定化させる働きをすることができる。実施の形態において、前駆体ガラスまたはガラスセラミック組成物は、55から80モル%のSiO2を含む。実施の形態において、前駆体ガラスまたはガラスセラミック組成物は、60から80モル%のSiO2を含む。実施の形態において、前駆体ガラスまたはガラスセラミック組成物は、60から75モル%のSiO2を含む。実施の形態において、前駆体ガラスまたはガラスセラミック組成物は、60から72モル%のSiO2を含む。いくつかの実施の形態において、ガラスまたはガラスセラミック組成物は、55から80モル%、55から77モル%、55から75モル%、55から73モル%、60から80モル%、60から77モル%、60から75モル%、60から73モル%、60から72モル%、65から80モル%、65から77モル%、65から75モル%、65から73モル%、65から72モル%、69から80モル%、69から77モル%、69から75モル%、69から73モル%、69から72モル%、70から80モル%、70から77モル%、70から75モル%、70から73モル%、73から80モル%、73から77モル%、73から75モル%、75から80モル%、75から77モル%、または77から80モル%、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲のSiO2を含む。
【0081】
SiO2の濃度は、前駆体ガラスが熱処理されてガラスセラミックに転化されたときに、葉長石結晶相を形成するために、十分に高い(60質量%超)べきである。言い換えると、SiO2の濃度は、ケイ酸リチウム相と葉長石相の両方を生じるのに十分に高いべきである。SiO2の量は、純粋なSiO2または高SiO2ガラスの溶融温度は不必要に高いので、溶融温度(200ポアズ温度)を制御するために、制限されることがある。
【0082】
Al2O3は、SiO2のように、網状構造を安定化させることがあり、改善された機械的性質および化学的耐久性も提供する。しかしながら、Al2O3の量が多すぎると、ケイ酸リチウム結晶の分率が、ことによると、かみ合った構造を形成できない程度まで、減少することがある。Al2O3の量は、粘度を制御するために調整することができる。さらに、Al2O3の量が多すぎると、溶融物の粘度が概して増加する。実施の形態において、前記ガラスまたはガラスセラミック組成物は、0.5から20モル%のAl2O3を含み得る。実施の形態において、前記ガラスまたはガラスセラミック組成物は、0.5から15モル%のAl2O3を含み得る。実施の形態において、前記ガラスまたはガラスセラミック組成物は、0.5から10モル%のAl2O3を含み得る。実施の形態において、前記ガラスまたはガラスセラミック組成物は、0.5から8モル%のAl2O3を含み得る。実施の形態において、前記ガラスまたはガラスセラミック組成物は、0.6から6モル%のAl2O3を含み得る。実施の形態において、前記ガラスまたはガラスセラミック組成物は、1.0から8モル%のAl2O3を含み得る。実施の形態において、前記ガラスまたはガラスセラミック組成物は、1.0から6モル%のAl2O3を含み得る。実施の形態において、前記ガラスまたはガラスセラミック組成物は、1.0から6モル%未満のAl2O3を含み得る。いくつかの実施の形態において、前記ガラスまたはガラスセラミック組成物は、0.5から20モル%、0.5から18モル%、0.5から15モル%、0.5から12モル%、0.5から10モル%、0.5から9モル%、0.5から8モル%、0.5から6モル%、1から20モル%、1から18モル%、1から15モル%、1から12モル%、1から10モル%、1から9モル%、1から8モル%、1から6モル%、2から20モル%、2から18モル%、2から15モル%、2から12モル%、2から10モル%、2から9モル%、2から8モル%、2から6モル%、3から20モル%、3から18モル%、3から15モル%、3から12モル%、3から10モル%、3から8モル%、3から6モル%、4から20モル%、4から18モル%、4から15モル%、4から12モル%、4から8モル%、または4から6モル%、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲のAl2O3を含み得る。
【0083】
ここに記載された前駆体ガラスおよびガラスセラミックにおいて、Li2Oは、葉長石結晶相およびケイ酸リチウム結晶相の両方を形成するのに役立つ。主結晶相として葉長石とケイ酸リチウムを得るために、組成物中に少なくとも10モル%のLi2Oを有することが望ましい。しかしながら、Li2Oの濃度が高すぎる-40モル%を超える-と、その組成物は流動性が高くなり、供給粘度が、シートを形成できないほど低くなってしまう。いくつかの具体化された実施の形態において、このガラスまたはガラスセラミックは、15モル%から35モル%のLi2Oを含み得る。他の実施の形態において、このガラスまたはガラスセラミックは、18モル%から32モル%のLi2Oを含み得る。他の実施の形態において、このガラスまたはガラスセラミックは、18モル%から30モル%のLi2Oを含み得る。他の実施の形態において、このガラスまたはガラスセラミックは、18モル%から28モル%のLi2Oを含み得る。他の実施の形態において、このガラスまたはガラスセラミックは、20モル%から30モル%のLi2Oを含み得る。いくつかの実施の形態において、このガラスまたはガラスセラミックは、15から35モル%、15から32モル%、15から30モル%、15から28モル%、15から26モル%、15から24モル%、15から22モル%、18から35モル%、18から32モル%、18から30モル%、18から28モル%、18から26モル%、18から24モル%、18から22モル%、19から35モル%、19から32モル%、19から30モル%、19から28モル%、19から26モル%、19から24モル%、19から22モル%、20から35モル%、20から32モル%、20から30モル%、20から28モル%、20から26モル%、20から24モル%、20から22モル%、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲のLi2Oを含み得る。
【0084】
上述したように、Li2Oは、具体化されたガラスセラミックを形成するのに概して有用であるが、他のアルカリ酸化物(例えば、K2OおよびNa2O)は、ガラスセラミックの形成を低下させ、ガラスセラミック中に、セラミック相ではなくアルミノケイ酸塩残留ガラスを形成する傾向にある。8モル%超のNa2OまたはK2O、もしくはその組合せにより、望ましくない量の残留ガラスがもたらされ、これは、結晶化中に変形をもたらし、機械的性質の観点から望ましくない微細構造をもたらし得ることが分かった。しかしながら、8質量%未満の濃度は、より高い表面圧縮を可能にするイオン交換および/または計測学にとって都合良いであろう。ここに記載された実施の形態において、残留ガラスの組成は、結晶化中に粘度を制御し、変形または望ましくない熱膨張を最小にし、または微細構造特性を制御するように、調整されることがある。
【0085】
一般に、ここに記載された組成物は、リチウムではないアルカリ酸化物を少量有する。いくつかの実施の形態において、前記ガラスまたはガラスセラミック組成物は、0から8モル%のR2Oを含み得、ここで、Rは、アルカリ陽イオンのNaおよびKの1つ以上である。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0超から8モル%のR2O、0から7モル%のR2O、0超から7モル%のR2O、0から6モル%のR2O、0超から6モル%のR2O、0から5モル%のR2O、0超から5モル%のR2O、0から4モル%のR2O、0超から4モル%のR2O、0から3モル%のR2O、0超から3モル%のR2O、0から2モル%のR2O、0超から2モル%のR2O、0から1モル%のR2O、0超から1モル%のR2Oを含み得、ここで、Rは、アルカリ陽イオンのNaおよびKの1つ以上である。いくつかの実施の形態において、このガラスまたはガラスセラミック組成物は、1から3モル%のR2Oを含み得、ここで、Rは、アルカリ陽イオンのNaおよびKの1つ以上である。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0から5モル%、0から4モル%、0から3モル%、0から2モル%、0から1モル%、0超から5モル%、0超から4モル%、0超から3モル%、0超から2モル%、0超から1モル%、0から5モル%、0から4モル%、0から3モル%、0から2モル%、0から1モル%、1から5モル%、1から4モル%、1から3モル%、1から2モル%、1.5から5モル%、1.5から4モル%、1.5から3モル%、1.5から2モル%のNa2O、K2O、またはその組合せを含み得る。R2Oの濃度は、先の端点の任意の全てから形成された部分的範囲内にあるであろうことを理解すべきである。
【0086】
B2O3は、ガラス前駆体の溶融温度を低下させる。さらに、前駆体ガラスおよび、それゆえ、ガラスセラミックにB2O3を添加することは、絡み合った結晶微細構造を達成するのに役立ち、ガラスセラミックの損傷抵抗を改善することもできる。残留ガラス中のホウ素が、アルカリ酸化物または二価陽イオン酸化物(MgO、CaO、SrO、BaO、およびZnOなど)により電荷平衡されなければ、ホウ素は、三角形配位状態(または三配位ホウ素)になり、これにより、ガラスの構造が開かれてしまう。これらの三配位ホウ素原子の周りの網状構造は、四面体配位(または四配位)ホウ素ほど剛性ではない。理論で束縛されるものでもないが、三配位ホウ素を含む前駆体ガラスおよびガラスセラミックは、四配位ホウ素と比べて、亀裂が形成される前にある程度の変形を許容できると考えられる。ある程度の変形を許容することによって、ビッカース圧痕亀裂発生閾値が増加する。三配位ホウ素を含む前駆体ガラスおよびガラスセラミックの破壊靱性も増加するであろう。理論で束縛されるものではないが、ガラスセラミックの残留ガラス(および前駆体ガラス)中にホウ素が存在すると、残留ガラス(または前駆体ガラス)の粘度が低下し、これにより、ケイ酸リチウム結晶、特に、高いアスペクト比を有する大型結晶の成長が促進される。三配位ホウ素の量が多い(四配位ホウ素に対して)と、より大きいビッカース圧痕亀裂発生荷重を示すガラスセラミックが得られると考えられる。ホウ素の量は、一般に、セラミック化されたバルクガラスセラミックの化学的耐久性および機械的強度を維持するように制御されるべきである。言い換えると、ホウ素の量は、化学的耐久性および機械的強度を維持するために、5モル%未満に限定されるべきである。
【0087】
1つ以上の実施の形態において、ここに記載されたガラスおよびガラスセラミックは、0から5モル%または0から2モル%のB2O3を含み得る。実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0から10モル%、0から9モル%、0から8モル%、0から7モル%、0から6モル%、0から5モル%、0から4モル%、0から3モル%、0から2モル%、0から1モル%、0超から10モル%、0超から9モル%、0超から8モル%、0超から7モル%、0超から6モル%、0超から5モル%、0超から4モル%、0超から3モル%、0超から2モル%、0超から1モル%、1から10モル%、1から8モル%、1から6モル%、1から5モル%、1から4モル%、1から2モル%、2から10モル%、2から8モル%、2から6モル%、2から5モル%、2から4モル%、3から10モル%、3から8モル%、3から6モル%、3から5モル%、3から4モル%、4から10モル%、4から8モル%、4から6モル%、4から5モル%、5から10モル%、5から8モル%、5から7.5モル%、5から6モル%、または5から5.5モル%、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲のB2O3を含み得る。いくつかの実施の形態において、前駆体ガラスおよびガラスセラミックは、B2O3を実質的に含まない。
【0088】
前記ガラスおよびガラスセラミック組成物は、P2O5を含み得る。P2O5は、ガラスおよびガラスセラミック組成物から結晶相のバルク核形成を生じるための核形成剤の機能を果たすことができる。P2O5の濃度が低すぎると、より高い温度だけでしか(より低い粘度のために)、前駆体ガラスは結晶化しない;しかしながら、P2O5の濃度が高すぎると、前駆体ガラスの成形中の冷却の際の失透が、制御するのが難しくなり得る。実施の形態は、0超から5モル%のP2O5を含み得る。他の実施の形態は、0超から4モル%のP2O5、0超から3モル%のP2O5、またさらには0超から2.5モル%のP2O5を含み得る。具体化された組成物は、0から5モル%、0から4.5モル%、0から4モル%、0から3.5モル%、0から3モル%、0から2.5モル%、0から2モル%、0から1.5モル%、0から1モル%、0超から5モル%、0超から4.5モル%、0超から4モル%、0超から3.5モル%、0超から3モル%、0超から2.5モル%、0超から2モル%、0超から1.5モル%、0超から1モル%、0.2から5モル%、0.2から4.5モル%、0.2から4モル%、0.2から3.5モル%、0.2から2モル%、0.2から2.5モル%、0.2から2モル%、0.2から1.5モル%、0.2から1モル%、0.3から5モル%、0.3から4.5モル%、0.3から4モル%、0.3から3.5モル%、0.3から3モル%、0.3から2.5モル%、0.3から2モル%、0.3から1.5モル%、0.3から1モル%、0.4から5モル%、0.4から4.5モル%、0.4から4モル%、0.4から3.5モル%、0.4から3モル%、0.4から2.5モル%、0.4から2モル%、0.4から1.5モル%、0.4から1モル%、0.5から5モル%、0.5から4.5モル%、0.5から4モル%、0.5から3.5モル%、0.5から3モル%、0.5から2.5モル%、0.5から2モル%、0.5から1.5モル%、0.5から1モル%、0.7から5モル%、0.7から4.5モル%、0.7から4モル%、0.7から3.5モル%、0.7から3モル%、0.7から2.5モル%、0.7から2モル%、0.7から1.5モル%、0.7から1モル%、1から5モル%、1から4.5モル%、1から4モル%、1から3.5モル%、1から3モル%、1から2.5モル%、1から2モル%、1から1.5モル%、1.5から6モル%、1.5から5.5モル%、1.5から5モル%、1.5から4.5モル%、1.5から4モル%、1.5から3.5モル%、1.5から3モル%、1.5から2.5モル%、1.5から2モル%、2から6モル%、2から5.5モル%、2から5モル%、2から4.5モル%、2から4モル%、2から3.5モル%、2から3モル%、2から2.5モル%、2.5から6モル%、2.5から5.5モル%、2.5から5モル%、2.5から4.5モル%、2.5から4モル%、2.5から3.5モル%、2.5から3モル%、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲のP2O5を含み得る。
【0089】
ここに記載されたガラスおよびガラスセラミックにZrO2を添加すると、成形中のガラスの失透を著しく減少させ、液相温度を低下させることによって、Li2O-Al2O3-SiO2-P2O5ガラスの安定性を改善することができる。ZrO2を添加すると、高温で主要な液相を形成でき、これにより、液相粘度が著しく低下する。ZrO2は、透明ガラスの形成に役立つこともある。ZrO2を添加すると、葉長石の粒径も減少させることができ、これは、透明ガラスセラミックの形成に役立つ。いくつかの実施の形態において、このガラスまたはガラスセラミック組成物は、1から6モル%のZrO2を含み得る。いくつかの実施の形態において、このガラスまたはガラスセラミック組成物は、2から5モル%のZrO2を含み得る。いくつかの実施の形態において、このガラスまたはガラスセラミック組成物は、1から15モル%、1から12モル%、1から10モル%、1から8モル%、1から6モル%、1から4モル%、1.5から15モル%、1.5から12モル%、1.5から10モル%、1.5から8モル%、1.5から6モル%、1.5から4モル%、2から15モル%、2から12モル%、2から10モル%、2から8モル%、2から6モル%、2から4モル%、2.5から15モル%、2.5から12モル%、2.5から10モル%、2.5から8モル%、2.5から6モル%、2.5から4モル%、3から15モル%、3から12モル%、3から10モル%、3から8モル%、3から6モル%、3から4モル%、3.5から15モル%、3.5から12モル%、3.5から10モル%、3.5から8モル%、3.5から6モル%、3.5から5モル%、またはこれらの端点のいずれかから形成される任意と全ての部分的範囲のZrO2を含み得る。
【0090】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラスおよびガラスセラミックは、0から0.5モル%のSnO2、または別の清澄剤を含み得る。実施の形態において、このガラスまたはガラスセラミック組成物は、0から0.5モル%、0から0.4モル%、0から0.3モル%、0から0.2モル%、0から0.1モル%、0.01から0.5モル%、0.01から0.4モル%、0.01から0.3モル%、0.01から0.2モル%、0.05から0.5モル%、0.05から0.4モル%、0.05から0.3モル%、0.05から0.2モル%、0.05から0.1モル%、0.1から0.5モル%、0.1から0.4モル%、0.1から0.3モル%、0.1から0.2モル%、0.2から0.5モル%、0.2から0.4モル%、0.2から0.3モル%、0.3から0.5モル%、0.3モル%から0.4モル%、または0.4から0.5モル%、もしくはこれらの端点のいずれかから形成される任意と全ての部分的範囲のSnO2を含み得る。
【0091】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラスおよびガラスセラミックは、0から0.5モル%のFe2O3を含み得る。実施の形態において、このガラスまたはガラスセラミック組成物は、0から0.5モル%、0から0.4モル%、0から0.3モル%、0から0.2モル%、0から0.1モル%、0.05から0.5モル%、0.05から0.4モル%、0.05から0.3モル%、0.05から0.2モル%、0.05から0.1モル%、0.1から0.5モル%、0.1から0.4モル%、0.1から0.3モル%、0.1から0.2モル%、0.2から0.5モル%、0.2から0.4モル%、0.2から0.3モル%、0.3から0.5モル%、0.3モル%から0.4モル%、または0.4から0.5モル%、もしくはこれらの端点のいずれかから形成される任意と全ての部分的範囲のFe2O3を含み得る。
【0092】
MgOは、部分的固溶体中の葉長石結晶に侵入することができる。実施の形態において、ここに記載されたガラスおよびガラスセラミックは、0から2モル%のMgOを含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0から2モル%、%、0から1.5モル%、0から1モル%、0から0.5、0超から2モル%、0超から1.5モル%、0超から1モル%、0超から0.5モル%、0.5から2モル%、0.5から1.5モル%、0.5から1.0モル%、またはこれらの端点のいずれかから形成される任意と全ての部分的範囲のMgOを含み得る。
【0093】
CaOは、部分的固溶体中の葉長石結晶に侵入することができる。実施の形態において、ここに記載されたガラスおよびガラスセラミックは、0から8モル%のCaOを含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0から2モル%、0から1.5モル%、0から1モル%、0から0.5、0超から2モル%、0超から1.5モル%、0超から1モル%、0超から0.5モル%、0.5から2モル%、0.5から1.5モル%、0.5から1.0モル%、またはこれらの端点のいずれかから形成される任意と全ての部分的範囲のCaOを含み得る。
【0094】
BaOは、部分的固溶体中の葉長石結晶に侵入することができる。実施の形態において、ここに記載されたガラスおよびガラスセラミックは、0から2モル%のBaOを含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0から2モル%、0から1.5モル%、0から1モル%、0から0.5、0超から2モル%、0超から1.5モル%、0超から1モル%、0超から0.5モル%、0.5から2モル%、0.5から1.5モル%、0.5から1.0モル%、またはこれらの端点のいずれかから形成される任意と全ての部分的範囲のBaOを含み得る。
【0095】
SrOは、部分的固溶体中の葉長石結晶に侵入することができる。実施の形態において、ここに記載されたガラスおよびガラスセラミックは、0から2モル%のSrOを含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0から2モル%、0から1.5モル%、0から1モル%、0から0.5、0超から2モル%、0超から1.5モル%、0超から1モル%、0超から0.5モル%、0.5から2モル%、0.5から1.5モル%、0.5から1.0モル%、またはこれらの端点のいずれかから形成される任意と全ての部分的範囲のSrOを含み得る。
【0096】
ZnOは、部分的固溶体中の葉長石結晶に侵入することができる。実施の形態において、ここに記載されたガラスおよびガラスセラミックは、0から2モル%のZnOを含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0から2モル%、0から1.5モル%、0から1モル%、0から0.5、0超から2モル%、0超から1.5モル%、0超から1モル%、0超から0.5モル%、0.5から2モル%、0.5から1.5モル%、0.5から1.0モル%、またはこれらの端点のいずれかから形成される任意と全ての部分的範囲のZnOを含み得る。
【0097】
実施の形態において、ここに記載されたガラスおよびガラスセラミックは、0から2モル%のLa2O3を含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0から2モル%、0から1.5モル%、0から1モル%、0から0.5、0超から2モル%、0超から1.5モル%、0超から1モル%、0超から0.5モル%、0.5から2モル%、0.5から1.5モル%、0.5から1.0モル%、またはこれらの端点のいずれかから形成される任意と全ての部分的範囲のLa2O3を含み得る。
【0098】
実施の形態において、ここに記載されたガラスおよびガラスセラミックは、0から2モル%のHfO2を含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0から2モル%、0から1.5モル%、0から1モル%、0から0.5、0超から2モル%、0超から1.5モル%、0超から1モル%、0超から0.5モル%、0.5から2モル%、0.5から1.5モル%、0.5から1.0モル%、またはこれらの端点のいずれかから形成される任意と全ての部分的範囲のHfO2を含み得る。
【0099】
実施の形態において、ここに記載されたガラスおよびガラスセラミックは、0から2モル%のGeO2を含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0から2モル%、0から1.5モル%、0から1モル%、0から0.5、0超から2モル%、0超から1.5モル%、0超から1モル%、0超から0.5モル%、0.5から2モル%、0.5から1.5モル%、0.5から1.0モル%、またはこれらの端点のいずれかから形成される任意と全ての部分的範囲のGeO2を含み得る。
【0100】
実施の形態において、ここに記載されたガラスおよびガラスセラミックは、0から2モル%のTa2O5を含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0から2モル%、0から1.5モル%、0から1モル%、0から0.5、0超から2モル%、0超から1.5モル%、0超から1モル%、0超から0.5モル%、0.5から2モル%、0.5から1.5モル%、0.5から1.0モル%、またはこれらの端点のいずれかから形成される任意と全ての部分的範囲のTa2O5を含み得る。
【0101】
実施の形態において、モル%で表されるAl2O3の総濃度に対するモル%で表されるアルカリ酸化物M2O(例えば、M=Li2O+K2O+Na2O)の総濃度の比(すなわち、M2O:Al2O3)は、3以上から9以下、3以上から8以下、3以上から7以下、3以上から6以下、3以上から5以下、4以上から9以下、4以上から8以下、4以上から7以下、4以上から6以下、またさらには4以上から5以下である。
【0102】
実施の形態において、モル%で表されるアルカリ酸化物M2Oの総濃度に対するモル%で表されるLi2Oの総濃度の比(すなわち、Li2O:M2O)は、0.6以上から1以下、0.7以上から1以下、0.8以上から1以下、またさらには0.9以上から1以下である。
【0103】
表1には、ここに示され、記載された1つ以上の実施の形態により記載された前駆体ガラスおよびガラスセラミックに関する例示の組成空間が示されている。
【0104】
【0105】
表2には、ここに示され、記載された1つ以上の実施の形態により記載された前駆体ガラスおよびガラスセラミックに関するいくつかの例示の組成が示されている。
【0106】
【0107】
表3には、ここに示され、記載された1つ以上の実施の形態による、ガラス前駆体および/またはガラスセラミック組成物のいくつかの例示の組成が示されている。
【0108】
【0109】
ここに記載されたガラスセラミック組成物から形成されるガラスセラミック物品は、どの適切な厚さであってもよく、その厚さは、ガラスセラミック物品の特定の使途に応じて様々であろう。実施の形態において、ガラスセラミックシートの実施の形態は、250μm以上かつ6mm以下、250μm以上かつ4mm以下、250μm以上かつ2mm以下、250μm以上かつ1mm以下、250μm以上かつ750μm以下、250μm以上かつ500μm以下、500μm以上かつ6mm以下、500μm以上かつ4mm以下、500μm以上かつ2mm以下、500μm以上かつ1mm以下、500μm以上かつ750μm以下、750μm以上かつ6mm以下、750μm以上かつ4mm以下、750μm以上かつ2mm以下、750μm以上かつ1mm以下、1mm以上かつ6mm以下、1mm以上かつ4mm以下、1mm以上かつ2mm以下、2mm以上かつ6mm以下、2mm以上かつ4mm以下、またさらには4mm以上かつ6mm以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にある厚さを有することがある。
【0110】
実施の形態において、ガラスセラミック物品を製造する過程は、ガラスの均質化および1つ以上の結晶相(例えば、1つ以上の組成、量、形態、サイズまたはサイズ分布などを有する)の結晶化(すなわち、核形成と成長)を誘発するために1つ以上の事前に選択された時間に亘り1つ以上の事前に選択された温度で炉内の前駆体ガラスを熱処理する工程を含む。実施の形態において、熱処理は、(i)1℃/分以上かつ10℃/分以下の速度で炉内の前駆体ガラスを核形成温度に加熱すること、(ii)0.25時間以上かつ4時間以下の時間に亘り炉内で核形成温度に前駆体ガラスを維持して、核形成された結晶化可能なガラスを生成すること、(iii)1℃/分以上かつ10℃/分以下の速度で炉内の核形成された結晶化可能なガラスを結晶化温度に加熱すること、(iv)0.25時間以上かつ4時間以下の時間に亘り炉内で結晶化温度に核形成された結晶化可能なガラスを維持して、ガラスセラミック物品を生成すること、および(v)ガラスセラミック物品を室温に冷却することを含むことがある。
【0111】
実施の形態において、核形成温度は、600℃以上かつ900℃以下であることがある。実施の形態において、核形成温度は、600℃以上、またさらには650℃以上であることがある。実施の形態において、核形成温度は、900℃以下、またさらには800℃以下であることがある。実施の形態において、核形成温度は、600℃以上かつ900℃以下、600℃以上かつ800℃以下、650℃以上かつ900℃以下、またさらには650℃以上かつ800℃以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。
【0112】
実施の形態において、結晶化温度は、700℃以上かつ1000℃以下であることがある。実施の形態において、結晶化温度は、700℃以上、またさらには750℃以上であることがある。実施の形態において、結晶化温度は、1000℃以下、またさらには900℃以下であることがある。実施の形態において、結晶化温度は、700℃以上かつ1000℃以下、700℃以上かつ900℃以下、750℃以上かつ1000℃以下、またさらには750℃以上かつ900℃以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。
【0113】
当業者は、ここに記載された加熱速度、核形成温度、および結晶化温度は、ガラスセラミック組成物が中で熱処理されている炉の加熱速度と温度を称することを理解するであろう。
【0114】
ガラスセラミック組成物に加え、結晶化温度に加熱し、温度をその結晶化温度に維持する熱処理工程の温度-時間的プロファイルは、以下の所望の属性の内の1つ以上を生じるように思慮深く定められている:ガラスセラミック物品の結晶相、1つ以上の主結晶相および/または1つ以上の副結晶相および残留ガラス相の比率、1つ以上の主結晶相および/または1つ以上の副結晶相および残留ガラス相の結晶相集合体、および1つ以上の主結晶相および/または1つ以上の副結晶相の中での粒径または粒径分布。これらは、転じて、結果として得られるガラスセラミック物品の最終的な完全性、品質、色、および/または不透明度に影響することがある。
【0115】
得られたガラスセラミック物品は、シートとして提供されることがあり、そのシートは、次に、加圧成形、吹き込み成形、曲げ加工、垂れ加工、真空成形、または他の手段によって、均一な厚さの湾曲片または曲げ片に再成形されることがある。再成形は、熱処理前に行われてもよい、または成形工程が、成形と熱処理の両方が実質的に同時に行われる熱処理工程の働きをしてもよい。
【0116】
実施の形態において、前記ガラスセラミック物品は、ASTM C693に規定されたアルキメデス法にしたがって、2.2以上かつ2.7g/cm3以下の密度を有する。実施の形態において、このガラスセラミック物品は、2.25以上かつ2.65g/cm3以下の密度を有する。実施の形態において、このガラスセラミック物品は、2.3以上かつ2.65g/cm3以下の密度を有する。実施の形態において、このガラスセラミック物品は、2.3以上かつ2.6g/cm3以下の密度を有する。
【0117】
実施の形態において、前記ガラスセラミック物品は、2nm以下、またさらには1.5nm以下の表面粗さRaを有する。実施の形態において、表面粗さRaは、1nm以上かつ2nm以下、またさらには1nm以上かつ1.5nm以下であることがある。理論で束縛されるものでないが、これらの範囲内の表面粗さは、ガラスセラミック物品の接触研磨中に非セリア系研磨材を使用することによって、達成できると考えられる。
【0118】
ここに開示された実施の形態によるガラス系物品は、従来の物品と比べて改善された化学的耐久性を有することがある。この化学的耐久性は、ガラス系物品の表面上のナトリウムの存在により測定することができる。実施の形態において、ガラス系物品は、下記の範囲内の任意と全ての部分的範囲を含む、4.8モル%以下のナトリウム、4.5モル%以下のナトリウム、4.2モル%以下のナトリウム、4.0モル%以下のナトリウム、3.8モル%以下のナトリウム、3.5モル%以下のナトリウム、3.2モル%以下のナトリウム、3.0モル%以下のナトリウム、2.8モル%以下のナトリウム、2.5モル%以下のナトリウム、2.0モル%以下のナトリウムなど、5.0モル%未満のナトリウムを表面に含む。ガラス系物品の表面上のナトリウム含有量が低いと、実施の形態において、72時間に亘り高温多湿(85℃/85%の相対湿度)に保持されたときに、ガラス系物品上の炭酸ナトリウム腐食をなくすことができる。
【0119】
実施の形態において、ここに記載されたガラス組成物は、そのガラス組成物から製造されたガラス物品の強化を促進するために、イオン交換可能である。典型的なイオン交換過程において、ガラス組成物中のより小さい金属イオンが、そのガラス組成物から製造されたガラス物品の外面に近い層内にある同じ価数のより大きい金属イオンと置換、すなわち「交換」される。大きい方のイオンで小さい方のイオンが置換されることにより、ガラス組成物から製造されたガラス物品の層内に圧縮応力が生じる。実施の形態において、それらの金属イオンは、一価の金属イオン(すなわち、Li+、Na+、K+など)であり、イオン交換は、ガラス物品中の小さい方の金属イオンを交換することになっている大きい方の金属イオンの少なくとも1種類の溶融塩を含む浴中に、ガラス組成物から製造されたガラス物品を浸漬することによって、行われる。あるいは、一価イオンは、Ag+、Tl+、Cu+などの他の一価イオンと交換されることがある。ガラス組成物から製造されたガラス物品を強化するために使用されるイオン交換過程には、以下に限られないが、1つの浴中の浸漬、または浸漬の間に洗浄工程および/または徐冷工程が行われる、同様のまたは異なる組成の多数の浴中の浸漬があるであろう。
【0120】
イオン交換溶液(例えば、KNO3および/またはNaNO3溶融塩浴)は、ガラス組成物に暴露される際に、実施の形態によれば、350℃以上かつ500℃以下、360℃以上かつ450℃以下、370℃以上かつ440℃以下、360℃以上かつ420℃以下、370℃以上かつ400℃以下、375℃以上かつ475℃以下、400℃以上かつ500℃以下、410℃以上かつ490℃以下、420℃以上かつ480℃以下、430℃以上かつ470℃以下、またさらには440℃以上かつ460℃以下、もしくは先の値の間の任意と全ての部分的範囲内の温度であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物は、2時間以上かつ48時間以下、2時間以上かつ24時間以下、2時間以上かつ12時間以下、2時間以上かつ6時間以下、8時間以上かつ44時間以下、12時間以上かつ40時間以下、16時間以上かつ36時間以下、20時間以上かつ32時間以下、またさらには24時間以上かつ28時間以下、もしくは先の値の間の任意と全ての部分的範囲内の期間に亘りイオン交換溶液に暴露されることがある。
【0121】
先に述べたように、実施の形態において、ガラス系物品は、イオン交換などによって強化し、以下に限られないが、ディスプレイカバー用ガラスなどの用途のために損傷抵抗であるガラス系物品を製造することができる。
図4を参照すると、ガラス系物品は、ガラスの表面からDOCまで延在する圧縮応力下にある第1の領域(例えば、
図4における第1と第2の圧縮層120、122)およびDOCからガラスの中央または内部領域まで延在する引張応力またはCT下にある第2の領域(例えば、
図4における中央領域130)を有する。第1のセグメント120は第一面110から深さd
1まで延在し、第2のセグメント122は第二面112から深さd
2まで延在する。これらのセグメントは、共に、ガラス100の圧縮またはCSを規定する。
【0122】
実施の形態において、ガラス組成物の表面CSは、以下の値の間の任意と全ての部分的範囲を含む、220MPa以上から350MPa以下、240MPa以上から350MPa以下、250MPa以上から350MPa以下、260MPa以上から350MPa以下、280MPa以上から350MPa以下、300MPa以上から350MPa以下、320MPa以上から350MPa以下、340MPa以上から350MPa以下、200MPa以上から340MPa以下、220MPa以上から340MPa以下、240MPa以上から340MPa以下、250MPa以上から340MPa以下、260MPa以上から340MPa以下、280MPa以上から340MPa以下、300MPa以上から340MPa以下、320MPa以上から340MPa以下、200MPa以上から320MPa以下、220MPa以上から320MPa以下、240MPa以上から320MPa以下、250MPa以上から320MPa以下、260MPa以上から320MPa以下、280MPa以上から320MPa以下、300MPa以上から320MPa以下、200MPa以上から300MPa以下、220MPa以上から300MPa以下、240MPa以上から300MPa以下、250MPa以上から300MPa以下、260MPa以上から300MPa以下、280MPa以上から300MPa以下、200MPa以上から280MPa以下、220MPa以上から280MPa以下、240MPa以上から280MPa以下、250MPa以上から280MPa以下、260MPa以上から280MPa以下、200MPa以上から260MPa以下、220MPa以上から260MPa以下、240MPa以上から260MPa以下、250MPa以上から260MPa以下、200MPa以上から250MPa以下、220MPa以上から250MPa以下、240MPa以上から250MPa以下、200MPa以上から240MPa以下、または220MPa以上から240MPa以下、200MPa以上から220MPa以下など、200MPa以上から350MPa以下の範囲にあることがある。
【0123】
実施の形態において、ガラス系物品の最大CTは、以下の値の間の任意と全ての部分的範囲を含む、95MPa以上から125MPa以下、100MPa以上から125MPa以下、105MPa以上から125MPa以下、110MPa以上から125MPa以下、115MPa以上から125MPa以下、120MPa以上から125MPa以下、90MPa以上から120MPa以下、95MPa以上から120MPa以下、100MPa以上から120MPa以下、105MPa以上から120MPa以下、110MPa以上から120MPa以下、115MPa以上から120MPa以下、90MPa以上から115MPa以下、95MPa以上から115MPa以下、100MPa以上から115MPa以下、105MPa以上から115MPa以下、110MPa以上から115MPa以下、90MPa以上から110MPa以下、95MPa以上から110MPa以下、100MPa以上から110MPa以下、105MPa以上から110MPa以下、90MPa以上から105MPa以下、95MPa以上から105MPa以下、100MPa以上から105MPa以下、90MPa以上から100MPa以下、95MPa以上から100MPa以下、90MPa以上から95MPa以下など、90MPa以上から125MPa以下の範囲にあることがある。
【0124】
実施の形態において、ガラス組成物のDOCは、tを物品の厚さとして、以下の値の間の任意と全ての部分的範囲を含む、0.15t以上から0.24t以下、0.16t以上から0.24t以下、0.17t以上から0.24t以下、0.18t以上から0.24t以下、0.19t以上から0.24t以下、0.20t以上から0.24t以下、0.21t以上から0.24t以下、0.22t以上から0.24t以下、0.23t以上から0.24t以下、0.14t以上から0.23t以下、0.15t以上から0.23t以下、0.16t以上から0.23t以下、0.17t以上から0.23t以下、0.18t以上から0.23t以下、0.19t以上から0.23t以下、0.20t以上から0.23t以下、0.21t以上から0.23t以下、0.22t以上から0.23t以下、0.14t以上から0.22t以下、0.15t以上から0.22t以下、0.16t以上から0.22t以下、0.17t以上から0.22t以下、0.18t以上から0.22t以下、0.19t以上から0.22t以下、0.20t以上から0.22t以下、0.21t以上から0.22t以下、0.14t以上から0.21t以下、0.15t以上から0.21t以下、0.16t以上から0.21t以下、0.17t以上から0.21t以下、0.18t以上から0.21t以下、0.19t以上から0.21t以下、0.20t以上から0.21t以下、0.14t以上から0.20t以下、0.15t以上から0.20t以下、0.16t以上から0.20t以下、0.17t以上から0.20t以下、0.18t以上から0.20t以下、0.19t以上から0.20t以下、0.14t以上から0.19t以下、0.15t以上から0.19t以下、0.16t以上から0.19t以下、0.17t以上から0.19t以下、0.18t以上から0.19t以下、0.14t以上から0.18t以下、0.15t以上から0.18t以下、0.16t以上から0.18t以下、0.17t以上から0.18t以下、0.14t以上から0.17t以下、0.15t以上から0.17t以下、0.16t以上から0.17t以下、0.14t以上から0.16t以下、0.15t以上から0.16t以下、0.14t以上から0.15t以下など、0.14t以上から0.24t以下の範囲にあることがある。
【0125】
実施の形態において、ガラス組成物のDOCは、以下の値の間の任意と全ての部分的範囲を含む、95μm以上から150μm以下、100μm以上から150μm以下、110μm以上から150μm以下、120μm以上から150μm以下、130μm以上から150μm以下、140μm以上から150μm以下、85μm以上から140μm以下、95μm以上から140μm以下、100μm以上から140μm以下、110μm以上から140μm以下、120μm以上から140μm以下、130μm以上から140μm以下、85μm以上から130μm以下、95μm以上から130μm以下、100μm以上から130μm以下、110μm以上から130μm以下、120μm以上から130μm以下、85μm以上から120μm以下、95μm以上から120μm以下、100μm以上から120μm以下、110μm以上から120μm以下、85μm以上から110μm以下、95μm以上から110μm以下、100μm以上から110μm以下、85μm以上から100μm以下、95μm以上から100μm以下、85μm以上から100μm以下、95μm以上から100μm以下、85μm以上から95μm以下など、85μm以上から150μm以下の範囲にあることがある。
【0126】
CTは、CT/TAと称される、積分張力面積(MPa
*μm)に対するCT(MPa)の比として測定されることがある。実施の形態によれば、CT/TAは、下記の範囲内の任意と全ての部分的範囲を含む、3.2μm
-1以上から5.5μm
-1以下、3.5μm
-1以上から5.5μm
-1以下、3.8μm
-1以上から5.5μm
-1以下、4.0μm
-1以上から5.5μm
-1以下、4.2μm
-1以上から5.5μm
-1以下、4.5μm
-1以上から5.5μm
-1以下、4.8μm
-1以上から5.5μm
-1以下、5.0μm
-1以上から5.5μm
-1以下、5.2μm
-1以上から5.5μm
-1以下、3.0μm
-1以上から5.2μm
-1以下、3.2μm
-1以上から5.2μm
-1以下、3.5μm
-1以上から5.2μm
-1以下、3.8μm
-1以上から5.2μm
-1以下、4.0μm
-1以上から5.2μm
-1以下、4.2μm
-1以上から5.2μm
-1以下、4.5μm
-1以上から5.2μm
-1以下、4.8μm
-1以上から5.2μm
-1以下、5.0μm
-1以上から5.2μm
-1以下、3.0μm
-1以上から5.0μm
-1以下、3.2μm
-1以上から5.0μm
-1以下、3.5μm
-1以上から5.0μm
-1以下、3.8μm
-1以上から5.0μm
-1以下、4.0μm
-1以上から5.0μm
-1以下、4.2μm
-1以上から5.0μm
-1以下、4.5μm
-1以上から5.0μm
-1以下、4.8μm
-1以上から5.0μm
-1以下、3.0μm
-1以上から4.8μm
-1以下、3.2μm
-1以上から4.8μm
-1以下、3.5μm
-1以上から4.8μm
-1以下、3.8μm
-1以上から4.8μm
-1以下、4.0μm
-1以上から4.8μm
-1以下、4.2μm
-1以上から4.8μm
-1以下、4.5μm
-1以上から4.8μm
-1以下、3.0μm
-1以上から4.5μm
-1以下、3.2μm
-1以上から4.5μm
-1以下、3.5μm
-1以上から4.5μm
-1以下、3.8μm
-1以上から4.5μm
-1以下、4.0μm
-1以上から4.5μm
-1以下、4.2μm
-1以上から4.5μm
-1以下、3.0μm
-1以上から4.2μ
-11以下、3.2μm
-1以上から4.2μm
-1以下、3.5μm
-1以上から4.2μm
-1以下、3.8μm
-1以上から4.2μm
-1以下、4.0μm
-1以上から4.2μm
-1以下、3.0μm
-1以上から4.0μm
-1以下、3.2μm
-1以上から4.0μm
-1以下、3.5μm
-1以上から4.0μm
-1以下、3.8μm
-1以上から4.0μm
-1以下、3.0μm
-1以上から3.8μm
-1以下、3.2μm
-1以上から3.8μm
-1以下、3.5μm
-1以上から3.8μm
-1以下、3.0μm
-1以上から3.5μm
-1以下、3.2μm
-1以上から3.5μm
-1以下、3.0μm
-1以上から3.2μm
-1以下など、3.0μm
-1以上から5.5μm
-1以下である。様々なイオン交換条件でのCT/TAおよびCT
*TAのプロットが、
図5~8に示されている。
【0127】
CTは、CT/DOC(MPa/μm)と称される、DOCの比として記載されることもある。実施の形態によれば、ガラス系物品は、下記の範囲内の任意と全ての部分的範囲を含む、0.7MPa/μm以上から1.0MPa/μm以下、0.8MPa/μm以上から1.0MPa/μm以下、0.9MPa/μm以上から1.0MPa/μm以下、0.6MPa/μm以上から0.9MPa/μm以下、0.7MPa/μm以上から0.9MPa/μm以下、0.8MPa/μm以上から0.9MPa/μm以下、0.6MPa/μm以上から0.8MPa/μm以下、0.7MPa/μm以上から0.8MPa/μm以下、0.6MPa/μm以上から0.7MPa/μm以下など、0.6MPa/μm以上から1.0MPa/μm以下のCT/DOCを有する。様々なイオン交換条件でのCT/DOCのプロットが、
図9および10に示されている。
【0128】
実施の形態によれば、ガラス系物品は、下記の範囲内の任意と全ての部分的範囲を含む、4.8%以上から5.0%以下、4.9%以上から5.0%以下、4.7%以上から4.9%以下、4.8%以上から4.9%以下、または4.7%以上から4.8%以下など、4.7%以上から5.0%以下の、分光計(Cary 5000、Perkin-Elmer 950、Hitachi U-4001)で測定したUV(350から400nm)反射率を有する。
【0129】
実施の形態によれば、ガラス系物品は、下記の範囲内の任意と全ての部分的範囲を含む、4.5%以上から4.8%以下、4.6%以上から4.8%以下、4.7%以上から4.8%以下、4.4%以上から4.7%以下、4.5%以上から4.7%以下、4.6%以上から4.7%以下、4.4%以上から4.6%以下、4.5%以上から4.6%以下、4.4%以上から4.5%以下など、4.4%以上から4.8%以下の、分光計(Cary 5000、Perkin-Elmer 950、Hitachi U-4001)で測定した可視光(440から770nm)反射率を有する。
【0130】
実施の形態によれば、ガラス系物品は、下記の範囲内の任意と全ての部分的範囲を含む、4.4%以上から4.5%以下、または4.4%以上から4.5%以下など、4.3%以上から4.5%以下の、分光計(Cary 5000、Perkin-Elmer 950、Hitachi U-4001)で測定したIR(770から1000nm)反射率を有する。
【0131】
実施の形態によれば、ガラス系物品は、下記の範囲内の任意と全ての部分的範囲を含む、72%以上、75%以上、78%以上、80%以上、82%以上、85%以上、88%以上など、70%以上の、分光計(Cary 5000、Perkin-Elmer 950)で測定したUV(350から400nm)透過率を有する。
【0132】
実施の形態によれば、ガラス系物品は、下記の範囲内の任意と全ての部分的範囲を含む、90%以上、92%以上、94%以上、96%以上、98%以上など、89%以上の、分光計(Cary 5000、Perkin-Elmer 950)で測定した可視光(400から770nm)透過率を有する。
【0133】
実施の形態によれば、ガラス系物品は、下記の範囲内の任意と全ての部分的範囲を含む、92%以上、94%以上、96%以上、98%以上など、90%以上の、分光計(Cary 5000、Perkin-Elmer 950)で測定したIR(770から1000nm)透過率を有する。
【0134】
実施の形態によれば、ガラス系物品は、下記の範囲内の任意と全ての部分的範囲を含む、92%以上、94%以上、96%以上、98%以上など、90%以上の、分光計(Cary 5000、Perkin-Elmer 950)で測定した、940nm±20nmの波長を有するIRの透過率を有する。実施の形態による透過率曲線が、
図11に示されている。
【0135】
実施の形態によれば、ガラス系物品は、以下のような、380から770nmの波長でASTM E308-08にしたがって研磨試料での透過率から計算して、F2、CIE 1964 10°にしたがって測定されたL*a*b*色を有する:96.17以上から96.75以下など、96.00以上から97.00以下のL*、-0.02以上から-0.06以下など、-0.01以上から-0.07のa*、0.31以上から0.77以下など、0.30以上から0.80以下のb*。
【0136】
実施の形態によれば、ガラス系物品は、下記の範囲内の任意と全ての部分的範囲を含む、1.51以上から1.60以下、1.52以上から1.60以下、1.53以上から1.60以下、1.54以上から1.60以下、1.55以上から1.60以下、1.56以上から1.60以下、1.57以上から1.60以下、1.58以上から1.60以下、1.59以上から1.60以下、1.50以上から1.59以下、1.51以上から1.59以下、1.52以上から1.59以下、1.53以上から1.59以下、1.54以上から1.59以下、1.55以上から1.59以下、1.56以上から1.59以下、1.57以上から1.59以下、1.58以上から1.59以下、1.50以上から1.58以下、1.51以上から1.58以下、1.52以上から1.58以下、1.53以上から1.58以下、1.54以上から1.58以下、1.55以上から1.58以下、1.56以上から1.58以下、1.57以上から1.58以下、1.50以上から1.57以下、1.51以上から1.57以下、1.52以上から1.57以下、1.53以上から1.57以下、1.54以上から1.57以下、1.55以上から1.57以下、1.56以上から1.57以下、1.50以上から1.56以下、1.51以上から1.56以下、1.52以上から1.56以下、1.53以上から1.56以下、1.54以上から1.56以下、1.55以上から1.56以下、1.50以上から1.55以下、1.51以上から1.55以下、1.52以上から1.55以下、1.53以上から1.55以下、1.54以上から1.55以下、1.50以上から1.54以下、1.51以上から1.54以下、1.52以上から1.54以下、1.53以上から1.54以下、1.50以上から1.53以下、1.51以上から1.53以下、1.52以上から1.53以下、1.50以上から1.52以下、1.51以上から1.52以下、1.50以上から1.51以下など、1.50以上から1.06以下の、MetriconまたはAbbe屈折計で測定して、365nmから790nmの波長での屈折率を有する。
【0137】
実施の形態によれば、そのガラス系物品は、下記の範囲内の任意と全ての部分的範囲を含む、0.12%以下、0.10%以下、0.08%以下、0.06%以下、0.04%以下、0.02%以下など、0.15%以下のBYK Haze-Gard Plusで測定されたヘイズを有する。
【0138】
ここに用いられているような「破壊高さ」という用語は、ガラス系物品を備えた装置を落下させることができる、そのガラス系物品が破壊される(すなわち、ひびが入る)最低高さを称する。装置の破壊高さを決定するために、落下試験法が用いられる。この落下試験法では、ガラス系物品を取り付けたパック上への面落下試験(face-drop testing)が行われる。ガラス系物品は、下記に記載された落下試験中にガラス系物品をパックに保持するために、tesa(登録商標)61385両面接着テープでパックに取り付けられる。試験すべきガラス系物品は、0.5mmまたは0.6mmなど、所定の携帯型消費者向け電子機器に使用される厚さと類似か等しい厚さを有する。パックは、携帯電話などの所定の機器のサイズ、形状、および質量分布を模倣するように作られた構造物を称する。以後、「パック」という用語は、126.0グラムの質量、133.1mmの長さ、68.2mmの幅、および9.4mmの高さを有する構造物を称する。実施の形態において、パックは、携帯型電子機器と似た寸法と質量を有する。
【0139】
落下試験法を実施するために使用できる例示の機器落下装置が、
図12に参照番号10で示されている。機器落下装置10は、チャックジョー14を有するチャック12を備えている。ガラス系物品が下向きに取り付けられたパック16が、チャックジョー14内に設定されている。チャック12は、例えば、電磁式チャックリフターから落とされる用意がされている。ここで
図13を参照すると、チャック12は、解放され、落下中に、チャックジョー14が、例えば、近接センサ20によって、開くように作動される。チャックジョー14が開くと、パック16が解放される。ここで
図14を参照すると、落下しているパック16が落下面18に衝突する。落下面18は、鋼板上に位置付けられた、180グリットの研磨紙などの研磨紙であることがある。パックに取り付けられたガラス系物品が落下に耐えた(すなわち、割れない)場合、チャック12を上昇した高さに設定し、試験を繰り返す。その結果、破壊高さは、ガラス系物品を備えたパックを落下させ、ガラス組成物が破損する最低の高さとなる。1つのガラス系物品を、ガラス系物品が損傷を示すことによって破損するまで、22cm、30cm、40cm、50cm、60cmなど、10センチメートルの増分の複数の高さで、試験する。研磨紙は、ガラス系物品が破損した際に、交換する。特に明記のない限り、ここでは180グリットの研磨紙を使用する。
【0140】
実施の形態において、そのガラス系物品は、180グリットの研磨紙上での落下試験法にしたがって、0.6mmの厚さを有する物品について測定して、100cm以上、110cm以上、120cm以上、130cm以上、140cm以上、150cm以上、160cm以上、170cm以上、180cm以上、190cm以上、または200cm以上の破壊高さを有することがある。実施の形態において、そのガラス系物品は、180グリットの研磨紙上での落下試験法にしたがって、0.6mmの厚さを有する物品について測定して、100cm以上から200cm以下、120cm以上から180cm以下、140cm以上から160cm、または145cm以上から155cm以下の範囲の破壊高さを有することがある。実施の形態において、そのガラス組成物は、180グリットの研磨紙上での落下試験法にしたがって、0.6mmの厚さを有する物品について測定して、150cm以上、160cm以上、170cm以上、180cm以上、190cm以上、または200cm以上の破壊高さを有することがある。実施の形態において、そのガラス組成物は、180グリットの研磨紙上での落下試験法にしたがって、0.6mmの厚さを有する物品について測定して、150cm以上から200cm以下、160cm以上から190cm以下、165cm以上から185cm以下、または170cm以上から180cm以下の範囲の破壊高さを有することがある。上記の範囲は、先の値の間の任意と全ての部分的範囲を含む。
【0141】
ここに用いられているような「残留強度」という用語は、引張応力を与えるために物品が曲げられたときの、衝撃力による損傷導入後のガラス物品の強度を称する。損傷は、ここに引用される、米国特許出願公開第2019/0072469A1号明細書に記載された方法にしたがって導入される。例えば、ガラス物品に衝撃試験を行うための装置が、
図15に参照番号1100で示されている。装置1100は、旋回軸1106に取り付けられた下げ振り(bob)1104を含む振り子1102を備える。ここに用いられているような、振り子上の「下げ振り」という用語は、アームから吊り下げられ、アームで旋回軸に接続された重りである。それゆえ、図示された下げ振り1104は、アーム1108で旋回軸1106に接続されている。下げ振り1104は、ガラス物品を収容するためのベース1110を備え、そのガラス物品はこのベースに固定されている。装置1100は、平衡位置からゼロより大きい角度にある位置から下げ振り1104が解放されたときに、下げ振り1104の表面が衝撃物体1140と接触するように位置付けられた衝撃物体1140をさらに備える。この衝撃物体は、ガラス物品の外面と接触するように配置されるべき磨耗面を有する研磨シートを含む。この研磨シートは、研磨紙を含むことがあり、この研磨紙は、30グリットから1000グリット、または100グリットから300グリットの範囲にあるグリットサイズを有することがある(例えば、80グリット、120グリット、180グリット、および1000グリットの研磨紙)。特に明記のない限り、残留強度を測定するために、ここでは80グリットの研磨紙を使用した。
【0142】
本開示の目的のために、衝撃物体は、前記装置に固定された80グリット、120グリット、または180グリットの研磨紙の直径6mmのディスクの形態にあった。約600.0μmの厚さを有するガラス物品を下げ振りに固定した。各衝撃毎に、新しい研磨紙ディスクを使用した。ガラス物品に対する損傷は、装置のアームの振りを約90°の角度に引き上げて、約500.0Nの衝撃力で与えた。各ガラス物品について、約10個の試料に衝撃を与えた。
【0143】
損傷導入の24後、ガラス物品を4点曲げ(4PB)で割った。損傷したガラス物品を、損傷した部位を下にして(すなわち、張力側)、荷重経路の間(荷重間隔)で、支持ロッド(支持間隔)上に置いた。本開示の目的のために、荷重間隔は18mmであり、支持間隔は36mmであった。荷重ロッドと支持ロッドの曲率半径は、3.2mmであった。荷重は、ガラスが割れるまで、ネジ式試験装置(Instron(登録商標)、米国、マサチューセッツ州、ノーウッド)を使用して、5mm/分の一定の変位速度で行った。4PB試験は、22℃±2℃の温度および50%±5%の相対湿度(RH)で行った。
【0144】
4点曲げ(4PB)において印加された破壊応力(The applied fracture stress (or the applied stress to failure))σappは、式:
【0145】
【0146】
から計算した。式中、Pは最大破壊荷重であり、L(=36mm)は支持ロッド間の距離(支持間隔)であり、α(=18mm)は荷重ロッド間の距離(荷重間隔)であり、bはガラス板の幅であり、hはガラス板の厚さであり、νはガラス組成物のポアソン比である。式(1)の項(1/(1-ν2))は、板の補強効果を考慮するものである。4点曲げにおいて、応力は、荷重間隔下で一定であり、それゆえ、損傷部位は、モードIの一軸引張応力荷重下にある。試験片の4点曲げ試験の応力速度は、毎秒15MPaから17MPaであると推測された。ガラス組成物の残留強度は、破損が生じない最高の印加破壊応力である。
【0147】
実施の形態において、そのガラス系物品は、500.0Nの力で80グリットの研磨紙と衝突した後、600.0μmの厚さを有する物品について測定して、250MPa以上、275MPa以上、300MPa以上、または325MPa以上の残留強度を有することがある。実施の形態において、前記ガラス組成物は、500.0Nの力で80グリットの研磨紙と衝突した後、600.0μmの厚さを有する物品について測定して、250MPa以上から400MPa以下、275MPa以上から375MPa以下、または300MPa以上から350MPa以下の範囲の残留強度を有することがある。上記は、先の値の間の任意と全ての部分的範囲に及ぶ。
【0148】
実施の形態において、ガラス系物品は、2010年5月16日付けのAmerican Federation of Mineralogical Societies、「Mohs Scale of Mineral Hardness」(http://web.archive.org/web/20100516034340/http:/www.amfed.org/t_mohs.htm)に述べられたようなモース硬度計で測定して、7.5以上、8.0以上、8.5以上など、7.0以上の硬度を有する。実施の形態において、ガラス系物品は、先の値の間の任意と全ての部分的範囲を含む、7.0以上から8.5以下、7.5以上から8.5以下、8.0以上から8.5以下の硬度を有する。
【0149】
様々な荷重と速度でヌープ圧子を使用し、結果として生じた引っ掻き傷の幅を測定する、ヌープ引っ掻き試験を行う。ここに用いられているように、ヌープ引っ掻き試験は、9.34mm/分の速度で5ニュートン(N)の荷重を印加し、9.34mm/分の速度で8Nの荷重を印加し、9.34mm/分の速度で1Nの荷重から8Nの荷重まで上昇させることを含む。これらの試験は、10mmの長さを持つガラス系物品に沿って行った。
【0150】
実施の形態において、ガラス系物品は、275μm以下の引っ掻き傷幅、250μm以下の引っ掻き傷幅、225μm以下の引っ掻き傷幅、200μm以下の引っ掻き傷幅、175μm以下の引っ掻き傷幅、または150μm以下の引っ掻き傷幅など、2Nまでの荷重および複数の速度でヌープ引っ掻き試験を行ったときに、300μm未満の引っ掻き傷幅を有する。実施の形態において、そのガラス系物品は、下記の範囲内の任意と全ての部分的範囲を含む、50μm以上から300μm以下、75μm以上から300μm以下、100μm以上から300μm以下、125μm以上から300μm以下、150μm以上から300μm以下、175μm以上から300μm以下、200μm以上から300μm以下、225μm以上から300μm以下、250μm以上から300μm以下、275μm以上から300μm以下、50μm以上から275μm以下、75μm以上から275μm以下、100μm以上から275μm以下、125μm以上から275μm以下、150μm以上から275μm以下、175μm以上から275μm以下、200μm以上から275μm以下、225μm以上から275μm以下、250μm以上から275μm以下、50μm以上から250μm以下、75μm以上から250μm以下、100μm以上から250μm以下、125μm以上から250μm以下、150μm以上から250μm以下、175μm以上から250μm以下、200μm以上から250μm以下、225μm以上から250μm以下、50μm以上から225μm以下、75μm以上から225μm以下、100μm以上から225μm以下、125μm以上から225μm以下、150μm以上から225μm以下、175μm以上から225μm以下、200μm以上から225μm以下、50μm以上から200μm以下、75μm以上から200μm以下、100μm以上から200μm以下、125μm以上から200μm以下、150μm以上から200μm以下、175μm以上から200μm以下、50μm以上から175μm以下、75μm以上から175μm以下、100μm以上から175μm以下、125μm以上から175μm以下、150μm以上から175μm以下、50μm以上から150μm以下、75μm以上から150μm以下、100μm以上から150μm以下、125μm以上から150μm以下、50μm以上から125μm以下、75μm以上から125μm以下、100μm以上から125μm以下、50μm以上から100μm以下、75μm以上から100μm以下、50μm以上から75μm以下の引っ掻き傷幅を有する。
【0151】
5Nの荷重と5mm/分の速度、および1Nの荷重と5mm/分の速度で、錐状球体チップを使用する引っ掻き試験も行った。次に、ガラス系物品上の引っ掻き傷の幅を測定して、耐引掻性を決定した。実施の形態によれば、ガラス系物品は、225μm以下の引っ掻き傷幅、200μm以下の引っ掻き傷幅、175μm以下の引っ掻き傷幅、150μm以下の引っ掻き傷幅、または100μm以下の引っ掻き傷幅など、1Nの荷重で250μm未満の錐状球体チップを使用した引っ掻き傷幅を有した。実施の形態によれば、そのガラス系物品は、下記の範囲内の任意と全ての部分的範囲を含む、75μm以上から225μm以下、100μm以上から225μm以下、125μm以上から225μm以下、150μm以上から225μm以下、175μm以上から225μm以下、200μm以上から225μm以下、50μm以上から200μm以下、75μm以上から200μm以下、100μm以上から200μm以下、125μm以上から200μm以下、150μm以上から200μm以下、175μm以上から200μm以下、50μm以上から175μm以下、75μm以上から175μm以下、100μm以上から175μm以下、125μm以上から175μm以下、150μm以上から175μm以下、50μm以上から150μm以下、75μm以上から150μm以下、100μm以上から150μm以下、125μm以上から150μm以下、50μm以上から125μm以下、75μm以上から125μm以下、100μm以上から125μm以下、50μm以上から100μm以下、75μm以上から100μm以下、50μm以上から75μm以下など、50μm以上から225μm以下の、錐状球体チップを使用した引っ掻き傷幅を有した。
【0152】
実施の形態において、シェブロンノッチショートバー法で測定したガラス系物品の破壊靱性KICは、1.0MPa*m1/2以上、1.2MPa*m1/2以上、1.5MPa*m1/2以上、1.8MPa*m1/2以上、2.0MPa*m1/2以上、2.2MPa*m1/2以上、2.5MPa*m1/2以上、2.8MPa*m1/2以上、または3.0MPa*m1/2以上であることがある。実施の形態において、シェブロンノッチショートバー法で測定したガラス組成物の破壊靱性KICは、1.0MPa*m1/2以上から3.0MPa*m1/2以下、1.2MPa*m1/2以上から3.0MPa*m1/2以下、1.5MPa*m1/2以上から3.0MPa*m1/2以下、1.8MPa*m1/2以上から3.0MPa*m1/2以下、2.0MPa*m1/2以上から3.0MPa*m1/2以下、2.2MPa*m1/2以上から3.0MPa*m1/2以下、2.5MPa*m1/2以上から3.0MPa*m1/2以下、2.8MPa*m1/2以上から3.0MPa*m1/2以下、1.0MPa*m1/2以上から2.8MPa*m1/2以下、1.2MPa*m1/2以上から2.8MPa*m1/2以下、1.5MPa*m1/2以上から2.8MPa*m1/2以下、1.8MPa*m1/2以上から2.8MPa*m1/2以下、2.0MPa*m1/2以上から2.8MPa*m1/2以下、2.2MPa*m1/2以上から2.8MPa*m1/2以下、2.5MPa*m1/2以上から2.8MPa*m1/2以下、1.0MPa*m1/2以上から2.5MPa*m1/2以下、1.2MPa*m1/2以上から2.5MPa*m1/2以下、1.5MPa*m1/2以上から2.5MPa*m1/2以下、1.8MPa*m1/2以上から2.5MPa*m1/2以下、2.0MPa*m1/2以上から2.5MPa*m1/2以下、2.2MPa*m1/2以上から2.5MPa*m1/2以下、1.0MPa*m1/2以上から2.2MPa*m1/2以下、1.2MPa*m1/2以上から2.2MPa*m1/2以下、1.5MPa*m1/2以上から2.2MPa*m1/2以下、1.8MPa*m1/2以上から2.2MPa*m1/2以下、2.0MPa*m1/2以上から2.2MPa*m1/2以下、1.0MPa*m1/2以上から2.0MPa*m1/2以下、1.2MPa*m1/2以上から2.0MPa*m1/2以下、1.5MPa*m1/2以上から2.0MPa*m1/2以下、1.8MPa*m1/2以上から2.0MPa*m1/2以下、1.0MPa*m1/2以上から1.8MPa*m1/2以下、1.2MPa*m1/2以上から1.8MPa*m1/2以下、1.5MPa*m1/2以上から1.8MPa*m1/2以下、1.0MPa*m1/2以上から1.5MPa*m1/2以下、1.2MPa*m1/2以上から1.5MPa*m1/2以下、1.0MPa*m1/2以上から1.2MPa*m1/2の範囲にあることがある。破壊靱性は、先の端点の任意と全てから形成される部分的範囲内にあるであろうことを理解すべきである。
【0153】
6×8×10mmの試料について共鳴超音波測定で測定した、実施の形態によるガラス系物品のヤング率は、下記の範囲内の任意と全ての部分的範囲を含む、102GPa以上から110GPa以下、104GPa以上から110GPa以下、106GPa以上から110GPa以下、108GPa以上から110GPa以下、100GPa以上から108GPa以下、102GPa以上から108GPa以下、104GPa以上から108GPa以下、106GPa以上から108GPa以下、100GPa以上から106GPa以下、102GPa以上から106GPa以下、104GPa以上から106GPa以下、100GPa以上から104GPa以下、102GPa以上から104GPa以下、100GPa以上から102GPa以下など、100GPa以上から110GPa以下である。
【0154】
6×8×10mmの試料について共鳴超音波測定で測定した、実施の形態によるガラス系物品のポアソン比は、下記の範囲内の任意と全ての部分的範囲を含む、0.12以上から0.20以下、0.14以上から0.20以下、0.16以上から0.20以下、0.18以上から0.20以下、0.10以上から0.18以下、0.12以上から0.18以下、0.14以上から0.18以下、0.16以上から0.18以下、0.10以上から0.16以下、0.12以上から0.16以下、0.14以上から0.16以下、0.10以上から0.14以下、0.12以上から0.14以下、0.10以上から0.12以下など、0.10以上から0.20以下である。
【0155】
6×8×10mmの試料について共鳴超音波測定で測定した、実施の形態によるガラス系物品の剛性率は、下記の範囲内の任意と全ての部分的範囲を含む、38GPa以上から50GPa以下、40GPa以上から50GPa以下、42GPa以上から50GPa以下、45GPa以上から50GPa以下、48GPa以上から50GPa以下、35GPa以上から48GPa以下、38GPa以上から48GPa以下、40GPa以上から48GPa以下、42GPa以上から48GPa以下、45GPa以上から48GPa以下、35GPa以上から45GPa以下、38GPa以上から45GPa以下、40GPa以上から45GPa以下、42GPa以上から45GPa以下、35GPa以上から42GPa以下、38GPa以上から42GPa以下、40GPa以上から42GPa以下、35GPa以上から40GPa以下、38GPa以上から40GPa以下、35GPa以上から38GPa以下など、35GPa以上から50GPa以下である。
【0156】
実施の形態によるガラス系物品は、下記の範囲内の任意と全ての部分的範囲を含む、770kgf/mm2以上から840kgf/mm2以下、790kgf/mm2以上から840kgf/mm2以下、800kgf/mm2以上から840kgf/mm2以下、820kgf/mm2以上から840kgf/mm2以下、750kgf/mm2以上から820kgf/mm2以下、770kgf/mm2以上から820kgf/mm2以下、790kgf/mm2以上から820kgf/mm2以下、800kgf/mm2以上から820kgf/mm2以下、750kgf/mm2以上から800kgf/mm2以下、770kgf/mm2以上から800kgf/mm2以下、790kgf/mm2以上から800kgf/mm2以下、750kgf/mm2以上から790kgf/mm2以下、770kgf/mm2以上から790kgf/mm2以下、750kgf/mm2以上から770kgf/mm2以下など、750kgf/mm2以上から840kgf/mm2以下の、ファインセラミックスのビッカース圧子に関するC1327規格にしたがって測定した非イオン交換物品のビッカース硬度を有する。
【0157】
実施の形態によるガラス系物品は、下記の範囲内の任意と全ての部分的範囲を含む、790kgf/mm2以上から860kgf/mm2以下、800kgf/mm2以上から860kgf/mm2以下、820kgf/mm2以上から860kgf/mm2以下、840kgf/mm2以上から860kgf/mm2以下、770kgf/mm2以上から840kgf/mm2以下、790kgf/mm2以上から840kgf/mm2以下、800kgf/mm2以上から840kgf/mm2以下、820kgf/mm2以上から840kgf/mm2以下、770kgf/mm2以上から820kgf/mm2以下、790kgf/mm2以上から820kgf/mm2以下、800kgf/mm2以上から820kgf/mm2以下、770kgf/mm2以上から800kgf/mm2以下、790kgf/mm2以上から800kgf/mm2以下、770kgf/mm2以上から790kgf/mm2以下など、770kgf/mm2以上から860kgf/mm2以下の、ファインセラミックスのビッカース圧子に関するC1327規格にしたがって測定したイオン交換物品のビッカース硬度を有する。
【0158】
実施の形態によれば、ガラス系物品は、下記の範囲内の任意と全ての部分的範囲を含む、7.0log(Ω-cm)以上から8.3log(Ω-cm)以下、7.2log(Ω-cm)以上から8.3log(Ω-cm)以下、7.4log(Ω-cm)以上から8.3log(Ω-cm)以下、7.6log(Ω-cm)以上から8.3log(Ω-cm)以下、7.8log(Ω-cm)以上から8.3log(Ω-cm)以下、8.0log(Ω-cm)以上から8.3log(Ω-cm)以下、8.2log(Ω-cm)以上から8.3log(Ω-cm)以下、6.8log(Ω-cm)以上から8.2log(Ω-cm)以下、7.0log(Ω-cm)以上から8.2log(Ω-cm)以下、7.2log(Ω-cm)以上から8.2log(Ω-cm)以下、7.4log(Ω-cm)以上から8.2log(Ω-cm)以下、7.6log(Ω-cm)以上から8.2log(Ω-cm)以下、7.8log(Ω-cm)以上から8.2log(Ω-cm)以下、8.0log(Ω-cm)以上から8.2log(Ω-cm)以下、6.8log(Ω-cm)以上から8.0log(Ω-cm)以下、7.0log(Ω-cm)以上から8.0log(Ω-cm)以下、7.2log(Ω-cm)以上から8.0log(Ω-cm)以下、7.4log(Ω-cm)以上から8.0log(Ω-cm)以下、7.6log(Ω-cm)以上から8.0log(Ω-cm)以下、7.8log(Ω-cm)以上から8.0log(Ω-cm)以下、6.8log(Ω-cm)以上から7.8log(Ω-cm)以下、7.0log(Ω-cm)以上から7.8log(Ω-cm)以下、7.2log(Ω-cm)以上から7.8log(Ω-cm)以下、7.4log(Ω-cm)以上から7.8log(Ω-cm)以下、7.6log(Ω-cm)以上から7.8log(Ω-cm)以下、6.8log(Ω-cm)以上から7.6log(Ω-cm)以下、7.0log(Ω-cm)以上から7.6log(Ω-cm)以下、7.2log(Ω-cm)以上から7.6log(Ω-cm)以下、7.4log(Ω-cm)以上から7.6log(Ω-cm)以下、6.8log(Ω-cm)以上から7.4log(Ω-cm)以下、7.0log(Ω-cm)以上から7.4log(Ω-cm)以下、7.2log(Ω-cm)以上から7.4log(Ω-cm)以下、6.8log(Ω-cm)以上から7.2log(Ω-cm)以下、7.0log(Ω-cm)以上から7.2log(Ω-cm)以下、6.8log(Ω-cm)以上から7.0log(Ω-cm)以下など、6.8log(Ω-cm)以上から8.3log(Ω-cm)以下の、ASTM-D257インピーダンス法にしたがって測定した体積抵抗率(Ω-cm logρ(150℃))を有する。
【0159】
1つ以上の実施の形態によれば、ガラス系物品は、下記の表に示されたような様々な周波数で誘電特性および損失正接を有する。
【0160】
【0161】
【0162】
ここに記載されたガラスセラミック物品は、例えば、LCDおよびLEDディスプレイ、コンピュータ用モニタ、および現金自動預払機(ATM)を含む消費者向けまたは商業用電子機器におけるカバーガラスまたはガラスバックプレーン用途;例えば、携帯電話、パーソナルメディアプレーヤー、腕時計、およびタブレット型コンピュータを含む携帯型電子機器のための、タッチスクリーンまたはタッチセンサ用途;例えば、半導体ウエハを含む集積回路用途;太陽光発電用途;建築用ガラス用途;自動車または車両用ガラス用途;もしくは商業用または家庭用電化製品用途を含む様々な用途に使用されることがある。実施の形態において、消費者向け電子機器(例えば、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、腕時計、パーソナルコンピュータ、ウルトラブック、テレビ、およびカメラ)、建築用ガラス、および/または自動車用ガラスは、ここに記載されたようなガラスセラミック物品を含むことがある。
【0163】
例えば、ガラスセラミック物品は、前面、背面、および側面を有する筐体;筐体の少なくとも部分的に内部または完全に内部にあり、少なくとも、制御装置、メモリ、および筐体の前面にあるまたはそれに隣接するディスプレイを含む電気部品(図示せず);およびディスプレイを覆うように筐体の前面にあるまたはそれを覆うカバー基板を備えた消費者向け電子機器に組み込まれることがある。実施の形態において、カバー基板および筐体の一部の少なくとも一方は、ここに開示されたガラスセラミック物品のいずれかを含むことがある。
【実施例】
【0164】
ここに記載された実施の形態は、以下の実施例によってさらに明白となるであろう。
【0165】
実施例1
表面粗さ
実施例1(表2)の組成を有する2枚のガラスセラミック基板を調製し、同じ条件下でイオン交換した。イオン交換過程後、対照試料を従来のセリア系研磨スラリーで研磨し、本発明の試料を非セリア系スラリーで研磨した。研磨後、対照試料と本発明の試料の表面粗さRaを測定し、各表面の原子間力顕微鏡(AFM)画像を収集した。AFM画像が、
図16に示されている。対照試料は約3nmの表面粗さRaを有し、本発明の試料は約1.5nmの表面粗さRaを有することが分かった。
【0166】
理論で束縛する意図はないが、セリア系研磨により、結晶粒が優先的にエッチングされ、転じて、これにより、ナノメートル規模の点食が生じ、非セリア系研磨と比べて、表面粗さが対応して増加すると考えられる。
【0167】
表面粗さ/洗浄
実施例1(表2)の組成を有するガラスセラミック基板を調製し、同じ条件下でイオン交換した。イオン交換過程後、試料を同じ条件下で同じ研磨化合物により研磨した。研磨場、一連の試料を、異なる洗浄剤を使用して、71℃で超音波洗浄した。洗浄剤のpHは、7、9.5、および12であった。洗浄後、各試料の表面粗さRaを測定し、試料の表面のAFM画像を収集した。その結果が、
図17および18に示されている。
【0168】
図17および18に示されるように、pHがより低い洗浄剤で洗浄した試料が、pHがより高い洗浄剤で洗浄した試料よりも低い表面粗さを有した。pHが約9.5(9.5~10)の洗浄剤により、表面が最も清浄になり、比較的低い表面粗さも提供することが分かった。
図18において、一番上の行は、pHが7の洗浄剤を使用したAFM画像を示し、真ん中の行は、pHが9.5の洗浄剤を使用したAFM画像を示し、一番下の行は、pHが12の洗浄した使用したAFM画像を示す。
図18において、左側の列は、対応する洗浄剤を使用した1回の洗浄に関するAFMを示し、右側の列は、対応する洗浄剤を使用した3回の洗浄に関するAFMを示す。
【0169】
理論で束縛する意図はないが、pHがより高い洗浄剤によりガラスはエッチングされ、表面粗さが増すと考えられる。この理論のさらなる支持として、イオン交換済み試料を、60℃で8時間に亘りpHが12の水溶液中に浸漬した。浸漬後、その水溶液をICP-MSで分析し、その水溶液中のNa、Si、およびKの濃度が上昇し、ガラスセラミックのこれらの構成成分が、エッチングによりガラスセラミックの表面から除去されたことを示すのが分かった。
【0170】
ガラスセラミック試料の塗膜密着性も測定して、洗浄/pHの影響を判定した。試料は、
図17および18に関して先に記載したように調製した。Corning Gorilla Glass(登録商標)から形成された比較試料も調製し、pHが12の洗浄剤中で洗浄した。次に、試料に、1kgの荷重、60サイクル/分、50mmの軌道長さで、Bonstar 0000スチールウールで研磨し、その軌道で5回の測定を行った。試料の水接触角を様々なサイクル数で測定した。その結果が、1回の洗浄サイクル(
図19)および3回の洗浄サイクル(
図20)について、
図19および20に示されている。
図19および20に示された結果は、Bonstar 0000、1kg、60サイクル/分、50mmの軌道長さ、および軌道上で5回の測定を使用して測定した。
【0171】
図19および20に示されるように、全ての試料の水接触角は、概して、pHがより低い洗浄剤のほうが大きかった。水接触角は、概して、「Gorrila Glass」試料と比べて、pHがより低い洗浄剤中で洗浄したガラスセラミック試料のほうが大きかった。
【0172】
応力プロファイル
Corning Inc.から市販されているガラス系物品と、下記の表5に示されたような様々な厚さを有する実施の形態によるガラス系物品に、下記の表5に示されたようなパラメータで単一イオン交換(SIOX)を使用して、イオン交換した。
【0173】
【0174】
表5から分かるように、各試料のCSは、280MPaより大きく、各試料のCTは、110MPaより大きく、各試料のDOCは、100μmより大きかった。
【0175】
Corning Inc.から市販されているガラス系物品と、下記の表6に示されたような様々な厚さを有する実施の形態によるガラス系物品に、下記の表6に示されたようなパラメータで単一イオン交換(SIOX)または二重イオン交換(DIOX)を使用して、イオン交換した。
【0176】
【0177】
表6からの結果が、
図21にグラフで示されている。表6から分かるように、各試料のCSは、280MPaより大きく、各試料のCTは、105MPaより大きく、各試料のDOCは、100μmより大きかった。
【0178】
Corning Inc.から市販されているガラス系物品と、厚さ0.4mmの実施の形態によるガラス系物品に、下記の表7におけるパラメータにしたがってイオン交換した。
【0179】
【0180】
上記イオン交換過程の結果として生じた性質が、下記の表8に示されている。
【0181】
【0182】
落下試験
Corning Inc.から市販されているガラス系物品と、様々な厚さを有する実施の形態によるガラス系物品を、
図22に示されたように、80グリットと180グリットの研磨紙上に落下させることにより、先に記載されたような落下試験を行った。上述した落下試験の平均値が、180グリットの研磨紙について、
図23に与えられており、80グリットの研磨紙について、
図24に与えられている。
図25は、SIOXまたはDIOX後の実施の形態によるガラス系物品と比較のガラス系物品および
図25に示された厚さについての80グリットの研磨紙上の落下試験の結果を示している。
【0183】
引っ掻き試験
図26は、0.8mm厚のガラス系物品に関するモース硬度計で測定した硬度の結果を示している。
【0184】
図27は、実施の形態によるガラス系物品と、比較のガラス系物品に関する、5Nおよび8Nでの上述したようなヌープ引っ掻き試験のμmで表された平均最大幅を示している。
【0185】
図28は、実施の形態によるガラス系物品と、比較のガラス系物品に関する、1Nでの上述したような錐状球体引っ掻き試験のμmで表された平均最大幅を示している。
【0186】
高温多湿耐食性
実施の形態によるガラス系物品の化学的耐久性が、
図29~58に示されている。試料を、イオン交換のために溶融塩浴中の0.05%のリチウム、0.065%、リチウム、0.07%のリチウム、および0.1%のリチウムを使用して、イオン交換した。SIMS表面プロファイルは、85℃および85%のRHで500時間前に得られ、塩浴中のリチウムが減少するにつれて、表面ナトリウムが増加する傾向を示している。その結果は、0.07%未満のリチウムでは、腐食の恐れがあることを示す。
【0187】
図29は、実施の形態による腐食試験の5工程プロセスを示す。工程1は加熱の開始で始まり、工程2の期間は12時間未満であり、工程3の期間は数分であり、工程4の期間は24時間未満であり、工程5の期間は12時間以上かつ24時間以下である。工程2の反応機構が、下記に示されている:
H
2O+≡Si-O
-Na
+
(ガラス)←→≡Si-OH
(ガラス)+Na
+OH
-
工程3の反応機構が、下記に示されている:
2NaOH+CO
2←→Na
2CO
3+H
2O。
【0188】
図30は、事前高温多湿経時変化におけるイオン交換物品のSIMS深さプロファイルを示している。
図30は、LiNO
3の浴への添加が少ないと、ナトリウム表面濃度が高くなるという一般的な傾向があることを示す。
図30において、Al/Si信号が、基準としてプロットされ、測定の再現性が、Na/Siで観察された変化よりも高いことを示す。
【0189】
図31は、左から右へと、0.05%のLiおよび0.065%のLiで処理された後の、85℃および85%の相対湿度で500時間保持されたガラスセラミックの光学顕微鏡写真を示している。
【0190】
図32は、左から右へと、0.07%のLiおよび0.10%のLiで処理された後の、85℃および85%の相対湿度で500時間保持されたガラスセラミックの光学顕微鏡写真を示している。
【0191】
図33は、左から右へと、0.05%のLiおよび0.065%のLiを使用してイオン交換したガラスセラミックについての85℃および85%の相対湿度で500時間保持する前後の近似のNaおよびOH濃度のSIMS深さプロファイル、および対応するFSMを示している。
【0192】
図34は、左から右へと、0.07%のLiおよび0.10%のLiを使用してイオン交換したガラスセラミックについての85℃および85%の相対湿度で500時間保持する前後の近似のNaおよびOH濃度のSIMS深さプロファイル、および対応するFSMを示している。
【0193】
図35は、85℃および85%の相対湿度での500時間後のガラスセラミックの腐食を示す。
図35に示されるように、厚さ0.5mmの二重イオン交換(DIOX)ガラスセラミックおよび厚さ0.6mmの単一イオン交換(SIOX)ガラスセラミックの表面には、目に見える腐食も、炭酸ナトリウムも検出されない。上部の画像は、元のDIOXは、表面SIMSスペクトルにおいて炭酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムのイオンによる目に見える腐食を有することを示している。下部の画像は、85℃および85%の相対湿度での500時間後に、厚さ0.6mmのSIOXおよび厚さ0.5mmのDIOX(左から右)が目に見える腐食の兆候を示さず、炭酸ナトリウム種が表面に検出されないことを示している。
【0194】
図36は、85℃および85%の相対湿度での500時間後の、表面近くのアルカリ変化が0.1μm未満に限定された、厚さ0.6mmのSIOXおよび厚さ0.5mmの新たなDIOXの深さプロファイルを示すSIMSである。
【0195】
図37は、85℃および85%の相対湿度での72時間後の、元のDIOXと比べた、表面近くのアルカリ変化が最小の厚さ0.5mmの新たなDIOXの深さプロファイルを示すSIMSである。
図37の下側の画像は、低屈折率層により生じた不鮮明さの所見がない、鋭い移行による高温多湿性能間の良好な相関関係を示すFSMである。新たなDIOXは、500℃での60%のKNO
3、40%のNaNO
3、および0.1%のLiNO
3を含む浴中の4時間と、その後、500℃での50%のKNO
3、50%のNaNO
3、および0.1%のLiNO
3を含む浴中の1時間からなる。
【0196】
図38は、85℃および85%の相対湿度での72時間後の、厚さ0.8mmの元のDIOXと比べた、表面近くのアルカリ変化が最小の厚さ0.5mmの新たなDIOXの深さプロファイルを示すSIMSである。
図38の下側の画像は、左側には新たなDIOX試料に関する低屈折率層により生じた不鮮明さの所見がない鋭い移行と、右側には元のDIOXに関する不鮮明なFSM移行部による高温多湿性能間の良好な相関関係を示すFSMである。
【0197】
図39は、右側のLiを含む0.8mmのSIOXと比べた、左側のLiを含まない0.8mmの新たなSIOXの深さプロファイルを示すSIMSである。Liを含まない試料は、Liを含む試料よりも深い水和作用を有し、これは、炭酸ナトリウムと酷い染みがないことで表されるように、腐食の所見を持たない。
図39の下側の画像は、右側のLiを含有する試料に関する低屈折率層により生じる不鮮明さの所見がない鋭い移行と、左側のLiを含まない試料に関する不鮮明なFSM移行部による高温多湿性能間の良好な相関関係を示すFSMである。
【0198】
図40は、85℃および85%の相対湿度での0時間での角部で分析された0.1%のLiでイオン交換された試料(左側)と、Liを含まずにイオン交換された試料(右側)のSIMSプロファイルである。
【0199】
図41は、85℃および85%の相対湿度での72時間での角部で分析された0.1%のLiでイオン交換された試料(左側)と、Liを含まずにイオン交換された試料(右側)のSIMSプロファイルである。
【0200】
図42は、85℃および85%の相対湿度での0時間、85℃および85%の相対湿度での72時間、および85℃および85%の相対湿度での144時間での、Liでイオン交換されていない試料、および0.1質量%のLiでイオン交換された試料に関する深さに対する水素(H)拡散を示す。
図42に示されるように、水素拡散は、湿潤環境にさらに曝露されると深くなる。Liがイオン交換されていない部分は、水素の侵入を相当受けやすい。イオン交換中にLiが存在した試料では、低レベルの水素拡散が見られた。
【0201】
図43は、85℃および85%の相対湿度での500時間後のガラスセラミックの腐食を示す。上側の一連の画像は、左から右に、5時間に亘る500℃でのSIOXについて、(1)イオン交換にLiが存在しない場合の腐食、(2)イオン交換に0.05%のLiが存在した場合の腐食の兆候、(3)イオン交換に0.1%のLiが存在した場合に腐食がないこと、および(4)イオン交換に0.15%のLiが存在した場合に腐食がないことを示す。下側の一連の画像は、各画像の第1のイオン交換過程は、60%のKNO
3、40%のNaNO
3、および0.1%のLINO
3の浴中の500℃での5時間からなるDIOXの腐食を示し、これらの画像は、左から右へと、(1)第2のイオン交換工程が、50%のKNO
3、50%のNaNO
3、および0%のLiNO
3の浴中の500℃での1時間からなる場合の腐食、(2)第2のイオン交換工程が、50%のKNO
3、50%のNaNO
3、および0.05%のLiNO
3の浴中の500℃での1時間からなる場合の腐食の兆候、(3)50%のKNO
3、50%のNaNO
3、および0.1%のLiNO
3の浴中の500℃での1時間からなる場合に腐食がないこと、および(4)50%のKNO
3、50%のNaNO
3、および0.15%のLiNO
3の浴中の500℃での1時間からなる場合に腐食がないことを示す。
【0202】
図44は、上から下に、下記の表にしたがって処理された、decoなし0.6mmのSIOXの試料1、PRO decoの0.75mmのIOXの試料2、PRO decoの0.85mmのIOXの試料3、decoなし0.5mmのDIOXの試料4、およびPOR decoの0.75mmの試料5のFSM画像であり、加熱は全て、85℃および85%の相対湿度で行った。CE1は、IOXを行わなかった0.6mmである。
【0203】
【0204】
図45は、交互の層を示すクロスハッチ顕微鏡写真である。測定した他の種の信号を正規化するために、
28Si計数率を使用し、それゆえ、深さプロファイルで示されていない。表面変化がある領域では、
図45に示されるように、これを実施することにより、データのアーチファクトが避けられる。酸化物の分子イオンではなく、元素種のイオンをSIMSで測定し、したがって、元素濃度のみが推測される。
【0205】
図46は、イオン交換にLiが存在せずに調製され、高い水素表面濃度を有するガラスセラミックのSIMSプロファイルを左側に、腐食の顕微鏡写真を右側に示す。SIMSプロファイルは、以前のPOR DIOX試料に観察されたものに似た高いナトリウム表面濃度を有する低屈折率層の存在を示す。ナトリウムは、約1μmの深さまで、H
2Oからの水素とイオン交換し得ることが分かる。顕微鏡写真は、表面全体に亘り広範囲の腐食があるガラスセラミックの背面(左側)と前面(右側)を示す。前面では、腐食により、炭酸ナトリウムの島とペルフルオロポリエーテルコーティングが形成される。SIMSデータは、不鮮明な移行部を示すFSMと合っている。下記の表に、性質が示されている。
【0206】
【0207】
図47は、上記表の試料に関する、モル分率で表された元素の侵入深さを左側の画像に、深さに対する成分の濃度を右側の画像に示す。
【0208】
図48は、イオン交換にLiが存在せずに調製され、高い水素表面濃度を有するガラスセラミックのSIMSプロファイルを左側に、腐食の顕微鏡写真を右側に示す。SIMSプロファイルは、以前のPOR DIOX試料に観察されたものに似た高いナトリウム表面濃度を有する低屈折率層の存在を示す。ナトリウムは、約1μmの深さまで、H
2Oからの水素とイオン交換し得ることが分かる。顕微鏡写真は、表面全体に亘り広範囲の腐食があるガラスセラミックを示す。SIMSデータは、不鮮明な移行部を示すFSMと合っている。下記の表に、性質が示されている。
【0209】
【0210】
図49は、上記表の試料に関する、モル分率で表された元素の侵入深さを左側の画像に、深さに対する成分の濃度を右側の画像に示す。
【0211】
図50は、イオン交換にLiが存在するガラスセラミックに関する、モル分率で表された元素の侵入深さを左側の画像に、表面の顕微鏡写真を右側の画像に示す。この試料において、表面と内部の水素の量は、以前の試料ほど、大して違わないが、化学的に安定であるために、腐食しない。したがって、OH/Si比は、必ずしも、耐久性と耐食性の良好な指標ではない。右側の顕微鏡写真は、表面に存在する汚れを示すが、腐食はない。
【0212】
図51は、イオン交換にLiが存在する試料に関する、モル分率で表された元素の侵入深さを左側の画像に、深さに対する成分の濃度を右側の画像に示す。
【0213】
図52は、イオン交換にLiが存在するガラスセラミックに関する、モル分率で表された元素の侵入深さを左側の画像に、表面の顕微鏡写真を右側の画像に示す。このDIOX試料において、ナトリウムは化学的に安定しているので、ナトリウムの豊富な層はない。表面近くでナトリウムがわずかに欠乏しており、いくらか水素が豊富であり、これは、アルカリ含有ガラス系組成物に典型的である。右側の顕微鏡写真は、表面に存在する汚れを示すが、腐食はない。SIMSデータは、鋭い移行部を示すFSMと合っている。下記の表に、性質が示されている。
【0214】
【0215】
図53は、上記表の試料に関する、イオン交換にLiが存在する試料に関する、モル分率で表された元素の侵入深さを左側の画像に、深さに対する成分の濃度を右側の画像に示す。
【0216】
図54は、イオン交換にLiが存在するガラスセラミックに関する、モル分率で表された元素の侵入深さを左側の画像に、表面の顕微鏡写真を右側の画像に示す。この試料において、ナトリウムは化学的に安定しているので、ナトリウムの豊富な層はない。表面近くでナトリウムがわずかに欠乏しており、いくらか水素が豊富であり、これは、アルカリ含有ガラス系組成物に典型的である。右側の顕微鏡写真は、表面に存在する汚れを示すが、腐食はない。SIMSデータは、鋭い移行部を示すFSMと合っている。下記の表に、性質が示されている。
【0217】
【0218】
図55は、上記表の試料に関する、イオン交換にLiが存在する試料に関する、モル分率で表された元素の侵入深さを左側の画像に、深さに対する成分の濃度を右側の画像に示す。
【0219】
図56は、イオン交換にLiが存在するガラスセラミックに関する、モル分率で表された元素の侵入深さを左側の画像に、表面の顕微鏡写真を右側の画像に示す。この試料において、表面近くのナトリウムと水素との間にある程度の相関関係があるが、この場合、腐食を示す試料に見られるものと反対である;表面では、ナトリウムと水素の両方が豊富である。右側の顕微鏡写真は、表面に存在する汚れを示すが、腐食はない。
【0220】
図57は、上記表の試料に関する、イオン交換にLiが存在する試料に関する、モル分率で表された元素の侵入深さを左側の画像に、深さに対する成分の濃度を右側の画像に示す。
【0221】
請求項の主題の精神および範囲から逸脱せずに、ここに記載された実施の形態に様々な改変および変更を行えることが、当業者に明白であろう。それゆえ、本明細書は、ここに記載された様々な実施の形態の改変および変更を、そのような改変および変更が、付随の特許請求の範囲およびその等価物の範囲に入るという前提で、包含することが意図されている。
【0222】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0223】
実施形態1
60モル%以上かつ72モル%以下のSiO2、
0モル%超かつ6モル%以下のAl2O3、
0モル%以上かつ2モル%以下のB2O3、
20モル%以上かつ32モル%以下のLi2O、
0モル%以上かつ2モル%以下のNa2O、
0モル%以上かつ2モル%以下のK2O、
0.7モル%以上かつ2.2モル%以下のP2O5、および
1.7モル%以上かつ4.5モル%以下のZrO2
を含むガラス系物品であって、
前記ガラス系物品は、35~50質量%の葉長石、35~50質量%の二ケイ酸リチウムを含む相集合を有し、葉長石に対する二ケイ酸リチウムの比は0.8~1である、ガラス系物品。
【0224】
実施形態2
200MPa以上かつ350MPa以下の表面圧縮応力、および
tが前記ガラス系物品の厚さである、0.14*t以上かつ0.24*t以下の圧縮深さ、
を有する、実施形態1に記載のガラス系物品。
【0225】
実施形態3
前記圧縮深さが85μm以上かつ150μm以下である、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0226】
実施形態4
前記ガラス系物品の結晶粒が、4超のアスペクト比を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0227】
実施形態5
前記ガラス系物品の結晶粒の最大寸法が200nm未満である、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0228】
実施形態6
1MPa*m1/2以上の破壊靱性を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0229】
実施形態7
SCI UVC条件下でCIE光源F02について、
L*=70から100、
a*=-20から40、および
b*=-60から60、
のCIELAB色空間の透過率色座標を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0230】
実施形態8
1.50以上かつ1.60以下の屈折率を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0231】
実施形態9
95GPa以上かつ110GPa以下の弾性率を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0232】
実施形態10
2.35g/cm3以上かつ2.6g/cm3以下の密度を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0233】
実施形態11
400nmから770nmの波長について0.6mmの物品厚で89%以上の平均可視透過率を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0234】
実施形態12
400nmから770nmの波長について0.6mmの物品厚で4.4%以上かつ4.8%以下の平均可視反射率を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0235】
実施形態13
350nmから400nmの波長について0.6mmの物品厚で70%以上の平均紫外透過率を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0236】
実施形態14
350nmから400nmの波長について0.6mmの物品厚で4.7%以上かつ5.0%以下の平均紫外反射率を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0237】
実施形態15
770nmから1000nmの波長について0.6mmの物品厚で89%以上の平均赤外透過率を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0238】
実施形態16
770nmから1000nmの波長について0.6mmの物品厚で4.3%以上かつ4.5%以下の平均赤外反射率を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0239】
実施形態17
中央張力が90MPa以上かつ125MPa以下である、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0240】
実施形態18
積分張力面積に対する中央張力の比が、3.0μm-1以上かつ5.5μm-1以下である、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0241】
実施形態19
圧縮深さに対する中央張力の比が、0.6MPa/μm以上かつ1.0MPa/μm以下である、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0242】
実施形態20
前記ガラス系物品のヘイズが0.15%以下である、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0243】
実施形態21
前記ガラス系物品が、100cm以上の破壊高さを有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0244】
実施形態22
前記ガラス系物品が、250MPa以上の残留強度を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0245】
実施形態23
前記ガラス系物品が、モース硬度計で測定して7.0以上の硬度を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0246】
実施形態24
前記ガラス系物品が、8Nまでの荷重でヌープ引っ掻き試験を使用して行った場合、300μm未満の引っ掻き幅を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0247】
実施形態25
前記ガラス系物品が、2Nまでの荷重で錐状球体引っ掻き試験を使用して行った場合、300μm未満の引っ掻き幅を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0248】
実施形態26
前記ガラス系物品が、1.0MPa*m1/2以上の破壊靱性を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0249】
実施形態27
前記ガラス系物品が、0.10以上から0.20以下のポアソン比を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0250】
実施形態28
前記ガラス系物品が、35GPa以上から50GPa以下の剛性率を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0251】
実施形態29
イオン交換されていないガラス系物品が、750kgf/mm2以上から840kgf/mm2以下のビッカース硬度を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0252】
実施形態30
イオン交換されたガラス系物品が、770kgf/mm2以上から860kgf/mm2以下のビッカース硬度を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【0253】
実施形態31
前記ガラス系物品が、6.8log(Ω・cm)以上から8.3log(Ω・cm)以下の体積抵抗率を有する、実施形態1または2に記載のガラス系物品。
【符号の説明】
【0254】
10 機器落下装置
12 チャック
14 チャックジョー
16 パック
18 落下面
20 近接センサ
100 ガラス
110 第一面
112 第二面
120 第1の圧縮層、第1のセグメント
122 第2の圧縮層、第2のセグメント
130 中央領域
1100 衝撃試験を行うための装置
1102 振り子
1104 下げ振り
1106 旋回軸
1140 衝撃物体
【国際調査報告】