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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】口腔矯正治療器の自動調整
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/56 20060101AFI20231019BHJP
【FI】
A61F5/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521806
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(85)【翻訳文提出日】2023-04-28
(86)【国際出願番号】 IB2021059261
(87)【国際公開番号】W WO2022074627
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】63/090,004
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522102697
【氏名又は名称】レズメド センサー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショルディス、レドモンド
(72)【発明者】
【氏名】レン、マイケル
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB15
4C098BC42
4C098BD06
4C098BD13
(57)【要約】
口腔矯正治療器(下顎再配置装置等)の自動調整が開示されている。センサデータは、口腔矯正治療器を使用するユーザの外部の1つ以上のセンサから受信することができる。センサデータを使用して、口腔矯正治療器に関連する調整を決定し、動作をとって、決定された調整の応用を促進することができる。このような動作は、口腔矯正治療器に信号を送信して、調整(例えば、アクチュエータ又はオンボード電気刺激装置を使用して)を達成すること、調整パラメータを呈示して、ユーザの手動調整を支援すること、次回の口腔矯正治療器が記憶されるときに口腔矯正治療器収容リザーバ内のアクチュエータを活性化すること、又は他のこのような動作を含み得る。リアルタイム又は非同期に(例えば、睡眠セッション間)動的に調整することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のプロセッサを含む制御システムと、
機械可読命令を記憶しているメモリと、を含むシステムであって、
前記制御システムは、前記メモリに連結され、
前記機械可読命令が前記1つ以上のプロセッサ上で実行されるとき、前記機械可読命令は、前記1つ以上のプロセッサに動作を実行させ、前記動作は、
睡眠病症を治療するための口腔矯正治療器を使用して、ユーザの外部の1つ以上のセンサからセンサデータを受信することと、
前記センサデータに基づいて、前記口腔矯正治療器に関連する調整を自動的に決定することと、
自動的に決定された調整に応答して、決定された調整を前記口腔矯正治療器に応用することを促進することと、を含む、システム。
【請求項2】
前記決定された調整の応用を促進することは、1つ以上の調整パラメータの表示を呈示して、前記1つ以上の調整パラメータに基づいて前記口腔矯正治療器を手動で調整することを促進することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記決定された調整の応用を促進することは、口腔矯正治療器リザーバの1つ以上のアクチュエータを作動させて、前記決定された調整を前記口腔矯正治療器に応用することを含み、前記口腔矯正治療器リザーバは、前記ユーザが前記口腔矯正治療器を使用しないときに前記口腔矯正治療器を受容するように構成される、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記口腔矯正治療器は、下顎再配置装置である、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記決定された調整の応用を促進することは、調整信号を前記口腔矯正治療器に送信することを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記決定された調整の応用を促進することは、前記ユーザが寝ている間に、前記決定された調整に基づいて前記口腔矯正治療器を動的に調整することを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記動作は、
前記1つ以上のセンサから追加のセンサデータを受信することであって、前記追加のセンサデータは、前記決定された調整に基づいて前記口腔矯正治療器を動的に調整した後に前記口腔矯正治療器を使用することに関連することと、
前記追加のセンサデータに基づいて、前記口腔矯正治療器に関連する追加の調整を自動的に決定することと、
前記追加の調整を自動的に決定することに応答して、決定された追加の調整を前記口腔矯正治療器に応用することを促進することと、をさらに含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記センサデータに基づいて、前記口腔矯正治療器に関連する前記調整を自動的に決定することは、前記ユーザが睡眠前状態にあることを決定することを含み、前記決定された調整は、前記睡眠前状態のための予め設定された睡眠前調整である、請求項5~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記センサデータに基づいて、前記口腔矯正治療器に関連する前記調整を自動的に決定することは、前記ユーザが睡眠開始後状態にあることを決定することを含み、前記決定された調整は、前記睡眠開始後状態のための予め設定された睡眠開始後調整である、請求項5~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記センサデータに基づいて、前記口腔矯正治療器に関連する前記調整を自動的に決定することは、無呼吸イベントを識別することを含み、前記決定された調整は、前記無呼吸イベントが検出された後に使用される予め設定された無呼吸後調整である、請求項5~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記センサデータに基づいて、前記口腔矯正治療器に関連する前記調整を自動的に決定することは、将来の無呼吸イベントを予測することを含み、前記決定された調整は、前記将来の無呼吸イベントを回避又は最小化するための無呼吸前調整である、請求項5~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記口腔矯正治療器は、電気刺激を前記ユーザに応用するための電気刺激装置を含み、前記決定された調整を応用することは、前記電気刺激装置を活性化することを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記口腔矯正治療器は、電気刺激を前記ユーザに応用するための電気刺激装置を含み、前記決定された調整を応用することは、前記電気刺激装置の設定を調整することを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記電気刺激装置は、前記電気刺激を前記ユーザの舌筋肉又は舌神経に案内するための1つ以上の電極を含む、請求項11又は13に記載のシステム。
【請求項15】
前記動作は、
受信されたセンサデータに基づいて、前記ユーザが前記口腔矯正治療器を使用していることを決定することと、
前記ユーザが前記口腔矯正治療器を使用していると決定したことに応答して、外部装置に信号を送信することであって、前記信号は、前記外部装置によって受信されるときに前記外部装置の設定を調整することと、をさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記外部装置は、膨張可能なエアバッグを含み、前記外部装置の前記設定の調整は、前記膨張可能なエアバッグを調整して、前記ユーザを所望の寝姿勢に入らせることを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記動作は、前記口腔矯正治療器に対する前記ユーザの以前の使用に関連する履歴センサデータにアクセスすることをさらに含み、前記調整を自動的に決定することは、前記履歴センサデータにさらに基づく、請求項1~16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記動作は、
前記ユーザから主観的フィードバックを受信することと、
前記主観的フィードバックを前記センサデータに関連付けることと、をさらに含み、
前記調整を自動的に決定することは、前記センサデータに関連する前記主観的フィードバックにさらに基づく、請求項1~17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記動作は、前記センサデータに基づいて睡眠段階を決定することをさらに含み、前記調整を自動的に決定することは、決定された睡眠段階を使用することを含む、請求項1~18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記調整を自動的に決定することは、
前記センサデータに基づいて、呼吸速度、心拍数又は血中酸素レベルを含む生理学的データを決定することと、
前記生理学的データの所望の変化を識別することと、
前記生理学的データの前記所望の変化に基づいて、前記調整を決定することと、を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記調整を自動的に決定することは、
前記センサデータに基づいて、前記ユーザの自主音調を推定することと、
前記自主音調の所望の変化を識別することと、
前記自主音調の前記所望の変化に基づいて、前記調整を決定することと、を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記1つ以上のセンサは、スマートフォン又はタブレット内に配置される、請求項1~21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記1つ以上のセンサは、前記ユーザと間隔をあけた非接触型センサを含む、請求項1~22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記睡眠病症は、睡眠障害性呼吸病症である、請求項1~23のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
前記睡眠障害性呼吸病症は、閉塞性睡眠時無呼吸である、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記動作は、
前記口腔矯正治療器からの以前に使用された履歴センサデータに基づいて、前記口腔矯正治療器に関連する少なくとも1つの履歴決定調整にアクセスすることと、
前記センサデータ及び前記履歴センサデータのうちの少なくとも1つに基づいて、前記少なくとも1つの履歴決定調整の有効性を決定することと、をさらに含み、
前記調整を自動的に決定することは、前記履歴決定調整の決定された有効性にさらに基づく、請求項1~25のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
睡眠病症を治療するための口腔矯正治療器を使用して、ユーザの外部の1つ以上のセンサからセンサデータを受信することと、
前記センサデータに基づいて、前記口腔矯正治療器に関連する調整を自動的に決定することと、
前記調整を自動的に決定することに応答して、決定された調整を前記口腔矯正治療器に応用することを促進することと、を含む、口腔矯正治療器を調整するための方法。
【請求項28】
前記決定された調整の応用を促進することは、1つ以上の調整パラメータの表示を呈示して、前記1つ以上の調整パラメータに基づいて前記口腔矯正治療器を手動で調整することを促進することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記決定された調整の応用を促進することは、口腔矯正治療器リザーバの1つ以上のアクチュエータを作動させて、前記決定された調整を前記口腔矯正治療器に応用することを含み、前記口腔矯正治療器リザーバは、前記ユーザが前記口腔矯正治療器を使用しないときに前記口腔矯正治療器を受容するように構成される、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記口腔矯正治療器は、下顎再配置装置である、請求項27~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記決定された調整の応用を促進することは、調整信号を前記口腔矯正治療器に送信することを含む、請求項27~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記決定された調整の応用を促進することは、前記ユーザが寝ている間に、前記決定された調整に基づいて前記口腔矯正治療器を動的に調整することを含む、請求項27~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記1つ以上のセンサから追加のセンサデータを受信することであって、前記追加のセンサデータは、前記決定された調整に基づいて前記口腔矯正治療器を動的に調整した後に前記口腔矯正治療器を使用することに関連することと、
前記追加のセンサデータに基づいて、前記口腔矯正治療器に関連する追加の調整を自動的に決定することと、
前記追加の調整を自動的に決定することに応答して、決定された追加の調整を前記口腔矯正治療器に応用することを促進することと、をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記センサデータに基づいて、前記口腔矯正治療器に関連する前記調整を自動的に決定することは、前記ユーザが睡眠前状態にあることを決定することを含み、前記決定された調整は、前記睡眠前状態のための予め設定された睡眠前調整である、請求項31~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記センサデータに基づいて、前記口腔矯正治療器に関連する前記調整を自動的に決定することは、前記ユーザが睡眠開始後状態にあることを決定することを含み、前記決定された調整は、前記睡眠開始後状態のための予め設定された睡眠開始後調整である、請求項31~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記センサデータに基づいて、前記口腔矯正治療器に関連する前記調整を自動的に決定することは、無呼吸イベントを識別することを含み、前記決定された調整は、前記無呼吸イベントが検出された後に使用される予め設定された無呼吸後調整である、請求項31~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記センサデータに基づいて、前記口腔矯正治療器に関連する前記調整を自動的に決定することは、将来の無呼吸イベントを予測することを含み、前記決定された調整は、前記将来の無呼吸イベントを回避又は最小化するための無呼吸前調整である、請求項31~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記口腔矯正治療器は、電気刺激を前記ユーザに応用するための電気刺激装置を含み、前記決定された調整を応用することは、前記電気刺激装置を活性化することを含む、請求項27~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記口腔矯正治療器は、電気刺激を前記ユーザに応用するための電気刺激装置を含み、前記決定された調整を応用することは、前記電気刺激装置の設定を調整することを含む、請求項27~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記電気刺激装置は、前記電気刺激を前記ユーザの舌筋肉又は舌神経に案内するための1つ以上の電極を含む、請求項37又は39に記載の方法。
【請求項41】
受信されたセンサデータに基づいて、前記ユーザが前記口腔矯正治療器を使用していることを決定することと、
前記ユーザが前記口腔矯正治療器を使用していると決定したことに応答して、外部装置に信号を送信することであって、前記信号は、前記外部装置によって受信されるときに前記外部装置の設定を調整することと、をさらに含む、請求項27~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記外部装置は、膨張可能なエアバッグを含み、前記外部装置の前記設定の調整は、前記膨張可能なエアバッグを調整して、前記ユーザを所望の寝姿勢に入らせることを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記口腔矯正治療器に対する前記ユーザの以前の使用に関連する履歴センサデータにアクセスすることをさらに含み、前記調整を自動的に決定することは、前記履歴センサデータにさらに基づく、請求項27~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記ユーザから主観的フィードバックを受信することと、
前記主観的フィードバックを前記センサデータに関連付けることと、をさらに含み、
前記調整を自動的に決定することは、前記センサデータに関連する前記主観的フィードバックにさらに基づく、請求項27~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記センサデータに基づいて睡眠段階を決定することをさらに含み、前記調整を自動的に決定することは、決定された睡眠段階を使用することを含む、請求項27~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記調整を自動的に決定することは、
前記センサデータに基づいて、呼吸速度、心拍数又は血中酸素レベルを含む生理学的データを決定することと、
前記生理学的データの所望の変化を識別することと、
前記生理学的データの前記所望の変化に基づいて、前記調整を決定することと、を含む、請求項27~45いずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記調整を自動的に決定することは、
前記センサデータに基づいて、前記ユーザの自主音調を推定することと、
前記自主音調の所望の変化を識別することと、
前記自主音調の前記所望の変化に基づいて、前記調整を決定することと、を含む、請求項27~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記1つ以上のセンサは、スマートフォン又はタブレット内に配置される、請求項27~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記1つ以上のセンサは、前記ユーザと間隔をあけた非接触型センサを含む、請求項27~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記睡眠病症は、睡眠障害性呼吸病症である、請求項27~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記睡眠障害性呼吸病症は、閉塞性睡眠時無呼吸である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記口腔矯正治療器からの以前に使用された履歴センサデータに基づいて、前記口腔矯正治療器に関連する少なくとも1つの履歴決定調整にアクセスすることと、
前記センサデータ及び前記履歴センサデータのうちの少なくとも1つに基づいて、前記少なくとも1つの履歴決定調整の有効性を決定することと、をさらに含み、
前記調整を自動的に決定することは、前記履歴決定調整の決定された有効性にさらに基づく、請求項27~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
1つ以上のプロセッサを含む制御システムと、
機械可読命令を記憶しているメモリと、を含むシステムであって、
前記制御システムは、前記メモリに連結され、
前記メモリ内の機械実行可能命令が前記制御システムの前記1つ以上のプロセッサの少なくとも1つによって実行されるときに、請求項27~52のいずれか1項に記載の方法が実施される、システム。
【請求項54】
口腔矯正治療器を調整するためのシステムであって、請求項27~52のいずれか1項に記載の方法を実施するように構成された制御システムを含む、システム。
【請求項55】
コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに請求項27~52のいずれか1項に記載の方法を実施させる命令を含む、コンピュータプログラムプロダクト。
【請求項56】
前記コンピュータプログラムプロダクトは、非一時的コンピュータ可読媒体である、請求項55に記載のコンピュータプログラムプロダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2020年10月9日に提出された、「口腔矯正治療器の自動調整(AUTOMATIC ORAL APPLIANCE ADJUSTMENT)」と題する米国仮特許出願第63/090,004号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は概して、睡眠病症の治療に関し、より具体的には、睡眠病症の治療のための自動調整を有する口腔矯正治療器に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの個体は、いびき、無呼吸、呼吸低下、下肢静止不能、睡眠病症、窒息、心拍数増加、努力性呼吸、喘息発作、てんかん発作、けいれん又はそれらの任意の組み合わせ等、睡眠中に発生する1つ以上のイベントに関連する睡眠関連障害に罹患している。これらの個体は、通常、1つ以上の医療機器を使用して治療を行って、睡眠を改善し、睡眠中にイベントが発生する可能性を低下させる。このような医療機器のいくつかは、個体に気道陽圧を提供することに依存するが、睡眠病症の治療のためのいくつかの医療機器は、睡眠中に個体によって着用可能な口腔矯正治療器(例えば、歯科矯正器又は下顎再配置装置等)を含む。
【0004】
口腔矯正治療器による治療は、顎(下顎骨)を前部位置に支持し、睡眠中にユーザの気道開放を維持することによって、舌と喉後部の軟組織が陥没するのを防ぐことができる。いくつかの実装形態では、口腔矯正治療器による治療は、特に比較的低いボディマス指数(BMI)と比較的低い無呼吸低呼吸指数(AHI)を有する人に適用することができる。口腔矯正治療器による治療は、体位相関性(例えば仰臥位依存性)閉塞性睡眠無呼吸に対して特に有効である。
【0005】
睡眠病症の治療のために口腔矯正治療器を利用することを望む場合、口腔矯正治療器は、医療専門家の助けによりユーザに適合していることが多い。最も有効な適合及び機能を提供するために、口腔矯正治療器を様々に調整することができる。いくつかの実装形態では、所望の適合及び機能を達成するために何度かのアクセスが必要となる場合がある。受診する度に、医療専門家は口腔矯正治療器を小さく調整して、口腔矯正治療器が所望に従って動作することを確保する必要がある可能性がある。医療専門家への受診が1日以上離れている可能性があるため、現在の口腔矯正治療器は、このような受診期間で適切に調整できないかもしれない。残念ながら、医療専門家に何度も受診する必要があり、適切な調整がなければ、口腔矯正治療器は期待どおりに動作する機会がない可能性があり、一部の個体は口腔矯正治療器の使用を放棄する可能性があるため、彼らの規定に従わない治療は個体に有害であるかもしれない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のいくつかの実装形態によれば、睡眠病症の治療のための口腔矯正治療器を使用して、ユーザの外部の1つ以上のセンサからセンサデータを受信することを含む、口腔矯正治療器を調整するための方法が開示される。この方法は、センサデータに基づいて、口腔矯正治療器に関連する調整を自動的に決定することをさらに含む。この方法は、自動決定調整に応答して、決定された調整を口腔矯正治療器に応用することを促進することをさらに含む。
【0007】
上記の概要は、本開示の各実施形態又はあらゆる態様を示すことを意図していない。本開示の追加特徴及び利益は、下記の詳細な説明及び図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示のいくつかの実装形態に係る、口腔矯正治療器を自動的に調整するためのシステムの機能ブロック図である。
図2】本開示のいくつかの実装形態に係る、図1のシステム、ユーザ、及び同床者の斜視図である。
図3】本開示のいくつかの実装形態に係る、睡眠セッションの例示的なタイムラインを示す図である。
図4】本開示のいくつかの実装形態に係る、図3の睡眠セッションに関連する例示的な睡眠図を示す図である。
図5】本開示のいくつかの実装形態に係る、口腔矯正治療器を自動的に調整するためのプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、様々な変形及び代替形態が可能であるが、本開示の具体的な実装形態及び実施形態が図面に例として示されており、本明細書において詳述される。しかしながら、それは、本開示を開示された特定の形態に限定することを意図するものではなく、本開示は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神及び範囲内にある全ての変更物、均等物及び代替物を網羅するということを理解すべきである。
【0010】
本開示のいくつかの態様及び特徴は、口腔矯正治療器(例えば、下顎再配置装置)の自動調整に関する。センサデータは、口腔矯正治療器を使用するユーザの外部の1つ以上のセンサから受信することができる。センサデータを使用して、口腔矯正治療器に関連する調整を決定し、動作をして、決定された調整の応用を促進することができる。このような動作は、口腔矯正治療器に信号を送信して、調整(例えば、アクチュエータ又はオンボード電気刺激装置を使用して)を達成すること、調整パラメータを呈示して、ユーザの手動調整を支援すること、次回の口腔矯正治療器が記憶されるときに口腔矯正治療器収容リザーバ内のアクチュエータを活性化すること、又は他のこのような動作を含み得る。リアルタイム又は非同期に(例えば、睡眠セッション間)動的に調整することができる。
【0011】
口腔矯正治療器による治療は、口腔矯正治療器システムを使用することで、睡眠病症を治療することを含み得る。本明細書では、睡眠病症の例について説明する。睡眠病症は、睡眠中にユーザに影響を与える任意の既知又は未知の病症を含み得る。睡眠病症は、ユーザの睡眠能力及び/又は睡眠の質に影響を与える任意の既知又は未知の病症を含み得る。睡眠病症は、睡眠中にユーザの呼吸能力に影響を与える任意の既知又は未知の病症を含み得る。
【0012】
口腔矯正治療器システムは、ユーザによって使用可能な口腔矯正治療器(例えば、ユーザの口(例えば、口腔)に着用されているもの)を含み得る。口腔矯正治療器システムは、任意に、使用しないときに口腔矯正治療器を保管するための口腔矯正治療器リザーバを含み得る。口腔矯正治療器リザーバは、口腔矯正治療器を受容するための単一容器又はリザーバであってもよく、又は口腔矯正治療器に対して充電を行うか、口腔矯正治療器と連通するか、及び/又は口腔矯正治療器を調整するための付加要素を含み得る。
【0013】
口腔矯正治療器は、一般的に、必ずしも常にこのような場合ではないが、完全に除去可能な口腔矯正治療器(例えば、ユーザの口腔から完全に除去可能な)である。口腔矯正治療器は、下顎再配置装置の調整可能な連結等の1つ以上の調整(例えば、口腔矯正治療器の調整可能な態様)を含み得る。このような例では、下顎再配置装置は、調整可能な連結によって連結される上インプレッショントレー及び下インプレッショントレーを含み得る。上インプレッショントレーは、一般的に、上顎及び/又は上顎の歯に接合するように構成され、下インプレッショントレーは、下顎及び/又は下顎の歯接合するように構成される。調整可能な連結装置は、上顎及び下顎の相対位置を制御するために、下インプレッショントレーに対する上インプレッショントレーの相対位置を制御するように調整することができる。例えば、調整可能な連結は、固定点において上インプレッショントレー及び下インプレッショントレーに回転可能に連結される調整可能な長さの支柱を含み得る。別の例では、調整可能な連結は、調整可能な点において上インプレッショントレー及び下インプレッショントレーに回転可能に接続される固定長さの支柱を含み得る。いくつかの実装形態では、調整可能な連結は、下インプレッショントレーに対する上インプレッショントレーの移動に関連する抵抗及び/又は付勢力を制御するように調整されることができ、この抵抗及び/又は付勢力は、ユーザがその歯を分離及び集合するのに必要な力の量に関連付けられることができる。他の調整を行うことができる。
【0014】
いくつかの実装形態では、口腔矯正治療器の調整は、手動で実現し、道具の助けを有してもよいし、有さないものでもよい。例えば、口腔矯正治療器は、完全に手で調整することができ、又はドライバー又は他の工具を用いて調整することができる。このような実装形態では、本開示のいくつかの態様は、調整パラメータを有する表示をユーザ又は他の個体(例えば、医療専門家)に呈示することを含み得る。これらの調整パラメータは、口腔矯正治療器をどのように調整するかを指示することができる。例えば、調整パラメータは、調整可能な長さの支柱を1 mm、2 mm、3 mm短縮させる等の命令を含み得る。
【0015】
いくつかの実装形態では、口腔矯正治療器の調整は、口腔矯正治療器において自動的に実現できる。口腔矯正治療器において調整を自動的に実現することは、口腔矯正治療器のソフトウェア設定を調整すること(例えば、口腔矯正治療器内の電気刺激装置の駆動設定を調整すること)又は口腔矯正治療器を操作する1つ以上の物理的調整(例えば、口腔矯正治療器内のアクチュエータを駆動して、下インプレッショントレーに対する上インプレッショントレーの相対位置を変化させること)を含み得る。いくつかの実装形態では、口腔矯正治療器は、口腔矯正治療器を操作することができる1つ以上の調整アクチュエータを含み得る。電気機械アクチュエータ、圧電アクチュエータ、リニアアクチュエータ、回転アクチュエータ、モータ、サーボ機構、ポンプ、スクリューアクチュエータ、電磁アクチュエータ等の任意の適切なアクチュエータを使用することができる。
【0016】
口腔矯正治療器において口腔矯正治療器を調整することは、制御システムから口腔矯正治療器に信号を送信することを含み得る。口腔矯正治療器によって受信されると、この信号は、口腔矯正治療器の調整を実現することができる。いくつかの実装形態では、口腔矯正治療器を使用するときに信号を送信することによって、口腔矯正治療器の動的且つリアルタイムな調整を可能にすることができる。しかしながら、いくつかの実装形態では、口腔矯正治療器が使用されていない場合(例えば、口腔矯正治療器が口腔矯正治療器リザーバ内にある場合)、この信号を口腔矯正治療器に送信することができる。
【0017】
いくつかの実装形態では、口腔矯正治療器を調整することは、口腔矯正治療器リザーバ内のアクチュエータ等の外部アクチュエータを使用して自動的に実現することができる。このような実装形態では、1つ以上のセンサは、口腔矯正治療器が口腔矯正治療器リザーバによって受容されていることを検出することができ、そして口腔矯正治療器リザーバの1つ以上のアクチュエータは、口腔矯正治療器の1つ以上の調整を調整することができる。例えば、下顎再配置装置は、関連するリザーバ内に配置されてもよく、その後、リザーバのアクチュエータは、下顎再配置装置の調整可能な連結を操作して、下インプレッショントレーに対する上インプレッショントレーの相対位置を変更させることができる。
【0018】
調整されるべきタイプ及び量は、システムによって自動的に決定されることができる。このシステムは、1つ以上のセンサからセンサデータを受信し、そしてセンサデータを用いて、行われるべき調整を決定することができる。いくつかの実装形態では、このシステムは、履歴センサデータ、履歴調整、プリセット設定、又はルーチン等の格納されたデータを受信することもできる。このシステムは、1つ以上のアルゴリズム、機械学習モデル(例えば、ニューラルネットワーク)又は他の技術を用いて動作して、入力データ(例えば、センサデータ及び格納されたデータ)を解釈し、所望の調整を決定することができる。決定された調整は、ユーザの睡眠病症の治療を改善し、不快感を減少させ、睡眠イベント(例えば、無呼吸イベント)を減少又は最小化するように設計されてもよく、又は他の方法でユーザの睡眠を改善するように設計されてもよい。
【0019】
いくつかの実装形態では、このシステムは、リアルタイムセンサデータを使用する等の、調整を動的に(例えば、リアルタイムに)決定する。いくつかの実装形態では、このシステムは、格納されたセンサデータを使用する等の、調整を非同期的に決定することができる。いくつかの実装形態では、このシステムは、ユーザが寝ているとき等の、調整が動的に適用されること(例えば、リアルタイム又はほぼリアルタイムに)を引き起こすことができる。他の実装形態では、このシステムは、ユーザが寝ていないとき等の、調整が非同期的に適用されることを引き起こすことができる。いくつかの実装形態では、このシステムは、ユーザがこの調整に慣れるのを補助するように、口腔矯正治療器の調整を制御して、時間とともに少量移動させることができる。このような時間とともに小さな調整は、単一の睡眠セッション中(例えば、口腔矯正治療器を快適優先状態から治療優先状態に徐々に移動させる)又は複数の睡眠セッション中(例えば、複数日のプロセスにおいて、新しい口腔矯正治療器ユーザを最小治療レベルから所望の治療レベルに徐々に向上させる)であってもよい。
【0020】
システムによって使用されるセンサデータは、1つ以上の装置上の1つ以上のセンサからのセンサデータを含み得る。例えば、センサデータは、口腔矯正治療器内の1つ以上のセンサ、口腔矯正治療器リザーバ内の1つ以上のセンサ、ユーザ装置(例えば、スマートフォン又はコンピュータ)の1つ以上のセンサ、又は別の外部装置の1つ以上のセンサからのセンサデータを含み得る。いくつかの実装形態では、センサデータは、ユーザの外部の1つ以上のセンサからのものである。いくつかの実装形態では、このシステムは、ユーザが口腔矯正治療器を使用する睡眠セッションに関連するデータを使用する。いくつかの実装形態では、このシステムは、ユーザが口腔矯正治療器を使用しない睡眠セッションに関連するデータを使用することができる。このような実装形態では、このシステムは、ユーザの睡眠病症、ユーザが経験した共存症(例えば、高血圧、糖尿病、不眠等)、睡眠イベントの発生(例えば、無呼吸イベント)、睡眠の質、又はそれらの任意の組み合わせに関連する差等の、口腔矯正治療器を使用しないことに対する口腔矯正治療器を使用することに関連する差を決定するために用いることができる。
【0021】
いくつかの実装形態では、調整を決定することは、センサデータを分析して、ユーザに関連する睡眠状態又は睡眠段階を決定することを含み得る。睡眠状態及び/又は睡眠段階を決定する例は、WO 2014/047310、US 2014/0088373、WO 2015/006364、WO 2017/132726、WO 2019/122413及びWO 2019/122414に記載されるように、例えばそれぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実装形態では、いくつかの調整は、ユーザの睡眠状態又は睡眠段階に応じて行うことができる。例えば、口腔矯正治療器は、最初に快適優先の睡眠開始状態(例えば、ユーザが覚醒し、入眠を開始するとき)に調整することができるが、ユーザが睡眠開始後の睡眠状態又は睡眠段階にあると判断すると、システムは、口腔矯正治療器を治療優先状態に調整することができる。快適優先状態では、治療効果よりも快適さを優先するようにしてもよく、口腔矯正治療器は、ユーザに対してより快適であるが、睡眠病症に対する有効な治療をなくすることも可能である。治療優先状態では、快適さよりも治療効果を優先するようにしてもよく、口腔矯正治療器は、睡眠病症の治療においてより有効であるが、快適ではない可能性がある。口腔矯正治療器を治療優先状態にするように調整されるときにユーザが睡眠状態に入ったため、ユーザは、低下した快適さに気づかない可能性があるが、向上した治療効果の恩恵を受ける可能性がある。
【0022】
いくつかの実装形態では、調整を決定することは、センサデータを分析して、無呼吸イベント等のイベントを識別及び/又は予測することを含み得る。イベントが識別又は検出された場合、システムは、口腔矯正治療器をイベント後状態に置くように調整することができる。イベント後の状態では、口腔矯正治療器は、イベント(例えば、無呼吸イベント)又は後続イベントの発生の増加を相殺、減少、最小化、及び/又は除去するように設計された修正を応用することができる。センサデータに基づいて将来のイベントを予測する場合、システムは、口腔矯正治療器をイベント前状態に置くように調整することができる。増強状態(例えば、治療上より有効な状態であるように設計された)とすることができるイベント前状態では、口腔矯正治療器は、将来のイベントを回避又は最小化するように設計されたいくつかの修正をユーザに応用することができる。例えば、イベント前状態に入ることは、口腔矯正治療器を調整して、ユーザの治療有効性を改善することができ、これは、ユーザに対する快適さを低下させることを犠牲にしたこと場合がある。
【0023】
いくつかの実装形態では、口腔矯正治療器は、植込可能な治療装置等の他の装置を駆動するために用いることができる。このような実装形態では、口腔矯正治療器に対する調整は、ソフトウェア設定を調整して、口腔矯正治療器が植込可能な治療装置をどのように制御するかを調整することを含み得る。
【0024】
いくつかの実装形態では、システムは、ユーザの睡眠セッションに関連する他の外部装置と対話することができる。一実施例では、枕、ブランケット、及び/又はマットレスは、システムによって制御可能な1つ以上の膨張可能なエアバッグを含み得る。この例では、システムが口腔矯正治療器を使用している間にユーザが寝ていることを検出した場合、システムは、1つ以上の膨張可能なエアバッグを制御して、ユーザが所望の位置に入ることを促進することができる。例えば、システムが下顎再配置装置の所定位置にある状態でユーザが寝ていることを検出した場合、システムは、1つ以上の膨張可能なエアバッグを制御して、ユーザが側臥寝姿勢に入ることを促進することができる。いくつかの実装形態では、仰臥寝姿勢等の他の寝姿勢へのユーザの進入を促すことができる。他の外部機器を使用することができる。いくつかの実装形態では、システムは、所望の結果(例えば、1つのイベント又は一連のイベントを最小化、低減、又は除去)を試み、達成するために、口腔矯正治療器及び1つ以上の外部装置を共に調整することができる。例えば、口腔矯正治療器の調整が所望の結果を達成するのに十分でない場合(例えば、決定された調整がユーザ快適さ閾値又はシステム能力閾値等の閾値を超える場合)、システムは、外部装置をさらに制御して、所望の結果を達成することができる。他の例では、システムが、ユーザが口腔矯正治療器を使用せずに入床しており、及び/又は寝ていることを検出した場合(例えば、ユーザが睡眠に入る前に口腔矯正治療器を彼らの口内に置くことを忘れた場合)、システムは、例えば、ユーザ装置からの通知を介してユーザに警告し、又はシステムは、外部装置を制御して、口腔矯正治療器の欠損を補償し、所望の治療結果を達成することができ、例えば、ユーザを側臥寝姿勢又は仰臥寝姿勢に促す。
【0025】
いくつかの実装形態では、センサデータを受信し、調整を決定し、調整を応用するプロセスは、ユーザの睡眠セッションの様々な態様を制御して、睡眠病症を効果的に治療するためのフィードバック回路を生成することができる。
【0026】
いくつかの実装形態では、ユーザが口腔矯正治療器を使用する場合、又はユーザが口腔矯正治療器を使用するときに入眠と判断される場合、口腔矯正治療器の自動調整が連続的に発生する。いくつかの実装形態では、自動調整がしばしば行われる(例えば、1時間に1回、数時間に1回、毎日1回、数日に1回、週に1回、数週間に1回、月に1回、数ヶ月に1回、年に1回、又は数年に1回)。いくつかの実装形態では、睡眠中又は口腔矯正治療器が挿入されるたびにのみ、設定された回数(例えば、1回)だけ自動調整が行われる。いくつかの実装形態では、自動調整は、口腔矯正治療器の自動調整の開始に関連する外部装置上のボタン又はコントロールを押すことによって、手動にオンした後にのみ発生する。いくつかの実装形態では、自動調整は、1つ以上のセンサによって新しい口腔矯正治療器が使用されていると判断されたときに発生する。
【0027】
これらの説明例は、本明細書で議論される一般的なテーマを読者に紹介するためのものであり、開示された概念の範囲を限定することを意図していない。以下に示す部分は、図面を参照して様々な追加特徴及び例を説明し、図中の同じ数字は同じ要素を示し、方向説明は説明例を説明するためのものであるが、説明例と同様に、本開示を限定するものではない。本明細書の図示に含まれる要素は、比例しないでプロットされてもよい。
【0028】
図1を参照すると、システム100は、制御システム110、口腔矯正治療器による治療システム120、1つ以上のセンサ130、ユーザ装置170及び外部装置171を含む。本明細書で説明されるように、システム100は、一般的に、口腔矯正治療器による治療をユーザに提供し、口腔矯正治療器122を調整することによって、この治療を自動的に調整するために用いることができる。
【0029】
制御システム110は、1つ以上のプロセッサ112(以下、プロセッサ112と称する)を含む。制御システム110は、一般的に、システム100の様々な構成要素を制御(例えば、作動)し、及び/又はシステム100の構成要素によって取得及び/又は生成されたデータを分析するために使用される。プロセッサ112は、汎用又は特殊用途プロセッサ又はマイクロプロセッサであってもよい。図1には1つのプロセッサ112が示されているが、制御システム110は、単一の筐体内に存在し得るか、互いに離れて位置し得る任意の適切な数のプロセッサ(例えば、1つのプロセッサ、2つのプロセッサ、5つのプロセッサ、10つのプロセッサ等)を含み得る。制御システム110は、ユーザ装置170の筐体、外部装置171の筐体、口腔矯正治療器による治療システム120(例えば、口腔矯正治療器122又は口腔矯正治療器リザーバ126)の一部(例えば、筐体)内、及び/又はセンサ130うちの1つ以上の筐体内に連結されること、及び/又はそれらの内部に位置付けられることができる。制御システム110は、集中型(1つのそのような筐体内に)、又は分散型(物理的に区別される2つ以上のそのような筐体内に)とすることができる。制御システム110を収容する2つ以上の筐体を含むこのような実装形態では、そのような筐体は、互いに近接し、及び/又は離れて位置付けられてもよい。
【0030】
記憶装置114は、制御システム110のプロセッサ112が実行可能な機械可読命令を記憶する。記憶装置114は、例えば、ランダムアクセスメモリ装置又はシリアルアクセスメモリ装置、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリ装置等の任意の適切なコンピュータ可読記憶装置又は媒体であり得る。図1に1つの記憶装置114が示されているが、システム100は、任意の適切な数の記憶装置114(例えば、1つの記憶装置、2つの記憶装置、5つの記憶装置、10個の記憶装置等)を含み得る。記憶装置114は、口腔矯正治療器による治療システム120の筐体(例えば、口腔矯正治療器リザーバ126の筐体内)、ユーザ装置170の筐体内、外部装置171の筐体内、1つ以上のセンサ130の筐体内又はそれらの任意の組み合わせに連結され、及び/又はそれらの内部に配置されてもよい。制御システム110と同様に、記憶装置114は、集中型(1つのそのような筐体内に)、又は分散型(物理的に区別される2つ以上のそのような筐体内に)とすることができる。
【0031】
電子インタフェース119は、データを記憶装置114に記憶し、及び/又は制御システム110のプロセッサ112によって分析できるように、1つ以上のセンサ130からデータ(例えば、生理学的データ、環境データ、音声データ、動きデータ等)を受信するように構成される。電子インタフェース119は、有線接続又は無線接続(例えば、RF通信プロトコル、WiFi通信プロトコル、ブルートゥース(登録商標)通信プロトコル、セルラーネットワーク等)を用いて、1つ以上のセンサ130と通信することができる。電子インタフェース119は、アンテナ、受信機(例えば、RF受信機)、送信機(例えば、RF送信機)、トランシーバ、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。電子インタフェース119は、本明細書に記載のプロセッサ112及び記憶装置114と同一又は同様の1つ以上のプロセッサ及び/又は1つ以上の記憶装置をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、電子インタフェース119は、ユーザ装置170に連結又は統合される。いくつかの実施形態では、電子インタフェース119は、外部装置171に連結又は統合される。他の実施形態では、電子インタフェース119は、制御システム110及び/又は記憶装置114に連結されるか、それらと(例えば、筐体内で)統合される。いくつかの実装形態では、複数の電子インタフェース119は、システム100の複数の構成要素(例えば、口腔矯正治療器122、口腔矯正治療器リザーバ126、ユーザ装置170及び外部装置171)にわたって使用されることができる。
【0032】
口腔矯正治療器による治療システム120は、口腔矯正治療器122(例えば、下顎再配置装置)と、選択的に口腔矯正治療器リザーバ126とを含む。口腔矯正治療器122は、口腔矯正治療器による治療を応用するためにユーザの口腔に挿入することができる装置であってもよい。口腔矯正治療器リザーバ126は、保管等の、口腔矯正治療器122を受容するための任意の容器又は適切なリザーバであってもよい。口腔矯正治療器リザーバ126は、口腔矯正治療器122を受容するための受容空間を含み得る。口腔矯正治療器による治療とは、口腔矯正治療器を用いて閉塞性睡眠時無呼吸等の睡眠病症を治療することである。口腔矯正治療器による治療は、本明細書に記載されるように、ユーザの口腔(例えば、下顎骨)の1つ以上の要素に力を応用して、睡眠病症を治療することを含み得る。
【0033】
口腔矯正治療器122は、調整可能な態様とも呼ばれる1つ以上の調整を含み得る。いくつかの実装形態では、口腔矯正治療器122は、選択的に、1つ以上の調整の変化(例えば、口腔矯正治療器を調整すること)を開始することができる1つ以上のアクチュエータ124を含み得る。いくつかの実装形態では、口腔矯正治療器リザーバ126は、選択的に、1つ以上のアクチュエータ128を含み、口腔矯正治療器が口腔矯正治療器リザーバによって受容されるときに、この1つ以上のアクチュエータ128は、口腔矯正治療器の1つ以上の調整の変化を開始することができる(例えば、口腔矯正治療器を調整することができる)。1つ以上のアクチュエータ128は、口腔矯正治療器122が口腔矯正治療器リザーバ126の受容空間内に受容されるときに、口腔矯正治療器122を操作するように配置されることができる。
【0034】
口腔矯正治療器による治療システム120は、一般的に、1つ以上の睡眠関連呼吸障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸)を有する個体を治療するために使用される。
【0035】
いくつかの実装形態では、口腔矯正治療器リザーバ126は、表示装置129を含み得る。表示装置129は、一般的に、口腔矯正治療器122に関する、静止画像、動画像又はその両方を含む画像及び/又は情報を表示するために使用される。例えば、表示装置129は、口腔矯正治療器122の状態に関する情報(例えば、口腔矯正治療器122が使用中であるか否か、又は前回の使用以来に清掃したか否か、口腔矯正治療器122の現在の音声、又は口腔矯正治療器122に関連する他の情報)、口腔矯正治療器122の1つ以上の調整可能な態様の現在の設定、及び/又は他の情報(例えば、最新の睡眠セッションに関する情報、現在の日付/時刻、ユーザの個人情報等)を提供することができる。いくつかの実施形態では、表示装置129は、画像を表示するように構成されたグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を入力インタフェースとして含むヒューマンマシンインタフェース(HMI)として機能する。表示装置129は、LEDディスプレイ、OLEDディスプレイ、LCDディスプレイ等であり得る。入力インタフェースは、例えば、タッチスクリーン又はタッチセンシティブ基板、マウス、キーボード、又は口腔矯正治療器リザーバ126と対話する人間のユーザによって行われた入力をセンシングするように構成された任意のセンサシステムであり得る。
【0036】
図2を参照すると、いくつかの実施形態に係る図1のシステム100の一部が示されている。口腔矯正治療器による治療システム120のユーザ210及び同床者220は、ベッド230に位置付けられ、マットレス232に横たわっている。口腔矯正治療器122(例えば、下顎再配置装置)は、睡眠セッション中のユーザ210(例えば、口腔内に着用される)によって着用され得る。
【0037】
いくつかの実装形態では、口腔矯正治療器による治療システム120は、図2に示すようにベッド230に直接隣接するナイトテーブル240上、又はより一般的には、ベッド230及び/又はユーザ210に隣接する任意の表面又は構造上に配置することができる口腔矯正治療器リザーバ126を含み得る。いくつかの実装形態では、口腔矯正治療器による治療システム120は、浴室又は他の位置等の、ベッド230及び/又はユーザ210に隣接しない位置に配置されてもよい。
【0038】
図1に戻り、システム100の1つ以上のセンサ130は、圧力センサ132、流量センサ134、温度センサ136、運動センサ138、マイクロフォン140、スピーカー142、無線周波数(RF)受信機146、RF送信機148、カメラ150、赤外線センサ152、フォトプレチスモグラム(PPG)センサ154、心電図(ECG)センサ156、脳波(EEG)センサ158、容量センサ160、力センサ162、歪みゲージセンサ164、筋電図(EMG)センサ166、酸素センサ168、検体センサ174、水分センサ176、LiDARセンサ178又はそれらの組み合わせを含む。一般的に、1つ以上のセンサ130のそれぞれは、記憶装置114又は1つ以上の他の記憶装置により受信及び記憶されたセンサデータを出力するように構成される。
【0039】
1つ以上のセンサ130は、圧力センサ132、流量センサ134、温度センサ136、運動センサ138、マイクロフォン140、スピーカー142、RF受信機146、RF送信機148、カメラ150、赤外線センサ152、フォトプレチスモグラム(PPG)センサ154、心電図(ECG)センサ156、脳波(EEG)センサ158、容量センサ160、力センサ162、歪みゲージセンサ164、筋電図(EMG)センサ166、酸素センサ168、検体センサ174、水分センサ176及びLiDARセンサ178のそれぞれを含むものとして図示及び記載されているが、より一般的には、1つ以上のセンサ130は、本明細書に記載及び/又は図示された各センサの任意の組み合わせ及び任意の個数を含み得る。
【0040】
1つ以上のセンサ130は、例えば、生理学的データ、音声データ、画像データ、他のデータ、又はそれらの任意の組み合わせを生成するために用いることができる。1つ以上のセンサ130からのセンサデータは、本明細書でさらに詳細に開示されるように、口腔矯正治療器122の調整を自動的に決定するために用いることができる。いくつかの実装形態では、センサデータは、ユーザ、ユーザの睡眠セッション、口腔矯正治療器122、又は別の関連する要素に関する情報を識別することができる。
【0041】
いくつかの実装形態では、制御システム110は、センサ130のうちの1つ以上によって生成された生理学的データを使用して、睡眠セッション中にユーザに関連する睡眠-覚醒信号及び1つ以上の睡眠関連パラメータを決定することができる。睡眠-覚醒信号は、覚醒、リラックスした覚醒、微小覚醒、急速眼球運動(REM)段階、第1のノンレム段階(「N1」と称されることが多い)、第2のノンレム段階(「N2」と称されることが多い)、第3のノンレム段階(「N3」と称されることが多い)、又はそれらの任意の組み合わせを含む、1つ以上の睡眠状態を示すことができる。また、睡眠-覚醒信号には、ユーザが就床する時刻、ユーザが離床した時刻、ユーザが入眠しようとした時刻等を示すために、タイムスタンプを付与することができる。睡眠-覚醒信号は、睡眠セッション中に、例えば、1秒につき1サンプル、30秒につき1サンプル、1分につき1サンプル等所定のサンプリングレートでセンサ130によって測定することができる。睡眠-覚醒信号に基づいて睡眠セッション中にユーザのために決定できる1つ以上の睡眠関連パラメータとしては、総就寝時間、総睡眠時間、入眠潜時、中途覚醒パラメータ、睡眠効率、断片化指数、又はそれらの任意の組み合わが挙げられる。センサ(例えば、センサ130)のうちの1つ以上によって生成された生理学的データに基づいて睡眠状態及び/又は睡眠段階を決定するための方法は、例えばWO 2014/047310、US 2014/0088373、WO 2017/132726、WO 2019/122413及びWO 2019/122414に記載されるように、それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0042】
1つ以上のセンサ130によって生成された生理学的データ及び/又は音声データを使用して、睡眠セッション中のユーザに関連付けられた呼吸信号を決定することができる。呼吸信号は、一般に、睡眠セッション中のユーザの呼吸(respiration/breathing)を示す。呼吸信号は、例えば、呼吸速度、呼吸速度可変性、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、1時間当たりのイベント数、イベントのパターン、口腔矯正治療器122の位置、現在設定された口腔矯正治療器122の効果、又はそれらの任意の組み合わせを示すことができる。イベントは、いびき、無呼吸、中枢性無呼吸、閉塞型無呼吸、混合型無呼吸、呼吸低下、下肢静止不能、睡眠障害、窒息、心拍数増加、努力性呼吸、喘息発作、てんかん発作、けいれん又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実装形態では、この呼吸信号は、口腔矯正治療器に対する調整を容易にするために用いることができる。
【0043】
圧力センサ132は、記憶装置114に記憶され、及び/又は制御システム110のプロセッサ112によって分析され得る圧力データ(例えば、圧力信号)を出力する。いくつかの実施形態では、圧力センサ132は、ユーザの呼吸(例えば、吸気及び/又は呼気)及び/又は周囲圧力を示すセンサデータを生成する空気圧センサ(例えば、気圧センサ)である。このような実施形態では、圧力センサ132は、口腔矯正治療器122及び/又は口腔矯正治療器リザーバ126に連結又は統合することができる。圧力センサ132は、例えば、容量センサ、電磁センサ、圧電センサ、歪みゲージセンサ、光学センサ、電位差センサ又はそれらの任意の組み合わせであり得る。一例では、圧力センサ132は、ユーザの血圧を決定するために用いることができる。
【0044】
流量センサ134は、記憶装置114に記憶され、及び/又は制御システム110のプロセッサ112によって分析され得る流量データ(例えば、流量信号)を出力する。いくつかの実施形態では、流量センサ134は、口腔矯正治療器122部又は口腔矯正治療器122に隣接する気流量を決定するために用いられる。このような実施形態では、流量センサ134は、口腔矯正治療器122に連結又は統合することができる。流量センサ134は、例えば、回転流量計(例えば、ホール効果流量計)、タービン流量計、オリフィス流量計、超音波流量計、熱線センサ、渦流センサ、膜センサ、又はそれらの任意の組み合わせ等の質量流量センサであり得る。流量センサ(例えば、流量センサ134)の一例は、参照により本明細書に組み込まれるWO 2012/012835に記載されている。
【0045】
温度センサ136は、記憶装置114に記憶され、及び/又は制御システム110のプロセッサ112によって分析され得る温度データを出力する。いくつかの実施形態では、温度センサ136は、ユーザ210(図2)の中核体温、ユーザ210の皮膚温度、口腔矯正治療器122を経由するユーザの口内の温度、口腔矯正治療器リザーバ126内の温度、周囲温度又はそれらの任意の組み合わせを示す温度データを生成する。温度センサ136は、例えば、熱電対センサ、サーミスタセンサ、シリコンバンドギャップ温度センサもしくは半導体ベースのセンサ、抵抗温度検出器、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0046】
マイクロフォン140は、記憶装置114に記憶され、及び/又は制御システム110のプロセッサ112によって分析され得る音声データを出力する。マイクロフォン140によって生成された音声データは、睡眠セッション中の1つ以上の音(例えば、ユーザ210からの音)として再生可能である。本明細書においてさらに詳細に記載されるように、またマイクロフォン140からの音声データを使用して、睡眠セッション中のユーザが経験したイベントを(例えば、制御システム110を使用して)識別することができる。マイクロフォン140は、口腔矯正治療器122、口腔矯正治療器リザーバ126、ユーザ装置170又は外部装置171に連結又は統合することができる。
【0047】
スピーカー142は、システム100のユーザ(例えば、図2のユーザ210)に聞こえる音波を出力することができる。スピーカー142は、例えば、目覚まし時計として使用するか、又は(例えば、イベントに応答して)ユーザ210に警告又はメッセージを再生するために用いることができる。いくつかの実施形態では、スピーカー142は、マイクロフォン140によって生成された音声データをユーザに伝えるために用いることができる。スピーカー142は、口腔矯正治療器122、口腔矯正治療器リザーバ126、ユーザ装置170、又は外部装置171に連結又は統合することができる。
【0048】
マイクロフォン140及びスピーカー142は、独立した装置として使用することができる。いくつかの実施形態では、マイクロフォン140及びスピーカー142は、例えば参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO 2018/050913号及びWO 2020/104465号に記載されるように、音響センサ141(例えば、ソナーセンサ)に組み合わせることができる。このような実施形態では、スピーカー142は、所定の間隔で音波を生成又は放出し、マイクロフォン140は、スピーカー142から放出された音波の反射を検出する。スピーカー142によって生成又は放出された音波は、ユーザ210又は同床者220(図2)の睡眠を妨げないように、人間の耳に聞こえない周波数(例えば、20Hz未満又は約18kHz超)を有する。制御システム110は、マイクロフォン140及び/又はスピーカー142からのデータに少なくとも部分的に基づいて、ユーザ210(図2)の位置及び/又は本明細書に記載の睡眠関連パラメータのうちの1つ以上(例えば、識別された身体位置及び/又は身体位置の変化)、及び/又は本明細書に記載の呼吸関連パラメータ、例えば呼吸パターン、呼吸信号(例えば、呼吸信号から呼吸形態を決定することができる)、呼吸速度、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、1時間当たりのイベント数、イベントパターン、睡眠状態、睡眠段階、又はそれらの任意の組み合わせを決定することができる。これに関連して、ソナーセンサは、空気を通る超音波又は低周波超音波感知信号を生成/送信することによって(例えば、約17~23 kHz、18~22 kHz又は17~18 kHzの周波数範囲内で)等の能動音響感知に関するものと理解することができる。このようなシステムは、上述したWO2018/050913及びWO 2020/104465に対して考慮することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、センサ130は、(i)マイクロフォン140と同じ又は類似し、音響センサ141に統合された第1のマイクロフォンと、(ii)マイクロフォン140と同じ又は類似するが、音響センサ141に統合された第1のマイクロフォンとは独立しかつ別体である第2のマイクロフォンと、を含む。
【0050】
RF送信機148は、所定の周波数及び/又は所定の振幅(例えば、高周波帯域内、低周波帯域内、長波信号、短波信号等)を有する電波を生成及び/又は放射する。RF受信機146は、RF送信機148から放射された電波の反射を検出し、このデータは、制御システム110によって分析されることにより、ユーザ210(図2)の位置及び/又は本明細書に記載の睡眠関連パラメータのうちの1つ以上を決定することができる。RF受信機(RF受信機146及びRF送信機148又は別のRFペアのいずれか)は、制御システム110、口腔矯正治療器122、口腔矯正治療器リザーバ126、1つ以上のセンサ130、ユーザ装置170、部装置171、又はそれらの任意の組み合わせの間での無線通信に使用することもできる。RF受信機146及びRF送信機148は、独立した別体の要素として図1に示されるが、いくつかの実施形態では、RF受信機146及びRF送信機148は、RFセンサ147の一部として組み合わされる。いくつかのこのような実施形態では、RFセンサ147は、制御回路を含む。RF通信の具体的な形式は、WiFi、Bluetooth(登録商標)等であり得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、RFセンサ147は、メッシュシステムの一部である。メッシュシステムの一例は、それぞれが移動式/可動式又は固定式であり得るメッシュノード、メッシュルータ及びメッシュゲートウェイを含み得る、WiFiメッシュシステムである。このような実施形態では、WiFiメッシュシステムは、それぞれがRFセンサ147と同一又は類似のRFセンサを含む、WiFiルータ及び/又はWiFiコントローラ、ならびに1つ以上の衛星(例えば、アクセスポイント)を含む。WiFiルータ及び衛星は、WiFi信号を使用して互いに連続的に通信する。WiFiメッシュシステムは、物体又は人の移動が信号を部分的に妨害することによってルータと衛星との間のWiFi信号の変化(例えば、受信された信号強度の差)に基づいて運動データを生成するために用いることができる。この運動データは、運動、呼吸、心拍数、歩行、転倒、挙動等又はそれらの任意の組み合わせを示すことができる。
【0052】
カメラ150は、記憶装置114に記憶できる1つ以上の画像(例えば、静止画像、動画像、熱画像又はそれらの組み合わせ)として再生可能な画像データを出力する。カメラ150からの画像データは、本明細書に記載の1つ以上の睡眠関連パラメータを決定するために制御システム110により用いることができる。例えば、カメラ150からの画像データを使用して、ユーザの位置を識別し、ユーザ210がベッド230(図2)に就床する時刻を決定し、及びユーザ210がベッド230から離床する時刻を決定することができる。いくつかの実装形態では、カメラ150からの画像データは、イベントの発生を検出又は確認するために制御システム110により用いることができる。
【0053】
赤外線(IR)センサ152は、記憶装置114に記憶できる1つ以上の赤外線画像(例えば、静止画像、動画像、又はその両方)として再生可能な赤外線画像データを出力する。IRセンサ152からの赤外線データは、ユーザ210の温度及び/又はユーザ210の動きを含む、睡眠セッション中の1つ以上の睡眠関連パラメータを決定するために用いることができる。IRセンサ152はまた、ユーザ210の存在、位置、及び/又は動きを測定する際に、カメラ150と組み合わせて使用することもできる。いくつかの実装形態では、IRセンサ152からの赤外線データは、イベントの発生を検出又は確認するために用いることができる。IRセンサ152は、例えば、約700nmと約1mmとの間の波長を有する赤外光を検出することができるのに対し、カメラ150は、約380nmと約740nmとの間の波長を有する可視光を検出することができる。
【0054】
PPGセンサ154は、例えば、心拍数、心拍数変動、心周期、呼吸数、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、推定血圧パラメータ、又はそれらの任意の組み合わせ等の1つ以上の睡眠関連パラメータを決定するために使用できる、ユーザ210(図2)に関連する生理学的データを出力する。PPGセンサ154は、ユーザ210によって着用され、ユーザ210が着用する衣類及び/又は布地に埋め込み、及び/又は口腔矯正治療器122に埋め込み及び/又は連結することができる。
【0055】
ECGセンサ156は、ユーザ210の心臓の電気的活動に関連付けられた生理学的データを出力する。いくつかの実施形態では、ECGセンサ156は、睡眠セッション中にユーザ210の一部の上又はその周囲に配置された1つ以上の電極を含む。ECGセンサ156からの生理学的データを使用して、例えば、本明細書に記載の1つ以上の睡眠関連パラメータを決定することができる。
【0056】
EEGセンサ158は、ユーザ210の脳の電気的活動に関連付けられた生理学的データを出力する。いくつかの実施形態では、EEGセンサ158は、睡眠セッション中のユーザ210の頭皮の上又はその周囲に配置された1つ以上の電極を含む。EEGセンサ158からの生理学的データを使用して、例えば、睡眠セッション中の任意の所与の時間におけるユーザ210の睡眠状態を決定することができる。
【0057】
容量センサ160、力センサ162及び歪みゲージセンサ164は、記憶装置114に記憶され、本明細書に記載の1つ以上の睡眠関連パラメータを決定するために制御システム110によって使用され得るデータを出力する。EMGセンサ166は、1つ以上の筋肉により生み出された電気的活動に関連付けられた生理学的データを出力する。酸素センサ168は、(例えば、口腔矯正治療器122内のセンサによって検出されたユーザの口内の気体又は口腔矯正治療器リザーバ126内のセンサによって検出された周囲気体)ガスの酸素濃度を示す酸素データを出力する。酸素センサ168は、例えば、超音波酸素センサ、電気酸素センサ、化学酸素センサ、光学酸素センサ、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のセンサ130は、ガルバニック皮膚反応(GSR)センサ、血流センサ、呼吸センサ、脈拍センサ、血圧計センサ、酸素測定センサ又はそれらの任意の組み合わせをさらに含む。
【0058】
検体センサ174は、ユーザ210の呼気中の検体の存在を検出するために用いることができる。検体センサ174によって出力されたデータは、記憶装置114に記憶し、ユーザ210の息における任意の検体の同一性及び濃度を決定するために制御システム110により用いることができる。いくつかの実施形態では、検体センサ174は、ユーザ210の口内に位置付けられて(例えば、口腔矯正治療器122に連結されるか、及び/又は統合される)、ユーザ210の口から吐き出された息中の検体を検出する。他の実施形態では、検体センサ174は、例えばユーザの口の近くに配置された外部装置171上に、ユーザ210の口の付近に配置することができる。いくつかの実施形態では、検体センサ174は、炭素系化学物質又は炭素系化合物を検出するために用いることができる揮発性有機化合物(VOC)センサである。いくつかの実施形態では、また、検体センサ174は、ユーザ210が鼻又は口で呼吸しているか否かを検出するために用いることができる。例えば、ユーザ210の口の中又は口の付近に配置された検体センサ174により出力されたデータにより検体の存在が検出された場合、制御システム110は、ユーザ210が口で呼吸しているという指標としてこのデータを使用することができる。
【0059】
水分センサ176は、記憶装置114に記憶され、制御システム110によって使用され得るデータを出力する。水分センサ176は、ユーザ内又は周囲の異なる領域(例えば、口腔矯正治療器122において又は口腔矯正治療器リザーバ126において)における水分を検出するために用いることができる。したがって、いくつかの実施形態では、水分センサ176は、口腔矯正治療器122又は口腔矯正治療器リザーバ126に連結されるか、又は統合される。他の実施形態では、水分センサ176は、水分レベルを監視する必要がある任意の領域付近に配置される。水分センサ176はまた、例えば寝室内の空気の水分、ユーザ210を取り囲む周囲環境を監視するために用いることができる。
【0060】
光検出及び測距(LiDAR)センサ178は、深度感知に用いることができる。このような光学センサ(例えば、レーザセンサ)は、物体を検出し、生活空間等の周囲環境の3次元(3D)マップを作成するために用いることができる。LiDARは、一般的に、パルスレーザを利用して飛行時間を計測する。LiDARは、3Dレーザスキャンとも呼ばれる。このようなセンサの一使用例では、LiDARセンサ178を有する固定又は(スマートフォン等の)モバイル機器は、センサから5メートル以上離れた領域を測定しマッピングすることができる。LiDARデータは、例えば電磁式RADARセンサによって推定された点群データと融合することができる。LiDARセンサ178はまた、人工知能(AI)を使用して、(RADARに対して高反射性であり得る)ガラス窓等、RADARシステムに問題を引き起こす可能性のある空間内の地物を検出し分類することにより、RADARシステムのジオフェンスを自動的に作成し得る。例えば、LiDARはまた、人の身長に加え、人が座ったとき、倒れたとき等に生じる身長の変化を推定するために用いることができる。LiDARは、環境の3Dメッシュ表現を形成するために用いることができる。さらなる用途では、電波が通過する固体表面(例えば電波透過性材料)には、LiDARがそのような表面で反射し得ることにより、異なるタイプの障害物の分類が可能となる。
【0061】
図1では別々に示されるが、1つ以上のセンサ130の任意の組み合わせを、口腔矯正治療器122、口腔矯正治療器リザーバ126、制御システム110、ユーザ装置170、外部装置171又はそれらの任意の組み合わせを含むシステム100の構成要素のうちの任意の1つ以上に統合及び/又は連結することができる。例えば、マイクロフォン140及びスピーカー142は、ユーザ装置170に統合及び/又は連結するとともに、温度センサ136及び/又は運動センサ138は、口腔矯正治療器122に統合及び/又は連結する。いくつかの実施形態では、1つ以上のセンサ130のうちの少なくとも1つは、口腔矯正治療器122、制御システム110、ユーザ装置170又は外部装置171に連結されず、睡眠セッション中のユーザ210に概ね隣接して配置される(例えば、ユーザ210の一部の上に配置されるか又は接触する、ユーザ210によって着用される、ナイトスタンドに連結されるか又はその上に配置される、マットレスに連結される、天井に連結される、等)。いくつかの実装形態では、1つ以上のセンサ130のうちの1つ、いくつか又は全部は、ユーザの外部に配置されてもよい。いくつかの実装形態では、1つ以上のセンサ130のうちの1つ、いくつか又は全部は、物理的に分離され、口腔矯正治療器122に物理的に連結されなくてもよい。
【0062】
例えば、図2に示すように、センサ130のうちの1つ以上は、ベッド230及びユーザ210に隣接するナイトスタンド240上の第1の位置250Aに配置することができる。又は、センサ130のうちの1つ以上は、マットレス232上及び/又はマットレス232内の第2の位置(例えば、センサは、マットレス232に連結及び/又は統合される)に配置することができる。また、センサ130のうちの1つ以上は、ベッド230上の第3の位置に配置することができる(例えば、ベッド230のフレーム上のヘッドボード、フットボード又は他の位置に連結及び/又は統合される)。センサ130のうちの1つ以上は、一般にベッド230及び/又はユーザ210に隣接する壁又は天井上の第4の位置に配置することができる。センサ130の1つ以上は、センサ130のうちの1つ以上が口腔矯正治療器による治療システム120の口腔矯正治療器122又は口腔矯正治療器リザーバ126のハウジングに連結されるか、及び/又はハウジング上及び/又はハウジング内部に配置されるように、第5の位置に配置することができる。また、センサ130の1つ以上は、ユーザ210に連結及び/又は配置されるように第6の位置に配置することができる(例えば、センサは、睡眠セッション中にユーザ210が着用する布地、衣類に埋め込まるか又は連結される)。より一般的には、センサ130のうちの1つ以上は、センサ140が1つ以上の睡眠セッション中にユーザ210及び/又は同床者220に関連する生理学的データを生成できるように、ユーザ210に対して任意の適切な位置に配置することができる。
【0063】
図1に戻り、ユーザ装置170は、プロセッサ(例えば、プロセッサ112)と、メモリ(例えば、メモリ174)と、表示装置172とを含む。ユーザ装置170は、例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータ等のモバイル機器であり得る。表示装置172は、一般的に、静止画像、動画像又はその両方を含む画像を表示するために使用される。いくつかの実施形態では、表示装置172は、画像を表示するように構成されたグラフィカルユーザインタフェース(GUI)及び入力インタフェースを含むヒューマンマシンインタフェース(HMI)として機能する。表示装置172は、LEDディスプレイ、OLEDディスプレイ、LCDディスプレイ等であり得る。入力インタフェースは、例えば、タッチスクリーン又はタッチセンサ式基板、マウス、キーボード、又はユーザ装置170と対話する人間のユーザによって行われた入力をセンシングするように構成された任意のセンサシステムであり得る。
【0064】
いくつかの実装形態では、外部装置171は、睡眠セッションに関連するセンサデータを受信し、及び/又は睡眠セッションに影響を与える動作を制御するための睡眠関連装置であり得る。一例として、外部装置171は、スマート枕、スマートマットレス、スマート寝具(例えば、シーツ又はブランケット)等であり得る。いくつかの実装形態では、このような外部装置171は、睡眠セッションに関連するセンサデータを受信するために1つ以上のセンサ130を含み得る。いくつかの実装形態では、このような外部装置171は、睡眠セッションに影響を与えるように制御されることができる作動可能又は制御可能装置であり得る。例えば、このような装置は、ユーザが特定の寝姿勢に入るか、又は特定の寝姿勢から離れるように膨張させるように膨張を制御することができる1つ以上の膨張可能なエアバッグを含み得る。例えば、枕又はマットレス内の膨張可能なエアバッグを使用して、ユーザを仰臥寝姿勢から側臥寝姿勢に向かって促すことができる。制御可能な他のタイプの外部装置171(例えば、制御システム110を介して)は、口腔矯正治療器122の自動調整に関連してユーザの睡眠セッションに影響を与えるために用いることができる。
【0065】
制御システム110及び記憶装置114は、システム100の独立した別体の構成要素として記載され図1に示されるが、いくつかの実施形態では、制御システム110及び/又は記憶装置114は、ユーザ装置170、外部装置171、口腔矯正治療器リザーバ126又はそれらの任意の組み合わせに統合される。代替的に、いくつかの実施形態では、制御システム110又はその一部(例えば、プロセッサ112)は、クラウドに配置し(例えば、サーバに統合され、モノのインターネット(IoT)装置に統合され、クラウドに接続され、エッジクラウド処理を受ける)、1つ以上のサーバ(例えば、リモートサーバ、ローカルサーバ等、又はそれらの任意の組み合わせ)に配置することができる。
【0066】
システム100は、上記構成要素の全てを含むものとして示されるが、口腔矯正治療器122を自動的に調整するためのシステムには、より多くの又はより少ない構成要素を含めることができる。例えば、第1の代替システムは、制御システム110、口腔矯正治療器122、及び1つ以上のセンサ130のうちの少なくとも1つを含む。別の例として、第2の代替システムは、口腔矯正治療器122、口腔矯正治療器リザーバ126、1つ以上のセンサ130、及びユーザ装置170を含む。さらに別の例として、第3の代替システムは、口腔矯正治療器122、1つ以上のセンサ130のうちの少なくとも1つ、及びユーザ装置170を含む。したがって、本明細書に示され記載された構成要素の任意の一部を使用し、及び/又は1つ以上の他の構成要素と組み合わせて、睡眠セッションに関連する睡眠関連パラメータを決定するための様々なシステムを形成することができる。
【0067】
本明細書で使用されるように、睡眠セッションは、例えば、初期開始時間及び終了時間に基づいて様々な方法で定義されることができる。図3を参照すると、睡眠セッションの例示的なタイムライン300が示されている。タイムライン300は、就床時刻(tベッド)、入眠時刻(tGTS)、初期睡眠時刻(t睡眠)、第1の微小覚醒MA及び第2の微小覚醒MA、覚醒時刻(t覚醒)及び起床時間(t起床)を含む。
【0068】
本明細書で使用されるように、睡眠セッションは、様々な方法で定義されることができる。例えば、睡眠セッションは、初期開始時間及び終了時間で定義されることができる。いくつかの実施形態では、睡眠セッションは、ユーザが睡眠に入っている持続時間、即ち、睡眠セッションが開始時間及び終了時間を有し、睡眠セッション中にユーザが終了時間まで覚醒する。つまり、ユーザが覚醒している任意の時間帯は、睡眠セッションに含まれていない。睡眠セッションのこの第1の定義によれば、ユーザが同じ夜で複数回覚醒及び入眠した場合、覚醒間隔によって分離された各睡眠間隔は、睡眠セッションであるものとする。
【0069】
代替的に、いくつかの実施形態では、睡眠セッションは、開始時間及び終了時間を有し、睡眠セッションにおいて、ユーザが覚醒している連続持続時間が覚醒持続時間閾値よりも低いものであれば、ユーザは覚醒することができるが、睡眠セッションは終了しない。覚醒持続時間閾値は、睡眠セッションのパーセンテージとして定義されることができる。覚醒持続時間閾値は、例えば、睡眠セッションの約20%、睡眠セッション持続時間の約15%、睡眠セッション持続時間の約10%、睡眠セッション持続時間の約5%、睡眠セッション持続時間の約2%等、又は任意の他の閾値パーセントであり得る。いくつかの実施形態では、覚醒持続時間閾値は、約1時間、約30分、約15分、約10分、約5分、約2分等の固定時間量、又は任意の他の時間量として定義される。
【0070】
いくつかの実施形態では、睡眠セッションは、夜にユーザが最初に就床した時間と、翌朝にユーザが最後に起床した時間との間の全時間として定義される。換言すれば、睡眠セッションは、ユーザが初めて入眠したいとき(例えば、ユーザが就眠試行前にまずテレビを見たり、スマートフォンを使用したりする意志がない場合)から始まり(現在の夜の第1の時間(例えば、午後10:00)の第1の日付(例えば、2020年1月6日月曜日)と呼ばれてもよい)、(ユーザが翌朝睡眠に戻りたくなくて初めてベッドから離床する時、翌朝の第2の時間(例えば、午前7:00)の第2の日付(例えば、2020年1月7日火曜日)と呼ばれてもよい)まで終了する期間として定義することができる。
【0071】
図3を参照すると、睡眠セッションの例示的なタイムライン300が示されている。タイムライン300は、就床時刻(tベッド)、入眠時刻(tGTS)、初期睡眠時刻(t睡眠)、第1の微小覚醒MA、第2の微小覚醒MA、覚醒A、覚醒時刻(t覚醒)及び起床時間(t起床)を含む。
【0072】
就床時刻tベッドは、ユーザの入眠前の(例えば、ユーザがベッドに横たわったり座ったりする時)初期就床(例えば、図2におけるベッド230)の時間に関連付けられる。床時刻tベッドは、ユーザが睡眠のために就床する時刻と、ユーザが他の理由で(例えば、TVを見る)就床する時刻との間で区別するために、ベッド閾値持続時間に基づいて識別することができる。例えば、床閾値持続時間は、少なくとも約10分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間等であり得る。本明細書では、ベッドを参照して就床時刻tベッドを説明するが、より一般的には、就床時刻tベッドは、ユーザが最初に任意の位置(例えば、寝椅子、椅子、寝袋等)に入って寝る時間を指すことができる。
【0073】
入眠時刻(GTS)は、ユーザが就床(tベッド)してから最初に就眠試行の時刻に関連付けられる。例えば、就床した後、ユーザは、就眠試行前にリラックスするために1つ以上の活動をすることができる(例えば、本を読む、テレビを見る、音楽を聴く、ユーザ装置170を使う等)。初期睡眠時刻(t睡眠)は、ユーザが初期入眠時間である。例えば、初期睡眠時刻(t睡眠)は、ユーザが最初に第1のノンレム睡眠段階に入る時刻であり得る。
【0074】
覚醒時刻t覚醒は、ユーザが睡眠に戻らずに覚醒する(例えば、ユーザが夜中に覚醒し、睡眠に戻るのとは逆)時刻に関連付けられる時刻である。ユーザは、初期入眠後に、短い持続時間(例えば、5秒、10秒、30秒、1分等)を有する複数の無意識微小覚醒(例えば、微小覚醒MA及びMA)のうちの1つを経験することができる。覚醒時刻t覚醒とは反対に、ユーザは、微小覚醒MA及びMAのうちのそれぞれ後に睡眠に戻る。同様に、ユーザは、最初入眠後に1つ以上の意識的覚醒(例えば、覚醒A)(例えば、起きて浴室に行く、子供やペットの世話をする、夢中遊行等)を有することができる。しかしながら、ユーザは、覚醒A後に睡眠に戻る。したがって、覚醒時刻t覚醒は、例えば、覚醒閾値持続時間(例えば、ユーザが少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも1時間等覚醒した)に基づいて定義することができる。
【0075】
同様に、離床時刻t離床は、ユーザがベッドから離床して、睡眠セッションを終了する(例えば、ユーザが夜間に起きて浴室に行く、子供やペットの世話をする、夢中遊行等とは逆)時刻に関連付けられる。換言すれば、離床時刻t離床は、ユーザが次の睡眠期間(例えば、次の夜)まで、ベッドに戻らずに最後にベッドから離床する時刻である。したがって、離床時刻t離床は、例えば、離床閾値持続時間(例えば、ユーザがすでに少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも1時間等をベッドから離床した)に基づいて定義されることができる。第2の後続睡眠セッションの就床時刻tベッド時間は、離床閾値持続時間(例えば、ユーザがすでに少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間等をベッドから離床した)に基づいて定義されることもできる。
【0076】
上述したように、初期tベッドと最終t離床との間の夜間では、ユーザが覚醒して、ベッドから1回以上離床することができる。いくつかの実施形態では、最終覚醒時刻t覚醒及び/又は最終離床時刻t離床は、イベント(例えば、入眠又は離床)後の所定の閾値持続時間に基づいて識別又は決定される。このような閾値持続時間は、ユーザカスタマイズのものであってもよい。夜に就床し、その後朝覚醒及び離床する標準ユーザの場合、約12~約18時間の任意の期間(ユーザ覚醒(t覚醒)又は離床(t離床)とユーザ就床(tベッド)、入眠(tGTS)又は睡眠(t睡眠)との間)を使用することができる。ベッドでより長い期間をかかるユーザの場合、より短い閾値期間(例えば、約8時間~約14時間)を使用することができる。閾値期間は、ユーザの睡眠動きを監視するシステムに基づいて初期的に選択及び/又は後で調整されてもよい。
【0077】
総就床時間(TIB)は、就床時刻tベッドと離床時刻t離床との間の持続時間である。総睡眠時間(TST)は、初期睡眠時刻と覚醒時刻との間の持続時間に関連付けられ、それらの間の任意の意識的又は無意識的な覚醒及び/又は微小覚醒を含まない。一般的に、総睡眠時間(TST)は、総就床時間(TIB)よりも短い(例えば、1分短い、10分短い、1時間短い等)。例えば、図3のタイムライン300を参照すると、総睡眠時間(TST)は、初期睡眠時刻t睡眠と覚醒時刻t覚醒との間を跨いでいるが、第1の微小覚醒MA、第2の微小覚醒MA及び覚醒Aの持続時間を含まない。図に示すように、この例では、総睡眠時間(TST)は、総就床時間(TIB)よりも短い。
【0078】
いくつかの実施形態では、総睡眠時間(TST)は、持続総睡眠時間(PTST)として定義されることができる。このような実装形態では、持続総睡眠時間は、所定の初期部分又は第1のノンレム段階(例えば、浅い睡眠段階)の期間を含まない。例えば、所定の初期部分は、約30秒~約20分、約1分~約10分、約3分~約5分等であり得る。持続総睡眠時間は、持続睡眠の尺度であり、睡眠-覚醒睡眠図を滑らかにする。例えば、ユーザが最初に入眠したとき、ユーザは、第1のノンレム段階に非常に短い時間(例えば、約30秒)にあり、次に、覚醒段階の短い期間(例えば、1分)に戻り、その後、第1のノンレム段階に戻ることができる。この例では、持続総睡眠時間は、第1のノンレム段階の第1の例(例えば、約30秒)を含まない。
【0079】
いくつかの実施形態では、睡眠セッションは、就床時刻(tベッド)から始まり、離床時刻(t離床)で終了するもの、即ち、総就床時間(TIB)として定義される。いくつかの実施形態では、睡眠セッションは、初期睡眠時刻(t睡眠)から始まり、覚醒時刻(t覚醒)で終了するものとして定義される。いくつかの実施形態では、睡眠セッションは、総睡眠時間(TST)として定義される。いくつかの実施形態では、睡眠セッションは、入眠時刻(tGTS)から始まり、覚醒時刻(t覚醒)で終了するものとして定義される。いくつかの実施形態では、睡眠セッションは、入眠時刻(tGTS)から始まり、離床時刻(t離床)で終了するものとして定義される。いくつかの実施形態では、睡眠セッションは、就床時刻(tベッド)から始まり、覚醒時刻(t覚醒)で終了するものとして定義される。いくつかの実施形態では、睡眠セッションは、初期睡眠時刻(t睡眠)から始まり、離床時刻(t離床)で終了するものとして定義される。
【0080】
図4を参照すると、いくつかの実施形態に係る、タイムライン300(図3)に対応する例示的な睡眠図400が示されている。図に示すように、睡眠図400は、睡眠-覚醒信号401と、覚醒段階軸410と、REM段階軸420と、浅い睡眠段階軸430と、深い睡眠段階軸440と、を含む。睡眠-覚醒信号401と軸410~440のうちの1つとの間の交差は、睡眠セッション中に任意の所与の時間の睡眠段階を示す。
【0081】
睡眠-覚醒信号401は、ユーザに関連する生理学的データ(例えば、本明細書に記載のセンサ130のうちの1つ以上によって生成されたもの)に基づいて生成することができる。睡眠-覚醒信号は、覚醒、リラックスした覚醒、微小覚醒、REM段階、第1のノンレム段階、第2のノンレム段階、第3のノンレム段階、又はそれらの任意の組み合わせを含む、1つ以上の睡眠状態を示すことができる。いくつかの実施形態では、第1のノンレム段階、第2のノンレム段階及び第3のノンレム段階のうちの1つ以上は、グループ化され、浅い睡眠段階又は深い睡眠段階に分類されることができる。例えば、浅い睡眠段階は、第1のノンレム段階を含み得るが、深い睡眠段階は、第2のノンレム段階及び第3のノンレム段階を含み得る。図4に示される睡眠図400は、浅い睡眠段階軸430と深い睡眠段階軸440とを含むが、いくつかの実施形態では、睡眠図400は、第1のノンレム段階、第2のノンレム段階及び第3のノンレム段階のうちのそれぞれに対する軸を含み得る。他の実施形態では、睡眠-覚醒信号は、呼吸信号、呼吸速度、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、1時間当たりのイベントの数、イベントのパターン、又はそれらの任意の組み合わせを示すことができる。睡眠-覚醒信号を記述する情報は、記憶装置114に記憶されることができる。
【0082】
睡眠図400は、入眠潜時(SOL)、睡眠後覚醒開始(WASO)、睡眠効率(SE)、睡眠断片化指数、睡眠ブロック、又はそれらの任意の組み合わせ等の1つ以上の睡眠関連パラメータを決定するために用いることができる。
【0083】
入眠潜時(SOL)は、入眠時刻(tGTS)と初期睡眠時刻(t睡眠)との間の時間として定義される。換言すれば、入眠潜時は、ユーザが初期就眠試行後、実際の入眠にかかる時間を示す。いくつかの実施形態では、入眠潜時は、持続入眠潜時(PSOL)として定義される。持続入眠潜時と入眠潜時の異なる点は、持続入眠潜時が入眠時刻と所定量の持続睡眠との間の持続時間として定義されていることである。いくつかの実施形態では、所定量の持続睡眠は、例えば、第2のノンレム段階、第3のノンレム段階及び/又はREM段階内に少なくとも10分寝て、及び2分以下の覚醒したREM段階、第1のノンレム段階及び/又はその間の動きを含み得る。換言すれば、持続入眠潜時は、例えば、8分まで、第2のノンレム段階、第3のノンレム段階及び/又はREM段階内で持続睡眠することが必要である。他の実施形態では、所定量の持続睡眠は、初期睡眠時間後の第1のノンレム段階、第2のノンレム段階、第3のノンレム段階及び/又はREM段階内の少なくとも10分の睡眠を含み得る。このような実施形態では、所定量の持続睡眠は、任意の微小覚醒(例えば、10秒の微小覚醒の場合、10分の期間を再開しない)を含まなくてもよい。
【0084】
睡眠後覚醒開始(WASO)は、初期睡眠時間と覚醒時刻との間のユーザの覚醒の総持続時間に関連付けられる。したがって、睡眠後覚醒開始は、意識的であっても無意識であっても、睡眠セッション中の一時的及び微小覚醒(例えば、図4に示される微小覚醒MAとMA)を含む。いくつかの実施形態では、睡眠後覚醒開始(WASO)は、所定の長さ(例えば、10秒より大きい、30秒より大きい、60秒より大きい、約5分より大きい、約10分より大きい等)の覚醒を有する総持続時間のみを含む持続睡眠後覚醒開始(PWASO)として定義される。
【0085】
睡眠効率(SE)は、総就床時間(TIB)と総睡眠時間(TST)との比率として決定される。例えば、総就床時間が8時間であるとともに、総睡眠時間が7.5時間である場合、この睡眠セッションの睡眠効率は93.75%である。睡眠効率は、ユーザの睡眠衛生を示す。例えば、ユーザが睡眠前に就床し、他の活動(例えば、テレビを見る)に時間をかけた場合、睡眠効率は低下する(例えば、ユーザはペナルティが科される)。いくつかの実施形態では、睡眠効率(SE)は、総就床時間(TIB)及びユーザ就眠試行総時間に基づいて算出することができる。このような実施形態では、ユーザ就眠試行の総時間は、入眠(GTS)時刻と本明細書に記載の離床時刻との間の持続時間として定義される。例えば、総睡眠時間が8時間(例えば、午後11時~午前7時)で、入眠時刻が午後10:45で、離床時刻が午前7:15である場合、このような実施形態では、睡眠効率パラメータは約94%と計算される。
【0086】
断片化指数は、睡眠セッション中の覚醒の数に少なくとも部分的に基づいて決定される。例えば、ユーザが2つの微小覚醒(例えば、図4に示される微小覚醒MAと微小覚醒MA)を有する場合、断片化指数を2と表すことができる。いくつかの実施形態では、断片化指数は、整数の所定範囲(例えば、0~10)の間で変倍する。
【0087】
睡眠ブロックは、任意の睡眠段階(例えば、第1のノンレム段階、第2のノンレム段階、第3のノンレム段階及び/又はREM)と覚醒段階との間の過渡に関連付けられる。睡眠ブロックは、例えば30秒の解像度で計算することができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細に記載のシステム及び方法は、睡眠-覚醒信号を含む睡眠図を生成又は分析して、就床時刻(tベッド)、入眠時刻(tGTS)、初期睡眠時間(t睡眠)、1つ以上の第1の微小覚醒(例えば、MAとMA)、覚醒時刻(t覚醒)、離床時刻(t離床)、又はそれらの任意の組み合わせを、睡眠図の睡眠-覚醒信号に少なくとも部分的に基づいて決定又は認識することを含むことができる。
【0089】
他の実施形態では、1つ以上のセンサ130は、就床時刻(tベッド)、入眠時刻(tGTS)、初期睡眠時間(t睡眠)、1つ以上の第1の微小覚醒(例えば、MAとMA)、覚醒時刻(t覚醒)、離床時刻(t離床)、又はそれらの組み合わせを決定又は認識することに使用され、さらに睡眠セッションを定義することができる。例えば、運動センサ138、マイクロフォン140、カメラ150又はそれらの組み合わせ等によって生成されたデータに基づいて就床時刻tベッドを決定することができる。例えば、運動センサ138からのデータ(例えば、ユーザが移動していないことを示すデータ)、カメラ150からのデータ(例えば、ユーザが移動していないことを示すデータ、及び/又はユーザがランプをオフにしたことを示すデータ)、マイクロフォン140からのデータ(例えば、TVオフを示すデータ)、ユーザ装置170からのデータ(例えば、ユーザがユーザ装置170を使用しないことを示すデータ)、口腔矯正治療器122内のセンサからのデータ(例えば、口腔矯正治療器122が挿入されたことを示すデータ)、口腔矯正治療器リザーバ126内のセンサからのデータ(例えば、口腔矯正治療器122を口腔矯正治療器リザーバ126から除去されたことを示すデータ)、外部装置171内のセンサからのデータ、又はそれらの任意の組み合わせに基づいて入眠時刻を決定することができる。
【0090】
図5は、本開示のいくつかの実装形態に係る、口腔矯正治療器を自動的に調整するためのプロセス500を示すフローチャートである。プロセス500は、制御システム100及びシステム100の他の構成要素によって実行されるように、図1のシステム100によって実行されることができる。プロセス500は、口腔矯正治療器、口腔矯正治療器リザーバ及び選択的に外部装置(図1の口腔矯正治療器122、口腔矯正治療器リザーバ126及び外部装置171等)に対する調整をそれぞれ提供するために用いることができる。プロセス500は、下顎再配置装置等の任意の口腔矯正治療器を自動的に調整するために用いることができる。
【0091】
ブロック502において、センサデータを受信することができる。センサデータは、1つ以上のセンサ(例えば、図1の1つ以上のセンサ130)から受信されることができる。センサデータは、必ずしもこのような場合であるとは限らないが、ユーザの外部の1つ以上のセンサから受信されることができる。センサデータは、生理学的データ、音声データ、動画データ、モバイルデータ、環境データ、又は口腔矯正治療器のユーザ(例えば、寝る前、間、又は後に口腔矯正治療器を彼らの口に着用するユーザ、及び/又はこれらの時間中に口腔矯正治療器を彼らの口に着用しないユーザ)に関連する他のデータを含み得る。
【0092】
ブロック502において、センサデータを受信することは、時間とともに連続的に発生するか(例えば、センサデータが1つ以上のセンサによって収集されるとき)、又は一括して発生することができる(例えば、睡眠セッション全体等の期間からのセンサデータを表すデータセットとして)。ブロック502において、センサデータを受信することは、リアルタイムで発生することができ(例えば、1つ以上のセンサが睡眠セッションに関連するデータを収集するとき、睡眠セッション中にセンサデータを受信する)、又は非同期的に発生することができる(例えば、前の夜の睡眠セッションに関連するデータ又は持続時間を遅延されたセンサデータ等の過去の期間に関連するセンサデータを受信する)。
【0093】
いくつかの実装形態では、任意のブロック518は、履歴センサデータを受信することを含み得る。履歴センサデータは、ブロック502からセンサデータを収集する前に収集された任意のセンサデータを含み得る。いくつかの実装形態では、ブロック518における履歴センサデータは、睡眠セッションの早い時期からのセンサデータ又は以前の睡眠セッションからのセンサデータ等のブロック502の以前の発生において受信されたセンサデータを含み得る。いくつかの実装形態では、ブロック518において受信された履歴センサデータを、ブロック502において受信されたセンサデータと比較して、以前の口腔矯正治療器の効果(例えば、口腔矯正治療器に対する以前の調整の効果)を決定することができる。
【0094】
ブロック504において、口腔矯正治療器に関連する調整は、センサデータに基づいて決定されることができる。このシステムは、ブロック502において受信されたセンサデータを使用して、口腔矯正治療器に関連する1つ以上の調整(例えば、口腔矯正治療器の1つ以上の調整可能な態様の1つ以上の調整)を決定することができる。
【0095】
ブロック504において決定された調整は、ユーザの睡眠病症を治療すること、ユーザの睡眠の質を改善すること(例えば、TSTを増加させること、SOLを減少させること、覚醒の異なる段階にかかる時間を改善すること(例えば、疲労を低減すること、覚醒度を改善すること等)、口腔矯正治療器の快適さ及び/又は効果を改善すること、又は他の目的を達成することを目的とすることができる。いくつかの実装形態では、ブロック504において決定された調整の所望の目的は、センサデータ502、内部クロック、及び/又は他のデータで決定すればよい。例えば、いくつかの実装形態では、決定された調整の目的は、睡眠開始前の快適さを改善することであってもよく、その後に決定された調整は、口腔矯正治療器の効果を改善することであってもよい。このような例は,睡眠開始前に快適さを向上させることでSOLを減少させ、及び睡眠開始後に口腔矯正治療器の治療効果を向上させることでTSTを増加させることによって、ユーザの睡眠の質を改善することも考えられる。
【0096】
いくつかの実装形態では、ブロック504において調整を決定することは、ブロック506において睡眠状態及び/又は睡眠段階を決定することを含み得る。睡眠状態及び/又は睡眠段階は、ブロック502から受信されたセンサデータに基づいて決定されることができる。睡眠状態及び/又は睡眠段階に応じて、システムは異なる調整を行うことができる。一例として、このプロセスは、ユーザが覚醒しているか、又は浅い睡眠(例えば、N1睡眠)にあると判断した場合、口腔矯正治療器を快適優先状態に置くことができ、このプロセスは、ユーザが深い睡眠にあると判断し、選択的に具体的にREM睡眠にあると判断した場合、口腔矯正治療器を治療優先状態に置くことができる。いくつかの実装形態では、口腔矯正治療器を所望の状態に置く調整は、REM可能性に対する、ユーザの非REMの事前知識又は検出に調整されることができる。いくつかの実装形態では、ユーザが徐波睡眠(SWS)又はREMから睡眠の浅い段階に移動するときにリラックスすると予測される場合、睡眠期間全体にわたって口腔矯正治療器に対して調整を行うことができる。
【0097】
一例では、ユーザが睡眠前状態(例えば、t睡眠前の時間)にあると判断された場合、システムは、予め設定された睡眠前調整を使用することができる。予め設定された睡眠前調整は、調整を決定するための予め設定された調整又は予め設定されたアルゴリズムであり得る。睡眠前調整は、ユーザが入眠したいとしたときにユーザの快適さを向上させるように設計することができる。好ましくは、睡眠前調整は、SOLを減らすことができる。睡眠前調整は、口腔矯正治療器を快適優先状態に置くことができる。
【0098】
別の例として、ユーザが睡眠開始後状態(例えば、t睡眠後の時間)にあると判断された場合、システムは、予め設定された睡眠開始後調整を使用することができる。予め設定された睡眠開始後調整は、調整を決定するための予め設定された調整又は予め設定されたアルゴリズムであり得る。睡眠開始後調整は、ユーザが睡眠している時に口腔矯正治療器の治療効果を向上させるように設計することができる。好ましくは、睡眠開始後調整は、無呼吸イベント等のイベントの発生を回避、減少、又は最小化することができる。睡眠開始後調整は、口腔矯正治療器を治療優先状態に置くことができる。
【0099】
いくつかの実装形態では、システムは、決定された睡眠状態及び/又は睡眠段階を使用して、実現が望ましい調整を拒否、許可、一時停止、又は回復することができる。例えば、システムがある期間(例えば、数十又は数百秒)以内に口腔矯正治療器を調整しようと試みる場合、ユーザが微覚醒状態にあると判断された場合、システムは、口腔矯正治療器に対する任意の調整を一時停止し、微覚醒状態の終了後に調整を再開することができる。このような調整の制御は、意外にユーザを覚醒させるか、又は他の方式でユーザの睡眠セッションに悪い影響を与えるリスクを低減することができる。
【0100】
いくつかの実装形態では、ブロック504において調整を決定することは、ブロック508において主観的フィードバックを応用することを含み得る。主観的フィードバックは、ユーザ又は別の個体(例えば、医療専門家又は介護者)によって受信された任意の主観的フィードバックを含み得る。主観的フィードバックは、自発的又は要求されるものであり得る。いくつかの実装形態では、口腔矯正治療器による治療を使用するか、又は使用しない場合では、主観的フィードバックは、履歴睡眠セッションに関連する。一例では、ユーザは、睡眠セッションの後にユーザが休憩を十分に感じているかどうかに関する質問に対する正の応答等のプロンプトに対する応答としてフィードバックを提供することができる。この例では、システムは、この正の応答に基づいて調整を決定することができる。
【0101】
いくつかの実装形態では、主観的フィードバックは、口腔矯正治療器に関連し、睡眠セッションに関連するか、又は関連しない。一例では、ユーザは、ユーザの口において口腔矯正治療器が快適であるかどうかに関する質問に対する負の応答等のプロンプトに対する応答としてフィードバックを提供することができる。この例では、システムは、この負の応答に基づいて調整を決定することができる。別の例では、ユーザは、ユーザ装置(例えば、スマートフォン)上又は口腔矯正治療器リザーバ上のコントロールと対話することによって、自発的にフィードバックすることができる。システムは、選択されたコントロールに基づいて調整を決定することができる。例えば、ユーザが「締めすぎる」又は「緩すぎる」に関連するコントロールを選択した場合、システムは、それぞれ口腔矯正治療器をより緩め又はより締め感じるように調整を決定することができる。
【0102】
いくつかの実装形態では、ブロック504において、一般的に、同様のコントロールを使用して、口腔矯正治療器の調整を直接制御することができる。例えば、「長くした支柱」に関連するコントロールは、システムが、ブロック504において口腔矯正治療器内の関連付けられた支柱を長くするように調整を決定するために用いることができる。
【0103】
いくつかの実装形態では、ブロック504において調整を決定することは、ブロック510においてイベントを識別及び/又は予測することを含み得る。ブロック510においてイベントを識別することは、ブロック502から受信されたセンサデータを使用してイベントが発生したことを識別することと、選択的にこのイベントを分類すること、又はこのイベントに関連する他の情報を決定することとを含み得る。イベントの発生が識別されると、システムは、イベント又はイベントの影響を停止、低減、又は最小化するように設計された調整等の所望の調整を行うことができる。一例では、無呼吸イベントが発生したと判断された場合、システムは、予め設定された無呼吸後調整を使用することができる。この予め設定された無呼吸後調整は、調整を決定するための予め設定された調整又は予め設定されたアルゴリズムであり得る。無呼吸後調整は、無呼吸イベント後に特に効果的又は所望の方式で口腔矯正治療器の治療効果を向上させるように設計することができる。例えば、無呼吸後調整は、口腔矯正治療器をイベント後状態(例えば、無呼吸イベント後状態)に置くことができる。イベント後の状態では、口腔矯正治療器は、イベントの停止、減少又は最小化又は後続イベントの発生の方面で特に効果的である。しかしながら、口腔矯正治療器がイベント後の状態においてそれほど快適ではない可能性があるので、システムは、イベントが経過した後(例えば、イベントが検出されなくなった後、又はイベントが検出されなくなった予め設定された期間の後)に、口腔矯正治療器をより快適な状態(例えば、睡眠開始後状態等のこの前の状態)に戻すようにさらに調整することができる。
【0104】
ブロック510においてイベントを予測することは、ブロック502から受信されたセンサデータを使用して、将来のイベントが発生する可能性があることを決定することと、選択的に将来のイベントを分類すること、又は将来のイベントに関連する他の情報を決定することとを含み得る。将来のイベントを予測することは、将来のイベントの発生可能性が閾値量よりも高いことを決定することを含み得る。将来のイベントを予測することは、履歴生理学的データ、歴史的睡眠状態又は睡眠段階データ、口腔矯正治療器の履歴調整又は設定、又はそれらの任意の組み合わせに基づくことができ、それを現在の生理学的データ、現在の睡眠状態又は睡眠段階データ、口腔矯正治療器の調整又は設定、又はそれらの任意の組み合わせと比較して、将来のイベントを予測することができる。将来のイベントを予測する際に、システムは、将来のイベント又は未来のイベントの影響を回避、停止、低減、又は最小化するように設計された調整等の所望の調整を行うことができる。一例では、将来の無呼吸イベントが発生する可能性があると判断された場合、システムは、予め設定された無呼吸前調整を使用することができる。予め設定された無呼吸前調整は、調整を決定するための予め設定された調整又は予め設定されたアルゴリズムであり得る。無呼吸前調整は、特に効果的又は所望の方式で口腔矯正治療器の治療効果を向上させて、将来の無呼吸イベントを回避、減少、又は最小化するように設計することができる。例えば、無呼吸前調整は、口腔矯正治療器をイベント前状態(例えば、無呼吸イベント前状態)に置くことができる。イベント前状態では、口腔矯正治療器は、将来のイベントを回避、減少又は最小化する方面で特に効果的である。しかしながら、口腔矯正治療器がイベント前の状態においてそれほど快適ではない可能性があるので、システムは、将来のイベントが経過した後(例えば、将来のイベントが検出されなくなった後、又は将来のイベントが検出されなくなった予め設定された期間の後)に、又は特定の持続時間が経過し、イベントが発生しなかった後(例えば、将来のイベントを予測した後の継続時間、又は将来のイベントの発生を予測したときの時間又はその時間の後に終了した継続時間)、口腔矯正治療器をこの前の状態(例えば、睡眠開始後状態)に戻すようにさらに調整することができる。
【0105】
いくつかの実装形態では、ブロック504において調整を決定することは、ブロック512において1つ以上の履歴調整(例えば、履歴調整データ)にアクセスすることを含み得る。1つ以上の履歴調整は、調整を要するタイプ及び/又は程度等の、現在の調整を要する決定を容易にするために用いることができる。一例では、履歴調整データをセンサデータ(例えば、ブロック502において受信されたセンサデータ及び/又はブロック518において受信された履歴センサデータ)と比較して、以前の調整(例えば、直前の調整又は他の履歴調整)の影響を決定することができる。以前の調整が所望のように効果的でない場合、又は不快すぎる場合、システムは、所望の結果に適した調整を変更して決定することができる。例えば、以前の調整が無呼吸イベントの頻度を低下又は増加させることができなかった場合、現在の調整は、以前の調整の一部又は全部を回復することを含み得る。
【0106】
いくつかの実装形態では、ブロック504において調整を決定することは、ブロック514においてブロック502からのセンサデータに基づいて生理学的データを決定することを含み得る。生理学的データは、所望の調整を決定するために用いることができる。生理学的データを決定することは、呼吸速度、心拍数、血中酸素レベル、無呼吸イベントの数、無呼吸イベントの頻度、又はユーザに関連する他の生理学的データを決定することを含み得る。生理学的データは、睡眠セッション中又は睡眠セッション以外のユーザに関連付けられることができる。例えば、ユーザが入眠する時にユーザの血中酸素レベルが閾値以下に低下したと判断された場合、特定の調整は特に有用であるかもしれない。別の例として、睡眠セッションの前の期間内にユーザの平均呼吸速度又は心拍数が定義された閾値を超えると判断された場合、特定の調整は、ユーザの睡眠セッションを改善するために特に有用であるかもしれない。いくつかの実装形態では、ブロック514において生理学的データを決定することは、発生した無呼吸イベントが閉塞性無呼吸イベントであるか、中枢性無呼吸イベントであるかを決定することを含み得る。中枢性無呼吸イベントが発生したと判断された場合、中枢性無呼吸イベントが検出されたことを示すことをユーザ又は別のユーザ(例えば、医療専門家又は介護者)に呈示することができ、選択的に、口腔矯正治療器が中枢性無呼吸の治療に適していない可能性がある指示を示すことができる。
【0107】
いくつかの実装形態では、ブロック514において、決定された生理学的データを使用して調整を決定することは、生理学的データの所望の変化(例えば、血中酸素レベルを向上させる所望)を識別し、そして生理学的データの所望の変化を達成することが予期される調整を決定することを含み得る。プロセス500は、本明細書でさらに詳述されるように、フィードバックループとして動作することができるので、システムは、生理学的データを時間とともに監視して、決定された調整が生理学的データの所望の変化を達成することに成功したか否かを決定することができる。行われた調整及びこれで生じる生理学的データの変化は、個体睡眠セッション、個体ユーザ、個体口腔矯正治療器及び/又は個体の口腔矯正治療器のパターンに関連するモデル(例えば、機械学習モデル)をトレーニングするために用いることができる。したがって、システムが時間とともに使用される場合、システムは、行うべき調整をより正確且つ効果的に決定することができる。
【0108】
いくつかの実装形態では、ブロック504において調整を決定することは、ブロック516においてブロック502からのセンサデータに基づいて自主音調を決定することを含み得る。自主音調は、所望の調整を決定するために用いることができる。例えば、増加した交感神経活動を示す自主音調の変化(例えば、戦い又は脱出応答に関連する自主音調の変化)が検出された場合、システムは、以前の調整を回復するか、現在の調整の速度を遅くするか、又は他の方式で口腔矯正治療器をより快適な状態に移動させる調整を使用することができる。したがって、ブロック516において自主音調を決定することは、ユーザを意図せずに覚醒させることを回避するのを助けることができる。
【0109】
いくつかの実装形態では、ブロック504において調整を決定することは、ブロック506、ブロック508、ブロック510、ブロック512、ブロック514、及びブロック516のうちの1つ以上の任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実装形態では、ブロック504において調整を決定することは、ブロック506、ブロック508、ブロック510、ブロック512、ブロック514、及びブロック516のいずれかに加えて、又はその代替として他のブロックを含み得る。
【0110】
ブロック520において、システムは、決定された調整を口腔矯正治療器に応用することを促進することができる。いくつかの実装形態では、決定された調整の応用を促進することは、直接動作をとって、決定された調整を口腔矯正治療器に応用することを含む。例えば、このような直接動作は、口腔矯正治療器の調整を引き起こすために口腔矯正治療器に信号を送信すること、又は口腔矯正治療器リザーバが口腔矯正治療器を調整するために口腔矯正治療器リザーバに信号を送信することを含み得る。しかしながら、いくつかの実装形態では、決定された調整の応用を促進することは、決定された調整を口腔矯正治療器に間接的に応用する動作をとることを含み得る。例えば、このような間接動作は、ユーザ、別の個体(例えば、医療専門家又は介護者)、又は別のシステムアプリケーションによって決定された調整を容易にすることができる動作をとることを含み得る。
【0111】
いくつかの実装形態では、ブロック520において決定された調整の応用を促進することは、信号(例えば、調整信号)を口腔矯正治療器に送信することを含み得る。この信号は、任意の適切な技術(例えば、有線又は無線伝送)を介して口腔矯正治療器に送信することができる一般的には、無線伝送が好適である。口腔矯正治療器がユーザによって使用されている(例えば、ユーザの口に着用されている)とき、この信号は、必ずしもこのような場合であるとは限らないが、口腔矯正治療器に送信されることができる。いくつかの実装形態では、口腔矯正治療器が口腔矯正治療器収容リザーバに収容されているとき、信号は、口腔矯正治療器に送信されることができる。
【0112】
いくつかの実装形態では、ブロック520において決定された調整の応用を促進することは、1つ以上の調整パラメータを呈示して、ブロック522において手動調整を促進することを含み得る。調整パラメータは、どのような調整(例えば、「連結支柱を1mm短縮させる」)が必要であるかの指示、及び/又は所望の調整(例えば、「スリットAから部品Aを外した後、部品AをスリットBに挿入する」)をどのように達成するかのガイド(例えば、ステップガイド)を含み得る。調整パラメータを呈示することは、例えば、ユーザ装置(例えば、スマートフォン又はコンピュータ)上で、口腔矯正治療器リザーバのディスプレイ上で、及び/又は口腔矯正治療器上で、調整パラメータ(例えば、口腔矯正治療器の調整されるべき領域を照明する)を装置上に表示することを含み得る。いくつかの実装形態では、調整パラメータを呈示することは、調整パラメータを口腔矯正治療器の図形上のオーバーレイとして表示すること、及び/又は口腔矯正治療器の画像(例えば、口腔矯正治療器のライブ画像又は口腔矯正治療器の非ライブ画像)上の拡張現実オーバーレイとして表示することを含み得る。いくつかの実装形態では、調整パラメータを呈示することは、調整パラメータの印刷出力を生成することを含み得る。ブロック522において調整パラメータを呈示する結果として、ユーザ又は別の個体に口腔矯正治療器を手動で調整するように提示して指導することができ、口腔矯正治療器は、手動で調整することができる。本明細書で使用されるように、口腔矯正治療器に関する用語「自動調整」は、調整パラメータを自動的に呈示して、口腔矯正治療器の手動調整を促進することを含み得る。
【0113】
いくつかの実装形態では、ブロック520において決定された調整の応用を促進することは、口腔矯正治療器内のアクチュエータを作動させて、ブロック524において調整を応用することを含み得る。ブロック524において、システムは、口腔矯正治療器の1つ以上のアクチュエータ作動を引き起こすために、口腔矯正治療器に信号を送信することを引き起こすことができる。現在、ユーザが口腔矯正治療器を使用しているときにブロック524が発生する場合、信号を送信するための技術は、一般的に無線送信である。しかしながら、いくつかの実装形態では、ブロック524は、口腔矯正治療器が口腔矯正治療器リザーバ内に収容されたとき等の、ユーザの口腔からの口腔矯正治療器を除去した後に発生することができる。このような実装形態では、口腔矯正治療器内のアクチュエータを作動させて、口腔矯正治療器上の1組みの露出接点の有線接続を使用することによって調整を達成することができる。しかしながら、一般的に、無線伝送が好適である。送信された信号に応答して、口腔矯正治療器の1つ以上のアクチュエータを作動させることができ、このアクチュエータは、口腔矯正治療器の1つ以上の調整可能な態様を操作することによって、決定された調整を達成することができる。
【0114】
いくつかの実装形態では、ブロック520において決定された調整の応用を促進することは、ブロック526において口腔矯正治療器リザーバ内のアクチュエータを作動させて、調整を応用することを含み得る。ブロック526において、システムは、口腔矯正治療器リザーバが口腔矯正治療器リザーバ内の1つ以上のアクチュエータを作動させて、決定された調整を口腔矯正治療器上で実施することができる。いくつかの実装形態では、ブロック526は、ユーザからの開始命令を待つこと、及び/又は口腔矯正治療器が口腔矯正治療器リザーバによって受容される指示(例えば、口腔矯正治療器が口腔矯正治療器リザーバによって受容されることを指示するセンサデータを受信すること)を待つことを含む。いくつかの実装形態では、ブロック526は、センサデータを使用して、口腔矯正治療器リザーバの受容空間内で口腔矯正治療器を自動的に合わせることを含む。いくつかの実装形態では、ブロック526は、センサデータを使用して、口腔矯正治療器が口腔矯正治療器リザーバの受容空間内に正しく位置しているか否かを決定することを含むことができ、口腔矯正治療器が正しく位置している場合には、調整のみを続け、選択的に、口腔矯正治療器が正しく位置していない場合には、ユーザに注意喚起することを含み得る。いくつかの実装形態では、ブロック526は、センサデータを使用して、調整が成功したか否かを決定することを含み得る。
【0115】
いくつかの実装形態では、ブロック520において決定された調整の応用を促進することは、ブロック528において口腔矯正治療器内の電気刺激装置を活性化及び/又は調整することを含み得る。いくつかの実装形態では、口腔矯正治療器は、任意の電気刺激装置を含み得る。電気刺激装置は、電圧源と、ユーザ組織に電圧を供給するための電極とを含み得る。電気刺激装置は、舌(例えば、舌筋肉又は舌神経を介して)等のユーザの口腔内の筋肉及び/又は組織を刺激するように設計することができる。電気刺激装置は、無呼吸イベントの舌収縮を停止、回避、減少、又は最小化するような睡眠病症に追加の治療を応用するために用いることができる。ブロック528において電気刺激装置を活性化することは、口腔矯正治療器によって受信され、口腔矯正治療器に電気刺激を開始させる信号を送信することを含み得る。ブロック528において電気刺激装置を調整することは、電気刺激装置に関連する口腔矯正治療器の設定(例えば、ソフトウェア設定)を調整することを含み得る。電気刺激装置に関連する設定は、電気刺激がどのように及びいつ生成及び/又はユーザに送達されるかを含む、電気刺激装置の任意の適切な態様を制御することができる。
【0116】
いくつかの実装形態では、ブロック520において決定された調整の応用を促進することは、ブロック522、ブロック524、ブロック526、及びブロック528のうちの1つ以上の任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実装形態では、ブロック520において決定された調整の応用を促進することは、ブロック522、ブロック524、ブロック526、及びブロック528のいずれかに加えて、又はその代替として他の動作を含み得る。例えば、いくつかの実装形態では、ブロック520において決定された調整の応用を促進することは、口腔矯正治療器のソフトウェア設定を調整することを含み得る。ブロック528において電気刺激装置を調整することでこのようなソフトウェア設定を調整するのと同様であってもよいが、電気刺激装置の使用には関与しなくてもよい。
【0117】
いくつかの実装形態では、ブロック520において調整を促進した後に、例えば、調整を実現した後に、プロセス500は、ブロック502の新規例において続けて、追加のセンサデータを受信し、ブロック540の新規例において続けて、1つ以上の追加の調整を決定することができる。1つ以上の追加の調整に基づいて、ブロック520の新規例は、システムが、決定された追加の調整を口腔矯正治療器に応用することを促進することを可能にすることができる。このようにして、システムは、フィードバックループにおいて口腔矯正治療器を動的に調整することができる。したがって、システムは、1つ以上の以前の調整(例えば、直前の調整)からのフィードバックを連続的かつ繰り返し使用して、新しい調整を決定し、実施することができる。
【0118】
いくつかのオプションの実装形態では、プロセス500は、ブロック520において決定された調整を応用することに加えて、ブロック530において外部装置に信号を送信することを含み得る。ブロック530において送信される信号は、腔矯正治療器治療の効果に影響を与える動作等、外部装置にユーザの睡眠セッションに影響を与える動作をとるように、外部装置の設定を調整することができる。いくつかの実装形態では、ブロック530において送信される信号は、(例えば、ブロック502から受信されたセンサデータの分析に基づいて)ユーザが口腔矯正治療器を使用していると決定した後にのみ行われる。いくつかの実装形態では、外部装置に送信される信号は、外部装置にユーザが所望の寝姿勢に入らせることを引き起こす。いくつかの実装形態では、ブロック530において外部装置に信号を送信することは、ユーザが望ましくない寝姿勢で寝ている場合、又はユーザが特定の睡眠状態又は睡眠段階にあると決定された場合(例えば、センサデータに基づいて)等、他の条件が満たされている場合にのみ発生する。
【0119】
一例では、ブロック502において受信されたセンサデータが、ユーザが口腔矯正治療器を使用していることを示し、選択的にユーザが仰臥寝姿勢で寝ていることを示すとき、システムは、ブロック530において、膨張可能なエアバッグ(例えば、枕又はマットレスの膨張可能なエアバッグ)である外部装置に信号を送信することができ、この信号は、膨張可能なエアバッグを膨張させ、ユーザを側臥寝姿勢に入らせることができる。他の例として、ブロック530において外部装置に信号を送信することは、信号を送信して、マットレスの硬さを向上又は低下させる、周囲温度を上昇又は低下させる、周囲照明レベルを上昇又は低減させる、周囲音レベル(例えば、ホワイトノイズ又は他の音のレベル)を上昇又は低下させる、又は他の動作をとることを含み得る。
【0120】
本開示のいくつかの態様及び特徴は、下顎再配置装置等の口腔矯正治療器の使用のために開示されているが、このような態様及び特徴は、神経刺激装置のために使用することができる。このような神経刺激装置は、必ずしもこのような場合であるとは限らないが、口腔矯正治療器に組み込むことができる(例えば、ブロック528を参照して上述したように)。いくつかの実装形態では、神経刺激装置は、舌下神経と同様の神経又はその近傍に配置されるように、皮膚上又は皮膚下に配置されてもよい(例えば、神経刺激装置の電極が神経又はその近傍に位置するように配置される)。したがって、口腔矯正治療器を含むシステム及び方法の上述する説明及び後述する請求項は、神経刺激装置にも適用される。
【0121】
口腔矯正治療器の補充又は代替として神経刺激装置を使用する場合、プロセス500は、神経刺激装置に関連する調整を決定し、このような調整の応用を促進するために用いることができる。例えば、決定された調整は、出力刺激(例えば、供給されて、神経又は筋肉における応答を引き出す電気刺激)のタイプ、レベル、及び/又は位置であり得る。一例では、決定された調整は、皮膚下に埋め込まれた神経刺激装置の舌下神経刺激を含み、神経刺激装置は、患者の呼吸に同期した刺激パルスを放射するとともに、オトガイ舌筋刺激を引き起こして、ユーザの舌を前方に移動させ、それによって気道閉塞を防止又は逆転させる。調整を決定することは、ブロック504と同様で発生してもよいが、神経刺激装置に適用される。
【0122】
決定された調整の応用を促進することは、ブロック520と同様で発生してもよいが、神経刺激装置に適用される。例えば、調整は、手動(例えば、ユーザ、医師、又は技術者によって)又は遠隔で実施することができる。
【0123】
センサデータ(例えば、ブロック502において受信されたセンサデータ)が、能動音響センサ及び/又は受動音響センサ(本明細書に記載の音響センサ141等)を含む非接触型センサによって供給されるとき、神経刺激装置に対する調整を決定(及び促進)することは、特に有用であってもよい。このような実装形態では、ユーザの睡眠を干渉しないとともに神経刺激装置を干渉しない非接触型センサを使用することによって、神経刺激装置を正確かつに賢く制御及び/又は調整することができる。
【0124】
本明細書に記載の口腔矯正治療器ではなく、神経刺激装置を使用する例では、睡眠前状態における調整は、頸部筋を強化して、無呼吸又は他のイベントの可能性を低減する、感知されない刺激である場合がある。例えば、神経刺激装置は、刺激を生成して、オトガイ舌筋及び軟口蓋張筋等の上気道拡張筋を強化することができ、オトガイ舌筋は舌下神経によって支配される。神経刺激装置を使用するシステムは、口腔矯正治療器を使用するものと同様に、膨張可能なエアバッグ等の外部装置を使用して制御することもでき、生理学的データを決定すること、自主音調を推定することに基づいて、スマートフォン又はタブレットコンピュータに配置された1つ以上のセンサを使用して調整を決定することができ、必要に応じて、口腔矯正治療器に関して本明細書で説明されるように他の方法で機能することができる。
【0125】
以下の請求項1~56のいずれか1つ以上からの1つ以上の要素、態様、ステップ又はその任意の一部をその他の請求項1~56のいずれか1つ以上又はその組み合わせからの1つ以上の要素、態様、ステップ又はその任意の一部と組み合わせることにより、本開示の1つ以上のさらなる実装形態及び/又は請求項を形成することができる。
【0126】
本開示を1つ以上の特定の実施例又は実装形態を参照して説明したが、当業者であれば、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、多くの変更が可能であることを認識するであろう。これらの実装形態及びその明確な変更はそれぞれ、本開示の精神及び範囲内にあると考えられる。本開示の各態様による追加の実装形態は、本明細書に記載の実装形態のいずれかからの任意の数の特徴を組み合わせてもよいことも企図される。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】