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特表2023-545144自動車用照明デバイスのソリッドステート光源における不具合を検知するための方法及び車両用構成
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】自動車用照明デバイスのソリッドステート光源における不具合を検知するための方法及び車両用構成
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/28 20200101AFI20231019BHJP
   H05B 45/56 20200101ALI20231019BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20231019BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20231019BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20231019BHJP
   B60Q 11/00 20060101ALI20231019BHJP
   B60Q 1/14 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
H05B47/28
H05B45/56
H05B47/165
H05B47/105
B60Q1/04 E
B60Q11/00 610B
B60Q11/00 615C
B60Q1/14 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521956
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2021078707
(87)【国際公開番号】W WO2022079298
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】2010588
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ラビーフ、タレブ
(72)【発明者】
【氏名】マルエンヌ、カーレイ
(72)【発明者】
【氏名】ハフィド、エル-イドリッシ
【テーマコード(参考)】
3K273
3K339
【Fターム(参考)】
3K273PA07
3K273QA33
3K273QA34
3K273RA13
3K273SA22
3K273SA35
3K273SA46
3K273SA50
3K273TA15
3K273TA28
3K273UA22
3K339AA02
3K339AA31
3K339BA11
3K339BA21
3K339CA01
3K339CA21
3K339DA01
3K339GB01
3K339HA04
3K339JA11
3K339KA07
3K339KA18
3K339LA06
3K339LA33
3K339LA34
3K339MA06
3K339MC41
3K339MC48
3K339MC70
(57)【要約】
この発明は、自動車用照明デバイスのソリッドステート光源における不具合を検知するための方法を提供する。この方法は、照明デバイスの推定される温度プロファイルを提供するステップと、照明デバイスの実際の温度プロファイルを測定するステップと、推定される温度プロファイル及び実際の温度プロファイルを、それらの間の差を検知するために、比較するステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用照明デバイス(1)のソリッドステート光源(2)における不具合を検知するための方法であって、
- 前記照明デバイスに関する推定される温度プロファイル(11)を提供するステップと;
- 前記照明デバイスの実際の温度プロファイル(12)を測定するステップと;
- 前記推定される温度プロファル及び前記実際の温度プロファルを、それらの間の差を検知するために、比較するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記推定される温度プロファイルを提供するステップは、
- 少なくとも1つの温度センサのデータをチェックすること;及び/又は
- 1つの車速センサのデータをチェックすること;及び/又は
- 照明機能のアクティベーションをチェックすること;及び
- 前記照明デバイスの温度を推定するように、以前の値のうちの少なくとも1つを使用すること、
を少なくとも含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記値を使用して前記照明デバイスの温度を推定するステップは、機械学習アルゴリズムの使用を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
- 前記実際の温度プロファイルと前記推定される温度プロファイルとの間に差がある場合、前記照明デバイスのセクションにおいてのみ特定の照明機能をアクティベートするステップと、
- 前記照明デバイスにおける第2の実際の温度プロファイルを測定するステップと、
- 前記照明デバイスの前記セクションにおける第3の実際の温度プロファイルを測定するステップと、
- 前記推定される温度プロファイルを、前記第2の実際の温度プロファイルと、前記第3の実際の温度プロファイルと比較するステップと、
を更に含む請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
- 前記実際の温度プロファイルと前記推定される温度プロファイルとの間に差がある場合、前記照明デバイスの同じセクションで第2の照明機能を実行するステップと、
- 前記照明デバイスにおける第4の実際の温度プロファイルを測定するステップと、
- 前記照明デバイスの前記セクションにおける第5の実際の温度プロファイルを測定するステップと、
- 前記推定される温度プロファイルを、前記第4の実際の温度プロファイルと、前記第5の実際の温度プロファイルと比較するステップと、
を更に含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の照明機能は、アダプティブドライビングビーム、危険警告又は動的曲げ光のうちの1つであり、前記第2の照明機能は、前記第1の照明機能とは異なり且つアダプティブドライビングビーム、危険警告又は動的曲げ光のうちの1つである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
特定の照明機能をアクティベートするステップは、前記照明デバイスの複数のセクションにおいて引き続いて実行される、請求項4~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記照明デバイスの前記セクションはAIアルゴリズムによって選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の方法のステップを実行するための手段を含むデータ処理要素。
【請求項10】
コンピュータプログラムであって、前記プログラムが制御ユニットによって実行される場合に、請求項1~8のいずれかに記載の方法のステップを前記制御ユニットに実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項11】
- ソリッドステート光源(2)のマトリックス構成と、いくつかのデバイスデータを提供するように構成される複数の補助センサ(4)と、請求項1~8のいずれかに記載の方法のステップを実行するための制御ユニット(3)と、を順に含む自動車用照明デバイス(1)と、
- 複数の温度センサ(5)と、
を備える自動車用照明構成。
【請求項12】
前記マトリックス構成は、少なくとも2000個のソリッドステート光源(2)を含む、請求項11に記載の自動車用構成(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車用照明デバイスの分野に関し、より詳細には、これらの装置の温度管理に関する。
【発明の概要】
【0002】
デジタル照明デバイスは、自動車メーカーによって中級及び高級市場製品に関して採用されることが多くなっている。
【0003】
これらのデジタル照明デバイスは、通常、ソリッドステート光源を含み、当該ソリッドステート光源の動作は温度に大きく依存する。
【0004】
これらの照明デバイスは、発光ダイオード(LED)などのソリッドステート光源を含む。これらのLEDの各々は、他のLEDに対して独立した方法で不具合が生じうる個別の素子である。
【0005】
照明モジュール内の特定のLEDの性能低下又は不具合を検出することは、主に、このモジュールが何千ものLEDを含み且つ測定されるパラメータがグローバル電圧及び電流だけである場合、必ずしも容易ではない。したがって、特定のLEDの不具合を事前に検知することが可能ではない。
【0006】
この問題は、これまで想定されていたものであるが、それに関するソリューションが求められている。
【0007】
発明は、発明による自動車用照明デバイスのソリッドステート光源における不具合を検知するための方法によって、自動車用照明デバイスの光源における不具合を検知及び分離するための代替的なソリューションを提供する。発明の好ましい実施形態は、従属請求項に定められる。
【0008】
特に定められない限り、ここで使用されるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、当該技術分野において慣用的に解釈されるものとする。一般的な使用における用語も、ここで明示的にそのように定められていない限り、関連技術において慣習的であるように解釈されるべきであり、理想化された又は過度に形式的な意味ではないことが、さらに理解されるであろう。
【0009】
このテキストにおいて、用語「備える」及びその派生語(「備えている」等など)は、排他的な意味で理解されるべきではなく、すなわち、これらの用語は、説明され及び定められるものが更なる要素、ステップなどを含み得るという可能性を排除するものとして解釈されるべきではない。
【0010】
第1の発明的態様において、発明は、自動車用照明デバイスのソリッドステート光源における不具合を検知するための方法を提供し、当該方法は、以下のステップを含む:
- 照明デバイスのための推定される温度プロファイルを提供すること;
- 照明デバイスの実際の温度プロファイルを測定すること;及び
- 推定される温度プロファイルと実際の温度プロファイルとを、両者の差異を検知するために、比較すること。
【0011】
「ソリッドステート」の用語は、半導体を使って電気を光に変換するソリッドステートエレクトロルミネッセンスによって発せられる光を指す。白熱照明に比べ、ソリッドステート照明は、低減された発熱且つより少ないエネルギー散逸で、可視光を作り出す。ソリッドステート電子照明デバイスの典型的には小さな質量は、脆いガラス管/バルブ及び細長いフィラメントワイヤに比べ、衝撃及び振動に対するより強い抵抗を提供する。またそれらは、フィラメント蒸発を排除し、潜在的に照明デバイスの寿命を増大させる。これらのタイプの照明のいくつかの例は、照明源として、電気的なフィラメント、プラズマ又はガスではなく、半導体発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、又はポリマー発光ダイオード(PLED)を含む。
【0012】
この方法によって、推定される温度プロファイルと実際の温度プロファイルとの間の差に起因して、ソリッドステート光源における不具合が検知されうる。照明機能がアクティベートされる場合、推定される温度プロファイルは、時間とともに照明デバイスの温度の推移の推定を提供し、車両及び環境に関する複数のデータを提供する。
【0013】
照明デバイスがこの温度推定に従わない場合、それは1つ以上の光源の不具合又は誤動作に原因がありうる。発明の方法は、この検知を可能にする。
【0014】
いくつかの特定の実施形態において、照明デバイスの温度を推定するために値を使用するステップは、機械学習アルゴリズムの使用を含む。
【0015】
機械学習アルゴリズムが、照明デバイスの温度を推定するために使用されうる。いくつかの実施形態は、推定値をチェックするための温度センサを含んでいるので、これらのアルゴリズムは、推定されるデータを実際のデータに適応させうるものであり、それによってそれらの精度を向上させる。
【0016】
いくつかの特定の実施形態において、方法は以下のステップを更に含む:
- 実際の温度プロファイルと推定される温度プロファイルとの間に差異がある場合、照明デバイスのセクションにおいてのみ特定の照明機能をアクティベートすること、
- 照明デバイスにおける第2の実際の温度プロファイルを測定すること、
- 照明デバイスのセクションにおける第3の実際の温度プロファイルを測定すること、
- 推定される温度プロファイルを、第2の実際の温度プロファイルと、第3の実際の温度プロファイルと比較すること。
【0017】
この場合において、差異が検知されると、それは、光源のうちの1つにおける可能性のある不具合に起因しうる。(推定プロファイルを提供するために使用される)特定のモジュール構成及び特定の周囲環境及び車両データに関し、温度は推定パターンに従っているはずである。それがこれらの値を下回る場合、それは光源のうちの1つの機能不良に起因しうる。対応するセクションで異なるフラックス値(flux value)を提供する照明機能を有する照明デバイスの特定のセクションにおけるその方法の繰り返しは、不具合があるかどうかを検証するための追加のテストツールを提供する。
【0018】
いくつかの特定の実施形態において、方法は、以下のステップを更に含む:
- 実際の温度プロファイルと推定される温度プロファイルとの間に差がある場合、照明デバイスの同じセクションにおいて第2の照明機能を実行すること、
- 照明デバイスにおける第4の実際の温度プロファイルを測定すること、
- 照明デバイスのセクションにおける第5の実際の温度プロファイルを測定すること、
- 推定される温度プロファイルを、第4の実際の温度プロファイルと、第5の実際の温度プロファイルと比較すること。
【0019】
不具合のより良い検証のために、同じセクションで、異なる照明機能が使用されうる。
【0020】
いくつかの特定の実施形態において、第1の照明機能は、アダプティブドライビングビーム(ADB)、危険警告(HW)又は動的曲げ光(DBL)のうちの1つであり、第2の照明機能は、第1の照明機能とは異なり、アダプティブドライビングビーム(ADB)、危険警告(HW)又は動的曲げ光(DBL)のうちの1つである。
【0021】
これらの照明機能は、元の光パターンで取得されたデータよりもより良いコントラストを提供しうる(ADB又はDBLの場合には黒、HWの場合には非常に明るい)まさに特定の光束パターンを、要求する。
【0022】
いくつかの特定の実施形態において、特定の照明機能をアクティベートさせるステップは、照明デバイスの複数のセクションで続いて実行される。
【0023】
1つのセクションが推定される温度プロファイルと実際の温度プロファイルとの間の差を提供しない場合、車両の制御ユニットは、不具合がある照明デバイスのゾーンを分離するために異なるセクションを選択することになる。
【0024】
いくつかの特定の実施形態において、照明デバイスのセクションは、AIアルゴリズムによって選択される。
【0025】
異なる不具合例が識別されて分離される場合、AIアルゴリズムは、照明デバイスの特定のセクションで起こり得る不具合をチェックするためのヒントを制御ユニットに提供することになる。
【0026】
更なる発明態様において、発明は、第1の発明態様による方法のステップを実行するための手段と、プログラムが制御ユニットによって実行される場合に制御ユニットに第1の発明態様による方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラムと、を備えるデータ処理要素を提供する。
【0027】
更なる発明態様において、発明は、以下を含む自動車用照明構成を提供する:
- ソリッドステート光源のマトリックス構成と、いくつかのデバイスデータを提供するように構成される複数の補助センサと、第1の発明態様による方法のステップを実行するための制御ユニットとを次々に含む自動車用照明デバイス;及び
- 複数の温度センサ。
【0028】
この照明構成は、照明デバイスのゾーンにおける不具合を検知して分離するという有利な機能を提供する。
【0029】
いくつかの特定の実施形態において、マトリックス構成は、少なくとも2000個のソリッドステート光源を含む。
【0030】
マトリックス構成は、この方法に関する典型的な例である。行は、投影距離範囲でグループ化されてもよく、各グループの各列は角度間隔を表す。この角度値は、マトリックス構成の解像度に依存し、それは典型的には1列あたり0.01°~1列あたり0.5°に含まれる。その結果、多くの光源が、同時に管理されうる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
説明を完成させるために、そして発明のより良い理解を提供するために、図面のセットが提供される。前記図面は、説明の不可欠な部分を形成し、発明の実施形態を示し、それは発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではなく、単に発明を実施することができるやり方の例として解釈されるべきである。図面は、以下の図を含む:
図1】[図1]は、発明による自動車用構成に含まれるセンサ及び自動車用照明デバイスの全体斜視図である。
図2a】[図2a]、[図2b]、[図2c]は、ヘッドランプにおける3つの異なる温度測定を示す。
図2b】[図2a]、[図2b]、[図2c]は、ヘッドランプにおける3つの異なる温度測定を示す。
図2c】[図2a]、[図2b]、[図2c]は、ヘッドランプにおける3つの異なる温度測定を示す。
図3a】[図3a]、[図3b]、[図3c]は、ADB照明機能がアクティベートされる場合にヘッドランプにおける3つの異なる温度測定を示す。
図3b】[図3a]、[図3b]、[図3c]は、ADB照明機能がアクティベートされる場合にヘッドランプにおける3つの異なる温度測定を示す。
図3c】[図3a]、[図3b]、[図3c]は、ADB照明機能がアクティベートされる場合にヘッドランプにおける3つの異なる温度測定を示す。
図4a】[図4a]、[図4b]、[図4c]は、HW照明機能がアクティベートされる場合にヘッドランプにおける3つの異なる温度測定を示す。
図4b】[図4a]、[図4b]、[図4c]は、HW照明機能がアクティベートされる場合にヘッドランプにおける3つの異なる温度測定を示す。
図4c】[図4a]、[図4b]、[図4c]は、HW照明機能がアクティベートされる場合にヘッドランプにおける3つの異なる温度測定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
これらの図において、以下の参照番号が使用されている:
1 ヘッドランプ
2 LED
3 制御ユニット
4 補助センサ
5 温度センサ
11 推定される温度プロファル
12 実際の温度プロファル
100 自動車車両
例示的な実施形態は、当業者がここに記載されるシステム及びプロセスを具現化して実施することを可能にするように、十分に詳細に説明される。実施形態は、多くの代替形態で提供されることができ、ここに記載される例に限定して解釈されるべきではないことを理解することは重要である。
【0033】
したがって、実施形態は様々な方法で変更されることが可能であり、様々な代替形態をとることができるが、その特定の実施形態が、図面に示され、例として以下に詳細に説明される。開示された特定の形態に限定する意図はない。それどころか、添付の特許請求の範囲に該当するすべての修正、等価、及び代替が含まれるべきである。
【0034】
図1]は、発明による自動車用構成に含まれるヘッドランプ1及び複数のセンサの全体斜視図を示す。
【0035】
このヘッドランプ1は、自動車車両100に搭載され、
- 光パターンを提供することが意図されているLED2のマトリクス構成と、
- LED2の動作の熱解析を行う制御ユニット3と、
- デバイスデータを提供することを目的とした複数の補助センサ4と、
- マトリックス構成の異なるセクションの温度測定を提供することを目的とした複数の温度センサ5と、
を含む。
【0036】
このマトリックス構成は、高解像度モジュールであり、2000ピクセルより大きい解像度を有する。ただし、投影モジュールを製造するために使用される技術については、制限が設けられていない。
【0037】
制御ユニット3は、自動車用ヘッドランプ1にその取り付けられる前に、補助センサ4によって受信されるデータに応じて、ヘッドランプの異なるセクションについて推定される温度プロファイルを提供するためのトレーニングプロセスを受けている。この制御ユニットは、正確な温度推定プロファイルを提供できるようにトレーニングプロセスを受けている。
【0038】
図2a]、[図2b]及び[図2c]は、ヘッドランプにおける3つの異なる温度測定を示す。
【0039】
最初のものは、[図2a]に示されており、ヘッドランプの全体的なアプローチにおける温度推移を意味する。連続線は推定される温度プロファイル11を示し、当該推定される温度プロファイル11は、ヘッドランプの物理的特徴及び車両の環境条件(速度、外気温、他の車両の存在、ヘッドランプにおける異なる照明機能のアクティベーション・・・)を考慮して推定される。この温度推定も、さらにより正確な推定を提供するようにAIアルゴリズムを経験している。
【0040】
破線は実際に測定される温度12を示し、当該実際に測定される温度12はヘッドランプに配置された温度センサによって提供される。
【0041】
この[図2a]に見られるように、理想的な推定温度に対して、実際に測定される温度のわずかなズレがある。
【0042】
図2b]及び[図2c]は、ヘッドランプの異なるセクションにおける温度測定を示す。[図2b]は、温度推移が温度推定と完全に一致するセクションを示しており、この区間ではLEDが正常に動作する。しかしながら[図2c]は、温度推移が推定されるものに対してずれを示すセクションを示す。
【0043】
これはわずかなズレであるので、これはLEDの不具合の可能性があることを示すが、これはより詳細な診断で確認されるべきである。
【0044】
この詳細な診断を行うために、ADB、DBL又はHWなどの特定の照明機能がアクティベートされる。これらの照明機能は、LEDの特定のセクションを分離し、このセクションにおいて全く異なる光パターンを行うという具体的な特徴を有する。
【0045】
図3a]、[図3b]、及び[図3c]は、LED構成の特定のセクションに関してADB機能がアクティベートされる場合に、ヘッドランプの異なるセクションにおける温度推移を示す。
【0046】
このADB機能は、通常、反対車線をやってくる車両をまぶしくすることを回避するために、又は、同じ車線で数メートル先を移動している車両をまぶしくすることを回避するために使用される。
【0047】
この方法において、この機能は、温度推定が正しいかどうかをチェックするのに用いられ、温度偏差を生み出すセクションが正常に機能しない可能性あるかどうかを確認するのに用いられる。ADB機能は、[図3a]、[図3b]及び[図3c]において、[図2c]のLED構成の正常に機能しないとされるセクションを目立たなくさせるように使用される。
【0048】
図3a]は、ADB機能が[図2c]の問題があるセクションに適用される場合のヘッドランプ全体の温度推定プロファイルを示す。
【0049】
問題があるセクションは動作していないので、すべてのアクティブLEDは正常に動作しており、したがって実際に測定される温度12は推定される温度プロファイル11と一致する。
【0050】
問題があるセクションに適用される場合、[図3c]において、それはADB機能によりOFFになっているため、このセクションにおける温度も推定されるものと一致する。
【0051】
図3b]に示されるように、問題があるものとは異なるLEDセクションに適用される場合、実際の測定される温度プロファイルも推定されるものと一致しているので、更なる問題があるセクションがない。
【0052】
図4a]、[図4b]、及び[図4c]において、不具合のあるLEDを分離して特定するために、追加の方法が使用される。
【0053】
問題があるセクションには、HW機能がアクティベートされる。
【0054】
図4a]は、問題があるセクションでHW機能を動作させた場合のヘッドランプ全体の温度推定プロファイルを示す。[図2a]の場合におけるのと同様に、推定される温度プロファイル11に対して実際に測定される温度プロファイル12にずれがあり、それは何らかの不具合が発生しうることを意味する。
【0055】
図4b]は、問題があるセクションから離れているセクションにおける温度プロファイルを示す。この図において、実際の測定温度プロファイル12は推定される温度プロファイル11と一致し、そのためこの部分の機能不良はない。
【0056】
図4c]は、問題があるセクションにおける温度プロファイルを示す。HW機能の使用は高い要求のあるものであるため、不具合があるLEDは時間が進むと温度低下を起こし、このセクションにおける一部のLEDの不具合の証拠を提供する。
【0057】
したがって、この方法は、不具合が起こるLED構成の特定のセクションを検知して分離することができる。
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
【国際調査報告】