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特表2023-545147自動車両の照明装置を作動させるための方法および自動車両の照明装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】自動車両の照明装置を作動させるための方法および自動車両の照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/20 20200101AFI20231019BHJP
   H05B 47/155 20200101ALI20231019BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20231019BHJP
   H05B 45/18 20200101ALI20231019BHJP
【FI】
H05B45/20
H05B47/155
H05B45/10
H05B45/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521965
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(85)【翻訳文提出日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2021080061
(87)【国際公開番号】W WO2022090431
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】2011167
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ラビーフ、タレブ
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA07
3K273QA02
3K273QA21
3K273QA27
3K273QA28
3K273QA33
3K273QA36
3K273RA13
3K273SA06
3K273SA09
3K273SA22
3K273SA35
3K273SA45
3K273SA60
3K273TA08
3K273TA15
3K273TA26
3K273UA22
3K273UA23
(57)【要約】
本発明は、少なくとも2つのソリッドステート光モジュール(2)を備えた自動車両の照明装置(1)を作動させるための方法を提供するものである。この方法は、色同士の対のそれぞれについての均一性基準を定める段階と、第1の光モジュールにおいて第1の出力色を生じさせる第1の電流値で第1の光モジュールに給電する段階と、第2の光モジュールにおいて第2の出力色を生じさせる第2の電流値で第2の光モジュールに給電する段階とを備え、対をなす第1の出力色・第2の出力色が均一性基準を満たしている。本発明は、この方法の各段階を遂行するための制御要素(3)を備えた自動車両の照明装置(1)をも提供するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのソリッドステート光モジュール(2)を備えた自動車両の照明装置(1)を作動させるための方法であって、
- 均一性基準(14)を定める段階であって、第1の光モジュールによって発せられる色と第2の光モジュールによって発せられる色とからなる色同士の対のそれぞれについて、当該対が認容できるか認容できないかが定められる段階と、
- 前記第1の光モジュールにおいて第1の出力色を生じさせる第1の電流値で前記第1の光モジュールに給電する段階と、
- 前記第2の光モジュールにおいて第2の出力色を生じさせる第2の電流値で前記第2の光モジュールに給電する段階と、
を備え、対をなす前記第1の出力色・前記第2の出力色が前記均一性基準を満たしている、方法。
【請求項2】
前記第2の光モジュール内の温度を測定する段階を備え、前記第1の出力色ないしは選択色と、前記第2の光モジュール内の測定された温度とを入力値として用いて、データシートおよび/または実験データから前記第2の電流値が算出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
選択色と、前記第1の光モジュール内の測定された温度とを入力値として用いて、理論上のデータおよび/または実験データから前記第1の電流値が算出される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
- 前記第1の光モジュールによって発せられるべき色、別名、選択色を選択する段階と、
- 前記第1の光モジュール内の温度を測定する段階と、
を備え、
前記第1の光モジュールが前記第1の電流値で給電されたときに前記第1の出力色が前記選択色と実質的に同一であるように、前記選択色と測定された前記第1の光モジュール内の温度とが、前記第1の電流値を算出するための入力値として用いられる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の光モジュール内の温度および/または前記第2の光モジュール内の温度が、サーミスタ(5)、例えば負特性サーミスタによって得られる、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記均一性基準が満たされない場合に前記第1および/または第2の電流値を増大または減少させる段階を更に備えた、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
- 前記第1の光モジュールと前記第2の光モジュールとのそれぞれについての色の許容条件(6)を定める段階であって、対をなす温度・電流のそれぞれについて、色が認容できるか認容できないかを定める段階と、
- 前記第1の光モジュールと前記第2の光モジュールとのそれぞれについての最小光束閾値(4)および最大光束閾値(7)を設定する段階と、
- 前記第1および第2の出力色が、前記第1および第2の光モジュールのそれぞれにおける各自の前記許容条件(6)を満たしているかを調べる段階と、
- 前記第1および/または第2の電流値を増大または減少させて、常に前記最小光束閾値(4)と前記最大光束閾値(7)との間に含まれる光束値を生じさせるように前記電流を保ちながら前記許容条件(6)を満たす色を生じさせる段階と、
を更に備えた、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第1の出力色と前記第2の出力色とを決定する段階を更に備えた、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1および/または第2の電流値を増大または減少させる段階は、当該第1および/または第2の電流値を第1の値から第2の値へと増大または減少させること含み、最大の値は最小の値の1.1倍よりは小さく、特に最小の値の1.05倍よりは小さく、特に最小の値の1.03倍よりは小さい、請求項6から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
所定条件についての一連の電流値増分を記録する段階を更に備えた、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
当該方法の少なくとも一部の段階が制御装置によって遂行され、その制御装置は、
- トレーニング・データセットで前記第1および/または第2の光モジュールに対する電流を推定するように当該制御装置(3)をトレーニングすること、並びに、
- 現実の電流データで当該制御装置(3)をテストすること、
によって、前記第1および第2の光モジュールへもたらされる電流についての経時的パターンを推定するように構成されている、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の方法の各段階を遂行するための手段を備えたデータ処理要素。
【請求項13】
制御装置によって実行されたときに請求項1から11のいずれかに記載の方法の各段階を前記制御装置に遂行させる命令を備えたコンピュータープログラム。
【請求項14】
- それぞれがソリッドステート光源同士のマトリックス配置を備えている、少なくとも2つのソリッドステート光モジュール(2)と、
- 請求項1から11のいずれかに記載の方法の各段階を遂行するための制御要素(3)と、
を具備した、自動車両の照明装置(1)。
【請求項15】
前記ソリッドステート光源の温度を測定するように企図されたサーミスタ(5)を更に備えている、請求項14に記載の自動車両の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両の照明装置の分野、より特定的には、これらの装置に含まれるこれらの光源の色の管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車メーカーによって中・高級市場の製品にデジタル照明装置がますます採用されてきている。
【0003】
これらのデジタル照明装置は通常、ソリッドステート光源を備えているが、それらの光源の作動は温度に大きく左右される。
【0004】
これらの素子における温度制御は、非常に敏感な局面であり、出力を下げることによって遂行されるのが通常である。これは、それに応じて出力光束と作動温度とが低下するよう、光源に給電される電流値を低下させることを意味する。この過熱の問題に立ち向かうには、依然として認容可能な値を維持しながら作動値を低下させ得るよう、光源の性能が必要以上に高すぎねばならないということが、これにより引き起こされる。
【0005】
更に、これらの技術は、出力パターンの色にも影響を及ぼしてしまう。時には、2つ以上の光モジュールによってビームパターンがもたらされる場合、パターン全体で色が均一ではなくなり得る。
【0006】
この問題は、今まで想定されてきているが、そのための解決策が求められている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、自動車両の照明装置を作動させるための方法および自動車両の照明装置によって、出力される光源パターンの色を管理するための代替的な解決策をもたらすものである。
【0008】
別様に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術的、科学的用語を含む)は、当該技術において通例であるように解釈されるべきものである。更に、一般的な語法による用語類も、やはり関連技術において通例であるように解釈されるべきであって、本明細書で明確にそう定義されない限り、理想化されたり過度に形式的であったりする意味に解釈されるべきではない。
【0009】
この本文において、用語「備える/含む(comprises)」や、その派生語(例えば「備えている/含んでいる(comprising)」など)は、排他的な意味に理解されるべきではない。即ち、これらの用語は、説明されたり定義されたりするものが更なる要素や段階などを含み得るという可能性を排除するように解釈されるべきではないのである。
【0010】
第1の発明態様において、本発明は、少なくとも2つのソリッドステート光モジュールを備えた自動車両の照明装置を作動させるための方法であって、
- 均一性基準を定める段階であって、第1の光モジュールによって発せられる色と第2の光モジュールによって発せられる色とからなる色同士の対のそれぞれについて、当該対が認容できるか認容できないかが定められる段階と、
- 第1の光モジュールにおいて第1の出力色を生じさせる第1の電流値で第1の光モジュールに給電する段階と、
- 第2の光モジュールにおいて第2の出力色を生じさせる第2の電流値で第2の光モジュールに給電する段階と、
を備え、対をなす第1の出力色・第2の出力色が均一性基準を満たしている、方法を提供する。
【0011】
用語「ソリッドステート(solid state)」は、電力を光へと変換するために半導体を用いるソリッドステート電界発光によって放出される光を表す。白熱照明に比べて、ソリッドステート照明は、熱の発生を減少させ、より少ないエネルギー消散で可視光を作り出す。ソリッドステート電子照明装置の概して小さな嵩は、もろいガラス管/球や長細いフィラメント線に比べて、衝撃や振動に対してより強い耐性を与えるものである。それらはまた、フィラメントの蒸発を排除して、発光装置の寿命を延長させる可能性を有している。これらの型式の照明における幾つかの例は、光源として、電気フィラメント、プラズマ、またはガスではなく、半導体発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、または高分子発光ダイオード(PLED)を備えている。
【0012】
均一性基準は、一対の出力色同士の間、即ち第1の光モジュールによって発せられる色と、第2の光モジュールによって発せられる色との間の類似度として定義される。それは例えば、RGBレンジによって定義されたり、色度図によって定義されたりし得るが、当業者の如何なる定義付けも、この発明の範囲の一部であることとなる。
【0013】
例として、出力色同士の対のそれぞれが特定の測定時において定められる。
【0014】
この手法によって、照明装置は、出力色が認容できる程度に均一であるかを判定することができ、2つのモジュールの少なくとも一方の給電電流を変更することによって不許容の状況に対応し得るのである。その結果、常に均一性基準の範囲内に色が保たれるのである。
【0015】
幾つかの特定の実施形態において、上述した方法は、第2の光モジュール内の温度を測定する段階を更に備え、第1の出力色と、第2の光モジュール内の測定された温度とを入力値として用いて、データシートおよび/または実験データから第2の電流値が算出される。
【0016】
光源の出力色を得る代替的なやり方は多数存在する。時には、これらのパラメータについての信頼性のある有用な情報が製造者のデータシートによってもたらされるが、この許容条件を得るのに実験データが用いられてもよい。
【0017】
この場合、第1の光モジュールから得られたデータに基づいて第2の電流が算出されることから、第1の光モジュールが当該方法を主導し、第2の光モジュールは色の均一性の点では従属的な構成を有している。
【0018】
別の例では、選択色と、第2の光モジュール内の測定された温度とを入力値として用いて、データシートおよび/または実験データから第2の値が算出される。
【0019】
幾つかの特定の実施形態においては、選択色と、第1の光モジュール内の測定された温度とを入力値として用いて、理論上のデータおよび/または実験データから第1の電流値が算出される。
【0020】
この場合、当該方法は、
- 第1の光モジュールによって発せられるべき色、別名、選択色を選択する段階と、
- 第1の光モジュール内の温度を測定する段階と、
を備え、
第1の光モジュールが第1の電流値で給電されたときに第1の出力色が選択色と実質的に同一であるように、選択色と、測定された第1の光モジュール内の温度とが、第1の電流値を算出するための入力値として用いられる。
【0021】
この特定の場合において、この決定は色に関するものであり、この事前準備に従って第1の電流値が決められるのである。
【0022】
第1の電流値と第2の値の両方が選択色に基づいて算出される場合には、照明装置によって投射される色に関する事前の決定が採用されていて、この決定し対して第1および第2の光モジュールの両方が適合させられる。
【0023】
本文書において「選択色」は、測色(色彩測定)的な規定に、そして結局のところは照明装置の製造者の要求に従っている基準色を意味する。
【0024】
幾つかの特定の実施形態においては、第1の光モジュール内の温度および/または第2の光モジュール内の温度が、サーミスタ、例えば負特性(負の温度係数の)サーミスタによって得られる。
【0025】
サーミスタは、温度を測定するために採用され得る一般的な素子であることから、この方法に信頼できる起点をもたらすものである。
【0026】
幾つかの特定の実施形態において、当該方法は、均一性基準が満たされない場合に第1および/または第2の電流値を増大または減少させる段階を更に備える段階を更に備えている。
【0027】
第1および第2の光モジュールのいずれにおける出力色も、当該光モジュールの温度によって変化し得る。所与の電流値について、異なるモジュール温度に対して色が変化し得るのである。従って、補正が必要となり得る。
【0028】
幾つかの特定の実施形態において、当該方法は、
- 第1の光モジュールと第2の光モジュールとのそれぞれについての色の許容条件を定める段階であって、対をなす温度・電流のそれぞれについて、色が認容できるか認容できないかを定める段階と、
- 第1の光モジュールと第2の光モジュールとのそれぞれについての最小光束閾値および最大光束閾値を設定する段階と、
- 第1および第2の出力色が、第1および第2の光モジュールのそれぞれにおける各自の許容条件を満たしているかを調べる段階と、
- 第1および/または第2の電流値を増大または減少させて、常に最小光束閾値と最大光束閾値との間に含まれる光束値を生じさせるように電流を保ちながら許容条件を満たす色を生じさせる段階と、
を更に備えている。
【0029】
均一性基準は(この場合のように)別の許容性基準と組み合わされてもよい。電流値の変化は、各光モジュールに統一された適切な電流値をもたらすよう、あらゆる要求と結び付けられるべきなのである。
【0030】
第1の光モジュールと第2の光モジュールとの色の許容条件が同一であってもよい、ということに留意されたい。更に、最大光束閾値についてだけでなく、第1の光モジュールと第2の光モジュールとの最小閾値も同一であってよい
【0031】
更に、当該方法は、第1の出力色と第2の出力色とを決定する段階を更に備えていてもよい。
【0032】
例としては、第1の出力色(即ち、第1の光モジュールによって発せられる色)と第2の出力色(即ち、第2の光モジュールによって発せられる色)とが、事前の決定に基づいた選択色と同様のものである。
【0033】
別の例では、選択色が第1の出力色だけに割り当てられる。この場合、第2の出力色は、第1の出力色を入力値として用いることによって、理論上の、および/または実験的な手法に基づいて決定される。或いは、第2の出力色を決定するのに、第1の出力色と、第2の光モジュール内の測定された温度との両方を用いることができる。
【0034】
別の実施形態においては、第1の光モジュールと第2の光モジュールとが、第1の電流値と第2の電流値とによって、それぞれ給電される。この場合、第1の出力色と第2の出力色とが、適切な手段(例えば、カラーセンサ)によって測定される。或いは、第1の電流値と、第1の光モジュール内の測定された温度とから、第1の出力色が算出される。第2の出力色は、第2の電流値と、第2の光モジュール内の測定された温度とから算出される。
【0035】
幾つかの特定の実施形態において、第1および/または第2の電流値を増大または減少させる段階は、当該第1および/または第2の電流値を第1の値から第2の値へと増大または減少させること含み、それらの値のうち最大のものは最小のものの1.1倍よりは小さく、特にそれらの値のうち最小のものの1.05倍よりは小さく、特にそれらの値のうち最小のものの1.03倍よりは小さい。
【0036】
これらの例においては、狭い範囲内で強度が増大させられ得る。その結果、電流値(および温度)は、認容可能な性能をもたらす範囲内で、できるだけ低く保たれる。更に、性能への影響ができる限り最小限の状態で、色の逸脱が補正され得る。
【0037】
幾つかの特定の実施形態において、当該方法は、所定条件についての一連の電流値増分を記録する段階を更に備えている。
【0038】
この一連のものは、時系列パターンを用いる場合において連続的な温度測定を避けるのに有用となり得る。
【0039】
幾つかの特定の実施形態においては、当該方法の少なくとも一部の段階が制御装置によって遂行され、その制御装置は、
- トレーニング・データセットで第1および/または第2の光モジュールに対する電流を推定するように当該制御装置をトレーニングすること、並びに、
- 現実の電流データで当該制御装置をテストすること、
によって、第1および第2の光モジュールへもたらされる電流についての経時的パターンを推定するように構成されている。
【0040】
制御装置が、第1および第2の電流の最適な進展を予見するために、人工知能戦略を経るようにしてもよい。そうするために、様々な入力:その他のモジュールの電流、外部の諸条件、車両速度、運転者の決定…を含み得るトレーニング・データセットで制御装置がトレーニングされる。これらの値で、制御装置が第1および第2の電流値における最善の進展を予見するようにトレーニングされるのである。
【0041】
更なる発明態様において、本発明は、第1の発明態様による方法の各段階を遂行するための手段を備えたデータ処理要素と、制御装置によって実行されたときに第1の発明態様による方法の各段階を制御装置に遂行させる命令を備えたコンピュータープログラムを提供する。
【0042】
第2の発明態様において、本発明は、
- それぞれがソリッドステート光源同士のマトリックス配置を備えている、少なくとも2つのソリッドステート光モジュールと、
- 第1の発明態様による方法の各段階を遂行するための制御要素と、
を具備した、自動車両の照明装置を提供する。
この照明装置は、光源の色の性能を効率的に維持する有利な機能性をもたらすものである。
【0043】
幾つかの特定の実施形態において、マトリックス配置は少なくとも2000個のソリッドステート光源を備えている。
【0044】
マトリックス(行列)配置は、この方法についての典型例である。各行が投射距離の範囲毎にグループ化されていて、各グループの各列が角度間隔を表していてよい。この角度の値は、マトリックス配置の分解能によって左右され、典型的には毎列0.01°から毎列0.5°の間に含まれるものである。従って、多くの光源が同時に管理され得るのである。
【0045】
幾つかの特定の実施形態において、当該照明装置は、ソリッドステート光源の温度を測定するように企図されたサーミスタを更に備えている。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、本発明による自動車両の照明装置の概略斜視図である。
図2図2は、2つの異なる光モジュール同士の投射で光パターンが構成されるように描かれた第1の略図である。
図3図3は、特定電流により給電されて特定温度下にあるときのLEDによって作り出される光束値を示すグラフによる図解である。
図3図3は、本発明による方法での、LEDにおける電流の進展の例を示す図である。
【0047】
これらの図においては、以下の参照符号が用いられている。
【符号の説明】
【0048】
1 照明装置
2 光モジュール
3 制御要素
4 最小光束閾値
5 サーミスタ
6 不許容ドット
7 最大光束閾値
11 全体的な光パターン
12 フラット(平坦)
13 キンク(屈曲)
14 均一性基準
100 自動車両
【発明を実施するための形態】
【0049】
当業者が本明細書に記載されたシステムやプロセスを具現化して実施するのを可能とするに足るほど詳細に例示の諸実施形態が説明される。各実施形態は、多くの代替形態で提供することができ、本明細書に記載された例に限定して解釈されるべきではない、ということを理解するのが重要である。
【0050】
従って、実施形態は種々のやり方で改変することができ、種々の代替形態をとることができるが、それらのうちの特定の諸実施形態を、例として図面に示すと共に以下で詳細に説明する。開示された特定の形態に限定する意図はない。それどころか、添付の特許請求の範囲内に入っている全ての改変、均等物、および代替物が包含されるべきである。
【0051】
図1は、本発明による自動車両の照明装置の概略斜視図を示している。
【0052】
この照明装置1は、自動車両100内に設置されると共に、
- 光パターンをもたらすように企図された、2つの光モジュール2同士のマトリックス配置と、
- 光モジュール2の作動の制御を果たすための制御要素3と、
- 光モジュール2の温度を測定するように企図されたサーミスタ5と、
を備えている。
【0053】
このマトリックス構成は、2000ピクセルを超える解像度を有した、高解像度モジュールである。ただし、投射モジュールを製造するために用いられる技術に制限があると考えられるものではない。
【0054】
このマトリックス構成の第1例は、モノリシック光源を備えている。このモノリシック光源は、数列×数行に配置されたモノリシックなエレクトロルミネセント(電界発光)素子のマトリックスを備えている。モノリシック・マトリックスにおいて、各エレクトロルミネセント素子は、共通基板から成長させることができ、個別にか、或いはエレクトロルミネセント素子同士のサブセット(小集団)毎にかのいずれかで選択的に作動可能となるよう、電気的に接続されている。基板は、主として半導体材料で作られていてよい。基板は、1つないし複数の他の材料、例えば非半導体材料(金属や絶縁体)を含んで成っていてもよい。かくして、各エレクトロルミネセント素子またはエレクトロルミネセント素子の各グループが、光ピクセルを形成することができ、従って、そ(れら)の素子の材料へ電力が供給されたときに光を放出することができるのである。そのようなモノリシック・マトリックスの構成によって、プリント回路基板上に半田付けされるよう企図された従来の発光ダイオード群と比べて、選択的に点灯可能なピクセル同士を互いにかなり近接させて配置することが可能となる。モノリシック・マトリックスは、共通基板に対して垂直に測定した高さの主寸法が略1マイクロメートルであるエレクトロルミネセント素子を備えていてよい。
【0055】
モノリシック・マトリックスは、マトリックス配置によるピクセル化された光ビームの生成および/または投射を制御するように制御センターに結合されている。かくして制御センターは、マトリックス配置の各ピクセルの発光を個別に制御することができる。
【0056】
上記で提示したものに代えて、マトリックス配置は、ミラー(反射鏡)のマトリックスに結合された主光源を備えていてもよい。かくして、光を放出する少なくとも1つのソリッドステート光源で形成された少なくとも1つの主光源と、主光源からの光線を反射によって投射光学素子へ差し向ける光電素子のアレイとの組立体によって、ピクセル化された光源が形成される。その光電素子のアレイは、例えば「Digital Micro-mirror Device(デジタル・マイクロミラー・デバイス)」の頭字語DMDによっても知られるマイクロミラーのマトリックスである。適切な場合には補助光学素子が、少なくとも1つの光源の光線を集中させてマイクロミラー・アレイの表面の方へ差し向けるように、それらの光線同士を集めることができる。
【0057】
各マイクロミラーは、2つの決められた位置、各光線が投射光学素子の方へ反射される第1位置と、各光線が投射光学素子とは異なる方向へ反射される第2位置との間を回動することができる。2つの決められた位置は、全てのマイクロミラーについて同様の向きにされ、マイクロミラーのマトリックスを支持する基準面に対して当該マイクロミラーのマトリックスの仕様で定められた特有の角度を成している。そのような角度は、一般的には20°未満であり、通常は約12°であってよい。かくして、マイクロミラーのマトリックス上に入射する光ビームの一部を反射する各マイクロミラーが、ピクセル化された光源の基本発光体を成す。この基本発光体を、基本光ビームを放出したりしなかったりするよう選択的に作動させるための、各ミラーの位置変更の作動および制御は、制御センターによって制御される。
【0058】
異なる実施形態において、マトリックス配置は、次のような走査素子に向かってレーザー光源(具体的には、レーザーダイオード)がレーザービームを放出する走査レーザーシステムを備えていてもよい。即ち、レーザービームで波長変換器の表面を探査するように構成された走査素子である。この表面の像が、投射光学素子によって捕捉される。
【0059】
走査素子の探査は、人間の目が投射像の如何なる変位も知覚せぬに足るほど高い速度で成し遂げられ得る。
【0060】
レーザー光源の点灯とビームの走査運動との同期制御によって、選択的に点灯させることのできる基本発光体のマトリックスを波長変換素子の表面に生成することが可能となる。走査手段は、レーザービームの反射によって波長変換素子の表面を走査するための可動式マイクロミラーであってよい。走査手段として挙げられるマイクロミラーは、例えば、「Micro-Electro-Mechanical Systems(微小電気機械システム)」を表すMEMS型のものである。但し、本発明は、そのような走査手段に限定されるものではなく、他の種類の走査手段(例えば、回転要素上に配置された一連のミラーであって、当該要素の回転がレーザービームによる伝達面の走査を生じさせるものなど)を用いることができる。
【0061】
別の変形例では、光源が複雑なものであって、光素子(発光ダイオードなど)の少なくとも1つのセグメントと、モノリシック光源の表面部分との両者を含んでいてもよい。
【0062】
図2は、2つの異なる光モジュール同士の投射で光パターンが構成されるように描かれた略図である。
【0063】
この(ロービーム・パターンに相当する)例においては、完成パターン投射11が、第1部分12と第2部分13とに分割され得る。この特定のパターンにおいて、第1部分12は通常、「フラット(平坦)」と呼ばれ、第2部分13は通常、「キンク(屈曲)」と呼ばれる。第1の光モジュールが「フラット」12の投射を担当し、第2の光モジュールが「キンク」13の投射を担当している。
【0064】
両部分12,13が、ある1つの特有のパターン11を形成するように企図されていることから、これらの光モジュールの出力色同士ができるだけ類似していることが重要なのである。
【0065】
均一性基準は、例えばRBGパターン内の区域や、色彩グラフ表現(例えば、図3のもの)における広がりの観点から、製造者によって定められる。
【0066】
図3は、ある1つの色彩グラフ表現を示しているが、そこでは出力色同士の対が「白色ゾーン」14内に含まれていることが均一性基準となっている。これが基準のある1つの例ではあるが、当業者は任意の同様のものを制定することができるであろう。
【0067】
図4は、特定電流により給電されて特定温度下にあるときのLEDによって作り出される光束(Flux)値を示すグラフによる図解である。更に、このグラフには幾つかの不許容ドット6が付け加えられている。各ドット6は、図3の均一性ゾーン14の外側にある色をもたらす電流と温度との組合せを示している。
【0068】
このグラフでは、最小光束閾値4および最大光束閾値7も示されている。
【0069】
本発明による方法における、この特定の実施形態では、光源の動作が幾つかの前提の下で制御される。
【0070】
第1の前提は、光束は最小光束閾値4と最大光束閾値7との間に保たれるべき、ということである。
【0071】
第2の前提は、出力色は、許容条件を満たすべき、即ち当該グラフに示された各不許容ドット6から外れた状態に保たれるべき、ということである。
【0072】
この振る舞いは、LEDへ与えられる電流の量によって制御される。電流の変化によって、光束の変化と出力色の変化とが引き起こされるのである。
【0073】
従って、色と光束との点において認容される性能をもたらすのには、小さな変化が用いられるべきである。
【0074】
この目標を達成するのに幾つかの選択肢が用いられ得る。
【0075】
第1の選択肢においては、第1のモジュールが、図4の閾値4,7間に含まれる電流で給電される。そして、第1の出力色が測定され、理論上のデータや実験データを用いて、第1の出力色と同様の色を得るように第2のモジュールに給電するための第2の電流値が選択される。換言すれば、第1の出力色と第2の出力色とが均一性基準を満たすように第2の電流値が選択されるのである。
【0076】
第2の選択肢においては、ある1つの色が図3のグラフから選び出される。各モジュールの理論上のデータや実験データを用いて、選び出されたものと同様の第1および第2の選択色をもたらして均一性基準を満たすための第1の電流値および第2の電流値が得られる。
【0077】
第3の選択肢においては、第1および第2のモジュールが第1および第2の電流値でそれぞれ給電される。そして、各出力色が測定され、必要ならば、一方の出力色を他方の出力色に近づけて均一性基準を満たすように一方の電流値が変更される。
【0078】
図5は、本発明による照明装置の一方の光モジュールにおける電流の経時的な進展の例を示している。
【0079】
第1の電流値41は、閾値4,7間で選択されている。そして、制御装置が(不許容ドット6を避けるため、或いは任意の他の原因のために)電流を増大させる理由が存在するものと決定したときには、電流値が増大させられる。但し、(均一性の理由によって)そうするのが得策であるならば、という点において、光束(Flux)が高すぎる場合には、電流値が2つの値42,43から減少させられてもよい。
【0080】
制御装置は、(選択肢の内の1つが自動車製造者によって規定されるものとして受け入れられるのではない限り)いずれが最善の選択肢であるかや、これらの電流値がどのように管理されるべきかを決定するように設計されていてよい。
【0081】
そうするために、外部のセンサー類によってもたらされるデータを用いて、人工知能アルゴリズムにおいて制御装置がトレーニングされてもよい。
【0082】
最初のプロセスにおいて、制御装置がトレーニングされる。そうするために、図4のもののようなマップが各光モジュールに与えられる。その結果、境界条件が明確に制定されるのである。
【0083】
そして、外部のセンサー類から、モジュール温度、モジュール電流値、外部温度、車両速度、運転者の設定などを含むデータがもたらされる。制御装置は、これらのデータを用いて、それぞれの瞬間での最適な第1および第2の電流値を得る。そして、これらの結果が、製造者によって与えられた値でテストされる。このトレーニング~テスト・プロセスが終了したときには、制御装置が自動車両の照明装置内に設置されて2つの光モジュールの電流値を制御する準備ができているのである。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
図1図1は、本発明による自動車両の照明装置の概略斜視図である。
図2図2は、2つの異なる光モジュール同士の投射で光パターンが構成されるように描かれた第1の略図である。
図3図3は、出力色同士の対の均一性基準を説明するための色彩グラフである。
図4図4は、特定電流により給電されて特定温度下にあるときのLEDによって作り出される光束値を示すグラフによる図解である。
図5図5は、本発明による照明装置の一方の光モジュールにおける電流の経時的な進展の例を示すグラフである。
【国際調査報告】