(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】ホイールアライメントシステム
(51)【国際特許分類】
B60G 3/20 20060101AFI20231019BHJP
G01M 17/007 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
B60G3/20
G01M17/007 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522365
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(85)【翻訳文提出日】2023-06-06
(86)【国際出願番号】 AU2021051194
(87)【国際公開番号】W WO2022077059
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519261552
【氏名又は名称】ドォフテック ピーティーワイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Doftek Pty Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ,ジェフリー ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】レイナー,ジャコブ アーサー
【テーマコード(参考)】
3D301
【Fターム(参考)】
3D301AA22
3D301AA25
3D301AA26
3D301CA11
3D301DA08
3D301DA31
3D301DA70
3D301DA90
3D301DB09
3D301DB20
3D301DB32
3D301EA37
(57)【要約】
ホイールアライメントを監視する為の装置及びシステム、及び/又はアライメントを調整する為に車両のサスペンション設定を制御する為の装置及びシステム。本明細書では、ホイールアライメント(例えば、キャンバー、キャスター及び/又はトー)を決定する為のアライメント監視装置について記載する。本明細書では、キャンバー、キャスター及び/又はトーの内の1つ以上を調整する為のアライメント調整又は制御装置についても記載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の1つ以上のホイールのトーを監視する為のシステムであって、前記システムが、
前記1つ以上のホイールに結合されるように構成された磁力計と、
前記車両のフレームに剛結合され、前記磁力計によって検出される基準磁場を生成するように構成された基準磁石と、
前記磁力計からデータを受信し、前記受信したデータに基づいて前記ホイールの1つのトーを決定するように構成されたプロセッサと、を備えているシステム。
【請求項2】
前記車両の前記フレームに剛結合されたボディセンサを更に備え、前記プロセッサは更に、前記ボディセンサからデータを受信するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記磁力計は、慣性測定ユニット(IMU)として構成されたセンサモジュールの一部である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記センサモジュールは、加速度計を更に含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記基準磁場を拡張するように構成された磁場成形磁石を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記磁場成形磁石は、前記磁力計の後方に、前記磁力計と前記ホイールとの間に取り付けるように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
第2の磁場成形磁石を更に備えた、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記基準磁石は、前記磁力計に隣接して、前記ホイールの回転軸に沿うように取り付けられるように構成された磁石モジュールの一部である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記車両の前記フレームの第2の部分に剛結合し、前記基準磁場に寄与するように構成された第2の基準磁石を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記基準磁石は、約0.25mTを超える磁場を前記磁力計に印加するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記基準磁石は電磁石を備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
車両のホイールのトーを監視する為のシステムであって、前記システムは、
前記ホイールの非回転部分に結合するように構成された1つ以上の磁力計を備えたセンサモジュールと、
前記車両のフレームに剛結合されるように構成され、前記磁力計によって検出される基準磁場を生成するように構成された1つ以上の基準磁石を備えた磁石モジュールと、
前記磁力計からデータを受信し、前記受信したデータに基づいて前記ホイールのトー測定値を決定するように構成されたプロセッサと、を備えているシステム。
【請求項13】
前記磁石モジュールは、前記車両の前記フレームに対して横方向に、前記ホイールの車軸と平行に配向される磁場を生成するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記磁石モジュールは、傾斜センサを更に備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記傾斜センサが閾値を超える傾斜又は傾斜の変化を検出した場合に、アラートをトリガするように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記センサモジュールが1つ以上の加速度計を更に備え、更に、前記プロセッサは、前記1つ以上の加速度計からのデータを用いて前記ホイールのキャンバー、キャスター又はキャンバー及びキャスターを決定するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記センサモジュールから分離され、前記フレームに取り付けられる、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記基準磁石は、約0.25mTを超える基準磁場を生成するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
車両の1つ以上のホイールのアライメントを監視する為のシステムであって、前記システムは、
前記車両の前記1つ以上のホイールに結合するように構成され、1つの磁力計及び1つ以上の加速度計を備えている、センサモジュールと、
前記車両の前記1つ以上のホイールに近接して前記車両のフレームに剛結合し、前記磁力計によって検出される基準磁場を生成するように構成された1つ以上の基準磁石を備えた磁石モジュールと、
前記磁力計からデータを受信し、前記受信したデータに基づいて、前記ホイールのトー、及びキャンバー、キャスター、又はキャンバー及びキャスターを決定するように構成されたプロセッサと、を備えている、システム。
【請求項20】
車両の1つ以上のホイールのアライメントを監視する為のシステムであって、前記システムは、
複数のセンサを備えたセンサモジュールであって、ホイールのトレッド面と共に移動するように、前記車両の前記ホイールの非回転部分に結合される、センサモジュールと、
前記車両のフレームに剛結合し、前記センサモジュールによって検出される基準磁場を生成するように構成された磁石モジュールと、
前記車両のフレームに剛結合され、前記車両フレームの配向を検出するように構成されたボディIMUと、
前記センサモジュール、前記磁石モジュール、及び前記ボディIMUからデータを受信し、前記センサデータに基づいてキャンバー、キャスター、及びトーの内の1つ以上を計算するように適合されたプロセッサと、を備えているシステム。
【請求項21】
前記磁石モジュールは、約0.25mTを超える基準磁場をホイールIMUに印加するように構成されている、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記磁石モジュールは、1つ以上の電磁石を備えている、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
エンコーダリンケージによってステアリングナックルに結合されたエンコーダを更に備え、前記エンコーダは、前記プロセッサと通信するように構成されている、請求項20に記載のシステム。
【請求項24】
車両のホイールのトーを調整する方法であって、
前記ホイールの非回転部分に結合された感知モジュールを使用して、前記車両のフレームに剛結合された磁石モジュールによって放出された磁場を感知するステップと、
前記感知した磁場からトー角を決定するステップと、
前記トー角と、前記ホイールの前記トー角を制御するサスペンションシステムのトーリンクを用いて、前記ホイールのトーを調整するステップとを含む方法。
【請求項25】
前記車両内のディスプレイに前記トーを表示するステップを更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記トー角に関するデータを、フリートマネージャがアクセス可能なリモートサーバに送信するステップを更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記トー角を決定するステップは、前記トー角の差を決定することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
車両のホイールのアライメントを調整する方法であって、
前記車両の1つ以上のセンサから入力データを受信するステップと、
前記入力データを、一次入力データストリームと二次入力データストリーム、又はそれ以上の入力データストリームに優先順位付けするステップと、
車両動作ダイナミクスの指標に従って、一次入力データを結合するステップと、
結合された一次入力データ及び1つ以上のアライメントマップに基づいて、目標ホイールアライメント設定を計算するステップと、
目標ホイールアライメント設定を二次入力データストリームと比較するステップと、
目標設定を、前記車両内の1つ以上のアライメント調整ユニットの駆動信号に変換するステップと、を含む方法。
【請求項29】
入力データを受信するステップは、1つ以上のホイールIMU及びボディIMUからデータを受信することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記1つ以上のアライメントマップは、ノーマルモード、スポーツモード及びスポーツ+モードの内の少なくとも2つに対するキャンバーアライメントマップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
サスペンションを有する車両のホイールアライメントを調整する為のデバイスであって、
前記車両に取り付けられるように構成されたフレームと、
前記フレームに結合された駆動モータと、
前記駆動モータによって回転駆動される駆動軸と、
前記駆動モータによる前記駆動軸の回転がギアを回転させるように、前記駆動軸に係合するギアと、
前記ギアに結合され、前記駆動モータが前記ギアを回転させる時に前記ギアによって回転されるように構成されたオフセットブッシングであって、前記車両のホイールに結合されたリンケージと結合し、前記リンケージを前記ホイールに駆動するか又は前記ホイールから離して前記車両のアライメントを調整するように構成されている、オフセットブッシングと、を備えたデバイス。
【請求項32】
前記ギアは、ハイポイドドライブギアとオフセットギアとを備え、前記オフセットギアは、前記オフセットブッシングを回転させるように構成されている、請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
前記オフセットギアは、前記オフセットブッシングに剛結合される、請求項32に記載のデバイス。
【請求項34】
前記駆動軸は、5:1を超えるギア比で前記オフセットブッシングにギア結合される、請求項31に記載のデバイス。
【請求項35】
前記リンケージは、ダブルウィッシュボーンサスペンションシステムのコントロールアームを備えている、請求項31に記載のデバイス。
【請求項36】
前記リンケージは、マルチリンクサスペンションシステムのリンクを含む、請求項31に記載のデバイス。
【請求項37】
前記リンケージは、前記ホイールのトー角を制御する為のサスペンションシステムのトーリンクを含む、請求項31に記載のデバイス。
【請求項38】
前記フレームは、前記駆動モータを前記リンケージに対して垂直に固定するように構成されている、請求項31に記載のデバイス。
【請求項39】
前記フレームが前記オフセットブッシングを枢支するように構成され、更に、前記駆動モータが前記フレームから横方向に延在する、請求項31に記載のデバイス。
【請求項40】
前記デバイスは、ホイールのキャンバー又はキャスターを調整するように構成されている、請求項31に記載のデバイス。
【請求項41】
前記駆動モータ又はギアの位置を監視するように構成されたエンコーダを更に備えた、請求項31に記載のデバイス。
【請求項42】
前記駆動モータは、前記駆動軸の回転を駆動しない時に所定位置にロックするように構成されている、請求項31に記載のデバイス。
【請求項43】
サスペンションを有する車両のホイールアライメントを調整する為のデバイスであって、
前記車両に確りと取り付けられるように構成されたフレームと、
スパイラルベベルギアであって、
ハイポイドドライブギアと、
前記ハイポイドドライブギアよりも大きい直径を有するオフセットギアと、を含むスパイラルベベルギアと、
前記フレームに結合され、前記ハイポイドドライブギアを駆動するように構成された駆動モータと、
前記オフセットギアに連結され、前記駆動モータが前記ハイポイドドライブギアを回転させて前記オフセットギアを回転させる時に、前記オフセットギアによって回転されるように構成された偏心軸と、を備え、
前記偏心軸が、前記車両のホイールに結合されたリンケージと結合するように構成されている、デバイス。
【請求項44】
前記ハイポイドドライブギアは、2:1を超えるギア比で前記オフセットギアとギア接続されている、請求項43に記載のデバイス。
【請求項45】
前記ハイポイドドライブギアは、5:1を超えるギア比で前記オフセットギアとギア接続されている、請求項43に記載のデバイス。
【請求項46】
前記偏心軸は、前記リンケージに結合するように構成され、前記リンケージは、ダブルウィッシュボーンサスペンションシステムのコントロールアームを備えている、請求項43に記載のデバイス。
【請求項47】
前記偏心軸が前記リンケージに結合するように構成され、前記リンケージがストレートアームを備えている、請求項43に記載のデバイス。
【請求項48】
前記リンケージは、マルチリンクサスペンションシステムのリンクを備えている、請求項43に記載のデバイス。
【請求項49】
前記リンケージは、前記ホイールの前記トー角を制御する為のサスペンションシステムのトーリンクを備えている、請求項43に記載のデバイス。
【請求項50】
前記駆動モータの作動を制御するように構成された電子コントローラを更に含む、請求項43に記載のデバイス。
【請求項51】
前記フレームが、前記偏心軸を枢支するように構成され、更に、前記駆動モータが、前記フレームから横方向に延在する、請求項43に記載のデバイス。
【請求項52】
前記デバイスは、タイヤのキャンバーを調整するように構成されている、請求項43に記載のデバイス。
【請求項53】
前記駆動モータ又はスパイラルベベルギアの位置を監視するように構成されたエンコーダを更に含む、請求項43に記載のデバイス。
【請求項54】
サスペンションを有する車両のホイールアライメントを調整する為のシステムであって、
前記車両のボディに取り付けられたフレームと、
前記フレームに結合された駆動モータと、
前記駆動モータによって回転駆動される駆動軸と、
前記駆動モータによる前記駆動軸の回転が前記ギアを回転させるように、前記駆動軸に係合するギアと、
前記ギアに結合され、前記駆動モータが前記ギアを回転させる時に前記ギアによって回転されるように構成されたオフセットブッシングと、
前記オフセットブッシングに結合されたリンケージであって、前記車両のホイールにも結合されているリンケージと、を備え
前記オフセットブッシングの回転により、前記リンケージが前記ホイール又は前記車両に対して軸方向に垂直に移動して、前記ホイールのアライメントを調整する、システム。
【請求項55】
前記システムはキャンバー調整システムとして構成されている、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記システムはキャスター調整システムとして構成されている、請求項54に記載のシステム。
【請求項57】
前記リンケージは、ダブルウィッシュボーンサスペンションの上部又は下部コントロールアームを備えている、請求項54に記載のシステム。
【請求項58】
前記リンケージは、マルチリンクシステムのストレートアームを備えている、請求項54に記載のシステム。
【請求項59】
前記リンケージは、マルチリンクサスペンションシステムのリンクを備えている、請求項54に記載のデバイス。
【請求項60】
前記リンケージは、前記ホイールの前記トー角を制御する為のサスペンションシステムのトーリンクを備えている、請求項54に記載のデバイス。
【請求項61】
前記駆動軸は、前記ギアを介して2:1を超えるギア比で前記オフセットブッシングにギア結合されている、請求項54に記載のシステム。
【請求項62】
前記駆動軸は、前記ギアを介して5:1を超えるギア比で前記オフセットブッシングとギア接続されている、請求項54に記載のシステム。
【請求項63】
前記駆動モータの作動を制御するように構成された電子コントローラを更に備える、請求項54に記載のシステム。
【請求項64】
前記フレームが、前記オフセットブッシングを枢支するように構成され、更に、前記駆動モータが前記フレームから横方向に延在する、請求項54に記載のシステム。
【請求項65】
前記駆動モータ又は駆動軸の回転を監視するように構成されたエンコーダを更に備えている、請求項54に記載のシステム。
【請求項66】
サスペンションを有する車両のアライメントを調整する為のシステムであって、
前記車両のボディに取り付けられたフレームと、
スパイラルベベルギアであって、
ハイポイドドライブギアと、
前記ハイポイドドライブギアよりも大きい直径を有するオフセットギアと、を含むスパイラルベベルギアと、
前記フレームに結合され、前記ハイポイドドライブギアを駆動するように構成された駆動モータと、
前記オフセットギアに結合され、前記駆動モータが前記ハイポイドドライブギアを回転させて前記オフセットギアを回転させる時に前記オフセットギアによって回転されるように構成された偏心軸と、
前記偏心軸に結合され、前記車両のホイールにも結合されている、リンケージと、を備え、
前記偏心軸の回転により、前記リンケージが前記ホイール又は前記車両のナックルに対して軸方向に垂直に移動する、システム。
【請求項67】
車両のホイールのアライメントを調整する為の装置であって、
電気モータを備えた電気機械アクチュエータであって、キャンバー、キャスター及びトーの内の1つ以上の調整を駆動する為に前記ホイールに結合される電気機械アクチュエータと、
前記電気モータをロックするように構成された電気機械式ブレーキとを備え、前記電気機械式ブレーキが、
前記電気モータに結合されたスプリングリターン付きソレノイドと、
ブレーキアームと、
前記電気モータの回転軸に結合される切欠又は溝付きディスクと、を備えており、
前記ソレノイドは、前記ソレノイドへの電力がオフにされた時に、前記ブレーキアームを前記切欠ディスクに係合させて前記電気モータの回転を阻止するように構成される、装置。
【請求項68】
前記ブレーキアームは前記ソレノイドに枢着されている、請求項67に記載の装置。
【請求項69】
前記電気モータに結合された前記ブレーキアームの為の支持体を更に備えた、請求項67に記載の装置。
【請求項70】
前記電気機械アクチュエータを操作するように構成された電子コントローラを更に備えた、請求項67に記載の装置。
【請求項71】
前記電子コントローラは、前記電子コントローラがキャンバー又はキャスターも調整する場合に、キャンバー又はキャスター調整ユニットを制御することによってトーを調整するように構成される、請求項70に記載の装置。
【請求項72】
前記装置は、前記車両の操向ホイールのトーを調整するように構成されている、請求項67に記載の装置。
【請求項73】
前記装置は、前記車両の非操向ホイールのトーを調整するように構成されている、請求項67に記載の装置。
【請求項74】
更に、ロッドマウント内で回転することによって遠位から近位方向に伸縮するように構成された伸縮式ロッドを備え、
前記電気機械アクチュエータが、ギアセットを介して前記伸縮式ロッドに結合され、前記電気機械アクチュエータが、前記伸縮式ロッドの回転を駆動して前記伸縮式ロッドを伸長又は収縮させるように構成されており、又、
前記伸縮式ロッドの近位端に在るリンクマウントを備え、前記リンクマウントは、前記車両に接続するように構成されている、請求項67に記載の装置。
【請求項75】
更に、並進座面を有するマウントボディであって、前記車両のフレームに剛性的に接続するように構成されている、マウントボディと、
ストラットの端部を保持するように構成されたストラットホルダとを備え、前記ストラットホルダは、前記並進座面に移動可能に接続されており、更に、前記並進座面は、前記ストラットホルダが第1の並進軸に運動することを許容すると共に、前記第1の並進軸に対して横方向の第2の並進軸又は前記第2の並進軸に対して横方向の第3の並進軸に運動することを抑制するように構成され、
前記電気機械アクチュエータは、前記ストラットホルダに結合されて、前記ストラットホルダを前記第1の並進軸に前記並進座面に沿って駆動する、請求項67に記載の装置。
【請求項76】
更に、並進座面を有するマウントボディであって、前記車両のフレームに剛性的に接続するように構成されている、マウントボディと、
上部ウィッシュボーンアームの第1の端部を保持するように構成されたウィッシュボーンアームホルダであって、前記上部ウィッシュボーンアームの前記第1の端部が前記ウィッシュボーンアームホルダに対して枢動し得るようになっており、前記ウィッシュボーンアームホルダは、前記並進座面に移動可能に接続されている、ウィッシュボーンアームホルダと、を備え、前記並進座面は、前記ウィッシュボーンアームホルダが第1の並進軸に運動することを許容すると共に、前記ウィッシュボーンアームホルダが前記第1の並進軸に対して横方向の第2の並進軸又は前記第2の並進軸に対して横方向の第3の並進軸に運動することを抑制するように構成されており、
前記電気機械アクチュエータは前記ウィッシュボーンアームホルダに結合され、前記ウィッシュボーンアームホルダを前記第1の並進軸において前記並進座面に沿って駆動する、請求項67に記載の装置。
【請求項77】
更に、第2のウィッシュボーンアームホルダを備え、前記第2のウィッシュボーンアームホルダは、前記上部ウィッシュボーンアームの第2の端部を保持して、前記上部ウィッシュボーンアームの前記第2の端部が前記第2のウィッシュボーンアームホルダに対して枢動し得るように構成されており、前記第2のウィッシュボーンアームホルダは前記第2の並進座面に可動に接続されており、更に、前記第2の並進座面は、前記第2のウィッシュボーンアームホルダが前記第1の並進軸に運動することを許容すると共に、前記第2の並進軸又は前記第3の並進軸に運動することを抑制するように構成されている、第2のウィッシュボーンアームホルダと、
第2の電気モータを備えた第2の電気機械アクチュエータであって、前記第2の電気機械アクチュエータは、前記第2のウィッシュボーンアームホルダに結合されて、前記第2のウィッシュボーンアームホルダを前記第2の並進座面に沿って前記第2の並進軸に駆動する、第2の電気機械アクチュエータと、
前記第2の電気機械アクチュエータの前記第2の電気モータをロックするように構成された第2の電気機械ブレーキと、を備えている、請求項76に記載の装置。
【請求項78】
更に、前記車両のボディに装着されるように構成されたフレームと、
ハイポイドドライブギアと、前記ハイポイドドライブギアよりも大きい直径を有するオフセットギアと、を含むスパイラルベベルギアと、
前記車両のリンケージと結合するように構成された偏心軸であって、前記偏心軸は、前記オフセットギアに結合され、前記オフセットギアによって回転されるように構成されている、偏心軸と、を備え、
前記電気モータは、前記ハイポイドドライブギアを駆動して前記オフセットギアを回転させるように構成される、請求項76に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許は、2020年10月13日に出願された「ホイールアライメントシステム(WHEEL ALIGNMENT SYSTEMS)」という名称の米国仮特許出願第63/091,235号の優先権を主張し、参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0002】
参照による援用
本明細書で言及される全ての公報及び特許出願は、恰も個々の公報又は特許出願が参照により援用されると具体的且つ個別に示されたのと同程度に、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0003】
技術分野
本明細書では、ホイールアライメント監視及びホイールアライメント制御/調整装置(例えば、ソフトウェア、ファームウェア及びハードウェアを含むシステム、デバイス等)及び方法が記載される。これらのホイールアライメント監視及び/又は調整装置は、車両サスペンション設定を制御する為の1つ以上の電気機械デバイスを含み得る。
【背景技術】
【0004】
任意の車両(例えば自動車)のサスペンションシステムの位置設定は、ハンドル操作、タイヤ摩耗、燃料効率、安全性、乗員快適性等を含む車両の運転特性に有意に影響する。通常、これらの特性の間にはトレードオフがあり、それにより、或る設定のセットは幾つかの運転特性を最適化する傾向があるのに対し、別の設定のセットは他の運転特性を最適化する傾向がある。
【0005】
例えば、一般道路用途に主に用いられる車両は典型的に、乗員快適性を最適化するキャンバー、キャスター及び/又はトーのよりニュートラルな設定を使用するが、ハンドル操作性能を犠牲にする。他方で、競技用途(例えばレース)で主に用いられる車両は典型的に、ハンドル操作性能を最適化する、よりアグレッシブな設定を用いるが、乗員快適性を犠牲にする。
【0006】
車両が一般に単一の目的のみに使用される場合、設定はその用途に適切に固定され得る。しかし、2つ以上の目的、又は2つ以上の運転条件で使用され、運転条件によって設定を変更することが望ましい車両が多く存在する。例えば、最近のスポーツカーの多くは、平日は通勤に使用し(乗員快適性が望ましい)、その後、週末にはスポーツやレジャーに使用する(ハンドル操作性能が望ましい)ものである。更に、ハンドル操作、安全性、燃料効率、タイヤ寿命、排出ガス等の変数を最適化する為に、天候、道路状況、車両の活動/使用等の運転条件に応じて、異なる車両設定を使用することが理想的である。
【0007】
運転特性を変更する為に車両で調整され得るサスペンション設定は、スプリングレート、ダンパーレート、ホイールアライメント(例えば、キャンバー、キャスター、トー)、アンチロールバーレート、ロールセンター、タイヤ圧等を含み得る。磁気ダンパーやアダプティブダンパーは、サスペンションシステムの減衰率を、ボタン押下か、自動で便利に調整することを可能にするが、一般に、その他の設定は、手動で、最も一般的には整備士が調整する必要がある。車両を複数の目的で、或いは複数の運転条件で頻繁に使用する人にとって、頻繁に設定を変更するのは時間と費用が掛かる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、ダンパーレートだけでなく他のサスペンション設定を、例えば、ボタン押下によって、又は自動的に、迅速且つ容易に変更することを可能にするソリューションが必要とされている。更に、既存のサスペンションシステムに後付けすることができるソリューションを提供することが特に有用であろう。本明細書では、この必要性に対処する装置(例えば、デバイス及びシステム)、並びにそれらを製造及び動作させる方法が記載される。本明細書に記載の装置の何れもが、キャンバー、トー、及びキャスター等の1つ以上のサスペンション設定、又はこれらの組み合わせを手動、自動、又は半自動(例えば、電気機械的、ロボット的等)で調整し得る。又、ホイールアライメントが決められた許容レベルを超えて逸脱した場合に運転者/利用者にアラートし、及び/又はホイールアライメントを電気機械的に調整することによって逸脱を自動修正する目的で、ホイールアライメント(例えばキャンバー、キャスター及び/又はトー)を車両上で監視できるソリューションが必要である。特に、これらのシステムは、堅牢で、安価で、高い精度を有することが必要である。本明細書では、この必要性に対処する装置(例えば、デバイス及びシステム)並びにそれらを製造及び動作させる方法を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に記載の装置(システム、デバイス等)及び方法は、ホイールアライメント監視、及び幾つかの構成では、ホイールアライメント制御/調整を提供する。装置及び方法は、コーナリング性能、安全性及び障害物回避に影響するハンドル操作性能の向上、燃費、排出ガス、騒音・振動・ハーシュネス(NVH)、及びタイヤ寿命に影響を与える低い転がり抵抗、並びにタイヤ寿命及びタイヤ偏摩耗に影響する低いピークタイヤ温度を可能にし得る。
【0010】
本明細書に記載の装置及び方法の少なくとも一部は、2017年1月19日に出願された仮特許出願第62/447,912号に対する優先権を主張する、米国特許第10,112,649号として発行された、2018年10月30日出願の米国特許出願第15/875,919号に関連し、又同特許の実質的改良であると共に、2019年7月16日に出願された、「車両サスペンション設定を制御する為の電気化学デバイス(Electromechanical Devices for Controlling Vehicle Suspension Settings)」というタイトルの係属特許出願第16/478,394号に関連し、同出願は、2017年1月19日に出願された仮特許出願第62/447,912号に対する優先権を同様に主張する、2018年1月19日に出願されたPCTNo.PCT/IB2018/000352に対する優先権を主張する米国国内段階出願である。これらの出願及び発行済み特許の全ては、参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0011】
一般に、各ホイールのホイールアライメント設定は、単一の装置又は複数の装置によって合同で又は個別に制御され得る。装置は、車両製造者の標準的サスペンションシステム、又はアフターマーケットのサスペンションシステム対応に構成されてよい。
【0012】
本明細書に記載の装置の何れもが、左輪(例えば運転席側)、右輪(例えば助手席側)、前輪、後輪、操向ホイール、非操向ホイール、駆動輪、非駆動輪、又はこれらの任意の組み合わせ(例えば、両前輪、両後輪、全4輪等)を含む任意のホイール用のサスペンション上で使用され得る。例えば、車両は、前輪アライメント設定を制御する為に、前輪(例えば操向ホイール)にのみ装着された1つ以上のデバイスを有してもよい。別の実施例では、車両は、全てのホイールアライメント設定を制御する為に、全てのホイールに装着された1つ以上のデバイスを有してもよい。
【0013】
一般に、各ホイールのホイールアライメント設定は、他の全てのホイールから独立して制御され得る。例えば、前輪と後輪の間、及び/又は左輪と右輪の間、及び/又は操向ホイールと非操向ホイールの間、及び/又は駆動輪と非駆動輪の間で異なるホイールアライメント設定を行うことが可能であり得る。
【0014】
本明細書に記載の装置は、サスペンションを有する車両のホイールアライメント設定を制御する(例えば、ホイールアライメントを調整する)為の装置を含む。例えば、ホイールアライメントシステムを制御する為の装置は、デバイスであってよく、以下を含み得る:車両に取り付けられるように構成された(及び、デバイスの構成要素を車両に固定するように構成された)フレームと、フレームに結合された駆動モータと、駆動モータによって回転駆動される駆動軸と、駆動軸に係合するギアであって、駆動モータによる駆動軸の回転がギアを回転させるようにする、ギアと、ギアに結合され、駆動モータがギアを回転させる時にギアによって回転されるように構成されたオフセットブッシングであって、オフセットブッシングは、車両のホイールに結合されたリンケージと結合し、リンケージをホイールに対して接離両方向に駆動して、車両のアライメントを調整するように構成される。
【0015】
幾つかの変形形態では、ギア(ギアアセンブリの一部であってもよい)は、ハイポイドドライブギア及びオフセットギアを含み、オフセットギアは、オフセットブッシングを回転させるように構成されている。オフセットギアは、オフセットブッシングに剛結合されてもよい。例えば、駆動軸は、2:1以上のギア比(例えば、3:1以上、4:1以上、5:1以上等)でオフセットブッシングにギア結合され、モータの動きがオフセットブッシングの比較的小さく正確な動きに変換され得るようにしてもよい。リンケージは、サスペンションの一部であってもよい(例えば、ダブルウィッシュボーンサスペンションシステムのコントロールアーム、マルチリンクサスペンションシステムのリンク等を含む)。これらの装置の何れにおいても、リンケージは、ホイールのトー角を制御し得るサスペンションシステムのトーリンクであってよい。これは、後輪ステアリングに有用であり得るものであり、典型的には、サスペンションジオメトリ(即ち、マクファーソン、ダブルウィッシュボーン、マルチリンク等)とは無関係である。
【0016】
フレームは、駆動モータをリンケージに対して垂直に固定するように構成されてもよい。幾つかの変形形態では、フレームは、駆動モータをリンケージと平行になるように固定してもよい。駆動モータは、フレームから横方向に延びてもよい。フレームは、オフセットブッシングを回動可能に支持するように構成されてもよい。
【0017】
これらの装置(例えば、デバイス)の何れもが、本明細書に記載のように、ホイールのキャンバー又はキャスターを調整するように構成されてもよい。
【0018】
装置は、駆動モータ及び/又はギアの位置を監視するように構成された1つ以上のエンコーダを含んでもよい。一般に、これらの装置は、モータに電力が供給されていない時に、オフセットブッシングの位置をロックし、固定するように構成され得る。例えば、駆動モータは、駆動軸の回転を駆動しない時に、所定位置にロックするように構成されてもよい。
【0019】
例えば、サスペンションを有する車両のホイールアライメントを調整する為のデバイスは、フレーム(車両に確りと取り付けられるように構成されている)と、ハイポイドドライブギアと、前記ハイポイドドライブギアよりも大きい直径を有するオフセットギアとを含むスパイラルベベルギアと、前記フレームに結合され、前記ハイポイドドライブギアを駆動するように構成された駆動モータと、前記オフセットギアに結合され、前記駆動モータが前記ハイポイドドライブギアを回転させて前記オフセットギアを回転させる時に、前記オフセットギアによって回転するように構成された偏心軸とを含んでもよく、前記偏心軸は前記車両のホイールに結合したリンケージと結合するように構成される。
【0020】
前記偏心軸は、前記リンケージに結合するように構成されてもよい。前述のように、前記リンケージは、例えば、ダブルウィッシュボーンサスペンションシステムのコントロールアーム、ストレートアーム、マルチリンクサスペンションシステムのリンク等を備えていてもよい。前記リンケージは、前記ホイールのトー角を制御する為のサスペンションシステムのトーリンクを備えていてもよい。
【0021】
これらの装置の何れもが、前記駆動モータの作動を制御するように構成された電子コントローラを含み得る。
【0022】
前述のように、前記デバイスは、例えば、前記駆動モータ及び/又はスパイラルベベルギアの位置を監視するように構成されたエンコーダを含み得る。
【0023】
又、本明細書では、サスペンションを有する車両のホイールアライメントを調整する為のシステムについて記載し、前記システムは、前記車両のボディに取り付けられたフレームと、前記フレームに結合された駆動モータと、前記駆動モータによって回転駆動される駆動軸と、ギアであって、前記駆動モータによる前記駆動軸の回転が前記ギアを回転させるように、前記駆動軸に係合するギアと、前記ギアに結合され、前記駆動モータが前記ギアを回転させる時に前記ギアによって回転するように構成されたオフセットブッシングと、前記オフセットブッシングに結合されたリンケージであって、前記車両のホイールにも結合されているリンケージとを含み、前記オフセットブッシングの回転により、前記リンケージが前記ホイール又は前記車両に対して軸方向に垂直に移動して、前記ホイールのアライメントを調整する。
【0024】
前記システムはキャンバー調整システムとして構成され得る。幾つかの変形形態では、前記システムは、キャスター調整システムとして構成される。
【0025】
前述のように、前記リンケージは、ダブルウィッシュボーンサスペンションの上部又は下部コントロールアーム、マルチリンクシステムのストレートアーム、及び/又はマルチリンクサスペンションシステムのリンクであり得る。前記リンケージは、前記ホイールの前記トー角を制御する為のサスペンションシステムのトーリンクであり得る。前記駆動軸は、上述のように、前記ギアを介して2:1以上のギア比でオフセットブッシングにギア接続されてもよい。
【0026】
前記システムは、前記駆動モータの作動を制御するように構成された電子コントローラを含み得る。
【0027】
サスペンションを有する車両のアライメントを調整する為のシステムは、車両のボディに取り付けられたフレームと、ハイポイドドライブギアと前記ハイポイドドライブギアよりも大きい直径を有するオフセットギアとを含むスパイラルベベルギアと、前記フレームに結合され、前記ハイポイドドライブギアを駆動するように構成された駆動モータと、前記オフセットギアに結合され、前記駆動モータが前記ハイポイドドライブギアを回転させて前記オフセットギアを回転させる時に前記オフセットギアによって回転するように構成された偏心軸と、前記偏心軸に結合され、前記車両のホイールにも結合されている、リンケージと、を含み得、前記偏心軸の回転により、前記リンケージが前記ホイール又は前記車両のナックルに対して軸方向に垂直に移動する。
【0028】
本明細書では、車両の1つ以上のホイールのアライメントを監視する為のシステムについても記載する。これらのシステムは、一般に、そうでなければホイールのトレッド面と共に移動する非回転部分、例えば、ナックル(例えば、ステアリングナックル、スピンドル等)、ハブ(ホイールハブ、ハブアセンブリ等)等のホイールアセンブリの非回転部分に結合した1つ以上のセンサを含み得る。
【0029】
例えば、車両の1つ以上のホイールのアライメントを監視する為のシステムは、以下を含み得る:ホイールのトレッド面と共に移動するように車両のホイールのステアリングナックルに結合された1つ以上のセンサを含むホイール慣性測定ユニット(IMU)と、複数のセンサを含み、車両のフレームに剛結合されたボディIMUと、ホイールIMU及びボディIMUからデータを受信し、ボディIMUデータに対するホイールIMUデータの変化に基づいてキャンバー、キャスター及びトーの内の1つ以上を計算するように適合されたプロセッサ。
【0030】
一般に、IMUは、概括的に1つ以上のプロセッサを指すと共に、加速度計、ジャイロスコープ、及び磁力計等の(これらに限定されない)ポジションセンサ、配向センサ、及び/又は傾斜センサを指し得る。本明細書で使用される場合、IMUという用語は、制御ユニット又は処理ユニットとも呼ばれ得る。例えば、本明細書に記載のシステムは、加速度計(キャンバー及び/又はキャスター測定用)、磁力計(トー及び/又はキャンバー及び/又はキャスターの感知用)等の内の任意の1つ以上から感知されたデータを受信する為の1つ以上の処理ユニットを含み得る。本明細書に記載の装置(例えば、システム)の何れかは、コントローラエリアネットワーク(CAN)トランシーバ(例えば、通信回路)を含むように構成されてもよく、及び/又は、マイクロコントローラ及びデバイス(例えば、センサモジュール、磁石モジュール等)の何れかがホストコンピュータ無しで互いに(及び/又は処理ユニット/IMUと)又は他のアプリケーションと通信することを可能にする為にCANプロトコルを使用するように構成されてもよい。これは、メッセージベースのプロトコルである。各デバイスでは、フレームでのデータが順次送信されるが、複数のデバイスが同時に送信した場合、最も優先度の高いデバイスが続行できるが、他のデバイスがバックオフするような方法で送信される。フレームは、送信デバイスを含む全てのデバイスによって受信されるが、意図された受信デバイス(複数可)によってのみ処理され、処置される。
【0031】
以下でより詳細に説明するように、幾つかの変形形態では、ホイールIMU(例えば、センサモジュール)は、基準磁場を生成する1つ以上の基準磁石を使用し得る磁力計を含み得る。例えば、システムは、ホイールIMUの周囲の車両(例えば、磁石モジュール(複数可))に結合され、ホイールIMUに約0.25mTを超える基準磁場を印加するように構成された1つ以上の磁石を含み得る。磁石は、永久磁石又は電磁石であってもよい。これらのシステムの何れもが、エンコーダリンケージによってステアリングナックルに結合されたエンコーダを含んでもよく、このエンコーダは、プロセッサと通信するように構成されている。
【0032】
例えば、車両の1つ以上のホイールのアライメントを監視する為のシステムは、1つ以上のホイールに(例えば、ホイールのトレッド軸と共に移動するホイールアセンブリの非回転部分に)結合された磁力計と、前記車両のフレームに剛結合され、前記磁力計によって検出される基準磁場を生成するように構成された基準磁石と、前記磁力計からデータを受信し、前記受信したデータに基づいて前記ホイールのトー、キャンバー又はキャスターの内の1つ以上を決定するように構成されるプロセッサとを含み得る。
【0033】
これらのシステムの何れもが、前記車両のフレームに結合された(例えば、剛結合された)ボディセンサを含み得、前記プロセッサは更に、前記ボディセンサからデータを受信するように構成されている。
【0034】
前述のように、これらのシステムの何れにおいても、前記磁力計は慣性センサモジュール(例えば、測定ユニット、又はIMU)の一部であり、前記センサモジュール(例えば、ホイールIMU)は、加速度計、ジャイロスコープ等の追加のセンサを含み得る。例えば、システムは、1つ以上のホイールに結合された加速度計を含んでもよい。
【0035】
本明細書に記載のシステムの何れもが、磁力計による磁場を通る移動が信頼できる読み取りを可能にする為に十分な分解能で相関され得るように、基準磁場を修正(例えば、拡張、拡散等)するように構成された1つ以上の磁場成形磁石を含み得る。磁場成形磁石は、磁力計の周囲の何処に配置されてもよく、磁力計と共に移動してもよい。例えば、磁場成形磁石は、磁力計の後方、磁力計とホイールの間(例えば、ナックル等の領域)に取り付けられてもよい。例えば、本明細書に記載の方法及び装置は、第2の磁場成形磁石を含んでもよい。磁場成形磁石は、例えば、ホイールの回転軸に沿うことを含めて、磁力計の正面に取り付けられてもよい。
【0036】
任意の数の基準(及び/又は磁場成形磁石)が使用されてもよい。例えば、システムは、基準磁場に寄与する車両のフレームに剛結合された第2の基準磁石を含んでもよい。前記基準磁石は、約0.25mTを超える磁場を磁力計に印加するように構成されてもよい。基準磁石は、電磁石を含んでもよい。
【0037】
本明細書では、車両の1つ以上のホイールのアライメントを監視する為のシステムについても記載する。例えば、システムは、前記車両の1つ以上のホイールに結合された磁力計と、前記車両のフレームに剛結合され、前記磁力計によって検出される基準磁場を生成するように構成された1つ以上の基準磁石と、前記基準磁場を拡張するように構成された1つ以上の場成形磁石と、前記磁力計からデータを受信し、前記受信したデータに基づいて前記ホイールのトー、キャンバー又はキャスターの内の1つ以上を決定するように構成されたプロセッサとを含み得る。
【0038】
本明細書には、車両のホイールのアライメントを調整する方法も記載され、前記方法は前記車両上の1つ以上のセンサ(例えば、磁力計、加速度計、ジャイロスコープ等)から入力データを受信するステップと、前記入力データを一次及び二次、又はそれ以上の入力データストリームに優先順位付けするステップと、前記車両の動作ダイナミクスの指標に従って一次入力データを結合するステップと、結合された一次入力データ及び1つ以上のアライメントマップに基づいて、目標ホイールアライメント設定を計算するステップと、目標ホイールアライメント設定を二次入力データストリームと比較するステップと、目標設定を前記車両の1つ以上のアライメント調整ユニット用の駆動信号に変換するステップとを含む。
【0039】
本明細書に記載の方法の何れもが、(入力データの受信の一部として、又は入力データの受信とは別に)1つ以上のセンサモジュール(例えば、ホイールIMU)及び1つ以上の中央IMU(本明細書ではボディIMU又はプロセッサとも呼ぶ)からデータを受信するステップを含み得る。前記1つ以上のアライメントマップは、ノーマルモード、スポーツモード及びスポーツ+モードの内の少なくとも2つに関するキャンバーアライメントマップ(及び/又はキャスターアライメントマップ、及び/又はトーアライメントマップ等)を含み得る。
【0040】
本明細書では、電源がオフの時にアライメント電気機械アクチュエータのモータを所定位置にロックする為の電気機械ブレーキを含む装置についても記載する。例えば、本明細書では、車両のホイールのアライメントを調整する為の装置について説明し、装置は、電気モータを含む電気機械アクチュエータであって、キャンバー、キャスタ及びトーの内の1つ以上の調整を駆動する為に前記ホイールに結合された電気機械アクチュエータと、前記電気モータをロックするように構成された電気機械ブレーキであって、前記電気モータに結合されたスプリングリターン付きソレノイドと、ブレーキアームと、前記電気モータの回転軸に結合されたノッチ付き又はスロット付きディスクとを備え、前記ソレノイドが、前記ソレノイドへの電力がオフにされた時に前記電気モータが回転しないように前記ブレーキアームを切欠ディスクに係合するように構成されている、電気機械ブレーキとを含む。
【0041】
幾つかの実施例では、前記ブレーキアームは前記ソレノイドに枢着されてもよい。これらの装置の何れもが、前記電気モータに結合された前記ブレーキアームの為の支持体を含み得る。前記支持体は、前記ブレーキアームが前記切欠ディスクの切欠に係合された時に、ブレーキアームが曲げられたり破壊されたりしないように支持するチャネル、又はスロットを含んでいてもよい。
【0042】
これらの装置の何れもが、前記電気機械アクチュエータを操作するように構成された電子コントローラを含み得る。前記電子コントローラは、前記電子コントローラがキャンバー又はキャスターも調整する場合に、キャンバー又はキャスター調整ユニットを制御することによってトーを調整するように構成されてもよい。幾つかの実施例では、前記装置は、前記車両の操向ホイールのトーを調整するように構成されてもよい。前記装置は、前記車両の非操向ホイールのトーを調整するように構成されてもよい。
【0043】
これらの装置の何れもが、トーを調整するように構成されていてもよい。例えば、前記装置は、ロッドマウント内で回転することによって遠位から近位方向に伸縮するように構成された伸縮式ロッドを含んでもよく、前記電気機械アクチュエータが、ギアセットを介して前記伸縮式ロッドに結合され、前記電気機械アクチュエータが、前記伸縮式ロッドの回転を駆動して前記伸縮式ロッドを伸縮するように構成されており、更に、前記伸縮式ロッドの近位端にリンクマウントを含み、前記リンクマウントが前記車両に接続するように構成されている。
【0044】
これらの装置の何れもが、キャンバーを調整するように構成され得る。例えば、前記装置は、並進座面を有するマウントボディであって、前記車両のフレームに剛結合するように構成されている、マウントボディと、ストラットの端部を保持するように構成されたストラットホルダであって、前記ストラットホルダは、前記並進座面に移動可能に接続され、更に、前記並進座面が、前記ストラットホルダが第1の並進軸に運動することを許容すると共に、前記ストラットホルダが前記第1の並進軸に対して横方向の第2の並進軸又は前記第2の並進軸に対して横方向の第3の並進軸に運動することを抑制するように構成された、ストラットホルダとを含み、前記電気機械アクチュエータは、前記ストラットホルダに結合されて、前記ストラットホルダを前記第1の並進軸に前記並進座面に沿って駆動する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1A】本明細書に記載のように使用され得るホイールIMU及び中央IMUを含むセンサ(慣性測定ユニット、IMU)の1つの配置構成を有する車両の一部分の斜視図である。
【
図1C】ホイールアライメントモニタリング(WAM)システムの一部分であるセンサの配置構成を有する車両の部分の斜視図の別例を示す図である。
【
図1E】
図1Cに示したセンサの配置構成を有する車両の部分の追加図である。
【
図2A】本明細書に記載のように使用され得るホイールIMU及び中央IMUを含むセンサ(IMU)の別の配置構成、並びに印加外部磁場を有する車両の一部分の斜視図である。
【
図2D】ホイールアライメントパラメータ(例えば、トー)を検出する為に、基準電界内に磁力計を含むホイールアライメント監視システムの一部分の模式図である。
【
図2E】非直線(例えば、拡張)磁力線を使用する
図2Dに示したものに類似したホイールアライメント監視システムの別の実施例の模式図である。
【
図2F】
図2Dに示したものに類似するが、1つの磁場成形磁石が基準磁場の磁力線を拡張しており、同極性の第2の磁石が磁力計の背後に配置されている、ホイールアライメント監視システムの別の実施例の模式図である。
【
図2G】
図2D~2Fに示したものに類似するが、一対の磁場成形磁石が基準磁場の磁力線を拡張している、ホイールアライメント監視システムの別の実施例の模式図である。
【
図2I】センサ(例えば、磁力計を含むIMU)がナックル等のホイールアセンブリの非回転部分に結合され、基準フィールド磁石が車両の静止フレームに取り付けられ、磁場成形電極が磁力計の背後に取り付けられている、ホイールアライメント監視システムの一実施例を示す図である。
【
図2K】ホイールアライメント監視システムと共に使用され得るセンサモジュールの一実施例の斜視図である。
図2Kは、カバーの一部が取り外された
図2Jのモジュールを示す図である。
【
図2M】ホイールアライメント監視システムと共に使用され得る磁石モジュールの一例の斜視図であり、
図2Mは、カバーの一部が取り外された
図2Lの磁石モジュールを示す図である。
【
図3A】本明細書に記載のように使用され得るホイールIMU及び中央IMU、並びに接触ベースのポジションセンサを含むセンサ(IMU)の別の配置構成を有する車両の一部の斜視図である。
【
図3B】
図3Aに示した車両の部分のクローズアップ図である。
【
図4】上部コントロールアームの両端に結合された、キャンバー調整ユニットとして構成されているアライメント調整ユニットの一例を示す図である。
【
図5A】
図4のアライメント調整ユニットの拡大図である。
【
図5B】
図5Aに示したアライメント調整ユニットの第2の拡大図である。
【
図5C】カバーが取り外された
図5Bのアライメント調整ユニットを示す図である。
【
図5D】
図5Cのアライメント調整ユニットの、ドライブギア及びオフセットギアを示す別の斜視図である。
【
図6A】2つのアライメント調整ユニットを含むマルチリンクシステムの斜視図である。
【
図6B】
図6Aのアライメント調整ユニットの、カバーを取り外してドライブギアとオフセットギアを露出させた状態の拡大図である。
【
図7】ノーマルモード、スポーツモード、及びスポーツ+モードの適応型ホイールアライメント制御システムに使用される3つのマップの一例を示す図である。
【
図8】本明細書に記載のAWASシステムを使用して車両のアライメントを自動的に調整する1つの方法の模式図である。
【
図9A】アクティブホイールアライメントシステム(AWAS)を装着した試験車両から、達成可能な横力(g)(例えば、横方向グリップ)を比較する為にキャンバーが調整される一連の試験結果を示す図である。
【
図9B】キャンバーが閉ループ方式で自動調整される試験車両から、転がり抵抗を調べる一連の試験の結果を示す図である。
【
図10】コーナリング中に異なるキャンバー値でタイヤ全体で検出される温度をグラフで示す図である。
【
図11A】3つの装置として構成された、単一ホイールのマクファーソンストラットサスペンションシステムに装着される装置(システム)の一実施例を示す図である。
【
図12A】4つの装置として構成された、1つのホイールのダブルウィッシュボーンサスペンションシステムに装着される装置(システム)の一例を示す図である。
【
図13A】3つの装置として構成された、1つのホイールのダブルウィッシュボーンサスペンションシステムに装着される装置(システム)の別の実施例を示す図である。
【
図14A】マクファーソンストラットサスペンションシステムのキャンバー又はキャスターを制御するように構成された、ホイールアライメントを制御する為の電気機械デバイスの一例の図である。
【
図14C】ストラットタワーがデバイスを示すように分割された、
図13Aに示した電気機械デバイスの側面図である。
【
図15A】ホイールのトーを制御するように構成された、ホイールアライメントを制御する為の電気機械デバイスの一例の図である。
【
図16A】ダブルウィッシュボーンサスペンションシステムのキャンバーを制御する為の2つの(同一の)電気機械デバイスとして構成された、ホイールアライメントを制御する為の装置(システム)の一実施例の図である。
【
図16B】
図16Aに示した電気機械デバイスの内の1つのクローズアップ図である。
【
図17A】アンチロールバーの剛性を制御する為の電気機械デバイスの一実施例の図である。
【
図18A】ホイールのトーを制御するように構成された、ホイールアライメントを制御する為の電気機械デバイスの別の実施例の図である。
【
図19】車両に装着された複数の装置を制御するように構成された、中央制御ユニットの一実施例の図である。
【
図20A】タイヤ温度を測定する為のセンサアレイを含む、単一のホイールに装着される装置(システム)の一実施例の図である。
【
図21A】ホイール角を測定するセンサアレイを含む、単一のホイールに装着される装置(システム)の一実施例を示す図である。
【
図22G】
図14A~Eに示したものに類似するホイールアライメントを制御する為の電気機械装置の一例を示す図である。具体的には、
図22A~12Hの装置は、ストラットを有するサスペンションを有する車両のキャンバーを調整する為の装置である。
図22Aは、マクファーソンタイプのサスペンションのストラットの上部に取り付けられたキャンバーを制御する為の装置の正面斜視図である。デバイスは、マクファーソンストラットサスペンションシステムのキャンバー又はキャスターを制御するように構成される。
図22Bは、ストラットタワーの上部に取り付けられた
図22Aの装置の上面斜視図である。
図22Cは、
図22Bの装置を通る断面図である。
図22Dは、外側ハウジングが取り外され、サスペンション(及びフレーム)の一部が取り外された状態で示した
図22Aの装置の底面斜視図である。
図22Eは、
図22Dの装置の上面斜視図である。
図22F及び22Gは、夫々、ハウジングカバーが有る場合と無い場合の
図22Aの装置を通る別の断面図である。
【
図23H】
図15A~15Bに示したものと類似する、ホイールアライメントを制御する為の電気機械装置の一実施例を示す図である。
図23A~23Hにおいて、装置は、ホイールのトーを制御するように構成される。
図23A~23Bは、トーを制御する電気機械装置の斜視図である。
図23Cは、
図23A~23Bの電気機械装置を通る断面図である。
図23Dは、
図23A~23Bの電気機械装置の一部を通る拡大断面図である。
図23E及び
図23Fは、
図23A~23Bの電気機械装置の夫々側面図及び上面図である。
図23Gは、同じ電気機械装置の拡大左斜視図であり、
図23Fは、拡大右斜視図である。
【
図24】本明細書に記載の電子的に調整可能なシステム(例えば、キャンバー、キャスター及び/又はトーを調整する為のシステム)の何れかの為の電気機械式ブレーキの一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
一般に、本明細書では、ホイールの位置/アライメントを監視する為の装置及び方法、ホイールの位置/アライメントを調整する為の装置及び方法、並びにホイールの位置/アライメントを監視及び調整する装置及び方法について説明する。装置は、システム、デバイス、又はアセンブリを含み得、ハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアを含み得る。これらの装置の様々な構成要素は、本開示において別々に説明されることがあるが、文脈上そうでない場合を除き、これらの構成要素又はサブシステムの何れかを組み合わせて使用してもよく、ホイールの位置/アライメントの監視及び/又は調整に使用するアセンブリを形成してもよいことを理解されたい。
【0047】
本明細書で使用する場合、ホイールの位置/アライメントは、単に「ホイールアライメント」と呼ばれることがあり、キャンバー、キャスター、及びトーの内の何れか1つ以上を含むアライメント角度を含む。
【0048】
アライメント監視
本明細書に記載のアライメント監視装置は、1つ以上のホイールのホイールアライメントを監視する為に使用され得る。これらの装置は、ホイールアライメント(例えば、キャンバー、キャスター、及び/又はトー)を感知、記録、送信し、幾つかの変形形態では解析することができるスタンドアロン監視システムとして使用され得る。幾つかの変形形態では、本明細書に記載のアライメント監視装置は、閉ループフィードバックの提供を含む、正しいホイールアライメントの調整又は維持に使用され得る。
【0049】
本明細書に記載のホイールアライメント装置は、ホイールアライメント監視(「WAM」)システムと呼ばれることがある。これらのホイールアライメント監視システムの何れもが、1つ以上のセンサを含んでもよく、特に、加速度計、ジャイロスコープ、及び/又は磁力計の内の1つ以上を含んでもよい。幾つかの変形形態では、これらの1つ以上のセンサは、慣性測定ユニット(IMU)に統合されていてもよい。これらのセンサは、有線であっても無線であってもよい。センサ(複数可)は、典型的には、ホイールのトレッド面と共に運動するホイールアセンブリ(例えば、各ホイールアセンブリ)の非回転部分に取り付けられる。ホイールのトレッド面とは、ホイールのトレッド面に対して横方向に通る平面を指し、ホイールの正中線を通る円でトレッド面を横断することができる。例えば、センサ(複数可)は、タイヤのホイールナックル(ステアリングナックル、スピンドル等)、ハブ(ホイールハブ、ハブアセンブリ等)又は車軸に取り付けられてもよい。1つ以上のセンサは、トレッド面と共に運動するタイヤマウントの任意の非回転部分に結合されてもよい。
【0050】
ホイールアライメントセンサは、タイヤのトレッド面が車両のボディ(例えば、車両のフレーム)に対して変化するにつれ、タイヤのトレッド面と共に運動するタイヤマウントの非回転部分に剛結合されてもよい。センサ(複数可)は、小さい(例えば、0.1mm未満の)変化でも検出できる。ホイールの周辺(ホイールウェル)は、多くのデブリ、運動、水、泥、及びその他の環境要因に潜在的に曝される為、車両の通常又は例外的な動作中に正確なセンシングを提供することは困難である。静止状態でのセンシング(車庫入れ時の調整等)とは対照的に、運転中のセンシング、特に高い忠実度と感度(例えば、0.1mmを超える)でのセンシングは、実現が困難であることが分っている。更に、車庫入れ後の車両で確実に使用できる特定のセンシングモードは、車両が路面状態(凹凸、濡れ)や天候(雨、雪等)の変化に曝される可能性がある運転中には使用できないことがある。本明細書に記載の装置の感度は、典型的には、0.1度以下の検出を可能にする。より低い感度の検出(例えば、0.5mm)は、十分な検出を提供しない場合がある。更に、タイヤマウントの非回転部分に取り付けられるこれらのセンサ(又はセンサアセンブリ)は、ホイールの操作(例えば、回転)に干渉したり、妨げたりしてはならず、ホイールウェルの、露出した厳しい環境に適合する必要がある。
【0051】
幾つかの変形形態では、加速度計等の重力センサが、特にキャンバー及び/又はキャスターを測定する為に使用されることがある。代替的又は追加的に、複数のセンサが一緒に使用されてもよい(例えば、加速度計、ジャイロスコープ及び/又は磁力計)。本明細書でより詳細に説明されるように、磁力計は、トーを検出する為に(単独で、又は加速度計、ジャイロスコープ等の内の1つ以上と組み合わせて)使用されてもよく、これらの装置は、背景の地球磁場がタイヤ角度の比較的小さい変化を検出するのに十分な感度を提供するには弱すぎる場合があるので、磁力計の基準及び/又は正規化を提供する為の印加局所磁場を含む場合がある。以下に説明するように、印加外部磁場が使用される場合、印加磁場の方向及び/又は大きさの不均一性(例えば、磁場の「フリンジ領域」)に起因して生じる可能性のある非線形領域を防止するように、印加磁場を調整することができる。他の変形形態では、印加外部磁場は、検出感度を向上させる目的で非線形領域を提供するように調整され得る。
【0052】
前述のように、本明細書に記載のホイールアライメント監視(WAM)システムは、ローカル(例えば、車内での表示又は保存用)又はリモート(例えば、遠隔地での表示又は保存用)でアライメント情報を提供し得る。例えば、本明細書に記載のホイールアライメント監視システムは、1つ以上のホイールアライメント構成要素(例えば、キャンバー、キャスター及び/又はトー)の情報を含むホイールアライメント情報(1つ以上のホイール、例えば、2輪、3輪、4輪以上について)をダッシュボード上を含む車両内のディスプレイ又はストレージに提供してもよい。代替的又は追加的に、この情報は、表示及び/又は保存の為に遠隔地に送信されてもよい。情報は、データが収集された車両の識別情報、並びに日付/時間情報、及び車両が動作していた1つ以上の条件(速度、場所、外気温、気象条件等)の1つ以上の指標でエンコードされる場合がある。情報は、リアルタイム又はほぼリアルタイム(例えば、10分以内、7分以内、5分以内、2分以内等の数分以内)でローカル及び/又はリモートに表示され得る。
【0053】
一実施例では、車両のフリート(トラックのフリート等)は夫々、本明細書に記載のようなホイールアライメント監視(WAM)システムの内の1つ以上を含む。システムは、リモートサイト(例えば、監視プロセッサ)で連続的又は定期的に車両の各々のアライメント情報を受信してもよく、この情報は、後で確認する為に表示及び/又は保存されてもよい。幾つかの変形形態では、この情報は、処理されて、車両、又は車両の1つ以上のホイールが、キャンバー、キャスター及び/又はトーの内の1つ以上について、所定のアライメント範囲内に無いことを示す1つ以上のレポート及び/又はアラートを生成してもよい。アライメントが修正され得るように、監督者、及び/又は車両運転者にアラートが提供される(例えば、送信、電子メール送信、テキスト送信等)ことがある。同様に、個々の車両(例えば、自動車、トラック、バス等)のアライメント監視(WAM)システムは、アライメントパラメータの内の1つ以上が予め定義された範囲を超えた時に、警告、警報又は信号(例えば、トーン、ダッシュボードライト、テキスト、電子メール等)を提示するように構成され得る。本明細書に記載の方法及び装置(例えば、システム)の何れにおいても、アライメントデータ(例えば、トーに関するデータ、キャンバーに関するデータ、及び/又はキャスターに関するデータ)は、フリートマネージャがアクセスする為にリモートサーバに送信され得る。
【0054】
本明細書では、車両の1つ以上のタイヤのアライメントを監視し、1つ以上のアライメント調整デバイスを用いてアライメントを自動又は半自動的に調整するアライメント監視(WAM)システムを含む装置も、以下により詳細に記載されている。従って、これらのシステムは、車両の運転中を含む、ホイールアライメントの能動的な調整に使用され得る。
【0055】
例えば、本明細書では、監視対象の車両の1つ以上の(例えば、各)ホイールに取り付けられた1つ以上の慣性測定ユニット(IMU)に加えて、シャーシ/ボディ上の車両の中央に取り付けられた1つ以上のIMUを用いる装置及び方法を説明する。中央IMUは、空間における車両のシャーシ/ボディの基準フレームを提供し得る。各ホイールに取り付けられたIMUは、各ホイールの測定フレームを提供し得る。各ホイールの測定フレームを中央基準フレームと比較することにより、各ホイールの角度及び配向を決定することができ、各ホイールのアライメント(キャンバー、キャスター及び/又はトー)を決定することを可能にする。
【0056】
一般に、各IMUは、例えば、3軸加速度計、3軸ジャイロ、及び3軸磁力計を有する9自由度(9DOF)IMUを含む、任意のタイプのIMUであり得る。これより少ない自由度も使用することができ、各IMUは異なっていて、異なる自由度数を有し得る。
【0057】
一例として、9自由度を有する中央IMUを使用して、空間における車両の全体的なピッチ、ロール、及びヨー角度を記述することができる。次に、各ホイールに取り付けられた9自由度のIMUが、空間における各ホイールのピッチ、ロール、及びヨー(ヘディング)角を記述することができる。これらの角度を、車両の中央IMU(シャーシ/ボディを記述する)の角度と比較することで、キャンバー(ロールから)、キャスター(ピッチから)、トー(ヨーから)を決定できる。各IMUからの出力データは、例えば、オイラー角又は四元数を含み得る。
【0058】
別の例では、3軸加速度計と3軸磁力計(合計6DOF)を含む中央IMUを使用して、車両のピッチとロール(例えば、3軸加速度計と重力ベクトルを使用)を記述し、更にそのヨー(例えば、3軸磁力計と地球磁場を使用して車両のヘディングを決定する)を記述できる。同様に、3軸加速度計と3軸磁力計を含む1つのIMU(合計6DOF)を使用して、各ホイールのピッチとロール(再び重力ベクトルを使用)、及びヨー(再び地球磁場を使用して、今度はホイールのヘディングを決定する)を記述できる。これらの角度を比較することで、各ホイールのキャンバー、キャスター、トーが決定される。
【0059】
何れのIMUでも、使用されるデータは、所定のセンサ(例えば加速度計)からの生の出力、又は時間経過に伴う誤差とセンサドリフトを最小化する為に、複数のセンサからの融合データであり得る。
【0060】
図1A及び
図1Bは、この概念の一例を示している。
図1Aの斜視図において、中央IMU3は、
図1のホイールアセンブリに取り付けられた図示のIMU1等、ホイール/タイヤと共に移動するホイール上の1つ以上のIMUに対する任意の適切な位置で、車両のフレーム又はボディ(図示せず)上に配置され得る。
図1において、ホイールIMU1は、ホイールのトレッド面と共に移動するホイールに結合された非可動リンク(この例では、ホイール5のナックル7上に示されている)に取り付けられている。ナックルは、タイロッド11と、上部コントロールアーム(ウィッシュボーン)13と、下部コントロールアーム(ウィッシュボーン)15とにも取り付けられている。下部コントロールアームに結合されたストラット17も示されている。中央IMU3及び1つ以上のホイールIMU(複数可)1は、互いに(有線又は無線で)通信してもよく、及び/又は、例えば、本明細書に記載のように、1つ以上のアライメントパラメータ(キャスター、キャンバー、及び/又はトー)を調整する為に装置を制御し得るプロセッサと(有線又は無線で)通信してもよい。
図1Bは、
図1Aと同じ車両部分の側面図である。
【0061】
図1C~1Eは、ホイールアライメント監視システムの別の実施例を示す。この実施例では、システムは、センサモジュール1’と磁石モジュール22を含む。センサモジュール1’は、ホイールアセンブリの非回転部分(例えば、ステアリングナックル又はハブ)に剛性的に取り付けられ、磁石モジュール22は、恐らくブラケット24(この例では、車両本体から剛性的に延びて示されている)を介して車両のシャーシ又はボディに剛性的に取り付けられる。センサモジュールがサスペンション及びホイールアセンブリと共に移動するにつれ、センサモジュールは磁石モジュールに対して相対的に移動し、システムはホイールアセンブリのキャンバー、キャスター及び/又はトーを測定することができる。システムは、任意で、車両のボディ又はシャーシのロール、ピッチ及び/又はヨーを測定する中央IMU3’を含んでもよい。中央IMU3’は、車両のセンサモジュール及び/又は磁石モジュールから入力を受信するプロセッサをも含み得る。
【0062】
この実施例では、キャンバーとキャスターは、センサモジュール内に含まれる低域高精度加速度計(例えば、2gフルレンジ)を介して測定される。システムは、高精度加速度計を使用して、地球の重力ベクトルに対する傾斜角度を検出してもよい。トーは、以下により詳細に説明されるように、磁石モジュールによって生成される局所磁場に対する水平面内のホイールアセンブリの角度を検出する、磁力計を介して測定される。このシステムは、0.1度未満の精度でキャンバーとキャスターの角度を検出し、ホイール毎に0.1mmよりも優れたトーにすることができる。
【0063】
各センサモジュールは、サスペンションヘルスモニタリング用の高レンジ加速度計(例えば、100gフルレンジ)をも含み得る。この加速度計により、車両がポットホール、縁石、又は他の障害物にぶつかった時等、ホイールへの高g衝撃を検出することが可能になる。又、加速度計は、メンテナンス信号の為にホイール又はサスペンションシステムのノッキングや振動を検出することができ、例えば、誤ったホイールバランス、ブッシュの過剰な遊び、又はより深刻な問題を検出することができる。
図1D~1Eに示すセンサモジュール1’は、例えば
図2J及び
図2Kを参照して以下でより詳細に説明され、
図1D~1Eの磁石モジュール22は、
図2L~2Mを参照して以下で説明される。一般に、センサモジュールは、非回転式ではあるが、タイヤと共に移動する(例えば、タイヤと共に回転しない)。磁石モジュール22は、典型的には、車両のフレームに取り付けられて、静止したままである。
図2C~2Eでは、磁石モジュールは、車両のボディから延びるブラケット24によって取り付けられる。ブラケットは、車体に対して静止したまま(従って、磁石モジュールを静止状態で保持する)となるように、車体に剛結合されてよい。
【0064】
図2A~2Cは、中央IMU1403と、監視対象の各ホイールに取り付けられたホイールIMU1401とを含む装置の別の実施例を示している。この例では、アライメントパラメータ(例えば、トー)が、上述のように、磁石モジュールからの基準として各ホイールの近くに提供される局所磁場を使用して測定される。
図2Aにおいて、ホイール5は、ホイールのトレッド面(ここではナックル7として示されている)と共に移動する、ホイールIMU1401が結合された非回転リンケージに取り付けられており、ホイールIMUがホイールと共に傾くようになっている。
図1A~1Bのように、ホイールIMUは、同じくホイールのトレッド面と共に移動する他の構造(例えば、タイヤのトレッドの中心をタイヤ周方向に通過する平面)に取り付けられる。前述のように、タイヤの動きに対する外部基準としての印加磁場が提供されてもよく、この例では、2つの磁石1421、1423が車両のシャーシ/ボディ(図示せず)に取り付けられて、ホイールのIMU1401を横切る磁場を確立する。磁場は静止しており、車両のシャーシ/ボディのフレームに固定されているので、ホイールが回転する(例えば、ホイールのトー角を変える)度に、ホイールのIMU内の磁力計(例えば、3軸磁力計)が静磁場からの磁場方向の相対変化を測定することになる。各ホイールのキャンバー及びキャスターは、車両のシャーシ/ボディのロール及びピッチに対する各ホイールのロール及びピッチに基づいて(即ち、重力ベクトルを用いて)決定され得る。
図1C~1Eは、磁石モジュール(図示のように静磁場を形成する磁石(複数可))が、磁場が車両のボディに対して横方向に(例えば、車軸(複数可)の方向に平行に)実質的に均一になるようにボディから延びる剛性部材に取り付けられている代替案を示していることに留意されたい。
【0065】
このように、これらの変形形態の何れにおいても、車体に対して固定された外部磁場の印加により、局所磁場が形成されることがある。幾つかの変形形態では、この磁場は、使用中に磁力計の感度を維持する為に、予測可能な方法で磁力線が分布するように変更されてもよい。これについては、以下でより詳細に説明する。
図2A~2Cに示す例では、2つの磁石1423、1421が、磁力計(例えば、ホイールに結合されたIMUの一部を形成する)が移動され、従って予測可能な変化を検出し得るような外部磁場を生成することが示されている。
図2A~2Cでは、2つの磁石がホイールの側面(正面と背面)に配置されている。幾つかの変形形態では、単一の磁石のみ、又は2つより多い磁石が使用されてもよい。例えば、単一の磁石は、例えば、ホイールの中心軸(例えば、中立位置ではトレッド面に垂直、中心軸ではディスク軸)に沿って、ホイールの後方に配置されてもよい。この位置は、磁石を磁力計(例えば、幾つかの変形形態では、IMU)に近接して配置することを可能にし、これにより、小型で単一の磁石を使用を可能にし得る。
【0066】
例えば、
図2Dは、剛性アーム1422を介してホイールアセンブリ(例えば、ナックル等のタイヤのトレッド面と共に移動するホイールアセンブリの非回転部分)に接続されている3軸磁力計を含むIMUの一例を示している。これは、車両のホイールアセンブリを上面/平面図から見ており、円がホイールアセンブリのステアリング回転軸を表していることに留意されたい。ステアリング入力を介して、又はトー角変化1431を介して、ホイールアセンブリ(例えば、ストラット)1405が回転すると、IMU1401は、ホイールアセンブリと共に回転すると共に、剛性レバーアーム(回転軸の中心から外れて取り付けられている)に起因して並進移動もする。この例のIMUは、3軸全てにおいて局所磁場1425を測定する為に使用され、これに基づいて、IMUが移動する際に回転角度が測定され得る。固定磁石1427によって印加される均一で直線的な磁場1425内では、自身の中心軸を中心としたIMUの回転のみを検出することができ、これにより十分な測定感度を提供し得る。
【0067】
図2Eは、IMU1401の一部として磁力計を含むホイールアライメント監視システムの別の実施例を示す。場合によっては、
図2Dに示されるような構成における磁石(基準又は静止磁石1427)の使用は、十分な測定感度を提供しないことがある。例えば、検出可能なIMU角度は、例えば、トー変化が1ミリメートル当り0.3度しかない場合がある。しかし、トー変化を約0.1mmまで検出することが望ましい場合があり、それにより、検出可能なIMU角度は0.03度のみとなり、これは殆どのこのようなセンサのノイズフロア内となる。これを克服する為に、本明細書では、IMUの中心軸周りの回転と、タイヤの移動に伴う並進移動(例えば、レバーアームによる)の両方を磁気的に検出できるように、磁場を操作する技術を説明する。
図2Eに示すように、これは、磁力計(例えば、IMU1401)の並進だけでも、センサに対する磁場の角度に基づいて検出できるように、非直線の磁場線1436を提供することによって達成され得る。非直線磁場を提供する方法は、後述の
図2F及び
図2Gに示されるように多数あるが、一般的には、この概念は、タイヤの回転とその並進移動の両方に基づいて磁力計(例えばIMU)の磁気角変化を測定することによって、トー角変化に対する検出感度を高めることを含み得る。非直線磁場線1436の使用は、ミリメートル当り1度以上のトー、更にはミリメートル当り5度以上のトーという高さまで検出感度を確実に高めることが判明している。
【0068】
例えば、
図2Fは、磁力計に基準磁場1428を提供する為に使用され得る磁石の磁場を操作する方法の一例を示し、この場合、磁場は不均一(非直線状)である。第2の磁石は、第1の磁石と磁気的に対向するようにIMUの背後に配置される。第2の磁石1428は、磁場成形磁石であってもよい。磁石のサイズ、磁場強度、並びに互い及びIMUに対する位置は、感度、誤差、信頼性等を含む検出特性を最適化する為に調整され得る。場合によっては、第2の磁石1428は、IMUと一緒に回転及び/又は並進するように、ホイールアセンブリに取り付けられ得る。これは、その場所に剛性のシャーシ又はボディマウントを提供する容易な方式が無い状況で有用であり得る。試験中、第2の磁石が回転及び/又は並進することは、動き(例えば、トー角のような角度)を検出するシステムの能力を妨げない。
【0069】
何れの変形形態においても、湾曲又は円弧磁石を使用して、第1の磁石、例えば静止基準磁石を置き換え、第2の磁石、例えば磁場成形磁石の必要性を潜在的に低減又は無くすることも可能である。第1及び第2の磁石は、永久磁石であってもよいし、一方又は両方が電磁石であってもよい。幾つかの変形形態では、使用中に道路/環境から金属粒子が集まるのを防ぐ為にオフにすることができるように、電磁石を使用することが特に有用であり得る。
【0070】
図2Gは、一次(第1の)基準磁場が図示のように単一の(例えば、電磁石)1427によって提供される一方で、一対の磁場成形磁石1428、1428’が使用されるホイールアライメント監視システムの別の実施例を示す。2つの追加の磁石は、磁力線1436を「引き出す」為に使用され、(例えば、IMU1405における)磁力計によるより大きいダイナミックレンジのセンシングを可能にし得る。
【0071】
磁力計と、基準磁場(特に、成形された基準磁場)を提供する基準磁石の使用は、トーを含むホイールアライメントを検出する為の正確で非接触の技術を可能にし得る。
【0072】
図2Hは、
図1C~1Eに示したものと同様に、ホイールアセンブリの非回転部分(例えば、ナックル)に取り付けられた磁力計(IMU1401の一部として示される)を使用する、本明細書に記載のホイールアライメント監視システムの一実施形態の別の例を示す。
図2A~2Cと同様に、ホイールIMU(例えば、センサモジュール1401)及び中央IMU1403の両方が示され、一次磁石1427(例えば、磁石モジュール)を用いて、局所磁場(基準磁場)を生成する。一次磁石は、車両のフレーム(図示せず)に剛性的に接続される保持ブラケット1437に取り付けられる。磁石は、この例では、非直線状の磁場が生じるように配置されている。前方磁石(画像に示す)は、マウントブラケットに剛性的に接続され、車両のボディ/シャーシに剛性的に接続される。従って、この前方(基準)磁石は、車体に対して動くことは無い。第2の、後方磁石(見えない)は、ホイールIMU1401のようなセンサ(磁力計)の真後ろに位置してもよく、ホイールIMUのパッケージング/ハウジングに一体化され得る。磁石は、磁気的に反対となるように配置されてもよく、それによって、上記のように磁力線を歪ませる。本実施形態では、ホイールIMUと後方磁石の両方が車体に対して相対的に移動するが、これは問題無く、ホイールのトー角を検出する為の良好な測定感度を齎すことが分っている。
図2Iは、ホイールIMU1401、基準磁石1427及び基準磁石用マウント1437を含むホイールアセンブリの拡大図である。
【0073】
図2Hにおいて、各磁石の相対的なサイズ及び磁気強度は、各磁石とIMUとの間の距離と同様に、感知性能を最適化するように調整され得る。又、このアセンブリは、キャンバー角(即ち、キャンバー角は、加速度計の読み取り値又は磁力計の読み取り値、或いはその両方を介してホイールIMUによって測定され得る)及び/又はキャスター角(即ち、キャスター角はホイールIMUによって測定され得る)の検出にも用いられ得ることに留意されたい。マウントブラケットは、任意の形態を取り得る。
【0074】
幾つかの変形形態では、外部から印加される磁場を用いず、それによって、IMUは、代わりに、基準として地球の自然磁場に頼ってもよい。他の変形形態では、局所的な外部印加基準磁場を使用することが有益であり得る。例えば、局所磁場は、(例えば、比較的弱い地球磁場と比較して)増加した磁場を提供してもよく、それで磁力計センサのドリフトを防ぐ。予備的な結果では、約0.25mTの印加磁場(約0.025mTである地球磁場の磁場強度等の天然磁場と比較して)の使用は、本明細書に記載の磁気センサを用いたトー角のセンシングの精度及び感度を改善し得ることを示している。局所磁場を使用すると、局所磁場強度は、0.25mTを遥かに超え、5.0mTまで高くなった。これにより、トー角のセンシングがより正確で高信頼性になり得る。任意のタイプ及び個数の磁石を使用して静磁場を提供してもよい。これには、永久磁石及び/又は電磁石が含まれ得る。1つ以上の磁石を使用して局所磁場を確立できるが、幾つかの変形形態では、複数の磁石を使用すると磁力線がより真直ぐで強くなる傾向がある為、複数の磁石を使用することが望ましくあり得る。1つ以上の磁石は、ホイールのIMUに亘る磁場ベクトルが地球の重力ベクトルに対して垂直に近くなるように、車両の水平面内又はその付近に取り付けられてもよい。場合によっては、車両のシャーシ/ボディのヨー/ヘディングを監視する必要は無い。
【0075】
図2J~2Kは、センサモジュール1450の一例を示している。図示のセンサモデルは、ホイールの非回転部分(例えば、ナックル、ハブ、車軸等)に取り付けられる。センサモジュールは、低背で取り付けられ、センサコンポーネントを保護するように構成された外部ハウジングを含み得る。
図2Jに示す例では、ハウジング1451はL字型であってもよく、これは、車両のホイール及びボディ、並びに重力及び磁場等の外界に対して内部構成要素を所定の配向に配置しながら、低背で取り付けることを支援し得る。センサモジュールは、例えば、高感度、例えば2gの検出範囲を有する第1の、例えば低域の加速度計、より低い感度(例えば100gの検出範囲)を有するオプションの第2の、例えば高域の、加速度計、及び磁石モジュールによって生じる局所磁場に基づいてトー角を測定する為の磁力計を含む1つ以上の加速度計を収容してもよい。第1の加速度計は、キャンバー角及び/又はキャスター角を0.1度よりも良好に測定する為に構成されてもよく、第2の加速度計は、サスペンションのヘルスモニタリング、例えば、ポットホール、縁石の衝撃及びサスペンション問題を検出する為に構成されてもよい。第2の加速度計はオプション機能である。幾つかの例では、単一の加速度計が、キャンバー角及び/又はキャスター角の測定と衝撃の検出(例えば、サスペンションの健全性の監視)の両方に使用される場合がある。幾つかの例では、センサモジュールは、磁力計のみを含み、局所的に取り付けられた磁石(複数可)(例えば、幾つかの例では、磁石モジュール)によって生じる局所磁場に基づいてトー角を測定するように構成されてもよい。他の例では、センサモジュールは、磁力計のみを含み、局所的に取り付けられた磁石(複数可)(例えば、幾つかの例では、磁石モジュール)によって生じる局所磁場に基づいてキャンバー、キャスター及び/又はトー角を測定するように構成され得る。センサモジュールは、単一のハウジングであってもよいし、2つ以上の相互接続されたハウジングであってもよい。幾つかの例では、センサモジュールは、異なるハウジングの間に分散されてもよい。センサモジュールは、電池式であってもよいし、有線接続(例えば、自動車電源への接続)により電力供給されてもよいし、その両方であってもよい。例えば、センサモジュールは、充電可能な電源(例えば、バッテリ)を含んでもよい。センサモジュールは、1つ以上のセンサ(例えば、磁力計、加速度計等)に電力を印加及び/又は調整する為の電力制御回路を含んでもよい。
【0076】
一般に、センサモジュールは、1つ以上のセンサから信号を受信し、その信号を別のIMU(例えば、中央IMU)又は車両上の電子制御ユニット(ECU)に渡す為の通信及び/又はデータ記憶(例えば、メモリ)を含み得る。幾つかの例では、センサモジュールは中央IMU又はECUに有線接続され、幾つかの例では、センサモジュールは中央IMU又はECUと無線で通信する。幾つかの例では、センサモジュールは、センシング及び/又はデータ(感知値)の保存、処理及び/又は送信を規制するローカルプロセッサを含み得る。例えば、センシングモジュールは、センサモジュールが1つ以上のセンサからセンサ出力を読み取る頻度を設定又は決定するローカルプロセッサ及び/又はローカルIMU(例えば、センサモジュール)を含み得る。センシングの周波数は、一定であってもよいし、調整可能(可変を含む)であってもよい。例えば、センサモジュールは、0.1Hz~500Hzの周波数(この範囲内の任意の値、例えば、0.5Hz、1Hz、2Hz、3Hz、4Hz、5Hz、6Hz、7Hz、8Hz、9Hz、10Hz、50Hz、100Hz、150Hz、200Hz等)等の連続周波数でセンサデータを読み取り及び/又は処理及び/又は送信するように構成され得る。各センサは、指定された周波数で読み取ることができ、これは異なっていても同じであってもよい。幾つかの例では、センサ値が記録される周波数は可変であってよい。例えば、センサは、動作中に変化するレートで読み取られ、及び/又は処理され、及び/又は送信されてもよい。例えば、レートは、車両の速度に基づいて変化させることができ、車両の走行速度が速いほど、センサが読み取られ及び/又は処理され及び/又は送信される頻度が高くなる。従って、低速では、センサ(複数可)は、より低い周波数で質問されることがある。別の例では、センサは、例えば、車両が静止している場合及び/又は比較的水平な場合(例えば、平坦な地面上)等、特定のプリセット条件が満たされた場合にのみ、読み取り及び/又は処理及び/又はデータ伝送され得る。別の例では、センサが読み取り及び/又は処理及び/又はデータ送信される時にノイズや振動の無い、より信頼性の高い読み取り値を提供する為に、複数の測定値が時間に亘って取られ、平均化されてもよい。
【0077】
図2Kは、第1の低域、加速度計1453(キャンバー及びキャスター測定用)及び第2の高域加速度計1455(サスペンションヘルスモニタリング用)を保持する内部ハウジングを示すセンサモジュールの一例を示している。センサモジュールは、磁力計1457(トー測定用)をも含む。磁力計は、この例に示すように、z軸1459が整列された状態で配向される。
【0078】
図2L~
図2Mは、磁石モジュール1460の一例を示している。一般に、磁石モジュールは、磁石だけを含んでもよいし、ハウジング1461と、ミューメタルを含む1つ以上の他のコンポーネントを含んでもよい。
図2Lでは、磁石モジュール1460は、ハウジング1461が閉じた状態で示されている。磁石モジュールは、比較的低背で本体(又は本体に剛結合されたブラケット等の本体の延長部)に取り付けられるように構成されている。
図2Mは、ハウジングカバーを取り外した
図2Lの磁石モジュール1460を示す。
図2Mの例では、磁石モジュールは、棒磁石1467(例えば、この実施例では、50mm×15mm×15mmの磁石であるが、磁石は異なる寸法を有してもよい)を含む。この実施例の磁石は、車両に取り付けられた時にセンサモジュールに向く偏光方向1465(貫通厚さ方向)に配向される。幾つかの実施例では、磁石は、車両に取り付けられた時に、反対方向に向くように配向され得る(例えば、
図2Mの南北方向を反転)。本実施例の磁石モジュールは、磁石モジュールの傾きを感知するのに使用する加速度計1469も含む。この実施例では、加速度計は、磁石のロール角及びピッチ角(例えば、2軸の傾き)を0.1度より良く測定する為の低域加速度計(高感度、例えば2g検出範囲を有する)である。
図2Mは、磁石モジュールのピッチ1471及びロール1473の軸をも示している。
【0079】
使用時、
図2J~2Kに示した例示的なセンサモジュール及び
図2L~Mに示した磁石モジュールは、上述の
図1C~1Eに示した構成と同様の車両内に構成されてもよい。局所磁場は、
図2Eに示したものと同様であってもよく、例えば、磁場は、磁石モジュール1427とセンサモジュール1401との間の方向に、水平面内で、車軸と概ね一直線上に通っていてもよい。例えば、磁北が磁石のホイール側にあり、磁南が車体側にある場合もあり、その逆もある。
図2Mに示す例では、矢印1465が磁場の方向を示している。この磁石の配置は、車両の車高変化に起因するスプリアスなトーの読み取り値を防止することができる。
図2Mを参照すると、棒磁石は垂直方向に長く、矢印の辺りで厚み方向に分極されている。磁石の上端と下端に向かって、磁力線は磁石の両端を中心に(例えば、上下に)湾曲して対向する磁極に回り込む傾向となる。しかし、磁石の中央部(垂直方向)に向かうと、磁石の両端では無く側面に回り込む為、磁力線はほぼ水平面内に存在することになる。トーの測定は、ホイールが回転してトーが変化する時に通過する平面である水平面内の磁場の変化を検出することで実現する。従って、本明細書に記載のように、十分に長い磁石を有し、磁石の中央領域内に留まることによって、垂直方向の高さに関係無く、純粋な2Dの水平磁場が見られ得る。磁石モジュール内の磁石は、長方形であってもよく、言及したように、磁場が水平になるように配向されてもよい。従って、磁石は、車両のボディに取り付けられた時に、図示のように、極が配置された状態で延在するように構成されてもよい。磁石は、磁石の長さが最小の長さを超える(例えば、1cmを超える、2cmを超える、3cmを超える、4cmを超える、5cmを超える、6cmを超える、7cmを超える、8cmを超える、9cmを超える、10cmを超える等)ように構成されてもよい。これにより、運転中に車両のホイールが車体に対して僅かに上下動する場合(例えば、サスペンションの移動による)でも、トー角の正確な測定を可能にし得る。従って、トーセンシングは、車両のホイール高又は車高の変化に対して比較的鈍感である可能性がある。トーセンシングは磁場の方向に依存する為、幾つかの例では、印加磁場の角度が正しい方向に配向されていることを確認することが有益であり得る。例えば、磁石モジュールは、アライメントセンサ(例えば、傾きセンサ)を含み得る。システムは、傾きを確認し、傾きがずれている場合に調整し、及び/又は傾きがずれていること、及びシステムの較正が必要であることのアラートをトリガする為の電子機器を含み得る。
【0080】
本明細書に記載のセンサ(例えば、ホイールIMU、中央IMU、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計等)は、感知されたデータを、検出された温度に基づいて較正及び/又は調整し得る温度センサを含む場合もある。例えば、加速度計、ジャイロスコープ、及び/又は磁力計は、感温性であってもよく、これらからの読み取り値は、感知された温度に基づいて調整されてもよい(例えば、熱較正/オフセット)。
【0081】
図3A~3Bは、トー角が、磁場を介してでは無く、各ホイールへの物理的接続を介して測定される別の変形形態を示す。この場合、物理的なリンクがホイールに(例えばステアリングナックル又はハブに)取り付けられ、他端(車両のシャーシ/ボディに向かって)でエンコーダ等の測定デバイスに接続されてもよい。各ホイールのキャンバー及びキャスターは、車両のシャーシ/ボディのロール及びピッチに対する各ホイールのロール及びピッチに基づいて(即ち、重力ベクトルを用いて)決定され得る。
【0082】
図3Aに示すように、ホイールIMU1501(センサモジュール)も、上述のように(ナックル7、ハブ等を介して)ホイール5に結合されているので、ホイールと共に傾くが、必ずしもホイールと共に回転する訳では無い。物理的リンクは、エンコーダ1533と、トー角をエンコードするように構成された1つ以上のリンケージ、例えばエンコーダリンク1535、1537とを含む。
図3Bにより詳細に示すように、車両の長手方向軸におけるホイールの角度(トー)が内(負のトー)又は外(正のトー)にシフトすると、リンケージが変位することがあり、この変位はトーエンコーダ1533によってエンコードされる。リンケージは、車両の長手方向軸に対するホイールの平面(タイヤのトレッドを通る垂直方向)の移動のみ、従って、トーのみを検出し、エンコードするように構成されてもよい。トーは、このようにして、地球磁場に対する磁気検出に基づいて測定するよりも正確であり得る方法で測定され得る。前述のように、地球磁場は比較的弱いので、局所外部印加磁場が無く磁気検出器を用いて測定する場合、トー角の測定は、より正確でない可能性がある。物理的な接続と測定装置(例えばエンコーダ)を介してトー角を監視することで、迅速、正確、且つ精密な測定を提供し得る。他の変形形態では、リニアエンコーダを使用したリニアポジションセンサを使用して、物理的な接続を介してトー角を監視してもよい。
【0083】
幾つかの変形形態では、ホイールアライメントパラメータの全て又は一部が、ホイールへの物理的接続を介して測定されてもよい。従って、例えば、キャンバー、キャスター、及びトーが全て、隔離したIMUを介さず、ホイールへの直接接続を介して測定される場合がある。ここで、3自由度測定が可能な物理的位置測定デバイスは、各ホイールの近くで車両のシャーシ/ボディに接続され(各ホイールに1つの装置)、そのホイールに(例えば、ステアリングナックルやハブに)接続された1以上のリンクがあってもよい。3自由度測定デバイスの例では、3空間(x、y、z)の3軸全てについてエンコードできるように配置された3つのロータリーエンコーダを有する。これにより、各ホイールのキャンバー、キャスター、トーが直接又は間接的に決定される。物理的接触測定デバイスは、他の非接触センサ、例えば、他のコンセプトのように重力及び/又は磁気を感知する為のIMUと組み合わせてもよい。一般に、これは安全冗長性及び/又は精度/信頼性の向上を提供し得る。
【0084】
これらの構成の何れもが、使用又は組み合わせることで所望の結果を達成できる1つ以上のセンシング技術、タイプ又はシステムを含み得る。これらの構成は、任意の組み合わせで使用されてもよい。例えば、トーが、印加磁場の存在下で磁気的に測定され、その一方で、キャスター及びキャンバーの一方又は両方が、エンコーダを用いた直接リンケージによって測定されてもよい。
【0085】
ホイールへの接続(エンコーダのような物理的接触センサの場合であれ、IMUのような非接触センサの場合であれ)は、典型的には、ステアリングナックル、ハブ、車軸、ウィッシュボーン、リンク、ストラット、タイロッド、又は1つ以上のホイールアライメントパラメータを出来るだけ確実に決定する目的で基準とする他の適切なコンポーネント等の、ホイールの非回転部品への接続であり得る。
【0086】
幾つかの変形形態では、装置(例えば、システム)は、特定のホイールについて関心のある特定のホイールアライメントパラメータ、例えばキャンバー及びトーだけ(キャスターではない)を監視してもよい。更なる例として、例えばトラックのような固定軸の車両では、トーだけが監視されることがある。操向ホイールと非操向ホイールの両方が監視されてもよい。代替的に、又は追加的に、装置及び方法は、所定のホイールの幾つかのホイールアライメントパラメータを監視し、モデリング、既知のジオメトリ及び/又は車両ダイナミクスに基づいて、そのホイールの他のホイールアライメントパラメータ(複数可)を推論又は計算してもよい。例えば、IMUを使用してホイールのキャンバーとキャスターを監視し、キャンバーとキャスターとサスペンションの既知のジオメトリに基づいてトー角を計算することが可能な場合がある。
【0087】
本明細書に記載のホイールアライメント監視システム及び方法は、上述のように、マクファーソンストラット、ダブルウィッシュボーン、マルチリンク、固定軸、及び独立サスペンションシステムを含むがこれらに限定されない、任意のサスペンションジオメトリと共に使用され得る。
【0088】
アライメント調整
本明細書では、キャンバー、トー及び/又はキャスター調整装置を含む、アライメント調整装置についても記載する。これらの装置は、本明細書に記載のシステムの何れかと共に使用され得る。例えば、
図4~
図5Dは、オフセットカムシャフト(例えば、オフセットブッシングピボット)を介してウィッシュボーンを車体に対して内外に作動させる為に、上部ウィッシュボーンの内側ピボットポイントに取り付けられた状態で示されているアライメント調整装置(キャンバー及び/又はキャスター調整装置として構成されている)の一例を示す。アライメント調整用モータがシャフトを回転させると、シャフトのオフセットによってウィッシュボーンが出入りする。このシステムは、ダブルウィッシュボーン及びマルチリンクサスペンションシステムにおいて、高いスペース効率を実現する。
図4及び5A~5Dは、適応的に走行できる(即ち、走行中にホイールアライメントを自動調整する)ダブルウィッシュボーンサスペンションの一部としてのカム調整装置を示している。
【0089】
アライメント調整装置は、モータ(アライメント調整モータ)と、サスペンション(例えば、ウィッシュボーン、ダブルウィッシュボーン、マルチリンク等)の少なくとも一部を変位させる為のオフセットブッシング及びシャフトとを含み得る。モータの回転は、シャフトを介して、ホイールの位置を調整する為のオフセットブッシングの動きに変換され得る。モータは、フレームに取り付けられるモータアセンブリの一部であってもよく、特に、モータがコントロールアームからほぼ垂直に延びるように、サスペンション、例えば、ウィッシュボーン又はダブルウィッシュボーンのサスペンションのコントロールアームに結合されてもよい。本明細書に記載のアライメント調整装置の何れも、既存の構成要素の動作を妨げることなく、アンダーキャリッジに、特にホイールウェル内及びサスペンションの周囲に収まるように、比較的小さいフットプリントを有するように構成されてよく、既存の自動車車両の設計に後付けすることが可能である。従って、アライメント調整装置のモータ(例えば、ドライブ)は、サスペンションのコントロールアームから離れた位置に配置され、シャフト及び/又はギアによってオフセットブッシングに結合されてもよい。このシャフト及び/又はギアは、アライメント調整装置のモータ又は駆動装置が動作していない時に、アライメント調整装置が所定位置(例えば、最後に選択された位置)に固定された状態を保つように、セルフロック式であってもよい。
【0090】
例えば、
図4において、上部コントロールアーム(ウィッシュボーン)の端部は夫々、ここではキャンバー及び/又はキャスター調整ユニットとして構成されているアライメント調整ユニットに結合されており、このユニットは、スパイラルベベルギアを含むドライブ(モータアセンブリ)に結合されたフレーム、又は幾つかの変形形態では、相手ギアの軸が交差しない(以下の
図5Dに更に詳細に示す)ハイポイドギアを含む。従って、アライメント調整ユニットの大きい方のギアは、オフセットブッシング又はオフセットギア(上部コントロールアームの駆動オフセット)であってよく、これは、小さい方のドライブギア(ハイポイドギア)と嵌合する。この小さい方のハイポイドギア(ドライブギア)は、大きい方のギアのギアセンターからオフセットされている。このドライブギアを形成するスパイラルベベルギアは、小さい方のドライブギアが前に在り、大きい方のオフセットギアが後ろに在るような、ウォームドライブに似た高トルクのセルフロック機構を有するように構成されている。小さい方のギアは、ピノンと呼ばれることもある。ドライブ自体(モータを含む)は、駆動されると回転して動作し、上部コントロールアームの端部を制御可能に移動させてオフセットすることができる。上部コントロールアームの端部に結合されるオフセットギアは、ドライブギアの回転運動が、オフセットギアが結合される上部コントロールアームの端部のオフセット運動を生じさせるように、フレームに回転可能に取り付けられる。これにより、アライメント調整ユニットのモータ(図示せず)が、ドライブギアを複数回転(例えば、モータの50回転)させることで、大きい方のオフセットギアの1回転を駆動するように構成され得るので、精密に制御され得る正と負の両方の動きが可能になる。例えば、これにより、ウィッシュボーンの上部(又は幾つかの変形形態では代替的に下部)コントロールアームの両端を非常に正確に且つ同期して移動させ、それによってタイヤのキャンバー(又は幾つかの変形形態ではキャスター)を変化させることを可能にし得る。
【0091】
図4及び5A~5Dは、キャンバー調整ユニットに結合された上部コントロールアームの端部のみを示すが、幾つかの変形形態では、キャンバー調整ユニットは、代替的又は追加的に下部コントロールアーム上にあってもよく、上部及び下部コントロールアームの両方がキャンバー調整ユニットを含む場合、上部コントロールアーム上のキャンバー調整ユニットは、下部コントロールアーム上のキャンバー調整ユニットと反対方向にオフセットするように(例えば、逆方向)に操作され得る。
【0092】
幾つかの変形形態では、アライメント調整ユニットは、同期しないように動作するように構成されてもよく、従ってキャスターを調整でき、便宜上、これらのユニットは、本明細書では依然としてキャンバー調整ユニットとして言及される場合があるが、キャンバー及び/又はキャスターを調整するように動作することもある。
【0093】
本明細書に記載のアライメント調整ユニットは、アライメント(例えば、キャンバー)を調整する為の他のシステムでは不可能な利点を提供し得る。特に、これらのユニットは、コンパクトであり得、本質的にセルフロックであり、例えば、モータへの電力を切断すると、ホイールアライメントをその現在の位置で確実にロックする結果となり得る。更に、ドライブギア及びモータは、モータ及びドライブギアが車両の他の、潜在的により密集した領域を回避することを可能にし得る様々な角度の内の1つで、車両のボディ及びタイヤから離れた位置に配置され得る。
【0094】
例えば、
図4は、本明細書に記載のキャンバー調整ユニット1650を含むアセンブリを示す。
図4において、タイヤ1605とは反対側の上部コントロールアーム1613(ウィッシュボーン)の両端は、キャンバー調整ユニット1650、1650’に結合され、夫々、上述のようにドライブギアを駆動してオフセットギアを回転させるモータによって駆動され得る。
【0095】
図5A及び
図5Bは、オフセットギア(
図5Aでは見えない)も結合されているフレーム1653に結合された上部コントロールアーム1613の一端の拡大図を示す。
図5A及び
図5Bでは、カバー1655が、大きい方のオフセットギア1657を覆っており、これは、カバーが取り外された
図5Cでは見えている。小さいほうのドライブギア(
図5A~5Cでは見えない)によりオフセットギアを回転させると、上述したように、マウントに対して上部コントロールアームの端部を動かすことでキャンバー及び/又はキャスターを調整する。
【0096】
図5Dは、ギアが見えるように、カバーを外した状態のキャンバー調整ユニット1650を示す。
図5Dにおいて、上部コントロールアーム1613は、フレーム1653に取り付けられている大きい方のオフセットギア1657に結合されている。小さい方のドライブギア1660は、同じくフレームに取り付けられているモータ1661によって駆動される駆動軸1659の一部である。モータは、有線又は無線通信によって制御されて、モータの動き(例えば、正転/時計回り、及び/又は逆転/反時計回り)を駆動することができる。
【0097】
本明細書に記載のシステムの何れもが、ホイールアライメントの中央プロセッサ又は分散プロセッサ(例えば、1つの態様、例えば、キャンバーに特化)によって制御されてもよい。幾つかの変形形態では、これらのシステムは、運転者/ユーザが運転時にボタン又はコントロールを切り替える時のように、適応型(例えば、閉ループ)及び/又はユーザ駆動型(例えば、開ループ)であってもよい。ボディIMU及びホイールIMUを含む上述のセンサシステムを用いて、キャンバー、キャスター及び/又はトー等のホイールアライメントを検出及び制御してもよい。例えば、複数のセンサ、例えば、上述のIMUSを用いて、IMUのセンサから入力を受けてホイールアライメント設定を決定するアルゴリズムを使用して、キャンバー、キャスター及び/又はトーを調整する為のフィードバックを検出し提供してもよい。
【0098】
図6A~6Bは、オフセットギア(タイヤのナックル1807に結合されたストレートアーム1863の駆動オフセット)を有するスパイラルベベルギアに結合されたフレームを含む、上述のものに類似した一対のアライメント調整ユニット1850を含むマルチリンクシステムの一部として構成されるアライメント調整システムの別の実施例を示し、これは小さいほうのドライブギア(ハイポイドギア)に嵌合される。この小さい方のハイポイドギア(駆動用)は、大きい方の(オフセット)ギアのギアセンターからオフセットされている。このドライブギアを形成するスパイラルベベルギアは、小さい方のドライブギアが前に在り、大きい方のオフセットギアが後ろに在るような、ウォームドライブに類似した高トルクのセルフロック機構を有するように構成されている。ドライブ自体(モータ1865を含む)は、駆動されると回転して動作し、ストレートアームを制御可能に移動させてオフセットし、それによってタイヤ(例えば、ナックル)を移動させて、車体に対するタイヤの角度を変化させることができる。ストレートアーム1863の端部に結合されるオフセットギアは、ドライブギアの回転運動が、オフセットギアが結合されたストレートアームの端部のオフセット運動をもたらすように、アライメント調整ユニットのフレームに回転可能に取り付けられる。これにより、アライメント調整ユニットのモータが、大きい方のオフセットギアの1回転を駆動する為にドライブギアを複数回転(例えば、モータの50回転)させるように構成され得るので、正と負の両方の移動が可能になり、精密に制御され得る。
図6Aに示すマルチリンクシステムでは、夫々がアライメント調整ユニット1850に接続された2つのストレートアーム1863、1863’が示されている。
【0099】
図6Bは、本明細書に記載のアライメント調整ユニットの拡大図である。
図6Bでは、アライメント調整ユニットのカバーが取り外されており、ドライブギア1859及びオフセットギア1857、並びにギア及び駆動モータ1865が取り付けられたフレーム1853が露出している。駆動モータはエンコーダ1869を含む。ストレートアームは、ドライブギアが回転してオフセットギアの回転を駆動すると、ストレートアームへのリンケージ1863がストレートアームをタイヤのナックル(例えば、ハブ)に対して垂直に押し引きして、ホイールのアライメントを調整するようにオフセットギア1857に連結される。オフセットギアは、オフセットブッシング1871として構成される(又は幾つかの変形形態では、これに結合される)。
図6Bに示すように、ストレートアーム1863は、オフセットギアの回転に伴ってその長軸(ナックルに垂直な方向)に沿って進退し、これにより、ストレートアームが回転可能に結合されている中間ギア1885を回転させる。ホイール(例えば、ホイールのナックルハブ)に結合された1つ以上のストレートアームを、異なる領域に配置することによって、ストレートアームの移動は、ホイールのアライメントを変更する結果となり得る。ホイール(例えば、ナックル又はハブ)に対するストレートアームの配置に応じて、キャンバー、トー及び/又はキャスターの内の1つ以上が調整され得る。
【0100】
図6Bの中間ギア1858は、駆動(モータ1865)の回転運動をオフセットブッシングの正確な運動に転移させて、アライメント調整(例えば、ストレートアーム/コントロールアーム(複数可)の配置に応じたキャンバー、キャスター、及び/又はトーの)を可能にするのを補助し得る。幾つかの変形形態では、アライメント調整ドライブ(アライメント調整モータとも呼ばれる)をオフセットブッシングの動きに結合する為に、中間ギアは必要ない。しかしながら、1つ以上の中間ギアの使用は、アライメント調整ドライブを任意の方向に位置決めすることを可能にし、アライメント又はアンダーキャリッジの他の構成要素との干渉を容易に回避できるようにする。上記に示した例では、アライメント調整駆動装置は円筒形モータである。
【0101】
上述のように、他のギアシステムを使用してアライメント調整ドライブ(モータ)をオフセットブッシングに結合してもよい。例えば、ウォームドライブが使用されてもよく、例えば、モータの回転軸が、オフセットブッシングに回転可能に結合されたギア(ウォームホイール)と噛み合ってもよい。又、1つ以上のスパーギアを使用し、減速の大部分をギア装置(例えば、付属のギアボックス)で行い、モータに内蔵されたブレーキを使用してもよい。これにより、モータを偏心軸の下又は上に長手方向に取り付けることができる。幾つかの変形形態では、1つ以上のベベルギア、マイターギア、又はスクリューギアを使用し、モータに内蔵されたブレーキを使用して、ギアシステム(例えば、付属のギアボックス)の減速の大部分を生じさせてもよい。これにより、
図5~6Bに示したものと同様に、モータを垂直に取り付けることを可能にし得る。或いは、幾つかの変形形態では、装置は、回転式油圧系を含んでもよい。幾つかの変形形態では、リニア油圧又はボールスクリュー、例えば、ギアではなくシャフトから離れたレバーアームが在り、これは、レバーアームの端部とシャーシ上のピボットとの間に取り付けられた伸縮機構を含み得る。これは、より少ない回転角度の偏心軸で使用されることが多くあり得る。
【0102】
制御システム
本明細書に記載の装置の何れも、「モード選択」システムとして動作させることができ、これにより、ユーザが所望の運転モードを選択し、コンピュータがそれに応じてホイールアライメントパラメータを設定する。或る用途ではモード選択システムが好ましいが、他の用途では、車両が運転されている間にコンピュータがユーザーの為にホイールアライメントパラメータを自動調整することが望ましく、それを本明細書で適応型システムと呼ぶ。本明細書に記載のアライメントを調整する為の適応型システムは、常にホイールアライメントを最適化し、それによってタイヤと路面との間の接触パッチを常に最適化し得る。
【0103】
本明細書では、アクティブホイールアライメントシステム(AWAS)の為の適応型制御システムについて記載する。本明細書に記載のAWASは、追加の電子部品、センサ、及び(より高い調整速度を容易にする為に)増強されたモータ/ギアボックスを含み得る。本明細書に記載のアクティブホイールアライメントの為の適応型制御システムは、車両のエンジン制御ユニット(ECU)から、ユーザから、及び上述のIMUを含む本システム内の他のセンサからを含む幾つかのソースからの入力データを受け取ってもよい。これらの入力データは全て、次にECUで処理され、結合されて、各ホイールのホイールアライメント設定をどうするかを決定する為に使用されてもよい。これらのホイールアライメント設定は次に、電気モータの位置設定に変換され、モータに送信される。
【0104】
これらのシステムは、ホイールアライメント設定の適応的な、更には予測的な決定の為に潜在的に使用され得る、広範囲の入力データを使用してもよい。車両からの場合の例は、(最近の車両では車両のCANバスネットワークを介してアクセス可能な)ステアリング角、車両速度、スロットル位置/パーセント、ブレーキ位置/パーセント、エンジンRPM、ギア、運転モード(車両の既存のモードセレクタを介したユーザ入力)等の内の何れか1つ以上を含み得る。外部センサ(即ち、本明細書に記載のシステムによって提供される追加のセンサ)、又は利用可能な場合の車両からの場合の例は、以下の1つ以上を含み得る:3軸加速度計(横方向、線方向、及び垂直方向のg力)、3軸ジャイロ(ヨーレート、ロールレート、ピッチレート)、3軸磁力計、傾斜計、ヘディング(進行方向、例えばオイラー角又は四元数を介して)、軌道マッピング用のGPS信号、前方監視及び/又は道路マッピング(表面マッピング含む)用のカメラ、タイヤ温度、タイヤ圧、等。同じセンサタイプの複数のものを単一車両に取り付けてもよく、例えば、車両の周囲に複数の加速度計を取り付けて、車両の異なるポイントでその挙動をマッピングできる。入力データは異なる目的で使用され得、車両のダイナミクスが異なる為、各車両の入力信号は(同一のセンサを使用しても)非常に異なる可能性があることに留意されたい。入力データの中には、車両のダイナミクスを特徴付け、演算アルゴリズムを較正/調整する為に使用されるものもある(詳細は下記参照)。その他のデータは、目標ホイールアライメント設定をその場で決定する為に常に使用されてもよい。更に、入力データは、その重要度に応じて優先順位付け及び/又は重み付けされ、一部のデータはクロスチェックの為のバックアップ信号として使用されてもよい。
【0105】
入力データは、出力ホイールアライメント設定に変換されてもよい。例えば、適応型制御の大きな必要性は、車両のコーナリング中に発生する。ここで、最も重要な変数の1つはボディロールである。ボディがロールすると、サスペンションが変位し、外側のタイヤの外縁に向かって/外側にロールが発生する。車両が左折する場合、車体は右方向にロールし、右側のタイヤの外周にロールが発生する。タイヤの接地面積を最大にする為には、外側/右側のホイールでより多くの負のキャンバーが必要であり(内側/左側のホイールでより多くの正のキャンバーが必要)、他のホイールアライメントパラメータ(例えば、トーやキャスター)にも、対応する変更が必要である。又、ボディロールレートは、車両のヨーレート及び横g力と相関している(即ち、車両がより迅速に方向転換又は旋回する(ヨーレート)ほど、横g力が大きくなり、ボディロール(ロールレート)が大きくなる)。
【0106】
コーナリング中は、タイヤの出来るだけ多くを路面に接触させた状態を維持することが有効であり得る。プロトタイプの試験車両は、全てのホイールにタイヤ温度センサを装備し、タイヤの面を横断する温度プロファイルを16点で測定した。車両の動的特性(ロールレート、ヨーレート、横g力)の関数として最適な設定を決定する為に、様々なホイールアライメント設定での幾つかのコーナリング試験を実施した。タイヤ全体の温度プロファイルがフラット/均一で、タイヤ内のピーク温度が最小化された時に、所定の横g力における最適なホイールアライメント設定が決定された。例えば、横g力が約1gの場合、フロント外輪のタイヤ温度プロファイルは、試験車両のキャンバー値が約-2.5度の時に最適化された。
【0107】
この情報及び他のデータポイントを使用して、目標ホイールアライメント設定を上述の1つ以上の入力データストリームにマッピングするアルゴリズムを構築した。詳細な例は以下の通りである。本明細書に記載の方法及び装置は、入力データストリームを目標ホイールアライメントパラメータに関連付ける1つ以上のアルゴリズムを含み、主に2つの主要構成要素である車両ダイナミクスパラメータ及びマップを用いて動作し得る。車両ダイナミクスパラメータは、入力データストリームを有意義な方式で融合させることができ、最終的に車両の瞬間的な挙動(バンプエラー等が無い)の信頼できる評価を提供する。次に、マップによって、車両の挙動に関する評価を適切な目標ホイールアライメント設定に変換することを可能にする。段階的、線形、非線形、S字状、データフィット等、任意の適切なマップが使用され得る(但し、これらに限定されない)。これらは、車両挙動を、或る瞬間の最も適切な目標ホイールアライメント設定にマッピングすることができる。異なるシナリオに対して異なるマップを使用することができ、例えば、コーナリング、ブレーキ、加速、駐車等に対して異なるマップを使用することができる。又、1つの運転活動に対して複数のマップを使用してもよく、例えば、最近の自動車のモード選択スイッチ/ダイヤルを介して、ノーマル又はエコノミーモード用の1セットのマップ、スポーツモード用の別のマップ、及びスポーツ+又はレースモード用の更に別のマップを使用してもよい。
【0108】
例えば、3つの異なる走行モードに対するコーナリングマップの1セットが、
図7に示されている。この例では、3つのモード(ノーマル、スポーツ、及びスポーツ+)が示されている。示されたマップ(
図7のグラフの各線)は、単一のホイールの目標キャンバー設定を決定する為に使用され得る。この例では、3つのマップ全てに関して、融合データ値が-0.3から0.3の間である場合、目標キャンバー設定は、ノーマルモードでは-0.5度、スポーツモードでは-1.2度、スポーツ+モードでは-2.0度と固定された状態であり得る。融合データ値が0.3を超え、1.2に向かって増加すると、3つのマップ全ての目標キャンバー設定値は直線的に-3.0度に向かっていく。反対方向に、融合データ値が-0.3を下回り、-1.2に向かって減少すると、3つのマップ全ての目標キャンバー設定は、0.0度に向かって線形に変化する傾向がある。再び、この例を超えて、異なる運転シナリオに対して任意の数のマップを使用することができ、非線形の傾向を含む任意の形式の傾向が使用され得る。
【0109】
経験的又は計算的に決定され得るこれらのマップの情報に基づいて、出力駆動信号が決定されてもよい。例えば、目標ホイールアライメント設定は、車両のホイールアライメント設定を制御する電気モータの各々(例えば、図示及び上述したようなキャンバー調整ユニットを含む)に送信する為の適切な形態に変換されてもよい。
【0110】
上述した適応型ホイールアライメント制御システムに関する一般化した説明は、上述した入力データストリームの全ての内の何れかと、任意の数のアルゴリズムとを使用してもよい。幾つかの変形形態では、入力データストリームの数は、これらのサブセットに制限されてもよい。例えば、一実施形態では、テスト車両のダイナミクスを、幾つかの制御されたテストを通じてマッピングし、選択された入力データストリームの関数として最適ホイールアライメント設定(即ち、システムに対する潜在的な目標出力)を決定した。この実施例では、最適化されたタイヤ温度プロファイルと、幾つかの目的主導型設計に基づいて、最適ホイールアライメントを決定した。最初に目標とした入力データストリームは、ロールレート、ヨーレート、横g力、及び車両のCANバスネットワークからの幾つかのセンサ入力値であった。
【0111】
ロールレート、ヨーレート、横g力は全てコーナリング操作において数学的に関連しており、因果関係式では全てコーナリングの「効果」である。これらは実際の車両挙動を表す良い指標ではあるが、現実世界では段差やポットホール等の影響で非常にノイズの多い信号となることがある。この式における「原因」は、ユーザ(運転者)の入力コマンドと車両のECUから得られる為、車両のCANバスからのセンサ信号となる。再び、例は、ステアリング角、車速、スロットル位置、ブレーキ位置、エンジンRPM、ギア、運転モード等を含む。広範なテストを通じて、これらの車両データストリームは(本明細書に記載のように)特定されており、ロールレート、ヨーレート、及び横g力をノイズ無しに確実に予測する為に使用できるクリーンな信号を提供し得る。言い換えると、車両ダイナミクスに基づく予測される効果に原因をマッピングすることである。
【0112】
その結果、1つの方法及び装置(例えば、一次アルゴリズムを含む)において、車両のCANバスからの幾つかの入力データストリームが、車両自身のダイナミクスから得られる乗数及びオフセットと共に、「予測横g力」(即ち、測定横g力がノイズ誤差無しでどうなるのか)を計算する為に結合された。次に、この方法と装置は、この予測横g力を使用して、目標ホイールアライメント設定を計算してもよい。二次的なチェックとして、測定された横g力(及びロールレートとヨーレートも)を予測横g力と比較して、総誤差、計算ドリフト等が無いことを確認できる。
【0113】
図8は、上述した一般的なプロセスを描いた流れ図である。これらのステップは、車両ダイナミクスが決定され入力された後で、特に変更されたECU(又は別個の制御ユニット)内で実行され得ることに留意されたい。
図8及び上記の具体例を参照すると、幾つかの変形形態では、一次入力データストリームは、車両のCANバスから得られてもよく、二次入力データストリームは、ロールレート、ヨーレート及び横g力を含み得る。しかし、他の入力データストリームを一次入力又は二次入力の何れかとしてアルゴリズムに使用/組み込むことができ、例えば、横g力を平滑化して一次入力として使用できることに留意されたい。
【0114】
例えば、
図8において、装置又は方法は、1901で、ECU又は同等の/接続されたプロセッサから車両ダイナミクスパラメータ及び/又はアライメントマップを受信、アクセス及び/又は決定してもよい。例えば、ECUは、上述のように、車両ダイナミクスパラメータ及びアライメントマップにアクセスするように構成されてもよい。この情報は、AWAS/AWAS ECUによってアクセス可能なメモリ、バッファ等を含む、ローカル又はリモートに保存される場合がある。この例のECUは、アクティブホイールアライメントシステム(AWAS)を含むように適合されたECUであってよく、
図19に破線のボックス(「AWAS ECU」)として概略的に示されている。或いは、幾つかの変形形態では、別個のアクティブホイールアライメントシステム(AWAS)ユニットが含まれ、ECUに接続されてもよい。
【0115】
AWAS又はAWAS ECU(「AWAS/AWAS ECU」)は、次に、1903で、車両CANバスから、1つ以上の外部センサ(例えば、上述したIMUセンサの何れか等)等から入力データストリームを受信してもよい。次いで、入力データは、1905で優先順位付け(例えば、一次、二次、三次等)され、一次データの一部又は全部は、上述のようにアクセスされた車両ダイナミクスに従って1907で結合(融合)されてもよい(例えば、AWAS/AWAS ECUによってアクセス可能なメモリから)。
【0116】
次に、AWAS/AWAS ECUによってアクセスされたアライメントマップに基づいて、目標ホイールアライメントが1909で計算されてもよい。マップから決定された目標設定は、次に1911で二次入力データストリームと比較され、比較が近い(「OK」)か、又は或る閾値より大きく異なる(「Not OK」)1913かを決定してもよい。比較が十分に近い(「OK」)場合、決定された設定(例えば、マップから)は、1915で駆動信号に変換され、アライメント制御モータ(例えば、キャンバー調整ユニット又は以下に説明するような他の電気機械的調整ユニット)に出力されてもよい。
【0117】
上記の例はコーナリングについて説明しているが、これらの方法及び/又はシステム(1つ以上のアルゴリズムを含む)の何れもが、他の目的、例えば、制動、加速、駐車等の際のホイールアライメントの最適化について、同じ基本フロー構造に従い得ることにも留意されたい。
【0118】
本明細書に記載のアクティブホイールアライメントシステム(AWAS)は、コーナリング性能、安全性及び障害物回避に影響を与えるハンドル操作性能の改善を提供し、燃費、排出ガス、騒音・振動・ハーシュネス(NVH)、及びタイヤ寿命に影響を与える転がり抵抗を低減させ、タイヤ寿命及びタイヤ偏摩耗に影響を与えるピークタイヤ温度を低下させ得る。
【0119】
実施例
一実施例として、2012年型アウディTTRS試験車両に、本明細書に記載のように、AWASの一部として前軸アクティブキャンバーとトー制御を装備した。ハンドル操作性能に関しては、標準円試験(直径25m)において、両前輪のキャンバーを-0.2度から-2.8度まで均等に変化させると、達成可能な最大横方向グリップ(g力)が15%増加することが判明した。更に、「ディファレンシャルキャンバー」(左右のホイールのキャンバーが異なる)を用いて、左前輪を-0.2度、右前輪を-2.8度にしてテストすると(左折)、両輪を-0.2度にした場合に比べて横方向グリップが29%向上した。これを
図9Aのグラフに示す。
図9Aでは、ディファレンシャルキャンバーの結果から、コーナリング、ハンドル操作、安定性を向上させる為のアダプティブホイールアライメント(即ち、その場で自動変更)の可能性を示している。
【0120】
転がり抵抗に関しては、標準的なコーストダウン試験(40km/h→15km/h)において、前輪のキャンバーを-2.8度から-0.8度へ変更すると、転がり抵抗は8%減少した。
図9Bを参照されたい。更にキャンバー値を0度に近付けると、10%以上の転がり抵抗の低減が確認された。転がり抵抗の低減は、燃料消費量、排出量、NHV及びタイヤ摩耗の低減に変換される。
【0121】
タイヤ温度に関しては、標準円試験(直径25m、固定速度40km/h)において、前輪のキャンバーを-0.2度から-2.8度に変更すると、タイヤの表面全体(外輪の)の温度変動が90%減少した。更に、
図10に示すように、タイヤ内のピーク温度は10%を超えて低下した。
【0122】
上記のサンプルデータは前輪キャンバーについてのみであるが、前輪車軸、後輪車軸、操向車軸、及び非操向車軸について、トー及びキャスターを含む他のホイールアライメントパラメーターを、独立して又はキャンバーと組み合わせて調整することによって、更なる利益が達成され得る。
【0123】
一般に、本明細書に記載のAWASの用途は、乗用車、小型商用車、大型商用車、及び他の乗員及び物品輸送車両を含むがこれらに限定されない車両において、ハンドル操作、安全性、ブレーキ、燃料効率、排出ガス、NVH、快適性及び/又はタイヤ寿命の内の1つ以上を改善することを含む。より具体的には、幾つかの応用例には、以下が含まれる(但し、これらに限定されるものではない):スポーツ及び高級車におけるハンドル操作及び安全性の向上、大型商用車におけるタイヤの摩耗及び燃料消費の低減、トラックにおける旋回円の改善、ツインステア車両を含む大型車両におけるアッカーマンステアリング補償、電気自動車のバッテリー範囲の拡張、ラックレスステアリング及び独立ホイールステアリングを含む自律走行車両の新規ステアリングシステム、ホイールアライメントを用いて転がり抵抗を高め、従って車両を減速する自律走行車両の冗長ブレーキシステム、ローリングシャーシや新しいモビリティプラットフォームの為の適応型サスペンションシステム、後輪ステアリングを含む、現在ステアリングを有さない車軸へのステアリング提供、例えば左ハンドル環境から右ハンドル環境への変更時のロードキャンバーの自動調整、オフロード車でのハンドル操作とトラクションの改善、異なる運転環境や車両構成に対する切り替え式ホイールアライメントの提供、OEM製造業者によって装着されているか、又はアフターマーケットのアクセサリとして装着されている車両ダイナミクス強化、等。
【0124】
本明細書に記載のアライメント調整装置及びアライメント調整ユニットに加えて、本明細書に記載の制御システム及びAWASを含む方法及び装置は、本明細書に記載のアライメント調整装置に加えて、車両のサスペンションを調整又は制御する為に使用され得る1つ以上の他の電気機械装置(デバイス、システム、アセンブリ等)と共に使用され得ると共に、それらを制御してもよい。幾つかの実施形態において、これらの装置は、ホイールアライメント(例えば、キャンバー、トー、及び/又はキャスター)を電気的に調整する為の装置であってよい。幾つかの変形形態では、これらの装置は、キャンバ、トー、及び/又はキャスターの内の1つ以上に特有であってもよく、複数の装置がシステムに結合されてもよく、それらの装置の動作を調整する共通のコントローラ(例えば、プロセッサ)を共有してもよい。
【0125】
本明細書に記載の装置の一部、特にキャンバー調整装置は、車両のフレームとサスペンションの間に結合してもよく、サスペンションは次にホイールに結合される。従って、キャンバー調整装置は、車両のフレームに確りと結合するマウントボディと、好ましくはフレームに近く、ホイールのハブから離れたサスペンションの部分に結合するホルダ(例えば、アームホルダ)とを含み得る。例えば、ホルダは、マクファーソンタイプサスペンションのストラット等のサスペンションの上部アームの端部、又はダブルウィッシュボーンタイプサスペンションの上部ウィッシュボーンの端部を保持するように構成されたアームホルダであってよい。ホルダは、リニアステージと結合していてもよいし、リニアステージの一部であってもよく、一般に、ホルダは、第1の、例えば、直線的な並進軸に運動するように構成され、他の直線方向に運動することを抑制されることがある。運動は、一般に、ホルダが運動する並進座面を介して行われ、電気機械アクチュエータは、ホルダに直接又は間接的に(例えば、リニアステージを介して)結合され、第1の並進軸に並進座面に沿って所望の位置に後方及び前方にホルダを運動させ、それによりホイールのキャンバーを調整する。
【0126】
マウントボディは、第1の(例えば、上部)マウントボディ及び第2の(例えば、下部)マウントボディ等の、合体する2つ以上の部分を含んでもよく、異なる部分は、異なる負荷を支えるように構成されてもよい。例えば、第2のマウントボディが高負荷を支えるように構成されるのに対し、第1のマウントボディは軽負荷を支えるだけでよく、電気機械アクチュエータを含んでいてもよい。マウントボディの負荷担持機能を分割することは、そうしなければ装置を通して印加されるより大きい負荷から電気機械アクチュエータを隔離することを補助して、その結果アクチュエータによって経験される負荷が格段に小さく、より均一になり得る。
【0127】
同様に、トー調整装置は、一般に、タイロッドと一直線で(例えば、タイロッドと車両のステアリングラックの間に)結合される伸縮式ロッドを有する細長い本体を含む。伸縮式ロッドは、電気機械アクチュエータによって作動される機械式リニアアクチュエータ(ボールスクリュー/ボールナット等)を含む。装置を形成する細長い本体は、互いに連結して、装置に掛かる負荷を分離する2つ以上の部分を有してもよい。例えば、細長い本体の第1の部分は電気機械アクチュエータに接続してもよく、細長い本体の第2の部分は伸縮式ロッドを含み、タイロッドと一直線で接続し、細長い本体の第1の部分よりも格段に高い負荷を支えるように構成される。例えば、細長い本体の第1の部分は、一端にタイロッドマウントを含み、第2の端部にステアリングリンクマウントを含んでもよい。
【0128】
車両のサスペンション設定を制御する為の他の電気機械装置も本明細書に記載されており、車両のアライメント(1つ以上のホイールのアライメントを含む)を修正又は制御する為のシステムの一部として含まれてもよい。これらの装置は、全て又は一部の特徴を共有してもよい。例えば、本明細書では、アンチロールバーの剛性設定を制御するように構成された装置、及び車両のロールセンター設定を制御するように構成された装置、並びにそれらを製造及び使用する方法、それらを制御する為のプロセッサ、並びにそれらを含むシステムについても記載する。一般に、これらの装置は、車両の関連する静的及び動的負荷を支持するように構成された1つ以上の構造部材、サスペンション設定を制御及び変更するように構成された1つ以上の調整部材、及び調整部材(複数可)の移動を駆動するように構成された1つ以上のドライバを含み得る。場合によっては、調整部材は、構造部材として構成されることもあり、それによって、車両の関連する負荷を支持し、且つ、サスペンション設定を制御する。一般に、これらの装置は、開ループ制御、閉ループ制御、又は半閉ループ(例えば、ユーザ入力、確認又は選択を含む)を介して制御され得る。これらの装置の何れもが、サスペンション設定の制御に有用な変数を監視する為の1つ以上のセンサを更に含んでもよい。
【0129】
図11A~1Cは、車両のサスペンション設定を制御する為の電気機械装置の変形形態を示し、図示の装置は、マクファーソンストラットサスペンションジオメトリと互換性があるように構成される。この例では、3つの電気機械装置(例えば、デバイス)121、131、141が、車両の1つのホイール101のサスペンション設定を制御する。第1の電気機械デバイス121は、ストラット103の上部に位置し、ホイール101のキャンバー及び/又はキャスターを制御するように構成される。第2の電気機械デバイス131は、外側タイロッド107と内側タイロッド109との間(例えば、タイロッドとステアリングラックのリンケージとの間)に位置し、ホイール101のトーを制御するように構成される。第3の電気機械デバイス141は、アンチロールバー105とリンク106との間に位置し、アンチロールバー105の剛性を制御するように構成される。一般に、本明細書に記載のトー調整装置は、従来のタイロッドを、前部タイロッド部分と遠位取付部及び/又は後部タイロッド部分とを含む電気制御式(例えば、伸縮式)装置と置き換える為に使用され得る。これについては、以下の
図23A~23Hにおいて、より詳細に説明する。
【0130】
図11B及び11Cは、この実施例における電気機械デバイス121、131、141がサスペンション設定を制御及び調整する軸を示す。電気機械デバイス121は、ストラット103の上部を2軸(キャンバー123の為の1軸、キャスター125の為の1軸)に並進移動させることによって、ホイール101のキャンバー及びキャスターを制御する。電気機械デバイス131は、外側タイロッド107と内側タイロッド109との間の距離を変更し、それによってタイロッドの全長を有効に変更することにより、ホイール101のトーを制御する。電気機械デバイス141は、アンチロールバー105とリンク106との間の距離を変更することにより、アンチロールバー105の剛性を制御し、それによりアンチロールバー105の長さを有効に変更する。
【0131】
本明細書に記載の電気機械デバイスの何れもが、1つ以上のホイールについて1つ以上のサスペンション設定を制御し得る。任意の数の電気機械デバイスを用いて、1つ以上のホイールの為のサスペンション設定を制御してもよい。車両には、任意の数のホイールについて任意の数のサスペンション設定を制御するように構成された1つ以上の電気機械デバイスが装備されてよい。所与のホイールについて、1つ以上の電気機械デバイスは、全てのサスペンションの設定又は一部のサスペンション設定のみを制御するように構成されてもよい。
【0132】
本明細書に記載の電気機械デバイスの何れも、固定軸、独立、マクファーソンストラット、ウィッシュボーン、ダブルウィッシュボーン、マルチリンク、エアサスペンション、リーフスプリング、及びトーションバーサスペンションを含む(但し、これに限らない)任意のサスペンションジオメトリ又はサスペンションジオメトリのバージョンに適合するように構成されてもよい。
【0133】
図12A~2Cは、車両のサスペンション設定を制御する為の電気機械装置の変形形態を示し、デバイスは、ダブルウィッシュボーンタイプのサスペンションジオメトリに適合するように構成される。この例では、4つの電気機械デバイス221、231、241が、車両の1つのホイール101のサスペンション設定を制御する。最初の2つの電気機械デバイス221は、同一であり、上部ウィッシュボーン213の内側ピボットポイントに位置し、ホイール101のキャンバー及びキャスターを制御するように構成される。第3の電気機械デバイス231は、外側タイロッド207と内側タイロッド209との間に位置し、ホイール101のトーを制御するように構成される。第4の電気機械デバイス241は、アンチロールバー205とリンク206との間に位置し、アンチロールバー205の剛性を制御するように構成される。
【0134】
図12B及び
図12Cは、この例の電気機械デバイス221、231、241がサスペンション設定を制御及び調整する軸を示す図である。電気機械デバイス221は、上部ウィッシュボーン213を2軸(キャンバー223の為の1軸、及びキャスター225の為の1軸)で並進移動させることによって、ホイール101のキャンバー及びキャスターを制御する。電気機械デバイス231は、外側タイロッド207と内側タイロッド209との間の距離を変化させることによって、ホイール101のトーを制御し、それによってタイロッドの全長を効果的に変化させる。電気機械デバイス241は、アンチロールバー205とリンク206との間の距離を変化させることによって、アンチロールバー205の剛性を制御し、それによってアンチロールバー205の長さを効果的に変化させる。
【0135】
図13A~3Cは、車両のサスペンション設定を制御する為の電気機械デバイスの他の変形形態を示し、デバイスは、ダブルウィッシュボーンサスペンションジオメトリに適合するように構成される。この例では、3つの電気機械デバイス321、231、241が、車両の1つのホイール101のサスペンション設定を制御する。第1の電気機械デバイス321は、上部ウィッシュボーン213の外側ピボットポイントの近くに位置し、ホイール101のキャンバーを制御するように構成される。他の2つの電気機械デバイス231、241は、
図12A~2Cで説明したものと同じである。この例では、ホイール101のキャスターに対する制御は提供されない。
【0136】
図13B及び13Cは、この実施例における電気機械デバイス321、231、241がサスペンション設定を制御及び調整する軸を図示する。電気機械デバイス321は、上部ウィッシュボーン213の外側ピボットポイントを並進移動させることによって、ホイール101のキャンバーを制御し、それによって上部ウィッシュボーン213の長さを効果的に変化させる。電気機械デバイス231、241は、
図12B及び
図12Cで説明したように、ホイール101のトー及びアンチロールバー205の剛性を制御する。
【0137】
本明細書に記載の電気機械デバイスの何れもが、1つ以上のサスペンション設定の制御を可能にすることを条件に、本明細書の実施例に図示されたものとは異なる構成又は配置であってよい。
図13A~3Cの実施例に示されるように、車両は、全てのサスペンション設定が電気機械的に制御されるのではないように構成され得る。
図13A~3Cの実施例では、ホイールのキャスターは制御されないが、キャンバー、トー及びアンチロールバーの剛性は制御される。
【0138】
一般に、本明細書に記載の電気機械デバイスは、サスペンションシステムの元来のジオメトリに対する修正は最小限にして、車両のオリジナルのサスペンションシステム、又は所望に応じてアフターマーケットサスペンションシステムと互換性があるように構成され得る。これにより、電気機械デバイスを元来のサスペンションシステムに導入することによって引き起こされる副作用の可能性(例えば、バネ下質量の増加、硬さ又は剛性の低下等)を極減する。一般に、本明細書に記載の電気機械デバイスは、軽量且つ強固に構成され、バネ下質量の潜在的な増加を極減する位置に配置され得る(例えば、ホイールのハブから更に離れる、車両フレームに近付ける等)。
【0139】
図14A~14Eは、車両のサスペンション設定を制御する為の電気機械デバイスの変形形態を示し、このデバイスは、マクファーソンストラットサスペンションシステムのキャンバーを制御するように構成される。
図14Aでは、装置(電気機械デバイスとして構成される)421は、ストラット103の上部に配置され、車両フレームの一部であるか、又は車両フレームに接続される車両のストラットタワー415に取り付けられる。
図14Bは、
図14Aに図示された電気機械デバイス421のクローズアップである。装置は、車両フレームに固定された(例えば、ストラットタワー415に固定された)2つの部分を有するマウントボディを含み、この実施例では、マウントボディの上部分464はフレーム415の上に接続され、下部分466はフレームの下に接続され、ボルト468を用いて、フレームを2つの部分の間に剛性的に保持して2つの部分を一緒に固定する。装置は、下部並進ステージ463の一部であるストラットホルダ465(球状ベアリングとして構成されている)をも含む。従って、ストラットホルダは、ホルダの両側のリニアレール461として構成された一対のシャフトの夫々の外側の長手方向表面によって形成された並進座面上を往復並進することによって、第1の並進軸488に沿って下部並進ステージと共に移動できる。ホルダ(ストラットホルダ)は、これらのリニアレールに乗る1つ以上のリニアベアリング(図示せず)に剛結合されていてもよい。電磁アクチュエータ(電気モータ451、スパーギア459、及びボールスクリュー453、ボールナット455を含むリニアアクチュエータ)は、ホルダを第1の並進軸488に往復駆動してキャンバーを調整する。
図14C、
図14D及び
図14Eは、夫々、
図14Aに図示された電気機械デバイス421の部分断面側面図、上面図及び下面図である。
【0140】
このように、電気機械デバイス421は、電気モータ451、2つのスパーギア459、ボールスクリュー453、ボールナット455、上部並進ステージ457、下部並進ステージ463(下部並進ステージは上部並進ステージに固定されてもよく、両ステージはストラットホルダと共に上部マウントボディ部分に対して相対的に移動する)、2つのリニアレール461(移動座面を形成していて下部マウントボディ部分の一部であってもよい)と球状ベアリング465(この実施例ではストラットホルダ)を備える。ストラットホルダ465は、ストラット103の頂部(例えば、上端、単に端部とも称する)に剛性的又は可動的に結合されてもよい。この実施例のストラット103の頂部は、ホルダ(球面ベアリング)465の内部に固定され、このホルダは、下部並進ステージ463と結合される(例えば、内部に収容される)。下部並進ステージ463は、リニアベアリング(図示せず)上でリニアレール461に沿って低摺動摩擦で摺動する。このように、下部並進ステージ463は、上部並進ステージ457に剛性的に接続し、上部並進ステージ457は、ボールナット455に剛性的に接続する。ボールナット455は、ボールスクリュー453に沿って低摩擦で往復駆動されるように構成されており、これにより上部並進ステージ457、下部並進ステージ463、ストラットホルダ(球面ベアリング)465及びストラット103の上部を並進移動させる。ストラット103の下部はホイールアセンブリに固定され(
図11A参照)ている為、ストラット103の上部を並進移動させるとその角度が変わり、それによりホイール101のキャンバー角が変わる。ボールスクリュー453は、ラジアル負荷とスラスト負荷を支持できるベアリング(図示せず)によって支持され、ボールスクリュー453は、電気モータ451によって駆動されるスパーギア459によってその中心軸周りに回転するように駆動される。
図14A~14Eに示す変形例では、ストラットホルダは、第1の並進軸488(例えば、x軸)には運動できるが、マウントボディに対して他の並進軸、特に、第1の並進軸(z軸又はy軸)に対して垂直な並進軸には運動できないように抑制される。
【0141】
電気モータ451は、時計回り又は反時計回りに回転するように駆動されてもよく、それによって、ボールスクリュー453の線に沿ってストラット103の頂部を前後に並進移動させる。電気モータ451は、電子コントローラ(例えば、プロセッサ、図示せず)によって制御されてもよく、モータ451及び/又はストラット103の頂部の位置を監視する為のエンコーダ(図示せず)を含んでもよい。電気機械アクチュエータ又は装置の他の部分はロックを含んでもよく、ロックは解放可能であり、係合されると、マウントボディ、従って車両フレームに対するストラットホルダの位置をロックする。ロックは機械式ロックであってもよく、電気機械アクチュエータを制御する電子コントローラは、ロックの係合/解除(例えば、ロック/アンロック)を制御し得る。
【0142】
上記に示した例は電気モータを含むが、本明細書に記載の電気機械デバイスの何れもが、機械的アクチュエータ(モータ等)、空気圧アクチュエータ、油圧アクチュエータ、又は電気アクチュエータであり得る(但し、これに限定しない)任意の適切なドライバの内の1つ以上を含んでいてもよい。任意のドライバは、回転又は長さ寸法で、或いは回転及び長さ寸法で並進移動してよく、並進移動は可逆的であり得る。何れのドライバも、ポジションセンサ(エンコーダ等)を含んでもよい。
【0143】
本明細書に記載の電気機械デバイスの何れも、特にマウントボディは、1つ以上の構造部材を含んでもよく、この構造部材は、ビーム、フランジ、サポート、シャフト、レール、ロッド、ハウジング、ステージ、マウント、ブラケット、ボルト、ナット、又はスクリュー(パワースクリュー、リードスクリュー、ボールスクリュー等)を含む(但し、これに限らない)任意の適切なタイプの構造部材であり得る。構造部材は、静止状態を保っても、回転又は長さ寸法で、或いは回転及び長さ寸法で並進移動してもよい。
【0144】
本明細書に記載の電気機械デバイスの何れもが、1つ以上の調整部材、例えば、リニアアクチュエータを含んでもよく、これは、スクリュー(例えば、パワースクリュー、リードスクリュー、ボールスクリュー等)、ギア(例えば、スパーギア、ヘリカルギア、ウォームギア等)、プーリ、ベルト、シャフト、スライド、ピボット、レバーアーム、接続ロッド、カム、並進ステージ、キャリッジ、又はナット(例えばボールナット等)を含む(但し、これに限らない)任意の適切なタイプの調整部材であり得る。調整部材は、回転又は長さ寸法で並進移動してもよいし、回転及び長さ寸法で並進移動してもよい。
【0145】
図15A及び
図15Bは、車両のサスペンション設定を制御する為の電気機械デバイスの変形形態を示しており、このデバイスは、ホイール101のトーを制御するように構成される。この実施例では、電気機械デバイス531は、外側タイロッド507と内側タイロッド509との間に位置する。電気機械デバイス531は、電気モータ551と、2つのスパーギア559と、ボールスクリュー553と、ボールナット555と、ベアリングパック569とを含む。外側タイロッド507は、ボールナット555に接続し、ボールナット555は、低摩擦でボールスクリュー553に沿って前後に駆動されるように構成され、それにより外側タイロッド507を並進移動させる。外側タイロッド507がホイールアセンブリ(
図11A、
図12A及び
図13A参照)に接続する為、外側タイロッド507を並進移動させることにより、ホイール101のトー角が変化する。ボールスクリュー553は、ラジアル負荷及びスラスト負荷を支持することが可能なベアリングパック569によって支持され、ボールスクリュー553は、電気モータ551によって駆動されるスパーギア559によって、その中心軸周りに回転するように駆動される。
【0146】
本明細書に記載のホイールのトーを制御するように構成された電気機械デバイスの何れもが、ステアリングボックスと車両のホイールとの間の任意の場所に配置されるように構成され得る。例えば、電気機械デバイスは、外側タイロッドの外側端部に、外側タイロッドとホイールアセンブリの間に位置してもよい。別の実施例では、電気機械デバイスは、内側タイロッドとステアリングボックスとの間の、内側タイロッドの内側端に位置してもよい。電気機械デバイス(例えば、トー調整装置)は、ステアリングボックスとホイールアセンブリとの間に延在するタイロッドと完全に置き換わってもよく、(以下の
図23A~23Hに示すように)伸縮領域に一直線に接続される1つ以上の「部分」タイロッドを含んでもよい。一般に、ホイールのトーを制御するように構成された電気機械デバイスは、外側タイロッドの外側端部と内側タイロッドの内側端部との間の距離を変更することになる。
【0147】
従って、本明細書に記載のホイールのトーを制御するように構成された電気機械デバイスの何れもが、操向ホイール又は非操向ホイールのトーを制御するように構成されてもよい。非操向ホイールの場合、電気機械デバイスは、トーアーム上の任意の場所に配置されてもよい。例えば、電気機械デバイスは、トーアームとホイールアセンブリとの間の、トーアームの外側端部に配置されてもよい。別の例では、電気機械デバイスは、トーアームと車体又はシャーシの取り付け部との間の、トーアームの内側端部に位置してもよい。別の例では、電気機械デバイスは、トーアームと完全に置き換わって、車体又はシャーシ上の取り付け部とホイールアセンブリの間に延在してもよい。一般に、非操向ホイールのトーを制御するように構成された電気機械デバイスは、トーアームの有効全長を変更することになる。
【0148】
図16A及び
図16Bは、車両のサスペンション設定を制御する為の電気機械デバイスの変形形態を示し、このデバイスは、ダブルウィッシュボーンサスペンションシステムのキャンバーを制御するように構成される。この例では、2つの同一の電気機械デバイス621が、上部ウィッシュボーン213の第1の端部631及び第2の端部632上の、上部ウィッシュボーン213の内側ピボットポイントに夫々配置される。ウィッシュボーンの端部は、ウィッシュボーンアームがウィッシュボーンアームホルダに対して枢動し得るように、ウィッシュボーンアームホルダ633の、装置の並進ステージ633との枢動ジョイントを介してキャンバー調整装置に枢動可能に取り付けられる。各電気機械デバイス621は、電気モータ651、2つのスパーギア659、ボールスクリュー653、及びボールナット655を含む電気機械アクチュエータを含む。装置は、ウィッシュボーンアームホルダ633が接続される(又はこの例では一体となる)並進ステージ663をも含む。マウントボディ671は、フレーム(図示せず)に直接的又は間接的に結合してもよく、並進座面を形成する2つのリニアレール661を含むか又はこれに剛性的に接続されてもよい。デバイスは、ベアリングパック669をも含む。ウィッシュボーンアームホルダを含む並進ステージは、平行な一対のレール(シャフト661)によって形成される並進座面上に乗るリニアベアリング(図示せず)をも含み得る。
【0149】
この実施例では、並進ステージのウィッシュボーンアームホルダは、上部ウィッシュボーンアームの端部を保持するように構成され、この実施例では、上部ウィッシュボーンアームは、ボルト又はスクリュー638がウィッシュボーンアームホルダに固定する為に取り付けられ得るチャネルを含む。上部ウィッシュボーン213は、並進ステージ663に接続し、並進ステージ663はボールナット655に接続する。ボールナット655は、ボールスクリュー653に沿って低摩擦で往復駆動されるように構成されており、それによって並進ステージ663を並進移動させる。上部ウィッシュボーン213がホイールアセンブリに接続されるので(
図12A及び
図13A参照)、上部ウィッシュボーン213を並進移動させることにより、ホイール101のキャンバー角が変化する。ボールスクリュー653は、ラジアル負荷及びスラスト負荷を支持可能なベアリングパック669によって支持され、ボールスクリュー653は、電気モータ651によって駆動されるスパーギア659によってその中心軸周りに回転するように駆動される。この例では、マウントボディ、シャフト、及びウィッシュボーンアームホルダは、比較的高い負荷(例えば、負荷閾値を超える)を支持するように構成されているが、その一方で、電気機械コントローラは、マウントボディに取り付けられて並進フレーム(例えば、ウィッシュボーンアームホルダ)に結合され、これらの高負荷を支える必要が無い。
【0150】
図17A及び
図17Bは、車両のサスペンション設定を制御する為の電気機械デバイスの変形形態を示しており、このデバイスは、アンチロールバーの剛性を制御するように構成される。この例では、アンチロールバー205とリンク706との間に電気機械デバイス741が位置する。電気機械デバイスは、電気モータ751、2つのスパーギア759、ボールスクリュー753、ボールナット755、接続フランジ773、マウント768及びベアリングパック769を含む。マウント768は、アンチロールバー205の端部に接続し、マウント768は、ベアリングパック769を収容する。ボールスクリュー753は、ラジアル負荷及びスラスト負荷を支持することが可能なベアリングパック769によって支持されている。ボールスクリュー753は、電気モータ751によって駆動されるスパーギア759によって、その中心軸周りに回転するように駆動される。ボールナット755は、ボールスクリュー753に沿って低摩擦で往復駆動され、それによって接続フランジ773を並進移動させ、アンチロールバー205の端部とリンク706との間の距離を変更するように構成される。このアンチロールバー205の端部とリンク706との間の距離は、アンチロールバー205の有効長を表す。アンチロールバー205の有効長が高ければ、アンチロールバー205の剛性は低くなる。これに対し、アンチロールバー205の有効長が小さければ、アンチロールバー205の剛性は高くなる。
【0151】
本明細書に記載のアンチロールバーの剛性を制御するように構成された電気機械デバイスの何れもが、アンチロールバー上の任意の位置、又はアンチロールバーとホイール若しくはサスペンションアセンブリとの間の任意の位置に配置するように構成され得る。電気機械デバイスは、(リンク等を介して)ホイール又はサスペンションアセンブリに間接的に接続してもよいし、ホイール又はサスペンションアセンブリに直接接続してもよい。
【0152】
本明細書に記載のアンチロールバーの剛性を制御するように構成された電気機械デバイスの何れも、フロントアンチロールバー又はリアアンチロールバーを含む(但し、これに限定されない)任意のアンチロールバーの剛性を制御するように構成され得る。
【0153】
図18A及び
図18Bは、車両のサスペンション設定を制御する為の電気機械デバイスの別の変形形態を示しており、この装置は、ホイール101のトーを制御するように構成される。この例では、外側タイロッド807と内側タイロッド809の間に電気機械デバイス831が位置する。電気機械デバイスは、電気モータ851、モータハウジング852、ボールスクリュー853、シャフトカプラ854、ボールナット855及びベアリングパック869を含む。外側タイロッド807は、ボールナット855に接続し、ボールナット855は、低摩擦でボールスクリュー853に沿って前後に駆動されるように構成され、それによって外側タイロッド807を並進移動させる。外側タイロッド807がホイールアセンブリ(
図11A、
図12A及び
図13A参照)に接続する為、外側タイロッド807を並進移動させることにより、ホイール101のトー角が変更される。ボールスクリュー853は、ラジアル負荷及びスラスト負荷を支持することが可能なベアリングパック869によって支持され、ボールスクリュー853は、シャフトカプラ854を介して電気モータ851によってその中心軸周りに回転するように駆動される。本実施例では、電気モータ851の出力軸がシャフトカプラ854を介してボールスクリュー853に直接結合している為、ギア等は不要である。
【0154】
本明細書に記載の電気機械デバイスの何れもが、サスペンション設定を調整する為に調整部材を駆動する為のギアを含んでも、含まなくてもよい。ギアが使用される場合、ギアは、任意のギア比(例えば、1:1、1:2、2:1、1:3、1:4等)を有してもよい。本明細書に記載の任意の電気機械デバイスの任意のドライバの出力シャフトは、任意の調整部材に直接結合され得る。本明細書に記載の任意の電気機械デバイスにスクリュー(ボールスクリュー、リードスクリュー等)が含まれる場合、少なくとも1つのドライバの出力シャフトは、スクリューに直接又は間接的に結合されてよく、更に、少なくとも1つのドライバの出力シャフトは、スクリューに対して平行、垂直、共線、一致、又は任意の角度にあることを含む、スクリューに対する任意の空間的配向を取ってよい。
【0155】
上述のように、本明細書に記載のアライメントを調整する為のユニット(例えば、電気機械デバイス)の何れもが、電子コントローラによって制御されてもよい。各電気機械デバイスは、それ自身の制御システムによって、別の装置の制御システムによって、共通の集中制御システムによって、又は制御システムの組み合わせによって制御されてもよい。
【0156】
図19は、車両のサスペンション設定を制御する為の電気機械デバイスを制御するように構成された制御ユニットの変形形態を示す。この実施例では、中央制御ユニットを用いて、車両の4輪全部に装着された全ての電気機械デバイスを制御する。左前輪と右前輪の夫々に1つ以上の電気機械デバイスが装着され、各前輪のキャンバー、キャスター、トー、アンチロールバーの剛性を制御する。更に、1つ以上の電気機械デバイスが左後輪と右後輪の夫々に装着され、各後輪のキャンバー、トー、アンチロールバーの剛性を制御する。中央制御ユニットは、ユーザ入力データ及びセンサ入力データを受信し、サスペンション設定を適切に制御及び変更する為に、全ての電気機械デバイスに制御信号を出力するように構成される。
【0157】
幾つかの変形形態では、制御ユニットは、上述のようなアクティブホイールアライメントシステム(AWAS)の制御システムであってもよい。AWASは中央制御ユニットに統合されてもよい。
【0158】
本明細書に記載の任意の制御ユニットは、本明細書に記載の電気機械デバイスに関連しない、磁気ダンパー、適応ダンパー、スプリングレート、及びロールセンターを含む(但し、これらに限定されない)他のサスペンション又は車両機能を追加的に制御し得る。
【0159】
本明細書に記載の電気機械デバイスの何れもが、1つ以上のセンサ(特に、上述のIMUを含む)を含んでもよく、更に閉ループ制御を含んでもよい。
【0160】
図20A及び20Bは、フィードバックセンサで構成された、車両のサスペンション設定を制御する為の電気機械デバイスの変形形態を示す。4つの電気機械デバイス221、231、241は、
図12A~2Cで説明したように、車両の1つのホイール101のサスペンション設定を制御する。この実施例では、温度センサアレイ1081が、上部ウィッシュボーン213に取り付けられ、ホイール101上のタイヤの表面の上に位置してタイヤの温度を監視する。温度センサアレイ1081は、その長さに沿って1つ以上の温度センサを含み、内縁から外縁まで、又は外縁から内縁までの、タイヤの温度を監視する。
【0161】
一実施例では、温度センサアレイ1081は、内縁の温度を監視する為にタイヤの内縁の上に位置するものと、外縁の温度を監視する為にタイヤの外縁の上に位置するものとの2つの離散センサを含み得る。
【0162】
別の実施例では、温度センサアレイ1081は、内縁の温度を監視する為にタイヤの内縁の上方に位置するもの、中心の温度を監視する為にタイヤの中心の上方に位置するもの、外縁の温度を監視する為にタイヤの外縁の上方に位置するものの、3つの離散センサを含み得る。
【0163】
更に別の実施例では、温度センサアレイ1081は、タイヤ全体の全ての点での温度を監視し、完全な温度プロファイルを提供する為に、1つの連続センサバーを含み得る。
【0164】
本明細書に記載の電気機械デバイス又はデバイスのシステムの何れもが、1つ以上の温度センサを含み得る。特に、温度センサは、所与のサスペンション設定のセットの適切さを評価する為に使用されてもよい。特に、温度センサは、タイヤ表面の温度を監視し、それによって所与のキャンバー設定の適切性を評価する為に使用され得る。例えば、タイヤの外縁の温度が内縁の温度よりも高い場合、キャンバーを制御するように構成された電気機械デバイスは、より負側の(又はより正側でない)キャンバーを提供するように命令され得る。別の実施例では、タイヤの内縁の温度が外縁の温度よりも高い場合、キャンバーを制御するように構成された電気機械デバイスは、より負側でない(又はより正側の)キャンバーを提供するように命令され得る。
【0165】
図21A及び21Bは、フィードバックセンサで構成された、車両のサスペンション設定を制御する為の電気機械デバイスの変形形態を示す。4つの電気機械デバイス221、231、241は、
図12A~2Cで説明したように、車両の1つのホイール101のサスペンション設定を制御する。この実施例では、ポジションセンサアレイ1183が、下部ウィッシュボーン211に取り付けられて、ホイール101の後ろに位置して、ホイール101の角度又は位置を監視する。この実施例のポジションセンサアレイ1183は、3つのポジションセンサ1185、1187、1189を含む。ポジションセンサ1185、1187、1189は、ホイール101のキャンバー角とトー角を監視するように構成される。
【0166】
一実施例では、ポジションセンサアレイは、1つ以上の離散センサを含み得る。別の実施例では、ポジションセンサアレイは、位置プロファイルを提供する為に1つの連続センサバーを含み得る。
【0167】
本明細書に記載の電気機械デバイス又はデバイスのシステムの何れもが、1つ以上のポジションセンサを含み得る。特に、ポジションセンサは、所与のサスペンション設定のセットの適切さを評価する為に使用され得る。特に、ポジションセンサは、ホイールのトー角を監視する為に使用され得る。
【0168】
本明細書に記載の電気機械デバイス又はデバイスのシステムの何れもが、ポジションセンサ、エンコーダ(リニア、ロータリー、光学等)、リミットスイッチ、近接センサ、温度(熱)センサ、リードスイッチ、光センサ(紫外線、赤外線等)、及び加速度計を含む(但し、これに限らない)1種類以上の1つ以上のセンサを含み得る。例えば、電気機械デバイスは、1つ以上のポジションセンサと1つ以上の温度センサを含み得る。
【0169】
本明細書に記載の1つ以上のセンサを含む電気機械デバイス又はデバイスのシステムの何れについても、開ループ、部分閉ループ、完全閉ループ、間欠閉ループ、連続閉ループ、半自動、又は完全自動制御が提供され得る。
【0170】
本明細書に記載の1つ以上のセンサを含む電気機械デバイス又はデバイスのシステムの何れについても、サスペンション設定の自動、連続、リアルタイムの制御が提供され得る。
【0171】
図22A~22Gは、マクファーソンタイプサスペンション等のストラット1203を含むサスペンションを有する車両のキャンバーを調整する為の装置1221(例えば、装置、システム等)の別の変形形態を示す。この実施例では、
図14A~14Eに示す装置と同様に、装置は、車両フレーム(例えば、ストラットタワー1215)に剛性的に接続するマウントボディを含む。マウントボディは、上部マウントボディ1264と下部マウントボディ1266とを含む。
図22Cに示すように、上部マウントボディは、この例では、下部マウントボディと接続し、マウントボディの2つの部分が剛性的に接続するように、両マウントボディ間に車両のフレーム1215を保持するように構成される。上部及び下部マウントボディの夫々に設けられた開口部は、フレーム(ストラットタワー1215)を貫通する開口部と整列する。下部マウントボディはこの開口部を横切っており、可動並進ステージ1263の一部として連結又は形成されているストラットホルダ1299は、下部マウントボディの一部を形成する並進座面1298上で単一の並進軸に運動する。この例では、並進座面は、開口部を横切って平行に延在する2本のシャフト1290の夫々の円筒状外面である。並進軸は、これらのシャフトの方向と平行に延在する。
図22A、22C及び22Fでは、ハウジング1278が上部マウントボディを覆い、可撓性スリーブ1279が下部マウントボディを覆い、ストラットホルダの移動を可能にし、装置をデブリから保護する。
【0172】
この実施例の上部ハウジング1278は、電気機械アクチュエータを覆っており、
図22B、22D、22E及び22Gでは、上部カバーは取り外されている(但し、下部の可撓性カバー1279は依然として所定の位置にある)。この実施例の電気機械アクチュエータは、ここではボールスクリュー1253及びボールナット1255として構成されたリニアアクチュエータと結合する一対のギア1259の回転を駆動する電気モータ1251を含む。ボールスクリューは、ボールナットがボールスクリューに沿って前方及び後方に運動できるように、ギアによって回転され、ボールナットは、並進ステージ/ストラットホルダに接続(例えば、剛結合)されている為、ボールスクリューの回転によりストラットホルダの移動を駆動する。電気コントローラ(例えば、プロセッサ、図示せず)は、電気機械アクチュエータと通信し、その動作を制御する。
【0173】
動作時、ストラットホルダは、電気機械アクチュエータの電気モータがボールスクリューを回転させ、ボールナットを第1の並進軸の前後に運動させる時に、一対のシャフトの並進座面1298上で運動するように(例えば、並進ステージ上/中又はその一部でのブッシュ/リニアベアリングの作用により)、電気機械アクチュエータによって駆動される。この実施例では、この第1の並進軸は、ホイールの平面に略整列される(例えば、幾つかの変形形態では、ホイールの回転軸の±30度以内)。装置は、並進ステージが、従ってストラットホルダが、他の全ての並進方向(例えば、第1の並進軸に対して垂直な軸)において抑制されるように抑制される。エンコーダ(図示せず)は、ホルダ/並進の位置を監視し、電気コントローラにフィードバックを提供してよい。
【0174】
上述のように、
図22A~22Gに示す装置は、例えばサスペンションのストラットによって装置に課される高負荷が、電気機械アクチュエータを支持するか又は含むマウントボディの部分から隔離されたマウントボディの別の部分を通してフレームボディに伝達されるように構成される。この例では、上部マウントボディ1263は電気機械アクチュエータを支持し、高負荷を支持する必要は無く、電気機械アクチュエータは下部マウントボディ1266が動作する高負荷条件下で動作する必要は無い。下部マウントボディ1266は、ストラット1203からの負荷を支持し、この負荷は、ストラットホルダ1299及び並進ステージ1263を介して、下部マウントボディ1266の並進座面1298を形成する一対のシャフトに伝えられる。下部マウントボディは、車両フレーム(例えば、ストラットタワー1215)の下に取り付けるように構成されており、従って、この負荷は、電気機械アクチュエータを通過すること無く、デバイスを介してフレームに伝達される。従って、下部マウントボディは、約1000キログラム(kg)を超える(例えば、約1500kg以上、約2000kg以上、約2500kg以上、約3000kg以上、約3200kg以上、約3500kg以上、約4000kg以上等)最小負荷閾値を処理するように構成されてもよい。
【0175】
図23A~23Hは、
図15A~15B及び18A~18Bに関して図示し上述したものと同様に、車両(例えば、車両のホイール)のトーを電気的に調整し得るトー調整装置(例えば、トー調整ユニット)の別の実施例を示す。
図23Aにおいて、トー調整ユニット1331は、遠位端に、タイロッド1360の端部に接続するように構成された、タイロッドマウント1368を含む。幾つかの変形形態では、タイロッド(前部タイロッド1360)は、装置の一部を形成する。
図23A~23Hにおいて、タイロッドマウントは、前部タイロッドを伸縮式ロッドのボールナット1355に剛性的に取り付け、ボールスクリュー(見えない)は、ボールナット内に保持され、ボールナットを通り、前部トーロッドの遠位端の中に部分的に入る。伸縮式ロッド部分1381は、遠位から近位への方向に伸縮するように構成される。伸縮式ロッドは、電気機械アクチュエータ(例えば、電気モータ1351、ギア1359等)によって作用するリニアアクチュエータ(例えば、この例では、ボールスクリュー1353及びボールナットであり、ボールナットは、タイロッドマウント1368と同じ機構であってもよい)を含み得る。電気機械アクチュエータは、ボールスクリュー及びボールナット(この例では、タイロッドマウント)を介して伸縮アームに結合され、伸縮アームの回転を駆動して伸縮アームをタイロッドに対して伸縮させる。ハウジング1386(可撓性部分1385を含む)が、電気機械アクチュエータ及び伸縮アーム部分を覆ってもよい。
【0176】
この実施例では、伸縮式ロッド部分1381は、ここでは前部タイロッド部分1360として示されている部分(例えば、切頭型)タイロッドと一直線に結合される。装置の後端はステアリングリンクマウント1377を含む。幾つかの変形形態では、伸縮式ロッドとステアリングリンクマウントとの間に第2のタイロッド部分(後側タイロッド部分)が含まれてもよい。この実施例のステアリングリンクマウントは、ボールジョイントであり、枢動を可能にする。伸縮式ロッド部分は、電気モータによって駆動される回転(その回転はギアによって伝達される)によって伸縮し、ボールスクリューを回転させることができ、ボールスクリューは、前側タイロッド部分を介してアライメントの残りの部分(従って車両のフレーム)に剛性的に固定されている1つ以上のボールナット内で回転する。電気機械アクチュエータは、タイロッドの負荷支持経路から外れて配置され、
図23A~23Fでは、電気機械アクチュエータ(例えば、モータ)は、タイロッドの負荷支持経路の残りの部分と平行に配置されている。これは、スペースを節約し、電気機械アクチュエータを保護し得る。
【0177】
図23A~23Hにおいて、ステアリングリンクマウント1377は、近位端に位置し、車両のステアリングラック(図示せず)のリンケージに接続するように構成される。このステアリングリンクマウントは、ボールジョイントであってもよい。
【0178】
トー調整ユニットは、電気機械アクチュエータ(例えば、電気モータ1351)を装置の本体フレームに接続する1つ以上の(2つが
図23E~23Hに示されている)ステイ(ステイロッド1395)をも含む。ステイロッドは、タイロッドマウントに(直接又は図示のように間接的に)剛性的に接続されたベアリング1396(この例ではアライメントカラーとして示されている)に摺動可能に接続されて、動作中のタイロッドマウントに対する電気機械アクチュエータの回転を防止する。
【0179】
図23~23Gにおいて、アライメントカラー1396は、ボールナット1368に剛性的に取り付けられる(キー止めされる)。アライメントカラー1396は、ベアリングハウジングに剛性的に取り付けられた2つのシャフト/ステー1395によって案内され、回転を防止される。この装置は、特に、コンパクトな形態を提供する為、前輪又は後輪のステアリングの為のトー制御を可能にし得る。
【0180】
例えば、本実施例のトーアクチュエータは、ハウジングの重量及びサイズを低減する為に、軟性の(例えば、非金属)外側ハウジングを含む。アライメントカラーの使用は、剛性ハウジングが無い場合であっても、著しい強度及び剛性を提供し得る。本明細書に記載のトーアクチュエータは、代わりに、埃や他の汚染を防ぐ為にプラスチック製の外側ハウジングを使用してもよいが、構造的支持(例えば、ホイールに接続する外側リンクがアクチュエータハウジングに対して回転するのを防ぐ為の)を提供する必要は無い。
【0181】
電気機械式(EM)ブレーキ
キャンバー、キャスター及び/又はトーを電子的に調整するように構成されたものを含む本明細書に記載のホイールアライメント制御装置の何れもが、安全性コンポーネントとして、電気機械ブレーキを含む冗長ブレーキ/ロック機構を含んでもよい。これらの電気機械ブレーキは、停電又は他の故障の際に、ホイールアライメント(例えば、キャンバー、キャスター及び/又はトー)が変わるのを防止することができる。これらの装置は、典型的にはより高価で、重く、嵩張る摩擦型EMブレーキと比較して、多数の利点を有する。
【0182】
一般に、これらの装置は、装置が制動/ロックするように構成されているモータの可動要素、例えばモータのシャフトに結合された切欠ディスクを含み得る。装置は、ソレノイド又はリニアアクチュエータに結合され、動力状態においてソレノイド又はリニアアクチュエータがブレーキアームを切欠ディスクから離して保持するように構成されたブレーキアーム(例えば、シャフト、レバー等)をも含む。ソレノイド又はリニアアクチュエータの電源が切れる等して、ソレノイド又はリニアアクチュエータが解除されると、ブレーキアームが切欠ディスクの1つ以上の切欠に係合し、モータを強制的に制動して所定位置にロックすることができる。幾つかの実施例では、ブレーキアームの曲げや破損を防ぐ為に、ブレーキアームの両側に1つ以上の支持体を設けてもよい。1つ以上の支持体は、ブレーキアームや場合によってはソレノイドを少なくとも部分的に保持するハウジングの一部として、モータ本体に取り付けられてもよい。
【0183】
例えば、
図24は、電気機械式ブレーキ装置の一例を示す。
図24に示すように、装置(例えば、システム)は、モータ2401の後部に取り付けられ、停電の際にモータシャフトが回転するのを防止する。
図24において、装置は、取付ブラケット/ハウジング2405、スプリングリターンを有するソレノイド2407、ブレーキアーム2409(例えば、レバー)、及びモータの後部シャフト2415に結合する切欠/スロット付きディスク/ホイール2411を含む。ソレノイドは、電力が供給されると、ブレーキアームが切欠ディスクから外れて、ディスクとモータシャフトが自由に回転できるように構成されている。逆に、電源を切ると、ソレノイドのスプリングリターンにより、レバーが切欠ディスクに係合し、レバーとモータシャフトの回転を阻止し、現在の位置をロックする。
【0184】
このシステムは非常に軽く、安価で小型であり、摩擦ブレーキではなくポジティブロックという利点もある。
図24に示す例では、プル型ソレノイドを使用しているが、プッシュ型ソレノイドの配置やリニアアクチュエータ等、他の構成を使用してもよい。幾つかの実施例では、ソレノイドは後部に取り付けられ、枢動レバーを必要とせずに切欠ディスクと直接係合してもよい。例えば、ソレノイドのピストンが切欠/スロット付きディスク/ホイールの中に直接延びるか、切欠/スロット付きディスク/ホイールの中に延びる剛性延長部を含んでもよい。
図24に示す実施例は、スペース効率が高いので、本明細書に記載のアクティブホイールアライメント装置に有益なコンパクトなパッケージングソリューションを有利に提供し得る。
【0185】
本明細書に記載の方法の何れも、ソフトウェア、ハードウェア、又はファームウェアとして実装されてもよく、プロセッサ(例えば、コンピュータ、タブレット、スマートフォン等)によって実行可能な命令セットを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体として記述され得るものであり、プロセッサによって実行されると、表示、ユーザとの通信、分析、パラメータの変更(タイミング、周波数、強度等を含む)、決定、警告等を含むがこれらに限定されない何れかのステップをプロセッサに行わせる。
【0186】
本明細書において、特徴又は要素が他の特徴又は要素の上に「在る」と言及される場合、それは他の特徴又は要素上に直接存在し得る、或いは介在する特徴及び/又は要素も存在し得る。対照的に、特徴又は要素が他の特徴又は要素上に「直接」存在すると言及される場合、介在する特徴又は要素は存在しない。特徴又は要素が他の特徴又は要素に「接続」、「取り付け」又は「結合」されていると言及される場合、他の特徴又は要素に直接接続、取り付け又は結合され得るか、或いは介在する特徴又は要素が存在し得ることも理解されるであろう。対照的に、特徴又は要素が別の特徴又は要素に「直接接続」、「直接取り付け」又は「直接結合」されていると言及される場合、介在する特徴又は要素は存在しない。一実施形態に関して説明又は示されているが、そのように説明又は示された特徴及び要素は、他の実施形態に適用され得る。別の特徴に「隣接して」配置される構造又は特徴への言及は、隣接する特徴に重なる部分又は下敷きになる部分を有し得ることも、当業者には理解されよう。
【0187】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のみのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。例えば、本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈が明示的に示唆しない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用される場合、用語「備える(comprise)」及び/又は「備えた(comprising)」は、記載された特徴、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しないことが更に理解されるであろう。本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ以上のあらゆる組み合わせを含み、「/」と略記される場合がある。
【0188】
「下(under)」、「下方(below)」、「下部(lower)」、「上(over)」、「上部(upper)」等の空間的相対用語は、説明を容易にする為に、図に例示されているような別の要素(複数可)又は特徴(複数可)に対する或る要素又は特徴の関係を説明する為に、本明細書で使用され得る。空間的相対用語は、図に描かれた配向に加えて、使用又は動作中のデバイスの異なる配向を包含することを意図していることが理解されるであろう。例えば、図のデバイスが反転した場合、他の要素又は特徴の「下(under)」又は「下方(beneath)」として説明される要素は、他の要素又は特徴の「上(over)」に配向されることになる。従って、例示的な用語「下(under)」は、上と下との両方の配向を包含し得る。デバイスは、他の配向(90度回転した、又は他の配向)であってもよく、本明細書で使用される空間的に相対的記述子は、それに応じて解釈される。同様に、用語「上方に(upwardly)」、「下方に(downwardly)」、「垂直」、「水平」等は、特に指示しない限り、説明の目的のみで本明細書に使用される。
【0189】
本明細書では、「第1」及び「第2」という用語が、様々な特徴/要素(ステップを含む)を説明する為に使用されることがあるが、文脈が別段に示唆しない限り、これらの特徴/要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、或る特徴/要素を別の特徴/要素から区別する為に使用されることがある。従って、以下に説明する第1の特徴/要素は、第2の特徴/要素と称され得るものであり、同様に、本発明の教示から逸脱すること無く、以下に説明する第2の特徴/要素は、第1の特徴/要素と称され得る。
【0190】
本明細書及びそれに続く特許請求の範囲を通じて、文脈上必要でない限り、「備える(comprise)」という単語、及び「備える(comprises)」及び「備えた(comprising)」等の変形は、方法及び物品(例えば、装置及び方法を含む組成物及び装置)において種々の構成要素が共働的に採用され得ることを意味している。例えば、用語「備えた(comprising)」は、任意の記載された要素又はステップを含むことを意味するが、他の要素又はステップを除外することを意味しないと理解されるであろう。
【0191】
一般に、本明細書に記載の何れの装置及び方法も、包括的であると理解されるべきであるが、構成要素及び/又はステップの全て又はサブセットが代替的に排他的であってもよく、種々の構成要素、ステップ、サブコンポーネント又はサブステップ「からなる」又は代替として「から本質的になる」と表現され得る。
【0192】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、実施例で使用される場合を含め、特に明示的に指定されない限り、全ての数字は、その用語が明示的に現れていない場合でも、「約」又は「凡そ」という単語が前置きされているかのように読解され得る。語句「約」又は「凡そ」は、大きさ及び/又は位置を説明する時に、説明される値及び/又は位置が値及び/又は位置の合理的な予想範囲内にあることを示す為に使用され得る。例えば、数値は、表示値(又は値の範囲)の±0.1%、表示値(又は値の範囲)の±1%、表示値(又は値の範囲)の±2%、表示値(又は値の範囲)の±5%、表示値(又は値の範囲)の±10%等である値を有する場合がある。本明細書で与えられる任意の数値は、文脈がそうで無いことを示さない限り、約その値、又は凡そその値を含むとも理解されるべきである。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」も又開示されている。本明細書で言及される任意の数値範囲は、そこに包含される全ての下位範囲を含むことが意図される。値が開示されている場合、当業者によって適切に理解されるように、「値以下」、「値以上」、及び値の間の可能な範囲も開示されていることが理解される。例えば、値「X」が開示されている場合、「X以下」だけでなく、「X以上」(例えば、Xは数値である)も開示されている。本願を通じて、データは、幾つかの異なるフォーマットで提供され、このデータは、データポイントの任意の組み合わせについて、終点及び始点、並びに範囲を表すことも理解される。例えば、特定のデータポイント「10」及び特定のデータポイント「15」が開示される場合、10及び15を超える、10及び15以上、10及び15未満、10及び15以下、及び10及び15に等しい、が開示されると理解され、並びに、10及び15の間も開示されると見做されると理解される。2つの特定の単位間の各単位も開示されると理解される。例えば、10及び15が開示される場合、11、12、13及び14も開示される。
【0193】
様々な例示的な実施形態が上述されたが、特許請求の範囲によって説明される本発明の範囲から逸脱すること無く、幾つかの変更の何れが様々な実施形態に為されてもよい。例えば、様々な説明された方法ステップが実行される順序は、代替実施形態において多くの場合変更されてもよく、他の代替実施形態では、1つ以上の方法ステップが完全にスキップされてもよい。様々なデバイス及びシステムの実施形態のオプションの特徴は、或る実施形態には含まれ、他の実施形態には含まれないことがある。従って、前述の説明は、主に例示的な目的の為に提供され、特許請求の範囲に規定される本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0194】
本明細書に含まれる実施例及び図解は、例示であって限定ではないものの、主題が実践され得る特定の実施形態を示す。言及したように、他の実施形態は、本開示の範囲から逸脱すること無く、構造的及び論理的な置換及び変更が為され得るように、利用され、そこから導出され得る。本発明主題のそのような実施形態は、本明細書では、単に便宜上、「発明」という用語によって個別又は集合的に言及され、複数の発明が実際に開示されている場合、本願の範囲を任意の単一の発明又は発明概念に自発的に限定することを意図するものでは無い。従って、本明細書では特定の実施形態が図示及び説明されているが、同じ目的を達成するように計算された任意の配置構成が、示された特定の実施形態に代用され得る。本開示は、様々な実施形態のあらゆる適応例又は変形例を網羅することを意図している。上記の実施形態の組み合わせ、及び本明細書で特に説明されていない他の実施形態は、上記の説明を検討すれば、当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0195】
1 IMU
1’センサモジュール
3 中央IMU
5、101 ホイール
7 ナックル
11 タイロッド
13 上部コントロールアーム
15 下部コントロールアーム
17、103、1203 ストラット
22、1460 磁石モジュール
24 ブラケット
105、205 アンチロールバー
106 リンク
109、1360 タイロッド
121、131、141、221、231、241、531 電気機械デバイス
207、507、807 外側タイロッド
209、509、809 内側タイロッド
213 上部ウィッシュボーン
415、1215 ストラットタワー
421 装置
451 電気モータ
453 ボールスクリュー
455 ボールナット
457 上部並進ステージ
459 スパーギア
461 リニアレール
463 下部並進ステージ
465、1299 ストラットホルダ
488 第1の並進軸
551、651、751、851、1251、1351 電気モータ
553、653、753、853、1253 ボールスクリュー
555、655、755、855、1255、1355 ボールナット
559、659、759 スパーギア
621、831 電気化学デバイス
633 ウィッシュボーンアームホルダ
661 リニアレール
669 ベアリングパック
671 マウントボディ
706 リンク
769 ベアリングパック
773 接続フランジ
852 モータハウジング
854 シャフトカプラ
869 ベアリングパック
1081 温度センサアレイ
1121、1221 装置
1183 ポジションセンサアレイ
1185、1187、1189 ポジションセンサ
1263 可動並進ステージ
1264 上部マウントボディ
1266 下部マウントボディ
1278 ハウジング
1290 可撓性スリーブ
1298 並進座面
1290 シャフト
1331 トー調整ユニット
1359 ギア
1368 タイロッドマウント
1377 ステアリングマウント
1381 伸縮ロッド部分
1386、1451 ハウジング
1395 シャフト/ステイ
1396 アライメントカラー
1401 ホイールIMU
1405 ホイールアセンブリ
1421、1423 磁石
1450 センサモジュール
1453、1469 加速度計
1461 ハウジング
1467 棒磁石
1501 ホイールIMU
1533 エンコーダ
1535、1537 エンコーダリンク
1600 キャンバー調整ユニット
1605 タイヤ
1613 上部コントロールアーム
1650 キャンバー調整ユニット
1653 フレーム
1655 カバー
1657 大きい方のオフセットギア
1659 駆動軸
1807 ナックル
1850 アライメント調整ユニット
1857 オフセットギア
1859 ドライブギア
1863 ストレートアーム
1865 駆動モータ
1869 エンコーダ
1871 オフセットブッシング
1885 中間ギア
1901 プロセッサ
1903 外部センサ
2401 モータ
2405 取付ブラケット/ハウジング
2407 ソレノイド
2409 ブレーキアーム
2411 ディスク/ホイール
【国際調査報告】