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特表2023-545171標的化されたタンパク質分解のための方法及び組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】標的化されたタンパク質分解のための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20231019BHJP
   C07D 495/14 20060101ALI20231019BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231019BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20231019BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20231019BHJP
   C07D 249/12 20060101ALI20231019BHJP
   C07D 401/10 20060101ALI20231019BHJP
   A61K 31/5513 20060101ALI20231019BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20231019BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20231019BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20231019BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20231019BHJP
   C07D 211/46 20060101ALI20231019BHJP
   C07D 209/44 20060101ALI20231019BHJP
   C07D 403/10 20060101ALI20231019BHJP
   C07D 231/56 20060101ALI20231019BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20231019BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20231019BHJP
   C07D 451/04 20060101ALI20231019BHJP
   C07D 417/12 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
C07D487/04 151
C07D495/14 CSP
A61P35/00
A61K31/551
C07D401/12
C07D249/12 510
C07D401/10
A61K31/5513
C07D401/14
C07D413/12
C07D471/04 117N
A61K31/519
C07D211/46
C07D209/44
C07D403/10
C07D471/04 106C
C07D231/56 A
C07D417/14
C07D519/00 301
C07D451/04
C07D417/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522795
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 CN2021123935
(87)【国際公開番号】W WO2022078470
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/120945
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521444158
【氏名又は名称】ラノック セラピューティクス (ハンジョウ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196243
【弁理士】
【氏名又は名称】運 敬太
(72)【発明者】
【氏名】イーン,ウェイウェン
(72)【発明者】
【氏名】フォーリー,ケビン・ポール
(72)【発明者】
【氏名】イエ,ローン
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,ミーンカイ
(72)【発明者】
【氏名】イーン,チェンハオ
(72)【発明者】
【氏名】イン,ウエイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,リンジー
【テーマコード(参考)】
4C050
4C063
4C065
4C071
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050AA07
4C050BB08
4C050CC11
4C050DD10
4C050EE04
4C050FF01
4C050GG04
4C050HH04
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB01
4C063BB06
4C063BB09
4C063CC22
4C063CC41
4C063CC51
4C063CC62
4C063CC67
4C063DD04
4C063DD10
4C063DD12
4C063DD34
4C063DD62
4C063EE05
4C065AA04
4C065AA05
4C065BB05
4C065BB10
4C065CC01
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH01
4C065HH09
4C065JJ01
4C065JJ08
4C065KK01
4C065KK02
4C065LL01
4C065LL07
4C065PP03
4C065PP08
4C065PP09
4C065PP12
4C065PP13
4C065PP15
4C071AA01
4C071BB02
4C071CC04
4C071CC21
4C071EE13
4C071FF02
4C071GG01
4C071GG02
4C071GG06
4C071JJ01
4C071JJ04
4C071JJ05
4C071JJ06
4C071JJ08
4C071LL01
4C072MM08
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB09
4C086CB11
4C086CB26
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
式:H-L-Tの化合物及びその薬学的に許容される塩、並びにその組成物が提供され、これらは、がん及び関連する状態を治療するのに有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物、
H-L-T
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、
Hが、HSP90、KRAS、又はERK5結合剤であり、
Lが、リンカーであり、
Tが、標的タンパク質結合剤である、化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Hが、
【化1】
から選択され、式中、
Q及びUが、それぞれ独立して、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれが、Rから選択される1~3個の基で任意に置換されており、
13及びR14が、それぞれ独立して、水素、ハロ、-CN、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、及び-C(O)NRから選択され、
15が、水素、(C-C)アルキル、又はハロ(C-C)アルキルであり、
Wが、Rから選択される1~3個の基で任意に置換された5又は6員ヘテロアリールであり、
Vが、Rから選択される1~3個の基で任意に置換されたフェニル又は5~9員ヘテロアリールであり、
が、ハロ、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、(C-C)アルコキシ、又はハロ(C-C)アルコキシであり、
が、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、(C-C)アルケニル、ハロ(C-C)アルケニル、(C-C)アルキニル、ハロ(C-C)アルキニル、CN、-C1-4アルキルOR、-OR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR、-C(O)NR(C1-4アルキレン)OR、-C(O)NR(C1-4アルキレン)NR、-C(O)NR(C1-4アルキレン)OR、-NR、-O(C1-4アルキレン)NR、-C1-4アルキルNR、-SR、-S(O)R、-S(O)、-S(O)NR、-SONR、-NR(C1-4アルキル)OR、-SH、-S(C1-4アルキル)、-NR(C1-4アルキル)NR、-C1-6アルキルC(O)NR、-O(C1-4アルキレン)NRC(O)(C1-4アルキレン)NR、フェニル又は5~7員ヘテロアリールであり、前記フェニル及び5~7員ヘテロアリールが、それぞれ、Rから選択される1~3個の基で任意に、かつ独立して置換されており、
及びRが、それぞれ独立して、水素及び(C-C)アルキルから選択され、前記(C-C)アルキルが、1つ以上のハロ若しくは3~7員ヘテロシクリル、又は両方で任意に置換されており、
及びRが、それぞれ独立して、ハロ、-NR、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、(C-C)アルコキシ、又はハロ(C-C)アルコキシである、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
Hが、
【化2】
である、請求項1若しくは2に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
Hが、
【化3】
であり、
Zが、N又はCHである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
Zが、CHである、請求項4に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
各Rが、独立して、(C-C)アルキル、又はハロである、請求項2~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Hが、
【化4】
である、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
Hが、
【化5】
である、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
Hが、
【化6】
である、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
Hが、
【化7】
である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
が、ハロ、又は(C-C)アルキルである、請求項2~10のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
が、クロロ、イソプロピル、メチル、プロピル、又はエチルである、請求項2~11のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
が、イソプロピル又はエチルである、請求項2~12のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
が、-OR、-SR、-C(O)NR、又は-C(O)NR(C1-4アルキレン)NRである、請求項2~13のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
及びRが、それぞれ独立して、水素及び(C-C)アルキルから選択され、前記(C-C)アルキルが、1~3個のハロ又は6員ヘテロシクリルで任意に置換されている、請求項2~14のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
が、OH、-C(O)NHCHCF、-C(O)NHCHCH、-C(O)NHCH(CH、-C(O)NH(CHCH、-C(O)NHCH(CH)CF、-C(O)NHシクロプロピル、-C(O)NHメチルシクロプロピル、C(O)NH、又は-C(O)NH(CHピペリジニルである、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
が、-C(O)NHCHCF又はOHである、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
が、OHである、請求項2~17のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
Lが、-Het-X-*、-Het-、-Het-Het-X-*、*-Het-Het-、-NR-(CH-X-NR-(CH-Het-X-Het-X-*、-NR-(CH-Het-X-Het-X-*、-Het-X-Het-X-*、*O-(CH-NR-X-(CH-NR-、*-X-NR-X-O-(CH-NR-、*-X-Het-X-Het-(CHO-、*O-Het-、*O-Het-X-、*-X(OCHCH-NR-、*-(CHNR-、-(CH-、-O-、*XNR-、-NR-(CH-X-Het-X-*、-NR-(CH-X-NR-(CH-Het-X-Het-X-*、*O-Het-X-(CH-NR-、*-X-NR-X-(CH-NRd-、*X-Het-X-NR-X-Het-(OCHCH-(CH-NR-(CH-、-NR-(CH-X-NR-(CHCHO)-*、-NR-(CH-X-NR-(CH-*、*X-Het-X-NR-X-Het-(OCHCH-NR-(CH-、-NR-(CH-X-Het-X-Het-X-*、*O-X-Het-、-O(CH-X-Het-X-Het-X-*、-O(CH-X-NR-(CH-Het-X-Het-X-*、*O-(CH-NR-、*O-X-Het-X-、*-X-NR-(CH-Het-X-Het-X-(CH-NR-(CH-、-NR-(CH-X-(CH)CH-Het-X-Het-X-*、-NR-(CH-X-(CH-Het-X-Het-X-*、-NR-(CH-X-NR-(CH-Het-X-Het-X-*、-NR-(CH-NR-X-Het-X-*、*Het-X-Het-X-、*-Het-X-Het-X-O-、-O(CH-Het-(CH-O(CH-NR-X-*、*-O(CH-Het-(CH-O(CH-NR-X-、*-Het-O-(CH-X-Het-X-、*-Het-O-(CH-X-NR-(CHCHO)(CH-Het-X-、*-Het-X-NR-(CH-、*-Het-X-Het-Het-X-、*-Het-X-NR-(CHCHO)(CH-、*-Het-X-NR-(CHCHO)Het-(CH-X-、*-Het-X-NR-(CHCHO)-、*-Het-X-NR-(CH-Het-X-Het-(CH-、*-Het-X-Het-(CH-Het-X-、*-Het-X-Het-、*-Het-X-NR-、*-Het-X-NR-(CH-Phe-X-Het-(CH-、*-Het-X-Het-Het-、*-Het-X-Het-(CH-Het-X-(CH-NR-(CH-、*-Het-X-Het-(CH-Het-(CH-O-、*-Het-X-Het-(CH-Het-(CH-NR-(CH-、*-Het-X-Het-(CHCHO)-、*-Het-X-(CH-Het-X-、*-(CHCHO)-(CH-Het-X-Het-(CHCHO)、*-(CHCHO)-(CH-Het-X-Het-X、*-Het-X-Phe-X-NR-X-、*-(CHCHO)-(CH-Het-X-Phe-X-NR-(CHCHO)-、*-(CHCHO)-(CH-NR-Phe-X-、*-(CHCHO)-(CH-NR-Phe-(CHCHO)-、*-(CHCHO)-(CH-NR-(CHCHO)-(CH-、*-(CHCHO)-(CH-NR-(CHCHO)-(CH-C(O)-NR-(CHCHO)-(CH-、*-(CHCHO)-(CH-NR-(CHCHO)-(CH-Het-X-Het-X-、*-(CHCHO)-(CH-NR-(CHCHO)-(CH-Het-X-Het-X-(CHCHO)、*-NR-(CHCHO)-(CH-Phe-NH-X-Het-X、*-NR-(CHCHO)-(CH-Phe-NH-X-Het-X-(CHCHO)、*-(CHCHO)-(CH-NR-(CHCHO)-(CH-Phe-X-NR-(CHCHO)
-(CH-、*-(CHCHO)-(CH-NR-(CHCHO)-(CH-Het-X-、*-(CHCHO)-(CH-NR-(CHCHO)-(CH-Het-X-(CHCHO)-、*-(CHCHO)-(CH-NR-(CH-C(O)-NR-Het-X-Het-(CHCHO)-(CH、又は*-NR-(CH-C(O)-NR-(CH-Het-X-Het-X-、*C(O)O- *-X-Het-(CHCHO)-(CH-NR-、-Het-(CH-Het-、*-Het-X-Het-(CH-O-(CH-*、*O(CHC(O)、*-OC(O)-NR-(CH-NR-、*-OC(O)-NR-(CH-O-(CH-NRd-、*OC(O)Het、*-OC(O)-NR-(CHCHO)-NR-、*OC(O)Het-Het-、*-OC(O)-NR-(CHC(O)-Het-X-Het-、*O-(CH-Het-、及び*O-(CH-Het-X-Hetから選択され、
*が、Hへの結合点を示す。
Het、Het、及びHetが、それぞれ独立して、フェニル、4~6員ヘテロシクリル、5~7員ヘテロアリール、又は4~6員シクロアルキルであり、それらのそれぞれが、(C-C)アルキルで任意に置換されており、
、X、及びXが、それぞれ独立して、C(O)又は(CHであり、
及びRが、それぞれ独立して、水素、(C-C)アルキル、又はハロ(C-C)アルキルであり、
m、n、o、p、q、及びrが、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、5、及び6から選択される整数である、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
Lが、*-Het-X-Het-X-、-Het-X-Het-X-*、*-(CHNR-、-(CH-、*-Het-X-Het-、*-Het-Het-、*-(CHCHO)-NR-、*-X-Het-(CHCHO)-(CH-NR-、-Het-X-*、-Het-Het-X-*、*-X-NR-X-O-(CH-NR-、-NR-(CH-Het-X-Het-X-*、-NR-(CH-X-NR-(CH-Het-X-Het-X-*、-NR-(CH-X-NR-(CH-Het-X-Het-X-*、*O-(CH-NR-X-(CH-NRd-、*-X(OCHCH-NR-、-NR-(CH-X-NR-(CHCHO)-*、*-X-NR-X-(CH-NRd-、-Het-(CH-Het-*、*O-(CH-NR、*O-X-Het-X-、-Het-X-*、*O-X-Het-、*-Het-X-Phe-X-NR-X-、*X-Het-X-NR-X-Het-(OCHCH-NR-(CH-、*X-Het-X-NR-X-Het-(OCHCH-(CH-NR-(CH-、*O-Het-、*O-Het-X-、*O-Het-X-(CH-NR-、*C(O)O-、-Het-、-O-、*-Het-X-Het-(CH-O-(CH-*、*O(CHC(O)、*-OC(O)-NR-(CH-NRd-、*-OC(O)-NR-(CH-O-(CH-NR-、*OC(O)Het、*-OC(O)-NR-(CHCHO)-NR-、*OC(O)Het-Het-、*-OC(O)-NR-(CHC(O)-Het-X-Het-、*O-(CH-Het-、及び*O-(CH-Het-X-Hetから選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
Het及びHetが、それぞれ独立して、フェニル又は4~6員ヘテロシクリルである、請求項19若しくは20に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項22】
Het及びHetが、それぞれ独立して、ピペリジニル、フェニル、アゼチジニル、ピペラジニル、又はピロリジニルである、請求項19~21のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項23】
m、n、o、p、q及びrが、それぞれ独立して、0、1、2、及び3から選択される整数である、請求項19~22のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項24】
Lが、

【化8-1】
【化8-2】
【化8-3】
から選択される、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項25】
前記標的タンパク質結合剤が、BETの結合剤である、請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項26】
前記標的タンパク質結合剤が、式:
【化9】
のものであり、
式中、
Xが、C(O)又は(C-C)アルキレンであり、Qが、窒素含有ヘテロアリール又はヘテロシクリル環であり、それらのそれぞれが、Rから選択される1~3個の基で任意に置換されており、
が、-C(O)Y又は-S(O)Yであり、
Yが、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、(C-C)アルケニル、ハロ(C-C)アルケニル、NH、-NH(C-C)アルキル、-N[(C-C)アルキル]、NHNH、又はNHOHであり、前記(C-C)アルケニルが、単独で、又はハロ(C-C)アルケニルにおいて列挙されているように、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシ(C-C)アルキル、-C(O)NH、-C(O)NH(C-C)アルキル、又は-C(O)N[(C-C)アルキル]で任意に置換されており、
が、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、(C-C)アルコキシ、ハロ(C-C)アルコキシ、ヒドロキシ(C-C)アルキル、シアノ(C-C)アルキル、オキソ、シアノ、ヘテロアルキル、-C(O)OH、-C(O)O(C-C)アルキル、-C(O)NH、-C(O)NH(C-C)アルキル、又は-C(O)N[(C-C)アルキル]であり、前記(C-C)アルキルが、ヘテロアリールで任意に置換されており、
が、ハロ、ヒドロキシル、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、(C-C)アルコキシ、ハロ(C-C)アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシ(C-C)アルキル、又はS(C-C)アルキルであり、
jが、1又は2であり、
が、結合、-C(O)-、又は(C-C)アルキレンであり、
が、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、それらのそれぞれが、Rから選択される1~3個の基で任意に置換されており、
が、ハロ、(C-C)アルキル、(C-C)アルケニル、ハロ(C-C)アルケニル、(C-C)アルキニル、オキソ、シアノ、-(C-C)アルキルOR、-(C-C)アルキルN(R、-(C-C)アルキルC(O)OR、OH、-(C-C)アルキルC(O)N(R2、-(C-C)アルキルO(C-C)アルキルN(R2、-(C-C)アルキルSOR、-(C-C)アルキルS(O)、-(C-C)アルキルSON(R、-(C-C)アルキルSON(R2、-(C-C)アルキルシクロアルキル、-(C-C)アルキルヘテロシクリル、-(C-C)アルキルヘテロアリール、-(C-C)アルキルアリール、-(C-C)アルコキシ、ハロ(C-C)アルコキシ、CN、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、N(R2、-C(O)NR(C-C)アルキルN(R2、-NR(C-C)アルキルN(R2、-NR(C-C)アルキルOR、-SOR、-S(O)、-SON(R、-SON(R、又はCNであり、各アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテオアリール(heteoaryl)が、単独で、及び-(C-C)アルキルシクロアルキル、-(C-C)アルキルヘテロシクリル、-(C-C)アルキルヘテロアリール、-(C-C)アルキルアリールと関連して、Rから選択される1~3個の基で任意に置換されており、
が、ハロ、オキソ、CN、NO、-N(R、-OR、-C(O)OR、(C-C)アルキル、-(C-C)アルキルOR、ハロ(C-C)アルキル、(C-C)アルコキシ、ハロ(C-C)アルコキシ、-(C-C)アルキルC(O)OR、-(C-C)アルキルC(O)N(R、(C-C)アルケニル、ハロ(C-C)アルケニル、(C-C)アルキニル、-(C-C)アルキルSR、-(C-C)アルキルOR、-(C-C)アルキルN(R、-C(O)N(R、-C(O)NR1-6アルキルN(R2、-NR1-6アルキルN(R2、-NR1-6アルキルOR、-SOR、-S(O)、-SON(R、-SON(R、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクロアルキルから選択される。
10、R16、及びR19が、それぞれ独立して、ハロ、(C-C)アルキル、(C-C)アルケニル、ハロ(C-C)アルケニル、(C-C)アルキニル、-(C-C)アルキルOR、-(C-C)アルキルN(R、-(C-C)アルキルC(O)OR、-(C-C)アルキルC(O)N(R2、-(C-C)アルキルO(C-C)アルキルN(R2、-(C-C)アルキルSOR、-(C-C)アルキルS(O)、-(C-C)アルキルSON(R、-(C-C)アルキルSON(R2、-(C-C)アルキルシクロアルキル、-(C-C)アルキルヘテロシクリル、-(C-C)アルキルヘテロアリール、-(C-C)アルキルアリール、-(C-C)アルコキシ、ハロ(C-C)アルコキシ、CN、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、N(R2、-C(O)NR(C-C)アルキルN(R2、-NR(C-C)アルキルN(R2、-NR(C-C)アルキルOR、-SOR、-S(O)、-SON(R、-SON(R、及びCNから選択され、各アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテオアリール(heteoaryl)が、単独で、及び-(C-C)アルキルシクロアルキル、-(C-C)アルキルヘテロシクリル、-(C-C)アルキルヘテロアリール、-(C-C)アルキルアリールと関連して、Rから選択される1~3つの基で任意に置換されており、
W及びDが、それぞれ独立して、N又はCR20であり、
Mが、O、S、又はNR11であり、
11、R17、R18、及びR20が、それぞれ独立して、水素、(C-C)アルキル、及びS(O)(C-C)アルキルから選択され、
12が、水素、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、-(C-C)アルキルOR、S(O)(C-C)アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、C(O)(C-C)アルキル、又は-(C-C)アルキルアリールであり、各アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテオアリール(heteoaryl)が、単独で、及び-(C-C)アルキルアリールと関連して、Rから選択される1~3個の基で任意に置換されており、
k及びvが、それぞれ独立して、0、1、2、又は3である、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項27】
前記標的タンパク質結合剤が、式:
【化10】
のもの、
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1~26のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項28】
前記標的タンパク質結合剤が、式:
【化11】
のもの、
又はその薬学的に許容される塩である、請求項26若しくは27に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項29】
kが、0である、請求項26~28のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項30】
vが、0である、請求項26~29のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項31】
11が、水素である、請求項26~30のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項32】
17が、(C-C)アルキルである、請求項26~31のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項33】
17が、メチルである、請求項26~32のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項34】
12が、(C-C)アルキルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項35】
12が、エチルである、請求項26~33のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項36】
18が、(C-C)アルキル又はS(O)(C-C)アルキルである、請求項26~34のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項37】
18が、S(O)Meである、請求項26~35のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項38】
前記標的タンパク質結合剤が、式:
【化12】
のもの、
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1~26のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項39】
が、-C(O)Yである、請求項26若しくは38に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項40】
Yが、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、(C-C)アルケニル、ハロ(C-C)アルケニル、又はNHである、請求項26、38、及び39のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項41】
Yが、C(O)CH、C(O)CHCH、C(O)CHCH、C(O)CF、C(O)CFCH、C(O)CCH、又はC(O)NHである、請求項26、38~40のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項42】
Yが、C(O)CHCHである、請求項26、38~41のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項43】
が、シアノ(C-C)アルキルである、請求項26、38~42のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項44】
が、CHCNである、請求項26、38~43のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項45】
jが、0である、請求項26、38~44のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項46】
が、結合である、請求項26、38~45のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項47】
が、Rから選択される、1~3個の基で任意に置換されるアリールである、請求項26、38~46のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項48】
が、Rから選択される、1~3個の基で任意に置換されるナフチルである、請求項26、38~47のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項49】
が、ハロ、(C-C)アルキル、及びOHから選択される、請求項26、38~48のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項50】
が、クロロ及びOHから選択される、請求項26、38~49のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項51】
前記化合物が、以下の構造式:
【化13-1】
【化13-2】
【化13-3】
【化13-4】
【化13-5】
【化13-6】
【化13-7】
【化13-8】
【化13-9】
【化13-10】
【化13-11】
【化13-12】
から選択される、請求項1に記載の化合物、又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項52】
請求項1~51のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項53】
治療有効量の請求項1~51のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項52に記載の組成物を対象に投与することを含む、がんを治療する方法。
【請求項54】
以下の式の化合物、
H-L
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、
Hが、先行請求項に定義されるようなHSP90、KRAS、又はMAPK7結合剤であり、
Lが、先行請求項に定義されるようなリンカーである、化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項55】
以下の式の化合物、
H-L-P
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、
Hが、先行請求項に定義されるようなHSP90、KRAS、又はMAPK7結合剤であり、
Lが、先行請求項に定義されるようなリンカーであり、
Pが、保護基である、化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
タンパク質恒常性(Protein homeostasis)、又はタンパク質恒常性(proteostasis)は、タンパク質の合成、折り畳み、輸送、及び分解を調節する細胞の能力を指す。特に、適切に調節されたタンパク質分解は、細胞の増殖、分化、及び死を含む細胞の正常な機能に必要であり、がん及び他の疾患においてしばしば調節不全である(Van Die,Chin J Cancer,2011,30:124-137)。
【0002】
ユビキチン-プロテアソームシステム(UPS)は、タンパク質の廃棄及び代謝リサイクルを媒介する細胞における主要な経路の1つである(Yu and Matouschek,Annu Rev Biophys,2017,46:149-173、Navon and Ciechanover,J Biol Chem,2009,284:33713-33718)。ユビキチンは、遍在的に発現する76アミノ酸残基のタンパク質である。UPSによるタンパク質分解に関して、ユビキチン化のプロセスは、ユビキチンが基質タンパク質におけるリジンアミノ酸残基に結合される場合に生じ、これは、一連の酵素ステップを含む。第1に、ユビキチンがE1ユビキチン活性化酵素に転移する。第2に、活性化されたユビキチンは、E1からE2ユビキチン結合酵素に転移する。そして第3に、数百の異なるE3ユビキチンリガーゼ酵素のうちの1つが、ユビキチンを基質タンパク質におけるリジン残基に結合させる。この酵素プロセスを繰り返すと、基質タンパク質がポリユビキチン鎖でタグ付けされる。そのようなユビキチンタグ付きタンパク質は、その後、タンパク質を分解する大きなマルチサブユニット複合体であるプロテアソームに送達され得る。いくつかの細胞シャペロンタンパク質及びシャペロン複合体がタンパク質をUPSに向ける能力は、E3ユビキチンリガーゼとの直接相互作用によって促進される(Amm et al.,Biochim Biophys Acta,2014,1843:182-196、Taipale et al.,Cell,2012,150:987-1001)。タンパク質分解に加えて、タンパク質のユビキチン化は、細胞内局在、活性、タンパク質-タンパク質相互作用などの他のプロセスも調節することができる。
【0003】
化学的に誘導された、標的化されたタンパク質分解(TPD)は、小分子薬剤開発の新しい様式として浮上している。小分子を使用して、標的タンパク質と様々な細胞タンパク質分解経路の構成成分との相互作用を促進し、それによって、疾患を治療する方法として、標的化されたタンパク質の分解を誘導することができる。
【0004】
特に、タンパク質分解を標的とするキメラ(PROTAC)は、UPSを取り入れることによって特定のタンパク質のタンパク質分解を意図的に誘導するそのような小分子の例である(Burslem and Crews,Cell,2020,181:102-114、Pettersson and Crews,Drug Discov Today Technol,2019,31:15-27)。PROTAC分子は、標的タンパク質及びE3ユビキチンリガーゼに同時に結合し、標的タンパク質、PROTAC分子、及びE3リガーゼタンパク質の間の細胞内に三重複合体を作成する二機能性小分子である。標的タンパク質及びE3リガーゼの誘導接近は、標的タンパク質のユビキチン化、及びそれに続くプロテアソームによる標的タンパク質の分解を引き起こす。複数のタンパク質に無差別に結合する標的タンパク質結合剤を組み込むPROTACは、複数のタンパク質を分解することができるが、場合によっては、個々の標的とE3リガーゼとの間のタンパク質-タンパク質相互作用は、例えば所与の標的タンパク質とE3リガーゼ対との間の電荷反発及び立体衝突により、いくつかの三重複合体の形成を阻害することによって、分解の観察される潜在性及び選択性が増減し得る(Pettersson and Crews,Drug Discov Today Technol,2019,31:15-27、Bondeson et al,Cell Chem Biol,2018,25:78-87、Gadd et al.,Nat Chem Biol,2017,13:514-521、Zengerle et al.,ACS Chem Biol,2015,10:1770-1777)。
【0005】
分子接着剤(Che et al.,Bioog Med Chem Lett,2018,28:2585-2592)、AUTAC、ATTEC、及びLYTAC(Ding et al.,Trends Pharmacol Sci,2020,41:464-474)などの、TPDを化学的に誘導するための他の方法も記載されている。例えば、AUTAC技術は、誘導接近の同様の原理に従うが、オートファジーを介した分解のためのタンパク質を標的とする(Daiki et al.,Mol Cell,2019,76:797-810)。
【0006】
総合的に、TPD技術は、従来の生化学的阻害剤と比較して、いくつかの利点を有する(Pettersson and Crews,Drug Discov Today Technol,2019,31:15-27;Ding et al.,Trends Pharmacol Sci,2020,41:464-474)。例えば、従来の阻害剤とは異なり、TPD剤は、準化学量論的に作用し、典型的には標的タンパク質の複数の分子の連続分解を媒介することができ、多くの場合、それらが組み込む単離された標的結合部分、及び他の生化学的阻害剤よりも高い潜在性をもたらす。また、TPD剤による標的タンパク質機能の阻害は、主に、生化学的阻害のみではなく分解によるものであるため、標的タンパク質の機能の回復は、典型的には、生化学的阻害剤で観察されるよりも遅い。TPD剤はまた、生化学的阻害剤よりも改善された標的選択性を有し得る。最後に、TPD剤は、標的の生化学的活性に影響しないが依然としてその分解を可能にする結合ポケットと相互作用することによって、生化学的阻害に服従しないタンパク質を標的とすることができる。
【0007】
ただし、いくつかの欠点は、現在のTPD技術に関連している。これらには、標的タンパク質が疾患プロセスに関与している組織及び器官だけでなく、多くの組織及び器官における標的タンパク質の無差別な分解が含まれ、これは、治療の望ましくない副作用をもたらすと予想される。また、これらの技術に対する耐性は、E3リガーゼなどのUPSの構成成分における変異又は代替物によって発生する可能性があり(Ottis et al.,ACS Chem Biol,2019,14:2215-2223、Zhang et al.,Mol Cancer Ther,2019,18:1302-1311)、治療効果の喪失をもたらす。したがって、TPDのための改善された/代替の方法及び組成物の必要性が存在する。がん及び他の疾患に関与するタンパク質の分解を媒介する改善された/代替のTPD剤を開発することも望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本明細書では、以下の3つの構成成分を含む化合物が提供される。1)標的タンパク質に結合することができる化学部分、2)シャペロンタンパク質、又はシャペロン複合体の構成成分に結合することができる化学部分、及び3)他の2つの他の部分に結合する化学部分(リンカー)。
【0009】
また、そのような化合物を形成するための前駆体も提供され、当該前駆体は、1)シャペロンタンパク質、又はシャペロン複合体の構成成分(例えば、HSP90)に結合することができる化学部分、及び2)化学部分(リンカー)から構成される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1. 化合物の一般的な説明
本明細書では、式H-L-Tを有する化合物であって、式中、Hが、標的タンパク質に結合することができる化学部分である、化合物と、2)シャペロンタンパク質、又はシャペロン複合体の構成成分(例えば、HSP90、KRAS、MAPK7)に結合することができる化学部分と、3)他の2つの他の部分に結合する化学部分(リンカー)と、を含む化合物が提供される。
【0011】
2.定義
本明細書で使用される場合、冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法的目的語のうちの1つ又は1つ超(すなわち、少なくとも1つ)を指す。本明細書で「含む」という用語と併せて使用される場合の「a」又は「an」という単語の使用は、「1つ」を意味し得るが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」及び「1つ又は1つより多い」の意味とも一致する。
【0012】
本明細書で使用される場合、「約」及び「およそ」は、概して、測定の性質又は精度を考慮して、測定された量についての許容可能な程度の誤差を意味する。例示的な誤差の程度は、所与の値の範囲の20パーセント(%)以内、典型的には10%以内、より典型的には5%以内である。「実質的に」という用語は、50%超、好ましくは80%超、最も好ましくは90%又は95%超を意味する。
【0013】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」又は「含む(comprises)」という用語は、所与の実施形態において存在し、まだ不特定要素の包含に対して開かれている組成物、方法、及びそれらのそれぞれの構成成分に関して使用される。
【0014】
本明細書で使用される場合、「から本質的になる」という用語は、所与の実施形態に必要な要素を指す。この用語は、本開示のその実施形態の基本的及び新規又は機能的な特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の要素の存在を許容する。
【0015】
「からなる」という用語は、実施形態の説明において列挙されてないいずれの要素も除いた、本明細書に記載される組成物、方法、及びそれらそれぞれの構成成分を指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、特に明記しない限り、1~10個の炭素原子、例えば、(C-C)アルキル又は(C-C)アルキルを有する飽和直鎖又は分岐非環式炭化水素を意味する。代表的な直鎖アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル及びn-デシルを含み、一方、飽和分岐アルキルは、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、2-メチル-4-エチルペンチル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2-メチル-4-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチル、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシル、3,3-ジエチルヘキシルなどを含む。
【0017】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、特に明記しない限り、2~10個の炭素原子(例えば、(C-C)アルケニル又は(C-C)アルケニル)を有し、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する飽和直鎖又は分岐非環式炭化水素を意味する。代表的な直鎖及び分岐(C-C10)アルケニルとしては、ビニル、アリル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、1-ヘプテニル、2-ヘプテニル、3-ヘプテニル、1-オクテニル、2-オクテニル、3-オクテニル、1-ノネニル、2-ノネニル、3-ノネニル、1-デセニル、2-デセニル、3-デセニルなどが挙げられる。
【0018】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、他に特定されない限り、2~10個の炭素原子(例えば、(C-C)アルキニル又は(C-C)アルキニル)を有し、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する飽和直鎖又は分岐非環状炭化水素を意味する。代表的な直鎖及び分岐アルキニルには、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-メチル-1-ブチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、5-ヘキシニル、1-ヘプチニル、2-ヘプチニル、6-ヘプチニル、1-オクチニル、2-オクチニル、7-オクチニル、1-ノニニル、2-ノニニル、8-ノニニル、1-デシニル、2-デシニル、9-デシニルなどが挙げられる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、例えば、3~10個の炭素原子(例えば、4~6個の炭素原子)を有する飽和した単環式アルキルラジカルを意味する。代表的なシクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、及びシクロデカニルが挙げられる。
【0020】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」という用語は、1つ以上(全てを含む)の水素ラジカルがハロ基によって置き換えられているアルキル基であり、それぞれのハロ基が、独立して、-F、-Cl、-Br、及び-Iから選択される。代表的なハロアルキルとしては、トリフルオロメチル、ブロモメチル、1,2-ジクロロエチル、4-ヨードブチル、2-フルオロペンチルなどが挙げられる。
【0021】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」は、酸素リンカーを介して別の部分に結合しているアルキル基である。
【0022】
本明細書で使用される場合、「ハロアルコキシ」は、酸素リンカーを介して別の部分に結合しているハロアルキル基である。
【0023】
本明細書で使用される場合、「アルキレン」という用語は、2つの結合点を有するアルキル基を指す。直鎖アルキレン基が好ましい。アルキレン基の非限定的な例としては、メチレンエチレン、n-プロピレン、イソプロピレンなどが挙げられる。アルキレン基は、任意に1つ以上の置換基で置換され得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」という用語は、サイズ及び原子価が許す限り、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される最大5つのヘテロ原子を含む飽和環又は不飽和非芳香族環のいずれかである単環式複素環式環系を意味する。複素環は、任意のヘテロ原子又は炭素原子を介して結合し得る。代表的な複素環は、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリンジニル、テトラヒドロピリミジニルなどを含む。
【0025】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、定義されたサイズが許す限り、炭素原子環員、並びに窒素、酸素、及び硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子環員を含む単環式又は多環式ヘテロ芳香族環を意味する。代表的なヘテロアリール基は、ピリジル、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、キノリニル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、イソキノリニル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフリル、インドリジニル、イミダゾピリジル、テトラゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、インドリル、テトラヒドロインドリル、アザインドリル、イミダゾピリジル、キナゾリニル、プリニル、ベンゾチエニルなどを含む。ヘテロ芳香族環又はヘテロアリール環の別の基への結合点は、炭素原子又はヘテロ芳香族環若しくはヘテロアリール環のヘテロ原子のいずれかであり得る。
【0026】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、F、Cl、Br又はIを意味する。
【0027】
「オキソ」という用語は、基=Oを意味する。
【0028】
ヘテロシクリル又はヘテロアリール基が窒素原子を含む場合、原子価が許す限り、それは置換され得るか、又は非置換であり得る。
【0029】
交換可能に使用される「リンカー」又は「テザー」という用語は、他の2つの部分(例えば、第1の結合部分及び第2の結合部分)を結合する化学部分を指す。リンカーは、第1の結合部分及び第2の結合部分を共有結合で結合し得る。一態様において、リンカーはインビボで切断不可能である。一態様において、リンカーは、1つ以上の環式環系を含む。別の態様において、リンカーは、任意に1つ以上の化学基によって置換及び/又は中断されたアルキル鎖を含む。一態様において、リンカーは、最適な治療活性を達成するための最適な空間的及び化学的特性を含む。一態様において、リンカーは、第1の結合部分及び第2の結合部分がそれらのそれぞれの標的(例えば、HSP90、及びKRAS又はMAPK7などの分解のために標的とされるタンパク質)に結合する能力を妨害しない。一態様において、リンカーは、第1の結合部分及び第2の結合部分がそれらのそれぞれの標的(例えば、HSP90、及びKRAS又はMAPK7などの分解のために標的とされるタンパク質)に結合する能力を変更する。
【0030】
「MAPK7」という用語は、細胞外シグナル制御キナーゼ5又はERK5遺伝子としても知られる、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ7遺伝子のタンパク質産物を指す。
【0031】
「KRAS」という用語は、集合的に、個別に、又は様々な組み合わせで、野生型又は変異型KRASがん原遺伝子、GTPアーゼ遺伝子のタンパク質産物を指す。
【0032】
「HSP70」という用語は、集合的に、個別に、又は様々な組み合わせで、熱ショックタンパク質ファミリーA(70kDa)遺伝子ファミリーのメンバーのタンパク質産物を指し、HSPA1A(HSP70-1)、HSPA1B(HSP70-2)、HSPA1L(HSP70-HOM)、及びHSPA8(HSC70)が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
「HSP90」という用語は、集合的に、個別に、又は様々な組み合わせで、熱ショックタンパク質90(90kDa)遺伝子ファミリーのメンバーのタンパク質産物を指し、HSP90AA1(HSP90-アルファ又はHSP90α)、HSP90AB1(HSP90-ベータ又はHSP90β)、HSP90B1(GRP94)、及びTRAP1が含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
複数の結合点を有し得る化学基を説明することに関連して使用されるとき、ハイフン(-)は、定義されている不定のものへのその基の結合点を示す。例えば、-NR及び-C(O)NR(C1-4アルキレン)NRRは、これらの基についての結合点がそれぞれ窒素原子及び炭素原子上に生じることを意味する。
【0035】
【化1】
のようなハッシュ結合は、描かれた基が定義された変数に結合されるポイントを表す。
【0036】
本開示の化合物の立体化学が構造によって命名又は描写される場合、命名又は描写された立体異性体は、他の立体異性体の全てと比較して、少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、99重量%、又は99.9重量%純粋である。他の立体異性体の全てに対する重量パーセントの純粋は、他の立体異性体の重量に対する1つの立体異性体の重量の比率である。例えば、単一エナンチオマーが構造によって命名又は描写される場合、描写又は命名されたエナンチオマーは、少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、99重量%、又は99.9重量%光学的に純粋である。重量での光学純度パーセントは、エナンチオマーの重量とその光学異性体の重量との合計に対するエナンチオマーの重量の比である。
【0037】
医薬における使用に関して、開示された化合物の薬学的に許容される塩は、非毒性の「薬学的に許容される塩」を指す。薬学的に許容される塩の形態には、薬学的に許容される酸性/アニオン性又は塩基性/カチオン性塩が含まれる。本明細書に記載の化合物の好適な薬学的に許容される酸付加塩としては、例えば、無機酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、及び硫酸など)の塩、及び有機酸(酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸など)の塩が挙げられる。カルボン酸などの酸性基を有する本教示の化合物は、薬学的に許容される塩基と薬学的に許容される塩を形成し得る。好適な薬学的に許容される塩基性塩としては、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(ナトリウム及びカリウム塩など)及びアルカリ土類金属塩(マグネシウム及びカルシウム塩など)が挙げられる。四級アンモニウム基を有する化合物はまた、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、過塩素酸塩などの対イオンを含む。そのような塩の他の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、安息香酸塩、及びグルタミン酸などのアミノ酸との塩が挙げられる。
【0038】
「薬学的に許容される担体」という用語は、担体ともに配合される化合物の薬理学的活性を破壊しない非毒性担体、アジュバント、又はビヒクルを指す。本明細書に記載の組成物で使用され得る薬学的に許容される担体、アジュバント、又はビヒクルとしては、限定されないが、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、硫酸プロタミンなどの塩又は電解質、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、及びウール脂肪が挙げられる。
【0039】
本明細書で提供される任意の組成物又は方法は、本明細書で提供される他の組成物及び方法のうちのいずれかの1つ以上と組み合わせ得る。
【0040】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、獣医対象を含む、ヒト及び非ヒト動物を指す。「非ヒト動物」という用語は、全ての脊椎動物、例えば、哺乳動物、並びに非ヒト霊長類、マウス、ウサギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、及び爬虫類などの非哺乳動物を含む。好ましい実施形態において、対象はヒトであり、患者と称される場合がある。
【0041】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」又は「治療」という用語は、好ましくは、検出可能であろうと検出不可能であろうと、疾患又は状態の1つ以上の徴候又は症状の軽減又は改善、疾患程度の減少、疾患の状態の安定性(すなわち、悪化しない)、病態の改善又は緩和、進行速度又は進行時間の減少、及び寛解(部分的にであっても全体であっても)を含むが、これらに限定されない有益な又は所望の臨床結果を得るための行為を指す。「治療」はまた、治療を行わない場合に予想される生存と比較して、生存を延長することを意味し得る。治療は治癒的である必要はない。
【0042】
「治療有効量」は、対象における疾患を治療するのに十分な量である。治療有効量は、1回以上の投与で投与することができる。一態様において、治療有効量は、約0.01~約100mg/kg体重/日の投薬量を指す。
【0043】
「投与する」、「投与すること」又は「投与」という用語は、対象の体全体内に、又は対象中若しくは対象上の特定の領域に、薬学的組成物又は薬剤を送達する任意の方法を含む。本発明の特定の実施形態において、薬剤は、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、鼻腔内、経口、経皮、又は粘膜に投与される。好ましい実施形態において、薬剤は静脈内投与される。別の好ましい実施形態において、薬剤は経口投与される。薬剤の投与は、多くの人が協力して取り組むことによって行われ得る。薬剤の投与は、例えば、対象に投与される薬剤を処方すること、及び/又は、自己送達、例えば、経口送達、皮下送達、中心ラインからの静脈内送達等によって、若しくは訓練を受けた専門家による送達、例えば、静脈内送達、筋肉内送達、腫瘍内送達等のために、直接的に又は別の方法で、特定の薬剤を服用するよう指示を与えることを含む。
【0044】
3.化合物
第1の実施形態において、式H-L-Tの化合物、又はその薬学的に許容される塩が提供され、式中、Hが、HSP90、KRAS、又はERK5結合剤であり、Lが、リンカーであり、Tが、標的タンパク質結合剤である。
【0045】
第2の実施形態において、H-L-Tの化合物におけるHは、
【化2】
から選択され、式中、
Q及びUが、それぞれ独立して、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルから選択され、それらのそれぞれが、Rから選択される1~3個の基で任意に置換されており、
13及びR14が、それぞれ独立して、水素、ハロ、-CN、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、及び-C(O)NRから選択され、
15が、水素、(C-C)アルキル、又はハロ(C-C)アルキルであり、
Wが、Rから選択される1~3個の基で任意に置換された5又は6員ヘテロアリールであり、
Vが、Rから選択される1~3個の基で任意に置換されたフェニル又は5~9員ヘテロアリールであり、
が、ハロ、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、(C-C)アルコキシ、又はハロ(C-C)アルコキシであり、
が、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、(C-C)アルケニル、ハロ(C-C)アルケニル、(C-C)アルキニル、ハロ(C-C)アルキニル、CN、-C1-4アルキルOR、-OR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR、-C(O)NR(C1-4アルキレン)OR、-C(O)NR(C1-4アルキレン)NR、-C(O)NR(C1-4アルキレン)OR、-NR、-O(C1-4アルキレン)NR、-C1-4アルキルNR、-SR、-S(O)R、-S(O)、-S(O)NR、-SONR、-NR(C1-4アルキル)OR、-SH、-S(C1-4アルキル)、-NR(C1-4アルキル)NR、-C1-6アルキルC(O)NR、-O(C1-4アルキレン)NRC(O)(C1-4アルキレン)NR、フェニル又は5~7員ヘテロアリールであり、当該フェニル及び5~7員ヘテロアリールが、それぞれ、Rから選択される1~3個の基で任意に、かつ独立して置換されており、
及びRが、それぞれ独立して、水素及び(C-C)アルキルから選択され、当該(C-C)アルキルが、1つ以上のハロ若しくは3~7員ヘテロシクリル、又はそれらの両方で任意に置換されており、
及びRが、それぞれ独立して、ハロ、-NR、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、(C-C)アルコキシ、又はハロ(C-C)アルコキシであり、残りの変数は、H-L-Tについて上述されている。代替として、第2の実施形態の一部として、Hは、
【化3】
であり、残りの変数は、上述されている。代替として、第2の実施形態の一部として、Hは、
【化4】
から選択され、
Zは、N又はCHであり、残りの変数は、上述されるとおりである。この第2の実施形態の一態様では、Zは、CHである。
【0046】
第3の実施形態において、Rは、独立して、(C-C)アルキル又はハロであり、残りの変数は、H-L-T又は第2の実施形態について上述されるとおりである。
【0047】
第4の実施形態では、Hは、
【化5】
であり、残りの変数は、H-L-T又は第2の実施形態について上述されるとおりである。代替として、第4の実施形態の一部として、Hは、
【化6】
であり、残りの特色は、H-L-T又は第2の実施形態について上述されるとおりである。代替として、第4の実施形態の一部として、Hは、
【化7】
であり、残りの変数は、H-L-T又は第2の実施形態について上述されるとおりである。代替として、第4の実施形態の一部として、Hは、
【化8】
であり、残りの変数は、H-L-T又は第2の実施形態について上述されるとおりである。
【0048】
第5の実施形態において、Rは、ハロ又は(C-C)アルキルであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、若しくは第4の実施形態について上述されるとおりである。代替として、第5の実施形態の一部として、Rは、クロロ、イソプロピル、メチル、プロピル、又はエチルであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、若しくは第4の実施形態について上述されるとおりである。代替として、第5の実施形態の一部として、Rは、イソプロピル又はエチルであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、若しくは第4の実施形態について上述されるとおりである。
【0049】
第6の実施形態において、Rは、-OR、-SR、-C(O)NR、又は-C(O)NR(C1-4アルキレン)NRであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、若しくは第5の実施形態について上述されるとおりである。
【0050】
第7の実施形態において、R及びRは、それぞれ独立して、水素及び(C-C)アルキルから選択され、当該(C-C)アルキルは、1~3個のハロ又は6員ヘテロシクリルで任意に置換されており、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、若しくは第6の実施形態について上述されるとおりである。
【0051】
第8の実施形態において、Rは、OH、-C(O)NHCHCF、-C(O)NHCHCH、-C(O)NHCH(CH、-C(O)NH(CHCH、-C(O)NHCH(CH)CF、-C(O)NHシクロプロピル、-C(O)NHメチルクロロプロピル、C(O)NH、又は-C(O)NH(CHピペリジニルであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、若しくは第7の実施形態について上述されるとおりである。代替として、第8の実施形態の一部として、Rは、-C(O)NHCHCF又はOHであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、若しくは第7の実施形態について上述されるとおりである。代替として、第8の実施形態の一部として、Rは、OHであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、若しくは第7の実施形態について上述されるとおりである。
【0052】
第9の実施形態では、Lは、-Het-X-、-Het-、-Het-Het-X-、-Het-Het-、-NR-(CH-X-NR-(CH-Het-X-Het-X-、-NR-(CH-Het-X-Het-X-、-Het-X-Het-X-、O-(CH-NR-X-(CH-NR-、-X-NR-X-O-(CH-NR-、-X-Het-X-Het-(CHO-、O-Het-、O-Het-X-、-X(OCHCH-NR-、-(CHNR-、-(CH-、-O-、XNR-、-NR-(CH-X-Het-X-、-NR-(CH-X-NR-(CH-Het-X-Het-X-、O-Het-X-(CH-NR-、-X-NR-X-(CH-NRd-、X-Het-X-NR-X-Het-(OCHCH-(CH-NR-(CH-、-NR-(CH-X-NR-(CHCHO)-、-NR-(CH-X-NR-(CH-、X-Het-X-NR-X-Het-(OCHCH-NR-(CH-、-NR-(CH-X-Het-X-Het-X-、O-X-Het-、-O(CH-X-Het-X-Het-X-、-O(CH-X-NR-(CH-Het-X-Het-X-、O-(CH-NR-、O-X-Het-X-、-X-NR-(CH-Het-X-Het-X-(CH-NR-(CH-、-NR-(CH-X-(CH)CH-Het-X-Het-X-、-NR-(CH-X-(CH-Het-X-Het-X-、-NR-(CH-X-NR-(CH-Het-X-Het-X-、-NR-(CH-NR-X-Het-X-、Het-X-Het-X-、-Het-X-Het-X-O-、-O(CH-Het-(CH-O(CH-NR-X-、-O(CH-Het-(CH-O(CH-NR-X-、-Het-O-(CH-X-Het-X-、-Het-O-(CH-X-NR-(CHCHO)(CH-Het-X-、-Het-X-NR-(CH-、-Het-X-Het-Het-X-、-Het-X-NR-(CHCHO)(CH-、-Het-X-NR-(CHCHO)Het-(CH-X-、-Het-X-NR-(CHCHO)-、-Het-X-NR-(CH-Het-X-Het-(CH-、-Het-X-Het-(CH-Het-X-、-Het-X-Het-、-Het-X-NR-、-Het-X-NR-(CH-Phe-X-Het-(CH-、-Het-X-Het-Het-、-Het-X-Het-(CH-Het-X-(CH-NR-(CH-、-Het-X-Het-(CH-Het-(CH-O-、-Het-X-Het-(CH-Het-(CH-NR-(CH-、-Het-X-Het-(CHCHO)-、-Het-X-(CH-Het-X-、-(CHCHO)-(CH-Het-X-Het-(CHCHO)、-(CHCHO)-(CH-Het-X-Het-X、-Het-X-Phe-X-NR-X-、-(CHCHO)-(CH-Het-X-Phe-X-NR-(CHCHO)-、-(CHCHO)-(CH-NR-Phe-X-、-(CHCHO)-(CH-NR-Phe-(CHCHO)-、-(CHCHO)-(CH-NR-(CHCHO)-(CH-、-(CHCHO)-(CH-NR-(CHCHO)-(CH-C(O)-NR-(CHCHO)-(CH-、-(CHCHO)-(CH-NR-(CHCHO)-(CH-Het-X-Het-X-、-(CHCHO)-(CH-NR-(CHCHO)-(CH-Het-X-Het-X-(CHCHO)、-NR-(CHCHO)-(CH-Phe-NH-X-Het-X、-NR-(CHCHO)-(CH-Phe-NH-X-Het-X-(CHCHO)、-(CHCHO)-(CH-NR-(CHCHO)-(CH-Phe-X-NR-(CHCHO)-(CH-、-(CHCHO)-(CH
-NR-(CHCHO)-(CH-Het-X-、-(CHCHO)-(CH-NR-(CHCHO)-(CH-Het-X-(CHCHO)-、-(CHCHO)-(CH-NR-(CH-C(O)-NR-Het-X-Het-(CHCHO)-(CH又は-NR-(CH-C(O)-NR-(CH-Het-X-Het-X-、C(O)O- -X-Het-(CHCHO)-(CH-NR-、-Het-(CH-Het-、-Het-X-Het-(CH-O-(CH-、O(CHC(O)、-OC(O)-NR-(CH-NR-、-OC(O)-NR-(CH-O-(CH-NRd-、OC(O)Het、-OC(O)-NR-(CHCHO)-NR-、OC(O)Het-Het-、-OC(O)-NR-(CHC(O)-Het-X-Het-、O-(CH-Het-、及びO-(CH-Het-X-Hetから選択され、
Het、Het、及びHetは、それぞれ独立して、フェニル、4~6員ヘテロシクリル、5~7員ヘテロアリール、又は4~6員シクロアルキルであり、それらのそれぞれが、(C-C)アルキルで任意に置換されており、
、X、及びXが、それぞれ独立して、C(O)又は(CHであり、
及びRは、それぞれ独立して、水素、(C-C)アルキル、又はハロ(C-C)アルキルであり、
m、n、o、p、q、及びrは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、5、及び6から選択される整数であり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、若しくは第8の実施形態について上述されるとおりである。代替として、第9の実施形態の一部として、Lは、-Het-X-*、-Het-、-Het-Het-X-*、*-Het-Het-、-NR-(CH-X-NR-(CH-Het-X-Het-X-*、-NR-(CH-Het-X-Het-X-*、-Het-X-Het-X-*、*O-(CH-NR-X-(CH-NR-、*-X-NR-X-O-(CH-NR-、*-X-Het-X-Het-(CHO-、*O-Het-、*O-Het-X-、*-X(OCHCH-NR-、*-(CHNR-、-(CH-、-O-、*XNR-、-NR-(CH-X-Het-X-*、-NR-(CH-X-NR-(CH-Het-X-Het-X-*、*O-Het-X-(CH-NR-、*-X-NR-X-(CH-NRd-、*X-Het-X-NR-X-Het-(OCHCH-(CH-NR-(CH-、-NR-(CH-X-NR-(CHCHO)-*、-NR-(CH-X-NR-(CH-*、*X-Het-X-NR-X-Het-(OCHCH-NR-(CH-、-NR-(CH-X-Het-X-Het-X-*、*O-X-Het-、-O(CH-X-Het-X-Het-X-*、-O(CH-X-NR-(CH-Het-X-Het-X-*、*O-(CH-NR-、*O-X-Het-X-、*-X-NR-(CH-Het-X-Het-X-(CH-NR-(CH-、-NR-(CH-X-(CH)CH-Het-X-Het-X-*、-NR-(CH-X-(CH-Het-X-Het-X-*、-NR-(CH-X-NR-(CH-Het-X-Het-X-*、-NR-(CH-NR-X-Het-X-*、*Het-X-Het-X-、*-Het-X-Het-X-O-、-O(CH-Het-(CH-O(CH-NR-X-*、*-O(CH-Het-(CH-O(CH-NR-X-、*-Het-O-(CH-X-Het-X-、*-Het-O-(CH-X-NR-(CHCHO)(CH-Het-X-、*-Het-X-NR-(CH-、*-Het-X-Het-Het-X-、*-Het-X-NR-(CHCHO)(CH-、*-Het-X-NR-(CHCHO)Het-(CH-X-、*-Het-X-NR-(CHCHO)-、*-Het-X-NR-(CH-Het-X-Het-(CH-、*-Het-X-Het-(CH-Het-X-、*-Het-X-Het-、*-Het-X-NR-、*-Het-X-NR-(CH-Phe-X-Het-(CH-、*-Het-X-Het-Het-、*-Het-X-Het-(CH-Het-X-(CH-NR-(CH-、*-Het-X-Het-(CH-Het-(CH-O-、*-Het-X-Het-(CH-Het-(CH-NR-(CH-、*-Het-X-Het-(CHCHO)-、*-Het-X-(CH-Het-X-、*-(CHCHO)-(CH-Het-X-Het-(CHCHO)、*-(CHCHO)-(CH-Het-X-Het-X、*-Het-X-Phe-X-NR-X-、*-(CHCHO)-(CH-Het-X-Phe-X-NR-(CHCHO)-、*-(CHCHO)-(CH-NR-Phe-X-、*-(CHCHO)-(CH-NR-Phe-(CHCHO)-、*-(CHCHO)-(CH-NR-(CHCHO)-(CH-、*-(CHCHO)-(CH-NR-(CHCHO)-(CH-C(O)-NR-(CHCHO)-(CH-、*-(CHCHO)-(CH-NR-(CHCHO)-(CH-Het-X-Het-X-、*-(CHCHO)-(CH-NR-(CHCHO)-(CH-Het-X-Het-X-(CHCHO)、*-NR-(CHCHO)-(CH-Phe-NH-X-Het-X、*-NR-(CHCHO)-(CH-Phe-NH-X-Het-X-(CHCHO)、*-(CHCH
O)-(CH-NR-(CHCHO)-(CH-Phe-X-NR-(CHCHO)-(CH-、*-(CHCHO)-(CH-NR-(CHCHO)-(CH-Het-X-、*-(CHCHO)-(CH-NR-(CHCHO)-(CH-Het-X-(CHCHO)-、*-(CHCHO)-(CH-NR-(CH-C(O)-NR-Het-X-Het-(CHCHO)-(CH、又は*-NR-(CH-C(O)-NR-(CH-Het-X-Het-X-、*C(O)O- *-X-Het-(CHCHO)-(CH-NR-、-Het-(CH-Het-、*-Het-X-Het-(CH-O-(CH-*、*O(CHC(O)、*-OC(O)-NR-(CH-NR-、*-OC(O)-NR-(CH-O-(CH-NRd-、*OC(O)Het、*-OC(O)-NR-(CHCHO)-NR-、*OC(O)Het-Het-、*-OC(O)-NR-(CHC(O)-Het-X-Het-、*O-(CH-Het-、及び*O-(CH-Het-X-Hetから選択され、*は、Hへの結合点を示し、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、又は第8の実施形態について上述されるとおりである。代替として、第9の実施形態の一部として、Lは、*-Het-X-Het-X-、-Het-X-Het-X-*、*-(CHNR-、-(CH-、*-Het-X-Het-、*-Het-Het-、*-(CHCHO)-NR-、*-X-Het-(CHCHO)-(CH-NR-、-Het-X-*、-Het-Het-X-*、*-X-NR-X-O-(CH-NR-、-NR-(CH-Het-X-Het-X-*、-NR-(CH-X-NR-(CH-Het-X-Het-X-*、-NR-(CH-X-NR-(CH-Het-X-Het-X-*、*O-(CH-NR-X-(CH-NRd-、*-X(OCHCH-NR-、-NR-(CH-X-NR-(CHCHO)-*、*-X-NR-X-(CH-NRd-、-Het-(CH-Het-*、*O-(CH-NR、*O-X-Het-X-、-Het-X-*、*O-X-Het-、*-Het-X-Phe-X-NR-X-、*X-Het-X-NR-X-Het-(OCHCH-NR-(CH-、*X-Het-X-NR-X-Het-(OCHCH-(CH-NR-(CH-、*O-Het-、*O-Het-X-、*O-Het-X-(CH-NR-、*C(O)O-、-Het-、-O-、*-Het-X-Het-(CH-O-(CH-*、*O(CHC(O)、*-OC(O)-NR-(CH-NRd-、*-OC(O)-NR-(CH-O-(CH-NR-、*OC(O)Het、*-OC(O)-NR-(CHCHO)-NR-、*OC(O)Het-Het-、*-OC(O)-NR-(CHC(O)-Het-X-Het-、*O-(CH-Het-、及び*O-(CH-Het-X-Hetから選択され、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、若しくは第8の実施形態について上述されるとおりである。代替として、第9の実施形態の一部として、Lは、

【化9-1】
【化9-2】
【化9-3】
から選択され、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、若しくは第8の実施形態について上述されるとおりである。
【0053】
第10の実施形態において、第9の実施形態に記載されるHet及びHetは、それぞれ独立して、フェニル又は4~6員ヘテロシクリルである。代替として、第9の実施形態の一部として、第9の実施形態に記載されるHet及びHetは、それぞれ独立して、ピペリジニル、フェニル、アゼチジニル、ピペラジニル、又はピロリジニルである。
【0054】
第11の実施形態では、第9又は第10の実施形態に記載されるm、n、o、p、q、及びrは、それぞれ独立して、0、1、2、及び3から選択される整数である。
【0055】
第12の実施形態において、標的タンパク質結合剤は、BETの結合剤であり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、若しくは第11の実施形態について上述されるとおりである。代替として、第12の実施形態の一部として、標的タンパク質結合剤は、式:
【化10】
のものであり、
式中、
Xが、C(O)又は(C-C)アルキレンであり、Qが、窒素含有ヘテロアリール又はヘテロシクリル環であり、それらのそれぞれが、Rから選択される1~3個の基で任意に置換されており、
が、-C(O)Y又は-S(O)Yであり、
Yが、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、(C-C)アルケニル、ハロ(C-C)アルケニル、NH、-NH(C-C)アルキル、-N[(C-C)アルキル]、NHNH、又はNHOHであり、当該(C-C)アルケニルが、単独で、又はハロ(C-C)アルケニルにおいて列挙されるように、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシ(C-C)アルキル、-C(O)NH、-C(O)NH(C-C)アルキル、又は-C(O)N[(C-C)アルキル]で任意に置換されており、
が、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、(C-C)アルコキシ、ハロ(C-C)アルコキシ、ヒドロキシ(C-C)アルキル、シアノ(C-C)アルキル、オキソ、シアノ、ヘテロアルキル、-C(O)OH、-C(O)O(C-C)アルキル、-C(O)NH、-C(O)NH(C-C)アルキル、又は-C(O)N[(C-C)アルキル]であり、当該(C-C)アルキルが、ヘテロアリールで任意に置換されており、
が、ハロ、ヒドロキシル、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、(C-C)アルコキシ、ハロ(C-C)アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシ(C-C)アルキル、又はS(C-C)アルキルであり、
jが、1又は2であり、
が、結合、-C(O)-、又は(C-C)アルキレンであり、
が、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、それらのそれぞれが、Rから選択される1~3個の基で任意に置換されており、
が、ハロ、(C-C)アルキル、(C-C)アルケニル、ハロ(C-C)アルケニル、(C-C)アルキニル、オキソ、シアノ、-(C-C)アルキルOR、-(C-C)アルキルN(R、-(C-C)アルキルC(O)OR、OH、-(C-C)アルキルC(O)N(R2、-(C-C)アルキルO(C-C)アルキルN(R2、-(C-C)アルキルSOR、-(C-C)アルキルS(O)、-(C-C)アルキルSON(R、-(C-C)アルキルSON(R2、-(C-C)アルキルシクロアルキル、-(C-C)アルキルヘテロシクリル、-(C-C)アルキルヘテロアリール、-(C-C)アルキルアリール、-(C-C)アルコキシ、ハロ(C-C)アルコキシ、CN、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、N(R2、-C(O)NR(C-C)アルキルN(R2、-NR(C-C)アルキルN(R2、-NR(C-C)アルキルOR、-SOR、-S(O)、-SON(R、-SON(R、又はCNであり、各アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテオアリール(heteoaryl)が、単独で、及び-(C-C)アルキルシクロアルキル、-(C-C)アルキルヘテロシクリル、-(C-C)アルキルヘテロアリール、-(C-C)アルキルアリールと関連して、Rから選択される1~3個の基で任意に置換されており、
が、ハロ、オキソ、CN、NO、-N(R、-OR、-C(O)OR、(C-C)アルキル、-(C-C)アルキルOR、ハロ(C-C)アルキル、(C-C)アルコキシ、ハロ(C-C)アルコキシ、-(C-C)アルキルC(O)OR、-(C-C)アルキルC(O)N(R、(C-C)アルケニル、ハロ(C-C)アルケニル、(C-C)アルキニル、-(C-C)アルキルSR、-(C-C)アルキルOR、-(C-C)アルキルN(R、-C(O)N(R、-C(O)NR1-6アルキルN(R2、-NR1-6アルキルN(R2、-NR1-6アルキルOR、-SOR、-S(O)、-SON(R、-SON(R、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクロアルキルから選択される。
16、R19、及びR10が、それぞれ独立して、ハロ、(C-C)アルキル、(C-C)アルケニル、ハロ(C-C)アルケニル、(C-C)アルキニル、-(C-C)アルキルOR、-(C-C)アルキルN(R、-(C-C)アルキルC(O)OR、-(C-C)アルキルC(O)N(R2、-(C-C)アルキルO(C-C)アルキルN(R2、-(C-C)アルキルSOR、-(C-C)アルキルS(O)、-(C-C)アルキルSON(R、-(C-C)アルキルSON(R2、-(C-C)アルキルシクロアルキル、-(C-C)アルキルヘテロシクリル、-(C-C)アルキルヘテロアリール、-(C-C)アルキルアリール、-(C-C)アルコキシ、ハロ(C-C)アルコキシ、CN、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、N(R2、-C(O)NR(C-C)アルキルN(R2、-NR(C-C)アルキルN(R2、-NR(C-C)アルキルOR、-SOR、-S(O)、-SON(R、-SON(R、及びCNから選択され、各アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテオアリール(heteoaryl)が、単独で、及び-(C-C)アルキルシクロアルキル、-(C-C)アルキルヘテロシクリル、-(C-C)アルキルヘテロアリール、-(C-C)アルキルアリールと関連して、Rから選択される1~3個の基で任意に置換されており、
W及びDが、それぞれ独立して、N又はCR20であり、
Mが、O、S、又はNR11であり、
11、R17、R18、及びR20が、それぞれ独立して、水素、(C-C)アルキル、及びS(O)(C-C)アルキルから選択され、
12が、水素、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、-(C-C)アルキルOR、S(O)(C-C)アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、C(O)(C-C)アルキル、又は-(C-C)アルキルアリールであり、各アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテオアリール(heteoaryl)が、単独で、及び-(C-C)アルキルアリールと関連して、Rから選択される1~3個の基で任意に置換されており、
k及びvが、それぞれ独立して、0、1、2、又は3であり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、若しくは第11の実施形態について上述されるとおりである。
【0056】
第13の実施形態において、標的タンパク質結合剤は、式:
【化11】
のもの、
又はその薬学的に許容される塩であり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、若しくは第12の実施形態について上述されるとおりである。代替として、第13の実施形態の一部として、標的タンパク質結合剤は、式:
【化12】
のもの、
又はその薬学的に許容される塩であり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、若しくは第12の実施形態について上述されるとおりである。
【0057】
第14の実施形態において、kは、0であり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、若しくは第13の実施形態について上述されるとおりである。
【0058】
第15の実施形態において、vは、0であり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、若しくは第14の実施形態について上述されるとおりである。
【0059】
第16の実施形態において、R11は、水素であり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、若しくは第15の実施形態について上述されるとおりである。
【0060】
第17の実施形態において、R17は、(C-C)アルキルであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、若しくは第16の実施形態について上述されるとおりである。代替として、第17の実施形態の一部として、R17は、メチルであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、若しくは第16の実施形態について上述されるとおりである。
【0061】
第18の実施形態において、R12は、(C-C)アルキルであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、第16、若しくは第17の実施形態について上述されるとおりである。代替として、第18の実施形態の一部として、R12は、エチルであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、第16、若しくは第17の実施形態について上述されるとおりである。
【0062】
第19の実施形態において、R18は、(C-C)アルキル又はS(O)(C-C)アルキルであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、第16、第17、若しくは第18の実施形態について上述されるとおりである。代替として、第19の実施形態の一部として、R18は、S(O)Meであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、第16、第17、又は第18の実施形態について上述されるとおりである。
【0063】
第20の実施形態において、標的タンパク質結合剤は、式:
【化13】
のもの、
又はその薬学的に許容される塩であり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、若しくは第12の実施形態について上述されるとおりである。
【0064】
第21の実施形態において、Rは、-C(O)Yであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、若しくは第20の実施形態について上述されるとおりである。
【0065】
第22の実施形態において、Yは、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、(C-C)アルケニル、ハロ(C-C)アルケニル、又はNHであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第20、若しくは第21の実施形態について上述されるとおりである。代替として、第22の実施形態の一部として、Yは、C(O)CH、C(O)CHCH、C(O)CHCH、C(O)CF、C(O)CFCH、C(O)CCH、又はC(O)NHであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第20、若しくは第21の実施形態について上述されるとおりである。代替として、第22の実施形態の一部として、Yは、C(O)CHCHであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第20、若しくは第21の実施形態について上述されるとおりである。
【0066】
第23の実施形態において、Rは、シアノ(C-C)アルキルであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第20、第21、若しくは第22の実施形態について上述されるとおりである。代替として、第23の実施形態の一部として、Rは、CHCNであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第20、第21、若しくは第22の実施形態について上述されるとおりである。
【0067】
第24の実施形態において、jは、0であり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第20、第21、第22、若しくは第23の実施形態について上述されるとおりである。
【0068】
第25の実施形態において、Qは、結合であり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第20、第21、第22、第23、若しくは第24の実施形態について上述されるとおりである。
【0069】
第26の実施形態において、Rは、Rから選択される1~3個の基で任意に置換されているアリールであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第20、第21、第22、第23、第24、若しくは第25の実施形態について上述されるとおりである。代替として、第26の実施形態の一部として、Rは、Rから選択される1~3個の基で任意に置換されているナフチルであり、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第20、第21、第22、第23、第24、若しくは第25の実施形態について上述されるとおりである。
【0070】
第27の実施形態において、Rは、ハロ、(C-C)アルキル、及びOHから選択され、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第20、第21、第22、第23、第24、第25、若しくは第26の実施形態について上述されるとおりである。代替として、第27の実施形態の一部として、Rは、クロロ及びOHから選択され、残りの変数は、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第20、第21、第22、第23、第24、第25、若しくは第26の実施形態について上述されるとおりである。
【0071】
本明細書では、式H-Lの化合物であって、H及びLが、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、若しくは第11の実施形態についての上述されるように定義される、化合物も提供される。
【0072】
本明細書では、式H-L-Pの化合物であって、H及びLが、H-L-T又は第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、若しくは第11の実施形態についての上述されるように定義され、Pが、保護基である、化合物も提供される。
【0073】
特定の化合物は、以下に例示されており、本発明の一部として含まれる。これらの化合物の遊離塩基及び塩形態も含まれる。
【0074】
4.用途、配合、及び投与
本明細書に記載の化合物及び組成物は、概して、抗がん療法として有用である。一態様において、本開示の化合物及び組成物は、化合物の一方の部分が標的タンパク質への結合を担い、他方の部分がHSP90、又は他のシャペロンタンパク質、若しくはシャペロン複合体のタンパク質構成成分(例えば、HSP70ファミリーのメンバー)への結合を担う、シャペロン媒介タンパク質分解剤(CHAMP)として機能する。それらの作用機序は、標的タンパク質を分解し、それによって、がん細胞の成長の阻害、及び/又はがん細胞死若しくは標的タンパク質に依存する他の機能の誘導をもたらし得るプロセスを妨げることを含むが、これらに限定されない。一態様において、本開示の化合物は、標的タンパク質の分解を生じさせる。
【0075】
一態様において、本開示の化合物及び組成物は、様々な異なる結合親和性を有するシャペロン又はシャペロン複合体結合剤を含む。異なる実施形態において、高親和性結合剤、中程度親和性結合剤、又は低親和性結合剤を使用することが望ましい。HSP90のN末端ATP結合ポケットと相互作用するHSP90結合部分は、HSP90活性を阻害し、HSP90クライアントタンパク質の分解を誘導する可能性があるため(Schopf et al.,Nat Rev Mol Cell Biol,2017,18:345-360)、一部のCHAMP分子は、所望の標的タンパク質の分解を誘導するだけでなく(これは、HSP90クライアントタンパク質である場合とそうでない場合がある)、同時にHSP90クライアントタンパク質の分解を誘導し得る。EGFR及びERBB2(HER2)は、そのような2つのHSP90クライアントタンパク質である(Xu et al.,J Biol Chem,2001,276:3702-3708)。分解活性のそのような組み合わせは、同じ標的に向けられた他のTPD技術の生物学的活性よりもCHAMP分子の生物学的活性を増加させる可能性があり、そのようなHSP90クライアントタンパク質によって媒介される標的タンパク質の他の分解剤及び阻害剤に対する耐性のメカニズムを回避する可能性がある。
【0076】
一態様において、本開示の化合物及び組成物は、化合物の一方の部分がKRAS(G12C)への結合を担い、他方の部分がHSP90、又は他のシャペロンタンパク質、若しくはシャペロン複合体のタンパク質構成成分(例えば、HSP70ファミリーのメンバー)への結合を担う、腫瘍標的CHAMPとして機能する。一態様において、本開示の化合物及び組成物は、正常な細胞、組織、及び臓器と比較して、がん細胞及び腫瘍における長期に及ぶ薬物動態曝露を有する(Kamal et al.,Nature,2003,425:407-410、Vilenchik et al.,Chem Biol,2004,11:787-797)。一態様において、本開示の化合物は、標的タンパク質の他の分解物及び阻害剤と比較して、増加した治療指数を有する。
【0077】
したがって、本明細書では、標的タンパク質の分解に応答する状態の治療を必要とする対象に、治療有効量の、本明細書に記載の1つ以上の化合物又は組成物を投与することを含む、それを行う方法が提供される。また、標的タンパク質の分解の分解に応答する状態を治療するための薬剤の製造における、本明細書に記載の1つ以上の化合物又は組成物の使用も提供される。更に、標的タンパク質の分解に応答する状態を治療するための本明細書に記載の化合物又は組成物の使用が提供される。
【0078】
一態様において、本発明の化合物及び組成物によって治療される状態はがんである。「がん」又は「腫瘍」という用語は当該技術分野で周知であり、例えば、対象において、制御されていない増殖、不死、転移能、急速な成長及び増殖速度、細胞死/アポトーシスの減少、並びに特定の特徴的な形態学的特徴などの、がんを引き起こす細胞に典型的な特徴を有する細胞の存在を指す。がん細胞はしばしば固形腫瘍の形状である。しかしながら、がんはまた、非固形腫瘍、例えば、血液腫瘍、例えば、白血病を含み、がん細胞は骨髄に由来する。本明細書で使用される場合、「がん」という用語は、前がん性がん並びに悪性がんを含む。がんは、聴神経腫、急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄細胞性白血病(単球性、骨髄芽球性、腺がん、血管肉腫、星状細胞腫、骨髄単球性及び前骨髄球性)、急性T細胞白血病、基底細胞がん、胆管がん、膀胱がん、脳がん、乳がん、気管支原性がん、子宮頚がん、軟骨肉腫、脊索腫、絨毛がん、慢性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、増殖異常変化(形成異常及び異形成)、胚性がん、子宮内膜がん、内皮肉腫、上衣腫、上皮がん、赤白血病、食道がん、エストロゲン受容体陽性乳がん、本態性血小板血症、ユーイング腫瘍、線維肉腫、濾胞性リンパ腫、胚細胞精巣がん、神経膠腫、重鎖病、血管芽細胞腫、肝がん、肝細胞がん、ホルモン非感受性前立腺がん、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、肺がん、リンパ管内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ芽球性白血病、リンパ腫(ホジキン及び非ホジキン)、膀胱、乳房、結腸、肺、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚、及び子宮の悪性腫瘍及び過剰増殖性障害、T細胞又はB細胞起源のリンパ系悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、髄様がん、髄芽細胞腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄性白血病、骨髄腫、粘液肉腫、神経芽細胞腫、非小細胞肺がん、乏突起膠腫、口腔がん、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、乳頭状腺がん、乳頭がん、松果体腫、真性多血症、前立腺がん、直腸がん、腎細胞がん、網膜芽腫、横紋筋肉腫、肉腫、皮脂腺がん、精上皮腫、皮膚がん、小細胞肺がん、固形腫瘍(がん腫及び肉腫)、小細胞肺がん、胃がん、扁平上皮がん、滑膜腫、汗腺がん、甲状腺がん、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症(Waldenstrom’s macroglobulinemia)、精巣腫瘍、子宮がん、並びにウィルムス腫瘍を含むが、これらに限定されない。その他のがんには、原発がん、転移がん、口腔咽頭がん、下咽頭がん、肝臓がん、胆嚢がん、胆管がん、小腸がん、尿路がん、腎臓がん、尿路上皮がん、女性生殖系がん、子宮がん、妊娠性絨毛性疾患、男性生殖系がん、精嚢がん、精巣がん、胚細胞腫瘍、内分泌腺腫瘍、甲状腺がん、副腎がん、下垂体がん、血管腫、骨及び軟組織から生じる肉腫、カポジ肉腫、神経がん、眼がん、髄膜がん、神経膠芽細胞腫、神経腫、神経芽細胞腫、神経鞘腫、白血病などの造血器悪性腫瘍から生じる固形腫瘍、転移性黒色腫、再発性又は持続性卵巣上皮がん、卵管がん、原発性腹膜がん、消化管胃腸間質腫瘍、結腸直腸がん、胃がん、黒色腫、多形性膠芽腫、非扁平上皮非小細胞肺がん、悪性神経膠腫、上皮性卵巣がん、原発性腹膜漿液性がん、転移性肝がん、神経内分泌がん、難治性悪性腫瘍、トリプルネガティブ乳がん、HER2増幅乳がん、鼻咽頭がん、口腔がん、胆管、肝細胞がん、頭頸部の扁平上皮がん(SCCHN)、非髄質甲状腺がん、再発性多形性膠芽腫、神経線維腫症1型、CNSがん、脂肪肉腫、平滑筋肉腫、唾液腺がん、粘膜黒色腫、末端/黒子性黒色腫、傍神経節腫、褐色細胞腫、進行性転移性がん、固形腫瘍、トリプルネガティブ乳がん、結腸直腸がん、肉腫、黒色腫、腎がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、横紋筋肉腫、多発性骨髄腫、卵巣がん、神経膠芽細胞腫、消化管間質腫瘍、マントル細胞リンパ腫、並びに難治性悪性腫瘍を含む。
【0079】
本明細書で使用される場合、「固形腫瘍」は、三次元を有する異常な成長として触診又は画像化法を使用して検出することができる任意の病原性腫瘍として理解される。固形腫瘍は、白血病などの血液腫瘍とは区別される。しかしながら、血液腫瘍の細胞は骨髄に由来し、したがって、がん細胞を産生する組織は、低酸素状態になり得る固形組織である。
【0080】
「腫瘍組織」又は「腫瘍状組織」は、細胞、細胞外マトリックス、及び固形腫瘍に関連する他の天然に存在する構成成分として理解される。
【0081】
任意の特定の患者のための特定の投薬量及び治療レジメンは、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、及び治療する医師の判断、及び治療される特定の疾患の重症度を含む、様々な要因に依存するであろう。組成物中の本明細書に記載の化合物の量は、組成物中の特定の化合物にも依存するであろう。
【0082】
例示
実施例1:H-Lの合成、及びH-L-Tを合成するためのその適用
化合物147についての代表的な合成スキームを以下に示す。中間体の特定の合成経路も示す。
【化14】
【0083】
中間体3:
(E)-N’-(3,3-ジメチル-5-オキソシクロヘキシリデン)-4-メチルベンゼンスルホノヒドラジド
トルエン(8L)中の1(200g、1426.72mmol)、2(265.71g、1426.7167mmol)、及びp-トルエンスルホン酸(24.54g、142.67mmol)の混合物を120℃に加熱した。1時間後、混合物を冷却し、続いてトルエン(1.2L)を添加した。次いで、混合物を1時間還流させた。反応物を周囲温度に冷却した。沈殿した固体を濾過により回収し、エーテルで3回洗浄し、真空下で乾燥させて、中間体3(360g、1167.30mmol、81.82%)を得た。LCMS: m/z 309 [M+H]
【0084】
中間体4:
6,6-ジメチル-3-(トリフルオロメチル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-インダゾール-4-オン
THF(3L)中の3(360g、1167.30mmol)及びTEA(486.67mL、3501.33mmol)の懸濁液に、トリフルオロアセチル2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(243.51mL、1750.67mmol)を0℃で添加した。得られた反応物を55℃に3時間加熱し、反応混合物を周囲温度に冷却した。混合物に、メタノール(1.4L)及び1NのNaOH(1.4L)を添加した。3時間撹拌した後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム(3L)で希釈し、酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、中間体4(160g、689.05mmol、59.04%)を得た。LCMS: m/z 233 [M+H]
【0085】
中間体6:
2-ブロモ-4-(6,6-ジメチル-4-オキソ-3-(トリフルオロメチル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インダゾール-1-イル)ベンゾニトリル
NaH(15.50g、645.98mmol)を、DMSO(2L)中の4(150g、645.98mmol)の溶液に室温で添加した。15分後、2-ブロモ-4-フルオロベンゾニトリル(129.20g、645.98mmol)を固体として添加した。得られた混合物を45℃で一晩加熱した。混合物を室温に冷却し、飽和NHCl水溶液でクエンチした。混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、中間体6(180g、436.67mmol、67.59%)を得た。LCMS: m/z 412 [M+H]
【0086】
中間体8:
2-((4-(ベンジルオキシ)フェニル)アミノ)-4-(6,6-ジメチル-4-オキソ-3-(トリフルオロメチル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インダゾール-1-イル)ベンゾニトリル
トルエン(500mL)中の6(50g、121.30mmol)の溶液に、7(24.17g、121.30mmol)及びCsCO3(79.04g、242.59mmol)を添加した。次いで、BINAP(15.10g、24.26mmol)及びPd(OAc)(2.74g、12.13mmol)を窒素保護下で連続して添加した。混合物反応物を3時間120℃に加熱した。その後、それを濾過し、濾液を真空中で濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、中間体8(40g、75.39mmol、62.16%)を得た。LCMS: m/z 531 [M+H]
【0087】
中間体9:
2-((4-(ベンジルオキシ)フェニル)アミノ)-4-(6,6-ジメチル-4-オキソ-3-(トリフルオロメチル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インダゾール-1-イル)ベンズアミド
EtOH(400mL)及びDMSO(100mL)中の8(40g、75.39mmol)の溶液に、1NのNaOH(226.18mL、226.18mmol)及びH(25.63g、226.18mmol)を0℃で連続して滴下した。次いで、混合物を室温で2時間撹拌してから、水で希釈し、それをEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機層を真空中で濃縮し、残留物をシリカゲルカラムによって精製して、中間体9(35g、63.80mmol、84.63%)を得た。LCMS: m/z 549 [M+H]
【0088】
中間体10:
4-(6,6-ジメチル-4-オキソ-3-(トリフルオロメチル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インダゾール-1-イル)-2-((4-ヒドロキシフェニル)アミノ)ベンズアミド
MeOH(400mL)中の9(35g、63.80mmol)の溶液に、Pd/C10%(6.7g、6.38mmol)を添加し、混合物をHが存在する状態で、一晩室温で撹拌した。その後、それを濾過し、EA、続いてDCMで洗浄し、充填剤を真空中で濃縮して、中間体10(26g、56.71mmol、88.89%)を固体として得た。LCMS: m/z 459 [M+H]
【0089】
H-L(11):
2-(4-((2-カルバモイル-5-(6,6-ジメチル-4-オキソ-3-(トリフルオロメチル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インダゾール-1-イル)フェニル)アミノ)フェノキシ)酢酸
DMF(20mL)中の2-ブロモ酢酸(0.6g、4.59mmol)の溶液に、10(1.89g、4.13mmol)及びKCO(1.90g、13.76mmol)を添加し、混合物を90℃で一晩撹拌した。次いで、水を添加し、それをEAで抽出し、飽和ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮し、残留物をシリカゲルカラムによって精製して、H-L(11、1.6g、2.48mmol、54.01%)を固体として得た。LCMS: 518 [M+H]
【0090】
H-L-T(化合物147):
2-((4-(2-((R)-3-(((4-((S)-4-アクリロイル-3-(シアノメチル)ピペラジン-1-イル)-7-(8-クロロナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエトキシ)フェニル)アミノ)-4-(6,6-ジメチル-4-オキソ-3-(トリフルオロメチル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インダゾール-1-イル)ベンズアミド
DMF(8mL)中のH-L(11、340mg、0.7mmol)、HATU(290mg、0.77mmol)、及びDIEA(450mg、3.48mmol)の溶液に、中間体12(350mg、0.7mmol)を添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を分取HPLCによって精製して、H-L-T(化合物147)(230mg)を黄色固体として得た。 H NMR (DMSO-d, 400 MHz): δ 10.09 (s, 1H), 8.19 (s, 1H), 7.92-7.88 (m, 2H), 7.74 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.58-7.53 (m, 3H), 7.50 (t, J = 7.2 Hz, 1H),7.44-7.30 (m, 1H), 7.20 (brs, 2H), 7.03 (s, 1H), 6.95-6.82 (m, 4H), 6.18 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 5.77 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 4.96-4.75 (m, 1H), 4.71 (s, 2H), 4.41-4.14 (m, 4H), 4.03-3.48 (m, 9H), 3.24-3.15 (m, 5H), 3.09 (s, 3H), 3.02-2.54 (m, 2H), 2.40 (d, J = 5.6 Hz, 2H), 2.12-1.61 (m, 3H), 1.02 (s, 6H). LC-MS: m/z 1070.4 [M+H]
【0091】
実施例2:H-Lの合成、及びH-L-Tを合成するためのその適用
化合物10Bについての代表的な合成スキームを以下に示す。中間体の特定の合成経路も示す。
【化15】
【0092】
中間体2:
tert-ブチル4-(4-アミノベンジル)ピペラジン-1-カルボキシレート
EtOH(15mL)及びHO(5mL)中の化合物1(2.0g、15.6mmol)の溶液に、Fe力(1.72g、77.9mmol)及びNHCl(3.4g、105.5mmol)を添加した。得られた混合物を80℃で2時間加熱した。反応溶液を室温に冷却し、濾過した。濾液をNaHCO溶液をEtOAc(20mL*3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して、中間体2(1.81g、収率100%)を白色固体として得た。
【0093】
中間体3:
tert-ブチル4-(4-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピルフェニルチオアミド)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシレート
DMF(10mL)中の中間体2-1(1.45g、6.30mmol)、ClCHCOONa(1.09g、9.53mmol)、及びNaHCO(1.60g、19.1mmol)の溶液を30℃で3時間撹拌した。化合物2(1.85g、6.3mmol)を混合物に添加した。得られた混合物を80℃で4時間撹拌した後、反応混合物を氷水に注ぎ、EtOAc(15mL*3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮し、DCM:MeOH=20:1で溶出したSGCによって精製して、中間体3(2.1g、収率70%)を黄色油として得た。
【0094】
中間体4:
tert-ブチル4-(4-(7-ヒドロキシ-6-イソプロピル-2-オキソ-4-チオキソ-2H-ベンゾ[e][1,3]オキサジン-3(4H)-イル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシレート
THF(15mL)中の中間体3(2.1g 4.3mmol)及びCDI(1.40g、8.6mmol)の溶液を室温で4時間撹拌した。反応溶液をブライン(25mL)に注ぎ、EtOAc(25mL*2)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して、中間体4(2.7g、粗製)を得、これを精製せずに更なる反応に使用した。
【0095】
中間体5:
tert-ブチル4-(4-(3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)-5-ヒドロキシ-4H-1,2,4-トリアゾール-4-イル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシレート
EtOH(6mL)中の中間体4(2.7g、粗製)の溶液に、NHNH2-O(253mg、7.9mmol)を添加した。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。沈殿した固体を濾過して、中間体5(1.3g、収率48.5%)を白色固体として得た。
【0096】
H-L(6):
4-(5-ヒドロキシ-4-(4-(ピペリジン-1-イルメチル)フェニル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-6-イソプロピルベンゼン-1,3-ジオール,ヒドロクロリド
HCl-MeOH(3N、15mL)中の中間体5(1.3g、2.50mmol)の溶液を室温で16時間撹拌した。反応溶液を濃縮して、H-L(6、1.02g、収率98%)を白色固体として得た。
【0097】
H-L-T(化合物10B):
2-((4-(4-(4-(4-(3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)-5-ヒドロキシ-4H-1,2,4-トリアゾール-4-イル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボニル)ピペリジン-1-イル)-2-エトキシフェニル)アミノ)-5,11-ジメチル-5,11-ジヒドロ-6H-ベンゾ[e]ピリミド[5,4-b][1,4]ジアゼピン-6-オン、塩酸塩
DMF(8mL)中のH-L(6、340mg、0.7mmol)、HATU(290mg、0.77mmol)、及びDIEA(450mg、3.48mmol)の溶液に、中間体7(350mg、0.7mmol)を添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を分取HPLCで精製して、H-L-T(8、TFA塩)を白色固体として得た。それをNaHCO溶液に添加し、EtOAcを添加し、次いで抽出した。有機相を乾燥させ、濃縮した。残留物にHO(10mL)及びCHCN(1mL)を添加し、続いて3NのHCl(0.17mL)を添加した。それを凍結乾燥して、H-L-T(化合物10B)(230mg)を黄色固体として得た。
【0098】
H NMR (400 MHz, DMSO-d): δ 13.02 (s, 1H), 11.92 (m, 2H), 9.94-9.24 (m, 1H), 8.49 (d, J = 28.4 Hz, 2H), 8.26 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.72-7.45 (m, 6H), 7.30-7.19 (m, 4H), 6.91 (s, 1H), 6.36 (s, 1H), 4.49-4.16 (m, 6H), 3.76-3.53 (m, 5H), 3.41 (s, 3H), 3.37 (s, 3H), 3.29 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 3.23-3.12 (m, 2H), 3.10-2.89 (m, 3H), 2.29 (s, 2H), 1.94 (s, 2H), 1.40 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.03 (d, J = 6.8 Hz, 6H). LCMS (ESI): R=1.080分、m/z実測値 894.3 [M-HCl+H]
【0099】
実施例3:H-Lの合成、及びH-L-Tを合成するためのその適用)
化合物168についての代表的な合成スキームを以下に示す。中間体の特定の合成経路も示す。
【化16】
【0100】
中間体3:
DMF(50mL)中の化合物1(3.0g、16.20mmol)及び化合物2(4.6g、17.82mmol)の溶液に、DIEA(8.37g、64.79mmol)を添加し、続いてHATU(6.77g、17.82mmol)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。LC-MSは、反応が完了したことを示した。反応混合物を水(100mL)で希釈し、EA(150mL×2)で抽出した。合わせた有機層をNaHCOの飽和水溶液を洗浄し、真空下で濃縮し、粗製物を、DCM:MeOH=50:1で溶出したSGCによって精製して、化合物3(2.7g、収率39%)を褐色固体として得た。
【0101】
中間体5:
乾燥THF(9mL)中の化合物3(200mg、0.47mmol)、化合物4(189.2mg、0.94mmol)、及びPPh(369.9mg、1.41mmol)の溶液に。混合物をAr雰囲気下で室温において15分間撹拌した。DEAD(245.6mg、1.41mmol)を添加した。次いで、反応混合物を65℃に加熱し、Ar雰囲気下で一晩撹拌した。LC-MSは、反応が完了したことを示した。反応混合物を水(30mL)で希釈し、EA(50mL×2)で抽出した。合わせた有機層を真空下で濃縮し、PE:EA=3:1で溶出したSGCによって精製して、中間体5(152mg、収率53%)を黄色固体として得た。
【0102】
H-L(6):
MeOH(2mL)中の中間体3(152mg、0.25mmol)の溶液にHCl/ジオキサン(2mL)を添加した。混合物を室温で1時間撹拌し、LC-MSは、反応が完了したことを示した。反応溶液を真空下で濃縮して、H-L(6,124mg、収率97%)を黄色固体として得た。
【0103】
H-L-T(化合物168):
N-(4’-((1-(1-(4-((5,11-ジメチル-6-オキソ-6,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[e]ピリミド[5,4-b][1,4]ジアゼピン-2-イル)アミノ)-3-エトキシフェニル)ピペリジン-4-カルボニル)ピペリジン-4-イル)オキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3’,6-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド、トリフルオロ酢酸。
DMF(2mL)中のH-L(6、35.79mg、0.066mmol)及び化合物7(30mg、0.06mmol)の溶液に、DIEA(30.86mg、0.239mmol)を添加し、続いてHATU(24.97mg、0.066mmol)を添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。LC-MSは、反応が完了したことを示した。反応混合物を分取HPLC(TFA)によって精製して、H-L-T(化合物168、18.92mg、収率32%)を黄色固体として得た。 H NMR (400 MHz, DMSO-d): δ 10.22 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 8.25-7.95 (m, 4H), 7.85 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.73-7.49 (m, 6H), 7.40-6.95 (m, 11H), 4.75-4.66 (m, 2H), 4.19-4.11 (m, 2H), 3.94-3.78 (m, 8H), 3.71-3.63 (m, 2H), 3.54-3.45 (m, 1H), 3.40 (s, 4H), 3.33 (s, 4H), 3.09-2.95 (m, 1H), 2.10-1.85 (m, 6H), 1.74-1.50 (m, 2H), 1.37 (t, J = 6.8 Hz, 3H), 1.27-1.21 (m, 1H). LCMS (ESI): R=1.778分、m/z実測値 993.1 [M-CFCOOH+H]
【0104】
上述の実施例に記される一般的な手順及びスキームに従って追加の化合物を作製し、表1に列挙される
【0105】
実施例4:様々なCHAMP分子の試験
材料及び方法
HSP90α結合蛍光偏光(FP)アッセイ
HSP90αタンパク質への試験化合物の結合を、明記されている場合を除いて、メーカーの指示に従って、HSP90α(N末端)アッセイキット(BPS Bioscience、#50298)を使用する蛍光分極(FP)によって
測定した。蛍光標識されたHSP90結合化合物、提供されたFITC-ゲルダナマイシン(5nMの最終濃度)又はRNK04010、ピペリジン-フェニルリンカーを介してBODIPYで標識されたトリアゾロン系HSP90結合小分子(5nMの最終濃度)のいずれかを用いた。20μM~5.2nMの範囲の各試験化合物の2.5倍の連続希釈物を、HSP90αへの結合についてアッセイした。各アッセイウェルにHSP90αタンパク質を添加する最終ステップの後、プレートを短時間振とうによって混合し、FITC-ゲルダナマイシンについては120分、RNK04010については300分間25℃でインキュベーションし、PerkinElmer EnVisionプレートリーダーを使用して蛍光を測定した。バックグラウンドを差し引いたmP値を、生データから計算し、GraphPad Prism 7ソフトウェアを使用して、4つのパラメーターの「ログ[阻害剤]対応答」曲線を適合し、IC50値(最大阻害の50%が発生する濃度)を計算した。
【0106】
結果
標的タンパク質を分解するように設計された様々なCHAMP分子を構築するために、いくつかの合成スキームが開発されている。標的タンパク質結合剤に連結されたHSP90結合剤からなる代表的な例を示す。同様の化学的性質が、これらの測定のHSP90及び標的結合部分に限定されない他のCHAMP分子に適用され得る。
【0107】
蛍光標識されたHSP90結合剤、FITC-ゲルダナマイシン、又はRNK04010(BODIPY標識)との競合を測定するHSP90α結合蛍光分極(FP)アッセイを適用して、HSP90へのCHAMP分子の結合能力を評価した。表2に示されるように、文献に文書化されているHSP90結合部分を含有するCHAMP分子は、概して、公開されている構造活性相関(SAR)と一致していた。
【0108】
HSP90結合剤と同様の分子量の標的タンパク質結合剤をCHAMPに組み込むことは、典型的には、このアッセイにおいて、CHAMP分子のHSP90αへの結合に最小限の影響しか与えなかった(表2)。いくつかの理由が存在し、第1に、これらの部分とそれらの対応するタンパク質との共結晶構造が利用可能であり、正確な構造ベースの分子設計が可能であり、第2に、リンカーは、好適な長さで剛性を提供するように構築される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【0109】
本開示の記載の方法及び組成物の改変及び変形は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本開示は特定の実施形態に関連して説明されてきたが、請求された開示はそのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、本開示を実施するための記載された様式の様々な修正は、本開示が属する関連分野の当業者によって意図され、理解され、以下の特許請求の範囲によって表される開示の範囲内にある。
【0110】
参照による組み込み
本明細書に記載されている全ての特許及び刊行物は、それぞれの独立した特許及び刊行物が参照により組み込まれることが具体的及び個別に示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】