(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】表示パネル及び表示パネルの蒸着方法
(51)【国際特許分類】
H10K 50/165 20230101AFI20231019BHJP
H10K 50/17 20230101ALI20231019BHJP
H10K 71/16 20230101ALI20231019BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20231019BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231019BHJP
H10K 71/30 20230101ALI20231019BHJP
H10K 85/00 20230101ALI20231019BHJP
H10K 101/40 20230101ALN20231019BHJP
【FI】
H10K50/165
H10K50/17
H10K71/16
G09F9/30 365
G09F9/00 338
H10K71/30
H10K85/00
H10K101:40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522908
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 CN2021119824
(87)【国際公開番号】W WO2022116653
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】202011404561.X
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515179325
【氏名又は名称】昆山国顕光電有限公司
【氏名又は名称原語表記】KUNSHAN GO-VISIONOX OPTO-ELECTRONICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 4, No. 1, Longteng Road, Development Zone Kunshan, Jiangsu, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】顔志敏
(72)【発明者】
【氏名】李▲ホ▼
(72)【発明者】
【氏名】劉俊偉
(72)【発明者】
【氏名】蘇聖勳
(72)【発明者】
【氏名】劉亞偉
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC14
3K107DD76
3K107FF04
3K107FF14
3K107FF15
3K107FF19
3K107GG04
3K107GG34
5C094AA22
5C094BA27
5C094FB01
5C094JA08
5G435AA16
5G435BB05
5G435HH20
5G435KK05
5G435KK10
(57)【要約】
【要約】
第1の電極100、第2の電極300、及び第1の電極100と第2の電極300との間に位置する発光構造層200を含み、発光構造層200は、発光層240と、積層して設けられた複数のドーピング層260aを含み、発光層240の第1の電極100から離れた側に設けられる電子輸送層260と、電子輸送層260の発光層240から離れた側に位置する電子注入層270と、を含み、ここで、電子輸送層260は、電子輸送層260の表示パネル10の厚さ方向における中央部に位置する基準面Q’を有し、基準面Q’の発光層240に向かう側に位置する各ドーピング層260aのエネルギー準位は、それ自体から発光層240までの距離に正比例し、基準面Q’の電子注入層270に向かう側に位置する各ドーピング層260aのエネルギー準位は、それ自体から電子注入層270までの距離に正比例する表示パネル10及び表示パネル10の蒸着方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極、第2の電極、及び前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置する発光構造層を含む表示パネルであって、
前記発光構造層は、
発光層と、
前記発光層の前記第1の電極から離れた側に設けられる電子輸送層と、
前記電子輸送層の前記発光層から離れた側に位置する電子注入層と、を含み、
前記電子輸送層は、積層して設けられた複数のドーピング層を含み、かつ
前記電子輸送層は、前記電子輸送層の前記表示パネルの厚さ方向における中央部に位置する基準面を有し、
前記基準面の前記発光層に向かう側に位置する各前記ドーピング層のエネルギー準位は、それ自体から前記発光層までの距離に正比例し、
前記基準面の前記電子注入層に向かう側に位置する各前記ドーピング層のエネルギー準位は、それ自体から前記電子注入層までの距離に正比例する、
表示パネル。
【請求項2】
積層して設けられた複数の前記ドーピング層は、第1のドーピング層、前記第1のドーピング層の前記発光層から離れた側に位置する第2のドーピング層、及び前記第2のドーピング層の前記第1のドーピング層から離れた側に位置する第3のドーピング層を含み、
前記第2のドーピング層のエネルギー準位は、前記第1のドーピング層及び前記第3のドーピング層のエネルギー準位よりも大きい、
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記発光構造層は、さらに正孔ブロック層を含み、
前記第1のドーピング層は、前記正孔ブロック層と前記第2のドーピング層との間に位置し、
前記第3のドーピング層は前記第2のドーピング層と前記電子注入層との間に位置する、
請求項2に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記第1のドーピング層及び前記第3のドーピング層の材料は、少なくとも第2の材料を含み、
前記第2のドーピング層は、前記第2の材料及び第1の材料でドーピングすることで形成され、
前記第1の材料のエネルギー準位は、前記第2の材料のエネルギー準位よりも大きい、
請求項2に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記第1の材料の電子移動度は、第2の材料の電子移動度よりも大きい、
請求項4に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記第1の材料の電子移動度は、9×10
-4cm
2/Vs~1×10
-5cm
2/Vsであり、
前記第2の材料の電子移動度は、9×10
-6cm
2/Vs~1×10
-7cm
2/Vsである、
請求項5に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記第1のドーピング層及び前記第3のドーピング層の材料は、第2の材料及び第1の材料を含み、
前記第1のドーピング層における前記第2の材料のドーピング割合は、前記第1の材料のドーピング割合よりも大きく、前記第2のドーピング層における前記第1の材料のドーピング割合は、前記第2の材料のドーピング割合よりも大きく、前記第3のドーピング層における前記第2の材料のドーピング割合は前記第1の材料のドーピング割合よりも大きい、
請求項4に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記第1のドーピング層における前記第1の材料と前記第2の材料とのドーピング割合は、前記第3のドーピング層における前記第1の材料と前記第2の材料とのドーピング割合と同じである、
請求項7に記載の表示パネル。
【請求項9】
前記第1のドーピング層における前記第1の材料のドーピング割合は、前記第2のドーピング層における前記第1の材料のドーピング割合よりも小さく、及び/又は
前記第3のドーピング層における前記第1の材料のドーピング割合は、前記第2のドーピング層における前記第1の材料のドーピング割合よりも小さい、
請求項7に記載の表示パネル。
【請求項10】
前記第1のドーピング層及び前記第3のドーピング層における、前記第1の材料と前記第2の材料とのドーピング割合は、1:9~3.5:6.5であり、前記第2のドーピング層における前記第1の材料と前記第2の材料とのドーピング割合は、6.5:3.5~9:1である、
請求項9に記載の表示パネル。
【請求項11】
前記第2のドーピング層の厚さは、18nm~30nmである、
請求項2に記載の表示パネル。
【請求項12】
前記第1のドーピング層の厚さは、1nm~5nmである、
請求項2に記載の表示パネル。
【請求項13】
前記第3のドーピング層の厚さは、1nm~5nmである、
請求項2に記載の表示パネル。
【請求項14】
前記第1の材料の低空分子軌道エネルギー準位は、-1.0eV~-3.0eVであり、前記第2の材料の最低空分子軌道エネルギー準位は3eV以下である、
請求項4に記載の表示パネル。
【請求項15】
請求項1に記載の表示パネルの蒸着方法であって、
被蒸着基板を載置台に設置することと、
第1の材料を第1の蒸着キャビンに設置し、第2の材料を第2の蒸着キャビンに設置し、前記第1の蒸着キャビン及び前記第2の蒸着キャビンが第2の方向に沿って分布し、かつ前記第1の蒸着キャビン、前記第2の蒸着キャビンと前記載置台が第1の方向に沿って間隔をおいて分布し、前記第1の蒸着キャビンの第1の開口及び前記第2の蒸着キャビンの第2の開口がいずれも前記被蒸着基板に向き、前記第1の材料のエネルギー準位が前記第2の材料のエネルギー準位よりも大きいことと、
前記第1の蒸着キャビン及び前記第2の蒸着キャビンを第1の位置から前記第2の方向に沿って第2の位置まで移動させるように駆動し、前記被蒸着基板が前記第2の方向での所定中心を有し、前記所定中心が前記第1の方向に沿って延びて前記被蒸着基板に対して垂直な仮想線を形成し、前記第1の開口と前記所定中心との接続線と、前記仮想線との間に第1の夾角を成し、前記第2の開口と前記所定中心との接続線と、前記仮想線との間に第2の夾角を成し、前記第1の位置において、前記第1の夾角が前記第2の夾角よりも大きく、前記第2の位置において、前記第1の夾角が前記第2の夾角よりも小さいことと、を含む、
蒸着方法。
【請求項16】
前記第1の蒸着キャビン及び前記第2の蒸着キャビンを前記第2の位置から前記第1の位置まで移動させるように駆動することをさらに含み、
第1の位置において、第1の開口と被蒸着基板との距離は、第2の開口と被蒸着基板との間の距離よりも大きく、第2の位置において、第1の開口と被蒸着基板との距離は、第2の開口と被蒸着基板との間の距離よりも小さい、
請求項15に記載の蒸着方法。
【請求項17】
請求項1に記載の表示パネルの蒸着方法であって、
被蒸着基板を載置台に設置することと、
第1の材料を第1の蒸着キャビンに設置し、第2の材料を第2の蒸着キャビンに設置し、前記第1の蒸着キャビン、前記第2の蒸着キャビンと前記載置台が第1の方向に沿って間隔をおいて分布し、前記第1の蒸着キャビンの第1の開口及び前記第2の蒸着キャビンの第2の開口がいずれも前記被蒸着基板に向き、前記第1の材料のエネルギー準位が前記第2の材料のエネルギー準位よりも大きいことと、
前記第1の蒸着キャビン及び前記第2の蒸着キャビンを第3の位置から第2の方向に沿って第4の位置まで移動させるように駆動し、かつ前記第1の蒸着キャビンの第1の蒸着速度と前記第2の蒸着キャビンの第2の蒸着速度が異なることで、前記被蒸着基板に第1のドーピング層及び第2のドーピング層を順次に蒸着形成し、かつ前記第1のドーピング層における前記第1の材料のドーピング割合が前記第2の材料のドーピング割合よりも小さく、前記第2のドーピング層における前記第1の材料のドーピング割合が前記第2の材料のドーピング割合よりも大きく、前記第1のドーピング層のエネルギー準位が前記第2のドーピング層のエネルギー準位よりも小さいことと、を含む、
蒸着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年12月4日に提出された名称「表示パネル及び表示パネルの蒸着方法」の中国特許出願第202011404561.X号の優先権を要求し、該出願の全ての内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、表示技術分野に関し、特に表示パネル及び表示パネルの蒸着方法に関する。
【背景技術】
【0003】
有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode、OLED)は能動発光素子である。従来の液晶表示(Liquid Crystal Display、LCD)表示方式に比べて、OLED表示技術はバックライトを必要とせず、自発光の特性を有する。OLEDは、薄い有機材料膜層とガラス基板を採用し、電流が流れると、有機材料が発光する。したがって、OLED表示パネルは電気エネルギーを顕著に節約することができ、より軽くてより薄くすることができ、LCD表示パネルよりも広い範囲の温度変化に耐え、かつ可視角度がより大きくなる。OLED表示パネルは、LCDに続く次世代フラットパネルディスプレイ技術となる可能性があり、現在のフラットパネルディスプレイ技術において最も注目される技術の一つである。
【0004】
消費電力は、OLED表示パネルの重要な指標であり、消費電力は電圧と電流との積に等しく、OLED表示パネルに対し、OLEDの特定の輝度での電圧を低減させることで、パネルの消費電力を効果的に減少することができる。ドーピング電子輸送材料層は電圧を低減させる一般的な方法である。現在の量産デバイスに対し、ドーパント及びドーピング本体のドーピング割合は膜厚の変化に伴って一定であり、このような方式は電圧を最低まで低減させることができない。
【発明の概要】
【0005】
本願の実施例は、表示パネルの消費電力を低減させることを目的とする表示パネル及び表示パネルの蒸着方法を提供する。
【0006】
本願の第1の態様に係る実施例は、第1の電極、第2の電極、及び第1の電極と第2の電極との間に位置する発光構造層を含み、発光構造層は、発光層と、発光層の第1の電極から離れた側に設けられた電子輸送層と、電子輸送層の発光層から離れた側に位置する電子注入層と、を含み、電子輸送層は、積層して設けられた複数のドーピング層を含み、電子輸送層は、電子輸送層の表示パネルの厚さ方向における中央部に位置する基準面を有し、基準面の発光層に向かう側に位置する各ドーピング層のエネルギー準位は、それ自体から発光層までの距離に正比例し、基準面の電子注入層に向かう側に位置する各ドーピング層のエネルギー準位は、それ自体から電子注入層までの距離に正比例する表示パネルを提供する。
【0007】
本願の第2の態様に係る実施例は、表示パネルの蒸着方法であって、被蒸着基板を載置台に設置することと、第1の材料を第1の蒸着キャビンに設置し、第2の材料を第2の蒸着キャビンに設置し、第1の蒸着キャビン及び第2の蒸着キャビンが第2の方向に沿って分布し、かつ第1の蒸着キャビン、第2の蒸着キャビンと載置台が第1の方向に沿って間隔をおいて分布し、第1の蒸着キャビンの第1の開口及び第2の蒸着キャビンの第2の開口がいずれも被蒸着基板に向き、第1の材料のエネルギー準位が第2の材料のエネルギー準位よりも大きいことと、第1の蒸着キャビン及び第2の蒸着キャビンを第1の位置から第2の方向に沿って第2の位置まで移動させるように駆動し、被蒸着基板が第2の方向での所定中心を有し、所定中心が第1の方向に沿って延びて被蒸着基板に垂直な仮想線を形成し、第1の開口と所定の中心との接続線と、仮想線との間に第1の夾角を成し、第2の開口と所定の中心との接続線と鉛直方向との間に第2の夾角を成し、第1の位置において、第1の夾角が第2の夾角よりも大きく、第2の位置において、第1の夾角が第2の夾角よりも小さいことと、を含む蒸着方法を提供する。
【0008】
本願の第3の態様に係る実施例は、表示パネルの蒸着方法であって、被蒸着基板を載置台に設置することと、第1の材料を第1の蒸着キャビンに設置し、第2の材料を第2の蒸着キャビンに設置し、第1の蒸着キャビン、第2の蒸着キャビンと載置台が第1の方向に沿って間隔をおいて分布し、第1の蒸着キャビンの第1の開口及び第2の蒸着キャビンの第2の開口がいずれも被蒸着基板に向き、第1の材料のエネルギー準位が第2の材料のエネルギー準位よりも大きいことと、第1の蒸着キャビン及び第2の蒸着キャビンを第3の位置から第2の方向に沿って第4の位置まで移動させるように駆動し、かつ第1の蒸着キャビンの第1の蒸着速度と第2の蒸着キャビンの第2の蒸着速度が異なることで、被蒸着基板に第1のドーピング層及び第2のドーピング層を順次に蒸着形成し、かつ第1のドーピング層における第1の材料のドーピング割合が第2の材料のドーピング割合よりも小さく、第2のドーピング層における第1の材料のドーピング割合が第2の材料のドーピング割合よりも大きく、第1のドーピング層のエネルギー準位が第2のドーピング層のエネルギー準位よりも小さいことと、を含む蒸着方法を提供する。
【0009】
本願の実施例の表示パネルにおいて、表示パネルは第1の電極、第2の電極、及び第1の電極と第2の電極との間に位置する発光構造層を含み、第1の電極及び第2の電極の作用により、発光構造層が発光することができる。発光構造層は発光層、電子輸送層、及び電子注入層を含み、電子輸送層は複数のドーピング層を含む。電子輸送層の発光層に向かう方向に、ドーピング層のエネルギー準位はそれ自体から発光層までの距離に正比例し、すなわち発光層に近いほど、ドーピング層のエネルギー準位が低くなるため、電子輸送層から発光層への電子の注入障壁を低減させ、電子輸送による電圧上昇を減少させ、さらに表示パネルの発光に必要な電圧を低減させることができる。電子輸送層の電子注入層に向かう方向に、ドーピング層のエネルギー準位はそれ自体から電子注入層までの距離に正比例し、すなわち電子注入層に近いほど、ドーピング層のエネルギー準位が低くなるため、電子注入層から電子輸送層への電子の注入障壁を低減させ、電子輸送による電圧上昇を減少させ、さらに表示パネルの発光に必要な電圧を低減させることができる。したがって、本発明は、表示パネルの消費電力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本願の第1の態様の実施例が提供する表示パネルの部分断面図である。
【
図2】本願の第1の態様の実施例が提供する表示パネルの電子輸送層の構造概略図である。
【
図3】本願の第1の態様の別の実施例が提供する表示パネルの電子輸送層の構造概略図である。
【
図4】実施例1により測定された表示パネルの電流密度-電圧グラフである。
【
図5】実施例1により測定された表示パネルの輝度減衰グラフである。
【
図6】比較例1により測定された表示パネルの電流密度-電圧グラフである。
【
図7】比較例1により測定された表示パネルの輝度減衰グラフである。
【
図8】本願の第2の態様の実施例が提供する表示パネルの蒸着方法のフローチャートである。
【
図9】本願の第2の態様の実施例に係る蒸着方法を用いて蒸着を行う場合の蒸着装置の使用状態概略図である。
【
図10】本願の第2の態様の別の実施例が提供する表示パネルの蒸着方法のフローチャートである。
【
図11】本願の第3の態様の実施例が提供する表示パネルの蒸着方法のフローチャートである。
【
図12】蒸着速度で測定された被蒸着基板上の異なる厚さ位置の第1の材料と第2の材料とのドーピング割合のグラフである。
【
図13】別の蒸着速度で測定された被蒸着基板上の異なる厚さ位置の第1の材料と第2の材料とのドーピング割合のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願をよりよく理解するために、以下に
図1~
図13を参照して本出願の実施例の表示パネル及び表示パネルの蒸着方法を詳細に説明する。
【0012】
図1に示すように、本願の第1の態様の実施例が提供する表示パネル10は、第1の電極100、第2の電極300、及び第1の電極100と第2の電極300との間に位置する発光構造層200を含む。発光構造層200は、発光層240と、発光層240の第1の電極100から離れた側に設置されている電子輸送層260と、電子輸送層260の発光層240から離れた側に位置している電子注入層270とを含む。電子輸送層260は、積層して設けられている複数のドーピング層260aを含み、電子輸送層260は基準面Q’を有し、基準面Q’は電子輸送層260の表示パネル10の厚さ方向(
図1におけるZ方向)における中央部に位置し、基準面Q’の発光層240に向かう側に位置する各ドーピング層260aのエネルギー準位は、それ自体から発光層240までの距離に正比例し、基準面Q’の電子注入層270に向かう側に位置する各ドーピング層260aのエネルギー準位はそれ自体から電子注入層270までの距離に正比例する。
【0013】
図1において一点鎖線で基準面Q’の位置を示し、一点鎖線は本願の第1の態様の実施例が提供する表示パネル10の構造を限定するものではない。基準面Q’も電子輸送層260に有する具体的な構造ではなく、本願の特徴点をより明確に表現するために、基準面Q’を基準として異なる位置のドーピング層260のエネルギー準位を説明する。
【0014】
本明細書におけるエネルギー準位は、最低空分子軌道(Lowest Unoccupied Molecular Orbital、LUMO)エネルギー準位である。
【0015】
本願の実施例の表示パネル10において、第1の電極100及び第2の電極300の作用により、発光構造層200が発光することができる。電子輸送層260はN個のドーピング層260aを含む。
【0016】
本願において、電子輸送層260の発光層240に向かう方向において、ドーピング層260aのエネルギー準位はそれ自体から発光層240までの距離に正比例し、すなわち発光層240に近いほど、ドーピング層260aのエネルギー準位が低くなるため、電子輸送層260から発光層240への電子の注入障壁を低減させ、電子輸送による電圧上昇を減少させ、さらに表示パネル10の発光に必要な電圧を低減させることができる。
【0017】
電子輸送層260の電子注入層270に向かう方向において、ドーピング層260aのエネルギー準位はそれ自体から電子注入層270までの距離に正比例し、すなわち電子注入層270に近いほど、ドーピング層260aのエネルギー準位が低くなるため、電子注入層270から電子輸送層260への電子の注入障壁を低減させ、電子輸送による電圧上昇を減少させ、さらに表示パネル10の発光に必要な電圧を低減させることができる。
【0018】
これにより、本出願の実施例の表示パネル10は目標輝度に達するのに必要な電圧を低減させることができ、さらに表示パネル10の消費電力を低減させることができる。
【0019】
発光構造層200の設置方式は様々であり、選択可能的に、発光構造層200は、さらに電子輸送層260と発光層240との間に設置される正孔ブロック層250と、第1の電極100から発光層240への方向における一側に積層して設けられている正孔注入層210、正孔輸送層220及び電子ブロック層230とを含む。表示パネル10は、例えば、第2の電極300の発光構造層200から離れた側に設けられている光取り出し層400及び封止層500等をさらに含む。
【0020】
ドーピング層260aの数は限定されないが、本願の第1の態様の実施例はドーピング層260aが3つであることを例に挙げて説明する。
【0021】
図2を参照して、積層して設けられる複数のドーピング層260aは第1のドーピング層261、第1のドーピング層261の発光層240から離れた側に位置する第2のドーピング層262及び第2のドーピング層262の第1のドーピング層261から離れた側に位置する第3のドーピング層263を含み、第2のドーピング層262のエネルギー準位は、第1のドーピング層261及び第3のドーピング層263のエネルギー準位よりも大きい。選択可能的に、第2のドーピング層262が輸送層260の厚さ方向の中央部に近接して設置される場合、基準面Q’は第2のドーピング層262に位置することができる。
【0022】
これらの選択可能な実施例において、第1のドーピング層261のエネルギー準位は第2のドーピング層262のエネルギー準位より小さいため、電子輸送層260から発光層240への電子の注入障壁を低減させ、かつ電子輸送による電圧上昇を減少させることができる。第3のドーピング層263のエネルギー準位は第2のドーピング層262のエネルギー準位より小さいため、電子注入層270から電子輸送層260への電子の注入障壁を低減させ、かつ電子輸送による電圧上昇を低減させることができる。
【0023】
第1のドーピング層261における異なる厚さ位置のエネルギー準位は同じであってもよく異なってもよく、例えば基準面Q’から発光層240への方向において、第1のドーピング層261のエネルギー準位が徐々に減少することで、電子の注入障壁をさらに減少させる。
【0024】
第3のドーピング層263において、異なる厚さ位置のエネルギー準位は同じであってもよく異なってもよく、例えば基準面Q’から電子注入層270への方向に、第3のドーピング層263のエネルギー準位が徐々に減少することで、電子の注入障壁をさらに減少させる。
【0025】
第2のドーピング層262において、異なる厚さ位置のエネルギー準位は同じであってもよく異なってもよく、例えば基準面Q’を限界として、基準面Q’から発光層240への方向に、第2のドーピング層262のエネルギー準位が徐々に減少し、基準面Q’から電子注入層270への方向に、第2のドーピング層262のエネルギー準位が徐々に減少することで、電子の注入障壁をさらに減少させる。
【0026】
選択可能的に、電子輸送層260の全体において、基準面Q’を限界として、基準面Q’から発光層240への方向に、電子輸送層260のエネルギー準位が徐々に減少し、基準面Q’から電子注入層270への方向に、電子輸送層260のエネルギー準位が徐々に減少する。
【0027】
図3に示すように、ドーピング層260aは例えば第1のドーピング層261の第2のドーピング層262から離れた側に位置する第4のドーピング層264をさらに含み、第4のドーピング層264のエネルギー準位は第1のドーピング層261のエネルギー準位よりも小さいため、電子輸送層260から発光層240への電子の注入障壁をさらに低減させる。
【0028】
ドーピング層260aは、例えば第3のドーピング層263の第2のドーピング層262から離れた側に位置する第5のドーピング層265をさらに含み、第5のドーピング層265のエネルギー準位は第3のドーピング層263のエネルギー準位より小さいため、さらに電子注入層270から電子輸送層260への電子の注入障壁を低減させる。
【0029】
選択可能的に、ドーピング層260aのエネルギー準位を低減させる方式は複数種類あり、例えば低エネルギー準位のドーピング層260aにエネルギー準位が低い材料をドーピングすることにより、ドーピング層260aのエネルギー準位を低減させることができる。あるいは、高エネルギー準位のドーピング層260aにエネルギー準位が高い材料をドーピングすることにより、ドーピング層260aのエネルギー準位を上昇させる。
【0030】
いくつかの選択可能な実施例において、第1のドーピング層261及び第3のドーピング層263の材料は少なくとも第2の材料を含み、第2のドーピング層262は第2の材料及び第1の材料をドーピングすることで形成され、第1の材料のエネルギー準位は第2の材料のエネルギー準位よりも高い。
【0031】
これらの選択可能な実施例において、第2のドーピング層262にエネルギー準位が高い第1の材料をドーピングすることにより、第2のドーピング層262のエネルギー準位を上昇させ、第1のドーピング層261のエネルギー準位を第2のドーピング層262のエネルギー準位よりも小さくすることができる。
【0032】
いくつかの実施例において、第1の材料の電子移動度は第2の材料の電子移動度より大きい。これにより、第2のドーピング層262に第1の材料をドーピングすることで、第2のドーピング層262の電子移動度を向上させ、膜層全体の電子移動度を向上させ、発光効率を向上させることができる。
【0033】
第1の材料の電子移動度は、例えば9×10-4cm2/Vs~1×10-5cm2/Vsである。第2の材料の電子移動度は9×10-6cm2/Vs~1×10-7cm2/Vsである。
【0034】
第1の材料のLUMOエネルギー準位は、-1.0eV~-3.0eVである。第2の材料のLUMOエネルギー準位は3eV以下である。
【0035】
第1の材料は、TmPyPb、3TPYMPBのうちの少なくとも一つを含み、第2の材料は8-キノリノラトリチウなどを含む。
【0036】
いくつかの実施例において、さらに第1のドーピング層261及び第3のドーピング層263に第1の材料をドーピングすることにより第1のドーピング層261及び第3のドーピング層263の電子移動度を向上させることができる。
【0037】
選択可能的に、第1のドーピング層261及び第3のドーピング層263の材料は第2の材料及び第1の材料を含む。第1のドーピング層261における第2の材料のドーピング割合は第1の材料のドーピング割合よりも大きく、第2のドーピング層262における第1の材料のドーピング割合は第2の材料のドーピング割合よりも大きく、第3のドーピング層263における第2の材料のドーピング割合は第1の材料のドーピング割合よりも大きい。
【0038】
これらの選択可能な実施例において、第1のドーピング層261における第2の材料のドーピング割合は第1の材料のドーピング割合よりも大きく、第2のドーピング層262における第1の材料のドーピング割合は第2の材料のドーピング割合よりも大きく、第1のドーピング層261の電子移動度を向上させる前提で、第1のドーピング層261のエネルギー準位を低減させることで、第1のドーピング層261のエネルギー準位を第2のドーピング層262のエネルギー準位よりも小さくする。第3のドーピング層263における第2の材料のドーピング割合は第1の材料のドーピング割合よりも大きく、第3のドーピング層263の電子移動度を向上させる前提で、第3のドーピング層263のエネルギー準位を低減させることで、第3のドーピング層263のエネルギー準位を第2のドーピング層262のエネルギー準位よりも小さくする。
【0039】
選択可能的に、第1のドーピング層261における第1の材料のドーピング割合は第2のドーピング層262における第1の材料のドーピング割合よりも小さいため、第1のドーピング層261のエネルギー準位をさらに低減させ、第2のドーピング層262の電子移動度を向上させることができる。
【0040】
選択可能的に、第3のドーピング層263における第1の材料のドーピング割合は第2のドーピング層262における第1の材料のドーピング割合よりも小さいため、第3のドーピング層263のエネルギー準位をさらに低減させ、第2のドーピング層262の電子移動度を向上させることができる。
【0041】
選択可能的に、第1のドーピング層261における第1の材料と第2の材料とのドーピング割合は1より小さく、選択可能的に、第1のドーピング層261における第1の材料と第2の材料とのドーピング割合は1:9~3.5:6.5である。例えば、第1のドーピング層261における第1の材料と第2の材料のドーピング割合の割合は1:9、2:8、3:7、4:6又は3.5:6.5などである。
【0042】
選択可能的に、第2のドーピング層262における第1の材料と第2の材料とのドーピング割合は1より大きい。選択可能的に、第2のドーピング層262における第1の材料と第2の材料とのドーピング割合は6.5:3.5~9:1である。例えば第2のドーピング層262における第1の材料と第2の材料とのドーピング割合は9:1、8:2、7:3、6:4又は6.5:3.5などである。
【0043】
選択可能的に、第3のドーピング層263における第1の材料と第2の材料とのドーピング割合は1より小さい。選択可能的に、第1のドーピング層261における第1の材料と第2の材料とのドーピング割合は1:9~3.5:6.5である。例えば、第3のドーピング層263における第1の材料と第2の材料とのドーピング割合は2:8、3:7、4:6又は3.5:6.5などである。
【0044】
第1のドーピング層261および第3のドーピング層263における、第1の材料と第2の材料とのドーピング割合は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。選択可能的に、第1のドーピング層261及び第3のドーピング層263における、第1の材料と第2の材料とのドーピング割合が同じであり、第1のドーピング層261及び第3のドーピング層263は同じプロセスパラメータ及びプロセスステップを利用して作製成形することができるため、表示パネル10の製造プロセスの困難性を低減させ、表示パネル10の作製効率を向上させることができる。
【0045】
第2のドーピング層262の厚さは18nm~30nmである。
【0046】
選択可能的に、第1のドーピング層261の厚さは1nm-5nmである。
【0047】
選択可能的に、第3のドーピング層263の厚さは1nm-5nmである。
【0048】
実施例1
本技術案を検証するために、以下の解決手段を設計する。ドーピング層260aは第1のドーピング層261、第2のドーピング層262及び第3のドーピング層263を含み、第1のドーピング層261、第2のドーピング層262及び第3のドーピング層263はいずれも第1の材料と第2の材料とをドーピングすることで形成される。第1のドーピング層261、第3のドーピング層263における、第1の材料と第2の材料との割合を4:6に保持し、第1のドーピング層261及び第3のドーピング層263の厚さは20Aであり、第2のドーピング層262の厚さは240Aである。第2のドーピング層262における第1の材料と第2の材料との割合が10:2から2:8までの間で変化するようにし、かつ第2のドーピング層262における第1の材料と第2の材料との割合が4:6であるパワーをベースパワーとして比較し、表示パネル10の発光輝度が733nitである各電流、電圧及び輝度などのパラメータを取得するデータは、以下のとおりである。
【0049】
【0050】
ここで、ET1:ET2は、第1の材料と第2の材料との割合であり、電圧は目標輝度に達するために必要な電圧であり、電流は目標輝度に達する時の電流である。CIE-x及びCIE-yは発光するサブピクセルの色の色座標であり、BIは青色光指数であり、Pは目標輝度に達する時の消費電力であり、±Pは第1の材料と第2の材料との比が4:6である場合に生成された消費電力の比較値である。
【0051】
上記データテーブルから以下のことが分かる。
1)第2のドーピング層262における第1の材料と第2の材料との割合が2:8まで縮小する時に表示パネル10の発光電圧が急激に上昇し、かつ目標輝度に達しない。
2)第2のドーピング層262における第1の材料の割合が向上することにつれて、表示パネル10の電圧はある程度低減し、ここで、第1の材料と第2の材料との割合は7:3及び5:5である場合に、電圧が最大で低減し、約0.4V低減するが、効率の低減は明らかではない。第2のドーピング層262における第1の材料と第2の材料との割合が10:0である場合、表示パネル10の電圧は逆に6.78Vまで上昇し、かつ効率が0.00824Wまで大幅に低減する。
3)電圧と電流との積により表示パネル10の消費電力を計算することから分かるように、第2のドーピング層262における第1の材料と第2の材料との割合が5:5~8:2の間にあり、消費電力がいずれも低減し、ここで第2のドーピング層262における第1の材料と第2の材料との割合が7:3である場合に、消費電力の低減が最も顕著であり、消費電力が5.5%で低減する。
【0052】
図4から分かるように、第2のドーピング層262における第1の材料と第2の材料との割合が5:5~9:1の間にある場合の電流密度は、第2のドーピング層262における第1の材料と第2の材料との割合が4:6である場合の電流密度より明らかに大きい。第2のドーピング層262における第1の材料と第2の材料との割合が10:0及び2:8である場合、電流密度が急激に減少し、これにより電圧が急速に上昇し、さらに目標輝度に到達できない。
【0053】
図5に示すように、実施例1の表示パネル10で測定された輝度減衰グラフに基づいて、初期輝度は733nitsである。
【0054】
図5から分かるように、第2のドーピング層262における第1の材料と第2の材料との割合が7:3である場合の輝度減衰と第2のドーピング層262における第1の材料と第2の材料との割合が4:6である場合の輝度減衰とはほぼ一致する。すなわち、第2のドーピング層262における第1の材料と第2の材料との割合を4:6から7:3に調整する場合、第2のドーピング層262の耐用年数に与える影響が非常に限られる。第2のドーピング層262における第1の材料と第2の材料とが他の割合である場合、第2のドーピング層262の減衰速度が上昇し、すなわち第2のドーピング層262の耐用年数が低減する。
【0055】
比較例1
第2のドーピング層262における第1の材料と第2の材料との割合が7:3であり、かつ第1のドーピング層261と第3のドーピング層263におけるドーピング割合が異なるように比較試験を行い、結果は以下のとおりである。
【0056】
【0057】
ここで、第1の組のデータは、第1のドーピング層261、第2のドーピング層262及び第3のドーピング層263における、第1の材料と第2の材料とのドーピング割合がいずれも7:3である場合に得られた検出結果を示す。第2の組のデータは、第1のドーピング層261及び第3のドーピング層263における、第1の材料と第2の材料とのドーピング割合がいずれも2:8であり、且つ第2のドーピング層262における第1の材料と第2の材料とのドーピング割合が7:3である場合に得られた検出結果を示す。
【0058】
上記データテーブルから分かるように、第1のドーピング層261及び第3のドーピング層263における、第1の材料と第2の材料とのドーピング割合がいずれも2:8である場合に表示パネル10の消費電力が低い。
【0059】
図6から分かるように、第1のドーピング層261及び第2のドーピング層262における、第1の材料と第2の材料とのドーピング割合が2:8であると、電流密度が上昇し、目標輝度で表示パネル10の電圧が0.12V低減し、表示パネル10の消費電力が4.3%低減すると推定する。
【0060】
図7を参照し、
図7は、比較例1に係る表示パネル10で測定された輝度減衰概略図である。初期輝度は、733nitsである。
【0061】
輝度減衰グラフから分かるように、第1のドーピング層261及び第2のドーピング層262における、第1の材料と第2の材料とのドーピング割合が2:8であると、表示パネル10のデバイスの耐用年数がある程度で向上する。本出願の第2の態様の提供する表示パネル10の蒸着方法は、以下を含む。
【0062】
ステップS01:被蒸着基板30を載置台に設置する。
【0063】
ステップS02:第1の材料を第1の蒸着キャビン21に設置し、第2の材料を第2の蒸着キャビン22に設置する。
【0064】
ここで、第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22とは、第2の方向(
図9におけるX方向)に沿って分布し、かつ第1の蒸着キャビン21、第2の蒸着キャビン22と載置台は第1の方向(
図9におけるY方向)に沿って間隔をおいて分布し、第1の蒸着キャビン21の第1の開口21a及び第2の蒸着キャビン22の第2の開口22aはいずれも被蒸着基板30に向き、第1の材料のエネルギー準位は、第2の材料のエネルギー準位よりも大きい。
【0065】
ステップS03:第1の蒸着キャビン21及び第2の蒸着キャビン22を第1の位置から第2の方向に沿って第2の位置まで移動させるように駆動する。
【0066】
被蒸着基板30は、第2の方向での所定中心を有し、所定中心は第1の方向に沿い延びて被蒸着基板30に対して垂直な仮想線を形成し、第1の開口21aと所定中心との接続線と、仮想線との間は第1の夾角O
1を成し、第2の開口22aと所定中心との接続線と、垂直方向との間は第2の夾角O
2を成し、第1の位置では、第1の夾角O
1は第2の夾角O
2より大きく、第2の位置では、第1の夾角O
1は第2の夾角O
2より小さい。
図9に実線で第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22とが第1の位置にある場合の使用状態図を示し、破線で第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22とが第2の位置にある場合の使用状態図を示す。
【0067】
本願の第2の態様の実施例が提供する表示パネル10の蒸着方法において、まず被蒸着基板30を載置台に設置する。次に第1の材料を第1の蒸着キャビン21及び第2の蒸着キャビン22に設置し、第1の開口21a及び第2の開口22aはいずれも被蒸着基板30に向けることで、第1の材料は第1の開口21aにより被蒸着基板30に蒸着することができ、第2の材料は第2の開口22aにより被蒸着基板30に蒸着することができる。最後に、第1の蒸着キャビン21及び第2の蒸着キャビン22を第1の位置から第2の位置まで移動させるように駆動する。
【0068】
第1の位置において、第1の夾角O1は第2の夾角O2より大きく、すなわち第1の開口21aと被蒸着基板30との距離は第2の開口22aと被蒸着基板30との間の距離よりも大きい。したがって、第1の位置に蒸着を開始する時に、被蒸着基板30における第2の材料の蒸着量は第1の材料の蒸着量よりも大きい。
【0069】
第2の位置において、第1の夾角O1は第2の夾角O2より小さく、すなわち第1の開口21aと被蒸着基板30との距離は第2の開口22aと被蒸着基板30との間の距離よりも小さい。第2の位置にある時、被蒸着基板30における第1の材料の蒸着量は第2の材料の蒸着量より大きい。
【0070】
したがって、本願の表示パネル10の蒸着方法により蒸着された被蒸着基板30は、蒸着プロセスにおいてドーピング材料が同じであるが、材料のドーピング割合が異なる層構造を形成することができる。
【0071】
例えば、本願の第2の態様の実施例に係る蒸着方法を用いて本願の第1の態様の実施例に係る表示パネル10の電子輸送層260を蒸着する過程において、異なるドーピング層260aを形成することができ、かつ異なるドーピング層260aにおける第1の材料と第2の材料とのドーピング割合が異なっている。
【0072】
いくつかの選択可能な実施例において、ステップS03の後に、第1の蒸着キャビン21及び第2の蒸着キャビン22を第2の位置から第1の位置まで移動させるように駆動するステップS04をさらに含む。これらの実施例において、ドーピング材料は同じであるが、材料のドーピング割合は異なる層構造を継続に蒸着して形成することができる。
【0073】
選択可能的に、第1の位置及び第2の位置は所定中心に対して対称的に分布することにより、第1の位置から第2の位置まで移動して蒸着された第1の材料と第2の材料との蒸着量、材料割合が、第2の位置から第1の位置まで移動して蒸着された第1の材料と第2の材料との蒸着量、材料割合と同じである。
【0074】
図10を参照し、以下は、本出願の第2の態様の実施例が提供する表示パネル10の蒸着方法で、
図1及び
図2に提供された表示パネル10を蒸着して形成する例を挙げて説明する。
【0075】
ステップS01’:基板に第1の電極100を蒸着形成する。
【0076】
ステップS02’:第1の電極100に発光構造層200における発光層240を蒸着形成する。
選択可能的に、ステップS02’の前に、さらに第1の電極100に発光構造層200における正孔注入層210、正孔輸送層220及び電子ブロック層230などの層構造を蒸着形成することができる。ステップS02’の後に、発光層240に正孔ブロック層250などの層構造を蒸着形成してもよい。
【0077】
ステップS03’:第1の材料を第1の蒸着キャビン21に設置し、第2の材料を第2の蒸着キャビン22に設置する。
【0078】
ステップS04’:第1の蒸着キャビン21及び第2の蒸着キャビン22を第1の位置から第2の位置まで移動させる。
【0079】
第1の蒸着キャビン21及び第2の蒸着キャビン22を第1の位置から第2の位置まで移動させる過程において、開始段階で、第1の夾角O1が第2の夾角O2より大きく、第1の材料の蒸着量が第2の材料の蒸着量よりも小さく、第1のドーピング層261を形成することができる。第1の夾角O1と第2の夾角O2が等しい場合、第1のドーピング層261の蒸着が終了する。第1の夾角O1が第2の夾角O2より小さい場合、第2のドーピング層262を蒸着し始める。
【0080】
ステップS05’:第1の蒸着キャビン21及び第2の蒸着キャビン22を第2の位置から第1の位置まで移動させる。
【0081】
第1の蒸着キャビン21及び第2の蒸着キャビン22を第2の位置から第1の位置まで移動する過程において、開始段階で、第1の夾角O1が第2の夾角O2より小さく、第1の材料の蒸着量が第2の材料の蒸着量よりも大きく、第2のドーピング層262を継続に形成することができる。第1の夾角O1と第2の夾角O2が等しい場合、第2のドーピング層262の蒸着が終了する。第1の夾角O1が第2の夾角O2より大きい場合、第3のドーピング層263を蒸着し始める。最後に第1の蒸着キャビン21及び第2の蒸着キャビン22を第1の位置まで移動する場合、第3のドーピング層263の蒸着が完了する。
【0082】
ステップS06’:第3のドーピング層263に電子注入層270を形成する。
【0083】
ステップS03’~ステップS05’において本願の第2の態様の実施例が提供する蒸着方法を用いて電子輸送層260を蒸着形成する場合、第1のドーピング層261、第2のドーピング層262及び第3のドーピング層263を蒸着形成することができ、かつ第1のドーピング層261における第1の材料のドーピング割合が第2の材料のドーピング割合よりも小さく、これにより第1のドーピング層261のエネルギー準位が低く、第2のドーピング層262における第1の材料のドーピング割合が第2の材料のドーピング割合よりも大きく、第2のドーピング層262の電子移動度が高く、第1のドーピング層261のエネルギー準位が第2のドーピング層262のエネルギー準位よりも小さい。同様に、第3のドーピング層263のエネルギー準位は第2のドーピング層262のエネルギー準位より小さい。
【0084】
また、本願の第2の態様の実施例が提供する蒸着方法で電子輸送層260を蒸着形成する場合、電子輸送層260の厚さ方向での基準面Q’を限界として、基準面Q’の発光層240に向かう方向において、基準面Q’から発光層240への方向に、電子輸送層260のエネルギー準位が徐々に減少し、基準面Q’から電子注入層270への方向に、電子輸送層260のエネルギー準位が徐々に減少し、これにより、電子の注入障壁をさらに減少させ、表示パネル10の消費電力を低減させることができる。
【0085】
図11を参照し、本願の第3の態様は、さらに表示パネルの蒸着方法を提供し、以下を含む。
【0086】
ステップS1:被蒸着基板30を載置台に設置する。
【0087】
ステップS2:第1の材料を第1の蒸着キャビン21に設置し、第2の材料を第2の蒸着キャビン22に設置する。
【0088】
第1の蒸着キャビン21、第2の蒸着キャビン22と載置台は第1の方向(
図9におけるY方向)に沿って間隔をおいて分布し、第1の蒸着キャビン21の第1の開口21a及び第2の蒸着キャビン22の第2の開口22aはいずれも被蒸着基板30に向き、第1の材料のエネルギー準位は第2の材料のエネルギー準位よりも大きい。
【0089】
本願の実施例が提供する蒸着方法において、
図9に示すように、第1の蒸着キャビン21及び第2の蒸着キャビン22は第2の方向(
図9におけるX方向)に沿って分布することができる。あるいは、第1の蒸着キャビン21及び第2の蒸着キャビン22は並設されてもよい。第1の蒸着キャビン21及び第2の蒸着キャビン22の初期設置位置には限定がない。
【0090】
ステップS3:第1の蒸着キャビン21及び第2の蒸着キャビン22を第3の位置から第2の方向に沿って第4の位置まで移動するように駆動し、かつ第1の蒸着キャビン21の第1の蒸着速度と第2の蒸着キャビン22の第2の蒸着速度とが異なっている。
【0091】
第1の蒸着キャビン21の第1の蒸着速度とは、第1の蒸着キャビン21の移動過程において、第1の開口21aから蒸着された第1の材料の量を指し、又は第1の蒸着キャビン21の第1の蒸着速度とは、第1の蒸着キャビン21の移動過程において、第1の材料が被蒸着基板23に蒸着された量を指す。
【0092】
同様に、第2の蒸着キャビン22の第2の蒸着速度とは、第2の蒸着キャビン22の移動過程において、第1の開口22aから蒸着された第2の材料の量を指し、又は第2の蒸着キャビン22の第2の蒸着速度とは、第2の蒸着キャビン22の移動過程において、第2の材料が被蒸着基板23に蒸着された量を指す。
【0093】
第1の蒸着キャビン21の第1の蒸着速度と第2の蒸着キャビン22の第2の蒸着速度とが異なり、第1の材料と第2の材料との被蒸着基板23での蒸着量が異なっている。被蒸着基板23に第1のドーピング層261及び第1のドーピング層261に近接する半分の第2のドーピング層262を順次蒸着形成し、かつ第1のドーピング層261における第1の材料のドーピング割合が第2の材料のドーピング割合よりも小さく、第2のドーピング層262における第1の材料のドーピング割合が第2の材料のドーピング割合よりも大きく、第1のドーピング層261のエネルギー準位が第2のドーピング層262のエネルギー準位よりも小さい。
【0094】
第3の位置において、第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22との相対的な位置設置方式は複数種類あり、例えば、第1の蒸着キャビン21及び第2の蒸着キャビン22は上記の第1の位置に応じて配置し、O1をO2よりも大きくすることができる。他の実施例において、第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22は並設されてもよく、即ちO1がO2に等しい。あるいは、第1の蒸着キャビン21及び第2の蒸着キャビン22は第1の位置と逆の方式で配置してもよく、即ちO1がO2よりも小さい。第4の位置において、O1及びO2の大きさも限定されず、O1はO2よりも大きくてもよく、又は、O1はO2に等しくてもよく、又は、O1はO2よりも小さくてもよい。第1のドーピング層261と、半分の第2のドーピング層262とを蒸着形成できればよい。
【0095】
他の実施例において、ステップS3の後に、さらに第1の蒸着キャビン21及び第2の蒸着キャビン22を第4の位置から第3の位置まで移動させるように駆動するステップS4を含む。他の半分の第2のドーピング層262及び第3のドーピング層263を形成する。
【0096】
本願の第3の態様の実施例が提供する表示パネル10の蒸着方法において、第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22との蒸着速度を合理的に調整することにより、エネルギー準位の異なる二つのドーピング層260を形成することができる。
【0097】
さらにいくつかの選択可能な実施例において、上記第3の態様の実施例と第2の態様の実施例とを組み合わせることができる。例えば、本願の第2の態様の実施例が提供する蒸着方法において、第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22との蒸着速度を合理的に調整することにより、異なる割合のドーピング層260aを蒸着形成することができる。第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22との蒸着速度は同じであってもよく異なってもよく、第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22との蒸着速度は互いに独立して制御することができる。
【0098】
以下に、それぞれ第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22との蒸着速度比が7:3及び4:6であり、第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22とを第1の位置から第2の位置まで移動させ、かつ第2の位置から第1の位置まで移動させて蒸着を行う。
【0099】
図12及び
図13を参照し、
図12は、第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22との蒸着速度比が7:3である場合に、測定された被蒸着基板30における異なる厚さ位置の第1の材料と第2の材料とのドーピング割合グラフを示す。
図13は、第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22との蒸着速度比が4:6である場合に、測定された被蒸着基板30における異なる厚さ位置の第1の材料と第2の材料とのドーピング割合グラフを示す。
【0100】
図12及び
図13において、横軸は、異なる厚さ位置を示している。第1のドーピング層261及び第3のドーピング層263の厚さが20Aであり、第2のドーピング層262の厚さが240Aであると仮定すると、厚さ値が0A~20Aであるものは第1のドーピング層261であり、厚さ値が21A~260Aであるものは第2のドーピング層262であり、厚さ値が261A~280Aであるものは第3のドーピング層263である。
図12及び
図13から以下のことが分かる。
【0101】
1)第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22とが蒸着速度比7:3で蒸着する場合、第1のドーピング層261及び第3のドーピング層263における、第1の材料と第2の材料とのドーピング割合は約5:5であり、第2のドーピング層262における第1の材料と第2の材料とのドーピング割合は約9:1である。
【0102】
2)第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22とが蒸着速度比4:6で蒸着する場合、第1のドーピング層261及び第3のドーピング層263における、第1の材料と第2の材料とのドーピング割合は約2:8であり、第2のドーピング層262における第1の材料と第2の材料とのドーピング割合は約6.5:3.5である。
【0103】
したがって、第1の蒸着キャビン21及び第2の蒸着キャビン22の蒸着速度を変更することで第1の材料と第2の材料とのドーピング割合を調整することができることが分かる。
【0104】
他の実施例において、さらに第1の位置及び/又は第2の位置での第1の蒸着キャビン21及び第2の蒸着キャビン22の間隔を変更することで、第1の材料と第2の材料とのドーピング割合を変更することができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極、第2の電極、及び前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置する発光構造層を含む表示パネルであって、
前記発光構造層は、
発光層と、
前記発光層の前記第1の電極から離れた側に設けられる電子輸送層と、
前記電子輸送層の前記発光層から離れた側に位置する電子注入層と、を含み、
前記電子輸送層は、積層して設けられた複数のドーピング層を含み、かつ
前記電子輸送層は、前記電子輸送層の前記表示パネルの厚さ方向における中央部に位置する基準面を有し、
前記基準面の前記発光層に向かう側に位置する各前記ドーピング層のエネルギー準位は、それ自体から前記発光層までの距離に正比例し、
前記基準面の前記電子注入層に向かう側に位置する各前記ドーピング層のエネルギー準位は、それ自体から前記電子注入層までの距離に正比例する、
表示パネル。
【請求項2】
積層して設けられた複数の前記ドーピング層は、第1のドーピング層、前記第1のドーピング層の前記発光層から離れた側に位置する第2のドーピング層、及び前記第2のドーピング層の前記第1のドーピング層から離れた側に位置する第3のドーピング層を含み、
前記第2のドーピング層のエネルギー準位は、前記第1のドーピング層及び前記第3のドーピング層のエネルギー準位よりも大きい、
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記発光構造層は、さらに正孔ブロック層を含み、
前記第1のドーピング層は、前記正孔ブロック層と前記第2のドーピング層との間に位置し、
前記第3のドーピング層は前記第2のドーピング層と前記電子注入層との間に位置する、
請求項2に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記第1のドーピング層及び前記第3のドーピング層の材料は、少なくとも第2の材料を含み、
前記第2のドーピング層は、前記第2の材料及び第1の材料でドーピングすることで形成され、
前記第1の材料のエネルギー準位は、前記第2の材料のエネルギー準位よりも大き
く、
前記第1の材料の電子移動度は、第2の材料の電子移動度よりも大きい、
請求項2に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記第1のドーピング層及び前記第3のドーピング層の材料は、第2の材料及び第1の材料を含み、
前記第1のドーピング層における前記第2の材料のドーピング割合は、前記第1の材料のドーピング割合よりも大きく、前記第2のドーピング層における前記第1の材料のドーピング割合は、前記第2の材料のドーピング割合よりも大きく、前記第3のドーピング層における前記第2の材料のドーピング割合は前記第1の材料のドーピング割合よりも大きい、
請求項4に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記第1のドーピング層における前記第1の材料と前記第2の材料とのドーピング割合は、前記第3のドーピング層における前記第1の材料と前記第2の材料とのドーピング割合と同じであ
り、
及び/又は
前記第1のドーピング層における前記第1の材料のドーピング割合は、前記第2のドーピング層における前記第1の材料のドーピング割合よりも小さく、及び/又は
前記第3のドーピング層における前記第1の材料のドーピング割合は、前記第2のドーピング層における前記第1の材料のドーピング割合よりも小さい、
請求項
5に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記第2のドーピング層の厚さは、18nm~30nmであ
り、
及び/又は、
前記第1のドーピング層の厚さは、1nm~5nmであ
り、
及び/又は、
前記第3のドーピング層の厚さは、1nm~5nmである、
請求項2に記載の表示パネル。
【請求項8】
請求項1に記載の表示パネルの蒸着方法であって、
被蒸着基板を載置台に設置することと、
第1の材料を第1の蒸着キャビンに設置し、第2の材料を第2の蒸着キャビンに設置し、前記第1の蒸着キャビン及び前記第2の蒸着キャビンが第2の方向に沿って分布し、かつ前記第1の蒸着キャビン、前記第2の蒸着キャビンと前記載置台が第1の方向に沿って間隔をおいて分布し、前記第1の蒸着キャビンの第1の開口及び前記第2の蒸着キャビンの第2の開口がいずれも前記被蒸着基板に向き、前記第1の材料のエネルギー準位が前記第2の材料のエネルギー準位よりも大きいことと、
前記第1の蒸着キャビン及び前記第2の蒸着キャビンを第1の位置から前記第2の方向に沿って第2の位置まで移動させるように駆動し、前記被蒸着基板が前記第2の方向での所定中心を有し、前記所定中心が前記第1の方向に沿って延びて前記被蒸着基板に対して垂直な仮想線を形成し、前記第1の開口と前記所定中心との接続線と、前記仮想線との間に第1の夾角を成し、前記第2の開口と前記所定中心との接続線と、前記仮想線との間に第2の夾角を成し、前記第1の位置において、前記第1の夾角が前記第2の夾角よりも大きく、前記第2の位置において、前記第1の夾角が前記第2の夾角よりも小さいことと、を含む、
蒸着方法。
【請求項9】
前記第1の蒸着キャビン及び前記第2の蒸着キャビンを前記第2の位置から前記第1の位置まで移動させるように駆動することをさらに含み、
第1の位置において、第1の開口と被蒸着基板との距離は、第2の開口と被蒸着基板との間の距離よりも大きく、第2の位置において、第1の開口と被蒸着基板との距離は、第2の開口と被蒸着基板との間の距離よりも小さい、
請求項
8に記載の蒸着方法。
【請求項10】
請求項1に記載の表示パネルの蒸着方法であって、
被蒸着基板を載置台に設置することと、
第1の材料を第1の蒸着キャビンに設置し、第2の材料を第2の蒸着キャビンに設置し、前記第1の蒸着キャビン、前記第2の蒸着キャビンと前記載置台が第1の方向に沿って間隔をおいて分布し、前記第1の蒸着キャビンの第1の開口及び前記第2の蒸着キャビンの第2の開口がいずれも前記被蒸着基板に向き、前記第1の材料のエネルギー準位が前記第2の材料のエネルギー準位よりも大きいことと、
前記第1の蒸着キャビン及び前記第2の蒸着キャビンを第3の位置から第2の方向に沿って第4の位置まで移動させるように駆動し、かつ前記第1の蒸着キャビンの第1の蒸着速度と前記第2の蒸着キャビンの第2の蒸着速度が異なることで、前記被蒸着基板に第1のドーピング層及び第2のドーピング層を順次に蒸着形成し、かつ前記第1のドーピング層における前記第1の材料のドーピング割合が前記第2の材料のドーピング割合よりも小さく、前記第2のドーピング層における前記第1の材料のドーピング割合が前記第2の材料のドーピング割合よりも大きく、前記第1のドーピング層のエネルギー準位が前記第2のドーピング層のエネルギー準位よりも小さいことと、を含む、
蒸着方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
図1において一点鎖線で基準面Q’の位置を示し、一点鎖線は本願の第1の態様の実施例が提供する表示パネル10の構造を限定するものではない。基準面Q’も電子輸送層260に有する具体的な構造ではなく、本願の特徴点をより明確に表現するために、基準面Q’を基準として異なる位置のドーピング層260
aのエネルギー準位を説明する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
図2を参照して、積層して設けられる複数のドーピング層260aは第1のドーピング層261、第1のドーピング層261の発光層240から離れた側に位置する第2のドーピング層262及び第2のドーピング層262の第1のドーピング層261から離れた側に位置する第3のドーピング層263を含み、第2のドーピング層262のエネルギー準位は、第1のドーピング層261及び第3のドーピング層263のエネルギー準位よりも大きい。選択可能的に、第2のドーピング層262が
電子輸送層260の厚さ方向の中央部に近接して設置される場合、基準面Q’は第2のドーピング層262に位置することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
図7を参照し、
図7は、比較例1に係る表示パネル10で測定された輝度減衰概略図である。初期輝度は、
1200nitsである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
ステップS01:被蒸着基板23を載置台に設置する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
ここで、第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22とは、第2の方向(
図9におけるX方向)に沿って分布し、かつ第1の蒸着キャビン21、第2の蒸着キャビン22と載置台は第1の方向(
図9におけるY方向)に沿って間隔をおいて分布し、第1の蒸着キャビン21の第1の開口21a及び第2の蒸着キャビン22の第2の開口22aはいずれも被蒸着基板
23に向き、第1の材料のエネルギー準位は、第2の材料のエネルギー準位よりも大きい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
被蒸着基板
23は、第2の方向での所定中心を有し、所定中心は第1の方向に沿い延びて被蒸着基板
23に対して垂直な仮想線を形成し、第1の開口21aと所定中心との接続線と、仮想線との間は第1の夾角O
1を成し、第2の開口22aと所定中心との接続線と、垂直方向との間は第2の夾角O
2を成し、第1の位置では、第1の夾角O
1は第2の夾角O
2より大きく、第2の位置では、第1の夾角O
1は第2の夾角O
2より小さい。
図9に実線で第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22とが第1の位置にある場合の使用状態図を示し、破線で第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22とが第2の位置にある場合の使用状態図を示す。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
本願の第2の態様の実施例が提供する表示パネル10の蒸着方法において、まず被蒸着基板23を載置台に設置する。次に第1の材料を第1の蒸着キャビン21及び第2の蒸着キャビン22に設置し、第1の開口21a及び第2の開口22aはいずれも被蒸着基板23に向けることで、第1の材料は第1の開口21aにより被蒸着基板23に蒸着することができ、第2の材料は第2の開口22aにより被蒸着基板23に蒸着することができる。最後に、第1の蒸着キャビン21及び第2の蒸着キャビン22を第1の位置から第2の位置まで移動させるように駆動する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
第1の位置において、第1の夾角O1は第2の夾角O2より大きく、すなわち第1の開口21aと被蒸着基板23との距離は第2の開口22aと被蒸着基板23との間の距離よりも大きい。したがって、第1の位置に蒸着を開始する時に、被蒸着基板23における第2の材料の蒸着量は第1の材料の蒸着量よりも大きい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
第2の位置において、第1の夾角O1は第2の夾角O2より小さく、すなわち第1の開口21aと被蒸着基板23との距離は第2の開口22aと被蒸着基板23との間の距離よりも小さい。第2の位置にある時、被蒸着基板23における第1の材料の蒸着量は第2の材料の蒸着量より大きい。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
したがって、本願の表示パネル10の蒸着方法により蒸着された被蒸着基板23は、蒸着プロセスにおいてドーピング材料が同じであるが、材料のドーピング割合が異なる層構造を形成することができる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
ステップS1:被蒸着基板23を載置台に設置する。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
第1の蒸着キャビン21、第2の蒸着キャビン22と載置台は第1の方向(
図9におけるY方向)に沿って間隔をおいて分布し、第1の蒸着キャビン21の第1の開口21a及び第2の蒸着キャビン22の第2の開口22aはいずれも被蒸着基板
23に向き、第1の材料のエネルギー準位は第2の材料のエネルギー準位よりも大きい。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
同様に、第2の蒸着キャビン22の第2の蒸着速度とは、第2の蒸着キャビン22の移動過程において、第2の開口22aから蒸着された第2の材料の量を指し、又は第2の蒸着キャビン22の第2の蒸着速度とは、第2の蒸着キャビン22の移動過程において、第2の材料が被蒸着基板23に蒸着された量を指す。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0096
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0096】
本願の第3の態様の実施例が提供する表示パネル10の蒸着方法において、第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22との蒸着速度を合理的に調整することにより、エネルギー準位の異なる二つのドーピング層260aを形成することができる。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0099
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0099】
図12及び
図13を参照し、
図12は、第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22との蒸着速度比が7:3である場合に、測定された被蒸着基板
23における異なる厚さ位置の第1の材料と第2の材料とのドーピング割合グラフを示す。
図13は、第1の蒸着キャビン21と第2の蒸着キャビン22との蒸着速度比が4:6である場合に、測定された被蒸着基板
23における異なる厚さ位置の第1の材料と第2の材料とのドーピング割合グラフを示す。
【国際調査報告】