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特表2023-545218生物学的試料からのRNA又はDNAの検出のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】生物学的試料からのRNA又はDNAの検出のための方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6806 20180101AFI20231019BHJP
   C12Q 1/6888 20180101ALN20231019BHJP
【FI】
C12Q1/6806 Z
C12Q1/6888 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545894
(86)(22)【出願日】2021-10-06
(85)【翻訳文提出日】2023-05-30
(86)【国際出願番号】 US2021053849
(87)【国際公開番号】W WO2022076614
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】63/088,347
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523123422
【氏名又は名称】マテリアルズ アンド マシーンズ コーポレーション オブ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】オーメン, アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】ピスカテッリ, ヘザー
(72)【発明者】
【氏名】レヴィン, セス
(72)【発明者】
【氏名】ラスナイア, ゴヴァルダン
(72)【発明者】
【氏名】ハングマン, アリッサ
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA20
4B063QQ03
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
核酸の単離又は精製なしでの、生物学的試料からの核酸の検出の方法が記載される。該方法は、分析の前の核酸の単離又は精製なしでの、DNA及びRNAを含む、生物学的試料からのヒト、動物、ウイルス又は細菌由来の核酸の直接検出を含んでもよい。生物学的試料は、血液、尿、精液、組織、(鼻腔、頬側、眼、膣又は肛門の)スワブであってもよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸の検出の前の核酸の単離又は精製なしでの、生物学的試料からの直接のヒト、動物、微生物、及びウイルスの核酸検出の方法であって、
収集された生物学的試料を、処理バッファーと接触させること;
処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、2~10分間、摂氏80~95度に加熱すること;
核酸について、生物学的試料を分析すること
を含む、方法。
【請求項2】
収集された生物学的試料が、ある体積のウイルス輸送培地溶液中に収集されたヒト由来の鼻腔スワブであり、分析された核酸によってSars-Cov2リボ核酸ウイルスが検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
処理バッファーが、収集された生物学的試料の体積と等しい体積の、10%ウシ血清アルブミン、pH8の0.4mMエチレンジアミン四酢酸、48mMグアニジンイソチオシアネート、及びpH9.0の8mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
加熱することが、処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、摂氏95度で2分間加熱することを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
収集された生物学的試料が、500マイクロリットルの処理バッファー中に収集されたヒト由来の口腔スワブであり、分析された核酸によってSars-Cov2リボ核酸ウイルスが検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
処理バッファーが、0.25mMクエン酸ナトリウムpH6.7及び2mMトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩を含み、
加熱することが、処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、摂氏95度で2分間加熱することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
収集された生物学的試料が、ブタのチューロープの口腔液試料であり、分析された核酸によってブタ生殖及び呼吸器症候群リボ核酸ウイルスが検出され、
収集された生物学的試料が、小型遠心機中で10分間、2,000倍の重力加速度で遠心分離される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
処理バッファーが、収集された生物学的試料の体積と等しい体積の、pH8の2mM 1,2-シクロヘキサンジニトリロ四酢酸、pH8の4mMからのジエチレントリアミン五酢酸、pH8の1mMエチレンジアミン四酢酸、pH6.5の5mMクエン酸ナトリウム、2mMトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
加熱することが、処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、摂氏80度で10分間加熱することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
収集された生物学的試料が、50マイクロリットルのブタ血清であり、分析された核酸によってブタ生殖及び呼吸器症候群リボ核酸ウイルスが検出される、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
処理バッファーが、50マイクロリットルの、pH8の2mM 1,2-シクロヘキサンジニトリロ四酢酸、pH8の4mMジエチレントリアミン五酢酸、pH8の1mMエチレンジアミン四酢酸、pH8の1mMエチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-四酢酸、pH9.0の10mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩であり、
加熱することが、処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、摂氏95度で2分間加熱することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
収集された生物学的試料が、50マイクロリットルのブタ処理液であり、分析された核酸によってブタ生殖及び呼吸器症候群リボ核酸ウイルスが検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
処理バッファーが、50マイクロリットルの、3mM塩化マグネシウム、75mM塩化カリウム、pH9.0の50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩、及び5.0mMmMからのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩を含み、処理バッファーがpH8.3に調節される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
加熱することが、処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、摂氏95度で2分間加熱することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
収集された生物学的試料が、ある体積のユニバーサル輸送培地中に収集されたヒト由来の口腔スワブであり、分析された核酸が、G63D変異を有するヘモクロマトーシス(HFE)遺伝子である、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
処理バッファーが、pH8の0.5mMエチレンジアミン四酢酸、80mMグアニジンイソチオシアネート、及びpH9.0の10mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩を含む、ユニバーサル輸送培地の体積と等しい体積であり、
加熱することが、処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、摂氏95度で2分間加熱することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
核酸の検出の前の核酸の単離又は精製なしでの、生物学的試料からの直接のヒト、動物、微生物、及びウイルスの核酸検出の方法であって、
収集された生物学的試料を、処理バッファーと接触させ、処理バッファーが少なくとも1つのキレート剤及び少なくとも1つの緩衝剤を含むこと;
処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、2~10分間、摂氏80~95度に加熱すること;
核酸について、生物学的試料を分析すること
を含む方法。
【請求項18】
キレート剤が、pH8.0の0.4~1ミリモル濃度(mM)エチレンジアミン四酢酸、pH8の2mM 1,2-シクロヘキサンジニトリロ四酢酸、pH8の2~4mMジエチレントリアミン五酢酸、.25~5mMトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、及び1mMエチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-四酢酸、並びにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
緩衝剤が、8~50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩、3mM塩化マグネシウム、及び75mM塩化カリウム、pH6.5~6.7の5mMクエン酸ナトリウム、並びにそれらの組合せからなる群から選択される、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
処理バッファーが、48~250mMグアニジンイソチシネート、2mMトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、及びそれらの組合せからなる群から選択される溶解剤をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によって全体が組み込まれている、「METHOD FOR DETECTION OF RENA OR DNA FROM BIOLOGICAL SAMPLES」と題された、2020年10月6日に出願された米国特許仮出願第63/088,347号の優先権の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
生物学的試料中の病原体核酸(すなわち、DNA又はRNA)の迅速検出は、必要性が高い。現在、パンデミックの状況(例えばCovid-19パンデミック)の増大によって、ウイルス、細菌及び真菌を含む病原体の迅速な同定に高い需要がある。核酸の検出のために利用可能な多くの従来の方法は、アッセイにおける核酸の検出又は同定の前に、核酸の精製又は単離(すなわち、遠心機又は磁気ビーズによる、分析のための他の細胞成分からの核酸の分離)を必要とする。例えば、従来のPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)技術は、増幅及び検出の前に他の細胞成分及びデブリから核酸を単離するための、遠心機又は磁気ビーズの使用を含む。したがって、核酸検出の方法は、核酸の検出又は同定の前に、核酸の単離又は精製を必要としないことが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の態様において、核酸の検出の前の核酸の単離又は精製なしでの、生物学的試料からの直接のヒト、動物、微生物、及びウイルスの核酸検出の方法、方法は収集された生物学的試料を、処理バッファーと接触させること;処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、2~10分間、摂氏80~95度に加熱すること;核酸について、生物学的試料を分析することを含む。この態様において、収集された生物学的試料は、ある体積のウイルス輸送培地溶液中に収集されたヒト由来の鼻腔スワブであってもよく、分析された核酸によってSars-Cov2リボ核酸ウイルスが検出され;処理バッファーは、収集された生物学的試料の体積と等しい体積の、10%ウシ血清アルブミン、pH8の0.4mMエチレンジアミン四酢酸、48mMグアニジンイソチオシアネート、及びpH9.0の8mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩を含み;加熱することは、処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、摂氏95度で2分間加熱することを含む。この態様において、収集された生物学的試料は、500マイクロリットルの処理バッファー中に収集されたヒト由来の口腔スワブであってもよく、分析された核酸によってSars-Cov2リボ核酸ウイルスが検出され;処理バッファーは、0.25mMクエン酸ナトリウムpH6.7及び2mMトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩を含み、加熱することは、処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、摂氏95度で2分間加熱することを含む。この態様において、収集された生物学的試料は、ブタのチューロープの口腔液試料であってもよく、分析された核酸によってブタ生殖及び呼吸器症候群リボ核酸ウイルスが検出され、収集された生物学的試料は、小型遠心機中で10分間、2,000倍の重力加速度で遠心分離され;処理バッファーは、収集された生物学的試料の体積と等しい体積の、pH8の2mM 1,2-シクロヘキサンジニトリロ四酢酸、pH8の4mMからのジエチレントリアミン五酢酸、pH8の1mMエチレンジアミン四酢酸、pH6.5の5mMクエン酸ナトリウム、2mMトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩を含み、加熱することは、処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、摂氏80度で10分間加熱することを含む。この態様において、収集された生物学的試料は、50マイクロリットルのブタ血清であってもよく、分析された核酸によってブタ生殖及び呼吸器症候群リボ核酸ウイルスが検出され;処理バッファーは、50マイクロリットルの、pH8の2mM 1,2-シクロヘキサンジニトリロ四酢酸、pH8の4mMジエチレントリアミン五酢酸、pH8の1mMエチレンジアミン四酢酸、pH8の1mMエチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-四酢酸、pH9.0の10mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩を含み、加熱することは、処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、摂氏95度で2分間加熱することを含む。この態様において、収集された生物学的試料は、50マイクロリットルのブタ処理液であってもよく、分析された核酸によってブタ生殖及び呼吸器症候群リボ核酸ウイルスが検出され;処理バッファーは、50マイクロリットルの、3mM塩化マグネシウム、75mM塩化カリウム、pH9.0の50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩、及び5.0mMmMからのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩を含み、処理バッファーはpH8.3に調節され;加熱することは、処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、摂氏95度で2分間加熱することを含む。この態様において、収集された生物学的試料は、ある体積のユニバーサル輸送培地(universal transport media)中に収集されたヒト由来の口腔スワブであってもよく、分析された核酸は、G63D変異を有するヘモクロマトーシス(HFE)遺伝子であり;処理バッファーは、pH8の0.5mMエチレンジアミン四酢酸、80mMグアニジンイソチオシアネート、及びpH9.0の10mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩を含む、ユニバーサル輸送培地の体積と等しい体積を含み;加熱することは、処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、摂氏95度で2分間加熱することを含む。
【0004】
本発明の態様において、核酸の検出の前の核酸の単離又は精製なしでの、生物学的試料からの直接のヒト、動物、微生物、及びウイルスの核酸検出の方法、方法は、収集された生物学的試料を、処理バッファーと接触させ、処理バッファーが少なくとも1つのキレート剤及び少なくとも1つの緩衝剤を含むこと;処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、2~10分間、摂氏80~95度に加熱すること;核酸について、生物学的試料を分析することを含む。この態様において、キレート剤は、pH8.0の0.4~1ミリモル濃度(mM)エチレンジアミン四酢酸、pH8の2mM 1,2-シクロヘキサンジニトリロ四酢酸、pH8の2~4mMジエチレントリアミン五酢酸、25~5mMトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、及び1mMエチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-四酢酸、並びにそれらの組合せからなる群から選択される。この態様において、緩衝剤は、8~50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩、3mM塩化マグネシウム、及び75mM塩化カリウム、pH6.5~6.7の5mMクエン酸ナトリウム、並びにそれらの組合せからなる群から選択される。この態様において、処理バッファーは、48~250mMグアニジンイソチシネート、2mMトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、及びそれらの組合せからなる群から選択される溶解剤をさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】核酸の検出又は同定の前の核酸の単離又は精製なしでの、生物学的試料からの直接の核酸検出のための方法における使用のための処理バッファーを示す図である。
図2】処理バッファーを使用した、核酸の検出又は同定の前の核酸の単離又は精製なしでの、生物学的試料の一部からの核酸検出のための方法を示す図である。
図3】生物学的試料としてのヒト鼻咽頭試料からSars-Cov2 RNAウイルスの存在を検出するための処理バッファーを配置した方法200の有効性を証明する例の図である。
図4】生物学的試料としてのヒト鼻咽頭試料からSars-Cov2 RNAウイルスの存在を検出するための処理バッファーを使用した方法200の有効性を証明する例の図である。
図5】生物学的試料としてのブタ由来の口腔液試料から、ブタベータアルテリウイルス1型とも呼ばれるブタ生殖及び呼吸器症候群(PRRSという)RNAウイルスの存在を検出するための処理バッファーを配置した方法200の有効性を証明する例の図である。
図6】生物学的試料としてのブタ由来の血清試料から、PRRS RNAウイルスの存在を検出するための処理バッファーを配置した方法200の有効性を証明する例の図である。
図7】生物学的試料としてのブタ由来の処理液試料から、PRRS RNAウイルスの存在を検出するための処理バッファーを配置した方法200の有効性を証明する例の図である。
図8】生物学的試料としての口腔スワブを使用して、ヒトDNAのヘモクロマトーシス(HFE)及び鎌状赤血球貧血(HBB)遺伝子の存在を検出するための処理バッファーを配置した方法200の有効性を証明する例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
分析の前の核酸の単離又は精製なしでの、生物学的試料からの核酸の検出の方法が記載される。方法は、分析の前の核酸の単離又は精製なしでの(すなわち、遠心機もしくは磁気ビーズによる、他の細胞成分からの核酸の単離もしくは精製なしで、又は1つの遠心分離工程で分析のための核酸を含む細胞を上清から分離し、第2の遠心分離工程で細胞デブリを核酸から分離させる2つ以上の遠心分離工程なしでの)生物学的試料からの核酸の直接検出を含んでもよい。方法は、処理バッファーを使用した、核酸のさらなる単離又は精製なしでの、生物学的試料からの核酸の検出を含んでもよい。生物学的試料は、血液、尿、組織、(鼻腔、頬側、眼、膣又は肛門の)スワブであってもよい。
【0007】
以下の用語は、本出願において使用される場合、定められた意味を有する。
EDTAは、エチレンジアミン四酢酸を意味する。
EGTAは、エチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-四酢酸を意味する。
DCTAは、1,2-シクロヘキサンジニトリロ四酢酸を意味する。
DTPAは、ジエチレントリアミン五酢酸を意味する。
TCEP-HClは、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩を意味する。
トリス-HClは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩を意味する。
【0008】
図1は、核酸の検出又は同定の前の核酸の単離又は精製なしでの、処理バッファーを使用した、生物学的試料からの核酸検出のための方法における使用のための、処理バッファー100を示す。処理バッファーは、少なくとも1つのキレート剤及び少なくとも1つの緩衝剤を含む。処理バッファーは、溶解剤をさらに含んでもよい。
【0009】
処理バッファーの、少なくとも1つのキレート剤は、生物学的試料の、放出された核酸を安定化させ、試料中に含まれる他の細胞成分及び細胞デブリと相互作用して、核酸の単離又は精製なしでの核酸の分析を容易にする。キレート剤は、pH8.0の0.4~1ミリモル濃度(mM)EDTA、pH8の2mM DCTA、pH8の2~4mM DTPA、.25~5mM TCEP-HCl、及び1mM EGTA、並びにそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0010】
処理バッファーの、少なくとも1つの緩衝剤は、pH5~9の間の生物学的試料と接触させた処理バッファーのpHを維持することによって、生物学的試料を安定化させる。緩衝剤は、8~50mMトリスHCl、6.5~6.7のpHの5mMクエン酸ナトリウム、3mM塩化マグネシウム、及び75mM塩化カリウム、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0011】
処理バッファーは、細胞膜、核、及びウイルスの場合処理バッファーへの生物学的試料の核酸の放出をさらに容易にするためにタンパク膜の、溶解をさらに容易にするための溶解剤をさらに含んでもよい。溶解剤は、48~250mMグアニジンイソチシネート及び2mM TCEP-HCl並びにそれらの組合せを含む。
【0012】
図2は、処理バッファーを使用した、核酸の検出又は同定の前の核酸の単離又は精製なしでの、生物学的試料からの核酸検出のための方法を示す。202において、生物学的試料が収集される。例えば、生物学的試料は、鼻腔もしくは口腔スワブ、ブタのチューロープ等の口腔試料、ブタ由来の血清試料、又は処理液試料(すなわち、子ブタ去勢及び断尾から回収された漿液性の液)であってもよい。収集は、ウイルスRNAの場合等に、生物学的試料の核酸の安定化及び分解の予防のための、ユニバーサル輸送培地(UTM)又はウイルス輸送培地(VTM)への直接の収集を含んでもよい。生物学的試料の収集は、生物学的試料のタイプと関連した従来のメカニズムによってもよい。収集することは、生物学的試料を遠心分離して、生物学的試料の細胞成分由来の非細胞デブリ(例えば、チューロープ、食物等の破片)を分離することをさらに含んでもよい。収集することは、処理バッファーでの処理の前の凍結及び他の従来のメカニズムによって、生物学的試料を保管することをさらに含んでもよい。
【0013】
204において、収集された生物学的試料は、処理バッファーで処理される。生物学的試料がVTM又はUTMに収集される場合、処理バッファーは、収集された生物学的試料の体積と等しい体積で使用される。生物学的試料が処理バッファーに直接収集される場合、400~600マイクロリットルの体積を使用してもよい。
【0014】
処理バッファーは、生物学的試料に基づいて選択される。例えば、生物学的試料が鼻腔スワブである場合、処理バッファーは、0.25mMクエン酸ナトリウムpH6.7及び2mM TCEP-HClを含んでもよい。
【0015】
例えば、生物学的試料が鼻腔又は口腔スワブである場合、処理バッファーは、0~10%ウシ血清アルブミン、pH8の0.4mM~0.5mM EDTA、48mM~80mMグアニジンイソチオシアネート、及びpH9.0の8~10mMトリス-HClを含んでもよい。
【0016】
生物学的試料がブタのチューロープ等の口腔液試料である場合、処理バッファーは、pH8の2mM DCTA、pH8の2~4mM DTPA、pH8の1mM EDTA、pH6.5の5mMクエン酸ナトリウム、2mM TCEP-HClを含んでもよい。
【0017】
生物学的試料が血清試料である場合、処理バッファーは、pH8の2mM DCTA、pH8の2~4mM DTPA、pH8の1mM EDTA、pH8の1mM EGTA、pH9.0の10mMトリスHClを含んでもよい。
【0018】
生物学的試料がブタ由来の処理液である場合、処理バッファーは、バッファーがpH8.3に調節されている、3mM塩化マグネシウム、75mM塩化カリウム、pH9.0の50mMトリスHCl、及び0.25mM~5.0mM TCEP、並びにそれらの組合せを含んでもよい。
【0019】
206において、処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料が加熱される。加熱することは、処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、摂氏80~95度で2~10分間加熱することを含んでもよい。加熱することによって、細胞又はタンパク質カプセル溶解が引き起こされ、核酸が処理バッファーへさらに放出される。
【0020】
208において、処理バッファーと接触させた、加熱された生物学的試料は、REACTION CONDITIONS COMPOSIION FOR CIRCULARIZING OGLIGONUCELEOTIDE PROBESと題された米国特許出願第16/642,308号に記載されているようなパドロックプローブを使用した配列増幅とヌクレオチド検出の組合せ(本明細書でC-SAND(登録商標)分析という)等の、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素(RT)PCR、リアルタイムPCR、定量的PCR、等温増幅等の従来の核酸検出及び同定方法を使用して、微生物、ウイルス、ヒト、又は動物核酸検出について分析される。例えば、分析が蛍光検出を用いたリアルタイムPCR又は蛍光検出を用いたC-SAND分析である場合、分析を行うデバイスは、WAVELENGTH SCANNING APPARATUS AND METHOD OF USE THEREOFと題された米国特許第9,568,429号及び第9,810,631号に記載されているようなデバイスであってもよい。
【0021】
分析工程は、検出のための核酸から非細胞性の微粒子状物質及び細胞デブリを同時に分離する、核酸検出の前の遠心分離工程を含んでもよい。
【0022】
図3は、生物学的試料としてのヒト鼻咽頭試料からのSars-Cov2 RNAウイルスの存在を検出するための処理バッファーを配置した方法200の有効性を証明する。処理バッファーは、10%ウシ血清アルブミン、pH8の0.4mM EDTA、48mMグアニジンイソチオシアネート、及びpH9.0の8mMトリス-HClを含んだ生物学的試料の収集の前に選択された。この場合には特定の処理バッファーが使用されたが、他の処理バッファーを使用してもよい。
【0023】
生物学的試料は、従来のVTM溶液中に収集された従来の鼻腔スワブを使用して、ヒト鼻咽頭試料から収集された。従来のVTM溶液中に収集された生物学的試料は、次いで処理バッファーで処理され、処理バッファーの体積は、ウイルス輸送培地溶液中に収集された生物学的試料の体積と等しかった。
【0024】
処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料は、次いで摂氏95度で2分間加熱された。加熱の完了の際に、処理バッファーと接触させ、加熱された、5マイクロリットルの収集された生物学的試料は、次いでSars-CoV2 RNAウイルス及びDNA、特にCox-1(チトクロムcオキシダーゼサブユニット1ミトコンドリア遺伝子)のヒト内部ポジティブコントロールについて分析された。分析は、蛍光検出を用いたC-SANDであり、放出された生物学的試料を有する処理バッファーを、試薬と接触させて、Sars-Cov2 RNAウイルス及びCox-1の蛍光検出を用いたC-SAND分析を行った。この例において、分析を行うためのデバイスとして、WAVELENGTH SCANNING APPARATUS AND METHOD OF USE THEREOFと題された米国特許第9,568,429号及び第9,810,631号に記載されているようなデバイスを使用して分析を行ったが、蛍光検出を用いたC-SAND分析を行うことができる他の装置を使用してもよい。
【0025】
図3のグラフ300は、方法によって、Cox-1ポジティブ内部標準302及びSars-Cov2 RNAウイルス304の両方が検出されたことを証明し、処理バッファーを使用した方法200によって、生物学的試料からの核酸の精製又は単離なしでのRNA及びDNAの検出が可能になることを証明する。グラフのy軸上の単位は蛍光強度である。
【0026】
図4は、生物学的試料としてのヒト鼻咽頭試料からSars-Cov2 RNAウイルスの存在を検出するために処理バッファーを使用した方法200の有効性を証明する。処理バッファーは、0.25mMクエン酸ナトリウムpH6.7及び2mM TCEP-HClを含んだ生物学的試料の収集の前に選択した。この場合には特定の処理バッファーが使用されたが、他の処理バッファーを使用してもよい。
【0027】
生物学的試料は、500マイクロリットルの処理バッファー中に収集された従来の鼻腔スワブを使用して、ヒト鼻咽頭試料から収集された。処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料は、次いで摂氏95度で2分間加熱された。
【0028】
100マイクロリットルの、加熱された、処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料は、次いでSars-CoV2 RNAウイルスについて分析された。分析は、蛍光検出を用いたリアルタイムPCRであり、加熱された、処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、乾燥試薬と接触させて、Sars-Cov2 RNAの蛍光検出を用いた従来のリアルタイムPCRを行った。この例において、分析を行うデバイス例として、WAVELENGTH SCANNING APPARATUS AND METHOD OF USE THEREOFと題された米国特許第9,568,429号及び第9,810,631号に記載されているようなデバイスを使用して分析を行ったが、蛍光検出を用いたリアルタイムPCRが可能な他の装置を使用してもよい。
【0029】
図4のグラフ400は、方法200によってSars-Cov2 RNAウイルス404が検出されたことを証明し、処理バッファーを使用した方法200によって、生物学的試料からの核酸の精製又は単離なしでのRNAの検出が可能になることを証明する。グラフのy軸上の単位は蛍光強度であり、x軸単位はリアルタイムPCRサイクルを示す。
【0030】
図5は、生物学的試料としてのブタ由来の口腔液試料から、ブタベータアルテリウイルス1型とも呼ばれるブタ生殖及び呼吸器症候群(PRRSという)RNAウイルスの存在を検出するための処理バッファーを配置した方法200の有効性を証明する。処理バッファーは、pH8の2mM DCTA、pH8の4mM DTPA、pH8の1mM EDTA、pH6.5の5mMクエン酸ナトリウム、2mM TCEP-HClを含んだ生物学的試料の収集の前に選択した。この場合には特定の処理バッファーが使用されたが、他の処理バッファーを使用してもよい。
【0031】
生物学的試料は、口腔液としてブタのチューロープから収集した。収集された生物学的試料は、次いで小型遠心機中で2,0000倍の重力加速度で10分間遠心分離して、収集された生物学的試料から非細胞デブリ(すなわち、チューロープ断片又は食物粒子)を分離させた。収集された生物学的試料は処理バッファーで処理され、処理バッファーの体積は、収集された生物学的試料の体積と等しかった。
【0032】
処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料は、次いで摂氏80度で10分間加熱された。加熱の完了の際に、処理バッファーと接触させ、加熱された、およそ10マイクロリットルの収集された生物学的試料は、次いでPRRSウイルスRNAについて分析された。分析は、蛍光検出を用いたリアルタイムPCRであり、加熱された、処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、試薬と接触させて、PRRSウイルスRNAの蛍光検出を用いたリアルタイムPCRを行った。この例において、分析を行うデバイス例として、WAVELENGTH SCANNING APPARATUS AND METHOD OF USE THEREOFと題された米国特許第9,568,429号及び第9,810,631号に記載されているようなデバイスを使用して分析を行ったが、蛍光検出を用いたリアルタイムPCRを行うことができる他の装置を使用してもよい。
【0033】
図5のグラフ500は、方法によってPRRS RNAウイルス504が検出されたことを証明し、処理バッファーを使用した方法200によって、生物学的試料からの核酸の精製又は単離なしでのRNAの検出が可能になることを証明する。グラフのy軸上の単位は蛍光強度であり、x軸の単位はリアルタイムPCRサイクルである。
【0034】
図6は、生物学的試料としてのブタ由来の血清試料から、PRRS RNAウイルスの存在を検出するための処理バッファーを配置した方法200の有効性を証明する。処理バッファーは、pH8の2mM DCTA、pH8の4mM DTPA、pH8の1mM EDTA、pH8の1mM EGTA、pH9.0の10mMトリスHClを含んだ生物学的試料の収集の前に選択した。この場合には特定の処理バッファーが使用されたが、他の処理バッファーを使用してもよい。
【0035】
生物学的試料は、血清として収集し、50マイクロリットルの、収集された生物学的試料は、処理バッファーで処理され、処理バッファーの体積は、収集された生物学的試料の体積と等しかった。
【0036】
処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料は、次いで摂氏95度で2分間加熱された。加熱され、処理バッファーと接触させた生物学的試料は、次いで遠心分離して、非細胞性及び細胞性の粒子を核酸から分離させた。遠心分離の完了の際に、処理バッファーと接触させ、加熱された、およそ10マイクロリットルの収集された生物学的試料は、次いでPRRS RNAウイルスについて分析された。分析は、蛍光検出を用いたリアルタイムPCRであり、加熱された、処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、試薬と接触させて、PRRSウイルスRNAの蛍光検出を用いたリアルタイムPCRを行った。この例において、分析を行うデバイス例として、WAVELENGTH SCANNING APPARATUS AND METHOD OF USE THEREOFと題された米国特許第9,568,429号及び第9,810,631号に記載されているようなデバイスを使用して分析を行ったが、蛍光検出を用いたリアルタイムPCRを行うことができる他の装置を使用してもよい。
【0037】
図6のグラフ600は、方法によってPRRSウイルスRNA604が検出されたことを証明し、処理バッファーを使用した方法200によって、生物学的試料からの核酸の精製又は単離なしでのRNAの検出が可能になることを証明する。グラフのy軸上の単位は蛍光強度であり、x軸単位はリアルタイムPCRのサイクルである。
【0038】
図7は、生物学的試料としてのブタ由来の処理液試料から、PRRS RNAウイルスの存在を検出するための処理バッファーを配置した方法200の有効性を証明する。処理バッファーは、バッファーがpH8.3に調節されている、3mM塩化マグネシウム、75mM塩化カリウム、pH9.0の50mMトリスHCl、及び5.0mMからのTCEP-HClを含んだ生物学的試料の収集の前に選択した。この場合には特定の処理バッファーが使用されたが、他の処理バッファーを使用してもよい。
【0039】
生物学的試料は、血清として収集し、50マイクロリットルの、収集された生物学的試料は、処理バッファーで処理され、処理バッファーの体積は、収集された生物学的試料の体積と等しかった。
【0040】
処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料は、次いで摂氏95度で2分間加熱された。加熱され、処理バッファーと接触させた生物学的試料は、次いで遠心分離して、非細胞性及び細胞性の粒子を核酸から分離させた。遠心分離の完了の際に、処理バッファーと接触させ、加熱された、およそ10マイクロリットルの収集された生物学的試料は、次いでPRRS RNAウイルス及びDNA、特にCox-1のブタ内部ポジティブコントロールについて分析された。分析は、蛍光検出を用いたリアルタイムPCRであり、加熱された、処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料を、試薬と接触させて、PRRSウイルスRNA及びCox-1の蛍光検出を用いたリアルタイムPCRを行った。この例において、分析を行うデバイス例として、WAVELENGTH SCANNING APPARATUS AND METHOD OF USE THEREOFと題された米国特許第9,568,429号及び第9,810,631号に記載されているようなデバイスを使用して分析を行ったが、蛍光検出を用いたリアルタイムPCRを行うことができる他の装置を使用してもよい。
【0041】
図7のグラフ700は、方法によってCox-1ポジティブ内部標準702及びPRRS RNAウイルス704が検出されたことを証明し、処理バッファーを使用した方法200によって、生物学的試料からの核酸の精製又は単離なしでのRNA及びDNAの検出が可能になることを証明する。グラフのy軸上の単位は蛍光強度であり、x軸の単位はリアルタイムPCRのサイクルを示す。
【0042】
図8は、生物学的試料としての口腔スワブを使用してヒトDNAのヘモクロマトーシス(HFE)及び鎌状赤血球貧血(HBB)遺伝子の存在を検出するための処理バッファーを配置した方法200の有効性を証明する。処理バッファーは、pH8の0.5mM EDTA、80mMグアニジンイソチオシアネート、及びpH9.0の10mMトリス-HClを含んだ生物学的試料の収集の前に選択した。この場合には特定の処理バッファーが使用されたが、他の処理バッファーを使用してもよい。
【0043】
生物学的試料は、従来のVTM溶液中に収集された従来の口腔スワブを使用して、口腔スワブから収集された。従来のVTM溶液中に収集された生物学的試料は、次いで処理バッファーで処理され、処理バッファーの体積は、ウイルス輸送培地溶液中に収集された生物学的試料の体積と等しかった。
【0044】
処理バッファーと接触させた、収集された生物学的試料は、次いで摂氏95度で2分間加熱された。加熱の完了の際に、処理バッファーと接触させ、加熱された、収集された生物学的試料は、次いで100塩基対のラダーとともに2%アガロースゲルを使用した従来のPCR及びゲル電気泳動プロトコールを使用して、ヘモクロマトーシス遺伝子、特にG63D及びC282Y変異を有するHFE遺伝子、並びに鎌状赤血球貧血遺伝子、特にHBB遺伝子について分析された。
【0045】
図8は、ゲル800の写真によってPCR及びゲル電気泳動の結果を示す。802は、100塩基対のラダーのカラムを表し、810は、ゲル上で200塩基対のバンドが現れる場所を同定している。804は、C282Y変異領域を特異的に増幅したPCR産物の同定のためのカラムであり、216塩基対に、C282Y変異の位置を有するヘモクロマトーシス遺伝子の存在を示すバンドがある。806は、G63D変異を特異的に増幅したPCR産物の同定のためのカラムであり、220塩基対に、G63D変異の位置を有するヘモクロマトーシス遺伝子の存在を示すバンドがある。808はHBB遺伝子の同定のためのカラムであり、227塩基対に、鎌状赤血球貧血のHBB遺伝子の存在を示すバンドがある。図8は、処理バッファーを使用した方法200によって、生物学的試料からの核酸の精製又は単離なしでのDNAの検出が可能になることを証明する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】