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特表2023-5452313次元食用製品の製造のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-27
(54)【発明の名称】3次元食用製品の製造のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A23P 20/20 20160101AFI20231020BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20231020BHJP
【FI】
A23P20/20
A23L5/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577514
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 IL2021051221
(87)【国際公開番号】W WO2022079718
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】278059
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522181522
【氏名又は名称】リデファイン ミート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンデリク、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】コンフォーティ、エイアル
(72)【発明者】
【氏名】シャクター、サジー
(72)【発明者】
【氏名】シャピラ、グール
(72)【発明者】
【氏名】ディコフスキー、ダニエル
【テーマコード(参考)】
4B035
4B048
【Fターム(参考)】
4B035LC16
4B035LE20
4B035LP31
4B035LP59
4B035LT11
4B035LT20
4B048PE08
4B048PS20
(57)【要約】
本開示は、2つ以上の食用成分を有する3次元食用製品の製造のためのシステム100及び方法を提供する。システムは、パターン座標を有する食用製品設計を受け取り、パターン・アドレス信号を提供するように構成されたプロセッサと、複数の個別アプリケータの2つ以上のセットを有するプリント・ヘッド150を有するプリント機構120であって、2つ以上のセットのそれぞれが、異なる食用成分を受け取り、分配するように構成され、当該個別アプリケータのそれぞれが、その個別アプリケータの対応する食用成分を受け取り、当該パターン・アドレス信号に従ってプリント支持台200上に選択的に分配するように構成される、プリント機構120と、プリント支持台に対する当該プリント・ヘッドの位置を制御するように構成可能な駆動機構250とを備える。方法は、製造されている間に当該食用製品を支持するプリント支持台を提供するステップと、複数の個別アプリケータの2つ以上のセットを有するプリント・ヘッドを有するプリント機構を提供するステップであって、2つ以上のセットのそれぞれが、異なる食用成分を受け取り分配するように構成される、ステップと、当該プリント機構に提供された2つ以上の異なる食用組成物の複数のストランドを当該プリント支持台上に分配するステップであって、製品層を形成するように、パターン・アドレス信号に従って各ストランドが2つ以上のセットの異なるセットによって分配される、ステップと、連続する製品層を互いの上に堆積させることによって当該製品を製造するように、当該プリント支持台に対する当該プリント・ヘッドの位置を制御するために当該パターン・アドレス信号に従って駆動機構を動作させるステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上の食用成分を有する3次元食用製品の製造のためのシステムであって、
(d)パターン座標を有する食用製品設計を受け取り、パターン・アドレス信号を提供するように構成されたプロセッサと、
(e)複数の個別アプリケータの2つ以上のセットを有するプリント・ヘッドを備えるプリント機構であって、前記2つ以上のセットのそれぞれが、異なる食用成分を受け取り、分配するように構成され、前記複数の個別アプリケータの各個別アプリケータが、各個別アプリケータの対応する食用成分を受け取り、前記プロセッサから受信した前記パターン・アドレス信号に従って、連続的又は断続的な様式でプリント支持台上(printing support bed)に選択的に分配するように構成される、プリント機構と、
(f)前記パターン・アドレス信号を受信し、プリント支持台に対する前記プリント・ヘッドの位置を制御するように構成可能な駆動機構と
を備える、システム。
【請求項2】
前記システムが、異なる供給源から2つ以上の食用成分を受け取り、各食用成分をそれぞれのプリント・ヘッドに向けて別々に操作するように構成されたフィーダ機構(feeder mechanism)をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記フィーダ機構が、各食用成分を個別アプリケータの前記2つ以上のセットの異なるセットに向けて別々に操作するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記供給源の少なくとも1つが、容器内に収容された容易に入手可能な食用成分を含み、前記フィーダ機構が、前記容器内に圧力を誘発して、前記容器内に収容された前記食用成分を前記容器から外向きにそれぞれのプリント・ヘッドに向けて操作するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
異なる食用成分の前記2つ以上の供給源が、前記フィーダ機構に関連付けられて、原料を受け取り、前記原料を処理して前記2つ以上の食用成分にするように構成された少なくとも1つの事前製造モジュールによって構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記フィーダ機構が少なくとも1つの加圧デバイスを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記異なる供給源の少なくとも1つが柔軟性のある容器である、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
食用成分を受け取るように構成されたスプリッタ入口と、複数の個別アプリケータの前記2つ以上のセットのうちの1つの前記個別アプリケータのそれぞれに食用成分を提供するように構成された複数のスプリッタ出口とを有する少なくとも1つのスプリッタ・モジュールをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記スプリッタ・モジュールが、前記スプリッタ・モジュールのスプリッタ出口のそれぞれから実質的に等しい流動又は圧力を提供するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記スプリッタ・モジュールが、前記スプリッタ入口と前記スプリッタ出口のそれぞれとの間に延在する複数の食用材料流路を備え、各流路の直径が前記流路に沿って増加する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記スプリッタ・モジュールが、前記スプリッタ出口で圧力パラメータ又は流動パラメータを検出するように構成された補償機構を有するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
個別アプリケータの前記2つ以上のセットのそれぞれが、他のセットから独立して操縦され得る、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
個別アプリケータの前記セットのそれぞれが、プリント軸に沿って互いに隣り合うように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の個別アプリケータの前記セットのそれぞれが、前記プリント・ヘッド上に同一の編成でプリント軸に沿って互いに平行に位置している、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記プリント・ヘッドが、前記個別アプリケータの前記セットの数に対応する2つ以上のプリント・ヘッドを備え、各セットが異なるプリント・ヘッド上に位置している、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記プリント・ヘッドが、少なくとも1つのプリント板をさらに備え、各プリント板が、入口面及び出口面と、前記入口面から前記出口面まで前記板を横断する複数の開口部とを有するように構成され、前記開口部のそれぞれが、前記開口部から食用成分の操作が可能であるように、前記入口面を介して前記複数の個別アプリケータのうちの1つに流体連通している、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
クロスプリント軸に沿った前記プリント板上の前記複数の開口部の各対の中心軸間の距離が、前記クロスプリント軸に沿って前記開口部に流体接続された前記個別アプリケータの各対の前記中心軸間の前記距離よりも短い、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数の開口部のそれぞれが、それぞれの個別アプリケータに接続可能な供給ラインを受容するように構成された入口ポートに関連付けられる、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記個別アプリケータのそれぞれが、食用成分入口と、アプリケータ出口と、前記アプリケータ出口を通して食用成分を推進させるように構成された、内部に配置された推進機構とを有する、中空の細長いアプリケータ本体を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記推進機構が、前記アプリケータ本体内にぴったりと嵌合するオーガとして形成された推進要素を備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記推進機構が、前記アプリケータ本体内に嵌合するプログレッシブ・キャビティ・ポンプ(Progressive Cavity Pump)として形成された推進要素を備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記個別アプリケータのそれぞれが、前記プロセッサによって別々に制御されるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記プリント・ヘッドが、複数の昇降モータを有するようにさらに構成され、各昇降モータが、前記複数の個別アプリケータのうちの1つと関連付けられ、互いに独立して前記プリント支持台に対する前記個別アプリケータのそれぞれの位置を上昇又は下降させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記少なくとも1つのプリント板のそれぞれが、前記複数の個別アプリケータの前記セットのうちの1つに関連付けられ、前記プリント支持台に対する前記プリント板の位置を上昇又は下降させるように構成された、昇降モータを有するようにさらに構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項25】
前記駆動機構が、前記プリント・ヘッドに対する前記プリント支持台の位置を制御するように、前記プロセッサから受信した前記パターン・アドレス信号に従って前記プリント支持台を操縦するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
前記駆動機構が、互いに平行に延在し、少なくとも前記プリント・ヘッドから前記プリント・ヘッドを越えて前記システムの横方向の両端に向けて延在する2つのレールを備えるレール・モジュールを有するように構成される、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記プリント支持台が3次元表面積を有するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
前記プロセッサが垂れ落ち(drool)防止アルゴリズムを有するように構成され、前記垂れ落ち防止構成要素が、前記スプリッタ・モジュールからの前記個別アプリケータのそれぞれの距離に従って前記パターン・アドレス信号を調整するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項29】
パターン・アドレス信号に従って2つ以上の食用成分を含む3次元食用製品を製造するための方法であって、
(a)製造されている間に前記食用製品を支持するプリント支持台を提供するステップと、
(b)複数の個別アプリケータの2つ以上のセットを有するプリント・ヘッドを備えるプリント機構を提供するステップであって、前記2つ以上のセットのそれぞれが、異なる食用成分を受け取り分配するように構成される、ステップと、
(c)前記プリント機構に提供された2つ以上の異なる食用組成物の複数のストランドを前記プリント支持台上に連続的又は断続的な様式で分配するステップであって、製品層を形成するように、前記パターン・アドレス信号に従って各ストランドが前記2つ以上のセットの異なるセットによって分配される、ステップと、
(d)連続する製品層を互いの上に堆積させることによって前記製品を製造するように、前記プリント支持台に対する前記プリント・ヘッドの位置を制御するために前記パターン・アドレス信号に従って駆動機構を動作させるステップと
を含む、方法。
【請求項30】
2つ以上の食用成分を有する3次元食用製品を製造するためのシステムであって、
(a)パターン座標を有する食用製品設計を受け取り、パターン・アドレス信号を提供するように構成されたプロセッサと、
(b)プリント支持台と、
(c)複数の個別アプリケータの少なくとも1つのセットを有するプリント・ヘッドを備えるプリント機構であって、前記複数の個別アプリケータの各個別アプリケータが、前記2つ以上の食用成分のうちの1つを受け取り、前記プロセッサから受信した前記パターン・アドレス信号に従って、連続的又は断続的な様式で前記プリント支持台上に別個の様式で選択的に分配するように構成される、プリント機構と、
(d)前記パターン・アドレス信号を受信し、前記プリント支持台に対する前記プリント・ヘッドの位置を制御するように構成可能な駆動機構と
を備える、システム。
【請求項31】
前記システムが、前記3次元食用製品に対して製造後動作を行うための少なくとも1つのサブシステムをさらに備える、請求項1から28まで又は30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記少なくとも1つのサブシステムが、製造プロセス中又は製造プロセス後のいずれかで前記製造後動作を行うように構成される、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記少なくとも1つのサブシステムが、着色剤、香辛料、若しくは保湿成分を含有する流体及び/又は粉砕された固体を製造済みの前記3次元食用製品上に分配するように構成された分配サブシステムを備える、請求項31又は32に記載のシステム。
【請求項34】
前記少なくとも1つのサブシステムが画像検知ユニットを備える、請求項31から33までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記少なくとも1つのサブシステムが、前記プリント支持台と一体化された計量システムを備える、請求項31から33までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
前記少なくとも1つのサブシステムが、製造済みの3次元食用品を、製造中若しくは製造後に冷却及び/又は加熱するための加熱及び/又は冷却サブシステムを備える、請求項31から33までのいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、3次元(3D)食用製品の製造のためのシステム及び方法を対象とし、より詳細には、複数の個別アプリケータによる3D食用製品の製造のためのシステム及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
世界人口は増加し続けており、FAOによれば、世界人口は2050年までに96億人になると予想されている。その結果、植物由来と動物由来の両方のタンパク質の需要が増加することが見込まれる。動物由来のタンパク質の多くは家畜から得られ、その飼育は、地球温暖化の一因となっており、また植物由来のタンパク質と比較してかなりの量の資源を使用する。植物ベースの農業は、淡水の使用、必要とされる土地の量、及び生成される廃棄物に関して、食肉生産のための農業よりも環境への影響がはるかに少ないことが知られている。したがって、動物性タンパク質が好まれる中で植物性タンパク質の量を増やすことは、21世紀の主要な課題の1つである。
【0003】
今日、肉代替製品は、旧来の方法を用いて均質な混合物から作られており、そのため、本物の肉ほどの見た目も食感又は魅力ももたらさない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】PCT/IL2020/050099
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、2つ以上の食用成分を有する3次元食用製品の製造のためのシステムであって、
(a)パターン座標を有する食用製品設計を受け取り、パターン・アドレス信号を提供するように構成されたプロセッサと、
(b)複数の個別アプリケータの2つ以上のセットを有するプリント・ヘッドを備えるプリント機構であって、2つ以上のセットのそれぞれが、異なる食用成分を受け取り、分配するように構成され、複数の個別アプリケータの各個別アプリケータが、各個別アプリケータの対応する食用成分を受け取り、プロセッサから受信したパターン・アドレス信号に従って、連続的又は断続的な様式でプリント支持台(printing support bed)上に選択的に分配するように構成される、プリント機構と、
(c)当該パターン・アドレス信号を受信し、プリント支持台に対する当該プリント・ヘッドの位置を制御するように構成可能な駆動機構と
を備えるシステムが開示される。
【0006】
動作に際して、システムは、設計に従って肉の厚切りを製造するように、ユーザから又はその所定の記憶モジュールから、アントルコート又はサーロインの切り身などの肉の厚切りの設計を受け取るように構成される。設計は、(例えば、USDAの等級システムによる)所望の脂肪含有量、厚切りのサイズ、繊維の剛性などの肉の厚切りに関するデータを含む。これらの設定は、コントローラによってパターン座標の3Dマトリックスに変換されており、したがって、パターン・アドレス信号が、コントローラによってプリント機構及び駆動機構に送信される。プリント機構は、製造プロセスにおいてどの食用成分を使用するべきかに関するパターン・アドレス信号、プリント・ヘッドの個別アプリケータのそれぞれからの食用成分のそれぞれの分配をいつ開始及び停止するべきかに関する命令を受信するように構成される。駆動機構は、支持台に対するプリント・ヘッドの位置を、それらのうちの少なくとも1つの動きを制御することによって変更するように構成される。
【0007】
食用成分を受け取り、それらをプリント・ヘッドに向けて促すために、システムは、フィーダ機構(feeder mechanism)を備えることができる。フィーダ機構は、様々な供給源から受け取ることができる2つ以上の食用成分を受け取るように構成され得、個別アプリケータのそれぞれのセットに向けて各食用成分を別々に操作するように構成され得る。
【0008】
供給機構(feeding mechanism)は、食用成分のすぐに使用できる(すなわち、既製の)容器を受け取るように構成され得る。容器のそれぞれは、異なる形状を有することができ、容器の中の食用成分を異なる様式で抽出することを可能にするように構成され得る。例えば、食用成分の容器は、剛性のあるカバー(例えば、缶)を有する箱/缶のような形状に形成され得、加圧された材料を操縦システム(配管システム、コンベア・システムなど)によってプリント・ヘッドに向けて促すことを可能にしながら容器内の圧力を増加させることによって、食用成分が容器から抽出され得る。他の実例では、食用成分は、柔軟性のある容器(例えば、細長いソーセージ)として形成され、プリント・ヘッドに直接提供され得、そのプリント・ヘッドから、食用成分が支持台上に分配されることになる。
【0009】
他の事例では、供給機構は、ほとんど準備が整った食用成分の供給源を受け取り、その準備を完了して、すぐに使用できる形式の容器を形成するように構成され得る。
【0010】
供給機構によって受け取ることができる食用成分は、液体(水、代用血液、油など)、固体(生地など)、又は半液体(高粘度流体又は非ニュートン流体など)の形式をとることができる。
【0011】
システムは、供給機構とプリント・ヘッドとを相互接続する少なくとも1つのスプリッタ・モジュールをさらに備えることができる。スプリッタ機構は、受け取った食用成分のストリームを、個別アプリケータのそれぞれのセットに向けて方向付けられた複数のストリームに分割するように構成される。スプリッタ・モジュールは、供給機構から食用成分を受け取るように構成されたスプリッタ入口と、プリント・ヘッドの複数の個別アプリケータの2つ以上のセットのうちの1つの個別アプリケータのそれぞれに食用成分を提供するように構成された複数のスプリッタ出口とを有する本体を備える。
【0012】
一般に、プリント・ヘッドは、個別アプリケータの2つ以上のセットを備えることができ、セットのそれぞれは、異なる食用成分を受け取り、分配するように構成される。より具体的には、セットの個別アプリケータのそれぞれは、セットの食用成分を受け取り、コントローラから受信した信号に従って、他の個別アプリケータから独立した様式で分配するように構成される。
【0013】
ある個別アプリケータから分配された食用成分がその個別アプリケータの隣接する個別アプリケータから分配された食用成分と重なるように構成されるように、セット内の個別アプリケータは、互いに関連した編成を有することができる。
【0014】
いくつかの事例では、プリント・ヘッドは、流路に沿ってセットのうちの少なくとも1つの個別アプリケータと流体連通し、個別アプリケータから食用成分を支持台上に分配するように構成された、プリント板をさらに備えることができる。プリント板は、所定の位置を有するように構成された出口ポートを有するように構成され得、2つの隣接する各出口ポートは、支持台上に分配される食用成分のより密な編成を可能にするために、出口ポートに流体接続されたそれぞれの個別アプリケータよりも互いに接近している。
【0015】
本開示の主題の第2の態様によれば、2つ以上の食用成分を有する3次元食用製品を製造するためのシステムであって、
(a)パターン座標を有する食用製品設計を受け取り、パターン・アドレス信号を提供するように構成されたプロセッサと、
(b)プリント支持台と、
(c)複数の個別アプリケータの2つ以上のセットを有するように構成されたプリント・ヘッドを備えるプリント機構であって、2つ以上のセットのそれぞれが、2つ以上の異なる食用成分のうちの1つを受け取り、プロセッサから受信したパターン・アドレス信号に従って、連続的又は断続的な様式でプリント支持台上に別個の様式で選択的に分配するように構成される、プリント機構と、
(d)当該パターン・アドレス信号を受信して、プリント・ヘッドに対するプリント支持台の位置を制御するように構成可能な駆動機構と
を備えるシステムが提供される。
【0016】
一般に、駆動機構は、プロセッサ/コントローラから受信したパターン信号に従ってプリント・ヘッドに対する支持台の位置又はその逆の位置を制御するように構成可能であり得る。その目的のために、駆動機構は、プリント・ヘッド及び/又は支持台を操縦するために、駆動要素を有するように構成され得る。
【0017】
本開示の第3の態様によれば、2つ以上の食用成分を有する3次元食用製品を製造するためのシステムであって、
(a)パターン座標を有する食用製品設計を受け取り、パターン・アドレス信号を提供するように構成されたプロセッサと、
(b)プリント支持台と、
(c)複数の個別アプリケータの少なくとも1つのセットを有するプリント・ヘッドを備えるプリント機構であって、個別アプリケータのそれぞれが、2つ以上の食用成分のうちの1つを受け取り、プロセッサから受信したパターン・アドレス信号に従って、連続的又は断続的な様式でプリント支持台上に別個の様式で選択的に分配するように構成される、プリント機構と、
(d)当該パターン・アドレス信号を受信し、プリント支持台に対する当該プリント・ヘッドの位置を制御するように構成可能な駆動機構と
を備え、各個別アプリケータが、プロセッサから受信したパターン・アドレス信号に従って支持台上に2つ以上の食用成分のうちの1つを連続的又は断続的な様式で選択的に分配するように構成される、システムが存在する。
【0018】
本開示の第4の態様によれば、パターン・アドレス信号に従って2つ以上の食用成分を含む3次元食用製品を製造するための方法であって、
(a)製造されている間に当該食用製品を支持するプリント支持台を提供するステップと、
(b)当該プリント機構に提供された2つ以上の異なる食用組成物の複数のストランドを、製品層を形成するようにパターン・アドレス信号に従って当該プリント支持台上に連続的又は断続的な様式で分配するために、複数の個別アプリケータを有する少なくとも1つのプリント・ヘッドを備えるプリント機構を提供するステップと、
(c)連続する製品層を互いの上に堆積させることによって当該製品を製造するように、当該プリント支持台に対する当該少なくとも1つのプリント・ヘッドの位置を制御するために当該パターン・アドレス信号に従って駆動機構を動作させるステップと
を含む方法が開示される。
【0019】
本明細書で使用する「食用材料の塗布」という用語は、押し出し、シャッタ・アレイ、又は当業者に知られている任意の方法によってプリント・ヘッドからプリント支持台上に食用材料を放出する動作に関係する。
【0020】
本開示の態様のいずれかにおいて、3次元食用製品の製造のためのシステムに関連する以下の特徴設計及び構成のうちの任意の1つ又は複数を、単独で又はそれらの様々な組合せで利用することができる。
・フィーダ機構は、各食用成分を個別アプリケータの2つ以上のセットの異なるセットに向けて別々に操作するように構成される。
・フィーダ機構は、少なくとも1つの加圧デバイスを備えることができる。
・スプリッタ・モジュールは、スプリッタ・モジュールのスプリッタ出口のそれぞれから実質的に等しい流動及び/又は圧力を提供するように構成され得る。
・スプリッタ・モジュールは、当該スプリッタ入口とスプリッタ出口のそれぞれとの間に延在する複数の食用材料流路を備えることができ、各流路の直径は流路に沿って増加する。
・スプリッタ・モジュールは、スプリッタ出口で圧力パラメータ及び/又は流動パラメータを検出するように構成された補償機構を有するように構成され得る。
・スプリッタ・モジュールの補償機構は、そこから導出される圧力パラメータの変化を検出すると動作するように構成された閉塞除去機構を有するように構成され得る。
・個別アプリケータの2つ以上のセットのそれぞれは、駆動機構によって他のセットとは独立して操縦され得る。
・個別アプリケータのセットは、プリント軸に沿って互いに隣り合うように配置され得る。
・セットの個別アプリケータは、プリント・ヘッド上に同一の編成でプリント軸に沿って互いに平行に位置し得る。
・プリント・ヘッドは、個別アプリケータのセットの数に対応する2つ以上のプリント・ヘッドを備えることができ、各セットは、異なるプリント・ヘッド上に位置している。
・プリント板は、それぞれの個別アプリケータに接続可能な2次配管要素を受容するように構成された、出口ポートに関連付けられた複数の入口ポートを有するように構成され得る。
・個別アプリケータのそれぞれは、食用成分入口と、アプリケータ出口と、食用成分入口から受け取った食用成分をアプリケータ出口を通して推進させるように構成された推進機構とを有する中空の細長いアプリケータ本体を備えることができる。
・推進機構は、当該アプリケータ本体内にぴったりと嵌合するオーガとして形成された推進要素を備えることができる。
・推進機構は、当該アプリケータ本体内にプログレッシブ・キャビティ・ポンプ(PCP:Progressive Cavity Pump)として形成された推進要素を備えることができる。
・個別アプリケータのそれぞれは、プロセッサによって別々に制御されるように構成され得る。
・プリント・ヘッドは、複数の昇降モータを有するようにさらに構成され得、各昇降モータは、複数の個別アプリケータのうちの1つと関連付けられ、互いに独立してプリント支持台に対する個別アプリケータのそれぞれの位置を上昇又は下降させるように構成され得る。
・クロスプリント軸に沿ったプリント板上の複数の出口ポートの各対の各中心軸間の距離は、出口ポートに流体接続された個別アプリケータの各対の中心軸間の距離よりも短い。
・プリント板は、個別アプリケータのセットのうちの少なくとも1つに関連付けられ、プリント支持台に対するプリント板の位置を上昇又は下降させるように構成された、昇降モータを有するようにさらに構成され得る。
・駆動機構は、プリント・ヘッドに対するプリント支持台の位置を制御するように、プロセッサから受信したパターン信号に従ってプリント支持台を操縦するように構成され得る。
・プリント支持台は、3次元表面積を有するように構成され得る。
・プロセッサは、垂れ落ち(drool)防止アルゴリズムを有するように構成され得、垂れ落ち防止構成要素は、スプリッタ・モジュールからの個別アプリケータのそれぞれの距離に従ってパターン・アドレス信号を調整するように構成される。
【0021】
本明細書に開示される主題をよりよく理解し、その主題が実際にどのように実行され得るかを例示するために、添付の図面を参照して、実施例を単なる非限定的な実例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】本開示の一実例によるシステムの斜視図である。
図1B図1Aにおける線A-Aに沿った断面図である。
図1C図1Bにおいて1Cと記された部分の拡大図である。
図2A】説明のためにハウジングが取り除かれた、図1Aの実例によるシステムの斜視図である。
図2B図2Aのシステムのプリント機構のブロック図による概略図である。
図3A図2Aのプリント機構の供給機構の一実例の斜視図である。
図3B図2Aのプリント機構の供給機構の別の実例の斜視図である。
図3C図2Aのプリント機構の供給機構のさらに別の実例の斜視図である。
図4A図2Aのプリント機構とともに使用されるように構成されたスプリッタ・モジュールの第1の実例の斜視図である。
図4B図4Aのスプリッタ・モジュールの側面図である。
図4C図4Bにおける4Cと記された区分の拡大図である。
図5A図2Aのプリント機構のプリント・ヘッドの斜視図である。
図5B】明確にするために個別アプリケータの2つのセットが取り除かれた、図5Aのプリント・ヘッドの側面図である。
図5C図5Aのプリント機構のプリント・ヘッドの別の実例の斜視図である。
図6A図5Aのプリント・ヘッドの個別アプリケータの斜視図である。
図6B図6Aにおける線B-Bに沿った断面図である。
図6C図6Bにおいて6Cと記された部分の拡大図である。
図6D図6Cにおいて6Dと記された部分の拡大図である。
図7A図5Aのプリント・ヘッドのプリント板の斜視図である。
図7B図7Aにおける線C-Cに沿った断面図である。
図8図2のシステムのプリント支持台の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
最初に、以下では単にシステム100とも呼ばれる3次元食用製品100の製造のためのシステムの一実例の概略図を示す図1A図1Cに注目する。システム100は、ハウジング110と、食用製品Aを製造するように構成されたプリント機構120と、プリント機構120によって製造されている間に食用製品Aを支持するように構成されたプリント支持台200と、駆動機構250と、コントローラ300とを備える。
【0024】
一般に、システム100は、少なくとも2つの食用成分を受け取り、プリント機構120によって、その食用成分によって食用製品Aを製造するように構成される。プリント機構120は、システム100と一体化又は統合され得るプリント支持台200上で別々の方法で食用成分のそれぞれを受け取り、分配するように構成され得る。いくつかの事例では、図2Aに示すように、プリント機構120は、製品層を製造するために食用成分のそれぞれを別々の方法で受け取り分配するために、個別アプリケータの2つ以上のセットを備えることができる。製品層の製造プロセスは、各層が前の層の上部に製造されるように、層の上部に層を繰り返し出現させるように構成される。システム100はまた、そのコントローラ300によって食用製品の設計を受け取り、パターン・アドレス信号をプリント機構120に提供するように構成され、各層を形成し、それによって製品を形成するように、パターン・アドレス信号に従って、食用成分のそれぞれがプリント機構によって時間依存的様式で製造される。
【0025】
本発明の一実例では、ハウジングは、縦方向のプリント軸P、横方向のクロスプリント軸XP、及び高さ軸Zを含む細長い立方体として形成される。プリント軸Pは、食用製品Aが主に製造される軸であり、その軸上に、実際の肉の厚切りの繊維を模倣した食用成分の長い繊維が分配される。本実例の別の実例(図示せず)では、ハウジング110は、円形チャンバとして形成され、円形プリント軸P、放射状クロスプリント軸XP、及び高さ軸Zを備えることができる。このような実例では、プリント機構は、中央に配置され得、プリント支持台は、プリント機構を取り囲むリング状に形成され得る。
【0026】
図1A図1Cに示す本開示の第1の実例では、ハウジング110は、プリント機構120が配置される機械部分112と、プリント支持台200が配置される製造部分114とを備える。ハウジング110は、制御された温度、濾過機構、滑らかな表面など、食品を製造するための好適な条件を提供するように構成される。いくつかの事例では、機械部分112と製造部分114は障壁113によって互いに隔離されており、食用製品を製造するために、プリント機構120の一部が、障壁113を通って製造部分114に密閉状態で突出する。
【0027】
ハウジング110は、ユーザがプリント機構120に食用成分の供給源を提供し得る際に通される成分受容端(component receiving end)115と、製造済みの食用製品Aが引き出され得る際に通される製品放出端(product releasing end)116とを有するように構成される。ハウジング110は矩形の箱状の形状で示されているが、他の構成を使用することができる。
【0028】
一般に、システムは、製造プロセス中又はその終了時に複数の動作を実行するように構成された1つ又は複数のサブシステムをハウジング内に備えることもできる。このような動作は、着色添加物、香辛料、「血液」のような代替物、及び他の食品添加物を含む固体又は液体を厚切りに分配することを含むことができる。同じサブシステムが、噴霧、分散などの複数の方法で厚切り上に食品添加物を分配するように構成され得る。
【0029】
本実例では、システムは、以下のサブシステムを含むことができる。
・写真/映像の形式でデータを捕捉し、ユーザ/コントローラが製造プロセスの品質制御を実行することを可能にするためにデータを送信及び/又は処理するように構成された検知ユニット191(例えば、カメラ)。
・プリントされた製品の重量を監視するための一体型計量システム192。このような計量システム192は、製造プロセス中及び製造プロセス後に製品の重量を測定するためにプリント支持台200上に配置され得る。
・各ハウジング・コンパートメント内で好適な温度を維持するように構成された且つ/又は加熱噴出若しくは冷却噴出を加えるように構成された空調ユニット193。
・製造プロセス中又は製造プロセス後に、製品上に複数の食品添加物を分配するように構成された添加物分配ユニット194。
【0030】
図2A図2Bでは、システム100のプリント機構120、プリント支持台200、及び駆動機構250が、それらの異なる編成及び組合せで示されており、説明のためにハウジング110は省略されている。図2Aに示す実施例では、製造部分114は、駆動機構250によって平行に駆動される2つのプリント支持台200を含む。このような構成により、以下でさらに説明するように、プリント及び製造後処理を同時に行うことが可能になる。
【0031】
図2Bに概略的に示すように、プリント機構120は、供給機構130と、供給機構130と流体連通する個別アプリケータ160の2つ以上のセットを有するプリント・ヘッド150とを備える。プリント・ヘッド150は、供給機構130から受け取った2つ以上の食用成分をプリント支持台上に分配するように構成される。
【0032】
一般に、供給機構130は、ハウジングの機械部分112内又はその外部のいずれかに配置され得、食用成分の2つ以上の供給源(すなわち、容器)を受け取るように構成される。供給機構130は、食用成分のプリント機構への移動を促すように構成された少なくとも1つの加圧要素又は推進要素を備えることができる。さらなる事例では、供給機構は、食用成分容器ごとに加圧要素を備えることができる。他の実施例(図示せず)では、供給機構130は、個別アプリケータ160の2つ以上のセットの各個別アプリケータがそれぞれの加圧要素を有するように構成されるように同数の加圧要素を備えることができる。供給機構130は、固体及び液体の食用成分を受け取るように構成され得る。いくつかの事例では、供給機構は、液体の食用成分を受け取り、固体の食用成分中に放出して、その水和パーセンテージを高めるように構成され得る。
【0033】
図3A及び図3Bに最もよく示されている本実例では、供給機構130は、食用成分の少なくとも1つの供給源、本実例では図3Aに示す容器C1及びC2を受容し固定するように構成された受容ベース131を有するように構成される。その目的のために、受容ベース131は、容器内に貯蔵された食用成分の最適な使用を実現することができる供給機構130における位置についての位置表示を提供するように構成された供給源位置決め部分(source positioning portion)131Aを有するように構成され得る。図示のように、供給機構130は、それぞれにおいて圧力を誘発するように構成された第1の加圧要素132A及び第2の加圧要素132Bを備える。第1の加圧要素132A及び第2の加圧要素132Bは、それぞれシリンダ133と、シリンダによって容器C1及び容器C2内に押圧されるように構成された円盤形状のピストン134とを有する押圧機構として示されている。他の実例では、第1の加圧要素132A及び第2の加圧要素132Bは、当業者に知られている任意の他の圧力誘発デバイスを用いて形成され得る。第1の加圧要素132A及び第2の加圧要素132Bのそれぞれによって加えられる圧力は、(図1Bに概略的に示す)配管システム125を介してそれぞれの容器から供給機構130に流体接続されたプリント・ヘッド150へ向かう食用成分のストリームを促すように構成される。
【0034】
いくつかの事例では、供給機構130は、容器受容ベース131内に嵌合しない容器の内部に圧力を誘発するように構成された可撓性の加圧要素(図示せず)を有するように構成され得る。
【0035】
図3Cに示す別の実例では、供給機構130は、食用成分を形成する原料又はすぐに使用できる食用成分を受け取るように構成される。その目的のために、供給機構は、原料又はすぐに使用できる食用成分を受け取るように構成された供給入口135と、食用成分をプリント・ヘッド150に向けて促すように供給機構130の内部に圧力を加えるように構成された加圧要素136とを備える。任意選択として、供給機構は、供給入口135を介して食用成分を形成する原料を受け取り、その準備を完了して、すぐに使用できる食用成分を作成する処理ユニット137も含み得る。そのような事例では、加圧要素136は、処理ユニット137で生成された食用成分をプリント・ヘッド150に向けて促すように処理ユニット137の内部に圧力を加えるように構成される。
【0036】
一般に、加圧要素は、製造プロセス中に使用されることを意図された特定の食用成分ごとに及びそれらが到着する複数の容器のために、カスタマイズされ得る。強調すべき点は、本実例では、参照により本明細書に組み込まれる出願人の公開番号PCT/IL2020/050099に詳述されているように、食用成分のうちの少なくとも1つが高粘度特性を有するように構成されることである。いくつかの事例では、加圧要素のそれぞれは、配管システム内に約50Bar(5MPa)、好ましくは10~40Bar(1~4MPa)、より具体的には約20~30Bar(2~3MPa)の圧力を誘発し維持するように構成され得る。
【0037】
配管システムは、プリント機構120の内部の食用成分をプリント・ヘッドの個別アプリケータのセットに向けて促すように構成される。いくつかの事例では、配管システムは、その中で促される食用成分の温度を制御するようにさらに構成され得る。個別アプリケータのそれぞれに均等に加圧された食用成分を提供するために、いくつかの事例では、圧力は、供給機構130によって提供される圧力よりも低い。その目的のために、プリント機構120は、スプリッタ・モジュール140をさらに備えることができ、スプリッタ・モジュール140は、食用成分の単一の加圧されたストリームを受け取り、食用成分の複数の加圧された又は少なく加圧されたストリームを提供するように構成される。
【0038】
一般に、プリント機構は、個別アプリケータの2つ以上のセットのそれぞれに対してスプリッタ・モジュールを備えることができる。各スプリッタ・モジュールは、供給機構からプリント・ヘッドまで到達する配管を流体相互接続することができる。いくつかの事例では、各スプリッタ・モジュールは、加圧された食用成分を供給機構から受け取るように構成されたスプリッタ入口と、食用成分の当該サブストリームをスプリッタ・モジュールからプリント・ヘッドに向けて放出するように構成された複数のスプリッタ出口とを有するスプリッタ本体を備えることができる。いくつかの事例では、スプリッタの出口から提供されるサブストリームはすべて、ほぼ同じ圧力及び流量を有することができる。
【0039】
本明細書で使用される「約」という用語は、その「約」という用語が関係する対応する特性から最大10%の変化に関係する。他の事例では、圧力は、スプリッタの内部で減圧され、減圧下でスプリッタから除かれ得る。さらに他の事例では、圧力は、スプリッタ・モジュールの内部で加圧され、加圧下でスプリッタ・モジュールから除かれ得る。
【0040】
いくつかの事例では、スプリッタ出口は、スプリッタ入口自体から又は同じサイズ若しくはそれより大きい別の分岐管から延在する複数の分岐管から構成され得る。
【0041】
図4A図4Cに開示されたスプリッタ・モジュールの一実例では、スプリッタ140は、(幹としての)単一のスプリッタ入口142と、そこから分岐する複数のスプリッタ出口144とを有する花束と同様の方法で形成される。スプリッタ140は、スプリッタ出口144の数と同一の複数の食用材料流路を備え、例えば、F1は、スプリッタ入口142からスプリッタ出口144Aまで延在する。
【0042】
本実例のスプリッタ140は、スプリッタ入口142とスプリッタ出口144との間に延在する複数の分岐管145を有するようにさらに構成される。分岐管145のそれぞれは、スプリッタ入口142として構成されるか又は前の分岐管145に接続されるように構成された近位受容端146と、受容端146と同一の方法で分岐している、分岐管の遠位端にある2つ以上の放出端147とを有するように構成される。いくつかの事例では、分岐管145の数は、各食用材料流路に沿った管の数であり得る。複数の分岐管145は、それらの直径が異なり得る。いくつかの事例では、受容端146は、放出端147の直径よりも大きい直径を有するように構成され、それによって、受け取った食用成分のストリームをより狭い等圧のストリームに分割してスプリッタ出口144から当該ストリームを放出するように構成された、異なるサイズの分岐管145を形成する。
【0043】
次に、本開示のプリント・ヘッド150の一実例を示す図5A図5Bに注目する。一般に、プリント・ヘッド150は、配管システム125を介して供給機構130と流体連通するように構成され、供給機構130から食用成分の少なくとも2つのストリームを受け取るように構成される。プリント・ヘッド150は、個別アプリケータ160の2つ以上のセットを備えることができる。2つ以上のセット160のそれぞれは、複数の個別アプリケータ160Aを含む。個別アプリケータ160の各セットは、スプリッタ140から対応する個別アプリケータ160Aに受け取られた食用成分のストリーム、又はより具体的には複数のストリームを受け取るように構成される。また、2つ以上のセット160の個別アプリケータ160Aのそれぞれは、コントローラ300から受信した信号に従って、プリント支持台200上に異なる食用成分を分配/塗布するように構成され得る。いくつかの事例では、個別アプリケータの各セットの個別アプリケータ160は、互いに異なる方法で、最適な食用材料の塗布条件を可能にするように構成され得る。
【0044】
いくつかの事例では、個別アプリケータ160Aは、製造済みの食用製品の水和を増加させるように及び/又は中に液体を貯留してジュース効果を形成するように、個別アプリケータ160Aからの食用成分の塗布中に液体の食用成分を加えるように構成され得る。いくつかの事例では、個別アプリケータ160Aは、各アプリケータから塗布された食用成分のストリームを切り落とすように構成されたスライス要素を有するように構成され得る。スライス要素は、個別の押出機のそれぞれに関連付けられた複数のスライス要素、又はセット全体に関連付けられた単一のスライス要素であり得る。
【0045】
本実例では、プリント・ヘッド150は、個別アプリケータの第1のセット151、第2のセット152、及び第3のセット153を備え、これらセットのそれぞれは、各セットに異なる食用成分を提供する供給機構130に流体接続される。個別アプリケータのセット151、152、及び153のそれぞれは、同一の様式で同じ編成で他のセットのそれぞれと平行に配置された、同一数の個別アプリケータ160Aを備える。他の事例では、個別アプリケータのセット151、152、及び153のそれぞれは、他のセットとは異なる数の個別アプリケータを含むことができる。
【0046】
いくつかの事例では、個別アプリケータのセット151、152、及び153のそれぞれの個別アプリケータ160Aは、互いにジグザグ状に(indented)2列で互いに隣り合うように配置される。そのような事例では、個別アプリケータは、製造済みの食用成分がその個別アプリケータの隣接する個別アプリケータの製造済みの食用成分と接触して製品層内の空間がなくなるように、食用成分を分配するように構成される。
【0047】
本開示のいくつかの実例によれば、プリント・ヘッド150は、(図5Cに示す)足場ホルダ(scaffold holder)155をさらに備えることができる。足場ホルダ155は、ハウジング110に堅固に接続されるように構成され得る外部フレーム156と、フレームの長さに沿って互いに平行に配置された個別アプリケータのセットにそれぞれ適合する固定ストリップの2つ以上の対とを備える。他の事例(図示せず)では、足場ホルダを連結式アームによってハウジングに移動可能に接続して、ハウジングがプリント台及び/又は他のプリント・ヘッド(存在する場合)に対して操縦されるようにすることができる。
【0048】
一般に、個別アプリケータ160の各セットは、異なるタイプの個別アプリケータを(その均一な構成で)備えることができる。この個別アプリケータのそれぞれは、個別アプリケータによって受け取られた特定の食用成分を製造するように適合される。他の事例では、各個別アプリケータ160Aは、多くのタイプの異なる食用成分を製造するように構成され得る。
【0049】
本実例では、個別アプリケータ160Aのそれぞれは、その長さに沿って延在する中心軸Yを有し且つそれに動作可能に接続された推進機構170を有する、細長い本体161を備える。細長い本体161は、細長い本体161の中に垂直軸Yに沿って延在し且つ上部開口164A及び下部開口164Bを有する、シャフト164を備える。細長い本体161は、シャフト164と流体連通しているシャフト164の上端162の周りに位置する食用成分入口165と、シャフト164の下端163に位置する(すなわち、下部開口164Bを構成する)アプリケータ出口166とをさらに備える。
【0050】
一般に、推進機構170は、コントローラ300からパターン・アドレス信号を受信し、それに応じて細長い本体161上で、食用成分入口165から受け取った食用成分をシャフト164の下部開口164Bに向けて且つそこから外側に推進させるよう動作するように構成され得る。
【0051】
本実例では、各個別アプリケータの推進機構170は、推進エンジン171と、推進エンジン171に動作可能に接続された作動端172A及び推進部分172Bを有する、シャフト164内にぴったりと嵌合するように構成された推進要素172とを備える。推進要素172は、例えば、オーガ・ポンプ又はプログレッシブ・キャビティ・ポンプ(PCP)として形成され得る。図6A図6Dに示す特定の実例では、推進要素172は、当該シャフト164内にぴったりと嵌合するオーガ・ビットとして形成される。
【0052】
一般に、供給機構130とシャフト164の下部開口164Bとの間の流路は、食用成分の流動を遮断するバルブ又はシャッタによって中断されないようにすることができる。したがって、シャフト164及び推進要素172は、各個別アプリケータ160Aから分配される食用成分の流動を正確に制御するように、各個別アプリケータ160Aのシャフト164内に所定量の摩擦を誘発するために特定の特性を有するように構成され得る。いくつかの事例では、流体入口165から到達する当該食用成分の流動を、推進要素172をさらに推進することなく阻止するために、食用成分入口165からアプリケータ出口166まで推進要素172の周り/周囲に延在する流路が十分な量の摩擦を提供するように設計/構成されるように、シャフト164は比較的小さい直径及び十分な長さを有することができる。
【0053】
本実例では、推進要素172は、5~12mmの範囲、具体的には9mmの内径、1~4のスピン速度、及び35mm~100mmの範囲の長さを備えるオーガ・ポンプである。
【0054】
いくつかの事例では、シャフト164の下部開口164Bは、垂れ落ち防止要素(図示せず)を有するように構成され得、垂れ落ち防止要素は、コントローラ300から、食用成分のさらなる塗布を停止するような信号を受信した後に、食用成分のさらなる塗布を停止するように構成され得る。このような事例は、各個別アプリケータとスプリッタ・モジュール及び/又は供給機構との間の長さが異なる場合又は食用成分をその摩擦によって拘束するのに十分な空き空間がシャフト164内にない場合に生じる可能性がある。そのような垂れ落ち防止要素は、シャフト164の下部開口164Bに設置されたシャッタ、又はプリント機構120に送信される信号のタイミングを、食用材料の塗布期間、供給機構からのアプリケータの距離などを考慮しながら調整するように構成されたコントローラであり得る。
【0055】
本開示の一実例では、個別アプリケータは、その個別アプリケータから分配される食用製品とその個別アプリケータの隣接する個別アプリケータから分配される食用製品との間に接触が存在しないように、ある一定の直径を有するように構成され得る。(他の事例とともに)そのような事例では、プリント・ヘッドは、少なくとも1つのセットの各個別アプリケータに管によって流体接続され、且つ(食用成分の長い繊維を互いに接触させながら製造することができるように)XP軸に沿ってアプリケータよりも小さい寸法を有する、中間要素を備えることができる。
【0056】
本実例では、プリント板180は、図1C図7A、及び図7Bに最もよく示されているように、入口面181と、出口面182と、入口面181から出口面182まで板を横断する複数の開口部183とを備える。開口部は、開口部の入口面181側に入口ポート184を有するように構成され、その入口ポート184には、2次配管要素を介してプリント・ヘッド150が流体接続される。いくつかの事例では、プリント・ヘッド150の2つのアプリケータが、同じ入口ポート184に流体接続され得る。いくつかの事例では、少なくとも1つのアプリケータが、2つ以上の入口ポート184に接続され得る。
【0057】
開口部はまた、開口部の出口面182側に出口ポート185を有するように構成され、その出口ポート185から、食用製品がプリント支持台200上で製造され得る。図示のように、各入口ポート184は、ねじ186によってプリント板180に固定して接続される。
【0058】
いくつかの事例では、プリント板の開口部183は、いくつかの配列で配置され得、配列のそれぞれは、開口部183を通して製造されるように構成された食用成分に嵌合するように異なる直径を有するように構成され得る。いくつかの事例では、単一の個別アプリケータが2つ以上の入口ポート184に流体接続され得る。例えば、各横側の3つの横方向入口ポートが、肉の厚切りの壁部分を製造するように構成されているので、その3つの横方向入口ポートは単一の個別アプリケータに流体接続され得、これにより、肉の厚切りは常に完全に同じ材料から製造される。
【0059】
いくつかの事例では、少なくともXP軸に沿った、プリント板180上の複数の開口部183の各対の間の距離は、開口部に流体接続された個別アプリケータ160の各対の中心軸Yの間の距離よりも短くなるように構成される。
【0060】
いくつかの事例では、個別アプリケータ160又は個別アプリケータ160のそれぞれの出口ポート185はそれぞれ、互いに独立してプリント支持台200に近づけるように又はプリント支持台200から遠ざけるように構成された昇降モータ(図示せず)をさらに備えることができる。
【0061】
一般に、プリント支持台200は、食用製品A若しくは上で食用製品Aが製造され得る物体を支持する、保つ、及び/又は保持するように構成され得る。その目的のために、プリント支持台200は、プリント機構120に対して移動可能であり得る。図2Aに示すように、プリント支持台200は、2つのプリント支持台200によって構成され得、その結果、少なくとも部分的にプリント・ヘッド150の下に位置する第1のプリント支持台上でプリント・ヘッド150が食用成分を製造するとき、第2のプリント支持台は、その上で前に製造された食用成分をプリント・ヘッド150から離れて後処理することを可能にすることができる。
【0062】
本実例では、プリント支持台200は台表面202を備え、台表面202は、駆動機構250によって、コントローラ300から受信した信号に従ってプリント・ヘッド150に対して移動することができる。例えば、台表面202は、P軸及びZ軸に沿って操縦するように構成され得、プリント・ヘッド150は、駆動機構250によってXP軸に沿って操縦されるように構成される。いくつかの事例では、台表面202は、台表面202に関連付けられた1つ又は複数の軸を中心に回転及び/又は傾斜するように構成され得る。したがって、少なくともいくつかの実施例では、台表面202は、プリント・ヘッド150との任意の所望の相対的構成の中に移動され得ることが企図される。その目的のために、プリント支持台200は台本体201を備え、プリント支持台に前述の移動を可能にするように構成された調整機構203によって、台本体201に台表面202が動作可能に接続される。台本体201は、駆動機構250によって移動されるように構成された可動部分204を有するようにさらに構成される。
【0063】
一般に、駆動機構250は、プリント・ヘッド150に対してプリント支持台200を操縦するように構成される。当業者には明らかであるように、これは、支持台200に対してプリント・ヘッド150を移動させること、プリント・ヘッド150に対して支持台200を移動させること、又はそれらの任意の組合せによって達成され得る(例えば、図1B図1Cの図示された実施例では、デカルト座標において、支持台200はP方向及びZ方向に移動し、プリント・ヘッド200はXP方向に移動する)。その目的のために、駆動機構250は、プリント支持台200又はプリント・ヘッド150のいずれかの移動を制御するように、コントローラ300からパターン信号を受信するためにコントローラ300と電気通信することができる。さらなる事例では、駆動機構250は、プリント板に接続された個別アプリケータのセットに対してプリント板を操縦するように構成され得る。プリント・ヘッドに対するプリント支持台200の相対位置は、デカルト軸系及び/又は円筒軸系のいずれかを使用して達成され得る。
【0064】
本実例では、駆動機構250は、互いに平行に延在し互いに反転した2つのレール251A及び251Bを備えるレール・モジュール251を備える。2つのレール251A及び251Bは、少なくともプリント・ヘッド150の下から、それぞれがハウジング110のそれぞれの横方向の両端に向けて延在する。図2Aに示す実施例では、駆動機構250は、レール251A及び251Bの2つの別個の対を含み、各対は、支持台200のうちの一方を搬送する。駆動機構250はエンジン252を備え、エンジン252は、それぞれのプリント支持台200の可動部分204をそれぞれのレール上で、プリント支持台がプリント・ヘッドの一部(プリント板180など)の少なくとも幾分下に位置している製造位置から、台表面202上に分配された任意の製造済みの材料を硬化させることができる後処理位置まで移動させるように構成される。
【0065】
上述のように、システム100は、ユーザとの間で情報をローカル若しくはリモートのいずれかで受信及び提供するように構成されたコントローラ300、及び/又はプリント機構120との間のコントローラを備える。コントローラ300は、プロセッサ310と、通信モジュール320とを含むことができる。一般に、「プロセッサ」という用語は、単一のコンピュータのコンピューティング・リソース、単一のコンピュータのコンピューティング・リソースの一部、及び/又は互いに通信する2つ以上のコンピュータを指す。これらのリソースはいずれも1人又は複数のユーザによって動作され得る。いくつかの事例では、コントローラ300は、1つ又は複数のインターフェースを含むことができ、例えば、コントローラは、プリント・ヘッド150、駆動機構250、及びプリント支持台200にパターン・アドレス信号を提供する役割を担うプリント・サーバを備えることができ、プリント・サーバ(例えば、デスクトップ、ラップトップ、又はタブレット)とローカル又はリモートのいずれで通信する別個のインターフェースにより、ユーザは食用製品設計をシステム100に提供することが可能になり得る。コントローラ300は、システムによって受信された食用製品設計を記憶するための1つ又は複数の記憶モジュールも含むことができる。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8
【国際調査報告】